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2008-04-08 第169回国会 参議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松山 政司君     理 事                 岡崎トミ子君             ツルネン マルテイ君                 中川 雅治君                 橋本 聖子君     委 員                 小川 勝也君                 大石 尚子君                 大石 正光君                 大久保潔重君                 轟木 利治君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 荒井 広幸君                 神取  忍君                 川口 順子君                 矢野 哲朗君                 加藤 修一君                 山下 栄一君                 市田 忠義君                 川田 龍平君    国務大臣        環境大臣     鴨下 一郎君    副大臣        環境大臣    桜井 郁三君    大臣政務官        環境大臣政務官  並木 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        加藤 堅一君    政府参考人        文化庁文化財部        長        大西 珠枝君        経済産業省製造        産業局次長    内山 俊一君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       上田 隆之君        国土交通大臣官        房審議官     菊川  滋君        国土交通省総合        政策局次長    北村 隆志君        環境省総合環境        政策局長     西尾 哲茂君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       石塚 正敏君        環境省地球環境        局長       南川 秀樹君        環境省水大気        環境局長     竹本 和彦君        環境省自然環境        局長       櫻井 康好君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○公害健康被害補償等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 松山政司

    委員長松山政司君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文化庁文化財部長大西珠枝君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 松山政司

    委員長松山政司君) 公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 おはようございます。民主党ツルネンマルテイです。  本日審議することになっている法律案は、公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案です。この法律通称公健法と呼ばれています。しかし、今回のこの改正案内容は極めて簡単なものです。つまり、自動車負担分当該措置を十年間延長するのみであります。このことについても後で問題にしたいと思いますけれども。しかし、本来ならば、過去の附帯決議や各方面からの要望を踏まえてもっと抜本的な改正も必要であることが明らかであります。私の質問でも、この改正案とは別に、公健法幾つかの問題点指摘したいと思います。この法律案はもう既に衆議院を通過していますが、そちらの審議の記録も私も読ませていただきました。今度の私の質問の中でも衆議院と重なる部分もあるかと思いますが、しかし、本当に重要な問題は両院で指摘することも必要ではないかと思いますから、そういう重なっているところを余り気にしていません。  大気汚染影響を受けて病気になっている人の数は二十年ほど前にはピークに達しました。昭和六十三年のことですが、そのときまで有効だったこの第一種地域指定というところの被認定患者の数が十万人を超えていました。しかし、そのときの制度改正によって新たな患者認定しないことになったということも一つの大きな問題であります。つまり、その後も特に気管支ぜんそくなどの患者が増え続けています。  そのときもう一つの大きな問題になったのは、そこまで有効であったこの第一種地域が解除されたということです。そこまでは全国では四十一の地域が、特にその患者の発生が多かった地域が指定されていましたが、それが解除されたのはなかなか後でも問題になった。なぜ、そんなに早くあれはなぜ解除されたか、まず一番目の質問としてはそれをお願いしたいと思います。
  6. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 第一種指定地域がなぜ解除されたかというお尋ねでございますが、公害健康被害補償法は、著しい大気汚染によるぜんそくが多発している地域を指定して、一定期間居住等をした者であってぜんそく等に罹患した者に対して、大気汚染との間に因果関係ありとみなす制度的な割り切りを行いまして、汚染原因者負担により補償を行うものとして昭和四十八年に制定されたものでございます。  しかしながら、その後、大気汚染改善されたという状況の下、大気汚染健康被害との間に因果関係ありとみなす制度的割り切り合理性が失われているとの昭和六十一年の中央公害対策審議会の答申を踏まえ、公健法改正を経て昭和六十三年に指定地域が解除されたというものでございます。
  7. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 そのとき、参考資料を読みますと、この個別の補償を行うことも余り合理的ではないということでやめられた。その代わり、健康被害予防事業の方にはウエートが置かれたと書いてあります。しかし、このように国の方ではその地域指定が解除されたんですが、他方、旧第一種地域地方自治体では、この気管支ぜんそくなどの患者に対してその後も個別の補償を現在も行っているということですね。  つまり、特に東京都とか大阪市などの十二の自治体では今もなお、その旧第一種地域関係自治体ですね、その中で独自の医療費助成制度を行っている。つまり、国はやめましたけれども地方自治体が今も続けているということ、このような国と地方自治体関係に対して大臣はどのように考えているんでしょうか。大臣のお考えをお願いします。
  8. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今御指摘の点につきましてですけれども、地方は行っているのになぜ国はやらないのかと、こういうような趣旨だろうと思いますが、公害健康被害補償制度そのものは、これは公害による健康被害者等の迅速かつ公正な保護と健康の確保を図るために補償給付等費用汚染原因者がその寄与に応じて負担すると、こういう民事責任を踏まえた行政上の補償制度であるわけでありますけれども、他方、これは地方公共団体、今先生がおっしゃっているように、例えば、東京都あるいは大阪市が行っているような医療費助成制度そのものは、これは例えば新規ぜんそく等患者さんに対して医療費自己負担分助成をしていると、こういうようなものでありまして、公健法上の各種補償給付とは性格が異なる給付だと、こういうふうに考えておりまして、福祉政策上の観点から各自治体が独自に行っていると、こういうような考えだろうというふうに理解をしております。
  9. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 ありがとうございます。  この問題はそのくらいにしておいて、その後、さっきも触れましたように、旧第一種地域指定解除の後もこの気管支ぜんそく等患者が増え続けています。その実態、どのくらい増えているかということと、その原因は一体どこにあるかということ。例えば、これはさっきは東京を例にしましたけれども、この二十年間で、解除された後も東京では二十年間で二・四倍までも患者が増えているということ、この実態とその原因について簡潔にちょっと説明をお願いします。
  10. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 患者数推移につきましては各種統計がございます。ぜんそく患者数推移について、まず、厚生労働省患者調査という統計がございますが、その中で受療率、医療機関をどの程度受診しているのかといったような統計で把握いたしますと、これは数十年という長期的なスパンで見ますと、確かにぜんそく患者数増加傾向にはございます。ただ、最近十五年あるいは二十年という期間で見ますと、横ばいの状態であるというように認識しております。一方、文部科学省学校保健統計では、ぜんそくを罹患した児童生徒の割合というものは増加傾向にあるようでございます。  これらの統計から、ぜんそく患者数推移につきましては、統計調査によって結果には差があるというように承知をしております。  ぜんそく等疾病につきましては、大気汚染のみならず、様々な原因により発症するいわゆる非特異的な疾病でございまして、これらの疾病患者数は増えているとしましても、その原因は明らかではないというのが現状でございます。  環境省幼児対象として実施しております環境保健サーベイランス調査の結果を見ますと、大気汚染物質ぜんそくとの関連性一定傾向は認められていないというところでございまして、一部の統計調査ぜんそく等患者が増加しているという結果がございましても、ぜんそくの主たる原因大気汚染であるというようには考えていないところでございます。
  11. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今の答弁でも少し触れられましたけれども、大気汚染による被害が一番多い、気管支ぜんそくの場合ですけれども、もちろんそのほかにも原因があるというのは今の答弁のとおりですね。  そのことに関連して、今度大臣の方には、大臣医者でもありますから、大気汚染以外のほかの理由もぜんそくのものになっているということ、例えばどのようなことか、簡潔にちょっと答弁をお願いします。
  12. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 私も、個人的なことでありますけれども、医者になりたての数年は専ら気管支ぜんそくを中心に診ていた呼吸器医者だったものですから、特に、子供たちを連れてぜんそくのキャンプをやったりして、随分いろいろと深くぜんそく患者さんとは付き合わさせてもらいました。いまだに、そういう人たちが大きくなって、多くの人たちは成長とともにぜんそくは寛解していくんですけれども、中にはやはりいろんな原因でそのままぜんそくが遷延してしまって大人のぜんそくに持ち越すと、こういうようなこともあるものですから、私が考えるには、ぜんそくというのは様々な因子影響をしていると思いますけれども、一つは、これは本人個体因子といいますか素因といいますか、こういうような遺伝的なもの、アレルギー体質を持っていると、こういうようなことが多分大きい因子なんだろうと思います。これが発症には一番決定的なことでありまして、ただ、それがその後増悪していくあるいは持続していくと、こういう要因の中には、場合によると環境的なもの、大気汚染的なものあるいは喫煙、それからストレス等の体の疲労、精神的な疲労、こういうようなことを含めて総合的、複合的に病態ができ上がっていくと、こういうふうに考えられているわけです。それは多分、ここ数十年間こういうようなことについては変わっていないというふうに思います。  そういう中で、これ環境省実施している環境保健サーベイランス調査の結果でも、現在の一般環境としての大気汚染ぜんそく発症の主たる要因、先ほど申し上げたように、発症要因ではなかなかそれが一義的だということは認められないというふうに考えております。  一方、例えば家庭内の喫煙あるいは本人又は親のアレルギー疾患の既往など、こういうようなものが最も重要な要因になっていると、こういうようなことが統計学的には認められておりますし、私も、少ない経験でありますけれども、ずっとぜんそく患者さんと付き合ってきた感じではそういうような印象を持っております。
  13. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 ありがとうございます。  実は、今大臣説明しているようなこのぜんそく患者さんの中にはうちの息子も入っているんです。これは決して大気汚染によるものではなくて、小児ぜんそくと言われて、その原因も不明です。ダニでもなかったかとかいろんなことがありますけれども。だから本当に、私たちは今ここではこの大気汚染による問題をこの法律考えていますけれども、すべてのぜんそく患者たちはそういうものじゃない。かといって、大半はやはりこの大気汚染由来のものであるということには間違いないと私たちも見ています。  そこから、次の質問には、五番目の質問に入りたいと思いますが、さっきから話したように、この公害健康被害者救済、今認定を受けている人たちはその中に入っていますけれども、非認定患者も非常に多いということはありますね。彼らを考えて新たな救済制度が必要ではないかということは、いろんな方面からそういう声が入っています。実は、今日は、附帯決議案の中にもそのような趣旨のことも書いてあります。あるいは、私たち民主党もそれを前から考えていますから、だからこのような新たな未認定患者救済のための制度必要性があると思いますけれども、その必要性については大臣はどのように考えているんでしょうか。
  14. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) ぜんそくは、ただいま大臣の方から御答弁ございましたように、アレルギーダニ喫煙等、多岐にわたる原因により発症、悪化する非特異的な疾患でございます。  大気汚染ぜんそく因果関係につきましては、まず、これまでの調査結果から見得る範囲では、現在の我が国の一般環境としての大気汚染ぜんそくの主たる原因とは考えられない。次に、幹線道路沿道局地的大気汚染影響につきましては、現時点では科学的な知見が十分ではないという状況にございます。  したがいまして、大気汚染に係る補償給付等としての医療費助成制度を国として設けるということは考えていないという状況でございます。
  15. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 この必要性について、また別な方面から、また後の質問でも触れたいと思いますけれども。  ここで、私は、一つ原因になっている公害車というか車のこと、低公害車普及促進についてどのようなことが行われているかということ、その答弁の前には、例えば今はよく話題になっているのはクリーンディーゼル車というのがあります。これはヨーロッパの方では非常にはやっているし、そしていろんな意味では、その被害というか、例えば、ぜんそくとかこういう、一つ原因になっているのはいわゆるPM二・五という微小粒子状物質ですけれども、これはこのぜんそくや気管支炎を引き起こす一つのことになっているはずですね。このクリーンディーゼルの場合はそれはどのくらい削減効果になっているかという、今の車に比べると、例えばディーゼルに比べると、ヨーロッパではこれは非常に大きなことになっています。  あるいは、重ねて、そこでは一つ質問は、今この日本では低公害車の数が、資料を読みますと、もう一千五百万台ぐらいあるんですね。この低公害車の中にどういう車が入っているか、ハイブリッドカーだけではないと思いますけれども、併せてその中身についても答弁お願いします。
  16. 竹本和彦

    政府参考人竹本和彦君) ただいまお尋ねのありました幾つかの点につきまして、順次お答え申し上げたいと思います。  まず最初に、低公害車普及促進、どのようにやっているかということでございますが、政府におきましては、関係省庁、具体的には経済産業省国土交通省、そして私ども環境省三省一緒になりまして、平成十三年に低公害車開発普及アクションプランというものを策定をいたしました。これに基づきまして低公害車普及を行っているところでございますが、具体的にこの中で低公害車五つ種類位置付けをしております。具体的には、天然ガス自動車電気自動車、そしてハイブリッド自動車、さらにはメタノール自動車、加えて低燃費かつ低排出ガス認定車、これら五つ種類を低公害車として位置付けをしておるところでございます。こうした低公害車普及促進のために補助金を、導入に当たっての補助金を出したり、また税制の優遇措置など、いろいろな普及施策を講じているところであります。  続きまして、二点目の御指摘のございましたクリーンディーゼル車の点でございますが、私ども、クリーンディーゼル車といたしましては新規に、来年から規制を新たに導入をする、いわゆるポスト長期と呼んでおるんですけれども、世界で最も厳しい水準のこのポスト長期規制に適合するディーゼル車クリーンディーゼル車として積極的にこれから普及を図っていきたいと考えております。  そこで、お尋ねのどの程度低減効果があるかということでございますが、粒子状物質で見ますと、未規制のときに比べますと九九%粒子状物質につきましては低減をするということでございますので、大気汚染対策にも、また温暖化対策にもしっかりこたえるクリーンディーゼルをこれからも開発され、また普及に努めるということが大事だと思っております。  最後に、この低公害車、合わせて千五百万台普及しているということでございまして、その内訳は、御指摘のとおりハイブリッド車だけではなくて、先ほど申し上げました天然ガス自動車電気自動車など五種類の低公害車すべてを含めて一千五百万台の普及に至っております。
  17. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今の答弁でも明らかになったように、このクリーンディーゼルは非常に環境に優しい車でありますから、ヨーロッパと同じように、ヨーロッパに負けないように日本もやはりそれの普及には力を入れてほしいと私たちも、素人の立場ですけれどもそういうふうに考えています、環境に優しい車の、移動ツールとしてはですね。  では、そこから次の質問に入らせていただきます。  それぞれの国会のときはこういう委員会では附帯決議が行われています。今日もその案があります。そして、平成十五年でも、第百五十六回国会でも、このことに対して、この公健法に対しての附帯決議が行われました。その中には項目五つもありますけれども、その中の一つ項目だけをちょっとまず読ませていただきます。その附帯決議については、実施状況はどうなっているかということを是非その後説明していただきたいと思います。この四番目の項目はこういうふうに書いています、「近時の大気汚染訴訟判決等を踏まえて、主要幹線道路沿道等の局地的な大気汚染による健康影響に関する調査を早期に実施するとともに、必要な被害者救済のための措置を検討すること。」。この中に二つのことがありますね、一つ是非調査を行うこと、そしてその結果としては、被害者救済のための措置を検討すること。  これ、私もその実施状況参考資料から読んでいますから、これにはいわゆるそらプロジェクトということがもう既に始まっているということは聞いています。このそらプロジェクトというのはどのようなものか、簡潔にそれを説明していただきたい。
  18. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 通称そらプロジェクトと呼んでおります局地的大気汚染健康影響に関する疫学調査でございますが、これは現在実施中でございます。  その内容としましては、関東、中京、関西の三大都市圏におきまして、まず小学生を対象とする学童コホート調査、これは約一万六千人を対象にしております。それから二点目が、幼児対象とする症例対照調査、約十万人を対象としています。それから三点目が、成人を対象とする疫学調査、これは約二十四万人の調査でございますが、以上三つの調査を順次進めているところでございます。  このうちで一番目のコホート調査といいますのは、例えば同じ学校に通学しているなどの共通の特性を持った集団を数年にわたり追跡調査しまして、その集団からどのような病気がどの程度の頻度で発生するかということを観察しまして、その病気要因とそれから病気との関係というものを明らかにしようとする疫学調査のことでございます。  これらの調査平成二十二年度に結果の取りまとめを行うということとしておりまして、局地的大気汚染健康影響との関連について評価を行う予定でございます。
  19. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 私もこの報告を読んだときは、最初にはこのコホートという言葉が一体どういうものであるかということを私もこれを辞典で調べましたけれども、こういうのにも適切な日本語があれば一番いいなとも思っていますけれども、恐らく皆様の中でももし初めて聞いたらどういうものであるかということ。しかし、今の説明にあるように、簡単にそれを振り返ってみると、これも辞典でも説明されていますけれども、例えばこの場合は、大気汚染に暴露をされている人たちとそうじゃない人たちとの比較ということは、あくまでもただ暴露されている人たちだけではないということ。  だから、これは非常にある意味では評価できる調査でありますから、そして今も、その結果が出た後はその次のステップとして、さっき言いましたように、この附帯決議では、そのときの被害者救済のためのやっぱりかなりその措置を検討することも必要です、この結果が出た後ですね。本当にそこでどういうことが明らかになるか、まだもちろん明らかではないということ。  八番目の質問では、公害健康被害予防事業がいろんなところで行われています。特にこれは地方公共団体が行っていることもあって、それの助成を国の方からも入っています。  その中では、例えばこのような地域大気環境改善のための計画作成という事業があると私も読んでいます。この大気汚染をどのような形で私たち改善できるか、ある意味で、その説明の中に具体的なことはなかったんですから、例えばこれはどのようなことで改善できるかあるいは図っているか、具体的な例をちょっと内容説明していただきたい。
  20. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 計画作成事業についてでございますが、この事業は、環境再生保全機構では、大気環境改善を図るために、地方公共団体が行う最新の規制適合車等への代替促進事業大気浄化、植樹、木を植えるための事業等に対して助成を行っているところでございます。  計画作成事業といいますのは、地方公共団体がこれらの事業計画的かつ総合的に実施するための計画を作成する際に必要な費用助成するというものでございます。計画に盛り込まれた事業実施されることによって、大気環境改善が図られるということを期待しております。
  21. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 これも一つの例であります。この汚染された環境をそう簡単に私たちは元に戻すことができない、だからこういう事業も各地域で行われているということはもちろん非常に評価できるものであります。  次の質問に入らせていただきます。  昨年の八月には、自動車排気ガスなどの大気汚染物質排出をめぐる東京大気汚染訴訟が和解しました。その和解に当たって、東京と国との間でいわゆる政治決着が図られたと聞いています。  この政治決着内容は、まず簡単に説明してもらいたい。
  22. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 東京大気汚染訴訟は、十年にわたり双方が主張すると、こういう中で、一連の大気汚染に係る訴訟の中で唯一残されたものでございました。昨年の、十九年の五月三十日に当時の安倍総理が東京都知事とお会いになったときに、早期に解決を図るという観点に立って政治決断をされたものでございます。  その内容でございますけれども、かねて東京都では和解協議に向けてぜんそく患者に対する医療費助成制度の創設ということを提案しておられたわけでございます。安倍総理の方からは、国としては医療費を直接負担するということはできないわけでございますけれども、国としてできるぎりぎりの対応ということで、東京都に対して予防事業として六十億円を拠出するということでどうかということを提案されまして、都知事が了解をされたと、こういうことでございました。先生御指摘のように、これを踏まえまして八月八日の和解におきましては、一つ東京都が医療費助成制度を創設するということとは別途、国が東京都への予防事業の拠出をするということが掲げられまして和解に至ったと、こういうことでございます。
  23. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今の答弁の中では、その六十億円は拠出されたと聞いていますけれども、説明にはなかったのは、それは一体どういうところからその六十億円は出てきたか、それもちょっと簡単にお願いします。
  24. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 六十億円の言わば原資でございますが、これは昭和六十三年に公健法改正がありまして、再生機構におきましてその五百億円の基金を積み立てまして、これでぜんそく等患者に対する予防事業あるいは大気改善対策を行っていくということになったわけでございますが、この五百億円の基金の中から都に対して予防事業として拠出するということにしたものでございます。
  25. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 つまり、今はっきり分かったことは、その五百億円の基金から六十億円を崩して、それを東京都に拠出したということ。これはその当時は新聞でもいろんなところでかなり大きな問題になったんですね。いろんな私も新聞の記事を読ませていただきました。ここでも、今年の二月には日経新聞では、大気汚染救済、なぜ東京だけという記事があります。このような記事がたくさんそのとき出たということですね。  だから、公平性の観点からも考えたら、東京はそれで大いに助かったということですけれども、東京以外でも同じような救済策が必要ではないかという声があちこちから批判も含めて入っています。このことに対しては、大臣の方からコメントをお願いします。
  26. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 御説明をさせていただきます。  五百億円の基金は、これは基本的には運用益をもちましてぜんそくの方々に対する、例えば水泳教室、ぜんそく教室といったような予防をやっていくといったような費用に充てるものでございました。そういうことでございますので、この五百億円を各地に取り崩してということは元来は想定されていないものでございます。  しかしながら、その過程で大気汚染に関する訴訟各地でございました。それぞれにつきましては固有の事情も踏まえましてそれぞれ和解に至りましておりますけれども、その形はやはりそれぞれの事情に応じて少しずつ違うものでございました。で、最後に東京大気汚染訴訟が一連の訴訟の中で、やはり国としてもここは何とかして解決をしなきゃいけないということでございましたので、国としてぎりぎりの対応としての政治決断ということで総理が決断されたものでございますので、平等という御指摘もございますけれども、これをもって直ちに他の地域と比べるということはなかなか困難ではないかと思っております。  加えまして、全体の予防事業実施ということにつきまして、それは薄くなってはいけないということもございます。平成二十年から自立支援型の公害健康被害予防事業二億円というものも計上いたしまして、全体として予防事業が充実して行われるように配慮しておるところでございます。
  27. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 先ほども私の方からも申し上げましたけれども、大気汚染に起因するとみなすことができる呼吸器疾患、これを有する方々につきましては公健法に基づいて汚染原因者負担により医療費の支給等が行われているところであります。  その他の公健法に基づく認定を受けていない方々につきましては、これは、幾つかの地方自治体が行っている医療費助成制度大気汚染影響を受けると推定される疾病救済のほか、アレルギー対策、特定疾病にかかった方々の健康保持などの言わば福祉政策上の観点から医療費の自己負担分を助成していると。こういうようなこともありまして、公健法補償給付とは性格という意味においては異なる給付が独自に行われていると、こういうふうに理解しているわけでありまして、今局長の方からも答弁しましたけれども、大気汚染に係る訴訟は各地の固有の事情を踏まえた和解による解決を見ていたわけでありますけれども、残念ながら、東京大気汚染訴訟はこの一連の訴訟の中で最後まで残っていたと、こういうようなことで、我々にとっても大変懸念している状況でありました。  そういう中で、これ、政治決断と、こういうようなこともありまして、ある意味でぎりぎりの対応をしたと、こういうようなことであるものですから、一概に他の地域と比べると、こういうようなことはなかなか難しい部分があるんだろうというふうに思っております。
  28. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今は行政の方からの答弁というか、弁解というか、ということがありましたけれども、もちろん、これは行政というよりも総理大臣の政治判断だったということでありますからそれを超えているかもしれません。しかし、これに対する不満がやはり公平性の観点から考えると今もまだあります。  その一つの表れとしては、先月だったと思いますけれども、例えば川崎市の方からは私たち民主党の方にも要望書が渡されました。恐らくこれは政府・与党の方にも届いているかと思います。川崎市でもこれを不満に思って、彼らがお願いしているのは、ここに、簡単な一つの文章だけですから、彼らの要望書にはこういうことが書いてあります。川崎市の成人ぜんそく患者医療費助成制度を自立支援型健康被害予防事業として認定し、事業経費を助成対象とすることという要望です。  これは神奈川県からですから、桜井副大臣は神奈川県での選挙区ですから、この川崎市の要望に対しての見解をお願いします。
  29. 桜井郁三

    ○副大臣(桜井郁三君) ツルネンマルテイ議員が環境問題だとか大気汚染の問題、私の地元でも何回も街頭でとかそんなことをお聞きして、大変熱心に環境のものをやっていただいておるというのを感謝しております。  ただいまの川崎のことでございますが、三月十二日に阿部川崎市長が参りまして、政府の方にも今言われたような要望書を出させていただいております。かねてから、公健法とは別に川崎市内のアレルギー疾患対策として独自の成人ぜんそく医療費助成制度を行ってきたものでございます。  一方で、予防事業というのは、先ほど大臣、また事務局からお話がありましたように、公害法に基づき、大気の汚染の影響による健康被害を未然に防止するための事業であることから、予防事業をもって医療費助成を行うということは制度上大変難しい問題がございます。  しかしながら、各地域の方々に対してよりきめ細かな予防事業実施することとして、自立支援型予防事業趣旨に従って、川崎市あるいはほかの市町村とよく御相談をしながら、できるだけ要望に沿って話合いをしていきたいと考えております。
  30. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 川崎市では、話を聞きますと、もうこのことに対して署名運動もかなり行われていると聞きましたから、だから本当に、ただ要望で終わるだけではなくて、それに適切にこたえもできるように政府の方でも頑張っていただきたいと思います。  十番目には、一番最初に触れましたけれども、この法案のたった一つのことは、十年間を延長するということでしたね。なぜこの延長の期間が十年間になったか。今までは確かに三年間とか五年間とかというのが多かったと思いますけれども、まさか道路特定財源の問題と合わせたことではない、実際には財源は別なところですから直接関係ないと思いますけれども。つまり、一つは、私は十年間でもいいんですけれども、その間には全く改正しないつもりか、それも併せて答弁をお願いします。
  31. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 環境省といたしましては、この引き当て措置というものは既に制度創設以来三十年以上にわたって継続されておりまして、既に制度としてはおおむね定着したものと考えております。また、患者団体の方々からも恒久化というものを望む声も上がっているところでございます。  しかしながら、この引き当て措置につきましては、自動車重量税の存在を前提としておりますために、この重量税について見直しが行われる際にはこうした引き当て措置についても併せて再検討することとなる可能性もございますことから、従来より時限的な措置とされているものでございます。  今般の改正案では、以上の状況を踏まえ、他方における時限的な措置というものを考慮しまして、延長年限をできる限り長く、十年としたところでございます。  この引き当て措置は、公正な負担でかつ効率的に徴収し得る現実に実行可能な合理的なものとして過去九回の見直しを経て三十三年間定着しておりまして、平成二十年度以降も引き続きこの引き当て措置とすることが適当と考えております。
  32. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 それでも、この十年間のうちには必ずこの改正の必要が出てくると私も思っていますし、それも否定されていないということもありましたけれども。  ここに関連して、次の質問では、この自動車負担分は、さっきも話されましたように、なぜ自動車重量税から充当することになったのか、その経緯、まあ経緯は非常に簡単でいいと思います、時間が余りありませんから。そして、今後、そのことも、例えば別なところから充当するということとか、そのような見直しという必要性についてはどういうことか。  その答弁の前には、例えば、これからは、何回も今話題になったように、クリーンディーゼルのようなもの、あるいは将来的には水しか排出しない燃料電池車も出てくるはずですね。つまり、そういう車は大気汚染と全くかかわっていない車になりますね。それでもそのような車を持っている人も大気汚染対策費用負担分をしなければならないという、そういう問題も出てくる。恐らくこれは、この法律一つの原則というのはその原因者が負担するということ、そういう意味でも見直しが出てくるんじゃないか、この十年間のうちでも。そういう意味でも、繰り返しそういう見直しの検討はなされていないかということをお願いします。
  33. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 自動車から負担していただくというその負担方式につきましては、この制度発足以来、自動車重量税が、その創設時及び税率水準の設定に当たりまして自動車の走行がもたらすもろもろの社会的費用に充てるということとされたことを踏まえまして、自動車重量税収の一部引き当て措置が採用されたというところでございます。  このほかの方式として、例えば、独自に徴収する方式あるいは既存の税制度からの引き当て方式というものも検討されてきたところでございますが、公害健康被害補償制度により独自にこの費用を徴収するというような方式につきましては、まず徴収コストが高いと、それから次に、自動車については取得、保有、走行の各段階において既存の税制度がございまして、これらに屋上屋を重ねて新たな制度を設けるということは適当でないといったような観点から、こうしたものは適当ではないというふうにされたところでございます。  また、自動車重量税以外の既存の自動車関係諸税から引き当てるという方式についても検討はされたということでございますが、この検討結果、重量税に勝るものはないということが結論付けられたところでございます。  いずれにしましても、この措置というものは、公正な負担でかつ効率的に徴収し得る現実に実行可能な合理的なものとして過去九回の見直しを経て三十三年間定着しておりまして、平成二十年度以降も引き続きこの措置によることが適当と考えております。
  34. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 そういう経緯もあるということは私も読んでいますけれども、いずれにしても、一般に考えていても十年間では全く改正がないということはいろんな状況が早く変わっているということがあります。  時間、私にはあと四分しかありませんから、一つ質問を抜きにして、私の提出したものでは十三番目の方に入りたいと思いますけれども。  この大気汚染の問題あるいは汚染の問題は、一般的にも決して日本で解決するものだけではありません。これは、地球規模の問題は言うまでもありません。特に、私たち日本の場合は、例えば中国の大気汚染日本にもいろんな形で影響を及ぼしています。私の質問ではほかの外国のことも聞いていますけれども、そこにもちょっと時間ありませんから、この中国との関係に限ってどのようなことでこれに取り組んでいるか、大臣の方からお願いします。
  35. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 現在の中国の汚染、特にオキシダント等の汚染につきましては、これ国境を越えて移動しているのではないかという懸念がございます。特に、九州の離島など元々大気汚染が多くないところで光化学スモッグが近年観測されている、こういうようなことで、我々しっかり対応しないといけないというふうに考えます。  中国だけが汚染の原因ではないというようなことにつきましては、それぞれ中国の言い分もあるようでありますけれども、我が国としましては、国境を越える大気汚染対策について、昨年の日中韓の環境大臣会合で、これ私も出席いたしましたが、共同で取り組む方針について議論をしました。また、特に中国とは大気汚染物質等の削減と同時に、地球温暖化対策にも資すると、こういうような意味でコベネフィットアプローチと、こういうようなことで協力をしようというところで、向こうの大臣とも覚書を取り交わしたところであります。  これからも、日中あるいはこれは日中韓も含めまして、特に情報の共有等も重要だというふうに思っておりますので、連携して、国境を越えて移動する汚染物質に対する取組についてしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えます。
  36. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 やはり、これも私たちは隣の国と互いに助け合いながら、どういうふうな対策が一番有効かと考えなければなりません。  最後に一つだけ、どうしてもスウェーデンのエコカーの対策についてちょっと大臣のコメントをいただきたいと思います。まずそれをちょっと説明しますから。  これは、直接は公害車だけではなくてエコカーというのは環境に優しい、例えば二酸化炭素の排出量を減らすということでも非常に。スウェーデンは先頭に立っている国であります。例えば、その中では、このエコカー対策としては、すべてのエコカーに対しては炭素税とかエネルギー税が完全に免除されているということ、あるいはエコカーを買った人には二十万円の保証金、購入の保証金が払われているんですよ、二十万円ですね。あるいは、ストックホルムでは駐車場はほとんど市が経営していますね。そこの使用料は一か月は一万六千円ですけれども、エコカーの場合はこれは完全にゼロになる、無料ということ。いろんなこういう画期的な対策でどんどんエコカーが増えているということ。  あるいは、彼らは、日本ではE3という燃料が考えていますから、向こうではサーブとかボルボ社というのはE85というのをどんどん今造っています。つまり、八五はエタノールとかバイオマス、それでガソリンがわずか一五%。これもどんどん向こうで増えていますから、このような先駆的なことに対して私たち日本もたくさん学ぶことがあるんじゃないかと思いますから、もう時間がほとんど終わりますけど、一言これについてコメントをお願いします。
  37. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 私も日本の国内あるいは世界で先端と言われているエコカー、多分すべて乗りました、試乗をしてみました。そして、やはりこういうような自動車の単体の、言わば汚染物質を出さないというような車についてインセンティブを与えていく、こういうようなことというのは非常に重要だというふうに思っています。  ですから、これについては、例えば環境省の方は取り組んでいますけれども、他省庁と全体で連携をしてやらないといけないと思いますから、是非スウェーデンのその先駆的な取組を我々も参考にさせていただきたいと考えます。
  38. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 ありがとうございます。  終わります。
  39. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  まず最初に、道路特定財源の関係でいわゆる暫定税率が四月一日でもって失効したわけでありますけれども、自動車重量税も暫定税率ではなくなり、本則税率が適用され、減収になる。  道路特定財源の一般財源化の議論もございますが、国からのいわゆる環境再生保全機構への交付金、それから指定地域自治体への納付金のうち、いわゆる補償給付金等に要する費用の二割に当たる自動車負担分でありますけれども、約百十六億円ありますけれども、これが場合によっては減額されるんではないかと、最終的には患者に対しても補償給付公害保健福祉事業に支障を来すことが懸念されている段階でありますけれども、こういったことについてはしっかりと確保をしていただきたいと、このように考えておりますけれども、環境省、どのような見解をお持ちでしょうか。
  40. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) 加藤委員御承知のとおり、この引き当て、公健法上の引き当てですけれども、これ、いわゆる自動車重量税の一部ということになっていますので、直ちにこの財源が暫定税率云々でなくなってしまうというものではないわけですけれども、やはり税というのは歳入等全体のバランスの中で成り立っておりますので、そういった点におきましては大変この税収が十全に確保されるということが必要になるわけであります。特にこの自動車重量税引き当て方式と、こういうものが補償給付に安定的な実施をしていく上ではもうこれは是非とも、暫定税率を含めたこの法の是非水準維持をお願いしたいというふうに環境省としてもお願いを続けているところでございます。
  41. 加藤修一

    加藤修一君 それでは次に、公害健康被害補償法関係でありますけれども、これ、成立時から毎回、改正のたびに附帯決議がされております。窒素酸化物や浮遊粒子状物質による複合汚染についても決議の中に示されているわけでありますけれども、昨年の自動車NOx・PM法でも附帯決議がされておりまして、その中でPM二・五、いわゆる微小粒子状物質環境基準の早期設定ということが求められていると。ただ、これについては、平成十八年の世界保健機構はガイドラインを設定していると。  環境省はこのPM二・五が人の健康に与える影響についての有識者検討会、これ二〇〇八年の四月三日に報告書が出ておりますけれども、その内容は、PM二・五とぜんそくなど呼吸器疾患との因果関係のほかに、心筋梗塞などの循環器系疾患や肺がんの死亡率増加などのリスクを認めておりまして、いわゆる人体に一定影響を与える、そういう報告書を出したわけでありますけれども、その関係と特に子供の影響についても是非見解をお聞きしたいと思います。要は、複合汚染対策あるいはPM二・五対策に関しまして、今後健康被害に対する取組ですね、こういった点について見解をしっかりと示していただきたいと思います。
  42. 桜井郁三

    ○副大臣(桜井郁三君) 環境省では、我が国における微小粒子状物質、PM二・五にかかわる健康影響に関する評価を行うことを目的とした微小粒子状物質健康影響評価委員会を昨年の五月から開催をいたしまして、四月四日に報告書が今お話しのように取りまとめられたところでございます。  その報告書の中では、微小粒子状物質については従前からSPMで示されておりました呼吸器系の健康影響が改められて示されたところでございますし、また生活習慣等の違いなどにより我が国と欧米との間に循環器系疾患に対する影響の違いも見られたものでございます。新たに循環器系や肺がんの健康影響も見られるなど、総体としての一定健康影響が示されているところでございます。  また、今お話ありましたように、高齢者や小児等の感受性の高い脆弱性の集団においてはリスクが増加することが報告されております。その一方、環境目標値の設定を行うためには定量的リスク評価にかかわる手法について十分な検討を行うなど、今後の課題も示されているところでございます。  このような検討会報告の内容及び課題を踏まえ、四月十一日に開催予定の中央環境審議大気環境部会において今後の取組方針等について御議論をいただくところでございます。
  43. 加藤修一

    加藤修一君 しっかりとした対応を求めておきたいと思います。  次に、大気汚染も非常に多様になってきておりまして、花粉症の関係も含めてありますし、あるいは光化学スモッグの発生もございます。あるいは黄砂の関係でも日本大気がかなり汚染し始めている、グローバル化しているという観点も見逃すことはできないと考えております。  光化学スモッグの発生は、これは中国方面排出された汚染物質が日本に流入していることが原因一つと、こういうふうに言われているわけでありますけれども、環境省の見解をお聞きしたいと思います。  それから第二点は、黄砂による浮遊粒子状物質は我が国にどの程度の頻度で飛来しているのか。また、黄砂の到来が頻発した場合に、その粒子の物理的性状とかあるいは化学的性状に基づいて、いわゆるどのような被害が発生しているのか。さらに、被害実態調査はそういった意味ではやっているのかどうなのか。その辺について二点目でございます。  三点目は、中国政府が黄砂のモニタリングした情報、これは公開しないと、こういうふうに決めたようでありますが、これについての見解と、今後どのように対応していかれるか、この辺について見解を示していただきたいと思います。
  44. 竹本和彦

    政府参考人竹本和彦君) まず最初に一点目につきまして私の方からお答え申し上げたいと思います。  昨年の七月から学識経験者から構成されます光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会というのを設置をいたしまして、最新時点の知見の取りまとめを行っていただいたところでございます。  昨年十二月に取りまとめございました中間報告におきましては、アジア地域における越境輸送の影響の増大が光化学オキシダント濃度の長期的上昇トレンドの要因一つとして推察されるという結論を出していただきました。もちろん、その影響の度合い等につきまして、また地域的、季節的、こういった日によって大きく変動するということも述べられておりますが、こういった中間報告を踏まえて更に原因物質の削減対策等取り組んでまいりたいと考えております。
  45. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 黄砂につきましてお答えをさせていただきます。  黄砂の我が国への飛来でございます。これは毎年四月ごろがピークでございます。全国に八十五か所ほど観測所ございまして、ここで測定をしております。したがいまして、頻度につきましては延べの日地点ということになります。これまで一番多かったのが二〇〇二年でございまして、この年は約千日地点ということで観測がございました。その後一度減りましたが、また近年増加しておりまして、二〇〇六年度では約六百日地点ということでございます。十七年度につきましても、四月だけで延べ百八十五日地点ということで、同じような傾向が続いておるところでございます。  環境省では、具体的に我が国に飛んでまいります黄砂の物理的、化学的性状の解明を行っております。全国の九の地点で、二十二日、日を設定いたしましてそのサンプリング調査をいたしております。十四年度から十七年度までのデータにつきまして分析をした結果を昨年報告をしたところでございます。  これによりますと、物理的には粒径がおおむね四マイクロメートル付近にピークがございます。それから、化学的には硫酸硫黄などの汚染物質を吸着している場合がございます。ただ、黄砂が飛来していないときと飛来しているときと比べまして、特に汚染物質の濃度が高いというデータは出ておりません。  といいますのも、幸か不幸か、その設定をしました二十二日について高い黄砂の飛来の日がなかったということでございまして、残念ながら本格的な分析に至るようなデータが取れなかったということでございます。これにつきましては十八年度からも引き続きやっておりまして、また新しいデータが近いうちに取れるものと考えております。  また、被害といたしましては、我が国においては視程の悪化による交通機関の影響、それから自動車や洗濯物の汚れといったことの報告がございまして、現在その情報収集を行っているところでございます。  それから、済みません、もう一点忘れましたが、黄砂の中国のデータでございます。これにつきましては、是非モンゴル、中国、韓国、日本、四国で取り組むことが大事だと思っております。  それで、残念ながら、昨年の四月から中国の、具体的に北京でございますけれども、その観測地点におきまして中国の気象観測情報を許可なく国外に提供することが禁止されるということになりました。これにつきまして、私ども、是非それが必要だと、北東アジアの環境保全に必要だということで、日中韓の三国の環境大臣会合などで申入れをしていたところでございます。  これにつきまして、少しずつ態度も変わってまいりまして、事務的にはおおむね中国も理解を得つつあるというふうに認識をしているところでございます。
  46. 加藤修一

    加藤修一君 被害実態関係については引き続きしっかりやっていただきたいと思います。  二〇〇二年の黄砂は今までにない規模でありましたので、これは中国においても、あるいは韓国においても被害実態報告がされておりますので、明確な形で更に調査を進めていただきたいと思います。  次に、中国との関係でありますけれども、やはり自動車の伸びが極めて中国も大変なところだと思っておりまして、これは、二〇〇五年にはもう既に三千万台、自家用車、商用車を含めて三千万台と。二〇一〇年には七千万台と言われておりまして、日本が今七千五百万台だというふうに言われておりますので、ほぼ匹敵する保有台数になると。そこから排出されるCO2あるいは様々な汚染につながる化学物質の関係を含めて、極めてこれは大変な状況になることも考えられますし、中国国内の大気汚染に限らず、これは恐らく、長距離で越境してくる汚染になり得る可能性は十分あるというふうに考えなければいけないわけであります。  先日、報道でありましたけれども、北京オリンピックが場合によっては、北京オリンピックのマラソンですね、これを大気汚染程度によっては日にちを変えるという、そういうことも言われているわけでありますし、水はある程度選んで飲むことはできますけれども、空気だけはなかなか選んで吸うことはできないわけでありますので、やはり私は、大気汚染をいかに解決させるかというのは、これは子供の健康のことも考えて、もちろん大人も当然でありますけれども、環境弱者と言われているお子さんの健康の維持を考えていく上では極めて大切だと、そのように思っております。  そういったことで、この自動車の伸びによる越境大気汚染に対する認識等々について環境省お尋ねしたいと思います。
  47. 竹本和彦

    政府参考人竹本和彦君) 先ほど申し上げました光化学オキシダント検討会の中でもこの点について議論がされております。  国立環境研究所などの研究グループが研究成果をまとめてございますが、中国の窒素酸化物の排出量、これは一九八〇年から二〇〇三年にかけて三・八倍に増加と。また、将来についての予測をしておりますが、交通部門における燃料使用量の伸びも含めて推計をしておりまして、中国につきましては、二〇〇〇年に比べまして二〇一〇年は一・二五倍、二〇二〇年は一・四倍になるとの予測結果が示されてございます。  こうした窒素酸化物排出量の増加の結果、今先生から御指摘のありましたとおり、越境輸送による我が国への影響、これは何らかの形であり得るのではないかと認識をしておるところでございます。また、その詳細につきましては今後更に調査研究を行い、解明していく必要があると考えております。  いずれにしても、国境をまたぐこういった越境大気環境問題につきまして、関係各国と協力をしながら、共同研究などを進めていきたいと考えておるところでございます。
  48. 加藤修一

    加藤修一君 是非よろしくお願いしたいと思います。  それから、附帯決議の方に話行きますけれども、今回の衆議院附帯決議関係も含めて、法律が施行になって以降、改正のたびに、やはり電気自動車等の低公害車の開発普及、これは必ず入っている話でございまして、やはり、CO2対策とともに、自動車排出ガス対策に有効な手段としてクリーンエネルギー自動車、これをやはり加速的に普及拡大すべきであると、このように考えておりまして、そういった意味では、低公害車普及アクションプラン、これは政府の目標も定めていると思っておりますが、その現状と今後の方針、取組、経済産業省にお伺いしたいと思います。
  49. 内山俊一

    政府参考人(内山俊一君) お答えいたします。  電気自動車等の低公害車は自動車排出ガスの総量削減に資するものでございますけれども、その本格的普及のためには、性能向上とコストダウン、これを一層加速していく必要がございます。  具体的には、例えば電気自動車につきましては、航続距離、コスト等の面におきましてガソリン自動車並みの性能を実現するため、経済産業省におきましては、平成十九年度よりリチウムイオン電池を始めとした蓄電池の大容量化、低コスト化の実現、安全性の確保等のための技術開発プロジェクトを開始をしております。  また、低公害車の更なる普及を目指しまして、電気自動車、ハイブリッドトラックなどを購入する際の補助を実施するとともに、国土交通省及び環境省と共同いたしまして税制優遇などの普及促進策を実施しております。  今後とも、こうした技術開発プロジェクト普及促進策の活用を通じまして、政府が一体となって低公害車の開発普及に努めてまいります。
  50. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いします。  それで、京都議定書目標達成計画の中では、二〇一〇年にこのクリーンエネルギー自動車は二百三十三万台というふうに目標数値を定めているわけなんですけれども、現在たしか四十一万台だと思うんですよね。二〇一〇年までに二百三十三万台達成できるのかどうか。あるいは、最小限六十二万台だというふうに言っているわけでありまして、もしそうだとするならば、これ、京都議定書目標達成計画関係についてもこの分野における穴が空きかねないというふうにとらえておりますけれども、この点含めてお願いいたします。
  51. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) 御指摘のとおり、京都議定書目標達成計画におきまして二百三十三万台という数字を定めて目標としております。現状は、平成十九年度の見込みの数字でありますけれども、五十一万台程度という状況にあります。  ただ、様々な動きが出てきているのは事実かと思います。クリーンエネルギー自動車のうちで最も普及台数の多いのはハイブリッド自動車でございますけれども、例えば、これは平成十九年度には約四十三万台程度売れる見込みでございますけれども、前年度が三十四万台でございますので、普及台数は大幅に増加をしてまいると思います。それから、電気自動車につきましても、例えばリチウムイオンを搭載しました電気自動車が二〇〇九年を目途に販売が開始されると承っておりますし、プラグインハイブリッドの自動車につきましても数年後に販売が見込まれているということで、電気自動車、実際自動車関係が今後続々と市場に導入されるということが見込まれております。私ども、補助金、税制、様々な実証実験等々がございます。こういうものを引き続きしっかりやっていくことによりまして努力をしてまいりたいと思います。  なお、その京都議定書目標達成計画につきましては、上位ケース、下位ケースと定めております。上位ケースでは、今申し上げました二百三十三万台ということでございます。下位ケースというものは、過去のトレンドで推移をした場合の一つの見通しということで、これでは約六十九万台でございます、そういう数字を見込んでいるわけでございますが、達成計画全体におきましては、このような下位ケースであったとしても達成できるという前提で今計画を作っているところでございます。  いずれにいたしましても、こういった市場動向をにらみながら、クリーンエネルギー自動車の普及促進に引き続き努めてまいりたいと考えております。
  52. 加藤修一

    加藤修一君 拡大をするために従来、様々な制度をやってきていると思いますけれども、加速化に向けた更なる助成措置とか優遇税制、こういった面についても非常に大事だと思っておりますが、さらに、再度個人ユーザーへの助成ということも考えられるかなと思っておりますけれども、以上の点についてはどのようにお考えでしょうか。
  53. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) クリーンエネルギー自動車についてでございますけれども、私ども、現在、いわゆるプリウス等々のハイブリッドの乗用車に対する補助金というのは、その普及状況等々にかんがみまして現在終了しておりますけれども、電気自動車であるとか、あるいはハイブリッドにおきましてもバスあるいはトラック、こういったものにつきましては補助金を継続をさせていただいているところでございます。また、自動車のグリーン化税制ということで、ハイブリッド自動車等につきましては、これは乗用車も含めまして自動車取得税、それから自動車税の軽減措置を講じているところでございます。その他、燃料電池自動車については現在六十台が公道で実証実験を進めているところでございまして、そのために十一か所の水素ステーションを整備をしておるところでございます。  技術開発、実証実験、補助金、こういうものについて一応私どもはそれなりの促進策が整っていると考えておりますけれども、こういったことをきちっと充実をしていきたいと思います。  それから、新エネ政策全般につきましては、現在新エネ部会というのも開催いたしまして様々な検討を進めているところでございまして、御指摘の点も踏まえてしっかり検討してまいりたいと思います。
  54. 加藤修一

    加藤修一君 先ほど中国の保有台数が驚異的に伸びてくるという話いたしましたけれども、中国におきましても、従来はどっちかというと、例えば固定電話の関係なんかを考えていきますと、電話の普及の性格は固定電話から入ってそれで携帯電話へと行くんじゃなくて、固定電話を飛び越えてもろに携帯電話に普及が行っているということを考えてまいりますと、ガソリン車が何千万、何億台というふうに中国を疾走するようなことがあってはいけないなと理論的には言える話なんですけれども、こういった面についてはやはり電気自動車をいち早くメガシフトするような、そういう形でやっていくことが非常に望ましいと考えているわけでありますけれども、こういう中国との関係電気自動車等についてどのように今後計画的、戦略的に考えているか、この辺について示していただきたいと思います。
  55. 内山俊一

    政府参考人(内山俊一君) お答えいたします。  乗用車の普及は、先生御指摘のように、中国など新興諸国を中心に急拡大してきておりまして、今後、環境エネルギー面での制約は確実に厳しくなるものと理解しております。  一方、途上国におきましては、所得水準が低いことや道路などの必要なインフラ整備が十分進んでいない。そのため、その地域の特性に応じまして、環境負荷の低い健全な自動車社会を構築することが喫緊の課題となってございます。そのため、新興諸国を中心とした諸外国におきましては、電気自動車のような次世代自動車の普及に加えまして既存車両の燃費向上、燃料品質の改善、インフラ整備による交通流の円滑化、そういったものを含めました包括的な自動車交通対策を早急に講じることが課題となってございます。  経済産業省といたしましては、これまでも中国政府と省エネ・環境フォーラムを開催するなど、新興国の自動車行政担当部局との間で運輸部門におきます環境エネルギー対策について意見交換を進めてきておりまして、今後ともこうした対話を継続し、途上国におきますエネルギー環境制約の克服に努めてまいりたいと思っております。
  56. 加藤修一

    加藤修一君 新しいビジネスモデルを形成することも含めて、積極的に検討していただきたいと思います。  最後に、環境大臣にお願いしたいわけでありますけれども、欧米では長距離越境大気汚染条約、五十一か国が入っておりまして、アメリカも当然入っておりますが、我が国は入っていない。ちょっと離れた地域での条約でありますので。  ただ、今後の大気汚染のことを考えてまいりますと、これはやはりアジア版のこういう長距離越境大気汚染条約なるものをしっかり作っていかなければいけないそういう時代かなと、そう思っておりますけれども、時間がございませんので簡単に質問いたしましたけれども、よろしくお願いいたします。
  57. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今先生お話しになった話は私も重要だというふうに思います。特に、先ほどからお話があるような黄砂の問題だとかオキシダントの問題、こういうような問題はもう一日本だけの問題ではないわけであります。  我が国は、これ東アジア地域の十三か国が参加して酸性雨等の問題に取り組む東アジア酸性雨モニタリングネットワーク、EANETといいますが、の活動を財政面、技術面から支援しているわけであります。先生御指摘のとおり、これは協定化といったようなことも将来的には重要だというふうに考えておりまして、東アジア地域大気環境管理施策を推進すると、こういうような意味においても政府間合意に基づく地域のイニシアチブであるEANETを一層発展させると、こういうようなことが重要であるというふうに考えています。  EANETでは、現在、設立基盤の強化のための文書について議論がされているところでありまして、我が国としてはこれEANETの協定化も視野に入れつつ、参加国の議論をリードしていきたいというふうに認識をしております。
  58. 加藤修一

    加藤修一君 今UNEPですか、環境計画、国連環境計画では水銀の関係で全球的な条約を作ろうという話になっているわけなんですけれども、この大気汚染関係についても、全球的にいかに条約を作り上げて、資金調達の関係とか国際協力の関係、あるいはどうやって削減をするかというそういう枠組みをつくっていく、そういう条約が非常に大事だと思っておりますので、こういった点につきましても検討を含めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。  以上です。
  59. 市田忠義

    ○市田忠義君 今日は、水俣病救済問題についてお聞きをいたします。  七月の洞爺湖サミットは地球環境問題が大きなテーマになるわけですけれども、議長国としてリーダーシップを発揮するためには、肝心の足下の公害問題、水俣病問題がいまだに解決していないという状況では、幾ら環境先進国日本といってもその名が私は泣くと思うんですけれども、まず、水俣病の現状ですが、幾つかの基本的数字を確認しておきたいと思います。  〇四年の最高裁判決以降の公健法認定申請者の人数、新たな損害賠償請求訴訟の原告の人数、新保健手帳申請者の人数と交付件数、それから申請者医療事業受給者の人数が現時点でどうなっているか、数字をお答えください。
  60. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 現状についてお答えいたします。  まず、水俣病問題に関連して公健法に基づく認定申請を行っておられる方の数ですが、これは本年三月二十日時点でありますけれども、五千九百六十六人でございます。  次に、水俣病問題に関連して提訴されておられます訴訟は六件ございまして、原告総数、これは四月一日時点でありますが、千五百二十三人でございます。  次に、新保健手帳の交付件数でございますが、これは三月末日時点の数ですけれども、一万六千二百二十六人となっております。  次に、公健法上の認定申請を行い医療費の支給を受けておられる方の数、これは申請者医療受給者でございますが、この数は、本年二月一日時点で五千七十一人となっております。
  61. 市田忠義

    ○市田忠義君 認定審査会は、熊本が今年三月、二年七か月ぶりに再開し、新潟県・市、同じく今年三月に五年半ぶりに再開しましたが、鹿児島県は今も審査会は再開されていません。  そういう状況の中で、今数字が報告されましたが、申請者医療事業受給者数、いわゆる認定審査がまだ済んでいない人ですけれども、これが急増して、さらに新保健手帳交付者数、これも急増して、合わせると水俣病関係の受診者あるいは医療費が急増していると思うんですが、これは概括的でいいですけれども、どういう状況になっているか。恐らく相当増えていると思うんですが、いかがですか。
  62. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 受給者数の増に伴う医療費の問題についてのお尋ねでございますけれども、環境省では、総合対策医療事業として医療手帳保持者あるいは新保健手帳の保持者に対する医療費の自己負担分を支給しておりまして、その実績額というものは、平成十八年度、十八億千五百四十一万円ということでありますが、一方、平成十九年度分は二十三億三千四百四十一万円と増加しているという状況でございます。  お尋ねのこうした制度を入れております地域全体における医療機関の受診者数あるいは医療費の増加につきましては環境省では把握していないところでございますけれども、水俣市等関係の六市町より、総合対策医療事業によって国民健康保険の財政負担が増加したというふうに聞いております。また、自治体負担軽減について要望をいただいているというところでございます。
  63. 市田忠義

    ○市田忠義君 水俣病患者、圧倒的に国民健康保険加入者であります。  水俣市の国民健康保険特別会計の決算状況を見てみましたら、〇三年度の単年度収支、これはマイナス二千七百五十万円、前年度繰越しは二億八千三百九十五万円だったものが、〇六年度では単年度収支がマイナス三千百九十六万円、大変膨らんでいます。前年度繰越金が一億三千五百五十万円、これは半分に減ると。これは医療給付費が二十億八千六百五十四万円から二十六億七千七百七十万円、一二八・三%に急増しているからこういうことになるわけですが。  そこでお聞きしたいんですが、水俣病医療費自己負担助成の国の負担割合ですね、これは治療研究手帳、医療手帳、保健手帳別にどういう割合になっているか。
  64. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 医療手帳及び保健手帳につきましては従来の国と県の負担割合というものは一対一でございますが、平成十七年四月七日に環境省が発表した「今後の水俣病対策について」に基づく総合対策医療事業の拡充分、例えば、はり・きゅう施術費及び温泉療養費の利用回数制限あるいは一回当たりの給付の上限額の廃止といったような、こうした拡充分につきましては国八に対して県は二の負担割合となっております。  これを二十年度の予算ベースで見ますと、国と県の負担割合というものはトータルで二対一という比率となっております。また、公健法認定申請者に対する医療費の支給事業、いわゆる治研手帳につきましては国と県の負担割合というものは一対一となっております。
  65. 市田忠義

    ○市田忠義君 先ほど政府参考人からもお話がありましたが、昨年度、熊本県の四つの市と町、鹿児島の二つの市と町から、大臣、このときはまだ若林環境大臣だったと思いますが、水俣病の被害者救済地域振興に関する要望書が出されております。  その中身を見ますと、水俣病問題の解決策を考える際には、将来に禍根を残さないよう、すべての被害者救済されるような解決の道筋を付けていただきたいと。さらに、具体的な要望事項の中で、私これ非常に自治体にとっては深刻で大事だと思うんですけれども、総合対策医療事業の拡充によって被害者救済につながっているけれども、地元自治体にとっては国民健康保険財政の負担増につながると、したがって国保財政における自治体負担をなくしてもらいたいという要望項目があります。  新たに拡充された申請者医療事業や新保健手帳による医療費給付が急増しているという中で、私はこの要望にこたえて自治体負担をなくす方向で検討すべきだと思うんですが、大臣の認識はいかがでしょう。
  66. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 環境省としましては、これ水俣病被害者の方々に適切な医療を受けていただくと、こういうようなことに際しまして関係自治体の理解と協力を得ていくと、こういうことは重要であります。  御指摘関係自治体負担増の件についても、これはかねてより厚生労働省と調整を進めてきたところであります。これを受けて厚生労働省において種々の検討をいただいてきているわけでありますけれども、水俣病による医療費が多額である場合に交付する特別調整交付金等について、昨年度よりその交付割合の引上げを実施した旨の報告を受けております。  環境省としましては、引き続き、関係自治体を含め、関係者と連携を取りながら水俣病対策を適切に進めていきたいというふうに考えております。
  67. 市田忠義

    ○市田忠義君 大臣は、二月末だったと思いますが、チッソの後藤会長とお会いにたしかなられたと思うんですけれども、報道によりますと、水俣市の犠牲者慰霊式、五月一日に行われますが、それをめどに問題解決に努力するように大臣の側からも要請されたというふうに報じられていますが、後藤会長は加害企業として責任を果たすという約束を、もちろん非公開の会談だったそうですから細かなことまではなかなか公表できないかもしれませんが、少なくとも加害企業としての責任を果たすという立場を表明されたのかどうか、その一点だけ。
  68. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) おっしゃるように、二月二十日にチッソの後藤会長と会いました。後藤会長には、私からは、五月の一日の水俣病犠牲者慰霊式には救済を求めている人々が安心して出席いただけるよう、これを目途に解決に向けての方向性を出す努力をするようにと、こういうふうに強く求めたところであります。面談では、個別の論点については後藤会長と議論をしたわけでありません。私からは、五月一日を目途として解決に向けて方向性を出す努力をするようにと、こういうようなことを申し上げただけでありまして、後藤会長から何がおっしゃったかどうかというのは、これは非公式の話でございますのでここで申し上げることは差し控えるべきだろうというふうに思っております。  いずれにしましても、ある程度期限を示しつつしっかりと強力にチッソの方には問題解決に向けて最大限の努力をするようにというふうなことは、私だけじゃなくて環境省全体として申し上げているところであります。
  69. 市田忠義

    ○市田忠義君 チッソの後藤会長、昨年の十二月の水俣の市議会への説明の中で、新たな解決策について、解決への展望が持てない、支払能力上の問題がある、株主などの理解が得られないと、こういう主張をしておられます。  そこで、これは数字的なことでお聞きしますが、チッソによる水俣病補償金支払の実績、国の支援の実績、県の支援の実績はどうなっているか、数字だけ簡潔にお答えください。
  70. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) チッソ株式会社が補償協定等に基づいて水俣病患者に支払った補償金は、平成十八年度末現在で千三百七十七億円でございます。  それから、国の支援の関係でございますが、平成十二年二月八日付け閣議了解に基づきまして、一つは、平成七年のあの当時の最終解決といったときに、熊本県の財団法人がチッソに対して貸し付けた国庫負担相当額二百七十億円につきまして債権放棄を行いました。これが一点。それからもう一点は、県債方式により熊本県がチッソに対して貸し付けた金額につきまして、国の熊本県に対する償還費補助により支払猶予を行っている金額が四百五十六億円でございます。したがいまして、ここは県債の未償還残高が九百七億円ございますから、これと二つを足すと、熊本県を通じたチッソへの支援額は千三百六十三億円になります。
  71. 市田忠義

    ○市田忠義君 今もお話がありましたけれども、チッソによる水俣病補償金支払の実績を見ますと、慰謝料、いわゆる一時金の金額よりも治療費などの方が多いと、しかもチッソ県債方式でチッソは実質的な負担から逃れています。  そこで、もう一度聞きたいんですが、水俣病県債の負債と負債残高は今どうなっていますか。
  72. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 水俣病県債でございますが、熊本県の未償還残高は九百七億円でございます。先ほど申し上げました、このほかに、この関係では、国から償還費補助による支払猶予四百五十六億円が猶予されておるということでございます。両方足したものが千三百六十三億円でございます。
  73. 市田忠義

    ○市田忠義君 返済済みじゃ六百九十八億円だが、そのうち五百七十億円は補助金地方財政措置で支援されていると。  九五年の政治解決の際に、一時金の支払がチッソの責任と、治療費等の負担が行政の責任になりました。チッソは一時金分三百十七億円払いましたが、そのうち国が八五%に当たる二百七十億円を負担して、後に、先ほどもお話があったように負債免除と、要するにまけてやったと。治療費等の負担が行政の責任となったわけですが、これおおよそで結構ですけれども、現在までに総計どれぐらいの行政負担となっているのか、治療費等については。お答えいただきたい。
  74. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 総合対策医療事業負担分についてお答えいたします。  これは過去十年間に投じられた総合対策医療事業のうちの国費分でございますけれども、百六十二億円となっております。
  75. 市田忠義

    ○市田忠義君 じゃ、チッソは補償金支払額が約一千三百九十億円になるというふうに言っていますが、行政が責任を持った総合対策医療事業負担分、この十年間で幾らですか。
  76. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 失礼しました。  先ほどお答えしましたのが総合対策医療事業負担分でございまして、計百六十二億円であります。ほかに、公健法認定申請を行っております患者に対する医療費、いわゆる治研手帳分でございますが、これが四億円ございますので、総合対策医療事業の百六十二億円とこの治研手帳分を足しますと、百六十六億円というものがこれまで過去十年間にわたって投じられた国費全体でございます。
  77. 市田忠義

    ○市田忠義君 このいただいた資料で見てみますと、年間約三十億円、これは保健手帳と医療手帳両方ですけれども、これ三割負担ですから、十割なら約百億円ですから、十二年間で一千二百億円。ですから、少なくとも一千二百億円以上を行政の責任で給付しているということになります。  もちろん水俣病というのは、最高裁判決でも明確なように、チッソだけではなくて国や県の責任も問われていると。だから、国や県も負担をするのはそれは当然ですけれども、加害企業のチッソは、九五年の政治解決策では負担能力の問題で一時金はチッソ、治療費等は行政が負担すると。国等が、積み重なる治療費等だけではなくて、一時金の大部分も負担する結果になったと。  先ほども言ったように、国にも県にももちろん私責任あると思いますが、こういう状況でチッソが果たして責任を果たしていると言えるかどうか。チッソの汚染原因者責任負担について、大臣の基本的認識はどうでしょうか。
  78. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 熊本県、鹿児島県において発生した水俣病の汚染原因者は、昭和四十三年の政府統一見解において示したとおり、チッソ株式会社であると認識をしております。このことは、チッソ株式会社においても補償協定等により認めているところであるわけであります。  現在、新たに救済を求める方々が多数おられる中、与党PTにおいて新救済策が取りまとめられているところでありまして、汚染者負担の原則を踏まえ、チッソにおいても新救済策に協力をしていただくことは当然であると、こういうふうに認識をしております。
  79. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間がないので二問一緒に聞きたいと思うんですけど、そのチッソが、加害企業としての責任をまだ果たしていない段階で分社化の話が出ております。昨年十二月の水俣市議会で後藤会長は、分社化は、抜本策によって成り立っている補償の部分、これが本社の部分になるわけですけど、それと事業の部分と帳簿を分けるというふうに説明をいたしました。  私は、企業が分社化するかどうかは企業の自由裁量に属することだと一般的には思うんですけれども、これだけの公害を発生させた企業がその責任を果たさないままで分社化をすると、これは事実上の責任放棄につながるんじゃないかと。この分社化問題について大臣がどう考えておられるか。  最後に、これも同じく水俣市議会でチッソの後藤会長が、なかなか解決への展望が持てないという理由として、一つは大きな訴訟の存在があると。もう一つは、問題が再燃しない保証がない、すなわち、もう九五年で解決したと、これ以後新たな被害者が生まれると困ると。その点で、あの不知火全体の環境調査だとかあるいは住民健康調査の問題についても、これは環境省も否定的でしたが、前回のたしか民主党の委員の質問石塚政府参考人は、医師も看護師も不足していると、あるいは個人情報保護ということで、かえって調査をすると差別意識もある下で相手が困るじゃないかと。  私はそうではないと思うんですね。やっぱり、そういう調査をやる中で黙っていた人が初めて手を挙げることもできるわけで、実態がどうなっているかということをつかんでこそ対策も出てくるわけで、四十七万人の調査をやはりやるという点で環境省がもっと積極的な態度を打ち出すべきじゃないかと。  先ほどの分社化問題と四十七万人の全体の調査について環境省の姿勢について、前回の石塚さんの答弁は人材不足、個人情報保護の問題があるからなかなか難しいという答弁だった。それでは私は駄目だと思うんです。ですから、大臣に聞きたい。
  80. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 分社化を含むチッソの今後の在り方については、今自民党の水俣問題小委員会の中にこの件を検討するワーキングチームができていると、こういうようなことであります。それを私どもとしては見守りたいというふうに思っておりますが、私としては、これは救済策を実現し補償を完遂すると、こういうようなことが先決でありますので、責任の所在を明確に常にしておくべきだというふうに考えております。  それから、四十七万人の個々人についてすべてを調査をすると、こういうようなことについては、せんだって環境保健部長の方から答弁をいたしたところから踏み出すわけにはいかないわけでありますけれども、基本的に沿岸住民の方々に対する実態調査、これについては様々な制約要因がありますので、実際に最も有効な在り方はどうなのかというのは更に検討をさせていただきたいというふうには思っておりますけれども、あらゆる方々、四十七万人すべてを実施すると、こういうようなことについては、部長が言っているようなことも含めまして、諸々の要因からなかなか現在のところは難しいというのが環境省の認識でございます。
  81. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間が来たので終わりますが、県も四十七万人調査するということを言っているわけですから、やっぱりそういう姿勢じゃなくて、実態調査もしないままで大量切捨てにつながるような救済策を進めるべきではないということを指摘して、終わります。
  82. 川田龍平

    ○川田龍平君 時間もありませんので、予定していた質問の一番目と二番目を省略して三番目からお話ししたいと思いますが、補償の財源となる制度設計についてお聞きいたします。  先ほど暫定税率との関係で財源の不安定性についての質問もありましたけれども、大気汚染公害被害者への補償額の費用は、固定発生源者の事業負担が八割、また移動発生源者がユーザーとして自動車重量税二割となっております。  一九七三年以降、固定発生源であるSO2は工場など企業の技術努力などによって減少してきていますが、負担が八割という矛盾が今もあるかと思いますが、どうお考えになりますでしょうか。
  83. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 現在もこの補償給付を受けておられます四万七千人の被害者の方々というものは、昭和六十三年に指定地域を解除する前に発症した、発病した患者さんでございます。  その当時の工場の固定発生源と自動車の負担割合というものは要するに八対二というふうに決められたわけでございますが、それは現在も給付を受けておられる患者さんがその当時に発生したということを踏まえまして現在も八対二となっているところでございまして、この考え方につきましては本年一月の中央環境審議会の方でもまた議論をされたところではありますけれども、この比率を変える必要はないという結論をいただいております。
  84. 川田龍平

    ○川田龍平君 この古い枠組みのままでいいという見解のようですけれども、本来、二割についても自動車メーカーが負担すべきではないのかというふうに考えます。そして、SO2が減少し、NO2、PMが増えている中で、しかも幹線沿いの汚染度は高いという現実もある中で、固定発生源の八割というこの従来の補償法の枠組みは改められるべきであると、新しい制度設計が必要であると考えておりますが、どのように考えておられますでしょうか。
  85. 石塚正敏

    政府参考人石塚正敏君) 御指摘の移動発生源に対する負担の在り方というものにつきましては、過去この制度を入れるという際に、昭和五十二年十二月二十日付けの中央公害対策審議会の意見具申におきまして、新規販売車のみが対象になるということで、自動車排出ガス規制が強化されてきた我が国の状況の中で汚染への寄与が相対的に高い使用過程車、過去に走っていた車ですね、それに対する負担というものが求められないということから、自動車に対する、要するに新車の販売に対する負担を課すということについては実際的ではないといったような意見が成ったところでございます。  また、実際の汚染者でない者が第一次負担者となる、要するに自動車メーカーですね、これが第一次負担者になってしまうというのも問題点として指摘されたところでございます。その後、中央公害対策審議会及び中央環境審議会の検討結果におきましても、かかる事情に変化はなく、自動車重量税からの引き当て方式というものが最も合理的でかつ効率的であるという意見をちょうだいしております。
  86. 川田龍平

    ○川田龍平君 この議論については五年前の参議院のこの委員会におきましてもずっと繰り返し議論されていることでありまして、因果関係という一見科学的対応を装いながらも、実はぜんそく患者の皆さんの苦しみが放置されています。東京都や川崎市など、自治体は目の前の患者さんを見捨てることができずに独自の負担で対応してきていますし、東京都はディーゼル車の走行規制導入したことによって首都圏全体にも波及して効果を上げています。こうした環境省こそが環境被害改善していく先頭に立たなければいけないと考えています。  今年は中国からも調査団が、環境汚染損害と健康考察調査団というのが環境のことで日本に学びに来ているわけですが、日本がこうした環境の政策の面でリーダーシップを発揮して、是非厚生労働省国土交通省にも働きかけて、こうした問題について是非環境省として対応を取っていただきたいと思いますが、このぜんそく患者の方とも対応の関係が深い大臣是非一言この問題についてお答えいただければと思います。
  87. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 東京都や川崎市などでぜんそく患者さんが苦しんでいらっしゃると、こういうようなことについては、私たちは、今申し上げているように公害健康被害補償制度というようなことで、できるだけ公害による健康被害者等の迅速かつ公正な保護と健康の確保を図ると、こういうようなことについてはいろいろと過去の経験を踏まえてやらせていただいているわけでありまして、今、川田委員の方から中国の話がございましたけれども、中国もまさに今高度成長の中でそういうひずみが出てきているわけでありますから、我々も、私のカウンターパートのあちらのSEPAの部長等ともしっかりとその議論をさせていただいて、同じ轍を踏まないようにしっかりとお互いに問題を共有したいというふうに思います。
  88. 川田龍平

    ○川田龍平君 それでは、観点を変えて質問したいと思います。  汚染源の排出抑制は単体規制や走行規制、バイオ燃料、渋滞対策などいろいろあるかと思いますが、本来的に自動車の移動量の総量抑制というのが必要であると思いますが、国土交通省の方、どのように考えますか。
  89. 北村隆志

    政府参考人(北村隆志君) お答え申し上げます。  運輸部門の環境対策といたしましては、今御指摘の自動車の移動量の総量抑制、これも有効な対策の一つではあると思いますけれども、この対策は自動車の利用者の方の移動や輸送ニーズを直接的に抑制するものでございますから、まずこういう総量抑制策を講じる前には、我々としては、例えば今先生も例で挙げられましたが、自動車の単体規制、具体的には自動車の燃費を向上させるだとか、それから低公害車普及させるだとか、そういう自動車の単体対策をまずやり、それに加えまして、自動車から鉄道や海運へのモーダルシフトによって例えば物流を効率化を図るだとか、それからバスや鉄道などの公共交通機関の利用促進を図る、こういうことによって自動車からより環境負荷の小さい交通体系へ転換を図ることによって自動車の走行量を抑制するということが現段階では適切な対策だと考え、そういう政策を今講じているところでございます。
  90. 川田龍平

    ○川田龍平君 是非、地球温暖化防止への取組としてこの公共交通、LRT、鉄道輸送などを是非今後推進していただきたいと思います。  それで、次にちょっと時間もありませんので行かせていただきますが、道路建設に伴う公害被害、自動車重量税の暫定期限切れに関連して質問してきましたけれども、道路建設の問題としては、東京都には圏央道高尾山の問題があります。都市に集中する車の渋滞緩和、渋滞から排出されるCO2の削減としてのバイパス効果が圏央道建設の大きな理由だったと思いますが、しかし圏央道建設、特にその一環としての高尾山トンネル建設によるバイパス効果に対して疑問の声が上がっていますが、どのように考えておられますでしょうか。
  91. 菊川滋

    政府参考人(菊川滋君) お答えいたします。  首都圏におきましては、例えば首都高の都心環状線の交通でございますが、約六割は都心部に用のない通過交通ということでございまして、ただし、そういう状況にありながら、多くの通過交通がネットワークの形状から都心部を経由せざるを得ないということになっております。これを適切に排除、そして分散させて、都心部の通過交通を排除して渋滞解消、それからそれによるCO2の排出量の削減といったことを図るために、圏央道を始めといたします外環等の首都圏の三環状道路の整備が不可欠というふうに認識いたしております。  具体的には、平成十七年度におきまして、東京二十三区内の平日の自動車の走行速度、時速約十九キロメートルにとどまっておりますが、例えばこれが渋滞が解消されまして時速六十キロで走れるというふうになりますと、CO2の排出量で約四割が削減されるということになります。実際に昨年の六月に圏央道の一部区間が開通いたしました。中央道と関越道が結ばれたわけでございますけれども、その結果、圏央道の利用交通量、従前約一万台であったものが二万五千台に増加いたしております。その五割、半分が中央道から関越道を連続して利用いたしておりまして、都心部を通過する交通の排除に寄与しているということでございます。また、並行して走っております国道十六号の交通量、これも約一割程度減少しておりまして、十六号の主要交差点の渋滞緩和が確認されているというところでございます。  このように、環状道路の整備におきましては、都心に集中していた交通が分散されることによりまして渋滞の緩和が図られ、またこれに伴い自動車の走行速度が向上するということで、全体としてCO2排出量の削減にも寄与するというふうに考えております。
  92. 川田龍平

    ○川田龍平君 工事自体から排出される汚染物質やCO2はもちろんですが、工事によって渇水が起き、これによって生物が死滅、また木が枯れて、生物多様性が破壊されることによってCO2クライシスが起きるということのリスク、またさらに道路を造ることで逆に車が増えて、CO2を減らそうとして逆に増えるリスクも国立環境研究所の報告書などでも示されていると聞いていますけれども、これらの指摘についてはどのように受け止めているでしょうか。
  93. 菊川滋

    政府参考人(菊川滋君) お答えいたします。  自動車からのCO2の排出量の削減対策といたしましては、単体対策あるいは交通流の円滑化とかあるいは公共交通機関への転換と、いろんな施策があるわけでございますけれども、現に運輸部門におきましては、京都議定書の目標達成に向けて、二〇〇一年度をピークに着実に減少しているというふうに考えております。  この中で、道路施策におきましては、先ほど申し上げましたように、例えば走行速度が上がることでCO2の排出量が削減するということで、環状道路の整備や、あるいはボトルネックの踏切といったものの対策を推進することによりまして円滑な交通を確保し、CO2の削減といったことにも非常に有効な施策になっているというふうに認識いたしております。
  94. 川田龍平

    ○川田龍平君 圏央道の建設による明治の森高尾国定公園に高尾山トンネルの工事が計画されて既に着工されているわけですけれども、この自然への影響が大変心配されております。野鳥も多くいますが、多種類の昆虫の生息地として有名なところです。東京にもこんなに自然豊かなところがある。自然環境を保護する上で今大事な場面となっております。  高尾山を守ろうとする自然保護団体から何とか高尾山を子、孫の代までこのまま守りたいという熱心な働きかけがあり、自分自身も先週、質問が延期になったこともあって現場へ行ってまいりました。百聞は一見にしかず、都会からこんなに近くにこんなにもすばらしい山があることに、小さいころに行った覚えはあったんですけれども、実際行ってみて改めて実感しました。何としてもこのような山を残したいというのは共通の願いではないでしょうか。  さきの委員会で岡崎委員からの指摘にも、このトンネル工事現場で水漏れが起きた、水漏れによって、自然保護団体が三月十四日に発表した事実を環境省も把握しているとの答弁がありました。しかし、環境省の責任ある答弁は聞かれませんでした。東京都に丸投げ、環境省が高尾山トンネル工事に協議同意したことに対する責任ある答弁とは言えませんでした。  環境大臣に改めてお聞きしたいと思いますが、自然公園法に基づいて協議の同意を与えた責任はあるかどうかということについて質問したいと思います。
  95. 櫻井康好

    政府参考人(櫻井康好君) 今委員から御指摘のように、自然公園法では、国定公園内で一定規模以上の開発行為について、これは都道府県知事が許可、同意を行う場合には事前に、この国定公園というのは国が指定しておるわけでございますので、指定権者であります環境大臣との協議を行うということになっておるところでございます。この高尾山トンネルにつきましては、国土交通省からの協議を受けまして東京都で審査を行いまして、平成十六年十月に東京都から環境大臣に事前協議がなされ、環境省といたしましてもこれが適切に審査をされているという判断をしたことから同年十二月に環境大臣の同意をしたところでございます。  したがいまして、今後とも、このトンネル工事に係ります環境保全対策については、東京都が同意に当たっていろいろ留意事項という形での言わば条件的なものを付しております、この留意事項を踏まえて、公園の管理権者であります、規制の権原者であります東京都において適切に措置をされるものというふうに理解をしているところでございます。
  96. 川田龍平

    ○川田龍平君 それでは、そのトンネル工事によって、明治の森高尾国定公園内でトンネル工事の南坑口付近での沢がれ、それから妙音谷での沢がれ、湧水がれの事実があったんですけれども、それは把握していることでしょうか。
  97. 櫻井康好

    政府参考人(櫻井康好君) 御指摘の沢がれということにつきましては、報道があったということはもちろん承知をしておりますが、国定公園としての管理を行っております東京都の方でもこの沢がれの事実は確認をできていないと実は聞いておるところでございます。したがいまして、私どもとしてもそういった意味で現地において確認をしているわけではございません。繰り返しになりますけれども、そういった管理権原を有します東京都の方で適切に現状がどうなっているかということを把握されることだろうと思っております。
  98. 川田龍平

    ○川田龍平君 是非環境省の方でも事実を掌握してほしいと思います。  それから、国土交通省にも同じ質問で、この事実があることについて把握しているかどうか、国土交通省の方からもお願いします。
  99. 菊川滋

    政府参考人(菊川滋君) お答えいたします。  御指摘の水がれ、琵琶滝のあります前の沢流域の湧水のことと思われますが、私ども、モニタリング観測ということで経年的にやっております。そのモニタリング観測を行っている前の沢地区の沢水の流量については、トンネルの施工による影響は確認いたしておりません。
  100. 川田龍平

    ○川田龍平君 それでは、八王子城跡トンネル工事の観測体制というのはどうなっているのでしょうか。それを国土交通省の方、ちょっと質問省いていますけれども、お願いします。
  101. 菊川滋

    政府参考人(菊川滋君) お答えいたします。  八王子城跡トンネルでございますが、国指定の史跡である八王子城跡の下を通過するということで、工事前及び工事中に詳細な水文・地質調査を行いまして、必要に応じて適切な止水対策などを行うことで地表面の水環境を保全するということで、シールドトンネルと、あとNATM工法というのを使う工法でやっているところでございます。そういうことで進めておりますし、工事中もモニタリング等をやりながら観測をやって、環境影響がないかどうかという確認しながら進めているというところでございます。
  102. 川田龍平

    ○川田龍平君 文化庁にお尋ねします。  観測孔及び御主殿の滝がれは、国指定史跡の八王子城跡内にあるということですが、文化庁として、国史跡内にトンネル工事が行われることに対して、文化財保護法に基づいての所見、あるいは工事に対する条件を付しているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  103. 大西珠枝

    政府参考人大西珠枝君) お答えいたします。  八王子城跡の地下にトンネル工事を行うという場合につきまして、国の機関が史跡の現状を変更しようとするときに当たりますので、文化財保護法第百六十八条第二項に基づきまして、あらかじめ文化庁長官の同意を求めることとされております。  その際、八王子城跡のトンネル工事につきまして、建設省関東地方建設局長、現在の国土交通省関東地方整備局長からですが、現状変更の同意申請がありまして、文化庁はその水文調査等を踏まえて同意の回答を行いました。  同意の回答の際には次のような条件を付しております。  工事に際しまして、八王子市教育委員会職員、埋蔵文化財担当、の立会いを求めること。その他、実施に当たっては東京都教育委員会の指示を受けること。特に、トンネル本体とバイパストンネルとの接合部の施工について、止水工法を十分に取るようにすること。トンネル施工の影響を把握するために、施工後長期にわたりモニタリングを実施し、その結果に応じて必要な措置を講じること。トンネル施工により施工前と水文環境が変化した場合は、水文環境の保全に努め、施工前の状況を保つこと。水文環境については長期のモニタリング等を実施し、必要に応じて適切な対策を取ること。  以上のような条件を付したところでございます。
  104. 川田龍平

    ○川田龍平君 時間がありませんので最後にいたしたいと思いますが、この八王子城跡トンネルで行われてきたような観測が、実は高尾山トンネルの方では観測孔が今外されて観測がされていないところが一部あるかと思います。その件に関して、やはりこの高尾山も非常に豊かな自然が残っておりまして、このトンネル建設によって水がれ、沢がれ、湧水がれというのが起きないように配慮して工事をしているということですが、やはりここで実際こうした観測を行ってきた八王子城跡トンネルにおきまして実際水位が、地下水位が下がっているという事実がございます。  そういったことから、この八王子トンネル、高尾トンネルの問題について今心配をしている方たちがたくさん来ていらっしゃいますけれども、本当にこうした問題につきまして、是非環境省として、この問題について、是非高尾山に、大臣には一応聞きたかったのは高尾山に行ったことがありますかということも聞きたかったんですが、是非高尾山の問題は、これは本当に東京という大都市圏の近くにありながら自然を残しているということで、ミシュランの三つ星と観光ガイドには載っています。こういう観光ガイドに載っている高尾山の自然を、是非環境大臣として高尾山の自然を守っていこうという考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  105. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 私も学生のころから何度も行っています。そして、今の季節は本当にすばらしい新緑があって、それからいろいろな春のギフチョウだとか何かが飛んで、すばらしいところであります。そういうような意味で、今、川田委員がおっしゃったように、この高尾山の自然、しっかりと守っていくというのはもう環境省の基本的な姿勢でございます。  ただ、今、国定公園の管理者である東京都、ここときちんと連携を取らないといけないというふうに思っておりますので、引き続き、工事等でいろんな意味で副作用が起こらないようにしっかりと私たちも見守ってまいりたいというふうに考えます。
  106. 川田龍平

    ○川田龍平君 是非、トンネルではなく迂回ということも検討していただきながら、最近は高尾山もいやしのスポットとして多くの方が訪れて、昨年は安倍前首相も十二月に訪れたというのも現地の人に聞いてきました。本当にたくさんの人がいらしていますので、本当に子や孫に高尾の貴重な自然を守るためにも、是非環境省が積極的に文化財としても働かれることをお願いして、質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  107. 松山政司

    委員長松山政司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 松山政司

    委員長松山政司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  大久保君から発言を求められておりますので、これを許します。大久保潔重君。
  109. 大久保潔重

    大久保潔重君 私は、ただいま可決されました公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員川田龍平君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、気管支ぜん息などの疾病については、原因の早期解明と効果的な予防・回復方法の確立・普及に取り組むこと。  二、被認定者の高齢化・重症化にも配慮した適切な施策を着実に実施するとともに、治癒等により被認定者ではなくなった者についても、健康被害予防事業等によるフォローアップに十分努めること。  三、大気汚染影響による健康被害を未然に防止するため、ぜん息患者の要望等を十分に踏まえながら、公害健康被害予防事業の充実に努めること。  四、主要幹線道路沿道等における局地的な大気汚染による健康影響に対する調査を精力的に推進し、そこで得られた科学的知見に基づき、必要な被害者救済のための方途を早急に検討すること。  五、第百六十六回国会改正された自動車NOx・PM法に基づく施策を着実に実施するとともに、〇九年規制適合車の普及各種公害車の開発・普及の促進、エコドライブの推進、公共交通機関の利便性の一層の向上、交通流対策の促進等、自動車排出ガス総量削減に資する対策について、政府が一体となって取り組むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  110. 松山政司

    委員長松山政司君) ただいま大久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  111. 松山政司

    委員長松山政司君) 全会一致と認めます。よって、大久保君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鴨下環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鴨下環境大臣
  112. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力する所存でございます。
  113. 松山政司

    委員長松山政司君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会