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2008-04-22 第169回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月二十二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十七日     辞任         補欠選任         大久保潔重君     牧山ひろえ君  四月二十一日     辞任         補欠選任         小池 正勝君     牧野たかお君  四月二十二日     辞任         補欠選任         佐藤 公治君     藤原 良信君      牧野たかお君     長谷川大紋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北澤 俊美君     理 事                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 藤田 幸久君                 山本 一太君     委 員                 喜納 昌吉君                 徳永 久志君                 白  眞勲君                 藤原 良信君                 牧山ひろえ君                 柳田  稔君                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 木村  仁君                 佐藤 正久君                 長谷川大紋君                 牧野たかお君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        防衛大臣     石破  茂君    副大臣        外務大臣    木村  仁君        防衛大臣    江渡 聡徳君    大臣政務官        財務大臣政務官  小泉 昭男君        厚生労働大臣政        務官       伊藤  渉君        防衛大臣政務官  秋元  司君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房拉致問        題対策本部事務        局総合調整室長        兼内閣大臣官        房拉致被害者等        支援担当室長   河内  隆君        内閣法制局第三        部長       外山 秀行君        警察庁刑事局長  米田  壯君        法務省矯正局長  梶木  壽君        外務大臣官房審        議官       新保 雅俊君        外務大臣官房審        議官       猪俣 弘司君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務省北米局長  西宮 伸一君        外務省欧州局長  原田 親仁君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        審議官      木寺 昌人君        厚生労働大臣官        房審議官     森山  寛君        厚生労働大臣官        房審議官     村木 厚子君        国土交通省自動        車交通局技術安        全部長      松本 和良君        海上保安庁警備        救難部長     城野  功君        海上保安庁交通        部長       米岡 修一君        防衛大臣官房長  中江 公人君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君        防衛省地方協力        局長       地引 良幸君    説明員        会計検査院事務        総局次長     増田 峯明君        会計検査院事務        総局第二局長   小武山智安君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定第二十四条についての新たな特別の措置に関  する日本国アメリカ合衆国との間の協定の締  結について承認求めるの件(内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、大久保潔重君及び小池正勝君が委員辞任され、その補欠として牧山ひろえ君及び牧野たかお君が選任されました。     ─────────────
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長内閣大臣官房拉致被害者等支援担当室長河内隆君外十九名の出席求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いわゆる思いやり予算にかかわる質疑をさせていただきたいと思いますが、まず第一点に、本論に入る前に、先般、名古屋高裁航空自衛隊イラクでの活動違憲であるという判決が出ました。これに絡みまして、会計検査院法第二十条では会計経理の適正ということが書かれておりますが、適正ということの定義はどういうものか、また、だれがどのような基準でそれを判断するかを伺いたいと思います。
  7. 増田峯明

    説明員増田峯明君) お答えを申し上げます。  委員指摘会計検査院法第二十条の第二項におきまして「会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」とされております。このうち、会計経理の適正を期しということの趣旨について申し上げますと、会計検査院におきましては、検査活動をする際、会計経理法令予算等に従って正しく処理されるように留意するということでございます。  私ども会計検査院では、そうした会計経理の適正を期すために、法令予算のほか、ただいま委員指摘当該会計経理関係のある判例なども参考といたしまして検査を行っているところでございます。
  8. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 確認いたしますが、そうすると、確定判決判決理由で示された予算執行に対する違法判断というのはその判断基準に含まれるということでよろしいですね。
  9. 増田峯明

    説明員増田峯明君) お答え申し上げます。  最終的に確定した判決については、十分これを検査の際に留意をするということでございます。
  10. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 続いて、財務省に伺います。  会計法第四十六条には予算執行の適正ということが書かれております。今回の航空自衛隊イラクでの活動というのは、まさにその活動自体予算執行するということになるわけでありますが、予算執行の適正の定義はどのようなものかお答えいただきたいと思います。あわせて、確定判決で示された政府活動に対する違法判断というのはその判断基準に含まれるかどうかということについてもお答えいただきたいと思います。
  11. 小泉昭男

    大臣政務官小泉昭男君) 会計法第四十六条の予算執行の適正、この定義はということでございましたが、国の支出について、その使用が効率的であること、予算の目的に反していないこと、会計法令にのっとった手続を行っていること等であると考えておる次第であります。  また、判断部分でございますけれども、第一義的には、予算執行の責めに任じられる各省各庁の長において行われるものと考えております。財務省といたしましては、その各省各庁の判断を踏まえまして、必要に応じて予算執行適正性について検討を行うものと考えておる次第であります。
  12. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、この名古屋高裁判決は五月二日に確定するということでありますが、確定判決判決理由予算支出を伴う政府活動が違法、違憲とされた場合、会計検査院法に言う適正な会計経理と言えるかどうか、その点、会計検査院お答えいただきたいと思います。
  13. 小武山智安

    説明員(小武山智安君) 会計検査院は、会計検査院法規定に基づきまして、正確性合規性経済性効率性及び有効性観点その他会計検査上必要な観点から検査を行うこととされておりまして、会計経理会計法予決令等各種法令規定に従って適正に実施されているかという合規性検査も実施しておるところでございます。合規性観点からの検査においては、会計検査を通じて確認された事実関係や一般に妥当と認められた確定的な法令解釈などに基づき検査結果を総合的に勘案してその適否を判断しておるところでございます。  今回の判決は、判決文の中で航空自衛隊空輸活動イラク特措法憲法に違反する活動を含んでいるとの判断を示しておるところでございますけれども判決主文では原告の請求を棄却しておりまして、この判断判決結論を導く法的理由付けにはなっていないこと、また、勝訴した国は最高裁判所に上告してその判断を仰ぐことができない状況であると承知しております。この点につきましては当局から十分説明を聴取して、これからよく詳細については検査してまいりたいと思いますけれども、これにより直ちにイラクでの活動に係る支出が不適正な会計経理であると言うのはちょっと難しいんじゃないかと考えております。  いずれにしましても、会計検査院といたしましては、航空自衛隊イラクでの活動に係る会計経理につきまして引き続き適切に検査してまいりたいと思っております。
  14. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 財務省に伺いますが、会計法上適正な予算執行と言えるか、その点について、あるいは今後、併せてどういう方針を取っていくかということも含めてお答えいただきたいと思います。
  15. 小泉昭男

    大臣政務官小泉昭男君) 航空自衛隊活動を違法、違憲とした部分でございますけれども下級審において示されました判決結論を導く上での傍論にすぎないと考えておりまして、先ほども答弁ございましたが、最高裁にこの是非を問うことができないということから、政府としてこれに従う従わないという問題は生じないと理解をしております。  また、そのような観点から、御指摘のような会計法上の判断との関係が生ずるものではないと考えておる次第であります。
  16. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 昨日、私の事務所と財務省の方とのやり取りでは、イラクの件も、今言った個別のケースが適正かどうかというのは、この本件については最高裁ではなくて高裁レベルで確定しているということであってなかなか政府として対応が難しいところもあろうかと思いますが、しかしながら、確定したものが予算執行について適正であるかの判断基準に含まれているのは先ほど御答弁いただいたとおりでありますので、イラクの件についても今後法務省防衛省協議をするということはあるんでしょうか、財務省に伺います。
  17. 小泉昭男

    大臣政務官小泉昭男君) これは、いずれにいたしましても、予算執行につきましては御指摘のとおり各省各庁の責任において法令上の規則に基づきまして適切に行われるということが重要であると考えておりますし、それと、今財務省として何らかの措置をとることはお考えなのかという、こういう御指摘かなと、そうではないですか。
  18. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、何らかの措置というよりかは、法務省防衛省協議するかどうかという。
  19. 小泉昭男

    大臣政務官小泉昭男君) ああ、そうですか。  特別、その各省各庁の長の判断に従いまして協議検討する方向になるかと思います。
  20. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 長の判断に従って協議をする方向だということで確認させていただきます。
  21. 小泉昭男

    大臣政務官小泉昭男君) はい。
  22. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この質問をさせていただいているのは、この判決そのものについていろいろ政府の中からも意見が出ておりますが、政府が異なる立場を取るということであればそれは何か明示的に示していかないといけないのではないか、つまり、法律においては確定判決予算執行の適正の中で十分判断基準に含まれるということに、解釈になるわけですから、そうすると法律が決めていることと政府発言していることとが異なる状況になるということになると思いますので、その点について何らか対応を取られる予定があるかどうか。  これは、特措法を所管するのは官房長官ですので防衛大臣あるいは外務大臣に伺うのは適正でないかもしれませんが、今のやり取りを聞かれて、例えば外務大臣、そして防衛大臣、どのように思われるか、ちょっと所見だけ伺いたいと思います。
  23. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今回の判決は、自衛隊イラク派遣等違憲確認及び差止めを求める訴えは不適法なものであるとして却下され、また、損害賠償法的根拠がないとして棄却された国側勝訴国側全面勝訴判決であります。航空自衛隊空輸活動違憲であると判示した部分は、判決結論を導くのに必要のない傍論であると承知しております、傍論の傍は傍らの傍でございます。それ以上は申し上げません。  このように、本件裁判控訴人請求は、自衛隊イラク派遣等憲法に反するかどうか判断するまでもなく却下あるいは棄却されるべきものであります。そういうことを裁判所自身が言っているわけであります。  したがって、政府裁判所において自衛隊イラク派遣等憲法に反するかどうかについて主張もしませんでしたし立証もしませんでした。政府としては、こうした中で、判決結論を導く必要がないにもかかわらず示された今回の高裁の見解について、とても納得できるものではないと考えているところでございます。  いずれにしても、イラク特措法に基づき航空自衛隊が行う輸送活動は、他国の兵員の輸送を含め、それ自体としては武力行使又は武力の威嚇に当たらない活動であり、また、いわゆる非戦闘地域に限って実施することとする等、他国武力行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みの下に行われており、憲法関係においても問題はないと考えております。  一般的に司法優位と言われるのは、その司法の示した主文主文を導き出すべき理由でありまして、今回のような傍論みたいなものが行政判断に優位であるということは全く理由はないわけでありますから、我々は我々が一貫して述べていた違憲ではないと国会審議等で述べていたそういう判断を変える必要は毛頭ないと、こういうふうに考えているところでございます。
  24. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その答弁答弁として受け入れますが、私の質問趣旨は、会計法が、個別のことではなくて、確定判決で含まれたものについては傍論であってもそれは参考にするということになるんだと思います。そうだとすると、何らか政府立場を、繰り返しになりますが、高裁レベル傍論判決で取りようがないというのも理解した上で、何かをしないと、法律が定めていることとそして判決との間で不備が生じるんではないだろうかという趣旨でこの質問をさせていただきました。  したがって、ただ取れるものがないということであれば、勝訴全面勝訴だし、それ以上することがないということになればまあ致し方がないのかもしれませんが、少なくとも先ほど財務省協議をするといった中で、協議の中でそれを何らか補充するようなことをしておかないといけないんではないかという趣旨で申し上げさせていただきましたが、もしその協議を受ける立場になるであろう防衛省として何か御意見が、防衛大臣、あれば伺いたいと思います。
  25. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 協議を受ける立場にあるかどうか、委員指摘のように所管は内閣官房でございますので、当省として事実がどうであるとかそういうようなことで内閣官房からお求めがあれば、それは政府部内において調整をすることはございましょう。  ただ、今外務大臣がおっしゃいますように、そのことについて私どもとして政府部内で何らかの協議をする必要はあるのかということについて、私は必ずしもその要があるとは考えておりません。仮にそのようなお求めがあれば、当省として必要な情報は、政府部内で協議をするべきことは、これはある意味行政の内部において行われるべきことだと、可能性としてはございましょう。
  26. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 繰り返しになりますけれども、最後に意見だけ申し上げて、この質問については、次に移りたいと思いますが。  要するに、確定判決会計法会計検査院法が定めている適正との関係で今エアポケットに落ちたような状況になるんじゃないかなというふうに思いますので、その点について何らか対応しないと法律上は困るんではないかというふうに思いますので、その点を申し上げて次の質問に移りたいと思いますが。  そういう状況になっている中で、航空幕僚長が、先般、記者会見で、そんなの関係ねえという発言をされておりますが、本当はそういう心情だったのかもしれません、航空幕僚長としては。しかし、責任のある立場の人間が、今申し上げたように、様々確定判決対応ができない中でそういうことを言うというのはいかがなものかなというふうに思いますが、石破防衛大臣はどのように考えておられますでしょうか。
  27. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 確定判決との対応との関係でどう思うかという御趣旨であれば、これはまさしく外務大臣お答えになったように国全面勝訴のものでございます。そのわきの論、傍らの論についてとの関係と言われますとちょっと答弁がなかなか難しいのでございますが、名古屋高裁判決というもの全体に対してどうだということで考えるとしますと、政府といたしまして非戦闘地域で行っている、また武力行使と一体化するものではないということで憲法九条を遵守してやっておるわけでございます。  したがいまして、現場隊員たちが仮にそういうことを聞いて、自分たちのやっていることについて迷いとかためらいとか、そういうものがありとせば、仮にありとせば、航空幕僚長として動揺するのではないと、政府としていささかも立場に変わりはないということを申し述べたのだと私は承知をいたしております。現場自衛官たち心情をおもんぱかって田母神空将航空幕僚長がそういう発言をしたという心情において、私はそれは理解ができるものと思っております。  ただ、その記者会見の場において、いわゆる芸能人の方、大変に今人気があるやに聞いておりますが、そういう方の発言を引用してというか、そういう形で申し述べたということが適切であったかどうかという点においては、私自身やや違和感を持つものでございます。  しかし、田母神空将が言ったことは、現場自衛官たちに対して、政府立場が何ら変わるものではないというふうに、その気持ちを引き締める、そして正当性というものをきちんと認識させる、そういう心情においては理解できますが、その言い方については私自身違和感は持たないではありません。
  28. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次の質問に移りますが、バグダッド空港は非戦闘地域ということでありますが、バグダッドについて、そのものについて戦闘地域か非戦闘地域かという判断はされておりますか、政府としては。
  29. 石破茂

    国務大臣石破茂君) しておりません。
  30. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、戦闘地域と非戦闘地域を分かつ判断基準というものはどういうものでしょうか。
  31. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そこにおいて、国又は国に準ずる組織の間において国際紛争を解決する手段としての武力行使が行われているかどうかというのが判断基準でございます。
  32. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 バグダッド空港民間航空機が就航しているので非戦闘地域だというような御答弁もありますが、そういう理解でよろしいですか。
  33. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私自身そのような答弁をしたかどうか今記憶が定かではございませんが、民航機が就航しているから非戦闘地域であるということは論理的には導かれないものだと考えます。
  34. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これは分からないのかもしれませんが、バグダッドに就航している民間航空機保険金レベルというのはお分かりになりますか。
  35. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) バグダッド空港に就航しております民間航空機でございますが、国内線にイラク航空、それから国際線にイラク航空及びロイヤル・ヨルダン航空がそれぞれ就航いたしておりますけれども、その各会社が民間保険機構との関係でどのような保険契約を結んでいるかについては当省としては承知をいたしておりません。
  36. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それじゃ次の質問に移ります。  横須賀タクシー運転手強盗殺人事件対応についてですが、先般の予算委員会で、脱走兵以外の行方不明になっている人も含めて米側協議をしてそういったことを確認をしていくということでありましたが、その後どうなっておるか、外務省に伺いたいと思います。
  37. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これまで、米軍人が行方不明となり米側が必要と判断した際に、事案に応じ都道府県警察脱走兵として逮捕要請がなされる場合もあったと承知しておりますが、脱走の状態が生じた場合に直ちに関係当局に今まで連絡がなされていたわけではありませんでした。  先般の横須賀市における強盗殺人事件を受けて横須賀市からの要望もあったことを踏まえ、脱走米兵情報共有の在り方について米側及び関係省庁検討を行ってまいりました。その結果、四月十一日、日米政府は、今後在日米軍脱走が判明した場合には、そのすべてについて直ちに米側から関係都道府県警察に対し逮捕要請を行うとともに、日本政府に対して当該脱走兵に関する情報を提供することで基本的に一致した旨を発表した次第でございます。
  38. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の御答弁はそのとおりなんだと思いますが、先般私が指摘をさせていただきまして高村外務大臣もそれも含めて検討するというふうにおっしゃっていただいたのは、実は脱走兵というのと行方不明の兵という二種類のカテゴリーというか存在がいて、脱走というのは未来永劫その所属の部隊に戻る意思がない旨をもって脱走罪というふうに認定されると、ただ単にいないだけでは行方不明ということになるわけでありまして、先般の恐らく殺人事件を起こした米兵殺人事件を起こした時点では脱走兵ではなくて行方不明の兵だったはずでありまして、この行方不明になった場合の情報共有については何らか対応はされておるんでしょうか。
  39. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) おっしゃるように行方不明の方が広い概念でありまして、その中に、まあ未来永劫かどうかは別として、部隊から離脱する意思を持って行方不明になった人、そういう認定ができた場合に脱走兵と認定するわけでありますが、今、現時点でアメリカ側とできたのは、脱走と認定した場合は必ず逮捕要請都道府県警察に対してする、そしてそれと同時に日本国政府に通報をすると、こういうことが合意をできたわけであります。行方不明の場合すべてについて現時点で何らかの合意ができたということではございません。
  40. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、確認のために、行方不明についてできていないということでありますが、今回殺人事件の容疑で逮捕されたウグボグ容疑者はいつ脱走兵になったのか。その殺害を起こした時点では私の認識では行方不明だったということだと思うんですけれども、そういう認識でよろしいかどうか伺いたいと思います。
  41. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 米側から得ております情報によりますと、当該米兵は三月八日に行方不明となり、三月十日に当該米兵脱走兵であるとされたというふうに回答を得ております。
  42. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 三月十日に脱走兵となったけれども、通報は日本側に来てなかったということですか。
  43. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 通報は、この件については警察は受け取っておりません。
  44. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、いずれにしても行方不明の方が概念が広いということと、それから、御案内のとおり、地位協定上、米軍の人間は一切入管の手続を経ないで日本国内に入れることになっておりますので、引き続き行方不明の者についても何らか情報共有をしていただく努力をしていただきたいと思いますが、外務大臣にちょっとその点の御決意を伺いたいと思います。
  45. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) これまでの協議の過程を申し上げますと、脱走兵と米軍が認定するか否かというのは米軍の権限でございますが、脱走兵と行方不明、失踪との関係については、米側からは、できるだけ早く、失踪あるいは行方不明の兵隊についてはできるだけ早い時期に脱走と認定をしてその情報を日本に送りたいと、こういうようなお話になっているようでございまして、現段階ではそのことで脱走兵についてのみ情報提供の定めをするような動きになっております。
  46. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、脱走として日本側に通報があった者の氏名や年齢、顔写真などの情報は一般国民に明らかにされているのかどうか、現状と今後について伺いたいと思います。
  47. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 現状では通報された者が一般国民に公表されているということはないと思います。  今後のお話でございますが、政府は、このようにして入手いたしました情報につきましては、何らかの方法で関係地方自治体と共有する方向検討いたしております。ただ、一般の国民に対してこれを公表すべきか否かという問題については、いろいろの観点から慎重に検討すべき課題があるというふうに考えております。
  48. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、今までに脱走兵に関する逮捕要請、通報の状況と過去の逮捕、身柄確保の経緯はどういうふうになっているか、警察庁に伺いたいと思います。
  49. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) この脱走兵のうち日本側で逮捕をいたしましたのは平成十七年以降五人でございますが、この経緯を申し上げます。  まず、平成十七年一月二十七日に脱走した米兵でありますが、これは同年三月十六日に逮捕要請がなされました。そして、アメリカ側からこの当該米兵の立ち回り先に関する情報が提供されまして、それに基づきまして、同年六月九日、身柄を確保しております。  それから、平成十九年二月二日に脱走した米兵でございますが、二月六日に逮捕要請がなされまして、そしてまた、米側からこの米兵の潜伏先に関する情報が提供されました。それに基づきましてその潜伏先の付近で発見をし身柄を確保いたしましたのが、これが二月七日でございます。  それから、本年の一月七日に脱走し、翌一月八日に逮捕要請がなされたアメリカ兵、これもアメリカ側からその潜伏先に関する情報が提供をされまして、一月十八日、その潜伏先で発見、身柄を確保しております。  それから、本年の二月二十八日に脱走した米兵、これは同じ日、二月二十八日に逮捕要請がなされましたけれども、これは、このアメリカ兵が帰国するかもしれないという情報アメリカ側から提供されまして、空港で張っておりましたところ、発見し身柄を確保しております。  それから、本年二月十六日に脱走をいたしました米兵、これは三月十日に逮捕要請がなされておりまして、これもアメリカ側からこの米兵の立ち回り先に関する情報が提供されておりまして、先日、四月十六日、その立ち回り先において発見し身柄を確保したものでございます。
  50. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の理解では、警察には現段階では顔写真などの情報は来ていないということですが、そういう中で、情報、立ち回り先だけでよく逮捕ができたなというのを率直に思うんですが、今後は顔写真等ももらえるという理解でよろしいわけですよね。
  51. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 確かに現在顔写真が提供されておりませんが、ただ、今も申しましたとおり、発見、身柄を確保するということに支障が生じているわけではございません。ただ、一般論として言えば、それは追跡する人間の写真があった方がいいわけでございまして、それは、今後外務省を中心に米側と交渉する際に様々に検討されることであろうと考えております。
  52. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、現在行方不明の一名の脱走兵の氏名や年齢、階級や所属はお分かりになりますか。──これは通告してありますから、外務省か警察庁かどちらか。
  53. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) どなたが答弁しますか。米田刑事局長
  54. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 現在、まだ、何といいますか、身柄が確保されていないあるいは帰隊していない米兵一名ございますけれども、その氏名とか年齢とかは一般国民に対しては公開をしていないものと承知をしております。
  55. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 公開をしていないということですが、先ほどの木村大臣の御答弁もありましたが、いろんな公開することのメリット、デメリットもあろうかと思います。  ただ、横須賀のタクシーの運転手の殺人事件等々もあって、いろんな国民の不安を解消するということも含めて、日本法の罪では脱走罪というのはないので公開するのが難しいということなのかもしれませんが、しかし一方で、これは刑事特別法に基づいて逮捕をするということになってくると多少国民に情報公開をする必要性もあるんではないかと思いますが、これはどなたに伺うのがいいのか、まあ外務大臣にその考え方を伺うのがいいのかなと思いますが、どのように考えておられるか伺いたいと思います。
  56. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私はよく分かりませんけれども、一般的に例えばおふろ屋さんに写真が張ってあるような例というのは凶悪犯ですよね。凶悪犯ですよね。脱走兵が凶悪犯を、犯罪を犯したことがあるからといって、脱走兵だから直ちに凶悪犯だという、そういう関係には必ずしもならないのではないかと、こういう感じはしておりますが、警察の意見もよく聞いた上でアメリカと話すのか話さないのかも検討してまいりたいと思っています。
  57. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次の質問に移りますが、駐留軍労働者への労働法の適用について、駐留軍労働者には労働基準法が適用されるというふうに思いますが、されるとすると、現在は労働基準法の違反の状況ではないか。その点について厚生労働副大臣に伺いたいと思います。
  58. 伊藤渉

    大臣政務官(伊藤渉君) 委員指摘のとおり、駐留軍等の労働者については労働基準法が適用されるものでございまして、その遵守が図られるべきものでございます。したがって、委員が以前より御指摘のとおり、臨時従業員が年次有給休暇を請求した場合における年次有給休暇の付与、法定労働時間を超えて労働させる場合又は法定休日に労働させる場合における労使協定締結、就業規則を変更した場合における労働基準監督署への届出、これが必要であるというふうに考えております。
  59. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 あわせて、労働安全衛生法の違反もございますか。
  60. 伊藤渉

    大臣政務官(伊藤渉君) これにつきましても、労働安全衛生法に定められているところに従いまして、衛生委員会等所定の安全衛生管理体制の整備を図るべきものと考えております。  この問題については、具体的にどのようにしていくか、これを日米合同委員会の下に設けられました労務分科委員会において、厚生労働省も参画をし、検討が行われているところでございます。
  61. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、今は法律違反の状況なんだと思いますが、地位協定十二条五項に定める別段の合意というのは日本側と米側解釈が異なっているというふうに伺っておりますが、どのように異なっているか伺いたいと思います。
  62. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 御指摘のように、十二条五項において、別段の合意をする場合を除くほか、日本国法令で定めるところによらなければならないと規定されておりまして、我が国としては、日米地位協定第十二条五に言う別段の定めというのは、現状においては第十二条の六のいわゆる保安解雇に関する規定のみでありまして、駐留軍等労働者の労働条件等は我が国の労働関係法の定めるところによると考えております。これに対しまして米側の考え方は、米当局と労働者との関係で約束したことが特段の定めだというようなニュアンスで理解をしているようでありまして、そこの部分に食い違いがあります。  したがって、そこのところを明確にしないと本当に合法か違法かというのはよく分からないわけでありまして、私どもとしては、あくまで日本の考え方に従って法適用を考えております。  そこで、我々としては、我が国の関係法の趣旨にのっとった所要の措置が講ぜられるよう粘り強く取り組むことが重要であると考え、日米合同委員会の下に労働分科委員会がありますので、そこで精力的に協議を続けているところでございます。
  63. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今おっしゃったその解釈の相違というのはいつごろから生じているんでしょうか。
  64. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 日米間の協議の詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、昭和四十年代からこういう認識の相違はあったものと理解をいたしております。
  65. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いわゆる駐留軍労働者に係る基本労務契約等を締結する際に、地位協定上の扱いについて日米合同委員会確認はしてこなかったのでしょうか。  確認してこなかったということであれば、なぜ確認してこなかったか、その理由も伺いたいと思います。
  66. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 労働提供契約については、日米地位協定締結の当時、我が国の労働関係法令も踏まえた内容のものとなっていましたけれども、その後、我が国の社会経済情勢の変化に伴い労働関係法令が逐次改正されてまいりましたため、労働提供契約との関係で一部そごが生じているところは事実であります。  政府といたしましては、駐留軍等労働者の雇用及び労働条件等については、米側理解を得て我が国の労働法令の定めるところに沿って所要の措置がとられるよう粘り強く協議を続けているところであります。  こういう考えに立ちまして、日米合同委員会の下の労働分科会においては精力的に協議をいたしておりまして、まだ現在最終的な合意には達しておりませんけれども、労働基本契約等の改定を行うよう努力をしているところでございます。
  67. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これ、結構重要な問題でありまして、二国間の条約で、条約の文言の解釈が締約国間で異なる事例というのはないはずなんです。その確認ですが、ほかにないということでよろしいですね。
  68. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 我が国が締結いたしました二国間の条約に関して、当事国間で条約の文言の解釈が異なり具体的な利害の対立が生じた場合には、外交交渉等を通じて解決されることとなりますけれども、具体的な例については、日米地位協定に関する例のほか、あるというふうには承知しておりません。  一般論として、二国間条約の文言の解釈について当事者が異なった見解を持つこと自体はあり得ないことではございません。しかし、単に当事国が自己の見解を有していたりこれを表明したりしているに止まるような場合には、当事者間の紛争ではなく、それについて紛争解決のための手続が取られるということもございません。仮に、当事国間の異なった見解によって当事者国間の、国の関係で具体的な利害が生じたときは、問題となる条約に置かれている紛争解決に関する規定等に従って外交交渉等によって解決が図られることになると考えております。
  69. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 指摘をさせていただいたのは、ほかに例がないわけですね、解釈が異なる。地位協定についてはこれ解釈異なるということでありまして、そうだとすると、労働条件の改善ということは行ってきているのは承知しておりますが、別段の合意の解釈についてこれは調整した方がいいんじゃないかと思いますが、その点どのように考えておられますか。
  70. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 当然調整した方がいいという立場に立って、我が国の主張するところに従って労働分科会で鋭意精力的に調整をしているところでございますが、まだ具体的な結論が得られていないということであります。
  71. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、私の申し上げていることは、労働基準の改善はもちろんでありますけれども、労働条件の改善というのは当然でありますけれども、日本の法令に反しているわけですから。そうではなくて、その解釈そのもの日米でそごがないように調整すべきじゃないかということでありまして、もし解釈が一致できないのであれば、改めて一致できるような形で協定締結し直す方がいいんじゃないかというふうに思いますが、その点、まさに様々これ日米地位協定、運用で行われておりますが、そうした運用面でのことではなくて、しっかりと文言上の一致ができるようにするのが筋じゃないかと思いますが、どのように考えておられますか。
  72. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 政府といたしましては、駐留米軍等労働者の雇用及び労働条件等につきましては、日米地位協定の改正によるのでなく、我が国労働法令の定めるところによるとする日米協定第十二条五の規定に基づき、米側理解を得て所要の措置がとられるよう粘り強く取り組むことが重要であると考えており、現に理解を得たところは法律改正等に従って改定をいたしておりますので、この線で精力的に協議を続けてまいりたいと考えております。
  73. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちょっと繰り返しになりますが、いわゆる労働基準法違反がずっと放置されている状況というのは、まさにその解釈が異なるから放置されているわけでありまして、労働基準法違反にならないように鋭意個別の労働条件について改定を求めているということは、その点はそういうことなんだろうと思いますが、そうではなくて、解釈そのものを一致させる努力ということを別途行う必要があるんではないかということでありますが、解釈を一致させる努力は今まで行ってきていないということだと思いますけれども、今後行う意思があるかどうか、改めて確認させていただきたいと思います。
  74. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 別段の定めの考え方について協議を続けているわけでございまして、今後もこの解釈の統一について精力的に協議を進めたいと考えている次第であります。
  75. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 交渉だからということになるんでしょうけれども、それであれば、いつごろまでに米側に日本側の立場を認めさせられるかどうか、その点について伺いたいと思います。
  76. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 精力的に協議を続けておりますが、いつごろまでにということは現在明確にお答えすることはできません。
  77. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それは相手があることですから、それはそういうことなのかもしれませんが、しかし一方で、明白に日本の労働基準法という法律に違反している状況がずっと続いているというのは、余り法律の施行の上では健全な状況ではないということだと思います。その理由が条約の解釈の相違にあるということであれば、是非期限を切るような意思を持って交渉していただきたいと思いますが、その点どのように考えておられるか、外務大臣に伺いたいと思います。
  78. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本側の見解に米側の見解が一致してくれることが早ければ早いほどいいというのは、それは当然のことでありますが、これは何分相手があることで、相手側はアメリカ側の見解に日本側が一致してくれればいいし、それが早ければ早いほどいいと考えているわけで、そういう中で一致させるのがいつまでというのはなかなか難しいことでありますが、最善の努力を尽くしたいと、こういうふうに思っております。
  79. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非最善の努力は尽くしていただきたいと思いますし、他に条約の文言の解釈に違う例がないということであれば、条約自体地位協定自体についても、是非その解釈が一致できるように早急にその不正常な状況は是正していただくようにお願いしたいと思います。
  80. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) アメリカ側と日本側はこういうふうにしたいということが違うから解釈が違ってくるんですね。こういうふうにしたいという願望が違うところでその条約そのものを、協定そのものを変えるというのはより困難が伴うので、まず、こういうことをしたいというそのことの中で解釈を一致させる方がより、これもそう簡単じゃありませんけれども、より容易なことではないかと思っておりますので、そのために全力を尽くしたいと、こう思っております。
  81. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それじゃ、次の質問に移らさせていただきたいと思いますが、自衛隊員による米軍基地娯楽施設の利用について伺わせていただきたいと思いますが、米軍基地内のゴルフ場はどこにあるか、まずお答えいただきたいと思います。
  82. 石破茂

    国務大臣石破茂君) アメリカ側からは、ゴルフ場がある米軍の施設区域は、三沢飛行場、多摩サービス補助施設、横田飛行場、厚木海軍飛行場、キャンプ座間、岩国飛行場、奥間レスト・センター、嘉手納飛行場、キャンプ瑞慶覧及び嘉手納弾薬庫地区であると聞いておるところでございます。
  83. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 過去には、米軍のゴルフ場のいわゆる会員証というものが防衛省、当時防衛庁の職員が所持しているものが、これは平成四年の質問主意書に関しての答弁で約三百枚あったというふうに答弁がありますが、現在どのような利用をされているか伺いたいと思います。
  84. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 本年三月下旬時点で、でき得る範囲で防衛省職員に対して聴き取り調査を行いました。これは御党の武正衆議院議員提出の質問主意書に対する答弁作成のために実施したものでございます。  その結果、現時点におきまして、当省職員が会員証を所持するという事実は把握をしておらないところでございます。
  85. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、過去にあったその三百枚というのはすべて返却されたということでよろしいですか。
  86. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私もここ詳細に今もう一度きちんと調べるように指示を出したところでございますが、返却したということではなくて有効期間を失ったのではないかと、こう思っております。  私も何しろ現物見たこともございませんし、私もやったことがないので分かりませんが、そういう事実につきましてどのような状況であるのか、更にきちんと調べてまいります。
  87. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 現在ゴルフをやっている者はいるのかいないのか、それはいないと言い切れるのか、それとも調査した範囲ではいないということなのか、その点について伺いたいと思います。
  88. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 当省職員の利用状況というお尋ねでよろしゅうございましょうか。  当省職員の利用状況につきましては、このような情報を取りまとめた資料というものが存在をしておりません。しかしながら、在日米軍施設区域内に所在するゴルフ場の使用実態を調査をいたしましたところ、年間の利用人数は一千四百名、平成十八年度でございます。延べ回数は五千二百回というふうに承知をいたしておるところでございます。このことについて、特段このことに限って取りまとめた資料というのがございませんので、そういうアバウトなお答えで恐縮でございますが、今のところ把握をしている数はそのようなものでございます。
  89. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一千四百名の防衛省職員が年間で利用したということでよろしいですか。
  90. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そういう御理解でよろしいと思います。
  91. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これはいろんな考え方があるんだと思いますが、米軍のゴルフ場を防衛省職員が利用することの、これかなり一般よりは安いゴルフ場なのかもしれませんが、どういうふうに大臣として考えておられるか。その是非というか、是非やりなさいという意味の是非ということじゃなくて、利用することの是非を伺いたいと思います。
  92. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 地位協定三条でございますが、米軍はこの三条に基づいて、すなわち、合衆国は、施設及び区域において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置をとることができると書いてあります。そうしますと、ここにおいて、まあ運営に入るんでしょうか、要するにどう使ってもいいと、こう書いてあるわけですね、地位協定そのものに。そして、在日米軍関係者以外の者が在日米軍として米軍の利用に支障のない限り、アメリカ軍との友好親善の意味合いでそこを利用させる、つまりそういうように運用するということは地位協定の認める範囲であるということは、これはもう条文上はそういうことになるんだというふうに思っております。  ただ、非常に安いお金で、どれぐらい安いのか、これも大体百ドルぐらいと聞いておりまして、そんなに安いわけじゃないと。つまり、米軍人がやる場合には三ドルとか五ドルとか、そんなことでやっておると。日本人がそこへ行く場合に、それはもう一万円。それを安いと言うか高いと言うかですが、セルフで、自分でカートを引くか運転するかしてやった場合に、そういう所在地にもよりますが、それぐらいのお金を払ってやるということが著しく常識に反するかというと、それはそうでもないんだろうと。  ただ、私どもがそういうことをやります場合には、それは自らの楽しみとか、そういうことに防衛省の職員であるということを利用してという言い方は適切じゃないかもしれませんが、そういうことがないように、あくまでそれは職務に、何というんでしょうね、関係あると言うと言い方がいけないのかもしれませんが、本当にそのことによって特権を享受しているというようなことにならないように私は心掛けるべきものではないかと思っております。
  93. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 情報交換という趣旨で利用するということであればそれは理解できるということの趣旨の御答弁なんだろうと思います。逆に、そうではなくて、なかなか一般の国民が利用できないところを特権的に利用するということであればそこは是正するという理解でよろしいですか。
  94. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、是正するということが適当かどうか、ちょっと私、今判断、即座にいたしかねておるところでございます。  私どもの例えば部隊の体育施設とか一般の方々に開放する場合がございますが、これは広報という形でやっております。現地の方々にいろんな御協力をいただいておりますので、広報の一環としてそういう体育施設を開放するというようなこともやっております。ですから、合衆国として、まあ運営ということになっているわけですが、そういう親善を深めたいとか、相互の理解を図りたいとか、あるいは合衆国の基地の存在というものを広く、広くといいますかね、認識いただきたいとか、そういうような理由に基づくものだと。  ただ、それが、裏返して考えてみたときに、防衛省の職員が一般の人では利用できないようなところを利用しているというようなことはそれぞれの公務員の意識としていかがなものかという感じを私は持っておるのです。是正するということができるかどうか分かりませんが、私はそういうマインド、意識というものは常に防衛省職員は持っておらねばならないと思います。
  95. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それじゃ、次の質問に移らさせていただきたいと思いますが、先般予算委員会で、米軍の、今回のこの特別協定にかかわることですが、住宅一戸当たりの光熱水費が高いことについて指摘をさせていただきました。そのことについて、その後何らか調査をされているかどうか伺いたいと思います。
  96. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私どもとして実態について今問い合わせを行っておるところでございます。これは御指摘もいただきましたので、本当にどうなんだということをきちんと問い合わせなさいということで、地方協力局の調達官から在日米軍司令部第四部長に対しまして問い合わせを直接行わせました。まだ答えは来ておりません。しかしながら、国会で御指摘をいただいたことでもございますので、これはきちんと調査をしなければならないというふうに私自身確信を持って今行っておるところでございます。  なお、施設区域内の家族住宅に居住をしております米軍人等の光熱水料等につきましては、学校ですとか育児所ですとか青少年センターですとか消防署ですとか、家族住宅以外の施設と合わせて施設区域ごとに在日米軍は一括して調達し支払っておるものでございますので、一戸当たりの光熱水料ということをお示しすることはなかなか正確には難しいのだというふうに思っております。  ですから、これは委員もアメリカでお暮らしになったこともおありでしょうからよく御存じかと思いますが、例えば電気代で申し上げますと、アメリカではガスレンジ使わないで電気レンジを使っておるとか、あるいはもうお家自体がやたら広いとか、そういうこともございますので、どうしても日本より高くなる傾向はあるのではないかというふうに思っております。  これは軽々なことは申し上げられませんが、例えば同じような規模の学校であれば、同じような規模の育児所であれば、同じような規模の青少年センターであれば、大体どれぐらいの電気代が掛かるんだというような試みの計算はできようかというふうに思っておりますので、可能な限りきちんとした数字を把握をしてお示しをいたしたいと思っております。
  97. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 御案内のとおり、一人当たりのエネルギー使用量はアメリカ人の方がはるかに日本人より多いんです。しかし、それは彼らのライフスタイルということでありまして、そのライフスタイルも含めて特別協定で本当にそこまで日本側が負担すべきなのか、あるいはアメリカの方が、アメリカ人がアメリカのライフスタイルを日本に持ち込むということ自体私は否定しませんが、そこの部分は自前でやってよという考え方もあろうかというふうに思います。  日本側が普通の一般的な日本の家庭の使用料までは負担すると、それから先はというふうに、まあ今回定額制という形になりましたけれども、考え方を変えていった方がいいんではないかなというふうに思いますが、そういう観点からいうと、まずは現状の調査ということであれば、今は米軍住宅の一戸当たりに、それぞれの家に電気や水道のメーターというのは付いていないんですが、それを付けた方がいいんじゃないかなと思いますが、その点についてはどのように考えておられますか。
  98. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはプラスマイナスをよく見ようということで今やっております。一括契約といいますか大口契約をやっておるわけで、それでどれぐらい安くなるのか。メーターを付けますと、これは事業者負担になりますので、電力会社ですね、そこが自己負担をすることに相なりますが、そうすると電力会社が検針メーターの取付け費用、私知らなかったんですが、一戸当たり五万円すると、こういうことであります、一般家庭用ということで業者から聞いたものでございますが。  そうすると、一戸当たり五万円の費用というものを事業者が負担をするのだと、そして片一方でその大口割引があるのだということがあって、どっちが得かよく考えてみましょうということで、数字を出さないと議論にならないと思っておりまして、前提となる御議論をいただける数字というものをお示しできるように今作業をやらせております。  ですから、これは何がインセンティブとして効くのかということでありまして、どういう形にすれば節減努力というものが本当に発現されるかということについて、私どもとしても、国民の税金でございますから、きちんとした対応をしていかねばならないと思って今作業を行っております。
  99. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間の関係で最後の質問になりますが、特別協定全般について外務大臣防衛大臣に伺っていきたいと思いますが。  この例えがいいかどうかは別として、近来、ODAに対して様々納税者から、日本も財政上厳しいにもかかわらずどうなんだろうかという意見は出ているのは事実だと思います。特別協定もまさに、先ほど申し上げましたように、日本の一般的な財政支出をはるかに超える例えば光熱水費については支出がされているのは事実だと思いますんで、その点について、今回はもう締結をされたということでありますけれども、今後、三年後に締結をまたしなければいけないときの交渉において、先ほど申し上げました、少なくとも日本の平均的なところぐらいまでの負担にするという姿勢で臨むべきなんじゃないかなと思いますが、そうしたことについてどのように考えておられるか、外務大臣そして防衛大臣に伺いたいと思います。
  100. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) そういう考え方もあると思うんで、まさにいろいろなところから総合的に考えなければいけないと思っております。そういう個々のことも大切なんですけれども、全体をどう見るかということが必要だと思うんです。  よく委員会等で日本の米軍駐留経費はほかのアメリカの同盟国と比べて突出しているではないかと、こういうお話があります。それは確かにそうなんですけれども、逆に防衛費全体で見ると日本の防衛費はある意味で突出して少ないんですね。そして、その防衛費という中には突出して多いと言われる在日米軍駐留経費も入った上で防衛費全体が突出して少なく済んで、そして日本の平和と独立は保たれていると。  そういう中で、全体としてどっちが得かよく考えてみないと、個々のことでこれをそれぞれ言うことは、それは必要なことなんだろうと思います、検討することは。ただし、アメリカ側から言うと、また、それじゃ全体の同盟のコストを考えてみましょうじゃないかと、こう言って、そういうことをやって全体としてどっちが日本にとって有利かという観点も必要なのではないかと、こういうふうに私は考えております。
  101. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今の外務大臣のお話のとおりで、そのいろんな要素をちゃんと議論してみましょうということだと思います。私も委員と同じような問題認識でアメリカ政府の人と大激論もしたことも何度も実はございます。こんなことで納税者の理解が得られると思いますかという話もしたこともあります。  そしてまた、非対称的双務関係というものをどう評価をするのかということ。そして、日本の持っている地政学的な位置というものをどう考えるのかということ。何で日本に在日米軍基地がこんなにたくさんあるのということも、それは地政学的な意味と、そしてまた条約の持っている内容というのもございます。そういうものを全部吟味をしてみるということは必要なことなのではないでしょうか。  委員指摘のそのODAの話は私も選挙区でよく言われます。そんな金があったらほかにやることいっぱいあるんじゃないのという御指摘委員も多分聞いておられるんじゃないでしょうか。そういうときに、情けは人のためならずとか、我々でも戦後復興のときによその国からどれだけ支援を受けたかみたいな話はするのですけれど、そういうことを本当に次の時期までに議会においても議論をする、そしてまた私ども政府間で議論をするということだと思います。あらゆる観点から議論は必要ですが、我が国の独立と平和というものについて今の日米同盟が大きな寄与をしているという事実は常に認識をしておきたいと考えております。
  102. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 終わります。
  103. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚です。  本題に入ります前に、TICADⅣについて幾つか質問をさせていただきたいと思います。  お手元の配付資料を御覧になってください。これは、先般、TICADⅣ・NGOネットワークというところが作りました外務省に対する緊急提案の資料ほぼそのものでございます。ここで幾つかNGO側から外務省に対する提案が述べられているわけですけれども、実は、私、民主党のNGO議連というところに所属をしておりまして、過去二十一回勉強会を重ねてまいりました。ここに来て、特にこのTICADⅣの準備に関してどうも外務省とNGO側が擦れ違いが多いのではないかと、そんな気がいたしております。  そこで、まず外務大臣に伺いますが、TICAD外務省・NGO定期協議会、この意義はどんなところにあるんでしょうか。
  104. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) TICADプロセスの目標や今後の取組方、方針を決定する上で、TICAD外務省・NGO定期協議会の場を通じてNGOを始めとする市民社会の皆様からアフリカ開発の現実と課題についていろんな御意見を聞いてきたところでございます。TICADⅣの準備プロセスにおきましても、これまで六回にわたってTICAD外務省・NGO定期協議会を開催いたしてまいりましたし、第七回目もやがて開催する予定でございます。  協議会では、TICADⅣで特に取り組むべき具体的な分野についての提言をいただきました。現在いただいた提言案を踏まえ、対アフリカ支援の指針となる横浜宣言等の原案を作成している過程でございまして、NGOとの意見のすり合わせ等はかなり綿密に行っておると考えております。
  105. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 そのようなお答えであるというふうに私も理解しておったんですが、ところが、NGO側からいうと、今おっしゃったいわゆる草案というものもこれは全く知らされておらずに、草案の段階でのやり取り外務省の都合で全くなされてないというふうに聞き及んでいるんですが、この点はいかがですか。
  106. 木寺昌人

    政府参考人木寺昌人君) お答え申し上げます。  TICADの準備を進めるに当たりまして、NGOとの協議というのをかなりの頻度で進めてきておるわけでございます。TICADⅣの成果物として首脳の間で採択される予定の横浜宣言の草案が検討されております最中も並行してTICAD外務省・NGO定期協議会、これを開催してきておりまして、協議の成果を検討し、草案作成の参考としてきております。
  107. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、今回の、これは昨日いただいたんですが、TICADⅣの議事日程というところを見ますと、市民社会セッションというのが公式プログラムに前回とは違って入っていないということなんですが、これはどのような意図なんでしょうか。
  108. 木寺昌人

    政府参考人木寺昌人君) お答え申し上げます。  TICADⅣは、基本的には首脳級の会合でございます。そうした中においても、市民社会、それからJICAとかJBIC、ジェトロ、そういったところが行いますセミナー、そういったものの成果を反映していくという観点から、市民社会セッションにつきましても、NGOの代表の方にTICADⅣの本会合におきまして御報告をしていただくということを予定しております。
  109. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 もう一つこれ追加でお伺いしますが、五月二十九日の昼食後の四時半から六時、全体会合三の二(五)、市民社会との対話と書いてあるんですが、これはNGO、いわゆる市民社会からの発表があって、その後の対話の時間は全く予定されていないと、いわゆる会場とのやり取りは全く予定されていないと聞き及んでいるんですが、その点はいかがですか。
  110. 木寺昌人

    政府参考人木寺昌人君) お答え申し上げます。  このTICADの準備会合でございますけれども、今までアフリカで二か所行われました。そういったところでは市民社会とアフリカ諸国、それからドナー諸国側、それから国際機関、そういった間で意見交換を行う場を設けてきております。  しかしながら、TICADⅣにおきましては、四十を超えるアフリカの首脳が参加いただくということで、その発言時間等を考慮いたしますと、議事運営上等の観点からも自由討議の時間が確保できない可能性があることは御理解いただければと考えております。
  111. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 最後に大臣に伺いますけれども、私はアフリカに行ったことが一回しかありません。しかも、二年前のスーダンに伺ったんですが、ハルツームに行きまして、在スーダン日本大使館の皆さんの、少ない人数の中で物すごく奮闘しておられる、宅配のピザか何かを食べながら大使自らが本当に一生懸命やっておられるという現場を見てまいりました。人手が足りないなと、余りにもあの巨大な国をカバーするのにこれだけでは足りないなという実感がいたしました。  しかし、同時に、今度は南部の難民キャンプに行ってみますと、カルマという難民キャンプに行ったんですが、大変な規模の、九万人の難民がおりまして、現場でやっているのはNGOなんですね。国際NGOあるいは国連機関に関係するNGO、すべてNGOであります。当時の、二年前の話ですが、日本大使館の在ハルツームの方で難民キャンプに足を踏み入れた方は一人もいらっしゃらなかった。これは、いい悪いではなくて、そういうものではないかと思うんですね。  現場はやっぱりNGOの皆さんが行っていくということでありますから、やっぱりここは、会議全体としての時間割とかあるいは成果物に気を遣うということは一方であるかもしれませんが、やはり、例えば市民社会のアフリカ、日本両国の代表をTICADⅣの後のフォローアップ委員会に加えるべきだと思うんですけれども大臣の御見解を伺います。
  112. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 現在、アフリカ諸国との協議において立ち上げが議論されているフォローアップ委員会については、TICADⅣにおいて我が国が表明する具体的支援策の実施状況を報告することを目的としておりまして、政府、国際機関がその主体となることで検討をしているところでございます。他方、TICADⅣ終了後のフォローアップの段階においても、NGOを始めとする市民社会の皆様とは積極的に協議を継続して、その意見をプロセスに反映させていく考えでございます。  どうしても実施状況となると、予算執行とかそういうことでありますが入ってきますので、やはり国なりあるいは国際機関がその主体とならざるを得ないのではないかと。ただし、そういう中でもNGOの意見、知恵をお借りしながらやっていくということだと思います。
  113. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 御存じのように日本のNGOはまだまだ社会的基盤が弱くて、諸外国と比べて活躍できる環境にはないと思うんですが、これだけ関心のある、若い人たちを含めて大変人口が多いわけですから、ここはやっぱりしっかりとフォローアップ等々に参画をさせていただきたいと思います。  それでは、本題のいわゆる思いやり予算につきまして質問をさせていただきます。  まず外務大臣に伺いますが、在日米軍駐留経費負担特別協定、これは特別協定なんですけれども、これは恒常的な協定なんでしょうか。
  114. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 特別協定は、日米地位協定二十四条に定める経費負担の原則それ自体は維持しつつ、一定の期間に限り特定の経費に限って負担することとしたものでございますので、そういう意味であくまで暫定的なものと考えております。
  115. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 暫定的な協定が、例えば一九七八年の負担開始からはもう既に三十年、そして今度は八七年の負担開始からは既に二十一年がたっているわけですね。もう既にこれは暫定というよりも恒常化しているんではないか。    〔委員長退席、理事藤田幸久君着席〕  当初のこの二十年前、三十年前の政府説明を改めて読んでみますと、有名な金丸防衛庁長官が、思いやりの立場地位協定の範囲内でできる限りの努力を払いたいと言った背景には、円高ドル安があって、いろいろな日米の負担の不平等感みたいなものが広がっていたということがあった。八七年のときには、外務省の北米局長が言っているのは、円高という言わば一時的な現象、それからさらに雇用というある程度長期を必要とする問題、この問題を総合的に勘案いたしまして五年の暫定ということを言っているわけですね。  しかし、もう冷戦が終わって、テロとの戦い等々国際平和協力活動を日本が一体我が国の立場としてどういうふうにやっていくかという時代にあって、例えばですけど、同じ約二千億円という年間の費用を使ったらこんなことも可能じゃないですかということで、今日は国連緊急平和部隊、UNEPSについて少し議論をさせていただきたいと思います。  そこで、資料を見ていただきたいんですが、そもそもこのUNEPS、国連緊急平和部隊というのは何なんだということなんですが、ヘルメットのマークが付いておりますが、国連内に設置した常設の個人参加による民軍混成の緊急展開部隊であるということなんですね。もう一枚の資料を見ていただきますと、これはアメリカで考えている部隊の規模なんですが、最近の提案によりますと、部隊規模が一万五千から一万八千、本部に二千名、軍、警察、文民と。部隊は六千人規模で二部隊、これも軍、警察、文民と。そして費用は、初期費用が約二十億ドル、年間費用が約十億ドルということなんですけれども、まず防衛大臣、このUNEPSの構想は御存じだったでしょうか。
  116. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 精緻に存じているわけではありませんが、こういう構想があるということ、またかねてから犬塚委員がこのことについて提唱しておられることについては承知をいたしております。
  117. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それで、もう一枚の資料を見ていただきたいんです。これは、国連緊急平和部隊、UNEPSに係る合衆国連邦議会の動きであります。実は下院に決議案が二度提出されています。これは超党派の決議案で、外交委員会に付託をされて、いずれも未採択に終わっております、二〇〇五年度と二〇〇七年度ですね。  この趣旨説明のところをアルバート・ウィン民主党の下院議員が言っておりますので、ちょっと読み上げてみます。  「議長、いうまでもなく、テロとの戦いは米国一国で遂行することはできません。カーネギー・コミッションの試算によれば、一九九〇年代を通じて国際社会が負担した約二十兆円の資金の内、紛争後の平和構築ではなく、紛争予防に力点を置くことにより約十三兆円を節約できたはずであります。国連緊急平和部隊UNEPSは、予防に重点をおいた国連機能を補完するものです。 近年ますます増えている国連や多国籍軍の民・軍複合ミッションの訓練を日常的に行うことにより、数百万の命を救い、数十億ドルの予算を節約する可能性を秘めています。」という趣旨説明、非常に抜き書きしたものですので十分ではないと思いますが、この紛争予防とそして民・軍複合ミッションという二つの点につきましてまず大臣の感想を伺いたい、防衛大臣
  118. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 実際に、予防の方が事が起こってから対応するよりも効果的であり、あるいは費用が安くて済むということはあるんだと思います。  私は、委員と議論したいのは、このUNEPSの構想がそれぞれの国の政府の思惑というもの、これとどう関係付けるべきなのだろうかと。つまり、ユナイテッドネーションズですから、それぞれ主権国家というものがどうしても表に出てくる、それが長所でもあり限界でもあるのだと思います。  ところが、このUNEPSの構想によれば、それぞれの政府関係なく迅速な平和支援活動が可能になる、そこが意外と眼目ではないかなというふうに考えております。効果的であり経済的であるということも言えますが、これを国連の中でどう位置付けるべきなのかということについてどうも私の中でうまく整理ができないというのが正直今の状況でございます。
  119. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 経済的な効果については、いかにもアメリカ議会らしく、ここにある程度力点が置かれているのはおっしゃるとおりですが、今大臣が御指摘になったように、国の連合である国際連合の中でどのような意思決定が行われていくのか、どの程度迅速にそれが行うことができるのか、果たして常任理事国がビトーというものを持っている中で一体どの程度公平にある一つの原則に基づいてこれを、あるところには行く、あるところには行かないということではなくて、行っていくことができるのかという問題意識は共有をいたします。まさにそこのところが最もこのUNEPSの重点を置く一つの分野であります。  この件について、実はICISS、御存じだと思いますけれども、国家主権と介入に関する国際委員会というものがある提言を出しました。これは九・一一直後に出たためにかなり誤解を呼んだ部分もあるんですけれども、ここで、どういう経緯でそれができたかというと、アナン事務総長が国家主権と介入に関する、一体これはどうしたらいいんだと、スレプレニッツァのようなことがあったと、あるいはルワンダのようなことがあったと。目の前であれだけ、八十万人からの人間が虐殺されている中で国際社会はこれを放置してしまったと、これでも国家主権というのを守らなきゃいけないのかと、これでも安保理の決議なしに行くことはできないのかということを大きな問題点として問題提起をした後をカナダ政府が受けまして、世界各地で議論を重ねて保護する責任というものを出してきたと。それは何かというと、当該国家が自らの国民を守る能力もなければ意思もない場合、そうした国民を守る責任は国際社会が負うという非常に簡単な一つの、介入ではなくて保護する責任というふうに言い換えたわけであります。  今、このUNEPSで主張しておりますのは、介入ではなくて保護する責任という原則に基づいて、あるときは行く、あるときは行かないのではない、あくまでも安保理の決定に基づきはするが、その安保理の決定はUNEPSに関しては特に保護する責任の原則に基づいてやるべきではないかということを主張しているわけですが、これについて大臣の御感想をいただけますか。
  120. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私がここはお答えする立場かどうか分かりませんが、委員から感想というふうにおっしゃっていただきましたので申し上げさせていただきたいと存じます。  私が思うのは、マケドニアの例をどう考えるかということなのですね。マケドニアにおきましては独立宣言しましたと、ユーゴから。マケドニア人とアルバニア人が潜在的な対立を抱えておったと、国内が不安定であったと。マケドニアの大統領から国連事務総長にPKO部隊の要請があった。この要請を受けて、安保理は国連PKOを展開する決議を採択をし、軍人、文民警察、文民スタッフから構成され、部隊の展開、調停、交渉、和解その他の手段により紛争の発生を未然に予防することを目的として、国境地域の監視、各勢力間の相互理解の促進等を任務として展開したと。やや似ているかなという感じがしているのですね、国連PKOですからこのUNEPSとはちょっと違いますが。  ただ、これが、マケドニアが台湾を承認したということで中国が拒否権を行使して継続ができなくて、かなりその後惨たんたる状況になったということがありまして、私は、委員まさしく御指摘のように、この常任理事国の拒否権というものをどう考えていったらいいのだろうか。そしてまた、それぞれの国家が、委員まさしくおっしゃるように、介入ではないのだと、介入ではなくて責任、そういう下にやるのだということなのですが、それは、では人権弾圧みたいなものがあったとして、そこをどう考えていったらいいのか。共通の価値観として、人権の弾圧とか、そういうものを測ったときに、それが国家主権のオーバーライドできるものなのかどうなのか。ここは本当に、私自身、今のユナイテッドネーションズという仕組みの中でどこまでできるんだろうということについて答えが出ません。答えが出ないのが感想かというとおしかりを受けるかもしれませんが、本当にどういう考え方に基づいたらいいのだろうか。そうすると、議論が飛躍をするようですが、国際紛争とは何なのかとか、そういうところまでいかなければ駄目なのだろう。  第一次世界大戦後のああいう状況の中で、国際紛争を解決するという概念が出てき、そして主権国家というものが出てきて、国際連盟の失敗に学んで国際連合というのができた。ここのところの経緯をよく認識しつつ、その次のステップに行く時代にあるいは人類は、国際社会は差しかかっているのかもしれないという茫漠たる予感というか認識はあるのですが、次のステップにどう行けばいいのかということについて私自身確たる認識は持てないで実はおるのです。申し訳ありません。  委員が、こういうふうにすべきではないかという御提案があれば、私も本当に真摯に学び検討してまいりたいと思っております。
  121. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 こういうことについてまさしく超党派で勉強会を私は重ねるべきだと思っておりますので、そのときはまた是非御意見を賜りたいと思うんですが。  最後におっしゃった人権について、あるいは国際紛争というのは一体何なんだと、一体今はどういう時代なんだということについてのまさに保護する責任は一つの示唆を与えていると思うんですね。  それは何かといいますと、目の前で大規模な、組織的な、しかも虐殺が現に今行われているという状況にあって当該国民が自ら身を守るすべを持たなかった場合、このような場合は、これは明らかにこれを守っていく責任というのを国際社会は負うべきであると、これがまず一義的に来るという話だと思うんですね。それが、一つは、いろいろな国際状況、あるいはビトーの問題等々をまずは飛ばして、こういう大規模な組織的な人権侵害が国際の平和の破壊に当たる、あるいは平和の脅威に当たるということがこの保護する責任の真の部分だと私は理解をしております。  先ほどおっしゃったマケドニアの例なんですけれども、PKOとこのUNEPSというのはもう完璧にこれは違っております。いわゆるPKOというのは、大体早くても三か月、あるいは六か月ぐらいは普通準備に掛かってしまうと。言わば、消防署に電話が掛かってきて、国連事務総長がこれを受けたとする。電話は安保理から掛かってきたと。これは何とかPKOを派遣してほしいと。その電話を受けてから、今度は各国にお願いをして回って消防自動車を造らなきゃいけないと。そういう状況の中で、一方では人権侵害や大規模に殺りくが行われているという状況の中で、ファースト・イン、ファースト・アウト、何しろ国連直下でこういう部隊をつくるべきではないかというのがこのアメリカ議会での動きであります。  そこで、そんなことを言っても、果たして我が国憲法の枠内でこういうことができるのかという議論に移りたいと思うんですけれども内閣の法制局に伺います。  我が国憲法では、国権の発動たる武力の使用を禁止しているんでしょうか。
  122. 外山秀行

    政府参考人(外山秀行君) お答え申し上げます。  国権の発動たるという意味は国家の行為としてという意味であると解されておりまして、我が国憲法は、我が国に対する武力攻撃が発生していない状況においては、国家の行為としての武力行使を禁じているものと考えております。
  123. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、多国籍軍の武力行使について伺いますが、国連のお墨付きの下に集団安全保障を担っている多国籍軍の武力行使も国権の発動に当たるんでしょうか。
  124. 外山秀行

    政府参考人(外山秀行君) お答え申し上げます。  ただいまのお尋ねは、我が国の行為として行うことが憲法上許されるかという問題になろうかと思います。  この点に関しまして申し上げますと、一般に、政府としては、我が国に対する武力攻撃が発生していない状況においては、国連安保理決議に基づく措置でありましても、憲法第九条によって禁止されている行為を我が国の行為として行うことは許されないと申し上げてきているところでございます。  これまでの多国籍軍の活動にかんがみますと、国連安保理決議に基づく措置でありましても、我が国から派遣された自衛隊活動は、我が国の意思に基づき、主権国たる我が国の行為として行う以上、仮にそれが武力行使に当たるものであれば、憲法第九条の下では許されないと考えております。
  125. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ですから、国連のお墨付きの下に集団安全保障をやるとしても、その都度、今のところ特措法を作らなければいけないよという理解でよろしいんですね。
  126. 外山秀行

    政府参考人(外山秀行君) 憲法との関係につきまして、先ほど申し上げたようなことを考えの枠組みの前提として、おっしゃるとおりになろうかと思います。
  127. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 そこで、国連軍ということについて伺いたいんですが、正規の国連軍、もちろんまだないんですが、正規の国連軍ということであれば、武力行使の主体は国連であって、憲法の禁じる武力行使には当たらないという解釈も可能であるということでよろしいんでしょうか。
  128. 外山秀行

    政府参考人(外山秀行君) 先ほど申し上げましたように、憲法は、我が国に対する武力攻撃が発生していない状況においては、国家の行為としての武力行使を禁じております。  お尋ねの国連憲章第四十二条及び第四十三条に基づく国連軍でございますけれども、我が国としてこれに参加することにつきましては憲法上問題が残り得ると考えられますけれども、いずれにいたしましても、このような国連軍はいまだ設けられたことがございません。将来、その性格や国連憲章四十三条に規定されておりますところの兵力の提供に関する特別協定の具体的内容などが明確になった段階において具体的な判断をすべきものと解しているところでございます。
  129. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 六十数年前に予定をしていた国連軍というものが各国の提供する武力に基づいて特別協定を結んでやっていくんだということを今更蒸し返しても、これはもうそういう時代ではありませんので、できないであろうと。しかし、形を変えた国連軍的なものができたら、今のお答えでは憲法の禁じる武力行使に当たらないという解釈も可能であると理解しましたが、それでよろしいですか。
  130. 外山秀行

    政府参考人(外山秀行君) 先ほども申し上げましたように、いずれにいたしましても、国連軍はいまだ設けられたことがございません。    〔理事藤田幸久君退席、委員長着席〕  将来、その性格あるいは兵力の提供に関する特別協定、そういった具体的内容が明確になった段階において具体的な判断をすべきものというふうに考えております。
  131. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 別紙を見ていただきたいと思います。UNEPS、九条との整合性という資料、お手元にあると思います。  これは一昨年の十一月に、憲法九条とUNEPSに関する国立国会図書館の調査報告をいただいております。ここに三点出ているんですが、法制局に伺いますが、一つずつ伺いますが、資金提供。資金を供与することは武力行使の概念に当たらない。これは、日米同盟の在日米軍に対する資金供与という文脈の中でこういう、当時の大森内閣法制局第一部長答弁した資料ですけれども、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  132. 外山秀行

    政府参考人(外山秀行君) ただいま御指摘になられました答弁でございますけれども、いわゆる湾岸危機の際の資金供与に関するものであるというふうに承知しております。  この点につきまして一般論を申し上げますと、我が国が他国などに対して行う単なる資金の提供というのは憲法第九条の禁ずる武力行使に当たるものではないという旨、従来からお答え申し上げてきているとおりでございます。
  133. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、二番目の基地提供について伺います。外国の軍隊が駐留するとしても戦力には該当しないという最高裁判決があったわけですが、これもこのとおりの解釈でよろしいんでしょうか。
  134. 外山秀行

    政府参考人(外山秀行君) 御指摘判決は、旧日米安保条約に関しまして、外国の軍隊はたとえそれが我が国に駐留するとしてもここに言う戦力に該当しないと解すべきであるというふうにしたものでございまして、米国に対する日米安保条約に基づく基地提供につきましては憲法第九条に違反することはない旨、従来からお答えをしてきたとおりでございます。
  135. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 次に、UNEPSが言っております個人参加、部隊参加ではなくて個人の参加、いわゆる国連の職員として一人一人が自由意思に基づいて参加するという形について、これはもう大分古いんですが、昭和二十六年に、国民が義勇兵として外国軍隊、これは国連軍ということになると思いますが、に応募することについて憲法上の問題が生ずる余地はないということを大橋法務総裁がおっしゃっておられるんですが、この解釈はこのとおりでよろしいですか。
  136. 外山秀行

    政府参考人(外山秀行君) 一般論として申し上げますと、御指摘答弁のように、我が国の国民が外国の軍隊に応募するということは、そのことについて我が国の国家の意思の介在がなく、専らその国民の判断においてなされるものであれば憲法第九条との関係で問題が生ずることはない旨、従来からお答え申し上げてきたとおりでございます。  そこで、若干お時間をちょうだいして、先ほどの多国籍軍に関するお尋ねにつきまして私の答弁を補足させていただければと存じます。  特措法を作るということになるのかという旨のお尋ねでございまして、基本的には特措法が一般的な形態かと思いますけれども、法形式はいろいろな形があろうかというふうに存じます。この点、一言補足をさせていただきたいと思います。
  137. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 先ほど来長々とこういう話をいたしましたが、要は、我が国の憲法の下であっても、UNEPSのような取組に対して我が国が前向きに取り組んでいくというポジションにあるのではないかということを申し上げたかったわけであります。  先ほどの米国議会の中で、一昨年、アルバート・ウィン下院議員がこんなことを言っております。現在、議会では国連の改革について真摯な議論が行われております、しかしここで忘れてはならないのは、国連に説明責任や透明性を求めることも重要ですが、国連がその使命を果たせるようにすることも更に重要だということであります。  つまり、国連機能を充実させるために一体何ができるのかと。先ほど高村外務大臣が同盟のコストを総合的に考えるとおっしゃいました。いろいろな事態があって世の中もどんどん進んでいるわけですね。特にこのアフガニスタン、イラクのテロとの戦い、あるいは平和の定着と国づくりというようなことについても、アフガニスタンのISAFの展開が地方に対して物すごく遅れてしまったということが原因の一つとして、これだけ今コストも人命も失われているわけですけれども、こうした取組について、特に今、日本が果たし得る国連機能の強化ということについて、大臣の今までのお話をお聞きになった見解を伺いたいと思います。
  138. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 国連緊急平和部隊、UNEPSというアイデアが存在することは承知をしておりますし、今委員からお聞きしてもう少し内容が深く分かったわけでありますけれども本件については、個人参加という点などその実現可能性について今後更なる議論が行われていくものと考えており、我が国としても議論をよく見ていきたいと考えております。  アメリカ議会の中で検討されているといっても、まだ委員会での採択すらないということだと思いますし、それほど大きな、アメリカの中でもそんな大きな潮流とはなっていませんし、ましてや国際的にそうでもないと。どう考えるのか、そして具体的に何のために役に立つのかという話であれば、日米安保条約というのは、日本にとって一番役に立つのは、国際貢献ではなくて日本の平和と独立を守るということに役に立っているわけで、それとの代替にはこれは余り役に立たないだろうなという感じはいたします。
  139. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今、大臣、米議会でもそれほど大きな潮流にはなっていないのではないかと。確かにおっしゃるとおりなんですね。  私もこの件についてワシントンDCに行ってお話をじっくりさせていただきました。アイデアはいいんですよ。こういう早期展開の民軍の部隊が必要だということはみんなそう思っているんですね、ある程度。しかし、こういうことをアメリカが提案するということに対しては幾つか非常に大きな問題があると聞きました。一つは、また新たな介入手段かと、こう思われてしまうということなんですね。つまり、今世界でも絶対的な力を持っている米国が、これは元々はこういう動きがあるのは米国なんですけれども、米国からこういうことを言い出すとまた新たな介入手段かと、こう思われてしまうと。対して、日本は我が国の憲法という制約の中で、今まで武力行使についても武器の輸出についても非常に制約的にやってきたと。  まさにこういう制約がある、ほかの国とは一味違う日本だからこそこういうことを主導できるのではないかと、そういう認識はお持ちになりませんか。大臣、どうですか。
  140. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員がおっしゃるような見方というのは、それは一つの見方なんだろうと思います。  逆に言うと、日本は必ずしも、人道的介入、それから保護する責任、言葉を言い換えても結局中身は同じだと思うんですね、人道的に介入するその根拠として保護する責任があるから主権国家の枠を超えてでも人道的介入ができると、こういうことだと思うんですが、私も人間の安全保障ということを長く私なりにいろいろ勉強してきたわけでありますが、人間の安全保障といっても、犬塚議員みたいな方もおられますけれども、日本の中の主流的な人間の安全保障というのは、どっちかというと保護する責任みたいな、ある意味で人道的介入、私は言葉を換えても同じだと思っていますけれども、よりもむしろ貧困の撲滅みたいな、そういうことから人間の安全保障で迫っていくというのが日本政府が考えてきた人間の安全保障なんですね。  それで、そういう国だからこそまさに行っても誤解されないからいいじゃないかという考え方は、それはあり得ると思うんです。あり得ると思うんですが、なかなか、日本国民の中でも一挙にそこまで行くのはなかなか難しいのではないかなという率直な感想でございます。
  141. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 まさにこれが今最も現代的な問題の一つであると思いますし、アフガニスタンのお話を聞いても、やっぱり武力を持っている組織がきちんとそこに介在をしてある程度人道支援が安心してできる空間がないことには、これは日本がいかに人間の安全保障と言っても、これは活動する空間さえ持てないという現実が目の前にあるわけですね。そこを私はすっ飛ばしてしまって人間の安全保障と言うのはやっぱり違和感を感じるわけでありまして、むしろカナダが主導しているような、両方を併せて考えた人間の安全保障という形なのかな。  言葉の使い方は別にしましても、現実として、国連の活動の九九%が武力行使以外の部分であると。しかしながら、一%の武力行使部分がなければそうした活動はできないという状況の中で、やっぱりこれは民軍の関係というものをしっかりと踏まえた保護する責任、人間の安全保障というのを是非大臣にも主導していただきたいと思います。  防衛大臣に伺います。  この個人参加の国連平和活動構想というのは非常に古い話でありまして、一九四七年、当時のリー事務総長が提唱をいたしました。これは先ほどおっしゃったPKOのできる前でございます。この平和維持活動の誕生以前の構想で、事務総長が採用を行う、そして安保理及び総会の使用にゆだねる。で、国連監督下、そして規模は最終的には、当時ですね、数千名。今言っているのは一万五千と言っているんですね。身分は事務局職員であるということを国連創設間もない時期に言われたと。当時は冷戦下で、これはとんでもないと。実現しなかった。  そして、その後、一九九三年に、これはまだ御存命ですが、アークハート前国連事務次長がもう一度今度はUNEPSという構想を打ち出したと。これは、何でこんなことを言い出したかといいますと、やっぱり国家の崩壊というものが冷戦後どんどんどんどん起こってきてしまったと。国家として体を成していない、そこに住んでいる人たちがどうしようもない状況になっているときに、一体国際社会としてどういう組織、機能を持たなければいけないのだという中からこういうことが出てきたわけですけれども。  防衛大臣としての御見解を伺いますが、日本から行うこの国連機能強化策として、UNEPS、実はこれ民主党のテロ根絶法案の中に入っているんですが、日本が行う国連機能強化策としてのUNEPSについての、もう一度防衛大臣としての御見解を伺いたいと思います。
  142. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、委員がるる議論を展開しておられますように、憲法との関係をどう考えるのかというところから議論はあるんだろうと思うんですね。国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄すると。この国権の発動たる戦争になるかどうか、あるいは国権の発動たるがその後にも掛かるのだと私は思っているのですが、国連がやるのであれば国権の発動ではないという考え方には私自身は立っておりません。それはあくまで我が国の主権の行使として行われるものであって、それで国権の発動じゃなくなるというのであれば、じゃ離脱するときにどうなるんだってお話が必ず出てくるんだろうと思っています。そこのところの議論が一つある、憲法との関係をどう考えるか。  その次は、個人が参加をするということですけれども、これは本当に政府というもの、国家というものは関与するのかしないのかという議論があるんだろうと思います。個人参加というと何となく義勇兵みたいな、今でもフランスとかそういうところに日本人が、外人部隊というのでしょうか、参加しているのがあるのですが、それと同じ評価かといえば、それは必ずしもそうではないのかもしれないということは整理する必要があるだろうと。  もう一つは、国連の中にUNEPSみたいなものができたときに、これを使うか使わないかという判断、一つの客観的な基準というものがあって、例えばその国が全くそういう能力を失っているし意思もないというような要件だけで足りるのか、その要件を充足した場合には拒否権というものは利くのか利かないのかという、幾つもの論点を精緻に詰める必要があるんだと思います。  私は、本当に紛争が予防されて、それが無用の、無用のというのは使わなくても済むという意味ですが、そういうお金を使わないので済むというのがあれば、それは探求していくべきなんだと思っています。ただ、我が国がどう考えるかというときに、まさしく御党が出された私どもの補給新法に対する対案、ここでもっと私どもは、といいますか私はもっと十分な議論をしたかったなというふうに正直言って思わないではないのです。そこにおいてこういう論点をきちんと詰めた上で、我が国がどういう国際社会に対する主導的な立場を確保すべきかというお話、これは、いずれにしても、特措法で今インド洋にしても、あるいはイラク、クウェート間の輸送もやっておるわけでございます。いずれは期限が来るわけでありまして、期限が来た、大変大変ということではなくて、本当にどうあるべきかというのは時間を掛けてちゃんとした議論をすべきではないかなと。これは余計なことかもしれませんが、私自身委員の問題提起を受けて、そういうことをもっと議論したいなという思いを持ったものでございます。
  143. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 是非議論を続けさせていただきたいと思います。  国権の発動あるいは意思決定の問題、これはまた機会を改めまして、非常に幅広い、深い議論が行われております。これは残り五分で話すようなことではないと思いますので控えますが、一つだけ申し上げたいのは、PKOとUNEPSの最大の違い、これはやっぱり個人参加ということなんですね。  実は、このUNEPSの国連の担当をしておりますインドのナンビア将軍、この方はPKOでも大変経験の深い方なんですけれども、この方がおっしゃったことが非常に印象深かったので、ちょっと御紹介をして御感想を聞きたいんですが。  日本は特にそうなんですけれども、例えば犠牲者が一人出る、外務省の犠牲になった方が出てしまう、あるいは警察庁で犠牲者が出てしまう。マスコミがわっとこれを報道する、もう連日この報道をする。それは報道するのはいいかもしれませんが、しかし、せっかく今まで文民警察を派遣をして現地で活動ができるような形に持っていこうとしていたときに、たった一人でも犠牲者を出すことは許さない、この計画自体がもう駄目であるというような論調になってしまうんですね。  これはまあいろいろな取り方があると思います。仮に、個人参加ではないPKOに部隊参加で日本が自衛隊を出した場合に、仮に犠牲者が出た場合、私は、どんなに良い意図を持っていたとしても、同じようなマスコミの報道及び国民世論の流れになっていくと思います。  ナンビア将軍が言っていたのは、UNEPSはそうじゃないと、その問題は世界中の国が持っているんだと、しかし、UNEPSというのはあくまでも個人の自由意思に基づいて個人参加で国連の職員になることであると、危険はもとより、自らがボランティアとして入っているものであるから、そのような問題が生じる余地が非常に小さいと、それが一つの大きなUNEPSの有利な点であるということをナンビア将軍はおっしゃっておられました。  最後に、この点について大臣の御感想を伺います。防衛大臣
  144. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 部隊として参加した場合に、犠牲者が出ればそういうことになるというのは想像するに難くないところでございます。そうならないようにとにかくとにかく考えていますが、また万が一そういうことがあったときにどうやってそれを乗り越えるか。乗り越えるという言い方は誤解を招くかもしれませんが、何かあったから継続もうしませんと、やめちゃいますということは、法の趣旨にのっとってやっている限りにおいて、それはもう法の条文からも明らかなように、犠牲者が一人でも出たらすぐやめるという仕組みにはなっておらないわけでございます。  しかしながら、世論騒然たるものがあってそういうことになることは想像に難くないと、そこはよく分かるのです。であるから、であるから個人参加がいいのだという論理の組立て方は、事実としてはよく認識できるし、そうだろうなと思うのですが、国家の在り方としてどうなんだろうかなという気が私はしないではありません。  もちろん、今委員が御紹介になったインドの将軍も、あるいは委員も、そういう、何というんでしょうね、便宜的な考えでそんなことをおっしゃっておられるとは私夢にも思いませんが、そこのところにおいて国家としてどうすべきなのかという議論は私はすべきものではないかと思っております。  ユナイテッドネーションズというものを考えたときに、個人参加でたくさん人がやってきましたと、それはユナイテッドネーションズの在り方としてどうなのだろうか。それは、そういうものがあってもよいという考え方も分かります。それがあるとするならば、人が、犠牲が生じたじゃないか、日本政府は何だ、もうこんなことはやめろみたいなお話になりませんので、それはそれで一つの考えかなというふうには思います。  ですから、これはまさしく国家としてどうあるべきなのか、それを個人の責任に帰していいのか、化体、化体という言い方いいかどうか知りません、化けるという字を書きますが、それをさせていいのだろうかという迷いが私自身には実はございまして、そこについて委員のお考えあるいはほかの委員の方々のお考えをよくよく承りながら、私として考えを整理していきたいと思っております。  大変本当に感想めいたもので恐縮ですが、今のところそのように考えております。
  145. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 最後にお願いを申し上げますが、いわゆる思いやり予算、これが当初の円高あるいは経費の、人件費のある程度の負担というようなところから、三十年も四十年もたってもまだまだ同じ枠組みの中で、交渉とは言いつつ、現場の人間は交渉といったって大変だと思いますよ、立法府がこれをこのままでいけということを言っているわけですから。私は交渉などというものにはならないと思います。  そういう枠組みを超えて新しい方向性を出していくのは、まさにこれは立法府の責任でありまして、これをやっぱり与党としてもしっかりと、究極の、何ていうんですかね、スタッフ機能といいますか、やっぱり方向性を変えていくのが政治の責任だと思いますので、いつまでも同じ枠組みの中で中身をかき回しているような議論ではなくて、やっぱりきちんと所掌している官僚の皆さんに方向性を、新しい方向性を出していただきたいということをお願いをしまして、私の質問を終わります。
  146. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  147. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告をいたします。  本日、佐藤公治君が委員辞任され、その補欠として藤原良信君が選任されました。     ─────────────
  148. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認求めるの件の審査のため、本日の委員会防衛省人事教育局長渡部厚君を政府参考人として出席求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  150. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 休憩前に引き続き、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  151. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党の白眞勲でございます。  まず、今日の朝といいますか、午前二時五十分ごろという報道なんですけれども、発生しました、タクシーの運転手の方を陸上自衛隊の練馬駐屯地所属の自衛官の少年が殺害した事件についてお聞きしたいと思うんですけれども、その詳細についてまず防衛省にお聞きしたいと思います。
  152. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 本日午前二時三十分ごろ、鹿児島県姶良郡姶良町国道沿いで陸上自衛隊第一普通科連隊、練馬でございます、所属の一等陸士、未成年でございます、この一等陸士がタクシー運転手の方をナイフで刺し殺した、刺殺した容疑で本日午前四時五分ごろ緊急逮捕されたというものでございます。  この隊員は、本年三月二十一日、これ休暇を取っておったわけでございますが、三月二十一日の休暇帰隊時限、帰る時間でございます、休暇帰隊時限になっても帰隊をしておりませんで、所在が不明になっておったものでございます。  事実関係は、今把握しておるのはそのようなことでございまして、陸上自衛官が民間人の方を刺殺するなどということは、遺憾なぞという言葉で済むものではございませんで、言語道断、どれほどおわびをしても足りないものだというふうに認識をいたしておるところでございます。  詳細確認の意味も含めまして、現地対応の目的も持っておりますが、本日の午後、秋元大臣政務官が、この者が所属をしております第一普通科連隊の連隊長、上部部隊であります第一師団の副師団長と共に現地入りするということで現在向かっておるところでございます。
  153. 白眞勲

    ○白眞勲君 国民の、今まさに大臣がおっしゃいましたように、生命を守るべき自衛隊がこういったことを起こしたことに対しては誠に遺憾であるというふうに私も思うんですけれども、最近、「あたご」の事件もそうなんですけれども、一体これどうなっちゃっているんだという感じがするわけなんですけれども大臣、この辺は自衛隊に何かそういった問題点とか何かがあるというふうに感じているんでしょうか、それともたまたま起こった事件であるというふうに認識しているんでしょうか。その辺についてはどういうふうに思っていらっしゃいますでしょうか。
  154. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ここは詳細きちんと把握をし、これがどういう者であったか、人事の管理はどのようになっていたか等々、すべて詳細に把握をしたいと思っています。まだそれができない時点で軽々なことを申し上げるのはかえって申し訳ございませんので申し上げませんが、過去十年間において自衛官による殺人事件というものが十件、その内訳は陸上自衛官が九件、海上自衛官が一件というものでございます。で、起こっておるわけでありまして、近ごろどうしちゃったんだという御指摘ですが、事実として申し上げれば、過去十年間に十件起こっていると。それがどういうものであったかということも今一つずつ点検をし、その後、そういうことが起こらないようにということをその都度申し上げておるわけでございます。また、本当に完全な民間人の方というものと隊員同士のけんかとか、そういうものもございまして、その内訳もちゃんと把握をしようと思っております。  再発防止という言葉がもう空々しく響くので、私自身も申し上げておって、これが言葉だけに終わっていないかということをいつも心に引っかかりながら再発防止ということを言っておるわけでございますが、ほかの組織と私どもが違いますのは、よく犯罪率からいって高いとか低いとかいう議論がございますが、私どもの組織というのは本当に国民の最後のよりどころであって、もう自衛隊が信じられなければ何を信じればいいのと、こういうことだと思います。したがって、どの組織よりも規律厳正であらねばならぬということからすれば一件でもこういうことが起こってはならないということで、ほかの機関よりも厳正な規律というものを徹底するためにどうすればいいかということをもう一度ちゃんと議論しなきゃいかぬのだろうと。  あわせて、これはこの場ですから申し上げますが、厳正な規律、世の中で最も厳正な規律というものと、同時に、普通の国でいう軍人、我々でいえば自衛官に与えられるにふさわしい栄誉というものも、それはやっぱりバランスを取るべきなのだろうというふうには思います。ただ、それが、栄誉はないから規律はこれぐらいでいいんだというようなつもりでは全く申し上げているわけではございません。
  155. 白眞勲

    ○白眞勲君 今回の事件の類似性と言っちゃなんですけれども、この前脱走した米兵のやはりタクシーの運転手の殺害事件というのもあったわけですけれども、それと関連すると、何か私自身じくじたる思いがあるなというのはあるんですが、この件について大臣としてどういうふうにお考えですか。
  156. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 起こったことは外から見る限りとてもよく似ております。横須賀の場合には、私の理解を超えた、天の声が聞こえたとかなんとか、よく分からないお話が報道されておりますが、起こった事象は極めて似ていると。  先ほど申し上げましたが、この者がどういう者であったか、そういう人をあやめるという、普通の人では絶対に行い得ないようなことを起こしたわけで、そういうような兆候みたいなもの、この者の素行がどのようなことであったかというようなことも含めて、人事管理上どうであったかということも含めて考えなければいけません。  別に横須賀にああいうことがあったので、それとの関連性というものは今全く私は申し上げるだけの材料を有しておりません。
  157. 白眞勲

    ○白眞勲君 それでは、次の件に移りたいと思うんですけれども、李明博大統領が昨日まで日本を訪問されていたわけですけれども、その概要とかあるいはプレス発表文を見ますと、福田総理との会談で北朝鮮に対しての日米韓の連携をより深めるということで合意したということなんですが、これだけですと全然変わらないじゃない、今までと、その文章の内容だけ見ますとね。そういうふうにも思えなくもないんですけれども、アメリカのテロ支援国家指定解除の問題が現在取りざたされていると、そういった中で拉致問題についてもう少し何かちょっと踏み込んだ内容の発表があるかと期待していたわけなんですけれども、この発表文には拉致という言葉は一か所しかないんですね、一か所しかなくて全然ほかには触れられていない。これ全然見えてこないんですけれども、実際拉致については、外務大臣、どういうふうに今なっているのかちょっとお答えいただきたいと思うんですけれども、昨日の話合いも含めてちょっとお話しいただきたいと思います。
  158. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 昨日の日韓首脳会談の結果につきましては、日韓新時代、成熟したパートナーシップに向けて大変良いスタートを切ることができたと考えております。特に昨日の会談では、若者の交流を拡大することの重要性で一致し、ワーキングホリデー制度の拡大や大学生の相互留学など具体的な合意がありました。日韓EPAについても、六月中に実務協議を開始することで合意されました。  北朝鮮の核問題については、北朝鮮が早期に完全かつ正確な申告を行うことが必要であり、これが実現するよう日韓、さらには日米韓三か国で協力していくことも一致しました。  また、拉致問題を含む人道、人権の問題についても、日韓両国にとって重要であることを確認し、李明博大統領から拉致問題の解決のためできる限りの協力をしたいとの立場が示されました。  さらに、李明博大統領から、北朝鮮による核放棄と対北朝鮮支援を比較的明確に関連付ける非核・開放・三〇〇〇政策について説明がありました。この政策については、私も四月四日の日韓外相会談の際にも詳しく説明を受けましたが、核問題、拉致問題、ミサイル問題といった諸懸案を解決して国交正常化が実現すれば経済協力を実施するという我が国の政策と基本的に同様の考え方であり、心強く感じております。  昨日の日韓首脳会談で両首脳が一致したとおり、また柳明桓長官との間で確認したとおり、今後、拉致問題を含む日朝関係、南北関係が非核化とともに前進するよう、日韓及び日米韓で緊密に協力しつつ北朝鮮に対し働きかけていく考えでございます。
  159. 白眞勲

    ○白眞勲君 それは発表文に書いてあったことをそのままお読みになったようなものでして、だから私が申し上げているのは、実際拉致についてはどういう具体的な話があったのかどうかというのをお聞きしているわけなんですけれども、その辺についてはどうなんでしょうか。
  160. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 首脳会談でございますから日韓間の大枠について話合いがあったわけでありまして、拉致問題について協力するという大枠が話し合われた。そういう中で、これから具体的なことについてはまた、特に具体的なことは一方の当事者である北朝鮮抜きに余り突っ込んだ話しても、協力するという大枠の下に北朝鮮と日本と話す、そういう中で具体的なことを、韓国との具体的な協力もこれからいろいろ要請していくと、こういう手順になるんだろうと、こういうふうに考えております。
  161. 白眞勲

    ○白眞勲君 まさに首脳会談であるならば、それほど具体的にああでもないこうでもないということを話さないというのは分かるには分かるんですけれども。  そういう中で、報道によると、日本からもボーナスがあるということを伝えてほしいというふうに李明博大統領に言ったという報道があるんですけれども、その辺についてはどうなんでしょうか。
  162. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。  昨日の日韓首脳会談におきましては、李明博大統領の方から、北朝鮮に対し非核化し社会を開放することが北朝鮮の利益になると説得していきたいとして、非核・開放・三〇〇〇政策につき説明がございました。それを受けまして、福田総理の方から、非核・開放・三〇〇〇政策は日本の北朝鮮政策と通じるものがあるということで、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して早期に国交正常化を実現するとの我が国の北朝鮮政策を説明したわけでございます。  ボーナスという言葉につきましては、この拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決し日朝国交正常化が実現すれば、我が国として平壌宣言にのっとり北朝鮮に対して経済協力を行う用意があるということを指して比喩的に用いたものでございます。  いずれにしましても、北朝鮮が早期に拉致問題を含む日朝関係の進展に向け具体的行動を取るよう、韓国とも連携しつつ取り組んでいきたいと考えております。
  163. 白眞勲

    ○白眞勲君 今の話というのは日朝平壌宣言に書かれているわけでして、当然それは国交正常化の後には経済協力をしていきましょうということは言っているわけでして、それを何でボーナスという言い方をしなきゃいけないのかなというのがさっぱり私には分からないんですけれども、それについて、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。高村大臣お答えください。
  164. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 首脳会談の中でいろんな言い方して、その言い方がよく分からないとか分かるとか余り言わなくてもいいんじゃないでしょうか。一つの分かりやすい比喩だと思います。
  165. 白眞勲

    ○白眞勲君 今の話を聞いてもそうなんですけれども、日朝平壌宣言によって経済協力が行われるんだということだとすると、余り何か北朝鮮問題に関して、今回の話合いにおいてイニシアチブはどの程度あったのかなという、やはり私は福田総理がもっとよりイニシアチブを取ってやっていくべきだというふうに思うんですけれども、この辺については高村大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  166. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 首脳会談の性質上、どっちがどっちを引っ張るという話ではなくて、お互いにお互いの政策を大きなところをすり合わせて、そして、非核・開放・三〇〇〇とそれから日朝平壌宣言に書かれている日本の政策と相通ずるものがある、一緒にやっていきましょうよと。必ずしも前の政権のときは一緒にやれなかったわけでありますから、これから一緒にやっていきましょう、そういうことで、首脳会談としてはそれで十分ではないかと、こういうふうな感じを持っております。
  167. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、今回の件については、今の話ですと、前の政権とは一緒にやれなかった部分があるけど、今度は、今回はやれそうだという部分では前進だったというふうに解してよろしいんですね。
  168. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) よりいい方向に進んでいるというふうに私は思っておりますし、委員もそういうふうに感じておられるのではないかと思います。
  169. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、やはりアメリカの動向というものも一つ気になるところだと思うんですけれども、北朝鮮の核計画の申告問題では、アメリカと北朝鮮の協議、今日からですね、四月の二十二日の今日再開されるようでして、また先日の衆議院の外務委員会でも、齋木局長さんからの御答弁では、アメリカから詳細に説明を受けて、申告の問題全般についても実質的な北朝鮮と意見交換をして一定の前進を得たとされているという中で、アメリカはプルトニウムによる核計画などの申告内容については詰めの協議を行う、また、その申告書に併せて、申告書の提出に併せてテロ支援国家指定解除と対敵通商法適用終了に向けた手続を開始するとの見通しというのも報じられているわけですよね。  また一方、テロ支援国家指定解除ということになれば、これは高村大臣、衆議院で御答弁されているんですけれども、アメリカは日本側にちゃんと相談するんだということをお話しされていますが、そういったことになると、今の報道からするとそろそろアメリカ側から何か相談でも受け始めているのかなというふうにも思えるんですけれども、その辺について受けていませんか、その辺の相談というのは。
  170. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) ブッシュ大統領が、十九日に、米韓首脳会談後の記者会見におきまして、北朝鮮が検証可能な方法によりすべての核計画及び核拡散活動に関する完全な申告を提出することの重要性を強調した上で、北朝鮮が検証可能な申告を提出した後に我々の義務について判断を行うという立場を述べております。また、ライス国務長官も記者の質問に答えて、北朝鮮が義務を履行したかどうかを我々が理解してから我々が何を行わなきゃならないかといった議論を開始したいというようなことを言っておりまして、まさにそういう観点からただいま委員がお話しになりましたアメリカの専門家が訪朝しているということでございまして、いわゆる申告につきまして協議をすることを主たる目的としていると承知しております。  いずれにしましても、昨年十月三日の六者会合成果文書に記載されておりますとおり、北朝鮮はすべての核計画の完全かつ正確な申告を行うということに合意しておりますので、この合意が早期に履行されることが重要と考えておりまして、この現在焦点となっております申告の問題につきましては、先般シンガポールにおいて米朝間で実質的な意見交換を行われたということでございまして、この点については、ただいま委員からも御指摘ございましたが、齋木アジア大洋州局長が十分な報告を受けております。今回の米国の専門家の訪朝につきましても、もちろんこうしたやり取りを踏まえた上で協議がなされているということでございまして、日本の立場についても十分アメリカ側承知していると考えております。  また、専門家訪朝後には米側よりしかるべき説明がなされることになると思いますが、日本といたしましては、引き続きアメリカと緊密に連携してまいる考えでございます。
  171. 白眞勲

    ○白眞勲君 要するに、ライス国務長官、今も御発言があったんですけれども、ライス国務長官は記者会見で、対テロ支援国家指定解除をすることを示唆するような記者会見もされているんですね。核計画の申告がなされた後も申告の検証には時間が掛かる、こうおっしゃっている。  片や、十九日にブッシュ大統領、これ米韓首脳会談の後に行われた内容ですと、まずは申告内容について見極めるんだという対応だと。要するに、解除には慎重だと。  これ一体どっちなんだというふうに思えるんですけれども大臣、どっちなんですか、これ。
  172. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) いずれにしてもアメリカは、北朝鮮が第二段階の義務を履行した上でないと解除はしないと、そして履行する前においてもいろいろ日本と緊密な打合せをしておりますし、履行した上でも、仮に解除する場合には日本ときっちり相談をすると、こういうことをかねてから言っているわけであります。  ですから、北朝鮮が義務を履行しました、日本に何の相談もなくぱっと解除するということはないというふうに考えております。
  173. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと、そうしますと、くどいようなんですけれども、まだ日本にはそういう相談はないということですか。
  174. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 義務を履行し終わったかどうかというのは非常に難しい判断で、完全に履行し終わる前からいろいろ緊密な打合せを日米間でしておりますから、そういう中でもいろいろな話はしていると、こういうことでございます。  最終的に、もう解除したいと思うんだがどうだということでの相談というのは、現時点では私は承知をしておりません。
  175. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、ちょっとくどいようで本当に恐縮なんですけれども、最終的じゃない状況での支援指定国家解除の話というのもやはり出てきているということなんでしょうか。
  176. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これはずっと前からお互いに、日本は拉致問題が進展しない限り解除してもらったら困るよと、アメリカはアメリカの考えをいろいろ述べると、そして日本の考えに対しても一定の理解を示し、日本も示す中でずっと行われてきているので、どの段階がまさにテロ支援国家を解除することの相談が始まったかというのは、それはなかなか難しいので、見方によったらずっと前からいろいろ相談をしていると、こういうことでございます。
  177. 白眞勲

    ○白眞勲君 そういう中で、第二段階の措置の中には、もちろんこの核の問題もそうなんですけれども、日朝ということでいえば、当然これは精力的な協議を通じて具体的な行動を実施していくこと、つまり、拉致問題についても何らかの動きがなければならないことがその第二段階の措置の中で約束されているわけですよね。とすると、最近は全く北朝鮮との正式なコンタクトってほとんどない中で、核問題だけが進展したと言っても第二段階は終了したとは言い切れないと思いますけれども外務大臣の御見解はいかがでしょうか。
  178. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府はそういう立場なんですよ。で、アメリカにそういうことを言っているわけです。ただ、最終的に決定するのはアメリカであると、アメリカ法の解釈の問題であるというのがアメリカの立場ですよね。そうであるけれども日本に相談すると、こう言っているという状況でございます。
  179. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、拉致問題は日本が考えているだけであって、アメリカがどう考えるかは別問題だということでいいわけですか。その六者会合で合意したということは、当然日本もそれでサインしているんじゃないんでしょうか。
  180. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) アメリカが言っているのは、第二段階の核の完全かつ正確な申告と三つの施設の廃棄ですか、この二つを第二段階と、こう言っているわけですね。それが終わらないとやらないよと、そういうところが終わっただけでやるかどうかということについては日本とも相談をすると、こういうことを言っているわけであります。
  181. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私の聞いているのは、第二段階が終了したということの認識の中には、当然それは日朝の間の具体的な拉致問題か何か、何らかの動きがなければならないということも六者会議の中で合意されていることではないんですかということなんですけれども
  182. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) アメリカ側が基本的に考えている第二段階の終了というのは、核の話をアメリカ側は基本的に考えていると、こういうことです。それに対して日本側は、拉致というのはテロなんだから、やはりそこについては日本の立場を考えてくださいよということを言っているわけで、そしてアメリカは最終的に解除するときは日本と相談をすると。それは、だけれども、これは最終的にはアメリカの判断ですよ、だけれども日本と相談をいたしますというのがアメリカの立場、そういうことです。何度も申し上げているとおりです。
  183. 白眞勲

    ○白眞勲君 そういう中、日本は北朝鮮に対する独自制裁、この前延長したわけですけれども、ちょっとこれ事務方で結構でございますが、今北朝鮮は食料不足深刻だという話もあるんですけれども、今北朝鮮の状況についてどのように認識されているんでしょうか。
  184. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) 北朝鮮、委員御存じのとおり非常に厳しい閉鎖体制をしいております。その実態必ずしも明らかでございません。  しかしながら、北朝鮮内部におきまして、経済事情、食料事情が厳しくなっているということにつきましては、国際社会において広く指摘されております。国際機関等の数字等もございますが、昨年には水害による被害も発生しております。やはり経済的にはかなり厳しい状況にあるというふうに我々見ております。
  185. 白眞勲

    ○白眞勲君 今私が申し上げた日本独自の制裁についてちょっとお聞きしたいんですけれども、そういう中、北朝鮮が解決に向けた具体的な行動を取る場合には、いつでも制裁の一部又は全部を終了するということを政府が談話で発表した。つまり、制裁には延長したものの、段階的に制裁を解除する可能性もありということなんでしょうか。
  186. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) 我が国の対北朝鮮措置につきましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や六者会合、国連安保理等における国際社会の動き等を踏まえまして総合的に判断することとしております。  こうした観点に立ちますれば、北朝鮮側が拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた具体的な行動を取る場合には、諸般の情勢を総合的に勘案して、その一部又は全部の措置を終了することが可能であるというのが政府立場でございます。
  187. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、その具体的な行動を取る場合に、例えば人の往来を認めようではないかということもあり得るということなんでしょうか。
  188. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) 我が国の具体的な対応につきましては、やはり北朝鮮側の実際の行動を見た上で判断していく必要があろうかと思っております。
  189. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、北朝鮮側の状況ということですから、段階的な制裁解除の条件という中には、これ拉致問題について高村大臣は以前答弁された「進展」がない限りは、段階的というか、一部であったとしても制裁の段階的な解除はあり得ないということなんでしょうか。高村大臣お答えください。
  190. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 基本的に進展がなければないというのが日本政府の方針でございます。
  191. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、例えば誠意ある対応と前、安倍総理がおっしゃったんですけれども、誠意ある対応の場合には段階的な解除はあり得ないということでよろしゅうございますか。
  192. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 進展がなくて誠意ある対応ととらえることがあるかどうかというの、これもちょっとよく分かりませんので、いずれにしても具体的な対応を見て判断すると、こういうことでございます。
  193. 白眞勲

    ○白眞勲君 李明博大統領がアメリカのブッシュ大統領とも会談をされているわけですけれども、その中で在韓米軍の削減方針を見直すという合意がなされたわけで、防衛大臣にちょっとここでお聞きしたいんですけれども、気になるのはこの在韓米軍の削減凍結なんですけれども、当然これはアメリカの世界戦略の一環としての、つまりいわゆるトランスフォーメーションの変化とも取れなくはないわけで、そうするとこれ、ひいては在日米軍の再編とか、つまり海兵隊のグアム移転についても何らかの影響をもたらすとも思えなくはないんですが、この点について、防衛大臣、御認識はいかがでしょうか。
  194. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 在韓米軍の兵力削減が凍結されたということがアメリカのグローバル・ポスチャー・レビューの中でどういうような役割、位置付けになるかということについて、私自身まだ正確な認識を持っているわけではありません。ただ、全体の兵力見直しの中において連鎖的に影響を与えるものなのか、それとも韓国の米軍のみにとどまるものであって連鎖しないものかどうかについてもう少し正確な情報を持ちたいと私自身思っております。
  195. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、今の中ではもしかしたらグアムの再編にも何らかの変化を及ぼす可能性ありということでよろしいんでしょうか。
  196. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、あらゆる可能性は常に排除はされないということでございますが、現時点において沖縄の海兵隊がグアムに移るということに何らかの影響を与えるという認識は、私自身全く現時点において持っておるものではございません。
  197. 白眞勲

    ○白眞勲君 次に、航空自衛隊イラク活動について、先ほども同僚浅尾議員から名古屋高裁での判決についてのお話があったんですけれども防衛大臣にお聞きいたしますが、この判決を極めて遺憾だということをお話しされておりまして、これまでの活動に何らの問題はないんだということもお話しされているんですが、私も判決文読んでみたんですけれども判決を導き出すため、これ傍論だということですけれども、でも、傍論といえども、これ判決導き出すために自衛隊イラク派遣は憲法九条に違反しているとしているという部分においては極めて重い判決だなというふうに私は思うんですけれども防衛大臣の御見解はいかがでしょうか。
  198. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは原告の請求を退けるということが内容であって、じゃその結論を得るために、その結論を得るための論理構成として、自衛隊イラク派遣というものが、あるいは行っておる今の活動というものが憲法に照らしてどうなのかということが論理構成上必要であったかといえば、それはロジカルな世界でいえば全く必要がないと、こういうことだと認識していますが。
  199. 白眞勲

    ○白眞勲君 ただ、論理構成上必要か必要じゃないかを大臣が言うというのはどうなのかなと私は思うんですね。  つまり、これは司法の判決の中で、恐らく高裁は論理上必要であるからそれを言及したんじゃないかなと私は思うんですね。全く関係ないものを書いたわけではないと私は思うんですね。ずっと読んでみますとそういうふうな私は構成になっているんだと思うんですけれども。立法府が裁判所判決文に対して論理構成上必要かどうか、必要でないということを言っていいのかなと、その判決文の中身までそう話していいのかなというふうに思うんですが、その辺についてどうでしょうか。
  200. 石破茂

    国務大臣石破茂君) どう思うかと言われたのでこう思うということを申し上げておるわけでございます。立法府としてそれに対して何か権能を行使し得るとか、そんなお話を申し上げているわけではございません。これは実に単純な話でして、論理を導き出す上においてそれがなければあの結論が出ないかといえば、そんなわけではもちろんないということは、それは一読すればもう委員もよくお分かりになることだと、それを分かった上での御質問だというふうに認識しております。
  201. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、今の話ですと、聞かれたから私は答えたんであって、聞かなければ私は答えないぞということだったんだということでの立法府の判断ではないんだという言い方のようにも聞こえなくはないんですが、そうすると、その判決自体は尊重するということですね。
  202. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは国が勝訴したのですから、尊重するのは当然でございます。
  203. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、裁判所判断を尊重するということでよろしいですね。
  204. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、判断というのは原告の請求を退けるというのが判断の本体でございます。
  205. 白眞勲

    ○白眞勲君 裁判所判断の中には当然、傍論とはいえども、そこには判決理由が書かれているわけですよね。その判決理由についてはじゃ尊重はしないということなんでしょうか。
  206. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そこの傍論部分が法的拘束力を持つかどうかということについてはいろんな御議論がございますが、私自身はそこの傍論部分が法的な拘束力を持つという認識には全く立っておりません。
  207. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、傍論でも判決文に書いてあるわけですけれども、それは尊重するのかしないのか、どっちなんでしょうか。
  208. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、委員が尊重するとおっしゃっておられる意味は何なのだと。尊び重んじるということなのでしょうけれども、それは尊びますし重んじることにやぶさかではございませんが、敬意を払うことにも何らちゅうちょするものではございませんが、それが私ども行政判断というのに何らかの影響を与えるかといえば、それを与えるものではない。法的拘束力を持つものではないというのはそういう意味で申し上げました。
  209. 白眞勲

    ○白眞勲君 だったら、逆に言えば、私は法的拘束力を持たないということを言っているんですか。その辺ちょっともう一回お話ししたいと思いますけれども、法的拘束力を持たないんですか、これは。
  210. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私の言い方が足りなかったかもしれませんが、私はこの傍論部分行政に対して法的拘束力を持つものだというふうに認識はいたしておりません。  ここについてはいろんな説もございます。当然、法的拘束力を持つんだという考え方も全く存在しないわけではありませんが、ましてや、これは憲法論になってしまいますから、国務大臣立場で申し上げることはいかがかとは思いますが、これ国が勝っておりますので、上告というのが当然できないことになるわけであって、憲法判断というのはこれは最高裁が行うものでございます。そして、今まで統治行為論というのが展開されてきたことも委員御案内のとおりでございます。その地裁、高裁最高裁という司法の構成から申し上げましたときに、国としてこれは承服し得ないという立場判決はもちろん国が勝訴したからよろしいのでございますが、それについて仮に政府として異論を持つ場合にも、それに対して何らそれを申し上げるという機会が与えられないわけでございます。憲法判断というのは最高裁がするというのも委員御案内のとおりでございます。そこから考えてみましたときに、その結論を導き出すに必要ではない傍論部分行政を拘束する、法的拘束力を持つ、覊束するということについては、私自身承服し得ないものを感じております。
  211. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、私自身承服し得ない、そんなの関係ねえということなわけですか。
  212. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そんなの関係ないと言っても、ねえと言っても、それはどっちでもいいのですが、関係ないと普通の言葉で申し上げますと、そんなことを申し上げるつもりは私はありません。それは司法の判断としてそういうことがなされたということについて、それは高等裁判所においてそういう判断がなされたということに私どもはよくそのことを認識しておかねばならないものだというふうに考えております。  しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、それが法的拘束力を持つものではないということ、その憲法判断最高裁においてなされるべきものであるということでございまして、そのことによって私ども活動に変更があるということではないのは当然のことでございます。関係ないということを申し上げるつもりはありませんが、そのことについて我々の活動が何らかの変更をするものではない。  ただ、委員イラク特措法をよくお読みだと思いますが、憲法に抵触するような事態が生じた場合には、それは中断をし、撤収をする、あるいは指示を待つというふうに条文上仕組んであるものでございます。つまり、その行為自体憲法九条に禁ぜられた武力行使によるものではないということに加えて、加えて、非戦闘地域に限定しておるという二重の縛りを掛けておるわけでございまして、そしてそれに違背するような現象が現出した、あるいはそのおそれがある場合には一時中断、指示を待つ、撤収ということになっておるわけでございます。  ですから、今の現状をどう評価するかということについて違いはございますが、私どもとしてイラク特措法に定めた、これは一時中断、あるいは指示を待つ、あるいは撤収するという事態になれば、それは法律に従って憲法趣旨を体現すべくそのように行動するのは当然のことでございます。
  213. 白眞勲

    ○白眞勲君 今回の高裁判決というのは、イラク自衛隊空輸活動で派遣されていること自体憲法九条に違反しているというふうに書いているわけでして、二段構えになっているわけじゃないですか。結局は、イラク特措法に照らしてみても違反しているけど、そもそもイラクに行くこと自体憲法九条に違反しているという、この二段構えになっているわけですよね。ですから、高村大臣大臣辞めたら読んでみるということですけれども、その前にも、大臣になっている間にも一度読んでみてもいかがかなというふうには私は思っております。  イージス艦「あたご」についてちょっとお聞きいたします。  海上保安庁にお聞きいたします。けが人がいるから降ろしますと防衛省が午前九時ごろに話して、また上級部隊への報告のために幹部を降ろしますと連絡したとのことですけれども、海上保安庁はこの件について、いまだもって連絡は受けていないということでよろしゅうございますか。
  214. 城野功

    政府参考人(城野功君) 防衛省から幹部を下船していることにつきましては、その後、下船した後、その報告が受けたということでございます。
  215. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、それ九時ごろではないということですね。
  216. 城野功

    政府参考人(城野功君) 十九日の午後一時四十分に防衛省海上幕僚監部運用支援課長から海上保安庁警備救難部警備課長に、「あたご」航海長を防衛省に呼び聴取しているとの連絡がございました。
  217. 白眞勲

    ○白眞勲君 ヘリが二機使われたということは連絡していませんね。
  218. 城野功

    政府参考人(城野功君) ヘリが二機使われたということについては連絡を受けておりません。
  219. 白眞勲

    ○白眞勲君 実は、これは民主党の朝の外務防衛部門会議でもこの問題について話があったときに、けが人と「あたご」の航海長を運ぶために捜索中のヘリ二機が使われたということは、そのときに海上保安庁の方が、いらっしゃった保安庁の方までびっくりしちゃってて、ああ、二機も使われてたんですかみたいな感じになっちゃったわけなんですけれども、今それで事実ということが分かったんですけれども。  このヘリコプターの件についてちょっと聞きたいんですけれども防衛省は当日の発表において、七時の時点、午前七時の時点でヘリコプター四機と発表しているんですけれども、民主党の外交防衛部門会議でいただいた資料を見たところ、七時の時点ではヘリコプター三機になっているんですね。また、十一時十五分現在もヘリコプター四機で捜索中となっているんですが、実際に捜索にかかわってきたヘリはその時点で三機。これは資料、ホームページにも出ている、これは衝突事案についてという、報道資料の中のお知らせという中に書いてあるんですね。十一時五十五分あるいは十二時三十分現在の発表でも四機と発表されているんですけど、実際に資料でヘリコプターの運用について出していただくと、よく見ると三機になっていると。さらに、十六時の発表ですと捜索中のヘリ四機となっているんだけど、いただいた資料、ヘリコプターが何時何分に離発着して今捜索活動中という、そういう資料を見ると、半分の二機になっているんですね。また、翌日六時現在、午前六時現在の資料を見ると、前日の夜間は二機飛んでいるということなんですが、いただいた資料、一機となっているんです。  これ、全然この発表資料とヘリの機数が、ヘリのこの台数が違うんですね。これ、どういうことなんでしょうか、お答えください。
  220. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  三月四日の民主党の外交部門会議におきまして、捜索活動を行うヘリコプターの機数につきましては、時点時点で増減はあるものの、護衛艦隊の幕僚長それから「あたご」の航海長を移送する際は、それぞれ現場海域に進出中の一機を含めまして四機態勢であったということを御説明申し上げております。それから、その後、三月の十一日でございますけれども、同じく民主党の外交部門会議では、時系列でヘリコプターの運用についての資料を提出をしておるところでございます。  それで、捜索活動を行った機数についてでございますけれども、今申し上げましたとおり、その時点時点で増減があるわけでございますけれども防衛省のホームページに記載した機数につきましては、例えば七時五十分ごろ、一番最初の公表時点のものにつきましては、その時点までに得られました情報として、現場海域に進出中あるいは現場付近におると思われるものを含めた機数でございまして、したがって、実際にまさに捜索活動そのものにその場で従事をしているものと進出中なりあるいはその付近にいたものというものを合計した数となっております。
  221. 白眞勲

    ○白眞勲君 ただ、これホームページ見ると、全部捜索中になっているんですよ。四機が捜索中になっているんですね。捜索を継続中となっていて、現場海域にいるというのと捜索しているヘリというのはこれ違うんじゃないんですか。それは、それを合わせたんだったら四機以上いますよ、これ、もし現場海域にいるヘリコプター合わせると。何でこれ四機になるんですか。それじゃ理由になりませんよ。
  222. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  三月十一日の日にお出しいたしました資料においても明らかにしておりますけれども、ヘリの機数としましては捜索救難に用いたものは十機あるわけでございます。そして、これらのうちで実際にその場でまさに捜索活動そのものに従事しているものと、それから、当然その場で活動するに当たりましてはそこでの行き来というものがございますので、その行き来をしているようなものを含めてその時点時点で数えますと四機になりましたものですから、四機というふうに書いておるものでございます。
  223. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、実際には捜索してなくて、向かっているヘリまで入れて四機ということであって、捜索中のヘリというのとちょっとニュアンス違うんじゃないんですか。それが何で捜索捜索、捜索中だ捜索中だといってこれを多めに言っているのかなというのが私は不思議でしようがないんだけれども、その辺もう一度お答えください。その現場海域にいるものみんな捜索というのはおかしいじゃないですか。
  224. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  現場海域にいるというふうに申し上げましても、まさにその捜索活動そのものに従事しているもの、それからその捜索活動のためにその現場海域に向かっているものなり、あるいはそこから、余り長時間ずっといるわけにもいきませんので、当然帰るものもあるわけでございますけれども、そういうものを入れて数えているものでございまして、捜索活動と全く関係ないものをここでカウントしているものではございません。
  225. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、私が申し上げているのは、実際に捜索活動に携わっているのは、その時点で三機なら三機って書くべきなんじゃないんですか。それを何で五機、四機だとか、そういうふうに、何かその辺りにいたヘリコプターまでみんな加えるのか、それがさっぱり分からないんですね。  それで、私これちょっとまたホームページ見ていたら、二十一日の午後九時現在では四機になっているんですけど、二十一日の午前の九時現在ではヘリコプター捜索態勢で五機と。これ、四機から一機増えているんですね。また、この二十一日の夜の九時現在のでまた四機になっているんですね。これがまた二十六日の午前十一時になるとヘリが五機になって、二十八日になるともう一機増えて六機になっている。これどうなっているんですか。
  226. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  事故の発生当初は、当然のことながら、まさに事故が発生をした、まさにその地点を中心としまして、その極めて近接したところで捜索活動を行っておったものでございます。  しかしながら、その後、例えばその場の潮流等の影響もございますので、時間とともに捜索海域を広げるというようなことも必要となってまいっておるところでございます。  それから、当然のことながら、ヘリコプターでございますので、次々と交代をしていくというようなこともございますので、その時点時点においては多少の増減はございますけれども現場、捜索が必要な海域の拡大というようなものに伴って増加をしていったというようなものでございます。
  227. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、二十八日は午前九時現在に六機が実際に捜索にかかわっていたんですか。
  228. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 今具体的に、先生、今二十八日とおっしゃったと思いますが、二十八日の時点でどうであったかということについては、大変恐縮でございますが、今資料を持ち合わせておりませんが、その現場海域なりその付近において捜索活動あるいはその行き来を含めまして広い意味で捜索活動に加わっていたものをカウントしたものをその都度公表をさせていただいておるところでございます。
  229. 白眞勲

    ○白眞勲君 最初の事故発生直後に、これよく見ると、捜索活動に使っていた、これは防衛部会でCというヘリコプターの名前になっているんです、ABCのCですけれども、これが幕僚長を搭乗させるために一度戻っているんですね、捜索活動から。それで、それまで三機態勢で捜索していたものが二機になっているんですね。今事務方の方からおっしゃった七時時点では飛んでいるヘリコプター自体は三機しかないんですよ。三機しかないのに何で四機なんですか。それでいて、幕僚長を乗せるために一機離脱しているんですね、現場海域から。何でこれ四機なんですか、お答えください。
  230. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えをさせていただきます。  一番最初に防衛省のホームページに掲載をしました機数のことを先生はおっしゃっておられると思うんですけれども、これは一番最初の公表時点、つまり七時五十分ごろまでに得られた情報として、進出中なりあるいはその付近にいた広い意味での捜索活動に従事しているものとして四機というものをここに掲載をさせていただいたものでございます。
  231. 白眞勲

    ○白眞勲君 七時五十分ですと、「はるさめ」にいたこのCという飛行機は横須賀の近くにいるんですよ、もう。七時五十二分に横須賀に来ているんですよ。ですから、実際にこれそのときに飛んだヘリコプターですよ。その現場海域にいるかもしれないというふうに考えられるヘリコプターがA、B、Dの三機なんですよ。七時五十分と今おっしゃったけど、七時五十分、四機ないですよ。四機、何で四機なんですか、これ。
  232. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  その提出いたしました資料におきましてABCのCというふうに表記をいたしましたヘリコプターでございますけれども、これは七時五十二分の時点におきましては横須賀の地方総監部のヘリポートに到着をするころの時間でございますけれども、その前、七時半まで捜索活動を行っております。したがいまして、これもここのところに含めたものでございまして、決して捜索活動に従事していないものを加えたということはないわけでございます。
  233. 白眞勲

    ○白眞勲君 それはおかしいじゃないですか。七時五十二分に到着したヘリコプターということは、七時五十分時点ではもう横須賀のヘリポートの真上でばたばたしながら降りていく寸前のところじゃないですか。それも含めて四機ですというのは、それは余りにもちょっとおかしくないですか。防衛大臣、どうでしょうか、それを。
  234. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今委員がおっしゃるように、二分前であればそれはホバリングしながら降りていると、ホバリングしながら降りるとは変な言い方ですね、降りているような時間だと、普通のヘリの運用からすればそういうことになります。それから、それを捜索に当たっていたというふうに評価をするのは、それはちょっと難しいところがあるのかなというのは委員の御指摘のとおりだと思います。  ただ、局長が先ほど来いろいろ答弁をさせていただいておりますが、私どもとして、その捜索の海域、それにふさわしい機数、そしてまた二次災害というものを防がなければいかぬということから適正な機数というものを決めておるものでございます。  ですから、航海長でありますとかあるいは幕僚でありますとか、そういう者を運ぶためにヘリを使用した、そのことによって最も最優先すべき、最優先すべき遭難された方々の捜索がおろそかになったというような態勢ではないということは私も確認をしておるところでございます。  ヘリの機数につきまして部門会議でも御指摘をいただいているというふうに承知をいたしておりまして、そこのところにおいて正確な御認識をいただくことができますように更に努力はいたしたいと存じます。
  235. 白眞勲

    ○白眞勲君 今二点、重要なことをおっしゃっているんですね、防衛大臣は。  一点は、ホバリングまでしているものに対して捜索とは言えないとおっしゃったわけですよ。私もそう思いますよ、それ。横須賀のもうヘリポートの上でホバリングだか何かよく私は専門用語知りませんけれども、そこら辺りにいるのまで含めて捜索活動していますって言って、プレス発表で四機ですなんて言うのは、ちょっとこれはいかがなものかなというふうに私は思う部分。  それともう一つ。そうしますと、今その最初の衝突のもう直後ですよね、直後にヘリコプターが三機態勢から一機減って二機になっている、二機が適正だというニュアンスのことを今防衛大臣おっしゃったわけなんですね。確かにそれは十機も二十機もあってもそれは大変でしょうということは分かるんですけれども、ここでちょっと海上保安庁にお聞きしたいんですけれども、最初にこの二機というのは適正な数なんでしょうか、海上保安庁としての御見解をお聞かせください。
  236. 城野功

    政府参考人(城野功君) 「あたご」の捜索には当庁の航空機も参加して捜索をしておりまして、捜索している勢力としては足らないというふうには考えておりません。
  237. 白眞勲

    ○白眞勲君 足らなくはないけど、十分じゃないんですか。
  238. 城野功

    政府参考人(城野功君) 十分という目安については、どこまでが十分かというのはなかなか難しいところがございまして、その海域については、当初定めました捜索海域を捜索するについては足らない勢力ではなかったと、捜索できるという勢力だったというふうに考えております。
  239. 白眞勲

    ○白眞勲君 もう一つ防衛省にお聞きいたします。  汽笛は鳴らしたんでしょうか。
  240. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) 汽笛の件につきましては、これまでの調査においてまだ確認中でございます。
  241. 白眞勲

    ○白眞勲君 確認中って変な話で、鳴らしたか鳴らしていないかぐらい確認中って、それは私はちょっと理解できないんですけれども。これは艦長は記者会見で、最初に汽笛が鳴った時点で何かあるなと思ったとおっしゃっているんですよ、記者会見で。その後、艦内マイクで衝突という意味のマイクが入ったとお話ししているんですよ。  もう一度お答えください。確認中なんて、そんな不誠実な答弁、ちょっと困りますよ。
  242. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  三月二十一日に、その時点までの艦船事故調査委員会による調査につきまして防衛省として公表をさせていただいております。そして、その八ページにおきまして、以下のように記述をしているところでございます。委員会の調査の中で、「あたご」が汽笛を吹鳴した旨の供述もなされているが、衝突時、近隣にいた漁船の方々が汽笛は聞いていないという報道との関係については確認を取れていないということを書かさせていただいております。まさに現状はここに書いたとおりでございます。
  243. 白眞勲

    ○白眞勲君 それ、全然答えになっていませんよ。要するに、汽笛を鳴らしたか鳴らしていないか、防衛省としてはどうなんだということを聞いているんですよ。お答えください。
  244. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) この三月二十一日に公表をいたしましたものでございますけれども、当直員の一部につきまして、海上保安庁との調整によりまして、委員会による聴取ができていない状況にございます。そして、調査の対象となっておりますすべての乗組員に対する聴取が実施できていないという状況の下で、この時点までに委員会の調査によって明らかになったもの、これを公表をしているものでございまして、この調査の中で「あたご」が汽笛を吹鳴した旨の供述もなされているということは事実でございますけれども、他方で聞いていないというような当時報道もなされておりまして、この関係につきましては確認が取れていないという状況でございます。
  245. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私聞いていませんよ、そんなこと。つまり、漁船の方、聞いているわけじゃないんですよ、私は。当然、その艦内にいれば汽笛が聞こえたかどうかぐらいのことは分かると思うんです。それが確認取れていないというのはどういう意味なんだか。全然答えになっていませんよ。
  246. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、この三月二十一日におきます公表につきましては、当直員の一部につきまして委員会による聴取が実施できていないという状況でございまして、すべての乗組員に対する聴取が実施できていないと、そういう状況の下で、言わば中間的なものとして公表をさせていただいたものでございますので、その点は御理解をいただきたいと思っております。
  247. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を止めてください。    〔午後二時一分速記中止〕    〔午後二時三十一分速記開始〕
  248. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。  徳地運用企画局長
  249. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  事故が発生して以来一か月余を過ぎておりますけれども、明確に事実関係を申し上げられないことにつきましては陳謝をいたします。  防衛省現場から汽笛を聞いたという報告を受けておりますけれども、周辺の漁船は聞いていないという報道があり、あいまいな部分が残っております。ついては、できるだけ速やかに、より明確な事実関係を当委員会に御報告できるよう努力をいたします。
  250. 白眞勲

    ○白眞勲君 電話については、海上保安庁に対して、聞いていないと海上保安庁が言ったにもかかわらず、電話したしたとおっしゃっているんですよ。それで今度、汽笛について鳴らしたかどうかというのはもう分かりませんなんて、そんなの当直の士官に聞けばすぐに、いつごろ鳴らしたのかというのは全部聞けば分かるはずなのに、何でそれを答えてくれないのか、私にはさっぱり分からないんですね。  いずれにしましても、海上保安庁の調査の結果を見てまた私の方で質問をさせていただきたいと思いますが、海上保安庁さんにお聞きします。  この調査の結果といいますか、この報告書はいつごろ出る予定でしょうか。
  251. 城野功

    政府参考人(城野功君) 本件の事件の捜査については、いまだ鋭意進めているところでございまして、その捜査の、いつごろ見込み、終わるかについては、いまだはっきりここで申し上げることはできない状況でございます。
  252. 白眞勲

    ○白眞勲君 防衛省さんにお聞きします。  調査が終わった時点で防衛省としてきちんと発表するようにお願いしますけれども大臣、よろしくお願いします。お答えください。
  253. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは当然のことでございます。ですから、私どもとして、この中間報告もお読みいただければお分かりいただけますとおり、とにかく聴き取れる範囲内の者から可能な限り聴き取りましてそれを記したものでございます。ここに書かれていないところ、それは確認ができない、確認ができないのにはそれなりの理由がございますが、そういうものについては調査書という、報告書という形じゃ書けないという形でございます。その点、今委員指摘のように、海上保安庁における捜査というものが終了し、それが明らかになった時点で、防衛庁としてそれに対応した形で委員会に物事を申し上げるのは当然のことだというふうに認識をいたします。
  254. 白眞勲

    ○白眞勲君 在日米軍駐留経費負担特別協定について、そもそも論でちょっと一回入ってみたいなと思うんですけれども、これ、先ほど犬塚委員からもこの思いやり予算、いわゆる思いやり予算ということで始まったというところが、当初の予算が六十二億円だったものが今年度はおよそその三十四倍の二千八十三億円だと。我が国の支出した金額の累計が約五兆円。これ高いじゃないかと言うと、高村大臣はそれに関して、それぞれの国を取り巻く環境とかなんかも違うんで一概に比較はできないんじゃないかというようなことを前にも御答弁されておるんですけれども、まあ思いやりについては余りにも高過ぎるかなという感じもしなくはないんですが。  ここで、石破防衛大臣が御就任される前に、御自身の御著書「軍事を知らずして平和を語るな」というところに思いやり予算についてちょっと触れているところがありまして、ちょっとこれを読んでみますと、これちょっと言いますと、これかぎ括弧で、ここからですけれども、「これを言うと、アメリカ人は嫌な顔をするけど、「思いやり予算」はもっと減らす余地があると思うんです。」って、大臣、ちゃんとお触れになっているんですね。減らした方がいい。これ、そのほかにもいろいろ、具体的にいろいろ出しているんですけれども、「結構な負担です。」、これ、大臣が、かぎに入って、「なんでこんなに払わなければいけないのか」って大臣がおっしゃっているんですね。これ、明快に書いているんですよ。明快です。  石破大臣外務省にちゃんと交渉しろって言ったらどうかと思うんですけれども、その辺、いかがですか。
  255. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それ、私が申し上げるまでもなく、それはもう高村大臣は、外務大臣もお務めになり、いろんな方面からそういうことはよく御存じのことであって、大局的な見地に立ちつつもそういうような細かなこともよく御承知になった上でアメリカとのいろいろな交渉に臨んでおられるということだということであります。私があえて申し上げるまでもございません。  ただ、そういうような、私がそういうふうに申しておりますが、大臣になる前に、であらばこそ、節減の努力というものもしている。今回、額が十分ではないではないかというおしかりもいただくことは承知をいたしておりますが、でも、削減というものに向けて政府として努力をしておるわけでございます。  ですから、そういうような思い、つまり国民の税金をどうすれば最も効果的に使えるかという思いは外務省も当然お持ちですし、私は私なりにそのように考えてこれから先もやってまいりたいと思っております。
  256. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務大臣にお聞きいたしますけれども政府はこの駐留経費の負担額は、当時の金丸長官の説明にあった思いやりの立場というのが込められているのか、今、それとももう込められていないものなのか、どちらなんでしょうか、お答えください。
  257. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 思いやりの言葉が込められているか込められていないかというのは非常に情緒的な判断でありますから、何とも、込められていると言えないこともありませんし、本来そういうものではないんだということも言い得ると思うんですね。  日本とアメリカとの間の日米安全保障条約、同盟関係というのは、石破大臣がよくおっしゃる、双務契約ではあるけれども非対称型の双務契約だと。非対称型の双務契約だと、どうしても国民は自分の方が損しちゃっているんじゃないかという感じは日本の側もすればアメリカの側もするという、変な感じがどうしてもあるんですね。  私、防衛政務次官をもう二十年近く前にやったわけでありますが、そのときにアメリカへ行ってアメリカの軍人さんにちょっと話を聞いたときに、当時、ちょうどフリーライド論、日本はフリーライダーじゃないかと、安保にただ乗りして経済が良くなっているじゃないかという議論が一番強かったころのことですが、あなたはそれどう思うと私を案内してくれた軍人さんに聞いたんですね、基地を回ったときに。そのとき、こういうことを言っていました。ワシントンの人たちは、主権国家の中に基地を持つということがどれだけ大変な負担なんだかよく分かっていないでああいうことを言っているんだと、やはりそういうことについては自分たちはもっと思いやりを持たなければいけないんだと、こういうことを言いました。私、いい言葉だなと、さすがアメリカの軍人の見識だと、こういうふうに思いましたが、自分は沖縄にいたことがあるんだとその人言っていましたけれども。  それと同じように、やっぱり若い青年たちが海外に来て、前方展開して、よその国に行って、いざというときにその国のために血を流すという人たちに思いやりも持っていいじゃないかと、両方が思いやり持たないと同盟というのは成り立たないということは私は言ってもいいんだろうと思います。  ただ、一方的に予算を付ける場合に、もっとお互いが理性的に考えてやっているものであって、思いやりなんかという言葉を使うべきでないという、そういう議論もあると思いますから、だからそういう言葉、思いやりが入っているか入っていないかとか、そういうことは余り意味のある議論ではないのではないかと、私は基本的にそういうふうに思っております。
  258. 白眞勲

    ○白眞勲君 それは、相手を思いやるということ、これは別に軍事の間でなくても、外務大臣であるならば外交であり、また防衛大臣であるならば当然お互いの防衛防衛立場からの意味合いでの思いやりとか隊員に対する思いやりとか、いろんな思いやりというのは私はあると思うんですよ、もちろん。  しかしながら、この予算関係について言ったら、その始まった時点で金丸長官が思いやりという言葉を使って国民に理解を得ようと努力されたわけじゃないですか。ですから、その始まった時点で、思いやりという部分があって始まったものが今どうなっているんだということについて私はお願いしたいと言っているんです。
  259. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府としては思いやりという言葉は使っておりません。思いやり予算という言葉を専ら使っているのは、野党の方たちが使っている、思いやり予算についてどうだどうだと、こういうことを言っているんで、日本国政府は思いやりという言葉は使っておりません。そのことだけ申し上げておきます。
  260. 白眞勲

    ○白眞勲君 でも、最初始まったのは、自民党が思いやりという言葉を言ったから思いやりが始まったわけでして、野党が今思いやりを使っているから、我々は使っていないというのは、それはそれとしての見解ですけれども、最初の時点での思いやりだということは、自民党から使ったんじゃないでしょうか。
  261. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) それは、私の記憶では、当時の防衛庁長官金丸信先生が最初使ったと記憶をしておりますけれども、そのときは特別協定というものがなくて、日本側の一方的措置としてそれをしたと、そしてこれは思いやりだと、こういう説明をされたんだと思います。今は日米間で話をして、特別協定を作って、そしてその協定上の義務として現実に防衛省予算として出しているわけでありますから、それについてちょっと金丸信防衛庁長官が使った思いやりという意味と今とでは違ってきていると、そういうことを申し上げているわけです。
  262. 白眞勲

    ○白眞勲君 この在日米軍駐留経費については、負担の割合についてちょっとお聞きしたいんですけれども、これは平成十七年のデータをずっと使っているんですね。これ不思議でしようがないんですね。米国とぎりぎりの交渉を行ってきたと外務省はいつもおっしゃっているんですけれども、交渉をするときに、ぎりぎりの交渉をするんだったら、当然、今の負担額は幾らなんだと、それでどういうふうに仕切っていくんだという、つまり、なぜぎりぎりなのかという、相手の負担額が幾らか知らないで、全体像も分からないで、どうやってそのぎりぎりの交渉が行えるのかというのが私理解に苦しむんですね。  これ、平成十九年三月一日衆議院予算委員会の議事録ですと、これ三年前の、平成十九年でやはり十七年データをお答えになっていて、これは西宮局長、そのときお答えになっているのはあなたなんですけれども、なお、この国防省の報告書は大分古いものでございますと、間もなく新しいものが出てくると思いますが、ただいまの数字はいささか古いものでございまして、この点御了承いただければと思いますというんですけれども、全然御了承できないんですよ、私。  間もなくというふうに言っていて、これ、一年以上たっているわけで、これじゃまるで間もなくでも何でもないわけですけれども、この間もなくというのはどういう意味なんですか、これ。西宮局長お答えください。
  263. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 手元にその当該議事録がございませんので、先生がお読みになっているんであれば間もなくと申し上げたことは間違いないと思いますけれども、今現在新しいものは出ておりませんで、二〇〇四年度版でございますかが最新のものでございます。やはり各国比較をすること自体簡単ではなくて、国防省の方でそういう目的で作っておるんだろうとは思いますけれども、新しいものは二〇〇四年版が現状であるということでございます。
  264. 白眞勲

    ○白眞勲君 違いますよ。各国比較じゃないんですよ。これ、アメリカの予算を聞くだけですよ。アメリカ側に聞けば出てくるじゃないですか。何でそれが各国予算になっちゃうんですか。すり替えないでください。もう一度お答えください。
  265. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) なぜ米側に新しい数字がないのかということは、これはもう専ら米側の集計の問題でございまして、手元にないことは事実であるということを申し上げるほかないと思います。
  266. 白眞勲

    ○白眞勲君 間もなく出てくると思いますとおっしゃっているじゃないですか。それでいて、そういう何かしらを切ったようなことをされても困るんですけれども、この辺どうなっているんですか。
  267. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) もちろん、新たな今回の特別交渉を行うに当たっては、必要の範囲内で米側負担の現状、それから他の同盟国における接受国支援の在り方等につき調査を行い、これを踏まえて交渉を行いました。ただ、そのすべてについて先方から返事が得られたわけではございません。  いずれにしましても、新たな特別協定につきましては、閣僚レベルを含めぎりぎりの交渉を行った結果、ようやく意見の一致を見たものでございます。
  268. 白眞勲

    ○白眞勲君 私が聞いているのは、データが間もなく出てきますと言っていて出てこないのはどういう理由なんですかというふうに申し上げているんですよ。一年以上出ていないじゃないですか、新しいデータが。そして今、ぎりぎりの交渉と言いますけれども、データもないのにどうやってぎりぎりの交渉ができるんですか、それもお答えください。その二点について、ちゃんと。
  269. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  270. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。
  271. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 度々で申し訳ありませんが、二〇〇四年度版の数字というのが最新版でございまして、それより新しいものを我々入手したいと思いますけれども、ないものはないと、入手できないということでございます。米側がいろいろとこれを集計していく上でのいろんな障害があるのか、そこは我々承知しておりませんが、国防省報告は二〇〇四年度版と、つまり二〇〇二年という数字が最新の数字でございます。  それから、今のは国際比較のできる数字と、国防省の報告書ということでございますけれども、在日の米軍駐留経費に係る米側負担ということに限って言えばもう少し新しい数字はございまして、もし話が私混乱させてしまったのであれば大変申し訳ございませんが、在日米軍駐留経費に係る米側負担という数字というお尋ねであれば、最新の数字は二〇〇四年度版ということになります。二〇〇四年度版でございます。
  272. 白眞勲

    ○白眞勲君 全然答えていないですよ。私が聞いているのは、間もなくと言っていて何で出てこないんだと言っているんですよ。国会で間もなくとおっしゃっているんですよ、衆議院予算委員会、平成十九年三月一日に。そうおっしゃっていて全く出していないじゃないですか、それはどういうことなんですかということを私はお聞きしているんですよ。  それと、今もすぐ出てきますと言っていて二〇〇四年のデータだって今おっしゃったじゃないですか。今、何年ですか、二〇〇八年ですよ。どういうことなんだということ。  二点、全然答えていませんよ。もう一度お答えください。
  273. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 間もなくと申し上げたのは期待値を表明したものでございますけれども、出てきていないことについて私は説明能力を持ちません。米側で作っていないから我々持っていないということに尽きると思います。
  274. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 北米局長、私の立場から申し上げますが、国会で答弁したことを人ごとのようなことを言っちゃ駄目だよ。自分の不明をわびてから状況説明してくださいよ。この委員会を何だと思っているんですか。
  275. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 大変申し訳ございませんでした。説明に一部不適切なところがあったのであれば、おわび申し上げたいと思います。
  276. 白眞勲

    ○白眞勲君 日本側がほとんど負担している光熱水費についてお聞きしますけれども、この第四条に、米国の節約努力に関する規定に一層という文字が今回加わったことによって節約努力はより強まったというふうに、我々から見ると外務省は胸を張っているんだなということなんでしょうけれど、これも二年前の延長、二年前のです、二年前の時点で、延長するときですね、これ衆議院外務委員会、平成十八年三月九日に、衆議院の山口、うちの民主党の議員が、大臣、二年後の協定のときにはこれをきちっとすべきだということに、これをというのは光熱水費ですね、節約についてきちっとすべきだということについてはどうですかと聞いたところ、当時の麻生外務大臣がこう言っているんですね。二年後と言わずに、きちんとそういったものはできるところからやっていくべきだ、私もそう思いますと答えているわけなんですよ。  一体、これだけ積極的に答弁されておいて、この二年間何をしたのかお答えください。
  277. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 光熱費について節約努力の件でございますけれども、今回の新たな特別協定の交渉に際しましては、我が国の厳しい財政状況の中で節約合理化の必要があると、ないしは経費の効率性についての国民の理解を得る必要があるという考えの下に交渉をいたしましたし、交渉の過程におきましても米側の節約努力の重要性につき繰り返し強く主張をいたしました。  その結果といたしまして、光熱費につき一定の削減を達成しましたに加えまして、協定本文の表現ぶりにつきまして、今委員指摘の一層という文言を盛り込むに至ったわけでございます。これは、新たな特別協定の下では、労務費、光熱費、訓練移転費の節約に向け、従来の努力に加えて更なる努力が米側により行われることとなるとの協定交渉時の日米間の了解を記したものでございます。
  278. 白眞勲

    ○白眞勲君 具体的には、何かこの前も御答弁で、白熱灯を蛍光灯に変えたり冷房を省エネタイプにしたりということをおっしゃっているんですけれども、確かにそういったことをやらないよりはいいけど、ただ、エアコンをつけっ放しにして外出しているような話というものもあるわけで、どの程度の効果がこれであるのかというのは私は甚だ疑問だと思っているんですね。  これ、石破大臣の先ほどの御著書でもこう書いてあるんですよ。米軍は、光熱費を日本が負担するので、夏には冷房をがんがん掛けて熱かんのお酒を飲み、冬は暖房を効かせて冷たいビールを飲んでいるとやゆされているって、御自身の御著書でこう書いてある。  私は、これやっぱり光熱水料の使用実態はどのようなもの、今検証するということをおっしゃったんですけれども、やはりもっと具体的にやらなきゃいけない。そういう面では、浅尾議員が言ったように、せめて各住居に電気メーターぐらいは付けた方がいいじゃないかなと私は思っているわけでして、これ、高村大臣も御答弁で、一戸一戸にメーターを付けた方が電気料そのものは少なくなるだろうっておっしゃっているんですね。前に大臣が御答弁でそうおっしゃっています。  ですから、そういった面でいうと、やはり、もちろん、今何かプラスマイナスを見ようじゃないかみたいなことをおっしゃって、検針メーターが五万円もするからどうなんだろうかということもあるかもしれませんけれども、それにしても、やはり今これだけ地球温暖化で節約節約って言われているんでしたならば、やはりそれを付けても、各その住居に住んでいる人たちに対しての節約というものに対する意識の向上という部分からしても私はやるべきだと思うんですね。すぐにでもやるべきだと思うんですけれども、これ、外務大臣、どうでしょうか、御見解をちょっと御披露ください。
  279. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 総体的に見なきゃいけないと思うんですね。費用対効果、実現可能性につき十分精査する必要があると考えております。  電気料の場合、在日米軍は通例、ビル、店舗、工場等が使用する電気料金メニューを基に施設区域ごとに使用形態、使用電気量、電圧等に応じた内容で電力会社と契約を結んでいるところでございます。これらのメニューの料金体系を見ますと、一般的に高圧電力や電力量の多い方が単価が安くなっておりまして、また、事務所ビル、店舗や工場用の単価は一般家庭用よりも安く設定されております。  平成十八年度における在日米軍施設区域全体の電気料金支払実績額は二百五億九千四百万円であり、使用量は十五億三千五百万キロワットであることから、全体の平均単価は十三・四円キロワットアワーとなります。これは一般的な家庭の電力料金単価十五・二九から二十一・二五円キロワットアワーと比較して低くなっておりまして、電力使用量の多い在日米軍は一般家庭よりも割安となっているということも分かるわけであります。  大口契約の方が一般的に単価が安いことに加えて、在日米軍の各施設区域の住宅等一つ一つにメーターを設置するには相当の投資が必要となりますが、その経費をだれが負担するのかという問題点も考慮する必要があると考えます。  さらに、実際の問題として、戸別にメーターを設置することで米軍人に光熱費を節約するインセンティブがどのくらい生ずるかについて検討をする必要があると思います。確かに、一戸一戸付ければ全く効果がないとは思いません。私も前にそういうふうに答えていることがあるわけでありますが、ただ、承知している限りでは、米軍人は世界中いかなる基地においても基地内住宅では光熱費を個人では負担しておらず軍の側で負担することになっているところ、単に戸別にメーターを設置するだけでは米軍人に節約を行う経済的インセンティブはそれほど生じない可能性が高いことにも留意する必要があると考えております。  在日米軍全体として経費の節減につながる節約努力を促していくことは、それ自体大変重要であり、引き続き米側に更なる取組を求めていきたいと考えております。
  280. 白眞勲

    ○白眞勲君 米軍が今度グアムに移転しますよね、海兵隊の。そのグアムに移る海兵隊の光熱水費などの駐留経費まで日本が、これ守ってくれるんだということで、今後負担するなんということはないでしょうね。言っていること分かりますか。
  281. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  在沖米海兵隊のグアム移転に伴う経費につきましては日米間で合意されているものがございまして、それを更に具体的な精査をしながら、その中で効率的なものを追求していくということが定められておりますので、今先生が御指摘になりましたような光熱水料の分を私どもが持つというようなことが現在の日米間の合意の中に含まれているというようなことはございません。
  282. 白眞勲

    ○白眞勲君 ここで基地従業員の労働基準法違反についてちょっと厚生労働省に聞きたいんですけれども、労働基準法違反はいつから把握し、現在何項目の違反があるのか、お答えください。
  283. 森山寛

    政府参考人(森山寛君) お答え申し上げます。  厚生労働省としましては、駐留軍の労働条件をめぐりましては、先生今御質問ありました、いつからというのを具体的に特定をしてお答えすることはなかなか難しい問題でございますけれども、従前から、労働時間など、労働基準法の遵守状況について一部問題があると認識をしているところでございます。  具体的には、労働基準法に関して言いますならば、駐留軍労働者に対しまして、例えば臨時従業員に対する年次有給休暇の付与、それから時間外労働等に関する労使協定締結、就業規則の届出、この必要があるというふうに考えておるところでございます。
  284. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、長年の間、違反を厚生労働省として放置しているわけですね。これ、何でこんなことになっているのかなと。これ、雇用主である防衛大臣に対して是正勧告、あるいは逮捕、送検、これ労働基準法違反ですよね、これ何でしないんですか。明確にお答えください。
  285. 森山寛

    政府参考人(森山寛君) この駐留軍の労働者につきましては、労働基準法違反が認められる場合には監督指導を実施するなどによりまして是正を行っているところでございます。具体的にも、この三年間で防衛省の地方機関に対しまして監督指導を行っておりまして、是正を指導した件数は二件となっておるところでございます。  それからまた……
  286. 白眞勲

    ○白眞勲君 駐留軍だよ。
  287. 森山寛

    政府参考人(森山寛君) ええ、二件、監督指導をやっているところでございます。  それからまた、労働基準監督機関と防衛省の地方機関との間におきまして協議施設を設けまして労働基準法の遵守について要請を行っているケースもございます。  さらにまた、駐留軍労働者の労働基準法違反の改善を図るために、日米合同委員会の下に設けられております労務分科委員会において厚生労働省も参加をしているところでございます。
  288. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、厚生労働省としてもしっかりと、労働基準法違反が実際にあるわけで、それも把握しているにもかかわらず、より一層この件についてはきちっと防衛省に対して働きかけを強めることを望んでおきます。これ、もう答えいいです、時間がないので。  もう一点だけ。これ外務省にちょっとお聞きいたします。  先ほども高村外務大臣の方から、脱走米兵についての日米地位協定の絡みでお話しされたんですけれども脱走米兵というのは日本のいわゆる、何ですか、外国人登録証明書とかパスポートとかを持っていないわけですね、当然、アメリカ兵というのは、日本にいるアメリカ兵というのは。これはなぜかといえば、これはアメリカの指揮命令に従っているから持っていなくてもいいだろうということだというふうに私は解釈しているわけなんですけれども脱走米兵となった場合には、これはもうその指揮命令に元々従っていないわけで脱走しちゃっているわけですよね。  そういう中で、これから連絡を、アメリカ軍から直ちに連絡をもらうんだということで一応運用の改善を図っているんだということですけれども、現在のところ、脱走中の者も含め、脱走米兵は何名いるのか、そして行方不明は何名いるのか、お答えください。
  289. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 今委員指摘のとおり、今後はすべての脱走兵につきまして直ちにその情報を伝達をしてもらうということで把握できることとなります。  今私どもが把握しております数字といたしましては、平成十七年からで恐縮でございますが、平成十七年から平成二十年、今年の四月十八日までに都道府県警に対し逮捕要請がなされたという形での把握でございますが、通報人員ということであれば、十七年三名、十八年〇名、十九年二名、今年、二十年が五名、計十名でございますが、それ以前の過去の脱走兵という数字というものは把握いたしておりません。  それから、行方不明米兵につきましても、何名いたかにつきましては政府としては把握しておりません。
  290. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後ですけれども、現在脱走中の者が十名ということでよろしいですね。最後です。
  291. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 先ほど申し上げましたのは平成十七年から現在までの通報人員でございますけれども、そのうち警察が逮捕したのが十名、米軍が逮捕した者が二名、それから自主帰隊、自分で帰ってきたという者が二名、これを足しますと九名については把握されておると、十分の九は把握していると、逮捕されたりしておるということでございます。
  292. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと後で議事録見てみますけれども、ちょっと何か今十名と聞いてちょっと変だなと思ったんですけれども、いいです、分かりました。  ありがとうございました。
  293. 徳永久志

    ○徳永久志君 民主党の徳永久志であります。  私は、日米同盟が我が国の防衛及びアジア太平洋地域の平和と安定のために寄与しているということは思っておりますし、また同時に、米軍基地で雇用されている日本人労働者の方々の雇用の安定というのも重要な課題であると認識はいたしております。  そこで、野党が使うと言われた思いやり予算についてでありますけれども、この点につきましても、日米同盟の現実を踏まえて、日本政府が国民の立場に立って交渉を行い、納税者である国民への情報開示、説明責任、そういったものを十分に尽くしているのかが問われているんだろうと思います。  そこで、私は、なぜこの思いやり予算が必要なのかというそういったそもそも論を私もやっていきたいというふうに思っております。さんざんその辺についてはもう答えてきたよということなのでしょうが、あえて、私も議席をいただいて初めてのこうした議論でもございますので、幼稚な議論を展開するかも分かりませんが、是非分かりやすくお答えを賜りたいと思います。  在日米軍に係る駐留経費の負担原則は地位協定二十四条に規定されており、米国は維持的経費、日本は施設及び区域並びに路線権を提供ということになっているわけであります。それで、この思いやり予算のこれまでのいきさつ的なものを若干おさらいをさせていただきたいという思いを込めて、再確認の意味を含めて質問をいたしますが、この思いやり予算が始まる昭和五十二年以前は具体的にどのような経費を日本側は負担をしてきたのか、外務省お答えください。
  294. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 基本的には借料でございます。施設区域借料というのが大宗であったかと思います。
  295. 徳永久志

    ○徳永久志君 ということでありますので、当然でありますけれども、現在日本が負担をしている施設整備費であるとか労務費であるとか光熱水料費については全額米国が負担をしていたということでよろしいわけですよね。
  296. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) そのとおりでございます。
  297. 徳永久志

    ○徳永久志君 それで、昭和五十三年になりまして、地位協定の従来の解釈を変更して、福利費等を負担するいわゆる思いやり予算がスタートをしたわけでありますけれども、これは、この思いやり予算をスタートをした理由、背景についてお答えください。
  298. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) それ以前から、当然ながら我が国の安全保障にとって不可欠な日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保していくとの観点から様々な努力を払ってまいりましたが、今委員指摘思いやり予算という用語は私ども使用しておりませんが、昭和五十三年度以降につきましては、昭和四十年代後半からの我が国の物価と賃金の高騰や国際経済情勢の変動による在日米軍の駐留に関して米国が負担している経費が増大してきているということを勘案し、政府として在日米軍駐留経費を負担してきておるわけでございます。まず五十三年度につきましては福利費等の負担を開始し、翌五十四年度には提供施設整備費等の負担を開始しました。  この背景には、先ほど述べましたように、当時の我が国の物価と賃金の高騰、国際経済情勢の変動、特に急激な円高ドル安といった事情があったわけでございます。
  299. 徳永久志

    ○徳永久志君 それでは、この思いやり予算の開始から九年後の昭和六十二年に、従来の負担に加えて特別協定締結をして各種手当、八つの手当を負担することになったわけですけれども、この昭和六十二年、特別協定を結んでまで労務費の一部等負担することとした背景、理由について教えてください。
  300. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 御指摘のとおり、六十二年度からは特別協定に基づきまして調整手当等八項目の労務費につき日本側が負担するようになったわけでございます。  この背景には、先ほど来申し上げております日米両国を取り巻く経済情勢の変化により在日米軍の経費、なかんずく労務費が急激に逼迫してきた事態がございまして、そうした事態にかんがみ、また従業員の方々の安定的な雇用の維持を図る必要があったとの事情があります。
  301. 徳永久志

    ○徳永久志君 そこで、今回の特別協定締結であります。  引き続き特別協定三年を締結をし、多くの経費を我が国が負担することとした理由、背景について伺います。
  302. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 新たな特別協定は、日米地位協定第二十四条に定める経費負担の原則それ自体は維持しつつ、一定の期間に限り特定の経費に限って負担することとするものであり、日米地位協定の特則であるわけであります。  在日米軍駐留経費負担は、アジア太平洋地域において依然として不安定で不確実な状況が存在している中で、我が国の安全保障にとって不可欠な日米安保体制の円滑かつ効果的な運用に重要な役割を果たしているわけであります。この点にかんがみ、政府として新たな特別協定に基づき一定の負担を行うこととしたものでございます。
  303. 徳永久志

    ○徳永久志君 今、一連の経緯の中での理由、背景というものをお尋ねをしてまいりました。  その中で、答弁でいきますと、昭和五十三年、昭和五十四年のときには我が国の物価、賃金の高騰、国際経済情勢の変動、特に急激な円高ドル安という国際的な経済情勢、あるいは財政と言ってもいいかもしれません、そういった部分が強調をされておりましたし、昭和六十二年度の特別協定締結のときにも、いわゆる日米両国を取り巻く経済情勢の急激な変化といったものに力点を置かれたのですが、今、今回のこの駐留経費負担の、先ほどの大臣の御答弁によりますと、この日米安保体制の円滑かつ効果的な運用ということが重きを置かれたように聞こえました。というのは、この力点、重点というものがその時々によって変化しているように聞こえるんですけれども、その辺り、大臣、いかがでしょうか。
  304. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日米安保体制の円滑かつ効果的な運用というのは、あらゆる地域においてそういうことがあるわけであります。  それから、確かに今急激な円高、ある意味では急激な円高少しあったわけでありますが、かつてのような急激な円高ということは言えないかもしれませんが、長い目で見て、やっぱり一ドル三百六十円のときからいろいろな過程を経て円高になって、中長期的な面でいえば円高、円は昔に比べて高止まりしていると、こういう状況が続いているわけですね。続いているわけで、そして日米安保体制の円滑かつ効果的な運用が必要なこの地域の状況というのはいささかも減じていないと、こういうことがあるということを申し上げているわけであります。
  305. 徳永久志

    ○徳永久志君 私も、この日米安保体制の円滑かつ効果的な運用というのは安保条約がある限りにおいて普遍的なテーマであろうというふうに思いますので、これは一貫して貫かれている考え方だということは理解をしますが、その一方で、何と申しますか、現状、米国経済やサブプライムローン等々で陰りはあるものの、日本の経済財政状況というのは、思いやり予算を開始した三十年前とかあるいは特別協定締結した二十年前に比べればかなり悪化をしていると。  ということになると、経済的側面というのが表に出ずに本質論がぽんと出てしまうというような、何か使い分けをしておられるやに聞こえてしまうんですけれども、その辺り、いかがでしょうか。
  306. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 必ずしもそう、御党の立場からこれに反対するという意味でとらえるとそう受け取られるかもしれませんが、そういうことでは決してないわけでありまして、円高が急激に進んでいたというときと、やっぱり長い目で見た円高水準で高止まりしているというときに、今、そういうときに急激な変化はないけれどもそういう状況はずっと続いていますよということで、それから一方で、なぜ日米安全保障条約の円滑かつ効果的な運用ということを強調しているかというと、一部に冷戦構造崩壊したじゃないかと。これはヨーロッパ正面では確かに崩壊しているんだけれども、北東アジアの状況は必ずしもそうでない、日米安保条約の円滑かつ効果的な運用は依然として必要なんですよと、そういうことを強調したいためにこういうことを言っているだけで、何かそのときそのときで適当なことを言っているという話ではないということは委員にも御理解いただけるのではないかと、こう思っております。
  307. 徳永久志

    ○徳永久志君 そこで、もう一つ分からないのは、高村大臣よく、今回の特別協定も従来の特別協定と同様に暫定的、限定的、特例的な措置であるというふうにおっしゃっています。  政府のこの暫定という言葉は非常に分かりにくくて、恒久的減税と言いながら十年もたたずにやめてしまったり、暫定税率と言いながら三十年以上続けたりとかするわけなんですけれども、先ほどおっしゃった日米安保体制の円滑かつ効果的な運用というのはいわゆる普遍的なテーマでありますから、ある意味本質論ですよね。だから、本質論によっていわゆる思いやり予算支出するんだという理由にするのであるならば、暫定とか特例とか限定という言葉で、的な措置だということがちょっと私は理解ができないんですよ。これ、本質的なテーマだというのであれば、こんな暫定とか限定的とか、そういう措置にしてしまうというのが、これは筋から外れてくるのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  308. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 必ずしもそうではなくて、ヨーロッパ正面で冷戦構造が崩壊したように北東アジアでも完全にそういう状況から脱するということは、それはいつかどうかは分かりませんけれども、我々は期待をしているわけですね。期待をしているわけであります。  そういう状況の中で、やはり毎回そのたびごとに年数を限って国会にお諮りしているという意味では、あくまで暫定なんですよ。暫定でなければこんな何年かに一遍国会にお諮りする必要はないわけで、やはり暫定だからこそ何年かに一遍、その期限が来るたびに国会にお諮りして、そして今もこれが必要ですねということを国会に御承認いただいて、そして負担を日本側がしていくと、そういう意味で暫定であると、こういうことでございます。
  309. 徳永久志

    ○徳永久志君 私が言いたいのは、日米安保の円滑かつ効果的な運用というのは本質的な部分でしょうと。本質的な部分であるならば、こういう暫定的な措置とはせずに恒久的な措置として例えば地位協定二十四条の改正というものも当然考えられるのではないですか、そっちの方が筋としてはすっきりといくのではないですかという点と、それから国会承認がしてもらえるんだというお話ですけれども、それは予算審議の中でも担保できる問題ではないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  310. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 予算審議の中だけで担保するという話ではなくて、これは日米協定というのは日米の双方の義務ということになりますので、その義務をここで、国会で承認をしていただくということでございます。  それと、それは日米安保条約がある限り円滑かつ効果的な運用は必要なんだと、それをなぜわざわざ上げるんだというのは論理として分からないわけじゃありませんけれども、この必要性が、今の冷戦構造が崩壊したといってもこの地域はまだそういう残滓が残っていますよと、そういう状況の中で、円滑かつ効果的な運用がより必要な条件がまだ相変わらず残っていますということを申し上げているわけでございます。
  311. 徳永久志

    ○徳永久志君 じゃ、ちょっと別の角度からお話をさせていただきたいと思います。  平成十九年度版防衛白書では、このまま読み上げますが、日米安保条約「第五条において、米国の対日防衛義務を規定する一方、第六条において、わが国の安全と極東における国際の平和と安全のためにわが国の施設区域の使用を米国に認めることにより、総合的に捉えると、日米双方の義務のバランスが取られている。」とあります。  一方、外務大臣は本委員会答弁でも、米国の青年が日本を守るために血を流すのに日本は云々という表現をよく使われ、同盟のコストという表現を使ってよく説明をしておられます。これも、こういう言い方をすれば怒られるかもしれませんけれども、思いやりで多額のお金を支払って初めて双務的対等だというふうに聞こえてくるんですけれども、この防衛白書にあるように、条約上は双務的な同盟関係だと言えるんだろうと思うんですね、安保条約があり、地位協定があり、特別協定ですから。  この辺りの御見解、外務大臣防衛大臣、それぞれそのお立場からお聞かせ願います。
  312. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 条約上はまさに双務契約なんです。双務契約なんです。ただ、その双務契約の内容を、あるものを買うのに百円で買うか五十円で買うか三十円で買うかという話はあるんで、形の上で双務契約になっていても、その同盟のコストを、ふさわしいコストを払っているかどうかというのは、それは日本側から見た場合とアメリカ側から見た場合とはなかなか国民の感情は違うというのは、特に、双務契約といっても、石破大臣がよく言うように、対称的になってないわけですよね。アメリカが負う義務と日本が負う義務と同じじゃないわけです。違う義務を負っている。青年が血を流してでも日本を守るよというのと基地を提供して使わせますよというそういう義務、大きくいえばそういう義務。それがバランスしているかバランスしていないかというのは、それは日本から見れば主権国家の中に基地を持つこと自体の負担というのはどれだけ大きいか分かるかと、こういうふうに思いますし、他国に行って青年の血を流してまでその国を守るという負担がどれだけ大きいか分かるかというのがアメリカ側の。  それで、それと同時にお金の問題でいえば、それではそれぞれ幾ら掛けていますかという話を、こうなってくるわけでありますが、日本の防衛費はアメリカの同盟国の中で突出してGDP比率でいうと低い国になっているわけであります。それで、よく野党の皆さんがおっしゃる駐留米軍経費は突出して高いではないかと、こうおっしゃいますが、それは高いんですが、その駐留米軍経費、突出して高い駐留米軍経費も日本の全防衛費の中に入っているんです。入っていてなおGDP比率が突出して低いと。こういう事実を考えると、日本は全体として低いコストで日本の平和と独立、安全を維持できていると、これはもう客観的にそう言わざるを得ないんだと思うんですね。  そうすると、アメリカ側から見ると、ちょっと日本の経済が良くなってアメリカの経済が悪くなれば安保ただ乗り論というのが噴出してくるような状況、今は必ずしも日本の経済が突出して良くてアメリカの経済だけが突出して悪いという状況でもないのでそれほど安保ただ乗り論というのは大きくなっていませんが、底流にしていつもずっとあるという事実は我々も知っておかないと、我々の立場からだけ見て、そして全体の防衛費というのを見ないで、駐留米軍経費というそこだけに焦点を当てて日本は大きいではないかということだけで主張していると、日米安全保障条約日米同盟というのがアメリカ側から見てちょっとおかしいんじゃないの、同盟のコスト全体を見てくれよと、こういうことになりかねないと、こういうことだと思います。
  313. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まさしく本質論なんだと思うんですね。日米同盟というのは、合衆国がいろんな国と結んでおる同盟の中では極めてユニークなものであるということは我々日本人として認識をしておくべきだと思うんです。こういう形の同盟を合衆国はほかの国のどことも結んでいないということ。  それはどういうことかといえば、人と物との関係というふうに言われますが、アメリカはいろんな国と条約を二国間で結びますが、世界中どの国もアメリカ合衆国防衛し得る能力なんて持っている国はないわけですよね。しかし、それがどんなに小国であり、軍事的な能力が低いという表現を仮に使うといたしますと、であったとしても、主権国家同士ですからあくまで同盟は対等なので、合衆国がAという国を守る、Aという国も合衆国を守るということにおいては全く同じ義務を負うわけです。  ところが、我が国と合衆国の場合には、合衆国は日本を守る義務を有しますが、集団的自衛権が行使できませんので日本としては合衆国を守れないということ、守らないじゃなくて守れないということになるわけですね。そうすると、義務として対称的ではないということになるわけです。それはひどいじゃないの、同盟というからにはどんなにちっちゃな国と大きな国の同盟であろうとそれは内容は一緒じゃなきゃおかしいんじゃないのと、いやいや、我が国は憲法上そういうことはできませんのですよということになる。  じゃ何なんだということになって、今度は物という概念が出てくるわけですが、日本の防衛のためにも基地を提供するが、同時に極東の平和と安全のため行動する合衆国軍隊は日本の施設又は区域を使用することを許されると、こういうことになるわけで、もちろん極東の平和と安全というものは日本国の平和と繁栄にも寄与するものではあるわけですが、日本の基地を日本の防衛のためのみならずほかのことにも貸しますよということによってバランスを取っているというところはあるのだと私は思っております。  そうでないと、同盟というのは、対称的であれ非対称的であれ、双務的なものでなければそれは永続性はもたないものなのだと。どっちかが一方的に裨益をし、どっちかが一方的に与える、片っ方が与えるだけの関係、片っ方が与えられるだけの関係というのは、これは個人と個人とでもそうですが、そんなものが長持ちするはずはないのだということで、だから人と物との関係というふうに言われるわけですよね。  そうしたときに、じゃその中身は何なのだということを考えたときに、単に基地を貸すということだけではなくて、そこに掛かるいろんなコスト、あるいは外務大臣がおっしゃいますように、故国を遠く離れて日本の地で勤務しなければいけない、そして合衆国が日本防衛の義務を負うわけですから、日本の防衛のために自らの命を懸けねばならない、そういうような青年たちに対して日本国として何ができるかということを考えてみたときに、それが妥当なのかどうなのか。そのときの経済状況というのもそれはあるでしょう。じゃ、日本がもっともっと豊かであったとして、日本が本当にもう何もない極貧国であったとして、じゃどうなのだ、いろんなケースを考えてみなければいけないのだと思います。  これは、これがあるべき姿だという絶対的なものがあるわけではございません。可変的なものだとは思いますが、問題の本質はこの非対称性というところをどう考えるかということにあるのであって、だから、委員として、あるいは御党としてこれはこうあるべきだというお考えがきっとおありなんだろうと思います。私ども政府としてもそれをよく承らねばなりませんが、私どもとして、この非対称的であるという、しかしながらバランスが取れているということは何ら矛盾をしているものだとは思いません。そこは整理して考えておるつもりでございます。
  314. 徳永久志

    ○徳永久志君 今のお話を聞いていまして、私、問題意識としましては、例えば安保条約を締結したとき、あるいは思いやり予算が開始されたときというのは、日本の自衛隊はまだまだ実力的に大変不十分で低かったと。しかも、その当時は東西冷戦真っ盛り、日本を取り巻く情勢は非常に厳しい、十分な実力を自前で持てない手前、在日米軍への依存度というのは質量共に大変大きいものがあっただろうと。そういう状況だったら、せめてかなりの経費を負担をして、同盟のコストというんですか、それをしてという部分理解はするんです。  しかし、時代を経るにつれまして、例えばその思いやり予算の負担率が高いとされるカタールとかですか、だったら、軍隊の教育訓練から整備までかなりの部分はアメリカに負っているけれども、日本の自衛隊は訓練、整備、教育やあるいはライセンス生産まで自前でやっていると。ある部分自衛隊の協力で米軍の活動が展開をできている部分もあるやに聞いています。  そういったことになってくると、先ほど申し上げたように、自衛隊の実力は飛躍的に当時から比べれば伸びましたよと、自国の防衛の度合いもカバーできる度合いも増えてきましたよと。先ほど大臣ちらっとおっしゃいましたけれども、円とドルとの関係も私はそれなりに安定基調には入っているんだろうということになりますと、これまで米軍に頼り切ってきた部分というのがかなり自前でできるようになったのではないかなと。  ですから、この思いやり予算が始まった当初はそれなりの負担をしなきゃいけなかったけれども、今日では日本では自前でかなりの部分できるようになったし、ということになってくれば、回を重ねるごとに負担額が減ってきた、中身も変化をしてきたということならば十分に理解はできるんですけれども、実際は逆に中身についてはその範囲が拡大している部分、経過もあったわけですし、負担額も増えてきている。この部分をどう理解をしていけばいいのかなという部分があるのですが、これもそれぞれお二人の大臣からそれぞれのお立場お答え願いたいと思います。
  315. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 事実だけ申しますと、在日米軍駐留経費負担でありますが、平成十一年、十二年をピークにずっと、少しずつではありますが、減ってきております、減り続けているということが一つであります。  それから、日本の日米安全保障条約の最大の効果というのは何かというと、やっぱり抑止力だと思うんですね。残念ながら、日本の近くの国はみんな平和を愛好するいい国ばかりとも限らないわけでありまして、やはり抑止力。抑止力って何かというと、基本的には、専守防衛の抑止力、盾だけの抑止力よりも、やっぱりこっちをたたいたら向こうはたたかれるよというのが最大の抑止力なんですよね。例えば、日本を火の海にしてやるなんという国が仮にあったとしたら、今そんな国ないと思いますけど、仮にあったとしたら、日本を火の海にしたら自分の国も世界最強の軍事力を持っているアメリカからたたかれて火の海になるよと、これが最大の抑止力なんですよ。  日本の自衛隊は、確かに専守防衛という意味で盾の部分では力を付けてきているけれども、その最大の抑止力のやりの部分、相手をたたく部分というのはないんですよ。意識して専守防衛ということでつくってきていなかったわけでありますが、そういうところを政策として変えていこうとでも、いけばまた別の話ですけど、今のところ我々はこの専守防衛という政策を維持しようと思っていますから、そうすると、その抑止力の強いものは米軍に頼らざるを得ないわけで、そういうことは、少しぐらい、自衛隊が当時より強くなったじゃないか、だから減らしてもいいと、そういうことにはならないんではないかと、こういうふうに思います。
  316. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今の委員の御指摘は、三年半ぐらい前に、私が前、防衛庁長官でおりましたときに省内で随分展開した議論ではあるのです、実は。  外務大臣がお話しなさいましたように、我が国はパワープロジェクション能力というのを持っていないわけですね。ですから、これは国策としてそうなのですが、もちろん核兵器も持っていない、弾道ミサイルも持っていない、長距離爆撃機も持っていなければ、私は攻撃型ということに何の意味があるとも思わないが、航空母艦というのも持っていないということで、戦力投射能力というのか、そういう外征軍的なそういう戦力投射能力というのを持っていないわけですね。それは今後もそうだと思います、少なくとも、見通し得る範囲において。だとするならば、やはりそれはアメリカの打撃力、ガイドラインでは打撃力という使い方をしておりますが、これにゆだねるのだと、そして合衆国はそれをきちんとコンシダーするのだというふうにガイドラインではなっているわけですね。その関係は私は変わらないんだろうと思っています。  そうだとするならば、日本として何が変わったのかということ、これは日本の自衛隊がどのような、法的にあるいは装備としてどのような能力を持つに至ったかということをよく照らし合わせながら合衆国に主張していかねばならぬだろう。  確かに、いわゆる思いやり予算が始まったときと比べて、陸海空自衛隊とも相当に能力は上がりました。確かにそうです。そして、有事法制もつくった。そして、米軍支援法制というものもつくった。かてて加えて、自衛隊法を改正して米軍基地というものを守るということも自衛隊の役割となった。ミサイル防衛システムを導入をして、日本の国には合衆国もいるわけですが、それがミサイルから攻撃されるということについても防衛する能力を持たんとしているということを考えてみたときに、やはり日米の任務、役割というものが、質的な変化はしていないけれども、量的な変化はしているのではないか。そのことをどうとらえるのかということは、やはり日本国の為政者として、そして国民の税金を使う側として常に認識を持っておらねばならないし、そのことは、合衆国に対して、私たちはこのようなこともするようになったと、このようなこともできるようになったと、あるいはこういうことも更にする用意があるということは言っていかねばならない、それが納税者に対する誠実な姿勢だと思います。  ただ、繰り返しになりますが、この盾と矛との関係というもの、そして日米同盟体制の本質というものは何ら変化がないということはよく認識をしておかなければなりません。
  317. 徳永久志

    ○徳永久志君 まだまだ議論したいんですが、時間ですので、これで終わります。
  318. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  最初に、先日の名古屋高裁判決について私からもお聞きします。  この判決は、イラクでの航空自衛隊空輸活動憲法に違反する活動を含んでいるということを認め、そしていわゆる平和的生存権についても、すべての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利である、こういうことを示しました。自衛隊活動にかかわる憲法判断というのは高裁では初めてのことでありまして、そういう点でも極めて重い意味を持っていると思うんです。  ところが、政府自衛隊活動に何ら影響を与えるものではないとして活動継続を決め、そして高村大臣は十八日の会見で、判決文は暇でもできたら読むと、こういうふうに言われております。  私は、やはり憲法判断をしたこの高裁判決を読みもせずに批判をするというのは、これは憲法擁護尊重義務が課せられた閣僚としての立場も問われることだと思います。今後の自衛隊活動にもかかわる中身も私は含んでいると思います。しっかりこの高裁判決を重く受け止めるべきだと思いますけれども高村大臣、いかがでしょうか。
  319. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今回の判決は、自衛隊イラク派遣等違憲確認及び差止めを求める訴えは不適法なものであるとして却下され、また損害賠償請求法的根拠がないとして棄却された国側勝訴判決国側全面勝訴判決でございます。航空自衛隊空輸活動違憲であると判示した部分は、判決結論を導くのに必要のない傍論であると、傍らの論であると承知をしております。このように、本件裁判控訴人請求は、自衛隊イラク派遣等憲法に反するかどうかを判断するまでもなく却下あるいは棄却されるべきものでありました。現に、違憲だと言いながら却下あるいは棄却しているわけであります、この判決は。  政府は、この裁判において、自衛隊イラク派遣が憲法に反するかどうかについて何ら主張もしていないし立証もしていない、それはそういう必要がないと思ったから。争っていないんですよ、そういうことについては。そして、政府としては、こうした中で判決結論を導く必要がないにもかかわらずこういうことが示された見解であると、こういうことでございます。  私が読みもしないで判決を批判したと言いましたが、何にも判決自体について批判していません。読んでいませんから、判決については批判していません。これは傍論であると。国が全面的に勝訴した判決ですから、私は高く評価をしております。これは傍論であるということだけ言っているわけです。それは多くの、私自身読んでいませんが、多くの論者がみんな傍論としてこういうふうに言ったという判断を受けていますから、もしこれは傍論でないという方がいたらそういうふうに指摘していただきたいと思うんですが、私は衆議院の委員会でも傍論だということを何度も言いましたが、だれも、いや、傍論じゃないよと言った人はいなかったと思います。これは判決主文を導き出すために必要のない傍論を述べたということについて争っている人はいないだろうと、こういうふうに思っています。  私は、その傍論判決に書くことについていいか悪いか、私自身の頭の中では判断していますが、私はそれを批判したことはありません。傍論書いたからけしからぬと、そういうことを言っていないんです。私は記者会見でもそういうことを言っていません。  そして、ただ、私が言ったのは、その傍論が、あたかも判決傍論部分行政判断に優越する司法判断であるというようなことはそれは違いますねと。いわゆる司法の優越というのは、その主文について、あるいは主文を導き出すその理由部分について司法の優越というのは確かにありますが、主文を導き出すに必要のない傍論部分については司法の優越ということはそれはない、ないんです。そうであるにもかかわらず、裁判所判断であるから行政判断よりも傍論であっても優越するかのごとく言って政治利用をする人については批判をいたしました。この判決そのものについては、それは私はぐっとこらえて批判をしておりません。
  320. 井上哲士

    ○井上哲士君 傍論傍論ということを言われるわけでありますが、裁判自身がこの憲法違反の判断求めて、高裁判決というのはこの核心部分に対しての判断をしたわけですね。これまでいろんな違憲訴訟ありましたけれども、全部門前払いをしてきたんです。それを正面から認定をしてきたという点でいえば極めて私は高い重みがあると思うんですね。  先ほど言いますと、大臣は会見の中で、これあたかも崇高なものであるかのごとく錯覚を与えと、こういう言われ方しました。ですから、まさに私は、この裁判の判決の価値を低めるような発言をされたということは私は批判に当たるんだと思うんですね。  ここでこればっかり議論しているわけにいきません。  そういういろんな政府発言がある中で、先ほどもありましたけれども航空幕僚長がそんなの関係ねえと、こういう発言をされました。私、お笑いの言葉を使ってこれを論ずること自体極めて不見識だと思いますし、これを聞いた国民は憲法も司法も関係ねえと軽んじているんだと、こういう受け止めをされたと思います。  先ほど石破大臣違和感を覚えると、こういうふうに言われましたけれども、私それにとどまらないと思うんですね。やっぱりこういう言葉は撤回を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  321. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは航空幕僚長が定例会見で申し上げたものでございます。そこは映像が残っておりませんので文字でしか申し上げることはできませんが、そこの部分はこういうやり取りですね、大体。非常に純真な隊員については一部心を傷つけられている者がいるかもしれないが、大多数はほとんど影響ないと、そんなの関係ねえという状況でありますと、大体、大意こういうような発言ではなかったかというふうに承知をしておるわけでございます。  ですから、言いたかったのは、政府として、こういうような傍論が、傍らの論が示されたとしても、それは全く正当性について影響を与えるものではないし、我が国が憲法並びにイラク特措法に基づいて粛々と活動しているということが何ら変更はないものだということが言いたかった。それはもう田母神航空幕僚長の、本当に部下を思い、国を思う、そういう気持ちであったというふうに私は認識をいたしております。  ただ、言い方として、そのお笑い芸人の方の芸を私よく存じませんし、ここにおいて、どのように、どういうようなシチュエーションで言ったのかよく分かりませんが、やはりここにおいてそれを持ってくること自体がそれこそ必要であったかと言えば、それは必要ではなかった、傍論とは言いませんが。そこにおいてやはり違和感はあります。  ただ、撤回を求めるということは、その活動憲法並びに法律に基づいて正しいものであるということを撤回するというつもりは、させるというつもりは私は全くございません。言い方はもう少し別の言い方があったのではないか。これから会見を行う場合に、やはりそのことによって、委員のお言葉を借りれば、憲法なんて関係ないんだというふうに航空幕僚長が言っているというふうに受け取られる方が出るということは決して政府として望ましいことではございませんので、これから先、発言の仕方というものについては幕僚長たるものよく認識をしてもらいたいということは申し上げたいと思います。
  322. 井上哲士

    ○井上哲士君 極めて不見識な発言だということは重ねて申し上げておきますが、この判決は、非常に丁寧に事実認定を重ねまして、久間元防衛大臣答弁も含めて政府側の答弁も証拠として判断をし、そして政府憲法解釈に基づいて見てもこれは違憲だと、こういう判断をしているわけですね。  外務大臣は盛んに主張も立証もしなかったということを胸張って言われるわけでありますが、この判決の中でも政府情報を国民にも国会にも示していないということも指摘をしているわけですね。結局、四年間、主張も立証もしないというか、事実自身を国民や国会の前に明らかにしないでおいて、都合の悪い判決が出てくれば無視をするということは私は許されないと思うんですね。そう言われるのであれば、異論があるというのであれば、イラクでの空自の活動の実態を包み隠さず国民の前に今明らかにするべきだと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
  323. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 必要なこと、そして国際場裏からいって明らかにできることについては明らかにしてきていると思います。  先ほども申しましたように、私はこの判決そのものに、こういう傍論を書いたからけしからぬとか何だとか一言も言っていないんですよ。ただ、傍論部分は別に行政判断よりも優越するものでも何でもないのに、あたかも裁判であるからその部分まで優越するかのごとく扱って政治的に利用する人たちについては、政治的批判を、私は政治家として批判をしました。判決そのものがけしからぬということを言っているわけではないわけであります。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  それから、判決の内容も私自身つぶさに読んでおりませんが、私、個人的なことを申しますと、判決書を読むのが趣味なので、外務大臣辞めて時間があったらいろんな判決書を、最近読む時間がありませんので、読んでみたいと思っているその中の一つであると、こういうことを言っただけで、別にそれを、この判決をさげすんだわけでも何でもないということだけ申し上げておきます。
  324. 井上哲士

    ○井上哲士君 一般的判決ではなくて、まさに今行われている自衛隊活動にかかわっての判決でありますから、それは趣味で読むものではなくて、私は、まさに閣僚としての責任を持って読んでいただいて重く受け止めるべきだということを思いますし、イラクからの撤退を行うということを求めて、次の質問に移りたいと思います。  思いやり予算が始まりまして三十年ということになりますが、その対象は拡大を重ねてまいりました。特に、提供施設整備費、いわゆるFIPについてお聞きしますが、これは始まってからの総額は幾らになっているでしょうか。
  325. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えさせていただきます。  提供施設整備費につきましては、昭和五十四年度から平成二十年度までにおきまして約二兆一千四百三十億円を負担してきているところでございます。なお、近年の厳しい財政状況を背景に、平成五年度以降は一貫して減少してきているところでございます。
  326. 井上哲士

    ○井上哲士君 二兆を超える巨額でありますが、このFIPは、最初、家族住宅とか隊舎、それから環境関連施設等を日本側が負担して建設をするということで始まったわけでありますが、今や、米軍の司令部の施設とか、それから米軍機の保護用のシェルターの建設、それから滑走路、最近でいいますと、横須賀基地に原子力空母が入るためのしゅんせつ等、戦闘と不可分の施設まで日本が負担をするように言わば変質をしていると思うんですが、これは一体なぜこういうことになっているんでしょうか。
  327. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 地位協定二条の1(a)に基づきます施設及び区域の提供につきましては、地位協定二十四条の二におきまして、地位協定二条に定めるすべての施設及び区域をこの協定の存続期間中合衆国に負担を掛けないで提供するという旨が規定をされておるわけでございます。  つまり、この規定の内容に合致するものであれば我が国が整備し提供するということに地位協定上の問題があるわけではないというのは、これは当然のことでございます。当初は家族住宅であった、それが現在は滑走路や司令部庁舎を整備しているということもそのとおりでございます。ですので、私どもが行うことというのは地位協定に何も反して行っているものではないということをまず申し上げておきたいと思います。  それでは何をやるのだということですが、合衆国からあれもやってね、これもやってねというような希望がございます。それをまず聴取をするわけでありまして、その上で、安保条約の目的達成、すなわち、我が国の平和と独立あるいは極東の平和と安全に寄与する合衆国の軍隊の活動に資するというような安保条約の目的達成との関係、そして、我が国の財政負担との関係、社会的、経済的な影響などを全部考慮いたしました上で我が国が自主的な判断によって対応してきているというものなのでございます。  なお、本年度、平成二十年度予算におきます提供施設整備につきましては、新規事業については環境関連、安全対策施設に限定するということで抑制をしているものでございますし、継続いたしております事案につきましても、その必要性でありますとか緊急性を十分に精査することで必要最小限の施設を整備するということで、抑制的に現在判断をしておるところでございます。
  328. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、九条を持つ日本がそういう戦闘と不可分な施設整備まで負担をするべきではないと思いますが、今言われたような日本の姿勢がアメリカからの費用要求、負担要求をエスカレートさせているんじゃないかと思うわけですね。  国会図書館の昨年一月に出た「レファレンス」で、アメリカの海兵隊の指令の中で日本の受入れ国負担による建設計画というのを紹介をしておりますが、その中で、日本のいわゆるFIPとそれからアメリカの国防省の軍事建設予算、いわゆるMILCON、この望ましい使途についてそれぞれ挙げているんですね。  これによりますと、これはアメリカの海兵隊の指令の一部でありますが、FIPの使途として望ましいものは、二つ言っていまして、家族用住宅及びすべての地域生活支援用施設、それから今言われた環境あるいは安全性に係る欠陥に起因する既存施設の改築と、こう言っています。そして、アメリカ側、MILCONの使途として望ましいものとして、既存施設の改築又は拡張、それから攻撃的作戦を実施する能力や力量を増大させる事業計画、こういうことを挙げているんですね。  実態からいえば、まさに海兵隊自身がMILCONの使途として望ましいというものも含めて今や日本が造っているということになっているんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  329. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ですので、それは、もう何でもアメリカが言うものを造ると、盲目的に造るということを申し上げているわけではございません。  それ、MILCONと呼ぶかどうかは別といたしまして、アメリカのお金でやるのか日本がやるべきなのかということは、それは私ども日本政府として自主的に、これが納税者のお金の使い道として日米安全保障条約の目的を達成するためにふさわしいお金であるのかどうなのかということを一義的に考えるべきものだというふうに考えております。  したがって、結果として、先ほど申し上げましたように、相当抑制的に、そして対象も限定をしてやっておるものでございまして、それは我が国として本当に自主的に判断をするべきものだというふうに考えております。
  330. 井上哲士

    ○井上哲士君 衆議院の議論でも我が党議員が示しましたが、アメリカの国防総省が海外基地の建設や施設整備について内規を示しております。太平洋地域、要するに日本や韓国との関係でいうと、アメリカのMILCONで計画するのではなくて、まず受入れ国負担を優先させると、こういう内規をアメリカは持っているんですね。  ですから、結局、まずは吹っかけろということになっている下でやはり日本の負担が増大をさせられている。先ほど言ったように、海兵隊の指令の中身からいっても、本来アメリカ側が負担するようなものまで負担するという状況に私はなっていると思うんですね。もう一回、いかがでしょうか。
  331. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ですので、繰り返しになりますが、使途も限定、継続するものについても必要性、緊急性を十分精査することで必要最小限の施設というふうに我々は判断をしてやっておるところでございます。  やっぱり、どの国もそうですが、まず第一義的に考えるのは自分の国の納税者の利益であって、いかにして自分の国の納税者の負担を少なくして自分の国の利益を最大にするかということは、それはどの国でも考えることだと思います。ですから、まず吹っかけてみろという言い方が正しいかどうかは別にして、ほかの国が持ってくれるんだったらそれにこしたことはないよねということはございましょう。そしてまた、それがその国にとって、相手国にとっても裨益するものであるということであればそれはなおさらのお話なのだと思います。  他方、私どもは私どもの納税者を背景に持っておりますわけで、自主的に本当にこれはふさわしいのだろうかということを判断し、駄目というときには駄目ときちんと言うという姿勢は常に保持すべきだと私も思います。
  332. 井上哲士

    ○井上哲士君 どの国でもそうだと言われましたけれども、先ほど紹介したアメリカ国防総省のまず受入れ国負担を優先させるというのは、太平洋地域においてと、こうなっているんですね。それ、NATOなどとは違う対応をアメリカはしているんです。結果として日本の負担が率でも額でも突出をしているということはこれまでも議論されてまいりましたし、アメリカの国務省自身が、かつて、日本の接受国援助はアメリカの同盟国の中でも最も気前がいいということを述べたこともあるわけで、私は、こういう言わばアメリカ側の方針に従って国民の税金がどんどんつぎ込まれているということはあってはならないと思います。  そこで、平成十二年の確認で、このFIPでは娯楽施設などの新たな建設は行わないということになっておりますが、この方針というのはグアムにおいてもこのことを踏まえるという答弁もありました。米軍再編経費にかかわる建設についてもこの方針は堅持をされると、こういうことでよろしいでしょうか。
  333. 石破茂

    国務大臣石破茂君) グアムに移転する場合に私どもが負担をすべきものというのは、これは限定をいたしておるものでございます。  平成十八年五月一日に日米間で合意しましたロードマップにおきましては、再編実施における施設整備に要する建設費その他の費用は、明示されない限り日本政府が負担するというふうになっております。そして、米軍再編において部隊の移駐、施設の移転に伴って必要となる機能、施設を整備する必要はそれは当然ございまして、これには福利厚生施設が排除されるというものではございません。  なお、リロケーション、提供施設移設整備というものがございますが、これは米側に負担を掛けないで移設するということになっておるわけでございまして、地位協定二十四条の規定に基づき我が国がその経費を負担しており、これには福利厚生施設も含まれるものでございます。  したがいまして、その辺りはグアム移転についてどうなのだというふうに限定的なお尋ねになりますと、これはもう何をやるのかと、何をやらないのかという詳細について今決まっておるものではございません。決まっておるものではございませんが、私どもとして本当に納税者の負担に耐えるものなのかどうなのかということはきちんと精査をいたしたいと思っておるところでございます。     ─────────────
  334. 浅尾慶一郎

    ○理事(浅尾慶一郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、牧野たかお君が委員辞任され、その補欠として長谷川大紋君が選任されました。     ─────────────
  335. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうすると、確認しますが、日本国内における再編に伴う様々な今後の建設の中でゴルフ場などの建設はあり得ると、こういうことなんですか。
  336. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 日本国内において、では新規に造るということがあり得るかと言えば、それはやっぱり抑制的に考えていくべきものだと思います。  リロケーションということで、返還の要求があってあるゴルフ場を返さねばならないと。そこは、しかしながら、返されることになるゴルフ場の代替的なものをリロケーションとしてどこか造るという形で負担をすることは今後もございます。
  337. 井上哲士

    ○井上哲士君 それは私は国民の理解は得られないと思いますね。  今、今回のこの思いやり予算の中でも改めてこうしたレジャー施設などの人件費も含めて厳しい批判の声があるわけで、リロケーションだから造るというのは、これは国民の理解は絶対に得られないと厳しく指摘をしておきたいと思うんですね。  それで、今回の協定の交渉における合意事項として、今後、より効率的で効果的な駐留経費とするための包括的な見直しを行うということで合意をしたということとされていますが、例えばこういう娯楽施設における人件費なども含めて当然見直されると思うんですが、政府としてはこの包括的な見直しで何を具体的に提起をされようとしているんでしょうか。
  338. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 日米協議の結果、日米政府は、新たな特別協定の有効期間中にこの在日米軍駐留経費負担をより効率的、効果的なものとするために包括的な見直しを行うということで一致しておるわけでございます。  この見直しのやり方につきましては、例えばどういうやり方をするかとかいつ始めるかということにつきましては今後米側と相談していくことになりますけれども、この見直しの対象は、特別協定上の措置、それから、それに限らず、特別協定の枠外の労務費であるとか今話題になっておったFIP、提供施設整備費も含まれ得ると思います。その他在日米軍駐留経費の負担に伴う様々な制度上の問題につきましても、そのあるべき姿などについて率直に米側協議していきたいと考えています。
  339. 井上哲士

    ○井上哲士君 今回も百億削減とか言われながら結局はそうならなかったわけでありまして、私は、日本国民の税金でありますから、厳しくこれは見直しを求めたいと思います。  次に、グアム移転にかかわってお聞きいたします。  二十日付けの沖縄タイムスに、「海兵隊一部ハワイ移転か」と、こういう記事が掲載をされました。アメリカの下院軍事委員会のニール・アバークロンビー航空・地上軍小委員会委員長がネット上で公表されたということでありますが、グアム移転が決まっている在沖米海兵隊の第三海兵師団、それから第一二海兵連隊の両司令部のアメリカ・ハワイ州移設をアメリカ海軍省が希望していると、こういうことでありますが、この二つの部隊は沖縄から移転するとしていた八千人のうち一体何人を占めるんでしょうか。
  340. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  報道については承知しておりますけれども、米国政府が、報道にあるような在沖米海兵隊の一部、すなわち第三海兵師団と第一二海兵連隊の司令部や訓練場などでございますけれども、それを米ハワイ州の海兵隊基地に移転する方向検討していると、そういった事実は私どもとしては承知をしておりません。  いずれにいたしましても、二〇〇六年五月に合意しましたロードマップにおきましては、グアムに移転する部隊は第三海兵機動展開部隊の指揮部隊、第三海兵師団司令部、第三海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、それから第一海兵航空団司令部及び第一二海兵連隊司令部を含むというふうに記述をされております。私どもとしては、こういった考え方が米側においてもロードマップに従って移転の問題について着実に進められていくものというふうに考えております。
  341. 井上哲士

    ○井上哲士君 昨日の次官の会見でも、この件についてはアメリカと協議をしていないということでありました。  ただ、具体的に、この調査設計費約二十一億九千万円の予算を計上すると非常に具体的に言われておりまして、先ほど言った第三海兵師団の司令部機能や下士官宿舎、そして第一二海兵連隊の司令部施設などの、関する予算も計上されると、こうなっているわけですね。  今協議してないというのは昨日あったわけでありますが、この間の再編協議の中で、過去においてアメリカの海兵隊、在沖海兵隊をハワイに移すというような話というのはこれまで出てきたことがあったんでしょうか。いかがでしょうか。
  342. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  私どものこのロードマップの合意というのは、今までのいろんな議論がある中で整理をしたものでございますけれども、いずれにいたしましても、現在、日米間ではこのロードマップに従っていろんな協議を進めているという状況でございます。
  343. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、過去にハワイというようなことが協議の中で経過として出てきたのかどうかということをお聞きしているんです。
  344. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 個々の、個別の交渉の過程の細かいやり取りについて私一々すべてここで全部承知しているわけではございませんけれども、いろんな日米間のやり取りがこのグアムの問題に限らずいろいろあった中で、現在私どもが実行しようとしているのは日米間の合意、このロードマップに従ってそれを着実に進めていこうということでございます。  ただ、具体的な内容についてまだ細部まで確定しているわけではございませんので、そういったものを一つ一つきちっとしながら今、日米間で協議をしていると、そういう状況でございます。
  345. 井上哲士

    ○井上哲士君 防衛省はこのグアム移転費を日本も分担する理由として、アメリカは戦略上の観点から現状維持がベストと考えていたけれども、我が国としてアメリカに働きかけた結果今回の合意にこぎ着けたんだと、だから日本が負担するんだと、こういうことを言われてきたわけですね。  しかし、この記事の中でも、海兵隊は二十一世紀の太平洋での戦略的課題に対応する態勢を検討中だと、国防総省の最終決定は下されていないというアメリカ太平洋軍司令部の発言、そしてさらに、アメリカ海兵隊の戦闘展開・統合副司令官の発言として、これは米下院での発言でありますが、沖縄の海兵隊移設計画は未完成で、ハワイも組み込まれる等と発言をしているわけですね。  要するに、アメリカの軍事戦略からどこにやるかということを検討していて、その中でハワイもあり得るということをここで言っているわけですね。そうしますと、まさにアメリカの軍事戦略に沿って行われるものであって、日本がグアム移転費を分担する、最初私が防衛省の見解として述べたような、その理由はもう成り立たなくなるんじゃないですか。いかがでしょうか。
  346. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  アメリカのいろんな軍事戦略が日本の防衛関係してくるということも当然ございますでしょうし、また日本がアメリカとの関係でいろんなことを主張するにいたしましても、アメリカの全体の戦略の中でどうしてもいろんな議論があり得ると、つまり、日本側が望んだとおりにアメリカが戦略を考えてくれるわけではないと。私どもとしては、日本の安全保障をきちっとするためには、そういったアメリカの全体的な動き、今回の再編の流れでいえば、グローバル・ポスチャー・レビューでありますとか、そういったいろんな防衛構想、安全保障戦略を着実にとらえながら、私どもとして必要なものを日米間で交渉してやってきているということではないかというふうに考えております。  したがいまして、今回の、今報道を引用されましたけれども、具体的な兵力の移転計画というものは、グアムの基地の計画というのを御覧いただきましても、私どもの沖縄の海兵隊を移転する部分と全体としてグアムの基地の施設整備をする部分というのがございますので、そういった全体の流れの中で、日本政府の主張を通して2プラス2で合意して、それを今具体化をしていくフェーズにあると。その具体化のフェーズの中では、いろんな内容を精査していくと。私どもとしては、そのグアムならグアムの基地整備というものが、日本政府が沖縄の負担軽減と抑止力の維持と、その両方を両立するような形できちっと国会でも御説明しているような内容になるように交渉しながらきちっと進めていくということではないかというふうに考えております。
  347. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは二〇〇五年十月にアメリカ太平洋の海兵隊のグッドマン司令官が述べていますが、海兵隊が変革・再編の一環としてアジア太平洋地域で取り組んでいるのは、即応能力を向上させるため兵力と指揮統制能力を地域全体に分散配置することだと、こういうことも言っているわけですね。  私言いたいのは、要するに、アメリカは戦略上の観点から現状維持がベストと考えていたと、だから日本は負担するんだというのとはこういう言明は違うんじゃないかと、現状維持がベストと考えていないんじゃないかと、であれば日本が負担する理由はないじゃないかということを申し上げているんです。
  348. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 海兵隊のグアム移転につきましての移転経費を負担する理由につきましては、今まで国会で随分いろんな議論がなされておりますけれども、その中で申し上げておりますのは、やはり沖縄県民の県外移転というものの要望があり、どうやって沖縄県民の負担を早期に軽減を達成するかと。それは、日本全体の負担の軽減という観点にもつながるということでやっておりますので、そういう意味で、少なくともこの問題については日本政府として主体的に沖縄の負担軽減を考えた結果できた枠組みでございまして、アメリカ自身もそういったことを理解した上でこうした負担を要望し、そしてその中で全体の枠組みをつくったと。それがまさに日本の政治的な意思として、沖縄の負担軽減に向けての日米双方の決意を示すものであると。そしてまた、我が国としての応分の負担というものをするんだというのがこれまでの議論であったと。これはすべて今までも国会で議論がされている点だというふうに理解をしております。
  349. 井上哲士

    ○井上哲士君 防衛省が配られているグアムの移転のペーパーの日本が負担する理由のトップには、アメリカは戦略上の観点から現状維持がベストと考えていたと、しかし我が国としてアメリカに働きかけた結果今回の合意にこぎ着けたということを一番に書いてあるんですよ。しかし、先ほどから幾つか紹介しますように、アメリカは別に現状維持がベストと考えていたんじゃなくて、戦略的観点からこれやっているわけであって、私は今このことの御答弁を聞いていても、日本がこのグアムの移転費を負担をする理由というものの前提は成り立たないということを改めて指摘をしておきたいと思います。  次に、幾つか国内における米軍の優遇という問題についてお聞きをしてまいりますが、現在自動車登録をされているアメリカ兵の使用の車、いわゆるYナンバー車でありますが、その数、それからそのうち車庫証明が出されている自動車の数は幾らになるでしょうか。
  350. 松本和良

    政府参考人(松本和良君) 合衆国の軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の私有車両、先生おっしゃったYナンバーでございますけれども、平成十九年度末現在で十五の都道府県で登録がなされておりまして、総数は五万六千四百五十台でございます。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  その内訳につきましては現在調査中でございますけれども、各運輸支局などにおいて保管中の申請書類から引き出して、保管場所証明書、車庫証明の添付の有無についてすべて調査をする必要があるということでございまして、時間がちょっと掛かっております。本日御報告するに至っておりません。
  351. 井上哲士

    ○井上哲士君 かつてこのYナンバー車が全く車庫証明が出されていないということが国会でも問題になったわけでありますが、その後、今どういうふうな現状になっているでしょうか。
  352. 松本和良

    政府参考人(松本和良君) Yナンバーの車庫証明でございますけれども、平成十年の六月に警察庁、外務省協議の上で、Yナンバーの登録に当たりましては車庫証明の添付を求めるということにいたしましたが、在日米軍において一定の準備期間が必要であるため、その実施について日米間で協議がなされてまいりました。  平成十六年の七月二十日の日米合同委員会におきまして、保管場所が米軍施設区域の外にある車両、これらにつきましては登録申請の際に保管場所証明書、つまり車庫証明の添付を求める、こういう取扱いにすることについて合意に達しまして、同年九月から添付されております。
  353. 井上哲士

    ○井上哲士君 平成十年の国土交通省が出しています通達は、アメリカ合衆国の軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族であっても車庫法の適用を除外されるものではないと。よって、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私有車両の登録に当たっては、車庫証明書の提出がない場合にはこれを行わないことと、こういうふうにしているんですね。そして、今あったように、その時期については追って通知をするということになっています。  ですから、この通達では、基地の中と外というのは全く区別していないんですね。ところが、今ありましたように、基地内にある車については引き続き車庫証明の提出なしに車両登録がされているということになっておりますが、この基地内の車は引き続き免除になっている、この一体どこに法的根拠があるんでしょうか。これ、外務省ですかね、いかがでしょうか。
  354. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 今の御質問でございますが、保管場所が米軍施設区域の中にある場合の取扱いにつきましても、関係法令に沿った対応が実現するよう米側との協議に努めておるところでございまして、引き続きそのような努力を続けてまいりたいというふうに考えています。
  355. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは、つまり本来適用除外されないのに現実はされているという取扱いになっているわけですから、法に反する状態が引き続き放置されているわけですね。手数料を一台二千五百円といたしますと、五万六千台全体でいいますと一億四千万ぐらいになるわけですね。  具体的な取扱いについては、アメリカ合衆国軍隊において一定の準備期間が必要だということで、追って通知するといって十年たっているわけですね。にもかかわらず基地内については改善されていないと。これ、この間どういう対応をして、これからどうするのか、もう少し突っ込んでいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  356. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 繰り返しになるかもしれません、甚だ恐縮でございますが、保管場所が米軍の施設区域の中にある場合の取扱いにつきまして米側協議しておりますけれども、その詳細については、米側との関係もあり、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。  結論的に、現在までのところ米側との間で合意に至っておりませんけれども、引き続き、関係法令に沿った対応が実現するよう、引き続き米側との協議に努めてまいりたいと存じます。
  357. 井上哲士

    ○井上哲士君 ですから、通達が出されて十年たった、なお関係法令に沿わない対応が残されているということは私は大変重大だと思います。  次に、横須賀刑務所での米兵受刑者の優遇についてお聞きをいたします。  この問題は、九七年に我が党の緒方議員が質問をいたしまして、二〇〇二年に私も質問をいたしました。米兵受刑者は全部横須賀刑務所に集められておりまして、いろんな優遇がされている。一番の問題は、非常に食事が優遇をされているということなんですね。  最近の三月二十三日から三月二十九日までの横須賀刑務所におけるメニューをいただきました。例えば三月二十四日を言いますと、米軍関係受刑者は、朝食、フルーツ、スクランブルエッグ、ビーフパティ、フレンチトースト、シリアル。日本人受刑者は、サケフレーク缶、昆布つくだ煮、白菜漬け、みそ汁。昼、米兵は、スパゲッティ、ポテト、ボイルドキャロット、ビーツアンドオニオン。日本人受刑者は、うの花いり煮、チキンサラダ。夕方、夕食、米軍関係受刑者は、ビーフヌードルスープ、ペッパーステーキ、シーズンズキャベツ、スライストマト、パイナップル・アップサイドダウンケーキ。日本人受刑者は、混ぜ飯、煮浸し、豚汁、刻みショウガと、こういうふうになっているんですね。一週間通して見ましても、要するに、肉関係がきちっと米軍関係は出るという問題と、毎食デザートが、ないしはフルーツが付くと、それからお茶の代わりにコーヒーや牛乳が付くと、こういうふうになっているわけですね。これは、九七年に指摘して、私も二〇〇二年に指摘したけれども、いまだにこういうことが出ております。  この優遇というのは、一体どういう法的な根拠、協定上の根拠があるんでしょうか。
  358. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 米軍関係の受刑者に対する取扱いについてでございますが、刑事裁判管轄権に関する事項についての日米合同委員会合意がございまして、この中で、我が国の当局が米軍関係者を拘束した場合には、日米両国間の習慣等の相違に適当な考慮を払う旨定められておるところでございます。こうした合意を踏まえまして、横須賀刑務所におきましては、米軍関係者に対しては他の受刑者と一部異なる取扱いがなされているものと承知しております。  これは具体的に申し上げれば、今先生御指摘のメニューの件でございますけれども、補充食料として米軍から横須賀刑務所に定期的に届けられているといったものでございますけれども、現在、米側関係受刑者と日本人受刑者との間での処遇の違いについては、日米関係当局間で補充食料の改善につき協議を行っているものと承知いたしているところでございます。
  359. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは、補充食料の提供の方法やその量というのはどういうふうになっているんでしょうか。
  360. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) 今御指摘のありました米軍関係受刑者に対する補充食料でございますが、米軍から横須賀刑務所に対しまして定期的に現物による提供が行われております。  若干古い統計で恐縮でございますが、平成十七年四月から平成十八年三月まで、約一年の期間でございますが、総量として約十三トンというふうに把握をしております。
  361. 井上哲士

    ○井上哲士君 宗教によっても、豚肉が駄目だとか、食習慣は違うわけですから、それに合わせて献立などを配慮するのは当然だと思うんですね。しかし、この米兵への優遇というのはその言わば習慣の違いという範疇ではないんじゃないかと思うんですね。  アメリカ兵以外の外国人受刑者に対してこういう補充食料が許可をされたという例はあるんでしょうか。
  362. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) そのような例は承知しておりません。
  363. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうしますと、外務省に聞きますけれども、この横須賀刑務所での優遇というのは、地位協定で、まあ言わば外国人の習慣に配慮というふうに言われましたけれども、その外国人の習慣ではなくて米兵だけが優遇されている、するということに一体どういう根拠、理由があるんでしょうか。
  364. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) お答え申し上げたことと重なってまいりますが、合同委員会合意では、我が国当局が米軍関係者を拘束した場合には、日米両国の習慣等の相違に適当な考慮を払う旨定めておるところでございまして、米軍関係者であるから優遇せよということが書いてあるわけではございません。
  365. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは優遇じゃないですか、どう考えたって。それは詭弁ですよ。そして、要するに、同じアメリカ人が日本で罪を犯してもこんなことはないんです。米兵だけがやられているんですね。これ説明が付かないと思うんですね。  何か、じゃ法務省聞きますけれども米兵だけを優遇するということが矯正政策上何か意味があるんでしょうか。
  366. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) この補充食料の提供につきましては、この日米合同委員会合意ができた時代、いろいろな背景があったかと思います。  現在、我々の立場、考え方といたしましては、最終的に処遇の格差は是正されるべきであろうというふうに考えております。これは、それ以外にも幾つか横須賀刑務所であったわけでございますが、これまで米側と種々協議をいたしまして、これ以外のシャワーの問題でありますとかあるいは消灯時間の問題でありますとか、一つずつ解決をして努力をしてきたところでございます。  この提供食料の問題につきましても、我々の方で、従来我々が使っている食料、素材で、言わば米国人の食味にも合うような、そういった新しいメニューを考案をいたしまして米側にこれを提示すると同時に、試行として、朝食用、昼食用それから夕食用ということでやって、こういうことを積み重ねて交渉を継続していっているところでございます。
  367. 井上哲士

    ○井上哲士君 最初に指摘してから十年ということになるわけですが、今試行されているということを言われましたけれども、どこまで改善がされようとしているんでしょうか。
  368. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) 今申しましたように、補充食料の問題につきましては、平成十八年の十二月に横須賀刑務所の中にワーキンググループをつくりまして新しい献立等について議論をすると同時に、米側にも参加を求めて御説明をしてきたところであります。  先ほど申しましたように、新しいメニューを作って、これを今、試行を始めた段階でございます。
  369. 井上哲士

    ○井上哲士君 指摘から十年たっていて、余りにも私は遅いと思うんですね。  外務省としてはどういう対応をこの間されてきたんでしょうか。
  370. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) ただいま法務当局から御説明のあったところに尽きるわけでございまして、両当局間、つまり法務当局と米軍当局の間で協議をしていると。横須賀刑務所の食事提供の実情を説明するとともに、米側による補充食料によらないメニューの検討などを行っているものと承知しております。
  371. 井上哲士

    ○井上哲士君 私も法務委員会時代に刑務所を何度も視察しましたけど、食事というのは本当に大きな問題なのね、受刑者にとって。これがこういう差別があると。日本人受刑者というのは、お菓子やフルーツなんというのは滅多に出てこないんです。  結局この一番の規定には、米兵の受刑者が言わば基地に服務しているときと同じようなメニューやカロリーを保障するという発想になっているわけですね。私は、これでは、アメリカ兵が日本で犯罪を犯したって大したことじゃないと、こういう意識を生み出すことになっていると思います。早急に改善をしていただきたいと思いますが。  もう一つ、騒音訴訟についてもお聞きをしておきますが、これまで、米軍の航空機の騒音訴訟がありまして、各地で幾つもの裁判が闘われてきました。賠償金を支払を命じる判決も出されてきましたけれども防衛省にお聞きしますが、各判決によって命じられた損害賠償金の総額、そのうち日本政府が支払を行った金額、それからアメリカ側が支払を行った金額はどうなっているでしょうか。
  372. 中江公人

    政府参考人(中江公人君) お答えをいたします。  委員指摘の、米軍関連飛行場における航空機騒音訴訟におきまして、これまで八件の事件が確定をしております。  各判決で示された損害賠償額、遅延損害金を含めた金額でございますが、嘉手納基地の一次から三次につきまして約十五億四千百万円、嘉手納基地の遅延損害金請求事件につきまして約二億五千七百万円、厚木基地の一次につきまして約一億六千九百万円、厚木基地の二次につきまして約一億八千八百万円、同じく三次につきまして約五十一億七千八百万円、横田基地の一次、二次につきまして約一億六千二百万円、同じく三次につきまして約七億二千四百万円、同じく五次から七次につきまして約三十九億八千四百万円で、総額約百二十二億円というふうになっております。  これにつきまして、原告側に日本政府から支払った額でございますが、今申し上げました損害賠償額及び遅延損害金と同額の支払をそれぞれ原告側に対して行っております。  また、三点目の御質問の、この各判決で示された損害賠償額の中で米国政府が支払った額でございますが、現時点におきまして、米国政府から何らかの支払がなされたということはございません。
  373. 井上哲士

    ○井上哲士君 外務大臣にお聞きします。  地位協定はこの米軍の活動による損害の補償のルールを決めておりまして、にもかかわらず、今ありましたように、アメリカ側は補償金を払っておりません。  この点に関して、二〇〇六年の三月三日の政府答弁書は、地位協定に基づく分担の在り方については我が国の立場と合衆国の立場は異なっていると、こういうふうに述べているわけでありますが、そこで確認ですけど、日本政府としてはこれはアメリカも賠償金の一部を支払うべきだと、こういう見解だということでよろしいでしょうか。大臣大臣
  374. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) お答え申し上げます。  米軍機による騒音に係る訴訟に関する損害賠償金等の日米地位協定に基づく分担の在り方につきましては、政府としては米国政府損害賠償金等の分担を要請するとの立場協議を重ねてきております。
  375. 井上哲士

    ○井上哲士君 地位協定上は、アメリカが七五パー、日本が二五パーというふうになっておりますけれども、これが適用されるべきだということで交渉しているということでよろしいでしょうか。
  376. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 地位協定十八条五の規定はそのとおりでございます。  しかしながら、この問題についての米側との協議におきましては、日本側が提供した施設区域を利用した米軍機の飛行から発生する騒音問題に関する損害賠償について、日米地位協定上の分担の在り方がいかなるものであるのかという根本的な問題につきまして日米双方の立場が異なっており、なお妥結を見ておらない状況でございます。政府といたしましては、繰り返しになりますけれども日米地位協定に基づく分担の在り方についての立場の相違の問題の解決に向けまして引き続き努力をしてまいる所存でございます。
  377. 井上哲士

    ○井上哲士君 図書館に調査してもらいますと、アメリカはアメリカ本土でも軍用機騒音の損害賠償請求訴訟を起こされているんですね。オシアナ基地が二〇〇一年から二〇〇四年にかけて集団訴訟を起こしておりまして、二〇〇七年五月に司法省と海軍の間で、原告一世帯当たり五千ドル、総額約三千四百万ドルの補償を行う協定が結ばれておりまして、要するに米国内ではちゃんとこういう補償を行っているわけですね。  一方、日本では、幾つもの判決が出ているにもかかわらず、賠償金を一切支払っていないと。これは本当に長年爆音に苦しんできた周辺住民からは受け入れられ難いものだと思うんですが、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
  378. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 米軍機による騒音に係る訴訟の判決に基づき国が支払った損害賠償金等に関する日米地位協定に基づく分担の在り方につきましては、政府として米国政府損害賠償金等の分担を要請するとの立場協議を重ねてきているわけであります。  しかしながら、本件については、日本側が提供した施設区域を利用した米軍機の飛行から発生する騒音問題に関連する損害賠償について、日米地位協定上の分担の在り方がいかなるものであるのかという根本的な問題について日米双方の立場が異なっていることから、妥結を見ておりません。政府としては、日米地位協定に基づく分担の在り方についての立場の相違問題の解決に向け、引き続き努力をしてまいります。
  379. 井上哲士

    ○井上哲士君 この間、様々米兵による凶悪事件のあるたびに綱紀粛正や再発防止が言われるのに改善がないということを問題にしてまいりました。  今挙げましたように、車庫証明の問題でいえば事実上違法状態がまだ放置をされている、民事訴訟で賠償金命令を受けても払っていない、そして刑事裁判で有罪になって刑務所に入っても優遇がされていると。こういう状態であれば、日本国内の法律守らなくても大したことないと、日本国内で事件を起こしても大したことないという状況を私はつくっていると思うんですね。これはやっぱりいずれの問題も早急に解決をするべきだと思いますけれども外務大臣の決意、もう一度お聞きしたいと思います。
  380. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ゆっくり解決するよりは早く解決した方がいいという観点から我々は我々の立場米側と折衝を続けているところでありますが、基本的な立場が異なっているというのは、この問題について、要するに、アメリカ側からすれば、日本側が提供した施設区域を利用して普通の訓練をしているときに発生しちゃったものについて米側責任ではないのではないかという基本的な立場があります。我々はまたそれと違う立場がある。そういう中でその立場を乗り越えるのはそう簡単ではないということは御理解をいただきたいと、こう思います。  我々は我々の立場に立って折衝を続けていくと、こういうことでございます。
  381. 井上哲士

    ○井上哲士君 時間ですので終わりますが、まさに日本の法を守っても守らなくてもいいというような状況を放置しておくわけにはいかないと思います。  早急な解決を求めて、質問を終わります。
  382. 山内徳信

    ○山内徳信君 辺野古の新基地問題に入ります前に、私は、思いやり予算から出ておると言われております家賃だとか光熱水費の問題についてはずっと質問が続いておりまして、政府答弁も出たのかなと、出ておるというふうに受け取っておるんですが、基地の中に住んでおる米軍人と基地の外に住んでおる米軍人との間には明らかに、外に住んでおる人は自分で出しておるのかなとこう考えますと、米軍人がもらっている月給で家賃を払ったり光熱水費を払っていて、とても安月給では間に合わぬだろうというのが私の沖縄に住んでいての実感でございます。  それで、こういう貴重な時間の中で詰めていくのはちょっと控えまして、防衛省の方にお願いしたいのは、家賃だとか光熱水費がどういうふうに基地外の、基地の外の米軍人たちと関係があるのか。聞くところによると、電気料なんかをやはり取り扱う中間の業者がおるとかいうふうにも聞いております。これに関する過去五年ぐらいの取扱いの資料等々を是非まとめていただけたらと思っておりますが、担当、いらっしゃいますかね。
  383. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えさせていただきます。  資料等は、特に現時点で関係の資料は、先生が御要望されるような資料は持ち合わせておりませんけれども、先生の御質問というものが施設区域外に居住する米軍人に対しましてどのような補助制度があるのかという御疑問だと思います。  それに対してちょっと私どもの今まで調べましたところについてちょっと御説明させていただきますと、我が国におきまして、施設区域外の住宅に居住する米軍人等が得る住宅手当でありますとか光熱水料の手当を我が国としては一切負担しているわけではありませんので、我が政府といたしまして、どのような補助制度があるのかという点はなかなか御説明する立場にございません。  その上であえて申し上げますと、米側によりますれば、米軍施設区域外に居住する米軍人等に対して米軍は独自の基準を設けて光熱水料等を含めた住宅手当を支給しておりまして、地区別、階級、等級別に金額が設定され、その時々で調整を行っているというふうに承知しております。  なお、金額につきましては、アメリカの国防総省関連のウエブサイトによりますと、平成二十年四月十六日の基準では、沖縄について申し上げれば、帯同する家族がいる場合は階級に応じて、その家賃について上限が十六万から二十七万円となっており、単身の場合はその九〇%が上限となっているというふうに承知しているところでございます。
  384. 山内徳信

    ○山内徳信君 今お答えいただきましたのを中心にした、それに関する資料を是非後でお届けいただけますか。よろしゅうございますね。ここでの答弁はよろしゅうございます、もう。資料が欲しいというだけです。お願いします。  次に、例の少女暴行事件が起こりまして、告訴は取り下げたわけでございますが、それに関する私の質問に対しまして、外務大臣は、別の関係機関とも連絡を取り合って補償等については対応していきたいという趣旨のお言葉をいただいたというふうに私は記憶しておるんですが、この件の補償問題とかの取扱いは外務ですか防衛ですか、どっちで今やっていますか。
  385. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えします。  米軍人等に起因いたします損害賠償につきましては防衛省が担当しているところでございます。
  386. 山内徳信

    ○山内徳信君 取扱いは是非誠意を持って進めておいていただきたいと思います。  次に、辺野古の新基地の機能について質問をいたします。  私は、今回建設が計画されております辺野古の新基地は、普天間基地のヘリ部隊を移設するだけの機能だけではなく、将来的にもっと大きな様々な機能を持った基地として建設されるのではないかという疑念を持っております。防衛省は環境アセスの方法書の追加修正資料を出しておりますが、それに関連しての質問であります。  まず、防衛省が出しました資料の五ページに大型護岸についてという記載がございます。まず、軍港を建設することは考えていないと、こういうふうに表現されておりますが、岸壁の長さは何メートルぐらいでしょうか、お答えしてください。
  387. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  今先生御質問になりました普天間飛行場代替施設につきましては、現在、建設計画の詳細について日米間で協議を継続しているところでございまして、先ほど御指摘になりました方法書の追加・修正資料の五ページにおきまして記述しているところでございますけれども、具体的に長さが幾らになるのかというようなことについてはお答えできる段階にはございません。
  388. 山内徳信

    ○山内徳信君 それは、今は答弁できないという答弁でございますね。  大浦湾の水深、深さを防衛省は測定していらっしゃいますか。しておる、していないでいいですよ。私も深入りはしません。どうぞ。
  389. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 今、具体的に大浦湾の深さというようなことでございましたけれども、いろいろ普天間の飛行場の代替施設建設に関しましては、いろんな基礎データというようなものは当然把握した上でいろんな検討を行っているところでございますけれども、先ほどの答弁繰り返しになりますけれども、建設計画の詳細については日米間で協議を継続しているところでございまして、岩壁を設けるか否か等も含めまして現在のところではお答えできる状況にはございません。  ただ、いろんな基礎的なデータというのは、いろんな検討に当たって当然頭の中に入っている部分はあろうかと思います。
  390. 山内徳信

    ○山内徳信君 北カリフォルニア連邦地裁のジュゴン裁判に米国防総省が出した書類に、米軍再編合意が発表される直前の二〇〇六年四月の日米協議の資料がございます。その中に、アメリカ側は二〇〇一年の会議で二百十四メートルの岸壁が必要だということを確認したということがございまして、アメリカ側はそれを主張しておると、こういうふうに考えるわけでございます。  まず、アメリカ側から日米協議でそのような要求があったのかどうか、事実関係だけ聞いておきたいと思います。
  391. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) 今先生が御指摘になりましたような、二百十四メートルの大型護岸建設の必要性についての資料については承知をしておりますけれども、普天間飛行場代替施設に関する日米協議につきましては、米側からの要求も含めてその逐一について具体的にお答えすることは差し控えたいというふうに考えております。
  392. 山内徳信

    ○山内徳信君 今までの答弁は全部、明快な答弁はできないというふうにおっしゃっていますね。こういう体質では困りますよ。  進めていきます。  アメリカ側はやはり二百十四メートルの岸壁を要求をしておるわけです。それに対して今答えられないとおっしゃっておりますが、そういうアメリカ側の要求に日本政府はどういうやり取り、あるいは回答をされていらっしゃいますか。
  393. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  方法書の中でも明らかにさしていただいておりますけれども、私どもとしては、いずれにいたしましても、その代替施設の基地機能を最低限維持するためにどのような施設が必要かという観点から、米側の話も聞いて検討していくということが基本でございます。  同時に、兵員や物資の恒常的な積卸しを行うような軍港としての機能を有するようなものを建設する予定、これはないということも、これも今まで国会で申し上げてきているところでございます。
  394. 山内徳信

    ○山内徳信君 この二百十四メートルという岸壁の長さは、佐世保を母港とする輸送揚陸艦ジュノー、これの長さは百七十三・七メートルございますが、こういう輸送揚陸艦が接岸できる長さになるわけであります。私は、新基地がそのような軍港機能を持つことを懸念しているわけであります。そのままアメリカの要求に押し切られていきますと、いずれ原子力潜水艦だとか原子力空母とか今申し上げました揚陸艦が接岸することはないかどうか。そういうことはないという保証が、防衛省としては断言できますか。このことは大臣にお伺いしておきましょう。
  395. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 局長からるる答弁申し上げておりますが、この代替施設におきまして兵員でありますとか物資、それを恒常的に積み卸すという意味で、つまり、これが軍港だというきちっとした定義があるわけじゃございませんが、私どもとして兵員、物資の恒常的な積卸しを行うような港、恒常的というところにアクセントがあるのでございますが、そういうような機能を有するようなものを建設する予定はございません。  ただ、新しい代替施設におきまして、例えばヘリコプターが壊れちゃいましたとか、そういう場合におきましては、やはりそれは船舶を使って輸送する必要があるんじゃないんだろうかというふうに通常考えられるわけでございまして、そうしますと、その代替施設の機能を維持をするためにどういう施設が必要かということはやはり検討していかねばならぬことだと思います。それが恒常的に、おっしゃるような、ましてや原子力航空母艦でありますとか原子力潜水艦ということになりますと、原子力に必要な施設というものもまた別途必要になってくるわけでございまして、それが先生御指摘のような軍港になるということは考えておらないところでございます。
  396. 山内徳信

    ○山内徳信君 岸壁の利用について、「今後、米側の所要も踏まえて検討」すると書かれておりますが、具体的に米側の所要とは何の意味ですか、どういうことですか、お伺いします。
  397. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  先ほど来申し上げておりますように、代替施設の基地機能を最低限維持するためにどのような施設が必要かというのが基本的な観点になります。  それで、現在考えられるものといたしましては、先ほど大臣からも答弁させていただきましたけれども、ヘリコプター等が故障した場合があるわけでございまして、そういう場合に船舶を使用して輸送を実施する、それによって故障を何とかするというふうな対応が考えられるわけでございまして、今後とも、具体的に米側協議をしていって、その中で本当に代替施設として必要なものかどうかというのをきちっと検討させていただきたいというふうに考えております。
  398. 山内徳信

    ○山内徳信君 日本はアメリカに引っ掛けられてというお話がさっきございました。私はどうもそういうふうな感じがしてなりません。その犠牲は沖縄に押し付けられておるような私の予感でございます。  今大臣もおっしゃいましたとおり、恒常的に兵員や物資の積み卸しを機能とするようないわゆる軍港を建設することは考えていませんというふうに書かれております。大臣が言われたとおりであります。  ところが、私の懸念は、将来にわたっても大臣が言われたようなことが保証されるというふうに私は受け止めてよろしゅうございますね。
  399. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、代替施設が機能するために必要なものは造りますと。それを超えるようなものがありとせば、それはよほど、よほど軍事環境が変わって、そこにおいてそのようなものがなければ日米安全保障条約の目的が達成できないというような、そういう状況が肯定的の反対で否定的に変化したとするならば、そういうことは全くないということを私は申し上げることは、そこまで断言することは難しいだろうと思います。  しかしながら、現状においてそういう必要性もございませんし、今こうして沖縄選出の、そして国民の代表たる先生と私どもでこういうふうな議論をやり取りをしておるわけであって、それがもし本当にそういうような状況が来た場合に、そこはよく御理解をいただくことが必要なんだろうと思います。ですから、私はその可能性を示唆したとかそういうようなことを申し上げているわけではなくて、現状においてそういうことは考えられないということは私ども責任を持って申し上げておかねばならないことだと思っております。  全く、全くないというふうに断言することは私にはできません。しかし、現状においてそういうことは考えられないということを申し上げておるところでございます。
  400. 山内徳信

    ○山内徳信君 現状においては考えられない、しかし将来は何とも言えないと、非常に不安な今答弁になっておるわけでございますが、沖縄側としては、将来にわたっても、現在大臣が考えていらっしゃるように、普天間基地の代替施設というのが大前提でございますから、普天間にはそういう岸壁もございません。二百メーター以上の港や岸壁や軍港もございませんことを頭に入れておいていただきたいと思います。  次に、航空機の洗機場についての質問に移ります。  国防総省の資料に洗機場の記述があります。その中で、日本政府は二か所の洗機場を提案いたしました。アメリカ側は、一度に三機洗浄できる洗機場が必要だということを要求しております。この度のアセス追加資料、修正資料を見ますと、三か所になっております。これはアメリカの要求が通ったということであるわけです。そういうふうに考えてよろしゅうございますね。日本は二か所、アメリカは三か所最初から要求していたわけですが、三か所、今回の修正資料には記載されております。担当、お答えしてください。
  401. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えさせていただきます。  普天間飛行場代替施設に係ります建設計画については、現在もその詳細について日米間で協議中であります。洗機場の配置につきましては代替施設内に三か所設置する方向で現在調整しているところでございます。日米協議やり取りのその逐一につきましては、具体的にお答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。
  402. 山内徳信

    ○山内徳信君 これは単に二か所か三か所かという問題ではありません。洗機場は多くの水や薬品を使います。洗浄水による環境汚染が非常に心配されるわけであります。ですから、二が三になるのは、それだけでも汚染源が増えるわけであります。重大な問題だと受け止めております。  そこで質問いたしますが、ただでさえ水不足の沖縄で三機同時に使用する洗機場の水の供給についてどういう計画をお持ちですか。
  403. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) お尋ねの洗機場でございますけれども、これ御承知のように、海水による航空機のさびを防ぐため航空機を洗浄する施設でございますけれども、こういった施設の規模等につきましては米側協議中でございまして、今後、米軍の所要、基準、それから関係国内法令等に基づき検討していくことといたしております。したがいまして、現時点では使用量などにつきましてはまだ確定しているわけではございません。
  404. 山内徳信

    ○山内徳信君 嘉手納飛行場からの汚染につきまして、嘉手納町内の特に屋良地域の井戸は全部ガソリンが出てまいりました。燃える井戸というふうに言われたあの汚染の実態がございます。したがいまして、この洗機場をただアメリカが三つ欲しい、三つ欲しいと言うからといって、そういうのをそうですかというふうに受け入れてはこれは大変でございます。沖縄の海は汚染されていきます。  この洗浄後の汚染水の成分、有毒性、汚染度について政府としてどういう認識をお持ちですか、お答えください。
  405. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 先ほどもお答え申し上げさせていただきましたように、細部につきましては今後米側協議をしていくことになるわけでございますけれども、一般的に申し上げますと、洗機をいたしますわけでございますから、その排水につきましては、航空機に付着をした海水とか、それからほこりとか油分、それから洗機に用いる洗剤等が含有されることになるだろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、そういった排水の処理につきましては、環境への影響を十分勘案させていただきまして、排水処理施設を設ける等万全の対策を取らせていただきたいと思っておるところでございます。
  406. 山内徳信

    ○山内徳信君 釈迦に説法になりますが、水俣病の大きな教訓が日本国民にはございます。そういうふうな事態が起こるようなことがあっては大変でございます。  この汚染水がそのまま海に流された場合の魚介類や環境への影響が大きく、県民の反発が予想されるが、そのことについてどのように受け止めていらっしゃいますか。
  407. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) いずれにいたしましても、直接そういった汚染された水が海の中へ流れるとかそういうことではなくて、きちっと排水の処理の施設等を考えていきたいと思っております。
  408. 山内徳信

    ○山内徳信君 あの一帯の昔真っ白い砂浜であったところ、そしてかつて石川で漁業に従事していた人々が、あるいは金武とかあるいは更に宜野座、久志、今の名護市です、そこで東海岸で漁をしていた人々が全部今国頭辺りまで追いやられております。それはなぜか。海の汚染ですね、海の汚染。  ですから、これは先週も大臣に申し上げておいたんですが、キャンプ・ハンセンのあの実弾射撃演習、そして山火事、地肌をむき出しにして雨が降ったら赤水が全部海に流れていくと、そのお話を申し上げておいたんですが、今のような沈砂池みたいなのを造ってとか、こういうふうなもので抑え込めるようなそういう規模のものでないということを御承知おきいただきたいと思います。  さて、次は、新基地建設面積は二百十ヘクタールと言われております。陸域を切り盛りし、あるいは海域を埋め立てて造る新しい飛行場でございますから、飛行場計画でございますから、これは普天間の代替基地と、代替施設ですよと、こういうふうにはならぬような気がします。全く機能も性格も異なる恐ろしい基地の印象を私は率直に受けております。  そういう立場から、次は埋立て用の土砂及び海砂についての質問でございます。  土砂の採取は、辺野古ダム周辺から二百万立米、事業区域の陸上部の整地によって二百万立米、沖縄周辺海域及び県外から千七百万立米、合計で二千百万立米を調達する計画になっております。これは想像を絶する量であります。二千百万立米とはどれくらいの量かお分かりですか。比重を二・五としますと、十トンダンプカーで五百二十五万台分になります。そういうものがあの狭い沖縄のあのかいわいで運び込む、あるいは船で海上から運び込むと。そして、その工事中に台風もやってくる、大雨もある。したがいまして、北風のときには知念半島まで真っ赤に汚れた海水が流れますでしょう。南風の場合にはそのまま辺戸岬まで汚染が進んでいきます。私はそういう実態を、米軍が嘉手納弾薬庫を造って、比謝川、長田川に真っ赤な赤水が流れて、北風のときには北谷の西海岸まで、南風の場合には残波岬まで真っ赤に汚染されていったんです。そういう実態があるかないかは、那覇の防衛省に問い合わせばすぐ分かることであります。したがいまして、ただ事じゃありません、これは。まともに沖縄海域から採取されるならば甚大な環境破壊になることは明らかであります。業者からの購入という形を取るにしても、業者による採取先で新たな環境破壊が発生する可能性は大いに考えられます。  追加・修正資料を更に読んでいきますと、埋立て土砂発生区域における土砂の採取は環境影響評価の対象になると書かれております。しかし、業者による採取先はそういう対象にはなっていないと思いますが、それはいかがなものですか、お答えください。
  409. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 業者さんの場合でございますけれども、業者さんの行います土砂の採取等による環境の評価につきましては、業者さんが関係各種法令に基づきまして必要に応じて適切に措置されることになるというふうに認識をいたしております。
  410. 山内徳信

    ○山内徳信君 そのままそこに。  要するに、業者任せではなくして、事業主体である皆さんとしては環境アセスは入れないと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。
  411. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 先ほど申し上げましたように、業者さんから買う場合は一義的なそういった措置責任は業者さんにあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、埋立て土砂の購入に当たりましては業者さんの土砂の採取が環境関連法令を始めとする各種法令に適合しているかどうか、また環境への影響に十分配慮されているか、そういうことは当然確認をさせていただきたいと思っておりまして、環境へ著しい影響がないように私どもとしても慎重に実施をしていきたいと思っておるところでございます。
  412. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は十九日の土曜日、辺野古ダム周辺を視察をしてまいりました。辺野古岳とそのすそ野の一帯を地元の人に案内してもらい、現場を調査してきました。世界の自然の宝庫とも言うべき非常に自然の豊かな場所であることを、向こうへ行きまして改めて実感いたしました。  辺野古ダムは県民への飲料水が供給されている、そういうダムであります。ダム周辺の七十ヘクタールの樹木を伐採し、土砂を削り取り、二百万立米の土砂を取ることは重大な環境破壊になります。追加資料にも、この区域が水源涵養林としての機能がある、こういうふうに記載されております。そのことは間違いありませんか、こういう記載になっていること。
  413. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 御指摘のように、埋立て土砂量二千百万立米の計画のうち、辺野古ダム周辺の埋立て土砂発生地区からおおむね二百万立米を調達する計画とさせていただいております。おっしゃるとおりでございます。
  414. 山内徳信

    ○山内徳信君 いや、それを聞いておるんじゃない。この区域が水源涵養林として機能しておると皆さんの方法書には書かれておりますが、それは間違いないかと聞いておるんです。
  415. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) おっしゃるとおりでございます。
  416. 山内徳信

    ○山内徳信君 はい、分かりました。  なぜこの場所を、いわゆるダムのあるところ、現に住民が水を飲んでいるそのダムのあるところを土砂の採取の場所に選定したのですか、お答えください。
  417. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 私ども、必要とする土量のすべてを海上から搬入する購入土砂とした場合には、土砂の調達が土砂の供給者の方々の事情や海象条件に左右されるということになりますので、最低限事業者として必要な量の土砂、これを必要な時期に確実、安定的に調達するため、事業実施区域の近傍にあって一般の交通にできるだけ影響を与えない辺野古ダム周辺の埋立て土砂発生区域から土砂約二百万立米を採取させていただきたいと考えているところでございます。
  418. 山内徳信

    ○山内徳信君 そのまま座っておいてください。  全部国の都合、国のいいように、海も陸も国ならば何でもやっていいという発想がそこにあるわけです。そういう発想が許せないというんです。  このダムは、やはり住民の飲料水です。周囲から土砂を採取すればダムは汚染されます。地元ではこのダムの埋立てもあるとうわさされておりますが、そのことは事実かどうか、おっしゃってください。
  419. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 御指摘の辺野古ダム周辺でございますが、辺野古ダムにつきましては埋立ては考えてございません。考えておりません。
  420. 山内徳信

    ○山内徳信君 皆さんが沖縄県に出した資料を見ますと、図になっていますね。ダムが真ん中にあって、その周辺七十ヘクタールから樹木を切り倒して、土砂を掘り起こして、そして近くの予定地に運び込むと、こういうことになっておりますね。それがいかにダムを汚染させるか。させないという保証があるんですか、どうですか。
  421. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 恐縮でございます。  現在、先生御承知のように、環境影響評価の方法書に従いました調査を実施をさせていただいているところでございます。  辺野古ダムの周辺の埋立て土砂発生区域につきましても、現在行っております調査により得られたデータを踏まえまして、今後、沖縄県等とよく調整をさせていただきながら、環境評価手続を適切に進めまして、適切な環境保全措置検討を行わして事業を進めさせていただきたいと考えておるところでございます。
  422. 山内徳信

    ○山内徳信君 申し上げておきますが、沖縄県民、本島におる中南部の人々の水がめと言われておるのが北部のダム群であります。その一つになるわけです。そういう人間が生きていくための飲料水の場所まで手も入れ足も入れるんですか、あんた方は。
  423. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 先生のそういった御懸念を十分踏まえまして、そういうことのないように十分環境保全には配慮しながら事業を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  424. 山内徳信

    ○山内徳信君 よろしくお願いされません。私は、この七十ヘクタールの場所をすべて削り取ってしまうこと自身が重大な環境破壊になると思っております。  そして、皆さんの資料によると、環境への影響をできる限り低減すると書かれておりますが、できる限りでは県民としては困るわけであります。今や政府自身が環境破壊者に成り下がっておるという言い方は余りにも言い過ぎでしょうか。局長
  425. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 恐縮でございますが、今まで私どもは私ども立場を申し上げさせていただいたのでございますので、そういうことで御理解をいただければと思いますが。
  426. 山内徳信

    ○山内徳信君 これは無理な計画がいっぱいあるんです、無理な計画。アメリカ軍、アメリカ・ペンタゴンに押し付けられた計画ありますよ。そういう指摘をしておきます。  次は、是非大臣の心の声を聞きたいと思います。  北海道では、地球温暖化防止、自然環境を守るための洞爺湖サミットの国際会議がいよいよ迫ってまいります。南の沖縄では日米が一体になって沖縄を食い物にしている、これも言い過ぎでしょうか。基地を造るため、森林を伐採し、山を削り、ダムを埋め、想像を絶するほどの膨大な海砂を採取するという無謀な計画です。これこそ、国家の名において、自然破壊、環境破壊であります。人々の生活破壊であります。かけがえのない自然環境、生活環境の破壊は罪悪であり、許されるものではありません。大臣の人間としての心の声をこの場で聞かせてください。
  427. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 普天間基地の危険性を除去しなければならない、一日でも一刻でも早く除去しなければいけないという要請があって、これは日本国政府としてもそのとおりだというふうに思っております。  地政学的にと言うとまた委員のおしかりをいただきますが、どこへ持っていくのかというのを考えた場合に、そして同時に、受け入れてもよいという苦渋の、まさしく苦渋のぎりぎりの決断をしてくださったという地域が名護周辺であったということ。そして、いろんな工法というものを考えてみたときに、この沿岸案というものを、浅瀬案でもなく陸上案でもなく沿岸案というものを取ることになったということ。そして、実際にそれを早くやらなければいけない。全部外国から、あるいは九州あるいは四国、本州でもいいのですが、そこから持ってくるということになった場合のその困難性、コストでありますとかあるいはそれに掛かる時間でありますとか、そういうものを全部考え合わせてみたときにこういうようなものになったのだというふうに私は認識をいたしております。  他方で、これも委員に先般お答えしましたが、私もあそこの地に立ってみて、この地域の自然をどれだけ壊さないようにするか。そして、沖縄の方々の、私は、食い物にしてという委員の御発言、それは沖縄で首長を長く務められた委員の御発言ですからそれは私がそれについて異を唱える立場ではないのかもしれませんが、少なくとも政府として、アメリカと一緒に沖縄を食い物にしてきたというような意識は私にはございません。  沖縄の方々の犠牲というものをどれだけ最小限にしていくかということは、それは日本政府として最大限配慮しなければならないものだと思っております。
  428. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、苦渋の選択とおっしゃいました。しかし、名護のお二人の首長の名前を前に出してあります。今回、沖縄県知事は、普天間飛行場の三年以内の危険除去を政府求めておるわけです。宜野湾市長の伊波市長は現地の市長として、余りにも危険なこの飛行場をやはり国の計画どおりは待てないと、だから海外に移してくれと言っているわけです。そして、先ほど、アバー・クロンビー、ハワイ出身のアメリカの下院議員、私は一度、読谷にお迎えしたことあります。そして、沖縄の基地問題についても訴えたんですが、そういうふうに、アメリカにおいても、やはりグアムじゃなくしてハワイにというふうな、そんな報道が二、三日前から出ておるわけですね。そういうふうに、この問題は日米においても非常に揺れております。  そういうふうな状況をまず申し上げまして、私の持ち時間もあと十分ぐらいしかございませんから次に進めてまいりますが、国の計画書を見ますと、新しい基地に配備される機種はCH53、CH46、UH1、AH1、こういうものが記載をされておるわけです。ところが、アメリカにおいてはやはり次の代替機種として、オスプレーMV22の配備が進行しておることは御承知のとおりでございます。なぜこの計画書の中にオスプレーというものが出てこないのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
  429. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  オスプレーの沖縄への配備の問題につきましては、先生御指摘のようにいろんな形で出ておりますけれども、私どもとして米側に対して外交ルートにより確認をしているところでございますけれども、従来から具体的に決まっていないという回答を得ているところでございまして、その状況は現在も変わっておりません。
  430. 山内徳信

    ○山内徳信君 これは日米双方の新しい基地ができるまでは伏せておこうと、そういうふうないわゆる水面下に伏せられた、そういうことはありませんか。
  431. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  この点につきましては、これまでも国会におきまして、CH46でありますとかCH53でありますとか、現在普天間で配備されているようなヘリコプターの後継機はどうなるんだというような御指摘がございまして、そのオスプレーがこのCH46やCH53の後継機と位置付けられているというような議論はこれまでも国会でございます。しかし、しからば今回の時点でそのオスプレーが具体的に沖縄に配備されるかということについては具体的に決まっていないということでございますので、そういった状態を反映した説明を行っているということでございます。
  432. 山内徳信

    ○山内徳信君 このことについて外交交渉に当たる外務大臣にも確認をしておきたいと思います。  これから先も将来にわたってオスプレーの配備はあり得ないと、こういうふうに受け止めておいてよろしゅうございますか。──いや、大臣大臣がいいですよ、大臣ですよ。
  433. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 現在、米海兵隊が全世界に保有しているCH46及びCH53ヘリコプターがオスプレーに代替更新されていくという一般的な予定があるということはこれ事実だと思います。こういう文脈において将来オスプレーが沖縄に配備される可能性がないことはないということだと思います。ただ、一方、沖縄へのオスプレー配備については、累次米側に照会しておりますが、米側から現時点では具体的に決まっていないと、こういう説明を受けているところでございます。
  434. 山内徳信

    ○山内徳信君 外務大臣の今のお話は、直近での大臣の認識と受け止めておいてよろしゅうございますか。
  435. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 最近では今月になってから米側に照会しておりますが、現時点では具体的に決まっていないと説明を受けているところでございます。
  436. 山内徳信

    ○山内徳信君 このオスプレーについては沖縄県民は非常に危機感を持っています。大変危険な飛行機というふうに受け止めております。既に、これも釈迦に説法でございますが、アメリカにおいてはかなり事故を起こして多くのアメリカ兵が死亡しております。そして、爆音についても、在来の機種よりはるかに高爆音を出すと。  したがいまして、危険性の問題、爆音の問題、このオスプレーが万一配備されるようなことがあれば、皆さんの計画書にはオスプレーというものは全く出てこない、あるいは伏せられておるのかも分かりませんが、これは今行われております環境アセスや爆音コンターは意味を成さないということになってくるわけであります。後で配備するという事態が起こったときに、それは住民、国民をだましたということに結果的にはなるわけであります。  防衛大臣にも大変重要なことでございますから伺っておきたいと思いますが、やはりオスプレーは将来にわたっても新基地には配備されることはないと、こういうふうに責任あるお言葉をいただいておきたいと思います。──いや、書いたものじゃなくて、生の声がいいですよ。
  437. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いやいや、生です、生です。  まず、二点ほど申し上げておきたいと思います。  騒音についてどうかということでございますが、独自にオスプレーの騒音について当省として分析をしておるわけではございません。ただ、そのCH53との騒音を単純に比較したデータがあるとは承知をしておりませんが、オスプレーはC46よりは低いレベルであるというふうに、これまで収集できた暫定的なデータによれば、私どもそのような認識を持っております。CH46よりは低いと。じゃ、今度はアメリカの環境影響評価報告書においては、これは一九九九年十月ですが、オスプレーはC46よりもわずかに騒音が少ないと、こういうことになっておるわけでございます。そうしますと、オスプレーの騒音レベルはCH53よりは低いのではないだろうか。つまり、CH46とCH53を比べますとCH46はCH53よりも低いわけでございますので、オスプレーはCH53よりも低いと一般論としては考えられるということが一点。  それから、事故の多発ということでございます。確かに私ども、オスプレーが一九八九年三月に初飛行いたしましてから二〇〇五年九月に量産を決定しますまでの間、試験中に何度か、四回ですか、事故を起こしたというふうに承知をいたしております。しかしながら、最近に事故が起こったというふうには承知をいたしておりません。ですから、騒音においてもあるいは事故というものについても、やたらとうるさい、やたらと危険な飛行機だというような認識は私ども持っておらないところでございます。  他方、先ほど来局長お答えを申し上げておるとおり、いろんな外交ルートによって累次にわたり確認をしておりますが、オスプレーを沖縄に配備をするということについては、具体的にアメリカとして決めていないものでございます。  その二点、申し上げておきたいと思います。
  438. 山内徳信

    ○山内徳信君 低いが、この計画書には記載されていない。そして、アメリカからも次期機種として入れておけとも言ってこない。しかし、これはおかしいですよね。おかしい。これはやはり秘密がありますよ。いや、そのことを少し明らかにしておきましょう。  在日米軍の高官からは、オスプレーの日本配備が度々言及されております。そのことは皆さんもよく御承知と思います。二〇〇六年六月に、ジョセフ・ウェーバー四軍調整官がオスプレーを新基地で運用することを明言いたしました。もしその発言内容を資料として欲しいとおっしゃるんでしたら、私があしたお届けしても結構であります。だれか、地引さんでも取りに来てください。  政府は、米軍が何を言おうと、正式な外交ルートでない限り知らないの一点張りであります。今日もそういう印象を私は受けておりますが、いつまでも知らない、アメリカからも言ってこないというふうにこれは逃げては困るわけです。あるならばあると事実を知らす、そういうことをちゃんとやってもらわぬといかないと思います。  防衛大臣に最後にお伺いしたいのは、この四軍調整官の発言というのは、そうしますとこれはうそであるということなんですか。真実であるのかないのか、どういうふうに受け止められていらっしゃいますか。
  439. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ジョセフ・ウェーバーがそのように発言をしたということは私は新聞報道により承知をいたしております。また、このような報道を受け、私どもとして外務省より外交ルートを通じて確認を行ったものでございます。結果として、オスプレーの沖縄への配備については何ら具体的に決まっていないという回答を外務省が得たということでございます。  ですから、先生、今の時点で合衆国としてオスプレーを配備する予定がないといいますか、何ら具体的に決まってないという回答を得た、これは事実であって、まやかしでも何でもございませんで、配備する予定があるのに何ら具体的に決まってないというまやかしを言ったというようなものではございません。  実際にどの機種を配備するかということにつきましては、それは私どもとしてもいろいろと考えてみなければいかぬことだと思います。私もオスプレーについてそれなりの知識は持っておるつもりでございますが、それを沖縄に持ってこねばならないような状況なのかどうなのか、それは合衆国として考えることでございますけれども、私どもとしても当然関心は持っているところでございます。  しかしながら、いずれにしましても、現時点において何ら具体的に決まっていない、合衆国としてそれをスケジュールにのせておるわけではないということに何ら偽りはございません。
  440. 山内徳信

    ○山内徳信君 あと三分残っておりますから、質問を続けたいと思います。  この間の四月九日の第七回目の普天間飛行場の移設協議会の概要報告書を読ませていただきました。その中で大臣は、一日も早い普天間飛行場の移設に向けて努力したいということをおっしゃっております。そのお気持ちは分かるような気がいたしますが、一日も早いというその場合に、どういう時間帯、どういうスパンを大臣としてはお考えですか。
  441. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 一日も早くというのはまさしくその言葉のとおりでございまして、これがいろいろな理屈に基づいてこれによって一日も早くなるという、そういう深い含意で申し上げたものではございません。一日も早くというのは一日も早くという以外の何物でもないのでございます。
  442. 山内徳信

    ○山内徳信君 沖縄県知事は三年以内の閉鎖ということを公約にして知事選挙を勝ち抜いてこられたわけです。三年以内の閉鎖、そういうふうにして普天間基地の危険性の除去に当たりますというのが公約でございます。もう既に一年半経過しております。  そこで、防衛省のそういう危険性の除去については、具体的なそういう基地そのものを動かそうということよりも、何か技術的なことに終始をしておるように感じますが、それに間違いありませんか。
  443. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生、仲井眞知事は閉鎖ということではなくて閉鎖状態という言い方をされておられる。つまり、私は言葉の遊びをするつもりは全くないのですが、閉鎖して、クローズして今日からここはもう閉鎖ですよということではなくて、閉鎖状態の実現というようなことをおっしゃったと、私はそのように認識をしておるところでございます。  その上で、技術的なことに終始をしておるではないかというのは、とにかくどこかへ移さなければ閉鎖ということにならないわけでございますが、しかし、それでなければ今までと同じ状況が続くということでは駄目なんで、それをなるべく低減をして、閉鎖されたのと似たような、同じような状況を現出させねばならぬのではないかということになりますと、それは先生からは技術的というおしかりをいただくのかもしれませんが、そういうことを私どもとしては極力考えていくというのは当然のことでございます。  それはもう四つの内容でございまして、繰り返すことはいたしませんが、飛行経路に係る安全性の向上を図りたいということ、あるいはクリアゾーンの拡充を図りたい、飛行場灯火システムの向上を図りたい、あるいは管制要員の負担を軽減し、新システムを導入することによって飛行の安全の強化を図る、そういうことをやっております。  これ、技術的とおしかりをいただくかもしれませんが、そういうことを行うことによりまして知事のおっしゃった公約に少しでも近づけるように政府として努力をしておるところでございます。
  444. 山内徳信

    ○山内徳信君 時間ですから、終わります。
  445. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十七分散会