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2008-04-17 第169回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任         牧山ひろえ君     大久保潔重君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北澤 俊美君     理 事                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 藤田 幸久君                 佐藤 昭郎君                 山本 一太君     委 員                 大久保潔重君                 喜納 昌吉君                 佐藤 公治君                 徳永 久志君                 白  眞勲君                 柳田  稔君                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 木村  仁君                 小池 正勝君                 佐藤 正久君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        防衛大臣     石破  茂君    副大臣        外務大臣    木村  仁君        防衛大臣    江渡 聡徳君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君        防衛大臣政務官  秋元  司君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       猪俣 弘司君        外務大臣官房参        事官       石川 和秀君        外務省北米局長  西宮 伸一君        防衛大臣官房長  中江 公人君        防衛大臣官房衛        生監       外山 千也君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君        防衛省地方協力        局長       地引 良幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定第二十四条についての新たな特別の措置に関  する日本国アメリカ合衆国との間の協定の締  結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、牧山ひろえ君が委員を辞任され、その補欠として大久保潔重君が選任されました。     ─────────────
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房審議官猪俣弘司君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私は、民主党・新緑風会・国民新日本喜納昌吉です。  まず、在日米軍駐留経費、いわゆる思いやり予算について質問します。  まず外務大臣に、日本ドイツ韓国が一年間負担している思いやり予算に該当する金額の最新実績額を教えてください。外務大臣
  7. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) どなたが答弁するの。西宮北米局長
  8. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 我が国でございますけれども平成十九年度予算額では二千百七十三億円、本年度予算では二千八十三億円でございます。  各国比較についてはなかなか数字がそろわないのでございますけれども最新版アメリカ国防省報告書、これは二〇〇五年十一月に出ているものが最新版でございますが、二〇〇二年のデータということでございます。これは直接支援間接支援など必ずしも統計の取り方が定かでない部分がございますが、国防省の二〇〇二年の数字によりますと、我が国は四十四億一千百三十四万ドル、ドイツが十五億六千三百九十二万ドル、韓国が八億四千三百十一万ドルということになっております。  なお、これは直接支援間接支援という二つの概念を用いまして、その両方を足した合計の数字というふうに承知しております。
  9. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 日本負担が突出して多いのはなぜなのか、理由と根拠を少し明らかにしてください。
  10. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 各国負担を単純に比較するのはなかなか困難でございまして、今申し上げた米国防省数字の概算の仕方であるとか各経費の取り方、それが果たして同じような基準で比較できるものであるかという点については、私どもとしてコメントし得る立場にはございません。  したがいまして、今の米国防省の資料に基づいて算定、比較し得るようないろんな要素については私ども承知しておりませんが、他方、申し上げた報告書におきましては、いわゆる米軍駐留経費負担にとどまらず、例えばそれぞれの国の国防支出であるとか、それからそれぞれの国が出しておる多国間の平和支援活動への貢献の度合い、あるいはそれぞれの国の戦闘部隊能力であるとか輸送・補給部隊能力、それからODA、対外援助など、駐留米軍経費負担以外の点も含めましてアメリカ同盟国貢献を幅広い観点からまとめたものであります。  例えば、我が国及び米国及び同盟国を含む二十七か国で比較を行っているわけでございますけれども、先ほど申し上げた二〇〇二年の数字ではございますが、二十七か国中で国防支出の対GDP比では日本は二十六位、それから平和支援活動への貢献に係る人員負担指数というのは彼らが算定しているようでございますが二十位、戦闘部隊指数ということでは陸海空いずれも二十位台ということでございまして、なかなか、今申し上げたようなものを含めていろんな項目で順位は入れ替わっているというようなことでございまして、駐留米軍経費負担だけを抜き出してその多寡というものを論ずるというものはなかなか困難ではないかというふうに考えております。
  11. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いろんな理由はありましても、余りにも多いような感じがするんですけれどもね。  政府与党は、思いやり予算のうちの光熱水費などの特別協定分としての年間約千四百億円ですか、三年間負担する特別協定を四月三日、衆議院で可決をしたんですが、年間千四百億円というのはもっと削ることは可能ではないんでしょうかね。
  12. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 在日米軍駐留経費負担に係る新たな特別協定に関する協議において、米国は、これまでの日本側による在日米軍駐留経費支援を高く評価いたしました。それとともに、現在の安全保障環境において在日米軍の所要が高まっていること、米側財政事情国防予算の急増の関係も厳しいことなどの事情につき我が国理解を求めてまいりました。同時に、我が国の厳しい財政事情にも配慮し、在日米軍駐留経費に係る日本側負担現状維持を強く期待しておりました。また、幅広い議論の中で、非公式ながらも増額を求めるという段階もございました。  これに対し、政府といたしましては、在日米軍駐留経費負担日米安保体制の円滑かつ効果的な運用にとり重要な役割を果たしていること、及び厳しい財政事情の中で同経費負担についても節約合理化の必要があり、経費効率性について国民の支持を得る必要があること等を踏まえまして、負担軽減を求めて米国との鋭意協議を行ってまいりました。  日米閣僚レベルを含め双方の間で種々協議を重ね、ぎりぎりの交渉を行った結果、昨年十二月十二日、ようやく日米間での意見の一致を見ました。具体的には、前特別協定上限労働者数労務費については据え置き、訓練移転についても前特別協定負担の枠組みを維持する一方、光熱費につきましては、日本側負担平成十九年度予算水準から削減するとともに、米側がこれら経費の一層の節約に努めることになりました。  こうしたことから、政府としては日米双方の置かれている状況の下で適切な対応を行ってきたものと考えております。
  13. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 理由は分かりますけど、日米安保条約に基づく日米安保体制は、いつの間にかなし崩し的に日米同盟に変質しているというような感じがするんですね。中心的な目的が日本防衛ではなく米軍世界戦略自衛隊を巻き込むことに変わってしまっているならば、日本防衛のために定められた思いやり予算というのは当然減らすべきだと思いますが、見解を明らかにしてください。簡単で結構です。
  14. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 我が国在日米軍駐留経費負担我が国国民の税金で賄われております以上、それが効率的、効果的に用いられるべきは当然であると思います。ただ、一方、それはそれで当然といたしましても、米国我が国同盟国であり、米国としても多大な人的、財政的負担を行って米軍前方展開を維持しておりますし、また、いざ有事の場合には、米国青年たちに血を流してでも日本を守ってもらわなければならないという状況もございます。そういう意味で、日米安保体制はそうした在日米軍の一人一人のたゆまぬ努力によって支えられてきておるわけでございます。  また、今回の交渉においては、米側から同盟のコストを日本はもっと持つべきではないかという強い要請がある中で、日米ぎりぎり交渉の結果として今般の合意に達したとの経緯もあります。すなわち、あくまで日米間の負担のバランスという総体的な観点から日本側負担の規模を定めているものでありまして、在日米軍駐留経費について議論する際には、米側我が国の安全のために払っている大きな犠牲を、負担を含めた大きな構図を忘れてはならないと考えて対応しております。
  15. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 十分に交渉していると言っておりますけど、本当に交渉しているかというのは私は疑問がぬぐい去れないんですね。もしそのぐらい努力しているならば、逗子市内にある建設中の米軍住宅、一戸当たり七千八百万円掛かると言われています。しかし、過去の米軍住宅建設費が一戸平均四千八百万円であるのが最近明らかになったんですね。この差額は余りにも開き過ぎているんですけど、説明してください、十分な交渉をしているならば。
  16. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 喜納さん、どちらへ答弁させますか。
  17. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 今、外務省の……
  18. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 外務省の、はい。
  19. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 この三千万円の開きをよろしくお願いします。
  20. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 防衛省でもいいですか。
  21. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 はい、防衛省でもいいです。はい、どうぞ。
  22. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) 先生今御指摘の件につきましては、米軍池子住宅地区におけます家族住宅建設費について、大体一戸当たり七千八百万程度と高額だというお話だという理解でよろしいかと思います。その前提でちょっと御答弁させていただきます。  池子住宅地区及び海軍補助施設におけます家族住宅整備につきましては、神奈川県におけます米海軍家族住宅の不足の深刻化にかんがみまして、その解消に資するために昭和五十六年度から平成九年度にかけまして八百五十四戸の建設事業を行ったところであり、これらに要した予算額は総額約六百六十四億でございます。  この六百六十四億の内訳を見ますと、当該整備に先立ちまして、工事着手前文化財の有無について確認調査を実施する必要があることから、埋蔵文化財発掘調査に約五十一億円を要したほか、自然環境の保全を留意しながら山を切り開いての宅地造成既設構造物等撤去等のための敷地造成工事に約百三十五億円を要しており、これを除いた予算は四百七十八億円でございます。七千八百万と申しますのは、先ほども申しました、これらを含んだ六百六十四億円を八百五十四戸で割った数字だと思っております。  いずれにしても、池子住宅におきます平たん地に造られるその他の米軍住宅とは異なりまして、更に基礎の補強を特に要したため、上記四百七十億円にはこれらに係る予算も含まれておりまして、家族住宅一戸当たりの費用を比較した場合、必ずしも池子住宅が特に高額というふうには考えていない次第でございます。
  23. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 一戸建て三千万円の差があっても高額と思わないという考え方、こういう非常に国民が年金とか後期高齢者の問題とか医療の問題とかあるときに、本当にそう思うのか、ちょっと非常に疑いますね、私はね。  思いやり予算を減らすのは日米同盟米国情熱を失わせかねないというような論法が政府与党から起きていますね。それと逆に、沖縄海兵隊の一部のグアム移転費を八千億円も払えという米側がむちゃくちゃな要求をしてきたことは、日米同盟日本情熱を失わせる結果にも私はなると思うんですけれども外務大臣、ちょっとこの辺の、直接外務大臣で。
  24. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先ほど西宮局長からもお答え申し上げましたように、アメリカ並びアメリカ同盟国防衛費軍事費比較してみますと、日本は二十七か国中二十六位、最も低いわけであります。委員が御指摘の、駐留米軍経費は突出して日本が多いじゃないかと言いますが、その防衛費の中には突出して多い米軍駐留経費も含んだものが防衛費なんです。それが二十七か国中GDP比率で二十六位という非常に低い水準にとどまっている。防衛費というのは、自衛隊が使うものだけじゃなくて駐留軍経費を含んで防衛費、それが低い水準にとどまっておると。そういう中で、自衛隊存在そして日米安全保障条約存在があって抑止力を維持して、そしてずっと日本は平和と独立、安全を確保してきているわけでありますから、その中の一部分だけ取って高いじゃないか、低いじゃないかというんじゃなくて、防衛費全体で抑止力を維持しているということはよくお考えをいただきたいと、こういうふうに思うわけであります。  グアム移転経費については、まだ具体的に幾らということを決まったわけではございません。
  25. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私は、高村大臣は余り詭弁を弄しない方がいいと思うんですけれどもね。  やはりこれは、その駐留経費日本国防は別個のものであって、それを足して二十六位とかそういうのはちょっと、果たしてこの日本を憂う大臣かと、そういう疑問があります、私は。  去る四月三日、でも私は意外と大臣のことはいいなと思っているところがあるんですが、去る四月三日、民主、社民、国民新党日米地位協定改定案高村大臣提出に行ったとき、そのとき大臣は、沖縄本土の不平等は認めるし、これは改善しないといけないと思うと言ってくれたんですね。これは沖縄にとってとてもうれしいことを述べてくれたと思っております。しかし、英独伊など他国と米国地位協定日米地位協定で不平等と思わないと発言したんですね。  そこで大臣に質問していきたいと思うんですけれども、四月十四日、米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会要請団が官邸に訪れ、要請行動を行ったんですね。対応したのは大野官房副長官。要請団からは、総理イージス艦事故被害者家族には謝罪に行ったが、沖縄の少女には謝罪してはいないという、沖縄から総理謝罪を求めて会いに来たのに総理は会ってもくれない、沖縄日本国民ではないのか、政府沖縄に友好的なのか非友好的なのか分からなくなったという発言があったんですね。  これは非常に純粋な沖縄の人々の心を代表する発言だと思うんですね。外務大臣、この沖縄心情に対してどういうお考えですか。
  26. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 皆さんが外務省に私に会いに来ていただいたときに私が申し上げたのは、やはり沖縄が非常に厳しい状況に置かれていると、それについては是正をしていかなきゃいけないということを申し上げました。そういう中で沖縄方たちが大変いろいろな心情があると、そういうことも私はよく分かっているつもりでございます。  個々の言葉に対してこれがどうだああだと、こういうことを余り申し上げるのがいいのかどうか分かりませんけれども沖縄方たちが今本土に比べて大変基地との関係では厳しい状況に置かれている、そういうことはよく承知して、心情的にも理解しているつもりでございます。
  27. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 大臣はそのとき改善をするという言葉もあったもので、是非この辺努力してほしいと思っているんですね、私はね。ただ言葉だけではなくしてね。  今年は洞爺湖サミットが行われます。そのために参議院でも地球温暖化問題調査会を立ち上げ、環境への取組を私たち議論しております。昨日の温暖化調査会でもドイツ大使のハンス・ヨアヒム・デア氏は、今年は日本環境問題で世界ヒーローになるチャンスを与えられた年だと発言していたんですね。  政府の提唱する美しい星50の実現に向かう姿勢は本気ですか。どうです、本気ですか。政府の美しい星50の実現に向かう態度は本気ですか。
  28. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 本気であります。
  29. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 そうなると本当に私はヒーローになれると思うんですね。そうあるべきだと思っています。  私は、この勤勉な日本人の富と優秀な日本人の技術は、戦争のために使うんではなくして、地球を復活させていくという方向に持っていくべきだと思っているんですね。その辺から今日はいろんなことを質問したいと思っております。  政府米海兵隊の新しい大型基地建設しようとしている辺野古崎のすぐ沖には、世界最大級アオサンゴ群集があるんですね。基地建設工事が始まれば、この沖縄日本だけでなく世界にとっても極めて重要な大自然の財産であるアオサンゴ群集が悪影響を受け、破壊され、死滅するおそれが出てくるんですね。破壊すれば二度とは返らない大自然が、美しい大自然が消えてしまうんですね。私はそれは守るべきだと思うんですけど、沖縄防衛局は三月十八日から環境アセスメント、つまり環境影響調査を始めていますが、科学的に調査するつもりなのか、防衛大臣
  30. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 当然、環境アセスメントは科学的な手法にのっとって厳正に行われるものでございます。
  31. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 そのお言葉を信頼して、もし本気で科学的な調査をすれば、アオサンゴ群集だけではなく、これは生態系として全部つながっていますから、その他の海洋自然環境を守る意味からも基地建設をしない方がということが今あらゆる学者から言われているんですね。そのことを知れば、完全に科学的に明らかになるんです。防衛大臣、今のお言葉を、自分の言葉をかみしめながら答えてください。
  32. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 環境アセス手法につきましては、逐次、沖縄皆様方にも御説明をしておるところでございます。  私も辺野古には何度も立ち、そこの美しい自然というものに、その価値もよく承知をいたしておるつもりでございます。環境に与える負荷がどれだけ少ないかということをまずきちんと調査をした上でなければ次の議論にならないというふうに考えておりまして、まず今私どもが行いますことは、環境の与える負荷、それがどのようなものであるかということ、それは委員がおっしゃるように造らなければいいだろうというような、それは確かにそういうことも言えますでしょう。しかしながら、私どもとしてどのような形であれば一番少ないのかということを考えなければなりません。その前提として、きちんとしたアセスメントを行うということだと思っております。その結果が出る前からあれこれ予断を持って物を申し上げるのは必ずしも適切ではないと考えております。
  33. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 科学的に思考行動を起こすというようなことは、被害を少なくするという考え方が果たして科学的なのかどうか。最初から造ることありきということは非常に私は危険なような感じがするんですね。そういう体質は改めなくちゃいけない時期に来ておると私は思っているんですね。  抑止力維持沖縄基地負担軽減のためと言いながら、いつもオウムかインコのようなことを繰り返しているんですね、日本政府は。沖縄負担軽減をもし言うならば、辺野古大型基地建設せずに普天間基地をそのまま返した方がいいと私は思っているんですね。私は、やっぱり普天間基地と新しい辺野古大型基地を交換するのは真の軽減にはつながらないと私は思っています。よくこの時系列を見ても、普天間基地のような、本来は交換条件なかったという事実があるんですね、SACOのときでも。そういうもの、いつどこでゆがめて造らざるを得ないような方向に導いてきたのか、ちょっとこの辺、石破大臣
  34. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 経緯の詳細についてここで申し述べることはいかがかと思いますが、私は、普天間基地が持っている機能というもの、抑止力の中身の相当部分を成しておるわけでございまして、その機能をどこへ移すかということを考えましたときに、これは地政学的にと言うとおしかりをいただきますが、この沖縄の持つ地政学的な意味というものを考えましたときに、なかなかほかの地域に移すということは難しかろうということが一つ。もう一つは、普天間基地所属のヘリコプターでしたでしょうか、これが沖縄の大学の構内に墜落をしたと。この危険性除去というのは一刻も早く行わなければならない。一刻も早くこの危険性除去を行わねばならないということと、地政学的に見て沖縄の中で何とかお願いをできないか、その中でいろいろな苦難を経て、苦しい御決断を経て受入れを表明をしてくださった地域があの地域であったというようなことで、私はそういうような経緯であったというふうに承知をいたしております。
  35. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 沖縄が受け入れたということを申し上げていますけれども、私が知る限りは、沖縄県の人ってだましやすいんでしょうね、きっとね。そう思うよ、私はね。脅し、辺野古基地を持ってくるためにはもう訳の分からないやくざや右翼や、あるいは官僚も含めてそうなのか分からないですけれども沖縄の有権者の意識がねじ曲げられていくという、そういう流れの中で沖縄が受け入れたということ。  それから、普天間基地危険除去という言葉を述べることは、私は第一次世界大戦、第二次世界大戦を受けて、その戦争の古い延長の思考法ではないかという、地政学は何も戦争のためにあるんじゃないでしょう、これは。地政学というのは平和のためにあるはずだから、本来ならば。なぜそういう思考の転換ができないのか、石破さん、どうぞ答えてください。
  36. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員から、かぎ括弧を付ければ、だましやすい、かぎ括弧閉じというような御発言がございました。私どもとして、それは本当に沖縄で長年平和活動に携わってこられた委員のお気持ちを私がすべて理解しているというような僣越なことを申し上げるつもりはございません。しかしながら、私ども政府として、本当に沖縄の方々の御理解をいただけるように誠心誠意やっていかねばなりませんし、足らざるところ、行き過ぎのところがあれば率直に御指摘をいただきたいと思っております。間違っても居丈高に押し付けるような、そういうようなことがあるべきだと私は考えておりません。  地政学的にどうだというお話でございますが、私は、米軍にいたしましても私どもにいたしましても日米同盟にいたしましても日米安全保障体制にいたしてもそうですが、それは抑止力としてどのような意味を持つのかということだと考えております。その地域に展開をしているということがその地域の平和と安全に例えばどれぐらいの時間で到達をすることができるか、あるいは策源地からどれぐらい遠いかということを考えましたときに、なるべく安全なところ、かつ展開の速さというものが評価されるところということであって、私は地政学の持つ意味というのは今においても変わるところはないだろうと思っております。  他方、高速化でありますとか大量輸送を可能にするとか、そういうようなテクノロジーの進歩によってその中身が変わることは当然ございます。ですから、負担軽減抑止力の維持、これをいかにして、二律背反的に聞こえますが、これをいかにして両立させるかという知恵は本当に絞っていかねばならぬことだと思っております。
  37. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 だから、抑止力とか負担軽減というものは耳に聞こえはいいんですけれどもね。しかし、今の世界の情勢を見ると、中国やロシア、インド、パキスタンを含めてあの辺は上海同盟機構ができ上がっているし、それからイタリアにしても、何というのかな、地中海の構想ができ始めている、地中海のね。それから、イランだってペルシャ地域にかけてそういう流れが出てきているし、あらゆる中で非常に地球規模の中でそういう一つの流れが出てきている、これは。そういう一つのこの世界の変容の中で大きな日本の安全保障を考えるのもいいんですけれどもね。もうこの日米同盟という縛られた枠の中で答えを出そうというのは、非常にこれは私はもう古いんだと思うんですけれどもね。  私は、石破さん、大臣ね、もう抑止力というのは確かにこれは、よく軍事オタクと呼ばれていますよね、石破さんはね。これは僕の言葉ではないですよ、よくいろんなところでね。やはり僕はそれは非常にそういう者が陥ってしまう体質を持っているのではないかという。なぜかというと、ここもやっぱりこの一連の流れの中でも石破大臣が、何というのかな、防衛省改革にしてもあの八十八名の処分をしたというんですけれども、本質の処分をしてないんじゃないかという感じがするんですね。あの山田洋行の問題とか日本ミライズとかね。これだけ日本の財政圧迫している中で、もっと防衛省はこういうときは一兆円ぐらい削減すべきですよ、これは。PAC3なんか断るべきです、これは。なぜそのぐらい大胆な改革をできないのかね。まあまあこれは質問しません。愚痴に聞いておいてください、愚痴としてね。  それから、米海兵隊のハリアー戦闘爆撃機が、四月九日、沖縄久米島沖の鳥島射爆場の射爆訓練空域外の海上に二百五十キロ爆弾二発を投下した不祥事がありました。このような重大な出来事である中での沖縄防衛局の当初の発表は、投下した日が九日ではなく十日と発表しているんですね。投下した爆弾が実弾でなく模擬弾と言っているんですね。投下、投棄した海域が五・五キロの空域外ではなく二・七キロの空域外と言っているんですね。なぜこれほどゆがんだ報告をするんですか。どうぞ、防衛大臣
  38. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) お答えさせていただきます。  米側からのまず最初の情報によれば、四月九日水曜日に、十四時四十五分、米海兵隊所属のAV8ハリアー攻撃機が鳥島射爆撃場をターゲットに通常訓練中、五百ポンド航空機爆弾二発を鳥島射爆撃場提供水域外の海上に誤投下したとのことでございます。また、着弾ポイントにつきましては、鳥島の中央から二百四十度方向に六・三海里、約十二キロメートル、提供水域の端から三・三海里、約六キロメートル、北緯二十六度三十二分二十九・三秒、東経百二十六度四十三分九十二・七秒であります。また、現在までに被害の情報はございません。  その後、四月十日に防衛省外務省から、鳥島射爆撃場から一・五海里のところで二つの爆弾が落とされたとの情報提供を受け、また、沖縄防衛局に対しましても、在沖米海兵隊司令部訓練作戦部から、鳥島射撃場をターゲットとした通常訓練中、海兵隊のAV8ハリアー攻撃機が演習弾を二発投下し、発生日時は四月十日十四時四十五分、発生場所は提供水域の端から一・五海里離れた海上であるとの情報提供があったことから、現地関係機関にその旨を情報提供したわけでございます。  翌十一日、在沖海兵隊司令部外交政策部から沖縄防衛局に対しまして、昨日の情報に誤りがあるとして、改めて、発生日時は四月九日であったと、誤投下した爆弾は実弾である、着弾ポイントは島の中央から六・三海里、提供水域の端から三・三海里離れた海上であるとの修正の情報提供があったことから、更に現地関係機関に対しまして改めて修正情報を提供いたしました。  当初の情報内容が不正確であったこと、また情報提供が遅れたということにつきましては、米側における情報伝達の過程で起きたものと思われますが、結果として関係先に御迷惑を掛けたことについては大変申し訳ないことだと思っている次第でございます。
  39. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 訓練空域外ということは漁船がいてもおかしくないということですね、もしいたら大変なことになっていますから。だから、その意味では「あたご」事件と同じ問題の体質を含んでいると私は思うんですね。このような誤った情報を流すことは沖縄県民の人命軽視につながるんではないかと私は思っているんですね、さっきの総理が会ってくれないということと。  石破大臣沖縄は、沖縄民族というのは日本人だと思っていますか。
  40. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 当然そのように思っておりますというよりも、それが当然のことだという認識を持っております。
  41. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 国民ではあるんですけれども民族は違うという感覚を持っていますか、もしかすると。
  42. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 同じ国民だという認識でございます。  それは、民族のことについて私があれこれ申し上げられるような知識、見識を持っておりませんので不用意なお答えはいたしかねますが、私は、同じ日本国民として、同じ権利を持ち、同じ幸せを享受するのは当然のことだと認識しております。
  43. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 もし同じ日本国民であって日本民族であるならば、我々は法の下に平等であるべきであるはずなんです、これは。もし安全保障の名の下に沖縄が不条理なものを持たされているのならば、これは平等じゃないですよね。ただ地政学で片付けるんですか、石破大臣
  44. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 法の下の平等ということを実現しますときに、それはいろいろな、私は選挙区鳥取県でございますけれども、それは、じゃ東京と比べてどうだろうと思うようなこともそれはございます。  ただ、事が安全保障でございますから、沖縄に基地の専有面積の八割近くを負担をしていただいているというようなこと、それをどうやって除去をしていくかということに努めるのは政府の責任であるというふうに考えております。  私もこのことは長く携わっておりますが、どうすれば沖縄負担軽減できるか、それを地政学で片付けるつもりはないのです。ですから、先ほど申し上げましたように、どれだけテクノロジーの進歩によって減らすことができるかということと、もう一つ考えねばならぬのは、訓練の移転もそうでございます。ですから、この特別協定もそれにかかわることでございますが、どうやって本土でその負担を受け入れることができるか、分散することができるか、それは同じ日本国民として、本土に住まう者も、当然、日本国の平和と安全、独立と平和ということを考えますときに、本土の人間もそれを分担せねばならないという認識は強く持っております。
  45. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 その基地の分担と言えば聞こえはいいんですけれども、しかし、確かに、九五年少女暴行事件があったときに、沖縄の気持ちを理解しなくちゃいけないとかいって沖縄の基地の分担というのが叫ばれましたよね、基地の縮小とね。しかし、よくふたを開けて見ていくと、米軍再編に化けていたんじゃないですか、これは。基地の分担ではなくして米軍再編に化けていったんです、これは。だから、アメリカ軍の陸軍、軍司令部が座間に来るとか。要は、そういう事件さえもアメリカというのはうまく使いながら基地を広げていくというノウハウを持っているのか技術を持っているんですけれどもね。  私は、そういう流れの中で、あの八千億円に関しても沖縄の歴史感情がうまく利用されたな思っているんです、これは。日米地位協定で実際は外国に造るお金を払う必要はなかったんです、これは。それを払うというものは、だから、ある意味じゃ、それは基地の分担、沖縄のためと言いながら、実際は米軍再編の中の延長にあったということは、石破大臣、それは見抜けなければ防衛大臣の資格はありませんよ、これははっきり言うけど。もしそういうことを読み切れないならば、私はやはり今までの不祥事を合わせて辞めるべきだと思っているんですね、私は。どう思います。
  46. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 非常に広範な御質問でございますので簡単にお答えするのは難しいのですが、私は、アメリカの今の考え方というのは、なるべく外国に基地を置くことはやめようという考え方だと思っております。と同時に、ホームランドセキュリティー、すなわち、九・一一が起こりました後、どうやって合衆国の本土を守るかということ、そして、テクノロジーの進歩にもよりますが、なるべくあちらこちらの国に置くのはやめようという考え方、そういうようなものが主流になってきております。  ですから、委員おっしゃいますように、いろんな不幸な事件を奇貨としてという言葉が適当かどうか分かりませんが、それを使ってどんどん拡大をしてきたという御指摘には私は共感はしないものでございます。どうすればアメリカは、ですから、アメリカ兵にしても、自分の本土、本国を遠く離れて在勤するというのは相当に大変なことでございます。そして、彼らの支持も得られなければ合衆国の政権というのはあり得ないのであって、だとすれば、合衆国にしてもどうして海外展開を減らしていくかということ。  米軍再編というのは再編という言葉だけでとらえては駄目なのであって、それはトランスフォーメーションというものの中に軍事における革命というものがあり、そしてグローバル・ポスチャー・レビューというものが出てくる。米軍再編というのは単に米軍の覇権拡大とかそういうとらえ方をすべきではない。私どもは、本当にこの米軍再編がどういうようなコンセプトの下に行われているかということについて正確な認識を持つ必要があると私は思います。
  47. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 正確な認識を持つということならば、私は、元々日本米軍基地というのは後方支援だったはずなんですけど、そこからスタックポールという四軍司令官でしたかな、沖縄にいた、あの方が、多分十年ぐらい前だと思うんですけど、キャンプ・キンザーが返還されるときに海兵隊は全部極東から引き揚げると言ったんですね。あそこのキャンプ・キンザーは二年ぐらい前に返される話だったと、二年か三年くらい前にね。それは、兵たん基地が返されたときには、兵たん基地がなくなればこれは確実にそこにいることできないんですから、そこから出るということを十何年、十年ぐらい前に言っていたんです、これは。  ということは、この米軍再編はその前から計画されていたということでしょう、元々ね。それは何を意味するかというと、やはりアメリカの国際戦略の中には、唯一コントロールできない国は中国だけだと思います、今、コントロールできないものはね。そうであると、中国に対する一つの国際戦略上、僕はもう練っていると思うんです、これは、アメリカはね。そうなると、中国の、今は後方支援だと、日本の基地というのは。後方基地からだんだんと前方基地に展開されていくという。そうなると、これ逃げざるを得ぬですよ、海兵隊は。逃げるときにはなるべくお金も取って逃げたいというのがあるんじゃないですか、これは。それから、家族を持っている、家族から最初に逃がしたいという、そういう心理をちょっと見えるんですね、私はね。  そうなると、日本が単なる米国本土を守るための要塞の基地としてしか存在できないという構図になっていくんですけどね。だから、そこはやっぱり読んで、ひとつ石破大臣、今のことお話しなさっているのか、是非答えてください。
  48. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員の御主張を私正確に理解できているかどうかちょっと自信がございませんが、結局、日米安全保障体制というのは、日本の独立と平和を守るということと極東の平和の安全のために活動する米軍行動に資するというような、そういうような二つの目的を持っておるわけでございます。  ですから、それは日米安全保障体制が非対称的双務性と、こう言われることがございますが、日米安全保障条約というのはどういう意味合いを持つものであるか。しかしながら、私は、アメリカ本土を守る要塞というふうに仮に委員が御指摘になったとするならば、私は、それは必ずしもそうではないのではないかと思っております。  また、中国に対する御指摘がございました。合衆国として中国を敵視しているとか、そういうような問題だと私は全く認識をしておりませんし、それは我が国においてもそうでございますが、委員御案内のとおり、いわゆる脅威というものを考えますときに、それを能力ベースで考えるか脅威ベースで考えるかというようなお話というものがございまして、そこにどんな能力があるのか、そしてそれは何のためなのかということを相互がきちんと理解をする、そういうような信頼関係を醸成することが大事なんだろうと思っております。  そこの能力ベースということに着目をいたしましたときに、そこにそれが何のためにあるのか、中国が中国本土防衛する、いわゆる日本言葉で言えば専守防衛という考え方に立っているとするならば、なかなかその角度からは理解が完全にできないものもあるのではないかという指摘もあるわけでございまして、私どもは、そこにおける平和をつくっていくために、それは何のためにあるのかということについてお互いが信頼関係に基づいて認識をシェアすることが重要であると思っております。
  49. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 しかし、信頼関係というのは大事ですけどね。いざ国益というものが追い込まれたときには戦争というのをやるのが歴史の常ですからね。よくその辺を分かって信頼という言葉を使わないと国防大臣はつまずくという感じしますよ、私はね。  私は、もしそのぐらい言うならば、もっともっと、今韓国に李明博大統領が出てきましたし、ちょっと緊張関係が北朝鮮とまた再燃してきていますから六か国協議もどうなるか分からぬし、あるいは中国も毒ギョーザの問題で日本との関係は思わしくないし、それから今度チベット問題騒動で中国は揺れていますし。私は、そういうときこそ日本がしっかり、ある程度の不満は乗り越えて、北朝鮮と韓国を和合させるとか、チベット問題をしっかり中国に理解をさせるとか、そういう外交を、国防以上に外交が強くなれば、今の話も効きますし、信頼という言葉がね。  しかし、最近はもう統幕長の問題でも、国防省になって、防衛省ですか、この辺では、外務大臣、どうですか、最近追い込まれている感じじゃないですか。防衛庁が防衛省になって、外務省は少し肩身の狭い思いになってきている部分ないですか。
  50. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 防衛庁から防衛省になったというのはなるべくしてなったと考えておりますし、石破大臣の下にその防衛省としての実体を着々と固めていただいていると、こういうふうに理解しておりますが、外交、防衛一体となって日本の平和と安全、独立を守っていきたいと、こういうふうに思っております。
  51. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 シビリアンコントロールとすれば、外務省の方が強くなって、制服組の方がある程度は背広組に譲りながら日本のシビリアンコントロールつくられてきた部分がありますから、私は石破大臣がこの辺を分かっているかちょっと心配があるんですね。  高村大臣に質問します。日米地位協定に対して質問したいと思っています。  他国の地位協定日米地位協定が不平等ではないという見解ですが、各種地位協定比較資料によると、駐留米軍経費分担は、在日米軍地位協定及び在韓米軍地位協定には盛り込まれていますが、NATO軍地位協定ドイツのボン補足協定にはその規定がありません。この違いを政府はどう受け止めているのか、よろしくお願いします、政府は。高村大臣
  52. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 喜納さん、だれに答弁させますか。
  53. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 外務大臣、ごめんなさい。  駐留米軍経費分担は、在韓米軍とこの日本には盛り込まれているんですけれども、NATOとドイツとのボン協定には盛り込まれていないんですね。このことをちょっと。
  54. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) NATOとの協定について私は定かに今お答えするだけの知識がありませんので、今度よく調べておきます。  NATOとの地位協定日米地位協定に、日米地位協定が劣っているというところが、日本側にとって不利な点があるというふうには存じておりませんが、具体的に駐留経費負担についてどうなっているかということについて今直ちにお答えする準備がありませんので、調べた上でお答えをいたします。
  55. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 だから、あの駐留経費に関しても格差があるし、そういう条項の盛り込み方に関してもちょっと差があるし。  ただ、僕、個人的な見解からいうと、NATOもドイツも白人国主体なんですね。欧州に属しているんですね。日韓はアジアなんですね。だから、私たまによく思うんですけれども、靖国問題というのは本当はアメリカ問題、日米問題であるのに、なぜ中国とけんかするか不思議なんですよ、これはね。だから、本当ならばアメリカにはっきり物言うべきであるはずなのに、何か中国とけんかする、不思議なんです、日本は、中国も含めてね。やはりかつての列強国、三国干渉があって、そういう歴史を超えられていないのかなという、そういう延長の中に今の地政学の問題とか安全保障の問題があるのかなと私は思っているんですね。この辺は、それじゃ後で答えてください。  在日米軍地位協定の第十六条は法令遵守義務に触れていますが、米軍日本の立法は尊重しても従う義務がないことになっているんですね。これに対して、ボン協定では多くの条項にドイツ法の法令遵守義務が明記されているということですけれども政府はこの事実を把握していますか、高村大臣
  56. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 大臣からも答弁がございましたけれども、他国の地位協定のすべてにつきまして有権的に解釈をしたり知識があるわけではございませんが、例えば環境の分野でございましょうか、ボンの補足協定ではドイツの国内法令が適用されるのではないかといったような指摘もあるというふうに承知をしております。  いろんな国の地位協定を単純に比較するというのは非常に難しい点でございますけれども、例えば今の点につきましては、ボン補足協定五十四条Aというのがありまして、駐留軍の派遣国が環境保全の重要性を認識し、確認する旨規定をしておりますけれども、その一方で、ドイツ国内法令について、適用について定めております五十三条には、国際合意、これはNATO地位協定自身も含むと思いますけれども、国際合意であるとか米軍の内部に関する場合はこうした国内法令の適用除外であるという規定も同時にございまして、実際にドイツの国内法令の適用がどうなっているのかというのは定かではございません。  更に申し上げれば、同じ五十三条には、更にドイツ当局と軍隊の当局、要するに外国駐留軍の当局の間で見解の相違について調整する必要がある、調整し、協議し、協力するというふうに定められてございまして、国内法令が自動的にきちんと運用されているかどうかは定かでございませんが、この条文を見る限りは、あらかじめ協定上も駐留軍とドイツ当局の間の様々な見解の相違があることを想定しているような規定ぶりとなっております。  そういう意味でも注意深く検討しなければならない点でございまして、国内法がすぱっと適用されているという状況ではないと理解しております。
  57. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いつもの解釈や現状維持を、何というのかな、弁解しなくちゃいけないような論理に聞こえてしまうのは私だけではないと思うんですね、私はね。  特に、日米地位協定というものもよく見ると、あれは翻訳すると在日米軍地位協定と本当は翻訳するんですよね。なぜ在日米軍という「在」「軍」を切り取って日米地位協定と翻訳しているんでしょうかね。僕はこの辺も不思議でならないのよ。だから、屈辱的なことをどこかで隠すためにうまく翻訳して国民をごまかしているんではないかということを感じるんです、私はね。  そういう精神構造が、非常に貧困な精神構造がすべてのこの条約に現れているという。だから、本当に条約というのは、これは同盟なんですから、堂々と付き合っていくということなんですから、大いに日本のリーダーと政府が堂々とした精神構造を持たないうちは、これは健康になりませんよ、これ、はっきり言って。是非そうしてください。  いろんなことを聞きたいんですけれども、ちょっともうほかの方に進まないと時間がない。  次は、二月十九日にイージス艦「あたご」の大事故、大不祥事を起こした、記憶に生々しく残っている海上自衛隊について質問します。  まあちょっとこれジョークになるような質問なんですけれども、イージス艦「あたご」の発音を愛宕山のように普通に発音するのではなく、「あたご」の「あ」にアクセントを付けて「あたご」と言うのが正しいのか、防衛省内部では、呼び方というんでしょうか、これ本当ですか、これ、「あたご」。
  58. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは省内でも議論がありますが、これが正式ということを決定したものではございません。「あたご」というふうに言うと、私は少なくとも「あたご」というふうに言うんですが、「あたご」と言う人もいますし、委員がおっしゃいます「あたご」と言う人もいますし、これもイントネーションの問題でありまして、これが正当な言い方であるということを決しているものではございません。
  59. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いや、僕はそこに日本自衛隊のアイデンティティーが汚染されているんじゃないかと思うときがあるんですね、たまにね。普通「あたご」なら「あたご」、日本人の精神があるならばね。それを「あたご」と、これはもう完全に英語に汚染されている感じがして、だから少し日本語を大事にしたところから日本自衛隊、あるいは将来は軍隊になるかも分からないしね、そういう人たちの精神構造を今のうちに文化面から支えてやはりつくっていく必要があるんじゃないでしょうかね。そうすれば、あの「あたご」のような不祥事は僕は起こらないと思うんですけれどもね。だから、この辺を明確に出せない石破大臣、少しこれもしっかり教育をよろしくお願いしますよ。  いや、どう考えても「あたご」と言うのはおかしいですね。  「あたご」が引き起こした二月の大事故では、大臣への通報が遅れるなどの事実の関連で、海自内での文民統制の在り方が問題になりました。海自は、日本国民日本政府の事実上頭越しに旧日本海軍幹部らと米海軍幹部の合作として生まれたいきさつから、最初からシビリアンコントロールを尊重する気などはなかったとする論文もあるんですね。  防衛大臣、見解を聞かせてください。
  60. 石破茂

    国務大臣石破茂君) その論文は私も何度か読ませていただきました。  私は、海上自衛隊を評して、私が言っているわけではありませんよ、私が言っているわけではありませんが、伝統墨守、唯我独尊と言われることがある。陸だって海だって空だって内局だってそういう四字構成熟語で表現をされることがある。それは、ある意味でそこのカルチャーみたいなものの一部を言い当てているところがあるのかもしれない。もし仮に戦前の帝国海軍の、いい点だってあるのでしょうが、あしき面を継続しているとするならば、そこは直していく努力、少なくとも外から見て伝統墨守、唯我独尊と言われることがなくなったというふうにはしていかねばならぬだろうと思っております。  私は、帝国海軍というものが、例えば山本五十六連合艦隊司令長官が、いざとなれば半年や一年は暴れてごらんに入れますがというようなことをおっしゃったと伝えられております。しかし、じゃその後は一体どうなるんだと。確かに、戦艦とか巡洋艦とか航空母艦とか駆逐艦はたくさんあるのかもしれないが、じゃ商船護衛をするだけの船というものをきちんと持っていたのかと、あるいは補給というものが続くのかというようなこと、そういうことをきちんと言わなかったということはやはり問題ではないかというふうに思っております。  私は、戦というものを抑止するために、やはり軍人、日本の場合には自衛官、これが何ができて何ができないのかということをきちんと政治に伝えると、それを私は、シビリアンコントロールを行う上において、制服を着た人の義務だと私は今でも信じているんです。そういうことが行われないというのは、私はシビリアンコントロールを侵すものであり、ひいては国家に良からぬ結果を、災厄をもたらすものだと考えておりまして、戦前の帝国海軍が仮にそうであったとするならば、海上自衛隊はそのようなことがないように、それは常に心掛けていかねばならないことだと思います。
  61. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私は、守屋前事務次官のこのタイミング、何であの人がこの時期にあんな事件になって中途半端で終わるのか不思議なんですね。これが一つ。それからあとは、「あたご」の事件の後に何であの三浦和義の訳の分からない治外法権のようなことが起きるのか。  これは両方とも、結局は、日本自衛隊をあるべきところに引っ張るための、ある大きい世論操作で、世論操作というのかな、のにおいもするんですね、どこかでね。だから、それはある意味じゃ、制服組というものが力を持つためにはやっぱり背広組、背広組というのは基本的に文民統制に非常にしっかりねじを締められている部分がありますから。ちょうどその中には石破さんがいるんですよね。まあ背広組ではありますけど、頭の構造は制服組であるというね。  だから一つの、参事官制度見直し要求事件と言われている事件があったんですね、四年前に、二〇〇四年四月には。海自最高幹部である海幕長が、文民統制のかなめとなってきた防衛事官制度を廃止し、内局組のトップである防衛事務次官が持つ自衛隊に対する監督権限を二〇〇六年四月に新設されることになっていた統幕長に移すよう当時の石破防衛庁長官等の前で直訴したということがあるらしいですね。内局組が制服組を統御するという日本型の文民統制の伝統を破壊し文民統制をじゅうりんするような考え方を海自幹部にもしあるとするならば、戦前のように国の進路を再び誤らすかもしれないという、私は極めて危険なことだと思っているんですけど、防衛大臣、この点はどう思います。
  62. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 当時の古庄幸一海上幕僚長、私も長年いろんな交友があり、心から尊敬する人物であります。それは今も変わりません。  要は、委員御案内かと思いますが、制服であろうと背広であろうと、国民に対して直接責任を負うものではないということは共通をしているのです。我々文民と言われるものは、非常に厳密に申し上げれば、国民に対して選挙という形において責任を負い得る、それが民主主義型文民統制だと思っております。だとすれば、背広、制服とはいえ、そこにおいては共通したものがあるのではないかと考えております。私は、制服はすぐ戦をやりたがって背広は平和が大好きでというのは、私はそれは一つの固定観念であって、必ずしもそうではないと思っております。要は、大臣を支える体制というのはどのようなものが望ましいのかという点において、古庄当時の海幕長から一つ議論の糧として提案はあったものでございます。  ここは委員にもよく御理解をいただき、また御指摘をいただきたいと思うのですが、防衛事官という制度はほかの省庁の参事官とは全く違います。全く違うので、所掌にとらわれることなく広い見地、視野に立って防衛大臣を補佐するということになっておりますが、同時に、設置法によりまして、官房長その他の局長防衛事官をもって充てるということになっておるわけでございます。今、そういうような状況の中で、官房長、局長たちがそれぞれの所掌を持ち、非常に多忙であり、非常にハードな仕事をしておる中にあって、本来の意味防衛事官という制度が生きているのかどうなのか。それは形としてそれが文民統制を支えるものだというふうに言っていましたが、それが本当に形式に堕していないかと。実際に本当に大臣を支える体制とは何なのかということを真摯に考えたいというのが、これが防衛省改革の議論でございます。  それは、我々統制する側の政治が本当に何ができて何ができないのかということをきちんと知り得る、適切に知る体制とは何なのかということでございまして、古庄海幕長の見解は一つ議論のステップを踏む上において提案なされたものだというふうに思っておりまして、文民統制を破壊するものだという認識は私はいささかも持っておりません。
  63. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 石破大臣の思いは分かるんですけれども、とかく軍部というのは暴走しやすいという体質も分からないと、本当の意味での私は防衛大臣務まるかという疑問があるんですね、私はね。  やはり、今回の「あたご」の大不祥事ともいうべき大事故を契機に、海上保安庁の捜査を嫌う海自幹部の間から、軍法会議ないし軍事法廷の設置が必要などという倒錯した意見が出たと漏れ聞こえてくるんですね。軍事法廷などができれば、犯罪や事故や不祥事を自衛隊が身内で処理するようになり、文民統制がますます危機にさらされることは疑いないですね。  石破大臣、あなたは軍事法廷設置に賛成ですか、はっきり言ってください。
  64. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 当然、今の日本国憲法の下で最終審としてのそういう裁判所は認められないというのは、それは憲法から当然出てくるものでございます。では、最終審でなければいいのかとか行政裁判所的なものであればいいのかとか、そこはいろんな議論があるのだろうというふうに思っております。  自由民主党といたしましては、憲法改正草案の中にそういうことは盛り込んでおりますが、今の時点においてそういう状況にはなっておりません。  これは委員もよく御案内のとおり、軍法会議というものは何のために設けられるのかといえば、それは規律の維持というものが自己目的でございます。公共の秩序とかそういうようなお話ではなくて、軍隊というその国において何も比べるもののない物すごい強大な力を持っているがゆえに、そこの規律が乱れればそれはこんなに危険なものはないということで、その規律の維持ということが自己目的となっております。  ですから、普通の人が例えば麻薬をやるのと、戦車やミサイルやそういうものを扱う軍に属する者がやるのとでは、それは物すごく影響力が違うだろう、どっちにしてもいいことではありませんが。したがって、非常に重い規律を課す、厳正な規律を課すというのが軍法会議の一つの目的だろうと。  そしてまた、二年も三年も四年もかけてどうだのこうだのとやっておっては、それは真理の探究というのはとても大事なことですが、どうやってスピーディーにするかというのも大事だ。しかしながら、戦前の軍法会議が身内に甘いということがあったのは事実なのであって、そこをどのようにしてきちんとしていくかということは今後の議論としてあるのだろうというふうに思っております。  いずれにしても、今の時点で軍法会議というものについて議論をしているというわけではございません。仮にそういうものを将来的に憲法の関係で設けることがあったとしても、戦前の軍法会議がなぜ機能しなかったのかということは、私どもはちゃんと認識をしながらやっていかなければ、誤った歴史を繰り返すことになるという認識は私は持っております。
  65. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私、そういうような軍事法廷も、私が懸念することは、もし仮にそのような流れが起きたときに、また、どう考えても、米軍再編の駆け引きに自衛隊とか、まあこれ、日本国アメリカとのやり方見たときには、どうしてもアメリカの国益だけに準じて物事が再編が進んでいるような感じがするんですね。果たしてそれが本当に将来の日本の未来の国益になるかという疑問があると、私は。そういう意味では、私は、やはり今回のこの事件も不思議だなと見ているんです。不思議だと思っているんですね。  もし軍事法廷が仮にできることになれば、必ず軍事警察が組織されることになるんですけれども、軍事警察は一般市民の行動、思想まで調べたがるという、この前ありましたね、確かにこういうことがね、似たものが。これは、自衛隊が既に、この前、街頭などで市民の言動を監視してきた事実からも明らかなんですけれども、つまり、軍事法廷、軍事警察は民主制度を大きく弱体化させるものになっていくんですね。私は、まだ真にアメリカから独立もできない時期にそういうことを走ってしまう、そこら辺に走ってしまう、何というかな、海軍、何というんでしょうかね、この一つの流れというのはいかがなものかという心配があるんですけど、防衛大臣として本当のアメリカとは対等な同盟国と思っていますか。この辺も含めて、対等な同盟国と思っているか、ちょっと答えてください。もしそれだけ自信があるなら答えてください。
  66. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは私の所掌ではございませんので責任を持ってお答えいたしかねますが、何をもって委員が対等とおっしゃるかということだと思います。  それは同盟にはいろんなタイプがございまして、非対称的双務関係というものをもってしてどう考えるか、我が国が独立国であるということはこれはまごうことなき現実で事実でありますが、であらばこそ独立と平和を守るための自衛隊というのがあるわけでございますが、非対称的双務性、人と物との関係というふうによく言われますが、それをどう考えるのだということは、私は常に日米同盟を語るときに認識をしておかねばならないことだと思っております。負担とかいういろんなことがございますし、アメリカの国益のためだということもありますが、私アメリカ人と議論していて、それはアメリカ兵は日本を守るために血を流すんだよ、日本アメリカを守るために血を流さないねということを言われる、そのことがまたアメリカの中では広い認識となっておるわけでございます。そういうことをどう考えるかということが私どもはいつも認識しながら議論しなきゃいかぬのじゃないか。  本当に対等だと思うかという御質問に対しましては、非対称的双務関係にございますというお答えしか私にはできないものでございます。
  67. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 是非、二十一世紀を迎えて答えはもう一つしかないんですね。地球はそのままいくともうこれはもたないようになっているんです、これは。その地球を破壊するのは戦争が最たるものですよ、我々のこの飽食が最たるものであるしね。日本は全く今までの日米同盟を超えた新しい概念を持って歩くことがもう必要な時期に来ているんです、これはね。なぜなら、日本こそ西洋の心、東洋の心を和合でき、融合できるという唯一希望を持つ私は民族だと思っていますので、そこで軍事が肥大化していってその道を誤らせないように、石破大臣、よろしくお願いします。
  68. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  幾つかの点について御質問させていただきます。  まず、本協定、有効期間を三年間といたしております。これは、従来五年ごとにやってきたわけでありますが、前回の協定では暫定的な要素があるということで二年間といたしました。今回三年間で合計すれば五年というサイクルになると、こういう説明もあるわけでありますが、なぜこの三年間としたのかということについてその後の展望をした上でお答えいただきたいと思うんです。  この三年間の間に包括的な見直しを行うことになっているわけですね。ですから、包括的な見直しをした結果、その次の協定ということも視野に入るんだろうと思うんです。そうすると、その次の協定は再び五年間というスパンで考えるということも視野に入っているのかどうか、この点も含めてこの有効期間三年間の意義についてお答えいただきたいと思います。
  69. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 政府といたしましては、従来より日米両国を取り巻くその時々の情勢を踏まえ、期間を五年間に限定した暫定的な性格の特別協定締結してまいりました。  平成十八年に締結した特別協定につきましては、かかる諸情勢として、平成十七年十月二十九日の2プラス2、日米安全保障協議委員会の共同発表に盛り込まれた在日米軍再編の勧告に関する今後の検討、実施の展開の見通しも十分踏まえる必要があったところ、その時点では在日米軍再編の進展の結果を見極めることが困難であったとの特殊な状況を踏まえ、従来のような五年でなく、更に暫定的な二年間協定とすることで日米間で基本的に意見の一致を見たのでございます。  今回は、平成十八年五月一日の2プラス2で発表されました在日米軍再編に関する最終報告、いわゆるロードマップにあります個別の再編成計画の詳細が依然として日米間で協議中であり、現時点でもなお在日米軍再編の最終的な経費の全体像が見えないということ、それから第二に、在日米軍の駐留をより安定的なものにすることが望ましいこと、第三に、今回の交渉の結果、今後在日米駐留軍経費負担の包括的見直しを行うことになったこと、第四に、二年の有効期間である前特別協定と合わせると従来の五年と同じことになるということ等を勘案いたしまして、協定の有効期間を三年といたした次第であります。  なお、新たな特別協定の有効期間が終了する三年後における在日米軍駐留経費負担は、今後日米間で行う在日駐留軍経費負担に関する包括的な見直しの結果を含め、その時点における種々の要素を総合的に勘案して判断されるものであるところでありますので、次の協定が何年間協定になるかということは現在は予断できないと考えております。
  70. 山口那津男

    山口那津男君 昨年末の財政制度審議会におきまして予算編成に関する建議というのがなされておりますが、そこで幾つかの点についての言及があります。これに対して外務大臣としてどう認識しているかという点を幾つか伺いたいと思います。  まず、当初のこの特別協定締結のころと比べると社会・経済財政情勢が大きく変化をしていると、したがって従来の負担の継続は不適当であると、こういう指摘があるわけでありますが、では、どのような点で変化があり、そしてどういう点が不適当になっていると認識をされておられるでしょうか。
  71. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 外務大臣として、財政制度審議会による建議を含めて、他省庁設置の審議会の提言にコメントする立場には本来的にないんだと思っております。  予算の編成等に関する建議に述べられている昭和五十三年当時と現在の社会・経済財政状況の変化についても、財政制度審議会の考えがどこにあるかと私が言うのもちょっと越権だと思うんですけれども、例えば、昨今の我が国の厳しい財政事情等が含まれているのかなとは思っているところでございます。  政府といたしましては、在日米軍駐留経費負担は、アジア太平洋地域において依然として不安定で不確実な状況存在している中で、我が国の安全保障にとって不可欠な日米安全保障体制の円滑かつ効率的な運用に重要な役割を果たしており、我が国が新たな特別協定の下で負担することとした水準は極めて適切なものであると、こう考えております。
  72. 山口那津男

    山口那津男君 もちろん、他の省庁の審議会の指摘をそのまま評価してくださいというのはどうかとは思いますけれども、しかし、そういう指摘があるということで、外務大臣としてそのような指摘に対する御自身の認識を問いたいと、こう思うわけでありますが、もう一つ指摘の中で、駐留経費には様々な非効率的な支出があると、こう言及しております。この点について外務大臣はどう御認識されていらっしゃいますか。
  73. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これも私がコメントするのが適切かどうか分かりません。財政制度審議会が何をもってその建議で非効率的な支出と記述したのかについて説明できませんが、政府としては、厳しい財政状況の中で在日米軍駐留経費についても節約合理化の必要があり、経費効率性について国民の支持を得る必要があることを踏まえて米軍とのぎりぎりの交渉を行ったわけであります。  新たな特別協定の有効期間中に行うこととなった在日米軍駐留経費負担に関する包括的な見直しの場等を利用して、今後一層の経費の効率化の在り方につき、引き続き米側協議をしていきたいと考えているところでございます。
  74. 山口那津男

    山口那津男君 もう一点、駐留経費には透明化を向上させる必要があるということも言っているわけですね。じゃ、現在不透明な部分があるのかどうか、あるいは日米でこの説明の仕方に食い違いがあるのかどうか、この点について外務大臣はどのように御認識されていらっしゃるでしょうか。
  75. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これも全く同じように私がコメントすべきかどうか分かりませんし、また在日米軍駐留経費負担の執行については防衛省が行うわけでありますが、防衛省及び会計検査院において適切な確認作業が行われており、透明性はしっかりと確保されているものと理解をしております。  他方、政府としても、光熱水料等を含む在日米軍駐留経費負担については、厳しい財政事情の中で節約合理化の必要があり、経費効率性についての国民理解を得る必要があることは十分理解をしているところでございます。  新たな特別協定の有効期間中には、より効率的で効果的な在日米軍駐留経費負担とするために包括的な見直しを行うこととなっているところ、政府としては、こうした場等を利用して、御指摘の論点を含め積極的に米側協議していきたいと考えているところでございます。
  76. 山口那津男

    山口那津男君 前回、前々回の協定でも節約努力ということが規定に盛り込まれて両国で合意をしているわけであります。この米側節約努力、協定に文言が盛り込まれ、そして協定のたびにその表現が強調されてきていると、改まってきていると、こういう経過があるわけでありますが、しかし一方で、この労務費あるいは訓練移転費あるいは光熱水料等の費用の変化を見ると、これは減るどころかむしろだんだん増えてきているというのが実情だろうと思います。  そうしますと、この節約努力というのが単なる訓示規定ということではなくて具体的な成果としてどのように本当に現れてきているのかどうか、この点についてどのように認識されているでしょうか。
  77. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 御指摘のように、平成十八年四月に発効いたしました特別協定にも米側節約努力が規定されておりまして、米側はこの規定の趣旨を踏まえて節約努力を行ってきているものと承知をいたしております。  すなわち、防衛省、旧防衛施設庁でありますが、その担当者が必要に応じて在日米軍司令部の担当者に対して節約努力の具体例につき聴取を行ってきたところでありますが、それによれば、前特別協定の下で在日米軍が実施してきた節約努力には以下のようなものがあると承知しております。  一つには、労務費については、組織の統合や業務の合理化等による適切な労働者の配置に向けた努力を行っております。また第二に、光熱費につきましては、節約の注意喚起、省エネ機器、器具の設備等に向けた努力、第三に、訓練移転につきましては、人員、物資の輸送方法等の創意工夫に向けた努力、こういうことを行っております。  それにもかかわらず近年は微増をしているではないかという御指摘がありましたが、特別協定に基づく日本側負担については、平成十七年度から十八年度にかけて微減いたしましたけれども平成十九年度には微増したことは事実でございます。これは、労働費及び光熱費につきましては、日本側負担上限労働者数及び上限調達量を固定していたものの、平均給与やエネルギー価格に変動があったため、その結果として日本側負担に若干の変動が生じたものと考えております。
  78. 山口那津男

    山口那津男君 やはり協定に文言として盛り込む以上は、これは国内の経費についても同様でありますけれども、その節減、節約の成果というものが目で見て分かるように、国民説明できるようにこれからやっていく必要があるだろうと思います。単なる努力した項目を掲げるんではなくて、具体的にそれがどういう数字に表れたかと、この点を説明することを期待しまして、お願いしておきたいと、このように思います。  さて、次に、前回の交渉のときは光熱水料の削減理由として我が方は、インド洋での補給活動があり、これで日本側負担があるのでこの駐留経費については削減すべきであると、このように主張したと伝えられているわけでありますが、この度の交渉においては、補給活動、残念ながら中断した期間があったものですから、その点で削減の根拠となし得なかったのではないかと推測するわけでありますが、交渉に当たってそのような点はどう感じられたでしょうか。
  79. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は、国際安全保障環境の改善のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するために、例えば旧テロ対策特措法やイラク人道復興支援特措法、補給支援特措法に基づく活動を行ってきたところでございます。これは日米安保体制とは別問題として議論されるべき問題であります。  また、米側が、在日米軍駐留経費負担をめぐる交渉の場でインド洋での給油活動の中断に直接言及したことはありませんでした。  他方、バードンシェアリング等広い観点から米側日本側負担現状維持を強く期待していた時期はあり、その背景の一つには、御指摘のようなインド洋での補給活動の中断といったこともあった可能性は排除されないと、こういうふうに考えております。  いずれにせよ、新たな特別協定に基づく我が国負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用の確保のため我が国として適切な水準を維持してきているものであり、インド洋での給油活動の中断を受けた対米配慮とか、そういうものではないということでございます。
  80. 山口那津男

    山口那津男君 包括的な見直しをするという、これからやるということでありますが、どのような方針で臨まれるのか。特に、光熱水料については具体的に成果が上がっていると思われますが、人件費と訓練移転費については前回、今回共に動かしていないわけですね。これらも含めて包括的見直しと言う以上、具体的にどのように臨む方針でしょうか。
  81. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 日米協議の中で、在日米軍駐留経費をより効率的で効果的なものとするための包括的な見直しをこの有効期間中に行おうということで合意をいたしております。  この見直しの対象は必ずしも特別協定上の措置に限られず、特別協定枠外の労務費や提供施設整備費も当然含まれるものと考えておりますし、在日駐留軍経費負担に伴う様々な制度上の問題についても、そのあるべき姿などについて率直に米側協議を進めていきたいと考えております。  そういう意味で、御指摘の人件費や訓練移転費につきましても日米間で意見交換が行われることになると思いますが、現時点で日本側の方針や議論方向性について予断を持って述べることは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにせよ、包括的な見直しをどのように取り進めていくかにつきましては、今後、日米間で相談していくことになると思います。
  82. 山口那津男

    山口那津男君 前協定は有効期間が切れてしまったわけでありますが、それによって具体的にどのような影響が現れているでしょうか。
  83. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 特別協定が発効するに至っていないことから、具体的には訓練移転について既に支障が生じていると承知をしております。  他方、そうした具体的支障に加えて、私はもっと大事なことだと思うんですが、新たな特別協定が四月一日に発効する必要があることを前提日米間で合意したものだということでありまして、米側は、新たな特別協定が遅滞なく発効し、日本側労務費光熱費等を負担することを当然の前提としております。そのことによって新たな特別協定の発効が遅れるほど米国日本政府に対する信頼が損なわれるということがあります。  自国民の血を流してでも日本を守るという米国の条約上の約束が有事の際に完全に履行されるか否かということは、究極的には平素からの日米間の友好協力関係の緊密度、それを背景とする両国間の信頼関係によるのであって、米国日本を守るに値する国だと考えるよう日本側として意を用いていくことは重要であると、こう考えます。  更に申し上げますと、日米安保条約の基本は米軍抑止力でありますが、万が一にも日本特別協定すら年度内にきちんと発効させることができない、日米関係が余りうまくいっていないのではないかといった印象や誤解を第三国に与えることがあれば、それだけ抑止力が弱まることはあり得ることでありまして、その点について私は大いに心配しているところでございます。  いずれにしても、日米間の信頼関係に対する影響、何らか私はもう生じていると思いますが、それを最小限にするためにも一日も早い国会の御承認をお願いしたいと、こう思います。
  84. 山口那津男

    山口那津男君 最後に防衛大臣に伺いますが、アメリカ国防総省は障害者の支援に対してCAPというプログラムを作っております。日本においてユニバーサル社会の推進や基本法の制定というものも主張されているわけでありますが、大臣はこの点について、米軍の取組を参考にしながら、どのような御認識をお持ちになるでしょうか。
  85. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先般、都内でシンポジウムがございまして、私も御党の浜四津先生あるいは大阪の副知事であられた大平弁護士とともに参加をさせていただきました。  多少、アメリカでそういう今御指摘の障害者支援に関するCAPというプログラム、これを国防省がやっているということを聞いたときに、私は非常に何でだろうという思いを持ったのですが、二つあると。一つは、一人一人が誇りを持って暮らせる国、どんなに障害を持った人であっても合衆国国民として誇りを持って暮らせる国をつくっていくということは国防の原点であるということ、そこの共通性に着目していると。もう一つは、いろんなハイテクノロジー、例えば戦闘機なぞというのはもうマッハ二ぐらいで飛ぶわけで、そうすると、手は実際自由に動かない、耳は聞こえない、目もほとんど見える状況にない、そういういろんな困難な状況の中で戦闘機を操るというようなハイテクノロジーを使うことによって、いろんな障害を持たれた方々に対していろんな技術の提供ができるのではないか、そういうことがあって国防総省がそういうプログラムをやっているのだというお話を聞くことができました。  私は自民党でバリアフリーに関する議連の会長もやっておりますが、バリアフリーというだけではなくてユニバーサル社会、本当に皆が幸せに暮らしていける、どんな障害を持った人でも幸せに暮らしていける、そのために防衛のいろいろな技術とか考え方とかそういうものを生かしていけることができるのではないかということを、私はアメリカ国防総省の方のお話を聞きながら深く得心をしたといいますか認識をしたことでございまして、防衛省として、そういう社会の実現に向けて、できることがあれば最大限のことをやってまいりたいと考えております。
  86. 山口那津男

    山口那津男君 終わります。
  87. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  思いやり予算は、日米地位協定上の義務が日本にないにもかかわらず、思いやり予算、思いやりと称して支払われてまいりました。今貧困と格差の拡大にあえぐ国民からは、思いやる方向を間違っているんじゃないかという批判の声が広がっております。  ただ、地位協定そのものに基づく日本の支払にも様々問題があります。今日は、もう一つ思いやり予算とも言われている道路等の使用補償費、特に有料道路の通行料を日本政府が肩代わりしている問題についてお聞きをいたします。  まず大臣にお聞きしますが、米軍車両の有料道路の使用料を日本が肩代わりをしている理由と根拠についてお答えいただきたいと思います。
  88. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 日米協定第五条の二で、合衆国の軍用車両の施設及び区域への出入並びにこれらのものの間の移動については、道路使用料その他の課徴金を課さない旨の規定をいたしております。これが根拠であります。更にその根拠と申しますと、米軍日本と極東の平和と安全の維持に寄与する目的で我が国に駐留しておりますが、日米安保条約の目的達成のため、米軍が安定的に駐留するとともに、円滑に活動ができるよう、軍事車両に限ってこのような規定を設けているものと考えております。
  89. 井上哲士

    ○井上哲士君 この制度に基づいて日本が肩代わりをしてきた総額は幾らになるでしょうか。
  90. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) 当省で統計的に整理されている資料で申し上げますと、平成二年度から平成十八年度までの道路等使用補償料は、有料道路につきまして百三十八億三百万円、非提供港湾が一億二千八百万円、非提供飛行場が三千万円であり、総額は百三十九億六千二百万円でございます。
  91. 井上哲士

    ○井上哲士君 昭和五十四年から始まっている制度ですから総額をお聞きしたかったんですが、この間の金額がありました。それでも百三十八億円という、道路だけでも大変な巨額なわけでありますが、どういう手続でこれは支払をされているんでしょうか。
  92. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) お答えいたします。  有料道路損失補償の手続について申し上げますと、在日米軍の軍用車両が有料道路を使用する場合に、公務であることを証明いたします軍用車両有料道路通行証明書は、各地においてこれを発給する部署が一元的に管理しておりまして、各部署の車両運行管理者にこれを発給しております。  例えば横田基地におきましては、第三百七十四装備即応中隊から発給を受けました各部隊の車両運行管理者が軍用車両有料道路通行証明書に、車種、運転者氏名、車両番号、発行日、施設区域所在地、発行責任者氏名、官職を記入して署名し、使用者が有料道路の料金ゲートにおいて同証明書を提出いたします。有料道路事業者は、この軍用車両有料道路通行証明書等を添付の上、四半期ごとに国に、ここでは地方防衛局に損失補償を申請いたします。国はこれを受けまして、損失補償の申請内容、軍用車両有料道路通行証明書の記載内容を確認いたしまして損失補償額を決定し、有料道路事業者と有料道路損失補償契約を締結の上、当該補償額を支払うことという形で進めておるところでございます。
  93. 井上哲士

    ○井上哲士君 今発行されている通行証明書のコピーをいただいておりますが、これ、飛行機のチケットぐらいの大きさのものをゲートで渡せば無料で通行できると、その分を日本が後ほど肩代わりすると、こうなっているわけですね。これはもう日本国民の税金でありますから、いいかげんな使い方はあってはならないと思います。  昭和四十五年に内閣委員会議論になったときに、当時の施設庁の鶴崎総務部長が、米軍の内部の監督的な立場にある者から公用の証明を取ると、もちろんアメリカ側としては厳重に公用に限ってこれを発行しておると思うと、こういう答弁をされておりますが、これは間違いないですね。この認識に変わりはないですね。
  94. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) 基本的に同様なことをやっておるところでございます。
  95. 井上哲士

    ○井上哲士君 そこで具体的に、本当に公用に限って行われているのかということでお聞きをしたいわけでありますが、アメリカ軍の基地の中では様々な車にかかわるサービスが提供をされております。例えば横田基地でいいますと、成田空港など空港間のシャトルバスとかレジャー用のバスの運行もしているわけですね。こうしたものも公務として通行料が免除されているんではありませんか。
  96. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) お答えいたします。  空港までのシャトルバスでありますとか、そういう運行につきまして、いずれの場合にありましても、車両が公務として運行され、軍用車両有料道路通行証明書が発行されますれば、損失補償の対象となるものと理解しているところでございます。
  97. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、アメリカがその証明書を発行しておれば日本としてはそう認めておると、こういうことでいいわけですか。
  98. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) お答えいたします。  車両の運行が公務として行われ、軍用車両有料道路通行証明書が発行された場合というふうに理解しております。
  99. 井上哲士

    ○井上哲士君 これ、ヨコタツアーズという横田基地の中でやっている旅行のあっせんのリーフレットを今手に持っておるんですが、例えば今年四月のバスツアーでいいますと、六日の日曜日は東京ディズニーランド、十九日の土曜日は三味線コンサート、二十日の日曜日は箱根、それから五月でいいますと十七日は松本城と浮世絵ミュージアム、二十四日の土曜日は富士サファリパーク、山中湖等々、こういういろんなツアーが組まれております。  いろんなネットなんか見ておりますと、こういうヨコタツアーズと書いたバスがこういう言わばレジャーに行っていて、全く通行料を払わずに通っているという、こんな様々な声が上がっております。こういうものが実際公務として認められているということじゃないんでしょうか。
  100. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) お答えいたします。  米軍が観光目的で観光地に行くのが公務かどうかという御議論だと思いますけれども日本の文化に対する理解を深め、軍隊の構成員の士気の高揚を図る目的から、軍として兵員の休養やレクリエーションを図ることがあるとしても、これは軍隊の活動の一環として認められるところであるというふうに考えている次第でございます。  したがいまして、かかる目的のための車両等に公用証明書が発給されることがあったとしても、特に問題はないのかというふうに考えておる次第でございます。
  101. 井上哲士

    ○井上哲士君 今、道路特定財源の使い道でも厳しい批判の声が上がっていますけど、今のようなことで国民は納得しませんよ。なぜレジャーのために日本国民の税金が投入されるのかと。しかも、今、軍として行く場合なんだと、こういうふうに言われました。  じゃ、更に聞きますけれども、実は横田基地の中ではレンタカーの貸出しもやっているんです。ネットで見ますと、レンタカーの貸出しの契約書や申込書も出ておりますけれども、ホームページで広告が出ていますが、こう書いているんですね。我々の受入れ国である日本は歴史と文化が豊かです、レンタカーを借りれば、あなたのスケジュールに合わせ、行きたい場所へ行き、見たいものを見ることができます、一日間のレンタル料は八人乗りバンが六十五ドル、休日や夏休みのピーク時には予約でいっぱいになりますのでお早めにと、こうやっているんですね。  このレンタカーの売り物は、日本のほとんどの高速道路の料金はレンタル料でカバーされ、軍のレンタル料の分を節約することができますと。つまり、高速道路料がただになりますよということを売り物にしてこれやっているんです。こういう全く個人のレジャーも実際は出されているんじゃないですか。これも認められるんですか。
  102. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) お答えいたします。  まず、補償の対象となる軍用車両でございますけれども、これは軍がその公務のために用いる車両であると理解しているところであります。具体的な範囲につきましては一概に申し上げられませんけれども、軍が保有する車両はもちろんのこと、軍隊の構成員が個人として持っている車両、車であっても、公務のために使われる場合にはこれに該当するものと理解しております。  いずれにしても、車両の運行につきまして、公務という形で運行され、先ほど申した証明書を発行すれば補償の対象になり得るのではないかというふうに理解しているところでございます。
  103. 井上哲士

    ○井上哲士君 今読みましたように、あなたのスケジュールに合わせて行きたい場所に行ってくださいと、しかも休日や夏休みは予約でいっぱいになりますと。つまり、休みの日のレジャーなんですよ。どうしてこれが公務というふうに言えるのかと思うんですね。  しかも、これ、レンタカーの契約書もネットに出ておりますが、この貸主責任はこう書いてあるんです。貸主は有料道路券、すなわち軍用車両有料道路通行証明書を提供すると、こう書いてあるんですね。それから、借主のところは、借主は必要な枚数分の有料道路券の提供を受けるものとする、要請次第で追加分の有料道路券が発行される、未使用の有料道路券はすべて貸主に返却しなければならないと。これは契約書なんですよ。ですから、レンタカーの貸主は要するに証明書を提供するということが責任になっているんです。先ほど、軍の監督的な立場にある者から公用の証明を取ると、厳重に公用に限りで発行するというふうに言われていますけれども、このレンタカーの場合は、借りたら、欲しいと言えば貸主が出すという責任になっているんですよ。中身もないんですね、たくさんもらって余ったら返しなさいと、こういうことになっているんですよ。  これは私は、全く私的な使用でも有料道路の使い放題、制限がないと、こういう実態だと思いますけれども大臣、お聞きしたいと思うんですが、こういうものも公用としてやられるということがこの地位協定上の規定に合致しているんでしょうか。
  104. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私、事実関係を存じませんので何とも言えませんけれども、そういう場合にこれがなぜ公務に当たるのか、そういう場合があるとしてですよ、仮にあるとして、なぜ公務に当たるのかということについては、問題意識を持って米側とちょっと話してみたいと思います。
  105. 井上哲士

    ○井上哲士君 こういう私的旅行にかかわる有料道路の通行料の肩代わりは幾らになっているのかお示しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  106. 地引良幸

    政府参考人地引良幸君) お答えいたします。  軍用車両有料道路通行証明書には、今御説明したとおり、車種、運転者氏名、車両番号、発行日、施設区域所在地、発行責任者氏名、官職が記入されておりまして、軍用車両有料道路証明書を福利厚生活動で必ずしも分類しているわけではございませんので、それに該当する補償額は、申し訳ございませんけれども、お答えできる状況ではございません。
  107. 井上哲士

    ○井上哲士君 つまり、日本側は今の話でいいますと全くチェックをしていないわけですね。そして、発行する側は、公然とホームページの中で先ほど言ったようなレンタカーの使用規定も明らかになっているんです。ですから、これは全く国民の税金がこういう私的なレジャーに使われているということなわけですね。国民は道路特定財源としてガソリン税を払って、将来は高速道路無料になると言われながらもずっと今有料で払っているわけです。その一方で、軍用車両といいながら私的なものについては日本国民の税金で肩代わりする、これは本当に私は全く理解がされないことだと思います。  先ほど、大臣は問題意識を持ってということを言われました。私はこの制度全体をも見直すべきだと思いますが、現にやはり私的なものと公用のものが全く区別をされていないという実態については、これは直ちに改善をするべきだと思います。再度強く求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  108. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先ほど申し上げたとおりでございます。
  109. 井上哲士

    ○井上哲士君 終わります。
  110. 山内徳信

    ○山内徳信君 通告書には書いてございませんが、あらかじめ防衛大臣にお伺いしたいのは、地方局の局長、いわゆる那覇防衛局の局長は、事故、事件が起こったり、やっては県民感情を逆なでするような事態が起こったときには、在沖米軍に厳重に申入れをしたり抗議をしたり、そういう権限も与えられておりますか。防衛大臣にお伺いいたします。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕
  111. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 権限という、おっしゃる意味がよく分かりませんが、実際どのようにしておるかといえば、そういう今委員が御指摘のような事件、事故が起こりましたときに、那覇局長はそういうような厳重な抗議、申入れというのを行っております。それは、権限があるとかないとかそういうお話以前に、我が防衛省としてそういうような事件というものは決して看過できるものではないと、政府の立場で抗議等を申し入れているものでございます。
  112. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、政府関係者がお聞きになりますと少し表現が大き過ぎるとおっしゃるのかもしれませんが、私は、沖縄の島です、沖縄の島は米軍基地のいけにえになって、赤い血を流して今怒り狂っておると、こういうことを最初に申し上げておきます。  これは全部答弁をいただく気持ちはございませんが、まず一つは、一連のここ数か月の米軍沖縄における事故、事件、あるいは横須賀における事故、事件等がございました。そして、これではやはり日本国民の生命を守ることはできぬのじゃないかということもありまして、今地位協定の改正の要請がずっと続いておるわけであります。  そこで二番目は、キャンプ・ハンセンの演習場が夜を徹して燃え続けていたことがあります。そのことは、ここまでは防衛大臣にはお聞きしません、具体的なことですから地引局長にお伺いしたいんですが。  私は、ハワイのその種のいわゆる実弾射撃をする演習場を訪ねたことがあります。そこの管理に当たっておる米兵の説明では、演習が終わると、その日撃ち込んだ破片だとかなんとか全部整理をして演習の日程は終わりますと。私はそれを聞いて、沖縄のキャンプ・ハンセンの中のあの演習場ともう全然違うと思いましたね。  もう一つは、グアムのアンダーセン基地に行ったときに副司令官に会っていろいろ尋ねたときに、私たちは、ここは島である、そして一番配慮しておるのは、気を付けておるのは、陸上と海上の環境保全に努めておる、汚染させないように努力しておると。この言葉も私は非常に参考になりました。  キャンプ・ハンセンの山草も樹木も焼き払われて、地肌をむき出しにしておるんです。雨が降ると山の土を巻き込んで赤水になって、伊芸とか金武だとか、あそこら辺のやはり海を汚染しております。そのことはやはり局長も現場を見てよく知っていらっしゃると思います。山が荒れると、演習で焼き払われると海も汚染していくことを知っておいてほしいと思うんです。  こういう場合には、やはり私みたいな人間でしたら、あるいは復帰直後の那覇の防衛施設局長のあの面々は、やはりきちっと毅然と、ここは日本だ、なぜこんなことをやるんだと、彼らがやった行為さえも直させる、そういう勢いのあるそういう局長さんに私は何名も出会っております。ですから、次々と事故、事件が起こる沖縄における局長は、やはり毅然とした態度を持ってほしいと思っておるからであります。  これは先ほども質問がございましたが、久米島のあの演習場の外に二百五十キロの爆弾を二個投下したと、こういう事実が判明してきましたね。そういうときも那覇の局長防衛大臣に代わって四軍調整官や担当司令官に抗議をすべきです。甘やかすから次々と事故、事件が起こるんですよ。演習場の外に二百五十キロを二個も投下する。そして、最初は誤爆と言ったでしょう。一事が万事こういう状態ですよ。緩んでおるんです。だから、私は、そういう組織は腐敗して後は滅亡していきますよということをいつか申し上げたことがあるんです。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  そして、伊江島の飛行場、旧日本軍が造って、そして米軍に上陸と同時に取られた。なぜ向こうは、あの滑走路はアスファルトしかないのか御存じですか。彼らはちゃんとでき上がった滑走路を使うんじゃなくして、コーラルが敷き詰められたその滑走路でやはりタッチ・アンド・ゴーをしたりいろんな訓練をします。そのことによってそのコーラルの粉じんがもうもうと立ち上がっていますね。そういう資料はもう那覇局から入りましたでしょう、入りましたね。  伊江島といったら牛の産地、たばこの産地、小菊の産地ですよ。農家は悲鳴を上げております。この場合でも真部局長は、やはりそういう訓練をやった、恐らく海兵隊がやったでしょう、やはり厳重に抗議すべきですよ。どんなことをやっても、何をしても、以後注意しなさいよとかただ柔らかい言葉を掛けては、アメリカ青年たちは、戦場に送り込まれる米兵青年たちは気持ちは引き締まらぬですよ、やりたい放題ですよ。そして、そういう状況について、石破防衛大臣も、現地、現場のこの悲惨な状況沖縄の怒り、これをきちっと頭に入れておいてやはり米軍にも強く抗議もしてください。  そして、この一件は外務大臣にこれは答弁もお願いをしたいと思いますが、もう既に御存じのことだと思いますが、北谷の町の衣料品店でアメリカの少年たちが、二人ですか、万引きをしました。そして、いよいよ、コザ署の管轄でしょう、日本の警察がいよいよ尋問をしたり取調べをしようとしたら、さっとアメリカの憲兵がやってきて二人の少年を連れていったと。こういうふうなことは地位協定上も問題があります。  そして、あの復帰直前にコザ騒動という事件が起こりました。七十から八十台ぐらいアメリカ車両が、あのコザの町の、今で言うとあの県道の中で燃えていきます。そういう事態を私たちは起こしたらいかぬのです。起こさないためには、それぞれの立場にある人々が、責任者がきちっと米軍に対しても言うべきものをおっしゃってほしいと思います。  そこで、この件については外務大臣の見解をお伺いしておきたいと思います。
  113. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 米軍人家族が万引きしたとされる件で憲兵隊が連れていったということについて、今事実関係米側に問い合わせているところでございますが、地位協定上、事実関係いかんによっては大いに問題があり得るところだと思っております。そういう意識を持って米側に事実関係を問い合わせていると、こういうことでございます。
  114. 山内徳信

    ○山内徳信君 沖縄、復帰前はほとんどそういう状態でした。基地の外で事故、事件を起こしてもMPが来て連れていく。そういうふうな状況があって例のコザ騒動も起こっていくんです。  私は、もう時間もあと三分でございますが、今幾つかの沖縄の現地のこういう米軍による事故、事件等を申し上げました。これについて個別の答弁は求めません。大臣の、こういうことを再び起こすことはあってはいけないという決意のほど、──いや、そんな、これ、書いたものはいいですよ、石破さん、石破大臣、あなたと私の生の声でいいんです、こういうことを絶対させないという決意を伺っておきたいと思います。
  115. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今朝も私、省内で申したことですが、委員が今おっしゃったように、それは甘やかすという表現を使うかどうかは別にして、日本としてこういう事件が起こったことに対して本当に沖縄の方々の思いを踏まえて米軍にきちんと言う。そして、言っただけでは駄目で、それがどう改善されたのかということまで、それは、局長はそうなのですが、それは大臣の意向であるということでやらなければ、それはやはり、何でもそうですけれども、わあわあ言わないとまあいいのかと思っちゃうところはあるんだろうと思っております。  再発防止のために委員地位協定の改正だというふうにおっしゃり、私ども運用の改善をきちんとしますということを申し上げ、そこに擦れ違いのような感じってここずっと何年もあるわけですが、私ども政府として、本当にそれをちゃんと申し入れたか、抗議をしたか、そしてそれによってどのような改善が見られたかということは強い問題意識を持つ必要があるというふうに私は思っておるところでございます。
  116. 山内徳信

    ○山内徳信君 終わります。
  117. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時三分散会