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2008-04-08 第169回国会 参議院 外交防衛委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北澤 俊美君     理 事                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 藤田 幸久君                 佐藤 昭郎君                 山本 一太君     委 員                 喜納 昌吉君                 佐藤 公治君                 徳永 久志君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                 柳田  稔君                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 木村  仁君                 小池 正勝君                 佐藤 正久君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        防衛大臣     石破  茂君    副大臣        外務大臣    木村  仁君        防衛大臣    江渡 聡徳君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君        経済産業大臣政        務官       山本 香苗君        環境大臣政務官  並木 正芳君        防衛大臣政務官  秋元  司君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       小澤 俊朗君        外務大臣官房審        議官       秋元 義孝君        外務大臣官房審        議官       田辺 靖雄君        外務大臣官房審        議官       小田 克起君        外務大臣官房参        事官       石川 和秀君        外務大臣官房参        事官       羽田 浩二君        外務大臣官房参        事官       大江  博君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   中根  猛君        外務省北米局長  西宮 伸一君        外務省国際法局        長        小松 一郎君        海上保安庁警備        救難部長     城野  功君        環境大臣官房審        議官       黒田大三郎君        防衛大臣官房長  中江 公人君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省地方協力        局長       地引 良幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外交基本方針に関する件)  (国の防衛基本方針に関する件)     ─────────────
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会開会をいたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官小澤俊朗君外十五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 藤田幸久

    藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。  今日は、高村大臣そして石破大臣、お二人原則ということで質問をさせていただきたいと思います。今日は九・一一についてはいたしませんので、別の質問をさせていただきます。次回、お楽しみということで。  今日は、まず北朝鮮についての御質問からさせていただきたいと思います。  いよいよ米朝間協議も行われ、齋木アジア局長も今日から出発というようなお話も聞いておりますけれども、最近、私の方で耳にした話でございますが、いわゆる一九七〇年に起きましたよど号ハイジャック事件犯人日本人の四名が現在北朝鮮におりますけれども、そのうちの四名が日本への帰国意思を示していると。帰国をすれば当然ハイジャック事件としての逮捕も受け入れるという覚悟を示して、そういう意思表示をしているという情報を聞いておりますけれども高村大臣、こうした情報を御存じでございますでしょうか。高村大臣
  6. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) よど号ハイジャック犯人は、我が国の刑法上、重大な罪を犯した者であります。したがって、従来より北朝鮮側身柄引渡しを求めると同時に、関心を持って関連情報を収集しております。  収集した情報の詳細について申し述べることは差し控えたいと存じますが、委員が御指摘されましたような情報があることを承知しております。
  7. 藤田幸久

    藤田幸久君 私は二月にEU議会を訪問してまいりましたが、そのときにお会いをしたイギリス出身フォード議員という方から先週御連絡をいただきまして、北朝鮮でこの四名のよど号ハイジャック犯のうちの二人、つまり小西さんという方と若林さんという方と一時間ずつお会いをされたと。そして、中国に移動された後、お電話をいただいたわけですけれども。  今までハイジャック犯よど号に関していろいろな交流があったと思いますけれども北朝鮮側の方は言わば亡命者を出国させるということに関するためらいがあったというふうに聞いておりますが、少なくともEU議員がこの二人のハイジャック犯に会わせることを結果的にさせたということと、それから、そういうハイジャックに関する逮捕というものを覚悟をして帰国ということを意思表示をしたということは、これは何かしらのシグナル、つまり今までのこのよど号ハイジャック犯に関するやり取りとは違った状況というものが察せられるわけですが、そのことについて、高村大臣、いかに評価をされますでしょうか。
  8. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本は従来から引渡しを求めてきたわけでありますから、そういう方向に進むとすれば、それは我が方が求めてきたことにその面ではこたえるということになることだというふうに考えるわけでございます。
  9. 藤田幸久

    藤田幸久君 その際に、今問題になっておりますいわゆる北朝鮮テロ支援国家指定解除という点との関連があるわけですけれども日本側は当然のことながらいわゆる拉致問題との関係ということを中心に対応してきたと思いますけれどもアメリカの方ではこのよど号ハイジャック犯北朝鮮にいるということとの関係も項目の一つあるいは要素一つとしてきたと思うわけですけれども、今大臣がおっしゃったような、引渡しを要求してきたので、そういう方向になればそのこと自体マイナスではないということでございますが、ただその際に、このことがテロ支援国家指定解除につながるということは芳しくないと思いますが、したがって、このよど号ハイジャック犯が入ってくることとテロ支援国家指定解除というものは、これは別個の問題だということを、仮にそういう状況になることがあるならば、アメリカ側に強くその点については明確に指摘をして要請をしていただくべきだろうと思いますが、いかがでしょうか、大臣
  10. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 米国によるテロ支援国家指定解除の要件については、これはすぐれて米国内法令解釈の問題でありまして、よど号ハイジャック犯人の取扱いは米国国内法との関係でどのように整理されるかについては、政府としてはこれを有権的に解釈する立場にはないわけであります。  いずれにしても、我が国としては従来から北朝鮮に対してよど号ハイジャック犯人早期身柄引渡しを求めてきており、今後も早期引渡しを求めていくことには変わりないわけであります。米国は、テロ支援国家指定解除の問題については日本側と十分に協議するとの立場であり、この問題を含め米国とは緊密に連携していく考えでございます。
  11. 藤田幸久

    藤田幸久君 ありがとうございます。  ということは、その場合の日本側との協議の際に、一義的には国内法でございますから有権的に解釈をするのはアメリカ側にありますけれども、その協議の際に、日本の従来から主張されておられる私どもの共通の思いというものを主張していただくと。仮に、テロ支援国家指定解除ということと切り離して、このハイジャック犯帰国ということが仮にそういう方向に流れますと、これは拉致問題等に関して若干膠着した状況の中でこの半年なり一年間なり推移がしておりますけれども交渉事動きを解いて動き出す一つのきっかけにも逆になり得るんではないか、その解除にならないという前提での話ですけれども交渉事ですから全部つまびらかにお話しになることはできないかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、いろいろな創造的な外交交渉の中での一つのポイントにもなり得るのではないかと思いますが、その点については大臣はいかがお考えでしょうか。
  12. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本は、従来から拉致問題の進展がない場合はテロ支援国家指定解除をしてほしくないと、そういう立場であるということはアメリカ側はよく承知していると、こういうふうに思います。そういう立場に立って、アメリカ側解除する場合には日本とまた相談すると言っていますので、日本日本立場でいろいろお話しすることになるだろうと、こういうふうに思います。
  13. 藤田幸久

    藤田幸久君 ということは、解除なしに帰国が実現した場合には、まさに拉致問題とこのテロ支援国家指定ということが、日本立場からいいますとより直接的な関係付けが明らかになるという意味では、そういう観点からの意味もあるのではないかということを指摘しておきたいと思います。  その上で、今日はちょっとほかの質問事項がありますので移っていきたいと思いますが、チベット問題について大臣にお伺いしたいと思います。  今日、資料をお配りしておりますが、その一つが、ダライラマとG8政府首脳との会見の記録というものが二枚紙で出しております。実は、三月の半ばに私ども外交防衛委員会で、私の方で外務省に対して、ダライラマとG8の首脳との会合というものがかなり頻繁に行われていると、日本以外については相当頻繁に行われているので資料を出してほしいというふうにお願いをしましたところ、多分二日後ぐらいに出てきたのが一枚目でございます。  この一枚目を見ますと、アメリカブッシュ大統領、英国はストロー外相ドイツメルケル首相、イタリア・ダレーマ外相カナダハーパー首相とありますが、フランスとロシアは情報なしということになっています。  ところが、二枚目を御覧いただきたいと思います。つまり、私はこの一枚目では資料にならないというんで改めて資料要求をしましたら、すぐ数日後に出てきたのがこの二枚目でございます。  これを御覧になると非常に明らかだろうと思うんですが、カナダハーパー首相アメリカブッシュ大統領、現ブッシュ大統領、それからお父さんのブッシュ大統領ドイツメルケル首相カナダマーチン首相アメリカクリントン大統領イギリスブレア首相フランスジョスパン首相フランスシラク大統領、下の方、これ間違いですが、イギリスメージャー首相、それからドイツワイツゼッカー大統領。このほかにも閣僚との面会が出ております。  つまり、G8の中で首脳ダライラマと会っていないというのは日本だけなんですね。これは、日本中国と一番近いという理由とかいろいろあるにしても、今このチベット問題というものが今度の洞爺湖サミットも含めまして非常に大きな問題になっている中で、そして日本政府の方でも、この一種仲介役といいますか調停役というか、そういう立場でも役割を果たしたいという発言がこれまで出てきておりますけれども、直接やはり会っていなくて仲介役なり役割を果たすということは、私は、日本にとって中国は極めて重要な国であるがゆえに、その話ができるようなそれなりの実績、行動をしておかなければ逆にマイナスになると思うわけですけれども、結果として、G8の中で日本だけがだれも、多分大臣以上も会っていないと思います、現職以上の大臣が。こういう状況というものについて、高村大臣、どうお考えになるかということと、こういうことが今後仲介和解あるいは話合い立場を担おうとする場合にはハンディになっているんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  14. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 政府といたしましては、ダライラマ氏と面会することについては、従来からチベットをめぐる様々な要素を総合的に勘案しつつ対処することとしてきており、今後も同様に対処していく考えであります。  仲介和解というのはそれだけの条件が整わないとできませんので、私自身は直ちに仲介和解に乗り出すといったことはないと思いますが、私が従来から言っているのは、ダライラマ十四世と中国側がお互いに話し合うということになればそれは大変結構なことであると、それが私たち立場で、今直ちに仲介和解をできるような立場ではないと思います。  ただ、中国側に対しては、例えばチベット状況についてもっと情報をオープンに出したらどうですか、透明性をもっと増したらどうですか、そういうことはいろいろ公の場でも私自身が言っておりますし、そして、そういう中で、また中国の方と会った機会には、私なりに公で言っていることだけでなくて私の考えをいろいろ伝えているところでございます。
  15. 藤田幸久

    藤田幸久君 今、条件、つまり総合的な対処が必要で、いろんな条件が必要だとおっしゃいましたが、私がこういう事実を表明しましたのは、要するに前提条件に欠けているということだろうと思うんですね。  つまり、中国にいろいろ会うたびに言っているという場合に、今まで日本はどうしてもこれだけ見ても偏っているし、やはり対話というのは直接会うということがやはり一番重要なことでございますから、そういうことをしないでいてやはり話をするといっても、やっぱり一種の色眼鏡で見られてしまう。  人権というものは、これ普遍的な問題でもございますし、日本が一番重要視している外交の柱でございますから、客観的にどう見られるかということも重要でございますので、そういう観点からいいますと、やはり、例えば来日をされた場合に、仮に総理でなくてもしかるべき人がやはり会って、これは国際的な問題にオリンピックも含めて各国なっておりますので、その際に日本として、やはり公平中立、客観的にいろいろなことを物を言う立場で今までも来ているし、これからもそういう選択肢があるんだということを示す必要があるのではないかと。  例えば、今後もダライラマ十四世自身来日をすることもあるかと思いますけれども、そういった際に接触なり話合いをするなり、そういう機会というものをこれまでどおりに総合的に考えないのか、総合的にこれからは考えることも検討されるのか、その点について大臣にお聞きしたいと思います。
  16. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これまでどおり総合的に考えてまいりますと申し上げているわけであります。
  17. 藤田幸久

    藤田幸久君 今、昨日ですか、また聖火リレーについてのいろいろな報道がされておられますが、このダライラマの最近のコメントを見ておりましても、オリンピック北京大会を支持し、武力行使の停止とチベット問題の平和的解決を訴え、分離独立でなく民族の自治と信仰の自由を求め中国政府話合いを呼びかけていると。それから、在外チベット人らによる北京オリンピックへの妨害活動が相次いでいることについて、すべてのチベット人オリンピックを妨害する行為は取るべきでないという声明を出しておられます。  こういったことについては、逆に日本政府としてもやはり評価をするような声明を出すということも、私は日本政府のこれからいろいろ総合的に対応する意味では芳しいことではないかと思いますけれども、こういう声明に対する評価とそれに対する日本政府としての対応について、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  18. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 特別、声明を出すかどうかということはともかくといたしまして、今日閣議後のぶら下がりの記者会見で、ダライラマ十四世が、聖火リレーを暴力的に妨害するようなことはやめた方がいいと、そういうことを言っておられるということについては評価する観点から紹介をしておいたわけであります。
  19. 藤田幸久

    藤田幸久君 ありがとうございます。是非そうしたいろいろな動きをこれからも継続していただきたい。それが日本外交にとっても、洞爺湖サミットばかりではなくて国益になると思いますので、お願いをしたいと思います。  それでは、石破防衛大臣に、イージス艦「あたご」の衝突事故についてこれから大臣自身にいろいろとお伺いをさせていただきたいと思います。  今日資料としてお配りしておりますのが、基本的に三月二十一日のいわゆる中間報告についての紙と、それを時系列的に分かりやすいチャートが三月二十二日の朝日新聞の紙面に出ておりましたので、それを対照しながら御質問をさせていただきたいと思っています。  まず、この中間報告の四ページ、つまり当直員による漁船の視認状況、目で確認をするという意味だろうと思いますが、そこで当直員方々の聴取の結果が出ています。  それによりますと、まず三時三十分ごろ、右の方に水平線上に白灯を視認したということになっています。白灯というのはマストの上の光だそうでございまして、この段階で既に確認をしているんですね。それで、三時四十分にはその白灯が更に三個を視認し、電話当直士官、つまり、船長は当時仮眠を取っておりましたから、責任者にその報告をしたということでございます。  それから、三時四十八分にこのブリッジの方に登って、目で右三十度から五十度にかけて赤い灯、紅灯を三、四個確認をしたということになっています。この紅灯確認したということは、つまり右から来ているということを確認したということですね、石破大臣。右から来たということは、私もちょっといろいろな専門家に伺いましたけれども、極めて重要だと。  例えば、ハイジャック犯が、シージャック犯が来る場合には右から来ると。それから、シーシェパードが来る場合も右から来ると。それから、例えば船の人たちが眠っていても右から来る可能性があると。つまり、右を気を付けろというのがこの海軍の常識だと。つまり、右から来ているということは、そちらが権利があるんで、仮にぶつかった場合も向こうが優位だと。だから、シーシェパードも右から来ると。  したがって、赤灯ということを確認したということは、これは極めて重要なことであるんで、すぐにレーダー確認をしていただろうというのが、これは海自の関係とか海保関係とか、いろいろな方々の証言その他から明らかになったんですね。  そうしますと、この三時四十八分の段階で、この朝日新聞チャートを御覧いただきますと、この段階で九キロから十一キロですけれども、すると、普通は、その視界に特に右から船が確認をされたということになっておれば、まず船長を起こすというのがほぼルールだと聞いておりますが、大臣、いかがでしょうか。
  20. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 一般的に、委員指摘のように、そういうような状況になれば、艦長というのは服務規則で、その艦の首脳であり、すべてのことに責任を負うというふうに規定をされております。ですから、起きるとか起きないとか、起こすとか起こさないとか、そこまで書いてあるわけではございませんが、一般的にこういうような状況の海域に差しかかったとすれば、最高の首脳である艦長が操艦を行うということだと聞いております。そのことが、すなわち直ちに起こさなかったこと、あるいは仮眠を取っておったこと自体服務規則に違反するということではございませんが、一般的には委員指摘のようなことが行われていると承知をいたしております。
  21. 藤田幸久

    藤田幸久君 まさにそのプロセスにおいて、当然レーダーはあるわけですから、このたまたま新聞の左側に図面があります、艦橋、つまりブリッジ平面図とありますが、これ大体、非常に狭い空間だそうですね。その中に十人とかいるわけですね。それでレーダーもあると。CICの方にもレーダーがあると。当然、この自衛官の皆さんは暗い中でも見える双眼鏡も持っておられますし、この距離であれば、この時間であってもはっきり明らかに見えていると、レーダーにも当然映っていたはずだと。したがって、当直士官にも当然了解しているものとしてこの考え報告していないと下にありますけれども、当然、当直士官も知っていたし、レーダーでも確認をしていたという、そうでなかったはずがないというふうに一般的には言えるんじゃないでしょうか。  大臣、お詳しいから答えていただきたいと思います。
  22. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それが清徳丸と特定できていたかどうかということは別といたしまして、そのような船が存在をしているということはレーダーあるいは見張り確認ができているだろうというのが一般論として言えることだと思っております。  これは、これから先、捜査が進捗をし、明らかになることでございますし、私ども調査の中ですべての者に聴けているわけではございません。ですので、断定的なことは全く申し上げられませんが、一般的に、清徳丸と特定できるかできないかは別として、映っている、そして見張りというものも見えているというのが普通だろう。  ただ、報告書にも書いてございますように、ここにも記載がございますが、見張り員艦橋内にいたということをどのように評価をするか。通り雨があったので中にいたと、しかし通り雨がやんだら外へ出るべきじゃなかったかと、べき論としてはそういうことがございます。しかし、それと事故との因果関係について私どもとして今断定的なことは申し上げられません。ただ、そういうようなこと自体が、中にいたということ、あるいはCICに人員が十分配置されていなかったことは、見張りとして不適切であったという評価はいたしておるところでございます。
  23. 藤田幸久

    藤田幸久君 見張りの問題ではなく、私もいろんな方、専門家お聞きしましたが、中にいてももう見えていたはずだし、清徳丸でなくても右の、つまり赤灯でこの距離に船が存在したということは、清徳丸以外であればぶつけていいという話じゃございませんから、同じことでございますんで。ということは、右側に赤灯で船がいたということは、これ船の常識からして当然対応をしていくことであったと。したがって、これ見張りの問題じゃなくて、実際この中に、見張りが外にいようが中にいようが、これだけたくさんの人がいて、レーダーも中にあるわけですね、ブリッジの中に。本当にこの辺りの距離のようですね。ですから、どなる必要もないし、もう、すぐ伝達ができる空間であるというふうに聞いております。  そこで、三時五十八分に移りたいと思います。三時五十八分というのが次の五ページにありますね。  それで、この赤灯確認をしたと。これ大体五千メートルですね。これも海保あるいは海自の関係者ですけれども、五千メートルというのは危険領域だと、距離からして。このまま五千メートルで右側ということであれば、これは衝突の可能性があると。したがって、この段階で手を打っておくべきであるというコメント等が、あるいは認識がいろいろな方から示されておりますけれども、それでさらに、四時二分に白灯二つ、右五度水平線、舷灯は視認できないと当直士官報告し、当直士官は了解したとありますね。四時二分で右五度というのは、大体正面からちょっと右ということのようです。そうしますと、四時二分というのは、これ五分前ですね、衝突した。五分前に対応していれば十分回避をできたんじゃないかというふうにも聞いております。  それで、ちょっと質問項目の一番に行きますけれども、「あたご」というものはそもそも回避行動というものが、例えば何メートル手前、あるいはその速力とも関係ありますけれども、何分前に回避行動を取っていれば衝突回避ができたのか。これは、「あたご」の旋回能力というのは非常に高いと、大臣御承知のとおり、もう急角度で旋回ができると。そうしますと、「あたご」の旋回能力からして、どの程度の手前で回避活動をすれば十四メートルの船を回避することができたのかということについて、まずお聞きをしたいと思います。
  24. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員指摘のように、戦闘艦でございますから商船よりは旋回径が勝っておる、勝っておるといいますか優れておることは事実でございます。「あたご」がほかの護衛艦よりも優れているというわけではございませんが、戦闘艦の特性からして優れているということが言えまして、旋回径は大体四百から五百メートルというふうに私は承知をいたしておるところでございます。  そうしますと、どの時点で回避行動を取ればよかったかということは、これは清徳丸一隻が対象ではなくて、ほかにも多くの船がおりました。ですので、断定的にここで回避行動を取っておればということは、それは、数字の上では相手が清徳丸だけであれば言えるのだと思いますが、相手の船がどのような行動を取るか、そしてまた清徳丸以外の船もおったわけでございまして、どの時点でこのような行動を取っておれば回避できたということがもう断定的に申し上げられる状況にはないのだろうと思っております。  私ども、先ほど申し上げましたように、全員から聴けておるわけではございませんので、その点において委員のお答えに、何分前にどれだけの回避行動を取っていればこの旋回径からいって回避できたということを申し上げることがなかなかできないというものでございます。今申し上げられますのは、「あたご」の旋回径というものは四百から五百であるということだけは申し上げることができます。
  25. 藤田幸久

    藤田幸久君 今大臣が重要なことをおっしゃっていただきましたが、つまり、複数の船が存在をした、その複数のすべての船をレーダーは当然認識していたと、それがこの高性能のレーダー意味だろうと思います。回避をするのは清徳丸以外も回避をしなければいけない、当然の話でありますから、一番直近の一番衝突をする可能性のあるもの及びほかのすべての船舶に対する回避活動をしなければいけないんだろうと思います。  であるならば、先ほどの話の繰り返しにもなりますが、まず、それだけ複数の船がいたならば船長を起こしてなければいけないという、これ皆さんおっしゃっていますよ、船長が起きていないということは考えられないと。まして、複数もそれだけいて、これだけの至近距離にいたのにもかかわらず、そして実際に当直士官は了解したと、当直士官が了解したのに行動を取らない限りは、当然もうこの段階では、船長以下指揮をして、減速をするなり、つまり先ほどの大臣のお話ですと、速度を落とさなければ、その清徳丸を回避するということについては何メートル手前という話になるけれども、複数の船舶がいたんで、どの程度の手前で止まったらいいかということ、あるいは旋回したらいいか分からないという話ですけれども、速度を落とせばいいわけですね、極端な話ですけれども。  ということは、済みません、私は素人ですけれども大臣の方が詳しいけれども、ただ、どう考えても対応してなかった。そして、このチャートが非常に分かりやすいんで申し上げますと、この三時五十八分から四時六分の間の八分間、この間、あるいは四時二分ということも出ていますけれども、具体的に対応してないと。  四時二分の、五ページに戻りますけれども中間報告当直士官は了解をした。それから、さらに四時四分の段階でも、CIC、これは別の部屋ですね、ここからも右五度正面の方に何か見えないかと聞かれたため、右三十度の左に動く目標から目を移したとあるんですが、これ大臣レーダーというのは一緒に映っているわけですよね。それで、これだけ近くなって、しかも、私が聞いている限りでは、これだけの人が乗っていればもう目視で、もうほとんどの船が大体目視ができたと。こちらからこちらに目を移したからこちらを見失ったという話じゃないと思うわけですけれども、こういう記載がされていると。  それで、さらに四時五分ごろまでに、当直員が右五度及び右二十ないし五十度の方向に数個の灯火、これは白灯及び紅灯ということですから、マストも見えたし右から迫ってくるのも複数見えたと。そうしますと、右から来るということはもうこれは危険状態で、これだけの距離の中ですから、当然、艦長当直士官以下、このすべて目に見える船に対する対応ができていたはずですけれども、これ、してなかったということはどういうことなんですか。
  26. 石破茂

    国務大臣石破茂君) どうすべきであったかという議論はしております。  ただ、これはもう因果関係にかかわることで、まさしくそれが過失の有無そして責任の軽重に直結いたしますので、これはもう海保の捜査が明らかになるまで私として申し上げることはできないのでございます。  ただ、あくまで一般論ですが、委員おっしゃるように、それでは速度を落とす、大きな船が右に左に曲がりますと、まあこの場合には右に曲がることになるんでしょうか、一隻は回避できてもほかのがぶつかったかもしらぬといういろんなケースがあるわけでございます。だとすれば、もう速度をぎりぎり落として、ある意味止まるというようなそういう選択もなかったのだろうかということは一般論として言えるんだろうと思っております。  そのときに艦長仮眠を取っておったこと自体、もちろん起きているべきでした、そうであらねばならないものだと思います。しかしながら、当直士官はそのときに操艦の権限を艦長から受けておりますので、それは当直士官責任というものが問われる。艦長の寝ておったということは好ましくないということは言えますが、それが因果関係にすなわち直結するかといえば、私はそういうことではないのかもしれないと思っております。  何にしても、海上保安庁の捜査というものが了した段階で、だれにいかなる責任があり、どうすべきであったかということが明らかになるのだろうと思っております。
  27. 藤田幸久

    藤田幸久君 私は、すべきというべき論ではなくて、実際何が起こったのですかというまず立場から伺いました。それからもう一つは、一般論として止まるということもあり得たという話がありました。そして三つ目として、艦長が寝ていたのがまずいんだという話をされましたが、そうじゃなくて、私が聞いていた範囲では、艦長を起こす義務が当直士官等々にあったと。つまり、普通であれば起こしているものだと、それを起こしてないことがおかしいということが、これ、いろいろ知見のある方がおっしゃっている。  結果として、大臣因果関係、つまり、この乗っていた、そして当時二十四名が担当だったんですかね、ぐらいの方が、ここで言えることは、全体として対応してなかったというこの結果だけは明らかですよね。つまり、起こす側、起こされる側、目で見ていた人、それを伝えられた人も含めて、レーダーもありますし、レーダーが機能してなかったら別ですけれども、つまり全体として二十数名、あるいはブリッジの上にいた十名、佐藤正久議員言っていらっしゃるけど、おかしいですよね、これね。  要するに、十数名がこの中にいて、全体として対応してなかったということは、個々の因果関係責任の軽重は別にして、全体として対応してなかったという事実は、これあるんじゃないですか。いかがでしょうか、大臣
  28. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 海保の捜査でどういうような結論が出るか分かりません。ただ、私どもとして、艦全体として対応ができていなかった、であらばこそこの事故が起こったというような認識は持っております。  ですから、べき論とか因果関係とか、いろんなことが錯綜して、お答えとして必ずしも委員に御得心いただけないかもしれませんが、艦全体としての対応が十分でなかったという認識と反省とおわびの気持ちは十分持っております。
  29. 藤田幸久

    藤田幸久君 そこで、六ページに移りたいと思います。  当直員C、四時六分ごろ、つまり衝突したと言われております時間の一分前ですね、それで、四時六分の、その次のポツのところに行きますけれども当直士官のこの漁船近いなあという発言当直員Eが近い近いと言いながら云々とありますですね。それで、右七十度百メートル付近に、七十度ということはかなり右の方に来ていますね、近接する紅灯を掲げた清徳丸と思われる目標を視認したというふうになっています。それで、当直員Dが、四時六分、これもやっぱり一分前ですけれども、漁船が近い、距離約百メートルから七十メートルに初めて漁船を視認したとありますけれども。そして、一番下に、これをまとめると、これは解説だろうと思いますけれども、四時六分ごろ以降、当直員が「あたご」に接近中の清徳丸を視認し、清徳丸白灯及び紅灯を認め、両舷停止と後進いっぱいが下令されたというふうになっています。  ところが、その次のページの七ページの下の方に、衝突回避の措置、五のところに(1)、(2)、(3)と、当直員のC、G、Fと出ています。この当直員Cが、この当直士官が両舷停止、自動操舵やめを下令、さらに当直士官が両舷後進いっぱいを下令ということで、衝突音らしき音を聞いたとあるんですけれども。で、この右側に注二というのがあります。注二というのを次のページで見ると、注二というのは四時六分以降の行動に関する供述だと書いてあります。つまり、当直員Cは四時六分以降だということなんですね。ところが、その下の、また七ページに戻って恐縮ですが、当直員G、両舷停止が下令されたので両舷停止の措置をとり、その後、両舷後進いっぱいが下令されたので両舷後進いっぱいの措置をとった。それから、その下の当直員F、両舷停止の指令を聞いたのでテレグラフの点滅を確認した、つまり船が止まったということですね。止まった後、後進いっぱいで逆進をしたと。八ページの一番上ですけれども、両舷停止から後進いっぱいまでの間隔は五ないし十秒ほどだったと思うということなんですね。  そうしますと、まあ早くやりましたが、大臣はよく御存じだろうと思いますので、これを内容を吟味しますと、当直員Cは四時六分だったかもしれませんけれども当直員G、Fは、これは四時七分以降だった可能性が強いんじゃないですかね。そして、両舷停止から後進いっぱいまでに五秒から十秒ということですけれども、五秒から十秒、つまり、止まってから後進するまで五秒から十秒掛かるということは、実は衝突の一分前に気が付いたんじゃなくて衝突して気が付いたということではないんでしょうか。いかがでしょうか。
  30. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今委員がおっしゃっていただきましたように、四時六分以降に両舷停止、自動操舵やめ、両舷後進いっぱいが一連の流れとして下令をされておるわけでございます。そこで五秒から十秒ということでございまして、その後に衝突音らしき音を聞いたというふうに証言といいますか供述を私ども得ておるところでございます。  この報告書は、私どもが聴き取れる範囲の、聴き取れない者がおりますので、聴き取れる範囲の者が申し述べたことをそのまま書いたものでございます。そのまま書いたものを分析をいたしますと、一連の流れとして四時六分以降、先ほどのいろいろな流れが下令をされ、テレグラフ、つまり、速度が変わりますとそういうような点滅が付きますのでおおむね確かだと思うということを言っておりますが、委員指摘のこういう一連の動作は衝突後ではなかったかということは、私どもは、聴き取りの範囲では、こういう一連の動作がなされ、船を、もちろん止まったわけではありません、両舷後進を掛けて速度は落ちたと思いますが、にもかかわらず間に合わなくてぶつかったというような供述がなされたという認識を持っております。私ども、現在聴き取っております限りにおいて、このような一連の命令が下令をされたのが衝突後であったというふうな認識は持っておらないところでございます。
  31. 藤田幸久

    藤田幸久君 今おっしゃったように後進を掛けたとすると、十・四ノットでしたか、一応速度が。十・四ノットで後進を掛けると、衝突したときのエネルギーは速度も含めて落ちますですよね。なのにこんなに真っ二つに船が割れて、「あたご」が乗っかるようになって、即死のような状況でお二人が沈んでいったということが起こり得るんですか。
  32. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、速度が十・四ではなくてもっと出ていたのではないかと、そうでなければああいうふうに真っ二つになるはずがないではないかという御意見があることは私自身承知をいたしております。  ただ、この速度が十・四ノットというのは、これはSMACSという記録装置がございますが、その記録装置で十・四というのが残っておりますので、このときの速度は十・四というのは私は確かなものだというふうに認識をいたしております。この漁船がどういうような状況にあり、漁船の材質がどのようなものであったか、そしてイージスの重さがどれぐらいでありということは、それは私も専門家ではございませんので分析はいたしかねますが、十・四であったとしても現実に漁船が真っ二つになるということは私は起こり得るのではないか。  十・四であったはずがないというような御指摘には、なかなか、そうでございますかというふうにがえんじ得ないものを私自身持っております。十・四というのは記録で残っておるというふうな認識でございます。
  33. 藤田幸久

    藤田幸久君 全然私が聞いていないことまでお答えいただいたんですが、私は、速さについての御質問じゃなくて、後進を掛けていたんじゃないですかという質問だったわけですが、ただ、そういう、大臣の中に、何というんですか、潜在意識が随分おありなんだなと思いながら今お答えを聞いたわけですが。  つまり、後進を掛けたのにあれだけ真っ二つに割れてしまったのか。むしろ、そのスピードよりも、つまり衝突して気が付いたと、初めて、何かそういう証言も出ているようですけれども、乗船しておられたような方からですね。でなければ、これもまた専門家のお話によりますと、十四メートルの清徳丸が、それぞれ大体このぐらいのスピードで移動していたという記録を想定しますと、大体二、三秒ずれていれば衝突せずに済んだそうですね。  ということは、先ほど大臣がおっしゃったように、幾つか船があったということはおいておきまして仮に清徳丸だけに限りますと、それから旋回能力が高いと、ただいろんな状況なので一概に言えないとおっしゃったけれども、ただ清徳丸と「あたご」の関係においていえば、旋回能力の高い「あたご」が二秒避ければ、仮に直前であっても、一分前であっても、非常に面かじいっぱい切ればこの十四メートルの、つまり二秒の間隔をずらすことはあり得たんだろうと思うんです。  いかがですか、大臣
  34. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはおっしゃるとおりです。  私ども、例えば自動車でもぶつかったときに、一秒違えばぶつからなかったねということはあるわけでございまして、この場合に、本当にもう何秒かということは断定はできません、速度は相対的に測るものでございますので。ただ、何秒か前に回避行動を取っていたとすれば、この清徳丸に限局して申し上げれば回避できた可能性はある、あくまで可能性でございます、断定はできませんが、それは言えることだと思っております。
  35. 藤田幸久

    藤田幸久君 非常に丁寧にお答えいただいておりまして、有り難いと思います。  それで、私は今日は大臣を責めるというよりも、大臣が改革をされようと思って取り組んでこられた。そして、多分一番こういった報告が出てきて、最初の、つまり二月十九日の報告とそれ以降の報告といろいろずれて出てきている。そして、今も大臣がいみじくもおっしゃったけれども、供述だとおっしゃっておられる。したがって、供述が正しければというお話であって、その先は捜索の範疇だと。ただし一方で、全体として、艦として対応が取れてなかった、かなり複数の方々の恐らくいろいろな落ち度があったんだろうと。そして、かなりの部分がこれは「あたご」の側の責任であろうと。そして、それがこういう形で起きたということについては多分御自身が一番じくじたる思いでいらっしゃると思いますけれども、これがイージス艦に関してはもういろいろ、あるいは海上自衛隊においては事件が起きてきていますね。  ですから、陸自あるいは、佐藤さんいらっしゃるけど、空自ほかの方々にとっても海自ということに対する思いはあるかもしれませんが、ただ、そこまで取り組んでおられて、大臣自身責任問題も言及をされながら頑張ってこられたという以上は、これはやっぱり原点は、衝突してから実は分かったんだというその一番の事実は、大臣の信仰からしてもうそはつかれない石破大臣だろうと思われますけれども、この衝突、実はしてから気が付いたという、これは一番の、これはだれがということではなくて、艦として実際にはそうだったということは、これは非常に客観的に明らかではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  36. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはもう本当に海保の捜査を待たなければいけません。  委員がおっしゃっていただきましたように、供述をそのまま書いたものでございます。あるいは、矛盾する点があればそこの整合というもの、つまりそれは、何というんでしょうか、口裏を合わせるとかそういう意味ではなくて、この意味はどういう意味なんだろうかということは聴きましたが、供述をそのまま書くとこういう報告書になりました。その中で、いろいろな行動を取ったのは衝突後であるというふうな認識を持っておらない、それは私、先ほど申し上げたとおりでございます。ですので、ただ、そのことは衝突前にいろんな措置、つまり両舷停止、後進いっぱいのような行動を取ったというふうな認識で私はおるわけでございますが、なぜこのイージスでそういうことが起こったのか。  そして、私、事故が起こりまして数日後に、イージスではございませんが、「あけぼの」という新鋭護衛艦に乗って、夜同じような時刻に何がどのように見えるのかということも実際に見てまいりました。私も防衛大臣でありながら夜そういう時間に護衛艦のブリッジに立ったというのは初めてで、認識したこともたくさんあったのですが、一人や二人、あるいは一つや二つのセクションがミスをしてもトータルとして事故が起こらないような仕組みになっておるものでございます。それが何でこのようなことが艦全体として起こってしまったのかということは、この「あたご」の問題という、特定して考えるというよりも、海上自衛隊全体の問題として考えるべきものではないだろうかというふうには思っておるところでございます。  余計なことまでお答えしたかもしれませんが、私自身、繰り返しになりますけれども、いろいろな行動を取った、回避の措置をとったのは衝突前である、直前でございますから間に合わなかったことでございますが、衝突前であるという認識に変わりはございません。これはうそを言っているものではないのでございます。
  37. 藤田幸久

    藤田幸久君 ボイスレコーダーもありましたですよね。つまり、捜査が明らかになりますが、明らかになるということは、客観的事実も明らかになりますが、つまり、証言はいろいろあるとおっしゃいましたけれども、このボイスレコーダー、それから、レーダーは記録を取っていないと言っていたにしても、レーダーは作動していたわけですから、そうすると、客観的に明らかになるわけですね。それでもよろしいですね。私はここを、ここをやっぱり今大臣の手でお認めになることが改革の一番大きな一歩になると思いますが、改めてお聞きしたいと思います。
  38. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ボイスレコーダーは搭載をいたしております。これ、非常に変な言い方をすれば、市販のボイスレコーダーを積んでおりました。これ今私どもの手の中にあるわけではございませんが、ボイスレコーダーの解析というものもなされる。レーダーの記録というのは、これは訓練、演習のときの記録を取りますが、通常航海中はレーダーの記録を残しておりません。  本当に捜査権を持った海上保安庁の手によっていろんなことが明らかになると思います。私は、報道等々でいろんな隠ぺいとか捏造とか情報操作とか言われますが、海上保安庁の厳正な捜査というのはそんな小手先のものでごまかせるようなものだというふうには考えておりません。海上保安庁の捜査に私どもとして全面的に協力をするということ、間違っても情報操作とか隠ぺい工作とかそういうものはないと私は、これはこういう言い方もおしかりをいただくかもしれませんが、私自身信じておるところでございます。
  39. 藤田幸久

    藤田幸久君 ありがとうございました。
  40. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚直史でございます。  まず、高村外務大臣に伺いたいと思います。  もう御存じのように、今年は日本外交が世界中から大変注目される年であります。サミットがあり、第四回のアフリカ開発会議があり、そしてまた新JICAが発足するという、まさに今年は大きなチャンスであると同時に、大変なチャレンジの課題が目前にたくさん山積みになっているという年だと思います。是非大臣にリーダーシップをしっかりと発揮していただきたいと思っております。  そこで、一番基本になることからお伺いしたいんですが、ミレニアム開発目標、幾つか目標がありますが、この中のODAのGDP比〇・七%という数値目標につきまして、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  41. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ミレニアム開発目標は、国連ミレニアム宣言、二〇〇〇年九月採択でありますが、このミレニアム宣言の実施に関する国連事務総長報告書の別添として二〇〇一年に取りまとめられたものであります。二〇〇五年の国連首脳会合成果文書において、我が国を含む各国の首脳によりその達成に向けた政治的決意が表明されております。政治的決意を表明した以上、これをきっちり達成していきたいと、こう思います。  ただ、我が国首脳、小泉総理でありますが、このとき〇・七%ということについては決意を表明したわけでありますが、期限についてはこのときは言っておられないということは申し添えておきたいと思います。
  42. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ということは、今大臣がおっしゃっているのは、〇・七%という国際公約は、これは必ず達成したいとは思うが、二〇一五年という期限については今のところコミットはしていないという理解でよろしいですか。
  43. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本国として期限についてはコミットはしておりません。ただ、この〇・七%というのを首脳間で決め、我が国首脳も自ら〇・七%を達成するという決意を表明した以上、内閣は替わっても日本国としてそれを達成するために努力をしていきたいと、こう思っております。
  44. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 このODAの〇・七%というまさに大変大きな金額を実現するためには国民の理解が不可欠だと思います。大変難しいことですが、もうすぐ衆議院選挙があるかもしれないという時期に、全国で衆議院の候補者がODAの増額を訴えて当選をされるという方はほとんどいないんじゃないか、私は皆無じゃないかと思います。地元に行って、本当にみんなシャッター街と化した商店街や一次産業で苦労されている中に行って、見たことも聞いたこともない国の名前を挙げて、ここの支援をするために血税を使わせてくれと言っても、理解をするというのは非常に私は難しいことではないか、まさにここに最も大きなチャレンジがあるんじゃないかと、こういうふうに思っているわけなんです。  つきまして、実は昨年の六月十三日の日に、実は参議院にはODA委員会、参議院だけにあるODA委員会というものがありまして、この委員会で初めて政府開発援助等に関する調査報告書というものを出したわけなんですね。これは委員会としては初めて出しました。  この中で、今まさに申し上げた、国民の理解をいかに得るかということで、援助大国から援助人材大国へと、人間をつくっていくんだと。ついては、日本全国理解を得るために人間の安全保障センターというものをつくるんだ、そしてまた、JICAにも、新生JICAにもしっかりと支援をしていくんだ、そして、何よりも国際協力活動というものが学生に毛が生えたような、要するに若い間だけのボランティアという活動ではなくてここがまさにキャリアになっていくような、そういう社会資本整備をやっていくんだと、これが一番大事であるという提言をしまして、この提言の席に安倍当時の内閣総理大臣に来ていただいて、このときの返事がよく検討をしていきたいと、こういう御返答をいただいているんですけれども、その進捗状況、検討状況を教えてください。
  45. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 国連等国際機関、NGO等において我が国の優秀な人材が活躍する場を確保し、また拡大することは、国際社会への人的貢献の強化という面のみならず、世界に通用する日本人を育成するとの観点からも大変重要であると認識しております。  このような考え方の下、政府としては、参議院政府開発援助等に関する特別委員会の御指摘等も踏まえまして、様々な支援を講じております。  具体的に申しますと、国連等国際機関への勤務を希望する若手日本人を対象に、我が国の費用負担において国際機関に派遣する制度を実施しています。同制度による派遣を終了した者等が再度国際機関での勤務を希望する場合、各種情報の提供、在外公館を通じた国際機関への働きかけなど、積極的に支援をいたしているところであります。また、外務省は、平成十九年度にはNGO経験者等を在外公館職員として採用をいたしました。加えて、NGO職員に対する国際機関や欧米のNGOなどでの実務研修なども実施いたしております。  また、JICAでありますが、国際協力人材登録制度を設け、NGO経験者も含めた国際協力に知見のある人材と国際機関、企業、公益法人、NGO等を引き合わせる業務を行っているところであります。  なお、同特別委員会報告書の中では、人材安全保障センター(仮称)のような機関を設置することが提言されておりますけれども、これを設置する可能性については今後の検討課題として考えております。  いずれにいたしましても、国際社会共通の課題に対処していくため、国内外の関係諸機関とも連携しつつ政府全体として幅広い分野で人材の育成、交流を進めていきたいと考えております。
  46. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、犬塚委員がおっしゃったことで極めて大切なことは、国民の理解をどう得るかと。  昨日、おとといとG8開発大臣会合というのがありました。そのときロシアの閣僚から、新興援助国についてはもう国民の援助、国民の理解を得るのが大変なんだと、何でよその国援助するんだと、こういうことがありました。そうしたら、新興援助国でない伝統的援助国から、みんな同じなんだというのを、もうそれこそみんなからあったわけですね。  ですから、確かにどこの国でも問題を国内で抱えているわけであります。だけれども援助するというのは、例えば私なんかでも、地元で会合をやってODAの話をしますと反発を受けるわけですよ、私たちだって貧しいのに何で外国援助するんですかと。ただ、はっきり言って貧しさの程度が違うんですよね。そういうことを我々も考えながら、ODAの中身をもちろん充実していかなきゃいけない、国民の理解を得るためにいろいろ努力していかなきゃいけない、もちろんでありますが、一方で一定の援助というのは大切なんだということを、選挙期間中に言うのは大変難しいかもしれませんが、ふだん、ふだんで結構ですから、皆様方にも是非、みんなでそういうことを国民に説得していかなきゃいけない話でありますので、是非よろしく御協力をお願いしたいと思います。
  47. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 いや、その選挙期間中に言えるような、そういうやっぱり一つの形が私は必要だと思うんですね。  といいますのは、やっぱり非常に遠い、ODAといっても非常に遠く感じていると。一方では、日本の地方は疲弊していく一方であると。という中にあって、例えば、さっき副大臣が最後に一行だけおっしゃった、人間の安全保障センターを設置すべしという提言なんですけど、これは何かというと、ODAの予算を使って社会的な基盤をつくろうじゃないかと。要するに、国連の活動の九九%が非軍事の部分で、しかもまさに国づくりにかかわるところですから、日本の例えば警察のOBの人ですとか農業、漁業の人、あるいは町づくりにかかわっている人、あるいは地方行政のプロの人たち、こういう人たちの中でまさに海外に行っていろんなお手伝いしたいという人はたくさんいるわけですね。  ところが、行くにしたって、それは旅行傷害保険も掛けにくい、帰ってきても社会保障制度は継続しない、年金はどうなるんだ、こういう話がまさにあるわけで、やっぱり今までのJICAで取り組んできたようなことをもう少し幅を広げて、どうも近所のたばこ屋の角のあの彼は最近どうもアフガニスタンに行って井戸掘っているようだよというような、一人でいいですから、身近にこういう人たちが出てくることがまさにODAの増額につながっていくんじゃないかと、人材の方に金を使うべきではないかと、ODAのまず国内でこういうことをやるべきじゃないかという提言をしておりますので、是非前向きの御検討をお願いしたいと思います。  次の質問に移ります。  リーディング・グループ加盟の意思なんですけれども、そういった難しいODAの増額に対して革新的な資金メカニズムということで、特にフランスが主導しましてリーディング・グループ、今四十六か国が参加をしておりますが、日本がなぜかここにはオブザーバーとしてしか参加をしていないということなんですけれども、加盟の意思はあるんでしょうか。
  48. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) ミレニアム開発目標の達成と世界の開発事業に対応するためには、ODAに加えまして民間資金を含めた幅広い開発資金の動員等が必要であるという認識は共有いたしております。この観点から、開発資金のための連帯税に関するリーディンググループで取り上げられている様々な改革的資金メカニズムについても注目をしているところでございます。  我が国は、開発資金の調達方法につきましては各国がそれぞれ可能な形で手当てすることが適当と考えておりまして、国際的にも緒に就いたばかりのこうした革新的な取組については、まず国際的な動向について十分な情報を収集し、その上で我が国国内の種々の情勢を踏まえてその導入の要否を検討すべきであるというふうに考えております。このため、現段階ではリーディンググループにオブザーバーとして参加しているという段階でございます。
  49. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 特に外務省には、財務省ではなくて外務省には、こういう取組にもっと積極的に人間を派遣をして、情報をもっとオブザーバーではなくて収集をしていただいて、こちらからも言うべきことは言うという形で、例えば今度のダカール会議にはしっかりとした人を派遣していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  50. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) ダカールの会議につきましては、フランスから再度にわたってお誘いを受けております。第四回の総会になりますが、今回まではまだ我が国はオブザーバーとして参加をさせていただきたいと考えております。
  51. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 是非、大臣、御検討いただきたいんですけれども、本当にやる気のある、働きやすい立場の人をこういうところに派遣をしていただいて、前向きに、いろんなチャンスがあると思いますので、それをつくっていっていただきたいと思います。  次に、スーダン・ダルフール情勢についてお伺いをいたします。  御存じのように、このICCに付託をされた状況の中で、このスーダンだけが唯一安保理から付託をされているわけであります。この安保理による付託をされたスーダン状況は、もう既に決議一五九三において国際平和と安全に対する脅威と既にスーダン情勢がみなされていると、そして国連憲章第七章の下で行動するという決議がもう既に採択をされているわけですね。  これに対して、ICCの検察官が六か月に一回国連安保理で報告をするということになっておるんですけれども、前回の報告を見ても、全くスーダン政府からの協力が得られていない、もう堪忍袋の緒が切れそうだと。そしてまた、今年の六月に予定されている報告においてもかなり厳しい報告が予想をされております。これに先立って、もう既にEUの方では、このスーダン状況に対して更なる措置をとる場合にはこれを支持するという旨のEU側はもう既に発表をしているわけなんですけれども。  そこで大臣に伺いますが、スーダンのICCに対する非協力に対する懸念を表明すべきではないでしょうか。
  52. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 二〇〇五年三月、国連安保理は、決議第一五九三号でもってスーダン・ダルフールにおける国際人道法、人権法の重大な違反を国際刑事裁判所に付託することを決定したわけであります。これを受けて、ICCは二〇〇七年四月に、スーダンの人道問題国務大臣、元内務大臣でありますが、及び民兵組織ジャンジャウィードの指揮官の二名に対して逮捕状を発付しましたが、現時点で逮捕状は執行されておらず、二〇〇七年十二月、ICC検察官はスーダン政府がICCに協力していないと安保理に報告したと、こう承知しているわけであります。  我が国としては、スーダン政府がダルフール問題に関する国際社会の関心を踏まえ、和平交渉の再開及び反政府勢力との信頼醸成、人道状況改善のための協力などに取り組むとともに、ICCに対しても協力的な対応を取ることを強く期待をしております。  引き続き、スーダン政府対応や事態の推移を注視しつつ、機会をとらえてこのような立場をスーダン側に伝えていくなど、政府として適切に対処していく考えでございます。
  53. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 もう大臣よく御存じのとおり、大臣のリーダーシップで昨年の十月一日、日本がようやくICCの第百五番目の締約国になったわけであります。  このスーダン状況をどうしてこんなに取り上げるかといいますと、もう釈迦に説法かもしれませんけれども、国境を越えて個人の刑事犯罪を訴追をできる言わば世界の裁判所たるICCは、加盟国の協力に頼る以外はその執行能力を持たないのは御存じのとおりであります。  しかし、このスーダンの状況に関してだけは国連安保理の七章下の強制力を背景にしてこのICCのマンデートを実行することができる。言い換えれば、このスーダンの状況を絶対にこれは成功させなくてはいけない。日本は、ただ単なる傍観者ではなくて、やっぱりこれが積極的に成功させるために今こそ私はここで懸念を表明すべきだと思いますので、是非御検討をお願いをいたします。
  54. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これ、スーダン政府の協力がなければできないんです。スーダン政府にどう働きかけてどう動かすかということが一番大事な話なんで、既にそういうことを始めておりますし、これからも更にこれが実現するように努力をしていきたいと、こう思っております。
  55. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 是非よろしくお願いします。七章下の措置が出てきたときにも是非力強いサポートをしていただきたいと思います。  次に、スリランカの問題について伺います。  御存じのように、国連の強制的・非自発的失踪に関する作業部会によると、二〇〇六年から二〇〇七年にかけての統計で、スリランカは世界一の失踪事件発生件数を記録しています。  この状況を受けて、国連の人権監視ミッション、これを設置すべしということが随分長いこと言われておりまして、私も昨年の六月、こうした独立した国連の監視ミッションをサポートできないかという質問をいたしました。そのときの政府の答えが、そうではなくて、スリランカ政府が行っている独自のこの調査に対して国際的な監視ミッションが付いているから、これをしばらくは見守りたいという立場を表明されたんですけれども、そういう立場で今のところよろしいですか、政府のお答えをお願いします。
  56. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国としては、スリランカにおける人権問題の改善のためには、スリランカ政府の主体的な取組が不可欠であると考えているところでございます。昨年十二月に、スリランカ大統領訪日を始め種々の機会にそうした考えを伝えるとともに、人権面での具体的な改善や成果を上げるよう働きかけを行ってきております。  それから、国連人権高等弁務官事務所のスリランカへの設置については、主として同事務所とスリランカ政府の間で協議が行われていると承知をしております。スリランカ政府の主体的な取組が後押しされる形で両者が早期に解決策を見出すことを期待しているわけであります。  我が国としては、同事務所とスリランカ政府との間の協議の推移を見守りつつ、その間もスリランカ側に対して人権状況の改善を粘り強く働きかけていく意向であります。  取りあえず以上でございます。
  57. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今おっしゃったように、国連人権ミッションを我が国がサポートしなかったその理由が、スリランカ政府が自ら大統領下事実調査委員会というものを立ち上げているんだと、この行方を見守りたいという答えだったんです。どうやって見守るかというと、IIGEP、国際有識者グループ、ここには日本からも横田洋三教授がメンバーで傍聴しているというこの国際有識者グループの言わば監視の下にスリランカ政府の独自の調査にゆだねたいと、こう言っていたわけなんですね。  そこまでよろしいでしょうか。
  58. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) どなた。
  59. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大臣。そこまで事実の認識としてよろしいですか。
  60. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その当時、正確に何と言っていたか、私はよく分かりませんけれども、事実ちょっと申し上げますと、スリランカ政府の取組もあって、強制失踪とか誘拐事件については二〇〇七年六月以降大幅に減少してきているのも事実であります。過去の人権侵害事件の審査については具体的な成果に結び付いていないと。現時点では成果を上げているけれども、過去のことについては必ずしも結び付いていないと。それで、一連の一部の事件については一月以降公聴会が行われるなどの進展も見られているというのが現在の状況でありますが、現時点での日本政府立場は先ほど私が申し上げたとおりでございます。
  61. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大臣、これはスリランカ政府が独自に調査をしているものに対して、国際有識者グループというものを付けて、公正中立なしっかりした調査をしているかどうかというのを見ていたわけですよね。これがあるから去年は独自の国連ミッションは出さなくていいだろうというのが政府の見解だったわけです。  ところが、この国際有識者グループ、日本人も入っているグループがスリランカ政府調査グループと全く協力関係が得られないと、もうあきらめたと、さじを投げたというのが今年の三月六日なんですよ。事ここに至っては、国連の中立的な調査グループ、これを設置することに対して日本がサポートしない理由はないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  62. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先ほど申し上げたように、国連人権高等弁務官事務所のスリランカへの設置について、同事務所とスリランカ政府との間で協議が行われていると承知をしておりますし、スリランカ政府が主体的な取組が後押しされる形で両者が早く早期に解決策を見出すことを期待しながら、我が国としてはスリランカ側にもそういう方向で働きかけていくと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  63. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 スリランカ政府に対して、やっていることが十分でない場合には、やっぱり日本としては関与していかなければいけないということだと思います。  今提案がされている国連の国際監視ミッションは、やっぱり妨害されることなく拘禁施設を訪問して拘禁者の所在を確かめること、紛争の両派に具体的事件の情報を求めること、そしてスリランカの警察や人権構築を支援して事件捜査と家族への連絡を進めること、申立てのあった事件に関する信頼できる記録を作成すること、こういうことができる国連の活動であるということなんですね。  しかも、もうここに来て、スリランカの和平では御苦労いただいてきた明石さんが、もうここで攻撃が激化すれば日本からスリランカへの援助を見直さざるを得ないということまで今おっしゃっているわけなんですね。  任せているからいいだろうと、自助努力をするからいいだろうということではなくて、やっぱり日本は援助をしているわけですから関与をしていかなければいけない。しっかりとした関与をしていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
  64. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) しっかりと関与を今までもしてきましたし、これからもより以上関与をしていきたいと思います。  やはり援助はその国にどういう国になってもらいたいという、そういう気持ちで日本人の税を使って援助をしているわけでありますから、特にスリランカの場合は具体的な問題を抱えているところでありますから、是非そういうふうに、問題について解決されるように関与をしていきたいと、こう思っております。
  65. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 叱咤激励といいますけれども、まさに厳しいところは厳しくやっていただきたいと思います。  次に、フィリピンの政治的殺害についてお尋ねをいたします。  いよいよ四月十二日、あと三日後でありますけれども、フィリピンの人権状況が国連人権理事会、ジュネーブのUPRで取り上げ、審査されることになっています。このフィリピンの状況について、私も個人的に何年も前からフィリピンの野党の国会議員から大変な状況であるということは聞いております。野党の議員だからといって身に危険を感じなくてもいい日本のこの状況は大変に、何というか、恵まれているものだなということを実感した次第なんですけれども、この政治的殺害、やっぱりこれは三日後のUPRで日本がしっかりと質問をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  66. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国はフィリピンのいわゆる政治的殺害の問題を注視しております。これまで様々な機会をとらえて我が国国内の関心や懸念をフィリピン政府に伝えてまいりました。また、フィリピン政府としても事態解明に向けて取組を行っていると承知をしております。  このような経緯を踏まえつつ、十一日にジュネーブで実施予定のフィリピンの普遍的・定期的レビュー、UPRにおいて我が国がどのような発言を行うかにつき現在検討しているところでございます。これについて我が国の意見表明をきっちりとした形でやりますが、どういう形でやるかというのは今政府内部で検討しているところでございます。
  67. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 是非よろしくお願いしたいと思います。  そこで、特に御検討いただきたいのは、やっぱり不処罰というものはないのだと。仮に被疑者がフィリピンの国軍のしかも上部の者であったとしても、これはやっぱりきちんと訴追を受けるんだということをしっかりとメッセージとして出していただきたいと思います。  次に、ミャンマーの情勢について伺います。  昨年の秋にこのビルマの軍事政権の幹部に対する金融制裁、これを米国が発動いたしました。二月の二十六日にも、対象者を更に米国の方で追加をしたばかりであります。こうした措置、つまり経済制裁を国に対して掛けるのではなくて特定の個人に対して経済制裁を掛けるという措置が非常に有効であるということは、北朝鮮のバンコ・デルタ・アジアの口座に対する米国の一方的な凍結措置が一つの例であります。五十年間、いかなる経済制裁を掛けても対話のテーブルに着こうとしなかった北朝鮮政府が、このバンコ・デルタの銀行口座一つ凍結されたことで対話のテーブルに着いたということは記憶に新しいところであります。同様の措置に対してやはり日本も賛意を表明をし、協力をすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  68. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国はミャンマーの民主化、人権状況を懸念しております。ただ、何らかの意味でミャンマーとのチャンネルを維持し、粘り強く働きかけることで前向きな動きを促していくべきであるというのが我が国立場であります。  我が国としては、日本・ミャンマー外相会談等の様々な機会を通じてミャンマー政府に対して状況の改善を働きかけているわけであります。また、政府としても国連のガンバリ特別顧問を始めとする国際社会の様々な取組とも連携しつつ、引き続きミャンマー政府に働きかけていくつもりであります。  ガンバリ特使ともいろいろ、数度にわたって私自身話しておりますが、ガンバリ特使は、日本のような形でミャンマー政府に関与していくことは非常に有り難いとガンバリ特使からも言われておりますし、我が方としてもガンバリ特使の努力を全面的に支援していくと、こういう立場でございます。
  69. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 そうした特使の意図を側面からサポートするためにでも全面的に支援することが一方。そして、その一方でやっぱり圧力を掛けると。対話と圧力とよく言われますけれども、その両方が必要であると思います。  例えば、ビルマの軍政幹部及びその家族の氏名、生年月日、住所、これは日本政府である程度把握をしていると思うんです。これ、政府関係の方で結構ですが、ビルマの軍政幹部の家族、本人、名前、生年月日、住所をある程度把握しているんでしょうか。
  70. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 御指摘のとおり、例えばアメリカの制裁措置等々で個人と特定されておりますので、そういうことで私どもとしても特定の個人についての情報は承知しております。
  71. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それを仮に米国政府から依頼があったとしたら提供できる状態でしょうか。
  72. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) これは、今大臣から答弁申し上げましたとおり、金融措置全般に対する日本政府立場に照らして判断するということになろうかと思います。
  73. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 大臣に申し上げますが、その特使の何とかいい国づくりをしたいということの最大の抵抗勢力はやっぱりミャンマーの国内にいるわけですから、そういう特使の努力に対して圧力を掛けることも一つの選択肢として是非御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  74. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 何が一番手段としていいかというのは常に考えておきます。圧力が効く場合もあるし、効かない場合もあるし、例えばアメリカはそういう圧力をしようとしています。それから、ASEAN諸国は友人としての忠告をすることによって何とか変えようと努力しているというところでございます。  そういう中にあって、日本はどういうふうにするのが一番、まさにミャンマーの今の政権自体が何らかの決断をしないと変わらないという状況でありますから、それは圧力の方が効くのか、それからASEAN諸国のように友人としての忠告をしていくことの方が効くのか、そういうことも、日本政府はその中でどういう立場を取るべきかということも考えながら今後もガンバリ特使の努力を支援していくと、基本的にガンバリ特使の努力を支援していくと。そして、それは国際社会全体で支援すると。ある場合は圧力というのが絶対ないという話ではなくて、日本も経済協力をぐっと縮めることによって圧力を掛けている面もあるし、あるいはASEAN諸国と一緒になって友人としての忠告をするという面で変えようとしている面と、両方あるということを御理解いただきたいと思います。
  75. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 まさに友人としての立場でミャンマーと付き合ってきた日本であるからこそ、少しの圧力でレバレッジが大変効くと思いますので、特に個人に対する経済制裁についての御検討をここで改めてお願いをしたいと思います。  次に、二〇一〇年に予定されておりますICCのためのローマ規程見直し会議で、我が国から今度は核兵器の使用を違法化をするという提言をすべきだと思いますが、外務省の御見解を伺います。
  76. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ICC規程の起草過程におきましては、核兵器の使用をICCの対象犯罪とするか否かについては各国間で意見がまとまらず、最終的には将来の検討会議で議論することとされました。  政府としては、従来から一貫して、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないものと考えております。今後、我が国としては、このような立場から、ICCの主要な締約国の一つとして、関連の議論に積極的かつ建設的に参加していく考えであります。
  77. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 核兵器の使用を犯罪化するということについてはどのようなお考えでしょうか。
  78. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 積極的に議論に参加をしていきたいと思いますが、一九九四年に国際司法裁判所に提出した日本政府の陳述書というのがありますが、これは、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないと考えると、こういうものを出しているわけであります。  これは細川内閣のときに出したものでありますけれども、当時野党であった自由民主党が主張してこういうものができたというふうに記憶をしております。当時、日本政府とすれば、最初は、核兵器の使用は、純粋に法的観点からいえば、今日までの諸国の国家慣行や国際法学者の学説等を客観的に判断した場合、今日の実定国際法に違反するとまでは言えないがなどという文書を政府はしようとしていたんですが、当時野党であった我々自民党が主張して、その部分を削って、核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しないものと考えると、こう言い切ったわけであります。  これからICCに多くの有力国にも入ってもらわなきゃいけない、今入っていないところに。そういう中で、今違法と断じて入ってくれるのに役に立つかどうかとか、いろんな政治的観点がありますので、これから、今申し上げたような観点から積極的に参加していきたいと、こういうふうに思っております。
  79. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 最後におっしゃったように、まさに世界中の国が入ってもらわなきゃいかぬと。しかし、それと同時に、日本から発言すべき規範もあるだろうということだと思います。自民党で、野党自民党がやっていただいたその延長として、もう二〇一〇年ですので、もう始めないと間に合わないタイミングであります。是非積極的に御検討をお願いしたいと思います。  次に、ATTの進捗状況をお伺いをいたします。  これ、昨年の十二月二十五日の当参議院外交防衛委員会で、武器の製作をしているメーカーの担当の方が参考人としてこちらにお見えになって、これはそのとき配られた資料ですけれども、武器輸出三原則等の問題点ということをここでお述べになったと。当然のことであります。市場原理から隔絶された世界でやっていれば、当然のことながら、効率は悪くなるし、技術交流もできないし、そして、日本が置いていかれてしまうんではないか、技術的鎖国状態になるんではないか、それは作っている方はそのように思うのは当然であります。  しかし、それと同時に、このATT、武器輸出三原則まではいかないけれども、この国際的な武器の輸出管理にかかわる一つの拘束力のある条約を作っていこうじゃないかということが日本イギリスが中心になってまさに今始動しているわけでありますが、私はこの武器輸出三原則についても、旧態依然、これをずっと守っていくということだけではやっぱり不十分であろうと。これはやっぱり一つは国際条約という形で昇華させていくという努力がなければ、当然のことながら、現場で作っている人たちは、これは市場原理に入れないと日本がどんどんこれは技術的には遅れていくんだと言われるのは当たり前だと思うんですね。  ですから、ATTについての進捗の御報告をいただきたいのと、それからもう一つは、大臣の是非ATTに懸ける決意を今年どこかでやはり発信していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  80. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 武器貿易条約、ATTは、今後、通常兵器の輸入、輸出及び移譲に関する国際共通原則を定める国際約束を作成しようという構想であります。本年は、国連の枠組みでATTの実現可能性や構成要素等について検討するための専門家会合が開催されております。第一回会合は二月に開催され、我が国からも政府専門家が参加いたしました。今後、五月に第二回会合、七月末に第三回会合が開催されることになっております。  政府としては、ATTは平和協力国家としての我が国立場と基本的に合致するものと考えております。我が国としては、国際紛争等の助長を回避し、かつ幅広い国の参加も得られるような国際約束の作成を目指すべきとの立場から、ATTに関する国連総会決議の共同提案国として積極的に議論に参加していく考えであります。  日本は武器輸出三原則を持って、国際社会に何の約束事もないと、そこに物すごい、ある種の観点からいえば物すごい不利な立場に置かれているということがありますし、ATTという国際約束でみんながすれば、まあ武器輸出三原則はより厳しいものでありますが、その差は少なくなるから我が国の国益としてもいいということも言えるわけでありますし、それ以上に、国際社会が全体がATTというものを作ることが平和協力国家としての我が国立場と基本的に合致すると、こういうことであろうと思いますので、委員の応援も得て、政府としてもしっかり頑張っていきたいと、こう思います。
  81. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 御存じのように、日本は九二年の軍備登録制度でも主導的な役割を果たしたと。また、昨年は東京で小型武器東京ワークショップというワークショップを開催をして、国際社会に対して非常に発言力のあるこれが一つの分野でありますので、一つの提案でありますが、今年これだけ日本が注目されておりますので、ATTに関するワークショップを開催されてはいかがでしょうか、大臣
  82. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 検討したいと思います。
  83. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 次に、防衛大臣に伺います。  在日米軍駐留経費の負担の割合、これが非常に不思議なんですけれども日本側が発表している外務省が制作した資料によれば、日本が負担しているのが約五割。ところが、アメリカが発表している、国防総省が発表している資料によれば七四・五%。金額としては約六千億円で、これは全く変わらない。同じ事象を目の前にして同じ金額を話していながら、日本政府が言っているのは約半分、アメリカ政府が言っているのは約七割、七割五分が日本が負担していると、こう言っているわけですね。  私はこれは非常に問題だと思うのは、日米両国の国民が同じ意識を持っていないんですよ。アメリカでは、いや、あれは日本が七割五分払っているんだと、日本では五割しか払っていないんだと、こう言っているわけですけれども大臣、この事態をどういうふうに御覧になっていますか。
  84. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは防衛省としてお答えすべきものではないのかもしれません。数字は委員がおっしゃるとおりでございます。  これ、アメリカにしてみれば、ほら、日本はこんなに負担しているんだよという説明を国内向けにしなければいけない、した方がよいということなのかもしれませんし、日本が割合多いじゃないかって我々言いますですよね、アメリカに対して、何でこんなに持たなきゃいかぬのだということを言いますと、いやいやそうではないと、ほかの国も日本並みに持ってほしいんだと、日本はまさしくモデルとしてふさわしい国なのだみたいな話をしておるところがございまして、どうも議論がうまくかみ合わないところがございます。  これはもう防衛省として申し上げることではないのかもしれませんが、委員指摘のように、日米で意識にそごがあるということは同盟として健全かといえば、必ずしもそうではないだろうと私は思っておりまして、私どもとして、本当に合理的な負担とはどのようなものなのか、今後とも効果的、効率性というものを求めて日米で交渉していかねばなりません。  ただ、土台になる数字が違うということについては、私は恐らく委員と問題意識を共有しておるのだろうというふうに思っておりまして、その辺、当省としても外務省とよく議論をしながら、本当により良い日米同盟の構築のために努力をしていかねばならないと考えております。
  85. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 時間が参りましたので、終わります。
  86. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。  本日は、日米関連防衛省改革、そして一般法についてお伺いしたいと思います。  最近、また残念なことがありました。それは、在日米軍駐留経費負担特別協定、いわゆる思いやり予算の日切れによる空白です。外務大臣は所信の中で、日米同盟を始め国際社会とのかかわりの重要性を述べられておられますが、残念ながら、日米同盟を始め国際社会からの日本の信頼という点では、思いやり予算の空白期間の生起というのは望ましくないと思います。民主党の方々がこの思いやり予算に反対したのも初めてで、空白の生起も思いやり予算の制度が一九七八年に取られてから初めてだとの報道もありました。  これは、対外的な信頼という点で、インド洋での海上自衛隊の給油の中断、あるいは中央銀行である日銀総裁の空席とともに、余り良い情報発信にはつながっていないというふうに考えます。  それでは、外務大臣にお伺いします。実際どのような反応が米国から来ているかお尋ねしたいと思います。
  87. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 在日米軍駐留経費負担については、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保する上で重要との観点から、従来から我が国としてできる限りの努力を払ってきているところでございます。  新たな特別協定は、四月一日に発効する必要があることを前提に日米間で合意したものであります。政府においては、現在のような、現在のような事態を踏まえというのは、空白期間が生じてしまいそうだということを米側に事情をしっかり説明するとともに、できる限り支障を生じないよう米側と種々調整してきていることもあり、これまでのところ米側から言葉でもって特に強いことは言われておりません。言われておりませんが、何となく白い目で見られているような気はしているわけでございます。
  88. 佐藤正久

    佐藤正久君 それでは、約一万六千人いると言われる全駐留軍労働組合の方からの反応はいかがでしょうか、防衛省の方にお伺いします。
  89. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えいたします。  当省といたしましては、労使関係の一方の当事者でありますので、全駐留軍労働組合の反応について具体的にコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、同組合におかれましては、今般の特別協定は雇用の安定に大きく貢献しているとの観点から、その発効を望んでいるものと承知しているところでございます。  いずれにいたしましても、当省といたしましては、在日米軍基地で就労しておられる駐留軍労働者等の方々が不安なく働ける環境を維持することは重要であると考えておりまして、円滑に給与の支払を行うためにも、予算執行上の諸手続等を考慮する必要もあることから、協定の速やかな御審議と御承認を国会に対してお願いしたいと考えている次第でございます。
  90. 佐藤正久

    佐藤正久君 それでは、現場レベルでの影響についてお伺いいたします。  報道等によりますと、実際に訓練移転を五月以降に先送りしたというものもございました。仮に空白期間が五月上旬まで約一か月間生じてしまった場合、現場レベルでどのような影響が出るのか具体的にお答え願いたいと思います。防衛省、お願いします。
  91. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  まず、訓練の関係でございますけれども、今回のいろんな審議の状況というのは米側の方も我々緊密な連絡を取っておりましたので、実は四月に予定していた訓練というのはありましたけれども、協定が成立、発効が遅れると影響が出るということで、訓練の実施時期を遅らせるというようなことで調整をしてきておるところでございます。  それから、光熱水料等の問題についても、米側が立替払をするというようなことで予算の運用に影響を及ぼす可能性があるというふうなことで、我々といたしましては、国会の審議の状況を米側に正確に伝えながら実際の運用に影響が出ないよういろいろ工夫をしながらやっていると。ただ、残念ながら、現実に四月に予定していた訓練というのは先送りをしているというような状況でございます。
  92. 佐藤正久

    佐藤正久君 外務大臣の方から、何となく白い目で向こうの米側から見られてしまう、あるいは組合の方々もやっぱり望んでいると。そして、現場レベルでも少なからず影響がやっぱり出ているということからしましても、やはりこの空白期間というのはできるだけ短い方が私もいいと思います。  さらに、今回の租税特別措置法改正案というものが大きな審議になりましたけれども、揮発油税を除く部分については二か月間のつなぎ法案が与野党合意の下で成立しましたが、残念ながら思いやり予算は日切れになってしまったと。内政分野についてはつないで、外交分野は日切れという、このような情報発信というのは、余りに対外的な信頼関係という点では望ましくないと思います。これは、元々日本が持っている国柄ということから考えましても、やっぱり日本らしくない気も私は一部しております。  そこで、外務大臣にお伺いします。  今回の思いやり予算というのは、やはり米国に対する日本意思の表れの一つであり、実際に、ペルシャ湾から続く我が国のシーレーンとかあるいは我が国の周辺地域の抑止にも米国民の血税が使われているという事実も踏まえても、やはり今後じわりじわりと影響が出てくるのではないかというふうに懸念をしております。大きな意味で、今回空白期間が生じたということに対する日米同盟への影響と評価というものを外務大臣にお伺いしたいと思います。
  93. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 新たな特別協定は、四月一日に発効する必要があることを前提に日米間で同意したものであります。  米側は、新たな特別協定が遅滞なく発効し、日本側が労務費や光熱費等を負担することを当然の前提としているわけであります。新たな特別協定の発効が遅れるほど米国日本政府に対する信頼が損なわれることとなります。  自国民の血を流しても日本を守るとの米国の日米安保条約の約束が有事の際に完全に履行されるか否かは、究極的には平素からの日米間の友好協力関係の緊密度、それを背景とする両国間の信頼関係によるものであって、米国日本を守るに値する国だと考えるよう、日本側としても意を用いていくことが重要であると、こういうふうに思います。  さらに、日米安保条約の基本は米軍の抑止力でありますけれども、万が一にも、日本は特別協定すら年度内にきちんと発効させることができない、日米関係は余りうまくいっていないのではないかといった印象や誤解を第三国に与えることがあれば、それだけ抑止力が弱まるということもあり得るわけでありまして、その点についても心配せざるを得ないわけであります。  いずれにせよ、日米間の信頼関係に影響が生じないよう、生じたとしてもそれを少しでも少なくするように一日も早い国会の御承認をお願いしたいと、こう思っているわけであります。
  94. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  今回いろいろ指摘を受けています無駄遣いというものについては、それは絶対いけませんし、それは強く米側に訴えながらやっぱり修正ということをしていく必要はあると思いますが、ただ、それと空白期間の生起とは別次元のような気がいたしております。できるだけ早い参議院での意思表示が重要だと私も考えます。  次の質問に移ります。  防衛大臣は、所信の中で防衛省改革にるる言及されておられます。これまでの防衛省の改革というものについては、個人的には、不祥事が発生するたびに再発防止のための注意喚起の通達とか、あるいは一部の組織改編がなされてきた側面があるかと思います。  しかしながら、本来の防衛省・自衛隊全体のあるべき姿とかその全体像、あるべき姿と現状とのギャップ、それは一体何なのかということについてはいろいろ議論はなされてきたと思いますが、そういうような大きなギャップあるいは問題意識はあっても、なかなかそれを正面から議論をし一歩踏み込むというところには行っていなかったという感じもします。ややもすると、調達実施本部の解体、施設庁の廃止等に見られるように、局面局部の改善が繰り返されて本当はどうなんだという議論が余りできてこなかったという側面もあるかと思います。  そこで、今回の防衛省改革の文民統制の議論というものもやっぱり大きな視点で切り込んでいくということが大事だと思います。ややもすると組織改革論に重きを置かれているような一部の報道もございますが、これは石破防衛大臣の本旨とは多分違うというふうに思います。当然組織改革は重要ではありますが、それだけでは全体の本質的な改革にはつながらないと思います。  組織の改革というのは、あくまでもそのアウトプットの重要な柱の一つではありますが、中央組織を改革したからといって改革が終わりといったものではないと思います。更に言えば、有事における機能する文民統制を考えた場合は、防衛省内だけではなく政府全体の広がりの中で考えなければいけない問題もあろうかと思います。  今回の防衛省改革の文民統制分野の改革の意図するものとは何なのか、石破防衛大臣のお考えを改めてお聞かせください。
  95. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは佐藤委員ともよく議論をさせていただくことなのですが、防衛省ってほかの役所と明らかに違うところがあるということをちゃんと認識するところから議論はしなきゃいかぬのだと思います。要は、実力組織を持っているということ。もちろん、それは海上保安庁とか警察とかそれはあるんでしょうが、普通の国でいう軍隊という実力組織を持っている防衛省というものの組織は本当にこれでいいですかという議論はやはりちゃんとしなきゃいけないことなんだと思っております。それが一つ。  もう一つは、文民統制と言いますが、今までは、統制する側から見て使いやすい組織かどうなのかという視点から議論をされたことがあるだろうか。つまり、なぜ政治家が、私もオタクとかマニアとかいろいろ言われますが、実際に自衛官であったことはないわけでありまして、じゃ、何でその素人たる政治家が文民統制の主体として防衛省のトップにいるかといえば、それは国民の選挙、選択によって、国民の意思によって変わることがあるという国民主権に根差しているわけであって、そうすると、素人たる防衛大臣なるものが使いやすい組織なんですかということをやはりちゃんと議論をしなきゃいけない。どこで何が決まっているのかということが大臣の側から見て全然分からない、どこで何が決まったのか全く分かりませんということで本当に有事に動きますかと。私は動くと全く思っていないんですね。そこのところの組織として本当に今のままでいいだろうか。  私は組織改革が目的なのではありません。組織改革は結果であって、まさしく委員おっしゃるようにアウトプットであって、そのことを自己目的としてやっているわけじゃないんです。これが本当に文民統制にふさわしいちゃんと動く機能なんだろうか。  もう一つは、ラインとスタッフという議論はちゃんとしなきゃいけません。つまり、実力組織が動くというのは、それはラインですよね。ラインがちゃんと動くか。それが、実際に委員がそれぞれの部隊で指揮官でおられて、大臣って遠くにいませんでしたか。すごく距離感があるという感じがしませんでしたか。これは大臣の側から見てもそうなのです。この距離感をどうやって縮めていくかということは考えていかなければいけない。  同時に、スタッフの部門が余りに入り組んでおって、ましてやそこに制服のスタッフというもの、各幕、そして内局の背広のスタッフというものが、これが車の両輪と言えばとっても聞こえがいいのですけれども、本当にそれが上下関係みたいな形に立っていないか。あるいは、お互いがいろんな調整をすることにエネルギーを費やして、大臣のところにスタッフの意見が上がってくるのがすごく遅れるということがありはしないか。あるいは、陸海空それぞれの幕僚監部があることによって、それぞれの最適化はなされているけれども、全体としての最適化は本当になされてきただろうか。そして、それぞれの幕で議論を積み上げ、予算なんかそうですよね、そして内局に上がってきたときにはいろんな議論が全部そぎ落とされて、まあまあこんなものでしょうかという当たり障りのないものが上がってきたということがありはしないかという、いろんな問題点があるんだと思います。  さきの大綱のときに、実効性のある多機能な、そして弾力的な防衛力ということを打ち出しました。まさしく、これから実効性があるかどうか、多機能できちんと動くかどうか。もう一つそのキーワードとして考えていかなきゃいけないのは、統合、これは私は運用だけだとは思わないのですね。いろんなものも統合していかねばならない時代にあって、今の組織の在り方は本当にいいのですかという議論を、使う側の政治家の立場から見たらどうなるだろうか、そして内局官僚、自衛官たちから見たらどうなるだろうかというときに、政治家、制服組、そして内局、それの在り方というものをもう一回きちんと見直すということは私はこの時代にあって絶対にやらなければいけないことだと思っております。  アウトプットがどうなるかは別です。私の問題意識はそういうところにあるということを申し上げました。
  96. 佐藤正久

    佐藤正久君 熱い熱い大臣の思い、ありがとうございました。  ただ、今の大臣の思いの中で、今のままで動く組織とは思っていないということの多分中身は、多分個々の部隊では動けるけれども防衛省全体、政治意思と部隊との連接含めて全体として動くとは思っていないということだと私は感じていますけれども、それでよろしいでしょうか。
  97. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ここは言い方を改めます。私の言い方は決して適切ではありませんでした。  動くとは思っていないというのは、それは動くんです。動くのですが、それが政治の意思というものを本当に適切に反映して動くことができるか。私は最も適切に、そして最も迅速に動かさなければ意味がないと思っているのです。どうやってダメージというものを最小にしていくか、そして、災害でも何でもそうですが、初動態勢をどうするか。私どもは本当に最も早く、そして最も適切に動くという両方が充足されて初めて組織の意味を持ち得るし、それがきちんと動くということで抑止力が初めて発現されるのだと思っています。  動くと思っていないという言い方は、最も適切に最も迅速に動ける態勢にあるかどうかを検証する必要があるというふうに改めさせていただきます。
  98. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  大臣のお話の中にありました防衛省中央組織におけます文官の方と自衛官の方との混合組織をどういうふうにつくっていくかと、どういうふうに有機的にシビリアンコントロールを発揮するために機能させるんだという観点について質問させていただきます。  一部の意見の中には、陸海空それぞれ伝統、組織文化というものがあり、それが混ざってしまったら、文官の方と自衛官が混ざってしまったらアイデンティティーが失われるんではないかといった危惧の意見があるというふうな報道もありますけれども、それについての大臣のお考えをお聞かせください。
  99. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私はカナダの統合のように、もう陸海空はやめだ、統合軍だというようなことを申し上げたことは一度もありません。陸の特性、海の特性、空の特性、それはやっぱり生かされなければいけないと思っています。  ですから、ラインの部分において、統合部隊をどうつくるかという議論はひとまずおきまして、陸海空、これの自衛隊の三軍種、仮に軍種という言葉を使うとすれば、それをやめるなぞということは全く思っておりません。ラインにおいて陸海空というのは当然その特性を発揮しながら残っていくべきだと思っております。他方、スタッフ部門に陸海空というものをどこまでアイデンティティーを残しつつ入れていくかというのは、それはまた議論が別なんだというふうに私は思っております。  先ほど部分最適化ということを申し上げましたが、スタッフ部門に陸海空というのが今のままであることが本当にこれからの時代にとっていいだろうかということは、私は一度議論し検証してみる必要があるんだろうというふうに思っております。陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部というものの在り方が今のままでいいだろうかという問題でありまして、それを全部なくすということを私は申し上げているわけではありません。  ただ、スタッフ部門というものは、機能的に分けてしまえば、どのように防衛力を整備するかということ、そしてそれをどのように使うかということ、あるいはいろいろな日本防衛政策を対内的、対外的にどう発信するかということ、人をどうやって育成していくかということ、海外とのいろんな調整をどう行うかということ、そういうふうに機能が分かれるんだと思っています。そこにおいて陸海空のアイデンティティーをどこまで維持するか、どこまでそれを薄めるかということは、私は日本防衛政策トータルの観点から、アイデンティティーとかそういうものに余りこだわるということにどれほどの意味があるのかというふうには思っておるところでございます。
  100. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  私は、安全保障の基本という分野については与党も野党もあってはいけないと思っておりますし、また自衛隊というのは国民の財産であるというふうにも思っております。そういう観点から、いかにいざというときに国民あるいは国の安全を守る自衛隊であるかというためには、大臣がいろいろるる言われたような部分の改革というのは是非とも必要だと思っております。自民党は自民党の方でまた検討を進めますけれども防衛省は防衛省の方でまた大臣のリーダーシップの下鋭意検討を進めて、結果としていいものがつくれればいいなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。  次の質問に移ります。  防衛大臣は所信の中で、一般法が政府部内で検討を開始されたというようなことを述べられておりますけれども、私は、その政府部内の検討というものを更に加速させ、できれば今の通常国会に法案として提出すべきと考えておりますけれども政府の見解はいかがでしょうか。
  101. 小澤俊朗

    政府参考人小澤俊朗君) いわゆる一般法の整備につきましては、我が国が平和協力国家としての役割を果たす上で迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくために望ましい、また国際平和協力に関する我が国の基本的方針を内外に示す上でも有意義だと考えております。  今言われた一般法を今国会に提出するかどうかにつきましては、現在与党におきまして有意義な議論が行われていると承知しており、このような議論を含めた国民的な議論の深まり、さらには国会の状況といった様々な状況を踏まえて総合的に判断する必要があると考えていることを政府としてこれまで答弁させていただいてきております。  本件につきましては、できれば野党の方々にも御理解いただきながら、これらの様々な点を勘案しつつ検討を鋭意進めてまいりたいと、こう考えております。
  102. 佐藤正久

    佐藤正久君 一般法をこれから議論するときに、やっぱり幾つか論点があろうかと思います。よく言われるのは、武器の使用の部分、あるいは国会承認の部分、あるいは国連決議をどう扱うかという部分だと思いますけれども、今日は時間の関係で国連決議についてだけ一点確認させていただきたいと思います。  今、委員の皆様の方には配付資料として自衛隊法の第三条の抜粋を配らせていただきました。  三条の二の二で、赤字で書いてある部分ですけれども、ここに書いてあります「国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動」というこの記述と国連決議というものとの関係についての見解をお願いします。防衛省、お願いします。
  103. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  自衛隊法第三条第二項第二号の規定、ここに示していただきましたけれども、これは具体的には、国連平和維持活動やイラクにおける人道復興支援活動のほか、国際緊急援助隊法に基づく活動等も念頭に置いたものでございます。したがいまして、国連決議に基づかない活動も含んでおります。  また、自衛隊法第三条第二項、この規定にございますけれども、「別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。」というふうに規定されておりますので、国連決議に基づかない活動に自衛隊を参加させる新たな法律の規定、これが置かれるのであれば、そのような活動への自衛隊の参加も可能というふうに考えております。  いずれにいたしましても、我が国として、国連決議のある場合、ない場合等、いかなる国際的枠組みの下で活動することが適当かということにつきましては、与野党における議論を始め、国民的な議論、この国会における議論等様々な議論を十分に踏まえて検討していくべきものであるというふうに考えております。
  104. 佐藤正久

    佐藤正久君 今の説明を私なりに理解しますと、今の自衛隊の任務、国会で認められた任務からすると、国連決議がなくても参加できるし、実際やっているという理解でよろしいでしょうか。
  105. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  まさにそのような理解で結構だと思います。
  106. 佐藤正久

    佐藤正久君 この自衛隊法の改正は、民主党の方々も賛成していただいて成立したものと承知しております。  やはり、この部分というのは、今後の一般法の国連決議を考える部分においての一つの切り口にもなるのではないかと思います。今後とも、与野党を含めながらみんなで検討して、良い一般法というものを作っていきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  107. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  108. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会を再開をいたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  109. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  私は、この時間をいただきまして、今後の外交政策を中心としてお聞きしたいと思っております。そういう意味では、防衛関係ございませんので、石破大臣、お休みいただいても結構でございますが。  今年はサミットの年でありますので、サミットの主要項目は世界経済、二本目には地球環境問題、三番目にはアフリカの開発、そして不拡散及び政治問題と、こういうものが四本柱で議論されていくわけでございますが、この四本目の不拡散及び政治問題というのは少し扱い方がおかしいんじゃないかなと思うんですね。といいますのは、NPTの精神からいえば、不拡散と軍縮というのはワンセットで議論されていかなければ、結局は不拡散のところも十分に進んでいかないと、そういうのが一般的な認識だと思います。  そういう意味では、是非、被爆国である我が国で開かれるサミット、そして主要な国が、核兵器を持っている国が集まるこのサミットにおいて、是非日本の主宰で、核不拡散だけじゃなくて核軍縮も御議論いただきたいと思いますが、外務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  110. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これまでのサミットにおいて発出された不拡散に関する文書では、核軍縮、核不拡散及び原子力の平和利用といったNPTの三本柱、核実験モラトリアムの継続、カットオフ条約への言及等、核軍縮に関する要素が盛り込まれているわけであります。  北海道洞爺湖サミットや京都でのG8外相会合においても、G8議長国として国際社会で重大な問題となっている北朝鮮やイランの核問題について議論を主導するとともに、NPTを礎とする国際的な核軍縮・不拡散体制の強化に向けた力強いメッセージを打ち出していきたいと考えているわけであります。核軍縮をおろそかにしているわけでは全くありません。
  111. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  この核軍縮につきましては、二日前の六日にプーチン・ロシア大統領とブッシュ・アメリカ大統領の会談がございました。この二人は今から七年前、顔合わせになりまして、二〇〇二年には戦略核の縮減を目指すモスクワ条約を締結した間柄でございまして、今回の直接会談が最後になるんじゃないかと言われていた会談でありましたが、ここでこの核問題についてもう一歩踏み込んだ議論がされるんじゃないかと期待をしたわけです。つまり、いわゆる二〇〇二年に結んでおります、済みません、二〇〇九年ですね、二〇〇九年末に期限切れを迎えます核弾頭の廃棄までを求めるSTARTに代わる法的枠組みを、具体的に条約作業を始めるという宣言までを期待をされたわけですが、実際はそこまで行かずにそういう作業を継続するという程度に止まりました。  そういう意味では、逆に、もう一度この国の首脳が集まり、またアウトリーチの中国を含めれば核五大国が集まるサミットにおいて、二〇〇九年に切れる次のSTART条約について議論を深めていただきたいと思いますが、御見解をお聞きしたいと思います。
  112. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は、核兵器のない平和で安全な世界の実現のために、すべての核兵器保有国に対して核軍縮に向けた努力を粘り強く働きかけております。  米ロに対しては、我が国が国連総会に毎年提出している核軍縮決議等を通じ、米ロ両国が更なる削減に着手することを働きかけているわけであります。米ロ間の戦略兵器削減条約、STARTⅠ後の法的拘束力を有する枠組みに関する協議につきましては、米ロを含む核兵器国の核軍縮につながる動きとして注視しているとともに、国際的な核軍縮・不拡散の促進にも良い影響を与えることを期待しているところでございます。  政府としましても、軍縮と不拡散は相互に補完するものであると認識しつつ、NPT運用検討プロセス等の場において対応をしてきております。  G8の場におきましても、このような従来からの基本的立場も踏まえ、NPTを基とする国際的な核軍縮・不拡散体制の強化に向けた力強いメッセージを打ち出していきたいと、こういうふうに考えております。
  113. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。大臣の力強いメッセージを入れていくというのに期待をしたいと思っております。  ここで少し議論が変わるんですが、こういうことがあってはならないと思いますのは、核軍縮を議論するときに、今、日本北朝鮮の問題を抱えております。抱えているがゆえに、少し軍縮軍縮と言うのはやめようじゃないかというようなことがもしあっては、これは風潮としてはおかしいと思いますが、大臣の見識をお伺いしたいと思います。
  114. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮の核問題は、我が国を含む北東アジアの平和と安定に対する直接の脅威であり、核兵器不拡散条約を基とする国際的な核軍縮・核不拡散体制に対する重大な挑戦であります。  一方で、こうした困難な挑戦に直面しているNPTは、その長い歴史の中で徐々にその普遍性を増し、現在では締約国は百九十か国を数えているわけであります。我が国としては、こうしたNPT体制を弱体化させてはならず、むしろ維持強化しなければいけないと考えております。こうした観点から、我が国は、昨年の国連総会において核軍縮と北朝鮮の核問題の両方に言及した決議案を提出し、圧倒的多数の支持を得ました。  我が国は、今後とも、核軍縮・不拡散体制の維持強化のため積極的な外交を展開していく考えでございます。
  115. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  今大臣御答弁いただきましたように、北朝鮮問題、不拡散という問題と核軍縮をしっかりと両輪としてこのサミットでも取り上げていただきたいと思います。  次に、核軍縮の関係では、日本は国連の場で多くの成果を上げているわけでございます。昨年末の米国時間十二月五日に核軍縮決議案、核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意というものが、賛成百七十、反対三、棄権九の圧倒的多数で採択されました。この賛成百七十という数字は、一九九四年提出して以来、この十三年目で最多数でございます。  しかし、毎年この賛成数を増やしていくのも一つの大きな努力ではございますが、これと併せて、そろそろ具体的なアクションというのが必要でないかと思います。  昨年の臨時国会で私の質問に対しまして高村大臣は、政府としては核廃絶という目標と核抑止を必要とせざるを得ない現実の状況の差を埋めるべく、核軍縮のための現実かつ着実な努力を粘り強く続けていきたいと御答弁をいただきました。  それでは、国際テロ集団に核兵器や核物質が入手されるまではそれほど十分な時間があると考えられないが、その現実かつ着実な努力は具体的にどのようなものを想定されているのか、お聞きしたいと思います。
  116. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国が昨年の国連総会に提出した核軍縮決議案、核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意は、九四年の決議案初提出以来最多数の賛成票を得て採択されました。このことは、我が国の核軍縮に向けた決意とメッセージが広く国際社会に支持されたことを示すものであると考えております。  我が国は、唯一の被爆国として今後とも核廃絶に向けた現実的かつ着実的な努力を継続し、NPTを礎とする国際的な軍縮・不拡散体制の維持強化のため一層の取組を行っていく考えであります。  具体的に申し上げますと、本年四月から五月にかけて開催される二〇一〇年NPT運用検討会議第二回準備委員会の成功に向けた取組を行うとともに、北朝鮮やイランの核問題などの直面する個別の課題への対処、CTBT、包括的核実験禁止条約の早期発効等に向けた働きかけ、カットオフ条約の交渉開始のための外交、IAEA追加議定書の普遍化に向けた取組等、今後とも核軍縮・不拡散のための積極的な外交を展開していく考えでございます。
  117. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  確かにこの核軍縮問題はいろんな分野に関連が広がっておりまして、そういう意味ではCTBT、FMCT、またNPTそのものの見直しということも含めて幅広く具体的な実績を上げていただきたいと思っております。  次に、この国連決議でありますが、幾つかの項目が書いてあるんですけれども、最後の項目にこういう表現があります。市民社会が果たす建設的な役割という文章がございますが、この国連決議の最後の項目としてある市民社会が果たす建設的役割をどのように働かせることによって具体的な核廃絶を実現していくのか、大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  118. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 核廃絶を実現するためには、それを支える幅広い世界市民の理解と支援が必要であります。NGOや若い世代との交流を通じた軍縮・不拡散教育の取組が重要と考えます。  そのような観点から、最近、「日本の軍縮・不拡散外交」第四版を発刊するなど、国際的な軍縮・不拡散情勢と日本の政策を国民に説明する努力をしております。また、唯一の被爆国である我が国は、国内及び海外において被爆の経験を伝えるための活動や、軍縮・不拡散について市民の理解を深めるための取組を支援してまいりました。  政府としましては、核軍縮において市民社会が果たす役割を十分に認識しており、今後とも核軍縮・不拡散を促進するための市民社会の建設的な役割を奨励していく考えでございます。
  119. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  今大臣がおっしゃいました、日本が内外の国々に対しましてこの核兵器の悲惨さ、恐ろしさというものについて伝えていくと、非常に重要であると考えております。是非そういういろんな行動を続けていただきたいと思いますし、また市民がそう動く場合に支援をいただきたいと思います。  次に、少し地域を限った議論でありますけれども、まず最初に北東アジアの非核地帯構想についてであります。これにつきましては、昨年の臨時国会で十月二十五日に大臣質問させていただきました。その御答弁で、非核地帯構想の実現のための現実的な環境整備がまだ整っていないことから時期尚早であるという御答弁をいただきました。  それでは、どのような環境整備がなされれば、この核兵器国が域内の核攻撃をしないという誓約、消極的安全保障の供与、また非核国においては非核三原則を守るというこの北東アジア非核地帯構想を六か国で協議していくことができるのでしょうか。どういう環境整備が必要なのかについて御答弁いただきたいと思います。
  120. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) いわゆる非核地帯構想につきましては、一般的に言えば世界と当該地域の平和と安定に資するものであること、核兵器国を含むすべての関係国の同意が得られること等の適切な条件が満たされるものであれば、核拡散の防止等の目的に資するものと考えているところでございます。  しかしながら、一方では、昨年十月にも答弁したわけでありますが、我が国を取り巻く北東アジアにおきましては依然として不透明な要素や緊張関係が存在していること、現実に核戦力を含む大規模な軍事力が存在すること等により、非核地帯構想の実現のための現実的な環境はいまだ整っていないと考えているわけであります。このことは、六者会合が膠着状態に陥っている現状を踏まえればなおさらのことであります。  北東アジアにおきまして非核地帯構想が実現されるためには、少なくともこうした状況が克服されることが大前提でありますが、これに加え、どのような環境整備が行われれば必要な条件が満たされるかについて、現時点で、先ほど述べた一般的な考え方を超えて一概に申し上げることは困難であります。
  121. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今の御答弁の中で、核戦力を含む大規模な軍事力というのが我が国の周辺にあると、米中ロという国があるわけでございますけれども、ただし、この国につきましては、NPTの無期限延長の際に、非核国への先制不使用を宣言しているはずです。また、今言われました不透明な要素や緊張関係、これは北朝鮮のことだと思います。北朝鮮のことにつきましては六か国協議でいずれ議論をして決着を見ることを期待しているわけでございますが、そういうことによればある面では条件整備とされると考えるんですが、外務大臣の見識をお伺いしたいと思います。
  122. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) もう少し今おっしゃったようなことが実現してくれば検討するに値しますが、六か国協議にしても、話がまとまってどういうふうに進んでいるかとか、いろいろ検証が必要なんだろうと思うんです。信頼関係が完全にないところで、一方は約束守る、一方は守らないかもしれないという、信頼関係の構築とか、いろいろ必要なことがあるかと思いますが、早くそういう条件が整えばいいなというふうには思います。
  123. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。私も早くそういう条件が整うことを期待しておりますが。  もう一つ、前の臨時国会で質問した案件で大臣から御答弁いただいたんですが、それは何かといいますと、六か国協議の中での北東の安全保障を議論する作業部会については、六か国協議が終わったとしても存続することはあり得るという御答弁をいただきました。私自身は、今言いましたこの北東地域の非核地帯を今後議論していく場として、六か国協議の安全保障を議論する部会は協議が終わったとしても存続をして、そういうテーマについて議論していくべきだと考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  124. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 六者会合は関係各者が北朝鮮の核問題の解決を中核的な目的として行っているものでありまして、非核化が実現した後も同会議が存続すべきか、またいかなる役割を果たすべきかといったことについて、現時点で確定的に論ずることは困難なんだろうと思います。  いずれにしても、我が国としては、今後とも日米安保体制を堅持しつつ、二国間及びARFを含む適切な多国間の枠組みによる対話を通じ、域内の信頼醸成を促進し、北東アジアの平和と安定を図っていく考えであります。六か国協議のもう少し確定的な見通しが、最終的な、第二段階が確実にできて第三段階もうまくいったと、そういうような状況の中でみんなでそういう話を始めるということはあり得るかもしれませんが、現時点で、まだ中核の問題が海のものとも山のものとも付かない状況の中で今そういう話を始めるのはちょっと早いかなという感じもしております。
  125. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 おっしゃるとおりでございますが、その進展に今後応じて、日本という国はそういう意思を持つということを関係国にお伝えをされて、そういう段階が参りましたらそういう議題についても御討議いただきたいと思います。  この非核地帯から資源管理まで拡張している条約の一つに南極条約というのがあるんですね。これは、南極についての領土権の議論を凍結しまして、平和利用を義務付けた南極条約が一九五九年に採択されています。日本も原署名国として、アメリカイギリスフランス、ロシア、当時ソ連ですか、等の十二か国で始めたわけでございますけれども、現在では北朝鮮を含む四十六か国が締約国となっておりまして、南極の海洋生物資源の保存に関する条約、こういったものを含め二百以上の勧告措置を採択しているわけでございます。  そこで、これは事務方で結構でございますので、外務省質問しますが、日本が南極条約に加入しているメリット、これはどういう点にあるんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  126. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) 委員指摘のように、南極条約は、南極地域の軍事的利用の禁止、同地域に対する領土主権の主張の凍結を始め国際協力による科学的調査の促進等を図るために作られた条約でありまして、そのとおり、南極条約によりまして、南極地域の平和利用が促進されること、それから領土主権の主張が凍結され、また同地域において科学的研究を行い得るということは我が国にとって大変有益と考えております。  我が国としては、南極条約に基づく体制が将来とも存続することが重要であると認識し、同条約の実施に積極的に協力していく考えであります。
  127. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございます。  平和利用が進んでいき、また科学的研究もなされていくというメリットがあるわけですが、一方、近年心配されておりますのは北極の状況なんですね。地球の温暖化によりまして夏には北極海の海氷が減少をすると。NASAのデータによりますと、一九七九年から二〇〇〇年までの二十一年間でこの海の氷が二〇%も減少していると、こういう現実がございます。そうなりますと、いわゆる氷ではなくてもう海になりますので、一層の軍事利用や漁獲資源、また海底資源の争奪戦が激化するということも懸念されているわけでございます。  そこで大臣質問いたしますが、南極条約と同様、北極圏についても海洋生物資源の保護、秩序ある海底資源の利用、非核平和利用等を内容とする北極条約を北極に接するアメリカ、ロシア、カナダが参加するこのG8サミットで提案していただきたいと思いますが、御見解はいかがでしょうか。
  128. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 御指摘のとおり、南極条約では、南極地域の平和利用のため、例えば軍事利用が禁止されるとともに、南極地域における生物資源の保護及び保存等に関する措置の立案等を行うために締約国が会合をすることが定められているわけであります。  一方、北極は陸地ではないなど南極地域とは前提条件が異なっている面がありまして、国際海洋法条約の下で海洋生物資源の保護、秩序ある海底資源の利用等について規律化されていると、こういうふうに認識をしているところでございます。  ある地域を非核化することについては、一般的に言えば、世界と当該地域の平和と安定に資するものであること、核兵器国を含むすべての関係国の同意が得られること等の適切な条件が満たされるのであれば、核拡散の防止等の目的に資するものであるというのは先ほどお答えしたとおりでありますが、御指摘の北極圏の非核化に当たりましても、このような条件が満たされるよう関係国が調整することが必要であると考えております。  御指摘の北極条約については、将来的にしかるべき場において議論されるべきものと考えますが、来る北海道洞爺湖サミットにおいては大体もうシェルパの間で環境・気候変動、開発・アフリカ、世界経済、不拡散を始めとする政治問題、こういうことが議論されると。大体議題が設定、固まりつつあるということは御理解をいただきたいと思います。
  129. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 洞爺湖サミットでの議論の柱が決まりつつあるという話についてはこちらも理解をしております。  ただ、一方では、北極での資源の争奪戦というものについては懸念をするわけでございまして、国連海洋法を適用するか、またほかのものを適用するかあるかもしれませんが、是非日本としても高い関心を持って、必要であればそういう条約を提案する等御検討をお願いしたいと思います。  次に、保健分野の国際行動指針について質問させていただきたいと思います。  高村大臣は通常国会の冒頭の外交演説でこのように宣言されました。つまり、「途上国における感染症や母子保健の深刻な状況を踏まえれば、国際保健分野の課題も避けて通れません。TICADⅣや北海道洞爺湖サミット等の場を通じて、我が国の経験も踏まえつつ、国際社会が共有する行動指針の策定を目指してまいります。」と、こういうことを外交演説でおっしゃいました。この中の我が国の経験を踏まえつつということは、日本の得意な分野を、それぞれG8の参加する国が得意分野を出し合って、全員参加型でこの保健分野に取り組んでいくというのが重要だというメッセージだと思っております。  日本の場合は、特に結核という分野については大きな成果を上げております。一九四七年の結核による死亡者は十四万七千人でした。それが二〇〇七年では二千二百六十七人と、六十年間で六十五分の一まで減ってまいりました。さらに、これは結核の単なる薬の投与だけではなくて、それをうまく作用する地域コミュニティーですね、患者さんを発見し、いわゆる差別でない形での隔離をし、そして完治を目指していくという、この地域医療が併せてできて、その地域医療制度がほかの伝染病にも使われていかれたと、そう私は理解をしております。  そういう意味で、高村大臣外交演説で示された、我が国の経験を踏まえつつ、国際社会が共有する行動指針の策定ということは、ある意味では結核対策の我が国の成功した分野を中心に貢献していくということと考えますが、見識をお伺いしたいと思います。
  130. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は、北海道洞爺湖サミットの開発・アフリカの議題の中で保健分野を焦点の一つとして位置付けており、国際保健協力に関する議論を主導していきたいと考えております。このような観点から、私は一月の外交演説におきまして御指摘の行動指針の策定を提案したものであります。  保健分野の具体的成果については、現在G8保健専門家会合において議論を進めており、御指摘の点も踏まえつつ、G8各国と議論を深めていく考えであります。  特に感染症の中でも結核につきましては、我が国は母子保健とともに戦後の取組の中で豊富な経験や実績を有しておりまして、途上国に対しても様々な形で支援を行ってまいりました。このような日本の経験を生かした国際協力を今後とも推進していく所存でございます。
  131. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  最後に一問聞いて終わりたいと思います。  一つは、水の問題、安全な水という問題ですね。福田総理もダボス会議でこれを提唱されました。そういう意味では、今回、アフリカ開発の中で、命のための水基金といいますか、いわゆるそれを各国が協力するという枠組み、こういうことを提案されることが重要でないかと考えております。  また、TICADでいろいろなテーマが提案されますが、最終的にはそれを実行していくのは人間であります。そういう意味では、実はアフリカに対しまして、日本は一九九三年のTICADⅠから合計約二千名規模の、二千百五十名の方々との交流をしております。研修をしております。こういう方々のフォローアップをうまくすることによってより定常的な人間関係をつくっていくことが重要と考えますが、この点について御見解をお聞きして、私の質問を終えたいと思います。
  132. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北海道洞爺湖サミットにおきましては、環境・気候変動問題、開発・アフリカ問題等が主要な議題として取り上げる予定であります。  御指摘の水の問題は、政府としましても、環境・気候変動問題、開発・アフリカ問題双方にもかかわる重要な問題であると認識しております。我が国としましては、水問題の重要性にかんがみ、G8サミットで水問題を取り上げるべく取り組んでまいりたいと思います。  それから、アフリカの青年交流のフォローアップでありますが、我が国がアフリカ外交や対アフリカ援助を展開していく上で意義深いわけでありまして、こうした観点から、アフリカに帰国した青年研修員の連絡先を日本側で交流を行った家庭等に提供することにより交流の継続を促したり、あるいは帰国した青年を含むJICA研修員により構成される各国別同窓会活動の支援を行っているところであります。こうした同窓会を通じて草の根無償によるニーズの把握も可能と思われることから、今後、こうしたフォローアップを引き続き実施して我が国外交資産として活用を図る考えでございます。
  133. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 終わります。
  134. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  横須賀基地の米兵によるタクシー運転手殺害事件が起きました。基地あるがゆえの、まああってはならない事件でありますが、今回の事件で驚きの声上がっておりますのは、脱走兵だったということと併せて、犯人がナイジェリア国籍だったということですね。今アメリカは、イラクやアフガンに大量の派兵をしまして兵士不足になっている、その下で兵士集めに躍起になっておりまして、今回の容疑者のようにいわゆる永住権と引換えに入隊をさせるグリーンカード兵なる新語も生まれているということでありまして、こういう採用基準の緩和が質の低下をもたらしているという指摘もあるわけですね。  そこで、まずお聞きするんですが、日本に駐留している米兵のうち、このグリーンカード兵と呼ばれる兵は陸海空、海兵隊でそれぞれどれだけいるんでしょうか。
  135. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) おっしゃるように、米軍では、米国籍を有しなくとも、米国居住権や語学能力など一定の条件を満たせば米軍人となることが認められていると承知をしております。  一方、在日米軍人のうち米国籍を有しない軍人数については、米軍の運用にかかわることでございますので、政府としては承知をしておりません。
  136. 井上哲士

    ○井上哲士君 日米地位協定の中で、日本政府は、入国者及び出国者の数及び種別について定期的に通報を受けると、こういうことになっているわけですね。この協定ができたときにはそういう外国籍の軍人というのはほぼ想定をされてなかったと思うんです。やはり国籍という問題もこの通報の項目に入れるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  137. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今般の横須賀における事件が米軍人により引き起こされたことは極めて遺憾でありますけれども、今般の事件については、国籍の問題というよりも、脱走兵のような人物に対してより適切な措置がとられるべきではなかったかとの観点から再発防止を講じることが重要と考えております。  このため、米軍人が行方不明となった場合の情報共有の在り方について、情報共有の範囲等を含め合同委員会の枠組みで整理すべく米側及び関係省庁で検討をしているところであり、可能な限り早期に大枠につき合意したいと考えているわけであります。  米軍人の国籍が何であるかということは、必ずしも日本政府が把握すべきことではないのではないかと考えております。
  138. 井上哲士

    ○井上哲士君 私もナイジェリア国籍だから悪いということを言うつもりはないんです。ただ、先日も予算委員会で性犯罪の問題、質問しましたけれども、今のアメリカ軍というものの実態がどうなっているかということをきちっと把握しなければ実効ある再発防止措置も求めることができないと思うんですね。  その採用基準の緩和というのはいろんな問題がありまして、米軍の新兵の採用担当者が自分の目標達成のために応募者の犯罪歴とか病歴を隠すと、こういう違法行為も増えているわけですね。こういう実態は例えばじゃ日本は掌握されているんでしょうか。
  139. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 米軍の採用につきましては日本政府としてその詳細を承知しているわけではありませんけれども、米軍は軍人の採用に当たっては、犯罪歴などを申告させ又はこれを調査し、しかるべき審査の上、規律を維持するにふさわしくない人物については入隊を認めていないとの手続を取っているものと承知をしております。例えば、未成年者に対する性犯罪や暴力的な性犯罪で有罪判決を受けた者については入隊は認められないと、こういうことであります。  政府としては、米軍は米軍の責任においてその規律を維持するのにふさわしい人員を採用、配置すべきものと考えております。  取りあえずそういうことでございます。
  140. 井上哲士

    ○井上哲士君 今答弁されたような仕組みになっているんです。だから、それを隠してやっているという違法行為があるんですね。  これはアメリカ政府監査院が二〇〇六年の八月に報告書を出しています。アメリカ自身報告書の中で、こういう目標達成のために犯罪歴や病歴を隠しているというのが出されているわけですね。ですから、私はやっぱりこういう下でやはりモラルの低下とかいろんなことが起きているというこの事実はしっかり見て、その上での実効ある再発防止策をしっかり迫ることが必要だということを強く申し上げておきたいと思います。  次に、今も議論になりましたけれども、核兵器廃絶の問題やサミット議長国としてのイニシアチブの問題について質問いたします。  二〇〇〇年のNPTの再検討会議で、核廃絶を求める国際世論の中で、核保有国も自国の核兵器の完全撤廃への明確な約束というのを受け入れて合意に盛り込まれました。政府としては、この二〇〇〇年の合意については現時点でどういう評価をされているんでしょうか。
  141. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 二〇〇〇年のNPT運用検討会議最終文書には、CTBTの早期発効、カットオフ条約交渉の即時開始、早期終了、米ロ間の核軍縮の推進及び核兵器の全面的廃絶に対する核兵器国の明確な約束といった核軍縮・不拡散分野における将来に向けた前向きな措置が盛り込まれているわけであります。我が国はこれを、核不拡散体制を堅持し、強化し、また核軍縮を推進していく上で極めて有意義な成果だったと評価をしております。
  142. 井上哲士

    ○井上哲士君 極めて有意義な成果だったと。  この具体化が二〇〇五年の再検討会議で求められました。私も、当時、国連本部に傍聴も行き、いろんな行動をニューヨークでしたわけですが、残念ながらアメリカの抵抗もあり合意文書ができなかったわけですね。そこで、次の二〇一〇年のNPT会議というものが大変注目をされております。この二〇一〇年の再検討会議で、この核兵器廃絶の明確な約束の実行を迫る上で非常に大きな変化がこの間起きております。  昨年の一月に、キッシンジャーそれからシュルツ両アメリカの元国務長官、それからペリー元国防長官、そしてナン元上院軍事委員長の四氏がウォール・ストリート・ジャーナルに、核兵器のない世界というのを呼びかけて、そのための本格的な取組をアメリカ自身に求める論文を発表して大変衝撃を与えました。一年後の今年一月にも、再度この四氏が核兵器のない世界に向けてという呼びかけを発表しております。  大臣、まず、これお読みになったかどうかだけまずいかがでしょうか。
  143. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) これを全体を読んだということはございません。
  144. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは今国際会議などでも大変大きな注目があるわけですから、核被爆国の外務大臣として、是非これは、ちょっと私は驚いたんですが、これは、読んでいないということは、それで核廃絶に向けての交渉ができるんだろうかということを思うんですね。  昨年の論文では、抑止力の目的で核兵器に依存することはますます危険だというふうにした上で、拡散の防止のためには核廃絶に進むことが必要なんだということを言いました。今年もこういうことを言った上で、昨年の論文の呼びかけにアメリカの元高官から非常に大きな支持が広がっているということを書いているわけですね。オルブライト、ベーカー、クリストファー、パウエルという元歴代の国務長官、それからブレジンスキー元大統領補佐官、ですからケネディ政権からブッシュ第一期政権までのすべての政権の国務長官あるいは国防長官、安全保障担当の大統領補佐官のだれかが名を連ねているという状況になっております。  アメリカの核政策を立案をし推進をしてきた人物が、もう抑止力というのは有害だという、それから核拡散の防止のためには核廃絶に進むことが必要だということを呼びかけたというのは大変大きな意味があると思いますけれども大臣、概略は御存じかと思います。こういう論文を受けての御感想、そしてそれにアメリカの元高官の支持が広がっていることに対する受け止めはいかがでしょうか。
  145. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) この論文については概略の説明は受けておりますし、大変いい方向が出ているなと高く評価するものであります。そして、元高官が、多くの高官がそれを評価しているというのもいい傾向だなと。願わくば現役のときにそういうことを言ってほしかったなと。私以上に読む必要があるのは、アメリカとかロシアとか、核保有国の首脳に是非読んでもらいたいと。私とは大体元々同じ意見でありますから、私は読まなくてもいいけど、そういう人たちにこそ読んでもらいたいと、こういうふうに考えているわけであります。  本件投稿記事に示されているような核兵器廃絶に向けた現実的かつ着実的な努力の呼びかけは我が国の核軍縮に関する国連総会決議案との共通点もあり、我が国が行ってきている核兵器廃絶を目指した努力とも基本的には軌を一にするものであると考えております。  我が国は、唯一の被爆国としても今後とも核廃絶に向けた現実的かつ着実な努力を継続し、NPTを礎とする国際的な軍縮・不拡散体制の維持強化のため引き続き取り組んでいく考えでございます。  他方、東アジア地域は、北朝鮮による弾道ミサイル発射や核実験実施発表に示されるように、引き続き不安定、不確実性を内包しており、核抑止力を含めた米国の抑止力は我が国の安全を確保する上で極めて重要な役割を果たしております。核軍縮を議論するに当たっては、そうした我が国が置かれている環境等についてもよく勘案すべきであると考えます。  政府としては、核廃絶という目標と核抑止を必要とせざるを得ない現実の状況との差を縮めるべく、核軍縮・不拡散のための現実的かつ着実な努力を粘り強く続けていくことが重要と考えております。
  146. 井上哲士

    ○井上哲士君 この呼びかけに加わったシュルツ元アメリカの国務長官が今年の一月に日本の新聞にインタビューで答えていますが、抑止にも役立つんじゃないかという質問に対して、それは大きな間違いだと、こう彼は言っているんですね。敵対国家というのはもう通常兵器でも抑止できるんだということを言っているわけであります。  私は、やっぱり従来型のアメリカの核の傘のような議論からは日本は今脱すべきときだと思うんですね。  あの四氏の呼びかけの反響というのは非常に世界的にも広がっておりまして、今年の二月にはノルウェー政府が主催をしてオスロで核軍備撤廃の国際会議が開かれて、日本からも大使が参加をされております。それから、イギリスのベケット外務大臣ども、こういうのを支持するようなシグナルの意見を出されているわけですね。  そういう中で、私はもっともっと日本がこういう呼びかけにこたえてイニシアチブを発揮をするべきだと思うんですが、ただしておきたいのは、今年二月にミュンヘンで開かれた国際安全保障会議での対応なんですね。  これ、日本高村大臣日本の閣僚として初めてこのミュンヘンの会議に参加をされておりますが、大臣の演説が外務省のホームページでも見れますが、この中ではこういう四氏の呼びかけに触れることもなければ、北朝鮮の核問題はちょろっとありますが、核廃絶、核軍縮という言葉もないわけですね。  私は、日本がイニシアチブを発揮するという場合に、やっぱりこんな基本的な国際会議の場でそのことをしっかり述べるということが必要だったと思うんですね、被爆国の外務大臣として。いかがでしょうか。
  147. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) そのときそのとき、TPOに応じてそのとき最も全体的なテーマになっていること、そういったことについて述べているわけでありまして、その演説の中で述べていないからといって日本がそれを重要視していないというわけではないと。それは国連等において核廃絶決議案等を出していることからでもお分かりいただけるだろうと、こういうふうに思います。
  148. 井上哲士

    ○井上哲士君 高村大臣の前の日に、ドイツのシュタインマイヤー外務大臣が、核軍縮問題を欧米諸国最重要課題と位置付けて、核兵器保有国に対して軍縮で指導性を発揮するということを演説で求めているんですね。その演説の中でこの四氏の呼びかけにも触れて、今度のNPTの見直しの中で綿密に吟味されるように期待すると、こういうことまで述べられているわけです。その翌日に私は大臣が演説されたということは、せっかく呼びかけられているわけです、これやっぱりこたえる演説を急遽中身替えてでもやるべきだったんではないか。  私は、唯一の被爆国である日本というのは、先ほどTPOと言われましたけれども、まあ会議の空気が読めてないなと言われるぐらいあらゆる会議でしっかり言ってこそイニシアチブ発揮できると思うんですね。こういう呼びかけがわざわざされているのにかえって触れないということは、むしろ後ろ向きの印象、メッセージを与えるんじゃないかという懸念を持っておるんです。  そこで、今度のサミットでどういうイニシアチブを発揮するのかということが大変重要だと思うんですが、先ほどもいろいろありました。しかし、この間のやはり決議を見ますと、声明を見ますと、見出し自身が不拡散になっていますし、それから、先ほど三本柱と言われました。三本柱という言葉はあるけれども、不拡散という言葉はあっても、核軍縮という言葉自身はこの声明の中に出てこないんですね。私、同じものが出てきたようであれば、これは力強いメッセージにはならないと思うんです。  ですから、やはり正面から核軍縮、核廃絶ということを議題として取り上げるということ、それから、この機会に是非、被爆者の代表の発言機会とかそれから核被爆写真の展示を併設するなど、核兵器の実相を示すそういう場も与えてこそ被爆国の議長国にふさわしいイニシアチブだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  149. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 御存じだと思いますが、サミットは、本来経済サミットとして経済の問題が中心になって始まったものでありますが、その時々の政治問題も取り上げると、こういうことでやっているわけであります。  この核軍縮の問題というのはずうっと続いた問題なんですね。それで、そのときそのときのトピックとしては、今はイランの不拡散の問題がありますね、今は北朝鮮の不拡散の問題がありますねと、こういうことで不拡散という問題を取り上げているわけでありますが、その基盤として核廃絶、核軍縮も必要ですねと、当然そういうことで触れていくと、こういうことであるので、まさに現時点の起こっている政治問題が何だと、こういうことで不拡散という話に今度のサミットではなっていると、こういうふうに御理解をいただきたいと。  それから、ミュンヘンの会議についてお話ありましたが、私も後で知りましたが、私はちょうど飛行機に乗っている間にされて、連休二日を使って行って帰ってきた旅でございますので、そのときの空気が読めなかったといっても、そこ、いなかったときの空気でありますから、そこは御理解をいただきたいと、こう思います。
  150. 井上哲士

    ○井上哲士君 それは、やっぱり外務省全体が被爆国の政府にふさわしい対応をしていただきたかったと思うんですね。  今、今の中心は違うんだということを言われましたけれども、だからこそ私は、今四氏の呼びかけなど、核廃絶ということがこの一年間で大きな変化が起きている、まさにチャンスなんだということを言いたかったんです。先ほど言いましたシュルツ氏は、オスロの会議でチャンスを失わないことということを強調しているんですね、今がチャンスなんだということを言っています。  九月にサミット開催国で、日本で議長サミットが開かれます。日本では初めてでありますけれども、その会場に衆議院議長は広島を選びました。ですから、アメリカの下院議長が初めて広島に来るんですね。サミット参加国の下院議長が原爆の慰霊祭に献花をし、平和記念資料館を見る、そして平和、軍縮への議会の役割ということをテーマで議論をする、これは非常に大きな私はイニシアチブだと思います。そういう立場政府もしっかり発揮していただきたいということを強く申し上げまして、質問を終わります。
  151. 山内徳信

    ○山内徳信君 社民党・護憲連合の山内徳信でございます。  私は、今日は最初に環境省にお伺いいたします。  人類にとってあるいは国際社会にとって今最も重要な問題は、地球環境あるいは自然環境をいかに守っていくかということが大きな課題であると思います。そこで、二〇〇八年を国際サンゴ礁年と決定されておりますが、その活動目標について簡単に御説明お願いしたいと思います。
  152. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) ただいまの国際サンゴ礁年ということですけれども、これは二〇〇六年のICRI、いわゆるサンゴ礁保全のための国際的枠組みである国際サンゴ礁イニシアチブと呼ばれておりますけれども、この総会で二〇〇八年を国際サンゴ礁年として指定したものであります。  世界各地で政府、企業、NGO等様々な関係者が協力してサンゴ礁の保全や普及啓発のための活動を推進するものでありまして、日本国内におきましては、「知ろう、行こう、守ろう」のキャッチフレーズの下で、多くの主体の参加によりまして国際サンゴ礁年推進委員会を立ち上げ、オープニングイベントの開催、イメージキャラクターの名称の募集等様々な活動が今日まで行われているところであります。  また、六月にはシンポジウム、十一月には東アジアの会議等も予定されておりますけれども、こうした活動を通じて、より多くの人にサンゴ礁の保全について理解を求めていくというのが目標でございます。
  153. 山内徳信

    ○山内徳信君 国民への周知方はどのような方法を取っていらっしゃいますか。
  154. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) 資料とかお渡ししていないかと思いますが、こうしたパンフレットとかを作って、いろいろな先ほど申し上げたようなイベント等を通じて、またこれから会議も開かれますので、そういう中でいろいろ周知を徹底していこうということでございます。
  155. 山内徳信

    ○山内徳信君 今年の一月三十日、沖縄県の名護市の東、太平洋に面した大浦湾でアオサンゴの大群落が発見されたという報道がなされました。三月二十二日から、WWFJ、いわゆる世界自然保護基金日本は、衛星利用測位システム測量や潜水によるアオサンゴ群落の形状、分布、環境調査を行っております。  目崎茂和南山大学教授は、内湾にこれだけのサンゴ群落があるのは珍しい、また十数メートルもそそり立った壁を形成しているのは見たことがない、形状的には世界でもまれではないかと群落の存在を評価しております。  二十一世紀は環境の世紀であり、今年は北海道で洞爺湖サミットが開かれ、地球温暖化問題、地球環境の問題がテーマになります。南の亜熱帯を象徴するアオサンゴの大群落が発見されましたが、環境省は自然環境を保護する所管省として、アオサンゴの現地、現場や形状等の実態調査は行われましたか。もしまだ実態調査をしていなければ、早い時期に調査する考えがありますか。お答えください。
  156. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) 環境省では、これまで全国的な視点から数回にわたりましてサンゴの分布状況を把握することを目的としまして自然環境保全基礎調査等によりサンゴの調査を行ってきました。この大浦湾でも行ってきたわけですけれども、その際にアオサンゴの群落という、群集というのは見付かってはいなかったわけです。  御存じのとおりで、アオサンゴというのは沖縄を中心に広く分布しておりまして、石垣島の白保と、これは礁池というところ、浅いところに大きな固まりがあるわけでございますけれども、今度の発見は下っていくようなそういう壁のところというか、そういうところにあったということでは報道を承知しておりますけれども、現在のところ、この団体の報告につきましてもこれからまとめるということなので、五月連休明け等にはまとまるとは聞いておりますけれども、そうした報告をまた見させていただきながら考えていきたいというふうに思っております。
  157. 山内徳信

    ○山内徳信君 環境省にあと一点だけお伺いしておきたいんですが、環境省は報告を受ける省庁ですか。こういうこれだけのまれに見るのが発見されたときには、胸を躍らせて部下の課長かあるいは係長ぐらい三、四名行って現場、現地をちゃんと見てカメラに写してこいと、このぐらいは臨機応変に動かなければ、環境を守る省庁としてはちょっと後ろ向きと言われても返す言葉ありますか。
  158. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) 先生既に御存じのとおり、このWWFジャパンとかこういうNGOとか日本自然保護協会ですか、こうしたところが専門家も交えて調査をしているということで、しかもその報告が近々に出るということなので、そういうものを勘案して環境省としては今後必要な取組を進めていくという、そういう考え方ですけれども
  159. 山内徳信

    ○山内徳信君 その報告を受けてその後必要な調査をやりたいと、こういうふうに受け取っておいてよろしゅうございますか。
  160. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) その報告によってはまた環境省としての対応も必要になってくるかと思いますけれども
  161. 山内徳信

    ○山内徳信君 次は外務省の方にお伺いいたします。ほとんど日米地位協定に関する問題で私の持ち時間は終わるかと思います。じっくり外務大臣と論議を深めていきたいと思います。  民主党、国民新党、社民党は、日米地位協定の改正案を四月三日、三党の幹事長始め関係国会議員そろって町村官房長官、高村外務大臣に提案をいたしまして、是非地位協定の改正をと、こういう要請をしたところでございます。この動きは日米関係の新しい歴史を創造する第一歩であると、そういうふうな思いをしておるところでございます。  官房長官は、しっかり検討させていただきますと、こういうふうに回答されました。外務大臣は、検討をする、検討はという言葉を検討をという言葉に皆さんの前で訂正をされて、誠心誠意返事をしていただいたと私は思っております。  日本政府のこの検討するという三党への回答に対し、許し難いアメリカ政府の役人の発言がございます。そのことからお伺いをしていきたいと思います。  まずケビン・メア在沖米総領事の前職をお伺いしたいと思います。前の職ですね。
  162. 木村仁

    ○副大臣木村仁君) ケビン・メア在沖縄米国総領事の前職は、在日本米国大使館公使参事官・政治部安全保障政策課長であったと承知しております。
  163. 山内徳信

    ○山内徳信君 ケビン・メア在沖米総領事は、三日の定例記者会見で、日米地位協定改定の動きについて次のように言っております。ある政治家と団体が政治的に利用し、政争の具にしようとしていることは非常に残念だと批判をしております。日米地位協定の改正要求は、事件、事故が発生するたびごとに県民、国民の大きな世論となっております。ケビン・メア総領事による今回の三政党の日米地位協定改正の要請に対し公然と批判し、その動きを押しつぶそうとする発言は、主権国家、独立国家の公の政党に対する許し難い介入であります。  日本外務大臣として、ケビン・アメリカ総領事の発言をどのように認識され、そしてその発言は総領事の任務の範囲内の発言とお考えですか。大臣の御見解をお伺いいたします。
  164. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) メア総領事が具体的にどのような発言を行ったかについては、その詳細については承知をしておりませんが、同総領事は、日米地位協定についてはその改正ではなく運用の改善に取り組むとの趣旨を踏まえて発言を行ったものと認識をしております。  米国政府は、昨今の事件におきましても、日本側の捜査に全面的に協力するとの立場を明らかにし、横須賀の強盗殺人事件では、三日に起訴前の身柄引渡しが迅速に行われるなど、日米地位協定の枠組みを適切に運用することに努めてきているものと認識をしているところでございます。
  165. 山内徳信

    ○山内徳信君 日本外務大臣として、一介の総領事のこの発言に対して余りかばい立てするようなそういう答弁は私は望みません。もっと毅然として、やはり日本外務大臣だと、こういう発言を私も含めて国民は期待しておるんです。  次に進めていきますが、ケビン・メア総領事は事あるたびごとに県民感情を逆なでする発言を繰り返しております。占領意識丸出しの人間を望ましい外交官のタイプと外務大臣はお考えですか。
  166. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私は、そのケビン・メアさんですか、そういう方を知りませんし、かばい立てをしなければいけない義理もありませんし、別にかばい立てなどしておりません。報告を受けたことに基づいてこういう趣旨で言ったんだということで報告を受けておりますので、そういうことを申し上げたわけであります。  委員が引用されたとおりに言っていたとすると日本人として余り愉快ではありませんけれども、愉快ではありませんけれども、こんなことで干渉だとか内政干渉だとか、そういうことを言うほど日本政府立場日本の政治家、政党の立場というのは決して弱くありません。対等でございますから、何でこんなことで干渉、内政干渉ということではないんではないでしょうか。愉快ではないなで済む話じゃないでしょうか。
  167. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は基地の村の村長を二十四年やってきて、フェザーストーンさんという当時の総領事、そして歴代の総領事と毎年数回ずつ会う、そういう機会がございましたが、みんなさすが外交官だと私は思いました。ところが、このケビン・メアさんが来られてから、本当に沖縄で事故、事件が起こるたびに物議を醸すような、県民感情を逆なでするような発言がございます。  そういう意味で、是非、大臣、担当職員にその資料を集めてもらいまして目を通しておいていただきたいと思います。私の手元にもございますから、もし必要でしたら職員をよこしていただきたいと思います。  私は、日本政府は日米地位協定は諸外国の地位協定と比較して劣ってはいないと、こういう趣旨の発言外務大臣はなさってこられました。そして、事件、事故が起こるたびに運用改善で対応すると、今日までそういう姿勢を強調されております。  ところが、最近の横須賀におけるあのタクシーの運転手の殺害事件だとかあるいはその他沖縄における事故、事件を見ましたときに、もはや今のような運用改善ではどうにもならぬのじゃないかと。昨日のテレビ見ておりますと、神奈川県の知事さんと関係自治体の首長の皆さんが大臣のところにお伺いしておりますね。ああいうふうな要請の趣旨はちゃんと今ドイツではもう実現しておるんですね。これから諸外国のことも少し申し上げたいと思いますが、そういう運用改善ではもはや日本の国民の人権だとか安全とかあるいは財産を守っていくには十分とは言えませんから、是非、諸外国の地位協定がどうなっておるかということも是非担当職員を通して深く調べていただきたいと思います。  あと三分しかございませんからもう項目だけ上げますが、最も重要な部分でありましたこのドイツの、東西ドイツが統一されて後、地位協定は一九九三年に改正をされております。八十三条中三十五条に及んでおります。その中で最も重要な部分は、外国軍隊による基地使用に対しましてもドイツ国内法の適用の原則が初めて明記されたとなっております。米軍基地は治外法権ではあり得ず、原則としてドイツ法令に服することが明文をもって確認されております。  基地への、緊急の場合は基地への即時立入りができるような改正が行われておりますし、基地内におけるドイツ側の警察権の行使、基地の外での演習、訓練についてドイツ側の承認が必要となったこと、ドイツへの出入り及び移動はドイツ側の許可を必要とするようになっております。  環境アセスの義務付けがされておりまして、すべての計画について環境アセスが義務付けられ、有害な影響がある場合は回復又は清算措置をとることになっております。  時間でございますから、今日はこのドイツの改正された地位協定の重要な部分だけ提起をいたしまして、是非近くの韓国のものも調査をされまして、お隣の韓国ももう改定して、環境問題には本当に抜本的な改正が行われておりますので、是非参考にしていただきたいと思います。  以上でございます。何か答弁ございましたら。
  168. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 前に委員を始め民主党、国民新党、社民党の方も交えて私のところに来られたときに、少なくとも身柄引渡しについては運用改善を含めれば日本が一番進んでいると、こういうふうに申しました。これについては間違いないと、こういうふうに思っています。  環境については、韓国と日本とそれからボン協定で修正されたドイツと、それぞれ有利な点と不利な点があるので、それを言うと三十分ぐらい掛かりますので、改めて詳しく申し述べます。
  169. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十二分散会