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2008-02-28 第169回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年二月二十八日(木曜日)    午後一時二十分開会     ─────────────    委員異動  二月二十七日     辞任         補欠選任         大石 尚子君     柳田  稔君      大島九州男君     白  眞勲君      谷岡 郁子君     喜納 昌吉君  二月二十八日     辞任         補欠選任         喜納 昌吉君     植松恵美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北澤 俊美君     理 事                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 佐藤 昭郎君                 山本 一太君     委 員                 植松恵美子君                 佐藤 公治君                 徳永 久志君                 白  眞勲君                 牧山ひろえ君                 柳田  稔君                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 木村  仁君                 小池 正勝君                 佐藤 正久君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        防衛大臣     石破  茂君    副大臣        国土交通大臣  松島みどり君        防衛大臣    江渡 聡徳君    大臣政務官        防衛大臣政務官  秋元  司君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        国土交通大臣官        房運輸安全政策        審議官      福本 秀爾君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        海上保安庁警備        救難部長     石橋 幹夫君        海上保安庁交通        部長       米岡 修一君        防衛省防衛参事        官        小川 秀樹君        防衛大臣官房長  中江 公人君        防衛大臣官房技        術監       佐々木達郎君        防衛大臣官房報        道官       豊田  硬君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君        防衛省地方協力        局長       地引 良幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (海上自衛隊護衛艦あたご漁船清徳丸衝突  事案に関する件)     ─────────────
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会開会をいたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨日、大石尚子君、大島九州男君及び谷岡郁子君が委員辞任され、その補欠として柳田稔君、白眞勲君及び喜納昌吉君が選任されました。  また、本日、喜納昌吉君が委員辞任され、その補欠として植松恵美子君が選任されました。     ─────────────
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として国土交通大臣官房運輸安全政策審議官福本秀爾君外十名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 外交防衛等に関する調査のうち、海上自衛隊護衛艦あたご漁船清徳丸衝突事案に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 犬塚直史

    犬塚直史君 質疑を始める前に、まず委員長に申し上げます。  今回の質疑に当たりまして、政府参考人としまして海上幕僚監部幕僚長及び航海長委員会への出席を求めましたが、今回この参考人招致を受け入れてくれることはできませんでした。  今後、この事実関係がはっきりしないとなかなか審議にも支障を来しますので、通常の法案とは違いますので、今後この件を検討していただくようにお願いいたします。
  7. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいま犬塚直史君の御要請につきましては、理事会で適宜議論をしておこたえをいたしたいと思います。
  8. 犬塚直史

    犬塚直史君 まず、防衛大臣に伺います。  我が民主党でも、朝の部門会議という形で、過去六回にわたって朝八時からこの事案について議論を重ねてまいりました。冒頭にも申し上げましたが、なかなか事実関係さえも分からないと。もう以前から大臣がおっしゃっていることがそのまま出ておりまして、事実がなかなか分からないとやっぱりこっちも疑心暗鬼になってしまうと。ぽろぽろぽろぽろ出てきて、それがまた前言を撤回するような形になってしまうということになりますと、議論自体がどうしても建設的なものになりません。  そこで、是非、この委員会で出せるものすべて出していただくという前向きな議論をさせていただきたいと思います。  まずお伺いしますが、ヘリ航海長市ケ谷に呼んだ、そして事情聴取を行ったという経緯について伺いたい、ちょっと順番が前後して申し訳ないんですが、経緯について伺いたいと思います。  今日の部会で防衛省の方が言ったのは、「あたご」をヘリが出たのは九時十分ごろであった、市ケ谷に到着したのが九時四十五分ごろであったという話なんですね。大体三十分掛かっておりますので、ということは、八時半か八時四十分にはヘリが出発していなきゃいけないと。ということは、その前に意思決定をしなきゃいけないんですが、呼ぶというまず意思決定はだれが行ったんでしょうか。
  9. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 大臣でいいかな。
  10. 犬塚直史

    犬塚直史君 はい、大臣ですよ。
  11. 北澤俊美

  12. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 呼ぶという意思決定海上幕僚監部が行ったものでございます。
  13. 犬塚直史

    犬塚直史君 海上幕僚監部というのは組織名前ですけれども、その中のだれが行ったんでしょうか。
  14. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 最終的には海上幕僚長責任において行ったものでございます。
  15. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、大臣自身はこの意思決定については関与をしておられなかったということですか。
  16. 石破茂

    国務大臣石破茂君) このことは後ほど、航海長を呼んでおりますという形で報告を受けました。呼べという指示を私から出したものではございませんし、意思決定には私は関与をいたしておりません。
  17. 犬塚直史

    犬塚直史君 大臣会見というものは、当日、御存じのように、九時二十分から九時五十五分の間に行われておりました。その中で石破大臣が、どうしてこのようなことが起こったのかということについて正確に把握をするというのが現時点においては私が果たすべき職責だと考えておりますと、こう記者質問に答えて、答弁をされております。  これについて、この時間帯はちょうどこのヘリが「あたご」から市ケ谷に向かって飛んでいる時間だったんですね。この発言をしているときには、ヘリが飛んでいるという事実は御存じなかったんですか。
  18. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 存じておりませんでした。
  19. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、防衛省の方に伺います。  大臣にこのようなことを報告をしないという組織の中というのは一体どうなっているんですか。
  20. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) どなた。
  21. 犬塚直史

    犬塚直史君 防衛省防衛省に、大臣報告をしていないというのはどういうことなんですか。
  22. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) どなたか。  石破防衛大臣
  23. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど申し上げましたとおり、私は、今呼んでいるという報告を正午前に受けたものでございます。  では、それを呼ぶという判断をしたことが適切であったか適切ではなかったかということになりますが、当事者として、そしてまた海上自衛隊という組織として、一体何が起こったのかということを把握をするという必要は私はあったのだと思っております。そのことを、そのこと自体、呼んで話を聴くということ自体不適切であったとは思っておりません。海上保安庁にこういうことをしますということをきちんとお断りをしておくべきであったということとはまた別の話です。  そのことを、私は、大臣に呼んでいいですかということは聞いた方がよかったと思います。そして、実際今呼んでいますということを、ヘリが飛んでいるときでも私に報告はあってしかるべきであったと思っております。
  24. 犬塚直史

    犬塚直史君 私は、大臣、これだけ大事な、要するに、「あたご」の当該事故説明責任者市ケ谷からヘリで迎えに行ってその責任者を搬送している最中であっても、大臣にこれが知らされていないというのは私は大問題だと思うんですけれども、もう一度大臣認識を伺います。
  25. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私は、組織としてだれか事情が分かる者を出してくれということを要請したことが誤っておったとは思いません。そして、そこで得たものを海上保安庁ときちんと情報をシェアすべきであるという認識も変わりません。  そのことについて大臣に断らなかったということが、私は断るべきだったと思います、断るべきであったと思いますが、そのことの判断自体が間違っておらない以上、断らなかったということについて極めて、委員の御認識がどの程度か私には分かりかねますが、それが極めて重大であったか、大臣の許可を取らなかったということが本当に文民統制の根幹を揺るがすほどの、ほどのという言い方はばかにしている意味で言っているのではありません、そういうことであったかと問われれば、私は委員認識を異にするのかもしれません。  もう少し議論をさせていただきたいと存じます。
  26. 犬塚直史

    犬塚直史君 当日の事故があった朝の九時二十分から九時三十五分の記者会見大臣自らが、どうしてこのようなことが起こったかということについて正確に把握するのが現時点において私の果たすべき職責だと考えておりますと、そう発言をしているその最中に当該事故責任者ヘリで搬送されているという事実を大臣自らが知らされていなかったということは、この呼んだ呼ばないの正否、あるいは良かった悪かったということを言っているんじゃないんです、呼んでいるという事実を防衛省のトップである大臣に知らせていないということについて大臣は問題と考えていないと、そういう発言をされているんですか。
  27. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは問題であると思います。  私は、航海長を呼んでいますということの報告を受けたのは十二時少し前でございました。予算委員会が終わるか終わらないかの時間にメモが入ったような記憶がございます。そのときに、私自身、それは事前に教えてもらいたかったという思いを持ったのは事実でございます。
  28. 犬塚直史

    犬塚直史君 私は、事前に教えてもらいたかったという程度の話ではなくて、大臣にはそういうことは事前にきちんと報告をする私は責務が組織としてはあると認識をいたします。  それでは、この市ケ谷で行った事情聴取について調書は取られているんでしょうか。
  29. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 調書という正式なものではないと聞いております。しかしながら、そこにおいて聴き取った事実というものは書面にいたしました。これが調書というような正式な形のものではございません。
  30. 犬塚直史

    犬塚直史君 調書でないとしても、事情聴取内容書面として取っておられるまあメモでも結構です。  では、このメモ事情聴取内容海上保安庁の方には提出をされたんでしょうか。
  31. 石破茂

    国務大臣石破茂君) その内容提出をいたしております。
  32. 犬塚直史

    犬塚直史君 御存じのように、海上保安庁事故の原因を究明して刑事責任を追及する主務官庁でありますが、どうしてこのような非常に重要な一次資料を海保に出さないんでしょうか。
  33. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おりますというふうに申し上げました。語尾が明確ではなかったらごめんなさい。
  34. 犬塚直史

    犬塚直史君 今朝の民主党部門会議防衛省担当の方はそのような発言はされなかったんですが、それはいつごろ出されたんですか。
  35. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、運用企画局の方からこのような内容でしたというものは当日出しております。
  36. 犬塚直史

    犬塚直史君 もう一度確認します。  防衛省で、市ケ谷担当者を呼んで事情聴取をした、この内容を記録したメモ海上保安庁にはいつ提出をしたんですか。
  37. 石破茂

  38. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) いいですか、局長がわざわざ来ているのに。  徳地運用企画局長
  39. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 当日の午後になりまして海幕の方からその内容については通報しております。
  40. 犬塚直史

    犬塚直史君 私が聞いているのは、事情聴取書面にしたメモを出したのか出していないのか、いつ出したのかということを聞いているんです。
  41. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ちょっと立場が違うから、もうちょっと待ってください。  徳地運用企画局長
  42. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) ちょっと繰り返しになって恐縮ですが、当日の午後に海幕の方からその内容を通報はしております。
  43. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 同じ答弁したって駄目でしょうが、改めて質問をしているんだから。  速記止めますか。──ちょっと速記を止めて。    〔速記中止
  44. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。
  45. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 失礼をいたしました。  至急確認をしてお答えを申し上げます。
  46. 犬塚直史

    犬塚直史君 質問通告をして、なぜ直ちにこの調書海保提出しないのかということを質問通告をしております。到底受け入れられないんですが、調べるというのはどういう意味ですか。
  47. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 私の方から申し上げますが、局長質問通告をしてあるのはきちんと受けてあるんですか。
  48. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 本日受けております。
  49. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 通告を受けているものについて準備が怠ったということなら、ここで陳謝しながら改めてということにしないと進みませんよ。  速記を止めてください。    〔速記中止
  50. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。
  51. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 大変申し訳ございませんでした。失礼をいたしました。  十九日十五時五十九分に私の方から海上保安庁警備救難部管理課長に対しまして内容を送付をしております。
  52. 犬塚直史

    犬塚直史君 十九日十五時五十五分に内容を送付したと今おっしゃいましたが、それは事情聴取メモ紙自体を文書としてファクスあるいは手交によって渡したと、そういう理解でよろしいんですか。
  53. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 十九日の十五時五十九分に私の方から海上保安庁の方に送付いたしましたものは、まず、ファクスでやっております。そして、これは、当日、航海長から聴いた内容をまとめたものでございます。
  54. 犬塚直史

    犬塚直史君 ということは、市ケ谷事情聴取したそのメモをそのままファクスしたということでよろしいんですね。
  55. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 防衛省として航海長から聴きました内容に基づいて作りました紙をファクスで送っております。
  56. 犬塚直史

    犬塚直史君 それでは、このイージス艦に乗務をしていた航海長及び指にけがをされたという二名の方、米国から帰国の途中であったわけですけれども、この二名の人たちを上陸させるに当たって税関には連絡をしたんでしょうか。
  57. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答えを申し上げます。  航海長など二名がヘリ陸上に移動することにつきましては、横須賀地方総監部から移動前に横浜税関に対しまして当該二名の所持品等について通関手続について連絡をいたしております。
  58. 犬塚直史

    犬塚直史君 この件について、昭和五十八年三月十五日の自衛艦乗員服務規則という通達がございます。海幕第一〇一一号の第百五条の二、艦長は、その艦が外国から帰着した場合は、必要な検疫を受けさせた後でなければ、乗員を上陸させ、又は物品等艦外に持ち出させてはならない、こう規定してあるんですが、今回のこの措置は通達違反と、大臣、考えてよろしいんですか。
  59. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 自衛艦乗員服務規則についてという通達の第百五条には、今先生御指摘のとおり、艦長は、その艦が外国から帰着した場合で乗員の所持する物品中に課税品があると認めるときは、税関職員による規定手続を終えた後でなければ、当該物品艦外に持ち出させてはならないというふうに規定をされておるところでございます。ここに書いてあるのは、物品艦外に持ち出させてはならないということでございます。
  60. 犬塚直史

    犬塚直史君 その物品の前に書いてあるのを飛ばしちゃ困るんですけど、必要な検疫を受けさせた後でなければ、乗員を上陸させ、又は物品等艦外に持ち出させてはならないと書いてあるんですよ。もう一度答えてください。
  61. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 今申し上げました同じ条文第百五条の第二項におきまして、艦長は、その艦が外国から帰着した場合には、必要な検疫を受けさせた後でなければ、乗員を上陸させ、又は物品等艦外に持ち出させてはならないというふうに規定をされていることは事実でございます。
  62. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) いや、質問者はそれに違反してないかと聞いておるんです。  速記を止めてください。    〔速記中止
  63. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。
  64. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 失礼をいたしました。  この護衛艦あたご」は、ハワイに行きまして帰ってきておるものでございます。そして、先ほど申し上げました規則の第百五条第二項、必要な検疫を受けさせた後でなければというふうになっておりまして、必ず検疫をすべからく受けるという規定ではございませんし、また行っていた先はハワイでございます。
  65. 犬塚直史

    犬塚直史君 最後まで言ってください。
  66. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) いいですか。  速記を止めてください。    〔速記中止
  67. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。
  68. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今その法令に抵触するかどうか確認をいたさせております。判明次第すぐに回答をいたします。恐縮です。
  69. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) いい。
  70. 犬塚直史

    犬塚直史君 いいです。  それでは次の質問に移ります。  十九日の十三時四十分、海幕から海保事後連絡をしているわけですね。ところが、吉川海幕長は二月二十六日の記者会見事前海保に断ったとしているんですけれども、この吉川海幕長発言は、このときは虚偽発言だったんでしょうか。
  71. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 吉川幕僚長が、十九日午前中に地方総監部から海上保安部連絡を取って了承を取ったというふうに発言をしたのはそのとおりでございます。  私どもとして可能な限り事実確認をいたしました。海上自衛隊横須賀地方総監部防衛部第四幕僚室長が十九日午前中、この午前中というのは何時何分であったかということについて明確な記憶がないということでございますが、十九日午前中に横須賀海上保安部、これはどなたに電話をしたかという、相手の方のお名前までこれは記録をいたしてございません、海上保安部電話番号にお電話をしてこのように申しました。「あたご乗員救命ボート降下中、降ろしておるという降下中にけがをしたと、陸上の病院へ搬送するということが一点、もう一点は上級部隊報告のため幹部一名を船から降ろす、この二点を連絡したというふうに認識をいたしております。  防衛省といたしまして、海上保安庁の捜査に全面的に協力をするという立場からは、航海長市ケ谷に呼ぶ前に、防衛省のしかるべき立場の者が海上保安庁のそのような立場の方にきちんと御説明すべきであったと考えております。ですから、虚偽であったということには私は当たらないと思います。  それは、言い訳みたいに思われるのかもしれませんが、海上幕僚長としてこの午前中に、当日の午前中に横須賀地方総監部の第四幕僚室長から海上保安庁に、一つけが人がいるので降ろしますよということ、そしてもう一つ上級部隊報告のため幹部一名を船から降ろしますよということはお伝えをしておったということをもって、そして、相手が何と言いましたかと聞いたらば、分かりましたと。この分かりましたは、当直の方、電話に出られた方が分かりましたと言ったことを海上保安庁了承というふうに取ったとするならば、それは認識が違っていると思います。しかしながら、虚偽、悪意を持って、何も断らないのに断ったかのように装ったということではないと私は思います。
  72. 犬塚直史

    犬塚直史君 これほど、大臣、大事な連絡、たった一本の電話ではありますが、非常に大事な連絡であります。こういう連絡をするときに、相手部課名やあるいは氏名をしっかり聞かずに、今おっしゃったような内容の詳細なこのレポートが大臣の手元に上がっているということ自体、私は非常に不自然な感じがいたします。一つ疑い出すともう疑心暗鬼になってしまうということが今現実に起こっているわけですから、こういうことについて、相手名前さえ確認をしないで、内容だけそれだけきちんと残っているということについて、大臣は不自然さを感じませんか。
  73. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 後から考えればいろんな不自然さは、おかしいじゃないか、おかしいじゃないかというのはあるのだと思います。それは私も率直に認めます。  ただ、私は、当日のあの大混乱した状況の中で、船を降ろしますよということ、そして、それは一つけが人の搬送のためであり、一つ上級部隊への報告のためでありということを海上保安庁の第三管区保安本部ですね、保安本部電話をしたということ、それは私はやるべきことをやったと思います。それで十分だったとは思いません。それで十分だったとは私は思いません。ですから、そういう前に海上保安庁のしかるべき部署にしかるべき者がそういうことをきちんと言って了承を取るべきであったということを申し上げております。そのことを軽視したり開き直ったりするつもりは私は全くありません。  しかしながら、そこにおいて、それでもこの二つのこと、けが人を運びますということ、上級部隊への報告のために降ろしますということ、こういう連絡をきちんとしたというような認識を私どもは持っております。これは証拠がどうのこうのということはありましょう。ただ、私は当省をお預かりする者としてその報告は信じています。
  74. 犬塚直史

    犬塚直史君 それを海保は聞いていないと言っているんですよ、御存じのように。海保は聞いていないと、防衛省は言ったと。我々は一体何を基にしてこの事実関係を考えていけばいいのか。  やはり私は、もし実際に午前中に連絡したのであれば、それは別に昨日今日入った、防衛省に入ったアルバイトの方がしたわけではないんですよ。やっぱりしっかりとした責任者が事の重大さを把握した上で連絡しているわけですから、相手名前を聞くぐらいは当然のことだと思います。少なくとも海保はこの件については知らないと、午前中には連絡なかったと言っているわけですから、これはしっかりと反省をしていただきたいと思います。  もう一点、漁船の灯火を視認したのは衝突の二分前ではなくて十二分前であったと、この情報を二十時間にわたって公表しなかったということは事実なんでしょうか。
  75. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、済みません、最初からイエスかノーかでお答えをすればいいのでしょうが、事実関係を順次申し上げさせていただきたいと思います。  衝突十二分前の三時五十五分に「あたご」の見張り員漁船確認していたという情報を二十日に公開しております。  経緯でございますが、衝突当日、十九日午後四時十八分、午後でございます、四時十八分ごろから「あたご」に乗艦をしておりました護衛艦幕僚長、これは事故が起こってから護衛艦隊の幕僚長が「あたご」に乗艦をしたものでございます。この護衛艦隊の幕僚長海上幕僚監部報告をし、海上幕僚監部は午後五時十四分にこの報告に基づき資料を作成をいたしました。
  76. 犬塚直史

    犬塚直史君 いや、経緯は、済みません、経緯は分かっていますので。
  77. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 御存じですか、この経緯は。
  78. 犬塚直史

    犬塚直史君 はい、知っています。  どうして二分は発表して十二分は発表しなかったかということを聞いているんです。
  79. 石破茂

    国務大臣石破茂君) はい。この後、午後八時三十分に私は取りあえずの報告を聞いたものでございます。しかしながら、この報告内容が不明確なものがございましたので、夜の十一時から次の日の午前二時四十七分までの間、「あたご」の乗員にこれはどういうことなのかという確認を行いました。  その後、二十日の、次の日です、午前八時半ごろから再確認した内容というものを私に改めて報告をいたしました。その後に、こういうことを申し上げてもよろしいかということ、すなわち防衛省として確認しても、それを外に向かっていいかどうか、言っていいかどうかということの調整、これに時間が掛かったものでございます。
  80. 犬塚直史

    犬塚直史君 そこのところで一番疑問なのは、どうして一番初めの二分というのをそのまま発表して、これ聞いたばかりの話ですからね、どうしてその十二分というのを発表するのは二十時間にわたってためらったのかということに非常に疑問を感じます。  次に移ります。  この事故原因の究明が今行われているわけですけれども、まだ判明したわけではないと。にもかかわらず、二十八日、二十九日に、防衛省のほぼすべての艦艇、航空機、この地域を航行する艦艇、航空機を止めて安全教育を行うということが今朝部会で言われたんですけれども、そもそも事故原因が究明されていないにもかかわらず、一体何を教育するんでしょうか。
  81. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 当日、私が通達を出しました。三点の通達内容は繰り返すことをいたしません。この私の三点の通達を受けまして、再発防止を徹底させますため、二十八日、二十九日、実任務等の緊急時の部隊運用を除きすべての訓練、作業を取りやめ、艦艇のみではなく航空機をも含め運航安全に関する総点検を行うということにいたしております。  事故原因が究明されないのに何を教育するのかという御指摘ですが、私はそれは、当日からずっと申し上げていることですけれども事故原因がかくかくしかじかと究明をされるということと、決まり、規則、基本、これをもう一度徹底させるということは、私は別物だと思っております。事故原因の究明は究明、しかしながら、法律、そしてそれに基づく規則、そのことが本当に徹底されているかどうかという確認は、それは別個に行われるべきものだと私は思います。
  82. 犬塚直史

    犬塚直史君 今大臣がおっしゃった、決まってはいるんだと、法律や規則では決まっているんだけれども、それが守られていない。何で守られていないのかということが事故原因そのものなんですよ。  つまり、事故当日の十九日、艦艇の安全航行という大臣通達が今おっしゃったように出されたと。しかし、考えてみれば、一九八八年、「なだしお」事件を受けて、十月二十日に海幕によって出された安全航行についての通知というものがある。この中では何書いてあるかといいますと、ちょっと読みますね。漁船、小型商船等は不規則な運動をする場合があるので、これらの運動に対応し得るような十分な心構えを持って余裕のある航行を行う必要があるとここには書かれておるわけですね。それ以降も、九九年二月二十二日の掃海艇「もろしま」と貨物船の衝突、二〇〇一年の二月四日、音響測定船「はりま」と漁船衝突、こういうものがあるわけです。まさに今おっしゃったように、決まっているからこれを守れと言うだけでは、決してこれは事故はなくならないんですよ。  通知が遵守されていない原因というのは一体どこにあるのか。隊員を集めて、これ決まっているんだからもう一回確認しよう、私は多分下の隊員の人たちは大迷惑だと思います。そんなことは百も承知なんじゃないでしょうか、今までトレーニングを受けて艦船を動かしているんですから。そういうことではなくて、なぜこれが、例えば、いったん決められた航路については、艦長が決めた航路については、この航路を動かしにくいような、下の人間がこれを動かしにくいような雰囲気があるんではないか、例えばですよ。そういう本当の原因を防衛省の方で徹底的に究明する必要があるんじゃないですか。
  83. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 下が大迷惑しているかどうかは私は存じません。あるいはそういうことを思っている人もいるのかもしれません。  しかしながら、私は、そういう雰囲気とかなんとかいうことは、それは今後きちんと捜査が行われなきゃいけない、あるいは捜査でも雰囲気なぞというのは分かってこないのかもしれません。  私は、大迷惑であろうが何であろうが、もう一度そのことを徹底するということは何度も何度もやるべきものだと、私はそのように思っています。本当に毎日毎日やっていることが惰性に流れていないか。それは本当に、委員御指摘のように、現場はきちんきちんとやっているというふうに思います。しかし、こういう事故が起こった以上、もう一度それを徹底するということはあるべきだと思います。  委員御指摘のようなそういう雰囲気、そういうものがあるのかどうなのかということは、これは私もきちんと把握をしなければいけないことだと思います。海上自衛隊全体がどうなっているのか、その雰囲気、雰囲気という言葉を多用しては申し訳ないのですが、その背景にあるものは何なのかということ、それが原因の根本には、背景にはあるのかもしれません。  しかし、それはそれとして、基本をもう一度徹底するということは私は決して意味のないことだとは思いません。
  84. 犬塚直史

    犬塚直史君 失礼ですが、今の大臣の御答弁では、決して私はこの事故に対する抜本解決にはつながっていかないような気がいたします。  まず海上保安庁では、これは刑事責任を最終的に追及するわけですから、その過程においての原因究明になるわけです。海難の方では行政責任を追及する、つまり漁船に対する例えば免許を出す、で、これを取り消す権限があるのは海難の方ですから、そういうことを一応バックに置いて調査をしていく。つまり、例えば僚船の人たちやあるいは艦員の人たちにいろいろな事情聴取をしたとしても、こういうことを言ったらば人に迷惑が掛かる、免許が取り消される、あるいは昇進に差し支えがある、あるいは刑事責任を問われるんじゃないかということをバックにされたような調査では、これは決して本当の原因というのは分かってこない。  本当の事故の原因というのは、多分、何百も何千もあるそのいろいろな原因が積み重なっていってこれ最終的に事故になっていくんだろうと思います。そういうことを第三者的に本当に事故原因を究明する機関が早急に必要だというふうに考えております。  例えば、大臣、今年の十月に運輸安全委員会という第三者機関が設けられて、刑事責任を追及したり行政責任を追及したりというものではなくて、純粋に事故原因のみを追求する第三者機関が今設置されようとしているのは御存じですか。
  85. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そういうような動きがあることのみは承知をいたしております。詳細までは存じません。
  86. 犬塚直史

    犬塚直史君 是非そういった意味で、精神論で終わらずに、一九八八年以来同じことで繰り返し事故が起こっているわけですから、事故は絶対に起こらない、起こしてはいけないという精神論ではなくて、この原因を追求をしていっていただきたいというふうに思います。  もう一つ伺います。この捜索にかかわった漁船の僚船、この休漁補償、これは部会で聞いたところ、補償を出すとか出さないとかいうことも含めて検討中と言われたんですが、これは防衛省の公式見解と考えていいんですか。
  87. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私も御党の部会の議事録、詳細に見たわけではございませんので、あるいは失礼なことを言うのかもしれませんが、出すも出さないもというフレーズを使ったという報告は受けておりません。仮に、出すも出さないもというようなことを言ったとしたら、それは不適切であって、私としておわびを申し上げねばならないものだと思います。  それで、その上で、私どもとしてどのような形で休業された方々、仲間が遭難しているといって漁を休んで捜索に当たられた方々のお気持ちにこたえることができるかということは、最大限の誠意を持って、最大限の真摯さを持って当たらねばならないと私自身強く思っております。
  88. 犬塚直史

    犬塚直史君 終わります。
  89. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 先ほど、検疫についての御質問がございました。先ほど答えられずに失礼をいたしました。  検疫についてでございますけれども、入港の前日の二月の十八日に横浜の検疫所に対しまして、事前情報に基づく審査をする無線検疫というものをやって、失礼しました、もう一度言います。横浜検疫所に対しまして、横須賀衛生隊経由で検疫手続をして、済んでおります。
  90. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) いいですか。
  91. 犬塚直史

    犬塚直史君 いいです。
  92. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 防衛大臣にまず伺いたいと思いますが、今、最後の犬塚議員の質問の中で勝浦漁協の皆さんに対する補償の話が出ておりました。  私どもも勝浦漁港にお邪魔をしたときに、漁協の方々が言っておられたのは、日ごろから自衛艦は漁船をよけることはないというような話をされておられましたが、大臣自身も漁協に伺われたときにそういう声を耳にされましたでしょうか。
  93. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 直接今委員が御指摘のようなフレーズでは承りませんでした。承っておりません。
  94. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、似たような言葉は聞かれましたですか。
  95. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私自身、もっときちんと事故の原因を究明してくれというお話を主に承ってまいりました。これもすべて議事録を取ったわけではございませんが、私自身、通常、自衛艦、護衛艦が、漁船が避けてくれるものだというふうに思っているというような、そういうような御指摘をいただいたとの記憶はございません。
  96. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、漁協の皆さんはこれは必死の捜索をされたんだと思いますが、どれぐらいの漁船がかかわっているか御存じですか。
  97. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは今のところ私ども報道ベースでしか承知をしておりませんが、延べ二百隻の船が出ておられるというふうに今のところ承知をいたしております。海が荒れておって出れなかった日以外は、新勝浦市漁協あるいはその川津支所から船が出ておるというふうに承知をいたしておるところでございます。
  98. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今朝から漁が再開されたと聞いておりますけれども、漁に出れなかった日は何日ということになりますでしょうか。
  99. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 海が荒れておるので出れなかったという日を抜かせば、今のところ三日間ではないかというふうに思っております。二十六日以降捜索は打ち切ったというふうに承知をいたしておりますので、十九日、二十日、二十二日、都合三日であるというふうに現在認識をしております。むしろそれよりも多いということであれば、それは当然私どもとして認識をしなければいけないものでございます。
  100. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これは一般論で結構ですけれども、行政に一〇〇%責任がある場合の漁業補償、例えばこれは九州防衛局とか防衛省のそれぞれのホームページを見ると漁業補償というのが出ておりますが、行政に一〇〇%責任がある場合の漁業補償であれば、今の延べ二百隻ということ、どのぐらいの金額になるかという計算はされたことがありますでしょうか。
  101. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 現在、そのような計算はいたしておりません。  いたしておりませんというのは、何も不誠実だとかいいかげんだとかそういうことではなくて、なおみんなが行方不明の方の無事を祈っているときに、さあ幾らだという計算をすることはいかがかということであって、不誠実な対応ではございません。誠心誠意やらねばならないということは十二分に認識をいたしております。
  102. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これは私どもの事務所が防衛省にレクを求めたときに出た言葉でありますが、大変遺憾な言葉かなというふうに思いますが、そのとおり読み上げますと、今回は自ら進んで漁を休んだのだから、損害賠償の義務が一義的に発生するということではないというふうに考えているという見解もあるんだというふうに、防衛省の中にあるんだというふうなことを、まあこれはレクですから公の場ではありませんが、そういう言葉もあったんですが、大臣としてはそういう考え方は取らないということでよろしいですか。
  103. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、私も今日、省内でそれはかなり議論はした、議論といいますか、私自身不愉快だということは申し上げたのですが、それは大学の論文で、大学のテストで国家賠償法の要件を述べよというふうに言われたときに書くのと、こういう場合に物を言うのと、それは違うということを申し上げました。どの法律に基づくかということはともかくとして、それは納税者のお金でございますから、しかしながら、きちんとした誠意をお示しするということはあらねばならないのであって、大学の論文のようなことを言うことはもってのほかだということは申し上げました。
  104. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次の質問に移りますが、大学の論文のような考え方を持っておられる方が省の中にいるということは事実だということだと思いますし、それは大臣自身もそういう認識を持っておられるということだというふうに思います。  次の質問に移りますが、十九日の午前中、先ほど出ました航海長ヘリ防衛省に運搬したということでありますが、この点について、まず大臣はこの日の午後ですか、航海長から直接話を聴かれておりますですよね、一時間ばかりにわたって。その直接聴かれたときに、例の十二分前に灯火を認識したということではなくて、二分前に漁船のようなものを認識していたという話だったでしょうか。
  105. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私が報告を受けましたのはそのような内容でございます。
  106. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その報告というのは、直接航海長から聴いたのは二分前に認識をしていたということですね。
  107. 石破茂

    国務大臣石破茂君) その以前に海上幕僚監部が聴き取りを行っておりました。そこで聴き取った内容を私はもう一度改めて聴き取るというよりも、こういうことでございましたという内容報告を受けたという形でございますが、その内容は今委員の御指摘のとおりでございます。
  108. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その場に航海長もいたということでよろしいわけですね。
  109. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そのとおりでございます。
  110. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、この航海長が二分前だというふうに認識をしていたということは、非常に実はある種重要なことだというふうに思っておりまして、航海長というのは、つまりその事故が起きる直前の運航の責任者、運航の責任者が二分前までにしかその漁船認識していないということは、船としては漁船認識していたのは二分前だったという理解になるわけですが、そういう理解で大臣も思っておられたということでよろしいですか。
  111. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員御案内のとおり、この航海長は前直、すなわちその衝突の以前に当直に当たっておった者でございます。  で、船としての認識がどうなのかということと、その当直士官の認識がどうなのかということと、見張りに立っておった者の認識はどうであったかということが一つの捜査のポイントではないかなというふうに私は思います。だれがどうであったのかということを私としてそれぞれの者に確認をしたわけではございません。委員の御質問で船としてはというお問い合わせでございますので、船という評価は私としてはいたしかねるところでございます。
  112. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 当直、衝突の前の当直だったというのはそのとおりだと思いますが、四時で替わっているということでありますから、午前四時でその当直替わっていますよね。ですから、そうすると、その十二分前というのは当然その四時の前の時間ですから、彼の責任の範囲においては認識をしていなかったということなんではないかということを申し上げているわけです。
  113. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 彼の責任の範囲としてはという御指摘であればそのとおりかと存じます。  ただ、それがどうであったのかということは海上保安庁調査、捜査によるものであって、彼がそのときに申し述べたこと、そして私がその後にどういうことであったかという確認した範囲においては、彼の認識としてそうであったということが一つの事実として私が確認したものでございます。
  114. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、その後に、先ほどの御説明では、「あたご」に乗艦をしていた護衛艦幕僚長からの報告で十二分前ということが後に分かるわけでありますが、そのことが、大臣認識されたのは先ほどの議論でも十九日の夜ということでありますが、その時点については間違いございませんね。
  115. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 間違いございません。
  116. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その後、そのことを大臣が発表、他の人々に発表された最初は自民党の国防部会であったということでよろしいですか、防衛省以外の方に対して。
  117. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そのとおりでございます。
  118. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 本日、報道官もお越しでありますが、報道官は自民党の国防部会と同じ時刻に記者会見をしておりますが、二分前ということを言っておられます。なぜ同じ時刻、認識をしていたのは、十二分前ではなくて、引き続き二分前だという発表をされておりますが、なぜ同じ時刻に記者会見の段階では十二分前という情報を発さなかったのか、お答えいただきたいと思います。
  119. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) お答え申し上げます。  私、先生御指摘のとおり五時から会見を行いましたけれども、先生御指摘の点とは違いまして、その五時の段階では二分前といった情報を入手しておりませんでしたので、情報は特に触れておりません。
  120. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 二分前も持っていなかったですか。十二分前ということを申し上げておるんですが、十二分前に触れていないという理解でよろしいですね。
  121. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 私の会見では、二分前、十二分前も含めまして、十九日夕方五時からの会見では新しい情報はないという説明をしてしまったということでございます。
  122. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 二分前は別に新しい情報ではないから手元に持っていたということでよろしいですね。
  123. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 私は会見の三分前まで情報収集に努めましたけれども、二分前あるいは十二分前といった情報、両方とも入手することはできなかったということでございます。したがいまして、新しい情報はなかったという御説明をさせていただいていたところでございます。
  124. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 二分前の話は私どもも当日の午前中に聞いておりますから、報道官御存じないということはあり得ないと思いますよ。  二十日の話をしているんですよ。(発言する者あり)誤解している。
  125. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 若干繰り返しになりますが、私が会見をいたしましたのは事故が発生した当日の十九日の五時でございまして、二十日には会見を行っておりません。
  126. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 二十日のその同じ自民党の国防部会が開かれているときと同じような時刻に、記者から質問を受けたことはございませんか。
  127. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 二十日の段階では、その前日に二分前、四時五分に視認したといった、四時五分ごろ漁船一隻が「あたご」の右前方から針路前方を横切ったという情報は既に大臣が十九日の五時の部会でお触れになっておりますので、公知の情報であったというふうに承知しております。
  128. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 十九日の五時の段階では二分前の情報も持っておられなかったということですか、報道官は。
  129. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 各種報道にございますとおり、その段階では私承知しておりませんで、大臣の御発言とのずれが生じたということでございます。
  130. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、大臣、伺いますが、防衛省の中で世間に情報を発するタイミングというのがあると思いますが、報道官情報が渡るタイミングというのはどういう、大臣情報が入ってから発表すべきものとして入るものがどのタイミングで報道官に入るんですか、どれぐらいのずれがあるものなのか。その質問の趣旨としては、自民党の国防部会で発表していいということで発言をされたわけでありますが、それの同じタイミングで記者会見されていた報道官にその情報が入っていなかったとすると、どれぐらい一般的にはずれがあるものなのかということを伺いたいということです。
  131. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 本来ずれがあるべきものではございません。一般的にこれぐらいのずれがあるということなぞ言うこと自体どもとしてよろしくないと思っております。  ただ、当日、どの時点なら発表できるんだと。私自身、言い訳っぽく聞こえるかもしれませんが、自民党の部会を選んでとかそんなことをしたわけではございません。本来であれば、記者会見という場で、私若しくは運用企画局長でありますとか海上幕僚監部でありますとか、そういうものが記者会見の場で発表するということが本来のスタイルであったと思っております。  ただ、私自身、それが確認できたと、そして外へ言っていいといった時点で一番近かったのが自民党の部会であり、そしてそこには多くのメディアもいらっしゃっておられたということでございます。そこで、私が自民党の部会で申し上げたということと同じ内容が同じ時間に報道官に入るか、若しくは、今大臣がこういうことを言っておるので報道官会見を五分遅らせてもいいからこういう内容でやってくれということは申し上げるべきものでございました。
  132. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 報道官は、十二分前ということを世間に発表していいかどうかということについて大臣と打合せをして、当日の夜九時ぐらいですか、会議が終わった後打合せをしたというふうに聞いておりますが、そういう事実はございますか。
  133. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 御指摘のような事実はないと思います。
  134. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、報道官に発表していいという情報は、報道官の方にはどういう経由で来ることになっておるんでしょうか。
  135. 豊田硬

    政府参考人(豊田硬君) 通常、担当局の局長ないし課長の方から発表すべき事項については私の方に連絡があるということでございます。
  136. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次の質問に移りますが、大臣は、今まで航海長から聴取を行ってきたことについて発表してきませんでした。衆議院の予算委員会では、乗組員には接触していないという旨の答弁を、これは二月二十五日の予算委員会の答弁で行っておりますが、なぜその航海長に会ったということについて発表されなかったんですか。
  137. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは私としてもっと早く申し上げるべきものだったと思っております。私として、航海長に私自身が話を聴くという必要があるということは判断をいたしました。その後、確認的な意味ではございますが、私がそこにおって聴いたものでございます。  それで、だれがだれから何を聴いたということをどの時点でどれぐらい申し上げるかということの議論をきちんと省内で行わなかったという点は、これは私の足らざるところであったと思います。これが私自身、何か大上段の言葉を振りかざすようですが、組織の統制者としてこれは聴くべきものであったと今も思っておりますし、そうであれば、早いうちにだれがだれから何を聴いたということを整理をして、関係方面と調整の上申し上げるべきものであったと思っております。
  138. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今大臣自身航海長から聴くべきだというふうに必要性を判断されたということですが、これは防衛省航海長が、先ほどの説明ですと、海上幕僚長が呼んだということを知ってすぐに、じゃ私にも聴かせろというふうにおっしゃったんですか。
  139. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 呼んでいますという報告は正午少し前に私は受けました。それを聞いた時点で、私は一瞬考えて、ならば私も聴くというふうに指示をいたしました。
  140. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 一方で、先ほど申し上げましたように、衆議院の予算委員会では、現在のところ私どもとして「あたご」の艦長以下の乗組員に接触するということは、捜査の厳正公平を確保する観点からいたしておりませんというふうに御自身で答弁されておるわけでありまして、そうすると、この答弁はまさに虚偽の答弁になるのではないでしょうか。
  141. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、その後、艦長以下の乗組員に対して接触をするなということにいたしました。私どもとしてそういうことをしてはならないということでございます。ですので、それ以前にやっておったではないかと言われればそのとおりでございます。これは、私自身、このときの答弁、今読み直しておるのでございますが、現在のところという意味で、現時点においてどうなのだということですから、現時点において接触はしておりませんということでございます。それじゃ、その前にしておったではないかと言われればそのとおりであります。  ですから、ここのところは、委員御指摘のように、虚偽ではないかと言われると非常にお答えが難しいところはございますが、私自身そこについて、自分が航海長から聴いておったということを隠そうとか、そういう意図は全くございませんでした。
  142. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 しかし、それであれば、なぜ、この予算委員会のときに、その後海上保安庁との打合せによって直接接触をしないという決定をしたと、しかし海上保安庁との打合せの前にこういう事実があったということをなぜ言われなかったんでしょうか。
  143. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは組織論として、つまり日本の国のように、他の国と違いまして、他の国であればこういうことは軍の内部で全部やるということになっておるんだそうでございますが、我が国の場合にそこが分かれておるわけでございます。我が国はそういう仕組みであるということはよく存じておりますが、一方、組織の指揮命令系統として、こういうことが起こった、それは一体なぜなんだということを初動対応として把握をしておかねばならないということでございます。そういう動機に基づいて私自身が聴き取りを行ったものでございます。  その後で、しかしながら、今後捜査に厳正性、公平性を損なうおそれがあるので、これはもう接触するなということに相なりました。私はむしろそちらの後者の方に力点を置いておりましたので、そのことについて現在のところ行っておりませんということを申し上げました。その時点で、私自身、しかしながら初動の対応として、そして組織をお預かりし、ある意味でコントロール、管理する者として聴いておりましたということは申し上げるべきだったと思います。
  144. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は何もその航海長から聴くなということを言っているわけではありません。むしろその点について、大臣が言われるように、それは当然その組織として把握しておかなければいけない事実を把握をし、そして世間にそのことについてむしろ公表するべきだというふうに思っておりますが、なぜ航海長から聴いたことを発表されなかったのかということを伺っているんです。
  145. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 航海長から聴き取った内容というのは、もう既に二分前ということで明らかになっておるとおりなのでございます。ですから、なぜおまえがそこにおったということを言わなかったのかということをお尋ねいただいているとするならば、それは私がこの時点で、今は接触をいたしておりませんが、私は当日聴いておりましたということは私は申し上げた方がよかったというふうに思っております。  そこは、おまえは虚偽を言ったのかと言われれば、そんなつもりは毛頭ございませんでしたということになりますが、それは信用ならぬと言われれば、それはもう、これはどうしようもございません。
  146. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まあ水掛け論になりますが、私が申し上げたいのはそんな難しい話ではなくて、当初、初動においてこういうことで航海長から聴きました、現在は海上保安庁からの申出があってそれに従っていると言えば済む話で、こういう形で事実が後から後から出てくると、そのことをもってして安全保障政策に対する信頼が失われるということを申し上げたいわけで、この質問をさせていただきました。  次の質問に移りますけれども、その航海長ヘリで移送をするということについて、先ほども犬塚議員から、海上保安庁としてはそうした電話連絡を受けていないと、事前連絡を受けて、まあ把握できていないということですが、事実関係、長官、伺いたいと思います。
  147. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 私どもが現段階までに確認している範囲で申し上げますと、防衛省と相互に確認しておる事項でございますが、本庁間での最初の連絡は十九日の十三時四十分、防衛省の海上幕僚部の課長さんから私ども海上保安庁の警備救難部の警備課長に電話で、「あたご」の航海長防衛省に呼び聴取しているという連絡がありました。  それから、なお十九日の午後零時十二分でございますけれども、これは現場レベルの横須賀海上保安部の警備救難課長から海上自衛隊横須賀地方総監部電話し、「あたご」をその十九日の夕刻、横須賀の基地向けに回航することについて調整をしておりました。その零時十二分以降も何度か電話をしております。  警救課長の記憶も一週間前ですので少々あいまいでございますが、したがって、どの電話であったのか、あるいは相手方がだれかというのは特定はできておりませんけれども、「あたご」入港後、私どもの海上保安官が船内に入るので「あたご」の乗組員については乗下船しないようにという協力要請をした際に、「あたご」の航海長が東京方面へ説明のためヘリコプターで下船しているという情報も入手しました。  以上でございます。
  148. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ということで、事後の説明ということでありますが、防衛大臣としては事前にもそういうものがあったというふうに期待をしているということなのか信用したいということなのか、その点について確認をしたいと思います。
  149. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは先ほど犬塚議員にお答えをしたとおりでありますが、けが人を一人搬送する、上級部隊への報告のため幹部一人を降ろすという二点を三管本部の当直の方にお電話をしたという報告を受けております。相手のお名前は聞いておりません。私自身、そういう報告を受けておりまして、それは信用をしたいです。期待もしたいです。私は組織の長として自分の部下を信用をいたしております。  しかしながら、海上保安庁さんのおっしゃることとそごは出ております。したがいまして、このことを、私どもこれから先、私として信用したい、信用しているということ以上のことは申し上げられません。そのことについて争うつもりもございません。このことについて、いずれにしても、事前にしかるべき方にしかるべき者が御了承を取っておくべきであったということを申し上げているのでございます。
  150. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 海上保安庁長官防衛大臣との発言が違うわけでありますが、これは政府の中でできるだけこういうことがないようにしていった方がいいと思いますが、国土交通省としては防衛省に対して何らかこの点について働きかけをする意思があるかないか、伺いたいと思います。
  151. 松島みどり

    ○副大臣松島みどり君) お答えいたします。  一般論といたしましては、捜査に支障を及ぼす可能性がある場合には捜査機関の立場として望ましくないと考えているところでございますが、今後の対応につきましては防衛省において検討されるべきものと認識しております。つまり、こちらから何か言うということではございません。  また、航海長の下船によりまして捜査に影響があったというふうには捜査を行っている第三管区海上保安本部からも聞いておりません。このため、現段階では本件について何らかの申入れを行う必要があるとは考えておりません。  いずれにいたしましても、海上保安庁におきましては、中立的な捜査機関として引き続き事実に基づき捜査活動を進めていくものと承知しております。
  152. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、大臣にもう一つ、この航海長から直接話を、航海長がいる場でいろいろと報告を受けたという観点から話を伺っていきたいと思いますが、大臣はその話について、先ほどもちょっと触れておられましたが、非常に鮮明にその報告の中身を御記憶のようでありますが、昨晩、次官は、航海長から話をした中身は記憶はないと言っておられます。記憶がないというのは非常におかしな記者会見だなと思うんですが、大臣はそれはおかしいと思われませんか。同じ場にいられた大臣としてどのように思われるか伺いたいと思います。
  153. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、人の頭の中まで私は見えませんので何とも申し上げられません。次官は、私も聡明な次官であるというふうに認識をいたしております。  それから、私自身、鮮明な記憶があるわけではありませんが、発表しております内容のとおりのことが申し述べられた、その前に海上幕僚監部でいろいろと聴き取りをしたことがもう一度整理をされて述べられた、その内容は二分前ということが核心であるというふうに記憶をいたしております。
  154. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 内容は二分前が核心だということでありますが、その後、護衛艦隊司令部の幕僚長が乗られていろいろと精査をしたら違う事実が出てきたと。違う事実を聞かれたときの大臣は、こんなに違うのかというふうに思われたのか、それとも、なるほど随分補足されてこういうふうに精緻なものになったなと思われたのか、その点のちょっと印象を伺いたいと思います。
  155. 石破茂

    国務大臣石破茂君) あくまで印象です。それはどうであるかということは捜査当局においてこれから明らかにされるべきものであり、そして可能な状況になれば我々としても事故調できちんと把握をしたいと思います。  印象を申し上げれば、聴いた人が違うのかもしれないということ。つまり、だれがどの時間に何を見ていたか、だれがその時間に何をしていたかということでございますが、それによって違うのだということだと思います。  何でこんなことが起こったかということを考えるときに、二分前ということが事実は事実としてあるとして、その前に何かないのだろうかと思うのは、それは通常だと思います。それは、捜査の核心とかなんとかいうこととは抜きに、もう一般論として常識の部類だと思いますね。そして、この手の船にどのようなライトが付いているかということもある程度海に詳しい者であれば常識として持っておるものでございます。ですから、十二分前というのが出たときに、あっ、こういうものもあるのかということ。でも、それが二分前とそごがあることがおかしいと思ったことはございません。それはだれからいつ聴いたということで当然そごがある、それはそうなのだろうというふうに思いました。
  156. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間の関係で最後の幾つかの質問に移りますが、大臣は二十二日の衆議院の安全保障委員会で、防衛省・自衛隊による情報の隠ぺいや操作があったとしたら大臣として責任を取るというふうに答弁しておりますが、まずその認識に変わりはないでしょうか。
  157. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 変わりはございません。
  158. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 先ほどの点については水掛け論になりますから、私の方からは意見だけ申し上げさせていただきたいと思いますが、航海長から話を聴いていたということ自体が実は公表すべきことなのではないかなというふうに私自身は思っておりますということだけ申し上げさせていただきたいと思います。  次に、私どもが勝浦市長や漁協の組合長とお会いをした中で一番強く印象に残っている先方側の要望は、原因究明をしっかりやってほしいと、その上で自衛隊に非があるなら目に見える形で責任を取ってほしいというふうに、市長さんもそして漁協の組合長さんもはっきりとおっしゃっておりました。この目に見える形で責任を取るというのはどういうことだというふうに大臣は受け取っておられますでしょうか。
  159. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ごめんなさい、一点訂正させてください。先ほど、電話をした先を三管本部と申し上げましたが、横須賀海上保安部の間違いでした。ごめんなさい。この二つは別の組織でございます。  お尋ねにお答えをいたしますが、明確な形で責任をということを、私自身、それと全く同じお言葉で言われたわけではありません。同時に、これは不徳の致すところで、自己正当化と受け止められたら本当にごめんなさい、そんなつもりは全くありませんが、大臣、あんたが辞めることなんかちっとも望んじゃいないよと、それが責任の取り方だと思わないでくれという言葉もいただきました。  そうすると、何が明確な責任なのかということは、そこでおっしゃったことを繰り返して申し上げますと、何でこんなことが起こったのか、どうすればもう起こらないのかということをきちんとしてくれということでございました。まずそれが優先するのだと思います。どういう立場にあった者がいかなる権限を持ちいかなる責任を負うべきかということは、それはそれとしてちゃんとやっていかねばならないことだと思っております。
  160. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私も、なぜ起こったのか、どうしたらこういうことが起きないのかということをまずやっていくべきだというふうに思います。しかし、その上で、現場の責任者がそれに非があるのだとするならば、それは責任を取るべきだというふうに思いますし、しかし、現場だけではなくて、組織全体としてもだけど何らかの責任を示さないと全体としてうまく信頼回復につながらないのではないかと、こういうふうに考えておりますので、まずは原因究明をしっかりしていただいて、そして再発防止策を作っていただいた上で、是非賢明な御判断をしていただきたいということを申し上げさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
  161. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 今ほどの同僚の犬塚委員、そして浅尾委員が触れられた点について、現地への対応という点について、まず大臣に心構えというか今後の方針を伺いたいと思うんですが、清徳丸の二名の行方不明の方、吉清治夫さん、そして吉清哲大さん、この引き続きの捜索は今もちろんやっていただいているわけでございますが、この捜索の状況、そして今回のこの事故で苦しんでおられるこのお二人の行方不明者の御家族あるいは漁協の方々、先ほど議論もちょっと出ておりましたけれども防衛省として最大限誠意のある対応をこれからしていくことが重要だと思いますが、現状、そして今後の取り組む決意、これについて大臣のお考えを伺いたいと思います。
  162. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 現在も行方不明のお二人を捜索いたしますために、自衛艦、固定翼機、P3Cでございます、とヘリコプターを派遣をしております。海保等と協力しながら態勢を取っておるところでございます。漁協の方々の捜索は縮小あるいは打切りの状況でございますが、私どもとしてなお態勢は維持をいたしておるところでございます。  また、後段につきましては、何が最も誠意ある対応なのかということをまず我々が考えるべきだというふうに思っております。どうしたらよろしいでしょうかみたいなことを聞くのではなくて、我々として何をすべきかということを我々が我々の責任として真摯に考えてまいります。
  163. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 次に、現場、この今回の「あたご」の現場の海自の隊員が今回取った行動について伺いたいと思うんですけれども。  我々の参議院の自由民主党の中でもいろんな機会に議論し、また情報収集した、党の部会でも情報をいただきました。そこで、やはり現場の隊員の行動として、まず危険海域なんですね、これ漁船の往航がかなり見られてくる。魔の時間帯、四時というのはこれは船乗りにとっては一番大事なという魔の時間帯、これ緊張感を持って操舵に当たらなきゃならないにもかかわらず、情報によると、艦長さんは仮眠中でブリッジに立っていない、当直士官は自動操舵中であったと。これはやはり、あるいはまた多数の漁船群がレーダーにおいても目視においても確認されたような状況の中だと、まあ手動に切り替えて例えば大きく逃げていくというような行動が常識的には考えられる。  これはやはりこの「あたご」の乗組員の士気のたるみと断ぜざるを得ないわけですけれども、これは「あたご」が特別だったのか、あるいは海自全体、海自は昨年十二月にも、白委員が御質問あったように、「しらね」の、これ第一護衛隊群の旗艦である「しらね」で大火災を起こしましたね、ブリッジで。あれも調査中であるし、そのときの経験、引き締まっていかなきゃいけないというのが生かされていないのか、ここら辺は防衛省として、あるいは担当しておられる担当官としてどのように今これ分析しておられますか。
  164. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは迂回すべきであったとかこの時間を避けて入るべきであったとか、いろんな議論はございます。ただ、なぜこういうことが起こったかということが明らかにならなければ、そういう議論はなかなか私どもとして責任持って申し上げられるものではございません。  迂回すべきであった、あるいは、私は手動にすべきではなかったかと思っておりますし、艦長がブリッジに立つべきではなかったかと思っておりますが、べき論をある意味素人の私が言ってもしようもないお話でございます。この点、事情が許すような状況になれば、私どもとしても事故調査委員会をちゃんと動かし実態を究明したいと思っていますし、それとは別に、本当に何が一番安全なのかということ。いわゆる戦闘艦でございますから普通の商船とは違う運航をいたしますが、しかしながら、平時において安全が優先されるというのは当たり前のことでございますので、それが徹底されているかどうかをもう一度見るということは指示をしております。  もう一点は、これは委員も政務官でいらっしゃいましたので現場をよく御案内かと思いますが、船によって流儀が違うということはある程度ございます。どの船でも同じように運航いたしておるわけではございません。もちろん、どの船も安全運航というものを最優先にしておるわけでございますが、それを達するために、A艦長のやり方、B艦長のやり方、C艦長のやり方というものはある部分裁量にゆだねられておるところがございます。そこのところはどうなのかという確認を今私はいたしておるところでございます。  そこはやはり、この海域においては手動操舵に切り替えるべしとか、こういう時間帯においては艦長はブリッジに立つべしとかいうことがあってもよいのではないか、あるべきではないかということを私は今問うておるところでございまして、そのことの解答を早急に得て、更なる安全の徹底に努めたいと思っております。
  165. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 さて、この事案が発生した後の認識防衛省のこの情報管理、危機管理体制、私はかなりこれは危機的な状況じゃないかという認識を持つわけですが、防衛大臣そして事務次官は早々と十九日に艦艇の安全航行、そして事務次官が情報の伝達についての通達を発出されたわけですけれども、この対応も含めて、私は情報管理、危機管理体制に問題があったという実は認識持っておるわけです。  まず、これは大臣、現場の隊員が起こした事案について、自衛隊の指揮命令系統の中枢である大臣、内局、各幕がこの事案についての対応を的確に行うことが私は、これは防衛省・自衛隊という組織の士気なりこれからの忠誠心なり、安全保障の部隊としての、これは高まると思うんですけれども、これを間違えると逆な結果になっていく。  私は、大臣、内局、各幕というのはもっとどっしり構えられないかというのが率直な意見なんですよ。  事件を起こした後の新聞報道を見ますと、十九日に起こって、二十一日までは現場の隊員の行動についてのいろんな報道がなされているんですけれども、二十二日以降はすべてこれ、これだけ膨大なマスメディアの報道というのは、内局、各幕、要するに中枢機能の対応についてのまずさ、こういう報道がほとんどなんですね。  そこで、今の危機管理に関して、特に先ほど小出しでしかも二転三転という報道がなされておるわけですけれども、一番こういったときの大事な情報の収集、集約、分析機能という、そしてそれを開示していくタイミング、こういうものについて、これは率直な今の意見を伺いたい。
  166. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、いろんな制約がある中で、一部の報道にありますように、通常の国であれば、軍がこういう事故を起こせば軍の中の法廷というもので真相究明がなされ、処罰がなされ、情報公開がなされていくというものでございます。私ども記憶にありますのは、えひめ丸とグリーンビルが衝突いたしましたときに、私、防衛庁副長官でございました。あのときに、ワドルという艦長が軍法会議にかけられて、アドミラルズ・マストとかいろんな議論があったのを私防衛庁の中で、副長官室でいろいろ聞いておって、ああ、こうなんだと、あのとき以来アメリカの軍法会議の仕組みというものをある程度勉強いたしました。  これが我が国の場合にはそういうものがございません。したがって、捜査機関である海上保安庁がお取り扱いになるということでございます。  そうしますと、そこの調整というものが当然ある。言っていいことと言っちゃいけないことと当然ある。同時に、何も分かりません、調査中です、海上保安庁に聞いてくださいというようなことを言うことはどうなんだという意識は私当初からありました。できるだけ分かった情報は、言っていいものは出したい、出すべきだという思いがありました。その調整を一体どこがやるのだと。海上幕僚監部というものがあり、内局というものがあり、そこでどのように、だれがどのように調整を行い、何をどのタイミングで言っていいかという仕組みが諸外国に比べて我が国は極めて複雑なんだというふうに思っております。  ただ、今その仕組みのことを云々してもどうにもなりませんし、責任転嫁をしていいことだとも思いません。少なくとも我が省内においてその仕組みをどうするかということは、つくり直すといいますか、結節点が余りに多いと駄目なんだと思うんです。こことあそこと調整してということは駄目なんだと思うんです。どこか一つのところがいろんな情報集約をしながらも最終的に責任を持って判断を下すというところが明確に存在をしないと、こういう場合の対応を間違えることになると思います。  委員御指摘の報告が遅れたという件につきましては、これは通達を改正をいたしました。「しらね」であれば海幕長からすぐ上がってきたのに、何で今度は上がってこないんだという疑問は私も持っております。  ただ、そのことを今更せんさくしても仕方もないことで、こういう重大情報があったときは、それを受けた者が、こんなことを大臣まで上げていいかしらというようなちゅうちょをすることがないように、だれがどう見てもこれはすぐ大臣に上げる、だれがどう見てもこれはすぐに秘書官を通じて大臣に上げる、だれがどう見てもこれはそこまでしなくていいということをきちんと分かる体制は何とかあらあら今週中には概略をまとめたいと思っております。
  167. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 大臣の決意は分かったわけですが、先ほど浅尾委員質問の中で、航海長と直接会ったことに対して、やはり衆議院の予算委員会において、私はこれは錯誤だと思うんですけれどもね、錯誤、こういう御答弁をなさったと。これはやっぱり大臣一人にあらゆる情報それから指令が集中しているという感じも私はした上でのそういった一つのものが起こったんじゃないかと懸念するわけでございますけれども、是非ひとつその情報の収集、集約、開示、分析、これは我が国の防衛を担う、危機管理していく一番大事な、防衛省にとって一番大事な部分ですから、ひとつしっかりやっていただきたい、反省も踏まえてお願いしたいと思うんです。  その上で、情報、マスメディアについての情報等で、全体としてはそういう流れになるんですけれども、やっぱり私自身拝見していまして、これはやっぱりちょっとおかしいんじゃないかと、この委員会の場でも少し訂正していただいた方がいいんじゃないかと、こう思った点、二つほどまた伺いたいんですけれども。  先ほども出ましたね、浅尾委員質問の中で、昨日、二十七日ですね、増田次官の会見であります。このときに、これは事前連絡の話ですね。先ほど、横須賀地方総監部防衛第四幕僚室長が当直の海保の方に連絡した、それを吉川海幕長報告して、それを事前海保の了解を取ったというふうにおっしゃったやつに関して、結局、この情報確認できないために、記者団から、防衛庁の説明虚偽だった可能性があるのかという質問に対し、指摘の点は排除できないと述べたと。一斉に、海保了承虚偽の疑いということでマスメディアに報道されたんですね。  虚偽というのは、これは真実でないことを自分がうそと確信しながら言うことなんですよ。海幕長がその部下の報告を十分収集、分析しないでやったのはあるけれども、うそを言うつもりで発言したのではない限り虚偽とは言えないわけで、この点やっぱり大事な話なんで、これ言葉の行き違いでというかはずみでこうなったと思うんですけど、この点について、どういうふうにこれ内局として認識されているのか。訂正していくならこれ訂正していただきたい。
  168. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員御指摘のとおりだと思います。  私ども、自分の中のことですのでなかなか申し上げにくいところはありますが、私は、吉川海上幕僚長という人はそういう虚偽を言うような人だと思ったことは一度もありません。私は、長い付き合いでございますが、あの人からうそを言われたことは一度もありません。不誠実な対応を取られたことも一度もありません。そして、部下を思う人であることもよく承知をしています。彼がそのような虚偽を言うような人間だということは思いません。  ただ、一つ問題は、一つ問題は、その三管本部ではなくて横須賀海上保安部ですという答弁の訂正を先ほどいたしましたが、そこへお電話をして二つのことを申し上げた。けが人を運びますということと、そして幹部上級部隊への報告のため乗せますということ。それを分かりましたというふうに言いましたよということ。その分かりましたという言葉も、アグリーなのかアンダースタンドなのか何なのかアイ・ハードなのか、いろんな言い方があるんでしょうけれども、それを、上へ上がっていくときに、海保には断っておきましたからねっていうような話が上がっていったとするならば、あの極限、ある意味極限の状況の中で、とにかく海保にはお話ししたんだねということで了承したという言葉になったのかもしれません。ただ、それを意図的に虚偽、うそつき、そういうふうに言われるということは、私はそれは違うと思います。
  169. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 私も、やっぱりこれは、先ほど申したこの情報の収集、集約、分析のところに不備があったんであって、虚偽報告をするという意図は全くないというふうに私は思っておりますので、それはそれでよかったんじゃないかと思います。  次に、少し同僚議員の質問に出ておりましたけど、また大臣の御答弁にもありました、我が国の自衛隊というのは、これは内部に軍法会議のような司法組織持たない、これは諸外国と比して非常に異なった組織ですよね。ここで起きた事案に関して、海上保安庁と自衛隊との間で、防衛省との間でいろんな連携の問題が私は必ずしもうまくいっていない、その結果、国民からは防衛省・自衛隊が何か事実を隠ぺいして情報操作をしているんじゃないかというような誤解を与えたようなことがある。  この点について、海保とそして防衛省、両方に伺いたいんですけれども、我が国においてこういった事案が起きた、自衛隊が、自衛艦が民間に対して起こした事案の、事件の対応についての基本的なルール、海保の方から取り寄せたんですが、昭和二十八年に保安庁と海保の間の協定というのがあるんですね。それ以降、先ほど大臣の方から、通達出したと。海上運航の安全運航のところに三項目出されましたよね。その三項目の三番目には、事案が起きたときには外部の関係機関に至急連絡云々というようなこともあって、当たり前のことなんですけれども、どうもこういう大事な事案に対するマニュアルというのかな、その要項というのか要領というのがないやに聞いておるんですけれどもね。  この一番大事な部分について、我が国においてはほかのところと違うという意味で、基本的なルール、これは両海上保安庁防衛省との間でどのようなルールを持って、どのような連携を目指してきたのか、また目指そうとされるのか。現状と今後の方向についてそれぞれから伺いたいんですが、いかがでしょうか。  まず、海上保安庁の方から、じゃ。
  170. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) まず、捜査の件について申し上げます。  捜査の件につきましては、今先生御指摘のとおり、昭和二十八年に保安庁と、これは自衛隊でございますけれども、と海上保安庁との間で協定を結んでおります。民間船同士の事故についてはこれはもちろん海上保安庁、それから自衛艦と民間船の事故についてはこれは海上保安庁が捜査をします、自衛艦同士の事故については自衛隊の方でやってくださいというふうな基本的な役割分担をさしていただいております。  それから、自衛艦が事故を起こした場合、これは自衛艦だけには限りませんが、一刻も早くそうした情報については私どもの方に一報をいただきたいということについてはかねがね申し上げておるところでございます。
  171. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 ちょっと防衛省答える前に、私のちょっと質問をもう一遍フォローしてからお願いしよう。  今の海保の基本的なルールがあるんですけれども海保の捜査に支障を来さぬ条件で海自が乗員からの事情聴取を含めての調査権というのは当然あるという認識海上保安庁としても持っておられますね。  それで、特にこれ僕は安全保障の点からも、今回、海自というのは、先ほど申したように、事故が、四時五十五分に、起きてから横須賀の港に入港するまでの間、海上保安庁というのは捜査に専念しておられる。事情聴取は、海保の捜査というのは帰港してからですから、五時ですね、夕方の。時間があるその間に、私は海自が乗員からの、先ほどヘリコプターの話が出ましたけれども、こういう事情聴取を含めて調査権というのは当然あるし、これやってもらわなきゃ安全保障の面からも困るんですよ。何でこんなことが起きたんだと。海自の、海保調査と並行して、その支障のない限り徹底した捜査をむしろやらなきゃいけない。これは、情報の隠ぺいとか情報操作をするとかいうのと次元の全く違う話なんですね。  ですから、ここの役割分担、海自というのはこういうことをちゃんとやらなきゃいけないんだよということを、報道機関や国民の誤解を解くためにはもっときちっと発信すべきじゃないんでしょうかね。何か情報の、乗員情報収集したのが悪いような印象を国民に持たれているという点に関しては、もっとしっかり海自の自衛艦における事案に関する調査権、調査しなきゃいけないということを前面に出して国民にPRすべきじゃないでしょうか。いかがです。
  172. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そのとおりでございます。  そのことは、今の委員御指摘の日本のほかの国とは違う仕組みの中でそこのところをどうするんだと。あれこれ言うと、何というんでしょうか、小出しであるとか虚偽であるとか言われますし、何も言わなければ何も情報が出てこないというおしかりをいただきます。そして、捜査の厳正公正に支障を及ぼさないという、この中で何ができるんだろうかということを私は事故発生以来ずっと悩んでおるところでございます。  そこにおいて、安全保障の観点、すなわちどの瞬間でも安全保障はあるわけで、今この時点でも私どもの陸海空自衛隊はそのために動いているわけで、その中で事故があったときに、これは一体何なんだということを早急に、国の安全と独立をお預かりする者としてすぐ知らなければとんでもないことになるということはあるわけです。ですから、早く知らなきゃいけないということはあるんです。  そこのところをどのようにして御理解をいただくか、これはとても難しいことなのですが、実は余り議会で議論されてこなかったことではないか。少なくとも、私は二十二年議員をやっていますが、そのことを正面から論じたということは、私の記憶ではこれが初めてではないかと思います。どうあるべきかということをコントロールされる側の、なさる側の一つの当事者である議会においてそういう御議論がなされますと、私ども防衛省としても、政府としても大いにそれを傾聴したいと思っておるところでございます。
  173. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 今の海保と海自の連携については、実際海上保安庁側もいろいろと対応しておられるんですね。私の得た情報ですと、二月二十三日の夕刻に海保の刑事課長から防衛省の運用局事態対処課長に対して、報道機関については海保としては事故核心の、核心に触れるような内容は控えるようにとか、そういう記者会見まで開いて、そういったことをなさって連携をやっておられるんですけれども、これが実は二十四日の新聞にも余り報道されてないんですね。ですから、やはり出るのは事前の了解なしに事情聴取を行ったのは不快だとかいうふうな、国土交通大臣の、それがつまみ食いで出ていたりね。これは全然違うわけなんですよね。  ですから、捜査に支障がない上で事情聴取を行っておられますと、結果的には、今、十九日のヘリコプターで運ばれていろんなことをやったのは、結果的にはそういう捜査に支障を与えてない、任意捜査でしっかりやっていただいているということも是非ひとつ海保の方からも発信させていただいたらと思います。  さあ、時間がありませんので、これ最後に対応について少し触れさせていただきますけれども、二月十九日、艦艇の安全航行について大臣通達、これ三番目に、さっきちょっと触れましたけれども、部外者が関係する事故発生時の速やかな報告関係機関への通報、これがやらなきゃいかぬのかと、今更ね。それから事務次官通達大臣に直接上げろということを赤で加えましたけれども、このことはやはり、こんなことまでやらなきゃいけない私は組織なのかという誤解を与える意味で、あるいは現場の隊員の士気の面で私は問題があるなと思っております。  山本元帥の言葉じゃありませんけれども、これ、やってみせ、言ってきかせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かぬというところですからね。現場の隊員が一生懸命やっているときに、一片の通達を、事故当日の夕刻直ちにそういうのを発出して、そして何か一定の対応ができたともし認識されるようなことがあれば、やっぱり大きな間違いじゃないだろうかと。やはり、しっかりと落ち着いて事故原因を究明した後、しっかりした対応をひとつ取っていただきたいというのが私の要望でございます。  何か大臣、感想がおありになったらよろしくお願いします。最後にします、これが。
  174. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ここも悩むところで、やはり私ども、二十四時間三百六十五日一分たりとも気が抜けない。それは安全にかかわる海保も警察も消防もみんな一緒なのだと思います。そのときに、いろんなことが起こるわけで、これ大臣まで上げていいかなと。例えば、午前二時とか午前三時とかいう時間にこのことを大臣に直接伝えていいのかなという迷いが一瞬あるんだろうと思います、紙に幾ら書いてあっても。  ですから、この場合にはもう、先ほども申し上げたのの繰り返しになりますが、迷いをなくする、そして結節点を少なくする、これはやっぱり必要なことなんだと思います。ですから、それで私はいいんだと思います。ですから、通達は書きました。ですから、委員おっしゃるように一片の通達でいいのか、いいと思いません。それが本当に行われるようにしなければいけない。それで、何だ、こんな時間にこんなことを言ってくるな、ばか、がしゃんみたいな電話切られたら、もう二度とそんなものは掛かってこないわけであって、やはりそういう対応を受ける側も取っちゃいかぬのだと思います。それは発信する側も受ける側も、常に二十四時間三百六十五日そういうマインドを持って当たれと、それが防衛省なのであるということだと思いますので、一片の通達だけで終わらすことのないよう今後徹底をいたし、心してまいりたいと存じます。
  175. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 終わります。
  176. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  質問に入ります前に、いまだ発見されておりません吉清治夫さん、また哲大さん父子が一刻も早く家族の下に発見されてお帰りになることを祈念する次第でございます。  本件につきましては、いまだ海上保安庁による捜査中でございます。そういう意味では、原因究明等は大分後になってくるかもしれません。それに基づく再発防止もその後かもしれませんが、現在既に分かっていることだけでもいろんな再発防止を考えることができると思っております。そういう観点から幾つか質問させていただきたいと思います。  まず、海上衝突防止法の運用関係でございます。  今回の事故は、いわゆるイージス艦あたご」が右側に、右舷に見える清徳丸と衝突をしたと。こういう場合に、基本的には相手の船が右側に見える側がよけるというのが原則となっておりますが、今回の場合、「あたご」、イージス艦というのは非常に大きな船でございますね、なかなか方向を変えるのに大変であると。一方、清徳丸の方は割と小回りが利くと。  そういう意味で、このような相手船が右側に見た側が衝突回避する義務という観点、そういうものが船の大きさにより守られていない実態は法的に合法なのか違法なのか、この辺について海上保安庁に聞きたいと思います。
  177. 米岡修一

    政府参考人(米岡修一君) まず海上衝突予防法でございますが、この法律につきましては、海上における船舶の衝突の予防に関する国際的慣習の蓄積を明文化しました千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約に準拠して制定されたものでございます。この法律におきましては、他の船舶の進路を避けなければならない船舶、避航船について、船の大小により適用の関係に差は設けられておりません。  個々具体的にどのような場合が先生御指摘の適法なのか違法かにつきましては、私どものところが法を所管していまして、具体的な適用につきましてはまた別の部でやっておりますので、それについてはちょっとお答えを差し控えさせていただきます。
  178. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今の御答弁で、海上衝突予防法の衝突回避については、船の大きさ、相対的な大きさ小ささに関係なく、相手船を右側に見る側が回避すべきであると、そういう解釈でありますが、それでは防衛省において、また自衛隊において、こういう大きな艦船が小さな漁船と向かい合うというときには、ちゃんと右側に見る側が回避するんだと、相手側の漁船が避けていくのを待つんではないんだという形の教育がなされているんでしょうか。
  179. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私どもにおきまして、相手方の船の大小にはかかわりございません。相手方の大小にかかわりなく、通常こちらの方が大きなわけでございますから、厳密な見張りを行い、衝突予防法を遵守し、相手の進路、距離に応じて衝突の予防、避航、避航というのは避ける航海ですが、避航を行うよう教育をいたしておるところでございます。
  180. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今大臣の方から船の大小にかかわらず教育をなさっているということが答弁されましたが、一方では、今回の、地元の漁協等の話によりますと、自衛隊の艦船のような大きな船の場合は、そこのけそこのけということで、小さな漁船が回避するのが当たり前だというような、そういう実態があったということがありますけれども、こういう実態について大臣認識されていたでしょうか。
  181. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 昨日、「あたご」の艦長が御家族におわびに参りましたときのその後の記者会見ですが、やはり同じような御質問をいただきました。相手漁船だからよけると認識をしていたかという御質問をいただきまして、そんな認識はありませんというふうに発言をいたしております。  私どもとして、相手がよけるというような、そこのけそこのけというような、そんな不遜な意識を持っておるものではございません。そのときにどのような形を取れば最も適切に衝突が予防できるかということは考えておりますが、原則、根底にありますものは海上衝突予防法の原則、これが根底にございます。ですから、必ず相手がよけるものだというような認識は持っておりません。
  182. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今大臣認識をお聞きしたんですが、そうしますと、船の大小にかかわらず、基本的に海上衝突予防法の運用については相手船を右側に見る側が避けていくということになるわけでありますけれども、冒頭申し上げましたように、船のよけやすさといいますか、これについては、大きな船よりも小さな船がよけやすいのはもう事実なんですね。その事実がありながらも、法律が一方的なものに固執するがゆえに事故が十分に避けられていない、また実態としてもそういう一種の法が守られていない状態ができているというのも見えたりするわけですが。  よって、この海上衝突予防法をある意味では補う形で、こういう場合はそういう原則でなくてもいいんだというような運用は考えられないんでしょうか。  海上保安庁にお聞きしましょう。
  183. 米岡修一

    政府参考人(米岡修一君) 海上衝突予防法につきましては、先ほど申し述べましたが、国際条約を国内法化したものでございまして、国際的に統一された航法や灯火等の海上交通ルールを定めたものでございます。  また、同条約では、内水路につきましては各国が特別の交通ルールを定めることを認めておりますが、今般の事故が発生しました海域は領海外でございまして、特別の交通ルールを定めることを認められておりませんので、海上衝突予防法の見直しを行うということは現時点で考えておりません。
  184. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今海保から再度御答弁いただきましたが、やはり船の大きさについての予防の方法については見直しをしないということでございますので、その前提の下で、一層、じゃ自衛隊、海上自衛隊の方々がこのルールをどんな場合であったとしても基本として守るんだということを、教育方法についてどのような改善を考えているのかについて、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  185. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員は科学者でいらっしゃいますので、こういう点は私よりもはるかにお詳しいのだと存じますが、結局、大きな船が右行ったり左行ったりするとかえって危ないってこともございますですよね。で、相手の船の方が小さい、どでかい船が右行ったり左行ったりされるとかえって危なくなっちゃうっていうこともあるわけで、根底にと先ほど申し上げたのはそういう意味でございますが。  私どもの中で、漁船に対する措置というのが操艦、船を操る教範というのにございまして、群集する漁船に出会った場合は、差し支えない限りその外縁、外の縁でございます、外縁を航行するのがよいと。やむを得ずその中間を縫って航行する場合は、特に保針、針路を保つ、保針に注意をして艦首が振れ回らないようにしないと、漁船は動作、措置に迷い、ついに衝突の惨状に至ることになると。避航上、不安を感じる場合には、時機を失することなく減速するか又は機械を停止し、なお必要に応じて後進を使用して行き足を止めるべきということになっておりまして、一体どっちが避けるべきかというのはやっぱり大原則、ルールだと思うんです。そうすると、今度は速度をどうするかというお話になってきて、そこのところがどうであったかという捜査が今後なされるべきだと思いますが、私どもとして操艦教範というものはこのようにございます。  ですから、右に見たものが避けるべきだというのは本当に鉄則であって、これはルールを変えるわけにいかないと思いますが、その上で、なおこの操艦教範というものがきちんと遵守されているかということが今後部隊内においてちゃんと議論をされ、訓練をされ、徹底されるべきものと思っております。
  186. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 これは通告しておりませんけれども、今大事な点が大臣から御説明ございました。  操艦教範というものに基づけば、小さな船の中でも、行方を余り変えずに、変えないことが重要だという話がございますが、こういう操艦教範について、その内容について海上保安庁は御認識されていたでしょうか、今まで。
  187. 米岡修一

    政府参考人(米岡修一君) お答え申し上げます。  海上自衛隊のカイジョウソウハンにつきまして、これは私は今回ここで初めて聞きまして、海上自衛隊海上保安庁も現地レベルではいろいろ連絡会議等も設けていますので、そのレベルでどういう話があったかというのはちょっと承知しておりませんが、私は初めて承知した次第でございます。
  188. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今後、いろいろな形で海保海上自衛隊は連携していただいて、事故を減らしていくためには、今大臣説明いただきました操艦教範につきましても十分海上保安庁に御認識いただいて、いわゆる海自の船の動き方はこうであるぞということを前提にしていくことが、余り原則原則でより危ない実態にいってもしようがありませんので、それについては協力をお願いしたいと思います。  次に、現在、事故の原因含め捜査中でございますので、それについては刑法上のいろいろな罰則というのが出てくるかもしれません。しかし、それに至る前として、まず防衛省としてのいわゆる服務規定、服務規則に基づいて今回の事案がどういうふうに判断されるかについて質問したいと思っております。  まず第一に、報道によりますと、当日の三時五十五分の時点で漁船の赤信号を認識した海上自衛隊見張り員は、その旨をレーダー員に伝えなかったとあります。これが本当かうそか分かりませんけれども、もし本当であれば、自衛隊の服務規則上どのような処分となるんでしょうか。
  189. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) お答え申し上げます。  自衛隊員に対して懲戒処分を行う場合につきましては、自衛隊法に規定がございます。職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合でありますとか、隊員たるにふさわしくない行為のあった場合でありますとか、具体的に法令等に違反した場合には処分をするということになってございます。  お尋ねの点でございますけれども、まさに事故発生当時の事実関係につきましては現在海上保安庁の方で捜査を行っているところでございますので、また防衛省内にも事故調査委員会を立ち上げております。そうした捜査の状況も踏まえまして事実関係の究明を行うということになろうかと思いますが、今申し上げましたその処分につきましては、具体的にその事実関係を究明した後に、それぞれいかなる法令に違反しているかということを十分検討した上でやってまいりたいと思っておりますので、今具体的にどういう処分になるかということについては申し上げることはできないということで御理解いただければと思います。
  190. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 実際がどうだったかということを聞いているのではなくて、だから一般論として、そういう前方に漁船確認した自衛官、見張り員がそのことをレーダー員に伝えなかったという事象だけを切り取って、それが今回事実かそうでないかは別にしまして、その件だけで服務基準上どういう扱いになるかを聞いているので、一般論としてお答えいただきたいと思います。
  191. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) 繰り返しになりますけれども、どういう法令に違反しているかという具体的な違反の形態がはっきりしませんとどういう処分になるかということを申し上げられませんので、そこは御理解いただきたいと思います。
  192. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 余り具体的な結果が出ないと判断ができないということを強弁されますと、実際これから捜査が進んで、そして原因究明が進んでいくという事態がない限り、ずっと、本来であれば早い段階でいろいろな手を打てる、通達を出して安全管理をするということの時期を逸するんじゃないでしょうか。そういう意味では、すべて分かるまでは何も言えないという態度については私は理解できないですけれども。  もう一度質問します。先ほどの件についてお答えください。
  193. 渡部厚

    政府参考人(渡部厚君) 今回の事故を踏まえていかなる再発防止を行うかといったことと、だれがどういう責任を有しその行為自体がいかなる法令に違反していたかということを究明することとは次元が違うかもしれませんけれども、あくまで具体的な事実関係に基づいて判断する必要があるというふうに考えております。
  194. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、私どもと服務というふうな形でいきますと、これは自衛隊法の懲戒処分、つまり免職、降任、停職、減給、この中のどれだと。職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったということになるわけでございます。  ただ、委員がおっしゃっておられるのはそういうお話ではなくて、どういう処分をするかということに力点があるよりは、一体どのような義務に反したのかという御指摘であると仮にするならば、私どもの中で、例えば訓練資料というものがございまして、その中に見張指揮という章がございます。その中には、例えば当直見張り員は見張りを継続しながら所要事項を申し継ぎ、当直員が申し継ぎ事項を確実に了解したのを確かめた後交代するとか、そういうふうにかなり細かくというか、当然のことでございますが、細かく書かれております。  ですから、事故の原因については海保で捜査がなされ、今後私どもそういうことになるだろうと思いますが、じゃ、処分というのはともかくとして、こういうことに反したのでこんなことが起こったのだということは、やはりきちんきちんと明らかにしておかねばならない。それは一体何のどこに反したのかということもみんなが当然のこと認識をしなければいけないことですが、何にしても今回こんな事故が起こったわけでありまして、それは何にどうだったのかということはちゃんと認識をせねばいけないことだと思っております。  処分と直接リンクするかどうかは、ここで申し上げる段階にはございません。
  195. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  まさにこちらがお聞きしたい内容はそれでございまして、そういう処分の内容というよりも、ああいうことが起きた原因についてうまくそれが除去できるような規則が整っているのかどうなのか、規則に穴がないのかどうなのかをお聞きしたかったわけでございます。  そういう意味で再度質問いたしますが、大臣にお聞きしたいんですけれども、あの漁船の往来が激しい海域におきまして、見張り員、水上レーダー担当員等衝突回避のための情報把握担当する乗組員十人全員を一度に交代すると、そういうことは妥当なのでしょうか。現在の規定上どうなっているのでしょうか。
  196. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは私も不勉強で、一遍にみんな替わるのかということを聞いたことがございます。  これは実は、あくまで一般論でございますが、見張り員の交代は十分以上重複をいたします。つまりダブルみたいな形になるわけでございますが、十分以上重複をさせるということを海上自衛隊の中では指導しております。それが一つ。もう一つは、それぞれの配置に付いております当直要員はそれぞれ引き継ぐべき内容が異なります。つまり、右ウイングに付いている者は右ウイングの申し継ぎ、左ウイングに付いている者は左ウイングの引継ぎということがございます。  そういうことがありますので、いっせいのせで例えば午前四時なら四時にAチームからBチームに全く替わっちゃうということではなく、オーバーラップする時間が十分あり、そして、それぞれの者がそれぞれの者からそれに相応する引継ぎを受けて交代するという形でございます。  したがいまして、もう一度申し上げますと、十分以上重複するということ、もう一つは、特に夜間の見張りということになりますと、目が明るいところから暗いところに出て慣れるまでには少なくとも五分以上掛かるのだそうでございます。さらに、眼鏡、双眼鏡でございますが、に慣れるまで五分掛かりますので、したがいまして、十分以上重複させるということも理由としてはあるように承知をいたしております。
  197. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  そういう意味では、重複の時間というもので十分取りながらデータのちゃんとした受渡しができるような規則、今回の事故があろうがなかろうが、それを遵守していただきたいと思っております。  次には、自動操舵という問題ですね。  今回は、いよいよ浦賀水道に入っていくという非常に地理的にも困難なところでありますし、また、漁船もたくさんいると。そういうところに入っていくときに自動操舵を手動に変更しないということは服務規則上どのような扱いになっているのか、また今後どうされようとしているのか、お聞きしたいと思います。
  198. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは私も今回初めて知ったのですが、どういう場合に自動操舵から手動操舵に切り替えるかということについて特に決まりがあるわけではないということでございます。ただ、一般論としては、周囲に船舶が多く航行している、あるいはほかの船舶と接近するときは手動操舵に切り替えるべきだということは一般論として言える。私は、今回の後、いわゆる海運関係の方に聞いたのですが、あの海域では民間商船ならば手動操舵に決まっているということを言われました。民間商船ならそうなのだそうです。  そして、自動操舵装置というのは、もう私ども海上自衛隊の艦船でもごくわずかの船しか装備をいたしておりません。イージスでもこの「あたご」だけでございます。アメリカ海軍の船は、例えば第七艦隊、日本に入っておりますのは全部自動操舵が入っておりますが、これ、どういうときに自動操舵を使うかというと、荒れた海を走りますときに、真っすぐ走ろうとすれば自動操舵にした方がよいと。逆に言えば、原則は手動だが、そういう場合に限って自動だということになっておるのだそうでありまして、自動操舵の在り方というのは今後見直していかねばならないと思います。  現在のところ、こういうような内規を定めたいと思っておりますが、それまでは制約があります多用途支援艦を除きます各艦艇の通常航海時における自動操舵の機能の使用は現在止めておるところでございます。
  199. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 ありがとうございました。  そういう意味では、早めに手を打つということが安全を早く獲得するという意味では重要でございますので、捜査が進捗する前でも、分かるものについては手を打っていただきたいと思っております。  もう一点、運用上どうかなと思うのが、水上レーダーのデータを保存するかどうかという問題です。これについては、漁船側ではGPSのデータが残っていたと。ところが、立派なイージス艦の方ではデータは特に記録が残っていないと。そういう意味では、ぶつからないことを前提としておられるのかもしれませんが、何らかのときには検証するためにデータを持っておくということは私は必要だと思っております。そういう意味で、この点について今後の運用等についてどう考えられるか、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  200. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、委員御指摘のとおり、所要の設定を手動で行うことによりましてレーダー指示機に表示されている情報を記録させることが可能な装置をこの「あたご」は積んでおります。これは、私どもの船の中で「すずなみ」と「あたご」、この二隻だけがこの装置を積んでおるものでございます。OPA—3Fと申します。これは、訓練を行う、あるいは演習を行う、そういう場合に複雑な航行を行いますので、そのときどうであったかああであったかということを検証することを目的として載せておるものでございます。これも新しい装置でございます、二隻しか入れておりませんので、どういう場合に使うのかという厳格な基準が今あるわけではございません。後ほど訓練の検証をするのにこれは有効だねということで装備をしたばかりのものでございます。  そういたしますと、これを今後どのように使っていくかということにつきましては、これは検討しなければならぬだろうと思っております。すべての規格を商船と同じにいたしますと、それは戦闘艦としてのいろいろな意味合いに必ずしも良くないということは当然ございますが、こういうような装置を安全運航のためにどのように用いることができるかという点につきましては検討しなければならないと思っております。
  201. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 是非御検討いただきまして、このような事態は二度と起きてはほしくないと思っておりますけれども、何らかの場合にはそのデータで早期の原因究明、解決ができるということにも寄与していただきたいと思います。  最後に、もう一問大臣にお聞きしたいと思っておりますが、テロ特措法、新法のときには、いわゆる航海日誌がなくなるとか、また何ガロンかの数字が異なるとか、そういう問題もありました。また、守屋前次官のいわゆる接待問題もありました。そして、今回については、どういう事態か分かりませんけれども、最新のイージス艦漁船を巻き込んでしまうという、そういうことがありました。  こういう問題の根底にある、この防衛省としての組織の問題というのはあるんでしょうか。もしあるとすれば、それをどのように変えていかれるのかについて御答弁いただきたいと思います。
  202. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、今委員御指摘のようないろんなことがございました。今回もいろんな問題点を指摘いただいておるところでございます。総理からは、防衛省組織的な問題ということもあるように思われると、根底から組織を見直さねばならない、大臣としてきちんと行うようにという御指示も賜っておるところでございます。  私もかなり長くこの関係に携わっておりますが、何が組織的な問題なのかということについて、かなり、何というんでしょう、本音の議論をしていかないと駄目なんだと思っております。  一つ根底に私は思っておりますのは、やはり安全保障環境が変わって、今までのいわゆるバランス・オブ・パワーだけで戦争のない状態が保たれていた。そこから実際に多くのテロとかいろんなことが生じて、海上警備行動なんかそうでございます。不審船対応なんかそうでございます。あるいはインド洋の補給なんかもそうです。いろんな実任務というものがたくさん出てきた。それにきちんと対応できるようになっているのだろうかということ、つまり、大綱上は、キャッチフレーズ的に申し上げれば、実効性のある多機能な自衛隊というものに変わっていく途上にあって、いろいろな問題点が出てきてしまった部分があるのではないだろうかという認識が私の中にはございます。  もう一つは、先ほど来、レーダーの記録装置とか自動操舵装置とかいろんな話がございますが、急激なハイテク化が進んでおって、そのたびに新しいことを覚えなきゃいかぬというのがあるわけです。船によっては、本当に常に乗組員の何人かは新しい教育を受けるために出ているというような状況にもございます。  そういう激変する環境に本当にきちんと対応できているのだろうか、それがまさしく自衛隊が変わっていかねばならない途上においてそういう問題点がありとせば、ここは徹底的に議論をしていかねばならないことだ、組織論と併せて私はそのような認識を持っておりまして、議会におきましても御議論いただき、また御指導いただきたいと思っておるところでございます。
  203. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 今大臣から心強い発言いただきましたので、大臣は副長官としても防衛庁にもおられましたし、よく問題は御存じと思いますので、是非この組織問題をしっかり改革していただいて、それがひいては今回の事故に遭った方々への責任でもあると思いますので、是非お願いしたいと思います。  質問を終わります。
  204. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず、いまだ行方が分かりません清徳丸乗組員と御家族に心からお見舞いを申し上げます。  昨日、「あたご」の艦長が初めて謝罪を公の場でいたしました。そして記者会見もされているわけですが、その場で、あの海域で漁船が多いと理解していなかったのは問題だったと、こういうふうに言われました。私は大変この発言自身を驚いたわけでありますが。  例えば、今手元に横浜地方海難審判所が出している「東京湾及び房総半島沿岸における漁船衝突海難」という冊子を持っております。この中でも、あの地域、房総半島沿岸は、東京湾を出入航する貨物船と漁船との衝突海難が後を絶たないと、こういうふうに指摘をして、その大きな要因が見張りの不十分だということも言っているわけですね。つまり、漁船が多いだけでなくて、現に事故が多い海域だということも指摘しているわけです。  こういう点は省としてはどう認識して徹底を図ってこられたんでしょうか。
  205. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私ども、船を運航いたします場合に、その海域がどういう海域であるかということの認識はきちんと持った上で運航いたしております。  委員が御指摘のそこの冊子というものをこの艦の乗員のどれだけの者が読んでおったか、共有しておったかということにつきましては、私、正確な知識は今ございませんが、この海域がどういう海域なのかということについての認識は持っておったというふうに思っております。  ただ、昨日、艦長が御家族におわびに伺った際での記者会見で、相手漁船だからよけてくれるかと思ったかという質問に対して、そのような認識はないというふうに答えたわけでございますが、この海域がどういう海域であるかということについての認識について、そういう認識がなかったというふうにお答えをしたとは必ずしも私は今承知をいたしておりません。
  206. 井上哲士

    ○井上哲士君 あのテレビでも発言が流れておりましたけれども漁船が多いとは理解していなかったのは問題だとはっきり言われているんですね。ですから、もしそういう海域だという認識をすれば、そのためのいろんな回避義務なりを負うという責任が出てくるわけです。それを認識がなかったと言われることは、自らの責任問題にかかわってくるわけですね。  昨日のあの会見は、これも海保事前の了解がなかったとお聞きをしているんですが、私はそういう発言をこういう形でされたこと自身が適切だったのかという疑問を持つんですが、大臣、いかがでしょうか。
  207. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これ、何をもってふくそう海域というか、どれぐらいの密度をもって漁船が航行しているかということで、いろんなランキングがあるんだろうと思います。  いずれにしても、艦長が言った言葉、前後全部精査をしませんと、私がここでそれを十分精査しないまま不正確な答弁をしてはいけませんので、その部分、後ほど艦長のやり取りを見ましてきちんとしたお答えをいたしたいと存じます。  その会見をしたこと自体不適切ではなかったかというお話でございますが、私はそうは思いません。やはり、現地において非常につらい思いでおられる方、疲労の極にあられる方々、そしてずっとお立ちの方々の前で、ある意味立ったままの、いわゆる私どもの言葉でぶら下がり記者会見と申しますが、そういう形よりは、きちんとした場での記者会見でおわびの気持ちというものを、家族の皆様方に対してのみならず、国民の皆様方に対して艦長の誠意を示すためには私は会見は必要であったというふうに判断をしておりますし、今もそれは変わりはございません。
  208. 井上哲士

    ○井上哲士君 私が申し上げたのは、まさに責任にかかわる問題でこういう発言がされたのはいかがかということを申し上げました。  それで、先ほど来問題になっております当日の航海長事情聴取にかかわってお聞きをいたします。  昨日の増田事務次官の会見を見ておりますと、なぜこの聴取が大臣室で行われたのか、今となってはよく分かりませんと次官が言われております。そして、どういう流れでその場ができたかということも記憶にないと言った方がいいだろうと、こういうふうに言われております。  先ほど大臣は、自分の判断で自ら聴取すると決めたとおっしゃいましたが、大臣室でそれを行うということ、それから、事務次官を始めとして統幕長、海幕長、海幕副長、海幕防衛部長、運用企画局長等、幹部十名以上が参加をしたと報告受けていますが、こういうメンバーを招集したということは、これは大臣の指示だったんでしょうか。
  209. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 大臣室という指示をしたわけではありませんが、私が防衛省に帰りまして、当初はその時間、私、議員会館の、その前衆議院予算委員会に出ておりましたので、その後会館に帰りまして政務を幾つかやる予定にいたしておりましたが、急遽変更して防衛省で聴くということを申しました。であれば、通常大臣室ということになるのでありまして、大臣室という明確な指示をしたわけではございません。ただ、これを私自身、密室でやるとか限られた人間だけでやるとか、そんなことは断じて駄目だというふうに思っておりました。  したがいまして、私は、結果論かもしれませんが、大臣室という、ある意味で白昼、白昼堂々と言ったら変な言い方かもしれませんが、そういう場所で行ったということは私自身誤った判断とは思っておりませんし、そしてまた、これこれこれのような者を呼びなさいということを私から申し上げたわけではありませんが、そこに集まった人間の選び方というのは、ほかにあの方も呼ぶべきであった、この方も呼ぶべきであったということはありますが、事故当日の大変混乱した状況の中においては、私はある意味適切が保たれたものではなかったかと思っております。
  210. 井上哲士

    ○井上哲士君 この聴取の際、航海長は何らかの航行に関する資料などは持参をされているんでしょうか。
  211. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 航海長は、手書きのメモメモのようなものでございますが、これは持参をいたしておりました。
  212. 井上哲士

    ○井上哲士君 航海長漁船確認したのが衝突の二分前だったと、こういう話があります。先ほど大臣は、事前海幕で聴取されたことを聞いたと言われましたけれども、この聴取の場で大臣も、直接航海長発言として二分前に漁船を発見をしたと、こういうことを聞かれたんでしょうか。
  213. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 本当はテープレコーダーを取っておきゃよかったなと思うのですが、これは航海長もそういう、本当に事故当日の非常に極限の状況でございましたので、彼から逐一、二分前とかそういうような発言があったかどうかということについて、本当に正確な記憶があるわけではありません。  ただ、その前に海上幕僚監部でそのような内容を聴き取り、報告海上幕僚監部の者からあったようにも思います。しかし、そこに彼がいて、この報告に間違いないですねというようなやり取り、そして彼の口からも発言はあって、そういうような、発表しておるような内容になっておるものでございます。
  214. 井上哲士

    ○井上哲士君 その際に、例えば十二分前とか、その後の九分前という話もあったわけですが、そういう前にも情報が、漁船に対する情報があったと、こういうことは一切航海長からは出てこなかったんでしょうか。
  215. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 出てまいりませんでした。
  216. 井上哲士

    ○井上哲士君 その航海長は四時前の段階でまさに責任を負っていたわけで、そうすると、自分が替わった後のことは出てきたけれども、自分が航行に責任を負っていた時間については、そういう発見をしたとか、そういうことは問いただされたんでしょうか。そういうことはなかったかということを大臣なりからは問いただされたんでしょうか。
  217. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これも正確な言葉ではないかもしれませんが、これだけですかということは聴いたような記憶があります。つまり、もっとほかにないかというふうに思うのはそれは普通のことであって、しかしながら、そこの内容は二分前という内容が出てくるわけで、このほかにもありませんかというようなことは、そのとおり言葉は正確であったかどうかは記憶がありませんが、私の方から申したように覚えております。  ただ、私自身、先ほど佐藤委員とのやり取りの中にもございましたが、海上自衛隊として事故の原因というのを究明する権能は持っておりますが、じゃ、ここはどうなんだ、あそこはどうなんだというふうにぎりぎり聴きますということは、それこそ予断を与えたりそういうことになるということがございましたので、ここはどうなのだ、あそこはどうなのだということを詳細ぎりぎりと聴かなかったという覚えも併せてございます。
  218. 井上哲士

    ○井上哲士君 昨日の増田事務次官の記者会見では、記録が残っていないのかと、この聴取の。について、議事録という形で取っている者はおりませんと。メモを取っている方はいますかと、それも分かりませんと、こういう答弁をされているんですね。ところが、先ほどの話でいいますと、当日のうちにその何らかのメモをまとめて海上保安庁提出をされているということなわけですね。  そうしますと、昨日の事務次官の発言というのは全くそれと矛盾をすると思うんですけれども、なぜ事実を隠そうとされたんでしょうか。
  219. 石破茂

    国務大臣石破茂君) このヒアリングにおきまして、私も含めまして出席者調書あるいはメモというものは作成をしておりません。聴き取った内容を取りまとめたものにつきまして、先ほど来申し上げておりますように、十九日当日十五時五十九分に運用企画局長より海上保安庁警備救難監に対してこれをお送りをいたしておるものでございます。
  220. 井上哲士

    ○井上哲士君 ところが、事務次官は、そういうメモ自身が分からないと、存在を知らないと言っているんですよ、昨日は。  全くそういう海保に重要なものを送ったものを知らないということがあり得るんでしょうか。
  221. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今申し上げましたのは、失礼海上保安庁警備救難部管理課長に対して送付しているというものでございます。  ですから、これは海上保安庁の側にも御確認をいただければ有り難いのですが、十九日の三時五十九分、私どもから海上保安庁警備救難部管理課長さんに対してお送りをしているというものでございます。私、次官が昨日会見で申しましたこと、議事録といいますか取りあえずの報告でいただいておりますが、事実といたしまして、この十五時五十九分にそれが送付をされているというものでございます。
  222. 井上哲士

    ○井上哲士君 にもかかわらず、事務次官がメモ自身が分からないと言っていることを問題だということを言っているわけです。  この問題は、事前の了解がなかったということもあるわけでありますが、この事故直前の当直士官というのは一番の衝突直前の責任者でありまして、まさにこの事件におけるもう容疑者となる可能性が一番高い人物なわけですね。その方を捜査の前に現場から連れ出して事情を聴くと。例えば、列車事故が起きて、運転手を警察の捜査の前に会社に連れていって社長以下みんなで聴くようなことなわけですよ。現場に行って聴くということはあるかもしれません。  私は、こういうやり方で、先ほど密室ではないと言われましたけれども、一番の当事者、容疑者となる可能性が高い人物をそういう形でやったということ自身が問題だと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
  223. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは委員認識が違うのだと私は思います。  これは、もちろん事故があってはならないことはどの世界も一緒であって、飛行機であろうが列車であろうが私どもの船であろうが一緒でございます。私どもとして、組織の指揮命令系統において、なぜこんなことが起こったかということを調べる権能というものは持っているというのは先ほど海保からも確認があったとおりでございます。  しかしながら、それを制服であれ内局であれ自衛隊員のみで行うということがあったとすれば、また何か、委員が今おっしゃったように、圧力を加えているのではないか、あるいは隠しているのではないかというような、そういうようなお考えを持たれかねない。これが、私ども組織がほかの官庁あるいは民間の会社と違いますのは、統制する側、統制される側という意味で、統制する側として国民の代表たる政治家がいるというところが違う点だと私は思っております。  ですから、航海長が来ていますということの報告を受けたときに私が行くというふうにすぐ申しましたのは、そこに統制する側として私がいなければならない、そして、いることによって、もちろん制服であれ内局であれ、私は今の防衛省において隠ぺいとか圧力とかそんなことがあるとは思っておりませんが、そういうようなお考えを持たれることがないよう私はそこにいる必要があったというふうに思っております。  したがいまして、聴きましたこと、呼びましたことについて問題があるとは思っておりませんし、そのことが法的に問題があるという御指摘を受けたことは一度もございません。
  224. 井上哲士

    ○井上哲士君 時間ですので終わりますが、まさに国民はそこに疑念を持っているわけでありますから、そういうことのためにも航海長海幕長など政府参考人としての出席も含めて今後一層議論をし、解明していきたいと思います。  以上、終わります。
  225. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、社民党・護憲連合の山内徳信でございます。  先般の守屋前事務次官の問題をめぐって、腐れ切った防衛省と申し上げましたときに、大臣は、それは違うと、しっかりした元気のある職員たちもおるよと、こういうふうにおっしゃっておりました。私は、今日は、武力を持っている集団は必ず内部から崩壊をすると、したがって、やはりしっかり組織内を点検をしていかなければこれは大変なことになると、こういうふうに思っております。  さて、二月十九日未明に発生したイージス艦あたご」と漁船清徳丸との衝突事故について質問をいたしますが、この衝突事故は、自衛隊の持っておる本質的なものを表した事故であったと、こういうふうに私は思っております。その原因は足下にいっぱいありますのに、そういうところの問題提起とか論議がなかなか進んでいかないような感じがいたします。ずっと外の方に目が向いておるような印象を私は受けておるわけでございます。  最新鋭の装備を誇ってきた鉄の要塞イージス艦が七トンしかない漁船清徳丸に激突をいたしました。漁船は二つに大破、そして親子は一瞬にして寒い冬の海に突き落とされ、行方不明のままであります。親族を始め漁業関係者、勝浦市民、政府関係者等々の必死の祈りと捜索活動もむなしく、発見されておりません。  親子の行方不明のこの状況は、関係者だけでなく、国民共に心を痛めておるわけでございます。防衛省、そして海上自衛隊乗員、この事故を引き起こした関係者に厳重に抗議をし、安全運航という任務を怠った無責任極まりない艦長、当直士官等々の責任を厳しく追及するものであります。  その頂点に立つ防衛大臣責任は更に重いものがあります。一連の不祥事に続いて今回の衝突事故の深刻さを考えると、責任を明確にし、そして引責辞任を求めるものであります。それは国民の声だと思っております。そのようにして、政治にある者、行政にある者、あるいはその他民間団体にある者も、大きな問題が起こったときには当然責任を明確にしていく、そのことによって責任ある社会、責任ある日本の国家はでき上がるものだと思います。  私は、防衛大臣に、防衛省内の意識の変革とそして再発防止のための方策は一日も早く確立をされて、そしてしかる時期に引責の辞任責任あるその姿を国民の前に明らかにしていただきたいと思います。そうしませんと、日本全体、無責任体制になるからであります。  私は、二月二十三日、社民党は千葉県の関係者の漁業協同組合とか市当局を訪問いたしまして、その状況の調査もしてまいりました。したがいまして、主にその被害者の立場といいますか、国民の立場、漁民の立場からの質問をしていきたいと思っております。  今回の事故について、このようなことをおっしゃっております。「あたご」の乗組員が漁船がよけてくれると思ったという発言もございましたし、また漁民の皆さん方の声の中にもやはり今までもそういうふうな危険な状況を体験したことがあると、そういうふうな漁民の声でございます。そして、「あたご」の立場は、そこのけそこのけ、最新鋭の装備をしたイージス艦の威力をかさにした漁船無視、漁船を無視した運航のおごりと私は考えております。漁民の声の中にもそういうのがございます。  そして、航行量が多い危険水域で事故を未然に防ぐ運航のマニュアルはあったのかなかったのか、まずそのことを大臣にお聞きしたいと思います。
  226. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 本日の委員会が始まりまして以来ずっとお答えを申し上げておりますように、海上衝突予防法、それを遵守すること、またそれを更に実効あらしむるためのいろいろな規則、指導、そのようなものは詳細なものがございます。そういうものが徹底されるように今までも努めてまいりました。  にもかかわらず、今回このような事故が起こっておるわけでございまして、私は規則自体に不備があったというふうには現時点において私自身認識をしておるところではございませんが、それの徹底がなされていたかどうかということ、あるいはそこにおいてそれぞれの人間によります判断の余地、それは自動操舵とかそういうものでございますが、そういうもの、裁量に任せられている部分があったこと自体が適切であったか否か、そういうことも含めまして徹底した検証は必要だと思っております。
  227. 山内徳信

    ○山内徳信君 国民の率直な疑問は、なぜ最新鋭のイージス艦衝突を回避できなかったのか、漁民二人を救えなかったのかにあります。レーダーや衝突防止装置があり、装備としては漁船の存在を感知しているが、それを見ている人間、自衛隊員は一体どうなっているんだ、このことが国民の、多くの国民の疑問としておるところであります。このことについて大臣認識をお伺いしたいと思います。
  228. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私は、自衛隊員は私はすべての人間が服務の宣誓を毎日肝に銘じて拳々服膺しながらやっていると思います。そういう隊員を多く見ております。そうだと思います。しかし、実際にこのような事故が起こっておりますわけで、もう一度基本を徹底をしなければならない。  あるいは、精神論に逃げるなという御指摘をいただきました。それは私よく分かっています。精神論に逃げるつもりは全くありません。ちゃんとした検証も必要です。と同時に、本当に国民一人一人を大切にするという当たり前のこと、私は、何というんでしょうか、委員がおっしゃったように軍隊は必ず中から腐敗するとか崩壊するとか、そのことを全面的に認識を共有するものではありませんが、実力組織というのはそういう性向を持つものであるということは、自身として考えておかねばならないことだと思います。  したがいまして、本当に統制する側もそういう認識を持って、そういうことを言うと嫌がられることがあります。嫌がられることはあっても、それを言っていかねばならない、それが統制する側の責任であるという認識も常に持たねばならないと自戒をいたしておるところでございます。
  229. 山内徳信

    ○山内徳信君 事故が起きた海域は黒潮と親潮が合流する豊かな漁場として知られております。また、北米航路など海上交通の要所であり、航行量が非常に多い海域としても知られております。私は昨日の艦長記者会見の言葉を聞いて、私自身の耳を疑いました。艦長が、漁船が多い海域と理解していなかったと、この言葉を聞きまして、逆に私はショックを受けました。こういう実態あるいは海域の状況を知らない、知らないままに運航させていたということは、これは大変なことだと思います。  やはり軍隊、自衛隊、あるいは戦っておる集団がそういう仕事をするときには、その状況をきちっと読み取った上、動いていくべきものだと思っております。このことについて、大臣はどのようにお考えでございますか。
  230. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 事故が起こったことは事実でございます。「あたご」が、就役してまだ一年未満の船であって、練度において本当にトップレベルにあった船でないこともまた事実でございますが、しかし、ああいう公の海を航海し、事故を起こしたということは、これは厳正に、深刻に、正面から受け止めなければいけないということの認識を持っております。  したがいまして、私ども、公の船が何をするべきなのか、そして、あれだけ大きなイージス艦とグラスファイバー製のあの小さな船が当たれば、それはこういうことに相なりますわけで、そこのところの認識を持つ重要性、必要度、それは実力組織であればあるほど強く持たねばならないと思っております。
  231. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、今回の事故以外でも、事故、事件が起こったときにいつも問題になりますのは、初動の調査でございます。  漁業関係者はこう言っております。何で衝突したときその場ですぐ助けなかったんだろう、その気になればすぐ見付かり、助けられたんじゃないのか、こういうふうな声を私たちに伝えてきております。事故直後の初動の救助態勢の遅れがなかったのかということを最後の質問にいたしますが、私はむしろ、防衛省関係者がヘリコプターに乗ってきて、十時から午後二時ごろまでそこにおられたというのを新聞で見たときに、それはやはり日程をきちっと作られて、その現場に石破防衛大臣が行かれて全体の指揮を執って、そして初動の救助態勢をきちっとしていく、そのぐらいのやはりお気持ちがあってよかったんじゃないかと思っております。  以上、申し上げまして、時間でございますから質問を終わりますが、このようなことが二度と再び起こらないようにやはり内部体制をきちっとしていただきたいと思います。  以上です。
  232. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほどの御指摘でございます。報道によりますれば、船が多いか少ないかということでございますが、艦長が申しましたのは、あの海域で漁船が多い状況であったということを理解していないのは問題だった、混雑する海域とは認識しているが、あの時点であれだけの漁船が入っているという認識はなかったというやり取りでございました。  二点目の初動態勢でございますが、当日、江渡副大臣、現地へ参りまして、いろいろな御家族あるいは関係者の方々に対します対応、私どものやり方等々につきまして、現地の方、御家族の方、関係者の方から御指摘を受け、そしてまたそれを聴き取り、そのことが即座に反映をされておるものでございまして、私と副大臣で役割分担を行ったものでございます。  なお、衝突をいたしまして一分後に内火艇二隻を降ろすという命令を下しております。これは船において下しておるところでございます。実際に救助作業が始まりましたのはそれから十三分後でございますが、内火艇を降ろしますためにはそれなりの時間を要するものでございます。  そうすると、そこで飛び込めばというようなことの御指摘がありました。それは、後ほど捜査当局において何が適正であったかというようなことはきちんと明らかになるものでございますが、あの時点で本当に飛び込むことが正しかったかどうか、かつてそういうことをやりまして死傷者が出たことも私どもございます。  どういう形を取ることが最も遭難しておられる方々を捜索するのにベストであるかということの判断、それは艦内においてなされたというふうに私は承知をいたしておりまして、遭難された方々の人命を軽んじるというようなことをやったとは私は承知をいたしておりません。あの時点において、「あたご」としても初動対処、遭難者救助ということについてベストを尽くしたものと私自身認識をしておりますが、そのことの詳細は捜査の段階において明らかになる。ただ、私どもとして、人命を軽視したというようなことはないというふうに私は思っております。  以上でございます。
  233. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時八分散会