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2008-05-23 第169回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十三日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      相原久美子君     高嶋 良充君  三月三十一日     辞任         補欠選任      榛葉賀津也君     大島九州男君  五月二十二日     辞任         補欠選任      主濱  了君     青木  愛君      藤原 正司君     川合 孝典君      遠山 清彦君     山本 博司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         市川 一朗君     理 事                 喜納 昌吉君                 小林 正夫君                北川イッセイ君                 伊達 忠一君     委 員                 青木  愛君                 家西  悟君                 大島九州男君                 金子 恵美君                 川合 孝典君                 高嶋 良充君                 横峯 良郎君                 島尻安伊子君                 中村 博彦君                 義家 弘介君                 山本 博司君                 渡辺 孝男君                 紙  智子君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  岸田 文雄君    副大臣        内閣府副大臣   中川 義雄君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西村 明宏君        外務大臣政務官  小池 正勝君    事務局側        第一特別調査室        長        藤崎  昇君    政府参考人        内閣地域再生        事業推進室長   上西 康文君        内閣府政策統括        官        原田 正司君        内閣沖縄振興        局長       清水  治君        内閣北方対策        本部審議官    佐久間 隆君        外務大臣官房審        議官       秋元 義孝君        外務大臣官房参        事官       片上 慶一君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        厚生労働大臣官        房審議官     荒井 和夫君        厚生労働大臣官        房審議官     木倉 敬之君        国土交通大臣官        房審議官     武藤  浩君        国土交通省航空        局次長      小野 芳清君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○沖縄及北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖縄及北方問題に関しての施策に関する件  )     ─────────────
  2. 市川一朗

    委員長市川一朗君) ただいまから沖縄及北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、相原久美子君、榛葉賀津也君遠山清彦君、藤原正司君及び主濱了君が委員辞任され、その補欠として高嶋良充君、大島九州男君、山本博司君、川合孝典君及び青木愛君が選任されました。     ─────────────
  3. 市川一朗

  4. 市川一朗

    委員長市川一朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 市川一朗

    委員長市川一朗君) 沖縄及北方問題に関しての対策樹立に関する調査のうち、沖縄及北方問題に関しての施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  それでは、まず、私の方から冒頭に質問いたします。  立場上、座ったままで質問することをお許しいただきたいと思います。  本委員会は、この二月に沖縄県に赴きまして、沖縄課題である産業振興や基地問題について調査を行いました。この調査を通じまして、様々な問題が山積していることを実感いたしました。  その中で、基地問題に関しまして、普天間飛行場移転キャンプ・ハンセン陸軍射撃訓練施設移設につきまして、現地視察を行うとともに、地元の声も聴いてまいりました。日米双方関係者からかなり詳細な説明も聴いてまいりました結果、移転移設につきましてはその方向で作業が進められており、その早期実現が極めて重要であり、そのことについての基本的コンセンサスはできていると受け止めさせていただきました。  しかしながら、問題は、早期実現とはいっても、移転移設が完了するまでにはそれぞれなお相当の期間を要するわけでありまして、この間、住民負担、不安はほとんど解消されないまま続いていくのではないかという懸念でございます。  この点につきましては、先般当委員会におきまして質疑が行われまして、防衛省の副大臣から答弁もなされたところでございますが、改めまして、沖縄住民の多くがかかわる深刻な問題でありますので、岸田大臣に、沖縄担当大臣として事実をどのよう認識し、どう取り組むべきであると考えておられるのかをお尋ねいたします。  そしてまた、基本日米協定の問題であり、地元では米軍約束どおりに行動していないといった指摘もあるところから、外務大臣にこの問題についての認識見解をお聞きいたしたいと思います。  順次御答弁願いたいと思います。
  6. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 普天間飛行場及びキャンプ・ハンセン陸軍複合射撃訓練場、それぞれこの移設につきまして日米間で合意し、現在、代替施設建設に向け取組を進めているところでございますが、ただいま委員長から御指摘がございましたように、地元におきましては、移設までの間における騒音ですとかあるいは危険性ですとか、こうしたものに対する住民の皆さんの声があるということ、これは承知しております。  この移設までの間の措置といたしましては、普天間飛行場関係では、防衛省におきまして、航空機騒音対策として学校、病院等防音工事並びに住宅の防音工事の助成を実施しているところでありますし、また危険除去といたしましては、昨年八月に日米間で承認されました場周経路の再検討及び更なる可能な安全対策を実施しているというところでございます。  また、キャンプ・ハンセン陸軍複合射撃訓練場関係では、関係当局から米側に対しまして、早朝あるいは深夜における爆発音等を伴う訓練について、周辺住民への影響が大きいことから、これらの訓練について、訓練時間の調整を行い、できる限りその時間帯を回避すること、また、やむを得ず早朝、深夜に訓練を行う場合の事前通報を要請するなど、地元負担軽減について米側に求めているところでございます。このように承知をしております。  いずれにしましても、早期移設に向けて関係者が最大限努力するということ、これが最も重要だとは考えておりますが、内閣府といたしましては、この移設完了までの地元負担軽減につきましても、今後とも地元の意向をよく伺い、沖縄との橋渡し役、こうした立場をしっかり務めていきたい、このように考えております。
  7. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 普天間飛行場移設返還につきましては、海兵隊司令部要員グアム移転とともに沖縄負担を軽減するものであり、是非とも実現する必要があります。  日米政府は、二〇一四年までに普天間飛行場代替施設を完成することで合意しており、これを着実に実施してまいります。このため、地元沖縄県等に丁寧に説明しつつ、事業者である防衛省により、これまで環境影響評価キャンプ・シュワブ陸上部分既存建物解体工事等に取り組んできております。  また、キャンプ・ハンセン内にレンジ4に所在する米陸軍複合射撃訓練場については、地元懸念に最大限配慮した結果、レンジ16に近接する既存レンジ代替施設建設することに合意し、二〇〇七年三月から工事の一部に着手しております。  工事の手順の調整により、当初計画より遅れが生じていることは事実でありますが、日米合意に従って移設が完了するよう日米双方で取り組んでまいります。
  8. 市川一朗

    委員長市川一朗君) 私の質問は以上でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 民主党・新緑風会・国民新日本喜納昌吉です。  最初に、沖縄離島振興を支える有村産業会社更生計画変更申立てについて一言申し上げます。  有村産業は一九九九年に会社更生法適用を申請し、事業を運営してきました。しかし、今年になってから原油高騰による燃料費の上昇が経営を圧迫し、資金不足が生じています。そこで、弁済額を分割し、返済期間を半年から一年繰延べする計画変更を裁判所に申請し、債権者にも通知しています。しかし、有村産業債権の八〇%を有する国交省外郭団体独立行政法人鉄道建設運輸施設整備支援機構がその計画変更反対しています。この機構反対を続ければ有村産業は船を売却せざるを得なくなり、離島航路が消滅し、沖縄経済に多大なる影響を与えます。  今日はこの件で質問を準備してきましたが、今日の午後には司法の判断が下されるようなので、質問を差し控えておきます。  では、那覇天久の高層マンション建設問題について質問します。  天久新都心は利便性の高い一等地と評価され、建設ラッシュが続いています。那覇市が新しい市役所を建てるために所有していたかなり広大な土地民間業者に売却されたことから問題が始まります。この売却の背景には、那覇市が作成した地域再生計画である周辺環境調和型「亜熱帯庭園都市」による地域活力再生政府が認可した事実があります。ところが、周辺住民は、一つに、土地払下げ価格が異常なほど安過ぎる、二つ目に、景観上の配慮が欠けている、三つ目に、環境調査不足などの理由高層ビル建設反対しています。また、住民土地販売価格が不当に安いことから訴訟を起こしています。  以上のような事実関係を踏まえて、以下質問します。  政府はこれまでに、この問題に関して那覇市から事情をよく聴取したりとか、必要に応じて那覇市に報告を求めるなどの対応をしたいと答弁してきましたが、一連の答弁の後に那覇市に対し事情を聴取したり報告を求めたりしたことはありますか。岸田大臣、よろしくお願いします。
  10. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) この手続につきましては地域再生事業推進室の方からお答えさせていただきたいと存じます。
  11. 上西康文

    政府参考人上西康文君) お答えを申し上げます。  私ども、地域再生法に基づきまして、お話のありました再生計画について認定を行ったところでございます。私ども、認定を受けました地域再生計画については必要に応じましてその実施状況の把握に努めているところでございまして、那覇市の計画につきましても随時報告を求める等の適切な対応を図っておるところでございます。
  12. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 公拡法修正以後、全国的に似たような問題が自治当局住民業者の間で起きています。法律に欠陥があるからではないでしょうかと思っています。  建設停止の命令がないなど住民に不利で業者に有利過ぎる法律の見直しをする考えはないか、国交省に聞きたいんですけど。国交省にその意見を大臣の方から求めたいんですけど、だれか。──これは失礼しました、私。失礼しました、私が間違えてしまいました。大臣でも、よろしく。
  13. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 済みません、この法律についてはちょっと私、直接所管でありませんので、この法律のありようについては今申し上げることができませんが、今委員の方からそういった御指摘があったことを関係省庁に伝えるということは可能かと思います。
  14. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 どうもありがとうございます。  公拡法の改正は、小泉政権時代内閣府の規制改革民間開放推進会議の提言が背景にあると言われています。その会議議長宮内義彦オリックス会長だったと思います。今回のマンション建設の開発にオリックスが入っているということで、那覇市がこの計画を強引に進める背景におかしいと勘ぐる人たちもいらっしゃるんですね。宮内氏が自ら経営する企業に利益誘導するために規制改革民間開放推進会議を誘導したのではないかと批判する見方もあります。政府見解を聞かせてください、岸田大臣
  15. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 規制改革会議のありようにつきましては、基本的に有識者会議であります。議長を始め学識経験者あるいは経済界関係者等々、様々な有識者合議組織ということになっています。  規制改革会議結論はこうした有識者会議合議の上でなされるものでありますので、個人的な事情結論に直接入り込む余地は少ないんではないかというふうに規制改革を担当している大臣としては考えております。
  16. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それならば、もっとそれは住民の声を聴いて、地方行政作業の進め方をもうちょっと丁寧にやっぱり沖縄担当大臣として見てくださいませんか。どうですか、この辺は。
  17. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 規制改革担当大臣としましても、また沖縄担当大臣としましても、やはりこの現場の声というのはしっかりと尊重していかなければいけないと考えております。いずれの政策課題においても、多くの関係者現場で頑張っておられる皆様方あるいは地域皆様方、こういった関係者の声はしっかりと尊重していく態度、これからも大切にしていきたいと考えております。
  18. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 次は、アイヌ民族について大臣質問します。  二〇〇七年九月十三日の国連総会において、先住民族権利に関する国連宣言日本を含む賛成百四十四票で採択されました。外務大臣は昨年九月十四日の記者会見で、日本ではアイヌ民族先住民族であると結論を出しておりませんと述べていますが、アイヌ民族先住民族と認めない理由説明してください。高村大臣、よろしく。
  19. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) アイヌ人々は、いわゆる和人との関係において日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住していたことは歴史的事実であります。また、独自の言語及び宗教を有し、文化独自性を保持していること等から少数民族であるとも認識をしております。御指摘宣言には先住民族定義付ける記述はなく、アイヌ人々がこの宣言に言う先住民族であるかについては結論を下せる状況にないということを申し上げているわけであります。  いずれにしましても、政府は、北海道が進めているアイヌ人たち生活向上に関する推進方策が円滑に推進されるために必要な協力を行うとともに、アイヌ文化振興並びにアイヌ伝統等に関する知識普及及び啓発に関する法律に基づき、アイヌ文化振興等に関する施策推進しているところでありまして、政府としては、このよう施策への協力又は施策推進を着実に実施していくことが肝要と考えております。  この宣言による先住民族であると結論を下せる状況にない、定義規定がないから、そういうことだということを申し上げているわけでございます。
  20. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 御苦労なされていることはよく分かります。  国連人権理事会は、人権状況審査をした結果、先住民族権利に関する国連宣言国内適用に向けてアイヌ民族と対話するよう日本政府勧告していますが、この勧告に対して政府はどのよう対応していくつもりなのか、見解を聞かせてください。高村大臣、どうぞ。
  21. 秋元義孝

    政府参考人秋元義孝君) お答え申し上げます。  今委員がおっしゃいましたのは、五月の九日に国連人権理事会におきまして各国人権状況を定期的に審査します普遍的・定期的レビューというのが行われまして、その中で我が国人権状況に関する審査が行われたわけでございます。その審査結果につきまして、この十四日には報告書作業部会で採択されたわけでございます。  今回採択された報告書の中に、審査におきまして各国が行った質問あるいは勧告の要旨を記載してございまして、アイヌ民族につきましても勧告を行った国があることは承知しております。しかし、この勧告というのは人権理事会の総意としての勧告ではなくて、また法的拘束力を持つものでもございません。今回の作業部会で採択された報告書に記載されています各国からの勧告につきましては、その内容を精査した上で我が国立場を伝達し、我が国立場を含めた形で結果文書が六月に採択される予定であるということでございます。
  22. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 国の在り方が少し、政府在り方がちょっと分かりました。  北海道選出の超党派の国会議員アイヌ民族権利確立を考える議員の会を発足させ、政府に対してアイヌ民族も含めた有識者による協議機関の設置を求めていくことを決議しました。この決議に対してどのよう対応していくのか、見解を聞かせてください、高村大臣
  23. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 政府は、北海道が進めているアイヌ人たち生活向上に関する推進方策が円滑に推進されるために必要な協力を行うとともに、アイヌ文化振興並びにアイヌ伝統等に関する知識普及及び啓発に関する法律に基づいてアイヌ文化振興等に関する施策推進しているところでありまして、政府としては、このよう施策への協力又は施策推進を着実に実施していくことが肝要だと考えているところでございます。
  24. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 さっきから答弁聞いて、いわゆる非常にあいまいという、政治は黒でもない、白でもない、グレーだという感じがしますけどね。一番そういうものをよく使っているなと思いますね、自民党はね。それがいつまでもこのようなグレーな論理じゃ、私は自民党はやがて消えるんじゃないかと思っています。言わせてください。  政府は、アイヌ民族先住民族と認めれば、土地や資源の補償を含むアイヌ民族側からの権利主張が頻発して対応ができなくなるとの強い懸念があるのではないでしょうか。大臣、もう一度。
  25. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 要するに、アイヌ民族先住民族認定していない、認定ができない。これは、国際的に確立した先住民族定義がなくて、宣言におきましても先住民族定義規定がない、定義についての記述がない。そういう状況でありますから、アイヌ方たち先住民族だと現時点で認定できないということにほかならないわけでございます。
  26. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それは、世界各国定義がまだ確立していなければ、日本政府定義を確立すればいいんじゃないですか。なぜそういう勇気がないんですか。そこに日本のすべての政治の問題が詰まっているのを知らないんですか。もし日本がこの問題を解決できれば、これは、拉致問題であろうが、北朝鮮も全部解決できます、これは。私、そういう勇気をひとつ政治家に求めたいと思っていますね。まだ質問したいんですけど、これは質問しません、もうこれは。  それから、政府は、アイヌ民族先住民族として認めていないことによって、北方領土領有権主張ロシア国際社会に対して弱まっているという考え方を持っていませんか。私はこの前、ロシアの総領事とも会ってきたんですけどね。なぜ先住民土地があったということを素直に認め切れないかという、もしそういう視点からならばロシアは相談すると言っていますけど。どうですか、この辺は。
  27. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) アイヌ先住民族日本政府が認めたからといって拉致問題が直ちに解決するとも思いませんし、認めないからといって北方領土の問題に、解決に支障が生じているとは思いません。別の理由で今のよう状況になっていると、こういうふうに考えております。
  28. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ちょっと知恵を働かせば、私ならば、今度は、国際先住民宣言がなされていく中で、国連だって、ミャンマーように保護する責任とか、ミャンマーの災害とかいろんな問題を見たときに、もう世界の、国際安全保障環境というのは、生態というのは変化しつつあるという。その変化に付いていくために日本が全く新しい理念を持ち上げていく必要があるとしてみたら、その意味でも早くアイヌの問題を日本の方が先駆けて消化するぐらいの力を持ってほしいですね。  一つの案として、北方四島を返すときに一つの島ぐらいは彼らに自治権を与えるぐらいの度量を日本政府が持てばすばらしいと思うんですけど、私は、自治権を。そうすれば、この北方四島に関して、日本だけではなくして世界中が応援します、これは。この辺はどうですか、高村大臣
  29. 市川一朗

    委員長市川一朗君) 質問ですか。
  30. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 質問
  31. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府北方四島を我が国固有領土だとして返還を求めていることにつき国際社会で広く理解をされていると、私はそのように思っております。残念ながらロシアが理解しないから返してくれないと、こういうことでありまして、何か今委員が御提案のようなこと、よく聞こえなかった、よく分からなかったんですが、もし、そうしたからすぐ解決すると、そういうふうには、残念ながらこの領土紛争というのはそう単純なものではないと、こういうふうに思っております。
  32. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 単純なものではないからこそ政治家が解決するんですからね。ひとつ、世界趨勢を見たときに、アイヌ民族領土であったことは確かなんです、これは、歴史的に見ればね。だから、日本政治家たちが、歴史を深く探ると利権が崩壊してしまうという構造があるんです、そこには。そういう利権につかまってそれを避けている間は、もう世界趨勢からつぶされていきますよということがある。中国も台頭してくるし、アメリカも大きく動いているし、ヨーロッパは来年はEUが台頭してくるし、そういう変化日本政治能力が付いていけなくなっているという、それを全く反対側から攻めていくという方法もあっていいんではないでしょうかと。  そういう意味で、アイヌ問題というのは非常に、先住民族、非常に国際的な理念、何で動物が、自然には多様性が認められるのに、なぜ民族多様性は認められないんですか、これ。高村大臣、よろしく。
  33. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 動物多様性生物多様性というのは非常に大切なことだと思いますし、人間の民族そしてそれに伴う文化多様性というのも極めて大切なことだと思って、私は常にそれを尊重しているものでございます。
  34. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それならば、少数民族権利多様性も認めてくださいよ。動物以下にするのか、自然以下にしたいのか、私はこれを突き付けて、質問を終わります。よろしくお願いします。一言、最後に。
  35. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先ほども答弁いたしましたように、アイヌ少数民族であるということは間違いないことだと思います。  私が申し上げているのは、この宣言に基づく先住民族であるかどうかということについてはにわかに断定できないと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  36. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 まだ許しますか。
  37. 市川一朗

    委員長市川一朗君) ちょっと時間ですから。
  38. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 許せないというものを、要はアイヌ民族権利を受け入れてください、欲求を受け入れるような心を持ってくださいということですからね。彼らも欲求していますから、定義の問題じゃないです、これは。
  39. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) アイヌの方も含めた人の権利、人権というのは極めて重要なものであると、こういうふうに考えております。
  40. 大島九州男

    大島九州男君 今回質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。民主党・新緑風会・国民新日本の大島といいますが。  今の答弁を聞いていて、質問に入れていなかったんですが、一言だけちょっと質問したいんですが、その宣言における定義としては先住民族というのは断定できないけれども、少数民族であり、そしてなおかつ独特の、独自の文化や宗教、言語を持っているというその民族、そしてまた北海道に昔からいたという事実だけを見たとき、それは先住民族というカテゴリーの中に一般的には入るんじゃないかと私は思うんですけど、そこのところはどうですか。
  41. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 一般的にそういうふうに感じる方が多いということを私は否定するものではございません。
  42. 大島九州男

    大島九州男君 ありがとうございます。  まさしく、事実を事実と認め、そしてまた国民が多くそういうふうに感じるというものであるならば、やはり日本政府としては、そのように国民が多く感じるもの、そしてまた当事者がそのように感じるものについては国として認めていくことが僕は望ましいなという、そういう思いだけがあります。以上です。  それで、私の質問は、この資料をちょっと出させていただいておりますけれども、沖縄沖縄市にあります、最初の資料の左上のこれ、私、筑豊出身なんですが、ボタ山のような山なんですね。私は、実は数年前に沖縄に行きましたときにここに連れていっていただいたんですが、まさしく、この山は何かなと思いましたら、まあいろいろ見ていただいて分かるように、カラスが飛び交っていたり、その裏の方を見ますと、二枚目を見ていただきますと、ユンボが小さく見えるような、こういう状況なんですね。これはもう廃棄物の山なんですよ。これがどこにあるのかといいますと、ここにダムがあり、そしてなおかつ周りには公園もあるような、非常に風光明媚なところにこの山があると。まさにこれは何なのかという状況でございましたけれども。  今日はちょっと本当に時間が短いものですから端的にお聞きをいたしますけれども、地元の皆さんは、この廃棄物処理場についてはいろんな要望とか御意見を県の方に言われているらしいんです。そして、まず地元の皆さんがそこで水質を調査をしたらカドミウムが出てきたという、これは私は確認をしておりませんので逆に聞きたいんですが、そういう話があったことを県議会の文教厚生委員会、そこに話をしているという話を聞いておりますが、その事実を把握しているのかどうかということですね。  それから、そういうことも踏まえて、文化環境部というところにボーリングして水質の調査をしてくれという要望を受けているということなんですが、そこについて把握されているかどうか、そしてまた、実際どういう対応をされているかどうかというのを教えてください。
  43. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 御指摘の件につきましては、沖縄県から聞いたところによりますれば、昨年十月の沖縄県議会文教厚生委員会におかれて、株式会社倉敷環境の今御指摘の最終処分場に係る質疑が行われまして、参考人として参加されました住民の方のお一人が、二十八年前に最終処分場敷地内のボーリング調査を行った際に地下水からカドミウムが検出されたことを記憶している旨を発言されたとのことでございます。この発言を受けまして、その後、沖縄県におきまして周辺住民事業者の立会いの下で現場確認を行いましたものの、二十八年前の調査地点は特定できなかったということ、それから、沖縄県としまして、こうした住民の御指摘も踏まえて事業者に地下水調査を実施させる予定であることということを沖縄県の方から聞いております。  それから、第二点目の、いわゆる沖縄県の地域住民からの県に対する今の地下水調査を行うように要求していると、こういう点でございますが、沖縄県からの説明によりますと、事業者は、従来から最終処分場に係ります技術上の基準を定める省令に基づきまして処分場周辺地下水の水質検査を行ってきたところと聞いております。  これに加えまして、今般、県の指導によりまして、事業者が追加的な地下水調査を実施すべく現在調査ポイントを調整中でありまして、また、この地下水調査の実施につきまして事業者によりまして周辺の住民説明をし、現在、この関係住民の方々の御意見を事業者の方で把握しつつあるとのことであります。この地下水調査に関しましては倉敷環境が実施するということでありますが、地下水の環境基準項目につきまして六地点を少なくとも年一回以上やろうということで、今住民の方の御意見を把握しつつあるとのことでございます。  環境省としましては、最終処分場の周辺の地下水調査につきまして、沖縄県の方から求めがありますれば適宜助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
  44. 大島九州男

    大島九州男君 今のお話によりますと、業者がやろうとしていると。いつやろうとしているかとかいう期間的なものですね、いつまでにやるというものは把握されていますか。
  45. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 先ほどお答え申し上げましたように、県の方から現在事業者の方に指導しておりまして、調査の内容として地下水の環境基準項目、それから地点数として六地点という、少なくとも年一回ということで原案を、早速やろうということで示して、住民の方のやり方その他に関して御意見を把握しつつあると、こういうことでありますので、準備が整い次第やるのではないかというふうに承知しております。
  46. 大島九州男

    大島九州男君 業者を信用しないわけでもないですが、私が前回見に行ったときにはこの山は大分削れていたんですよ、実は。ところが、逆にまた上がっているわけですよね。そのときにおっしゃっていたのは、鋭意我々としてはこれを処分して燃やして体積を減らして、そしてそれを最終処分に入れていくんだということだったんですが、その焼却する設備についてもいろいろ地元反対があったりしてうまくいってないわけですから、こうやってどんどんどんどん搬入していけば増えちゃうわけですよね。そういう状況になっているところ、そしてまた経営者もいろんな状況の中で変化している、変わっているわけですよね。そういう事実を御存じかどうかは知りませんが、大変ここの経営者も苦しんでいると僕は思っています。  かといって、この廃棄物が、じゃどこへ行くのかといったら、行くところないんじゃないですか、これ。正直言って沖縄全県の廃棄物が集まってきていると私も認知しているんです。じゃ、これをそのままどうするのかといったら、環境省としては当然県に指導、県は業者に指導と、これが縦割り行政の中で進んでいくんでしょうけれども、もっと僕は前向きな、国が示すのはどういうことか。  例えば一つ。当然、沖縄はもう海に囲まれているわけですから、これ船で持っていくか、飛行機で運ぶかですよ。当然、そういうふうになったときに、そんなコストを掛けてまで処理できないです。そうすると、その島の中で処理するときにどうするか。じゃ、これをどこかほかに移すなんていうのは、これは住民反対でまず無理でしょう。そうしたら、私は一つの例として、案としては、基地の跡地にこれを全部持っていって、何をするか。捨てるんじゃないですよ。これはリサイクル。環境問題の中でいうならば、こういうものをすべて分別する。分別するところに人の雇用が生まれるわけです。そして、それをどういうものに変えていくかという研究開発をするところに若い知恵と若い人が集まるわけですよね。  しかし、これは採算に合わないから企業はできないわけでしょう。だから、それは国がやればいいじゃないですか。まさしく基地の跡地を、この産廃と言われるものですけれども、私は、これはすべて資源だと。だから、発想を変えてその資源を基地の跡地に持っていって、そしてそこを国が、国の責任で一つのプラントとして研究開発をしながら雇用を生むような施設にして処分をしていくと、これはまさしく沖縄振興にも役立つだろうし、また新しい技術をそこでどんどん国が主導して構築していくことによって新たな産業も芽生えるわけじゃないですか。  だから、まず国がやることは、僕は、そういうことを沖縄に示しながら、そしてこの業者の人や地元住民にそういうものを示していきながらやらないと、六か所のボーリングをやりますから、水質調査しますから、じゃ、調査して悪かったらどうするのと、じゃ、このごみのにおいはどうするので終わっちゃうんですよね。だから、そうじゃなく、根本的な解決策としてはそういう前向きなことを考える方が僕は大変いいと思うんです。  そういう観点は、これ大臣沖縄という一つ地域性を考えたり基地の問題も考えてみたときに、そういう前向きな研究開発をし、雇用を生むような、そういう提案というのはどういうふうに御判断されますか。
  47. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、産業廃棄物の処理につきましては環境省の所管ではありますが、今のお話を聞いておりまして、国民生活にもかかわる部分もあるのではないかということで関心は持たなければならないというふうに思っております。是非こうした問題につきまして地元の皆さんの声もしっかり聴かせていただかなければいけないと思っておりますし、この関係者橋渡し役としては、沖縄担当大臣として関心を持って注視していかなければいけない問題だとは思っています。
  48. 大島九州男

    大島九州男君 大臣もお忙しいでしょうけれども、沖縄に行かれた際には、一度大臣が御覧になっていただくだけでも、住民の皆さんはまたそういう心も救われると思いますし、また、業者の管理が悪いとか業者だけに責任を持たせるんではなくて、国としてはこういうような提案もあるし、いろんなことの角度の中からこの問題を考えているよというようなことを、我々野党ですから、野党が言うとなかなかあれですけれども、大臣の皆さん言っていただくと住民の皆さんも非常に安心されるんではないかと思いますし、これはもう避けて通れない問題ですから、今後しっかり取り組んでいただきたいと思いますし、私どももできる限りのことはさせていただきたいと思います。  最後にお願いをしておきたいのは、まさしくごみをそのままどんどんどんどん積み上げることになるのはもう目に見えていますから、できるだけ早くきっちり調査をして、安心なデータなのか、どういうデータか分かりませんが、それはきちんと公表するということをお約束いただきたいと思います。
  49. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 先ほど御答弁させていただきましたように、沖縄県の方も必要な調査をするよう業者と共に前向きの姿勢で臨んでいるようでございますし、それから現場の方の撤去も、先生御指摘ように撤去をしていくという計画が一時的にどんどん減っていっておったんですが、焼却炉の方の作業がかなり忙しくなったということでその撤去作業が遅れて、また元に戻っておるというようなところも見受けられます。  新しい部分の処分場も確保されて、そちらの方も使っていこうというようなこともございますが、総合的に見まして、今先生の御指摘も踏まえまして、沖縄県の方と共にまた助言をしていければと思っております。
  50. 大島九州男

    大島九州男君 とにかく情報をきっちりとここは開示するということだけは念押ししておきますね。  それでもう一問、ちょっと質問がありますので。  今、ちょっと那覇空港の関係なんですが、二〇一五年で空港需要がもう満杯になるという話もあります。もう時間がないので端的に聞きますが、この沖縄の空港が果たす沖縄経済の役割について簡単に教えていただきたいと思います。
  51. 清水治

    政府参考人清水治君) 那覇空港の沖縄経済との関係での役割についてのお尋ねでございます。  御案内のように、那覇空港、沖縄の玄関口でございますので、人の流れ、物の流れという意味で、産業振興、県民の生活の安定を図る上でなくてはならない社会資本でございますし、また、アジア太平洋諸国に近接しております地理的特性、あるいは国際性豊かな歴史特性などを生かすために重要な役割を果たしておりまして、そういう意味那覇空港の機能の強化について取り組んでいく必要があると考えているところでございます。
  52. 大島九州男

    大島九州男君 基本的に、人の玄関は空港だと、物の玄関は船だという発想からすると、九〇%以上が当然空港を出入りしている。  で、あのとき事故がありましたね。あのたまたまチャイナ航空の事故は滑走路上ではなかったんですが、滑走路でそういう事故が起こったりしますと、少なくとも半日や一日、二日、そういったものが途絶えてしまうと。そういう意味でこれは非常に問題もあるわけですが、まず私が考えるのは、ようこそジャパンじゃないですけれども、日本で観光立国を目指そうとするなら、日本のやはり沖縄というのは一つの大きな観光資源でもあるわけですから、そこにある空港が一本しかないなんというのは、やはりちょっとこれはどうなのかという思いがあるんですが、そこら辺の空港の今後の見通しというか、今後の計画というのを簡単にちょっと教えてください。
  53. 清水治

    政府参考人清水治君) 大島先生御指摘ように、沖縄を訪問する観光客などの九八%はこの空路を利用しておられます。また離着陸回数につきましても、滑走路一本の空港としては福岡空港に次いで全国で二番目でございます。  こういう中で、この那覇空港の空港能力につきましては、これまで国土交通省、沖縄県と共に内閣府におきまして総合的な調査を実施してきてございまして、那覇空港の滑走路の増設案について更に構想・施設計画段階として検討を進めてまいりたいとしているところでございます。引き続き国土交通省、県と連携して検討を進めまして、できるだけ早期に具体策を講じられるよう努力してまいりたいと考えております。
  54. 小野芳清

    政府参考人小野芳清君) ただいま内閣府の方からも答弁がございましたとおり、那覇空港は御指摘のとおり将来需給が逼迫するというふうに認識しております。抜本的な空港の能力の向上策というのは是非必要だというふうに考えております。  そのために、平成十五年度から十九年度にかけまして、いわゆる、ちょっと横文字で恐縮でございますけれども、パブリックインボルブメントという住民参加型の総合的な調査を実施しておりまして、現在検討を進めておるところでございまして、今年度はそれらを踏まえましていよいよどういう方向に進むのかという、その案の絞り込みを行おうというふうに思っております。  沖縄県の発展のためには那覇空港は極めて重要なインフラと考えておりまして、そのための那覇空港の能力増強は是非必要でございますので、我々としても、できるだけ早期結論を得まして具体策を着実に講じてまいりたいというふうに考えております。
  55. 大島九州男

    大島九州男君 私は福岡ですけれども、福岡空港を移転するとか、そういうふうな話は我々としては非常にこれはちょっと疑問を感じるんだけれども、この沖縄の空港については、やはり自然環境に配慮して、そしてなおかついろんな緊急な状況に備えるためにも複数の路線があったり、いろんなものが必要なんではないかなというのは素直に感じるところなんですね。やはり日本が、観光立国ということでいうならば、もう本当に唯一の入口の玄関でありますから、その玄関をきちっと整備するということは非常に大切なことだと思っております。  最後に、災害時の人の出入りですよね、いわゆる空港でなければ早期に人とか物資を送ることができないわけですから、そういう意味ではできるだけ早くそういう空港が、一本だと、そこに何かあったときには当然もう何もできないわけです。当然、空港をあれするというのは五年十年とか掛かるわけですが、それまでの間に何らかのそういった災害が起こったときの部分を踏まえてシミュレーションしたりとか、そういうものは持っているんですか、国交省
  56. 小野芳清

    政府参考人小野芳清君) 万が一災害が起こりまして、いろんな事故もあるかと思います、空港が閉鎖になったという場合に備えまして、各航空会社がそれぞれ万一の場合に、我々の用語で言いますとダイバートと言うんですけれども、代替空港を必ず考えております。必ずパイロットはそれを頭に入れて飛ぶシステムになってございます。空港がオープンになればそこからまた例えば那覇空港に飛んでくると、こういうシステムになってございます。
  57. 大島九州男

    大島九州男君 最後、いいですか。
  58. 市川一朗

    委員長市川一朗君) 大島君、時間ですから。
  59. 大島九州男

    大島九州男君 はい、分かりました。  要は、沖縄に入れなきゃ意味がないわけですから、そういうことなんです。ほかに飛んでいくのはいいけれども、じゃ沖縄の人が災害に遭ったときに、物資が届かない、人が届かないということは駄目ですから、まず沖縄振興のためにも早期に空港整備をきっちりやっていただくことを要望して、終わります。
  60. 義家弘介

    義家弘介君 自由民主党の義家弘介です。今回は質問の機会をいただき、本当にありがとうございました。  まず、私からは北方領土の問題に関して質問させていただきます。  先月四月二十六日、福田首相がロシアを訪問しまして、プーチン、メドベージェフ両氏と会談をしましたが、この折の領土問題及び平和条約締結に向けての話、具体的にはどんな話があったのか、そしてどのような方向に向かっているのか、まず外務大臣にお答え願いたいと思います。
  61. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 福田総理はロシアを訪問した際、メドベージェフ大統領及びプーチン首相との会談を行いましたが、北方領土問題や、当時はプーチン大統領でメドベージェフ次期大統領と、こういうことでありましたが、日ロ関係を高い次元に引き上げるためにも平和条約交渉の進展を図る必要があることで一致するとともに、これまでの諸合意及び諸文書に基づき、双方に受入れ可能な解決策を首脳レベルを含め今後とも話し合っていくこと、そのために両首脳より改めて指示を出すということで一致したわけであります。  私自身も、先月の外相会談においてラブロフ外相との間で更に真剣に交渉を続けていくことで一致しており、こういった首脳レベルを含む両国の一致した認識を踏まえ、強い意思を持ってロシアとの交渉を続けていく考えでございます。
  62. 義家弘介

    義家弘介君 この領土問題に関する交渉は、率直に言って進んでいるとお考えになっているんでしょうか、それとも現状維持あるいは後退しているとお感じになっているんですか。率直な思いを是非お聞かせ願いたいと思います。
  63. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) こういう交渉は、進んでいるとかあるいは停滞しているとか、なかなか難しい判断でございますが、少なくとも後退はしていないと、こういうふうに考えております。  いずれにしても、領土問題というのは両国民が納得するという非常に難しい解決を図らなければいけないんで、首脳同士の強い意思というのがないとこれは解決できないわけでありますが、今その首脳同士に強い意思があるということは確認できているところでありまして、そういう意味で、具体的な前進という姿は見えなくとも、必ずしも停滞しているということでもないと、こういうふうに思っております。
  64. 義家弘介

    義家弘介君 ソ連占領後、一万七千二百九十一人の島民が島を追われましたけれども、平成二十年三月末で、元居住者は七千七百九十七名、平均年齢はもはや七十五・二歳になっています。だからこそ、この問題について具体的に、例えば九〇年代はかなり大きな進展がありましたけれども、二〇〇〇年代に入ってからどのような状態になっているのか。  例えば、北方領土返還も含めた交渉が継続的に行われているという一方で、ロシア政府は、現在の潤沢なオイルマネー、これを活用して、二〇〇六年八月、二〇〇七年から一五年、クリル諸島社会経済発展計画を打ち出し、この北方領土を含む諸島の経済発展を促す目的で、二〇一五年までに百七十九億ルーブル、日本円にして七百九十億円の巨額な資金をこの領土周辺に投入するというプロジェクトが進んでいます。漁業開発、輸送や社会インフラの建設のほか、千島の資源にも注目しながら、北方領土海域での石油探査なども含めて総合的な開発が行われていきますけれども、これは、まさにある意味では北方領土ロシア領土であるということを内外に示し、そして支配の既成事実化を目的としているのではないかという指摘もあると思います。  以前は例えばこの島々の住民はモスクワの方には向いていなかったようにも感じるわけですけれども、こういう形でインフラも整い、経済的な大きな援助もあると、また、国民の大きな合意が必要と先ほどおっしゃられましたけれども、まさに、ああ、ロシアの方がいいという形になってはいかないだろうかと。  まさにこの巨額投資に関して、今後の交渉で、ある意味では戦略の方向転換も含めて今日本は考えていかなければいけないのかなと私自身も思いながら質問しているわけですけれども、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
  65. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 戦後六十年余を経過しまして、我が国固有領土である北方四島がロシアにより不法占拠をされ続けている現状は極めて遺憾であります。ロシアによる不法占拠が国際社会において事実上容認されるようになっているとは毛頭考えておりません。  この問題は、両国間の外交交渉により解決する以外にないわけでありまして、日ロ間では、従来より領土問題に関して、これまでの諸合意及び諸文書に基づき、日ロ両国が共に受け入れられる解決策を見出すための努力を行うことで一致をしているわけであります。  政府としては、このような日ロ共通の認識を踏まえ、単に話し合うだけでなくて、問題の最終的解決に向け、両国が共に受け入れられる解決策を見出すべく強い意思を持って交渉を行っていく所存でございます。
  66. 義家弘介

    義家弘介君 しかし、一方で、この巨額投資、巨額資金の投入という中で、本当に今後難航してくることは必至であり、国際社会における世界がこの領土について関心を持って、そして日本もそれを背景としながら主張していかなければならない問題多々あると思うわけですけれども、その中でもう一つ、先ほど国際社会認識ロシアの不法占拠であるというお話でしたけれども、本当に北方領土は一体どこの国に属している領土であると国際社会認識しているのか、是非もう一度御見解をお伺いしたいと思います。
  67. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 御答弁申し上げます。  この北方領土の問題に限らず、領土の不法占拠というものは国際社会が容認し得ないということは言うまでもありません。  世界地図に関してこれを具体的に見てまいりますと、まず、中国政府におきましては日本領土として扱われております。それから、米国政府が作成しました地図におきましては、北方領土が一九四五年にソ連により占領され、これに対し日本領有権主張していることが明記されているところでございます。  いずれにいたしましても、第三国の地図における北方領土の記載につきまして、我が国としてかねてより注意深くフォローをしておりまして、我が国立場と異なるものがあれば、今後とも適切な形で働きかけを行っていく考えであります。
  68. 義家弘介

    義家弘介君 今回資料を添付させていただきました。この資料です。(資料提示)  これはアメリカのワールドアトラス、世界地図についてなんですけれども、ちょっとまず、それでは三枚目をお開きください。これは見開きで世界全図になっていまして、その右側半分をカラーコピーしたものなんですけれども、まず、この地図においては北方四島はロシア領として明確に明記されています。  続いて次のページですけれども、この北方領土、どのような扱いかというと、ここに英語で記されていますけれども、矢印が三本あって、その下の英語でオキュパイド・バイ・ロシア・シンス・ナインティーンフォーティーファイブ・クレームド・バイ・ジャパン、つまり、一九四五年以降ロシアによって占領されたと日本主張していると。別に日本主張ようがしまいが、これはもう重大な国際法違反でもあるわけで、まさに不法占拠だった。だから、このクレームド・バイ・ジャパンがなければ、ああ、あり得る話かなと思ったけれども、と日本主張しているという表記、これはかなり私自身違和感を覚えましたし、アメリカの国務省のホームページの中にも似たような同種の記述がある。これは日本だけが主張している問題なのか、そうでないのかというところですね。  続いて次の地図ですけれども、次の地図は明らかに北方四島はロシア領として国境線が引かれておりますけれども、この点について、そのほかにも世界中、いろんな世界地図を借りたり手に入れたりしながら見ましたけれども、多くは日本主張しているという記述があるか、点線で国境線が引かれているか、あるいは何もなくロシア領になっているか。逆に言えば、何もなくロシア領になっているという地図も世界各地の地図の中ではかなり多くあったわけですけれども、この辺について御見解をお伺いしたいと思います。
  69. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 今御指摘になられました、このハモンド社の地図の四ページでございますが、この趣旨は、一九四五年にソ連により占領されたという事実の後にポツが付いておりまして、クレームド・バイ・ジャパンとなっておりまして、日本領有権主張していると、こういうふうなことだと我々は理解しております。
  70. 義家弘介

    義家弘介君 私の英語の知識のなさなのかどうなのか、これは一九四五年、ナインティーンフォーティーファイブの後、これはピリオドではなくてカンマ、要するに文章がつながっていますよと、その結果としてクレームドのCが小文字になっていると思うんですけれども、これは一般的に学校で学ぶ内容では、一九四五年以降ロシアに占領されたと日本主張しているというふうに訳されると思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
  71. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) お答え申し上げます。  経緯的に、これは昭和五十五年だったと思いますが、まさに委員指摘ように、各国の地図を調査して、我が方よりアメリカに、ここは我が方が領有権主張している部分だということを申し入れ、その結果、アメリカが日本主張は分かったということで今回こういう記述になったと承知しております。したがって、その意味で我が方の考えている、ここは日本領有権主張しているということはアメリカ側も理解した上でこういう文章になったんだと我々は理解しております。  加えまして、クレームという言葉、ここは英語の問題ということになるかもしれませんが、割ときつい言葉でございまして、やはり権利主張あるいは所有権を主張というよう意味で使われる言葉だと私どもは認識しております。
  72. 義家弘介

    義家弘介君 日本主張している、そういう言葉を受けたときにどう多くの人は感じるか。まして地図ですから、世界中の子供たちはこの地図を見るわけですね。一九四五年以降占領されたと日本主張していると書いてあったら、じゃ、どのようにその子供たちは教育の中で受け止めていくのかという問題も含めて、これはやはり具体的に考えていかないと、アメリカだけの問題ではなくて、例えば私の見た中国の地図においてはロシアが占領したと、占領しているのみの記述なわけですよね。と日本主張している文はないわけですけれども、この辺についてもやはり各国の首脳レベルだけではなくて、やっぱり共通認識を醸成していくためにもある程度考えていかなければならない問題だと私は強く感じています。  そこで、あえて──お願いします。
  73. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 英語の知識は多分委員の方が私よりあるんだと思いますけれども、地図の場合、その地図を作る人の考え方によって、どこの国の正当な権利があるかということと現実に占有しているのがどこかということで地図を作るということはあり得ると、こういうふうに思います。  そしてもう一つ、クレームドという言葉を使うことによって、これは平穏な占有状態ではないよと。平穏な占有状態を続けていると、それがいつか国際司法裁判所なんかで裁判になった場合には、いや、だれも文句言わないでずっとやっていたんだよ、占有していたんだよということがある意味の領有の根拠になることがあり得るわけでありまして、それに対してクレームを付けているということは、これは重要な記述であると、こういうふうに思っております。
  74. 義家弘介

    義家弘介君 しかし、一方でそういうただし書もないような地図もたくさんありますので、この辺、多く世界に向けて改めて初心に返って発信していくべきだろうなと私は感じます。  そこで、あえて聞かせていただきます。  この北方領土問題を各国首脳に改めて共通認識していただくために、北海道で開かれる洞爺湖サミットにおいて政府としてこの領土問題を取り上げるおつもりはあるかどうか、あえてお聞かせ願いたいと思います。
  75. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ロシア側が領土問題の存在を認め、日ロ二国間で領土交渉が本格的に行われるようになって以降、政府としては、ロシアと二国間で強い意思を持って交渉していくことが重要だと、こう考えているわけであります。政府としては、このような考え方に基づき、一九九二年のミュンヘン・サミットより後のサミットでは成果文書等で北方領土問題を取り上げておらず、北海道洞爺湖サミットにおいてもサミットの中でこの問題を取り上げるという考えはありません。ただ、北海道洞爺湖サミットの機会に日ロ首脳会談が行われれば、北方領土問題は当然取り上げられることになります。  ソ連という時代に領土問題の存在自体を認めていないときがあったわけであります。そういうときは日本国際社会でこの問題を取り上げてきたわけでありますが、ロシアになってから領土問題の存在することは認めて交渉で解決しようよと、こういうことになっている中でサミットで取り上げることがプラスかマイナスかという判断なんですが、現時点で私たちは二国で強い意思を持って解決に向けて交渉していこうと、こういうふうに考えているわけでございます。
  76. 義家弘介

    義家弘介君 ありがとうございました。  別の視点からの質問をさせていただきます。  占領から六十年以上経過している今、次の世代がこの領土問題をしっかりと学び、そして受け継がないとならないと強く思います。  そこで、文部科学省の方に質問したいわけですけれども、教育現場においてこの北方領土の問題がどの程度の時間を取ってどのように教えられているか、また、現時点でそれで十分だと思っておられるか、是非お聞かせ願いたいと思います。
  77. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  これからの我が国を担う児童生徒が日本領土について正しく理解することは重要なことでございます。北方領土の問題に関しましても、児童生徒の発達段階に応じて正しく理解させることが大切であると考えております。教育内容の基準でございます学習指導要領におきましては、例えば中学校の社会科の地理的な分野において「日本の位置と領域」という内容項目を設けまして、我が国の国土の位置及び領域の特色と変化を広い範囲から考察させる、そしてその際、北方領土我が国固有領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすると記述しております。  このような学習指導要領の記述を受けまして、現行のすべての中学校の地理の教科書には北方領土問題について記載がなされており、各学校におきましてはこうした教科書あるいは地図帳を用いて具体の指導が行われているところでございます。実際の授業時数というのは各学校で、取上げ方で幅があろうかと思います。
  78. 義家弘介

    義家弘介君 私も日常的に多くの子供たちと出会い、時にこの問題について質問するわけですけれども、彼らの北方領土認識は驚くほど無知です。  その上で、例えば、指導要領の中で我が国の国土とおっしゃっておりましたけれども、まさにこれは歴史の問題でもあるわけですね。しかし一方で、歴史教科書におけるこの問題の取扱いというのはかなり薄いもの、私が調べただけでも、採択されている中学校の歴史の出版社の中でこの領土問題についての扱いというのは一社、ほとんどないというよう状況です。さらに、高校でも日本史は必修ではありません。つまり、歴史を通したこの領土問題というものに対しての認識がないまま大学に行き、そして社会人になっている、それがどんどんどんどん増えていっているという現状なわけですね。  そして根室市も、文部科学省等に要請の中で、北方領土問題の国家的重要性を踏まえた教科書での北方領土の関連記載の拡大なんという、そんなことも意見として出していますけれども、やはり、今後こういう問題、歴史的にどうなのか、そして国土、地理としてどうなのか、更に充実していく必要があろうかと思います。  そしてもう一つ、逆に言えば、内閣府の子供たちへの取組というのもかなり進んでいるというか、これはかなり北海道においてはやっていると思うんですけど、例えば北方少年少女塾なんという北方領土に関する学習が北海道では行われています。それは内閣府が行っている。つまり、内閣府と文部科学省、これはある意味では省庁をまたがって、子供たちにどのようにこの領土問題を伝えていくのかということを行っていくことが必然だと思いますけれども、この辺、岸田大臣、いかがお考えになるでしょうか。
  79. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘ように、この北方領土返還実現のためには、北方領土問題につきましてできるだけ多くの国民の皆さんに正しい理解と認識を持っていただかなければいけないと思っておりますし、その中でも特に若い世代の方々にこうした運動に積極的に参加していただく、新たな力をいただく、こうしたことによって世論を喚起していくことの重要性は痛感しております。  そして、その中にありまして、特に学校教育の果たす役割、大変重要だと考えておりまして、私も今年二月ですが、東京都内の中学校にお邪魔させていただきまして、北方領土教育の現場、見させていただきました。当日は、国家の主権というテーマで、国家の主権が損なわれた場合にどんなことになるのか、元島民の皆さんの体験談を教材に授業を行っておられました。私も大変大きな関心を持って授業を聞かせていただきましたし、最後は直接中学生の皆さんに、この問題については国民みんなで考えなければいけない、是非皆さんも自分自身の問題としてとらえてもらいたい、こういった呼びかけをさせていただきました。さらに、来月は高等学校にもお邪魔させていただきたいと考えているところであります。  このように、是非この若い世代への働きかけ、しっかりと行っていかなければいけないと思っていますが、文部科学省との連携ということでいいますならば、やはりこうした北方領土教育、あるいは北方領土返還、この授業に対して教員の皆さんあるいは生徒の皆さんが出席しやすいよう環境をつくっていただくよう文部科学省に働きかけていくなど、こうした連携をしっかり強化していきたい、内閣府としても強く感じているところでございます。
  80. 義家弘介

    義家弘介君 この領土に関して様々な会社が副読本というか本を作っているわけですけれども、一方で、例えば領土復帰期成同盟なんかが作成した本は、五十九年から平成十七年まで毎年改訂しながら発行して、小学校五年生対象に教育資料として道内一部の学校に無料で配付してきていたわけですけれども、今現在はホームページでのダウンロードのみと後退してしまっているわけですね。もちろん、ほかの副読本、教材もありますけれども、よりこれは充実させていく必要があろうと。  先ほども言いましたが、元島民の方たちはもう七十五・二歳、そういう状況の中で、今、まず領土問題が具体的に首脳レベルで進まないのならば、こういうことを新しい世代にしっかりと教育していますという、彼らに対してもしっかりと教育をしてあなたたちの思いは必ず受け継いでいきますという、そういう具体的対策を見せることが何よりも重要であろうと思います。  今後も是非、省庁に限定せずに、多くのところでまたぎながら、国民的啓発により力を入れていく努力を御期待したいと思います。  以上で私からの質問は終わらせていただきます。
  81. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  沖縄そして北方問題について質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、本年の十二月までに運航開始予定とされております沖縄における救急医療用ヘリコプター活用事業、いわゆるドクターヘリの活用事業でありますけれども、この検討状況についてお伺いをしたいと思います。  まず、運航病院の件でございますけれども、これまで浦添市の浦添総合病院、あるいは北部の方では名護市の北部地区医師会病院がヘリコプターを使った救急医療あるいは地域医療というものを行っているわけでありますが、これから厚労省のドクターヘリの事業を行うに当たって、そういう運航病院についてどのような検討がなされているのか、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  82. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) お答え申し上げます。  先生今御指摘いただきましたように、沖縄県ではこの救急医療用のヘリコプターの活用事業を今年度から開始したいということを承っております。  現在の状況を伺いますと、本年度中にドクターヘリの導入ということを計画しておられますが、今後、この医療機関の選定も含めまして具体的な運用について検討を進めたいということで、まだ具体的にはそこまでは至っていないというふうに聞いております。
  83. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 いろんなことを考えながらドクターヘリ事業が行われるとすると、例えば出動要請基準ですね、そういうものをどう考えるのか。普通の地域と違って沖縄はいろんな離島等を多く抱えておるところでありますので、出動要請基準等もおのずと少しほかの地域とは変わってくる可能性もあると。それから出動範囲ですね、多くの地域を、離島等を抱えておりますので、範囲も広い範囲をカバーしなきゃならない。  しかし、ドクターヘリ、大体百キロ圏内を活動範囲としていることが多いわけでありますけれども、そういう出動要請基準とか出動範囲、そのような検討についてはどのように進んでおるのか、この点を厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  84. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) お答え申し上げます。  このドクターヘリの事業におきましては、地元の都道府県の方におきまして、関係者の間で運航調整委員会というものを設置をいただきまして、運営をしていく場合の必要事項、この調整をまず進めていただきたいというふうに思っております。  今おっしゃいましたように、沖縄の特性に合わせて、その地域、役割分担等もそこで議論をいただいて、具体的な設置場所等も協議を続けていただきたいというふうに思っておりますが、この運航調整委員会につきましては六月中に設置を進めて検討を進めたいというふうに承っておりまして、その中でこの出動要請の基準、出動範囲等について御議論をいただきたいというふうに思っております。
  85. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほども話をしましたけれども、浦添市の浦添総合病院、U—PITSというんですか、略語でありますけれども、浦添総合病院なりの救急患者搬送システムを推進をしているわけですね。これは、ただ単に普通の救急医療というよりは、地域医療にも様々な面で活用をされていると。一方、名護市の方の北部地区医師会の病院も、やはり、もちろん救急医療もやりますし、お産の場合も地域の関連病院と連携をしながら活動を進めている、あるいは離島等の医師不足地域等の観点でやはりこういうヘリコプターを使った医療というものをやっていると。そういうことでありますので、大変すばらしい活動をしておるわけです。  一応、厚生労働省の場合は、普通の場合は、通常、県で一機一事業という形でやっておるわけでありますが、地域によっては、北海道等、当然一事業では収まらない、もっと広い範囲をカバーしなきゃならない場合は複数機を導入するということも考えられているわけであります。当然だと思うわけであります。  沖縄も離島等が多い、しかも、医療機関も御存じのとおり医師不足等で中核化をせざるを得ないというよう状況もありますので、一機一事業という、沖縄県で一事業ということに限定する必要はないのではないかと、既にそういう実績がありますので、複数機導入ということを視野に入れながら考えていくべきではないのかなと、そのように私は思っているところであります。  そういう意味で、今後、現在行っているそういうヘリコプターを使った救急医療と、これから事業が行われるそういう厚生労働省のドクターヘリ事業と、これまでやってきた実績を踏まえながら、うまく調整をしながら沖縄県民のためになるような形で展開をしていただきたいなと、そのように思うわけであります。  そういう点で、どのような方向で沖縄県におけるドクターヘリ事業を行っていくのか、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  86. 木倉敬之

    政府参考人木倉敬之君) 先生今御紹介いただきましたように、沖縄県では今二か所の医療機関で既にドクターヘリ、独自の運用も行われておる浦添病院あるいは北部地区医師会病院におきまして取組が始められておるというふうに伺っております。  このよう事業もよく県の方でも踏まえていただきながら、私どもの今の補助金の要綱上は、基本的には救命救急センターの事業の一環として配備を進めていきたいというふうに思っておりますので、その位置付けとの関係を県の方でもきちんと整理をしていただきながら、将来を見据えてこの沖縄の地区にどの程度の整備が必要かということをよく検討してまいりたいというふうに思っております。
  87. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ほかの道府県でドクターヘリを運航する場合には、消防防災ヘリが同じ県にある場合はそれとの役割分担というか、万一複数の事故等、あるいは患者発生あるいは災害等には連携しながらやるわけですね。沖縄県では消防防災ヘリがないということでありまして、これまで自衛隊あるいは海上保安庁と連携をしながら災害や急病のときには出動をお願いしていると。そういう協定とか申合せというものがあってそれをやっているわけですが、今後、ドクターヘリというのが本格的に事業展開をするとなると、これまで行ってきたそういう申合せ、協定等、これをどのように組み合わせながら沖縄県民の命、大切な命を守っていくことになるのか。その点を、岸田大臣のお考え等をお聞きしたいなと思っております。
  88. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 御指摘ように、沖縄県内におきましては、民間のヘリコプターによる搬送、現在も二か所の病院で行われております。ただ、航続距離あるいは機能など違いがあることから、民間ヘリコプターによる搬送が困難な場合は自衛隊機等による搬送を行っておるという役割分担をしておるようでございます。  ちなみに、民間ヘリコプターの場合は、航続距離おおむね百キロ圏内ということですし、昼間のみの運航ということのようです。一方、自衛隊機ですと、大型の場合は航続距離一千キロ、また小型機でも四百七十キロということで、航続距離の違い等もございますので、今申し上げましたような役割分担をしておるようでございます。  こうした状況を踏まえながら、先ほど厚生労働省からも答弁がございました、この沖縄県の運航調整委員会、ここにおいて今整理の作業をこれから行うということであります。今、現状の役割分担も踏まえて、その中でドクターヘリ等の役割分担、連携の在り方、この委員会でしっかりと整理していただきたいと思っており、内閣府としても注視をしているところですが、いずれにしましても、そういった結果もしっかりと活用しながら、離島、へき地の医療が十分に確保されるよう努力をしていきたい、そのように思っております。
  89. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 外国では、ヘリコプターだけではなくて小型飛行機等を使いながら救急医療をやっておるわけであります。日本も今ヘリコプター、ドクターヘリで一生懸命、外国に遅れているわけですけれどもそれに追い付こうと頑張っているわけでありますが、沖縄とかあるいは北方領土を抱える北海道とか、そういうところでは小型飛行機を使ったような救急医療というのもやはり考えていくべきではないのかなと私は思っておりまして、沖縄北方担当の岸田大臣にはそういうことの検討も是非ともしていただきたいと、これは要望させていただきます。  次に、四月の二十五日から二十七日まで、福田総理がロシアの非公式訪問をされたわけでありますが、先ほども質問にございましたけれども、平和条約締結問題で、これまでの諸合意及び諸文書に基づき、双方が受入れ可能な解決策を見出す交渉を続けていくこと、そのために両首脳より改めて指示を出すことで一致と、そのようなお話を聞いておるわけでありますけれども、福田総理お帰りになってから、そういう平和条約締結問題で改めてどのような指示が出されているのか、この点を高村外務大臣にお伺いをしたいと思います。
  90. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先月の日ロ首脳会談では、北方領土問題に関し、両首脳が改めて指示を出すことで一致したわけであります。これは、両首脳から外交当局に対してそれぞれ交渉の進展を図るべく一層真剣に話し合うよう指示を出すものと理解しておりますが、外務省は福田総理よりそのような指示を受けているところでございます。
  91. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 北方領土の島民等は早く領土返還をしてもらいたいという本当に切実な思いをしておりますので、早くそれが実現できるよう、本当に一生懸命取り組んでいただきたいと思います。  それから、総理がロシア非公式訪問されたときに、シベリア鉄道の物流ルートの活性化と、そのようなことも、互恵的協力を行っていくというお話がありました。この点、どのような今後方針で進めていかれるのか、高村外務大臣にお伺いをしたいと思います。
  92. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) シベリア鉄道についての御質問でございます。  政府といたしましては、このシベリア鉄道を活用いたしまして、アジア太平洋地域ロシア、欧州とを結ぶルートというのが従来の海上輸送ルートを補完するものであると考えておりまして、このルートを確保することは、日本ロシア、アジア太平洋諸国にとっても戦略的に利益になると考えております。  そのため、日ロ間の協力を検討するための枠組みとして、今年三月に日露運輸協力に関する政府作業グループを立ち上げまして、物流の活性化に向けた具体的な協力について現在議論を進めているところであります。
  93. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 日本海を囲む様々な地域、特に北陸、東北もそうですけれども、北海道もそうですけれども、やはり北東アジアの開発ということは大変そちらにも影響を与えるというふうに思っておりますので、こういうシベリア鉄道の物流ルートの活性化にも日本も貢献をしながら、更に友好を深めて北方領土まで、返還のためのいい条件をつくってもらいたいと、そのように思っております。  それから、三点目ですけれども、人的交流、特に青年交流を飛躍的に拡大し、日ロ合わせて毎年五百名規模の青年交流を開始することで一致したとありますが、これは今後どのよう推進をしていくのか、外務省にお伺いをしたいと思います。
  94. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) お答え申し上げます。  日ロ間での青年交流、これはこれまでも行われてきたところですが、本年度より、費用の相互負担の原則の下でロシア側との調整を行いつつ、次のよう計画を考えているところでございます。    〔委員長退席、理事伊達忠一君着席〕  まず、日ロ青年の短期派遣・招聘事業、一グループ十五名程度の青年団を一週間程度、年間二十四グループ、延べ三百六十名の交流を予定しています。次に、日本語、ロシア語教師派遣・招聘事業、これとして、ロシア各地の高等教育機関を中心に年間三十名の日本語教師の派遣、ロシア語教師二十名の我が国高等教育機関への受入れを予定しています。さらに、若手研究者助成事業として、日本ロシアの有望な若手研究者を二十名程度助成する予定でおります。最後に、今年はロシアにおいて日ロ各々三十名程度の学生により日露学生フォーラム、こういったものを開催する予定にしているところでございます。
  95. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 こういう青年の交流というのは大変重要なことだと思います。こういうものを進めていくことによって、より日本ロシア、理解を深めて、領土問題等も解決の道が開かれることを期待をしておるわけであります。  次に、サハリンと稚内市との経済交流の近年の動向と今後の展望ということでお伺いをしたいと思います。  最初に、稚内市とサハリン州との友好都市、あるいは文化、スポーツ、青年交流の状況について外務省にお伺いをしたいと思います。
  96. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) お答え申し上げます。  稚内市は、サハリン州のコルサコフ市、ネベリスク市、ユジノサハリンスク市と友好都市関係を結び、これまで三十年余りにわたり、文化、スポーツ、青少年交流を活発に実施してきたと承知しております。  具体的には、少年少女の相互ホームステイなどの人物交流、アマチュア合唱、ジャズ、三味線、民族音楽などの音楽交流、柔道、バスケットボール、ヨットなどのスポーツ交流など、幅広く行われているものと承知しております。
  97. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 では、稚内市とサハリン州との経済交流あるいは貨物輸送、これも重要かなと思っておりまして、これがどのように現在なっておるのか、この点もお伺いをしたいと思います。
  98. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) お答え申し上げます。  稚内市は、サハリン州側との間で稚内—コルサコフ間定期航路の利用促進や、水産、観光、農業といった分野での交流を図るための会議を開催しております。また、サハリン州において稚内の企業による見本市を開催してきているほか、サハリン州の企業関係者を研修目的で稚内市に受け入れる等の施策を講じていると承知しています。    〔理事伊達忠一君退席、委員長着席〕  貿易額、これにつきましては、平成十七年に約三百億円を記録して以降減少しておりまして、平成十九年には約百六億円となっています。また、稚内—コルサコフ間の定期航路が取り扱う貨物については、平成十七年に約七千トンを記録して以降やはり減少してきており、平成十九年には約四千九百トンになっているというふうに承知しております。
  99. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今お話あったとおり、大体平成十七年ぐらいがピークで、その後、そういう経済交流あるいは貨物輸送等も減少しているということで、稚内市近隣の地域では、もっと経済発展のために交流を進めるべきではないのかと、そういう声もいただいておるわけですけれども、この稚内—コルサコフ間の定期航路の今後の活用方針というものはどのようなものか、この点を外務省にお伺いをしたいと思います。
  100. 片上慶一

    政府参考人片上慶一君) お答え申し上げます。  稚内—コルサコフ間定期航路については、サハリン1・2プロジェクトの工事が終わりに差しかかっている中で、利用が減少傾向にあり、航路をどのように維持するか、これが課題になっていると理解しております。  これに関して稚内市は、航路を運航する企業に対して助成を行ってきているほか、定期航路を利用したツアーの誘致、北海道とサハリンとの間の経済関係の活性化を通じた貨物の誘致などを行っていると承知しております。  外務省といたしましても、日ロ間での地域間交流促進、特にサハリン、いろんな意味でサハリンとの交流は重要だと考えておりまして、稚内—コルサコフ間定期航路についても、外務省として何ができるか真剣に考えていきたいと思っております。
  101. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今もお話ありましたけれども、やはり稚内市そしてサハリン州の文化、そしてまた経済交流というのは大変重要な課題だと、そのように思っているわけであります。今後、稚内市あるいは近隣の地域の活性化のためにもどのようなそういう推進を図っていくのか、高村外務大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  102. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 私ども昨年六月に、私どもから提案しまして、当時のプーチン大統領の強い支持を得ました極東・東シベリア地域における日露間協力強化に関するイニシアチブというものの中にも日ロ間の地域交流の促進ということが盛り込まれておりまして、政府といたしまして、この稚内市を含めた交流推進の方策に関する地元のニーズや地元からの相談に応じまして、積極的にこれを推進していきたいと考えております。
  103. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 よろしくお願いします。  以上で質問を終わります。
  104. 山内徳信

    ○山内徳信君 社民党・護憲連合、山内徳信でございます。  私は、沖縄問題を二点、北方領土問題二点、お伺いしたいと思います。  沖縄県中部の読谷村にある民間業者が経営する安定型産業廃棄物最終処分場から採取された水や土壌から、環境省が二〇〇五年に調査した化学物質の全国平均値の約千百五十倍に当たる有害物質のクロルデンが検出されたということが五月十九日判明いたしまして、新聞で大きく報道されております。  直接の所管庁ではないことを十分承知しておりますが、沖縄担当の行政機関でありますので、以下のことをお伺いいたします。  近くに公共施設、医療・福祉施設、漁港や集落等があります。住民は、この千百五十倍という想像を絶するような有害物を知りまして、大変危機感を抱いて、地域人々はパニック状態になっております。  そこで、沖縄担当大臣にお伺いいたします。  一つ。全国平均値の千百五十倍という濃度の有害物質クロルデンの検査結果をお聞きになって、今どういう認識をお持ちでいらっしゃいますか。お伺いしたいと思います。
  105. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) 沖縄県の読谷村にある産業廃棄物最終処分場で高濃度のクロルデンが検出されたという報道、この報道につきましては承知をしております。  今、山内委員指摘になられましたように、この産業廃棄物最終処理場の問題につきましては環境省の所管ではありますが、この問題につきましては、県民生活の安心、安全にかかわる重大な問題だというふうに認識をしております。まずは、今現状、沖縄県におきまして、地域住民の不安を解消する観点から再検査あるいは現場確認を行っているというふうに承知をしております。  是非、今後の動向をしっかりと注視していきたいと考えております。
  106. 山内徳信

    ○山内徳信君 沖縄担当の行政機関として、この深刻な状況を改善し、住民生活を安定させる観点から、沖縄県読谷村と提携をされてやはり公的機関として調査するとか、互いに情報交換や問題解決のために担当大臣としても是非御努力を賜りたいと思っております。そのお気持ちのほどをお伺いしておきたいと思います。
  107. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) こうした問題につきまして、沖縄県ですとか読谷村、この地元の自治体としっかり連携していかなければいけない、御指摘のとおりだと思っております。また、地元の声もしっかりと把握しながら、担当大臣として、そして内閣府としてやるべきことをしっかりと行っていかなければいけないと認識をしております。  まずは、沖縄県において行われている再検査あるいは現場確認、この辺りの結果、しっかり注視した上で今後を考えていきたい、そのように思っております。
  108. 山内徳信

    ○山内徳信君 北方領土の問題に入ります前に、私は、先ほどの民主党の方からも産業廃棄物の件の質問がございました。沖縄産業廃棄物だとかアメリカ軍の兵舎を改築をするとか、そういうのが戦後、長期にわたってそういうところに運び込まれた形跡があるわけであります。したがいまして、この問題は、やはり離島県沖縄にとっては、これからまた基地問題を動かしていく、キャンプ・シュワブを改築をしていくとか、これは新たな問題になりますから、ひとつ十分気を付けておいていただきたいと思います。  私は、十年ほど前になりますか、瀬戸内海の、あれは、島の名前はきちっと覚えていませんが、たしか豊島でしたかね、その島が、島全体が他県から廃棄物、ごみが運び込まれて大きな問題になったことを読んだ記憶があるんですが、そういうふうに環境汚染につながって人々の生活を脅かしていきますから、そのことを十分、内閣府におかれましてもきちっと受け止めておいていただきたいと思います。  私は、今日は北方領土の問題で最初に質問したいと思っていましたのは、北方領土の現状についてお伺いしたいというようにして準備していたんですが、これはまたの機会に回したいと思います。今日は、先ほどの多くの質問を通して、かなり北方の現状といいますか、あるいはロシアとの交流だとか、あるいは島の人々の暮らしとか高齢者の話もお伺いいたしましたし、北方四島に行く機会があれば是非お伺いして、島の人々やあるいは北海道にいらっしゃる人々とも意見交換をしてみたいと、こういうような気持ちでおります。  私は、その二番目の質問は、北方四島の返還実現に向け、日本政治力の結集、国民力の結集が必要と思います。担当大臣としてどういう構想をお持ちですかと、これをお伺いしたいわけです。  既に、大臣は語り部になられて学校訪問をされて、もう文部省がやるような仕事を担当大臣として学校現場に行かれてなさっております。そういう御努力、その情熱には敬意を表したいと思います。  そして、私はここで、中国との関係改善のため、あるいは日中平和友好といいますか、あるいは当時のソビエトとの関係、アメリカとの関係を解決するために政治生命を懸けてこられた大臣政治家やあるいは民間人もいらしたわけです。  私は少年、まあ青年に入っていましたか、私は心打たれた新聞記事を読んだことがあるんです。車いすに乗った白いつえを持った日本の戦後の首相が日ソ問題を解決するために飛行機のタラップに上っていく、その姿を新聞で見たときに、異民族統治下にあった沖縄の一人の人間として心打たれました。  そういうふうな、北方領土は既に六十三年たっておるわけです。したがいまして、そういう命懸けで頑張る政治家はこの日本にはもういないのか、あるいはそういう首相はいないのかと。これが戦後六十三年から七十年、八十年になっていけば、先ほど質問ございました、あの島の周囲が変わっていくと、そういう既成事実ができますよ、できてしまえば、もっと返還問題は難しくなりませんかという御指摘質問だったと思っておるんです。  そういう意味で、私はこの場で、外務大臣にも、やはり政治生命を懸けて解決する必要のある北方領土の問題です。是非、御返事は今日はいただきません。私からの問題提起でございます。  私は、岸田大臣に、政治力の結集、国民力の結集、既に大臣は学校現場には行かれておる。これは国民運動として盛り上げていって、政治家日本国民のこの姿をロシアに訴えていく、そういうことが必要だと思いますが、政治力の結集についての構想、国民力の結集についての岸田大臣の、今ここにいらっしゃる大臣の頭に浮かぶそういう結集力を、もしございましたら教えてください。
  109. 岸田文雄

    国務大臣岸田文雄君) まず、政治力の結集ということにつきましては、今、山内委員から御指摘ありましたように、多くの先人、先輩の皆様方の努力に敬意を表しながら、そうした先輩方に恥じることのないように、今現代を生きる政治家として力を結集していかなければいけない、強く感じております。  また、国民力の結集ということで申し上げるならば、やはりこの問題につきまして、政府とそして国民が一体となって取り組んでいかなければならない、我が国固有領土であるこの北方四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するという基本方針の下に多くの国民が結集をしていかなければいけない、強く感じております。  その際に、やはり今現在いろいろな立場で御努力をいただいている方々にも、より一層これからも御協力いただかなければいけないと思っていますが、これから未来に向けて、やはりすそ野を広げるという点が大切なんではないかというふうに思っています。  若い世代、そしてやはり広い範囲の日本の国民の皆さんにこの問題について正しい認識や理解を持っていただく、こうした活動の拡大という点が大変重要なポイントではないかと思いますので、これからの内閣府の仕事、国民運動を喚起して、そして外交交渉を後押しするという役目でありますが、この役目を果たす際に、今申し上げました活動の拡大、すそ野の広がり、こういった点を重視して努力をしていきたい、このように思っております。
  110. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、これも提案でございますが、こういう正規の沖北の特別委員会のこういう形じゃなくて、メンバーは沖北のメンバーを中心として、やはり広く多くの人が集まって、北方問題を解決するためにどうした方がいいのかと。私は、質問をしておる方と答弁をしておる方との間には、立場も違いますから、かもしれませんが、少し違いを感じたんです。  そういう意味で、新しいエネルギーをやはり掘り起こしていく、問題解決のためのですよ。そういう意味で、語り部も結構ですが、また新たなそういう視点に立っての大きな衆知を集めるような方策もいかがなものかと思って、これは問題提起でございます。  以上で終わります。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  冒頭、委員長が異例とも言える質問をされました。それというのも、それぐらいやはり基地があることで住民の皆さんが受けている苦痛や恐怖感やあるいは不安が非常に大きくて、解決が本当に切実に求められているということからだと思います。私はそういうふうに受け止めているわけです。  しかしながら、両大臣の先ほどの答弁聞きますと、結局、安保条約そして地位協定の下で日本が基地を米国に提供している以上、あくまで米軍の裁量に任せていることだから、日本としては本来は口出しできないんだと、そういう立場が前提になっているというふうに思うわけです。  レンジ4の移転についても、地域住民との摩擦が大きくならないよう移転を約束してもらったということなんですけれども、結局、訓練は続けたまま移転するという計画で、三つの施設ですね、今あるレンジ4のところを、A地域に移すために、AのものをBに、BのものをCにというふうな玉突き型の移転計画でもって建設工事すると。そのために費用も更に掛かるということですけれども、これに掛かる費用もすべて日本の持ち出しという形なわけです。  工期が約一年半遅れたということが現地から訴えられましたけれども、この工期が遅れた原因も工事を請け負っている業者の責任なんだということが言われるんですけれども、そういう言い訳をして、住民の皆さんの苦しみが何ら解決されるわけじゃないと。一体いつまで我慢をさせるのかということについて、まず外務大臣、お答えを願います。
  112. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) このキャンプ・ハンセン内のレンジ4に所在する米陸軍複合射撃訓練場につきましては、地元懸念に最大限配慮した結果、レンジ16に近接する既存レンジ代替施設建設することに合意して、二〇〇七年の三月から工事の一部に着手を既にいたしております。工事の手順の調整によりまして当初の計画より遅れが生じていることは事実ではございますけれども、日米の合意に従って移設が完了するよう日米双方で鋭意取り組んでいるところであります。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 ですから、ずっと苦痛は続いているわけですよね、住民の皆さんにとっては。レンジ4にその訓練施設ができたときに、米側は小型武器の使用や早朝や夜間の訓練は行わないということを説明していたわけです。ところが、実際には約束は守られていないと。早朝四時から夜間十二時まで訓練をやって、結局、爆撃訓練やヘリコプターを使用した訓練も行われて、当初の説明についてはもう平気で覆しているというのが私たちが話を聞いた伊芸区の区長さんの訴えだったわけですよ。これに対して政府は何も言わないのかということも感じたわけです。結局、米軍の運用優先という立場なわけで、そこを優先すれば住民の安全は守れないというふうに思うんです。  この問題というのは、恐らく立場がもうずっと平行だと思うので、これ以上質問はしませんけれども、やっぱり日本国民の安全をこそ優先する政府の責任を果たすべきだということを申し上げておきたいと思います。  それで次に、北方質問に入りますけれども、知床周辺の生態系の保全を日ロ間で進める重要性ということで外務大臣にお聞きしたいと思います。  知床が世界自然遺産に登録をされて、関係自治体や漁協などで住民の皆さんが生態系保全のための様々な努力を続けています。今年二月のユネスコと国際自然保護連合の現地調査でも高い評価を受けました。この地域は、知床とオホーツク海、それから北方四島など、千島列島の間を様々な野生生物が行き来する同じ生態系にあるわけです。最近のロシア側の急激な開発が進んでいるという問題ですとか、それからトロール船、漁船による乱獲あるいは密漁などで環境破壊や漁業資源の枯渇が大きな問題になっているんですね。  そこで、知床の自然を守るためにも、海域全体の生態系保全をロシア側と協力して早急に取り組む必要があると。世界自然遺産の指定に尽力された前斜里町長の午来昌さんらが、世界自然遺産を北方四島及び得撫島まで拡張するように求める動きも今地元でつくられているわけです。  それで、領土交渉の本体をしっかり進めていくというのはもちろんそのとおりなんですけれども、環境がテーマとなっている今度の北海道の洞爺湖サミットに向けて是非生態系保全の取組を強めていただきたいということを質問したいと思います。いかがですか。大臣、お願いします。
  114. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 北方四島を含めてという御質問でございました。  北方四島がロシアによって不法占拠されているという現状におきましては、世界自然遺産区域を北方四島まで拡張することは、北方領土問題に関する我が国立場を損なう可能性がありまして、適当ではないと考えております。他方、我が国固有領土である北方四島は、御指摘ように、優れた自然環境を有していると、これは御指摘のとおりでございます。北方領土問題に関する我が国立場を損なわない形で生態系の保全などに関する協力ロシアとの間で進めるべく、現在調整をしているところでございます。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 次に、外務大臣は、さきの日ロ外相会議の際にシベリア抑留中の死亡者の名簿の提供を受けられました。それで、これは厚生労働省にお聞きしたいんですけれども、九一年以降、計四万九百四十人分の名簿が渡されて、うち氏名が特定できた人が三万二千九人、県を通じて御遺族が判明して埋葬場所などを通知された人が三万五百二十一人ということです。  ところで、この日本側の求めに応じてロシア側は、九三年に死亡者の本籍地、死因、死亡場所などの個人資料も約三万八千人分提供しています。うち約一万五千人分は漢字の氏名もあって人物が特定できると。二〇〇五年には病歴を記したロシア語のカルテがマイクロフィルムで提供されています。ところが、ほとんど御遺族がこのカルテの存在を知らされていないんですね。たまたま知って厚労省から受け取ることができた御遺族というのはわずか十数名だということです。  私、先日、学徒動員されてシベリアで亡くなったお兄さんを、その情報をずっと探し続けていて、ようやくカルテまでたどり着いて入手された方からお手紙をいただきました。それで、ロシア語で書かれているので知り合いの方にそれを訳してもらったということなんですけど、そうすると、その最期のところまで、亡くなる寸前のところまで、どういうふうな病状の中で亡くなられて、息を引き取られたのかということが克明に記録されているわけですよね。そういうことを知って、本当に家族、遺族にとってはつらいことではあるけれども、でもやっぱりその一方で、どこでどうやって亡くなったのかって知らなかった中で、本当にいやされる部分というのもあったんだと。それで、遺族としては、最低限の希望はこうした資料がロシア側から届いていることを厚生労働省が遺族全員に可能な限り知らせてくれることだというお手紙をいただいたんです。  当然そういう気持ちになるというふうによく分かるわけですけれども、今厚生労働省が抑留者の死亡者に対してどういう情報があるのか、是非御遺族の周知、広報を行っていただきたいということなんですけれども、いかがでしょうか。
  116. 荒井和夫

    政府参考人荒井和夫君) 今委員が前段で御説明いただきましたように、約四万一千人の抑留者名簿、死亡者名簿をロシアから入手し、そのうち三万一千名については既に遺族の方に対してその事実をお知らせしております。  平成十七年のロシア政府からの資料につきましては、これはそれまでにロシアから入手した資料の元データになるものだと思いますが、を入手し、マイクロフィルムの形で約三万七千名分入手しております。そして、その中から、今までは特定できなかった、過去の資料では特定できなかった方々を特定する努力を私ども行ってきました。  それと並行して、平成十九年の三月末までに、そのマイクロフィルムの画像を電子化する、そういうことも終了し、今ちょっと先生からもお話ありましたように、希望する遺族にはその写しを提供いたしました。  ただ、今先生がおっしゃいましたように、もっとはっきりとした形でやれという御指示でございますけれども、先生からのお話を聞いて、御遺族の中には多分いろいろな方がいらっしゃって、その事実は知りたくないという方もいれば、是非とも知りたいという方もいらっしゃると思います。したがいまして、私ども、私どもが持っているデータについての広報をホームページ、関係団体のお知らせなどで掲載すること、それから、更に前に進めて、御遺族に対して個別に、その具体的な中身ではなくて、こういう情報がありますという一般的な情報を個別の遺族にもお知らせするというようなことを検討して、その周知に努めることを検討してやってまいりたいと思いますが、しっかりやりたいと思います。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 よろしくお願いいたします。  それから、さきの大戦とシベリア抑留者に関連してもう一つ厚生労働省にお聞きするんですが、サハリンの少数民族、ウィルタ、ニブヒなどが日本軍の軍人軍属として従軍をして、そのことによってソ連からスパイの罪を着せられて、シベリアに戦犯として抑留されていた人が七十余名に上っています。抑留中に死亡した方も含めてほとんどの人が、日本国籍がなかったことで何の補償も受け取っていないという問題があるんですね。  厚生労働省、援護法での扱いは、これはどうなっているでしょうか。
  118. 荒井和夫

    政府参考人荒井和夫君) お答え申し上げます。  戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましては、サハリンの少数民族であるかないかにかかわらず、国と雇用関係にあったようなそういう軍人軍属等が戦争関連の公務によって傷病を負う、また死亡したことに対しましては、国が使用者としての立場から障害年金、遺族年金等の給付を行うものでございます。  今の御質問関係しましては、例えば日本軍に従事をして亡くなられた場合に、その御遺族が日本国籍を有する場合には援護法の適用を受けることは当然可能でございます。  ただ、私どもは、サハリンの少数民族という形での整理若しくは情報の集め方をしておりませんので、一般的な日本の軍人軍属、準軍属の一環として支給をしているということでございます。
  119. 紙智子

    ○紙智子君 サハリンの少数民族と同様に、日本の旧植民地下にあった台湾出身の軍人軍属だった戦病死者、重傷者には、議員立法で一律二百万円の弔慰金が支払われた経過があります。こういう対応と比較しても著しく、この人たちはもう何もないということになるわけで、均衡を欠いていると思うんです。  一家の働き手を戦争に取られて、それでスパイの汚名も着せられて戦犯としてシベリアで抑留された人々は、外務省によりますと、一昨年六月、サハリンの遺族が総領事館に戦後補償を行うように要請に来られたというふうに聞いています。非常に苦しい思いをずっと抱き続けてきていると。  大臣にお聞きしたいんですけれども、この樺太ですね、日本の旧植民地だった点で台湾と同じだと思うんです。こういう著しく均衡を欠いた、人道上も許されない扱いについて、せめて台湾並みに措置をとるべきだと思いますし、日ロ交渉においても、待っているんじゃなくて、日本の側からも、こういった問題があってやっぱり解決しなきゃならないですねということで働きかけるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  120. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) この問題について先ほど厚生労働省から答弁ありましたけれども、援護法に基づく現行の制度を超えていかなる措置をとり得るかについては、外務省としてお答えすることは困難であります。  台湾の軍人軍属につきましては議員立法として措置されたというふうに承知をしているところでございます。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 政治家としてどうでしょうか。
  122. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今外務大臣として答弁をしておりますので、外務省としてお答えすることは困難でございます。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 非常にやっぱりつらい立場で、結局日本に軍人にされてそういう事態になっているわけですから、こういう問題は、洞爺湖サミットの際にもやっぱりそういうことも持ち出してやっていくということが、働きかけていくということが良いチャンスだと思いますので、そこのところは是非御検討いただきたいということを述べまして、質問にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  124. 市川一朗

    委員長市川一朗君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三分散会