○園田康博君
民主党の園田康博でございます。
私は、ただいま
議題となりました
障害者の雇用の
促進等に関する
法律の改正案に対しまして、
民主党・
無所属クラブを代表して質問をいたします。(
拍手)
本年五月三日に、国連の
障害者の権利に関する条約が二十カ国以上の締結を経て正式に発効いたしました。この条約は、
障害者の権利及び尊厳を保護、促進するための包括的、総合的な国際条約であり、
障害者の自立、非差別、
社会への参加などの一般原則のほか、教育、労働などさまざまな分野において、
障害者の権利を保護、促進する
規定が設けられています。
今後、
我が国としても、条約の締結に向けて国内
法制の整備などが求められてまいります。
我が国における
障害者施策全体をどのように進めていくおつもりなのか、また、
障害者の権利擁護について、
障害者の差別禁止の法
制度をどのように構築していくおつもりなのか、官房長官に
政府のお考えをお伺いいたします。
あわせて、権利条約締結に向けての仮訳の確定及びそれに基づく国内
法制の整備などに当たっては、条約策定
過程において
日本政府とともに活躍をされたJDF、
日本障害フォーラムなど当事者団体の参画が必要不可欠であると考えます。
しかし、現段階において、
障害者団体の申し入れによる非公式な交渉は行われているものの、
政府の取り組みとしての枠組みでは、
障害者団体の参画は、わずかに厚生労働省においてことし四月からスタートした労働・雇用分野における
障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会のみと認識しております。今後、障害当事者の参画をどのように保障されていくおつもりなのか、官房長官に
政府の御見解をお伺いいたします。
条約における雇用・労働分野については、
公共・
民間部門での
障害者雇用の促進などのほか、あらゆる形態の雇用に係るすべての
事項に関する差別の禁止、職場において合理的配慮が提供されることの確保などのための適当な
措置をとることにより、
障害者の権利を
実現、促進することとされています。
とりわけ、職場における合理的配慮の提供という、これまで
我が国にはない概念が盛り込まれておりますので、
障害者が働くということに関しては、
障害者の雇用促進に関する
法律に限らず、権利保障、差別禁止などの観点から労働及び
福祉関連施策全般を見直していく
議論が必要ではないかと考えますが、厚生労働
大臣の御所見をお伺いいたします。
現行法において、
平成十七年の改正の際、精神
障害者は、雇用義務等及び納付金
関係業務に係る
規定の適用に関する特例として、精神
障害者保健
福祉手帳保持者が雇用率、すなわち実雇用率でありますが、に算定できることになりましたが、あくまでも特例であり、みなし
規定であります。精神
障害者についても身体・知的
障害者とともに雇用義務の対象とすることは精神
障害者の雇用の促進の観点からも急務と考えますが、いかがお考えでしょうか、お伺いをいたします。
また、雇用率の義務化とともに雇用支援の一層の
推進を図ることが重要であると考えますが、具体的な施策をお伺いいたします。
もちろん、現行の法定雇用率一・八%も引き上げる方向で改善すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
現行の
障害者雇用促進法の職業リハビリテーションにおいては、いわゆる発達障害や難病などを幅広くその対象としておりますが、実際の就職の際に必要となる施策のうち、法定雇用率や特定求職者雇用開発助成金などの施策は
障害者手帳の所持者に限定されており、手帳のない者は利用できない
制度となっております。手帳の有無にかかわらず、発達
障害者や難病などの者でも法定雇用率の対象や諸
制度の対象となるよう改善すべきと考えます。
さらに、もう一歩踏み込んで、法
制度間で異なる障害の定義を見直し、就労・雇用施策においては、個々の
障害者の持つ労働
能力に基づく障害の定義を導入すべき時期に来ているのではないかと考えますが、
大臣の御所見をお伺いいたします。
もちろん、法定雇用率の認定基準そのものの見直しも必要と考えます。現行法においては、「
障害者雇用率は、労働者の総数に対する身体
障害者又は知的
障害者である労働者の総数の割合を基準として
設定するものとし、少なくとも五年ごとに、当該割合の推移を勘案して政令で定める。」と
規定をされています。そもそも、現在の法定雇用率一・八%は、知的
障害者が義務化となった一九九七年改正以来、見直されておりません。さらに、今改正で導入が予定されている短時間労働者を初め、精神
障害者並びに発達
障害者や難病などを持つ者などを雇用義務化すれば、当然、現在の雇用率は大幅に引き上がることになると
理解をしておりますが、厚生労働
大臣の御認識及び今後の検討についてお伺いをいたします。
障害者雇用納付金
制度について、創設以来三十年にわたって、企業規模三百人以下の中小企業に対する納付金
制度の適用の徴収及び調整金の支給が猶予されてまいりましたが、今回の法改正により、一定の期間は置くものの、百一人以上から適用とし、実施において二百一人以上の中小企業を対象としたものであります。
ただ、中小企業を取り巻く厳しい経営環境、負担
能力に配慮し、雇用率算定の特例などが設けられました。複数の中小企業が、事業協同組合などを活用して共同事業として
障害者を雇用した場合に、当該組合などと組合員企業とをまとめて雇用率を算定するという特例でありますが、本来、企業ごとで
障害者を雇うことが原則であり、あくまでも中小企業における雇用がより
効果的に進むよう配慮した特例
措置であるということで
理解をしてよろしいのでしょうか。
また、そもそも、
障害者を共同事業として集約することの意義は何でしょうか、お伺いをいたします。
あわせて、共同事業で行った場合、各企業そのものにおいて
障害者を全く雇い入れなくてもよいのでしょうか、お伺いをいたします。
今回の改正案に関して、週所定労働時間二十時間以上三十時間未満の短時間労働については、
障害者のニーズなどを踏まえながら雇用義務対象とされ、実雇用率の算定に当たっては〇・五カウントとされたところであります。週所定労働時間が三十時間以上で働くことができる、あるいは働くことを希望する
障害者が、その希望により選択できるようにしていくことが重要であり、安易に、あるいはその意に反して週三十時間以上の労働から短時間労働に代替されることがないよう対策を講じる必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか、お伺いをいたします。
障害者の就労及び雇用支援施策の
推進を考える場合、
障害者福祉施策との有機的な連携が重要となることは言うまでもありません。今回の改正においても、地域
障害者職業センターの業務の追加などの
措置が盛り込まれております。
地域
障害者職業センターは、各都道府県一センター、五支所が設置されておりますが、センターの専門性とノウハウを生かした地域の就労支援力の底上げとは具体的にどのような事業及び
効果を想定されているのでしょうか。センターのこれまでの実績もあわせてお伺いをいたします。
労働
政策審議会
意見書によりますと、
障害者就業・生活支援センターは、
福祉から雇用への円滑な移行を促進し、身近な地域で職業生活の継続を支えるための支援を行う機関として重要な
役割を担っているもので、計画的かつ早急な設置が必要だとされており、新雇用戦略においても、
障害者就業・生活支援センターを全障害
福祉圏域に設置するとされています。
その際に重要なことは、当センターで働く労働者の労働条件を確保することと雇用の安定を図る
措置を講ずることにより、
障害者雇用に携わる
人材を確保し、その
能力を高めていくことができると考えます。
障害者就業・生活支援センターで
障害者雇用に携わる労働者の労働条件の実態はどのようになっていますでしょうか。厚生労働省は実態を把握しておられるのでしょうか。また、今後、設置数の増加に当たり、
人材確保のための方策をどのように考えておられるのでしょうか、お伺いをいたします。
障害者の就労、雇用を継続するためには、あわせて生活支援でバックアップすることが不可欠であります。しかし、この間の
政府の
障害者施策は、ともすると、
福祉的就労から一般雇用、就労支援により一般雇用に重点が偏っているように見受けられます。
福祉あるいは雇用、
福祉から雇用ではなく、
障害者にとっては
福祉も雇用も必要であると考えますが、その点、どのように御認識をされておられるのか、改めて厚生労働
大臣の御認識をお伺いいたします。
また、
障害者の所得の確保に係る施策のあり方については、就労支援を第一に挙げておりますが、現に一般雇用されている
障害者の経済的な
状況などについてどのように把握されておられるのか、厚生労働省の把握
状況についてもお伺いいたします。
民主党は、
障害者が当たり前に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活することができる
社会を目指しており、
障害者の生活と自立、
社会参加は権利として位置づけ、個々の人権の保障及び促進のため、具体的な施策の構築、また、
国民の共存共栄の
理念の
もと、障害当事者の自己決定、自己選択の原則が保障される法
制度を構築するために、
議論を重ねてまいりました。
障害者自立支援法のように、
政府は、
制度改正を急ぐ余り、十分な
国民的
理解を得られず、
制度がスタートしてから慌てて特別対策、緊急
措置などを講じて体裁を整える。これでは、いつまでたっても
制度に対する信頼が得られず、
我が国の障害
福祉制度は確立、促進いたしません。
私ども
民主党は、自立支援法の改正案を
提出させていただいております。立法府の
責任として
審議を行い、抜本
改革に結びつけたいと思っております。
障害当事者のニーズに基づいて、
国民的
合意を得ながら
障害者福祉施策を
推進する必要があると考えておりますので、
障害者の暮らしの実態、生活環境、就労
状況などの実態を調査検証した上で、抜本的な
改革を行い、将来にわたり安定した
障害者福祉制度を構築し、
障害者が安心して地域で暮らすことのできる
社会を
実現したいと考えております。
国民の皆様にもそのことをお約束申し上げ、質問を終わらせていただきます。(
拍手)
〔国務
大臣町村信孝君
登壇〕