○上田勇君 私は、公明党を代表して、ただいま
議題となりました
国家公務員制度改革基本法案について、
福田総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。(
拍手)
質問に先立ちまして、去る二日にミャンマーで発生したサイクロン被害により、数十万人を超える被災者が発生したと報じられております。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
ミャンマー
政府が海外からの
支援要員の入国に消極的であることもあり、被災者の救援に支障が生じているとも言われております。
政府として、人道的な
観点から、海外からの要員の受け入れを促すとともに、昨日も追加
支援を表明したところではありますが、最大限の
支援を
実施するようお願いをいたします。
さて、
我が国を取り巻く経済
社会情勢は、科学技術の発展、グローバル化の進展などにより大きく変貌を遂げております。国内においても、人口減少時代に突入し、
国民の
行政ニーズが複雑化、多様化する一方で、財政や人員などの制約要因も厳しくなっております。こうした内外の変化に対して、
我が国の
行政システムは十分に適応できなくなっており、一層効率的で
効果的な
システムへの
改革が必要となっています。
行政の担い手である
国家公務員にかかわる
制度については、
行政システムの
改革の
効果が十分発揮されるよう、
改革を進めることが急務となっております。
また、最近の防衛
事務次官の前代未聞の汚職事件、
国土交通省等におけるさまざまな不祥事、
社会保険庁等におけるずさんな仕事ぶりなど、
国民の
行政と
公務員に対する不信はかつてないほど深刻になっております。さらに、
国民は、
予算や
権限を背景とした関係
法人等への不透明な
天下りを行い、職責に見合わない常識外れの高額な給与や短期間の在職で高額な退職金を受け取るといった、
公務員が私的利益のため
税金を使い込んでいるとの疑惑を持ち、強い怒りを感じております。
国家公務員は、
国民全体の奉仕者であるとの強い自覚に立って、それぞれの
能力を国家
国民のために十分発揮するとともに、高い
倫理観を持って公務を担っていくことが求められております。
政府・与党では、
平成十三年に
公務員制度改革大綱を決定して以来、
改革に取り組んでまいりました。この間、さまざまな
意見調整の必要性もあり、ここまで必ずしも順調に
改革が進んできたとばかりは言えません。しかし、
平成十八年には
行政改革推進法の制定、翌十九年に
国家公務員法の改正を行うなど、これまで着実に前進があったものと
認識しております。私も、
改革の必要性を強く感じ、初期の段階から
議論に積極的に参画してまいりました。本
法案は、これまでの
改革の成果を踏まえて、さらに
議院内閣制に本来ふさわしい
仕組みとするなど、
改革を前進させるものだと
考えております。
今、
国民が最も強く求めているのは、
天下りによる
税金の
無駄遣いの根絶であります。これまでにも、
独立行政法人、公益
法人の役員への
公務員OBの就任制限やその公表、現役出向
制度の導入や退職金算定
基準の引き下げといった改善を順次行ってまいりましたが、
現状はまだまだ不十分だと
考えております。また、昨年の
国家公務員法の改正では、再就職に関する規制の導入や、各
府省によるあっせんの
廃止と
官民人材交流センターの
設置など、退職
管理の
改革を実行いたしました。
総理は、
天下り問題について、これまでの
改革の成果をどのように
評価しているのか、また
現状をどのように
認識されているのか、さらに、今後、
行政と関係の深い公益
法人等への
天下りの原則禁止等一層の
改革を
検討するべきだと
考えますけれども、
総理の御見解をお伺いいたします。
天下り問題と密接に関係があるのが
公務員の早期退職慣行です。
公務員が定年まで公務を継続できれば、
天下りは必要なくなります。
改革の第一歩として、
平成十四年の閣僚懇談会申し合わせで、
平成二十年度までには原則として
現状に比べて平均の勧奨退職年齢を三歳以上高くすることを目標とすると定めました。我が党で調査したところ、十九年度までの
実績を見る限り、残念ながらこの目標達成が難しいのではないかと思われます。
総理の
現状認識と目標達成に向けての御所見をお伺いいたします。
次に、本
法案では、
採用時の
試験区分による
人事の硬直化を改善し、多様な
人材を適材適所に登用することを目指して、
現行のいわゆる
キャリアシステムを
廃止することとしています。一方で、新たに
政策の企画立案
能力を有する者を
採用するための
総合職試験を設けることとしており、
現行の1種
試験よりも人数を絞って
採用する
考えであると聞いております。これは、新たに特権的ないわばスーパー
キャリア官僚を生み出し、
人事を一層硬直化させて霞が関の閉鎖性を強めるのではないかということが懸念されます。そうした事態を防ぐためには、就職後の
人事評価を厳正かつ適切に行うとともに、
総合職試験合格者以外から積極的に
幹部を登用することが必要だと
考えますが、
公務員制度改革担当
大臣の御見解をお伺いいたします。
また、前例や慣行に縛られた硬直的な発想を脱して、多様化する
国民の
ニーズに的確に対応した施策を立案し、効率的な業務執行体制をつくっていくためには、民間の
考え方や仕事の手法を取り入れていくことが重要であります。そのためには、民間出身者を積極的に登用していくべきであると
考えます。その際、多様な経験と
能力を持つモチベーションの高い
人材を
確保するためには、公募制をとるとともに、その選考過程の
透明性を
確保することが重要だというふうに
考えております。
長い間、民間企業の第一線で仕事をしてきた方が、そこで培った知識や
能力を、今度は国家
国民のために役立てていきたいと言っている人も少なからずおります。こうした
人材を積極的に
活用し、
国民にメリットのある、真に
機能する
官民の
人材交流を
実現するための方策について、
公務員制度改革担当
大臣のお
考えを伺います。
次に、
公務員の業績
評価の
あり方と信賞必罰の必要性についてお伺いいたします。
多くの
国民は、立案した
政策の失敗や不適正な
職務に対して、
公務員が全く
責任をとっていないのではないかと強い不満を持っております。
社会保険庁や
国土交通省に係る問題を初めとして、残念ながら、
責任の所在があいまいになっている事例が多過ぎるのではないでしょうか。また、公金着服、
情報漏えいといったさまざまな不正、法令違反の行為についても、身内の調査だけでお茶を濁しているケースが多く、
責任追及が不十分であると感じております。
本
法案では、「
職員の
倫理の確立及び信賞必罰の
徹底」が定められていますが、この規定をきちんと
機能させていくことが必要であります。離職後であっても退職金の返還請求や懲戒免職以外の場合での退職金の減額等を可能にする
制度の
改革が必要だと
考えますが、総務
大臣のお
考えを伺います。
最後に、
労働基本権問題について
質問をいたします。
公務員制度の
改革を実行する上では、
責任ある労使関係の構築など
労働基本権の
あり方の見直しも必要だと
考えます。
行政改革推進本部専門調査会を
設置し、昨年十月に「
公務員の
労働基本権の
あり方について」との
報告書を取りまとめました。その中では、争議権など、
意見集約に至らず両論併記となっている部分も多く残されてはおりますが、一定
範囲の非現業
職員について労働
協約締結権を新たに付与するなどの見直しが提起されています。
本
法案では、本件について見直しの方向性やタイムスケジュールが明確になっておりません。早急に
労働基本権の
拡大などについて
検討を行い、結論を出すべきだと
考えますが、
総理並びに
公務員制度改革担当
大臣のお
考えを伺います。
公務員制度の
改革は、
我が国の
行政に対する内外の信頼性を回復するとともに、将来にわたり
国民生活の安心と経済の
活性化を図っていく上で極めて重要かつ緊急なテーマであります。本
法案を早期に
成立させ、
改革を着実に進めていく必要性を強調し、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣福田康夫君
登壇〕