○長安豊君 長安豊でございます。
私は、
民主党・無所属クラブを代表して、
道路整備費の
財源等の
特例に関する
法律の一部を改正する
法律案に反対の
立場で
討論を行います。(
拍手)
本
法案は、道路をこれまでどおりにつくり続けるために、
国民からの血税を、道路特定
財源という、道路族と道路官僚に使い勝手のよい財布に流し込む仕組みをさらに十年にわたって温存しようという、時代錯誤的な希代の悪法であります。真に国の未来を思い、
国民の生活を思う
政治家は、毅然としてこれに反対すべきであります。
以下、反対の
理由を申し述べます。
まず第一に、立法の精神として、
日本を取り巻く経済社会情勢の変化に対する認識が
決定的に欠如しています。
少子高齢化が進行し、
日本経済の成長力が低下する中で、これまでの道路
整備のあり方を見直し、変革していこうという志が全く見られません。
政府は、今をさかのぼること二十年余り、我が国が
バブル経済と呼ばれた時代に定めた四全総における一万四千キロの
高速道路建設を、いまだ無分別に続けようとしているのです。道路栄えて国滅ぶという、まさにこのことであります。
現実に、立派な道路が開通する傍ら、そこに住む人は減り、病院はなくなり、地域の活力が失われている例は枚挙にいとまがありません。今必要なことは、道路特定
財源を死守することにきゅうきゅうとするのではなく、どうしたら
国民が幸せになるのかを考え、そのために必要な最善の資源配分を考えるということであります。これは、一般
財源化によってこそ実現できることであります。
第二に、今後の我が国の道路
整備を考える
議論の前提として、
日本が国家としてどのように国土開発を行い、インフラを
整備していくのかというグランドデザインが欠如していることです。
人や物の効率的な移動にかかわるインフラには、鉄道や空港、港湾など、道路以外にも多様な
手段があります。道路
整備が格段におくれていた道路特定
財源制度草創期と現在では、私
たちを取り巻く経済社会環境は大きく変化しています。今の
政府には、その変化を踏まえ、総合的な交通体系を発想する意欲も能力も全くありません。過去の計画の延長と焼き直しの発想で道路をつくり続けるのではなく、地域に暮らす人と環境に優しい交通体系を再構築することこそ、
国民が我々
政治家に求めていることであります。
第三に、今後十年間もの間にわたって暫定税率を延長し、
国民に多大な
負担を強いる
法案であるにもかかわらず、その根拠となる道路の中期計画に算定されている事業量の根拠は全く薄弱であります。
まず、当初六十五兆円であった事業量が、
政府・
与党合意によって瞬く間に五十九兆円に減額されたそのいいかげんさには耳を疑いました。
法案審議の中でも、合理的な
説明は何らなされず、つじつま合わせに官僚が四苦八苦していたというのが実態であります。
さらに、高規格幹線道路のBバイCを算出するに当たって使用された数値の古さ、算定の恣意性など、計画そのものの信頼性を大きく損なうような事実も次々に明らかになりました。客観的な数値を装いながら、全
路線が建設されるように数値をもてあそぶのは、
国民を愚弄するに等しく、このようないいかげんな中期計画をもとに、暫定と称して
国民に多大な
負担を強いることは許されません。
第四に、道路特定
財源の一般
財源化の方向性が完全に放棄されていることです。
道路
整備で余ったお金を申しわけ程度に一般
財源化するというだけでなく、過去に一般
財源化した分については後年度に道路
整備に優先して使用できるという、巧妙な道路
財源の埋蔵金化が仕組まれています。これはまさに一般
財源化の偽装であり、改革の放棄にも等しいやり方であります。
このような仕掛けをつくるのであれば、いっそのこと全額一般
財源化したらいかがでしょうか。必要な道路は、堂々と一般
財源から支出すればよいのです。教育であれ医療であれ、必要なもの、優先度の高いものを一般
財源から支出するのに、何をためらう必要があるのでしょうか。一般
財源化したら道路
整備ができなくなると言っている
政治家は、道路
整備の必要性が低いことをみずから宣言しているに等しいことに気づかないのでしょうか。
第五に、
法案審議の過程で、道路特定
財源の無駄遣いが次々と明らかになったことです。
国土交通省関連の公益法人への天下り、随意契約、福利厚生と称した公金の私物化、口にするのも恥ずかしいような行為が綿々と続けられていたのです。こういった無駄遣いや組織の腐敗を是正することなく、今後十年もの間、暫定税率を維持し続けることに
国民が納得すると本当に思っているのでしょうか。
私は、今の
日本は未曾有の
危機にあると考えています。若者が将来に夢を持てず、子供を産み育てようという気持ちになれない
現実は、長期的に見れば、
日本が持続可能な国家ではないということを示しています。これからの十年は、再び
日本が、日出る希望の国に戻ることができるか否かを決める大事な十年であります。そのような
危機意識に立つとき、これまでと同じように、特定
財源制度のもとで道路を優先的に
整備していくということが正しい
判断とは思えません。どんなに立派な道路をつくっても、それだけで人が幸せになり、国が成長するわけではありません。
私は、一人の
政治家として、今の子供
たちに、そして生まれ来る子供
たちに、成長と幸福の機会を残すことこそ
政治の使命だと考えています。
議員各位の賢明なる御
判断を求め、私の反対
討論を終わります。(
拍手)