○細川
委員 民主党の細川律夫であります。
まず、昨日死刑執行が四名行われたということで、その点について私の方から少し申し上げたいと思います。
約二カ月に一度、五カ月で十人という異例のスピードでございます。まさに
大臣が就任直後に語っておられた、そしていろいろと問題になりました、ベルトコンベヤー式の執行というふうに思います。
世界の情勢を見ますと、死刑
制度があるのは先進国では米国と
日本だけでございます。しかも、米国では州によっては死刑が廃止をされているところでもあります。死刑執行停止を続けている国とか、あるいはごく少数の罪以外は死刑を廃止している国も多いところでございます。そして、国連では昨年十二月、総会におきまして、死刑執行停止の決議がされました。また、EUでは、EUに加盟するには死刑
制度があれば加盟できないということになっておりまして、死刑
制度がないことがEUへの加盟要件となっております。これもまた、有名なところでございます。
そしてまた、この
委員会でも議論になりましたけれども、来年からは
日本は
裁判員制度が導入されます。その中で、玄人の
裁判官が大変死刑判決には苦労をされるというか悩むという、ましてや素人の
裁判官が死刑判決にかかわるのもこれまたどうなんだろうかという問題もこの
委員会でも
指摘をされたところでございます。
そういう世界の流れ、あるいは
日本での議論、そのことを
考えますと、私は、本来死刑執行というのには謙抑的になるのが当然だというふうに
考えております。そういう時期に、これまでにない異例の速さで既に十名の死刑を相次いで執行したということについては、私は心から遺憾の意を表したいというふうに思います。
この点については、もう
大臣はいろいろ
意見を言われておりますから、ここで質問という形ではなくて、前には
委員会の日に死刑執行されましたし、昨日、きょうの
委員会がわかっているのにまたその前日に執行ということでありますから、あえて私の方から
意見を申し上げておきます。
それでは、予定した質問に移りたいと思います。
私は、きょうは
警察とか
法務の身内の人が絡んだ
事件の
捜査についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
四国の方で
警察の白バイに絡む
事件が
二つありまして、今
裁判でも争われております。その件をちょっと
二つ御
紹介いたしたいと思います。
一つは、二〇〇四年十一月に起きた松山市での事故でございます。
これは、松山西署の白バイが高校生の少年の運転するオートバイに衝突をして、両者が重傷を負ったものであります。松山西署は少年を業務上過失傷害で書類送検して、松山家裁は少年の非行事実を認めて
保護観察処分といたしました。しかし、少年側は
警察の主張する事実認定を否認いたしまして、
自分が停車中に白バイがぶつかってきた、こういうことを主張いたしまして高松高裁に抗告をいたしました。高松高裁は、
警察関係者の
供述調書だけに基づいて事実認定をしているとして、審判を差し戻しました。そこで、松山家庭
裁判所での差し戻し審判では、白バイにはブレーキ跡があるがオートバイにはなく、非行事実の認定には疑問が残るということで、少年を不処分に決定いたしました。これは、刑事
事件に例えれば逆転無罪ということでございます。そこで、少年側は国や県に損害賠償を求める
訴訟を地裁に起こしまして、県の方では逆に白バイの修理費を求めて反訴している。これが、松山での
事件でございます。
二つ目は、二〇〇六年の三月、高知県の春野町というところで起きた事故でございます。
これは、スクールバスを運転中に白バイと衝突いたしまして当時二十六歳の隊員を死亡させたということで、運転手が業務上過失致死罪に問われたものでございます。運転手は、右折しようと停車しているところに白バイが衝突した、バスのスリップ痕は
警察による捏造と主張しましたけれども、一審、二審ともに退けられまして、現在
最高裁に係属をいたしております。この
事件では、バスに乗っていた当時の中学生や随行した
先生たちが、
自分たちの体験した事実と
裁判の結果が異なるということで、運転手の無実を訴えております。
この
事件は、
二つとも白バイの
事件でございます。これは、現在も係争中でございますから、その事実
関係について立法府で私が
意見を述べる立場ではないということは承知いたしておりますけれども、いずれも
警察が身内の人間をかばっているんではないかという疑問が寄せられております。
現に、松山の事故では高等
裁判所と差し戻し審の家庭
裁判所で
警察の事実認定に疑義が示されていますし、高知の事故では
被疑者が実況見分は
警察車両に乗せられたまま行われた、こういうことを言っていることなどもありまして、大変不自然なところが多いところでございます。
また、松山の
事件では、
警察の
捜査記録に少年の
保護者がこんなことを言ったと記せられていますね。本件
捜査に対して異常なまでの
異議、苦情を申し立てたというようなことが
捜査記録に残っておりまして、
捜査に当たった
警察官の主観があらわになっているような事実が散見をされます。
そこで、この
二つの例を見ましても、私は、
警察官が関与した
事件である場合は、例えば最初から検察などがまず調べていくとか、
警察官関与
事件あるいは
警察の内部のような
事件については第三者がしっかり監視できるような
制度というものをきちっと検討いたしまして、偏った
捜査がされているのではないか、身内に甘い
捜査がされているのではないか、そういうことを疑われないような
制度をしっかり検討すべきではないかというふうに思っております。
以前から
考えておりますように、李下に冠を正さず、あるいは瓜田にくつを入れずというような格言がありますように、
国民の側から疑いの目で見られる可能性があるのならば、最初の入り口
段階から変えていくべきではないだろうかというふうに思っております。そうでないと、
警察の言い分が事実だとしても、世間の方は信用しないのではないかというような危惧を持っております。
私はそのように
考えているところですけれども、この点について、
警察庁の見解をまずお聞きしたいと思います。
〔
委員長退席、実川
委員長代理着席〕