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伊東参考人 NTTドコモの
伊東でございます。
本日は、
意見を述べる
機会をいただきまして、ありがとうございました。
私は、
事業者としての
立場から、
ネット上の
有害情報から
子供を守るためにはどうしたらいいかということに対してどう取り組んでいるかということを中心に、
お話をさせていただければというふうに思います。
ドコモとしましては、ほかの
携帯事業者も含めてそうなんですが、最近の
携帯が
インターネット化しているという
状況で、かなり従来の
携帯の環境とは変わっている環境に置かれているというふうに認識をしておりまして、特に
子供をそういう
有害情報等から守ることに対して、何とかしなければならないという意識はもう十分持ち合わせているつもりでございます。
その点で、ドコモといたしましても、キッズケータイをつくるだとか、あるいは
フィルタリングサービスを、五年前から実はやっているんですけれども、始めるだとかということで取り組んでまいりました。ただ、先生方御認識ございますとおり、十分かというと、かなりほど遠いといいましょうか、まだ改善の余地がある
状況であるということは認識しておりまして、現在、
事業者を挙げて、ないしは関連団体と協力しまして、どう取り組むかということを考えてございます。
資料を御用意いたしましたけれども、まず、対象となる
子供たちに余分な使う
機会を与えないように、アクセス制限をするようなサービスをどう普及してきたかということを一ページに書かせていただいております。
新規の御契約をなさるお客さん、親御さんの名義であろうが本人名義であろうが、この件については本年二月ないしは三月からかなり厳密に運用させていただいておりまして、後ほど述べますけれども、成果もそれなりに出ているというふうに考えております。
ただ、問題は、既存の
携帯をもう既にお持ちのお子さんたちに対してどういう手をとるかというのが結構大きな問題でございまして、既存の契約者に対してどういう
措置をとっていくかというのがこれからの大きな課題だというふうに我々は認識してございます。
資料の二ページでございますが、先ほど申し上げましたとおり、五年ほど前から
フィルタリングサービスというのは実はやっているわけでございますけれども、なかなか普及しなかったといいましょうか、正直申し上げて、そんなに積極的に、いわゆる販売というんでしょうか、そういう
観点ではセールスはしてこなかったということもございますので、割と自然体に任せてきたというのが実態でございます。
その結果、二〇〇六年の九月のときには約五十二万という契約がいらっしゃったんですけれども、先ほど申し上げましたような取り組み等を始めまして、新規の契約のお客さんについては、これはまだ推計なんですけれども、半分以上の方については契約いただいているというふうに把握してございます。
では、すべてでどうなっているかというのが二ページ目の右端にあるんですけれども、これは昨年度末、八年三月末の
状況でございますが、百四十九万契約、約百五十万契約の
フィルタリングサービスを提供申し上げているということで、全体のパイがなかなか推計できないんですが、市場全体では大体七、八百万、ドコモでは四百万ぐらいのお子様の契約、お子様が使われている場合があるというふうに想定していますので、大体三割強ぐらいは
フィルタリングがついているというふうに認識しております。
特に、今年二月、三月から
対策を行って以降なんですけれども、新規のお客さんにつきましては、半分強としか把握していないんですけれども、
フィルタリングサービスをつけられている。半分強が多いか少ないかという
議論は大いにあるかと思っております。まだ半分ついていないじゃないかという
議論もあると思っていますけれども、なかなか、親御さんとお使いになられるお子さんとの
関係で、やはり
フィルタリングがないサービスを使いたいという親御さんも結構いるようでして、結果的には半分強ぐらいの契約になっているというのが実態でございます。
三ページのところに、私ども
事業者とほかの団体とがどういう
関係にあるかということを整理してまいりました。
現在、右上にあります
第三者機関というのが、モバイルに関してはEMAという機関がございますが、これがつい最近発足いたしまして、私どもとどういうふうにコラボレーションしていくかということを今検討中でございます。もうじき方針だとか具体的なリストだとかが出てくるというふうに聞いておりますので、ここの効果というのがもうじきマーケットに出てくるんじゃないかというふうに思っております。
それと、その下のところに
フィルタリングリスト提供
会社というのがございまして、これはドコモの場合では
ネットスターという
会社さんを使わせていただいているわけなんですけれども、ここで実はいわゆるブラックリストと呼ばれるリストをつくっているわけでございます。それを私ども御提供いただきまして、
フィルタリングの機能の中にそのリストを埋め込みましてサービスを提供しているということになってございます。
この三者の
関係を強固にしていくというのが今後の
フィルタリングを実効たらしめるためのキーになってくるというふうに思っておりますけれども、私どもを含めまして
第三者機関に参画させていただいておりまして、極力、先ほど二
参考人からの
意見にもございましたとおり、我々
事業者、
民間でできるだけ自主的に、なおかつ効果的な
施策を提供申し上げたいという意気込みでやらせていただいております。
問題は、自主的じゃなくて、効果がシステマチックにあらわれることだと思っていますので、これはかなり気を締めてかからなければならない課題だというふうに認識しております。一番問題は、システムはつくったんですけれども、多分、それをどう運用していくかというのが一番大きな課題になるというふうに考えておりまして、これは、私ども
事業者もそうですけれども、実際に
フィルタリングのブラックリスト等をつくる
会社、それをチェックする
第三者機関、これがそれぞれうまく運用していかなければならない。
現在、ある程度システムはでき上がっているわけなんですけれども、それも多分、運用してみると、必ずしも一〇〇%完璧とは思えないかもしれません。それはある程度カット・アンド・トライということになると思うんですけれども、自浄作用というんでしょうか、自浄機能というんでしょうか、そういうものは今のところまだ持ち合わせているというふうに私ども理解しておりますので、ぜひその成り行きを見ていただければというふうに私どもは考えている次第でございます。
四ページのところに、ちょっとわかりにくい図で申しわけないんですが、青い全体がとにかく
携帯でアクセスできる
インターネットの空間だというふうにお考えいただければよろしいかと思うんですけれども、その中に、今回ブラックリストということで、
インターネットサイトの中の特定の
サイトについて、これは信用に十分たらしめるということで除去するというのが、先ほど言いましたEMAの役割でございます。これを私どもは埋め込ませていただきまして、ブラックリストから、健全であろうと思われる個別の
サイトをアクセス可能にするという取り組みを今やっているところでございます。
それに加えまして、左側に「
サイト毎のホワイトリスト登録」というふうに書いてございますけれども、これはEMAの取り組みとはちょっと別に、
事業者としての取り組みだというふうに御理解いただければいいと思います。
ブラックリストには載っかっているんだけれども、その使い方、例えば、私どもの
子供に対してはこのリストは絶対安心できるから親として責任を持って提供できる、親権者として責任を持って提供できるという
サイトもあるのではないかというふうに思っております。そういうものについては、運用が非常に難しいかもしれないと覚悟はしているんですけれども、親権者ないしは責任者の同意をもとに、ホワイトリストとして閲覧できるようにする
仕組みを現在こしらえております。これはもう少し時間がかかるんですけれども、多分、来年の年明け早々には提供できるんじゃないかというふうに、今一生懸命開発しているところでございます。これを入れれば、世間一般的なレベルプラスアルファのお子さんの利用環境はつくることができるということで、かなり個々に応じた利用環境というのが設定できるという前進になるんじゃないかというふうに考えております。
ただ、先ほどから申し上げているとおり、運用、オペレーションについては結構難しい面があるのかなと。ではどういうオペレーションのもとにその
サイトの登録を許可するのかということが非常に難しい問題だと思っております。
最初は、多分かた目にやらざるを得ないかというふうに私は思っているんですけれども、これも運用の中で、カット・アンド・トライでやっていけたらというふうに考えております。
キッズケータイの
お話を五ページ以降はさせていただいております。
一つ簡単に申し上げますが、私どもキッズケータイを開発した一番当初は、実は、安心、安全というテーマではあったんですけれども、こういう
フィルタリングを中心とした安心、安全というよりは、どちらかというと防犯の面を重視したキッズケータイというのをつくってございました。したがいまして、防犯ブザー等、例えば何かあったときにはメールが親御さんに飛んでいくという、割と防犯面の機能がメーンだと我々実は考えていたんですけれども、途中から
フィルタリングがあるなというふうに思いまして、
フィルタリングの機能もかなり充実してまいりました。
六ページのところにデザインの絵がかいてありますけれども、
最初はだれが見ても小学生が持つ
携帯というイメージがございまして、とても高校生が持てないというデザインでありましたけれども、右側の昨年年末に出したのは、割と中高生でも持てるデザインのものを開発したつもりでございます。お子さんもあれを持ちたいなと思えるような端末の魅力というのが、私どももう
一つの努力の
方向かなというふうに思っております。
キッズケータイ、静かですけれども結構売れておりまして、約六十万台ぐらいの今契約数がございます。これを今後どうしていくかということを七ページにちょっと簡単に書かせていただきました。コンセプトとしては、今説明申し上げましたとおり、安心、安全というのは追求していくつもりでございます。
今のキッズケータイにも入っているんですけれども、例えば自分の居場所を親御さんに知らせたくない場合、一番簡単な
方法は電池を抜いちゃう
方法なんですが、電池が抜けないようにするだとか、そういった
工夫を今もしております。これは余りにも禁欲的な
方法じゃないかという声も実は聞こえているんですけれども、もう少し受け入れられやすい環境というのもつくっていきたいと思っていますが、バッテリーに関しては、多分この
携帯をつくったときの
一つのキーになるかというふうに考えております。
あと、わかりやすさというところで
一つ書いておるんですけれども、今回のF801iにも投入しているんですが、
携帯によって、これは設定が要るんですけれども、設定でカテゴリーが、クラスが分かれます。例えば、よりきつい
フィルタリングがかかるような設定もできますし、防犯ブザーだけの設定もできますし、あんしんセットと言っているんですけれども、そういう使いやすさというのを考えたものをつくっていこうかと思っています。
こういうことで概念を広げておるんですけれども、次機種、今開発中でして、いつ出るかというのはまだちょっとここでは申し上げられないんですけれども、ぜひ近いうちに、デザイン的にも機能的にもより魅力のある、お子様が安全に使える
携帯というのを
事業者の責任として出していきたいというふうに考えております。
あと、蛇足になりますが、リテラシーの向上というんでしょうか、やはり、今回、キッズケータイにしてもそうですし、
フィルタリングにしてもそうなんですけれども、存在をなかなか知り得ないというところもございまして、それをぜひお子さんないしは保護者の方に知らせる努力というのが重要じゃないかというふうに考えております。
したがいまして、ケータイ安全教室と言っているんですけれども、我々、学校に出向きまして、昨年まで合計で五千回弱の安全教室というのをやってまいりました。結構好評をいただいておりまして、ことしも随分招請をいただいております。ことしの計画では、これまでの累計と同じ、五千回ぐらい、五千校ぐらいを訪問して、
携帯に関する御理解を深めるという努力をさせていただきたいなというふうに思っております。受講人ももう七十万人を超えてございます。
あと、最後のページなんですが、これも宣伝が、PRがちょっと不足しているかなという反省はあるんですけれども、例えばキッズケータイの、先ほど申し上げました、設定
方法でありますとか、
フィルタリングの使い方でありますとかということを、どのような御要望にもおこたえできるような
専門のデスクを設定してございまして、やや頭打ちといいましょうか、平行なんですけれども、一日にしますと大体百六十件ぐらいの御案内、コールは来ておりますので、かなりその存在価値というのは認知されつつあるのかなというふうに私どもは思っております。もっと、一けたふえるぐらいの案内が来てもしかるべきかなとは思っているんですけれども、これもよくよく宣伝をさせていただきたいなというふうに思っております。
現在、私ども取り組んでいる
状況を中心に御説明申し上げましたけれども、先生方の御指導もございまして、私ども
事業者ないしは先ほど言いました
第三者機関等も含めまして、かなり真剣に取り組んでいるところでございますので、ぜひ先生方の御理解をいただきまして、自主的に、システマチックに取り組める今の取り組みを御支援いただければというふうに思います。
以上でございます。ありがとうございました。(拍手)