○市村
分科員 これは前にも
議論しましたけれども、つまり、選択肢になっていないんですね。それだけ質の違うものなら選択肢なんですけれども、本来質は同じなんです。
きょうはお手元に
資料があると思います。
公益法人と特定非営利活動
法人の比較ということで、お手元に
資料をお届けしていますけれども、これをつぶさにここでやっていると時間もありませんので、ぜひとも
大臣にまたゆっくり見ていただきたいんですが、特定非営利活動
法人と、公益社団、公益財団なるものについて、例えば設立の際に必要な書類とかを見比べていただいても、あと、情報公開の
制度にしてみても、監督にしても、残余財産の分配にしてもということで、こういうのを見ていただければ、そう変わらないんですね、変わらないんです。
特定非営利活動
法人は、今いわゆる認定特活
法人、認定特定非営利活動
法人となる、つまり、特増並みにする方法もあります。今八十をやっと超えたというところでありますけれども。これと、今度の、一般社団、一般財団が公益社団、公益財団になる方法というのは、今度は公益認定等
委員会でガイドラインに基づいて認定を受けるということになるとは思いますが、この違いが大きいと思います。
ただ、一方の、特定非営利活動
法人に関する、特増になるときのパブリック・サポート・テスト等々の話というのは、前二年間の実績がないとだめなんですね。前二年間の実績の中で、寄附の割合が、今特例で三分の一が五分の一になっていますけれども、寄附が五分の一以上ないとだめというような
状況が
一つ大きな認定基準としてあるんですね。しかし、これは二年間の活動実績が要るわけです。しかも、特定非営利活動
法人の段階では寄附優遇税制がありませんから、なかなかこれで寄附を集めようというのは難しいですね。例えば、寄附優遇がある、政治家に寄附すれば。ほとんど集まらないんですよ、もう難しいですよ、これは。もちろん政治家への信頼感がないから仕方ないかもしれませんけれども。これを集めろと言ったってなかなか難しいんですよ、今の段階では。
一方の、今度の公益社団、公益財団に関しては、これは活動実績は要りません。一般社団、一般財団になったらすぐに公益認定等
委員会に書類をそろえて持っていって、後はガイドラインに基づいて認定してくれという話ですね。これは
民間の有識者から成る
委員が決めることですから、もちろんほかの官庁から来られた方が茶々を入れるとは僕は信じておりませんので、
委員の、これはいいじゃないかということで決まっていくわけですから、こっちの方がこれからはやはりいいんです。だから八割方いいんじゃないかというふうに僕は評価をしている部分があるんですね。
もちろんこれは、ガイドラインの中身とか公益認定等
委員会のあり方とかが問われてきますけれども。つまり、抑制的に、なるべくさせないようにしようとしてしまったら、これはやはりまた今と同じです。しかし、この間も、
内閣委員会での
議論では、違う、これからは
民間の公益を増進するという立場でやるんだと高らかにうたっていただいていますから、よもや抑制的にするとは私は信じていませんけれども。そういうところで、ようやくいい
制度になっているんです。
前から何度も申し上げているように、特定非営利活動
法人が生まれたときの
議論を考えると、まさに今
政府がやろうとしていることをやはり求めていたんですよ。あのときも、別に認証でやってくれと言っていなかったんです。たまたまあのとき、民法三十四条があったから認証にならざるを得なかったんですね。これは、私もあのとき野党案をつくっていましたから、泣く泣く認証ですよ。本当は準則主義でやりたかったんですね。ところが、民法三十四条
法人を何とかせないかぬ、これがもう前提にありましたから、つまり、民法三十四条を置いたままだとどうしてもこれは準則主義にはならない、こういう
議論があった上で特定非営利活動
法人は認証になっているんですね。でも、あのときに私たちが求めていたのは違うんですよ、準則主義でやってほしいという話だったんですね。今回の一般社団、一般財団のように、そもそもが。
しかも、大切なのは何かといいますと、さっきから申し上げているように、やはりお金なんですよ。そこに行き着かないとだめなんですね。お金がないと活動は維持できないんですよ。
でも、この国はお墨つき社会だったものだから、
法人格を取ったら官の信が得られる。
日本人も本当にかわいそうというか、お墨つきをうれしがるわけですね、ああ、これでと。いいんですよ、認証が。お認めいただいたと。認証ですから、お上からお認めいただいた存在にさせていただきました、こういうことになっちゃったわけですね。
お認めいただいたら当然御加護があって、ちゃんとお金がおりてくるとみんな信じたわけです、ここで、特定非営利活動
法人の方々は。信じていたら、お金はおりてこないんですよ。それで、一体どうなっているんですかという話になっちゃっているんですよ、ほとんどの
人たちは。このお話は。
あとは、お墨つきをいただいたということを宣伝して、利用して、ある種やくざまがいの
人たちが、暴力団とかが利用して、それを悪用した部分もあるわけですね。前提にお墨つき社会があるわけです。
しかし、お墨つき社会はもうだめですよね。今になり、
政府も
公益法人改革を進めて、もうそんなお上意識でやっていちゃだめだと。やはり公僕として、我々政治家もそうですけれども、公僕として国民のために尽くすんだ、こういう
制度にしていこうと
政府もお取り組みいただいていますよね、
公益法人制度改革で。なっているんですよ。
だから、やはりそういうお墨つき社会じゃなくて、本来は、私たち国民が民の公を担うという決意を持って、こういう
制度を利用して非営利
法人になって、そして寄附を集めていく、寄附集めをする、収益事業を行う。
また、それが前提であれば、
政府からの補助金があってもいいですよ。でも、一番の今の問題は何かというと、
政府からの補助金とか助成金しかないのが問題なんですね。別に、もらっちゃいけないとは言っていません。お金があるところがそこしかないんですよ。結局、何かというと税金ですよ。結局は官の税金に頼っているけれども、今の民の公を担うべき特定非営利活動
法人を初め、
公益法人もそうじゃないですか、みんな税金に頼っちゃっている。
しかし、私からすると、税金に頼る存在はNPOじゃないんです。自主独立という概念が根本にないとNPOと言っちゃいけないんですね。つまり、今私たちは、NPOじゃないものをNPOと言ってしまっているんです。もしくは、NPOと名乗りたいけれども、NPOになりたいけれども、させないようにしているんですね。お金を回せないから、お金が回らないから。
だから、私たちが考えるべきは、いかにしてNPOに回るお金をつくっていくのか。フローでもストックでも、NPOに回るお金を激増させるか、これが私たちが今負っている大きな課題のはずなんですね。
そのときに
一つの手段として大切なのは、やはり税制優遇なんです、寄附優遇なんです。寄附をした
人たちが、団体に寄附をしたときに、NPOに寄附をしたときに、それを控除できる、それは所得控除もあり税額控除もあると思います。そして、とにかく寄附しやすい
仕組みをつくっていかなくちゃいけない。そうしないと、お金は出ないんですね。それをつくったとしても出ないんですよ、そう簡単には出ません。しかし、長い
期間をかけてそういう文化を醸成していく、寄附をして支えていくんだという文化を醸成していく、雰囲気を醸成していくことが大切なんです。一朝一夕にはいきません。
私が求めているのは、何回も言いますけれども、今は官製土壌です、
官僚のつくった土壌です、私は民製土壌にすべきだと言っているわけですね。岸田
大臣がおっしゃっているのは、土壌の上に何を育てるかというときの選択肢をおっしゃっていると僕は思うんですよね。それは、まずしかし、いい土をつくってあげないと選択肢にはなり得ないんですね。土には選択肢は余りないと僕は思います、この場合。いい土壌をつくる、まずここの部分を私は
議論しているわけです。
いい土をつくれば、あとは、私なりにまきたい種がありますし、植えたい苗があるわけですよ。それを大きく育てていきたいわけですね。きれいに育てたいわけです。それは、岸田
大臣も皆さんも、
山本副
大臣も
委員長も含めて、いや、そんな
制度があるのならおれもこういうことやってみたいなという話ですね。私なんかだったら、コミュニティー財団をつくりたいとか、シンクタンクをつくりたいとか夢があるわけです。
しかし、そのためには、今の官製土壌の上に幾ら私がコミュニティー財団をつくりたいと種をまいても、シンクタンクをつくりたいと苗を植えても、枯れちゃうんですよ。大きく育たないんですよ、官製土壌の上には。だって、はっきり言ってシンクタンクなんか要らないんですから、官からすれば。こんなライバルは要らないじゃない、ライバルは要らないですよね。要らないから何とか枯らそうと思って頑張ってくれるわけですね。
あとは、例えばコミュニティー財団にしても、これはいろいろな人からお金を集めてNPOに回す
仕組みなんですけれども、やはり今は、
官僚の、皆さんとは言わないけれども、今の
官僚機構という
仕組みからすると、同じ公益を担うものとしてNPOはある種ライバルですから、そこにそんなお金が回って、例えば、タウンミーティングでもいいですけれども、
政府がやると二千万かかるタウンミーティングを、NPOがやったら、同じような話を二万円でできるかもしれません。そうしたら勝負にならない。やはりNPOにやってもらった方がいいなというふうになるわけですね。それでは困るということもあるのかどうか知りませんが、いずれにしても、官製土壌の上になかなかそれは育たないんです。
だから、
民間の公を担うものを育てるための民の土壌をつくっていく、これが私の主張していることなんです。これが、NPOセクターをつくる、そのための法律をつくろうということなんですね。それが私が言っているNPO法なんです。
そのときに、さっき選択肢とおっしゃいましたが、そうじゃないと思うんです。やはりこれは、
世界の常識では、
公益法人も特定非営利活動
法人も、例えば学校
法人、私立学校ですね、それから病院、あとは、共益
法人と言われる、例えば農協とか生協とか中小企業協同組合とか、こういうのも全部実はNPOなんです、概念としては。
アメリカでは病院はNPOなんですよ。一九九〇年の終わりから二〇〇〇年の初めに一時期、
アメリカも株式会社に変えろと言ってやりましたけれども、結局うまくいかなくて、また戻していますよ。結局うまくいかないんです、株式会社では。やはり、医療とかこういうものはもうけ主義じゃだめなんです。だから、NPOとして成り立つ。
アメリカのNPOセクターの年間のGDPというのかな、百十兆ですよ、円に直すと百十兆円、すさまじいですね。それは、学校も入っていますし病院も入っていますからそれだけ膨れ上がるんですけれども。それはもう寄附市場だけで三十兆円以上あります。そして、そこからお金がNPOに回っているわけですね。
そして、
アメリカもさまざまな問題ありますけれども、その解決の主体となっているのがNPOなんですね。大きな、皆さん
御存じの例では、例えばエイズ撲滅運動というのはNPOから始まっているわけです。ちっちゃなNPOが始めて、それを全米に広め、
世界に広まっていっているわけですね、こういうものがあると。そのスタートはNPOですよ。例えばインターネットのプロバイダーと言われるものも、もともとはNPOで、みんなが趣味でやっていたわけですね。投資家が目をつけて、こんないいものがあるんだったらうちが投資するからビジネスでやれといって、NPOからビジネスの
世界に行って、今やプロバイダーというのはすごいですよね。だけれども、スタート地点はNPOなんですよ。
だから、いろいろな意味で、インキュベーションの役割を果たすのもNPOである、また、そうした民の公で、例えば医療とか介護とか、そういうのを担うのもNPOなんですね。ここが一番効率がいいという話になるんです。だから、そのためには、
制度をつくってあげなくちゃならない、土壌をつくってあげなくちゃならない、こういう
議論をしているわけです。
そのときに、せっかく八合目まで来た、すばらしい、いい
制度だと私は評価していますから、そこに、これまで我慢して努力された特定非営利活動
法人の皆さんも加えてあげた方が、僕は大変親切だということを前にも申し上げているんですが、改めて岸田
大臣の御意見をいただきたいと思います。