○大石正光君 民主党の大石正光でございます。
私は、民主党・新緑風会・
日本を代表し、
福田総理の
所信表明演説に対して
質問いたします。
戦後生まれの若さあふれる安倍前
総理の出現は、多くの
国民にとって驚きと期待で一杯でした。その期待を背負いながら、
参議院選挙で大敗北をした安倍前
総理の突然の辞任を引き継いだ
福田総理の御心境はいかがなものでしょうか。
総理に
就任されて新閣僚名簿を出されましたが、
国会開会中でもあり、御自身のカラーが出せていないような組閣でございました。
安倍前
総理の辞任は予測されないことではありましたが、政権を担当している自民党は、なぜか
総理の臨時代理を立てませんでした。
総理大臣の病気や辞任の意思表示を示されたときから臨時の
総理が立てられる規約があるはずで、危機管理の面からも代理を立てるのが当然のことと
考えます。
今回は、
国会が開会されて
総理の所信を述べられた二日後に突然の辞意表明で審議が止まってしまい、
国会が何も機能しなくなりました。自民党の勝手な行動と言われた
自民党総裁選挙の二週間の空白の後にようやく
国会が正常化することになったら、
総理は背水の陣で
内閣を引き継いだと言われました。これだけの時間を要していながら、新
内閣は何の新鮮味もなく、国際世論にも
評価されることなく、失笑されています。
九月二十六日の閣議で、
総理の臨時代理の順位を指名されました。このように順位がきちっと決められているはずなのに、なぜ指名されなかったのか、危機管理能力が疑われているのですが、
総理はどのようにお
考えでしょうか。
さて、九月に開催された国連主催の
地球温暖化の防止に関する国連
首脳会議についてお伺いいたします。
総理は、来年の北海道
洞爺湖サミット開催国である
我が国としては、この
会議をどのようにお
考えなのでしょうか。
安倍前
総理は、どの程度の位置付けかは別として、
環境問題を
一つの重要
政策として
考えておられました。しかし、前
総理の退陣を受け、九月の国連主催
会議には出席者がなかなか決まらず、最終的に森元
総理が出席をされましたが、この事態に対処する決断の遅さは極めて問題があったと思います。官房長官は安倍前
総理から判断を任されていなかったのでしょうか。
また、国連が
地球温暖化問題で指導的に
会議を開催しなければならなかった理由の
一つには、EUとアメリカの主導権争いとアメリカの中南米への
指導力の低下が挙げられると思います。
会議において
日本政府はどのような発言をされたのか、お答えください。
また、安倍前
総理がハイリゲンダム・サミットで提唱された二〇五〇年までに
世界全体の温室効果ガス排出量の五〇%削減構想を国連の場で説明されたのでしょうか。また、国連での反応はどのようだったのでしょうか。
地球温暖化問題を含めた
環境問題に対する意識は、
福田総理としてはどの程度重要視されておられるのでしょうか。
安倍前
総理が
国際社会で
地球温暖化問題に関して発言された言葉をどこまで
責任を持って
実現されるのか、お答えください。
国際社会の中で
環境問題についての
総理の発言は、
テロ対策特措法よりも大変重い国際公約となるとはお
考えになりませんか。
百六十八回臨時
国会が召集されましたが、同じ臨時
国会で二人目の
総理に所信を伺う
機会を得ましたことは思いもよりませんでした。安倍前
総理は
質問に答える責務を放棄されました。新
総理大臣は前
総理の
政策を引き継ぐと言われましたので、三週間ぶりで、二人の
総理の所信に
質問するつもりで、御答弁をいただきたいと思います。
安倍前
総理は、ドイツで六月に開かれたハイリゲンダム・サミットで議題となっていたポスト
京都議定書の提案やAPECでの省エネや
温暖化防止への
環境目標値の提案など、来年の北海道
洞爺湖サミットに向けた
取組をされてきたはずであります。
私は、
日本の国際
貢献の第一の
課題は
環境問題だと信じております。
国際社会に
信頼される
日本をつくるためには、この
地球温暖化問題が国際条約として約束された目標を達成することが
信頼の前提であると信じているからであります。
環境問題に命を懸けるならうれしいのですが、アフガニスタン・イラク紛争に
日本の命運を懸けることが
世界への公約であると公言されることは、一体どのような論理で言われているのでしょうか。
政府は、自衛隊の
活動状況や具体的
成果について詳細な
情報も提供せず、全く説明
責任を果たしておりません。これは
国会軽視も甚だしいと思いませんか。たくさんの重要懸案事項がある中で
テロ対策特措法ばかりを強調される発言は、余りにも視野が狭過ぎませんか。加えて、連日、
海上自衛隊によるいわゆる洋上給油の問題ばかり発言されている映像を見るたびに、一体
日本はいつ国際紛争に
総理の命を懸ける国になったのかと疑問を持たざるを得ません。
福田総理はどのようなお
考えを持たれているのでしょうか、御答弁ください。
さて、本題の
質問に入らせていただきます。
私たちが当面する
環境問題は、
地球温暖化問題です。来年の二〇〇八年から
京都議定書の第一約束
期間を迎えます。御承知のとおり、二酸化炭素等、温室効果ガスの急激な増加による地球の温暖化現象により、
世界各地で発生する豪雨や寒波、北極や南極などの氷河の崩壊など、数え上げれば切りがないほど異常気象が発生をしています。その一番の原因である温暖化を防止して、問題の解決策を見付けることが急務になっているのです。
京都議定書は、一九九七年に気候変動枠組条約第三回締約
国会議で、COP3で採択されました。二〇〇一年、マラケシュの
会議で開催されたCOP7で
合意した議定書の運用ルールが採択されて、二〇〇四年にロシアが批准したことにより、二〇〇五年の
京都議定書が国際的に発効されたのです。
私は、二〇〇一年に衆議院
環境委員長としてマラケシュ
会議に参加しておりましたし、次の年の五月に
内閣から提出された
地球温暖化対策推進法の改正も委員長として成立に
貢献させていただきました。衆参両院で
環境委員長としてこの法案にかかわらせていただいた者として、強い気持ちを持って
温暖化防止のために努力し続けておるのです。
気候変動に関する国際連合枠組条約に決められた第一約束
期間が二〇〇八年から始まりますが、
我が国は、一九九〇年の排出量を基準年として、二〇一二年までに六%の二酸化炭素等の削減をしなければなりません。ところが、削減されるはずの排出量が、二〇〇五年度において七・八%と逆に増加しております。この原因として、運輸部門、業務部門、
家庭部門に対して二酸化炭素等の削減の十分な
対策がなされていないことがあります。
総理は、この問題をどのような
対策をお持ちでしょうか。
次に、ドイツで開催されたハイリゲンダム・サミットでは、二〇五〇年の目標値で、主催国のメルケル首相の提案に対してアメリカのブッシュ大統領が反発していました。
会議では幾つかの提案が審議されましたが、
合意に至りませんでした。結果的に、一番無難な案が、アメリカ、
中国、ロシアなどの国によって採択されたのです。新しい
日本の
総理を温かく迎え入れるいわゆる儀式のようなことだったと思います。来年は
日本でサミットを開催することが決まっていましたので、無難に
合意しただけだと思います。
安倍前
総理は、二〇五〇年の目標値で
日本ではパイオニアのように言われておりますが、二〇五〇年という数字は実に無
責任な数字だと思いませんか。現在存在していることが五十年後にはそのまま変わらずに存在しているという保証はどこにあるでしょうか。昨年、安倍前
総理就任時点からわずか一年であの小泉カラーが政権の中から消えてしまいました。今度は、
福田総理へと政権も
政策もその性格が変わってしまうことになります。
このことだけでも時の変化の速さを示しているのではないでしょうか。半世紀後には、今のことを覚えている人はきっと浦島太郎になっているでしょう。
安倍前
総理が決められた国際公約について、
日本はどのような五十年後までの
長期計画を持っていられるのでしょうか。サミットでの発言ですから、それなりの裏付けがあってのことだと
考えます。その
政策とはどのような
内容なのですか、さらに、どのようにして五十年間にわたって
政策を後継の政権に引き継がれるのでしょうか、どうかお答えください。
〔議長退席、副議長着席〕
ところで、
総理は、所信表明におきまして、持続可能
社会へかじを切ると言われました。その中の
一つである、地球
環境に優しく、
国民負担を軽減でき、
住宅の寿命を延ばす二百年
住宅とはどのような
政策なのですか。
日本の木材
住宅から諸外国の石造りのような
住宅にでも改造させるのですか。この
政策が
国民の
住宅に対する
負担を軽減できるのか、具体的に説明願います。いたずらに二百年という言葉で表現するならば、二百年の意味をよく説明する必要があるのではないでしょうか。
自民党は、平気で
長期政策という無
責任な言葉を口にします。今までの自民党政権五十年間で、その五十年前の最初の約束が
実現した
政策が一体幾つあったのでしょうか。余りにも無
責任な時間の遊びで
国民をだまさないでいただきたいと存じます。
政府からは、サミットでは温暖化問題がすべてのように聞こえますが、
環境問題とは温暖化だけのことだとお
考えなのでしょうか。地球は人間だけのためにあるのでしょうか。地球を構成している地上や海に生息しているすべての動植物は何のために生存しているのでしょう。この地球を構成している生態系の中で、人間はその中のほんの一部にすぎません。だからこそ、多くの国々は生態系を守るために人間の
生活を制限しているのではありませんか。
ドイツでは、
環境政策でどれだけ努力しているか御存じでしょうか。国内の二酸化炭素を減らして、温暖化を少しでも防ごうと、ごみの分別で
家庭への教育が行き届いています。そして、それは実に見事に個人個人がルールどおり実践しているのです。
ドイツだけではありません。
総理は、
世界の海洋資源が急激に減少していることを御存じでしょうか。特に、マグロの
世界一の消費国である
日本は、
世界の漁獲量二百万トンのうち、四分の一の五十三万トンを消費しています。そのうち、三十万トンが輸入されているのです。
世界じゅうで乱獲されているマグロを守ろうと、各地で研究や規制の努力が続けられております。資源の回復には少なくとも五年から十年単位での保護策が必要だと言われています。
マグロは
世界の海での海洋資源管理の象徴の
一つですが、イギリスでは海の資源が枯渇しないように、人間と魚がお互いに共存できるための適当な量を守って豊かな海の生態系が崩れないような
取組、MSC認定
制度が
推進されています。さらに、フードマイルズといって、スーパーなどの小売店では、生産地からの距離を表示して、消費者もこのような省エネに努力している管理商品を購買しています。
一方、食品の安全に対しては、生産国の表示や食品の製造者や添加物の表示など、あらゆる分野について多くの国が努力を重ねています。
政府の
環境問題への
取組が真剣だからこそ、このような
活動が
世界じゅうで生まれてくるのであります。
デンマークでは、人間と動物が共生するために、デンマーク国内の各地の国立公園内に生息する動物たちが各公園内を自由に歩き、できる獣道という道を造り、二、三百メートルの幅を造っています。この道の両側には木が植栽がされていて、動物が
安心してその道を利用できるような細かい工夫までされているのです。人間や車は動物たちの移動の邪魔にならないように道路は立体化されるなど、動物への細かい配慮がされています。
地球温暖化は、人間だけでなく地球上のすべての生物を破壊に追いやるのだという認識が大前提になっているからなのであります。人間が破壊している地球の自然を少しでも守って、お互いが共存できるための努力こそが我々人間の
責任であると認識しているからこそ
世界の人々の
環境問題への
取組が始まっているのではないでしょうか。
EUの多くの国では、種の保全や海洋汚染、食の安全、動物や植物との共生共存等に真剣に取り組んでいます。
日本はこれらの
課題をまじめに
政策として実行していく
考えはないのでしょうか。
二〇一三年以降の
課題は大変難しい
課題であります。この解決には時間を掛ける必要があります。地球に生きる人と人、そして国と国とのネットワーク、そしてその時のリレーが問題なのであります。
今回は、サミットがドイツから
日本にバトンタッチされました。これは、
日本が国際
貢献するためにも国際問題の調整能力を示す上においても最大のチャンスであります。
京都議定書の公約
実現に向かって努力すれば、
環境庁が発足した当時の
日本の
環境への
取組が
世界に大変
評価されたように、再び
環境分野での
世界の指導者としての存在が大いに
世界に証明できるチャンスが生まれると確信をしております。
国連主催の
地球温暖化防止に関する国連
首脳級
会議は、
世界で百六十か国以上の国々が参加しました。この
会議では、温室効果ガス排出の削減目標をめぐって
各国の思惑が浮き彫りになりました。国連の
会議には森元
総理が参加されましたが、アメリカ
政府主催の温室効果ガスの
主要排出国会議には、高村外務大臣が出席のためにワシントンに行かれました。この排出
国会議、国際
会議は、ポスト京都をにらんで、参加した主要八か国始め、
中国、インドなどの思惑が大変交錯しておりました。
日本は、太陽光発電など自然エネルギーや省エネ技術の更なる開発などを中心に、二酸化炭素等の二〇五〇年半減を発言されたようでありますが、安倍前
総理が掲げた美しい星50とは一体いかなる構想なのでしょうか。
アメリカのブッシュ大統領は、
地球温暖化を省エネルギーの技術で乗り越えられると発言をされましたが、最近のアメリカは、温暖化問題を省エネ技術と、州単位ではありますが排出権取引で乗り切ろうという動きが見られます。
総理は、このアメリカの動きとドイツのようなEUの動きを比較して、どのように
考えられますか。そして、
日本はどちらの
政策を選択されますか。このことは、北海道
洞爺湖サミットでの、
世界の注目となる
地球温暖化問題で
日本がどのような方向に向けてかじを切るのか、
日本国民が
世界に
信頼をどのようにかち得るのか、
日本の将来を決める大事な問題ではないでしょうか。
総理の
見解を求めます。
このたび、一
議員として本
会議において、
参議院に
地球温暖化問題に関する委員会を設置されるよう提案をいたしました。
参議院に設置されるのは調査会になりました。
地球温暖化だけじゃなく、地球の自然が守られること、生きるすべての生物がお互いを尊重して共存できることを確認できること、このような点で
環境に
貢献できる組織として活用できないのでしょうか。
議員が、関係する府省を包含できる組織を
参議院に設置したいのです。
この
環境国家
日本の構想が成功すれば、
福田総理、あなたが
世界のリーダーの一人として国際的に
評価されるばかりではなく、あなたが
就任後の記者会見で述べられた、未来の
子供たちへのすばらしいプレゼントになるのではないでしょうか。いずれにしても、この
取組を
日本外交の中心的柱の
一つに据えていただきたいこと、いかがでございましょうか。
日本人は昔から自然を崇拝して、そのすばらしい自然にあこがれ、高い山や川などを自然の神としてあがめ、崇拝の対象としてきました。自然と共存して生きてきた私たち
日本人は、ヨーロッパの歴史の違いはありますが、森や山に生きる動植物を守りながら、お互いに共存させてきた先達たちに思いをはせるとき、ヨーロッパの人に負けない自然崇拝の精神を持っているはずであります。
さて、来年、北海道で開かれる
洞爺湖サミットはどのような体制で開催されますか。また、そのときに
協議されるのはどのような
課題になるでしょうか。
環境への
取組は真剣に
考えていただきたいのです。破壊するときは瞬間的でありますが、一度破壊された自然を回復するには、目に見えないほどゆっくりとした速度で、つくられた時間と同じ時間が掛かります。その自然が戻るのは、山の植林でも、植林してから伐採まで二世代の時間が掛かることを
考えても分かると思います。我々が壊した自然は孫のために
再生させるのだと
考えれば納得できるのではないでしょうか。
次に、
経済財政問題に移ります。
安倍政権は、生産性
向上を図るためにイノベーションを掲げてきましたが、現実には
労働を
強化してきたのです。
日本の
経済は、
長期的な好景気を続けていると言われながら、
都市の一部の産業に支えられています。
この好景気は
企業にとって好都合でありますが、
労働者に対する合理化の結果と言わざるを得ません。そのため、終身
雇用者の減少と人材派遣会社からの
労働者派遣とパート
労働者の急激な増加につながりました。こういったことが
地方切捨てと言われるほど
地方経済が落ち込んでいったのではないでしょうか。さきの
参議院選挙はこの安倍
総理の
政策への怒りが、
年金問題とともに、自民党の大敗北につながったのであります。この
国民の批判に対して、
総理はどのように対処するおつもりなのですか。
日本企業は、
中国始めアジアの国々に工場を移転していますが、今度は事務
労働者の分野までも合理化という言葉で
中国に移し始めています。
企業の国際競争力に負けないためといっても、国内の
労働者が働けど働けど我が暮らし楽にならず、昔聞いた言葉がまた現実になっていると思いませんか。そろそろ大
企業優先の
政策を転換して、
中小企業の
育成と技術の
向上に強力な
政策を、税制上の
支援をされることを要望いたしますが、いかがお
考えでしょうか。
行政改革についてお伺いいたします。
緑資源機構の官製談合
事件では、林野庁や緑資源機構から公益
法人や民間
企業に天下った者が逮捕されました。天下りOBを受け入れる実績などを考慮して事前に落札業者を選定していたことは言語道断であり、その根絶が喫緊の
課題となっています。
それにもかかわらず、
福田総理は
所信表明演説の中で公務員の天下り問題に一切言及しておらず、天下り問題の解決に対する意欲が全く感じられません。
福田総理は、第百六十六回通常
国会で
政府が成立させた
国家公務員法等の一部改正案の問題点をきちっと認識し、天下りの根絶に積極的に取り組むべきであります。
政府が成立させた法案の第一の問題点は、現在各省庁が行っている天下りのあっせんを
内閣府に設置する天下りバンクの下に一元化するだけであり、天下り横行を実態を何ら変えるものではありません。大体、各省庁が個別にあっせんすれば天下りで、
内閣府の下で一元化組織を通じてあっせんすれば天下りではないなどというようなばかな話が一体あるでしょうか。
第二の問題点は、天下りの原因となっている
早期退職勧奨に対して、一切ないことであります。
早期退職勧奨の禁止なくして、天下りの根絶はあり得ないというのが今日の共通
理解となっております。
総理は天下りの原因をこのまま温存するのかどうか、明確な御答弁をいただきたいと存じます。
第三の問題は、特殊
法人や
独立行政法人が民間
企業などに天下ることを規制していないことであります。これでは、中央官庁から特殊
法人や公益
法人等に一度下り、その後、営利
企業に天下る迂回天下りを防ぐことはできません。
参議院選挙の結果を踏まえて、
総理の御
見解をお願いいたします。
次に、官製談合についてお伺いいたします。
官製談合は、御存じのように公共事業などの発注者が談合に関与する行為でありますが、最近は、
地方だけでなく本省庁が直接関与する
事件が発生し、深刻の度合いが増しております。福島県、和歌山県、宮崎県などで官製談合
事件の摘発が相次ぎ、
与党は昨年ようやく官製談合防止法の改正に踏み切りました。しかし、この改正案では、重要な犯罪である官製談合に刑法で
対応しないこと、発注者が談合を黙認していた場合について何ら触れていないこと、発注担当職員の賠償
責任の厳格化のために必要な規定が設けられていないことなど問題点が多過ぎて、極めて不十分な
内容でした。
官製談合防止の実効性を高めるために、公務員OBを法律の対象に含め、さらに
事件ごとに第三者による調査機関を設置するなどを
内容とした民主党提案の官製談合防止法等改正案を成立させ、談合の防止に努める必要はないでしょうか。
食の安全について伺います。
イギリスから発生したBSEは、
世界じゅうの牛肉市場を震え上がらせました。この
事件によって、食の安全、
安心は
国民にとって最大の関心事の
一つになりました。
国民の食に対する不安を払拭し、安全な食料を安定供給することは、国家を預かる者の基本的かつ重大な責務であります。
政府は、昨年七月、特定危険部位の混入により停止されていた
米国産牛肉の輸入
手続を再開を決定いたしました。しかし、十月末には、早くも、
米国政府が発行した衛生証明書に記載のない部位が混入する
事件が発生いたしました。
こうした
状況にもかかわらず、アメリカから月齢制限の撤廃という強い要求が出ている中で、
日本政府は条件
緩和をなし崩し的に進めようとしています。アメリカ
政府のBSE
対策が何ら
改善しないままに輸入条件の
緩和を認めることは
日本国民の生命と健康に脅威をもたらします。一体いつまでアメリカの圧力に屈していかなければならないのでしょうか、御答弁願います。
今年六月以降、北海道のミートホープによる食肉偽装
事件や
中国からの輸入食品の安全性をめぐる問題が相次いで発覚しています。人間の身体は御存じのように約七〇%が水で構成されていますし、活力となるエネルギーを食品の形で摂取して生きております。きれいな空気、安全な水を飲むだけでなく、活力の源である食品の安全が
確保されてこそ我々が長生きできるのではありませんか。この原則を守れない
政府では食品
行政を任すことはできません。ヨーロッパの国々では当たり前になっている自然食品や加工食品の原産地表示を
日本でも生産者に義務付けなければなりません。
最近のアメリカで大変問題になっている
中国で生産されている食品、衣料品、おもちゃや練り歯磨きなど、数え切れないほど利用者への被害が発生しています。食品のトレーサビリティー
制度を
拡充していくことが急務ではありませんか。
先日、オーストラリアのシドニーで開かれたAPEC、アジア太平洋
協力会議では、人間の安全保障で項目の
一つとして、
中国産の食品や工業品に対する安全性が取り上げられました。さらに、消費者の安全と健康を確かなものにするため、リスクに基づいた科学的なアプローチを
強化し、安全基準の
改善協力を求めるとの
声明までが読み上げられました。
我が国の加工食品は
中国からの輸入が大変多いのに、食品の表示には
中国から輸入とだけ書かれて、製造者の名前や会社や電話番号すら書かれておりません。何年も前から
環境委員会でこの問題を取り上げ、発言をしておりましたが、表示は製造者でも販売者でもどちらでもよいとの一点張りの答弁でありました。アメリカ国内でもアジアのAPECでも指摘されているように、食の安全を高める、食品製造者の表示を義務付けるべきではないでしょうか。
大分項目が多くなってきましたが、
参議院選挙でマニフェスト公約をした戸別所得補償
制度についてお伺いいたします。
この
制度は民主党の
農業政策として提案された
制度ですから、私ども民主党が農家の皆さんに説明しなければならないことであります。しかし、
日本の
農業は、自民党
農政の結果、
農業従事者の減少、高齢化、耕作放棄地の増大など、
農業の崩壊が始まってしまいました。
政府・
与党は、昨年、
農政改革の名の下に担い手経営安定新法を成立させて、今年の四月から施行しました。この
制度は、四ヘクタール以上という一握りの大規模農家のみを対象とした
制度で、農家の実態を全く無視したため、大多数の農家が切り捨てられました。
民主党は、この
政策を抜本的に転換します。
農業農村を
活性化するため、原則としてすべての販売農家に戸別所得補償方式を
実施します。総額は一兆円程度とし、米、麦、大豆などの重点品目を対象といたします。その際、品質の
向上、経営規模の拡大、棚田の維持や有機
農業の実践など、
環境保全の
取組などに加味して農家に直接払われるようにします。このことによって、意欲ある農家が前向きで
農業に従事できるようにいたします。
政府として、いつまでも大規模農家のみを対象とした
政策を続けるつもりなのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
日本の林業についてお伺いいたします。
御承知のとおり、
我が国の林業は、この一、二年は上昇が見られるものの、
長期的には輸入木材などで木材価格低下などにより、林業採算性の悪化などで林業生産
活動が停滞しています。国内に豊富な森林資源があるにもかかわらず、木材調達の約八〇%が海外に依存している極めていびつな状態であります。緑資源機構の官製談合や緑のオーナー
制度の元本割れに象徴される国有林野事業の破綻は、これまでの林野
行政の矛盾が一気に形骸化したことにほかなりません。
民主党は、年間一兆円を超える林業関係
予算を抜本的に組み替え、林業の自立へと誘導する
施策に重点に配分する森と里の
再生プランを策定をいたしました。林業
再生は
地域間
格差の起爆剤の問題であり、今年こそ
是非とも五十年に一度の国産材ビジネスチャンスであるとの
考えの下、林業
予算の大幅
見直しをして、林業、木材産業の
活性化を図りますが、
総理のお
考えをお答えいただきたいと思います。
最後に、
福田総理は、未来への確信、若い人への希望を持てる
社会をつくると言われました。
総理が発言されている最重要法案と言われる
テロ対策特措法と、
世界が優先
課題と挙げている
地球温暖化問題と、一体どちらが重要なのでしょうか。若い人への
課題は
地球温暖化問題が最優先だと思いますが、いかがお
考えになりますか。
このたび、
福田総理にこうして
環境問題、グローバルな地球問題をいろいろ御
質問させていただきました。いろいろ
環境委員会でも、様々な委員会でも、
総理から、直接このような
質問をし、このようにお答えいただけるチャンスはなかなか得られませんでした。しかし、今回、このような代表
質問の
機会を得て、このグローバルな地球問題を言いたいときに、私は大変発言できることを幸せに思っております。
これが
日本の将来、二十一世紀の
日本がこれからの
世界に羽ばたける大きな最大のチャンスであると同時に、
日本が今までのようなあいまいな
政策で、
国際社会で出てきた外交問題を、
日本がきちっと何の問題で、外交で
日本が
世界に
貢献するのか、そして防衛問題や外交問題、さらには
環境問題、そして様々な自衛隊の問題を含めて、きちっとこの
国会の中で、きちっと
国会の説明
責任を果たして、この議会の中でお互いに
責任を取りながらこの
日本の将来を見詰めることがこれからも絶対必要なんであります。
私は、この
機会に、
是非、
福田総理が御自身の
考えで自身がどのように思われるか、そして、自身がこれから将来、自分たちの
子供や孫にどのような
日本をつくるかを
是非とも御自分で判断されて、
是非ともすばらしい
日本をつくるためにこれから
内閣を支えていただきたいと思っております。
政党人同士、
国会では議論を重ねることが度々ありますが、しかし、この議論は
日本をより良くするためだと私は
考えております。
総理、私は
日本の
政治に二大政党
政治を定着させるために民主党の一
議員として頑張ってまいりました。
日本を代表する政党である自民党が自浄作用をもって誇りと自由を持ち続けなければ、良きライバルであろう我々民主党も大きくなれるはずがありません。
福田総理は御自身の
内閣を背水の陣
内閣と言われましたが、自信を持って御自身で御自分の力で
日本を引っ張ってください。ただ自民党だけの、政権維持だけの
内閣にだけはなりませんように祈っております。自分の利害だけで独走せず、実態に合った
政策を提案し、
国民に
信頼される未来を見詰めた
政治に取り組まれようことを念願して、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣福田康夫君
登壇、
拍手〕