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2007-12-07 第168回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年十二月七日(金曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員異動  十二月六日     辞任         補欠選任         加賀谷 健君     轟木 利治君      川上 義博君     森 ゆうこ君      徳永 久志君     吉川 沙織君      中山 恭子君     岸  信夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         下田 敦子君     理 事                 白  眞勲君                 前川 清成君                 浅野 勝人君                 山本 一太君     委 員                 風間 直樹君                 川合 孝典君                 轟木 利治君                 藤田 幸久君                 水戸 将史君                 森 ゆうこ君                 吉川 沙織君                 岡田 直樹君                 岸  信夫君                 山谷えり子君                 風間  昶君                 山本 博司君                 山下 芳生君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房拉致問        題対策本部事務        局総合調整室長        兼内閣大臣官        房拉致被害者等        支援担当室長   河内  隆君        外務大臣官房参        事官       伊原 純一君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   中根  猛君        防衛省防衛政策        局次長      松本隆太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (特定失踪者問題に関する件)  (米朝協議に関する件)  (拉致情報収集体制に関する件)  (朝鮮半島非核化に関する件)  (米国北朝鮮テロ支援国家指定解除に関する  件)  (日朝協議に関する件)  (拉致帰国被害者及び家族への支援に関する件  )  (拉致問題の啓発・広報に関する件)  (米国北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除  に反対する決議の件)     ─────────────
  2. 下田敦子

    委員長下田敦子君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告を申し上げます。  昨日、中山恭子さん、川上義博さん、加賀谷健さん及び徳永久志さんが委員を辞任されました。その補欠として岸信夫さん、森ゆうこさん、轟木利治さん及び吉川沙織さんが選任されました。     ─────────────
  3. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 理事補欠選任についてお諮り申し上げたいと思います。  委員異動に伴いまして現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事前川清成委員を指名いたします。     ─────────────
  5. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のために、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長内閣大臣官房拉致被害者等支援担当室長河内隆さん外三名、政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査を議題といたしまして、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 川合孝典

    川合孝典君 民主党・新緑風会・日本川合孝典でございます。  本日初めて本委員会質問に立たせていただくに当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  私は民間労働団体出身でございますが、実は、現在判明している範囲で、十七名の拉致被害者の方のうちのお一方、そして特定失踪者リストにも実は私ども出身組織組合員さん、そして御家族の方が含まれておられるわけでございます。そういう意味では、私にとっても、そして組織にとっても大変身近な問題でございまして、これまで長らく様々な活動に私ども支援の輪を広げながら取り組んでまいった次第でございます。  そういう立場から、本問題に関して、ともかく一歩でも半歩でも、もう一ミリでもいいからこの問題を前進させたい、そういうスタンスで、そういう思いでいろいろな形で質問、提言をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、まず基本的な問題からお諮り申し上げたいと思いますが、現福田政権政府スタンスについて御確認をさせていただきたいというふうに思います。  前安倍政権の時代には、この拉致被害者範囲というものについてかなり踏み込んだ御発言をいただいておったわけでございます。昨今、六か国協議含めて様々な動きが激しくなってきている状況の中で、改めて御確認をさせていただきたいわけでございますが、福田政権では、この拉致被害者範囲というものを一体どのようにとらえていらっしゃるのでしょうかということでございます。  御回答、よろしくお願いします。
  9. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 政府といたしましては、従前から、北朝鮮当局によって拉致された被害者等支援に関する法律に基づきまして、拉致被害者として十二件十七名の方々認定をしているところであります。  しかし、政府といたしましては、この認定被害者以外にも、北朝鮮による拉致可能性を排除できない方々も存在しているという認識を持っておりまして、全力を挙げて国内外の調査、捜査を進めているところでございます。  また、北朝鮮に対しましては、認定被害者に限らず、すべての拉致被害者安全確保と速やかな帰国を強く求めてきているところでございます。
  10. 川合孝典

    川合孝典君 それでは、ちょっと、通告にはございませんでしたが、外務大臣にもお尋ね申し上げたいと思いますが、外務省では、北朝鮮交渉協議を行う際には、この対象範囲というものは、今官房長官がおっしゃったようなスタンス交渉に臨んでいらっしゃるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  11. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 当然、すべての拉致被害者が帰ってくるようにということを最終目標としているわけでございます。
  12. 川合孝典

    川合孝典君 ただいま御質問申し上げましたのは、昨今、様々な拉致に関する取組を進めていく中で、特定失踪者という方々については、実際問題として大勢の方々がそのリストには挙がっているわけでございますが、認定という意味ではまだほとんど確認作業が取られていない、認定されていないわけでございます。そういう状況の中で、ともすれば、様々な協議、マスコミ報道等含めて、この残された十二名の認定拉致被害者のことについての言及はなされるわけでありますけれども、この特定失踪者方々について取り残されてしまっている感が否めないわけでございます。  関係者もそうしたことに対しまして非常に危惧の念を持っております。この拉致被害者の安否が判明してしまった時点拉致問題解決というふうなことで日朝国交正常化が行われてしまって、結局、最終的に特定失踪者が置き去りにされてしまうのではないかという、そういう声が非常に最近強くなってきているということを踏まえて、政府の御認識をちょっとお伺いしたいと思います。
  13. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほどお答えをしたとおりでございまして、いわゆる特定失踪者の事案も含めて、まず国内での調査情報収集、これは関係省庁関係機関が緊密に連絡を取りながらそれに当たっているところでございます。このことは、拉致問題対策本部において決定した拉致問題における今後の対応方針、これは平成十八年十月十六日の対策本部決定でございますが、そのことは改めて確認をされているところでございます。  そういう意味で、北朝鮮に対しても全く同じスタンスで臨むということは、先ほど外務大臣が答弁をされたとおりでございます。
  14. 川合孝典

    川合孝典君 ただいま質問申し上げました点について、関係者の声があるということを重々御承知のこととは思いますが、踏まえた上で、そういう方々の不安をぬぐうような形でのこれからも取組をお願い申し上げたいと思う次第でございます。  続きまして、ちょっと米国アメリカ動向について御質問申し上げたいと思います。  さきの十二月三日から五日にかけてヒル国務次官補訪朝をされたと。その件に関する報道が昨日、今日となされているわけでございますが、この中で、ヒル次官補北朝鮮核計画申告をめぐって米朝間に非常に大きな隔たりがあるというふうなコメント報道としてなされておりました。  簡単な概要については新聞等にも記載されておりますが、具体的にこの隔たり内容というものを御説明をお願い申し上げたいと思います。外務大臣、よろしくお願いします。
  15. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ヒル米国務次官補は、十二月三日から五日に訪朝し、朴宜春外相金桂冠外務大臣楊亨燮最高人民会議常任委員会委員長などと意見交換を行ったものと承知をしております。  同次官補は、寧辺を訪問して核施設無能力化活動を視察すると同時に、金桂冠外務副相との間で、第二段階で行われることとなっている非核化措置、すなわち核施設無能力化及び核計画申告について時間を掛けて議論を行ったものと承知をしております。特に、申告については、ヒル次官補よりは、完全かつ正確な申告が六者会合に提出されることの重要性を強調したものと承知をしております。  米朝協議の詳細な内容については、本日午後、佐々江アジア大洋局長ヒル次官補より直接説明を受ける予定でありますが、いずれにいたしましても、十月三日の六者会合成果文書に明記されているとおり、北朝鮮は本年末までにすべての核計画の完全かつ正確な申告を行うことに合意しており、この合意が着実に実施されることが重要と考えております。  委員相違があると、こうおっしゃいましたけれども、本質的な意味で私はそういう相違があるという認識を持っているわけではございません。
  16. 川合孝典

    川合孝典君 それでは、今朝の報道で各紙が取り上げておりましたけれどもブッシュ大統領が六か国協議に参加している五か国、北朝鮮も含めて、それぞれの政府親書を送ったという報道がなされておりました。親書内容主要項目は同じながらも内容は異なるというような話の記載、これは報道範囲ではございますが、なされておったわけでございます。  北朝鮮に対しては、六か国協議合意に基づいてすべての核計画を完全に申告する必要性を強調しているというふうな米政府報道官の方のコメントが出ているわけでございますが、日本政府に対してはどういった形でブッシュ大統領メッセージは送られてきたのかということについて、外務大臣、御説明をもしお願いできればと思いますが。
  17. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今委員がおっしゃったことが当たらずといえども遠からずだと思いますが、ブッシュ大統領から総理に対する親書でありますから、私がその内容をかいつまんで申し上げるということができないことは御理解をいただきたいと思います。
  18. 川合孝典

    川合孝典君 それでは、質問の仕方をちょっと変えたいと思いますけれども、十二月三日からのヒル国務次官補訪朝、それから今回のブッシュ大統領親書といった、こういった一連動きというものを現在、政府関係各位はどのように分析しておられますでしょうか。これも外務大臣、お願いします。
  19. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) アメリカ大統領とすれば、六か国会議を動かしたい、前に進めたい、こういう意欲を示したものだと、こういうふうに私としては受け止めております。
  20. 川合孝典

    川合孝典君 何とか動かしたいという米政府思いがということでございましたけれども。  それでは、ちょっと角度を変えてということで御質問申し上げたいと思うんですが、シリア核開発疑惑の絡みの問題でございます。  さきイスラエルによるシリアミサイル攻撃、このミサイル攻撃の標的というのは、実は建設中の原子炉ではなく、北朝鮮のプルトニウムを原料とする核爆弾組立て工場をねらったんだというような見方イスラエル専門家の方の見方というふうに伺っております。そして、それを裏付ける情報として、北朝鮮が一九九〇年代にパキスタンから入手したとされるウラン濃縮用遠心分離器シリアなどの第三国に北朝鮮から移転されているといった旨の報道が、これはアメリカ国内報道でありますけれども、なされているわけでございます。  私、非常に疑問に思いますのは、このイスラエル安全保障というのはアメリカ外交にとって非常に優先順位の高い課題であるにもかかわらず、アメリカがこの一連疑惑の問題に全く触れることなく米朝協議を続けているように見えているわけでございます。  こうしたことを見ますと、私のこれは見方でございますが、アメリカがこの北朝鮮というか、朝鮮半島非核化ということをともかく急いでいるのではないかというふうに見えて仕方がないわけでございますが、この一連シリアの核の問題も含めて、この辺りのところを政府はどのように分析しておられるのかという、その認識についてお伺い申し上げたいと思います。外務大臣、よろしくお願いします。
  21. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 核の拡散動向につきましては、我が国といたしましても平素より鋭意情報収集を行っているところでございます。一方で、御指摘北朝鮮からシリアへの核技術の供与といった個別具体的な情報内容については、事柄の性質上、お答えできないことは御理解をいただきたいと思います。  いずれにしましても、北朝鮮は十月三日の六者会合成果文書において、核物質技術及びノウハウを移転しないとの約束を再確認しております。米国は、御指摘北朝鮮シリアの間の核協力疑惑についても、北朝鮮が本年末までに行っているすべての核計画の完全かつ正確な申告を通じ明確にされる必要があると、こういう立場だと承知をしております。
  22. 川合孝典

    川合孝典君 それでは、次の質問へ移らしていただきたいと思いますが、具体的な拉致問題の解決に向けたロードマップの問題についてでございます。  実際、今アメリカ国内においては、民主党が躍進することによってブッシュ政権政権基盤が非常に揺らいできていると、そういう状況の中でイラクやアフガニスタンからの撤兵論議というものも起こり始めているかのように伺っておるわけであります。ブッシュ政権は、国内での支持率が低迷する中で、ともかく国内向けに目に見える成果を求めているのではないか、それが中東和平であり、半島の非核化を急いでいるのだというようなことがしきりと言われているわけであります。  また、今アメリカ議会で多数を占めている民主党、それから大統領選に向けて動いていらっしゃる候補者方々コメントというものを拝見いたしましても、今のブッシュ政権対話路線というものに対して一定の評価をしているというようなメッセージも出てきております。  アメリカ国内政治情勢が非常に大きく動いている状況の中で、見ようによっては朝鮮半島非核化だけが優先されていくような状況の中で、この情勢を踏まえて、今、日本政府としてはどのような拉致問題の解決に向けたロードマップを描いていらっしゃるのか、このことについて、官房長官お答えをお願いいたしたいと思います。
  23. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 十月三日の六者会合成果文書、この中でアメリカ北朝鮮は、今委員指摘のような両者関係を改善して、いずれは完全な外交関係を目指すということを確認をして様々な作業が進んでいるというふうに理解をしております。  同時に、この成果文書では日朝関係についてもまた明記をされているところでございまして、日朝双方平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し、懸案事項解決することを基礎として早期国交を正常化するため誠実に努力すること、また、そのために日朝双方が精力的な協議を通じて具体的行動を実施していくこと、このことが約束をされているわけでございます。  政府といたしましては、今申し上げました日朝平壌宣言にのっとりまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、また不幸な過去を清算して日朝国交正常化早期に実現するという方針で、これは六者会合共同声明を全体としてバランスよく実施をしていくために、朝鮮半島非核化拉致問題を含む日朝関係双方がともに前進するように最大限努力を行っていく、こういうことで日朝間のバイの会合も開いているということでございます。北朝鮮側も、当然のことでありますが、この十月の成果文書にあるとおり、拉致問題を含む諸懸案解決に向けて具体的な行動を取るようにということを求め、協議をしているところでございます。
  24. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  今、日朝交渉ということを官房長官おっしゃられましたんで、その件に関しまして私の思いと申しますか、ちょっと質問かたがたさせていただきたいと思います。  先月の十一月二十二日の新聞報道で、北朝鮮金総書記が、日朝国交正常化必要性を明確に認識しているという韓国大統領からのメッセージ日本として福田総理が聞かれたと。それを受けて、日朝協議交渉レベル局長級以上に引上げを呼び掛ける動きがあるというふうなことが報道でなされておりました。  もちろん、より責任のある立場の方が交渉に当たられることで、大きく交渉を動かすということについては一定の効果が見込まれるんだろうというふうに私も理解しているわけでございますが、北朝鮮という国を考えたときに、金総書記によるいわゆる独裁国家であり、彼の判断ですべてが動くということを考えると、こういう状況であれば、この局長級というのではなく、小泉総理がそうであったように、金総書記と直接交渉を行える立場の方が動かれることが、本気で日本政府早期局面打開に向けて動いているということのメッセージにもなりますし、具体的な踏み込んだ議論というものも金総書記とできるのではないかというふうに私自身、素人考えかもしれませんが思っているところでございます。  この点につきまして、政府の御認識はいかがでしょうか。外務大臣、よろしくお願いします。
  25. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮との交渉におきましては、先方の首脳レベル決断が行われることが重要な側面であるということは委員指摘のとおりだと思います。  実際に、二〇〇二年の小泉総理訪朝では、北朝鮮はそれまで否定していた拉致問題を認めるとともに、その時点では謝罪を行ったわけであります。また、この小泉総理訪朝では、日朝間の諸懸案解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を実現することをうたった日朝平壌宣言が発出されたわけであります。この日朝平壌宣言は、日朝関係の今後の在り方を日朝首脳議論の結果として示した政治的に極めて重みのある文書であります。  そのため、二〇〇五年九月の六者会合共同声明、本年二月十三日の成果文書あるいは十月三日の成果文書のいずれにおいても平壌宣言に言及されているわけであります。特に十月三日の成果文書では、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し、懸案事項解決することを基礎として早期国交を正常化するために双方が誠実に努力すること、そのために両者間の精力的な協議を通じ、具体的な行動を実施していくこと等につき合意されました。  我が国としては、すべての拉致被害者の一日も早い帰国を実現し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を図るべく最大限努力を行います。北朝鮮にも、首脳の意思が示された日朝平壌宣言に基づき、拉致問題や核問題を含む諸懸案解決に向けて具体的な行動を取ることを求めていく考えでございます。  首脳レベル決断が行われないと進まないというのは委員のおっしゃるとおりでございますが、その首脳レベルでの交渉を行うにしても、小泉総理訪朝のときもそうでありますけれども、その前の周到な準備があって、行って初めてあの結果が出たということも事実でありますから、その周到な準備はしなければいけないと、こういうふうに思っております。
  26. 川合孝典

    川合孝典君 お話は御説明で重々分かるわけでございますが、こちらが日本政府としてどんなに誠意を示してきちんとしたプロセスを踏んで行動しようと思っても、言を左右にすると申しますか、ころころと話が変わってしまう状況を見るにつけ、腹立たしい、いら立たしい思いをされているのは、もちろん関係皆様もそうでありますし、我々も、国民の皆様もそうだというふうに思っております。是非とも、早期段階でそうしたはっきりとした動きというものを、両首脳がきちんと会談を行って物事を動かすことができるような局面まで推し進めていただきたいなというふうに思っておる次第でございます。  最後になりますが、全く別の件につきまして一件だけ御質問させていただきたいというふうに思います。  拉致問題対策本部活動状況についてということでございますが、先般、拉致問題対策本部の中に専任の情報収集情報の部門が、部署ができたということを伺いました。拉致問題解決のためには、ともかく一つでも、一件でも多くの情報をたくさん集めていく、その中から本当の情報というものをきちんと精査して調べ上げていくことが必要だというふうに思っております。そういう意味では、これまで様々な形での啓蒙活動情報活動を、政府以外に民間組織家族会、救う会、特定失踪者調査会といった組織がやってきているわけでございます。  そこで、この拉致問題の取組を行っている諸団体活動情報の流れの問題についてなんですが、そうした民間取組を行って、様々な特定失踪者情報についてこの拉致問題対策本部情報を上げていってもなかなか取り上げてもらえないというような声が実は聞かれているわけでございます。当然、民間活動には予算的にも人員的にも限界がございます。そういう意味では、この上がってきた情報の中から、無駄な情報がもちろんたくさんあろうかと思いますが、その中から真実をきちんと精査する、これは私は政府のというか、対策本部の仕事だというふうに思っております。そういう意味で、せっかく上がってきた情報がきちんと取り上げられることがない、取り上げられないといったようなことが正直言ってあってはならないというふうに思っているわけでございます。  この諸団体対策本部との活動の連携の状況について、果たして本当に取り上げない、取り合わないというようなことがあるのかということも含めて、現在の取組、併せて御質問させていただきたいというふうに思います。官房長官、よろしくお願いします。
  27. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のように、十八年九月、内閣内閣総理大臣本部長とする拉致問題対策本部を設置し、その本部の事務局に、委員今言われました情報室というものを設置しまして、拉致問題に関する情報の収集、分析というものをやっているところでございます。  情報の収集に当たりましては、事務局が中心になり、関係省庁と緊密に連携を取り、また、今委員指摘のような民間関係する諸団体とももとより連携をし、いろいろな情報をいただき、それをまたこちらで分析をするといったようなことの繰り返しでやっているわけであります。  まあ中にはそういう御不満もきっとあるのかもしれませんけれども、私どもとしては最大限誠実に、きっと貴重な情報もいただいているわけでございましょうから、そうしたものをしっかりと受け止めて、今後とも情報収集、分析の充実強化に努めてまいりたいと思っております。
  28. 川合孝典

    川合孝典君 是非とも、これまでの活動、これからの活動という目線から、もう一度その連携の状況については精査していただきまして、活動内容を充実をお願い申し上げまして、私からの質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  29. 風間直樹

    風間直樹君 民主党・新緑風会・日本風間直樹でございます。よろしくお願いいたします。  今、この拉致問題の解決と、それから北朝鮮の核能力、核兵器の今後の行方について極めて重要な局面を迎えていると思います。  そこで、早速お尋ねをしますが、十一月二十七日からこの北朝鮮の寧辺の核施設無能力化、この作業進展状況確認のため、外務省職員が現地に、北朝鮮に派遣をされています。今日は市川課長にはお越しをいただいておりますでしょうか。
  30. 下田敦子

    委員長下田敦子君) いらっしゃいません。
  31. 風間直樹

    風間直樹君 はい、分かりました。  では、この状況確認の結果、視察の結果を御担当の方からお伺いしたいと思います。
  32. 中根猛

    政府参考人(中根猛君) お答え申し上げます。  六者会合メンバーの一行は、委員指摘のとおり、十一月の二十七日から二十九日まで北朝鮮を訪問しております。訪問には、作業関係者が同行した米国を除きまして四者、日本、中国、韓国、ロシアからはいずれも各二名が参加をしております。我が国からは市川不拡散・科学原子力課長ほか一名が参加しております。アメリカについてはサン・キム国務省朝鮮部長ほか、中国は陳乃清外交部担当大使ほか、韓国は林聖男北核企画団長ほか、ロシアはストレルニコフ原子力庁副部長ほかでございます。  一行は十一月の二十八日に日帰りで寧辺を訪問しております。ピョンヤンから北の方向寧辺まで、片道大体車で二時間弱掛かっているようであります。寧辺におきましては、十月三日の成果文書無能力化を行うということで合意されております三つの施設、すなわち五メガワット実験炉、それから再処理工場、核燃料棒製造施設についてこの順番で視察を行いまして、それらの施設におきましては十月の文書に基づいて行われている無能力化作業、それからその他の準備作業についてそれぞれ説明を受け、無能力化活動というものを視察しております。  このうち、五メガワット実験炉におきましては、冷却塔の内部構造物の撤去作業の模様を視察をしたほか、残りの二つの施設においては無能力化関連作業の模様というのを視察しております。全体で約、寧辺での滞在は六時間程度でございました。  この視察を通じまして、三つの施設の無能力化関連作業がこれまでのところ円滑に進められているということが確認をされました。引き続き、無能力化のための活動が安全性等も考慮しながら着実に実施されることが重要と考えております。さらに、二〇〇五年九月の六者会合共同声明に掲げられておりますすべての核兵器及び既存の核計画の放棄を早期に達成すべく、引き続き他の関係国とも努力をしていきたいと思っております。
  33. 風間直樹

    風間直樹君 核心をお尋ねしたいと思います。  この寧辺の施設は既に老朽化をしているということが盛んに報道されております。つまり、もう事実上核を生産する施設としては有効ではないと。その状態が今なおあったのか、それとも、九四年の米朝間での協議の結果この施設が封鎖されて、そしてその後もう一度この施設が再生され、今回無能力化を行おうとしているのか、どちらなんでしょうか。
  34. 中根猛

    政府参考人(中根猛君) 今年の二月の合意文書の中で、第一段階の措置として、五つの施設についてシャットダウン、停止をするということが合意されておりました。それに基づいて北朝鮮はこうした今の三つの施設についても稼働を停止をしているということでございますので、いったん再活動されたものが停止をされたというふうに認識しております。
  35. 風間直樹

    風間直樹君 九四年のこのときは凍結という言葉を使っておりましたけれども、この凍結作業のときにそれを担当されたアメリカ北朝鮮担当官ケネス・キノネスという方の証言が新聞に報道されております。ちょっと読ませていただきます。  私たちは九四年に寧辺を初めて訪問した。その際、既に核施設無能力化されていた。核燃料加工施設は焼け落ち、黒鉛炉では核燃料を装てんするクレーンなどが壊れ、新たな核燃料を黒鉛炉に装てんすることができない状態になっていた。予備の部品はなく、修理には相当の時間が掛かる状況だった。核燃料貯蔵施設内にある使用済核燃料貯蔵プールは緑色に濁っており、放射能を帯びた水素の泡が水面に浮かんでいた。プール内の使用済核燃料が腐食を続けていることは明らかだった。こういう状態の中で、IAEAの査察官がそこに入って施設を封印して監視カメラを設置した。北朝鮮が秘密裏に施設を再稼働させることは不可能だ。こういう証言なんですね。  そうしますと、今の中根部長の御説明ですと、この後、北朝鮮がもう一度それを封印を解いて再稼働させて、このキノネス氏の証言のように、もう使い物にならないというものをもう一回再生したと、それを今回、再度無能力化しているんだということを確認されたということでよろしいでしょうか。
  36. 中根猛

    政府参考人(中根猛君) そのような認識でおります。
  37. 風間直樹

    風間直樹君 分かりました。  そうしますと、今回、四か国の担当者が現地に入られて、公式にこの寧辺の核施設が九四年以降再稼働していたということを確認されたということだろうと思います。  それで、北朝鮮国内核施設はこの寧辺だけではありませんでして、この施設は既に老朽化をしていると言われているわけですが、ほかにも新鋭のウラン濃縮にかかわる設備があるというふうに言われておりますが、これは北朝鮮がまだ申告をしていない、つまり我々の知るところとなっていないと、このように思いますが、政府も同様の認識を持っていると考えてよろしいでしょうか。
  38. 伊原純一

    政府参考人(伊原純一君) 北朝鮮は第二段階の措置として、すべての核計画について完全かつ正確な申告をするということになっております。その北朝鮮申告の中には、プルトニウムの計画のほかに濃縮ウランの計画、それから核兵器の計画も含まれないといけないというのが私ども立場でございます。  したがって、北朝鮮約束どおり正確かつ完全な申告をすることによって、今委員の御指摘のような施設の有無等についても明らかになり、それが明らかになることによって、さらに次の段階で二〇〇五年九月の共同声明にありますように北朝鮮の完全な核の廃棄につながっていくと、そのように考えております。
  39. 風間直樹

    風間直樹君 最近の報道ですと、この米朝間協議が完全な申告という部分をめぐって随分難航しているようですので、恐らく近々の解除があるんだろうと専ら言われていたこの拉致指定国家の解除、リストから外すという部分も先に延びるんだろうと私も考えているところでございます。  今後、この作業、核兵器の申告核施設申告が進んでいったと仮定をして、その無能力化が終わった場合、いつ終わるかこれは分かりませんが、相当先でしょうけれども、中長期の将来においてこの無能力化後の核兵器ないし核施設無能力化を行ったという検証の作業が必要になってくると思いますが、この作業には当然日本政府からも参加をすべきだと私は考えておりますが、この点について外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  40. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 当然、北朝鮮以外のすべての国がその検証を行うことになる、そういうふうに私ども考えております。
  41. 風間直樹

    風間直樹君 そこで、大臣の率直な御認識をお尋ねしたいと思います。  今、北朝鮮は既に核弾頭を持ったと、このように考えるのが妥当だろうと私は思います。それに加えて、今回アメリカがテロ国家指定を解除するという、この二つの事実は我が国外交史上極めて大きな衝撃ではないかと私は考えております。七〇年代にアメリカ日本の頭越しに中国と国交正常化を図ったニクソン・ショックがございましたが、この第二のニクソン・ショックが今回の一連動きではないかと思います。しかも、その衝撃は七〇年代のショックよりもはるかに大きい。  かつてアメリカでは、六〇年代の初頭にキューバ危機というものがございました。ソビエトがキューバに中距離ミサイル、核を装てんできるミサイルを搬入して、アメリカが大騒ぎになった。最終的には撤去されましたけれども。今回、北朝鮮が核を持った見込みが非常に高いということは、我が国にとってはキューバ危機と同様の大きな国家的な危機だと、このように考えますが、大臣の御所見を伺います。
  42. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) キューバ危機と比べてどうかということの判断はちょっとできませんけれども我が国安全保障にとってゆゆしき事態であるということは間違いないことだと思います。
  43. 風間直樹

    風間直樹君 一連米朝間交渉を見ておりますと、アメリカの暗黙の考え方は、北朝鮮が保有をしている核についてはこれは黙認すると、拡散については絶対に阻止すると、こういうものではないかと私は推測しています。  これは、そうかそうでないかお考えは別にいいんですが、もしそうだとすれば、事実上日本安全保障が極めて厳しい状況に立つわけでありまして、北の核のミサイル運搬手段の照準というのは、日本の主要都市、首都圏を始めとする主要都市に向けられることはほぼ間違いないわけであります。そうなった場合、この日本の国土を北の核攻撃があった場合、それから守る手段としては現状ではMDということになると思いますが、このMDの整備状況あるいは基地がどこに置かれているのか、北朝鮮からおとりを含め多数のミサイルが飛来した場合など、どの程度の迎撃ができるのか、伺いたいと思います。
  44. 松本隆太郎

    政府参考人松本隆太郎君) お答え申し上げます。  ミサイルディフェンスの整備状況等についてお尋ねございましたが、防衛省は、平成十六年度より弾道ミサイル防衛システムの整備を開始いたしまして、今後、平成二十三年度まで弾道ミサイル対処能力を有するSM3ミサイルを搭載できるイージス艦四隻、それから、これは航空自衛隊でございますが、ペトリオットPAC3というミサイルを十六個高射隊分を整備しまして、いわゆる二種類の手段から成る多層迎撃ミサイルシステムを整備する予定でございます。このほか、レーダーでございますとか、あるいは自動警戒管制システム等から成ります指揮管制・通信システムから構成されますBMDシステムを整備することといたしております。  次に、配備状況についてのお尋ねがございましたが、現在の状況を申し上げますと、本年十一月末までにペトリオットPAC3を航空自衛隊の入間基地から習志野分屯基地に所在します二個高射隊に対して配備しております。また、今月末までにイージス艦「こんごう」、これに対する弾道ミサイル対処能力の付与を完了する予定でございます。  それから、迎撃の確率についてのお尋ねがございましたが、実はこれについては、発射されるミサイルの種類でありますとか発射場所あるいは着弾場所等、様々な要素で変化し得るものでございます。また、能力にかかわる問題でもございますので、そういう意味で確たることは申し上げられないわけでございますが、これまでいろいろ試験等の成果得ております。そういう意味で、我が国が導入を進めております迎撃システムの技術的信頼性、これは高いものだというふうに私ども認識しております。
  45. 風間直樹

    風間直樹君 北朝鮮との交渉に戻りますが、昨日、私、外交防衛委員会質疑をさせていただきまして、高村大臣からるる御答弁をいただきました。  その際、このテロ国家指定を解除した場合、日本外交手段として北朝鮮に対して一つのてこを失うと、その場合何が残されるのかというお尋ねをしました際、大臣からは、北朝鮮に対するいわゆる日本の補償、これは一つのてことして残ると考えていらっしゃると、こうした趣旨の御発言があったわけでございます。  御案内のとおり、これまで日朝交渉におきましては、日本があくまでも拉致問題の解決交渉の入口として設定をしていました。昨日の大臣の御発言は、これまでのその日本外交姿勢に多少の変化を加えて、平壌宣言全体に関しての交渉を今後開始することを検討すると、このように理解してもよろしいでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  46. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国外交姿勢はそんなに大きな変化があったわけではないと思っています。拉致問題の解決なくして国交正常化なし、国交正常化なくして経済協力なしということは、もう八年も九年前からも我が国は一貫して言ってきていることでありまして、これについては日本政府は大きな面で全くぶれていないと思っています。  そういう中で、てこといってもいろいろあるわけでありますが、そういう一つのてこがテロの支援国家指定解除という問題、テロ支援国家指定というものがアメリカにあるねと、そういうことが一つのてこになり得るということで、それもてことして我々は活用してやってきたわけでありますが、そういうものがあろうがなくなろうが、いずれにしても大きなてことして、過去の清算としての大型経済協力、すべてが解決した場合ですが、拉致の問題が解決し、核の問題が解決し、ミサイルの問題が解決する、そういう状況の中では国交正常化ということも進められる。そういうことが大きなてことして拉致問題を進めることになり得るんだよ、なり得ますよということは、これは北朝鮮に前から言ってきているわけであります。ですから、大きな転換があったというふうには考えておりません。
  47. 風間直樹

    風間直樹君 実は、日本政府のそうした姿勢が六か国協議という枠組みの中では、大変残念なことでありますが、日本のこの拉致の問題の解決こそが第一だという主張とは裏腹に、他の五か国が、北朝鮮との様々なアメリカ交渉に基づいて日本の主張を、言葉は適当かどうか分かりませんが、置き去りにしたまま交渉を進めつつあると。その中で、テロ国家指定の解除が近々行われようとしているということではないのかなと私は大変憂慮をしているわけであります。  例えば、今年一月にジュネーブで米朝代表が会談して、そこでヒル氏が北朝鮮側に対して指定の解除を約束したと、こういう発言が、例えばジャック・プリチャード氏などはニューヨークのコリアン協会でのスピーチではっきり明言をされている。  そういう中で、今年二月以降、ヒル氏が来日したときに、拉致問題の進展とは一体何なのか、その進展の定義を日本側に確認をした。さらに、同じく二月の下旬、チェイニー副大統領が来日されたとき、拉致問題の解決とはどういう状態を日本政府考えているのか、また日本が希望する解決までのロードマップを示してほしいなどと日本政府に要請があった。  このように聞いているわけでありますが、これは事実でございましょうか。
  48. 伊原純一

    政府参考人(伊原純一君) 今、委員指摘のあった、まず今年二月のヒル国務次官補の来日でございますけれども、これは二月六日にヒル次官補が来日いたしまして、佐々江アジア局長との間で、この週の後半に六者会合を予定していたので、これに向けた意見交換を行ったわけであります。  こういうやり取りでございますから、詳細について申し上げることは差し控えますけれども、その際の意見交換では、その直後に開催される予定になっております六者会合で具体的成果を示す必要があり、特に北朝鮮非核化に向けた具体的措置をとることが必要だということ。あるいはまた、六者会合の共同声明、これは二〇〇五年九月の共同声明でありますけれども、これを全体として履行していくという枠組みの中で、日朝、米朝ともに有機的な関係を持って前に進めていくことが重要だと、こういった点について認識が一致した。そのような意見交換であったわけであります。  また、二月の下旬にチェイニー副大統領が来日した際、日本側と様々な意見交換を行っておりますけれども、その際の安倍総理とチェイニー副大統領との会談では、今後とも日米の緊密な連携が重要だと、また、中国の役割及び五か国の連携が重要だということで認識が一致した。さらに、チェイニー副大統領からは、拉致問題に関する日本立場に対する深い理解が示された。そのような会合であったというふうに承知しております。
  49. 風間直樹

    風間直樹君 公式見解はお聞きしておりません。私が今お尋ねしたのは、こういう発言が米側からあった、それは事実か事実でないか、この点のみお答えください。
  50. 伊原純一

    政府参考人(伊原純一君) 今申し上げましたようなのがやり取りの主要なところでございまして、具体的なやり取りの詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  51. 風間直樹

    風間直樹君 それは納得できません。ちゃんと事実関係答えてください。そういう確認があったのかないのか、どちらでしょうか。
  52. 伊原純一

    政府参考人(伊原純一君) 日米間ではお互いの重要な問題について、今委員指摘の二つの会合にとどまらず、様々な会合の場でやり取りを行っております。したがいまして、委員の御指摘のような点も含めて日米間では常に幅広く意見交換を行っているということでございます。
  53. 風間直樹

    風間直樹君 大臣、どちらでしょうか。大臣からお答えください。
  54. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) いろいろこういう会談のときはお互いにどういうことをどういうふうに発表しようかと事務方で打ち合わせて発表しておりますので、勝手にここはこういうことがあったとかないとかいうことを言えないということは御理解いただきたいと思うんです。かなり突っ込んだ言い方をお互いにしたり、ブレーンストーミング的にやっていって、そしてこれは、それをどの時点にどういうことを言ったかというような詳細なことについては具体的に明らかにしない。それは一般的な外交の常識で、お互いにここはこういうふうに発表しようと、こういうことになっているんで、これは日米間の信頼にも影響しますので、是非委員にも御理解をいただきたいと思います。
  55. 風間直樹

    風間直樹君 この件は引き続き当委員会でやらせていただきます。  ただ、そうした政府の姿勢が六か国協議の中で時によって孤立し、拉致問題の事実上の解決ができないという状況になりつつあると、このことだけは最後に申し上げたいと存じます。  ありがとうございました。
  56. 山本博司

    山本博司君 公明党の山本博司でございます。  この委員会で初めて質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  福田政権が発足してから二か月以上が経過して、この間北朝鮮に関する外交についても高村外務大臣を始めとして大変努力をされていることと思います。大変御苦労さまでございます。また、我が国の最重要課題である拉致問題の解決に向けて、町村官房長官におかれては、官房長官という重責にありながら、拉致問題担当大臣としての重要な職務を務められております。心から敬意を表する次第でございます。  まず初めに、拉致問題を含めた北朝鮮に対する基本的な政府方針についてお伺いをしたいと思います。  現在、政府拉致問題、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、日朝国交正常化を進めていくこととしています。私も、その方向性には賛成であり、引き続き政府には御努力をお願いをしたいと思います。その上でお伺いをしたいのは、解決への手段についてであります。  福田政権では、当初、対話と圧力のうち、どちらかといえば対話を重視しているように見えます。確かに対話が唯一の問題解決の道筋ではありますが、私たちはひとつ北朝鮮という国に対して圧力なしに何事も動かすことができないというのも理解をしております。福田政権ではこの対話と圧力のバランスをどのように考え拉致問題の解決につなげようとしているのか、基本的な姿勢について高村大臣にお伺いをしたいと思います。
  57. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現して、不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく、引き続き最大限努力を行っていく考えであります。  その対話と圧力でありますが、これは双方が必要であると、双方が必要であると。それらの間のバランスを考えることが重要と考えております。  また、対話にしても、圧力にしても、関係国、広く国際社会の理解と協力を得ることによって、効果的、実務的なものとなることがある点にも留意する必要があると、こういうふうに考えております。  日朝関係については、十月の六者会合成果文書においても、日朝双方平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し、懸案事項解決することを基礎として早期国交を正常化するため、誠実に努力すること。また、そのために、日朝双方が精力的な協議を通じて具体的行動を実施していくことが約束されたわけであります。今後とも、六者会合などの場を通じて、関係国とも緊密に連携協力しながら、日朝協議に真剣に取り組み、北朝鮮側に対し、拉致問題を含む諸懸案解決に向けた具体的な行動を求めていく考えでございます。
  58. 山本博司

    山本博司君 ありがとうございました。  対話と圧力のバランスを取り、対北朝鮮政策を柔軟に推し進めていくことが大変重要でございますので、外交的な御努力をお願いをしたいと思います。  そこで、拉致問題の解決の目指すところを伺いたいと思います。もちろんすべての拉致被害者方々の一刻も早い帰国、真相の究明、拉致実行犯の引渡し、これは絶対条件でありますが、例えば、政府認定している十二件十七名以外の拉致されている可能性の高い人たちについてはどうなるのでしょうか。ここまで行けば解決したと言える目標到達点について、町村官房長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  59. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 拉致問題の解決、今委員が言われたようなすべての被害者の帰国、真相の究明、あるいは被疑者の引渡し等を指すわけでございます。その際、いわゆる特定失踪者方々、これはどこまでが本当に拉致されているのかいないのか、必ずしも定かではない方々もいらっしゃるわけでございますけれども、いずれにしても、私どもには最終的には分からない部分もあるんです。彼らにしか分からないところがあります。  したがいまして、これまでもいわゆる特定失踪者を含む拉致可能性を排除できない方々についてもかねてから情報の提供を求めているというのは、そういう考え方に立っております。したがいまして、この十七名という方にとどまらず、すべての拉致被害者帰国を求めるということが基本姿勢であり、それが解決であるというふうに考えているわけでございます。
  60. 山本博司

    山本博司君 ありがとうございます。  何をもって拉致問題の解決、進展ととらえるかは大変重要な問題であると思います。今後の六か国協議の中でもこの点は明確さを求められることになると思います。官房長官も、また先ほど外務大臣も言われましたけれども拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はない、この方針政府一体となってしっかり貫いて、今後とも御協力をいただきたいと思います。  次に、最近の首脳会談についてお伺いをしたいと思います。  先月十六日、訪米した福田総理ブッシュ大統領が会談をし、テロ支援国家指定解除の問題を取り上げました。そこで、ブッシュ大統領拉致問題を決して忘れることはないと記者会見で表明したことは、北朝鮮がもくろんでいた年内のテロ支援国家指定解除に一種のプレッシャーを与えることができ、これは一つの成果であると言えます。しかし、今後まだこの指定解除の可能性が強く残っていることについては、政府は引き続き米国にあらゆる方面から解除を行わないように訴え掛けていただきたいと思います。  この日米首脳会談の様子と今後のアメリカへの働き掛けについて、外務大臣にお伺いをしたいと思います。
  61. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 十一月十六日の日米首脳会談におきまして、北朝鮮問題については、六者会合を通じて北朝鮮の核兵器、核計画の完全な放棄を実現すべく日米が引き続き緊密に連携して努力していくことで一致をいたしました。  また、テロ支援国家指定解除の問題について、福田総理ブッシュ大統領との間でしっかりと話合いをいたしました。福田総理からは、我が国北朝鮮に対して拉致問題での進展を求めており、特に被害者の帰国を重視していること等、具体的に説明をいたしました。これに対しブッシュ大統領からは、拉致問題の日本における重要性理解している、日本政府日本国民の間には米国拉致問題を置き去りにして北朝鮮との関係を進めるのではないかとの心配があると理解しているが拉致問題を決して忘れることはない、北朝鮮は完全かつ正確な申告を含め非核化措置をきちんと実施しなければならない、日朝関係の改善も核問題と並行して進めていく必要がある等の発言があり、日米間で緊密に連携していくことで一致をいたしました。  非核化の話が進み、米朝関係が進む、そことバランスよく日朝関係を進めていくことが必要であると。日朝関係について、私たちの立場から見れば最大課題は拉致問題である、この問題についてアメリカとこれからも緊密に協力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  62. 山本博司

    山本博司君 ありがとうございます。  テロ支援国家指定解除に関して、解除を行わないように求める活動我が国で様々な形で行われております。一昨日の決議も行った衆議院の委員会もそうでございますし、本日行われている当委員会もその一環で、我が国の姿勢を示す場となっております。  やはり現時点アメリカによる北朝鮮のテロ支援国家の指定が解除される、北朝鮮への措置が緩和されるというのは時期尚早ではないか、非核化の問題とともに拉致問題の進展が重要である、そのように思うわけであります。  そこで、お聞きいたしますけれども、立法府を始めとした、解除を行わないように求める活動についてどのような認識でいらっしゃるのか、官房長官にお伺いをしたいと思います。
  63. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) こうした国会でのいろいろな決議あるいは御質疑、こうしたものが的確に米政府にも伝わり、やはりそうしたことというのは私は大変重要だろうと思います。  例えがいいかどうか分かりませんけれどもアメリカの議会でどういう決議がされたか、やっぱり私どもも相当それについては注意を払ったり、気になったりすることも率直に言えばあります。同じようなことが、日本の議会でのいろいろな活動というものは、例えば先般も拉致議連の方々米国を訪問されて議会関係者であるとかあるいは政府関係者と会われた。やっぱりそういう、もちろん政府はやるわけですが、同時に、そうした立法府の皆さん方の活動あるいは民間方々活動家族の方が行かれ、ブッシュ大統領も大変深い感銘を受けたと。いろいろな活動というものが相まって日本側の総意というものが正確にパートナーであるアメリカ認識をしてもらう、そしてそのことがまた北朝鮮側にもきっちりと伝わるということ、私はそうした様々な活動の総和というものがこの拉致問題の解決にとっては必要なそれぞれの活動なんだと、かように認識をいたしております。
  64. 山本博司

    山本博司君 ありがとうございます。政府におかれましては、この立法府の決議、十分に対応していただきたいと思います。  次に、福田総理におかれては、訪米の後、すぐにシンガポールに向かい、東アジア首脳会談に臨まれました。外務大臣におかれましては、東アジア首脳会議関連行事等にも出席をされ、日中韓外相三者委員会や日韓外相会談などの場で北朝鮮問題についても協議されたと聞いております。北朝鮮問題、特に拉致問題を解決していく上で、我が国と中国、韓国が連携を強化していく、また北東アジア地域の各国が協力をしていくというのは非常に重要なことであると思います。  まず、中国とは拉致問題の解決に向けてどのような会談をされたのか、外務大臣に最近の海外における取組成果をお伺いをしたいと思います。
  65. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先般のASEAN関連首脳会議の機会に行われた日中韓首脳会議では、福田総理から、六者会合における非核化プロセスの進展を評価し、北朝鮮の核放棄を実現することの重要性指摘するとともに、我が国として拉致問題の解決と不幸な過去の清算の双方を実現すべく努力する考えである旨述べました。それに対して、中韓両国からは拉致問題の解決に対する理解と協力が表明されたわけであります。  また、私自身、先般の日中外相会談で、拉致問題と不幸な過去の清算の双方解決し、日朝関係の進展を図ることの重要性を述べ、中国側の理解と協力を求めたわけであります。これに対して中国の楊外交部長からは、日朝双方がともに関心を持つ問題の解決を含め、双方が対話を通じ関係改善をすることへの強い支持が表明されました。  韓国のあれも申し上げますか。
  66. 山本博司

    山本博司君 それでは韓国の話も引き続いて、済みません。
  67. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日韓外相会談において、日中外相会談と同様のことを私から申し上げました。韓国の宋外交通商部長官からは、拉致問題の日本国民にとっての重要性理解している、韓国を含む六者会合関係国は拉致問題が円満に解決できるよう北朝鮮に対して働き掛けを行っている、また北朝鮮に対しては、六者会合を各分野で同時に進展する必要がある旨繰り返し指摘しているという発言がありました。  我が国としては、六者会合の共同声明を全体としてバランスよく実施することが重要であると考えており、朝鮮半島非核化拉致問題を含む日朝関係双方をともに前進させるように、中国、韓国を含む関係国と緊密に連携協力しながら最大限努力を行っていく所存でございます。
  68. 山本博司

    山本博司君 この中国、韓国との連携というのは今後の六か国協議を始めとする様々な場面で重要となると思いますので、今後も引き続き連携を強化していただきたいと思います。  また、先月から韓国では大統領選がスタートをして、今月十九日の投開票までには候補者の激しい論戦が展開をされております。中でも有力候補の最大野党ハンナラ党の李明博氏は他の候補より一歩リードしており、十年ぶりに韓国の保守政権が誕生する可能性が強くなってきております。もし李明博氏が大統領になれば、これまでの韓国の北朝鮮政策は見直されることになるのではないかということが言われております。  これまで韓国はいわゆる太陽政策と呼ばれる、どちらかといえば北朝鮮に融和的な対応をしており、日米と共同歩調を取りにくい場合がありました。しかし、もし韓国がこれまでの北朝鮮政策を見直して日中韓の連携が深まるのであれば、より効果的で強い意思を北朝鮮に伝えることができると思います。他国の大統領選の結果次第で、仮定の話で恐縮ではございますけれども、新たな日韓関係の構築に向けてそういう今後の流れを踏まえた積極的な連携をお願いをしたいと思います。  最後に、拉致被害者の現況についてお聞きを申し上げたいと思います。  拉致被害者五人の方が帰国をされてから、もう既に五年が経過をいたしました。この間、帰国をした拉致被害者の御家族帰国するなどの動きがありましたけれども、それ以降、結果としては全く進展が見られておりません。これは、もちろん北朝鮮の強硬な態度を理由とするものですが、政府におかれましても引き続き粘り強い交渉を続けていただきたいと思います。  拉致被害者の御家族は長年の間言葉には表せない御苦労をされてきております。先日、横田めぐみさんのお父さんの滋さんが家族会の代表を辞任をされました。御家族は大変お疲れのことと思われます。今後とも、政府拉致被害者を取り戻すことに全力を挙げるとともに、御家族のケアにも対応していただきたいと思います。  そこで、現在、政府が行っている拉致被害者家族への支援状況確認をしたいと思います。また、可能な範囲で結構ですので、帰国された御家族の現況が分かればお聞きを申し上げたいと思います。
  69. 河内隆

    政府参考人河内隆君) 帰国された方々に対します政府支援状況についての御質問お答えをいたします。  北朝鮮当局によって拉致された方々の自立を促進し、拉致によって失われた生活基盤の再建に資するよう、平成十五年一月一日に施行された支援法、正確には北朝鮮当局によって拉致された被害者等支援に関する法律でございますが、この支援法と、これに先だって取りまとめられた政府の総合的支援策という二つの支援枠組みの下で、関係省庁、地方自治体とも密接に連携協力しながら、拉致被害者方々及び御家族に対する具体的支援の実施に鋭意取り組んでいるところでございます。  具体的には、当面の生活支援のため、帰国被害者らに対して拉致被害者等給付金を毎月支給しているほか、帰国被害者等自立・社会適応促進事業を実施しているところでございます。この帰国被害者等自立・社会適応促進事業は、帰国被害者等の居住する地方公共団体に委託して実施しているものでございますが、その内容といたしましては、帰国被害者御本人はもとより、日本での生活経験のない子供らの早期の自立、社会適応を図るために、生活習慣指導や日本語研修、パソコン研修を実施したり、あるいはまた、積極的に社会参加いただくために、地域のお祭りへの参加やボランティア活動等地域の交流事業、さらには、企業実習や寺社等の伝統文化体験、様々な施設見学といった社会体験研修も組み込んでいるところでございます。  今後とも、地元自治体とも密接な連携を図りつつ、また、帰国された被害者及び御家族の御要望、御意見も伺いながら、支援法の目的が一日も早く達成するよう適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  70. 山本博司

    山本博司君 最後でございますけれども、当初世論も大きな関心を持ってこの拉致問題を考えてきましたけれども、五年も経過すると次第に事の重大さを忘れてしまうようなことにもなりかねません。拉致という未曾有の国家的犯罪行為であり、重大な人権侵害である点は決して忘れ去ってはいけないと思います。こうした状況の下では、政府はきちんとした広報を行い、拉致問題について国民に情報を伝え、その重大さを認識してもらうことが大変重要でございます。  来週は北朝鮮人権法に基づく北朝鮮人権侵害問題啓発週間となっており、様々な行事、ディスカッション等が行われると聞いております。既に準備を進めているところであると思いますけれども政府はどのような事業を実施しようとしているのでしょうか。また、拉致問題全体に対する広報活動についてお知らせいただきたいと思います。官房長官にお願いいたします。
  71. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のように、国民世論のバックアップとまた深い理解というものがこの拉致問題の解決にとっては不可欠の前提であろうかと、こう思っております。  そういう意味から、世論の啓発というものを一層強化していかなければいけないと、こう考えておりまして、そのためにいろいろな小冊子を作ったりDVDを作ったり、テレビのスポットを全国放映いたしましたり、あるいは羽田とか成田の空港の搭乗ロビーでのテレビスポットの放映、横浜にあります北朝鮮工作船展示館での拉致問題のパネル展示など、いろいろな機会に国民各層への拉致問題の啓発に努めてきたところでございます。  特に委員指摘の、来週は北朝鮮人権侵害問題啓発週間でございまして、拉致問題をテーマとする国際シンポジウムの実施及びそのテレビ放映でありますとか、あるいは映像や音楽の力もかりまして、幅広い国民各界各層の方々拉致問題を身近な問題として考えていただくための拉致問題を考えるみんなの集いというようなものも開催を計画をしているところでございます。  引き続き、今後ともこうした啓発活動を通じ、幅広い国民の理解と、国民と政府一体になった取組を進めてまいりたいと考えております。
  72. 山本博司

    山本博司君 以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  73. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  北朝鮮の核問題を中心に聞きます。  二〇〇五年九月の六か国協議で、北朝鮮がすべての核兵器及び既存の核計画を放棄するとした初の共同声明が採択されました。翌二〇〇六年の十月、北朝鮮が地下核実験の実施を発表するという重大な事態が発生いたしましたが、その後、関係各国の努力の結果、今年二月の六か国協議において共同声明の実施のための初期段階の措置が採択され、十月の同協議では、北朝鮮が寧辺の核施設の稼働、活動停止など初期段階の措置を実施したことを受けて第二段階の措置が採択をされました。その第二段階の措置の一環として、寧辺の核施設無能力化するための調査作業に、先月初めて日本専門家が同行をいたしました。  日本がこの調査作業に参加した目的は何か、参加して確認できたことは何か、そして、これを今後どう生かそうとしているのか、可能な範囲で報告を願います。
  74. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国を含む六者会合メンバー、日、米、中、韓、ロの一行は、十月の六者会合成果文書に基づいて寧辺の三つの核施設において行われている無能力化活動を六者として視察するために、十一月二十七日から二十九日まで北朝鮮を訪問いたしました。この視察を通じて、三施設の無能力化関連作業がこれまでのところ円滑に進められていることが確認されました。まずは、これらの施設の無能力化が安全性等も考慮しながら着実に実施されることが重要と考えております。  さらに、二〇〇五年九月の六者会合共同声明に掲げられた、すべての核兵器及び既存の核計画の放棄を早期に達成すべく、引き続き他の関係国とも努力してまいります。
  75. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本政府が六か国協議の枠組みの中で他の国々と協力を強めて核兵器のない朝鮮半島を実現するために積極的な役割を発揮することは、北東アジアの平和と安定にとっても、また日本の平和と安全にとっても非常に重要なことだと考えます。また、そのことが拉致問題、過去の清算問題など、他の問題の解決の促進ともなるでしょう。今回の調査参加をそのような方向で今後に生かすよう求めておきたいと思います。  さて、今月五日まで訪朝したヒル米国務次官補が、核計画の完全申告について米朝間考え方に相違があると語ったとされております。そういうこともあって、年内に予定されていた六か国協議首席代表会合が延期されることになったようであります。しかし、ヒル次官補始め米国政府関係者コメントを全体として見てみますと、仮に申告考え方について現時点米朝間相違があったとしても、それを埋めるべく米国は粘り強く北朝鮮に働き掛ける方針のように見て取れます。これは大事な姿勢だと思います。  初期段階の措置でも当初の日程は大きくずれ込みました。交渉事ではあり得ることだと思います。それでも、相違点を埋めるべく粘り強く働き掛けることが大事だと考えます。日本も六か国協議の枠組みの中で粘り強く役割を果たすことが大事だと思いますが、高村外務大臣認識を伺いたいと思います。
  76. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今般の米朝協議内容については、本日、佐々江アジア大洋局長ヒル次官補より直接説明を受ける予定にしております。  我が国としては、すべての核計画の完全かつ正確な申告においては、核計画、プルトニウム計画、ウラン濃縮計画の三つの分野が包括的に取り扱われる必要があり、また核拡散についても明確にされる必要があると考えており、米国立場を一にしているわけでございます。  いずれにいたしましても、十月三日の六者会合成果文書に明記されているとおり、北朝鮮は、本年末までにすべての核計画の完全かつ正確な申告を行うことに合意しているわけでありますから、この合意が着実に実施されることが重要と考えております。日米あるいはその他の国と協力して、間違いなく実行させるように努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  77. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、米国の姿勢の根本には北朝鮮の核問題を解決する確固とした戦略があるように感じております。十月二十五日の米下院公聴会でのヒル次官補発言などを見ますと、途中様々な紆余曲折はあっても、六か国協議の枠組みの中で一歩一歩北朝鮮非核化という最終目標に向かってぶれずに努力を継続するという決意を感じます。  日本政府においても、日朝平壌宣言、そして六か国協議合意に基づいて核、拉致、過去の清算などを包括的に解決するという、これが大戦略だと思いますが、紆余曲折があったとしてもぶれずにしっかりと役割を発揮することが大事だと考えますが、大臣認識を伺いたいと思います。
  78. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ぶれずに目的を追求してきておりますし、これからもそうしたいと思っております。
  79. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後に、米国北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除問題について聞きたいと思います。  高村大臣は、昨日の参議院外交防衛委員会において、また本日の委員会においても、テロ支援国家の指定は日朝交渉の一つのてこだとお述べになりました。その意味するところは、大きな戦略の中では一つのてこであるが、そのてこがなくなったらほかに手はないということではないという意味であえて一つのてこと表現されたのではないかと私は理解しておりますけれども、もう一度その点での考えを聞きたいと思います。
  80. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 一つのてこというのは、正に一つのてこでありまして、唯一のてこではないと思っています。ただ、唯一のてこではありませんが、重要なてこであると思っておりますから、私たちはこのことについてアメリカに私たちの考えを継続的に伝えてきているわけであります。もちろん、一つのてこがなくなったからもうあきらめるんだということはありません。  繰り返しますが、重要なてこではあります。
  81. 山下芳生

    ○山下芳生君 重要なてこではあるが、そのてこがなくなったからといってすべて打つ手がなくなるということではないということもまた同時にお述べになっております。それは非常に大事だと思います。  大きな戦略の中で一喜一憂せずに、ぶれずに臨むことが今求められているということを申し上げて、終わります。
  82. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 本日の質疑はこの程度といたします。  この際、白委員から発言を求められておりますので、これを許します。白眞勲委員
  83. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、民主党・新緑風会・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派共同提案による米国北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除に反対する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     米国北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除に反対する決議(案)   北朝鮮による拉致は、我が国の国家主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、未曾有の国家的犯罪である。我が国は、すべての拉致被害者の安全を確保し、直ちに帰国させるとともに、拉致に関する真相の究明と拉致実行犯の引渡しを強く要求している。   北朝鮮は二〇〇二年九月の日朝首脳会談において、長年否定していた日本人の拉致を初めて認め、謝罪し、その後五名の拉致被害者帰国は実現したが、残る多くの被害者については、累次にわたり、「拉致問題は解決済み」との主張を繰り返すのみで、何ら誠実な対応がとられていない。   拉致問題については、二〇〇五年十二月に初めて国連総会本会議決議に拉致問題が言及されるなど、国際的関心も高まり、拉致問題の解決に向けた国際的な協調と連携が強化されている。   特に、米国は、一九八八年に北朝鮮をテロ支援国家に指定したが、二〇〇四年には国務省年次テロ報告において、新たに日本拉致問題を指定理由の一つとして明記した。このことは、拉致問題の解決北朝鮮に迫る強い圧力となり、拉致問題に関し毅然たる態度で臨む我が国外交を後押しするものとなっている。   本年四月の年次テロ報告においても、引き続き、日本拉致問題が明記されたが、米国北朝鮮の一部核施設無能力化などの見返りとして、テロ支援国家指定の解除を行うのではないかとの観測が盛んに伝えられている。   我が国においては、拉致被害者帰国が実現しない中でのテロ支援国家指定の解除は、拉致問題の国際的連携を弱めるだけではなく、拉致問題そのものの解決を遅らせる結果となり、日米関係にも重大な影響をもたらすとの懸念が強まっている。   米国内においても、安易なテロ支援国家指定解除への危惧が高まっており、米国議会下院では拉致被害者帰国などを条件とする法案が既に提出され、上院でも同様の動きが出ている。   以上のことを踏まえ、政府は、すべての拉致被害者の一刻も早い救出を実現するため、特に、日米関係の重大さにかんがみ、米国北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除しないよう、最大限外交努力を尽くすべきである。   また、当委員会は、拉致問題の解決に向けた国際的連携を確保する立場から、米国に対し、北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除しない方針を堅持するよう、強く要請する。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  84. 下田敦子

    委員長下田敦子君) この際、山下委員から発言を求められておりますので、これを許可いたします。山下芳生委員
  85. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、米国北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除に反対する決議案について発言します。  米国による北朝鮮テロ支援国家指定解除に関する問題は、六か国協議合意に基づき、現在、北朝鮮が進めている非核化に向けた一連の措置の進捗に対する対応措置として検討されているものであり、これに対して日本の国会がブレーキを掛けることは適切ではないと考えます。  また、核問題について道理ある解決が図られるならば、拉致問題の解決に向けた進展の道も開かれるのであります。核問題解決のために他国が行っている外交交渉の手足を縛ることをすべきではありません。  日朝平壌宣言、六か国協議合意に基づく核、拉致、過去の清算等を包括的に解決するために、今こそ日本政府が主体的に明確な外交戦略を持つことが強く求められています。拉致問題の解決においても、他国任せではなく、主体的な戦略が必要だということを強調したいと思います。  以上の理由から、今回提出されている決議案には反対であることを表明して、発言とします。
  86. 下田敦子

    委員長下田敦子君) ただいまの白委員の提出されました決議案の採決を行いたいと思います。  本決議案に賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  87. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 多数と認めます。よって、本決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して、高村外務大臣から発言を求められておりますので、これを許可いたします。高村外務大臣
  88. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ただいまの御決議に対し所信を申し述べます。  政府としては、ただいま採択された御決議の趣旨を踏まえつつ、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現し、不幸な過去を清算して北朝鮮との国交正常化を図るべく、引き続き米国と緊密に連携していく考えであります。
  89. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時散会