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平野達男君 まあ味もそっけもない
答弁ですね。いずれ、食肉を含めた食の安全の行政については、
アメリカを向いてやるんじゃなくて、やっぱり消費者を向いてやるというのが
BSEが発生したときからの大原則ですよ。
私は、この
BSE問題は六年前からかかわってきました。で、予算
委員会等でも何回か言いましたけれ
ども、これは安全の問題であり、安心の問題であると。安全の問題は
科学的知見です。しかし、
科学的知見を幾ら
説明しても、私らの思っているものと消費者の思っているものの中では情報の非対称性というのがあって、なかなかリスクコミュニケーションができないんです。
何で
日本で全
頭検査をやったか。六年前の
BSE特措法案を作るときの原案、私もかかわりました。あの一番最初の骨子、私書きましたよ、あれは、分からないまま。
あの当時は、二十四か月
未満はしなくてもいいんじゃないかという発想もあった。しかし、
政府は、全
頭検査、先に走っていました。最終的に何で全
頭検査やったか。二十四か月
未満は大丈夫で二十四か月以上は大丈夫ではございませんって
説明したって、消費者は納得しないんです。何で納得しないか。行政に対する不信ですよ。政治に対する不信です。
何で不信が起こったか。それは九月十日の一番最初に発症したときに、発症した牛がどうなりましたか。焼却処分されていますと、農林省の
見解でした。次の日か二日後、実は肉はレンダリング工場に回っていた。そこから不信ですよ。OIE基準の、OIEからいろんな
報告書が出たにもかかわらず、農林省はそれをきっちり外に
報告してなかった。そういう中で、いろんな形での不信の輪が増幅して、これは安全問題であると同時に安心問題なんです。だから、プロセスが大事なんですよ。
そういうときに、いきなり
マーク・キーナム米農務次官が
日本側が三十か月
未満で
食品安全委員会に
諮問したと
発言したと、こういう
記事が出てきたら、今までの
BSE問題が分かっている人が見たらびっくりしますよ。今までやってきたことは
一体何だったんだと。これは安全の知見及び科学的な知見を積み上げると同時に、リスクコミュニケーションをちゃんとやって、
政府も政治もしっかりやってます、消費者の皆さん方、大丈夫ですよというメッセージを送ることを一生懸命やってきたんだよ、これ。
ところが、さっきの
政務官の話なんかは、そんなことどこ吹く風だ。問題意識も何も持っていない。多分、
BSEの問題は全然今までかかわってないからということなのかもしれませんけれ
ども、そういう問題なんです、これは。だから、
キーナム農務次官がこれ
発言したということも、問題もさることながら、
発言をさせるような状況になっていること自体も問題なんですよ。そういうことをきちっきちっきちっとやっていかなかったら、消費者は、行政は
一体何やっているんだ、政治は
一体何やっているんだという話になっちゃって、後で
科学的知見がこうでございますからって言ったって納得しませんよ。
結局、このままこういうことをやりますと、だれが損をするか。消費者ももちろん損します。私は、多分ひょっとしたら
アメリカが大変なんじゃないですか、遠回りになっちゃうから。そういうことを
外務省とか
内閣府もちゃんと
理解してやった方がいいですよ、これ。その辺の経過の話の流れが全然分かってなくて、アドホックな
会議で、いや率直に話していますと。率直な話だったりするから、だったら、
日本の
BSEが六年前にどういう経過で発生して、
日本の消費者がどういう問題意識を持っているかというのを何でしゃべらないんですか。
そういうことを積み上がってしゃべっていけば、
繰り返しになりますけれ
ども、
キーナム米農務次官がこんな
発言するようなことはあり得ないよ。あんた方、それ分からないんだよ、それが。だから、それを、そういうふうにならないように、やらないように、私らなりにも一生懸命やってきたつもりだ。そうすることが
本当に食の安全、今は偽装問題とかなんとかとかいろいろ騒がれている中で、少なくとも消費者が
本当大丈夫かというような不快な思いさせないようにする、これも大事なことなんですよ。そういうことをするために一番大事なことじゃないでしょうか。
そしてさらに、
農林水産大臣に申し上げたいのは、
米国産の
牛肉と国内産の
牛肉、どっちが安全なんですか。私は、胸を張って今の
段階だったら
国産牛肉の方が安全ですと、それはリスクは同じだという話がございましたけれ
ども、胸を張って言ってもらいたいですね。
その
日本が二十一か月全
頭検査やると言っているんですよ。
アメリカに何で言えないんですか、それは。そういう姿勢の
一つ一つが、私は消費者に対しては
本当に反発というか、不安を受けると思う。幾ら科学的なことをしゃべったとしても、
繰り返しになりますけれ
ども、消費者はそれ以前に不信感を持ったら聞く耳持たないですよ。それが、
繰り返しになりますけれ
ども、
BSE六年前に発生したとき以来のこの
BSE問題の最大の教訓であると私は思っています。
時間になりましたから、今日はその後米の問題についてもいろいろ御質問する予定でしたけれ
ども、是非
農林水産大臣には、
日本の
国産牛、ちゃんと管理している、絶対大丈夫だ、しかし二十一か月、
検査必要だと、これが
日本の
方針ですから、なぜそうなったかという背景も含めて、
アメリカ側には是非伝えていっていただきたいと思います。
先般、ここで言うことかどうか分かりませんが、
アメリカ大使館の方が私のところに来ました。
民主党の農業者戸別所得補償法案の概要を聞きたいと言うから、いや
本当かなと思ってお会いしたんですけれ
ども、案の定、早く
米国の
牛肉の
輸入を再開してくださいという話でした。そのときに私は、最初からずっと説き起こし話して、とにかく時間は必要かもしれない、だけれ
ども、早急にやることだけやると必ず逆噴射しますということを一時間余り話しました、その人には。私でさえそんなことやるんだから、
大臣だって、
外務省だってやってくださいよ。
以上申し上げて、私の質問を終わります。