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2007-12-18 第168回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年十二月十八日(火曜日)    午前十時六分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                 主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 野村 哲郎君     委 員                 青木  愛君                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 高橋 千秋君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   若林 正俊君    副大臣        内閣府副大臣   中川 義雄君        厚生労働大臣  岸  宏一君        農林水産大臣  岩永 浩美君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       今城 健晴君        内閣規制改革        推進室長     小島愛之助君        内閣大臣官房        審議官      竹林 義久君        食品安全委員会        委員長      見上  彪君        内閣食品安全        委員会事務局長  齊藤  登君        外務大臣官房審        議官       草賀 純男君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        農林水産大臣官        房審議官     山下 正行君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省消費        ・安全局長    町田 勝弘君        農林水産省経営        局長       高橋  博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (米国産牛肉の輸入条件見直しに関する件)  (品目横断的経営安定対策改善策に関する件  )  (食品表示監視体制の強化に関する件)     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官今城健晴君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 平野達男

    平野達男君 民主党・新緑風会・日本平野達男でございます。  今日は、先般新聞記事に出ました、アメリカキーナム米農務次官日米次官級経済対話での内容に触れまして、日本側は三十か月未満食品安全委員会諮問したいと発言したという記事が出ておりまして、それからいろいろな官房長官発言あるいは農林水産大臣発言、いろいろございましたけれども、この事実関係につきましていろいろお尋ねをしたいと思います。  今、その前に、この委員会に先立ちましてこの資料をめぐりましていろいろなやり取りがありまして、かなり私は今激高してきましたので、その激高した感じがそのまま質問にぶつかるかもしれませんから、その点は御容赦をしていただきたいと思います。  まず、厚生労働省にお聞きしますけれども日本は先般全頭検査見直しをやりまして、二十一か月以上については全頭検査を継続するという方針で決定をいたしました。この二十一か月以上全頭検査というのは、これは堅持という方針で今動いているという理解でよろしいでしょうか。その答えだけお聞かせください。
  6. 岸宏一

    ○副大臣岸宏一君) BSE検査に係る今後の見直しはあるのかどうかと、こういう趣旨だと思いますが、現時点具体的な検討を行っているものではありません。
  7. 平野達男

    平野達男君 そうしますと、二十一か月以上の全頭検査は、日本方針としては少なくとも国産牛についてはずっと継続するし、その見直しについての議論についても全くやっていないということ、そういう理解でよろしいでしょうか。
  8. 岸宏一

    ○副大臣岸宏一君) 現時点ではそのとおりです。
  9. 平野達男

    平野達男君 今、食品安全委員会の方では、過去日本では三十三例BSEが発生いたしましたけれども、八例目と九例目がいわゆる若齢牛でございました。その若齢牛から検出されたプリオンマウスに転移するかどうかという実験をやっているというふうに言われております。  ちまたでは、この実験結果によって、実は八例目と九例目というのは何か発症したということにならないんではないかというようなことを言われているような筋もあるんですが、この辺の事実関係については、食品安全委員会事務局長さん、事務局、どのような見解を持っておられるのでしょうか。
  10. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) お答え申し上げます。  二十一か月齢、それから二十三か月齢BSE感染牛につきましては、この判定につきましては厚生労働省BSE検査に係る専門家会議におきましてBSEと判定されたものでありまして、食品安全委員会のこれまでの評価というのはこの結果を基に行われておるところでございます。  それから、ただいま議員から御指摘のありました、その後、これらのBSE感染牛脳材料を用いました実験動物マウスにおきまして伝達試験を行い、その結果につきましては、本年五月の食品安全委員会会合及び、それからプリオン専門調査会におきまして報告を受けておりますけれども、その限りにおきましては、これまでのプリオンリスク評価について変更を及ぼすものではないという理解でございます。
  11. 平野達男

    平野達男君 八例目と九例目の若齢牛BSEの発症は、これはもう変わらないということですね。  岸副大臣に確認いたしますけれども、この八例目と九例目、若齢牛が発見されたということが日本における二十一か月以上の全頭検査を継続という大きな理論的な背景になっているというふうに理解していますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  12. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  この二例につきましては、先生指摘のように、ただいま食品安全委員会事務局からも御報告ありましたけれども、現在までの実験データでは感染性が証明されていないという段階であることはそのとおりでございます。  そのようなデータも含めまして私ども、全体として今後のリスク評価といいましょうか、国内におきます飼料規制進捗状況でありますとか、管理措置が様々にとられておりますので、それらの動向を踏まえてリスク評価を適時行っていくということになりますので、そのようなデータが集まってまいりますれば、また食品安全委員会にどのような管理措置が必要なのかということをお聞きしていくときも出てこようかというふうに考えておりますが、現時点では、先ほど副大臣からお話し申し上げましたように、今の時点で特に具体的に見直すと、こういうことではないということでございます。
  13. 平野達男

    平野達男君 参考までにお伺いしますけれども参考までにというか、お伺いしますが、キーナム農務次官は、三十か月未満ということで、アメリカとしては実は要求は全月齢廃止で、月齢にかかわらず輸入を認めてもらいたいということを言っているようですが、アメリカの屠畜の実態についてお伺いしますが、三十か月未満というのは全体の屠畜数の中での大体割合はどのぐらいになるんでしょうか。
  14. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  米国における牛の屠畜頭数のうちの三十か月齢未満の屠畜数割合はどうかというお尋ねでございます。  米国農務省から公表されております統計資料によりますと、米国において平成十八年に米国農務省検査を受けて屠畜された牛は約三千三百八十四万頭であり、また、平成十四年から平成十八年の過去五年間を平均いたしますと、約三千四百二十八万頭となっておりますが、このうち肉用牛につきまして、全屠畜頭数から搾乳牛繁殖牛を除いた全体の約九割でございまして、そのほとんどが三十か月齢未満と推定されると、このように米国から説明を受けております。
  15. 平野達男

    平野達男君 新聞記事によりますと、三十か月未満でも日本がこれ渋ったというふうな記事が出ていまして、これ自体非常に不快だというふうにキーナム農務次官は言ったというふうに言われていますが、仮に三十か月未満で解除されますと、米国産の牛肉がほとんどフリーで入ってくるということでありまして、この三十か月未満云々というのは余り、アメリカにとってはさほどの意味を、輸出量実態からすれば及ぼさないんではないかということを冒頭ちょっと指摘させていただきたいと思います。  そこで、日米次官級経済対話、これ六日、七日、十二月の六日、七日に開かれたそうであります。その後、これブリーフィングだと思うんですが、これ読売新聞ですけれどもマーク・キーナム米農務次官が、日本側は三十か月未満食品安全委員会諮問したいと発言したというふうに、こういう記事が出ております。  これは何を意味するかといいますと、アメリカ産の、米国牛輸入は二十か月以下が今検査なしで、全頭検査なしで入ってきております。これを三十か月未満に緩和をするように要求したところ、日本政府食品安全委員会諮問したいというふうに発言したというふうに言っておるわけです。  そこで、このキーナム発言キーナム米農務次官がこのような発言をしたという事実を外務省は確認しておるでしょうか。
  16. 草賀純男

    政府参考人草賀純男君) お答え申し上げます。  キーナム・アメリカ農務次官記者会見アメリカ牛肉の問題について発言したということは報道も含めて承知してございますが、その具体的な会見でのやり取り内容につきましては、何分アメリカ政府によります会見でございますので、日本側としてその個別具体的な発言内容について正確に承知しているというわけではございません。
  17. 平野達男

    平野達男君 アメリカに問い合わせたという事実もないということですか。
  18. 草賀純男

    政府参考人草賀純男君) 記者会見でございますので、記録があるかないかも含めまして今、日本側からアメリカ側に照会してございますが、これまでのところ入手はしておりません。
  19. 平野達男

    平野達男君 外務省はこの新聞記事見まして、日本側は三十か月未満食品安全委員会諮問したいと発言したという記事が出たときに、これどういうふうに思われました。これ読売新聞、朝日新聞日本農業新聞経済新聞、この四社が同じ記事を出している。これに対して、承知していませんという話じゃないでしょう、これは。
  20. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 御答弁させていただきます。  この件につきましてこの日米次官級経済対話というところにおきまして話題になったのは、先生指摘のとおり、事実でございます。  しかしながら、この場といいますのは、米国産の牛肉輸入条件について具体的に協議する交渉の場ということではございません。あくまでも日米のハイレベルで、お互い信頼関係の下で忌憚なく率直な意見交換を行う場であるということでございます。
  21. 平野達男

    平野達男君 だから何なんですか。忌憚ない意見を言うから、三十か月未満ということを食品安全委員会諮問したいという発言してもいいということですか。
  22. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 先ほど申しましたように、この次官級対話と申しますのは、様々な話題について、広範囲な話題について議論をする、そういう場でございまして、その中の話題一つとしてこの話題が上がったというのは事実でございます。
  23. 平野達男

    平野達男君 じゃ、日本政府として食品安全委員会に三十か月未満諮問するということを発言したということですね。
  24. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) あくまでも、先ほど申しましたように、この場というのは、お互い信頼関係の下で具体的に率直に意見交換する場でございますから、個別のことについてのコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
  25. 平野達男

    平野達男君 じゃ、先ほど発言したことは何なんですか。コメントじゃないんですか。  それで、もう一つお伺いしますが、じゃ、これね、もう一回だけ言います、じゃ、ここだけ。食品安全委員会諮問したいと発言したということについてはコメントできないということですか。
  26. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 繰り返しになりますけれども、この場で話題になったのは事実でございます。(発言する者あり)ですから、あとは個別具体のものにつきまして外務省としてお互い信頼関係の下で忌憚ない意見交換をするというルールでやっておりますので、個別のコメントは差し控えさせていただきたいと申し上げているわけでございます。
  27. 平野達男

    平野達男君 個別の信頼関係と言いますけど、米農務次官日本側は三十か月未満食品安全委員会諮問したいと発言したと言っているんですよ、これ。これは信義則違反ですか、そうしますと。
  28. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) この中身についてのお話でございますが、私どもの方の理解は、仮にそのような議論をするとすれば、ほかの諸外国でも行われているような三十か月というのが一つの目安ではないかという仮にの議論が出ただけでございまして、私どもとしては、具体的に交渉をするとかそのような理解をしているわけではございません。
  29. 平野達男

    平野達男君 諮問したいと発言したと言っているんですよ、新聞記事は、ここは、書いてあるんですよ。それをどうかと聞いているんです。
  30. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 繰り返しになって恐縮ですが、あくまでも私どもはこの場で個別具体的な交渉をしてきたわけではございませんで、あくまでもこの場で話題になったということでございます。
  31. 平野達男

    平野達男君 意味がよく分かりません。話題というのは一体どういう意味ですか。
  32. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 繰り返しになりますけれども、この場というのはあくまでもこのための交渉をする場ではない、交渉はあくまでも科学的知見に基づいてやるわけでございまして、専門家らでやるわけでございまして、この場ではあくまでも幅広く御議論をしていただくという場でございます。
  33. 平野達男

    平野達男君 農水省厚生労働省にお聞きしますけれども食品安全委員会に対する諮問というのは農水省厚生労働省権限を持っているというか、やる仕事だと理解していますが、それでよろしいでしょうか。
  34. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 食品安全委員会への諮問は、農林省、厚生省側からこれで安全であるかどうかというのを問うという意味で両省が諮問をすると理解しております。
  35. 平野達男

    平野達男君 それでは、キーナム農務次官発言のように三十か月未満食品安全委員会諮問する用意はあるんですか。
  36. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) この米国産牛肉の輸入条件見直しに関しましては、我々はその前に日米間におきまして専門家による技術的会合をいたしております。そういう技術的な会合の結果を踏まえて対応するということになっておりまして、現在その会合報告書を取りまとめ中でございまして、まだ報告書ができておりません。  したがって、現時点でこの輸入条件見直しについて諮問をするのかどうかといったようなことは、その報告書を見ないと決められないわけでございまして、政府として、同時に諮問をいたします農林水産省厚生省として諮問をするというような方針を決めているわけではございません。
  37. 平野達男

    平野達男君 方針は決まっていないという話でした。ところが、話題としては何かいろいろ出したらしいですね。どういう権限で、どういう内容話題として出せるんですか。  日本は、今の農林水産大臣発言にしますと、技術的ないわゆる評価書評価をやった上でというお話でした。実は、私はこれ自体も大変な問題、一つ大きな問題があると思っていますが、この問題は後に置きます。  少なくとも厚生労働省農水省諮問をするという用意は全くないと言っているんです。その話を、もしフランクに、率直に話をする場であれば、フランクに話をしなくちゃ駄目なんです。その話をフランクにしていれば、米農務次官のこんな新聞記事なんか出るはずがないですよ、こんなのは。外務省、どうですか。
  38. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) この件は、先ほども申しましたように、我々はあくまでも米国産牛肉につきましては専門家の間の技術的な会合、その結果によって判断する、科学的知見に基づいて、先ほど大臣が御答弁されましたように、判断すべきものでございまして、今回の次官級対話というのはその場ではございません。あくまでも広範な幅広い議論の中の一つとして取り上げられて、交渉したという交渉の場ではないと理解しております。
  39. 平野達男

    平野達男君 交渉だとか何だとかと、私はそんなのどっちでもいいですよ。  とにかくその中で、国の方針の中で、方針として、今、農林水産省厚生労働省としては諮問するという段階に至っていないと言っているわけですよ。そのことを、例えば仮定の話だとか云々とか言っているんだけど、それをびっちり言っておけばこういう発言は出るわけがないと言っているんですよ。  それで、今のお話でしたら、この発言が出ることは、出ても不思議はないようなそういう御答弁でした、協議の、交渉の場ではないとか云々とか。そうではなくて、先ほど言ったように、本当日本立場をフランクに話をする立場だったら、日本本当立場を何も話していないということになっちゃうんじゃないですかということですよ。  それで、キーナム次官の、じゃ、この発言は要するに誤解に基づくものだと、こういう理解でいいんですか。それとも、あくまでもこれはコメントできないということですか。
  40. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 私どもの、日本政府の米国産牛肉についての方針と申しますのは、あくまでも科学的知見に基づいて判断するということでございまして、そしてまた、大臣がおっしゃられているように、今の段階諮問云々について決定したものがあるわけではないというのが政府統一見解でございます。  したがいまして、その統一見解の下でこの日米経済対話はあったわけでございまして、あくまでも、そのための交渉をしてそこで何かを詰めたとか、そういうたぐいのものでは全くない、そういうふうに理解をいたしております。
  41. 平野達男

    平野達男君 答弁をとにかくごまかさないでくださいよ。キーナム次官発言は、これはだから誤解だというふうな理解でいいですかと聞いているんですよ。
  42. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 何度も繰り返しになって恐縮でございますが、この場はそのような交渉の場ではなくて、忌憚のない議論をする場でございまして、話題になったのは事実でございますが、そこで何かが決まったとかというものではございません。
  43. 平野達男

    平野達男君 決まったとかどうのと、当たり前じゃないですか、こんなの。決める会合じゃないと言っているんだから、これは。  もう一回、では聞きますけど、いいですか、こういう話題になったというのは何が話題になったんですか、そうすると。日本側から仮定の話でどうのこうのというふうに言うけど、仮定の中では、仮定として三十か月未満、これは諮問もあり得ますよという発言をしたということですか。そういう理解でよろしいんですか。
  44. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 先ほど申しましたように、この場というのは率直な忌憚のない意見交換をする場ですから、具体の個別の議論についてはコメントは差し控えさせていただきます。
  45. 平野達男

    平野達男君 いずれ、非常に外務省のやり方は、言葉は悪いけど、ひきょうだよ、本当に。  要するに、農水省厚労大臣はそういう段階にないとはっきり言っているんですよ。そういうことがアメリカに伝わっていないことが問題なんですよ。それを全然問題にしようとしていない。それで、コメントできません、コメントできませんと、そればっかりですよ。問題の解決に何にもならないじゃないですか、こんなのは。  一番問題なのは、あなた方が窓口として、農水大臣厚労省がやっているこの姿勢をぎっちり伝えることですよ。それを伝えないで間違った情報を伝えているとすれば、外務省は何やっているんだという話ですよ、これは。そうでしょう。  コメントがあったら、一言でいいですから何か言ってください。
  46. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) この問題については、政府一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
  47. 平野達男

    平野達男君 一体じゃないから問題にしているんですよ、これは。言葉でごまかしちゃ駄目ですよ、それは。  それで、これ、ちょっとお手元に資料が配付してございます。こういう文字ばっかり書いた資料をちょっと見ていただきたいと思います。  一枚目の上、「米国産牛肉の輸入問題について」、これは外務省厚生労働省農林水産省で、これは私ども民主党部門会議厚生労働省さんと農水省さんの担当者に来ていただいて、いろいろな経過をお聞きしたところ、外務省とは何も、このキーナム農務次官発言をめぐって何も打合せをしていないと、それはおかしいじゃないかということをさんざん注文申し上げたところ、厚生労働省さんと農水省さんと外務省三省協議をして、三省のこれは公式見解だと思いますが、こういう見解を出してきました。ここでは、上から三行目ですけれども現時点において、具体的な見直しが決まっているものではないと、これははっきり言っています、三省では。確かに、それは今政務官が言われたとおりですよ。だけど、繰り返しになりますけれども、この考え方が米農務次官の方に伝わっていないということですよ。これが最大の問題だということです。  更に言いますと、下にこれあるのは、これは先ほど理事会の中でも問題になった資料なんでありますけれども、提出すべきか提出すべきでないか。これは、私がいろいろあちこち聞き回って作った資料だというふうに言わせていただきます。  それで、これはなぜこういうことを資料を作ったか。先ほど言いましたように、官房長官発言がこの読売新聞始め四社の新聞に出ていまして、この内容を簡単に言いますと、日本方針としては、三十か月未満食品安全委員会諮問をするということは前から決まっていたんだといったようなことを発言したという新聞記事が載っていまして、これは新聞記事ではちょっと信用できないから、ちょっと調査室に頼みましてね、どういう記者会見したのか、その議事録探してくれと言ったら、議事録ないと言われた。本当これ議事録ないんですか、内閣府にお尋ねしますが。
  48. 今城健晴

    政府参考人今城健晴君) お答えいたします。  この官房長官会見議事録というメモに起こしたものというものは、私も探しておりましたが、ないということでございます。
  49. 平野達男

    平野達男君 是非、作っていただきたいと思いますが、その準備はありますか。
  50. 今城健晴

    政府参考人今城健晴君) 基本的に会見録というものについて、記者クラブのその場でお話しするというものでございますので、それをお作りするということには、ちょっといささか難しいのかなというふうに考えております。
  51. 平野達男

    平野達男君 なぜ難しいのかよく分かりませんが、いずれ、官房長官発言というのは正式の政府公式見解だろうと思います。それが正確に伝わるためには、新聞じゃ駄目なんですよ、新聞はいろんなところデフォルメするから。だから、それの会議録、議事録をちゃんと公表すべきなんです。そうでないと、官房長官本当に何しゃべりたかったかというのは伝わらないから。ないからこれ作ったら、これ出すなと言われたんだ、これ。役所から何か忠告受けたか何か知らないけれども。私は、これはいろいろ新聞記者とか何かあちこちへ聞き回った。聞き回った上で、とにかくいろんな、あちこち頼んで、こういう形で何とかまとめてもらいましたよ。  それで、この中で言っていること、まず、じゃ何点か非常に重要な点がありますから、指摘をさせていただきます。  まず、我が国政府は今は二十か月だが三十か月ということで、長官の発言のところです、三十か月ということで食品安全委員会に提起しようということだったが、御承知のように、米国は国際基準に従ってすべきではないかという立場でなかなか調整が付いていなかった。ここの部分は新聞記事にも出ています。これは、こういう発言があったのは事実でしょうか。
  52. 今城健晴

    政府参考人今城健晴君) ただいま平野議員の御質問がございましたその配付された資料、済みません、一言一句をつまびらかに照合ということはあれでございますが、基本的に、会見の場で言葉としてはおおむねそのようなことであったというふうに聞いております。
  53. 平野達男

    平野達男君 もう一点お伺いします。  政府としては二十か月を三十か月にすることで食品安全委員会諮問をすることで検討しているということでよいかということをある記者が聞いたら、それは前からそういう方針だ、それは日米の合意を得て今度諮問することになっている、その合意を得られたかどうかは聞いていないと、こういうふうに言っていますが、ここで重要なことは、それは前からそういう方針だと官房長官言っているんです。これは事実でしょうか。
  54. 今城健晴

    政府参考人今城健晴君) ちょっと前後の関係もございますけれども、この前からそういう方針であったというところは、私どもの基本的な方針といたしましては、平野議員がお配りになられたこの紙の上のとおりでございます。  それで、米国側は月齢撤廃ということをOIE基準が決まって管理されたリスク国になって以降ずっとおっしゃっておられるので、それには応じられないということを恐らくおっしゃられたんだというふうに理解しております。
  55. 平野達男

    平野達男君 だから、今のその言葉をそのまま受けますと、要件緩和ありき、だけれども月齢撤廃は駄目だけれども三十か月未満ならいいよというふうに取れちゃうんですね。  それで、農林水産大臣にお伺いしますけれども、我が国政府は今二十か月だから、三十か月ということを食品安全委員会に提起しようということだったと官房長官が言っていますが、これは政府としての統一見解というふうに理解してよろしいですか。
  56. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほど申し上げましたとおりでございまして、政府としては、食品安全委員会諮問する前に、日米によります専門家、科学者によります検討の結果、その報告が出て、その報告を踏まえてそれを検証をした上で判断をするということでございますから、まだ判断以前の状況にあるわけでございます。
  57. 平野達男

    平野達男君 それは先ほどの農林大臣発言と、御答弁と一致していますですね。  もう一点確認いたしますけれども月齢廃止ということをアメリカが言っているようですが、三十か月ということで、日本はそういう方針だということなんですが、そういう議論は中でされたという経過はあるんでしょうか。  質問の意味が分からないですか。アメリカ月齢廃止だと言っているようです。しかし、日本は三十か月ということで、仮定の話とか何か先ほどもいろいろありましたけれども、三十か月未満ならばこれは検討してもいいんだというようなことは今政府方針の中では一応固まったと、固まっているということの理解でよろしいでしょうか。
  58. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 政府の考え方は、今申し上げましたように、専門家による日米合同の委員会によります、会合によります報告が出なければ方針は決められないわけでございますので、政府として三十か月未満諮問をするという方針を決めるというような段階には至っていないという理解をいたしております。  なお、官房長官の御発言に関しまして今いろいろとやり取りがございます。それを聞いていて私が感じたことを申し上げれば、多分米国がOIE基準に従って月齢をすべて撤廃をすべきだということを強く主張をしているわけでございまして、これは我が国に対するだけではなくて、韓国を始めとして現在既に三十か月未満について一定の条件下で認めている国々に対してもそれを全部廃止しろということを強く主張をしているということが前提としてあるわけでございます。そういうような撤廃というのはおよそ考えられないということを強調をいたしまして、そういうような全部を撤廃するということではなくて、もしも仮にこれを緩和するといたしましても、これは他の多くの国々が採用しております三十か月未満というようなことで検討をするというようなことを、手順としてそういうことをしなければならないだろうということをお話しになったのだというふうに私は理解をしているわけでございます。
  59. 平野達男

    平野達男君 私は、この新聞記事あるいは官房長官発言されたと言われるこの趣旨、先ほど内閣府もその趣旨については否定されませんでした。その趣旨で見る限り、今農林水産大臣が言われたニュアンスというのは全く受けません。これは明らかに、これを読む限りにおいては、三十か月未満諮問をするということは政府方針だと言っているんです。  それで、これを受けて、朝日新聞はこう書いているんです。町村官房長官は七日の記者会見で、米国が合意すれば三十か月未満への緩和を食品安全委員会諮問する考えを日本政府として初めて公式に認めたと書いているんです。だから、大臣の言っていることとは全く違ったニュアンスでとらえているということです。  ここに三省統一見解で言われるところの、現時点において、具体的な見直しが決まっているものではないとか、そういう感じじゃないですよ。日本農業新聞もそういう危機感を持って書いているし、読売新聞もその前提で書いている。朝日だけは、公式として認めたというかなりきちっとした表現で書いていますけれどもね。だけど、私は朝日を責めようとは思いません。多分こういう形で発言されたらそのように取りますよ。  そこで、農水省厚生労働省に聞きますけれども官房長官にはこれからどういうふうに対応されるつもりですか、この発言をめぐって。明らかにこのペーパー、この三省公式見解官房長官政府公式見解と言っている発言内容には大きな差があるというふうに私は言わざるを得ないと思います。これをどのように埋めていきますか。農水大臣にお願いします。
  60. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私は、この官房長官記者会見発言が報道をされました後、このことについて官房長官とお会いする、このことについてお会いしたということではありませんけれども官房長官とお会いをした機会にこのことに触れました。そして、官房長官との話の中で官房長官は、先ほど私が申し上げたような趣旨であったということを私にお話をしておられるわけでございまして、官房長官の意図は、米国側が完全に撤廃しろということを強く主張をしているのに対して完全撤廃はできないということを申し上げながら、仮に緩和するとしたってそれは他の諸国が行っているような三十か月未満のものについて、諮問というふうにつながるんではなくて、やはり科学的知見に基づく判断をした上で緩和策を検討をするという趣旨のものだという話を二人で確認をしているところでございます。
  61. 平野達男

    平野達男君 そうすると、今農林大臣、重要なことを言われたと思います。この条件が整えば、場合によっては三十か月未満諮問することもあり得るということでありますか。
  62. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほど来申し上げておりますように、日米間の技術的な専門家会合におきまして、その結果を取りまとめ、そのリスクについて、我々、厚生労働省との間で共通した判断をするに至ります場合には、当然安全委員会諮問をしなければならなくなりますので、その諮問をしていくということだと考えております。
  63. 平野達男

    平野達男君 その前に、そうしますと、先ほどの先般の官房長官発言については、私はこれは多分に誤解を与えたと思います。現に新聞記事がこういうふうに出ているから、いろいろ出ていますから、大臣もお読みになったでしょう。これに対してはどのように対応していかれる所存ですか。
  64. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) そこで、今こうやって委員からの御質問にお答えをしているわけでありますし、私は、その後、農林水産省におきます記者との話合いに、話合いといいますかぶら下がりですけれども記者会見におきまして今申し上げたようなことを記者の方にはお伝えをし、そしてそのようなことを記者の方は報道として流しておりますから、こういう当初の報道が伝えられるような形で報道されていたとしても、我々の政府としての考えは、今この委員会において申し上げているそのことが政府としての方針なんだということをいろんな機会に明らかにしていくということでいいんではないかと思っております。
  65. 平野達男

    平野達男君 国会の委員会というのはそのためにありますから、そのとおり、それは一つの大きな手段だと思いますけれども、でき得ればきちっとした記者のブリーフィングをやった方がいいんではないかということを、これは私からのサジェストというか要望としてちょっと申し上げさせていただきます。  それで、日本は今二十一か月以上全頭検査、これについては現段階においては見直す用意はないという話でございました。しかし、今農林水産大臣は、場合によっては条件が整えば米国産の牛肉については三十か月未満ということで要件緩和して食品安全委員会諮問することもあるというような発言をされました。これはそういう理解で、もう一度確認しますけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
  66. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 場合によってはというような委員がおっしゃられたような漠とした話ではございません。先ほど来繰り返し申し上げておりますけれども米国との間で技術的な会合を重ねてまいりました。さらにその後、ペーパーでのお互い意見交換を続けているわけでございまして、それらの共同の報告書が出ますれば、それを技術的な判断として、それを基礎にいたしまして、その結果を取りまとめた上で、この輸入条件につきましては、やはりリスクコミュニケーションを実施をいたしまして、その結果、食品安全委員会諮問するという手順を踏む必要があると考えているわけでございます。
  67. 平野達男

    平野達男君 内外無差別の原則というのが、言葉がございますが、今、日本は二十一か月以上については全部全頭検査すると言っているわけです。そして、アメリカについては、どういう方向に向くか分かりませんが、要件緩和をするかもしれないという前提で技術検討を進めている。この段階で既に米国産牛肉と国内産の牛肉に対しての取扱いに差が出ています。そういうことですね。  それで、日本はなぜ二十一か月以上か。若齢牛が出たということもございました。いろんな背景があります。日本の牛とアメリカの牛が全く違う牛だというのなら分かります。しかし、同じ牛です。そして、日本は、繰り返しになりますけれども、二十一か月以上ずっと全頭検査をしてしばらくは続ける、その見直しの検討の準備のあれにも入っていない。アメリカに言われたからなのかは分かりませんが、そういう技術検討に入る前に、日本は二十一か月以上全頭検査です、まず国内産の二十一か月、これがどういうふうにするかということを決めてからアメリカのそういう要求に対しては対応しますと、これが本当は私は農林水産大臣というか、厚生労働省農林水産大臣が言うべき話ではないかと思います。  何となれば、日本はトレーサビリティーはもうしっかりしています。二十一か月以上についての全頭検査もしっかりしている。アメリカは、資料の後ろにちょっと付けましたけれどもアメリカは三十か月以上の死亡牛等の一部しか検査していません。だから、二十か月から三十か月、要するに三十か月以下については全く検査してないんですよ。そしてしかも、御承知のように、トレーサビリティー、いつ生まれたかというのが分からなくて目視で確認をしている。日本はこれだけ管理された状況の中で二十一か月というのを継続しているんです。それがアメリカに対して、アメリカの今技術会合をいろいろやっているみたいですが、この中で、どういう会合をやっているか分かりませんが、そういう検討をやること自体、私は消費者に対しては非常な不信感を与えることになるんじゃないかと思いますが、大臣、どのように思われますか。
  68. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほど来繰り返して申し上げておりますけれどもアメリカ専門家との間で、今のアメリカ牛肉についてのBSEに関する安全性について専門的な立場会合を開き、検討をしているわけであります。その中では、当然リスクについての判断の基になります科学的な検討が行われているわけでございますので、それらの科学的な検討の結果を踏まえた上で我が国として判断をするということでございます。  なお、トレーサビリティーにつきまして言及がございましたけれども、トレーサビリティー自身は牛肉の安全性を直接保証するための措置ではなくて、いろいろな、そういうBSEの患畜が発見をされた場合にも間違いなく、あるいはそういう疑いがある場合に、不審がある場合に間違いなくその生産者まで追跡し確認することができるというような措置であると理解をしております。
  69. 平野達男

    平野達男君 この三省のペーパーの中に、日米専門家における技術的会合の結果を取りまとめることが重要であると考えていると書かれています。日本は全頭検査をやった結果、若齢牛で、八例目と九例目で若齢牛の感染牛が出てきた。これもし大臣の言われるように、あるいは今まで仮にという話でいろいろ話がございましたけれども、要件緩和をするというような結論にもし行くとすれば、アメリカでは若齢牛は感染牛というのは発生しないということの証明が多分なされなければならないんだろうと思います。  今そういう前提で、そういった詰めを技術的会合の方でやっているということなんでしょうか。それとも、この技術的会合というのは何が今最大の論点になっているんでしょうか。特にも、これは要件緩和をするという前提であるとすれば、要件緩和をするための条件としてはどういう条件というのが提示されているのか。そういったことをちょっとこれは厚生労働省の方から、部長の方から。
  70. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  まず、どういうことがその検討の焦点になるかということでございますが、これはやはりBSEに感染している牛がどれぐらいいるのかということの評価になるわけでございますので、管理措置として、米国において飼料規制がどのような状態になっているか、あるいはそういう感染牛が発生したことをきちんと把握できるかどうかというサーベイランスの在り方ですとか、こういうことをきちんと評価をした上で、米国の牛のリスクというのはどの程度のものになるのかということを検討していくと、まず基本的にこういうことでございます。  そして、日本では二十一月齢以上は全頭検査義務付けていると、そして米国ではないという御指摘でございます。  一点だけこの点につきまして補足をさせていただきたいと思いますけれども、一昨年の十二月に食品安全委員会から答申をいただきまして、そのときに、答申の中身というものが、米国産の、現在我々が要求しておりますような輸出プログラム条件を満たせば、二十月齢以下で、そしてSRMを取り除けば、日本国内における全月齢の牛とのリスクの差は非常に小さいんだと、こういうことをいただいたわけですけれども、そのときの実は評価の中身が、単に二十月齢というところで切るということではなくて、米国の牛と日本の牛とを様々な形から比較をいたしまして、生体牛とそれから牛肉そのものにつきまして、侵入リスクの比較でありますとか、あるいは暴露・増幅リスクの比較でありますとか、サーベイランスによる検証、これは生体牛の方でありますが、また牛肉そのものにつきましては、屠畜対象の比較ということで、今おっしゃられましたようなトレーサビリティーとか屠畜頭数の面ですとか、あるいは屠畜処理の各プロセスで、例えば日本の場合にはピッシングがまだすべて排除されておりませんけれども、そういうものが入った場合のリスク、あるいはSRMの除去の仕方、それから食肉になった場合のリスクとか、様々な要素を食品安全委員会で御検討いただきまして、その結果として今申し上げましたようなリスクの差が非常に小さいという結論に至ったわけでございます。  したがいまして、いずれにいたしましても、米国の牛の危険性、牛肉の危険性、日本牛肉の危険性、こういうことをトータルに勘案しつつ御検討をいただくというふうなことになっていくんではないかというふうに考えております。
  71. 平野達男

    平野達男君 今の御答弁の中に、米国産の牛肉と国産の牛肉BSEの発症のリスクについては差がない、日米間では差がないという、そういうことだという発言だったんですよ、御答弁ですか。ちょっと確認させてください。
  72. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  正確に読ませていただきますが……
  73. 平野達男

    平野達男君 手短にお願いします、手短に。
  74. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) はい、済みません。  二〇〇五年十二月に食品安全委員会からの答申をいただきました。これに基づいて米国産牛肉の輸入を再開いたしたわけでございますが、そのときに書かれましたのは、「リスク管理機関から提示された輸出プログラム(全頭からのSRM除去、二十ケ月齢以下の牛等)が遵守されるものと仮定した上で、米国・カナダの牛に由来する牛肉等と我が国の全年齢の牛に由来する牛肉等のリスクレベルについて、そのリスクの差は非常に小さいと考えられる。」と、このように記載されております。
  75. 平野達男

    平野達男君 今の御答弁も非常に重要な御答弁で、米国産のBSEの発症リスクと国内産の発症のリスクとは同じだと言っているわけです。にもかかわらず、米国産だけが場合によっては要件緩和があり得るかもしれないという検討が進められている。これは私は、少なくとも農林水産省として、食肉行政というような食の安全をつかさどる省庁としては、やっぱり疑問を呈すべきじゃないかと思いますが。  まず、国内に対して、国産の要するに牛肉に対して、今こういう状況になっていて、今BSEを封じ込めるためにいろいろやっているわけです。これに対して答えを出してから、内外無差別の原則じゃないですけれども、きちっとした米国産の牛肉の対応をどうするか、こういったことも検討すべきじゃないでしょうか。  二十か月以下のものについては、これは世界的に見ても発症した例がないというか、専門的に言えば検知できない、分かりやすく言えば発症しないということで、これはどちらかというとユニバーサルな基準だと思います。あとはOIEの基準がどうあろうが何しようが、日本は発症リスクがあると思っているんだから、そのことをきっちりアメリカ側に主張しながらやらないと、これは消費者の理解が得られませんよ。だから、冒頭、外務省が何か、外務省コメントできませんとか訳の分からぬ答弁をしていますけれども、あれ自体が問題なんですよ。  この問題で、今回の一連の記事で消費者が本当に何だと思ったはずです、これに関心を持っている人は。前に二十か月齢米国産の牛肉輸入を認めたときには、日本と同じ条件でございますからとやったんですよ。それも大きな理由だった。ところが、今回はそういうことは全くこちらに置いておいて、日本は二十一か月以上の全頭検査堅持だとはっきり言っている。アメリカは場合によったらやるかもしれません、仮定の話だと言っている。これは本当におかしい話ですよ。  大臣、簡単でいいですから、ちょっとコメントいただけますか。
  76. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 屠畜場におけるBSE検査に係る今後の見直しの問題につきまして申し上げますと、現時点具体的な検討を行っているものではありません。我が国におけるBSE管理措置についてはリスクに応じて検討する必要があると認識をいたしております。リスク評価の時期や飼料規制やサーベイランス、調査、監視など、リスク評価に必要な資料の整備について農林水産省厚生労働省食品安全委員会などに相談しながら今後対応をしていかなければならないと、こう考えているところでございます。
  77. 平野達男

    平野達男君 まあ味もそっけもない答弁ですね。いずれ、食肉を含めた食の安全の行政については、アメリカを向いてやるんじゃなくて、やっぱり消費者を向いてやるというのがBSEが発生したときからの大原則ですよ。  私は、このBSE問題は六年前からかかわってきました。で、予算委員会等でも何回か言いましたけれども、これは安全の問題であり、安心の問題であると。安全の問題は科学的知見です。しかし、科学的知見を幾ら説明しても、私らの思っているものと消費者の思っているものの中では情報の非対称性というのがあって、なかなかリスクコミュニケーションができないんです。  何で日本で全頭検査をやったか。六年前のBSE特措法案を作るときの原案、私もかかわりました。あの一番最初の骨子、私書きましたよ、あれは、分からないまま。  あの当時は、二十四か月未満はしなくてもいいんじゃないかという発想もあった。しかし、政府は、全頭検査、先に走っていました。最終的に何で全頭検査やったか。二十四か月未満は大丈夫で二十四か月以上は大丈夫ではございませんって説明したって、消費者は納得しないんです。何で納得しないか。行政に対する不信ですよ。政治に対する不信です。  何で不信が起こったか。それは九月十日の一番最初に発症したときに、発症した牛がどうなりましたか。焼却処分されていますと、農林省の見解でした。次の日か二日後、実は肉はレンダリング工場に回っていた。そこから不信ですよ。OIE基準の、OIEからいろんな報告書が出たにもかかわらず、農林省はそれをきっちり外に報告してなかった。そういう中で、いろんな形での不信の輪が増幅して、これは安全問題であると同時に安心問題なんです。だから、プロセスが大事なんですよ。  そういうときに、いきなりマーク・キーナム米農務次官日本側が三十か月未満食品安全委員会諮問したと発言したと、こういう記事が出てきたら、今までのBSE問題が分かっている人が見たらびっくりしますよ。今までやってきたことは一体何だったんだと。これは安全の知見及び科学的な知見を積み上げると同時に、リスクコミュニケーションをちゃんとやって、政府も政治もしっかりやってます、消費者の皆さん方、大丈夫ですよというメッセージを送ることを一生懸命やってきたんだよ、これ。  ところが、さっきの政務官の話なんかは、そんなことどこ吹く風だ。問題意識も何も持っていない。多分、BSEの問題は全然今までかかわってないからということなのかもしれませんけれども、そういう問題なんです、これは。だから、キーナム農務次官がこれ発言したということも、問題もさることながら、発言をさせるような状況になっていること自体も問題なんですよ。そういうことをきちっきちっきちっとやっていかなかったら、消費者は、行政は一体何やっているんだ、政治は一体何やっているんだという話になっちゃって、後で科学的知見がこうでございますからって言ったって納得しませんよ。  結局、このままこういうことをやりますと、だれが損をするか。消費者ももちろん損します。私は、多分ひょっとしたらアメリカが大変なんじゃないですか、遠回りになっちゃうから。そういうことを外務省とか内閣府もちゃんと理解してやった方がいいですよ、これ。その辺の経過の話の流れが全然分かってなくて、アドホックな会議で、いや率直に話していますと。率直な話だったりするから、だったら、日本BSEが六年前にどういう経過で発生して、日本の消費者がどういう問題意識を持っているかというのを何でしゃべらないんですか。  そういうことを積み上がってしゃべっていけば、繰り返しになりますけれどもキーナム米農務次官がこんな発言するようなことはあり得ないよ。あんた方、それ分からないんだよ、それが。だから、それを、そういうふうにならないように、やらないように、私らなりにも一生懸命やってきたつもりだ。そうすることが本当に食の安全、今は偽装問題とかなんとかとかいろいろ騒がれている中で、少なくとも消費者が本当大丈夫かというような不快な思いさせないようにする、これも大事なことなんですよ。そういうことをするために一番大事なことじゃないでしょうか。  そしてさらに、農林水産大臣に申し上げたいのは、米国産の牛肉と国内産の牛肉、どっちが安全なんですか。私は、胸を張って今の段階だったら国産牛肉の方が安全ですと、それはリスクは同じだという話がございましたけれども、胸を張って言ってもらいたいですね。  その日本が二十一か月全頭検査やると言っているんですよ。アメリカに何で言えないんですか、それは。そういう姿勢の一つ一つが、私は消費者に対しては本当に反発というか、不安を受けると思う。幾ら科学的なことをしゃべったとしても、繰り返しになりますけれども、消費者はそれ以前に不信感を持ったら聞く耳持たないですよ。それが、繰り返しになりますけれどもBSE六年前に発生したとき以来のこのBSE問題の最大の教訓であると私は思っています。  時間になりましたから、今日はその後米の問題についてもいろいろ御質問する予定でしたけれども、是非農林水産大臣には、日本国産牛、ちゃんと管理している、絶対大丈夫だ、しかし二十一か月、検査必要だと、これが日本方針ですから、なぜそうなったかという背景も含めて、アメリカ側には是非伝えていっていただきたいと思います。  先般、ここで言うことかどうか分かりませんが、アメリカ大使館の方が私のところに来ました。民主党の農業者戸別所得補償法案の概要を聞きたいと言うから、いや本当かなと思ってお会いしたんですけれども、案の定、早く米国牛肉輸入を再開してくださいという話でした。そのときに私は、最初からずっと説き起こし話して、とにかく時間は必要かもしれない、だけれども、早急にやることだけやると必ず逆噴射しますということを一時間余り話しました、その人には。私でさえそんなことやるんだから、大臣だって、外務省だってやってくださいよ。  以上申し上げて、私の質問を終わります。
  78. 山田俊男

    ○山田俊男君 私は十二月の六日の本委員会におきまして、経済財政諮問会議の専門調査会並びに規制改革会議の専門委員会の在り方について議論をさせていただきました。とりわけ専門調査会や専門委員会のメンバーが市場原理を主張してやまない、さらには市場競争導入を主張してやまない動きにあることについて、メンバーの一新を行うべきではないかという議論もさせていただいたところであります。是非、バランスの取れた議論をできるよう、メンバーの構成について検討をいただきたいと存ずるところであります。  委員の任命について、例えば公募をするとか、それから広く国民の意見を聴く、透明性のある委員の選任を行う、こうした取組が何としてでも必要ではないかと、こう考える次第でありますが、内閣府中川副大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。
  79. 中川義雄

    ○副大臣(中川義雄君) 今、山田委員から大変貴重な御意見が出されました。私も、この規制改革会議のメンバーについてはいろいろと話があるということは聞いておりますが、ただ、これはあくまでも規制改革会議令に基づいて内閣総理大臣が任命することになっておりまして、私も内閣総理大臣に任命された副大臣でありますから、このことについて私の立場から云々することは大変難しいことだと思っております。  規制改革会議において農業に関するいろんな意見が出されておりますが、しかし、これはあくまでも規制改革の議員の方々が自ら研究して自ら調査した上での発言であって、これによって内閣が縛られるということにはなりません。ここはあくまでも諮問する機関であって、政策を決定する機関ではないと。我々、今の内閣においては立派な所管大臣その他がおりますから、しっかりとした政策を最終的には内閣の責任において決定されるものと、そういうふうに私は信じております。
  80. 山田俊男

    ○山田俊男君 これも総理大臣に指名されておられます岩永大臣にお聞きしたいというふうに思いますが、経済財政諮問会議の専門調査会の委員の中で、米価引き下げてなぜ悪い、農林省は米価引下げの政策をこそ推進すべきだと言ってはばからない委員もおいでになるわけであります。  それこそ総理の諮問機関であるわけでありますが、総理は自民党の総裁でもありまして、大変力の持った与党であるわけでありますけれども、そうした総理の諮問機関がこうした議論を行っているということについて一体どのようにお考えになるか、お聞きしたいと思います。
  81. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) 私も今は総理大臣に任命をされた副大臣の身でありますが、かねがね経済財政諮問会議の決定の在り方については疑念を抱いておりました。  御案内のとおりに、議院内閣制の国会で最終的に結論を出すべきところ、仮に総理の諮問機関であったとしても、あくまでも諮問をする会議であってほしいし、それが本来の諮問会議の在り方だと、経済財政諮問会議の在り方だと私は思っておりましたし、非常にやっぱり行き過ぎた発言がややもするとミスリードしてしまっていろいろな問題が出てきていることは事実であります。  さきの内閣から今の福田内閣に替わってきて、正に国民の一つの政治に対する視点がやっぱり国民の生活中心の視点に変わっていくべきだという、その一つ要求にこたえてやっている福田内閣は、正に経済財政諮問会議意見も尊重しながらも、やっぱり内閣が執行していかなければいけないその一つの責務を負って今やっていただいていることを私は高く評価をしたいと思っています。  また、規制改革会議はあくまでも諮問会議と趣を異にいたします。学者の皆さん方がそれぞれの立場で御議論なさること、そして御提言なさることは多としても、現実の問題を十分に踏まえた中で率直な意見を言っていただくこともさることながら、やっぱりどこにどういう問題が出てきているのか、あるときには中立な、こういう問題が輩出するという公平な立場でやっぱり御提言をしていただくことを私たちは期待をしたいし、余りにも何か規制改革会議の中で偏った意見を非常に強く押し出されるというのはいかがなものかと私は思っております。
  82. 中川義雄

    ○副大臣(中川義雄君) 今、規制改革会議についての山田委員からの質問でありますが、確かに、御承知のように農村というものは経済的な側面だけで成り立っておりません。それぞれの集落がいろんなお互いに助け合ってやっている、その中心的な存在が農協と理解しております。  今、諮問会議の中で農協改革についての意見が出されておりますが、そういった点では、山田委員も系統の中で生きてきた人としてはいろんな意見があると思いますから、どしどし出していただきたいと。そして、誤った判断を我が内閣がしないように、農水大臣もしっかりしておりますから、そのことを期待しております。  以上であります。
  83. 山田俊男

    ○山田俊男君 中川副大臣から激励をいただきまして、ありがとうございました。どんどん元気に議論をさせていただきたい、こう思います。大変ありがとうございました。  ところで、今もありました若林大臣から是非お聞きしたいところでありますけれど、規制改革会議が農協中央会の監査につきましてこれを否定するような議論をされていて、そして公認会計士の監査を導入すべきだという議論をされているやに聞いているところであります。  農協と株式会社との間では組織やその性格は大きく異なるわけでありますし、当然そうなりますと監査の目的も異なってまいります。株式会社が公認会計士の監査をやっているから、だから農協も公認会計士の監査を導入すべきだということは実態を全く無視した議論でしかないと、こんなふうに思っております。  とりわけ農協中央会は五百名以上の監査スタッフをそろえまして監査と指導が一体的になされる取組を行っているところでありますし、さらには、この中央会監査の中で公認会計士を活用する監査機能強化もずっと強めてきているところであります。今なぜ農協に公認会計士監査を導入しなければならないのか、どうしてこういう議論になるのか全く理解ができないところであります。若林大臣に是非、農協に規制改革推進会議が言うような形で公認会計士監査が導入されなければならないのかどうか、どう見解をお持ちか、お聞きしたいと存じます。
  84. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 我が国の農業協同組合システムというのは世界からも大変に評価をされ、注目をされておりまして、先般、私、中国に伺ったわけですけれども、中国の責任者との話の中でも、是非中国が農業、農村の発展のために日本の農業協同組合のシステムというものを勉強したい、いろいろな面で指導をし、協力を深めたいというような意向が示されております。それは、やはり先ほど中川副大臣お話しになりました地域社会というようなものをまとめながらその中で農業の発展を考えていく、そして地域社会のまとまり、支援の中で農業生産が行われていくような環境条件を整えることに大変な効果を上げてきているということ、そのことが評価されているものだと私も考えているところでございます。  そこで、規制改革会議において、農協、あるいはまたさらに規制改革会議議論の中には、森林組合や漁業協同組合にまで公認会計士による監査を導入をしてはどうかという意見があると承知いたしております。農協に限って申し上げますと、農協の外部監査というのは、お話ございましたように、農協の制度や事業に精通している全中が行うことと法律上定めておりまして、中央会における農協指導と監査というのは車の両輪となって有効に機能していると評価をいたしているところでございます。そのため、公認会計士監査のように指導と結び付かない外部監査は、指導と一体となって機能している全中監査に、これを置き換えるというようなことはできないものだというふうに私は考えております。  また、全中監査とは別に公認会計士監査を求めるということを意味するとすれば、これは二重に監査を義務付けるということになるわけでありまして、いたずらに農協の負担を増すと。つまり、監査を受ける側が公認会計士の監査の費用を負担するという仕組みが日本の公認会計士制度でございますから、二重に農協に負担を掛けることになるということで私は適当ではないと考えております。  また、現在全中においては独立した監査機構というものを持っておりまして、その委員長は実は元大手の監査法人の会長をしておりました公認会計士の方を委員長に充てているわけでございまして、この独立の監査機構の中には五人の専任の公認会計士を実は配置をいたしております。さらに監査の実施、各都道府県の信連などの監査でございますが、監査の実施に当たっては年間約九十名の公認会計士と契約を結んでおりまして、それらの協力を得ながら監査の適正化に努めているところでございまして、こうした監査についても監査水準を高めるためにその一層の努力が必要であることは当然でございまして、今後とも、これら公認会計士の知見も得ながら監査の水準を上げていくということが方向ではないかというふうに思っているわけでございます。  したがいまして、規制改革会議に対しましてはこのような全中監査の役割などについて十分我々も説明をしながら、全中に対しましても監査の質の向上に不断に取り組んでいただきまして、指導と一体となった監査がより適切に行われるように全中に対しても求めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  85. 山田俊男

    ○山田俊男君 十二月六日の、先般のこの委員会におきまして、私は内閣府の小島室長に対しましても質疑させていただきましたが、その際にも、規制改革会議の答申に当たってはあくまで当該農林水産省とそれから政府との間でしっかり一致したものについて盛り込むと、そういうことだというふうにお聞きしておるわけでありまして、今農林水産大臣の極めて的確な、また強いお考えが示されたわけでありまして、是非内閣府におかれまして、中川副大臣におかれましてもそうした農林水産大臣の意向を踏まえて措置されるよう、是非お願いしたいと思います。中川副大臣に一言お願いします。
  86. 中川義雄

    ○副大臣(中川義雄君) 私も農村地帯出身者でありますから、農業には大変関心を持っておりますが、今の大臣の話を聞いて、正直言って非常に安心しました。一生懸命農村の意向が、そしてまた、この規制改革会議というのは経済を中心としてということになっているんです。だから、社会とかそういうことになると少し弱い面もありますから、そういった点での専門家である大臣の話、私はそれが通っていくと確信しております。
  87. 山田俊男

    ○山田俊男君 ありがとうございました。  それでは、次の課題について農林水産大臣のお考えをお聞きしたい、こう思います。この夏の参議院選挙におきましても大変大きな争点になりました品目横断経営安定対策につきまして、与党におきましても精力的な検討がなされておりました。さらにまた、若林大臣におかれましても、これまでの一律的な推進、全国一律的な基準の押し付け、これでは駄目なんだということで、農林水産省を挙げて全国の農業者、関係者から意見を聴くという取組をやってこられたと、こう聞いておりますが、これまでの検討の状況はどういうことになっているのか。おおよそ大事な見直しのポイントは骨格が定まったというふうに聞いておりますが、検討状況をお聞きしたいと思います。
  88. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 品目横断的経営安定対策につきましては、委員も御承知のように本年度から導入されたばかりの新しいシステムということもありまして、制度に関する普及、浸透が十分でない、そのために現場で大変不安や不満の声が多く聞かれたところでございます。批判の声も強く上がってまいりました。  このため、私は、生産現場の生の声を把握をするために本省課長以上の幹部が現場にもっと出掛けていって、説得よりもまず意見を聴いてくるのが先じゃないかということを申しまして、いわゆる御用聞き農政という形でキャラバン隊を編成して全国各地に出掛けてまいりました。  その中におきまして、この対策の仕組みとか加入要件、あるいは事務手続、そしてまた集落営農の組織化とその運営などに関しまして実態に即した率直な意見が多数出されたというふうに感じております。それらを今集約をいたしまして、この品目横断的経営安定対策改善策を詰めてまいっておりまして、近々これを取りまとめられる、改善が決められるような状況になってきております。  このうち、加入要件につきましては、原則は維持しつつも、地域農業の担い手として周囲から認められ、熱意を持って営農に取り組むという人が本対策に加入できるような検討をしなければなるまい。そしてやはり、それには市町村のレベルでいろいろな水田農業の展開ビジョンなどを作成をしてきて現場で指導的な立場に立っておりますから、そういう市町村側の意見が運営の面で反映できるような仕組みを今詰めているところでございます。  また、事務手続の煩雑さということが言われております。これにつきましては、交付金の支払時期がばらばらでありまして、かつ遅いという意見が非常に多く出されておりますので、なるべくこれらをまとまった額を早期に支払うことができますようにするとともに、提出書類などについても大幅に削減、簡素化するということで具体的な詰めをし、これらについて地域の意見も内々に徴しているところでございます。  そのほか具体的な問題としては、小麦につきましては、急速に単収が向上した一部の地域について、近年の生産性向上努力が過去の生産実績に基づく支払の面積単価に的確に反映されていないという意見が出されておりますが、これらにつきましては小麦の国際相場が急騰しているという事情もあるわけでございまして、こうした中で先進的な産地に対してはどのような対応ができるのか、今具体的に検討をしているところでありますが、これらについては地域を生かしていくという立場で措置をしたいと、こう考えております。
  89. 山田俊男

    ○山田俊男君 相当な検討、見直しがなされているという様子をうかがうことができました。  ところで、福田総理は所信表明におきまして小規模・高齢農家に対して配慮するということを言明されているわけでありますが、今も大臣の中で、地域の実情を踏まえて地域の関係者による水田農業ビジョンの策定がなされて、そして、そのビジョンで選ばれたといいますか描かれた担い手について対象にしていくということも検討内容だと、こうおっしゃっていただいたわけで、是非それが具体的により地域の実態を踏まえたものとして進むことを期待したいわけでありますが、大臣が、加入条件、加入原則はこれは維持しつつと、こうおっしゃっておられる部分もあるわけでありますが、これまでのような一律的な基準を押し付けるとか一律的な推進をやるという中で、要は、加入条件は原則として維持しつつという中で、そうした一律的な基準を押し付けるようなことにならないように配慮が必要だというふうに思うわけでありますが、具体的には、高橋局長、この部分の検討状況をお聞きしたいと思います。
  90. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 今、大臣からもお答えいたしましたとおり、今回の加入要件につきましては、やはり地域におけます実態の反映というものが要件あるいは特例措置を含めて用意しておりました制度ではやはり十分ではなかったということでございます。したがいまして、特にやはり市町村レベルにおけます実態、こういったものはやはり市町村レベルでよく把握できるということでございます。  ですから、原則で、例えばもう既にこの制度が行き渡りまして設立をされているようなところもあるわけでございますけれども、他方でそこが十分でない地帯もある。そういったものはやはり地域地域によりまして状況も異なります。したがって、原則によりまして設立した地域もあるわけでございますけれども、そうじゃないところ、届いてないところにおいてきちんとした市町村段階における判断で対応ができるような方向ということを現在、先ほどの水田農業ビジョン等々も含めて、生産調整との関連も含めながら現在検討しているというところでございます。
  91. 山田俊男

    ○山田俊男君 是非この点は、例えばガイドラインを定めるみたいな形で、しかし、本当のガイドラインならいいんですが、そうじゃなくて、一律的な基準の押し付け等にならないように十分な配慮を持って進めていくということをやっていただきたいと思います。  もう一つ、これは高橋局長にお聞きしたいんですが、対象作物の拡大やそれからナラシ対策、これは米についてのナラシ対策の見直し、さらには緑ゲタ、黄ゲタと言われる、これは名称についても議論があるというふうにお聞きしているわけでありますが、これらの見直しについて、臨時的な措置なのか、いや、そうじゃなくて、品目横断経営安定対策のこれは来年度以降の恒常的な見直し対策なのかどうか、これについてどういう検討状況なのか、お聞きしたいと存じます。
  92. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 何点か御質問ございました。簡潔にお答えさせていただきたいと思いますが、まず対象作物の関係でございますけれども、これにつきましては様々な地域から様々な御要請ございますけれども、やはり今回の品目横断というのは、その趣旨にもございますように、米あるいは麦、大豆などの土地利用型の作物というところだと思っております。そこのところをどうしていくのかが非常に重要でございます。  そうしました場合に、このような土地利用型作物について、構造政策的に行っていく本対策で対象にしていくのがいいのか。あるいは地域の特産的なものとして、これについては、はっきり言うと生産を全部振興するという形になりますので、そういう生産振興的な形で対処をしていくのがいいのかどうか。あるいは、例えば品目横断の場合には、収入減少緩和対策の場合には農家の拠出金も必要となっております。そういう拠出金まで求めていく必要があるのかどうか。そういったようなことについてきちんと慎重に検討した上で、例えば生産対策で行う方がより適切であれば、そこのところで対応する方がいいのではないかなというふうに思っております。  それから、二つ目に、いわゆる収入減少影響緩和対策につきましては、特に本年については米価の関係でお米の問題が当初非常に大きな課題になっております。近年のセンター価格、大分上昇基調に転じておりますので、その部分についての御議論というのについては、最終的には来年三月までの価格を見なければならないわけでありますけれども、原則として一〇%程度の価格下落に対応できるような制度設計にしておりますが、万が一、万が一その拠出を上回ったような場合が生じた場合についても、やはり農家の不安感の払拭という観点から、やはり対応を何らかの形で行っていく必要があるのではないかなということで現在検討しておりますし、また来年以降はこのような拠出不足というようなことがないような制度について、何らかの形で対応ができないかということを今詰めておるところでございます。  最後に名称の関係でございますけれども、やはり私ども、農家に分かりやすくというような形で略称等を考えてまいりましたけれども、この委員会の場でもいろいろな意味で分かりにくいというような御批判がございました。黄ゲタ、緑ゲタにいたしましても、WTOという頭がございます。WTOの発想がございますので緑とか黄というようなものを入れているわけでございますけれども、やはりこれはなかなか農家には分かりにくいというようなこともございますので、この辺の説明ぶりについても、きちんと早急に分かりやすい対応をしてまいりたいというふうに思っております。
  93. 山田俊男

    ○山田俊男君 担い手づくりの大きな柱となるべく集落営農について、現況、米価の低迷もあって大変苦しい運営になっていると聞いております。集落営農は、小規模・高齢農家の対策として、また農地の団地的な集積という観点で大変重要な方策の一つでもあります。集落営農の初期投資、さらには機械等の買換えが生じた場合の負担の軽減、これが集落営農を生かしていく、維持していく、発展させていく、そのための大きな手だてというふうに言われておりますし、私も考えております。その場合の農業機械のリース等、これが大変有効だというふうに言われておるわけでありますが、これらの支援措置の充実が重要だと考えます。  この点、高橋局長、お聞きしたいんですが、どういう検討状況になっていますか。
  94. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 集落営農組織に対します機械リース、非常に重要な施策ということで、また有効な施策であるというふうに私どもも認識しております。  したがいまして、二十年度予算に向けまして、夏の概算要求段階におきましてもこのリース料の一部助成というようなことについて盛り込んでおるところでございますけれども、先ほどもございました現場の様々な御意見等を踏まえて、更にこの事業の拡充ということについて現在、最終の検討を進めているところでございます。  特に、この集落営農につきましては、例えば農協等が整備した機械施設、これを集落営農にリースするような形態というようなことについても考えられないか、あるいはリースの一部助成についてもう少し上乗せができないかというようなことにつきまして現在、最後の詰めを行っているところでございます。
  95. 山田俊男

    ○山田俊男君 年が押し迫っても国会をこうして開会しているわけでありますが、農作物はそれこそ季節の変動に合わせて育っていくわけであります。種もまくわけであります。今、農業生産にとって極めて大事な品目横断経営安定対策について、農業者は期待し、また不安を持ってもう一杯であります。是非ここ、若林農林大臣、さらには岩永大臣、これまでも頑張ってきてもらっておりますが、これらの期待にこたえるべく全力を挙げて対策を講じていただきたい、こう思います。  若林大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  96. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員が情熱を込めていろいろと御意見を賜りまして、また御提案もございました。そういう御意見、そしてまた現場の声をしっかりと受け止めた上で、この仕組みが現実に有効に作用するように、効果を上げていけるように我々全力を挙げて取り組んでまいるつもりでございます。
  97. 山田俊男

    ○山田俊男君 岩永大臣、ございますかね。
  98. 郡司彰

    委員長郡司彰君) いや、時間ですから。
  99. 山田俊男

    ○山田俊男君 時間ありませんね。はい、分かりました。大変ありがとうございました。
  100. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  本日は、食品表示の改善とそれから監視体制の強化についてを中心に質問をいたします。  まず初めに、食品表示につきましては、これはもちろん消費者にとりましては食品を選択する際の最も基本的かつ重要な情報源でございます。以前でありましたらよく表示を見て購入すれば安心というのが一般的であったわけでありますが、しかしながら今年は、今年一年の世相を表す漢字一字表すとすれば、これが「偽」であるとかあるいは「嘘」という漢字が出てきた等に明らかなように、今年はたくさんの食品の偽装問題が出てまいりました。食品表示が本当かどうか分からないといった声、あるいは表示を信じて買うと危険といった著しい不信感へと変わってしまったのではないかというふうに懸念をしております。間違っても制度はあっても守られていないということにならないよう、表示制度の実効性確保に向けた一層の努力を政府に求めたいと思っております。  そこでまず、昨日の報道でも発表された食品Gメンについて質問をいたします。  我が党も、食品Gメンについては、大規模事案に対応の特別調査官を新設、増員するということでマニフェスト等、選挙戦等、中で訴えてまいりました。昨日、この食品Gメンにつきましては、地方農政事務所にいる約二千人の食品表示担当職員の中から、東京十人、大阪七人、そして福岡三人、合計二十人配置するということで発表されましたけれども、まず、この新たな取組というのは具体的にこれまでと何がどう違うのか、他省庁あるいは地方の関係行政機関との連携をどう図っていくのか、この点について大臣にお伺いいたします。
  101. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 福田総理の指示によりまして、生活安心プロジェクトというのを立ち上げております。その中で、食べるということについての安心の確保というのが課題になっておりまして、国民の声として、食品表示の偽装事件が繰り返し発生をしているために大変安心できなくなってきた、食品表示については消費者がもっと安心できるようにしてもらいたい、行政の方も監視指導体制を厳しくしてほしい、そういう要望が各地から上がっております。農林省の食品表示地域フォーラムや生活安心などの意見、インターネットなどでも多数寄せられているところでございます。  そういう状況を受けまして、今委員がお話しいただきましたように食品表示の特別Gメンというものを設置いたしまして、食品表示に関して広域で重大な違反事件が発生した際に機動的に調査を実施することができるように新たに二十名規模でこのGメンを設置するということを来年度の組織要求に出しているところでございます。これによりまして、不適正な事案については迅速にかつ的確に対応が可能になるものと考えているところでございます。  昨日開催をされました先ほどの生活安心プロジェクトの議論をしているわけでございますが、生活安心関係の閣僚会議で決定をされました緊急に講ずる具体的な施策の中におきましても、不適切な食品表示に対する監視を強化するために、農林水産省を始め関係省庁や地方の関係機関が連携をして情報の共有を図る食品表示連絡会議などを設置するということを決めたところでございまして、農林水産省としては先ほどの、今まで講じてまいりましたJAS法によります指導監視体制を更に強化をいたしまして食品Gメンを設置するほか、関係行政機関との間で、中央、霞が関レベル、さらにブロックの地方農政局レベル、そういう各レベルにおきまして政府関係機関や都道府県の担当機関との連携を深める協議会を設置するなど、そういうネットワークをしっかりとつくってまいりたいと、このように考えているところでございます。
  102. 谷合正明

    ○谷合正明君 そこで、その偽装防止対策として今最も効果を上げていると言われているのが関係者からの内部告発であるというふうに言われております。実際、農林水産省内にも食品表示一一〇番を開設されましたけれども、当初は月百件程度の情報提供だったのが、六月のミートホープ事件以降、十月からは赤福の問題も発覚したこともあり、今七百件余り情報提供が寄せられていると。  この内部告発について、大切な視点というのは三つほどあるのではないかと思っております。一つは、その内部告発、正に公益に資する情報と位置付けていくと。情報提供者を解雇等々の不利益からしっかり守ることというのも必要であろうと。また、ミートホープ事件でも問題になりましたとおり、情報を提供しても、当時、農林水産省の出先機関と北海道庁との連携不足が原因で十分生かされなかったという事例もございました。この連携ということも大事であろうと思っております。  また、この食品表示の規制にかかわる法律自体がなかなか複雑で、今、食品衛生法であるとかJAS法であるとか、あるいは公正取引委員会、そして経産省と四つの省庁等にまたがっており、賞味期限、消費期限の違いの複雑さから分かるように、なかなかこの制度が複雑になっておると。実際に、その情報提供者、現場の自治体職員にも少なからず混乱があるというふうに指摘をされております。  この点につきまして、今有識者の間で、省庁横断的な公益相談センターのような組織の設置や食品表示制度、表示法制と所轄官庁の一元化を進めるべきといった指摘もございます。  まず質問させていただきたいのは、この公益通報制度の改善について省庁横断的に検討すべきであると、それが情報提供に基づき迅速で的確な対応を図るために必要であると思っておりますが、この点について、現在内閣府、どういうふうに見解を持っていらっしゃいますでしょうか。
  103. 竹林義久

    政府参考人(竹林義久君) 公益通報者保護法の関係でございます。昨年の四月から施行されております。  私ども内閣府におきましては、公益通報は、従業員の方々が内部に通報する、あるいは外部の場合には行政機関ないしはマスコミ等々への通報が可能でございますけれども、そうした場合に、行政機関に受け付ける場合の関係につきましては、「国の行政機関の通報処理ガイドライン(外部の労働者からの通報)」ということで平成十七年七月に関係省庁で申合せするとともに、公益通報関係省庁連絡会議を設置しまして、関係省庁間の密接な連携、情報の共有に努めているところでございます。  また、この公益通報につきまして、処分権限を持たない行政機関に従業員の方が通報された場合につきましては、当該行政機関は通報者に対しまして正しい行政機関を教示する義務がございまして、これを支えるために、内閣府のホームページ上では通報先の検索が可能になるようなデータベースを設置しまして、全行政機関が通報先、教示先に対する情報を共有する体制を整えております。  このほか、内閣府におきましては、公益通報者保護制度相談ダイヤルを設置しまして企業の担当者あるいは労働者からの相談に一元的に対応するとともに、関係省庁連絡会議を開催するなどして相談事例の共有など横断的な連携に努めているところでございます。
  104. 谷合正明

    ○谷合正明君 次に、解凍の表示の義務付けについて質問をさせていただきたいと思います。  これは赤福の問題で明らかになったわけでありますが、いったん工場から出荷され、再び工場に戻ってきた製品を冷凍保存し、後日、解凍日を製造日として再出荷していたということが判明したと。しかも、解凍した製品にもかかわらず、生ものですからお早めにお召し上がりくださいと表示がなされ、消費者を混乱させたということで、製造日を二回付けるという行為が、一つの商品に製造日は二回ないとの立場を取るJAS法には違反すると。しかしながら、直接人の健康へ危害を加えたのかどうか、それを旨とする食品衛生法では問題ないということでございました。  少なくとも、ただ、消費者に誤解を与えないということであれば、この解凍という表示、今は生鮮の水産物には取り入れられておりますが、このJAS法で解凍日の表示を段階的に義務付けていくことは可能であろうと私は思っております。畜産物関係は今自主的にやっておられるというふうに伺っておりますが、この点について、今後の動きについて農林水産省見解を伺います。
  105. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) お答え申し上げます。  お話しいただきましたように、水産物、これにつきましては有識者から成る検討会で審議をいただきまして、水産物品質表示基準、これを作成いたしまして、平成十二年七月からこれに基づき表示が行われております。この中で、生鮮の水産物を冷凍後解凍した、このものにつきましては、御指摘のように解凍との表示を義務付けております。  この表示を義務付けていることにつきましては、冷凍を経ていない生鮮水産物、これと、いったん冷凍後解凍したものとの間には、味、価格に差があると、こういった一般的な理由に加えまして、冷凍したか否かで、刺身にするかどうか、こういった調理方法を変えるということが多いという水産物特有の事情がある、こういったことを踏まえまして、消費者が水産物を選択するに当たって解凍表示が必要というふうに判断したことによるものでございます。  一方、加工食品でございますが、水産物のような調理方法の変更につながるといった特有の事情がないといったことから、解凍との表示を義務付けていないところでございます。  なお、消費者の商品選択のためにはもちろん事実に基づく正確な表示がなされるといったことが重要でございまして、御指摘いただいたように、いったん冷凍して解凍したものをあたかも作りたて、このように表示することは消費者の誤認を招くものでございまして、JAS法に基づく品質表示基準に違反することとなるわけでございます。このような不適正な表示が行われないよう監視指導を徹底いたしまして、消費者の信頼確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  106. 谷合正明

    ○谷合正明君 いずれにしても、私は段階的にこれは進めていくべきであると思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  次に、食品業者間取引における表示義務付けにつきまして、これは既にミートホープ事件をきっかけにしましてJAS法の加工食品品質表示基準を改正して、来年四月から業者間取引においても製品情報等を記す規格書などに原材料の記入を義務付けることになりました。これはこれとしていいわけでありますが、果たして、この業者間取引というのは非常に多段階にわたることもありまして、実際にその不正行為をどのようにチェックしていくのか、また今の監視体制でいいのかどうかといった問題があると思います。  この施行までまだすぐというわけじゃないというふうに聞いておりますが、この実際の運用についての強化体制、これについて農水省に確認をさせていただきます。
  107. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 食品の業者間取引に表示義務を課するということで適用範囲が拡大されるわけでございます。これに伴いまして、監視対象となります事業者が増加するといった業務量の増加が見込まれているところでございます。  このため、平成二十年度に監視指導体制の強化といたしまして、先ほど大臣からお話をいただきました食品表示特別Gメンの設置に加えまして、まず本省段階ではこの業者間取引に関して、効率的な調査を行うための専門官を増員、これ六名増員したいというふうに考えております。また、各地方農政局段階におきましても、関係機関と連携調査を統括する、そういった立場の専門官を七名配置したいといった所要の要求をしているところでございます。  こうした体制の強化に加えまして、御指摘いただいたように、大変多様化、複雑化しております加工商品の流通実態、こういったことを踏まえた調査あるいは現場での適切な助言、指導、こういうことができる職員の体系的な育成、こういったことにも努めてまいりたいというふうに考えております。
  108. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非、制度はあっても守られていないとか守られない、そういったことがないようにしっかりしていただきたいと思っております。  次に、輸入食品の監視体制の強化について厚生労働省にお伺いいたします。  やはり食品偽装問題とともに今国民の中で関心が高いのは、この輸入食品の安全性の確保についてということだと思います。近年、輸入食品は一貫して増加しておりますが、とりわけ特徴なのが、加工食品の輸入割合が増えたことを反映して、その重量の伸びよりも件数の伸びが際立っていると。例えば、平成元年から平成十八年までの間で、重量ベースでいいますと輸入食品は一・六倍の増加であるのに対して、件数でいいますと二・七倍の件数の増加であるということであります。  これに対して、全国の三十一の検疫所で食品の検査に当たる食品衛生監視員は、輸入件数の増加割合に比例して増員されてきたと。これも平成元年から平成十八年の間で三・五倍に増員になりまして今は三百十四名ということなので、この監視体制、人員という意味では強化に向けた努力が払われているというふうに評価したいと思うわけでありますが、実際、百八十五万件の輸入件数が昨年あったわけでありますが、大体書類審査で審査されて、命令検査、衛生検査、モニタリング検査という、実際に検査する件数というのは大体二十万件だというふうに言われております。  これから問題になると思われるのは、先ほど申し上げたとおり、種類が増えてきているということ。新しい食品、材料がどんどん輸入されているということ。実際に、食品輸入で違反になる対象となるのは、大体、初回輸入時に違反件数というのは違反になるものが多いということを考えますと、新しい食品、材料が増えてくることに伴って初回輸入時における違反件数も増えてくるのではなかろうかと。実際、食品輸入を手掛けている企業、個人の会社の数というのは、実は実態が把握できないというふうにも指摘をされております。  そういう意味におきまして、このマンパワー以外の監視体制の強化であるとか効率的な検査実施に向けた取組状況について伺います。
  109. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  我が国の食料自給率は、熱量ベースで約四割とされておりまして六割を輸入に頼っておるわけでございますので、輸入食品の安全確保は本当に大切だと私ども考えております。そういう中で、先生指摘のように重点的、効率的な対応が必要であると考えております。  一番ポイントになりますのが、私どもの対応としましては、毎年監視指導計画というものを輸入食品作っておりまして、それを基に重点的、効率的な輸入食品の検査でありますとか、あるいは輸出国に対しまして輸出するに当たっての検査体制でありますとかあるいは安全管理につきましてどのようにしているかということを二国間協議を通じていろいろとその改善を求めていくと、こういうようなことを組み合わせて対応することにいたしております。  また、あわせまして、検疫所におきまして、人員の問題以外に、検査の機能を検査項目を拡充し、また必要な最新の検査機器を導入いたしますとか、あるいは緊急的に多くの検査が必要になった際に外部に委託をできるような体制を取るとか、このような様々な工夫をしながら、先生指摘のような重点的、効率的な監視の体制が取れるように心掛けておるところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも輸入食品の安全性を確保するために引き続き頑張ってまいりたいと思います。
  110. 谷合正明

    ○谷合正明君 もう最後になりますが、大臣に質問させていただきますが、これまで食品表示の改善について質問を続けてきたわけでありますが、しかしながら、食品表示を改善することとともに、実際に食品を選択する上で、食育という言葉ありますけれども、一言で言い表すならば、食べ物を取捨選択する力を養うことであるというふうにも言われております。  今、日本のGDPが五百兆あるとして、そのうち八十兆円は食料の消費に充てているというふうに言われております。国内生産は十兆円と。要は、七十兆円海外からのものを消費しているという国が我が国でございまして、私は、食品表示といった消費者利益の保護に資する制度の充実強化というのはもちろん重要だとは思うんですが、一方で食生活の健全性を取り戻すということも大事であろうと思っております。  ちょっともう時間がありませんので、最後に大臣に一言、両面にこのバランスが大事だと思いますが、大臣見解を伺いたいと思います。
  111. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 全く同感でございまして、一言で言えば、賢い消費者といいましょうか、食料の、毎日のことでございますから、その選択に当たって、例えば偏りのない食事、栄養のバランスを取るとか不規則な食事をしないようにするとか、よく言われます生活習慣病の増加などの問題に対応するためにも、消費者の方々がやはり食品に対する知識などをしっかりと身に付けて選択ができるように、賢い消費者になってもらいたいという思いがございます。それはやはり教育だと思います。委員が御指摘の食育運動といいましょうか、国民運動を推進していくことが大事だと思います。  農林省は、御承知のように、食の生産から流通、さらに消費といった一連の流れを担っているという特色を持っております。この特色を生かしながら、幅広い関係者と連携をしながら、今後食育を推進していくということに力を入れてまいりたいと考えております。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  私は、先ほどもやり取りがありましたけれどもBSEの問題でお聞きしたいと思います。  それで、更に確認をする意味でお聞きしたいんですけれども、十二月の六、七と行われました日米次官級経済対話が行われて、そこでBSEの問題もその話題に上がったと。  それで、山下官房審議官にお聞きいたしますけれども、先ほどのやり取りの中ででも、結局米国側からも言われたことは、月齢の撤廃という要求も出されて、そこまでは無理だとしても、三十か月齢以下という緩和のことも含めてその問題も話し合われたということで、山下審議官は現場に参加しておられたわけですよね。ですから、そこのところが確かなのかどうか、実際のところどうだったのかというところでお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
  113. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) 日米次官級経済対話に関連したお尋ねでございますが、農林水産省からは私が出席しておりました。幾つかの話題一つといたしまして米国産牛肉につきましても話題になりましたが、日米次官級経済対話は、先ほども外務省から御答弁があったように、本件を具体的に協議するような交渉の場じゃないことから、その際、具体的にどのような発言があったかについては差し控えさせていただきたいと思います。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ全然納得できないですよね。国民の皆さんが新聞記事を読んで、それで非常に心配をしているわけですよ。現場にいるあなたがそのことに対して明らかにできないというのはおかしいんじゃないですか。  実際に現場で見て、さっきもこのやり取りの中で幾つか確認されていることあるわけですよ。で、どういうふうに言われたのかということも含めて、農水大臣自身も恐らくこういうことだったろうというふうに言うわけですから、そのことについてどうして言えないんですか。
  115. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) 先ほども申し上げましたように、日米次官級経済対話につきましては、本件を具体的に協議するような交渉の場ではございませんので、個々の具体的な発言内容については、繰り返しになりますが、差し控えさせていただきたいと思います。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 あなた自身が現場にいておられて、そのやり取りを聞いていて、どのように思われましたか。ちょっとこれはまずいんじゃないかと、まだ日本の中では話もしていない、決まってもいないことを持ち出すのまずいんじゃないかなと、そんなふうに思われませんでしたか。
  117. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) その具体的なやり取りにつきましては差し控えさせていただきたいと思いますが、政府統一見解の範囲内で意見交換がされたというふうに認識をしております。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 それまたちょっと問題だなと思うんですけど、統一見解の中でということですか。統一見解なんていう中でそんなことのやり取りもいいということになっているんですか。統一見解って何ですか。
  119. 山下正行

    政府参考人(山下正行君) 繰り返しになりますけれども具体的な発言がどのような形でなされたのか等につきましてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  120. 紙智子

    ○紙智子君 全然納得できないですよ、そんな。統一見解って何ですか。もし、今すぐ出せないというんであったら、ちょっと委員長にお願いしますけれども、後でそれペーパーで出していただくように要求したいと思います。
  121. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 後日、理事会にて検討いたします。
  122. 紙智子

    ○紙智子君 非常に、現場にいておられながら、それに対して問題とも思わないということでもあって、非常に私は重大な問題だなというふうに思うわけです。  それで、食品安全委員長、今日お越しいただいているのでお聞きしたいんですけれども、相手国に、食品安全委員会リスク評価もしていない、BSEに関する輸入条件の変更を伝えること自身、この食品安全委員会でのリスク評価を経てからリスク管理をするというこの食品安全基本法に定められている原則に反することじゃないかと思うんです。食品安全委員長としては、このようなことを許しておいていいのかどうか、御発言いただきたいと思います。
  123. 見上彪

    政府参考人(見上彪君) 初めまして。  米国産牛肉の輸入条件見直しに関する日米間の協議につきましては、これは正に食品安全委員会でなくてリスク管理機関が責任を持って対応すべき問題であるというふうに思っています。食品安全委員会諮問を行うことを前提に日米間で協議を行うことは食品安全基本法に反するものとは思っておりません。  それで、仮に日米間の協議を経て、輸入条件見直しについてリスク管理機関、すなわち農林水産省及び厚生労働省から諮問があれば、食品安全委員会としましては、国民の健康を最も優先的に思うというそういう観点から科学的な知見に基づいて中立公正にリスク評価を行ってまいりたいと、そのように思っております。
  124. 紙智子

    ○紙智子君 今の答弁はあれです。やっぱりリスク評価食品安全委員会で得て、その上で科学的なそういうものの分析の上に立って、それからでないとやっぱり提案しちゃいけないですよね。そういう御見解ですよね。
  125. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 委員長発言を求めてからにしてください。挙手の上、求めて。
  126. 見上彪

    政府参考人(見上彪君) どうも済みません。素人なもので、よくルールが分からなくて申し訳ございません。  今の問題点は、いろいろ食品安全委員会評価を行う場合に、リスク管理機関から諮問が来て、それでそれに対して評価をするという一つのステップのことをお話ししましたんで、ほかに評価の方法というのはありまして、自ら評価という、要するにBSEに関する中間見直しのときにはそうだったんですけれども、そういう評価の仕方がございます。  先ほど申し上げましたように、仮にリスク管理機関から食品安全委員会諮問を行うことを前提にしたら、決して食品安全基本法に反するものとは思わないと、そういうことでございます。  ですから、議員がおっしゃっていることは、何か一つの、僕が今答えたことで御不満だったら、それ以上のこと何もお話しすることできません。というのは、そういうステップを踏んで、急に例えばこういう問題が起きたとき、急に食品安全委員会に対して自ら評価を行えというようなことが仮に起きたとしても、自ら評価というのはいろいろなステップ踏んでやりますんで、急にそういうことを行うことはできないと、そういうことを申し上げているわけです。
  127. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっとなかなか私ものみ込めないというか、意味がよく分からないんですけれども、ちょっと時間が押してきますので、ちょっと今のやり取り、まだ納得いかないんですけれども。  農水大臣にお聞きしますけれども大臣は記者から聞かれて、それで積極的に提案したわけじゃないということを答えているわけですけれども、積極的であろうと消極的であろうと、食品安全基本法の十一条の中で、この食品の安全性の確保に対する施策の策定に当たっては食品健康影響評価が行われなければならないことになっているわけですよね。相手国にリスク管理の条件の変更を伝えるということ自体、それがこうなっていないような段階で、それ自体反するという認識でしょうか。
  128. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今、委員長お話しになられましたけれども、リスク管理機関としての農林水産省厚生省立場としては、食品安全委員会に我々は諮問をしてその意見をいただいた上で最終的な決定をするという立場にあり、これが法律が求められておることだと理解しております。そういう意味で、食品安全委員会に我々としては諮問をするということを前提とした上で、各種の検討、いろいろな意見を聴取したり意見交換をしたりするということは法律に反することではないというふうに理解をいたしているところでございます。  そのことをまず申し上げた上で、新聞に私が積極的に提案をしたわけではないと言っているのは、新聞記事がやや短く報道をされたことだと思いますけれども、私は実はぶら下がりという形で新聞記者の皆さん方に囲まれた中で突然お話をしたわけでありますけれども、そのときの私のメモ、私がそのときにこういうお話をした後それをメモったわけでありますけれども、こういうふうに私は言っております。  それは、その日のことですからね、何の情報も実はないまま記者諸君から聞かれて言ったわけであります。日本が、日本といいますか、日本側がそういう諮問をする、三十か月未満について諮問をするということを言ったらしいじゃないかというふうに言われたことに対して、私は何も聞いておりませんでしたけれども、積極的にそういうことを言ったということではないんじゃないですか、私の方としては、直ちにアメリカが言うように撤廃するというような、アメリカ側のそういう提案は受け入れられないわけだから、仮に、仮にこの輸入の条件を見直すというようなことであるならば、多くの国が採用している三十か月齢という線を検討するというようなことになるんでは、ということまでしかできませんよというやり取りだったんじゃないかと推定をしてそういうふうに申し上げたわけでございまして、私自身は、その後の報告を聞きながら、答弁は、先ほど来お話ししましたように、まずは日米専門家による技術的会合の結果を取りまとめることが重要でありまして、その取りまとめの結果を踏まえた上で判断をし、そしてその判断としてこれを緩和をした方がいいという状況判断をしたときには食品安全委員会諮問をするということになるわけで、まだまだ諮問をするということも決めているわけではありませんということを申し上げたわけでございます。
  129. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間が来ております。簡潔にしてください。
  130. 紙智子

    ○紙智子君 今、諮問することを決めているわけじゃないというんですけど、ちょっと今のそのやり取りを含めて非常に私問題だなと思っているんです。相手国に月齢条件の変更を約束して、それでそのことを食品安全委員会諮問するというようなやり方はこれおかしいと思うんですよね。
  131. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間が来ております。
  132. 紙智子

    ○紙智子君 以前、プリオン専門調査会の委員からも、諮問が出てきた経緯だとか目的だとか、そこは結局はっきり言われないまま、ある意味で公然の秘密のようなことでやっていくことは結局は消費者の食品安全委員会に対する信頼を失うことにつながるという強い批判がこれまでも出ているわけですよ。さらに、食品安全委員会諮問した後、答申が出て、それに対して消費者にリスクコミュニケーションという手続があるわけですけれども、消費者もこれだったらたまったものじゃないわけですよね。相手国に約束した中身について……
  133. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 質問時間が過ぎております。
  134. 紙智子

    ○紙智子君 はい。  中身について一体リスクコミュニケーションをする意味がなくなると。こういうことを続けていたんじゃ、本当に安全、安心そのものがもう偽物だということに、不信感を買わざるを得ないというふうに思います。  そのことを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  135. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会