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2007-11-01 第168回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年十一月一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                 主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 野村 哲郎君     委 員                 青木  愛君                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 高橋 千秋君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君        発議者      平野 達男君        発議者      高橋 千秋君        発議者      舟山 康江君    国務大臣        農林水産大臣   若林 正俊君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        農林水産省生産        局長       内藤 邦男君        農林水産省経営        局長       高橋  博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農業者戸別所得補償法案平野達男君外四名発  議) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農業者戸別所得補償法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産省総合食料局長岡島正明君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農業者戸別所得補償法案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会・日本の主濱了でございます。  ただいま議題となりました平野達男外提出農業者戸別所得補償法案について質問をいたします。農業者戸別所得補償法案中心に、関連する政府農業政策についても幅広く質問させていただきたいと思います。若林大臣、よろしくお願い申し上げます。  早速質問に入ります。まず、食料農業農村基本法との関係についてお伺いをいたします。  食料農業農村基本法農業者戸別所得補償法案との関係をどのように考えておられるのか、まずお伺いしたいと思います。この基本法理念とそして所得補償法案目的、これを中心に御説明をいただきたいと思います。発議者お願いします。
  6. 平野達男

    平野達男君 食料農業農村基本法、御承知のように四つ基本理念がございます。食料安定供給確保多面的機能の十分な発揮農業の持続的な発展農村振興というこの四つ基本理念があります。  私どもは、農業農村振興というのは一体不可分であるというふうに考えています。そして、その農村につきましては、もう皆様方承知のように、大規模農家小規模農家兼業農家あるいは専業農家、そして非農家が混在して構成されておりまして、そういった方々が、今国民の意識が変わってはいますけれども自分たちのことは自分たちでやる、助け合ってやるんだという、そういう伝統的な色彩を色濃く残している地域だと思っています。農業発展にとってはそういった農村機能、これがセットにならなければならないというふうに考えておりまして、その農村機能を維持するためには、今現に農業をやって意欲を持って取り組んでいる方々、そういった方々意欲を大事にすることが非常に大事だと思っています。  そういうことで、農業そして農村振興が図れる、そしてそれがセットになって多面的機能、そして食料安定供給基盤確保されるというふうに思っておりまして、そういった意味において、今回の我々の提出させていただいた戸別所得補償法案というのはまさしくこの食料農業農村基本法基本理念に沿ったものであるというふうに考えております。
  7. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。基本法に沿った今回の法案であると、こういうふうに承りました。  若林大臣、今の基本法所得法案関係についての発議者の御答弁、これに対する感想がございましたらお伺いしたいと思います。
  8. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 食料農業農村基本法におきましては、ただいま発議者が御説明されましたように、国民農業農村に期待する役割として、食料安定的供給多面的機能発揮を位置付けた上で、その役割を果たすためには農業持続的発展とその基盤となる農村振興が必要であるという意味で、四つ基本理念に沿った施策を総合的に展開する旨を定めているわけでございます。  この基本法理念民主党御提案の農業者戸別所得補償法案目的との関係についてのお尋ねがございました。  この法案自身は、基本法理念に即しているかどうかという意味合いかとも思いますが、目的規定を見る限りにおきましては、この法案にはそのような目的が書かれているわけでありますが、実際はどのようにその法律が目的を明らかにしているか、どのように表現するかということよりも、むしろこの法案に基づく交付金交付によりましてこれら四つ理念がどう具体化されていくのか、適切な政策手段になっているのかどうか、こういうことが重要な論点になるのではないかというふうに考えております。  具体的には、この法案による交付金交付によりまして、農業の持続的な発展に必要な効率的かつ安定的な農業経営農業生産相当部分を担うような農業構造を確立できるのかどうか、これは基本法の二十一条で定めているところであります。また、農村の総合的な振興が図られていくのかどうか、これも基本法の三十四条で明らかにされております。その効果を具体的に説明いただいた上で十分な審議が尽くされることが必要ではないかというふうに考えておりまして、今の段階でこれを私が論評することは差し控えたいと思います。
  9. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。正にそのとおりですね。今審議が始まったばかりなんで、その点につきまして今後審議を進めていきたいなというふうに思っております。  次に、対象農家について発議者にお伺いをいたします。  対象農家につきましては、所得法案の第四条で生産数量目標に従って主要農産物を生産する販売農家、こういうふうに規定されているところでありますけれども、具体的な内容について御説明お願いをいたしたいと思います。
  10. 平野達男

    平野達男君 今、主濱委員指摘のように、第四条でその対象農家規定がされております。第四条の中で、生産数量目標に従って主要農産物を生産する販売農業者、この中で、戸別農家だけではなくて、農業生産活動を共同して行う農業者組織及び委託を受けて農作業を行う組織のうち政令で定めるものをいうということで、集落営農等組織もこの中では想定しているということでございます。  ただし、この集落営農につきましては、現行品目横断対策のように、例えば生産法人に向けての計画を作れとか、あるいは経理の一元化をしろとか、そういったきつい、きついというかいろんな要件を付けた集落営農を予定しているわけではありません。その地域のいろんな段階に応じて、状況に応じてつくる組織というのがございますから、そういった集落営農を私どもはイメージしているということであります。  しからば、その販売農業者の範囲ということでありますけれども販売農業者という場合は、普通、農林業センサスなんかでは経営面積が三十アール以上若しくは販売総額が五十万以上というそういう規定になっておりますが、ここでは十アール以上、そして特に市町村が販売をしているというふうに認める農家ということでこの販売農業者ということを考えていきたいというふうに思っております。
  11. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。対象が統計上の販売農家よりもずっと広いということ、よく分かりました。それから、集落営農も否定するものではないと、入れると、こういうこともよく分かりました。  反面、その支援対象が広いことから、ばらまきという批判が出てくるわけであります。現実にあります。この批判に対するお考えについてお伺いをいたしたいと思います。
  12. 平野達男

    平野達男君 まず、そういうことがよく言われているということは耳にしますが、そもそもばらまきというのは一体何なんだというそのばらまき定義を是非明確にする必要があると思っています。  ただ、私どもはあえてこういった、あえてといいますか、販売農業者を広く取ったということについてはそれなりの政策目的がしっかりあるということでありまして、その一つは、先ほど言いましたように農村というものをしっかり大事にしなくちゃならないということであります。更にもう一つ、先ほどの、冒頭の私の答弁に付け加えさせていただきますと、日本人口減少社会に入りました。過去五十年間で日本人口は五割増えています。少子高齢化時代に入って久しいですが、随分時間がたっておりますけれども、これから日本少子化対策を一生懸命やったとしても、残念ながら人口は減っていく。  一方で、今でもそうなんですけれども、関東を中心とした地域というのは流入人口流入超であります。私は岩手県の出身でありますけれども、東北の出身でございますが、仙台も流入超岩手県でもごく一部の市と町だけがちょっと増えていくという状況でございます。  何を言いたいかといいますと、日本は急速な人口減少に入っていく。その一方で人口が増えていくところもあるということは、どこかがその人口減少の圧力を強く受けるということでございまして、私はそれは農山村地域ではないかというふうに思っています。  そういう中で、その地域の中で農業維持をどのように図っていくか、農業をどのように振興していくか。これは、個別の経営体を育成するということではなくて、仮に経営体を育成するにしても、その地域で現に農業を営んでいる人たちがこぞって参加して、この地域農業をどうしていくかということを考える、そういった枠組みが必要でございまして、まずもって、今こういう厳しい状況の中で、小規模でありながら赤字覚悟農地を耕している方々もおられます。そういった意欲を大事にするという意味において、すべての販売農業者ということを対象にするということはきちっとした目的を持っておるというふうに思っておりまして、ばらまきという定義がよく分かりませんが、そのばらまきという定義が分からないままこういう答弁するのはおかしいかもしれませんが、それに当たらないだろうというふうに思っております。
  13. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  それでは、次に品目横断的経営安定対策についてまた伺いたいと思うんですが、この加入者についてお伺いをいたします。  現在の品目横断的経営安定対策加入者、これはどの程度になっているのか。これはスタートしてもう半年もたっているわけですから、もう出ていると思うんですが、どの程度になっているか。そして、この中にはゲタ対策とそれからナラシ対策というのがあります。それぞれについてお示しをいただきたいと思います。そして、これだけでは数字を言われても多いのか少ないのかというのはよく分からないんですよ。当初予定したのに対してどれぐらいなのか、これがまず第一点であります。  それからもう一つは、皆様のお手元に資料を配付させていただいております。平成二十七年の農業構造展望と、こういう資料一と書いたものなんですが、これを配付させていただいておるわけですけれども、この表の右上、右側の上の方ですね、黄色で囲まれたところに効率的かつ安定的な農業経営というのがあります。家族経営が三十三万から三十七万とか、こういったような農業経営の例示がされておるわけですけれども、これと比べて果たしてどうなのかと、こういうことでお知らせをいただきたいと思います。これは大臣お願いいたします。
  14. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 十九年産品目横断的経営安定対策加入申請者について見ますと、認定農業者が六万七千四十五、集落営農組織が五千三百八十六、合計しまして七万二千四百三十一となっています。このうち集落営農組織参加農家数につきましては、今年二月時点の調査で一集落営農組織組織当たり農家戸数は平均四十一戸となっておりますので、これから推計しますと、集落営農組織参加農家数は約二十二万戸となり、本対策加入している農家の数は認定農業者と合わせて合計で約二十九万戸になります。  そこで、委員お尋ねでございます、ゲタ対策ナラシ対策それぞれについて見てどうだということでございますが、本対策加入者は七万二千四百三十一でございますが、生産条件不利補正対策加入している者が四万三千五百三十九、収入減少影響緩和対策加入しているのが七万七百六十、これらの対策に重複して加入している者が四万一千八百六十八となっております。  また、本対策でカバーする対象品目作付面積、これで大体どんな加入状況かお考えいただければいいと思いますが、麦では約二十五万四千ヘクタール、大豆では十一万ヘクタール、てん菜で六万六千ヘクタール、でん粉原料用バレイショで約二万二千ヘクタールと、これまでの品目別対策を講じてまいりましたが、それとほぼ同程度面積加入をされているというふうになっております。  また、米でございますが、米は四十四万ヘクタールでございまして、十八年産水稲作付面積百六十八万ヘクタールの約四分の一でございますが、担い手対象に十八年まで実施していた担い手経営安定対策加入面積、これが二十万ヘクタールでございますが、それを大幅に超えております。また、担い手以外も対象としておりました稲作所得基盤確保対策加入面積、これは七十五万ヘクタールでございますが、その五九%となっているところでございます。  なお、平成十七年三月に公表した、委員示し農業構造展望についてでございます。委員のお示しされたこの展望は、すべての作目のすべての農業者対象にして作られた表でございます。  そこで、これを今回の品目横断的経営安定対策との関連で分解をいたしてみますと、平成二十七年度において、水田作では、効率的かつ安定的な農業経営家族農業経営で八万戸程度集落営農経営で二万ないし四万経営程度と見ております。これらの経営により経営される農地が約七割ないし九割と見ているわけでございます。  畑作でいいますと、効率的かつ安定的な農業経営家族農業経営で見ますと三万戸程度、この経営により経営される農地が約八割になると見込んでいるところでございます。  このように、今回の加入申請の結果を見ますと、望ましい農業構造の確立に向けてはまだまだ取組の余地が多いと考えておりまして、引き続き本対策を着実に推進してまいりたいと考えております。
  15. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。進んでいる部分と進んでいない部分があるというふうに理解をさせていただきました。  そして、米のナラシ対策につきましては四分の一しか加入していないと、こういうことでございますが、この米のナラシ対策に関連いたしまして更に伺ってまいりたいと思います。  政府は、米緊急対策の中で、米四十四万トンの市場隔離を決定したと、こういうことですが、その内容についてお伺いをいたしたいと思います。
  16. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) このたび緊急の米対策として決定をいたしました概要でございますが、平成十九年産米価は、委員承知のとおり、作況九九でありながら大幅に下落するという異常事態となっております。このような米価大幅下落は、経営規模の大きい農業者を直撃するだけではなく、小規模、高齢者を含めて多数の農業者経営を不安定なものとし、地域農業地域経済の活力を損なっている状況となっております。  こうした本年の特殊な状況にかんがみ、私を本部長とする農政改革対策緊急対策本部を立ち上げておりますが、その本部におきまして三つの大きな対策を講ずることとしたところでございます。  その一つは、来年六月末の備蓄水準適正水準である百万トンまで積み増すこととしまして、三十四万トンの買入れをするとともに、備蓄米市場放出を当面抑制するということが第一でございます。  二番目は、全農は十八年産ウルチ米販売残十万トン相当量えさ用に処理するということとしまして、その取組に対して支援をすることを決めております。  三番目は、二十年産米生産調整についてでございます。これは市況をどう見ていくかということと非常にかかわり合いがありますので、二十年産米生産調整について方針を定めたところでございまして、主食用米需給バランス確保できますように農協系統と行政が連携して取り組んでいくなどを内容とします米緊急対策を決定したところでございます。  これら政策のパッケージを直ちに実行に移すことによりまして価格大幅下落に歯止めを掛けたい、価格の安定を図ることができるのではないかというふうに考えて対策を講ずることとした次第でございます。
  17. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  新聞によりますと、米緊急対策需要超過分を大幅に超える合計四十四万トンを市場から隔離することで需給を引き締め、価格浮揚を目指すと、こういったような報道がなされております。この新聞報道は正確でしょうか、お伺いします。
  18. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私、どの新聞であるか、そのように報じられたのか、実は承知しておりませんが。
  19. 主濱了

    ○主濱了君 私が見たのは日本農業新聞というところでございますが、ごらんになっていませんでしょうか。十月二十七日付けでございます。
  20. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) それは、市場隔離という意味では、買入れが三十四万トンでございますが、全農が非常に深くかかわった結果、いろいろな意味価格の低下も招いておりますし、また、需給にも先行き不安が出ているというようなことなども考慮し、JA組織ともいろいろ打ち合わせた上、十八年産ウルチ米販売残が約十万トンほどありますが、これを隔離して飼料用に回すということでありますから、それで合わせて四十四万トンというふうに報道されたのではないかと思います。
  21. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、内容についてもうちょっと伺いたいんですが、全農が自ら十八年産米販売残ウルチ米十万トンを主食用から飼料用に変えると、こういうことに対して政府応分負担をすると、こういうことでございました。  主食用から飼料用にすること、これが本当に今の段階で必要なのかどうかという問題、それから、政府応分負担をするということについて、果たしてこれが妥当かどうかという問題、いかがでしょうか。
  22. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 二つの御指摘があったかと思います。一つは、この時点において十万トンを飼料用に処理することが妥当かどうかということ、それからもう一つが、政府応分負担をする、応分助成をするということの妥当性ということだと思います。  まず、前者につきまして申し上げますと、先ほどの御質問にもありましたけれども、現在の価格低迷価格大幅下落をどういうふうな要因で見るかといったときに、やはりマクロの状況需給がかなり緩和しておるということがございます。そういったことから、やはり現時点において十万トンをえさ処理するということは有効な対策ではないかというふうに考えております。  それから、二点目のえさ処理することに対する政府支援ということでございますけれども、これにつきましては、やはり政府としても価格の安定ということを図る、そのための有効な手段としてどういうことがあるか、その中で、過去の対策等々もひもときながら、えさ処理というのは一つの有効な手段であり、それに対して国が助成をするということは一定の効果を持つのではないかというふうに考えているところでございます。
  23. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  米価が下落したその一因には過剰作付けがあると言われております。この過剰作付けが確認がされたその当該米についても買上げ対象になるのでしょうか、お伺いします。
  24. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今般の緊急対策に基づく三十四万トンの政府買入れ対象米穀についてでございますが、この対策趣旨を踏まえて、生産調整を実施する農業者が生産した米穀とする方向で検討をしてまいりたいと、このように考えております。
  25. 主濱了

    ○主濱了君 結局、今の御答弁は、過剰作付けしたものについても対象になる可能性があると、こういうふうに解釈してよろしいでしょうか。
  26. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 現行食糧法上あるいは会計法上、私どもの制度としては、いわゆる一般競争入札で公告をして買い入れるという方式になっております。  そういうことから、どこまでの要件を付けられるのかということについてはまだ細部を検討する必要がありますが、ただいま大臣が御答弁申し上げたとおり、私どもとしては、生産調整を実施する農業者が生産した米穀ということで検討してまいりたいということでございます。
  27. 主濱了

    ○主濱了君 是非ともそのようにお願いをしたいと思います。現実問題として、まじめに生産調整に応じている農民の心、この心をしっかりと押さえてやっていただければというふうに思います。  それでは、発議者の方にまたお伺いをいたしたいんですが、この米緊急対策においては様々な措置が講じられております。例えば、主食用飼料用にするとか、それに対して政府負担するとか、そういったようなことが行われております。さらには、在庫のために買上げをするとかというふうなことが行われることになっておりますが、これらの点について所得補償法案ではいかに取り扱われるのか、今の法案ではいかに取り扱われるのか、その辺についてもし今分かっておればお願いをしたいと思います。
  28. 平野達男

    平野達男君 お答えいたします。  米緊急対策については、私はつまびらかな内容承知しているわけではありません。ただ、いろいろ伝えられるところによりますと、需給計画上は三十四万トンが過剰であって、今回、たまたま政府の場合は回転備蓄でございますけれども、三十万トンちょっとのすき間があって、そこに備蓄という名目で備蓄米を買うんだというお話だったというふうに理解しております。  としますと、もしその考え方が、そういう前提で以下お話しさせていただきますけれども、十万トンということは、先ほどのどうもお話を聞いておりますと、需給を要するにタイトにするんだということで、これはちょっと、見方によっては明らかなPKO、要するに価格浮揚策なんだろうと思います。  そうしますと、これは、緊急措置一つとしてこれはやむを得ないという見方もあると思いますが、以下の場合は一般的なお話とさせていただきますけれども、こういうものを発動するときには、どういう条件で発動するのかということを明確にしておかないと、例えば来年また米価が下がったときに、全農さん買ってください、政府さん買ってくださいと、価格が下がりましたからというような要求が必ず出てくる。そこに対して、今回の措置というのがどういう措置なのかということの位置付けを明確にしておかなくちゃならないと思います。  それから二つ目は、先ほど主濱委員質問にございますけれども、すべての農家の、生産者の米を買うんですかというお話があって、何かいろいろ、さきの政府答弁によると、生産調整に参加している農家の米を買うんだと。しかし、そのようなものは意味がないわけです。だれの米を買おうと、この結果として価格浮揚することによって、生産調整に参加している人と参加していない人が全部恩恵を被るという大変大きな矛盾も出てくるということでありまして、ここに対して政府がどのようなことを考えておられるのかということについては、ちょっと私も、私が直接、今、発議者でありますから、聞くわけにはまいりませんが、どこか聞いていただければ有り難いなという感じはいたします。  ちなみに、私どもの今回の戸別所得補償法案では、価格が下がったというときに、今、米価が下落基調にあります。生産調整に、あるいは需給調整に参加する農家に標準的な生産費と販売価格の差を基本とした補てんをするという明確なメリット措置とも言えるものを措置を位置付けています。そして、この措置がある限りにおいては、たとえ米価が、大きな下落でもない限りは、その補てん措置によって需給調整に参加している農家はメリットが受けられるということでありますし、今の需給調整の大きな問題の一つは、需給調整に参加している農家のメリットがないということがよく言われますが、そういったことに対しては、この戸別農業者所得補償法案の考え方というのは相当の答えを出しているのではないかというふうに思っております。  あと、この措置そのものについてのいい悪いということについてのコメントは、今発議者でございますし、党全体としてもまだきちっとした詰めができているわけではないというふうに理解しておりますので、今日の段階では差し控えさせていただきたいと思います。
  29. 主濱了

    ○主濱了君 この米価の下落について、最後の一点だけ、ちょっと質問が前後してしまいまして、そういうことなんですが、この二つの点についてお伺いをしたいと思います。  一つは、市場原理で、米価決定システムの中で、市場原理での米価決定システムに政府市場関与することの是非についてこのたびの対策を講ずるに当たりまして議論があったかどうか、その議論の内容についてお伺いをいたしたいということ。  もう一つは、市場に関与することについての基準、先ほど平野委員の方からお話がありましたけれども、その市場に関与することについての基準ですね、要するにどんな状況に至れば市場に関与するのか。世論の声が高ければもうそのまま行っちゃうのか、じゃなくて、客観的に何か指標があって、基準があって、それを超えたらば市場へ関与するのかと、こういったような関与について。この二点について、議論についてと、それから関与の基準についてと、お伺いをいたしたいと思います。
  30. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 度々当委員会においてもあるいは予算委員会においても私御説明してまいりましたけれども、いわゆる価格形成について直接的に政府が介入するという仕組みに食糧法はなっておりません。その限りで、この食糧法が認めております不作などによる供給が不足する事態に備えた政府備蓄を運営するというふうに定められておりますので、その運営を円滑にするために、政府は予定された適正備蓄水準を念頭に置きながら買入れ、売渡しをするということでございます。  今年産の買入れにつきましても、その意味では、適正な備蓄運営の観点から買入れ、売渡しの行為をするんだということは部内においてもあるいは財政当局においてもお互いに確認をし合ったところでございます。  当然、この介入と、今お話ございましたけれども、買いに入るということは、その時点で形成されております価格形成の基礎になります米の需給というものを念頭に置いているわけでございますから、この米の需給等を踏まえて決定をしたところでございます。そこで議論があったかということにつきましては、以上のような議論の経過で行ったわけでございます。  したがいまして、政府が買入れをする場合のどういう事態の場合には買入れをするのかというのは、言わば市場操作というような意味市場介入ということであれば、そういうことは念頭にございませんので、そのような基準を設けているわけではございません。  ただ、今回の対策は、幾つかの政策をパッケージとしてこれをセットで実行するうちの一つになっているわけでございまして、このような緊急対策を設けます事情というのは、委員も御承知のとおり、今回の米価の大幅な下落というのが、経営規模の大きい農業経営者を直撃するだけじゃなくて、小規模、高齢者を含めた多数の農業者経営に不安を与えていると、そしてそのことが地域農業の、地域経済の活力を損なっている、そういう状況が生まれてきているという、そういう認識に基づくものでございます。
  31. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。客観情勢とちょっと違う御答弁をいただいたような気がします。  今回の米緊急対策という名前ですが、やはり私は、これは米価下落のための対策であったと、こういうふうに思うわけであります。そうでないと、こう言い張るんであれば、これはまた、見解の相違ということで、この場ではなくてまた別の場で議論をさせていただきたいというふうに思います。  それでは、ちょっと先に項目を進ませていただきたいんですが、次は対象農産物についてお伺いをいたします。  これは事前にちょっと通告はしておりませんでしたが、品目横断のゲタ対策に米が入っていない理由、これを大臣に改めてお伺いをいたしたいと思います。
  32. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) このいわゆるゲタ対策というのは、制度的にも明らかにいたしておりますけれども、我が国における生産条件と外国における生産条件の格差から生ずる不利益を補正するために交付金交付するという仕組みとして組み立てているものでございまして、現在米につきましては、御承知のように、関税あるいはまた政府の独占的な買入れの体制の下に、外国の米価格が直接国内の市場に影響を与えるということがないような遮断された状況になっているわけでございますので、その意味でこのいわゆるゲタ対策につきましては米を対象にしないということにしているところでございます。
  33. 主濱了

    ○主濱了君 突然の質問で大変恐縮でございます。ありがとうございました。  それでは、所得補償法案の第二条の主要農産物について発議者の方にお伺いをいたしたいんですが、まず所得補償法案の第二条に規定する主要農産物では米、麦、大豆しか示されていないわけであります。そして、政令で定めるとされておりますけれども、特に政令で定めるとされている品目について、まずその基本的な考え方、これを伺いたいと思います。
  34. 平野達男

    平野達男君 基本的には、標準的な当該作物に係る生産費と標準的な販売価格とを比較いたしまして、生産費が上回っているという、そういう作物についてはこの法律の対象にでき得るというふうに考えております。  例示として、米、麦、大豆というふうに例示しておりますが、そのほかに菜種、てん菜、サトウキビ、でん粉用バレイショ等々の作物については、これは対象になり得るというふうに考えています。
  35. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  先ほど大臣には急遽お答えいただいたわけですけれども、その品目横断のゲタ対策に入っていない米が本法案では対象品目に入っています。最初に掲げられております。この品目横断とそれから本法の考え方のその相違について御説明お願いいたします。これは発議者の方にお願いをいたします。
  36. 平野達男

    平野達男君 品目横断、何ですか。
  37. 主濱了

    ○主濱了君 要するに、法案に米が入っている。そして、品目横断には入っていない。入っていない方につきましては先ほど大臣に理由を説明さしていただいたわけですが、その考え方の違いですね。
  38. 平野達男

    平野達男君 米が入っている理由ですか。
  39. 主濱了

    ○主濱了君 はい。米が入っている理由。
  40. 平野達男

    平野達男君 米に関する御質問でございましたが、その前に一点ちょっと気になったことがございまして、コメントをさせていただきます。  先ほど主濱委員質問は、米の四十四万トンの扱いについて多分大臣質問されていたんではないかと思います。ところが、大臣は、先ほどは備蓄ということで三十四万トンについてのお答えしかなかったんじゃないかと思います。今回の場合の大事な点については、十万トンの位置付けがどういうことなのかということなんだろうと思います。今の食糧法の中においては、確かに価格操作のための備蓄は認められていません。だから、三十四万トンということについてはそういう説明なんだろうと思いますが、私もちょっと先ほど言いました十万トンというのは一体何なんだろうかということについては、この辺りはもうちょっと説明されてもいいのではないかという感じをちょっと持ちましたので、ちょっとコメントとして申し述べさせていただきたいと思います。  さて、米なんですけれども、米については、先ほど来お話がございますように、今本当に下落がずっと続いておりまして、正にこれは大臣が言われましたように、経営規模の大きい農業者を直撃するだけではなくて、小規模、高齢者を含めて多数の農業者経営を不安定にしているという、このとおりだと思います。そして、特にも米の価格の下落というのは、今需給調整を基本としてやっているわけでありますけれども、私どもは、この米の価格の下落というのは農家とかそういった責任に帰するものではなくて、ちょっと構造的な問題も抱えているのではないかというふうに思っています。  以下、若干時間が掛かるかもしれませんが、御説明をさせていただきますが、まず、これは需要サイドからの要因があるんだろうと思います。  まず、その需要サイドの要因の第一番目は、これから需要が減少していくということであります。  今、一人当たりの米の年間の消費量につきましては下げ止まりの感がありますが、先ほど言いましたように、日本はこれから人口減少社会に入ってまいります。そういう中で、米の需要は、いろいろ米の消費拡大を一生懸命やるというのは大事だと思いますけれども、やはり下がってくるのではないかというふうに見る必要があります。政府のこの間の、先般、何かの審議会に出された資料の中で、単純な推計でしたけれども二五%下がるんだというような数字も出されておりました。そこまで下がることはないにせよ、需要はやっぱり下がっていくということだと思います。  一方で、米の価格が下がるということでありますと、一般の市場の原理でいきますと、価格が下がれば需要が伸びるということが想定されるわけですけれども、米の場合は価格の弾力性が小さいということもございまして、価格が下がったとしても需要が伸びない。米は財という観点から見れば低級財と言われるゆえんでありますけれども、そういうことであります。  それから、供給サイドからのことも考える必要があると思います。  何といっても、一番目は、まず農家にとっては米が何といっても作りやすい。特にも小規模な農家にとっては米が一番作りやすいということでありますし、そういう中で、どうしても過剰基調がその中で出てきやすい。それから、現に今、需給調整に参加していない農家がたくさんいるということがございます。そして、何よりも大事なことは、そういう状況の中で、先ほど言いましたように需給調整をやっているわけでありますけれども、長期的な需要を見ながらどのように需給調整をやっていくか、これは大変難しい問題だと思います。これをしっかりやりながら、米の米価をきっちり維持していくというのはなかなか難しいんではないかというふうに思っています。  それからもう一つは、価格メカニズムの変化というのもございまして、食管が廃止されまして、御承知のようにコメ価格センターで米の入札が行われたときは、指し値を入れる側と入札する側が大体同じ系統でつながっていたという、これは食管の時代の名残がございましたからやむを得なかったことでありましたけれども、今それが大きく変わっています。  それから、買手も小口ではありません、大口であります。大口でありまして、品質の良い物を大量に買うというような、そういう状況も出てきている中で米価の維持というのは本当に大変だと思います。そこで、今政府も非常に御苦労されているんだろうと思っています。  そして、何よりもこうした米価の下落が、先ほど言いましたように、農家を直撃するだけじゃなくて農村そのものの経済にも直撃をするということでありまして、こういう状況の中で、私どもは米にも一定の所得補償をしながら農家経済を支えて地域地域農村振興にも資すると、そういった視点が大事ではないかということで、米を今回の戸別所得補償法案の中の対象品目に入れたということでございます。
  41. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは、また品目横断の方について伺いたいと思います。  今、平野委員からお話のあったとおり、米の需要というのはどんどんどんどん下がっている。実は、ピークは昭和三十七年の一人当たり百十八・三キログラムと。それから以降、ずっと減少を続けまして、今は六十一キログラム、一俵ですね、大体一俵ぐらいであると。こういうことで、昭和四十五年からずっと生産調整が続いていると、これはもう御承知のとおりであります。  今後も、現実の米の需要とか、それから人口の減少、これ平野委員がおっしゃったとおりですが、人口の減少を考えますと、米の需要が伸びるのはまず難しいだろうと。つまり、米から他の品目への転作を続ける必要があるのではないかなというふうに思っております。ただ、転作のインセンティブがなかなか見当たらない、要因が見当たらないと、こういうことでございます。  仮に今の制度を継続するのであれば、増産に必要な品目についてはゲタ対策対象品目としてまず追加するべきではないかというのが第一点。それからもう一つ、過去実績の要件を撤廃して支援対象にすることが必要なのではないかと、このように思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  42. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員の御指摘、御意見は今、米、麦、大豆、それからでん粉用のバレイショ、カンショなど、そういうもの以外に、なお米から転換をしていく作物についても対象にすべきではないかと、こういう御意見だと承ったところでございます。  しかし、この制度に関してまず申し上げますと、この品目横断的経営安定対策について、生産条件不利補正対策対象作物につきましては、法律の御審議の際にも大いに議論があったところでありますが、農業担い手に対する経営安定のための交付金交付に関する法律の第二条におきましてまず要件を決めておりまして、国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要なもの、それから前号に該当する他の農作物と組み合わせた生産が広く行われているもの、こういうことでございます。なお、もう一つ、基本的には、生産条件が、外国における生産条件の格差から生ずる不利益があり、これを補正する必要があるもの、こういう三条件でございます。  そこで、国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要である、あるいはまた、他の農作物と組み合わせた生産が広く行われている、外国との生産条件の格差による不利が生じている、そういう意味で麦、大豆、てん菜及びでん粉原料用バレイショ対象としたところでございまして、菜種や飼料作物について、その生産振興を図り、自給率の向上を図るということは大変重要な課題でございます。これらについては、この法律によるものではなくて、現在も既に支援策を講じておりますが、高品質な菜種産地を確立する、あるいはホールクロップサイレージ、稲発酵粗飼料を始めとして粗飼料の生産拡大などについて支援対策を講じているところでございまして、この品目横断対策ですべてを対応するというふうに組み立てているわけではございません。  なお、菜種につきましては、現時点では、もう委員承知でありますが、特定の産地に限られた生産となっているわけでありまして、国民に対する熱量供給量に占める国産菜種のシェアは極めて小さいことであります。そこで、特定の地域の特産物として品質向上施策などを講じながら、この菜種生産に助成を講じているというものであります。  また、飼料作物につきましては、家畜のえさとして供給されるものでありまして、国民に対する熱量の供給という観点では牛乳、食肉などの畜産物の形で行われるものでございまして、飼料作物自体は国民に対して直接熱量を供給しているものではございません。このため本対策対象としてはいないんですけれども、先ほども申し上げましたように、国内における自給飼料の増産というのは大変重要でございます。このことについては、別途種々の飼料対策を講じているところでございますので、そのように御了解いただきたいと思います。
  43. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  それでは、項目、先に進ませていただきたいと思います。  発議者生産数量についてお伺いをいたします。所得補償法案の第三条二項に規定する生産数量目標についてでございます。  まず、生産数量目標を設定することの基本的な考え方についてお伺いをいたします。これが第一点。  それからもう一点、過剰な作付け、これは、例えば、私は米を念頭に置いているわけですけれども、この生産数量目標よりも超えた過剰な作付け、もしそういう場合があった場合どう対応されるのか、それについてもお伺いをいたしたいと思います。
  44. 高橋千秋

    高橋千秋君 お答えしたいと思います。  生産数量目標なんですけれども、今、生産調整の話がずっと先ほどから出ておりますが、現行のシステムに代えて行政が積極的に参加をする上で計画生産の枠組みを新たにつくるということでございます。その計画生産に従って米を作る農業者等に対して交付金交付するという、そういう制度をつくっていくもので、これが生産数量目標でございます。  これによって、一番は、先ほどからただ乗りという話が出ておりましたけれども、この生産調整へのただ乗りを許さないと。つまり、そこに参加をしない人に対してはこれを交付をしないということ。それと、米等の過剰生産に対しては、その生産数量を守らない人に対しては払わないということで、そういう計画生産に乗らない方に対してはメリットが全くない、不利益はそういう方々に生じるということで、米の供給過剰についてもこれを防いでいくということが可能になってまいります。  特に、今回の我々の案では、生産を奨励しなければならないところと、それから米のように供給過剰のような問題が出ている場合と両方あると思うんですが、先ほどのお問いの中では、米の問題でありますけれども、米の供給過剰というのはよく言われておりますが、それぞれに行政も参加した上で、計画生産というのをきっちりとした上で、その計画に乗らない方にとって本当に不利益が出てくる、そういうことを認識していただければ、それぞれの方々がこの計画生産の目標について参加をしていただけるというふうに思っております。  以上でございます。
  45. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。正にそのとおりだと私は思っております。  ここでちょっと発議者の方に伺いたいんですが、これは去年衆議院に提出されました食料の国内生産及び安全性の確保等のための農政等の改革に関する基本法案第十条に実は米の生産調整廃止について触れておりました。本案ではその生産調整の廃止について触れておりませんが、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  46. 高橋千秋

    高橋千秋君 確かに第百六十四回の国会で農政改革基本法案の中で、第十条でそのような生産調整の廃止ということを規定しております。この考え方は変わっておりません。ただ、本法案は戸別所得補償制度に関する実施法ということで、米の生産調整の廃止のような基本的な考え方を示す事項は規定をしておりません。
  47. 主濱了

    ○主濱了君 項目を先に進ませていただきます。食料自給率についてお伺いをいたします。  食料自給率につきましては食料農業農村基本計画、この中で触れられておるわけですけれども、これは、平成十二年策定の基本計画では平成十二年から十年後の平成二十二年に食料自給率を四五%まで引き上げましょうと、こういうふうな計画でございました。それが平成十七年に基本計画が改定され、今度は十年後の平成二十七年に四五%と、こういうことで自給率の目標達成年次を五年間先延ばしをしたと、こういう格好になっております。平成十八年の食料自給率は再三御説明があったとおり三九まで、四〇を切って三九まで落ち込んでいると、こういう状況でございます。  実は、皆様のお手元に食料自給率の構成に関する表をお配りしているところでございますが、ちょっとこれに触れるのは時間の都合上できないんですが、この食料自給率につきまして、民主党の方では食料自給率を十年後に一〇%アップと、こういう目標を掲げております。これをこの農業者戸別所得法案においてどのように実現をしていくのか、これを端的にお示しをいただきたいと思います。これは発議者に対してお願いをいたします。
  48. 平野達男

    平野達男君 まず、私どもは十年後に自給率を現行の、四〇%じゃなくて今三九%になりましたけれども、五〇%に上げたいという目標を設定しております。自給率を上げるためにはいろんなアプローチがあると思いますが、食生活を欧米型から日本型に変えるというようなアプローチもあると思います。  しかし、やっぱり何と言っても基本は、現在自給率の低い作物の生産振興をするということがやっぱり大事であろうと思います。そのために、今回の法律の中では主要農産物というふうに位置付けまして、先ほど来申し上げましたように、標準的な生産費と標準的な販売価格の差額を補てんすることを基本とした交付金交付することで生産意欲を刺激して、そして農業者の申請、それを基本としながら、国、県、市町村、あるいは関連する団体が一緒になって自給率の向上に向けて取り組んでいく、そういう枠組みを、スキームを考えているというところであります。
  49. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  皆様のお手元に配付をさせていただいております資料二というこの食料自給率の表についてでございますが、正に今の御答弁のとおり、平野達男議員の御答弁のとおり、私も食料自給率の低い作物について、それを増産し食料自給率を上げていく必要があるのではないかなというふうに思っております。右側の方にこれは平成十七年度の食料自給率が書かれておりますが、例えば油脂類であるとか小麦であるとか大豆であるとか、ここは本当に増産が必要なところであろうと、供給が必要なところであろうと、こういうふうに思っております。それから中ほどよりちょっと下の畜産物につきましても、この黄色で塗ってあるのが、ここが輸入飼料による生産部分とありますけれども、ここも実は自給をすれば、飼料の自給をすれば、これ、一七プラス四九ですから六六ぐらいまで自給率は上がってくると、こういうことになるわけですよね。こういったようなことが必要であるというふうに思っております。  今、戸別所得補償法案内容につきまして、こういったようなところの自給率を上げていきたいと、こういうことでございますので、是非とも実現をできればなと私自身も思っております。  以上で私の質問は終わります。
  50. 藤原良信

    ○藤原良信君 藤原良信でございます。若林大臣、そして発議者皆様、初めての質問となりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  農業者戸別所得補償法案のこの法案につきまして御質問させていただきますけれども、今までの農政との関連等々がどうしても出てまいりますので、担い手法案との関連も当然出てまいりますので、その比較等々で御質問させていただきたいと思いますのでよろしくお願いをしたいと思いますし、それからまた、今、主濱委員質問と重複する部分が多々あると思いますけれども、私の角度からということで、委員長の御理解をいただいて質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、質問の項目にどうしても関連がありますので、その前段といたしまして、今の農村社会の在り方、それは今までの農政の進め方に関係してまいりますので、この状況下について、その見解をまず大臣にお聞きをしていきたいと思いますが、一言で言いますと、疲弊をし、いわゆる崩壊という言葉が使われますけれども、そういう状況下にあると思います。これを若干、今までの統計等を含めまして、状況下を私なりに申し上げてみますけれども、それに基づいて大臣の見解を聞きたいと思いますが。  御案内のように、高齢化が進みまして、過疎地域では集落の存続の危機がまさしく言われてございます。国交省の調査によりますと、過疎法の適用に基づく過疎地域の集落総数、六万二千二百七十三と言われてございます。今後十年以内に消滅するおそれのある集落、四百二十三、いずれ消滅するおそれのある集落が二千二百二十、合計二千六百四十三と、そういう統計でございます。また、六十五歳以上の高齢者の割合が五〇%を超えるいわゆる限界集落の数は七千八百七十八と、全体の七五%に上ってございます。  こういう現状の中では、さらにでございますけれども、中山間の地域等の過疎地域では、農家の、例えば米でございますが、米の作付面積は平地の農家に比べて小さくならざるを得ない、そういう地理的な現状がございます。  先般の若林大臣所信質疑におきまして、今発議者となっております平野議員がそのとき指摘いたしましたように、生産費が販売価格より高くなる中山間地の農家では、自らの持ち出しで米を作り、水田を維持しているのが現状でございます。また、過疎集落が抱える種々の問題の中では、耕作の放棄地の増大を掲げる市町村が、その理由の最も多い発言でございます、農村集落いわゆる地域集落と言ってもよいと思いますが、農家の崩壊は農家集落の崩壊を意味をいたしますし、そしてそれはまた、地域社会の崩壊を私は意味しているんだと思います。結果といたしまして、行き着くところは日本社会の崩壊につながっていくと、そうも思います。  そして、また、私は常日ごろから思ってございますが、日本の精神文明がすべからく日本の産業振興を、そして今日の発展を築いている基礎となっていると思いますが、この日本の精神文明は地方地方の地方社会、すなわち農村社会にこそその原点が息づいていると思ってございます。その、今農村社会が崩れ掛けようとしているということは、その日本精神文明の根本もまた崩れ掛けようとしているのではないかと思います。  こういう状況の中で、先般、今年、農政改革の最大の目玉といたしまして品目横断的経営安定対策、すなわち担い手法案がスタートいたしました。加入を申請した経営体は七万二千件あるわけでございます。しかしながら、加入状況を見ますと地域間でばらつきがあるなど、地域ごとの実態を踏まえた要件緩和の支援の見直しなどが出始めてございます。そしてまた、最も根本的なことといたしまして、この法案農家集落の崩壊の歯止めになり得るんだろうかということも問われているように仄聞をいたします。むしろ、零細農家の切捨てになるんではないかと危惧もされているようにも思います。  そこで、初めに大臣にお伺いをしたいと思いますが、まずもって、このような現状の農村集落の減退、そしてまた崩壊をどうとらえておられるでありましょうか、大臣お尋ねいたします。
  51. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員が御指摘になりますように、農村地域におきます特に条件の不利な中山間地などの集落が大変厳しい状況にあるということにつきましては、農林水産省としても種々の調査を行っておりまして、深刻な状況であるという認識は共有しているつもりでございます。そういう農村地域におきます人口の減少、高齢化の進行阻止というようなことは、農業、林業だけでこれを食い止め、支えるというわけにはいきませんけれども、しかし、それらの地域における主要な生産活動であります農業、これが地域の産業としてしっかりとした足腰強い状態になっていくということは大事なことだというふうに認識をいたしております。  そういう厳しい集落の果たしている役割というのは、委員も御指摘になりましたが、国土や自然環境の保全、良好な景観の形成、伝統文化の維持保全などの面におきまして大変重要な役割を果たしているわけでございまして、そういう地域農村地域における地域活性化対策というのは、これは生産対策のみならず、地域対策として総合的にこれを推進しなければならない、このように考えているわけでございまして、担い手の育成などの農業振興のための施策を講ずるだけではなくて、それとともに農山漁村活性化法、これは昨年成立させていただきましたが、これに基づく地域の創意工夫を凝らした各種の取組支援をしていく、あるいはまた、農地、水などの資源や環境を保全するための地域ぐるみの共同活動、農地・水・環境保全の事業でございますが、これらなどを総合的に講ずることによりまして、農山漁村の活性化のための施策を推進しているところでございます。
  52. 藤原良信

    ○藤原良信君 大臣、ありがとうございます。  ただいまの点につきまして発議者にもお尋ねをいたしますけれども、ただいま申し上げました現状、どういうふうに把握をされて、認識をされて、そして戸別補償法案を作成をされたのか、お尋ねをいたします。
  53. 舟山康江

    舟山康江君 今の点でありますけれども、私たちの認識も大臣が今御発言されたものと同じでありまして、やはり農村集落、今非常に過疎化、高齢化、また農業従事者の減少など、今までに類を見ない構造変化に見舞われている中で非常に厳しい現状にあると認識しております。  言うまでもなく、地域社会というのは様々な人がそこに住み、生活することによって形成されているわけでありまして、やはりその基本というのは、大臣もおっしゃっておりましたけれども農業生産、農林業、第一次産業に従事することによってそこに住み続けているということが多いというふうに思います。  正にそのような観点で、私たちは、生産だけではなく、農村を守る、集落を守る、地域社会を、そして地域社会が果たしている役割をしっかり守るために、今農業に従事している方々ができるだけ長く農業を続けられるような、そんな環境づくりが必要だという観点で、より広く、一部の担い手だけがその農業を守っているわけではありません、地域を守っているわけではありません。大規模農家小規模農家、高齢農家兼業農家、いろんな方がそこに住んで地域を守っている、農業を支えている、そのような観点で、広く、担い手だけではなくて販売に供する農家をすべて政策対象とすることによって地域を守り、農業を守るといった、その観点でこの農業者戸別所得補償法案、やはり農業を続けていただくためには少なくとも再生産可能な所得をきちんと補償するといった、そのことが必要だという観点でこの法案を提案いたしました。
  54. 藤原良信

    ○藤原良信君 ありがとうございました。  そこで、若林大臣お尋ねをいたします。  今の御見解に基づきまして、そうでありますならば、担い手法案について、その中身についてお尋ねをいたします。  この法案趣旨ということに行き着くんだと思いますけれども、この趣旨は何なのかということについてお考えを、それをお示しをしていただきたいと思いますし、ただいまの大臣の発言、説明等からいきますと、この担い手法案品目横断的経営安定対策という言い方にさせていただきますけれども、これは一定の経営状態を備えた担い手に施策を集中化してございます。重点化し、構造改革を加速するという、いわゆる産業政策でございます。品目横断経営安定対策には、このように経営体に着目する余り、地域社会というそういう視点が欠けているのではないかと思いますけれども、ただいまの大臣の発言等からいきますと、この点ではいかがでございましょうか。
  55. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 是非とも御理解いただきたいと思いますけれども、この品目横断的経営安定対策というのは、委員指摘のように、正に足腰の強い、意欲があり、そしてまた効率的な農業経営を安定して営めるというような経営体を育成していきたいということで、経営に着目して作られている法律でございます。  先ほど来、いろいろと農村集落の話、農村地域の話、地域活性化の問題点ございます。これは大事な要素でありまして、農業経営というのは、その経営体がいかに立派であっても、経営体独自では経営を維持し、そこで生活を安定的に営むということができないわけでありますから、地域というのは非常に大事でございます。そういう意味で、二つの面の対策を同時並行的に進めていく必要があると、こう考えているわけでございまして、委員も御承知のように、過日、農山漁村活性化法という法律を成立をさせていただきました。そこで自治体が連携した計画を策定する、民間事業者等による各種の提案を受け入れていく、そしてそれを支援するための交付金交付すると、そういったような各種の助成支援策を講じているわけでございまして、十九年度予算におきましても農山漁村活性化プロジェクト支援交付金というものを新たに創設をいたしまして三百四十一億円の予算の手当てをしたところでございまして、農山漁村への定住の促進でありますとか、都市に住居を持ちながらも農村部においても住居を持つ二地域居住の促進でありますとか、あるいは都市と農山漁村との交流を進めていく施策でありますとかもろもろの施策を講じているところでありまして、それを更に加速させて強化をすべく今検討を深めているところでございます。  この品目横断的経営安定対策というのは、そういう意味では経営に正に着目しているわけでございますが、この経営の問題につきましても、委員承知のように、中山間地の直接補償制度もこれと併せて講ずるようにしておりますし、小規模の農家も含めまして、やはり地域としてまとまって集落営農を組み立てるというようなことを通じて、高齢化が進む農山村地域社会におきましても農地を守りながら将来の担い手をその中から育成していくと、そういうことを心掛けておるところでありまして、集落機能の維持を図る役割をもこれが果たすものであると考えているところでございます。  いずれにいたしましても、この品目横断的経営安定対策というもので農山村地域の活性化というものが図れるということ、それをねらいにしたものではございませんから、両方セットで御検討をいただきたいと、このように思うのでございます。
  56. 藤原良信

    ○藤原良信君 それでは、大臣、農政について今のどうしても関連が出てまいりますので御見解をお尋ねせざるを得ませんけれども、私は農政は、農業を業として成立させるための政策、これが一点、農村地域を維持するための政策、これが二点、この両面をもってまさしく成り立っていると思うんであります。  担い手法は農業の業の分野しか、役割しか持っていないんじゃないでしょうか。改めて担い手法の性格、法律の性格をお尋ねをいたします。
  57. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 正にそのようなことを私申し上げたわけでございまして、主たるねらいは経営体を育成するという、言わば産業政策としての部門に力点を置いた制度になっております。  そこでもう一方、二面性があると申しましたもう一方につきましては、正に農山漁村活性化法という法律を成立をさせていただきまして、これによって地域の、先ほど申し上げました様々な施策を総合的に講じ、農林水産省のみならず関係府省が連携して地域の活性化を図っていくという政策を併せ行っていくと。農林水産省は、そういう意味で、農政はそういう二面を基本的な柱立てとして進めているということを申し上げているわけでございます。
  58. 藤原良信

    ○藤原良信君 その様々な政策の中での、先ほど大臣からもお話ございましたその一点になるわけでございますけれども、それでは農地の水路の保全、環境保全型農業支援するために今年から、二〇〇七年度から始めました新規事業、農地・水・環境保全向上対策でございますけれども、これはもとより農業農村資源を社会共通資本として保全するため農水省が作った大型事業と、そういうふうに承知しておりますし、ただいま大臣お話しの分野だと思います。  ところが、各地域農家だけではなく地域住民も参加する住民参加型の保全活動組織を作り、農地の草刈りや農業用水の補修といった保全活動を行うと助成金が支払われるという仕組みであると承知しておりますが、今までは、水田の保全管理はその地域の集落が一体となって維持をしてまいりました。無報酬で、共同作業で維持をしてきた経緯がございます。この制度の導入が、自治体の財政状況が厳しいために十分な実施が行われない状況下にあるのではないかと思っております。そしてまた、今までは無報酬あるいはボランティアで、その地域の一体となった共同作業というような趣旨での地域集落の維持ということにもつながっていたわけでございますが、こういう地方自治体の財政状況が厳しいために負担分、いわゆる都道府県二分の一、国が二分の一、四分の一、四分の一ですか、その負担分が賄えないということで、この事業の進捗が十二分に遂行されてないのではないでしょうか。  その両面について、事業の進捗の状況と、これを導入したことによってのいろんな諸問題についてお示しをしていただきたいと思います。
  59. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員が御指摘になられました農地・水・環境保全向上対策でございます。  この対策につきましては、平成二十三年度までに農業振興地域の農用地のおおむね半分、二百万ヘクタール程度対象に実施することを目標として掲げまして施策を推進しているところでございます。  この対策の実施状況についてでございますが、なかなか地方負担があるのでこれが進まないではないかという、そういう御懸念が今お話しいただきましたけれども、もう実際の実施の状況を見ますと、全国で百三十一の地域協議会及び百十六万ヘクタールの農地対象にして既に一万七千の活動組織が設立されまして、農地農業用水の資源を適切に保全するための活動に取り組んでおりまして、私は初年度としては順調に取り組まれていると思っておりますし、これが進行中であるというふうに考えておりまして、各地のいろいろな事例を私も聞いておりますけれども、大変非農業者も含めました地域における共同作業などがこのことによって活発になってきていると。  結果的には、農業者に過重に掛かっていた地域地域整備にかかわります種々の労役、費用負担というものも軽減されてきておりまして、この事業の推進には希望の地域もなお非常に活発に起こってきているという認識でございます。
  60. 藤原良信

    ○藤原良信君 それでは、改めてお尋ねいたしますけど、発議者でございます。  このたびの法案について、先ほどと重複いたしますけれど、改めてどうしても担い手法案との対比となっていかざるを得ませんので、確認のためにお尋ねをさしていただきます。  条文に沿って私はお尋ねいたしますけれども、先ほど農業集落の崩壊等々について、これらを踏まえた上でのこの法案趣旨については発議者から御説明ございましたけど、改めまして品目横断経営安定対策との対比でもう一度確認をさしていただきたいと思います。  それから、一括してちょっと時間の関係上申し上げますので、よろしくお願いいたします。  第二条の主要農産物の項目がございますけど、第二条でございますが、この中で特に米を対象にしている理由について、これをお尋ねいたします。  それから、一括で申し訳ありませんけれども、第四条の対象農家販売農家の中身について、どうぞお願いいたします。  まあここまでにいたします、取りあえず。
  61. 平野達男

    平野達男君 まず、米を対象作物に含めている理由についてでございます。  米は多くの地域にとっての主幹作物と言っていいかと思います。先ほど来、今日、朝からずうっと御議論がございますけれども米価の下落が農家経済を直撃していると、のみならず地域経済にも大きな影響を与えているんだろうというふうに私どもも推察をしております。  そして、今回、米を対象としたということについては、先ほど私の方で、米の価格の下落ということが農家の責ではなくて構造的なものではないかということで、需要サイド、供給サイド、あるいは今の価格形成のメカニズムからいろいろ御説明をさしていただきました。  さらに、今回は、せっかくの御質問でございますから先ほど触れなかった点について追加的に補足をさしていただきますけれども、これは私が先般この委員会大臣の所信に対する質問のときに取り上げたテーマでございます。いわゆる生産費と価格の、米に関しての状況を見ますと、労賃はおろか物財費すら出てない、そういう地域日本全国、中山間地域中心に相当程度広がっているんではないかと。それでもなお、なぜ農業をやめないか。それは、高齢者方々、今頑張っているわけでありますけれども、そういった高齢者方々に聞きますと、一つは自分が農業をやめたらだれも耕作する人がいないと。その耕作放棄地になるのが忍びないんだということを言われます。それからまた、自分の生きがいとして農業を続けたいんだという方がおられます。  重要な点は、一点目の自分がやめたら耕作する人がいないんだということであります。つまり、こういう米価が下落基調の中にあって、いわゆる政府の言うところの担い手と言われるような方々が本当に規模拡大するんだろうか。米価が下落するという中において規模拡大をするというのは、ある意味においては大変なリスクをしょいます。現に、いろんな農林省が、政府が出している資料を見ますと、かなり規模の大きな農家については更に規模拡大が進んでいる、これは生産コストの方が非常に低いですから。しかし、中規模の農家についての規模拡大というのは余り進んでないという実態もございます。  こういう中では、このまま放置しておきますと、そういう高齢者方々がどこかの段階で、もうもうからない、続けられないということで農業をやめる可能性があります。そうしますと、今の状況の中では受け手がいない、受け手がいなければ耕作放棄地が加速的に増えていくということでありまして、今でも耕作放棄地が三十九万ヘクタール、恐らく不作付け地を入れますと実際の統計はもっともっと上だというふうに思います。  それはなぜかといいますと、繰り返しになって恐縮ですけれども、出し手はいる、農地を出したいという人はいるんだけれども受け手はいない。そういう中でのこの米価の下落というのは、ある一定の収入の補てんが得られないということでございまして、そういう状況の中では、まず将来の規模拡大志向農家にとっても収入の一定の見込みが立つような補てんをすると同時に、今のままでは加速度的に農家が離脱する可能性がありますから、現に今意欲を持っている農家方々についても、小規模の農家方々に対してもきちっとした補てんをするということも大事だというふうに思っています。  さらにもう一つ、繰り返しになりますけれども、またぐうっと戻って、農村というのは元々大規模農家もあれば小規模農家もある、そういった方々が協力し合っているんだという観点からも、この米価については、大きな農家、小さな農家対象にしてやっていくんだということだと思っております。  それから、二点目は第四条の対象農家につきましてでございますけれども、これは先ほどお答えしたとおりでございますが、基本的には政令にこれは委任されておりますけれども、この政令では、十アール以上、あるいは市町村長が、販売を行っている農家というような規定を置きたいと思っております。  さらに、私どもはそういった個別経営体だけではなくて、集落営農についてもこの対象になり得るというふうに想定しておりまして、ただし、その集落営農につきましては、現行品目横断対策みたいに生産法人計画をつくらなければならない、あるいは経理を一元化しろ、そういった規定では考えておりません。また、面積規定も考えておりません。その地域の実情に応じた集落営農をつくっていただければいいのではないかというふうに考えておると、そういう次第であります。
  62. 藤原良信

    ○藤原良信君 ありがとうございます。  持ち時間がなくなってまいりましたので、通告はしておりましたけれども失礼をさしていただきますけれども、最後になりますけれども、それではその比較の中でちょっと大臣の方にお尋ねいたします。  先ほど来、自給率についてもいろいろと質疑がございました。この自給率の向上については、農業者戸別所得補償法案については十年後五〇%を目途とすると明確にうたっておりますけれども担い手法案につきましては、計画の中ではそうでありますけれども担い手法案については自給率の向上という関連性が見えないのでありますけれども、これについてお尋ねをいたしますし、それから、担い手法案の中で過去の生産実績に基づいて固定された交付金が占めているために、個々の営農努力が交付金に反映されないで営農意欲がそがれるのではないかというふうに懸念をされますけれども、いわゆる自給率向上でございますけれども、その点でお尋ねをいたしたいと思います。  それから、作付け義務が……(発言する者あり)あっ、そうですか。じゃ、時間ですからやめます。
  63. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間が来ておりますけれども大臣、関連する答弁、簡潔にお願いします。
  64. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 大変最後にまとまって一杯御質問がありました。  自給率と言わば品目横断経営安定対策、さらにその法律であります担い手交付金法案でございますが、これは直接、そのことによって自給率を高めるということを直接の目的としているわけでございません。ただ、米の生産は抑制をしなきゃならないという状況下におきまして、米以外の土地利用型の農業についてその生産振興を図っていくということをねらいとしているところでございます。  また、過去実績に基づく支払であると生産意欲を高めないんではないかと、こういうことでございます。そうだと理解してよろしゅうございますか。  これは、やはりWTOの国際的規制との関係を念頭に置かなければならないと思うわけでございまして、WTO農業協定においては削減対象とされない緑の政策として政策を構築しないと、その政策自身を安定的、継続的に運営していくことが難しくなるわけでございます。その意味で、品目横断的経営安定対策につきましても過去の生産実績に基づく支払を基本とした支援体制を組み立てているわけでございます。  このような支援体制とすることによって、豊凶変動にかかわらず毎年安定した支払が受けられるということから、担い手がいろいろな、今まで大豆、麦をやってきました、今度は野菜を導入するとかえさを入れるとか、いろいろな多角的な農業経営の展開も可能になるわけでございまして、そういうことにも寄与するものと考えているわけでございます。  そして、過去の生産実績に基づく支払のみを支援対象とした場合は、捨て作りをする場合でも支払を受けられるなどの問題が生じてくることは危惧されるわけでございます。我が国においては、規模拡大による生産性の向上を図る必要があるということ、また、麦などがそうですが、品質の面でも消費者、実需者の需要に応じた生産を確保する必要があるというようなことから、WTO農業協定上は削減対象となります黄色の政策というふうになるんですけれども、毎年の生産量、品質に基づく支払も一部導入することとしているところでございます。  なお、委員の御質問の中で農山漁村活性化法についてお答えを申し上げましたが、昨年と申し上げましたが、本年五月に公布され八月に施行されるということでございますので、訂正をさせていただきたいと思います。
  65. 藤原良信

    ○藤原良信君 ありがとうございました。以上でございます。
  66. 米長晴信

    ○米長晴信君 民主党・新緑風会・日本の米長晴信です。少々時間食い込みましたので、テンポよくやらせていただきたいと思います。  私は、今年七月の参議院選挙で山梨選挙区から農業者の戸別所得補償をマニフェストに盛り込んだ選挙で当選をさせていただいたばかりでございます。意気揚々として、今国会九月十日に召集されまして、農水委員会に配属になりまして、一刻も猶予のない農政についてかかわっているところでございますけれども、しかしながら、その九月十日に召集されたはずの今国会、我が委員会におきましては大臣の所信表明が十月の十八日と、一か月以上たってからと。およそ三週間事実上空転をしたわけですけれども、総理大臣の辞任に伴うこの空白について、大臣としてこの空転した責任と、あるいは結果など、御所見をいただきたいと思います。
  67. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 安倍前総理の突然の辞任によりまして今国会が二週間、さらに各委員会審議が三週間以上も停滞をしたということにつきましては、国民の皆さん方に対して、また議員各位に対して本当に申し訳ないことでありましたと率直におわびを申し上げたいと思うのでございます。その限りにおきまして、私もその職責を全うすべく全力を挙げて先頭に立って農政の推進に当たってまいりたいと思っております。
  68. 米長晴信

    ○米長晴信君 ありがとうございます。私も委員の一人として、当面直面している農政に深く、早く対応していきたいと思っております。  私、前職がジャーナリスト、テレビ局の報道局を十七年勤めてまいりましたので、その中には、日本のへき地の農村なんかより更にへき地のアフガンですとかイラクですとか、いろんなへき地取材も重ねてまいりましたので、そういった現場を見据えて農政に取り組んでいきたいと思っております。そういう意味では、蛇足ではございますけれども大臣の隣におられる澤政務官、実は昔、直属の部下でございまして、また再び胸をかりるつもりで頑張っていきたいと思っております。(発言する者あり)元、直属の上司でございましたけれども。とはいえ、新人らしく、国民に分かりやすい審議を推し進めてまいりたいと思っております。  そこで、もう一つ、もう一回基本的な質問でございますけれども大臣にお伺いしたいんですけれども、農林水産省というのは一体だれのためにあるのかと。農林水産省の役人の皆様とか職員の皆様のためにある省庁なのか、あるいは農家の、汗を流して働いておられる農民の皆様のための省庁なのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  69. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) これは、国家国民のためにあるとまず基本的に考えております。  農林水産省がいかなる役割を果たすべきかということにつきましては、農林水産省設置法という法律がございまして、その中では、食料安定供給確保、農林水産業の発展、農林漁業者の福祉の増進、農山漁村及び中山間地域振興農業の多面にわたる機能発揮などをその任務として規定しているところでございまして、農林漁業者はもとよりでございますが、消費者を含めまして国民全体のために農林行政を進めていくというふうに考えております。
  70. 米長晴信

    ○米長晴信君 国民のため、ただ、とりわけ農民の皆様及びそれを取り巻く消費者のためということでございますけれども。  お手元に資料を配らせていただきまして、それを拡大したのが、一枚目拡大したのがこのフリップなんですけれども。これ、簡単に、年収ですね。職種別に年収って大体どれぐらいあるかという棒グラフを三年分用意したんですけれども。サラリーマン、地方・国家公務員と比べると、これ、専業の、農業をなりわいとしている人に絞った数値がこの赤い部分なんですけれども、これ一人当たりです。大体よくある表は農家一戸当たりということで、大体サラリーマンと同じようなところに本来来るんですけれども、もうこれ、ほかが一人当たりの数字ですので一人当たりに直したら、農業従事者、所得が極めて低いと。これ実はもっと長い過去のデータに基づくと、更に微減傾向にあると。こういった現状、農家皆様一人当たり、なかなか収入としては結び付いていないという、これをごらんになりましてどのような思いがあるのか、どのような対策でこれを、取り組んでいくのかというのを澤政務官に是非お伺いしたいと思います。
  71. 澤雄二

    大臣政務官(澤雄二君) 今御紹介をいただきました。米長委員にお答えを申し上げます。  同じメディアの出身の国会議員として、これからともに、一緒に切磋琢磨させていただければというふうに思っております。  御質問にお答えをしたいと思います。  この棒グラフでございますが、これは農業経営統計調査によるものですね。それで、主業農家所得は四百十四万なんでございますが、その統計所得によるとですね。これ多分、今委員指摘になりましたけれども、一・六人そこにかかわっているというので一・六で割られた数字だというふうに思います。そうすると二百五十七万で、このグラフの数字に十七年度なるのかなというふうに思います。大抵の農家は奥様が農業を手伝っていらっしゃいます。ですから、それで一・六人になっているんですが、それを単純に頭数で割って比較してということがどうかということは別途議論する必要があるというふうに思います。  それから、同じ統計調査によりますと、その主業農家、四百十四万ございますが、それ以外に、農業所得以外に百二十四万ありますから、一家としては五百三十九万の所得があるということでございます。それで、右側にサラリーマンと比較をしているわけでございますが、サラリーマンの給与は四百三十四万、これグラフにもありますが、四百三十四万でございます。ですから、農家の所得全体の収入と比較をすると、これによっても農家の所得の方が多いということになります。  で、こちらはいいですか、週刊ダイヤモンドの方は。
  72. 米長晴信

    ○米長晴信君 そうですね、済みません。これを御指摘するのを忘れたんですけれども、この二枚目の資料の……
  73. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 発言は委員長の許可を得て発言してください。
  74. 澤雄二

    大臣政務官(澤雄二君) 資料でいただいたこの週刊ダイヤモンドの数字でございますが、農家が九十九位で百二十四万ということで、ほかの業種と比較をしているわけでございますが、これも同じ農業経営統計調査から持ってきた数字だと思いますが、販売農家農業所得が百二十四万で、それをここに載せているわけでございますが、この販売農家というのは全部で百九十六万戸全国ありまして、この百九十六万戸の平均が百二十四万でございますが、その中には、副業的農家しかやっておられなくて三十万円しか年収がない農家、これが百九万戸、五五・五%ございます。これも合わせて一緒に平均を出している数字なので、単純にこの数字でほかの業種の年収と比較するのもやはり議論が別途必要かなというふうに思っております。  それから、農家の所得を考えるときにもう一つ考慮しなきゃいけないのは、サラリーマンの場合には二十代、三十代というのは給与が低いんですけれども、一応農家の方は二十代、三十代から同じ収入が確保される。それから、サラリーマンの場合には六十歳で定年退職しなきゃいけませんが、農家の方は、まあこれがいいことか悪いことかは別途議論しなきゃいけませんが、六十歳以上になっても収入を得ることができるということも考慮して農家の収入というのは考えなければいけないのかなというふうに思っています。  いずれにしても、委員質問趣旨指摘されているのは、担い手が少なくなって高齢化している農家の収入がこんなんでいいんだろうかということが質問の御趣旨だと思いますが、農水省もいいとは思っておりません。したがいまして、品目横断的経営安定その他の対策を打ち出しておりますし、現在も今月の下旬目途に緊急対策を更に、農家経営を守るための緊急対策を発表しようとして今鋭意準備をさせていただいているところでございます。  それから、先日、今、今年の米価が非常に下落をしております。したがって、緊急対策を打ち出させていただきました、三十四万トンの備蓄を積み増しするという。これ、数百億円の追加的財政措置が必要になります。ですけれども日本の財政はそんなに余裕があるわけではありませんので、次から次へと財政負担を積み増していくということは難しい。そうすると、先ほど平野委員もおっしゃっていましたけれども農家が一番喜ぶのは、やっぱり日本人がもっとお米を食べてくれないかということで、この需要が増えるということが一番農家の希望にもつながるのではないかと思っていまして、先日の緊急対策でも五番目にこのことを入れさせていただきました。そして、この米の需要を増やすということは、大国民運動としてもっと発展的にいろんな運動をできないかということを今農水省は考えさせていただいております。  例えば、すごい身近なことを言うと、これは具体的な対策が必要なんですが、我々の参議院の議員会館でおにぎりが買えないというのは皆さん御存じでありましょうか。買えないんです、参議院の議員会館では。例えば、小さいことでありますが。  それから、学校給食。週三回食べてくださいとお願いをしておりますが、全国平均二・九回なんですが、東京、埼玉は二・六回で、神奈川は二・一回であります。これを三回にしていただくともっとお米の消費は増える。(発言する者あり)分かりました。もうやめます。  ということで、こういうことを積み上げていって、お金を掛けなくても農家の方に希望を持っていただこうと、そういう政策も今農林省考えさせていただいておりますので、是非皆様、アイデアがあったら寄せていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
  75. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 答弁質問内容に沿って答えてください。
  76. 米長晴信

    ○米長晴信君 御丁寧な答弁ありがとうございました。  しかし、私は、実はこのグラフを基に今議論したのは正にそういう意図があったからで、実は単純にこの一人当たりという数で割り切れないのが、それだけに複雑なのが農家であり、農村であり。  とはいえ、この表から二つのことがうかがえて、お答えいただいたように、やはり若者が就業するに当たって、年収が幾らぐらいなんだろうか、生涯賃金幾らぐらいなんだろうかというのがまず考えることでございまして、この単純な数字を見る限り、やはり若者がすんなりと高校ですとか大学を出てから農業に携わるというのにはなかなか勇気が要る数値であるということ、それは今議論として話しておきます。  ただ、この一人当たりという数値ではなくて、大抵、一家、御夫婦あるいは二世代にわたって、二人前後の、一家としての単位で収入を考える、それの集合体である農村、これをやはり大きな単位として考えていかなきゃいけないのが農政であると思いまして、それだけに今、品種横断安定化対策であり、あるいは今回の戸別所得補償法案によって農家自体を安定的に経営してもらうというのが議論であって、その議論に導くためにこの表を使わせていただいたということでございます。  そこで、まず品目横断的経営安定化対策の方についてお伺いしますけれども、まず、先ほど主濱委員の方から、見通しはどうだったのかと、その結果はという部分の見通しというのが答弁になかったような気もしましたので、当初、この論議が行われたときの新聞記事が三枚目に添付をしておりますけれども、このときは試算で、販売農家三割、農地では五割という数値が出てきたんですけれども、この新聞の数値は予測としては正しいものなのか、まずお伺いします。
  77. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 委員指摘新聞記事の基になりましたのは、昨年の四月五日におけます衆議院の農林水産委員会段階で私ども事務方の方からお答えした数字でございますけれども、これはその際にもお断りしておりますように、農林業センサス等の統計に基づきまして相当の前提を置いた上で機械的に試算したものでございます。  その後、本参議院の農水委員会におきまして、更にこれについて精査をした上でお示しをした数字がございますけれども、そのときには、作付面積ベースの割合といたしまして水稲でおおむね五割程度、あるいは麦では九割程度、てん菜でございますとかでん粉原料用バレイショ等についてはほぼ十割程度というような見通しを出させていただいております。  その結果といたしまして、先ほど大臣から御説明させていただきましたとおり、麦、大豆あるいはてん菜、でん粉原料用バレイショなどの畑作物関係につきましては、従来の品目別対策とほぼ同程度面積であったということでございます。  一方、お米につきましては約四十四万ヘクタール程度の実績ということになっておりまして、実際の十八年産までに私ども対策を講じておりました担い手中心といたしております担い手経営安定対策面積に比べますと、二十万ヘクタールでございましたが、これを大幅に超えておりますし、また、担い手以外も対象といたしておりました稲作所得基盤確保対策、これの七十五万ヘクタールでございましたけれども、おおむね五割を初年度の目標数値に置いておりました。これについても超える数値ということであったわけでございます。
  78. 米長晴信

    ○米長晴信君 いろいろ細かい数字をいただきましたけれども、当初、特定の条件を基にということで三割、五割という数字を出して、その後変遷をしてということでありますけれども、今の実際の数値というのは、これどうなっていますでしょうか。
  79. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 再度の御説明で恐縮でございます。  十九年産におけます本対策加入面積でございますけれども、麦で約二十五万四千ヘクタール、大豆で約十一万ヘクタール、てん菜で約六万六千ヘクタール、でん粉原料用バレイショで約二万二千ヘクタールということになっております。また、お米につきましては約四十四万ヘクタールということでございます。  これが先ほども申し上げましたように、いわゆる麦、大豆等の畑作物につきましては、従来、麦作経営安定資金でございますとか大豆交付金等で対象としておりました面積とほぼ同程度の水準になっております。  また、お米につきましては、従来施策の対象としておりました担い手対象としております担い手経営安定対策の二十万ヘクタールを二十四万ヘクタールほど超えておりますし、また、担い手以外も対象といたしておりました稲作所得基盤確保対策、これは七十五万ヘクタールでございましたけれども担い手以外が入っていたということで、初年度の目標数値はこの半分、五〇%を目標数値にしておりましたけれども、実績としては五九%になったということでございます。
  80. 米長晴信

    ○米長晴信君 では、発議者の方に関連で質問をさせていただきます。  この戸別所得補償法案におきましては、対象農家農地というものの試算というのはどうなっておられるのか。
  81. 平野達男

    平野達男君 対象農家農地面積という御質問だったと思いますが、それをお答えするには、まず今回の法律で対象とする作物をまず特定する必要があります。これは朝からずっとお話が出ておりますけれども、米、麦、大豆、その他政令で定めるものということで規定することとなっておりまして、今、現段階においてどこまでの作物が対象になるかということを確定しているわけではありません。  これは、いろんなこれから専門家の意見を聴くとか、そもそも標準的な生産費と販売価格と比較したときに本当に差があるのかとか、そういったことを総合的に勘案しなければなりませんし、そしてさらに、私どもは今回の対策として当面一兆円という枠を設定しておりますが、お金が潤沢にあるわけではありません。何もかにもとどんどんどんどん広げてやれるというわけでもございません。そういったことを勘案した上で最終的な作物を決めるということになるんだろう、作物と交付単価を決めることになるんだろうと思います。  そこで、そういう状況の中ですけれども、あえて、じゃ何も出せないのかと、数字は出せないのかということもあるかと思いますので、参考までに試算という数字で御紹介をさせていただきますと、まず交付対象となる農業者でございますが、先ほど言いました主要作物がまず確定しておりません。ただ、主要作物になるであろう作物というものをある程度想定していきますと、センサスの販売農業の割合を試算してみますと、約六割といふうに今私どもの方では見ております。ただ、この中には牧草というのも入っておりまして、牧草の場合は、皆様方承知のように、自給でやる場合については輸入よりも、買うよりも安いというような状況もございます。これをどこまで勘案するかということもございますので、この辺の不確定要素はあるということです。  仮に、この六割ということを前提にしていきますと、全農家数が二百八十五万戸でありますから、マキシマムで百七十二万戸ぐらいが一応対象になり得る。しかし、繰り返しますけれども、今の段階では対象品目も確定しておりません。お金という問題もあるということだけは重々申し上げておきます。  それから、交付対象となる農地の割合ということにつきましては、先ほど言ったようなある一定の条件に基づきますと、大体全耕地面積、例えば果樹とか野菜なんかは、今の段階では明らかに生産費と販売価格を比較した場合には販売価格が上回っているんじゃないかというふうな想定されますので、こういったものを除いていきますと、全耕地面積の大体七割ということになってまいります。これを単純に今の耕地面積に掛けますと三百二十七万ヘクタールということになってきますが、これが多分、今の段階でのマックスなんだろうと思います。  ただ、この中で大事なことは、今朝からずっと米が議論になっておりますが、米については、この需給調整に参加していただく農家については十アール以上であれば基本的に全部対象になるということは、これは今の、私の方ではこの米については重点的に考えておりますので、これは多分確かなことではないかなというふうに思っております。  以上です。
  82. 米長晴信

    ○米長晴信君 では、もう最後に、今一兆円という数字が出てきましたけれども、これは対象農産物が何かということを確定まだしなきゃいけないと。仮に確定した後でも、相場によって変動があると思いますので、生産費と販売価格の差というのは。その場合、一兆円との相関関係といいますか、その点を簡単に説明していただきたいというのと、もう一つは、この一兆円という、おおよそ一兆円という予算を使って、農家以外の、消費者ですとか農家以外の方へはどのような形で受け入れていただくのかということを簡単に。
  83. 平野達男

    平野達男君 まず、今の考え方は、現行の為替相場、あるいは今WTOの協議等が行われておりますけれども、そういった状況に大きな変化がないという前提で今考えております。  そして、一兆円ということについては、何も積算を基にして、バックに基づいてきた額ではございません。過去十年間において、生産農業所得というのは約五兆から今三兆三千億まで落ちています。ですから、その中でまず一兆円というものを農業者の所得で補償するというのもいいではないかというような考え方もございました。そういうことで枠で設定したものであります。そして、今後、いろんな変動要素があると思いますが、それはその時点で考えるということが妥当だというふうに思っています。  この全体の効果については是非、消費者に対する効果などについては舟山発議者に答えていただきたいと思います。
  84. 舟山康江

    舟山康江君 一兆円予算に対する消費者の理解ですけれども、言うまでもなく、農業農村役割というのは単に食料安定供給だけではありません。国土や自然環境の保全、それから良好な景観の形成、伝統文化の継承、さらには、地域社会そのものの形成など多面的な役割を担っております。  もうこれは先ほどから何度も御議論があるところでありますけれども、正に水とか緑とか空気とか、もうお金では買えない、貨幣価値には換算できない、言わば掛け替えのないこのふるさとを守っているといった、そういう大きな役割を果たしていると思うんです。そういった役割というのは、正にそこに住み、生活をしている農業者が担っているということでありまして、正にこの政策というのは農業農村を守るということだけではなくて、こういった今申し上げましたお金では買えない、この貨幣価値では換えられない様々な価値、財産を守るという意味では、この財産というのはもう国民全体の財産だと思うんですね。こういったものを守るということは、ひいては消費者、国民全体のためになるということで、是非このことを丁寧に広く農業サイドではなくて消費者、国民全体に説明をして御理解をいただける努力をしていきたいと思っておりますし、私は必ず御理解いただけるものだというふうに思っております。
  85. 米長晴信

    ○米長晴信君 終わります。
  86. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  87. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農業者戸別所得補償法案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  これまでこの当農林水産委員会におきましては、党派を超えて、農家経営の安定、そして農業振興、あるいはまた農村の活性化等々、それぞれ立場あるいは主張は変わっておりましても目的とするところは一緒でございまして、皆さん思いを一緒にしながら今まで私は審議をしてきたと、こういうふうに思います。したがいまして、今回、民主党から御提案いただきました戸別所得補償法案につきましてもこの目的を実現するために御提案いただいたと、こういうふうに理解いたしておりまして、発議者でございます平野発議者を始め皆さん方に深く敬意を表する次第でございます。  ただ、同じ目的を持てばこそ感じる点も多々ございます。したがいまして、今日は、私ども質問としてはトップバッターでございますので、私は入口のところを議論をさせていただきたいと、かように思っております。また、具体的な法案の中身等につきましては、今後いろいろ、我が党の同志の皆さん方がいろいろ御質問をさせていただくと、こういうふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。  私、特に、選挙前の小沢党首の御発言やあるいは民主党でお作りになりましたマニフェスト等々、このことと今回の法案との関連について御質問を申し上げたいと思います。  まず第一点でありますが、七月の一日、選挙前であります、記者クラブにおきますマニフェスト検証大会が開かれました。私どもの安倍総理とそして小沢党首との討論がございました。その中で小沢代表は、自由トレード、自由貿易協定を私はどこでもやれという主張であります、それによって市場価格が国内生産費よりも下がった場合に不足分を払うというのが我々の考えですと、我々の考えですと、こういうふうにおっしゃっております。  さらに、これは紙先生のところの御地元の北海道新聞でありますが、十月の二十四日、民主小沢代表、農業輸入規制撤廃すべきだと発言と、こういうのがあります。これは日豪経済委員会の会長であります元経団連会長今井さんでありますけれども、その方が記者会見で、今年の八月に民主党の小沢代表と会談した際、小沢氏が農業の輸入規制は撤廃すべきだと発言したことを明らかにされております。これは、私は、新聞ですからどうか分かりませんが、ただマニフェスト検証大会でははっきりそのことをおっしゃっておるわけであります。  したがいまして、今回のこの法案、提出されております戸別補償法案につきましては、この小沢代表がおっしゃっておられる我々というのは民主党の考え方だろうというふうに理解いたしておりますけれども、このことと今回の法案、整合性についてお伺いをいたします。
  89. 平野達男

    平野達男君 まず、今回の法案でございますけれども、WTO、FTA等の交渉との関係でいえば、ガット・ウルグアイ・ラウンドの合意された事項が今の状況でございますから、その状況を前提にして組み立てておるということであります。  その上で、小沢代表の発言等々といろいろな御指摘がございました。我が党は、政権のマグナカルタあるいはマニフェスト等でも言っていたと思いますけれども、WTO、FTAはこれは積極的に推進するべき立場ということを従来から取っております。特に、もう日本は貿易立国でございまして、そういった自由貿易の中で日本の経済は成り立っている。しかし、その中で農業をどのように扱うかということが多分今の御質問のことだと思いますが、小沢代表あるいは民主党は、だからといって農業の今の関税そのものを全部下げていいと言ったということは私は一度もないというふうに理解しております。  何を言いたいかというと、それではWTO、FTAの自由貿易等の推進というのをどうやって成り立たせるか。これは今までの政府の一連のずっと交渉経過を見れば分かるとおりであります。米は一粒たりとも入れないというふうに自民党はガット・ウルグアイ・ラウンドのときに宣言しました。結果、ミニマムアクセスというのをやって米を入れている。それを私はおかしいと言うつもりはありません。世界の貿易の潮流の中で、双方の主張をやりながら、取るところは取る、譲るべきところは譲るということが今までのWTO、FTAの流れであります。  私どもは、そういう中で、これからWTO、FTAを進める中で、今の日本農業を守るということは絶対条件でありますけれども、その中で、関税というのは、場合によったら引き下がることもあるかもしれない、そのときにはこの戸別所得補償政策によって生産費と市場価格が下がった場合にはその価格の差を補てんすることによって農業を守っていくんだと、そういう趣旨のことを言っておるというふうに理解しております。  特にも日本は、今までのいろんな守る、農業を守る、農業を守ると言いながら、自給率は四〇%を割って三九%になっています。これは一体何なんだということなんだろうと思います。そこで、私どもは、この自給率を上げるために、農産物の貿易の自由化を推進するということではなくて、まず今自給率の低い作物を生産振興しようじゃないか、ということは、外国から入ってくる農産物を抑えてでも国内生産を上げようということをこの法律の中でびっちり言っているわけであります。  そういう意味において、外国の、関税障壁を下げてどんどん農産物入ってきてもいいというスタンスには立っていないということについては、この農業者戸別所得補償法案の考え方からいっても、私どもは明々白々ではないかというふうに思っております。
  90. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今、発議者の御答弁では、私どもが今までも、あるいはこの国会の中でもずっと言ってきた、海外との交渉については、守るべきは守る、そして譲るべきは譲る、これは交渉事でございますので、それは当然のことだというふうに思います。ただ、私が申し上げたいのは、今、平野発議者はそういうお考えかもしれませんが、民主党の党首として、やはり完全自由化を前提に私はお考えになっている、もうそういうあらゆる場所での発言あるいは雑誌、そういうのを読みましても本を見ましても、やはり完全自由主義者だなというふうに思うわけです。  そこで、皆さんが選挙前にお作りになったこのチラシであります。ここの中を見ますと、米がたとえ一俵五千円になったということ、これを前提というのは、今一万円から一万五千円ぐらいの間でありますけれども、やはり中国からもどんな安い野菜や果実が入ってきてもということは、自由開放、貿易のあるいは市場の開放を前提にしてこのチラシもお作りになったし、この法案も、すべての輸入を自由化しますよ、だけれどもそれでは農家経営が成り立たないんで、それは所得として補償しますよと、こういうことじゃないんですか。
  91. 平野達男

    平野達男君 まず、今の委員の御質問の中に、小沢代表は農産物の輸入貿易自由者主義であるという発言があったと思いますが、それは私どもは、小沢代表は自由貿易の推進には肯定的な立場取っております。しかし、そのセットで、守るべきものは守る、農業は守る、農村は守る、このことについての一念は、相当強い信念を持っておられるということについては、私はここ六年間、小沢代表の発言、行動、考え方見ておりますけれども、これについては間違いのないことだというふうに思っています。  そしてさらに、この農業を守るということは、何も関税だけで守るというわけではないという考え方もあるかと思います。関税で守るということではなくて、先ほど言ったように直接支払で守るということであります。要は、手段というのはいろんな手段がありまして、農業は絶対に守るんだということについての小沢代表の信念は、これは揺るぎがないというふうに思っています。  その上で、今の委員の御質問は、私どもが作成したパンフレットということでございまして、これは多分このパンフレットを指しておられるんではないかというふうに思います。米がたとえ一俵五千円になったとしても、中国からどんなに安い野菜や果物が入ってきても、すべての販売農家の所得は補償され農業は続けられますということで、これは仮定で言っております。一つここではっきりしているのは、あくまでも仮定で、これで農産物の自由化をするなんということは私どもは毛頭考えておりません。ただ、このパンフレットを作成した側としては、この制度を分かりやすくするために、あるいはこの制度を効果が大きいように見せたいがために、あえて一俵五千円とか、あるいは中国からどんなに安い野菜や果物が入ってきてもという表現を使ったんではないかというふうに思います。  ちなみに、中国産の野菜は、一時日本にたくさん入っておりましたけれども、農薬の問題等々があって今ストップしています。しかし、今、聞くところによりますと、アメリカでは、二〇〇七年の農業法を検討するに当たって、中国から相当大量の野菜が入ってきて、直接支払の対象にすべきじゃないかという議論が現に起こったとも聞いております。  ですから、こういう状況があったとしても、私どもの法律の原点であるところの標準的生産費と市場価格に差が出てきた場合には補てんしますよということを力説したいがためのこういう表現であったというふうに思っています。  ちなみに、市場価格が米五千円ということでありますと、これはもう恐らく関税がゼロぐらいのことになってしまいますから、ということで多分今の委員の御発言だと思いますが、繰り返しになりますけれども、そういうことを想定したということではないということであります。
  92. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今お話ありましたように、このときのチラシと、これは関税ゼロにした、おっしゃいましたけど、完全にゼロにしたときが米一俵五千円、このチラシのことは後ほどもまた御質問させていただきたいと思いますが。  ただ、私、国際貿易、特に先ほど発議者の方からありましたWTO、EPAについて発議者はどのようにお考えになっているのか。これは、私はそのことはまた小沢代表等の考え方と若干違うんじゃないかなと先ほどの御答弁を聞いて思うんですが、発議者のお考えをお聞きしたいと思います。
  93. 平野達男

    平野達男君 その答えにダイレクトにお答えするかどうかは分かりませんが、筒井信隆ネクスト農林水産大臣は、今日午前中議論のありました自民党・政府の自民党米緊急対策の文書の中に、民主党は農産物の自由化をおいて云々という、仮定して云々という表現があることを引いて、断固とした抗議するということを小沢代表に確認して、談話を発表しております。全部を読み上げなきゃいけませんが、ちょっと読まさせていただきます。  自由民主党は、平成十九年十月二十六日、自民党米緊急対策において、民主党農業者戸別所得補償法案に対し、輸入自由化を前提とするもので、コストだけを補償するもので、うそ、捏造の文言を重ねていると。小沢代表を始め我々民主党は、今、関税の撤廃、大幅引下げを行えば日本農業が壊滅的打撃を被ることは必至であると考えていると。だからこそ、自民党が拙速に進めようとしている日豪EPAについては、民主党は、その拙速な交渉に、交渉入りさえも断固反対したんです、私どもは。そういう経過があるということはよく御承知しておいていただきたいと思います。
  94. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今、筒井さんのお話だとか、そしてまた発議者お話はよく分かります。これは、考え方としては我々と全く同じであります。  ただ、民主党の小沢党首は、先ほども冒頭申し上げましたマニフェスト検証大会で、自由貿易協定はどことでもやれという主張なんですと、こういうことをおっしゃっているわけですよ、実際。だから、完全自由主義者なんです。だけれども、皆さん方は、皆さん方は違うよと、こういうふうに今おっしゃいましたし──ちょっと待ってください、まだ質問中です。おっしゃいましたし、先ほど筒井さんもそういうお話をされたということでありますけれども、ただ、そうだとしますと、党首の考え方と、民主党のトップであります党首の考え方と、筒井さんにしても皆さん方にしても考えが違うということじゃないですか。これは、党としての私は対応を成していない、こういうふうに思うんですが、いかがですか。
  95. 平野達男

    平野達男君 考え方は一致しております。
  96. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 それでは、まあ入口のところでございますので、皆さん方の基本的なスタンスというところはこの辺にとどめたいと思いますが。  次に、先ほどのチラシの話でございますけれども、私は、このチラシは選挙期間中あるいは選挙前に鹿児島県の全農家に配られたと、しかもダイレクトで来たと、こういうふうに思っております。相当の物量作戦をやられたなと。そのことが、私どもが選挙で回っておりましたときに農家の人から直接聞きました。  二つのお話をさせていただきたいと思います。  一つは、この言葉と絵であります。見てみてください。米はもう先ほどちょっと話しましたので、中国からどんなに安い野菜が、果実が入ってきてもすべての販売農家の所得は補償され農業が続けられるというふうに書いてあります。そして、この絵です。白菜であります、白菜。私はショックでした。なぜかというと、私の地元の大隅半島、これは白菜地帯であります。一昨年、大変白菜が暴落しまして、畑にすき込みをされました。今回の選挙で民主党さんから送られてきたこのチラシ、自民党はこういうことを一度でも考えてくれたことがあるかと、白菜を、所得が多分前年の半分ぐらいになったであろうと思うと。私どもは、生産費を割ってこの白菜を作って、しかも大暴落してすき込んでしまった。そのときには、民主党の皆さん方のこの政策では我々を救ってくれるんだと、こういうお話でありました。だから今回は自民党には入れないと。大変な私はお話を聞いて、大変というよりも、大変おしかりを受けておりました。  それからもう一つは酪農家の方でございました。これは紙委員からもよくお話があるんですけれども、酪農家の皆さんは、乳価が低迷しております。飼料価格が一方で高騰して、そして乳価が安い、このダブルショックであります。  ちなみに、数字を申し上げますと、乳価は一キロ当たり八十円三十六銭、これは九州、鹿児島の平均であります。それから、コストは、生産費は一キロ当たり八十九円四十七銭、コスト割れを十一円ぐらいやっております。十一円というと、なかなかお分かりにくいと思いますが、私どもの鹿児島の大体平均の酪農家の規模というのは五十頭規模であります。そうしますと、年間に二百万赤字が出ます。生産費を割り込んでいるんです。生産費を割り込んでおります。ここ三年ぐらいの酪農家の廃業といいますか、経営中止、九州全体で四百八名の三年間で酪農家経営を断念いたしました。そして、このような状態が続けば、今後も後から後から経営を中止する農家が出てくるでありましょう。大変な時期を今迎えております。  今回の民主党政策では、生産費までは所得を補償することになっているわけでありまして、その酪農家が言うには、もう今回このチラシを見て、本当に我々は今これだと思っていると、生産費を償ってくれるんだから赤字は出ないと、あなた方自由民主党、どうこういうことを考えているんですかという、大変これもおしかりを受けた事例でありまして、今申し上げました白菜農家のあるいはまた酪農家の現場での生の声であります。  マニフェストに書かれておりますのは、すべての販売農家の所得は補償され農業が続けられますと、こういうふうに書いてあるわけです。しかも、丁寧に白菜の畑まで絵にしてあるわけでありまして、今回提出されました法案では、対象作目を米、麦、大豆その他政令で定める雑穀、それから菜種、飼料作目、こういうことを想定するとこのチラシに書いてあるわけでありますが、野菜農家なり酪農家は今回の法案対象になるんですか。明確にお答えください。
  97. 平野達男

    平野達男君 この法案の考え方につきましては、朝から何回もお話ししているとおりでありまして、標準的な生産費と市場価格が逆転している作物についてその差額を基本として補てんするものだというふうに規定しております。  それじゃ、しからば野菜ということでございますが、今の現下の野菜の価格というのは、私どもの理解では市場価格販売価格との差の逆転というのは起こっていないと思います。それから、畜産農家につきましては、今回はあくまでも農作物というものを対象としておりますから、この法律では対象としていないということであります。
  98. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 だから、私はこのチラシを農家の皆さんが非常に誤解していると言いますのは、すべての販売農家と、こういうふうに書いてあるわけですよ。米、しかも野菜、果物、ここまで書くと、今おっしゃいましたように、米だとか麦だとか大豆だとかじゃなくて、すべての販売農家、野菜から果樹から畜産まで、みんな対象になるんだというふうに、私はこのチラシでみんな思ったはずだと思うんです。そういう質問で私どもは選挙期間中に聞かれました。  ですから、そうしますと、はっきりここは、米であり麦でありそして大豆であるんですと、こういうふうにおっしゃっていただければ皆さん錯覚なんか起こしません。そういうふうに見た農家が悪いとおっしゃるんですか。
  99. 平野達男

    平野達男君 まず、今回の今チラシの問題で御批判が、いろいろ御指摘がございましたけれども、戸別農業所得補償法案の考え方は、今回の審議の中で、私ども審議の中で今やり取りしていますが、明らかにしているつもりであります。  その上で、どうも委員の御質問を聞いていますと、農家からいろいろ指摘されたと、指摘されたことが、何かどうも民主党がこんなパンフレットを作ったから悪いんだというような発言というように聞こえます。私はむしろ、じゃ、そういう野菜農家どうするんですかと、畜産農家をどうするんですかと、そういうことを与党の皆さん方が考えるのが筋じゃないでしょうか。何か、これにそんなことを言われて、悔し紛れに何か、こんなものが悪い、悪いんだという気持ちは分からないわけでもない。だけど、現実に今、気持ちは分からないわけでもないですよ、私ら別に白菜の絵でさきの参議院選挙勝ったと思っていません、ただ気持ちとしては分からないわけではない。だけど、本当に今大事なのは何か。それだけの問題があったのならどうするべきかということを考えるのが先だと思います。  それから、このリーフレットにつきましては、先ほど趣旨については私が申し上げたとおりでありまして、この作成者は全国隅々のいろんな事情まで多分理解して作ったんではないと思います。とにかくこの戸別農業所得補償法案の考え方を分かりやすく、そして効果が大きいんだということを精一杯伝えたいためにこういうものを作ったんだというふうに理解しております。  それからまた、この絵の中でいろんな誤解があったやの御指摘があったようでございますが、それについては真摯にお聞きしたい、意見として承っておきたいと思います。
  100. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 いや、発議者がおっしゃいましたように、本当に効果があったんですよ、本当に。それはもう皆さんそういうふうに思いましたから。信じましたから。だから私は、そうじゃないよと、これはここに書いてあるように麦だとか米だとか大豆だとかそういう話であって、畜産とは書いてないじゃないのと言っても、いや、すべての販売農家って書いてあるんだと、こういうことでのやり取りでした。私もそこまでは、真偽のほどは知りませんでしたので、もうすべての販売農家なんだなと、対象はそうなんだなと私も思いました。だけれども、そういう意味では大変な効果があったというふうに私は思います。  そこで、今お答えいただきましたように、やはり広報というのは、こういうチラシというのはきっちりと伝えなきゃいけないところが私はあると思うんですね。こういう、人心を惑わすとは言いませんけれども農家の皆さん方が錯覚を起こすようなことで、私はやっぱり選挙というのはフェアじゃなかったんじゃないのかなと、こういう思いがございます。  そこで次に、具体的なちょっとお話をさせていただきたいと思います。  米の生産調整の問題であります。午前中もこの問題は民主党の方からも取り上げられておりました。米につきましては現在、米の政策改革第二ステージとなり、需給調整は農業者なり農業団体にゆだねられております。しかし、十九年産米につきましては九九の作況にもかかわらず過剰作付けが見込まれまして、これも午前中ありましたけれども、二十三万トンが過剰になるという数字が出ました。  私どもは、この十八年産米の持ち越しも十万トンあるということから、私ども自由民主党は、連日連夜でした、この議論をさせていただきまして、今日大臣の方からも御答弁いただきました内容、二十三万トンの備蓄米の買入れをする、それから、全農中心とするJAグループには十万トンの在庫米を飼料米に転換すると。あるいはもう一つは、全農によりますところの内金七千円、これも非常に私どもは議論させていただきまして、JAグループも呼んで、そして、一万二千円、これは融資を含めてでありますけれども全農は一応一万円まで、そしてあとの二千円は融資を含めて引き上げるということを、これは政治主導で実はやってまいりました。  こうした結果だろうと、これは一回の入札でありますので早急な判断というのはできないんですが、昨日のコメセンターでの入札価格は言わば下止まったというふうに私どもは認識いたしております。これは、このまま放置しておきますと私は価格はまだまだ下がっただろうと、こういうふうに思っております。ですから、この緊急措置はある程度、今まだ第一回目の、この措置を打ってから第一回目でありますので今後を見ていかなきゃなりませんが、昨日の段階では下止まったのではないかなと、こういうふうに思っております。  ただ、これはあくまでも緊急対策でありまして、まだ二十年以降のいろんな価格安定対策についても、現在鋭意党内で議論をさせていただいておるところであります。  ところで、質問の中に入っていきたいと思いますけれども、米につきましてはもう発議者の皆さん御承知のように、昭和四十六年から三十五年間生産調整をやってまいりました。この間には、行政の皆さんや農業団体、そして農家の皆さん方、本当に知恵を出し合って進めてきましたが、結果は御承知のとおりであります。  午前中の発議者答弁でも、平野委員は、大変これはやっぱり需給調整というのは難しいことですというのもお認めになっておりましたし、私どもと同じ思いだなということを私も感じました。ただ、今回の民主党政策チラシでは、強制減反はしないと、すなわち米の生産調整は廃止というふうに書いてございます。朱色でしかも書いてあります。余剰米が今出ている状況の中で、本当に需給調整はしなくてもいいのか、生産調整は廃止するのかどうか、そこのところをお伺いしたいと思います。
  101. 高橋千秋

    高橋千秋君 お答えしたいと思います。  米の価格下落については、私も同じようにいろんな方からいろんなお話をいただきまして、同じように選挙終わった後あいさつへ行きましたら、それぞれの農協では、何で全農価格が七千円なんだと、随分、私もう全農は卒業しているのに怒られましたけれども。その中でやっぱり、今年の当初七千円という予約金の問題については、確かに余剰米がかなりあるということも事実でありますが、それだけではないということも一因はあると思いますけれども、やはりこの生産調整というか需給調整の方は私は当然やっていかなきゃいけない部分だろうと思います。  生産調整需給調整とどう違うんだと。いわゆる過去何十年もやってきたこの生産調整ですね、いわゆる減反政策。私の家も農家でございましたので、おまえのところは今年は何反減反しろという話になって、強制的なイメージが非常にあって、もう大分それぞれの農家も、こんなにいつまでもこういうことをやるんだと。我々とすれば、農家というのは作って何ぼの世界なんだから作らせてほしいけれども、だけどもお上が言ってくるから仕方がないかというような形で生産調整には協力をしてきました。しかし現状は、先ほど委員からお話があったように、それぞれの、それを守っていないようなところもありまして、不公平感というのが出てきています。  それと、午前中の審議の中でも話がありましたが、ただ乗りをしているというところがございます。こういう部分のそれぞれの不公平感、不満というものが出てきている中で、私たちは今回この戸別所得補償の中に織り込んだ生産数量目標、これについては、私たちはここまでは作ってくださいと。それは二つの分野があります。一つは米の余剰、かなり多い部分ですね。それから、大豆、麦の更に生産を促進をしなければならない部分というのはあります。  ここで私たちは、米の方は生産数量目標まで参加をしていただく農家方々にはその差額を払いましょう、しかしそれを守らない方々には払いません、そして、それによってそういう方々が多くなった場合に、その米価が下がります。下がったときには、我々の戸別所得補償で、その目標にちゃんと従っていただいてこの制度に入っていただいている方々には恩恵が出てその差額が払われるわけでありますから、経営は安定していきます。しかし、それを守らない方、そしてそれに参加をされない方々には一番そのデメリットが行くわけでありますから、そのことによって需給調整が米についてはできるということであります。一方で、麦とか大豆とかに転作をしていただいてそっちを作っていただく方々にとっては、さらにその品目別の更なる加算の部分も、転作を奨励するための加算の部分も設けてありますから、このことによって麦、大豆というのは生産が増えていくと、このことによって全体の自給が上がっていくという、そういう考え方であります。
  102. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今発議者の方からお話がありましたけれども、私はどうも頭が悪いんで理解しにくいんですけれども、国やあるいは県、市町村の連携によって生産目標数量を課することと生産調整とどこがどう違うんですか。
  103. 高橋千秋

    高橋千秋君 基本的には、それぞれの生産者、そして市、町、それから県、国というふうに生産数量目標を上げていきます。そこで全体の調整をさしていただいて、全体的には国が決めます。で、もう一度それぞれの方々に、あなたのところはこれだけ作ってくださいという生産数量目標を掲げる。ここがいわゆる今の生産調整と違う部分であります。実際のところ、今までの生産調整、減反政策というのは国がこういうふうにしなさいというふうに決めてそれを全部下ろしていく。しかし、それが今まで行政がやっていたのが、農協も一年前倒しのような形で今農協が主になってやっておられますけれども、なかなかこれが守られない。守られないところに対してペナルティーもないまま、ペナルティーが出てきたら、今度は守っている方々にとってもペナルティーが科せられるような形になってしまっているということですね。  我々のやり方は、米とか麦とか大豆とか、そういうことを作っていただく方々にその補給をしていく。今までの生産調整というのは、米を作らないことに対してお金を払っていくという、そこの違いです。
  104. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 なかなか苦しい答弁をされているように私は思うんですけれども、(発言する者あり)いや、といいますのが、といいますのが、また、これも私ども実態を申し上げますと、米の生産調整は廃止だと、こういうふうにお書きになっているし、今回も今おっしゃったように生産調整はしないよと、あくまでもその生産数量目標をもって、米を作る人、そして麦を作る人、そういうことで国全体をまとめていくよと、こういうお話ですよね。  そうしますと、私の鹿児島では、生産調整のいわゆる転作率というのは四二%なんです。このうちの飯米農家販売農家じゃないです、飯米、自分で食べる人たちが六〇%いるんです、この中に。この方々自分たちでしか食べない米にもかかわらず、四二%は転作しているんですよ。それで日本のあるいは鹿児島のこの生産調整というのは成り立っているんです。みんな作りますよ。だって、私のところは高温多湿、大豆、麦はできません。米を作りたくても、しようがないけれども、集落の話合いで、じゃ高橋さん、あなたもこれだけはやってくれよ、平野さんもこれだけやってくれぬかということでまとまっているんです。みんな作らしてくれと言い出すんですよ。そこを今までは集落の機能の中で飯米農家の皆さん方も協力しながらやってきたんですよ。  だったら、今おっしゃったように、幾らでも作ってもいい、でも転作する小麦、大豆はないんです。だから、私は最初、酪農でもいいんですかと、こう申し上げたのは、そういうところもあるんですよ。あるいは野菜でもいいんですかと。でなければ、皆さん方の頭の中にはやはり米と小麦と大豆しか頭にないんじゃないのかと、そういう思いがしてなりません。  だから、今申し上げましたように、今、飯米農家があと四割、米を作りたい、一町歩のところを六反歩しかできてない、あと四反歩は野菜作っている、ここにも米が植えられるんだ、そのときはどうなんですか。
  105. 平野達男

    平野達男君 まず、米の生産調整の廃止ということの考え方につきましては、昨年の三月に衆議院でこの法律の、今回の法律になる前段の基本法というものが出されております。あの中でも計画生産というのを入れまして、法律の中にきっちり米の生産調整の廃止というのを入れています。非常に問題じゃないかと、矛盾じゃないかということで当時の衆議院の委員会の中でも議論があったと聞いています。  そのときも申し上げたのは、今回の計画生産というのは、こういう計画にのっとって作っている農家に所得補償しましょうということで、言わばポジの考え方で立っているということで説明しております。今までの生産調整は、先ほど高橋発議人が、高橋さんが何回も説明したように、言わばネガ、作らないことに対して、作らないことの代償措置としていろいろな補てん金を出してきたと。そこに大きな発想の転換があります。そして一方、それにのっとって米を作りますと、水田の中で農地が空いてまいります。そういったところには、麦、大豆、飼料作物等について更に一定の加算をしながらそちらに生産誘導をしていくんですよというような、そういう答弁をしておりまして、だからこれからのやり方は需給調整が必要です、だから生産調整は違うんですというような説明をしておりまして、この考え方は今も変わっておりません。
  106. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 この問題、米一つ取っても、相当時間が掛かると思いますんで、あと、山田委員も控えておりますので、米の専門家でございますので、またあるいは後日にもう少し足らないところはやらしていただきたいというふうに思っております。  最後に、皆さん方がお作りになっているこの法案の経費、財源の問題について御質問をさせていただきたいと思いますが、今回提案された法案によりまして政策が実行されれば、経費は一兆円ということをお聞きしているわけでありますし、チラシにもそのように書かれているわけであります。  そこでまず、一兆円の積算基礎を是非とも教えていただきたい。一兆円というからには、対象品目は何で、そして面積基準ですから交付単価は幾らなのか、あるいはそれに対する面積はどの程度なのかというところが明確になってないと、この一兆円というのは積み上がってこなかったはずだと思うんですが、そこのところを、積算基礎を教えていただきたいと思います。
  107. 平野達男

    平野達男君 まず、積算基礎ということでございますけれども、今委員指摘のように、対象作物、それから対象作物が決まった場合に個々の作物についての単価を幾らぐらいに設定するか、こういったものが決まってこないと積算ができないわけであります。  午前中から御説明申し上げておりますけれども、例えば米について言えば、米の生産費というのは生産費調査で数字が出ておりますけれども、じゃこの価格、この生産費の数字をそのまま適用するか。それから、あと農家の手取りというのは、実はいろいろ調査してもなかなか分からないところがあります。それをどのようにして把握していくか等々の様々な課題があって、これは私は少し時間を掛けてやっていく必要があると思っております。その他、自給率の低い作物については、それを生産誘導するためにはどれだけの単価が設定が必要か。これは私ども、申し訳ありませんけれども、今回の議員立法は本当に議員だけでやっています。それに対して、残念ながら、こうこうこうだというふうに、この数字でこうであって、これをやれば生産が振興されますということまで言えるだけのまだ準備ができておりません。ですから、この一兆円については積算の根拠はないということであります。  じゃ、しからば一兆円というのは何か。これは、まずは一兆円という額は必要ではないかということでスタートしたのが正直なところであります。あえて参考のデータで申し上げれば、過去十か年で、生産農業所得という概念がございます。農業の生産することによって農家の財布にどれだけの所得が入ってくるか。ここ十年間で最高は五兆円ありました。三兆三千億に今下がっています。一兆七千億下がったんです。その中で地方交付交付金は御承知のように、ここ五、六年間で四兆から五兆削られました。公共事業予算も削られています。農協は支所がなくなっている。地方から会社が消えている。こういう中で、所得移転という概念から考えても、一兆円という数字は決して私は大きいものだというふうには考えておりません。むしろ、こういう状況だからこそ、一兆円をどうやって捻出するか。多分、皆さん方もできればそういうものを使って農業振興やりたいと思っておられると思います。ですから、そういう中で是非皆さん方も知恵を絞って、この一兆円の捻出について知恵をかしていただければ有り難いというふうに思っております。
  108. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 それで、今お答えいただきましたように、この一兆円は積算基礎はないんだと、ただ一兆円という枠を決めただけなんだと、こういうお話でありますが、しかし、やはりチラシなり、今まで皆さん方からずっとお話がありましたことは、農家の皆さん方は、一兆円も使うんだと、自民党はそれに比べて幾らだと、農業予算だけでも二兆七、八千億しかないじゃないか、こういうお話をよく聞かされました。  私は、大変言いにくいことですけれども、一千億とか二千億では農家はこちらの方を向かないんで、一兆円という大きな花火を打ち上げたらこっちに目を向くだろう、そういうふうに誤解されても致し方ないんじゃないかというふうに思いますけれども、これは根拠のない数字だということで理解してよろしいですね。
  109. 平野達男

    平野達男君 根拠のない数字ではなくて、一兆円を確保するという宣言でございます。
  110. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 一兆円は宣言だというお話でありますが、先ほど平野発議者もおっしゃいましたように、私どもも、一兆円あったらまだまだ農家経営安定やあるいは農業振興に本当に役立つ施策をどんどん打ち出せるだろうなと、こういうふうに思うわけであります。  ただ、もしこの一兆円の経費が必要だという仮置きをしましても、本当に皆さん方が政策を実現されていくのに足りるのかなという──ちょっと待ってください、ちょっと待ってください。といいますのは、米一俵一万円を、これを所得補償した場合にこれはどうなるかというのを試算しますと、軽く一兆円超すんですね、米だけで、一万円所得補償すれば。そうすると、先ほどお話がありました小麦だとか大豆に回す金なくなっちゃうじゃないですか。米だけでそうなっちゃうわけですよ。  だから、そうすると、いや、それはそれとして小麦とかあるいは大豆とか、ここに書いてあるのはまだこの一兆円に上乗せしていくんだと。米が仮に暴落して五千円になったと。一万円の所得補償をしたときにはもうそれで全部使い切っちゃうわけですから、一兆円の範囲だというお話だと。そうすると、小麦とか大豆にはもう回せる金はないというお話でありますけれども、どんどんどんどん上げていくんですか。といいますのは、一年間じゃないと思うんですよ、これは。これを一回実施したらエンドレスでやっぱり守ってあげなきゃいかぬわけですから、毎年の話なんです。いかがですか。
  111. 平野達男

    平野達男君 まず、この法律の前提は今の状況をまず想定しているということでありまして、今の委員質問の中では、米が五千円まで下がったということはこの法律の中では想定外の話であります、それが現実になるということは。ただ、このリーフレットの中で、先ほど来御指摘あったことについては真摯に受け止めなくちゃならない部分があります。  仮に、五千円まで下がったというようなことが起これば、これは一兆円だけではもう多分済まなくなる可能性があります。そして、更にもう少し言えば、五千円まで下がっても日本の米は守る、農村は守る、農業は守るという決意がもし政治の決断であるとすれば、それは一兆円であろうが二兆円であろうが確保しなくちゃならないんじゃないでしょうか。  要は、私どもは、今回の一兆円というのは、これだけ米価も落ちている、農村も疲弊している、農業所得も落ちている、特に小規模農家赤字覚悟高齢者は年金を払って米作っている。こういう状況の中で、そういった農家に対して一定の所得補償をする、これは政治としての私どものいろんな政策の中での最優先事項の一つだと思っているということです。  ですから、一兆円をどのようにして確保するか。恐らくこれは、今すべての予算を全部洗ってとか云々という、本当に捻出するとなるとその作業が入ってくると思います。現にそこまで私ども今の民主党やる力はございませんが、その一環として、無駄遣いはないか、余計な特殊法人はないか、そういったことを今チェックしまして、そういったことの積み上げの中で財源を生み出しておく。その中で、そうした中で財源が生み出せなかった分は、これは既存の予算を、例えば今あるいろんな予算の中で、農林省予算の中で一割節約しろというような指示を出して節約させるとか、そういったいろんな手法を通じてまずはこの一兆円を必要な経費として捻出をしたいということを言っているわけであります。
  112. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 今のまだ質問もいたしておりませんでしたけれども、財源の確保のところまで平野発議者はおっしゃいました。  私どもが一番最初に聞いたのは、農業の公共工事を削ってこれを一兆円回せばいいじゃないかと、こういうのが最初ありました。今のお話だと、特殊法人があるじゃないか、あるいは農林予算の中で無駄遣いがあるじゃないかと、何かこの財源問題にしても、そのときそのときによって変わってくる。私どもはどこを、あるいは国民農家の皆さん方はどこを信じて見ておけばいいのかと、今日はテレビも入っておりますので、そのところをはっきりおっしゃってくださいよ。  最初は公共事業、農業土木とかそういうものは削って、無駄なやつはもう全部削るというお話でした。それは、一兆円の中では七千億は、あるいは五千億はずっとメンテですよ、それまで取るんですかという話が来ると、今おっしゃいましたように、いや、特殊法人もあるじゃないか、無駄遣いもあるじゃないかと。こういうふうに話の財源のところが変わってきますと、本当にどこからひねり出されるんだろうかというやっぱり疑心暗鬼になるんですが、いかがですか。
  113. 平野達男

    平野達男君 確かに過去の議事録を見ますと、もう土地改良なんか全面的に要らないんだからやめてしまえというような発言を、に似たような発言があったということも私は記憶しております。しかし、それは要するに無駄なものが多いんだという認識でお話をされていたんだと思います。  今、私どもは、この財源問題については、まず必要でないもの、無駄なもの、これをまず全面的にチェックしようということからスタートしております。最初から公共事業、例えば農業土木事業全部予算削るとか、林野の公共を全部削るとかという今はスタンスを取っておりません。もちろん、先ほど言いましたように、いろんな見直しをした上でなお経費が生み出せないといったときは、例えば先ほど言ったように、農林省、今二兆七千億の予算しかありませんけれども、まずは全部の経費から一割削減の節約しろとか、そういった決断もひょっとしたらあるかもしれません。  それから、ちなみに今二兆七千億と言いましたけれども、先ほど私が特殊法人云々と言ったのは、今のシーリング方式を継続している限りにおいては、農林省の予算は二兆七千億ですから、これを全部の中から一兆円捻出するというのも私はなかなか難しい問題だという認識は持っております。
  114. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 私の持ち時間がもう過ぎておりますので、また後日御質問をさせていただきたいと思いますが、率直に言って、いろいろ今までお話をさせていただきまして、答弁の中でやっぱりいろいろ矛盾点があったなと、こういうふうな思いでございまして、本当に実現できるのかなということを実感いたしましたので、また今後議論をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  115. 山田俊男

    ○山田俊男君 この夏、当選してまいりました山田俊男であります。ともかく、全国の農業者の危機感、これを一杯背に受けて当選させていただいたわけであります。今回、国会におきまして初めての機会をいただくわけであります。率直に議論をさせていただきたいと思います。  また、今回民主党から提案されましたこの法案のマニフェストとの、民主党の、その争点については野村委員の方からやっていただいたわけでありまして、私の方はこの民主党法案内容について御質問をし、議論をしたいというふうに思います。  いずれにしろ、現下の農業を取り巻きます環境、さらには国際的な状況の中で、我が国の農業者それから地域が大変な困難、危機感を感じているところでありますから、何とかここを克服したいという思いについては、発議者であります平野委員高橋委員、それから舟山委員、私も気持ちは同じでありますから、そういう立場で率直な議論をさせていただければ大変有り難い、こんなふうに思っております。  まず、経済社会全体の国際化がこうして進んでいるわけでありますが、その中で、先ほど来、野村委員の方からもありましたけれども民主党に、民主党はこの法案の前提としてまさか農産物の自由化を考えているのではないんでしょうねということを申し上げたいと思います。どうぞ平野さん、お願いします。
  116. 平野達男

    平野達男君 お答えに入ります前に、山田委員とは全国中央農協会の専務時代にもいろいろお世話になりました。今日こういう形で議論させていただくことを本当に有り難いと思っています。ただ、今回の参議院選挙で自民党から出られたのだけはちょっと残念だなというふうに思っております。  それで、御質問の件でございますけれども、農産物の自由化を前提にということについては、先ほど野村委員ともいろいろやり取りさせていただきましたけれども、その前提には立っていないということであります。これは、もうこの法律の今までの説明のときも何回も申し上げましたけれども、法律全体の枠組みは、WTO、FTAの交渉、特にWTOの交渉の関係でいえば、今のガット・ウルグアイ・ラウンドの枠組みを前提にしているということでございます。
  117. 山田俊男

    ○山田俊男君 今国会の代表質問におきまして、輿石・民主党の参議院議員会長は、日本は世界で自由貿易の恩恵を最も受けている国の一つである、農産物だけ例外というわけにはいきませんと、こう申されておられます。  民主党の戸別所得補償制度は、自由貿易により市場価格が国内生産費を下がった場合に支払うという制度と、そういう内容のものじゃないんでしょうか。この点、御見解をお聞きしたいと思います。
  118. 平野達男

    平野達男君 先ほど申し上げましたように、我が党は、日本農業は自給率四〇%を割って三九%の状況になっている、今農村は景気のいろんなマイナスの影響も受けて大変な状況になっているということであります。  そして、今自由化というお話がございましたけれども、先ほど来、野村議員との議論の中でも申し上げましたけれども、我が党は、WTO、FTAは日本としては積極的に推進すべきだということがまず大前提であります。その上で、じゃ農産物を全部犠牲にしていいかと、あるいは関税を全部下げていいかということには立っていないということであります。  それは何を言いたいかといいますと、先ほども言ったとおりですが、交渉事というのは、かつての自民党も米は一粒たりとも入れないと言って国会決議までしたときがありました。しかし、結果、ミニマムアクセスというものを受け入れざるを得なく、現に今米は七十七万トン入ってきている。交渉の中で、WTO、FTAというのを、WTOなどを進める中で、守るべきもの、取るべきもの、そういうものの交渉の中でいろんな物事が決まってくるんだというふうに思っています。  そして、私どもは更に言えば、農業を守るのは必ずしも関税だけではない。関税だけで、関税でということは一種の間接的な私は価格支持政策とも取れます。価格支持政策というのは、農産物の国内の価格を上げておいて、それを消費者に転嫁して、それで再生産を確保するということであります。一方、直接支払は、それだけでは再生産ができないから、税金を使って、先ほどの価格支持政策というのは消費者の、農産物を買うときにそれでお金を支払います。直接支払は税金という形で支払います。見方を変えれば、マクロ的に見れば、出どころは国民ということになるわけです。  何を言いたいかといいますと、何もかにも関税だけで守るということではない。場合によっては直接支払ということもあるじゃないかという考え方を持っています。しかし、要は、直接支払だけでは守れない、どうしても関税でなければならないというものもあるかもしれません。こういったものはやっぱり関税の支出に、支出すべきだということだと思いますし、今日の、先ほどの議論でも申し上げましたけれども、要は守るべきものは守る。そして、ましてや、繰り返しになりますけれども、三九%まで自給率が落ちている、先進国にはない、こういう状況であります。こういう状況の中で、これ以上自給率を落とさない、むしろ自給率を上げるということで、そういう方向で動かなくちゃならないということで、私たちは今回の法案を出したということであります。
  119. 山田俊男

    ○山田俊男君 平野委員にもう一度お聞きします。  今回の法案は自由化を前提にしたものでは決してないんだという。そして、輿石会長さんは、先ほども申し上げましたが、日本は世界で自由貿易の恩恵を最も受けている国の一つであり、農産物だけ例外とするわけにはいきませんということを今国会の代表質問で行っておられるんですよ。  ですから、これは、党首や輿石会長とは発議者始めとする皆さんは見解が違うんだということで理解していいんですね。
  120. 平野達男

    平野達男君 まず、見解は私は一致しておるということははっきり申し上げておきたいと思います。  いずれ、先ほど言いましたように、WTO、FTAをやるときに、農産物は絶対譲りませんという姿勢で、じゃ本当に今の政府は臨めるんですかと。逆に言ったら、私は、済みません、山田委員お尋ねしたいんですけれども、今の政府はWTO、FTAをやるときに関税を一%も動かしませんというふうに宣言ができますかという話と同じことだと思うんです。  私どもは、先ほど言ったように、時によってはやり取りの中でいろんなものがやるだろうと。だけど、守るものは守りますと。それは、時に関税だけで守れるものは関税で守ったらいい。しかし、下げて、向こうからいろんな譲歩をもらって、そして直接支払で農業を守れるならば、そのアプローチもあるじゃないかということでやっているということでありまして、冒頭の、完全自由化を前提にして仕組んでおりますかということについては、明確に申し上げていますけれども、そういうことは考えておらないということであります。
  121. 山田俊男

    ○山田俊男君 ここの点はまだまだ議論のあるところでありますけれど、私も次の機会で徹底してそこはやらせてもらいたいというふうに思います。  それから、提案の法第四条におきまして、主要な農産物に対して生産費と販売価格の差を基本とした補てんを行うとされています。米についてはどういう考え方の補てんになるのか、また麦や大豆についてはどういう考え方の補てんになるのか、お聞きしたいと思います。
  122. 平野達男

    平野達男君 まず、この法案でございますけれども、今委員指摘のように、標準的な生産費と標準的な販売価格を基本としてと、基本としてその需要及び供給の動向を考慮して定めると規定してございます。  そこで、まず、標準的な生産費と標準的な販売価格ということでございますけれども、まず米については、御承知のように、生産費調査というのがございます。十八年産米はたしか一万六千九百円ぐらいだったでしょうか、全算入経費でですね。それをまず前提にするかどうかという議論がございますが、まずそれだというふうに想定して、それじゃ販売価格は幾らか。これは農家の庭先販売価格になります。ところが、庭先販売価格というのが、なかなかこれ分からない。農家に聞いてもなかなか分からないんですね。コメ価格センターの、これはもう山田委員に釈迦に説法になりますけれども、多分今日皆さん聞いておられますから若干触れさせていただきますけれども、コメ価格センターで形成される価格は指標でありまして、それから卸の価格で決められるわけでありますけれども農家の手取りが何かというのはなかなか分からない。これはきっちり把握する必要があります。  その上で、じゃ次の問題として、生産費、全算入経費の生産費と農家の手取り、多分私は、今の農家の手取りは十八年産米だったら一万一千円ぐらいではないかと思いますが、一万六千八百円と一万一千円だと大体五千円ぐらいの差が出てまいります。それをそのまま補てんすべきかどうか、これは大変難しい判断だと思います。その一つは、今のこの米価状況の中でも過剰が発生しているということがあります。それから、その一方で物財費すら割っているような農家もあって、いわゆる年金、お金を出しながら米を作っている農家もあります。特に、中山間地域の高齢化の農家農家世帯というのはそういう状況です。  そういう状況を踏まえながら、どれぐらいの価格を補てんしていくのがベストかということについては、やっぱりいろんな実情を踏まえながら、かつまたいろんな専門家の意見も聴きながらやることが必要ではないかと今現時点では考えております。  ただ、これでは、党内では今まだこの問題については議論を進めておりまして、やはりこれは政治的な判断、政治というか、議員で判断してもいいんじゃないかという議論がございまして、今その点も含めて、そういう観点からの議論もやっているところであります。  麦、大豆については、やはり基本的には今のような状況でございますが、麦、大豆については逆に生産を振興するという観点でございますから、そういう観点で、生産費と市場価格の差以外に場合によったらプラスアルファといったような考え方もあり得るかなというふうに考えております。
  123. 山田俊男

    ○山田俊男君 今の御答弁によりますと、過剰な米については需給の動向を踏まえて補てんの水準を下げるんだと、こういうふうにおっしゃっていると受け止めていいですか。
  124. 平野達男

    平野達男君 今のお話の中で、補てんの水準を下げるという意味がちょっとよく分かりませんが、そういう観点で補てんの額を決めるということです。下げるということは、多分、標準的な生産費と価格ということが、それがもう大前提というふうに委員は考えておられると思いますが、この法案趣旨は、それは基本として需給の動向を決めて定めるということではございますから、下げるとか上げるとか、そういうことではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  125. 山田俊男

    ○山田俊男君 法案の中で、生産費と販売価格の差を基本とした補てんを行うと、こういう考えでいるわけですね。ところが、その後の文言の中で、需給並びに需要と供給の動向を考慮するということがあるわけですね。そうすると、米については需要と供給の動向を考慮して単価は下がるんだと。だって、それ以外に言いようがないと思うんですが、この点、果たして、果たしてですよ、この法案を皆さん御説明になるときにきちっと説明になっているのかどうか。その点は極めて誤解を生んでいる。生産費と販売価格の差額を、ああ補てんしてもらえるんだな、それで一兆円だということになっているじゃないですか。その点、再度しっかり考えを聞きたいと思います。
  126. 平野達男

    平野達男君 その点に関しましては、少なくとも今まで各党に対する説明、あるいは先般内々の説明ということで農業団体にも説明してまいりました。ここについては、米についてはという特に前置きで、それをそのまま当てはまるわけではないということは再三説明しております。  そして、今日、いみじくも野村委員から我が党のリーフレット、パンフレットに対してのいろんな御指摘がございました。そういうことがないように、これからぎっちり、きっちりその考え方、その趣旨説明してまいりたいと考えております。
  127. 山田俊男

    ○山田俊男君 このほかに、補てんの要素、さらには、そのための交付する単価について考え方が示されているんですか、それをお聞きしたいと思います。
  128. 平野達男

    平野達男君 単価のという、そのほかの交付金というのは、例えば品質加算とか経営規模拡大加算ということでしょうか。どういうことでしょうか。そういう趣旨でしょうか。
  129. 山田俊男

    ○山田俊男君 米に代わる農産物の生産の要素、さらには、品質、経営規模の拡大、環境の保全に資する度合いという項目があるわけですが、私が聞きたいのは、それらの要素をどんなふうに配慮して、どんなふうに勘案して決められるのかということが一体詰められておられるのかということをお聞きしたいと思います。
  130. 平野達男

    平野達男君 品質につきましては、今の品目横断対策につきまして、例えば麦、大豆等については等級別に定めて、それに対しての加算金をやっておるということはもう御承知のとおりであります。多分ああいう考え方でやることになると思います。  それから、環境に配慮したということについては、低投入農法あるいは減農薬でやっている農家については一定の基準を設定して、その実績に応じて加算をするということになると思います。  それから、米に代わる作物につきましては、いわゆる標準的な生産費と販売価格の差を基本として定める価格以外に、いわゆる現在でも産地づくり交付金というのが交付されて、米以外の作物を導入をするような措置がとられておりますから、そういった観点で別途一定の加算をすることを考えております。  しからば、それをぎっちり詰めておるかということでございますけれども、これはこの法律の制定の後にぎっちり詰めたいと思っております。
  131. 山田俊男

    ○山田俊男君 再度お聞きしますけれども、全国の農業者、この選挙戦の間にもそうですし、さらにはこの法案を公党である民主党が国会に提案されたと。こうした中で、農業者の期待は、だって、生産費と価格の差額を補てんするんだということ、そう受け止めているわけでありますが、それについては、いや実は、需要とそれと供給の動向を考慮するんだということが更にあった上で、それから、当然のこと予想される、米以外の作物、麦、大豆を作ったときは、その生産目標を達成するためには当然のこと米の所得以上の対策ないしはそれに並ぶ所得の実現がなければ、単なる価格と生産費の補てんだけではなくて、それに上回る、例えば今おっしゃった産地づくり推進交付金的なものがない限り身動きできないということだと思うんですね。  とすると、今こうして実施されている品目横断の経営安定対策であったり、さらには産地づくり推進交付金取組であったり、それと一体どこが違うんですか。ほとんど同じじゃないんでしょうか。
  132. 平野達男

    平野達男君 逆にお尋ねしますが、どこが同じなんでしょうか。この問題については、先ほど言った、今日の朝からずっと説明しておりますけれども、今の品目横断対策とはもう全然違っているというふうに思います。  それから、山田委員はいろいろそれは御心配いただいているんだと思います。だから、そういう御心配はないように、この法律はあくまでも、先ほど私が申し上げましたように、基本として需給の動向を勘案して定めると規定しておりますから、この趣旨で単価は決まるんだということをこれからしっかり説明していきたいと考えております。
  133. 山田俊男

    ○山田俊男君 それでは、これもまたしっかり議論するように後日に残しまして、関連して、これらに必要な財源はどういう水準になると考えておられるのか、大いに議論したいと思って準備してきましたが、先ほど野村委員に対する平野委員の御答弁は、実はまだ積算しておりませんと、一兆円については宣言みたいなようなものですと、知恵があったら知恵をおかりしたいという内容です。一体、これでこうして提案される法律案なんでしょうか。こういうものは後ほどいろいろ詰めますという形で、いや実は、しかし内容はかくのごとく、生産費と販売価格の差を補てんする中身のものですよと、こう言い張ってていいものなんですかね。お聞きしたいと思います。
  134. 平野達男

    平野達男君 いいかどうかは別として、今までのいろんな政府提案の法律の中においても、例えば単価は農水産省令に規定するとか、そういう中で全部法律の外に置くわけです。  私どもの理解は、やっぱり法律というのは、そういう枠組みの中で、大きな枠組みというか、枠組みを示すものだというふうに理解しております。そして、この枠組みの中でどれだけの単価を設定するか、どの作物にどれだけのお金を使っていくか、そういったことが予算編成の段階で決まってくるというのは、今のあらゆるほとんどの法律の中でそういう枠組みになっているんじゃないでしょうか。そういう中で、私どももまずは一兆円ということについての枠を設定した上で、米についての単価は幾ら、それから麦についてはどうかということをいろんな意見を聴きながら決めてまいりたいと考えています。  その場合にいろんなことが想定されます。米の単価を高く設定しますと、それだけで大きなお金が取られる。じゃ、一方で五〇%の自給は達成したい、麦、大豆に対してどれだけのお金を回すか、足りないときにどうするか、いろんなことが予想されます。しかし、まずは、今直接支払のお金というのは品目横断では一千七百億、産地づくり交付金入れて三千三百億ぐらいでしょうか。その他もろもろのお金はございますけれども、これではまだ不十分じゃないかということで、一兆円という枠組みをセットしてそこから考えさせていただきたいということを申し上げているわけでありまして、というわけでありまして、これに対して分かる、分からないということでございますれば、できるだけとにかく今お答えできる範囲でお答えをしていきたいと思っております。
  135. 山田俊男

    ○山田俊男君 私が大ざっぱに頭の中で考えてみましても、民主党のこの考え方で整理してみてもですよ、米については四千億を上回る生産費に対する補てん、さらには小麦についても二千億ぐらいのお金、大豆についても一千億ぐらいの財源、合わせましてもこれだけでも七千億を超えるような水準のものが必要になろうかと思います。  さらには、民主党はどこまで考えておられるのか分かりませんが、対象作物としててん菜やキビやそれからバレイショやそれからカンショでん粉、これらについて対象にしないということではないはずです。さらには、ソバや菜種もあるんでしょう、場合によったら飼料作物もあるかもしれない。多分、そうおっしゃっていますから。とすると当然一兆円で足りないものになってしまいます。  どうも、おっしゃっておられるのは、一兆円という形でこうして掲げて、そうして生産費と販売価格の差額を補てんするよと言って、こうしておっしゃって、しかし中身を詰めていくと実は米の単価は過剰だから下げざるを得ないんだと、生産費と販売価格の差額を補てんするというのは実は間違いだと、こう言わざるを得ないんじゃないですか。
  136. 平野達男

    平野達男君 山田委員は何を御懸念でそういう質問をされるのかというのはちょっと私よく分かりませんが、まず、米の問題につきましては先ほど来言っているとおりであります。単価を引き下げるとか、そういうことは一切考えておりません。あくまでも適正な水準はどこにあるべきかということをきっちり考えたいと思っています。  そして、それから、多分山田委員は一兆円で米に補てんして自給率五〇%、すべての作物を対象にできるかということの、その対しての説明を求めているんだろうというふうに思います。これは私も午前中の答弁で申し上げたつもりでありますけれども、まず、一兆円という枠の中でまずどこまでできるかということをしっかりこの法律ができたときにおいては制度設計、制度の枠組みを設定すべきだと考えています。  その結果、例えばこれではどうしてももう五〇%の達成ができない、一兆円以上だというときには、そのときにまた議論になると思います。だからこそ、そういうところの枠組みを示しながら、自給率を上げるためにどれだけのコストが掛かります、こういう政策が必要ですということがこの法律の中で枠組みとしてどんどん示せるんです。  今の政府批判するわけじゃありませんが、四〇%を四五%に上げろと言っていますが、逆に山田委員に是非政府質問してもらいたいんです、どうやって四〇%を四五%に上げるんですかと。せっかくそこの、今回議員になられたわけですから。そういう筋道の中で、私たちがこういう案を出して、本当に自給率を上げる気があれば案の中で議論していけば多分いい案も出てくるかと思います。是非、政府に山田委員から聞いて、四〇%を四五%、どういうものでどういう単価を設定して作物やるかというのは是非聞いていただきたいと思います。
  137. 山田俊男

    ○山田俊男君 平野さんから御意見をいただかなくても、委員政府に対する質問としてしっかり(発言する者あり)いやいや、やらしてもらいたいというふうに思います。  ところで……(発言する者あり)
  138. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 委員長の指示に従ってください。
  139. 山田俊男

    ○山田俊男君 ところで、それはしっかりやらしていただきます。  しかし、ともかくアドバルーンだけは上げましたという法律だというふうに理解していいんですね。
  140. 平野達男

    平野達男君 もしそれをアドバルーンと言うのであれば、四〇%を四五%、山田委員はどのように取られますか。もう一度言いますけど、今あなたは与党の議員ですから、それを責任持って説明してください、まず。
  141. 山田俊男

    ○山田俊男君 時間が十分あったときに是非それをやりたいというふうに思います。  続いて、法第三条で、主要農産物ごとに生産数量目標を設定して、その達成に努めなければならないとされていますね。過剰作物については生産調整の実施を義務化するということでいいのかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  142. 平野達男

    平野達男君 まず、議論を逃げないでいただきたい。これは議員同士の議論ですから。  私どもの問題についてはアドバルーンとおっしゃるんであれば、四〇%を四五%で上げている政府の自給率の目標は一体何なんだということを。今、山田委員は、今までは全中の問題というサイドで言われました。今度は与党の議員ですから、ぎっちりまずそこについての説明を果たしてもらいたいと思います。  もし、大臣がおられるなら大臣に聞いていただきたい。その中で私どもも、じゃ、私どもの案の中では四〇%を五〇%に上げるときにはこういうスキームであります、単価についてはこういう考え方でやっていきますと、こういう中で政府の考え方と私らの考え方がセットで議論できるんです。それを一方的にアドバルーンとか何とかって、そもそも山田委員の頭の中には本当に自給率を上げようという意欲があるんですか。もし、本当に上げるんだ、そういうことであれば、まず今の状況の中でそういうものがあるんだということは是非今回は議員立法の中で議論をさしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  質問趣旨忘れましたので、何でしたっけ。
  143. 山田俊男

    ○山田俊男君 いずれにしても、自給率の議論は自給率の議論としてしっかりやりたいと思います。  しかし、今私は民主党の提案されたこの法案について、一体、具体的な内容についてお聞きしています。そして、特にこの生産費とそれと販売価格の差額を補てんすると、こういう形でずっとアドバルーンが上がっているわけですから、この上がっていることについて具体的な、どういう糸で引っ張っておられるのか、まあかなり細い糸のようでありますけれど、そこをちゃんと確認したいがためにやったわけであります。
  144. 平野達男

    平野達男君 いずれ自給率をようよう上げるために単価設定をどうするか、どういう筋道でやるというのは、本当に自給率を上げるというまず意識があって、その中で、先ほど来申し上げていますけれども、単価をどのように設定していくかというのは議論されるべきだと思っています。  そして、今正直申し上げまして、我々の今の議員のこの枠組みの、このキャパシティーの中ではまだそこまで議論は行ってないということでありますし、また、あえて言えば、今回の法律の中について言えば、大きな枠組みを示しておりまして、この法律の中ではそれで十分だということを申し上げておきたいと思います。
  145. 山田俊男

    ○山田俊男君 私は、それじゃこう申し上げたいと思います。ともかく民主党の案について大変な選挙期間中からも期待感が農業者の中にありました。それは間違いないと思います。ところが、こうして具体的に質疑をしてみたら、積算の根拠もこれからです、宣言です、こういう形だと、それは全国の農業者の皆さんに、おい、心配だぞということはしっかり私は事実として究明したい。私も心配です。ですから中身をお聞きしているわけであります。  さらに、私は先ほど質問しましたが、一体この生産目標数量の設定の考え方は、過剰作物については生産調整の実施を義務化することなんですかと聞いておりますので、そこを是非御答弁願いたいと思います。
  146. 平野達男

    平野達男君 今回の場合、義務化という意味がよく分かりませんが、需給調整はしっかりやるということであります。
  147. 山田俊男

    ○山田俊男君 これは、参議院選挙中の生産調整は廃止という民主党の主張とは大きく転換したものというふうに受け止めていいですか。
  148. 平野達男

    平野達男君 先ほどの野村議員、あるいは午前中の議論でも申し上げましたけれども、ネガとポジの関係で基本的に発想は違うんだということは昨年の三月のこの法律の前身となった法案の中にも示されているとおりでありまして、国会でもその旨の答弁をしています。そういうことであります。
  149. 山田俊男

    ○山田俊男君 そこで、生産数量目標設定の方法について、法第三条第一項について、国が都道府県及び市町村と相談し、相互に連携しながら示すと、こうしておりますが、国が全国段階生産数量目標を設定することになるんですか。その際、どういう考え方に立って、何を根拠に目標を算出するということをやっておられるんですか。この手順が比較的具体的になっているのかなっていないのか、これをお聞きしたかったわけです。
  150. 平野達男

    平野達男君 まず、米と生産振興を図るべき作物との考え方がやっぱり違ってくると思います。だから、米につきましては、今の現行需給調整でもそうですが、国が基本指針を示して、それをブレークダウンする形で事実上は生産面積が配分されているというふうに理解しておりますけれども、今回は国が、県、そこに市町村が入ってきまして、翌年度の需給状況を見ながら生産の総枠を決めまして、県、市町村、それから地域協議会という中でブレークダウンしていく形になるんだろうというふうに思っております。  他方、他の作物につきましては、例えば来年度というか、ここ三年間についてはこういう単価を設定したから、何とか麦、大豆については今までの生産の一割、二割は上げてもらえないだろうかというような一定の目安、ガイドライン的なものを設定するということは考えられるのではないかというふうに思っています。その上で、これは一種の運動論として展開していく必要があると思いますが、生産を振興していって、農家の生産意欲を刺激しながらその自給率を上げていく、生産量を上げていくというような仕組みでありまして、その他の作物についてはそういった農家の言わば申請主義、申請に基づいた数値が積み上がってくる、それが翌年度の、毎年の生産数量目標になってくるんだというふうに思っています。  その場合に、先ほど言いましたガイドラインを設定しますから、そのガイドラインというのは一割、二割の増産、二割ぐらいの例えば増産に持っていきたいと、どうしても達成できない、その理由は何なのか、地形条件の問題なのか設定単価の問題なのか、その都度いろいろ検討するというようなことにもなるんではないかというふうに考えております。
  151. 山田俊男

    ○山田俊男君 今、平野委員おっしゃいますように、生産振興を図っていく、生産目標数量を伸ばしていく、運動的な課題も含めてですね、そのための目標設定の進め方としては比較的進めやすいかというふうに思います。しかし、その一面で、米のような需要と供給に課題のあるものについては、一方でその生産目標数量は抑制的、生産抑制的なものにしなければならないと思いますが、それはどんな形で進められるんですか。
  152. 平野達男

    平野達男君 まず、先ほど言いましたように、米についてはやはり翌年度にどれだけの需要量があるかということをやっぱりきっちり見積もることから始まるんだろうと思います。  その上で、今回の法律で予定しているのは、しからばその供給目的、生産量を達成するためにこれだけの米の生産面積があればいいですということを、最終的には各農家に渡るようになります。それに参加していただけるということであれば、午前中からもずっと答弁しておりますけれども、一種の所得補償、標準的な生産費と販売価格の差額を基本とした補てんをするということでございます。  そうしますと、それが今一種の需給調整の中で言われているところの、需給参加するということのメリットがないメリットがないというふうに言われておりますけれども、その参加することによって米を作る、そして一定の所得補償が得られるということは明確なメリットだというふうに私どもは考えておりまして、こういうメリット措置を出すことで需給調整も今以上に、少なくとも今以上に円滑にいくんではないかというふうに想定しております。
  153. 山田俊男

    ○山田俊男君 農業者に対して数字を、生産目標数量を示していくというふうにおっしゃっていただきました。多分それをしっかりやらない限り具体化しないんだろうというふうに思います。しかし、その場合、農業者が合意してくれなかったときは一体どうなっちゃうんですか。
  154. 平野達男

    平野達男君 まず、同意してくれないというのはこの参加しないということですね。という理解でよろしいでしょうか。
  155. 山田俊男

    ○山田俊男君 私からの質問ですから。配分を持っていくんですか、どうされるのかよく分かりませんが、示されるわけですね。その示された数字に対して農業者はどういう行動が起きるとお考えなんですか。
  156. 平野達男

    平野達男君 まずは、この今回の私たちが考えている需給調整に乗って生産をするんだということであれば、一定の補てん金が受けられます。参加しないんだということであれば、今のその市場価格の収入しか入ってこないということだと思います。
  157. 山田俊男

    ○山田俊男君 先ほど来、ここが分からないんです。言うなれば、販売価格と生産費の差額を補償しますよと。しかし、過剰なものについては需要と供給の判断がありますと。そして、生産抑制的な生産目標を配分せざるを得ない、米なんかの場合は多分そうなんでしょう。そうなったときに受け入れてもらえない。受け入れてもらえなかったら、このおっしゃっているメリット措置は、言うなればその差額の配分はありませんよとおっしゃる。しかし、その差額はありませんよというその差額の設定については、いや、単価は当然過剰なんですから下げていくということもあるんですよとおっしゃっているわけですね。これは今、メリットですよメリットですよとおっしゃいますが、一体どういうメリットとして実感できるのか、説明に私はなっていないと思うんです。
  158. 平野達男

    平野達男君 だから、そういうことが懸念されるから単価の設定は難しいということだと思います。少なくとも、今の米の価格の下落対策というのはナラシ対策と稲得がございますが、その例えばナラシ対策について言えば、たしか七百億ぐらいでしょうか、支出されたものは。それは一対三という、国と農家の支出の割合が一対三と決まっていますから、国費が大体四分の三だと思います。  今回の措置で想定しているのは、それ以上の額にはなると思っています。ある一定の、例えば目の子で申し上げて申し訳ございませんけれども、反当たり一万というだけで一千二百万ぐらいのお金になってくると思っています。で、あとどれだけの単価水準に設定するかということでその額が決まってくるわけですが、少なくとも与えられるメリットの額は大きいということだと思います。  そしてさらに、どうしても参加しない人が多いということでありますと、政府が想定する供給量よりも米の生産量が増えてまいりますから、当然価格が下落してまいります。その価格の下落が参加しない人たちは直撃します。一方、それに参加している方々はある一定の補てん金をくれるからその影響は緩和されるという意味において、今までの需給調整のやり方とは根本的に変わってくるんではないかというふうに思っております。
  159. 山田俊男

    ○山田俊男君 御案内のとおり、平野委員もよく御存じだと思いますけれども、この需給調整については四十年間、大変な苦労の中で試行錯誤をしてきております。そして、いまだに困難といいますか、苦労を重ねているというのが実情であります。一体、今後のその米の需給調整の仕組みについて、今のこの民主党法案の考え方だけでスムーズに進むというふうにお考えかどうか、さらには現行食糧法需給価格の安定に関する法律でありますけれども、それについて初めて生産調整について法定化したわけであります。一体、民主党法案のこのやり方でいけば、ないしはこの数量配分の仕方も含めてこれでいく場合に、現行食糧法規定を改正するのか、改正しなくてもこれでいけるのか、どうお考えですか。
  160. 平野達男

    平野達男君 今の食糧法の中での生産調整は、たしか自主的に行うという規定になっていたと思います。今回私どもは、国、県、市町村がこの計画を策定するということを規定しておりまして、明確に国、県、市町村の役割を前面に出しておりますから、それは改正前の食糧法ではたしか国という規定が入っていたと思うんですけれども、そこにイメージとすれば都道府県、市町村が入ってくるということの改正は必要だと思っております。  ちなみに、そのことについては今回の法律の中の附則第五条、関係法律の整備ということが規定がございますけれども、その中で想定しておるのがこの食糧法の改正ということでございます。
  161. 山田俊男

    ○山田俊男君 農林省にお聞きしたいわけでありますけれども現行食糧法規定の仕方と、それと民主党法案のこの生産目標数量設定、配分の手続との関係は同じものなんですか、違うものなんですか、お聞きしたいと思います。
  162. 岡島正明

    政府参考人岡島正明君) 民主党法案、ちょっと今、平野発議者からも改正を、法を整備するとおっしゃられたんですか、附則で。ただ、その具体的な内容を伺っていないので、即座に現行法とどこがどう違うということについてちょっとお答えすることはできないのかなというふうに考えております。
  163. 山田俊男

    ○山田俊男君 次に、所得補償の対象者の考え方についてでありますけれど、これまで民主党は、農業に取り組んでいる方々はその規模、形態にかかわらずすべて担い手と位置付けると主張されてきました。これは平野委員から趣旨説明をいただいた内容にも盛られているんですが、法案は、生産目標に従って主要農産物を生産する販売農業者に対してその所得を補償するとしているわけですから、生産目標に従うことと販売農家であるというこの二つの限定が入っているということで考えていいんですね。
  164. 平野達男

    平野達男君 そのとおりでございます。
  165. 山田俊男

    ○山田俊男君 この点も、すべての農家という形だけで受け止めている多くの農業者に対して、あなたは販売農家なのか、あなたは生産目標をちゃんと達成しているのかどうか、これが問われるんですよということを是非明らかにしていかなければ私はならないのではないかと、こんなふうに思っております。  それから、このことはより難しい問題を引き起こすわけでありますけれど、生産目標に従って生産した農業者というのはどういう範囲の人をいうのか。努力したが目標を達成しなかった人、全く生産目標を無視して生産した人、結果として達成できなかった人、作柄が良くて過剰になった人、これ様々な要素が出てくるんです。だから、これはもうそんなに簡単なものじゃないということ。知恵をかしてくださいというんだったら、本当によくよく中身を詰めて、そして提案をしていただきたいと、こんなふうに思う次第であります。  さて、もう一つ大事な部分がありまして、集落営農の意義とその位置付けについてお聞きしたいというふうに思います。  民主党法案は、高齢・小規模農業者等を地域で巻き込んで集落等を範囲に共同で生産を行う集落営農組合は対象となる販売業者に該当するというふうに書かれておられますので、それで結構ですね。
  166. 高橋千秋

    高橋千秋君 本法案集落営農組織交付金対象としております。
  167. 山田俊男

    ○山田俊男君 ところが、今国会の予算委員会民主党の菅代表代行は、集落営農について、「今政府が出している法案は、」とおっしゃっていますが、これは誤解があって、品目横断の経営安定対策担い手新法のことではないかと、もう実行に移しているわけですが、そのことではないかと思いますが、「小さい規模のところは集団化しろと言われているでしょう、小さい規模のところは集団化しろと。集団化というのは何ですか。コルホーズかソホーズか、それとも人民公社のように、財布を一緒にするんですよ。皆さん知っているんでしょう。財布を一緒にするんですよ。実際に現場を歩いてみると、それはかなわないという声がたくさんあるんです。」とおっしゃっている。また、選挙時のパンフレットで口を極めて、口を極めて集落営農批判されているわけであります。  一体これは、法案では集落営農組合をしっかり位置付けておられますが、この今国会の予算委員会での質問や、さらには選挙時のパンフレットとは考え方を変えたんだと、集落営農の位置付けをちゃんとやったんだということでいいんですね。
  168. 高橋千秋

    高橋千秋君 お答えします。  考えを変えてはおりません。集落営農というのは、確かに機能すれば十分な役割をしていただけます。しかし、菅代表が言われたのは、私も地域を回ってよく言われたのと同じようなことではございますけれども担い手法、今実行されている担い手法についてはもう入口が決められているんですね。二十ヘクタール以上、そして五年以内に法人化をしなさい、経理を一元化しなさい、こういう問題について、もう入口から決められていて、それでもやっていかないと補助が受けられないということで、今一生懸命それぞれの地域は苦労をされておられます。  しかし、それができるところとできないところがある。私は、集落営農というのは、やれるところはどんどん進めていければいいと思いますけれども、実際はそれができないところが大変多くて、それで、今日も午前中の大臣への質疑の中でその数の報告もございましたけれども、実際に登録として上がっておりますけれども中身は機能していないというようなところもたくさんあります。  集落営農は、やっぱりやれるところからやっていけばいい話で、最初から二十ヘクタールのところをやれるところばかりではないわけでありますから、これは、菅代表が言われたことは、何も方針は変わっておりません。
  169. 山田俊男

    ○山田俊男君 少なくとも、それにしても、菅代表のおっしゃる集団化とかコルホーズとかソホーズとか人民公社と、それとは全く性格が異なるものですから、菅代表は大きな勘違いどころか誤解をされておられるのか、しっかりその点は皆さんで是正をしておいてもらわなきゃいかぬというふうに思います。
  170. 高橋千秋

    高橋千秋君 その予算委員会に直接いたわけではありませんのでその流れは分かりませんが、言わば、分かりやすく菅代表代行はおっしゃられたのかなというふうに思います。  ただ……
  171. 山田俊男

    ○山田俊男君 委員長
  172. 高橋千秋

    高橋千秋君 まだ答えております。  私が先ほどから申しておりますように、最初の入口のところで、二十ヘクタール以上、それから五年以内に法人化をしなさい、特にこの法人化の部分で大変苦労をされているところが多いというのは委員も御案内のことだと思います。  それから経理の一元化、経理の一元化というのはソホーズ、コルホーズになるのかどうか分かりませんけれども、しかしこういう部分、それぞれ今までの地域の中でみんなが仲よくやりながら農業を一緒にやろうとか、そういう形で徐々に徐々にできてきたのが集落営農組織だと思うんですね。ここを、今回のこの担い手法では、もう入口をどんと決めて、これ以下はもう全然許しませんみたいなやり方を強行的にやっているというところに私たちは大きな問題があるんではないかということを多分菅さんはその言葉を使って表現をされたということで、何も意見は変わっておりません。
  173. 山田俊男

    ○山田俊男君 それにしても、コルホーズ、ソホーズ、人民公社は悪意以外の何物でもないわけですから、そこをしっかり改めないと、この法案集落営農組合をしっかり伸ばそうというふうにおっしゃっていることとの整合性が私は取れないと思いますので、しっかりお願いします。  それで、農水省に少しお聞きしたいんですが、高齢・小規模農業者への配慮は福田総理の所信表明でもあります。その中で、「担い手の頑張りにこたえる支援を行います。高齢者や小規模な農家も安心して農業に取り組める環境をつくり上げるなど、農山漁村に明るさを取り戻します。」と表明されているわけでありまして、集落営農要件を含めて、小規模・高齢農家を含めた取組をより進めるという件について尋ねておきたいと思います。
  174. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 小規模・高齢農家を含めました集落営農の問題の関係でございますけれども、まず、日本の水田農業集落の中で半数以上が後継者がいないということでございますので、その実態から見れば、この集落営農というものを今後きちんと育て上げていくということは非常に重要な論点だと思っておりまして、私どもも、今回の品目横断の中で、認定農業者、個別経営と併せまして、この集落営農組織というものをきちんと位置付けたわけでございます。  その際、地域では非常なる誤解があるわけでございますけれども、個人の口座まで一緒にするような、そういったものまで求めているものではないと。経理の一元化ということにつきましては、交付金を当然もらう、支給されるわけでございますので、交付金集落営農組織としてもらうための口座は用意していただきたいということだろうと思っております。  いずれにいたしましても、二十ヘクタールの問題も含めまして、中山間地域の特例あるいは様々な特例措置もございます。小規模・高齢農家も含めてこの集落営農組織に参画できるようにするとともに、総理あるいは農林水産大臣も申し述べましたように、今後、この小規模・高齢農家も含めた幅広い観点からの対策というものについて進めてまいりたいというふうに思っております。
  175. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間が来ております。
  176. 山田俊男

    ○山田俊男君 時間が参りまして、本日はありがとうございました。  いずれにしろ、民主党がどうもすべての販売農家対象にして一兆円規模の戸別所得補償方式を行うという、大変農業者にとりましては耳触りのいい約束で通ってきたというふうに思っております。考え方を変えたところ、それから修正したところ、より強調するところ、そこがどこなのかということをちゃんと全国の農業者に釈明していただく、説明する、このことが必要というふうに考えますし、是非、今国会に、質疑におきまして真摯に議論してそれらのことを明らかにさせていただきたいと思います。  今日はこれで終わります。大変ありがとうございました。
  177. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  午前中から大変にお疲れさまでございます。  私も、今の農政の議論は、本当に国民的な議論が巻き起こっていて、特に農業に携わっていない若い世代も含めて議論がなされているというふうに私は認識をしております。これはかつてないことだと思っております。そういう意味で、今回、民主党さんの方から議員立法という形で本法案が提出されたということについてはまず敬意を表したいと思います。  ただ、一方で、午前中の質疑から聞いている中で、この法案を聞いている中で問題があるとすれば、一つはその実現性の問題であろうと。それは、戸別所得補償制度に必要な一兆円の話なんですけれども、一兆円の財源の積算根拠であるとかその確保の在り方について、これからの議論の中で更に詳細に詰めていくんであろうとは思いますけれども、今もってまだその点ははっきり示されていないと思っております。  もう一つ、この法案というのは、どちらかというと今の危機的な農村状況を救うためのものであると。逆に言いますと、中長期的な農業構造展望についてどのようにこの法案が位置付けられているのか、どういうふうに民主党さんは中長期的な農業構造展望について考えているのか、その点について若干まだ分からないところがございます。  さらに言うと、対象農産物でありますとか対象農家でありますとか生産数量目標などの詳細については政令事項にゆだねられておりまして、政令になっていることが悪いということじゃなくて、今後のこれ議論の中でいかにできる限り明示されていくのかと、そういうことが大事であろうと思っております。  そういう観点で、今日はまず初回ということでございますので、総論に近いところからまず質問させていただきたいと思っております。  まず、農業者戸別所得補償制度の目的のところなんでありますが、目的については、「食料の国内生産の確保及び農業者経営の安定を図り、もって食料自給率の向上並びに地域社会の維持及び活性化その他の農業の有する多面的機能確保に資することを目的とする。」と、幾つか項目が書かれております。民主党は、食料農業農村基本法については賛成されていると。しかしながら、今回の法案については、基本的には十アール以上のすべての販売農家に対して支援をしていくんだということでございます。そうすると、基本法理念、例えばそれは、強い体質の農業構造を確立していく、そういったところに矛盾していくのではないかと、そういうふうに思わざるを得ないわけでございます。  その点、まず民主党の方で、基本法が目指す望ましい農業構造についてどんなビジョンを持っているのか、まずその点について伺いたいと思います。
  178. 高橋千秋

    高橋千秋君 お答えしたいと思います。  地域の事情については委員ももうよく御存じのことだろうと思うんですが、やっぱり農業地域性というのが非常にあります。やっぱり北海道の農業と私の出身であります三重県の農業、それからこの関東近県の農業だとか九州だとか、それぞれ違います。産物も違いますし、やり方も違うし規模も違う。それぞれの地域に合った農業の姿というのがあるはずなんですね。ところが、今のそれぞれの委員からもお話があったかと思いますが、高齢化がどんどん進んできて担い手がいなくなってきている。もうこれ、あと数年もすると、本当にこのままほっておくと壊滅的になってしまうんではないかなという危惧があります。その中で、私たちはこの法案の中にも、先ほど読んでいただいた目的の中にも入っておりますけれども、やはり、それぞれの地域の豊かなその地域性を生かしていくということと、今すぐの部分の危機を救っていくということが大変重要なことになってきます。  効率性を否定するものではありません。先ほど集落営農の話が出ましたし、さっき言われた農業の力を強くしていくという部分を否定するものではありません。しかし、できるところ、現実的な対応をしていかなければなりません。そのためにこの戸別所得補償という形でそれぞれの農家に対して持続していける、農業をこのまま続けていける、その地域がそのまま生き残っていけるということのためにこの法律が効用が出てくるというふうに私たちは考えています。それが私たちは望ましい日本農業の姿ではないかなというふうに思います。  過去、戦後ぐらいは、約八割ぐらいの方が、日本人は、日本国民農家だったんですね。それがどんどんどんどん変わってきました。当然、時代の変化によってそれぞれの対応はしていかなければなりませんけれども、しかし地域農村のところは変わっていない、むしろ疲弊をしてきている、それを守っていくにはこういうやり方が一番現実的な対応ではないかなというふうに考えております。
  179. 谷合正明

    ○谷合正明君 そうしますと、やはりこの法案というのは、まずもって今そこにある危機を救っていくんだというところに主眼があるということだというふうに認識しましたけれども、そういう意味ではこれは歯止めであり緊急措置的な政策ということになるんでしょうか。
  180. 高橋千秋

    高橋千秋君 まず地力を付けるということが大変重要なことではないかなというふうに思います。ただ、我々は、先ほど委員が冒頭のところでお話をされました中長期的な部分、このことによって自給率を十年後に五〇%、最終的には六〇%若しくはもっと上げていきたいという、そういう目標がございます。今、このことによってそれぞれの農業を続けていただくということから、中長期的には自給率を更に上げていくと、これは決してアドバルーンではございません。
  181. 谷合正明

    ○谷合正明君 農業を続けていただくということなんですが、午前中来の答弁の中で、今はまだ農業の受け手が十分にいないというお話もございました。正に農業の受け手ができるようにしていくために、具体的にどういう手段と、またその道筋というんでしょうか、実現していくのだろうかと、そういう素朴な疑問があるわけです。  今、だからこの法案ではとにかく緊急の課題に対処するんだと、その間に受け手を育成していくんだろうと思いますけれども、受け手を育成するその道筋が余りよく見えないんです。
  182. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほど申しましたように、それぞれ持続して、農業を続けていっていただくということが大変重要なんですね。  農水省が取っているアンケートの中でも、集落営農の中で一番困っているのは何ですかという質問の中で、その担い手がいない、地域のリーダーになる人がいないということなんですね。これはやはり、今農業をそのまま続けていただける若い方もそのままやっていただけるために今の緊急的な措置も要るかも分かりません。しかし、この農業の戸別所得補償の中には、今農業をやっておられない方、この方も販売農家要件を満たすということであれば、その方々にもこれの支給はしていくということになっております。  その意味で、新たな方々の参入も当然歓迎をいたしますし、それぞれの地域方々の、今やっておられる方々が、今の状態であればもう来年ぐらいでやめようかという方が大変出てくると思うんですね。そうではなくて、やはりきっちりと経営が安定するということが目に見えてくれば農業をやっていただける、その方々に受け手になっていただく、いわゆる担い手になっていただくということだと思います。
  183. 谷合正明

    ○谷合正明君 それは、所得補償で、いわゆる水田農業の後継者が生まれるというふうに考えていらっしゃるわけですか。
  184. 平野達男

    平野達男君 まず、規模を拡大をしてもいいという農家がどのように考えるだろうかということを考えてみる必要があると思います。  まず、米価の動向がどうなるか分からない。将来とももし仮に米価の下落が見込まれる、特にもう需要の減少があるんじゃないかというような話は、見込まれるんじゃないかという話は私も午前中にさせていただきましたけれども。そういう状況の中で、米価が下落するというような、例えば米一つ取ってみましても、見通しがあった場合には要するに農業収入が減ってくるわけでありますから、こういう状況の中で規模を拡大するというインセンティブは非常に小さくなると思います。要するに、リスクを抱えるという要素も強くなってくるんだろうと思います。  まず、規模拡大農家については、規模拡大してもいいという農家にとっては、将来の見通しについてある程度展望が開ける。それは、農業をやることによって農業収入がある程度の額が確保されるという見通しがあるということが一つの大きな要素だと思います。今回の戸別農業者所得補償法案につきましては、そういった米価の変動リスクについて所得補償という形で一定の額を交付するということで、まずその目的にかなうものだというふうに思っています。  一方、今もう一つ大事なのは、これは何回も私この委員会で申し上げましたけれども、規模の小さい農家というのは、特に高齢者農家というのは自分の労賃を考えなくてもいい、物財費赤字になっても何とかとにかく農地を守らなければならないということで守っている農家もいる。だから、その人たちが今この段階米価が仮に落ちてきて、いや、もうできなくなってしまったといって離脱されるのが一番怖いんです、受け手がいませんから。そういう中で、農地の流動化とか組織化というのは一遍に進みません。そういう中で、そういう受け手にとっても出し手にとってもまず一定の所得補償をしながら地域状況に応じた、地域の中の話合いの枠組みを設定して、集落営農でありますとか農地の流動化を進めるというのも大事ではないかというふうに思っています。  もっとも、ただ、それはそういうところもありますし、私どもは同時に、農業についてはできれば大きな大規模な農家、小さな農家、そういうところが混在して存在するのが望ましいと思っています。しかし、小さな農家が存在するためにはどうしても兼業機会がなくちゃ駄目だ。ところが、今の地方の中山間地域なんかでは兼業機会がどんどんどんどん失われています。どうしても中規模の農家、小規模な農家ではやりにくいという状況になっているのも事実でありますし、プラス、先ほど言いましたような高齢化の進行に基づいて、多分これから十年間、私は地域によっては相当の構造変革を迫られる地域が多いと思います。  そういう中でどうやってその農地を守っていくか、地域農業を守っていくか。そのためには農業者にとってまず一定程度の所得が確保されるということの見通しが立つことがまず必要な条件、幾つかの条件があると思いますけれども、必要な条件一つだというふうに思っております。
  185. 谷合正明

    ○谷合正明君 例えば高齢農家、今は平均年齢も大分高いわけでございますけれども、そして小規模農地でやっているという農家がいると。そういった方の離脱を防ぎたいんだという、所得補償によってですね、ことだとは思うんですが、一方でそれが逆にかえって、十アール以上という対象面積を言われましたけれども、零細な農業構造をかえって固定化させてしまうのではないかという懸念もあるわけでございますけれども、その辺りについてどういうふうに見解を持っておりますか。
  186. 平野達男

    平野達男君 いわゆるそういう所得補償をしますと農業構造が固定されるというのは、まあこれ一般的な理論としてはそうなるんだろうと思います。  しかし実際には、今、米に限って言いますと、米の米価水準というのは、本来ならば離脱する農家が頑張っているという、いわゆる経済学とか理屈の世界を超えた世界が今起こっているということがまず一点あります。それからもう一つは、農業構造の固定をするというお話がございましたけれども、今農山村は、特に農山村は、今までに経験したことのない、固定どころじゃない、どんどんどんどん変わっていくというそういう状況もあるのも事実です。それは何かといいますと、残念ながら農業人口減少社会に入ってきて、農業従事者が減ってくるという事実です。  だから、そういう事実の中で、そういう現状の中でどのように地域農業を守っていくか、農地を守っていくか、農業を守っていくか、農村振興を図っていくか。そういうことを考えたときに、私どもは、まずは今、現に農地を守っている人、農業をやっている人、それは特に高齢者赤字覚悟でやっている人、農業に対する意欲、耕作しなくちゃならない意欲、こういうものを大事にしなくちゃならないということですべての販売農業者というふうに位置付けているわけでありまして、理屈は固定ということになると思いますけれども現実は全然違うということでありまして、その現実論を踏まえた政策であるということを御理解いただきたいと思います。
  187. 谷合正明

    ○谷合正明君 こういう、先ほど来という、一時的な、あるいは歯止め策であるとか緊急措置的であるとか、そういった政策なわけでございます。  そういった中で、将来展望の中で受け手を今後それによって出てくるだろうと言われるんですけれども、かえって、逆に聞きますと、こういった法案、この法案を、これは時限立法ではないんですけれども、これずっと続けていかれるのかという素朴な疑問はあるんですけれども、その点、どうでしょう。
  188. 平野達男

    平野達男君 まずはこの法律に基づいて、今迎えつつあるような様々な困難な状況、そして農村は先ほど言いましたけれども大きく変わっていく、それに的確にこたえながら、地域農業、農山村の状況、農山村の振興に資するような運営をやるべきだというふうに思っております。それ以上のことについては、まずはこの法律の運用、これをしっかりやることだということで考えているということでございます。
  189. 谷合正明

    ○谷合正明君 次に、食料自給率との関係について質問をいたしたいと思います。これも目的の中にも食料自給率が向上ということで明記されております。  まず、この戸別所得補償によって食料自給率が必ず上がるという、その根拠というのはどういったものなんでしょうか。
  190. 舟山康江

    舟山康江君 まず、自給率を上げるためには、生産面と消費面も当然ですけれども、両者が協力しなければ達成できませんけれども、本法案では生産者側の供給体制の底上げということを中心に考えております。  まず、自給率の向上を目指した毎年度の全体の目標を国が、先ほど平野委員からも御説明ありましたけれども、ガイドライン的に設定することを考えております。その目標に従って、国、都道府県、市町村が連携して毎年それぞれ目標を設定するんですけれども、そのとき、自給率の低い作物の増産を図るような政策誘導、つまり、例えば今で言えば麦とか大豆とか自給率が非常に低いですよね、輸入に大部分を頼っているというようなものがありますけれども、そういったものは加算措置などでそういう生産振興を図っていくということで生産者側の供給体制を底上げして、自給率向上に結び付けていきたいというふうに考えております。  今なぜ作っていないかというと、やっぱりこれはもうからない、生産費も賄えない、生活できない、だから作らない。ということで、やはりこの政策のポイントは、国が直接そこに支援をして生産を刺激していくということに、作ってもらうようにするということにあると思います。
  191. 谷合正明

    ○谷合正明君 先ほどガイドラインというような話も出ましたけれども、自給率目標から逆算して、それぞれの品目ごとに、まず確認ですけれども、自給率目標を設定して、そして生産量も決めていくということになるんでしょうか。
  192. 舟山康江

    舟山康江君 そのような逆算して個別に設定するということは想定しておりません。
  193. 谷合正明

    ○谷合正明君 今のところ、品目ごとに自給率、全体の自給率についてはたしか十年後に五〇%ということですね、将来六〇%という数字が出ているんですけれども、今、対象品目というのは米と麦と大豆出ていますけれども、それぞれについて自給率の目標というのはあるんでしょうか。
  194. 舟山康江

    舟山康江君 やはりそれは先ほど申しましたとおり、全体として自給率の向上目標に従って国がガイドライン的に大体設定はしますけれども、それはその時々の需給バランスによって変動し得ると思うんです。ですから、ぎちっと麦がどれだけ、大豆がどれだけということで決める必要はないというふうに思います。  ですから、そういうことで、全体として自給率目標達成に資するような生産目標を提示していくということになります。
  195. 谷合正明

    ○谷合正明君 これまでの例えば新聞報道等、インタビュー記事なんかを見てみますと、例えばの形で、麦は八十六万トンから五百二十九万トンに増産すれば一〇%は自給率上がるだとか、大豆も例えば十六万トンから八十八万トンで二%上がるんだとか、菜種も百七十万トンぐらい生産すればプラス五%上がるんだとか、いろいろ言われているんですね。  ただ、そう見ると、確かにそう上がるのかなと思うんですけれども、ただ、この生産量を見ますと、果たしてそういう生産量に見合う、農地面積から考えると果たして整合性のある数字なんだろうかという疑問があるんですが、この点についてはどうお考えなんでしょうか。
  196. 平野達男

    平野達男君 今の数字につきましては、例えば過去実績に基づいて単収はどうだった、過去の例えば麦については最大の作付面積が何万ヘクタールあってそのときの収量はどうであった、そういった実績を踏まえまして、そういう数字を踏まえながら、過去に実際それだけの生産量があったわけですから、その生産量を今実際に上げたとすれば自給率がどれだけに上がるかというようなことの試算をした数字だというふうに理解しています。  今の委員の御指摘のところは、各作物について最終的に、例えば五〇%の自給率を達成するんであれば、麦、大豆、菜種とか生産数量目標を設定して、これは何%、何%に貢献するような数字が今示せるのかどうかという、こういう御趣旨だと思いますけれども、今は、繰り返しますけれども、そういうことは今考えておりません。  あくまでも、まず、今のこれからの麦、大豆、そういったものの生産にどれだけの単価を設定すればどれだけ伸びるかということに対しての確たる要素も持ち合わせておりませんから、そういったことは、毎年度毎年度の単価の設定しながら、農家とのやり取りをしながら生産高を上げていって五〇%に目標に近づけていくような努力をするというのが正しいあるべき姿ではないかというふうに思っております。
  197. 谷合正明

    ○谷合正明君 これ、昨年ですかね、二年前ですかね、基本法骨子出された食料の国内生産及び安全性の確保等のための農政等の改革に関する基本法骨子、この中には食料自給率の目標として明確に十年後に五〇%、将来においては六〇%というふうに明記されておったと思うんですけれども、今回の法案については特段数字は入れなかったと思うんですが、この点についてはどういう趣旨なんでしょうか。
  198. 平野達男

    平野達男君 前回は基本法ということで、農政の全般的な、あのときはたしか、今の基本法ですね、三月に出された基本法の話ですね、今年の、あっ、分かりました。
  199. 谷合正明

    ○谷合正明君 民主党の。
  200. 平野達男

    平野達男君 失礼しました。  いずれ今回の法律はあくまでも戸別所得補償法案という、農産物を生産した農家に一定の所得補償をするという法案でありまして、この中で自給率を五〇%というのを入れますと、法案上はこの措置だけで五〇%を達成するということになりかねません。今回の措置は五〇%を目指しながらやりますけれども、この措置だけでやるんではなくて、自給率上げるためには、先ほど、これは午前中から議論るるございますけれども、米の消費を例えばずうっと伸ばせばそれで自給率が上がっていきます。そういった様々な生産がございますから、今回の法律の中には入れるのはふさわしくないということで今回の法律には入れていない、しかし、考え方は全然変わっていないということであります。
  201. 谷合正明

    ○谷合正明君 それで、麦、大豆について、ここは自給率が低いので生産振興して生産量を拡大しようという話だったと思うんですけれども、その生産費との差額の話についてはプラス、加算をしていくんだという話でした。  まず確認したいのは、麦、大豆については、いわゆる標準的な生産費と標準的な販売価格の差額で補てんをしていくのか、あるいは米並み所得を背景にして補てんしていくのか、あるいは国際市場価格との差額を想定しながらやっていくのか、そういういろいろ論点あると思うんですけれども、ここはどういう考えに基づいているんでしょうか。
  202. 平野達男

    平野達男君 まず、価格というのはあくまでも市場価格ですから、国際の価格じゃないということですね。  麦、大豆につきましては、畑で作る場合と転作で作る場合というのはやっぱり考え方を分ける必要があると思います。かつての麦、大豆、麦作交付金、大豆交付金の考え方は、今の品目横断対策に受け継がれておるわけでありますけれども、あれは生産費と市場価格との差を補てんするということで位置付けられておったと思います。今回も、基本的にはその考え方を畑で作る場合には踏襲するんだろうと思っています。  先ほど、加算をするということにお話がございましたけれども、私が申し上げたのは、生産をより振興するためにはその差に更に加算することもあり得るだろうなという可能性を言っただけで、加算するということは今の段階でははっきり申し上げておりません。  それから、もう一つの問題ですけれども、水田の転作作物として麦、大豆をやるというのは、これはもう転作奨励金という長い歴史がありまして、今はそれは産地づくり交付金ということで位置付けられたわけでありますけれども、米を作ったときの差額を補てんするという交付金と位置付けられておりまして、私どももこういう考え方の交付金は必要だというふうに思っておりまして、ですから、この法律の中で米に代わる作物の要素を加味するということはこのことを指しています。  つまり、生産費と市場価格との価格の差を基本とした補てんに加えて、転作の場合は更に米の所得との関係で一定の加算をする。ただし、それを米並みの所得でやる必要があるかどうか、これは今の段階ではっきりそういうことを考えているというわけではありません。
  203. 谷合正明

    ○谷合正明君 そう考えても、転作率が四割になっている中で、よっぽど麦、大豆より米の収益差が、もし米に対して補てんしていくとすれば有利になるではないかと。だから、麦、大豆の生産拡大に結び付くためには、先ほど加算措置があり得るというふうに言われましたけれども、ここがはっきり分からない限り、先ほど言ったように、この麦、大豆に生産振興というのは果たして本当にうまくいくのかという疑問があります。
  204. 平野達男

    平野達男君 ですから、この法律が仮に制定されますと、この政令若しくは農水省令にゆだねているような単価については、場合によっては専門家の意見を聴きながら設定します。そしてそれを公表するわけです。その公表の単価で、例えば畑作で畑作物として麦、大豆を作る場合には、これを作った場合にはこれだけの交付金が入るというような姿が見えます。それから、転作作物としてこれを導入すればこれだけの交付金が受けられるという単価が設定されます。その単価を見ながら農業者は考えるわけです。その単価がもちろんうんと高ければ、麦、大豆の生産はうんと伸びるかもしれません。  かつて、平成十一年から平成十三年まででしたか、生産、何だっけ、名前忘れましたけれども、反当たり七万ぐらいの相当高い加算をやったときがございましたけれども、あのときはたしか麦、大豆の生産量が一気に増えました。余り増えちゃってお金が足りなくなっちゃってやめてしまった。そういった経過もございまして、この単価をどのように設定するかというのは、繰り返しになりますけれども、大変難しい判断があると思っておりまして、まあそこの判断については場合によっては専門家の意見を聴くというところは、先ほども何回も申し上げたとおりであります。  今の御質問に対する答えは、いずれそういう単価を見ながら生産者が、じゃこの生産に参加するかどうかということを決めるということであります。
  205. 谷合正明

    ○谷合正明君 それは、この法律が成立して、いろんな積算をしたり財源を見たりとか、そういった後で単価というのが表示されているという理解でよろしいですか。
  206. 平野達男

    平野達男君 そうです。
  207. 谷合正明

    ○谷合正明君 もう一つは自給率向上のための話で、基本的にこの法案は、供給面の立場に立って作ったものであるという説明だったんですけれども、かといって、供給だけで決まる話じゃないので、需要の側面も両面を加味しながら政策を踏まえていかないと到底達成できない話でございます。  また、特に国内生産が需要の変化に対応できてこなかったという、いわゆる国民の食生活の変化にですね、対応できなかったという、とらえ方としてはそういうこともあるわけであります。  米余りの問題というのは食生活のスタイルの変化でもあるということも、これは事実としてあると思います、私は。実際、一人当たり食べる量が半分に減ってきているわけでございます。  そういう観点からすると、特に米についてはただ生産を拡大しても需要が伴わないということなんですね。そうすると、やはりこの自給率向上のためには、国内生産が需要の変化に対応できなかった点であるとか、あるいは国民食料消費の変化についてどう対応していくのかという民主党さんのビジョンを是非聞かせていただきたいと思います。
  208. 平野達男

    平野達男君 まず、どういう状況にまず需要がこれから変化していくということについては、いろんな予想がございますけれども、仮に米の需要が減っていくということであれば、その需要に見合った供給計画を作って、そしてその計画にのっとった生産をしてもらうという需給調整を基本にやっていくということだろうと思います。  あと、他の作物については、もう委員承知のように、菜種にしたって雑穀にしたって、麦、大豆にしても今非常に自給率が低い状況にあります。これは、国内生産が需要の変化に対応できなかったというのは、これは今までの農政の中では全くそのとおりなんだろうと思います。  こういった経過を踏まえまして、とにかく今、これからここまで落ちた自給率を何とか自給率を上げていくために、その自給率の低い作物について生産振興を図っていきたいというのが今回のこの法案趣旨であります。
  209. 谷合正明

    ○谷合正明君 後段の方ですね、いわゆる食生活のスタイルや国民食料消費の変化について、それは米を食えとか、それは義務化できる話じゃないんですけれども、ただ、その点については、米の消費拡大というのは非常に大事な話であると思っておるんですが、この辺どのようにされていこうとしているのか、お聞かせください。
  210. 高橋千秋

    高橋千秋君 午前中にも澤委員の方からこの会館でおにぎりが買えないという話がございましたが、やはり日本型食生活というのを随分前から振興していこうということで随分活動もしてまいりました。これはやはり継続をしていくべきだろうと思いますし、今、日本食というのは非常に見直されている中で、やはり今はチャンスではないかなというふうに思います。  ただ、それだけで、さっき委員が言われたように米食えと言ってもそう簡単に増えるものではありませんから、それは並行してやっていくものだろうと思います。そういう食生活の変化に対応した需給調整ということと、それからほかの作物を増やしていくということ、それとともに日本型食生活等のそういう需要を増やしていくという努力というのはやはり継続して並行しながら、そのほかにもまだ取れる方法があるかも分かりません、そういう努力をしていくということは大変重要なことだろうと思います。
  211. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  これはこの法案についての話じゃないんですけれども民主党さんが食育基本法について当時反対されたのというのが私はちょっと残念だったんですけれども、食育基本法について反対されたと思うんですよ。そうすると、この今の日本型食生活の見直しという点と、何か、民主党さんがどういうふうに考えて、矛盾があるんじゃないかなと思うわけですけれども。この辺はちょっと通告していなかったので、もし、答えられる範囲で答えていただければと思います。
  212. 平野達男

    平野達男君 いずれ地産地消ということを私どもはずっと言ってきております。衆議院議員の篠原孝さんの発明に係る言葉でありますけれども、できるだけ地場で生産したものを食べようじゃないかと。ですから、その流れでいけば、国でできるもの、この国で生産できるものをできるだけ食べていこうということについては、終始一貫した民主党の方針であります。  そういう中で、自給率がここまで下がってきたということもこれありで、まずは地場のものを、例えば米についてはできるだけ消費を拡大する。麦についてもできれば地場産の麦を消費してもらう。大豆については、遺伝子組換え大豆が最近たくさん入っているというふうに言われておりまして、食の安全という観点からもいろいろな問題点が指摘されています。そういった問題点の指摘にこたえるためにもできるだけ地場産の大豆を消費するとか、生産をして消費してもらうとか、そういうことについては積極的にやっていくべきだというふうに思っています。
  213. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。結構でございます。  次に、財源について質問を移らせていただきます。  これも先ほど自民党さんの質疑の中で分かった話で、私は最初、一兆円の積算根拠というのはどういうものでしょうかという質問通告をしていたわけでありますが、まあ積算というものじゃなくて、一兆円というのはそれを確保する宣言だというふうに、ある意味そういうふうに宣言されましたので、そうすると私もこの質問はなかなかできないんですけれども。  ただ、やはりいろいろな報道によると、例えば民主党さんは米二千億とか麦約三千億、大豆六百億とか、あるいはその加算部分に六百億とか、いろいろな数字が出てくるんです。
  214. 平野達男

    平野達男君 試算。
  215. 谷合正明

    ○谷合正明君 試算。試算ですけれども、ただ、ちょっと、やはりその一兆円の積算根拠というのは試算であるとは思うんです。その辺についてもう少し具体的におっしゃっていただければと思います。
  216. 平野達男

    平野達男君 そういった表をいろんな方々の要請に基づいて作って出したという経過はあることは承知しております。  ここで大事なことは、そういった表を作るときに、こういうものを積み上げていって一兆円ですという表では作っておりません。まず、ある程度一兆円を前提にしながら、米、麦、大豆ということで、本当にこれでどこまで自給率が達成できるんだろうかという、あくまでも一定の仮定に基づいている試算をしています。ですから、そういった試算をやるにしても、こういうふうに積み上げて一兆円ということではなくて、ある程度一兆円を目標にしながら、ブレークダウンをしながらいろいろの計算をしているというのがその試算の実態です。  そして、ですから、今回の場合、積算根拠はあるのかということに関していえば、繰り返し申し上げているとおりでありますけれども、今の段階できちっとした単価水準は決まっていない、作物についてもぎっちりとまだ、政令に委任されておりますけれども、きちんとした決めが残念ながらできていないと。そういう中で、積み上げていって一兆円という数字は出せないということであります。
  217. 谷合正明

    ○谷合正明君 一兆円という数字が、今その数字であれば必要最低限のものは十分賄えるという判断の数字なのか。あるいは、一兆円というのは場合によってはこれはもう上回ることもあり得ると。どちらの数字なんですか、これは。
  218. 平野達男

    平野達男君 一兆円を一つの枠としまして、私どもは米生産をきちんとやっていく、それで一方で自給率五〇%をやっていきたいというふうに考えております。  この一兆円で、じゃ、しからば本当に五〇%達成できるのか。これは今の段階では、かくかくしかじかで、こうこうこうで五〇%を達成できるという明確な根拠を持ち合わせているわけではありません。しかし、一兆円というそのお金を使いながら、いろんな単価を決めていって、米には幾ら、残ったお金の中で例えば麦、大豆にこれで幾らで自給率を上げていくと、そういうことの政策を実行していくということであります。  しからば、五〇%を達成するために、結果的に一兆円じゃ足らないじゃないかということが出てくることも想定されます。そうしたら、そのときには、本当に一兆円、四〇%から五〇%に上げるにはこれだけのあと財源が必要ですということはその段階では示せるかもしれません。  大事なことは、そうやって自給率を上げるためのコストというものを予算などを示しながら、自給率を上げていくという実際の構図がこの政策の中では見えてくるということであります。
  219. 谷合正明

    ○谷合正明君 今は積算はきっちりとはしていないということなんですが、ただ試算としてはあるんだと。その試算で結構なんですけれども、その財源をどこから持ってくるのかという、まあそれも試算があるとは思うんです。  これもまたいろいろな報道でいろんな数字が出てきています。例えば、米の転作費を三千五百億円を全額つぎ込むこともできる、農業予算の四五%を占める公共事業、道路、橋、港湾などから、地方も含めて二兆円使われているので、例えばそこから六千五百億円は捻出可能であるとかいうこともあれば、これは読売新聞に書いてあったんですけれども、特殊法人、独立行政法人の見直しなどでひねり出す十五兆三千億円の財源から充てるとか。先日、一回民主党さんからヒアリングを受けたときには、例えば農林水産省の平成十七年度予算三兆五千億円において決算上四千五百億円の不用額が繰り越しているので左右のバランスを正していくと。いろいろな説明を受けるんですが、どれが財源として一番そのターゲットだというふうに考えているのかというのがよく分からないんですね。農林水産省の予算の枠内で考えているのか、その点について質問をさせていただきます。
  220. 平野達男

    平野達男君 まず、今の農林省の予算はたしか二兆七千億だったというふうに理解しておりますけれども、その中から全部一兆円というのはこれはなかなか難しいということだけは、これは私も直観的に申し上げられることです。  しからば、今までいろんな話がございましたけれども民主党は何やっているか。まずは財源を見いだす中で、無駄な経費、これを徹底的に洗い出そうじゃないかということでやっているわけです。そして、そういう努力を通じて、その中では発注システムを変えるとか、そういうことをいろいろ想定しておるようです。それで、十五・三兆円の財源、これには税制改正も一部入っていたと思いますが、こういった財源を生み出すということについてはマニフェストで示したとおりでありまして、今この方向に向かって具体的にどうするかというのは、この法律の枠以上に、党を挙げてまず今いろいろ検討を進めておるところだということです。  そして、しからば一兆円をどうやって捻出するか。これはいろんな今の段階でこれとこれとこれだというふうに、党として確たるものでこういうふうに決めたということについてはないというのが事実です。いろいろな議論の中で、この財源があるじゃないか、ここの財源があるじゃないかということを個々の議員さんがお話しされたことが、多分それがそのままマスコミさんに載っているという構図だと思います。
  221. 谷合正明

    ○谷合正明君 じゃ、私が先ほど申し上げた数字というのは、確たるこれと決まった話ではないと、そこからひねり出すと決めた話、数字ではないということですね。  それで、この法案審議に入る前に一回説明を受けたときに、例えば四千五百億円の農林水産省の予算上の、決算上繰越金があるんじゃないかと。私もどういうことかなと調べてみると、四千五百億円確かに繰り越しているけれども、これ全部無駄なお金なのかなと。そうじゃないと。だから、ある意味その四千五百億円の中にも項目があって、ただ単に公共工事、工事が間に合わなくて決算上年度を越えたとか、あるいは不用額という意味ではそのうち七百億円ぐらい、四千五百億の七百億円ぐらいが不用額として計上されていると。ただ、その不用額についても、これを純粋に無駄なお金としてはまだ財務省としてもとらえていないという見解だったんですけれども。  だから、いろんな数字が出ている中で、何か全部、無駄、無駄、無駄、無駄という感じで言われてしまうと、何かどこからでも何か出てくるんじゃないかという錯覚を、私はそれを国民に起こさせてしまうんじゃないかなと。確かに無駄削減というのは非常に大事な話ではあると思うんですけれども、根拠のない数字が独り歩きするのはけしからぬと思っておるわけでございますが、この点についてどうでしょうか。
  222. 平野達男

    平野達男君 根拠のない数字が独り歩きするというのは、これは絶対に避けるべきだと私も思っております。  先般、私どもの福山政審会長が申し述べたというのは、事実として繰越しが四千億、不用がたしか幾らでしたか、ちょっと数字を忘れましたけれども、こういうあるということを、事実を申し上げました。その中で、ここから多分無駄なものがあるのではないかということで精査をしていきたいという、そういう趣旨だったというふうに私は理解しています。  今委員も言われましたように、繰越しもどうしても予算執行上年度がまたぐものがあります。これはどうしても繰越しをしなくちゃならない、これは避けられない繰越しであります。その一方で、いろいろな地方公共団体の財政の都合とかなんかで繰り越している予算もあるやに聞いております。こういう繰越予算は無理くり予算を付けている可能性がある。そういった事業がないにもかかわらず、予算を付けたことによって繰越ししている。その繰越しがあるということが、実は予算の補助事業の制度の性格を表すものだというふうにも考えられるわけです。だから、その繰越し即全部、全部満額が無駄なものだというふうなことではなくて、そこからスタートしていろんなことが見えますねということだろうと思います。  不用についてもそのとおりです。不用はどうしても予算の制度上、予算の仕組み上出てこざるを得ない部分もあります。これは要するに、これだけの枠を設定したけれども手が挙がってこなかったと、それで翌年も待ったけれども手が挙がってこなかったということで不用が出てくる。これは、不用自体は実は無駄なお金ではありません、国庫に戻ってきますから。ただ、問題は、そういう不用なものの予算というのは一体どういう制度上で出てくるんだろうか、その事業制度をやっぱり見る必要があるじゃないかということで、その事業制度の必要性とか効率性なんかを判断する上での不用額というのはやっぱり一つの指標になるということで、私どもの政審会長の福山氏はあの場でそういうことを申し上げたんだというふうに思っています。  いずれにせよ、それが独り歩きして全部無駄だとかそういうことを言うつもりはないんでありますし、私どももその点についてはよく気を付けて発言しなければならないというふうに思っています。
  223. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非、この国会の質疑の中で正確なやっぱり議論が必要だと思うんですね、国民の理解という意味では。だから、そういう意味では、なかなかその積算根拠であるとか単価であるとか明示できないという御答弁ですけれども、それも含めて、例えば、今の一体どういったお金、本当に無駄なお金なのかとかいうことをできる限りこの議論の中で、質疑の中で、この参議院の委員会の中でしっかりともう明らかにできるところは明らかにしていっていただきたいと、そのように要求をさせていただきます。  時間が終わりの方に近づいてきましたので、ちょっと質問事項を飛ばさせていただいて、国民の理解というところに最後行きたいと思うんですね。  端的に聞きますと、この法案、消費者にとってどういったメリットがあるんでしょうか、この法案実現することによって。
  224. 舟山康江

    舟山康江君 私は、正にこの国民への理解というところがすごく大きなポイントだと思っております。  この法律というのは、端的に言ってしまえば、農業農村農家のためだけではなくて、これは国民のためなんだということを是非理解いただきたいと思うんです。それは、一つにはやはりこの法律が食料安定供給に寄与するということであります。正に食料安定供給というのは、これはもう安全保障の基本だと思っております。やはり今世界的に食料需給が逼迫傾向にある中で、やはり日本食料自給率がもう主要先進国の中でも最低水準であるということ、それから農産物の純輸入量が世界最大であるということ、そういうことを考えますと、国内の食料供給力を高めていかなければいけない。そのためには、しかりと農業、今壊れつつある、構造改革よりも先に今農業基盤自体が壊れそうになる今現在、その基盤をもう一度つくり直して安定供給をもう一度図っていくということが正に安心、安全につながるというふうに思うんです。  それともう一つ、これは午前中にも申し上げましたけれども、やはり農業をしっかりと守っていくという意味が、食料安定供給だけではなくて、地域を守り、景観をつくり、水を空気をそして緑を守っていくというような非常に大きな役割を果たしていると思うんですね。このことは、正にこれは国民全体のふるさとたる地域社会をきちんと守っていくということに結び付いていくという意味では、正に農業を守る、地域社会を守るというのはもう消費者のためになるということを、是非もう私はむしろここの部分を強調して、消費者、広く一般の国民にこの法律の持つ意味を御理解いただきたいということで、是非このことはこの委員会に所属している皆様にも御理解いただいて、より広く国民へのPRに努めていきたいというふうに思っております。
  225. 谷合正明

    ○谷合正明君 消費者にとって見ますと、やはり高い米価を払う一方で、今度、所得補償するんであれば、それもまた税で納税者として負担するのかということになると思うんですね。  例えば、農家にしても、兼業農家の方が、米農家ですけれども兼業農家の方が圧倒的に多いと。労働時間にしても、これもサラリーマンのように一日八時間、二百五十日か分かりませんけれども、そうやって働いているわけでもないと。そうした中で所得補償をするのが果たして納税者の理解得られるのか。(発言する者あり)いや、だから、得られるためには、例えば今日の議論では、一兆円というのはこれは積算根拠がなくて、まだそれは獲得するための宣言であるということでは、私はまだこれ、この時点では国民の理解は到底得られないというふうに思っております。この点について最後伺って、終わりにしたいと思います。
  226. 舟山康江

    舟山康江君 まず、高い米価というのがちょっと理解できないんですけれども、今は市場で決まっていますんで、高い米価価格維持でしているというわけではないので、それはもう市場で決まっている普通の農産物価格ですので、この御指摘は当たらないんじゃないかというふうに思うんです。  それともう一つ、納税者の理解という意味では、今申し上げたやはりそれだけ消費者にメリットがあるということと、もう一つ、正に先ほど申し上げましたけれども農業の持つ多面的な機能、例えば景観を守るとか洪水を防止するとかという機能、その役割については、恐らく多くの国民はそういう役割もあるんだなということは御理解いただいていると思うんです。ただ、例えば、お米、棚田を見ると多分多くの方は、いや、きれいな景色だな、こういうのは残してほしいなというふうに思うと思うんです。ただ、棚田というのは一枚の田んぼの面積も小さい、大きな機械も入らない、手間も掛かる、コストも掛かる、非常に高上がりになると思うんです。だけど、じゃ消費者が棚田でできたお米はお金が掛かる、手間が掛かるから高く買ってくれるか。そんなことはありません。平場の非常に安いコストでできるお米と同じような価格しか取れないと思うんですね。
  227. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 簡潔にまとめてください。
  228. 舟山康江

    舟山康江君 その分、コストが掛かる分、じゃ市場で評価しているか。そうじゃないと思うんです。そこをやっぱり補てんするというのもこの私は法律の意味があるというふうに思っていますので、そこは御理解いただきたいと思います。
  229. 谷合正明

    ○谷合正明君 終わります。
  230. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  最初に、農業者戸別所得補償法案についてお聞きいたします。  農業政策は本当に総合的なものでありまして、この法案だけで全体をフォローするというものではないと。あくまでも所得補償ということで出されているというように思います。  そこに立ってなんですけれども、今の日本農業をここまで衰退をさせてきたその最大の原因が、やっぱり農産物の、農畜産物の輸入自由化にあるというのは周知の事実だというふうに思います。これ以上農産物の輸入自由化が進むことになりますと、これは国内の農産物は輸入農産物に価格の上でも太刀打ちできない事態になる、市場から退場することになるんじゃないかというふうに思うわけです。もちろん、負けないように競争力を付けるんだといって必死に努力されているというのもよく分かっているわけですけど、しかし、最近もテレビ、NHKでも報道されていましたように、米一つ取っても、例えば中国だとか外国でも作られていて、それも日進月歩で非常に品質も良くなってきていると。それで、余り変わらないで価格はもう破格に安いものが入ってくるということになりますと、これはもういやが応でも大きな打撃を受けることになるというふうに思うわけです。  こういう状態で幾ら所得補償をしても、結局農業者にとっては売れないものを作ることになるんじゃないのかと、あるいは作っても売れないと、こういうことになれば生産の縮小というのが余儀なくされていくんじゃないかと思うわけです。生産が縮小になりますと、この法案見ますと、生産面積によって所得補償は計算されるということですから、そうすると生産の縮小によって所得補償も減少することになると思うわけですよね。  そこで、民主党としてはこの農産物の輸入自由化についてどのように対応しようというふうに考えているのか、まずお聞きしておきたいと思います。
  231. 平野達男

    平野達男君 御承知のように、日本の農産物の自給率、カロリーベースでございますけれども、四〇%四〇%と言われていたのが、いつの間にか四〇%を割って三九%になっている。もう先進国と言われるような国の中でこれだけ自給率が低い国はないと言ってもいいわけです。その理由が、外国から安い農産物が入ってくるということについては、今、紙委員が御指摘のとおりであります。  私どもはこの委員会で、今日も重ね重ね申し上げましたけれども、自給率を上げたいということをまず明確に今打ち出しております。そして、まずその前提として、守るべきものはきっちり守っていくということであります。その守る手段として、関税ということもございますしあるいは直接支払ということもございます。特にもう、もし直接支払によって守るべきものが守れないという場合についてはやっぱり関税に依存するということにもなってきますし、いずれ、核としてはこれ以上の自給率の低下はさせない、農山村の疲弊というのはこれ以上深刻なものにしないと、そういう決意で臨んでいるということであります。
  232. 紙智子

    ○紙智子君 農産物の輸入自由化はいろんな形態があります。それで、WTO協定が一番大きなものですけれども、FTAについて見ても、例えば日豪のFTAのように、日本農業にもう壊滅的な打撃を与えかねないという、こういうものもあります。それで、我が党は、この間FTAの協定についても、何でも反対の方向ではないですけれども、しかし日本農業に与える影響をやっぱり検討して、これまで例えば日本とメキシコの間のFTAあるいは日本とフィリピンの間のFTA、これについてはやっぱり影響はもう大きいというふうに考えて反対をしてきたわけですね。  それで、民主党としては、これまでFTAについてはどうだったのか、そしてこれからどういうふうに対応しているのかということについて、次にお聞きしたいと思います。
  233. 平野達男

    平野達男君 まず、これも何回も申し上げたとおりでありますけれども、自由貿易に立脚した我が国日本は、やっぱり基本的にはWTO、FTAの推進は図っていかなければならないだろうということであります。しかし、だからといってそれがすぐ農産物の自由化ということにはつながらないということであります。さっきの繰り返しになりますけれども、守るべきものは守っていくということを前提にしながら、WTO、FTAを推進していくということです。  まあFTAのことにつきましては、今日も御紹介申し上げましたけれども、日豪のFTAの交渉につきましてはまだ何にも準備ができていないと。こういうときにFTAの交渉に入っていくことは、拙速に入っていくことは反対だということを党の方針として明確にしたということであります。  繰り返しになりますけれども、基本の原則はやっぱり、これだけの自給率が落ちている、そして農山村が非常に疲弊している、これ以上の悪化を招かないような仕組みをきっちり構築していくということであります。
  234. 紙智子

    ○紙智子君 今、日豪のFTAはお答えになったんですけど、メキシコとかフィリピンなどを含めて、これはこれまでどういう対応をしてこられたんでしょうか、その判断といいますかね。
  235. 平野達男

    平野達男君 申し訳ございませんが、今日はその準備をちょっとしておりませんので、各国別のFTAをちょっと調べまして、後日御報告を申し上げたいと思います。
  236. 紙智子

    ○紙智子君 当然、そういう影響なんかについても分析されているのであれば、それを是非お話しいただきたいということと、それからこの後も、とにかく軒並み並んで待っている状態といいますか、アメリカあるいは中国、それからEU、それからASEAN、こういうそれぞれのところがあるわけですけど、これについては、民主党としてはどうするのかということでは対応策は考えておられるんでしょうか。
  237. 平野達男

    平野達男君 ですから、WTO、FTAについては積極的に推進する、その過程の中で農業というのはもうできるだけ守っていくということであります。  しかし、これも午前中あるいは午後からの議論の中で御答弁を申し上げましたけれども、これは交渉事でありまして、いろいろなやり取りの中でどうしても物によっては関税を引き下げざるを得ないという場合もこれは排除できない。そういう場合には直接支払という形で生産者の所得を補てんしてやって、その再生産の持続性を確保するというような仕組みも必要になる場合もあります。そういったことも想定しながら、このWTO、FTAの交渉に臨むんだろうというふうに思っております。
  238. 紙智子

    ○紙智子君 我が党も前回いろいろ、フィリピンの関係ですとか検討した際に、やっぱり具体的に、交渉事とは言うんですけれども、その結果どういうふうな影響を受けるのかということによって判断をするということになると、実際、じゃ受け入れざるを得ないとした場合に補償すると言うんだけれども、その補償は実際どれだけあるんだろうかということも含めてやっぱり厳密にこれは検討しないといけないことだというふうに思うんですけれども、そこのところは民主党さんとしては今言われたことで対応されるということなんでしょうか。
  239. 平野達男

    平野達男君 ケース・バイ・ケースで、その時々の状況に懸かってくると思いますけれども。繰り返しになって恐縮でありますけれども、守るべきものは守る、特に日本の農山村、農業は守るということをしっかり意識しながらやっていくということだと思っております。
  240. 紙智子

    ○紙智子君 今答弁をいただいたことというのは、実は民主党さんのマニフェストの中には書いていないことですよね。この中には書いてないと思うんですよ。各国とのFTA締結の促進を両立させますということは明記してありますけれどもね。  それで、民主党さんとしては、我々の認識は輸入促進、推進という立場で来たんだろうというふうに認識をしているわけです。小沢党首の発言も先ほども他の党からの質問の中でもありましたけれども、今答弁された中身ということで聞きますと、民主党さんの言ってみれば、載ってないわけだけれども、どういうふうに位置付けて、そしてこの後それをじゃ実際担保していくということになるとどういうふうにするのか。政策の上できちっと明記するのか、そういったことを含めて、どうでしょうか。
  241. 平野達男

    平野達男君 まず、農産物の自由化を促進するという立場、スタンスだというふうな御指摘がございましたけれども、そういうスタンスは取ってないということは、これは再三申し上げたとおりであります。ここまで自給率が落ちてきている。繰り返しになって恐縮ですけれども農村は疲弊している、そういう状況の中で安易な農産物の自由化はこれは認めるべきではないというふうに言っているわけです。  そして、繰り返しになりますけれども農業を守る、地域を守るというのは必ずしも関税化の措置だけでもない。これは直接支払という形で再生産を補償するという手段もあるわけです。その影響を、例えば関税を下げて、その影響を見ながら、関税を下げた結果どういう影響が起こってくるか。その中で、直接支払についてはこれだけのコストが掛かります、この効果はどれだけですよということも見ながら、ケース・バイ・ケースによってFTA、WTOの交渉に臨むんだろうというふうに思っています。  大事なことは、気持ちとしては、もう日本は関税はこれ以上一歩も、一%も下げたくない、できれば国内自給率を上げたいという気持ちは持っています。しかし、かつて、これも何回も申し上げたとおりですけれども、国会決議までして米は一粒も入れないといってガット、WTO、当時は何でしょうか、ガットですか、ガット交渉に臨んだ経緯もございますが、結果的に今七十七万トンのミニマムアクセス米がどんどん入ってきている、毎年入ってきていると。そういう状況の中で現実的な対応もしなくちゃならない。しかし、その現実的な対応もするんだけれども、この農業それから農村を守るということについての明確な姿勢だけは崩してはならない。そのために、その一環として、一環としてというか、そのために作った法律ではございませんけれども、そういうことが起こった場合にこの法律も発動できるということであります。
  242. 紙智子

    ○紙智子君 私も率直な思いで言いますと、やはり民主党さんの中でも人によっては違うことを言われる人もいるもんですから、やっぱり党として、だれが見ても、それでもって動かないということでのちゃんと担保を取ることをされないといけないのではないかなというふうに思うわけです。
  243. 平野達男

    平野達男君 確かにいろいろあるんです、もう党内では。だから、それは、党内の中での議論があるというのはどこの党でも多分同じだと思います。  ただ、民主党としての考え方というのは、このマニフェストに示しているとおり、あるいは小沢代表の考え方、政権のマグナカルタでしたか、ということで示しているとおりでありまして、基本的にWTO、FTAは推進します、しかし守るべきものは守っていくんだということであったということで、これが民主党の党の方針だということは重ね重ね申し上げさせていただきます。
  244. 紙智子

    ○紙智子君 じゃ、またもう一度後からお聞きしますけれども、ここで政府、農水省に対して質問したいと思います。  それで、飼料価格の高騰問題についてなんですけれども、これは朝日新聞の十月二十日に載った投書なんですね。群馬県の前橋市の方、女性の方が載せているんですけれども、飼料価格が高騰して酪農が困難になっているというものです。それで、子牛を育てるために代用乳が与えられているんだけれども、一年間で六千六百円から一万円にアップと。子牛を二か月育てるミルク代は二万円、しかし二か月の子牛の値段は二万円以下ということの話ですとか、群馬では牛乳の卸値が一リットル当たり十円以上も安いために、F1という肥育牛を育てているんだけれども農家も増えていると、しかし肥育牛の価格は安くて採算が取れないと。去年、群馬県全体で九百十四戸あった県の酪農家が今年二月の段階で八百五十戸に減っていると。六十四戸ですね、減っていると、こういう記事が載っております。  それで、和牛の農家もこの飼料価格の高騰もあって所得が半減したという報道もされましたし、さらにこの配合飼料の価格の安定制度の民間の方の通常の補てん基金ですね、これも今底をついていて、年度末には百億円不足するという事態にもなっているというふうに言っているわけですよね。ですから、正に事態としてはこの問題はもう一刻の猶予もならないほど深刻だと。  農水省は、このような対応、どのようなこれに対する対応をしているのかということについて明らかにしていただきたいと思います。
  245. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員が群馬県の酪農家の例を挙げ、また肥育牛の経営が大変この飼料高騰によって厳しい状況になっているというお話がございました。今、畜産農家が飼料の高騰によりまして大変経営が厳しい状況になっているということについては、我々も深刻にこれを受け止めているところでございます。  昨年の秋以降の配合飼料価格の上昇に対応しまして配合飼料価格安定制度による補てんが行われてきておりますが、委員お話しになりました基金残高について見ますと、仮に現在の価格水準で今後も推移すると仮定した場合には、通常補てん基金というものは不足が生じます。また、異常補てん基金についても大幅にこれが減少をするというふうに見込まれるわけでございます。  そこで、こうした状況を踏まえまして、本年度におきましては異常補てん基金から通常補てん基金への貸付けを行う、内部での資金の対応をいたしますとともに、平成二十年度の予算については、通常補てん基金の財源不足が生じた場合には必要な基金財源の借入れに対する利子補給が行えるように予算要求を行っているところでありまして、今後の配合飼料価格の安定制度の、これ自身大事な制度でありますので、その安定的な運用に支障が生ずることがないように対処してまいります。
  246. 紙智子

    ○紙智子君 幾ら積み増すというような金額も、もしあれでしたらおっしゃっていただけますか。
  247. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほども申し上げましたが、今の価格水準、本年十月—十二月期の水準で今後も推移すると仮定した場合には、本年度末において通常補てん基金で約百億の不足が予想されます。また、異常補てん基金もその残高は四百億円に低下するおそれがあると、このように見ているところでございます。
  248. 紙智子

    ○紙智子君 積み増す額を言っていただきたいと言ったんですけど。一言で。
  249. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 通常補てん基金の方は、その財源確保のための借入れを予定をいたしております。その異常準備基金の方からこれを融通するわけでありますが、異常補てん基金の計画的な積立てにつきましては、二十年度の予算要求額は五十億円ということを予定しております、要求しております。
  250. 紙智子

    ○紙智子君 今そういうふうに要求しているという話だったんですけど、率直に言いまして今の対応では追い付かない、間に合わない、今の対応ではもう離農せざるを得ないというところまで現場は追い詰められているというふうに思うんですね。なぜならば、補てん基金が発動されても、農家段階でいいますと平均して五千七百八十円、これ配合飼料の価格が上がっているわけですよ。負担が増えているということなんですね。  私も具体的に北海道の酪農の話を聞いたんですけれども、例えば厚岸町の酪農家の話を聞きますと、一トン当たり負担増で増えてるのが六千三百円なんですよ。そうすると、一頭の牛が一年間で大体三トンぐらい食べると、もっと食べるのもいますけれども、それで考えますと、もし百頭飼っていますと、これ掛け算すると百八十九万円もの負担増ということになってしまうんですね。それで、この農家の方でいいますと、農協全体で、中で見ても、結局飼料代が経営全体に占める割合が、去年までは三五%ぐらいなんですよ。それが今度四〇%にもう達しようというところまで来ていて、だから本当に経営に占める飼料代がこれだけ大変な大きな重荷になってきているということなんですよ。  それで、これは今酪農の話しましたけど、養鶏とか養豚の場合はもっと深刻だと。それで、本当に残念なことですけれども、つい先日も一人三十六歳の後継者の方が亡くなったんですね。自らもう命を絶つということになって、背景にやっぱり大変な深刻な経済問題があったということが言われているわけです。  農家負担がこういうやっぱり大変な事態になっているという中で、この上がり分ですね、今補てんするといってもすぐ手元に行くわけじゃないわけですから、今すぐやっぱりそこに対する補てんをしていくということでは、増加になっている部分について、それこそ国が思い切ってやるぐらいのことをすべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣
  251. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 農林水産省としましては、まずは今の制度であります配合飼料価格の上昇に対します畜産経営への影響を緩和するために、配合飼料価格安定制度から配合飼料価格の補てんを行うと、先ほど申し上げたとおりでございますが、しかし委員もおっしゃられました、そういうこの配合飼料価格の補てんだけで当該畜産経営をしている人の飼料費の増加に対してこれで賄っていくというのはなかなか厳しい環境にあると思っております。  そこで、これらの増加に対しましては、つなぎ資金として、低利融資を行う家畜飼料特別支援資金を発動させたところでございます。この資金は、貸付利率は一・六%、償還期間は十年、据置き三年以内と、そして全体の融資枠は今四百五十億円を想定をいたして対応しているところでございます。  こういう配合飼料価格の上昇に対しましては、こうした農家負担の激変緩和措置を一方で講じられている間に、構造的な問題として、生産段階におきましては粗飼料やエコフィード、食品残渣飼料といった国産飼料の生産や利用の拡大、また家畜の飼養管理の改善、衛生対策の徹底など、家畜の生産性を向上するその努力を推進をいたしていきますとともに、生産コストの上昇が小売価格に適切にやはり反映される、これは乳価でありますとかその他の価格でございます、この適正な反映ということは必要になってまいります。  そのような認識をいたしておりまして、加工流通業者や消費者への理解を醸成するということが重要であると考えておりまして、ただいまこれら関係者に対します理解を求めるような環境整備を進めているところでありまして、これら各般の施策を一層推進してまいりたいと、このように考えております。
  252. 紙智子

    ○紙智子君 実際に価格に転嫁することも含めて要請しているという話もあったんですけど、それとつなぎ資金という話あったんですけど、今すぐには手元へ行かないんですよ。それも今要請している段階ですからすぐに反映されるわけじゃないわけで、だから本当に、その一刻も猶予ならない事態ということについて、米の場合は今そういう対策を取ってやってきているわけですけれども、この畜産も同じように深刻な事態になっているわけで、やっぱりもっと思い切った、今までの枠を超えてそういう対策を打つ必要があるというふうに思いますので、そのことを是非検討いただきたいというふうに思います。  それともう一つ、今年の予算委員会でも取り上げたんですけれども、飼料の海外依存をできるだけ避けて、日本の飼料自給率を一刻も早く引き上げていくと、それが非常に大事になっていると思うわけです。飼料米を、その意味では耕作放棄地や水張りの減反などで生産しますとこの飼料自給率を劇的に上げることができるということで、この間、日本農業新聞でも、例えば岐阜の養老町の飼料米の生産の取組の紹介もされていましたけれども、こういう取組を全国に広げることが必要だと思っておりまして、この点での農水省としての、どういう今手だてを取っているかということでお話しいただきたいと思います。短くお願いします。
  253. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) お答えをする前に、先ほどの家畜飼料特別支援資金でございますが、もう既にこれは発動することに決めておりまして、そういう畜産農家が手続を踏みますと融資できるような対応ができるようにもう既になっております。  それから、飼料米の生産の推進に関することでございますけれども、飼料の自給率の向上のためには水田の活用も視野に入れて飼料作物の生産を推進することは私は重要なことだと考えております。  御指摘飼料用米につきましては、その生産コストが、輸入飼料といえばトウモロコシと対比されるわけですが、トウモロコシの価格よりも五、六倍高いという状況になっております。そのことから、本格的にこれを普及、利用するということにつきましては、生産コストの大幅な低減がなければこれが実際に普及することが難しいわけでございます。  そこで、現状では、飼料用米を高く買い入れるなど、畜産と密接に連携している一部の地域において限定的に飼料用米の生産及び利用が行われておりますが、その生産に対しましては、地域の判断によりまして産地づくり交付金を活用するということが行われているところでございます。  これらに加えまして、農林水産省としては、既存の品種を上回る多種品種の育成、省力、低コストの栽培技術の開発導入、飼料用米を利用する畜産物の高付加価値化による輸入トウモロコシとの差別化といったようなことを推進をしているところでございます。このようなことで対応をしてまいりたいと考えております。
  254. 紙智子

    ○紙智子君 飼料米については、やはりいろんな温暖化の問題ですとかいろんなことを含めても、今研究されて、いかにコストも下げていくかということをやられてきていると思うんですけど、更に力を入れて取り組んでいただきたいと思います。  それで、これに続いて民主党さんにお聞きしたいんですけれども民主党法案で見ると、飼料の自給については量については記載されていないということがあるわけですけれども、政省令に記述するということなのかなというようにも思うんですけれども、この食料自給率向上のためには当然飼料の自給率上げなきゃいけないと。  それで、その位置付けと、何をこれ対象にしてやるのかということと実際に引き上げる段取り、どうやって引き上げていくのか、そのために注目されている飼料米の問題についてはどういうふうに位置付けるのか。  それから、ちょっともう時間もなくなるし、もう一つつなげて言いますけれども、それを実行するとすると、実際、予算上の見通しが必要になってくるわけですけれども、それについてはどういう見通しを持っているのかということを最後にお聞きしたいと思います。
  255. 平野達男

    平野達男君 この法律では、あくまでも標準的な生産費と市場価格を基本として様々な要素を勘案して交付金交付するということになっておりまして、今の自給飼料作物、例えばデントコーンでありますとかいわゆる多収穫米と言われた飼料向けの米についても、十分これは対象になり得るというふうに考えております。  しかし他方、これは先ほど若林大臣からも御指摘ございましたけれども、ミニマムアクセス米から、十八年からたしか飼料に売却を始めたんではないかと思いますが、たしかトン当たり三万円だったというふうに私はお聞きしております。それを主食用との比較でやると二十五万、それぐらいのかなりのコスト差があるというのも事実であります。これを全額埋めるだけでも大変な費用が出てくるということがございまして、先ほど、正に紙委員の御指摘にもありましたように、飼料米としてやるということであればもっともっとコストを下げなくちゃならない。まだこの研究の余地は十分あると思っていますので、そういった方向で進めることが大事じゃないかというふうに思っています。  また、ホールクロップサイレージについても、私、これ非常に、若干時間を掛けてちょっと勉強したことあるんですけれども、今大体五千ヘクタールぐらいの面積しかないんですね。ある程度水田を作って酪農をやっている農家に限ってなんですが、お話聞くと、これに、反当たりだと言っていたかな、一万か二万ぐらいの補てん金をいただければやれるんだというような農家もありまして、このホールクロップサイレージについてもまだまだ研究の余地はあるのではないかというふうに思っていまして、その方向でももう少し研究を進めていって、推進の方向で進めていくべきではないかというふうに思っております。
  256. 紙智子

    ○紙智子君 時間になりましたので、また続きはこの次にしたいと思います。
  257. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  258. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農業者戸別所得補償法案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会