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平野達男君 米に関する御
質問でございましたが、その前に一点ちょっと気になったことがございまして、コメントをさせていただきます。
先ほど主
濱委員の
質問は、米の四十四万トンの扱いについて多分
大臣に
質問されていたんではないかと思います。ところが、
大臣は、先ほどは
備蓄ということで三十四万トンについてのお答えしかなかったんじゃないかと思います。今回の場合の大事な点については、十万トンの位置付けがどういうことなのかということなんだろうと思います。今の
食糧法の中においては、確かに
価格操作のための
備蓄は認められていません。だから、三十四万トンということについてはそういう
説明なんだろうと思いますが、私もちょっと先ほど言いました十万トンというのは一体何なんだろうかということについては、この辺りはもうちょっと
説明されてもいいのではないかという感じをちょっと持ちましたので、ちょっとコメントとして申し述べさせていただきたいと思います。
さて、米なんですけれ
ども、米については、先ほど来
お話がございますように、今本当に下落がずっと続いておりまして、正にこれは
大臣が言われましたように、
経営規模の大きい
農業者を直撃するだけではなくて、小規模、
高齢者を含めて多数の
農業者の
経営を不安定にしているという、このとおりだと思います。そして、特にも米の
価格の下落というのは、今
需給調整を基本としてやっているわけでありますけれ
ども、私
どもは、この米の
価格の下落というのは
農家とかそういった責任に帰するものではなくて、ちょっと構造的な問題も抱えているのではないかというふうに思っています。
以下、若干時間が掛かるかもしれませんが、御
説明をさせていただきますが、まず、これは需要サイドからの要因があるんだろうと思います。
まず、その需要サイドの要因の第一番目は、これから需要が減少していくということであります。
今、一人当たりの米の年間の消費量につきましては下げ止まりの感がありますが、先ほど言いましたように、
日本はこれから
人口減少社会に入ってまいります。そういう中で、米の需要は、いろいろ米の消費拡大を一生懸命やるというのは大事だと思いますけれ
ども、やはり下がってくるのではないかというふうに見る必要があります。
政府のこの間の、先般、何かの
審議会に出された
資料の中で、単純な推計でしたけれ
ども二五%下がるんだというような数字も出されておりました。そこまで下がることはないにせよ、需要はやっぱり下がっていくということだと思います。
一方で、米の
価格が下がるということでありますと、一般の
市場の原理でいきますと、
価格が下がれば需要が伸びるということが想定されるわけですけれ
ども、米の場合は
価格の弾力性が小さいということもございまして、
価格が下がったとしても需要が伸びない。米は財という観点から見れば低級財と言われるゆえんでありますけれ
ども、そういうことであります。
それから、供給サイドからのことも考える必要があると思います。
何といっても、一番目は、まず
農家にとっては米が何といっても作りやすい。特にも小規模な
農家にとっては米が一番作りやすいということでありますし、そういう中で、どうしても過剰基調がその中で出てきやすい。それから、現に今、
需給調整に参加していない
農家がたくさんいるということがございます。そして、何よりも大事なことは、そういう
状況の中で、先ほど言いましたように
需給調整をやっているわけでありますけれ
ども、長期的な需要を見ながらどのように
需給調整をやっていくか、これは大変難しい問題だと思います。これをしっかりやりながら、米の
米価をきっちり維持していくというのはなかなか難しいんではないかというふうに思っています。
それからもう
一つは、
価格メカニズムの変化というのもございまして、食管が廃止されまして、御
承知のようにコメ
価格センターで米の入札が行われたときは、指し値を入れる側と入札する側が大体同じ系統でつながっていたという、これは食管の時代の名残がございましたからやむを得なかったことでありましたけれ
ども、今それが大きく変わっています。
それから、買手も小口ではありません、大口であります。大口でありまして、品質の良い物を大量に買うというような、そういう
状況も出てきている中で
米価の維持というのは本当に大変だと思います。そこで、今
政府も非常に御苦労されているんだろうと思っています。
そして、何よりもこうした
米価の下落が、先ほど言いましたように、
農家を直撃するだけじゃなくて
農村そのものの経済にも直撃をするということでありまして、こういう
状況の中で、私
どもは米にも一定の所得補償をしながら
農家経済を支えて
地域地域の
農村振興にも資すると、そういった視点が大事ではないかということで、米を今回の
戸別所得補償法案の中の
対象品目に入れたということでございます。