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2007-11-01 第168回国会 参議院 総務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年十一月一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十月二十三日     辞任         補欠選任      田中 康夫君     榛葉賀津也君  十月三十一日     辞任         補欠選任      榛葉賀津也君     長谷川憲正君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 加藤 敏幸君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 河合 常則君                 末松 信介君     委 員                 石井  一君                 梅村  聡君                 加賀谷 健君                 行田 邦子君                 武内 則男君                 外山  斎君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 岸  信夫君                 世耕 弘成君                 二之湯 智君                 溝手 顕正君                 吉村剛太郎君                 魚住裕一郎君                 弘友 和夫君                 山下 芳生君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君    大臣政務官        財務大臣政務官  小泉 昭男君    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官郵政民営        化推進室長    木下 信行君        金融庁総務企画        局参事官     三村  亨君        総務省自治行政        局長       岡本  保君        総務省自治財政        局長       久保 信保君        総務省郵政行政        局長       橋口 典央君        財務省理財局次        長        藤岡  博君    参考人        日本郵政株式会        社取締役代表        執行役社長    西川 善文君        日本郵政株式会        社取締役代表        執行役社長   高木 祥吉君        郵便事業株式会        社代表取締役会        長        北村 憲雄君        郵便局株式会社        代表取締役会長  川  茂夫君        株式会社ゆうち        ょ銀行取締役兼        代表執行役会長  古川 洽次君        株式会社かんぽ        生命保険取締役        兼代表執行役会        長        進藤 丈介君        日本郵政株式会        社郵政事業の関        連法人の整理・        見直しに関する        委員会委員長        郵便事業株式会        社社外取締役   松原  聡君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (日本郵政公社平成十七年度及び平成十八年度  財務諸表承認に関する報告に関する件)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、田中康夫君が委員辞任され、その補欠として長谷川憲正君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官郵政民営化推進室長木下信行君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本郵政株式会社取締役代表執行役社長西川善文君外六名を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のうち、日本郵政公社平成十七年度及び平成十八年度財務諸表承認に関する報告に関する件を議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。増田総務大臣
  8. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 日本郵政公社平成十七年度及び平成十八年度財務諸表につきまして、その概略を御説明申し上げます。  本件は、日本郵政公社法第六十四条第二項の規定により、日本郵政公社が提出した財務諸表について承認した旨を国会に報告するものです。  まず、平成十七年度の日本郵政公社全体ですが、貸借対照表については、平成十八年三月三十一日現在、資産合計三百六十九兆四千八百十三億円、負債合計三百六十兆二千百四十九億円、資本合計九兆二千六百六十三億円となっております。損益計算書については、経常収益二十三兆六百十二億円、経常費用二十兆三千九百四十三億円、経常利益二兆六千六百六十九億円、当期利益一兆九千三百三十一億円となっております。  次に、郵便業務ですが、貸借対照表については、資産合計二兆千六百九十四億円、負債合計二兆六千九百三億円、資本合計マイナス五千二百八億円となっております。損益計算書については、営業利益百四十七億円、経常利益百五十一億円、当期利益二十六億円となっております。  次に、郵便貯金業務ですが、貸借対照表については、資産合計二百四十七兆七千四百九十七億円、負債合計二百四十兆七千七百十一億円、資本合計六兆九千七百八十六億円となっております。損益計算書については、経常利益二兆三千三百十七億円、当期利益一兆九千三百四億円となっております。  最後に、簡易生命保険業務ですが、貸借対照表については、資産合計百十九兆九千六百二十三億円、負債合計百十七兆千五百三十七億円、資本合計二兆八千八十五億円となっております。損益計算書については、経常利益三千二百億円、契約者配当準備金繰入額千五百二億円となっております。  また、平成十八年度の日本郵政公社全体ですが、貸借対照表については、平成十九年三月三十一日現在、資産合計三百四十九兆八千百八十四億円、負債合計三百三十九兆六千八百五十九億円、資本合計十兆千三百二十五億円となっております。損益計算書については、経常収益十九兆六千四十億円、経常費用十八兆三千四十六億円、経常利益一兆二千九百九十三億円、当期利益九千四百二十五億円となっております。  次に、郵便業務ですが、貸借対照表については、資産合計二兆二千四百五十三億円、負債合計二兆七千六百四十三億円、資本合計マイナス五千百九十億円となっております。損益計算書については、営業利益二百七十九億円、経常利益二百八十八億円、当期利益十八億円となっております。  次に、郵便貯金業務ですが、貸借対照表については、資産合計二百三十一兆六千二百八十二億円、負債合計二百二十三兆二千百三十七億円、資本合計八兆四千百四十四億円となっております。損益計算書については、経常利益九千七百七十三億円、当期利益九千四百六億円となっております。  最後に、簡易生命保険業務ですが、貸借対照表については、資産合計百十六兆六千百十三億円、負債合計百十四兆三千七百四十二億円、資本合計二兆二千三百七十億円となっております。損益計算書については、経常利益二千九百四十一億円、契約者配当準備金繰入額千七百七十四億円となっております。  なお、監事及び会計監査人意見を記載した書類においては、いずれも、監査の結果、財務諸表等平成十七年度及び平成十八年度の日本郵政公社財産等状況を正しく示しているものと認められております。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。  以上です。
  9. 高嶋良充

  10. 西川善文

    参考人西川善文君) ただいま議題となっております日本郵政公社平成十七年度の財務諸表並びに監事及び会計監査人意見概要につきまして御説明申し上げます。  まず、公社全体の貸借対照表について申し上げます。  平成十七年度末の資産合計は三百六十九兆四千八百十三億五千二百万円でございます。一方、これに対する負債合計は三百六十兆二千百四十九億八千四百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計は九兆二千六百六十三億六千七百万円となっております。  次に、公社全体の損益計算書について申し上げます。  まず、経常収益は二十三兆六百十二億九千九百万円でございます。次に、経常費用は二十兆三千九百四十三億二千五百万円でございます。以上の結果、経常利益は二兆六千六百六十九億七千四百万円となりました。これに特別損益を加え、更に簡易生命保険業務契約者配当準備金繰入額を差し引いた結果、当期利益は一兆九千三百三十一億千七百万円となりました。  この当期利益一兆九千三百三十一億千七百万円は、全額利益剰余金として資本に積み立てました。このほか、資本にその他有価証券評価差額金として二兆五千二百四十七億六百万円を計上したため、資本合計は九兆二千六百六十三億六千七百万円となっております。これにより、自己資本比率(総資産額に占める資本総額割合)は、公社設立時の〇・三%から二・五%となっております。  続いて、郵便業務郵便貯金業務及び簡易生命保険業務のそれぞれの業務区分ごと貸借対照表及び損益計算書について申し上げます。  この業務区分ごと貸借対照表及び損益計算書は、公社全体の貸借対照表及び損益計算書内訳という位置付けとなっております。  まず、郵便業務について申し上げます。  当年度末の郵便業務区分に係る資産合計は二兆千六百九十四億七千六百万円でございます。一方、これに対する負債合計は二兆六千九百三億五千二百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計マイナス五千二百八億七千五百万円となっております。  次に、郵便業務区分に係る損益計算書について申し上げます。  まず、営業収益は一兆九千九十億三百万円でございます。次に、営業原価は一兆七千九百二十三億二千四百万円、販売費及び一般管理費は千十九億二千八百万円でございます。以上の結果、営業利益は百四十七億五千百万円となりました。これに営業外収益九十三億千九百万円を加え、営業外費用八十九億三百万円を差し引いた結果、経常利益は百五十一億六千七百万円となりました。さらに、特別損益を加えた結果、当期利益は二十六億八千万円となりました。  この当期利益二十六億八千万円は、全額利益剰余金として資本に積み立てましたが、資本は依然として五千二百八億七千五百万円の債務超過となっております。  引き続いて、郵便貯金業務について申し上げます。  まず、当年度末の郵便貯金業務区分に係る資産合計は二百四十七兆七千四百九十七億七千七百万円でございます。これに対する負債合計は二百四十兆七千七百十一億七百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計は六兆九千七百八十六億六千九百万円となっております。  次に、郵便貯金業務区分に係る損益計算書について申し上げます。  まず、経常収益は四兆五千三百十五億千二百万円でございます。次に、経常費用は二兆千九百九十七億八千万円でございます。以上の結果、経常利益は二兆三千三百十七億三千二百万円となりました。これに特別損益を加えた結果、当期利益は一兆九千三百四億三千七百万円となりました。  この当期利益一兆九千三百四億三千七百万円は、全額利益剰余金として資本に積み立てました。このほか、資本にその他有価証券評価差額金としてマイナス二千四百十二億五千四百万円を計上しました。その結果、資本合計は六兆九千七百八十六億六千九百万円となっております。  引き続いて、簡易生命保険業務について申し上げます。  まず、当年度末の簡易生命保険業務区分に係る資産合計は百十九兆九千六百二十三億三千九百万円でございます。これに対する負債合計は百十七兆千五百三十七億六千六百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計は二兆八千八十五億七千三百万円となっております。  次に、簡易生命保険業務区分に係る損益計算書について申し上げます。  まず、経常収益は十六兆六千七百二十一億八千三百万円でございます。次に、経常費用は十六兆三千五百二十一億一千万円でございます。以上の結果、経常利益は三千二百億七千三百万円となりました。なお、内部留保として九千三百十八億九千三百万円を積み増し契約者配当準備金に千五百二億八千万円を繰り入れました。  資本合計については、設立資産負債差額四百二十六億千二百万円に加え、その他有価証券評価差額金として二兆七千六百五十九億六千百万円を計上したことから、二兆八千八十五億七千三百万円となっております。  なお、監事及び会計監査人意見書では、監査の結果、財務諸表公社財産損益等状況を正しく示しているものと認められております。  続きまして、平成十八年度の財務諸表並びに監事及び会計監査人意見概要につきまして御説明申し上げます。  まず、公社全体の貸借対照表について申し上げます。  平成十八年度末の資産合計は三百四十九兆八千百八十四億八千五百万円でございます。一方、これに対する負債合計は三百三十九兆六千八百五十九億七千四百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計は十兆千三百二十五億千万円となっております。  次に、公社全体の損益計算書について申し上げます。  まず、経常収益は十九兆六千四十億六千四百万円でございます。次に、経常費用は十八兆三千四十六億九千九百万円でございます。以上の結果、経常利益は一兆二千九百九十三億六千五百万円となりました。これに特別損益を加え、さらに、簡易生命保険業務契約者配当準備金繰入れ額を差し引いた結果、当期利益は九千四百二十五億六千七百万円となりました。  この当期利益九千四百二十五億六千七百万円は、全額利益剰余金として資本に積み立てました。このほか、資本にその他有価証券評価差額金として二兆四千四百八十二億八千二百万円を計上したため、資本合計は十兆千三百二十五億千万円となっております。これにより、自己資本比率(総資産額に占める資本総額割合)は、公社設立時の〇・三%から二・九%となっております。  続いて、郵便業務郵便貯金業務及び簡易生命保険業務のそれぞれの業務区分ごと貸借対照表及び損益計算書について申し上げます。この業務区分ごと貸借対照表及び損益計算書は、公社全体の貸借対照表及び損益計算書内訳という位置付けとなっております。  まず、郵便業務について申し上げます。  当年度末の郵便業務区分に係る資産合計は二兆二千四百五十三億六千四百万円でございます。一方、これに対する負債合計は二兆七千六百四十三億六千六百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計マイナス五千百九十億二百万円となっております。  次に、郵便業務区分に係る損益計算書について申し上げます。  まず、営業収益は一兆九千百三十四億四千四百万円でございます。次に、営業原価は一兆七千八百五十九億九千四百万円、販売費及び一般管理費は九百九十四億六千万円でございます。以上の結果、営業利益は二百七十九億八千九百万円となりました。これに営業外収益八十一億七千九百万円を加え、営業外費用七十三億千三百万円を差し引いた結果、経常利益は二百八十八億五千六百万円となりました。さらに、特別損益を加えた結果、当期利益は十八億七千三百万円となりました。  この当期利益十八億七千三百万円は、全額利益剰余金として資本に積み立てましたが、資本は依然として五千百九十億二百万円の債務超過となっております。  引き続いて、郵便貯金業務について申し上げます。  まず、当年度末の郵便貯金業務区分に係る資産合計は二百三十一兆六千二百八十二億三千九百万円でございます。これに対する負債合計は二百二十三兆二千百三十七億五千六百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計は八兆四千百四十四億八千二百万円となっております。  次に、郵便貯金業務区分に係る損益計算書について申し上げます。  まず、経常収益は三兆五百八十九億九百万円でございます。次に、経常費用は二兆八百十五億三千万円でございます。以上の結果、経常利益は九千七百七十三億七千八百万円となりました。これに特別損益を加えた結果、当期利益は九千四百六億九千三百万円となりました。  この当期利益九千四百六億九千三百万円は、全額利益剰余金として資本に積み立てました。このほか、資本にその他有価証券評価差額金として二千五百三十八億六千三百万円を計上しました。その結果、資本合計は八兆四千百四十四億八千二百万円となっております。  引き続いて、簡易生命保険業務について申し上げます。  まず、当年度末の簡易生命保険業務区分に係る資産合計は百十六兆六千百十三億百万円でございます。これに対する負債合計は百十四兆三千七百四十二億七千百万円でございます。その結果、資産合計負債合計差額である資本合計は二兆二千三百七十億三千万円となっております。  次に、簡易生命保険業務区分に係る損益計算書について申し上げます。  まず、経常収益は十四兆七千二百六十一億七百万円でございます。次に、経常費用は十四兆四千三百十九億四千四百万円でございます。以上の結果、経常利益は二千九百四十一億六千三百万円となりました。なお、内部留保として一兆二百五十億九千七百万円を積み増し契約者配当準備金に千七百七十四億二千万円を繰り入れました。  資本合計については、設立資産負債差額四百二十六億千二百万円に加え、その他有価証券評価差額金として二兆千九百四十四億千八百万円を計上したことから、二兆二千三百七十億三千万円となっております。  なお、監事及び会計監査人意見書では、監査の結果、財務諸表公社財産損益等状況を正しく示しているものと認められております。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきます。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 内藤正光

    内藤正光君 民主党内藤正光と申します。  今日は、民営化始まってまだ間もない中、大変御多忙の中、日本郵政会社西川社長を始め、四事業の各会長に御参席をいただきまして、本当にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。  当初、皆様方にまず質問をする予定だったんですが、余りにも財務省皆様方最後まで引っ張るのも申し訳ないかと思い、できるだけ早く解放させたいという思いもありまして、順序を逆にしまして、財務省政務官に、コンプライアンスということで何点か質問をしたいと思います。  その内容は、端的に言えば、社外取締役選任とその取引関係、もっと具体的に言えば、社外取締役の一人である奥谷さん、そして、その経営するザ・アール日本郵政公社との間の、今で言えば郵政会社ですね、社員研修契約について何点か質問をさせていただきたいと思います。  そこで、まず増田大臣にお尋ねしたいと思いますが、この社外取締役である奥谷さんがいて、彼女が経営するザ・アールという会社がある、そしてザ・アールと当時郵政公社との間で研修契約が結ばれていた、そしてこれが今日も続いているということなんですが、民主党の何人かの議員から、これは問題じゃないのかという指摘がございました、委員会を通じて。そして、当時の生田総裁、あるいはまた菅総務大臣等々からこのような答弁がなされております。  ポイントは、公社会社とを、二つ存在することを意識しながら、区分けして問題ないと言っているということなんですが、当時の生田さんは公社総裁としてこのようにおっしゃっております。奥谷氏の選任日本郵政株式会社が自発的に行ったことである、公社が行ったことではない、だから問題ない、また言うべき立場にもないという答弁生田当時の総裁はなされております。そして、菅総務大臣はどのようにおっしゃったかというと、株式会社ザ・アール公社との間で研修契約が結ばれていることは事実ではあるが、日本郵政株式会社との取引でないため、利益相反とはならないと答弁をされております。  しかし、今現在はどうなっているかというと、奥谷さんは紛れもなく日本郵政株式会社社外取締役社外役員です。そして、その研修契約はどことどことの間で結ばれているのかといったら、ザ・アール日本郵政株式会社との間で行われている、これは事実でございます。となると、今までの生田総裁並びに菅総務大臣答弁からこの今の現状を推し量ると、当然問題ありと断ぜざるを得ないんですが、まず、会社を所管をする増田大臣に御見解をお伺いをしたいと思います。
  13. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 御指摘の職員の研修契約ですけれども、これは公社から承継された、そういう契約になっております。契約当事者公社株式会社ザ・アールということになっておりまして、そして、今お話ございましたように、公社時代から結ばれていたものが今の株式会社の方に承継されたと、こういう形になっております。  それから、奥谷氏でございますが、この方は日本郵政株式会社社外取締役でありまして、公社役員ではないということから、これについて私どもは、利益相反行為に該当するとは言えないと、こういうふうに考えているんですが、奥谷氏が日本郵政株式会社社外取締役であるということ、一般に、社外取締役会社経営陣執行部門からの独立性中立性客観性が求められるということからいいまして、本契約が国民の目線から見て誤解を与えるような面がないとは言い難いと、こういうふうに考えております。
  14. 内藤正光

    内藤正光君 誤解を与えるおそれなしとは言えないと、まあ問題意識は持っていらっしゃるというふうに理解をいたしました。問題があると。  そこでなんですが、小泉政務官、お尋ねします。  本来、このことは株主総会に諮られるべきことなんですよ、会社法からすると。もっと言うと、会社はこの重要な事実を株主に開示をして、そして、その資料を基に株主としてこれが妥当かどうか判断をする立場にあるんですが、唯一の株主として財務省があるわけなんですが、会社からどのような事実が開示をされ、そしてその事実を受けてどのように判断をされ、今の状態が続いているというふうに理解すればよろしいんでしょうか。
  15. 小泉昭男

    大臣政務官小泉昭男君) 内藤先生の今の御質問でございますけれども、総務大臣がお話しになりました流れの中で、私もこの流れを精査してみますと、平成十九年九月十八日に開催された日本郵政株式会社の臨時総会において、会社から奥谷禮子氏を含む取締役候補者の提案があったわけでありまして、その際、取締役候補者と当社との、日本郵政株式会社ですね、の間には特別の利害関係はない旨、及び長年にわたり株式会社の経営に携わり、その経営を通じて培った経営の専門家としての経験、見識からの観点に基づく経営の監督とチェック機能を期待している旨の説明がございまして、これを受けて会社の提案に賛成した経緯がございます。  それと、今、株主総会に掛けるべきではなかったかと、こういう内容のことだったと思うんですが、この点につきましては、会社法、取締役が自己又は第三者のために株式会社取引をしようとするときにおいては、取締役会が設置されていない場合には株主総会において承認を受けなければならないとされているところでございまして、日本郵政株式会社のように取締役会が設置されている場合、この場合は株主総会ではなく取締役会の承認を受けなければいけないと、こういう規定をされているというところでございまして、御指摘の点でございますけれども、株主総会に諮るべき事項ではないと、こういう判断でございまして、取締役会で適切に判断されるべき事項であると、こういうふうに認識をいたしております。
  16. 内藤正光

    内藤正光君 株主総会に諮るべき事案ではないという判断ですか。会社法三百五十六条は明確にこう言っているんですよ。取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事案を開示し、その承認を受けなければならない。第一項として、取締役が自己又は第三者のために株式会社事業の部類に属する取引をしようとするとき。二項として、取締役が自己又は第三者のために株式会社取引をしようとするとき。  これ、株主総会に諮るべき案件じゃないんですか。おかしいんじゃないですか。
  17. 藤岡博

    政府参考人(藤岡博君) 技術的な面にわたるものでございますので、私から若干の補足説明を申し上げたいと存じます。  ただいま内藤先生御説明になられましたとおり、会社法三百五十六条には御引用のような規定があるわけでございます。しかしながら、同じ会社法の三百六十五条、取締役会設置会社における三百五十六条の規定の適用につきましては、同条第一項中、株主総会とあるのは取締役会とする規定がございまして、読替規定が入ってございますので、ただいま政務官からそのような趣旨を申し上げた次第でございます。
  18. 内藤正光

    内藤正光君 西川社長、お伺いします。  増田大臣は、これは誤解を与えるおそれがあるという問題意識を持っていらっしゃる。それを踏まえて、西川社長としてはどのように判断なされますか。
  19. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  日本郵政株式会社は、民営分社化に当たりまして、日本郵政公社ザ・アールと結んだ職員研修契約を一件承継しましたが、この契約について取締役会の承認手続は取っておりません。日本郵政株式会社に承継された契約は、日本郵政公社契約した取引に係る権利義務が承継により引き継がれ、その履行を残すものにすぎません。すなわち、会社法は、取締役に対して、株式会社取引をしようとするときに取締役会の承認を義務付けているところでありまして、本件契約は、ザ・アール日本郵政公社との間で締結されたものでありますことから、日本郵政株式会社の取締役会で承認すべき取引には当たらないと考えております。  なお、本年十月一日以降の民営化以降、日本郵政株式会社ザ・アールとの間で新たな職員研修契約を結んではいません。  以上でございます。
  20. 内藤正光

    内藤正光君 ただ、すべて公社時代契約を承継したわけですよね。そこで私は改めて、増田大臣がおっしゃるように、誤解を与えないようやはりこれは取締役会でしっかりと重要な事実を開示した上で議論すべきじゃないんですか。これコンプライアンスですよ。もういろいろコンプライアンス、コンプライアンスって社長おっしゃっていますが、これは本当に大きな私は問題だと思いますよ。
  21. 西川善文

    参考人西川善文君) ただいまの御指摘を踏まえまして、改めて検討してまいりたいと思います。
  22. 内藤正光

    内藤正光君 しっかりとコンプライアンスを守っていただきたい。そして、国民に信頼される日本郵政株式会社、そして並びに四事業会社をつくり上げていただきたいと思います。  そこで、ちょっと委員長にお取り計らいをいただきたいんですが、この事案もさることながら、まだ少なからずいろいろな問題点が指摘されていることも皆さん御存じだと思います。なぜ三井住友関係だけが優遇されるのか。いろいろございます。ただ、ここで一つ一つ私は議論するつもりはございません。残念ながら唯一の株主である財務省が余り株主としてその力を発揮されていないというのは、今議論を通じてお分かりいただけたんではないかなと思います。私は、当分の間、株主総会に代わるものとして、その決算を当委員会でこれからも審議をし続けていくべきだと考えます。また後日、理事会等でお取り計らいをいただきたいと思います。
  23. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまの提案については、理事会で後日協議をさせていただきます。
  24. 内藤正光

    内藤正光君 ありがとうございます。  では、財務省並びに政務官皆様方委員長の指示に基づいて御退席をしていただいて結構です。
  25. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 財務政務官及び理財局次長については退席をいただいて結構でございます。
  26. 内藤正光

    内藤正光君 それでは、郵政サービスそのものの質疑に入りたい、戻りたいと思います。  そこでまず、金融二社の直営店の設置と郵便局への業務委託という観点で何点か質問をしたいと思います。  この問題については、委員会において何人かの大臣が答弁をしております。金融担当の伊藤大臣、総務大臣の麻生さん、そして郵政民営化担当の竹中大臣。異口同音に同じことをおっしゃっているんです、この直営店の設置と郵便局への業務委託の問題に関して。要約するとこういうふうにおっしゃっているんですね。ゆうちょ並びにかんぽは独自の店舗は持たない、だから安定経営のためには郵便局と全国一括の長期委託契約をすると、すべての大臣がこのようにおっしゃっている。異口同音です。  もっと具体的に御紹介いたします。竹中さんはこのようにおっしゃっているんです。ちょっと長いですが、読みます。みなし免許を付与する際の条件としまして、この銀行、保険は独自の店舗網を持っていないところでございますから、ここはしっかりと安定的に事業を提供できるようにするという意味で長期安定的な代理店契約、保険募集の委託契約があることを条件にみなし免許を出す、その期間というのは、移行期間を、移行期間というのは十年間ですね、を十分にカバーする長期でなければならないことを条件とする、したがって、これによって十年以上の実態的な安定的な長期契約がこれは保証されるわけでございますと。  さらに、続けてこのようにおっしゃっています。その後についても、これは店舗を持っていませんから、金融二社ですね、つまり店舗はこれから、独自の店舗はこれからも一切持たないだろうから、こういう形態が続く。こういう形態というのは、一括契約、長期の一括契約が続くというふうに想定をされると。同じようなことを竹中さんだとか麻生さんだとか、全部おっしゃっている。  ところが、実態はどうかというと、ゆうちょ銀行に関しては既に二百三十四もの直営店がございます。かんぽ会社については八十一の直営店がございます。そして、その直営店が同居する郵便局については業務委託を行わないという決まりになっている、御社の。  そこで、ゆうちょ並びにかんぽ、それぞれの会長、古川さん、進藤さんにお伺いしたいんですが、再三再四にわたる大臣答弁とは随分食い違っているなというふうに感じずにはいられないんですが、直営店の設置の理由、並びに今後も直営店は増やしていくんですか。そのことを確認をさせていただきたいと思います。
  27. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) 私どもゆうちょ銀行は、郵便局会社と長期安定的な代理店契約を締結し、全国をカバーする郵便局ネットワークを最大限に活用することによって、最も身近で信頼される銀行として、お客様により良い暮らしづくりに貢献したいと考えております。  このようなビジネスモデルで適切に業務を行ってまいりますには、お客様のニーズに合った商品、サービスを開発、提供していくために、お客様と直接の接点として直営店を持ち、お客様のニーズを的確、迅速に把握する必要がございます。また、郵便局における代理店業務の質とその向上のためにも、自らの窓口でお客様に接し、有人窓口のコストであるとかパフォーマンスに関する情報を保有する必要がございます。さらに、新商品やサービスの提供をスピーディーかつ的確に実施していくためにも、商品開発部門と直結をしたより専門的なスタッフのそろった直営店が不可欠であると考えております。直営店を保有することによって初めて取られることが可能な迅速かつ的確なニーズを直営店で提供する商品、サービスにスピーディーに反映させて、お客様の反応を確かめながら更なる改善につなげていくことによりまして、お客様対応のノウハウが蓄積できるものであります。  そして、これを郵便局における代理店業務に生かしていくことによって、ゆうちょ銀行、郵便局会社双方の競争力や収益力を高めていくことが可能となり、いわゆるゼロサムではないプラスサムの相乗効果が期待されるものであります。  また、現時点では、今後の直営店舗の新たな設置については検討しておりませんが、新規サービスの開始の状況やお客様ニーズなどを踏まえ、適切に対応してまいりたいと存じております。  以上でございます。
  28. 進藤丈介

    参考人(進藤丈介君) お答え申し上げます。  かんぽ生命は、郵便局会社と長期安定的な代理店契約を締結し、全国をカバーする郵便局ネットワークをメーンチャネルとして、個人を中心にあらゆる地域のお客様一人一人にそのニーズに応じた商品、サービスを御提供し、豊かで安心して暮らせる社会の構築に貢献したいと考えているところであります。  郵便局会社との長期安定的な代理店契約の下、適切な業務運営を行っていくためには、直営店を有することによってお客様のニーズに対応した新商品、サービスの開発を行う上でのダイレクトなマーケット状況の情報収集を可能とすることが必要であるということが一点。もう一点が、また、従来の郵便局チャネルでは十分カバーし切れていなかった法人・職域マーケットにも直営店の専門的な営業社員によって対応することも必要であると考えております。  そして、これら直営店を通じて得られましたマーケティング方法や販売ノウハウを郵便局会社への保険募集委託に生かしていくことによりまして、かんぽ生命、郵便局会社双方の競争力、収益力を高めていくことが可能となりまして、ゼロサムではないプラスサムの相乗効果が期待されると考えております。  また、今後の直営店舗の見通しについてでございますが、民営化後の状況を見ながら具体的に検討してまいりたいと存じておりますが、民営化直後から直営店を急激に増やすという予定はございません。  以上でございます。
  29. 内藤正光

    内藤正光君 分かりました。  そこで、ゆうちょ会社、古川会長にお尋ねしたいんですが、今現在、直営店が二百三十四店ございますね。では、ほかのメガバンクは一体参考までにどれぐらいあるんだろうというふうに見ると、大体五百ぐらいの支店数なんですね、五百ぐらい。一番多いのは三菱東京UFJ、八百ぐらいあろうかと思います。これらを、あくまでメガバンクですが、これらを参考に考えるとどうなるかというと、今現在二百三十四の支店があると、直営店があると。となると、メガバンクを参考にして、メガバンクを一つの目標として考えたら、あと直営店を二百ないし三百申請するか、あるいはまたその程度の業務委託をすれば事足りてしまうんじゃないかという判断も一方ではなされるわけです、合理的に。  さらに、勘案しなきゃいけない要素がございます。向こう十年間で株式の全株売却が進んできます。今でこそ、財務省、財務大臣が全株を持っている。しかし、どんどんどんどん、十年後には、これをもっと前倒ししろと言っているんですが、政府は、全株が民間人の手に渡るとなると、採算性というものが株主からより強く求められるようになってくると。こういったことを考えると、私は、委員会で、特に竹中さんが再三再四言ったような、長期の一括契約、十年を超えても一括契約がなされるというのは、経済的に考えた場合、甚だ納得し難いものがあるんです。  そこで、確認をします。竹中大臣がおっしゃったように、もう夢のような世界を描いたんですよ、本当に長期、長期というのはあくまで十年超です、移行期間を過ぎてもさらにという意味です。長期にわたり二万四千局への業務委託というのが継続されることが期待できるのかどうか、責任者として明言をしていただきたいと思います。
  30. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) 私どもゆうちょ銀行は、これまで多くのお客様の身近にあり親しまれてまいりました全国の郵便局ネットワークを、メーンチャネルとして最大限活用してきめ細かな金融サービスを提供していくことが、当行の基本的なビジネスモデルであると認識をいたしております。  このような観点から、郵便局会社と長期安定的な一括の代理店契約を締結しているところでございまして、またこういう当行のビジネスモデルからすれば、いわゆる十年間の移行期間終了後も郵便局会社は最も重要なビジネスパートナーであり、引き続き業務を委託していくことを考えております。  以上であります。
  31. 内藤正光

    内藤正光君 その会長の言葉をしっかりと受け止めておきたいと思います。  そこで、増田大臣にお尋ねをしたいと思います。  正直言いまして、民間銀行は採算性重視ですから、いわゆる不採算地域からどんどんどんどん撤退をして、ATMすら設置をしないところが大半です。大体その町には農協系か郵便局しかない、これが我が国の大宗を占めている地域における現状だと思います。その上、さらに郵便局、ゆうちょ会社がまた撤退をしてしまったら、それこそ年金の受取すらままならないという状態になってしまうわけなんです。正に、日常生活を守る上でも、私はそういうことはあってはならない、避けなきゃいけないというふうに思いますが。  そこで、大臣としては、金融のユニバーサルサービスについてどのようにお考えになられているのか。私は、それを守ることは国の責務だというふうに思っておりますが、金融のユニバーサルサービスですね、大臣のお考えを改めてお伺いしたいと思います。
  32. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、ゆうちょ銀行の会長さんがお話しなさったとおり、この郵便局チャネルの活用ということも徹底して取り組むと、こういうお話あったわけです。私は、それぞれの各地域、全国二万四千のネットワークを持っておりますので、そうした郵便局ネットワークの中で金融サービスというのがきちんと提供される、そしてそれぞれの地域でそうしたサービスが受けられる、こういうことは大変重要であると、このように考えているところでございます。
  33. 内藤正光

    内藤正光君 先ほど、古川会長から、移行期間を超えても一括長期契約をしていくということを明言をされたわけなんですが、そこで、その上で改めてお伺いしたいんですが、会長としては、金融のユニバーサルサービスというのはどの程度守ればいいのか、つまりユニバーサルサービスの考え方ですね、それを改めてちょっとお答えをいただけますでしょうか。
  34. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) 先ほどもお答えを申し上げたとおり、これまで郵便貯金は長い歴史の中で、全国のお客様に言わばお財布の代わりとして御愛用いただいてまいったという実績がございます。その御愛顧と信頼を引き継いだゆうちょ銀行といたしましては、全国津々浦々に張り巡らされた郵便局のネットワークをやはりこれまでどおり最大限に活用し、良質な金融サービスを提供していくということが私どもの使命であるというふうに私は認識を今いたしております。
  35. 内藤正光

    内藤正光君 改めてその会長の重い社会的使命感、しっかりと受け止めたいと思います。  時間も余りございませんので、ちょっと一つ飛ばしまして、郵便局ネットワークの維持について郵便局会社会長にお尋ねをしたいと思います。  改めて言うまでもなく、法律でもって郵便局の設置は義務付けられ、サービスの拠点を確保しなければならなくなっているわけなんですが、インタビューにおいて、日経新聞だったと思いますが、本当に二万四千もの郵便局網の維持は可能なのかという質問に対して、正に二万四千あることが価値なんですよというふうにおっしゃっていた。私もそうだと思います。  しかし一方で、本当に採算性はあるのという疑問が出てきます。金融二社、本当はかんぽ会社にもお伺いしたかったんですが、時間の関係で飛ばしてしまったんですが、少なくともゆうちょ会社についてはあのように力強い言葉をおっしゃっていただいたから大丈夫だと思うんですが、ただ、これからだんだんだんだん厳しくなってくると不確定要素も出てくるのかなという不安も払拭し切れないところがあるんです。  いろいろ私たちとしては、あるいは国民としては、本当に、特にローカルに住む人たちにしてみれば、本当に郵便局はいつまでもそこにあってくれるのというのは、だれもが皆不安に思っているし、またい続けてほしいというのは願いなわけなんですが、さらにその上、法律では地域住民の利益の増進という公的役割まで担わされているわけですね。  そういったことを踏まえて、改めてお尋ねします。本当に二万四千もの郵便局ネットワークの維持は可能なんですか。それを納得させ得る具体的な施策をお答えをいただければと思います。
  36. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) 川でございます。これからどうかひとつよろしくお願いいたします。  内藤先生の御質問にお答えをいたします。  まず一つは、これまで御議論のあった金融二社と私どもの契約関係でございますが、これは私ども自身も株式上場やあるいはその資本関係の濃淡にかかわりなく継続するものでございますが、郵便局会社としては、更なる営業力の強化と、そして事務品質の向上を図り、十年経過した後においても委託元の期待にこたえられるような代理店をしっかり目指していきたいと考えております。  それからもう一つ、ネットワークの維持の御質問でございますが、私、ネットワークの中でも殊に重要な地位を占めております簡易局、このことについてやっぱりきちっと確保してまいりたいと考えております。  本年の一月以降、簡易局取扱手数料の基本額を増額をいたしました。また、パソコンやあるいは防犯カメラ、シュレッダー等を公社の負担で設置をいたしております。また、定期的に簡易局を訪問して業務品質を点検するとともに、受託者の相談相手となるような簡易局サポートマネージャーを全国にこの九月から配置をさせていただいております。このような対応によって、平成十九年度上期には百二の簡易局が再開をしております。今後とも、受託者の確保のために、地公体や自治会等、地元の方々に対して積極的に協力依頼を行いながら受託者の公募等に努めてまいりたいと考えております。  今後、簡易局の一時閉鎖解除に向けましても、従来の取組の効果をきちっと把握、検証した上で、また民営化後の簡易局の運営と事務取扱の実態を把握して、その結果も踏まえつつ、簡易局受託者の代表者やあるいは関係する地方の代表者、さらには地方で受託の応募事務を担当している実務者等から成る検討会を設けさせていただき、より有効な受託者確保を検討してまいりたいと考えております。  なお、現在一時閉鎖中の簡易局の中には、例えばJRの駅に近いところもあります。これらの簡易郵便局の受託所確保に当たりましては、駅舎の活用とか、そのほかいろいろ、もっと広く、幅広く対応をして、一時閉鎖の再開に努力してまいりたいと考えております。
  37. 内藤正光

    内藤正光君 二万四千余の郵便局ネットワークの維持は法律で定められているわけでございますが、しかし、だからといって大丈夫だというわけにはならないんですね。やはり経済的な観点からも、それを会長のこれまでの実績並びに経験を踏まえて、しっかりと二万四千余のネットワークの維持に向けて努めていっていただきたいとお願いを申し上げます。  さて次に、郵便事業の北村会長にお尋ねをしたいと思います。  特に私が関心を持っているのはユニバーサルサービスだとかそういった観点なんですが、改めて言うまでもないんですが、郵便事業はユニバーサルサービスが義務付けられているわけですね。  実は私も国会議員になる前、十年間NTTに勤めておりました。NTTは、改めて言うまでもないんですが、ユニバーサルサービスが負わされていると。しかし、このユニバーサルサービスの責務たるや、かなりの負担なんです。大体の部分が合理化できるという通信事業であってもユニバーサルサービスの負担というのは相当なものなんです。それこそ、東京に掛かるコストを一としたら、北海道とか長崎、四十倍ぐらい掛かるんだそうです。なぜかというと、長崎は島が多い、北海道は広い。それでも全国津々浦々同じような料金体系でサービス提供をしなきゃいけない。ところが、郵便事業というのは極めて労働集約性が高い事業ですよね。余りちょっと自動化できない、遠隔操作できない、これが郵便事業と通信事業の違いだと思います。  だから、ユニバーサルサービスを守るといっても、竹中当時の大臣が何かさも簡単なようにおっしゃったんですが、そんな簡単なものじゃないということは私も思いますし、また会長ならばその大変さは重々認識をされてこれから事業運営に臨まれるんだろうと思います。  そこで、更に言うと、決算のいろいろな資料を見ますと、四事業四期連続で黒字を達成されたとおっしゃっています。しかし、じゃ、どれぐらい黒字を上げたかなと思うと、当期の純利益は十八億。ちなみに、営業収益はというと一兆九千億余り。ということは、何を言わんとしたいのかといいますと、仮にこの営業収益が〇・一%落ち込んだら赤字に転落するという、そういうきりきりの黒字なんですよね。  じゃ、この営業収益の中身はどうなのかというと、その大宗は、改めて言うまでもないんですが、郵便役務からもたらされております。一兆八千億余り、ほとんどが郵便役務からその利益はもたらされていると。で、じゃ、郵便役務、実態はどうなのかといったら、十八年度の取扱郵便数は二百四十六億通だったようなんですが、これ対前年比でいくと〇・六%減っているんですね。だから、〇・一%減るなんていうのはいとも簡単なんですよ。もう想定内の出来事なんだろうと思います。そして、改めて言うまでもないんですが、最近はメールに押されてどんどんどんどん郵便物が減少していくと。なかなか増加をするという期待は持てないというのが率直なところだろうと思います。  そこでお尋ねしたいんですが、こういった大変厳しい郵便事業の環境下において、信書を遅滞なく送り届けるというのは社会的責務だと私は思っております、郵便事業会社の。会長もその認識でよろしいんですね。そして、遅滞なくというのは、今まで例えば都内だったらば翌日あるいは一日置いて二日目に届いていた、地方でも似たような状況。これが遅滞なくという意味なんです、私が申し上げる。しかし、コストからすると例えば一週間にまとめて一回送り届けとけばいいだろうとか、こういうことじゃないと思うんです、私は遅滞なくというのは。  そういった意味でお伺いしますが、遅滞なく信書を送り届けるというのが正に社会的責務だと認識されていますねと私は確認をさせていただきたいと思います。
  38. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) 北村でございます。よろしくお願いいたします。  内藤先生の御質問にお答えいたします。  郵便事業は民営化されましたけれども、されたからといって社会的責務を果たしていく郵便サービスの性格には何ら変わりはないと、こういうふうに思っております。現に、ユニバーサルサービスを規定した郵便法は会社になっても引き継がれております。これを受けて、郵便事業株式会社の経営理念の第一番目には、効率的な事業経営によりユニバーサルサービスとしての郵便サービスの提供を確保しますという内容を掲げております。この理念を実現するために引き続きオペレーションの効率化を図るなど、お客様に満足していただけるサービスの提供、お客様の利便性をいかに高めるかということに努めてまいりたいと考えております。
  39. 内藤正光

    内藤正光君 ありがとうございます。  本当はもっといろいろ質問したいんですが、あと残りが二分となりました。最後に、郵政会社西川社長質問をしたいと思います。  率直に言いますといろいろ、各会長は大丈夫だと、絶対水準は維持するとおっしゃっていただいたんですが、十年後の経営状況はどうなっているか分かりません。本当に大変な状況が待ち受けているんだろうなというふうには思うんです。そうであっても、社長の意思としてサービス水準は絶対守るんだと、守るというよりももっとより良くするんだと、国民に、その生活に支障を来すようなことは絶対ないんだと、そういう強い決意を、短時間で大変恐縮ですが、お述べをいただきたいと思います。
  40. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  サービス水準の維持を含めまして、附帯決議につきましては、各会社の取締役、執行役員を始めとしてグループ全体として守ってまいる所存でございます。その上で、民間企業としての効率性、収益性とユニバーサルサービスの維持という公共性、これを両立させるということが日本郵政グループの使命であるというふうに考えております。  以上でございます。
  41. 内藤正光

    内藤正光君 ありがとうございます。  では、同僚議員に譲りたいと思います。
  42. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  先週、国民新党は民主党と覚書を交わしまして、参議院では統一会派を組ましていただくということになりましたものですから、今日私、いつもはあちらの席におりましたけれども、これからはこちらで発言をさせていただきますし、今日は全体の枠の中で八十分という時間を取っていただいて、かつ私はほかの委員会に所属をしておりましたけれども、今日は長谷川、十分にやってくれということでこちらで差し替えをしていただいた次第でありまして、関係者の御配慮に冒頭御礼を申し上げて、質問に入りたいと思います。  公社の決算については大臣、そして西川社長から先ほど御説明がございました。大変良好な中身だというふうにお聞きをした次第でございます。今は十月一日から会社に変わられまして、それぞれの執行体制が新しく出発をしたわけでございますが、御存じのとおり、私自身は民営化という考え方に賛成をするものではございませんけれども、出発をいたしました以上は国民の期待に十分にこたえていただいて、どこからもすばらしい経営だと、またすばらしいサービスだと、こう言っていただけるような業務展開を期待したいというふうに思っているところでございます。  そういう意味では、立ち上がり期でもございますし、皆さん方は緊張感を持って仕事をしておられると思うわけでございますけれども、今回の決算ぱらぱらっと見させていただいて、まず気になるところがちょっと見付かったものですから、ほかにも一杯あるんだと思いますが、たまたま一つ見付かったところをお尋ねをしてみたいと思います。  それは、このいただいた報告、十七年度分と十八年度分と二つございますけれども、両方同じようなことが出ているんですが、十四ページに損益計算書の注記というところがございまして、その半分から下のところに(5)、減損損失に関する事項、減損損失をこの事業年度で計上したという記述がございます。ここを見たら、逓信病院の土地や建物や動産をこれは処分したんだと思いますが、それから郵便貯金周知宣伝施設等々書いてございまして、二千二百九十億円ほどの減損損失を認識しましたと書いてございます。  私も中身がよく分からないものですから、たまたまここに出ていた三重県志摩市と書いてありますので、その中身について昨日資料をいただきましたところ、要するに志摩市にありました郵便貯金の周知宣伝施設、これを売却したということのようでございますけれども、土地の購入額、それから土地の売却額、建物の建設費、それからその建物の売却額というのをお尋ねをしましたところ、土地の購入額が十八億円、売却額が一千万円。十八億円のものを一千万円で売却をしたと。それから、建物の建設費が二百三十三億円、売却費が四億円。  ちょっと理解しにくいんですけれども、どなたになるか分かりませんが、御説明をいただければ有り難いと思います。
  43. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 答弁はどなたですか。
  44. 西川善文

    参考人西川善文君) 少々お待ちください。  お答えをいたします……
  45. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ちょっとお待ちください、西川さんですね。
  46. 西川善文

    参考人西川善文君) これは減損ではございませんで、単純な売却ということでございます。同じようなものがもう一件ございまして、それも多分同時期だったと思いますが、売却処分をいたしております。  これは今お話がございましたような価格をこちらから提示したということではなくて、大変大きなコストの掛かった施設でございましたが、現在、利用状況等から評価されると今おっしゃられたような価格にしかならなかったということでございます。  以上です。
  47. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 こういう金額にしかならなかったとおっしゃるんですけど、私たまたまこれ、志摩観光ホテルなんかにもかつて何回か泊まったことありますが、そこから見ると、入り江を挟んだ反対側の岬の突端にあるすばらしい場所なんですよね。ですから、土地の購入額十八億円というのはもっともだと思いますが、それを今会社になられ、これは公社の時代にこれ売ったと思いますけれども、一千万円で処分をしなければならないような状況なのかどうかというのを、私はやっぱり、こういうものを国民の皆様に聞かれますと、随分何か荒っぽい経営をしているなと。これは郵便貯金の施設でございますけれども、保養施設ですよね、お客様のための、利用者のための。  ですから、年間に一兆円から二兆円も利益の出るような事業ですから、まあ十八億円ぐらいどうでもいいかと。建物も二百三十三億円も使ったけれども、まあこんなものどうでもいいかということだというふうに理解をされますと、先ほど内藤委員の御質問の中にも出てきましたけれども、今過疎地で、例えば、学校だとか役場だとか病院だとかに郵便貯金を出し入れする地域の利用者のためのATMという機械がずっと置かれていたわけであります。そういうものがどんどん撤収をされている。利用する人が全くいないという状況じゃないわけですが、一台一台が何かそのコストに合わないと。  一兆円も二兆円も利益の上がるような事業がそういうことを片方でしておいて、一方では、どういう事情があったのか分かりませんけれども、買う人が、値段が付かなかったということでこんな値段でたたき売ると、そんなことで国民の理解が得られるとお思いになりますか。これは公社時代の話でございますから、今の皆さん方にその責任があるかないかという話でいえば責任がないのだろうと思いますけれども、今日は公社の決算でございますので、もう一度西川社長にお伺いをいたします。
  48. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  御承知のとおり、郵政民営化法によりますと、郵貯の施設、簡保の施設、メルパルクでございますとかかんぽの宿でございますが、これは民営化後五年以内に処分を義務付けられております。そういうことから順次売却を進めてきたということでございますが、決して、大きな利益が出ているから幾らでもいいんだという考え方で売却処分をしてきているわけではございません。これは、それぞれ鑑定も取り、鑑定評価も行い、そして購入希望者も募りまして、その中から選んでこういった処分を行っておるということでございます。決してたたき売っているというわけではございません。
  49. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 不正をしているとまで私、言うつもりはもちろんないんです。  今社長触れられましたように、郵政民営化法の関連法の中でこういった郵便貯金関係のいろいろな施設、宿泊施設等もあるわけでありますが、会議施設等もあります。それから、簡易保険関係のかんぽの宿と言われているようなものがありますけれども、こういうものは皆処分しろというふうになっているという事実は確かにあるんです。したがって、たたき売りをせざるを得なかったというのが恐らく公社側の弁明なんだろうと思います。  だとすると、そういう法律を通した我々に責任があると、私はそう思っているわけでございまして、そういうこともありまして、私どもは、国民新党、今、民主党、そして社会民主党の皆さんと御一緒に、もう一度郵政民営化法の全体を見直して、何も直すところがないというならそれで結構なんです、しかし、直すべきところがあるならば、国民の皆さんに御迷惑を掛けるようなところはやはり修正すべきではないかという意味で、当面株式の処分を凍結すべきではないかという御提案を申し上げているところでありますけれども。  こういう問題、これ、今度は郵便貯金銀行、それから簡保、生命保険会社、この株は移行期間十年というふうに設定されておりますけど、その中で全株処分しなければいけないと法律の中に書いてあるわけですね。五年ということですから、倍の時間は今度のケースと比べればあるんですけれども、しかし、やっぱりこうやってたたき売りになるんじゃないんでしょうか。私は非常に問題があるなというふうに思っております。  なお、そのことは別にしても、この郵便貯金施設あるいは簡易保険の施設、異常に安値で売られているという話をあちこちから聞くわけでございまして、関係の業者の人たちからも、もっと自分たちで買えるところがあったら買いたいんだなどという声が聞こえてくるぐらいでございますので、委員長、これは一度、この二つの、郵便貯金と簡易保険の関連の施設の購入額、売却額ですね、一度資料として委員会でお取りをいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。
  50. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまの提案については、理事会で協議をさせていただきます。
  51. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 今日はこれ以外にもたくさん懸念する事項がございますので、次に進ませていただきます。  それは、日本郵政株式会社の副社長をしておられ、今回また郵便貯金銀行の社長も兼ねられることになりました高木さんのことでございます。個人のことを取り上げて恐縮でございますけれども、一昨日、十月三十日の衆議院の総務委員会民主党の松野頼久委員質疑を行われまして、この問題のやり取り、私も議事録で読ませていただきました。  要は、元金融庁長官でおられ、そしてその後、内閣官房の郵政民営化準備室の副室長、法律ができ上がりましてからは推進室の副室長というふうに名前が変わりましたけれども、でおられた高木さんが、退職後一日置いたのみで日本郵政株式会社の副社長に就職をしておられるわけでございますけれども、この再就職について人事院の承認手続を取っていないということがその衆議院の総務委員会のやり取りで分かるわけでございます。  この理由につきまして、人事院総裁、松野先生にもお答えになっておりますけれども、今日参議院でございますので、なぜこの承認がなくていいのか、総裁からもう一度お伺いをしたいと思います。
  52. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 御案内のところと存じますけれども、国家公務員法の百三条におきまして、職員は、人事院の承認を得た場合を除き、離職後二年間は、その離職前五年間に在職した国の機関等と密接な関係にあった営利企業に就職してはならないという規定がございます。この趣旨は、職員が、離職後特定の営利企業に就職するために、在職中、その地位や職権を利用いたしまして当該企業に便宜を与えるなどの不適切な、不適正な職務執行が行われることを防止いたしまして、公務の公正性を確保しようという趣旨のものと考えております。  そこで、ただいまお尋ねの高木元金融庁長官でございますけれども、平成十八年の一月二十三日付けで日本郵政株式会社取締役社長に就任しておられますが、高木氏が在職しておられました金融庁、それから内閣官房の郵政民営化法に基づく権限でございますけれども、これは、高木氏がそれぞれの官署における官職を退職後に生じたものでございまして、同氏の各官職在職中には存在しなかったものでございますことから、この就職について金融庁及び内閣官房と同社は密接な関係にはないと考えられますので、人事院の承認手続は必要はないと考えているところでございます。
  53. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 総裁、それはおかしくないですか。何のためにこういうわざわざ人事院に承認の手続を取るようなその法律があるのかといえば、やっぱり公務の客観性中立性を担保するためですよ。  ですから、しかし、実際には、明らかに大丈夫だというケース、明らかに駄目だというケース以外に一杯、まあどっちなんだろうなというケースがあるから人事院に相談をし、承認を求めて、国民の皆さんの前に明らかな形で就職をしていかれるんじゃないんでしょうか。  各省ともそういう手続を取っているんだろうというふうに私は思いますけれども、今のお話だと、在職中はまだ民営化法というか、株式会社ができ上がっていなかったと、だからその権限がないんだというふうにおっしゃるわけですけれども、決まった法律に基づいて行政を執行する以上のことを高木さんはしておられたわけです。法律そのものを作る部署におられて、もちろん形式的というか、実質も含めてそれは議会で議論をするわけでございますけれども、その立案する立場におられたわけであります。全体の設計図をかく立場にいた人がその権限がなかったから全然承認を求める手続も取らなくていいんだというのは、どうも理解がいかないんです。もう一度お願いをいたします。
  54. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) いろいろな行政上の権限として私ども考えておりますのは、例えば許可、認可等あるいは場合によっては補助金の交付、それから行政上の権限以外のものといたしましては一定の契約関係等ございますけれども、この行政上の権限として考えておりますものは、先ほどもちょっと申し上げましたように許認可、免許、検査、登録、届出、そういったものを考えております。  そこで、この法案の準備作業のことでございますけれども、法律というのは最高の法規でございまして、国会での御審議を経て決定されるものでございまして、その案を作成することにかかわったといたしましても、そのことをもってこの法案の内容に個人の意思が入る、特定の意思を、私的な意思を込めるということは考えられないところでございまして、もしそういうふうに考えて私どもが審査の対象といたしました場合には、どの範囲の立法作業の従事者についてどのような審査をすることができるのかと、私どもはとてもそのような能力ございません。仮に、いかなる作業に関与した者でもすべて法案立法作業に関与した者は就職を一律に禁ずるということがはっきりいたしますれば、それはそれで方法はあるわけでございますけれども、最高の法規でございます法律についてそのような審査を人事院ができるわけがございません。大変言い方としては不適切だったかもしれませんけれども、私としての気持ちを申し上げました。
  55. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 立法作業に携わる人のすべてをどうのこうのということを申し上げているわけではないんです。高木さんの場合には、副室長という全体を統括する立場におられた方でありますから、少なくとも私はその承認手続というものをきちんと取るべきであったのではないのかということを申し上げているわけであります。  それでは、もう一つ総裁にお伺いをいたしますけれども、高木さんは、今度は株式会社ゆうちょ銀行に社長という形で就職をされたわけでございますけれども、これについては人事院の承認を受けるという手続を取っているんじゃありませんか。これはどうしてですか。なぜ必要なんですか。
  56. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) この二つの案件につきましては、手続の時期も離れておりますし、片一方は積極的に手続を取ったもの、片一方は取らなかったものでございまして、私も突然のお尋ねで直ちに正確なお答えを申し上げる自信がないのでございますが、私の記憶によるところによります限りでは、このゆうちょ銀行の取締役兼代表執行役社長に就任する際に私どもの承認手続を取りました理由につきましては、一般株式会社と申しますものは、設立前にも企画会社その他、相当の準備期間があるわけでございまして、一般に離職後に設立された会社でございましても人事院の承認審査の対象としてまいりました。この件につきましても、申請ございましたのでその例に倣ったと、確かに内容的に申しますと本件は一般株式会社と同列には論ぜられないと考えますけれども、その例に倣って措置したということでございます。
  57. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 いや、ちょっとよく理解できないんですよ。私は、今手元に、これは人事院のホームページから公表されております資料を出しまして、高木さんがゆうちょ銀行の社長に就職されるときの承認の中身、判断の中身等が書いてあるものを出して持っているんですけれども、それを見ますと、承認の理由というところに、同社は、同人の離職後に、郵政民営化法に基づき設立されるものであり、その六のという、前のはいろいろ官職があるわけですが、各官職に在職中、同人は同社に対して権限を行使する関係にはなかったことと、こう書いてあるんですね。  だとすれば、さっきおっしゃったことと同じじゃありませんか。その日本郵政の副社長に就任をするときにはそういう判断を全く得る必要がないと、総裁はそうおっしゃった。ところが、ゆうちょ銀行の方では、きちんと承認手続を取って、その理由の中で同人は同社に対して権限を行使する関係になかったと、こう言っておられるわけです。矛盾しませんか、総裁
  58. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 先ほども申し上げたことと重なるかもしれませんが、確かに結果的には権限が存在していない、片一方は会社が存在していない、存在していないという意味では関係がないとこれは同じではないかという御指摘と存じます。  私どもが先ほどお答えしましたことの重複になりますけれども、一般会社につきましては、実際の会社の正式の発足前にも様々な形での準備段階がありまして、従来から発足前のことであっても一応承認手続を取るようにと指導してきておりまして、その結果これも多分出てまいったと思います。私どもとしましては、その例に倣って、先ほど申し上げましたように、同列に論じられない点があることは事実でございますけれども、例に倣って検討いたしました結果、やはり関係がないものでございますから承認をしたということでございます。  したがいまして、これは仮定の問題でございますけれども、承認申請を両方とも受けて承認するということももちろんあり得ないわけではございませんし、本件も承認申請がなかったからといって違法な手続になったかどうかということにつきましては、もう少し検討してみないと何ともお答え申し上げられません。しかし、内容として結果的にはかかわりがなかった点では同じではないかとおっしゃいますことについては、今申し上げたとおりでございます。
  59. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ちょっと今の御説明納得しかねるわけです。今のお話ですと、たまたまこれは申請があったからこういうことで承認書を出したと、申請がなかったらそれでもよかったんだと、そういうことですか。出す出さないは本人の勝手だというふうに理解してよろしいんですか。
  60. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) ただいまお答え申しましたように、会社につきましては従来から、設立前のこともございますものですから、承認申請するようにという指導をしてまいりました。本件もその一環でございます。しかし、内容に入って審査をいたしますとそのかかわりがあるということはないわけでございますので、承認をいたしました。
  61. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ちょっと委員長、これ問題ですよ。  そうすると、日本郵政株式会社のときは出さなかった、それは全然問題がないんですか。そういうことで自分たちで勝手に判断をしてその就職の状況を決められるということになったら、この仕組みそのものが、人事院が承認を与えるという仕組みそのものが意味がなくなってしまう。私は、公務員がやっぱり民間企業との関係で癒着などが今いろいろ問題になっているときに、大きな役割を果たすべき人事院総裁がそういう御答弁でいいんですか。これちょっと、ちょっと問題ですよ、どうぞ。
  62. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 密接な関係のあった職に就くことでございまして、明らかに密接な関係がなかったという場合に法律違反を問えるかと申しますと、私は問えないと思います。  本件の場合には、具体的な判断を要する事例ではございませんで、法律で明らかになっている関係でございますので、具体的な事実の積み上げの中で出てまいります問題でありますれば、まず人事院が中身を詳細に調べました上で判断するという手続になるわけでございますけれども、本件は明らかに法律上の権限があるないという形のものでございますので、もちろんこれはすべて密接な関係があるなしにかかわらず全部承認申請をしなきゃならぬというものではございませんで、密接な関係にある地位に就くときにはということでございますので、その結果違反がなければ御本人に対する責任追及はないということになるものでございますから、結果的にこれについては明らかな事実により関係がないと私ども判断いたしました。そのことでありながら申請手続がなかったことを問責するといいますか、追及するということはできないと存じます。
  63. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 それおかしくないですか。委員長。  申請がなかったから人事院はもうそこは触れないという話だとすると、それはおかしいと思うんですよね。そんなことでいいんですか。見解なんですか。  それじゃ、もう一度お尋ねをしますが、その二つの役職についての本人の申請があった、なかったということで取扱いが違う、そのことについて人事院としては矛盾ではないというふうにおっしゃるわけですか。
  64. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 先ほどお答え申し上げまして、会社については従来から、離職後設立するものであっても申請手続を取ってくださいということを申し上げておりました。その例に倣ったわけでございます。
  65. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  66. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 速記を起こしてください。  人事院総裁、理解できるようにもう少し丁寧に答弁をいただきたいと思います。
  67. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 先ほど申し上げましたところとまた重複するかもしれませんけれども、この両者ともに結果的に権限関係、あるいは会社が存在しなかった、つまり密接な関係が存在し得る前提がなかったという点については同様だと私も考えます。ただ、この会社の件につきましては、先ほど申し上げましたように、設立前でありましても準備段階があるということで従来からその成立前後にかかわらず申請をしていただきたいという指導をしてまいりまして、本件もそれによって審査をさせていただきました。  それから、日本郵政株式会社の件でございますけれども、このことについて申請がもしあったときにどうするかということについて仮定でちょっとお答えすることはできませんけれども、結果的には承認されていたということは間違いない。つまり、関係がないということでございますので。そのことが、今申し上げましたように法律で明らかな関係でございますので、その手続を取らなかったということをもって手続違反ということになるのかどうか、私はそういうことにはならないのではないかと思うということを申し上げたわけでございます。
  68. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 これ以上総裁とお話をしてもらちが明かないと思いますから、これはこれでやめますけれども、私は、これ非常に大きな問題を含んでいることだというふうに思います。  私も念のために同様なケースはないものかと思っていろいろ調べてみたんです、幸い人事院がいろいろ情報をホームページで出しておられますので。調べますと、例えば、成田の国際空港株式会社できましたときに、これはまだ実体のなかったときに関係の役所に在職をしていた人たちもみんな承認手続を取っているんです。ですから、なるべく承認手続を取るように勧奨しているというふうに総裁がおっしゃったのはそのとおりだと思います。しかし、先ほどの御答弁だと、出す出さないは結局その本人の勝手ということになりまして、それは承認を取らなくてもどんどん就職するような事例が出てきたら私は大変だと思うんです。  特に今回の場合は、法律の設定そのものをこの準備室が全部やったわけでありまして、非常にそういう意味で責任が大きい。しかも、一般の業法と違って会社の中身について権利義務関係を事細かく決めているものであります。さっきの、例えば郵便貯金の施設が安値でたたき売りされたという事例を御紹介しましたけれども、そういうことも含めて全部法律を作っているわけであります。そこの責任者である方がこういう取扱いでいいとはとても思えないわけでございまして、これはこれから先も是非この問題を取り上げていきたいというふうに思っております。  そこで、高木さんの問題、もう一つ続けて申し上げますけれども、参議院の選挙の投票日の直前の金曜日に会社としての新たな役員の布陣が、これは内定人事ということでございましょうけれども、発表されております。それを、選挙のさなかですから、私も選挙終わってから気が付きまして中身を見たわけでございますけれども、持ち株会社である日本郵政の代表権を持つ副社長として高木さんはおられるわけでございますが、同時に、ゆうちょ銀行の社長を兼ねておられる。  私は、先ほどの内藤委員の御質問にもありましたけれども、持ち株会社の下でのすべての貯金銀行、かんぽ会社、そして郵便事業会社という三つの事業をやる会社、そこから委託を受けて郵便局会社という窓口を経営する会社がある、そういう関係にある中で委託をする事業会社と受託をする窓口会社、郵便局会社というのは利害関係が反するわけであります。それを調整をするのが持ち株会社だというふうに私は理解をするわけですが、その持ち株会社代表権を持つ立場にゆうちょ銀行の代表権を持つ人だけが入っているというのは、これおかしくありませんか。不公平だというふうに私は思うんですけれども、西川社長の御見解を承りたいと思います。
  69. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  確かに日本郵政株式会社はグループ全体を統括する立場にある会社でございますが、この会社がいろいろな決め事をする際には、もちろん会社の中の取締役会、これは社外役員が中心でございますが、この取締役会で審議をいたしますし、その前にグループ戦略会議というものを開きまして、その戦略会議で各社のトップを交えて議論をすると、こういう場を持っておりますので、そこのところに、この高木さんと各社との間に利益相反が起きるということはないというふうに考えております。  以上です。
  70. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 社長はこういう人事をなすったわけでしょうから当然そういうふうにおっしゃるのは分かりますけれども、しかし、それは説得力ありませんよ。  特に、郵便局会社というものが成り立つためにはゆうちょ銀行が安定的にきちっとした手数料を払うということが大前提なわけです。それは昨日の衆議院の議論の中でもなされているわけですけれども、私たち、そこを非常に気にしているわけです。  国民の財産として維持してきた郵便局のネットワークをこれからも維持すると皆さん方はおっしゃるんだけれども、維持できるような財政状況がなければ大赤字を出して、郵便局、どこも全部維持しますなんということは、それは幾ら郵便局会社の経営者が優秀であってもなかなかできるものじゃありませんので、そうなりますと、そこのところをお互いに利害調整をしなきゃならぬ。そこに、一つの会社、しかも一番強い立場にある、一番、先ほどの決算の中でも黙っていても一兆円、二兆円という利益の出るような事業を持った銀行の社長さんが行司の座に一緒に座っているということについては、私は極めて不明朗だというふうに感じざるを得ないわけでございます。  先ほどの人事院への届出のことも含めまして、高木さん御本人、今日はおいでをいただいているわけでございますけれども、御本人、どういうふうに思っておられるのか、御見解を承りたいと思います。
  71. 高木祥吉

    参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。  いずれにいたしましても、今、西川社長からもお話がございましたけれども、私としては、今現在、日本郵政株式会社の副社長として、またゆうちょ銀行の社長として郵政グループ全体の円滑な民営化のために、これは国民の利便性の向上でもありますし、職員のためでもありますし、与えられた使命をしっかり果たしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  72. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 御本人の決意は承りましたのでそれは分からないわけではありませんけれども、やっぱり人の見る目というのはなかなかそういかないわけでございます。やっぱり今、正に国民の皆さんが、あれ、今の郵政民営化になってあちこちサービスダウンが行われたり、料金値上げが行われたり、一体どうなっちゃっているんだと、民営化のときにもっと便利にします、もっと皆さん良くなるんですと言ったことと違うじゃないかという批判があちこちから出始めているときでございますので、私は、そこはもう皆さん方、本当に慎重に、どこから見ても非の付けようがないという形でお仕事をなさるべきだというふうに思うわけでございまして、一生懸命やります、まじめにやりますというお言葉だけでは物事は私は進まないというふうに思っているわけでございまして、私は、すべての会社代表権を持っていらっしゃる方が持ち株会社代表権を持つような形になさるのか、そうでなければ、高木さんは持ち株会社からお去りになるのか、何らか工夫をすべきだというふうに私は考えておりますが、社長、いかがでございましょうか。西川社長
  73. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  高木副社長は、広く金融全般につきましての知見、そして郵政民営化法またその関連法の成立に至る経緯、内容、それらについての非常に豊富な知見をお持ちでございます。そして、大変強いリーダーシップをお持ちの方でございまして、私は日本郵政グループには欠かせない人材であると考えております。  そういうことで、是非、高木副社長には当社副社長を続けていただきたいというふうに考えております。
  74. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 そういう一般論ではこの問題は解決しないというふうに私は思っております。  さきの予算委員会のときに増田大臣にもこのことをちょっとだけお尋ねをしたら、適材適所じゃないんですかというお話がありましたけれども、適材適所という形で済むような形ではない。それが私は国民の広い声だというふうに思っておりまして、是非、これはもう一度皆さん方でよく御相談をなすって、いい解決策を見付けていただきたいというふうに思う次第でございます。  今日は用意したものがたくさんあるものですから、これはほかの委員も含めてまたやっていただく、あるいは私も別の機会にやらせていただくということにして終わりたいと思います。  なお、人事院総裁、もう結構でございますので、よろしくお願いいたします。
  75. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 人事院総裁、退席いただいて結構でございます。
  76. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございました。  次にお尋ねをしたいのは、いわゆる松原委員会と言われている委員会のことでございます。  今日はこの委員会委員長でおられました松原さんにもおいでをいただいているわけでございまして、お待たせして恐縮でございましたが。  私、新聞等にも大きく報道されたものですから、実は大変権威のあるものだろうというふうに思っていたわけでございますが、昨日いろいろ資料をいただいたり説明をお聞きをしまして、これは西川社長公社総裁でおられましたときに、一定の業務の進め方について助言をいただくということで研究委託をされた、そういう私的な研究会だということが理解をできましたので、実は松原委員長参考人としてわざわざおいでいただいたのは申し訳なかったなというふうに思っているわけでございますけれども、せっかくおいでをいただきましたので、一つお尋ねをまず松原さんに申し上げたいと思うんですけれども、この仕事をするに当たりまして、その仕事の、物を考える上での枠組みといいますか物差しといいますか、そういうものについて、当時の公社ですね、総裁の方からは何か特に依頼がございましたでしょうか。
  77. 松原聡

    参考人(松原聡君) 公社が民営化するに当たって、民営化会社が筋肉質で効率的な会社であるように今ある関連法人とのいろいろな関係その他について見直していただきたいと、こういう依頼でありまして、その依頼に基づいて検討を進めたと、こういうことでございます。
  78. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 報道資料を見ましてもそのように書いてあるわけでございます。  そこで、これ西川社長に依頼者でございますのでお尋ねをしたいわけですけれども、公社、そしてまた、今、株式会社に郵政事業変わっておりますけれども、先ほど来の話にありますように、関係法律だけでなくて、国会での政府のいろいろな答弁、お約束あるいは附帯決議等々あるわけでございますが、これらは、このいわゆる松原委員会、当時は公平中立の第三者ということでお願いをしたというふうに関係資料には書いてございますけれども、そういう単に効率化をすればいいというものではないわけでございまして、いろいろな配慮をしなければいけない。  例えば、効率化のために地方の郵便局はなくしていいということにはならないわけだと思うんですけれども、そういう点についての枠組みの御提供、考え方としての留意点というようなことは、西川社長の方から、当時の総裁としてはおっしゃったんでしょうか。
  79. 西川善文

    参考人西川善文君) 先生御指摘の事柄につきましては、当然のことながら、郵政民営化関連法、その成立に至る国会での御議論、そして参議院における附帯決議、また審議の過程における政府答弁等々をきちんと守りながら我々は業務を進めなければならないということでございますので、もちろん、この松原先生が委員長となって取り組んでいただきます関連法人の見直しということにつきましても、その枠内での作業をお願いする。そしてまた、そこでいただいた提言につきまして、我々がそれを受けて、さらに実行について検討を進め実行していくということでございますが、その際も当然その枠組みの中で行うということでございます。  以上でございます。
  80. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 今回の提言と申しましょうか、報告が二つ委員会から出されております。私も見させていただきましたけれども。  今、社長のお話ですと、社長のところでこれを受け止めて、正にほかの要素も踏まえてどういうふうにしていくのかこれから考えるということでございますから、私はそのとおりなんだろうと思いますし、それで結構だというふうに思いますが、この報告自体は、私は非常に偏った物の見方で書かれているというふうに思うわけです。ですから、一方的な立場でしか書かれていないということでありますので、いろんな点を実は配慮をしてこれからお進めをいただきたいものだなと。そうしないと、いわゆる民間の大企業の下請いじめと同じことが起きてしまうんじゃないかということを私は心配をするわけでございます。  これも事前にいただいた資料でございますけれども、例えばこの提言の中でその整理のようなことが提言をされておりますもので、メルパルクだとかかんぽの宿といったようなものがあるわけでございますけれども、これにはたくさんの職員が働いているわけですね。資料ですと、かんぽの宿で千三百二十三人、メルパルクで千百七十六人、合計で二千五百人という人が働いております。  これは別に天下りでも何でもないと思うんですね。郵政のOBが何人いるんですかといって聞いたら、その二千五百人の中に五十三人いるそうでございますけれども、大方の人は郵便局で働いていたような人たちでありまして、いわゆる天下りには当たらないような人たちで、これは正にこの施設の運営のプロの人たちがやっておられるわけでありまして、こういう人たちを路頭に迷わすようなことがあってはならないと私は思うんです。  これは民営化にそもそも取り組むときに、当時の竹中民営化担当大臣が五原則と、五つの原則というのをお出しになりました。竹中五原則と言われているものがありますが、その中でも配慮原則ということで、雇用には十分配慮するんだということを言っておられるわけであります。私は、大改革をするときには当然の配慮だというふうに思うわけでございますけれども、そういう点もしっかりと配慮をしながら、全体としていかに効率的に、そして効果的に物事を進めていくのかということをお考えをいただかなければならないというふうに思うわけであります。  それから、この報告書の中で、いわゆる特定局長会と言われる団体のことについても指摘がございます。これを見ますと、私の知るところでは、特定局長会というのは任意団体だというふうに思っておりますけれども、しかし、一つ一つの郵便局、自分で所有している人もいるし、あるいは人から借りている人もいる。それを、会社に借料を払ってもらって運営をしているというところも随分あるわけでございますけれども、この提言に従うと、郵便局長会、実際は郵便局長会ではなくて別の団体のようでございますけれども、がまとめてその契約会社との間で締結をするというのは好ましくないと、一者一者とやれと、そして将来は店舗政策という観点から全部会社の方が自分で設置をしなさいというようなことを言っているようでございますけれども。これは労働組合もそうですけれども、弱い立場にいる人たちが団結して自分たちの権利を主張しなくて、どうやって会社公社のような巨大なところと対応ができるんでしょうか。私は、非常にそういう意味では無責任極まりない、正に下請いじめに近いような私は提言だというふうに思っております。  そもそも、何か借料が高いとかいうふうに書いてありますけれども、何と比較をして高いのかよく分かりませんが、こういうものを造るときには、かつての郵政の中に建築部というものがありまして、そこから、具体的にこういうふうに造れという指示をして非常に高コストの建物を造らせておいて、そして当時の掛かったコストに見合った借料を設定をしているはずなんですね。そういう事実があるから、民営化のときにも、与党自民党が中心になりまして参議院でも附帯決議が付きましたけれども、その中にわざわざこれについては配慮をすべきだよというようなことが入っているんだろうというふうに私は理解をしているわけでございます。  そういう点を含めて、慎重にやはり対処をしていただかないと、いろんなところに私は大きな弊害が出てくる。せっかく十月一日に発足をしましたけれども、これから先、みんなが一致団結をして大いに成果を上げていこうという形にならないのではないかということを心配をしているわけでございまして、これ、西川社長の御見解を承りたいと思います。
  81. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  ただいま御指摘をいただきましたメルパルクにつきましては、これは御承知のように、法律上五年以内に処分すべしということになっておるわけでございますが、その場合、当然その処分に際しては、雇用について一定の配慮をしてまいらなきゃならない。相手さんとの関係もございますので、今どれだけの期間について雇用を保障するかということについて今申し上げられる状況ではありませんが、交渉に当たっては雇用継続ということを条件の一つとして入れてまいらなければならないというふうに考えております。  それから、特定郵便局長会関係でございますが、特にこの局舎の問題につきましていろいろと松原先生を始め皆さんから御指摘をちょうだいいたしております。これを真摯に受け止めて、私ども改めて会社として検討をしてまいると、こういうことになるわけでございますが、これに関しましては、局舎問題全般を検討する会、郵便局チャネルの強化に関する研究会を立ち上げようということで、今準備を進めているところでございます。これには弁護士さん、会計士さん、不動産鑑定士さんに入っていただき、局長側からも、あるいは郵便局会社側からも入りまして、その場で諸問題をまず検討をしていただこうということにいたしておるところでございます。  以上でございます。
  82. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 是非、いろいろな方から御意見をお聞きになって、バランスのいい判断をお願いを申し上げたいというふうに思うわけであります。  例えば、先ほど触れませんでしたけれども、郵政福祉という団体があります。かつての郵政互助会だと思いますが、そこが郵便局を所有をしておって、それに借料を払うのはおかしいというような記述もこの中にあったわけでありますけれども、これはかつて、高度成長でどんどんどんどん都会に人が集まりまして団地ができる、陳情があって、郵便局を是非造ってくれというようなことで、対応しようと思っても、これは大蔵省でなかなか土地を買ったり建物を建てたりする予算が付かない。しかし、現実は待ってくれない。どうしようかというときに、しようがないからということで互助会に依頼をして郵便局を造ってもらって、それを借り上げたというような経緯もあるわけであります。そういう急場しのぎのときには使っておいて、必要がなくなったらもうあんた方は用済みだということだけでは物事は済まないのではないかということも含めて、是非よく事情をお調べの上でバランスよく対応していただきたいというふうに思うわけであります。  ところで、このいわゆる松原委員会の構成委員の方々、その後、民営化によって設立された各会社役員に五人のうち四人までが就任しておられるようでございますけれども、これ、何か公正中立の第三者委員会というふうに最初銘打っていたように新聞なんかで見るとあるわけでございますけれども、これは西川社長にお伺いをしたいんですけれども、どういう理由でそういうことをなすったのか。そしてまた、当然のことながら報酬が出ているんだろうと思いますけれども、その点についてもお伺いをしたいと思います。
  83. 西川善文

    参考人西川善文君) この委員会からは十月四日付けで第二次報告をちょうだいいたしましたが、これは実は実質的な議論、取りまとめは九月中に終わっておりました。十月一日以降に新たな検討、そして提案を行うものではなくて、最終の確認作業にとどまるということでございますので、十月一日からスタートした各会社社外役員に御就任をいただくということとの関係において、公平性、中立性に問題はないというふうに考えております。  第三次報告というものがあるわけですが、これはもう見直しの方向がほぼ固まっておりまして、会社の中におきましてその実施体制やその行程も明らかになっておりますことから、この第三次報告については早期取りまとめをお願いしておるところでございます。  そういうことで、四名の方に十月一日以降、社外取締役ないし監査役に御就任をいただいておるわけでございますが、報酬につきましては、社外取締役監査役としての世間常識の範囲内というところでございます。  以上でございます。
  84. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 そういうことになれば、あとはもう要するに日本郵政というその会社の枠の中でおやりになればいいことだというふうに思いまして、何か経済財政諮問会議の提言ではないわけですから、記者会見をしたり、そして社長がわざわざそれに対してどうこうするんだというコメントを出されたりという必要はどうもないのではないかという気がいたします。  そこで、総務大臣にお尋ねをいたしますけれども、こういう形で新聞などでも発表されている松原委員会の提言というものがありまして、これは郵便局で働く人たちあるいはその周辺にいる人たちから大変な不安の声が聞こえてきたりなんかするわけであります。私は、先ほど申し上げたように、会社として守るべきいろいろな枠組みというものがあるわけでありまして、とりわけ先般来いろんなところで、御答弁の中で大臣も触れておられますけれども、国会での政府の約束、そして附帯決議というものは会社にもきちっと守っていただかなければいけないというふうに思うわけでございますけれども、改めてどういう形で守っていただくようにするのか、その辺、大臣のお考え、御決意を承りたいと思います。
  85. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この民営化の問題でありますが、成立の際の、成立をいたしました法令、それからその際に立法府の方でお付けになりました附帯決議、これは再三私ども尊重して取り組むと、こういうふうに申し上げております。また、社長の方でもこうした附帯決議を尊重すると、こういうことをはっきりと申し上げているわけでございます。さらに、今ほどもこうした附帯決議の枠をきちんと守った中でこうした松原先生の、松原委員会の提言がその枠の中にあると、こういうお話でございますので、これから様々な毎年度毎年度の事業計画等も私ども見ていきますが、こうした附帯決議はもちろんでございますが、これまで申し上げております国会答弁等すべて含めて尊重しつつ内容をきちんと見ていきたいと、このように考えております。
  86. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 附帯決議のことにちょっと触れさせていただきますけれども、これ項目たくさんあるんですよね。十五項目ございます。したがって、一口に附帯決議と言いましても中身がいろいろでございますので、是非大臣の方も一つ一つについてどのような運用がなされているのかということについてのやはり点検をお願いを申し上げたいというふうに思っております。大臣のところではこういうものについての報告を部下等から徴されるというようなこともあるんでしょうか。重ねてお伺いをいたします。
  87. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) もちろん組織でございますので、それぞれの部局できちんとそれぞれの役割に応じて見ておりますが、重要な事項については私の方に上がってくる、こういう仕組みになっております。そうした仕組みの中で、私も重要事項については適切に判断をしていきたいと、このように考えております。
  88. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 この特に附帯決議等につきまして、どんな具合に実際との間で乖離があるのかないのかということも含めてこれから折に触れてまたお尋ねを申し上げていきたいというふうに思います。この件は終わります。  松原参考人にはありがとうございました。委員長、もう結構でございますので。
  89. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 松原参考人、退席をいただいて結構でございます。
  90. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 次に、郵便局株式会社への三事業会社からの業務委託の件、先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、触れさせていただきたいと思います。  その理由は、これはもう民営化議論のときからずっと議論になっていることでございますけれども、郵便局株式会社というのはなかなか経営が難しいと、みんなが一生懸命これ協力をしないとなかなか成り立たない会社なのではないかということでございます。  で、これ各会社の今後の損益の見通しでございますとか、特にその中で各事業を担当している会社の方が郵便局会社にどのぐらいの手数料を払うのかという、私どもずっと見させていただいております。  で、気になりますのは、私たちいわゆるその郵便局と言われているものの全体の経費というものを公社時代の経費でいろいろお聞きをしたところ、大体郵便貯金が六割ぐらいでございましょうか、負担をしているという話を従来からお聞きをしているわけであります。で、今度の皆さん方のおつくりになっておられる損益というものを見まして、その中でこのゆうちょ銀行が負担をする手数料というものを見ますと、どうも全体の五割以下のような数字になっているというふうに私は見させていただいたわけでございますけれども、なぜ公社時代に比べてそういうことになるのかなというのを不思議に思っているわけでございます。まずは郵便局株式会社、今日は会長お見えでございますので、の立場からどんなふうに各会社の手数料をお決めになっていらっしゃるのか、その仕組み等も含めてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  91. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) お答えいたします。  まず最初に、長谷川先生のその御質問の一つに、実体の職員のその業務遂行人員といわゆる手数料収入のバランスの御指摘がございましたが、確かにいわゆる郵便局窓口の業務の比率というのは御指摘のとおりでございます。  ただし、そのほかに郵便局会社におきましては、いわゆる外務員というものがおります、渉外外務員が。彼らを入れると大体その全体でいうと五割ほどの比率になっております。そういう部分を今回の手数料の中でも勘案して策定をしております。  それから、後段の御質問でございますが、この受託手数料の算定方式について三事業会社との委託契約に関しては、その数字については、まず一つ目は、受託業務にかかわる適正なその費用というものを補えるということがまず一つ目。二つ目に、郵便局会社においてその販売促進あるいはそのサービスレベル、事務品質の確保、さらには効率化のインセンティブが働くような仕組みを取り入れております。そして委託側と私ども受託側の双方の健全経営が確保されていること、これを基本的に考え、手数料の策定をさせていただいております。  以上でございます。
  92. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 なかなか分かったようで分かりにくいお話なんですけれども、それは、そうすると各社との間で交渉を行っておられるということなんでしょうか。それとも自動的に何か数式があって決まるんでしょうか。
  93. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) 交渉ということではなくて、その会社間でその恣意的な利益移転が生じないようにその市場における取引事例も参考にしながら、取り扱う業務内容に応じて従量的な仕組みを採用しております。この平成十七年度の公社決算の計数を基礎として算定された料率が郵便局会社の手数料として提示されたものというふうに認識をしております。
  94. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 そうしますと、この各会社からの委託料というのはもちろん毎年毎年見直されていくんだろうというふうに思いますけれども、業務の実態に大きな変化がなければ手数料そのものはそんなに変わらないだろうというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
  95. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) 今後のそれぞれの三事業の推移というものも見なければいけませんし、また、私どもは、新たな事業展開というものがその許容度が広い、そういう中で新規事業の収益もきちっと拡大をしていく。そういう中で、この後、手数料というものがまた考えられるだろうというふうに考えております。
  96. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 今、新規事業という言葉が出ましたので、それ触れさせていただきますけれども、郵便局株式会社のこの損益の予想を見させていただくと、今年は半分しかありませんから別としましても、二十年度で二百九十億円ぐらいの新規事業の収益を見込んでいらっしゃるわけですよね。それが、翌年は八百十億円、その翌年は一千四十億円、そしてその翌年は一千五百六十億円というような非常に大きな勢いで新規事業に収益がシフトしていくというような形になっているわけでございまして、各会社からの委託手数料というのは減少の傾向にあるような数字になっております。そして、最後の純利益というところを見ますと、大体四百五十億から五百億ぐらいのレベルのところに数字を合わせておる。ここは目標なんだろうというふうに思うわけです。  この大きな事業で四、五百億の純利益を維持するために新規事業を一生懸命やらないと会社が成り立たない、そういう構造になっているのかなというふうに思いまして、大変将来を心配するわけでございますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  97. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) 長谷川先生からそういった大変温かい御懸念の言葉をいただきましてうれしく思うわけでありますけど、それは逆に言えば私に対する一つの叱咤だとも認識をしております。  私どもが、この実施計画におきまして、主要な受託三事業についての中期的な計画、これを非常にシビアに見てまいりまして、そしてそのシビアな中でそれに対応する新規事業位置付けを計画させていただいております。これは決して難しい目標ではない、二万四千のネットワークあるいは付与されておりますもろもろの資産というものをきちっと活用すればこれらの数値というものは実現できると確信をしております。
  98. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 経営者としてはそう言っていただかないとどうにもならないわけでありますけれども、やっぱり枠組みとしてちょっと配慮が欠け過ぎているように私たち立法者の立場からは見えるわけであります。同じく郵便事業株式会社の収益の予想をずっと見ましても、大体三百五十億から四百五十億ぐらいのところにその純利益を設定しておられる。全体で二兆円の事業でございますから、ちょっと間違うとすぐ赤字に転落をする、これも大変難しい形の会社になるだろうなと。結局もうかるのは、郵便貯金の銀行と簡易保険の生命保険会社、要するに、人間が働くというよりもお金が働いてくれるところは見通しは明るいんだけれども、一生懸命地域のために貢献し、そして地域の皆さんに評価されている郵便局だとか郵便事業だとかいうところは非常に先行きが怪しいということだろうというふうに思うわけでございます。  この点については、私ども、これからまた十分に皆さん方の御説明も聞きながらいろいろなところで中身の検討をしていきたいというふうに思っておりますので、これは御協力だけ要請をしておきたいと思います。  もう時間が迫ってまいりますので、もう一点お尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  それは、十月一日以降の郵便局での、混乱というふうに申し上げたら問題があるのかもしれませんけれども、非常にいろいろな困った現象が起きているということが報ぜられております。例えば、国家公務員の共済年金の振り込みが朝方、一時コンピューターがうまく動かなくて入金されないトラブルが起きたとか、それから、民営化の初日から本人確認のシステムがうまく動かなくて、お客さんが新しい通帳を作ろうとか郵便貯金に入ろうというふうに来ても実際の対応ができずに帰っていただいたとか、そのために職員が長時間にわたって郵便局で残業をせざるを得なかったとか、いろんなものがあります。  加えて、私は非常に大きな問題だと思いますのは、内容証明郵便でございますとか特別送達ですね、これは裁判の上の証拠になるものでございますけれども、これにつきましては、従来は独立採算で税金は使っていなくても公務員だったと、公務員の資格があったということでこういう業務が確保されてきたわけでありますけれども、今回公務員を外したということで、これもいろいろな議論がありまして、認証司という特別の資格を郵便局の中にいるある一定の人たちに与えて、その人たちによってかつての公務員がやっていた仕事をやってもらうと。それによって公証力を担保するということになっていたと思うわけでありますけれども、そのことが多分徹底されなかったんでございましょう、大変大きな問題になりまして、数万件のトラブルが発生をしていると。これは場合によると損害賠償に発展をするような非常に大きな問題だと私は思いますけれども。  今総務省の方でその実態についての報告を求めておられるところだというふうに思いますので、これからどうしていかれるのかというようなことについてはその総務省の調査を待ってから改めてお聞きをしたいと思いますけれども、こういったいろいろなトラブルが起きていることにつきまして、最高経営責任者としての西川社長、どんなふうにお考えでございましょうか。
  99. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えを申し上げます。  先生から御指摘のあった問題は、システム、研修、業務フロー等様々な面で今後の課題を浮き彫りにしたというふうに認識をいたしております。特に内容証明、それから特別送達という公的なサービス、この非常に重要なサービスにつきまして、郵便認証司制度というものを十分に理解が浸透せずに不備を多発してしまったということに関しましては誠に申し訳なく思っておるところでございます。深くおわびを申し上げたいと存じます。  これらの問題につきましては、民営化直前、直後の時期におきましてフロントラインに大きな負担が掛かっておったということは事実でございますが、その中で発生したことでございますが、そのような状況下にありましても、円滑な業務遂行を確保するために郵便局社員が全力を挙げて取り組んでいただいたということに私、大変感謝をいたしております。  日本郵政グループの収益の源泉はお客様との接点であります郵便局にございます。郵便局が働きやすく、そして安心して仕事ができるようにすることが、ひいてはお客様に御満足いただき、お客様の安心と信頼を得ることになると思います。そのため、常にお客様視点と郵便局視点を第一に、業務フローやシステムについてのフロントラインの声を真摯に受け止めまして、それらを大いに取り入れましてきちんとした業務取扱いを確立できる体制を整えるべく誠実に対応していくことは、我々経営者としての大きな使命であると考えているところでございます。  以上です。
  100. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 もう時間がなくなってまいりましたのでまとめたいと思いますけれども、特に郵便認証司というような、非常に重要なミスが起きてしまったということは、私はやっぱり皆様方の現場への指導の仕方にいささか問題があったのではないかというふうに思うんです。  なぜかと申しますと、現場で仕事をするため、今回大幅に仕事が入れ替わったと承知をしておりますけれども、そのやり方が変わった、そのための指導書が何か六万ページ、それもパソコンで見る形になっているそうでございますから、六万ページになっているそうでして、作った方に言わせればいつでも簡単にアクセスができるように作ったということかもしれませんけれども、現場の人たちから見ると、何が大事なことで何が大事でないのか分からないということなんではないかということが懸念をされるわけでございます。  多分そういうこともあったんでしょう。会社の方でもダイジェスト版というものをお作りになって、これは紙でお作りになったようですけれども、三千ページのダイジェスト版というのが行っていると。これは職員が一人、局長さんが一人というようなところにもそういう指導がなされている。私は、それはもう現場の能力を超えていると思うんですね。で、簡易局はといってお聞きをしましたらば、千五百ページの指導書が行っていると、こういうことでございました。  私は、もう少しやはり、その場で調べれば済むこともありましょうし、それから問い合わせれば済むこともありましょうけれども、このやはり郵便認証司に係る内容証明とか特別送達とか、これはもうほんに一般の方々の権利義務に関する重要な中身の郵便物であるだけに、こういったミスが起きないような特別の指導というものをやはりなさるべきではなかったのかなというふうに思うわけでございます。  もう今これは過ぎたことでありますから、これから対策取られるんだろうと思いますけれども、この点も含めて現場でのそういった優先順位に間違いが生じないように、そしてもう長時間の、事実上ただ残業が郵便局でたくさん行われているというふうに私も承知をしておりますけれども、そういうことが起きないように是非ここは工夫を、早期に工夫をお願いを申し上げたいというふうに思います。  以上申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
  101. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ─────・─────    午後一時十二分開会
  102. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のうち、日本郵政公社平成十七年度及び平成十八年度財務諸表承認に関する報告に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  103. 外山斎

    ○外山斎君 民主党・新緑風会・日本の外山斎です。  今回の質問が私の国会での初質問となります。質問に先立ち、今回の質問の機会を与えていただきました委員長、理事や諸先輩方に感謝を申し上げます。総務委員会は担当する分野が多岐にわたり、間口の広い委員会ですが、諸先輩方の御指導をいただきながら一緒に議論を深めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  さて、本日の議題となっておりますのは郵政公社の決算ですが、私は、郵政民営化後の現状について、地元であります宮崎県での地域の声を御紹介しながら、絞って質問をさせていただきたいと思います。  私は、今年の夏の参議院選挙で初当選したもので、平成十七年の郵政民営化法案の審議、議論には参加しておりません。しかし、郵政民営化には多くの議員の方々が地方の郵便局とその利用者の切捨てにつながるのではないかとの御懸念の下、いろいろな議論がされたと承知しております。そうした懸念により、この参議院においては十五項目にも及ぶ附帯決議が付けられております。  郵政民営化法案は成立し、施行となり、十月一日から民営化が実施され、一か月が経過しました。その一か月間で、全国各地でもそうでしょうが、実際に私が見聞きしたところによると、宮崎県内ではサービスの低下の問題が出ているという声があります。  宮崎県には三十市町村ありますが、そのうち過疎みなし市町村と過疎のある市町村の合計は十七市町村であり、過疎率でいえば五六・七%となります。また、宮崎県の高齢化率も二三・五%となっております。高齢化率の高い市町村では人口減少率も高く、平成十七年の国勢調査平成十二年の国勢調査との比較では、宮崎県全体では増加率はマイナス一・四%であり、県内でも人口減少率が一番高い諸塚村ではマイナス一一・七%となっております。  一昨年の法案審議の中で竹中郵政民営化担当大臣は、郵便局ネットワークの水準を維持すると答弁されておりますが、今後過疎地域においてユニバーサルサービスが維持されるのかどうか、まず、確認のため増田総務大臣西川社長のお考えをお聞かせください。
  104. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 当然、このユニバーサルサービスの維持というものは、法令におきましてもそういったことが義務付けられているわけでございますし、それに基づきまして様々な規定を置いてございます。こうしたことを当然守りながら、今後ともユニバーサルサービスというものを維持していかなければならない、そして現実にそれを維持していきたいと、このように考えております。
  105. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  私どもは、郵政民営化には、民営化しても変わってはいけないことと民営化で変わるべきことというこの二つのテーマがあると考えておりまして、我々グループとしては、変えてはならない価値のためにこそ変わらなければならないという考えでおるわけでございます。  変えてはならない価値と申しますのは、申すまでもなく、郵便局ネットワークを通じたユニバーサルサービスを堅持していく、今後も堅持していくということでございます。また、そのためには、全国津々浦々にまで張り巡らされましたネットワークをむしろアドバンテージとして競争力に転換させていくということも必要であろうと考えております。民間企業としての効率性、収益性とユニバーサルサービスの維持という公共性、この両立を図っていくということが日本郵政グループの大きな使命であると考えております。  以上でございます。
  106. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。維持するとお答えがありましたが、是非将来にわたっても維持するようお願い申し上げます。  しかしながら、一方、サービスの低下という声も聞いておりますので、その点についてお尋ねしたいと思います。  過疎地域では銀行の支店もなく、郵政民営化までは郵便局が唯一の金融機関であり、ほかにあっても農協ぐらいで、これも統廃合によって減少しているところが多くあります。民営化の方針が決定された後、地元の簡易郵便局が一時閉鎖となったところもあります。  附帯決議の第一項の中に、国民の貴重な財産であり、国民共有の生活インフラ、セーフティーネットである郵便局ネットワークが維持されるとともに、郵便局において郵便のほか、貯金、保険のサービスが確実に提供されるよう、関係法令の適切かつ確実な運用を図り、現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう万全を期すること。簡易郵便局についても郵便ネットワークの重要な一翼を構成するものであり、同様の考え方の下で万全の対応をすることとなっており、簡易郵便局のネットワークは当然維持されるものと理解しております。  一時閉鎖となった理由は様々なものがあると思いますが、その中でも、簡易郵便局の事業者から自らが契約を返上したところもあると思いますが、これらは再開へ向けて努力するということですが、その新たな引受先はどのようにお探しになるのでしょうか。川会長、お聞かせください。
  107. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) お答えいたします。  現在、簡易局の一時閉鎖はおよそ四百局ございます。これらは、受託者の御都合等によって委託契約がなくなり、現在一時閉鎖という対応をさせていただいております。  これに対して、平成十九年一月以降、簡易郵便局の基本手数料を増額をいたしました。また、パソコン、防犯カメラあるいはシュレッダー、さらにはユニホーム、これらを公社の負担で配備をいたしております。また、従来になかった制度として、新たに定期的に簡易郵便局を訪問して業務品質を点検する、あるいは受託者の相談相手となる、そういった簡易局サポートマネージャーを全国に三百七十五名配置をいたしました。  このような対応をすることで、平成十九年度の上期においては百二局の簡易局が再開しており、これからも受託者の確保のため、地方公共団体や自治会等、あるいは地元の方々に対してより積極的な協力依頼を行いながら受託者の公募等に努めてまいりたい、一時閉鎖局の再開に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  108. 外山斎

    ○外山斎君 附帯決議にもあるように、簡易郵便局の維持も国民の利便に支障が生じないよう万全を期することとなっております。しかし、先ほども言われましたように、四百局も簡易郵便局が閉鎖されており、これらを再開させるための努力はどのように行っていくのか、更に言えば、引受手が現れない場合はどうされるのかということをお聞かせください。
  109. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) この後の一時閉鎖の対応でございますが、簡易局の、従来、先ほど申し上げました、今年に入ってからの新たないろいろな施策、これらをまず一つはきちっとその効果を検証する、あるいはそういうことをきちっと新しい受託者の方々に提案をしていく。と同時に、民営化後のこの簡易郵便局の運営と事務取扱の実態を把握して、その結果も踏まえて、今後、簡易局受託者の代表の方々や、あるいはその関係する地方の代表者、さらには地方で受託者の募集事務を担当している実務者等による新たな検討会を設けて、より有効な受託者確保を検討してまいりたいと考えております。
  110. 外山斎

    ○外山斎君 特に地方では不便を感じている方が多いわけですから、一日でも早くすべての簡易郵便局が再開されるよう努めていただくことを望みます。  そこで、過疎地における郵便局の設置基準についてですが、総務省令第百三号の郵便局株式会社法施行規則についてお尋ねします。  同施行規則では、郵便局株式会社法第五条の規定に基づき郵便局の設置基準を定めています。同施行規則の第一項では、過疎地については、法の施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として、次に挙げる基準により郵便局を設置するものとするとなっており、その三に、交通、地理その他の事情を勘案して、地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていることと書かれております。  過疎地域では、利用者数の関係などで公共の交通機関であるバスが路線廃止となるケースも多くなっております。これまでは近くにあった郵便局が廃止となってしまいますと、容易には出向くことができなくなりますし、宮崎県の諸塚村では、行政が補助により経費の半分を負担しているコミュニティーバスを一日三便運行しておりますが、これも厳しい村の財政の中からどうにかして出しているものであり、将来にわたり長く運営できるかどうかは不明です。  増田総務大臣も岩手県の知事の経験をされた方であり、地方における郵便局の果たす役割、その重要性について御理解していただけるのではないかと思います。郵便局ネットワークの設置基準を定めたこの省令について、どのように実効性を確保していくのか、教えていただきたいと思います。
  111. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の設置基準ですけれども、まず、今先生の方で御紹介いただきましたような規定を各会社が見ておりますので、それに沿った形で当然会社の方もこの設置等について考えるわけでありますが、そうしたこの個別の設置あるいはネットワークの改編によって、こちらの方が便利だということであれば移転をしたりするわけですが、そうした設置、移転、さらには廃止という事柄については郵便局会社が毎年度総務省の方に事業計画を届けることになっております。  したがいまして、その中に記載をされる事項でございますので、総務省としても事前に把握が可能でございます。私どもも事前にそうしたものを見て、そして設置基準との関係において我々が必要であると、このように判断すれば、更に会社の方から報告徴収をしたり、あるいは場合によっては監督命令などを発することができると、こういうことになっておりますので、そうしたことによりまして、こうしたネットワークがきちんとその水準が維持されているかどうか、そうしたことを我々がチェックをすると、こうしたことによって設置基準については十分に実効性が確保されているものと、このように考えております。
  112. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。  増田大臣も当時委員であった郵政民営委員会の第四回の会合で施行規則の条文について議論した際に、一般的には数が減るとサービス水準は下がりますよねと発言したとおり、郵便局の数の維持が大事だと認識されているわけですから、十分な郵便局の数の確保をお願いしたいと思います。  次に、郵便局の再編についてお尋ねいたします。  郵便局の再編により、全国で約一千局の集配特定郵便局が無集配郵便局となりました。例えば、宮崎県の諸塚村では、諸塚郵便局と七ツ山郵便局と二つの郵便局がありますが、今回の再編により七ツ山郵便局は無集配局となりました。  地域住民からは、再編されたということで新聞の朝刊がこれまでは午前中に届いていたものが夕方配達となってしまうとか、不着の郵便物を遠く離れた郵便局まで取りにいかなければならなくなったといった苦情が出て、大変に住民が不都合を感じているそうです。宮崎県内の過疎地域では、平均で二、三時間の配達の遅れが出ているという声も聞きますが、これは民営化によって明らかにサービスダウンとなっております。地域住民からのこういった苦情に対して今後どのように対応されるのか、北村会長のお考えをお聞かせください。
  113. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) お答えいたします。  配達時間が遅くなったとの御指摘でございますけれども、集配拠点再編実施後も、お客様にお約束した送達日数はこれまでと同様に確保しているつもりでございます。  具体的には、通常郵便物については、これまで一日掛けて配達する仕組みでした。今回、集配する拠点が変わったことから、配達区域や配達順路というのが見直された結果、午前が午後になったり、午後が午前になったりという状況になっているのも事実でございます。速達や小包については従来と変わりありません。日刊紙についても同様に、再編によって配達時間が午前から午後になったというようなところもありますが、できる限り早い時間に配達するよう今後とも工夫してまいりますので、御理解をお願いしたいと思います。  今後、集配拠点再編後の実態というのをよくフォローして、業務方法や仕組みなんかをいろいろ分析して、より良質なサービスが提供できるように個別に検討してまいりたいと考えております。  以上です。
  114. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。地方においては、郵便サービスは生活に密着したものでありますから、サービスの低下ではなく、せめて以前のようなサービスの維持をしていただきたいと思います。  そこで、もう一つの地方の郵便局が行ってきたひまわりサービスについてお伺いいたします。  郵便局の集配再編によってサービス低下が懸念されますひまわりサービス。これまでは、郵便局と地方自治体、社会福祉協議会とが協定して在宅福祉サービスを行うひまわりサービスでは、郵便配達の職員が、独り住まいの高齢者の健康状態などに変化がないか、不都合がないかなどの見守り、声掛けによる確認なども行っておりました。しかしながら、郵便局の再編によってこれまでより広い地域を担当することになった配達職員は、これまでのようにひまわりサービスを行うことが難しくなっているのが現状ではないでしょうか。  特に、郵便局の再編は、道路事情が良くなったことを前提として、徒歩、自転車、バイクを利用していたところも、バイクや自動車の利用が可能であることから広範囲の配達もできるとして再編されております。これはすなわち、広い範囲を効率的に回らなければならないということであり、郵便の配達に遅れが出ているという中で更に効率を求められるのでは、おじいちゃん、おばあちゃんの様子を一軒ずつ見て回ることなどできないと考えます。また、これまで身近にあった局が無集配局となり、顔見知りの配達の外務職員ではなく、他の地域の外務職員が回ってきてもなかなか頼みにくいというケースも出てきております。  身近な局があったからこそできた高齢者向けのサービスであり、行政と協定して行ってきたサービス活動も低下し、形骸化してしまうと心配する声も出てきておりますが、こうした声については、また、サービス継続など対処についてはどうお考えなのか、北村会長、お聞かせください。
  115. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) お答えいたします。  郵便事業株式会社は民営化後も引き続きましてひまわりサービスの提供等に取り組んで、社会や地域への貢献に努めているところであります。集配拠点再編実施後も、様々な工夫をすることで、ひまわりサービスの提供というものは可能であると考えております。  今後、地方自治体や社会福祉協議会等の御意見も踏まえながら、あるいは局会社とも連携を取って、ひまわりサービスを維持存続していくよう、あるいは存続していくことによって地域の御期待に沿えるように努力していきたいと思っています。  以上です。
  116. 外山斎

    ○外山斎君 このひまわりサービスも地域生活にとって大変な重要なものでありますし、サービス低下がないよう、今後も継続してサービスを行っていただけることをお願い申し上げます。  ひまわりサービスの維持などにも活用されると言われている社会・地域貢献基金がありますが、現行の制度では地方の郵便局がやっていけないのではないかとの心配の声もあります。基金が積み上がる前に、過疎地域におけるサービスを維持するために基金から交付するというお考えがあるのでしょうか。その点について西川社長の御所見をお伺いしたいと思います。
  117. 西川善文

    参考人西川善文君) 先生御承知のとおり、社会・地域貢献基金は、その運用益を社会・地域貢献業務の実施に要する費用に充てるため、持ち株会社において利益の中から積み立てるものでございます。  まず、その中で社会貢献業務としては、心身障害者団体が発行する定期刊行物を内容とする第三種郵便物、盲人用点字・録音物等の第四種郵便物等が想定されまして、基金から資金の交付を受けなければ当該サービスの水準を著しく低下することなく実施することが困難であると認められる場合に限り資金を交付することができるものでございます。  しかし、これらのサービス自体が赤字でありましても、郵便業務全体でその費用を賄うということが可能な場合には資金の交付は不要でございまして、近年、郵便事業が黒字を確保していること、そしてさらに、この先効率化等に努めまして収益の改善を図っていくということをかんがみますれば、本業務が実施されるということは当面想定し難いと考えられます。  また、地域貢献業務としては、金融サービスが主たる対象として想定されるわけですが、地域住民の生活の安定のため必要であり、郵便局会社以外のものによる実施が困難で、基金から資金の交付を受けなければ実施が困難と認められる場合に限り資金を交付するということができるものでございます。郵便局会社と委託元の金融二社との間に長期安定的な代理店契約が存在するということを勘案いたしますれば、当面、本業務が行われることは、これも想定し難いと考えられます。  なお、仮に基金が十分に積み上がる以前に資金の交付が必要だというような事態が生じた場合には、基金を、基金そのものですね、運用益ではなくて基金そのものを取り崩すということも法律上認められておりまして、このような法律の規定を活用して対処してまいりたいと考えております。  以上です。
  118. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。ちょっと時間が迫ってきておりますので、次の質問に移らせていただきます。  次に、地方における金融サービスについてお尋ねします。  郵政民営化法では、郵便局株式会社への委託が義務付けられているのは郵便サービスのみで、金融サービスの委託契約については移行期間後は義務付けられておりません。旧日本郵政公社時代の郵便局の窓口に掛かる費用の約七割は貯金業務による収入で賄ってきたことを考えると、委託契約が切れた際、株主優先の経営方針となり、取扱いの少ない、特に地方の郵便局への業務の委託は打ち切られるのではないかと心配しております。  移行期間後も引き続き委託契約を行うべきだと考えますが、古川会長と進藤会長に御決意をお伺いします。
  119. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) 私どもゆうちょ銀行は、多くのお客様の身近にあって親しまれている全国の郵便局ネットワークをメーンチャネルとして最大活用いたし、良質な金融サービスを提供していくことが当行の基本的なビジネスモデルであると認識をいたしております。  このような観点から、郵便局会社との長期安定的な一括の代理店契約を締結しているところでございまして、また、こうした当行のビジネスモデルからいたしますと、いわゆる十年間の移行期間終了後も幅広い郵便局会社は最も重要なビジネスパートナーであり、引き続いて業務を委託していくことになるものと考えております。  以上であります。
  120. 進藤丈介

    参考人(進藤丈介君) お答え申し上げます。  かんぽ生命と郵便局会社の委託契約につきましては、郵政民営化法や国会における御議論等を踏まえまして、受委託関係が移行期間十年を超えても長期安定的に継続的なものとなるように、業務委託契約を締結したところであります。  具体的に申し上げますと、契約期間につきましては、委託契約書において平成十九年十月一日から十年間としまして、十年経過後は期間の定めのない契約に移行すると定めております。そういうことによりまして長期の代理店契約を確保していると存じております。  また、各郵便局とかんぽ生命と個々に委託契約を締結するのではなく、郵便局会社としてかんぽ生命と委託契約を締結する形を取っておりますので、全国一括の代理店契約を確保しているところであります。郵便局会社は、新規販売契約の大宗を占める重要な販売チャネルでありまして、また、郵便局会社の全国ネットワークを活用することによりまして、お客様からの保険料の収納、保険金のお支払等の業務を全国展開することが可能であります。  このように、かんぽ生命にとりまして郵便局会社との業務委託契約は大変重要なものであると考えておりますことから、民営化移行期間終了後も引き続き郵便局会社への業務委託契約を行うものと考えております。  以上でございます。
  121. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 自由民主党の礒崎陽輔でございます。  まず、増田大臣には、今回、就任のお祝いをしようと思いましたら、それをしないままに再任のお祝いをしなければならなくなりましたが、私も増田大臣の再任を心から希望していた者の一人でございまして、総務省の仕事は大変広うございまして大変だとは思いますが、いろいろありますけれども、なかんずく地方団体、千八百地方団体の期待に沿うよう、あるいは期待にかなうよう、どうか御活躍いただきたい、そのようにお願いをいたしておきます。  今日は郵政公社の決算でございますから、その質問から先にやらせていただきたいと思います。  私は郵政民営化賛成の立場であります。ただ、数年前、四分社化を含む郵政民営化法律案というのを、この分厚いのを見させていただいたときには、これは変な法律ができたなと正直思ったものであります。しかし、あのころ私が国会議員やっていたら今どうなっていたかなという、考えないこともないんですが、ただ、最近はよく、やはりゆうちょとかんぽという金融機関が入っている、その中での民営化を図るというのはやはりこういう形になるのかなというふうに今は考えているところであります。  ただ、今、午前中、民主党の皆さんからいろいろ御指摘がありましたように、いろんな問題がないこともないわけであります。そうした国民の民営化に対する不安に対して私はきちんとこたえていかなければならない、そのように思っておるわけでございますので、少し目線を下げまして、卑近なところから御質問させていただきたいと思います。  まず一つ目は、今も、これも外山委員の方から御質問ありましたけれども、集配局の再編、これがやっぱり地方はかなりショックであったわけであります。ただ、これも、余り難しいことを言わずに、地元の人に一体何が一番困っていますかと言うと、不在郵便で困っておると言うんですね。昔は集配局がたくさんありましたから、不在郵便を取りに行くのが近くの郵便局で良かったんですけれども、最近はもう遠くになったと。それも、同じ市の中じゃなくて、隣の市だとか隣の隣の市だとか、そんなことがあると、そういう話をよく聞くわけであります。  これ、いろいろな仕組みがあるというふうに私は聞いておるんですが、やはり不在郵便を遠くの集配局が取りに行かないということについて、私の聞きたいのは、お客様に対して皆さんどういうお答えをしておるかということをお伺いをいたしたいと思いますので、郵便事業の北村会長、お願いをいたします。
  122. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) お答えいたします。  不在持ち戻りの郵便物は、これまで郵便局窓口に取りに来ていただくというのを基本としておりました。しかし、集配拠点再編実施後は民間の宅配便と同様に、土日を含めてこちらからお届けするという体制として、サービスの低下を生じさせないように取り組んでおります。それから、郵便局や支店の窓口でお受取を御希望されるお客様に対しては、事前に御連絡いただければ、お近くの郵便局や支店の窓口でお受取できるように御案内をいたしております。  具体的には、集配拠点再編の実施時期に合わせて、こういう御案内のチラシの全戸配布や郵便局窓口への周知文の掲示、自治体広報誌への掲載等々、いろいろやってまいりました。そういう形で御理解をいただけるように努めてきたところでございます。  以上です。
  123. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 郵便のライバル会社である宅配便の会社では、大体最終便で八時から九時ごろまで再配達をやってくれます。また、最近の宅配便の会社ではドライバーの携帯電話の番号が不在のシールの中に入っていますね。そのくらいのサービスをやっています。よく分かっていらっしゃると思いますから、どうかそのレベル、同じレベルで、競争会社と同じぐらいのレベルのサービスをまた考えていただきたいと思います。  もう一つは、よく言われるのは、今度はゆうちょ会社の方にお伺いいたしますけれども、為替手数料が大幅に上がったというふうな御不満をいただいております。昔は一万円までが百円、十万円までが二百円、それを超えるものは四百円ということですね。それが十月一日からは、三万円までが四百二十円、それを超えるものは六百三十円と。六百三十円って、正直言って私も随分お高いんではないかと思いまして、それはいろいろなことがあってそういうふうなことになったと思うんですが、これも一体、これもお客様にどういうふうに御説明をなさっているか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。  ゆうちょ会社の古川会長、お願いいたします。
  124. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) 私どもゆうちょ銀行の送金決済サービスにかかわる料金につきましては、各サービスのコストを勘案し設定することを基本にいたしまして、民営化に伴い課税される印紙税相当額もそのコストに反映をさせていただいております。  先生、せっかく具体的におっしゃっていただいたので、もう少し私の方からも具体的に申し上げますと、送金決済サービスの件数の大宗を占めます口座間送金の料金につきましては、郵政公社で提供していた時代の料金をそのまま設定をいたしております。なお、口座間以外の代表的なサービスであります通常払込みについては、料金の水準を維持はしておりますが、三万円以上の払込みについては印紙税負担額を反映させた結果になっております。  一方、非口座あての送金決済サービスは、これは他の銀行では取り扱っておりませんが、ゆうちょ銀行ではお客様の利便性を確保する観点から従来どおり提供を続けてまいります。ただ、提供には一定のコストが掛かるため、その一部を料金に反映させたものでございまして、是非御理解をお願いしたいというふうに存じております。  なお、ATMを利用した総合口座間の送金については、先月以降でございますね、料金を無料にさせていただいておりまして、より一層の御利用をいただくことで民営化のメリットを是非実感をしていただきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  125. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 御説明を聞けばそういうことかなと思うんですけれども、やはり六百三十円は大分高いですわね。やっぱりもうちょっと配慮していただいた方がよかったのかなと、感じを私も率直に受けます。  そこでお聞きしたいんですけれども、今の二点について、私はホームページ見たけれども、余り今の不在郵便の問題とか今の為替手数料の値上げの問題とか、きちんと説明していないんじゃないかと思うんですね。それからパンフレットは、私皆さんのところの全部持っておるわけじゃありませんので確証はありませんけれども、今御答弁なさったようなことが本当にホームページやチラシなどできちんと御説明されておるんでしょうか。  そこを事実確認として、郵便事業の北村会長と、ゆうちょの古川会長にちょっとお伺いいたします。
  126. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) ホームページやパンフレットの中できちんと説明しているかという件でございますけれども、集配拠点の再編につきましては平成十八年の六月二十八日に報道発表したものですけれども、これに合わせて当時の公社ホームページにこの内容が掲載されております。  また、施策内容でございますけれども、地域の皆様に広く御案内するため、八月から九月下旬にかけて、全国の主要地方紙約四十七紙に周知用の広告も掲載をいたしました。さらに、実施前には、御案内のチラシの全戸配布や郵便局窓口への周知文の掲出、自治体広報誌への掲載依頼など、周知徹底を図って御理解いただくよう努めてきたところでございます。  なお、自治体やお客様から周知が不十分でないかとの御指摘をいただいた際には、改めてチラシを配布するなど周知の徹底に努めたいと思っております。
  127. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) 為替も含みますゆうちょ銀行が提供いたしております送金決済サービスの料金等につきましては平成十九年六月二十二日の報道発表を行いまして、郵便局においてゆうちょ銀行が提供する商品、サービス、料金等に関するお知らせというものを配布をいたしました。さらに、ホームページにおいても料金改定の内容を掲載することによりまして周知を行ってまいりました。  ただ、皆様からもう少し徹底した方がよかったんではないかという、そういう率直な御指摘を賜っておりまして、この点につきましてはいささか反省をいたしておるところでございます。今後、かようなことがないようにしたいと存じております。  以上でございます。
  128. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 集配局の再編というんではなくて、今言ったようにもっと卑近な話ですよね。要は、遠くに取りに行かなならぬのにどうしたらいいんでしょうかというので、そうじゃなくて、電話掛けていただければ何時ごろまでに配達しますというようなことをどこに書いた、さっき言ったらまだ公社のホームページと書いていましたけれども、公社のホームページということは今の郵便事業のホームページには書いてないということですね。  それから、手数料の方は私はちゃんと見てきましたから、何円が何円に上がったとだけは書いていますよね。だけど、それみんな怒っておるわけですよ、六百三十円になって。何で六百三十円になったとかいうのはホームページのどこにも書いてないんですよ。それがもう何か不親切じゃないかなと私は言っておるんです。今ホームページ使える人がすべてじゃないからホームページだけでいいというわけではないと思いますけれども、非常にまだ不親切なんです。  そこで、もう少し一般論として西川社長にお伺いしたいんですけれども。先ほど民営化でいいところ悪いところあるというお話ありましたけれども、私はもちろん民営化は賛成でありますけれども、やっぱり、最近何か役所は悪くて民間はいいというようなことを言う人がおって困るんですけれども、やはり民間のいいところ悪いところあると思うんですね。  民間のホームページというのは基本的には営利目的でありますから、すべてがそうとは言いませんけれども、非常に臭いところにはふたをしたようなホームページになっておるわけです。非常にホームページもきれいです、今の日本郵政のホームページ。きれいでよくできていますけれども、そんなことが大事なんではなくて、やはり郵政民営化というものに対する私は国民の、何というか心配というものがすべて払拭されたわけではない。だから、そういうようにお客様に対するサービスが低下するようなところはきちんと、これこれこういう理由でこうなりましたと、だけど、これこれこういう努力でなるべくサービスが低下せぬように努力をしていますというのをやはりもっと国民に分かりやすいようにやらないと、これはもう成り立っていかぬと思います。  そういうことで、全社お答えしていただくわけにもいきませんので、それを代表してちょっと西川社長の方から一言。
  129. 西川善文

    参考人西川善文君) 先生の御指摘、誠にごもっともなことでございまして、やはり民営化という大変大きな変革期でございますので、従来以上にお客様の立場に立って、お客様に本当によく理解していただけるような分かりやすい、ホームページを始め周知広報をやっていく必要があると考えます。今後努力してまいります。
  130. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 努力いただけるということでありますからいいんですけれども、今言ったように、都合の悪いことをちゃんと書いてくださいね。都合のいいことだけとか、極めて今のホームページというのは技術的な、前の貯金通帳は今も使えますよとか、そんなことばっかり書いていて、今言ったような料金が上がりますとかちょっと不便になりますと、郵便の関係で不便になりますとかいうところがもう、よく見たんですけれども、私も、どこも書いていない。日本郵政のホームページからぱあんとジャンプしたらばいきなり各社のところに行くんですが、各社も書いていない。どっちも書いていないんです。もっともっとやはり国民の気持ちを考えて、お客さんの気持ちを考えて、臭いところにふたをしないで、あえてその臭いところにちゃんと、これこれこうなりますということを書くような、そんなホームページにしてほしいと思います。  その今のお客様ということに関連いたしまして、ちょっと私の地元の大分市の事案を一つ申し上げたいんですが、いきなり地元の話をするのは、私も新人議員でございますのでお許しをいただきたいと思うんですが。  大分東郵便局というのがありまして、話は昭和五十七年までさかのぼるんですが、そこに大東中学校という、大きい東と書く、大分の東という意味ですね、大東中学校というのがありまして、そこの中学校舎の移転を行いました。移転を行ったんですが、そこにスポーツ施設が全くなかったんですね、その地域は。そこで大分市は、学校は移転しましたけれども、その学校の体育館というのはそのままそこに置いていて社会体育施設として使おうということで、しばらく開放していたわけなんです。  ところが、平成八年になりまして、大分の中央郵便局が狭くなったものですから大きな集配局を一つ造ろうということで、これも大分東郵便局というのを造ろうということでいろいろやったら、もう土地がそこぐらいしかいいところがないということで、その中学校跡地を郵便局用地としてもらい受けられないだろうかというような話が大分市の方に来たわけであります。その中でも、それはいろいろ交渉はしたんでありますけれども、一番の懸念が、今までそこは、体育館は体育施設として使っておったわけですから、それをぶっ壊して郵便局を造られたらその地域の体育館がなくなってしまう。それでまあ一年余り交渉いたしまして、平成九年に確認書を結びまして、新しく郵便局が造る体育館を地域の人の社会体育のために開放しますよということの確認書を大分市と郵便局の間で締結いたしまして、それからずっとお約束を守っていただきまして、ずっとうまくいっておったわけです。  ところが、今度民営化が決まった途端にこれはもう大変な事態になりまして、平成十年に一方的に住民に対して使用料を徴収するという通知が出ております。また、平成十八年の八月に、今までは夜間、土日も使っていたんですが、もう夜間、土日は使わせないという利用制限の通知を一方的に地元に郵便局長が出してしまった。それから、これはもうその地域、大混乱になりまして、もちろん黙っていたわけじゃないんですが、大げんかが始まったわけであります。ちょうどその東郵便局の前には運動用地がありまして、そこに網のフェンスがあるんです。むしろ旗とは言いませんけれどもプラカードがぱあっと出まして、郵便局けしからぬというような話が出たわけであります。これはただ、自民党の市議会議員から社民党の市議会議員までみんな一致してけしからぬと言っておるんですが、これの窓口である九州ネットワークセンターというところは、もう本社から言われているから駄目だと言って、もう門前払い、話もしない。そんな状況が一年ぐらい続いていたわけであります。それはもう御承知だから、余り詳しいことは言いませんけど。  ただ、最近ちょっと態度を改めていただきまして、今、前向きに大分市とお話をしていただいていると私は聞いておりますが、地元の人というか、まあ私の地元ですからやっぱり地方の人って言わせていただきますけど、非常に純朴でして、もう皆さんが態度を改めた途端に、いやいや礒崎さんからも郵政の皆さんにお礼を言っておいてくれと、今もうそんな感じまでなっておるところなんですけど。  それはともかく、何かこう、こういうことを民営化でやっていたらこれは大変なことになると思うんですね。今まで郵政省でずっと約束しておったことが、民営化をやるから、今まで住民と約束していた体育館の開放はもうしませんと。まあいろいろセキュリティーの問題とかいう問題もあったのももちろん聞いておりますけど、そういうことをやっちゃったら、これはもう愛される郵便局には私はならないと思います。もっともっと、私が思うには、民営化したからこそかえって社会貢献、大事だと思うんですね。今、いろんな大会社も一生懸命社会貢献ということをおっしゃっています。もちろんいろいろお話があって、経営のことがまず大変だと思いますけれども、やはり社会貢献活動というのをきちんとやっていく必要があるんではないかと思います。  先ほどのローカルな話はもう、それについてどうこう御答弁は求めませんが、一般論としてもうちょっと、民営化したからこそそういう社会貢献活動も積極的に取り組むべきではないかということについて、西川社長と郵便事業の北村会長にちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  131. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) お答えいたします。  大分東郵便局の件については承知しておりませんでしたけれども、当社の社屋については会社が遂行する事業の用に供する目的での利用に限定をしておりますが、社屋における秩序の維持等に支障がない場合には、当社が主催又は共催する催しなどについては利用ができるようにしております。あるいは、このようなことから、これまで同様、例えば絵手紙教室とか地域の皆様に御利用いただいているところもありますけれども、今後とも礒崎先生がおっしゃるように、郵便事業が地域に愛される、愛され親しまれるよう、ということでございますけれども、是非そうなるように努めてまいりたいと思います。  以上です。
  132. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  民間企業として社会貢献活動は極めて重要なものであると認識をいたしておりまして、日本郵政グループとしてもCSR活動の一環として積極的に取り組んでまいる所存でございます。顧客満足度の向上、人に優しい事業環境の整備、地域社会への貢献の推進、環境保全活動の推進などを掲げまして、グループ各社が取り組むことといたしております。一例を挙げさせていただきますと、この平成二十年用の寄附金付年賀はがきの一つといたしまして、寄附金の対象を温室効果ガス削減に取り組むプロジェクトに限定したカーボンオフセット年賀というものを発行いたしまして、あわせて日本郵政グループとしてもお客様と同等額の寄附を行うことによりまして京都議定書に定められた日本の排出削減目標でありますマイナス六%に貢献をいたしたいということで取り組んでおるところでございます。  いずれにいたしましても、グループ各社の事業が本来持っております社会的役割の重さにかんがみまして、社会貢献を始めとするCSRの実効ある推進を経営上の最重要課題の一つと位置付けまして、人的資源、物的資源を適切に投入してまいる所存でございます。  以上です。
  133. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 御答弁いただきまして、大変ありがとうございます。これもホームページを見ましたら大変いいことを一杯書いているんですよね。だから、それを本当に、ホームページに掲げておるだけではなくて実現していただきたい、しつこいですけど、まあ住民からむしろ旗揚げられるようなことをしておっちゃいけませんので、やっぱりそこは本当に地域住民と一緒になって歩んでいただきたいと思います。いろいろ細かいところはまた別個別個にお伺いいたしたいと思います。  今言ったその愛される郵便局ということで、これは質問ですけれども、郵便局のコンビニ化であるとか、最近は引っ越し部門も何か手を出そうかなというふうな話も聞いております。そういうような郵便局の多角経営といいますか、従来の郵便局だけじゃなくて、多分住民票を取れるとかそんなことを昔拡大しましたけど、民営化になったからもっともっといろんなことができるようになるんだと思うんですけれども、こういう郵便局の経営の多角化についてどのようなことを検討なさっておるのか、これは郵便局会社でよろしいんですかね。じゃ、よろしくお願いします。
  134. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) ただいまの民営化された郵便局の新しい地域へのサービス、このことについてはこれから積極的に対応してまいりたいと思います。  その新規参入に当たりましては、特に、ただいま申し上げました地域住民の利便性の増進に資する業務を営むと、こういう私ども会社の目的を踏まえつつ、まず一つ目にお客様のそれぞれの地域のニーズを的確に対応していくこと、二つ目にそのグループ各社からの受託業務を収益の中核としつつも更に健全な経営を確保する観点から収入源の多様化を図りたいと考えております。郵便局ネットワークあるいは最大の経営資源である人材、そして局舎等のこれらの経営資源を有効に活用したいと考えております。郵便、貯金、保険の三事業との連携や相乗効果が期待できる領域を中心にまず展開をしたいと考えております。  このような観点から、幾つかのサービスというものを、現在、検討あるいはスタートをさせております。  一つ目は、産直品のカタログ販売、あるいは今日から年賀状の発売がスタートいたしましたけれども、郵便局会社の店頭におきましては、年賀状の販売だけではなくて、それに新たに印刷サービスを加えたような、そういったサービスもスタートいたしております。また、これも十月一日から、損保、自動車保険の取扱いを新たに首都圏二十三局でスタートをさせていただいております。また、この後、幾つかのサービスを検討中でございます。郵便局にふさわしい、郵便局のスペースを活用した店頭販売や、ただいまございました引っ越しの取次ぎサービス等というものを今検討をさせていただいております。さらには、金融商品として変額年金保険、あるいは第三分野、がん保険中心でございますが、あるいは法人向け商品などをなるべく早く、環境が整い次第スタートをさせたいと考えております。また、保有する資産の有効活用として、収益力の高い物件を開発して賃貸や、あるいは分譲を行うなどの不動産事業にも今後積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。
  135. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  余り詳しいことを言うとライバル会社からすぐ邪魔しに来ると思いますから、まあ言われないとは思いますけれども。非常な、経営が難しい中ですから、いろいろやっていろいろな収益を上げることはいいと思いますけれども、逆に、まだ武士の商法に是非ならないようによく考えて、収益を上げて、かつ地域に親しめる郵便局にしていただきたいと思います。  次に、三事業一体ということをお伺いしたいんですけれども、私もこの一年間、地元、私は大分県ですけれども、ずっと回ってまいりました。特定郵便局長さんのところ、今となっては旧特定郵便局長さんということになるんでしょうけれども、回ってまいりましたら、礒崎さんと言って私の手を握って、涙を浮かべて、とにかく三事業一体だけは何とか守ってもらえませんかという特定郵便局長さん、たくさんいらしたんですね。だから、もちろんこれはもう民営化法案成立した後ですから、別に四分社化がけしからぬという意味ではもうないと思うんですね。  私がいろいろ解説する前に西川社長にお伺いしたいんですが、特定郵便局長さんが、もう民営化法決定後に更に三事業一体をきちっと守ってほしいというのはどういうお気持ちで言ったというふうにお考えになるか、ちょっと感想をお伺いしたいと思います。
  136. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  三事業一体ということを窓口の局長が御希望されるという意味は、やはり郵便局におきまして、引き続き郵便、貯金、簡保のサービスが提供されるということが重要だという意味だと思います。そうすることによりまして、我々としてもグループ最大の強みである全国にあまねく設置された稠密な郵便局のネットワーク、また郵便局の利用者の利便、さらには、これまで培われてまいりました事業への安心と信頼、これを継続していけるというふうに考えるものでございます。  こうした意味におきまして、日本郵政グループとしては、各社の自立を目指しながらも、やはり一体性を維持していくということは事業経営上大変重要なことでございまして、グループとしての事業戦略の下、事業相互のシナジー効果を高めるよう事業経営に当たってまいりたいと考えているところでございます。  以上です。
  137. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 私も、質問するに当たって幾つか郵便局を見て回りました。うろうろしていたんで、怪しい人間が来たんではないかと誤解されたんではないかと思うんですけど。  これ一時期、例えばもう例のセキュリティーの問題があって、郵便と貯金と簡保で壁を上まで全部張り巡らして通れなくするんだとか、あるいは郵便局長は、郵便は指揮できるけど郵貯や簡保については一切指揮ができないとか、そんなのが本当かうそか私知りませんけど、そんなうわさが大分前には出たんですね。  今の郵便局の体制、郵便局というのは、正に旧特定郵便局であるとかいうレベルですね、旧特定郵便局のレベルで郵便局の体制を見た場合に今言ったようなことがあるのかないのか、あるいは三事業一体の原則というのは守られているのかどうか、それについて、これは川会長にお伺いします。
  138. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) お答えをいたします。  旧いわゆる特定局のレベル、今、私どもの会社はすべて普通局も含めて直営局というふうに申しておりますが、その中でも旧特定局のただいまの礒崎先生の御質問でございますが、もちろん郵便局長の責任の下、これら三事業というものをこれからも対応してまいりたいと思いますし、局会社としては、これまでどちらかというと三つの窓口がばらばらで、極めて業務効率であるとか、そういうものがやっぱり良くない実態を踏まえて、なるべく早い時期に窓口の端末を共有化して、お客様にとってもどの窓口でもサービスが受けられる、あるいは私ども社員にとってもより効率的な業務が行える、そういったことをこれから取り組んでまいりたいというふうに考えております。  そういった意味で、郵便局レベルでの三事業の一体というものは、むしろこれからもっと強めてまいりたいと考えております。
  139. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  三事業一体につきましては、午前中、民主党の各委員から御質問がありましたので三回目となりますので、一応は与党ですのでもう一回聞いておきたいと思います。  移行期間終了後、引き続き三事業一体でゆうちょ、かんぽ、郵便局会社にちゃんと委託していただけることをお約束できるかどうか。もう三回目ですからごく簡単な決意表明で結構ですから、古川会長、進藤会長、お答えいただいて、最後西川社長、まとめていただけますでしょうか。
  140. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) 異なった視点からの御質問内藤先生、外山先生からもちょうだいいたしまして、御質問に対する関心の深さを痛感をいたしております。一部お答えが重複をいたしますことをお許し願えれば、私どもゆうちょ銀行は幅広いお客様のニーズに合った商品、サービスを提供いたしまして、最も身近で信頼される銀行としてお客様のより良い暮らしづくりに貢献をしたいと考えております。  かように考えておりますのは、先ほども申し上げましたが、基本的なビジネスモデルが全国の郵便局ネットワークをメーンチャネルとして最大活用するという点にあるわけでございます。こうした当行のビジネスモデルからいたしますと、いわゆる十年間後の移行期間終了後も郵便局会社は最も重要なビジネスパートナーであるはずでありまして、引き続き業務を委託していくこととなるものと考えております。  以上でございます。
  141. 進藤丈介

    参考人(進藤丈介君) お答えします。  郵便局会社は、新規販売契約の大宗を占めるかんぽ生命にとりまして大変重要な販売チャネルであります。また、郵便局会社の全国ネットワークを活用することによりまして、お客様からの保険料の収納、保険金の支払等の業務を全国展開することができるわけでございます。  このように、かんぽ生命にとりまして郵便局会社との業務委託契約は大変重要なものであると考えておりまして、民営化移行期間終了後も、引き続き郵便局会社、業務委託を行うものと考えております。  以上でございます。
  142. 西川善文

    参考人西川善文君) 少し数字のことをお話し申し上げますと、郵便貯金の九割強が郵便局で集められた貯金でございます、今の残高でですね。それから、簡保につきましても、個人のお客様向けの外務員の方、これは全員郵便局でございます。したがって、そういう関係はそう容易に変えるわけにはまいりません。変えたのではなかなか事業が成り立たないということであろうと思います。そういう意味合いもありまして、業務委託契約を締結いたしまして長期安定的な代理店契約を確保しているということでございまして、これは将来も変わらないと思います。  我々にとりましては、郵便局会社の全国ネットワークは最大の強みでありまして、グループ経営の観点からも、引き続きゆうちょ銀行、かんぽ生命保険から郵便局会社に対して業務委託が行われていくものと考えております。  以上でございます。
  143. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 どうもありがとうございました。  続きまして、ちょっとお時間をいただきまして、三事業一体の話をお聞きしましたので、続きまして三位一体の話を少しお伺いいたしたいと思います。  最近、いろんな人が三位一体改革について失敗したのではないかというような声が非常に増えております。要は、四・七兆円の補助率カットをやり三兆円の税源移譲をやったわけですが、これについては、問題点としては、補助率カットというこそくな方法でやったという部分がある。それから、義務教育費国庫負担金という、いわゆる学校の先生の給料の部分で下げたものですから、全然これは節約ができぬところでカットをしたということ。それから、先週の新聞にも載っておりましたけど、いわゆる税源移譲でやったものですから、これはいわゆる偏在が起きたということ。その三つが大きな私は問題点だと思うんですが、ただ、そのことはあのときみんな分かっていたわけでございまして、それでもやはり三兆円という税源移譲を国税から地方税へ移行させたというのは私は率直に評価していいんではないかと考えておるわけでおりますが、最近何か失敗だ失敗だという、ちょっとやはりもう少し総務省の私は説明不足もあるんではないかと思うんですが、その辺の基本的なお考えを、大臣の所見を伺いたいと思います。
  144. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この三位一体改革でありますけれども、確かに全国の一千八百自治体、そこの皆さん方のお声を聞いておりますと様々な評価がございますのですが、総じて言いますと、そのことによってなかなか財政運営が厳しくなってきたと、そういうふうにおっしゃる方、多いように思います。  ただ、今先生の方からお話がございましたとおり、私もこの三位一体改革について聞かれたときに、今の総務大臣というより知事時代にも申しておりましたのですが、中にはいいこともございまして、これはやはりシャウプ勧告以来初めてになるわけでありますが、税源移譲というものが実現をしたと。今お話がございましたとおり三兆円という額でございましたのですが、第一次分権改革始まりましたのが、法律できたのが平成七年でございます。七年から十二年のころ、権限移譲をいろいろやっておりましたころには税源移譲などというのは全く夢の夢のような話でございまして、言葉すらその当時は口にできないような状況でございました。  そういうことから考えますと、この三位一体改革が目指した理念、あるいは現実にそのことによって三兆円の税源移譲が行われたと、このことはあの当時も私は分権に向けての財政面での自立に向けての第一歩だと、そういうことを確実に踏み出したというふうに評価しておりましたし、歴史的に見ましても、こうした財政面での分権、自立に向けてやはりきちんと評価されるべきであろうと、このように考えるところでございます。
  145. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 ありがとうございました。  私も、おおむね大臣と考え方をともにしたいと思っております。  ただ、非常に、もうちょっと説明しないと、私どもの自民党の会議の中でも理解している人がほとんどいないんですね。まず分かりやすいところから言いますと、さっき言ったように、補助率カットは四・七兆円やったのに税金は三兆円しか来なかったと、これも分かっている人は余りいないんですね。また、これを正確に言いますと、事務事業の廃止が一兆円あるんですね、それから交付金化したものが八千億円ありますから、補助率カットが三・一兆円、税源移譲が三兆円、ちょっと一千億までは行きませんが、少し差がありましたけれど、これは了解してそうしたわけですから、そうですよということでこれはいいと思うんです。そこまでは分かりやすい。一番誤解している人は、税源移譲があったから交付税が削られたんですよと言う人がおるんですよ。これは間違っていますよね、そうではないんですね。この三兆円は、さっき言った補助率の削減に見合う額として入ってきた三兆円でありますから交付税の直接の減額とは関係ないはずですけど、まだ与党の国会議員の中でもそう言っておる人は多くて、これはもうちょっと宣伝をしていただきたいと思うんです。  そこはまだ小さな問題なんですが、この三位一体改革の中で五兆一千億も地方交付税が削られているわけです。私は、こういう言い方は厳しい言い方かもしれませんけれども、今の地方財政が大変になっている原因は、別に景気が悪いとかなんとかいうことももちろんありますけど、やはりこの五・一兆円の地方交付税が減額されたことが大きいんではないかと私は思います。  この前も自民党の会議に知事会を代表してある県の知事が来ていただいて言ったんですけれども、三兆円の話は了解したけれど五・一兆円の地方交付税の減額なんか了解した覚えはないと言うんです。自民党も恐らく了解した覚えはないんじゃないかと思うんですね。二十一兆円しかないものの中から五・一兆円が削られたわけですから、それは私はなかなかうまくいくわけない。特に、平成十六年度は一気に二・八兆円もどんと削られて、これは十六年度ショックといって有名になっておるわけですけれど。今後どうするかという話の前に、その五・一兆円って何でしょうかという話なんですね。これは千八百団体関係する問題ではあるんですが、この五・一兆円説明できる人は日本に十人もいないんじゃないかと私は思うんですけどね。  じゃ、この五・一兆円というのは数字的に見てどういうふうな説明ができるのか、ここにいらっしゃる皆さんに、分かりやすく一回御説明いただけませんでしょうか。
  146. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 三位一体改革の期間中でございますので平成十五年度から平成十八年度でございますけれども、ただいま御指摘のように、地方交付税で二・一兆円、そして臨時財政対策債で三兆円、合わせて五・一兆円を抑制しております。これは地方財政計画の策定を通じまして、主として歳出抑制方針の下で地方歳出の見直しを行った結果によるものでございます。  具体的に、地方財政計画ベースでの増減額を申し上げますと、この期間中に、まず歳出でございますけれども、歳出総額で三・九兆円削減をしております。そのうち、一般行政経費でございますけれども、これは社会保障関係費、これが増をいたします。したがって、ちょうど二兆円増加をいたしております。その一方で、給与関係経費が定員削減等を見込みまして一・一兆円の減、そして投資的経費、これは累次の政府の基本方針、いわゆる骨太の方針などに基づきまして三・七兆円の減、そしてその他の経費、これが投資的経費の削減に伴います公債費の減などによって一・一兆円の減ということになっております。  そして、歳入でございますけれども、歳入は地方税の自然増収、これが二・七兆円となってございます。そして、ただいまの地方交付税、臨時財政対策債、これが五・一兆円の減、そして臨時財政対策債を除きます地方債、これが一・三兆円の減等々となっておりまして、歳入面でも三・九兆円の減ということでございます。  こうした歳出の抑制でございますけれども、これは、国、地方を通じます厳しい財政状況の中で財政の健全化を進めるといった上ではやむを得なかったものと考えておりますけれども、一方で、近年の地域間の財政力格差の拡大、これにつきましては早急に対応すべき課題であるというふうに考えております。
  147. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 御説明いただきましたけど、地方の人にはもう少し分かりやすく言わなきゃ私は分かりにくいと思いますね。とにかく投資的経費の削減、これも決算乖離であるとか、公共事業とともに地方単独事業の抑制もすると。それは政府全体で決めた方針の中でやられたんでは分かるんですけれども、さっき言ったように、知事会の代表で来られた知事は、五・一兆円の削減なんか聞いてもないと、そんなもの了解したわけでもないと、そのようにおっしゃっています。これはもう早急に少し、もしやむを得ぬならやむを得ぬなりにきちっと説明していかなきゃならぬし、またあとのことはまた後で申しますけれども、非常に、先ほど言いましたように、いろいろ中央財政のように逼迫原因はあると思うんですが、やっぱり交付税削減されたのがかなり、一番の原因じゃないかと私は考えざるを得ません。そのことを今取りあえず言っておきたいと思います。  その中で、法人二税が非常に偏在が大きいので、これを是正すべきでないかというのが政府あるいは与党の中からも出ておるわけであります。ただ、そのやり方はまだいろいろあるんでありますけど、法人二税の一部を地方共有税化する、これちょっとなかなか意味がよく分からぬところもあるんですけど、要は第二交付税のようにして配るやり方と譲与税のような配り方、両方あろうかと思います。  そういう案が出たというところで、五県の県知事が毒まんじゅうは食えないという発言をして、これまた波紋を投げ掛けておるわけであります。毒まんじゅうという表現が私はいいかどうかよく分かりませんけれども、彼らが言うには、要は法人二税の割り振りを変えるというのは、地方間の財源移転であって、地方間の都市と地方の対立をもたらす、国が全然痛まないで地方の中だけで片付けなさいと、そういうことだと、それを称して毒まんじゅうと言ったんだと思います。政治家が例え話を言うときは気を付けませんと、最近いろんな事件がありますので、あんまり例え話で言うべきじゃないと思うし、私も毒まんじゅうという表現はあんまり良くないと思います。しかし、今の地方財政の現状を考えると、まあ多少味が悪いまんじゅうも食べなきゃならぬということも私はあるかと思います。  だから、地方の中だけで済まして今の地方財政の問題を解決しようというんであれば私はもちろん反対でありますが、税源偏重を直すというのも一つの物の考え方ではないかと私は思っておるんですけれど、これに対して大臣の御所見をいただきたいと思います。
  148. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 確かに、この法人二税でございますが、この税制は当然のことながら企業が集中しているところに税収が多く入ってくるような仕組みになっていると、こういう性格を持っておりまして、地方団体、特になかんずく都道府県の場合にはこういった法人二税に依存する割合は高いんでございますけれども、どうしても地方の全体の税収が増えてくる中では、税収が増えると都市と地方間、大都市と地方間といいましょうか、そこでの偏在度が高くなると、こういう問題点があると、こういうふうに認識をしています。  また、あともう一つ、これが大変大きな問題だと私は思っていますけれども、この法人二税を取り出して、それで地方間で配分する、今議員の方からお話がございましたとおり、方策、方法としては譲与税化するのか、あるいは別のやり方を取るか、いろいろな方策はあろうかと思います。それはあろうかと思いますが、どうしてもこの法人二税を一定の基準で再配分をするということになりますと、やはり地方税の基本原則である受益と負担、地域で上がった税収をその地域で使っていくという、この受益と負担の関係がどうしても分断されるようなことになりかねない。もちろん、これは程度、やり方の問題にも掛かってくるかもしれませんが、基本的にはそうしたような問題があって、地方団体が企業の誘致などで盛んに税収増、税源涵養をしようと、こういう気持ちになかなか沿っていかないと。したがって、こういう法人二税を何らかの基準で再配分するという方法ですと、なかなか地方団体の理解を得るのは難しいなと、このように考えているところでございます。
  149. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 法人二税の問題は今与党の中でも一生懸命議論をいたしておるところでございますし、今後はそういう問題は野党の方にも御理解を賜らなきゃならない問題ですから、みんなで真剣に議論をして、いい点、悪い点、メリット、デメリットを挙げて、しっかり検討していきたいと思いますが、一つのまだやり方としてはキープしておけばいいと思います。最初からこんなのはおかしいとか言っていたら、今はもう世の中お金のない時代ですから、背に腹は代えられませんので、いろんなやり方で地方財政の充実を図っていったらいかがかと思います。  その中で、ただ私が思いますには、先ほどから言いたいのは、今の税の偏重、偏在の問題、これどうやって是正するかという一つの問題があります。これは、額的には難しいでしょうけれども、ふるさと納税、これも今総務省の方で御検討いただいているし、私は仕組みとしては面白いと思いますけど、ただ、これは財政論にはならないと思いますね。むしろ気持ちの問題のようなものでございまして、それもそういうことを考えている。  それから、大臣は限界集落ということに非常に御関心がありまして、それに対する財政措置も必要ではないかというところをどこかでおっしゃっていたと思います。そういうのを私はもう本当にそれは敬意を表して、そういうこともやっていただきたいと思うんですが、やはり地方交付税の、先ほどの話に戻りますが、五・一兆円の減額というのは厳しかったですねと私は申し上げたいんですね。  いろんなことで、都道府県のことを先に考えるんですが、我々国会議員が地元に行きますと、まあ県はまだ大きいから何とかなるんだという感じがあるんですね。そんなことを言うと私の地元の知事からしかられますけれど、やっぱり市町村が物すごく厳しいんです。もちろん税といっても、そんな法人税払うような企業は、もう本当の田舎の市町村にはないんですね。もちろん都道府県のところをちゃんとやったら都道府県の交付税が少し減らせて、最終的には市町村分が増える、そんなことももちろんあるかもしれませんけれど、やはり都道府県を基準に考えるんじゃなくって、やはり市町村を基準に考えていただきたい。  それから、市町村は御承知のとおり合併をいたしました。大分県なんか今、五十八市町村あったのが十八市町村になっていまして、合併という観点から見れば全国でも一番の優等生の県でありますけれど、ただ、それだけ今厳しい状況が続いております。本当に都市がなくなった田舎の旧町村が非常に寂れ掛かっている、そんな状況もあります。ちょうどこの合併と交付税の減額が同じ時期に来たものですから、合併して何にもいいことないなというのが地方の皆さんの今の意見がお強いんですね。そういうこともあります。したがって、市町村まで考えれば、何が何でもこれは地方交付税の増額ということを是非ともお願いをいたしたいと思います。  これは積み上げですからと言われます。大臣もだから総額の確保という言い方しかできないとおっしゃいます。ただ、五・一兆円減らすときは、さっきも言ったように、それほどちゃんと説明してないんですよ、私に言わせますと。だから、復元のときも、もちろん地方も知恵を出さないかぬと思います。我々も知恵を出さないかぬと思いますけど、まあつれないことを言わずに、総務省でも、何か復元をする、復元するためには基準財政需要額を増やさないかぬわけですから、当然その理屈付けが必要なわけで、ただ上げますという、交付税というのは切った張ったの制度じゃないわけですから、積み上げるのは私もよく分かっておりますけれど、やはりここは、細かい話ではなくって、税の話ではなくって、限界集落だけの話ではなくって、やはり全体の地方交付税、ここまで減ったのをこの際少し膨らませないと、もう千八百地方団体が本当に国に付いていかないと、そんな感じになるんではないかと思いますが。  そこで、様々な知恵を絞って、地方税の増額を是非お願いしたいと思いますが、大臣の御姿勢についてお尋ねしたいと思います。
  150. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 確かに、この地方交付税、大変大きな地方団体に財政的な影響を与えていると思います。特に財政力の低いところですね、今委員お話しになったような市町村、町村などが特にそうでございますが、こうしたところは交付税が削減されたことの影響をもろに受けておりまして大変厳しい状況にあると。したがいまして、先ほどの法人二税などはこれからいろいろ何か考えればいいわけですが、やっぱり私も第一に交付税の問題を一番高い重要度に置いて何とかしなければいけない、こういうふうに思っております。  特に交付税というのは、もう御案内のとおり、全国どのような地域であっても一定水準の行政サービスを提供できるようにすると、そういう性格を持っていますが、そのほかに、やはり地方再生に向けて自主的、自律的に地域の知恵を出して頑張ろうという、そういうところに対しての正に栄養剤のような性格があって、そういう部分が、今交付税減らされたことによってどこの自治体も何か考える意欲を損なうような形になってきた。そこを何とかやっぱり元気付けていかなければならない、こういうふうに思っているものですから、特に過疎地のようなところでの財政需要はきちんとその中に見積もれるように何とか知恵を出したいと。  我々も、今本当に省を挙げてその知恵を今、中で集めていい仕組みにしようと思っているわけでございますが、是非また諸先生方に御支援をいただいて、そしてこの交付税、確かに言い方、必要な一般財源総額の確保と、こういう言い方はしてございますが、気持ちはもうこれを何とか膨らまして、それで地域のそういう御希望に、御要望にこたえたいと、こういうつもりでございますので、年末に向けていろいろ知恵を出して、そして是非この総額確保に向けて最大限の努力をしていきたい、このように考えております。
  151. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 大臣の力強い御答弁をいただきましたので大変満足いたしております。それをやらないと、もう今日は時間がないので述べませんけれども、少しやっぱり国のメカニズムが動かなくなっています。例の補助裏が持てないという問題。最近、農林議員であるとか公共族みたいな人もやっぱり地方財政措置の必要性物すごく分かってきております。だから、あと福祉を市町村に下ろしたとか、そんな問題があって国家のメカニズムが少し動かなくなっている。これ、だから今は地方交付税何とかしないと日本国の全体の私は問題になると思います。  大臣の今日は力強い御答弁いただきましたので、与党の議員はもちろんのこと、多分この地方交付税の問題については野党の皆さんも応援してくれるのではないかと思いますので、我々国会議員としても一生懸命頑張って大臣を支えていきたいと思いますので、どうか十分な御尽力を賜りますようどうぞよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  152. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  十月一日から郵政民営化いよいよスタートして一か月ということでございまして、私も当時郵政民営化の特別委員会理事もさせていただいておりまして、この審議に携わった者として感慨深いものがあるわけでございますけれども。  日本郵政公社、持ち株会社の日本郵政の傘下に郵便事業会社、郵便局会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、この四事業会社に生まれ変わったわけでございまして、総資産が三百兆を超えると。また社員数は二十四万人に上ると。その巨大さゆえにこれがどう市場に受け入れられていくのか、またどのような影響を与えていくのかというのは非常に注目をされているわけでございますけれども。  この郵政民営化の審議のときもございましたけれども、単に郵政事業の改革にとどまることではなくて、これは正に財政構造改革、財政投融資改革、金融システム改革、特殊法人改革、あらゆる構造改革の推進という観点からこれが進められてきたわけでございまして、衆議院解散してまでやったやつでございますので、本当にこの行く末というか成否が大きな日本の進路にとって大事な問題であるというふうに考えております。  これは通告をいたしておりませんけれども、西川社長、準備もいろいろ大変だったと思いますけれども、一か月たってみての御感想、それから今からの決意についてお伺いしたいと思います。
  153. 西川善文

    参考人西川善文君) ようやく一か月を経過したところでございますが、この間、システムの不具合が一部発生いたしましたし、また内容証明や特別送達において大きなミスを多発いたしました。皆様に御心配をお掛けした、御迷惑をお掛けした点について深くおわびを申し上げます。それ以外のところはまず順調にスタートができたのではないかというふうに評価をいたしております。  しかし、要はこれからでございまして、課題はいろいろと山積をいたしております。コンプライアンスの徹底であり、そして効率性、収益性の追求ということであり、いろいろと課題は山積をいたしております。これを一つ一つしっかりと取り組みまして、皆様の御信頼にこたえられるように、御期待にこたえられるようにしてまいりたいというふうに考えております。何と申しましても、お客様に民営化して本当に良かったなというふうに御評価をいただけるということが我々の民営化の成否の尺度と定めておりまして、お客様の御評価を本当にいただけるように努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  154. 弘友和夫

    弘友和夫君 是非頑張っていただきたいと思います。  それで、個別にお尋ねいたしますけれども、郵政公社の十七、十八年の決算を見ましたら、両年度ともに三事業すべてが黒字を確保しているわけですけれども、十八年度の利益は十七年度に比べて半減をしていると、一兆円近くも減少をしていると。事業別に見ますと、郵便事業は前年度に比べて八億円減の十八億円の黒字。黒字なんですけれども、経常収益経常費用ともに二兆円近い規模、業務規模から見たら、わずかこの十八億の黒字というのはもう実際は収益がないに等しいんじゃないかと。  例えば、平成十八年度引受郵便物数というのは〇・六%減少して二百四十六億七千七百二十四万通であって、あと〇・一%でも、先ほどちょっと議論に上がっておりましたけれども、減少幅が大きくなればこれは簡単に赤字に転落してしまう数字なわけですよね。インターネットなどの普及により今後も郵便の減少傾向、これは続くと。これはもう民営化論議の中も、郵便の減少は続く、このままいけば赤字に転落をしていくというのは間違いないというようなこともありました、論議も。ですから、郵便事業そのものというのは非常に減少傾向続くというふうに考えられるわけですけれども。  その上また、労働集約型の郵便事業会社を分割したことによって貯金業務とか保険業務との兼務による人件費の節減という効果も、分割していますからその節減効果も失われているということで、非常に郵便事業の経営の確保というのは、この赤字体質の脱却というのは非常に厳しいというふうに考えるわけですけれども、郵便事業会社の北村会長に御答弁をお願いしたいと思います。
  155. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) お答えいたします。  四期連続の黒字を確保することができましたけれども、営業利益率で申し上げると競合他社に比較するまでもなく低い水準にありまして、収益力の向上が急務となっております。  特に、郵便事業会社においては、厳しい事業環境ではありますけれども、ユニバーサルサービスとしての郵便サービスの提供を確保していくということが大事でありまして、引き続き効率化やコスト削減に取り組むほか、お客さんの多様なニーズにこたえるためにも国内外の物流サービスを充実させることによって強靱な経営基盤の構築を図っていく必要があるかと思います。  この場で具体的にお話しすることが現段階ではできませんけれども、去る七月に中国郵政集団公司といろいろな会議ができまして、現在どういうビジネス展開ができるか検討しておるところでございます。また、アジア地域に向けた取組の展開など、特に国際物流事業の展開を図るということ、それから、お客様にとって最適な国内外物流の展開、こういうもの、新しい新規事業に向けていろいろ進出を図るべく取り組んでいるところでございます。  ただし、これらの取組はいずれも実を結ぶまでには時間が掛かるものですから、やはり現時点では、例えば業務量に応じて人員が適正に配置されているかどうか、こういうこと、あるいはJPS等のいろいろな改善プログラムを持っておりますけれども、さらに積極的な展開をするとか、あるいは集配運送費の削減、あるいは調達に際しての費用対効果を踏まえた経費使用等を徹底するなどして、費用全体に対して削減をすると、こういうようなことで強靱な経営体質を是非つくっていきたいと考えております。  以上です。
  156. 弘友和夫

    弘友和夫君 国際物流は日本が大変後れている、海外からどんどん攻め込まれているというか、そういう状況でありますので、是非そちらの方にも活路を見いだしていただきたいというふうに考えております。  次に、郵便貯金事業でございますけれども、十八年度が平成十七年から大幅に減益となった理由というのは、信用信託による株式の運用益が大幅に減少したためであります。まあこの市場の動向からいってもこれは致し方ない部分でもございますけれども、この信託による株式運用というのは郵貯資金の一%程度なんですね。ですから、その部分というのはそれほど大きな問題ではないかもしれないと。そして、今、現状、郵貯は資金運用の八〇%以上を国債に頼っているわけです。これ株式でもなく、もし国債市場で国債価格が下落した場合、これどうなるのかという、郵貯の場合は原則として満期保有を目的としておりますから、一見影響がないと言えばないと思われますけれども、貸借対照表上は資産が目減りをすると、債務超過に陥ることも考えられると。また、この国債価格の下落は、それは一方、金利が上昇しているということになるわけでございますので、定額貯金の借換えが起こります。これは借り換えてもいいようになっておるわけですから。これどんどん借換えが発生してきますと、これ大変な、実際に膨大な損失が出るということも予測をされるわけでございます。  で、元々、今八三%ですか、その国債に頼っている部分というのは、やはりこれ転換していかなければならないんだと。民営化の目的そのものも郵政資金を国から民間に流すという、そういう観点が大きく占めていたわけですね。その資金を国から民間に流すという観点であったわけです。また、運用に関するリスク分散、資産管理の観点からも現在の国債を中心とした運用を早急に是正する必要があると考えるわけですけれども、ゆうちょ銀行の古川会長、また民営化担当大臣の総務大臣のお考えをお聞きしたいというふうに思っております。
  157. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) 民営化してちょうど一か月がたったところでございますけれども、ゆうちょ銀行の現在の業務範囲は民営化前の郵政公社と全く同様でございまして、しかしながら、新たに租税負担や預金保険制度の適用を受けるなど、基本的な経営条件は一般の金融機関と変わらないのであります。  今後、民間の金融機関として厳しい競争条件の中で適切な業務運営を行ってまいるには、運用資産の多様化を通じて収支構造のバランスを改善し、収益力の強化を進めることにより健全経営を確保してまいりたいと考えております。  ゆうちょ銀行に対するお客様の信頼と市場の評価を高めて民営化の成果を確実なものにするためには、したがって、速やかな新規事業を手掛けてまいることが是非とも必要であるとも考えております。  いずれにいたしましても、新規業務につきましては、他金融機関との間の適正な競争関係などの観点から、郵政民営委員会の御審議を経た上で、主務大臣の御認可を得て初めて行える仕組みとなっておりますこと、御高承のとおりでありますが、今後、適宜必要な御説明を行ってまいりたいと存じております。  それから、先生御指摘の国債中心の運用に関しましてもお答えを申し上げます。  ゆうちょ銀行の資金運用については、預金者に対して貯金の元利金の支払を確実に行うため、事業の健全経営を確保していくことを基本に実施していく必要があるものと考えております。  現在のゆうちょ銀行の収支構造は、国債を中心とする金利収益が大きなウエートを占めておりまして、引き続き金利リスクを適切にコントロールしながら安定的に収益を確保していくためにリスクヘッジ手段を拡充することが喫緊の課題であるというふうに認識をいたしております。  加えて、クレジット資産や株式等のマーケット資産への分散投資により、リスクの分散、収益源の多様化を図っていくことに相なります。これにより民間市場の発展にも寄与できるものと考えております。このためには、新規事業として運用対象の多様化、これは金利のスワップとデリバティブでありますとかシンジケートローンを考えておりますが、その多様化について早期に認可をいただきますよう希望しているところでございます。  いずれにいたしましても、資金の運用に当たりましては、市場と良好な対話を行うことにより市場にサプライズを与えないよう、十分に配慮をしてまいりたいと存じております。  以上でございます。
  158. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、ゆうちょ銀行、今回民営化されましたので、民間企業としての経営判断に基づいてこの経営の健全性を確保していくことができる、そういうような形になったわけでございます。そして、今、先生の方からお話ございましたが、やはり効率的な資源配分というのはこうした民営化の大きな目的でございます。  今いみじくも、資金を国から民間に流すというようなことでお話ございましたんですけれども、そうした効率的な資源配分ということを実現するためにどういう資産運用をされるのか、これは民間の企業の経営者としての経営判断かというふうに思いますけれども、ゆうちょ銀行が市場の規律の下で自立した民間企業として是非適切な経営判断をしていただいて、こうした法律の目的を達成していただきたい、このように考えております。
  159. 弘友和夫

    弘友和夫君 預金量が百八十兆を超えるわけですね。それで、三菱東京UFJは約百兆、三井住友は六十八兆。三菱東京UFJ、三井住友を合わせたよりも多いと。これはまあ当時から言われておりましたけれども。しかし、その膨大な資金をやはりどう運用していくかというのは非常に、会長の御答弁ありましたように民間への配慮というのも当然あると思うんです、あると思いますけれども、新たな分野に国債のみでやっていると何のために民営化したか分かりませんので、そういう部分もやはり考えながら、今の十月四日に申請されたシンジケートローン等の認可申請を出しておられると思いますね。  また、まだ申請を行っていませんけれども、住宅ローンだとかカードローンなんかにも積極的に参入していかれるというふうに、考えもあるというふうに伺っておりますけれども、そこら辺の今後のもう一回そういう考えと、それから大臣にも、そういう十月四日申請されたものに対してやっぱり速やかに認可すべきじゃないかというふうに思いますけれども、端的にお答えいただきたいと思います。
  160. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) ただいま具体的な金額もお示しいただきまして、私どもの新規の仕事に対する御指摘をいただいたわけでございますが、御参考までに申し上げますと、私どもごく最近、昨日現在で百八十八兆ぐらいのちょうど貯金残高がございますが、そのうち百三十三億は実は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険機構からの特別貯金でございまして、これを見合いに安全資産での運用を法律上義務付けられて要請されておるものでございます。  したがいまして、そういう意味におきましては、それを引きました残りの数字が、私どもがこれからいろんな意味でそれなりのマーケットと対話をしながら運用してまいるという数字になるわけでございますが、そういう意味におきましても、それをどういうふうにということは、先ほど申し上げましたとおり市場と良好な会話をしながらというふうに考えております。  これは私の私見でございますけれども、ゆうちょ銀行、生まれたばかりの赤ん坊でございますけれども、私は大変大きく産んでいただいたことに対しまして、親元に対しまして感謝の気持ちを持っております。ただ、私は大きい者、強い者にはそれなりのやはり行動の、ビヘービアの規律を、自律を自分でしなきゃならぬというふうに思っておりますので、間違っても大きいがゆえに小さい者をいじめるというようなことは私の信念からも許されませんので、そういうことは慎んでまいりたいというふうに思っております。  新規事業につきましては、先ほど申し上げましたとおり、できるだけ早く御認可をちょうだいできますようお願いをしているところでございます。  以上でございます。
  161. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今先生からお話がございましたとおり、認可申請、十月四日に出ているところでございまして、これは御承知のとおり、法律にのっとりまして郵政民営委員会意見を踏まえると、こういうことになっておりまして、今郵政民営委員会の方でそうした意見を取りまとめるべく日程を決めて、その審議を今行っておりますので、私どもはそうした郵政民営化の意見を踏まえて、これ民営化法の中に審査基準というのが出てございますので、その審査基準にのっとって適切に判断していきたいと、このように考えております。
  162. 弘友和夫

    弘友和夫君 百八十八兆から百三十三兆引いても五十五兆ですか、これでも大変な額なんですよね。ですから、それの運用というのを本当に真剣に積極的に考えていただかなければと思います。  あと、午前中も出ておりましたけれども、内容証明郵便等の不適正事案について、コンプライアンスについてお伺いしたいんですけれども、平成十七年決算では会計検査院の指摘で、長岡郵便局等における別後納郵便物の料金の不適正な収納等に関する検査状況についての指摘がされております。また、簡保の無面接募集など法令違反が相次ぎ発覚して、これ七月の総務省の業績評価では、コンプライアンスに対する評価が最低のDというふうに判定されているわけですね。  そういう中で、先ほど西川社長ありましたように、内容証明郵便、特別送達の認証手続、不適正な手続が行われたと。法的に有効なものと認められない事案が、先日お聞きしたのでは八千七百通、内容証明六千八百十三、特別送達千八百八十七も発生して、十月二十五日には総務大臣から監督命令が発出されていると。その後の、昨日でしたか、この数字では、内容証明が郵便事業会社五百九十九、郵便局会社二万四千百七十二、特別送達郵便事業一万二千三百八十一と、もう大変な、また今からまたもっと増えるかもしれないなんという感じもあるわけですけれども、何でこういうことになったのかなと。  これは非常に、内容証明が無効となった場合は多大な損害を被ることだって、何か請求していついつまでにということを内容証明で送っている、それが無効であれば送ったことにならないわけですからね。そういう大変な損害が起こるという可能性があるわけですね。  この特別送達についても、前の論議のときに公務員では、午前中ありまして、公務員じゃなくなる、じゃ、どうするんだということで郵便認証司という制度を設けて、公務員じゃないけれども認証司と、わざわざ試験したんですか、これ、認証司というのを設けたわけですよ。それで、七万数千人いらっしゃるわけですね。  じゃ、その認証司という方は何をされるのかと。これ一番基礎的な判こを押す、それをやらないで何が認証司なのかなと思うんですよ。認証司制度を設けましたよと、ほかに何するんですか、その認証司の方というのは。私がこれを認証して出しますよというその判こを押さなくて、認証司の役割なんかあり得ないわけですから。これだけ別に認証司という制度を設けて、やって、ただ先ほど、窓口の、フロントライン云々という話がありましたけれども、その混乱だとかいうお話がありましたけれども、私は、これ、ほかのいろんなサービスが混乱によってできなかったとか、いろいろなものとはこれは違うと思うんですね。全然違うと思うんですよ。そのためにわざわざ認証司制度というのを設けて、じゃ何の研修をしたのかということだと思うんですけれども。また、内容証明の効力どうなるのかとか、これについてしっかりとお答えいただきたいというふうに思います。
  163. 橋口典央

    政府参考人(橋口典央君) ただいまの委員からの御質問のうち、最後におっしゃいました内容証明郵便の効力についてお答えいたします。  民法施行法によりまして、証書が第三者に対し完全な証拠力を有するには確定日付があることが必要とされており、郵便認証司が郵便法に基づき内容証明の取扱いに係る認証を行ったときは、そこに記載された日付を確定日付とするということとされております。  今回の事案は、内容証明の郵便物に係る証明及び認証に関しまして、署名の名義人を郵便法で定められた郵便事業株式会社ではなく、従来の郵便局長として記載したもの、あるいは郵便認証司が内容文書に印章を押印していないものなどでございまして、いずれも郵便法の規定に従った手続が適正に行われたとは言い難いものでございます。  したがいまして、これらの内容証明郵便物に記載された日付は民法施行法に言う確定日付とはならないわけでございまして、第三者に対する完全な証拠力を有するものとは認められないということでございます。
  164. 弘友和夫

    弘友和夫君 確定日付にならないということは、有効ではないということでしょう。今までの内容証明は二万五千ぐらいありますね、特別送達一万二千幾ら、特に特別送達の場合は裁判所との関係ですから、それほどあれにしても、内容証明で確定の日付有効ではないと、こうなったらこれ大変な問題になると思うんですけれども、会社の方はいかがですか、どうお考えですか、これは。
  165. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) このたびは、御指摘のありましたような大変な業務上のミスを犯して、大変多くのお客様に御迷惑を掛けていることを改めて深く反省をしております。  私ども郵便局会社において内容証明を引き受けることができる郵便局が六千百四十五局ございます。これらの局には総務大臣から任命を受けた郵便認証司を配置し、内容証明の取扱いを行っておるところでございます。今回発見されて、直ちにこれら六千百四十五局の全局調査を行いました。その結果、先ほど御指摘のあるように、六千百四十五局中六百六十六局におきまして、トータルで郵便局の窓口で対応した内容証明書分二万一千六百九通が発見されております。これらについては、先ほど御説明がありましたように、一つは、証明文中、本来、郵便事業株式会社とすべきところをそれ以外の表示、例えばどこどこの郵便局長というふうになっていること、それからもう一つは、郵便認証司の印章の押印が漏れているということでございます。  これらの再発防止のために手を打っているところでございますが、また、ただいまの先生の御指摘の可能性につきましては、差出人様への対応を昨日、十月三十一日付けで文書を発出して、不備項目があった内容証明書の差出人様へおわび及び新たなお客様負担とならないよう配慮した内容証明の再差し出しのお願い、適切かつ緊急の対応を行うように指示をしているところでございます。
  166. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) 私ども、この民営化直前、直後、いろいろ新しいオペレーションが入りまして、いろいろ頑張ってお客様に迷惑の掛からないような形で進めてまいりました。このたび、適切でない認証事務ということでこういう問題を起こしまして、大変申し訳なく思っております。原因は、いろいろ本当に研修をし、リハーサルをしということでやってきましたけれども、やはりマニュアルだけでは駄目で、あるいは丁寧にケース・バイ・ケースで教育はできたのかと、こういうことで非常に反省をいたしております。  今後、もう今現在、全店に総点検をやっております。それから、そのマニュアルも含めて緊急訓練の実施もやっております。それから、注意喚起という形で常に見れる体制を取る、あるいはお互い確認ができるような仕組み、それから支社の今モニタリングをやっているメンバーが百四、五十人おりますけれども、彼らを通して総点検をやっておるところでございます。  今後は、二度とこういう問題を起こさないように努力したいと思います。
  167. 弘友和夫

    弘友和夫君 これは、いろいろなたくさんのマニュアルがあって、その中の一つを見落としたとか、そういう話じゃないと思うんですよね。わざわざ何のために認証司をつくったのかと。この認証司に認定された本人、自分がなったかどうか知らないんじゃないですか、これだったら。知っています。何かそういう認定証か何かが行っているんですか。御本人が、自分が認証司になったという自覚があるのかないのか。判こを押すのが大体、こういうのに認証司が判こを押して出すというのが当たり前というか、今度の制度ではね。それが間違っていて、じゃ何の仕事をしているのかという、認証司として。ほかにないと思いますよ。それをやることが認証司の役割じゃないですか。それがこれだけたくさんあるということは、今いろいろ、今後の中長期計画だとかいろいろな、先ほど何万ページか知りませんけれども、いろいろ計画ある。一番基本の、もう最低限のこれやらないといけないと、わざわざ新たな制度までつくってやったことですからね。これじゃちょっと見落としていましたとかいう話にはならないということを是非しっかりと受け止めていただきたいというふうに思います。  時間が余りございませんので、先ほど来出ております簡易郵便局の閉鎖について。  簡易郵便局は今四千三百幾らありますね。今現在、四百十七の簡易郵便局、一時閉鎖されているわけです。先ほど来のお答えでは、ユニバーサルサービスを維持すると、変えてはいけない、ならない価値があると、これは変えないんだと。このサービスは、これは附帯決議等も、また審議の中でもそうしたサービスは低下させないということでやっていましたし、これは当然の話なんですけれども、いろいろな事情があるにしましても、四百十七ということはもう一割ですよ。一割が一時閉鎖と言われるけれども、まあ大体閉鎖じゃないかと思うんですね。一割が閉鎖されているということで、じゃそのユニバーサルサービスが維持できるのかと。  いろいろ巡回郵便局だとか駅舎をどうするとか、いろいろ考えられてはいるというふうにお聞きしておりますけれども、これは本当に是非、多少その一個一個が赤字になっても、全体の中でこれ、その二万四千を維持するというのがメリットだという話ですから、ですから、そこら辺はきっちり復活というか何らかの形で手当てをしてもらわないといけないというふうに思いますけれども、お答えをいただきたい。
  168. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) 四百十七の一時閉鎖簡易局の実態というのは、私ども局会社にとっても極めて重大な課題だというふうに認識をしております。常日ごろ、私自身、社員に対して、二万四千という郵便局が全国に津々浦々配置されていること、そのことが郵便局の最大の価値、お客様の信頼性の基だというふうに伝えております。そういった意味からも、この四百十七局の再開に向けてありとあらゆる努力をしてまいりたいと思っております。  今年度から先般も申し上げました幾つかの取組をしているわけでございますが、特にこの八月から簡易郵便局サポートマネージャーという制度を導入いたしまして、三百七十五名の新たな、これは多くは郵便局長のOBさんを再雇用させていただいて、そして、一人平均十局、簡易局でございますから局間の距離は相当あろうかと思いますが、一人平均十局を担当させてこれまで以上にきめ細かな受託者への対応をすると同時に、彼らのネットワークを通じて一時閉鎖の局に対する新たな受託者の確保というものを強化してまいりたいというふうに思っております。  同時に、新たなこれからの対応といたしまして、民営化後のこの簡易局の運営と事務取扱の実態をもう一回きちっと確認をいたしまして、その結果を踏まえつつ、簡易局受託者の代表者、全簡連という組織がございます、ここの代表者や、あるいは関連する地方の代表者、さらには地方での受託者の募集事務を担当している実務者から成る検討会を早急に設けまして、より有効な受託者確保を検討してまいりたいと考えております。  また、ただいま先生からの御指摘もございました。これは一時閉鎖の対症療法という形ではございますが、利便性の確保のために移動郵便局あるいは一定の、週のうち何回か開局をする、サービスをする、そういったものをこの一次対応としてこれから検討し、実施をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  169. 弘友和夫

    弘友和夫君 最後に、時間がなくなりましたので一点だけ。  郵政公社の時代は、地方税とか高額医療費の還付金などは受け取れなかったわけですね。民間になりましたよと、だけれども、まあいろいろあったんですけれども指定金融機関にはなれないと、民営化がされても。依然としてそういうものは受け取れませんよと。だけど、今いろいろ論議あって、地方では郵便局しか金融機関ないんですよと、これつぶしたらどうなりますかという議論があったんですけど、そこでそういうものが受け取れなかったら、あったってしようがないわけですから。  ですから、そういう業務もできる、全銀システムに入らなくてもできるような何らかの方法というのは、やるべきじゃないかというふうに、まあ時間がなくなりましたのでもう答弁結構ですけれども、そういうことも是非進めていただきたいと要望いたしまして、終わります。
  170. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまの弘友委員質問答弁の中で、古川参考人から発言の訂正希望がございますので、これを認めます。
  171. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) 先ほど弘友先生より言い直していただきましたが、私の特別貯金に関する説明の中で残高が百三十三億円と申し上げましたが、百三十三兆円の間違いでございますので訂正をさせていただきます。遅くなりましたが、訂正させていただきます。  ありがとうございました。以上です。
  172. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  郵政民営化で国民が一番心配しているのは、郵便局の全国ネットワークが維持されるのか、金融のユニバーサルサービスが確保されるのかということだと思います。  二年前の民営化法案の審議を振り返ってみますと、政府は次のように説明しておりました。郵便はユニバーサルサービスの義務があり、それを支える郵便局についても、あまねく全国において利用されることを旨として設置することを法律で義務付けている。過疎地については、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定している。金融は、その性格上義務を課すことはできないが、郵便局でしっかりと金融サービスが提供されるように、郵便貯金銀行、郵便保険会社にみなし免許を出すに当たり、移行期間を十分にカバーする長期安定的な代理店契約があることを条件として付す。したがって、移行期間について、銀行、保険会社のサービスが郵便局の上で提供されることが実態的に保障されると。  総務大臣、これで間違いありませんね。
  173. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今議員からお話ございましたとおりでございまして、御指摘のとおりでございます。
  174. 山下芳生

    ○山下芳生君 それでは、十年間の移行期間後はどうなるか。二〇一七年十月、郵便貯金銀行、郵便保険会社のすべての株式を処分して完全民営化した後はどうなるか。民営化法案の審議政府は、その後もそうしたサービスは両者の関係を考えると安定して続くと想定していると説明しておりました。  ここでいう両者の関係とは、郵便貯金銀行と郵便保険会社は基本的に支店を持たない、他方、郵便局会社は二万四千の郵便局を持っているが、郵便、貯金、保険の各業務の受託手数料が営業収益の大半を占めるという関係のことだと思います。だから、移行期間終了後についても、新たな自前の店舗網や保険募集体制の整備には膨大なコストが掛かる点を踏まえると、全国一括の代理店契約が更新されて、全国の郵便局に対し引き続き業務委託がなされるとの見解が示されたわけであります。  総務大臣、そういう理解でよろしいでしょうか。
  175. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) その金融二社、郵便局ネットワークを活用して業務展開していくのは大変重要でございます。金融二社のビジネスモデルというもの、今議員の方からお話ございましたが、そういうことからすれば引き続き業務委託がなされると、このように考えているところでございます。
  176. 山下芳生

    ○山下芳生君 それがビジネスモデルだということであります。  ところが、そのビジネスモデルの前提が崩れる心配が生まれております。先ほどの午前中の質疑でもありましたけれども、基本的に支店を持たないはずのゆうちょ銀行、かんぽ生命が多数の直営店を持つこととなったという問題であります。  資料二、三にゆうちょ銀行二百三十四、かんぽ生命八十一、それぞれの直営店の一覧を示しました。直営店といいましても、ほとんどすべて郵便局の局舎の中に開設をされたものであります。しかも、いずれも都市部の中核的な郵便局ばかりでありまして、先ほど古川会長はゆうちょ銀行はお客様のお財布だとおっしゃいましたけれども、言わば一番大きな財布を持っていかれたということになっているんだと思います。郵便局会社は受託手数料が大きく減少いたします。  そこで、お尋ねしますけれども、この直営店の開設によって、もし直営店持たなかった場合と比べてゆうちょ銀行、かんぽ生命の委託手数料がどれぐらい減少したのか、お答えください。
  177. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) ゆうちょ銀行直営店を設置しなかった場合の委託手数料の計算は、試算は行っておりませんが、仮にゆうちょ銀行直営店となっている店舗が郵便局会社の代理店であった場合においても、郵便局会社の手数料収入は増える一方で、店舗コストも増えることになると考えております。したがって、郵便局会社の経営に与える影響は極めて小さいものと思料いたしております。  以上でございます。
  178. 進藤丈介

    参考人(進藤丈介君) お答えいたします。  承継計画では、先ほど西川社長の方からもお話ありましたけど、新規契約全体の九割が郵便局会社が、一割がかんぽ生命の販売するという前提で代理店手数料を試算しておりまして、今後も大体このぐらいの割合が続くものというふうに考えております。  今先生御質問のように、仮に直営店を設置しないで新規契約のすべてを郵便局会社が販売したとすれば、平成二十三年度の代理店手数料は大体九十億円程度になるものと予想されます。  以上でございます。
  179. 山下芳生

    ○山下芳生君 今、古川会長の方からは試算していない、影響は小さいというお答えでしたけれども、それでは西川社長に伺います。郵政民営委員会の中でこの議論があって、西川社長は、受託手数料の減少について約一〇%この直営店を展開することによって減るんではないかと、こうお述べになっておりますけれども、その認識でよろしいんでしょうか。
  180. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  先ほども申し上げましたが、ゆうちょ銀行の場合、直営店の占めるウエート、貯金量に占めるウエートでございますね、それが一割弱というところでございます。手数料等が大体貯金量に比例すると見られますので、そういう意味で一〇%程度かなということを申し上げたかと存じます。
  181. 山下芳生

    ○山下芳生君 一〇%ということであります。これは、私は小さくない、かなり大きな影響だと思っております。  資料一に示しました郵便局会社平成二十年度の収支見通しによりますと、郵便局会社営業収益全体の八割は銀行、保険の二社からの受託手数料で占められております。その一〇%が削られるわけですから、これは決して小さくないと思います。郵便局会社の年間の営業利益に匹敵する額であります。  そこで、西川社長にもう一度お尋ねしますけれども、西川社長は今後この直営店を更に増やす考えがおありでしょうか。
  182. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  確かに、収入は一割程度つくらなかった場合よりも少なくなるということでございますが、もちろんそれには経費も掛かりますので、それがネットの利益になるというわけではございませんので、これは釈迦に説法でございますけれども、御了解をいただきたいと思います。  それと、これから増やすのかということでございますが、これは今の段階では何とも将来のことについて申し上げることはできませんが、基本的にやはり郵便局を代理店としたビジネスモデルがベースでございますので、これを大きく変えるということはまずあり得ないというふうに思います。今この直営店を増やそうという計画は全くございません。
  183. 山下芳生

    ○山下芳生君 ここに一冊の本があります。「ゆうちょ銀行 民営郵政の罪と罰」というタイトルで朝日新聞のお二人の記者が書かれた本でありますが、この本の中に、直営店を幾つ設けるのか民営化法案が国会を通過する前から公社内では議論になっていたことが紹介されております。少し引用いたします。  郵政民営化関連法の考え方では、郵便局網を担うのは郵便局会社だ。郵便事業会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社とも郵便局会社事業を委託し、必要な手数料を払うという考え方だ。ただ、顧客がどんな商品を欲しがるのかを探るアンテナショップとしてある程度の直営店が必要とされていた。当面の結論は都道府県に一つをめどに五十店程度とされた。直営店が余りに多くなり過ぎると郵便局会社に手数料が入らず経営が苦しくなる、そんなことになれば郵政民営化の趣旨を損なうことになるだろう、それが生田の方針だった。生田というのは公社総裁のことであります。しかし、日本郵政株式会社社長になった西川の発想は違った。社内で最初にぶち上げた直営店数はけた違いだった。生田の耳に届いた西川の考えは、直営二千店、三菱東京UFJ銀行の六百七十店、三井住友銀行の四百十店を上回る規模だった。議論の末、二百三十三店に落ち着いた。それでも、当初の構想からすれば大幅増で、三メガバンクに次ぐ数になったとあります。  西川社長は、本当はこういう考え方で直営店を更に増やそうというおつもりなのではありませんか。
  184. 西川善文

    参考人西川善文君) そういったアイデアが当初にございました。私、日本郵政に参りまして当初にございましたが、いろいろと議論する過程でこれはやっぱり間違っているということを感じまして、今の規模に縮小をしたということでございます。  郵貯の直営店は、その本に書かれているように、言わばアンテナショップでございまして、顧客動向、顧客のニーズの動向、これをしっかりと把握して、そしてそれをビビッドに銀行の業務運営に反映をさせていこうということでございます。かんぽの場合は、直営店と申しますのは法人が専門でございまして、法人向けの商品の販売、そしてその法人での職域での販売、会社にお勤めの方への販売と、こういったものに特定をしておりまして、もちろんそういった業務を郵便局がやっちゃいけないというふうにしているわけではないんですが、支店の場合はそういう業務に特化をしておるということでございます。
  185. 山下芳生

    ○山下芳生君 考え方が間違っているということで今の数に修正されたということでしたが、実は法律上は、完全民営化後のゆうちょ銀行、かんぽ生命が直営店を幾つまでしか持ってはならないという歯止めはありませんね。ですから、株式が完全に処分された後、いろんな民間の株主からの要求もあるでしょう。そのときに、今二百三十四にとどまっている直営店、非常に都市部の中核的な局舎の中ですが、これが更に広げられる可能性、要請が強まることもあるでしょうし、また局舎から外れて店舗展開をされることだって、これは法律上歯止めはありませんね。そこは大臣どうでしょうか。
  186. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  そういった形でも直営店を今増やさなければならないと、そういうアンテナショップという役割に重きを置きますれば、増やさなきゃならない理由はないわけであります。  やはり、二万四千の郵便局のネットワークというものに価値がございまして、他の会社からもいろいろアプローチがあるわけです。このネットワークで金融商品その他を代理販売してほしいということでいろいろアプローチがあります。これは、もう間違いなく二万四千というネットワークの価値を認めてそういうアプローチがあるということでありますので、我々はその価値を守っていかなきゃいかぬ、大事にしていかなきゃいけないということでございます。
  187. 山下芳生

    ○山下芳生君 私も、価値を守る、国民の財産を守るという点は全く同じ考えなんですが、それがこの民営化、四分社化によって可能なのかどうかということが問われているんだと思います。私は、五十店だったらアンテナショップと言えるんでしょうけれども、それがもう二百三十三、四ですから、そうなりますと、もう三メガバンクに次ぐ既に支店数ということになっているわけですから、アンテナショップと言うにはちょっと規模が大き過ぎると思います。  大臣に伺いますけれども、これはゆゆしき事態ではないかと。片や支店を持たないゆうちょ銀行、かんぽ生命、片や二万四千局を持つけれども三業務の受託手数料で生きるしかない郵便局会社、この双方持ちつ持たれつの関係があるから、完全民営化後も全国の郵便局で金融サービスが提供されることになると言っていたのに、その前提が早くも大きく崩れ始めているのではないか。  総務大臣、九月十日に大臣が認可した日本郵政公社の業務等の承継に関する実施計画は、国会における審議を十分踏まえたものになっていないのではないかと私は思いますが、いかがですか。
  188. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げますが、この直営店の関係は、今議員の方からお話がございましたとおり、制度的には、数について制限を加えているものではございませんので、直営店を設けられることができると、こういう形になっているわけですが、今、西川社長なり、それから、それぞれの会長さん方のこの場での答弁にもありますとおり、やはり二万四千のネットワーク価値というのは大変重要だと、こういうことを再三お話をいただいているわけでございまして、そうした郵便局の持っておりますネットワーク価値というものを、十年を越えた先にも今後しっかりと生かしていい経営にしていくと、こういうことが言われているわけでございます。  私どもも、このゆうちょ銀行、かんぽ生命いずれも、もちろん郵便局ネットワークを十二分に使うであろうと。それは十年後もということでありますし、それから直営店、今お話しのとおりありますが、そういったものを相互にうまく有効に活用して、そして、何よりも求められているのは利用者に良質な金融サービスを提供するということでございますから、そうした良質な金融サービスを提供していくということで、精一杯経営努力をしていただきたいと、このように考えております。
  189. 山下芳生

    ○山下芳生君 意欲は分かるんですけれども、私はこうしたゆゆしき事態が生じる根本には、これまで三事業一体で運営した郵政事業を四つに分割して、各々利益を追求しなければならない民間会社にしたことがあると思います。三事業一体のときには非収益事業を別の収益事業で支えるクロスサブシダイズが可能でしたけれども、それができなくなった。互いに利害が相反する関係にされてしまったからであります。  そのことで国民の財産である郵便局の全国ネットワーク、あるいは金融のユニバーサルサービスが維持確保できなくなるようなことは避けなければならない。私は郵政民営化の抜本見直しが必要であるという点だけを指摘しておきたいと思います。  続きまして、現場でいろいろ問題が起こっておりますので、幾つかただしたいと思います。  先日、和歌山県かつらぎ町、旧花園村というところに、郵政民営化の影響を調査するために入ってまいりました。一つは、局外ATMの問題です。この旧花園村役場の玄関の外に一台設置されているATMが、年間三万五千回の利用回数に届かないということを理由に撤去の対象にされております。役場の皆さん先頭に、なくなったら困ると。土日利用できる金融窓口がここしかないということで、今旧村民の皆さんに、一万円下ろすところを三千円三回に分けて下ろそうじゃないかという、笑い話かもしれませんけれども、真剣なそういう努力がされているんです。私は、こういう金融サービスを守るためには、皆さん努力しているんですが、利用回数だけで一律に撤去することはやめるべきだと。少なくとも旧町村ごとに一台は残すなどの配慮があってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  190. 古川洽次

    参考人(古川洽次君) ATMを含めた郵便局ネットワークについては、個人のお客様の生活に深く根差しているものでありますがゆえに、大変大切なものでありますが、一方、企業経営という観点に立てば、限られた経営資源を最大限に活用する、そして、より多くのお客様のニーズに対応していくことが肝要かと思っております。  こうしたことを踏まえ、実は民営化前の二〇〇四年度から局外ATMの再配置計画に取り組んでいるところでございまして、引き続きATMの再配置を行うことにより、全体としてお客様の利便の向上に努めることにいたしておりますが、一律に利用実績で撤去するのではなく、個々の利用状況、地域事情といったことも十分に配慮してまいりたいというふうに考えております。  なお、旧市区町村ということで申し上げれば、旧市区町村内のATMの配置状況も、先ほど申し上げた地域事情の一つとして考慮するほか、近くに郵便局や他のATMが存在するかなどの事情も勘案の上、総合的に判断してまいりたいと考えております。
  191. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、数の減少が大きな問題になっております簡易郵便局についてでありますが、この旧花園村の中に一か所、ほかにはありませんからここしかない郵便局、簡易局ですが、高齢を理由にして一時休止、前任者がお辞めになった。村の人たちが何とか再開をということで努力されて、今若い女性が後継になられました。その方は自宅で開設をされたんですが、郵政民営化の流れの中で、公社の方から、自宅ではなくて、もう少しセキュリティーが高いような形態にしてほしいという要請を受けられたようで、プレハブを造られました。百万円、全部自費だったそうです。その方はそういう余力があったので、それによってオートキャッシャーなども入れてもらえて大変有り難いと喜んでおられましたけれども、そういう資力のない方の場合、それが、設備の負担が重荷になって簡易局の廃止に拍車を掛けるようなことになってはならない、その点では私は支援が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  192. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) 花園村の細かな内容は私は把握しておりませんので、そのことについての具体的なちょっと御説明はしかねますが、ただいま先生から御指摘のあったように、例えば、本年度もシュレッダーであるとかオートキャッシャーを提供したわけですけど、それに伴うそのもろもろの周辺のいわゆる変更なり改装、これは現在受託者負担になっております。一時閉鎖の問題にそういうことも一つのその原因になっているのかもしれません。  そういうことも含めて、全簡連の方々の代表者、あるいはもろもろのそれぞれのお立場の地域代表の方であるとか、そういう方による検討会を開催をいたしまして、トータルとして簡易局政策の在り方、このことをやはりきちっと確認をしてまいりたいと考えておりますし、ただいま山下先生から御提案のあった、御指摘のあったようなことについてもきちっと検討を重ねてまいりたいと考えております。
  193. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後に、郵政職場の問題について一点質問します。  大阪中央郵便局は、窓口課、これ郵便局会社ですけれども、休憩室がいまだに設置されておりません。職場ではそのために深刻な事態が起きております。食事はロッカー室のロッカーの長いすをテーブル代わりにして弁当を食べ、それが終わったら局の中をうろうろして時間を過ごしている職員、家からレジャーシートを持ってきて床に敷いて休んでいる人もいる。こんな状態で働く窓口課の職員やゆうメイトの皆さんにとっては、休憩時間になれば更に疲れさせられる職場環境となっております。  休憩時間に休憩するための休憩室の設置は法律で決められております。コンプライアンスを語るこのままだと資格なしと言わざるを得ません。直ちに改善するよう求めます。いかがでしょうか。
  194. 川茂夫

    参考人(川茂夫君) 御指摘のありましたように、法令上、常時五十人以上又は常時女性三十人以上の労働者を使用するときは、労働者が臥床することのできる休養室又は休養所を男性用と女性用に区別して設けなければいけないと規定されております。  民営化前におきましては、この大阪中央郵便局では男性用と女性用に区別して休養室を設置しておりました。民営化後は同建物に郵便事業会社、ゆうちょ銀行そして郵便局会社が入居しておりますが、休養室については各社が共用で設置をいたしております。したがいまして、法令上、各社が休養室をそれぞれ設置していなくとも、共用で設置すれば法的義務を果たしているものと認識をしております。  ただし、今御指摘のあったように、そういった使い勝手の問題であるとかそういうことについては確認をし、そういうことのないように対応をしてまいりたいと考えております。
  195. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  196. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  民営化の結果、私たちがいろんな懸念をしておったサービスの低下、例えば手数料の値上げであるとか集配業務の廃止による郵便物の遅れであるとか、そしてまた、先ほどから出されているような多数の不適正な認証事務の発生という、こういう問題など、こうした懸念がどうも幾つも的中している、こんな感じがしてならないわけです。  例を挙げて幾つか申し上げていきますが、一つは、山合いに住む高齢者世帯などが郵便配達さん、これまでそういうふうに呼んで、郵便貯金の引き出しをお願いをしていたけれども、これは法律で禁止になったわけですね。
  197. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 答弁どなたですか。
  198. 西川善文

    参考人西川善文君) 総合担務と申すものがございました。郵便の外務員の方が貯金の御依頼を受けて持ち帰って処理するという総合担務というものがございました。これが四分社化の中で郵便事業会社としてはできないということになりました。そこで、そういう御要望がある場合ですね、お客様から、この郵便外務の方から近隣の郵便局に御連絡をいただいて、そして近隣の郵便局から出向かしていただくところは出向かしていただくというふうにしようということで今努めているところでございます。
  199. 又市征治

    ○又市征治君 言葉では簡単にそんなふうにおっしゃるが、局まで行くのに六十キロもありますと。この間も、一か月ほど前のテレビで出ていましたよ、岩手県の例だとか山形の例だとか、そんなのがある。あるいは新聞が、その地域では過疎だから結局郵便局にお願いをするしかなくて、新聞屋さんが新聞配るんじゃなくて郵便局が配っているというのがあるんだよね。こんなのが結局は、新聞が夕刊になってくるという、こんな例まで次々と今起こっている。そのほかにも、電信為替という、働いていた親子などの間で大変利用されていた便利なサービス、これも手数料が上がった。また、小包などの代金引換サービス、これも分割と民営化のダブルで値上げになった。社会貢献としての国際ボランティア貯金も、これまた、今、西川さんがおっしゃったように、銀行法に抵触するためということで廃止になった。これ、いずれも、私たちが大変心配だということを国会でずっと言ってきた、なくもがなの正に民営化によるデメリットなわけですよ。  そこで、この民営化と分割は、こうした国民サービスの低下と同時に内部でも多くの無駄が生じているんじゃないかと、こう思うんです。無駄の最たるものが、郵便の流れを断ち切る郵便局会社と郵便事業会社への分割、こう私は思うんです。  今ほど休憩室の話がちょっと出ましたけど、一方で、各郵便局では分割による間仕切り工事やったり相互に立ち会わせないためのセキュリティー工事やっているんでしょう。それで、片一方で局舎全体としては共同利用という話するけど、できないんだ、これ。そういうことをやっている。この工事、全体で約三千か所、費用どのぐらい掛かったんですか。
  200. 高木祥吉

    参考人(高木祥吉君) 明確に民営分社化ということで区別はなかなかし難い部分はございますが、今先生おっしゃったように、間仕切り、セキュリティーで約三千六百局、経費は二百八十二億でございます。
  201. 又市征治

    ○又市征治君 こんな無駄な金が、間仕切りだとかそんな格好で、セキュリティーだとかということで掛かっていますということです。  こうした物質的な無駄だけではなくて、社員はやっぱり、この五つの会社に分けると、正に職場内の通行すらセキュリティーでかぎを掛けて遮断してしまう、こういうわけですから、これまでの相互応援体制どころか、休憩所さえもそういう意味では大変に不便だ、こんなことさえも起こって、正に非効率と職場のモラルの荒廃が大変心配をされると、こういうことなんです。  次に、公社化したころ、職員に自爆営業と言われるノルマの強制が横行していまして、これは私、二〇〇四年十一月に当委員会で追及しました。このとき生田総裁は、私が着任してからはやらせないように命じていますと、こう大見えを切られて、また通達も出された。民営化の今、実態はどうなっているのか。  現在、八年用の年賀はがき販売始まりましたということでしたが、これは職階別の割当てがやられているんじゃないですか。
  202. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) お答えいたします。  平成二十年用年賀はがきは、郵便事業会社あるいは郵便局会社を始め、日本郵政グループにとって大変重要な商品であり、日本郵政グループのスローガンである「あたらしいふつうをつくる。」を実感していただく民営第一弾の大きな取組として、様々な販売促進にかかわる施策を実施しております。  郵便事業会社の健全な経営を確保するためには、このように販売促進にかかわる施策の実施による年賀はがきの需要拡大に努めるとともに、営業目標を掲げて社員に努力を求めていくことは当然と考えております。  営業目標はこうした観点から設定しているものでありますが、目標達成のために、営業活動はお客様に向けて需要の掘り起こしとか需要に基づく営業によって行われるものであって、実需のない買取りとかというような行為は、事業本来の実力の過大評価につながって経営判断を誤らせるということになります。そういうことは絶対に行わないよう厳しく指導しております。  以上です。
  203. 又市征治

    ○又市征治君 ちょっと違うんじゃないですか。えらいきれい事をおっしゃるけれども、私の聞いたところでは、幹部は一万枚、主任は四千枚、一般局員は二千枚、おまけにゆうメイトまで、ゆうメイトの人たちまで五百枚をそういうことで売ってきなさいと、こう言っているんじゃないですか。ノルマを課さない、こういう格好で今おっしゃったけれども、現場と全然違うんじゃないですか。
  204. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) 一応、皆さんには営業目標は設定はしてございます。決してそれを、実需のないところで買取りのような行為を強いているわけではございません。
  205. 又市征治

    ○又市征治君 そういうことをやっていたから、郵便物を大量に、ゆうパックを自分で親戚にみんな無理やり押し付けたり自分で買い取ってきたんですよ。だから、こういうことは駄目だといって問題にしたわけですよ。言葉で言っておるだけじゃ駄目なんです。  もう一つ例を挙げますが、郵便局会社と郵便事業会社の間でこの年賀状販売、これまたシェア争いをやっていて、事業会社の社員だけに報奨として二百人をクアラルンプール、ローマなどへの海外旅行、縦割りであおっているんじゃありませんか。  これは、西川社長、あなたは日経ビジネス十月一日号のインタビューで、注意すべきは分社化でますます縦割り意識が強まってしまうことだということで指摘をなさっている、まあ部下を怒っているんだろうと思うんだが。ところが、その解決策はといえば、個人の意識を変革していくことだと、こう述べられて労働者の意識に責任転嫁しておられるんだけれども。  しかし、今申し上げてきたような、間仕切りをやります、年賀はがきの両社間の競争といった縦割りの責任というのは、正に上層部がやっているんじゃありませんか、これ。こういうものを解消するための物的あるいは人的手段を講じるのがそれぞれの会社の責任者なんじゃないですか。現実にこんなことが起こっているじゃないですか。そこのところをどうお考えですか。
  206. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えをいたします。  確かに、そういった縦割りの弊害がまだ随所に残っていると思います。  別に、例えば年賀で郵便局と郵便事業会社を競争させるというようなことはないわけでございますけれども、それぞれの精一杯の努力をしていただこうということでやっておることでございますけれども、やはりフロントラインに参りますと、そういう競争をあおられているというふうに受け止められる向きがまだまだあろうかと思います。この点は、やはり我々経営陣がよく現場の実態を把握して、そして、そういった受け止め方のないようにやってまいらなきゃならないと思います。  五分社化、事業会社は四分社化ということでございますが、それぞれがやはり自立できるというふうにしていくということがまず前提でございますけれども、その中で協力、協調関係を構築して、そして事業のシナジー効果を出していくということでなければ、この日本郵政グループ、マーケットで競争力を発揮することができないというふうに私は考えておりますし、そういった考え方で臨みたいと思っております。
  207. 又市征治

    ○又市征治君 まだ古い体質が残っているという。経営陣みんな替わったんでしょう、皆さん方の責任なんですよ。まだみんな、古い連中がみんな残ったままというなら話は分かるけれども。  そういう意味で、片一方の会社では海外旅行まで報奨で付けます、こんなことをやっていて、それでノルマ課してませんなんという、通用しませんよ。きちっとやめてください、本当に、コンプライアンスをしっかり守ってもらわにゃいかぬ。職員にそういう意味では大変な無理を掛ける押売を引き起こしているということなんですよ。  こうした営利主義への急傾斜と職場の無理な分断、あるいは慣れない事業への転換ということの結果、多くの職員が辞めていっているということなんですが、当局の一年に辞める目標、大体退職者の予定を立てたと思うんですが、それと前年度末ですね、この退職者の数、ちょっと教えてください。
  208. 高木祥吉

    参考人(高木祥吉君) 高齢勧奨退職者数について申し上げます。例年ですと約六千人退職をいたしておりますが、平成十八年度につきましては一万三千五百人でございます。
  209. 又市征治

    ○又市征治君 結局、倍以上も辞めているわけですよね。大変な話だ。  そこで、集配業務は長年のノウハウが大切なのに、人材が分割・民営化ということで人為的にこれは失われる。あるいは、そのために誤配だとか遅配だとか紛失だとか、郵便業務そのものを内部から崩壊させるような現象も起こっている。さっきから言われている認証業務の問題もそんな格好で起こってくる、こういう状況ですね。  そして、ゆうメイトなど非常勤職員を非常に多く採用して、今やもう郵政職場では職員対非常勤というのは三対一、全体としては。郵便会社ではもうほぼ半分ずつになっているんでしょう、これ。  労働組合はこうした非常勤者の正職員化だとか、正社員化だとか処遇改善を当然要求されているとは思いますけれども、こうした非常勤の正職員化の考え及びその過渡的形態と言える月給制契約社員について、今何人いて今後どのぐらい増やしていく考えなのか、この点について伺います。
  210. 北村憲雄

    参考人(北村憲雄君) お答えいたします。  現在、郵便事業株式会社の社員数は、正社員が九万九千七百名でございます。非正規社員は、八時間換算で申し上げると九万五千四百名。合計十九万五千百名。正規社員が五一%、非正規社員が四九%となっております。ただし、非正規社員については、四時間、六時間、いろいろな形があります。実際の人の数で申し上げますと、非正規社員は十四万八千七百名ということになります。  もう一つ、先生からの御質問で、今後の契約社員という問題でありますけれども、やはり郵便事業株式会社としては今までの非常勤の方々をやはり契約社員化をしていきたいと、こういうことで、既に十月一日に千三百名ほどの方を契約社員にいたしましたけれども、今後できるだけそれを拡大していくつもりでおります。失礼しました、千百名でございます。  それから、契約社員の方を定期的にやはり本務者へ、正規社員へ登用していこうと、こういうことも今後安定的な雇用を確保するという意味で是非進めていきたいと考えております。  以上です。
  211. 又市征治

    ○又市征治君 西川社長に伺いますが、あなたは、先ほど述べました日経ビジネスで、社員のコンプライアンス意識が低いと、こう強調されておって、まずは十分な人数できちんとした社内監査をすると、こう述べられているわけですけれど、もちろん監査にも人数は必要でしょうけど、先ほど指摘した、業務本体において社員が減少している、非常勤がどんどんどんどん増えている、こういう事態をこれでいいとお思いなのか。ということは、つまり人員削減で、低賃金労働者で利益上げりゃいいんだということになるわけですけれども、そんな格好だけで本当に一体全体あなたがおっしゃるコンプライアンスなんてのは守られるのかどうか、それが正常な、一体全体、状態と言えるのかどうか、ここのところの認識をお伺いしたい。
  212. 西川善文

    参考人西川善文君) 特にやはり、今、北村さんからお答えがありましたように、郵便事業会社において非正規社員のウエートが非常に高くなっているということでございまして、これでは、ほとんどが短期雇用の方でありますから、オペレーションの安定確保ということが難しくなってくると、そのことによりまして品質低下が起きる、あるいは非効率な面が更に広がっていくというマイナス影響も随分やはり考えられますので、今もお話ございましたように、契約社員化、またその中から正社員に登用していくというような格好で、雇用の安定確保というものを第一と考えていかなければならないと、それを前提にオペレーションを組んでいくということでなければならないというふうに考えております。
  213. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、大臣、雇用の問題でありましたから、これは二年前も随分議論がやった中で、この郵政に関係するメルパルク、郵便貯金ホールなどというものの廃止が、先ほどからも出ていますけれども、決定をされているということですが、約二千人ぐらいここで働いておられる、この雇用問題が発生しそうですけれども、これはこれまでの論議からいっても当然しっかりと雇用は確保していただくということだと思いますが、改めて大臣からこのことについての見解を伺っておきます。
  214. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、このメルパルクなどの処分を会社の方で考えていると、こういうことを聞いておりますが、やはり雇用の問題というのは、これは大きな問題でございますので、そうしたことを考えるについては、会社の方でもこの雇用の問題ということについていろいろ当然配慮していただけるものと思っておりますし、私どもも会社にそのようなことを期待しているところでございます。
  215. 又市征治

    ○又市征治君 これ答弁求めませんが、西川さん、しっかりとこの点は、雇用面は守っていただくと。うなずいておられますから、是非そういうことで対処をしていただきたいと思います。  次に、この五つの会社の経営陣の構成の問題について若干お伺いしたいと思います。  西川社長は住友銀行頭取など三井住友グループの御出身ですけれども、日本郵政の社長に御就任に当たって三井住友グループの役職や株所有などの御関係、整理なさってきたんだと思いますが、どんなふうにされたのかというのを一つお伺いすると同時に、なぜこんなことを聞くかというと、せんだって、郵政が保有してきた百三十兆円の債券の管理業務について、最近、三井住友グループなどの資産管理銀行というんですかね、これがマイナス九億八千万円で落札した。マイナス落札というのは今まで聞いたことないんだけれども、マイナス九億八千万円で落札して、あとのグループはゼロ円で応札されたようですけれども、これはもちろん西川さんに限ってそんなインサイダー情報などということはないだろうと思うけれども、そんなことを疑われちゃ困るだろうから、この辺のところをお聞きしたわけです。
  216. 西川善文

    参考人西川善文君) 平成十八年一月の日本郵政株式会社社長就任の際に、三井住友銀行の特別顧問を辞職いたしまして、その後、三井住友フィナンシャルグループはもちろん、住友グループや三井グループ企業の役職には一切就いておりません。当社の公共性、公益性というものにつきまして十分認識をしておりまして、特定のグループや企業を優遇するということは一切ないと約束できると思います。  それから、このマイナス一億円落札でございます。
  217. 又市征治

    ○又市征治君 一億じゃないよ、約十億だ、九億八千万。
  218. 西川善文

    参考人西川善文君) 数字が違うということですかな、これは。  いずれにいたしましても、それは決して腹切りをやっているわけではないと思います。手数料が保管業務で入ってまいりますので、それとの見合いでそういう金額を出したんだろうと、これは推定でございますが、こう思います。
  219. 又市征治

    ○又市征治君 マイナス九億八千万円で落札して、つまりお金をもらったわけだ、こちら側にすれば。それで、預かってもらって、手数料で日銀から二年ぐらいで大体三億円ぐらいもうかるそうだから、こっちの方は落としても、ずっと先へ持っていればどんどんもうかると、こういう仕組みだから、いや、だからそういう利権があるからさっきお聞きしたんです。まあ余分なことを言いましたが。こんなことをやっていたら時間がなくなってきた。  ところで、この五つの会社の経営陣の名簿を拝見しますと、西川さんが持ち株会社のほか社外取締役など三つ兼ねておられて、ほかに多くの企業経営者が参加されたんですが、元来郵政三事業に携わって事業の実情に精通した人がほとんど見当たらない。だから、さっきから私申し上げたようなことが起こっているんじゃないかと思う、そういう意味で。新規事業よりも、まず、新規事業も大事ですよ、だけれども、まず郵政三事業の確実な提供を期待をするものからすれば、この陣容でスムーズにこれが継承されていくのか、こういうことが心配になる。西川社長として、この三事業の継続性について、人事面からのこういう配慮はお考えにならなかったのかどうか、この点をお伺いしたい。
  220. 西川善文

    参考人西川善文君) 民営化によりまして誕生する新会社の運営を成功させていくためには、郵政事業に十分な経験や知識を持った人材と、民間企業で優れたノウハウやマネジメント能力を培った人材をうまく融合させていくということが不可欠だと思います。今回の人事につきましても、そのような観点から、本人の実力と見識に基づきまして、適材適所に努めたものでございまして、この方針は今後とも変わらないと思います。  なお、実際の業務を行う執行役あるいは執行役員以上のレベルで見ますと、新しく就任された方も含めまして、郵政出身者も数多く役員に登用しておりまして、その点は御安心をいただきたいと存じます。
  221. 又市征治

    ○又市征治君 時間がなくなってまいりましたから、本当は第三者委員会の問題を午前中の長谷川さんに次いでやろうかと思ったんですが、やる時間がありませんからこれは飛ばさせていただきます。  そこで、西川さんは先ほどからお話しのようにメガバンクの御出身ですが、今メガバンクは富裕層向けのクローズドなサービスを充実させる一方で、零細な貯金口座に対しては手数料の値上げであるとか取引内容の制限など、銀行サービスの露骨な二極化、格差付けというのが進んでいると思うんですね。ゆうちょ銀行やかんぽ保険会社が庶民の口座として、また、銀行の出店しない津々浦々でサービスをした役割を忘れられては困ると思うんです、私は。  郵政民営化をめぐる九月二十三日のテレビ番組で竹中元郵政担当大臣は、金融排除が起きていいんですかと問われたら、金融排除は新たな問題として考えなければならない時期が来ると、こう肯定をしてしゃべっておいでになると。自分の国会での答弁を何だと思っているのか、これはもう開き直っているんじゃないかと、こう言いたくなるんだけれども、こういう無慈悲な予測だと思うんですが、西川社長はこの点についてどうお考えか、親会社として庶民の金融を守る立場でお考えをお聞かせいただきたい。
  222. 西川善文

    参考人西川善文君) お答えいたします。  私どもは、金融排除ということが起きてはならないというふうに固く信じておりまして、そういう意味で全国の二万四千に及ぶネットワークをきっちりと守っていきたいという考え方で臨んでおるわけでございます。  御指摘のように、ただいま大手銀行などでは顧客セグメントというものをはっきりさせて、そして、そのセグメントごとに扱いが違うというビジネスモデルを追求しておるわけでございますが、私どもはそういったことは一切やる考えはございません。やはりリテールビジネス、これが基本でございまして、あらゆるお客様に平等にサービスを提供させていただくということが本旨でございます。
  223. 又市征治

    ○又市征治君 民営化になったわけですから、いずれにしましても二年前の国会で、最終的にはいろいろと意見もありましたが、そういう意味では、与党側の皆さんも、推進なさった皆さんも大変な心配だから十五項目の附帯決議がありました。重々御承知だろうと思います。そのことに遺漏のないように御対処いただくことをお願いして、終わりたいと思います。
  224. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十七分散会