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2007-11-02 第168回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年十一月二日(金曜日)    午前十一時開会     ─────────────    委員異動  十月三十一日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     郡司  彰君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         一川 保夫君     理 事                 高橋 千秋君                 森 ゆうこ君                 加治屋義人君                 神取  忍君     委 員                 青木  愛君                 郡司  彰君                 鈴木 陽悦君                 広田  一君                 藤谷 光信君                 山根 隆治君                 吉川 沙織君                 佐藤 信秋君                 佐藤 正久君                 末松 信介君                 塚田 一郎君                 山田 俊男君                 西田 実仁君                 山口那津男君                 仁比 聡平君        発議者      森 ゆうこ君    委員以外の議員        発議者      藤本 祐司君        発議者      水岡 俊一君        発議者      富岡由紀夫君    副大臣        内閣府副大臣   木村  勉君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        加藤 勝信君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      田口 尚文君        内閣府政策統括        官        加藤 利男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案  (森ゆうこ君外六名発議)     ─────────────
  2. 一川保夫

    委員長一川保夫君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る十月三十一日、風間直樹君が委員を辞任され、その補欠として郡司彰君が選任されました。     ─────────────
  3. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣大臣官房審議官田口尚文君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。     ─────────────
  5. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 広田一

    広田一君 民主党新緑風会日本広田一でございます。  私は、本災害対策特別委員会では初めての質問になります。その初質問の相手が身内ということで多少やりにくいところはございますけれども、よろしくお願いします。  しかし、本法案は大変重要な法案でございまして、今年に入りましても能登半島地震、また新潟県の中越沖地震等が発生をいたしております。亡くなられた方には心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方にも衷心よりお見舞いを申し上げるところでございます。  今でも多くの皆さん生活再建の道半ばで苦しんでいるのが実情でございまして、私の出身地高知、四国も災害多発地帯でございます。一日も早く被災者の心に届く手厚い生活再建支援策が今求められていると思います。  また、さきの参議院議員選挙を経まして、与野党の勢力が逆転をいたしました。先ほどの本会議におきましては、いわゆる年金保険料流用禁止法案が可決をいたしました。立場の違いで対立するのは当然でございますけれども、しかし、被災者生活再建支援のように国民生活に直結する課題につきまして問題意識が共有できるのであるのならば、与野党の垣根を越えて知恵を出し合い、国民の期待にこたえていくのもこれまた当然のことだと思います。是非、与党皆さんにおかれましては、民主党新緑風会日本案に御協力をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  それでは、まず第一条、目的関連をいたしまして御質問いたします。  民主党新緑風会日本案、以下民主案と呼ばさせていただきますけれども、その目的の一部を今回改正をいたしております。具体的には、現行法の「経済的理由等によって自立して生活再建することが困難なもの」を削除したり、また、「自立した生活開始」を「生活再建」に変えるなど、目的を改めているわけでございますけれども、その理由は一体何なのか、お伺いをしたいと思います。
  7. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 広田委員からの質問でございます。  目的、第一条のところで、今の質問は、経済的理由によって自立した生活再建することが困難なものを削った、あるいは自立した生活開始というのを生活再建に変えたということの御質問、その理由をお聞きになっているかと思います。  今回、この被災者生活再建支援法支給対象世帯拡大をしております。簡単に言えば、幾つかのポイントがありますが、年齢の要件の撤廃をしたとか、半壊世帯までその支給拡大をしたとか、そういう拡大をしているわけでございまして、必ずしも経済的理由等によって自立して生活再建することが困難なものということだけに限定をしているわけではございませんで、そこのところの被災者生活再建支援金支給対象となり得るものを拡大をしているということで、この部分についてを削ってございます。  また、支援金上限額を増額をしております。具体的に申し上げると、全壊世帯については今まで三百万だったものを五百万に改めているということによって、また住宅本体ですね、今までは本体にその支援金支給することができなかったわけですが、その本体再建にも支援対象とするということによって、改正後の被災者再建支援制度というのは従来のいわゆる自立した生活開始という支援にとどまらないものとなったと我々は考えてございます。そこで、この法律目的の「自立した生活開始」を「生活再建」という言葉に改めたものということで御理解をいただきたいと思います。
  8. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございました。  それぞれの御説明をいただいたわけでございますし、もっともな理由だというふうに思うわけでございますけれども、ただ、その一方で、少し気になるのが、民主党はかねてより、被災地における住宅再建は、単に個人レベルにおける再建ではなくて、地域コミュニティー復興見地からも大変重要であると、このことを主張をしてまいりました。  そうであるとするんだったら、今回の法改正目的地域コミュニティーの再興というものを明記すべきではなかったかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  9. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 広田議員質問にお答えさせていただきたいと思います。  おっしゃるとおり、被災地におきます住宅再建は、単に個人レベルにおける再建だけではなく、地域コミュニティー復興に大変重要であるという見地からも、今回、民主党改正案におきましては、住宅本体部分に係る再建に対しても支援金支給することにしたものでございます。  そこで、住宅に関する支援といたしましては、既に現行法におきましても、居住安定支援制度としてローン関係経費瓦れき撤去費など、住宅再建に関する施策が講じられているところでございますが、この趣旨といたしましては、被災者個人への支援という側面と、地域復興促進という側面があると説明をされているところでございます。  すなわち、現行法においても、目的には明記はされてはございませんけれども、支援制度自体考え方として地域コミュニティー復興も既に考慮されたものであるというふうに考えまして、あえて目的明記することはしなかったものでございます。
  10. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  他の制度において既に地域コミュニティー復興という考え方が盛り込まれているふうなお話があったわけでございますけれども、それは逆に言えば、明記することによって今回何か問題が生じるわけではないと思います。私は、むしろ逆に、明記することによりまして、今回の法改正趣旨、先ほど来御説明がございますように、住宅本体への支給理由等がより一層分かりやすくなるんじゃないかなというふうに思います。つまり、被災者生活再建支援充実強化といったものが地域コミュニティー復興という公共性の高い取組に寄与をすると、こういうふうに私は整理した方がよいのではないかなというふうに思うわけでございますけれども、この点についても見解を改めて問いたいところなんですが、時間の都合もございますので次に参りたいというふうに思います。  それでは、第二条の二に関連して御質問をいたします。  民主案の特徴といたしまして、被災世帯半壊世帯を含めることといたしております。全国知事会の中には、持続可能な制度にするためには範囲の拡大は慎重にすべきだというふうな意見もある中で、なぜ対象世帯拡充支援金支給することになったのか、その理由についてお伺いをしたいと思います。
  11. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 考えていただければお分かりだと思いますが、災害を受けた場合、全壊、大規模半壊、これも半壊の一態様だと思いますが、そして半壊という大きなくくりがあるわけで、半壊であったとしても、やはり災害により重大な被害を受けたということについては変わりはないわけでございます。その程度の差はあろうとしても損害を受けたということには変わりはなくて、生活の再スタートにはやはり相当な困難を伴うものであろうというふうに考えております。それは、現行災害救助法発動要件あるいは応急修理制度においても半壊世帯対象としているということからも明らかだろうというふうに思います。  そして今、広田委員自治体においても慎重に取り扱うべきというお話がございましたけれども、逆に地方自治体における独自支援制度においても半壊世帯対象とするところも見られておりまして、被災者生活の再スタートということにおいてはやはり大きな効果を上げているというふうに承知をしております。そうした考え方の下に、本法案においては支援金支給対象半壊世帯というのも含めることとしたわけでございます。  以上です。
  12. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  半壊という言葉だけを見ますと、ここにまで支援をというふうなことになるかもしれませんけれども、実際、皆様方は本当に現場等を歩かれて、半壊実態というものもつぶさに調査をして、その半壊というものがまさしく生活再建にとっても著しい弊害になっているということを身をもって経験された上での御提案だというふうに理解をしたいと思います。  また、先ほど藤本発議者の方から御指摘ございましたように、既に福井県であるとか新潟県においては独自の半壊に対する支援策というものもできてきているわけでございますので、他の地震等で余り被害が出ていない自治体におきましても、これは他人事ではない、明日は我が身であると、そういったような理解をしていただいて、この半壊に対する支援策への拡充というものも広めていっていただきたいというふうに思います。  次に、第三条に関連いたしまして御質問をいたします。  民主案は、支援限度額につきましても充実を図っております。すなわち、全壊世帯上限五百万円、大規模半壊世帯は二百万円、そして半壊世帯は百万円でございます。それぞれの支援金支給限度額金額根拠は一体何なのか、このことについてお伺いをしたいと思います。
  13. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) 発議者の一人、水岡俊一でございます。  広田委員の御質問にお答えをしたいと思います。  支給限度額金額根拠は何かということでございますので、その考え方を述べたいと思います。  全壊世帯につき、生活関係経費現行の百万円と同額とし、居住関係経費住宅建築購入補修費本体にも充てることを考慮して四百万円に増額することを念頭に置いて、五百万円としています。  大規模半壊世帯については、現行では生活関係経費支給していませんが、今回の改正案では全壊世帯半額支給するものとしてこれを五十万円とし、居住関係経費住宅建築購入補修費本体にも充てることを考慮して百五十万円に増額することを念頭に置きまして、二百万円としています。  さらに、半壊世帯については、生活関係経費居住関係経費を今回の改正案における大規模半壊世帯半額に当たる二十五万円、七十五万円とすることを念頭に置いて、百万円としております。  以上です。
  14. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  半壊につきまして、先ほど藤本委員の方から、これはまた重大な被害であるというふうな御指摘があったわけです。福井県、また新潟県の例を見ますと、福井県が二百万円、また新潟県が五十万円というふうにばらつきがあるわけでございますけれども、そういった中で百万円というふうな規定をしているところです。こういった他の独自に進めている自治体との兼ね合い等についてもお聞きをしたいところでございますけれども、次に移らさせていただきたいと思います。  次に、対象経費について御質問いたします。  民主案では、被災者生活再建支援金使途を、被災世帯の居住する住宅建築費購入費又は補修費まで拡大をいたしております。このことによって住宅本体再建が可能になるわけでございますけれども、これこそが本改正案の肝に当たるわけです。これは被災者皆さんの切なる声を反映したものであると考えますし、その一方で、政府はこれまでかたくなに、住宅は典型的な個人財産である、個人が自由に売買できるもの、財産形成税金は使わないというふうな姿勢でございました。私は、平時の状況災害のような緊急危機的な状況とではおのずから位置付けが異なってしかるべきだと考えております。  こういったことを踏まえまして、今回の使途拡大対象経費拡充理由は一体何なのか、お伺いをしたいと思います。
  15. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 今、広田委員がおっしゃったとおりでございまして、このところ、この住宅本体支援金を使えるかどうかというところが大変大きな今回のポイントであるというふうに我々は認識をしておりまして、これも、今まで子細に被災者方々からいろんなところで声をお聞きすると、やはりそこのところがなかなか進まないということによって生活再建がままならないという、そういう実態があるということをやはり我々は理解をしておかないといけないのかなというふうに思います。やはり、自然災害による被災者がその被害から回復していくということのためには、日常生活再建、その日常生活再建の基盤になります住まい、住生活、この住生活再建ということを欠かすことができないんだろうというふうに思います。  これについてはいろんな御意見があろうかと思いますけれども、被災地における住宅再建というのは、単に個人レベル再建ということではなくて、先ほど地域コミュニティーお話もございましたとおり、その地域社会全体に対していかに迅速な復興を遂げるのか、地域復興見地ですね、そういう点から見ても大変重要なポイントであるというふうに思っています。  また、被災者が自らの住宅再建することができないとなると、その相当数がいわゆる公営住宅に入居するということになります。そうなると、結果的にその自治体財政負担というのも大きく増えてしまう。そうすると、被災者以外の方々にも影響を及ぼすということにもなってくるという意見もあるわけでございます。  また、周辺経費に限った制度では住宅再建の有効な手段とならないで、ローンを組める人そして組めない人、その間で支給金に大きな差が出てくるということで、逆に不公平が生じてしまうんじゃないかというような意見もございます。  内閣府の調査におきましても、この現行法居住安定経費について、その支援金支給の実績というのはもう三割を下回っていると。そこを考えると、やはり被災者にとって実効ある制度となっていないということが言えるのではないかなというふうに思います。  また、全国知事会におかれましても、この使途被災者被災世帯の居住する住宅建築あるいは購入あるいは補修費まで認めることを要望しているわけでございまして、そういったことを総合的に勘案をいたしまして、今回はこの被災者生活再建支援金使途住宅建築購入補修まで拡大するという形で法案を提出したところでございます。
  16. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  まさしく住宅本体税金が使えることによりまして実態に合った取組ができるというふうなお話と同時に、御答弁の中で地域コミュニティー復興というふうなお話がございましたので、これまた先ほどの目的の話に返るんですけれども、であれば、やはり目的明記をする方が合理的じゃないかなというふうなこともちょっと御答弁を聞きながら感じたわけでございます。  それでは、関連いたしまして、建築費購入費補修費、これに今回使えるということなんですけれども、一般的なイメージはできるんですが、これ、具体的にはどのようなものに支給されるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  17. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) この住宅建築費購入費補修費としては、やはり建築補修の場合には工事費、いわゆる建築工事費であるとか設計料、これなんかが含まれるのではないかと。購入の場合については販売価格、こういったものが含まれるわけでございまして、住宅建築購入補修に必要な経費というのが幅広く当然その中には含まれてくるのかなというふうに我々は考えております。  仕切りの問題ですけれども、現行居住関係経費のうちの住宅を賃借する場合の家賃以外のもの、例えば解体、整地、撤去費用であるとかローンの利息であるとか保証料であるとか建築確認費用とか媒介手数料、こういったものもこの中に含めてよいのではないかというふうに我々は考えております。
  18. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  細かく決めて、そして幅広く規定するということは大事だと思いますけれども、何分利用者にとって使い勝手がいいような、そういうふうな取組お願いをしたいと思います。  それでは次に、対象世帯への支給方式考え方について御質問をさせていただきます。  この点につきましては、私が理解するところによりますと、与党案は、使途を限定せず、被災状況及び住宅再建態様などに応じて定額渡し切り方式支給をすると。それに対して民主案は、使途を限定しつつも、概算払一定額支給して、領収書などの提出をもって精算するというふうなことだと思います。  有識者の方とかからのお話を聞きますと、正直、与党案の方が使い勝手がいいんじゃないか、事務負担軽減できるんじゃないかというふうな声があるわけでございますけれども、民主案対象世帯への支給方式考え方についてお伺いをしたいと思います。
  19. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) お答えします。  委員指摘のとおり、支給方法については使途を一切限定しないで定額で支援金支給する制度としてはどうかという考え方も確かにございますが、その場合に、例えば支援金をすべて遊興費等に使用しても全く構わないことになります。支援金が公費によって賄われていることを踏まえれば、被災者生活再建に何ら寄与しないそのような使い方まで許容するというのは適当かどうか、大変疑問に思うところであります。  よって、民主党案では、生活関係経費居住関係経費対象を大きく拡大する、またさらに、支給手続大幅簡素化概算払制度を最大限活用することを行いながら支援金使途をある程度限定する方法を取っているわけでございます。  さらに、領収書添付等お話も今あったところでございますが、領収書等についてはもう現段階から簡素化の方向で進んでおりますので、民主党案としては、更に簡素化をして被災者の方に御負担を掛けないような方法を考えていきたいと、こういうふうに考えております。
  20. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  本当に水岡さんが御指摘になりますように、確かに遊興費、パチンコなんかに使われたら本当にたまったものじゃないわけでございますので、やはり一定規定、縛りというものは私も必要だというふうに思います。  関連いたしまして、現行制度では手続の煩雑さへの不満や事務負担軽減を求める声が被災者の方からも寄せられております。民主案ではどのように改善をされていくのか、分かりやすい例を挙げて御答弁いただければ幸いでございます。
  21. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) 関連したお話でございますが、支援金支給について事務負担軽減をする、これは自治体にとっても被災者にとってもそうでございます、その両方から強く求められているところでありますので、私たちもそれは重要な課題であると認識をしてきました。  民主党案につきましては、現行法と同じく、支援金算定の基準や支給手続を政令に委任をしておるわけでありますが、現行制度のような複雑な支援金算定仕組みを大幅に簡素化するとともに、概算払制度を最大限に活用することにより支援金支給についての事務負担を大きく軽減することを考えているということは先ほど申し上げたとおりでございます。  具体的には、支援金算定について、現行制度のような居住関係経費を更に細分化をして限度額を設定する仕組みというのは廃止をしてまいりたいと考えております。さらに、被災世帯類型等に応じて生活関係経費居住関係経費ごとにその限度額の全額を概算払の形で支援金を支払うことを想定をしております。後日、生活関係経費居住関係経費ごとに、支出額概算払の額を上回っていれば精算が終了するというような方法を取りたいと考えております。
  22. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  一連の御答弁をいただきますと、本当、民主案というのは大変すばらしい案だなというふうに手前勝手ながら思うわけでございますけれども、ただ、やはり気になりますのが経費の問題でございます。私も財政金融委員会の方に所属をいたしておりまして、財源はどうするんだ、負担の増加についてはどう取り組むのかというのはこれは大変重要な論点だというふうに思います。  今回の改正案が実現いたしますと、対象世帯拡充であるとか支給要件の緩和などに伴いまして、これ、費用が必然的に増大をいたします。それによって国の予算がどの程度増加すると試算をされているのか。またあわせて、第十八条の改正関連いたしまして、国の補助の割合を二分の一から三分の二に引き上げるということですけれども、その理由も併せてお伺いしたいと思います。
  23. 富岡由紀夫

    委員以外の議員富岡由紀夫君) 広田議員予算関連の御質問についてお答え申し上げます。  この法律の施行に伴う経費は、結論から申し上げますと、平年度で約七十億円程度負担が見込まれます。この予算算定方法でございますが、まず平成十年度に被災者生活再建支援法が施行された後に同法の適用対象となった住宅被害状況から、全壊世帯、大規模半壊世帯及び半壊世帯の数の年間平均値を算出いたしました。  次に、それぞれの世帯数に、全世帯に占める年間収入八百万円未満の世帯の割合及びそれぞれの支給限度額を乗じることにより支援金の総額を算出いたしました。  次に、支援金の総額に国庫負担率である三分の二を乗じ、その額から平成十九年度予算において見積もられていた額であります三億円を引くと約七十億円になるということで算出させていただきました。これらの財源につきましては、行政改革を進めて既存の無駄を省くことで十分に捻出可能であると考えております。  そして、国の補助割合、二分の一から三分の二に引き上げた理由ということでございますが、今回、被災世帯半壊世帯を加えるとか、被災者生活再建支援金支給要件となる年齢要件を撤廃したことにより、支援金支給対象となる世帯数が増加することが見込まれます。また、支援額、支援限度額上限を引き上げ、住宅建築費購入費補修費支援対象としたことによりまして、一世帯当たりの支援金の額が増額することが見込まれております。  このように、支援金の支出合計額の増加が見込まれ、したがって都道府県の拠出による基金からの支出についても増加が見込まれることから、その負担軽減するために国の補助の割合を二分の一から三分の二に引き上げることとしたものであります。
  24. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございました。  費用の増大の理由といたしまして、半壊世帯を組み込んだこと、また年収、年齢要件の緩和というふうなことで七十億円ということになるということです。与党案はたしか四億五千万ぐらいだというふうに承知しているわけでございますけれども、それに比べても大きな額になります。  私は、支援金の支出合計金額の増加だけを理由に国の補助割合を三分の二に引き上げるというのは、今の我が国の厳しい財政状況を考えると論拠としてはちょっと弱いんじゃないかなというふうに思わざるを得ません。現在、三位一体改革の影響で、例えば義務教育の国庫負担金の割合が二分の一から三分の一に減るなど多くの重要政策においても、国の負担率、補助金の比率というものは下がり続けている中、国民理解をどういうふうに得ていくのか、こういった視点も大事だと思います。  また、制度論といたしましても、この支援金といったものが、第一条に規定していますように、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用している。つまり、地方が主体になっているわけでございますので、こういった制度論からも、国民理解を得るためにはまず国の負担を三分の二に増やした場合の財源を明確にすべきだと思います。  行政改革によって無駄を省くというふうなお話でございましたけれども、数兆円単位の無駄を省くのに比べれば七十億円ぐらいの無駄はすぐ省けるというのは非常によく分かる議論なんですが、例えば災害対策関連予算の類似メニューを見直すであるとか、財源確保についてもう少し明確な御答弁をいただければと思います。
  25. 富岡由紀夫

    委員以外の議員富岡由紀夫君) 財源の問題については先ほど行政改革の推進によって無駄を省くということでお話しさせていただきました。  具体的な中身についてどこを削って幾ら捻出するかというところは、残念ながら我々はまだそういった情報を持ち合わせておりませんので明確なお答えをすることはできませんが、無駄があるということはこれは明確でございます。  今週の財政金融委員会で、私も財金のメンバーなんですが、額賀財務大臣質問させていただきまして、その中で、所信表明にありました無駄を省くという、財務大臣の所信表明があったんですけれども、その点についてお問い合わせしたら、確かに今の予算の中には無駄があるということを財務大臣自ら認めていらっしゃいますので、その認められたところをしっかりと省くことによって捻出をするべきだと、私はそう思っております。  国民生活が、再建の方が重要ですから、重要度合いを見ていただいて、無駄があるところを削っていただいて、本当に困った人に予算を付ける、これは国の政策として当然だというふうに思っております。  以上です。
  26. 広田一

    広田一君 どうもありがとうございます。  額賀大臣のお言葉をかりて、財務省も無駄があるというふうに言っておりました。財務省自身の予算を見てみますと、例えば国債の利払い費、これを想定金利を平成十九年度なんかも二・三%に設定をして、過大な過剰見積りをいたしております。平成十七年度だけでも約一兆円、二月の補正のときに減額補正をするような実態がありますので、そういった様々な過剰見積り等の見直しをすることによって私も財源は十分に出てくるというふうに思います。  今回、身内に対する質問ということで多少歯切れが悪うございましたけれども、この民主案、是非とも成立をしていただいて、被災者の期待にこたえるように心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎でございます。  今年の七月の選挙におきまして国政に参画をさせていただくことになりました。今日は、前半部分を中越地震と中越沖地震の被災地を代表して私が、そして後半部分を阪神・淡路大震災の被災地を代表して末松参議院議員にそれぞれ質問をやらせていただくというふうに考えております。私にとっては初めての国会での質問でありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まずもって、本年に発生いたしました中越沖地震また能登半島地震を始め、多くの地震あるいは自然災害によって被害に遭われた多くの皆様に、この場をおかりして心よりのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。  私自身は、この七月十六日、中越沖地震が発生をした当時、参議院選挙のさなかでございました。くしくも今日発案の御席にいらっしゃる森ゆうこ先生も同じ新潟の選挙戦を戦っていただいておったわけであります。その意味では、こうした被災地、正に選挙のさなかに起きた、私も現地に駆け付けさせていただき、いろんな方の生の声を聞かせていただきました。今日までこうしたお話を聞く中で、どうしてもこの被災者再建支援法案というものをより被災者の立場に立った視点で見直していくことの必要性を痛感したわけであります。是非その点を踏まえて、与野党という対立を超えて建設的な議論を今日はさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  まず初めに、この法律案改正に対してのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。  今ほど申し上げたように、今正に災害で困っていらっしゃる方がいらっしゃる。また一方で、日本という国を状況を考えると、いつ何どきまた新たな自然災害が襲ってくるかも分からない。こうした意味で、今国会におけるこの法案改正は大変に私は早急な課題であり、スピード感を持って何としてもこの国会で成し遂げなければならないというふうに考えるわけであります。  その意味で是非、各党が合意をできる成案を今国会中に早急に整備をして、きちっとした形でその法律改正を行うという姿勢を我々が示していくべきだというふうに考えますが、この点について、内閣府防災担当加藤政務官及び提案者の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 加藤勝信

    大臣政務官加藤勝信君) 今委員がおっしゃったように、今年に起きた能登半島そして中越沖、そして様々な台風等による被害等々、そうした被害を受けられた方々に対する思いというのは、これは与党、野党、政府問わず、まず共通のものがあるわけでありまして、様々なお見舞いの思い、そして復旧復興に向けて頑張っておられる、それに対する精一杯の御努力を申し上げたいと、これはまず共通のものがあろうかと思います。  そして、今、当参議院では、民主党さんが御提案の法案が今審議をされようとしているわけでありますし、衆議院でも今日、今度は与党が提案したものが出されているわけであります。こうした提案をいただき、また御審議をいただいている背景には、今申し上げた被災地に対する思い、そして現行生活支援法における、例えば支給における支給率が低い等々問題がいろいろ指摘をされてきている、これをどうにか見直しをしていかなきゃいけないという思いがあるわけでありまして、私どもも同じ思いを持っております。  いずれにいたしましても、当参議院におかれまして十分に御審議を尽くしていただきまして成案をいただきますことを私どもとしてもお願いし、また期待をしておるところでございます。
  29. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 塚田議員の初めての御質問に私が答えることになるとは大変感慨深いものがございます。お互いに選挙のときに中越沖地震を体験し、またその中で被災者支援に奔走したという経験を大切にしながら、この国会におきまして、与野党の枠を超えまして、被災者の視点に立った、被災者皆さんに希望を与えるような法改正ができるように努力をしてまいりたいというふうに思います。  三年前の中越地震の後に、私どもこの被災者生活再建支援法改正のためのワーキングチームの中で精力的に議論をさせていただきまして、既に何度もこの改正案を提出させていただいております。橋や道路は直っても、そこに住む人々の生活再建されなければ地域の本当の再生はあり得ない、そういう全国各地の被災地の皆様からの痛切な御要望を度々いただいてきたところでございます。  衆議院の方にも与党案が提出されたというふうに伺っておりますが、与野党で協力できるところは協力いたしまして、被災者生活再建のための被災地の真の復興に資する法改正ができればというふうに考えております。
  30. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございました。  森議員からもこの法律案の成案を得ることについて大変に前向きな御発言をいただいたことを感謝を申し上げたいというふうに思います。  続けて、内閣府の政務官、加藤政務官にお尋ねをいたします。  被災者再建支援法案制定のそもそもの趣旨と、平成十六年の改正の内容、そしてまた今回の再改正における見直しのポイント等について簡潔に御説明いただければ有り難いと思います。
  31. 加藤勝信

    大臣政務官加藤勝信君) 被災者生活再建支援法は、御承知のように、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、全国の都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して支援金支給し、国がその費用を助成すると、こういう制度によりまして、被災者の自立した生活開始を迅速かつ確実に支援すると、こういう趣旨の下で平成十年に制定されたわけでございます。  制定当時は、家財道具等に対して最大百万円を支給すると、こういう制度でありました。住宅再建支援の在り方につきましては総合的な見地から検討を行うという旨の附則が付いていたわけでありまして、それを踏まえまして、平成十六年に、被災住宅の解体撤去費等安定した居住の確保に係る経費に最大二百万円を支給する居住安定支援制度、これを追加をいたしました。  なお、平成十六年の法改正の審議の際にも、施行後四年を目途として制度の見直しを行うなど総合的な検討を加える旨の附帯決議を参議院からもちょうだいをしているわけでありまして、内閣府において、本年三月に検討会を設けて、見直しに向け検討を行っていたところでございます。  具体的に、検討会におきまして、中間報告では、制度が複雑であることから居住関係経費支給率が三割弱にとどまっていることなど問題点が挙げられておりまして、制度見直しの方向性といたしましては、被災者から見て分かりやすい、被災者の自立意識、生活再建意欲を高める制度に、また被災者に対して支援の気持ちがストレートに伝わるような制度にすべきと、こういった意見をちょうだいしているところでございます。  いずれにいたしましても、本制度につきまして、今、与党そして民主党それぞれから被災者支援充実を図るべく改正法案が提出し審議をしていただいておりますので、先ほど申し上げましたけれども、十分な御審議と、そして成案を得ていただきますことをお願いしたいと思います。
  32. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  今の御指摘は、とにかく被災者の目線に立って、非常に複雑な制度ではなくて分かりやすい制度で、本来の法律が求めている支援を確実に被災者に行っていくということが重要だという御指摘かと思います。  こうした点を踏まえて民主党の皆様に個別の御質問をさしていただきます。  まず前提として申し上げたいことは、今回、森議員からもお話がありました住宅再建への支援をこの法律で考えられていると、これは大変に私は重要なポイントだというふうに思います。お話のあったとおり、地域再生というのはそこに住む皆さん住宅再建が伴って初めて実効力がある形になるわけですから、この点は与党案も含めて今回の改正で是非ポイントとしていかなければいけない点だというふうに思っております。その上で幾つか御質問を申し上げさしていただきます。  民主党案においては、限度額を五百万円という形に増額をするということを御提示をされています。現行制度では、先ほど政務官からお話がありましたとおり、実際の運用が三割程度にとどまっていると。これは一つは、その仕組みが非常に複雑であるとか、そういった点があると。まずはこの今の制度の中で限度額を、確実な受給を優先するという考えを優先をしていく仕組みづくりを考えていくべきではないかというのが一つの指摘だというふうに思います。  その意味で、今の制度の改良点は十分に考えなければいけないんですが、あえて今回、本案において五百万円まで限度額を三百万円から上げると、十六年の改正では民主党も多分三百万円ということで御理解をいただいていたというふうに承知しておりますが、その理由をお聞かせをいただきたいと思います。
  33. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) 塚田委員にお答えをしたいと思います。  我が国の平均的な住宅建築にはおよそ一千数百万円が掛かるのが通常でございます。現行居住関係経費二百万円は余りに低額ではないかという見解も多いところでございます。支援金上限額については、全壊世帯について生活関係経費現行の百万円と同額とし、支援金支給生活の基盤である住宅再建建築購入補修に向けて被災者方々の心を励まし、その呼び水とするためには、再建築又は再購入に要する費用の頭金相当額を含めた資金とするということで四百万円程度は必要ではないかと、こういうふうに考えたことにより五百万円と設定したわけでございます。
  34. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 分かりました。まあそれは、被災者の立場に立てば金額が増えるということはそれは大変に有り難いことであります。しかし、その一方で財政にとっての負担もそれだけ増してくるわけでありますし、やはりその点も含めて今の制度実態に合わせた改正にしていくべきではないかと私自身は思います。  また、先ほどお話ししたことの重複になりますが、やはりこの限度額方式を採用するということになると、現行と同じ形で手続の煩雑さを伴うわけであります。被災地を回っておりますと、やはりこの制度は非常に分かりにくい、被災者の立場に立っても分かりにくいということが一つですし、もう一つは、行政の立場に立っても、この制度を運用する際に、実際今被災地でいろんなことをやらなきゃいけない中でこの処理に、事務処理に忙殺をされるというような地域自治体の声を大変私も多くちょうだいをしているわけであります。  この際、やはり支援をより確実に受給するためには限度額という考え方を改めて、例えば与党案のような定額支給で使い切りの部分を出すというようなこと、まあ問題点はあるかもしれませんが、そういう方向について考えられるのも私は一つの有効な手段だと思います。例えば、五百万円の限度を上げても実際今言っているような三割程度の受給しか得られないとすると、限度額は上がったけれども受取はやはり同じように進まないということも出てくる可能性もあるわけです。その意味で、払い切りのような定額制ということについて御検討をするような余地はないのか、そういった点、ちょっと民主党皆さんの御意見をいただきたいと思います。
  35. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) 委員指摘のとおりに、居住関係経費支給率は二八・三%という数字が出ているところでございますが、そういったことの原因は、現行居住安定支援制度そのものが支給の実行率極めて低い状況にあることの原因として、解体経費住宅ローンへの利子補給など周辺経費に限定をしているからというふうに考えているわけでございます。今回の改正案によれば、住宅本体の建設費等を認めれば、全壊世帯居住関係経費の最高額を希望した場合に生活関係経費と合わせてほぼ五百万円、満額の支給が行うことができるのではないかと、こういうふうに考えているわけでございます。
  36. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございました。  いずれにしても、制度としてきちっと今被災者皆さんあるいは自治体が抱えている問題を解決する形の改正に持っていかなければいけないということを申し上げさせていただきます。  次に、財源に関する御質問をさせていただきたいというふうに思います。  この中で、本案の中では平年度の予算を七十億円というふうに明示をされているわけであります。まず、この七十億円ということ、先ほど御説明もありましたけれども、これについてもう少し御説明をいただきたいという点が一点。もう一つは、今後もいわゆる全国都道府県会の拠出した基金もこの仕組みの中で財源として使っていくかどうか、この点についてもお聞かせをいただきたいと思います。
  37. 富岡由紀夫

    委員以外の議員富岡由紀夫君) 塚田議員質問にお答えします。  まず、財源の問題でございますけれども、先ほど広田議員のところでもお答えいたしましたけれども、七十億という算出根拠をまず改めて御説明させていただきたいと思います。  これはまず、平成十年度にこの被災者生活再建支援法が施行された後のこの同法が適用となった住宅被害状況から今までの過去の実績を全部出しまして、その状況を、全壊世帯、大規模半壊世帯半壊世帯のその毎年ごとの数を出しまして、それを平均値、一年間平均でどのぐらいになったかということを、平成十年度以降の部分を調べました。その調べた一年間平均の被害状況の世帯数に対して、全世帯に対する、今度実際に今回の支援法で支援支給が受けられる八百万円以下の世帯の割合を掛け合わせまして、そして、その数に支給それぞれの限度額を掛けたということでございます。それで支給限度額の総額を出しました。  その総額のうち、国の負担割合が三分の二ということでございますので、それに三分の二を掛けた数字が約七十三億円でございます。その七十三億円から当初のこの予算に計上してあります三億円、これを引きまして約七十億円ということで算出をさせていただきました。  基金の負担額、国が三分の二ですから基金は三分の一でございまして、年平均で計算しますと約三十五億円程度になります。これを今基金の運用益だけで賄うというのはこれはなかなか難しい状況でございますので、基金については取崩しを想定しながら運営を考えていきたいというふうに思っております。今回の改正によって直ちに基金が積み増しをしないといけないという状況ではないものと考えておりますので、現状の認められた取崩しをうまく利用しながら、当面はこの基金制度を活用しながら対応していきたいなというふうに思っております。  以上です。
  38. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。随分細かく御説明いただきましてありがとうございます。  今、予算、平年度で七十億円、さらに基金の分については約三十五億円、平年で見込んでいるというお話がありました。さらに、基金の取崩しも含めて検討しているというお話もありましたが、やはり財源としてそういった基金の取崩しを前提にされているということには大変に無理があるんではないかなと率直に思います。  そこで、内閣府に参考までにお尋ねをしたいと思うんですが、そもそもこの支援金の支払は、この基金の運用益を見合いとして行うというふうに当初考えられていたという理解でよろしいでしょうか。また、現状、年間平均にするとどの程度の運用実績が、当初六百億だと思いますが、この基金から得られるのか、御説明をいただきたいと思います。
  39. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) お答えを申し上げます。  本制度は、平成十一年の基金運用開始当初は、基金による運用益を原資といたしまして支援金支給を行うことと法律上されておりました。その後、平成十六年の居住安定支援制度の創設に伴いまして元本の取崩しも可能とする制度改正が行われたところでございます。  運用実績でございますが、平成十八年度を例に取りますと、運用実績は約七億八千万円ということとなってございます。
  40. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 平均で、今金利をどれぐらいに設定されるのか分かりませんが、一%とかそういう中で七・八億円、七億八千万円ぐらいの運用益しか生まないと、これは実態なわけであります。  そうすると、そもそもは運用益を、やはりこれ基金ですから、取崩しを前提にどんどんどんどん崩していってしまうということであれば財源がどんどん足りなくなるのはもう目に見えているわけでありますから、基本的には、やはり基金というのは運用益をもってその財源に充てるというのをやはり原則は守っていかないといけないという前提に立つと思います。  その場合で、実質的には七億八千万、八億円ぐらいのいわゆる運用益に対して三十五億円の年間の基金に対する負担があるとすると、二十七億、三十億ぐらいの、そうした、毎年想定されるんですけれど、切り崩しをしていくということになるわけです。既に基金の取崩しをもう始めている前提で六百億ないわけですから、こうした形で財源を担保していくというのはいかにも難しい点があると思いますし、やはり基金そのものを管理している全国知事会にとっても、そういったことというのは非常に納得しにくいことじゃないかなと私は思うわけであります。  まず、その基金取崩しを前提としていくという考え方について、もう一度御説明をいただきたいと思うんですが、これについて、やはりこういう方法でしかないということなのか、御説明いただきたいと思います。
  41. 富岡由紀夫

    委員以外の議員富岡由紀夫君) 基本的にはその運用益で賄えればいいんですけれども、おっしゃるとおり、今の状況も、六百億から今三十五億ですか、基金取崩ししております。  今後とも、大体毎年三十五億程度この基金の負担があるということであると、七億、八億の利回りだけじゃ対応できませんので、必然的に取崩しをしないといけないというふうに思っております。  しかしながら、この今の財政状況では、知事会の方も基金の積み上げをしてくれといっても、なかなかすぐにはいかないと思っておりますけれども、ただ今回の法の趣旨被災者生活再建をする、それを支援するんだといった趣旨は知事会の方にも十分私は理解をしていただけるものじゃないかなというふうに思っております。一義的にはやっぱり知事会で検討していただくことになっておりますけれども、その点は是非知事会にも御理解いただくようにこれから働き掛けをしていきたいなと思っております。  あと、その基金の積み上げ、もしこれから知事会の御協力をいただいて積み上げをするとなったときに、どういう国がまた支援策があるかといいますと、基金の積み上げをする際に地方債の発行ができることになっておりまして、その地方債を財源として基金を積み上げることができて、その地方債の償還、元利償還の八割を国が負担することが今対応されておりますので、その点も踏まえて、地方の負担はできるだけ少なくなっているというふうに思っておりますので、そういったことも考慮していただきながら、地域再生のために知事会の方も十分理解していただきたいな、御協力をしていただきたいなというふうに思っております。  以上です。
  42. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) じゃ、簡潔に申し上げます。  全体としては富岡議員の言ったとおりなんですが、やはり塚田先生もお分かりのとおり、被災地というのは物すごいコスト、それ以外にもお金が掛かってくるわけですね。公営の施設を造っていく、いわゆる仮設住宅を造っていくと物すごい費用が掛かっていくということを考えれば、やはりこれ都道府県の相互扶助の精神ということを考えて、是非これは知事会にも御理解をいただくような努力をしていきたいなというふうに思います。  基金の積み上げも当初三百億、そしてその後追加で三百億という形になっておりますので、そこのところはやはり皆さんで助け合うということは、また明日は我が身ということもございますので、是非そこのところは知事会にも御理解をいただくように努力をしていく必要はあろうかというふうに考えております。
  43. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  知事会に御理解をいただけるようにというお話だったので私はちょっとびっくりしたんですが、今の段階では、この法案に対しての財源をこの知事会の基金から使うという前提であるにもかかわらず、まだそうしたことについて細かいすり合わせがなされてないということなのでしょうか。だとすると、法律案としてやはり責任を持ってこれから国会で可決を目指していかれるという前提に立つと、これは知事会の納得なしに、この基金を使うこともそうですし、ましてや基金を取り崩していくという話になると、知事会さんとのすり合わせがないという状況で今法案を審議しているというのはちょっとどうなのかなと思わざるを得ません。  その点についてちょっと簡単に御説明をいただきたいことと、併せて申し上げるならば、やはりこうした大きな規模の地震も想定される中で、知事会の持っている今の六百億というものだけですべての財源を考えていくことというのはなかなか難しい点もあると思うんですね。したがって、個別の大規模災害には復興基金等がそのために用意をされるケース、これは過去にもありますし、中越沖地震、中越地震等でもあるわけですから、そうしたことと併せてこうした地域への支援をしていくということも一つの方法論ではないかというふうに思います。  今、その知事会とのお話が、これは知事会は七月に、ちなみに申し上げますと、この生活再建支援制度の見直しに関する緊急要望というのを出しているのを御存じだと思うんですが、それを踏まえて、今のお話のような点、どの程度知事会の方とすり合わせをして理解を得ているのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。
  44. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 お答えいたしたいと思います。  本法案改正に際しまして、全国知事会の皆様には私どもの法案説明をさせていただき、趣旨、それから内容について私どもの考え方を御説明をさせていただきました。  塚田委員おっしゃったとおり、全国知事会において様々な御意見が存在しているということも存じ上げておりますが、現行のこの不十分な制度を見直し、そして被災者のために早急な法改正をということを図るべき、そしてこれは立法府の責任として私どもは果たさせていただきたいということから、この法案を提出させていただいたものでございます。  それから、先ほど復興基金のようなものでというふうにおっしゃいましたけれども、実際、一昨日のこの災害対策特別委員会でも御披露されましたように、必ずしもそれぞれの災害において復興基金が創設されるものではございません。ですから、やはり災害が起きた場合に被災者生活支援生活再建支援するために、この法律が基金によってこれまでのように運営されるべきというふうに考えますし、先ほど御説明がございましたけれども、生活の自立を支援しない場合、最終的に公営住宅等によってやはり公費が非常に多額にコスト負担しなければいけないということで、例えば新潟県中越地震における災害公営住宅のコスト、ここで申し述べさせていただきますと、一戸当たり……
  45. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 先生、済みません。簡潔にお願いします。
  46. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 千五百万円掛かりましたので、建設総事業費が約五十五億円掛かりました。これらのことを考えていただきまして、全国知事会においても御理解を賜りたいというふうに思うところでございます。
  47. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 ありがとうございます。  私は、この今の被災者再建支援法案が有効でないということを申し上げているわけではありません。もちろんいわゆる復興基金を創設するような災害でないものもたくさんあることは事実ですから、それはもちろんこの法の趣旨できちっと支援をしていくと。さらに、そうしたものの補う点として、補う部分として復興基金等も活用していくという、いずれにしてもそうした考え方を持っていく必要があるんではないかということを申し上げさせていただきたいと思います。  申し訳ありません、時間にもうそろそろ限りがありますので、最後にまとめをさせていただきたいと思います。  いずれにしても、財源の問題も含めて、国、政府からは、これはやはり災害対策についてはもう十分なお力添えをいただかないと、とても復旧復興はできないというのが実情であります。その意味で、是非内閣府の木村副大臣に来ていただいていますので、その辺について御決意を聞きたいというふうに思うわけでありますが、私も被災地の選出の議員として、とにかく今、中越沖、大変に困っていらっしゃる方がいらっしゃる。また、能登半島等の地震も同様であります。こうした声が毎日上がってくる中で、要は、今回きちっとしたメッセージを確実に被災地皆さんに、政治として、国として支援を行うんだという強いメッセージをやっぱり行っていくことが今回の法律改正の一つの大きな意義だというふうに思います。  国は被災地を決して見捨てないんだと、政府が一丸となってこの復興に対して取り組んでいく、そのために必要な措置を全力で政府にとってもやっていただけるということについての是非御決意を木村副大臣からちょうだいをいたしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
  48. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 木村内閣大臣、簡潔にひとつよろしくお願いします。
  49. 木村勉

    ○副大臣(木村勉君) 私は、先日、中越地震の三周年の合同追悼式に政府代表として出席してまいりました。その中のあいさつで、この復興復旧については政府は全力で取り組むということを皆さんの前でお誓いをしてきたところでございます。その際、柏崎市などの中越沖地震の被災現場を調査し、改めて大変な被害が発生していることを認識した次第でございます。  昨日、副大臣会議でこの調査結果を報告し、関係省庁の副大臣に対し、被災地の復旧復興は途上にあるので、引き続き積極的な対応をお願いしたいと申し上げたところであります。政府一丸となって取組を継続したいと考えております。  また、先ほどお話しいただいております復興基金への交付税による支援を行うことになった場合、被災地に正しくそのメッセージを伝えることはとても重要なことだと、こう思っております。
  50. 塚田一郎

    ○塚田一郎君 大変にありがとうございます。  政府を代表して木村副大臣から力強いメッセージをちょうだいしたものだというふうに私は理解をさせていただきました。  いよいよ時間がありませんので、最後に一言だけ申し上げさせていただきます。  是非、提案者である民主党の皆様にも重ねてのお願いでありますが、与野党案が対立をして今国会で何も決まらないということがやはり一番良くないことだなと私も思っております。その意味で、被災地に希望を与えるべく、今国会において合意に向けて協議をこれからも行うなり、是非結果を出せるように最大限お力添えをいただきたいということを重ねてお願いをして、私の今日の質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  51. 末松信介

    ○末松信介君 自民党の末松信介です。  塚田委員から大変ポイントをついたいい質問をいただきまして、御答弁、随分分かりました。  私は、兵庫県の神戸市の垂水区の出身でありまして、隣の水岡先生と全く同郷でございます。  平成七年の一月の十六日に阪神・淡路大震災が実は起きたわけなんですけれども、そのときは年頭のあいさつを兼ねて着替えをいたしておりまして、もう既に起きておりました。どおんという大きな音がしまして、一瞬家が沈み込むような感じを受けたんですけれども、それからごおっという地鳴りがしまして、数秒後にこれはとんでもない地震が来るということはすぐ分かったわけなんです。隣の部屋におりました家内に子供を抱いてということだけ言いましたんですけれども。しかし、まあ一瞬でもやっぱり覚悟をしているのと覚悟していないとでは全然違いますね、地震が来るときは。ですから、あのとき起きておられた方、眠っておられた方、随分運命を分けたんだなと思います。  と同時に、あの時間に起きた地震というのは一体、ハード面における被害というのに対してはどうであったかということはもう一度、もう一度考えてみなきゃいけないと。昼間に起きたらどうだったろうか。私の家の近くの山陽新幹線の高架橋はやっぱり落下していましたんで、新幹線が走っていましたらこれはどこかで脱線転覆ということになっていたわけなんですけれども。まあ、いろんなことを考えさせられたわけなんですけれども。  この地震大国で、能登半島、それと中越沖地震等で亡くなられた皆様方、心から御冥福をお祈り申し上げまして、地域復興を御期待申し上げたいと、そのように思います。  十二年前のことと今日の状況を考えながら、民主党皆さんが提出されたこの被災者生活再建支援法改正案について質問をしたいと思うんですけれども。  阪神・淡路大震災が起こりましたとき、この被害というのは、全壊戸数が二十万戸なんです。大規模半壊が四万五千戸なんですよ。すべての半壊を入れましたら二十四万戸でございます。被害総額は十兆円であります。住宅がその中で五兆八千億円ということだったんです。ですから、仮設住宅をこれ四万八千三百戸造ったんです。実に建設費と運営費で、今日、県で調べましたら、千六百六十二億円要ったわけなんです。仮設住宅というのは二年で一応退去せにゃいけませんから、災害復興公営住宅なんかをたくさん造った、優良賃貸住宅なんか。しかし、自力で住宅を建てたいという方はやっぱり相当な数おられましたんですけれども、どうしていってこのローンを組むことができるかという悩みがあったんです。  そこで、前の兵庫県知事の貝原さんは、住宅共済保険制度住宅再建制度、そういったものを創設しようということになりまして、できればそれを国の方で認めてもらって遡及を阪神・淡路大震災にしてほしいという希望を持っておられたんです。ですから、私たち、当時県議会におりましたので、四十六都道府県になります、私は沖縄と大阪と和歌山の県議会を回ったんですけれども、意見書を出してほしいということを要望しました。一年たって、ようやく何らかの形で四十七の都道府県議会が意見書を出されました。それを持って斎藤十朗当時参議院議長、伊藤宗一郎衆議院議長のところへ持っていったことを覚えています。  これが大きな影響になったかどうかということは分かりません。国会議員の先生方が六党の共同提案でこの被災者生活再建支援法を制定していただきました。でも、住宅本体へは行かなかったんですね。やっぱり生活支援までしか行かなかったんですよ。生活復興住宅復興、産業復興という三つの復興を掲げたんですけれども、生活復興にとどまってしまったと。十六年度の改正でもまだ不十分だと。だから、今回は何が何でも、今、塚田委員から話があったように、これは与野党で絶対にまとめ上げなければいけない、被災者方々のためにも絶対まとめ上げなきゃならない、これからの災害のことを考えてまとめていかなきゃならないという、そういう決意で臨んでおりますので、大きなけちを付けようという気は今日はないんです。しかしながら、ポイントで疑問なところだけはちょっとお話を聞いていきたいというふうに思っております。  まず最初にお尋ねしたいのは、これは内閣府にお聞きをしたいんですけれども、我が国の法体系では、国民個人資産の形成のための公的資金の導入ということについて、これは投入ができないという見解が続いています。これが一つの壁ではあるんですけれども、現行法ではどのような考え方で整理されておられるかということについてお伺いします。
  52. 加藤利男

    政府参考人加藤利男君) お答えを申し上げます。  現行制度では、支援金対象経費被災住宅の解体撤去費や住宅再建補修のためのローン利子、賃貸住宅に入居する場合の家賃等に限られておりまして、委員指摘のとおり、住宅本体の建設費や補修費はその支給対象とはされておりません。  住宅本体対象に直接支援を行うことにつきましては、住宅は典型的な個人資産であるということから、その再建は自助努力が基本であって、保険や共済への加入、融資の活用といった分野で対応すべき性格のものであるという考え方から、税金によって直接支援することは行っていないということでございます。
  53. 末松信介

    ○末松信介君 おっしゃるとおりなんですよね。  だから、自分の家がつぶれてしまって、瓦れきを撤去したその敷地内に仮設住宅を造ってほしいということを言っても、これは認められないんですよね、やはり短期間といえども個人資産の形成になるということで。だから、借地を公共団体はしまして、そこへ建てた、遠いところへ建てて、結局入居せず仮設住宅を撤去したというような例が出てきたわけなんです。いろんな矛盾を我々感じたんですよね。  それで、今回その部分において、なかなかその壁が崩れませんから、与党案は随分それを工夫を講じたというか、随分考慮をしました。与党案では支援金使途を限定しない定額の見舞金としての性格を持っております。そしてこの問題をクリアしようとしたんです。見舞金であれば従来からの法体系にもなじんで、合わせて三百万円という余り高額にならない範囲であります。それで被災者負担を緩和して復興への希望を惹起していこうと。地域の全体の活性化にもつながるという点で公共性に対応した私は考え方だと思っているわけなんですけれども。  しかしながら、民主党案では支給対象住宅建築費購入費又は補修費明記しているわけなんですけれども、このことについて、抵触するんじゃないかと、今の現行の見解、当局の見解と。この点を一体どのように考えておられるのかお伺いしたいんです。
  54. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 末松先生が阪神・淡路のときから大変御苦労されていて、正に住宅本体にできるだけそういう支援ができればその地域を含めた生活再建が少しでも早く進んでいたんだろうなというふうに多分思われているんだろうというふうに思いますが、現行法の壁と先生もおっしゃいましたとおり、今の段階での現行法では、正に住宅というのは個人財産であり、その保全も自己責任によるべきものであり、税金による支援は行うべきでないという考え方があって、それにのっとって今現行法があるんだろうということは分かりますし、そういう考え方もあるということはある程度理解もできます。  そして、末松先生がおっしゃったような、詳しくは私も、与党案こちらに提出をされておりませんのでおおよそのところしか分かりませんが、見舞金的な形で使途を限定をしないで定額でという、そういう考え方も一つあるのかなというふうには思っております。  ただ、我々といたしましては、自助努力というふうに簡単に言うんですが、本当に自助努力で全員ができるのかといえば、それはなかなか難しい方々もいらっしゃるということも多分皆さんにも御理解をいただける。地域間格差というか、あるいは所得間格差というのがある中で、それも多分御理解をいただける部分であろうかというふうに思っています。  ただ、国土庁に設置されました、平成十二年十二月のことですが、被災者住宅再建支援の在り方に関する検討委員会で、その報告においては、住宅は単体としては個人資産ではある、ただ、大量な住宅が広域にわたって倒壊した場合には、地域社会復興と深く結び付いているため、地域にとってはある種の公共性を有しているものと考えられるということをその検討委員会委員長がおっしゃっておりまして、住宅再建公共性というのを認めております。  このような公共性の下に、住宅再建に必要な費用の実質的に、まあ実際に全額負担をするわけではなくて、先ほど来お話をしてございますとおり、ローンを組む場合、ローンを組まれた方もいらっしゃるかもしれませんが、大体一割とか二割、最低二割ぐらいは頭金をというふうな話はあります。それが出せない方はもうローンすら組めないというそういう状況があるということを、現実としてはあるわけでございまして、その一部分としかならない額に対して一定要件の下に支援金支給するということは、御指摘のような問題を生じることはないだろうというふうに我々としては考えて、今回御提案をさせていただいております。  自然災害による被災者がその被害から回復するためには、日常生活再建、そして、その生活の基盤たるやはり住生活、その住まいの再建を欠かすことができないということであろうかということも御理解をいただけることかなというふうに思いますし、また、単に個人レベル再建だけではなくて、地域社会全体というその公共性というところからも御理解をいただけるんではないかなと。  さらに、先ほど森議員説明の中でお話をしましたが、被災者が自らの住宅再建できませんと、その相当数がいわゆる公営住宅入居なども必要となりまして、結果的にその自治体の財政支出の増大があるという意見もあります。実際に、先ほど仮設住宅の建設にも一戸当たり三百五十万から四百万ぐらい掛かる、あるいは、新潟中越地震を例に取りますと、復興住宅は一戸当たり千五百万、トータルで五十億その自治体に重くのし掛かってくるということを考えると、できる限り住宅再建に一歩踏み出して、精神的には物すごい苦痛だと思うんですね。ですから、そこのところを解放してさしあげるということが被災者並びに地域住民への負担軽減につながっていくというふうに考えています。  また、地方自治体では、ちょっと長くなって申し訳ございませんが、鳥取県とか新潟県とか、都道府県で住宅再建に公費を投入する制度を創設しております。また、今末松先生がおっしゃった兵庫県、多分兵庫県にも居住安定支援制度補完事業という形で公費を投入するような事業というのがあるんだろうと。末松先生は正にそこのところを熱意を持って取り組まれたということを推察できると思いますが、それを考えれば、是非その辺りの重要性については認識をしていただいて、しゃくし定規ではなく、そこの重要性を考えた上でのやはり支援というものを考えていくべきだと我々は考えておりますので、どうぞよろしくそこは御理解をいただきたいと思います。
  55. 末松信介

    ○末松信介君 民主党は、平成十六年度の改正案につきましては、今の現行法ですね、これには賛意を示されたわけでありまして、そういう点で、かなりちょっと一歩進め過ぎたんじゃないかなという思いを私は持っているんですよ。やっぱり一つ一つ整理をしていくという。ですから、これはまた次の新たな段階の話になってくるので、まずは今使いやすく、そしてきちっと三百万まで限度額まで消化できるということをまず考えていくことが大切かなということを思うんですけれども、ちょっと時間がなくなってきましたので、前へ進めていきたいんですけれども。  与野党の案には幾つかの違いがあるんですけれども、その代表的な例が、これは遡及適用、平成十九年一月一日以後の自然災害に適用となっているわけなんです。私は、時効というのはこれはどちらかといえば法律的な判断によっていくという、法律によると。この場合の、こういった場合の遡及というのは政治的な判断というものに掛かってくると。  私は、阪神・淡路大震災からこの十年間の間、いろんな被害で亡くなられた方がおられるわけなんですけれども、同じ遡及されるんだったら、被災者生活再建支援法の制定のきっかけとなった阪神・淡路大震災まで遡及させたらどうなんでしょうかということをまず尋ねたいんですよね。大都市直下型地震ということでこれは耐えれる制度ではないということは当然分かっているわけでありますけれども、しかし、同じやるんだったらそうしたらどうかということ、このことについての見解を伺いたいんですが。
  56. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 先生も御案内のとおり、先ほど平成十六年度の改正のところをお話をされましたけれども、実は、我々民主党、その後、平成十七年の一月に衆議院に法案を提出して、平成十七年の八月にも今度は参議院の方に提出をしております。今回、実は提出の四回目になるんですね。  過去三回改正案を提出してきたんですけれども、数の力によって審議すらされずに全部廃案になってきているという、そういう実態があるということは現実としてあるわけでございまして、直近で平成十七年の八月にも今回と同様の改正案を参議院に提出を、これは野党共同で提出をいたしました。その後、数々の台風なり北海道佐呂間町の竜巻なり、こういったものがあったわけなんですが、実際その平成十七年の八月に皆さん方がきちっと審議をしていただけるような状況をつくっていただいてあれば、そのときから災害というものはその中で支援をすることができるような、可能となっていたはずなんですが、それがなかったということ、これは一つやはり大きな政府の不作為の責任であるというふうに私は思っております。  確かに、この今回の法案のように、被災者支援に関する法制度改正の際に、どこまで、どの災害までといいますか、どの期限までさかのぼるかということについてはなかなか政策的にも難しい判断があるんだろうということは理解をしておりますが、少なくとも今年成立をする法律に関しては暦年、暦の年で言うと今年の一月一日からということに関して、救済の必要性を考えるとこの一月一日はそんなに不合理なものではないのかなというふうに思います。  そして、先ほど来財政的、財政的な支援だとか財政的な問題がということになりますので、これはもうずっとさかのぼってしまいますと、逆に言うとそこのところはどうするのかということもあるわけでございまして、やはり合理性のあるところと考えると、常識的に考えて今年成立したものは今年の一月一日からということで我々は考えているということでございます。
  57. 末松信介

    ○末松信介君 だから、したがって政治的な判断でやるべきだということで、藤本先生は一月一日が、その年に成立したから一月一日ということなんですけれども、北海道の竜巻の佐呂間町ですか、あそこは、佐呂間町ですね、五十日前。じゃ五十日遅かったら、竜巻が来たら支援金を、この適用を受けられるということですから、竜巻を恨み、竜巻が来た時期を恨まなきゃならないということが直近の方で出てくるわけなんですよね。  私は何が申し上げたいかといったら、どうして阪神・淡路大震災の話をしたかといったら、今でも被災して住宅を撤去した空き地が甲子園球場の二十倍あるわけですよ、二十個分。ここにはまだ租税特別措置法で固定資産税なんかは減免しているわけなんですよ。いろんな税をまだ減免しているんですよ。加えて何があるかといったら、二重ローンを抱えた方が二千三十八件、これは復興基金を使ってなんですけれども、これだけの方がまだずっとお支払いしていると。  さらに、生活援護資金貸付金というのは、これは大変な制度でして、全半壊の世帯に上限三百五十万を貸し付けた制度なんですよ。原資は、三分の二国が地方自治体に貸し付けてある、残りは自治体負担なんですよ。これ、県内で千三百九億円貸し出されたんですよ。今、現時点で未償還のお金が一万六千七百八十五件、一万六千七百八十五人で二百六十一億四千六百万円まだ残っているんですよ。で、少額返還を認めてくれたんですよ、延長して、厚生省は。月額千円からでも結構だから払ってくれと。こういった傷跡が残っているんですよ。  そして、そういったこともずっとこの十二年間行われ続けてきて、今回だけ遡及をここで認めた場合には、この一月一日から、それ以降の被災者方々にとっては、私はしてあげたいし、それはいい話ですよ。しかし、言い換えれば、裏を返して言えば、それ以前の方はこれは切り捨てるという考え方になるわけなんですよ。それが、そういうこととして正しいのかどうか。森先生は頭を横に振っておられるけれども、水岡先生の御地元の方は水岡先生を恨むかもしれませんよ、すごく。電話入るかもしれませんよ、これは。  このことは、やっぱり冷静に考えて、私たち与党案はやはり施行されたときからやっぱりやっていかなきゃいけないと。十二年前の傷跡が残っているんですよ、これ。現に残っている。助けてくれといったって、民主党皆さんどうされます、これ。やはり私、公平性という点、この点。二つの県の方は大きな御支援をいただけるかもしれません。でも、四十五の都道府県の県民の方々は非常に複雑な感情を抱かれると私は思うんです。このことだけ、見解は結構ですから、意見として申し上げておきます。  ただ、昨日、仁比さんがおっしゃったように、今、目の前で困っている方をやっぱり助けてあげなきゃならぬと、厳然と今はそれが視角の中にあるわけですから。佐藤信秋先生からもいろんな意見いただいたんですよ、こいつは何とかしなきゃいかぬと。だけれども、遡及というのはどうかなという気持ちをお持ち、まあ新潟県ですからできたら遡及をしたいというのは佐藤先生も塚田先生もお持ちだと思うんですけれどもね。  そこで、兵庫県なんかは、これ復興基金を使ってなんですけれども、被災者自立支援金制度というのを創設をしました、これを。それによって、年齢要件とか収入要件はあるんですけれども、五十万から百五十万円のそういった支給金を実は行っております。十四万七千世帯で千四百十五億二千万円を実は支給したわけなんです。しかしこれは、さっき広田先生から話があったんでしょうか、復興基金からやりましたから、実際にあの当時は交付税措置が、これ六分の五の補助で九五%が交付税措置があったんです。今は六分の五で八〇%しかないからなかなか厳しいものがあるんで、私はやはり何らかの個別対応をやってあげるべきだという考え方はあります。  だから、このことについてはどういうスキームでやっていくかということはいろいろあろうかと思うんですけれども、国の補助金を入れるという考え方もあると思うんです、交付税でできない場合には。このことについて、何らかの措置を講ずるということを、どういう考え方を現時点で当局はお持ちなのか、これは政府にお聞きをしたいと思うんです。
  58. 木村勉

    ○副大臣(木村勉君) 現行制度は、将来の災害に備えて都道府県が相互扶助の観点から積み立てた基金を原資として被災者支援金支給するということを基本的な枠組みとしており、既に起こってしまった災害に対してこの基金を原資として支援金支給する遡及適用は本制度にはなじまないと、こう考えているものであります。  委員質問復興基金を通じた遡及適用と同程度支援については、与党案において、被災者にとってみれば改正後の支給内容におおむね相当する程度支給が受けられるよう検討されていると承知しているところであります。  せんだって、衆議院の総務委員会において増田国務大臣が、今般、国の支援制度改正された場合に、地方公共団体の判断により災害復興基金を通じて改正後の支給内容におおむね相当する程度支援金支給するのであれば、交付税措置の対象ということにして財政を支援をしていきたいと、こういうことが表明されたわけであります。  いずれにいたしましても、被災者生活再建を図るため、被災者生活再建支援制度に関し、与野党間で十分に協議を尽くして一日も早く成案を得るようにしていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
  59. 末松信介

    ○末松信介君 是非いい検討をしていただきたいと思います。  ちょっと時間が迫ってまいりますので、更に急ぎます。  民主党案と自民党案の違いは、この、今日ちょっと書類を配らさせていただいております、被災者生活再建支援金支給申請書でありますけれども、民主党案では、生活関係経費支給について三十品目の物品、医療費等の項目ごとに申請、実績報告が必要になるとか、大規模半壊世帯補修する場合に撤去費や補修費等の項目ごとに申請、実績報告や添付書類の提出が必要になるとか、そのため、被災時という非常事態にあって、被災者被災自治体にとって過大な負担を掛ける可能性が実はある、私たちはそういうように見ているんですけれども。要は、これだけのものを書かなきゃいかぬわけですよ。いいですか。  自民党案では、まあ私のイメージとして申し上げます、ここだけ。と同時に、これはもうどこでも言えるんですけれども、住宅建築又は補修工事あるいは購入の契約の写しと、そしてもう一つは、これは現行法でも必要となる住民票、罹災証明書、そして所得証明書だけを提出すれば支給を受けることができるんです。もちろん、定額支給でありますから、精算は要らないわけなんですけれども。  この事務作業量というか、被災された方が混乱している中で大変面倒なこれだけのものを書くことがあるぐらいだったら、渡し切りで定額で私は簡素にした方がいいと思うんです。民主党案は簡素じゃないんですよ、自民党案に比べれば、与党案に比べれば、公明党と自民党案に比べれば。この点の見解について伺います。  簡潔に、時間がないから、もう一問だけやりたいから。
  60. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) お答えします。  末松委員が一九九五年当時に兵庫県会議員として、本当に被災者生活復興そして被災地復興に全力を尽くされたということは、私も被災者の一人、兵庫県民の一人だった者として敬意を表したいし、感謝を申し上げたいと思うところでございます。  早速今の御質問ですが、今委員が御指摘になったこれらの書類でございますね。私たちの案は、この書類を踏襲するという考え方は持っておりません。大幅に簡素化することを考えながら政省令を変えていくことを今私たちは想定をしておりますので、今このままでいくとすれば、大変被災者方々にも御迷惑を掛ける、あるいは申請に時間が掛かり、手間が掛かり、申請そのものが遅れてくるということはあろうかと思いますが、その点について私たちは大幅に簡素化をしていくという形で対処していきたい、このように考えております。  以上です。
  61. 末松信介

    ○末松信介君 ようやく共通点が見付かったみたいでして、今のお言葉を忘れず、いいシステムというんでしょうかね、いいフォーマットを作ろうと努力したいと思うんです。  最後に、実は自民党の執行部会というのがございまして、もう間もなく委員長、終わりますんで、お昼あるんですけどね。一週間前でしょうか、尾辻会長が、自民党、公明党の与党案を衆議院にこの被災者生活再建支援法では提出した、そして野党案は参議院に提出された、我が党、公明党は、自民党と公明党は、これ与党案に自信を持たなきゃならないと。なぜそういうことを言うかといいましたら、この朝日新聞が与党案がいいと書いていると。常日ごろから朝日新聞には複雑な心境を抱いておる自民党としては、みんなすぐ帰ってコピーを取り寄せたというんです。朝日の記者の方も、これは本当に率直な気持ちで書かれたような感じでございます。まあ朝日新聞は公平な記事を書かれると私は思っていますけれども。しかし、勇気付けられたということを尾辻会長は大変喜んで、評価されたわけです。  読んだとおりなんですよね。もう時間がありませんから、大きな違いは、支援金の最高額とその支給方法だ、これは二段目の一番後ろから七行目ぐらいですけれども。限度額は、与党案現行の三百万円に据え置かれ、民主党案では五百万円に引き上げられる。被災者にとって支援金が増えるのは魅力だが、新たな財源が必要になる。ここは据置きの与党案の方が現実だろうと。そして、最後の三段目、これも後ろから七行目、こうした巨大地震に最初からお手上げというのでは困る。国庫負担を大幅に引き上げてでも支援金を用意すべきだ。その措置がとれるような条項を改正案に盛り込んだ方がいい。自然災害は待ったなしで起きる。与党案を軸に改正を急いでもらいたいと。  本当に朝日新聞が冷静に考えられた結果だろうと私は思うんですけれども、民主党皆さん方の意見を、朝日新聞に対するこの社説の意見をお伺いして、終わります。
  62. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 森ゆうこ君、簡潔にお願いします。
  63. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 この今日、会場にも、朝日新聞の記者さんだけではないと思いますんで、こういう社説もあったというふうに私も存じ上げておりますが、新聞社は朝日新聞だけではありませんし、様々なメディアもございますし、私も、民主党案の方がいいという評価をいただいた新聞もございますので、今日は残念ながら御披露することはできませんけれども。  いずれにせよ、被災者の皆様の視点に立った、被災者方々にとって本当に、先ほど来お話がありますように、しっかりと希望の持てる制度にすべきであるというふうに考えておりますし、先ほど来、先生の本当に熱意のこもった御質問に感動しておりますけれども、私どもも早くこの住宅再建に公費を投入すべきという考え方の下に、何度も改正案をこの国会に提出をさせていただいております。立法府の責任としてもっと早くこの法案の審議をこのような形でできればよかったのになということを改めて感じておりました。  以上でございます。
  64. 末松信介

    ○末松信介君 延びましたことにおわび申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  65. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  66. 一川保夫

    委員長一川保夫君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  67. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  午前中に引き続きまして、私の方からも幾つか御質問させていただきたいと思います。  この法案、とにかく被災者方々がもう待ちに待っていらっしゃる法案でございますので、より良いものに、またより使い勝手のいいものに仕上げていくということが大変に大事だろうと私も大変認識しております。  そこで、午前中となるべく重ならない点につきまして御質問をしたいとは思っておりますが、しかし、午前中も随分充実した議論がございましたので重なる部分もあろうかと思いますので、どうか御了承いただければと思います。  まず初めに、法改正目的ということにつきまして御質問をさせていただきたいと思います。  現行法の問題点、幾つか指摘されております。とりわけ、居住関係経費支給率が三〇%にも満たないという、大変に実効性が低いと、こういう問題がよく言われるわけであります。なぜこのようになってしまうと民主党発議者皆様方認識なさっていらっしゃるのか、また、その支給率を引き上げるためにこの改正案にはどのような工夫を施しておられるのか、これにつきましてお聞きしたいと思います。
  68. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 西田議員質問にお答えをさせていただきたいと思います。  現行法の問題点はどこにあると認識しているのかということで、午前中の御質疑にもお答えさせていただきました、自然災害による被災者がその被害から回復するためには生活の基盤たる住まいの再建を欠かすことができないということで、また被災地における住宅再建が、単に個人レベルにおける再建ではなく、地域コミュニティー再建見地からも重要であるとの観点から我々はこの法改正を目指しているわけでございます。  しかしながら、この現行制度におきましては、支援対象ローン関係経費瓦れき撤去費などいわゆる周辺経費に限定されまして、住宅建築購入補修など、住宅本体再建のための支援が認められていない。住宅地、被災地において十分な住宅再建が行われていない状況にございます。  この施行実態、今ほども御指摘ございましたように実行率が低いというこの原因は、今言いましたような限定された条件ということも、また加えまして、その施行実態を見た場合には、年収、年齢要件が細かく区分され厳し過ぎること、それから半壊世帯対象外であること、そして支援金支給額が十分とは言えないことなどの問題が存在しているというふうに私どもは認識をさせていただいております。  重ねてでございますが、このような不十分な現行制度を見直し、真に被災者のために早急な法改正を図るべきとの考え方から法案を提出させていただいたところでございます。
  69. 西田実仁

    ○西田実仁君 幾つかの複数の要因が重なってやはり支給率が低いということにつながっているんだろうと思うわけであります。とりわけ大きな問題点としては、一つはやはり住宅本体への支援がなされていないということ、そしてもう一つ、私自身が大変認識しているのは、やはり使い勝手の悪さ、特に手続等大変に複雑で実際にはなかなか使われない。それを乗り越えるために、今民主党さんからも案が出され、また与党からも衆議院では出されたと聞いておりますけれども、その住宅本体への支援は両案ともこれはできる形にはなっていると。しかし、問題は手続の煩雑さというところにも、私は大きいと思っております。  先ほど、午前中にも末松議員から御指摘ありましたけれども、この手続の煩雑さの原因はどこにあるのかといえば、やはり使途を限定をして、そして積み上げていくという方式、ここにやはり支給方法としての問題点があるんじゃないかと思っておるんですね。  そこで、民主党さんからは午前中、いや、そうではなくて、使途は限定はしているけれども概算払一定額支給するとか、あるいは算定基準を大幅に簡素化するとか、こういうお話がございました。しかし、より根本的には、その使途被災者の皆様にゆだねていけるかどうかというところが私はやっぱり使い勝手の良さに一番つながってくるんだろうと思うんです。支給方式として、使途をいずれにしても限定をして積み上げていくというそのやり方に、私はやはり今問題となっております支給率の低さということを改善するのにどうしても阻害要因になってしまうんではないか、こう考えますけれども、いかがでございましょうか。
  70. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) 西田委員にお答えをしたいと思います。  御指摘のとおり、手続が複雑であるということが大きな申請の手続全般にかかわって阻害要因になっているということはそのとおりだというふうに思っております。ですから、そのことを午前中から何度も申し上げているところでございますが、できるだけ簡素にしていく。  そしてまた、末松委員の方からも提示をいただきました現行手続の書類の形をやはり根本的に考えていくんだという形を、被災を受けられた方々の御意見も聞きながら、また地方自治体の御意見も聞きながら、そういったものをより現実的で、そして被災者の方が手続しやすい形に変えていくということを私たちは考えていると、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  71. 西田実仁

    ○西田実仁君 具体的にお聞きしますと、現行法による支給申請書兼使途実績報告書、こうしたたぐいは必要なんでしょうか。
  72. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) 申請書、また実績報告書という形式が現在の手続上には必要になっておりますが、私たちが今考えているのは、書類をすべてなくすということではありません。中身を非常に書きやすく、申請しやすい方法で考えていくということを現段階では想定をしております。
  73. 西田実仁

    ○西田実仁君 そうしますと、概算払一定額支給して、その後領収書の提出を求める、何を買ったのかということを報告するわけですね。
  74. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) 領収書でもってその実績を確認するという方法についてはもう現行でも変更されておりまして、領収書を必ずしも添付しなくてもいいという手続で今運用されているというふうに私は聞いておりまして、我が民主党案ではそれを逆戻りさせるようなことは元々考えておりません。
  75. 西田実仁

    ○西田実仁君 そうすると、領収書の提出は要らないということですね。
  76. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) はい、基本的にそう考えております。
  77. 西田実仁

    ○西田実仁君 なぜ使途を定めるのかという先ほどの午前中の質問に、それは悪用されるからであるということでございました。領収書は要らないということで、それは防げるんでしょうか。
  78. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) あくまでも被災者方々生活復興支援するという考え方でございますから、すべてを疑って掛かるという考え方には立っておりません。  ただ、領収書を出すか出さないかという問題については、かなり手続上手数が掛かるということもありますので、現在のところ、契約書であるとか、そういったあらかじめそのことを計画する段階で用意ができるようなもの、あるいは申請のときにもう既に用意をされているようなもの、そういったもので確認ができるような、そういった方途が考えられると私たちは今想定をしております。  以上です。
  79. 西田実仁

    ○西田実仁君 制度ができれば、それを悪用する人というのはどんな制度もあると思いますので、それを言っていたらもう切りがないと思うわけでありますので、であるからこそ、与党案は渡し切りにして、むしろ被災者の方に自由に使ってもらえるような使い勝手の良さというものを追求したんではないかなというふうに私は理解しております。  しかし、使途実績報告書は多分出されるんだと思うんですね、領収書は要らないけれども。これはいつまでに出すんでしょうか。
  80. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いつまでにという御質問でございましたけれども、これらの細かい施行につきましては施行令にゆだねられておりますので、この法案が成立後、施行後、速やかに行われるというふうに想定をしているところでございます。
  81. 西田実仁

    ○西田実仁君 申請から支給までの期間が、二〇〇四年十一月二十四日、災害特のこの委員会で森議員質問されている中に、二か月、二割というようなことで大変に遅いということを御批判されていらっしゃいました。  この申請期間ですけれども、現行法では、生活関係費は十三月、居住関係費のうち家賃については二十五月、その他の居住関係費については三十七月と、こういうふうに定めておりますけれども、民主党さんの案では、この申請期間、生活関係費、居住関係費別に異なるんでしょうか。異なる場合には、どのぐらいをお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  82. 水岡俊一

    委員以外の議員水岡俊一君) お答えします。  民主党案では、支給制度についてはできる限り被災者の要望に沿った制度となるように見直しが必要であると考えていて、それに基づいて居住関係経費の申請期限に合わせて生活関係経費の申請期限も定めることが適当ではないかというふうに今考えが至っております。  なお、速やかな生活再建支援する上で、申請期間を長期にすることは適当ではないという指摘もあるわけでございますが、概算払を活用して迅速に支援金の支払を行うとともに、対象経費について支出が終わった被災者は申請期限の到来前でも精算手続が取ればよいということになりますので、被災者の心情に沿った形になるものと私たちは考えております。
  83. 西田実仁

    ○西田実仁君 私もこの委員会で初めていろいろとお聞きしていますので細かいことを聞いていて誠に恐縮ですけれども、できる限り理解しようと思ってお聞きしておりますので御理解いただければと思います。  生活関係経費は、現行では三十品目というふうに定めております。民主党さんの案では、聞き及ぶところによれば、その対象となる物品の範囲を拡大すると、こういうふうに理解しておりますが、どういうものが加わるんでしょうか。また、どのぐらいまで拡大をする御予定なんでしょうか、お聞きしたいと思います。
  84. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 今、現行法では、この辺り限定列挙されておりまして、かなり厳格になっていて、逆にそれが使い勝手が悪いじゃないかというお話は出ているんだろうというふうに思いますが、西田委員が御指摘をしていただいたとおり、我々もそこのところは、使途拡大をしていきたいと。  実際に被災者生活再建のために必要な物品というのは、その地域地域あるいはその被災者ごとに異なっているということも考えられるんだろうと思っております。例えばパソコンはどうするんだとか、そういうような意見もあろうかと思いますが、その辺り余り限定的にがちがちに決めてしまうのではなくて、できるだけ幅広い支援対象と認めていくべきだというふうに思っています。  ただ、生活関係経費に関しましては支給率も九三%前後ということでございまして、この部分については確かに複雑で、限定的だとは言われながらも、やっぱり九三%ぐらいまでは高くなってきているということを考えれば、そこのところの幅を広げることによってそれは九三%を超えた形で拡大ができるのではないかなというふうに思っておりますので、今の限定的な、余りにもちょっと限定的な列挙というのは使い勝手が悪いというふうに考えております。
  85. 西田実仁

    ○西田実仁君 民主党さんの案では、被害実態に応じた支給額の違いというのがございます。全壊は最大五百万、大規模半壊が最大二百万、半壊が最大百万と、こういうふうになっているようでございます。  そこで、まず政府参考人の方にお聞きしたいと思いますけれども、この全壊、また大規模半壊半壊、それぞれの定義ですね、簡単なもので結構でございますので、お願いいたします。
  86. 田口尚文

    政府参考人田口尚文君) お答え申し上げます。  まず、全壊につきましては、被害認定基準におきまして、住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの、すなわち、住家全部が倒壊、流失、埋没、焼失したもの、又は住家の損壊が甚だしく、補修により元どおりに再使用することが困難であるものとされているところでございます。具体的には、住家の損壊部分の床面積が延べ床面積の七〇%以上の程度に達したもの、又は住家全体に占めます経済的被害の割合、損害割合が五〇%以上に達した程度のものを全壊として定義をいたしております。  そして次に、半壊につきましては、住家がその居住のための基本的機能の一部を喪失したもの、すなわち、住家の損壊が甚だしいが補修すれば元どおりに再使用できる程度のもので、具体的には、損壊部分の延べ床面積の割合が二〇%以上七〇%未満のもの、また経済的被害につきましては、損害割合が二〇%以上五〇%未満のものをいうとされております。  なお、このうち大規模半壊につきましては、経済的な被害の割合が四〇%以上五〇%未満のものをいうというふうに解されているところでございます。
  87. 西田実仁

    ○西田実仁君 民主党さんの改正案は今の定義と何か変わるところありますでしょうか。
  88. 富岡由紀夫

    委員以外の議員富岡由紀夫君) 同じでございます。基本的に同じでございます。
  89. 西田実仁

    ○西田実仁君 そうしますと、全壊の場合、補修に対する支援というのはどういうふうになるんでしょうか。
  90. 富岡由紀夫

    委員以外の議員富岡由紀夫君) 全壊であれば必ず建て直さなくちゃいけないということでもございません。全壊であっても、補修で済ます部分があれば補修で対応を選択する、それは被災者の方の御判断にゆだねるものと考えております。
  91. 西田実仁

    ○西田実仁君 与党案では、建て直し、住まいの再建の仕方によってこの支援額を変えて柔軟になっているわけですね。大規模半壊でも補修の場合も当然あるし、また全壊といっても補修の場合もあるわけであります。したがって、全壊の中でも補修することに対する支援がなされると、こういう仕組みになっているんじゃないかと思うんですね。これは与党案の話ですけれども。  これは民主党案でも同じなんでしょうか。
  92. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 与党案の詳細は私も存じておりませんので、ちょっとそこのところのコメントは、実際にここで討議が、我々が九月二十七日に出していますが、ここで与党案も出れば一緒に討議できたんですが、それができないのが残念ではありますが。  我々としては、特に今、補修の仕方とか建設の仕方によって考えるんであって被害程度ではないという与党案だというふうな説明を聞いておりますが、逆に我々としては、被害実態に応じた支援金として規定をしております。現行制度においても居住関係経費については、全壊、大規模半壊と、このように分けて、被害実態に応じて支給額が異なっているわけでございまして、我々も、全壊、大規模半壊、そして半壊という被害実態に合わせて支給額を規定をしております。
  93. 西田実仁

    ○西田実仁君 そうすると、住宅を建て直す、購入をする、あるいは建設をするという行為がありますね。全壊の方の住宅購入、建設、その際には最大五百万円が払われる、生活費も入れてですね。大規模半壊の場合は、同じ住宅の建設、購入にもかかわらず、民主党案では最大二百万円、こういうことになりますね。
  94. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 全壊ならば建て直し、あるいは大規模半壊なら大規模補修、あるいは半壊ならば補修と、こう一律にはなかなかいかないんだろうなというふうに思います。  ただ、もうどうしても、実際には、全壊と認定されても三割程度補修で済ましているというところがあろうかと思いますが、総じて建て替えざるを得ないような状況になっている全壊と、建て替えもあり得るし補修でも大分、住宅再建することができるであろうという、選択肢が若干、大規模半壊あるいは半壊の方が広がってくるということでありますので、最もその打撃の大きい全壊世帯から見ても、若干その辺り、もしそこを一律にしてしまうと不公平な面もあるんだろうというふうに思っておりまして、被害実態に応じての規定と我々は考えております。
  95. 西田実仁

    ○西田実仁君 同じ住宅の建設、購入で、全壊と大規模半壊でその支援額が異なるということですね。  ここは、私もプロではありませんので厳密なことは分かりませんけれども、大規模半壊で建て直す場合は、正に大規模半壊ですので当然解体費用とか全部出てきますね、と思います。全壊の場合も当然そういうこともあり得ると思います。全壊という定義も、母屋と離れている場合とかいろいろありますのでね。しかし、素人的に考えてしまいますと、大規模半壊の方がむしろ費用がより掛かるんではないかと、解体費用も含めるとですね。ということも考えられませんか。  つまり、住宅の建設、購入という同じ行為をする際に、全壊そして大規模半壊とこの支援額の上限が二倍半も違うということの合理性があるかどうかということについてお聞きしたいと思います。
  96. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) ちょっと質問趣旨が明確に分からないので、もしかしたら間違っていたらまた再質問していただければと思うんですが。  大規模半壊、じゃ半壊はどうなんだという話も多分そうなってくると出てくるんだろうと思いまして、大規模半壊はあくまでも半壊の中の大規模なものというふうな位置付けをしてございまして、そうなってくると半壊をどうするのかという問題というのも恐らく出てくる可能性というのはあるだろうと。  ただ、大規模半壊全壊を考えますと、やはり大規模半壊の方が補修で済む可能性というのは高い。だからこそそこで認定をされているというふうに考えれば、やはりそこで多少の、多少のといいますか、支援支給の額が被害に応じて違うということに対して合理的ではないという指摘は私は当たらないのかなというふうには思っております。  やはり選択肢として、補修もできるし建て直しもできる。じゃ、この際、大分傷んだから、大規模半壊と認定されたから、まだ補修でもできるけど建て直してしまえよという場合と、もうどうしても全壊と認定されて住むことができない、もうこれを取り壊して、あるいは一からやらなきゃならないというのを逆に同じにする方が不公平だという考え方もあるんだろうと思います。ですから、それはどちらが正しいというか、あるいはケース・バイ・ケースという部分というのも多分出てくるのかなというふうには思っております。
  97. 西田実仁

    ○西田実仁君 先ほど発議人からも御指摘ございましたとおり、全壊住宅補修によって再建をしているというのは知事会の調査によれば全壊世帯の約三三%あるわけですね。これは決してまれなケースではないという数字だと思うんです、三三%というのは、三分の一ですから。  つまり、私が申し上げたいのは、おっしゃるとおり、全壊であれ大規模半壊であれ、住まいの再建ということは、一概に全壊だから全部住宅の建設、購入、あるいは大規模半壊だから補修ということにはならないだろうと。そこはケース・バイ・ケースでより柔軟に対応できるような仕組みの方がより使い勝手がいいんではないかというふうに私は思うわけであります。  そういう意味では、今与党で言うところで言えば、例えば大規模半壊住宅を建設、購入する場合には、与党案に基づくと、これはこちらの与党案のものですので別にお答え結構ですけれども、二百五十万円になると思うんですね。民主党案でいけばこれは二百万円ということに多分なるんでしょう。  つまり、その建て替えの仕方の組合せというものはいろいろ多分ケース・バイ・ケースであるわけですから、それに対応できるような仕組みの方がより被災者の方にとってはいいんじゃないかなと、こんな感想を持ちますけれども、最後、もうこれでやめますけれども、そういう意見についてどう思いますでしょうか。
  98. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 今回の改正については、多分与党の方も、細かい点は除いたとしても、被災者方々がいかに使い勝手が良くなるのかというところが一番重要なことだと思います。ですから、今西田先生がおっしゃったような考え方というのもやっぱりあるだろうし、逆に全壊世帯の方から見れば、大規模半壊と同じだというのも不公平だと思う方もいらっしゃる。だから、これはやっぱりケース・バイ・ケースといいますか、その辺りの認識の差というのは当然出てくるんだろうなというふうに思います。  ただ、冒頭申し上げたとおり、やはりこれは被災者方々がいかに柔軟に使い勝手が良くて、いかに早く生活再建できるかという視点を忘れないでやっていくことが必要だろうというふうに認識はしております。
  99. 西田実仁

    ○西田実仁君 もう一つ、民主党さんの案で教えていただきたいのは、この対象世帯支給限度額をいろいろ定めておりますけれども、持家と借家の場合の別で何か違いがあるのか、また居住場所の県内、県外の別によって支援額に何か違いがあるのかどうか、これについてお聞きしたいと思います。
  100. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今の問題につきましてはちょっと御通告をいただかなかったものですから、それでもお答えをさせていただきたいというふうに思います。  持家と借家世帯に関しましては、持家世帯と借家世帯では、その居住する住宅が同じように被災した場合でも住生活再建の困難さが異なると考えられるため、住宅関係経費支援金上限額を異なるものとする方がよいと考えております。  また、今ほど御質問ございませんでしたけれども併せて申し上げますと、複数世帯と単数世帯におきましては必要となる生活関係経費住宅関係経費の額が異なることから、これらについて支援金上限額を異なるものとするというふうに我々では考えさせていただいているところでございます。
  101. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) もう一つ、今まで住んでいたところに建てる場合と都道府県を越えた場合という、そういう御質問ですよね。  基本的には、これは地域復興という視点を考えれば、今まで住んでいたところ、あるいはそこから余り遠くないところに住むというのが建前だろうというふうには思っておりますが、そうはいってもやはり被災者の方の生活のことを考えれば、やはりそれ以外に転出する場合と自分の今までいたところとを考えたときに、やはり上限額ぐらいの差は設定をすべきだというふうに考えておりますので、上限額を異なるような形で対応すべきだというふうには考えております。
  102. 西田実仁

    ○西田実仁君 ちょっと通告してなかったことを聞いてしまいまして済みません。通告したことに従って、済みません、質問させていただきましょう。失礼いたしました。  次に、遡及について、もう午前中御議論ございましたので確認でございますけれども、よく言われるのは、遡及は本制度がそもそも持つ趣旨と反してしまうんではないかと、こういう疑問をよく掛けられるわけでありますが、この点については、特に都道府県が基金を拠出しているという趣旨からして遡及がこの制度そのものにそぐわないという指摘もあるわけでありますけれども、この点いかがでございましょう。
  103. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 遡及の点につきましては、午前中の中でいろいろな御意見をいただいていろんな形で答弁をさせていただいているんですが、基本的には、我々の考えているのは、今まで、今回で四回目です、ですから今まで三回、直近で言うと平成十七年の八月に参議院に提出したものについても議論をされずに廃案となってしまったということを考えると、やはりその間のことを考えて、政府のいわゆる不作為の責任というのもあるんだろうということを考えて、今回は今年の一月一日から、暦の中でのその年ということで、今年成立するものについては一月一日でも御理解をいただけるんではないかということで、平成十九年一月一日からというふうにしております。  ただ、実際に、末松先生からも午前中御指摘がありましたとおり、本当に目の前で困った人たちがいる、それをそのままほうっておくということも、制度が違うからだということだけで、だけで、それも一つの考え方かと思いますが、それだけでだから駄目なんだよということにもなかなかなりにくいのかなというふうにも思っておりますので、この辺は御議論はいただいておりますが、我々としては、今年成立したものは今年の一月一日からということで規定をさしていただいております。
  104. 西田実仁

    ○西田実仁君 その場合に、既に現行の枠組みで支給を受けている被災者方々にはどのような支給の仕方になるんでしょうか。
  105. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 今の質問は、現行の枠組みで支給を受けている被災者に差額などをどうするかという、そういう趣旨でいらっしゃいますか。──ええ、その差額を支給する予定でございます。
  106. 西田実仁

    ○西田実仁君 遡及の問題では、政府の不作為ということを再三御指摘なさっておられます。  平成十六年の改正の際に全会一致で決めたことが幾つもあろうかと思いますが、私は当時議員じゃありませんでしたけど、それを確認をさせていただきたいと思いますが、その際、四年後の見直しということは全会一致で決めたんじゃなかったでしょうか。
  107. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今ほど先生の御指摘なさったように、平成十六年の改正におきましては、我々民主党も含めて全会一致で法改正がされたところでございます。いろいろと我々はその当時思いはございましたけれども、全会一致ということで、そのときに、今ほど御指摘がございましたように、法改正は四年後の見直しを検討することということで、これは衆参の附帯決議によって行われているところでございます。  ただ、私、午前中に申し上げましたように、その後も全国の様々な被災地状況を見させていただいたり、また現在の法の施行状況等検討させていただいて、私どもはやはり改正が早期に必要であるということから、既に何度も法改正をさせていただいておりますし、四年後の見直しということでございますけれども、そうすると、十七、十八、十九、来年ということで、政府の方もそういうふうに予定されていらっしゃったようでございますが、そういうことも含めて、私どもとしてはそういう状況を踏まえた上で改正が必要であるということで何度も、四度目でございますけれども、改正案を提出させていただいたということでございます。
  108. 西田実仁

    ○西田実仁君 最後に私の意見でございますけれども、今御提出いただいているこの法案につきましては、とにかく被災者方々使い勝手良く、また住宅本体にもしっかり使えるようにと、こういう御趣旨だろうと思っておりまして、それをとことんやはりより良いものを追求していくことが必要であろうと思っております。  それに対して衆議院で与党案が出されておりますけれども、これを見ると見舞金的な性格になっておるということで、これもやはり住宅本体に使える、また使い勝手をより良くしようと、こういうことだろうと思うんですね。  この見舞金的な性格ということで考えますと、これは与党案の話ですので意見として聞いていただければ結構ですけれども、これは収入要件なんかはもう外しても見舞金という意味であればこれはいいんではないかと、私の個人的な意見でございますけれども。見舞金ということであれば、これは収入が多いから見舞わなくていいということにもならないし、当然被災をすればいろいろとその後大変になってしまうということからしますと、収入の多寡によって見舞金、今は一応八百万円というのが、これは与野党ともに案としては同じだろうと思っておりますけれども、こういう年収要件ということは要らないんじゃないかなというふうな意見を私は個人的に持って、もし御感想があればお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  109. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 衆議院に出された与党案については一応見舞金ということではあるけれども収入要件はあると、将来的にはこれを外したいという御趣旨の御発言であったかというふうに思います。  一つの考え方であろうというふうに思いますし、いずれにせよ、より被災者にとって使い勝手が良く、そして広く自立を促せるような制度にすべきであるというふうに考えておりますし、私どもも今回のこの改正案でそういう視点に立って、今できる範囲で私どもとしては、私どもの法案の場合は政令事項にゆだねている部分が多うございますけれども、これもより被災状況に合わせて柔軟に対応できるようにということもございまして、今回のような改正案を出させていただいた次第でございます。
  110. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  111. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  まず、民主党案改正案の第一条の目的について、改正案は、支援対象となるものについて現行法経済的理由などによって困難なものなどの文言を削除するとともに、端的に被災者生活再建支援するということにしておられるわけでございます。その趣旨、そしてとりわけ被災者生活基盤の再建被災地域全体の迅速な復興との関係についてどのようにお考えかという点を私なりの思いも含めてお尋ねをしたいと思うんですけれども。  今日、先ほども阪神・淡路大震災以来のお話がございました。私は、当時福岡の駆け出し弁護士でございまして、法律家団体、日弁連はもちろんのこと、各種団体が挙げて神戸、阪神・淡路に調査に入り、当時、個人補償という言葉を使っておりましたが、生活基盤、とりわけ住宅や営業の再建支援を行ってこそ復興を進めることができるのではないかという提案をしていたことを大変強く思い出してこの委員会に臨んでおります。当時、私どもの党もそのような方向での実現の法案大綱を提出をさせていただいたこともあるわけでございますけれど、そういった意味では、三年前に国会に参りました私としては、阪神・淡路後の政治家ではありますが、この被災者生活再建支援法の見直しを考える上で阪神・淡路がやはり原点だというふうに思っています。  一昨日の質疑の際に紹介をしました全国災対連の先週土曜日の集会にも阪神・淡路大震災被災者ネットワークの代表の方がおいでになって、冒頭おっしゃったのは、十三年を迎えようとしているが、一番遅れているのが人間の復興だという言葉でした。これは藤本議員も一緒に聞かせていただいたんですけれども、その中で災害復興住宅の高齢化の実情をお話しになりました。  神戸市中央区のある借り上げ復興住宅で、ここは入居者四十六人の方が全員単身で、多数の方が女性。入居する際には、お互いに年寄りばっかりやなというふうに驚いたそうです。現在、一番若い方で七十一歳、平均年齢が八十歳とおっしゃいます。中心街にありながら、買物に行ける人が少なくて、週二回来てくれる小型トラックの食料販売が頼りだというんですね。九十四歳になるある女性は、震災の前は自宅でお茶とお花の先生として若い人に囲まれて楽しい暮らしをしていたんだけれども、今はその復興住宅の部屋に閉じこもっているので、手足が弱り、室内で歩くのも不自由です。震災さえなかったら自分の家で安らかに死ねたのにとお話しになっておられるというわけです。  そういった中で、二〇〇三年にその住宅でも孤独死があって、これを契機として、一つは励まし合って生きていくための食事会、そして安否確認のための朝食作戦、それを被災者皆さんがずっと取り組んでいらっしゃるわけですよね。  このネットワークの代表の方は、元の場所で自宅再建ができておればこんな惨めなことはなかったでしょうと、そういうふうにお話しになりました。この方、代表の方御自身は、ポートアイランド第三仮設住宅百三十戸の自治会長を四年二か月なされて、最後に仮設住宅を出られたそうです。  平成十年、九八年五月ですね、最後の希望であった被災者生活再建支援法が成立をしたが、住宅本体再建支援は認めないと決まった、それでやむを得ず復興公営住宅に応募した六十歳以上の夫婦世帯が十二件あった、だが二〇〇五年までにその世帯主十一人の方々が既に亡くなられてしまったと、そのような実情を語られた後にこのようにおっしゃいました。  住宅再建の夢は失われ、見知らぬ土地で無念の思いが死期を早めたと思われます。元のところに自宅を再建できたら人生は継続されたことでしょう。被災者生活再建支援法は、阪神・淡路大震災被災者の声と運動を原点に、国民的世論を背景に成立しました。しかし、二〇〇四年の見直しでも住宅本体建設には適用しませんでした。仏作って魂入れずだと思います。私たち被災者ネットワークは、行政が五年で打ち切った市民追悼式を続けています。六千数百人の犠牲者、関連死などを含めますと一万人にも上る犠牲者があったと思われます。全犠牲者に対して、あなた方の死は無駄にはいたしません、安全、安心して住める住宅建設のために被災者生活再建支援法住宅本体再建支援を実現するまで戦い続けることを誓いますと、毎年一月十七日の日に誓っておられるというんですね。  今日も、この阪神・淡路以来の数々の被災地での被災者がどのような思いでこの国会を見詰めているだろうかというお話がございました。その皆さんの思いを推し量って私が考えるのは不遜だと思いますけれども、この被災者皆さんが十三年に及ぶ悲願達成のために全国の皆さんと力を合わせたいというふうにおっしゃっておられる、その言葉、思いというのは極めて重いものがあると思います。  この法改正、見直しが成案を得て、今国会で実現をするということが是非に求められているわけですけれども、この阪神・淡路の教訓というのは、生活基盤、中でも住宅、その再建こそが復興のかなめなのであって、その住宅を取り戻していくために公的な支援が何としても求められているということだと思います。この改正目的についてどのようにお考えか、発議者にお尋ねをいたします。
  112. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 ありがとうございます。  今、仁比先生のお話、本当に全く同感でございますし、大変重く受け止めております。  私も地元、中越大地震、先日も復興住宅から御要望がございまして、話をとにかく聞いてくれということで伺いました。そのときに率直に感じましたのは、この方たちはやはり自分たちの住宅再建できていたならばもっと違う思いを持って生活をされていたんだろうな。今先生がおっしゃいましたように、将来に対する希望というものを住宅再建をする過程において希望を取り戻していく、おじいちゃん、おばあちゃんたちが家を直し、今まで住んでいたところに戻っていく中で元気を取り戻していくというさまを私も中越地震のときに実際見させていただいているところでございます。  いかに住宅再建をして元の生活に戻れることを公的な支援で後押しをしていくのか、このことが大変重要だということは全く同感でございますし、そのためにも、一昨日は先生の方から私どもの法案趣旨説明に対しまして、今日は歴史的な日になるだろうというふうなお話がございまして、大変身の引き締まる思いでございましたけれども、私も何としても皆様の声におこたえできるように、住宅本体に対するこの公的な支援というものが今回の法改正、成案を見て実現できるために頑張りたいというふうに思っております。  この法案改正目的につきましては、午前中来度々繰り返させていただいておりますけれども、被災者住宅再建が単に個人レベルだけではなく、被災したその地域全体のコミュニティーの復興見地からも大変重要であるということでございます。すなわち、単に経済的理由により自立困難な方の再建を図るだけではなく、被災地において被害を被った多くの方々について広く自立を促すことが私は本法のあるべき趣旨に合致したものであると考えます。その点をかんがみまして、今回提出した法案におきましては支援金上限額を大幅に増額をさせていただき、また住宅本体再建についても支援対象としたものでございます。  よって、この趣旨を踏まえまして、本法の目的部分についても、「経済的理由等によって」という部分と「困難なもの」というこの文言を削除をいたしまして、端的に被災者の「生活再建支援すること」に改めることとさせていただいたところでございます。
  113. 仁比聡平

    仁比聡平君 今、森先生の方からお話をいただいた思いは正に与野党を超えての思いだと、私は改めて確信をいたしました。  実際に、先駆けて住宅本体への再建支援の独自の手だてを打たれた鳥取西部地震の際の片山当時知事が、日本居住福祉学会という学会が出している「知事の決断」という本の中で、講演をしておられるんですけれども、片山元知事がやっぱり住宅、居住というものが人間が生き生活をする上で一番基本となるのだということを再認識したそのエピソードとして、被災者の相談に携わっている役場の女性職員の声を紹介をしています。  相談においでになる被災をされた年を取ったおじいちゃん、おばあちゃん、家が壊れたけれどと言うけれども、相談は必死だけれども、だけれども実際に対応する手だてが自分たちにない、実際に自力で住まいを建て直そう、改修しようとする人に資金援助するなどの手を差し伸べる手だては何もない、メッセージすら与えることができない、その事態にもう耐えられません、何とか自分も助けてあげたいと精一杯ですが何もしてあげられないんです、そんな自分が歯がゆくて惨めですと言って更に泣き崩れてしまったというエピソードを紹介をしておられます。  そんな中で、住宅本体再建支援への単独策をいろんなハードルがあったけれども実現をしたときに、一番に拍手喝采を寄せてくれたのは神戸だった。そして、実際にその制度の下で、大変高齢者が多かった被災地だったわけですけれども、それでも人口の流出はほとんどなかったんですね。  今年発生をしています能登あるいは中越沖、あるいは豪雨の、せんだっては秋田のことをお話をさせていただきましたが、ここで被災者皆さんがお一人お一人、御自身がこれまで住み続けてこられた土地、そしてその生活を取り戻していくという、その支えになってこそ支援法だし、私たちの国会の取組が本当に意味のあるものになるんだと思います。阪神・淡路の災害援護資金の問題など、私は、今回の法案の議論の中のテーマにはなってないかもしれないけれども、同じような思いで解決のために知恵を尽くす、そのことが私たちの責任なのではないかと改めて思っております。  少し思いが、述べましたけれども、具体的に二点お尋ねをしたいんですが、一つは、店舗兼住宅など生業に必要不可欠な住宅等の再建支援について、この法律上どう考えるかという点ですね。  住宅本体再建支援に足を大きく踏み出すということが、これは大変大切です。さらに、零細の商店主さんが自宅とお店を一体として担っておられて、これが災害によって壊れる、こういう事態は各地で広がっているわけですね。これまで私どもも強く申し上げてきて、現行制度の下でも、店舗部分被害が居住部分に、居住のための基本的機能を喪失するような影響を及ぼす場合は、これを住家の被害として調査することは可能であるという運用がされてきましたが、これは現場で周知されているとは言えない実態があります。  加えて、この店舗、この運用が、これまでの運用が本当にニーズにかなっているのかといえば、それは十分でないという実情が語られ、そして、中越でも大変問題意識を持ちましたけれども、農家の皆さんの作業場なども含めて生活と生業が一体となっているからこそ生業なわけで、そのために不可欠の住宅などの建物の再建支援、ここも拡充をされてしかるべきだというふうに私は思ってまいりました。  阪神・淡路のときでいいますと、そのような商売をされている皆さんの営業再開が復興のシンボルだというふうに言われたニュースを思い出します。これらの災害の中で、中小業者の皆さん地域経済の重要な担い手であり、住民生活に密接に役立っている技能や技術をお持ちになり、それを活用することで営業と生活を成り立たせておられる、そういった存在として地域のコミュニティーの重要な担い手、不可欠の存在なんだということが明らかになってきたと思うんですね。  被災地が、その後も、被災後も子供からお年寄りまで安心して安全に暮らしていくことができるためには、そのような中小業者の皆さんが、多様で生き生きした、その中で住民同士が日常的なつながりを強くしながら暮らしていく、そういうコミュニティーをつくっていく、そういう役割を果たしていくことが本当に大切だと思うんです。  ですから、この店舗兼住宅再建支援を始め、農山村でいえば営農者の皆さんのそのような不可欠の建物を始めとして、ここにも支援を私は及ぼすべきだと思いますが、提出者の皆さん、どのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  114. 藤本祐司

    委員以外の議員藤本祐司君) 仁比議員とこの間同じシンポジウムで説明をさせていただきましたが、そのときも同じような意見が出されたというふうに私は記憶しております。  確かに現行法でも店舗兼住宅については住居部分に着目をして支援できることになっていますが、結局、住宅本体に今までは支援できていないということはありますので、この法律改正することによって住宅本体あるいは店舗兼住宅再建に一歩これは前進できるんだろうというふうに私は考えています。  この法律が成立した場合、皆さんのそうした意見を取り入れて、柔軟な運用を、やはり生業となる店舗などの再建ができないと生活再建できないじゃないかという意見は大変多くあろうかと思いますし、内閣府の検討会の中でもそのようなことが出されていますので、ここは柔軟に対応できるようにはしていきたいというふうに考えています。
  115. 仁比聡平

    仁比聡平君 もう一点は、宅地を始めとした地盤被害、これへの支援についてこの法律上どう考えるかという問題なんです。  特に、住宅にはさほどの損傷がない、けれども、宅地被害が甚大であることによって解体、再建がやむを得なくなる場合というのが実際に中越でも中越沖でも経験をされてきて、例えば中越沖地震に関して言いますと、柏崎、刈羽の地域の地盤の特質やこれまでの造成工事の様子なども関連するのかもしれませんけれども、特に平地での地盤災害というのが大変大きな問題になっておりますですね。これはもう委員各位御存じのとおりかと思います。  これは柏崎市の政府への要請書を拝見をしましても、これまでの急傾斜地崩壊対策事業など、がけの問題としてとらえて高さを特例措置で緩和をしていこうということで、中越のときには三メートルにまで特例措置ということになったようですけれども、それでは平地だと三メートルもないということで適用されないという実情があるわけで、これを二メートルにまで引き下げられないか、あるいは被災者の中からは、一・五メートルまで下げて救ってくれないかというような本当に痛切なお話がございます。  このように、これまである手だてを何とか被災地の要求に合うようにかなえていくということは私たちのこれはこれで一つの大きな責務だと思いますし、実現をさせなきゃいけませんけれど、支援法の中でそのような宅地被害についてはもう正面から支援対象とするということをはっきりさせることも大事なのではないかと思いますけれど、いかがでしょうか。
  116. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今ほど仁比先生からの御指摘がございましたことは、発議者水岡議員、そして富岡議員ともに我々の被災者支援改正案プロジェクトチームで先般、直接、柏崎、被災地を訪れまして、被災者皆さん、それから行政当局からもお話をいただき、確認をしてきたところでございます。  御指摘のように、地盤災害、特に中越沖地震につきましては液状化現象ということで大変、見た目は何ともないんですね、家壊れてないんですけれども、中へ入ってみるともう住めない、そういう状況がございまして、内閣府の中間報告におきましても今の現制度ではそれに対応十分できていないということで、これは内閣府の中間報告の十二ページに書いてございますが、住宅に直接の被害がなくとも、地盤被害のためにそのままでは居住できない場合や隣接地に影響を及ぼす場合については現行法では支援金支給対象とはなっておらず、被災者生活再建のためにはこのような場合も対象とすべきといった指摘があるところであると、このようになってございます。  そこで、私どものこの改正案につきましては、今回の改正後、この被災者生活再建支援法においては、地盤被害を受けた世帯については、被災世帯として定義はしておりませんけれども、全壊と同等の被害を受けたと認められる世帯として政令で定めるものは全壊世帯に含めるものとしていることから、例えば、住宅被害はなくても地盤被害によって住宅の解体に至った世帯については政令で定めることによって全壊世帯として取り扱っていくべきものと考えております。また、解体に至らず補修、補強することとした場合であっても、その被害程度により、大規模半壊、また、私ども今回、半壊ということを入れさせていただいておりますが、大規模半壊半壊の認定を柔軟に行い、その状況に応じた支援を行っていくことが必要と考えております。  なお、本法案では半壊世帯対象に含めることとしておりますので、地盤被害やそれから水害の被害、一昨日も御指摘ございました、先生からの、そういった水害被害などの場合においても現行法よりも支援対象となりやすいものとなっているということを申し添えさせていただきたいというふうに思います。
  117. 仁比聡平

    仁比聡平君 時間が参りましたので、最後、要望だけ申し上げておきたいと思うんですけれども、遡及適用の問題については一昨日私の立場は議論をさせていただきましたので、もう皆さん御了解のとおりでございまして、何としても成案を得て、今国会で成立をさせなければならないと思います。  最後に、本日の審議を聞いておりましても、本体再建への支援、それから要件の緩和、それから制度仕組みはいずれいろいろ議論があるとしても、目の前にいる被災者にしっかりと必ず手を差し伸べるという思いは一つだと思うんですね。そういう意味で、今国会で成案を得るとともに、実際にこれから運用をしていく中でいろんな実情や要求が出てくるんだろうと思うんです。そういった意味での今後の見直しを講ずるんだということも、この今回の見直しの中でもはっきりとさせていくことが当然だというふうに思っております。  御答弁をすれば、うなずいていらっしゃいますので、そうだというふうにおっしゃられるんだと思いますが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  118. 一川保夫

    委員長一川保夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時三十一分散会