運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2007-10-23 第168回国会 参議院 経済産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年十月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 秀央君     理 事                 鈴木 陽悦君                 藤原 正司君                 増子 輝彦君                 加納 時男君                 松村 祥史君     委 員                 川合 孝典君                 下田 敦子君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 藤末 健三君                 荻原 健司君                 塚田 一郎君                 古川 俊治君                 松田 岩夫君                 丸川 珠代君                 松 あきら君                 山本 香苗君                 松下 新平君    国務大臣        経済産業大臣   甘利  明君    内閣官房長官        内閣官房長官  岩城 光英君    副大臣        内閣府副大臣   山本 明彦君        経済産業大臣  中野 正志君    大臣政務官        法務大臣政務官  古川 禎久君        経済産業大臣政        務官       荻原 健司君        経済産業大臣政        務官       山本 香苗君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       河合  潔君        法務大臣官房審        議官       二階 尚人君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      勝野 龍平君        経済産業省経済        産業政策局長   鈴木 隆史君        経済産業省産業        技術環境局長   石田  徹君        経済産業省商務        情報政策局長   岡田 秀一君        資源エネルギー        庁長官      望月 晴文君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      西山 英彦君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     薦田 康久君        特許庁長官    肥塚 雅博君        中小企業庁長官  福水 健文君    参考人        独立行政法人産        業技術総合研究        所理事      一村 信吾君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (原油価格高騰国民生活及び産業への影響に  関する件)  (独立行政法人産業技術総合研究所における危  険物病原体の管理に関する件)  (米韓及び韓・EU間のFTAが我が国産業に  及ぼす影響に関する件)  (中小企業に対する金融・税制上の支援策に関  する件)  (我が国資源エネルギー外交の在り方と課  題に関する件)  (コンテンツ産業振興に資する人材育成に関す  る件)     ─────────────
  2. 渡辺秀央

  3. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会独立行政法人産業技術総合研究所理事一村信吾君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 増子輝彦

    増子輝彦君 おはようございます。  ようやく臨時国会が開かれ、そして自民党総裁選等もあり、思わぬ安倍総理辞任ということで、この委員会開会にこぎ着けることができました。今日は、大臣所信を受けての一般質疑でございます。民主党増子輝彦でございますが、限られた時間の中でそれぞれ質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  大臣、先般行われました参議院選挙の結果、残念ながら自民党にとっては歴史的な大敗を喫しました。私ども民主党を中心とした野党は、逆転の夏と言われるこの選挙の中で逆転を果たすことができ、ほぼ私ども会派が過半数を占めるに至りました。今回の選挙の結果について、やはり地方方々は、今日までの小泉安倍政治に対する怒りというものがこの選挙に私は民意として表されたんではないだろうかと。農業問題にしても中小企業問題にしても、あるいは様々な地方格差という問題について、余りにも市場原理主義グローバルスタンダードの中における強い者、大きい者だけが残ればいいというような今日までのこの連立政権政治政策というものが否定されたという結果だと私は認識をいたしております。今回の突然の安倍総理辞任、正にこれは歴史的に考えることのできないようなある意味では不祥事でありました。そういう中で福田総理が誕生したわけでありますけれども福田総理については、小泉改革を否定するというようなニュアンスも含みながらこの政権運営に当たっているようであります。  果たして、今度のこの参議院選挙の結果を踏まえて、大臣はこの結果をどのように総括をしながら、また閣僚という立場と同時に、自民党の議員としてのお考えを含みながら、今後どのような経済産業政策をお取りになっていくのか、是非、まず最初にその所見をお伺いしたいと思います。
  8. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 国会開会中にもかかわらず、総理が突然の辞任をされまして、その結果、何週間かの国会に空白をつくってしまったということに関しましては、内閣一員、そして与党の一員として深くおわびを申し上げます。  参議院選の結果をどう受け止めるかということでありますが、私も選挙期間中、一日だけ地元神奈川におりましたけど、それ以外はすべて全国応援に回っておりました。奮闘むなしく大敗をしてしまったわけであります。  全国を回りまして、我々のやっていることの思いがなかなか有権者のところに届いていないということを実感をしまして、その歯がゆさと同時に、特に一人区、地方大敗をしてしまったわけでありますが、有権者の気持ちとしては、世の中で言われている景気回復が連続をしてイザナギ景気を超えたとか、あるいは大企業史上最高利益を記録しているとか、そういう報道生活実感あるいは企業経営実感との乖離というものに相当ないら立ちを覚えられたのであろうという思いがいたします。  安倍内閣においても、大企業中小企業格差是正都市部地方格差是正というのはテーマとして取り上げておりましたけれども福田内閣におきましては、より重要なテーマ一つとして今取り組んでいるところでありますし、参議院選の結果を真摯に受け止めて、何が至らなかったかをしっかり分析をし、それに対する対処をしていきたいというふうに思っております。
  9. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣大臣あるいは安倍内閣思い国民皆さんに伝わらなかったというようなお話でございましたけれども、私は逆だと思うんですね。いわゆる有権者皆さん、特に地方皆さんのお考え政治が吸収できなかった、その民意を酌み取ることができなかった、その上に立って様々な政策というものを立ち上げてそれを強引に進めてきたというようなことが、私は逆に今回の結果を招いたのではないだろうかというふうに思っております。  そういう中で、安倍内閣から福田内閣、まあ、大臣は先ごろの総裁選福田さんではない方を一生懸命応援をされた、しかし結果として引き続き閣内にとどまり経済産業大臣としてその任に当たることになったということは、言わば今日までの大臣一つの評価を得たものだと実は私も内心喜びながら、今後の経済産業行政の中でしっかりと様々な課題に取り組んでいただかなければならないと期待もしたいと思っております。私も民主党の次の内閣経済産業担当責任者という立場を仰せ付かりました。私どもは、やはり最大の課題地方とこの都市格差をどのような形の中で是正をしていくかということの一点に今の時点では尽きるのだと思います。  日本経済全体を見ていくところによると、先ほど大臣からもお話がありましたとおり、イザナギ景気を超えたといいながら、やはりそれぞれの方々、特に地方においてはその実感というのは全くないわけでありますし、ましてや中小零細企業あるいは農家、様々な分野においてこの恩恵というものはあらゆる面でないわけであります。そういう中で、やっぱりこの地方をどういう形の中でしっかりと立て直していくか、格差是正していくのか、これは特に経済産業行政の中では大きな役割を持つものと私は思っております。そういう意味では、今までのともすればグローバルスタンダード市場原理主義の中で大きい者だけが、強い者だけが残ればいいという形ではなくて、地方に、小さい方々に、弱い方々政治というものはしっかりと光を当てながら政策というものを実行していかなければならない、そのように強く思っております。  そういう意味で、私は、今回のその任に当たるに従って、中小零細企業重視のやはり経済産業政策というものをしっかりとやっていきたいというふうに思っているわけでありますけれども、この点について、現時点での大臣中小零細企業に対する思いあるいはお考え方、現在の状況をどのようなお考えを持っているか、その所見をお伺いいたしたいと思います。
  10. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり、中小企業はその雇用の七割を支える、事業所数で言えば九九%が中小企業であります。大企業がいかに高収益を上げようと、サポーティングインダストリーたる中小企業の存在がなければこれは成り立たないわけであります。大企業好況中小企業の頑張りに支えられているということを大企業自身もしっかりと認識をしなければならないと。しかも、地方経済を支えているのは中小企業であります。中小企業業況感が悪いというのは、そっくりそのまま地方経済の現状が暗いということと直結をしてしまいます。いろんな意味で、日本中小企業がしっかり頑張っていけるような環境をつくっていかなければならないというふうに思っております。  大企業好況感均てんをしていく、関係者がともに享受するという体制をつくっていかなければならないわけでありまして、その点で、今年の三月に元請と下請の取引適正化に向けての要請を経団連、そして日商は中小企業と大企業が共存するところでありますから、そこであらまほしき姿をつくってほしいという要請もいたしました。業種別ガイドライン、それに基づくベストプラクティス等々、いい事例をたくさん提示することによって大企業好況感中小企業零細企業均てんしていくように努力をしていきたいというふうに思っております。
  11. 増子輝彦

    増子輝彦君 実は今日、朝、私ども地元町村会の役員の皆さんと懇談をしてまいりました。自民党総裁選の折、福田総理がいわき市の方へ視察に行ったと。商店街を見てシャッター通り商店街に驚くと同時に、こんな状況で一体どうなっているんだということを言われたということであります。何か他人事のような発言だということで、地元関係者も一体何を考えているんだろうなと失望感が広がったという話が今日の話題に出てまいりました。  中小企業と一概にこれ表現しますけれども、中と小とこれ全く違うんですね。中の中でも大変立派な大きな企業もありますが、いわゆる二十人以下の小規模とか零細企業というものがこの日本経済をしっかりと今日まで雇用の面でも地域経済の面でも支えてきたというこれ事実があるわけであります。特に商店街は、全国各地全部、それこそシャッター商店街と言ってもいいほどのさんざんたる状況なわけであります。  そういう意味で、私自身は今回のこの選挙の結果を踏まえながら、福田内閣が一体この日本経済というものについてどのような方向で進んでいくのか。これは端的に申し上げますと、成長路線でいくのかあるいは財政再建という形の中で進めていくのか、意見もいろいろ自民党の中でも内閣の中でもそれぞれのお考えがあるようであります。  そういう意味で、大臣におきましては、この成長路線でいくのか財政再建という形でいくのか、それによってこの日本経済日本国づくりというものをどのようにしていかれるのか、その見解をお伺いしたいと思います。
  12. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 経済産業大臣だから言うんではなくて、これは日本政治家として確信を持っておりますことは、いかなる場合でも経済成長がなければすべては水泡に帰してしまうということであります。つまり、日本が抱えている課題というのは、財政再建は待ったなしで、先進国最悪債務残高を持っていて、ほっておけば利払いだけで一般政策経費は全部食ってしまうという事態になってしまうと、これは放置できないわけであります。あるいは社会保障でも、国民の不安、本当に年金は大丈夫なのかと、医療の負担は際限なく上がっていくんではないかと、いろんな不安を抱えているわけであります。この社会保障安定運営にも経済が発展をしていかないと賄い切れないということになるわけであります。ですから、すべてのバックボーンは経済成長にあると思います。これは成長戦略路線は譲れない話だと思います。  ただ、その成長果実をどうみんなが享受をするかということにいろいろ考えるべき点があるんだと思います。大企業だけが成長果実を受けて中小企業はいじめられるまんまとか、大都市はいいけど地方都市は惨たんたるものと、これでは幾ら成長経済規模が大きくなったといっても、ごく一部の人だけがその恩恵にあずかる成長の仕方ではいけないと思います。成長は基本でありますけれども、それを関係者がしっかりとその果実均てんを受けるということが大事だと思っておりますし、その点にしっかりと思いをはせていかなければならないというふうに考えております。
  13. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣のおっしゃることについては、私も一部は同感であります。成長がなければ、もちろんこれ地方格差も埋めることも是正することもある意味ではできないんでしょう。ただ、そういう中で小泉改革から安倍改革へと進んできた中では、やはり財政再建至上命題であり、またこれがある意味では国民皆さんから支持を受けたことによって小泉安倍政権という形が続いてきたものと認識をいたしております。  そういう意味で、財政再建について大臣、どのようなお考えをお持ちですか。
  14. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 日本先進国最悪財政状況にあるということはほぼ共通認識だと思います。それを、つまり現役世代が享受したそのツケを我々の子や孫の世代に払わせるということは極力、将来の世代へのツケ回しは少なくしていくというのが今の世代責任だというふうに思っております。  ただ、財政再建第一主義でいきますと、じゃ、もう足りない分は全部増税して賄おうという短絡的な方向に走ってしまいがち。これはやってはいけないことだと思います。財政再建をする際には、経済を伸ばしてその実入りを多くしていくと、財政再建原資をたくさん獲得すると。それから、歳出効率化を図って節約をすると。一億円でやっていた政策効果を五千億でできるとしたら、これはその残りの五千億を借金の返済に回せるわけでありますから、国民生活を極力犠牲にしないで財政再建を図るというためには成長に資する予算は効果的に付けていくと。成長して税収を増やしていくと。それから、支出を節約をして、あるいは効率化を図って同じ政策効果をより少ない予算でできるようにするということ。そして、それでも対応が不能な場合に税制改正にどう取り組むかという組合せだというふうに思っております。
  15. 増子輝彦

    増子輝彦君 何か両方にいいような話でして、組合せというと結果的には中途半端になってしまうんではないかというような気がいたします。  しかし、それはそれとして、それでは大臣にちょっと角度を変えて御質問させていただきますが、閣議決定というものはどのような重みといいますか、どのようなものなんでしょうか。
  16. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 閣議決定は、その決定が更なる閣議決定で変更されない限り、内閣としては遵守すべきものというふうに考えております。
  17. 増子輝彦

    増子輝彦君 実は、私もかつて自民党におりましたけれども自民党の国対で徹底的に鍛えられた中で、閣議決定政治的な重みというものをよく認識しろと、これを覆すようなことになれば重大な決意が必要なんだというようなことも随分教えられてまいりました。  そういう中で、今回、格差是正するということも含めながら、やはり地方にとって今最も大事なものの一つ道路財源の問題が実はあるんですね。この道路財源等について、一般財源化を望む方々と、さらにやはりこれは道路特定財源はしっかりと堅持してもらわなければ地方格差是正することができないということの考え方というものが実はあるわけであります。  そういう中で、マスコミ報道によりますと、今の福田内閣安倍内閣閣議決定をした特定財源のこの見直しをすると、すなわち道路特定財源堅持をし、全額一般財源化は先送りだというような報道がなされておりますが、この点について、大臣のこの道路特定財源は正に格差是正の大きな柱になるという考え方からすれば、経済産業大臣としての立場上、先ほどの答弁にもございましたけれども地方にやっぱり税金や利益の上がったものを再配分をしていくという観点からすれば、やはりこの道路特定財源堅持をしていくことが必要だということのお考えをお持ちなのか、その辺について御見解をお伺いしたいと思います。
  18. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 昨年十二月の閣議決定があるわけであります。内閣一員である以上、この閣議決定に当然その決定をされているわけでありますから拘束をされるわけであります。  この真に必要な道路整備は計画的に進めることとし、十九年中に今後の具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画を作成すると。二十年度以降も、厳しい財政事情の下、環境面への影響に配慮し、暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率水準を維持すると。それから、一般財源化を前提とした国の道路特定財源全体の見直しについては、税率を維持しながら、納税者理解を得ることの整合性を保ち、一として、税収全額を、毎年度予算道路整備に充てることを義務付けている現在の仕組みを改めることとし、二十年の通常国会において所要の法改正を行うと。二として、毎年度予算において、道路歳出を上回る税収分については一般財源とすると。基本的にこの考え方閣議決定考え方に私も拘束をされております。
  19. 増子輝彦

    増子輝彦君 仮に福田内閣でこの前内閣閣議決定を覆すということになるやもしれませんけれども、そのときはそのときとして、大臣としても現内閣決定に、自分のお考えは別として、やはり沿って、同調していくといいますか、それの閣議決定に従うというお考え方でよろしいんでしょうか。
  20. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 既にある閣議決定を変更する際には、閣内あるいは政府内でいろいろな議論が必要だというふうに思っておりますし、その議論の結果閣議決定が変更される際には、その議論を踏まえて変更がなされるものと思います。  私自身、この道路財源、その問題について、一部オーバーフロー分がある、それを一般財源化していく、事実上その使途を、従来の使途拡大解釈をして広げていくというこの議論の際、あるいはオーバーフロー分について一般財源化せよという議論からスタートしていますけれども、その際に私が申し上げたのは、納税者理解をしっかりもらうことも重要な要素ですと、納税者はこういうことに使ってもらっているという理解の下にその分の税を納めているんでありましょうからという発言はしてまいりました。  もろもろの議論の後に今日の結果になったわけであります。これを変更する際にも、当然その今日までの経緯を踏まえてこの閣議決定に至ったと。そのことを変更する際には、変更するに足るだけの議論と理由の開示が当然必要だというふうに思っております。
  21. 増子輝彦

    増子輝彦君 実は大臣、現在の日本景気状況の中から申し上げれば、先ほど来申し上げているとおり極めて地方は大変だと。と同時に、この原油高における産業界の打撃が非常に大きいんですね。揮発油税等を含めて、これ暫定税率として平成五年からだったと思いますが倍の税率になってしまっているということで、これだけ原油価格高騰していくと、日本経済成長路線といってもじわりじわりとボディーブローのように利いてきているんですね。トラック業界なんかはもうにっちもさっちもいかないような状況で、もちろん荷にも転嫁はできません。あるいは、公営バスとか様々な分野においても、やはり大事な国民の足としてのこの中でも厳しい状況に追い込まれている。いや、それだけではなくて、原材料の高騰、いろんな形の中で大きな悪影響が出てきているわけであります。  この道路財源にも関係してくるんですが、この原油高に対して、地方の声だけではなくて産業界全体からやはり税率見直しをしてほしいと。これ暫定税率として始まったはずなんですけれども、いつの間にか事実上恒久化してしまったような形の中で、倍の税率の中で進んでいる。もちろん、大変重要な財源でしょうけれども、上げることができるならば下げることもまたできるんではないんでしょうか。  あの湾岸戦争のときに、日本は自衛隊は出すことができない、しからばお金を出して貢献をするしかないという状況が生じました。その後にはPKOというものを制定して、私もそのPKO特別委員としてこの審議に加わってまいりましたけれども、やはり現時点での産業界のこの状況を踏まえれば、原油高に対する何らかの具体的な手当てがなければ、これますます年末にかけて灯油も含めながらあらゆる分野に大きな影響が出てくるんではないだろうかと。  この件について大臣どのようにお考えになっておられるのか、また具体的にこの原油高に対して、抽象的なお考えではなくて具体的な方策についてお考えをお持ちであれば御見解をお伺いしたいと思います。
  22. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のように、本則税率があって、暫定税率がそれに乗っかっているわけであります。ほぼ同額近い上乗せだったというふうに記憶をしておりますが、暫定というのはいつかやめるということが暫定の日本語的な意味なんだと思います。私自身が党の商工部会の時点で、税制調査会では、その道路整備五か年計画との議論のときには、納税者は、暫定という意味は、これは恒久という意味にはとらえていませんよという話もさせていただきました。  暫定分と道路整備計画との間のその収支差といいますか差が出てきて、いわゆるオーバーフローが生じてきました。そのオーバーフローしている分くらいは納税者に還元すべきではないかという主張も一議員としてかつてしてきたことも事実であります。  この議論について、日本財政状況との兼ね合いでそう単純な解決にならないんだろうとは思っておりますけれども、やはり納税者理解を得てどうするかを決めるということは大事な要素になっていると思いますし、この閣議決定の中にも「納税者理解を得ることとの整合性を保ち、」というふうにありますから、それが具体的にどういう形になるのか、これからの議論だと思います。  バーレル九十ドルを一時的にせよ付けて、レギュラーガソリンの価格がいよいよ百五十円を超えるという状況の中で、暫定分は二十五円ぐらいだと思います。これは相当なインパクトだと思います。同時に、その二十五円掛ける消費総量というのは何兆円かになるはずでありますから、それが財政に与える影響等も無視をするというわけにはなかなかいかないと思います。もろもろを勘案をして、広範な議論の後に結論が出されるものというふうに理解をいたしております。  それから、御指摘の燃料価格の高騰に対する経済、特に中小企業への影響であります。  前回も、バーレル七十ドルをたしか付けたときに調査をせよというふうに命じました。その際、燃料価格の転嫁は大企業はそこそこうまくいっているけれども中小企業が転嫁ができていないということで、これが利益を圧迫しているという話でありました。今回は、一時九十ドルを付けたわけでありますから、再度調査を命じまして、この影響がどれくらい深刻かということと、転嫁の状況がスムーズにいっているのか、全くいっていないのか、きめ細かな調査をせよというふうに命じておりますので、この調査に基づいて、何ができるか、抽象論ではいかぬというお話でありますが、我が省の取れる政策の限定もありますし、その中でどういうことができるか考えていきたいというふうに思っております。
  23. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣、これは深刻なんですよ、現実問題として。七十ドルのときにそういう調査をされていろいろ考えたというんですが、さらにこれ二十ドル上がって九十ドルを超えました。それから、為替の問題もこれからもちろん大きな影響になって出てまいりますよね。今の予測では百ドルを超えるんではないだろうかという予測もあるんです。これは分かりません。  しかし、やはり、先ほど申し上げたのは、抽象的なものだけ、あるいは調査することだけでは追い付かないというものがこの年末にかけて出てくるんだと思うんですよ。これは中小零細企業だけではなくて、大企業においても様々な悪影響が出てきておるんです。  だから、ここのところは、大臣に私期待しておるんですよ、やっぱり決断をされる甘利大臣ですから。ここは速やかに、この影響を深刻に受け止めて何らかの政策転換、一部ですね、大臣の判断で。暫定ですからね、これ。財務省的に言わせれば、せっかくちょうだいした財源を手放すということにはならないんですよ。これは財務省側に立てばもう絶対こんなドル箱放すはずがない。だけど、そうではないんですよ、暫定なんです。  ですから、そこのところを経済産業担当責任者として、国民生活あるいは日本経済全体を考えていく中で、ある意味では待ったなしの状況に来ているのかもしれません。是非、速やかに調査するならして、速やかに何らかのこの暫定税率やいろんな問題について具体的な私は処方せんを出さないと、せっかくいわゆる政府が言うイザナギ景気を超えた、日本の景気はいい状況ですよなんというのは、これ蜃気楼みたいなものですから、一気に奈落の底に落ちてしまうという可能性が私はあるんだと思うんです。是非そこは大臣、速やかに調査をして、速やかに、場合によっては政策の転換を含めて、産業界やあらゆる地方、あらゆる分野に悪影響のないような処方せんを取りたいというふうにここでお約束いただけませんか。
  24. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 影響の深刻さにかんがみ再調査を指示したわけであります。速やかな調査の後に、我が省として取り得る選択肢、あるいは政府として取り得る選択肢をいろいろ掲げて問題提起をしていきたいというふうに思っております。  私一人でできることではありませんし、政策全体の整合性も取らなければなりません。そういう中で、特に中小企業や地域への影響を極小化するというために何ができるか、懸命に模索をしたいと思います。
  25. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣一人でできないというお話でございますが、しかし大臣がそういう方向性を明確に打ち出せば、内閣全体としてもその危機感をお互い持ちながら、皆さんそう思っているんだと思うんですよ。要は、だれがその口火を切って、だれがそれをしっかりとリードするか。それは正に経済産業大臣の私は責任だと思いますので、是非お願いを申し上げたいと思います。  それでは、問題を変えたいと思います。  独立行政法人産業技術総合研究所というものがございます。特許生物寄託センターというものが特許庁からの委託でその業務を行っているということでございます。過日の新聞報道でもこの問題について指摘されておりましたので、新聞の報道だけでは分からない部分が多々ございますので、今日はこのお時間をちょうだいして幾つかの点についてただしていきたいと思いますので、大臣若しくは関係の方については簡略に御説明なりお話をいただければ有り難いと思います。  まず最初に、この特許生物寄託センターで、二〇〇一年当時、人体に健康障害が出るおそれのある病原体約三百株を受け入れていたということが報道されておりますが、事実でしょうか。
  26. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 内部の規約に違反して受け入れていったものは、今の数字と違っておりまして、レベル3と言われているものが三つ、それからレベル2bと言われているものが十五でございます。
  27. 増子輝彦

    増子輝彦君 事実ですね、受け入れていたということは事実ですよね。
  28. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 規約に違反して受け入れていたことは事実でございます。
  29. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 答弁、手を挙げてからにしてください。
  30. 増子輝彦

    増子輝彦君 事実だということですね。  その生物危険度レベル3、レベル2というのは、レベル2はいいですが、生物危険度レベル3というのは何株で、その菌は何だったんですか。
  31. 一村信吾

    参考人一村信吾君) レベル3のものは三株でございます。三株のうち、二株はバチルスという菌でございます。それから──失礼いたしました、ブルセラ菌でございます。一株が鼻疽菌でございます。
  32. 増子輝彦

    増子輝彦君 そのほかにレベル2が二百九十六株というふうに伺っておりますが、このレベル3、レベル2を受け入れることは、先ほど一村理事の方から内規に違反をしているということでございましたけれども、最初から内規に違反していることを承知でこの株を受け入れたんですか。と同時に、その内規とは何ですか。
  33. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 内規とは、国際寄託される、あるいは国内で寄託されます菌株を受け入れる際に、産業技術総合研究所の前身でございます工業技術院の研究所で設置した規約でございます。  その当時の規約におきましては、クラス2と言われているものがクラス2aと2bに分かれておりまして、クラス2aまでは受け付けるとしておりましたけれども、クラス2b以上は受け入れないということにしておりました。その意味で、クラス2b以上を受け入れたことが規約違反に当たっております。
  34. 増子輝彦

    増子輝彦君 そのブルセラ菌二株、鼻疽菌一株、これはどういう菌なんですか。かなり危険なんでしょう。レベル3、レベル2ということのくらいはね。
  35. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 世界保健機構が指摘しております基準でおきますクラス3と申します、レベル3と申しますものは、人に感染すると重篤な疾病を起こすが他の個体への伝播の可能性は低いもの、そして有効な治療法、予防法があるものを指定しております。
  36. 増子輝彦

    増子輝彦君 それは何レベル。
  37. 一村信吾

    参考人一村信吾君) それはレベル3でございます。
  38. 増子輝彦

    増子輝彦君 人に感染する可能性があるというような今お話でしたよね。と同時に、そういうレベル3あるいはレベル2というものがかなり危険度の高いということの認識があるとするならば、なぜこの内規違反をしながら受け入れるような状況になってしまったんですか。
  39. 一村信吾

    参考人一村信吾君) その当時、寄託者が申告する用紙の中には、病原性がはっきり分かっているという項目と病原性をその寄託者は知らないという項目のどちらかにチェックすることになっております。  この三件につきましては、寄託者が病原性があるかどうかは知らないと書いた上で、その添付資料の中にその菌株の性質に関するものを記載しております。ただし、その記載条項が不十分であったため、その当時の受託者の判断が誤って受け入れたものと考えております。
  40. 増子輝彦

    増子輝彦君 受託者の判断が間違って受け入れたということのようですよね。それはいつ、この菌がレベル3で危険度が高いということをいつ認識したんですか。
  41. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 私どもの過去の記憶によりますと、二〇〇一年度八月時点でこの可能性が高いというのを認識したと思っております。
  42. 増子輝彦

    増子輝彦君 そうしますと、これを受け入れた一九八四年、一九八八年、一九九〇年にレベル3の三株を受け入れたということで、認識したのが二〇〇一年。この間、この菌に対しての様々な培養とかいろいろな作業を実はやっていたはずなんですね。それはどのような方がこの作業をされていたんですか。
  43. 一村信吾

    参考人一村信吾君) その当時受託しました菌株につきましては、レベル1相当は、受託時、一年目、三年目、五年目、十年目、十五年目と生存試験を行うことにしております。この生存試験のために、先ほどレベル3、実際はレベル3の疑いがあったものでございますが、その生存試験を当時の職員及び非常勤職員が行っております。
  44. 増子輝彦

    増子輝彦君 レベル3の疑いがあったということは、疑いがあったんではなくて、その当時は当然レベル3ということで認識をしたんでしょうから、疑いがあったというのはまた後の話でしょうから、当時はレベル3という認識の中で内規違反をしながら受け入れてしまったということを二〇〇一年に知り得たということ。これ、重大な実は問題が発生したんだと思うんですね。  そのときに、これを扱っていた方々が当時二十九歳から六十歳の非常勤女性職員ら八名だと、合計十五回、この培養、生存確認試験の作業をしていたというのは事実ですね。
  45. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 培養試験をしておりましたのは事実でございます。ただし、培養試験を行っておりますのは、一番直近でも一九九八年まででございまして、そのレベル3の疑いがあることが判明した二〇〇一年からさかのぼりますこと二年以上前でございます。  したがいまして、私どもとしては、レベル3の認識があることを前提にして非常勤職員の方に生存試験をさせたことではございません。
  46. 増子輝彦

    増子輝彦君 一村さん、そこがあなた、認識の違いなんですよ。これがレベル3の危険度の高いものだということを認識して作業はさせていないというんでしょう。それは当たり前でしょう。だれがそんなことさせますか、危険度の高いものを。  それ以前は危険度が高いということを認識していなかったと、結果的にはおっしゃられるけれども、事実上レベル3でこれはあったという事実は、その当時は間違いないことであり、内規違反をして受け入れたということですよね。そのときに作業をしていたということが問題なんですよ。駄目ですよ、間違っちゃ。認識をした後に作業させないのは当たり前のことでしょう。子供が考えたって分かるでしょう。認識をしないときに危険度の高いものを非常勤女性職員の方々に培養の試験や生存確認、こういうものをさせていたということが問題なんですよ。そこの認識が甘いんじゃないですか。  もう一度お答えください。
  47. 一村信吾

    参考人一村信吾君) その認識に関しましては、非常に甘かったと反省しております。
  48. 増子輝彦

    増子輝彦君 反省だけでは駄目なんですよ。反省は猿でもできるんですよ。反省だけではなくて、この女性、これらの八名の女性職員には、もちろんそういう認識は、レベル3という危険度の高いものだという認識はなかったから、当然、感染防止とか何かはしないまま、無防備のままこの作業をさせていたんでしょう。
  49. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 作業者に関しましては、作業訓練というものを行っております。作業環境におきましては、安全キャビネットというものを使用いたしまして、その安全キャビネットは作業者の方には菌が出ることはない、なおかつ実際にはフィルターがございまして、そのフィルターに菌がすべて捕捉されるため環境に出ることはないという状況で行っております。
  50. 増子輝彦

    増子輝彦君 それは後でそういうふうに付け加えたんじゃないんですか。この当時は、この女性職員らの皆さんには、危険な菌であるということはもちろん認識もなければ、あなた方は知らせてもいませんよね。その上で作業をさせていたんでしょう。それは当然、危険度の高くないものであればそういう無防備な状況の中で作業をさせていたんではないんですか。そこのところ、非常に重要なんですよ。  もう一度お答えください。
  51. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 私どもは、受け入れる危険度が低いということを前提に受け入れておりますが、万が一の危険性を考えまして、その当時の従事者に一番安全の確保できるような作業マニュアルを準備して作業を行わせておりました。
  52. 増子輝彦

    増子輝彦君 これらの女性職員の方には、このレベル3の危険度の高いものについて、作業についてのトレーニングは過去に受けさせたことがあるんですか。
  53. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 基本的には、職員が外部の機関で訓練を受けておりまして、その訓練を受けた職員を通して非常勤職員に作業のやり方を教えていたというのが実情でございます。
  54. 増子輝彦

    増子輝彦君 これら八人の方には、確実にそういう外部からトレーニングを受けたものを非常勤職員の方に受けさせていたという事実が証明されるんですか。
  55. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 今、一九九八年時点、それからさかのぼりますこと十年ぐらいございますけれども、そのそれぞれの方に外部での講習を受けさせたわけではございません。外部の講習を受けた職員がその非常勤の方に教えるという手順を取っておりました。
  56. 増子輝彦

    増子輝彦君 だから、手順は分かったんです。手順は分かったんです。現実にこの作業を、レベル3の危険度の高いものについて作業された八名の女子職員らの皆さんに、外部からトレーニングを受けてきた方々がちゃんとマニュアルどおりにそのトレーニングをさせたんですか。それは確実な証明はできないんでしょう。そこ、大事なところですよ。
  57. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 御指摘のことについて確認をいたします。
  58. 増子輝彦

    増子輝彦君 確認をいたします、先ほどはさせたような話をしていて、今度はちょっと追及を強めれば確認いたしますでは、話が全く違うじゃないですか。
  59. 一村信吾

    参考人一村信吾君) はい。
  60. 増子輝彦

    増子輝彦君 ちょっと待って、ちょっと待って。だから、そういう事実がどうなのか。全くこれ明らかでない、この問題については。  そこで、じゃもう一つ聞きますよ。  この女性職員の方々を含めた八人の方々について、こういうレベル3のものだということが判明したと。だから、皆さんの健康診断なり、あるいは皆さんが安全だというような確認作業を何らかの形でされたんですか。
  61. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 現時点では、作業をされました非常勤職員の方々に過去に疑いのあった作業をされたことを通して御報告する、あるいはおわびすると同時に健康の状態を問い合わせております。
  62. 増子輝彦

    増子輝彦君 問い合わせているんですか。現在、まだこの八名の職員の方たちには十分その通知なり健康診断なり、あるいは安全を確認するということはまだ行われていないんですね。
  63. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 非常勤職員の方、扱いました八人のうち一名は常勤職員ですので、常勤職員は面談を通して確認いたしております。七名の方につきましては、電話を通して確認いたしまして、健康に問題はないことをお聞きいたしております。
  64. 増子輝彦

    増子輝彦君 七人の方は断定できたんですか。そして、それについては電話で確認しておるんですか。レベル3という危険度の高いという皆さん認識の作業をされた方々について、あなた、電話で健康状態どうですかというような、そんな作業でこれ事済むんですか。そんな認識なら、これはとんでもない話ですよ、知らないまま作業をさせられていた方々にとっては。そこはどうなんですか。
  65. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 現時点では、まず急ぐ連絡ということで電話で一人一人に確認をさせていただきまして、健康上の不安がないかを問い合わせさせていただきました。それで、健康診断を受けたいという方につきましては、私ども責任を持って応対すると申し上げております。  このような経緯につきましてその事実関係を含め……
  66. 増子輝彦

    増子輝彦君 健康診断、受けたい方には健康診断をするというばかな話ないでしょう、あなた。  例えば、原発で被曝の可能性があると思われる方々には同じように、あなた、健康上大丈夫ですか、もしよろしければ健康診断受けてください、申告主義でやるんですか、これ。そんなレベルの簡単なものなんですか。そこのところはっきりとしてください。
  67. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 現実にはレベル3と疑われた者はレベル1であることが確定しております。  したがいまして、私どもとしては、本人の御希望があれば健康診断を受ける、その措置をとるということで初動対応を取りました。
  68. 増子輝彦

    増子輝彦君 あなた、レベル1のものであるということに断定したのはいつですか。その当時じゃないでしょう。それはあなた方が後にどこかの大学にその検査を依頼した後でしょう。あなたがさっきおっしゃったように、一九九八年のときはレベル3で、この八人の方々がやっていたのはそのころでしょう。そして、そういうことが分かったのはそのすぐ後じゃないですか。  それ、なぜその間、今二〇〇七年ですよね、約九年、十年近く放置をしておいて、今ごろそんな作業をするということがあっていいんですか。それ今レベル1のものであったという認識だなんて、そんなすり替えちゃ駄目ですよ。  じゃ、いいですか、またお聞きします。  最初にこれらの事実について産総研、センターが確認したのは、はっきり答えてください、何年ですか。
  69. 一村信吾

    参考人一村信吾君) センターが確認した年限については、私どもに上がってきましたのは二〇〇一年の八月でございます。
  70. 増子輝彦

    増子輝彦君 それはどういう形で知り得たんですか、八月に。
  71. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 二〇〇一年八月当時、特許生物寄託センターの副センター長であった者から企画本部の担当にメールが送られてきている事実がございます。
  72. 増子輝彦

    増子輝彦君 それでは、ちょっと二か月ほどさかのぼってお伺いしますが、二〇〇一年六月に産総研拡大幹部会議でこの病原菌リストが提示されたのではないですか。そこで、これは大変危険度の高いものであるから注意をしてほしい、何らかの善処をしてほしいという注意をこの拡大会議で喚起されませんでしたか。
  73. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 平成十三年度の拡大幹部会で元幹部の提出資料の中に病原性微生物の受託に関する懸念を指摘した資料が残っていることを確認いたしました。ですけれども、先生の御指摘の表はございません。  当日の会議は、報告が主たる目的であり、議事録は作成されていないため正確に確認することは困難ですけれども、当時の関係者によれば、当日一件当たり三ないし四分の答えが中心であって、御指摘のような議論が行われたことは確認できませんでした。
  74. 増子輝彦

    増子輝彦君 それでは、センターでは拡大幹部会議の議事録は取っていないんですね、一切取っていないんですね。このときだけ取らないんですか、それとも慣例として、この会議録、議事録は取らないんですか。そこをはっきりしてください。
  75. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 二〇〇一年当時、独法化がスタートした混乱期がございまして、この拡大幹部会については第三回まで議事録を取っていないと聞いております。
  76. 増子輝彦

    増子輝彦君 聞いておりますと、あなた、このころここにいなかったの。
  77. 一村信吾

    参考人一村信吾君) では、訂正いたします。取っておりません。
  78. 増子輝彦

    増子輝彦君 ちょうど移行期で大事な時期なら、なおのこと会議録、議事録って取らないんですか。その三回取らなかったというのは、本当にこれ事実なんですか。ここのところ、もしあなた、ここで虚偽の証言をしたら大変なことになりますよ。  もう一度確認します。この二〇〇一年六月の拡大幹部会議で議事録は取っていないんですか。
  79. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 当会議は報告が主たる目的でございましたので、議事録を作成しないということでスタートしております。したがいまして、議事録はございません。
  80. 増子輝彦

    増子輝彦君 報告ということについての記録は一切取っていないんですね、これは。
  81. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 報告の資料は残っております。報告の資料はございますけれども、その資料に基づいて当日意見交換した記録というのはございません。
  82. 増子輝彦

    増子輝彦君 それでは、あなた先ほどおっしゃった、八月に元センター長からこの件についての実は注意が喚起されたような話をされておりましたが、じゃ、なぜそのときに危険なものであるからこれは速やかに対処しなかったんですか。その当時の、実はこの会議に参加をしていた方で薦田さんという方いらっしゃいましたね。薦田さんというのは、当時何をされていたんですか。端的に答えてください、時間の関係で。
  83. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 企画本部の副本部長をされておりました。
  84. 増子輝彦

    増子輝彦君 一村さん、あなたは何されていたの。
  85. 一村信吾

    参考人一村信吾君) 企画本部の総括企画主幹を務めておりました。
  86. 増子輝彦

    増子輝彦君 そうすると、当然薦田さんもこの件については元センター長からそういうものが報告されたということは御存じですよね。
  87. 一村信吾

    参考人一村信吾君) この件は、当時の企画本部で情報を共有していたとおぼろげながら記憶しております。
  88. 増子輝彦

    増子輝彦君 おぼろげながら記憶、だから、あなた、議事録をちゃんと取らなきゃ駄目なんだよ。  そこで、なぜそのときこの危険度の高いものだというものの、ある意味では注意喚起がされたときに速やかに対処しなかったんでしょうね。ということは、薦田さんは、たしかこの元センター長、あなたがおっしゃった元センター長からメールをちょうだいしている、事実ですよね。
  89. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) お答えいたします。  大分前のことなので、私自身、細部にわたる記憶は薄れております。ただ、先般、先生から御質問があるということでそのメールを拝見をいたしたところでございまして、そういうことで、私は当時の企画本部の副本部長として本件に関する情報を知り得たということだというふうに認識をしております。
  90. 増子輝彦

    増子輝彦君 薦田さん、今あなたは保安院の院長という大変重要な役職にお就きになっておられる。原発問題、正に安全性の確認と担保をしなければいけない最もこの国において重要なポジションにおられるんですね。その方が、当時、記憶は薄れているにしても、このような事実があったということであれば、なぜその当時速やかにメールをその方からもらったときに対処しなかったんでしょうか。
  91. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) 先ほど申しましたように、定かに覚えているわけではないんですけれども、当然、副本部長といたしましてその同僚とも対応策について意見交換をしたのではないかと思っておりますし、また何らかの必要性については当然その中で出てきたと思いますし、それに対して、その企画本部あるいはその他の関係者に対して必要な指示はしたのではないかというふうに考えているところでございます。
  92. 増子輝彦

    増子輝彦君 今、薦田さんのお話だと、そういう指示をしたのではないかという認識だということ。  もう、ちょっと時間がないんで、残念ながら、もっとこれから核心部分に触れ──いいですか、じゃ、藤末さんからちょっと時間ちょうだいしたので、またそのまま続けさせていただきますが、これはやはり、これだけ重要な問題であれば、その当時にやっぱりきちっと処理をしなければ、万が一、これはさっきから一村さんはレベル1だったというような、いい加減と言っちゃ失礼だけれども、後のことを当時にすり替えておっしゃっているけれども、当時においては大変な問題。  大臣、この問題についてどのようなお考えをお持ちですか。
  93. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今回御指摘の事件につきましては、一つはマニュアルがきちっと整備をされて、それに対応するような対処方ができていなかったと。それから、もう一つはコンプライアンスの問題だと思います。こういう危険にかかわる情報はきちんと関係者が共有をして、しかるべき対処が適切に行われると、決して隠ぺいがあってはならないというふうに思っております。  この事件を承知した時点で直ちに関係者を招集をいたしまして、私から幾つかの指示をしたところでございまして、二度とこのような事件が発生しないように対処方努めてまいります。今専門家を含めた第三者委員会の設置をして、専門家の視点から今回の事案の問題点の検証をしてもらうところであります。
  94. 増子輝彦

    増子輝彦君 これは大変重要なんです。結果的には何もなかったような感じで今終わろうとしているんですが、やっぱりこういう問題が発生したときに、それをきちっと善処し、解決をし、処理をするというそのシステム、マニュアルがちゃんとしていなかったんではないかと。ということは、逆に言うと、経済産業省なりあるいはその関係の特許庁、あるいはそれをセンターが、隠ぺい体質があり、様々な問題、臭い物にふたをするというような体質だという誤解を招くんですよ。私はそうでないと信じているんです。しかし、防衛省の守屋事務次官の問題にしても、厚生労働省の様々な問題、今までの役所的なそういう隠ぺい体質というものが問われている中で、経済産業省までもそういう体質があったのかというふうに誤解されることは極めて私は遺憾だろうし、また一生懸命やっている方々にとってもこれ非常に困るんですね。  ですから、この問題については責任の所在を明確にして、今からでも遅くないんです、これは今はっきりとそのところを明確にしていかなければ、この問題が再発をして、また同じような問題が様々な部署部署に出てくる可能性がある。特に薦田保安院長には、是非、過去のことを踏まえながら、原発の問題も実は聞きたかったんです。是非、原発という問題から考えても、この辺のところは深く反省をしながら、しっかりとこれから保安院の院長として取り組んでいただかなければなりません。  大臣、是非、この責任の所在を明確にしながら、どこに、だれに問題があって、それについてどのようなあるいは処分をされるのか。そしてまた、今回いち早くこの問題に、危険だということを注意を喚起した方に対して、何か誓約書を取って、この問題については口外するな、公表するなというような口止めやいろんなものがあったというふうにも報道されておりますが、やはりそういう方々に対して、むしろありがとうというようなお気持ちがあってしかるべきであり、今日までのその方に対する様々な行動について謝罪も必要なのではないかというふうに私は認識をいたしております。大臣、いかがでしょうか。
  95. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私、昨年九月に就任をしましてすぐ、電力施設のデータ改ざんや隠ぺいの事案がありまして、十月三十一日付けにすべての電力会社に対して、このデータ改ざんとか隠ぺい体質の洗い出しと抜本的対処の仕方を直ちに要請しました。その要請している当事者の役所がそういうことであったら、これはもう話にならぬわけであります。独りその産総研の問題でなく、経済産業省全体、その関係する機関にこういうことがあってはならぬということで襟を正していきたいというふうに思っております。  報道を受けまして直ちに関係者を招集しまして、幾つかの私が思っている点を指摘をしました。それは、持ち込まれているものの表示と中身の確認をする体制ができているのかと。これは、提出者に対してきちんとこの旨確認したという何らかの提出をさせたいと思っております。それがいい加減であれば受理しないということにしたいと思っております。それから、その先方にきちんと確認ができる間の保管についてもきちっとした対応を取りたいと思っております。  現物持ち込まれるのは、一つはこれでありますけれども、(資料提示)真空密封、ガラス容器の中が密封をされておりますけれども、この中に真空の状態で保管されているものがこの筒に入りまして持ってこられるわけでありますから、直接触れることはありません。これをきちんと管理体制のできているところに保管をするということであります。これが九割以上この形であります。  あと残りの一割弱は、こういうふうにフリーズドライされた形で密封をされてきてありまして、これで保管をしますが、いずれその開封をしたり開栓をして、培養したりとかいろいろありますから、その際のマニュアルについても厳しく手順をしっかりと確認をしていきたいと思っております。  何よりコンプライアンスが大事でありますから、なぜこういう隠ぺい体質に至ったのか、そういう風通しはどうなっているのかと、それも厳重に調べさせたいと思っております。  今、産総研に対して第三者から成る調査委員会の設置を指示をしましたので、そこでバイアスの掛からない、第三者から客観的に見て問題点の指摘をきちっとしてもらいたいと思いますし、それに従ってどう当時の関係者に注意をしていくか、あるいは処置をしていくかというのは、その調査結果を見て判断をしたいと思っております。
  96. 増子輝彦

    増子輝彦君 最後に、大臣、大変力強いお話をいただきましたが、やはり国民生活の安全、安心というのはあらゆる分野で大事です。経済産業省はその生活、経済、あらゆる分野と同時に、原発のエネルギー政策を含めたところも非常にあるわけですね。  ですから、経産省は本当に信頼できる役所だと、経済産業省の関係の、あるいは関係の団体の皆さんもみんな本当に一生懸命やっているんだという信頼をかち得なければ、この国のやっぱり経済産業行政は私はどこかで行き詰まってしまうんではないだろうかと。福田内閣の信頼、これと全く反するようなことが今日までなされてきているならば、今回のこの事件を、問題を反省としてしっかりと善処していかなければいけない。  もう一度だけ確認させていただきますが、責任の所在を明確にして、第三者を入れた検証委員会等々でこの問題がはっきりとした場合には処分をされる意思があるのかどうかということ。もう一点、先ほどもちょっと申し上げましたが、こういう問題について内部から本当に正義感とこのセンターのことを思ってこれらの注意を喚起した方に対して何らかのやはりきちっとした話を謝罪を含めてされるのか。それから三点目、このセンターをいったん閉じて何らかの形で再出発をするのか、あるいはこのまま存続してこの状況を続けていくのか。この三点を最後に質問させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。  どうぞ大臣日本経済産業大事ですから、大いに頑張っていただきたいと思いますし、我々もただ単に野党で過半数を民主党を中心として握ってすべてに反対ということではないんです。今何か逆の現象が出まして、かつては与党が審議促進、野党が慎重審議を求めているのに、何か今日の国会運営は逆の現象が出まして、我々が審議促進をお願いしているんだけどなかなか与党が審議促進をしないでちょっとおかしな現象が出ている。こういった点を踏まえながら、是非経済産業行政しっかり進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  97. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 経済産業政策は、すべからく国民、消費者の安全、安心が推進の前提であります。御指摘のとおりであります。  関係者の処分につきましては、検証を第三者委員会にしていただきまして、その結果でしかるべく対処をしていきたいと思っております。  それから、大変にこの間、善かれと思ってなされたことで御迷惑を受けられた方がいらっしゃいます。事実関係判明し次第、迷惑を掛けた方にはきちっと謝罪をしたいと思っております。
  98. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) よろしいですか。
  99. 増子輝彦

    増子輝彦君 はい。終わります。
  100. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会・日本の藤末健三でございます。  まず初めに、私は甘利大臣が引き続き経済産業大臣を担当していただくことを非常に喜ばしく思います。先ほど民主党の次の内閣経済産業大臣増子大臣から話がありましたように、中小企業は非常に厳しい状況に置かれている、またエネルギーの問題、石油の価格はもう百ドルを突破するんではないかという状況でございますし、また通商の問題も正直申し上げて、後で議論しますが、韓国に恐ろしく後れを取っているという状況でございますので、是非甘利大臣、我々民主党・新緑風会・日本もこの問題につきましては一緒にやらなきゃいけないと思っておりますので、この国会の場で議論を進めさせていただきたいと思います。  私は、本日、四つの点を御質問したいと思います。一つ経済政策全般について、そして中小企業政策、通商政策、そして最後にエネルギー政策ということを御質問したいと思います。  まず、経済政策ではございますが、二〇〇六年、我が国の一人当たりのGDPは何と世界で二十位になっております。一九八九年は実はスイスに次いで二番目、これはIMFの統計でございますが、世界二位だったものが二〇〇六年には二十位、そして恐らく二〇〇七年、今年は二十位以下というのがもう予想されているという状況。この一人当たりGDP二十位というのは、実は一九六〇年の我が国の順位なんですよ。何と五十年前近くまでに後退しているという状況に陥っています。  こういう中に今経済成長率を二・二%、これは実質と名目の議論はございますが、経済成長率を二・二、三%という議論がございますが、私は余りにも目標が低過ぎるんではないかと。一人当たりGDPを世界で五位以内にするとか三位にするとか、もう一度我が国経済を加速するような議論を是非行っていただきたいと思います。  例えば、イギリスの事例がございますけれども、イギリスは一九八九年、一人当たりGDPは一万四千五百ドルでございます。それが二〇〇六年には約四万ドルということで、約三倍になっている。一方、我が国を見ますと、一九八九年、二万三千三百ドル、一人当たりのGDP二万三千三百ドルとスイスの次の二位だったわけでございますが、二〇〇六年には三万四千ドルということで、たかだか一・五倍にしかなってないという状況。  失われた十五年とか十年とかいう議論がございますけれども、イギリスと比較した場合に何が違うかということを自分なりに見てみますと、イギリスはこの経済成長の何と半分が金融産業だったということでございます。  お手元に資料を配らさせていただいておりますが、一枚目の上の方にございますように、我が国の金融産業、一九八〇年代は何と五%も生産性を伸ばしていたものが、九〇年代、そして二〇〇〇年代、もう一%を割るというような状況でございます。イギリスの方を調べますと、もう生産性が急増、一けたぐらい、二けたというようなレベルで成長しているという状況でございまして、私はやはり生産性、製造業はもうこの生産性の改善をずっと続けていただいていますけれども我が国のGDPの一割強を占めるこの金融産業などがもっと生産性を上げることにより高いGDPを達成できるんではないかと思っております。  例えば、単位当たりの労働生産性を見ますと、我が国はアメリカの七〇%という状況でございまして、アメリカ並みにするだけでも、生産性をアメリカ並みにするだけでも三〇%の改善ができるという状況、恐らくほかの金融を含むサービス産業を調べますともっと格差はあると思うんですが。  大臣にお願いしたいのは二つございます。一つは、一人当たりのGDPがもう一九六〇年のレベルにまで戻ってしまった状況、これをやはり改善していただきたい。もう二%、三%という議論ではなく、我が国の一人当たりGDPをもう一度戻すというようなことを戦略的に立ち上げていただきたいのが一点です。そして二つ目、その一人当たりGDPを世界トップレベルにするという目標を達成するためには、金融を始めとする国際的に見て非常に生産性が低い分野が多うございます、是非他省庁、金融庁とか農水省とか他省庁と連携したこの生産性の改善による経済成長の実現を議論していただきたいと思うんですが、この二点について大臣から見解を伺いたいと思います。お願いいたします。
  101. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり、日本経済大国だと胸を張っていても、国別比較でいえば世界第二位でありますけれども、パーヘッド、一人当たりでいきますと極めて劣後するようになってしまったわけであります。これから一人当たりGDPをしっかりと引き上げていかないと、先ほど申し上げましたけれども財政再建とか社会保障の安定的運営とかあるいは国際競争に勝っていく、そういうもろもろの原資が生まれてこないわけであります。  日本経済活動の因子を分析をしますと、労働力人口は人口減少とともに減っていくわけであります。投入資本総量も、高齢化社会に従って少子社会になっていきますから、生産に投入される国内資本の総量は減るわけであります。この二つのハンディキャップをどうするかということが一つあります。今まで労働市場に参画をしていない女性や高齢者やあるいは若者にできるだけ参加をしてもらうと。これで二〇三〇年までは何とかしのげますけれども、それではそれ以降の人口減少に対処できません。この課題一つあります。それからもう一点は資本総量が減ると。これは外資をいかに導入をして投資環境を整えるかという課題があろうかと思います。  それからもう一点は生産性であります。ここは本来は日本のお家芸でありましたけれども、製造業の生産性は世界一を誇っています、競争にさらされている部分ですが。さらされていないサービス産業部門は、御指摘のとおりかなり劣後しております。サービス産業日本経済の七割を占めているわけであります。  サービス産業といっても、御指摘の金融からビジネス支援から、果てはフィットネスまで、サービスの部類というのは極めて多岐にわたっておりますけれども、その中でも、御指摘の金融の生産性を高めていくということは正に喫緊の課題だというふうに思っております。  何といいますか、銀行はつぶれないという神話に支えられて、いろいろな金融スキルの開発、商品の開発が相当遅れました。国際舞台ではほとんど日本の金融機関は戦えないとまで言われたわけであります。その辺の金融・資本市場の国際化に対応して、きちんとした対処をできる高度な金融スキルを持った人材の育成が大事でありますし、MアンドA、金融工学にたけている人材で構成されている、人材武装していかなければならないわけであります。  企業の方も、例えば年金運用をどうしていくかと。日本の運用機関ではちょっと心もとないというような指摘があって、正に宝の持ち腐れ的になっているわけであります。あるいは企業自身がリスクマネーを供給する際にも、日本の金融機関では従来の発想の中でしか資金供給ができないと。実は、リスクはあるけれどもしっかりとしたスキルを身に付けていればおいしい市場でもある、そこに外国金融の独壇場にされてしまっていると、この辺も随分と反省点があろうかと思います。  我が省だけでできることではありませんが、御指摘のとおり、金融庁とも連携を取って、産業、それから金融、併せて国際競争力の強化に向けて取り組みたいと思っております。
  102. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非大臣にお願いしたいのは、やっぱり目標を作っていただきたいんですよね。一人当たりGDPで世界三位には入りましょうと、二〇一五年とか、そういうのを作っていただきたいんですよ。それを作った上で、経済産業省がもう集中的に分析した上で他省庁のところまで飛び込んでやっていただきたいです、是非とも。  大臣がおっしゃっていることはもう完全に正しいと思います、私は。資本の問題、そして労働力の問題、生産性の問題ございます。  例えば資本の問題ですと、今我が国には千五百五十兆円の金融資産があると言われている。じゃこの資産がちゃんと生かされているのかどうか。後で議論させていただきますけど、私は生かされていないと思います。  そして、女性の労働力、高齢者の労働力ございます。ただ、それでも足りない、御指摘のとおりだと思います。じゃ外国の方々をどうやって我が国経済力に結び付けるかということを今から考えていただかなければ間に合わないです。恐らくインフラづくりに十年掛かります、これは。  そして生産性の議論。生産性の議論については、農業の問題、医療の問題、教育の問題、そして金融の問題、他省庁に対してタッチできていないと思うんですね、まだ経済産業省は。是非タッチしていただきたいです。経済財政諮問会議というものができ、そしていろんな問題を議論されておられますけど、あれは正直に申し上げて素人の集まりですよ。予算を聞きましたら数千万円しか使っていない、分析に。例えばアメリカの経済成長をつくったというジョン・ヤング・レポート、メード・イン・アメリカなんというのは数億円使っています、あれは。数億円使った上で新しい戦略を作り、そしてそれを実行してきたのが九〇年代のアメリカだったわけですよ。  我々日本には大きな力が絶対眠っている。それを掘り起こすのが経済産業省の役目じゃないかということをお願いしたいと思います。明確な目標を定め、そして他省庁も動かすぐらいの心意気で仕事をしていただかなければ我が国の将来は明るくないです、絶対。明るくできます、私は思います。是非大臣にお願いしたいと思います。  そして、中小企業政策に移らさせていただきますと、中小企業議論は、先ほど当方の増子次期経済産業大臣から指摘がございましたが、私もこの石油の問題、非常にちょっと何とかしなきゃいけないと思っています。  もう、多くの方々とお会いしていて、例えば繊維産業の方はもう工場を閉じている。動かせば動かすほど赤字が出てくる、で、もう工場を閉じ始めています。あと、漁業に行かれる方、漁船を出して回しているだけで赤字になるらしいんですよ。もう漁業も行かない。農業の方も同じです。トラクターを動かすと赤字になっちゃうから動かさないとおっしゃっている。それほどのインパクトがある。  なぜかと申しますと、このお配りした表にありますように、一バレル八十ドルか九十ドルかという議論よりも、余りにも変化が急激過ぎるということ。例えば、五年前ですと一バレル大体二十ドルぐらいだったものが今は九十を超すような状況、四・五倍。例えば二〇〇四年、三年前でしたら大体四十ドルぐらいでした。倍以上になっていると。もう急激に価格が上がっている。  これは一九七三年のオイルショックの価格変動よりも大きい状況でございますので、やはり一九七三年のオイルショックのときに、経済産業省は、石油の備蓄、省エネの推進、新エネルギーの導入という抜本的なエネルギー政策の転換をしていただいたわけでございますが、やはり今回のこの原油高も、なぜこれだけ原油が上がるか。余ったお金がどんどんどんどんコモディティー、資源に流れている状況で、私はこの流れは変わらないと思います。恐らく百を超すんじゃないかと。サブプライム、住宅に対するファンドが今はコモディティー、いろんな資源の方に流れてきている状況の中で、私は百ドルを超す状況になると思います。  そういうことを前提に抜本的なエネルギー政策を行っていただきたいと思いますし、あと、中小企業の話について申し上げますと、この十年間、大企業、特に製造業は、この十五年間ですね、済みません。十五年間で約大体大企業の製造業は二・三%CO2の排出を減らされているという状況でございます。一方、中小の製造業は三%CO2排出が伸び、あと、卸・小売業は何と五〇%CO2排出が増えているという状況でございます。  そこでお願いがございますのは、今、中小企業庁がこのCO2排出、特に中小企業のCO2排出については省エネ機器の導入補助金というようなことをなされている。実績を見ますと、補助対象が四十社で六億円という形でございまして、私は、正直に言って、余りにも問題に対して小さ過ぎるのではないかと思います。ただ、これを大きくしてくださいというお願いはいたしません。  私がお願いしたいのは、これから中小企業がCO2の排出削減を行った場合、その行った分を国内で大企業に売れるようにしていただけないかと。CO2の排出権取引を海外ではなく国内でやっていただきたいというのがお願いでございます。  くしくも、ちょうど電力会社の方で数千億円単位で海外のCO2排出権を購入されるというような動きがあります。私は、海外ではなく国内の中小企業方々がCO2排出した分をその大企業方々に買ってもらうというようなものを是非やっていただきたい。二億円とか六億円の補助金ではなく、数千億円単位で中小企業方々原油高対策、そして環境問題の対策をやっていただけるような仕組みができると思いますが、その点につきまして是非大臣のお言葉をいただきたいと思います。お願いします。
  103. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 国際的にCDMという手法があります。途上国の効率の悪い設備を効率のいいものに入れ替えて、その入れ替える前に出していたCO2量と入れ替えた後出すCO2量の差を自国で減らしたものとみなして買ってくるという仕組みであります。  国際的にできるのであるならば国内的にすれば、それは目標達成ということに関しても、あるいは中小企業の省エネあるいはそれを通じて中小企業にそれなりの資金が渡るという点でも一石二鳥になるわけであります。でありますから、国内版のCDMをどう仕組んでいくかということについてはしっかり取り組みたいと思います。  国際版は認定が国連がしますけれども、国内版のものについても、きちんと京都議定書にカウントしてもらえるような客観性といいますか、それをどう担保するかという課題がありますけれども、それも踏まえて取り組むべき課題だというふうに思っております。
  104. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非急いでいただきたいと思います。  中小企業が工場を畳んでCO2排出削減が進んだということが僕は起こると思うんです、このままいくと。そういうことが起こらないようにしてほしい。中小企業が省エネを進め、CO2を削減することによって生き延び、その分だけ国内で大企業、もうCO2排出削減限界だと思いますので、そういう大企業からの資金が回るような仕組みを至急つくっていただきたいと思います。私は正直申し上げて、もう時間がないと思っています、これは。お願いいたします。  また、中小企業政策につきましては、これからどんどんどんどん挑戦し成長していただくベンチャーと言われる企業を是非支援していただきたいと思います。  我々民主党のマニフェストにも書いてございますが、一つは、エンジェル税制という、個人がベンチャー企業に投資をするときに税制で優遇するという話。そして、もう一つ大事なことは何かと申しますと、先ほど多額の資金が国内にあるということを申し上げましたが、そのようなお金がベンチャー企業に直接渡るような市場を是非つくっていただきたいと思います。一つの観点としては、今九州とか北海道に証券取引所がございますが、そういう取引所が地元企業地元のベンチャーや中小企業のために資金を提供できるような仕組みを進めていただきたいと思いますし。  また、今、これは悪口ではございませんが、東証マザーズ、ジャスダック、あと大阪のヘラクレスというベンチャー向けの市場がもうほとんど機能していない状況になっています。ピークの何と資金の売買量は十分の一になっているという状況、十分の一です。そして、取引の中身を見ると七割、八割がデートレーダーという、パソコンでもう売り買いしていると。本当にその企業の能力を評価して投資しているような形じゃなくなっているという状況の中、私は、可能性として海外のベンチャー市場、例えば香港のGEMとかイギリスのAIMとかいった、またナスダックといった市場を活用できるようなアイデアもあるとは思うんですが、是非その辺の検討を進めていただきたいと思うんですが、ちょっと簡単に御回答ください。
  105. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 正に、あつものに懲りてなますを吹く状態に新興市場がなってしまっております。もちろん、事件が起きたことも起きたことなんですが、上場条件を極めて厳しくして上場できないようになってしまっていると。  もちろん、単に緩めればいいということではありませんが、情報開示をして投資家にちゃんと見えるような形にすることに努力をすべきだと思いますし、それから御指摘のように、デートレーダーに象徴されるような小規模投資家しか参加していないと、機関投資家をどうやって呼び込むかということが大事だと思っております。少し長い目で見てベンチャーを育てるというための環境整備を抜本的に取り組んでいきたいと思っています。
  106. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いいたします。  それで、先ほど大臣からも御指摘ありましたけれど、プロの機関投資家、個人の投資家だけじゃなくて、プロの機関投資家が直接金融に関係する市場が今我が国にないわけでございますが、その辺りが金融審議会では議論されているとお聞きしておりますが、金融庁の方でこのプロの市場の創設についてどういう議論があり、そして今後どうするかというのを教えていただければと思います。
  107. 山本明彦

    ○副大臣山本明彦君) 今、藤末委員のお話にありましたように、金融庁におきましては、金融審議会におきまして、第一部会でありますけれども、そうしたプロの、プロ向けの市場ですね、これについて議論を今始めようとしております。既に前回のときにも、東証の斉藤社長からも話がございました。東証としても大変関心を持っておるという発言がございました。  私どもとしても、金融庁の金融審議会の第一部会、次回が十月二十六日に開催予定されておりますけれども、プロに限定した取引の活発化、こうしたことをテーマ議論をしていただくことになっておりますんで、こうしたことを受けまして、日本の金融市場が正に国際競争力の持てる金融市場になれるように是非我々としても頑張っていきたいと、このように考えております。
  108. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非この東証の動きをサポートをしていただきたいと思います。もう東証の方はロンドン・ストック・エクスチェンジと議論を始めているようでございますんで、ある程度ノウハウがあると思います。  ただ、恐らく、私が金融庁とお付き合いしていて感じますのは、相当制度をいじらないとこのプロの市場はできない。なぜかと申しますと、個人の場合は、金融庁の方は投資家保護が大好きなんですよ。投資家保護、投資家保護とおっしゃって過度な情報開示、過度な規制を掛けていると私は思います。  プロにはやはりプロが責任持って自己責任でお金を投資するということができるわけでございますが、本当に緩やかな基準で投資家が自己責任で投資するということを徹底した市場をつくるように、山本大臣のイニシアチブで、多分金融庁の方にお任せしちゃうとまたがんじがらめにしちゃうと思うんですよ。是非お願いします。これは今やっていただかなければいけないと思います。  ちょっと時間がないんで、次、通商問題に、お願いいたします、移らさせていただきたいと思います。  先ほど甘利大臣からも資本とか労働力、生産性の議論がございました。今、経済連携協定というものが非常に活発に進められております。このEPA、経済連携協定というのは、資本の話、そして労働力の話、もう一つ生産性の話が密接に関係するものでございます。  まず、すべての壁がなくなりますので、生産性が低い産業はもう大きな国際競争にさらされる。どうにかして生産性を上げなきゃいけないという話。そして、労働力については、外国人の労働力が入ってくるということになります。今のような受入れ体制でいけるかどうか。あと、資本についても、本当に外国の資本が我が国に入り、逆に我が国の資本が海外に行けるかどうかという議論になってくるわけでございますが。  私が今非常に心配しているのは、韓国がこのたしか四月にアメリカとの間で自由貿易協定に合意しました。そして、年内には韓国はEUと合意するという方向で動いているということでございます。  実際に、韓国とアメリカの経済連携協定と申しますかFTA、自由貿易協定を見ますと、例えば乗用車に掛かっています二・五%、アメリカの場合は二・五%の関税がなくなり、そして薄型テレビは五%ある関税がなくなります。そうすると何が起きるかというと、例えば液晶テレビの場合、年間八百億円韓国の企業は値引きできると、八百億ですよ、という状況になっている。恐ろしく日本の液晶メーカーは不利になります。  そして、もっと大きな問題は何かと申しますと、EUでございます。EUの乗用車の関税は一〇%、そして薄型テレビは一四%という状況。もし、EUと韓国がFTA、自由貿易協定を結んでしまいますと、韓国の自動車メーカーはほとんど輸出でございますんで、何と一割も値段引けるんですよ。液晶テレビは一四%値引きになっちゃう。  そういう中で、この韓国の動き、どう考えるかということをちょっと甘利大臣に教えていただきたいと思います。お願いします。
  109. 甘利明

    国務大臣甘利明君) アメリカとかEU、いわゆる大市場域に対するEPAを相当真剣に考えなきゃならない時期になっています。  アメリカの場合はEUと比べてまだ関税率が低いと。それから、日・メキシコのEPAが成り立っていますから、メキシコを基軸に展開できる余地はまだあると。しかし、EUの場合は、関税率は高いし、なかなか拠点整備ができていない、外部のですね、ということがありますから、これはインパクトはより大きいと思います。  日韓の場合は、自動車とか家電製品が競合しているわけであります。EU市場で競合するコンペティターが一〇%のアドバンテージを持つということは、極めて競争条件としては厳しくなるわけであります。  私は、この大消費国とのEPAというのは極めて大事な課題だと思いますし、スピード感でいえばよりEUを早く進めていかなければならないと思います。もちろん、農業問題等センシティブな問題はありますから、この国内への影響、それへの対処をしっかり図りながら前向きに進めていくべきだというふうに思っております。
  110. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非急いでいただきたいと思います。私も同感でございまして、EUは余りにも影響が大きいと思います、もう。一割引きですから、自動車が。勝てないですよ、日本企業でも、ここまで差を付けられると。というようなお願いをしたいと思いますし、そしてもう一つお願いがありますのは、やはり私は韓国のFTAの担当の人間といろいろと話をしていて感じましたのは、彼らは非常に細かい分析をやっています。  例えば、米韓のFTAについてはどれだけの経済効果があるか、雇用が増えるかということを計算して国内に知らせている。米韓とのFTAを結んだときは、農家の方々がもう大運動、反対運動を起こした。それでも彼らはやったわけですよ。また、EUとも同じような状況。それと同時に、農業政策を大幅に改革し、農家の方々に生産性向上のインセンティブを提供しているわけでございます。  私が申し上げたいのは、韓国は大学に、やっぱりこれは数億円のお金を入れてFTAの戦略、この効果とかを分析するような研究を委託しております。その内容をやはり分析した効果、例えば今アメリカと結ぶことによってこれだけの経済効果があり雇用が生まれると、だから我慢してくれと、ほかのところはもう生産性上げてくれというようなやっぱり説得が必要だと思うんですよ。  我が国もこのFTAの議論を行う中で、やはり研究、脳みその方にお金を使っていただきまして是非議論をしていただきたいと思うんです。EUと韓国のFTAでこれだけ日本が被害を被るという金額とか、我々がEUと結ばなきゃどうなるんだということを、やはり数値に、緻密に作られたものがなければ私は説得性がないと思いますんで、是非とも、今経済産業研究所、経済産業省ございますし、またいろんな大学とも関係つくっておられると思いますので、本当にもう予算の一部でも結構ですから、そういう知恵の部分に注ぎ込んでいただきたいと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。
  111. 甘利明

    国務大臣甘利明君) センシティブ品目が存在する国との間のFTA、EPA交渉の際には、当該国と連携を取って、モデルを回して影響評価というのはよくするんでありますが、すべてで行っているわけではありませんし、御指摘のとおり、韓国に比べるとその深掘りの仕方はまだかなり浅いと思います。予算上の制約はもちろんありますけれども我が国の研究機関あるいは大学との連携を使って極力精緻なものができるように、現状の枠内で何ができるか検討させていただきたいと思います。
  112. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非基礎体力的なものを作っていただきたいと思います。  私がまた心配しているのは、韓国とEUだけじゃありません。韓国と中国がもう今年の三月からFTAの、官民ですよ、官が入っていますよ、官民共同研究を始めているんですよ、彼らは、中国とも。我々は議論さえしていませんよ、民間レベルでしか。というレベルになっていますんで、早急に、私は一つだけ明確に申し上げたいのは、韓国はどういう体制でやっているかを分析していただき、少なくとも韓国に負けない体制をつくっていただきたいと思います、絶対。本当にこれは是非お願いしたいことでございますんで、やっていただきたいと思います。  その中で、是非とも、例えば農業の問題が一番大きな問題となりますので、農水省とは今バイオ産業でいろいろ連携して議論を進めておられますけれども、農業問題そのものをやっぱり議論を進めていただきたいと思います。  余り手前みそではございますが、民主党は今、農家に対する直接支払制度というのを提案しています。これは、我々民主党内の経済産業部会の人間も入って、FTAを進めるためにも必要だという議論でやっているんですよ。これは正直申し上げてそうなっています、我々は。是非とも、お互いに農業問題を克服した上でFTAに一歩踏み込むということを経済産業省を中心に進めていただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。大臣、お願いいたします。
  113. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私も農水大臣と連携を取りながらWTO交渉やEPA交渉をやっておるわけであります。  その中で、国内補助がどこまでできるか、御提案の民主党さんの補助金についてまだ詳細が明らかでないのでどこまでが対応できるかという計算は完全にはしていないんですが、WTO上は、その国内支持というのは削減する方向でこちらも攻めているわけでありますが、攻めている当事者がその策を取るときにどこまでできるか。これは、アメリカが新青の政策という、アメリカにとって極めて好都合な国内新政策を認めさせているわけでありますけれども、その新青の政策日本に当てはめた場合に国内補助はどのくらいかという大まかな計算をさせましたけれども、たしか二千二百五十億でありました。一兆円、それを超えたものはWTO違反ということに恐らくなってしまうんだと思います。その辺のところを、WTOルールに照らして何が可能か不可能かということも併せて農水省さんでは今子細な調査をされていると思います。  我々も、国内の農家の犠牲の上にEPAが成り立つという短絡的な発想ではなくて、国内の農業をどう守りながらEPA交渉を進めていくかという課題について正面から取り組んでいるつもりであります。
  114. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非議論をやっていただきたいと思います。  私が申し上げたいのは、青の政策、農業政策ですと例えば三千億とかですけれども、あとほかのやつを複合するとたしか二兆円ぐらい行くはずなんですよ、うちの計算では。そこはまた検討していただきたいし、是非農水省の方々だけではなく、やっぱり経済産業省ともやっていただき、政策競争をしていただいた方が僕はいいと思います、正直申し上げて。WTOのルールだったら変えれますもん、正直言って。今のルールに縛られる必要は私はないと思います。  それで、私はまた大臣にちょっとお願いしたいことがもう一つございますのは、投資協定を是非議論していただきたいということでございまして、これはもうお答えは結構でございますが、是非、特に日中間の投資協定、私が二週間前に中国の大連に行ってきましたけれども、やはり投資協定がまだレベルが低いこともありまして、日系企業の方は本当苦しんでおられます。是非、日中韓という三国でやるというんではなく、もうこれは、韓国はもうEPAやり始めましたんで、日中間で高いレベルの投資協定を議論するようなことを御検討いただきたいと思います。これはお願いだけさせていただきます。  続きまして、経済連携協定に関しましては、人の問題ございます。今、内閣官房が中心となりまして、外国人の在留管理に関するワーキングチーム、動かしていただいています。その中で、新しい外国人の在留管理の枠組みを検討されているということをお聞きしましたが、是非ともイギリスとかドイツでやっているように一つのデータベースで、外国人の方々がどこに住み、どこで働き、どれだけ税金を納め、社会保険料をどれだけ払っているかとかいうことが分かるようなものを作っていただきたいと思うんですが、内閣の、これは副大臣になるんですかね、済みません、内閣官房の方で是非ちょっとお答えいただきたいと思います。お願いいたします。
  115. 岩城光英

    内閣官房長官(岩城光英君) 藤末委員からお話がありました外国人の在留管理、これが的確に行われますことは我が国の将来にとって極めて大事なことだと、このように認識しております。  そこで、平成十七年に設置されました、ただいまお話がありました外国人の在留管理に関するワーキングチーム、ここにおきまして、外国人の在留に関する情報を正確に把握し、総合的に管理する仕組みの構築について検討を進めてまいりました。その結果は、本年七月三日開催の犯罪対策閣僚会議、ここにおいて報告されております。さらに、本年六月二十二日に閣議決定されました規制改革推進のための三か年計画におきましても、外国人の在留に係る情報の相互照会・提供や外国人登録制度の見直しについて、遅くとも平成二十一年の通常国会に関係法案を提出すると、このように明記されております。  したがいまして、私どもといたしましては、これらのことを踏まえつつ、より具体的な検討を図ってまいりたいと考えております。
  116. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非検討を進めていただきたいと思います。同時に、データベース的なものを作るに当たりましては、私はやはり低いレベルの労働者よりも高度なレベルの労働者の方々を、日本に来ていただいた方がいいと思っております。イギリスとかアメリカとかドイツ、そして韓国も、例えば博士号を取った人、あとIT技術者が優遇して国内に入っていただけるような仕組みをつくっておりますので、是非ともそういうものも御検討いただきたいと思います。  そしてまた、法務省の方で出入国外国人登録制度の見直しを検討をされているということでございますが、是非ともこの際には、二十万人近い不法労働者の話や、あと外国人犯罪の増加、あとテロの問題もございますんで、徹底した在留管理をお願いしたいと思いますが、法務省の古川務官に是非お答えいただきたいと思います。お願いします。
  117. 古川禎久

    大臣政務官古川禎久君) お答え申し上げます。  外国人の在留管理の在り方につきましては、先ほど岩城官房副長官からお話がありましたとおり、犯罪対策閣僚会議の外国人の在留管理に関するワーキングチームにおきまして検討いたしまして、報告をいたしております。その中で、議員が御指摘をなさいましたように、法務大臣による在留情報の一元的把握を進めることとなっております。  また、法務省におきましても、外国人の在留管理の在り方につきまして、広く各界の意見を聴いておるところでございます。本年二月一日には、法務大臣の私的懇談会であります出入国管理政策懇談会、ここに在留管理専門部会というものを設置いたしまして、ここでは、日本経済団体連合会、日本自動車部品工業会及び全国中小企業団体中央会などの経済産業団体からも意見聴取を行っておりまして、今年度末には法務大臣へ報告を行うべく検討を重ねているところでございます。  私ども法務省としましては、このような専門部会における検討などを踏まえまして、議員がただいま御指摘をいただきましたように、国民生活の安全ということに十分配慮いたしまして、適切な在留管理の在り方について検討を重ねていく所存でございます。
  118. 藤末健三

    ○藤末健三君 最後に、質問と申しますか、お願いをして終わらさせていただきます。  エネルギー政策につきましては、甘利大臣エネルギー外交を進めていただきまして、非常に高く、感謝申し上げております。エネルギーの外交につきましては、今原子炉メーカーが非常に活発な活動をされていますので、引き続き原子力エネルギーの外交を続けていただきたいと思いますし、また、私が一つお願いしたいのは柏崎原発の対応でございまして、大臣は所信におきまして、この安全ということを強調していただいたんですが、やはり環境の問題もございますので、なるべく早い復旧を進めていただくということをお願いしまして、私の質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  119. 中谷智司

    ○中谷智司君 民主党の中谷智司です。  七月の選挙において徳島から初当選をさせていただきました。本日は、国民を代表して、甘利大臣を始め皆様方に質問ができることを非常に光栄に思っております。  私はサラリーマン出身です。十一年間、ITを専門として、開発やあるいは営業、そしてコンサルティングのようなものを中小企業に対して、正に北は北海道から南は沖縄までを飛び回ってさせていただいておりました。そして、会社を退職してからは、二年半の間、徳島県内を正に隅から隅まで、大変山奥から離島まですべてを歩き回るような活動をさせていただいておりました。正に、中小企業やあるいは地方の苦しみや痛みが分かっている、そういうふうに思っています。そういうふうな立場から本日は御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、甘利大臣にお伺いをいたします。今の日本の大企業中小企業格差、首都圏と地方格差に対する認識と、中小企業対策や新産業育成に対するお考えをお聞かせください。
  120. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今取り組むべき喫緊の課題格差是正があります。御指摘の大企業中小企業格差都市地方格差、これが努力をしても回復できないという状況が定着をしてしまいますと、正に日本全体の活力の減衰になってしまうわけであります。  中小企業成長果実均てんがないということに関しましては、下請取引適正化をまず図る必要があります。大企業が得た成長果実をちゃんとその貢献をしてくれている下請企業にも均てんをするということが必要であります。  それから、地域の格差是正にとって、地域に企業立地を進めていくこと、あるいは地域の資源企業化をしていくこと、これらは地域の格差是正並びに自立力を付けるという点から大事なことでありまして、さきの国会で成立した地域振興二法を具体的に今施行しているところでございます。  それから、委員の御専門でありましたITについて、中小企業にどうやってITを導入していくかということが極めて大事な課題です。生産性を引き上げていくということに関して中小企業のIT装備をしていくと。中堅企業でITソフトを品ぞろえをしっかり装備できるところは別として、零細企業になりますと、それの資金力すらありません。ですから、ASPやSaaSといった、データ処理の企業、機関と連携を取って情報化を進めていきたいというふうに考えております。  もちろん、不動産等、不動産担保に過度に依存しない資金調達ルートをきちっとつくっていくこと、あるいは事業承継に関して抜本策を講じること等も大事なことでありますし、広範に今取り組んでいるところであります。
  121. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございました。今正に甘利大臣からいろいろな中小企業に対する課題を言っていただきました。  私は、増子理事、藤末委員と違った切り口で中小企業対策について御質問をさせていただきたいと思います。  言うまでもなく、中小企業の経営状況は本当に厳しい状況です。廃業やあるいは倒産をしなければならない、そういうふうな厳しい状況に追い込まれていく中小企業がたくさんあります。企業が元気でいること、そして利益を出すこと、成長をし続けていくこと、そのために何よりも大切なのはやはり経営努力や経営手腕であると思います。  しかし、一生懸命働いている会社であっても報われない会社というのがたくさんあります。そういう会社にこそ手を差し伸べていくのが私たち政治のするべきことであると私は思っております。そして、今中小企業が困っていること、これは、お金、資金繰りと、そして人材のことでございます。  まず最初に、資金面について甘利大臣に御質問をさせていただきます。  今、お金を借りようとすると、お金がないからお金を借りようとするのに、資金がどれだけある、あるいは資産がどれだけある、そういうことを基に今の金融機関はお金を貸し出すような仕組みになっています。預金や不動産などの担保を多く持たない中小企業向け融資を促進するために、民間金融機関やあるいは政府系金融機関を通じた中小企業庁の施策にはどのようなものがございますか。  また、万一会社が倒産したときに、民間金融機関の融資促進及び政府系金融機関による支援、あるいは最低限の財産を手元に残すなどの再挑戦を支援する金融面での枠組みについても併せてお聞かせください。
  122. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 不動産等、担保力の弱い中小企業にいかに適切に必要な資金を流していくかということは、中小企業政策にとって極めて大事なことであります。  御指摘のとおりでありまして、本年八月から、全国の信用保証協会におきまして、流動資産担保融資保証制度というのを開始をいたしました。不動産はないけれども、売り掛け債権はある、あるいは在庫はあるわけでありまして、これを資金調達の担保として活用していくということができないかと、かねてから取り組んできた課題をいよいよ実行を始めたわけでございます。  それから、二点目の御質問でありますが、一度事業に失敗をした経営者の再挑戦支援も同時に大事なことでありまして、そういう意味において、破産者において保有し続けることができるとされているいわゆる自由財産の範囲、これは平成十七年に拡充をされているわけであります。身ぐるみはがれて借金だけ背負って再起を期せといってもなかなか思うに任せないわけでありますから、この自由財産の範囲を増やすと。  それから、今年の八月から、信用保証協会による再挑戦の支援保証というのを開始をしております。再チャレンジの支援であります。それから、政府系金融機関におきましても、再挑戦を志す起業家に向けた融資への再挑戦取組融資ということも開始をしているわけであります。  アメリカでは、一度失敗した人の方がそのノウハウを持っているから、逆に次に業を起こすときには信用されるというような風潮もあるようであります。調べてみますと、日本でも最初の挑戦と再挑戦とでの事業の成功率というのは再挑戦の方が高いということも出ておりますから、そういうノウハウを持った再チャレンジャーをしっかりと支える仕組みを充実をしていきたいというふうに思っております。
  123. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。本当に力強い言葉をありがとうございました。是非とも中小企業の経営者の気持ちになってそういうふうな政策を全力で取り組んでいただきたいと思います。  それでは、金融庁にお伺いをいたします。  担保に頼らないキャッシュフローや事業企画などに重点を置いた中小企業向け金融検査マニュアルを作るお考えがないかどうか、金融庁の立場からお話をいただきたいと思います。
  124. 山本明彦

    ○副大臣山本明彦君) 中谷委員の質問にお答えする前に、技術系というお話を聞きまして大変うれしく思っております。私も理科系でありますので、理科系の素直さで見て、是非中小企業のためにこれからも頑張っていただきたいと思います。  中小企業に対する金融というのは、やはり金融機関にとりましては最も大切な仕事だというふうに私も思っておりまして、やはり貸し渋り、貸しはがしなんということはこれもってのほかでありますが、しかしやはり、元々担保力がないのが中小企業でありまして、保証人もなかなかなってくれないわけですから、やはり過度な担保や保証人に依存されない、そうした金融を是非努めていきたいと金融庁でも考えておりまして、今、金融検査マニュアルというお話がありましたけれども、今もう改訂版の金融検査マニュアルも出ておりまして、特に中小企業用のものが出ております。その中で、不動産担保だとか保証人に過度によらない、そうした動産だとか売り掛け債権を是非使ってもらって結構だと、そうしたものをこの金融検査、本年の二月なんですけれども、その金融検査マニュアルに書き込んでおりますので、是非そうした形で金融庁としても進んでもらいたいということを金融機関に勧めております。  実際にもう大分進んでおりまして、動産担保は既に十七年度だと二十七件、四十七億円、十八年度は百五十三件で百三十一億円ありますので、こうした指導によって非常に使い勝手の良い動産、売り掛け債権担保になっていくと思いますので、是非我々としてもそうした形でこれからは金融機関を指導していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  125. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございました。  それでは次に、中小企業税制について甘利大臣にお伺いをいたします。  今、中小企業が利用できる税制措置として、中小企業投資促進税制あるいは情報基盤強化税制、試験研究税制、人材投資促進税制など、本当に数多くの税制が存在をいたします。大企業に比べて財務基盤が弱い中小企業に対するこれらの租税特別措置は非常に私自身重要であると思っています。しかし、租税特別措置の中には創設されて数十年も経過しているようなものも存在しており、利用実績と政策効果の評価がなされているか、私は甚だ疑問に思っております。もし実績と効果がないようなものであれば、思い切って廃止をするか、又は利用が高まるような工夫が必要ではないかと思いますが、甘利大臣の御意見をお伺いさせてください。
  126. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 確かに租税特別措置、租特というのは物すごくたくさんありまして、私も産業税制をずっとやってきましたけれども、全部頭に入っているかどうかよく分かりません。利用する中小企業者も、どれが自分のところで使えるのかというのを全部把握していないと思います。これは、私は、分かりやすいパンフレットを作って中小企業団体を通じて配布するように指導を、そこにありますけれども、そういう分かりやすいものを中小企業者、当事者に届くようにという指導を過去にしてまいりました。  何十年もあって効果が定かでないものは、これは主税当局、税務当局と交渉する際に必ずやられますから、廃止に追い込まれます。ですから、必要だと思ってつくって利用実績がない場合には、どこが悪いのか、バージョンアップを図って再度申請をするようにしておりますし、それから、租特でもこれは恒久化が、恒久税制として必要だと。先進国の国際標準からしても、これは毎年、二年ごとに要求するようなものじゃないじゃないかというものは恒久化をしていくと。これの取れたものが試験研究税制、これが恒久措置にできました。これは大きな成果だったと思います。原則として二年ごとに要求する側に、効果、存続する必要性の説明責任を求められておりますから、そういった中でしっかりとした見直しも取り組んでおります。
  127. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  この租税特別措置、つまり減税措置というのは、裏を返せば補助金と一緒です。つまり、まずは、先ほど大臣がおっしゃられたように、使っていただくこと。しかし使われていても、これも大臣がおっしゃられていましたけれども、効果が本当に上がっていなければ税金の無駄遣いになりかねません。だからこそ、本当にきちんと利用されているか、そしてこれが効果を上げているか、そしてそれに併せて、この租税特別措置に関しても必要なものは続けていく、あるいは改良していく、あるいは必要じゃないものはなくしていく、そういうふうなことも必要であると私は考えております。  そして、中小企業にとっては、先ほど大臣もおっしゃられていましたけれども、この租税特別措置を多くしていくよりも、むしろ法人税率の引下げなど、中小企業に幅広く適用できるような思い切った税制が必要ではないかと思っておりますが、甘利大臣見解をお伺いさせてください。
  128. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 大企業と比べて中小企業がいろんな面で競争力が弱いわけであります。しかし、中小企業がなければ地域経済も大企業も成り立っていかないと。そういうところで、中小企業の弱さをカバーするためにいろんな施策があると。金融政策税制政策もあります。そういった中で、法人税に中小企業特例を付けて一律に減額をしているわけであります。もちろん我々としては、中小企業がそのハンディを克服して日本経済を支えていってもらえるように、大企業としっかりとした差を付けた税制というのは要求をしていっているわけであります。ただ、なかなか思うに任せない部分があります。  それからもう一点は、政策誘導を税制によって行っています。つまり、例えば中小企業が生産性を高めていくためにはIT化が必要だと。IT化をしたところには減税を掛けますよということにしていきますと、政策誘導がしやすいということがあります。一般的に法人税本体を下げるというのは、これも大事なことでありますけれども、ただ、何らかの努力をした人もしない人も一律に下がるわけであります。租特というのは、こういう努力をしてこういうことに取り組んだ人には特典があるということでありますから、努力をした人に特典が行くような直接の結び付きがあるわけであります。政策を進めていく上でも重要なツールというふうに思っておりますし、両々相まってしっかりとした中小企業政策を進めていこうと思っております。
  129. 中谷智司

    ○中谷智司君 是非よろしくお願いをいたします。  時間がございませんので話を変えて、新産業の育成についてお伺いをさせていただきます。  もうこれは言うまでもなく、今地方における人口減少あるいは高齢化というのが大きな問題になっています。それぞれの地方においても新しい産業を育成をして、そして働く場所をつくる、その働く場所をつくることによって若い人たちの人口流出を防ぐ、あるいは高齢者の方々に生きがいを持って働いていただく、そういうことが必要であると私は思っております。  甘利大臣を始めここにいらっしゃる皆さんは、徳島県に上勝町があって、そこで「いろどり」という事業がありますけれども、それは御存じでしょうか。徳島県の上勝町は、現在人口二千九十二人で、四国で最も人口が少ない町です。一九五五年の六千二百六十五人をピークに、毎年人口が減り続けています。高齢化率、つまり六十五歳以上のお年寄りの人口が四七%。これだけを聞くと悲しくなるかもしれませんけれども、この町のおじいちゃんやおばあちゃんがとても元気に活躍をされています。  この「いろどり」というのは、東京や大阪の料亭の日本料理に添えるつまものを山で取って販売をする事業です。この出荷を支えているのはおじいちゃんとおばあちゃん、平均七十歳の農家の方々。場合によっては一千万円を超えるような収入のある方々もいらっしゃいます。  この「いろどり」のような地域の特徴を生かしたコミュニティービジネスが増えつつありますけれども、このように地域に根付いて地域に貢献する企業産業を育成したり全国に宣伝していくべきと考えておりますが、大臣見解をお聞かせください。
  130. 甘利明

    国務大臣甘利明君) たしかこの「いろどり」って、テレビでやっていましたですね。私、見た記憶がありまして、なるほどと思いました。こういったコミュニティービジネスが、地域の雇用と連帯を支えていく、その地域コミュニティーを正に形成していく中核になろうというふうに思っております。  来年度で、初めてなんですが、来年度予算でこのコミュニティービジネスの百選、全国に模範的なコミュニティービジネス百を、選定作業を行いたいと思っております。身近にそういう事例があるというのが視野に入ることが大事であります。そのために百選をやるわけでありますが。それから、このコミュニティービジネスの起業それから経営に対して質の高いサポートを行うことができるような機関の育成を強化をして、コミュニティービジネスの振興につなげたいというふうに思っております。
  131. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  時間がないのでここで終わらせていただきますけれども、この徳島県の上勝町は、おじいちゃんやおばあちゃんが生きがいを持って活躍をされています。何と今、町の一人当たりの老人医療費は六十九万五千円で、全国平均を十万円近く下回っています。何と寝たきりのお年寄りは二人しかいないんです。是非とも、これは本当、舛添厚生労働大臣にもお話を聞いていただきたいなと思っておるんですけれども。  こういうふうな中小企業を元気にすること、地域に根付いた新産業を育成することにこれからも全力で取り組んでいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  132. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  133. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、経済産業貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  134. 加納時男

    ○加納時男君 初めに、資源外交とその課題についてお伺いをしたいと思います。  近年、資源ナショナリズムは極めて高まってきております。例えば、資源国、中東で見ますと、サウジアラムコでありますとかADNOCといった会社はすべて一〇〇%国有であります。南米におきましても、チャベス大統領によりましてベネズエラが外国資本を一〇〇%国有化し、これにボリビアやエクアドルが続いております。ロシアでは、ウクライナやベラルーシに対する天然ガスの供給を制約するという条件を出して政治取引にすると同時に、また、我が国に関係のありますサハリン2におきましては、これまでロシア以外の、日本を含めて、企業の努力で開発してきたものができ上がったところでガスプロムというロシアの一〇〇%国有の会社でこれを支配する、五〇%プラス一株、一株というものを取得するということになったことは御存じのとおりであります。また中国におきましても、国営の石油天然ガス企業等が中東そしてアフリカにおいて資源開発に積極的に乗り出しております。このように、上流部門に対する各国のプレゼンスは、俗に我々、NOC、ナショナル・オイル・カンパニーと言っていますが、国策、国営会社が約八〇%の井戸元を占めているという現状であります。  我が国は、もちろん民間企業を中心にエネルギー政策を実行してきております。しかし、これで相手が、国が前面に出ているときに企業だけで十分であろうかという問題意識から、自民党のエネルギー戦略合同部会、これ非常に大きな会議でございますが、これ甘利大臣が当時座長をしておられました、野田毅さんが資源分科会長をなさっていたんですが、そこでは資源外交の強化を大きなテーマに掲げたところでございます。甘利大臣は、そこの座長から今度は政府の方の大臣に就任された後、この自民党の提言を正にこの一年有余の間、精力的に実践してこられたと思っています。  これは相手国のニーズにこたえた交渉であるとか、あるいは経済界を一緒に、総理経済産業大臣始め経済界を同行して首脳外交を展開するとか、我々よく三Jとか四Jとか言っていますJの付くもの、JBIC、JICA、ジェトロ、最近はJOGMECというのもそこに加える人もいますが、それにジャパニーズエンバシーというと五Jになるんでしょうか、こういった政府あるいは政府関係機関、こういったものも帯同しまして、そして相手方と交渉する。そのときに貿易保険、NEXIと言っていますが、これも有効に活用する。  こういったことが成果を上げたのが、最近でいいますと、サウジアラビアとの石油の安定確保に関する協議であるとか、あるいはアジア産消国の第二回ラウンドテーブルを大臣が主催されたこと、サウジの大臣と一緒に主催されたこと、あるいは先月でございますけれども、アラブ首長国連合のアブダビ首長国、ここは日本にとっては第二の石油輸入国でありますけれども、こういった大変重要な国におきまして、そこの一〇〇%国営の会社が日本のコスモ石油の株を取得するという大変な強いきずなをつくることができました。この中東を始めとして世界各地との石油天然ガスでのきずな、これに加えて、御案内のカザフスタンの交渉も非常に大きかったと思います。ウランの価格が急激に上がったことは昨日の夜のNHKでも盛んに特集しておりましたが、このウラン資源の開発についても大変に大きなステップを踏むことができました。  大臣に質問したいと思います。  これらを自民党において提案をされ、そして今度は大臣として実践してこられた中で、どのような所感を持っておられるでしょうか。今後の我が国の、この資源の乏しい我が国のエネルギーセキュリティーに関する資源外交の位置付け、その対応、そしてまた資源外交について我々は政府に司令塔のような機能が必要だということも提言してきたつもりでありますが、こんなことについてお考えを伺えたらと思います。
  135. 甘利明

    国務大臣甘利明君) オイルショックがありまして、その後にはもう何が何でも政府が前へ出て石油の調達をしなければと、時に土下座外交とやゆされたこともありましたけれども政府が前へ出てかなり取組を進めました。しかし、その後、市況が安定をしまして原油価格が随分と低迷をする時期がありました。そうしますと、石油というのは市場で民間ベースで調達をすればいいと、どこにでも市場は開けているんだからというような話になって、石油公団の解体がその後になされるわけであります。  しかしながら、かねてから我々が主張してきましたとおり、石油というのは再生産が可能なものではありませんし、戦略物資であるという警告を発してきたつもりでありますけれども、それが見事に当たってしまったわけでありまして、最近は石油を始めとする資源資源国による囲い込みであるとか、あるいは資源の国家管理が随分進んでしまうようになりました。そうしますと、民間任せではなかなか思うに任せない事態がやってくる。民間が交渉していて話合いが付いたものに更に政府が話に加わって、また成約した話が実はほごにされてしまうというような危険性が多分に出てきたわけであります。  そこで、やはり資源外交というのは民間に任せるだけではいけなくて、政府がきっちりと前に出て行く必要があると。そのためには前に出て行く理屈をつくらなければいけないわけでありまして、JOGMECによる出資比率を引き上げたりとか、あるいは貿易保険に資源開発の新たなニーズに対応するような対処をさせたり等々、政府がそれに、話合いに加わっていく手だてをつくったわけであります。  そういう、資源国にとっては民間だけでなかなか本当に信用ができるんだろうかと。その国の政府が後ろ盾にちゃんと付いているということが間接的にも分かれば随分と信頼関係が増すということになったわけでありますから、その手だてを講じたわけであります。あわせて、担当大臣や首脳が資源外交の先頭に立つということが更にその信頼性を高めるし、資源調達を安定的にするという効果もあるわけであります。  そして、FTA、EPA交渉の中に資源チャプターを入れていくということで、どれくらいその拘束力があるんだという議論は一方でありますけれども、少なくとも資源調達について一項目、FTAの中に立てるということも極めて効果的だというふうに思っております。首脳が、そして担当大臣が先頭に立って民間の資源調達をしっかりと補完をしていくと、この体制を取っていくことがこれからも肝要かと思っております。
  136. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  大臣は正に有言実行、提言したことを自分がそのポストに就いて実行してこられたので、今のお話も非常に迫力があります。私、非常に今のお話を伺って印象深く思いますのは、例えばカザフスタンでございますけれども、ここではマシモフ首相とバイの会談をなさっておられます。これをきっかけとして、日本の商社、電力、様々な民間のプレーヤーが二十四の協定を大臣が見ている目の前でサインをしたというのは私は画期的なことで、カザフスタンというのは日本にとっては余りなじみがないかも、エネルギーではなじみがないかもしれませんけれども、実は世界のウランの埋まっている国ナンバーワンはオーストラリア、ナンバーツーがカザフスタンなわけであります。そのカザフスタンと日本はこれまでわずか一%しか取引がなかったわけですから、今回のこの、二十四のひとみじゃないんですけれども、二十四の協定は大変に光り輝くものだと思って、甘利大臣の名前は末永く記憶されるだろうと思っているところであります。  同じようにしてサウジアラビア、世界最大の産油国でありますけれども、これはアブドラ国王、スルタン皇太子、そしてナイミ石油大臣甘利大臣はバイの会談をなさいました。そして、サウジの望んでいることは、ただある石油を売ればいいというだけじゃないんです。彼らは、何としても、ポスト石油をにらんで新しい産業を興したい、今ある石油も安定供給を図りたい、そのためにはいろいろきめ細かな方策も日本の知恵をかりてやっていきたい、様々なニーズがあります。科学技術を振興したい、こういったことは、相手のニーズをよく聞きながら対談をしたからこそ、ここで甘利大臣とナイミ石油大臣が共同主催で第二回のラウンドテーブルが、産消国のラウンドテーブルという、これまた画期的なことだったと思って高く評価しているところでございます。御苦労さまでございました。  まだ若干時間ございますので質問を続けさせていただきたいと思いますが、第二の質問でございますが、今のに関連しまして、さっき大臣がおっしゃった、石油危機のときに、二回の石油危機で日本は大変な努力をした、正にそうだったんですが、石油需給が緩んだ時期がしばらくございました。石油が安過ぎるような時代がございました。そのときに、石油公団というのは無駄ではないか、あれは金食い虫である、国民の税金を突っ込んでこんな無駄なものをやって、しかも経営がずさんであると。赤字の会社に融資して、それがつぶれたならばごめんなさいで何の責任も追及されない、こんないい加減なものでいいのかという批判がこの経済産業委員会でもございました。私もよく記憶しております。  そういうこともありまして、石油公団を廃止しようという世論になりまして、公団が解体をしました。民間主体でやっていくんだ、石油も天然ガスも開発は民間が主体でやっていって、政府がサポートするんだと。この考え方は私は間違っていないと思うんです。民間が主体でやる、政府がサポートをする。じゃ、本当にそんなような民間ができているのか、そんなようなサポート体制が十分なのかということを質問したいと思います。  今、日本でこういう石油や天然ガスを開発する最大の主体、石油公団の後は、長い名前ですけど、JOGMECというものになっています。これは開発の主体というよりもサポート体でございます。民間団体で、民間の企業で一番大きなものというのは、長い名前なんですけど、国際石油開発帝石ホールディングス、ちょっと覚えにくいんですけど非常に長い名前で、これは我々通称INPEXと言っております。INPEXが一番大きいわけであります。  では、これは外国と比べてどのくらいの規模のものであろうかといいますと、実は、スーパーメジャーと我々言っておりますエクソン・モービルですとか、ロイヤル・ダッチ・シェルだとか、BP、こういったものに比べますと、大体取得している権益は十分の一であります。それから、準メジャーと言っておりますトタールでございます、フランスですけど、トタール、これに比べても五分の一でございます。非常に規模が小さい。これでメジャーズと堂々と競争していけるんだろうかというのは非常に不安でございます。  我々は何とかこの日本の、日の丸メジャーとは言いませんけれど、プレーヤーを、国際競争力のある、イチローとか松井のようにメジャーリーグで戦えるような、そんなような石油メジャーを日本はつくりたいと思っているんですけど、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  137. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 石油公団を解体をしましたときに、和製メジャーという話がありました。いつの日かメジャークラスの石油開発会社を日本にもという夢を見たわけでありますが、現状は御指摘のとおり、規模でいって十分の一、スーパーメジャーの利益額にも取扱量が、売上げが該当しないというぐらいの規模の差があるわけであります。  我々も、引き続き規模を拡大していくための措置がとられるということは期待をしておるわけであります。民間企業がやることでありますから、彼らの主体性に任せるしかないんでありますけれども、そういう期待をする一方で、その十分の一の体力を補うような手だてを講じていかなければならないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、日本の上流開発企業も欧米のメジャーに伍していける日がいつか来ることを願っているところであります。
  138. 加納時男

    ○加納時男君 是非とも、これは我々の悲願でございますので、大臣にも引き続き御努力いただけたら有り難いと思っております。  では、このエネルギー関係の石油を終わりまして、もう一つのエネルギーの問題、原子力の問題を取り上げてみたいと思います。  午前中も同僚委員から触れられました新潟県中越沖地震による原子力設備の被災でございます。これは、七月十六日に発生しました、かつてない激甚な直下型の地震に見舞われたケースでございます。  私もこの地震の直後に現地に入りました。そしてまた、自民党としましても、電源立地原子力等調査会の幹部による現地視察というのもその後行いまして、また県知事、市長等ともいろいろ懇談をしてまいりました。  その印象をちょっと申し上げて質問に入りたいと思いますが、私どもの見た印象では、かつてない激甚な震災に見舞われた、地震に見舞われた、それがまた発電所に及んだということで、普通のクラス、B、Cクラスと言っていますが、A、B、C、スペシャルAというのがあって、SA、A、B、Cと重要度に応じて設備のランク、土壌のランクを付けておりますけれども、B、Cクラスの耐震基準、そういった基準での設備には、つまり、普通の建物の建築基準によって造ったようなものは大きな被害を受けたというのが第一の印象であります。  しかしながら、第二に、原子炉安全上大変重要な、最も重要な原子炉圧力容器、そして炉心、安全システム等は健全性が保持されたようでありますというのが我々の第二の印象でありました。中でも大事なことは、原子炉の安全というのは、止める、冷やす、閉じ込める、放射能を閉じ込めるという意味ですが、こういった機能を原子炉について我々求めていますけれども、こういった基本的な安全機能は担保されたということが我々の第二の印象でありました。これは、その後、現地を見ましたIAEAも確認をしているところであります。  しかし、第三に、いろいろ課題があるなというのが私どもの意見でございます。特に今回のように、地震でありますので、いろんな設備が同時に被害を受けています。Cクラスのところにあります所内用の変圧器というのは屋外にあるんですけど、これ原子力の、原子炉とは直接つながっていないところなんですけど、それで油が漏れて黒煙が出て、二時間にわたってこれがテレビで放映されたというようなことを見ますと、これ何か不気味である。そして、その晩でありますけれども、ごく微量とはいえ放射能が検出された、それが海にも出たというようなことになりますと、これはもう非常に不安になります。  こういったようなたくさんの情報を、正しくといいますか、正確に客観的に整理した情報連絡が十分だったかという点について、私どもが見た感じでは、そこに非常に問題があったんじゃないだろうか。  それからまた、メディアでございますけれども、一部の事実が強調された。例えば、黒煙もくもくとか消火栓の水ぽとぽとと誠にうまい見出し付けるんですね。でも、それだけ見ていると何か怖くなっちゃいます。セリエA来日をキャンセル、おののく観光界なんてくると、もう日本じゅうが全部放射能で汚染されたようになって大変だっていうんで、外国からもいろんな問い合わせが来まして、日本は放射能、いよいよ事故が起こったのかとか、チェルノブイリみたいになっちゃったのかとか、大変な問い合わせがあったのも事実。私のところにも、まさかとは思うけど、何か大変なことが起こったように報じているけど本当はどうだというのがありました。  こんなような、これ、間違っていないんですね。変圧器から黒煙もくもく、確かに煙出ている。放射能がごく微量、本当に十億分の一ぐらいの、自然界に比べて、わずかな量ですけど、出たか出ないかといったら出た。それが原子炉の一番肝心な、漏らさないというところから出たのかというと、それ以外のところ、例えばプール水があふれてそれが隣の配管の隙間から外に出たと、これだけの話で、健康には全く関係ないんですけど、何よりも大事な、地震によって被害を受けて原子力発電所は止まっています。これが一つ。二つ、細かなトラブルは起こっています。しかし三番目、原子炉は安全です、放射能影響はありませんと言い切って、避難する必要は全くありません、こんなような非常に大事な情報というものがうまく伝わらなかったというのは残念に思っています。  一部の事実を強調する余り、全体の真実が見失われたんじゃないかということが危惧するところでありまして、これは新聞にも私が書かせていただいたところでございます。こういったことが大きな誤解と混乱をもたらしたと思っています。  そこで、これは原子力安全・保安院の方に質問したいと思いますが、私どもはこれらを見てすぐに役所の方にも申し入れたんですが、炉内構造物の細密点検、この結果は今どうなってどこまで分かっているのか、これをやってほしいと言っていますけれども、事実やっておられる、やるという、点検は電力会社がやるわけですけど、それを監督しておられると思いますけれども。  まず第一の質問は、炉内構造物の細密点検はどの辺まで進んでいるでしょうか。
  139. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) 御説明いたします。  柏崎刈羽原子力発電所の原子炉の中の点検につきましては、まず八月二十一日から、地震時に燃料を装荷しておりませんでした一号機において他号機に先行して実施しておるところでございます。  一号機におけます点検におきましては、九月二十七日にこの原子炉外に仮置きをしておりました気水分離器の仮置き用の脚に変形が見られましたけれども、これを除きまして、これまでのところ炉内構造物における目立った損傷は確認をされておりません。  また、この十月九日からは、地震によりまして緊急停止をしました原子炉でございます七号機の炉内点検を実施しているところでございます。  七号機の炉内点検におきましては、燃料そして制御棒の配置状況を上部から確認をしたところ、異常は確認されておりません。現在は、炉内から燃料及び制御棒を取り出す作業を行っていると、こういう状況でございます。  七号機では、十月十八日に制御棒のうちの一本が挿入した状態から引き抜けないという現象が生じております。また、二十一日には、原子炉建屋内の管理区域内でございますけれども、放射性物質を含む水が壁面からわずかでございますけれども漏えいしているという事象が確認をされて、原因につきまして調査が行われていると、こういうところでございます。  保安院といたしましては、この炉内の状況については事業者に対しましてより慎重に点検するように指示をしております。また、保安検査官がその作業状況を確認をしているというところでございます。  今後、事業者によります他号機の点検状況につきましても厳格に確認をしてまいりたいと、かように考えているところでございます。
  140. 加納時男

    ○加納時男君 今の薦田院長の説明について少し、もうちょっと聞きたいと、伺いたいと思います。  今のお話の中で、一号炉、それから続いて七号炉というお話がありました。七号炉では今おっしゃったように、先週十月の十八日にトラブルが発生、確認できたということで、それは燃料をプールに移した後、制御棒を引き抜いていくわけですけれども、制御棒の一本が引き抜けなかったということでありますが、今のお話でそういうことでございますが、これは一体何が起こったのか。  一番私どもがというか国民として知りたいのは、これは危ないことであったのか。つまり原子炉安全にかかわるようなものであったのかそうでなかったのかが一番気になるところであります。  この制御棒は、御案内のとおり緊急時にはスクラムといって一斉に、これは六号機、七号機は改良型の制御棒駆動装置、FMCRDというやつですが、ファイン・モーション・コントロール・ロッド・ドライブと言っているんですけど、緊急時に水圧でスクラムを掛ける。一気に制御棒を炉心に、燃料棒の間に入れまして反応を止めてしまう。だから、スクラムに支障があるかどうかが一番心配なところであります。これはスクラムと関係あるのかないのか。我々の理解では、ここのところは、六号機、七号機は最新鋭のシステムを使っておりまして、水圧だけではない、電動駆動もあります。だからファイン・モーションというんでしょうけれども、電動駆動というのはモーターによりまして、ここにあります中空ピストンというのがあるんですけど、そこに制御棒がくっ付いているんですけど、その中空ピストンを上げるのに、下にあるボールナットをねじで上の方へ上げていってそれで持ち上げて、下ろすときは自重で下りてくると、こういうスタイルだと思います。今回、自重で下りなかったというのが起こったんだろうと思うんですけど、これは制御棒の微妙な制御をするのには必要だけれども、スクラムのときには使わないものなのかどうか、これが一番のこの問題のポイントだと思いますから、そこのところを御説明いただきたいと思います。
  141. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) お答えいたします。  現在、今議員から御指摘のございましたように、この七号機におきましては、ちょうど燃料集合体、これは約九百弱あるわけでございますが、これを使用済燃料に移しまして、順次制御棒、これは全部で二百五本あるわけでございまして、これを引き抜く作業を行っていたところでございます。  ちょうど先週十八日に百本余りの制御棒を引き抜いたときに、一本の制御棒を引き抜くことができないということが生じたということでございます。ただ、この中越沖地震の際には、この七号機を含みますすべての現地のプラントにおきまして、この制御棒が安全に挿入されており、止める、冷やす、閉じ込めるという安全機能は維持されたということは確認されているところでございます。  七号機について申し上げれば、先ほど先生からお話がございましたこの水圧駆動系と、そしてもう一つはこのモーターの方がございますが、この水圧駆動系によりまして、設計よりも短い時間で全数挿入されているということがここで確認されているところでございます。  今回の事象は、今申し上げましたように、制御棒が安全に挿入されたわけでございまして、原子炉が緊急停止した後、制御棒のうちの一本が挿入した状態から引き抜けないというものでございまして、本事象が直ちに原子炉の安全性に影響を与えるものというものでは全くございません。  ただ、原子力安全・保安院といたしましては、今後、当該制御棒及び駆動部につきまして詳細な点検を行いまして、徹底的に原因を確認をしていきたいと、このように考えておるところでございます。
  142. 加納時男

    ○加納時男君 ということは、我々が一番心配しております原子炉の安全を守るために、例えば異常な反応が起こっているといったときには直ちに制御棒を炉心に挿入しましてあっという間にこれを反応を止めてしまう、これスクラムと言っていますけれども、このスクラムが掛からないということは非常に危険なんですね。  今回、スクラムに関係のない、関係があるかないか、スクラムに対して支障を及ぼすものではない、現にこれはスクラムが掛かった後、電動で今度は下ろしてこようと思ったらうまく下りてこない。つまり、制御棒を下ろすということは反応はする、原子炉として反応を始めようとするのに支障があるだけであって安全には関係ないというふうに理解していいのか、これ非常に大事なところなんで、是非この場で明確に言っていただきたいと思います。
  143. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) 今先生から御指摘がございましたように、今回のこの引き抜けないという事象は、原子炉を緊急停止をするという機能とは違ったものでございまして、そういう点で原子炉は安全に緊急停止をしたものと考えておるところでございます。  ただ、今度はモーターで徐々に下ろす際にどうも引き抜けないという状況があるわけでございますけれども、これにつきましてはまだ原因ははっきりしておりませんので、これについては調査をしていきたいと考えております。
  144. 加納時男

    ○加納時男君 では、引き続き調査をしていただきたいと思います。  私どもは現地調査をしていろんなことを党としても政府に対して要求をしております。政府の方も、これは全部やるという約束になっておりますが、二、三、その後の進行状況を伺いたいと思います。  例えば、陸域、海域の活断層調査、つまり活断層が今まで調べていたものでは不十分だったかもしれない、あるいは新しい知見があればこれを生かして調べてもらいたいというので、陸域と海の方、海域と両方で活断層の調査をしてもらいたい。政府もこれやるつもりですという話だったんですね。それがどこまでいっているのか。  また、去年の秋ですけれども、耐震設計基準を更新しました。この新しい耐震設計基準によって、我々の言葉ではバックチェックと言っていますが、今まで良かったものでももう一回さかのぼって安全かどうかを調べてほしいということをやる必要がある。政府もやるという方針だと、こういうことでありましたけど、バックチェックはどういうふうに進んでいるのか。  それからまた、今回のこの柏崎刈羽発電所で受けたようなこんなようなかつてない地震を受けたこの知見を逆に生かしたい。この今回の地震がほかの原子力発電所でこの大きさでこの加速度で受けた場合に大丈夫ですかという耐震度を調べてほしいというのもありました。  これらについて、今日現在の進行状況を伺いたいと思います。
  145. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) まず、海洋及び陸域調査の点でございます。  この今回の地震を踏まえまして、東京電力では柏崎周辺の海域そして陸域の地質調査ということを実施しているわけでございます。  海域につきましては、海上音波探査というものを海岸線と平行方向に約百四十キロ、そして海岸から沖合方向に五十キロの範囲内で、今年の八月二十七日からこの十月末までの予定で実施するということになっておるところでございます。  また、陸域につきましても反射法地震探査というものや、あるいは地表地質踏査等を発電所周辺地域、これは敷地から半径約三十キロの範囲でございますけれども、に、かつこの長岡平野西縁断層帯を加えた範囲で今年の九月二十日から平成二十年三月末までの予定で実施をするということになっているところでございます。当省といたしましては、この調査、これをしっかりと確認をしていくと、こういうことになっているわけでございます。  次に、この新しい審査指針に基づきます、耐震設計審査指針に基づきます原子力発電所の耐震安全性調査、バックチェックの状況について御説明をいたします。  これは昨年九月に原子力安全委員会の方で改訂されました新耐震設計審査指針の下で既存の原子力発電所の耐震安全性の再評価を行おうというものでございます。  ただ、今回の地震を踏まえまして、大臣の方から、現在の評価の進捗状況を勘案し、確実に、しかし可能な限り早期に評価を完了できるようにと、実施計画の見直しについて検討を行うよう要請をしたところでございまして、これを受けましてこの八月二十日の日に各電気事業者の方から計画の見直しが報告されております。  これによりますと、本年度中に各社地質調査と、それから設計の際に用います基準地震動の策定をおおむね終了いたしまして、各発電所サイト、一プラントを対象に主要設備につきまして耐震安全性の評価を行いまして、中間報告を提出をすると。年度内に一サイト、一つのプラントについてその耐震安全性のエッセンスにつきまして中間報告を提出するということを伺っているところでございます。当方といたしましても、この結果につきましては厳正にチェックをしていきたいと、かように考えておるところでございます。  また、今回の地震を踏まえまして各社どういうことをしているかということでございますけれども、まず、この今回の地震につきましては、新しく得られる知見というものを整理して今後各発電所に反映していくということが必要であるわけでございまして、現在当方に委員会を設置いたしまして、専門家にお諮りをしながらこの検討を行っていると、こういうところでございます。  なお、九月二十日の日に電気事業者の自主的な取組といたしまして、柏崎原子力発電所で観測されました地震動と同じ地震動が他の発電所で生じた場合についての影響につきまして報告がなされております。具体的には柏崎の発電所で観測されました一階の面の基盤のガル数、六百八十ガルだったと思いますが、そういうものでほかの発電所を揺らして大丈夫かと。主要な、先ほど委員からお話ございました原子力発電所の大事な、止める、冷やす、閉じ込めるという機能が大丈夫かということにつきまして検討がなされ、報告がされておるところでございます。  いずれにしましても、原子力発電所の耐震の評価につきましては、我々といたしましても厳正に評価を行ってまいりたいと、かように考えているところでございます。
  146. 加納時男

    ○加納時男君 そういう方向でこれからも調査を引き続き進めていただきたいと思っています。  今回の教訓の一つとして、時間外に発生する異常な事象に対する情報連絡体制というのがあると自民党では考えたわけであります。よく、様々なトラブルが起こると、それが通常勤務時間帯、八時半から五時とか、九時から六時とかいった通常時間帯じゃない時間によく起こるねと、意地が悪いねと、よく関係者の方がおっしゃるんですが、これ、考えたら当たり前だと思うんです。一年間の時間数八千七百六十時間といたします、うるう年ありますから。八千七百六十時間。そのうちいわゆる時間外ってどのくらいあるのか。ふだんの日の、例えば六時以降ですと翌日の朝の八時半とか九時まで、それから土日。日本は世界じゅうでもめったやたら国民の祝日が多い、とてもおめでたい国で、祝日がやたら多いんですね。私、この間計算してみたら、それで計算すると時間外と言っているのは六千八百時間あります。だから、八千七百六十時間のうちの六千八百時間というのは、割り算すると目の子で七八%ぐらいになるんですから、約四分の三は時間外。だから、何か地震が起こる、飛行機が落っこちるというのはちょっとやめますが、地震が起きるとかトラブル、発電所のトラブルが起こるのはなぜか時間外だ、だから慌てたというんですが、当たり前なんで、八割近くは時間外に起きる。  ならば、その対策としていろんな情報訓練、初期段階で人がぱっと出てくる、こういう連絡体制というのは時間外を頭に置いて、例えば避難訓練とかいろんなのがありますけれども、大体こういう訓練は平常の時間中にやるわけですね。これじゃ駄目だと。時間外に抜き打ちでやるのが連絡体制としての訓練としては大事だなということは見たときに感じたわけでございますが、これについて、時間外のこのトラブル対策、情報連絡体制、当然怠りなくやっているとは思いますけれども、原子力安全・保安院の院長の考え方を伺いたいと思います。
  147. 薦田康久

    政府参考人薦田康久君) 今委員から御指摘ございましたように、休みの日であるとか深夜であるとか、こういうときにおけますやはりこの情報連絡体制というのは極めて重要でございまして、このため、この地震直後の七月二十日の日に経済産業大臣の方から各事業者に対しまして、こういう場合も含めた迅速かつ厳格な事故報告体制の構築について指示があったわけでございまして、国も含めまして、現在、これどういうふうにあるべきかということにつきまして、この中越沖地震に関する調査・対策委員会におきまして検討しているところでございます。  ただ、保安院といたしましては、こういう検討を踏まえて対策をしていくことは当然でございますけれども、それ以前につきましても、最近ではいつ何があっても対応できるように、例えば時間外で緊急事態の発生をうちの職員に対して予告なくその訓練を行う、こういうことも今行っております。  また、地震時に、現地にオフサイトセンターがございますけれども、こういうものを活用してどのように実際にその自治体に情報提供を行うかといったようなことも訓練をしているところでございまして、今後こういうような訓練を通じまして的確な情報連絡、あるいは提供体制をつくっていきたいと、かように考えているところでございます。
  148. 加納時男

    ○加納時男君 どうも薦田院長、御苦労さまでした。そういう方向で是非やっていただきたいと思います。  以上の議論を踏まえまして、大臣大臣のお考え、所感を伺えたらと思います。この原子力の重要性は大臣、常におっしゃっていますから。同時に、これは安全でなければならない。今回は電力は加害者じゃなくて正に被害者だったかと思いますけれども、対応いかんによってはこれは加害者とも受け取られかねないようなことに発展しかねないこともあると思います。様々なことを含めてこの原子力の安全、地震対策に関する大臣の所感を伺って、終わりたいと思います。
  149. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 原子力はエネルギーセキュリティーとそれから地球温暖化防止に貢献できる極めて大事な電源であります。ただし、その推進には安全、そして更に加えて安心の絶対的構築が前提条件であります。  今回の中越沖地震で学ぶことがたくさんありました。  まず安全面でいいまして、想定し得る最大級の地震が襲ったときになお対応できるのかどうかということが一つであります。これは新耐震指針に基づくバックチェックも含め、あるいは今回の中越沖と同じ規模のものがほぼ、直下型と言われていますが、他地域でも同様な条件の下に起きたときに基本的機能は守られているのか、まずこれをチェックしましたが、先ほど来お話にありますように、止める、冷やす、閉じ込める、この基本機能のそれぞれの三倍から八倍の余力があるということが分かりました。つまり、中越沖地震が他のところで起きてもその三倍から八倍の対応し得る耐震機能を持っているということであります。これは安全のその三原則に対してであります。  加えまして、本体の建屋等々の耐震構造の確認を図っているわけでありますが、まず、陸上の活断層の調査、それから海上調査、併せて漏れがないかを今チェックをしております。で、それを見越して既に各電力会社では各電源立地地点の補強工事を行っているわけであります。中部電力浜岡原発では千ガルにも対応し得るというような今補強工事をしているところでございます。これでまず耐震安全を図っていく。  それから、柏崎刈羽の反省からいえば、本体が大丈夫であろうとも、例えば火災が起きたときの消火施設が実は建築基準法に準ずる程度のところの強度で設置されていたと。これ、その地震が起きたときに発生する火災への対応もやっぱりその地震に耐え得るだけの構造を持っていなければならない、そういう点。  それから、情報伝達の点であります。それから、安全に加えて、安心を培うためには正確な情報が瞬時に届くということ。これは、政府としても数学者にしか分からないような数式を用いて知らせるんではなくて、日常生活に対してどのくらいの影響があるかということを分かりやすく伝達する必要がある。もろもろ反省点をしっかり踏まえて、安全と安心を培っていきたいと思っております。
  150. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございました。  私の質問はここまでにしまして、後は松村理事にバトンタッチしたいと思います。ありがとうございます。
  151. 松村祥史

    ○松村祥史君 自由民主党の松村祥史でございます。  三十分という短い時間でございますが、時間の限り質問させていただきたいと思います。  まず冒頭、甘利大臣におかれましては、引き続きの経済産業大臣御就任おめでとうございますと申し上げたいと思います。  と申しますのは、経済もようやく上向きになったと、しかしながら地方経済というのはまだまだ厳しいと、いろんな施策を前大臣のときに打っていただいたと思っております。また、この委員会でも議論をしてまいりました。その成果というものをこれからどんどんどんどん出していく、そういう意味では、引き続き甘利大臣に御就任をいただいたということは非常に心強いと思っておりますし、期待もしております。是非御活躍をいただきたいと思っております。  そういう意味では、私もここ四年目にこの委員会になりまして、大臣とも今年の三月にEPA構想についてはいろいろと議論をさせていただいたんですが、まず、このことについて御質問させていただきたいと思います。  原稿を読み返しますと、三月に私、大臣といろいろ議論させていただいて、東アジア戦略、こういったものについて大臣の御決意をと聞いた覚えがございます。そのときに大臣からは、このEPA戦略というのは、やっぱり相手国をどう選び、どういう戦略の下に選んでいくか、それが一番重要なことであって、こういったことを基にいろいろやっていくんだと。とりわけ、この東アジアにおいての戦略というのは今後極めて我が国にとって重要なものになってくると、こういった御決意を聞いた覚えがございます。  その意味で、大臣に御就任なされてからも、この数か月随分と精力的に動かれておられます。特に、十一月には東アジア・サミットもございます。また、今年八月に大体大筋合意をいたしました日本とASEAN包括的経済連携についても最終妥結に向けた行動を起こしておられると聞いております。まずは、その御決意、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  152. 甘利明

    国務大臣甘利明君) FTA、EPA交渉がなぜ大事かということは釈迦に説法だとは思いますが、日本の国内だけでの商売は、人口が減っていく、消費人口が減っていくわけでありますから、だんだん商売の規模が縮小していってしまうわけであります。でありますから、外に向けて日本と同じ条件で商売ができる、物が売れる、仕事ができる、その経済エリアを拡大をしていかないと、縮小に向かっていってしまう。  ですから、経済成長を引き続き維持していくためにも、経済領土を増やしていかなければならないと。EPA、FTA交渉というのは正に経済領土を増やすという行為だと思います。なかんずく、東アジア構想の大事な点は、正に東アジアというのは世界の成長センターと言われていて、二けた近い成長率を記録をしている、つまりそこの勢いを日本に取り込む必要があるわけであります。  そういった両面から、東アジアとのEPA、東アジア構想が極めて大事になってきます。その中核を成すのは日・ASEAN・EPAであります。これが先般大筋合意に至りました。ファインチューニング、細かい物品の調整を経て、十一月の東アジア・サミットまでに正式妥結に持っていきたいというふうに思っておりまして、今最後の調整中でございます。
  153. 松村祥史

    ○松村祥史君 これは今後の戦略でございますから、しゃべれる部分もありますし、そうでない部分もございましょう。是非強力に御推進をいただきまして、我が国の国益のために御尽力をいただきたいと、引き続きお願いを申し上げたいと思います。  引き続きまして、中小企業施策について御質問させていただきたいと思います。  先般も私、予算委員会で質問させていただく機会をいただきまして、そのときに、自分が思うところの中小企業施策ということをお話をさせていただいたんですが、若干、ちょっと触れさせていただくと、私は、自身で経営者をやっておりましたから、やはりこの中小企業施策、もうちょっとこういうところが変わったらうちの会社も伸びるのになと思うことが随分ございました。やっぱりそれは税であり金融対策であったと思っております。頑張ってできるだけこの会社の経費を節減しながら利益を出そうとも、税で抜かれていくような形が多うございまして、なかなか成長ができないような現状もあったような気がいたします。  そういう意味では、事業承継税制のこれ問題というのは今後大きな課題でございますし、今年は是非このことを成熟をさせて成長の一役に、中小企業にしていただきたいと思っております。その他方で、午前中も議論がございましたけれども中小企業に対する金融対策、このことについて詳しく御質問させていただきます。  今年の通常国会におきまして、先ほど大臣からもお話がございましたが、流動資産を担保にできるようにしていただきました。これは私も、随分地方を回りまして中小企業者の方々にこれ流動資産を担保にできるようになったんですよというお話をしますと、非常に喜ばれます。今後、我々はこの政策の中で第三者保証や不動産担保に依存することなく、やっぱりこういったものを担保にしてやっていく必要があると。また、今後、いろんな手を加えて最終的には民間企業にもこういったことが波及するような金融文化をつくっていくのが今回の政策の始まりだろうと、こう理解しております。  その中で、ABL制度を確立いただきまして、その協会の設立もあったと聞いております。このことについて、今後、このABL、どのような見解でお進めをいただくのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  154. 荻原健司

    大臣政務官荻原健司君) ただいまABL、アセット・ベースト・レンディングについて、その環境整備の必要性につきまして松村先生から御質問をいただきました。  御指摘のとおり、不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資の促進は大変重要なことだと思っております。また、この件につきましては、先ほど中谷委員からも御指摘をいただいております。こうした融資の促進手段といたしまして、今年八月より実施をしております流動資産担保融資保証制度が積極的に活用されることを期待をしております。  同制度は、現時点で先生御出身の熊本のおしょうゆ、おしょうゆですね、を担保とした融資などを始め十件の実績を上げさせていただいております。これらのように、保証制度を活用した先駆的な取組を通じましてノウハウを蓄積することによりまして、民間金融機関におけるABLに向けた取組が促進されるものと考えております。  また、私ども経済産業省におきましては、本年六月にABLの普及促進のためにABL協会を設立しております。現在、同協会と緊密に連携をいたしまして、評価、管理、処分といったABL業務に関するガイドラインの策定、関係事業者間のビジネスマッチング方策の確立等の環境整備に向けて検討を進めているところでございます。  特に、先生御指摘のとおり、流動資産をどのように評価をするか、またその管理、こちらに大変課題があるというふうに我々も考えております。また、さらに本年九月には、ABLの普及啓蒙のために金融機関や関係事業者等、約四百名を集めましたシンポジウムを開催をいたしております。こうした取組を通じまして、今後とも不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資の促進を図ってまいりたいと考えております。
  155. 松村祥史

    ○松村祥史君 荻原務官におかれましては恐らく初答弁かとは思いますが、すばらしい御答弁をいただきましてありがとうございました。大変詳しい御説明をいただきましてありがとうございました。  やっぱり、このABLの仕組みができたというのは非常に大きなことだと思います。しかしながら、借り手の皆さん方がまだ理解をよくされていない。それから、やはり製造業にとっては非常に有利でございます。しかし、非製造業の方々、こういったところにどう普及をしていくか。  冒頭申し上げました民間の、地銀と申しますけれども、地場の金融機関にこういった金融文化をいかにつくっていくか、これが今後の役割大でございましょう。是非環境整備を進めていただきましてこういった第三者保証、不動産担保、こういったものに頼らない、真に企業が一回失敗してももう一度再チャレンジができるような体制整備を促進していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。  あわせて、もう一つこの金融対策でございますけれども、昨年、政策金融改革を行いました。私ども中小企業の関連の三つの銀行、二つが引き続き政策金融、一つが民営化となりました。商工中金についてはここでも議論をさせていただきましたし、その移行期間というのは今進んでおるわけでございますが、残りの二つの国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、これはもう新たな銀行として再スタートを切るわけでございますけれども、ここに小規模事業者の皆さん方の頼りにしているマル経という制度がございます。  実は、私はこれを何度か使ったことがございますけれども、即効性のあるものか、即効性といいますと、申込みをいたしましてから非常に時間が掛かり過ぎると、こういう借り手の問題もありますが、やはり貸手側の少し制度を変えていく必要もあるのではないかと考えております。  と申しますのが、小規模企業の皆様方というのはおおよそ契約書のない関係が多うございます。五年間風邪を引かずに健康状態良好であっても、ある日突然相手のウイルスをもらって風邪を引くことがあるんですね。明日百万要る、二百万要る、こんなこともあり得る。そのお金が準備できずに残念ながら廃業、倒産と、こういったことが起き得る状態が多うございます。  そういうことを考えますと、この健康状態を評価したり、優良企業の格付ではございませんが、こういったものをやっぱり評価できるような制度、そのことによって金融が、政策金融がそういった役割を果たしていく、雨の日に傘を貸してくれる、こういう制度が必要であろうと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  156. 甘利明

    国務大臣甘利明君) とかくに日本の金融機関は、晴れている日に無理やり傘を押し付けて賃貸料を取ると、雨の日に必要な傘を頼もうとすると貸さないと、あるいは、金持ちにみんな貸しちゃって全部出払ってしまいました、傘がありませんというような回答が往々にしてあるということをよく中小企業関係者から伺うわけであります。そこで、傘が必要なときに傘の予約ができると、そして、本当に雨が降ってきたときに、予約していた傘を貸してくださいねと言うことができるようにするというのが中小企業政策の金融部門で大事な取組だというふうに思っております。  大企業にはコミットメントラインというのがありまして、ある枠を決めておいて、必要に応じてその枠内で資金調達をすると。それに類するものができないかということが先生を含めた中小企業政策にかかわる人たちの思いだったと思います。それを実現すべく予約保証制度の創設をするということを考えております。  具体的には、あらかじめ予約保証料を支払うことによりまして、将来、いざというときに迅速に保証を受けられるように保証枠を設定するということを可能にすると。この具体的な制度設計については次期通常国会における法改正を視野に取り組んでいきたいと思っておりますが、この制度ができれば中小企業金融政策が一段と前へ進むというふうに承知をいたしております。
  157. 松村祥史

    ○松村祥史君 傘の予約ができる、非常にいい言葉であるなと思いました。是非そのときに、社歴でありますとか、例えば高度経済成長期の昭和三十年代に会社を起こされた先代の皆さん方、こういった方々が今現役をちょっと引退される前後に来ているのかなと思いますが、こういう方々がよくおっしゃいます、やっぱり会社の評価というのは、利益もさることながら、長年にわたって地域に根を張り、税や雇用をやってきた、こういった長い歴史というのもひとつ金融の評価として見てもいいんじゃないかと、こういったことをおっしゃったのを思い出しました。是非、そういったことも含めまして、その傘の予約ができる制度設計の中にこういった観点も入れていただければ有り難いなと思います。  また、金融改革以来、メガバンクが登場いたしまして、それぞれ地方の主要都市に今進出をしております。今、地元に帰りまして金融状況がどうかといいますと、メガバンクの皆さん方はやっぱり資本力がありますので、いい会社にはいい利率で貸してくれます。そのことによって、本当は一番、地場の金融機関、地銀の皆さん方がしっかりとその中小企業のパートナーとしての役割を果たさなきゃいけない時期に、なかなか厳しい実情がございまして、貸し渋り、貸しはがしとまでは申しませんが、条件を変更したり、いろんな実情が発生しているようであります。そのことがどんどんどんどん信組、そういった小さな銀行にも波及をし、そういう意味では政策金融の果たす役割というのは、こういうときだからこそ大きな役割があると思っております。  ただ、借り手の皆さん方も政策金融を生涯パートナーと思ってもらうと、またこれは一つ勘違いがあるなと。というのが、経営というのは無借金経営が一番ベストな状態です。民間金融であれば、もうかればもうかるほど金利が変わります。その手前の段階での政策金融の位置付けですから。  やはり、政策金融の果たす役割というのは今こそ重要なものがあると思っておりますので、是非次期国会で傘の予約制度、実現していただきますように私からもお願いを申し上げたいと思います。  引き続きまして、これもまたさきの国会で成立をいたしました経済成長戦略関連三法の中で、地域資源活用促進法、それから企業立地促進法、この二つがございました。これについてのひとつ成果をお聞かせいただければと思います。
  158. 中野正志

    ○副大臣(中野正志君) 松村委員始め先生方に、この地域振興二法につきまして格段の御支援をいただきました。今、私ども経済産業本省を始めといたしまして、地方局も職員一致いたしまして、もう地方政府側に意識改革も迫り、ある意味で刺激も与えながら、鋭意一生懸命取り組んでおるところであります。  分かりやすく言いますけれども中小企業地域資源活用促進法については五年間で一千件の事業計画の認定を目指しております。数字であえて申し上げますけれども、本年八月三十一日にはその前提となる地域資源を総計で八千三百五十四件指定を、特定をいたしております。ちなみに、特定された地域資源、その八千三百五十四件の内訳でありますけれども、やはり農林水産物が一番多うございまして二千五百二十七件であります。また、産地技術、これが一千九百八十三件、また観光資源、三千八百四十四件、地域の方々も大変に燃えていただいてこういう形になっておるところであります。  こういう、各地の強みである地域資源を活用した全国百五十三件の具体的な事業計画に対し、法施行後初めての事業認定を十月十二日に行ったところであります。これら認定した事業の支援とともに、新たな事業認定に向けた支援を引き続き行ってまいりたいと思っております。  ちなみに、認定された事業計画百五十三件の内訳、これも分かりやすく言いますけれども、農林水産物が五十七、産地技術が八十一、観光資源が十五であります。また、ちなみに松村委員の御地元でありますけれども、熊本県通潤酒造株式会社さん、ブルーベリー、トマト、イチゴなど地元の野菜、果物を使った日本酒をベースとしたリキュールの開発をされたと、これからいろいろ販路拡大をすると。伺いますと、このごろは御存じのとおり、日本酒を嗜好する人たちが大分減ってまいりまして、その割にはしょうちゅうがずんと大きな伸び、その中で日本酒をベースにしてこういったリキュールの拡大ということでありますから、私たちも大変注目をいたしております。  ちなみに、リキュールでありますけれども平成十四年の統計からいたしますと、三〇%以上の伸びを示していると。とりわけ、女性の方々にも大変愛好されておられる。問題は、こういった開発を一生懸命進めていただく、その後、販路拡大どうするのやと、こういうことになるわけでありますから、もちろん製造者、基本でありますけれども、もう皆さんと一緒になって私たち経産省も一生懸命お手伝いをさせていただきたい。もう大臣どこにでも行くよと言っておりますので、遠慮なく私たちも活用していただければ幸いでございます。  なお、企業立地促進法についてでありますけれども、現在までに二十道府県で二十八件の基本計画が策定をされておりまして、国としても同意をいたしております。今後、引き続き、九十八の基本計画が予定をされております。これも分かりやすく言いますけれども、同意した基本計画によれば、数字でいいますと、今後五年間で約二千五百件の企業立地が見込まれております。そして、製造品出荷額等は現在に比べて大体五兆二千億円増加すると。それから、九万人の新たな雇用が創出をされる見通しであります。ちなみに地方税収も、固定資産税だけについて試算をいたしてみますと、五年後に約百九十億円の増収が見込まれるということであります。  今後、地域の声を直接聴く、正に地方との対話や、地域中小企業サポーターズサミット、あるいは企業立地促進フォーラムの開催など、引き続き地方政府側にもあるいは民間のいろいろな団体にもPR努めて、この正に地域振興、地域活性化に欠かせない二法の啓蒙に引き続き努力を重ねてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  159. 松村祥史

    ○松村祥史君 中野副大臣にも力強い御答弁をありがとうございました。  地域資源においては、目標千に対して初年度百五十三件でありますか、数は少のうございますが、それだけ動き出したということでございますから、またあわせて、その数値たる税や雇用、これについても検証いただいているようでございます。引き続き推進をいただきまして、やっぱり地域が活力を取り戻す一役にしていただきたいと思っております。  その関連の一つでございますけれども、私事で恐縮ですが、私の地元はしょうちゅうのメッカでございまして、米からしょうちゅうを造る地区でございます。球磨じょうちゅうでございまして、地域ブランドもいただいております。そんな中で、しょうちゅうの搾りかすを、これは今年の四月一日から海洋投棄ができなくなりましたから、それに備えて、しょうちゅう元二十六社、それから地元の市町村合わせて第三セクターでその処理工場をつくっております。これは非常にいい試みであるなと。出資と、それから製造したものをまたリサイクル、リユーズすると。しょうちゅうは飲んでいただきながら、そのかすまでも飼料や肥料に変えていくというようなことをやっておるんですが、ちょっと数字の方はまだ大まかではありますが、やっぱりこういったものをモデル事業としながら、私の地元というのはやっぱり米を主産業とするところの農業、林業県でございます。こういったところが原油の高騰で非常に打撃を受けております。また、米価の問題もございます。こういった農、商、工と合わせたところでの地方経済体系、こういったところにエネルギー政策としてこういう観点を入れていく、非常に大事なことであろうと思います。  本来であれば、日本全国で一遍に石油に頼ることなくこういったエネルギー政策を転換していく、こういった発想も大事でありましょうが、小さなことからやっぱり積み上げていく必要性があると思います。そういう意味では、こういった取組についてどのような取組があるか、御見解、またありましたらば教えていただきたいと思います。
  160. 荻原健司

    大臣政務官荻原健司君) 今、松村先生から御指摘をいただきました九州、特に先生の御地元熊本は球磨じょうちゅう、大変有名なところでございますし、私も大変好んでいただいているところでございますけれども、先生御指摘のように、地域資源を生かして様々なものに生かしていこう、この観点は非常に重要なことだと思っております。  特に、先生は先ほどしょうちゅうかすなどを生かすというお話をいただきましたけれども、このしょうちゅうかすなどの地域のバイオマスを活用いたしましてバイオ燃料等に利用することは、燃料の多様化、あるいは地球温暖化、さらにはカーボンニュートラルのような観点からも大変有効であるというふうに考えております。また、未利用の地域資源の利活用や新規産業の創造というような観点からも、地域産業の活性化に資するものであるというふうにも考えております。  このようなことから経済産業省では、バイオマス・ニッポン総合戦略の下、農林水産省等と連携いたしまして、地域のバイオマスを活用したバイオ燃料の実証事業、また導入への支援等、様々な措置を講じております。具体的に一件、実証事業を御説明を申し上げたいと思いますけれども、これ、先生御地元のお隣の鹿児島の事例でございますけれども、鹿児島のしょうちゅうメーカー、しょうちゅうを造って余ったかすを様々な処理をいたしますとバイオガスが、ガスが効率よく回収できるということでございまして、このガスをまた工場内で再利用することによって、また蒸気に変換をしたりというようなことで生かされております。  今後とも、関係府省と密接に連携をしつつ、地域資源を活用したバイオ燃料等の利用促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。
  161. 松村祥史

    ○松村祥史君 荻原務官、ありがとうございました。  こういった地域の取組というのは恐らくどこにでもあることだと思うんですね。しかし、なかなかうまくいかない理由の一つに、地域のやる気はあれどもすべがなしというようなことで、確かに経済産業省始めそれぞれの省庁、連携をいただいているんですが、その連携の壁が現場ではもっと高くて、なかなか一つにならないと、こういったことが大きな理由にあるような気がいたします。そういう意味では、是非、これこそ経済産業省がコーディネーター役を務めていただいて、その指揮役をやっていただければ大変有り難いなと。そういうモデル事業の認定であるとか、そういったことも今後御検討いただければと思うところであります。  もう時間がございませんけれども、最後に、先般、予算でも私、事業承継税の話をさせていただきました。  実は、委員長でございます渡辺委員長、昭和五十六年、五十七年、我が党に御在籍のころ、この事業承継税制委員会の事務局長をお務めいただいて、五十八年でございますか、当時、小規模事業宅地の八〇%の減免措置、こういった私が今申し上げたような中小企業の中の小規模事業者、ここを育てなきゃいけないという、育つための税制改革に御尽力をいただいたということを聞いております。  昨今、その時代からしますと、後継者も随分減ってまいりました。後継者の事業の承継の円滑化、また事業税制、これを取り省くことでやっぱりこういったものがスムーズになって地域の活力を担う若者が増えていく、また日本の国力を担う中小企業、中堅企業が増えていくというのは非常に大事なことであろうと思います。これはもう私に限らず、我が党に限らず、この委員会の命題でもあろうかと思います。  残念なことに、このことは決して昨今出てきた話ではないんです。残念なことに、もうここ、そうですね、二十年来というと大げさかもしれませんが、その理由の一つに、やっぱり中小企業者がなかなか一つにまとまらなかったということもありましょう。しかし、我が国成長期にあったということが大きな理由でありましょう。それがいま一度またリセットの時代を迎えている。なおかつ、地方の活力、こういったことを考えますと、中小企業施策の中の小規模企業者、ここをやっぱりしっかりと地元に根を張って頑張れる企業に育てていくことこそが大事であろうと思いますので、是非事業承継税制については、今年、悲願でございますので、皆様の御協力を得て達成させていただきたいと思っておりますので、このことも大臣に強力に御推進いただきますことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  162. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  皆様、大分お疲れになっていらしたと思いますけれども、質問をさせていただきたいと思います。  正直言いまして、質問しようと思っていた、特に中小企業関係のことはもう本当に思っていたことがほとんど出たというような気がいたしております。その質問をする前に、私はまず産総研における危険物病原体の不適切な管理について一言申し上げたいと思います。  午前中に増子先生も御質問されましたけれども、私は、質問ということではなくて、やはりこれは大事な問題であるので一言申し上げたいというふうに思います。  細かいことはもう申し上げませんけれども、私は、この寄託センターが危機管理能力が欠如していたと言われてもやはりこれは仕方がない状況であると。これは、株が三株であったから大丈夫だとか、あるいは何株であったから大丈夫だという問題ではない、たとえ一株であってもこうした重大なことでありますので、しっかりとした危機管理能力を持って対処していかなければいけない問題であるというふうに思っている次第であります。  それから、もう一つ残念なことは、これは平成十三年にこの事実が経済産業省としては分かっていたんですね。そのときになぜ情報公開、情報開示をしなかったかと。これは非常に私は大きなことではないかというふうに思います。今回のこうした寄託センターの問題だけではなくて、いろいろな場面において本来はあってはいけないことがあることもあります。もしそういうことが起こった場合に、やはりそれが事実として分かった段階できちんと情報開示を素早くするということが何にも増して国民の皆様の信頼をかち得ることなんですね。  ですから、私は、コンプライアンス、大臣何度もおっしゃいました法令遵守、これを必ず守る、経済産業省として新たな決意を持って私は出直していただきたいということをまず一言申し上げさせていただきたいと思います。  甘利大臣、先日所信を述べられた際に、先ほどから出ております地域の中小企業の活性化を一番の課題として挙げられておられました。今日も午前中から、先ほどは松村先生まで、本当に大事な中小企業の問題、種々出ております。  私も実は、限界集落と言われまして地域社会の存続すら危うくなっている、そうした地域も含めて先日来いろいろ訪問させていただいて、いろいろな方たちと意見交換をさせていただいております。やはり、どんな地域に行っても中小企業というものは必ずあるわけでありまして、その中小企業の皆様が、今グローバル化ということで、自分たちもそうした大きな構造の転換の中で、産業構造の転換の中で、グローバル化の中で非常に苦しんでいると。やはり、そのグローバル化を通じて大企業中心に成長が続く、一方でその成果を地域の中小企業にどのように波及させていけるのかと、これが大きな私は課題、命題であるのではないかというふうに思っている次第でございます。  当然ながら、そうしますと中小企業政策というものが重要でありまして、なかんずく、やはり中小企業は融資ということが大事であります。  実は、先ほどから傘の予約という話が出て、私はうれしいなと思ったのが、実はさきの通常国会予算委員会で私は、メガバンクは税金も払っていないくせに正に中小企業には知らぬ顔、そういうメガバンク、とんでもないと、雨の日に傘を貸さないと申し上げましたら、当時の安倍総理が、雨の日に傘を貸さないどころか貸した傘を雨の日に返してくれ、取り上げるようなとんでもないのがいると、こういうことじゃいけないという、おっしゃったことがだんだん発展をしてきまして、今傘の予約という話にまでなって、これは非常にうれしいことだというふうに思っておりますけれども、私は、こうした融資というものがやはり中小企業零細企業の皆様にとっても大事なことであると。  その中で、やはりこれも出ておりますけれども日本は、一度失敗した、倒れてしまった企業に対してはもう大体金融機関は相手にしてくれないというのが本当のところですね。本当に諸外国は、それは直接金融、アメリカなどでは直接金融、あるいは日本は間接金融という、こういう違いもありますけれども、やはり私は相手にしてくれないということが非常に問題であると。大臣も先ほどおっしゃってくださいました、正にノウハウであるとか、あるいは一度失敗したら同じ失敗をしないわけですから、例えば諸外国では、かえって一度つぶしたところの方が新規の人よりもお金を貸すんですね。やっぱりそういうものを生かしたこれからは政策をしていかなければいけない。そういうことで再チャレンジ政策を進めてくださったというふうに思っております。  昨年末に与党として、国民金融公庫の融資制度を始めとした再チャレンジのための金融政策、整備してまいりました。少し実施状況も伺いましたが、もう一度その実施状況と、それからその実績はどうなっているかをお伺いをしたいと思います。
  163. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答えいたします。  御指摘の再チャレンジ支援策でございますが、まず融資につきましては、本年四月に再チャレンジ支援融資制度をつくってございます。それから、保証制度につきましては、本年八月に再挑戦支援保証制度をつくっております。  その実績を九月までで申し上げますと、まず融資の方でございます。中小企業金融公庫におきましては四十五件、八億四千万円、国民生活金融公庫、五百四十七件、合計で十九億二千六百万円、商工中金、三十件、合計で六億三千万円ということで、政府系の三金融機関におきましては六百二十二件、合計で三十四億円の実績が出ておりまして、非常に活用を進められておるところでございます。また、信用保証制度につきましては、八月にできたということで、現在、九月までのところでは二件、三百万円という実績でございます。  いずれにいたしましても、中小企業の再挑戦、再チャレンジ、これを一層支援して資金調達の円滑化に努めてまいりたいというふうに思っております。
  164. 松あきら

    ○松あきら君 六百二十九件というものが三金融機関で多いのか少ないのかという問題は、私は大いにあるというふうに思っております。  なぜならば、いい制度をつくってはくださったんですけれども、実際、正に午前中に中谷先生もおっしゃいました、預金通帳に預金があなたゼロでしょうと、ゼロなのによく、どういう顔して、自分の、借りに来たんだとか、いろんなそういうことが実際にはあるんですよ。預金通帳に預金がない、あるいは担保がない、ないからこれ利用したいと思っている、リスクが高い。  本当にこういう、実際は、ですからこういうことでなかなかいい制度ができても進まないという現状があるということを私は是非御理解いただいて、この数字が私はまだまだ低いと、もっともっとこの数字を高めていけば、正に地方中小企業あるいは零細企業の方がもっともっと復活をしてきて活性化になるということを申し上げたい。やはり支援策が生きてくるように魂を入れていただきたいということをお願いを申し上げておきます。  それから、売り掛け債権の担保融資制度の話を少し、先ほどから出ておりましたけれども、実は、私も政務官させていただいていたときに、全国歩いてこの売り掛け債権を担保に取ってくださいよといろんなことでお願いしました。なかなかこれも進まないんですね。現状は進んでいないんです。なぜかといいますと、これ種々の理由はあるんですけれども、その大きな原因というと、やはり保証協会の保証の一〇%は事故があったときに金融機関が負担するという制度が引っ掛かっているのかなということであります。  今回、信用保証制度の責任共有制度、私は、実は責任共有制度というのはある意味ではこれ大事だと。諸外国では一〇〇%保証というのはないんですね。ですから、金融機関にもしっかりと責任を持ってもらって目利きの能力も付けてもらう、また経営の、何というんですか、支援、経営そのものを支援する、経営をアドバイスする、そういう能力も養ってほしい。そしてまた、借り手の方も、一〇〇%ということでどこかに甘えがある方もいると。そういう両者があったということで、私は共有制度ということも実は大事なことであるとは思っているんです。  思っておりますけれども、やはり売り掛け債権の場合もあるように、この二〇%ということを考えますと、まあまだまだ景気は云々と言われていますけれども中小企業の皆様にはその景気の波及効果がないということで、その中でまたぞろ貸し渋りやなんかが起こったら心配だなという杞憂があります。この杞憂、どのように払拭をしていただけるのか、どのようなこれに対する対策がおありになるのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  165. 中野正志

    ○副大臣(中野正志君) 責任共有制度、正に先生からお話をいただいたとおりであります。  私たちも一〇〇%保証というこの信用保証制度、金融機関がこれからは一部責任を持つのだということは、金融機関としては非常に意義あるものだと考えております。そのことで中小企業に対する経営支援なども更に進むであろうと、こうは思っておりますものの、今、松先生からお話しいただきましたような一部の御懸念も確かであります。  ちなみに、私たちはこの制度の導入に当たっては、十月一日の施行までに二年三か月の準備期間は設けております。また、こういった制度導入による影響を緩和するためということで、小規模企業、あるいは突発的災害に遭われた、あるいはまた創業支援、再挑戦支援、再生支援にかかわる保証、こういったものなどにつきましては、当面一〇〇%保証を継続することといたしております。  加えて、単純に保証割合を八〇%に変更するといういわゆる部分保証方式に加えて、いったん一〇〇%保証とした上で、事後的に二〇%相当分を金融機関が負担するという負担金方式も入れるということで、金融機関にとってはそういう意味ではリスクはそんなに大きくはないと確信をいたしております。  ちなみに、公明党の経済産業部会さんからも九月に申入れをいただいておりますけれども、商工会議所なりあるいは全国経済産業局に相談窓口を設けたらいかがかと、こういうこともお話をいただきまして、今五十二か所の信用保証協会及び九か所ということで窓口での相談対応にきめ細やかに取り組まさせていただいております。  なおまた、導入後の状況に関するフォローアップもありますけれども、このことにつきましては、地域金融機関のトップに対して貸し渋りなどを起こさないよう金融庁のハイレベルから指導もいたしておりますし、経産省また金融庁、連携して一体となってそういったことなどのないように取組をさせていただきたいと思っております。  ありがとうございます。
  166. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。  負担金制度というのが、負担金方式というのはすごくいいんですね。これ、実は一〇〇%保証して、後で二割、お金の面ではお願いしますよということなんですけれども、不良債権にならないんですよね。金融機関は不良債権になるのが一番怖いんですから、これが私は利用していただければ、金融機関もかなり貸していただけるのではないかと。私は役所の人間じゃないんですけれど、こういう少しいいことをやっぱり一杯宣伝して、少しでも貸し渋りがないようにしていただきたい。これ、是非もしどなたか地元の方に先生方聞かれたら、この方式がいいですよと、金融機関に言って貸してくださいって、というふうに申し上げていただきたいというふうに思います。  実は地域資源活用法を御質問しようとしたんですけれども、先ほど松村先生、しっかり出ました。実は、私が副大臣のときにこれを作りました。地域資源活用企業化プログラムという名前でした。実はすごく画期的なこれは政策であります。  つまり、自分たちの地元にこういう何か農産品もあるな、あるいは観光資源もあるなと思っても思い浮かばない。そういうときに、機構であったりあるいは商工会議所であったり、相談していただくと、専門員を紹介してくださって何回も勉強会を重ねられるんですね。その中で、ああ、じゃこれを作ろうか、これを売ろうかとなると、じゃ試作品も要るなというと、それに補助金も出て、試作品を作る。展示会もできるんですね。そうすると、そこで、じゃ評判良かったからやろうとすると、低利の融資、政府系金融機関でお世話していただいて、そしてこういうところが売れ口ですよという広い意味で販路開拓もお話しいただいて、そして最後は設備投資の減税まで行くんです。  つまり、本当に入口から出口までというこの制度なんで、私は、これはもうどんどん地方の方に活用していただきたいなというふうに思っておりまして。これは質問をやめます。  それでは、コンテンツ産業について御質問いたします。  先週の土曜日から、第二十回目を迎えます東京国際映画祭が開催をされております。我が国の文化、芸術というものは世界に誇れる貴重な資源であります。  私は、以前この当委員会でもゴールドマン・サックスが日本の三十年後、五十年後の、世界の今経済第二位であるけれども、世界大国の、経済大国の日本がどうなるかと、BRICsにも負けるという、こういうものを出しまして。ところが同じ新聞にまた別途の学者さんが、そういうこともあるけれど一つだけ勝てるところがあると。それは経済力では負けるかもしれないけれども文化力では世界一になれるんだという、こういう記事がありまして、私も当時経済産業省がカンヌ映画祭にブースを出したりしてすばらしいというふうなお話をしたんですけれども、正に、特にこのコンテンツ、我が国にとって極めて重要な戦略であります。  大臣は、以前からコンテンツ議連の会長ももうお務めくださっておりまして、正直言って、与野党と言うと怒られますね、与党の中では特にこのコンテンツに関してはもう本当に引っ張っていってくださった私は方でいらっしゃるというふうに思っております。いろいろ申しません。大臣の強いコンテンツ産業振興に対する意気込みをまずお伺いしたいと思います。
  167. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御案内のとおり、今年からJAPAN国際コンテンツフェスティバルというふうに銘打ちまして、日本が誇るコンテンツを四十日間に集結をいたしました。スターティングは東京ゲームショウでありまして、今クロージングの最中ですが、クロージングは東京国際映画祭であります。映画祭のオープニングには、六本木ヒルズでレッドカーペットを敷きまして、出演映画関係者が三百組以上、レッドカーペットを盛装して歩いたわけであります。私も担当大臣として歩かせていただきました。参議院某副議長と一緒に歩いたんでありますが、できれば松先生と歩きたかったなと思っておりますが。  日本は、こういうゲームとかアニメとか映画、漫画、あるいはキャラクターグッズ等々、今、十四兆円産業でありますが、十年以内に二十兆円産業にするという目標を立てているわけであります。これは経済の言わばソフトパワーでありますが、同時に、文化とか価値観とか伝統とかを海外に伝播する外交特使のような役目もコンテンツはするわけであります。いろんな意味でこれから守り立てていかなければならないと思っております。  これまで、先般開催して今日までに終了したイベントの来場者総数は四十三万人だそうでありまして、東京国際映画祭と合わせれば相当な数にまたこれは増えていくんではないかと思っております。  これからまだ課題はたくさんあります。ちょっと四十日長過ぎると。将来的には半分ぐらいにしてもっと凝縮をしたいと思っておりますし、その期間中にはありとあらゆるコンテンツ関係者日本に集うという世界に冠たるコンテンツ祭にしたいというふうに思っておりまして、それには先生方の御協力をいただいて、予算の継続的な獲得ということが大事になってきますし、経済産業省を始め、今五省庁ぐらいがたしか共同してやっておりますけれども予算の面でも各省とも精力的に取り組んでもらえるように、引き続き頑張っていきたいというふうに思っております。
  168. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。  もう本当に、約十四兆でございますけれども、二十兆を私は超すというふうに本当に思っておりまして、大事なコンテンツであるというふうに思っております。  しかし、その一方で、足下では日本のコンテンツ産業の競争力が失われているんじゃないかと。一つは、動画を中心に九割が海外で委託されているんですね。まあそれは簡単なところだと、こう言うんですけれども、今はコストダウンということで国際分業がされておりますけれども、これでいいのかと。日本のコンテンツ産業の将来を担う人材が育たないということにつながっているのではないかと。  実は、アニメの学校、漫画家を育成する学校等々があるそうでありますけれども、ここの半分以上、六割から七割が何と外国人だそうです、生徒の。そして、それもほとんどがアジアの中国、韓国、台湾、少し欧米の方もいますけれども、なんですね。しかも、もう青田買いで、この生徒のうちにもういろんな会社が引っ張りに来ていると、こういう状況なんです。  私は、やっぱりコンテンツ産業というのはすべてと言っていいほど人的資産が価値でありますので、やはりこの人材育成ということは非常に大事じゃないか。特にアジア諸国との間で競争力を維持していくことができるのか。そうしたコンテンツ産業人材育成に向けた具体的な取組をお伺いしたいと思います。
  169. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) 松委員にお答えさせていただきます。  御指摘のとおり、日本のコンテンツ産業の国際競争力を強化するために優秀な人材の確保ということは非常に重要なことでございまして、今もう既に例を挙げていただきましたが、実際アニメの制作におきましては、単純な作画作業はもうどんどん海外で行っているということがありますけれども、中核となるところの技術はやはり日本国内において確保することが重要であると思っております。  そのために、経済産業省では、昨年からアニメ作製の中核となる人材の育成をする事業を行っております。今大臣の方からお話ありましたコ・フェスタにおきましてもコンピューターグラフィックスの人材育成事業を実施しておりまして、実際私も行かせていただきましたが、十四歳の少年の作品でありますけれども、非常に国際的に著名な学会へ招待されるほどの優秀なものがございました。  このように、このフェスティバルを通じまして日本の若手優秀クリエーターの発掘ということも更に行っていきたいと思っておりますし、併せまして、国内外の優れたプロデューサー等を講師といたしましたコンテンツ人材育成セミナーを開催するなど、日本のコンテンツ産業の次代を担う人材の育成に努めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  170. 松あきら

    ○松あきら君 山本務官も今日が初答弁ではないでしょうか。実は、IT関係のこうしたコンテンツなどのいろいろな会合に山本務官が出ていかれると大人気だそうでありまして、あっ、この人、議員さん、済みません、政務官さんですかなんて、若い女性ということでびっくりするというふうに伺いましたけれども、頑張っていただきたいというふうに思います。  是非、コアの部分は、これは普通の製造業もそうですけれども、こうしたコンテンツも大事な部分は外国には取られないように、やはりこれはしっかりとこうした人材育成事業も進めていただきたいというふうに申し上げさせていただきたいと思います。  また、そのコンテンツ産業が維持できるようにしていかなければいけない、しかしその懸念がもう一つある。というのは、模倣品や海賊版ということであります。こうしたいろいろな製品だけではなくて、こうしたコンテンツにおいても今非常に、もうそっくりみたいなものがよく出ております。やはり私は、著作権ということも非常に大事である。そう言っちゃなんですけれども、やっぱり中国が多いですね、これ、まねするのが。私は、前もこの委員会で一度大きく話題になりましたが、やはりいろいろな意味で模倣品、海賊品の被害というのは世界で八十兆円に上るそうです、全世界を合わせますと。やはり特に日本がこれから力を入れていかなければ、更に力を入れていかなければいけないコンテンツ産業における模倣品、海賊版のこの被害、そしてまた対策についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  171. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) 今御指摘のとおり、模倣品、海賊版というのは知的財産立国を目指す我が国として断じて許すことができないものだと思っております。海賊版によります日本のコンテンツ産業全体への被害等、これを見積もることは非常に困難ではありますけれども、例えば例を挙げますと、日本の映画産業に及ぼした損失につきましては、二〇〇五年におきましては約八百二十億円にも上るという推計がございます。  こうした被害に対しまして経産省では、民間及び現地の取締り機関と協力をいたしまして、海賊版の摘発活動というものを実施するなどの対策を講じております。これまでに海賊版のDVD等約三百七十四万枚、これを押収するなどの着実な成果を上げてきているところではありますが、いろいろ課題がございます。  加えまして、さきの通常国会におきましては、映画の盗撮の防止に関する法律が八月三十日に施行となりました。経産省といたしましても、この法律が着実に施行されるように、映画業界を指導してまいりたいと思っております。  今後も引き続き、今御指摘をいただきました点も含めまして、アジアを中心といたしました諸外国との政府間対話の場などを活用いたしまして海賊版の撲滅に向けた施策を推進いたしまして、知的財産立国の実現に向けた取組を進めてまいりたいと思っております。
  172. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。
  173. 松下新平

    ○松下新平君 皆様、どうもお疲れさまです。本日最後の質疑をさせていただきます無所属の松下新平と申します。無所属はいろんな制約がありますけれども、今日は質問の機会をいただきました。渡辺委員長、そして理事の皆様、御配慮ありがとうございます。  私は、国政に参りまして三年間、農林水産委員会に在籍しておりまして活動してまいりまして、今回初めて経済産業委員会に参りましたので、初めての質問となります。  午前中からの質疑もお伺いしながら、この経済産業の所管する分野の広さにまた責任の重大さを改めて感じたところであります。私たちに身近な生活に密着する製品の安心、安全の分野から、今日も出ましたけれども、エネルギーあるいは世界経済、そういった分野を網羅するということで大変責任も感じております。国土の狭い日本がこういった経済成長を遂げて、また、先ほどお話がありましたけれども、人口減少の中で更にまた成長をしていく上での経済という意味では大きな期待も寄せられているわけですが、様々な政治課題、道路を造ったり、福祉、医療の充実、これにもやはり経済成長、そして予算あってのことですから、そういった意味も踏まえてこの委員会でも活動をしてまいりたいと思っております。  もうお疲れでもありますので、大きく一問に絞って質問をさせていただきたいと思います。  私も地方の県職員から県議会を経て国政に参りましたけれども、国政というのは大きく外交防衛、そして大きな経済、教育というのを特化してやるべきではないかなと思っていたんですけれども、実際三年間の活動の中で、地元皆さんからいただく声というか、地方の実情というのは、やはり身近な問題がございます。この経済産業におきましては、ただいまこの委員会でも議論になりましたけれども道路特定財源堅持の問題や原油高、再チャレンジ融資、私も地方選出の議員として皆さんと同じ思いをしております。  そういった意味で、この民意を反映するのが私たちの役割でもありますので、これから大きな経済論議はこれからの委員会でさせていただくことにして、まずは地方経済の現状を、そしてこれからの取組について甘利大臣にお伺いしたいんですが、ちょうど大臣も二年目を迎えられるということで、予算も編成されて、そして一部には実績を上げられたところもあろうかと思いますが、申し上げましたように、これから大きな経済を語る上でも、日本経済、そして地方一つ一つが元気にならなければ世界に対峙できない、地方のエゴではなくて、そういった私も確信を持って政治活動をやっていきたいと思いますが、大臣の御所見をよろしくお願いいたします。
  174. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 日本経済は堅調と一口に言われていますけれども課題は多々あるんでございまして、それは今日のこの委員会でも各委員から指摘をされているところであります。それほど足腰が強くない、低成長が長いこと続いている、これをもっと高い目標に持っていけるように、あるいは一人当たりGDPの目標を掲げて、それに政策を分かりやすく集中するようにという御指摘もいただいております。  同時に、全体として平均値を取ればそうなのかもしれぬけれども、しかしそこには格差が存在するではないかと。大企業中小企業格差、もちろん競争力の違いによって結果論として格差は出るんでありますけれども、それが全く縮まらないとか拡大するばっかりとか、あるいは取り返すチャンスがないとか、そういうことであるならば、もうモチベーション自身が下がってしまって、やがて全体へ及ぼす影響は甚大であるということ。あるいは、都市はいいけれども地方についてはなかなか元気が出ないと。  これを分析をしていきますと、産業構造の違いというのが一つあります。製造業、なかんずく自動車とか電機、電子の産業基盤が分布しているところについては有効求人倍率も高いんでありますし、失業率も低いと、かなり元気と。しかし、そういった産業が分布していない、特に一次産業依存型の地域については極めて状況が厳しいという指摘があります。  であるならば、この地域を元気にするためにはそういった元気な産業を立地させるような仕組みをつくることがまず一つ。これはさきの通常国会企業立地促進法という法律を出しました。これは、従来の企業立地型ではなくて、単に工場用地を整備して工業用水道を整備するという程度の話ではなくて、人材供給をどうするか、あるいはインフラとの連動、整備をどうするか、あるいは財政力指数が弱いところには誘導措置についての補完をするような国の財源措置がないかとか、あるいは許認可自身がワンストップでできるような行政上の仕組みをどうつくれるかとか、そういうもろもろのことを込めた仕組みをつくったわけであります。そういう企業立地と、それから地域に存在する資源を活用して業を起こしていくと。地域資源活用法、地域資源を使って産業化していくと。そういう仕組みをつくって、その地域に税収雇用を生み出していく仕組みをつくるわけであります。  それと同時に、じゃ一次産業はもうあきらめるしかないのかというと、これはまた違う話でありまして、農業依存地域には農業を抜本的に元気にしていく方策を、農水省のお手伝いを我々ができないかということも今取り組んでいるところであります。農業者によっては農業のIT化を進めることによって、価格は高いけれどもそれ以外の品質とかおいしさ、あるいは安全性、安全の見える化というのを売りにして競争に立派に勝ち抜いていくという農業もあるわけであります。農業に新しい産業政策的視点を加味して、どう元気にしていくか、これは我々が農水省をお手伝いできる一つではないかというふうに思っております。  ですから、一次産業をもうあきらめるんではなくて、一次産業自身を元気にしていくと、それから元気の源たる企業立地を進めていく仕組み、それから現地の強みを生かして業を起こしていく仕組み、この三位一体で地域の元気を培っていきたいというふうに思っております。
  175. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  また今後の委員会質疑させていただきます。ありがとうございました。
  176. 渡辺秀央

    委員長渡辺秀央君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後二時四十四分散会