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2007-12-25 第168回国会 参議院 環境委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年十二月二十五日(火曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十七日     辞任         補欠選任      梅村  聡君     山本 孝史君      加賀谷 健君     広中和歌子君      木庭健太郎君     山下 栄一君  十二月三日     辞任         補欠選任      大久保潔重君     牧山ひろえ君  十二月四日     辞任         補欠選任      牧山ひろえ君     大久保潔重君  十二月五日     辞任         補欠選任      轟木 利治君     行田 邦子君      広中和歌子君     加賀谷 健君  十二月六日     辞任         補欠選任      加賀谷 健君     広中和歌子君      行田 邦子君     佐藤 公治君  十二月七日     辞任         補欠選任      佐藤 公治君     轟木 利治君  十二月二十二日   委員山本孝史君は逝去された。     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松山 政司君     理 事                 岡崎トミ子君             ツルネン マルテイ君                 中川 雅治君                 橋本 聖子君     委 員                 大石 正光君                 大久保潔重君                 轟木 利治君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 荒井 広幸君                 神取  忍君                 川口 順子君                 加藤 修一君                 山下 栄一君                 市田 忠義君                 川田 龍平君    国務大臣        環境大臣     鴨下 一郎君    副大臣        環境大臣    桜井 郁三君    大臣政務官        環境大臣政務官  並木 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        加藤 堅一君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      井上 美昭君        外務大臣官房審        議官       深田 博史君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務大臣官房参        事官       大江  博君        財務大臣官房審        議官       川北  力君        財務省主計局次        長        木下 康司君        農林水産大臣官        房審議官     佐々木昭博君        経済産業大臣官        房審議官     伊藤  元君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       上田 隆之君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      西山 英彦君        環境大臣官房審        議官       谷津龍太郎君        環境大臣官房審        議官       白石 順一君        環境省総合環境        政策局長     西尾 哲茂君        環境省地球環境        局長       南川 秀樹君        環境省自然環境        局長       櫻井 康好君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君        防衛省地方協力        局次長      山内 正和君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○環境及び公害問題に関する調査  (気候変動に関する国際連合枠組条約第十三回  締約国会議及び京都議定書第三回締約国会合に  関する件)  (京都議定書目標達成計画の見直しに関する件  )  (鳥獣被害防止特措法野生生物保護管理に  関する件)  (世界水環境に関する件)  (再生可能エネルギー導入拡大に関する件)     ─────────────
  2. 松山政司

    委員長松山政司君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  皆様既に御承知のとおり、本委員会委員山本孝史君は、去る十二月二十二日、逝去されました。誠に哀悼痛惜に堪えません。  ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。  どうぞ御起立お願いします。黙祷を願います。    〔総員起立黙祷
  3. 松山政司

    委員長松山政司君) 黙祷を終わります。御着席お願いします。     ─────────────
  4. 松山政司

    委員長松山政司君) 委員異動について御報告いたします。  本日までに、木庭健太郎君及び加賀谷健君が委員辞任され、その補欠として山下栄一君及び広中和歌子君が選任されました。     ─────────────
  5. 松山政司

    委員長松山政司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官井上美昭君外十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 松山政司

    委員長松山政司君) 環境及び公害問題に関する調査を議題といたします。  この際、気候変動に関する国際連合枠組条約第十三回締約国会議及び京都議定書第三回締約国会合に関する件について鴨下環境大臣から報告を聴取いたします。鴨下環境大臣
  8. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) バリで開催された気候変動枠組条約第十三回締約国会議及び京都議定書第三回締約国会合に、十二月十二日から十五日まで出席いたしました。  会議では、百八十八か国から閣僚などが出席し、合計一万人以上の参加を得て、地球温暖化対策に関する二〇一三年以降の国際枠組みについて活発に意見交換を行いました。  我が国は、次期枠組みについて、すべての主要排出国が参加し、世界全体での排出削減につながるものとなるよう、交渉の場を立ち上げることを最優先とし、積極的に各国に呼び掛けました。二国間、二者間でも、中国の解振華国家発展改革委員会副主任、米国のドブリアンスキー国務次官、国連の潘基文事務総長らと今後の交渉進め方等について意見交換を行い、合意形成に努めました。  その結果、次期枠組み構築に向け、米、中、印を含むすべての国が参加した特別作業部会枠組み条約の下に設置することについて合意を得ました。同部会の下、次期枠組み主要課題として、先進国途上国の双方による排出削減地球温暖化への適応、技術、資金などについて検討し、二〇〇九年までにその合意を目指すこととなりました。  今回の合意を受けて、いよいよ来年からは本格的な中身の議論になります。我が国は、サミット議長国として、実効ある枠組み構築に積極的に貢献していくことが重要です。私としては、次期枠組みにおける我が国削減目標バリ合意された今後の交渉主要課題の検討を加速化していきたいと考えています。
  9. 松山政司

    委員長松山政司君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会・日本の岡崎トミ子でございます。  ただいまの鴨下大臣の御報告につきましては、後ほど福山議員の方から御質問をさせていただきたいと思っております。  今、鳥獣被害拡大深刻化しております。農作物の被害全国で二百億円に上ると言われております。中山間地などでは壊滅的な被害を受けている地域も少なくありません。加速化が進む中、ぎりぎりのところで踏ん張ってきた農家が、せっかく作った作物を収穫目前被害に遭うなどして絶望し座り込んでしまうというようなお話は、正に胸に迫りました。文字どおり、廃村に追い込まれた地域もあると聞いております。  そういう状況の中で、今国会、議員立法鳥獣被害防止特別措置法が成立したわけです。スピード審議でありました。多くの町村会長さんから成立に協力するよう陳情を受けました。期待されて成立した法案でございます。  一方で、この法律について心配する方たちからも大変熱心な訴えをいただきました。野生動物乱獲につながるのではないかという声、この法律では本当被害防止にならないのではないかという声、したがって金の無駄遣いになってしまうだけだという声、いろいろございました。  最近の鳥獣被害深刻化拡大には背景がありまして、きちんとポイントを押さえた対策が必要だと考えます。森林の荒廃、里地里山の撤退、衰退、過疎化の進行などの結果、鳥獣行動範囲と農地や集落の境があいまいになってしまったこと、猟師さんの減少で狩猟圧が低下したことなど重要な要因だろうと思います。この特措法の十四条で、国と都道府県被害状況鳥獣生息状況等調査と、その調査結果等を踏まえた被害原因の究明を義務付けたという理由もそこにあると思います。  民主党は、これまでこうした原因に的確に対応するための対策強化を、ここ数年の鳥獣保護法改正のたびに訴えてまいりました。一つ生息地管理被害防止個体管理一体で行うこと、一つ、根拠ある対策を行うための調査を行うこと、また専門家現場保護管理を担う人材育成配置を進めること、十分な財政措置をとることなどが内容であります。  もちろん、特措法がうまく機能して被害が少しでも軽減するということが願うわけなんですけれども、心配されますように駆除一辺倒になるなど、特措法の下での対策が不適切に進められては本当被害防止につながらないだけではなくて、生態系を傷付け、種の絶滅を招くおそれもあるわけです。そうした心配から、特措法運用方針、今後の被害対策野生生物保護管理在り方について聞いていきたいと思います。  複合的な原因がある中でありますが、やみくもに駆除を行っては被害は減りません。例えば、ニホンザルは毎年約一万頭、イノシシは二〇〇二年の数字で二十二万頭、これ以上とも言われておりますが、数年前の倍の頭数を捕獲しているわけなんですが、被害は増えております。猿の場合にはむやみに捕獲をするとかえって被害が拡散してしまうこともあるということが知られておりますが、効果的な被害防止のためには生息地管理被害防止個体管理一体として適切に行うことが必要であります。  このことの必要性について農水省はどう認識しているのか、またこの特措法のスタートに当たってこの必要性地方公共団体等現場にどのように伝えるのか、まずお答えいただきたいと思います。
  11. 佐々木昭博

    政府参考人佐々木昭博君) 野生鳥獣による農林業被害防止するためには、御指摘のとおり、防護さく設置等による被害防除、そして緩衝帯設置等による生息環境管理捕獲による個体調整取組を総合的に実施することが重要であると考えております。  農林水産省におきましては、二十年度において予算の拡充強化を図り、市町村被害防止計画に基づいて実施するこれらの取組に総合的に支援するための事業を創設することとしております。  また、これらの被害防止取組必要性につきましては、従来より各地域における研修会被害防止マニュアル作成とその配布、全国都道府県鳥獣被害対策担当者会議等により周知を図っているところでございます。今後とも、こうした現場への周知を進めてまいりたいと考えております。
  12. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 当然、重要であるという御認識があると思いますけれども、きちんと明示的な文書及び口頭でしっかりと伝えていただきたいと思います。  次に、農水大臣が策定することになっております基本的な指針鳥獣保護法基本指針整合性を取ることとされております。三条三項であります。さらに、四条四項では、被害防止計画鳥獣保護事業計画特定鳥獣保護管理計画整合性も求められております。それぞれ具体的に整合性を取るとはどういうことだと考えているか、お聞かせいただきたいと思います。特に、被害防止計画につきましては、原案では「調和」となっておりましたが、わざわざこれを修正されて「整合性」となったことの意味をしっかりかみしめていただきたいと思います。  それぞれ手続的にどのような整合性を担保するのか、お聞かせいただきたいと思います。
  13. 佐々木昭博

    政府参考人佐々木昭博君) 鳥獣被害防止特措法におきましては、農林水産大臣が定める被害防止施策基本指針、これにつきましては、鳥獣保護法に基づく鳥獣保護基本指針と、そして市町村作成する被害防止計画、これにつきましては都道府県鳥獣保護法に基づき作成する鳥獣保護事業計画等とそれぞれ整合性が取れたものでなければならないとされております。ここで言うところの整合性ですけれども、被害防止施策実施によって著しく数が減少している鳥獣保護に支障を生じることがないようにする等であると考えております。  特措法におきましては、農林水産大臣被害防止施策基本指針を策定するに当たって事前環境大臣協議を行う、また、市町村被害防止計画作成するに当たって事前都道府県知事協議を行うということが明記されております。このことによって被害防止施策鳥獣保護施策整合性が担保されると考えております。
  14. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 確かに、特措法基本指針そして計画が、鳥獣保護法基本指針計画にあからさまに違っていなければいいというだけではありません。できたら一文一文、その内容に関しまして規定そして趣旨に抵触するものではないということについて本当審議会で、両審議会一文一文を確かめ合うということが大事だと思いますが、そういう点についてはいかがですか。
  15. 佐々木昭博

    政府参考人佐々木昭博君) まずは、事前の両大臣協議と、当然、市町村段階での被害防止計画と、あるいはその部局間の整合性の突合ですか、こういうことをしっかりやって運用していくことが大切だというふうに考えております。
  16. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 分かりました。とにかく私たちもチェックをしていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  市町村被害防止計画を策定することができるようになるわけなんですが、適切で効果的な被害対策に必要な専門知識を持った人材市町村には必ずしも十分いないということがずうっと指摘されてまいりました。専門家がいないところが多いという、このことに関して、どのようにして人材育成をしていくというふうにお考えになっているでしょうか。これはまず農水省に伺います。  同じことに関して、環境省は、市町村計画作成につきましては情報提供等を含めまして側面支援を考えるべきではないかと思っております。鳥獣被害対策保護管理には何といっても人材育成配置が重要でございますので、この方針についてどのような方針をお持ちになっているのかもお聞かせいただきたいと思います。
  17. 佐々木昭博

    政府参考人佐々木昭博君) 鳥獣の種類あるいは被害状況、これらを踏まえつつ効果的な被害防止計画作成するためには専門的な知識技術を有する人材育成とその確保、これが極めて重要であると考えております。  農林水産省におきましては、普及指導員市町村職員農林漁業団体職員等対象とした技術研修会を開催しております。また、被害防止対策に必要な知識を分かりやすくまとめた被害防止マニュアル、これは、昨年、今年と基礎編実践編として作成そして普及を図っております。また、被害防止対策のアドバイザーとして専門家農林水産省に登録いたしまして被害現場に紹介する取組も行っております。  今後とも、被害現場において被害対策専門知識を有する人材育成確保、これを強力に進めていきたいと考えております。
  18. 櫻井康好

    政府参考人櫻井康好君) この市町村鳥獣被害防止市町村計画作成に関しましての側面的な支援というお尋ねでございますけれども、環境省におきましては、これまでも自然環境保全基礎調査等で把握いたしました鳥獣生息状況情報につきましては都道府県を始め広く情報提供を行ってきたところでございます。また、科学的、計画的な鳥獣保護管理を推進するために、都道府県に対しまして特定鳥獣保護管理計画作成技術面支援するという、そのためのマニュアル作成するなどを行ってきております。平成十年度から市町村職員対象とした野生鳥獣保護管理技術者育成研修実施しているところでございます。  環境省といたしましては、引き続き調査で得ました情報を積極的に提供するとともに、研修実施などによりまして技術的な支援を行っていくということによって、市町村による被害防止計画作成支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  19. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 先ほど農水省がお触れになりましたけれども、普及指導員を活用していくということですね。市町村があって、そして例えば農協がいて、あるいはその土地に住んでいる皆さんたちがいて、それを一体的に取り組んでいくというのは正に集落で取り組むことが大事で、そこに専門家がいてきちんとしたことがなるように、そのことが大変大事だと思っておりまして、集落で取り組むというのがキーワードになっているのかなというふうに思っております。是非、そのための指導員の充実のために、その配置も含めてしっかりとお願いしたいと思います。  次に、乱獲防止でありますけれども、これをどのように担保するのか。山の実りが多いか少ないかなど、自然環境変動によって野生動物生息状況は変わってきております。場合によっては、計画どおりにいかなくなることもあります。数が減少し過ぎた場合、計画を修正できるようにしませんと、過剰捕獲乱獲になってしまうのではないかという心配がありますが、この点、農水省、いかがでしょうか。
  20. 佐々木昭博

    政府参考人佐々木昭博君) 農林水産大臣が策定する被害防止施策基本指針、これは先ほどお答えさせていただきましたように、これは鳥獣保護法に基づく鳥獣保護基本指針、これと整合が保たれなければならない、そして市町村作成する被害防止計画につきましては都道府県鳥獣保護事業計画等整合が保たれなきゃならない、これが一点ございます。  それに加えて、被害防止計画作成に当たりましては、鳥獣捕獲許可権限移譲を希望する市町村都道府県知事同意を得ることが義務付けられておりまして、さらに、被害防止計画を策定した市町村は毎年度、被害防止計画実施状況につきまして都道府県知事報告しなければならないとされているところでございます。  これらの規定によりまして、鳥獣乱獲が起こることがないよう措置されているのではないかと考えております。
  21. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この計画について実態に合わせて臨機応変に運用していただきたいというふうに思うわけなんですが、そのためには、捕獲実態生息状況被害実態、今御報告にございました、しっかりと把握して対処していただきたいと思います。  次に、環境省にお伺いしますが、この鳥獣保護法の適正な運用が図られるように指導すべき立場にあるわけですが、違法捕獲乱獲防止はどのように取り組んでいかれますでしょうか。
  22. 櫻井康好

    政府参考人櫻井康好君) 違法捕獲あるいは乱獲防止についてのお尋ねでございます。  従来、この捕獲許可権限につきましては、地方自治法に基づいて市町村への権限移譲が行われているという実態がございます。  これにつきましては、都道府県が定めます鳥獣保護事業計画を踏まえた捕獲許可がなされているということから、鳥獣保護管理上、その乱獲というような事態には至っていないというふうに認識をしておりますが、今回、特別措置法におきましても、先ほど農水省の方からお答えがあったように、被害防止計画都道府県が定めます鳥獣保護事業計画整合性が保たれるということ、あるいは権限移譲につきましてもあらかじめ都道府県知事同意を得たものでなければならないということになっておりますから、捕獲許可市町村移譲した場合であっても乱獲ということがないよう、引き続き適切な保護管理がなされるものというふうに考えておるところでございます。
  23. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 鳥獣法の七十九条の指示発動実績を教えていただきたいと思います。
  24. 櫻井康好

    政府参考人櫻井康好君) 鳥獣保護法七十九条一項の指示につきましてでございますが、鳥獣保護法の七十九条一項では、環境大臣都道府県知事に対しまして鳥獣の数が著しく減少しているとき、その他鳥獣保護を図るため緊急の必要があると認めるときには鳥獣捕獲等許可に関する事務に関して必要な指示を行うことができるというふうになっておるわけでございます。  本条項は平成十一年の法改正の際に新たに追加されたものでございますけれども、これまでの間、当該指示を発動した実績はございません。
  25. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 行ったことはないということでありますけれども、この特措法の十一条三項で、環境大臣鳥獣保護を図る等の見地から被害防止施策在り方に関して必要があると認めるときには農林水産大臣に対して意見を述べることができるとされましたので、環境大臣は、この対応をする場合、どのような場合に意見を言うおつもりでしょうか。
  26. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今お話にありました鳥獣被害防止特措法の第十一条におきまして、環境大臣農水大臣に対して意見を述べることができる、こういうような規定を、これは衆議院の委員長提案段階で追加されたと、こういうようなことのようでございます。  そういう意味では、これ具体的にいつどこでというようなことはなかなか今は申し上げるのは難しいわけでありますけれども、例えば鳥獣の数が著しく減少しているときなどにつきましてはこの被害防止施策在り方に関して意見を述べると、こういうようなことになるんだろうというふうに思います。  ただ、それは、やはり始終アンテナを張り巡らせてそれで状況がどういうふうに変化をするか、こういうようなことについては、これは地方環境事務所にしっかりとその趣旨を伝えておき、なおかつ情報が上がってくるようにと、こういうようなことに心掛けたいと、こういうふうに思っております。
  27. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 正に、大臣の言われますように、意見を言うために情報がなければなりません。どのように科学的な根拠を収集するのか、現場実態についても分からなくては意見の言いようもありません。どうやって情報を収集するのか、意見を言わなくてもいいようにふだんから農水省や、場合によっては地方公共団体と緊密に連絡を取り合うということが必要だろうと思いますし、いずれにしましても、必要なときに意見が言える体制を取っておくこと、的確に把握できる体制を取っておくことが重要だと考えます。  環境省は、現場実態把握、それから地方公共団体との日常的な情報交換等を的確に行うために地方事務所には新しい指示は行うんでしょうか。
  28. 櫻井康好

    政府参考人櫻井康好君) 環境省といたしましては、この鳥獣保護法の適切な運用を図るということはこれまでと同様、また更に一層きちっとやってまいりたいと思っておりますが、この特措法につきましてもこの運用が適切になされるよう、関係省庁との連携強化を図りながら、鳥獣による被害対策等に適切に対応して人と鳥獣の適切な関係の構築に向けた取組を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  29. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 環境省に大変期待をいたしております。私たちが安心できるような取組姿勢を示していっていただきたいと思います。農水省にも期待をしておりますが、環境省は何といっても生態系の保全と種の保存につきましては重要な役割を持った官庁でありますので、任せっ切りにしてはいけないのではないかというふうに考えるからでございます。  すべて自分でやるのには限界があるというならば、NGO、活躍をいたしております。そして、地域住民の皆さん、日常的にそれに対応しておられますので情報に敏感に反応しておられると思いますので、そうした必要な情報収集を行うなど活動してはどうかというふうに考えております。是非、この点も取り入れてくださいますようによろしくお願いをいたします。  最近、猟銃がかかわる事件、事故、これが大変続きまして国民の皆さんの関心も大変高くなっております。そうした中で、この特措法は狩猟免許手続の迅速化と狩猟税の減額措置も行うというもので、その結果、狩猟の許可取得者が増える可能性がございます。  許可銃の数が増えますと事件、事故の危険も増えてしまうことが懸念されますが、警察庁はどう対応していかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  30. 井上美昭

    政府参考人井上美昭君) 銃刀法におきましては、うつ病等にかかっていること、暴力団等の関係者であること、他人の生命等に危害を及ぼすおそれのあること等を猟銃等の所持許可を受ける際の欠格事由として規定をしております。また、銃刀法におきましては、猟銃等の所持許可を受けた者が引き続き三年以上許可に係る猟銃等を許可に係る用途に供していないと認めるときは都道府県公安委員会許可を取り消すことができる旨を規定をしているなど、取消し事由も定めておるところでございます。許可をするとき、あるいは更新時、あるいは年一回の検査時において、そういう事由について厳格に調査をしておるところでございます。  今回、佐世保で痛ましい事件が起きました。警察庁におきましては、年一回実施しております検査、これを十七万人、三十万丁総点検と称しまして、従来よりも早期に、かつ綿密に検査を実施をするように各都道府県警察に指示をしておるところでございます。また、警察庁内におきましてプロジェクトチームを設けまして猟銃許可在り方について点検をしてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。こういう中で許可在り方等に問題点がございますれば更に改善をしていくということにやっていきたいと、かように考えておるところでございます。
  31. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大変に関心が高まっていることと、佐世保で起きた事件などは一年一年そうした更新されていった事実などもありますと、本当に丁寧にこうした問題について対処していただかなければならないというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。  そこで、農水省になんですけれども、市町村が設置する鳥獣被害対策実施隊に入った人は非常勤の公務員というふうにみなされるわけです。ライフルを持ちやすくなるわけです。市町村長はその重さも十分に踏まえて実施隊を組織して、また隊員を任命すべきだというふうに考えますが、この点についてお考えをお聞かせください。農水省に対してです。
  32. 佐々木昭博

    政府参考人佐々木昭博君) 狩猟者の減少、高齢化等が進展しておりまして、こうした中で鳥獣による農林水産業等の被害防止するためには、被害対策の新たな担い手を育成確保しつつ、地域全体で被害防止対策に取り組むための体制を整備することが重要であると考えております。  鳥獣被害防止特措法第九条におきましては、市町村鳥獣捕獲防護さく設置等被害防止計画に基づく対策を適切に実施するため鳥獣被害対策実施隊を設置できるとされております。このことは地域における被害防止体制の整備に資するものと考えております。  その際に、市町村鳥獣被害対策実施隊のうち主として鳥獣捕獲に従事する隊員を任命するに当たりましては、これが適正かつ効果的に行うことができる者に限るとされているところでございます。被害防止対策が適切かつ安全に実施されるよう、まず市町村指示する鳥獣捕獲等に積極的に従事することが見込まれること、そして過去の狩猟実績等を踏まえて適正な鳥獣捕獲を行うことが見込まれることなど、一定の要件を満たす者について、当然、関係法令の遵守は大前提とした上でありますけれども、これらを任命することが適当であるというふうに考えております。
  33. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 環境省に伺いますが、七〇年代には五十万人を超えていた狩猟人口が二十万人を切りまして、高齢化も進んでいる状況の対応として銃を取得しやすくするのだろうと考えます。しかし、これでは鳥獣被害の抜本的な対策にはなりません。野生鳥獣保護管理の担い手、人材育成、これに力を入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  34. 櫻井康好

    政府参考人櫻井康好君) 適切な鳥獣被害対策あるいは鳥獣保護管理の推進のためには、以下のような人材育成確保が必要であろうというふうに考えておるところでございます。  まず第一に、研究機関などの専門家あるいは行政機関の職員など特定計画の策定とこれに必要となる調査に関する専門的知見を有する人。あるいは、第二に、鳥獣保護員など特定計画実施に関する指導、助言に関する専門的知見を有する人。第三に、捕獲隊の指導者など現場での捕獲指導に関する専門的知見を有する人。そういった人材確保育成ということが必要であろうというふうに考えております。  環境省におきましては、こういった鳥獣行政に従事いたします地方公共団体の職員を対象といたしました研修実施を行ってきたところでありまして、今後もこれを推進していく考えでございます。また、平成十九年度からは専門的な知見を有する人材を国において登録をいたしまして、地域において活用する事業というものに着手をしたところでございます。またさらに、平成二十年度からは鳥獣保護管理の重要な担い手であります狩猟者の育成を行うための猟区を活用した人材育成事業のガイドラインの作成に取り組む考えでございます。  こういった以上のような取組によりまして、関係行政機関、研究機関、あるいは大学、狩猟団体などとも連携をしながら、地域のニーズに応じました多様な人材育成及び配置を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  35. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この特措法の附則のところで、鳥獣法を改正し、環境大臣都道府県知事に対して、鳥獣生息状況生息地状況等について定期的に調査をして、法律の適正な運用に活用することを義務付けました。生半可な調査ではいけないということですね。しっかりとした調査の設計、実行、活用を十分な体制の下で行ってほしいと考えます。  そもそも鳥獣被害について、本来、鳥獣法の枠組みでしっかりと対応すべきだったと思います。本当は、この農水省所管の特措法が成立したことをどう受け止めているのか、環境省の役割をどう考えるかなどじっくり聞いておきたかったところでありますが、とにかく鳥獣法の抜本充実を図るために、これまで委員会で言ってきたこと、何が足りないか、民主党にも是非伝えてほしいというふうに思います。  今後の被害対策、適切な鳥獣保護管理のできる体制づくりについて、決意を最後にお聞きしたいと思います。
  36. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 先生最初におっしゃったように、鳥獣被害についてもやはり深刻だと、こういうような状況はそのとおりなんだろうというふうに思います。そして、それを軽減していくと、こういうようなことは言わば重要な課題であるわけでありますが、他方、環境省としましては、これは生物多様性あるいは鳥獣との共生、こういうようなことからしても鳥獣保護法の適切な運用を図って、すみ分けも含めてですけれども、人と鳥獣の適切な関係、こういうようなことを構築していくということはもう本当に必要なことなんだろうというふうに思っておりまして、私も先頭に立って、私の名前も鴨下の鴨でありますから、やはりあんまり人に迷惑は掛けない、しかし共存すると、こういうような体制のために先頭に立って頑張りたいというふうに思っております。
  37. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。
  38. 福山哲郎

    福山哲郎君 民主党・新緑風会・日本の福山哲郎でございます。  今日は、質問の時間を委員長を始め岡崎理事、また与党側の理事の皆さんにも大変御理解をいただきまして、ずらしていただきましたことを心から感謝とおわびを申し上げます。  大変、懸案になっております肝炎対策の問題で、今日、肝炎の原告団の皆様、弁護団の皆様との協議の場がございまして、私も少なからずかかわっておりましたもので、わがまま申し上げました。本当におわびを申し上げます。  それでは、早速質問させていただきたいと思います。  鴨下大臣、どうも、バリは御苦労さまでございました。強行軍ながら、大変いろんなところで御活躍を拝見をしておりました。私は、COPは基本的には毎年行きたいと思っておりまして、今年は国会が延長になったおかげで行けませんでした。ホテルまで予約をしておったわけですが、大変残念に思っています。  実は、行く前も非常に残念だったんですが、やっぱり終わって帰ってきて、その残念さ具合が更に強まっています。やはり、現場の空気を感じていないこと、それから例えば鴨下大臣のステートメント、演説を聞けなかったこと、その中での交渉の過程で日本政府がどのようなことを本会議等で発言をされたか等について、やっぱり又聞きなのとその場にいたのでは全然やっぱりリアリティーが違いまして、やっぱり何としても行きたかったなと今非常に残念に思っているところでございますが、一応、形としては、バリ・ロードマップが合意をされたという状況でございます。  日本のメディアは、削減の数値目標がバリ・ロードマップの中に入るか、入らないかということに大変注目というか、非常に大きな報道の主たる目的があったように感じていますが、現実問題としては、残念ながら、交渉の結果、バリ・ロードマップの前文の中の議長提案でありました一九九〇年度比で先進国二五から四〇%削減という文言は削除をされました。  日本政府としては、この削除の議論について、どのように交渉を行われたか、また結果として明記しないこととなったことの評価も含めて、御披瀝をいただければと思います。
  39. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今回のバリ会合では、我々も当初から申し上げていますように、すべての主要国が参加し実効ある枠組みの構築、このための交渉の場を立ち上げると、こういうようなことが最重要課題だと、こういうふうに認識をしておりました。したがいまして、それぞれ御批判もございましたけれども、何とかバリ・ロードマップが合意ができたということについては、私はそれなりに大きな前進があったんだろうというふうに思っております。  加えまして、数値目標につきましては、今回の会議で二年後に合意されるべき目標の議論、こういうようなことを先取りして議論するべきでないと、こういうようなことをおっしゃっている国もあったわけでございまして、そういう意味では、今回、すべての国が参加をするというバリ・ロードマップが合意ができたということで、今後、交渉が進んでいくものだと、こういうふうに考えているわけでありまして、是非、これからの議論に注目をいただきたいというふうに思います。
  40. 福山哲郎

    福山哲郎君 今、大臣、私の質問にお答えいただいてないんですが、日本としては数値目標を明記する、しない、この議長のドラフトに対してどのように交渉のポジションを取られたのか、お答えをいただけますか。
  41. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 数値目標については、ですから今回の議論の中では、我々は、すべての国が参加をする新たな交渉の場を立ち上げる、こういうようなことを最優先しましたので、EU等からは数値目標を掲げるべきというようなこともお話ありました。しかし、私たちの立場としては、前提条件が合意バリ・ロードマップを合意するということでございましたので、それぞれの国、特に数値目標に対して極めて否定的な国もありましたので、我々は、まとめると、こういうようなことのためにあえて数値目標はこの段階では取り上げないと、こういうような立場を取らせていただきました。
  42. 福山哲郎

    福山哲郎君 そのポジションの評価は、是非はいろいろあると思います。  私が非常に残念だったのは、NGO等が日本について、非常にネガティブな会議のブレーキ役になったということで化石賞を何回も取られたと。そのことの批判はさておき、私、非常に残念だったのは、大臣は私との予算委員会の質問においても、年内に日本の国内の削減目標をつくりたいとおっしゃいました。新聞のインタビューにも、大臣は全体の合意ができると、できた前提で日本の国内の削減目標もつくりたいとおっしゃっていました。福田総理は、実は二度、決算委員会と予算委員会で私に国内の削減目標をつくると御明言をいただきました。残念ながら、この鴨下環境大臣の向こうでの演説原稿を拝見をいたしますと、我が国としてのそういう決意が実は全く書かれていないんですね。なぜ国内の、国会の場で言明をされたことが国際社会の会議に行ったときにこのステートメントに入らないのかと。  じゃ、逆に言うと、全体の合意が要るというのは私も認めます。それはもう具体的に申し上げれば、中国やアメリカやインドが入ってこなければ京都の二の舞になるという、私はその意味合いは分かっているつもりです。しかしながら、全体の合意は必要だけれども、日本としてはもう国会で国内の削減目標を設定することは環境大臣も総理大臣も言っているので、なぜ国際会議の場では、演説の場でそのことを表明ができないのか、私にとっては非常に不思議な気持ちがいたしました。そのことに対して大臣、いかがでしょうか。
  43. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 私は、福山議員の質問にお答えしたときに、今申し上げたように、前提がしっかりと固まった上で年内にも可能性があればと、こういうようなことで申し上げたわけでありまして、私も自分の言った答弁、何度も何度も読み返しましたけれども、きちんとそういう前提条件を付けた上で申し上げています。そういう意味では、私は本来のそういうような立場で交渉をしたつもりであります。  ただ、先生がおっしゃるように、具体的に、例えばEUあるいはNGOの皆さんからは日本はなぜ数値目標を掲げないのか、あるいは日本がそういうようなバリ・ロードマップの前進に対してブレーキ役になっていると、こういうような御意見もあったことは承知しておりますけれども、是非、それはすべての国が入るということはもうこれ最後のぎりぎりの、土曜日の本会議の中での議論を見ていただければ十分御理解いただけるんだろうというふうに思いますけれども、私としては更にこれを前進させるためにこれからも努力をさせていただきたいと思います。
  44. 福山哲郎

    福山哲郎君 いや、私はだから、すべての国が合意ができることは重要だと思う、私も否定をいたしません。  しかしながら、日本のポジションを、特に日本の国会で表明をしているポジションをなぜ国際会議の場で言えないのかということについて質問をさせていただいています。そのことに関しては実は今大臣のお答えをいただいていないので、余りこれで引っ張ってもほかに確認しなければいけないこと一杯ありますので、一言だけお答えいただけますか。大臣はよくお分かりだと思いますが、言いにくいこともあると思いますが、お答えください。
  45. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) ですから、我々は環境省の立場というようなことで申し上げればきちんとした目標を掲げてやるべきだろうと思いますが、安倍前総理のクールアース50の中にもありますけれども、環境と経済の両立と、こういうようなことを日本は掲げておりますので、今の段階では全体的な合意に至っていないと、こういうようなこともあるわけで、特に一部の産業界からは数値目標は全く容認できないと、こういうような御意見もあったわけで、私はステートメントを発表するという立場ではこれはなかなか難しかったというのが現状でございます。
  46. 福山哲郎

    福山哲郎君 随分正直にお答えをいただきましてありがとうございます。  要は、国内での合意ができなかったということで、日本のポジションは相変わらず、環境大臣と総理が、総理が国内の排出目標をつくると言明をしたにもかかわらず国内の合意ができなかったというのは、私は非常に問題だと思っています。現実に、バリ会議ではすべての国が参加できるということが合意ができたわけです。これは、合意ができたことはこれは政府も認めているはずですが、この状況に至ったら次は国内の排出削減目標についてはっきりとさせられるという条件は整ったという認識でよろしいですね、大臣
  47. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 誠にそのとおりでございます。
  48. 福山哲郎

    福山哲郎君 そのことは非常に心強い限りですので、もう一個だけ大臣、厳しいようですが、いつぐらいまでに国内の排出目標を固められるおつもりなのかお答えください。
  49. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 環境大臣としては鋭意努力をさせていただきます。
  50. 福山哲郎

    福山哲郎君 経産省もそれでよろしいですか。
  51. 伊藤元

    政府参考人(伊藤元君) その問題につきましては、政府全体として判断をしていくということであると承知しております。
  52. 福山哲郎

    福山哲郎君 事務方に答えをこれ求めるのは厳しいですけど、総理が削減目標を設定をすると発言された事実は理解をされていますね。
  53. 伊藤元

    政府参考人(伊藤元君) 総理の御答弁は承知しております。
  54. 福山哲郎

    福山哲郎君 その答弁を経産省としては尊重して対応されることは、これは総理の発言ですから間違いないですね。
  55. 伊藤元

    政府参考人(伊藤元君) 国会における総理の答弁を尊重することは当然であると考えております。
  56. 福山哲郎

    福山哲郎君 鴨下環境大臣は国内の削減目標を早急にやりたいと、バリで各国が参加することは合意したと、総理が国会で発言をしたと、その総理の発言について尊重をすると経産省も言っていただいたということは、これは国内の排出削減目標については早急に我が国としてはつくっていただけるものだと私は判断をして、次に行きたいと思います。  削減目標の話は、バリのロードマップのところに僕はスポットライトが浴び過ぎたと思っていまして、実はマスコミの報道も含めて若干ミスリードがあるのではないかと思っています。  御案内のように、アドホック・ワーキング・グループが二つ、ツートラックで動くことになりました。一つバリ・ロードマップ、一つは今までどおりの京都議定書の枠組みでございます。実は、そのAWGのロードマップの方から数値目標、先進国の数値目標が削られたというのは報道はよくあったんですが、一つ重要なポイントがありまして、我々は京都議定書の批准国として、批准国としてAWGの、これまでの従来のAWGには加わっております。そのことのこれからの検討項目の中に、先進国二五%から四〇%の削減目標が検討項目に加えられたことは事実としてはお認めいただけますね。
  57. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) お答え申し上げます。  これまでの京都議定書に基づきます特別作業部会の第四回会合がバリで開かれたわけでございますけれども、その結論文書の中に以下に述べさせていただきますような文章が含まれております。  まず、最初でございますけれども、AWGはIPCCの第四次評価報告書第三作業部会の成果に言及されている削減幅、これはレインジズとなっておりますが、複数で示されておりますけれども、この削減幅が有用であること。同報告書が地球の温室効果ガスは今後十年から十五年で頭打ちになって、その後非常に低い水準に抑制される必要があり、IPCCがこれまでに示したシナリオの中で最も低い水準で大気中の濃度を安定化させるためには、二十一世紀半ばに二〇〇〇年比で半減以上とする必要があることに留意したという表現が一か所でございます。  もう一か所ございます。AWGはIPCC第四次評価報告書第三作業部会で評価されたものの中で、最も低い水準を達成するためと潜在的損失を限定するためには、附属書Ⅰ国が全体として排出を各自可能な手段で二〇二〇年までに二五から四〇%という幅で削減することが必要であることを認識した、こういう文章がございます。
  58. 福山哲郎

    福山哲郎君 認識したということは、それは検討項目として入るという意味合いで、谷津さん、よろしいんですね。
  59. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) こういう認識の下で今後の交渉が進んでいくというふうに理解しております。
  60. 福山哲郎

    福山哲郎君 実は、バリ・ロードマップの中では、数値目標が落ちたということがよく議論されているんですけど、我々が元々参加をしている京都議定書のアドホックグループの中では、この数値目標はこういう形で明記をされています。  それからもう一点、さはさりながら、バリ・ロードマップの最後の合意文書でございますが、合意文書の条約の下での新しくできた交渉プロセスでの扱い、つまりAWGでの扱いの中の一のbの一というところでございますが、ここにはこういう文章が、日本語です、申し上げますが、書いてあります。  すべての先進国に対し、各国の事情を考慮しつつ、排出削減抑制数値目標を含む測定、報告、検証可能な当該国にとって適当な約束若しくは行動と書いてあります。つまり、バリ・ロードマップの中に、具体的な二五から四〇という数値目標はないけれども、すべての先進国に対し排出削減抑制数値目標を含むという言葉が入っていることの事実はもうお認めになられますね。
  61. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 英語で言いますと、インクルーディングという言葉の後に排出の抑制及び削減に関する数量化された目標というような表現がございます。
  62. 福山哲郎

    福山哲郎君 つまり、これ重要なことなんですけど、これまでも京都議定書の枠組み、これはもちろんアメリカは入っておりませんが、この枠組みの中には、二五から四〇の数値目標で先進国が検討すると、先ほど谷津さんがお認めになったものが入っています。  抜けた、抜けたと言われているバリ・ロードマップの中にも具体的に、すべての先進国に対し排出削減抑制数値目標を含むという表現が出ています。ということは、これ、済みません、二つのAWGは最終的にどのように収れんをさせていく予定ですか。
  63. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) お答え申し上げます。  二つの作業部会は、役割分担を明らかにしながら今後交渉を進めていくということになろうかと思います。終期はそれぞれ二〇〇九年ということで一致しておりますので、最終的には全体が一体化されたような形で交渉がまとまるというふうに理解をしております。
  64. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 先生御指摘のところは非常に重要なことでありまして、特にいわゆる京都議定書の締約国でのAWG、オールドAWGでありますけれども、そこには最終的に数値への言及はされておりませんけれども、脚注でIPCCレポートの該当するページを引用すると、こういうようなことになったわけでありますが、いやいや、それはニューAWGで、オールドAWGにおいては、先生御指摘のように、決定文書においてはIPCCの第四次評価報告書を引用する形で一連の数値が明記されたと、こういうことの解釈を我々はしています。そして、今回の決定文書においてはIPCC報告書の三種類の数値、こういうようなこと、二五―四〇、それから五〇の五〇、それから一〇の一五ですね、この三つの数字については盛り込まれておりますから、日本としてはこの決定文書に合意していると、こういうような認識でございます。
  65. 福山哲郎

    福山哲郎君 随分思い切った答弁を大臣にいただきましたが、経産省もその認識でよろしいですね。
  66. 伊藤元

    政府参考人(伊藤元君) 今般のCOP13における各種の決定文に書かれる内容につきましては、先ほど谷津審議官環境省の方から御説明があったとおりの文章ということだと思います。決定文書につきましては、英文が原本でございますので、その解釈ということに帰着する問題であると認識しております。
  67. 福山哲郎

    福山哲郎君 それから、もう一つお伺いしたいことがあります。  これは私も不確定なので確認としてお願いをしたいんですが、いわゆるブッシュ大統領が呼び掛けで始まった主要排出国会議、十五か国でやられている会議ですが、これMEMと言うのかメムと言うのかよく分かりませんが、このことの開催を洞爺湖サミットに向けて日本が準備をしているということを、これは僕は未確認なので確認をさせていただきたいんですが、これは環境省としては把握をされていることでしょうか。
  68. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 私どもとしては承知しておりません。  一点付け加えてお答え申し上げますと、バリにおきまして、アメリカ側からは第二回の主要経済国会合を一月の三十日と三十一日にハワイで開催したいというお話はございました。
  69. 福山哲郎

    福山哲郎君 そのことに関しては、三十と三十一日にハワイでやられることに関してはほぼ合意という形になっているんですか、各国。
  70. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) これは主催国がアメリカでございますので、適切なタイミングで正式な招待状がアメリカから送られてくるというふうに理解しております。
  71. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、このこととサミットにおいて主要排出国会議が行われるということは今のところはリンクはしていないという認識でよろしいんですか。
  72. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) これはアメリカ政府が主催する会議でございますので、私どもとしては、今後のアメリカ政府がこの主要経済国会合をどのように進めようとしているのかということをよく把握しながら対応していきたいと考えております。
  73. 福山哲郎

    福山哲郎君 日米間でこの主要排出国会合について議論がこれまで、どのレベルでも結構ですが、やられたことはありますか。
  74. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) 例えば、バリにおきましては、米国政府の関係者、それと日本政府の関係者、いろんな機会に意見交換しておりますけれども、そういう中で今私が申し上げましたような第二回の開催という情報も入手したところでございます。
  75. 福山哲郎

    福山哲郎君 経産省もそういう認識でよろしいですか。
  76. 伊藤元

    政府参考人(伊藤元君) 同じ認識でございます。
  77. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、この主要排出国会議バリとどのようにリンクするかはまだよく分からないということだけは確認をさせていただきました。  実はもっと聞きたいことたくさんあるんですが、もうあと七分ぐらいになってしまいましたので、目達計画の最終案のことについてもちょっと言及をしたいと思います。  京都議定書の目達計画の最終報告が十二月に出ました。これはこれから、私の認識が間違っていなければパブコメ等をされると聞いておりますが、今後のこの目達計画の運びについて言及いただけますか。
  78. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 目達計画につきましては、中環審、産構審、両審議会の最終報告案というものが間もなくパブコメになると思います。現在、様々な、先日の議論で様々な意見がございまして、それを座長が預かるということで今調整をされております。間もなくパブコメにかかりまして、約一か月間パブコメを経た後、報告が出ます。それを踏まえまして、年度内に政府として目達計画を改定したいと考えております。
  79. 福山哲郎

    福山哲郎君 今、最後の部分で、南川さん、非常に重要なことを言われたんですけど、私、聞こうと思ったんですけど、これはまだ改定の余地はあるんですね。
  80. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 今回の両審議会での議論を踏まえまして、政府の責任において改定するものでございます。
  81. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、パブリックコメントの意見等や、例えば国会の中の意見等が取り入れられる可能性はあるという認識でよろしいですか。
  82. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) もちろん、審議会意見を踏まえて改定するものでございますけれども、当然ながら、パブコメ、それから様々な意見ございますので、政府の責任において最終的には決定をするものでございます。
  83. 福山哲郎

    福山哲郎君 これ、大臣はもう全部端から端までごらんいただいていると思いますが、最終案の割には具体的なことがやっぱり大分欠けていると私は思っていますし、例えば国民運動の例の一キログラムの話も、どうやったら一キログラム削減できるか、ちょっと余り読んでもよく分からないんです。国民運動の削減量もこれ一体何を積算するとこれだけ計算できるのか、ちょっと私自身は理解に苦しむとか。我々の党として議論を積極的にしている再生可能エネルギーの問題や排出権取引の問題も実はほとんど言及これされてないというか、言及はされているんですが、具体的な政策措置としては全く今回はまないたにのっていないんですね。  本当にこの目達計画で約束が達成できるのかということと、それからそれこそバリ・ロードマップができたわけですが、二〇〇九年までに日本がより削減これだけしましたよということを各国に主張できるようなものがあるのかというと、済みません、これはいろんな評価が分かれるので、私の考えが正しいとは思いませんが、一面に。私はやっぱり具体性にかなり欠けると思っていまして、閣議決定までまだ時間もありますので、これは国会の意見やそれぞれのパブコメの意見を真摯にやはり受け止めていただいて、まだまだ改善の余地はあるんだという認識を、済みません、大臣、いただけないかと思いますが。
  84. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今の段階では、その目達計画の改訂版についてはそれぞれ各省、それから産業界も含めて大変な努力をして深掘りをしていただいたわけでありますから、私どもはそれに沿って粛々と進めていくと、こういうようなことが原則であります。  ただ、今委員おっしゃったようなこと、あるいはジャーナリズムも含めて御批判もあることも重々分かっておりますし、それから両論併記でペンディングになっている項目もございます。  こういうようなことも含めて、我々は今この環境省の中では少し進んでうまくいかなければもう一度更に見直そうと、こういうようなことでアセスメントとチェックと、そしてフィードバックをする、こういうような仕組みをいかに早め早めにやっていくかと、こういうようなことをこの中に入れられないかと、こういうことも考えておりますので、今せっかくまとめてくださったところでこれからパブコメにかけるところでありますから、いろんな意見は伺いたいと思いますけれども、現在のところで一応それなりに目達計画を達成できるというところまで積算はされているわけでありますから、これを更に実効あるものにしていくのが私たちの役目だと、こういうふうに思っております。
  85. 福山哲郎

    福山哲郎君 できればパブコメを、非常に言葉は悪いですが、アリバイづくりではなく、ちゃんとそのパブコメを真摯に受け止めていただいて、少しでも改定なり、実効性の上がるように今大臣がおっしゃられたように御努力をいただきたいと、また国会の審議等も積極的に受け入れていただけるようにお願いをしたいと思います。  もうわずか二分になりましたので、もう鴨下大臣よくお分かりのとおり、世界は動いています。規制的手法がすべて経済をマイナスにするわけではありません。逆に、規制的手法のおかげでアクセルになることもたくさんあります。アメリカも徐々に動き出しまして、御案内のように十一月には法律が、まあ一部ですが、通りました。オーストラリアも状況が変わりました。アメリカの大統領選挙が来年一年間ずっと続く中で、この温暖化の問題は非常に大きな争点になります。  この目達計画の中の排出権取引市場の創設に関してみると、この目達計画状況を十分踏まえた上で検討していくみたいな話で、この状況をまた見た後、その後検討なんていったら一体いつになるのかよく分からない。その間にひょっとしたらヨーロッパもアメリカもマーケットができて、中国もコミットする、オーストラリアもコミットするみたいな話が出てくる可能性も僕は十分あると思っています。  経済界が自主行動計画で頑張っていただいているのも分かるけれども、それでは削減量足りないことも事実でございます。そのことも含めて、やっぱりこれは与野党超えて、非常にこれからの二十一世紀の国益と人類益と生態系を守るということを、いろんなこと含めて重要な問題ですので、是非、大臣には奮闘していただいて、頑張っていただいているのは重々承知をしておりますが、更に政府内で声を上げていただきたいことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  86. 神取忍

    ○神取忍君 自由民主党・無所属の会の神取忍です。よろしくお願いいたします。  先ほど、COP13につきまして鴨下大臣から御報告がありましたが、鴨下大臣本当に日本政府代表として御尽力され、大変お疲れさまでした。  やっぱり日本においてもテレビ、新聞等で連日報道されて、国民の意識も高まっていったと思います。そしてまた、オーストラリアが京都議定書に批准するといったうれしいニュース。そして、何といってもアメリカ、中国などが、各国の主張も隔たりの大きい中、このバリ・ロードマップが合意されたことを正直、一安心しております。  そこでまず、COP13について日本の果たした役割と、今回のまとまりましたバリ・ロードマップの意義について、その過程において様々なお話というか議論があったと思いますが、大臣はどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  87. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 先ほどからの議論にもありましたけれども、重ねて申し上げますが、COP13では、今回すべての主要排出国が参加した次期枠組み構築のための交渉の場を条約の下に立ち上げ、二〇〇九年までに合意を目指すいわゆるバリ・ロードマップが取りまとめられたわけでありまして、これは大きな意義があったというふうに考えております。このほか、適応や森林減少、そして技術移転などにおいてもそれぞれ進展があったこともこのCOP13の成果と考えているわけであります。  日本は、他国に先駆けまして二〇一三年以降の枠組みの交渉を行うためのロードマップの日本決定案をまず提示しまして、その中で具体的に条約の下での交渉の場を立ち上げるべきと、こういうことを一貫して主張してまいりました。交渉の過程では、これまでの京都議定書によって削減義務を負っていない米国や中国、インドなどが次期枠組みでどのような義務を負うことを前提とするかをめぐって大変厳しい交渉が行われたわけであります。日本は、この合意形成に貢献すると、こういうようなことのために、議長国、インドネシアはもとより、米国、中国、EUなど主要国との二国間の会談を実施しまして、次期枠組みづくりの交渉の場の立ち上げを最優先に言わば働き掛けてまいりました。  このようなことがある意味で功を奏したというか、結果的には、ボゴールにおける日本提案に始まって、バリで更に踏み込んだ日本提案を申し上げたわけでありますけれども、それに沿った内容バリ・ロードマップが取りまとめられたと。こういうようなことでは、それぞれ勇ましい意見を掲げて闘った国もありましたけれども、我々は当初から調整役に徹して、そして日本案がある意味で落としどころとして冒頭から申し上げていたんですけれども、そこに沿ってまとまったと、こういうような意味で、ある意味で御評価をいただけたんだろうというふうに思っております。
  88. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございました。  今回、まず交渉の場が立ち上がり、来年からいよいよ本格的な議論が始まるという説明だと思います。そういった中で、また、排出削減について先進国の数値目標、そして途上国排出削減措置など、今後の交渉課題も明らかになりました。それでは、二〇〇九年までにこの交渉は具体的にどのように進めていくのか、それはこれから日本が積極的にかかわる意味において大切なことなので、外務省にお聞きしたいと思います。
  89. 大江博

    政府参考人(大江博君) 今お話があったように、今回のCOP13では、二〇一三年以降の枠組み交渉のための新たな場というものが設置が決定されたわけでございますけれども、早速その交渉プロセスというのが開始される予定でございまして、この作業部会の初回会合を遅くとも来年の四月までに行うということがもう決まっております。そして、この交渉では、今回採択された決定案に沿ってその長期目標、それから先進国途上国双方の削減、いわゆる排出削減措置、気候変動による影響への対応等について包括的な議論が行われることになりますけれども、ちょうど来年は我が国がホストをするG8洞爺湖サミットもございますし、それから米国が提唱した主要経済国会合、これもこれから夏に向かって何回か行われる予定だというふうに聞いております。  そのような交渉は、位置付けといたしましては国連の下での交渉を補完するものだというふうに位置付けております。我が国は、それらのすべての議論に積極的に参加して、そのすべての主要排出国が参加する実効性のある枠組み構築へ向けて、引き続き国際的な議論を主導していきたいと、そういうふうに考えております。
  90. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。そうしたことを、確実な行動を取っていただきたいと思います。  それでは次に、ロードマップ本文についてお伺いしたいと思います。  排出削減に加えて、今後の主要課題として温暖化による影響の適応、技術、資金が挙げられました。排出削減の大きな争点になることは間違いありませんが、そのほかの課題も日本の役割を考える上では極めて重要だと思います。  まず、適応についてお伺いします。  温暖化による影響の適応について、前回の質問の際に熱中症の予防の取組について説明いただきましたが、人の命、健康に直結することとしてどのような影響が生じるかについて、そしてどこまで研究が進んでいるのか、御説明いただきたいと思います。
  91. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 温暖化による熱中症、御指摘のとおり増えております。これにつきましてはまだ事実は調査中でございます。ただ、私どもとしまして、この熱中症の問題の原因となります気候が、気温が三十度を超える真夏日がどんどん増加していくということに大変な危機感を持っておりまして、現在、医学関係者とともにその詰めを急いでいるところでございます。
  92. 神取忍

    ○神取忍君 本当にそれは健康、そして命にも本当にかかわるので、そういった部分ではきちんとしていただきたいと思います。それで、世界に貢献できるという視点からも、やっぱりこういった問題は研究を推進していただきたいと思います。  適応という意味で、温暖化に伴い、世界じゅうで深刻な水問題に直面する地域が発生しております。これは本当に早急に各国が協力し合わなければいけない問題だと思います。そういった中での争い事だとか、そういったものが起きてはならないと思います。そして、そういった水問題に関してはオーストラリアの干ばつにおいては日本の小麦製品などが値上がりをし、様々な製品に影響が出ております。そういった中で、国民の生活に関しても大変な打撃を受けております。  そういった中で、水は食料、エネルギーを支えるものであって、そして、水は特にこの日本は最も得意とする分野です。そういった中で、この水環境我が国はどのように貢献できるのか、考えているのか、お聞きしたいと思います。
  93. 白石順一

    政府参考人(白石順一君) 今先生御指摘のとおり、水は非常に限りのある資源である一方で、生命の維持であるとか、あるいは環境生態系の保全に絶対欠かせないというものでございまして、ところが、御案内のように、今世界の人口の約六分の一が安全な飲み水を利用できないと、そういうところに加えましてこの気候変動、先ほど適応の話が出ましたが、正にいろいろ水循環の影響によりまして、今御指摘のありました干ばつのほかに、逆に洪水というふうなものもございます。  非常に水問題深刻化するということで、御案内のように、十二月の初めですが、別府で第一回のアジア・太平洋水サミットが開催されまして、安全な飲料水の確保必要性、それから気候変動による水への影響の指摘というものがなされておるわけでございます。  また、今御指摘のありましたように、その中で我が国は深刻な公害を経験したりということもございまして、水質汚濁の経験と知恵というものは蓄積をしております。これらを生かしまして、とりわけ経済発展の著しいアジア、中国といったところを中心としまして、水環境分野での国際協力というのは大変大事なことであるというふうに考えております。  そういった観点から、来年度の予算、先日、閣議決定を見ましたけれども、その中におきましても、特に中国につきましては、日中環境保護協力の強化に関する共同声明を受けた形でいろいろな日本のノウハウ、水管理技術の適用可能モデルの調査といったこと等々を行ってまいりますし、また、アジア各国とも協力、連携をしていきたいというふうに考えております。  先生御指摘のように、日本の経験や技術、積極的に世界に発展していくいい分野だというふうに思っておりますので、引き続き頑張っていきたいと思っております。
  94. 神取忍

    ○神取忍君 よろしくお願いします。  次に、技術資金についてお伺いいたします。  途上国排出削減を促進するため、省エネ技術や公害対策技術などの協力とともに、やっぱりODAなどの資金面での支援が重要になると思います。水や公害は、先ほどおっしゃったとおり、様々な問題を乗り越えてきた中で日本らしい貢献だと私は思っております。美しい星50で志の高い途上国支援することを表明しましたが、具体的な貢献策についてどのようなお考えか、現在お話しできる範囲で教えていただきたいと思います。
  95. 大江博

    政府参考人(大江博君) 今お話がありましたように、本年の五月に美しい星50を提案した際に、主要な排出国がすべて参加する等の将来枠組み構築に向けた原則を提案すると同時に、我が国の提案に賛同し、温室効果ガスの排出抑制と経済成長を両立させようとする途上国を積極的に支援する方針というものを表明したわけでございます。  このような方針の下で、我が国は、途上国との政策協議を通じて途上国自身による地球温暖化対策の立案を支援するとともに、温室効果ガスの排出削減気候変動の悪影響への対応及びクリーンなエネルギーの利用促進の三分野におけるプロジェクトの実施を積極的に支援していく考えです。このような支援のための新たな資金メカニズムを構築することもこの美しい星50の中で提案しております。  そういう文脈の中で、先般、我が国は、インドネシア政府との間で政策協議を開始することに合意いたしました。ほかの途上国に対しても順次、政策協議を行って、支援を積極的に検討していきたいと考えております。
  96. 神取忍

    ○神取忍君 どれほど優れた取組であっても、やっぱり相手国との理解を深めていっていただきたいと思います。  そして、特に途上国における排出削減対策の進展のためには、公害対策と温暖化対策を一緒に支援するコベネフィット型の協力が重要であり、理解を得やすいと思いますが、具体的な進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。
  97. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 途上国におきましては、現状からいいますと、公害問題は大変大きな問題になっております。ただし、まだ温暖化対策までは手が出ないという国が多うございます。実際に中国もそういった立場でございまして、五年間で硫黄酸化物とかあるいは水のCODを一割下げるという公害の目標は掲げておりますけれども、温暖化については特に明確な言及をしていないという状況にございます。  そういった状況から考えますと、私どもとしては、もちろん国際的な交渉の中で温暖化対策に取り組んでもらうということを中国と交渉すること必要でございますけれども、現状で例えば中国が求めている公害対策に協力をするというときに、実際にそれがやり方によっては非常に例えばCO2を減らすということにも寄与するものがあるわけでございます。そういった方法を中国に伝える中で、一緒にその方策を議論して、中国の公害対策、それから温暖化対策も一緒にやってもらおうというのが基本的考え方でございます。  そういったことで、コベネフィットと呼んでおりますが、まず中国につきましては、十二月一日に鴨下大臣と中国の国家環境保護総局の周局長、周大臣でございますけれども、その間で合意文書に署名をいたしました。また、その後でございますけれども、同じく十二月十一日にCOP13の機会を生かしまして、インドネシア環境省のウィットラー環境大臣鴨下大臣の間で今後のコベネフィット協力についての合意文書に署名したところでございます。その文書におきましては、今後、その協力の実施体制などにつきまして早急に詰めていこうと、その上で共同研究やモデル事業実施しようということでございます。年明けから具体的なモデル事業の候補地などを選定するために中国やインドネシアとの間で準備のための具体的な協議というものを開始したいと考えております。  また、それ以外の途上国につきましても大変深刻な公害問題があるわけでございます。また、温暖化問題もやってもらう必要があるわけでございます。その両者を一体的に進めるコベネフィットアプローチによるその協力というものが展開できるような積極的な努力をしてまいりたいと、そんなふうに考えております。
  98. 神取忍

    ○神取忍君 更に更に努力していただきたいと思います。  それで、また、今回の会議では途上国における森林破壊の問題が温室効果ガスの排出源として注目されていました。アフリカなどでも森林伐採などで砂漠化となってしまい、本当に大変な問題になっていると思います。現在の枠組みでは対応していない問題でありますが、このままでよいという問題ではないと思います。我が国としてはどのような取組をしていくのか、お聞きしたいと思います。
  99. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) お答え申し上げます。  森林は健全に育成されますとCO2の吸収源となることで、温暖化対策上極めて重要な位置を占めておるわけでございますけれども、昨今、途上国におきまして森林減少あるいは森林の質的な劣化ということが二酸化炭素の排出につながるという点が御指摘のように問題になっていることでございます。  それで、IPCCの報告書によりますと、世界全体の温室効果ガスの排出量の約二割が森林減少、劣化に伴うものだというふうに言われております。これを抑制することは温暖化対策としても非常に重要だというふうに認識してございます。しかしながら、先生御指摘のように、現在の条約の枠組みでは森林減少というものを直接扱っているわけではございません。そういう仕組みはないわけでございます。  このため、今回のCOP13におきましては、我が国途上国における森林減少あるいはその森林の質的劣化、こういった問題も含めて、次期枠組みの主要な検討課題とするべきということを主張したわけでございます。その結果、そういう方向での合意が得られたところでございます。加えて、途上国での森林減少抑制のパイロットプロジェクトを実施しよう、また途上国の能力開発、これにも直ちに取り組んでいこうということも合意されたわけでございます。  今後でございますけれども、重要な課題といたしましては、森林減少とか森林の質的劣化を抑制しようと、それを効果的に実施するための途上国の能力開発がまず重要でございます。二番目といたしまして、二酸化炭素の排出抑制の効果を定量的に評価するための方法、これも確立する必要がございます。また、森林の状況を国全体としてモニタリングするためのシステムの開発なども重要でございます。  我が国は人工衛星を活用した森林のモニタリング、あるいは持続可能な森林経営を通じた森林減少、あるいは森林の劣化の防止に関して極めて優れた経験と技術を有しているわけでございます。先ごろ、世銀が森林炭素パートナーシップ基金を立ち上げまして、我が国も一千万ドルの資金拠出を表明したところでございます。こうした基金も活用しながら、知見を途上国に積極的に普及、提供いたしまして、森林減少、劣化の抑制に貢献していきたいと考えております。
  100. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。とにかく、我が国としてしっかりとサポートしていただきたいと思います。  同様に、今後二年にわたる次期枠組みづくりにおいて、来年のG8洞爺湖サミットは世界が注目して大変重要な役割を果たすものと期待しています。今回の会議によって、アメリカ、中国なども交渉の席に着いた今、日本がリーダーシップを発揮するため、より具体的な考えを世界に打ち出すことが必要だと思いますが、現時点における大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  101. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今先生御指摘のように、米国、中国、こういうような主要排出国が参加をしてバリ・ロードマップが合意されたわけでありますけれども、今後これに沿って、二〇〇九年までの二年間、この交渉は極めて重要であります。特に、今先生御指摘の、日本は北海道の洞爺湖サミットの議長国でありますから、この言わば機会をどういうふうに生かしていくかというのは極めて重要なことであります。  特に、今二年前から開始されましたグレンイーグルス・プロセスの結果がこのG20で出てくるわけでありまして、そこでの議長国と、こういうようなこともその前にあるわけでありまして、こういうようなことを、あらゆる機会を生かして洞爺湖サミットにつなげていきたいと、こういうふうに考えているところであります。  また、サミットにおいては重要課題に取り上げられるだろうと、こういうふうに考えられております気候変動問題でありますから、我が国自らが積極的な姿勢を示すことが重要と考えておりまして、長期目標の認識共有に加えまして、二〇一三年以降の次期枠組みについても、我が国が従来から主張している国際競争力の観点から、公平性が確保された目標設定の有効性の認識共有、あるいは低炭素社会づくりに向けたビジョン共有、こういうようなことを議論して、しっかりと洞爺湖サミットがこの二年間の間で重要な位置を占めるように、しっかりと議論をさせていただきたいと、こういうふうに思っております。
  102. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。とにかく、日本がリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  当然のことでありますが、国内の問題でなく国際的なリーダーシップを発揮するためにも、とにかく今、足下の京都議定書六%の約束の達成が不可欠です。しかし、残念ながら、今は逆に数値が上がっているという現状です。今現在、政府においても目標達成の計画見直しを行っており、審議会で最終報告の案が検討されていると聞いております。それは具体的にどのような対策をし、そして強化、そしてそれを追加するのか、お聞きしたいと思います。  とにかく、サミット前の重要な時期です。この報告案に示された対策メニューをやれば必ずこの六%が達成できると理解してよろしいのか、お伺いしたいと思います。
  103. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 委員御指摘のとおり、日本としまして京都議定書に示されたマイナス六%を達成できるかどうかということは、今後のポスト京都の国際協力、国際交渉における日本の足場を決めるという意味で極めて重要な事項だというふうに考えております。私どもも是非その達成のために万全を期したいと考えているところでございます。  先般、二十一日でございますけれども、中央環境審議会と産業構造審議会が合同で議論が行われました。そこで最終報告が出されております。その中では、例えば産業・業務部門における、民生部門を含めてでございますが、温室効果ガスの排出削減に向けた法制度の拡充、あるいはバイオ燃料導入促進税制などを通じた新エネルギー対策の推進、一人一日一キログラムCO2削減チャレンジ宣言などを通じた国民運動の推進と、そういったあらゆる部門において対策を強化するということが提言されておるところでございます。  今後、目標を達成するためにも、削減効果の精査、そして進行、進捗の状況管理といったものを厳格に行う必要がございます。ただ、現在、答申につきましては素案が示されまして、近々そのパブコメにかかるということで、年明けの早い時期にまとめたいと思っております。また、その後、政府としての計画を作りたいと思っております。  ただし、今回の答申を見ていただきますと、対策在り方が示されております。ただ、示したからもうこれで大丈夫だと、そういったことではございませんで、むしろ対策在り方を示し、その中であらゆる国民各層にその努力、強い努力を要求しておるというふうに私ども考えております。  したがいまして、これで安心するとか、これでできるんだということで落ち着くのではなくて、むしろその大変な重要な取組がこの後、要求されているというふうに私ども考えております。そういう中で、国民の皆様にもそういった趣旨を率直にお話しして、目標達成計画を改定し、何とか京都議定書の目標が達成できるように是非努力をしてまいりたいと考えております。
  104. 神取忍

    ○神取忍君 とにかく、努力だけでは進まない問題になると思いますので、とにかく実行して、とにかく六%達成していただきたいと思います。  それでは、バイオエタノールの普及についてお伺いいたします。  前回、環境省の立場から桜井副大臣に御答弁をいただきましたが、一方で、原油の価格はますます高騰しております。それで、庶民の間では本当に死活問題となって、厳しい現状だという問題になっております。  そういった中で、石油をなるべく使わないで済むように、太陽光やバイオマスエネルギーなど再生エネルギーの活用が温暖化対策として、また原油高騰対策として急務になっております。特に、ガソリンに代わる燃料であるバイオ燃料については二〇一〇年までに原油換算で五十万キロリットルという目標があるにもかかわらず、二〇〇七年も終わろうとしている現在もなお、大量普及にはまだほど遠い状況です。あとその目標まで二、三年しかない中で、飛躍的な普及、利用促進を図るためにどのような施策を進めているのか、経済産業省にお聞きしたいと思います。
  105. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) お答え申し上げます。  これだけの原油高の中でございますので、再生可能エネルギー、さらに省エネルギー、これも一つの自主的なエネルギーと言えるものであると思いますが、こういったものの導入促進が重要であるということはもう御指摘のとおりかと思います。  バイオ燃料につきましては、御案内のとおり、二〇一〇年度に原油換算で五〇万キロリットルというのを導入目標として掲げられております。しかしながら、なお供給の安定性、経済性、それから原料の農作物が食料と競合する等々の課題があるわけでございます。  私どもといたしましては、今年の五月に次世代自動車・燃料イニシアティブというものを公表いたしまして、食料と競合しないセルロース系バイオ燃料の技術開発というのを進めております。また、今年度から、石油業界によりまして首都圏でバイオ燃料の販売の実証事業、あるいは宮古島等々におけるバイオ燃料利用の取組ということも進めているところでございます。  さらに、今後、二つのことを考えております。  一つは税制でございまして、関係各省が要求いたしまして、来年度から、バイオ由来燃料を混合してガソリンを製造した場合に、その混合分に関するガソリン税並びに地方道路税を免除すると、免税するという制度を創設するということといたしまして、現在、その具体化の作業を進めているところでございます。これは大きなインセンティブになるものと考えております。  もう一つは、品質確保というのが非常に重要だと考えておりまして、私ども揮発油等の品質の確保に関する法律と、通称、品確法と呼んでいる法律を持っておりますけれども、これを改正いたしまして、エタノール等を揮発油等に混和する事業を行う者に対する登録制度の導入等々の、その品質確保のための観点からの環境整備というものを進めていきたいと思っております。  こういった取組によりまして、バイオ燃料の導入促進に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
  106. 神取忍

    ○神取忍君 本当に国民のためにも、本当に今の様々な問題を解決していただきたいと思います。  ちょっと時間が早いんですけれども、終わりにさせていただきます。
  107. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  バリ会議、誠に大臣、御苦労さまでございました。COP13では具体的な数値が入らなかったわけでありますが、そういった意味では非常に残念ですが、ただ、議論し交渉する共通の場ができたということでは非常に喜ぶべきことであります。これからが正に日本にとっても正念場でありまして、数字がないことから物足りないわけでありますけれども、ただ、COP15で数値目標を入れた枠組みの確定に向けて、いかなる戦略的アプローチをつくり上げていくかということが極めて重要なことであります。大臣はどのようにお考えかと。  また、十二月二十一日には京都議定書目標達成計画の見直し最終案が発表されたわけでありますが、見直し案についていかに足下を固めるという意味で、これは15に向かって極めて重要でございます。先ほど答弁にもあったわけでありますけれども、やはり国際社会に向けて、日本の実行力あるいは信用力を確保するという上からも極めて重要であります。  しかし、まだ議論が残っているように考えておりまして、新聞の方が種々の論評をしております。根拠がないとか実効性がないとか一層の追加策をと、あるいは可能な解が出てきたとか、様々な議論がありますけれども、先ほど申し上げましたように、私はまだまだ課題が残っていると。報道によれば、大臣は閣議の後の記者会見で、予想は出たが、実現できるかは別と、そういう慎重な見方を示したと、このようにあったわけでありますけれども、そういうことも含めまして、大臣の六%京都議定書目標達成への決意を改めてお聞きしたいと思います。
  108. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今、先生から二点のお話がありました。一つは二〇〇九年に向けて日本の国際的な戦略をどういうふうに考えているのかということと、もう一つはマイナス六%に対しての言わば国内的な目標達成の状況について、こういうような話でございましたので、両方、順次お答えさせていただきます。  一つは、次期枠組みの全体像や国際的な目標設定につきましては我が国の基本的な考え方を示しまして、国際的に公平で世界全体の削減につながる枠組みとなるような議論、こういうようなものを主導していくことが日本の役割と考えております。削減目標につきましては、次期枠組み全体の交渉の進展を考慮しながら、我が国が掲げている二〇五〇年半減、こういうような長期目標につながるよう設定することが必要と認識しておりまして、我が国としても国内の検討作業を精力的に進めてまいりたいというふうに考えます。  来年の北海道洞爺湖サミットにおきましては、気候変動が主要議題の一つになると、こういうようなことと考えられます。国連における交渉に貢献できますよう、すべての主要排出国が参加する実効ある枠組みの構築について、主要国間の相互理解を深め、共通認識を形成すべく、G8議長国の役割として最大限リーダーシップを取っていくと、こういうようなことが必要だというふうに考えております。  また、京都議定書に掲げる六%削減目標を確実に達成することは、これはもうおっしゃるとおり、まず我が国が国際的にリーダーシップを取るために不可欠なことであると思っております。先週行われました審議会で、産業、業務、家庭などあらゆる部門において対策を強化することを内容とする最終報告案が提言されましたが、それぞれ御批判もあります。ただ、今後、目標を達成するためには、すべての主体が既存の対策に加え追加的な対策、施策に危機感を持って全力で取り組むと、こういうようなことが不可欠になっているわけでありまして、今後もこの目標達成計画の改定に向けて、引き続き政府が一丸となって取り組んでまいりたいというふうに思っておりますし、加えて、私も先頭に立って汗をかきたいと、こういうふうに思っております。
  109. 加藤修一

    加藤修一君 最終案の更なる見直しが、これはパブコメ含めてという話の意味でありますけれども、必要だと思っておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。  最終案を見て思ったことは、やはり自主行動計画あるいは国民運動の実現性がかぎではないかと、そういうふうにとらえておりますが、特に国民運動の六百七十八万トンから一千五十万トン、これについてお聞きいたしますが、環境省はよく政策評価とか行政評価、そういったことでPDCAを使って云々という話が出てくるわけでありますけれども。  今回のバリ会議でも計測、報告、検証ということの重要性が議論されたわけでありますけれども、正にそういった意味では、明年から始まるこの段階でこのような質問をするということは非常に残念でございますが、こういう計測、報告、検証、これをどのように行うかと、PDCAの考え方があったとしても、こういった面についてしっかりととらまえていくことが極めて重要でないかなと思います。  そういった面では、この削減量に幅が当然示されているわけでありますけれども、これはやはりできる、できないという幅の関係で、しかもそれは担保が明確になっていないということにも由来するんではなかろうかと、このように考えておりますが、根拠を明確にお示しをいただきたいと思います。
  110. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 国民運動でございます。私ども多くの方に業務部門、家庭部門を中心に御協力いただく、大変必要だと思っております。その中で、御指摘のとおり、二〇一〇年につきましては六百七十八から千五十万トンの削減効果を見込むんだということで推計をしておるところでございます。  具体的には、家庭での六つのアクション、職場での二十八度設定のクールビズ、あるいは冬季の二十度設定のウオームビズ、この三点に絞りまして推計をしております。  その他も様々やっておりますけれども、実績があってある程度は効果が把握しやすいものということに限定しまして、具体的に何%の会社等に普及させ、またその結果、どういう形での削減を見込むかということも計算をしております。それにつきましては、すべて審議会における資料等に出しまして、また私ども、ホームページでも公表しておるところでございます。  当然ながら幅がございます。これにつきましては、毎年削減の状況につきまして精査を行いまして、そして進捗管理を行い、もし進行が不十分であれば更にその実施率の向上を図るといった対策を打ちまして、是非ともこの運動が浸透し、実際に効果ができるようにしていきたいと考えております。
  111. 加藤修一

    加藤修一君 毎年、進捗管理をやるということでしょうが、やはり年間通してしっかりとそういった面についても進めて、何としてもやはり六%削減を成果として得れるように頑張っていただきたいと思います。  次に、経済産業省にお尋ねでありますけれども、自主行動計画の強化拡充ということについてでありますけれども、削減量の達成が確実になる担保、これについてもお聞きしたいわけであります。  既に達成した削減量をそのまま企業の目標値として出しているところもあるようでありますし、あるいは生産のエネルギー効率による目標値を示していると。そういった意味では、これは私としては、やはり目標値というのは統一的にCO2換算量、そういう削減量を明確に示すべきでありまして、景気の動向によって左右されるような効率性だけでは不十分ではないかなと、そのように考えておりますので、こういった面について徹底をし、やはり確実性が担保できるようにすべきであると。  そういった意味では、先ほど環境省にも申し上げたわけでありますけれども、計測、報告、検証、これを明確にしていく、やはり公開し、透明性の確保が極めて重要であると、このように考えておりますが、この辺について御答弁をお願いいたします。
  112. 伊藤元

    政府参考人(伊藤元君) お答え申し上げます。  今後、正にマイナス六%を達成する上から、自主行動計画が大変重要な役割を担っていることは先生御指摘のとおりでございます。  内容は、現在、審議会に御答申をまとめていただいておりまして、今後パブコメということになるわけでございますけれども、いずれにせよ、そのフォローアップということが大変重要であるというふうに認識をしております。  そうした中で、政府全体として見ますと、これまで自主行動計画がなかった業種につくっていただく、それから定性的な目標しかなかったものに定量的な目標をつくっていただく、さらには厳格なフォローアップをしていただくということが大変重要であるということでございまして、この観点からは関係各省庁が所管業種に具体的、積極的な働き掛けを強化をしていただくということが重要であると認識をしております。  その上で、当省所管のものでございます。これは総体的に、産業界の御努力もありまして、成果を上げているというふうに認識をしておりますが、先生御指摘のとおり、これにつきましても更なるフォローアップということが重要であると思います。目標の引上げ、それからフォローアップの厳格化ということでございますが、担保という関係での御指摘に対してでございますけれども、当省所管の自主行動計画の部分につきましては、原単位のみを目標指標としている業種も含めまして、昨年度のフォローアップから、各業種における目標達成状況に加えて、基準年度比のCO2排出量増減の状況ということも併せて評価基準としております。  何を目標にするかということにつきましては、この計画が自主行動計画であるという観点からは、すべていわゆる原単位というものを否定するということは難しいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、自主行動計画につきましては、これまでも関係審議会による厳格なフォローアップを通じて透明性を確保しつつ評価を行ってきておりますけれども、今後ともこのような手続の下、目標の引上げの促進も含めまして産業界の積極的な取組を促していきたいというふうに考えております。
  113. 加藤修一

    加藤修一君 自主行動計画の中には、業界においてはいわゆる省エネ法の努力目標、これをクリアしていないと。まあ努力目標ですから、あくまで努力したかしないかという話で、それはやらなければいけないという義務が掛かっているわけじゃありませんが、しかし省エネ法の努力目標をクリアしていないと。これは自主行動計画と若干似通ったところが出てくる可能性もあるんですね。そういう懸念を私は持っておりますので、改めてやはりしっかりとした対応をしていかなければいけないなと、そう思いますので、是非更に確実に進むように進めていただきたいと思います。  次に、経済産業省の関係で、新エネの目標達成の関係でありますけれども、これは何回か私も取り上げてきておりますけれども、やはり新エネルギー拡大についてはもっと積極的に私はやっていくべきであると思います。  これは新聞にありましたが、現行対策では二〇一〇年に四千六百九十万トン削減不足とされていたと。今回の追加対策でも依然として最大限約八百万トン不足というふうに指摘をされているわけでありまして、そういった意味では、今回の現行対策を前提にしながら更に追加という話になっているわけでありまして、その現行対策の方がこういった形で不足しているということについては非常に私は懸念を覚えておりまして、果たして太陽光が五百万キロワット、二〇一〇年でいくか、あるいは風力発電が三百万キロワットでありますけれども、それがしっかりと一〇〇%達成できるかどうか、極めて疑問なところでございます。  そういった意味では、二〇一一年以降の深掘りになる年度を含めてどのようにCO2が削減されるかということについても報告をしていただきたいと思います。  それから、電力買取り制度でありますけれども、日本版RPS制度の関係で、これがやはりなかなか順調に私は伸びていないように思っておりまして、これとの関係も当然あるように思います。そういった意味では、この電力の買取り制度の関係についても抜本的に見直しをしなければいけないんではないかなと、このように考えております。この点について御答弁をお願いいたします。
  114. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) 新エネルギーに関しまして先生からいつもいろいろ御指摘をいただいていまして、大変感謝申し上げたいと思います。  この産構審、中環審の合同部会でございますけれども、まず数字は、基本的に今回は幅を持ってお示しをさせていただくということでありまして、九月の中間報告段階で、新エネルギーに関しましては千五百四万キロリットルから千九百十万キロリットルという数字であったわけであります。このうち、幅でございますものですから、最小値というものは今のトレンドで推移した場合における最小ということでありまして、今回の合同会議では様々な追加的な政策を議論いたしまして、この最小値の方を引き上げさしていただいたということでございます。  私ども、新エネルギー対策につきましては、例えば、先ほど申し上げましたけど、バイオ燃料分野における品確法という法律による品質確保の促進とガソリンを購入した場合の揮発油税の免税措置、あるいは風力に関しましては洋上風力発電に関する研究開発、それから太陽光に関しましては革新的な太陽光発電のための国際研究拠点の整備、あるいはセルロース、バイオマスに関する技術開発、さらに地産地消型の新エネを促進するための新エネ百選の取りまとめと、様々な政策を用意さしていただきまして、こういったことにおきまして、その新エネルギー対策を推進してまいりたいと考えております。  二〇一一年以降どうなるのかというお尋ねでございますけれども、今回の合同会議の最終報告で示された新エネルギー導入によるCO2削減量の見通しというものは、京都議定書目標達成計画と同様に二〇一〇年度における数字でございまして、残念ながら二〇〇八年から二〇一二年までの各年の見通しというものを試算しているものではございません。しかしながら、新エネルギーは当初は進まなくても将来大きく伸びるということもあろうかと思います。太陽光などの場合は、二〇一〇年を目途に、民間において大変大きな投資の促進というのが予定されております。バイオ燃料も引き続き大きく拡大していくと考えておりまして、二〇一〇年だけじゃなくて、一一年以降も積極的に応援をしてまいりたいと考えております。  それから、RPSの話でございます。このRPSに関しましても多くの議論を呼んでいるところでございます。しかしながら、RPS法、平成十五年四月の施行をいたしました。四年間たっているわけでありますが、この法律対象となる再生可能エネルギーによる電力の供給というのは全体で二・二倍に増加をしております。個別に見ても、例えば風力は平成十四年度から平成十八年度までで四・五倍、太陽光も三・二倍というふうになっているわけでございまして、今年の三月には、総合資源エネルギー調査会RPS法小委員会の審議を経まして、二〇一四年度の利用目標量としまして、おおむね現状の三倍程度に当たります百六十億キロワットアワーというものを設定いたしました。また、この際、太陽光につきましては、その発電量を、他の新エネルギーに比べて二倍にカウントするという措置を導入いたしました。  このように、RPSはまだ不十分ではないかと御指摘もあろうかと思いますが、それなりに効果があると考えております。しかしながら、新エネルギー全般につきましては、今回の産構審、中環審の合同部会においても様々な御指摘を更にいただいていることもございまして、先生の御指摘も踏まえて、なお引き続きしっかり検討してまいりたいと考えております。
  115. 加藤修一

    加藤修一君 更に積極的に展開していただきたいと思っておりますが、ただ、新エネルギーの関係で、今、倍率ですね、太陽光云々、あるいは風力、答弁しておりましたけれども、ただ、太陽光は今は百五十万キロワット前後だと思うんですね。最終的に四百万キロワットに二〇一〇年までにするという話を考えた場合に、急速にできるかという、そういう現実性をよく考えていただきたいと思うんですよ。あるいは風力発電だって、現在たしか百万キロワット前後だと思いますけれども、これも二〇一〇年にはたしか三百万キロワットを目指しているわけでありまして、三倍を考えるという話でありますけれども、これも、たかだか三年ぐらいでできるかというと、これは現実的な対応としてはそういうふうにならないだろうというふうに想定し得るんですね。  この辺のところがどうも、私の印象でありますけれども、新エネに対しては非常に冷たいなという感覚にならざるを得ないわけであります。しかし、この分野は非常に今後とも大事でありますので、もっともっと加速的に伸びる施策の展開を是非とも進めていただきたいと思います。  それから次に、環境省にお願いでありますけれども、金融審議会が、いわゆる日本の国際競争力を高めるという施策の関係で報告書を出しております。これは排出権取引の関係も実は含まれておりまして、規制緩和をすべきであると、こういうことでありますけれども。経済同友会の桜井代表幹事は、個人的見解としながらも、今年の十月十六日に、記者会見におきましてキャップ・アンド・トレードについて聞かれまして、絶対量の削減を追求していくのであれば、おのずとキャップ・アンド・トレードに行き着くと、義務的部分を設け、不足分はトレードで行うというのが基本原則であろうと、こういうふうに実は述べているわけであります。  先日、我が党も実は総理と外務大臣に、国内排出権取引制度などの大胆な目標達成計画の見直しを行うと、こういったものも含めて申入れを行ったところでありまして、今回の報告書、最終報告案の中には、国内の排出権取引制度については両論併記で結論を先送りしているわけでありますけれども、やはりこういった面についても大胆に進めていくべき、そういう時期に来ているんではなかろうかと、このようにとらえているわけでありますけれども、環境省はどのような判断をされておりますか。
  116. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 私ども、この国内排出権取引制度につきましては、市場メカニズムを用いて温室効果ガスの排出を削減するという、温暖化対策の有効な選択肢の一つであるというふうに従来から認識をしているところでございます。そのため、その知見、経験の蓄積を図るという目的で十七年度から自主参加型の国内排出量取引制度を実施をしてきております。  また、EUが二〇〇五年の一月からEU域内での排出量取引始めております。それから、EUと米国の二十数州の政府との間での今後の世界的な制度基盤づくりにおいての連携が始まっていると。そういったことについても、その進捗状況をきちんと把握をしたいというふうに考えております。  先般、中央環境審議会と産業構造審議会の議論の際にも、排出権取引、大変深く議論されました。今回の議論の中で、最も深く、かつ、何というんですか、様々な方からの意見があって議論が深まったものが、この国内排出量取引だというふうに私、考えております。ただ、結果としましては、非常にたくさんの議論をいただきましたが、様々な議論があって結論を得なかったということでございます。そして、今後速やかに検討すべき課題の最初に掲載するということになっておるところでございます。  環境省としましては、我が国における排出量取引の在り方につきまして、関係者の理解を得ながら検討を加速させていきたいと、そんなふうに考えております。
  117. 加藤修一

    加藤修一君 それでは次に、G8サミットの関係でありますけれども、洞爺湖G8サミットを明年、開催されますけれども、この件に関しましては、いろんな方が以下の内容についても話ししているところであります。いわゆるカーボンオフセットの関係であります。  この事業にカーボンオフセットの考え方を入れて、いわゆるG8サミットで排出したCO2についても相殺できるようなほかの施策の展開をすべきではないかと、こういうことでありますけれども、最近、年賀はがきも五円分はそういうカーボンオフセットの考え方を導入してやっているようでありますけれども、これについて外務省の方は、どのように明年のこの関係については考えているんでしょうか。
  118. 深田博史

    政府参考人(深田博史君) お答えいたします。  正に、来年の北海道洞爺湖サミット、環境が重要なテーマになるわけでございますが、そのサミット自身の準備及び運営面におきましても、我が国として積極的な環境への取組姿勢を内外に向けて発信していきたいと、かように考えておりまして、その一環といたしまして、先生御指摘のカーボンオフセットについても、これを導入していく所存でございます。  具体的には、サミットの運営に伴うCO2の排出、その排出自体は徹底的に削減努力をすると。その上で避けられないCO2の排出につきまして、CO2の削減プロジェクトなどを通じて相殺するということで、現在、そのCO2の排出量の策定あるいは相殺の具体的な手法などにつきまして、カーボンオフセットの具体的なやり方について検討を行っておると、こういうところでございます。
  119. 加藤修一

    加藤修一君 是非、実現できるように最大限頑張っていただきたいと思います。  ちょっと時間の関係で極めて厳しい状況になってまいりましたので、せっかく農水省にも来ていただいておりますけれども、別の機会にさせていただきたいと思います。  それでは、財務省にお願いしたいわけであります。  昨年の十月ごろだったと思いますけれども、気候変動、これ、だんだんだんだん深刻になっていくということで、経済的な損害、損失の問題についてスターン・レビューというのが出されたわけでありますけれども、最大限、大変な損害ということでは世界のGDPの二〇%はなるんではなかろうか、それをいかに回避するかということで、一年間にGDPの一%を投入すれば何とかなると、そういう結論めいたこともありました。  これからODAは大変厳しい状況でありますし、やはり様々な資金メカニズムを考えていかなければいけないなというふうに考えておりますけれども、そういう今後の潜在的な財政負担、これが生じてくる可能性が十分考えられると。こういったことを絡めながら、このスターン・レビューについてどのような見解を持っているか、お示しをしていただきたいと思います。
  120. 木下康司

    政府参考人(木下康司君) お答え申し上げます。  委員御指摘のスターン・レビューは、気候変動による影響やその経済コストなどにつきまして包括的に分析した報告書であり、温暖化による経済的影響を理解する上で有益な報告書の一つであると認識しております。  スターン・レビューにおきましては、地球温暖化対策について、今行動を起こした場合でもGDPの一%程度の対策コストが掛かるとの指摘がなされております。財政当局としても、財政健全化を進める中で地球温暖化対策、とりわけ来年から約束期間が開始する京都議定書の六%削減目標の達成に向けた財政負担が増加していくことにつきまして強い関心を持っているところでございます。  京都議定書の目標達成に向けた規制、経済的手法、自主的取組を基本に据えた効果的な政策手段を適切に用いていくことが必要であると考えておりまして、現在、京都議定書目標達成計画の見直し作業が行われている中、環境省を始め関係省庁と連携しつつ、財政当局としても適切に検討し、対応していきたいと、そういうふうに考えております。
  121. 加藤修一

    加藤修一君 いつまでもODAだけという話には当然いかないわけでありますので、そういった意味では、資金調達のメカニズムをどう考えるかというのは極めてこれは国際的なテーマに私はなっていると思います。そういった意味では、例えばTICADにどういうふうに対応するか、あるいはMDGsにもどう対応するかということが当然考えられるわけでありまして、これは国際的にどう対応するかという話には当然なってくるわけであります。  そういった意味では、国際課税ということについても議論になってきていると。フランスは独自に航空税の関係を含めて、それでアフリカ開発に向けているということでありますけれども、日本は皆さん御承知のように七百兆を超える借金を抱えている段階でありますので、何とかこういう国際課税ということについてもやはり議論を促進させなければいけないというふうに私自身は考えてございます。  それで、例えば国際課税ということを考えた場合には、世界の一日の通貨の取引総額、これは三・二兆ドルあると、一日に。一日に三・二兆ドルでありますので、一年間に八百兆ドルを超えると。三・二兆ドルであり、一年間では八百兆ドルを超えると。これは円換算しますと九・五京ですね、兆を超えて京になるという、そういう一年間の取引量があるわけでありまして、ほとんど短期取引であると思いますけれども、こういうものに対して課税するということも一つの考え方としてあっていいと思うんですね。  実際、トービン税はこういった考え方にのっとっていると思いますけれども、仮に〇・〇五%の課税をすると、これは現在、日本の消費税の百分の一でありますけれども、そうしますと、九・五掛ける五で四十七兆円、年間ですね、そういう原資が得ることができると。もちろん、これは短期的な取引に対して規制するという話になってまいりますのでもっと減るとは思いますけれども、しかし相当の資金調達ができるという、そういうメカニズムとして考えていくことができると思いますけれども、この辺について、財務省のお考えはどのようなとらえ方をしておりますか。
  122. 川北力

    政府参考人(川北力君) お答え申し上げます。  御指摘の国際連帯税の考え方でございます。  諸外国の取組について見ますと、先生御指摘にございましたように、フランス等におきまして開発資金に充当するためにいわゆる航空券課税というものを導入しているということがあることは承知してございます。  こうした課税の導入を検討するに当たりましては、そうした新しい税負担を求めて開発や環境目的の資金に充てるといったことにつきまして広く国民各層から十分な理解を得られているのかどうかということが問題になろうかと思います。  また、御指摘ございましたいわゆるトービン・タックスでございますけれども、このトービン税につきましては、そもそもは投機的な為替取引の抑制等の観点から為替取引に税を課そうとするものであるというふうに承知しております。このトービン税につきましてはこれまでも国際的な場でいろいろ議論されておりますけれども、その際は課税の効果ですとか、あるいは適正な執行の確保につきまして問題点も指摘されておりまして、こうしたことも踏まえまして慎重な検討が必要であると考えておるところでございます。
  123. 加藤修一

    加藤修一君 二〇〇六年のこれはG7だったと思いますけれども、革新的な開発資金源に関するパリの閣僚会議というのが開催されまして、開発資金のための連帯税に関するリーディング・グループ、そういうのを設置して議論をしているというふうに聞いております。これは三十八か国が参加し署名した段階でありますけれども、日本はこのグループメンバーに入っていないと。  やはり、私は日本はこういう、まあいろんな思惑があってそういうのがつくられているということは重々承知しておりますけれども、やはり新しい資金メカニズムをどうつくるかというのがこれからの地球温暖化対策あるいは貧困撲滅等を含めて極めて、これは日本の課題というよりは世界の課題でありますので、その場合の原資をどこから調達するかというのが非常に大事なわけでありまして、こういった面についてもっともっと私は議論をしていくべきだと考えております。  そういった意味では、明年はG8サミットでありますので、こういったテーマを検討するようにやはり私は外務省としても提案すべきだと、このように考えておりますけれども、外務省、どうでしょうか。
  124. 大江博

    政府参考人(大江博君) 来年のサミットへ向けて、あらゆる可能性をいろいろ検討してまいりたいと思います。
  125. 加藤修一

    加藤修一君 これは質問通告しているわけでありまして、あらゆる可能性を考えてって、そう言われても、もうちょっと踏み込んだというか、積極的な答弁してほしいんですよね。ちょっと質問が行き渡ってないのかどうなのか分かりませんが、これはG8サミットですよ。G8サミットでしっかりと議論できるような環境を、日本でこれ開催するわけでありますから、日本がある意味で様々なイニシアティブを取っていかなければいけない。そのうちの一つとしてこういうことも考えてやっていくべきであるというふうに私は提案をしておりまして、これを含めてこれは総理にも外務大臣にも、そして前環境大臣の若林大臣にもしっかりとここについては申入れをしているところでありまして、是非これは、それなりのと言うとあれですけれども、それなりの答弁をここでしていただきたいと思います。
  126. 大江博

    政府参考人(大江博君) このミレニアム開発目標であるとか地球温暖化対策のための新しい資金調達メカニズムについては、先ほど先生からおっしゃったように、これは民間資金をも含めた幅広い開発資金の動員が必要だというふうに我々は認識しておるわけであります。  そのような中で、我が国としては先ほどからおっしゃっておられる来年のTICADⅣ、それから洞爺湖サミットに向けていろいろな、どのような資金メカニズムについても議論を進めていくかということを今検討しておりまして、我が国も今年の五月の美しい星の中で提案しましたような資金メカニズムというものも検討しておるわけですけれども、このような資金メカニズムについては各国が行うもの、それからほかの国と連携して行うもの、それから国際機関と連携して行うもの、こういうものを全部すべて含めてサミットの中で検討していきたいと、このように考えております。
  127. 加藤修一

    加藤修一君 もう時間でありますけれども、要はもう少しこういった面も含めて腰を入れて外務省やっていただきたいと思います。  それから、財務省の先ほどの答弁でありますけれども、国民の理解をという話がありましたが、これは何も国民に向けてこういった面について議論を官の方でやっているわけでも何でもないんですよね。そういうことについてはやはりもっと積極的に財務省が考えていくべきことだと私は思います。  それから、国内のこれからの潜在的な財政負担のことを考えてまいりますと、そういった面についてもどう対応するかということが、これはもう財務省自身の大きな役割でありますから、なぜスターン・レビューを財務省がやったかと、イギリスの財務省がですね、そういうことも考えてやってきている話でありますから、是非、私は地球温暖化対策の関係につきましても財務省がもっともっと今まで以上に腰を入れて積極的に対応していただきたいと、このように思います。  これを言いまして、質問を終了いたします。
  128. 市田忠義

    ○市田忠義君 日本共産党の市田です。  IPCCの第四次評価報告書によりますと、地球の温暖化は疑う余地がないと、そう指摘して、とりわけ二十世紀半ば以降に観測された世界の平均気温の上昇のほとんどが言わば人為的起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高いと、単なる自然現象ではなくて人間の経済活動の結果、そういうことが起こったと。例えば、世界の平均気温の上昇でいいますと、観測が始められたのはたしか一八五〇年だと思いますが、それ以降の最も高い十二年のうち、最近十二年の十一年までが入っているだとか、世界の平均海面水位、これは一九六一年から〇三年まで年平均一・八ミリメートルだったのが、ごく最近の一九九三年から〇三年までだと三・一ミリメートルと。  私は、このIPCCの報告というのは今の気候変動の悪影響についての言わば疑いようのない科学的証拠が示されているというふうに考えますが、大臣はこの点についてどう御認識でしょうか。
  129. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今先生お話しになりましたように、IPCCの第四次評価報告書の中に書かれていますそれぞれの知見につきましては、これはもう国際的な政府間のパネルでありますから政府間ですべて合意された客観的な事実と、こういうようなことであるわけでありますし、加えまして、今回、ノーベル賞を受賞したと、こういうようなことも含めて、我々はこのIPCCの科学的な知見を尊重すると、こういうようなことが重要だろうと、こういうふうに考えております。
  130. 市田忠義

    ○市田忠義君 今、ノーベル賞を受賞したという話もありましたが、国連の事務総長も、この報告書がすべての国家を巻き込む包括的な気候変動対策合意に導く真の突破点を提供したと。さらに、今行動を起こさないと重大な危機に直面する、科学者は仕事をしたが、今度は政治家が役割を果たすべきそういうときだと強く訴えておられますが。  先ほどの他の委員の質問でもありましたが、改めてちょっと確認しておきたいんですが、環境省、COP13の採択文書ではIPCCの第四次評価報告内容がどのような形で盛り込まれているのか、簡潔にお答えください。
  131. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) お答え申し上げます。  まず、条約の下に新しく設けられた特別作業部会に関する決定文の中で、その前文で二か所、IPCCの報告が触れられております。まず一点目は、気候システムが温暖化していることは疑う余地がなく、排出削減が遅延することは温室効果ガスが低い濃度で安定する機会を逃し、著しい気候変動リスクの危険性を増大させることを示したIPCC第四次報告書の内容に対応しつつというのが一点目。二点目は、条約の究極の目的達成のためには全世界で大幅な排出削減が必要となることを認識し、IPCC第四次報告書が述べるとおり、緊急に気候変動に取り組む必要性を強調し、といったような文章でございます。  それともう一つ京都議定書の下で設置をされました特別作業部会の結論部分でございます。  これも二か所ございまして、こちらもAWGという同じ名前でございますけれども、AWGは、IPCCの第四次評価報告書第三作業部会の成果に言及されている削減幅、先ほども御答弁申し上げましたが、複数のレインジズという言葉で表現されておりますけれども、この削減幅は有効である、有用であること。同報告書は、地球の温室効果ガスは今後十年から十五年で頭打ちになって、その後、非常に低い水準に抑制される必要があり、IPCCがこれまでに示したシナリオの中で最も低い水準で大気中の濃度を安定化するためには、二十一世紀半ばに二〇〇〇年比で半減以上とする必要があることに留意した。  もう一か所、AWGは、IPCC第四次評価報告書第三作業部会で評価されたものの中で最も低い水準を達成するためと、潜在的損失を限定するためには、附属書Ⅰ国が全体として排出を各自可能な手段で二〇二〇年までに二五から四〇%という幅で削減することが必要であることを認識した。  以上でございます。
  132. 市田忠義

    ○市田忠義君 AWGの方は後で聞こうと思ったんですが、一緒にお答えいただきましたが。  大臣にお聞きしたいんですが、バリ入りされた十一日の記者会見だったと思いますが、報道によりますと、共同議長案の掲げる数値目標は信頼できる数字に基づいている、私たちが取り組まなければならない目標だと、そう報じられていますが、この信頼できる数字に基づいているというのは、IPCC報告の数値目標のことを指すと、そう理解してよろしゅうございますか。
  133. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) おっしゃるとおりでございます。
  134. 市田忠義

    ○市田忠義君 IPCCの評価報告では、先ほどもお話がありましたように、今後二十年から三十年間の緩和努力とそれに向けた投資がより低い安定化濃度の機会達成に大きな影響を与えると。排出削減が遅れれば、より低いレベルでの安定化の機会が大きな制約となると、より厳しい気候変化の影響を増加させるだろうと世界各国に対応を強く求めたわけですが。  さらに、大臣が、EUに匹敵するだけのものは腹に持っている、五〇年に世界で五〇%減という日本提案、いわゆる美しい星50の延長線上はおのずとそういう数値だと、そう説明されたということも報道されているんですが、このEUに匹敵するものという数値もIPCCの数値目標のことを指すと、そう理解していいでしょうか。
  135. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) IPCCが二五から四〇%減が必要だと、こういうようなことについて言及しているわけでございまして、それをEUが受けまして、EUも本来的にIPCCの数値目標を尊重すべきと、こういうようなことで、バリでも強く主張しておりました。そういう意味においては、私の、これは環境大臣あるいは環境省としては、そういう数値が合理的だろうというふうに考えております。
  136. 市田忠義

    ○市田忠義君 今もお話あったように、EUはCOP13で二〇二〇年までに日本、アメリカ、ヨーロッパの先進諸国全体で一九九〇年比で三〇%削減すると。さらに、五〇年までには六割から八割の削減を提案して、京都議定書よりも厳しい、そういう総量削減義務を先進国に示したわけですけれども。私は、日本も二〇五〇年までに半減させる道筋を付けるために中期削減目標を早急に提示することが必要であるというふうに考えます。  大臣は、これもCOP13の前に、これはある新聞のインタビューでしたが、これは国会でもそういう答弁があったと先ほど福山委員のやり取りでありましたけれども、前提が固まった上でという話ですが、こうおっしゃっています。年内にも日本の新たな温暖化ガス削減目標を公表したい。EU目標を超えるような目標も視野に入れている。準備して自分の義務を果たすようにしておかなければ、交渉の場での発言力が弱まると。こう語っておられます。私は、これは大変積極的な発言だというふうに思いました。全体が固まった上でと先ほどおっしゃった。バリ会議ですべての国が参加するということで合意したわけですから、そういう状況の下で、日本の新しい削減目標を明らかにする必要が私はあると。  先ほど鋭意、いつごろかという話に鋭意努力と、これ鋭意努力というのは何とでも取れるわけですが、前向きな発言と私、受け止めたいと思うんですが、おおよそいつごろ明らかにされるおつもりなんでしょうか。三月末、三月までぐらいという目安で環境大臣としてはお考えなのか、その辺り、どうでしょう。
  137. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 二〇五〇年に五〇という話があります。それから、九〇年比で二〇一二年にはマイナス六%ですから、それをつなぎますと、おのずと二〇二〇年ぐらいの削減目標というのは多分、類推できるんだろうというふうに思っております。  そして、今委員おっしゃるように、私は前提条件を付けて申し上げました。すべての国が合意できる枠組みができた後にということでありましたから、そういう意味でいうと前提条件は整いつつあるわけでありますので、その中で日本としてG8に向けて、自分たちがプレーヤーとして努力しないで調整役だけというわけにはいきませんから、ですから、そこにつきましては私は最大限努力をさせていただきたいと思っておりますけど、これはもう政府内での調整もございますし、先ほど申し上げましたように、産業と環境の両立というのが我々の命題でもございますので、そういうようなことも含めて環境大臣としては精一杯努力をさせていただきたいと、こういうふうに思います。
  138. 市田忠義

    ○市田忠義君 年内にもとおっしゃったということは、おおよそいつごろなんですか。今、言えないんですか。
  139. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 最大限努力をさせていただきます。
  140. 市田忠義

    ○市田忠義君 先ほどは鋭意努力で今度は最大限と、どちらが積極的なのかはまあ微妙でありますけれども。  IPCCのパチャウリ議長が、バリ・ロードマップについて明確な数値目標を入れることは極めて重要で優先されるべきだと、こう強調していますし、国連の開発計画の総裁のケマル氏は、京都で行われたシンポジウムで、地球温暖化に大きな責任を負う先進国は、九〇年比で二〇二〇年までに三〇%削減すべきだし、日本も同様だと、こう述べています。私は、日本の新しい中期削減目標をできるだけ早期に提示して、来年七月の洞爺湖サミットでリーダーシップを発揮して、バリ・ロードマップに基づいたいわゆる京都議定書以後の総量削減と国別削減、これを義務付ける枠組みをつくると、そのために全力を尽くすことが大事だということを指摘しておきたいと思います。  次に、IPCCの第四次評価報告は、温暖化が広範囲にわたる回復不能な結果をもたらすおそれがある、今後二十年ないし三十年の削減努力が決定付けると、対応を強く迫っているわけですが、AWGでも合意しているように、先進国全体で二〇年までに九〇年比二五%から四〇%の排出削減が必要となっているわけですが、大臣にお聞きしたいのは、この削減目標を達成する上で、いわゆる義務付ける手法なのか、自主的な手法にゆだねるのかということが鋭く問われているというふうに思うんですが、大臣はどちらのポジションを念頭に置いて今後の交渉に臨まれるのか、基本的な姿勢について伺いたいと思います。
  141. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今、先ほどの議論にもありましたけど、新たに目達計画を改定すると、こういう作業に今入っているわけでありまして、これからパブコメを含めて年度末には閣議決定と、こういうようなことのプロセスになると思いますが、そういう中で、それぞれ産業界あるいは各セクターが自主行動計画で努力をしてくださっていると、こういうようなことについては多としないといけないと思います。  ただ、それは先ほども申し上げましたけれども、常にフィードバックをして、そしてアセスメントをしていくというようなことをして、結果的に実現できなければ次の策というものをより言わば規制的なものにしていかざるを得ない時期が来るのかどうかというのは、これはもうあと少し経過を見ないと分からないと、こういう段階なんだろうというふうに現在は思っております。
  142. 市田忠義

    ○市田忠義君 これまた大臣はCOP13に出席される前に日本経団連と懇談をされて、これも報道によりますと、経団連の御手洗会長は、京都議定書のような不合理な総量規制が設定されると国際競争力の弱体化は避けられないと、こう主張したのに対して、大臣の方は、枠組み交渉が本格化すれば京都議定書より数段上の削減目標を迫る動きは一層強まるだろうと、そう指摘したというふうに報じられていますが、これは総量削減目標の義務付けにポジションを置いて発言されたと、そう解していいですね。
  143. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 次期枠組みバリ・ロードマップが合意されたわけでありますから、これはすべての国が参加をしてこれから二年間の間に様々な削減義務も含めて負うと、こういうようなことの議論の場ができ上がったわけです。  今までの話の中で、今、御手洗会長の話がありましたけれども、京都議定書においては、我々が今、日本の近隣で国際競争をしているような諸国も削減義務を負っていないというようなことがございますので、こういう中では経団連のおっしゃっていることも一つ理もあるわけでありますけれども、これからすべての国が入ると、こういうようなことにおいては、それはそれなりに日本も義務を負うということについては、これは地球全体のために仕方がないことだろうと、こういうふうに私は受け止めているわけであります。
  144. 市田忠義

    ○市田忠義君 やはり、日本が積極的な役割を果たすということに対してもっと私、熱心でなければならないというふうに思うんですが、国際競争力論云々で言いますと、例えば自動車の排ガス規制が大問題になったときに、当時、自動車業界は、そんなことをやればもう国際競争に打ちかてないと猛反対したけれども、これは規制が行われたと。規制が行われたことによってむしろ技術開発が進んで省エネの車ができて、むしろ世界でトップの競争力を持つように自動車業界はもうなったわけですから。  私、さきの委員会でも質問しましたけれども、結局、いわゆる経団連の自主行動計画任せだと、排出原単位の目標で自ら立てた目標をやったやったと言っているところは、これは経産省のフォローアップで二〇〇六年度実績において原単位目標を達成したのは、ここの答弁で十二業種だと。じゃ、総排出量はどうなったのかと聞けば、九〇年の一億七千四百五十三万トンと比べて二〇〇六年度が一億九千五百三十八万トンと、二千万トンも増えていると、目標を達成したと言っている業種の排出量は逆に増えているじゃないかと。そういうことをやっておっては結局、CO2の削減に役立たないじゃないかということを私、質問をいたしました。  もう時間がなくなりましたから終わりにしますが、例えばブッシュ政権は、COP13で科学的根拠があいまいだという立場から数字目標の設定に頑強に反対をいたしました。そして、九〇年比で一六・九%も大幅に増加している、そういうブッシュ政権が、京都議定書以降の枠組みづくりでも自主努力を強く求めていると。私は、ここには危機感の、何というか、弱さというか、今の地球環境の問題についての危機意識に欠けるということと、やはり世界の科学者が英知を集めて報告したIPCC評価報告書の科学的根拠を生かさない大変後ろ向きの立場だと思うんですけれども。残念ながらCOP13では、日本は議定書から離脱しているアメリカと一緒になって、最もCO2の総量的な削減に取り組むことに後ろ向きの姿勢を示したということを世界のNGOから批判を受けたわけですけれども、まあ十回近く化石賞を受けたという話もありましたし、インドネシアのジャカルタ・ポストにブッシュ大統領の写真と福田首相の写真とカナダの首相の写真が並べられて、国際合意を妨害している三つの国と、そういう意見広告が出たわけですけれども。  私は、こういう批判を受けることがないように、早急に日本の新しい削減目標を提示すると、国別の削減方式のポジションをつくり上げると、そうしてこそ洞爺湖サミットで国際的なリーダーシップが発揮できると。もう時間が参りましたので答弁は結構ですが、そういう立場で頑張っていただきたいということを述べて終わります。
  145. 川田龍平

    ○川田龍平君 私は、先ほど一番最初の会の冒頭に山本孝史議員の黙祷がありましたが、山本孝史議員とは薬害エイズのときからのかかわりでありまして、つい最近、新刊で、もう遺作になってしまうんですけれども、山本孝史さんの本の最後に対談をしていて、本当にその見本の本を受け取ったばかりでその訃報を聞きまして、本当に残念に思っております。この場で哀悼の意を表し、御冥福をお祈りいたしたいと思います。そして、山本孝史さんの遺志を継いで、やはり命を守る政治をしっかりとやっていきたいと、そのために全力を尽くしていきたいと思っています。  それでは、質問させていただきます。  COP13のバリ会議が終了し、地球温暖化対策は来年七月の洞爺湖サミットに国際的政治舞台を移します。バリ会議では、開催議長国が削減数値目標を掲げたにもかかわらず、日本、アメリカ、カナダの抵抗勢力によって、数値目標なきすべての国の参加によるバリ・ロードマップが締結されました。これを前進と見るのか後退と見るのか、立場によって異なります。しかし、とにもかくにも、現実にはバリ会議の成果の上に立って二〇五〇年、五〇%削減を実現する展望を持たなければなりません。  今年一年を振り返ると、世界各地で地球温暖化の影響と考えられる自然災害が相次ぎ、今年まとめられた国連IPCCの第四次報告書では、異常気象、生態系への影響、水不足、農業被害、感染症の増加など様々な影響の可能性を指摘し、削減対策の遅れがより厳しい気候変化の影響リスクを増大させること、これを回避するために早期かつ大幅な温室効果ガス削減の必要性が示されました。いよいよ一週間後、もう来年になりますが、一月一日から京都議定書の第一約束期間が開始されます。正に、温暖化対策は一刻の猶予もない待ったなしの状況であります。  バリ会議を受けてG8にどのような立場で臨もうとしているのか、特にこのバリ会議の公式文書は、先ほどの民主党福山議員が質問をした中で、AWGの、オールドAWG、ニューAWGの話が出されました。特にそのオールドの京都議定書の方の会議におきまして、先ほど大臣から合意したという発言がありました。非常に数値目標として、やはりしっかりと合意をするということが大変重要だと思います。そのことについて、是非これをG8のサミットにどのようにこれを生かして日本がリーダーシップを発揮していくのか、そういった国際的合意の基礎になるとは考えられないのかどうかを大臣にまず伺いたいと思います。
  146. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 今、川田議員冒頭に触れられた山本議員のお話ですけれども、私も議員になるときからずっと一緒に過ごしましたので、同志の一人として御冥福をお祈りしたいと、こういうふうに思っております。  今お話ありましたバリ会合の結果を受けて洞爺湖サミットにどういうふうな形で臨むのかと、こういうような話ですが、私は、バリ・ロードマップが合意されたというのは、ほとんどすべての国が参加をしてテーブルに着いたということですから、それは歴史的な意味においては非常に意義があったというふうに考えております。  その中で、これから二年間の間に二〇〇九年に向けて様々な合意をしていかなければいけないわけでありますけれども、あのときの議論の中で非常に重要だったのは、先進国とそれからG77という途上国グループとの間の様々な言わば意見の衝突でした。それは、言い方を変えますと、環境というのはある種の南北問題でもあるわけですから、その中で、このたびのG8サミットに臨む日本の議長国としては、いかにバリ・ロードマップに求心力を与えていくか、そのためには、その途上国に対する対策あるいは先進国そのものの削減、こういうようなものを同時進行でやると、こういうようなことにしなければいけないんだろうと、こういうふうに思っているんです。  そういう意味でいうと、数値目標のことは、先ほど福山議員にもお話ししましたけれども、これは次期枠組みのニューAWGの中では参照ということになったわけですけれども、オールドAWGの中では、それぞれの数値目標、特に二五から四〇の削減と、こういうようなことについては認識するという、こういうようなことで共通の合意を得たわけですから、その中には日本も入っているわけですから、それを踏まえてこれからG8に向けてしっかりと中身を入れていくという、こういう作業をやるということなんだろうというふうに思います。
  147. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございます。  ところで、先週金曜日、二十一日に開催された中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合では、京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告書が、報告案が議論されました。報告案の中では、各省庁から示された追加対策の削減効果を示した上で、これらの個々の排出削減効果は、相互の重複や既存対策との重複があり得ることなどから単純に立ち上げることはできない、また二〇〇五年度基準比七・七%増、二〇〇六年度速報値は同六・四%増と依然として厳しい状況と課題を指摘しながらも、京都議定書の六%削減目標は達成し得るものと考えられると結論付けています。マスコミからも、このような内容でどうして京都議定書の六%削減目標は達成し得るのかと、考えるという結論を導くことができるのかということです。  このようなまとめ方は説明責任に欠けていないでしょうか。お伺いいたします。
  148. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 中央環境審議会、産業構造審議会、両審議会で三十回にわたって御議論をいただきました。私どもとしましては、このデータはすべて公表いたしております。どなたでもアクセスできるわけでございますし、また私ども、私どもなりに検証はいたしております。そういった意味で、それぞれ自信を持ったデータだと考えております。  ただし、御指摘のとおりいろいろ御疑問ございます。私どもとしては、これに基づいて計画を作ればそれでもう大丈夫だと、そういうものではございませんで、むしろあらゆる層にここの指摘を踏まえて努力をしてほしいと、そういうある種の、何というんですか、努力要請の塊のようなものだと受け止めております。  そういった意味で、幅広く多くの方の議論をこれからいただきますけれども、多くの国民の方に努力をいただくようなその目安として今後これを是非活用していきたいと考えております。
  149. 川田龍平

    ○川田龍平君 その今の答弁では本当に明確ではないところがあるということもおっしゃったかと思うんですが、この審議会で明らかにしている個別の対策の削減効果であり、これを単純に積み上げると四千三百万トンから四千八百万トンとなります。しかし、この数字は報告書では、単純に立ち上げることはできないと明記されている数字ですけれども、数字の重複を排除しても三千五百から三千六百万トンになり、三千四百万トンの不足削減量を上回るという計算の根拠は、審議会で口頭で数字が読み上げられただけで、これまでの資料のどこにも示されておりません。  この計算は排出量取引や環境税なしに六%削減が達成できるという重大な結論の根拠になっているのでありますが、この三千五百から三千六百万トンの計算根拠を速やかにこの当委員会報告するとともに、これに対しても公開すべきだと思いますが、大臣に明確な答弁をお願いしたいと思います。
  150. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 御指摘のとおり、審議会でこの数字に問い合わせがございました。私どもとしては、精査をする中で、現状で三千五百から三千六百万トンということがその数字としては挙げられるというふうに申し上げました。これにつきましては、担当課長から当時こう答弁しましたけれども、私どもとして、御指摘を踏まえまして、そのありようにつきまして早めに明らかにしたいと考えております。
  151. 川田龍平

    ○川田龍平君 では、経産省にお伺いしますが、いずれにしても、この審議会報告案には大きな問題点があり、審議会終了後、複数の委員が緊急記者会見をして批判的声明を出して抗議を行ったといいます。このような異常事態を看過することはできません。六%達成や二〇二〇年二五から四〇%削減目標を掲げて、先ほど言いましたけれども、掲げている経済産業省が、特に経済産業省が経済界の要望をそのまま受け入れて、環境省が経済産業省を制し切れない点にあるのではないかという点は、私のみならず、さきの批判的コメントの中でも指摘されています。  発電所や大規模工場などの自主行動計画の目標や妥当性について十分な検証がなされずに、EUのみならず、アメリカやオーストラリアでも準備されているキャップトレード型国内排出量取引導入の先送りされていることが指摘されています。  この八委員による批判的コメント、出されていますけれども、それをどう受け止めていますか。また、コメントには自主行動計画目標引上げの追加性についての整理されたものが出ております。二十の業界の従来目標と強化目標がありますが、追加されているものはわずかのと書かれている増加の五業種で、なしというのが十三業種です。これで六%達成できると胸を張られても困りますし、二〇二〇年に二五から四〇%達成するというのであれば、このような枠組みでは到底、数値目標の立てられようがありません。この点についてはどのように受け止めているか、お願いします。
  152. 伊藤元

    政府参考人(伊藤元君) お答え申し上げます。  まず、経産審、中環審の報告書についてでございますけれども、先般、金曜日に会合が開かれまして、今後、議長、両議長の中で文案を詰めていくと、その後、パブリックコメントの経過を経て最終的な報告が決まると承知しております。その上で、政府として、その審議会の考え方を受け取って、年度末までの目達計画の閣議決定へ向けたプロセスを進めていくということでございまして、現在は部会長を中心とした内部の調整状況を見守っているところでございます。  それから、自主行動計画についてでございますけれども、二〇一二年までの対策の大きな柱であるということでございます。事実、まだまだ努力が必要かもしれませんが、産業界の努力もあって実際に成果を上げていると、マイナスの数字を出しているということでございます。マイナス六%を達成するためには産業界も、努力ももとよりですけれども、大幅に目標を上回っている分野においてどういう対策をしていくかということが重要であるというふうに考えております。
  153. 川田龍平

    ○川田龍平君 それでは、京都議定書目達計画の見直しに当たり、相変わらず原発頼みの姿勢を取り続けています。しかし、直近の二〇〇七年の十一月の原発の設備利用率は、中越沖地震の影響による柏崎刈羽原発七基全基の停止などにより、五六・六%という過去に例を見ない低水準となっており、目標達成計画が予定している八八%という数字とは大きな隔絶があります。このような実情を全く無視した前提条件を見直さずに計画を改定することは単なる空想でしかなく、責任ある政府としての国民に対して説明が付かないのではないか、現実に見合った事実の記述をすべきであると考えないのかどうかを資源エネルギー庁の方に伺いたいと思います。
  154. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) お答えいたします。  原子力発電所の設備利用率の向上といいますのは、既設の既に設置されております原子力発電所を有効に活用するということによりまして、発電電力量に占める原子力の比率を向上させることを実現し、二酸化炭素排出量の削減に資するものと考えております。  そのためにまず重要なことは、安全の確保を大前提といたしまして、地元の皆様の御理解を得ながら安定的な運転に努めることでございます。原子力発電事業者には日ごろから安全確保に万全を期するように指導をいたしておるところでございます。  また、設備利用率を上げるこの他の方法といたしまして、電気事業者は既に多くの原子炉におきまして定格熱出力一定運転というものを導入しております。これに加えまして、原子力発電事業者は、原子炉の運転中に待機状態で停止しておりますポンプなどの予備機を点検補修を行うということで、科学的、合理的な運転管理に向けた取組を行っているものと承知しております。  これらの努力によりまして、設備利用率の向上に向けて一層取り組むこととしております。
  155. 川田龍平

    ○川田龍平君 しかし、この現実を直視しないと、この最終報告書は空想になりかねません。  原子力安全・保安院によりますと、二〇〇〇年に八一・七%、〇一年八〇・五%、〇二年七三・四%、〇三年五九・七%、〇四年六八・九%、〇五年七一・九%、〇六年六九・九%で目標値の八八%には到底今までの数値では及んでいないわけです。〇六年度の速報値では、〇二年の稼働率であった場合として、〇五年七一・九%で三千百二十五万トン不足、六年の六九・九%でも四千百五十七万トン不足と示されています。この三千百二十五万トン、四千百五十七万トンという数字がどんな数字であるかです。  合同会議の最終報告書案にある二〇一〇年の不足、二千万トンから三千四百万トンという数値がありますが、いかに原発の依存率が大きいか、また事故や地震により目標値八八%の実現性が低いか、〇二年に七三・四%にも及ばない現実です。  改めて、この現実をきちんと記述する最終報告にしなければならないのではありませんかということで質問をしたいんですけれども、資源エネルギー庁の方。
  156. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) この電気事業連合会で環境の自主行動計画を定めまして、そこでこの審議会のチェックも受けながらフォローアップをしております。現状のままでは目標達成は確かに容易ではございませんけれども、原子力発電の推進とか、そのほかに火力発電の熱効率の向上なども併せまして、それから京都メカニズムの活用などの対策も十分に講じることによって目標達成は可能な範囲にあると考えております。
  157. 川田龍平

    ○川田龍平君 しかし、これを本当に電力会社に任せておいていいのか、このままでは二〇一〇年の六%というのは削減できないのではないかというふうに懸念しております。  それで、本当にこれでいいのかということなんですけれども、この現状を踏まえると、この最終報告のままでいいのかどうか、環境大臣に一言伺いたいと思います。
  158. 鴨下一郎

    国務大臣鴨下一郎君) 目達計画につきましては、それぞれ今積み上げて作業が、産構審そして中環審の結論が出たわけでありまして、これをスタートに、さらにまた、もしそれがうまくいかなければ常に改定していくと、こういう作業をして最終的に第一約束期間の中でしっかりと実現をしていくと、こういうようなことが私たちの使命だろうというふうに思っております。
  159. 川田龍平

    ○川田龍平君 それでは、先ほど加藤議員からも意見がありました再生可能エネルギーの問題です。  ドイツは、二〇三〇年に電力の四五%を再生可能エネルギーで賄うことを決定しました。先進国ばかりではなく、中国も昨年、二〇二〇年に二一%という目標を掲げています。第一約束期間を目前に控えた今、世界の流れに大きく逆行する形で政府自らが二年前に閣議決定した新エネルギーの導入目標を審議会の資料一つでダブルスタンダード、低目標値の方にしているということ、この低目標もありというようなことでいいのかというふうに思っています。  それについて資源エネルギー庁の方、お願いします。
  160. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) 再生可能エネルギーに関するお問い合わせでございますけれども、最初にちょっと数字のことを申し上げたいと思います。  幾つか数字を委員御指摘ございました。まず、現状どうなっているかということなんですけれども、主要国の一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を見てみます。ちょっと古いデータではあるんですが、我が国は約五%ぐらいでございます。アメリカは六%、ドイツは四・七%であります。それから、恐らく電力分野、まあ再生可能エネルギー、電力もあれば熱もあるわけなんですが、電力のことを言っておられるかと思うんですが、電力は日本は約一〇%弱でございます。電力に占める再生可能エネルギーの割合なんですが、日本は約一〇%弱であるのに対して、ドイツは七・八%、アメリカは八・九%ということでございまして、私、再生可能エネルギーの導入をもっと進めていけという御指摘はいつも正しいと思っておるんですが、現状において日本の再生可能エネルギーの導入状況が他国と比べて遜色あるというわけではないということをまず御理解いただきたいと思います。  で、目標の点でございますけれども、私ども、長期エネルギー需給見通しというのを二〇〇五年三月に作っております。それによれば、二〇三〇年で約一〇%となる見通しを示しているところでございます。  諸外国につきましては、アメリカでは二〇二〇年で六・三%、二〇三〇年で八%としておりまして、EUは二〇二〇年で二〇%にするという目標でございます。ドイツのお話でございますと、二〇二〇年に電力分野の再生可能エネルギーの導入を二〇%にするという目標であるかと、現在この目標を更に検討中であると認識しておりますけれども、四六という数字はちょっと現状においては私ども正確に把握していないところでございます。  いずれにいたしましても、再生可能エネルギーを導入していかなければならないという気持ちにおいて、私どもはもとるものではございません。ただ、コストの面、いろんな課題があるものですから、そういった点によく配慮しながらいろんな努力をしてまいりたいと思います。
  161. 川田龍平

    ○川田龍平君 時間が過ぎてしまいましたので、今、資源エネルギー庁からもお話がありましたが、是非、環境省の方でもこの新エネルギー再生可能エネルギーのために今後とも御努力を是非していただくようによろしくお願いいたします。  今日は終わります。ありがとうございました。
  162. 松山政司

    委員長松山政司君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十分散会