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鳩山国務大臣 死刑執行いたしました池本登、
昭和七年十二月二十二日生まれ。
〔
犯罪事実の概要〕
本犯は、
1 隣に住む遠い親戚の
被害者A(当時四十六歳)とその内妻の
被害者B(当時五十四歳)が、かねて自分の自動車の荷台にゴミを捨てる嫌がらせをしていると思い込んで憎んでいたところ、
昭和六十年六月二日、自らが所有し愛着を持っていた畑にゴミが捨てられているのを発見し、A及びBの仕業と考えて激昂し、翌六月三日午後五時ころ、A方に赴いて詰問したが、逆に同人から怒鳴られたことから、憤激の余り、この上はA及びBを殺害しようと決意し、直ちに自宅から散弾銃及び実包を装備した弾帯を持ち出した上、A方に戻り、
ア A方庭先において、Aに対し、至近距離から散弾二発を発射し、さらに、倒れた同人の胸部を狙って二発発射して殺害した(殺人)。
イ その直後、A方居室内に赴き、Bに対し、至近距離から散弾二発を発射し、その右前頭部及び前胸部に命中させて殺害した(殺人)。
2 A及びBを殺害後、近くの路上で自転車に乗った
被害者C(当時七十一歳)を認めるや、かねてから飲酒しては本犯を揶揄するようなことを言っていたCに対しても強い憎しみを抱いていたことから、既に二人を殺害した上は、二人殺すも三人殺すも同じことだと考えて、Cをも殺害しようと企て、約三十メートルの距離から、その距離から同人を狙って発砲すれば散弾が付近の人にも当たって死亡させるかもしれないことを認識しながら、あえて、
ア Cに向けて散弾二発を発射し、同人の身体に命中させた上、さらに、逃げようとする同人を追いかけ、至近距離から散弾二発を発射し、その左下腹部等に命中させて殺害した(殺人)。
イ 最初にCに向けて発射した散弾二発のうち一発を、付近で農作業に従事していた
被害者D(当時四十九歳)の腹部及び右前腕部にも命中させたが、同人に対しては加療約二週間を要する腹部裂傷等の傷害を負わせたにとどまり、殺害するに至らなかった(殺人未遂)。
〔
執行場所〕 大阪拘置所
死刑を
執行いたしました府川博樹、
昭和四十六年六月六日生まれ。
〔
犯罪事実の概要〕
本犯は、
1 クラブでの飲食代金や同店ホステスとの交際費用等を得るため、勤務先の新聞販売店の同僚であった
被害者A(女性、当時四十一歳)から現金を騙取しようと企て、
平成十一年一月二十八日から同年四月一日ころまでの間、十一回にわたり、Aに対し、「父親が癌で入院しており、その入院費用がかかる。必ず返すから貸してほしい。」と嘘を言って、これを信じた同女から、現金合計五百三十八万円を騙取した(詐欺)。
2 上記ホステスにクラブを辞めさせるために渡す必要があると考えた二百万円を調達するために、上記新聞販売店の営業活動で知り合った
被害者B(女性、当時六十五歳)から現金を騙取しようと考え、
平成十一年四月十九日午後四時三十分ころ、東京都江戸川区内の同女方において、借金の話を切り出したが、これを断られ罵倒されるなどしたため、憤激の余り殺意を抱き、その頸部を両手で締め付け、台所にあった洋包丁で、その背部を一、二回突き刺し、これを同女の母である
被害者C(当時九十一歳)に目撃されたため、同女をも殺害しようと決意し、その頭部を洋包丁の柄で数回殴打し、その背部を洋包丁で二回突き刺した後、現金を奪い取ろうとタンス等を物色していたところ、B及びCがいまだ生存していることに気付き、この上は両名を確実に殺害して現金を強取しようと決意し、Bの背部等を洋包丁及び裁ち鋏で数回突き刺すなどし、Cの腹部を洋包丁で二回突き刺すなどし、更にタンス等を物色したものの、現金を発見できず強取の目的を遂げなかったが、そのころ、同所において、B及びCを死亡させて殺害した(強盗殺人)。
3 上記二百万円を調達するため、かねて肉体
関係のあった
被害者D(当時三十二歳)から現金を騙取しようと企て、翌四月二十日、同女方において、「父が癌で入院し、一日でも長生きさせてやりたいが、手術には二百万円かかる。」などと嘘を言って、これを信じた同女から、現金二百万円を騙取し、さらに、自らの逃走資金や上記ホステスの生活資金等のために、Dに対し、癌で死んだ父親の借金を返す必要があるなどと嘘を言い、同月二十八日から五月十一日までの間、三回にわたり、現金合計二百十九万円を騙取した(詐欺)。
〔
執行場所〕
東京拘置所
三人目の
執行をいたしました人は、藤間静波、
昭和三十五年八月二十一日生まれ。
〔
犯罪事実の概要〕
本犯は、
1 窃盗の共犯者であったA(当時二十歳)が、本犯から現金を盗み、返済の
要求にも容易に応じないことなどから、裏切られたとしてその殺害を企て、
昭和五十六年十月六日午前五時ころ、横浜市戸塚区内の路上において、包丁及び小刀で、Aの頸部、背部、左右大腿部等を突き刺し、十か所に及ぶ前頸部刺創等を負わせ、左総頸動脈切断により失血死させて殺害した(殺人)。
2 B女(当時十六歳)から交際を避けられ、執拗につきまとっていたところ、ますます疎まれて同女とその家族から強く交際を拒まれたため、怒りを募らせて同女一家の殺害を企て、Eと共謀の上、
昭和五十七年五月二十七日午後八時過ぎころ、神奈川県藤沢市内のB女方に押し入り、本犯が、包丁及び小刀で、
ア B女の妹C女(当時十三歳)の胸部、腹部、背部等を突き刺し、十五か所に及ぶ左右前胸部刺切創等を負わせ、心臓切創により失血死させ、
イ B女及びC女の母D女(当時四十五歳)の胸部、背部などを突き刺し、六か所に及ぶ背部刺創等を負わせ、胸大動脈刺創により失血死させ、
ウ B女の胸部、背部などを突き刺し、六か所に及ぶ右前胸部刺切創等を負わせ、心臓刺創により失血死させ、
それぞれ殺害した(殺人)。
3 上記2事件の共犯者E(当時十九歳)が、逃走後、本犯から離反しようとしたため、口封じのためその殺害を企て、
昭和五十七年六月五日午後九時三十分ころ、兵庫県尼崎市内のマンション階段踊り場において、小刀二本で、Eの胸部、頸部を数回、背部を多数回突き刺し、二十九か所に及ぶ右側頸部刺切創等を負わせ、右頸動脈切損により失血死させて殺害した(殺人)。
4 単独又はAと共謀の上、
昭和五十六年五月から
昭和五十七年五月までの間、十回にわたり、現金合計約三百二十一万五千五百七十五円及びハンドバッグ等百六点(時価合計約七十万二千八百円相当)を窃取した(窃盗)。
〔
執行場所〕
東京拘置所
以上三件でございます。