○鷲尾
委員 民主党の鷲尾でございます。
特定船舶の
入港禁止に関する
特別措置法の
制裁措置について、質問をさせていただこうと思います。
まず初めに、
一つ政府側の
対応を
評価したいというふうに思うんですが、この
特定船舶の
入港禁止が初めて
国土交通委員会に諮られたときには、
閣議決定の内容及び提案の趣旨説明にも
拉致問題についての言及がないではないかということを申し上げておりました。何で入れてくれないんだ、おかしいじゃないか、
拉致の問題は国家
主権が侵されている問題である、これをなぜ趣旨説明にも入れないのかということを質問のたびに申し上げておりましたところ、それがあったのかどうかわかりませんが、年を越した十九年の五月二十三日付の提案理由の説明からは「引き続き
拉致問題に対して誠意ある
対応を見せていない」ということも入れてあるところでありまして、つい先日出た十月三十一日付の提案理由説明も「
拉致問題について具体的な
進展がない」ということの言及がございます。この点をまず
評価申し上げたいというふうに思います。
それで、最近の外交の
状況を見ますと、この
制裁措置が発効されてから一年たっておるわけでございますが、当初、この
制裁措置、安保理決議を決議したときは、もう
日本の外交の勝利だ、関係各国含めて同意を得られたんだということが喧伝されたわけでありまして、
中国も安保理決議に参加する、そして貨物検査も開始する、一年前はそういった
状況だったわけであります。
ところが、一年たった今はどうかというと、これはとんでもないことになっておるわけでありまして、既に寧辺の
核施設の機能停止と百万トンの重油供与ということが六
者協議において確認されているところでありますが、既につくった核爆弾や高濃縮ウランという問題は、ある意味置き去りにされているような
状況であります。
こういう
状況を私見ておりますと、一九九四年の米朝の枠組み合意でもあったことではありますが、
北朝鮮は当時、重油の供給や軽水炉の提供というのを受けたにもかかわらず、ひそかに濃縮ウランをつくっていた。
日本もこのときにもう既に五百億円国費を投入しておったわけであります。その後、小泉政権になりまして、平壌宣言という運びになるわけですけれ
ども、その平壌宣言の後に、一年前に起こりました
ミサイルの乱射、そして
核実験ということが起こったわけであります。
こういう流れを見ておりますと、どうも
北朝鮮と交わす
約束というのは信用できない。本当に履行されるのか、その
約束自体、
北朝鮮に対して有効な抑止力としてそれが働くのかどうかということに対しては、本当に疑問であります。
今回の
核施設の
無能力化という問題も、私は非常に問題があるというふうに思っておりますので、また後ほど議論させていただきたいと思いますが、この流れを見ますと、私は、六
者協議自体が崩壊寸前であった金正日独裁
体制を延命させたと言っても過言ではないと思っております。
思えば、アメリカは、イラク戦争前にあれほど拒否していた二国間協議をどんどんとやったわけであります。少なくとも
日本は、イラク戦争当時は、アメリカのイラク攻撃を支持しなければ
北朝鮮の脅威は
解決しないんだ、
北朝鮮の問題があるからイラクの攻撃を支持しなきゃいけないんだという雰囲気が
政府・与党に充満していたというふうに私は思っておりますが、結局アメリカは、イラク戦争の大義であった大量破壊兵器は結局ないし、その対テロという意味での戦費はもう九十六兆円を超えているわけですよね。これはベトナム戦争をもう既に超えている、そういう
状況なわけです。その結果、
北朝鮮に対して手が回らなくなっている。
北朝鮮が核保有を宣言したとしても、アメリカは国交を正常化しようとしている
状況です。これは
日本にとって極めて危険だと私は
認識しております。
その証拠に、アメリカは、年内にもテロ支援国家解除を議会に通告するんだ、それによってテロ支援国家解除となるんだ、敵国通商法も適用除外するんだということを明言しているわけでありまして、これについて、私はまず
一つ質問させていただきたいと思います。
テロ支援国家の指定解除、これは年内にも行うという話をアメリカがしておりますけれ
ども、
政府は、本当にこういうことをアメリカがすんなりとするのか、その見通しをどういうふうに考えているのか、
日本政府としてはどういうことをアメリカに対して申し入れようとしているのか、このことについてまずお聞かせ願いたいと思います。