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2007-06-04 第166回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年六月四日(月曜日)    午後二時三十二分開会     ─────────────    委員異動  一月三十日     辞任         補欠選任         今泉  昭君     内藤 正光君  三月二十二日     辞任         補欠選任         風間  昶君     西田 実仁君  三月二十三日     辞任         補欠選任         西田 実仁君     風間  昶君  六月一日     辞任         補欠選任         広野ただし君     下田 敦子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         森 ゆうこ君     理 事                 沓掛 哲男君                 藤井 基之君                 白  眞勲君                 林 久美子君     委 員                 小野 清子君                 岡田 直樹君                 景山俊太郎君                 岸  宏一君                 末松 信介君                 田中 直紀君                 中島 啓雄君                 工藤堅太郎君                 下田 敦子君                 内藤 正光君                 柳田  稔君                 風間  昶君                 緒方 靖夫君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (内閣官房長官) 塩崎 恭久君    大臣政務官        外務大臣政務官  浜田 昌良君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房拉致問        題対策本部事務        局総合調整室長        兼内閣大臣官        房拉致被害者等        支援担当室長   河内  隆君        内閣官房拉致問        題対策本部事務        局政策企画室長  岡田  隆君        外務大臣官房参        事官       伊原 純一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (北朝鮮情勢に関する件)  (青森県の北朝鮮小型船漂着問題に関する件)  (日中外相会談に関する件)  (米国北朝鮮テロ支援国家指定解除に関する  件)  (北朝鮮に対する経済制裁に関する件)  (六者会合に関する件)  (拉致問題解決に向けた国際的連携に関する件  )  (米国北朝鮮金融制裁解除に関する件)     ─────────────
  2. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一月三十日、今泉昭君が委員辞任され、その補欠として内藤正光君が選任されました。  また、去る一日、広野ただし君が委員辞任され、その補欠として下田敦子君が選任されました。     ─────────────
  3. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査議題といたします。  北朝鮮情勢について、政府から報告聴取いたします。麻生外務大臣
  6. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 核問題、日朝関係中心とする最近の北朝鮮をめぐる情勢について御報告をさせていただきます。  北朝鮮の核問題につきましては、本年二月の六者会合において、北朝鮮による六十日以内の寧辺核施設活動停止封印等を定めた共同声明実施のための初期段階措置が採択されました。  しかしながら、北朝鮮は、翌三月に開催された六者会合以降、本来六者会合とは関係のないBDA問題に固執し、六十日の期限が過ぎた現在も、自ら約束した初期段階措置を依然として実施をいたしておりません。このような態度は甚だ遺憾であります。  次に、日朝関係につきましては、本年二月の六者会合において設置された日朝国交正常化のための作業部会の第一回協議が三月に開催されました。この協議の中で、我が国は、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイル等懸案事項を包括的に解決し、不幸な過去を清算することを基礎として国交正常化を実現するとの基本方針の下、積極的に日朝交渉に臨む用意があるとの立場を表明いたしております。  特に、拉致問題に関しては、我が国は、一、すべての拉致被害者及びその家族の安全確保と速やかな帰国、二、真相の究明、三、拉致被疑者引渡し等を改めて北朝鮮側に強く要求をいたしました。しかし、北朝鮮側拉致問題は解決済みであるなどとして誠意ある対応を示さなかったことも甚だ遺憾であります。  政府としては、このような、北朝鮮が引き続き拉致問題に対して何ら誠意ある対応を見せていないことや核問題を含む北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案し、四月十日の閣議において、北朝鮮籍船入港禁止及び北朝鮮からの輸入禁止の両措置を六か月間継続することを決定いたしました。  また、我が国は、北朝鮮問題をめぐる諸懸案解決のための国際連携にも取り組んでまいります。  今般の私の欧州及び韓国訪問の際にも、関係各国連携を確認をいたしております。特に、G8外相会議においては、北朝鮮に対し、核、拉致問題解決に向けた行動を促す力強いメッセージを発出することができました。  我が国といたしましては、北朝鮮我が国を始めとする国際社会の声に真摯に向き合い、拉致問題、核問題といった諸懸案に関し誠実な対応を行うよう、関連諸国連携しながら、引き続き強く求めていく考えであります。
  7. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) 以上で報告聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 白眞勲

    白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  まず、六月二日に北朝鮮からの脱北者と見られる外国人四人が青森で見付かった件についてお聞きいたしますが、この脱北者の乗っていた船は、どうも海岸で釣りに来た方々発見をされたというふうに報道ではなっているんですけれども、なぜ日本沿岸警備を結果的にすり抜けた形でこのような形で来てしまったのか。  日本警備当局のそういうものがないまますり抜けてしまったことに対して、官房長官、何か、それなぜなんでしょうかね。ちょっとお答えください。
  9. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今御指摘ございましたが、海上保安庁では、平素から我が国海上海域巡視船艇、航空機などによって不法入国事案等の不審な行動を取る船舶の監視警戒に努めているところでございます。  今回、先生指摘のように、海上保安庁が洋上で小型船発見できなかったということは非常に残念なことであるわけでございます。一方で、もちろん我が国周辺海域というのは極めて、すべて海ですから広大であることは間違いないわけですけれども、今回の問題は非常に小さな木造船レーダーに映りにくい船であったということで、これは非常に困難であるということではあります。  そして、海上保安庁としては、今後、こういった事案を踏まえて、今回のような小型船への対策についても検討して、また関係機関とのより一層緊密な連携を持って、一般市民からの協力も得て海上からの不法侵入は防がなきゃいけないと思っておりますが、いずれにしても、今回、御指摘のように、最初海上保安庁発見ができなかったということは大変残念なことだと思っております。
  10. 白眞勲

    白眞勲君 今官房長官おっしゃいましたように、今回たまたま釣りに来ている方々発見したわけです。と同時に、小さな船でレーダーにも結局掛からなかったということなんですけれども、今後、このような北朝鮮からの脱北者というのもやはり増える可能性というのも否定はできないんじゃないかなと。  そういう中で、今正に官房長官おっしゃいましたように、警備体制の見直しというのか、特に日本海沿岸においては、例えば海と同時に、夜中に上陸されてしまった場合、あるいは、今回はたまたま武器などは所持していなかったようですけれども、それでも毒薬は所持していたということになりますと、急に夜中にその沿岸の家か何かにそういう人が来たら、これまたちょっといろいろ住民の方々も不安がるんじゃないかとか、そういったことを考えますと、やはりこれあらゆる警備体制、これは海上とか沿岸部警備体制というのはこれを契機に見直す必要があるのではないかなというふうに思いますけれども官房長官、いかがでしょうか。
  11. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生おっしゃるように、今回は、朝四時十三分ごろ一一〇番通報があって動き出したと、こういう話であります。  真っ暗のうちにこういうことが起きて、今、釣り人がというお話がありましたが、通報によって気が付いたということでありますから、今回のような極めて小さな船で、なおかつ木造船ということでレーダーに引っ掛からない中で、今先生指摘のような可能性がもちろんないということは否定することはできませんから、やっぱり日本国民の生命と安全を守るためにはどういう連携が、他の、さっき申し上げたとおり機関同士連携ができていくのか、あるいは技術的にどういうことができるのか、こういったことを含めて、幅広くこれ検討し直さなきゃいかぬなというふうに思っております。
  12. 白眞勲

    白眞勲君 正に、是非それを、これからも連携をよく深めてやっていただきたいと思うんですけれども。  今回のこの脱北者と見られる四人の方々なんですが、先ほど、午前中でしたか官房長官記者会見でも、本人の意思を、意向を尊重しですか、考慮して適切に対処していくということで韓国への出国も視野に入れているということを、多分入れていらっしゃるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、昨年六月に成立した北朝鮮人権法で、政府は脱北者保護支援については施策を講じるよう努めるとなっていますけれども、このケースが初めてになるんじゃないかなと思うんですけれども、これから将来、政府としては、このような北朝鮮からの脱北者が多くなるかもしれない中で、上陸した脱北者に対してどう対処なさるおつもりなのかお聞きしたいと思います。
  13. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回の場合には、生活に困窮したというような理由があって北朝鮮から脱出したのではないのかと、こう言われております。  しかし、どういうケースなのかというのは、やはり今、事情聴取を進めているわけでありますから、実態をまず、決め付けずに、やはり何が起きているのかということは正確に踏まえないといけないと思っています。その上で、今御指摘北朝鮮人権法がございまして、確かに、この第六条の二項で「政府は、脱北者保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努めるものとする。」ということになっておりますけれども、それは脱北者であることが前提でありますから、そういったことで、冷静によく見ながら、そしてそういうことであるならば、本人意向を踏まえつつ、総理も言っているように、人道上の観点も十分踏まえながら、人権の尊重もして適切に対処していかなければならないというふうに我々は思っているところでございます。
  14. 白眞勲

    白眞勲君 以前、インドシナ難民の場合、いわゆる条約難民ではないものの条約難民に準ずる処遇をしていたというふうに思うんですけれども、今後もそれと同じような考えということも検討することはあるんでしょうか。官房長官、お答えください。
  15. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) それは、どういう事案になるか、ケース・バイ・ケース、よく見てみないと、今申し上げたように事前的に決められることではないと思いますが、人道上あるいは人権上配慮すべきということであるならば、懐は深くやっぱり見なければいけないというふうに思っておりますけれども、しかし、それもやはり実態をまずはっきり明確にした上で対応をしていかなければいけないのではないだろうかと思っております。
  16. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、逆に言えば、実態をきちっと明確にした場合には、前回のような、インドシナ難民のような、条約難民ではないものの条約難民に準ずる処遇ということも今後は検討していく必要性はありということでよろしゅうございますか。
  17. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) それは、場合によってはあると思います。
  18. 白眞勲

    白眞勲君 いずれにしましても、北朝鮮の現在の状況考えますと、今後いろいろなことを想定する必要性というのは当然あるかと思うんですけれども、脱北者入国審査の在り方とかその後の対応をどうするのかというのをそろそろあらかじめ検討する、そういう必要性というのもあると思うんですが、当然、その際には国際社会連携する必要性というのも当然あるんじゃないか。  例えば、韓国中国はもちろんですけれども、最近はタイとかモンゴルなんかともそういった感じでは連携したり、あるいは国連難民高等弁務官事務所UNHCRですか、とも連携する必要性もあると思うんですけれども、その点については、官房長官、いかがでしょうか。
  19. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 当然、我が国周辺でいろいろなことが起こり得るということを考えてみれば、常時どういうことが起きてもいいように備えをしておくというのが国のたたずまいではないかと思っております。  したがって、具体的にどういうケースということはともかくとして、あらゆるケース対応できるように連携、今UNHCR等々の話がありましたが、いろんな機関との連携を含めて、ふだんからやはりいろいろ考えておかなければいけないということは間違いないと思います。
  20. 白眞勲

    白眞勲君 麻生大臣にお聞きいたしますけれども、昨日ですか、日本中国韓国との間の外相会談が行われましたけれども北朝鮮拉致問題に関しては何かありましたでしょうか。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 拉致問題の話。今回の難民の話。
  22. 白眞勲

    白眞勲君 いや、拉致問題、外相会談です。
  23. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 拉致問題の方に。  拉致問題に関しましては、日本からとして従来の立場というものを申しておりますので、日韓中の中では、この問題はもうある程度お互いに分かり切っておりますので、この問題が特に取り上げられて議題になったというわけではございません。
  24. 白眞勲

    白眞勲君 ただ、報道によりますと、今回の日韓の間の外相会談において、麻生外務大臣拉致問題について取り上げましたところ、韓国宋旻淳外交通商相日朝協議の中での解決を望んでいるというふうにお話をしたとのことですけれども、逆に中国側では何か話はされたんでしょうか。
  25. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 中国からとの話は、この人、この人って楊潔チという人なんですが、新任の外務大臣で、アメリカにずっと長くいた人で、対日関係をほとんどやった方ではないんで、もうほとんどずっと紙を読みながらという感じの人で、まあしようがないんですけれども。  そういったところで話をしておりますので、少なくとも、私どもとしてはこの初期段階措置実施というのが一番の問題ですと。少なくとも、このBDAの話なんというのは六者協議では関係ないんだから、この種の話で本来の初期段階措置が延々と延ばされていくというのには辛抱には限度があるという立場を私どもの方から申し上げたのに対して、北朝鮮というのはBDAの問題が解決すれば初期段階措置実施するということをずっと言っておると、これは武大偉という担当長官の話をそのまま言っておるんだと思いますけれども、実際に早い段階解決することを期待するという話はあっておりました。  ただ、この種の話は、日朝間に関していろいろ、国交正常化部会というのはでき上がっておりませんので、第一回立ち上げましたけれども途中向こうが退席しておりますので、そういったこともありなんと、内容本人から聞いて知っておりましたので、この話が状況なんで、この日本との関係がきっちりでき上がるということをしないと、少なくともこの六者会合がいろんな形で決着した後、北朝鮮という国家を経営するに当たっては、国民生活水準を上げるのに経済問題が主にならざるを得ないのは当然じゃないかと。  そのことに関して、少なくとも中国とロシアと韓国と三国足したGDPより日本一国の方が大きいと、その日本という国と全然没交渉で経済なんか成長するはずがないと、そういうことを、当たり前の話をあなたの方から是非きちんと向こうに何らかの形で知らしてもらいたいという話等々はいたしました。
  26. 白眞勲

    白眞勲君 非常に詳しくいろいろお話しいただいて有り難いなと思うんですけれども、そういう中、中山恭子首相補佐官が先日中国を訪問した際に、武大偉外務次官から条件づくりとか環境づくりができるよう努力していこうと思っていると、この拉致問題に関係してということだと思うんですけれども、これって今までの中国雰囲気とは若干ちょっと違ってきたのかなとも思えなくはないんですね。  というのは、今まで中国は、拉致問題は日朝間の二国間で解決していくべき問題だという認識だったような感じで、余り積極的な行動というかそういう意見というのは見受けられなかったような感じがするんですけれども、ちょっとこの雰囲気からすると、中国側も何らかの拉致に対して進展させていきたいとの考えがあるということは間違いないんじゃないかなと。そういう中で、ちょっと変わったのかなとも思えなくはないんですけれども外務大臣、この辺りの中国の今の拉致問題に関する認識についてどうお考えなのか、ちょっとお話しいただきたいと思います。
  27. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、中国はこの六者協議議長国をずっとやっておりますんで、何らかの形で決着を付けたいという希望を強く持っておるのはもう間違いありません。  そこで、六者協議を進めるに当たって、全然関係ないこの二国間のBDAという問題が出てきてそこで完全に止まった形になっているのは、甚だ中国としては、議長国としては余り、自分の責任の範囲外の話になっておるのにもかかわらず、マカオというのが中国領でありますんで、いかにも中国関係があるように言われて甚だ迷惑と、それはそっちの二国間の話じゃないかというのが中国側立場であります。  そういった意味で、日本にいて、私どもとしては、この点は、そちらに関係のない話でごちゃごちゃしてあなたの立場が悪くなるようなのは我々としては同情には値するけれども、我々としては、少なくともこの六者協議が速やかに動いていくためには、寧辺のあの核施設一連の話をやりますと、九十万トン、九十五万トンプラス等々いろんな話がありますんで、あの種の話に、我々は拉致の問題に進展が見られれば協力する用意はあると、少なくとも我々としては。しかし、何の誠意もある態度がなく、向こう拉致問題は解決済みという返事だけしかずっと返ってこないような状況のまんまで、我々はこれに一切、参加して何らかの形で支援をする気はない。我々としては、これだけははっきりしているんで、今後とも、この問題を進めていくに当たって、日本協力というものは私は必要なんだと思っているけれども、その必要性を認めて我々の参加をというんであれば、この拉致問題の解決と、少なくとも進展というものに関しては何らかの力をかしてもらいたいという話はこれは度々しておるところでもありますんで、そういった意味では、今言われたような一連のあれは、こう行くんで、ちょっとした態度でどれくらいのことが出てくるか、余り期待を過大に持つとろくなことはありませんので余り大きく持っているわけではありませんけど、今までにない表現が使われたということは私ども感じております。
  28. 白眞勲

    白眞勲君 今正に中国としては、議長国としての一種の責務みたいなものも感じている中で、一方の核開発に関連して、今も大臣もおっしゃいましたけれども中国国連安保理決議に基づく北朝鮮への制裁中国制裁については一応公表はしないということであるとのことですけれども麻生大臣は今まで外交防衛委員会、あっ、ここじゃないですね、いろいろ今までの参議院の外交防衛委員会等で度重ね表明なさっているように、何らかの制裁について中国側に働き掛けがあることは確かなようだと。また、ASEMにおいて、麻生大臣記者会見でも、基本的には、もちろん内容BDA中心関係お話はされたんじゃないかなと思うんですけれども中国北朝鮮から聞いている情報も何か多いんではないのかなと、中国北朝鮮から聞いている内容ですね。そういったものというのは実際何か、実際、拉致問題について何か聞いていらっしゃることというのはあるんでしょうか。
  29. 浜田昌良

    大臣政務官浜田昌良君) 白委員の御質問にお答えしたいと思いますが、まず、中国安保理決議一七一八に基づく義務を履行する旨を対外的に明らかにしておりますが、具体的な措置については対外的に明らかにされておりませんので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  30. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には今ので正しいんだと思うんですが、今お話がありましたように、日本立場については最初にやり始めたころに比べたら随分と理解が深まってきたというのは、李肇星外交部長の後半の段階でも私どももそのように感じておるところではございます。  少なくとも、この間の四月の十一日でしたか、温家宝首相来日のときに当たっても、日本国民拉致問題に関する人道主義的関心への理解同情が示されておりますのはあの一連温家宝総理発言でもはっきりしておりますし、必要な協力は提供したいという旨の発言があっておりまして、あの日中の共同プレス発表にもそれは使われております。今回の楊外交部長との話においても、ほぼこの線と同様の発言があっております。したがって、何らかのことができているであろうという感じは、何らかの行動が起こされているであろうということは、想像の域を出ませんけれども、今までとは少し変わってきているかなという感じはいたしております。
  31. 白眞勲

    白眞勲君 最近、非常に中国とのチャネルというのは増えているような感じがする。今も大臣もおっしゃいましたように、総理温家宝さんとの会談とか、あるいは今回も実際に日中韓外相会談があったり、その前もASEM大臣お話しされたりと、そういったこともあるわけですけれども、普通考えますと、当然、中国というのは北朝鮮との間のいろいろな交流というのもあるわけですから、そういう中で、もし私が大臣立場であるならば、当然、拉致被害者情報というものについて中国側は何か持っているのということは聞きたいなという感じはするんですけれども大臣はそれ聞いたことあるんでしょうか。
  32. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) お答えいたしかねます。
  33. 白眞勲

    白眞勲君 聞いたけども、何かその話が全然、どうなんでしょう、もう一度その辺、もしありましたらお話ししてと。お答えかねますというか、何かありましたら、ちょっとでもいいからお話しいただければなというふうに思うんですが。
  34. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 聞いたことがあるのは事実です。
  35. 白眞勲

    白眞勲君 それに対して中国側はどういう反応でしたでしょうか。
  36. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) なかなかお答えいたしかねるというのが、先ほど申し上げた答弁の最初のところです。
  37. 白眞勲

    白眞勲君 ということは、何らかの中国側でそういった情報を持っているということでよろしいですね。
  38. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) それを含めて申し上げられないところなんですが、基本としては、何らかのものを向こうは持っていると想像はいたしております。
  39. 白眞勲

    白眞勲君 そういう中で、今正に何かの情報があるんじゃないか。それは、中国が独自の情報ネットワークというものを使って拉致被害者や失踪者に関する情報を収集しているということになるんじゃないかなというふうになるんですけれども、やっぱり外務大臣、それは相当やっているというふうに見ていいんでしょうか。  ちょっと後ろの人、あんまりぺらぺら後ろでやってないで。
  40. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私も帰ってきたばっかりですからね。そんな全部が全部、質問があらかじめ出ておいていればそれなりの勉強もさせていただけるところなんですが、今日いただきましたところもありますんで。  四月の二十八日に行われました日米首脳会談において、いわゆるずっと、御存じのように強い支持というのが、日本に対しての強い支持というのが確認をされてきておるところなんですが、今回の日米外相会談においても、いろいろな話がずっと継続をしてきておりますんで、今の段階において、少なくとも白先生、前に比べて話が、少しずつではありますけど進みつつあるかなという感じは正直いたしております。  何となくほかの問題にかなり手を割いておるところもアメリカなんかの場合はありますし、国によって大分違うんですが、私どもとしましてはこれに非常に、かなり精力を集中しておりますんで、何となくこっちはこればっかりやっておりますんで、向こうはそうでもないというところは、かなり温度差が出てくるのはやむを得ないところなんですが、私どもとしては、この問題に関して関心を持ち続けてもらうというのがすごく大事なところで、国際社会からの一致した一種の圧力というものは非常に大きな効果を上げるものだと私どもも思っておりまして、今回のロシアの対応等々は、そこにつきましては一つの大きな進歩だったと思っております。
  41. 白眞勲

    白眞勲君 本当に今ロシアの対応、正に経済制裁のことについて動きがあったということで、国際的な包囲網というのもなかなか出てきているのかなという感じするんですが。  また、一部の報道によりますと、日本政府に何かまとまったら、中国側がですね、この拉致問題について、何か日本政府に出すような報道というのも出てきているというふうに出ているんですけれども、言わば拉致被害者や失踪者に関する情報を収集したりして、そういったものがまとまった段階日本に提供するというようなことも出ているんですけれども、その辺については何か伺っていらっしゃいますでしょうか。
  42. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、中国政府から、正式にまとまったらというような話が私どもに正式ルートで伝わっていることはございません。
  43. 白眞勲

    白眞勲君 では、ちょっと官房長官にお聞きしたいと思うんですけれども、中山補佐官がこの前訪中した折に、武外務次官に対してどのような話をして、どのような答えが、まあ答えは今、先ほども私、新聞報道とかでは聞いているんですけれども、どのようなことをお話ししたんでしょうか。
  44. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 武大偉さんと中山補佐官の間では、基本的にまず、大体、そもそも中国にお邪魔して説明するのは初めてなものですから、基本的にどういうスタンスで安倍内閣としてこの拉致問題に当たっているのかということ、そして中国との連携をお願いをし、今お話がございましたように中国もかつてに比べてかなり協力的になってきておるわけでありますから、そういった点についての協力をお願いをして、基本的に協力をするということを先方からも改めて御提示をいただいて、様々な意見交換をしてきたということでございます。
  45. 白眞勲

    白眞勲君 様々な意見交換といいますと、麻生大臣もまた安倍総理も、塩崎さんも、恐らくいろいろなチャネルを通じて意見交換というのはしているわけですし、安倍内閣がどのようなスタンスで拉致問題に取り組んでいるかということについては、一々中国に行って説明する必要も私はないぐらいよく分かっているんじゃないのかなと、中国側としまして、特に武大偉さんなんというのはそうだと思うんですね。  何で、それでわざわざ中国へ行ったのかなと本当にちょっと私も腑に落ちないというか、そういう中で、例えばASEM関係で、ハンブルクで行った麻生大臣記者会見でも我々の頭の中、我々というのはこれ日本のことですけれども日本の頭の中に拉致問題があるということは向こうはよく知っているところなんだと、今も麻生大臣もそういうふうにおっしゃっていたわけですから、拉致の、何というんですか重要性とかそういったスタンスというのを説明するって、そのことだけを話しに行く必要性がどこにあったのかなという感じがするんですけど、その辺をお答えください。
  46. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) だれにですか。
  47. 白眞勲

  48. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生、やはり会って話すのと、何か新聞見て伝わってくるのとは全く違うわけであって、その真剣さあるいは迫力、そういったものはやっぱり会ってみないと分からないというところがあると思います。  一方で、いろいろな報道があって、概して報道というのはいろいろと部分的に報道していただくものですから、真意がよく分からないというところはもう当然あるわけであって、そこで今回は補佐官が自ら出向いて、中国側に、日本として拉致対策本部も新たにつくられて、何をしているのか、どういうところを目標としているのか等々、私どものスタンスをきちっと伝え、そして向こうも、何を協力したらいいのかということは多分、もちろん向こう向こうなりの考えはあるでしょうけれども、こちらが何を考えているかによってまたその考えも変わるかも分からないということもありますから、そういうようなことでいろいろ意見交換をいたしました。  また、例えばテロ支援国家の指定の問題などについても、どんなふうに考えているのかというようなことも説明も私どもとしてもきちっとして、何も対中関係だけではなくて、日本がこの問題について米国を始め様々な国との関係をどう持っているのか、あるいはほかの国で拉致被害者がどれだけいるのかなんていうのは結構御存じでない国もたくさんあって、やはり説明しないと分からないということもたくさんあります。  そんなこんな、なぜ行ったか、それはまあ、だんだんと結果が出てくることによって、ああそうだったのかというふうに分かっていただけるようになれば私どももいいなというふうに考えて、中山補佐官も精一杯努力をしてくれているんだろうと思っております。
  49. 白眞勲

    白眞勲君 正に官房長官がおっしゃいましたように、それはやっぱり顔を合わせて実際にじかに話をするというのは、だから、なかなかやっぱりテレビ会議システムがうまくいかないなというのもそういうことだと思うんですね、私は。やっぱり、それは会って、何となくその辺の雰囲気というか空気を共有しながら、お互いに自分たちの思っていることを伝え合うというのは非常にいい私はやり方ではないかなというふうに思うんですけれども、先ほどの答弁だけですと、何か私は、やっぱりそれだけじゃないんじゃないのかなという感じがするんですね、すごく。何か、もっともっと深い話をしに行ったのかなと。  今、正に官房長官も、ああそうだったのかといずれ分かるようになるぞみたいな、ちょっと思わせぶりっ子と言っちゃなんでございますけれども、そういうお話もされたわけですけれども、何か、これ以上言えないというんだったらそれでしようがないんですけれども、言えるところまででいいですから、ちょっと話してみてください。
  50. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほどの程度で御容赦願いたいと思います。
  51. 白眞勲

    白眞勲君 麻生外務大臣にお聞きいたしますけれども、一部報道で、横田めぐみさんのお嬢さんのキム・ヘギョンさんを金日成総合大学から北京大学の修士課程に受け入れ、御両親との面会を容易にするなどと検討しているという報道がありました。またさらに、めぐみさんの遺骨として北朝鮮日本側に渡した骨も、中国の専門家が再度DNA鑑定を行う案が浮上しているとありますけれども、これってどうなんでしょうか。
  52. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これ、お尋ねの御趣旨は五月の二十八日、読売新聞に出ていた記事を参考にしておられるんだと存じますが、先ほども申し上げましたように、これは議長国中国でありますので、我々にとりましては最重要課題でありますこの拉致問題につきましては度々説明をしておりますので、協力を求めてきておるところであります。  そういう立場から、中国日本立場についていろいろ理解が得られると考えておりますので、今申し上げましたように協力を要請をしようという、協力をしようという意向向こうにあることは間違いないと思いますが、ただ、この種の話のように、今、拉致問題の解決につけていろいろ中国連携をしていく考えでありますが、現時点において御指摘にあるような、報道にあるようなことが具体的に話が上がっていることはございません。
  53. 白眞勲

    白眞勲君 この件に関しましては、先月二十八日の事務次官の会見でも、この件に関し具体的な話は我々としては聞いておりませんと。今大臣のおっしゃったとおりなんですけれども、ただ、その後に、別にそれを否定するわけではありませんがと言ったんですよ、事務次官が、御発言として。私の勘ぐりかもしれませんけれども、何かすごく意味深長な話じゃないかなと。  もう一回言いますと、一部報道で流れているような具体的な話は我々としては聞いておりません、別にそれを否定するわけではありませんが、中国との間では一般的な協力ということで共通の理解を持っているという状況というふうに言っておりまして、これ、何かどうなんでしょう。外務大臣、もう一度お答えください。
  54. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 谷内の場合は、何しゃべっても大体そういう感じに聞こえる顔をしていますから、えらく意味深に聞こえますけれども、それ以上のことは、谷内というのは次官ですけれども、その種の話を特に、答弁申し上げましたように、特に具体的にいろいろな話がこちらの方にあっているということは現段階全くありません。
  55. 白眞勲

    白眞勲君 ですけど、可能性ということも否定はできないということなんでしょうか、じゃ。
  56. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この話を、北京大学等と話があるということになっておりますけれども、私は正直申し上げてこの話はちょっと何となくまゆつばというか、何となくどうも余り説得力のある話かねえ、もうちょっと別の方法のアプローチがあるんじゃないかなと思いますんで、ちょっとこの話に関して、これが具体的になり得る可能性があるかと言われたら、極めて否定的であります。
  57. 白眞勲

    白眞勲君 もし仮に、もう一つのポイントの、やっぱりDNA鑑定というポイントがこの報道の中にあるんですけれども外務大臣、これは平成十七年十月六日の衆議院の拉致特での当時の町村外務大臣での答弁でも、私どもは、世界最高の水準の知見をもって行ったこの遺骨が横田めぐみさんのものではないということを明らかにしたわけでございますから、その点についてはもう全く疑いの余地がないところでございまして、これについて北朝鮮がいろいろな発言をしていることを私も承知はしておりますけれども、この点については全く議論の余地がない問題だとしているわけでございます。  そのような答弁というのは今まで何度も、麻生大臣もそういった御答弁、たしか私の記憶でもあったような感じがしますけれども、この件はやはり相当慎重にあるべき、もしこういったことがあったとしても、やっぱり慎重にすべきであるということでよろしいでしょうか。
  58. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、御存じのように、このDNAのことに関しては日本とアメリカが多分一番最先端を行っていると、私の知っている記憶ではそうでありますんで、私どもの、殊にこのことに関しては、これはかなり時間掛けて、しかも一か所ではなくて複数の研究所等々、病院等々に渡してこれをお願いをした経緯これありで、私どもとしては、この判定に関してはかなりの自信を持っておりますんで、これが間違っているというようなことを考えたことはありません。
  59. 白眞勲

    白眞勲君 官房長官にちょっとお聞きしたいんですけれども、中山恭子補佐官、先日訪米もされておりまして、ホワイトハウスでワイルダー・アメリカ国家安全保障会議、NSCの上級部長とも会談されたようですけれども、その席でどんなお話がされたんでしょうか。
  60. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 今回、中山補佐官が訪米されたときは、基本的には米国の行政のサイドの人と、あと国連方々とお目に掛かって意見交換をしてまいりました、シンクタンクも若干ありましたけれども。  基本的には、既に拉致問題にある程度理解を持っておられる方々との意見交換が主でございましたけれども、基本的に現在のこの対話とともに圧力、すなわち制裁措置実施というものが必要であるということで、特に国連の場合には国連の安保理による制裁決議があって、それに基づいて各国がやっているわけでありますので、そういう形で、拉致は犯罪行為であって許されるものではないということであり、またもちろん、すべての拉致被害者の帰国というものが必要であるということについてお互いの意見の一致を見たというふうに聞いておるところでございます。  今回は、議会の方々とは、たまたま向こうが議会をやっていないというようなこともあってお会いはできなかったわけでありますが、主に行政と国連方々と意見交換をしてきて、おおむね意見の一致を見てきたところだということでございます。
  61. 白眞勲

    白眞勲君 最近、中山さん、どうでしょうか、もちろん忙しくいつも働いていらっしゃるんだと思うんですけれども、急に何かマスコミで、中国へ行ったりアメリカへ行ったりしていらっしゃって、急にアメリカへ行ったり中国へ行った理由というのは何かあるんでしょうか。
  62. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 別に急に行くわけではなくて、前々からいつ行こうかということで、当然、中国米国のみならず他の国にも行くことを検討しているわけであります。  とりわけ、アメリカの場合にはテロ国家指定の問題があって、これを解除しないということを、拉致問題の解決がない限りはこれを解除しないようにということをこちらから求めるという大事なこともあって、このタイミングで行った。総理が四月に訪米をいたしましたから、その後ということでこのタイミングになったということで、別にこれで一回で終わりというわけでもなし、国際的な連携の中で国家的な犯罪である拉致問題に連携して対応して、誠意ある態度北朝鮮が取るように連携の輪を広げていこうと、こういうことで中山補佐官は海外に回ってもらっていると、こういうことでございます。
  63. 白眞勲

    白眞勲君 そのアメリカのテロ国家指定についてちょっとお聞きしたいなと思うんですけれども、中山補佐官が、アメリカでだと思いますが、記者団に、米国立場日本と一致しているということをお述べになったんですけれども、一方、下村官房副長官は、安倍総理訪米の際に、その席上、ライス国務長官が、米国による北朝鮮のテロ支援国家指定について、国内法に照らせば基本的に米国に対するテロを念頭に置いたものであって、日本拉致問題の解決はその指定を解除する条件になっていないと説明したということで、ちょっとこれ、何か今までの政府の説明とはちょっと違うんじゃないかなという感じがしております。  それに関しまして、麻生外務大臣が五月十七日の私への外交防衛委員会での答弁で、この件に関して、ちょっと読みますと、ちょっと私の方としては、私はなかったと聞いているんですけれどもと、何かあったような話になりますと、大体それは元々話しちゃいかぬ話なんじゃないのと。麻生大臣、ちょっと怒っているような感じで、この前、怒った顔をしていたわけでございます。  これって、一体何かあったんでしょうかね、官房長官、お答えいただきたいと。どっちが本当なんですか。
  64. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先生御存じのように、ブッシュ大統領は、安倍総理に直接、このテロ支援国家指定解除の問題については拉致問題も考慮に入れるということを明確に記者会見でも明らかにしているわけであります。その米国のトップのブッシュ大統領がそういうふうに言っているわけでありますから、それ以上のものはあり得ないということではないかと我々は思っています。
  65. 白眞勲

    白眞勲君 でも、ライスさんはそう言ったんですよね、それをお答えください。
  66. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 私はその場にいたわけじゃないんで分かりませんが、少なくとも外交上のやり取りでありますから、外にお話しするようなことではないというふうに思っております。  いずれにしても、ブッシュ大統領が、今申し上げたように明確に、この拉致問題を考慮に入れない限りはこの解除なんというのはあり得ないと、テロ指定国家の解除はあり得ないということを言っているわけですから、我々としてはそれが米国のスタンスだというふうに理解をしております。
  67. 白眞勲

    白眞勲君 今、官房長官はちょっとおかしいなと私思うのは、外交上の話で言う必要はないとか言わないとか言っていて、官房副長官は言っているじゃないですか、これ。だから、これはどうなんですかと聞いているわけですよ。  官房副長官というのは塩崎官房長官の部下ですよね。部下が言っているんです、これ。ですから、上司がこれは言っちゃいけないんだというのは、それもまた変な話じゃないかなと思うんですけれども。これ、言ったか言わないかを私は聞いているんですけど、お答えください。
  68. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 下村副長官がどういうふうに言ったか分かりませんが、少なくとも外交上、いろんな話をしているわけでありまして、それを全部一々お話しするというわけにはなかなか、事を成就させるために具合が良くないなと、こういうことであります。
  69. 白眞勲

    白眞勲君 ごまかさないでいただきたいと思います。  下村さんは記者会見の席上それをおっしゃっているんですよ、正式に。ですから、それについてどうなんですかと。上司である官房長官としてどうなんでしょうかということで、それをお聞きしているわけでございます。
  70. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) さっき申し上げたように、米国のスタンスは先ほど申し上げたとおり大統領の言った線であると我々は思っていて、下村さんがどういうことを言ったのかはよく分かりませんが、いずれにしても、我々は国家としての意思を言っているわけで、下村さんの考えは、これは下村さんにちょっと聞いてみないと分からないと思います。
  71. 白眞勲

    白眞勲君 そう言うと、やっぱり聞いてほしいなという感じはするわけでございまして、その辺のコミュニケーションも是非取っていただきたいなというふうに思っておりますが。  アメリカ大使館のホームページによりますと、テロ支援国家に対する措置としては、例えば経済援助の禁止とか金融、特に世界銀行やそのほかの国際金融機関による融資に対して米国が反対するというものがあると。これは米国が反対するということは、金融の世界におってはこれはもう駄目ということになるかと、何をするにも駄目と、無理だということになることだと思うんですけれども。  ちょっと気になるのが、このテロ指定国家の解除に関してブッシュ大統領は、今、塩崎官房長官拉致を考慮すると言っているんですけれども、片やテロ指定国家解除のプロセスを開始すると北朝鮮側とはアメリカは合意しているわけですね。ですから、拉致は考慮すると日本側には言っている、でも北朝鮮側にはプロセスは開始するというふうに言っている。この絡みというのはどういうふうに認識したらいいんでしょうか。官房長官、お答えください。
  72. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 六者協議の中でこういう文言が入ってきたわけでありますが、当然六者並びにその背後にある国際的な共同体、国際的なコミュニティーとしては、北朝鮮には国際的なテロなどからやっぱり足をきっちり洗ってほしいということだと思います。  このテロ支援国家の指定の基準というのは、国際テロに対して継続的に支援を提供していることという条件があって、これはあれですね、ミャンマー、当時はラングーン空港での爆破事件とかいろんな事件があって、そして拉致の事件もあり、もちろんよど号の事件もあり、こういった国際的なテロをやってきたこの国が本当にやめてもらうということを期待して、恐らくこの解除の手続を開始するということをあの中に入れたんだろうというふうに思います。  ですから、それをきちっと守ってくれることが大事であって、そのためにも拉致問題については解決をしないとこれは解除はされないという我々の理解とブッシュ大統領の理解が一致しているわけであって、そのアメリカも六者も、六者というか北朝鮮を除いてですね、ほかの五者は皆、北朝鮮がテロ支援ではなくなることを期待をしてこれを書いているんだろうと私は思っております。
  73. 白眞勲

    白眞勲君 今の解釈ですと、プロセスの開始という必要性はないんじゃないかなと私は思うんですね。  今度、外務大臣、ちょっと、じゃお聞きしたいと思うんですけれども拉致は考慮すると言っていて、解除のプロセスはもう開始することに合意しているわけですね。これは開始する必要性はあるのかなという部分においても、ちょっと外務大臣、どういうふうに御認識されているか、お聞きしたいと思います。
  74. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) プロセスを開始するということというのといわゆるテロ支援国家を解除するというのは、これは脈絡は一致しているというように私ども理解をいたしておりません。  少なくとも、テロ支援国家という指定が解除されるような国になるべきであるという五者のメッセージとしては明確に伝わっていると思いますが、アメリカとして、少なくともテロ国家支援というのの枠組みにつきましては、今、塩崎官房長官から話がありましたように、国際テロ行為のための支援を繰り返し行っていることがテロ国家ということの定義の一つでありますから、そういった意味では明らかに、北朝鮮の場合は拉致という問題は明らかにテロである、アブダクションというものはテロであるということになっておりますので、そういったものはきちんと解除されない限り、テロ国家としての定義というか、テロ国家支援の枠から外れることはないということをアメリカ大統領も言い、少なくともこれはアメリカから重ねて、テロ支援国家指定の基準というものについては今のものが基準なんだということを向こう側からの説明を受けておりますので、テロの対象として考えていると。アメリカが北朝鮮をテロ支援国家の対象であると考えているということは向こうからも重ねて説明が、安倍・ブッシュ会談が終わった後も向こうの国務省から重ねて説明があっておるところでもあります。
  75. 白眞勲

    白眞勲君 事務方で結構でございますけれども、実際、解除のプロセスの開始というのはどのような手続が必要だというふうに認識しているんでしょうか。
  76. 伊原純一

    政府参考人(伊原純一君) アメリカの国内法によりますと、テロ支援国家の指定解除の手続については、これは大統領が下院議長及び上院の外交委員長に、次の二つのいずれかを認定する報告書を提出するということが要件として求められております。  一つは、当該国家政府の指導部及び政策に根本的な変化があって、かつ当該政府が現在国際テロ行為を支援しておらず、将来国際テロを支援しないことを保証しているということ。あるいは、もう一つの要件は、当該政府が過去六か月にわたり国際テロに対しいかなる支援も提供しておらず、かつ将来国際テロを支援しないことを保証していると、この二つでございます。
  77. 白眞勲

    白眞勲君 テロ指定解除と経済制裁との絡みでいろいろ考えますと、またアメリカの経済制裁って何かいろいろあるようでして、例えば敵国通商法とか輸出管理法もあるというふうに聞いているんですけれども、そのほかに国連経済制裁の件もあるんですけれども、この辺りで、一体どういうふうな絡みでこれからいく状況になっていくのかなと、アメリカは。  その辺はどういうふうに御認識されているでしょうか。外務大臣、お答えください。
  78. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは白先生、一概にはちょっと、こういうプロセスになりますとはなかなか申し上げられないところだと存じます。  今アメリカとの間で、このまま四月の十三日の期限を大幅に超えて、かれこれ二か月は超えようかという時期になってきておりますので、少なくともこのままBDAの話をネタにして少なくともずっとというのはアメリカとしてはなかなかのめない。  簡単に言えば、凍結解除というのは終わったんだから、次には今度は送金と。で、上げてきて、送金が終わったら、仮に解決いたしたとすれば、また上げて、この間の五月十三日の発言でしたか、少なくとも我々は一種の、経済制裁についてすべての解除何とかというスポークスマンの話が出ておりますので、一つ一つ上げてきているような話になりますと、これは何だと、単なる引き延ばしじゃないかというような意見にまたなってくるということになりますので、そうなると一挙に経済制裁ということになる。  したがって、これはまあ一種の駆け引きなのかもしれませんけれども、ぎりぎり瀬戸際外交というような形になってきておりますので、今の段階で、アメリカが次の経済制裁として金融制裁をやるのか何の制裁をやるのかということに関して、ちょっと今の段階で、これが次のアメリカのとか、日本がやるべき若しくはやろうとしているというのを今のこの段階で申し上げられるという段階にはございません。
  79. 白眞勲

    白眞勲君 大臣のおっしゃいますように、アメリカは、逆に言うとさじ加減でいろいろなオプションがあるというふうにも言えるわけだと思うんですけれども、その件に関しては、当然日米間の、あるいは中国も含めていろいろな話合いというのは行われているということでよろしゅうございますね。
  80. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いろいろなレベルで行われているのは事実だと思います。
  81. 白眞勲

    白眞勲君 今、安保理決議一七一八に関係して、現在、北朝鮮に対する措置実施状況、五月二十二日現在で七十か国及びEUからの報告書というのが提出されていると思うんですけれども、今は何か国になりましたでしょうか。
  82. 浜田昌良

    大臣政務官浜田昌良君) 現在では七十三か国、一機関……
  83. 白眞勲

    白眞勲君 七十三。
  84. 浜田昌良

    大臣政務官浜田昌良君) 七十三です。プラスEUでございます。
  85. 白眞勲

    白眞勲君 その中にはロシアも含まれたんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  86. 浜田昌良

    大臣政務官浜田昌良君) 含まれております。
  87. 白眞勲

    白眞勲君 今、大臣は非常に前向きな今お考えだと、ロシアも入ってきたということだということをお答えいただいたんですけれども韓国も南北閣僚会合の米支援がこの前決裂しまして、やはり核問題が進展しない絡みとの報道ですけれども、どうも最近やっぱり世界じゅうから更なる経済制裁の動きも加速しているような印象も受けるわけですけれども日本としてはどのようにするおつもりなのか、お答えください。
  88. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いわゆるWMD、ウエポンズ・オブ・マス・デストラクション、略してWMDと言うんですが、この関連計画の特定品目というのがいろいろありますが、これ先生、国によってかなり違いまして、その意味では、今御指摘のありましたアメリカ、カナダ、欧州、欧州というのはEU、豪州、ロシア等々は、軍関連及び核、ミサイル、WMD計画関連の特定品目の輸出禁止並びに奢侈品の輸出禁止というのを既にもう実施をいたしております。  これに対しまして、例えば中国等々は、これはだから、履行をしているというのは私どももいろいろ分からぬわけではありませんが、これを対外的に中国は公表はいたしておりません。  韓国は、軍関連及び核、ミサイル、WMDの計画関連の特定品目の輸出禁止というのは実施しておりますが、奢侈品については実施をしておりません。  これまた奢侈品の定義がなかなか難しくて、柔らかいトイレットペーパーも奢侈品だと言われると、どこまでが奢侈品なんていうのはちょっとなかなか分からないものですから、ここらに関しましては、私どももちょっと細目詰めている段階ではありませんけれども、大まか申し上げると今申し上げたような状況にございます。
  89. 白眞勲

    白眞勲君 BDA問題についてまたいろいろな、またぞろいろんな報道が出てきまして、ヒル国務次官補は、今までは結構楽観的な見通しばっかりお話しされている方だったような感じがしたんですけど、今度は一転、悲観的な見通しを何かお話しされまして、どうすれば解決できるのかまだ見いだしていないと、こう発言し出しちゃったんですね。  以前、大臣は当委員会でも、四月十三日の期限が過ぎた、一か月過ぎた五月十日ぐらいの時点での御答弁で、新たな制裁について大臣自身がこう答えていらっしゃるんで、ちょっと読みますと、一月超えて何もないというのではちょっといかがなものかということになりはせぬかというんでと、こういうふうに、こうおっしゃっているわけで、新たな制裁についてお話しされているんですが、と同時に、こうもおっしゃっているんです。どのような方法があるかというのは、これはむしろ外務省よりこれは内閣府で日本の場合は担当していろいろやっておられますんで、これは日本で言うと財務省の話とか国土交通省の話とかいろいろありますんで、ちょっとそこらのところの内容を今やっておられるのは官房長官の方でやっておられるんで、とお答えになっております。  今、ちょうど官房長官、今日いらっしゃっているんで、もう期限二か月たっちゃったんですね、これ。この辺り、どのような具体的な方法についてお持ちなのか、お答えください。
  90. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) こういったことは、やはり北朝鮮がどういう態度を取っていくのか、それをよく見ながら、各国とも連携しながら総合的に判断をしていくというしかないというふうに思います。これやったらこうだとかいうような単純な話ではなかなか物事は決められないということでございます。
  91. 白眞勲

    白眞勲君 財務省の話とか国土交通省の話というと、財務省というと送金なのかなと勝手にこう解釈するんですが、その辺はいかがでございますか。
  92. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) それぞれの役所、それぞれの何というか、所管の法律を持っていて、それでいろいろなことができるわけで、今先生指摘の点は、そういうことも、外為法があって、それでそもそも制裁が行われている部分も既にあるわけでありますから、そういうこともあり得るということでありますけれども、先ほど申し上げたように、何ら今、別に何か決まっていることはあるわけではないということであります。
  93. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 白先生の御質問で、BDAの問題が仮に解決して、よく言われている二千五百万ドル、五十何口と言うんですが、これが入った後、直ちに初期段階に移行すると先方は言っていますよと、しかし、言っていますけどするという保証はないと、私はそう思っておりますと、こう答弁をしていると思っておりますが。  この問題に関して、五月の十五日のこの北朝鮮のスポークスマンの発表というのが一応公式に外に出ている最後なんだと思いますが、資金の送金が実現すれば、直ちに二・一三合意に基づく核施設の稼働中止措置を講ずる用意があると表明をしたということになっておりますが、一方、その後が問題でして、従来のように資金を自由に送金することができるようにしろというのが我が方が最初から要求しておる制裁解除であるというと、これは明らかにレベルが二つぐらい上がったことになろうと思いますので、こういった点の表現でいきますと、何となくこれやったら次これこれって言ってくるような感じがして冗談じゃないと、多分アメリカ側は、これは国務省はいいと言っても、財務省やらまたジャスティス、司法省等々は冗談じゃないということになるんだと思っておりますので、私どもとしては、これはヒル国務次官補も、これは何だ、だんだんだんだん押しまくられてきているんじゃないかと言われる国務省の立場ですから、これは簡単なことはできぬぞという話に多分なってきたのかなというんで、ちょっと私ども、これ直接担当ではありませんので、この問題に関しては。だから、間接的に中国から聞いたりアメリカから聞いたりする間接情報以上のものを持っているわけではありませんけれども、少なくとも今申し上げた状況で、私ども最初から、二千五百万ドルの凍結は解除したらいいという話はアメリカの金融に関する力というものが分かっていない、金融が分かっていない人の話なんでね。これはアメリカの、それは送金の手続ができないということは銀行として成り立たないということを意味するんだから、そんな簡単な話なわけはないというのを去年から申し上げてきておりますけれども、今正にそんな形になってきているので向こう側も気が付いて、慌ててというようなことになっとらせぬかなというのが、正直おか目八目か、他者から見ていて大丈夫かと、その程度で大丈夫かと申し上げていたような形になってきて、何となく金融が分かり始めたというところかなという感じが正直な実感です。
  94. 白眞勲

    白眞勲君 正に今、麻生大臣がおっしゃられたとおり、結局はみんなが何となく、ああ、ここの辺りに問題があるのねという問題の意識だけははっきりし始めちゃったのかなという部分はあるんですが、片や、やはり日本の安全保障にとってみまして、この核開発とかそういったものは非常に重要な問題でもあると。  それに対して、やっぱり約束した期限からは相当過ぎていると。まあ一か月も過ぎ、また二か月近くも過ぎ始めているという中で、今、塩崎官房長官も何らかのいろいろな措置の検討ということは当然しているということだと思うんですけれども、やはりそれに対して具体的にいつごろまでにその辺は出していきたいというふうに思っていらっしゃるのかをお答えください。
  95. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 少なくとも韓国が一番融和策に近い、五者の中では一番融和策に近かったと思いますが、その韓国も米の輸出、供与というのか輸出というのかは少なくとも止めるということになって、約四十万トンということになります。これで、石油残り九十万トンということになりますと、バレル当たりで計算して三百億以上の金になりましょうか、そういったようなものもこれ全く止まっておりますので、そういったような状況に加えて、仮にロシアはこれに乗ってきておりますというんで、明らかに余り積極的でなかったと思われる韓国もロシアも制裁のレベルを上げてきておりますというのは、これは明確なメッセージとして向こうに伝わるというところだと思います。  私どもは、国連の全会一致というのは非常に大きな意味があるというのは、やっぱりイランに対しての制裁措置国連の全会一致というのになりますと、向こうは全会一致が出るとかなり下りてくる感じがありますので、いきなり電話が掛かってきたりするのは、大体全会一致になりそうだというと電話掛かってきますから、だから大体そういうものなんだと。  私ども、まあ当たり前の話ですけど、そういう意味で、ここらは一致団結してというところの意義は極めて大きいという点は韓国にもロシア側にも重ねて言ってはありますが、今この段階日本として、ここまでやってもらった結果、更にどう出てくるかというのを十分見極めた上で、さらに我々としての対応を決めねばならぬ時期が来るんだと思います。
  96. 白眞勲

    白眞勲君 その時期はいつごろだというふうに認識されていますでしょうか。
  97. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今の段階としてちょっと、あと二か月後とかあと三か月後とかいうような具体的な日にちを申し上げられるような段階にはないと存じます。
  98. 白眞勲

    白眞勲君 最後の質問でございますけれども、これは質問通告しておりませんが、先ほどの青森の船に脱北者が微量の覚せい剤を所持していたことが発見されたという、今さっきの報道なんですけれども、さっきの報道ですからなかなかコメントってどうなのか、あれでしょうけれども、何かありましたら、ちょっと思いがありましたら。北朝鮮は、秘密工場とか麻薬の生産の疑惑ということもあるわけですけれども、それについて何かありましたら、官房長官外務大臣、それぞれお答えください。
  99. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げましたように、今この四人については警察で事情聴取、捜査をしているところでございますので、捜査上の情報についてはお話を差し控えたいと、こう思います。
  100. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 四人の話に関しましては、武器を携帯していなかったというところまでは知っておりますけれども、その他細目につきましては、私どもまだ聞いておる段階ではございません。
  101. 白眞勲

    白眞勲君 ありがとうございました。
  102. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  会見の時間があると思いますので、前半の部分は官房長官にお尋ねしたいと思います。  まず、基本的なことですけれども、六か国協議における朝鮮半島の非核化、その進展は、それ自身重要なことですけれども、同時に拉致問題を含む日朝両国間の懸案解決という点でもやはりそれに寄与するものではないかと思うんですけれども、その二つの課題の、重要な課題の二つの関連についてのお考えを伺います。
  103. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 当然のことながら、日朝国交正常化というのは、米朝国交正常化と並んでこの北東アジアの平和と安全、安定にとって、そしてまた恒久平和のために不可欠な要素だと思っています。六者会合共同声明においても、日朝それから米朝の国交正常化が六者共通の目標として明確に位置付けられていることは先生も御案内のとおりでありますし、今申し上げたことを示すものだというふうに思っています。  今年の二月十三日のこの六者会合でも、非核化作業部会などと並んで日朝の作業部会日朝国交正常化のための作業部会が、米朝もできましたが、この日朝の作業部会が設置が合意をされて、改めてこの日朝関係というものが六者協議の枠組みの中で明確に、初めてと言ってもいいぐらいですが、書き物で明確に位置付けられたということで、協議を進めるための枠組みとして、これが正式に六者協議の中で設置をされたということが特記すべきことではないかと思っております。  我が国としては、この拉致問題を含む日朝関係進展が見られれば、六者会合の他の分野においてもこれまで以上の積極的な役割をする用意はありますけれども北朝鮮は、三月の第一回目の日朝国交正常化のための作業部会、ハノイで行われましたが、そこで何らこれまでと変わった誠意あるような態度を示したわけではないと、その後全く誠意ある対応も見せてくれていないということで、我が国としては北朝鮮の前向きな対応を引き続き求めていく所存であって、日朝関係において進展を得ることによって、六者会合日朝関係の間に、言わば両方のこう、両輪というか好循環が生まれていくことが大事なんではないかというふうに思っているわけでございます。  いずれにしても、六者会合の中で日朝の関係が位置付けられ、その中で拉致の問題も話し合われるということは、言ってみれば六者会合の中で拉致の問題も話し合われるのと等しいような、そういう位置付けを得たということは一歩前進ではないかというふうに思っております。
  104. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今の官房長官の御答弁、非常に明確だと思います。核問題の解決も、それから拉致解決も、やはり結び付けてしっかりと進めていくということが大事だと、そういう御答弁だというふうに理解いたしました。  それで、さきの六者協議で、核放棄に向けた初期段階措置にかかわって、拉致問題で進展がなければ日本支援に参加しないと、それで関係国に理解を得たという、そういうことが言われておりますけれども、そこで拉致問題の進展とは何を指すんでしょうか。
  105. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 政府の言う拉致問題の解決というのは、これまで北朝鮮に対して要求しているすべての拉致被害者の帰国などが実現することであります。  これに対して、拉致問題で進展があったと言えるようになるためには、安倍総理も述べておりますけれども拉致問題を解決するという日朝双方の共通認識、この共通認識があって、それに向けて北朝鮮が具体的な行動を取ると、具体的な行動を取って解決に向けてこの途中段階に進むことが必要だというふうに考えているところでございます。
  106. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 報道によると、中山補佐官が訪米したときに、アメリカに対して拉致問題進展の定義についてやはり話をしたと、アメリカの側は一体それは何だということを繰り返し聞いてきたと。そういうことを私も仄聞しておりますけれども、それに対して、今官房長官が御答弁された内容を述べたと。進展とは、日朝両国が拉致問題を解決するという共通の認識に立った上で一定のステップがあることだと。そういうふうに伺っておりますけれども、そしてアメリカからの理解を得たということですけれども、具体的にはどういうことなんでしょうか。
  107. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) それは、先ほど申し上げたように、まず第一に、今はこの拉致問題について解決をするというか、もう北朝鮮拉致問題は解決済みだと、こう言っているわけですから、共通認識は全くそこにないわけであります。ですから、まず第一に、その共通認識を持つということが大事であって、それがあって更に具体的に進展をしていくというのは、それはまあケース・バイ・ケースでいろんなことがあると思いますが、それが特に日本国民並びに、今日、横田さんおいででございますけれども拉致被害者の家族の皆さん方もこれは進展だなという具体的なステップがないといけないということであって、それは私どもが定義することじゃない、定義というか、具体策をコメントすることではなくて、向こうが取るべき態度でありますから、それは向こうがどういう誠意ある態度を取って、具体的な行動として進めていくのかということをやっていただかないといけないということではないでしょうか。
  108. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 拉致問題の進展について安倍総理は、二月の予算委員会の段階ですけれども、それは我々が判断すると答弁されました。それから、私も質問したことがあるんですけれども、外交交渉なのでそれは言えないと、そういう答弁もありました。  ですから、この国会では進展とは何かということについては政府の側からの答弁はなかなかなかったという、そういう状況なんですね。安倍総理それから中山補佐官が述べた、こういう定義ですね、考え方、これを明らかにしていったのはいつごろからなんでしょうか。
  109. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 総理は、今のような言い方をされ始めたのはこの春、四月ぐらいからでございます。  いずれにしても、具体的な行動を取るのは北朝鮮、それを具体的な進展と見るかどうかという判断はもちろん我が国がするということではないでしょうか。
  110. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 あと幾つかあるんで、最後の一問、官房長官にお願いしたいと思います。  六か国協議でアメリカ側の次席代表を務めたNSCのチャ前日本・朝鮮部長は、最近、日本のマスコミとのインタビューでこんなことを言っているんですね。チェイニー副大統領やネグロポンテ国務副長官らが訪日した際、日本側が拉致問題で具体的に何をしたいのかと問い続けたが明確な答えを得られなかったと、そう述べているんです。さらに、チャ前部長は、日本が何したいのか明確になれば、北朝鮮にアメリカとしてはもっともっと要求することができると、そう述べているわけですけれども。  政府は、拉致問題、国際社会に対して協力連携を求めている、そしてそれを広めたいと考えている。そのときに、アメリカに対してもあるいはEU諸国に対してもあるいは関係国に対しても、拉致問題の支援あるいは協力連携で具体的に何を求められているのか。  外交のことですから、すべてとは言いませんけれども考え方について、どういう内容のことを求められているのかをお尋ねして、私の最後の質問としたいと思います。
  111. 塩崎恭久

    国務大臣塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、北朝鮮拉致問題はもう解決済みだと、こういうことを言い続けて、この間のハノイでの第一回目の作業部会でもそういう答えが返ってきたわけであります。  それでは我々は話にならないわけであって、まず第一に、そういった前提をそもそも一致できないような状態では全く話合いになりませんから、他のアメリカを含めた国々には、そういった点で北朝鮮に説得をしていただければいいなというふうに我々としてもまず第一に思うところであって、どういうことを具体的に更にやるのかということは、まず第一にその前提を北朝鮮が変えるということで誠意ある態度を取り始めるということが大事なので、そこのところのやっぱり説得を我々としては大いに期待をしたいということでございます。
  112. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 官房長官、もう会見があると思います。結構でございます。
  113. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) 官房長官は退席していただいて結構でございます。
  114. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 外務大臣にお尋ねいたします。  北朝鮮というのは世界で最も難しい国ですよ。これは間違いないと思いますね。まあ、その一つと言った方が正確かもしれませんけれども、それを相手にしているわけです。そして、隣国ですから、それを変えるわけにいかない。そしてまた、外務省の見方としても、大臣も述べられたことありましたけれども体制崩壊ということについては近い将来見通すことはなかなか難しい。  したがって、問題を解決するためには今の体制と粘り強く話すしかない、そういうところに置かれていると思うんですね。それが日本を含めて関係国の非常に大きな苦労だと思います。そういう中で、いずれにしても六か国協議の枠組みをつくる、そしてその中で日朝の作業部会の枠組みをつくるという、そういうことが前進してきたと思うんですね。  ですから、そういった意味ではなかなか今事態が進まない。本当もどかしい思いがするわけですし、本当にこの国は何だろうと思うことが本当にあるわけですけれども、しかし結局それをやるしかないと。アメリカもそういう方向で進めておりますし、関係国もそうですし、日本も同様だと思うんですね。  そうすると、結局、対話と圧力ということで、それで進めているわけですけれども、対話、圧力。圧力については、これは切るカードがどれだけあるのか、カードをどれだけ持っているのかという、そのことはまた大事な要素になると思います。対話については、こういう相手ですけれども、やはりその中で最大限知恵を出し、そして戦略と戦術を持って臨むということになってくると思うんですけれども、その点についても外務大臣の総合的な考え方をお伺いしておきたいと思います。
  115. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一党独裁若しくは独裁国家というのは常に話しにくいのは、もう何も北朝鮮に限った話ではございません。ただ、ここの場合は、その体制というものを考えましたときに、今の段階で極めて最貧国であることはいろいろなものから推計ができるところでありますが、かといって体制崩壊が今期待できるような状況にもないということに関しましても今おっしゃるとおりだと存じます。  したがいまして、こういう国々と交渉していくに当たりましては、少なくとも対話だけで話が進むことは期待できないというのはこれまでの経緯からはっきりしております。したがって、対話を引き出すためには圧力が要るというのが当然なんであって、私どもとしては、あの十月以降、万景峰等々、いろいろなものをやらせていただいておりますけれども、そういったものが効果があることは確か。また、六者協議という枠をつくって、その中で日朝という話をやるようにつくり上げましたけれども、この六者の中における二者というのにしませんと、日朝だけでいきますとなかなか話が進展しない。圧力の掛け方も弱い。  したがって、中国、ロシア、アメリカ等々がその隣国として、また韓国含めまして、隣国として北朝鮮の非を認めてどんどん圧力を掛けていくというのを同調してもらうというのが向こうに対する対話を引き出すネタになると思っておりますので、残りの五か国の関係というのは極めて大事だと思っておりますので、この密にしていくというのが大事であって、今回の済州島の会議それからドイツにおけますあのロシアとの会議等々でこの種の話ができるようになりつつありますのは、間違いなく連携関係が良くなってきておりますので、北朝鮮の非に対する我々のずっと言い続けたアピールが何となく理解がされつつある。そして、我々に同調し、国連の一七一八に一緒に歩調を合わせてきつつあるというのは一つのステップアップ、進歩と思っておりますけれども、まだ答えは出ていないというのははっきりしております。
  116. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 時間のことがありますので、最後に具体的なことをお尋ねしたいと思います。  北朝鮮側は、日朝作業部会の場で日朝双方によるDNA鑑定に関する専門家協議の開催を提案したと言われておりますけれども、この点はあったのでしょうか、あったとすればその提案にはどう対応されたのか、お尋ねいたします。
  117. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) どなたに。麻生外務大臣
  118. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 重ねて伺いますが、この間の日朝の作業部会、ハノイでしたかな、あれ行われたときに向こうから、DNA鑑定についての再協議をやるという提案が向こうからあったか。
  119. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 専門家協議の開催を提案したいという。
  120. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 調べて御返事申し上げます。今ちょっと、今、伊原の方から答弁させます。
  121. 伊原純一

    政府参考人(伊原純一君) 先般のハノイにおける日朝の国交正常化作業部会において、北朝鮮からそのような提案があったということはございません。
  122. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これはもうなかったですか。  例えば、北朝鮮側のDNA鑑定専門家協議の提案というのは昨年二月の日朝包括並行協議にも、際に出されている。それは外務省の文書に書いてあるんですから、そういう事実はありますでしょう。ハノイのときは別としても、以前にはあった、これまで歴史的にあった。確認してください。
  123. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) 時間ですので、簡潔にお願いいたします。伊原参事官
  124. 伊原純一

    政府参考人(伊原純一君) その点については確認をさせていただきたいと思います。少なくともハノイにおいてはございませんでした。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  126. 岡田直樹

    岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹でございます。  月曜日の委員会ということで御通告の余裕がありませんでしたが、先ほど白委員もお触れになった脱北者の問題について少しだけお話をし、お伺いをしたいと思います。  事実関係はまだ捜査中ということでありますが、ある報道によりますと、青森に来た脱北者の一家四人の乗っていた船というのは、長さが七メートル、幅は一・八メートルしかないと、大変ちっぽけな木造の船でありまして、この船に乗って北朝鮮の清津から五日間、九百キロ余りを乗り越えて、日本海の荒波を越えて日本に逃れてきたということで、証言によれば、一日置きにパンを食べるのがやっとであったという北朝鮮の厳しい食料事情を始め、人民の生活、その厳しさをうかがうことができると思います。  私、もう十年近く前になりますけれども、新聞記者として二度北朝鮮を取材したことがございます。当時、北朝鮮拉致ということを絶対に認めなかったわけでありますが、食糧援助が欲しいということで、水害の被災地は我々記者も見ることができたんであります。本当に悲惨でありました。子供たち、栄養不良でやせ衰えて、頭にかさぶたのできたようなそういう姿を見ると本当に胸が痛んだものであります。しかし、あの国は国全体が腹をすかしているかというと、そうでもなくて、あるところにはあるということもまた私は分かりました。  石川県、私の地元石川県の能登の人で、寺越武志さんという人が昭和三十八年以来北朝鮮にいるわけです。これは、私はある種の拉致に違いないということを確信をしてきました。しかし、非常に早い時期から生存が確認をされてきたという非常に特異なケースでありまして、ある意味では北朝鮮の宣伝材料に使われているような嫌いもあるわけであります。  その寺越武志さんの住んでいるアパートを訪ねたら、これがまあどんと二十数階建ての高層マンションでありまして、そのワンフロア、部屋数を数えたら七部屋か八部屋ぐらいある豪邸でありました。そこにいろんなヨーロッパ製の家電製品なんかも置いてある。何でこんなにいい待遇を受けているかといえば、日本向けのプロパガンダというところもあると思うんです。ピョンヤン市労働総同盟の副委員長というような、そういうお飾りでありますが幹部待遇を受けている。で、食料も十分に配給があると。  恐らく北朝鮮の朝鮮労働党の幹部であるとか、あるいは人民軍の幹部であるとか、そういったごく一部の上の方だけそういういい待遇を受けているんではないかと、そういうふうに思いました。金正日とかその取り巻きは、もっともっとぜいたくをしているということは容易に予測が付くわけであります。  社会主義を標榜しながら、この貧富の差というのは一体何だということを当時思いました。まあ社会主義なるがゆえに貧富の差が大きいのかなと、そういうことも思ったわけであります。本当に自国民をまともに食わせることのできない指導者が、何か、すしのトロとか霜降りの松阪牛とか、そういうぜいたくなものを口にしているという話を聞くと、本当にもうはらわたが煮えくり返るような、そんな思いがいたしました。  我々にとっては、一番大事な問題は日本人のこの拉致被害者を救うこと、拉致疑惑の解明であります。しかし、日本人だけじゃなくて、金正日体制北朝鮮の人民を抑圧して非常に悲惨な生活に陥れてきたというこのことも忘れてはならないと、こんなふうに思いまして、自民党に入っても北朝鮮経済制裁シミュレーションチームというところで、北朝鮮人権法の原案のようなものを今の菅大臣や山本一太さんとかそういった方々と一緒に議論をしたわけであります。先ほども引用がされましたけど、その中に「脱北者保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努める」と、はっきりと書いてあるわけであります。  今回、済州島での会談で、麻生大臣韓国の宋旻淳外交通商大臣とともにお話をされて、人道的な原理と当事者の希望に従って処理をすると、こういう御発言もあったと聞いておりますが、麻生大臣のこの問題に対する御感想と、そして韓国大臣との間でどういうやり取りが交わされたかということをお伺いをしたいと思います。
  127. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 昨日、済州島において宋旻淳韓国外交部長との間で、青森県に漂着をしたと言われております、その当時、北朝鮮出身者と思われる四名のことについての照会が向こうの方からあっておりまして、私の方はその段階で、今現在の段階としてもうこっち来ておりましたので、こっち来ているというのはその済州島に来ておりましたので、現在、警察又は法務省の入国管理局で今調査をしている真っ最中なんで、その結果を踏まえてちゃんと対応しますという話を先方にはいたしております。  外務省としては、これは当然のこととして警察庁とか法務省というところと連絡をしていろいろ情報を収集した上で、これは本人、四人おりますので、この本人、この四人が同じ希望をするという話とまたばらばらになったりする、よくある話ですので、四人の意向というものをよく踏まえた上で、いわゆる人権とか人道上の見地から我々としては対応しますという話をしておりますので、韓国政府がそれに対して、韓国政府に亡命ということを向こうが仮に望んだ場合につきましては、あらかじめ日韓外相間において、私の方から改めてそちらの方側に対して状況の説明を行いますという話をして、その問題につきまして両外相間の話はそこで終わっております。
  128. 岡田直樹

    岡田直樹君 その当事者の四人が望むならば韓国に渡ることができると、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  129. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本としては、向こうが受け入れると言うんであれば、そのように対応ができればと思っております。
  130. 岡田直樹

    岡田直樹君 先ほど申しましたチームでいろいろ議論をしていたときに、しかし、現実に脱北者がどんどん日本へ来た場合どうするかと。昔のインドシナ難民の例も念頭にありましたし、現実にどこまで日本の国として対応することができるんだろうかと、そういう議論もあったわけであります。しかし一面では、余り日本に入ってきたからといって日本に定住を望む北朝鮮の人というのは比較的少ないのではないか、あるいはそれを日本に定住させるということは非常に困難なのではないかと。むしろ、韓国に渡るその中継点といいますか、そういう形で日本が脱北者保護なり支援をすることの方が現実的ではないかと、そういう議論が当時からあったことを覚えております。  今回、脱北者が、まだその意思もはっきりいたしませんけれども韓国に渡りたいということであれば今回道を付けて、そしてこれからも日本韓国の間にそういうチャンネルというものを一つ開いておくということが重要ではないかと私は思っております。これは法務省とかいろんな関係の省庁にもかかわることでありますけれども、今回、韓国外務大臣とも協議をされた麻生大臣のこの問題についてのお考えを、今後についてお考えをお伺いしたいと思います。
  131. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 岡田先生、ナホトカ号事件というのを、石川県も影響を受けられましたので、ナホトカ号事件を思い出していただけると分かると思いますが、少なくとも、エンジンなしであの地域から船になりますと、いわゆる日本海流に乗って漂着するところは日本海沿岸の石川県以北というのが、この間の油の流れ方とほぼ同じというのになりますので、今回は青森県に漂着ということになっております。したがいまして、もし何かあった場合に、これ大量の難民が発生する可能性ゼロではありません。  先ほど白先生からお話があっておりました点と同じでありまして、今回はこれは武装難民じゃありませんけれども、武装難民ということもこれは十分に考えておかねばならぬということも、いろいろなことを考えておかねばならぬと。また、日本に亡命する人が、その人がスパイでないという保証はありませんから、そういった意味ではいろんなものも調査せねばならぬということで、これは難民というのは簡単にかわいそうだというようなレベルの話とは全く違うというのはもう基本だと存じます。  その上で、今きちんと対応した上で、これは人道的な見地に立って対応するというときになりましたときに、韓国に亡命をしたい、韓国側もそれを受け入れる用意があるというのであれば、それなりの対応というのは、これは人道上の見地からとかまた人権上とかいろんな表現あろうと思いますが、そういった意味から、この種の話の解決日本政府としていろいろな対応の仕方があろうかと存じます。
  132. 岡田直樹

    岡田直樹君 大臣おっしゃるとおり、今回も、韓国へ行こうと思ったけれども警備が厳しいと考えていったん日本へ入ってきたということでありまして、これは本当に腹をすかせて、食料やあるいは自由を求めてきた脱北者であると思います。しかし、中には、工作員が韓国へ潜入したいけれども、そこは非常に警備が警戒が厳しいから日本を経由して入り込もうと、こういうことも十分考えられるわけでありまして、この辺りの見極めが非常に難しいとは思いますけれども大臣、今御答弁になりましたように、人道的なあるいは人権上の見地からこうしたチャンネルというものを韓国との間に持っておく、そのことは非常に重要なことであると思いますし、大切な御答弁をいただいたと思っております。  それでは御通告した質問に戻りまして、さきにドイツのポツダムで行われましたG8の外相会合で、麻生大臣非常にリーダーシップを発揮されて、議長声明に北朝鮮の核問題と並んで拉致問題の早期解決ということも明確に盛り込んでいただいたと。改めて、この拉致問題の解決に向けた大臣の意気込みをお聞かせください。そして、このG8外相会合の成果についてお伺いをしたいと思います。
  133. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ポツダムのG8サミットというのが先週行われておりますけれども、ちょうど一年前、モスクワで同じような会議をやりましたときには、この拉致という問題を議長声明、当時はロシアが議長国でもありましたけれども、議長声明をこれに盛り込むに係りましては、これは物すごい手間と、いわゆる交渉が大変だったのが記憶にありますけれども、今回は議長国がロシアからドイツに移ったこともありますし、ロシアもいわゆる制裁というものに少なくともステップアップ、段階、レベルを上げておりますので、そういったところでは前に比べては確かに楽になったというのは事実だと思いますが、しかし、アブダクションという言葉と人権という言葉と二つ入れるというのが今回できておりますのが前回とは違った形になったと思っております。  いずれにいたしましても、安保理決議の一七一八を着実に実施してもらうんだというのは、これはみんな全会一致で決まったんだから、このとおりに実施してもらえばそれでいいんだという話で、私どもとしては、これは断固、この圧力というものを強化しない限りは少なくとも向こうが乗ってくることはないというのはこれまでの経過ではっきりしているので、こういった圧力を強化すべきなんだということをしつこく主張したところであります。  拉致問題に関しましては、これは、これの解決をしないと日本からのいろいろな支援というのは全く期待しないでもらいたいと。従来、大体こういうのは日本が金だけ出させられるという話はよくある話なんですが、うちは出さないと。少なくとも、これに関して何らかの進展がない限りはうちは出す気はないという話を前回申し上げて、今回もそれを再確認することになりましたので、その意味では、今回、拉致問題を含め、いろいろ私ども発言に対して一番最初に多分、この問題に関して最初発言を求めたのはアメリカだと記憶します。アメリカはこの話に最初に乗ってきておりますので、いろんなことができるようになったと思いますが。  いずれにいたしましても、最初がグレンイーグルズですから、これで三年連続だと思いますが、北朝鮮に関するいろいろな国際的な連携というものが、三年連続G8に出ておりますのがラブロフでありますけれども、こういったところでその種の理解というものが前にも増したということだけははっきりしておりますので、こういったようなものはやっぱり、みんなでこう言っている、国際世論はこうなのよ、日本だけが言っているんじゃないと、国際世論がみんなこうなんだということが大事なので、その意味では六者協議の枠組みというのは非常に大きいものだと、私はそう思っておりますので、このG8サミット、六者の中に出てきておりますのはその中ではロシアとアメリカなんですが、このG8においてはイギリスも中国もこれに乗ってきておるというところが大きかったと思っております。
  134. 岡田直樹

    岡田直樹君 以前にこの委員会で、私、今日もお越しの横田さん、そして奥様に御質問をしたことがあります。そのときに、お母さんの方から、もっともっと怒ってほしいと。どうも日本政府にはまだまだ怒りが足りないのではないか、この拉致問題に関してと。もちろん、我々国会議員にも向けられた厳しいお言葉であったと思いますし、そのことをかなりアメリカには伝わってきたと思うんですが、これをもっともっと国際社会に共通の怒りとして共有をしていただきたいと、こんなふうに思います。  ハイリゲンダムのサミットでも、共同声明の中にこうした拉致問題に関する各国の認識、これを明確に、そして強いメッセージで書き込んでいただきたいと思うわけでありますが、この点については見通しはいかがでしょうか。
  135. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、あしたから安倍総理も参加されてのいわゆるハイリゲンダムにおきますG8、いわゆる首脳会議が始まるところですけれども拉致問題がしっかり取り上げられるようにということで、このG8の外相会議の声明の中にあれをきちんと書き込まさせていただいておりますので、そのところに対しては拉致問題の早急な解決を含め国際社会人道上の権利と、これはもう一回また拉致とは別に人道上という言葉を入れるということができましたので、こういう議長声明というのを少なくともドイツが出しておりますので、そういった意味におきましては、六日から行われますこのハイリゲンダムのサミットにおきまして、議長総括の内容というものをこの段階で、我々議長国ではありませんので、こんな内容になりますということを今この段階で申し上げる内容を持っているわけではありません。  しかし、日本といたしましては、アメリカはもちろんのことですけれども、ロシア、中国を含めまして、このメッセージというもの、G8の外相会議で出たメッセージというものがきちんと首脳会議の議長声明の中に出されるように、そういったことに関しては今確約できるわけではありませんけれども、最後まで外相会議同様、この種の問題につきましての内容が盛り込まれるように努力をしてまいりたいと考えております。
  136. 岡田直樹

    岡田直樹君 非常に積極的なお言葉をいただきましてありがとうございます。どうか御努力をいただきたいと思います。  それから、先ほどから再三出ておりますけれども、二月の六者会合での合意から百日以上もたちまして、しかし初期段階措置というものもまだとられていないと。バンコ・デルタ・アジアですか、銀行の送金を元のとおりにせよと、非常にこだわって一切の措置をとらないと。日本の側からもあるいは各国からも、忍耐にも限度があると、必要があれば圧力を強化すると、こういうメッセージも発せられておるわけでありますが、一つちょっとけげんに思うことは、北朝鮮の方もこれを実行して五万トンなりその次の九十五万トンなり重油も欲しいと思いますし、韓国の米も欲しいと思うんですが、しかしながらこの初期段階の履行さえしないと。この原因というのはどこにあるのか、ちょっとなかなか読みにくいところではありますけれども大臣、何かお考えがありましたらお伺いしたいと思います。
  137. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは岡田先生、相手側の話ですので想像の域を超えない部分もあろうかと存じますが、最初に五万トンの話、百万トンの話というのをこれは日本側やらアメリカやらが提案したということはありません。これは全然、第三国、我々、アメリカ、日本以外の国がこの案を提案して、その話なら寧辺の話、IAEAの話というのに乗ると言ってきたのが北朝鮮。したがって、これが大きなものに飛び付くものになったえさという表現はちょっと余り正しい表現じゃないですな、もう少し上等な表現が参議院では使わにゃいかぬのでしょうけれども。そういったような提案を受けて、向こうはその段階で、我々はその段階ではこんな話はやる気はない、日本は全くやる気はないと、アメリカもやる気はないという話をしていたのに、いきなり寧辺、オーケー、ウオッチドッグ、オーケーと来ましたものですから、本当かと。それならちょっと話といって、そこからあの話がスタートしておりますので、二月の十三日に協定ができ上がるまで結構いろいろ話がありましたけれども、その話から比べてみまして今の状況というのは、米の話まで、韓国からの米の話も止まっております。  そういった段階は、明らかに、やっぱり北側としては一致結束してというところはかなり予想を超えていたかなと思っておりますが、ロシアの制裁のレベルも上がりましたし、いろんな意味でちょっときつくなってきているだろうなという想像に難くありませんけれども。じゃ、その段階として核のいわゆる燃料抽出等々の話を止めるかというと、これは国内事情、なかなか軍との関係、党との関係はかなり難しいものがあって、これをもし止めた場合は軍との関係がもたなくなるとか、いろんなことは、これは想像の域を超えませんので、ちょっと何ともそれ以上は申し上げられませんけれども。今かなり押したり引いたりの、何というんですかね、チキンレースというんですか、そういったような、かなり押したり引いたりの瀬戸際のところに来ているかなという感じはいたしますけれども。  いずれにしても、韓国は、従来ですとこの段階でもう既に米は輸出しているはず、輸出というか供与しているはずですけれども、それを止めておりますし、例の汽車が開通した話見ましても、韓国の新聞は一杯書いてありますけれども北朝鮮の新聞には全くあれは小さな囲みでしか出ておりませんから、そういった意味では、受け止め方というのは我々とはおよそ違うところだと思って見ておかないといかぬなと思っておりますので、この段階でちょっとそれ以上、想像の域を超えません。
  138. 岡田直樹

    岡田直樹君 おっしゃるとおり、想像の域を出ないわけでありますし、しかし今御答弁になったように、軍を始め国内の体制を安定させるためには、やはり重油も欲しい、食料も欲しいと思うのが普通だと思うんですけれども、それよりも何かBDAのこの送金の問題を北朝鮮は重視している。これはやっぱり金正日や側近のところに現金が行かなくなるのが一番嫌なのかなと、そんなことも想像をしたくなるような現象があるわけでありまして、だとすれば、相手の困ることは圧力になるわけでありますから、この送金を始め金融制裁というものを緩めるべきではなくて、むしろもっと持続をして強化をしていくということが必要ではないかと。  もちろん、対話の努力を続ける、しかし、もし必要とあらばそうした制裁を強化していく。特に金融制裁というものは非常に大事なポイントではないかと思いますが、この点について大臣の御所見をお願いします。
  139. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、BDAのことに関して言わせていただければ、これはアメリカも驚くぐらい効果があったことははっきりしていると思います。たかが二千五百万ドル、個人じゃでかいですけど、国家で二千五百万ドルって約二十五億、約三十億弱の話ですから、それほど、幾ら最貧国とはいえ、それが国家の一大事というほどのあれだとは思いませんけれども、しかしこれの持っております影響というのは、制裁を加えたアメリカの財務省の予測をはるかに超えていたことは確かだと思います。  それは送金といういわゆる銀行の為替の話になりますけれども、ここらのところの基礎知識がないと、いわゆる凍結という意味余り正しく理解されていなかった、多分、向こう側も。そこが凍結の意味が分かって、凍結解除になっても、その二千五百万ドルの凍結が解除になっても、その他の銀行業務としてアメリカのいわゆるいろんな意味のオンラインとか、いろんなものがすべて使えなくなるということになると、これは為替とか送金とかすべてができなくなるというのは、それは銀行一つ全く動かなくなるというのと同じことになる等々。これが、元はといえばマネーロンダリング始めいろいろなアメリカの国内法に違反しているところからスタートしておりますので、いろんな影響というものがそれはある程度想像しておったとは思いますけれども、これほど直接効果が大きいとは思っていなかったとかいうのがアメリカ側も北朝鮮側も多分そうだったんではないか、これも想像の域を超えませんけれども。  したがって、国務省と財務省と司法省と、いろいろ何かこの種のことに詳しい役所とそうでない役所とに差が出たということもあり得るとは思いますが、いずれにいたしましても、この種の話に効果があるんであれば、日本としてもこれを送金とか為替とかいう問題は非常に効果があるというのは、これはもうそこにお手本がありますので、今後の参考として使える参考資料にはなったと存じます。
  140. 岡田直樹

    岡田直樹君 最後に、先ほどテロ支援国家のアメリカの指定解除というのは当分ないのではないかというような予測も示されたわけでありますけれども、心配なことは幾つかありまして、例えばよく言われるのは去年のテロ活動に関するアメリカの年次報告書、その記述が、北朝鮮について拉致事件などの記載が例年よりも少なくなったと、こういうことも聞くわけであります。  アメリカがテロ支援国家の指定を解除するというような形で、日本を置き去りにした北朝鮮に対する融和策に傾いていくことを私は懸念しておりますが、この点について、今後もテロ支援国家の指定を外さないように、拉致事件が一定の明確な前進を見るまでは決して解除すべきではないと、こういうふうに大臣からも発信をしていただきたいと思います。この辺り、いかがでしょうか。
  141. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 四月末、いや五月の初めになりますが、日米外相会談の席において、この報告書が出されたその日なんですけれども、今御指摘のありました点に関しましては、ブッシュ大統領に対して私どもの方から、この記述が減ったということは拉致問題に対する関心が減ったというように取られかねないというのが日本側の最も懸念するところで、アメリカ大統領からしかるべき答えを首脳会談後の共同記者会見においても発表されておるんで、我々として重ねて言うことはないけれども、ライス国務長官として、この問題に関して別にそういう意図はないということだけはっきりしてもらいたいという話はして、事実そのとおり、全くそういった意図で減らしたわけではないという旨の確証はもらったところではあります。  いずれにいたしましても、今回のハンブルクにおけます会議におきまして、ライス国務長官に対して、短時間ではありましたけれども、この点に関しましてもう一回話をしておりますけれども、極めて明快な答えをもらっているところであります。  しかし、この種のことは岡田先生、やっぱり直接関係者じゃありませんものですから、拉致をされているわけではありませんから、拉致をされている人たちの側の方の痛みの方がはるかに大きいんであって、そういった意味では、こういったものを常にきちんとウオーニング、警告、言い続けるというのはすごく大事なことだと思いますので、今回に限らず、この種の問題というものにかなり時間を要しておりますけれども、言い続けるという態度と、これが解決しない限り圧力という話はし続けるという態度が大切なものだと思っております。
  142. 岡田直樹

    岡田直樹君 終わります。  ありがとうございました。
  143. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  144. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) 次に、先般行いました北朝鮮による拉致問題等に関する実情調査のための視察につきまして、視察委員報告聴取いたします。白眞勲君。
  145. 白眞勲

    白眞勲君 本委員会の森委員長岡田委員、工藤委員内藤委員、広野委員風間委員、緒方委員及び私、白の八名は、去る二月二十二日、鳥取県米子市において、北朝鮮による拉致問題等に関する実情調査を行いました。視察報告書につきましては、委員各位の机上に配付しておりますが、その概要を御報告いたします。  まず、鳥取県の藤井喜臣副知事、米子市の五嶋青也助役及び鳥取県警察本部の永原光二警備部長より、それぞれ説明を伺った後、意見交換を行いました。  藤井副知事からは、「昨年十一月に松本京子さんが県内初の拉致被害者として認定されたが、拉致事件発生以来、今年で三十年となり、早期の帰国を願っている。また、県内には拉致可能性がある古都瑞子さん、矢倉富康さん、上田英司さんの三名の事案があり、県外の方で県内で拉致されたと思われる広田公一さんの事案もある。県としては、人権局に窓口を設け対応しており、拉致問題の解決に地域を挙げて取り組むため、写真パネル展示やブルーリボン、チラシ等の配布、地元新聞への啓発広報掲載などを行っている。国に対しては、家族の方が高齢であることから、一日も早い解決を願うとともに、情報が得られた場合、迅速に家族に提供されるよう要望する」旨の発言がなされました。  五嶋助役からは、「米子市は、国や県に対して拉致事件の全容解明と早期解決を求め、併せて特定失踪者問題調査会による松本京子さんの拉致被害者政府認定を求める署名に対する協力、ブルーリボン及びチラシの配布、集会や松本京子さんの写真展などの活動を行ってきた。また、米子市議会において「拉致問題の全容解明と早期解決を求める意見書」が議決された。今後の取組として、拉致被害者が帰国された場合の受入れ態勢について検討していく」旨の発言がなされました。  永原警備部長からは、「北朝鮮による拉致事件は、我が国の主権を侵し極めて悪質・重要な犯罪であり、県警本部と関係警察署の間で逐一連絡を取り、警察庁、関係都道府県警察等とも連携を取り、全容解明に向け現在に至っている。拉致被害者の松本京子さんの捜査を始め、特定失踪者についても、拉致を含めたあらゆる可能性を視野に入れて捜査を進める方針である。このうち、松本京子さんの事案は、昭和五十二年十月の発生当初に捜索願を受理し、同時に発生した傷害事件と併せて捜査を行い、平成十六年には御家族からの国外移送目的略取誘拐罪の告発状を受理し捜査を進めてきたところであるが、真相解明につながる手掛かりは得られなかった。平成十四年に北朝鮮日本拉致を認め謝罪したこと等を契機に、個々の事案について捜査方法の見直し等の検討を行い、その結果、昨年十一月の政府認定となった。矢倉富康さんの事案は、昭和六十三年八月に漁船で境港を出港後、海上で行方不明になり、当初は海上保安庁が捜索に当たったが、平成十四年以降、警察が捜査を開始した。古都瑞子さんの事案は、昭和五十二年十一月に米子市内で行方不明となった後、同年十二月には公開手配を行った。広田公一さんの事案は、昭和五十九年七月に大山登山に行くといって行方不明となり、遭難救助隊、警察等合同で大山一帯を捜索した。上田英司さんの事案は、昭和四十四年十一月に東京の下宿先から京都に行くといって行方不明になり、家族から警視庁に捜索依頼が出され、鳥取県警においても捜査を行った」旨の発言がなされました。  次いで、拉致被害者・特定失踪者の問題などについて、特定失踪者問題調査会の杉野正治常務理事、拉致被害者の松本京子さん、特定失踪者の古都瑞子さん、矢倉富康さん及び上田英司さんのそれぞれの御家族である松本孟さん、古都資朗さん、矢倉三夫さん及び上田淳則さん、北朝鮮拉致された日本人を救出する鳥取の会の今岡祐一会長より、それぞれの意見を伺った後、意見交換を行いました。  杉野常務理事からは、特定失踪者の調査、特定失踪者家族の支援情報発信・収集など同調査会の取組について説明が行われました。  松本孟さんからは、「安倍総理拉致被害者全員を救出すると言っておられるが、被害者の中には亡くなった方もおられると思うのでそういう方の遺骨を持ち帰れるようにしてほしい。また、これまでの人道支援で行われた米や穀物の支援が結局北朝鮮を助けている。今回の六者協議を受け、支援することになっているが、拉致問題が解決するまでは日本は絶対に援助してほしくない。日朝の作業部会が開かれることになったが、経緯を見守りたい」旨の発言がなされました。  古都資朗さんからは、「昨年十一月の松本京子さんの政府認定は大変よかった。小泉総理が五人の拉致被害者を帰国させてから五年経過したが、政府認定者はようやく十七名である。このようなスピードでは全員が認定されるのに何年掛かるか分からないと危惧している。認定のあるなしにかかわらず、全員救出をお願いしたい。経済支援のカードを効果的に使いながら、家族の夢をかなえてほしい」旨の発言がなされました。  矢倉三夫さんからは、「現在の国際情勢北朝鮮という国を考えれば、これまでの方法を変え、早急に解決するしかない。非核三原則や憲法九条といったきれい事を並べていても、北朝鮮は相手にしない。北朝鮮と対等な立場で交渉しなければ解決しない」旨の発言がなされました。  上田淳則さんからは、「弟が昭和四十四年十一月以来行方不明になっているが、当時は拉致のことは思いも寄らなかった。弟が北朝鮮で生きているのではないかと思っている。父は二年前に他界し、母は健在だが高齢で体が弱くなっている。できるだけ早い解決をお願いしたい」旨の発言がなされました。  今岡会長からは、「平成十二年六月の結成以来、啓発活動、署名活動、講演会、座談会等を行っている。昨年十一月の松本京子さんの政府認定後、県内の関心が高まった。他方で活動に対する妨害もある」旨の発言がなされました。  次いで、北朝鮮拉致問題早期解決促進鳥取県議会議員連盟の廣江弌会長及び長岡和好幹事長から議員連盟の活動について説明を聴取いたしました。  意見交換終了後は、松本京子さんの拉致容疑現場である米子市内の自宅近辺の状況を実地に調査いたしました。  以上が調査の概要であります。  今回の調査により、鳥取県における各事案状況拉致被害者とその御家族に対する支援の在り方等について認識を深めるとともに、拉致問題の一日も早い解決について思いを新たにした次第であります。  最後に、今般の調査に当たり、鳥取県、同警察本部、米子市を始め御対応いただいた関係者の皆様方に対し心から感謝を申し上げます。  以上でございます。
  146. 森ゆうこ

    委員長森ゆうこ君) 以上で視察委員報告は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会