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野村哲郎君 なぜこういう
質問をしたかといいますと、実は、もう御
承知のように、昭和四十九年から畜産危機というのがありました。十年程度この畜産危機、
飼料高、もう六万円、七万円台という期間が十年間続きました。そのころ、五十四年入省でありますから、ちょうどその時期にど真ん中で
本川部長は入省されているなと今思いましたけれ
ども、このときに、この畜産危機のときに私
ども鹿児島の畜産農家、ばたばたと倒れました。
調べてみますと、昭和四十九年から五十九年の十年間の間に畜産農家が百万戸消滅しているんです。百万戸ですよ。そして、その後の二十二年間で五十万戸減りまして、今は十二万戸の畜産農家です。当時百六十六万の農家が、六十三万になり、今は十二万になっておりますが、この十年間、危機の時期に百万戸なくなりました。
実はもう
松岡大臣のところも畜産の主産地でありますが、私のところの養鶏団地、この当時ちょうど五十年に四団地二百五十二戸おりました、二百五十二戸。現在それがどうなっているかといいますと、一団地、わずか十七戸であります。これまでつぶれました。もうこの当時つぶれたのはこの四十九年から五十九年の間の期間が一番多かったわけでありますが、やはり鶏あるいは中小家畜の豚、
配合飼料を一番食べるわけでありますので、そういう意味におきましては、こういう中小家畜の農家が真っ先にやられてきた、これはもう御
承知のとおりであります。
このような
状況の中で、私は何を言いたいかといいますと、今回のこのえさの高騰、これとそれこそ三十年前のえさの高騰の時期と少しやっぱり
状況が違うのではないかと、そういうふうに実は思うわけであります。
といいますのは、百六十八万戸の農家が六十八万戸に減った。このときはまたこれだけの
要因じゃなかったと思うんです。高度
経済成長の時期でありますから、転職していったり、あるいは離農していったり、いろんな形で農家が減ってきたわけでありますが、実は今残っている農家は、そういう危機を乗り越えて今現在まで残っている大変私は少数精鋭化された十二万戸の農家だと思うわけであります。この農家をつぶしたら私は日本の畜産はもう壊滅すると、そういうふうに思うわけです。ですから、この農家をどういうふうにして経営を持続させていくのか、そこが一番私は今回の今までと違うところじゃないのかというふうに思っています。
ですから、そういうことを考えていきますと、今回のこの
飼料の高騰というのはやはり本当に本腰を入れて検討していかないと大変なことになると。まだまだ農家が一杯いる時代は、そういう少数精鋭化する前はやはりいろんな合理化が進んできたわけでありますけど、もうこれ以上の合理化は私は進まないというふうに思います。ですから、この農家をどうこの経営を維持させていくのかということになっていきますと、
飼料対策として、やはり当面の緊急
対策と、それから、これから将来にわたっていく恒久的な
対策、いわゆるカンフル剤と漢方薬、両方が必要だろうと、こういうふうに思います。
そこで、お聞きしたいのは、当面の緊急
対策としての制度として
飼料の
価格安定基金制度があるわけでありますけれ
ども、この機能は畜産経営者の経営安定への寄与であります。この機能は、そういう農家の経営を安定させるための、えさが上がったときにそこを激変を緩和していくという、そういう機能を果たしているわけでありますけど、じゃ今のこのまま行ったときのこの基金はそういう機能を果たすかどうか、私は果たさないというふうに思います。
といいますのは、特に一月から三月まで、先ほど
本川部長の方からお答えいただきましたように、五千五百円値上がりしているわけでありますけれ
ども、実際の農家の負担というのは六百円でありますね。地元に帰って農家の皆さんの話を聞きますと、やっぱりずっと六百円の負担で終わりそうだという観念があるわけであります。というのは、今までもやっぱり乱高下しているときに基金の発動をして、そして緩和してきているわけでありますから、やっぱり今までどおりじゃないのかと農家の皆さん方は考えている。
しかし、最近になって、どうも違うらしいぞというのが分かってきております。といいますのは、四月から六月になりますと二千二百五十円の負担増に、農家の
トン当たり負担増になってまいります。もう既にこの四—六のえさというのは、既に
飼料メーカーは一月からもう手当てをいたしておりますから、四ドル以上のやっぱり
トウモロコシを買っております。そうしますと、当然値上げにまたなってくると、こういうことになります。七月—九月では三千百五十円、十月—十二月では五千七百五十円、そして来年の一月—三月は、もう基金の発動がありませんので、七千百円というのがストレートに農家負担になってくる。そのことを農家の皆さん方がなかなか
理解していない。あなた方はひょっとすると、今度の四—六のまた値上げがあるかもしらぬ、一万円ぐらいの負担増になるぞということを、脅しじゃありません、私は、そういうことに今のままであればなるぞというふうに申し上げているところであります。
ですから、このえさ基金の機能というのは、やはりこの乱高下があるときに平準化する、緩和するために機能はしてきました。しかし、今のような形で一本調子のとき、あるいは高止まりしたときには全く機能を果たさない、機能不全になるというのがこの基金の今の制度、仕組みであります。
そこで、
大臣にお伺いしたいと思うのは、やはり農家が一番今不安に思っているのは、四—六は六百円で分かったと、いや、一—三は。これから先どうなるのかということが非常に不安になっているわけです。ですから、今申し上げましたように、ずっと高止まりしたときにはそのまんまストレートに農家の負担につながるわけでありますから、この制度を私はいじれとかなんとか言うつもりはありません。ただ、この危機を、この危機をやっぱり
生産者、そして
団体、あるいはまた行政と一緒になって乗り切らなきゃならない。そのためには、機能を一時的に見直す必要があるのではないのかと、こういうふうに思うわけです。
制度自体を根幹から揺るがすような制度の見直しをせいと言うつもりはありません。ただ、この機能が今心不全に、機能不全になるというときに、何らかの見直しを検討する必要があるのではないかというふうに思うわけでありますが、副
大臣の御所見をいただきたいと思います。