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2007-04-27 第166回国会 参議院 日本国憲法に関する調査特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年四月二十七日(金曜日)    午後零時三十分開会     ─────────────    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      松岡  徹君     島田智哉子君      仁比 聡平君     吉川 春子君  四月二十七日     辞任         補欠選任      近藤 正道君     福島みずほ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         関谷 勝嗣君     理 事                 岡田 直樹君                 中川 雅治君                 舛添 要一君                 広田  一君                 前川 清成君                 簗瀬  進君                 荒木 清寛君     委 員                 岩城 光英君                 太田 豊秋君                 荻原 健司君                 木村  仁君                 佐藤 昭郎君                 櫻井  新君                 田中 直紀君                 中島 啓雄君                 中曽根弘文君                 野村 哲郎君                 山本 順三君                 大久保 勉君                 小林 正夫君                 芝  博一君                 島田智哉子君                 津田弥太郎君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 水岡 俊一君                 澤  雄二君                 山下 栄一君                 鰐淵 洋子君                 吉川 春子君                 福島みずほ君                 長谷川憲正君    事務局側        日本国憲法に関        する調査特別委        員会及び憲法調        査会事務局長   小林 秀行君    参考人        社団法人日本新        聞協会編集小委        員会委員長    石井  勤君        社団法人日本新        聞協会編集小委        員会委員長   石野 伸子君        社団法人日本新        聞協会編集小委        員会委員     大久保好男君        社団法人日本雑        誌協会編集倫理        委員会委員長   山  了吉君        社団法人日本雑        誌協会個人情報        ・人権問題特別        委員会委員長   鈴木  哲君        社団法人日本雑        誌協会専務理事  勝見 亮助君        社団法人日本民        間放送連盟報道        委員会委員・報        道小委員長    渡辺興二郎君        日本放送協会理        事        石村英二郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本国憲法改正手続に関する法律案衆議院  提出)     ─────────────
  2. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ただいまから日本国憲法に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、仁比聡平君、松岡徹君が委員辞任され、その補欠として吉川春子君、島田智哉子君が選任されました。  また、本日、近藤正道君が委員辞任され、その補欠として福島みずほ君が選任されました。     ─────────────
  3. 関谷勝嗣

  4. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 日本国憲法改正手続に関する法律案を議題といたします。  本日は、国民投票メディア規制等について参考人から意見を聴取し、質疑を行います。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  議事の進め方について申し上げます。  まず、石井参考人山参考人渡辺参考人石村参考人の順にお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人方々の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、石井参考人からお願いいたします。石井参考人
  6. 石井勤

    参考人石井勤君) 石井でございます。よろしくお願いいたします。  本日は、全国の新聞、通信、放送、百三十九社で構成しております日本新聞協会を代表して意見を述べさせていただきます。  憲法改正にかかわる国民投票制度を創設すべきか否か、あるいは憲法を改正すべきか否かなどにつきましては、報道各社それぞれの社論がございます。新聞協会見解として、これらについて統一的なものを取りまとめているということはございません。したがいまして、本日は国民投票制度メディア関係、専らその中でも報道言論の自由という観点から意見を述べさせていただきます。  日本国憲法は、二十一条で言論表現の自由を規定し、保障しております。いかなる状況下におきましても報道の自由は確保されなければならず、法律をもって報道論評の自由を制限することは憲法精神にも反することであるというふうな、これが新聞協会基本的な考え方でございます。しかも、国民投票制度対象といたしますのは憲法に関する論議でございます。憲法国民主権の根本にかかわる最高法規であり、憲法をどのように改正するのか、あるいは改正しないのかも含めまして、幅広く国民的な論議が求められるテーマであるというふうに考えております。そうした重要なテーマ国民的な議論といたすためには、自由で活発な意見表明報道論評がより以上に尊重され、保障されるべきであると新聞協会は考えております。これまでどおり自由な報道論評活動を保障することが、活発な憲法議論につながるものと確信しております。  論評の自由については強調して更に述べておきたいと思います。  現在の新聞取材報道内容に関して、法律による規定はございません。新聞の発行も自由であると。新聞各社は、報道機関であると同時に言論機関でございます。自らの主張、意見を表明し、紙面に掲載しております。何をどう取り上げ報道するか、どう論評し主張するかは、報道各社の自主的な判断で行われております。そうした自由で独立した新聞が多数存在することが前提となりまして、どの新聞を購読し、どう受け止めるのか、読者の判断、選択にゆだねられているというふうに考えております。  憲法に関する自由な論議を通しまして、国民は自ら憲法問題について考え、判断し、その自由意思の下で国民の合意が形成されていく必要があるというふうに考えております。そのためにも、報道機関には国民に幅広い情報判断材料を提供していく責務があるというふうに考えております。  公職選挙法に基づいた知事、市町村長あるいは議員の選挙報道憲法改正に関する国民投票にまつわる報道とを結び付けて論じることにも無理があるというふうに考えております。  公職選挙法は、候補者、政党を選択する選挙制度における公正さを確保するための法律でございます。一方、憲法改正に関する国民投票制度手続は、国の今後の在り方を選択するための制度であると言えると思います。その目的、性格も異なり、憲法改正に関する報道は、論評を含めて自由でなければならないというふうに考えております。  国民投票制度におきまして、報道論評にかかわる法規制は持ち込むべきではないと、これが先ほど来申し上げていることです。あくまで報道機関の自主的な対応にゆだねる必要があると。  新聞協会は、国民の知る権利にこたえるため、言論の自由の下、高い倫理意識を備えたメディア、あらゆる権力から独立したメディアが存在することの重要性を訴え、自らを厳しく律するために新聞倫理綱領を定めております。新聞協会加盟報道各社は、この新聞倫理綱領精神にのっとり、自主的、自律的に正確な報道、責任ある論評を展開しているというふうに自覚しております。  新聞各社は、自主的な判断あるいは規律の下、国民に幅広く情報を提供し、国民判断材料となる多様な情報を届けることを使命としております。自由な報道を通じまして、国民の間で活発な論議が展開される環境が欠かせないというふうに考えております。  新聞各社は、新聞倫理綱領精神にのっとるだけではなく、報道対象にした第三者機関各社で設けるなど、外部意見を真摯に受け止める体制を整えております。お手元参考資料がございます。各社の今の第三者機関状況です。ごらんいただければと思います。  そのようにして、外部意見を真摯に聴く構えを取りながら日ごろの取材報道を行っております。民主主義社会を構築し、守るために、日本社会は戦後、言論報道の自由を保障し、法律によるのではなくメディアの自律的な対応にゆだねてきたと、誇るべき歴史を築いてきたと言えるのではないでしょうか。私ども報道各社は、憲法改正にかかわる報道論評活動におきましても、報道言論の自由の下、正確で公正な報道、責任ある論評を展開する所存でございます。  以上、新聞協会としてはこのような意見を述べさせていただきます。
  7. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  次に、山参考人にお願いいたします。山参考人
  8. 山了吉

    参考人山了吉君) 社団法人日本雑誌協会編集倫理委員長をやっております山了吉と申します。  本日は、このような発言機会をいただきましてありがとうございました。大変重要な法案だと思いますので、私だけではなくて、個人情報人権問題委員長鈴木哲委員長、それから日本雑誌協会専務理事勝見亮助、三人で参りました。それぞれ専門とするところとか得意とするところがございますので、質疑応答のときには私だけではなくて答えていただこうと思っております。  私は、今回このような形で発言機会をいただくことに関して唐突でしたので昨日打合せをしたりいろいろしたんですけれども法案の細目についてまではいろんな形で論ずることはできませんでした。ただし、衆議院で昨年この三人のメンバーで意見表明をしたり質疑応答しておりますので、それに基づいてまた具体的にお答えしていければと思っています。  まず最初に、お手元にあります日本雑誌協会の小さなパンフレットございますけれども、これの三十一ページに、日本雑誌協会とはどういう機構とどういう目的かという沿革及び機構が書いてあります。その中に、雑誌出版を通じて文化の発展を期するため、出版倫理の向上を図り、その他雑誌共通利益を擁護することを目的としてということであります。共通利益を図るということは、共通利害に立って団体として活動していくということなんですけれども、この趣旨というのは、その次の三十四ページにもあるんですけれども雑誌倫理綱領にもあるんですけれども、先ほど新聞協会の方がおっしゃいましたように、現行憲法の二十一条に言論出版の自由は、これを保障するという、保障という言葉を強く書かれている二十一条ございます。これ、例えば自由民主党の今度の新憲法草案を読みましても、はっきり出版というのは明記されております。  ところが、後から申しますけれども出版に対して、雑誌に対するいろんな考え方もあるんでしょうけれども、この間法律では何度も出版とか雑誌を入れてくれということを言いますと、大体はね付けられてきた経緯がございます。特に、個人情報保護法とか人権擁護法案あるいは青少年有害社会環境対策基本法とか、この辺はメディア規制三法と言われておりまして、我々の中ではこれに対して反対をずっとしてきておりますけれども、その論拠となることがこのいわゆる憲法二十一条なんですね。  雑誌というのは、ごらんになったらお分かりのように、例えば「正論」という雑誌日本国憲法の正体、「世界」はこういうようにあります。「サピオ」という雑誌なんかもあります。雑誌というのは、要するにいかなる意見言論も、それは自由に交わしていいと。むしろ憲法改正賛成とか反対とかということを論議する場をなくすことが問題なんだということに立っております。  これは皆さん、十分お分かりだと思うんですけれども前回衆議院のときに、法案の中に、報道機関は虚偽の事実を報道、又は事実を歪曲して記載するなど、表現の自由を濫用し、国民投票の公正を害することないようにということで、報道基準の策定、報道に関する学識経験者構成員とする機関の設置など、自主的な取組に努めるものとするという文言が入っていたんですね。それに対して、私どもだけではなくて、新聞協会民放連あるいはNHK含めて、一体虚報、うその報道とは何を指すのかとか、あるいは事実を歪曲するとはどういうことかと、あるいは公正を害するとはどういうことなんだということで、大変疑義を呈しました。その結果、今回の国民投票法案にはその条項は落ちております。  私どもも、憲法改正手続法が、いつ作るか、今なぜこういう形でできるのかということに対しては、それぞれの立場上いろんな議論がありました。しかし、手続法はやっぱり手続法として作らざるを得ないだろうと。しかし、その中にメディア規制条項があるということはどういうことなんだということです。雑誌なんかは、特にメディアとしてはぶれが大きいわけですね。極端に言えば、右から左まで自由な論調、識者の見解を載せるわけですね。  そういう意味では、是非こういう形で規制を加えるような条項は外してくれということで前回衆議院では私申し上げました。そのとおり受け入れられて、そんなに深くは読んでおりませんけれども、新しい手続法案にはそこのところは外されております。  雑誌協会全体の規定で、今回の国民投票法案の年齢の問題とか、あるいは投票率の問題とか、あるいは公務員とか教員の政治参加の問題とか、あるいは今度の国民投票法案憲法に限るのか、それとも生命倫理とか統治機構なんかに及ぼすのかという議論がありますけれども、それぞれのことに関して統一的な見解は持っていませんし、これはもう雑誌協会としては持ちません、はっきり言って。といいますのは、もうそれぞれの出版社のそれぞれの雑誌編集長編集方針によって決まるものですから、それにゆだねております。  それがゆだねられないという一点が先ほど申し上げました憲法二十一条なんですね。そこには出版という文字が入っております。それで、これに抵触するときには、先ほど言いましたように、個人情報保護法反対のキャンペーンを張って、意見広告も出したりいろいろやっております。それで、最近では探偵業法、あるいは犯罪基本計画案ですかね、昨年、一昨年ですか、これにも声明文を出しております。  ですから、前提となることが、やはり社会的にこの憲法二十一条に抵触するんではないかというときには利害を一致させて、正にこの会の目的に沿った形での反対表明活動を続けております。  今回提出されております手続法案に関しましては、それぞれ各社いろんな意見があったりいろんな問題がありますけれども、私どもはそれに対する制約とかは全く加えておりません。もし、今日ここに参るまでに時間はなかったんですけれども、時間があったとしてもその辺については意思一致して統一見解を出すことはないと思います。  最後に、立法府にこうやってお招きいただいたのでちょっと述べさせていただきますけれども言論機関にとって、特に出版社にとって忘れられないのは、戦時中、戦争中に起こった横浜事件というのがございます。これは治安維持法違反で、当時の改造とか日本評論社とか中央公論の社員が捕まりまして、横浜で拷問の上、四人が亡くなり、一人がその後亡くなって、結局それは、治安維持法違反という法律だったんですけど、これが戦後なくなりましたので、いわゆる名誉回復のための訴訟を起こした。そのことに関しましては、免訴といって、もう法律がないからこれはもう外すということ。その後、控訴しましてもそれは退けられました。  私どもは、出版人といたしましては非常に肝に銘じておかねばいけない事件でしたので、いまだにまだ最高裁の方で闘っておりますけれども、やはり一度法律ができて、その運用次第ではやはり言論機関というのは、当時の政権の目的に合わない場合にはこういう目に遭うんだということをやはり私どもは学んでおりますし、これをやはり繰り返してはいけないという立場は今後も貫いていきたいと思っております。  これは別に国民投票法案とは関係ないかもしれませんけれども言論の自由とか表現の自由というのが民主主義を支える基盤にあるということをくれぐれもやっぱり認識した上で、私どもも人権尊重しつつやっていきたいと思っております。  以上です。
  9. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  次に、渡辺参考人にお願いいたします。渡辺参考人
  10. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 本日は、発言機会を与えていただき、誠にありがとうございます。  私は、日本民間放送連盟報道小委員長を務めておりますテレビ朝日の渡辺と申します。よろしくお願いいたします。  我々民放連では、昨年の四月以降なんですが、何度かにわたりまして衆議院憲法調査特別委員会出席させていただきました。その中で、国民投票法案メディアとの関連につきまして意見を申し述べてきた経緯がございます。本日も、その憲法改正手続を定める国民投票法案の今回の修正法案について、放送メディア立場から意見を申し上げたいと存じます。  民放連が昨年の四月に意見を申し述べたときは、報道に対する規制法案に盛り込むべきか否かというところが我々にとって大きな論点となっておりまして、そのことに対しては反対という立場で申し上げました。その折も何回か申し上げたことなんですけれども憲法改正のための国民投票が行われる場合には、国民が何の束縛も受けずに自由に議論して、できるだけすべての人がその内容を十分理解して投票することが不可欠であろうと考えております。テレビや新聞雑誌憲法を変えるということについて連日のように報道が行われて、それこそあらゆる家庭や職場で多くの議論が闘わせる中で国民がその判断を下すときに初めて真の国民主権が実現するということになると考えております。  こうしたことから見ますと、報道規制はあるべきではないということは言うまでもありません。その意味でも、いま一度我々は報道機関としまして、憲法改正という国の骨格を定める重要な問題につきまして、国民一人一人が熟慮して討議するために必要かつ十分な情報論評を伝えることが不可欠であるという立場に立ちまして、憲法改正手続を考える際には、何よりも国民主権の原点に立ちまして自由な討議を通じて浮かび上がってきます国民の良識を信頼することが基本であろうと、そうした状況下において報道機関に対する一切の規制は不要だというのが我々の基本的な立場であるということをこの場で改めて申し上げたいと思います。  そうしたことを踏まえますと、昨年来、国会の場で皆様方の真摯な御議論を経て、このたび衆議院で可決されました国民投票法案併合修正案には、我々放送メディアとしては看過できない点が散見されますので、以下、具体的に意見を述べさせていただきたいと存じます。  まず最初に、今回の案文で新たに加わった第百四条についてでございます。  ここでは一般放送事業者等、これは民間放送のことを言いますが、一般放送事業者等に対して、「国民投票に関する放送については、放送法第三条の二第一項の規定趣旨に留意するものとする。」という条項が新たに加わっております。この条項につきましては、これまでの国会審議の中でも、また昨年十二月に与党、野党の双方から示されました修正方針の中でも集中的な議論や具体的な論議があったものではないというふうに記憶しております。我々にとりましては余りに唐突であり、違和感を否めないというのが正直なところでございます。  昨年の国会審議の中で既に何度も申し上げましたけれども放送事業者放送法に基づいて既に自律的な取組を行っており、新たな規定を設ける必要は全くなく、たとえそれと同じことが国民投票法案に盛り込まれるとしても、それは看過できないということを申し上げたいと思う次第でございます。  改めて申し上げるまでもございませんけれども、この放送法の三条二の一の規定というのは、一般的には番組編集準則と呼ばれているものでございます。四項目ございます。公安及び善良な風俗を害しない、公序良俗ですね、それから政治的に公平である、報道は事実を曲げない、それから最後に、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにせよ、これは多角的論点の提示でございます。これに基づいて、我々放送事業者は、放送法三条の三に規定されます番組基準をそれぞれが自主的に定めて公表しまして、常に番組適正化を図ることによって、自律することが保障され、かつ求められているというふうに受け止めております。  国民憲法改正の是非を自由に議論する雰囲気をつくり上げるためにも、一方に偏らない放送を心掛けていくということは、放送法規定をまたずとも、我々放送事業者には当然のことでございます。したがいまして、あえて国民投票法案の中に、たとえそれと同じ趣旨条項が盛り込まれることについても、それは不要であろうというふうに考えております。  これにつきまして、発議者の一人である衆議院船田先生ですが、今月十七日の特別委員会におきまして、新たに規制をするということではない、現行法にのっとった上でそれを遵守してほしいという正に留意事項である、新たな法規制を設けたものではないとおっしゃっております。であるならば、設ける必要は逆にないのではないか。私どもは、既に放送法によって、国民投票に関する放送だけではございません、あらゆる事象について留意しておりまして、国民投票に関する放送についてあえてこのような規定を設ける必要はないということを繰り返し申し上げておきたいと思います。  また、法案にございます趣旨に留意するという文言につきましても、どのような意味なのかと。例えば、法案で想定されております国民投票広報協議会放送内容について何らかのチェックを行うようなことがあるのかないのか、また現行の放送法との関係等々、さらに、放送番組内容について公権力が介入して判断を下すことに問題はないかなど、様々な側面で危惧を抱かざるを得ないというのが正直なところでございます。  さらにもう一点付け加えますれば、この規定が一般放送事業者、つまり私ども民間放送事業者だけに限定されているということにつきましても違和感がございます。放送法第三条の趣旨は、御案内のように、民放、NHKを問わず、あらゆる放送事業者共通する考え方でございます。この条文によって民放だけにこの規定を留意せよというのは、やはり我々としては、番組編集の自由の観点から看過できない問題だというふうに考えております。NHKに対してと同様に、我々民放に対してもこのような規定を適用すべきではないと考えております。  我々放送メディアの使命と申しますのは、一つ一つの社会事象に対して多様な多角的な論点から考えるための材料を分かりやすく伝えるということにあると思います。一方、我々のメディアは、放送法によりまして自律することが保障され、自主的に番組基準を策定して、自浄努力をもって運用しております。NHKとともにBPOという第三者機関も設置しております。番組内容に関する日常的なチェックなどの業務も様々留意、配慮をしながら実際の放送に結実させているところでございます。もちろんこれは完璧とは言えず、これまでも様々なおしかり、御批判をいただくことは決して少なくございませんでした。しかし、そうした我々の努力に今後とも御理解をいただきたいとお願い申し上げる次第でございます。  したがいまして、憲法改正に関する放送報道活動全般につきましては、放送法によって既に完備されている放送事業者の自主自律による番組編集の自由と、これまでの放送の長い歴史の中で培われたノウハウにゆだねていただきたいということを改めて強く申し上げたいと思います。百四条を盛り込むことにつきましては、是非とも慎重な御審議を重ねていただきたいと思います。  もう一点、国民投票運動のための広告放送の制限に関する条項について意見を述べさせていただきます。  昨年の国会審議の段階では、国民投票運動のための広告放送を投票日前の七日間は禁止するとされておりました。これについては、昨年六月の衆議院での特別委員会、十一月での小委員会でも私ども民放連が申し上げましたとおり、投票日直前の期間における広告放送であっても法律によって禁止する規定国民投票法案に盛り込むことについてはやはり反対させていただきました。  その際の我々の主張のポイントなんですが、放送メディアの使命、役割を考えると、広告放送であっても報道と同様に法律規制されるべきではない、民放各社番組基準を定めて視聴者保護の観点から広告の品質管理を自主的に行っている、さらに、憲法改正の賛否に関する意見広告の場合に、出稿されるCM全体の中でバランスを図ることになりますけれども、公平公正の確保への配慮は放送の自律に任せるべきであるというものでありました。  しかしながら、今回の法案では、百五条で広告放送の禁止期間が二週間、十四日に拡大されております。我々は、時間の長短というよりも、このような規制が盛り込まれること自体、反対との立場は変わっておりません。  その理由は、投票直前は憲法改正に関する議論が最も活発になされるべきであって、主権者たる国民の関心も最も高まる時期であること、さらに、テレビやラジオが国民情報取得の大きな手段であることを考えたときに、これを利用した広報活動の一切を禁止するということは主権者たる国民の正しい判断の道を著しく損ねることになりかねないからであります。その意味で、この条項が削除の方向で検討されるのではなくて逆に期間が延ばされたということにつきましては、率直に申し上げて残念でなりません。  取りあえず、民放連からはこのように見解を表明させていただきます。
  11. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  次に、石村参考人にお願いいたします。石村参考人
  12. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 日本放送協会の石村です。報道担当の理事を務めております。  憲法改正に関する国民投票制度について、主としてメディアとのかかわりの観点から意見を述べさせていただきたいと思います。  このテーマに関しましてはこれまでに私自身衆議院特別委員会で二度ほど参考人として意見を述べていまして、重複する部分もあると思いますけれども、御了承願いたいと思います。  憲法九十六条に規定されている憲法改正手続のための法律がこれまで整備されておらず、法整備を議論すること自体は大変意義のあることと考えております。ただ、どのような内容で、どのようなタイミングで仕上げていくか、これはもう当然のことながら立法府である国会で十分議論して決めていただければと思っております。  まず、NHKの基本姿勢なんですが、NHKとしては、公共放送として、また報道機関として、自主自律の立場で公平公正に様々な情報を的確に分かりやすく放送しております。また、番組の編集に当たりましては、放送法に示された基本的な考え方やNHKの国内番組基準と新放送ガイドラインに基づいて質、量ともに多角的な放送に取り組んで国民視聴者の要望にこたえていると考えております。こうした基本的な姿勢を踏まえて幾つか考えを述べさせていただきたいと思います。  まず、国民投票運動とテレビの影響力についてですが、現代社会の中でマスメディアの影響力、とりわけテレビの影響力が大きいことは我々放送事業者としては十分に認識しております。とりわけNHKに対するこうした問題に対する期待が強いことも感じております。  それらのことを十分踏まえつつ、仮に憲法改正が発議されて国民投票運動が行われる場合には、事前の段階はもとより、運動期間中でも報道は原則として自由であるということをやっぱりきちんとするということが望ましいと考えております。  NHKを含めました放送事業者に関しては、放送法に様々な規定が設けられてあります。先ほど渡辺さんからもありましたけれど、放送法の三条二の一項では、国内放送放送番組の編集に当たって四つの基本的な準則を示しております。一つ、公安及び善良な風俗を害しないこと、二つ、政治的に公平であること、三つ、報道は事実を曲げないですること、四つ、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、以上四点です。NHKはこれまでもこれら四つの規定を遵守して取材、制作、放送に当たっております。今後とも堅持してまいる考えでございます。  また、放送法規定を受けて、国内番組基準を定めて公表しております。この中では、全国民の基盤に立つ公共放送機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論表現の自由を確保し、豊かで良い放送を行うことによって公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くすことを表明しております。その上で、政治上の諸問題は公正に扱うこと、意見が対立している公共の問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにして公平に取り扱うことなどを定めて日々放送に取り組んでおります。  それから、投票運動の百四条関連について、私の方からも一言申し上げたいと思います。  放送法の三条二の第一項の規定趣旨に留意するという条文が与党の修正案に盛り込まれております。参議院のこの特別委員会の議事録を読みますと、この規定を追加したことについて与党の発議者の答弁では、マスコミ規制国民投票活動を活発に行うためにはなるべくない方が望ましい。しかし、一部の報道において番組内容が捏造される事態も起きている。事実と違う内容を伝えたり意見が分かれているときに一方的なコメントをしたりすることは良くない。新たな規制ということでなく念のための措置として設けた。放送事業者があくまで自主的に対応してほしいという趣旨である。おおむねこのような発言をされております。  もちろん、事実の捏造などということがあってはならないことは言うまでもないことです。こうした問題が発生した際には、まず当該放送局自らが問題の全貌を早急に把握して公表し、併せて再発防止に向けた対策も発表することが第一だと考えております。自浄能力を発揮できないようであれば、視聴者の信頼を失うことは明らかだと思います。NHKは、こうしたことはないよう常に緊張感を持って日々の報道に当たっております。  国民投票法案の中に放送事業者だけを取り上げて報道に関する規定を置く必要性があるのかどうか。放送法規定で十分足りているのではないかと私は思っております。  次に、有料の広告放送規制についてです。  まず、テレビとラジオのメディアにおける意見広告、有料の広告放送をどの程度認めるかという点です。  我々は、報道機関として表現の自由、報道の自由を守るべきであると申し上げております。報道は原則自由であるとの立場からいえば、一般論として有料の広告放送も原則自由であると思います。ただ、NHKの場合は公共放送で、放送法四十六条で他人の営業に関する広告放送は禁止されています。この点、民間放送とは全く違う立場です。  その一方で、資金量によって放送される賛否の量が著しく偏るようなことがあれば、これまた好ましくない状態になろうと思います。こうした点も踏まえて、衆議院特別委員会で民主党が出された修正案では、憲法改正の発議の後の有料広告は全面禁止という規定になっていたと承知しております。  諸外国の例を見ますと、広告等を放送できる期間に一定の歯止めを掛けている例もあるようですが、賛否の放送量がなるべく同じくらいになるよう工夫することも含めて、民間事業者を交えた形で自主的な取組として更に検討すべき点があるんじゃないかと思っております。  それから、投票日の十四日前から広告放送を制限することについてですが、十四日前とした理由について、与党の説明では、期日前投票が始まる期日に合わせる形で規定したと述べられています。この制限規定は、一般の放送事業者、つまりNHK以外の民間放送に関する規定であると理解していますので、余り主体的に申し上げることはないかと思いますけれども。  ただ、常識的に考えて、これは取材するマスコミの記者の一人として考えてみますと、投票二週間前というのは投票日に向けて盛り上がってくる時期に当たると思います。その時期に一切の広告放送が禁止されることが本当に国民にとって適切なことなのかどうか。国民の知る権利にこたえることになれるのかどうか。あくまで報道機関として一般論として述べれば、原則に返って、報道は原則自由であるとの法案趣旨を踏まえて、放送事業者の自主的、自律的な判断対応を是非尊重していただけるよう審議の中で議論していただきたいと思います。  それから、政党と政党が指名する団体に無料放送を認めることについて一言申し上げます。  与党の修正案では、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、憲法改正案に対する賛成又は反対意見を無料で放送することができる、NHKや一般放送事業者は、政党等が録音、録画した意見をそのまま放送しなければならないとの趣旨規定されています。あわせて、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、当該放送の一部を、指名する団体に行わせることができると規定しております。  衆議院特別委員会では、国会に議席を有する政党だけが無料で放送を使うことが適当なのかどうか、更に議論していただきたいと私は述べました。その上で、政党以外に認めない場合の合理的な理由、政党以外に認める場合の判断基準について更に具体的な検討が必要であるとも述べました。  指名する団体が追加されたということは、賛否を含めた意見表明の幅が広がるという意味では一歩前進という側面があるかと思います。ただ、両議院の議長が協議して定めるところはどういう規定になるのかはっきりしていません。また、政党が指名する団体が、政党と同じような主張をするのであれば幅が広がるとは言えないというふうに感じております。  最後に、折しももう来月は憲法施行六十年目の節目に当たります。NHKは、国民的な議論判断の材料になるニュースや番組をなるべく丁寧に多角的に伝えて、幅広く情報を提供していきたいと考えております。  御清聴ありがとうございます。
  13. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、大変恐縮でございますが、各委員質疑時間は限られておりますので、簡潔に御発言いただきますようお願い申し上げます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 木村仁

    ○木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。  皆様には、大変超御多忙の中を御出席をいただきまして貴重な御示唆をいただきまして、心から御礼を申し上げます。    〔委員長退席、理事中川雅治君着席〕  まず、石村参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、再三言葉が出てまいりますように、NHKは公共放送として、国会に設けられます国民投票広報協議会、これが行います広報宣伝とある意味ではタイアップをしながら、国民に広く改正憲法案の十分な周知徹底を図るという役割も果たしていかれるのではなかろうかと思いますが、その面について、自主、自由な放送との関連もありますけれども、どのような態度で臨まれるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  15. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 木村委員おっしゃっているとおり、当然報道機関として、もし仮に憲法改正が発議されれば、それを周知するための様々な報道機関としての報道の仕方等もあると思います。あわせて、国民に周知していくという役割も、そうした報道機関としての本来の立場をきちんと伝える中でやっていきたいと。それ以外に、これからどうなるか分かりませんけど、公職選挙法みたいな政見放送のような形での、いろんな形での立法府のいろいろ御決定が出て、そっちの方の部分が出てくれば、そちらの方もしっかり法律で決まればNHKとしてその部分もきちんと伝えるという話になるんじゃないかなと思っております。
  16. 木村仁

    ○木村仁君 渡辺参考人に御質問いたしますけれども、一般の民放はもちろん独自の判断番組を組まれていくわけでありますけれども、やはりその公共性ということはあろうと思いますから、この広報協議会の活動と言わば呼応する形で、国民に改正原案の内容を十分知らせるという役割も積極的に果たしていただいたらいいなと。視聴率等の関係でNHKだけ皆見るわけでもありませんので、そういうことを期待いたしたいと思いますが、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
  17. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 木村先生にお答え申し上げます。  報道機関としての基本的なスタンスは、先ほどNHKの石村さんがおっしゃったこととベースは同じでございます。憲法改正という極めて重要な問題を、先ほど申し上げたんですが、議論をするときに、やはり報道機関、テレビの持つ役割は極めて大きいということは自覚しております。これも申し上げましたけれども、できるだけたくさんの意見を多角的な論点から提供して有権者、国民の皆様に御判断を仰ぐという、その役割を果たしているのが我々だというふうにも認識しておりますので、仮にそういう事態になったときにはそういった方向で報道活動をしていきたいというふうに考えております。
  18. 木村仁

    ○木村仁君 憲法改正が発議されるということになると、これは国民的な非常に大きな言わば歴史をつくっていく過程でございますから、公共放送、民放を問わず一つのやはり国民的義務というものを果たしていっていただきたいなという気持ちでございます。  それから、新聞関係につきまして一つお尋ねいたしますけれども、我々も主要な新聞が、この新聞憲法改正賛成である、この新聞はどうも反対らしいということを何となく承知をいたしております。そして、実際に発議になって報道されるということになると、やはり先ほど御説明がありましたように、そのそれぞれのメディアの主張される部分と、それから客観的に報道される部分と、それからいろんな分野で賛成、反対の論者に場所を提供される部分、そういうものがあろうかと思います。  むしろ、私どももかつて経験いたしましたけれども、ヒラリー・クリントンがニューヨークに出てきて上院議員に立候補したときに、ニューヨーク・タイムズは、この候補者はカーペットバッガーであるからこの候補者に投票してはならないということを明確に宣言して報道をしておられました。そうしますと、我々はそれを読んで、その新聞の主張する部分と、それから客観的な報道の部分ということを読み分けることが可能でございます。  憲法改正という、大きなイベントと言うといけませんが、歴史的な事態に対して、各新聞はそのような明瞭な立場をお取りになってはどうかと思いますが、日本の新聞の場合、そういうことが許されるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  19. 石井勤

    参考人石井勤君) お答えいたします。  新聞の場合には、報道機関としての役割、それから言論機関としての役割と両面あるというふうに考えております。報道の場合には、事実を偏りなく、ゆがみなく、ありのままに伝えるということを努力いたします。言論機関の役割としては、自らの社論というものが先ほど先生がおっしゃったようにございます。そのほかに、世の中の言論、これを多様に、多角的に伝えるその器としての役割というものがあるというふうに考えております。  ですから、報道機関としての報道、自らの社論の提示、それから世の中の幅広い言論の紹介というものを分かりやすく、交ぜることなく読者に提供すると、読者が誤解なくそれを受け止めるということを各社心掛けております。それが公平で公正な報道と、あるいは報道論評の自由の裏付けということになるというふうに考えておりますので、そこはこれからも、憲法改正というような議論になりました場合には、更により慎重にそこを踏まえていくということになるというふうに理解しております。  以上です。
  20. 木村仁

    ○木村仁君 私ども、一般的な印象として、社説はもうその新聞の主張であると、それから明瞭な、書いた人の、記者名が入った記事、これはある程度そういうものであろうと思う。ところが、そうでない本当の報道記事の中にかなり我々を惑わすような記事があることも事実でございまして、憲法改正議論においてはそこ辺りをもう少しはっきりと、これは報道である、これは主張である、これはその新聞という場所を人々に提供した言論の場であるというようなことが分かるようになればいいなという希望を申し上げる次第でございます。  山参考人に一つだけ、参考人のお仕事の背景に関連してお尋ねしたいと思いますが、十八歳以上の方が投票権を持つ、これらの方がいろんな報道に対して関心を持つことは、持たない人も大変多いかと思いますけれども、持つことは当然でありますけれども、その十八歳未満の、高校生で十八歳に達しない人とか、あるいは中学、小学校、こういう子供たちも、憲法改正という大きな歴史的事態において、それのいろんな形で関心を持ち認識を深めていくことは非常に日本の将来にとっては重要だと思いますが、数多くある雑誌の中でそういった年齢層に焦点を当てた雑誌があるとするならば、その方々があるいは自主性を失わない範囲で話し合ってそういう教育のキャンペーンを取られたらどうかなという気持ちがしておりますが、ちょっと御所見をお願いしたいと思います。
  21. 山了吉

    参考人山了吉君) 年齢の問題について今の御意見、確かに雑誌の種類によっては、例えば私どもの会社でやっている学年雑誌なんかについても、小学校五年生、六年生になりますとやっぱり社会的なかかわりをどうやって持つかということで、具体的な社会とのかかわりの記事あるいは考えるべき内容を提起していったりしておりますし、年齢というのが、まあ少年法の改正とつながるとは思うんですけれども、一般総合雑誌においても年齢については様々な意見がございますので、年齢については各誌それぞれの編集長判断というのが正直なところでありまして、なるべく今の世の中にとってこの年齢ということを余りこだわらないで、それぞれがやはり果たすその年齢年齢の役割といいますか、ある程度知っておかなきゃいけないこと、あるいは考えておかなきゃいけないことがあると思いますので、その辺のところは今の御意見参考にして、十分考えて編集長あるいは雑誌協会で取り上げていきたいと思っております。  ありがとうございました。
  22. 木村仁

    ○木村仁君 以上、各参考人のお話を聞いて、多分我々が立法過程においてやや心配するような事柄もそれほど心配することはなく、恐らく国民議論を大いに盛り上げる役割を言論界の皆様が果たしていただけるものと、そう思っておりますので、次に、若干私見を交えて専門家としての皆様の御感触をお尋ねしておきたいと思います。  広報協議会の構成でありますとかその活動の内容について、この委員会でも様々な議論がございます。我々が常識で考えるところは、この広報協議会というのは本当に中立公正の立場で、そして賛成意見反対意見を十分に国民に知らせるための活動をするものだと、そういうふうに考えるわけで、それが円満な物の考え方だろうと思います。  ただ、もう少し考えてみますと、三分の二という大変なバリアを越えて国民の代表である国会が意思決定をいたして発議をするわけでございます。この意思決定を行って国会の意思が決定したということは、それが国会としては貫徹していかなければいけないというのが本当は議論であろうと思うんですね。  例えば、首相を参議院と衆議院とが別々の人を指定した場合には両院協議会が行われる。そのときの参議院の代表は、参議院が指名した候補者に投票した人たちだけが参加するわけでありまして、衆議院は、衆議院が指名した候補者に投票した人だけがその委員になるわけでございまして、そういう形で院の意思というのが貫徹されていくわけです。  そうしますと、広報協議会というのは何よりもまず、国会が発議する憲法改正案の内容を十分に国民にお知らせをして、そして承認してもらうということが一つの使命ではないかなと思います。  憲法九十六条というのは大変あいまいな書き方をしておりまして、三分の二で議決をして発議し、国民に提案してその承認を得なければならないと書いてあるんです。発議して提案するということは、どうぞ御自由に議論をしていただいて、修正があればどんどん修正して決定してほしいという意味だと思いますが、承認を受けるというのは、自分たちが正しいと思うことを持ち出して、これを認めてほしいというのが承認であります。  したがって、法律の書き方としては、三分の二により議決し、国民の投票に付してその承認を得なければならないと書けば非常に分かりやすいんでありますけれども、そういう意味で、例えば広報協議会は多数派も少数派も同じ数だけ出さなければいけないとか、そういう議論があります。でも、私どもはそれには反対でありますが。  時間がありませんから、そういう面について石井参考人、ひとつ御感想をお尋ねいたします。
  23. 石井勤

    参考人石井勤君) 最初に申し上げました、制度の具体的な中身につきまして、新聞協会として統一した見解を持たないということが前提になります。  ただ、三分の二で発議する、国民の代表が決めるということになりますので、その広報協議会がどういう形になるかと、これはこの場で先生方に十分に審議をしていただいて決めていただくというのが正しいのではないかということだけは言えると思います。
  24. 木村仁

    ○木村仁君 時間がございませんので、以上で終わります。  ありがとうございました。
  25. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。本日は、お忙しいところ本当に急な御招致にもかかわらず御参加いただきまして、そしてまた貴重な御意見をありがとうございました。  メディア規制というか、メディアにかかわりまして今日論議が行われているわけでありますけれども、やはり憲法改正というふうなことが行われる際には、やはり国民がしっかりと、本当にその項目なりなんなり、意味をしっかり理解しなきゃいけない。ところが今、国民の生活の中では、余り憲法というものが日常の中にないわけでありまして、それを喚起さして、そしてそれを理解さして、そしてそれについて判断をするという、そういうふうなことにおいては、正にメディアの皆さんの仕事というのは本当に重要なことではないかなというふうに思うわけであります。  しかし、こうしたメディア規制がしかれているということの中には、一つの考え方としては、先ほど、例えばテレビ等においてはそれぞれの自浄努力等をしっかりやっていく中で事実を伝えるというふうな話がありましたけれども、ついこのタイミングを、まあ偶然かどうか分かりませんけれども、せんだって捏造の番組等々が出る中で、やはりこうした問題が本当に、それが本当に働いているのかという、そういう疑義の中にあるというふうにも思います。  しかし、その一方で、今与党というか、閣議決定をされている新しい放送法というのがありますけれども、この中身を見ると、正に憲法二十一条に抵触するのではないかという、そういう疑義のあるそういったものまでも含まれているという、そういうはざまの中でこの法案が今審議されているということで、正に私自身もこの部分については本当に慎重に議論をしていかなきゃいけないなというふうにもまず考えているところであります。  その中で一つまずお聞きしたいのは、有料広告の部分で、よく言われるのが、そうなるとやはり金を持っている人の方が有料広告をやることによって、その意見を強く国民に印象を与えることができるのではないかという、こうした声が多くあるわけでございますけれども、それにつきまして渡辺さんにお聞きをしたいなというふうに思います。よろしくお願いします。
  26. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 先生の御質問にお答えいたします。  先ほども一部出たと思うんですけれども憲法改正にかかわる有料の意見広告につきましては、衆議院特別委員会議論の中でもいろんな御議論が出たというふうに理解しております。資金力が多い少ないで広告出稿できる政党、団体に偏りが生じると、結果的に公正を、公平を担保することはできない、不公平になるだろうという意見もありました。それから、別の意見では、放送時間の短いいわゆるスポットのCMだと正確なメッセージがどこまで伝えられるのかと。つまり、これは非常に十五秒、三十秒と短いわけですけれども国民の感情に訴えることになって冷静な判断を失わせるんじゃないかといった御意見が相次いだのも存じております。全面的に禁止すべきであるという議論があったことも我々は承知しております。  確かに、こうした意見広告の、我々で言いますと、考査、審査というんですけれども、そういう業務を実際に運用していくには、我々放送業界としてもクリアしなければならない課題が多々あるのは事実でございます。  具体的に言いますと、一つは国民投票運動にかかわるCMの内容憲法改正案に賛成か反対かと、これを視聴者に問う形でございます。これまでに例を見ないストレートな内容になることが想定されるということです。こうしたCMが実のところ放送媒体になじむのかどうかということ、これは今申し上げました十五秒、三十秒という短い枠で国民にとって最も重要な問題のメッセージを本当に伝え切れるのかどうかということもあると思います。  次に、こうした意見広告のいわゆる広告主の範囲をどういうふうに考えるのかということもあります。政党だけなのか、市民団体とか有識者の先生たちも想定するのかという、そういうこともあります。さらには、意見広告放送時期をどのように線引きしていくか、憲法改正法案が発議される前のそれぞれの政党の日常的な政治活動としての意見広告はどうするのかと、そういったあらゆるケースを想定した検討が必要になってくると思います。  ただ、私が一言申し上げたいのは、今後想定される憲法改正のための意見広告を、これは当然ですけれども、我々としてはビジネスチャンスにしようなどという考えは毛頭ございません。むしろ報道活動、広告活動を含めた放送メディアすべての側面において、国民議論して判断するための正確な情報を多角的に提供するんだ、国民の信頼を獲得するんだという観点から、総合的に判断されるのが筋であろうと、そのように考えております。
  27. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 もう一つ渡辺参考人の方にお尋ねいたしますけれども、いわゆるその広告ということの中で、広告代理店又は広告主の意向によって出演者の選択が行われるというふうな形でそれによって報道内容の中立性の担保が損なわれるのではないかという、そういう疑問というか不安な部分を持っている部分がありますけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  28. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) お答えいたします。  これは一般論でお答えしますと、例えば現在でもやっているのは、ちょっと形は違うんですが、政党のスポットというのがございます。これは各政党から随分出稿していただいているという現実もございます。そのときに、特定のグループ、特定のところから何か圧力が掛かって云々ということは現実問題としてはございません。  それから、社内的にもCM審査というのがありまして、ここが社内のルールないしは民放連の準則に基づいた考査、CM考査活動をしておりますので、先生御指摘の御心配というのはないというふうに我々は判断しております。
  29. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 次に、過日、この委員会で地方公聴会を行いまして、名古屋の方の派遣報告を見ますと、雑誌等々の中で周知期間というのがありまして、発議されてからの周知期間が六十日から百八十日というふうになっておりますけれども、その期間ではそういった出版などを考慮すると非常に短いのだというようなお話があって、最低でも一年は必要だというような御意見も出されているところでありますけれども、その辺について山参考人にお尋ねをしたいと思います。
  30. 山了吉

    参考人山了吉君) この周知期間につきましても、本当、本来ならば私ども議論をしておかなければいけないとは思うんですけれども、個人的には少し意見はありますけれども、正直なところ、日本雑誌協会ではこの周知期間についての議論はしておりません。  恐らく、見解としては憲法改正に賛成か反対かということの、論者によっては、ある雑誌によってはこの周知期間をもっと長くすべきなんだという立場の方もいらっしゃるだろうし、これで十分だという立場雑誌もあると思います。だから、その辺については雑誌協会としての周知期間についての規定は決めておりませんし、これから決めることもないと思います。  以上です。
  31. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 どうしてもこのメディアといいますと、先ほどもお話がありましたように、テレビの影響というのは非常に大きいというふうに思います。  そのテレビ報道、この発議が行われてからのテレビ報道というものを考えたときに、一つは、その改正の中身について国民に知らせるためのいわゆるその憲法報道といいますかそうしたもの、それから、そこから大分、もういよいよ投票日というふうな形、いよいよ国民の審判を仰ぐというふうな日にちが近づいてくる中で、その投票の経過報道といった形の、あるいはそういう投票報道ですね、そういったものが考えられるわけですけれども。  そういったことについて、どこまでがどうのというふうななかなか区別付きにくい部分というのがあるんだろうと思いますけれども、この部分についても、先ほどお話がありましたように、二週間前というと、逆に国民の気持ちというかその意識がどんどんどんどん高まっていく時期ではあるなというふうに私も思います。その中でぴたっとそういったものが止まってしまうことによって、また、何か二週間すると、今、新しいものがどんどんどんどん来まして、憲法改正、そんなのあったっけというのはきっと二週間の中で出てくる可能性もあるのかなというふうにも思います。  そういう意味では、その辺を、憲法報道、投票報道というふうな考え方をするときに、石村参考人の方にちょっとその辺の見解をお聞きしたいと思います。
  32. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 憲法に限らず、普通の選挙とも同じ考えじゃないかなと思いますけれど、やはり、基本的には、投票運動期間中というのはやっぱり公正に幅広いいろんな形で報道を伝えていくと、それが原則じゃないかなと思います。  したがって、本当に今御質問の趣旨は非常に難しいんですが、どこまでを、じゃ、いろんな政策の違いとか意見の違いを示すいわゆる報道の期間で、じゃどの時点で行動へ向けての期間だという、それはなかなか、期間のどの辺で切るということじゃなくて、基本は、直前まで、投票を終わるところまでやっぱりきちんと報道を伝えていくということが基本になるんじゃないかなと思います。
  33. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 冒頭申し上げましたように、憲法というものが、この間、国民の生活の中には直接今かかわっているということが非常に少ないわけでございます。とりわけ、九条とかそういう問題になりますとかなりどっと意見が盛り上がってくるわけでありますけれども、そうでない部分になってくると、なかなか国民の中に、まあどっちでもいいんじゃないみたいな感じのことが非常に往々にしてなってくる。そういうところを、もちろん我々国会発議者としても、もうそういうふうな状況にはきちっと対応していかなきゃいけないというふうに思いますが、そういう意味では、メディアとのある意味連携といいますか、そうしたことが非常に求められているんだろうというふうに思います。  そのときに、冒頭申し上げましたように、メディアに対する様々な不信感、しかし、だからといってそれを、二十一条を侵すような状況になってはいけないというこの難しい状況というのが正に今この議論になっていくんじゃないかなというふうに思いますので、そういう意味では、先ほど、テレビ等々では自助努力、それはほかのメディアでも同じだと思いますけれども、そうしたことを期待していかなければいけないのかなというふうにも思っているところでありますが、石井参考人新聞というふうな立場の中でひとつ感想を聞かせていただければと思います。
  34. 石井勤

    参考人石井勤君) おっしゃるとおりに、新聞についても、まず自分たちを厳しく律すると、公平公正な報道をするために報道の自由があるということで、社会的責務を自覚するということは新聞各社として努力をしているというふうに承知しております。これはもうあくまでも、新聞協会としては倫理綱領を定めて、各社がそれに賛同し、共感するということにとどまります。あとは、各社として努力をするということで、憲法改正論議につきましても同じようなことになるというふうに考えております。  以上です。
  35. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今、総括的な質問をしてしまったんですが、もう少し時間がありますので、私見も交えてもう一つお聞きしたいんですが、この改定の条項に関して公平な広告を行うというふうに言われていますが、私もそのことはすごく大事なことだというふうに思うんですけれども、しかし、それをメディアとして国民に伝えるには本当に難しいなというふうに逆に思っているんですけれども、そうしたことというのが実際にその現場として担保し得るのか、可能なのかというふうなことを幾つかお話しいただければと思いますけれども渡辺参考人石村参考人、お二人にお聞きしたいと思います。
  36. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 先生の御質問にお答えしたいんですけれども、先生おっしゃるように、正直に申しまして、かなりこれ難しいです。  我々の基本的な主張としては、先ほども申し上げたように、一週間とか二週間とかいうことではなくて、基本的に自由といいますか、そういうことを主張したんですけれども、これ、先ほども幾つかの例を挙げたように、実際にこれを細目を詰めていくというときには相当な困難が予想されるというのは我々も理解しているつもりでございます。  例えば、この法案が仮に法律になって実施までの期間というのがあるわけですから、その間に相当程度、例えばこれ有料広告の場合には民放連ということになりますけれども、それが協議をしなくてはいけない、相当詰めた議論が必要になってくると思います。それは事実です。
  37. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 広告の点に関しては、私らはちょっと一義的、主体的に考える立場ではありませんので、今、渡辺さんがおっしゃった部分が参考にしていただければと思います。
  38. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 じゃ、これで終わりたいと思いますけれども、本当にありがとうございました。これからまたより良い国民投票法案になるためにも、我々も頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  どうもありがとうございました。
  39. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。よろしくどうぞお願い申し上げます。  最初に、先ほどからずっと議論をされておりますけれども、テレビのコマーシャル規制が二週間前にこの法律ではされています。渡辺参考人はもちろん反対であると、あらゆる規制はするべきではないということ、石村参考人も記者として、常識の範囲としてこういう規制はあるべきではないし、それからさらに、二週間前というのは、最も議論が盛り上がってくるときにこういう規制をするというのはいかがなものかという否定的な意見をいただきました。  そこで、雑誌新聞立場でどうお考えになるか、まさかテレビのCMがなくなった分をうちにコマーシャルが来てとはお思いにならないんで、ジャーナリストとしてどういうふうにこのテレビのコマーシャル規制を考えておられるか、お二人に御意見を聞きたいと思います。
  40. 石井勤

    参考人石井勤君) 申し訳ございません。これも新聞協会として意見を集約したということはございませんので、私見ということで述べさせていただきますが、基本的に、広告につきましても原則自由であるべきであるということは申し上げられると思います。  そこで何が起きてくるか。いろんなことが起きると思いますが、それは各社判断でどうするのか。国民投票をゆがめることがないというのは、どの社もその前提に立つことはできると思いますので、そのためにどうするかということは各社で考えていくということになろうかと思います。  以上です。
  41. 山了吉

    参考人山了吉君) 雑誌協会でも、この件につきまして議論したことはありません。  といいますのは、二週間前というふうに決められた理由というのが、様々な角度で読みますと、それぞれの立場で、財力をもって電波を支配するとかしないとか、あるいはそれに対して、今、渡辺参考人がおっしゃったような意味でいうと、最も盛り上がるときにこういう自由な議論をすべきではないのかと、それぞれの立場でやはり見解は違ってくると思うんですね。  私どもは、雑誌立場からいいますと、これについて、他メディアの問題について我々が何かそこに意見を言ったり統一的な見解を述べたりする立場には今はないというふうに判断しておりますので、これに対しては何も決めておらないというのが現実でございます。
  42. 澤雄二

    ○澤雄二君 テレビのCMを規制するという理由の中に、一番大きな理由は、当委員会でも答弁の中にありましたけれども、扇情的であると、テレビのCMはと。影響力が大きいという、まあ善意に解釈すればそういうことでありますけれども。そうすると、裏返せば、雑誌新聞は影響力が余りないということの裏返しでありますけれども、この規制意味は。お二人はどうお考えですか。
  43. 山了吉

    参考人山了吉君) 現実の社会の中でのコマーシャルの影響力からいいますと、常識的に考えて、テレビが一番大きいんじゃないでしょうか。  今、インターネットならインターネットの動きがラジオを上回ったと、広告総量でですね。やがて雑誌も上回るんではないかというこの時代の変化の中で、テレビの持つ影響力というのは我々雑誌の持つ影響力よりはるかに大きいという判断は正しいと思いますし、そのとおりだと思います。
  44. 石井勤

    参考人石井勤君) 新聞について申し上げますと、一般の記事の紙面とそれから広告紙面と、これは割合を一定に保つと、大体が半々ぐらいになるんですが、総量の規制がございます。同じように、テレビのCMについて考えましても限界がある、量的な規制というか枠組みというのはおのずからあるのではないかというふうに考えます。扇情的であるという御指摘については、多分そうだと思いますが、ただ、全体として番組の中でどれぐらいの量になるのかということはまた別の観点から、一応枠があるというふうに考えるのが自然ではないかと、これは私の考えでございますが。  以上です。
  45. 澤雄二

    ○澤雄二君 テレビのCMにも総量枠の規制がもちろんございます。  もうこれは御答弁は要りませんけれども、考えていただきたいのは、確かに、山参考人がおっしゃったように、影響力ということからいうとテレビの方が高いだろうと、それはどなたもそうお思いになる。ただ、影響力が多いものは規制して影響力の少ないものは規制されないということをもっと根源的に、ジャーナリストとしてお二人に考えていただきたいなと。その辺の御答弁を実はいただきたかったけれども、今なかったのはちょっと残念でございますけれども。  次の質問に移りますが、例えば、広告で電車ジャックというのがありますね。幾つかの編成をすべて一つの広告で独占をしてしまうというようなことがあります。先ほどから議論の一つになっているのは、資金量の多寡が要するに意見広告の多寡にそのまま結び付いていって社会に影響力を持ってしまう、これをどう考えればいいかということでありますけれども。  NHKさんを除いてお三方にお聞きをしたいと思いますが、あるところが若しくは一方的な意見が大量に出稿してきたときに、それぞれどのように判断をされますか、この扱いについて。
  46. 石井勤

    参考人石井勤君) これは、基本的に表現の中身については広告審査基準というものが社内的には設けてございます。これは各社同じだと思います。ですから、内容が適切である、公正である、ゆがみがないという場合には載せるということが第一義だと思います。  それがどのような量で行われるのか、あるいは連日行われるのか、そこは場合によりますけれども、広告担当部門で検討しておりますが、例えば先ほどの電車ジャックのようなもの、これが広告としてどれぐらいの訴求力を持つのか、実効性を持つのかということについては、それほどではないのではないかという考え方もあります。あるいは、ある新聞がすべて同じ広告で埋まったというときに、読者が受ける印象としてそれがどうであるかと。つまり、国民の受け止める側が、そのように強いられる状況、ある意見に誘導される状況を快く思うかということも考えるべきではないかというふうに考えております。  ですから、具体的なものが出てこないとどうするかというふうに言いにくいとは思いますけれども、我々は基本的に、どのような状況があるか分からない段階で何らかのルールを設ける、報道規制する、広告を規制するということには一義的に反対をしております。国民の健全な判断力、批判力というものをその一方で信頼していると。ですから、その上で何かが起きたときには具体的に対応するということになろうかと思います。  以上です。
  47. 山了吉

    参考人山了吉君) 雑誌も、雑誌広告倫理規定というのがございまして、さきの総量規制と同じように、要するに一般誌でも広告は何%でなければいけないみたいな上限は設けられています。どんなに広告がたくさん入っている雑誌でも記事より多いことはございませんしね。それがもし例えばある政党の広告だけで成り立ったとしますと、読者が判断した場合、この雑誌は何だということになったら、結局は、お金を出して買ってもらわなければどうにもならない雑誌の場合、そういういわゆる倫理的な問題、常識的に、社会常識に照らしてでも、そんなことをしたら業界からもやっぱりはねられますし、その雑誌の信用性を損なうということになると思うんですね。  ですから、先ほどちょっと御質問の中でおっしゃった影響力の少なさか多さかというふうなこととか、あるいは雑誌なら雑誌が今どのような形で広告に対して臨んでいるかということで、もし雑誌の広告も規制することになったら、私どもも、編集は編集であるんですけれども雑誌広告協会、雑広協というのがございまして、そこがはっきり言って声明を出すと思いますし、そのことに関しては、私が編集の立場で今来ておりますんで、雑誌協会とちょっと違う組織がございますんで、ちょっとそこのところまで立ち入って言うわけにはいきませんでしたので、ちょっと御遠慮した次第です。
  48. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 澤先生御案内のように、テレビの場合に、一般のCMでいいますと各局にCM考査のセクションがあるということで、それは民放連のルールなどをベースにしながら各局が独自に判断するものでございます。その判断する内容というのは基本的にはCMの内容についてでございまして、量的な問題について判断するということは今までの例では基本的にございません。  ですから、それをベースにして憲法改正という、国民投票ということになりますと、ベースは、これは私の個人的な意見ですが、ベースは基本的には変わらないというふうに考えております。それは各局、各社のそれぞれの独自の判断であろうと。ただ、一部の極論があるんですけれども、ある特別のグループだけがとか、特別の政党だけがどおんと来た場合にどうなるのかと。これは恐らく極めて常識的な判断対応せざるを得ないんじゃないかなという気がいたします。
  49. 澤雄二

    ○澤雄二君 一つの政党、一つの団体だけではなくて、憲法改正の賛成、反対立場、どちらの立場か分かりませんけれども、どちらかの立場が非常に大量、例えば九割以上の出稿が来るとかと、そういうことも考えられると思います。こういうことは、今までメディアにとっても全く経験したことない事柄が起きてくる可能性がある。  そういう意味では、今までの概念にとらわれないで、そういうふうに大量に発注が来た場合にどうするかということを、今からルールを決める必要は全くありませんが、そのときに、渡辺参考人が今常識と言われましたが、多分ジャーナリストというのはすべて常識で、その常識のレベルがどこかということが一番大事でありますが、で判断をされると思いますが、そういうことを少し今から検討していただければなというふうに思います。  それから、これはNHKと渡辺参考人にお伺いいたしますけれども、テレビの番組、特にワイドショー、バラエティー等で、それから朝のニュース番組もそうだと思いますけれども、ゲスト出演をしている方たちの発言というのは大変影響力を持っていると。その人たちの発言によって憲法改正の行方が左右されてしまうということは問題ありだという意見の方もかなりいらっしゃいます、当委員会においても。そういう方たちの話を聞いていると、それは自粛をすべきだろうという意見の方もいらっしゃいます。  そういう自粛をするということがあり得るのかどうかということについて、渡辺参考人石村参考人に伺います。
  50. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) お答えいたします。  これも、澤先生御案内のように、少し分けますと、例えば番組のキャスターといいますか、メーンキャスターがいる、それからゲストがいると、複数ですが、これはちょっと分けて考えた方がいいというふうに思っております。  例えば、ある番組でメーンのキャスターがいて、私は憲法改正案に賛成である、ないしは私は反対であるというふうに明言、明示するというのは余りにも影響力が大き過ぎるのではないかなと。私個人的な考えですけれども、テレビのニュース番組情報番組でそのようなことを許容させるというのは、私の想定の中には現在ございません。これは民放連全体で決めるとかそういうことではないと思います。各局の番組判断だと思いますが、私は基本的にそのように考えております。  ただ、そういう生の情報番組の中で、複数のゲストの方が来ていろいろな意見を表明するというのは、私は、もちろん程度にもよりますけれども、許容範囲の中であろうというふうに考えています。その根拠は何かといいますと、多角的論点の提示であります。私は憲法これは改正賛成だ、いや、私は反対だ、その理由はこうであるということを言うことは許容されるのであろうと。そこまで規制するということは、先ほど申しました自由濶達な議論というのが保障できないではないかと。ただ問題は、そのときにメーンのキャスターがまとめて、トータルこうでしたよねというようなところまでは、それは許容はできないであろうというふうに私個人的にはそう思っております。
  51. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) もう基本的には自粛ということはあり得ないと思いますね。様々なやっぱり多角的な論点から自由な論議をしていただいて、国民に様々な考えをやっぱり知っていただくということに力点を置いて当然放送していくべき事柄じゃないかと考えています。
  52. 澤雄二

    ○澤雄二君 先ほど番組準則の話がありましたが、多角的意見はいいと思いますが、ただ、その方がどういう意見を持っているかというのは事前に分かると思いますので、そこのところは公平さを保っていただきたい、ゲスト出演のときに、ということはちょっと要望しておきたいと思います。  簡単にお答えください。先ほど、新聞報道機関であり、それから言論機関である、主張することもあるとおっしゃいました。このバランスの問題ですよね、取った方がいいのか、それが新聞の役目なのか、どちらかに比重を置くのが新聞なのかということ。  それから、これはちょっと個別にかかわりますけれども、読売新聞は御自分で憲法改正案を提示されています。ここのところのその新聞報道内容ですね、どういうふうに考えたらいいのかということについて。
  53. 石井勤

    参考人石井勤君) まず私からお答えします。  社会の言論状況をそのまま、できるだけそのまま反映させるというのが新聞の使命であるというふうに考えます。ですから、多様性をどこまできちんと担保できるか、あるいは、もし仮に賛成、反対という意見であるならば、どれだけバランスを取って紹介できるかということに心を砕くということは言えると思います。  ちょっと、その次は……。
  54. 中川雅治

    ○理事(中川雅治君) 大久保参考人。  簡潔にお願いいたします。
  55. 大久保好男

    参考人大久保好男君) 今日は、私、読売新聞の編集局次長ですが、今日は新聞協会の編集委員のメンバーの一人として来ていますので、我が社の立場を言うことはないかなと思います。ただ、新聞倫理綱領にあるとおり、言論機関として報道の部門は正確に公正にということですが、言論機関として自分たちの主張をするということは社説等を通じてやっておりまして、それぞれの社がそれぞれの力点を置いてやっていることだろうと思いまして、それを一律に、新聞協会とかそういったところでどちらをどういうふうに重視すべきだということを論じることは協会としてもない。メディアの独立性という点からすれば、それはそれぞれの社がそれぞれの判断でやっていただければいいことだろうというふうに思っております。  私の社のことについては、今日は控えさせていただきます。  以上です。
  56. 澤雄二

    ○澤雄二君 終わります。
  57. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  四人の参考人の皆さん、四人以上いらっしゃいますが、本当に今日はありがとうございます。  まず、私、衆議院の議事録を読んでおりましたら、こういう意見が載っていました。四人の参考人の皆さんにそれぞれお伺いします。  例えばテレビ、ラジオといった放送であれば賛成意見反対意見も極力同じ時間が使える、新聞であれば反対意見も賛成意見も極力同じ回数、同じ字数が使えるといった工夫が必要だと。広報協議会に届け出たものとされており、学識経験者や各層各界の幅広い国民、市民が利用できるものとなっていないと。これでは国会における審議がそのまま反映されることになってしまうと。広く国民意見、広告意見を平等、公平に利用できるようにするためのルールづくりが必要ではないかと。政党以外の市民団体も無料のテレビを使えるように工夫することがなされるべきという、こういう御意見について、それぞれどのようにお考えなのか、伺います。
  58. 石井勤

    参考人石井勤君) 社会の多様な言論をそのまま、できるだけそのまま紙面に載せるというのが前提となると思いますので、多分、無料の広告を市民団体が出すというよりは、意見として掲載するということの方が速いかと私は思います。広告については、それは基本的にクライアントがいて、内容が正しければ載せるということになると思いますので、そこをどう工夫するかというのは、ちょっと現状では申し上げられにくいというふうに思います。  以上です。
  59. 吉川春子

    吉川春子君 同じ枠でなくてもいいという御意見ですね、新聞の場合は。どうですか。
  60. 石井勤

    参考人石井勤君) 新聞の場合には、広告として掲載するものと、それから一般の紙面、記事の紙面として掲載するものとありますので、多様な意見ということでいえば、市民団体の意見などは当然、一般紙面の記事の方で掲載していくという努力はなされると思います。
  61. 山了吉

    参考人山了吉君) 雑誌は、元々公平、公正という判断で同じようなものを同じ分量で載せることは、そういう雑誌もあるでしょうけれども、先ほど私、提示しましたように、この「正論」というのなんかは、日本国憲法の正体と、丸ごと一冊、日本国憲法改正賛成雑誌です。同じように、「週刊金曜日」などを見ますと、まるで逆です。  公平であるとか公正であるとか、あるいはどちらかを公正に載せなきゃいけないということは雑誌には全く考えておりません。編集長が自在に判断しますし、NPO法人が雑誌を出したり自由に活動しているミニコミ誌もたくさんございます。  雑誌に限っていえば、出版雑誌に限っていうならば、そういうことに関する配慮は、余り私どもとして、こうしろああしろという雑誌協会が関与することではないと判断しております。
  62. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 先生の御質問にお答えいたします。  幾つかの論点があると思います。例えば、テレビの場合には、先ほどから繰り返し申し述べております放送法の問題があります。公平、公正、政治的にという、そういう意味なんですけれども。それともう一つは、やはり多角的意見をできるだけたくさん放送しましょうということもやはりこれは放送法規定でございます。そういった中でこの憲法改正国民投票法というのを考えていきますと、政党、そしていろいろな市民団体の意見を何らかの形で放送表現するというのは、やはり大事なことであろうというふうに基本的には考えております。  ただ、その場合に、国会の中に設けられる予定の国民投票広報協議会の協議に係る部分と、それから我々が、放送局がそれぞれ独自で例えばCMスポットという形で受けるというのは、それぞれ形がちょっと違うと思いますけれども基本のベースとしてはできるだけ多様な意見表現すべきであろうというふうに考えております。
  63. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) ニュースとか様々な番組の中で、そうした団体の意見も多角的に放送の中に反映させていきたいと思っています。
  64. 吉川春子

    吉川春子君 渡辺参考人衆議院の方で、放送の公共性、中立性を保てる広告を出していけるよう、自主的にきちんとルール作りをしていかなければならない、一般の人たちが、つまりお金を持たない人たちが意見を言いたいというのは多くあると、そういう人たちの意見放送は乗せるべきで、その枠をきちんと取っていくと、こういうふうにもおっしゃっていますね。それで、何らかの規制、法的規制が掛けられることは反対だと先ほどもおっしゃっていますけれども放送局側の自主自律の理念、精神に任せていただきたいと、こういうふうにもおっしゃっておりますが、何らかの検討ですね、そういうルール作りといいますか、それがなされたのかどうか、あるいは今後なされる予定があるのかどうか、聞きたいと思います。私も非常にそのテレビCM、有料CMというのは影響力が大きいと思いますので、この辺が本当にきちっとされている必要があるかなと思いますので、お答えいただきたいと思います。
  65. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 吉川先生にお答えいたします。二つに分けてお答えしたいと思います。  様々な市民団体の意見も含めてどういうふうに表現するかということについていえば、先ほど来申し上げています、いわゆる選挙でいう政見放送みたいなやつと、それからCMスポット的なやつと、それから我々が日常的にやっておりますニュースや情報番組の中で報道として伝えると、そういう意見を吸い上げていくという、そういうふうに分けられると思います。これは、先ほども申し上げましたように、鋭意それは取材報道も含めてやっていくんだと思います。  それからもう一つは、ルール作りなんですけれども、これは先ほども申し上げましたように、基本的には各局の対応に、これはCMということですが、ゆだねられるというのがベースであります。こういった動きが具体化してきますと、恐らく各局はそれぞれ内部で話をしながら、同時に、例えば民放連のような組織も何らかのそのまとめる作業というのを恐らくしていくのではないかなと私は個人的には思っています。  それはどういうことかといいますと、民放連ががちがちのルールを決めて、それで守らせるということではなくて、これ様々ないろんな問題が出てくると思いますんで、それの大まかなガイドラインといいますか、基本的な物の考え方、それをまとめて集約するというような作業は出てくるのではないかなと私は個人的には考えております。
  66. 吉川春子

    吉川春子君 その財力の大変ある団体、個人と、それからその財力のない団体、個人、こういうところがテレビCMを当然使えるかどうかという境目になりますね。そういう問題について、財力がたくさんあるところがテレビCMがたくさん使えるというような、そういう形になることについてどうお考えですか。
  67. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 先ほど来申し上げています、こういう極めて国の骨格を決める大事な問題ですから、原則的にはやはりいかに平等性を担保するかというのが大事な問題であるということは分かります。それが一番のポイントだとは思います。  ただ、これ、CMの問題に恐らく財力というのは限っておっしゃっていると思うんですけれども、この点については先ほども申し上げましたように、例えば今公職選挙で政党CMなんていうのと同じように、一応内容的に社内のルールがクリアされればそれはそれで受け入れているという現実はあります。そういった今までの流れと国の骨格を決める憲法の今回の問題というのをどのくらいリンクさせるのかというのは、恐らくこれからの内部の議論になると思います。つまり、そのままの発想で引っ張ることが必ずしも正当なのかどうかという問題は内部で出てくると思います。
  68. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、テレビの問題ですけれども、ルール作りはまだ着手していないということですね。今後着手するであろうけれども、着手されるかどうかも分からない、今のままでいく可能性もあると。こういうふうになると、お金によって広告が左右されるということに行ってしまうのではないか、結果として非常に不公平な、財力についてですよ、という結果になってしまうのではないか。その辺はいかがお考えですか。
  69. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) お答え申し上げます。  現時点で民間放送局がこの問題について詰めた議論をしているかと言われれば、現段階ではしておりません。  ただ、この間の国会議論の中でもこのCMの問題というのが大きく取り上げられているということからして、これが、もしこの法案法律になって具体的に三年後にということになった場合には、やはり我々はこの問題に関しては積極的にかかわっていかざるを得ないだろうというふうに個人的には感じております。
  70. 吉川春子

    吉川春子君 例えば、よく引かれるイタリアとかあるいはフランスとかイギリスでしたか、諸外国でこういうものについて規制をしたり、あるいはイタリアの場合ですか、一つ機関を作ってそこで厳密に管理するとか、そういう方法が行われていますね。  私は言論の自由とか、それはもう本当に大事なものだと思うんです。だから、憲法に抵触しないようにするということは大前提として伺っているんですけれども、そういう諸外国の例について民放連では研究とかされているのでしょうか。
  71. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 今回のこの動きをきっかけに具体的に動いているということは、現段階ではまだ私は聞いておりません。ですから、恐らく、研究課題として当然想定されますので、これからの作業になると私は思っております。
  72. 吉川春子

    吉川春子君 そういう作業がちゃんとできて、放送業界、マスコミ業界の公平取扱いのルールというものが国民の前に明らかにされた後に、この国民投票法案が仮に必要であったとしても、成立させるのがいいかなと、私はそのように思いますけれども、その点についてお伺いします。    〔理事中川雅治君退席、委員長着席〕
  73. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) これは一義的には院の御議論の中でお決めいただくことだと思いますので、私は意見は控えさせていただきたいと思います。
  74. 吉川春子

    吉川春子君 いえ、法案の審議は国会なんですけれども、そういうルールが確立しない前にそういう事実が進んでしまうということはどうかという質問だったんですけれども。  石井参考人山参考人それから石村参考人にも同じ質問で伺いますけれども、お金、財力のある個人あるいは団体、そういうところの人が自由に、テレビCMに限りませんけれども、広告を買うことができる。そういうような問題についてやっぱり何らかの公平性というものを保つための方策というものが必要ではないかという意見もかなり強くあるんですけれども、その点についての御意見をそれぞれお聞かせいただきたいと思います。
  75. 石井勤

    参考人石井勤君) 御指摘のことですが、確かにそういう意見はあり得ると思います。ただ、新聞協会として、国民投票にかかるような憲法改正論議について広告をどうするかということはまだ話し合っておりません。ですから、仮に何らかの制度が必要な状況が出てきた場合には話し合って決めていくということになると思います。  ただ、一つだけ、新聞というのは、先ほど来申し上げていますが、広告とそれから紙面、一般の紙面とほぼ半々でできております。なおかつ、媒体として少数者の意見を比較的すくうことが得意なメディアであります。ですから、御懸念のような部分については、記事として報道をしていくということは大前提としてあると思います。それをベースに広告をどうするかというのは将来的な課題になろうかと思います。  以上です。
  76. 山了吉

    参考人山了吉君) この資本主義社会の中において広告がどういうふうな影響力を持つかということを考えますと、やはりお金、格差社会なんかもそうですけれども、お金を持っている人がみんなあるものを買い占めて、それで宣伝をするというふうな動きは確かに現実にはあります。  でも、私ども日本雑誌協会で広告に関しての問題について論じていくということは、ちょっと今まだやったことがないんでちょっとお答えはできないんですけれども、ただ、一般の広告と、この国民投票法案という国の基本骨格を決めるような大きな国民投票という場合に、やはり一定のルールはどうしても必要だと私は個人的には考えます。  それで、それがあるから諸外国ではいろんな前提をやっぱりつくっているし、ルールを作っているんじゃないかということで、これはやっぱり私は設けるべきだと個人的には考えております。雑誌協会としてはちょっとお答えできませんけど。
  77. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 広告についてはちょっとNHK、若干無縁なところもありますけれど、冒頭に発言した範囲内のことで私の気持ちとしてというか意見は述べたつもりでございますので、それで御理解いただければと思います。
  78. 吉川春子

    吉川春子君 終わります。どうもありがとうございました。
  79. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  日本で有料CMが解禁された場合、大企業有利の改憲案だった場合に、大企業が豊富な資金を投入して改憲賛成CMを流すことを防ぐための方策が現在あるのでしょうか。渡辺参考人、お願いします。
  80. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) それぞれの民間放送の会社の中で、局の中でということでいえば、それは先ほど来申し上げておりますCMの審査というところで対応しているというのが現状でございます。
  81. 福島みずほ

    福島みずほ君 CMの審査以外に、基本的にそれがCMの綱領をパスしていれば、資金力があるところが改憲賛成CMを流すことを防ぐ何らかの仕組みはないのでしょうか。
  82. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 現在議論しております憲法改正国民投票法というのは、極めて重要なクリティカルな問題というのは当然これから想定されるわけですけれども、今までの中ではそのような状況というのは現出しておりませんでした。
  83. 福島みずほ

    福島みずほ君 結局、改憲賛成を、条文はこれ、何人もと書いてあるので、企業も政党も個人もだれでもできる。そうすると、大企業が改憲賛成のCMをばんばんばんばん打つことも、豊富な資金力を持っている政党がやることもこれは可能なわけですよね。そうしますと、結局それを止める手だてがどこにもない。公平というものをどうこれに入れていくかという、とても難しい。  テレビCMは、ゴールデンタイムに全国放送で流すとして幾らぐらいお金掛かるんでしょうか。
  84. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 誠に先生には恐縮でございますが、私、報道とかそういう現場でございますので、営業めいたことは知悉しておりません。不勉強です。
  85. 福島みずほ

    福島みずほ君 一説には何億あるいは何十億と、こう言われます。  私は、報道番組や討論番組や、あらゆる媒体が積極的に日本国憲法憲法国民のものですから、大いにがんがん議論すればいいというふうに思っておりますが、特にテレビの有料CMに関しては、誠にその財力がそれに反映をしていく。一般の人にはとても手が出ない、幾らカンパを集めてもこれはもう手が出ないという媒体であるために、公平ということがそもそもあるのだろうかというふうに思います。  先ほど来もありますが、衆議院参考人質疑民放連の方が、有料CMは、今日もそうですが、法的規制ではなく自主的に取り組みたい旨を述べられておりますが、進捗状況は、先ほど余り進んでないかのようなことでした。見通しみたいのはあるんでしょうか。つまり、私は、そのルール作りが、こういうことをすれば公平にあり得るということが出るまでは、この国民投票法案は欠陥法案で公平性の担保がありませんから、成立させるべきではないと考えますが、どうでしょうか。進捗状況、見通し、教えてください。
  86. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 現在までのところ、民放連のレベルとして具体的に進んでいるということはございません。  これからの見通しですけれども、これは先ほど来申し述べておりますように、今までのCM審査のベースは各局でございました。ベースはこれからも変わらないというふうに私、個人的に思っていますけれども、そのレベルで維持できるのかどうかということがこれから民放連も含めて議論の恐らく対象になるのではないかなというふうに個人的には思っております。
  87. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは参考人に言うことではないかもしれませんが、この公平なことの担保が実は得られていない、この法案の下では。そのルール作りをやりたいということが民放連の方から出ていて、まだ緒に就いていない。要するに、私たちは、財力のある者が憲法改悪をお金で買うということがあり得るという事態は絶対に起きるべきではないと考えていて、そのことを納得できる状況がまだ得られてないわけですね。ですから、それまで、この国民投票法案は欠陥法案であり、成立すべきでないと思っております。  次に、放送行政を独立行政委員会ではなく政府が直接行う国は、先進国では日本だけです。先ほど渡辺参考人は、放送法規定が、三条の二が、放送法規定がこの国民投票法案の中にも入っていて屋上屋を重ねると、公平というのがもう一回入っているということで、おかしいではないかという意見をおっしゃいました。  私自身も、ある意味、この公平ということについて大変、実は制度の論から疑問を持っております。というのは、渡辺参考人、とても答えにくいとは思いますが、放送法は最終的には総務大臣がこの公平性の判断をやります。国会に出ている改正放送法は、より総務大臣、総務省の力を強化する形の改正案だと社民党は考えております。そうだとすると、公平ということを幾ら国民投票法案放送法を引いてやったとしても、最終的判断権者がお上である、総務大臣であるという点の問題点はどうお考えでしょうか。
  88. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 今回、国民投票法案ということで私、参加させていただいておりますので、放送法というのがそこまで入れるかどうかというのは必ずしもはっきりはいたしませんけれども放送法改正案そのものについては民放連としては既に正式な声明を出しております。  先生の直接のお答えにはならないと思いますけれども、我々としては、放送法の一部改正の中で、虚偽の説明によって事実でない事項を事実であると誤解させるような放送によって国民生活等への悪影響、国民権利侵害のおそれがある場合に再発防止計画の提出を求める、これを大臣は公表するというふうな文言が盛り込まれております。我々民放連としては、是非とも当該条文を削除していただいて、その上で、NHKとともにつくっている第三者機関であるBPOを中核とします放送界全体としての自主自律機能、それから自浄努力を見守っていただきたいと、既に声明を出しているところでございます。  さきに決定をしました関西テレビの民放連除名、それからBPOの新しい委員会の設置、これは連休後というふうに想定されますが、こういったことも我々の放送倫理の向上に向けての自覚と決意と御理解いただければ幸いでございます。
  89. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本の放送法は、先進国の中では例を見ない、政府が直接その監督を行う、最終決定権者、公平の判断権者は間違いなく総務大臣です。  提出されている放送法改正法案は、正に今おっしゃったとおり、権限を強化するものです。もしも万が一放送法の改正法案が成立し、もしも万が一国民投票法案が成立をすれば、それ以降に報道される中身についてはより権限が強化されるという点で、国民投票法案放送の問題点がよりひどくなるというふうに考えております。その点はいかがでしょうか。
  90. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) それは私、冒頭、十分程度のお話をさせていただいたわけですけれども、その中に我々民放連としての心情はるる述べさせていただいたというふうに理解しております。
  91. 福島みずほ

    福島みずほ君 表現の自由が規制されることがないように、権力から独立をして自由にされるべきだという点については正にそのとおりで、社民党もその立場で頑張っていきます。  それともう一つ、今日一番やはりお聞きしているのは、テレビ有料CMは表現の自由という側面は否定できないけれども、むしろ衆議院でも、これは凶器となり得るという天野祐吉参考人発言と同じ、イタリアも広告を規制して、禁止していますので、むしろ宣伝として使われる、これが財力によって見事に変えられるという点が問題だと思いますが、何度も食い下がって済みません、渡辺参考人、その点いかがでしょうか。
  92. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 福島先生の御意見、非常に貴重なものとして拝聴いたしております。  先ほどから申し上げているように、この法案が仮に成立して具体的なプロセスというのが進んでいく過程で、民間放送各局としても極めて真摯な対応を迫られることになると私は考えております。
  93. 福島みずほ

    福島みずほ君 ただ、この法案がもし通れば、二週間前までは全面解禁ですから、むしろ公平性の担保がない限りはこの法案は欠陥で、成立すべきではないと。あるいは国会議員、私たちも含め、納得できるような公平のルールが示されない限りは、あるいは検討がされ、提示され、私たちが納得できない限りはこの法案は成立すべきではないということを改めて申し上げます。  ところで、憲法改正案に対する意見CMを申し込んだ場合、表現などが、広告代理店サイドのときに、あるいは広告綱領の中で問題となり得るということがあり得るというふうに思っています。そうすると、流せないという状況もあるわけですが、その点、事前に規制を掛けることを防ぐためのシステムがあるのか、あるいはどうなるのかという点についてお聞きをいたします。  ただ、かつて社民党のCMが、本当に怖いものは、最初、人気者の顔をしてやってくる、小泉政権批判をやったところ、これはCM、他者を批判してはいけないという、誹謗中傷は駄目だということで放送できなかったということがありますので、お聞きをいたします。
  94. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) この問題も非常に微妙だと思うんですけれども、例えば、先ほど来申し上げています、各局の中のCM考査ということで言いますと、例えば誹謗中傷はこれは良くないですな、事実と違うことはまずいですねと、そういう幾つかの当然のルールはございます。そういう中で我々は社内的なCM審査をしているという現実はございます。
  95. 福島みずほ

    福島みずほ君 この法案は、二週間前は全面的に自由、二週間前からは禁止と、テレビCM、有料広告にはなっているんですが、その二週間の間に憲法改正の賛成、反対のCMとぎりぎりのところでCMをつくるということも実はあり得るというふうに私は思っているんですが、その辺の考査はどうなるんでしょうか。
  96. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 具体的にそれはどのような設定になるのかというのは、ちょっと私は思い付きませんので、ということでございます。
  97. 福島みずほ

    福島みずほ君 そうしたら、石井参考人山参考人にお聞きをいたします。  できるだけ、もちろん表現の自由ということが精一杯されるべきなんですが、例えば、これはテレビ報道も特にそうですが、賛成、反対の、国会が護憲かいわゆる改憲かであれば、国会の議席は非常に大差がある状況だと思います。これが現在からずっと報道の中でできるだけ賛成、反対、両方出していただきたいということを思っておりますが、その点についての石井参考人山参考人の御意見をお聞かせください。
  98. 石井勤

    参考人石井勤君) 現状、様々な意見があると。多い方、少ない方、いろいろあると思います。今はまだ制度づくりの段階でございます。今の段階から少数意見も含めて多様な意見を伝えていくということを心掛けています。  以上です。
  99. 山了吉

    参考人山了吉君) 今の御質問に対してお答えいたします。  雑誌協会、もうはっきりしているのは、国会の今の審議の中で賛成、反対の数が違うということについての我々の認識は、それはもう仕方がないことだということがちょっとあります。  といいますのは、賛成であろうと反対であろうと、雑誌の場合はもうはっきりした意見をそれぞれの雑誌がそれぞれのように編集長判断して掲載しておりますので、雑誌にしてみたら、やはり公平性があるいは担保されているか担保されていないかというようなことになりますと、今の国会の審議の中で公平性が担保されるということの難しさというのかな、それをつくづく考えておりますので。  私、個人情報保護法のときも出版だけがなぜ適用除外にならないのかということをしつこく食い下がったことがあるんですけれども、はっきり言ったら、出版というのが憲法で書いてあるにもかかわらず、言論の自由の中で出版は多様なことをやっているから外されたと。こうなると、やっぱり国会の審議に対するある疑問が非常に大きくありまして、やっぱり我々雑誌メディアというのは、そういうことを前提にそれぞれの雑誌がそれぞれに考えて、ある種偏った形で表現を出しております。それが読者に嫌われて買われなかったらそれで終わりだというところがありますので、そこのところはもうしようがないですね。
  100. 福島みずほ

    福島みずほ君 本日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。戦前、メディアが戦争への道を切り開いて協力をしたという苦い苦い非常に過去がありますので、是非メディアの皆さんの奮起を心から期待して、私の質問を終わります。
  101. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  今、福島委員から何か締めくくり総括のような御意見が出ましたのでちょっとやりにくいんでございますが、もう一人残っておりますので、もうしばらく御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。  私は、今日は活字メディアの皆さん方と放送メディアの皆さん方から参考人として御意見をお聞きをさせていただいたわけでありますけれども新聞雑誌につきましては、私はもうペンは剣よりも強しで思ったことをどんどんどんどん言っていただくというのが本来のお仕事だというふうに思いますから、いずれにしても皆さん方の言論の自由に対して政治家が何かを言うというようなことは基本的にはあり得ないことだというふうに思っております。  ただ、私の若いころの記憶なんですけれども新聞週間の標語に「新聞は動く世界の正しい目」というのがあったんですね。これをある方がもじりまして、新聞は動く世界の怪しい目と、こう言われまして、私は必ずしもそう思っておりませんが、やはり国民の中にそういう目で見ている人がいるということを踏まえた上で、更に掘り下げたいろいろな多角的な御意見を展開されるべきかななどということを思っておりまして、一言だけ御意見を聞かしていただければと思いますが。  まずは、石井参考人からお願い申し上げます。
  102. 石井勤

    参考人石井勤君) 動く世界の怪しい目と言われないように、基本的に不偏不党、ゆがみのない報道をするというのをどの社も心掛けていると思います。新聞協会新聞倫理綱領というのを定めまして、自覚を込めて社会的な役割を果たすということを考えておりますので、更に信頼感が高まるように努力をしたいというふうに考えております。  以上です。
  103. 山了吉

    参考人山了吉君) 雑誌は怪しげなメディアではないかというふうに思われていると思うんであれなんですけれども、やっぱり怪しげな情報の中に真実があることもありますし、特に政治家先生方の場合の怪しい情報雑誌にもたらされるケースが多分にあります。  私どもは怪しい情報を捨てないで拾い上げるというのがやっぱり役目だと思っておりますし、何が怪しいのか、先ほど私は言いましたけど、怪しいか怪しくないか、公平かあれかとか、まあ偏っているか偏っていないか、そういうことに関して雑誌は自由に論議する場を失わないことが物すごく大事なことだと思う、その一点はやっぱり守っていきたいと思っております。
  104. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 どうもありがとうございます。  私、山参考人のおっしゃったことには非常に共感を覚えまして、何事も恐れずに表に出していくということが多くの方々に興味と関心を呼び起こして物事の議論が深まるんだろうというふうに思いまして、頑張っていただきたいということでございますが。  放送メディアの代表のお二人にお尋ねを申し上げます。  やはり電波メディアの場合には、限られた資源を使い、限られた数の方々報道をあるいは言論をされるわけでありますから、一定のやはりそこにルールが必要だというのはもう仕方のないことでして、先ほど来お話が出ておりますように放送法のルールがございます。  そういう中で、公平とか公正とかいうことが盛んに言われるわけでございますけど、実際は物すごく難しいことですよね。これが公平だとか、これが公正だなどということはなかなかあり得ないことだと思いまして、実際には、やはりあっちこっちから眺めたいろんな意見を紹介をしていく中で物事がだんだん立体的に見えてくるということかなというふうに思うんですが、この公平公正の確保という点についてお二人にお伺いをしたいと思うんです。  特に、最近はテレビの影響力が非常に大きいわけでございますけれども、そのテレビの番組に対するスポンサーの影響力というようなことが言われるような時代になっております。特に視聴率というものが一般放送事業者の場合には特に重要にもなってきているということにかんがみて、この公平公正の確保につきましてもう一度お考えをお聞かせいただければと思いますが、渡辺さん、お願いいたします。
  105. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 長谷川先生、お答えいたします。  公平公正の確保というのは、我々放送メディアに課せられた幾つかの法的なルールというのはもちろんございますけれども、最大のものの一つであると認識しております。これやはり放送法三条二の一にある四つの項目でございます。  やはりこれをいかに具体的に担保するかということで、かなり細かい話にはなるんですけれども、やはり工夫はしております。例えば、選挙の報道がある、政治的なマターの報道があるというときに、一つの番組でその日は三分しか時間が取れませんというときに、一日一回だけのその番組の中ですべての政党、政治勢力の公平性を担保することはできません。その場合には、一週間に五回あるから五つ続けるか、ないしは翌週もまたぐかとか、そういう形で公平公正の担保というのをしているというのが実情でございます。  それから、討論番組なんかをやった場合の公平公正というのは、これは生の場合ですけれども、これはストップウオッチで計る的な厳密な公平性というのはなかなかこれは難しいです。問題なのは、司会がきちんと進行する中で発言機会というのを平等に差し上げると、その中で大体同じだよねというところに持っていくのが放送局の番組の仕事だと思っていますので、そういう中での具体的な公平公正の担保というのは日々やっておるつもりです。
  106. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) 今、渡辺さんがおっしゃったのと似たような答弁になりますけれど、公平公正というのは、内容もともかく、やっぱり時間量とか放送枠とか、これを短時間、一定の時間、一定の日の一定の時間だけで見るのか、一日の長さの中の枠の中で見るのか、一週間というもっと幅広い枠で見るのか、もっと大きく言えば、一か月という、週一回の番組であれば四回見ていただいて公平公正を保っていると、そういった番組もあると思います。様々な意味で、かなり放送の現場ではあらゆる意味で公平公正というところは一番頭に入れて配慮している部分であるということは言えると思います。
  107. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 先ほど来の議論の中で有料の広告放送のことが問題になっておりましたけれども、私は、この有料の広告放送はやはり有害だという意見を持っている人間でございまして、この委員会の中の審議でも、十四日前からということでなくて、全面的に禁止をすべきではないのかという意見を述べさせていただきました。  このことにつきましては、先ほど来皆様方の方からの意見の陳述もございましたし、議論もございましたので、このことを重ねてここで議論するつもりはありませんが、やはり大きな財力を持っている者が大きなチャンスを握る、そしてたくさんの広告放送が流されれば、見ている人はそれにかなり影響をされるという現実がある限り、ここはやはり慎重な議論をしていかなければいけないと、そう思っているところでございます。  そこで、私、最終質疑者でございますので、前回の参考人の皆様の質疑の際にも申し上げたんでございますが、今日の議論を通じましていろいろお考えになったこともたくさんあろうかと思うんです。言い残したことがありましたら、お一人ずつ御発言をいただきたいと思います。石村さんから順番にお願いを申し上げたいと思いますが。
  108. 石村英二郎

    参考人石村英二郎君) この国民投票法案は大変重要な法案だと思いますので、皆さんいろんな形で議論は尽くされていると思いますけれども、(発言する者あり)まだまだですか。とにかく、十分な議論をして、なおかつ我々もこれから様々な形で報道していくことになると思いますけれども、十分なやっぱり説明というのを、これは国会もそうでしょうけれども、我々自身もやっていきたいなと思いますので、今後の議論に深まりをどんどん期待したいなと思います。
  109. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) お答え申し上げます。  話が繰り返しになって大変恐縮なんですが、我々民放連といたしましては、冒頭申し上げましたように、この法案の百四条という規定は納得できないというのが正直なところでございます。  この法案がいかに大事かということも含めまして、我々は、国民放送を通じてこの改正案なら改正案ですね、憲法のですね、それを広く伝えるということは当然作業としてやるべき責務だと思っております。それのベースづくりは与野党の先生方に是非ともお願いしたいし、先ほど我々が申し上げたことは、やはり百四条は何としてでも議論を深めてお考え直しいただけたら幸甚でございます。  以上です。
  110. 山了吉

    参考人山了吉君) ここに来る前に、やはり問題になるのは放送にかかわる部分だろうと思っておりましたので、聞いておりますうちに、やはり私自身は雑誌協会の一員としての見解を言うべきなんでしょうけれども、やはり放送法の改正というものと今度の国民投票法案の今の百四条の問題なんかは、やはり考えてみるとメディア規制につながる可能性がやはりあります。それで、このメディア規制につながる可能性については、やはり私どもとしては、雑誌協会としても、もしこれが、これに対して賛成か反対かと言われますと、我々としても、同じメディアの一員としては、やっぱり疑問があるならばとことんこれを審議していただければ有り難いと思っております。  雑誌協会としても、衆議院発言させていただきましたけれども、今回も、特にこの憲法の二十一条というのが民主主義を支える根幹だというところをどうしても強調しておきたいと思うんですね。ですから、もう十分そのことは国会の中では認識されておると思うんですけれども雑誌というメディアがこれから生き残っていくためには、この二十一条をやっぱり死守するというふうな意味では、今日発言させていただいて有り難いと思いました。  どうぞよろしくお願いいたします。
  111. 石井勤

    参考人石井勤君) 新聞協会として更に付け加えるということはございません。  ただ、一点だけ、報道言論の自由というものが保障されるということが極めて大事であると、それは広告も含めて自由が保障されるべきであるというように考えております。そのことだけ再度申し上げておきたいと思います。  以上です。
  112. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 終わります。
  113. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。当委員会を代表して厚くお礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十六分散会