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2007-04-26 第166回国会 参議院 日本国憲法に関する調査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年四月二十六日(木曜日)    午後三時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         関谷 勝嗣君     理 事                 岡田 直樹君                 中川 雅治君                 舛添 要一君                 広田  一君                 前川 清成君                 簗瀬  進君                 荒木 清寛君     委 員                 岩城 光英君                 太田 豊秋君                 荻原 健司君                 木村  仁君                 佐藤 昭郎君                 櫻井  新君                 田中 直紀君                 中島 啓雄君                 中曽根弘文君                 野村 哲郎君                 山本 順三君                 大久保 勉君                 小林 正夫君                 芝  博一君                 津田弥太郎君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 松岡  徹君                 澤  雄二君                 山下 栄一君                 鰐淵 洋子君                 仁比 聡平君                 近藤 正道君                 長谷川憲正君    衆議院議員        日本国憲法に関        する調査特別委        員長代理     保岡 興治君        発議者      船田  元君        発議者      葉梨 康弘君        発議者      赤松 正雄君    事務局側        日本国憲法に関        する調査特別委        員会及び憲法調        査会事務局長   小林 秀行君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○日本国憲法改正手続に関する法律案衆議院  提出)     ─────────────
  2. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ただいまから日本国憲法に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国憲法改正手続に関する法律案につき、意見を聴取するため、来る五月七日、福岡県及び北海道に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 日本国憲法改正手続に関する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 まず、保岡議員、そして船田議員葉梨議員赤松議員、この四人の発議者に対して、本当、心から敬意を表したいと思います。  衆議院におけるこの特委の、これは足掛け三年になりましょうかね、特に今国会ベスト案を出されまして、協議修正もされた。ぎりぎりまで頑張って、こういう状況の中で参議院提出され、そして今、質疑が再開されています。参議院質疑も、本会議のあの趣旨説明質疑の出来事もありましたし、あと想定外質問といいますか、衆議院段階では民主党の方の案にも入っていないような、また、発議者の方々も否定されておられました最低投票率というのも議題に上ったり、また、私が聞いていまして、この後の憲法審査会やそれから広報協議会というんですか、ここら辺にゆだねるべき細かなものまで、実は相当細かい質問が出ておりました。しかし、それに誠実に答えられておると。それは、私は心からまず敬意を表したいと思います。  しかし、意外とお元気なんですね。これは、やっぱりこの国民投票法という非常に大事な法案議員立法で仕上げていくというのは、これは国会議員冥利に尽きるんじゃないかと思って、これはある意味うらやましく思っているんですけれども、その何といいますか、誇りと自負でやっておられるんだなというふうに改めて思うわけであります。  さあそこで、私の、この参議院における国民投票法案に対する質疑のやり方といいますか対応というものについてちょっと述べたいんですけれども。  本会議趣旨説明、いろいろ議論ありましたように、二院制の中での参議院役割、私は、やっぱりこの国民投票法案に関しては、連携という言葉両院連携という言葉が私はやはりふさわしいんじゃないかと。私なりにこの連携というのを定義しますと、まず目標を同じくして、情報共有して役割分担していくんですよ。ですから、やはり連携という成果がこの参議院特別委員会でも得られれば、私は非常にいい国民投票法案になっていくんじゃないかと思って期待するわけでありますので、その線に沿って少し私、質問させていただきたいと思います。  それで、その連携の一番のポイントというのはやっぱり同じ目標を持つということなんですよね。私も経緯調べてみました。この国民投票法案に対して、これをやらなきゃいかぬという発意でスタートしたわけですけれども、諸外国における例、憲法規定があるのに国民投票法制度が未整備な国って一体あるのかどうか。多分少ないと思うんですけどね。そして、そういった法制度を持たれている、憲法上の規定によって国民投票法法制度を持たれている国というのは、その憲法ができてからどれぐらいの時間的なタイミングで持たれているか。我が国なんか、六十年間たって、ないということなんですけど、そこら辺の諸外国事情、これをちょっと知りたいと思いますので、お願いします。
  7. 葉梨康弘

    衆議院議員葉梨康弘君) 佐藤先生にお答えいたします。  いつも自民党農林部会で大変御指導を賜っておりまして、農業も大切ではございますけど、憲法も大切であろうというふうに思います。  ちょっと具体的なデータになりますので、少し細かめに御説明をさしていただきたいと思います。  私ども、昨年、一昨年と、オーストリアスロバキアスイススペインフランスポーランドイタリアデンマークエストニア、この九か国について調査をしてまいりました。  このうちスロバキアについては、さきにフィンランドの例もございましたけれども憲法改正についてはこれは代議政治である議会が決めることであって、国民投票には付さないと、一般的な事項について定めるというような国民投票法でございます。  そして、フランスデンマークですけれども、これについては、先般来、この質疑でも御説明しておりますとおり、各個別の国民投票ごとにデクレあるいは国民投票法というのを定めるということになっていますけれども、これはもう確認をしてまいりましたけれども、その規制の在り方については、多少フランスが二〇〇〇年と二〇〇五年で商業放送を少し緩めたとかいうのはございますけれども、ほとんどそのベースは変わらないという規制であるから大丈夫なんだという御説明でございました。  そして、他の六か国においては既になされておるわけですけれども、まずスイスは、一八四八年に憲法制定されて、現在の法律自体は一九七六年の法律なんですけれども、もう御案内のとおり、スイス国民投票がもう本当に、もう何百年にわたって行われている国でございまして、当然その法制整備はあったというふうに理解をしております。  スペインは、憲法は一九七八年の制定ですけれども、翌一九七九年に国民投票法制整備されている。  ポーランドですけれども憲法が一九九七年の制定ですけれども国民投票法ですと、その二年前になりますが一九九五年に制定をされております。  エストニア、これは一九九二年の憲法でございますが、これが二年後の一九九四年に制定されているということでございます。  そして、あとオーストリアイタリアなんですけれどもオーストリアの場合は、確かに一九二九年の憲法がいったん廃止になりまして、それが一九四五年に復活をして、そして国民投票法制ができましたのが一九五八年ということで、間が十三年間置いているんですけれども、これは幾つかやはり理由がございます。といいますのは、オーストリアにおいては憲法そのもの改正について国民投票を要さないこととされておる。もう既に何十回も改正をされているというふうに聞いてきたんですけれども国民投票によって憲法改正した例というのは、オーストリアはそれ自体がないんです。  ですから、十三年間置いていたということなんですけれども、それだけではなくて、実は一九三八年にヒトラーがオーストリアに進駐いたしました。その年の秋ですけれども、九九・七%という高い賛成オーストリア併合国民投票で、国民投票にかけてオーストリア併合承認を得たと。これはまあ相当な宣伝が行われたというふうに聞いていますけれども、そういったようにちょっと苦い経験もあるということで、間十三年ぐらい置いたというような歴史的な経緯もあると思います。いずれにしても、憲法改正自体については国民投票法制というのを、国民投票は要しないということとされています。  イタリアの場合なんですけれども、確かに憲法は一九四七年の制定ですけれども、この場合、国民投票法は一九七〇年ということで、二十三年の間が置いております。ただ、これについても幾つ理由がございまして、といいますのは、イタリアにおいて例えば統治機構に属するような事項であるとか、あるいは裁判官の任期の問題であるとか、そういったような細かな事項については必ずしも国民投票を要さない、憲法改正については要さないということとされております。ですから、一九七〇年の前に二回ほど改正が行われたんですけれども、これは議会だけで改正された。ただし、根本部分についてはやはり国民投票を要するということでありまして、一九七〇年以降、二回国民投票が行われています。憲法改正自体は十四回行われております。  ただ、これについても、先ほどオーストリアとはちょっとパラレルになるんですけれども、大変歴史的な経緯があるというふうに考えております。といいますのは、一九四六年に当時の王制を廃止するために、イタリアでは国民投票が行われました。これが五四・三%の賛成、四五・七%の反対ということで、共和制を選択したわけなんですけれども、実はこれは地域的に言って、北部の州においてはほとんど三分の二以上が共和制を選択、南部の州においては三分の二程度王制を選択するということで、非常に国内的な分裂の要素というのが国民投票を経験したところ出てきてしまった。そしてさらに、その後も引き続いて冷戦構造の中での大きな与野党の対立というのがあって、やはりその期間の間は憲法について、憲法的凍結ということをイタリアでは言われているんですけれども憲法について定められた種々の制度、これが整備される期間であるということで、一九七〇年に至ってようやく国民投票法制整備されたというわけなんです。  けれども、今申し上げましたとおり、イタリアにおいてすら憲法改正について技術的な事項については必ずしも国民投票を要しないということをされておりますので、一九七〇年以前において、先ほども申し上げましたとおり二回憲法改正がなされておる、そういったような事情がございます。
  8. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 ありがとうございました。  今伺いますと、憲法国民投票法制というのを規定しているところについては、ある程度いろんな事情で遅れるにしても、やはりしっかりとした国民投票法制は持っておられるということがよく分かったわけであります。  そこで、我が国の場合ですけれども先ほど私は連携ということを申し上げましたけど、今回の国民投票法制両院連携を持つとしても、一つ目標を表示しなきゃいけないというのは、やっぱり国民投票法制は作るんだよという目標ですよね、その目標に関しては、参議院についてちょっと私調べた結果、後で申し上げますけれども衆議院で十七年の四月十五日に憲法調査会報告書がまず出たんですよね、国民投票法制早期制定提言ということでね。この提言の中で、持つべきである、作るべきであるという提言記述があると記憶しておるんですけれども、この目標を各会派各党、どの程度共有されたのか。その点について、各党の内容、対応目標共有、どの程度であったか、それを伺いたいと思います。
  9. 船田元

    衆議院議員船田元君) 佐藤議員にお答えいたします。  今御指摘のように、二年前、平成十七年の四月十五日に、当時の衆議院憲法調査会が長年、五年にわたる憲法調査報告書を作成をしたということでございます。その報告書の中におきまして、実は四月十五日に提出でございますが、十二日に締めくくりを行ったわけであります。そこで、様々な分野について多数意見であった、あるいは意見として少なかった、その意見の多少を明示しながらまとめていったわけであります。そして、その中で、次なる憲法論議のステージへとつなげるために何らかの提言衆議院憲法調査会として記述したい、記述するのがふさわしいのではないかと、このようなことに至りまして、当時の私が提案をいたしまして、各会派の御賛同をいただいて報告書に盛り込むことにいたしました。  その記述をちょっと読み上げてみたいと思います。九十六条に関し、憲法改正手続法整備について議論が行われた。この点については、整備を急ぐ必要はないとする意見もあったが、早急に整備すべきであるとする意見が多く述べられたということであります。そして、引き続きまして、現在の衆議院憲法調査会の基本的な枠組を維持しつつ、これに憲法改正手続法の起草及び審査権限を付与することが望ましいとする意見が多く述べられたというふうなことで集約をさせていただいたわけであります。  この報告書に対しての賛否の意見でございますけれども、自民、公明、民主、これが賛意を示し、共産、社民は反対をされたと、このように記憶をしております。
  10. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 よく分かりました。  この国民投票法案に対する、作らなきゃいかぬという最初目標ですけど、この共有部分については、今衆議院の経過を情報としていただきましたけれども、私も参議院状況について、やはり同じときに参議院憲法調査会報告書も出ているんですね。  その後、参議院におきましても様々な活動がなされまして、十七年の十月には四回の参考人意見交換、その後議員派遣、海外に国民投票法案を中心に視察に行かれた。そして、十八年の二月から四月にかけて、百六十四国会では、これは国民投票法案に関する主要な論点についていろいろ議論がされたんですね。そのときも、国民投票法案に関しての各党意見というのは今船田さんがおっしゃった衆議院側と同じなんですね。  自民党、公明党、民主党は、これは民主党の十八年の四月の実は参議院における意見ですけれども民主党原則的立場憲法改正国民投票制度自体は必要であると、ただし憲法改正論議国民投票法議論は明確に切り離すべきだということで、まず作ることに関しては目標共有したんですね。一方、これは共産党さんの方は、国民投票法案制定されていないのは立法不作為ではなくて、憲法改定国民投票法制度は九条改憲に向けた地ならしで強く反対ということで、これ、投票制度持つこと自体もとにかく門前払いと。社民党さんの方は、国民投票を作らないのは望まない国民の意思であり、現在議論されている憲法改正国民意見が分かれており、このような中で国民投票法制を直ちに定める条件が疑問ということで、定めること自体これは門前払いということで、やはり議論が分かれたんです。  極めて残念でありますけれども、やはり連携の第一歩の目標というものをなかなか共有できないということで、ここの溝をどうやって埋めていくか、一つの課題でありますが、自公そして民主は持つべきだということで衆参とも一致してスタートしていったということで、これを今後どう生かしていくかという点が大事になろうかと思います。  さあそこで、次は目標共有と並んでこれは情報共有というのが、役割分担というのが大事だと思います。参議院白紙からという議論もありましたけれども、私は、やはり衆議院議論を踏まえた、それを生かしたやはり参議院論議というのが連携意味があると、こういうふうに思います。今までもいろいろなことを伺ってまいったわけでございますが、衆議院においてどのような特に与党民主党の間で議論が行われ、どの点が違っていたのかということを踏まえて私はやはり参議院議論を展開していきたいと、このように思っておりますので、その点について伺いたいんですけれども。  まず第一番目に、昨年の五月二十六日の、憲法特委で、衆議院憲法特で、与党民主党さんがそれぞれ先ほど目的意識、持たなきゃいかぬというのは共通ですから、それぞれ案を出されましたね。各与党民主党さんの原案を出されましたけれども、私、議事録をちょっと見ていったんですけれども余り違いがないと思うんですけれども、一番目の最初ではこれどの点が主要な相違点としてあったんでしょうか。民主党案自民党案で、与党案で。
  11. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  具体的な説明の前に、今、佐藤議員おっしゃいましたように、この国民投票法制、これはもう憲法改正に関する国民の主権を回復をするという大事な手続、たかが手続ではなくてされど手続だと、こう思っております。ですから、憲法改正原案発議が三分の二要件があると同時に、これはそれの附属法でもあるという考え方から、できるだけ多くの政党会派に賛同いただいて公正なルール作りをする、こういう大前提を私たちは衆議院段階でも議論してまいりました。ですから、少なくとも自公民三党によってこの成案を得るということを最大の目的として議論してきたのでございます。ただ、しかし、現状ではなかなかそうなっていないということを大変残念に思っておりますが。  そういう中で、今御質問の昨年の五月、衆議院憲法特別委員会において与党案それから民主党案、これはいずれも原案でございますが、それぞれ提出されることとなりました。その相違点というのは大体六点に絞られていたと思います。  一つは、国民投票対象でございます。これは、与党では憲法改正に限る国民投票民主党案では憲法改正に加えましていわゆる一般的国民投票も含めるということ。  それから二番目に、投票権者範囲の違いというのがありました。与党原案では満二十歳以上、これは公選法の規定と同じということでありますが、民主党案では満十八歳以上、また国会の議決によって満十六歳以上への引下げも可とするというものでありました。  三つ目相違点は、投票用紙への記載方法過半数の意義でございます。与党案におきましては、マル又はバツ記載をする、白紙は無効である。そして、過半数というのは有効投票総数過半数、すなわちマルプラスバツ分マルということになります。民主党案におきましては、賛成マル、しかし反対は何も記さないということでございまして、白紙反対と同様に数える。したがって、マルプラスバツプラス白紙分マルということでございまして、投票総数過半数という考え方でありました。  四番目の違いが、国民投票運動禁止をされる特定公務員範囲でございます。与党案では、選管職員等のほか、裁判官、検察官、警察官等禁止とする。民主党案では、選管職員等のみの禁止であるということであります。  五番目の違いは公務員等教育者地位利用による国民投票運動でありますが、与党案では刑事罰をもって禁止とする。民主党案では禁止規定がなかったというものであります。  六つ目には、買収罪におきましてですが、与党案では、組織的多数人などの五つの縛りを設けた限定をした規定を置きました。民主党案では買収罪については規定がなかったと。  おおよそこの六点の違いがあったというふうに記憶しております。
  12. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 分かりました。  その後、これも情報として整理しておきたいんですけれども、両党で相当突っ込んだ、実は、両党といいますか、この委員会そして小委員会、これは百六十五国会もまたぎまして、昨年九月から十二月にかけまして、お互いに、先ほど船田議員が申されましたように、なるべく広く合わせていこうということで、最初は何か共同提案出そうという動きもあったんですね。やむを得ず今のようなことで出していったんですけれども、これ共同提案に何とかならないかということで相当お互い修正、歩み寄りされたという経緯があります。  私は、その最終的な歩み寄り、それが昨年の十二月十四日に与党民主党修正要綱が出されたというふうに議事録で読みました。私、これほとんど一緒じゃないかと。さっき六点あると言いますけれども、主要な点は四つですよね。しかし、この十二月の段階で、極めて両方努力されまして、私、一点あるいはゼロじゃないかと思うぐらいに実は両党の修正要綱発言があった。ここの点はそのちょっと経緯と、最終的にどこが共同提案にならなかったのか、ならない主要相違点であったのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  13. 船田元

    衆議院議員船田元君) ありがとうございます。  今御質問いただいたのは、昨年の十二月十四日に、これは前の国会臨時国会でございましたが、その最終段階与野党の間で修正案要綱案を、これはペーパーではありませんで修正発言ということで、与党を代表して私が、それから民主党を代表して枝野幸男氏が発言をしたものでございます。  その状況におきましては、今先生指摘のように、本当は相違点ゼロにしたかったんでありますけれども一つだけやはりどうしても乗り越えられないものがございました。それは国民投票対象のことでありました。  これは先ほどもちょっと説明いたしましたが、与党案としましては、この修正の方向としまして、まずは憲法改正に限るんだけれども、しかし憲法に関連する問題、今でいえば憲法改正を要する問題、あるいは憲法改正対象となり得る問題、こういう憲法関連問題に係る一般的国民投票、これは予備的国民投票と我々は呼んでおりますけれども、その是非を、制度設計というものを憲法審査会において将来検討しようというところまで歩み寄りたいと、こういうことになりました。  しかし、民主党案におきましては三つ選択肢を示しておられました。一つは、国政重要問題の対象を何らかの方法で限定していきたいというのが一つ。それから、憲法関連問題、これは与党が言っていることとほぼ同じようなものでありますが、憲法関連問題に限定していこう。それから、C、三つ目としましては、具体的な制度設計憲法審査会で検討しようと、こういう三つの提示をされたわけであります。私ども与党案民主党の今の三つ選択肢、特にBあるいはC、二番目と三番目というのはかなり私どもと近いものだと思っております。  そこで、更に議論を続けていたわけでありますが、なかなかお互いの壁を越えられなかった。あるいは、これはまあ民主党さんの方にお聞きしたいわけでありますが、民主党側でのその三つ選択肢が最終的になかなか一つに絞り込まれなかったという、そういう事情がございまして、この点は、お互いにかなり歩み寄ったんだけれども、なかなかそれが難しかったと。非常に残念なことでございました。  なお、そのほかに四つほどの点で若干技術上の相違点というのがありました。  これは政治的な相違点というものではなくて技術的なものであり、例えば投票用紙記載方法については、与党賛成反対、それから民主党賛成反対と、棄権という欄をもう一つ設けるというアイデアが途中で出されていたこと。あるいは、広報協議会説明会を行うということになっておりまして、与党案では説明会の開催を唱えておりましたが、民主党案では説明会の開催規定が削除される。あるいは、新聞の無料枠というのがありますが、与党では無料枠を原案どおり存置するということに対して、民主党案では削除を検討したい。それから、テレビ等における有料広告の禁止期間与党案では投票日前二週間としておりましたが、民主党におかれましては二週間とするかあるいは全期間とするかなど、やはりこれも三つ選択肢を提示したままで検討中であると、こういう状況でありました。  しかし、今申し上げた四点につきましては、これはかなり技術的な問題もありましたので、これは早晩乗り越えられるものというふうに認識をしていたわけであります。問題はやはり一番最初に申し上げました国民投票対象における違いと、こういうことでございます。
  14. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 今の御説明でちょっと確認なんですけれども、これ、与党側の修正発言というのは、憲法関連問題にかかわる一般的国民投票の是非を憲法審査会で検討というのは、これは民主党さんのC案と同じなんですね。これで一致したとは言えなかったんですね。やっぱりA、B、Cということで、これは難しいですね、相手があることですから。C案にしたということで相違点がなくなったというふうには私は議事録読む限り思ったんですけれども、そうはならなかったんですか。
  15. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  民主党さんの内部の議論の話なもんですからなかなか私から申し上げるのもいかがかと思うんですが、ただ、お聞きするところ、やはりA、B、Cという三つの案を出された後、民主党の中においての議論というのがなかなか集約ができなかったということであります。  C案にまとめたということであれば、接点が相当広がって共同修正も不可能ではなかったと思っておりますが、残念ながら、その三つ選択肢について絞り込みが最終的にはなされなかったと、こういうふうに伺っております。
  16. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 さあそこで、現状の我々の院の論議に戻るわけですけれども、今まで経緯を伺ってきて、そしてこの参議院における今まで論議を伺い、まだ民主党さんの方から参議院における対案というのは出てきていないわけですね。そして、私、ずっと今までの参議院論議を聞いていまして、やっぱり我々が議論するとして、確かなものでもし修正案というのが考えられるとしたら、最終的な、最終的というより現段階で依拠するというか、民主党さんの方の考え方とすり合わせするとするならば、この十二月の後に出されましたよね、いったんぐっと一つ項目だけになったのが、今度の国会になって、いつですかね、今国会与野党修正案を出されましたね。最終的に、三月二十七日に自民党のやつを出された。そして、民主党修正案というのは十九年の四月十日に出された。ここで、昨年の十二月に、ほとんど私相違点なくなったと思ったんですけれども、それが三つに広がっていったわけですけれども。今国会の最終的な民主党案自民党案の相違でそれを丸のみするとしたら、逆にどういう問題があるのかという点をやはり私ちょっと伺いたい。  といいますのは、やっぱり我々の方も政党政治ですから、自民党の案を出すときにはそれぞれの党の政調の各部会で練り上げて、党として出していく。この意見は、やっぱりこれ参議院衆議院も同じ政調の党の部会に沿って意見を集約していきますから、これは党としての総意で、参議院議員の意見もそこに入っているわけですね。多分これは民主党さんも同じだと思うんですね。最終的に、現段階で出された民主党修正案、十九年の四月十日に出されたのに党としての総意が僕は込められていると思うんですね。  ですから、ここの点のすり合わせをしっかりすることが、この最終、いい国民投票法案を作るというゴールに向かっての一番大事なポイントじゃなかろうかと思うんで、今国会の三月、四月のぎりぎりに出されました両党のその修正案、これ最終的なものだと思いますよ。この相違点と、これをもし自民党がそこを、発議者の方がこれをのみ込むとしたらどんな問題が出てくるのか。ちょっと民主党さんの提案に対してのあれかと思うんですけれども、言いにくいかもしれませんが、ちょっと教えていただきたい。
  17. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。確かに言いにくい部分ございますが、あえて申し上げたいと思います。  三月の二十七日に、今年ですね、三月二十七日に与党併合修正案を出させていただきました。また、民主党さんは民主党修正案を四月の十日に出されたわけであります。そこにおける違いというものは、残念ではありますが、少し相違点が広がりまして、三点になりました。  一つは、これは先ほども申し上げた国民投票対象、これが依然として溝が埋まらないという状況でありました。それから、年齢要件に関する経過措置ということで、与党案では、関連法令が整備されるまでの間、これは公選法、民法等でありますが、それが整備されるまでの間は二十歳以上とする経過措置を置く、それに対して民主党案は経過措置は規定しないと、こういう点が違っておりました。三つ目の違いは、公務員の政治活動の制限につきまして、与党案では、本法が施行されるまでに憲法改正に関する賛否の意見の勧誘その他の意見表明が制限されることとならないよう必要な法改正を行うということを将来の約束として示した。民主党案におきましては、国家公務員法、地方公務員法等の政治活動の制限規定をこの国民投票運動については全面適用除外とすると、こういう点が違っていたことであります。  そのほか、あと政策的、技術的な相違点として二つございましたのは、先ほどもちょっと申し上げました新聞の無料枠を置くか置かないかということ。それからもう一つは、テレビ等における有料広告の禁止期間を二週間とするか、与党が二週間とする、民主党案はこれは最終的には全期間ですね、発議から投票期日までの全期間禁止とすると、こういう点が政策的、技術的な相違点でありました。しかし、前の三つの方がこれは大きな相違点として残ってしまったということでございます。  さらに、御質問として、この三つ相違点与党として丸のみするとどうなるかと、こういう話でございますが、これも今まで御答弁申し上げてきたように、国民投票対象というものを、これはちょっと言葉は語弊はありますが、むやみに拡大をするということになりますと、これはやはり現在の議会民主主義の在り方とそれから直接民主制の在り方が非常にあいまいな状況になると。それから、たとえ諮問的とはいえ、一たび結論が出た一般的国民投票においては、どうしてもそれが時の政府あるいは行政を縛るということになりまして、非常に諮問的というものがこれはもう義務的になってしまう、こういう問題が出てくると、そういうことであります。  確かに、民主党案修正案におきましてはこういうただし書が付いておりました。日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え、ということが一応書いてはおられますけれども、しかし、やはりこれは直接民主制と間接民主制がちょうどぶつかる部分でありまして、その辺りをなかなか整理ができないんではないかということを懸念をいたしたわけであります。  それから、二番目の相違点である年齢要件に関する経過規定でございます。  これも、この参議院特別委員会でも議論されたところでございますけれども、やはり経過措置を設けない場合には、これはこういうことがあってはならないことなんでありますが、選挙権年齢が二十歳以上でとどまってしまっている、しかしながら国民投票については満十八歳以上になるということで、選挙とそれから国民投票との間で年齢が違ってしまうと、こういう事態も万が一でございますが、あるかもしれない。そういうことをなくすために我々は経過措置を設け、そして、これはもう極力といいますか、もうできる限り期間内に公職選挙法などを十八歳に引き下げるという努力はもちろんするつもりでおりますけれども、万が一の経過措置ということで置かせていただいたものでありまして、これがない場合にはそのようなそごが生じるおそれがあるという点でございます。  それから、三番目の違いである公務員の政治的行為の制限適用除外、これもこれまでもこの委員会におきまして大変議論があったところでございます。私どもは、国家公務員法と地方公務員法の中において、いわゆる勧誘行為というものが国家公務員法では制限なし、それから地方公務員法では制限がある、こういうアンバランスが生じておりました。違いが生じてしまいます。ですから、それをなくそうということでいろいろ考えてきたわけでありますが、私どもも一時期、十二月十四日時点では一度考えたことなんでありますが、この国家公務員法、地方公務員法の政治的行為の制限規定の全面適用除外、国民投票においては全面適用除外ということを一度考えるに至りました。  しかしながら、これをやってしまうと、この国民投票運動に関して、あるいは国民投票運動に付随して、この政治的な特定の候補者や特定の政党や特定の団体を支持するような政治的な行為を併せて行う、そういう問題があるかもしれない。そういうことについての歯止めが全くなくなってしまうというのはいかがなものだろうかということで、私どもはまた考えをいったん元に戻すという、そういう状況になってしまったわけであります。  しかしながら、やはり特定の団体や候補者を支持しないような、いわゆる純粋な国民投票運動については少なくとも意見表明や勧誘ということについてはこれは自由であるべきだと、こう考えておりますので、その附則におきまして、国家公務員法等におけるその切り分けを丁寧にやっていこうということで、これも三年間の間に経過措置としてやっていこうと、こうしたわけでありますが、民主党さんがおっしゃるように全面適用除外ということを、これをすぐやってしまうと、今申し上げたようなグレーゾーンの部分の規制といいますか、公務員法に照らしての問題点が生じるおそれがあると、こう私どもは考えましたので、これはなかなか全面適用除外というのは今現時点では難しいんではないかと、しかし、何とかそういう方向に向かってうまく切り分けをしたい、こう考えております。
  18. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 よく分かりました。  今度の発議者がお出しになった法案で、今のこれ、附則の二法制上の措置、四の公務員の政治的行為の制限に関する検討、五の憲法改正問題についての国民投票、私、この附則は極めて大事であるし、今のお話聞きましてぎりぎりのラインじゃないかなと、こんなふうに改めて思った次第であります。  さあ、あと時間が少なくなってまいりましたが、若干個別の論点にちょっと触れて終わりたいと思うんですけれども、急に出てきた想定外の項目がこの最低投票率。今までの、るる伺ってまいりました民主党の案にもなかったし、議事録読みますと、民主党さんの発議者自身がこれ否定的な見解を述べられておられたんで多分皆さんも安心しておられたと思うか、解決済みの問題だと思っておられたのが急に出てきたんでね。ただ、今度の委員会でこれ象徴的に取り上げられているんで、私もちょっと調べさしていただきました。  それで、一体、この最低投票率について国民の八割が必要としているというのがよく議員の中からも出るんですけど、一体その根拠は何だということでちょっと調べさせていただいたんですけど、アンケート調査というのは二つしかないんですね、これ。四月十四日の朝日新聞と四月二十三日の毎日新聞の「日本のスイッチ」というところなんですね。  これ、朝日新聞の世論調査をこれ見せていただきましたが、これ、内閣の支持率、首相がだれ、支持率からどの政党が出るかということに続いて、二問、憲法について出てきまして、最初は、憲法改正国民投票手続を今回、今国会に成立させることは反対ですか賛成ですかと言って、次に、直ちに、衆議院で可決された国民投票法案では、有効投票の過半数賛成があれば、投票率の高い低いにかかわりなく憲法改正が成立します、憲法改正が成立するためには投票率が一定の水準を上回る必要があると思いますかという、こういう設問なんですね。必要がある、その必要がないの二者択一があって、ここで七九%が出たということで、この八割の国民最低投票率が必要だということで、朝日新聞は見出しをどんと作ったんですけれども。  よく考えると、これは極めて国民にとって分かりにくい実は設問じゃなかったろうかというふうに思います。やはり国民投票法案最低投票率というものを問うのであれば、国民投票法案の様々な持っている分野、そしてこの最低投票率というものを、先ほど衆議院与野党の中に入っていないということは、逆に言うと、船田議員もおっしゃっていたように投票率を上げる、ほかの広報とかいろんなもので投票率を上げることが基本ではないかとか。この最低投票率を定めた場合のデメリット、あるいはこれ、国会議員の衆参の三分の二の発議でもって国民投票は動き出すという、この三分の二の国会議員の同意、こういったもろもろの要素を併せて私は国民に問わないと、最低投票率だけ、高い方がいいですか、低い方がいい、あった方がいいですか、やるという答えが出るというので、ちょっと国民をミスリードするんではないかと、こんなふうに思っております。  それから、毎日新聞の世論調査というのは、この日本のスイッチというので、携帯電話で取るんですね。憲法改正国民投票、これ、いろんなのが毎週何か八項目ぐらいやるんですな、二番目に出てきて、憲法改正国民投票、低投票率なら無効でいいと書いて、思う、思わないという二者択一なんですね。憲法改正国民投票、低投票率なら無効でいいと思うというのが七四%、思わないというのが二六%なんですね。そして、ずっと来て八番目には、牛乳を温めてできる膜ってどちらかといえば好きか嫌いかとか、こんなことに併せて実は日本のスイッチというのを取られて、見出しは憲法改正、低投票率なら無効にと、国民は思っているということで、こういう記事がたくさん出ているわけですけれども。  こういった分野に対して、実はアンケートを取ったのが一つしかない。国民投票そのものに対してですよ。これはなかなか、国民投票制度というものに対して国民にPRしていくのは今の時代難しいと思うんですけれども、やっぱり世論がこうだと、アンケートがこうだということに関して、手はないのかという感じがするわけですが、ここら辺、国民投票制度に対するもの、国民に対する普及というか、そういうものに関しては何か思っておられることありますか。直接ではないかもしれませんが。
  19. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 今、佐藤委員の方から詳細に朝日新聞並びに毎日新聞が行った一連の世論調査、関連部分についてのお話ありました。  私どもも、全くその問題の設定、問い掛けの仕方というものが、特に朝日新聞の場合あのような形であったこと、先生先ほどおっしゃったように、やはりああいう問い掛けであると、結論的にはやはり低い投票率ではいけないという格好が八〇%出るのは当然であろうと。そういう意味で、やはりアンケートの問い掛けの仕方に大きな問題があった、そんなふうに思います。  今おっしゃったように、いかにして投票率を上げていくかという問題、そして国民投票法制の投票の在り方、こういった問題についてどういうふうに国民の皆さんに分かっていただく、そういう努力の仕方という部分でございますが、今日まで衆議院における一連の国民投票法制の審議をめぐっての議論、あるいはまた現在のこの参議院議論、こういった部分につきまして、今インターネットを通じて国民の皆さんにお知らせしているということはあるんですが、いかんせん、やはりまだ、私どもも自分のインターネットを使っての部分、有権者、地域の皆さんにどれだけ知っていただいているのかと聞くと、結構やはりまだまだ普及度が少ないという部分がありまして、そういう点ではまだ余り圧倒的な影響力というか、我々が望むような結果が出ていない、そういうこともありまして、もっといろんな角度で工夫をしていかなくちゃいけないなと、そんなふうに思っているところでございます。
  20. 佐藤昭郎

    佐藤昭郎君 時間がもうそろそろですので、最後にお願いですけれども、やはり参議院役割両院連携ということを考えて、ひとつ最終のゴール、目標共有するということはやはり国民投票法案を持つということである、情報共有して連携していくと。  そして、様々な各党からの議論が出てくると思うんですけれども、やはり政党政治、我々も党内の手続を踏んで自民党案というものを、与党案というのを了承し出してきた、それは民主党さんにおいても同じだろうと思います。その経緯をひとつ踏まえて、実りある議論をしっかりやって、最終的な国民投票、いい国民投票法案を作るということを目指してやりたいと思いますので、どうか発議者の皆さんも体に気を付けて頑張っていただきたい、このように思うわけであります。よろしくお願いいたします。  終わります。
  21. 山本順三

    ○山本順三君 自民党の山本順三でございます。  国民投票法案に関連してのこのような質疑をさせていただくことを大変光栄に存じておるところであります。また、先ほど佐藤議員からもお話ありましたが、連日の審議の中、発議者の皆さん方、本当に丁寧に、また内容の濃い答弁をいただいておりますことを心から敬意を表したいと、このように思う次第であります。  さて、四月の二十五日の日に、御案内のとおり日本国憲法施行六十周年の記念式が執り行われました。ハンカチの木という木が植樹をされました。このときに三権の長が集まって、そして日本国憲法の今日まで果たしてきた役割等々についての評価を高くされておったことを私どもも印象深く伺ったわけでありますけれども、ちょうどその前日でありますが、自民党主催によりまして、九段会館におきまして、新憲法制定推進の集いというのも行われました。そして、安倍総裁を始め自民党のお歴々から、憲法改正に向けてのあるべき姿とでも言いましょうか、あるいは国家観とでも言いましょうか、そういった議論がなされたわけであります。  安倍総理も、党首討論等々でもお話がございますし、その場でもお話をされておりましたけれども、何といっても、占領下で英文で起草された、そういう憲法から自主憲法へというのは私どもの言わば願いでもありましょうし、一方で、時代の新しい展開に向けて新たな価値観というものを憲法に植え付けていかなければならない。例えば環境権であるとかプライバシー権であるとか、そういったものを憲法に新たに加えていくということも非常に重要な観点でもあろうし、また一方、現状にそぐわない条項、例えば憲法九条二項であったり、あるいは憲法八十九条であったり、そういった文言についても、これまた条文の修正というものもしていかなければならない。  いずれにしても、これから新しい時代、還暦を迎えた日本国でありますけれども、新しい国の形をつくっていくための憲法というものを我々は、これ自信を持って作り上げていく、そういう気概を持たなければならないということを私は個人的にその会合に出て改めて感じたようなところであります。  そうなってまいりますと、やはり憲法九十六条に国民投票の話が出ておりながらにして国民投票法案というものが審議されてこなかったということは極めて残念でありますけれども、これ、衆議院あるいは参議院において憲法調査会ができ、そして先般、衆議院において憲法調査特別委員会法案が通過して本会議でも通過をいたしまして参議院に送られてきた、こういうふうな経緯があるわけでございます。  そこで、もうこれ審議もかなり煮詰まってきておるように私は思っておるわけでありますけれども、その中で、参考人質疑、あるいはまた地方公聴会というのを行ったわけでありますけれども、そのときに出た議論、この委員会で出ている議論と同じような議論も出ておりますし、また新たな観点からの議論も出ておりますけれども、そこで起こった議論をベースにしながら、若干の重複を避けることなくお伺いしたい、このように思いますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  まず、国民投票法案制定の意義なんですけれども、実はこんな意見がありました。憲法九十六条に国民投票規定があるにもかかわらず、国民投票法制定がなされず、具体的ルールが憲法施行後六十年間、一切なかったことは立法不作為による憲法違反であるとの主張がなされているけれども、しかしこのような手続法は憲法改正発議がなされるときに存在すればよく、現実問題としてこの手続法がなかったからといって国民に何の不利益が生じたわけでもないとか、あるいは同様の意見でありますけれども国民投票法案制定が長期間にわたって放置されたのは、現行憲法に対する国民の支持が圧倒的に強く、憲法改正の具体的な前提となる国民投票法案を論じたり提案することすらできなかったということであって、立法不作為による違憲を論じるのは的外れであると、こういう意見が出てまいりました。  私は、この意見というのは憲法というものを、冒頭申し上げましたけれども、真正面からとらえてない、そういう視点で語られたのではないだろうかとつくづくと感じますけれども、是非、質問を始めるに当たりまして、この六十年間、九十六条に明文化されておる国民投票法案というものが制定されなかった理由、そして今制定の必要性、これのことについて発議者としてどういうふうにお考えか、改めてお聞かせ願いたいと思います。
  22. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 山本先生指摘のとおり、やはりこの憲法改正手続というものは憲法典に基本的な不可欠な附属法典。どんな立派な憲法であっても、必ず時代の変遷によって、変化によって、その規範性を維持しようとすれば改正を余儀なくされるものであると、人間がつくるもので完璧なものはないと同じように、憲法もまた同じように、社会が変わり、また憲法制定の背景になったいろんな状況が変わる、こういったことがあれば必ず改正ということが起こってくる、そのために憲法典は改正条項を本来その性質上当然持つべきものであると、これはアメリカの大統領であった第三代ジェファーソンがそういう趣旨のことをおっしゃっておられます。  そのように、この我が憲法においても、やはり九十六条はそういった当然の規定として設けられたし、また、当然そういった憲法の重要な附属法典、基本的な不可欠な法典として制定当時にこれは作っておくべきだったということだろうと思います。  しかし、先ほどイタリアの例とか幾つ憲法制定当時と、国民投票法手続法が遅れて成立された例も葉梨議員から説明がありましたとおり、戦後、自由民主党は、昭和三十年ですか、結党したときに、独立してまだ三年ぐらいしかたってないころで、いろいろ保守の対立というものも非常に激しいものがあったわけですが、とにかく独立国家としての体制を取ろうと、その一番基本は新憲法制定することであると、我が国国民によってこの憲法というものをしっかり持とうと、自主憲法制定という党是を掲げて、いろいろな対立を乗り越えて保守合同を果たしたと、そういう歴史もありまして、憲法改正並びにその手続法としての国民投票法制に対する努力というものはしようという動きが内閣の調査会ができたり、いろいろ党にもそういった検討の機関を設けるなどして努力はあったと思います。  しかし、政府の方も、国民投票法制について言えば、一時自治省が案を作ったけれども国会提出するに至らなかったという背景もあります。それが、イタリアの例にもあったように、戦後の冷戦の構造が与野党の対立を、非常に鋭く対立があって制定が遅れたというお話もありましたが、日本の場合もまた同じように与野党の対立、特に憲法改正発言をするだけで大臣の首が飛ぶ、国会が止まると、こういうことは私が五、六年前に法務大臣をやったときですらそういう状況でした。  このところ、憲法調査会両院に設けられ、これは自公民の超党派の議連の御努力で提案されて国会に設けられたものでございますが、そういう憲法調査会の長年にわたる調査、あるいはその結果を踏まえた議長報告、そして先生のおっしゃる衆議院における国民投票法制について立案、議決できる特別委員会の設置、参議院でも委員会が設置されるなど、本当にこの数年、この十年ぐらい、世界が変わる、そしてアジアの状況も変わる、我が国もバブルの崩壊を経て新しい、西洋に追い付き追い越せの明治以来の国是から新しい国家の目標、理念というものをグランドデザインとしてしっかり持って、新しい時代に、子や孫の時代をつくるために向かわなきゃならぬと。こういう大きな時代の転換期を迎えて、その国の形、姿を決める憲法法典というもの、これをしっかり時代に合うように、未来の国づくりの基本となるような基本法を、憲法を手にしなきゃならぬということがいろいろなところから起こってきた結果が今日のこういった憲法論議、あるいは国民投票法制制度議会における法案提出、審議ということにつながってまいったものと思います。  先生がおっしゃるように、かなり論点も議論し尽くして、そして民主党提案をしたその提案相違点もまたいろいろ整理をして、そうしていよいよ衆議院法案を上げて参議院に今かかっているところでございますので、一日も早くこの法案の成立を、参議院においても慎重に議論をしていただいて、十二分に議論していただいて、成立を図っていただければと期待する次第でございます。  本当に時代が移ってきて、今の憲法では規範性が非常に薄い、事実と憲法とがもう百八十度違ってしまっていると。こういう状況は一日も早く解決して、本当に国の姿、形をしっかり、国民の側から見て国家権力をこうあってほしいと、そしてそれが例えば平和愛好国日本の永久の道を決める憲法、この際きちっと決めようと、そのためにあらゆる議論を尽くして、そして世界が平和に、そして我が国もその中で平和になる憲法を作ろうということであれば、それに沿ったきちっとした議論をして、時代に合う、未来にふさわしい、日本の未来にふさわしい憲法制定すべきじゃないかと、そう考えているところでございます。
  23. 山本順三

    ○山本順三君 非常に丁重な答弁をいただきまして、ありがとうございました。  正に我々もこの憲法改正ということ、あるいはまたこの国民投票法制というもの、これをこの国会でこのような形で、タブーを憶することなくといいましょうか、今まではそれがタブーだったように思うんですけれども、真正面から議論ができるという喜びに浸っておるわけでありますけれども。  そのときに一番の重要なポイントというのは、やはり今回のこの特別委員会でも一番の大きなポイントになりましたけれども、しっかりとした慎重な審議をしていくと。もちろんこれは、慎重というのは時間を掛けるだけというのではなくて、中身の濃い慎重審議をしっかりしていくというところ、これが一つのキーワードに相なるのだろうと、このように思っておりますし、この委員会のスタートのときには、慎重審議をするということを議題としてかなり時間を割いた議論がなされたやに思うわけであります。そういうことが参考人あるいは公述人にも伝わったのでありましょう。こんな意見もございました。  今般の国民投票法案衆議院における審議、議決の過程は余りにも政治日程を優先し、法案の重要性とはいかにも不釣合いな拙速な法案審議であった、あるいはまた、衆議院における公聴会の開催については、案件通過のための形式的な手続一つにすぎず、公聴会で提起された問題点について真剣に受け止め十分審議することもなく採決に至ったことは憲法改正への道の障害となるであろうと、こういうふうな実は意見もありましたけれども、私ども、是非今のこの参議院特別委員会の審議の状況というものをそういった方々にはしかと目を見開いて見てもらい、聞いてもらい、そして是非判断をしてもらいたい。  少なくとも、良識の府あるいは再考の府としての参議院にふさわしい今現在質疑与野党合わせてずっと行われてきたなということを私ども席に座っておりましてつくづくと感じましたし、本質論の議論もあれば細かい法律論もあり、私どもそういった意味では非常に内容の濃い審議が進んでいるものと、このように受け止めております。  加えて、先ほども申し上げました参考人質疑であり、あるいは地方公聴会であり、関谷委員長の下にまた改めて参考人質疑もやろう、そしてまた地方公聴会もやろう、こういうふうな動きになってきたわけでありまして、この慎重審議ということに対して私ども大変胸を張れるんではないだろうか、このようにすら思うわけでございますけれども、そういったことに対して発議者の皆さん方の参議院でのこの質疑についての御感想、さらには慎重審議に向け、あるいは、かつ迅速な審議に向けた今後の決意も併せてお聞かせをいただければ有り難いと思います。
  24. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 最初はどうなることかと随分心配したのでございますけれども、その後、与野党とも熱心に御議論をいただいていて、鋭くいろんな問題点を浮き彫りにして議論をさせていただいていて、我々もいろいろ勉強させられる点も多く、是非この議論をいい成果に、最終的な結論に結び付けていただければと存ずる次第でございます。
  25. 山本順三

    ○山本順三君 それでは、内容について若干触れさせていただきたいと思いますけれども、まず憲法審査会のことについてお伺いをしたいと思います。  この憲法審査会においても、これまたこのような意見が出されておりました。硬性憲法である現憲法の趣旨から、憲法改正を恒常的に検討する機関として憲法審査会を常設すること、それ自体憲法違反の疑いがある、問題ではないかというような意見、それと逆に、いやいや憲法改正について専門的に審議する機関を置くことこそが憲法の趣旨を生かすことにつながるんだと、こういうふうな両論が出てきたわけでありますけれども、まず最初に、このことについて発議者の基本的認識をお示しいただきたいと思います。
  26. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 憲法審査会設置に関する基本的な認識ということでございますが、私もここで何回か発言をさせていただきましたけれども、この憲法審査会は二段階があると。  まず第一段階は、三年間、要するに現行憲法、一九四六年憲法につきまして及びその関連する基本法制についてしっかり調査をするというのがまず第一段階。それを踏まえた後、現実に憲法改正原案及び憲法改正手続法、こういったものを審査するための、現実にまず調査をし、その後に憲法の具体的な改正原案というものが出てきた場合に対する審査をする、このようになっております。  したがって、一部の皆さんから、この手続法が成立をして、憲法審査会ができて、立ち所に憲法改正原案なるものが出てきて、それに一気に進んでいくというのは少し早とちり過ぎる。  実は、ここに四人座っていますけれども、私が御承知のように政党が違うわけでございまして、与党の中で自由民主党と公明党が共同でこの法案提案している。公明党の、ちょっと踏み込んで言わしていただきますと、憲法に対する考え方というのは自由民主党とかなり違う部分がございます。個別具体にどの条文をどうするかといった場合に、私ども改正しなくてもいいと、法律対応できるというふうな部分が随分たくさんあります。そういったことも踏まえて、憲法審査会の前段階というか第一段階で、調査という段階できっちりと議論をしていこう、こういうふうに言っているわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、憲法審査会という、先ほど私が申し上げました第一段階における議論というのが極めて重要な役割を果たす、そんなふうに思っているところでございます。    〔委員長退席、理事岡田直樹君着席〕
  27. 山本順三

    ○山本順三君 そういたしましたら、三年間凍結期間があるというようなことでありますけれども、実はこんな質問をしようと思っていたんです。その三年間の間に具体的にどういうふうなことを憲法審査会でやるのかというようなお話もちょっとしようと思ったんですが、基本的には先ほど、確認になりますけれども、お話がございました、日本国憲法の中身の精査をまずはしていくんだ、そこから憲法審査会始まるんだということで、もう一度確認さしてもらいたいんですけど、よろしゅうございますか。
  28. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) といいますのは、今日、この衆参両院特別委員会が行われて、憲法改正手続のための国民投票法制議論を今しているわけですけれども憲法そのものについて改正するや否や、しなくていいのかどうかという議論を超党派で各政党乗り越えて公開の場で議論をするということは、今まで行われていないわけでございます。それぞれの衆参両院での憲法調査会議論というのは、改正を前提としない議論でございました。  今回、その結果、多くの部分で変えた方がいいという意見があったというものを踏まえた上で、じゃ具体的にどうするのかというのを公開の場で各政党がそれぞれの考え方を持ち寄ってしっかり議論をする、こういうことでございます。
  29. 山本順三

    ○山本順三君 そういたしましたら、憲法審査会の在り方について少し中身突っ込んでお伺いをさしていただきたいと思いますけれども。  今ほど公開というお話されました。実はこれを確認しようと思ったんですけれども憲法調査会の方は公開を原則として今まで衆参共々にやってまいったわけでありますけれども、この憲法審査会でどうなるのかということをもう一回確認したいことと、それからその運営について、ちょっと細かい話になって恐縮なんですけれども、これは規程で定めるということではありますけれども、例えば定足数であるとか議決の要件の骨格とか公聴会の義務化等々、あらかじめ規定しておかなければならない問題もたくさんあるんではないだろうかと。それに加えて、できるだけ国民の声を積極的に聴き、そしてそれが反映できるような仕組みというものもこれは是非工夫もしてもらいたいと思いますけれども、そういったことについての案があるかどうかも含めてお聞かせ願いたいと思います。
  30. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) お答えします。  今御指摘いただいた公開の原則につきましては、現在の憲法調査会規程におきましても、会議は公開を原則とする、衆参両方ともに憲法調査会規程第二十二条にそのような規定がございますが、基本的にはこれを踏襲しまして、憲法審査会規程、仮称でございますけれども、これで会議の公開原則というものが決められると、こんなふうに判断しているところでございます。  あわせて、今、細かい規定等につきましてどうするか。これ、先ほど申し上げましたように、憲法審査会での議論というのは非常に重要な場になるということを申し上げましたけれども、重要な場になるがゆえに衆参両方しっかり、先ほど佐藤委員からもありましたけれども連携を取って、しっかりと目標共有して、情報共有してしっかり進めていくという原則にのっとって、具体的なことは憲法審査会の場で、一番最初段階で決められていくことだろう、そんなふうに思います。  また、国民の声を大いに反映させるべしということについては公聴会開催義務付けということを考えておりますけれども、同時に、これもなかなか、附則に入れられているテーマでありまして、具体的にはこれから細かいことは実際に憲法審査会の場で議論をする対象になりますけれども予備的国民投票なるものがどのようにできるかどうか、なかなか難しい側面もありますけれども、そういった場面を通じて、国民の皆さんの憲法をめぐっての基本的な物の考え方、方向性というものを察知できるということが可能であるならばそういった部分にも手を付けていきたいと、そんなふうに今考えているところでございます。
  31. 山本順三

    ○山本順三君 憲法審査会と同時に、これ合同審査会が置けるということでありまして、この合同審査会の運営については、これ両議院の議決により定めることというふうにされておりますけれども、この議決において、両院は当然対等の立場にあるということでありましょうが、まずその点、確認をさせてください。
  32. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 今おっしゃいましたとおり、衆参両院同等、平等の立場でございます。
  33. 山本順三

    ○山本順三君 それで、実はこういうふうな意見がございました。  衆参両院の合同審査会を開いて調整を図ろうとすることは、憲法改正について各議院の独立性を尊重しようとする憲法の趣旨に反することになるというようなお話が出たり、あるいは合同審査会は勧告機能を持つということから、事実上、衆議院の意思を本会議の議決前に参議院に強制することになり、二院制の趣旨を損なうのではないかと、こんな意見も実は出てきたわけでありまして、そのことについて発議者の見解を改めて求めたいと思います。
  34. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 今、山本先生が地方公聴会の場における議論、出てきた議論を御紹介いただきましたけれども、我々は、あらかじめ両院憲法審査会が共通の土俵の上で憲法改正原案に関して議論ができるようにするためということで、その成果を実効的に各議院の憲法審査会に反映をできるように勧告の仕組みを設けたということでございますので、決して各院の独立性を損なうというふうなことではなくて、先ほどもお話がありましたように、両院がしっかり連携を取り合いながらお互いの特質を生かして、そうして議論をしていくということを実行できるものであると、そんなふうに考えているところでございます。
  35. 山本順三

    ○山本順三君 そこで、この合同審査会というのが非常に重要な役割を果たすであろうと私どもも思っておるところでありますけれども、いわゆる二院制で、先議、後議の単純な逐次審議方式には無理があるのではないかという意見もあったんです。  それはどういうことかといいますと、例えばこんな事態が想起されると思うんですけれども憲法改正案という最重要法案提出された院では憲法審査会の内外で極めて活発な議論が行われるであろうけれども、もう一方の院では、これは議案の送付を待っている審査会が言わば沈黙をしている状態になってしまう、実に奇妙な状況になってしまう、こういうふうな意見がございました。  合同審査の前の話でありますけれども、この意見に対しまして、審査方式というのが一体どうあるべきなのか、そのことについてどうお考えかをお示しください。
  36. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 今御指摘の、合同審査会における審査方式はどうあるべきかということでございますが、今おっしゃったように、確かに先議、後議、今の衆参両院、日本の国会における様々な法案の審議のありようというのは、参議院先議であったり衆議院先議であったりというような格好で、どちらか片方が先にやって、その後もう一方の院が後議する、後で議論をする、こういう仕組みが一つと、もう一つは、あらかじめこの憲法審査会の合同審査会で両院の共通認識を固めた上で、先ほども申し上げましたけれども、どちらかの院に提出される両院合同調査型、こういう先議、後議とそれから両院合同調査型の二通りの方式が考えられるわけですけれども、私ども発議者としましては後者の方式、先議、後議ではなくて、あらかじめ共通の認識を固めた上でどちらかの院に提出して議論をしていくと、こういう連携をしっかり取って進めていくというパターンが望ましいと考えております。  この問題は、先ほど申し上げました第一段階と第二段階、つまり三年間のいわゆるこの憲法、今の憲法をどういうふうに見ていくのかという、すべての政党の枠を乗り越えた形での議論という場面で、はやその問題が出てこようかと思います。そういった部分では、各議院の憲法審査会、一番最初にこの法案成立した後の憲法審査会でいかようにやるのかという議論が進められていくと思いますけれども、まずは、先ほど申し上げました第一段階の部分でどう進めていくのかということになろうか、そんなふうに思います。
  37. 山本順三

    ○山本順三君 今ほどのお話で、合同審査会がどういうタイミングで開かれるのだろうかということに対してのお答えをほぼちょうだいしたのではないかと、このように思うわけでありますけれども、正に私も、先議、後議の中で、先ほど御紹介したような意見が、正に奇妙な状況になるということについては非常に危惧をしているところでありまして、そういった意味におきましては、この合同審査会において前段、後段が、第二段階があろうかと思いますけれども、第二段階において大変な議論とか調整作業をする中でということになりましょうけれども、実質的な内容あるいは法案の作成というのはこの段階で大体形が作られるのかな、こういうふうにすら思うわけでございます。是非そんな形でこの審査が進むようにお願いを申し上げたい、これは要望をしておきたいと思います。  それから、発議の仕方でありますけれども、これについてもこんな意見がございました。国会発議は関連する事項ごとに区分して発議することになっていると。ただし、項目ごとの定め方を法案成立前にきちんと決めておくべきである。例えば、自衛軍の創設の規定と海外派兵を認める規定が関連するのか否かとか、あるいは自衛軍の創設と軍事裁判所の創設が関連するのか否かなど、非常に微妙な組合せというのが恐らく多数出てくるであろうし、法案成立前にこのことについてはしっかりと議論すべきであると、こういうふうな意見もございました。  私どもも、項目ごとにということについて当初若干の違和感がございました。御案内のとおり、我が自民党においても新しい憲法草案を作りましたけれども、これを項目ごとに国民投票にかけていくということになってきた場合に、その新しい憲法のいわゆる整合性というのをどういうふうに取っていくのかということについて、若干の法体系の整合性の確保という面で問題が出てくるんじゃないだろうかという実は心配もしておるわけでございますけれども、その関連する共通項目というのはどういうふうにしていくのかということについての議論が何らかの形で当然なされておると思いますけれども、どんな議論がなされたか、ここで若干でもお示しいただければ有り難いと思います。
  38. 船田元

    衆議院議員船田元君) 山本議員にお答えいたします。  今の発議の仕方ということについても衆議院段階相当議論を深めたなというふうに認識しております。私どもは、やっぱり憲法改正あるいはその原案を提示する、そして国民の皆様に御判断をいただくときに、原則というのはやはり個別の憲法、政策ごとに民意を問うという要請があると思っております。しかし、一方では、今御指摘いただいたように、相互に矛盾のない憲法体系にしていかなければいけない、つまり虫食いというような状況が起こらないようにしなきゃいけないと、二つの要請があると思っております。  その二つの要請を同時に満たすというのがこれなかなか難しいことでありますが、私どもとしては、これを文章に表すのであれば、内容において関連する事項ごとに区分して行うということを条文に原則として明記をさせていただいたわけでございます。したがって、例えば第九条の改正と環境権の創設という全く別個の事項ですね、これ一つにまとめまして、いわゆる抱き合わせという形にして一括して国民投票に付すということは、これは国民の皆様の判断が非常に分かれるというか非常に迷ってしまうと、こういうような設問というのは、これは避けるべきであるというふうに思っております。  それから、先ほどお話をいただいた自衛軍の創設とそれから海外における活動というものを、これを一緒にするのかしないのか、あるいは自衛軍と軍事裁判所、これを一緒に問うのかどうか、こういった議論は今申し上げたような最初の例から見るとちょっと難しい問題だなと、更に難しい問題だなというふうに考えております。  私見というものは持っているつもりでございますが、しかし、ここでこれを述べることは後々の様々な検討に影響を与えてはいけないと思いますので、そこは申し述べるつもりはございませんが、いずれにしましても、やはりどの項目とどの項目を関連あるものとして一緒に問うのか、あるいは似たような内容であっても、これやはり一つ一つ国民に丁寧に聴くべきではないかと、こういった切り分け、そういうことについてはやはり今後設置をされます憲法審査会において私は各党の皆さんで知恵を出し合って、そして決めていくべき問題であると、基本的にはそのように感じております。  是非そういうことで、現状においては内容において関連する事項ごとに区分して行うと、こういう大原則を決めて、そしてあとは審査会における議論を経ながらより良き設問の仕方を考えていくべきというふうに思っております。
  39. 山本順三

    ○山本順三君 それでは国民投票法制についての中身について何点かお伺いしたいと思いますが、最低投票率の話につきましてはこの委員会で一番議論されたところではないかな、このように思います。公聴会においても、最低投票率規定すべきであるという意見と、いや、そうではないと、ボイコット運動等々につながってしまうと、両方の意見が出てまいりました。  実は私も、この案件、与党の案とそれから民主党提出された案と共々にこの最低投票率規定等々についての言及はなかったように聞いておりますし、今急にここに出てきたのは、やはり朝日新聞等々、世論調査の結果そういう話が一挙にわき出てきたような感じがいたしました。そういったことについて若干違和感を持っておりましたんで、ここで質問しようと思ったんですが、ちょっと佐藤議員の方からその話がしっかり出ましたので、このことについてはもう触れることはやめさせていただいて次の論点に移りたいと、このように思います。  投票権者範囲の問題であります。このことについても与党修正案民主党修正案との間に経過措置を規定しているということ以外での大きな相違はなかったやに思います。おおむね十八歳以上の日本国民としていいではないかと、こういうことであったように思います。  ただ、一つだけ私違和感を覚えるといいますならば、十八歳以上とした場合に、いわゆる現役の高校三年生ですけれども、この中で投票権のある人と投票権のない人が存在するというアンバランスができるわけでありますし、また、十八歳にするということは関連法案整備をしていく。少年法等々の改正が行われますと高校三年生に成年と少年が混在するというような事態にもなるわけでございますけれども、この辺が私ちょっと違和感を感じるわけでございますが、どういうふうに判断をされておるか、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 葉梨康弘

    衆議院議員葉梨康弘君) 確かに山本委員の御懸念もあろうかと思います。そういうこともありまして、必ず高校を卒業した方ということでサッカーくじは十九歳以上が買えるということになったわけなんですが、ただし高校というのは義務教育ではございませんで、そういうことでいえば、今の二十歳であったって、大学何年生かで二十歳と二十一歳、十九歳というのが混在しているわけです。また、十八歳であったにしても、二十歳の高校生というのもいないわけではないということでもございます。  したがいまして、諸外国の例等で十八歳という年齢を基準にして投票権を付与することとしているわけですけれども、現在の法律においても十八歳で、じゃ高校三年生でも免許を取れる人、取れない人というのも、運転免許も、おるわけでございますので、多少の違和感はあろうかと思いますけれども、十八歳であればしっかり投票権を付与することとして、精神的な成熟度があるというふうに考えておるところでございます。
  41. 山本順三

    ○山本順三君 さて、先ほど最低投票率と同じぐらい多分時間割かれたんだろうと思いますけれども規制の在り方等々についての議論がたくさんありました。  まず、私、メディア規制の在り方について何点か質問させていただきたいと、このように思います。  これも意見が二つに分かれておりました。投票日十四日前からのテレビ、ラジオによる広告放送の全面禁止というのは、表現の自由の観点から認めることはできないと。ただし、資金力による格差が生じることのないように、賛成反対、両者が平等に広告できるようなルールを作るべきであると、こういう意見陳述がなされました。  また、一方では、表現の自由の重要性はこれは認めるものの、テレビ、ラジオ広告が理性ではなく情緒に訴えがちであると。そして、短時間繰り返し広告が流されることにより、言葉は変ですけれども、洗脳される危険性がある、また、莫大な費用が掛かるというようなことから、一律禁止すべきである、こういうふうに正反対意見が出ておったようであります。  まず最初にお伺いいたしますけれども、投票日十四日前から禁止された理由というものをいま一度お聞かせ願いたいのと、十四日前という、その十四日の根拠について改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今、山本委員御指摘のように、テレビ、ラジオ、特にテレビでございますが、時として、やはりCM、いろいろなCM、今でもございますけれども国民の感情に訴える、あるいは扇情的というのはちょっと言葉が適切かどうか分かりませんが、そういうものになる可能性があるわけでございます。そういう放送メディアにおける有料の広告、いわゆるスポットCMについては、国民が放送メディアの影響から離れて冷静に判断するための言わば冷却期間がやっぱり必要であろうということで、投票日前の一定期間禁止することが望ましい、これは諸外国の例にもございます。  そこで、一方では、一定期間禁止とはいいましても、これ全面禁止ということになりますと、広告主の表現の自由というものをこれはやはり尊重しなければいけないということで、全面禁止はいかがなものかというふうに思っております。しかし、また他方では、財力といいますか財政力の差というものによりまして、やはり一杯CMを買えるところと買えないところ、そういうものが出てきます。不平等が生じるおそれがあるということも勘案をいたしまして、それらの一定期間というものもある程度あった方がよいということでございました。  そこで、私どもとしては、期日前投票が始まる期間、つまり投票日の十四日前というのを一つの基準といたしまして、そこから以後は投票日当日に至るまでスポットCMを禁止ということにいたしまして、それ以前は自由であると、このように制度設計をさせていただきました。  また、二週間では短いという方も相当おられると思っておりますけれども、このスポットCMにつきましては、早い段階からやるというのはどうなんだろうか。実際の問題としては、やはり投票日が近づくに従ってその頻度が増す、あるいは内容的にもより過激になるということがこれまでの例としてありますので、そういう意味では、二週間の禁止というのは単なる二週間ではなくて、投票日前の、CMの競争が激化するその二週間を禁止するということの意味は大変大きいというふうに理解をしております。そういう意味での二週間ということを決めさせていただいたわけであります。
  43. 山本順三

    ○山本順三君 こんな意見もありました。ここでも議論されたのかも分かりませんけれども、いわゆる投票となってくると、期日前投票というのが行われると。そうなってくると、期日前投票がスタートする二週間前となってくると、これは四週間前ということに相なるのかも分かりませんけれども、そのときから冷却期間を置くべきではないだろうかと、こういうふうなお話がありましたが、このことについての御見解をお聞かせください。
  44. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  確かに、期日前投票ということで二週間置いてあります。ですから、ちょうどそのときがCMが禁止になるときということでありますので、人によりましては、本当に二週間前、もうすぐに投票される、そういう方は、その前の日にスポットCMをごらんになってそれですぐ投票すると、こういうケースがあると思っております。  しかし、私どもとしては、あくまでやはり本来的な投票日、そこから逆算をして二週間と、こういったことで制度設計をすることが望ましいのではないかと、こう考えた次第でございます。また、一か月ということになりますと、やはり先ほど申し上げたような広告主のいわゆる表現の自由の尊重という点から、ややこれは長いのではないかということ、そして、先ほども申し上げましたが、投票日が近づけば近づくほどそのCMの頻度が増す、あるいは内容的にも更に強いものが出てくると、こういうことでありますので、二週間というので決めることが適切であると、御意見としては承っておきますが、私どもはそういう制度設計でいきたいと思っております。
  45. 山本順三

    ○山本順三君 実は私は、二週間前から完全にその有料広告を禁止するということは内心いかがなものかなという気もするんですね。というのはどういうことかというと、正に国会発議をして、国民の間で議論が本格化していく、本格化していくといいながら、なかなかこれ、国民投票法案の中で憲法改正も含めていろんな議論がなされていくわけでありますけれども、それが国民の皆さんに周知徹底するというのはなかなか難しい。我々もふだん選挙やりましても、自分たちのマニフェストなり、あるいは考え方というものを大勢の皆さん方に浸透するべく努力をするんですが、なかなかそれが現実には難しいという実態があろうかと思うんです。  したがって、一般の国民の皆さん方が各政党等の憲法改正に関する生の主張というものに接する機会が無料広告にのみ限定されてしまうということは、実は一見公平に見えるけれども国民があらゆる角度から提供される多様な情報の中で主体的に理解したり判断することが大切であるという、そういう視点が忘れられてしまうんじゃないかなという実は不安を私は個人的には持っておるんですけれども、その点についてもう一度お伺いさせていただきたいと思います。
  46. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  確かに、有料広告で、電波メディアですね、テレビ、ラジオは二週間禁止されることとなりますが、一方で無料広告、テレビ、ラジオであっても無料広告は、これは投票日まで行われるということになります。また、この無料広告につきましては、中立的に国民の皆様にお伝えをする部分、それから、賛成意見反対意見というのを、これを平等に取り扱うということでございますので、先ほど申し上げたような有料広告の弊害というのは、これは取り除かれているというふうに思うべきだろうと思っております。  それから、そういう禁止が行われると、その無料広告のみになってしまって、非常に知る権利であり、また国民に対する周知徹底が難しくなるんではないかと、こういうお話でございますが、これについては、例えばテレビ、ラジオにおける一般的な報道、あるいは憲法の問題についての討論番組というものは、多分これは相当多くの数が、番組が組まれて、そして議論が大変白熱するんではないかということは、当然これ想定されることでございます。これについての禁止はございませんので、そういう部分における国民の皆様への周知、あるいは活字メディアとしての新聞あるいは雑誌、こういったものについては、無料ももちろんでありますが、有料の広告についてもこれは規制なく投票日までやれると、こういうことでございますので、そういった多様なメディア、さらには最近ではインターネットもあるわけでございますので、様々なメディアを使うことによってこういった問題は解消できるものというふうに理解をしております。    〔理事岡田直樹君退席、委員長着席〕
  47. 山本順三

    ○山本順三君 ある程度理解をするものでありますけれども、ただ、有料広告放送というものを禁止しましても、今ほど言った無料の広告だけじゃなくて、例えば各政党のテレビCM、こういったものがどんどん流される、政治活動としてのテレビCMがどんどん流される、それに国民投票の関係の問題が入ってくる。  こういうふうなことが出てくる可能性があったら、いわゆるその規定の実効性というのが薄まってしまうんじゃないだろうかなということが一つ考えられるのと、今ほど船田議員の方からお話ございましたけれども、有料広告放送の規制もさることながら、一般報道、特に私ども心配するのは、討論番組はまあこれはこれでいいんでしょうけれども、バラエティー番組であるとか、特に朝のワイドショーであるとか、そういったところで有名人の意見というものがどんどん出されることによって国民がかなり大きな影響を受けるということも十分考えられるわけでありまして、そうなってまいりますと、これは報道機関で自主規制ということでしょうか、放送法の第三条の二第一項の規定、すなわち政治的公平に留意する、こういう確認の規定が置かれておるとは思いますけれども国民投票運動期間において、今ほどの様々な番組で公正中立を守るために言わば報道機関の自粛を求めるということであろうと思いますけれども、そういったことだけで果たして十分なんだろうかということを心配するわけでありますけれども、その点についてお聞かせをいただきたいのと、それから、私の場合には、恐らくなかなか自主規制というものを期待しにくいだろうという前提の下で、非常に重要な、憲法改正という重要な案件だけに、これできるならば公的な専門機関が監視に当たるべきじゃないだろうかと。  これ、聞くところによると、フランスのオーディオビジュアル委員会であるとかイタリアのアウトリタ等々の事例があるやにお伺いしておりますが、その紹介も併せて、その辺りの意見についての御所見をお伺いできればというふうに思います。
  48. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  メディア規制の在り方について更に御質問がございました。  今申し上げましたのは、国民投票運動を勧誘する、もちろん賛否いずれの場合もありますけれども、そういう広告については今申し上げましたように投票日前二週間禁止ということであります。しかし、憲法改正案に対する賛否の投票の勧誘に当たらない一般的な政治活動としてのテレビCM、こういったものまで規制するというのはこれはいかがなものかと思っておりまして、これは規制対象ではないということであります。規制をできるだけ少なくしようという観点から、そういうふうに切り分けをしているということであります。  それから、御心配いただいております報道番組、それからバラエティーショー、そういうところでこの憲法の問題があるいは面白おかしくとらえられたり、あるいは事実と違うものを報道されたりと、こういったことも場合によってはあるのかもしれません。ただ、そういうことにつきましては、今御指摘をいただいた放送法の規定を私ども確認事項ということで、新たにこのために設置をしたものではありませんで、現在行われている放送法の規定を、この国民投票運動においても、また国民投票の報道においてもこれは是非遵守をしていただきたい、こういう確認事項ということでこの放送法の規定を入れさせていただきました。  今おっしゃったような政治的な中立はもちろんでありますが、虚偽報道というのもこれもいけませんし、それからいわゆる意見の分かれる、そういう問題につきましてはできるだけ多様な意見を紹介をするよう努めることというのがこの放送法の中に書いてあります。  正に、そういう放送法の今申し上げたような趣旨を是非各報道機関が御理解をいただいて、そして、今までも遵守していただいていると思いますけれども、特にこの国民投票につきましても、憲法改正問題につきましても、是非そういうことを守っていただきたいということで私どもは書かせていただきました。  ただ、先生指摘のように、諸外国ではこの憲法改正に限らず国民投票の運動期間中にこれを規制するという、あるいはコントロールするという意味で公的な機関が設けられているということも承知はしております。一つフランス。オーディオビジュアル高等評議会、略してCSA、そういうところが一九八九年にコミュニケーションの自由に関する法律改正によって創設をされたということも伺っております。あるいは、イタリアにおきましても、これは民間放送を監視する情報通信の監督に関する独立行政委員会、大変複雑な名前ですが、略してアウトリタという名称の機関でございますが、これが一九九七年に創設をされているというふうに伺っております。  いずれも大変細かい制度設計をしているわけでございますけれども、果たして我が国としてそこまでやる必要があるかどうかということについては今後また状況を見ていかなければいけない。今この時点でそれを設けるということについては、これは少し慎重に議論をすべきではないかというふうに思っております。あくまで放送メディア、もちろん活字メディアも含めまして、規制というものについては、やはり放送事業者あるいは新聞社等々が自主的にそれぞれの分野におきましての第三者機関の倫理委員会、あるいはそれぞれの放送局や新聞社の中に置かれました倫理委員会、そういうところで自主的に規制をしていただくというのを大前提に考えていかなければいけないと思っております。もしそういうことがうまく歯止めが利かない、そういう状況が将来あり得るとすれば、それはまた改めての検討の対象になるだろうというふうに思っております。
  49. 山本順三

    ○山本順三君 私の持ち時間ももう大分近づいてまいりましたので質問を終わりたいと思うんですけれども、そこまでやるべきなのか。私は恐らくやらざるを得なくなるような状況になるんではないだろうかと非常に心配をいたしております。  是非そういった議論を更に深めていただきたいと思いますし、また、国民投票法案にしてもあるいは憲法改正議論にしても、やはり国会でどういうふうな議論が行われておるのか、それが国民の皆さん方にしっかり伝わって、そして結論を出すときの参考材料にならなければならない。そういった意味では、我々は慎重審議ということを冒頭申し上げましたけれども、しっかりと国民に伝わる議論をこの場でしていく。そして、大方の国民が今回の例えば国民投票法案というのはどういうものであるかということがあらかた分かるような、そういう論議をこれからも大いに深めていって、それを国民に知らしめる努力を我々はしていかなければならないと思っておりますので、是非また発議者の皆さん方、大変御苦労であろうかと思いますけれども、大いに御奮闘なさいますように心から御期待申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  50. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  私は、最初に、今日も議論をされましたけれども両院憲法審査会と合同審査会の在り方について、当委員会でもこれまでいろいろ議論をされているんですけれども、いまだにはっきりとしたイメージがつかめないんですね。  それで、今日の質問でも、山本委員の質問の中で、これまでの国会法にのっとってやるのか、それとも新たなことを考えて憲法改正の審議を進めていくのかという質問の中で、赤松委員が、両院合同調査会で議論を詰めていくというふうに答弁されましたですか、そういう方向だというふうに考えてよろしいですか。
  51. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 先ほどの先議、後議のスタイルと、それから両院で合同に調査をするスタイル、こういうふうに二つのパターンがあると。そして、私どもは、今様々な法案の審議が行われている先議、後議方式、そういう先議、後議パターンではなくて、まずは両院合同で調査を進めると、こういうパターンが望ましいと今考えていると、こんなふうに申し上げました。
  52. 澤雄二

    ○澤雄二君 この両院で合同で調査をするというのがよくイメージがわかないんですが、これはどういう位置付けになっているんですか。
  53. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 憲法審査会衆議院参議院にそれぞれ置かれますね。それで、その両方の院で共通の認識を持とうということで、例えば、先ほど申し上げました前段、後段、凍結される三年間、まずは現行憲法調査するというこの場面で例えば考えますと、これ私見でございますけれども、いろんな取組の仕方があろうかと思うんですが、一つは、逐条的にどういうふうにやるのかということについて、衆参両院でそれぞれどう進めていくのかという議論について、それぞれが勝手に思惑を持ってやるというのではなくて、両方が共通の認識を持つために憲法審査会の合同審査会を行うと。今申し上げた一つのパターンとしてはそういうやり方。  あるいはもう一つは、これまで憲法調査会で衆参それぞれ五年やってきた議論を踏まえて、多数を占めた意見というものが幾つか挙げられているわけですけれども、それを取りあえずというか、その多かったものから順次議論を詰めていくと。どういうふうな結論を出していくのかという、そういう角度で調査を進めていくという進め方において、衆参両方でどういうふうに役割分担をするのかとか、同じことを繰り返すというやり方もあるかもしれませんし、それぞれ分担をしてやるということもあろうかと思いますし、そういったことを合同でお互いに共通の認識を持つために議論をすると、そういう形であると認識をいたしております。
  54. 澤雄二

    ○澤雄二君 恐縮ですが、よく分からないですよね、よく分からないですよ。  今二つ言われました。一つは合同審査会と言われて、その後合同調査会ですか、憲法調査会、今衆参で憲法調査会ありますよね、合同調査会というのはないんだと思うんですけれども、それを新しい組織で考えられているのかどうか。その合同審査会というのと合同調査会の二通りを今、赤松委員言われましたが、合同審査会でやっていくというのを前段で言われて、後段で、これとは別にこれまで憲法調査会議論をしてきた主な──もう一回説明、じゃお願いします。
  55. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 憲法調査会というのは、過去にそれぞれ衆参両院にあった分ですね。この今議論をしております、この法によってスタートするのが憲法審査会衆議院憲法審査会参議院憲法審査会、この二つがあって、この二つが合同で、衆参両院で合同の憲法審査会を行う。そのときの考える、議論を進めていく素材として、材料として、過去に行った憲法調査会の中で出た様々な意見を参考にして、材料にして議論しますと、こう言ったわけでございます。
  56. 澤雄二

    ○澤雄二君 それでは、両院憲法合同調査会という話はないと思っていいですね。じゃ、その話はない。  今の話で一つ疑問なのは、その合同審査会がいつつくられて、両院憲法審査会で、そのときですよ、両院憲法審査会でまだ議論もする前に合同審査会で何を議論するのかということが一つ。  それからもう一つは、これまで両院憲法調査会というのは、先ほど赤松委員の答弁の中で言われていましたが、憲法改正を前提としない議論ですよね。だから、そこではいろんなことが逐条的に意見の交換はできると思うんです。でも、合同審査会というのは憲法改正を前提に議論を進めていきますから、普通の、通常的に考えると、これは自民党が出されるのか、与党で出すのか、与党民主党が一緒になって一つの案を出すのか、若しくはもう全党的にまとまった案を出すのかはともかくとして、つまり、ある種、改正原案みたいなものが提出されて、初めてそこで合同審査会でも議論になるんであって、これまでの憲法調査会みたいに憲法改正を前提にしていないから逐条的に議論できるのと、合同審査会というのは当然役割が違ってくると思うんですけれども。  今、赤松委員が言われたようなのは可能でしょうか。
  57. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 澤委員、私が、御理解していただくのにちょっとこんがらがらせた原因があるのは、まず、二段階に分かれている。要するに、法で言うところの凍結期間三年という段階議論と、それからそれを過ぎてからの議論、それは三年、直後になるか、あるいは少したってからかは別にしまして、二段階があるということで、まず前段の、この法が施行される、実質的にスタートするまでの三年間の間の議論というのは、先ほど申し上げましたように、過去に行われた、改正を前提としない、いろんな角度から議論したその結果、幾つかの点で、改正されるのが望ましいという意見が多数を占めたというテーマが幾つかあります。そういったものについて更に、本当に改正するに値するのか、いや、そうでなくても現行の法律対応できるものがあるのかどうかと、こういった議論をどう進めるのかということを私のイメージでは衆参合同の審査会でやって、振り分けて、それぞれの審査会に勧告をするというふうな格好になっていくと。こういうふうに進めていったらどうですか、こっちはどう、こうですよという形に合同審査会の場で決めたものをそれぞれに振り分けるというパターンもあろうかと思いますと、そういうことが一つであります。  それから、後半の、実際にそういう審議を経て、憲法審査会における三年間の議論を経て、それぞれの政党のそれぞれの意見を披瀝し合う、いろんな形になろうか、いろんなパターンがあろうかと思いますけれども、そういうものを踏まえ、経た上で、先ほど澤委員がおっしゃったように、いろんなスタイルがあろうかと思うんですけれども、現実に発議されるという格好で出てきたその法案をどう審議するのかというのがこの第二段階にやってくると。その法案の審議をめぐって、また衆参両院の合同憲法審査会の場で議論もしていくと、こういうふうに二つの種類があろうかと思うということを言ったわけでございます。
  58. 澤雄二

    ○澤雄二君 ますます混乱をしておるんですが、凍結期間中に合同審査会って設けられるんですか。そこで逐条ごとに議論なんかされるんでしょうか。それで、それを両院の審査会に振り分けるなんということが憲法改正手続の中で今考えられていますか。
  59. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先生も、一番基本として、お互い共通の認識で持っておる前提として、両院憲法改正において平等で、それぞれ独立に審議権がある。先議、後議、どちらが先議権を持っているということも決められていない。こういう状況の中で、最終的には両院が三分の二以上の多数で同じものを発議して国民提案するということになると、やはりそれぞれの院において憲法論議する土俵が一つ必要だと。  もう一つは、同じものを最終的に提案していくためには共通の土俵が必要だということでございます。そして、今、赤松先生が一生懸命説明されているのは、三年間の凍結期間というものは一体どういう性質のものであるかということで、これは憲法改正原案そのものを審査、審議することはしない期間として凍結という言葉が使われているが、さはさりながら、憲法調査会で、各院でやってきた調査、五年の結果を踏まえて、どういうことを改正事項にするか、その内容はどうするかということを議論していく、そこが両院でばらばらにされたんでは後々非常に不都合や摩擦も生じてくる、無用な。そういった意味両院で、この法律の公布即施行ということで、ここで、例えば今国会で成立すれば、次の国会両院にまずそれぞれの土俵がつくられて、そこで実は今後どういうふうにして憲法改正に向かうかといういろいろ議論をしたり、あるいはどういう事項を我が院としては調査事項にしていくか、それはおおむねどういう方向かということを議論する機関があってもいいと思うんですね、整理して。  今度、ある程度熟してきたら、今度は両院で合同審査会を設けて、そうしてそこで持ち寄ってそれを整理する、そしてまたある程度中間的な整理ができたらそれぞれの土俵に持ち帰ってまた議論を深めてみる、また持ち寄る、そういうふうなことを繰り返しながら、最終的に、三年間の間に、最も早ければ骨子案、あるいは要綱という性質のようなものが両院の努力で整理されることになる。それがそれぞれの段階で次のステップに進んでいくために、勧告という、法的拘束力はないけれども両院、それを尊重して議論を進めていくという制度が設けられておるということでございまして、この合同審査会というのは、それぞれにある土俵をうまく機能させて、そして、かつ両院が一致して発議できる、独立性も独自性も確保しながら両院で同じものを発議できることが適切にできるように設けられた仕組みと理解していただければと思う次第でございます。
  60. 澤雄二

    ○澤雄二君 三年間の凍結期間の在り方、その在り方の中に両院憲法審査会と合同審査会の役割が非常に重要であって、凍結期間ではあるけれども、凍結を解除されたときに両院ができれば一致した憲法改正原案みたいなものを、原案提案できるようにできればいいと、そういうことがスムーズにできるような仕組みが両院憲法審査会と合同審査会なんだと。ですから、法案の審査をするんではないと、凍結期間だから。  今までの憲法調査会の言わばある種延長みたいなもので逐条的にいろんな問題点をそこで話合いをしましょうと。それは両院別々でいいわけですね。で、そこで議論されているものが何かすごくそごがあるようなものが出てきた場合には合同審査会を開いて調整をしましょうと。それは勧告なのか助言なのか分からないけれども、どういうまとまり方をするか分からないけれども、もう一回それを両院憲法審査会に回しましょうと。その間は全部凍結期間中ですから法案の審査ではありませんよということですよね。できれば、凍結解除されたときに法案法案というんですか原案ですね、憲法改正原案両院提出できればいいと、そういう理解でよろしいですか。
  61. 葉梨康弘

    衆議院議員葉梨康弘君) 条文の話になりますんで、ちょっと私から。  この法律の附則の第四条でございます。第六章の規定による改正後の国会法の規定憲法改正原案については適用しないということで、それぞれの両院憲法審査会については、憲法改正原案、これはこの三年間全く適用されない、マンデートの中に含まれないということになります。  ですから、澤先生、全くおっしゃるとおりでございまして、三年間の間、両院憲法審査会においては憲法改正原案については議論をしないと。三年たちますと、憲法改正原案について、当然三年たってから憲法改正原案という話が出てきますから、両院で協議して両院の合同審査会を開くことができるということでございます。(発言する者あり)
  62. 澤雄二

    ○澤雄二君 済みません。それ、白先生質問のときにしてください。  済みません。私が誤解をしておりました。両院憲法審査会と合同審査会というのは三年後の役割だというふうに理解をしていましたので。分かりました。  それで、その三年後の役割でもすごく大事だと思うんですが、その場合に、通常の国会法の手続によるのかよらないのかって、これも大きな問題だと思うんですよ。憲法改正原案をどのように提案するかということですよね。  通常の法案ならば、例えば自公の与党案をまとめると、自公の中で。まとめたものを、普通なら衆議院提出をしますよね、普通の通常の国会法律手続では。参議院先議もあるけれども、普通は、多いのは衆議院提出をすると。衆議院提出をするということは衆議院憲法審査会議論をするということ、審議をするということですよね。で、それが、その憲法審査会での議決が二分の一なのか三分の二なのかというのはこれから決めますよということですね。まだ決まってないということですね。  審査会で議決されたものは本会議に上程をされて本会議採決にかけられる。本会議の採決はこれは三分の二ですよね、衆議院会議は三分の二ですね。通常の法案だと、これが参議院に送られるわけですよね。  参議院でも多分同じ手続にするんでしょうが、このときに参議院で疑義が唱えられたというときに、例えば両院の合同審査会にその疑義が諮られて、それで衆議院の結果と違う勧告、助言が行われて衆議院にもう一回戻されたときに、もう一回議決をやり直すのかというような問題だとか出てくるわけですよ。  ですから、この辺は一体どういう、両院の審査会と合同審査会の役割と議決の在り方について、これまでの国会法の手続に乗るのか乗らないのか、乗らないとしたらこういう新しい手続憲法改正をやるんですよというお考えがあるのかというのは、ちょっともしあれば。
  63. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 合同審査会の運営の仕方とかそういうものは、合同審査会自らいろいろ話し合って、その結果をルールとして合同審査会規程みたいなものを決めて運営していくと。その際、恐らく、両院対等でございますからどちらが先議してもいい仕組みに憲法上なっているわけですから、それをどちらが先議してどちらに提案するか。両方提案するということは、私、ないと思うんです。だから、どちらかが提案するという形を、そこで話し合う結果によるところに従うことになるんだろうと思います。  それから、三年間、これは調査ということになってますが、原案は審議できないということになってますが、熟度が高まっていけば、イメージとしては骨子案、要綱ぐらいまでは詰めてもいいという前提の調査という、我々は、提案者は理解しています。  ただ、それは両院の審査会というものがどの程度、合同審査会を開くにせよ、どこまで三年間で熟度のある議論ができ上がるかによるものであって、法的に三年過ぎれば、そのときまでに骨子案とか要綱を作らなければならないとかそういう趣旨ではありませんので、その三年経過した後は、その後すぐに原案提出できればすればいいし、できなければずっと議論が進んでいく。特に、先生言われる条文の議論ということになりますと原案が出ているという前提のお話ですので、それは三年後の話と。  その三年後も、やっぱり調査期間に合同審査会を設けて、共通の土俵で両方の共通の認識を整理しながら進んでいくように、法案が出た後の審議も、必要に応じて合同審査会を開いて、またいろいろ両院議論の結果を踏まえた成果をそこで整理するということを、将来の三分の二の発議案を作る上で、そういう必要があればすることになるだろうという想定で提案しています。
  64. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) ちょっとまとめて発言させていただきます。少しニュアンスが違って受け取られていると思います。  まず、三年間は改正の是非、その項目の抽出が中心であります、あくまで。このための合同審査会でございますので、三年たってすぐに改正原案の審査ということは考えられないわけでありまして、今、保岡議員が言われたのは、論理的にはそういう可能性が否定できないですけれども、第一義的には最初の三年間ではいわゆる憲法改正原案なるものが出てくる可能性はありません。(発言する者あり)
  65. 澤雄二

    ○澤雄二君 済みません。私の質問の時間なので。  分かりました。私ももう少し勉強させていただこうというふうに思いますが。  今日、質問に立つ前に議運の委員部にちょっと伺いました。何を聞いたかというと、衆参全く同じ法律案を同時に出すことができるのかと伺ったんですよ。御存じですか、できるんです。百六十国会で実は民主党が出されています。同時に出したものをそれぞれの本会議で議決して衆参に回すと、これ両方駄目になっちゃうんです。なぜかというと、これ一事不再議なんです。だから、衆参同時に出して、それぞれの本会議を三分の二で議決、同じものですよ、同じものにするために途中で合同審査会というのがあるんだと。それで、そこで議論をして同じものを衆参の本会議で議決すると。これでオッケーよと、回さなくていいよというようなことがもしできれば、何か一番分かりやすい審査、両院の審査会でそれぞれ審査していながら、そごが出た場合には合同審査会に持ってきて、また両院に持っていって、同じ法案をですよ、それぞれの本会議で三分の二で議決をするというようなことができれば一番分かりやすいなと。そうじゃなければ、僕がその質問の途中で申し上げたように、非常に複雑なことになってきて、一体どうやってこの法案の審議するんだということになってきますので、その辺はちょっとお考えいただきたいなというふうに思います。  それから次に、ちょっと具体的な話に入りますけれども、投票方法について、この間、中島委員が……
  66. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 澤先生、ちょっといいですか。  新しいテーマに移られる前に、先ほど答弁しました中で、両院で同時に提案できないようなことを私申し上げましたが、それは事実上そういうことはないだろうし、恐らく合同審査会でそういうことは整理されて運営がなされるものだろうという前提でお話ししまして、法的には、今法制局に確認をしたら、両方同時に提案して、先に送った方が先議の機関になって、そこで議決されればそれが成案になるんだそうでございます。
  67. 澤雄二

    ○澤雄二君 そうなんです。だから、先に送られた方は一事不再議ですから、その前に自分のところで審議していた法案は、もうそれで審議できなくなっちゃうんですよねというのがあるので、これは両院が公平だということにはそうなるとなってこなくなってしまうので、それはちょっと困るなというふうに思っています。  ですから、具体的にどうすれば両院が本当に平等に審議ができるのかという方法については、ちょっと知恵を出していただきたいなというふうに思いますが。  次の質問に移りますが、この間、中島先生がチェックですよね、要するに欧米では賛成反対意見のときにいろんなアンケート用紙にチェックで印をします。そのチェックをするときには、これはイエスの意思表示なんですよね。ですから、日本も非常に国際的になっていますから、賛成反対、それぞれにチェックが出たときには、これはそれぞれ賛成反対の票に認めるというような方向で検討していただきたいなというのが一つ。これ中島先生言われておりましたので、もうこれ以上聞きませんが。  もう一つ、白票の扱いであります。白票というのは、何というんですか、単なる無効票ではないと思うんです。つまり、投票所まで行くわけですよね。それで反対賛成かという意思表示が自分にはまだできないというようなことの意思表示の表れだと。ですから、非常に積極的な意味があると、白票にはね。それでボイコットでももちろんありません、投票に行くわけですから、投票行動もするわけですから。  ですから、無効票は無効票で間違いないんですが、その無効票の中に白票は何票だったかという数字を発表されるのはどうだろうかと。つまり、できるだけ投票率を上げる。それからできるだけ無効票を少なくする。白票は無効票なんです。無効票なんですが、積極的に憲法改正に自分は意識的に行動したということの、人たちの表れだと思うんで、数字だけですよ、無効票の中の白票は何票だという数字を出すということはお考えになったらどうかなというふうに思いますが。
  68. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 今、澤委員御提起の白票をしっかりと数字として幾ら出たかということを公表すべきだと、その方向で考えたいと思っております。
  69. 澤雄二

    ○澤雄二君 次に、広報の関係についてでありますが、説明会の開催が最終案では削除されましたですよね。この理由はどういうことでしょうか。
  70. 船田元

    衆議院議員船田元君) 澤議員にお答えいたします。  今御指摘いただきましたように、私ども原案、多分民主党原案にも説明会というものが、広報協議会が主催するということで広報協議会一つ役割として出ておりました。しかし、これはほかの分野のことなんでありますが、別個のものなんでありますが、政府の主催したいわゆるタウンミーティングにおきましていろいろと御批判をいただく部分がありました。  そういうことも踏まえまして、私ども特別委員会においてもいろいろ議論をしたのでございますが、やはりこの際は、このいわゆる説明会ということについては誤解を招くおそれがあるということで、広報協議会がこれを公的に行うことは控えまして、そして各政党あるいは市民団体が自主的に開催するものにゆだねるということが適当であると、このようになりました。これは与党案におきましても民主党案におきましても修正案の中でいずれも削除していると、こういう経緯でございます。
  71. 澤雄二

    ○澤雄二君 タウンミーティングについては、私が前職のときからこれは大変なミーティングだなということは分かっておりました、まあ同業がやっているわけでございますから。ですから、タウンミーティングがやらせだとか非常にコストが掛かったという、その大声の中で、あのタウンミーティングと憲法改正説明会は全く次元が違いますので、タウンミーティングがそういうことだったのでって憲法改正説明会が削除されたというのは少しいかがなものかなというふうに思います。  それはなぜかというと、新聞とかそれからテレビ、それは無料の中で広報委員会ですか、協議会でしたっけ、でおやりになるんでしょうけれども説明会というのは生で説明を聞く機会ですよね。それが削除されるということは、生で、発議者の皆さんたちがどういう考えで憲法改正をしているんだということを直接訴える機会がない。それから、直接その発議者の人たちに対して聞く機会がないですよね。  新聞にしてもテレビにしても、無料で広報されることについては全部ワンウエーであります。聞いていて、ここはどうなっているのって質問したくてもできないということがあります。政党の関係の会合が開かれるということはありますが、これは同じ意見の人がほぼ集まってきます。  ですから、一つ憲法改正について多様な立場の人の意見を聞いて、それのやり取りを聞きながら自分の考えをまとめるとか、その中で自分が分からないことがあったり意見があったときに申し述べるという機会は憲法改正の中ではすごく大事な機会だと思うんです。それが全部取られてしまう、そのチャンスをなくしてしまうというのは少し手続的に、瑕疵とは言いませんが、いかがなものかなと。  ですから、説明会でなければ、何か別の方法でそういうことが、国民が直接話を聞ける、そして双方向で話が聞ける、同じ立場の人だけではなくて、政党の会合は同じ立場。ではなくて、いろんな立場の人の話を同時に聞くことができるというような機会を、説明会がもし駄目ならば別の方法、別の機会でそういうことを考えてはいただけないかなということですが。
  72. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 説明会も、私たち与党としては発議そのものをきちっと国民に伝えることがまずスタートなんで、それをきちっとするということで説明会も重要かなという思いもありましたが、いろいろ与野党議論するうちに、裁量の余地の入る、その発議そのものが正確に伝えられればいいけれども、なかなか難しいということになればと。まあそれは広報協議会がやるんだから、国民投票公報も含めて、責任持って中立な客観的な発議の内容そのものを、そしてまた、賛成反対も、国会議論のあったことをそれぞれの立場の人にきちっとチェックしてもらって、これで間違いないというところを正確に国会議論をお伝えするのが広報協議会役割ですから、そういった賛否の前提となる基本中の基本ですから、まあ説明会があってもよかったのかなと。私は先生の御意見を聞いて、私たちは当初そう考えたときもありましたが、裁量の余地は入っちゃいけないとか、いろいろ御批判が、船田議員が言われたように、提案者が言われたように出てまいりまして、それで最終的には調整してあのような形に落ち着いたのでございます。  それから、先生が御提案の、いろんな人たちがいろんな立場で議論をする場がたくさんあっていいじゃないかと。正にそのとおりでございまして、それは各政党や国会にいて発議した者たちがそういうものを考えて、広報協議会はそれは任務じゃないと思いますので、政党同士、三分の二の勢力、反対の勢力、そういった方々が各党でよく相談をされて、できるだけそういう機会を国民に提供することは、私はすばらしい、またやるべきことだと思います。
  73. 澤雄二

    ○澤雄二君 一つ分かっていただきたいのは、各政党がやるのは同じ意見の方が集まります。ですから、いろんな考え方を持っている人たちがいろんな考えを申し述べる機会、それを自分が聞いて、いろんな考えの中からどうすればいいかと判断する機会はその説明会しかありません、それも双方向でできるものは。ですから、その辺は政党が開くものとは全く次元が違うのでお考えいただきたいなと、別の形で結構でございますからお考えいただきたいなというふうに思います。  それから、(発言する者あり)いやいやいやいや、そんな必要はありませんので、別の方法を考えていただければいいと思いますが。  あと一つ、テレビのコマーシャルは二週間前から有料は規制されて、どうして活字は規制されないんですか。それ、合理性ありますか。
  74. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  先生もテレビの世界におられまして私よりもエキスパートでございますから、なかなか答え難しいんでございますが、テレビ、ラジオ、特にテレビにおきますCMにつきましては、政治的なものだけでなくて、いろいろな商業的なものにつきましても、やはり耳に残るようなキャッチフレーズを、あるいはアイキャッチングをする、そういう画面とか、そういうものを多用するという、そういう傾向が強いと認識をしております。  それは、もちろん公序良俗というものは守らなきゃいけませんし、またいろんな意味で公平中立というものもある程度守んなきゃいけないですけれども、やはりどうしても、先ほど来申し上げておりますように、国民の感情に訴える、あるいは洗脳とは言いませんけれども、非常にキャッチフレーズを多用しまして、何度も何度も唱えまして、それで非常に国民に対しての印象付けというものを、非常に強く強調して印象付けてしまう、こういったことが往々にしてありますので、テレビのCMあるいは報道ということについてはやはり一定の規制が必要なんだろうというふうに思っています。  一方の、いわゆる活字のメディア、これは新聞もそうですし、それから雑誌等があると思いますけれども、これにつきましては、やはりそれを見るか見ないかということ、もちろんテレビもチャンネルを変えればいいんだと思いますけれども、しかしそれを見るか見ないかということについては、やっぱり読者の判断があると思います。また、それを見た上で、非常に刺激は受けたけれども、ただそのほかの人々はどういう考えであるのか、あるいはほかの新聞社ではどういう考えを持っているのかということについて比較をすることが比較的容易であるというふうに思っております。  ですから、考える時間というのを読者に与えることが可能である、これがやっぱり活字メディアの特徴ではないかというふうに思っておりますので、そういう観点から、活字メディアにおきましての有料の部分においても、これは特に規制は設けなくても私は大丈夫かなと、このように感じた次第でございます。
  75. 澤雄二

    ○澤雄二君 後で議事録を精査して、一つ一つまた判断をしたいと思うんですが。  一杯ありました。テレビは印象に残るけれども活字は印象に残らないって本当でしょうか。それから活字、ちょっと待って、最後、何と言いましたっけね、活字は考える時間を与えるけれども、テレビは考える時間を与えないんですか。本当にそれは、非常に、どういうインテリジェンスでそういう発想になる、それは活字側の方も怒ると思います。  それから、何もそういうものはテレビだけではなくて、例えば、町に大きな画面の、今いろんなものを広告しているものがあります。つまり、ああいうものは規制対象に入るか入らないかとか。それから、例えば電車の中のつり革ってあります。あれはテレビ局はよくやりますが、電車ハイジャックといいますが、電車の中のつり革の広告全部取ってしまいます、一つの番組で。これは印象に残るのか残らないのか、考える時間は与えるのか与えないのかとか。それから、インターネットは今ブロードバンドといって、動画配信できますから、テレビと同じようなことができます。雑誌も、例えば週刊誌なんかでも、今劇画というのが十五年前から活用され始めました。これも人の心の中に訴えていくものであります。  つまり、規制するなら、二週間前から期日前投票が始まるから一切の有料広告は駄目よというのは合理性があると思います。テレビだけって、僕は、保岡発議者が言われた、テレビは扇情的だというのは、これ、どこか時間があったら十分やりたいなというふうに思うんですけれども、非常に浅薄な理由でテレビのコマーシャルだけ規制したと。これはちょっといかがなものか。やるんだったら、有料規制は全部二週間前から駄目であります。インターネットなんか大変な効果を発揮します。ですから、その辺のところももう少し考えていただけるかなと、これからと思いますが、どうでしょう。
  76. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  専門家を前にして大変答弁が窮しておりますけれども、私は一般論として申し上げておりまして、やはりテレビあるいはラジオ、まあテレビの方が大きいと思うんですが、それは、音声と視覚と両方でございます。したがって、その効果音を聴いたり、あるいは例のピカチュウの番組などでフラッシュしまして、それが、子供たちの多くが非常に気分を悪くしたと、こういった事例もあります。  ですから、そういう観点からすると、テレビとそれから新聞を比べれば、テレビの方がよりそういう感情に訴える、あるいは強い刺激を与えるものを出しやすいと、こういう一般論を申し上げたわけで、その一般論からして、やはり電波とそれから活字の規制の差をある程度設けるということは私は合理性があると、こういう観点で話をしたわけであります。
  77. 澤雄二

    ○澤雄二君 確かに、テレビの方が刺激的だというのはそのとおりだと思いますし、影響が強いというのもそのとおりだと思いますが、ただし、先ほど言いましたように、お金があれば、お金のある人は何でもできるんです。つまり、お金がある人とない人の差を縮めるんだということが目的ならば、十四日にすべての有料広告を規制すべきです。そうでなければ意味がありません。  テレビだけ、五十歩百歩って言葉がありますよね、五十歩逃げた人間が百歩逃げた人間を笑うんですよ。それは、テレビの方が刺激的だから、ほかに、刺激的にはちょっと弱い活字は全部オーケーよというのは五十歩百歩と同じ趣旨ですよね。だから、規制をするんなら、有料広告を規制するんならば、すべて二週間前に規制をしていただきたい。それが期日前投票開始の時期と一緒というのは、非常にそれも合理性があることだと思いますので、そのテレビだけというのは別の価値をそこで生んでしまいますから、世の中にそういう印象を与えてしまいますので、これはちょっと考え直していただきたいなと。  それと、さっきも言いました、ブロードバンドはテレビと同じことができますから。それから、街頭の大画面のテレビもテレビと同じことができますので。ですから、同時に有料広告は規制しないとそこは整合性がなくなると思うので、時間が来ましたのでやめますが、どうぞよろしくお願いをします。  以上で終わります。
  78. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時三十分散会