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2007-04-19 第166回国会 参議院 日本国憲法に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年四月十九日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  四月十八日     辞任         補欠選任      長谷川憲正君     田村 秀昭君  四月十九日     辞任         補欠選任      谷合 正明君     荒木 清寛君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         関谷 勝嗣君     理 事                 岡田 直樹君                 中川 雅治君                 舛添 要一君                 広田  一君                 前川 清成君                 簗瀬  進君                 荒木 清寛君     委 員                 荻原 健司君                 木村  仁君                 佐藤 昭郎君                 田中 直紀君                 中島 啓雄君                 中曽根弘文君                 野村 哲郎君                 山本 順三君                 大久保 勉君                 小林 正夫君                 芝  博一君                 津田弥太郎君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 松岡  徹君                 水岡 俊一君                 澤  雄二君                 山下 栄一君                 鰐淵 洋子君                 仁比 聡平君                 近藤 正道君                 田村 秀昭君    衆議院議員        日本国憲法に関        する調査特別委        員長代理     保岡 興治君        発議者      船田  元君        発議者      葉梨 康弘君        発議者      赤松 正雄君    事務局側        日本国憲法に関        する調査特別委        員会及び憲法調        査会事務局長   小林 秀行君    政府参考人        総務省自治行政        局選挙部長    久元 喜造君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        法務省民事局長  寺田 逸郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○日本国憲法改正手続に関する法律案衆議院  提出)     ─────────────
  2. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ただいまから日本国憲法に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、長谷川憲正君が委員辞任され、その補欠として田村秀昭君が選任されました。  また、本日、谷合正明君が委員辞任され、その補欠として荒木清寛君が選任されました。     ─────────────
  3. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 理事辞任についてお諮りいたします。  澤雄二君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事荒木清寛君を指名いたします。     ─────────────
  6. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 日本国憲法改正手続に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 藤末健三

    ○藤末健三君 おはようございます。民主党・新緑風会の藤末と申します。よろしくお願いします。  私は、まず一つ、本日お聞きしたいのは、法案審議が性急に進められている理由についてちょっとお聞きしたいと思っております。  月曜日に本会議が開催され、国民投票法案参議院に回ってきました。その翌日、火曜日からもう連日のように、朝から夕方まで法案審議がこの憲法調査特別委員会で進められている状況でございます。二十二日、今週末には統一地方選そして我々参議院補欠選挙があるという状況の中、連日、朝から夜まで審議をさせていただいているという状況でございますが、非常にここまで詰めてやる理由があるのかなというのが個人的には疑問がございます。  ちなみに、私は、今日の午前中こうやって質疑に立たせていただいておりますが、常任委員会がございまして、常任委員会質疑が入っておりました。もうそれもやっと調整してこのように質問をさせていただくという状況でございまして、ちなみに、この日程が決まったのも昨日の夜でございまして、この状況、私は本当に思いますのは、やはりもう少し余裕を持ってきちんとした議論ができるようにやっていくべきじゃないかなと思うんですが、まあ発議者皆さんは直接は関係ないかもしれませんが、このような状況をどういうふうにお考えでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
  8. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 参議院審議やり方については、これはもう参議院先生方のお決めになることでございまして、我々はできるだけお決めになったところに従って、しっかりした議論ができたり、するように力を尽くしてまいりたいと思っております。
  9. 藤末健三

    ○藤末健三君 この国民投票法案政府提出した法律じゃないわけですね。皆様自民党先生方々、公明党の先生方提案された法律であり、やはり何らかの調整は僕されていると思うんですよ、どのような日程でどうするかということについては。その点についてはないというふうな形でよろしいんですか。参議院が独自に日程決めて進めているという解釈をされているわけですか。
  10. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先生の御指摘のとおり考えております。毎日理事懇が終わった後、次の日の予定というのを我々お知らせいただいて、それに沿ってできるだけ我々も頑張ろうと思っているところでございます。
  11. 藤末健三

    ○藤末健三君 そこでお聞きしたいのは、自民党総裁でもあられる安倍首相が、この国民投票法を五月三日、憲法記念日までに成立させたいということをおっしゃったということが新聞記事にございました。それとこのタイトな日程、非常にこのぎゅうぎゅう詰めになっている審議日程というのは関係しているかどうかということをお答えいただけませんでしょうか。
  12. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) それも再三質疑者先生方の御質問にお答えしてきたとおりでございますが、総理のお考えは、一つ政治家として、この時代におけるリーダーとして国家グランドデザインを描く、その基本として憲法位置付けておられまして、そういう趣旨でその姿勢を示されているんだろうと理解しておりまして、我々衆議院段階でもいろいろその影響を受けているんじゃないかという御指摘もありましたが、我々としては、現場としては精一杯尽くす努力を尽くし切って、最終的には民主党との調整もやれるだけやった上、本当は一本の法律にしたかったんでございますが、与党の案を修正議決して参議院にお送りした次第でございます。
  13. 藤末健三

    ○藤末健三君 確認申し上げたいんですけれども、政府安倍首相がおっしゃった話であれば関係ないですよということをおっしゃっているのかもしれませんけれども、ほかの議事録見てもそういう答弁をされています。ただ、安倍首相自民党総裁でもあられるわけですよね。自民党最高意思決定者が五月三日までにこの法案を通したいということをおっしゃったことについてはどうお考えなんですか。それは関係ないとおっしゃるのか、関係あるとおっしゃるのか、イエスノーかでお答えいただけないでしょうか。
  14. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 私は、総理が先ほど申し上げたように政治家姿勢として国家グランドデザインの中に基本法というものを重視して、それに対する明快な姿勢を示されることは、これは当然なことだと思っております。しかし、実際にはそれが衆議院において我々影響されることなく中身努力してきている、それには自信と誇りがあります。  しかし、結果的に野党皆さんを刺激して、それがために審議がいろいろ紛糾したことは大変残念なことだと思っております。
  15. 藤末健三

    ○藤末健三君 私が申し上げたいのは、衆議院でも意見が分かれたというのは、もうここは参議院でございますのでどうでもいいと思っています、正直申し上げて。私がお聞きしたいのは、今この参議院において、我々の参議院において、これだけ急な日程詰め込んだ日程議論されているわけですよ。そうすると、私たち、私なんか参加している人間としては、五月三日というものを想定してスケジュールをどんどんどんどん詰めておられるんではないかなということを思うわけですが、それはないんですか。イエスノーかをお聞かせください。
  16. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) それは参議院先生方自身がお決めいただくことであって、我々提案者がとやかく意見を申し上げる性質のものではないと思います。
  17. 藤末健三

    ○藤末健三君 本来そうかもしれませんけれども、理事会で決まる話かもしれませんが、恐らくこれ大事なことは何かというと、国会議員の方が提案されているわけですよね。  私は、この委員会に参加されている同僚の皆様に申し上げたいのは、やはり参議院というのは良識の府ということをよく言われます。そしてもう一つ大事なことは、人様の言葉じりを取り上げてはまずいですけれども、衆議院議論が足りないところをやればいいという話ではないと思うんですよ。再考の府なんですよ。再び考える府でもある、我々は。という状況の中で、翌日の審議スケジュールが前日の夜に来るという話になっちゃう。いや、本当にそのぎゅうぎゅう詰め議論していくことが本当に参議院にとってふさわしいかどうかは、私は非常に今の状況見て疑問でございます。(発言する者あり)いや、おっしゃるとおりでございまして、きちんとしたスケジュールが、きちんとしたこの国会における全体的なスケジュールが見えないまま振り回されて、どんどんどんどん議論が進んでいくという状況におきまして、私はこの審議やり方については非常に参議院としてはふさわしくないというふうに考えております。いい論議できません、このままでは。  もう一回お聞きしたいんですけれども、そこの五月の三日を目指すという意思発議者としてはないということでよろしいんですね、そうしますと。
  18. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 発議者としては、良識の府にふさわしいしっかりした議論参議院でしていただいて、その上、法案の成立を図っていただければ有り難いと、こう思っております。天地神明に誓って、発議者参議院の運営をされている我が党の理事皆様にいついつまでに上げてほしいとか、そういったたぐいのお話をしたことは一切ありません。
  19. 藤末健三

    ○藤末健三君 もう保岡先生のお言葉、本当信頼して、もう真摯に議論をさしていただきたいと思っておりますが、ただ、私はこの場で申し上げたいのは、やはりきちんとしたスケジュールを立て、計画を立てて深い議論参議院の場ではやるべきではないかということを申し上げたいと思います。そうしなければ、本当に流すような審議だけを続けていれば、時間だけを何か審議に使ったような形に外部から見られかねません。それは参議院位置付けを自ら落とすことになるんではないかと私は考えるわけでございます。  それで、次にお話ししたいと思っておりますのは、衆議院審議が終わったときに議論を見てみますと、これは発議者どなたか、ちょっと済みません、記録を明確に調べてはおりませんが、衆議院では約五十八時間特別委員会審議が行われたと。で、これが短いという話がありました。しかしながら、二〇〇〇年一月に設置された憲法調査会議論を含めると五百時間以上審議をしたからもう十分審議を尽くされたということが、これは議事録ではなく新聞記者への回答か何かに載ってございましたが、それについてはどうお考えですか。  衆議院においては二〇〇〇年一月に設置された調査会審議も含め五百時間以上審議されたから、調査されたからもう十分であるとお考えなのかどうか、それを教えていただけませんでしょうか。
  20. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) この間答弁で私の認識を申し上げましたが、参議院でも調査会国民投票法制については数回議論をされたりまた参考人を呼んで意見を聴かれたりされておりますように、衆議院憲法調査会においても同様な努力をいたしました。今資料が手元にありませんのでつまびらかにはできませんけれども、そういった時間は憲法調査会段階でも時間を掛けて論議したと思います。ただ、それが五百時間というのは、まあいささか事実と違うんじゃないかなと思っております。  まあしかし、それを含めて、度々申し上げておりますが、国民投票法制制度設計についても幅広い議論もしたし、参考人意見海外調査もしたし、そしてそれに基づく綿密な制度設計議論もいたしましたし、そういうものに特別委員会を設置してからも五十時間掛けております。  それから、昨年の春、民主党案与党案が出てからも度々御説明申し上げているとおり、委員会、小委員会を十八回開いて四十二時間行いましたし、公聴会地方公聴会、三回行いまして十五時間五十三分、合計五十七時間五十三分という、約五十八時間に及ぶ審議をして、事実上、テーマもすべて出し尽くしたと。しかも、そのテーマについても、絞りに絞り込んで合意形成努力して、民主党とも実質的には一点、民主党には違う意見もありますけれども、国民投票法対象にする範囲という点で、一般的、諮問的国民投票法というものは我々が基本的にのめなかった、その一点が一致できなかった。  それまで幅広く議論した上、制度設計をし、法案提出し、さらに修正のいろいろな努力もし、たった一点残るところまで詰め切って衆議院から参議院にお送り申し上げたということでございます。
  21. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党案衆議院の話をするのは差し出がましいとは思いますけれども、一点修正さしていただきたいのは、民主党案自民党案の違いというのは国民投票法対象だけではございませんで、ほかに公務員の国民運動をどうするかという議論あとテレビCM新聞広告などの規制をどうするかという、その点も違うということは是非御認識いただきたいと思います。新聞には非常に国民投票法対象だけの議論が、違いが浮き彫りにされていますけど、私はそれだけではないということをここで申し上げたいと思います。  そこで、私がお聞きしたいのは、衆議院での議論は結局その五十八時間、約五十八時間だったわけでございますけれども、保岡先生はそれでもう十分だというふうにお考えなわけですか。
  22. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先ほど申し上げましたとおり、最大会派野党皆様民主党のみが国民投票法制を立法化することに賛成しておられて、社民、共産は反対しておられまして、そういう中で、民主党とはもう合意努力の限りを尽くしたと言ってもいいと思います。  その結果、一般的国民投票法制について基本的に違った点が一番大きな違いだったと思いますが、それが与党だけで法案を、与党提案をしたものを議決して参議院にお送りした結果になりましたが、結果から見ると、法案の中には、一般的国民投票法制のみならず、先生が御指摘のような、若干詰め切らないで、詰められる可能性はあったが詰められないでお送りした部分もございます。
  23. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、正直申し上げて五十八時間というのは非常に時間的には足りなかったんではないかと思います。したがって、その結果が強行的な採決につながったんではないかと思います。  この五十八時間という時間を考えるときに、例えば過去の特別委員会衆議院特別委員会でどのような重要法案がどれぐらいの時間を掛けられたかということを調べてみますと、例えば一九七一年の沖縄返還関連法案では約百三十時間、一九九三年の政治改革関連法案では約百二十時間、そして郵政民営化法案、二〇〇五年でございますけれども、こちらは百二十時間ということでございまして、重要な法案特別委員会審議される重要な法案は大体百二十時間とか百時間を超すような審議時間があるわけでございますが、これと比較して五十八時間というのはどう思われますか。お願いします。
  24. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) この五十八時間の評価でございますが、せんだって来申し上げているとおり、例えば、社共の勢力というのは議員の数からいえば衆議院では五%を切っております。それに国民新党という大変恐縮ですが規模の小さい政党もあります。そういった政党にも我が最大会派自民党と同じ時間を質疑していただいて、全党平等に時間を割り振って審議した、そういった経緯も踏まえると、ほかの法案よりはるかに、我々提案者側の属する党の質疑とそうでない党の質疑というものを比較した場合には、我が方が圧倒的に私は多い質疑時間を掛けたのではないかと、そういうふうにも思っております。正確には比較する数字を出しておりませんが、これは比較する数字を出そうと思えば出せると思います。
  25. 藤末健三

    ○藤末健三君 先生が今おっしゃっていることはどういうことかというと、自民党審議する時間を削っているからそれだけ減ったんですよということをおっしゃっているわけですよ。ということですよね。百時間を超すような審議を今まで重要法案でやっていて、それが今回五十八時間ぐらいですよと。じゃ何で四十時間というか、普通の半分なんですかということをおっしゃったら、いや、ほかの勢力が小さい党にも同じ時間を引き割いたからですよと、その分だけ自民党の時間を減らしたんですよということをおっしゃっているわけですよね。いや、そういうふうに聞こえますよ。  私が問いたいのは、全体の審議時間が約半分ぐらいでいいのかという話を申し上げています、私は。
  26. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 全体の時間を単純に比較するのが適当かどうかという判断を私は申し上げているのであって、我が党は提案をしておりますし、我が党としては、推進議連段階から、そして与党協議会骨子案をまとめるに至る段階から相当議論を積み上げてきておりまして、そして法案を出す段階でも相当党内議論をしてきております。そういう提案者側質疑は我々はもうあの時間で十分だと思っておりますし、それも、我が党の質疑のみならず、最大会派野党である民主党との合意点を見いだすための議論を多く費やしていると言ってもいいのではないかと。野党の諸君の立場からすれば、ほかの法案に比べたら非常に多い時間を差し上げている、提案してない側、あるいは提案した野党皆様にもより多くの質疑時間を差し上げてあると。そのことの比較をしようと思ったら比較はできると申し上げているところでございます。
  27. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、保岡先生、これは、国会外の時間で幾ら調整しましたよという時間を議論されてもそれは始まらないと思うんですよ。恐らく郵政民営化法案もそうですし、政治改革関連法案もそうですし、沖縄返還関連法案もそうだと思うんですよ。党内、党の外で議論し、国会の外で議論して、練って練って、また国会できちんと議論して議事録を残すということじゃないですか。それを国会外調整しているからいいですよという話をされたら、国会のこの審議はどういう位置付けになるんですか。  少なくとも、私が申し上げているのは、過去の重要法案審議に比べたら時間が半分ぐらいしかなかったと、そのことをどう考えるかと申し上げているんですよ。国会外できちんと調整をしたからいいんですと、自民党の時間を削ってほかの党に回したからいいんですというのは甚だ私はおかしいと思います、これは。何か御意見ありましたらお願いします。いや、保岡先生、お願いします、それは。
  28. 船田元

    衆議院議員船田元君) 関連していることでございますので、私からも御答弁申し上げたいと思います。  確かに、この議員立法による法案提出をしたわけでありますが、その法案提出後の法案審査は約五十八時間、これは今まで申し上げてきたとおりでございます。しかしながら、この特別委員会を設置してから国民投票法制についてはかなり集中した審議を、また調査を続けております。その前段における調査は五十時間ございまして、その中で特にこの制度設計ですね、法案制度設計、これを各党間で、これは理事懇談会という場所で行ったわけでありますが、そこでは約十時間、濃密な制度設計のための議論をしているということでございます。  したがいまして、このことにつきましては、五十八時間あるいはそのプラス十時間、あるいは全体で百八時間ということになると思いますが、長いか短いかということにつきましては、これは中身の問題だというふうに思っております。単に与党議論与党持ち時間野党持ち時間という意味だけではなくて、やはり中身の上でも相当濃密な議論をしたと私たちは自負をしておりますので、単純に時間だけで比較をされるのはいかがなものかというふうに思っております。
  29. 藤末健三

    ○藤末健三君 百八時間ということで承ったんですけれども、じゃ、まず一つよろしいですか。恐らくその百八時間というのは、調査会での五十時間を多分カウントされていると思うんですよ、調査会での時間を、五十時間を。ただ、一点伺いますのは、違いますか、これは。
  30. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 調査会以外の時間ではなくて、一昨年の九月、特別委員会を立ち上げた後、制度設計のためにいろいろ調査をしたり、議論をしたり、それから理事懇談会を開いて、一つ一つテーマについて合意点を見いだすための努力を積み上げていったその時間を五十時間と言っております。それから、その提案民主党案与党案提出した後の質疑時間が五十八時間ということを今、船田提案者から御説明したとおりでございます。
  31. 藤末健三

    ○藤末健三君 その五十時間というのは、位置付けを、済みません、私は調査会の時点での議論だとちょっと勘違いしていましたが、衆においては特別委員会において五十時間調査調整みたいなことをなさったということですね、それは。よろしいですか、そういう理解で。
  32. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 我々としては、法案提出するまでに、法案提出するときには、できたら自公民一本で出したいという願いが現場にございまして、現場としては調査を進めながら論点を整理し、そしてその論点をなお一致させる努力をして、ほぼ自公民法案として一本化できるんじゃないかなという直前まで行ったんでございます。しかし、政治状況が変わりまして、民主党民主党独自の案を出すという強い御主張でしたので、やむを得ず我々は自公で与党案というものを提出いたしました。そういう努力するまでに掛けた時間が五十時間ということでございます。
  33. 藤末健三

    ○藤末健三君 その五十時間というのは国民投票法手続法としての国民投票法調査会ということですよね、位置付けは。それでよろしいですよね、特別委員会ではなく。
  34. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先ほどから申し上げているとおり、一昨年九月に我々衆議院には衆議院憲法調査特別委員会というのを設置しまして、中山太郎先生委員長になられまして、以後、先ほど申し上げたように制度設計のための調査に入って、制度設計についての整理を行って、法案提出直前まで五十時間掛けたということでございます。
  35. 藤末健三

    ○藤末健三君 その調査委員会では研究と調査しかできない、法案議論はできないんじゃないんでしょうか。その点ちょっと教えていただけませんか。
  36. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  平成十七年のその後の国会におきまして衆議院憲法調査特別委員会が設置をされましたけれども、この特別委員会の権限としては、憲法に関する一般的な調査とともに、今議論いただいております国民投票法制についての議論ということも併せて審議できると、こういう組立てになっているはずでございます。
  37. 藤末健三

    ○藤末健三君 私はちょっと個人的には、じゃ百八時間として考えた場合に、そうしますと、参議院の方も、衆議院で百八時間やったということで、前提で考えるべきではないかということを思うわけですけれども、これは周りの同僚議員に申し上げたいと思いますが、我々も百八時間、衆で百八時間議論されたということでございますので、その百八時間を基準とした深い審議をするべきじゃないかということを思わさせていただきました。是非、きちんとした議論をやっていくべきではないかということでございます。ですから、あくまでも衆議院は五十プラス五十八、百八時間ということをおっしゃっているわけでございまして、発議者の方々が、我々の方はその調査会みたいなものがたしかなかったというふうに記憶しておりますので、是非ともその百八時間を基準とした審議をやりたいと思います。  ただ、調査会におきましては、参議院の方にも調査会はございましたけれども、調査会はあくまでも研究と調査をするということでございまして、やってきたことは研究と調査でございますので、きちんとした法案審議するという意味では衆議院に準じた審議時間を確保すべきではないかと。良識の府、再考の府ということでございまして、我々参議院の深い議論、進めるべきではないかということをこれは提案させていただきます。質問じゃございません。質問じゃございません。提案でございます。同僚議員皆様提案させていただきたいと思います。  私は、今回、このように、先ほどから申し上げていますように、非常に性急にこの国民投票法案憲法改正という非常に重要な問題に対する国民投票法案を非常に急いで性急に議論を進めているんではないかというふうに考えるわけでございますけれども、なぜこれだけ急がなきゃいけないかという理由が、ほかの議員からもいろんな質問がございましたが理解できておりませんが、その点について、もしよろしければ発議者の方から御説明いただけないですか。今急いでやる必要があるのかどうかということ、この国民投票法案の成立を。
  38. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 我々としては、趣旨説明でも申し上げましたけれども、提案したところの法案皆様方におかれまして慎重に御審議の上、速やかに御可決いただければと思っておるところでございます。
  39. 藤末健三

    ○藤末健三君 これは発議者の方に御質問申し上げたいんですが、この国民投票法が成立した場合にどういう憲法改正のイシュー、事項があるかということを、個人的な御意見で結構です、これは、というのを是非教えていただけないでしょうか。発議者の方々がどういうイシューを持ってこの国民投票法案をつくっておられたかということをちょっと教えていただければと思いますが、お願いいたします。いや、四人の方、お願いいたします。順番にお願いいたします。
  40. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) この憲法改正手続法というか、九十六条に定めるこの法制というのは、これは本来なら憲法が制定された当時に直ちに作っておくべき当然の必要的な、基本的な附属法典と思っております。それがいろんな事情で今日まで制定できなかったので、いろいろ時代の変化の中で、別世界のような変わりぶりの内外の状況考えると、制定当時と今日との状況比較をしますと、憲法改正論議が当然いろんな分野から出てくる。そういう状況考えると、できるだけ早い時期に国民投票法制というのは用意しなければならないと、こう思っております。
  41. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  この法案が成立をしていただきました後、実際に公布、そして三年後の施行ということになるわけでありますが、この状況の中において、我々としてはやはり、衆議院憲法調査会参議院にも憲法調査会ありましたけれども、衆議院だけで恐縮でございますが、そこで報告書が出ました。  その中でいろいろな、憲法に対しての調査のいろいろな結果が出ました。こういう点において議論すべきであると多くの人々が述べた部分というのが幾つかございます。憲法の前文においてはもう少し文章表現を平易にすべきではないかとか、あるいは安全保障の問題では自衛権、自衛隊の存在をきちんと書くべきではないか、あるいは国民の権利においては新しい人権というものを考えるべきではないか、あるいは地方自治においても、地方自治の本旨というのがあいまいに過ぎる、もう少し丁寧に書くべきではないか、そういったところに多くの意見が述べられたという、そういう報告が出ました。  こういったことを中心に、それを土台として、少なくとも衆議院段階におきましては、そういった憲法改正に向けての議論、何がふさわしいかということを議論していきたいと考えております。
  42. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) お答えをいたします。  私の考えというのは個人的には民主党憲法提言とも相通ずるところはございます。今の憲法はそのあいまいさゆえに相当この規範性ということを失ってきているんではないか、その意味で大きく見直しというのは必要ではないかというふうに考えております。  しかし、この憲法手続法ということで、じゃ具体的に何を想定しているかというような問いでございましたけれども、調査特別委員会で五十時間と先ほど御議論がありましたが、民主党の方とも、あるいは自民党、公明党とも、この憲法手続法というのは、具体的なその憲法改正の内容を想定するものではなくて、やはり公正中立なものを作らなきゃいけないじゃないか、そして、具体的な議論が更に深まってしまう前にやはり今作っておかなければいけないんじゃないかという点については自公民で一致したわけでございます。  そして、それぞれ自民党、公明党、さらには民主党ということで持ち帰ってそれぞれの案を出したわけで、それから五十八時間の審議が行われたわけでございますけれども、政府提出法案ではございません、これは議員立法でございます。ですから、自民党、公明党が政府提出法案に対して自民党、公明党として質疑をするというようなものではなくて、正に党としての議論は終わっているものですから、この五十八時間はむしろ共産党、社民党、国民新党、非提出会派に多く割り振ったということでございまして、この手続法というのが、(発言する者あり)手続法というのが具体的な憲法改正の内容を想定しているものではないというふうに考えています。
  43. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 藤末議員のお尋ねは、この法が仮に参議院で成立した場合、まず憲法改正に向けてどういう議論がなされていくのか、どういうことを個人的にせよ考えているのかを言えと、こういうことだったと思います。  私どもは、まず憲法、昨日も御答弁申し上げたんですが、どの部分をどうしていくのか、これを各政党間の議論とは別に、公の場、国会の場で議論するのは初めての機会になるわけでございまして、そういう観点で、この一九四六年の憲法というものについて、現在この展開されている憲法のありようというものがどのような形でなされているのかというものをきっちりと調査研究する必要がある。  こういう観点に立ちまして、例えば、憲法九条をめぐっての議論でいえば、私どもは第一項、第二項ともに堅持すべしということが公明党内的には多数を占めているわけですけれども、そういう流れの中で、じゃ国際平和協力活動というもの、こういったものをどのように位置付けするのか、憲法九条の下で現実に存在している自衛隊をどのように憲法上に位置付けるという手だてがあるのかないのか、そういったことについての例えば九条をめぐっては議論になるだろうなと、そんなふうに思っています。  また、公明党的な観点から申し上げますと、一番皆さんの中で合意を得やすいテーマというものから順次やっていくべきじゃないのか。そうすると、これは違うという意見もあるかもしれませんが、環境権などという問題は比較合意が得やすいんじゃないだろうか。こういった形を憲法審査会の場で議論がなされていく中で収束していくことはできるのかなと、まあできないかもしれませんけれども、そんなふうなことを考えております。  以上です。
  44. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうもありがとうございました。  それで、先ほど葉梨議員から、先生からお話がありました、議員立法であるからもう党内での議論ができているよという感じのことをおっしゃったと思うんですよ。私はそう解釈させていただきました。ただ、それにつきましては、やはり国会での議論というのをきちんとやらなきゃいけないぞと、党の議論見えませんですからね、党と党の交渉などは。やはりこの国会の場できちんと開かれた議論をすることが民主主義じゃないかというのが一つ。  それと、もう一つ申し上げたいのは、私が過去に例示しました例えば政治改革関連法案など、これ一九九三年、百二十二時間使っていますけど、これも議員立法です、正直申し上げて。ですから、議員立法であることをもって実質的な審議時間は短くなりましたよということの言い訳にはならないということだけは申し上げておきたいと思います。  それで、私が次に御質問申し上げたいのは、昨日も議論がございましたけど、最低投票率の議論をちょっと話しさせていただきたいと思います。  先日の議論におきましては、最低投票率を導入しない理由として三つ挙げられたと思います。一つ憲法典に最低投票率に対しての記述がないから。ロシアとか韓国は書かれていますと、憲法に、ですからできるんですよという話が一つ。そして二つ目に、ボイコット運動が起きるから。そして三つ目に、小さな、大きくないような修正等の事項、対応するためには最低投票率があっちゃいけないというようなこと三つをおっしゃったと思うんですが、この三つでいいかどうかというのをまずお聞きしたいんですが、一つ私が確認させていただきたいのは、海外の事例を相当研究されているということを昨日おっしゃっていましたけれど、海外の事例で憲法典に最低投票率を設けることを規定しなくても最低投票率を国民投票法上採用している例があるかどうか、教えていただけませんでしょうか。
  45. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) パラグアイ及びペルーでは投票率要件が法律で定められているということになっているようでございます。
  46. 藤末健三

    ○藤末健三君 ほかにもセルビア、ウズベキスタン、ウルグアイなどもございます、ほかにも。  私が申し上げたいのは、韓国とロシアは憲法典に最低投票率が定められていると。憲法典に定められなければ最低投票率は設定できないんですよということを海外の事例を用いておっしゃっているわけですけど、それはおかしいと思うんですが、いかがですか、赤松先生
  47. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 絶対的にそうだと言っているわけじゃなくて、そういうケースが多いというふうな形で申し上げたわけでございます。
  48. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、そうなりますと、いい例だけを持ってきて、悪い例はふたをして見せないで議論を進めているような形に見られると思うんですよ。  私は、先生に確認したいのは、海外の事例をもってして、憲法典に書いていないから最低投票率を書けないという議論はおかしいと思われませんか。いかがですか、赤松先生
  49. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) おかしいというか、ではなくて、海外のいろんなケースをつぶさに研究するということは先生も認められると思いますけれども、そういう流れの中で多くの国がそういう規定を設けていないと、設けている場合は憲法上に明記しているケースが多いと、先ほど申し上げたような幾つかの国においては憲法上ではなくて法律に明記している国もあると。だから、それをもって絶対的な理由というふうにするわけではございませんけれども、非常に参考になり得るケースですと、こういうふうに申し上げているつもりでございます。有力な参考ケースと。
  50. 藤末健三

    ○藤末健三君 私の手元で調べたものを申し上げますと、憲法典に最低投票率を定めている国というのは、例えば韓国、ロシア、ポーランドとかございます、幾つかあると。一方で、定めていない国もあるわけです。先ほどお話しいただきましたセルビア、パラグアイ、ウズベキスタン、ウルグアイ、ペルーなどもあると。  国の規模とか数を比較するというのはナンセンスだと思うんですけれど、ただ、いかがですか、これ、参考にさえもならないような気がするんですよ、この数を見ると。  いや、ほとんど、九割とかもう九九%の国が憲法典で最低投票率を設けなさいというふうに書いてあると、で、設けているんですよと、憲法典に書いてない国は国民投票法上最低投票率は書けないんですよ、そういう国はもうほとんどないんですよと、一か国ぐらいしかないんですよという話であればまあ参考にはなるかもしれませんけど、この国の数を見た場合、僕は参考にもならないと思うんですよ。いかがですか、赤松先生
  51. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 参考にもならないと、こう言われましたけれども、例えば国の名前を挙げてその国が重いとか小さいとかと言うつもりはございませんけれども、例えばアイルランド、イタリア、スイス、フランス、スペイン、トルコ、ペルー、オーストリアと、こういうふうにきますと、いわゆるヨーロッパの先進諸国というものがそういう格好で法律上に明記していないと。一方、先ほど来藤末先生からも挙げておられるロシアとか韓国、こういう国、あと幾つかの国がある。まあ数でいきゃそんなに大きな差がないということがあるかもしれませんけれども、今申し上げたような国のケースはやっぱり参考にはなる、大いに参考にはなる、そんなふうな認識でおります。
  52. 藤末健三

    ○藤末健三君 今、アイルランド、イタリアとおっしゃったと思うんですけど、アイルランド、イタリアなどは、あとスイスもたしか最低投票率は設けてなかったと思うんですが、そこの点ちょっと確認していただけませんか、今。
  53. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) ですから、最低投票率を設けていないケースとして挙げたわけでございます。
  54. 藤末健三

    ○藤末健三君 ただ、もう一度申し上げます。最低投票率を設けている国、例えば先ほどおっしゃっていたカザフ、私の手元にある資料ではカザフスタン、分かっているやつを全部申し上げますと、カザフスタン、韓国、ロシア、コロンビア、あとポーランドなんですね。カザフスタン、韓国、ロシア、ポーランド、コロンビア、この五つの国なんですよ、私の手元にある資料では。憲法典で最低投票率の記述があり国民投票法上最低投票率を定めている国がこれだけあると。  一方で、憲法上最低投票率の記述がないのに最低投票率を定めてあるだろうと思われる国が、先ほど申し上げたセルビア、パラグアイ、ウズベキスタン、ウルグアイ、あとペルーもそうかもしれないというふうなデータが来ているんですけれど、これを見た場合、数だけ見ると多いんですよね、実は。数だけ見ると多いんですよ。  憲法上最低投票率が規定されてなくて法律上、国民投票の法律上最低投票率を規定している国は多うございますが、その点いかがでございますか。
  55. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) ちょっと先ほどからいろいろお互いにきちっとしたものを見ない部分で話がされていましたので、資料を基にして、まず。  投票率の要件が憲法に規定されている国ということで、最低投票率が憲法上に規定されている国、五一%以上というのがパラグアイ、それから五〇%以上というのが韓国、スロバキア、ポーランド、ロシア、それから二五%以上というふうに最低投票率を規定しているのがコロンビア、それから絶対投票率ということで過半数というのがウガンダ、それから四〇%以上というふうに絶対投票率を決めている国がデンマーク、三五%以上がウルグアイ、それから三〇%以上がペルー、こういうふうになっておりまして、先ほど申し上げました、パラグアイ及びペルーでは投票率要件が法律で定められている。また、ウガンダ憲法では投票総数の過半数と規定されていますけれども、国民投票における投票は国民の義務とされている。こんなふうなケース、例が挙げられております。
  56. 藤末健三

    ○藤末健三君 一部ちょっと私の調査と違うところございますが、そこはもう議論すると時間がないんでおかさせていただきたいんですが、やはり先生がおっしゃったように、こうやってぱっと見ると、憲法上、最低投票率が定められているというところというのは半分ぐらいしかないですよね、恐らく似たような調査使われていると思うんですけれども。それをもってして憲法上最低投票率の定めがないと、外国の例を引いて、ないから、いや、できないんですよということは僕は論理的にちょっと難しいんじゃないかと思うんですが、いかがですか、そこについて。取りあえずこの点だけははっきりさせていただきたいと思います。
  57. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 先ほど来からも申し上げておりますように、その数とかいうことで同じだからどうこうというよりも、その国の持つ歴史的な重さという部分も勘案しております。  ただ、昨日からも申し上げておりますように、今、藤末議員もおっしゃったように、このことだけをもってどうこうというのはおかしいだろうということを今言われましたけれども、昨日来、複合的な要素、憲法第九十六条に加重な要件を加えるべきではないというようなこと、あるいはボイコット運動を惹起させる、誘発させるというふうなこと、それからいわゆる小さいテーマ、そういった、(発言する者あり)いや、そういうふうなことも複合的な意味で勘案してこういう結論を出していると、こういうことでとらえていただきたいと思います。
  58. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 速記止めてください。    〔速記中止〕
  59. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 速記起こしてください。
  60. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 最低投票率が憲法に書かれていると、今、日本の場合で問題にしようとしているというか、それを憲法に書くということならいいんですけれどもということで例を挙げた海外のケースとしては、最低投票率が憲法に規定されている国というのは、韓国、スロバキア、ポーランド、ロシア、コロンビア、五か国であると、こういうことですね。
  61. 藤末健三

    ○藤末健三君 先ほどの赤松先生のお話に関して、ボイコットの問題とか、あと小さな事項をどうするかという話についてはまた別であります、私、それらについて意見があります。  一点だけ確認させてください。数から見ると、先ほど先生がおっしゃった憲法上に最低投票率を書いてあるからと最低投票率を設ける国、一方で、少なくとも五、六個はありますよね、国が、憲法上最低投票率の規定がないけれども、法律上最低投票率を設けている国がありますよね。  私が申し上げたいのは一点だけです。この海外の事例をもって参考としても私は意味がないと思っています、これは、理屈上。全部の国がそうであれば海外の事例を持ってきて御説明していただくのはいいんですけれども、判例があるのにもかかわらず、それを事例として用いることはおかしいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  最低投票率につきましては、ボイコットの問題、また小さな事項の問題等はございますけれど、ございますけれど、それについてはまた別途、是非先生議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  本日はどうもありがとうございました。
  62. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 民主党の水岡俊一でございます。  私は法律の専門家とか研究者ではありませんので、同僚のように議論がなかなか深まらないかもしれませんが、ここは普通の国民の視点とか立場に立って私質問をしていきたいというふうに思っております。  発議者の方々にお願いをしたいんでありますが、委員会の模様というのは、現在、インターネットで多くの国民が関心を持って見ておりますので、国民の皆さんが分かりやすい簡潔な御答弁を是非お願いをしたいと思うところであります。  それでは、早速質問に入ってまいりたいんですが、憲法第九十九条にこうあります。「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」とあります。このことについて、少し私は重要なポイントがあるのかなというふうに思っておりまして、つまり、この中に国民が入っておりませんね。なぜ国民が入っていないのか。これは、立憲主義という考え方に基づいて発議者の方から御見解があれば是非お伺いをしたいと思いますが、どなたでも結構です。
  63. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先生指摘のように、九十九条はこの憲法の持つ最も基本的な性格を表している規定だと思います。  国家権力が専横にならないように国民が自ら定める憲法で権力を制約する、こういった権力制約機能というものが憲法一つの大きな基本的な性格であると。そういった意味で、ここに国民が入っていないものと思います。
  64. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 公権力の担い手である方には大きな制約が付いている、しかし国民のサイドには何ら制約が付いていないということも、立憲主義の中で大きな要素としてあるとは思うんですね。  そういったことを確認をしながら、私、次の質問に参りたいと思うんですが、この中で一つはっきり言っているのは、「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と、こういうふうにありますが、この中にある国会議員、そして公務員、これは憲法を尊重し擁護するということにおいて具体的にどんなことをすべきなんでしょう。
  65. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 公務員は、持てる権限というか職務を行うに当たって、憲法適合性を常に意識して、執行において違憲の疑いが持たれないような、合憲の判断がいただけるような努力をする。立法府は、立法機能を果たすにおいて、法律を作るときにそれが憲法適合性を持つかどうか、憲法の範囲内であるかどうか、合憲であるかということを常に判断して法律を作ることだと思います。
  66. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 じゃ、同じ質問発議者船田議員にお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  67. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  まずは、公務員それから国会議員憲法擁護義務、それを具体的にどうするのかということですが、今、保岡議員からもお話がありましたように、やはり公務員はその職務におきまして、行政をつかさどるという立場において憲法を遵守し、憲法の範囲内で、もちろん法律の範囲内でもありますけれども、公務を公正公平に執行することということだと思いますし、国会議員、立法府の場合においては、もちろんその法律を作成する、作るという唯一の権利を与えられた機関でございますけれども、これも憲法の範囲の中で法律を作る、あるいは法律の改正を行う、また同時に、その法律が適正に執行されているかどうかということについて国政調査権を使いながらチェックをしていくと、こういう役割があると思います。
  68. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 なかなか高度な難しい御答弁をいただいたと思いますが、正にそれはそのとおりだというふうに思っております。  そこで、私は公立の中学校の教員をしておりました。これは地方公務員でありまして、私なりに地方公務員として日本国憲法にかかわっては尊重し、擁護をする義務があるというふうに考えてまいりました。そこで、教科は社会ではありませんけれども、私の担任をする学級や学年やそして学校の子供たちに、憲法とはこういうものだ、こういうすばらしいところがあるんだ、そしてこういった三つの大きな基本原則があって、これは絶対に侵せないんだよというようなことを日夜話をしてきたつもりでありますが、そのことは間違っていないでしょうか。船田発議者、お願いします。
  69. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 間違っていないと存じます。
  70. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 これは、私としてはなぜそうしてきたかと。やっぱり将来の日本を担う子供たちに、やっぱりしっかり日本国憲法を理解してもらうということが最も大切だと思う。子供たちに、理解をする、そして、それはやがて成人となって日本の国を支えていく重要な国民の一人一人になっていくということがあるから、私や私の仲間はそうやって日本国憲法を子供たちに理解をしてもらえるように努力をしてきたということでありますが、日本国政府あるいは自民党という立場から皆さん方が今まで振り返ってみられて、日本の国民にこの日本国憲法がちゃんと伝わるように、理解できるようにということにおいてはどんな努力をされてきた、どんな取組をされてきたというふうにお考えになるか。保岡議員はどうでしょうか。
  71. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 憲法の記念日というのが五月三日にありますし、そういうときにはいろいろ憲法の意義とか役割とかそういうものを啓蒙普及する意味で、また憲法が制定されたことを記念し、その憲法を知る機会を国民が広く持つ、そういう意味があって憲法記念日が決められていると思いますし、先生がおっしゃるように、教育の段階でいろいろな、特に公民教育というんでしょうか、そういったいろいろな教育の課程の中で憲法の大切さを教えていく努力をしていると。  ただ、私はもっと国会でも憲法論議をする場をしっかり持つべきだと思うし、そしてまた最高裁の違憲審査権というものについても、違憲判断というものについても最高裁がもう少し機能できるような仕組みを考えてみるべきだとも個人的には思っておりますし、また、何よりも教育の段階でもっと憲法の大切さを、基本を教育の段階でしっかり理解していただけるような努力をすべきじゃないかと。特に、この法案が通った暁には十八歳以上の者が投票権者、憲法改正投票権者ということになるというようなことになりますと、なおさら、少なくとも高校卒業前の教育においてもっともっと公民教育、民主教育、こういった社会規範、こういったものをきちっと理解できる努力を、みんなで知恵を出して尽くすべきではないかと思っております。
  72. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 私がお尋ねしたのは、やはり制定をされてこの間、約六十年間日本国政府としてはどんな取組をしてきたのか、あるいはほとんど政権を担ってきた自民党としてはそういったことについてどういうことをやってきたのかということでちょっとお尋ねをしたかったんですね。そういうことをずっと振り返ってみると、実は何もしてなかったんじゃないかなと私は思うんですね。  今、保岡議員の方から、この法案が通った暁には、違うんですよ、通る前に、これは憲法改正手続法だということもちゃんと国民に理解をさせなきゃいけないし、なぜそういう手続法が要るのかということも理解をしてもらわなきゃいけないわけですよ。そういう努力をせずしてこの手続法に急いで向かっていくのは、これはおかしいんじゃないかなというふうに思うわけです。  さあ、そこで、じゃ戦後六十年の間にどういうことがあったのかよくよく考えてみると、私も教育現場で、文部省が一九四七年にある文書を出しておりますね。新しい憲法の勧めでしたか、(発言する者あり)あっ、話でしたか、そういった形で努力をしていますよね、理解を求めるように。非常に分かりやすい言葉で子供たちが理解できるように日本国憲法を紹介し、そして学校の場であるいは社会で皆さんが理解してもらえるように努力をした。なぜそれから、一九四七年以降この六十年間の間に、それ以外の具体的に国民一人一人に及ぶようなそういった取組がなぜできなかったんでしょうか。その点についてお伺いしたいんですが。
  73. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  必ずしも水岡委員の御質問に直接答えることにならないかもしれませんが、確かに一九四七年、文部省、当時の文部省が「あたらしい憲法のはなし」ということで、これは副読本という形で各学校に、教育委員会を通じて各学校に配ったということも承知をしております。歴史の上でそうだったということを承知しております。非常に私も、その当時の文書を読ませていただきますと非常に平易な文章でありますし、あの戦後の混乱期の中でああいう文書をきちんと書いて、そしてそれを子供たちに読ませる、読んでもらう、こういうことをやったあの当時の日本政府姿勢というものは非常に評価されるべきだなと、私も今からでもそう思っておるわけであります。  ただ、その後、なぜいわゆる教育の中か、あるいは政府がいろいろな機会を通じて国民にそれを教えてこなかったかということについては、私はやっぱり日本国憲法というものについて、それが自然な形と言ったら恐縮ですけれども、国民の間に非常に急速にその精神と中身の枢要の部分が広がっていって、特にそれを殊更もう一度こうですよということを教える、そういう必要が余りなくなってきたのかなということを一方では考えております。  それからもう一つは、やはり憲法の解釈をめぐりまして、国会でもまたその他の場におきましても、いろいろと政党間においての意見の食い違いとかそういったものが発生をしてまいりまして、そういう中で、政府として統一的にこういう憲法の解釈をすべきであるとか、そういうことをやることについてはちょっとそれは行き過ぎではないだろうかと。やはり、そこは国民の皆さん議論にゆだねるべき部分が大きいんじゃないかということで、あえてそういうことをしてこなかった点もあるのではないかと、このように思っております。
  74. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 深まったお話をいただきましたが、ただ、国民の議論にゆだねるというか国民の議論を待つというかというお話がありましたが、国民の議論が深まっていますか。やっぱりそこは違うんじゃないでしょうか。  だから、例えば本当に分かりやすい話をしたいと思うんですね。私たちビジネスホテルとかに泊まって仕事を、各地を回って仕事をすることがありますが、大概のホテルに、引き出しに入っているのは聖書ですよね。聖書というのは割とそういう意味では、私はクリスチャンではありませんが、聖書を見る機会があります。一方、どのホテルに泊まっても日本国憲法はこうですよというようなものが置いてあることもない、そうですよね。(発言する者あり)ええ。それで、今日もたくさんの中学生、小学生、高校生が国会見学に今来ています。その国会見学に来た子供たち日本国憲法はこうですよという小さな冊子でも配るのかといったらそれもない。  解説本で解説の中にいろんな見解があるということは意見が分かれるところだと思いますが、憲法そのものを子供たちや国民一人一人に更に理解をしてもらえるように持っていくということは今何らされていない。そういう中で、国民投票法と言われるこの憲法改正の手続法が急いで、急いで、急いで、急いでやられているのは私には理解できないと思うんですね。これ、いかがでしょうか。
  75. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 傾聴に値する御意見をいただいたと思いますが、ちょっと先ほど一点、文部省の話で申し上げたいと思うんですけれども、一九四七年に「あたらしい憲法のはなし」というのを、これは生涯学習ということで国民に出させていただいたというのは、当時やはり戦前の教育を受けた方が大人も含めて皆さんであったんで、やはり大人も含めて新しい憲法について理解をしていただこうということで文部省としては出したわけですね。  ですから、その後の文部省の取組というのは、学習指導要領の中で小学生あるいは中学生に憲法を教える。私の娘が今小学校六年生なんですけれども、パパも憲法を教える役回りで、子供に毎日教えているような次第なんです。ですから、文部省の取組ということであれば、更に生涯学習を充実すべきだという意見については私も同感なんですけれども、そこはひとつ憲法が定着している中での取組だというふうには思っております。  また、自民党で、やはりいろいろと経緯もございましたけれども、平成七年に論憲方針というのを打ち出しました。そして、論憲方針という中で、元々綱領の中には改憲というのをうたっているわけですけれども、今の憲法についてしっかり議論をしていこうというようなことを憲法調査会の中でずっとこの間やってまいりました。自民党のインターネットのホームページにも憲法調査会議論なんかも出させていただいて、できるだけやはり国民に、我々がどういうことを考えているんだ、我々この憲法についてどう考えているんだということは理解できるように開かれた形にはしております。  更にそのような努力は深めるべきであるというふうに思いますけれども、正にこういった憲法改正の手続法、こういった議論をまた国民に開かれた形で本当に議論を深めていく中で更に国民の憲法に関する理解というのを私は深めていただきたいなというふうに考えております。
  76. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 葉梨議員からはある程度国民に定着をしているんではないかという観点に立ったお話を今いただきましたが、私はそうは思いませんね。その点、赤松先輩、どうでしょうか。
  77. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 水岡議員にお答えします。  細かい点にまで憲法全般にわたって定着しているかどうかというと、やはり先生指摘のように疑問があると思います。ただ、憲法三原理、基本的人権とかあるいは国民に主権、かつての天皇主権から国民主権に移ったとか、それから日本が平和主義である、こういうふうな原則部分については、やはり先ほど来御提示のように、政府がいろんなことをしてこなかったじゃないかという御指摘もありますけれども、この六十年間広く、浅いかもしれませんが、全体的に行き渡っている、定着している、そんなふうな認識、だから両面あろうかと思います。
  78. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 ありがとうございました。  赤松議員が言われるように、基本的人権であるとか国民主権、平和主義、この三つの柱については多くの子供たちが覚えていることだろうと思うんですね。ただ、言葉を覚えていることとその本質が何かということについては大きな開きがあると思うんですね。ですから、そういった問題を、やっぱりここに、九十九条に定められている責任がある私たちはもっともっと努力をしなきゃいけないというふうに思うんですね。  その細部にわたってはなかなか行き届いていない部分もあるかもしれないというお話で、それは確かにそうだというふうに思います。そういう中にあって、国民投票という方法を使って憲法の改正が行うことができるんだというようなことについてもこれはしっかりと国民の理解を深めないと、法案を成立をさせるというところに結び付けるのは早計かなというところが、私は思うんですね。  そこで、ちょっと振り返って考えてみると、この法律衆議院参議院ともに過半数で成立をしますよね。僕は何が言いたいかというと、要するに憲法を改正するということになれば発議が行われなきゃいけない。発議が行われるということは、両議院の三分の二が賛成をしなきゃいけないですよね。そうすると、発議がもし行われるという状況が整ったならば、この法案をもしその時点で成立させようとしても、これはいとも簡単にいくわけですよね。つまり、発議をするという段階に至っていない今のこのときに急いで急いでやらなきゃいけないという理由は、これはないんじゃないでしょうか。私はそういうふうに思うんですが、これいかがでしょう。
  79. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 衆議院段階での議論を申し上げますと、民主党の園田委員からもお話ございましたが、憲法論議、憲法改正についての意見というのがこれ以上深まる前に、今定めなきゃいけないというような御答弁もあったかと思います。  やはり、フランスでは確かに御案内のようにデクレという形で国民投票の手続についてはそれぞれ毎回ごとに定めるということになっているんですけれども、私、フランスに調査に行きましたとき聞きましたところ、それで大丈夫ですかと言ったら、これはもう伝統的に規制の在り方等については同じものだから、これでいいんだというようなお答えでございました。  この国民投票法案、手続を定める国民投票法案、これについてはやはり公正中立ということを念頭に置かなきゃいけないし、やはりある程度改憲の三分の二の環境が整ってきたときに、じゃその三分の二の勢力が、いやしくもその三分の二の考え方を押し通すためにこの法律を作ったというふうに思われることは、私あってはならないんだろうというふうに思っています。  憲法九十九条に憲法の尊重擁護義務ということを書いてありますけれども、国会議員憲法尊重、擁護するというのは、この九十六条に基づく手続法をやはり早期に整備するというのは、我々はこの九十九条の義務を果たすことになるんじゃないかというふうに思います。
  80. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 私はちょっと理解できなかったですね。  というのは、発議が行われる状況になったとすれば国会議員の三分の二の人たちがそのことに賛成をするという状況なので、国民の代表たる国会議員の三分の二がそのことに同意をしているのであれば、何もそこで国民投票を定めるような法律をその場で作っても、野心があるとか何かほかに大きな目的があるとは思わないでしょう。  今、葉梨議員のお話を伺うならば、今やそのことが逆に今問われているんじゃないですか。つまり、何か憲法を改正をしようという大きなたくらみが陰にありながら、そのことを隠しながら今矢継ぎ早に進めていこうとすることがあるんではないかということを一部の、あるいは多くの国民が思うことを葉梨議員は恐れたようなことを言われたんじゃないかなと私は思うんですよ。  それで、そこでもう一つ申し上げたいのは、私がお尋ねをしていることに民主党の仲間の園田議員がどう答えたとか、そんなことは関係ないじゃないですか。そういう言い方は僕はおかしいと思いますね。葉梨議員らしからぬ答弁じゃないですか。いかがですか。
  81. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) いや、私自身、別に引いて何をというよりも、それ私も横で聞いていたものですから、全く私も同感であるというようなことで申し上げたわけでございまして、正に私自身の意見でもございます。
  82. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それならばそういうふうに葉梨議員のお言葉で答えられた方がいいと思います。何かほかに目的があるように私には取れますよ。そういう言い方は私は好きじゃないなというふうに思っております。  そこで、私の時間余りたくさんございませんので次の話に進みたいんですが、よくよく考えてみると、今、憲法を尊重し擁護する義務があると。一方、憲法を改正したい、あるいは改正するべきだという主張をする権利も国民にはあるんではないか、一人一人あるんではないかということになりますが、この九十九条に立ち返ってみると、天皇に始まって摂政、国務大臣ですか、国会議員、裁判官、その他と、こういうふうに続いておりますが、これそれぞれ、憲法改正をするべきだということを主張できるのはこの中でだれなんでしょう。これちょっとどなたか。
  83. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 主張をすること自体は、主張ですね、憲法を改正すべきという意見を表明すること自体は、日本国民の要件を有すればそれはできるというふうに思います。  ただし、天皇はこの憲法にいう日本国民には当たらないということになってまいります。
  84. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 天皇は国民に当たらないからできないんでしょうか、国政に関する機能を有しないからできないか、その辺り私も考えているところですが。  しかし、裁判官は、葉梨議員、いいんですか。
  85. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 個人として、国民として意見表明することは、私は裁判官であっても構わないというふうに思います。  しかしながら、裁判官の職務の中で憲法を尊重し、いやしくも擁護しないというような職務を裁判官が行ってはならないというふうに思います。
  86. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 分かりました。  それじゃ、国会議員はどうなんでしょう。
  87. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 国会議員であっても、憲法改正すべきだ、あるいは改正すべきでないというような意見を表明することは可能だと思います。  しかしながら、やはり国会議員の職務として憲法に反するような立法をするということはできないんだろうと思います。
  88. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 明快な答弁ありがとうございました。  それでは、公務員はいかがでしょうか。
  89. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 公務員についても同様でございます。公務員も、憲法を改正すべきであるという意見を表明したりすることは、もうそれはできるというふうに思います。  しかしながら、やはり公務員としての職務がございます。公務員としての職務の中立性を著しく害するような、そういうような形の行為というのはできないんだろう。しかし、国民として意見を表明することは可能だというふうに考えております。
  90. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 分かりました。  教員は公務員の中に入るんですよね、ですよね。  先ほどの話なんですが、私は公立の中学校で教壇に立ってまいりました。その中で、日本国憲法はこんなにすばらしいものだ、これをやっぱり私たちは守っていかなきゃいけないということを教えてきたつもりであります。そういう意味においては、これは憲法擁護義務として、公務員として当然なことでありますよね。その点についてはいかがでしょうか。
  91. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 先ほど保岡委員のお答えにございましたとおり、そういうことを言うこと自体は、公務員たる教育者として、これは問題ないというふうに思います。  ただ、先ほど申し上げましたのは、憲法は一方で、公務員は全体の奉仕者であるということを規定しております。その全体の奉仕者であるというような規定は、やはりこれは尊重しなきゃいけないし擁護しなければいけない。その意味での公務の中立性というのはあるんだろうというふうに思います。
  92. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それはもちろんそうですよね。全体の奉仕者だからこそ日本国憲法の重要性を説き、子供たちに理解をさせるために努力をするんだということであります。  そこで、もしこれが、この法案が通過をしたとして、発議をされた。この周知の期間、六十日か百八十日か分かりませんが、その間に教員水岡俊一が教壇に立って、日本国憲法はこんなにすばらしいものだ、この憲法を私たちは六十年間守ってきた、これからも私は重要な、重要な日本国憲法を国民として守っていくべきだと思うとやったら、これはどうでしょう。
  93. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 発議をされた後に、例えばカリキュラムの中で、例えば社会科というような形で、それで、それについて当然試験もありましょうというときに、教員がその教育課程の中でお話をされるというのはちょっとこれはいかがなものであろうかなというふうに思います。  やはり、教育者であっても、一人の国民として意見を表明していただくというのは、それはもう妨げられるものではありませんけれども、カリキュラムの中でそういったことをおっしゃられるというのは、特に憲法について、最前来、憲法の改正の限界という問題がございました。もちろんのことながら、日本国憲法の平和、民主主義、人権、この理念というのは大事なことだと、これを言うのはもう全く問題ないんです。ただ、特定の憲法の発議案について、これは明確に駄目だというような形での表明は、それはいかがなものだろうというふうに思います。
  94. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 私はそんなことは言っていないんですよ。つまり、その投票についてこちらに投票すべきだとか、こちらに投票すべきだなんということは言うつもりは、水岡俊一教員は言うつもりはないんですよね。日本国憲法というのはこういう成立過程があって、こういうふうな国会議論がありながらこういう解釈をしてきた、そういう日本国憲法なんだ。判断は、それは君たちがするんだよ、しかし、日本国憲法のこんな重要性を私は皆さんにしっかりと伝えたいという授業を、社会科であろうが、社会科でなくてもホームルームの時間であろうが、これはしていいと思うんですが、これは保岡先輩、どうですか。
  95. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) それは、九十九条に定める公務員のお一人としての対応としては一般的、いわゆる憲法擁護義務を生徒の皆様におっしゃることは、それはもう一向構わないことだと思います。
  96. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それでは一方、今、葉梨議員の方から、個人としてはどういうふうにお考えになろうとも、学校の場で個人の考えを述べることは良くないというふうにおっしゃったかのように思いましたが、それでいいですよね。
  97. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 先ほど私申し上げましたのは特定の改正発議案についてということでございまして、一般論として例えばこの憲法の平和、人権、民主主義、こういった理念が大変いいことであるということを言われることは、今、保岡議員答弁がありましたとおり、それはもう構わないというか、むしろ奨励されるぐらいの話じゃないかと思います。  ただ、特定の改正発議案について、こちらを投票すべきだ、これはいけないことだというようなことを教育課程の中で言っていくというのは、これはいかがなものであろうかということを申し上げたわけでございます。
  98. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 それは分かりました。  その前に、個人としてはというお話があったので私は今言ったんですが、つまり、私、教員水岡俊一は、学校の教壇、黒板の前で今度の改正には反対だとか、あるいは、君たち、お父さんにこういうふうに言えとかいうことを言うつもりは全くないです、それは。それは公務員としてやっぱりあるべき姿ではないと私も感じていますし、多くの教員がそれぐらいのことは理解できるというふうに思うんですね。  しかし、一歩学校を出れば一個人に立ち返るわけですよね。そうすると、私は今度の憲法改正には疑問を持つ、もっとこのことについては時間を掛けて話をしなきゃいけないから、今国民投票にかけるというのはどうかなというようなビラを作りました。街頭で配りました。これ、いかがでしょうか。
  99. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 今申し上げましたけれども、先ほど来議論している議論というのが、教育者の地位利用に当たるわけでございます。もう御案内のとおりだと思います。教育者の地位利用については、行政罰とはいえ、教育者としてやっていくことはいけないということが一つございます。この地位利用とそれから政治的行為の制限というのは、当然、もう釈迦に説法かも分かりませんが、切り分けて考えられているというふうに思います。  まず、教育者の地位利用の関係ですけれども、教育課程の中で特定の改正発議案について物を申す、あるいはビラを配るといいましても、例えば明らかに生徒だと分かっているのに校門でビラを配るというようなことであれば、それは果たしていかがなものかということにもなろうかと思います。  しかし、隣町に出ていきまして、それで憲法改正に特化したようなビラを配るということ自体が憲法改正案に対する意見の表明、これ、公務員であっても国民として意見の表明や勧誘は、これは自由な形で公務員法制自体を整理するわけですから、そういったことはいいんだろう。  しかし、それがまたいろんな切り分けをやっていかなきゃいけないということは、それは、例えば特定の団体だとか特定の公職の候補者、そこら辺と一緒にやっていくというようなことになったら、それはまた問題がある。これは、こちらの方で、公務員法の世界の中で、公務の中立性という中で規制される部分もあるんだろうというふうに思います。  ただし、教育者については、まず一つは地位利用に該当するような形であってはなりません。それ以外の国民として行う行為であれば、個人として、国民としての意見の表明や勧誘、これは許されるような形で公務員法上の調整を図る。しかしながら、先ほど言いましたとおり、全体の奉仕者として公務の中立性を侵すというような行為というのは、これはできないですよということでございます。
  100. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 私も教員をやってきた身ですから、街頭に出て、学校を出たら一個人に戻りますから、どこどこ中学校の教員だれそれという名札を付けたりしたり、学校のジャンパーを着たりしてそういうことをするつもりは全くありません。しかし、個人としてやはり自分の信条、自由というものがあるわけですから、そういった意味では尊重されるべきではないかというふうに思うんですね。  今、裁判官のお話がありました。裁判官とても、裁判官としての公務にある間は制限が加えられるけれども、そうじゃないときは、これはその公にあらずということは今お話をいただいたとおりだと思うんですね。  しかし、今与党修正案については、政治的制限に関する公務員法等については検討するというようなお話がある中で、私はこれは、例えば投票所の数を幾つにするかとか時間を何時から何時までにするかとか、そういう技術的な問題ではなくて、本当にこれは個人の、一人一人の権利の問題ですから、先延ばしにして後で決めればいいという問題ではないと思うんですが、これはどうでしょうか。
  101. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) この条項の題名自体が検討となっておりますんでそういう御質問になったかと思いますが、この条文は、検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるということで、これはもう義務でございます。立法上の措置を講じなければなりません。  そして、公務員関係法律でございますと、教育者の、教育公務員の場合は教育公務員特例法というのがございまして、これは国公法を引いている。あるいは、国家公務員法の場合は人事院規則に下ろしている。それから、地方公務員法においては法律においても列挙をされている。さらには、自衛隊法においては政令に下ろしている。あるいは、国会職員の法律もあるというふうに、それぞれの政治的行為の規制の仕方というのが多岐にわたっているんです。  ですから、そういった意味で法制上の検討を加えるということですけれども、最終的には、いずれの法律においても、公務員が国民として意見を表明するあるいは勧誘を行うということは、それは自由になるということはこの三年間の間に確実に行っていくということでございます。
  102. 水岡俊一

    ○水岡俊一君 なかなかそれを信用しろと言われても難しい部分があると私は思います。やっぱりそういったことはきちっと決めた上で法案審議をしないと私はいけないというふうに思いますので、そういった意味では、まだこの後、私もまた質問に立たせていただきたいと思いますけれども、十分な審議をして考えていくということをお願いをして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  103. 松岡徹

    ○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。  提案者皆さん、大変御苦労さんでございます。  私も冒頭に、なぜこの憲法改正手続法である国民投票法の成立をこんなに急ぐのかというのが、私自身もいまだに不思議でならぬわけであります。改めて、発議者の方々、特に保岡先生おっしゃっておりました、粛々と提案をして議論を尽くして成立さしていただきたいということで、期日は切っていないということでありますが、ところが、国民の意識からすれば、この今議論になっている、連日マスコミを含めてにぎわわしている国民投票法、これの成立はイコール憲法改正という議論として認識が国民の中では広がっていっているというふうに思うんですね。なぜそういう意味ではそれを急ぐのか。改めて、その急ぐ理由といいますか、今回の国民投票法を制定するについての意味を改めて聞かしていただきたいなと思うんですが、いかがですか。
  104. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 憲法の制定権力者は当然国民であるということは、これはもう間違いないことでございまして、その主権者が、九十六条に定める憲法改正という一番国民にとって大事な、制定権者からすれば改正すべき憲法の手続というものが我が手にあるという状況は、これは憲法を作ったときに備えておかなきゃならない本当に基本的な憲法に付随する法律だと思います。  そういうことで、内外の情勢も別世界というぐらい戦後六十年変わってまいりました。いろいろな憲法改正論議も、あるいはそれに対する反対論議も非常に強く出てきている中で、一日も早く、やはり国民、主権者でこの改正の権利行使ができるような法を整備すべきだというのが私どもの基本的な認識でございます。
  105. 松岡徹

    ○松岡徹君 憲法附属法としての、言えば憲法九十六条に規定されている附属法としての法整備を整えると。そして、国民が憲法を変える、変えないという主権が国民にあるわけですから、そういうことがいつになるか分かりませんが、できるという環境を整えるためにやると。それは理屈としては分かるんですが、ならば、なぜ六十年間それができてこなかったのか。  私は、国民の民意といいますか考え方、思いというものをしっかり見なくちゃならぬと思うんですが、国民の多くは、六十年間そういうことが整備されてなくても、これからも別に急がなくてもいいよという意見があることも事実なんですね、一方でね。すなわち、立法不作為だということというのは客観的にはあるかもしれませんが、六十年間それを国民が、別に、なぜ作らないんだというふうな声が特段高まったということも記憶にはございませんし、むしろ逆に、憲法を変えるべきだという国民の強い声が六十年間の間に盛り上がってきたということも私は記憶にないわけであります。  そういうことからすると、今なぜなのかということを考えますと、どうも小泉さんから安倍さんに替わって、安倍総理に替わってから、すなわち憲法改正や手続法議論が非常に活発になってきたんですね。今年の一月の安倍総理の年頭所感のところでこういうことを言っているんですね。新しい時代にふさわしい憲法を今こそ私たちの手で書き上げていくべきだ、その前提となる憲法改正手続に関する法案について本年の通常国会で成立を期すと。安倍総理は、正にその決意の前提となるのが戦後レジームからの脱却、そして美しい国づくりということを掲げられてやってきたんですね。  すなわち、イメージとすれば、安倍総理の言っている戦後レジームの脱却と、そして美しい国づくりのために憲法を改正し、そのための手続法国民投票法をこの国会中に成立させたいというふうに言うと、今なぜこういうことを急ぐのかという議論の重要なポイントは、総理が言っている戦後レジームの脱却とはどういうことなのか、それによってどういう憲法に変えるべきなのか。あるいは美しい国をつくるという総理のおっしゃっている中身で、そのために憲法をどういうふうに変えていくべきなのかということの議論が、提案がしっかりなされなければ、国民はなぜ今この時期に憲法改正につながる国民投票法が、ましてや最近の新聞記事では、五月三日の憲法記念日に合わせて、そして六十周年の今年に成立させることがいいだろうというようなことを言って、もうあたかも、出口がもうそこに決まって、そしてそれに合わせるかのような審議やり方をやっている。  国民は全く、そういうことからすると、六十年間、今まで我々に、国会議員に対して憲法改正のための手続法を早く作れ、早く作れというようなことの世論も盛り上がってもこなかったと。すなわち、それは、今の憲法を早急にあるいは早急に変える必要はないという大勢の意見が国民の意思としてあったんだというふうに思います。  それを変えて、こういう国をつくるために憲法をこういうふうに変えていかなくてはならないというのなら、安倍総理に戦後レジームの脱却とはどういうことなのか、総理の描いている日本の姿というものが、美しい国というものがどういうものなのかということをしっかりと議論として出さなければ、私は軽々に、五月三日までにというような出口が決まったかのようなこの審議の進め方、急がせ方というのは私はちょっとおかしいんではないかというふうに思うんです。  ですから、安倍総理は是非ともこの場に来ていただいて、安倍総理からのその思いを改めて私たちも聞きたいと思いますし、当然国民の側も、初めてそういうことを知って、国民投票法の成立の必要性、あるいは憲法をこういうふうに変えていくことがこれからの日本の国の、将来の国の姿形をイメージしていくためにとっても重要な前提となるものだというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  106. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) その点は再三答えておるところでございますけれども、安倍総理の美しい国あるいは戦後レジームの脱却、こういったお考えというのは、これは一国の総理が、時代が大きく転換して急速に進んでいく、明治維新のときもそうでありましたし、戦後もそうでありましたが、大きな時代の転換期には必ず国民に指し示す。国の理念やあるいは国家の進むべき方向、それに伴うグランドデザインというのをできる限り明確に示して、そして国民からそれについての議論が沸き起こるように、そして国会においてもそれを、そういったリーダーの総理考え方を踏まえた上でしっかり議論して国の将来を確かなものにする、そういった議会の機能を果たしていく。そういったためにも、リーダーがこういう転換期に国のあるべき姿を示していくというのは当然のことだと思います。  その中に、当然、戦後六十年の世界が別世界と言われるような激変する状況の変化が制定当時と今日と出てきておりますので、そういうものに対して憲法改正を位置付けて、そして御持論を展開されるのはこれまた当然の話と私は思っております。  ただ、我々は、憲法改正手続という今我々が議論している法案は改憲のためのものでもなければあるいは護憲のためのものでもない、ましてや特定の総理大臣の考えを実現するためのルールでもない、こういった考えで、当然のことなんですが、私たちは、衆議院で、国会で議決して参議院法案をお送りする段階に至るまで、今日まで、こういった委員会の外の政局に一切影響されない、本当にこのルールをつくるのにふさわしい努力をきちっと尽くしてきたつもりでありまして、そのことについては詳しく繰り返しませんけれども、再三申し上げて、自負心を持っているところでございます。
  107. 松岡徹

    ○松岡徹君 正に改憲のための手続法を制定するということではないと。ところが、総理の発言は、この二月、三月に入って五月三日、あるいは自民党の幹事長中川さんの発言、五月三日までに成立をさせようと、それが望ましいという声が聞こえてくるんですね。  そういう意味では、私たち自身はしっかりとした議論をしていくべきだというふうに思っています。そういうふうな性急な議論あるいは進め方というのはあってはならないと。それはむしろ発議者の、提案者の側からすれば不本意というか本意ではないと、しっかりとした議論をしてほしいということを再三保岡先生始め発議者皆さんがおっしゃっているとおりでありまして、それほど大事な法律でありますから、我々もじっくりと時間を掛けて議論をしていくべきだというふうに思っています。  どうも最近の、衆議院でああいう結果になったわけでありますが、参議院でも出口が決まってそういうような流れで進められるということがどうも非常に私は危惧します。ですから、これが、これは保岡先生らが答えられるべき問題ではないと思いますが、いずれにしても、しっかりとした議論を積み重ねていくということを是非とも要望していきたいと思いますし、私たちもそういう立場で議論をしていきたいと思っています。  それで、次に、最低投票率の問題を私も一部触れたいというふうに思うんですが、幾つか先ほどの我が党の藤末委員にもありました。最低投票率を定めない理由に、ボイコット運動の問題とか、あるいは関心の薄い条例、条項、改正内容についてはなかなか投票率が上がらないだろう、あるいは憲法にそのことが明文化されていないというようなことがありました。  それで、その前に、この憲法の最低投票率が、その理由としているボイコット運動等とか言われていますけれども、例えばどのようなボイコット運動とか、その辺についての結果というものをどういうようなことを想定されて反対されているわけですか。
  108. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) どういったボイコット運動があったのか。これ実は大阪の地方公聴会意見陳述者で出られたその分野の専門家でありますが、ジャーナリストの今井一さんが、徳島や岩国の住民投票におけるボイコット事例を引き合いに出されて、徳島、岩国の場合におけるボイコット例で最低投票率を設けるべきじゃない、こんなふうに主張されたということでございます。
  109. 松岡徹

    ○松岡徹君 ボイコット運動というのは、条例で一部ありますし、海外でも幾つかそういう事例があるというのを私も聞いています。  例えば一つの例でありますが、例えば一九七三年に北アイルランド問題で、北アイルランドの帰属問題について国民投票にかけたんですね。その結果、まあ住民投票のような形ですけれども、結果は九九%が、アイルランドに行くかイギリスに残るかという国民投票だったんですが、九九%がイギリスに残るということに結果が出たんですね。  ところが、これはなぜ九九%になったかというと、実はその北アイルランドの問題はカトリック側、つまりアイルランド側の人たちはプロテスタントの方が非常に多いんですね。そういう意味では、カトリック側と反対勢力の部分がボイコットしたんです。ボイコットしてしまったために、結果は九九%賛成ということになった。これは結果的には、かえって対立を激化させるという結果になってしまったということが一つの例なんですね。  だから、ボイコット運動は、必ずしも、そういう結果を招くということも事例としてはあることは事実なんですけれども、しかしその後に、問題は、こういったことを招かないために例えば次善の解決策とかあるいは方策を取って、その結果、国民投票をやって成功した、例えばこれは同じアイルランドですけれども、一九九八年に国民投票かけました。そのときのブレア政権が誕生しまして、和平合意をしてそれぞれに国民投票をかけて、北の方でもボイコットは結果起きなかったんですね。それぞれにやられた結果、八〇%以上の人がこの国民投票に参加して、七一%の賛成で成立していると。  すなわち、ボイコット運動があるから、起こる可能性あおる、その結果はこういうことが予想されると言っていますけれども、こういう例を見ても分かりますように、私は、ボイコット運動をあおってしまう結果になるということは最低投票率を設けない理由にはならないと思うんです。すなわち、そのボイコット運動が起きないような提案の仕方、工夫というものが十分できるんではないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  110. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 松岡委員からボイコット運動の件を聞かれまして、ブレア政権でございますけれども、その後、やはりそういったような経緯も踏まえて、二〇〇〇年にイギリスで恒久法であります国民投票に関する法律を作ったときには、やはりかつてのボイコット運動、これの件も踏まえて、やはり最低四〇%ルールというのは撤廃をいたしました。最低投票率というのは設けないでいこうということでございます。  それで、ボイコット運動は、昨日も赤松委員の方からいけないことであるというような御答弁がございましたけれども、私もいけないことだろうと思います。棄権の自由を認めるということは、私は認めてもいいと思います。しかし、参政権というのは、近代立憲主義の中で先人の血と命によって我々はかち取ってきたものでございます。そして、その参政権で棄権をする、棄権の自由を認めるというのは、その棄権をした人たちは他の有権者にその意思決定をゆだねるという、そういう意思だろうと思うんです。やはり、投票所に足を運んだ人の意思というのはしっかりとこれは反映しなきゃいけないし、その投票所に、意思を表明する意思があるんであれば、それは反対あるいは賛成という形で明確に意見を表明するというのは、先人がかち取ってきたこの参政権を本当に行使するためには私は必要なことなんだろうというふうに思います。  ボイコット運動というのはちょっと例が悪くて、アイルランドのあのチャールズ・カニンガム・ボイコット大尉がサボタージュでアイルランドを追い出されたのが元々のボイコット運動の語源だというふうに聞いていますけれども、棄権運動なんですね。ですから、反対のための棄権運動というのは、これはやはり近代立憲主義の中で参政権を行使するという意味からはやはり良くないことであるというふうに私は考えています。
  111. 松岡徹

    ○松岡徹君 私も、ボイコット運動は正しいとは思っていません。やっぱり国民の義務としてもしっかりとした意思を表すべきだと。しかも、その行為がその主権者たる国民の意思によって、変えるか変えないか、あるいはそのままでいくのかいかないのかという意思決めるからこそ大事なことなんですね。  しかも、今回のこの投票法自身が、憲法の九十六条をどう読み取るかといったときに様々な議論あったと思いますが、元々間接民主制というものを容認しているこの憲法の中で、直接民主制のような部分を容認している国民投票、国民の意思というものの諮り方、あるいは最高裁の判事の問題であるとかあるいは地方の住民投票とか、そういった部分が容認されているんですね。憲法の中では、基本的には間接民主制という立場に立っていますけれども、なぜこの直接民主制の部分を容認しているのかという意味なんですね。この意味をどういうふうに読み取るのかというのは、私は、やはり間接民主制というのは必ずしも民意を反映すべてしないという部分が生まれてくる、すなわち間接民主制を補完するものとして直接民主制の部分を容認する、すなわち国民に直接意思を聞くということもあり得るということだと思うんです。  間接民主制は、我々は、国民が選ぶのは議員を選ぶんです。国民は政策を選ばないです。議員を選ぶんです。その政策を決める、法律決めていく議員を選ぶんです。しかし、これで民意が、すべて間接民主制ということで民意が反映されるのかといえば、必ずしもそうでないですね。選んだ議員が不正をするとか、あるいは議員自身が辞職する、辞職というか、ということになれば、その議員に投票した民意はその時点で反映されないということになるんですね。  これだけが問題ではないですが、しかし、いずれにしてもその間接民主制で決めたことが必ずしも民意を反映するものではない。すなわち、間接民主制をより民主的に民意を反映させるための補完的なものとして、憲法は国民投票というような直接民主制の部分を容認しているというふうに私は理解をするんですね。だからこそ、だからこそこのボイコット運動というのはあってはならないというふうに私は理解します。  だけど、国民の意思というのは、棄権するという自由というのも当然、今までも議論ありましたように、それも国民の意思として認められるか認められないかということは、大勢としては、棄権することも国民の意思として認めるべきだというような意見が大勢でありますけれども、そういう意味では、提案の仕方とか進め方というのは、やはりこのボイコット運動を容認してしまうことになるから最低投票率を設けないということにはならないというふうに私は申し上げておきたいというふうに思うんです。  そして、もう一つ理由で言っておりました、関心の薄い例えば条文とかの部分を改正するときには、当然のように投票率が低くなるんではないかと。これは、私はこれは国民をばかにしているんではないかというふうに思うんです。たとえ関心の低いというか、であっても、それは憲法の条項なんですよ。それを変えるという行為自身は主権者たる国民の権利なんでありますから、国民が変えられるわけでありますから、関心の低い条項については投票率が低くなるから、だから最低投票率を設けないということの理由にはならないと思うんですけれどもね。いかがですか。
  112. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) これは今のボイコット運動の議論ともかかわるわけですけれども、我々は棄権の自由を認めるという中で、有権者、国民の中に他の有権者、投票所に行った他の有権者に認めてもいいよという人の自由を認めるわけです。ですから、明らかにこれぐらいだったらというか、こういうような案件であれば投票所に行かなくてもほかの方たちにゆだねてもいいよというような国民が多数を占めるような案件というのはやはり幾つかは出てこようか、これはもう技術的な問題であろうかと思います。  諸外国の憲法典見ましても、これも国によってまちまちではございますけれども、例えば統治機構に属することあるいは他の技術的な問題については国民の、国会における絶対的な多数で、さらに、基本原則というのは改正できないにしても、その外縁の基本原則に近いような部分については国民投票でというように切り分けをしているような例もやはり現実にあるわけでございます。  ですから、そういった意味で我々申し上げましたのは、国民の中でこの問題については他の国民にゆだねてもいいよというような案件が多数を占めるというような案件もあるんじゃないかということで申し上げたわけでございます。
  113. 松岡徹

    ○松岡徹君 私が言いたいのは、最低投票率を設けない理由にこういったボイコット運動をあおることになるとか、関心の低いものについては投票率が低くなるとかいうことが最低投票率を設けない理由にはならないでしょう、それは極めて提案する側、発議する側の工夫とかいうものになるんでしょうということなんです。
  114. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) まず、最低投票率を仮に先生どれぐらいがいいと考えられるかということの想定でいった場合、イギリスのように四〇%、あるいは韓国のように五〇%、あるいは我が国の普通行われる選挙の最低三〇%ぐらいがあり得るので三〇%。仮に三〇%とした場合に、それは国民が、例えば二十五人賛成して、その中で、あるいは二十六人でも七人でもいいです、かなり多数が賛成して、残りが反対だというような世論が、国民の判断があった場合、投票の結果、そういうときに、わずか少数がボイコットするだけで、数人の反対意見者がボイコットすれば三〇%切るわけですね。百人の場合の最低投票率を、三十人で投票して、二十八人が賛成して、二十九人でもいいです、たった一人が棄権をすることによって二十九人の意思を否定する結果になる。こういうことは、これは少数者に絶大な権限を与えるということになって、かえって直接民主制を定めた九十六条の趣旨に全く沿わない結果を招くことになる。  そういった意味で、棄権する自由はあるけれども、棄権することを権利として、担保として、こういうふうに少数で否決できる権利として、制度として担保することはしない方がいいと言っているのでございます。しない方がいいと考えたのでございます。  それとまた、国民に、専門性が高くて、あるいは技術的な問題が、あるいは高度ないろんな情報、政治的な要素を考えて判断されているような問題については、むしろそれはプロの国会議員に任せた方がいいといって棄権する人が多くなるのは、これは当然の民意の動きだと思います。そういう際には、もう自らの直接民主制の権利を行使しなくていいと、それは国会の発議に任せる、ほかの人の、少なくともよく分かる人の判断に任せるというケースもあるだろう。そういうときに、実はボイコットも含めて、少数権利者の強大な権限を認めることも含めて、そういうケースもあるだろうということで申し上げているのであって、決して、何というか、国民の判断力がないから、そういう判断力のないことを前提に低い投票率を定めないなどと主張しているのではないということを御理解賜りたいと思います。
  115. 松岡徹

    ○松岡徹君 私は、その予想される国民投票の結果というものは、海外の事例や今までの住民投票とかいうのを参考にすることはそのとおりです。しかし、今回のこの手続法国民投票法というのは、この国の基本を成す憲法を改正するかどうかの大事な、根幹を成す大事な法律なんですね。それを決めるのは主権者たる国民なんです。  だから、そうすると、私は、ボイコット運動が起きるからとか投票率が低くなるからということが理由ではなくて、憲法九十六条に、要するに憲法に最低投票率の明記がされていないということがどう読み取るのかということになると思うんです。だから、そうすると、憲法に明記がないから、憲法違反だから最低投票率を設けないという理屈だけで最低投票率を設けない理由にはならないと私は思うんです。  すなわち、想定される場合、まあ何でもありますが、極端な話、一五%で可決、過半数出た場合、これが大事なこの国の基本を成す憲法を変えるにふさわしい投票率なのか、あるいは過半数と言えるのかということをどう説明するのかですね。憲法に書いていないからと言うんなら、そうしたらそういうような投票率で成立してもいいのかと、この大事なこの国の基本と成す憲法の成立がですよ、そのことをどう説明するおつもりなんですか。
  116. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) それは確かに、再三申し上げているように、憲法改正には国民の基本法という大事な位置付けからいっても多くの人に投票所に行って判断して権利を行使していただきたいと、こういうふうに願うわけですね。これはみんなすべての願いだと思います。ただ、現実の問題として、非常に専門性の高い、技術的にいろいろな政治的なたくさんの要素を考えなきゃならない、どちらかというとプロが判断すべきような改正テーマというのが改正の中にないわけではないわけですね。そういうものが投票率が低いために改正の機会がなくなってしまうというようなことは、むしろ主権者の権利行使の機会を事柄の性質上奪ってしまうということになって、憲法の九十六条が予想しているところではないと私は思います。
  117. 松岡徹

    ○松岡徹君 それはちょっと視点が違うと思うんですね。私は、国民の側もそうですが、私たちの大事なこの基本を成す憲法を変えるには、少なくとも「その過半数」という「その」というものをどう読むか。すなわち、少なくともみんなが、これぐらいの人がおれば変えてもいいよというような、まあ社会常識というか、それが何%なのかというのは今憲法にも明確に書いていないわけですから、その過半数といっているんですから、しかし、それぐらいのやっぱり数が支持するということはこれは理解できるということになると思うんですね。しかし、それを下回った場合どうするんだ。だからこそ最低投票率という考え方が生まれてくると思うんですね。すなわち、それほど大事な規範となる法律でありますから、少なくとも主権者のこれぐらいの数の支持を得ることが大事だということを設ける。それでもし成立しなかったら、また次やればいいんですよ。  ですから、私は、最低投票率を設けて、成立しないということを前提に話するのではなくて、我々は、これからも守るべき規範となる憲法を、しっかりと国民すべての守るべき大事な憲法としての認識を高めるためにもやはり最低投票率を設けることが是非とも必要だというふうに今思っておりまして、時間が参りましたのでこの辺で終わりたいと思いますが、しっかりとこの辺も、まだ今日申し上げておりました発議の問題でありますとかいろいろありましたが、また是非とも次の機会に議論させていただきたいと思います。  これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  118. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  質問に入る前に、この委員会の今の状況なんですけれども、多くの議員が、委員がこれ出席できないでおられるんだと思うんですよね。常任委員会が今行われていて、先ほど藤末議員ももう半ば苦悩のような思いでおっしゃっておられたと思うんですけれども、社民党の近藤議員も今同時に常任委員会があっていて出席できない。憲法の附属法であるこの法案についての審議を出席できないというようなその設定の仕方で委員会設定を進めるのは私はやっぱり異常なんだということが、今日の状況を見てもはっきりしたんじゃないかと思うんですよね。それも、出席できない議員会議録を精査をする間もなく連日の審議を迫られる、そんなのは参議院での審議において私はあってはならないと思います。  改めて理事会で協議をいただきたいと思いますが、委員長、お願いします。
  119. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 理事会で検討します。
  120. 仁比聡平

    仁比聡平君 質問に入りますけれども、昨日に続いて、最低投票率の関係の問題について一問だけお尋ねをしたいと思うんです。  先ほどもお話がございましたが、憲法に書いていないので最低投票率を定めるのは憲法上疑義があるというふうに発議者はおっしゃっておられるわけですが、それ自体が、憲法の九十六条とそして国民主権の諸原理を理解をしていないものだということは、私、昨日申し上げたつもりでございます。  それを踏まえて、法案との関係で伺いたいんですが、発議者提案をしておられる法案には、憲法改正手続にかかわる問題でありながら憲法に書いていないこと、これがたくさん書き込まれています。一つだけ、今日取り上げたいのは両院協議会の問題なんですけれども、憲法は、我が憲法ですね、現行憲法は、五十九条、六十条、六十一条で、法律案、予算案、条約の承認についてのみ両院協議会を定めているわけです。九十六条は憲法改正の発議について両院協議会は定めていない。その趣旨はどう考えているんですか。
  121. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 憲法が定めている、ちょっと待ってください。ちょっと、条文ですから、条文の確認するためです。条文の確認です。(発言する者あり)
  122. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) じゃ、止めてください。    〔速記中止〕
  123. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 速記を起こしてください。
  124. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) おっしゃるように、両院協議会は、憲法事項になっている部分と法律で両院協議会を開くことができることになっている部分が国会法に一般的にも定められている、これはお説のとおりでございます。
  125. 仁比聡平

    仁比聡平君 私が質問をしているのは、九十六条がどうして憲法改正発議について両院協議会定めていないのかの理由です。
  126. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) そういうふうに、できるだけ成立を図るための制度として両院協議会はあるのでございますけれども、憲法九十六条は、非常に重要な国民の主権行使についての権利行使を定める法規でございますので、過半数という限定とかあるいは総議員の三分の二とか、要件は極めて明確に憲法上規定されてあろうと、そうあるべきだという考え方で我々は両院協議会を、その改正をする手続の中で、その両院協議会という制度の本来持つ趣旨はこの九十六条の趣旨には反しないと考えて、両院協議会の制度はこの法律に、(発言する者あり)反しないということでございます。
  127. 仁比聡平

    仁比聡平君 発議者がこの問題についてどんな憲法論的な検討をした上で提案をしておられるのかということについて、いやいやいや、葉梨議員の前に、今のやり取りだけ見たって、しっかりとした議論と、言葉と論理としての説明、ここの準備がなされていない。衆議院では恐らくこの点、そうすると議論が尽くされていないということなのかと私は受け止めましたよ、今のやり取りで。  九十六条が憲法改正の発議について両院協議会を規定をしていないということについては独自の、特別の重たい意味があるということが憲法学界の中では通説的な見解だと思いますが、発議者は御存じですか。
  128. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) お答えいたします。  通説であるというふうには理解はしておりません。  憲法上、五十九条それから六十条、六十一条において必要的両院協議会の定めがございます。今、保岡委員からも答弁がありましたとおり、両院協議会法律で設けることはできるというふうに我々は考えておりますが、なぜ五十九条、六十条、六十一条が書いてあるか、両院協議会を書いてあるかということは、これは衆議院の優越を書いてある規定だからなんです。九十六条において、総議員の、両院の総議員の三分の二ですから、憲法の発議において衆参の優越はございません。もう全く同等でございます。  ですから、法律による両院協議会としておりますけれども、憲法で書いてある両院協議会というのはあくまで衆議院が優越する場合であるということを御理解を賜りたいと思います。
  129. 仁比聡平

    仁比聡平君 憲法で両院協議会が特記をされているという場合が予算、法律、条約、衆議院の優越を認める場合であるというのは、それはそのとおりです。条文のとおりです。だけれども、その意味は何かということを私は聞いているんですね。  九十六条は、この憲法の改正は各議院の総議員の三分の二以上の賛成でと。各議院の。両議院のではないですよね。それぞれの議院の。つまり、衆参両院が全く対等のその立場でこれ発議をするということを書いてあるわけですよ。これが憲法、規定なんですね。これは明文の規定なわけです。  だから、両院協議会について規定がない趣旨は、それだけ憲法改正の発議は厳格なものであって、それぞれの院で総議員の三分の二以上の賛成を求める、それは両院制、二院制の原則、それぞれの院の自律性、独自性、これからして両院協議会の規定を置いていないという考え方が、葉梨議員は通説かどうかは知りませんがとおっしゃるけれど、こういう見解が通説的な見解だとおっしゃる憲法研究者がいらっしゃるわけです。それは、ここで通説なのか、それとも違うのかを議論をしても意味はないと思いますけれどもね。だけれども、この法案発議者が一体どんな憲法観に立って、憲法論に立って法案提出をしているのかは重大な問題であって、その点について御見解を伺いたい。
  130. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先生も御案内と思いますが、法律上両院協議会を開くことにしている、いわゆる法律事項として両院協議会を定めている制度が現にありますんです。例えば、国会の議決を要する案件で、国会法八十七条で広く認めておりますし、検査官の任命、会計検査院法四条二項などでございます。  したがって、我々としては、今、葉梨議員も言われましたとおり、両院が対等の立場に立つ憲法改正についての調整というものに、両院協議会というのは非常に最後の最後の努力を尽くす場としてきちっと制度化しておいた方が適切であると判断して立法化したわけでございます。
  131. 仁比聡平

    仁比聡平君 発議者提案をしておられる法案の両院協議会というのがあるわけですよね。これについて、今、保岡議員のおっしゃるような一般的な国会法上の今もある両院協議会とは同じ性格だとおっしゃるんですか。
  132. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 憲法上規定されている憲法事項の両院協議会法律上の法律事項になっている両院協議会と二つ両院協議会にも立法上区別がありますということを申し上げて、後者の例に倣って憲法発議については両院協議会を我々は制度化したと申し上げたわけでございます。
  133. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、よく分からないんですよ。だから、憲法九十六条には憲法改正発議についての両院協議会は規定はないわけです。これは法律案や予算案や条約とは違うんですね、憲法の規定は。それは、繰り返し発議者が最低投票率問題で憲法がどう書いてあるかというふうにおっしゃっているから私はあえて聞いているんですけれど、憲法の規定がそれ自体として別の扱いをしている。そうしたら、法案として提出をされている憲法改正発議にかかわる両院協議会というものと国会法上今もある両院協議会というものと性格は同じなんですか、違うんですか。
  134. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先生質問の前提とされている、明文上規定があるものだけがすべて解釈の根拠になるということは、もう先生法律家でいらっしゃいますから、法源というのはいろいろな全体の状況を判断して、制度の趣旨から文言からいろいろな点を考慮して決めるものであって、憲法の明文にないからないと断言できるものでないということは、これはもうだれもが法律家であれば当たり前にしている建前ですね。  それはともかくとして、今も先生が言われました……(発言する者あり)まじめに聞いてください。あっちで笑ったりしているから。  とにかく、それはともかくというのは、私の答弁者として先生が前提としている、質疑の前提としている認識を私も共有したいから申し上げているわけです。それはおいてという意味ですね。それはおいて、先生が御質問されている点については、私たち提案者は先ほど申したように理解して立法化したわけでございますけれども、これは専門的、技術的なことですので、先生の方でその専門家としての法制局、我々が法律を制定するときに、制定というか立案するときに御相談して、じゃ両院協議会を置こうと我々が判断した理由は先ほど申し上げたような理由ですが、更に詳しい理由を事務局に聞いていただければ有り難いと思います。
  135. 仁比聡平

    仁比聡平君 発議者が答えられないということじゃないですか。質問続けられませんよ。  今、保岡議員は前提としてのお話の中で、憲法規定に明記されているかどうか、明文であるかどうか、それだけでの問題ではないんだと、法源というのはほかにもあるんだと、いろいろ考えなきゃいけないんだというお話でしょう。だったら、何で最低投票率は駄目だっておっしゃるんです。おかしいじゃないですか、そんなの。
  136. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 我々は、憲法に明文がないからだけをもって最低投票率を制度化したんではないことは、先生方が御質問するとき三つ理由があると、既に先生方指摘されたとおりの理由を我々は考え制度設計をしたわけでございます。  我々は、もちろん一生懸命、立案するとき、議員立法として、最高の国民に与えられた権限を行使するために、その負託にこたえるために、全力を挙げて法的な解釈をして提案をしているわけですが、専門技術的なことはまた法制局がよく承知しているところですので聞いていただけると有り難いと、我々が判断した根拠を聞いていただけると有り難いと申し上げたわけです。
  137. 仁比聡平

    仁比聡平君 保岡議員からは、結局、九十六条の規定ぶりとの関係で、一方では両院協議会については法案の中で取り込みながら、憲法には書いていないのに、一方では憲法に書いてないからということを理由一つとして最低投票率制度の導入は拒んでおられる。そのことについての明確な答弁ないですよ。いや、答弁ないですよ。そんな繰り返して質問時間をつぶすだけだったら、私はもうこれ以上質問できません。
  138. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  139. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) じゃ、速記を起こしてください。(発言する者あり)じゃ、起こしてくれますか。
  140. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 九十六条の解釈として更に詳しく申し上げますと、前段に、この憲法の改正は各議院の総議員の三分の二以上の賛成で国会が発議しとあります。ここには確かに法律によりとか書いてない、後段の過半数のところにも法律によりと書いてない。  だから、両方とも法律によりと書いてないのではありますが、前段と後段は、発議する国会がその発議のルールを決めるという意味では重い国会に自律権が与えられているというふうに私たち考えております。したがって、両院協議会を開くかどうかということについては、我々は、重く憲法改正という重要事項について両院協議会は開くべしと判断して提案させていただきました。  そして、後段のところは、法律によりとこれも書いてないわけでございますが、我々は、その過半数の賛成以上の要件をいろいろな要素を考えて、要件としての最低投票率をいろいろな要素を考えて、それは先ほど三つ挙げられました理由などを判断して制度化しなかったということでございます。  そして、なお、前段の発議において両院協議会を認めた理由でございますが、憲法には必要的協議会、任意的協議会、二つが憲法事項として定められているほか、国会法八十七条によって、例えば国会の議決を要する案件ということで、予算や条約や内閣総理大臣の指名、法律案、その他の議案すべてに両院協議会を開くことの可能性を開いてありますから、我々としては、当然、最も重い憲法提案について、特に独立してそれぞれが同等の権利を持つという両院の関係考えて、両院協議会は是非最後の調整の手段として設けるべきだと判断したところでございます。
  141. 仁比聡平

    仁比聡平君 前段についてそのような解釈をされながら、後段については憲法上疑義があると、最低投票率は。御都合主義じゃないですか。  それで、憲法改正発議について、各院の判断が違うという場合が両院協議会の話になるわけでしょう。法案でもそういうふうになっております。私は、九十六条を素直に読めば、各議院の総議員の三分の二以上の賛成を要するんだから、だからどちらかの院で三分の二に届かずに否決をされれば、それは発議はしないということになれば、だったらばそれは国会としては発議できないと考えるのが素直なのではないかなと思うんですけれどもね。  なんですけれども、ちょっと今日そこの議論をするつもりはないんですよ。憲法論としてはそういう考え方もあるわけですが、そういう議論がありながら、最低投票率については憲法上の疑義があるというふうに明言をされるのはどうしてですか。
  142. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 九十六条の前段の発議というのは、国会自らが行う行為でございます。しかも、国会法において国会で議決するほとんどの案件について両院協議会が制度化されている。そういうことで、我々としては、国会に与えられる発議という大事な任務を果たすためにどうあるべきかというのは国会自ら判断してよいと、憲法は、九十六条はそれを授権していると、こう考えて制度化しました。  一方、過半数の方は、過半数、法律によりというのはないには違いありませんが、これの上乗せ要件が最低得票率として必要かどうかは、明文がないことも含めて、その他の要素も含め総合的に判断して制度化しなかったということでございます。
  143. 仁比聡平

    仁比聡平君 もう全然答弁になっていないでしょう。  両院協議会の問題について、国会の自律権の問題であるという考え方が発議者のお考えだということは今の答弁で分かりました。  それで、国会自らが行う行為だからといって自律権を根拠にして、憲法にはない制度を法案の中で提起をされておられる。その是非は私は今日議論するつもりないんですよ。両院協議会そのものの是非について議論するつもりはない。だけれども、過半数の問題について、国民投票の問題について、ここで問題になっているのは、本当に国民の総意を酌み尽くした、国民の総意と言える発議に対する承認と言えるのかという問題でしょう。  昨日も、朝日新聞の八割の方々がという、そういう調査がるる話題になりましたけれども、ほんのわずかな有権者の賛成のみで憲法改正が実現をし得る、そんなことでいいのかと。与党議員の方からも、仮にそんな場合に憲法改正が実現をしたとしたら、その改正された部分の政治的正当性は一体どうなるのだという指摘がこの委員会でもされているわけですね。  正に重大な憲法問題じゃないですか。国会の自律権にかかわる問題だから両院協議会決めていいが、そもそもの国民主権と憲法改正権力の原理にかかわる部分については、いや、憲法に書いてないからそれをやるのは憲法上疑義があるというふうにおっしゃっているでしょう。憲法違反の疑いがあるとおっしゃっているわけですよね。憲法違反の疑いがある、憲法上の疑義があるという言い方は、これはおかしいじゃないですか。撤回してください。
  144. 船田元

    衆議院議員船田元君) 九十六条の解釈でございますが、最低投票率を書いてないから、あるいはそれを法律に授権してないからということで、そのためだけで設けないということではありませんで、九十六条を素直に読めば、なぜ書いてないかというと、それは確かに硬性憲法ではありますけれども、そこまでの、最低投票率を設けるまでの要件を付けるということは余りにも過重である、そこまでは憲法が目指しているものではない、憲法の趣旨ではないというふうに私どもは判断をさせていただきました。  一方のこの両院協議会につきましては、これは国会法におきましても、もちろん強制のものもあれば任意のものもございますけれども、これは一般的に言って、その両院の意見が違った場合にそれを最終的に救う一つの手段として置いてあるということでございます。このことについては、たとえ憲法であろうとも国会における常識的なその手段を、これを提起するということは、これは決して憲法が求めないものではない、憲法の趣旨に合っていると、このように判断をして置かせていただきました。  すべて憲法の判断による、憲法の趣旨を判断をして私どもが立法者として判断をしたものであります。
  145. 仁比聡平

    仁比聡平君 発議者の方々が判断をしたということがどうして憲法上疑義があるという主張の根拠になるんですか。あなた方の判断が憲法上疑義がある、憲法違反の疑いがあるというその根拠にはならないでしょう。憲法上疑義があると言うんだったその根拠を示してくださいよ。
  146. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 先ほど、私の答弁とそれから保岡委員答弁が矛盾しているという御発言がございましたけれども、矛盾はしておりません。  国会において両院協議会というのを憲法上書いている場合というのは、先ほど申し上げましたとおり衆議院の優越、これについて特記して書いておるわけでございまして、国会関係でございますと、国会の議決を要する案件について両院協議会というのを国会法で定めております。したがいまして、国会会議の進め方というのはそれぞれ両院において規則も作られ、さらには国会においても、国会に作られるわけです。  ですから、この発議というのも正に国会における会議の進め方の中になってくるものでございますから、国会法という中で作っていくわけです。両院が全く話をしてはならないというんだったら、じゃ合同審査会というのは憲法違反なのかという問題にもなってまいります。そういうことではないと思います。両院はやはりよくすり合わせをするというのは私は国会法でも考えておるものだろうと。ただし、我々が考えなければならないことというのは両院の独立性でございます。その独立性の中で衆議院が優越している場合には憲法上両院協議会というのを書いているわけです。  ですから、この発議の中で両院協議会を置かしていただいたというのは憲法上問題はないというふうに思いますし、我々自身は総議員の三分の二という要件を加重しているわけではございません。例えば、この今回の法律において総議員の三分の二というのを出席議員の三分の二と読み替えるというような法律提出させていただいたら、これは憲法違反になってしまうだろうというふうに思います。そこで、ですから、この過半数の要件というのを加重するということが憲法上の疑義があるということを申し上げているわけです。  そして、さらにはこの過半数について、これは疑義ということで申し上げて、学説があることは承知しておりますけれども、総国民の過半数じゃないかというようなことを言われる方もありますけれども、「この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、」ということですから、投票に行った方の過半数というふうに読むのが自然であろうし、やはり数を加重するということは憲法上の疑義がある。もちろん疑義がないという学説もあることは承知しておりますけれども、我々は疑義があるというふうに考えているわけでございます。
  147. 仁比聡平

    仁比聡平君 葉梨議員、全然質問に答えないじゃないですか。  過半数という、過半数という言葉が、今、葉梨議員が言われたような意味、つまりどんな低い投票率でも過半数になる。憲法は、発議があったら国民投票にかけて、その過半数という表現をしているわけでしょう。これは、多くの国民がその総意としてふさわしい、そういう投票を行うということを前提にしている、踏まえている。それはもう昨日みんなそう言っていた、発議者の中からもそういう発言あったじゃないですか。それを、過半数という言葉を今のようにいろいろ言われて、何か本当に少ない数字でも過半数になるなんという、それは詭弁ではないんですかね。いやいやいや、もう葉梨議員にそこを聞くつもりはないんです。  結局、明文あるいは授権があるかどうかということだけではないんだというふうにおっしゃりながら、実質的に最低投票率制度を設けることがどうしてあなた方の言う加重要件になるというのか、という御説明は私はなされていないんじゃないかと思うんですね。  というのは、憲法改正の国民投票という場面は直接民主制そのものの場面です。当然、発議は国会がやるという仕組みになるけれども、決定権は国民にある。その国民が、その総意として直接民主制的な権利を、直接民主制そのものの権利を行使するという場面ですよね。そのときに、その直接民主制の行使として国民が総意を表明する、総意で決めていくという、その方向を強める方向での制度づくりがどうして憲法に違反するということになるんですか。  昨日の御答弁の中では、硬性憲法だから各議院の特別多数、そこで硬性憲法が担保されているんだというふうなお話もあったんですけれどね。国会が三分の二以上で発議をしているから国民の皆さんはもう少ない投票率でも構わないと、そんなことを憲法が言っているはずはありません。ですから、憲法上の疑義があるというのはおかしい、撤回しろと言っているんです。
  148. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) より高い投票率を願うのは、みんなこの制度の本当に実施する際の希望だと思うんですね。それを憲法が否定しているなどということは考えられないことだし、それを考えること自体おかしいんじゃないかと私は思います。  我々はそういう趣旨で言っているのではなくて、ボイコット運動を誘発する、それが極端に少数者の権利を決定的なものとしてしまうこともあるし、そういった専門性、技術性、非常に高い、そういう判断で、プロに任せてもいい、国会の発議にもうお任せだ、他の人の判断に任せていい、そして投票に行く人も、我々は国会議員以上に、またそれと同等に専門的、技術的な判断ができると判断して喜んで積極的に投票に行ってくださる、そういう有権者の意思とか投票のテーマによるいろいろな想定される事態を考えた場合に、一部のテーマについて憲法改正を国民から奪う結果になってしまったらいけないという配慮でいろいろ工夫したということでございます。
  149. 仁比聡平

    仁比聡平君 今三つのうち、少しずつおっしゃったんですけれども、私は憲法上疑義があるという理由にそれぞれ全然ならないと思うんですよ。  ボイコット運動とおっしゃるけれど、発議者から出てくる話は大阪の公聴会での今井一さんがこう言ったという話だけですよね。それが憲法解釈の根拠になりますか。その国民的関心の低いテーマ考えられ得ると。それは考えられ得るでしょうね。ですけれども、そういう、皆さんの言葉で言う技術的な、整合性を整えるような、そういう憲法改正の発議それだけを単身でやるという、そんな政治状況考えて、それが憲法上疑義があるの根拠になるんでしょうか。そういうことではなくて、国民の総意としてその投票がふさわしいかどうか、これが国民投票制度を考える上では一番重要なことであって、その要請にこたえ得るのかどうかという観点から物事は考えるべきなんじゃないんですか。
  150. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 憲法上疑義があるということについては、先ほども申し上げたとおりであると思います。そして、私自身は、先ほどウルグアイの話がございましたが、ウルグアイは憲法典において最低投票率を決めております、法律ではございません。ですから、そういう御議論については、やはり共産党の方から発議をされて憲法改正をされるというのも一つの手じゃないかなというようなことも考えております。そして……(発言する者あり)ちょっと申し上げたいと思います。ちょっと聞いてください。  我々として、ずっと保岡委員もおっしゃられておりますけれども、低い投票率が望ましいというふうには考えているわけではございません。高くする努力はしなければなりません。それで、現実的に、正当性の問題というのも、民主党皆さんも御議論ございましたが、当然政治的には問われるんです。  一九七八年のスペイン憲法というのは民主主義の粋を集めた憲法であるというふうに言われていますが、日本国憲法以上に硬性憲法でございまして、基本原則の外縁部分、基本原則は変えられないにしても、それにかかわる部分については、両議院で三分の二の賛成があって、そして、かつまた衆議院、下院の方を解散して、もう一回三分の二を、多数を取って、それから国民投票にかけるんですけれども、この国民投票については最低投票率というのを設けておりません。  そして、EU憲法のときに投票率が三〇%になってしまった。これは七〇%の賛成で可決されたんですけれども、これでびっくりしてしまったのはスペインで、というのは、スペインの王室に女の子がいるんですけれども、もしかしたら一人ぐらいになってしまうということで、これから女系の方にも王位を認めるということを憲法を改正して国民投票をしなければならない。そういうときに、スペインにも行って聞きましたけれども、投票率を上げる努力をしないとなかなか正当性というのは保てないなと、しかし憲法典において投票率を書くということには消極であるというような意見もしっかり聞きながら定めているわけです。  ですから、憲法上疑義があるということについては先ほど答弁したとおりでございます。そして、さらには、上げる努力、上げる努力をしても、やはり我々として棄権をする自由、つまり他の有権者に意思表明をゆだねる自由というのを認める以上は憲法の改正が私は必要なんではないかなというふうに思っております。
  151. 仁比聡平

    仁比聡平君 葉梨議員の個人的な勉強の経過や思いで憲法を論ずる、あなたが個人で論ずるのはいいですよ。発議者として、発議者としてこの法案憲法関係についてそのような御発言が、御答弁が続くのは、私はもう到底納得ができないですよ。  憲法上疑義があるとおっしゃっているのは、憲法の解釈として、憲法の趣旨と論理の上でこれは認められないという趣旨なんですか。先ほど保岡議員は、否定しているわけではないという御答弁がありました。後で会議録それこそ精査をさせてもらいたいと思いますけれども。赤松発議者は昨日は少ない投票率のものは率直におかしいという実感をお述べになって、私はそれはそのとおりだろうと思うわけですよ。  否定しているわけではないということと最低投票率定めることが憲法上疑義があるというおっしゃり方は、私はこれは違うことをおっしゃっているんじゃないかと思うんですが、違いますか。
  152. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 国民投票における投票率が低いということは好ましくないということは我々共通して申し上げているつもりでございます。ただ、最低投票率を設けて国民の投票率を上げるというのは適切でないという考えでも一致しておるのでございます。
  153. 仁比聡平

    仁比聡平君 適切でないというその判断をされている憲法上の根拠を私は示していただかなければ、この問題については本当に納得がいかないですよ。  一方で国民の皆さんは、八割の方々が最低投票率制度を設けるべきであるという、そういうお気持ちを表明していらっしゃるわけでしょう。昨日私申し上げましたけれども、それは国民的な憲法意識だと思うんですよね。発議者の方々の適切か不適切かという判断がその国民的な憲法意識を横に置いて、そして特段の憲法論上の根拠も示されずに、憲法上疑義があるという表現で語られるというのがおかしい、だからそれは撤回すべきだと言ってるんです。
  154. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 先ほど昨日の私の発言で名前を言われたので私もちょっとコメントをさせていただきます。  昨日、仁比議員が示された表は、前の衆議院選挙の投票率で、たしか六十数%でしたよね。それで、三十数%と二十数%、こういうふうな得票率が大きく表示されておりました。この得票率の上限は五〇%であるわけで、その何というか、それを、最低得票率を決めるということについては、昨日の例でいきますと三十数%、二十数%は低い、得票率が。そうすると、もっと上に上げるとなると、投票率があれは六十数%であの結果。そうすると、八〇%なのか、投票率として七〇%なのかという問題が起きてきます。そういう意味合いで、この憲法九十六条が予定した以上の加重要件というものを示すことになってしまう、そういった意味合いで言ったつもりでございます。
  155. 仁比聡平

    仁比聡平君 時間がなくなってしまいました。私、本当はこれをまずということで、公務員や教育者の運動の問題について本当はお尋ねをするつもりだったんですけれども、大変残念です。  今の赤松議員からあった私が昨日示した数字そのものは、五八・二%の投票率に対して二七・一%で成立してしまい得るというような数字を示したわけですね。その投票率、例えば最低投票率なり得票率なりを定めるとした場合に、どこがふさわしいのかというのは、それこそ本当に真剣に議論をすれば、調査もすればいいことだと思うし、そのことこそがこの参議院委員会で求められているということを今日質疑の中で改めて痛感をいたしました。このことを申し上げて、質問を終わります。
  156. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  157. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ただいまから日本国憲法に関する調査特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本国憲法改正手続に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  158. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  最初に、ちょっと通告外の質問一つさせていただきたいというふうに思います。  実は、私もこの委員会審議に専念をしておりましたんでごく最近まで気が付かなかったんですが、実は今、私たちは今ほど来審議を始めておりますが、衆議院の本会議が十三時から同時刻に開かれております。一時間十分コースだそうであります。そういうことになりますと、発議者皆さん方、それぞれ重要な方々でありますが、本会議という重大な場におられないと。私、最近気が付きまして、これは本当にいいのかなというふうな、そういう思いひとしおでございます。  今回初めて、今日が初めてなのかなと思いましたら、実は十七日の日もやはり同じようなことがあった。十三時から憲法調査特別委員会が開かれ、同じ時刻、衆議院の本会議が二時間四十分から三時間のコースで開かれていた。そうしますと、発議者皆さんはここにも欠席をされた。  本当に気が付きませんで申し訳ない気持ちで一杯でございますが、発議者皆さんは、私ども議員になった、ならしていただいたときは、とにかく議員の最も重要な仕事はやっぱり本会議場で賛否を明らかにすることであると、これはもう何をやめても行って、ちゃんと出席をして意思表示をしなければならないと、こういうふうに言われてきているわけでありますが、この審議のために大事な本会議を二回も欠席をされる、合計四時間近くなるわけでありますが、この本会議欠席ということについては何か特別の了解とかあるいは許可とか、何か特別な手続みたいなものを経ておられるんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  159. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 自民党衆議院の国対と十分相談をして了解を得ておりますし、そのために必要な院の手続はきちっと整えるようにということで、それも実施いたしております。
  160. 近藤正道

    ○近藤正道君 自民党の内部の国対の手続、赤松先生もおられますけれども、それはともかくとして、院の手続というのは私全く若輩で分かりませんが、どういう手続なんでしょうか、教えていただけますでしょうか。
  161. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 全く登院していない場合は欠席の届けを必要とするわけでございます。今日みたいな場合は、私は十分間議席に座っておりまして、自民党与党議員は座っておられましたので、欠席届は出す必要ないということでしたので、出しておりません。
  162. 近藤正道

    ○近藤正道君 院の手続といって何か特別なものがあるのかなと思ったら、今程度のものですよね。こういうことがあっていいのかなと私は思うんですが、赤松先生、いかがですか。
  163. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 私の方も国会対策委員長に断ってきましたけれども、今御指摘のように、私決していいことだとは思いません。ただ、万やむを得ないとき、ここの参議院のこの憲法審査特別委員会も非常に重要なものでありますので、間々、こういうことは全くないわけではなくて、たまにあるということで、やむを得ざることとして私は理解をしております。
  164. 近藤正道

    ○近藤正道君 例えば衆議院特別委員会審議の際にほぼ連日のように審議をしておったということであれば、私も今ほどの保岡委員、赤松委員の話は分からぬわけでもない。しかし、衆議院の時点では基本的に定例で週の限られた日に審議をやっておって、そして今度は参議院に来ると突然それが連日審議になって、そしてその結果として、衆議院の本会議、大事な大事な本会議に言わば欠席をするということになると、それは委員の方々、皆さんお一人お一人にとってやっぱり重要な問題だけれども、我々にとっても、そこまでやっていいのだろうかという、そういう思いひとしおなんですよ。これについて、皆さん、内部でしっかりとやっぱり議論をされたことはあるんでしょうかね。私はこれはやっぱり重大な問題ではないかと、こういうふうに思うんですが。
  165. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 我々としては、衆議院を代表して、参議院にお送りした法案の説明をし、また質疑に応ずるという立場でここに参っておりまして、その点については衆議院の方で各党了解をいただいて参っております。
  166. 近藤正道

    ○近藤正道君 えっ、各党。
  167. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 各党というのか、与党のですね。今、赤松さんも国対委員長に了解を取って、私も、私たち三人も了解を得ていますので、党内で了解の手続を取っている。それに、院に対しては必要な手続を取っておりますし、あとは、ここでどう対応すべきかについては参議院皆様方に御判断いただいてお決めいただければと思います。
  168. 近藤正道

    ○近藤正道君 党内の手続はそれはともかくとして、衆議院レベルでも、野党の方は全くこれについては関知をしてない、意思表示をしてないと。もちろん私どもも全くそういう事態は言わば気が付かなかったということでありますけれども、これは本当に重大なことでありまして、この在り方については是非、委員長理事会できちっと私は協議をしていただきたい。
  169. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) はい。
  170. 近藤正道

    ○近藤正道君 つまり、このことについては、冒頭、撤回はされましたけれども、保岡委員の、とにかく衆議院で足りないところをここに集中して審議をしていただきたいと、言わば二院制を無視をして、そして参議院審議に言わば介入したと受け取られてもやむを得ないようなそういう経過が実はありましたもので、なおのこと私どもとしてはこのことはやっぱり軽視するわけにはいかないと。今後のやっぱり参議院の在り方として、このことについては徹頭徹尾やっぱりきちっと議論をさしていただきたい。欠席届を出してきたからそれでいいという話には私はならないというふうに思いますので、お取り計らい、ひとつよろしくお願いいたします。
  171. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) はい、理事会で諮ります。
  172. 近藤正道

    ○近藤正道君 それでは、法案中身に入っていきたいというふうに思います。  改憲案の出し方について、つまり、内容において関連する事項のことについてまたお聞かせをいただきたいというふうに思っています。  発議の仕方につきましては、いわゆる個別方式、そしてその対極の一括方式、あります。今回、法案は、その言わば中間と言われております内容において関連する事項方式、この言わば折衷案を取られたわけでありますが、三説ある中で、内容において関連する事項、こういう発議の仕方、改憲案の出し方を採用された理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
  173. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今、近藤委員指摘のように、私ども、一方で、やはり内容につきましてはなるべくこれを個別に、憲法の個別の政策ごとに民意を問うべきであると、こういう要請が当然のこととしてあると思います。しかし、一方では、余り細かく、例えば逐条ごとに設問をするということになりますと、当然その中にはお互いに関連をする、内容的に関連のするものもあるわけで、その一方が半数を超え、また一方が半数を超えないで否決をされる、こういった事態も国民投票においてはあり得る話でございます。そうしますと、どちらかが改正案が承認をされ、どちらかが承認されない、こういう事態が生じるわけでございまして、それは大変矛盾といいますか、この状況は大変よろしくない、このように思いました。  したがいまして、両方の要請を、これを一つにまとめて実現させるためにはどうしたらいいかということで様々議論をしたわけでありますが、結果として、内容ごとに関連をする事項についてまとめて発議をする、そういう方式にしたと、こういう経緯がございました。
  174. 近藤正道

    ○近藤正道君 私、代表質問でもこのことについて質問をさしていただきました。  内容において関連する事項とは何ですかと、一くくりにするその基準みたいなものを明確にしていただく必要があるんではないですかと、こういう質問をいたしましたら、皆さんはそれに対して、これは最終的に国会でお決めいただくと、そういうふうに言われました。私は、その最終的に国会でということは理解はできるというふうに思っておりますが、文字どおり国会に丸投げをすると、これはいかがかなという思いがありまして、少なくとも発議者としては一定の物の考え方があるんではないか。  私はやっぱり、個別に聞く、これが原則であると。しかし、個別に聞いた場合のその問題点がこことここにある、このことを露呈させないためにやるんだと、例えばそういうふうな、明確にそのくくりの基準といいましょうか原則、これをやっぱり発議者としては明確にこの際しておく必要があるんではないかと。それをしないで、全部国会決めてくださいという言い方はいかがかなというふうに思いますんで、発議者としてのそのくくりの基準、これやっぱり是非明らかにしていただきたいと、こういうふうに思います。
  175. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今の、どういう内容がまとまりになるということになるかと、こういう基準でございますが、これ正に、近藤委員にもお答えをいたしましたけれども、個別のことにつきまして、今あらかじめこういうものとこういうものが一まとまりであるということを明示するあるいは例示をするということは、ちょっとこれはできない、越権行為であろうというふうに思っております。  逆に、例えばまとめてはいけないものというものを申し上げてみますと、例えばこういうものがあるかと思います。憲法第九条を引いていいかどうか分からないんですけれども、仮に第九条において自衛隊の存在を明文化すべきであると、こういう方向の改正案があり、また同時に、環境権、良好な環境の下に国民が生活をする権利を有する、そういった環境権の新設、その二つをもし束ねて、そして一つの問題、設問に入れて国民の皆さんに問い掛けるということは、これはいわゆる抱き合わせということになりましょうか、非常になかなか国民にとってとらえにくいあるいは賛成しにくい問題と、逆に賛成しやすい問題というものを一つにまとめて、それで、内容としては関係ないんだけれどもそれをまとめて問い掛ける、その結果として国民の、何といいましょうか、承認のことに影響を与える、こういうことは絶対にやってはいけない。少なくともそういう基準といいますか、考え方としてはそういうものは当然あるだろうというふうに思っています。  ただ、具体的にどういう基準でまとめていくのかということについては、現段階ではやはり言える状況ではない。ここはやはり、衆参両院に置かれる憲法審査会、あるいはその両審査会に対して勧告のできる合同審査会、そういうところでやはり内容について、問い方についてもしっかりと議論をしていくべき問題だというふうに思っております。
  176. 近藤正道

    ○近藤正道君 内容において関連する事項には当たらないという代表的な例として、今の自衛軍の創設と環境権の問題、これよく議論になります。今ほど船田委員の方からも、こういう場合は内容において関連しない、正に典型的なケースだという形で御説明がありましたけれども、それはそれで分かるんですが、もう少し、一くくりにする基準というものは、少なくとも発議者としての立法者意思という形で明確にやっぱりしておく必要があるんじゃないですか。それをやっぱり一つの、しかし立法者意思が必ずしも万能ではありません。万能ではありませんけれども、しかし立法者の意思としてはこうなんだよ、くくりの基準はこうですよと、このぐらいのことは言わなければやっぱりおかしいんじゃないでしょうか。  そういうものがないから話がどんどん増幅をしていろんな議論が出てくるわけで、一つのやっぱり基準、物差しというのは明確に私はしておくべきではないかというふうに思いますが、重ねてどうでしょう。
  177. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  先ほど御答弁申し上げたような状況でございますけれども、ただ、例えば、これは本当に全くの例ということでお考えいただきたいと思うんですが、例えば自衛隊が合憲であり、そして、例えば軍隊であるということを認める、そういう趣旨の問題が出てくると思います。そのときに、併せて、例えばもし軍隊であるということであれば、例えはちょっと良くないんでありますが、例えば軍事裁判所というものもやっぱり置かなきゃいけないんじゃないでしょうかと、こういった問題も出てくると思うんです。これはやはり相互に関連をしている、内容的に関連をしているということですので、それをやはり一つのまとまりとして問い掛けるということはあるかなというふうに思っております。  ただ、そういう問題を提起するというつもりは全くありません。
  178. 近藤正道

    ○近藤正道君 今、船田委員が、軍隊、自衛軍でいいですよ、自衛軍の創設と軍事裁判所の話を例に挙げて、これは関連性があるんではないかというお話をされましたが、船田委員としては、発議者としては、この自衛軍の創設と軍事裁判所、軍法会議、これは関連性ありと、関連ある事項だと、こういうふうに考えておられると、こういうふうに理解してよろしいですか。
  179. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  私個人としては関連があると思います。しかし、それは国会の中で、正に審査会の中でしっかりと議論をしていただいて、そして関連があるかないかという御判断をいただいた上で、まとめて問い掛けるのがいいと思えばそうするべきであるし、そうでない場合には別々に答えを出してみていただくと、こういうことが妥当であると思います。
  180. 近藤正道

    ○近藤正道君 もう一つお聞かせをいただきたいと思います。  代表質問でも質問をしまして、国会決めていただきたいと、こういうふうに当時は逃げられてしまいましたけれども、自衛軍、軍隊の創設と軍隊の機能面といいましょうか、その一つとしての海外での武力行使、海外への派兵、これは内容において関連する事項ですか、事項でありませんか。船田委員自身はどういうふうにお考えですか。
  181. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今の御指摘の二つの点でございますが、安全保障、国の安全保障、そういう観点からは、同じ範疇といいますか、同じ状況で話をすることは可能だと思っております。  ただ、その中には、単に自衛隊の存在を認めるかどうかということについては個別の自衛権の行使にかかわる問題、しかし海外の派遣ということになりますと、これは実力行使を伴うか伴わないかでもいろいろな議論があると思いますけれども、例えば、もし伴うものとすれば、それは集団的自衛権の行使というものにかかわってくる問題ということであります。  これは、これまでの様々な議論がありまして、やはり自衛権といいましても、それは大変内容的に質の異なる問題であると、こういったことも指摘をされておりますので、一概に今申し上げた二つの点を束ねるかどうかということについては、私は余りそれは良くないのではないかなと、余り、話を一緒に問い掛けるということについてはどうかなと、ちょっと私は疑問に思う次第でございます。  しかし、いずれにしても、それも関連があるとすれば一つの設問でもよろしいかと思います。
  182. 近藤正道

    ○近藤正道君 専守防衛の自衛軍には賛成ではあるけれども、海外派兵、海外活動には反対だと、こういう意見は国民の中には相当多数ありますよ。  そして、今回の内容において関連する事項という話をするときによく出る話は、自衛軍の創設と環境権の話、もう一つは、今の自衛軍の創設と海外での自衛軍の武力行使の話、これはもう正に象徴的に出るわけですよ。せめてこの二つぐらいについて明確な発議者としての考え方ぐらいやっぱり示していただかないと、国民はこのことについてどういう態度を取ったらいいのかよく分からない。  ここはやっぱり明確にしてください。とりわけ、今の自衛軍と軍隊の海外活動との点については、何か認めるかのような認めないかのような言い方ではなくて、明確にしていただけませんでしょうか。
  183. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えします。  自衛軍の創設といいますか、そういう問題と、それから海外の派遣という問題についてこれをどう考えるかと、こういうことでございますが、これにつきましては、私個人の考えでございますけれども、やはりそれは、個別自衛権の世界と、それから集団自衛権あるいは国際的安全保障という、そういう分野の話につながっていると思いますので、これを一つにまとめるというのはこれはかなり厳しいんだろうというふうに思っております。  ですから、私個人が考えれば、それは別々の設問で問い掛けるべき問題だと、こう思いますが、ただこれは、実際にこの法案が通りまして、そして憲法審査会が衆参両院に置かれて、そして様々な検討を加えた上で国民に発議をするときに、一緒にするかしないかというその時点において、これはよくそのときの審査会において慎重に審議をしていただき、その結果に従わざるを得ないと、こう思っております。
  184. 近藤正道

    ○近藤正道君 保岡発議者、いかがでしょうか。同じ質問です。
  185. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) この関連する事項とは何かという基準は、先ほど船田提案者からも説明があったように、個別政策ごとに民意を問うという要請と、一方で憲法体系を整えるという両方の要請があります。  したがって、これはもう、先生の御質問に対して船田提案者が答えるときにいろいろ説明しているように、その事項の中身についての認識、理解というものが密接に関連しますから、これこそ憲法審査会等が発足した後、各院における三分の二、多数で発議するまでの間、慎重にも慎重に議論することであって、ここで我々提案者があれこれ例を挙げて有権的に申し上げることのできない性質のものではないかと思う次第でございます。
  186. 近藤正道

    ○近藤正道君 聞けば聞くほど分からなくなりますよ、それは。だから、このことが非常に大きな議論に私はなると思うんですよ。  だって、これは、国民は最終的な決定者なんですよ。決定者なんですけれども、国民に対する発議権は、それは国会がやる。国会がどういうふうな発議をするかによって、国民の選択権が正に重大な影響を受ける。ですから、皆さんがどういうくくりで発議を、その幾つかの条文を、条項をくくってくるのか、これは重大な問題です。  これ最初から、いや、個別条項あるいは個別の項目ごとにやりますということならこんな議論は起こらない。ところが、くくるとおっしゃるから、このくくり方は正に国民の主権の行使に重大な影響があるから、くくり方の基準ぐらいは明確にすべきだと聞くのは当然じゃないですか。皆さん聞けば、人によってみんな解釈が違う。これじゃ困りますよ、これでは。
  187. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 近藤先生、我々は、基準というものを、先ほどから二つの要請から判断をする。その判断は、改正するテーマの内容の理解と密接に関連するので、具体的にどれとどういう条項、どんな改正という中身がはっきりしないうちにその改正についての関連性を、ここに言う内容に関連するまとまりがある事項というものの判断ができないし、すべきじゃないということを申し上げたので、基準は明らかにしているところでございます。
  188. 近藤正道

    ○近藤正道君 私は、基準は不明確だと思いますね。全く分からない。  そこで、じゃ加憲の立場にお立ちになる赤松委員質問をしたいと思いますが、公明党さんは、例えば九条については一項、二項堅持の立場、それ以外に何があるかということの立場だということをずっと言っておられますけれども、今言った自衛軍の創設と海外での武力行使、海外派兵、この二つ、私は皆さんにとっても極めて分水嶺の明確な、質の違った問題ではないかというふうに思うんですが。  加憲の立場に立つ公明党さんであれば、今ほどの質問について、同じ質問について、どういうふうにお答えになられますか。
  189. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) ありがとうございます。  結論的に言いますと、全くそれぞれ別に、一個ずつ個別に聴いていくべきであると思っております。  ただ、昨日も申し上げましたけれども、近藤先生のお立場は私も分かっているつもりですけれども、いろいろなお立場あるので、正にその議論憲法審査会でやろうよと。ですから、是非とも私なんかの立場は主張しますので、一緒に応援していただきたいという、何というか、こちらから、こういう基準だからみんなそういうふうにするんですよというんじゃなくて、憲法審査会の場で正にそういう、何をテーマにするのか昨日申し上げましたけれども、この一九四六年憲法をあらゆる角度から点検する中で何を変えるのかというテーマが出てくる。  そういったことを経た上で、じゃどのように聴くのか。私どもは加憲と言っていますけれども、たくさん多くの人がそうじゃない立場を取っておられるし、また同じような立場の方もいらっしゃるかもしれませんが、正にそういった議論を本格的にやりましょうよということでございます。
  190. 近藤正道

    ○近藤正道君 いや、議論は幾らでも、いつでも大いにやればいいと思うんですが、今はその前の、この法案を通すか通さないか、賛成するか反対するかという今議論をしているわけでありまして、その態度を決めるに当たって、この法案の内容に、発議の仕方、これはどう解釈したらいいんだろうかと。解釈いかんによって国民の主権の行使に重大な影響がありますんで、どうなんだろうかということで聞いているわけですよ。  そこで、自民党さんよりはより厳格な立場を多分お取りになるんだろうと思われる赤松先生に先ほど来からお聞きをしているわけでありまして、後段の一緒に議論しましょうという話はちょっとわきに置きまして、その前の、基本的にそれは別個の問題だというふうにおっしゃられた、その真意といいましょうか意図を、もう少し正確に、正確に御答弁もう一回いただけませんか。
  191. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 九条一項、二項につきましては、戦争放棄とそれから武力の保持ということでございますけれども、その問題と、それから海外における、現在における例えば国連平和維持活動、国際平和協力活動、こういったものとの間における、今の現行憲法ではそれについての規定がないわけですよね。  そういった部分で、公明党の中にもいろんな考えありますけれども、やっぱりこれは現行憲法九条一項、二項についての態度と、それから今おっしゃった、海外における武力行使を伴うかもしれない、あるいは武器の使用という問題を惹起するかもしれないテーマについては、やはり分けて考えた方がいいという考えが多数を占めております現状、ただいまの時点で、そういう現状からすると分けて問う方がより的確なる問い掛けになるだろうなと、この今の時点で思っているわけでございます。
  192. 近藤正道

    ○近藤正道君 葉梨先生はまた、じゃ葉梨先生もお聞かせいただけますか。
  193. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 近藤先生の御配慮に大変感謝を申し上げます。  私からは、保岡委員それから船田委員と申し上げたとおりでございます。正に、やはり憲法審査会の中で丁寧な議論をして、基準はしっかり示させていただいておりますので、議論をしていただくことが大切だろうというふうに思っております。
  194. 近藤正道

    ○近藤正道君 非常にやっぱり微妙な問題であると。今の段階では、赤松先生のおっしゃる立場、船田先生基本的にお認めになっておられる、ほかのお二人も基本的にお認めになっておられる、これは別だという立場なんですけれども、これは議論の仕方によって随分変わってくる要素があるな、これはやっぱり非常に微妙なものだなということが改めて分かりました。  そこで、やっぱりこれは展開いかんによっては国民の選択肢、正しい気持ちを正しく表明する、ここに重大な影響を与える問題で、事柄の切り出し方いかんによってかなりの無効票といいましょうかね、どっちにマル付けていいかバツ付けていいか分からないと、そういう事態が出てくる余地のある、そういう問題だと。つまり、無効票が出てくる、そういう余地のある問題だというふうに私は思うんですが、そういった自覚といいましょうか、そういうものは皆さん明確に持っておられますか。
  195. 船田元

    衆議院議員船田元君) 今御指摘をいただいたような無効票が多く出てしまうようなそういう問い掛け方、これも確かにそれはやらない方がいいと思っておりますし、それから、民意が曲がって出てしまう、民意があるのにもかかわらずそうでない結果が出てしまう、そういうような問い掛けというのも、これもやっぱりいけないことだと思います。  今のような二つのケースは非常に悪いケースだと思いますので、そうならないような設問の仕方、あるいは内容ごとにまとまりのある事項ごとにというふうにやっていく必要があると思っています。  しかし、それもすべて正に国会議論していただく、あるいはこの憲法審査会で議論をしていただく、そういう問題だろうと思います。
  196. 近藤正道

    ○近藤正道君 切り出し方によって無効票はかなり出るということについては発議者皆さんもお認めいただいたというふうに思います。  その上で、そういうふうにならないようなくくり方、これは非常に肝要だというふうに思いますが、それでもやっぱり出てくる懸念があるということを押さえた上で、憲法第九十六条の一項の言うところの過半数の分母といいましょうか、母数といいましょうか、そのことについて質問を移らせていただきたいというふうに思っています。  憲法第九十六条の第一項の後段の方でありますが、国民投票、「投票において、その過半数の賛成を必要とする。」と、こういうふうにうたわれておりまして、「その過半数」の「その」というのは何かということにつきまして、学説では、有権者総数、そして投票総数、そして三番目に有効投票総数と三つあります。私は、論理的には、文言解釈の上からいけば、九十六条の第一項のその過半数、この過半数については三とおり全部考えられると思うんですよ。しかし、有力なのは投票総数と、そして有効投票総数と、こう二つあると思うんですが。  これは、今日午前中ずっと繰り返し最低投票制度の議論がありました。文言、文理解釈からは必ずしも書いてないにもかかわらず、皆さんは最低投票制度というのは九十六条の中から読み取れないと、これ入れたら憲法違反だと言わぬばっかりのことをずっとおっしゃっておられた。しかし、この九十六条の第一項のその過半数の解釈についていいますと、それは両方考えられますよ。有効の場合と総投票数と。むしろ、文理的に素直に読めば、私は得票総数というふうに解釈するのが一番素直かなと実は思うんですが、このことについて皆さんは、事実上賛成、反対、つまり有効投票でという最もレベルの低いところで決められてしまいました。その根拠は何ですか。
  197. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 一番最初の段階で中川委員からの質問がございました。その有権者総数、そして有効投票数、そして無効票も含める形、三つの例を挙げて細かい御質問ありました。  私たちは、ある意味で今先生おっしゃったように一番厳しいというか、有効投票総数の過半数という判断を取ったわけですけれども、やはり投票所に出掛けていくという意思を明確に持たれて、そして明確にその賛否のマルかバツかということを表す、ここがやっぱり一番基本になるべきである。それは先ほど近藤委員もおっしゃったように、それにはあとう限り、できる限り無効をなくしていく努力というものをしっかりとするということとセットになって有効投票総数の過半数、こういうふうに取った次第でございます。
  198. 近藤正道

    ○近藤正道君 しかし、この憲法九十六条の文意からいえば、私は、なぜ有効という、賛成、反対を明確にした、それ以外は分母に入れないと、こういう解釈どうして出てくるんですか。  皆さんは最低投票のところでは、午前中も議論があったようだけれども、かたくなに最低投票は入れないと、それが憲法の九十六条の趣旨だと頑張られて、こういうところでは極めて自分たちの、私に言わせれば御都合主義的にレベルの低いものに合わせる。  先ほど来、発議のくくり方によってはそれかなりの無効票が出る可能性ありますよ。無効というのは、単に意識がなくて賛否を明らかにしない場合だけではなくて、考え考えて、考えあぐねた末書けない、意思表示が明確にできない、そういうことだってやっぱりあると。  皆さん制度設計によるとそういう無効票が出るそういう仕組みがやっぱりあると。そういうことであるならばなおのこと、この過半数の母数については、分母が大きくなるような、つまり民意がそれだけ結集できるような、そういう制度設計をするのが私は硬性憲法の本質に合致することでもあるし、国民総参加あるいは国民の総意を結集した投票制度、国民投票制度により近いものになるんではないか、私はそういうふうに思いますが、どうやって、なぜ最低投票のときと今回のときと使い分けをするんですか。ダブルスタンダードではないですか、これは。
  199. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) お答えをいたします。  最低投票率の件については御議論あるところですけれども、私どもは、解釈として憲法上疑義があるというような解釈を取らせていただいております。  この投票においてということですから、ここについては、投票総数と見るか、有効投票総数と見るか、そこのところをどちらを取るかということで憲法違反の問題が出てくるということは私は考えておりません。  そして、立法政策の問題としてなんですが、当初、与党案はここは有効投票総数としておりまして、民主党案は投票総数としておりました。そして、先ほどの内容において関連する事項ごとに区分してということとも関連するわけですけれども、内容において関連する事項ごとに区分してといいますのは、やはり政策体系が統一されて分かりやすくという形で私どもは考えておりますし、分かりやすい問い掛けをした中で、そしてマル・バツという形で非常に無効票が少ないような制度設計をする。  そうなりますと、例えば三つぐらいの事項について、投票所に足を運んだけれども、ある事項については賛成だけど、ほかの事項については他の有権者の判断にゆだねようというような人の判断を全く無視することはできないんじゃないかというような議論衆議院憲法調査特別委員会段階で、参考人、小委員会議論でしておりました。  そして、最終的に私ども自公案、さらには民主党さんともすり合わせをそこの部分はできたわけなんですけれども、ここのところは有効投票総数という形にして、投票所に足を運んだけれども、そして一個の問題については賛成した、でもあと二個の問題についてはほかの有権者に判断をゆだねようというような投票者というか国民の意思を尊重しようということになったわけでございます。
  200. 近藤正道

    ○近藤正道君 実に個々の具体的なケースで御自分の立場に有利なように解釈されるんだなと私は思えてしようがない。  何で最低投票制度の問題が憲法事項で、今の過半数の分母、母数の問題が単なる立法政策の問題なのか、私には理解できないですよ。もっときちっと説明してくださいよ。  私は両方ともこれは立法政策の問題だと、私はそう思う。だから、改めて憲法基本原理に立ち返って、どちらがより今の憲法の国民主権の立場にとってふさわしいのか。憲法改正というのは、基本的に私はやりにくくする、簡単にいかないようにすると、しかも国民の多くが参加した方がいいと、それは決まっているわけですから、そういう立場に立って立法政策の問題として考えて、いい方法を私は取ればいいと。皆さんの都合の悪いものについては、困ったものについては憲法事項だ、憲法に疑義がある、そうでない問題については立法政策として逃げると、これは全く御都合主義、ダブルスタンダードですよ。そうじゃないですか、これは。もっと分かるような、納得いくような説明してくださいよ。
  201. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  この問題は、無効票というのをどう解釈するのか、どう評価するかということと関連してくると思います。これについては、憲法の問題あるいは憲法が予定する問題とはまた別の問題だと私たち考えているわけでございます。  無効票も分母に入れますと、これは無効票は反対票と同じカウントになるというふうなことでございまして、無効とされた方の意図が反対であるかどうかと全部決め付けるというのは、これはやり過ぎであると、こういうことで無効票は分母から外していると、こういう考え方でございます。そして、明確に意思表示をした方々の分母の中から、賛成、反対ですね、賛成が過半数であればこれは承認されたというふうにみなすのが妥当であると思っております。もちろん、かといって無効票を放置するということではありませんで、無効票をできるだけなくすための努力ということは、我々、いろいろと工夫をさせていただいてこの法案に盛り込んでおります。  修正案におきましては、これは衆議院段階でも民主党も賛成をしていただいたところでございますけれども、これは、賛成、反対とあらかじめ投票用紙に書いてある用紙を用意をいたします。そして、賛成の方は賛成にマル、反対の方は反対にマルを付けていただくということですが、同時に、消極的賛成という人々は反対にバツを付けてもよろしい、また消極的反対という方は賛成にバツを付けていただくなど、非常に意思表示の表し方というんでしょうか、意思の表し方を様々な考えに基づいて多様化していると思います。  ですから、その多様化した意思表示というものも、これも丁寧に酌み取るために、今のような単にマル・バツということではなくて、賛成、反対を文字にして、それにマルを付けていただく、バツを付けていただいても、それは消極的賛成や消極的反対として酌み取るということで、無効票をできるだけ出さないような工夫ということをさせていただいているつもりでございます。是非その点を御理解いただきたいと思います。
  202. 近藤正道

    ○近藤正道君 全く納得できません。引き続いて議論させていただきます。  終わります。
  203. 山下栄一

    ○山下栄一君 私は、提案者皆さんは大変御苦労さんでございます、連日、提案者だけではなくて政府参考人の方にも、特に法務省、総務省の方にもお聞きする準備しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  国民投票の投票権者の問題に限って質問させていただきたいというふうに思います。  もうこれは、私は、選挙権を何歳にするか、また成年とは一体何歳がいいのかということに影響を与える大変大事なテーマだというふうに思います。非常にこの日本の社会の在り方、特に家族、家庭、それから地域社会、また国の一員としての責任をどのように果たしていくかということにかかわる、その考え方が非常に大事だというふうに思いまして、今日は政府参考人に来ていただいておるわけでございます。  初めに、提案者にお聞きいたしますけれども、この附則第三条でございますが、投票権者の年齢十八歳、施行後三年、法律が施行されるまでの間に、年齢満十八歳以上満二十歳未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、公職選挙法、民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとすると。この三年間をどのように考えるかという、また何をするかということが極めて大事だと、その備えはあるのかということだというふうに思うんですけれども、これはあれですかね、公職選挙法と民法とその他の法律、三十数本全部見直して初めて投票権者は年齢が変わるということなんでしょうか。
  204. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) お答えを申し上げます。  まず、この憲法審査会が作られまして、大体早期の時期にこの関係法律というのを確定するという作業に入ってこようかと思います。これを十八に引き下げる法律もあれば、また二十歳のままという法律もあるでしょう。その場合には、例えば法律の題名を変えなきゃいけないだけというのもあるかも分かりませんけれども、そこを確定しまして、この三年間の間に法制上の作業をするということでございます。  そして、公選法と民法を特に頭出ししましたのは、今の憲法の第十五条で成年者による普通選挙を保障するというふうになっております。成年者を決める民法と、それから普通選挙を決める公選法、これはリンクしておりますので、ここの二つを頭出しをさせていただいております。
  205. 山下栄一

    ○山下栄一君 今、憲法十五条のお話がありました。私も、いろいろ関連する法律はたくさんあるんですけれども、やはり民法と公職選挙法、この二つがかぎを握っているというふうに思います。その法律考え方ですね。なぜ、年齢を考えるに当たって十八歳か二十歳か二十五歳か十四歳か、それぞれ年齢を考えるに当たっての考え方を確認したいというふうに思うわけです。  まず、民法でございますけれども、民法、成年年齢は二十歳というふうに民法、現在四条ですか、定められておりますが、どういう考え方でこの年齢を決めたのかという背景、長い間全然変わっておりませんけれども、それも含めてちょっとお聞きしたいと思います。
  206. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) まず、民法の成年年齢について御説明申し上げます。  この成年年齢でございますが、明治の九年に制定されました太政官布告の四十一号でございます、これによりまして満二十歳と決められ、その後、明治二十九年に制定された民法に引き継がれて今日に至っているわけでございます。戦後もこの点については変更をしていないところでございます。  この成年年齢の意味でございますけれども、簡単に申しますと、法律行為を自分の判断でできる、そういう年齢ということでございまして、もう少し普通の言い方すれば、一人で契約ができる年齢ということが一番分かりやすいかもしれません。ほかに、しかし、例えば身分行為、家族法における身分行為についてもこの成年年齢が関係しているところでございまして、例えば、未成年者は父母の親権に服する、あるいは婚姻をするについても父母の同意が未成年者においては必要だというような制約もございます。  このように、ごく概略的に申しますと、一人で様々な法律的な行為についての判断ができるということが基本でございまして、それを二十歳に定めておりますのは、精神的な成熟度などの点を考慮いたしまして定めていると言われているところでございます。
  207. 山下栄一

    ○山下栄一君 今のお話では、この契約できる、自立して判断できるということが成年の年齢を幾つにするかという考え方の基本になっているという。ただ、特に契約ですから、自立して他者に影響を与えるような判断を親の同意得ないで自分で決断してできるという、それは一体どういう年齢がいいのかという。だから、民法の成年年齢というのは、そういう意味で行為能力が、判断能力といいますか、それが自立してできる、そういう年齢なんだと。ただ、それは明治九年以来変わっていないと、明治九年だったと思いますけれども。いろいろ見直したけれども、二十九年の、だから、明治九年の前は十五歳とかいうときも一時期あったようですけれども、明治九年で二十歳になり、旧民法、新民法、一八九六年でも二十歳だったと。  この二十歳ということを決めるときに当時の平均寿命とかそんなことも考えて、一八九〇年代ですけれども、また精神的成熟度も考えて二十歳としたんだというこの梅謙次郎博士の話もあるんですけれどもね。そんなことを考えたら、もう平均寿命なんて物すごく変わっているわけですから、やっぱりいろんな外国の例も考えながら二十歳って決めたのかなと思うんですけれども、実際どんな感じで二十歳、年齢、その当時、どうなんでしょうね。
  208. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) これは、明治の二十歳と決めたときもそうでございますし、戦後その二十歳を維持するということもそうでございますけれども、当然のことながら、先ほど申し上げました精神的成熟度というものが基本になるわけでございますが、いろんな社会でそれがどう見られているかということを当然参照したわけでございます。  それで、現在で申しますと、イギリス、フランス、ドイツ等のヨーロッパの国は大体十八に下がってきております。我が国についてもこれをどうするかという御議論はあるわけでございますけれども、現在までのところは、民法独自の議論としては引き下げるというような御議論が強く上がっているというようには感じておりませんが、しかし、いろいろな社会的な傾向というものを判断して、今後もこれを御議論をして、私どもとしても取りまとめていかなければならないと考えているところでございます。
  209. 山下栄一

    ○山下栄一君 この二十歳という年齢は様々な法律のかぎとなっている年齢で、それは民法の四条から来ていると、それが場合によっては選挙権を考える場合にも影響を与えているということだと、後から総務省に確認しますけれども、そういうことだと思うんですけれどもね。  ちょっとこの次、結婚、結婚というか婚姻適齢というんですか、これ現在は十八歳、十六歳ですけれども、これは十八歳で婚姻、親の同意が必要なんですけれども、結婚した後はもう成年とみなすと、こういうふうに法律でも書いてあると。ということは、十八歳で世帯を持った場合はもう大人なんだという考え方に立っているわけですね、民法の別の規定ではですね。  この婚姻適齢、これは非常に大事な考え方やと思うんですけれども、今ちょっと家族そのものが崩れつつありまして、百日規定、再婚規定の見直しも上がっていますけれども、そういう家庭とか家族にかかわる大事なこの考え方が男性と女性で違う年齢になってしまっているわけですけれどもね。この辺の背景と考え方ですね、これ二十歳じゃないわけですから、婚姻適齢は、それをちょっと教えていただきたい。
  210. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 今、山下委員が御説明のとおりでございまして、先ほどの成年年齢とは一応別個の年齢としてこの婚姻をできる年齢というのが定まっております。  こちらの方は、実際に、明治以前からも婚姻制度というのは当然あったわけでございまして、そういう、婚姻が具体的にどういう年齢で行われるかというようなところを参照いたしまして、明治のときに決めたわけでございます。その当時は十二、三歳で結婚をするという例もありましたために、肉体的、精神的、社会的、経済的に様々な要素がこの婚姻の適齢についてはあるわけでございますが、外国の例等も参照して十七歳と十五歳、男が十七歳、女が十五歳ということで婚姻年齢を定めました。  その後、戦後になりまして、やはり民法改正が行われた際にこれが見直しをされまして、その当時、外国の例でももう少し若年者を保護する必要があるのではないかというようなところから引上げの傾向もあり、そういう立法例も参照いたしまして、これを一歳ずつ引き上げて、現在は十八と十六ということになっているわけでございます。
  211. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、これ、昭和二十二年に、民法改正のときに一歳ずつ引き上げて十八、十六にしたと。そのときも、当時の学者の意見とか外国の種々の統計を参照してと、こうなっているんですけど、現在、ほとんどもう別にしていた、十八歳、十六歳というような、男女分けていたことも、今はほとんどの国が、先進国は同じ年齢にしているわけですね。また、法制審議会でも平成八年にはそういう、同一年齢にすべきだと、十八歳にそろえるべきだということを提案し、答申出しました。いろんな意見があってその十八、十六のままになっているわけですけど。  私は、これはもういろんな考え方があるので非常に微妙で難しい問題だと思いますが、いろんな背景があって、昭和二十二年に十八歳、十六歳になって、それからもう五十数年たっていると。年齢が違うこともちょっとおかしいのではないかという、これは法の下の平等を言う、また女性の社会的、経済的な立場も全然、働く女性が当たり前になってきていますし、考え方は変わっていると、大きなテーマだというふうに思いますけれども。  しかし、私が今日申し上げたいのは、十八歳になるともう大人とみなすという、それはまあ、そういう家庭、家族を持つということから、それと成年と違うようになっているという、成年は二十歳ですからね。こういうことも、この今回のことを契機に幅広く議論をすることが共同体の一員としての自覚を深める大きな背景になっていくのではないかということから、問題提起さしていただいているわけですけど。  時間の都合で、刑法の方に行きますけども、刑法の場合は、少年法じゃなくて刑法の場合ですけどね、これは責任年齢という言い方しておりますけれども、これの考え方、それは諸外国の場合はどうなっているのかを含めて答えていただきたいと思います。
  212. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) お答えいたします。  刑法四十一条におきましては、十四歳に満たない者の行為は罰しないというふうに規定をしているところでございます。これを刑事責任年齢の規定というふうに呼んでいるわけでございますが、この規定は、明治四十年、現行刑法が制定されたときにこのように定められたものでございまして、その後、変更なく維持されてきているところでございます。  このように刑事責任年齢が十四歳とされておりますのは、考え方といたしましては、十四歳未満の者につきましては、一般に精神的成熟が不十分であるために行為の是非善悪を弁識する能力、あるいはその弁識に従って行動する能力が未熟であると考えられますことや、年少者に対する福祉的措置の必要性、さらには刑事政策上の効果などを考慮したものというふうに考えているところでございます。  諸外国にも同様のこういった刑事責任年齢についての定めがあるわけでございますが、主なところを御紹介いたしますと、アメリカは、州によって異なるところでございますが、十四歳という年齢を定めている州もございますし、今それと異なるところもあるようでございます。イギリスにおきましては十歳、ドイツ十四歳、フランス十三歳といったような定めとなっているものと承知しております。
  213. 山下栄一

    ○山下栄一君 善悪の判断がきちっとできるのが十四歳ではないかと。責任能力という言い方をされているようですけれども、民法の場合は行為能力と言うんですけれども、私も詳しいことは分かりませんけど。十四歳になるときちっと善悪の判断ができて責任能力が果たせる年齢だというふうな考え方が、明治四十年以来、今日に至るまで維持されているということだというふうに思います。  これも一つの、一人前といいますか、大人として、場合によっては十四歳という考え方もないことはないのではないかというようなことを示唆する話かなというふうに思うんですけど。  次、公職選挙法ですけれども、総務省いらっしゃってますね。総務省の場合は、先ほど葉梨議員おっしゃったように、選挙権二十歳になっておりますけれども、これが決められた背景ですね、戦前は二十五歳だったはずですので、戦後どんなふうな背景があって二十歳になっていったのかということも御説明をお願いします。
  214. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) 選挙権年齢につきましては、委員指摘のとおり、明治二十二年の衆議院議員選挙法の制定以来、二十五歳以上と長く戦前はされてきたところであります。すなわち、民法の成年年齢とは違っていたということでございます。  戦後、昭和二十年十二月にこの衆議院議員選挙法が改正されまして二十歳以上に引き下げられ、その後、参議院議員選挙及び地方議員、地方選挙につきましても同様に二十歳以上とされ、これが昭和二十五年に議員立法によって成立した公職選挙法に引き継がれて今日に至っているところであります。  二十歳に引き下げられましたことにつきまして、昭和二十年のこの改正法の提案理由説明におきましては、次のように述べられております。  教育、文化の普及状況、一般民度の向上、殊に戦時中におきましての社会経済的活動の実際にいたしまして、近年青年の知識、能力著しく向上し、満二十年に達しました青年は、民法上の行為能力を十分に持っておりますのみならず、国政参与の能力と責任観念とにおきましても欠くるところがないものと存ぜられると、このように理由が述べられているところでございます。
  215. 山下栄一

    ○山下栄一君 私は、この選挙権ですね、これは民法、刑法とちょっと違う考え方に立って考えてもいいのではないかと。成年が何歳だということと、要するに国政、共同体の一員として意思形成に参加するという、そういう年齢というのは別に同じでなくてもいいのではないかと。これが戦前は二十五歳であり、今は二十歳になっている、だから、というふうにも考えられるのではないかと。  だから、この選挙権というのは、やっぱり共同体の主権者としての意思形成に参画する能力、責任能力、責任観念、今おっしゃっていましたけど、国政参与の能力ですか、これもだからいろんな考え方があっていいのではないかと。これは、ちょっと契約主体という考え方と若干違ってもいいのではないかなというふうに思うんですね。どういう考え方で選挙権の年齢を考えるべきかと。また、成年というのはどういう考え方で考えるべきかということをよく議論しながらこの年齢を考えていくということが大事なのではないかということを思いました。  自治体では、たしか住民投票の年齢が十八歳のところもあれば、十六歳のところもあれば、テーマによっては中学生が参加できるような条例を決めているような自治体もあるというふうに聞いております。そういうふうに考えましたときに、今申し上げましたような成年の意識、選挙権をどうするかというようなことは非常に各政党にも大きな影響を与える政治的な問題でもあるかと思いまして、こういうテーマは総務省の審議会等で検討されたことはあるんでしょうか。簡潔にお願いします。時間がもうありません。
  216. 久元喜造

    政府参考人(久元喜造君) かつては選挙制度審議会が設けられまして、数次の答申も出されておりますが、私ども確認いたしましたところ、この選挙制度審議会における答申、報告につきましてこの選挙権年齢につきましての記述は確認できませんでした。    〔委員長退席、理事中川雅治君着席〕
  217. 山下栄一

    ○山下栄一君 もうすぐたしか終わりかなと思いますけれども、ちょっとそろそろもう時間かなと思うんですけれどもね。  提案者にちょっと、私これ投票権者をこの施行三年間の間にどうするかということを各法、ほかの法令の検討も含めて結論出すことになっているんですけれども、これは余り形式的にやらない方がいいんじゃないかなというふうに思っております。これは今、地域社会が非常に崩れつつあり、家族、家庭も崩れつつあり、非常にみんなのことを考えて責任を果たして生きていこうというふうな意識がどんどんぶれる中で、幅広くいろんな議論をするということ、そして特に若者の意識調査、実態調査をよくするということ、これは極めて重要ではないかと思っております。  イギリスが一九六九年に家族法を改正したときには、二年間掛けて、特別委員会つくって、実業界、医学界、教育界、福祉界、ジャーナリスト、宗教団体、労働組合、法曹界、様々な団体で議論をして、それを集約しながらこの年齢を十八歳にしていった背景が、二十歳からでしたか、あるわけですけれどもね、そのときにも日本は非常に議論が盛り上がったんですけれども、結局元に、しぼんでしまって元に戻ってしまった背景があります。  これは日本の国民、様々なレベルで参加しながらこの問題は、投票権をどうするかということは成年、成年の責任、年齢って一体何歳になるのかというふうなこと、そして所帯を持つことの責任、いろんな意味で影響を与える問題ではないかなと思いまして、これは様々なレベルの意見を積むことが前提とならないとなかなかこれは結論出しにくい問題ではないかと。  もう一つは、若者、青年が一体どう考えているのかと。これも本格的な意識調査が余りないのではないかというふうに思います。高校生、大学生、そして一般の社会人、それも親元におる若者と自立して一人で単身で生活している人と様々なレベルの意識調査、実態調査をやらないとこの問題は軽々に結論出すべきではないと、こういうふうに考えておりますけれども、お考えをお聞きしたいと思います。
  218. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) ちょっと先輩方から総括的な御答弁ある前に、先ほどちょっと舌足らずなところございまして、憲法十五条ですけれども、成年者による普通選挙というのは、今、山下委員の御議論にありましたとおり、必ずしも民法と全く一緒であるということを憲法が定めているわけではない。ですから、そういった意味でいろんな検討はできるだろうと思います。ただし、この成年者というのは民法の成年と同じであることが望ましいという趣旨で申し上げたということを補足させていただきます。
  219. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  私ども、制度設計としまして、まずは国民投票の年齢につきまして、諸外国の例なども十分に参考にしながら、私どもとしても、そろそろこの世界標準である十八というものに我が国として踏み切るときが来たのではないかと、こういう考え方がございました。  ただ、諸外国ともやはりいわゆる公選法に定められた選挙権の年齢、これと国民投票の年齢はほとんど同一でございます。したがって、当然、国民投票法だけではなくて選挙権年齢も十八に引き下げるべきである、こう考えました。また同時に、その選挙権年齢というのは正に現状では二十歳でございます。その二十歳というのは、民法における、先ほど来話のありました成年年齢とも一致をしているということで、これはもう密接なものであって切り離すことができない、こういう考え方から、先ほども申し上げましたように、頭出しとしてはまず公職選挙法、もう一つは民法と。また民法にかかわっての幾つかの関連の法令があるということでございます。  その一つ一つ、これは先ほども民法の話、それから婚姻の関係あるいは刑法の関係ということでお話をいただきました。それぞれの法律が持っているその法の趣旨ですね、そういったものに照らして年齢というのもそれぞれ決まっているということで、これを一律に全部十八にすぐせよというのは、これは乱暴な話でございますので、それぞれの立法の趣旨に立ち返って一つ一つ精査をし、十八に下げるべきもの、あるいは現状のまま二十歳でとどめるもの、それ以外の年齢のものということで仕分をしていく。これは三年間の間にしっかりとやっていこうというのが我々の修正案の趣旨ということになっております。  今お話しいただきましたような十八というのが本当にいいのかどうかということについての世論調査というんでしょうか、あるいは若者の意識調査ということも含めての議論、これも当然その三年間の間にあるべきものだろうというふうに理解しております。
  220. 山下栄一

    ○山下栄一君 保岡議員にちょっと最後確認したいんですけれども、私、最後、提案させていただきましたですけれども、経済界のお考え、また教育界のお考え、またマスコミのお考え、それから福祉に携わっている方のお考え、お医者さんのお考え、それぞれ私はいろんな意見があるのではないかということをこれよくきちっと議論していただいて、国民的議論の中で、この話は社会の在り方そのものに影響を与えることなので、よくやっぱりやり方も工夫していただいて、国民的議論の中で決めていった方がいいのではないかと、これが一つです、繰り返して申し訳ないが。  もう一つは、若い方々の意見の実態調査が日本は余りないんですね。そういう意味で、先ほど申し上げましたけれども、若い方々の意識調査、実態調査もきちっとした形で、皆さんの若者に対する意識はいろいろおありやと思いますけれども、実態はどうなんですかということは案外きちっととらえられていないのではないかという私の印象がございますもので、そういう調査を経た上でこれはきちんと考えていくべきだということについての保岡委員のお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
  221. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 山下先生が御指摘のとおりだと思います。  まず、この法律が施行されるまでの公布後の三年間において、我々、若者の社会経済生活の実態や意識、あるいはその他関連することについて調査をし、また国民各階層の議論をどうやってとらえていくかということなどに工夫し、また政府としても、関係各省にばらばらに存在する法律でございますので、政府の内閣府辺りに各省の連絡調整のような会議というか、検討するボードを設けまして、そこでしっかり基本的な事柄や各法律の趣旨に沿って、年齢を決めるべきものはそれぞれの省で関連してどのように対応するか検討するなど、党の方でもまた特命委員会をつくるなど工夫をする。そして、我々としては政府与党でございますので、両方連携をよく取って、そしてこの法が通った後の国民投票法制における投票年齢十八歳を実施するまでにきちっとしたこの三年間の検討を充実させていかなければならないと思っております。
  222. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございました。終わります。
  223. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄でございます。大分時間もたってまいりましたが、多少短めに。  午前中の論議でもなぜこの法案審議を急ぐのかというお話が多々ございました。私は逆に言うと、なぜ今まで急がなかったのかと、こういう質問をさせていただきたいと思っておりますが。  これは、成案ができれば法律について早く審議を進め、十分な審議はもちろん必要でありますけれども、議論をして早く結論を出すと、これは当然の話だと思うんですね。という意味で、まあ国会として審議を促進するというのは国会議員の義務でもあろうと思っておりますが、一方で、この憲法の改正条項というのは当初から何らかの手続法が必要であるということは当然想定されていたと思うんですね。  それで、昭和二十一年の十一月に公布をされて、二十二年の五月から施行をされたわけでありますから、本来ならばそこでもう手続法が制定されておってもよかったんだと思うんですが、それから六十年間、五月三日が参りますと正にちょうど六十年たつわけでありますが、その間、五十三年ごろにやや手続法を制定しようという動きもあったと聞いておりますが、なぜ六十年間も放置されてきてしまったのか、その辺の事情についてどのように理解をされておるか、まずお伺いしたいと思います。
  224. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) これは、先生が御指摘のように、憲法制定当時に当然制度として確立しておかなければならない憲法法典にとっては九十六条に規定する改正手続の制度というのは、これに関する法典というのは、これは憲法基本的な、最も基本的な附属法典ということだろうと思います。  したがって、もうもっと早く制定されておるべきだったという意味で、六十年も経過してしまったことは大変遺憾なことではありますが、しかしながら、六十年経過する中で幾度かこの法典の制定を図る動きもありまして、一時政府法案の用意をした経緯もありますけれども、これも出せずに今日に至ったのは、やはり憲法の改正論議というものがいろいろな事情の背景には移り変わりや変化やいろいろな要素があると思いますけれども、要するに国会憲法を論議すること自体なかなか難しい状況があったと。どちらかというと九条に関連する安全保障上の憲法論議にもうほとんど集約されるような議論になり、かつ政府の法制局が我々国民一般から見ると、やはりそんな解釈ができるのかと思うぐらい百八十度違う解釈の転換をしていくという解釈改憲をやっております。  これは政府の解釈でございますから私たちはそれは尊重しなきゃならない立場でございますけれども、しかし、やはりそれは葉梨議員答弁されたと思いますが、憲法の規範性を非常に薄くする、憲法を軽いものにする。  そういうことで、昨今、やはり各党各界から憲法改正論議が随分沸き起こってきた。特に、この国会憲法調査会が設置され、そこで堂々と国会憲法改正に関するいろんな広範、総合的な調査が行われるようになりまして、そして与党のみならず、野党であられる民主党も一緒になって、あるいは超党派でいろいろな動きを取ってまいりまして、さらに私たち衆議院においても一昨年の九月にはいよいよ九十六条に求めるところの国民投票法制というものの議論、そして法案の成立を期すことのできる委員会ができましたし、参議院の方でも今年になってその委員会が立ち上がってこのところ両院で審議のできる状況ができて、衆議院から法案を送らせていただいて参議院で現に法案審議をしていただいているところでありまして、そういう経緯には本当に遅過ぎた感が深いものがありますが、また我が国会も本当に状況を切り開き切り開きしながら時代の要請にこたえる努力をしてきたと考えております。
  225. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  今まで六十年間なかなか手続法すらできなかったという一つの要因は、やはり憲法議論するとすぐ九条の問題になると。九条の問題が、一部の人に言わせると、これは九条を改正するのは戦争をする国をつくるんだというような短絡的な思考で、初めからもう改正手続すらも議論をすべきでないと、こんなことで封鎖をされてきたというのは一つの大きな原因ではないかと思っておりますが、これは憲法といえども別に明治憲法、不磨の大典と言われておりましたけれども、不磨の大典ではないんで、時代とともに変わるのは当然であろう。  特に、従来から指摘されておりましたのは、私学助成なんていうのは憲法の八十九条では、公金その他の公の財産は、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならないと、こういう文言があるんで、いろいろ苦しい論理構成の下に私学助成というのが少しずつ拡大してきたというようなのはやっぱり典型的に時代にそぐわなくなってきたことなんだろうと思います。  それから、防衛問題についても、北朝鮮のミサイルなんていう話がありますが、そもそも昭和二十三年には弾道ミサイルとか誘導ミサイルというのは存在しなかったわけですね。そういう意味で、防衛の在り方というのも非常に時代が変わってきたんだと。そういう時代の変化に応じて、もちろん平和を守るという基本は守るべきでありますけれども、どういう防衛方策を取ったらいいかというような意味で九条を議論していくというのは当然の話でありますし、これは手続法が出た後に、三年になるか何年になるか分かりませんが、議論していくと、こういうことでありますが。  外国の例を見ると、同じような第二次大戦で敗戦を経験をしたドイツの憲法といいますか基本法、グルントゲゼッツと、こういうことになっておりますが、最新の情報かどうか分かりませんが、五十一回改正をしておると。それから、アメリカの憲法は一七〇〇年代にできた話ですから当然古いんですが、十八回、フランスで十六回、イタリーで十四回とか、こういう具合に改正をしておりますんで、外国の方が時代の変化に応じて改正をしてきたんだと、こう思いますが、その辺の、どういう事項について改正をしてきたのか。その辺調査の、いろいろ外国の視察もおいでになったと思いますんで、そんな成果等も併せて例示的に少しお話をいただければ有り難いと思います。
  226. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 私も全部資料が手元にないので、思い付いたままに申し上げますと、一番印象に残っているのは、ドイツがやはり海外に軍事力を派遣して行使する場合の憲法改正というのが非常に大きく印象に残っておりますし、また、フランスにおいては大統領の任期の延長ということなどが憲法改正の発議されて、これは多分、まあそういうことなど、いろいろ国の根幹にかかわる、統治あるいは国家権力の行使に重要なテーマについて、今先生が言われたように世の中がどんどん変わるものですから、国益を守るために、そして国民の生命、財産というものを安全に安心にするために、あるいは最も国が繁栄できるような基盤をどう整えるかということで、大きな変化を急速にしていく世界の実情を踏まえた最高法規の改正というのは各国普通行っておりまして、日本のように六十年も同じ憲法を持っているという国は他に私は例を聞いておりません。  私は、やはり憲法というものは完璧なものはないと、多分アメリカの大統領の三代目のジェファーソンがおっしゃったと思いますが、だから憲法にはおのずから改正条項が入っているんだということ、そして、時代の変化に応じて常にその憲法憲法たる機能を果たすことをきちっと国民が担保できるように、改正条項もおのずから当然憲法典の中にはあるんだというような、多分そんな意味だったと思いますが、正確に覚えておりませんが、そういう言葉に尽くされているように、やはり、我々の憲法もすばらしい平和憲法でありますが、戦後の六十年の平和愛好国の本当にすばらしい歩みや実績を背景に、今後も国民が安心して国の安全保障、そして国民の幸せ、国の発展を図れる基盤をこの時代にしっかり築くためのやはり基本となる、いろんな制度をつくっていく上での基本となる憲法典というものについては、これは改正をして、憲法の規範性をしっかりと内外に明確にするときを迎えているんだろうと思います。  ただ、私たち提案している法案は、これは特定の改憲を目的とする手続ではなくて、改憲、護憲、どちらの立場でもない、特定の立場ではない、公正中立な、憲法そのものが求めているその本質に沿ったルールづくりをして、制度設計して、提案をさせていただいていると認識しております。
  227. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。
  228. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 失礼しました。  大統領は七年から五年に任期短縮ということで、フランスの例を申し上げました。失礼をいたしました。
  229. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 次に、憲法改正案の提出者といいますか、それについて少し議論をさせていただきたいと思っております。  憲法改正手続上は国会が発議をして国民投票に掛けるということですが、まあ発議というのは要するに衆参両院で三分の二以上で可決をして、成案を得て国民投票に掛けるということでありますから、それはちょっとさておいて、その前段として、まあ議員提案議員提案をすると、こういうことは当然の想定だろうと思いますが、内閣が一体改正案を提案できるのかどうかという点については余り明快な定めがない。これは法律についてもやはり余り明快な定めがないんですね。ただ、強いて言えば、国会法上、何条でしたか、五十七条かなんかに内閣が提出した場合は云々というような条項があるんで、当然内閣が提案できるということで、もちろん今までの法律の改正も圧倒的に閣法の方が多いと、こういうことになっているんですが、その点については憲法についても同じだと思うんですね。行政上の必要があれば内閣が改正案を提出するということもあり得るんだと思いますけれども、その辺についてはいかがお考えでございましょうか。
  230. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 中島議員が今御指摘なさいましたように、この憲法改正原案の提出権というのは、基本的に国民の代表である国会議員というふうになっておりますが、今御指摘ありましたように、じゃ内閣はどうなのか、内閣に憲法改正原案の提出の権利はあるのかどうかという、これは衆議院の方でも随分話題というか取り上げられたテーマでございます。  現実におきまして、内閣にも憲法改正原案の提出権があるとする学説もございます。また、内閣法制局が平成十三年六月六日、阪田内閣法制局第一部長が、内閣としても原案を国会にお示しすることができるということで一貫しております、こういう答弁もありましたし、先般衆議院の予算委員会におきまして現塩崎官房長官が社民党の辻元委員質問に答えて、内閣にはあると、こういうふうな答弁をしました。  そういう意味では、原理的にといいますか、そういう内閣にも有するという考え方があるということは承知しておりますけれども、今回のこの立法は議員による憲法改正原案の提出手続のみを定めたものでありまして、本法案において内閣の提出権は認めていない、こういうことでございます。
  231. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 これは内閣が、議員の何人以上でしたっけ、衆議院は百人以上、参議院は五十人以上の賛成を得て出せばいいと、こういう解釈もできるんだと思いますが、次に、私は日ごろから法律についても同じではないかと思っておるんですが、衆議院議員提案参議院議員提案ということで、一般の法律について言うと、衆議院は二十人以上とか参議院は十人以上で提案ができると、こういうことになっておるんですが、どうも実態を見ていると、例えば我が党の部会なりあるいは議連の会などでいろいろ議論をするときは、当然衆参両院の議員が一緒になって議論をするわけですね。  どっちの専門家がどっちということは言いませんけれども、まあ衆参両方の議員で成案を練って国会提出をするというのは間々あるわけなんで、これ形式的には衆議院から提出をするのか参議院から提出をするのかという議論はあると思いますが、その提案者は衆参両院の議員がそろって名前を並べても一向に構わないのではないかと。  例えて言えば、憲法の論議についても、自民党憲法改正草案というのは、当然その委員会に名前を並べておるのは衆参両院の議員でありますし、本日のような議論についても、さっき衆議院の本会議があるときにこっちへ来ていいのかというような議論もありましたが、そういう場合には参議院提案者がそこへ並んでいただくと。まあ舛添議員が並んでいただいてもいいですし、今回は残念ながら民主党は共同提案にはなりませんでしたけれども、憲法についてのオーソリティーたる簗瀬先生にこっちに並んでいただいてもいいと、こういうことであると思うんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  232. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 今、中島議員の方から、衆議院参議院、両方で共同提出をしてもいいんじゃないかという話がございました。第一義的には、憲法は二院制の建前というか、そういう制度を取っておりますから、これはやはり、まあ先生もちろん御承知の上でおっしゃっているわけですけれども、それぞれの院で議論をして、独立した議論をもって憲法改正の立案が行われる、こういうことでありますが、実は、この法案の中におきます、午前中でしたか、昨日でしたか、話題になりましたけれども、衆参両院の憲法審査会の役割として、合同審査会を活用して、合同審査会において得られた結論に基づいて、昨日簗瀬議員船田議員の間のやり取りありましたけれども、そこにおいては、得られた結論に基づいて憲法改正原案を立案することによって、実質的には今おっしゃったような衆参合同のような形で憲法改正原案の立案を行うということは可能になる、あとう限りそういうふうになっていく可能性を秘めているというふうに思います。  その正に仕組みとして合同審査会による勧告制度、憲法審査会の合同審査会が衆参両方の憲法審査会に、いろんな段階はありますけれども、そのタイムスケジュールというかタイムラグというか、そういうのがいろいろあるにせよ、適宜勧告をするという格好で両方の議論調整するということは可能であると、こんなふうに考えているわけでございます。
  233. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 赤松先生からせっかく御答弁がありましたが、ちょっと問題が二つあると思うんですね。提案者として衆参両院が一致して名前を並べるかという問題と、もう一つは、どこで論議を開始するかと、こういう問題で、私はその前者の、それは合同審査会で始めるという手もありましょうけれども、従来の慣行的なものからいえば、衆議院なり参議院なりから先に始めると。それはそれでいいと思うんですね。先に始めるんだけれども、提案者は両院の議員が名前を連ねておる、したがって答弁者もどちらの議員でもよろしいと、こういうことは大いにあっていいんじゃないかと、こう思いますが、その点についてはいかがでございましょう。
  234. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 冒頭申し上げました二院制の建前の部分で、やっぱりそういうことは難しいということでございます。
  235. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 今の法制上はなかなか解釈が難しいということかもしれませんが、今後の課題としてひとつ問題提起をいたしておきたいと思います。  特に憲法憲法になると非常に大きな重要な法律でありますから、にわかに今の仕組みを変えるというわけにもいかないかもしれませんが、法律についてはもっと柔軟に考えていいんじゃないかというのが私の本旨でございます。  そこで、合同審査会の話もあるんですが、もう一つは両院協議会というものが今回の改正案でも国会法の改正として載っておると。国会法の八十三条の四の改正案には、憲法改正原案について、甲議院の送付案を乙議院が否決したときは、その議案を甲議院に返付すると。二項において、乙議院の回付案に同意しなかった場合において両院協議会を求めないときは、その議案を乙議院に返付するというようなことがあるんですが、一体、一般の法律の両院協議会の制度と今回においてどこが違うんだろうと。  といいますのは、一般の法律の場合は、両院協議会で成案を得て、もう一回別の院で、それぞれの院で過半数で可決をすればそれは法律として成り立つわけですね。両院協議会で成案が得られないとしても、衆議院で三分の二でもう一回やればいいと、こういうことでありますが、憲法の場合は両議院の三分の二ということでありますから、一体この返付をするということの法律的な効果がどこにあるんだろうかなというのはどうも余りよく分からないんですが、その辺も含めて、ちょっと両院協議会憲法についての両院協議会の性格といったものについて教えていただきたいと思いますが。
  236. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) これは、午前中も御議論があったところでございますけれども、一般の法律の両院協議会というのは憲法五十九条で書かれておる。予算が六十条、条約が六十一条ということですが、両院協議会で成案が得られて、そして法律の場合、衆議院参議院でそれぞれ過半数、出席議員の過半数で可決されれば法律として成案になる。しかしながら、この点においては、法律案の場合は衆議院の優越ということが認められていて、五十九条の四項で三分の二以上というような形での絶対多数によって法律の成案になるということでございますが、今回のこの両院協議会というのは、国会法の第八十三条の、国会の議決を要する議案を甲議院において可決し、又は修正したときは、これを乙議院に送付し、否決したときは、その旨を乙議院に通知すると、この八十三条の規定と実は同趣旨でございます。これは、それ以下の法律案、予算案、条約についての憲法で定められた両院協議会ではございませんで、国会自治の中で、国会両院の調整ということで議決に要する案件ということでここで書いているわけなんですが、実はこれ直さなくてもいいんじゃないかという議論もございました。  というのは、憲法の発議というのも議決を要する議案であることは間違いないわけなんですが、しかし、通常の国会の議決を要する議案、例えば国会承認人事でありますとか、そういったものと違いまして、やはり憲法の発議というのは非常に重たいものだということで、この八十三条の特則として両院協議会を書かしていただいたわけですけれども、これは法律に定める任意的な両院協議会憲法の発議ということについて特記したというふうに御理解願いたいと思うんです。  じゃ、効果ということですが、憲法については、午前中も御議論ございましたけれども、衆議院参議院において全く優越というのはございません。全く同等でございます。ですから、そこで成案が得られて、それぞれが総議員の三分の二以上の賛成を得たときに初めて発議ができるということでございます。
  237. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 分かりました。  その場合、憲法に関する両院協議会の話として、仮に両院協議会で何らかの成案が得られたと。もう一回、成案が得られたということは若干の修正が行われたということでありましょうけれども、その修正案が甲議院なり乙議院なりにそれぞれ戻されて三分の二で議決すれば、それは同一国会においても改正案として国民投票にかける発議案になると、こう解釈してよろしいんでしょうか。
  238. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 午前中、保岡議員からも答弁ございましたけれども、ぎりぎりの問題で、これが実際どういう場面で発動されるかというのは、なかなか想定はしづらいところも、今現在想定しづらいところもあるんですけれども、本当に例えば表現の問題ぐらいのところで、それでこちらの議院が同意しなかったといった問題を、じゃそのまま否決という形でしていいんだろうかと。やはり最後まで両院としては、正に度量とそれから良識を持って両院が一緒に話し合うという努力をしようじゃないかと。そして、努力をした上で、そこで、ああ、じゃ、これだったら我々の趣旨、両方いいじゃないかということで成案になれば、それで両方が三分の二ということで絶対多数で議決をすれば、これは同じ国会であったにしても十分に両院の意思を反映した発議案になるものというふうに思いますし、現行の国会法の八十三条もそういった趣旨から来ているんではないかというふうに考えています。
  239. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、投票の方式について伺いたいと思いますが、国会法の改正案の六十八条の三、最前から話題になっておりますけれども、内容において関連する事項ごとに区分して行うんだということで、その様式についても各項目ごとにその別紙様式というようなことで賛成、反対を記述するんだと、こういう話になっておりますが、これは改正案が多岐にわたらない場合はそれは国民は比較的簡単に判断できるかもしれませんが、例えば自民党が平成十七年十一月にこういう新憲法草案というのを出しておると。これは言わば全面改正ですね。  憲法の改正の仕方としては、例えば宮沢さんの憲法のコメンタールの中にも、全面改正と一部改正と増補というようなものがありますねと。宮沢学説によれば、全面改正は全面改正として賛否を得る方式もあるし、一部改正は一部改正としてそれぞれ項目別に賛否を得るという方式もあるねということなんですが、今回はどうも事項ごとということですから、かなり細分化して賛否を求めるんだと。  じゃ、一体これ賛否を求めるときどうするのかねと、こういう話になると思うんですね。そうすると、これ中身を見ますと、基本的な条文の改正と仮名遣いその他体裁上の改正といろいろあるんですが、私ちょっと数えてみましたら、この棒を引っ張ってあるところがおおよそ二百か所ぐらいあるんですね。ですから、これ二百か所、まさか二百の項目を国民投票に一つ一つかけるんだというのはこれはもう不可能な話だと思うので、ちょっとその辺の、テクニカルにどういう投票の方式をやるのかというのはなかなかイメージがわかないんですが、どのようにお考えでございましょうか。
  240. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) テクニカルな答弁の前にテクニカルな修正をさせていただきます。  先ほど八十三条と申し上げたのは八十七条の誤りでございます。  八十七条の特則的な立場として八十六条の二を置かせていただいているんですが、八十七条の前にこれを書かせていただくことにしたのは、議決を要する案件の中でもやはり憲法の改正原案というのはより重いものがあるだろうということで、八十七条の二ではなくて八十六条の二という形にさせていただいておるということでございます。  ちょっと、済みません、条文の数を間違えました。
  241. 船田元

    衆議院議員船田元君) 中島議員にお答えいたします。  まず、一般論ということで申し上げますと、関連するまとまりのある事項ということですね、これを私ども考えた次第でございますが、言うまでもなく、それは一方では個別の憲法を政策ごとに民意を問うべしと、こういう要請がある一方で、相互に矛盾のない憲法体系も構築しなきゃいけない。その両方の要請を満たすと、実現させると、こういうことで申し上げたような内容において関連する事項ごとと、こういうことにいたしたわけであります。  ただ、何が関連するのか、またどういうふうに国民に問い掛けるかということについては、先ほども答弁いたしましたように、正にそれは国会議論してもらうべきであり、今後の憲法審査会等で大いにこれは議論すべきものと考えております。  そういう中で、あえて自民党の新憲法草案に触れていただきました。大変有り難いと思っておりますが、まず今後の状況考えますと、決して自民党憲法草案がそのまま通るとは思っておりません。これはもう三分の二の賛成を国会両院において得なければいけないということでございますので、これは相当ずたずたになるんであろうというふうに思っております。    〔理事中川雅治君退席、委員長着席〕  ただ、仮に万が一、もし自民党憲法草案そのものが原案ということになった場合、どう問い掛けるのかと、こういうことでございますけれども、私ども、確かに二百か所程度あるだろうと思います。ただ、技術的な正に字句の修正であるとか、あるいはてにをはを変えるというようなことは、これはまた別途、もちろんそれも賛成が必要だと思いますけれども、それはまた別に束ねるということもあると思いますし、それから大体、そうですね、現在、公職選挙法において各種の選挙が行われておりますけれども、いわゆる投票所ということで予定をしている場所、こういうことにつきましては、大体、学校、公立の学校の体育館であるとか公民館であるとか、そういうところが用意をされております。もちろん、これももっと広いところにしろという意見もあるかもしれませんけれども、現状を考えますと、やはり一問ごとにブースを変えて、投票箱もブースごとに一つずつ置いてある、そしてまとまった事項ごとに一問ずつ投票していくと、こういう形に現実の問題としてはなると思いますけれども、ブースを十も二十も二百もつくるということはまず無理な相談であると思います。ですから、大体、ブースとすれば、今はっきりとは言えませんけれども、例えばということでお聞きいただきたいんですが、イメージとしてお聞きいただきたいんですが、三ないし五ぐらいのブースになるであろう。そうすると、三問から五問がぎりぎりのところかなというふうに感じております。  そういうことでいくと、二百問というのを、これを五問にまとめていくというのはこれは至難の業でございまして、これについてはやはり相当議論をして、その束ね方の工夫も必要でしょうし、また場合によっては一回で、一回の投票ですべてを決するということではなくて、例えば何年か間を置いて何回かに分けて問い掛けるということがあってもいいでしょう。もちろん、その途中の間に内容ごと、相互に関連するものがばらばらに設問されちゃって、どっちかが通ってどっちかが通らない、こういう状況ですとこれまたそごを来すわけでございますので、その辺りは十分に気を付けなければいけませんが、方法としては、そういった何回かに分けて投票していただくというそういう方法もあるんではないか。これはまあ公明党さんのことを言ってはあれでございますけれども、加憲という考え方をすればそういうことも、何回かに分けて投票を行うということもそれに合致するものかなというふうには考えております。  ただ、いずれにしても、まとめ方についてはすべてこれは国会でしっかりと議論していただく問題であると思っております。
  242. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  今、船田先生がおっしゃったように、やっぱり国民が一つの投票所に行って何か自分の意思を割と明確に表示できる範囲というのは三項目から五項目というぐらいが、もう十項目以上になったらとても、明快な判断というのはとても無理なんだということなんだろうと思います。  今、最高裁の裁判官の国民審査というのをやりますが、これもまあ多くの人は特に分からずに、十人近くの名前が載っていると何となくそのままバツを付けないでやるというようなことではないかと思いますんで、やっぱり国民の意思を問うという意味においては、この関連する事項ごとにというのもまあ確かに一つの見識だとは思いますが、その辺の投票様式についてはかなり一括してやるとか、例えば第九条の問題などはほかの条文とは切り離してやるというのが適当なんでしょうが、その章ごとに一括してやるとか、いろんなテクニカルな方法はあると思いますんで、やっぱり国民に分かりやすい方法というのを是非今後検討をしていただきたいと、こう思います。  それで、またテクニカルな話になって恐縮でありますが、この五十六条の別記様式という話ですね。これは一項目ごとに、この表示されている様式だと何について投票しているのかこれだけではさっぱり分からないわけでありますが、こういう方式でブースを幾つも設けるという方式もあるでしょうが、もう一つの方式として、やっぱり、例えば五項目なら五項目、何々について、何々について、何々についてというような表題を付けて一括して、一括してといいますか、項目ごとに賛否は示すんだけれども投票用紙としては一枚だというような方法だって当然あっていいんじゃないかと思いますが。ということで、その五十六条を見ると、準ずると書いてあったんですかね、その準ずるの解釈の中にはそういう、この用紙の作り方については、趣旨に反しない範囲でもって今後いろいろ検討をしていただいてもいいんではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  243. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  投票用紙につきまして、御指摘のように、項目連記というんでしょうか、すべての項目を掲げまして、それで一括して賛否を問うと、こういうことになりますと、一枚の投票用紙に賛否、賛成、反対が混在をするということで、私はいろいろな、最近のコンピューターでの処理等々いろいろあるかと思うんでありますが、開票事務に不便が生じるというものがあると考えております。  したがって、このような開票事務の便宜等を考慮いたしまして、私どもの制度設計としては、投票用紙については個別の憲法改正案ごとに、もちろん内容ごとに束ねたものもあるわけでございますが、個別の憲法改正案ごとに投票用紙を受け取り、そして記入をし、投票箱に投じ、その後次のブースに移っていただいてそこで次の改正案の投票に移ると、こういうことが間違いがない形だろうというふうには思っております。
  244. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 提案者の御趣旨はよく分かりましたけれども、この辺も今後の議論として十分詰めていただく必要があるのではないかと思っております。  またまた細かい話になって恐縮でありますが、投票用紙の記入方法は、要するに賛成とか反対とか書いてある、印刷をしてあるところをマルで囲むんだということがその原則でありますけれども、八十一条では、投票用紙に印刷された反対の文字をバツの記号、二重線その他の記号を記載することによって抹消した投票は賛成の投票としてと、それから投票用紙に印刷された賛成の文字をバツの記号、二重線その他の記号を記載することにより抹消した投票は反対の投票としてというようなことがわざわざ法律で書いてあるんですね。  確かに、日本的な感覚からいえば、賛成とか反対とかいう文字を消せば、それはその反対の、逆の表示であると、こういうことになると思うんですが、諸外国のやり方を見ておると、欧米の様式というのは大体V字形のチェックをするとか、そうでなければ賛成なり反対の文字の上にバツ印をする、上というか左側というような、横書きだと左側ということなんでしょうけれどもね。  そうすると、仮に賛成の文字の上にバツ印があったと、こういうのは非常に紛らわしい、一体どっちに表示しているんだと、こういう話になりますので、どうも八十一条の緩和条項というのは非常に誤解を招きやすい方法ではないかなと、こう思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  245. 船田元

    衆議院議員船田元君) 今御指摘をいただいた点は、確かにそういうこともあるかなというふうに思っております。  諸外国におきまして、いわゆるチェックですね、これを記することによってそれを選ぶ、あるいはそれが賛成である、こういう記載方法もあります。それからドイツでは、たしか囲みがあって、マルの囲みがあって、そこにバッテンを付ければそれが選んだものであるというような方法もあるということは承知をしているわけでありますが、私どものこの考え方によりますと、やはりマルを付けていただくというのを、これを基本とし、そして、賛成にバツあるいは反対にバツというのも、それぞれその反対の、別の意思表示を消極的にしたというふうにみなす。こういうことで、できる限り無効票を減らす。それから、国民の多様な意思というものを、これを酌み取っていこうと、こういう努力を工夫として考えさせていただいたわけであります。これは、諸外国の例からすると、バツを付けることがそれを選んだということにもなるわけでありますので、その辺の紛らわしさというものについては、十分に事前に投票の方法においてこれは正に広報、周知をさせる必要があると、こう理解をしております。  それから、将来になりますと、余り先のことは言うべきではないと思いますが、いわゆる電子投票というのが導入される可能性がございます。そういうときに、いわゆるタッチパネル方式ということで、賛成に触れる、あるいは反対に触れると、こういうようなことも将来あり得るかと思います。そういうことにもいずれは対応していかなければいけないだろうと思っておりますけれども、当面、この形でまず実施をしてみて、そして不都合が生じれば、将来においてまたそれを議論をしていくということは当然あり得ると思います。大変有益な御示唆だと思います。
  246. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 一つ先生が先ほど言われた反対、賛成の上の方にバツとかいうのは、これは無効票で、やはり文字の上に記すということと、それから、投票所に賛成、反対を求めるためにどういうふうに投票してくださいというふうに書くときは、賛成の方は賛成のところにマルを、反対の方は反対のところにマルをとだけ書いて表示しておいて、あと勘違いしてそうやった人の分を救済する開票のときの技術的な無効票仕分の基準であって、投票を求めるときは、もう賛成、反対の文字をマルで囲んでいただいて意思を表示していただく。非常に単純にしておかないと、有権者が、投票権者が間違って混乱するということになる、余りにも複雑になり過ぎるということで、そういうことを想定しているわけではありません。
  247. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  いずれにしても、国民の意思表示に分かりやすいというのは非常に大事な視点だと思いますから、国民投票運動というようなこともあえてこの法律の中に詳しく書いてあるわけですから、その中身も含めて是非PRをしていただきたいと思います。  次に、最低投票率問題、これも今まで非常にいろんな御議論があったところでありますが、最低投票率云々の問題と同時に、基本的には有権者総数の過半数で決めるのか、あるいは有効投票の過半数で決めるのか、中間取って投票者総数の過半数という考え方もあるんですが。要するに、過半数と九十六条に書いてあるのの解釈の問題だと思いますが、少なくとも、有権者総数の過半数という規定はどう見ても当たらないんだろうと。有権者総数の過半数というと、要するに、投票に行かなかった人はすべてこれは反対であると、こうみなすと、こういう話ですから、これはかなり国民の意思から離れてしまうわけでありますし、投票に行かなかった人はどういう理由で行かなかったのか分かりませんけれども、態度が決まっていなかったのか、あるいはよく分からないという話なのか、あるいは投票へ行った人にもう任せるから白紙委任でいいやと、こういう話なのか、少なくとも全員が反対であるとは考えられませんから、有権者総数の過半数という考え方はあり得ないんだろうと。  第二弾として、その最低投票率というようなことを憲法で想定しているか、あるいは選挙法で想定しているかといいますと、今の選挙法上はそういう最低投票率というような考え方は想定していないわけでありますから、憲法の解釈をどうするかというのは議論は若干あるかもしれませんけれども、現時点においては最低投票率というのは設けないというのは、私はそれでいいのではないかと思っております。  そんなことで、有効投票の過半数ではなくて、この法律上の表現は、投票総数が賛成票と反対票の合計と、こういうことで、実質上は有効投票数と、こういうことなんだろうと思いますが、こういう結論に至った事情についてもう少し御説明をいただければ有り難いと思います。
  248. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 元々、与党案においては有効投票の過半数というようなことを想定して出さしていただいたわけです。これは最前からの議論で、どういう形での投票になるかということにもよりますけれども、船田委員からも御議論がございましたけれども、三つか四つの分かりやすい関連する事項ごとに投票をするというようなことがまず想定されると。  そして、一つの問題ですけれども、まず棄権の自由を認めるかどうかという問題がございます。ただ、これは憲法の文理上、先般も申し上げましたが、「この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、」、「投票において、」というような文言がございますので、その過半数の賛成とは投票に行った人の過半数なんであろうというふうに素直に読むのが自然だろうというふうに我々は考えたわけでございます。  そして、自公案においては有効投票総数、それで民主党案においては投票総数、これについての過半数ということでそれぞれ案が出てきたわけでございますが、憲法調査特別委員会の小委員会等における議論の中で、先ほど申し上げました三つぐらいの、三つあるいは五つとかいったそういった関連する事項でいきますと、例えばある問題については賛成だけれども、ある問題については反対、そしてある問題については他の有権者の判断にゆだねるというようなことも出てくるであろうと。  その場合に、さきに棄権の自由を認めるということを申し上げたのは、これは、例えばウガンダだとかベルギーのように投票を義務化しているわけでもございません。したがいまして、やはり投票に行かなかったということは、ある事項の決定について、投票所に行ってくれた他の有権者の判断にゆだねると、そういうような意思表示であろうと、そこにおいて棄権の自由を認めていこうじゃないかと。  じゃ、棄権の自由というのは、投票所に足を運ぶ段階だけで認められるんだろうか。投票所に足を運んでからも、ある問題については賛成、ある問題については反対、そしてある問題については他の有権者にゆだねるという意思もある意味では尊重すべきじゃないか。その尊重するに当たって誤解がないようにしなければならないと。  それで、今も議論ございましたけれども、まずマルを付けるというのをベースにしながら、チェックというのはちょっと外国の例で今言われたわけですけれども、当然その投票用紙にはしっかりと大きな、多分大きな字になると思いますけれども、マルを付けるかあるいは線を引くかしてくださいというようなことを書いていくことになると思います。それを見ていただいて、消極的な賛成、反対も含めて、本当に心理的な抵抗なく自分の意思を表明できる、そういうような制度設計をした上で、その上でも、やはり投票所に行って他の有権者に対して意思をゆだねるというような自由も尊重するという観点から、有効投票総数の過半数という形での立法とさせていただいたという経緯でございます。
  249. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、今回の国民投票の有権者というのは十八歳以上だと、こういうことになったわけでございますが、この辺の議論というのは確かにいろいろありましたし、外国では十八歳以上が選挙権を持っているというようなのが通例であるということで、別にこれに反対というわけではないんですが、どうも議論としてはややまだ練れてないのかなというような気がいたしまして、国民投票法についてだけ先行して十八歳ということを決めるという法制上の措置というのはどうもちょっと疑問があるんじゃないかと。やるんだったら、附則にはその法制上の措置というのは書いてあるわけですけれども、公選法の規定も同時に十八歳というようなことで今回改正をすべきではなかったかと。あるいは逆に言えば、当面は二十歳と定めておいて、この法律が施行するまでの間に、年齢要件等については公選法のバランスを取りながら検討するというような条項があってもよかったのではないかというふうに思いますが、今回、国民投票法が先行して十八歳というふうに打ち出した背景といったようなものについて少し御説明をいただければと思います。
  250. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今、中島委員指摘のような状況でありますが、私どもとしては、当初二十歳ということを本則に書きまして、それで対応しようと、これは国民投票法におきましてそのようにまず提示をいたしました。しかし、その後、諸外国の事例あるいは衆議院委員会、あるいはその小委員会、さらにはいろいろな参考人を呼んでの御意見等を伺いましたところ、やはりこれはもう世界的にも十八というのが、何度も言葉使いますけれども、世界標準であるということもかなりはっきりしてまいりましたし、また実態としても、もうそろそろ我が国におきましても十八ということにして、高校生のある段階でやはり国の大事な基本法に対して意思表示をしていただくということがいいのではないか。あるいは、できるだけ多くの方々に、この憲法改正をするかしないか、するならどうするべきかということのこの国民投票に多くの方々に参加をしていただきたい。特に、これから将来の日本を背負って立つ若い人々にも是非、なるべく参加をしてもらおう、こういう考え方になりまして、それで本則十八歳というふうにさせていただきました。  ただ、おっしゃるように、やはり公職選挙法との違いといいますか、公職選挙法が二十歳のままで残ってしまうというのは、これまた問題があろうと。別々の場合には、投票人名簿とそれから選挙人名簿というのを別にそれぞれ作らなきゃいけない。そうすると、十八から二十歳の間の人々が、ある選挙、ある投票行動においてはそれができ、ある投票行動はできないという、そういった混乱も予想されると。しかも、諸外国においても国民投票の年齢とそれからいわゆる選挙法における選挙年齢というのはもうほとんど一致しております。そういうことも考えますと、やはり公職選挙法における二十歳というこの年齢についても、これはできる限りこの三年間の間にしっかりと議論をした上で十八にすると。  また、経過措置として、十八にならないという状況があれば、これは国民投票も二十歳のままということでありますが、殊更それを強調するわけではなくて、万が一のストッパーということで我々は考えております。あくまで十八になって初めてこの国民投票も公選法も動くと、こういうことを私たちは目指しております。ということで是非ともこの点を御理解いただきたいと思います。
  251. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 続いて、数字議論で恐縮でございますが、施行期日については附則の第一条で、公布の日から起算して三年を経過した日から施行すると、こうなっておって、これの妥当性についてはいろいろ議論があって、立法政策の問題でもあろうかと思いますが、なぜ三年になったのか、その辺についても少し事情を説明をしていただければと思います。
  252. 赤松正雄

    衆議院議員(赤松正雄君) 施行期日を公布から、当初二年になっておったんですが、それを三年にした、これ、修正した理由について余り事細かに言う必要はないのかもしれませんが、この点については非常に私こだわっておりますので、説明をさせていただきたいと思います。  要するに、政党によってはもう既に憲法改正原案なるものができていて、こういう改正手続法案ができると、もう即そこにその改正原案を持ち込んで議論をするというふうなことを一部思い込んでおられる方、錯覚をしておられる方がいらっしゃると。それは違うと。  私、繰り返し申し上げるんですが、衆議院でも参議院でも、憲法をめぐって改正を意図して、それを目的にした議論は一度も行われていないということでありまして、それをいよいよこれからやろうということが実は非常に大事なポイントであるということで、この憲法審査会の場におきまして、憲法調査会で行われた議論を踏まえた上で、変えた方がいいというふうなことが多数を占めた部分について、本当にそうなのかどうか、しっかりとこの一九四六年憲法のありとあらゆる観点をしっかり議論、検討するその機会が必要であると。  それをしっかり担保されないと、いきなり政党考えたものがそこに持ち込まれてやるというのはおかしいと。我が公明党におきましてもまだ議論の、加憲でありますが、加憲の対象を何にするのかということについては今引き続き議論が行われている最中でありますし、民主党皆さんもいよいよこれから、今までもしてきておられますけれども、これから本格的な議論をされると、こういう状況にある中で、やはりここはしっかりと腰を落ち着かせてやる必要がある、それには二年は短いよということを強く主張させていただいたわけでございます。  大変度量の広い、大きい自由民主党皆さんも、それはそうだねということになりまして、要するにいろんな、先ほどの船田委員からあった様々な手続に関する期間も必要ですし、また、国民への周知、六十年ぶりのことでありますから、どういう目的を持ったどういう法かというものを周知することも必要ですし、そういうものもあるし、じゃ、そういうものをやりながらただ時間がたつのをじっと待っているのかというと、そうじゃなくて、正にその時間にこそ大議論が展開されると。こういう意味合いで三年という、三年も短いという考えもあろうかと思いますが、取りあえず三年、こういうことでスタートしようということでございます。
  253. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 赤松先生からは大変詳しい熱のこもった御答弁をいただきましてありがとうございました。よく分かりました。  次に、国民投票運動というのがいろいろ書いてありまして、これもいろんな方がいろんな御議論の種になると思うんですが、私は、有料広告、無料広告とあって、その無料広告について政党等は無料広告ができるわけですね。その政党等の定義というのは、この百六条の二項に、一人以上の衆議院議員又は参議院議員が所属する政党その他の政治団体であって両議院の議長が協議して定めるところにより国民投票広報協議会に届け出たものをいう以下云々と、こういうことでかなり、とにかく一人でも国会議員がいればいいと、こういう話でありますから、かなり幅広い定義になると思うんですね。  もちろん有料広告というのは、かなり幅広く言論の自由という意味でも認めて差し支えないんだろうと思いますが、無料広告というのは、やっぱり放送事業者なり新聞等々に、強制をするというか、これは国会が金を払うんでしょうけれども、まあそういうことでありますから、余り広く解釈はすべきではないということで、私は原則的には政党に限るべきではないかという感じがいたしておりますが、その辺の御議論についてはどんな御議論があったのか、教えていただければ有り難いと思います。
  254. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今、中島委員が御指摘をいただいた政党等ということでございます。この定義は、今お話をいただいたように、一人以上の衆議院議員又は参議院議員が所属する政党その他の政治団体であって云々ということでございますので、いわゆる公選法とか政治資金規正法、あるいは政党助成法に定める政党要件とは違っております。後段の方は、国会議員五人又は国政選挙における二%以上の得票を満たすものを、これを政党と呼んでおりますので、我々は更に幅広い政党要件というのを考えたわけであります。  理由としては、やはり政党である限り、これは憲法の問題について、これはいろんな角度の政党があるわけでございますので、考え政党があるわけでございますので、その意見もしっかり酌み取りながら、国民の前にきちんとその賛否といいますか、政党としての賛否を示して、そして運動をしていただくと。また国民運動全体が活発に行われるということを目指して我々は政党要件を緩やかにしたと、こういった経緯があったわけでございます。更に言いますと、政党等だけではなくて、この無料広告枠を使える人々としては、その政党等が指定した団体にもその無料広告枠を開放すると、こういったことも実は述べております。  これは、最初の原案にはなかったところでございますけれども、我々、国会での議論委員会での議論を通じまして、そういうその一般市民の皆さん、ある程度政党とのつながりのある市民の方々にもこれを開放することによって、いろんな角度からの広報、あるいは国民投票運動をしてもらおうと、こういう趣旨でこのような規定にしたのでございます。
  255. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  次に、いわゆる公務員と教育者の地位利用による国民投票運動の禁止について少しお伺いをいたしたいと思います。  選挙については、特定の人を推薦し、かつ投票を慫慂するというのは、かなり禁止の範囲が広くてもこれはやむを得ないんだろうと思いますが、この国民投票について、余り広く地位利用による禁止というのを認めるのはいかがかなと、もう少し自由でもいいんじゃないかなというような気も個人的にいたしておりまして。  特に、教育者がどういうふうに教育するか、今朝でしたっけ、今朝も大分議論になっておりましたが、確かに十八歳未満の児童生徒に対して何らかの、うちへ帰ったら是非お父さんに国民投票、これは反対と言ってきなさいとか、こういうことを言うのはいかがかと思いますけれども、大学の学生というのはもう十八歳で、当然投票権があるわけでありますから、これについて学問の教授の一環として学説的に意見を述べるということまであんまり厳密には解釈すべきではないのではないかなと。  その辺が第百条との関連になりますが、なかなか微妙なところなんで、私はむしろ、この国民運動の方法論について、何か大きな声でマイクでがなり立てるとか、早朝から夜中までがなり立てるとか、その方法論について規制するのはこれは当然であろうと思いますが、この辺の範囲についてはかなり微妙なところだろうと思いますが、どんな御議論があったのか教えていただければ有り難いと思います。
  256. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 中島委員にお答えいたします。  午前中も御議論をさせていただきました。やはり憲法について、一般論として、教育者であっても意見を表明する、そして平和、人権、民主主義、その理念がすばらしいものであるということを訴えること、これは、本当にそれが規制されるということは私はあり得ないことだろうというふうに思っています。  しかしながら、今もお話ございましたけれども、教育者について、公務員である教育者と私学の教育者とそれぞれいるわけなんですけれども、教育者について、やはり、たとえ大学生であっても、単位って物すごく今大事なんですよね。もう単位が取れないと卒業ができません。そうすると、就職口が決まっていて、単位が欠けていてもう留年しなきゃいけない。それで、そういう相談も時々私のところ来るんですけれども、それはさすがにどうにも言えませんからということで、地位を利用しての影響力の行使というのは私も全然したことはないんですけれども、例えば、そういうようなことを想定されるような国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益を利用して、たとえ大学の教授あるいは大学生であっても、それをやってしまっちゃいけないだろうというふうに思います。(発言する者あり)いや、これは、想定しているのというような今不規則発言もありましたけれども、法律ですから、そういったことも想定せざるを得ないんです。大学といったって、それは、今、日本にある大学ではそういう大学はないというふうに私は信じたいんですけれども、それは今後いろんな大学だってあり得るわけですから、また、いろんな教授だってまたあり得るわけです。ですから、そこのところだって、やはりある意味では、これは法律ですからそういう想定もしていかなきゃいけないだろうというふうに思います。  そして、まず、午前中も議論をいたしましたけれども、政治的行為の問題とそれから地位利用の問題は違いますよと。政治的行為の問題については、意見の表明だとか勧誘、これが自由になるようにいろんな法制上の措置をとっていきましょう、そして地位利用について、これで先ほど申し上げましたけれども、これはまず罰則で担保をしないということでございます。  現在の公職選挙法にあります教育者の地位利用というのは、これは罰則で担保をしているわけですけれども、この場合、行政罰というか、公務員の場合は懲戒事由の行政罰になるわけですけれども、これは要件をぐっと絞りまして、国民投票を効果的に行い得る影響力又は便益を利用してという形で、そこの部分は、これに違反するという形であれば公務員法上の信用失墜行為なり、そこで懲戒事由になってこようというふうに思いますし、また、私学においてはそれについての担保というのはないじゃないかというような話もあろうかと思いますけれども、まず国会意思として、このような影響力あるいは便益を利用しての教育活動というのは好ましくないんだということを国会意思として明確にしておけば、本当に良識ある私学の方々も、それに即応したような対応を取っていただけるものだというふうに期待をしているところです。  ですから、非常に限定を付した上で、その担保といいますか、担保についてもそれぞれ行政機関あるいは私学の判断にゆだねるという形になっておりますので、最大限、本当に想定される非常に悪質な行為、これについてはこの地位利用の規定でやっぱりやめていただこうというふうに思っていますけれども、自由な意見表明、それから自由な勧誘、これにわたるようなことが規制されるようなことはないような形の規定ぶりとさせていただいております。
  257. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 詳細な答弁をありがとうございました。この辺は常識的に適切に運用していただくということだろうと思います。  最後に、国民投票広報協議会という、またこれ今まで聞き慣れない制度ができるわけでありますが、当然国民投票というのは初めての経験でありますし、どういうことなんだというのを大いに広報し、先ほどの最低投票率の話もありましたが、最低投票率というふうな議論がなくて済むように、投票率が向上するようにやるというのは必要なことだろうと思いますが、この協議会委員そのものは当然衆参両院だと、こういう話ですが、この委員会の事務局についてはどんなことを考えておられるのか。  常識的に言うと、衆参両院の事務局員を主体につくるのかなという気もいたしますが、広報というのはなかなか専門的な知識も必要でありますし、場合によっては民間の力もかりるとか、各省の出向を求めるとかいうのもあり得るんだと思いますが、どんなことを想定しておられるんでしょうか。
  258. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  国民投票広報協議会でございますが、これにつきましては、やはりまず正規のそのメンバーというのは国会議員で構成される。衆議院議員十名、参議院議員十名ということであります。これは、それぞれの議院における議席数に応じた配分ということで成っております。国会議員がこれを行うことがどうかという議論もありますけれども、やはり憲法改正原案を発議するに至った経緯とか、あるいはその間の様々な事情について一番よく知り得ている者が国会議員であると、こういう立場から、この広報協議会については、このような、国会議員に限るとしたわけでございます。  それでは、事務局はどうかと、こういうことでございますが、事務局につきましては、この憲法改正案について正確な情報というものを把握しているか、また情報の提供について基本的な考え方、技術というものを持っているかどうかというものがやはり要件としてまず最も求められることであるというふうに思っておりますので、基本的にはそれまでの経緯とか議論を熟知している両院の憲法審査会の事務局の職員などを中心として選ばれるべきものであろうというふうに思っております。  それから、先生指摘の民間人どうかと、特に専門家ですね、どうかと、こういうことでございますが、これも大いに私は検討していいんだろうというふうに思っております。この点については、実際に憲法改正の発議が行われる場合に、衆参両院において十分に検討してもらいまして協議した上で、民間人の参画ということにも道を開くということは、私は十分に考えられることであって、むしろ望ましいことだというふうに思っております。
  259. 中島啓雄

    ○中島啓雄君 ありがとうございました。  まだ少し時間はありますが、連日お疲れのことだろうと思いますので、この辺で終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  260. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十九分散会