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2007-04-18 第166回国会 参議院 日本国憲法に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年四月十八日(水曜日)    午前十一時開会     ─────────────    委員異動  四月十七日     辞任         補欠選任      田村 秀昭君     長谷川憲正君  四月十八日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     谷合 正明君      魚住裕一郎君     澤  雄二君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         関谷 勝嗣君     理 事                 岡田 直樹君                 中川 雅治君                 舛添 要一君                 広田  一君                 前川 清成君                 簗瀬  進君                 澤  雄二君     委 員                 荻原 健司君                 木村  仁君                 佐藤 昭郎君                 櫻井  新君                 田中 直紀君                 中島 啓雄君                 中曽根弘文君                 野村 哲郎君                 山本 順三君                 大久保 勉君                 小林 正夫君                 芝  博一君                 津田弥太郎君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 藤末 健三君                 松岡  徹君                 水岡 俊一君                 谷合 正明君                 山下 栄一君                 鰐淵 洋子君                 仁比 聡平君                 近藤 正道君                 長谷川憲正君    衆議院議員        日本国憲法に関        する調査特別委        員長代理     保岡 興治君        発議者      船田  元君        発議者      葉梨 康弘君        発議者      赤松 正雄君    事務局側        日本国憲法に関        する調査特別委        員会及び憲法調        査会事務局長   小林 秀行君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○日本国憲法改正手続に関する法律案衆議院  提出)     ─────────────
  2. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ただいまから日本国憲法に関する調査特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、田村秀昭君が委員辞任され、その補欠として長谷川憲正君が選任されました。  また、本日、魚住裕一郎君、荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として澤雄二君、谷合正明君が選任されました。     ─────────────
  3. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事澤雄二君を指名いたします。     ─────────────
  5. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 日本国憲法改正手続に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 簗瀬進

    簗瀬進君 質問を始める前に、今朝午前二時過ぎにお亡くなりになられました長崎市長伊藤一長さんに謹んで哀悼の心をささげたいと思っております。  大変、選挙のさなかの国民、有権者と対話をしているさなかに、ある意味で無防備になるその瞬間をねらったテロでありまして、大変な怒りを覚える次第でございます。  昨今、この暴力で言論を封殺するような、そういう雰囲気が非常に社会に少しずつ広まっているような、私はゆゆしいものを感じておりまして、だからこそ、私たち国会は、本当に国の未来に向けてのしっかりとした議論をたっぷりと腰を据えてやらなければならないと、このように思っておる次第でございます。  それでは、まずはやはり保岡先輩に対して御質問をさせていただければと思っております。  保岡先生はもちろん弁護士の私の先輩でもございますし、かつては私も自民党でございまして、かつては自民党にも弁護士出身議員の方というのはそんなに多くありませんでした。その中で保岡先生大変人権を守るための様々な御活躍をしていただいたということをよく存じ上げております。また、法務大臣になられた際も、私は先生の秘書とともに勝手にワンストップサービス研究会などというようなものをつくりまして、これからの日本の全体的なリーガルサービスレベルを上げていかなければならないということで、いろいろなそういう努力もさせていただいたわけでございます。  ただ、保岡先生と私の違いは、私は衆議院の方から参議院の方に回ってきたと、こういうふうなことでございまして、そちらにいらっしゃる船田先生との選挙に敗れたのがその一つのきっかけだったんですけれども、だからといって何を言うというわけではありません。正にそういう私の経験からいってみると、衆議院参議院関係というようなものは、非常に保岡先生がお考えになっているよりも、衆議院側から来る参議院に対するある意味で軽視をした言葉というようなものは、自分のそういう経歴からいってもちょっと許せないなという感じがいたしてございます。その思いは実は昨日の中川さんの質問にも、また岡田さんの質問にも出ていたのかなと思ってございます。  議事録で削除をされる形になっておりますけれども、改めて未定稿の部分をちょっとチェックをさせていただきました。やはりその中身を出して見ると、ちょっとやっぱり問題かなと、こういうふうに思っております。今ちょっとその議事録を探しているんですが、ちょっと見当たらないんで、後で出てきたらまたそれで言わせていただければと思いますけれども、(発言する者あり)いいですか、ちょっと探させていただいて。まあ大変準備がないところで、期間がないところ準備をいたしておりますので、ちょっとばたばたになって恐縮でございます。  あっ、出てまいりました。広田理事の助けで出てまいりましたので、ちょっとその部分を読ませていただきますと、参議院では衆議院での議論を踏まえ、足らざるところが集中的に、これじゃないんじゃない、違うな。(発言する者あり)委員会の、まあいいや、いいや、ちょっと出てまいりませんので、たしか私の記憶では、衆議院ではかなり議論が進んでいると、でありますから、参議院はその衆議院議論を前提にして、その足らざるところをやればいいと、こういうふうな御発言だったと思います。  確かにそうなのかなと、そういう御認識参議院に対してお持ちなのかなと思っておるんですけれども参議院審議レベル国民投票法でどの程度行われたのかということについての保岡発議者の御認識をまず伺わせていただきたいなと思います。
  7. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先ほど簗瀬委員から丁重なお話がございました。伊藤市長の本当に不慮の御逝去に対して謹んでお悔やみを申し上げると同時に、簗瀬議員と同じような、同感の思いをいたしておりまして、ふんまんやる方ないというか、我々国会のそういった関係での今後の対応についても十全な努力が必要だというふうに思ったことを申し上げたいと思います。  それと、私の本会議での発言に関連して、参議院で一体どういう審議が行われたか認識しているのかというお尋ねだと思いますが、衆参にそれぞれ二〇〇〇年の一月だったと思いますが、憲法調査会が設置されまして、その後五年間の調査を行った結果、議長報告をそれぞれ憲法調査会から議長提出している。衆議院の方は中山太郎会長の下で、参議院関谷会長の下でそれぞれ提出。その中でも、その五年のプロセスでいろいろと国民投票法制については参議院でも御議論があったかに伺っており、それが議長報告にも表れておって、憲法改正手続法というのは改正のために必要なものであるから、各党の賛同を得て制定すべきだというような趣旨だったと思いますが、そういう意見があったという、その審議調査過程での御発言などを拝見した覚えがございます。  その後、一昨年には海外調査関谷団長の下で、国民投票法制だと思いますが、調査をされたというふうに承知しておりますし、また、秋にはそれを踏まえていろいろとこの委員会参考人質疑とか委員間の意見交換とかされておりますし、もちろん海外調査報告もされて、それについての質疑もあったかに覚えている、ちょっと順番、順序がちょっと定かでありませんけど、そういうようなことをやっておられまして、数回にわたって委員会国民投票法制についての御議論が、あるいは参考人質疑が、海外調査に関する報告質疑があったかと承知しておるところでございます。
  8. 簗瀬進

    簗瀬進君 私が問題にしなければならないのは、やっぱり法案についての審査ということだろうと思います。  そういうふうに考えてみますと、実は今振り返ってみますと、二〇〇五年の四月二十日に参議院憲法調査会報告書をまとめました。関谷委員長の下でまとめたわけでございます。また、ところが、これ報告書をまとめた後に調査会として存続させるかどうかということで参議院では様々な議論がございまして、まあ調査会として存続はするものの一般的な調査も含めて議論を続けていこうかといったそういう体制でございまして、しかも、その二〇〇六年の五月二十日にそれぞれ与党案民主党案衆議院法案として出されました。  という形になりますと、こちらは調査会という立場、そして衆議院は、これは法案審査権を持っている特別委員会として法案を受けた形になるわけでございます。という形になりますと、調査会立場で、衆議院特別委員会議論をお始めになったことについて我々として議論をするということは、当然これは調査会として、他の院の特別委員会がやっていることを議論をするということは、これは抑制すべきであろうというふうに考えるのがこれは良識だと思うんですね。  でありますから、まあ言うならば二〇〇六年の五月、衆議院法案が、衆議院特別委員会法案が出された段階で私たちのこの審議は封印をされたわけです。この部分を私たちは非常に重要視をいたしておりまして、正にそういう意味では、法案審議としては参議院では全く白紙でゼロベースというふうな立場であるわけでございまして、その点については保岡発議者はどういうふうにお考えですか。
  9. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 私どもも、この調査会時代にも国民投票法制についてはいろいろ調査過程議論をしたり、また海外の視察なども、その点に関しても触れたケースもあったかと思います。そういうことで、特別委員会を設置した一昨年の九月からは、まあ五十時間になろうかと思いますけれども、これは国民投票法制設計ですね、制度設計に費やした時間でございまして、その間は法案という形で議論はいたしておりません。  様々な国民投票法制についての海外調査とか、あるいは与党で作成した原案とか、あるいは推進議連憲法改正推進議連で超党派で、これは民主党も加わった議連でございますが、一緒に検討した成果物とか、いろんな意見を、この法案が必要ないとする社民党、共産党の皆様も含めて、できるだけ反対の立場からの意見をたくさん聴こうと、むしろ同じ意見よりか違う意見を広く伺いながら、それに時間を掛けながら問題の本質を掘り下げていこうと。その本質をしっかりつかんだ上で、最終的に動かざる、これはと思う良き点を我々も検討した成果物として昨年の五月の二十六日に与党案提出させていただいたと。  できれば民主党と御一緒に提案したかったわけでございますが、国会議論を通じて合意形成を目指そうということに民主党の方針がそのように大きく変わったと私は思っておりますが、その点、民主党が独自に法案を出されまして、まあ法案を出してからは我々五十八時間、それは参考人質疑参考人との小委員会における意見交換委員自由討議、あるいは各党代表の修正の発言とか、いろんなことをやってまいりまして、その結果、法案として、我々としては最善のものとして、民主党との調整も一生懸命やったんでございますけれども最後はやはり丸のみでなきゃできないという、そういうことでございましたので、我々そこでやむを得ず与党法案を出しまして、参議院に御審議を願うことになった次第でございます。
  10. 簗瀬進

    簗瀬進君 今ようやく先ほどの未定稿の部分が出てまいりまして、それを読ませていただきますと、ゼロから議論を始めるのではなく、これら衆議院での審議を踏まえて、正に良識の府として足らざるところを集中的に審議されというふうに、こう書いてあるんですね。そういうふうに言われているんですよ。でありますから、ゼロから議論を始めてはいけないんだということはおっしゃっているんですよね、ここで。それから、衆議院での審議を踏まえて足らざるところを集中的にやればいいよと、こういうふうな発言なんですよ。  これは結果としては議運の御努力によって削除され、撤回をされてはいるんですけれども、その上で昨日の冒頭での陳謝のお言葉、もう一回、速記録の未定稿でございますけれども、それを見させていただきますと、参議院におきましても十分な審議を願ってのことでございましたと、十分な審議を願ってのことでございましたという、私の発言趣旨は十分な審議を願ってのことだと言いながら、発言自体は、衆議院での審議を踏まえて足らざるところを集中的にやりなさいよと、これ、全くこれ陳謝になってないんじゃないですか。どうですか。
  11. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 昨日も、委員会で本会議での発言についておわびを申し上げたところでございますが、参議院審議にとやかく我々口出すべき立場じゃないにもかかわらず、余計なことを申し上げたと、もう反省したわけでございます。  そして、一番、今御指摘になった部分、私の発言部分で気になるところは、ゼロからではなくと言い切っておるところ、これはもうやっぱり私の申し上げたことはやっぱり適切でないと思います。やっぱり、独自性をしっかり踏まえて、良識の府、理の府にふさわしい参議院の十全、立派な御審議をいただくというのが我々の期待しているところでございまして、ただ、衆議院議論を十分に踏まえてという、衆議院議論を踏まえてという箇所は、これは我々としては、できるだけ両院有無補完し合って、足らざるところ、あるいは問題のところ、間違っているところなどを修正し合う関係にありますので、そういった意味で、足らざるところについては十分むしろ議論を深めていただく必要があるというふうに思って申し上げたんで、そういった意味で、十分な審議を願ってのことだという趣旨おわびを申し上げた次第でございます。
  12. 簗瀬進

    簗瀬進君 くどくなりますからこのやり取りはまあこれぐらいにしますけれども、とにかく、ゼロベース白紙状態で我々が議論をするということについては、当然それはそのとおりであると、それを認めるということでよろしいですね。
  13. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 法案をお送りした後の審議というのは昨日が初めてで、特別委員会としても参議院は昨日が審議が初めてだと伺っておりますので、今、簗瀬委員の御指摘のとおりだと承知しております。
  14. 簗瀬進

    簗瀬進君 与党さんの方の天の声ではありませんけれども、五月三日の憲法記念日までに上げなさいよなんという声が一時大変強く出て、どうも今も何となくそういう気配もまだ漂ったり、強まったり弱まったりしているような感じがするんですけれども、私は、国民投票法案というのは、憲法記念日イベント記念品ではないと思うんですよ。  正に、国民投票法というのは憲法改正手続法を決めることであって、そういう意味では、法案の価値というようなことで言ってみますと、どの法案も非常に重要なものではありますけれども、とりわけ憲法という最高規範と一般の法律規範の言うならば中間に位置する、私はこれよく憲法に準ずる規範として準憲法規範と、こういうふうな認識を持つべきだと国民投票法については考えておりますけれども、それを何か憲法記念日までに何としても上げなさいというふうな、そういう指示がどこぞから出たり、またそれで皆さんが動かれているんではないのか等々の理解もあるんだけれども国民投票法って、本当、憲法記念日イベント記念品なんですか。どうなんですか。
  15. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 憲法記念日というのはやはり国の基本法を制定、施行された記念でございますので、本当に国民挙げてやはり国のいつも基本法重要性、大事さを認識する、そういった意味で重要な日だと思います。  ただ、それの法律の成立時期と、我々衆議院の現場はそのことにはこだわっておりませんで、いろいろ委員会の外での発言は、政治的な思惑を持っていろいろな御発言もあったようでございますが、我々としては、従前、幅広い議論国会でやると、そしてできるだけ多くの会派や皆様の御意見の下に合意をいただくということで誠心誠意やってきて、そういった努力最後まで貫いたつもりでございまして、そういうことにいささかも心に恥じるものはないと、そういうふうに思っております。
  16. 簗瀬進

    簗瀬進君 我が党の憲法調査会長枝野さんと船田先生も様々な御努力をなさったと思っておりますけれども、我が党の憲法調査会長枝野さんは、安倍さんの、総理の心ない一言によって本当に憲法改正についての真摯な議論が全く損なわれてしまうということで大変怒っておられますけれども船田先生はどうなんですか。
  17. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今御指摘のような安倍総理の、多分年頭所感等の御発言だと思います。この点につきましては衆議院段階でもいろいろ議論があったんでございますが、私どもは、やはりこの憲法特別委員会におきまして真摯な議論を積み重ねながら、できるだけ表の舞台で合意を求めて議論を積み重ねてきたつもりでございます。  そういう中にあって、やはり政治流れといいましょうか、特に総理の御発言というものも確かに一つ政治流れをつくっているというふうに思っておりますが、そういう中で総理としてあるいは政治家としての見識を述べられた、こういう点におきましては、私どもはそれは多としなければいけないと思っておりますが、同時に、この委員会での議論あるいはその結論の時期ということについては、やはりこれは本来、我々また理事会等々で決めていく問題であると、こう考えておりまして、環境をつくっていただくと、こういう点では大変有り難い御発言でありましたけれども、しかしながら、全体の状況がやや動かされてしまったという点につきましては少し残念というのか、もう少し温かく、少し遠いところから見守っていただきたかったなというのが正直の気持ちであります。
  18. 簗瀬進

    簗瀬進君 同じように、与党とはいえども、やっぱり与党自民党公明党ですから、与党で三分の二、与党で三分の二と皆さんおっしゃるけれども自民党公明党さんはまだ一体化しているわけではございませんので、自民党だけでは三分の二ではないということはしっかりと認識をしておいた方がいいんじゃないのかなと。  公明党もこの問題について独自のお考えをお持ちかもしれませんので、特に憲法記念日の五月三日までにスケジュールを合わせたようにしてこの国民投票法案を作るべきだと、正にそのスケジュールを決めてしまうということは、参議院での議論の幅や深みというようなものをもうある意味で限定してしまうことになるわけですよ。これ、おかしいと思うんですね。どうですか、公明党さんとして。
  19. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 簗瀬委員にお答えします。  安倍総理が一連の発言をされるその都度、私ども代表太田昭宏が抗議をいたしております。そういう発言をされるべきではないということをいろんな形で発言をいたしておりまして、そのことがすべてを物語っている、そんなふうに思います。私どもは、この憲法改正のための手続としての国民投票法案について、可及的速やかにこれがそろえられるべきであると思っておりますが、それを今年の五月三日ということに限定するようなことを思っているわけでは毛頭ございません。  ただ、まあ余計なことかもしれませんが、いろんな議論が、先ほど簗瀬議員からありましたように水面下で、枝野民主党憲法調査会長、そして船田理事との間でなされている。そういうその議論流れを踏まえた格好で、枝野会長衆議院憲法調査会の場で、でき得べくんばということだったろうと思うんですが、五月三日にもし実現できればいいなというふうな意味合いの発言をされた。それは、そういうものを、発言を可能にするような自公民の議論水面下流れがそれなりにできていたからだろうなと、そんなふうに思っておりますが、全体的には、先ほど申し上げましたように、総理発言というのは少しわきまえておられない、そんなふうに思う次第でございます。
  20. 簗瀬進

    簗瀬進君 それともう一つ気になるのは、これは本会議質問でも申し上げさせていただきましたけれども、我が国の憲法というのは、三権分立という、司法と立法と行政のこの三つが分かれておるわけですよ。正にそういうことで、すぐれて国権最高機関である国会の意思が明瞭に出た方がいい。それが正に国民主権であり、その主権者から選ばれた国会国権最高機関であると。  こういう流れの中で、この憲法改正手続を定める国民投票法は、すぐれて議員立法であるべきである。院の独自性をしっかりと踏まえて議員立法であるべきだ。これは単なる政治的な思惑議員立法になっているんじゃないんです。やはり議員立法であるべきだからというところ議員立法になっているんですよ。  だから、安倍さんが国会議員になる前に、例えば美しい国の中でどんなことを言いとか、また、この国民投票法についても一議員として議論をするのは、それは結構です。しかし、総理大臣になった以上は、正にこの三権分立であって、安倍さんは内閣というそこの最高責任者なんだということをしっかりと踏まえて、国会独自性自主性というようなものを最大限尊重をするという態度が必要じゃないですか。  これが正に、船田さんの発言だと有り難い発言とも思いましたというふうにおっしゃられたけれども、これは有り難い発言じゃなくて迷惑な発言ですよ。また、してはならない発言ですよ。それを総理大臣になっても憶面もなく言い続けるというのは、これは正に総理御自身が憲法違反改正論議をなさっているということなんじゃないですか。どうですか、保岡さん。
  21. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 簗瀬議員御承知のとおり、まあ安倍総理としては、この時代的な背景を考えたら、新しい日本のあるべき姿を示そうと、こういう見識を持っておられると思います。  これはお互い共有していることだと思いますが、明治以来、西洋に追い付き追い越せという目標を達成した今、国民全体が、私たち政治家が、特にリーダーはどういうところを目指すのかという国のグランドデザインをできるだけ描いて国民議論を巻き起こし、また、国会でもそれを踏まえた議論をしっかりしていくという国民と一体となった国会の姿がなければならない。そういった意味で、リーダーとして国のあるべき姿を示す中で、その最も根幹に属する憲法改正という基本法について、これはお触れになるのは私は政治家一つ見識、姿勢だとは思います。  しかし、問題は、我々がそれに影響されて、公正中立であって、正に簗瀬議員が言われるように、国会議員立法で最大の負託を受けた課題としてこれに取り組むということに、それが影響されて、何か特定の内閣のために手続法ができたり、あるいは憲法改正がなされたりするのではなく、国家国民立場に立った、特に主権者である国民から選任された、選挙された議会である、この我々の議員立法というものは、主体性を持ってきちっと、そういうものに影響されないしっかりした議論が必要だと思っておりますし、そして成立を目指すものだと思っております。
  22. 簗瀬進

    簗瀬進君 しつこいようですけれども、御発言なさった船田さんにも。やはり有り難い発言ですか。
  23. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  先ほどの私の答弁の中で有り難いという言葉を使いました。これは主観的な受け止め方でありますが、客観的に申し上げますと、今、簗瀬議員指摘のように、やはり近代立憲主義というのは権力から国民の権利を守ると、これが最大の目的であり、憲法の要諦とすべきところであると。その権力の第一の保持者である総理大臣が御発言するということは、私はやはり極めて慎重であるべきであると、こう考えております。したがって、温かく遠くから見守っていただきたいという言葉を付け加えましたので、そのような気持ちでおりますことを改めて申し上げたいと思います。
  24. 簗瀬進

    簗瀬進君 そして、もう一つ、その国民投票法案の基本的な性格の質問を続けているわけでございますけれども、気になるのは、意外に与党議員のお言葉の中から憲法五十九条二項の話が出てまいります。これもやっぱり衆参の関係に連なる話でございまして、参議院は、衆議院から送られた法案を六十日以内に可決されない場合は、衆議院の方で、否決したものとみなして衆議院の方にまた戻して三分の二で可決すりゃそれでいいよというのが五十九条の二。これ、この規定はこの国民投票法案の中にはもう当然準用されるんですか、適用されるんですか。
  25. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 形式的、法的には、この法案一つ法律でございますので、この条項の対象になると思料いたします。
  26. 簗瀬進

    簗瀬進君 今、保岡発議者、形式的にというふうなことを申されたわけでございますけれども、正にそれが、形式的にはという形容詞を付け加えた真意はほかにあるだろうと思うんですね。  そういうことで、かぶせるように質問をさせていただきたいと思うんだけれども、やっぱり先ほども申し上げたように、憲法という最高規範と通常の法律規範の仲立ちをするのが私は国民投票法案であって、普通の法律案よりも一格上と言ったらちょっと語弊があるかもしれませんけれども憲法法律のちょうど中間に位置するようなそういう法案だと思うんです。でありますから、その三分の二の再議決などということを通常の法律案と同じように適用していいという政治判断は、これは絶対に許されないと思う。私はそういう見解を持っておりますけれども保岡先生はどうですか。
  27. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 簗瀬議員が御指摘のように、やはりこの委員会にかかっております法案は他の法律に比べれば重要度が高いのではないだろうか、政治的に重いのではないかと。これは私も、憲法の附属的な法律であるし、しかも最も根幹を成す法律であるという点で政治的には重いものがあると思います。  したがって、私としては、衆参力を合わせて、そして有無相通じ合って問題をしっかり、参議院の本来の良識の府の機能を果たしていただいて、お役割を果たしていただいて、両院でしっかり議決して成立することを強く期待したいと思います。
  28. 簗瀬進

    簗瀬進君 昨日の与党質問の中でも大変いろいろないい論点が出ておったと思います。私も大変勉強になりました。  そういう中でなるほどなと思ったのは、合同審査会をどういうふうに位置付けるのかということ。これは、参議院としても、今後の具体的な憲法改正原案の審議参議院としてはどういうふうな位置付けで臨めるのかなということにつながる非常に重要な議論だと思います。まだ実は民主党の中でも確たる固めた議論というところまで、固めた方向性というところまでは行けていないように私は思っております。ただ、やはり様々な考慮があるなということで、両院の憲法審査会の合同審査会を設置することができるとし、また、それから昨日も議論ありましたけれども、合同審査会から各院の憲法審査会に勧告をすることができるという形になっております。  若干、今後の議論の参考になるために、勧告されるべき内容というようなものはどの程度の熟度のものを考えていらっしゃるのかなというところ発議者の方に聞かせていただければなと。  例えば、合同審査会が開かれます。例えば、今回の議論でも中間報告が出るまでに五年ぐらい掛かっているわけです、中間報告というか報告が出るまでに。でありますから、様々なレベル議論が集約をされていくためには時間が掛かりますね。最初は星雲状態だったものがだんだんだんだんコアが出てきてという、そんなふうな感じのイメージでとらえたときに、勧告って、全部まとまってから勧告されるんですか、あるいは中間報告的な段階で勧告されるんですか、あるいは中間報告に至る前の論点整理ぐらいの段階で勧告というようなことがされるんですか。法案にはもちろんそれは書いておりませんけれども、イメージとして発議者としてはどんな形を想定なさっているのかなと、質問させていただければと思います。
  29. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 合同審査会のお尋ねの運営というか審議のやり方というか、その点についてのイメージでございますけれども、これは、簗瀬議員もいろいろ御発言されているところを伺いますと、やはり非常に重要な意味を持っているんじゃないかという御認識と承知しております。  これは、やはり両院がそれぞれ独自性を持って、そして独自に権限をそれぞれ持っているんでございます。憲法改正については平等、同等の立場でございます。しかし、やはり同じ発議案を両院で総議員の三分の二で可決するということはなかなかのことでございまして、一党でできる代物でもない、多くの党の賛同が必要であるというようなこともありまして、私は恐らく、憲法審査会が設置された後できるだけ早い機会に合同審査会というものは設けられるように配慮されて、そこでまずこの合同審査会がどういう機能を果たすべきかという議論からきちっと始めていただく、そのことができるような状況に各院の審査会で基礎的な議論を積み上げておくと。  そういうようなことで、スタートから中間あるいは最終的な憲法改正原案の骨子、要綱、そういったものを調えるという両院の本当に足並みが乱れないようによく、独自性も持ちながらも、議論を尽くした成果物というものを、この合同審査会で憲法改正の様々なプロセスで、このプロセスの中でいろんな結論をあるいは答えを出しながら、それを勧告という形を取るかどうかということも、またその合同審査会の御意見、お考えに、運用の権限に属することだと思いますが、そういう両方の懸け橋というか足並みをそろえていく、勧告というのはそういう重要な機能があると思っております。
  30. 簗瀬進

    簗瀬進君 御議論を聞いておりますと、やっぱり勧告というそういう文言から出てこられるんでしょうかね。やっぱり勧告という言葉を決めてしまった、だからある程度成案化したものを両院に下ろしていくと。という形になりますと、正にそこが恐らく公明党さんの心配しておりました、それだと全く合同審査会がすべてになりまして、例えば参議院憲法審査会のやることが全くなくなってしまう、もう衆議院憲法審査会も全くやることはなくなってしまうと。後は、勧告で下ろされてきた、九〇%ぐらいの成案のこともあるかもしれませんけれども、ほぼ成案に近いものをそれぞれ三分の二、三分の二で議決をするという、そういう手続になっていくのかなという感じはいたしますけれども。  私は、勧告という言葉が、例えば助言とか論点整理の段階で合同審査会からそれぞれの審査会に下ろしていって、そして後はそれぞれの審査会で、例えば五〇%の議論までやって、あとの五〇%はそれぞれの院に残す等のやり方もあるんではないのかなと。そういうふうな形で考えてみると、勧告というふうにしてしまうと、全部できちゃわないと下ろせないよというふうなそういう考え方に同時にやっぱり縛られていくんで、妙味のある合同審査会というようなものができなくなる可能性もあるんではないのかなと、こういうふうに思います。  だから、もうちょっと勧告だけではなくて様々な対応、例えば、この案件の場合は論点整理をしてそれをやってもらいましょうということもあれば、あるいはかなりもう成案になるまで詰めるということもあれば、あるいはもう半分ぐらいのところで、中間報告的なところで各院の憲法審査会に下ろすというふうなことだってあってもいいんではないのかなと。様々な意味での協調、共同関係が衆と参であり得るだろうと。それを勧告ということで一つくくってしまいますと合同審査会としての妙味というふうなものが何となく発揮されないような感じがするんですが、船田発議者はどうお考えになっていますか。
  31. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  合同審査会から各院の憲法審査会に対する勧告というものでありますが、今の簗瀬委員指摘のように、いろんな熟度のところで勧告というのか合同審査会を開いて、そしてその都度その都度両院に対して助言も含めて勧告をするということはあり得ることだと思います。もう本当に合同審査会で八割方、九割方、大綱というか骨子みたいなものを決めてしまってそれを勧告するという、そういうイメージですと、なかなか、じゃそれぞれの院の憲法審査会何をやったらいいのかという、そういうことにもなりかねませんので、例えば、論点整理の段階に勧告というか助言をすることもあるし、あるいは中間報告のときに助言、勧告をすることもあるし、また、今申し上げたようなもうかなり固まったところで勧告をするという場合も、いろんなケースがあると思います。  そのやり方については、正に合同審査会が最初にできるようなときにやはりきちんとその審査会の中で議論をしていただき、どういうときにどういう内容でその勧告をするか、あるいはどういう議論を行うかということは正にそこで決めていただく、こういう問題だろうと思います。  勧告という言葉代表してしまいましたけれども、それは一番ある意味で権限として強いときの勧告でありまして、それの手前のより緩やかな助言程度の話のときにもこれは少し柔軟に勧告という言葉を解釈をして対応していただければ、これは立法者としてはそれにこしたことはないだろうというふうに思っております。
  32. 簗瀬進

    簗瀬進君 この問題の最後質問といたしまして、代表して保岡発議者に答えていただきたいのは、イメージとしては、法律案型を前提に議論考えていくのか、すなわち先議、後議の関係がありまして、送付の関係、回付の関係が出てくるという、いわゆる今の国会法を前提にした、それを原則的に考えていくのか、今議論があった合同審査会をむしろ原則的に活用していく方向に考えるのか、その辺についての議論が固まったものがあればお示しいただければと思います。
  33. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先ほどもお答えしましたように、憲法改正については両院は平等であります。したがって、どちらが先議、後議ということではなくて、やはりそれぞれの院の独自性において議論を基礎的にはきちっとするという前提でありますが、今御議論のあった合同審査会等をうまく運用して、両院で一致したきちっとした発議がそれぞれの総議員の三分の二でできるように、我々衆参協力して努力していくべきものだと思います。
  34. 簗瀬進

    簗瀬進君 本日は用意した八つの論点のうち一番目だけで終わりそうな感じでございまして、二番目以降はまた次の機会にと考えておりますが、時間ももう残されたところあとわずかとなってまいりましたので、議会制民主主義は万能かと、こういう議論をちょっとさせていただければと思っております。  御案内のとおり、我が党の投票法案、これはいわゆる重要な国政問題についての国民投票、もちろん国会の決議を縛るものではなくて、諮問的なそういう国民投票を入れますと。ただ、与党さんの方は最後までそこはのんでいただけませんで、その部分は結局、事実上国会を縛ることになるからと、こういう理由で、あるいは間接民主主義を原則にする我が国の憲法からいってみて、むしろ民主党案憲法違反のおそれがある等の学者の批判もあります。それは私ども十分承知はいたしておりますけれども。  一方で、議会は万能なのかと、今まですべての案件について解決できてこれたのかということを一回やっぱりここでしっかりと反省をして考えた方がいいんではないのかな。我々ももう既に、脳死の問題では各党議論が詰められないで、党議拘束を外そうというふうな、そういう話になりました。例えば、国旗・国歌法案についてもそういうことがございました。正にそういう意味では政党のくくりの中で議会の手続が進められなくなるという、ある意味で議会の限界というようなものを知っている、自ら知ってしまったから党議拘束を外すという、そういうある意味で議会として自らの限界を示すような結果になったんではないのかなと、私はこのように認識をいたしておりまして、正に党議拘束が掛けられない案件が増えていると。ということは、議会を中心にした、議会で問題解決をすべてしていくということが限りなく、限りなくと言ったら恐縮ですね、ある特定の分野ではもう限界を示している。  正にこれからのことを考えてみたときに、EU型のお話を本会議質問でさせていただきましたけれども、あれはEUは国境を越えていって新しい国家のグループをつくろうというすごい、大変な挑戦をやっているわけです。それをするときには、国土をどういうふうに考えたらいいのか、それから今までの通貨というようなもの、ポンドとかドルとかというようなものを、マルクとかフランとか、ドルはアメリカですから、そういうようなものをどういうふうに統合していくのか、調整をしていくのかという通貨主権の問題とか、そういう問題にぶつかるわけですよ。  そうしたときに、恐らく我が国の、例えば自民党さんの中でもいろんな考えが出てしまい、また我が民主党の中でもいろんな考えが出てしまって、もう議会がまとめられませんと。だけれども、まとめられないから、じゃ結論がどんどんどんどん先送りでいいのか、そういう場合が絶対出てくるじゃないですか。  そうしたときに、我々は、正に自ら議会としての良心とある意味での謙虚さ、主権者に対する謙虚さというようなものを発揮する意味で、正にみんな、国会が議決をしたらこの案件については国民投票に諮問的にかけて、むしろ国民のそういう意思にゆだねてみようと、こういうふうに考える、そしてその制度を今から準備をしておく、そういうことは私は必要なんではないのかな。それが、予備的国民投票あるいは予備的憲法改正議論とかというふうな、そういう趣旨ではなくて、正に議会の限界というようなものを我々が認識をした上で、それについて今から対策をしておくと、こういうふうな観点がもう正に望まれるんではないのかなと、こういうふうに思って、民主党の一番のこだわりはそこに置かせていただいたわけです。  確かに、その九十六条は憲法の中で、そのほか、ほかにも住民投票とか、憲法が認める直接民主主義的な規定というのは九十六条だけだったと思いますけれども、ほかにもありましたっけか、(発言する者あり)ああ、最高裁、国民審査ね、教えていただきましてありがとうございます。幾つかそういうようなものがありますが、それはどうぞ答弁の中で触れていただければと思うんですけれども。  正にそういう意味で、憲法自体も、もう間接民主主義で全部行けと、直接民主主義はやっちゃ駄目だと言ってないわけですよ。正に憲法自身も、自らが新しい時代に脱皮するためには、やはりそれは議会でできないから国民に任せようというのが、これは正に憲法改正であり、国民投票ですから。でありますから、我々が念頭に置いたのは、そのような議会の限界というようなものもしっかりと認めて将来に対処するというある意味での準備、あるいは国会としての謙虚さ、これを持った上で、直接民主制的な一般的な法律というものを今の段階で作っておいた方がいいんではないのかなと。  正にそういう意味では、法律効果が、一方は九十六条であり、一方は諮問的だから、それを一緒に入れちゃうのは駄目というふうな考え方は、それは与党はそう取られるかもしれないけれども、私たち民主党はそうではなくて、正に直接民主主義的な、国民主権者の意思が直接出る手続法を原則的に作ろうじゃないかと。そういうふうに考えると、一つは効果が出る憲法改正であり、もう一つは、効果が出ないけれども国会の足らざる部分を補ってくれる、そういう趣旨での重要な国政問題についての国民投票であるべきだと。そういう各論の一と二というふうな形で整理をするというのが一番これは新しい時代を考える上においてふさわしいんではないのかなというのが、実は我が党の考え方のスタートの部分なんですよ。  正にそういうふうな考え方で議論を私は今まで組み立ててきたつもりなんですが、お考えについて、ちょっと御見解聞かせていただければ、どうぞ、じゃそれぞれ聞かせていただけますか、どうぞ。
  35. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 後で保岡筆頭提案者からお答えいただくとしまして、私の方から。  今も簗瀬議員からのお話あったこととかなりダブるわけですけれども、当初、当初といいますか冒頭でおっしゃった党議拘束が掛けられない案件といいますか、党束を掛けられないで自由に発想していきたいという物の考え方を国会議員が持つという傾向はかなり強いと思います。私も国会議員になったばかりのときに、脳死を人の死と考えるかどうかという、党議拘束が掛けられない場面があって非常に何というか興奮をしたというか、非常に喜んでその採決に応じたという側面がございます。  今、簗瀬議員が非常に丁寧に民主党考え方をきちっとおっしゃっていただいたと。私どもも、その様々な憲法改正に絡むような一般的なテーマについての国民投票をしっかり制度を設計するということについて非常に関心も強く持っておりますし、そうあるべきだと思っておりますが、今おっしゃったように、この今回の法案の中に制度設計を盛り込むというのはやはり無理があるかなと。ですから、急ぎ、別途そういう今おっしゃったようなテーマについてもどう取り扱っていくのか、この間接制民主主義の中で直接民主主義的な部分をどういう角度で取り入れるのかということについては別途しっかりと議論をした方がいいと、こんなふうに思っているところでございます。  あとは保岡議員
  36. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 赤松提案者から御説明したとおりでございます。  我々与党立場からすると、やっぱり議会制民主主義、間接民主主義は憲法の基本的な、根幹的な理念だというふうに、前文の書き方からいってもやはりそう認識をせざるを得ないと。したがって、諮問的な国民投票であるということで法的効果はないんだよと、先ほど来、簗瀬議員がおっしゃいましたけれども、しかし、これは我々ついこの間の解散・総選挙、郵政民営化法案、賛成か否かと小泉さんが問うたあの解散ですね、あの後の審議状況などを見ると、やはりこれは直接民主制のすさまじさというものを私は痛感しました。  これは、ヨーロッパのEU憲法の批准というのか、国別の承認というのか、これについてのフランス、オランダの国民投票を見てみましても、特にオランダは諮問的になっておりますが、これがいったん国民の反対という結果が出ると、国家、議会はこれに完全に拘束されるというような状況を目の当たりにいたしました。議会が多数で、政府も賛成していたにもかかわらず、国民が否定する、そのすさまじさというものを感じたわけでございます。  直接民主制というのは、やはりいったんおりから出すと猛獣のように暴れ回るから、よく慎重に議論すべしだというのが、私たち海外調査で得てきた教訓の一つでございます。そういった意味で、確かに私は簗瀬議員がおっしゃるように、生命倫理に関するような、もうこれは一人一人の価値観に懸かっているというようなものは、何か議会で選出した議員の数で決めるというようなことよりも、国民全体の価値観の総意を問うた方が適切ではないかと思えるものがないわけではないと思います。  それから、民主党から上がっておりました統治機構に関する問題、案件ですね、これなども例示されておりましたけれども、そういったことも、確かに憲法の周辺のこととしてこれはかなり重なる部分が出てくるんじゃないかなと思ったりしました。しかし、冒頭にお話ししたように、与党の間接民主主義は、これは憲法の基本、根幹理念ということからすると、やはりそういった検討は憲法改正論議の中で議論をしながら、合憲の範囲内でどこまでできるかの慎重な議論が必要だと考えているところでございます。
  37. 簗瀬進

    簗瀬進君 私の持ち時間、残り三分というようなことでございますんで、最後質問ということでさせていただきたいと思うんですけれども、今の保岡発議者の御意見も分からないではないんですが、ただ、若干違和感を覚えたのは、主権者国民の権利の発動を猛獣と例えた点は、私はちょっと承服しかねますね。正にそういう主権者国民を猛獣としてとらえていると、だからやっぱり間接民主主義でガードしとかなきゃならないんだと、それが与党さんのお考えの基本なのかなというふうな誤解を持ってしまいます。  その上で最後質問とさせていただきたいんだけれども、今御示唆があったように、この附則十二条の憲法改正の対象となり得る問題、その中には、今御指摘があったように、実は我が党の提案の中で、統治機構に関する議論とか、生命倫理に関する議論と、こういうことについての国民投票ということで、一般的な国民投票を絞る例示の二つ、もう今御答弁の中に答えていただいた。ということは、附則十二条のこの改正の対象となり得る問題の中には生命倫理やあるいは統治機構に関する問題は含まれていると解釈をしてよろしいのでしょうか。  これで私の質問は終わりにさせていただきます。
  38. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 我々がこの法で予定した検討対象については後ほどまた他の提案者からお答えしますが、先ほどの猛獣発言でありますけれども、これはデンマークのマスコミの編集長が非常に思いを込めて語られたので、非常に強く印象に残っていたのでそれを引用しただけで、我々与党国民を猛獣と考えているような、そんなことは全くありませんので、それは御理解を賜りたいと思います。
  39. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 先ほど簗瀬委員おっしゃった民主党提案の二つのテーマにつきましては、もちろんその対象に含まれるということでございます。
  40. 簗瀬進

    簗瀬進君 終わります。どうもありがとうございました。
  41. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  42. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) ただいまから日本国憲法に関する調査特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本国憲法改正手続に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  43. 前川清成

    ○前川清成君 二〇〇四年七月に奈良県選挙区から国会に送っていただきました前川清成でございます。  私も、まず冒頭、伊藤一長長崎市長の御逝去に衷心より哀悼の誠をささげたいと思います。選挙期間中の候補者に対する襲撃であって、正に民主主義そのものに対する挑戦ではないか、そう思っています。この国の民主主義を守る決意を新たにし、そして民主主義を大きく育てていくためにも、価値中立的な国民の意思を忠実に反映する国民投票法の制定に向けて努力してまいりたいと、このように考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、私たち参議院審議で何をすべきかということについて保岡議員にお尋ねしたいと思います。  保岡議員がお出しになりました併合修正案に対する趣旨説明によりますと、私たち先輩でもあります中野寛成元副議長衆議院の大阪での地方公聴会において、与党は度量を、野党は良識を示すべきである、こういうふうな意見をお述べになって、保岡議員もそれについて共感を覚えた、こういうふうにお書きになっておられます。その共感を覚えたという趣旨をお尋ねいたしたいと思います。
  44. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 私は都合でその大阪の公聴会に行けなくて非常に残念だったんですが、憲法調査会時代の民主党調査会長も務められて、理事として御活躍された中野寛成先生のお話を伺いまして、私も非常に、民主党という野党ではありますけれども憲法改正見識を持って、一つ見識を持ってその手続に熱心に取り組んでいただいている姿勢を強く感じまして、我々そういう趣旨にのっとってというか、そういう趣旨を従前から中山太郎委員長とともに共有し、現場における理事間では信頼関係を持って、制度設計段階から、そして制度設計を経て、事情あって、残念なことでしたけれども与党案民主党案、二つが国会提出されまして、それぞれ審議をしながらいろいろな意見交換の中から歩み寄る点を見いだしまして、そして最終的には一つだけ、直接民主制、間接民主制の憲法の基本的な認識の違いだとは思いますけれども、一般的な国民投票制度を我々はのめるかのめないかというようなぎりぎりのところ議論させていただいて、最終的には民主党の丸のみでなければ合意はできないという方針が示されましたので、我々も極めて残念でしたけれども与党だけで法案衆議院で成立をすることになった次第でございます。  我々、中野寛成先生言葉は非常に重いものと思っておりまして、本当に十二分な審議とそして円滑な審議、そういうものを経て、この法案が成立することを強く望んでおる次第でございます。
  45. 前川清成

    ○前川清成君 衆議院では、今お述べになったように、委員会審議を通じて与野党間で協議をなさい、あるいは知恵を絞ってより良い法案を目指してこられました。私たち参議院議員も、今このときに国会に身を置く者の責任としてより良い法案を目指していかなければならない、こんなふうに思っています。  今、その中野元副議長言葉に共感を覚えたという一節の中で、衆議院では現場の理事間で歩み寄りや意見交換をしてきたと、こういうふうにおっしゃいました。これから参議院議論が深まるにつれ、もしも、更により良い国民投票法案、修正すべき点などが出てきた場合、これもやっぱり私たち野党は良識を、そして与党は度量をというようなスタンスで発議者はお考えなのでしょうか。
  46. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 中野寛成先生が言われた与党は度量、野党は良識をという趣旨は、これは何も衆議院に限らず参議院においても同じことをおっしゃっておられると、そう理解しております。参議院でどういう審議をされてどういう議決をされるかは、これは参議院自身の審議の問題でございますので、私から何か言及するということは控えさせていただきたいと思います。
  47. 前川清成

    ○前川清成君 私は、この法案参議院における審議に当たっては、実は二つの目的があると思っています。一つは、真摯な議論を通じてより良い法案を作り出すということであります。  もう一つは、これからそのことを議論したいと思うんですが、その前提として、少なくない人たちが、今与党が強行採決までして国民投票法案を通そうとしていることは、例えば憲法九条を改正して海外で戦争を起こすのではないかというような心配をしておられます。この点について、発議者らは当然そのようにお考えになっていないとは思うんですが、簡単に一言お述べいただけますでしょうか。
  48. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先ほども申し上げましたが、衆議院段階で幅広い意見を基に、幅広いこれまた考え方を基礎に合意形成を図るということは、本当にこういった憲法の附属、基本法については大事なことだと心得て最後まで努力しましたが、先ほど申し上げたように、残念ながらいろいろな政治状況の中で与党法案を混乱の中で成立させてしまったことは非常に遺憾なことだと思っております。  ただ、別にこの改正手続は改憲のためというものではなくて、これは護憲のためのものでもないと、国民が正しく憲法改正について判断ができる、発議に対して正しい国民の御判断がいただける、そのための公正中立な客観的なルールでございますので、先ほど先生が御指摘されたような九条を変えて戦争のできる国にするなどということは全く考えていないばかりか、私たちは、憲法というものは、現憲法というものは平和主義を非常に強く意識した憲法で、そのことは戦後六十年の歩みを見ても、平和愛好国として日本の歩みというのは高く国際的にも評価されておりますし、そういった過去六十年積み上げた日本の実績なども踏まえて、改正するにしても平和愛好国の日本の国是を確立する、そういうつもりで改憲に当たっていく必要があると、そう非常に深く考えておる次第でございます。
  49. 前川清成

    ○前川清成君 私も、そのいわゆる改憲、いわゆる護憲という立場を超えて公正で中立的なルールを確立していかなければならない、そう考えています。  しかしながら、そうであるならば、どうして憲法改正がこの夏の参議院選挙の争点になるんでしょうか。
  50. 船田元

    衆議院議員船田元君) 前川委員にお答えいたします。  参議院選挙、この夏に行われます。半数改選ということでございますけれども、国政選挙としてまた重要な一つであると認識をしております。  国政選挙におきましては、国民代表を選ぶという役割がございますと同時に、やはり各政党がそれぞれの政見あるいは候補者自身の政見を述べながら、それを国民に問い掛け、審判をいただくと、こういうことだと思います。  今お話のあった、憲法改正参議院の争点かという話でございますが、私は、確かに争点だろうと思います。しかし、それは争点の一つでありまして、ほかにやはり格差の是正の問題あるいは教育の問題、各種ございますけれども、それぞれの政党がその政党の政見の中に、憲法改正についてすべきである、すべきでない、あるいはするとしたらどこをどうすべきかということを問い掛けるということは、私は自然の民主主義の中での選挙のパターンであろうというふうに思っております。  ですから、参議院選の争点が憲法改正だけというのであればそれは違うと思いますが、争点の一つとして冷静にしかも真剣に議論され合う、議論し合うということはあってしかるべきと思っております。
  51. 前川清成

    ○前川清成君 時期のことを考えておっしゃっていただくと、今の船田議員議論は当てはまらないのではないかと思っています。正に与野党で公正で中立なルールを作ろうと努力している真っ最中、安倍総理御自らが夏の参議院選挙で争点は憲法改正に据えると、こうおっしゃった、これは正に与野党間の努力、九仞の功を一簣に欠く、そういう行為ではなかったか、私はそう思っています。  ですから、今日午前中に船田議員が温かく遠くから見守ってほしいと、こうおっしゃったのは、私と同じ思いでおっしゃっていただいているのかなと考えたのですが、違うんですね。
  52. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  いろいろな時期、タイミングの問題はあるかと思います。私どもこれまで、この憲法改正国民投票法あるいは法制、これを議論するときには、やはりどう憲法を変えるか、あるいは変えないか、そういう議論ではなくて、すべての人々に、国民にとってもまた政党にとっても平等になるように公平公正なルールを作ろうというときには、やっぱりそういう議論は余り同じ場所ではやるべきではないということは従来から考えておりました。  しかし、この国会において一定の結論を出していただくということがいずれあるのかと思います、もちろん十分な審議が必要だと思いますが。その後において、また憲法改正についての各党議論を行うということは、決して私は矛盾するべきでもないし、一定の私は節度を持ってやれば大きな問題は起こらないと考えております。
  53. 前川清成

    ○前川清成君 私も、憲法をどこをどう考えるべきかというのは正に国政の最重要課題でありますから、自民、民主両党が真っ正面から議論すべきだと思います。  ただ、私が指摘したかったのは、今正に成立しようとしている国民投票法船田議員もおっしゃっていたように、与党にとっても野党にとっても、反対する方にも賛成する方にとっても平等な、価値中立的なルールを作ろうとしている最中に、最中にですよ、公正や中立や幅広い合意とは相入れない参議院選挙の争点というような発言自体は、私はこの国のトップリーダーとしてやはり憲法という根本規範に対する理解が欠いているのではないかな、そんなふうに思っています。  その点で、安倍総理というのはどのような憲法に対する認識を持っておられるのか、船田議員、お答えいただけますか。
  54. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えしにくい問題でございまして、安倍総理の御自身のお考えというのは私もすべてつまびらかにしているわけではございません。  ただ、やはり戦後レジームからの脱却という言葉をお話しになったと思いますけれども、やはり戦後のいわゆる経済至上主義、あるいは経済成長至上主義というんでしょうか、あるいは冷戦構造の下での対応、安全保障上の対応、そういったものが非常に環境が変化してきている。したがって、現行憲法の中でそぐわない、合わない部分というのが何か所か出てきたのではないか。そういうものに対して、やはり国民議論を十分にし、各政党間の議論を十分に行った上で、三分の二の賛成を両院において得られるのであれば、これは憶せず、また遅れずに発議をし、そして国民の審判を仰ぐべきではないか。そのような、基本的でございますけれども、戦後の初めての総理大臣としては特にそのことを意識されて御発言になっていると思います。
  55. 前川清成

    ○前川清成君 与党の皆さん方から今御指摘をいただきましたとおり、船田先生のお人柄の良さに乗じて御無理な質問をしました。しかし、こういう大切な問題ですから、私は、これはまた舛添理事にも御尽力いただいて、いつの段階にか安倍総理の御所見を伺う機会があってもいいのかなと、私はそう思っています。  さて、この法案が成立しますと、私たちのこの国で初めての国民投票が、それは五年後になるのか、十年後になるのか、あるいは五十年後なのか、百年後なのか、いつか実施されることになります。明治二十二年に制定された明治憲法あるいは昭和二十一年の現行憲法、いずれも国民は関与していません。根本規範、最高法規の制定に国民がかかわるということ自体は私は画期的だと、そう思っています。  ただし、ここから先なんですけれども、今価値中立的であるべき手続法でさえ、これだけの激しい議論が行われています。今、議員会館の周りも大勢の方々がお集まりになっています。言うまでもありませんが、国民投票は憲法改正するときに行われます。どこかをどのように変えるかというような議論が沸き起こりましたならば、今よりももっともっと激しい議論が行われるのではないかと思っています。そのときに価値中立的であるべき手続法の解釈が一義的に決まらずに、それぞれが我田引水して自分の都合のよい解釈を導くようでは決してあってはならないと。ですから、私は、この参議院議論を通じて、やはり国民投票法の内容を、解釈を確定しておく、そういう必要があるのではないか、そんなふうに思っています。衆議院でもその点を踏まえて御議論いただいたのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  56. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 逐条、全条について一字一句解釈の論議を積み上げたということはありませんが、制度設計の間、理事懇談会などで論点を整理するプロセスで、この国民投票法制に盛るべき法案として出すときの条項についても念頭に整理をしたつもりでございまして、同時に、提案した後もそれぞれの委員見識に応じて必要な箇所の解釈の明確化には努力を尽くしたと、そう承知しております。
  57. 前川清成

    ○前川清成君 私が今申し上げたかったのはこの二点、すなわちより良い法案を目指すということと、解釈を確定する必要がある、一義的に意味を確定していくと、この二つの視点で私たち参議院議論をしてまいりたいと、こう思っています。  それで、前者のより良い法案を目指すという点でまず検討すべきこととして、私は、衆議院民主党提出した案には盛り込まれていないのですけれども、最低投票率の問題があろうかと思っています。  昨日の朝日新聞の朝刊ですが、朝日新聞が十四、十五両日に実施した世論調査によりますと、国民の七九%の方々が投票率が一定の水準を上回る必要があると、こんなふうにお答えになったそうです。これは何も民主党の支持者だけではなくて、自民党支持者の方でも八〇%、公明党支持者の方でも七九%の方々が同様にお考えになっています。  そこで、まず、この圧倒的と言うべき国民の声に耳を傾ける必要があるのではないかという点をお尋ねいたしたいと思います。
  58. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 前川委員がおっしゃった最低投票率を設けるべきということについて、国民の、昨日の朝日新聞等にそういう結果が出ているじゃないか、そういう声を聴くべきではないかという御質問でございました。  昨日も、設けていない理由について二つ申し上げました。これは民主党衆議院の皆さんと共通の意見であるわけですが、一つはボイコット運動を避けるべきである。もう一つは、憲法第九十六条の規定そのものに新たな加重の要件を付け加えるべきではないという、こういう二つを申し上げたわけですが。  更にもう一点付け加えさせていただきますと、この憲法調査特別委員会の、私は行っておりませんが、中山委員長を中心に海外視察等、海外調査研究をしてまいりましたが、そういったところでも、アイルランド、イタリア、スイス、フランス、スペイン、トルコ、ペルー、オーストリア、こういった各国が最低投票率を設けていないと。設けているところは、ロシアやあるいは韓国、ポーランド、カザフスタン、セルビア、ウズベキスタン、ベラルーシ、こういったところは五〇%以上の最低投票率を設けておりますが、ただしそれは憲法そのものに書き込んでいると。  こういったこともございまして、私は昨日も自由民主党委員の方にお答えさせていただきました。そういう新聞等の世論調査で現在出ている結果というものはしっかりと踏まえていかなくちゃいけませんが、やはり制度の問題そのものに対して我々の説明がちょっと足らざるところがあって、その辺の受け止め方というものが少し一面的なのかなという感じはいたしております。  以上です。
  59. 前川清成

    ○前川清成君 私は、この後また、今先生がお答えいただいたことは一点一点ずつ御議論をさせていただきたいと思っているんですが、ただいまの質問でお尋ねしたかったのはそういう理屈のことではなくて、国会議員が唯我独尊で議論をしてもいいのか、国民皆様方の声に真摯に耳を傾けなければならないのではないかという点であります。その点いかがですか。
  60. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) それはおっしゃるとおりであります。
  61. 前川清成

    ○前川清成君 そこで、最低投票率を設けない積極的なといいますか説得的な理由があるかどうかという点であります。  今、赤松先生の方から二点お答えをいただきました。憲法の文言にないということとボイコット運動と。それと、海外の事例もお引きいただきました。あと、保岡先生の方が、本会議ではあともう一つ、専門的、技術的な国民の関心の薄い憲法改正では憲法改正が難しくなる。大きく分けてこの三点をこれまで説明していただいたと思います。  そこで、まず、順番にお尋ねしたいんですが、憲法九十六条に最低投票率の定めがないので法律で、国民投票法で要件として加重することはできないという点なんですけれども、どうして憲法に定めがなければ法律で加えることは許されないんでしょうか。
  62. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 我々与党は、この九十六条の国民投票法というのは憲法が定める間接民主制の例外であるという位置付けで、それも、憲法に最高裁の判事の国民審査それから特定の地方公共団体でしたか、のみに適用される法律についてはその住民投票というものが要件とされている、こういったことが憲法の認める直接民主制ということで、先ほど簗瀬議員質問にお答えしたとおり、国民の意思表示が明確にいったんなれば、それは非常に強い力を持ち、国会を拘束するものであるということだろうと、我々お互いにそう認識できると思うんです。  もうそういった意味で、九十六条の直接民主制の要件というのは、きちっと、しっかりとこの要件を考えていかなきゃいけない、そういう認識で我々も立法に当たったつもりでございますが、例えば一番根幹にある憲法改正の要件の大きなところは、両院の総議員の三分の二、これは法定数を意味する、全員の三分の二が必要だと。こういうところなど、加重要件というか、憲法改正を重くして硬性憲法たらしめるゆえんは憲法に明確にされているという認識でございまして、最低投票率は、実質的に考えても憲法改正を難しくする、非常に障害になり得る制度でもあるということも我々検討した結果、そういう事例もあるんじゃないかということで、専門的、技術的、そして国民から関心の薄い問題について憲法改正をする場合のことも頭に置いて、やはり憲法で書いていない要件をあえて法律に書くということは避けるべきだという判断に至ったわけです。
  63. 前川清成

    ○前川清成君 今のはちょっとお答えをいただいていないように思います。  私が申し上げているのは、憲法九十六条の一項に総議員の三分の二以上とありますが、それを例えば三分の二・五に変えろとか、そういう議論をしているのではなくて、九十六条一項には国民投票でその過半数としか書いていない。ですから、最低投票率については規定を置いていない。規定を置いていないことをもってその最低投票率を排除していると、憲法の文言がですね、直ちにはそういう結論を導くことはできないだろうと思います。それゆえお尋ねしています。
  64. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  九十六条では、今、前川委員おっしゃったような規定ぶりでございますが、さらに、これを解釈というといけないんでしょうけれども、真っ当に読んでいけば、この九十六条の三分の二の規定とか国民の投票における過半数ということは、これはかなり、硬性憲法と言われるゆえんはそこにあるんだろうと思います。硬性憲法として九十六条に書いてあるものは、これは相当、それだけでも厳しいと思っております。それに加えて、憲法に書いていないその過半数のときの最低投票率を更に設けるということは、もう一つハードルを設けると、こういうことでありまして、そこまで読み取るのは我々にはできないだろうということで、最低投票率は設けるべきではない、設ける必要はない、こういうことでございます。これは衆議院段階では民主党理事の皆さんとの話合いにおいてもほぼ認識は一致をしたということでございました。
  65. 前川清成

    ○前川清成君 誠に僣越ではございますが、今の船田議員の御答弁は論理的に破綻しているのではないかと思います。  硬性憲法であれば、改正は、その硬性憲法だということを前提とするならば、解釈はより改正が厳しくなるように考えなければならないわけであります。硬性憲法であったら、どうして、例えばですが、国民の百分の一しか、一%の皆さんしか賛成していないのに憲法改正すると、例えば憲法九条を改正するというようなことまで許されていいのですか。それは間違いです。  船田議員にお尋ねしたいと思いますが、九十六条一項に書いていないと、だから最低投票率は駄目だという御議論ですが、同じように考えるならば、船田議員は自衛隊は憲法違反だとお考えになっているんですか。
  66. 船田元

    衆議院議員船田元君) ちょっと分野の違うといいますか、状況の違う御質問でございますが、そのことに触れるのであれば、私は、憲法を素直に読めば、これはなかなか、自衛隊は合憲である、あるいは憲法上許されるというふうに解すのはなかなか厳しいと思っております。しかし、それは歴代の内閣において、政府におきまして、解釈として自衛隊の存在、これは個別的自衛権を発揮する唯一の実力機関でございますけれども、その存在については憲法上許されると、このように解釈をしているということでございます。
  67. 前川清成

    ○前川清成君 憲法という規範は制限規範といいまして、国家権力を制限する、そこに本質があります。歴代の政府が、国家権力が自衛隊は憲法九条違反でないと言っているから憲法違反じゃないんだと、これはもうあべこべの理屈なんです。しかし、ここはそういうことを議論する場ではありませんので。  私が申し上げたいのは、そうではなくて、先生がおっしゃったとおり、憲法九条に自衛隊なんて書いてないわけです。むしろ素直に読めば、先生がおっしゃったとおり、陸海空軍その他一切の戦力は保持しないと、こう書いてある。こう書いてあるんだけれども、自衛隊法という法律で自衛隊の設置や任務や組織等を規定しているわけです。同じ理屈で、自衛隊と同じ理屈で最低投票法も憲法に書いてないから許されないという一義的な解釈をするのではなくて、憲法全体の趣旨あるいはおっしゃったように硬性憲法の在り方、そういうところから議論する必要があるのではないかと、こういうお尋ねであります。
  68. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 明文のない自衛隊を合憲としている解釈というのは、いろいろな考え方、理論立てがあると思いますが、私が承知しているところでは、憲法が最高価値とする基本的人権というものが国民において保障されている、それが侵害される場合には、当然、自然権として憲法も当然その自衛する権利は認めているだろうということで自衛隊の合憲を理論付けていると承知しておりますが、硬性憲法船田先生も言われ、私も申し上げましたが、硬性憲法だからといっていろいろ程度があるのでございます。  我が国の憲法は発議の要件において硬性憲法性を明確に規定しておりますが、国民の承認を得るところには最低得票数の要件をそこに明示しておりません。書いてないということは、むしろ過半数の賛成があれば成立するというのが素直な読み方。こういう重要な制限的要件であれば憲法に明示する、それは先ほどから申し上げているように各国の憲法もほぼ皆そういう形を取っておりまして、もし最低得票率の制度を導入するんであれば憲法に明示する、何パーセントというパーセントまで書く、そうでなければ、法律により定めるところによりとか、何かその最低得票率を法律で決めてもいいという授権みたいな趣旨の文言が入っていてしかるべきだと我々は考えております。
  69. 前川清成

    ○前川清成君 法律の授権というお話がありましたので、では別の条項から明らかにしたいと思うんですが、御案内のとおり、憲法九十四条は法律の範囲内で条例を制定することができる、このように定めています。しかし、例えばですが、大気汚染防止法や水質汚濁防止法、水質汚濁防止法にあっては、三条の三項ですけれども、都道府県は条例で同項の排出基準、これは法律で定める排出基準、国が定める排出基準ですが、都道府県は条例で国が定める排出基準よりも厳しい許容限度を定めることができると、こう書いてあります。水質汚濁防止法です。大気汚染防止法の四条一項にも同様の規定があります。  憲法が、憲法九十四条は法律の範囲内でと定めていながら、しかし、大気汚染防止法や水質汚濁防止法はその法律の範囲を超えてより規制すること、いわゆる先生も御案内のとおり上乗せ条例を認めています。これについて最高裁も憲法違反だとは言っていません。  最低投票率のような一義的、技術的な事項について、憲法に規定がないからそれは憲法が排除しているんだというのは論理として飛躍がある、私はそう考えますが、いかがでしょうか。
  70. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 前川委員にお答えを申し上げます。  条例は法律に違反したものを作るということはできない、これはもうおっしゃるとおりだと思います。今御指摘になられた例というのは、法律においてその条例で法律に定める基準よりも上乗せの基準を定めることを法律が授権しているわけでございます。  したがいまして、もしも最低投票率というような議論をするのであれば、憲法において、法律に定めるところによりとか、そういった形を書くんであれば先ほど保岡委員の御答弁にあったことにも通ずるわけなんですけれども、今の御指摘というのは、正に法律が条例に授権をして法律以上の基準を定めることができると、根っこは正に法律にあるということを御理解願いたいと思います。
  71. 前川清成

    ○前川清成君 いや、十分御理解しているんです。  それでは、大気汚染防止法や、私は御理解いただけるようにあえて制定法を出したんですけれども、それでは、法律の授権がなければ上乗せ条例は全部憲法違反なんですか、葉梨議員
  72. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 御指摘趣旨がちょっと、具体的な例がちょっと私も、自身思い浮かばないんですけれども
  73. 前川清成

    ○前川清成君 法律の授権がないのに都道府県の条例で法律が国が定める基準よりも厳しい規制を課すことはできない、それは憲法違反だという見解に立って先ほどの御答弁をなさったのですか、葉梨議員
  74. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) そこのところについては、前川委員、誤解をしていただきたくないと思いますけれども、例えば、条例というのは法律の範囲内というか、法律の授権が必ずなければ条例が作れないというわけではございません。正に地方自治法に基づいて条例はいろいろな事務を作ることができます。そして、上乗せの条例についてのいろんな見解というのはございますけれども、正にそれが法律趣旨にのっとっているかのっとっていないかというところで判断されるわけでございます。  そして、具体的に、ただ、大気汚染防止法等の例を引かれましたけれども、これは具体的な基準というのが明確な数値として法律等に定められている。それ以上のものを作るということになると、あるいは法律に違反するんではないかというような疑念も起きてしまうということで、法律の授権があるというふうに私は理解をしております。
  75. 前川清成

    ○前川清成君 葉梨議員の今の御答弁と先ほどとの、御答弁が矛盾します。先ほどの御答弁は、上乗せ条例は法律の授権があるから許されるんだとおっしゃいました。ところが、先ほどは、違いますよと、誤解しないでくださいよとおっしゃいました。ちょっと答弁を整理していただけないと続けられません。
  76. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 今、大気汚染防止法等の個別の法律の例を引かれましたんで、そこについては法律の授権が必要であるということで答弁をさせていただきましたが、一般論として申し上げますと、法の趣旨に合致しているかどうかということを基準に判断されるものだと思います。
  77. 前川清成

    ○前川清成君 ですから、葉梨議員が今お認めになったように、憲法九十四条の文言はあるけれども、その文言をただただ棒読みするのではなく、趣旨やあるいは目的等々も勘案して法律の範囲内を決めると、憲法九十四条に言う法律の範囲内という意味を決めると、こういうことでしょう。
  78. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 今御答弁申し上げましたけれども、正に法律趣旨として違反するような中身というのは書けないんではないかということです。  先ほどの保岡委員の答弁というのは、最低投票率の問題ということになりますと、他国の憲法典等を引いてみても、これは憲法上やはり書いていかなきゃいけないということで、法律だけで書いていくというのはこの憲法趣旨を外れてしまうのではないかというような観点から御答弁を申し上げたわけでございます。(発言する者あり)
  79. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 速記止めてくれますか。    〔速記中止〕
  80. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) じゃ、速記起こしてください。
  81. 前川清成

    ○前川清成君 ここでちょっと委員会が止まってしまうというのは全く本意ではありませんので、もう、大変失礼な言い方ですが、ヒントも出しながらお尋ねしたいと思います。  私が言いたいのは、要は憲法の文言をしゃくし定規に解釈するのではなくて、先ほど葉梨議員もおっしゃったように、趣旨や目的や効果などなども勘案した上で条文を合理的に解釈する必要があるのではないかということなんです。その例としてお示ししたのが憲法九十四条の文言であります。憲法九十四条は、「法律の範囲内で条例を制定することができる。」と書いています。法律の範囲内ですから、例えば国が、国がですよ、一%以上はCO2を出したらあかんと、こう決めてあっても、条例で、いやいや、うちのところはCO2多いし暑いから三%まで行きますと、こう言って決めることも憲法違反ではない、これが通説なんです。  だから、葉梨議員にお尋ねしているのは、例えば九十四条の法律の範囲内という文言をしゃくし定規に解釈してはならないのと同様に、九十六条に最低投票率が書いてないからあきまへんねんと、そんな愛想のない答えじゃなくて、七九%の国民の皆さん方に納得できる実質的な根拠を示さなければならないのではないかと、こういう質問であります。
  82. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) いろいろ先ほどから先生から示唆に富む議論が続いているんですが、一つは九十六条の解釈の問題ですよね。  これは、我々はそこに、憲法上、最低投票率の制度が何らかの形で書かれている必要があると。はっきり何%という数字を示して最低投票率の制度がそこに憲法上規定されているか、又は法律に授権するような趣旨がそこに読み取れるようなことがなければ、我々の出す法案に最低投票率を設けることは憲法違反の疑いがあると、これが一つあります。  それともう一つ、葉梨議員からお答えを詳しく申し上げた法律の範囲内における条例の制定ですが、憲法にも、先生指摘のとおり規定がある。それを受けて、地方自治法にも一般的規定として同様の規定が置いてある。個別の法律において定めた基準、いわゆる大気汚染防止法のような中にある基準を超えて定めることが条例に認められている法律の解釈ができれば、そういう条例もできましょうし、法律がなくても、憲法や地方自治法の趣旨に沿って、法律趣旨の範囲内を超えなければ条例を制定する道も地方公共団体には開かれておりますし、そういった関係を葉梨議員が、提案者が説明を申し上げたところでございます。
  83. 前川清成

    ○前川清成君 保岡議員、今の、大変失礼ですが、答えになっていますか。文言がないからあかんのと違いますでしょうと、もうちょっと実質的な理由が要るのと違いますかというお尋ねですよ。
  84. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 先ほどの御答弁で補足的にちょっと申し上げたいと思うんですが、決してしゃくし定規に申し上げているわけではなくて、やはりその九十六条の趣旨に照らしてということです。  それで、今、保岡議員からも御答弁ございましたとおり、条例については地方自治法の一般的な授権、法律に反しない範囲において、そして、個別の法律についてもそれぞれ授権もある。やはりその法律趣旨あるいは憲法の条文の趣旨、これに照らして反しているのか反していないのか。  私どもとしては、諸外国の憲法典であるとかそういったものを参考にしながら、やはり最低投票率については憲法上の根拠が必要であるというふうに考えているということでございます。
  85. 前川清成

    ○前川清成君 それでは、発議者の皆さんは、今の議論を通じて、憲法九十六条の文言にないから最低投票率を設けることは憲法違反なんだという御答弁は撤回していただけるわけですね。
  86. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) ちょっと、前川議員の撤回しろという御趣旨がよく分からないんですが。  九十六条は、九十六条の趣旨に沿って憲法全体の解釈の仕方というものも念頭に、こういう重要な、最低得票率みたいな、憲法が成立するかしないか極めて重要な要件になるようなものは憲法事項だろうと。したがって、憲法に書かれていないことを法律で定めることは、法律事項でない、憲法事項であるという仕分からすると憲法違反の疑いがあると。  ただ、先ほど先生が御指摘になったように、実質的な理由なども実は我々は考えていないわけじゃないんですね。  先ほどから申し上げているように、専門的、技術的な性格が強くて国民の関心が向くだろうか、投票率が上がるだろうかというときに、そういうテーマを幾つか思い浮かべながら、例えば衆議院段階では、枝野議員がおっしゃったのは、一つは、裁判官の報酬を下げることがいかなる権力もできないというような趣旨のことが書いてあるわけですね。それに対して国会が、公務員の報酬の改定の際、裁判官の給料を下げました、右へ倣えで。そういう右へ倣えの場合は、これは特に裁判官をねらい撃ちにして、特に裁判に関する判断をして下げたのではないということで、これは合憲だという解釈で政府も行ったところでありますが、しかし、これは憲法の、文字どおり見ると、やはりそこはきちっと書いておくべきじゃないかと。  それからもう一つ、私学助成があります。私学助成なども憲法の条文を読むと、これは正に私学助成は憲法違反じゃないかと普通考えてしまう性質のものでありますが、これも解釈の工夫をして合憲だというようなことで今対応しています。  こういうものを憲法上しっかり合憲であるように明確にするような改正を仮に国民に発議したら、ああ、そういう専門技術的なことで単なる今行われていることの修正、合憲を明確にするような改正であれば、どうぞ御判断くださいということで投票率ががくんと落ちてくる可能性があると。そうすると、がくんと落ちたときにその過半数というよりか、むしろ国会でもほとんどの議員が賛成し、三分の二以上の要件を簡単にクリアし、ほとんどの議員がそれは当然だといって発議し、投票に行った人のほとんどが賛成しても、一定の投票率に達していなければ憲法改正できないというような不都合が出てくるんじゃないかなど、いろいろ衆議院段階でも議論して、そういう重要な結論になるような最低得票率というのは、やっぱり法律議論して決めるのでは余りにも重過ぎると。各国の例に倣って、やっぱり憲法事項とはっきり認識する方が正しいのではないかという考えで我々は法案を作りました。
  87. 前川清成

    ○前川清成君 私は、冒頭に、まず先生方の御主張を整理させていただきました。最低投票率を設けないという理由は、一つ目は九十六条の文言、二つ目はボイコット運動で、三番には今先生がおっしゃった八十九条等々の専門的、技術的な国民の関心の薄い憲法改正と、三点整理させていただいて順番に議論しているつもりなんです。  まず、今、もう残り時間が十二分になってしまったんですが、まず一点目でやりたかったのは、ただただ九十六条一項の条文に書き込まれていないというその理由だけで最低投票率制度を排除することはできないですねという話なんです。保岡先生の今のお話は、それだけではありません、条文だけではありませんよと、ヨーロッパの例や八十九条の私学助成のことや実質的なことも考えて決めましたよと、こういうふうな御答弁でしたので、先ほど私が要約させていただいたように、ただただ九十六条一項の文言で最低投票率を排除すると、こういう答えではありませんねと。ですから、四月十六日の本会議で九十六条の文言があるから最低投票率は駄目だとおっしゃったけれども、それはそうではないですねと。憲法九十四条における法律の範囲内の話などなどさせていただきましたから、目的的、合理的な解釈、概念法学ではなくて合理的な解釈をしているんですねという確認をさせていただきたいと言っているんです。
  88. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 済みません。いろいろ整理していただいてありがとうございます。  今おっしゃったように、我々が言ったことに対して整理していただいたように、幾つかの理由が複合的にあって、そのうちの一つとして九十六条の規定に憲法上の疑義があるという言い方をしたんであって、それは決定的な理由ではございません。ほかの要素と一緒に合わせてでございます。
  89. 前川清成

    ○前川清成君 詳しくはこの後、広田議員がやると思いますので指摘だけにさせていただきたいんですが、船田先生も昨日、保岡先生は先刻、国民の直接民主主義的な制度としては、この国民投票と住民投票ともう一つ、最高裁裁判官の国民審査があると、こういうふうにおっしゃっていただきました。  最高裁の国民審査については、憲法の七十九条、釈迦に説法ですが、七十九条二項に条文があります。そして、ここは九十六条と同様に、最低投票率制度については一切触れられていません。ですから、七十九条二項と九十六条一項と文言的には全く一緒です。しかしながら、最高裁判所裁判官国民審査法の三十二条で百分の一という最低投票率を定めています。これはどのように考えればいいんでしょうか。
  90. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 御指摘ありがとうございます。  この点についてですけれども、私ども考えといたしましては、基本的に選挙とか審査、それから国民投票についての明確な意味でのこの最低投票率というのを定めるというべきではないんだろうというふうに思います。  しかしながら、憲法においても普通の選挙というのが規定されておりまして、その選挙については最低投票率は定めない。しかしながら、これが当選の要件としては、御存じのとおり法定得票というのがございます。ですから、国民審査の場合は審判の可否をマルかバツかという形で問いますので、ここの部分は最低投票率に当たるというよりも、これは法定得票に当たってくるというふうに御理解願いたいと思います。  そして、今言われているような最低投票率の議論が、国民の声を聴いて、これが私は憲法上疑義があるというふうに考えていますけれども、それを取り入れるとなったときに、百分の一という最低投票率を取るということはだれも考えないだろうと思います。
  91. 前川清成

    ○前川清成君 この最高裁判所裁判官国民審査法三十二条については広田議員にお譲りして、あと八分で、あと先ほど整理したボイコット運動と専門的、技術的な点について行けるところまで行きたいと、こう思っていますが。  ボイコット運動、これはしたらあかんと。ボイコット運動を誘発させるおそれがあるから最低投票率制度は設けないんだというふうに本会議でも保岡議員がお述べになっておられました。ボイコット運動というのはあかんのですか。
  92. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) ボイコット運動はあかんのちゃいますかね。より好ましくないというか、そういうことを、要するに一般的な人を選ぶ選挙でも投票率を上げましょうということをやるのに対して、やるのを、そういう投票を避けましょうというのは好ましくない。
  93. 前川清成

    ○前川清成君 投票所に行かないこと自体が有権者の意思の表現だというふうには考える余地はないんですか。
  94. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) それは、運動として行かないようにしましょうというふうに運動を組織的にというか大きい形でやっていくという、今おっしゃった例は行きたくないという個人のそういう判断ですけれども、運動形態としてそういうふうな格好になっていくのは好ましくない。住民投票の例で直接あれですけれども、そういうケースが過去に間々あったと、また海外でもそういうケースがあったと、こういうことから判断しているわけでございます。
  95. 前川清成

    ○前川清成君 主権者である国民の皆さんが御自身の政治的意思をどのような形態で表すか、これは正に表現の自由の一形態であって、国家権力の側が、すなわち、今私たち法律を作ろうとしているわけですから、正に国家権力の行使をしているわけです。国家権力の側が、これが望ましいけれどもこれが望ましくないというような議論の立て方は私は間違っていると思います。  それで次に、じゃ実際問題として、赤松先生、そもそも人口一億二千五百万人の日本で、有権者数が一億人の日本で有効なボイコット運動なんて可能なんですか。
  96. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 人口一億二千万ぐらいで、有権者は六、七千万ぐらいかなという気がしますけれども、それは断定的にできるともできないとも言えないと思いますね。十分、先ほど先生もおっしゃったように、大変な大きな高まり云々ということもあったし、いろんなものを使ってそういう格好になる可能性なしとしないと、そんなふうに思います。
  97. 前川清成

    ○前川清成君 例えば、私たち選挙のように選挙カーでマイクでわあわあわあわあ言うて、ボイコットしましょう、これが有意的な運動にはならないですよね。
  98. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) そういうふうな格好を取るかどうか分かりませんが、日本国全体を対象としたこういう形の投票行動ですから、類例を見ないというか過去にやったことがないことですから断定的にこうとは言えませんけれども、繰り返すようですが、住民投票で見られたような形を原型にして、それに類似したようなものが起こる可能性があるんではないかと、こういうふうに思っております。
  99. 前川清成

    ○前川清成君 住民投票という小さな範囲、少ない対象、だからこそボイコット運動というのが成り立つ可能性がある。ボイコット運動がいい悪いの話は別にしてですよ。そういう小さな対象だから成り立つのであって、一億二千五百万人の人たちに投票所に行かないでおきましょうというような運動をわざわざそれだけの能力のある人が、ボイコット運動を起こす能力のある人がするのであれば、ボイコットという迂遠な方法は取らずに、賛成とか反対とかという運動形態を取るはずなんです。だから、ボイコット運動が起こるから、ボイコット運動が起こるから国民投票において最低投票率を設けないんだというのは、余り説得的な理由付けになっていないと私は考えます。
  100. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) それはなかなか鋭い御指摘だと思います。つまり、ボイコット運動という表現が今確かに先生がおっしゃったようなことを想起させるというのはそうだろうと思います。ただ、ですから、適宜な、適切な言葉思い浮かばないんですけれども、最低投票率がここだから、ここに行かなければ成立しないんだから、反対する人は投票に行かない方がいいよという格好のキャンペーンが行われる、それは、ボイコット運動というのは非常に小さな地域の住民投票を対象にしたようなイメージさせるから余り適切じゃないというお言葉はそのとおりだろうなと思います。  しかし、大きく反対を、最低投票率を設けることによって、そこの線に行かなければ、要するにこれは皆さんが望まない方向に行かせなくて済むんだと、つまり反対が可能なんだと、こういうふうな形で運動は展開されるんじゃないかということを申し上げておる次第でございます。
  101. 前川清成

    ○前川清成君 先ほど先生の方が有権者は七千万人とかおっしゃったですかね。じゃ、仮にですよ、七千万人の方々に対してボイコット運動をして投票率を一%引き下げようとしたら、七十万人ですよね。舛添先生がいらっしゃいますけれども、例えば参議院の全国比例の選挙で七十万票取るといったらむちゃむちゃ大変なことですよ。一%引き下げるなんという運動が現実論として可能ですか。
  102. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) それはちょっと、舛添先生の例はちょっとふさわしくなくて、要するに最低投票率を設けることによってこの選択をどうするのかといった場合に、やはりそれはかなり効力を発揮する、そういう運動と連結するなあという感じがいたすわけですけれども
  103. 前川清成

    ○前川清成君 三番目の論点で、専門的、技術的な国民の関心の薄い憲法改正があるというふうに本会議保岡先生はおっしゃいました。それは、例えばですけれども、八十九条と私学助成の関係のようなことでよろしいんですか。
  104. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) そういうテーマもありましょうし、例えば財政の健全性を確保するために、財政の章にある冒頭の基本的な規定だと思いますが、そこで、財政の健全を目指して、それから、財政の健全の維持、維持し運営すると、財政を健全に維持運営する、そういうような文言を仮に、地方財政の健全化あるいは国の財政の健全化というものを積極的に促して追加規定を憲法改正で求めようとした場合、そういうものなども入るし、考えればいろいろあると思います。
  105. 前川清成

    ○前川清成君 残念ですが、私の持ち時間が終わりましたので、途中ですが、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  106. 広田一

    広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いします。  私の方からも、冒頭、長崎市の伊藤一長市長の御冥福を心からお祈り申し上げます。同じ政治家として、また国民の一人として、この民主主義を否定する暴力、テロには屈しない、そしてそれを許さない、その思いを新たにして質問に入らさしていただきたいと思います。  それでは、まず、去る四月十六日の参議院会議におきましての保岡議員の御発言に関連いたしまして御質問をさしていただきたいと思います。  葉梨議員のお言葉をかりますと、紳士淑女の集まる我が参議院議員があのような怒号とかやじが飛んだ、これはやっぱり考えていただかなければならないなというふうに思います。  昨日の御答弁の中でも、大変な誤解があったと、本当はそういう、本意ではないんだというふうなことをおっしゃっておりますけれども、私たち、そのお答えを聞いてもよく分かりません。もし不足があれば、慎重な審議をお願いしたつもりで、表現が足らず、その趣旨が伝わらなかったというふうにおっしゃっているわけなんですけれども、私たちは、明らかにあの前後の文脈、そして簗瀬筆頭の質問に対しての御答弁としてはそのように取ることができないわけでございます。  もう一度、改めまして、今回のあの発言の真意をお聞かせ願いたいと思います。
  107. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 再三御答弁申し上げてまいりましたけれども簗瀬議員の御質疑の中で私もよく分かったんでございますが、参議院審議についてあんまり、要するに、差し出がましい注文めいたことを言って、それが参議院審議で、まだ全然審議、ほとんど法案というものに、昨日始まったばかりのところを、ゼロからではなくとかいうようなのは非常によくないじゃないかという御指摘など、まあなるほどごもっともな御指摘だと思いまして、私としても、本会議発言は至らなかった、十全でなかった点があることをおわびしてまいったわけでございます。  ただ、真意は、私の本当に心から考えていることは、参議院においても非常に円滑に徹底した、しっかりした、良識の府にふさわしい審議をしていただきたいという期待を申し上げたのでございまして、その点は御理解を賜りたいと思います。
  108. 広田一

    広田一君 最後保岡議員のお話、全くそのとおりでありまして、私たちも共有するところでございます。しかしながら、真にそういうことを思っていらっしゃる方が本当にあのような御発言をされるのかという疑念は大変ぬぐえないわけでございます。  そういう意味で、ちょっと一点確認をさしてもらいたいのが、あのいわゆる足らざるところを集中的に審議されるよう思料するという趣旨のことというのは、これは明らかにこの参議院衆議院の補完機関としてしか考えていないと、それを事もあろうにあの参議院会議で述べてしまった、これは大変重要だというふうに思うわけでございますけれども、一切そういうふうなお気持ちはなかったと、このことをまず確認をさしてもらいたいと思います。
  109. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) ゼロからではなくという点については先ほど釈明しました。  今申し上げた点が、もう一度、議事録から削除していただいた点でございまして、足らざる点と言ったのは誤解を与えたと思います、それは私は。  しかし、私が申し上げたのは、再三、二院制の意義あるいは機能ということで、お互いに有無相補完し合う、チェックし合う、特に参議院の場合は、衆議院で送ってきた案件について、特に足らざる点とか間違っている点とかいろいろ指摘をして、別な院の独自性を発揮していただいて、正に理として、良識としての府としてにふさわしいチェックをきちっとしていただくという趣旨で申し上げたので、この点はむしろ真意を、本当に言葉足らずで誤解を与えてしまった点だと、そう思って、おわびを申した次第でございます。
  110. 広田一

    広田一君 昨日の岡田委員とのやり取りの中でも、参議院の役割、位置付け、それはもうしっかりと保岡議員自身も、私なんか以上に整理をされて、理屈立てて、位置付けられてお話をしていただきました。  全くそのとおりだなというふうにも感じたわけでございますけれども、やっぱり保岡議員がおっしゃるように、私たち参議院というのは再考の府というふうに言われております。つまり、衆議院のチェック機関ということであり、また、憲法上独立して可決、否決、修正等の審議権を持つわけでございます。  私自身があの発言を聞いていて、足らざるところ部分も大変問題だなというふうに思ったんですけれども、あの御発言自身が明らかに参議院審議権に対する干渉だというふうに私は感じてしまったんです。そういうふうなことを思われても仕方がないような言い回し、言いぶりだった、この点についてもきちっと反省していただかないといけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  111. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 表現に不十分な点があったということは、正式にこの委員会の冒頭で申し上げたとおりでございまして、真意は先ほど申し上げたように、衆参併せて立派な法案を成立するために協力し合っていく関係で、参議院の充実した円滑な審議を御期待申し上げております。これが真意でございます。
  112. 広田一

    広田一君 つまり、参議院審議権に対する干渉めいた発言をしたことについては、決してそうではないというふうな理解でよろしいんでしょうか。
  113. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) そう受け取られたとすれば、大変表現が誤解を与えて申し訳なかったという趣旨おわびをしたつもりでございます。
  114. 広田一

    広田一君 ちょっと、受け取られた点に関してはおわびを申し上げるというふうなことでこの問題というものは私は切り抜けられない面もあるんじゃないかなというふうに思うわけでございます。もうこの点については繰り返し申し上げませんけれども、是非、参議院審議権に対する干渉になるような、安倍総理も似たようなことを繰り返されているわけでございますので、発議者の筆頭の方がそのようなことをもう繰り返されないように是非ともお願いを申し上げたいと思いますし、最後おっしゃっていただいた本当に真摯な議論を進めていくということを御期待して、次の質問に移らさせていただきたいと思います。  まず、この国民投票法案議論するときに考えなければいけないのは、先ほど前川委員の方から安倍総理の一連の御発言に対する見解を求められた質疑があったんですけれども、私自身は、この安倍総理の戦後レジームの見直し発言について発議者の皆さんが今どのような感想を持っていらっしゃるのかということをお聞きをしたいと思います。  今国会安倍総理の施政方針演説でも述べられました戦後レジームを原点にさかのぼって大胆に見直すと、こういう発言のまず感想を求めたいと思います。
  115. 船田元

    衆議院議員船田元君) 広田委員にお答えいたします。  私も、安倍総理自身ではありませんので、自分の考えといいますか感想ということになると思いますが、安倍総理は言うまでもなく戦後生まれ初めての総理大臣ということであり、現行憲法の下で生まれ育ったと、こういう点では、私も一つ上なんでございますが、共通しているところでございます。  そういう中で、やはり安倍総理御自身は、御自分の「美しい国へ」という御本、著書を書かれまして、そういう中でも幾つか触れられたと思いますけれども、やはり戦後のいわゆる高度経済成長、成長至上主義と言ったらいいかどうか分かりませんが、そういう経済運営というのが一方であり、しかしながら、それがバブルの崩壊以後、失われた十年と言われているように経済の低迷、そういったものがあり、さらには格差というものもあちこちに出てきたのではないかと、こういった認識。  それから、安全保障や外交の面におきましては、やはり世界が東西冷戦構造にがっちりと固められたといいますか、そういう中で、東西陣営に分かれてイデオロギーを始めとする様々なコンフリクトがあったと。しかし、それが一九八九年のあのベルリンの壁の崩壊によりまして、その冷戦構造が崩れ、そして逆に今度は冷戦のたがが外れたがために、地域における民族あるいは宗教、その他資源をめぐっての争いというものがあちこちで発生をする。それに対して、国際社会としてやはり世界の平和の秩序維持のために、やはり国連を中心としてそれを、その秩序を守るために世界が協力をしていく、そういう体制になっている。そういった戦後の長い時期支配をしてきた日本あるいは世界の一つの背景というものが大きく変わってきている。  そういう変わってきている中で、やはり憲法においても現状にそぐわないそういう部分が幾つか見受けられる。そういったものに対して、やはり政治家として、また国民としても積極的にそれを見直しを行い、見直しの必要があるものについては、これは憶せず、そして前向きに発言をし、それを実現をさせていくと。もちろん国民合意がなければいけないけれども、そういう方向で頑張りたい、そういう御発言がこの戦後レジームの見直しということにつながったのではないかと、こう理解しております。
  116. 広田一

    広田一君 戦後の経済成長からバブルの崩壊、またベルリンの壁の崩壊等、ずっとその時代時代の大変なとき、話題を交えて、こういう時代背景、世界の状況が非常に変わってきているんだというふうなお話をいただきました。  それは私自身も了とするんですけれども、そもそもこの戦後レジームとは一体何ぞやというふうなことを考えたときに、私は、まさしくこれは現憲法の基本原理だというふうに思うわけでございます。すなわち、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、このことだろうと思います。それに対して私たちは、この考えをこれからも継承発展させるのが私たちの主張であります。  しかしながら、それとは正反対に、まさしく安倍総理が施政方針演説で戦後レジームを原点にさかのぼって大胆に見直すと、こういう、このことが安倍総理の私は脱却するというところの主張の真意だというふうに思うわけですけれども、どのような御感想をお持ちでしょうか。
  117. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  安倍総理のおっしゃる、いわゆる戦後レジームということにつきまして、先ほどその原則論というか、そういうところでとどまったわけでありますが、更にお尋ねがございましたその戦後レジームというものの実体は何かと、こういうことでございますが、これにつきましてはなかなか答えにくいところもあると思いますが。  これはやはり、今先生指摘のように、今の日本国憲法の基本原則である平和主義、それから基本的人権尊重、そして国民主権、この三原則というものがやはりまず土台といいましょうか、背骨と言ってもいいと思いますが、大きな背景として存在している。そのことを変えるということを私は総理が言っているんではないと思っております。そのことを土台としつつも、やはり先ほど言ったような経済至上主義ではない、これは美しさが何かということもいろいろ議論があると思いますけれども、経済では測れない日本の美しさ、心とかそういうものも含まれると思いますけれども、そういう問題や、あるいは世界の中でやはり平和を維持する、そういう活動を国連を中心として行っている、そういうことに対して我が国が今の憲法の下で一体どこまでできるのか。もしまだ足らざるところがあれば、それはやはり憲法の上でどう位置付け、あるいは位置付けができないときには憲法改正も含めてこれは議論をする必要があるんではないか、そういった問題提起というものにつながっていっているんじゃないかと、このように思っております。
  118. 広田一

    広田一君 そうすると、安倍総理自身もこの憲法の基本原理ということは一向に崩すつもりはないというふうなことを船田議員の方はおっしゃったんですけれども、私たちは、先ほどの前川議員質問の、年頭所感の憲法改正参議院選挙の争点とするというふうな話であるとか、先ほど私が指摘させていただきました戦後レジームの見直し発言とか、まさしくこの国民投票法案審議する際のこれは根本にかかわる事柄が、本当に私たちこの法案審議する者と安倍総理がきっちりと共有しているのかどうか、甚だ疑問なわけでございます。  そういった意味で、これは関谷委員長の方にお願いなんですけれども、先ほど前川委員もおっしゃったように、是非とも安倍総理にもこの本特別委員会の方に御出席をいただいて、一連の自らの言動等も含めて、是非とも出席を求めたいと思いますけれども、よろしくお願いします。
  119. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 後刻理事会で検討をいたします。
  120. 広田一

    広田一君 そういったことを踏まえて、次にお伺いしたいのが、この憲法改正国民投票法案といったものがなぜ六十年間成立しなかったのか、この理由についてどのようにお考えなのか、お聞かせを願いたいというふうに思います。
  121. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 広田委員お尋ねの、この憲法改正国民投票法案が六十年間定められなかった理由ということでございますが、幾つもの理由があろうかと思いますが、私は、一つはやはり、いわゆる憲法改正そのものというものに対して国民が関心を持たなかったといいますか、そういう必要性を認めないと、そういうふうな空気が非常に強かった時期が続いたと、そういうことが一つ大きな原因としてあるんだろうと思います。  もう一つは、憲法九十六条というものの存在、つまり国民主権の具体的な表れとして、憲法改正する手だてとしての国民投票法案というものが、九十六条の下に、今議論されておりますように、作られるんだということについての認識がやはり余り全体的に行き渡っていなかったということだろうと思います。  私ども公明党におきましても、随分とこの法案を立案する流れの中に入るのにつきましても、御承知のように、私ども公明党は、長く護憲、いわゆる全く憲法を変える必要ないという立場に立っておりましたんで、国民投票法案というものを共同提案する側にくみするということはどうなのかという意見ももちろんありました。というのは、今申し上げたように、そういう幅広いこの六十年間の考え方というものが背景にあったんだろうと思います。
  122. 広田一

    広田一君 総論的にはまず分かりました。了としながら、本来、赤松議員とはちょっと私、考え方は異なるかもしれませんけれども、本来だったら、この憲法改正手続というものは憲法改正の際に本来整備すべきだったものだというふうに思います。  しかし、それが実際はできなかったわけでございますけれども、この理由をどのように考えているんでしょうか。ただ単に関心がなかったとかということでは、この当たり前のことがなぜ当然のごとくできなかったのかの私は理由にならないと思うんですけれども、その当時のちょっと時代背景も含めて御見解をお伺いしたいと思います。
  123. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 失礼しました。的確な御答弁ができていなくて、大変失礼いたしました。  戦後の憲法ができる背景、要するに日本が敗戦をした、そういう状況の中で、極めて短い期間でありますけれども今の憲法ができたと。こういう流れの中で、やはりこの憲法を立ち所に改正をするということをもたらすような、そういう、通常であるならば同時に規定しなければいけなかったそういう部分をするいとまがないというか、そういうところまで考えが及ばなかったというか、そういう時代背景、社会的背景、そういうものがあったからであろうかと思います。
  124. 広田一

    広田一君 その時代的、社会的背景というふうなことを思ったときに、いわゆる占領軍、GHQの指導、この点があったかなかったのか、これが非常に大きな影響を及ぼしたのか否か、この点についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
  125. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) これは私の個人的見解になりますけれども、やはり戦後日本というのは、七年間の占領下というものが非常にいろんな意味で大きな影響を及ぼしたということがあります。そういった観点で、GHQの影響というものを強く受けている、そんなふうに思います。
  126. 広田一

    広田一君 聞くところによりますと、憲法を施行後十年間は日本に民主政治というものは定着しないと。つまり、戦前レジームに帰ってしまうおそれがあるので、この間については憲法改正させないというのが当時のGHQの考え方であったというふうな意見もあるんですけれども赤松議員は、個人的なお立場で、お考えで構いませんけれども、この意見に対してはどのような見解をお持ちでしょうか。
  127. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 私もかねがねそういうことであると、そんなふうに考えております。
  128. 広田一

    広田一君 さらに、サンフランシスコ講和条約後、日本が独立をして、昭和二十七年から二十八年にかけて憲法改正手続ができる国民投票法案、これについて国会提出する準備をして法案要綱を作成して、さらに法案化されて閣議決定までは至らなかった、そういうふうなこともあるわけなんですけれども、その辺については、どのような当時動きがあったというふうに見られているんでしょうか。
  129. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) その辺について詳しくここで議論するだけの私、用意がありませんけれども、やはりその七年間の占領下、ものを経て、日本がいよいよ占領下を脱却してどのような形の国をつくっていくのかという状況の中で、米ソ冷戦体制、この米ソ二極の対決の構図の中に日本が深くビルトインされた、そういうことの影響をまた受けざるを得なかったんだと思っております。
  130. 広田一

    広田一君 そういったことを、これまでのちょっと一、二点具体例を挙げてその点についての御見解を求めたんですけれども。  要するに、私は、議員がおっしゃっているように関心が持たなかったというよりかは、当時のGHQにしろ、あのように内閣としてこういうふうな手続法案も準備したにもかかわらず成立に至らなかったというところについては、結果として私は、やはり今のこの現憲法の基本原理といったものを否定して戦前レジームへの回帰をもくろむ政治勢力が台頭しようとすると、国民がこれに対して抵抗する形で私は改正手続がなされなかったんじゃないかという意味からいえば、立法不作為というよりかは、六十年間こういうふうなことに至らなかった私は必然性というものもあるんじゃないかなというふうに思うわけでございますけれども、この点については共有できますでしょうか。
  131. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 委員おっしゃったとおりだと思います。  ただ、今の時点から過去の、今ずっとるる私に発言を求めていただいたわけですけれども、今の、平成十九年の時点から当時のことを振り返ると、立法不作為云々ということが出てくる、そういう背景というものがあるということは私否定しませんけれども、その時点から今を照射するというか見れば、おっしゃったとおりの認識を私も共有いたしております。
  132. 広田一

    広田一君 その上で、先ほど船田委員が戦後レジームの見直し、脱却の辺で言われた様々な時代背景、歴史が大きく変わろうとしているというふうなことを受けて私たち自身も、これまでの単なる護憲、改憲、改憲というのは九条を変えるというふうなところだけでこれを憲法論議するんじゃなくて、まさしく国民主権を保障するんだ、確立するんだ、その意味でもこの国民投票法案というものを位置付けて、だからこそ中立公正にそういった制度設計とそのような姿勢をもって議論を進めていかなければならないと、このことを衆議院において皆様方が大変な努力をされてきた。にもかかわらず、それを根底からぶっ壊してしまったのが安倍総理のこの戦後レジーム発言でもあり、また参議院選挙の争点に憲法改正を加えるというふうなことだろうと私は思うわけでございます。  以上のような時代背景とかこれまでの流れを見ると、安倍総理の一連のこれまでの御発言というものは大変残念で、遺憾で、それを通り越して怒りにも近いものがあるわけでございますけれども、ただ、先ほど冒頭指摘させていただいたように、保岡議員自身も非常に丁寧な議論参議院の方でも行うということでございますので、是非前向きな積極的な議論をお願いしたいというふうに思います。  そういう中で、次に中身の方に移らさせていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、まず国民投票の対象についてお伺いをしたいというふうに思います。  この件については、皆様方の方は憲法改正に限定をして今行うということだったんですが、私いろいろお話を聞いていまして一番率直に思ってしまうのが、今、私たち自民党公明党皆様方との違いの一つは、いわゆる改憲のための国民投票と、それに対して私たちは、より多くのデモクラシー、モアデモクラシーというふうに私言っているんですけれども、そのための国民投票の違いがあるんじゃないかというふうに思います。  結局、自民党の皆さんは九条を改正したいのであって、その他の重要問題については、既得権益を守りたいから、余り国民にその最終判断、特に国政上重要な事柄についての判断をゆだねることには大変消極的になっているんじゃないか。それを何とかごまかすというわけじゃないですけれども、盾にするために、議会制民主主義ということを盾に自らの主張を展開されているんじゃないかというふうに私自身感じてしまうんですけれども、そういった私の懸念に対してどのような御所見をお持ちでしょうか。
  133. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  国民投票の対象ということでありますが、今、広田委員指摘のように、自由民主党として確かに平成十七年の十一月に自民党の新憲法草案というものを世に問い掛けたわけでございます。それを見ていただいてもお分かりのように、九条の部分はもちろんあり得べき姿を提示をさせていただきましたが、そこだけではございませんで、例えば地方自治の本旨というのが非常に分かりにくい、抽象的、あいまいに過ぎるということで、地方自治のあるべき姿というものも、これももっと規定をしなければいけないとか、それから、総理大臣の権限というのが今内閣を代表しているかどうか非常にあいまいな部分がございますので、そういう統治行為の、統治機構の問題、こういったことも検討の対象にしたいと、こういうことで申し上げております。ですから、九条だけというのはこれはちょっと誤解を受けているなという感じがいたしておりまして、そういうものだけではないということであります。  その上で、今御指摘のような一般的国民投票制度でありますが、やはりこれは制度設計からしても相当私は大変な議論が必要であろうというふうに思っております。もし民主党さんが現在お考えの一般的国民投票制度をそのまま導入するということになりますと、やはり議会制民主主義と直接民主主義の制度同士のぶつかり合いということが起こってしまいます。  具体的には、法的拘束力がないとはいいましても、諮問的であってもやはりその結果については時の政府は縛られる、こういったこともありますので、直接民主主義、直接民主制がよりそこではっきりと表れてくる。そうなると、じゃ議会制あるいは代議制民主主義とのどちらを優先するのか、こういった問題も発生するということで、これは現状において、私どもは修正案の中においてもそこまでは取り入れなかったわけでありますが、将来の課題ということで一部取り入れたい、こう思っているわけでございます。  具体的には、私どもの修正案の中で附則に書かせてもらいましたが、憲法改正を必要とする問題、それから憲法改正の対象となり得る問題ということに限定的でありますけれども並べさせていただきまして、このことについて国民の皆さんにあらかじめ、つまり予備的にその意向を伺う、そういう仕組みがあってもいいのではないかと。憲法改正という大きな仕事を、我々国会の中だけでその改正はこうあるべしということで決めて、そして国民投票にかけた場合に、果たしてそれが国民の皆さんの関心事項にはまるものかどうなのか、あるいは国民の皆さんが本当に必要と認めている憲法改正の内容であるかどうか、こういう点でやはり国会における限界というのは当然あると思っております。  ですから、我々は、国民に対して国会が発議をするときに、その前に、どの辺を国民の皆さんは改正の必要を考えているのか、あるいは考えていないのか、そういったことを言わば有権的に世論調査をさせていただくと、こういうような形で予備的国民投票というのを今申し上げたような二点を中心として行いたい、こういう仕組みを考えた次第でございます。  その具体的な内容、制度設計については、その後に、この法案が通りました後スタートいたします憲法審査会で十二分に議論していただきたいと思っております。だから、私どもは決してその直接民主主義の問題を全く最初から考えないあるいはゼロということではありませんで、将来考える余地を残しておりますけれども、それは極めて制度設計等の問題から慎重に審議をしていこう、検討していこうと、こういう態度を修正案において示したところでございます。
  134. 広田一

    広田一君 先ほど船田議員の方がおっしゃったように、九条だけではなくて、憲法草案の中で地方自治の本旨も含めて様々な提案をしているんだというふうなお話がございました。  実は私も地方議員出身でございまして、今の地方の置かれている現状、中央集権国家でありながら、地方自治の本旨ということで、このことだけで片付けられてしまって、本当に今の三位一体の改革のやり方含めて、本当にこの国には地方自治が根付いているのかどうかというふうなことに疑問を持って国会の方に来た人間の一人として、この事柄について更に意味のあるものにする、それを変えていく意味での憲法改正というものが私は大変重要だろうというふうに思うところでございます。  そういうふうな御紹介の前の前提として、やはり自民党の皆さんが国民というものを真に信頼をしているのかというところも、やはりこの国民投票の対象ということを考えるときにはきちっと踏まえていただかなければならないんじゃないかなというふうに思います。  私自身、ちょっとにわか勉強で申し訳ないんですけれども自民党憲法改正プロジェクトチームの議論で、論点整理案というものを何か〇四年ぐらいにされたというふうなことだと思うんですけれども、その中で、これまで、ともすれば憲法とは国家権力を制限するために国民が突き付けた規範であると、この部分についてはまさしく憲法の要諦であるということで、それを踏まえて議論をしているわけなんですけれども、今のその国民投票法案の投票対象のところで、やはり自民党の皆さんも本来そこだけじゃなくて、今後、憲法改正を進めるに当たっては、憲法とは、そのような権力制限の規範にとどまるものではなく、国民の利益、ひいては国益を守り、増進させるために公私の役割分担を定め、国家と国民とが協力し合いながら共生社会をつくることを定めたルールであると。つまり、憲法とは、コンスティチューションの、いわゆる体制というものの訳であって、その中には、よく司馬遼太郎さん言われるようなこの国の形であるとか国民の精神、物の考え方に与えるようなものでなければならないと。そういうふうなことを考えれば、まあ書いているいないは別にして、私は簗瀬筆頭が御指摘になられたような、議会制民主主義の限界等も踏まえて、国民投票にかけるべき問題というものは国政上重要な事項ということで私はかなりあるのではないかなというふうに思うわけでございます。  そういった意味で、憲法改正プロジェクトチームの議論というところ考えたら、私たちの提案がのめないはずはないというふうに率直に思ってしまうんですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。
  135. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  私どもの、平成十六年ですかね。
  136. 広田一

    広田一君 三年前です。
  137. 船田元

    衆議院議員船田元君) 三年前の論点整理のことも詳しく御紹介いただきましてありがとうございます。  私どもは、今申し上げたように、九条だけではない、憲法のあらゆる部分を更に精査をして、そして直すべきもの、直したいものというものを幾つか論点整理の中でも取り上げさせていただいて、それを平成十七年の新憲法草案という形にまとめていったという経緯がございました。  そういう中で、先生指摘の近代立憲主義のその要諦といいますか、要するに憲法が求められているものは、権力から国民の権利を守ると、あるいはその権力の横暴を抑えると、こういうことが近代憲法の第一であると。これはもう我々も当然そのとおりだと思っておりますが、同時に、それは十分に踏まえた上で、国の全体の利益であるとか、あるいは公と私の関係であるとか、あるいは共生社会をどうつくるかと、こういった問題もやはり憲法の中でこれはきちんとある程度定義をすることもこれからの我が国日本としては大事な要素ではないかということで、今言ったようなこともそのペーパーの中に書かせていただいております。  しかし、だからといって、このいわゆる一般的国民投票制度を、そういうところもあるから聴くんだと、あるいはそういう考え方もやはり国民の皆さんに聴きたいから一般的投票を導入するということは、ちょっとこれは性急ではないかなと、こう考えております。  私どもは、先ほど申し上げましたように、予備的、諮問的な国民投票の形態ということで、この実際の憲法改正国民投票の前にそれを、その問題点がどこにあるか、国民の皆さんが何を望んでおるのか、そういったことをつぶさにお聴きをする、聴かせていただいて、その上で憲法改正の原案というものも三分の二の賛成をいただきながら作っていこうではないかと、こういうことで制度を組み立てていきたいと、こう考えております。  ですから、先ほど御指摘をいただいたような、我が党が憲法改正でいろんなことを考えたいとしておりますけれども、そういうものも全部含めて、これは正に諮問的であり、そして予備的な、その前段における国民の皆さんの意見を聴くと、こういう機会で十分に果たし得ることではないのかと、このように思っております。  以上です。
  138. 広田一

    広田一君 そういった中で、憲法改正の予備的国民投票について若干お聞きをしたいというふうに思うんですけれども。  附則の方では、与党案の方は、憲法改正を要する問題等について国民投票制度については、附則において、速やかにその意義及び必要性の有無、具体的な制度設計の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずるというふうなお考えだろうというふうに思うんですけれども、昨日の中川議員の御質問に対して、附則との整合性との兼ね合いで議論があったわけでございますけれども、その中で船田議員の方はるる、中段、概略は飛ばしますけど、最後の方で、実際の公式な憲法改正投票制度の以前に実施されるということを前提として私ども制度設計をしようと、こう考えたわけでありますというふうな御答弁をされているわけでございます。そういうふうなことの発言、そして今の発言を兼ね考えますと、この附則に書いてある必要性の有無というものは、無の方はもう今は全く考えてなくて、具体的な制度設計の在り方について検討を行うと、この点に非常に力点が置かれているように御答弁を聞きながら感じるわけでございます。  そういった意味で、船田議員発言というのは、今の与党案の附則というものをかなり飛び越えた、一歩踏み込んだ御表現になっているというふうに考えざるを得ないんですけれども、その点についてはいかがなんでしょうか。
  139. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  附則におきましては、その必要性の有無ということで無の方も書いてあるわけでございますが、現状においてもそれは必要ないんではないかということも十分これは想定をしております。  ただ、これは私個人の考えでございますが、やはり、これもちょっと言葉は語弊がありますが、一発勝負で憲法改正国民投票をやる場合は、なかなかこれいろんなことが起こり得るかもしれませんので、非常にこれは大変だなと。しかし、やはり事前に、先ほど言いましたような国民の皆さんの御意見憲法改正についての、内容も含めて、必要ないという人も含めて、どの辺にその問題意識をお持ちなのか、またどういうところ改正の必要性を感じておられるか、そういったことをやはり有権的に世論調査のような形でお聴きをするということがとても有益ではないかと、個人としてはそう考えております。  ただ、このようないわゆるその予備的国民投票制度以外の別の方法で国民の世論を酌み取る、あるいは国民の皆さんが何を考えているかということを酌み取る何か別のいい方法があれば、それはそれにゆだねるべきであろうと。そのときは、ここに書いてある、附則に書いてあるような予備的な制度は必要ないのかもしれない。今のところはその有無と、正に有無でございますので、必要がある場合にはまたその設計もしなきゃいけない、必要がないときにはそれはまた別の手段に頼らざるを得ないだろうということで、両様の構えという気持ちでございます。  ただ、私個人の気持ちとしては、あった方が望ましいなというのが個人的な見解であります。
  140. 広田一

    広田一君 附則といえども、この場で議論するときに、先ほどの、赤松議員に対して、なぜ六十年間国民投票法案改正されなかったのか、この点についての御見解は、それは個人的な見解でもういいとは思うんですけれども、附則といえども、この法律に書かれている事柄で有無というふうな、必要性の有無というものを入れたのは、非常にかなり重いものが私はあるのではないかなというふうに思っておりましたけれども船田議員、この分野に対する責任者と私は思っている方の個人的な考え方の御答弁ということで、なかなかちょっと理解し難いんですけれども、私は、責任のある御答弁をしていただいているというふうな前提に立ちますと、今の一連の御答弁から思うと、この必要性の有無というところは削除されて、速やかに具体的な制度設計の在り方について検討を行いというふうになされた方が非常に議論として、またこの部分の責任者である船田議員の個人的な考え方にも沿うものになるんじゃないかなというふうなことで、ここを訂正されるようなお考えはないんでしょうか。逆に、訂正すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。
  141. 船田元

    衆議院議員船田元君) 大変、今の御指摘は大変鋭いなと思っておりますけれども。  やっぱり、私の個人の考え考えとして、やっぱり必要ないよという結論が出る場合もあるかもしれません。可能性は低いと思いますけれども、ゼロではない。そういう状況の中ですので、ここでその必要性について、その有無ではなくて、あるということだけで議論をするというのも、これまたちょっと行き過ぎかなと、こう考えておりますので、ここは条文どおり、有無ということで対応していきたいというふうに思っております。  以上です。
  142. 広田一

    広田一君 まあ自分たちからすれば、この必要性の有無というところがなくなれば更に違いがなくなるんじゃないかなというふうな思いがございますので、ある意味では、非常に秋波を送った意味の御質問が、全然責めているわけじゃなくて、非常に私たち考え方と近いことをおっしゃってくれているんだから、それに沿うような修正、思い切って参議院でもなされたらいいんじゃないかなというふうなところでございますので、まあまあ是非決め付けないで、たっぷり審議時間はあるわけでございますので、できればこういった点についても問題意識を持っていただいて議論を進めていただければなというふうに思うところでございます。  それでは次に、最低得票率についてお伺いをしたいと思います。  この点については、先ほど前川委員の方から詳しい御質問がございましたので、私の方から、ほとんど言われてしまったんで、改めて聞くところはないんですけれども、ただ、前川委員の方も、最高裁判所裁判官国民審査についてのお話がありました。九十六条の方に規定がないので、加重要件を課すのは憲法上疑義があるというふうな事柄についてなんですけれども、先ほどの議論があったように、七十九条については、実はこれ最低投票率というものが設定されているわけです、御承知のとおり。今回の、九十六条で最低投票率というものを設置する設置しないを議論する際において、この最高裁判所裁判官国民審査の最低投票率について、こういうものがあるんだけれどもどうかというふうな議論があったんでしょうか。まず、この点についてお伺いしたいと思います。
  143. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 五年間、二〇〇〇年から二〇〇五年までの五年間、憲法のすべての条項について、衆議院参議院において憲法調査会でいろいろと議論をしてまいりました。当然のことながら、直接民主制の一つの形態でありますこの国民審査、これについても当然議論はあったわけでございます。  そしてその中で、今回の国民投票法制を私ども提案さしていただくに当たって、百分の一というような御指摘ございましたけれども、さきに私がお答え申し上げましたとおり、一つはこれは、性格としてはこれは選挙といいますよりは解職ですね、先に任命されているわけですから、人を選ぶ選挙に非常に近いものである。そしてさらには、この百分の一というのは選挙における法定得票といいますか、これに一応対応するものである。そして、更に大きな論点といたしましては、七十九条の四項でございますけれども、「審査に関する事項は、法律でこれを定める。」という形で法律に授権されているということで、必ずしも、この最高裁判所の裁判官の国民審査、これについて最低投票率を百分の一と設定することはこの憲法趣旨に合致しているだろう。しかしながら、これは九十六条の問題とは、先ほども議論がありましたとおり、ちょっと話が違うんだろう。やはり九十六条の段階においてこの最低投票率を設けるということは、本憲法趣旨には合致しないんではないかということでこの法案を出さしていただきました。
  144. 広田一

    広田一君 その上で、一点確認したいのは、皆さんの論に立てば、この七十九条に規定するものですね、最低得票率というのは加重要件というふうに、加重要件否かについてはどのようにとらえられているんでしょうか。
  145. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) お答えいたします。  法律でこれを定めるという明確な授権がございますので、これは加重要件にはならないと考えます。この七十九条についてでございますけれども
  146. 広田一

    広田一君 まさしく今私たち議論しているものも、国民投票法案法律でいろいろ、憲法改正手続について法律を作っているわけでございますけれども、もちろんこれは法律でやらないといけないというのは、これは当たり前の話でございまして、そういうことを考えると、まさしくこの最高裁判所の裁判官の件についても、これはもちろん、確かに憲法では御丁寧に法律で書いているわけなんですけれども、これは法律で決めないといけない事項だというのはもう当たり前のことだろうというふうに思います。  そういうことを考えると、その法律で授権云々というところをもってして加重要件に当たらないというのは私ちょっと理解できないんですけれども、もう少しその辺について御説明をしていただきたいと思います。
  147. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 先ほど保岡委員からも御答弁申し上げましたとおり、九十六条の趣旨に照らしてもしも最低投票率を設けるということであれば、諸外国における憲法典であるとか、あるいはこの九十六条の文理上の措置、そして、あるいは実質上の理由ということを申し上げましたけれども、文理上の問題も一つの理由の中に入っているということは先ほど赤松委員からも御答弁申し上げたとおりでございます。  そして、ですから、九十六条においてもしも最低投票率を設けるということが法律でできるとするんであれば、先ほど保岡委員から、九十六条に、法律に定めるところによりなどの法律に対する明確な授権が必要であろうということを申し上げたわけでございます。  これに対しまして、七十九条の最高裁判所の裁判官の国民審査については、人を選ぶ選挙である、まあ選挙といいますか、これはリコールに該当するわけですけれども、さらにはそれぞれの最低投票率も含めたもろもろの事項について、七十九条の四項において、「審査に関する事項は、法律でこれを定める。」ということで法律に明確に授権をしているということで、根本的にやはり九十六条の立て方とは違うんではないかということでございます。
  148. 広田一

    広田一君 根本的に違うというふうなお話なんですけれども、しかしながら、皆さんがそのまず前段階に戻ったときに、この直接民主主義としては非常に現憲法では例外的に取り扱われておりまして、憲法改正国民投票と、それとこの裁判官の任命の国民審査、これは直接民主制としてやられていると。しかも、九十六条については、最低投票率については書かれておらないと。それを行う場合には加重要件になってしまうということなんで、それに対して、いや七十九条についてはこの四項で「法律でこれを定める。」ということであるので全く本質は異なるんだというふうなことなんですけれども、この憲法改正国民投票についても、これは書いてる書いてないというふうなことは別にして、これはまさしく法律で決める以外全くやりようがないというか、当たり前のことであるので、それをもってして全く質が異なる、全く違うものだということの方が私はかなり無理があるというふうに言わざるを得ないんですけれども、その点についての御見解はいかがでしょうか。
  149. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 憲法において国民がいろんな形で投票するというような制度を書いておりますのは、この国民投票、それから九十五条あるいは七十九条、さらには普通の選挙というのがございます。普通の選挙あるいは選挙ということになりますと、これについては法律で定めるところによりということでございまして、選挙については最低得票率はどの法律においても定められておりません。現実問題として、国会議員選挙あるいは地方議員選挙で最低投票率を定めるということが我々は考え得るだろうかということにもなってまいります。  ですから、国民投票についても、やはり最低投票率というのは憲法事項であろう。しかしながら、七十九条あるいは九十五条においては、法律に定めるところにより、あるいは「審査に関する事項は、法律でこれを定める。」という形で、法律でそういうことを書いてもいいというようなことを憲法に実際書いてありますので、ここのところ法律で最低投票率を定めるということは矛盾はしないんではないかというふうに考えております。
  150. 広田一

    広田一君 葉梨委員、先ほどの私の御答弁と今の御答弁、ちょっと矛盾をしております。  といいますのも、先ほどこの件に関する当初のやり取りの中では、この国民審査というものは、これ人を選ぶものに近いものだというふうに御発言をされております。しかしながら、今、先ほど、人を選ぶ選挙で最低投票率というものをつくること自体が考えられないというふうな御趣旨発言をしておりますけれども、この国民審査は人を選ぶものに近いものでありながら最低投票率を規定しているわけでございますので、そういうふうな意味から考えますと、今の御答弁というものはどちらかに合わせていただかないと私は整合性が取れないと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  151. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 先ほど申し上げましたのは、人を選ぶ選挙においては投票率ではなくて法定得票というのが定められておりますということを申し上げました。選挙ですから、だれかを選ばなければいけない、余りに乱立をした場合にどうだということが法律上の措置として定められているわけです、選挙というのは一人を選ぶことになるわけですから。ですから、この百分の一の規定というのが最低投票率という形で書いてありますが、実質上の意味としては、これは選挙における法定得票、これに当たるものを規定しているんだと。ただし、この最低得票率という形で国民審査法律上明確に規定されているわけで、これがじゃ憲法上疑義が当たるかといえば、そこのところは最低投票率という形で定めたとしても、明確に憲法七十九条第四項が法律にこれを授権しているので、そこは問題はないと。  いずれにしても、百分の一の最低投票率と、もし百歩譲って、憲法改正をする必要がないということは私は考えておりませんけれども、そういう論を取るにしても、百分の一という最低投票率を設定するということはなかなかちょっと考えづらいんでしょう。ですから、実際上の意味としては、これは法定得票率に当たるものを最低投票率という法形式で書いています。最低投票率でという法形式で書くということは、これは憲法においても授権しているということでございます。
  152. 広田一

    広田一君 実際の法定得票率に該当するというふうなお話だったんですけれども、繰り返しそれを根拠にされているんですけれども、それをちょっと具体的に言い換えて説明していただけないでしょうか。
  153. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 実態上の議論として、一定の得票を取らないと供託金が没収になってしまいます。そして、一定の得票を取らないと再選挙という形でもう一度選挙をするという形になってまいります。そこのところになるわけなんですけれども、これは投票率とは関係がないわけでございます。ただし、投票率というのの中である程度の得票を取った候補が、それが当選人になりますよというような形を実態上の話として、実際問題として、国民審査における投票というのは、国政選挙一緒に行われることになりますので、それほど低い投票率が想定されるわけではない。その中で、この投票率というのを書いているというのは、国民審査で選ばれる人というのがそれはそれなりに一定の信頼を、数として一定の信頼を得るということとして、趣旨としては、実態上の問題としてはこの法定得票率に非常に似てくるけれども法律上は最低投票率と書いております。ただ、法律上、最低投票率という形で定めることは、憲法七十九条四項が審査に関する事項は法律に定めるということを書いてある趣旨に照らして、これは憲法違反ということはないということを申し上げているわけでございます。
  154. 広田一

    広田一君 この点についての議論は更に深めなければいけないんですけれども、私たちは法治国家なんで、法律に書いていることがすべてなんですよね。最低投票率というふうに書いている以上、私たちはそれに基づいて議論をやっぱり進めていかなければいけないというふうに思いますし、先ほど御指摘があったように、この規定が設けられた理由は、いろんな意見ありますけれども、棄権者が余りにも多いような場合にはごく少数の投票によって国民の意思を測るのは適切でないと、まさしくそういった趣旨から最低投票率が定められているわけでございますので、こういった事柄についても憲法改正においても排除することなくこの参議院において議論をしていっていただきたいというふうに思います。  るる御質問をさせてもらったわけでございますけれども、冒頭の保岡議員に対する御質問をさせてもらったところにあるように、是非とも慎重かつ期間を十分に取ってこの国民投票法案審議すべきであるということを最後に強く主張して、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  155. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  今日、この委員会で初めての質問ということになりますので、審議の在り方について冒頭に委員長に私も一言お願いを申し上げておきたいと思います。  私は、参議院におけるこの法案国民投票法制についての議論は、与党案についてはもちろんのことですけれども、法制そのものについても白紙からの出発でありまして、今国会での成立などの出口を前提としての審議は絶対にあってはならないことだと考えております。  憲法の附属法としての法案の重要な性格、あるいは今国会での成立は望まないという方が多くを占める世論調査の結果もございます。朝日新聞の、先ほど来話題になっておりますけれども、最低投票率制度を設けるべきだという方が八割に上るというこの世論調査の結果は、言わば与党案への強い批判にほかならないというふうに受け止めるべきかと思うわけですね。  こういう世論にかんがみれば、参議院審議に求められるのは、国民の皆さんの総意を酌み尽くす国会との間でのキャッチボールでなければならないと思います。国民主権の具体化だというのであれば、参議院でこそ、主権者であり憲法改正権者である国民の総意を酌み尽くして、十分な慎重な審議を尽くすことを改めてお願いを申し上げたいと思います、委員長
  156. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 分かりました。
  157. 仁比聡平

    仁比聡平君 そこでまず、発議者の方々の陳謝についてお尋ねをしたいと思います。  昨日、この委員会の冒頭で陳謝があり、そして与党先生方からの御質問での答弁もあったわけですけれども、私は正直に申し上げて、陳謝の意が、真意が全く伝わってこなかったというふうに私は感じました。  保岡議員にまずお尋ねをしたいと思うんですが、その問題となっている発言のどこを、なぜ正さなければならないというふうに反省をされているのか。昨日は誤解という言葉もあったんですけれども、あの本会議場で、私だけではございませんでした、ほぼ、声に出したかどうかは別として出席をしていた参議院議員の恐らくすべてが、恐らくすべてがそのような思い感じたと思うんですけど、誤解、何を誤解をした、何を誤解をしたというんでしょうか。
  158. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先ほど来から御説明申し上げてきたとおりなんですけども、繰り返しになりますが、一つは、正確に言えば、ゼロから議論を始めるのではなくということを申し上げましたが、やっぱり我々が衆議院から法案を送って最初の委員会において初めて法案としての審査をされる参議院としては、これから議論することじゃないかという思いで、ゼロからの議論を始めるのではなくという私の発言は、これは大変不適切な発言だったと思いましたので、撤回もいたしまして、議事録の修正をしていただいたところでございます。    〔委員長退席、理事中川雅治君着席〕  それから、足らざるところを集中的に審議されというのは、両院の機能、役割という点から、お互いに力を合わせていい議論や成果を得ていく、そして立法府の責任を果たすということだろうと思いますので、そういう点では、衆議院で至らなかった点、問題がある点、あるいは更に議論を詰める点については参議院で御審議いただくことを期待しての発言でしたけれども、全体として参議院審議に私がとやかく言う立場ではないということも言えますので、具体的な法案審議に関する発言としては不十分であったと、また適切でなかった点もあると、こう思っておわびをいたしました。  是非この参議院で、良識の府、理の府にふさわしいすばらしい審議と、その成果物法案の成立という形で得ていただければと存ずる次第でございます。
  159. 仁比聡平

    仁比聡平君 保岡議員の答弁は、参議院では白紙なんだ、これからなんだという質問に対するその流れの中で、それに対する答弁として行われていて、衆議院審議を行ってきたんだということを紹介をされた上で、これら衆議院での審議を踏まえて、足らざるところを集中的に審議され、それにふさわしい時間が掛けられるものと思料しておりますというふうになっておりまして、参議院はゼロからの出発ではない、衆議院がやってきた、それを踏まえて、足りないところを集中的に審議する、それだけの時間を取ればいいだろうというふうに私は受け止めたわけですね。そういう趣旨の、参議院での運営に指図をするかのような発言であったという御自覚はあるんですか。
  160. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) そのときは全くありませんでしたが、言葉上そういうふうに受け止められてもやむを得ない発言の内容になっているので、おわびして訂正をお願いし、議事録から削除していただいたわけでございます。
  161. 仁比聡平

    仁比聡平君 そういうつもりはなかったのに、そういうふうに受け止められる発言が出てくるところに問題があるんじゃないんですかね。だから、帰れ帰れという声があれほど起こったんじゃないんですか。  保岡議員は、衆議院憲法特の委員長代理としてそこにお座りになっていらっしゃるわけです。大変重い肩書ですよね。そのお立場でどうしてああいった発言になるのか。私はあの発言を伺っていて、〇四年当時の、二〇〇四年当時の自民党、御党の中の憲法改正の草案作りの過程において、憲法改正草案大綱、たたき台だったかと思いますけれども、大騒動になったということを想起をしておりました。改めて見直してみましたけれども衆議院の優越を更に強めて、参議院の権能を後退をさせる、大臣は衆議院議員に限るというような辺りが当時大問題になりましたよね。その取りまとめに保岡議員深くかかわっておられたんだと思うんですが、この二院制にかかわる当時のこのたたき台の取りまとめについて、今でもいいものをまとめたというふうに思っていらっしゃるんですか。
  162. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 近藤議員には誤解がありまして、あれは、まとめたといっても議論のたたき台として出したものにすぎないんです。あそこで何か多数決で決定したとかそういうものではなくて、党議決定に至る一つのプロセスとして、たたき台として出されたものであって、議論をしっかりしていくための材料というにすぎないものでございます。
  163. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、私は、その取りまとめ、たたき台で結構なので、今でもいいものだと思っているのかと聞いているんですよ。  私は仁比と申します。
  164. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 頭がぼうっとしていて失礼しましたが、仁比議員、お名前を間違えて恐縮でございました。よく分かっております。  それで、今言われた、参議院から大臣出さないという、両院の在り方の考え方が正しいと思っているかということですね。その点についての私の個人的な見解を求められたと理解していいですか。その点についてはまだ結論を得ておりません。
  165. 仁比聡平

    仁比聡平君 結論を得ていないというのは、もう御党の中でのお話ですのでこれ以上申し上げませんけれども、私は、あの当時大変な騒動になって、御党の中でもその考え方は、まあ言わば不適格とされたというふうに受け止めておりました。だけれども、今日なお、個人的な見解でありながら、とはいえ、その点についての結論は出ていないとおっしゃるのは、つまり今の現行憲法以上に二院制を変えると、衆議院の優越を更に高めて参議院の権能を後退させるという考えも今なおお持ちだということなんじゃないんですか。そういう考え方に基づいてこの間の答弁なされたんじゃないんですか。
  166. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 私も憲法改正衆議院調査にも深くかかわってまいりましたし、党の議論にも深くかかわってまいりましたし、私自身としても、この時代を頭に置きますと、政治家として憲法改正の問題に取り組むことは非常に重要な問題と意識しております。  そういう立場で、いろいろ責任ある立場に立たされておりますので、こういう非常に微妙な問題についていろいろ意見があるわけです、党内にも。したがって、私が個人的な意見を、結論を出してここで表明するということはあり得ないんで、私はそういうことは全く考えていないということを申し上げたところです。
  167. 仁比聡平

    仁比聡平君 はっきりしないじゃないですか。結局、今の、現行憲法の二院制、我々参議院のこの権能について、底をついたといいますか、足をどっしり据えたといいますか、今の憲法に根差したしっかりとしたお考えがないからああいう発言が出るんじゃないんですか。  先ほど、発言をしたときには審議の運営について指図するようなつもりはなかったとおっしゃったけれども発言はそうなっているわけですよ。そういう答弁をあの本会議場で、それもこれだけ重大な局面でされるという方に、私は、発議者としての資格はない、そこまで思わざるを得ないんですが、二院制についてのきちんとした明快な御見解を伺いたいと思います。
  168. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) その点も簗瀬議員質問に始まりましてずっとお答えしてきたところですけれども、衆参ともに憲法上与えられた権能がありますので、その権能に沿って有無相通ずる、あるいは機能をいろいろ与えられているところに沿って十分な役割を果たして、ともに立法府の責任を果たしていく。唯一の立法機関、国の最高機関としてのやはり憲法上与えられた地位を両院において協力し合って全うするということが両院の正しい在り方だと思っております。
  169. 仁比聡平

    仁比聡平君 協力するというふうにおっしゃるので、言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、一院、衆議院と違う結論を参議院が出すということはあり得ることですよね。
  170. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) そういう場合もあります。そして、そういう場合にはどうすべきかということも、憲法上規定があるものもあれば法律で規定している分もあります。  先ほどから、繰り返し申し上げない趣旨で要約しましたけれども、両院の機能というのはそれぞれ違っておるところもあります。例えば、内閣の不信任案の決議、信任の決議、これは衆議院のみでありますし、それから予算の先議権も衆議院のみに与えられております。一方、参議院にのみ与えられている権限としては、衆議院が解散中の緊急議会、そこにおける暫定議決というものがあると思います。それに法律や条約、あるいは予算、あるいは内閣総理大臣の指名などにおいては衆議院の優越が定められておるところでございます。  そして両院においては、一院に権力を集中することは非常に立法府の権能が専横に拡大する可能性を阻止するために二院制にするという意味や、あるいはお互いにチェック・アンド・バランスということで、足りない点、問題の点、いろいろなことをチェックし合う関係もあると。特に衆議院の議決に対して、参議院においてはその構成、選挙母体あるいは選挙方法など違うことにかんがみまして、比較的長期の理性ある良識の府としての判断が求められている。  しかし、いずれにしても、両院がそういった制度の中で、ともに国民のために立法府の責任を果たしていくというしっかりした関係が必要だと思う次第でございます。
  171. 仁比聡平

    仁比聡平君 参議院衆議院とは別の独立した院として自立をし、その運営においても、そして結論においても、別の結論を出すことはこれはあり得るという意味ですよ。あり得るということはよろしいですね。
  172. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) それは当然のことだと思います。
  173. 仁比聡平

    仁比聡平君 私は、陳謝、削除をされたとしても、発言そのものがなされたということの重大性は変わらないと思うわけです。間違っても当委員会審議が、私が指摘したような問題に引きずられるものではあってはならないということをもう一度指摘をしておきたいと思うんです。  保岡議員だけではなくて、私は、葉梨議員、そして船田議員の御発言の中にも大変不適当なことを感じたわけですが、先に葉梨議員にお尋ねしたいんですが、紳士淑女の府とおっしゃったんですよね。どういう意味ですか。
  174. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 昨日おわびを申し上げたところでございますが、私の個人の考え方を申し上げさせていただくと、現実にあの場においてああいう形に荒れるとは私も思わなかったものですから、私個人の心情を申し上げさせていただきました。  平成十一年に私、警察庁を退官いたしまして、平成十二年、憲法調査会の会長になりました葉梨信行の秘書になりました。五年間の間ずっと地元を回らしていただきましたけれども、その五年間の間、私は茨城ですが、利根川を越えることはない。だけれども、この憲法の問題だけは、二〇〇〇年に衆議院参議院憲法調査会ができてからずっとそれは私もライフワークとしてフォローをさせていただきました。そして、二〇〇五年に初当選、いえ、二〇〇三年です、初当選を果たさせていただいて、あっ、ごめんなさい、二〇〇五年ですね、済みません。そしてずっと憲法調査会に、やっぱり一期は違ったんですが入れさせていただいて、そして憲法調査特別委員会になってもずっと入れさせていただきました。  その中で、私なりに一生懸命この憲法の問題について勉強をし、そしてこの憲法日本憲法はすごくいいものだ、大事にするけれどもやっぱりこれは何とかみんなで考えていかなきゃいけない、そういう思い憲法の勉強をさせていただきました。  そして、憲法改正国民投票法案というのは、正に国民の主権を国民に取り戻すために絶対に私は必要な法案である。そういう中で、私が法案提出者として大変光栄な中で答弁もさせていただきました。当日、参議院の本会議に入りますという前に、議長応接室に入らせていただいて、その議長応接室では憲法の発布、当時の、国会議事堂ではございませんけれども、その絵も掛かっておる、その歴史の中であるんだなと。やはりこの参議院というこのすばらしいところで私が答弁させていただくという、本当にこれは光栄であると、そういう思いから私は申し上げさせていただきました。  しかしながら、私自身、昨日もおわびをいたしましたのは、やはりまだ若輩の政治家でございまして、そのいろんな政治状況について、あるいはその場の雰囲気というのをのみ込む、その意味での配慮がやはり足りなかったんだろうと。あれだけ荒れた中で、例えば紳士淑女の集まりだということを大変気に障った方がいらっしゃったということ、その配慮がやはり足りなかったということは、やはり私自身がまだ若輩で、政治家としては未熟なんだろうというような思い感じております。誠に申し訳ございませんでした。
  175. 仁比聡平

    仁比聡平君 葉梨議員の心情とおっしゃった、今長く話されましたけれども、私も政治家同士ですから、まあ思いとしてはお伺いをしましたけれども、心情や個人的な思いの問題じゃないでしょう。  今、最後に、その場の雰囲気に配慮できなかった、政治家として若輩だと、そんなことを問題にしているんじゃないんですよ。私は、あのときに、自分は紳士じゃないと思いましたよ。私は紳士としてこの議席にいるんじゃない、国民の皆さんから選出をされた代表国民代表としてここにいる。あなたの発言を聞いて、まるで貴族院時代の第二院を想起をしているんじゃないのか。紳士淑女、あの場面でそんなふうにおっしゃるのはそういうことなんじゃないんですか。  保岡議員発言に対して議場が抗議をしました。その意味を私は受け止めていなかったんじゃないのか、そう思いますけれども、いかがです。
  176. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 国民が選んでいただく方ですから、それだけのやはり良識を持った紳士を選んでいただいているものだというふうに私は確信をしております。  そして、私の発言に配慮が足りなかった面があるとすれば、やはりその場の雰囲気を読み取ることができなかったと、その一点であろうというふうに思います。
  177. 仁比聡平

    仁比聡平君 本当に反省をしておられるのかというのが私にはよく伝わりませんが、二院制について、参議院について、先ほど保岡議員が御発言もありましたけれど、その要点の部分については、葉梨議員、どうお考えなんですか。
  178. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 個人としての見解を申し上げさせていただきたいと思います。  さきに、衆議院憲法調査会の時代において二院制について私も発言をさせていただきました。今後この日本制度設計する中で、この二院制の意義というのは私はこれからますます重要になってくるだろうというふうに思っております。といいますのは、例えばの例ですけれども、これからはやはり議員がしっかりと立法をしなきゃいけない。衆議院立法をするときにやはりそれを参議院がチェックする、参議院立法をするときに衆議院がそれをチェックする、そういう形の意味でも二院制というのはこれからますます重要になってくるだろうというふうに思います。  ただ、個人的な見解として申し上げさせていただければ、例えば選び方の問題として、それはいろいろと今後検討しなければいけない部分はあるでしょうけれども、じゃ衆議院の今の小選挙区というのはいいのか、あるいは参議院は各都道府県から例えば一人というような代表の選び方もあるのか、それはそれぞれの院においてやはり検討をしていくことは私は国民のためにも必要であるというふうに思っています。  しかしながら、今冒頭申し上げましたように、衆議院参議院、この二つの院があるということの意義は、これから減ることはあっても増える、いや、増えることはあっても減ることはないというふうに私自身は思っています。(発言する者あり)いや、この議場、第一委員会のこの伝統ある議場ですから、私だって緊張いたします。  申し訳ございません。増えることはあっても減ることはないというふうに考えております。
  179. 仁比聡平

    仁比聡平君 時間もありませんから、船田議員に少しお尋ねしたいんですけれども、私が問題と感じたのは、もうお気付きだと思いますが、足らざるところだけではなくて、足るところも併せてしっかりと議論をという御発言なんですね。これは、保岡議員あるいは葉梨議員の御答弁の中でいろいろ抗議もあると、そこを取り繕おうとされたのかなというふうに気持ちとしては感じたんですが、この足らざるところ、足るところというのは一体どういう意味だったんですか。
  180. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今、仁比議員指摘のように、私の答弁の前が保岡議員の答弁でございました。その中で今の足らざるところという発言がありまして、私としては、それでかなり議場が混乱といいますか、ちょっと騒然としたと。これはやはりそれを修正する必要があるんではないかと、こういう考え方から、足らざるところだけではなくて足るところも含めてと、こういう言葉を使ってしまったんですが、今から考えると、それは不適切であったというふうに思っております。  私が真意としたところは、先ほど保岡議員からもお話ありましたように、参議院においては正に初めてのこの法案に対する審議でございますので、その全般について十分な、そしてしっかりとした審議をしていただきたい、こういうことを申し上げようと思っていたわけでありますが、保岡議員言葉をそのまま引用してしまったということにちょっと不適切な部分があったと、こう反省をしております。
  181. 仁比聡平

    仁比聡平君 ちょっとしつこいようなんですが、保岡議員にちょっと別の角度でお伺いしたいんです。  足らざるところという、おっしゃったわけですね。その足らざるところがこの送付をしてこられたこの法案にあるというお考えなんですか。
  182. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) それもお答えしてきたところでございますが、我々は、衆議院で採決した時点では我々としては最善なものを参議院にお送りしたという認識ではあるけれども、世の中には完璧、完全というものはないので、是非また別な角度、いろいろ参議院にふさわしい御論議を、独自性を発揮して議論をしていただきたいという期待を持っておりますが、冒頭にも仁比議員にもお答えしたように、別に私は参議院審議の在り方についてとやかく言う立場ではないので、そういった発言については不適切であったということで、おわびもして削除、訂正していただいたわけで、御理解をいただければと思います。
  183. 仁比聡平

    仁比聡平君 先ほど申し上げたように、発言そのものは、足らざるところを集中的に審議するにふさわしい時間を取れば足るという趣旨に受け止められる御発言だったわけです。  実は、足らざるところはないはずだと思って答弁に立っていらっしゃるのであれば、すると、足らざるところはないわけだから、それに集中的な審議をする必要も本当はない、だからさっさと通してくれ、通すべきだというような発言になりませんか。それは、安倍総理が改憲、そのためにまずは手続法と、国会に今国会成立を強く迫ってきた、その発言と軌を一にするものだ、表裏一体のものだと私は考えた、感じたんですけれども、その安倍総理発言、あるいは衆議院での採決の強行、それを踏まえてどんなふうに感じていらっしゃるんですか、まずは手続法という発言
  184. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 私が最善なものとして認識してとにかく出したけれども、謙虚に考えればという言葉を入れてもいいと思いますが、物事には完璧というものも完全というものもないので、むしろ二院制の趣旨を生かして参議院独自のきちっとした御審議をいただいてともにいい法律を作っていくということで期待を申し上げた、その真意においてはいささかも恥じるところはないんです、私は。  実は、私どもは中山太郎委員長の下に衆議院において五年の憲法調査をやってまいりましたし、また手続法についても設計をし、いろいろ、設計した後は法案として提出してやってまいりましたが、できるだけ幅広い議論をするということで、むしろ、賛成の意見と反対の意見とを比べれば、反対の意見を聴く機会の方が多かったと、こう思っております。なぜならば、違う意見を聴いた方が議論を深めたり自分が足りなかったところ、自分の不足するところ指摘されることなどがあって気付かされることがある。したがって、自分と同じ意見はむしろ聴き流しても違う意見には耳をしっかりそばだてて聴いて議論をする。  個人的にそうしただけじゃなく、中山委員長の下には、現場には与野党そういう信頼関係があったと私は確信しておりますし、私もその一員として誠実にやってきた自負心があるからこういうことを先ほどから強く私の真意として申し上げているところでありますし、そういった我々の気持ちを酌んでいただいて、発言は訂正したとおりでございますので、これからの御審議にできるだけ、すばらしい御審議をいただいて、ともに両院でいい結論、法案の成立を目指していただければと思う次第でございます。
  185. 仁比聡平

    仁比聡平君 総理発言については。
  186. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 総理発言については、我々現場は一切、先ほどから申し上げてまいりましたとおり、一切我々は影響されることはなかったと自負いたしております。
  187. 仁比聡平

    仁比聡平君 安倍総理の一連の発言国会への干渉だという、そういう認識はおありですか。
  188. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) これも先ほど来答弁してきたことの繰り返しになって恐縮でございますが、総理総理として、時代の背景を考えると、国家のグランドデザインを描くべき大事な歴史の転換点に立つリーダーとして、そのグランドデザインの中に基本法改正ということを位置付けて御主張になるのは、これは政治家の姿勢や考え方として私は当然あってしかるべき物の考え方だと思います。  ただ、私たち現場は、こういった総理の御発言とは関係なく、我々自身、できるだけ幅広い議論の下に、また幅広い合意形成を目指して最善の努力を尽くしてきたということはいささかも恥じることがないという趣旨で先ほどから申し上げているとおりでございます。
  189. 仁比聡平

    仁比聡平君 そのように繰り返して御答弁をされるんですけれども、多くの国民の皆さんはそう思っていないし、例えば新聞の社説などでもそうではない受け止めの声が広がっていますよね。  これ、衆議院での採決が、本会議で採決された翌日の四月十四日の中国新聞の社説ですけれど、国民投票法案と米軍再編法、この二つの重要な法案が可決をされたと。いずれも安倍晋三首相の強い意向を受け与党委員会審議を打ち切るなどして採決を強行した、安倍首相が憲法改正を参院選の争点に掲げ今国会法案成立と述べて潮目は変わった、中身よりも首相の示した締切りを優先した印象が強い、週明けの参院が議論をおろそかにしては存在意義を問われることになろうと、こういう社説です。こういった受け止めの論説は議員も皆さんもほかにも目にしていらっしゃるんじゃないかと思うわけです。  今日も九条をめぐる議論がありました。今日、私、そこに踏み込むつもりはございませんが、戦後レジームの脱却という今後の未来像について総理憲法問題でおっしゃるのは、自民党憲法草案、これを掲げた憲法改正であり、そのためのまずは手続法ということを、年頭の会見でもそうですし、御党の大会でもおっしゃっているわけでしょう。その憲法改正、私どもから言わせれば改憲のスケジュールのその一段階としてこの国民投票法案を急いでいるんじゃないんですか。
  190. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 総理政治家としてのお考えや信念というものもこれはもう当然あってしかるべきだと、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、我々、法案を扱う委員会における現場の認識としては、安倍総理発言に影響されるということは一切なかったと断言してもいいかと思います。  それに、仁比議員指摘されました論説でございますが、論説にはいろいろな論説がありますし、それは新聞の見方でございます。我々としては、いろいろな受け止め方がされるということを念頭に置いて、政治家として常に国民の理解、本当に支持というものが得られるように、そしてまた国民皆様に納得いただくような審議をしていく責任があると思いますので、そういったものを無視するつもりはありませんが、我々としては、先ほど申し上げたような姿勢で誠実に審議をし、議決をして、参議院法案をお送りしてきたと思っております。
  191. 仁比聡平

    仁比聡平君 国民の皆さんの声や新聞などの論説あるいは世論、これを無視してはならないのはこれ当然のことでございますよね。私が申し上げているのは、この手続法国民投票法案、これは、主権者憲法改正権者である国民の皆さんが最終的には投票に至る、その前提として、発議を受け、討論をする、運動をする、そこにかかわる国民の皆さんのための法案でしょう。ですから、皆さんも、主権を具体化するものだと、国民主権を具体化するものだとおっしゃっている。だからこそ、この法案をめぐる国会審議や採決の状況が国民の皆さんにどういうふうに受け止められて、問題点があるのかないのか、あるとしたらどんなふうな考え国民の皆さんの中にあるのか、ここをしっかり総意を酌み尽くす形で国会審議やらなかったらおかしいじゃありませんか。その声をもちろん無視してはならないですよ。ですけれども、その民意と、国民の世論と離れての国民投票法案審議や採決を急ぐなんということは私はあり得ないと思うんですが、いかがですか。
  192. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 先生が御指摘するように、国民を無視して法案の成立を急いでいるという認識は我々には全くありません。
  193. 仁比聡平

    仁比聡平君 その国民の皆さんが強く疑問に思っていらっしゃる点を幾つか挙げながら、発議者憲法九十六条と国民主権の原理、あるいは憲法制定権力と改正権限、こういう問題についてどういった憲法論に立ってこの与党案を提案をしておられるのか、私はちょっとお尋ねをしていきたいと思うわけです。  時間が限られていますから、今日準備したものを尽くすことはできないと思うんですが、まず憲法九十六条の基本的な憲法考え方についての発議者認識をお尋ねをしたいと思うんです。といいますのは、九十六条は、特別多数による国会の議決、発議ですね、これに対して国民投票での過半数による承認を求めているわけです。この憲法改正において、国民投票は憲法上どういう意味合いで位置付けられているのか、その点については発議者はどういう憲法論に立っているんですか。
  194. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 九十六条の憲法趣旨を具体化するための手続法考えております。
  195. 仁比聡平

    仁比聡平君 趣旨を具体化するという、おっしゃるその趣旨を聞いているんです。どんな趣旨なんですか。
  196. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  日本国憲法、これはだれのためにあるのか、それはやっぱり国民のためにあると思っております。そして、その憲法改正するかしないか、これを決定をいただくのも国民の皆さんであります。つまり、そういう意味国民主権を確立し、その国民主権にのっとって憲法改正するかしないかを最終的に決定するための重要な手続としてこの九十六条が規定されていると思っております。
  197. 仁比聡平

    仁比聡平君 船田議員が今おっしゃるのと私が今から申し上げるのが同じ意味なのかどうなのか、ちょっと聞いていただけますか。  私は、国会で三分の二以上の多数によって憲法改正案が発議をされるという場面においても、その発議をする国会の意思とは全く別に、その上に主権者である国民の意思が優位する、そのことを九十六条は述べているんだと思うんです。国民投票、その中での承認というのは、その考え方に基づいて制度をつくっていかなければならないんじゃないでしょうか。  つまり、憲法をどうするかという決定権は国民一人一人とその総意ですね、その総意に決定権があるのであって、たとえ国会が三分の二以上の多数で憲法を変えようという発議、国民にとっては提案をされたとしても、その投票で過半数の賛成があって初めて憲法改正が成立する、それが九十六条の定めるところなのではないですか。
  198. 船田元

    衆議院議員船田元君) 今、仁比議員おっしゃるとおりだと思います。  国民が最終的に決めます。しかし、いろんな多様な国民意見というものがあって、そして憲法改正についてどこをどう直すかあるいは直さないかということについて、この意見をまとめ上げていくというのは、これは国会の役割だと思います。国民代表としての国会の役割はそこにあると思っております。  ただ、その国会で三分の二以上の多数によって決められた、そして発議をされた憲法改正の原案というものについては、国民の皆さんがそれはノーだとすればこれは絶対に改正はできないわけですし、イエスということであれば、それが過半数であればそれは改正ができるということでありまして、国会の発議はあくまでその国民の多様な意見をまとめ上げていくと、あるいは国民の多様な意見というものを憲法改正という方向に向かってひとつ整理をしていこう、こういうことであります。  最終的に物事を決めるのは国民であって、国民投票が最も重要な手続であると思っております。
  199. 仁比聡平

    仁比聡平君 その憲法改正案を発議する過程での国会の役割についてはまた別の機会で議論をしたいと思うんですけれども。  国民の位置付けについて再度確認をしますけれども、つまり国民投票による承認というのは、これは発議の追認ではなくて、発議を追認するということではなくて、国民が総意としてこれを決定すると、決定権は国民にあるということですね。
  200. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) お答えを申し上げます。  日本国憲法の前文にございますけれども日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定するという形になっております。  今、船田委員からもお話がありましたように、正にこの前文に述べられているとおりでありますので、憲法国民みんなが決めるということ、じゃ、国民一人一人が発案をするですとか、あるいは国民の全部の賛成がなければいけないとかということではなくて、まず国民は、正当に選挙された国民国会における代表者を通じて行動するということで発議をする、そしてその国民主権を全うするために国民投票があると、そういうような順序があるということだろうというふうに思います。
  201. 仁比聡平

    仁比聡平君 今、葉梨議員が述べられた中身とこれまで船田議員との間で話をしていた中身は、私はやや違うのではないかと思うんですが、葉梨議員の要旨は代表民主制こそが原則であるというお話であって、私が今船田議員議論をしているのは九十六条の趣旨です。九十六条というのは、つまり憲法という国の基本を国民が自ら決め、時の政府の手を縛る、その基本法をどうするかというこの場面において、今、葉梨議員が言われたような代表民主制という考え方が国民投票の位置付けにおいて何か影響をしてくるんですか。
  202. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) ちょっと言葉足らずであったかと思います。  今、前文読みましたけれども、主語は「日本国民は、」です。「日本国民は、」「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」ということが前文にうたわれております。ただし、そこにおいて、発議でありますとかいろんな各種の手続におきましては、「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」、その趣旨が九十六条に表わされているものであるというふうに理解をしています。
  203. 仁比聡平

    仁比聡平君 どうしてそれが憲法九十六条に表現をされているんですか。  船田議員、ちょっと、葉梨議員のお考えは分かりましたから、船田議員同じお考えですか。
  204. 船田元

    衆議院議員船田元君) 同じ考えでございます。
  205. 仁比聡平

    仁比聡平君 同じ考え。  公明党赤松議員も同じなんですか。
  206. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 同じであります。  両々相まつというか、お二人と同じですけれども、その辺は、国民代表としての議員の発議と、そして最終的に権限を持つ国民の役割と、こういうこと両々相まつ、そういう関係にあるんだろうと思います。
  207. 仁比聡平

    仁比聡平君 国会の発議と国民投票の承認がなければ憲法改正は成り立たないと、二つの要素、つまり赤松議員おっしゃったように、両々相まつというのはそれはそうでしょうね。だけれども、決定権はだれにあるのかと私は聞いているんですよ。決定権はだれにあるのか、発議の追認ではないのではないのかと私が伺ったら、葉梨議員が立って代表民主制こそ原則ですとおっしゃるから話がややこしくなっているんですよね。決定権は国民にあるんじゃないんですか。
  208. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) いや、私も話をややこしくするために答弁したわけではございませんが、冒頭申し上げましたように、日本国民が、主権が国民に存することを宣言し、日本国民がこの憲法を確定するということでございます。
  209. 仁比聡平

    仁比聡平君 パネルをちょっと見ていただきたいと思います。時間がなくなってきて焦っていますが。(資料提示)  これは国政選挙、人を選ぶ選挙で、過去八回、総選挙参議院通常選挙ですね、この投票率を調べますと、平均して五八・二%なんです。これ、平均して無効票が四%なんですね。そうすると、有権者数の二七・一%、四人に一人が賛成をすれば、憲法、もしこれが仮に憲法国民投票だとすると、改正が実現され得るということになるわけです。一番この八回のうち投票率が低かったのは九五年の参議院の通常選挙なんですけれども、四四・五%で、このときの無効票を考えると一九・五%、二割足らずの有権者が賛成をするだけで改正をされ得ると。  これは、国民投票は、人を選ぶ公職の選挙とは別の力学、ダイナミズムが働くということはいろいろお話もありました、今日繰り返していただく必要ないんですけれど。こういう数字で、つまり低い賛成率で憲法が変えられ得るというのは、これはおかしいと思いませんか。理屈はあれこれ今日もいろいろ聞きましたが、おかしいと思われませんか。保岡議員、どうですか。
  210. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) そういう低い投票率というのは決して望ましいものではないと思いますが、しかし制度上そういった低い投票率の場合に過半数というのは、今、仁比議員指摘されたとおり、低いものになる。しかし、そういう場合でも、例えば憲法改正国民投票にしても、そういうケースは憲法改正できなくなってしまうと。  だから、先ほど来私申し上げたように、国民が関心の薄い専門的、技術的なテーマというものも改正のテーマの中にはあり得るので、やっぱりそういった投票率と関連してくる最低投票率等の考え方は、よく実態を見て、憲法改正の可能性あるいは憲法改正の必要性、そういったものが時代の変化の中でどういう事態で起こってもきちっと対応できるような制度設計をすべきだと考えところでございます。
  211. 仁比聡平

    仁比聡平君 国民的関心の低いテーマもあり得るというお話も私はよく分からないんですよね。国民的関心の低い、つまり投票率が期待できないようなテーマをそれだけ単独で国民投票にかけるんですかね。そんなことが本当にあり得るのかというのも私はちょっと、ずうっと疑問に思いながら聞いておりました。  赤松議員、手挙がっておりましたが、いかがですか。
  212. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 仁比委員のおっしゃる、このことおかしいと思わないのかと。おかしいと思います。であるがゆえに、私は、要するに投票率が、今おっしゃった過去の選挙、五八・二%あるいは四四・五%ですよね、それに対して得票率がこういう形になるよということですよね、賛成のね。これは、当然のことですけれども、過半数の賛成ですから、仮に投票率が一〇〇%だった場合、無効票が幾らかあるんで五〇%は行きませんけれども、五〇ちょっと切れるぐらいになりますよね。ですから、言ってみれば、その十全たる部分が五十幾つであると、それに対して二七・一とか一九・五という、まずイメージとしてそういうものがあると。私は、こういうことになってはいけないがゆえにしっかりと、要するに棄権をしないで投票していただこうというふうなことでなくちゃいけないと。  先ほど来この委員会でもいろいろ申し上げましたけれども、最低投票率を設けることによって、先ほど複合的なということを申し上げましたけれども、幾つかの阻害要因といいますか、何というか、投票をうまくいかせないというか、ボイコット運動でありますとか様々なものを、あるいは外国の事例とかそういうことを見ても、経験上に照らしてみて、そういう最低投票率を置かないで自然な形に任した方がいいという判断が今の一九四六年憲法にもあるんじゃないか、そんなふうに考えております。
  213. 仁比聡平

    仁比聡平君 赤松議員からおかしいと思うというお話があったのは、率直な御感想として私、大事なことだと思うんですよね。なぜ最低投票率を置かないのかについて、要件加重の問題、ボイコット運動誘発の問題、それから国民的関心の低いテーマが改憲できなくなるという、そういう三つのお話があっています。
  214. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 外国の実例です。
  215. 仁比聡平

    仁比聡平君 ああ、外国の実例ですか。  その中で、時間がちょっと限られていますので、それぞれ私は申し上げたいことがたくさんあるんですけれど、要件加重だというそのお話をちょっと今日聞いておきたいと思うんです。  この件について、なぜそもそも最低投票率というのが問題になるかといえば、与党案がその過半数の意義を有効投票総数の過半数というふうに制度設計をされておられるからなわけですよね。これ憲法上は、昨日も議論がありましたが、全投票権者、有権者の過半数という考え方もある。そういう中で、その考え方を取れば、当然、全有権者の五割以上が賛成をしなければ憲法改正は実現をしないわけですから、こういった最低投票率的な議論は通常起こらないということだと思うんです。有効投票総数の過半数という制度設計をされるからこそこれが起こってくるわけですね。その下で、なぜ憲法上の疑義が生じかねないという考え方になるのか、その憲法上の趣旨がよく分からないんですよ。  先ほど来お話がありましたけれど、どうして憲法、最低投票率制度を仮につくるとするなら、九十六条に明記されるかどうかしておかなければならないんだと、何でそういうふうに考えるんですか。その趣旨をちょっと聞かせてもらいたい。
  216. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) それは、憲法九十六条に書いて、そして今議論になっております国民投票法という下位の法律に授権すると、こういう形を取るなら私はそれでもいいと。つまり、憲法改正のいわゆる明文に規定をされるべき重要な問題であると、そんなふうに思うわけです。  今の憲法第九十六条において過半数というふうな表現になっているというのは、私は、国会議員国民代表である国会議員が発議する段階で三分の二という大変に、硬性憲法のゆえんというか、一つの大きなハードルというものが設けられていると。それに対して最終的に結論を下す国民の判断というのは過半数と、こういうふうにしているということの読み取り方は、今申し上げたように最低投票率というふうなそういう設定を設けないで自然な形に任せていくと、こういうことが望ましいと、そんなふうな判断をしたんだろうと思います。
  217. 仁比聡平

    仁比聡平君 今のようなお話が憲法規範だというお考えなんでしょうかね。  ちょっと聞き方を変えますと、憲法九十六条は、低い投票率での憲法改正の成立を求めている、ないしは構わないというふうに考えている規範なのかという問題だと思うんですよね。  国会で特別多数が必要だというのは、これは当然のことでございます。その上で行われる国民投票は、国会で三分の二以上という厳しい、通常の法案とは違う厳しいハードルがあるから、投票の方はこれはどんな低い投票率でも構いませんと、そういうことを憲法が言っているんだというお考えになるんですか。
  218. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) そういうふうに言っているというんではありません。要するに、国民の、何といいましょうか、これ、日本国民に対する期待感といいますか、そういう低い投票でこの物事が決定されるというふうな、そういう考えはなかったんだと思います。  つまり、大勢の人が、今先生指摘のように、この憲法改正に伴う国民投票というものに関して強い関心を持ってしっかりと投票する、こういうことが憲法創定者の頭の中にあったんだと、こんなふうに私は思っております。
  219. 仁比聡平

    仁比聡平君 朝日の世論調査で、八割の方々が最低投票率制度を設けるべきだというふうに考えておられる。そういうふうに回答しておられるのも、つまり、国民主権、民主主義の社会で、事は憲法なんだから、これを変えるというんだったら、そういう最低投票率の制度を設けるのが当たり前じゃないかという、その憲法意識の反映ですよね。そういう国民憲法意識の土台になっているのは、私は条文でいうなら九十六条なんだと思うんですよ。そして、この九十六条を始め、憲法に貫かれている国民主権の原理、国民憲法制定権力者なんであるというその考え方なんだと思うんですね。  今、赤松議員からお話があったように、九十六条は低い投票率での国民投票を期待しているわけではないとするなら、そしたら、この国民投票を具体化する制度で最低投票率をつくってはならないということを憲法が何かあたかも求めているかのような議論が今日あっていましたけれども、そういう議論の立て方はおかしいんじゃないんですか、どうですか。    〔理事中川雅治君退席、委員長着席〕
  220. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 憲法上何も書いてないことということは、憲法が最低投票率というのを定めることを求めていないというふうに文理的に我々は解釈しております。  それと、その過半数の賛成があれば承認したものと見るというこの過半数については、これは立法府が解釈して、合理的な解釈でその内容を法律上定めればよろしいと、こういうふうに理解しております。  その両方は全く別な問題だと承知しております。
  221. 仁比聡平

    仁比聡平君 もちろん、論理的には別の問題の面もあるんですけれども、具体的にどれだけの国民の方々が投票し賛成をすることによって改憲が実現するのかという意味においては、もう同じ問題なんですよね。同じというか、関連した問題なんですよ。関連した問題なんですよ。  それも、私は、過半数の意義についても、国会が自由にその裁量で決められるというものでは私はないんじゃないかと思います。最低投票率の問題も国会が自由に決められるという問題では私はないと思うんですが、これは、つまり保岡議員は、九十六条は最低投票率を定めることを禁じているというそういう御趣旨なんですか。
  222. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 禁じているというふうにまあ言うべきか、それを全く憲法は予定していないので、その予定していないことを我々立法者が行うことは憲法違反の疑いがあると、こういうことです。
  223. 仁比聡平

    仁比聡平君 禁じていると断言することは私はできないと思うんですよね。立法者が、立法者というか、新憲法の制定時に、九十六条を作ったそのときの国民の総意が予想していたかどうかというのは、これは歴史的にとか社会学的にとかいろいろ議論があるかもしれませんけれど、法規範としてこれが何を求めているのかということをそうそう軽々に断言することは、私はたとえ与党の提案者でもできないんじゃないかと思うんです。  先ほど、民主党議員質疑の中で、答弁の中でこんな御発言もあったんですね。この九十六条は間接民主制の例外だと、硬性憲法であるがゆえに両院総議員の三分の二というその高い厳しいハードルを課していると、なのでというふうに私には聞こえたんですが、最低投票率を定めるということになれば、憲法改正を難しくすることになるので定めるべきではないというような論理だったかなと思うんですけれどもね。その論理は、前提にあるのは、先ほど葉梨議員が途中でお話しになった考え方、代表民主制こそ原則で、国会を通じて総議員数の三分の二を超えて発議するんだから、そこで決めていくのが本来じゃないのかという考え方なんじゃないんですかね。  私はそうではないと思うんですよ。国会が発議をしても、冒頭に申し上げたように、国民が決めることでしょう。国民が決めた、総意で決めたと言えるために、どれだけの方々がせめて投票をしなければならないのか。そのことをきちんと、決め付けてしまわずに、徹底して議論をするべきじゃないですか。
  224. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 最低投票率というのは、まあいろいろの選挙でも、非常に関心の薄いものが投票率が低かったり、関心が高いとき高くなったりするのは、先生がそこで図で示されたとおりいろいろなんですね。  ですから、恐らく憲法改正についてもいろいろな投票率が想定される。その場合、その投票率のどこまで投票したら憲法改正が有効かどうかという、これはもう極めて重要な、一つ一つテーマを考えてみても、単なる予測になりますが、いろいろ変化があるだろうと思えるようなものを一律に規律する最低投票率というものは、これは憲法に明示されていない限りは、こういう世界の例でも最低投票率を採用している国は、私が訪ねた国ではないわけです。それぐらいこの憲法改正にとっての要件として重要な要件でありまして、それが憲法に何も記されていないということは、憲法自身が最低投票率を許容していないというふうに考えるのが正当だと思います。  ただ、先生がおっしゃる高い投票率が望ましいと、赤松議員も言われるように高い投票率で国民がいろいろ政治に参加することは大変大事なことで望ましいということについては、これはもう当然のことでお互い共通の認識だと思っております。
  225. 仁比聡平

    仁比聡平君 時間がなくなりましたので終わりますけれども、私は望ましいかどうかの問題ではなくて、憲法が明示しているかどうか別にして、要請をしている、その趣旨を求めているということなのではないかと考えているんですね、今。  外国で、衆議院調査によっても、たくさん、承認要件が厳しいところ、最低投票率が設定をされているところあると思いますので、そういったことも含めて参議院でしっかりつぶさに調査をし、この点についても議論を深めることを求めて、私の質問を終わります。
  226. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  おとといの本会議でも質問させていただきましたけれども、今日はやはりこの間の衆議院の出口といいましょうか、終わり方と、そしておとといも話をさせていただきましたけれども、本会議のときの保岡発議人の発言についてやっぱり冒頭触れざるを得ないというふうに思っています。  この間も述べましたけれども、事は憲法の問題である、憲法に準じた手続法の問題である、拙速は避けなければならない、慎重の上にも慎重の手続をもって臨まなければならない、こういうふうに考え国民投票法案審議を見てきたわけでございますけれども衆議院におけるそれはそういう慎重さという点からはおよそほど遠い、正に拙速以外の何物でもないというふうに私どもは判断をしております。  幾つか要素があると思いますけれども、その代表例といたしましては、例えば公聴会、後半持たれましたけれども、中央の公聴会、あるいは新潟、大阪、一日で本当に駆け抜けるように二か所やりましたけれども、あの公聴会のときに、いわゆる与党の修正案は事実上公述人の前には私は示されていなかったんではないか。前日でありますので実質的に参考に供されていなかったというふうに思いますし、その後もう一度公聴会が行われて、その後民主党の対案、民主党の修正案が出されて、ほとんど数時間の議論の後に採決になったと。  与党の修正案を見ましても、例えば投票年齢の問題だとか、あるいは政治的行為の制限の問題は、ありていに言えば結論を先送りにしたと、そういう中身でありまして、そういう中身で、正に主権者である国民の範囲を明確に定めていない、最も根本的なところがきっかりと定まっていない段階質疑が打ち切られて、そして採決になった。  我が党の辻元清美議員が一番最後質問者でありまして、私もその場面を目撃させていただきましたけれども、辻元さんの指摘は実に私は筋の通った、正に根幹のところが明確でない中での質疑の打切りはおかしいんではないか、多くの人たちはやっぱりそういうふうに見たというふうに思っています。しかし、それが強行採決されてしまった。  そして、翌日の本会議で通って、そして参議院に送られてきて、私どもは正に拙速な審議だったというふうに思っていた、その冒頭に保岡委員のあの発言があった。大変な非難ごうごうの、あんな参議院で強烈な怒号、やじが飛んだのは私はそんなになかったんではないかというふうに思いますけれども、とにかく、この間何度も出てまいりましたけれども質疑の時間を足りないところに集中してやっていただきたい、二院制を正に軽視をした、非常にやっぱり腹立たしいそういう中身だったわけであります。私自身もその場で撤回と陳謝を求めたわけでありますけれども保岡委員から答弁はございませんでした。  今日、かなり何人かの方、繰り返し質問がありましたので、私はほぼそれ以上のものは持ち合わせませんけれども、改めて、私もあのときああいう発言をした立場でもありますので、改めて保岡議員発言のどこに誤りがあって、どこが大変問題があったのか、その点をつまびらかにさせた上で、かつ、これからの参議院における充実した審議、正にゼロベースからの充実した審議にきっちりと皆さん方もやっぱり協力していただく、そのやっぱり決意を是非冒頭述べていただきたい、こういうふうに思います。
  227. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 近藤議員にお答え申し上げます。  先生も言われましたとおり、いろいろるるここでお話をさせていただきましたが、両院のそれぞれの役割というのがあるのだろうと思います。そして、両院がそれぞれの機能を発揮して、その与えられている権能の独自性をきちっと実現していく、そういったことが基本的に非常に重要だということを十二分に認識して、私としては冒頭、本会議冒頭の発言を訂正させていただいたわけでございます。  衆議院におきまして、本当に我々は誇りに思っておりますが、五年間の憲法調査会調査も、また特別委員会つくってからの国民投票法制調査、あるいはその制度設計法案出してからの議論というものは、何遍も申し上げるようでございますが、各党同じ時間、質疑の時間も取りまして、そして海外に出張しましても、午前、午後とも関係者にたくさん会いまして、もう本当にこんなにもやるのかというぐらい日程が詰まっておりまして、それをきちっと議事録に残して、ちゃんと記録として本にもなっておるのは御承知のとおりだと思います。  そういうときに、決して少数政党だからという扱いしておりません。全く同じ時間の質疑の時間を取ってもらっている。普通の法案からいくと、割当てからいくと、社民、共産の場合は、恐らくもっともっとたくさんの質疑時間を全体として取らないと憲法調査会で取ったような質疑時間は確保できない、そういう取扱いのルールが両院にもあるかと思います。会派の数に応じて質疑時間を決めていくという、こういう原則ですね。我々、憲法調査会においても特別委員会においても、それをなしで、むしろ違った意見をよく聞こう、そしてそこから本質的ないい議論をしていこう、深めていこうということで、誠心誠意最後まで努力して、民主党との具体的な制度設計、これは社民、共産は具体的な制度設計に積極的な御意見が、お立場でございませんでしたので、民主、公明、自民できちっと私は調整できる最大限の努力をし尽くして、やむを得ず与党だけの法案の議決、参議院への送付になったということは、これはもう私は自信を持って、また野党の理事の諸君の皆様の名誉に懸けても言えることだと思っております。
  228. 近藤正道

    ○近藤正道君 あの衆議院審議の後、いろいろ世論調査、幾つか出ました。共同でもありましたし、いろんなところでも出ておりますけれども憲法改正の問題については意見は分かれております。しかし、九条、事九条については変える必要はないというのがどこを見てもやはり多数意見でありまして、私どもは、今回の国民投票の制度設計あるいは法案化の背景にはやっぱり九条を変えたいというそのねらいがあるんだと、こういうふうに思っておりますし、そういう意味では、国民の皆さんはそれを望んでいない以上、国民投票法案の必要はないと、こういう立場に基本的に立ちながら、なおかつ、憲法の九十六条が指し示す国民投票法案議論においては、制度設計においては最低限何が必要なのかと、こういう観点での議論は行ってきたつもりでございます。  そういう意味で、今日は少し中身にも入りますけれども、例えば皆さんは、これは単なる手続法、公正中立な手続法と、こういうお話をよくされます。しかし、私は、公正中立な、とりわけ手続法ということであるならば、なぜ憲法審査会というものが出てくるんだろうと、こういう疑問をずっと持っておりました。今回のこのいわゆる国民投票法案は、細かく言えば、憲法審査会の設置の手続と、それと改憲の発議の手続と、いわゆる狭い意味での国民投票の手続と、三つのものがどうも一緒になった、そういう中身でありまして、一番最後の方のところ、狭義の国民投票ということであれば、正に手続法だから云々という議論が一定程度成り立つ余地はあるのかなと思いつつも、前二者のこの中身は、正に手続法そのものではなくて、改憲と正に地続きのそういう法案ではないかと、私はそういう疑問を一貫して持っております。  そもそも立憲主義、つまり、憲法国民のため、そして国民が国家に権限を与えて、その権限を濫用しないように国家を縛る、こういう立憲主義の観点、あるいは硬性憲法本質からいって、常設の憲法審査会というものを設けるということはそもそも可能なんだろうか。私は、そういう制度の具体的な必要が出たときには、それはそれなりにそれ自身が大きな政治的問題だというふうに思っておりますけれども、そういうものがまだ必ずしも出てきていない中で、この手続法案の中に憲法審査会というものをとにかく入れて、とにかく常設のそういう議論の場をつくるというのは、立憲主義あるいは硬性憲法の下、そもそも許されるんだろうかと、そういう疑問を強く実は持っております。  この法案については、当初は、憲法審査会において改憲原案の審査権限を持っている、こういうふうに規定されておりました。これはもうこの法案が成立するとすぐ次の国会から発動すると。だから、極端な話を言えば、法の施行は数年後、先であったとしても、改憲原案の論議はもう直ちに始まる、そういう仕組みになっておったわけでありますが、その点についていろいろ批判がありましたんで、皆さんは、施行期間は審査を凍結する、凍結したということは、つまり改憲と地続きという、そういう指摘を事実上認められたんではないかというふうに私は思えてならない。だから、本当の意味でこれは単なる手続法、中立な手続法だというんなら、私はこの憲法審査会というものをこの法案の中からやっぱり除外をする、そして出し直す、これが私は筋ではないかというふうに思っています。  質問としては二つぐらいあるわけでございますけれども、御答弁いただきたいというふうに思います。
  229. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 近藤委員から大事な御質問がございました。  最初に、私、公明党でございまして、先生がお持ちの懸念というふうなものも実は共有をいたしておりましたし、今も実は持っております。  憲法審査会については、衆議院でも辻元委員が、今、近藤委員おっしゃったのと同じ角度の質問を何回かいただいたことはございます。  まず、憲法審査会というものをなぜこの国民投票法案の中に入れるのかという話につきましては、実は私は、この憲法調査会という場で、衆議院の場合五年、いろんな議論はしてまいりましたけれども、御承知のように、これは特に社民、共産の皆さん、いわゆる護憲のお立場に立たれて憲法を変える必要ないという皆さんの強い御主張もあって、そういう憲法改正を前提とした議論じゃないんだということで、いろんな角度から、要するに現行一九四六年憲法のありよう、また現在の日本の国の社会においての憲法の展開のされ方、そういったものについてしっかりと議論をしようよということで始めたわけでございます。  で、五年間。その結論として、それこそ国民代表である国会議員がいろいろ議論をした結果として、元々改正を意図してやったものじゃないんですけれども、その広範囲な研究調査の結果、いろんな部分で少し変えたりした方がいいんじゃないのかという意見が多数を占めたというのは数点にわたって出てきたわけでございます。  私どもは、そういった議論を無駄にしないで、要するに、果たして現行憲法のどこに問題があるんだ、問題なくて、もう今のままの、それこそ先生たちがおっしゃるように、また私たちが思うように、その現行憲法の展開の仕方がおかしい、政治が現在やるべきことをやっていないからだという側面を持つものも随分ある、法律で対応すべきものも幾らでもあると。そういったものと、しかし、時代状況の流れの中で憲法について明文を少し変えた方がいいんじゃないかという声も現実に衆議院段階ありましたし、国民の中にもそういう声はあると。そういったものを踏まえて、いよいよこれから本格的な議論を初めてやろうというのが実は憲法審査会でございます。  先ほど地続き云々、そういう声があるから設けたんだろうと言われましたけど、そうじゃなくて、当初から、しっかり一定の期間、果たして今憲法改正は必要なのかどうか、この一番基本の議論というものをしっかりやろうよと、これが憲法審査会の重要な役割でございます。  したがって、一九四六年憲法を広範囲に、もし変えるとしたらどこを変える、いや変えなくてもいい、要するに十分に対応できるのはどれなのかという仕分をしっかり調査する機関、これをまず設けると。その結果として、いや、全然何というか変える必要ないと、今のままでいいという結論も、左か右か分かりませんが、あると思います。一方で、幾つか変えた方がいいというふうになるかもしれません。それは、これからのその憲法審査会における議論を待つということであります。  そういう流れの中で、私ども、二年では短いと、やっぱりしっかりとした議論には最低三年必要だと。こういう意味で、本格的なその憲法改正にまつわる議論を、政党は政党の中で、ある意味で、密室と言ったらあれですけれども、政党の中の議論をするんではなくて、公開の場で、この憲法審査会という場で初めて一九四六年憲法のありよう、変えるならどこを変えるのか、変えなくてもいい、こういう本格的な議論を初めてするという場面がやってくる。これがまず基本的に最低三年です。  その後に、今度は現実に、先ほども申し上げましたように、変える必要があるといった場合に、憲法改正原案というものがその憲法審査会に出てくる場合もあります。また、どれだけ掛かるか分かりませんけれども、その長い歴史の流れの中で、いったん変えた憲法についてまた更に変える場面が出てくるかもしれない、いろんな不都合が出てくる場面があるかもしれない。そういったことの議論をする場として常設のものにしていこう、こういうふうな感じがあったわけで、感じというか、そういう精神でできているものでございまして、最初から改憲を必ずやるなんということで、先生おっしゃるところの地続きということは断じてない。それこそ憲法九条にまつわることなんかは私どもは容易には許さないという、そういう決意でいますんで、簡単にそういうふうな格好になるということは断じてないということを申し上げたいと思います。  あと、付け加えていただくことがあったら付け加えていただきます。
  230. 近藤正道

    ○近藤正道君 じゃ、さっきの後半の私の質問でありますけれども、どうして憲法原案審査権の凍結という事態になったんですか。それはやっぱりそれなりの指摘を受けて、皆さんとしてはその懸念を認めたからこそ凍結にしたんではないか、私はそういうふうに思えてなりません。  その点の御答弁いただきたいんですが、私は、憲法調査会のときのやっぱり本当短い経験でありますけれども、あれは現行憲法の広範かつ総合的な調査、しかし、事実上はやっぱり改憲論のかなりの大合唱、そういう私は印象を持ちました。今回は、もう二年前に自民党の新憲法草案ができています。これがどういう方向を示しているのかということについては、この間いろいろな議論がありましたけれども、私はもう間違いなく、これが終われば、通れば、次の国会からあの新憲法草案をベースにした改憲の正に公然とした議論がいろんな形で、合同でやったり様々な分科会を通してやりながら三年間議論を、事実上制度設計議論をしながら、三年を過ぎたらそれが一つの原案という形で出てくると、そういうことは私は火を見るよりも明らかではないか、そういうふうに思えてなりませんが、いかがですか。
  231. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) まず、公明党立場から申し上げます。  火を見るよりも明らかって、こう言われましたけれども、そうはいくのかなと。これは、ある意味で私どもに課せられた非常に大事な使命、役割だと思っておりまして、実は私、余計なことかもしれませんが、社民党の党首であった土井たか子前党首に言ったことがあるんです。ともかく絶対駄目だとおっしゃらないで、まずその辺は、最初から負けちゃうなんて思わないでしっかりやりましょうよと、議論を、というふうに言ったことがあるんですけれども。決して、三年間というものが、もう決められちゃった流れで押し流されるということではなくて、先ほど申し上げましたように、きっちりと、初めて本格的な議論。  実は本来的に、今、近藤先生おっしゃった、五年間のことの様子をおっしゃいましたけれども、ある意味でこの五年間に、そういう私が申し上げた憲法審査会の最初の段階でやらなきゃいけない、それこそ社民党や共産党の皆さんがやるべき役割だったんじゃないんですかということを衆議院の社民、共産の皆さんに言いました。それは確かにそうだ、公明党もやらなきゃいけないじゃないという話になって、それはそうだねというふうになったわけでございまして、決して、状況に押し流されて、まあ自由民主党の皆さんが大勢いらっしゃるところであれですけれども、そういうことではなくて、本格的な議論をしっかりやる、これが私は憲法審査会の三年。  凍結という言葉は、何かあたかも、おっしゃるように、何か決められたことがあって、それにさせたくないから当面凍結させるというふうなニュアンスで響きが聞こえるのは、確かにそういう側面があるということは認めます。だから私は、余り凍結という言葉使いたくないし、使うべきではないと思うんですけれども、本格的な憲法に関する議論がようやく始まると、こういうふうな認識公明党はおります。
  232. 近藤正道

    ○近藤正道君 整理をいたしますけれども憲法審査会でできることとできないことを整理して答えてください。
  233. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  憲法審査会として私どもがどういう役割、権能を持たせるかということでありますが、一つは、憲法及び憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行う、これが一つでございます。もう一つは、憲法改正原案、憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査する権限を持つと、大まかに言いましてこの二つが役割、権能ということになっております。
  234. 近藤正道

    ○近藤正道君 憲法に密接にかかわる法制というお話がございましたが、この中には集団的自衛権の行使、現在、集団的自衛権の行使については一定の整理が行われておりますが、これについて安倍総理は、見直す、除外例を含めて見直すと、こういうことを言っておられますけれども、この集団的自衛権の行使の見直しについてもここで行うということはあるんですか。
  235. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今の御指摘の点につきましては、これはやはり憲法と密接に関連をしていると思います。九条の規定とも当然これは関係をいたしますので、その点においての議論をするということは当然あると思っており、また調査をすることもあると思っております。  ただ、集団的自衛権そのものを認めるとか認めないとか、一部認めるとか、いろいろと議論があるところでございますが、これはあらかじめどうするこうするということを決めたものではなくて、正に衆知を集めて国会の中で慎重に審議をする、その一つの要素としてあるのではないかと思っております。
  236. 近藤正道

    ○近藤正道君 私はその辺のところは大変懸念を持っていたものであります。集団的自衛権の行使について見直しの議論がここ進んでいると。内閣法制局の見解に対する様々な論議が巻き起こりつつありますけれども、この憲法審査会が国会におけるその正に舞台になるんではないか、こういうふうな懸念を大変持っているわけでありますが、かなりこれ、ここでもって集中的にその議論を皆さんとしては想定をされておるんですか。
  237. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 先ほど申し上げました連関性の中でいうと、私は当然そういうふうになると思います。九条をめぐる議論の中でどのようにそれを位置付けるのかという問題になってくると思います。  私は、集団的自衛権という言葉でもって、そのことだけが独り歩きして、様々な人によって様々な概念の、何というか、規定の仕方の違いがあるということを私は思っておりまして、そういったものの整理も含めてしっかりと議論していく場面が必ず来ると、そう思っております。
  238. 近藤正道

    ○近藤正道君 改憲原案の審査は三年間凍結をされましたけれども、現憲法の様々な調査という名目で、事実上の改憲原案作りといいましょうか、制度設計議論が公然と行われるんではないか、それは公式にそういう場が設けられるんではないかと。もうそれ自身大変な政治問題だなというふうに思っておりましたけれども、今ほど来の皆さんのお話を聞いておって、私の懸念は単なる懸念ではなくて、これはやっぱり大変な問題ではないかな、今まで余り審査会の中身については議論されませんでしたけれども、これはやっぱりこれからの論議の一つのポイントになっていくなというふうに今思いました。  次に、テレビCMの有料広告についてお尋ねをしたいというふうに思います。  与党案は当初一週間、投票日前一週間の禁止だったんですが、修正案では二週間の全面禁止ということになりました。なぜ拡大させたんですか。
  239. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  御指摘のように、当初、有料広告放送、いわゆるスポットCMの禁止期間ということで一週間を考えておりました。それは、やはりテレビの広告、CMというのは、非常に国民の感情に訴える、あるいは扇情的な扱いをすると、こういう可能性といいますか危険性が指摘をされているところでございまして、それが投票日の直前に大量に流されるというようなことがありますと、言論の自由市場がうまく働かなくて、言いっ放しというか、そういう状況で物事の是正がされないという、そういう危険性があるという、そういう考えから一週間ということを考えました。  しかし、さらに参考人の皆さんの御意見、あるいは公述人の皆さんの御意見、そして議員同士の表の議論を通じまして、やはりちょっと一週間というのは短過ぎるのではないか。それから、やはりテレビCMに広告を出す場合には相当な資金が必要になると思います。その場合に、やはり資金力の差によって、そのCMにおいて賛成、反対、様々な角度からのCMが出ると思いますけれども、資金力の差によって影響が出るということもいかがなものかと、こういったことも考えました。さらには、いわゆる期日前投票というのが、これは公選法における選挙と同じように二週間、投票前二週間から始まる、こういったことも考えますと、やはり二週間程度がまず望ましいのではないかと考えた次第でございます。  ただ、民主党皆様からは、それはその資金力の多寡によって差が出るというのはおかしいではないかと、こういった議論もありました。そういったことにも私たち耳を傾けていろいろ聞かせていただいたんでありますけれども、一方で、やはり広告主としての表現の自由ということについてはやはりこれは制限されるのはよろしくない、全面禁止というのはこれは少し行き過ぎではないかと、こういう考え方が一方で私どもの中にありまして、その両方の間を取るというわけではありませんでしたけれども、バランスを取りながら、二週間というのが適当である、このように結論付けた次第でございます。
  240. 近藤正道

    ○近藤正道君 私は、この広告のことというのは全くよく分かりませんでした。今でも基本的なところはさっぱり分かってないんだろうというふうに思います。新聞の意見広告ぐらいなものは多くの皆さんも経験があるんだろうと思いますけれども、テレビのスポットCMの世界というものがどんなふうに成り立っているのかということはほとんど分かりませんでした。ですから、大した問題意識を持たなかったんですが、その後、この問題が具体的な法案にされましていろいろその議論が始まる中で、いろんな話、人の話を少しかじる中で、これはやっぱり大変な問題だなという思いがしてきました。  そこで、皆さんはそれなりにお調べになって、最初は投票日前一週間、そしてその後、修正案で二週間にされたと。ということは、それなりに当初からテレビの、テレビ、ラジオありますけれども、今、テレビに限定します。テレビスポット有料広告の問題性、まあ非常に扇情的であると、とりわけ資力によってやっぱり差が出る、ここのところはそれなりに分かっておられたんだろうというふうに思いますのであえてお聞きをいたしますけれども法案提出に当たりまして、どのくらい皆さんはテレビCM業界、これは広告業界だとかあるいはテレビ業界を含むわけでありますけれども、この実態を調査されたんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  241. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 近藤議員にお答えいたします。  法案提出の前になりますけれども、一昨年に憲法調査特別委員会が設置されまして、昨年五月に、法案提出する前に何回か参考人を呼ぶ機会がありました。NHK、さらには民放連、それから天野さんですね、コラムニストの。そういった方からも御意見を伺って、特に天野さんからは、私、質疑に立たせていただいたんですが、この意見の広告、意見広告ですね、意見広告をCMでというのはなかなか日本は経験がないから非常に慎重にするべきだというような御意見もございました。また、ただ、民放連の方からも、やはりここら辺のところは自分たちでこれから方向性を考えていくから、やはりできるだけ自由にすべきだという意見もございました。  そういった意見を踏まえて、当初一週間という形で制度設計をさせていただきまして、さらに小委員会における参考人等の意見を踏まえて、やはり期日前投票の期間に合わせて二週間という形で変えさせていただいたわけでございます。
  242. 近藤正道

    ○近藤正道君 全く素人で分からないんで素朴にお尋ねをするんですが、テレビスポット、東京でいえば民放五局あります。そして、それがそれぞれのエリアで関東だとか関西だとかいろいろ流れていく、そういうシステムになっているようでありますが、どのくらいの本数を流すとどのくらいの効果があるのか、どのぐらい金が掛かるのかということは、皆さんはそれなりに費用対効果で試算みたいなものはされたことがありますか。
  243. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 申し訳ありません。今手元に資料を持っていないんですが、社民党の辻元議員から前の総選挙におきましてそれぞれの政党が幾らお金を掛けて大体幾ら投票があったというような資料を提出していただきましたので、精査してまた御報告申し上げたいと思います。
  244. 近藤正道

    ○近藤正道君 政党のことはいいとしまして。  そうすると、皆さんはある程度、私は当然そういうことはある程度モデル的に、このぐらいのCMを流すとこのぐらいの効果があって、このぐらいのお金が掛かるということは一つモデル的に持っておられて、その上でいろんなバランスを考えて投票日前一週間でいこうとか二週間でいこうとか、そういうことをされたんではないかというふうに想定をしておったんですが、そういうことはなかったんですか。
  245. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 我が国においてこのような有料のCMの意見広告というのは実際に伝統がないということを天野参考人からも御指摘を受けました。ですから、その意味ではなかなかシミュレーションというのは非常に厳しいところはあるんだろうというふうに思います。しかし、諸外国、例えばスペインですとかそういった国にも行きまして、大体規制をしている国、規制をしてない国、それぞれあったんですけれども、それぞれの識者の意見等を聞きながら、一定期間はやはり規制を設けた方がいいだろうと、しかしながら全体を規制するということまではいかがなものかという形での制度設計をさしていただいたということでございます。
  246. 近藤正道

    ○近藤正道君 きちっと調べはされたんですか、されてないんですか。  何人かの方にちょっと聞いたというのは分かるけれども、私はそれなりのやっぱり試算、あるいはどのぐらい、費用対効果を調べてやったんではないかと。だって、今回だって、いや億掛かるとか十数億掛かるとか、中には数百億掛かるとか、だってそういう話が出ているわけですよ。投票期日はそれこそ二週間じゃないですよ、六十日から百何十日ですから、十四日を引くとかなりの期間があるわけですよ。だから、どのぐらいの金が掛かるのか。CMとしても、もう物にならぬようなCMは問題にならぬわけで、それなりに一定の、あ、CMを流したなと思えるようなものをやっぱり基にしながら、どのぐらいの金が掛かるのかと。それなら、これは金を持っている人と持ってない人の間に差が出ると。我々がカンパで追い付くような金なのか、もう逆立ちしてもどうしようもならないような話なのか、そのぐらいのやっぱり調査をきちっとやって、そして今回は二週間で禁止さしてもらいますと言わなけりゃおかしいんじゃないですか。何もやってないんじゃないですか、皆さんは。
  247. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  先ほど葉梨委員からも話がありましたように、これまでの私たち衆議院における委員会参考人ということで何人かの方もお呼びしました。マスコミ界の方、それから先ほどのコラムニストの天野さん等々でございますが、そういった意見というものも十分に参考にいたしましたのと、それからやはり現在でも、これは民主党さんでございますが、いわゆるCM広告をやられております、そういった実態、それから私ども選挙中における、これは公職選挙法の規定がありまして一定の制限を掛けられておりますけれども、そういう中で、大体このぐらいの時間ではこのぐらいの金額掛かるだろうということもある程度把握ができているということでございまして、今度の国民投票法の期間におけるCMにつきましては公選法の規定はないわけでありますけれども、しかしそれに準ずるような形で放送した場合にどうかということは、現実に行われている選挙の時点における広報にかなり参考になるものがあるというふうに思っております。  なお、決して有料広告だけが広告のすべてではないと思っております。無料の枠もございます。新聞にもテレビにも、いずれも無料枠を用意をしてありまして、これについては最終的に両院議長の協議によりましてその金額が決まるということでございますけれども、そちらの方ではやはりできるだけ多くの時間を掛けて、そして公正中立に賛成意見、反対意見が平等になるようにと、こういう前提で制度設計をしております。そういう中で、大いにこの無料枠を使いながら広報、宣伝をしていただくということは可能でありますので、そのテレビの有料の広告だけを取り上げて、これで差が大きくなる、あるいは不平等であるということは、ちょっとそれは違うのではないかなというふうに考えております。
  248. 近藤正道

    ○近藤正道君 無料枠の話は別にするからいいですよ、今言わなくったって。  そのテレビCM、テレビ、ラジオの有料広告が極めて人の意識に働き掛ける度合いが現代社会においては大きいと、みんなの共通認識になっているから、このことが一つの大きな議論になって、ここをどうやって規制をしていくのかという話をずっとやってきたんじゃないですか。だから私は今この話をしているんですよ。  つまり、私はいろいろ人の話を聞く中で、与党の皆さんはしっかりとした実態調査をやらない。つまり、法案を作る際の立法事実、これをしっかり調べて、正しい現実の上に法の制度設計をすると、これはセオリーなんだけれども、このセオリーがこのテレビの有料広告についてはきちっとされていないんではないか。私はそういう疑問を持ってしようがないんですよ。これはやっぱりもっとよく調べなければならないというふうに思うんです。  皆さんは、今いろいろ聞くと、いや参考人にはいろいろ聞いたと言うんだけれども、そういうものではなくて、きちっとその実態、やってない、全く。ないまま法案を出されて、そして、その後いろいろ批判を受けて、取りあえず二週間、最後は広告主とのバランスでこの辺が多分腰だめの数字だということで今やっておられるんだろうというふうに思いますけれども、これはやっぱりこの委員会でしっかりとその実態調査をされたらどうですか。  私は委員長にも是非、私よく分かりませんので、この業界のことは、だから、どのぐらいのテレビ広告をというふうに、それなりの効果があるためにはどのぐらいのものを流さなければならぬのか、そのためにはどのぐらいの金が掛かるのか、その辺のデータをしっかり私たちが共通に持った上でこの議論はやっぱりすべきではないかと私は思うんですが、後で委員会で検討してください。
  249. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 分かりました。
  250. 近藤正道

    ○近藤正道君 私もよく分かりませんけれども、スイスだとかイタリア、ここではテレビCMを基本的に規制している。全面禁止している。そして、そこで金を掛けるということではなくて、討論番組とかそういうところをやっぱり充実させると、こういうふうなことがかなり広範に行われているというふうに聞いておりますけれども、この辺のところは、まあ専門にそこへ行って綿密に調査をしたところも最近あるようでありますけれども、皆さんとしてはどの程度お調べになられたんでしょうか。
  251. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) お答え申し上げます。  一昨年はヨーロッパに、五か国でしたか、調査をさしていただきました。昨年は私は同行はなかったんですけれども、イタリア等にも調査をさしていただきました。特に、この関係のマスコミの規制あるいはCMの関係、重点的にやはり外国の調査をしたときに聴取をしたというような記憶がございます。
  252. 近藤正道

    ○近藤正道君 記憶程度なんですか。是非やっぱり、ここでこういう教訓があってこうしたという、そういう話はないんですか、提出者の方から。
  253. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 記憶と申し上げましたのは私が個人で申し上げましたんで、それぞれ調査報告書の中に記録としてしっかりとした記録が残っておりますし、また、それを参考にさしていただきました。  例えばスイスですと、あそこの場合はアリーナというような報道番組、ただしこれは必ず、国営放送ですので国民投票の前になりますと定期的にやると、その代わりCM関係は規制があったかというふうに思います。  スペインですと、やはりアメリカ的なCMがどんどん流れるというのは非常に好ましくない。しかし、スペインの場合は各議席に応じてそれぞれのCMも割り振っていたというような感じも、記憶もしております。記憶といいますか、そういったような実態がございました。  フランスですけれども、やはり投票日前の何日間ということはもう一切、そういったような冷却期間を置くというような規制もあったということも踏まえた上で今回の制度設計をさしていただいておるということでございます。
  254. 近藤正道

    ○近藤正道君 私は皆さんの答弁を聞いていて、なぜ投票日前二週間なのか、納得のいく合理的な説明が全くなされていないと。ここはやっぱりもっときちっと、私どもは全面的に禁止すべきだというふうには思っておりますけれども、なぜ二週間なのかということについては、単に広告主との表現の自由とのバランスなどというそういうアバウトな話ではなくて、もっと広告業界のやっぱり実態を踏まえた、分かるような話を是非していただきたいと、こういうふうに思いますが、それはこれからやっていただけますか。
  255. 船田元

    衆議院議員船田元君) 先ほど来話出ております二週間という話でございますが、ちょっとさっき私の説明もちょっと不十分だったと思います。  一つは、やはりテレビCM、有料広告についても、他の手段もそうでございますが、投票日からかなり離れたときにはそれほど頻度は高くない、これは外国の例でもあるようでございますが、しかし、投票日が近づくにつれてだんだんその分量あるいは頻度が高まってくる、投票日に非常に近づけば近づくほどそういう状況が出る、こういったことも一般論としてはあるんだろうというふうに思っております。したがって、一週間が二週間に延びた、ただ倍になったというだけではなくて、もっと大きな意味がそこにはあるんだろうというふうに思っております。  それから、やはりテレビCMによって相当な扇情的なものが流されたということであっても、投票ができない状況で流された場合と、投票ができるような状況になって流された場合の効果というのは、これは全然大きな違いとなってくると思います。やはり投票のその期日前投票も始まらない、そういう時期に流されたものにつきましては、これは確かに扇情的なものがあった場合には、これは人の心はある程度動くと思いますけれども、でもすぐ投票はできないわけでありますので、一定の冷却期間を置いて投票が始まる、こういうことが考えられます。  やはりその二週間というのは、期日前投票が始まるときとこれを軌を一にしておりまして、これはなぜ二週間にしたかといえば、特にその期日前投票の始まるときということと平仄を合わせる、こういう形に制度設計をさせていただいているということでございます。
  256. 近藤正道

    ○近藤正道君 私は、報道の領域はともかくとして、そもそもテレビ広告の世界は表現の自由の世界というよりは経済的自由の世界、ここが主流ではないかと、こういう基本的な認識を持っておりますんで、このことについては今後の少し議論に譲りたいというふうに思っています。  一点お聞きしたいのは、与党の修正案には、当初、放送事業者、新聞社は料金その他の条件を賛成、反対に同等とするよう配慮する、こういう規定があったんではないかと思いますが、これが削除された、最終的に削除された理由は何でしょうか。
  257. 船田元

    衆議院議員船田元君) 今の点につきましては、私のたしか十二月十四日に衆議院憲法特別委員会において言及したことと思います。それは、確かに賛否の点につきまして平等というものの扱いをしてくれと、こういう考え方でありますけれども、それはやはり外形的な問題とまた内面に係る問題と両方あると思っておりまして、やはりそこまで平等ということを義務付けるということになりますと、なかなかこれは内容にも触れることにつながりかねない、あるいは編集権にも影響する可能性があると、こういうふうに思いまして、それは言葉で申し上げたことであり、それはその後撤回をさせていただいたということであります。  法案としては、原案にもございませんし、与党の併合修正案にもそれは入れてありません。むしろ、その代わり、併合修正案におきましては、放送法の規定、これはもう既に放送法によって決まっているわけでございますけれども、改めて、国民投票運動をする場合においての放送においての留意事項ということで改めて書かせていただきまして、皆様にも注意をいただきたいと、こういう趣旨で入れさせていただいたということであります。
  258. 近藤正道

    ○近藤正道君 皆さんの修正案の中に、最終的に放送法の三条の二第一項留意の規定が入りました。私は、放送法第三条の二第一項を見まして、これがどういうふうに現実に運用されているのかいろいろ話を聞きましたけれども、他に対する批判というものについてはかなり厳しくこの条項を適用して規制がどうも掛かっているようでございます。そうしますと、勢い、中身で勝負するというよりも、CMのやっぱり量、これでやっぱり最終的に勝負することになるんではないか、そういうふうに思えてなりません。  そういう意味で、衆議院参考人で出てこられました天野祐吉さんのコラムの一節にこういうくだりがございます。CMの量の比率が一対二くらいなら、まだ表現の優劣が物を言う、しかし、一対五とか一対十なんてことになったら、これはもう勝負にならない、じゃんじゃん大量に流せば、表現の優劣を超えて確実にマインドコントロールの作用が働き始めることになるだろうと、こういうふうに書いておられまして、こういうたぐいの話はいろいろ聞くわけであります。  正に金が、資力の有無が決定的なやっぱり影響をここで及ぼすという、そういう現実、これはこの間の政党のCMでもよく分かるところでありますが、是非この議論をしっかりするためにも、どのぐらいのやっぱりお金が掛かるものなのかということをある程度正確に押さえて、そしてみんなの共通認識にした上でこの議論を是非今後深めていただきたい。そのためにも、提出者にも協力をいただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  259. 船田元

    衆議院議員船田元君) ありがとうございます。  今御指摘の点につきましては、私どもとしてもいろいろな参考人の御意見等も伺ってきたわけでございますが、改めてまたこの参議院におきましても、必要があればそのような機会を設けていただくことは大変良いことだろうというふうに思っております。ただ、それは理事会等で決定をされるべき問題で、私が言うべきものではないと思っております。  それから、実は有料広告につきまして、テレビの場合、とてもこれは広告代理店が間に入るケースが非常に多いわけでありますが、その広告代理店の話も、これは私は非公式に聞いたことがあるわけでございますが、非常に広告主と広告代理店との関係によって金額が大きく変わったり、あるいは時間帯によりましても相当な開きがある、このように聞いております。これは非常に複雑、まあ怪奇とは言いませんが、複雑なところがあるようでございまして、その辺りも私どもとしてはできる限り話としては聞かせてもらいましたけれども、まだまだ十分ではないということも認識をしているところでございますので、この院におきましても、私どもも是非聞かせていただきたいと思いますけれども、その点の配慮をいただければ有り難いなと思っております。
  260. 近藤正道

    ○近藤正道君 時間がありませんので、最低投票率の問題について質問をさせていただきたいというふうに思っています。  今日も何人かの方がこの最低投票率、是非設けるべきだと、こういう質問をされましたし、私も国民の総意に基づく憲法改正、そして硬性憲法本質を貫くという意味では、これは、最低投票率というのは避けて通れない問題だろうというふうに思っています。  先日、朝日新聞が最低投票率必要だ、八割の方がこの必要を認めておられるという、そういう世論調査の結果を出しました。いろんな議論の前に、皆さん、国民の皆さんがこのぐらい、八割ぐらいの人たちがやっぱり最低投票率必要だよというふうに思っているということについてどういうふうな率直の感想を持っておられましたか。当初から、世論調査をすればこのぐらいの数字が出るというふうに思っておられましたか、それとも、どうですか、お一人ずつお聞きしたい、全員に。
  261. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 世論調査、私も詳しく設問の仕方とか、どういう対象、方法で世論調査されたかということを承知していませんので何とも言えませんけれども、設問の仕方によって答えはいろいろ変わると思います。  ですから、その辺をつまびらかにして私としてもその世論調査の評価をしないと、一般的な答えはちょっと難しいと思います。
  262. 船田元

    衆議院議員船田元君) 私も、多分朝日新聞だと思いますが、世論調査について、全部をちょっと読んだわけじゃないんでありますが、どうもその設問を聞きますと、これは投票率は高くあるべきであると、低くてはいけない、こういうことで、高い方がいいですねと、こういう設問だったと思います。  だから、それに対しては八割ぐらいの人がそうだと、こういう答えをしたわけですが、ただ、そのことと最低投票率が必要であるかどうかとは必ずしも一致はしていないんじゃないかというふうに思っております。
  263. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 同様でございます。  私も、投票率が高い方がいいかと聞かれれば、高い方がいいというふうに私も答えたいというふうに思います。しかしながら、最低投票率の制度の問題とはまた別のものであるというふうに思います。
  264. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 先ほど仁比議員にお答えした中でも申し上げましたけれども、私、これは過半数ということと深くかかわっているわけで、言ってみれば国民の皆さんはそういう、投票率というと頭のイメージとして一〇〇が最初に来るんだと思いますね。これは五〇なんですね。だから、そういう点で若干の皆さんの受け止め方が低過ぎるというふうに思われているんじゃないのかな。過半数という、先ほどのお話にもありましたけれども、そこと深くかかわってくると思います。
  265. 近藤正道

    ○近藤正道君 なかなか正直にお話しになっていただけないなと、こういう思いがするわけでありますけれども、先ほどの仁比議員もそうでありますし、皆さんの議論の中でも出てきましたけれども、この最低投票率、憲法事項だということで、理由が三点ほどありました。  私は、憲法九十六条が最低投票率のことを規定していない、これは決定的な理由だというふうに皆さんが言っているとは思えない。幾つかの理由の、三つの理由の一つとしてそれも挙げておられました。だから、一つ一つの、その三つの各それぞれの理由をやっぱりぎりぎりその合理性について詰めていってどういうことになるのかということなんだろうと思いますが。  率直にお尋ねをいたしますが、先ほど三つの理由を挙げられましたけれども国民の意思といいましょうかね、主権者の意思、それはやっぱり一割とか一割台の賛成で国民の承認を経たと果たして言えるのかと、それで硬性憲法なのかと。国民みんなで総意で行った憲法改正と言えるのか、どこに重みがあるんだ。多くの国民がそれはやっぱりおかしいなと思ったときには、それは憲法事項かどうかの判断要素になりますか、この国民の意思は。
  266. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) この憲法は実質的には、実質的というか形式的にはむしろ国民が定めたものでなくて、GHQ発案による、その案を原案にして国会審議して決めた経緯があって、明治憲法手続に沿って改正が行われていますので、国民はかかわっていない。しかしながら、憲法というのは、その性格上、権力を拘束するものであると、これが基本であると、権力制約原理だと、そういった意味では、まず我々は憲法の解釈というものをきちっとすると。その解釈によれば、我々からすると、憲法で重要な成立要件である最低投票率が規定していないことは、現憲法国民投票において最低投票率を求めていないと、そういうふうに解釈すべきだということで、これは国民が定めた憲法という前提に立つ議論だと思います。
  267. 近藤正道

    ○近藤正道君 これは国会の、まず正に制憲国会で十分議論をして確立した憲法でありますんで、今ほどの保岡議員のGHQが作ったという、そういう言い方はやっぱりこれ大変誤解を招きますよ。これは後でまた議論さしていただきますが。  一つ最後にお聞きしたいんですが、世界の最低投票率を定めているところ、いないところ、皆さんもいろいろお調べになったという話が先ほど来ありました。私もいろいろ調べたり勉強させたりしてもらっておるんですが、最低投票率を入れているところは、小選挙区制度を基本に国会議員選挙をやっているところが割と最低投票率制度を入れているんですよ。で、比例代表制を基本にやっているところは最低投票制度を導入していないところが非常に多い。この関係に実は気が付いたんですよ。多分、小選挙区制というのはやっぱり死に票がいろいろこう出るんで、より民意のチェックをやっぱりしっかりしようということでこの最低投票制度を入れているんではないかと、私はそう思っているんです。  こういう小選挙区制を中心でやっているのか、比例投票制度を中心でやっているのか、それによって最低投票制度が導入されたりされていなかったり、こういう関係にあるという観点での調査は皆さんされたことがありますか。その一点をお聞きします。
  268. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 今委員指摘の、そういう角度で調査はしておりません。
  269. 近藤正道

    ○近藤正道君 しておりません。
  270. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) はい。
  271. 近藤正道

    ○近藤正道君 これはやっぱり、どうやったら、一人一人の国民主権者である国民、この憲法改正は正に間接民主制の中で唯一国民が直接出張ってここに関与する、自ら憲法を作る、こういうところであります。ですから、民意が本当にしっかりと制度設計の中に盛り込まれていなきゃならぬと思うんですけれども、外国では、今言ったように小選挙区制と比例代表によってここのかかわりは微妙に違ってくるケースがあります。是非、私もこれから更に調べて議論させていただきたいと思っておりますので、皆さんもその点も是非調べて、それも踏まえて、入れて、最低投票制度を入れるべきかどうか是非考えていただきたいと要望申し上げまして、質問を終わりますが、どうぞありましたら。
  272. 赤松正雄

    衆議院議員赤松正雄君) 今御指摘の点、しっかり踏まえて、私どもも研究させていただきます。
  273. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  274. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  今日は六時間の質疑ということで、私どもの方は入れ替わり立ち替わり人が替わるわけでございますが、答弁者の方はお四方ですべての答弁をなさるということでお疲れだと思いますけれども国民新党が最後質疑者でございますので、もうしばらくお付き合いをいただきたいと思います。  冒頭、既に他の委員からも御発言がありましたけれども、昨日起きました長崎市長の銃撃事件、今朝、命を落とされたというふうに伺っておりますけれども、心からお悔やみを申し上げます。  とともに、市長選のさなか、選挙運動のさなかに起きた事件でございまして、背後関係はまだよく分かりませんけれども、私はもう政治に対する挑戦だという気もするわけでございます。暴力はもちろん許されないわけでありますけれども、とりわけ、こういった民主主義に対する挑戦と言われるようなことをこれからも許してはならないと。本当に腹の底から怒りを覚えるわけでございますが、今日この委員会にいらっしゃる皆さん方も同じ気持ちだと思います。  議会で私どもが真摯にしっかりとした充実した議論をすることによりまして、意見の違い、立場の違いというのは議論を通じて効果的な解決が図れるんだということを是非示したいというふうに思っておりますので、私だけの思いだとは思いませんので、皆さんとともにそうした誓いをここでさせていただきたい。そのことが亡くなられた伊藤市長に対する追悼になるのかな、そんな気持ちでおります。  そこで、私は幾つか質問をさせていただきたいわけでございますが、冒頭に私の立場をちょっと御説明をしておきたいと思います。  私ども憲法改正に反対ではございません。かつ、手続法を定めるということについても当然のことだというふうに思っております。ただ、現実には、もう各党からいろいろお話がありましたし、それからまた新聞等でもいろいろと議論がなされているわけでありますけれども憲法改正というのはこの六十年間なされてこなかった。これは、決して私は先輩議員皆様方あるいは政府の人たちがサボってきたとは思わないんです。元々憲法の中にきっちりと国民投票を行うということが書いてあるわけですから、手続を定めようと皆思ったに違いないと思うんです。それが今日までできなかったというのは、そこに非常に大きな私は障害があったと思うわけです。それは何かといいますと、やっぱり戦争ということだと思います。  私、この憲法の一番の特色は、世界でも特異な存在の憲法だというふうに言われますけれども、要するに、平和主義、平和憲法であるということで、第九条に象徴されていると思いますけれども、この九条をどう変えるのか、あるいは変えないのか、そこのところ意見がなかなか定まりませんので、言ってみれば、国論を二分するような議論になってしまうということから憲法改正そのものがなかなか政治の日程にのりにくい、そういう状況の中で手続など議論しても仕方がないと、そういう状況がずっと私は続いてきたんだろうというふうに思うわけです。  現在、発議者皆様始め関係皆様の御努力憲法の中身の議論もどんどんどんどん進んできている。そのことについて私は大変高く評価するところでございますが、一方で、国民の皆さんの目から見たときに憲法改正の中身の議論というのはなかなか見えていないのではないか。そういう状況の中でこの手続法が先に出てきまして、そして、私、衆議院議論の中で与野党の皆さんがいろいろ議論をなさって修正案を作られたというのは非常に結構なことだと、先ほど冒頭に申し上げたように、言論で立場の違い、意見の違いというのを超えることができるということを示す意味で大変いいことだったというふうに思いますが、しかし一方で、最終的には衆議院では与党単独採決という結果に終わったわけです。  与党がいいか野党がいいかとかいうような議論は別として、そういう結果に終わったことを非常に残念に思っているわけでございまして、国民の目から見たときに、やはり力を持っている与党である自民党公明党憲法改正というものを急ぎ過ぎているというふうに、私は、ごく一般の方々ですね、そういう印象をお持ちなのではないかというふうに懸念をしているわけでございまして、その点に関して、今までにも御答弁がございましたけれども、この憲法改正に関する手続法案の成立を急ぐ理由につきましてもう一度御説明をいただきたいと思います。
  275. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 長谷川先生の御見識、披瀝いただきまして、私たち非常に共感を覚えるものがたくさんあります。  ただ、急ぎ過ぎではないかという御指摘については、やはり我々としては、もう五年掛けて憲法調査会で広範かつ総合的な調査をやってきて、そこで憲法改正手続である国民投票法制というものについての速やかな成立を求める意見が多数であったと。衆議院においては、議長報告もされ、一昨年の九月には憲法調査特別委員会も発足して、国民投票法制について海外視察をしたり、あるいは参考人も来ていただいて有識者からいろいろお話を聞いたり、委員間の議論をしたり、五十時間にわたっていろいろ制度設計そのものについても深く議論し、お話合いをして、整理して進んでまいりました。  昨年の五月には、自民、公明、民主三党で全く同じ法案法律を作ろうという寸前まで行ったんですが、残念なことに、政治状況の変化でそれぞれが、民主党与党がそれぞれ法案提出するという経緯がありました。  それでも、国会審議を通じて、できるだけ表舞台で意見をすり合わせて、国民に見えるところ議論して合意点を見いだしていこうということで、先ほども申し上げましたが、調査設計段階から法案審議に至るまで、どの政党にも平等の時間で議論をしようという、そういう特別な扱いをしまして、国民新党にも我々と同じ時間の審議時間を取っていただいて議論をするという、そういうような審議の仕方をして、できるだけ反対の意見というか、考え方の違う意見、様々な意見を、我々、党の多数だからたくさんの時間で審議するんじゃない、いろんな多様な意見をとらえ、踏まえて、そして議論を深めて、そして最もいい案というものを作ろうということで、これまた昨年の十二月の十四日には、一点を除いてほぼ合意ができるという状況にもなってまいりました。  その最後ところを埋め合わせるために、今年になってからの特別委員会は、予算の関係審議審議が思うようにならなかった点もありますけれども、非常に最後努力をいたしまして、中央公聴会を二回、地方公聴会も一回二か所で行うなど、五十九人の有識者や公述人、意見陳述者から意見を聴くなど、もうあらゆる角度から検討を加えて、最後民主党との調整もほぼまとまるかなと思うところまで実は行ったんでございます。しかし、これまた民主党丸のみ論ということが出てまいりまして、我々もいかんせんそれは我々の考えているところの基本にかかわるところもあったものですから、これは御承知だと思いますが、一般的国民投票法を本文において、本則において制度化する方向を明確にして検討の期間を定めるという、そういう法制、粗っぽく言うとそういうことでございますけれども、そういう民主党考えをのめということでございましたので、それはかなわず、ついにやるべき調整はすべて終わったということで、民主党各党に採決の協力を求めたのでございますが、それが得られず、与党の単独で議決することに至りまして、参議院にそういった経緯で法案をお送り申し上げたことになるわけですが、我々現場の者としては、尽くす努力は精一杯して、やるだけのことはやって機が熟したので採決をしたという認識を持っておりまして、その点が長谷川先生の御感想と一点違う点でございます。
  276. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 大変御丁寧に御説明をいただきましたんですけれども、私は、ちょっと話が脱線するようなことになりますが、まあお聞きをいただきたいと思いますが、私、議員にならせていただく前に三年間、フィンランドという国で特命全権大使を仰せ付かりまして三年間勤務をさせていただいた経験がございます。そのときに大変興味深い事件がございました。  それは、ヨーロッパでは御存じのとおりに原子力発電所の建設というのはあちこちで止められているわけですね、原子力が危ないからというのが理由でございますけれども。そういう状況の中で、フィンランドの経済成長が著しいものですから電気が足りません。あの国は石油も何も出ない、下も岩盤でございまして何も出てこない。したがって、石油を買うか電気を買うかということで、結局、石油も買っておりますし、電気の大半、かなりの部分を、足りない部分をロシアから買っているわけでございます。ところが、フィンランドから見ると、まあロシアは、何遍も煮え湯を飲まされたといいますか、占領されたりいじめられたりしてきた国でありまして、ああいう国に国の大事なエネルギーを依存するのは国家として好ましくないと。まあ当然の決断だと思いますけれども、自分たちで電気は作ろうと。そのときに、それでは高い石油をたくさん買ってくるのか、それとも、技術的には若干の問題があるけれども、そこを何とか乗り越えて自分たちの原子力発電所でエネルギーを作るのか、大議論になったわけです。  私は、国民投票にかけるのかなと思いましたら、新聞社の方が、我が国には国家の大事な問題というのは国民投票にかけるというやり方はないと、国会議論するんだと、こういうことでございましたんで、何で国民投票にかけないんですかと聞きましたらば、国民は時として間違うと新聞の編集長がおっしゃったんです。  私はびっくりしまして、国民が間違うというのはどういうことですかと重ねて聞きましたらば、国民になかなか政治の判断をするのに足りるだけの十分な情報を提供することは非常に難しいんだと。だから、極めて単純なことしか伝わらなくて、結果的に、本来はそうでないのにかかわらず、国民がやっぱり誤解を持って違う判断をすることがある。そういうことで、この国では大事な国家の判断というのはプロである政治家国会議員に任せているんだと、こういうことでございまして、私は、民主主義の真髄というのはこういうものかと、それだけ国会議員に対する信頼も厚いのかと。両側にスウェーデンとロシアという非常に強い、そして、両方ともかつてフィンランドを占領したことのある国でございますから、そういうところに挟まれている小さな国というのはそういう知恵を持つのかと思って感心したことがございます。  そして、現実に議会で投票になりましたら、小さな国ですから一院制でございます。二百人の国会議員の一院でございますが、議長がいらっしゃいますから、議長は投票しませんので百九十九人が投票しまして、結局、第五番目の原子力発電所でございますけれども、これを造ることが決まりました。百七対九十二という僅差で決まったんですが、ところが、その投票たるや、もちろん総理大臣は賛成ですが、外務大臣は反対、通産大臣は賛成、教育大臣は反対、閣内もばらばらでございますし、各党みんなばらばらなんです。何党が賛成で何党が反対かというのは全然分からない。緑の党だけは全員反対でございました。しかし、それ以外は入り乱れてよく分からない。  どうなるのかなと思いましたら、しかし、それはみんなで議論して決めたことだからといって、決まったらそれで終わりなんですね。建設をするんだということでございまして、別に、だれか党から出ていけとか、閣内から出ていけとかという話はないんです。私は、今委員会の中から笑い声が漏れましたけれども、私はそれは一昨年の郵政民営化の議論のときにじかに経験をさせていただきました。  私は、そういう二つの経験からして、本当に日本合意をつくるのが下手くそだなと思うんですね。ヨーロッパで私が学んできたことは、民主主義というのは単なる多数決ではないと。多数決は、もう事前の勢力を見れば、この党が何人持っていてこの党が何人持っている、比較をして足し算をすればこっちが優勢だと分かるわけでございますが、しかし、本当の民主主義というのは、多数を占めているものがどれだけ少数派の人たち意見を取り入れて、できるだけ多くの方々の合意できる状況をつくるかという妥協の技術だというのを勉強してまいりました。  それからすると、本当に日本は、部分部分では非常に正義を追求して立派な議論がなされるんですけれども最後に大きな合意をつくろうというときに非常に下手くそだと。どうも文化的にそういうものがやや欠如しているのかなということで、私自身はどこをどうしたらいいのかよく分からなくて悩んでいるところでございますけれども、私は、教育の問題とか、特にこの憲法に関するものなどは、やはり立場の違いを乗り越えた、小さな党、小さな意見に対しても十分なやっぱり配慮をなされてぎりぎりの合意をつくっていく、それが与党という立場からいきましたら不十分なものであったとしてもですよ、あったとしても、まず一歩を進めるという意味で大きな妥協をつくるべきだと、そう思っているわけでございますが、御感想がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  277. 保岡興治

    衆議院議員保岡興治君) 長谷川先生とは、フィンランドに大使でおられたときに我々視察に参りまして、大変親切にいろいろ、関係者と面会を取り次いでいただいたりして大変お世話になりまして、本当に感謝しています。そのときの大使のいろんなお話を聞いたりしたときのことがまざまざと今先生の御質問を伺いながら思い出されまして、あのときもお世話になったが、今日もすばらしいお話を聞いたなと思って伺いました。  本当に日本人というのは、和の国だと言われて、聖徳太子の十七条憲法、我が国の最初の成文憲法と言われますが、和をもって貴しとすということは単に談合するという意味じゃなくて、後の文章を読むと、私も、もう皆さん御承知のことだと思いますが、立場は違っても、議論をしっかりと重ねていけば必ず事の道筋が見えて問題は解決すると、答えは出ると、そういう精神を掲げたものであるというふうに解説の本を読みましたけれども。  私は、そういう意味で、日本人が文化的にディスカッションの技術にたけてないということではないと思うんですが、やはり狩猟民族というのは、千変万化というか、狩猟をする際に起こるいろんなものに対して戦略的にいろいろ状況状況に対応するということと農耕民族とのやはりちょっと文化的な違いもあるんじゃないかと。そのために、変化やスピードに対応する決定というのが非常に上手で、プロセスを大事にして、決まった以上はみんなで協力してやるというようなところの対応はやっぱり欧米は優れたものがあるんじゃないだろうかと。その点、日本は少し、変化とスピードに付いていくのに戦略性をあらかじめ描いて、また状況の変化に応じてそれをどんどん改変していくという力は少し日本は外国に学ぶべきものがあるんじゃないかと、こういうふうに思ったりします。  しかし、そういった文化論は別として、私は、先生がおっしゃるように、我々先ほど冒頭にも申し上げたように、違う立場の人の意見を聞くというのはとっても大事なことでございまして、むしろ自分と同じ意見は聞き流しても、本当に違う意見を、本当に一遍、どんなに反発、反感を持つような意見であっても一回聞いて一晩寝れば必ずそこから新しい知恵が生まれると、私はそういうふうに思っておりますし、正に憲法調査会議論というのは、中山太郎先生を中心にそういう論議を、少数派に配慮をしながら議論意見交換を深めて重ねてきたと思っております。  ですから、先生が言われるように、私もいろいろそういう先生のお考えに近い努力を、衆議院憲法調査会は中山太郎先生の下で努力をしてきたという自負心は持っているということを先ほどから何遍も申し上げて、重ね重ね申し上げて恐縮でございますけれども、とても今後の憲法改正の道にもつながる、あるいは改正しない道にもつながる大事な議論をこれからしていかなきゃならないわけで、我々はそういう意味で、先生が今言われたことはよく拳々服膺、心にみんなが刻んでやらなきゃいけない大切なお考えだと思います。
  278. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございます。  私、なぜそんなことを申し上げているかといいますと、やはり、例えば五月の三日までに議論を終了するんだとか法案を上げるんだとかというようなことも聞こえてまいりますし、国民の皆さん自身もやはりその憲法改正手続を今ここで急いで決めるということに対してどうも納得をしてないのではないかというふうに自分自身感じているからでございます。  したがいまして、これから審議の中でいろんな意見が出てくると思いますけれども発議者の皆さんにも、また与党の皆さんにも十分耳を傾けていただいて、取るべきものは取ると、私、でき上がったものだからびた一文譲れないんだというようなことにならない御審議を是非お願いしたいというふうに思う次第でございます。  そこで、幾つか御質問を申し上げたいわけでありますが、まず、今度の憲法改正手続でございますから、法律の対象を憲法改正に限定する理由についてお尋ねをいたします。  これは今までも御質問はたくさん出ておりまして、日本憲法というのが代議制、間接民主主義というものを基本にしているんだと、だからいろいろな問題を幅広く国民に直接意見を問うというようなことは憲法上想定されていないんだと、こういう御答弁だったと思いますが、それはそういう認識でよろしゅうございましょうか。
  279. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  御指摘のように、我が国は議会制民主主義、いわゆる間接民主制というものを中心としております。また、憲法の中には直接民主主義の部分、これは制限列挙ということで、先ほども三つの類型を挙げさせていただきました。その一つ憲法改正国民投票に当たるわけで、九十六条の部分でございます。  また、民主党さんが衆議院段階で原案にも、また修正案にも入れました一般的国民投票制度、この制度についても、我々、衆議院段階で相当議論をさせていただいたわけでありますが、やはりこの一般的国民投票としても、あるいはそこでどういうことを議題にするにしても、諮問的という設計でお考えのようでございますが、どうしても一たび投票行動が行われ、その結果が明らかになった場合には、それが時の行政あるいは為政者を縛るという義務的な状況になりかねない、こういうことがあると思います。そういうことも考えますと、やはりこの議会制民主主義の下では相当この点は慎重に考える必要があると、こう思っております。  ただ、私どもは、そのような意見も踏まえつつ、実は一般的国民投票制度というのではないけれども、できる限り、憲法改正を要する問題やあるいは憲法改正の対象となり得る問題ということで、例えば統治機構の件であるとか、それから先ほども出ておりましたけれども、生命倫理あるいは国民の権利のいろんな問題、こういうことについて予備的にしかも諮問的にあらかじめ国民の皆さんに質問をするということもこれは大変有意義な、有効な手段ではないかなというふうに思っております。  しかし、いずれにしても、この諮問的、予備的国民投票制度につきましては、今後、憲法審査会ができましたらば、そこでその制度設計について慎重に判断をして設置をするかどうか、先ほども有無とありましたけれども、私の個人的な考え方としては、できる限りそれをつくるという方向で是非検討していきたいと、こう考えております。
  280. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 私、このことを御質問しております私どもの問題意識は何かといいますと、先ほどちょっと触れました郵政解散のことなんです。  あれは衆議院では可決をされましたけれども参議院では否決をされたわけでございます。そのためには、与党であります自由民主党、当時私は自民党の中におりましたものですから、与党の中の議論も非常に時間を掛けて、しかも広範に議論をされましたし、国会の中でも随分議論がなされました。その結果否決をされた。  それに対して時の小泉首相は衆議院を解散をしたわけでございます。解散は内閣の専権だと、こういうんでありますけれども、そのときに小泉総理が何と言われたか。もう一度、この郵政民営化は本当に国民の皆さんが賛成なのか反対なのか、国民の皆さんに直接問うてみたいと、そうおっしゃったわけであります。  私は、国民投票の手続もありませんし、しかも国政選挙というのは幅広い問題について議論がなされて、そしてどういう方々が国民代表としてふさわしいかということで選ばれてくると思うわけでありまして、まさか郵政の民営化がいいかとか悪いかとか、そんなことで国会議員が選ばれるなどということはあり得べからざることだと、あってはいけないと、こう思うわけです。  ところが、やはり、先ほど来広告放送のことも出ておりますけれども、多勢に無勢でございまして、テレビなんかでも総理がもう髪を振り乱して、改革を止めるな、郵便局なんか公務員でやる仕事なのかと、こうおっしゃると、国民の皆さんみんなやっぱりこの方が正しいんだろうと、総理大臣だし、一生懸命やっているようだしというふうに思われるわけですけれども、肝心の情報は全然国民の皆さんの前に、なぜ反対をしたのかとか何も出ていないわけですよ。  私はその後も市民の皆さんとお話をする機会が多いんですけれども、例えば、国家公務員という、郵便局の職員は国家公務員でございますが、税金は一銭も使っていない、公社になったからではなくて、その前の郵政省という国営の時代から一貫して一銭も、給料も建物も事業の運営費も税金は一銭も使っていないということをほとんど御存じないんですよ。十人お話をしましたら、場合によっては十人とも税金でやっているんでしょうというようなことをおっしゃるくらい、実は国会の中での議論というのは国民の皆さんになかなか届いていないんですね。  私はもう非常に残念に思うんでございますけれども、そういう状況の中で、私は重要な問題についての国民投票のルールというのはあってもいいのじゃないかというふうに思います。憲法を中心とする重要問題に限定をするというのも一つ見識でございます。しかし、解散によって、一つの課題などが問われて、十分なルールもないままに一方的な宣伝だけで物事が決まってしまう、そして国民が審判したと。私は、それはもう民主主義国家として本当に情けないことだというふうに思っておりまして、そのぐらいなら国民投票のルールというものをきちんと作った方がいいんじゃないかと思っております。  ついでだから申し上げますと、そのときに、郵政の民営化がいいか悪いのかというのは、国会議論だけではなくて地方議会でも議論をされたわけでございます、請願活動等がございましてですね。四十七都道府県、小泉総理のおひざ元の神奈川県も含めて全部の都道府県が反対又は極めて慎重に審議をすべきだという決議をしております。そういうものも踏みにじっての解散であったわけでありまして、私は、これは別に国民に信任されたとか、これでもってもう議論ができないものだというふうには思っておりませんので、いずれまた議会の中でも問題提起をさせていただきたいと思っておりますけれども、そういうことを考えたときに、この投票の対象、今回は憲法改正手続だということではありますけれども、もっと広い国民投票のルールを作るべきかということについてもう一度御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  281. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  今生々しいお話を聞かせていただきまして、私どもも、大変いろんな意味で実体験をいたしましたし、やはり前の選挙がいかに、異常とは言いませんけれども、大変なものであったかということを改めて痛感をさせていただきました。  民意を直接聴くということにおいて、これは国政選挙、特に衆議院選挙などは総理の解散権というものもありますので、そういう中で民意を聴くという手段としては一つあるのかもしれませんが、ただそれは国政のすべての問題について国民がどう考えるか、思うかということについての、やはりそういう意味の民意の総体を聴くという、そういうことであり、それがまた政権を選ぶということにつながっていくんだと思います。シングルイシューということで衆議院選挙あるいはまた参議院選挙が行われる、これも一つの形態かとは思いますけれども、ただそれは多用すべきではないものであるというふうに思っています。  そう考えますと、やはり一般的な国民投票制度というのも、あるいは将来において設定をする、制度設計をするという必要も私は十二分に感じております。しかしながら、現時点におきましては、やはり憲法九十六条に定められた、その憲法改正国民投票制度というものをまず設計をして、そしてその周辺の問題として諮問的あるいは予備的な国民投票というものを位置付け、そしてさらに将来におきましては本当の意味での一般的国民投票ということについても議論する余地は私は残っていると思っております。  ただ、これはやはり順序立てて議論していく必要があるんではないかと。まずは、私どもの附則に書きましたような諮問的、予備的国民投票制度をどうするか、こういうことから物事を始めていくのが妥当であろうと、こう思った次第でございます。
  282. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ただいまの御説明の中で、シングルイシューで衆議院が解散されるようなことが多用されてはならないというお話がありましたけど、私は、多用ではなくて二度とそういうことがあってはならない、そういうことがあり得るのであるならば、やはりきちんとしたルールをつくるべきだというふうに思っております。  それから、併せてこの機会に申し上げますが、これは参議院憲法調査会議論の中でもなされておりますが、いわゆる党議拘束であります。  議論の中でも、これは日本立法過程における非常に大きな問題点だというようなことが指摘をされているわけでございますけれども、すべてについて党議拘束が悪いとは私も思いませんけれども、やはり議論が大きく分かれる、議会の中でもあるいは国民の中でも議論が大きく分かれるような問題、あるいは正に国家の基本に関するような問題というのは、私は、党が所属の国会議員に全部一定の意見を押し付けるというようなことではなくて、自らの見識に基づいて、国民代表である議員一人一人が自分が正しいと思ったことを行動するその自由を持たないと、私は本当の意味での民主主義にならないのではないかというふうに思っておりまして、これはちょっと横にそれていると思いますので、皆さんにお考えをいただきたい問題として提起をしておきます。  次に、投票者の年齢を十八歳以上とする理由についてお尋ねをいたしたいと思います。  私も及ばずながらちょっと勉強をさせていただきましたが、ほかの民主主義先進国諸国を拝見をいたしますと、国政の選挙権がおおむね十八歳以上となっている国が多いように思います。日本は経緯があって二十歳以上というふうになっていると思いますけれども、今回のこの憲法改正のための国民投票に当たって、いきなり十八歳という提案が出てきたわけであります。これは元々は民主党の御提案だというふうにも承知をしておりますが、最終的にこれを十八歳にしようと、つまり公職選挙法等の改正がまだなされていない、あるいは民法、刑法、少年法などもいろいろ絡んでくる、そういう問題を後から手当てをして、先にこの国民投票法の投票者の年齢を十八歳に下げるというふうに決断された理由は何なんでしょうか。
  283. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 附則で調整規定を置かしていただいておるんですけれども、長谷川委員の御指摘のとおり、大半の諸国においては十八歳という選挙権年齢、国民投票制度があるところでは国民投票年齢になっておるわけでございます、日本は二十歳ということですが。そして、その大半の諸国においても、成人年齢との調整というのは、やはり社会システムですから、図るような形になっている。  投票権年齢、選挙権年齢を、実は自民党の草案の段階でも、自民党内の有力な意見として、十八歳にすべきだという意見もございました。しかし、ほかの法律がなかなかそろっていないということで二十歳ということで案を出さしていただいたわけですけれども、将来、日本について考える、そういうような国民投票制度、これをつくる機会にやはり十八にすることを検討すべきだし、そう定めていった方がいいんじゃないかというようなまた意見が強くなった、今までの経緯で御説明のとおりだろうと思います。  そして、経過規定で、成人年齢あるいは公職選挙法の年齢と、二十歳を十八に下げるということを併せてやるんだという経過規定を置かしていただいておりまして、その関係法令の整備がされて施行されるまで多少、この三年から少し期間が、ブランクがあるような形であれば、その間については二十歳という形でそろえさしていただいておるわけでございます。
  284. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 今の御説明でやっぱり不思議に思いますのは、繰り返しになりますけれども、公職選挙法等の投票者の年齢を十八歳にまず引き下げるということではなくて、いきなり今回の国民投票法で十八歳という年齢が出てきた、その順番なんです。  私は、個人的には、国政に対する選挙をする権利というのは十八歳以上が望ましいのか二十歳以上が望ましいのか、これはかなり議論があってしかるべきではないかというふうに思っております。別に若い人たちを信用しないという意味ではありませんけれども、本当に十八歳以上の人たちが国政に対して意見を述べる、特に憲法改正という重要な問題についての意見を述べる、それだけの成熟がなされているんだろうかと。どんどんどんどん何か寿命が延びるに従いまして、私はその成熟の度合いというのもだんだん遅くなってきているような気がするんですね。これは日本だけの現象では決してないと思います。世界的にやはり、昔はもう十五、六になったら立派な大人だったと思いますけれども、それがだんだんだんだん延びてきまして、二十歳になっても三十になってもなかなか成熟した社会人と言えないというような状況がいろんなところで出てきている。  そういう中で、いきなりこの十八歳、国民投票法という、憲法に対する国民投票という大事なもので十八歳というものが出てくる。これはやっぱり一度、国政に対する選挙資格を十八に引き下げる、これがいいのか悪いのかというところからもう一度きちんと議論した方がいいんじゃないかと。もし作るとするならば、今回の国民投票はやっぱり従来どおり二十歳という線を維持して、その上で、国政選挙の年齢が十八がいいんだということになったときに引き下げても遅くはないというふうに思うんですけれども。  もう一度お聞きしますけれども、先取りして十八歳にしなければならないというのは特段の理由があるんでしょうか。
  285. 葉梨康弘

    衆議院議員(葉梨康弘君) 先取りというふうに長谷川先生おっしゃられましたけれども、私どもは先取りというふうに考えているわけではございません。少なくとも公職選挙法、民法、そして国民投票の年齢、これはそろえていくことが必要だと。そして、私ども立法判断として、やはりこれから本当に少子高齢化の時代の中で、やっぱり若い世代の方々にもしっかりと意見を聴いていかなければいけないし、それだけの責任も持っていただかなければならないということで、十八歳ということを立法上の政策として提案をさしていただいておるわけでございます。  ですから、公選法が先取りとか民法が先取りという議論ではなくて、正に国民投票法それから公職選挙法それから民法、そしてその他の関係法令、これはどれが入ってくるかというのはまた今後の検討が必要になるわけですけれども、これは一体のものである。ですから、この立法政策の判断を正にこの場においていろいろと御審議、御議論賜りたいというふうに思っております。
  286. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 私はやっぱり順番が逆だというふうに思いますし、是非今回のこの国民投票法審議に当たっても、本当に国民皆様はこういう方向を目指すことがいいと思っていらっしゃるのか、まずよく耳を傾けていただきたいと思いますし、仮にこれでいいんだということであるとすると、十八歳以上の方々にも十分こういった憲法の論議に加わっていただけるにふさわしいような環境をつくるということを併せて考えていかないと大変無責任なことになりはしないかなということを依然として心配をいたします。  次に、憲法改正に関するテレビ、ラジオの有料広告のことにつきましてお聞きをいたします。  先ほど近藤委員から、大変勉強になりますと申しましょうか、鋭い指摘がありまして、私もなるほどと思いながら伺っていたわけでありますけれども、私もこの有料放送に関しては反対でございます。私自身が体験をしたとおり、郵政解散のときの正にあのテレビの勢いというのはすさまじいものがあったわけでございまして、一方的に賛成の人はこういう意見で賛成だ、反対の人はこういう意見で反対だというようなことが冷静に国民の皆さんに評価できるような状況ができないままに選挙に突入をしてしまったわけでありまして、結果として私は、国民の皆さんはいまだによく分かっていない、自分で自分の首を絞めたことになっていると私は思っているわけですが。  やはり、お金のある者、権力のある者がたくさん広告をいたしまして、弱い立場の者が自分たち立場を十分に訴えられないというような状況が出てくるのは、私は、憲法改正、これは言わずもがなでございますし、今までも議論が出ていますけれども、やはり国民立場を守ると。権力と国民というとらまえ方が今の時代にふさわしいのかどうか分かりませんが、それにしても、やはり国というものは強いものでありまして、国民は弱いものであります。その弱いものの立場を守るのが憲法の本来の趣旨一つだと、少なくも趣旨一つだというふうに考えますと、弱いものがこういった広告競争でお金がないがために敗れていくというようなことがあっては、私は本来の憲法というものの趣旨に反するというふうに思いますので、今回の提案では七日間が十四日間になってその期間は禁止をするという御提案になっておりますけれども、いっそのこと有料広告全体を廃止をするという議論にはならないのかどうか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  287. 船田元

    衆議院議員船田元君) お答えいたします。  その前に、先ほど長谷川委員からフィンランドでの大変興味深い例を示していただきまして、国会国民との関係ということで、原発の国民投票にかけないというその選択をした背景などを御議論いただきましたが、決して、だからといって日本におきまして国民投票がよろしくないということではもちろんないと思います。問題は、やはり国会が持っている、あるいは国会の中で議論した賛成だとか反対だとかそういう様々な議論というものを、やはり国民の皆さんに正確に、そして丁寧に広報を行うということがやっぱり必要なんだろうというふうに考えております。多分、長谷川委員が御指摘になった点は、その広報はやっぱりしっかりきちんとしなきゃ駄目よということの一つの反証というか教訓ではなかったのかなというふうに理解をしております。  その上で、今お話をいただいたテレビの有料広告放送、いわゆるスポットCMというものでございますけれども、これにつきましては、実はそれは広報活動といいましょうか、その一部にすぎない、もちろん大きな一部でありますが、全部ではないということがまずあります。つまり、無料枠ということで新聞、それからテレビ、ラジオの無料枠というものを、これをきちんとまず設けるということがあります。しかも、そこは中立的な情報を提供する部分と、それから賛成意見、反対意見、その背景も含めまして、各政党あるいは政党が支持する団体にその放送や新聞の広告を出すこと、そういう機会を与えると、こういうことになっております。この総量というのは、これはそのときそのときの状況で変わってくると思いますが、最終的には衆参両院議長の協議においてその無料枠の大きさが決まってくると、このように思っております。  それと、広報協議会を立ち上げるわけでございますが、その広報協議会のいわゆる広報パンフレット、これも作りまして、全戸、全国民に配布をするということにしてあります。これもやはり中立的な部分と、それから賛成意見、反対意見、これを一対一という形で平等に扱う、こういった様々な広報の在り方というものが、手段というものがあります。そして、有料広告はそのうちの一部であるということでございます。  ただ、先ほど御指摘のように、やはりテレビCM、スポットCMにおきましては、どうしても感情的に訴えてしまうもの、あるいはいわゆるアイキャッチングということで非常に扇情的なものも場合によっては含まれるかもしれません。そういうことについては、最初一週間ということでこの影響をなるべく少なくすることができるんではないかと、こう考えておりましたけれども、やはり様々な議論を聞かせていただきまして、やはり少なくとも二週間は必要であろうと考えました。また、この二週間というのは、先ほども申し上げましたように、いわゆる期日前投票の始まるその二週間と平仄が合っているわけであります。つまり、テレビのスポットCMを見てそのまま投票するということのないように冷却期間を置くということが必要であろう、こういう考え方に従ったものであります。  ただ、一方で、今御指摘のように、資金量の多寡によってそのスポットCMが放送される、これがバランスを損なうんではないか、こういった懸念があることは私も十分承知をしております。  しかしながら、その点につきましては、もしこれを求めるために全面禁止ということになると、やはりそれは広告主にあってもやはり表現の自由というものをこれは保障しなければいけない、このように思っております。ですから、その両方のバランスを取るのであれば二週間というものが一つの大きな目安になるんじゃないかと、こう考えたわけであります。  また、テレビのスポットCMは、やっぱり投票日前、投票日が近づくにつれてだんだんとエスカレートをする、あるいは頻度が増えるというようなこともあると思っております。二週間という凍結期間を置けば、その後段における、つまり投票日前の非常に多くなる、ピークを迎えるような、そういう状況をむしろ禁止をするということで一定の歯止めというものは十分利くのではないかと、このように思料したわけでございます。  以上でございます。
  288. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 お気持ちは分かるんです。お気持ちは分かるんですけれども、ただ、その有料広告、その実態は広告会社が作るわけでございまして、極めてイメージに流れる、そういうものに私はどんどんどんどん流れが強まっていくんじゃないかというふうに思います。その方が正に国民の共感を得やすいと、もうやすきに流れるということに私はなることを大変恐れております。  しかも、その放送の影響というのは極めて影響力が強いわけでございまして、具体的に憲法改正というような大きな問題を国民の皆さんに判断していただくとするならば、やはり表現の自由といっても一定のルールの中できちんとやっていただくと。つまり、賛成の意見も反対の意見もいろいろありましょうけれども、そういったものができるだけ均等に国民の皆さんに知られるようなルールを作っていくということがとても大事だと思うわけです。  そういう意味で、この十四日の制限を課す以前については自由にどうぞやってくださいということでは、私は、その期日前投票が十四日前から始まるというような状況も踏まえて、これは大変不十分な仕組みだというふうに思いまして、ここは是非お考え直しをいただきたい。できることなら、近藤委員の御発言にもありましたけれども、私はこれは全面的に禁止をしてしかるべきものではないかというふうに思っている次第でございます。  あと残り時間が十分ということでございますが、もう数分で六時になりますので、私は時間を精一杯使おうとは思っておりませんので、ほかにもいろいろお聞きしたいことがありますし、更に今後掘り下げて御質問をさせていただかなきゃならぬことがたくさんありますけれども最後一つだけ、最低投票率についての考え方について申し上げたいと思います。  私は、やはり最低投票率は設けるべきだというふうに思っております。先ほどの保岡先生の御説明では、憲法の解釈上そういうものは予定をされていないし、むしろできないのじゃないかという趣旨の御発言がありましたけれども、私はそうは思いませんで、ここは元々、憲法としては最低投票率についての決めを置かなきゃいかぬというようなことは想定していなかったことは事実でございますけれども、やはり憲法というのはできるだけ多数の国民の皆さんに審議をしていただく、参加をしていただくということがとても大事なわけでありまして、単にそのためのキャンペーンをするというだけでなくて、最低の投票率を下回った場合には有効にはならないんだという決めを置くことによって、より一層国民の皆さんの参加意欲というものは高まるんじゃないかというふうに思うわけです。  一方で、ボイコットという話が出ておりますけれども、ボイコットは、それは当然の権利として私はあり得ること、積極的ボイコットというのは当然にあり得ることだと思うわけでございまして、憲法には大体、抵抗権なんというのもあるぐらいでございますから、ボイコットも当然あり得る。そういう状況の中で、ボイコットを一部の人がやったから最低投票率を割り込んだというようなことであるならば、そもそも憲法改正にやっぱりふさわしくないんですよ。それだけの国民合意が得られないようなものを、やはり憲法改正だといって胸を張る必要は私はないというふうに思いまして、ここも是非お考え直しをいただけないものかなというふうに思っている次第でございます。  そのほか、過半数の問題とかいろいろ各国の比較の問題とかお聞きしたいこともありますが、六時でございますので、御予定の方もいろいろいらっしゃるというふうに伺いましたので、今日はこれで終わらしていただきたいと思います。
  289. 関谷勝嗣

    委員長関谷勝嗣君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後六時散会