運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2007-05-17 第166回国会 参議院 内閣委員会、財政金融委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年五月十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    内閣委員会     委員長         藤原 正司君     理 事                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 朝日 俊弘君                 工藤堅太郎君     委 員                 佐藤 泰三君                 田村耕太郎君                 竹山  裕君                 林  芳正君                 松村 祥史君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 神本美恵子君                 水岡 俊一君                 風間  昶君                 白浜 一良君                 亀井 郁夫君    財政金融委員会     委員長         家西  悟君     理 事                 沓掛 哲男君                 中川 雅治君                 大久保 勉君                 峰崎 直樹君     委 員                 泉  信也君                 金田 勝年君                 岸  信夫君                 椎名 一保君                 田中 直紀君                 舛添 要一君                 尾立 源幸君                 富岡由紀夫君                 広田  一君                 円 より子君                 西田 実仁君                 山口那津男君                 大門実紀史君    国務大臣        財務大臣     尾身 幸次君        国務大臣     渡辺 喜美君    副大臣        内閣府副大臣   林  芳正君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        藤澤  進君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局次長  大藤 俊行君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局審議        官        鈴木 正徳君        財務大臣官房参        事官       香川 俊介君        財務省主計局次        長        松元  崇君        財務省主計局次        長        真砂  靖君        財務省理財局次        長        藤岡  博君        厚生労働大臣官        房審議官     草野 隆彦君    参考人        沖縄振興開発金        融公庫理事長  金井 照久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○株式会社日本政策金融公庫法案内閣提出、衆  議院送付) ○株式会社日本政策金融公庫法施行に伴う関係  法律整備に関する法律案内閣提出、衆議院  送付)     ─────────────    〔内閣委員長藤原正司委員長席に着く〕
  2. 藤原正司

    委員長藤原正司君) これより内閣委員会財政金融委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法施行に伴う関係法律整備に関する法律案、両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明につきましては、お手元に配付いたしました資料により御了承願い、その聴取は省略いたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 大久保勉

    大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉でございます。  同法案に関しましては、四月二十七日本会議質問に続きまして二度目になります。そこで、四月二十七日本会議質問に対する尾身大臣答弁に関連しまして、まず質問したいと思います。  こちらに議事録がございまして、まず独法化に対しまして政府出資金が十二兆円毀損したといったことに関して質問したいと思います。  本会議におきまして尾身大臣は、独立行政法人化に伴う政府出資金減少額国有財産台帳計数に即して申し上げれば、約十二兆円となっておりますと。いわゆる十二兆円というのは、極めて大きい数字だと私は考えております。一年の消費税に相当するような金額がなくなってしまったと。私は、これは非常に大きい問題ですが、なかなか財務大臣は認識が足りないのかなということで、この点を踏まえまして質問しまして、また、今回の日本政策金融公庫に関しましても同じような処理是非ともしないように説明責任を明らかにする、この観点からまず質問します。  手元の方に配っております資料としまして、独立行政法人化に伴う政府出資金減少額ということで、財務省の方から十二兆円の明細をいただきました。二十七独法で合計十二兆円の出資金減少がございます。  まず、これに関しまして質問します。この中に官製談合指摘されている独立行政法人は含まれているのか、またその場合、出資金毀損金額を聞きたいと思います。参考人、お願いします。
  4. 藤岡博

    政府参考人藤岡博君) お尋ねの点でございますけれども、本計数の中には御指摘緑資源公団独立行政法人化に伴います政府出資金減少額も含まれておりまして、その減少額は千三百九十三億円余となっているところでございます。
  5. 大久保勉

    大久保勉君 配りました資料の二ページ目に十四という数字が載っていますが、農林水産省管轄緑資源機構は一千三百九十三億円の減少をしております。いわゆる税金が無駄に使われております。私はこれは非常に問題だと思っております。いわゆる長年官製談合を行いまして、その結果でありまして、一千四百億円もの欠損金が積み上がっていたと。その処理独法化にかこつけましてやみに葬られて処理されたというような状況だと思います。これは非常に安易に血税を使うということで、私は非常に憤りを感じます。  財務大臣はこの件に関してどう思われますか。御質問します。
  6. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 二〇〇三年の緑資源公団独立行政法人化に伴いまして政府出資金が千三百九十三億円減少したわけでございますが、これは水資源造成事業によりまして保有する樹木評価損によるものであります。水資源造成事業は、水源涵養という公益的な機能を有する森林を造成するものでございまして、保有する樹木については固定資産として取得原価方式により資産計上をしておりますが、独立行政法人化に際しましては、時価基準とした評価額取得原価として当該資産承継したところでございまして、この評価減によりまして千三百九十三億円の減少ということになりました。  なお、現在、残念ながら談合問題がいろいろ指摘されておりますが、これは、緑資源機構が行います林道事業の測量・建設コンサルタント業務であるというふうに伺っております。  この林道事業につきましては当初から出資金は充てられておりませんで、官製談合の結果として積み上がった損失政府出資金で安易に埋めたという指摘は当たらないものと考えております。
  7. 大久保勉

    大久保勉君 金には色が付いていませんから、どの分が充てられたかというのはよく分からないと思うんですね。  その辺り、前の公会計に関してそういった厳密な会計処理をしているかどうか私は疑問ですが、もし参考人で、このお金談合に充てられた、このお金研究開発費若しくは森林に充てられたとか、そういう厳密な会計をしていたんですか、質問します。
  8. 真砂靖

    政府参考人真砂靖君) 今先生御指摘林道事業でございますが、林道事業につきましては補助金事業でございます。したがいまして、出資金とは性格を異にするというものでございます。
  9. 大久保勉

    大久保勉君 少なくとも私は、すべてのものが、出資がなくなったものに関して、これは、大臣答弁を読み上げますと、将来にわたり国民有形無形資産として残り、その利益が国民に還元されるとの理由で事業の失敗とかに当たりませんと。つまり、出資金十二兆がなくなったとしても、それは国民財産だから問題ないという指摘なんですね。  では、緑資源に関しては補助金で充てられたからそれに当たらないということを信頼します、若しくは信頼したとしましても、じゃ、別の事例を質問します。  配りました資料の一ページ目のこれは三番目ですね。独立行政法人雇用能力開発機構厚生労働省所管で、一兆三千五百億円の出資金がなくなっております。これに関しまして質問します。  この中には、少なくとも労働者福祉施設譲渡による三千五百億円の損も含まれています。これは、いわゆる年金福祉事業団のグリーンピアと同じようなものなんです。この雇用能力開発機構に関しては、スパウザとかサンプラザとか、こういった設備を造っておりまして、それを売却して多額の損失が出ています。それに関して損金が出、その損金出資金で相殺したと、こういったことだと思いますが、これは国民財産だと考えることができるんですか、財務大臣に質問します。
  10. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) この雇用能力開発機構に対する政府出資金につきましては、独立行政法人移行時に一兆三千五百四十八億円減少したわけでございます。これは御指摘のとおりでございます。  これは、建物等保有資産経年劣化に伴いまして減価償却を行いまして、これが六千百五十五億円、それから独立行政法人への移行に際しての資産時価評価を行いまして、これが三千五百八十七億円、勤労者福祉施設譲渡等によりまして資産除却売却損が生じまして、これが三千五百七十六億円ということになっております。  この特殊法人から独立行政法人への移行に当たりましては、各独立行政法人個別法において資産負債承継規定が設けられておりまして、これにのっとって政府出資金の取扱いが決定されております。雇用能力開発機構に対する政府出資金につきましても、法令にのっとって処理されたものと承知をしております。  なお、この勤労者福祉施設等につきまして一般論として申し上げますと、勤労者福祉施設は、中小企業福利厚生施設を単独で設置することが困難であったこと等から、事業主の共同の負担で社会的に整備するという考え方の下に、事業主のみが保険料を負担している雇用保険の三事業によりまして、地方公共団体要請等も踏まえて設置されたものであります。また、これらの勤労者福祉施設の多くは、長年にわたり勤労者国民に利用され、その多くは地方公共団体譲渡されて引き続き公共目的に使われることになっていると承知しております。  いずれにいたしましても、独立行政法人につきましては、効率的な運営に努めることが重要でございまして、私どもとしても主務大臣が行う中期目標の設定や中期計画の認可の協議等を通じて、法人の適切な運営が確保するように努めてまいりたいと考えております。
  11. 大久保勉

    大久保勉君 一見聞いたらまともな答弁なんですが、私は分からないんですけど、経年劣化とか減価償却とか、そういうことだと。  でも、実態を隠し込んでいるんですね。また、法令にのっとって適切にやっていますと、法令自身がおかしいと思うんです、私は。つまり、こういったグリーンピアとかスパウザとかサンプラザ、本当に必要だったのか、若しくは必要以上に豪勢な施設ではなかったのか、そこに天下り若しくは建設するための公共事業と、こういったもろもろの構造を隠していて、それを経年劣化とか減価償却という言葉で消し込んでいます。  今必要なのは、財務大臣、あなたは国の資産をチェックする立場にありますから、変な処理をした場合にはきっちりあなたが厚生労働大臣におかしいんじゃないのというようなことを指摘することが必要なんです。また、法令にのっとって問題ないというのは独法法律がおかしいんです。独法化するときに、資産負債差額だけを出資金にする、残りは前の出資金を減らしますと、こういう法律を作ったことがおかしいんです。是非財務大臣としては、こういった減価する場合には、財務大臣責任の所在を明らかにして国会に対して報告しないと、幾らでも同じような例が出てくると思うんです。  次に、行革担当大臣に聞きたいと思います。  こういった構造上の問題、今の法律の問題がありますから、是非これは渡辺大臣の方に直してもらいたいと思います。是非御所見を伺いたいと思います。
  12. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 安倍内閣は無駄ゼロを掲げております。御指摘のような天下り官製談合による無駄遣いがもしあるのだとすれば、これは言語道断の話でありまして、厳しく正していかなければならないと、行革大臣立場からはそう考えております。  先ほど尾身大臣が御答弁されました会計処理につきましては、これは新しく移行するときに、例えば木の値段が下がっちゃった影響とか、建物が古くなってしまった、あるいは資産デフレで、時価評価をしてみたら価値が大幅に減価をしてしまっていた、売却による実減損が出てきていたと、こういうものはこれ隠しようのない話でございまして、こういう時価評価とかデフレ影響とか、こういうものを隠した会計処理をするのは逆に問題であろうかと思います。  したがって、この新しく設立される独立行政法人がその業務を確実に実施するのに必要な財産的基礎を有するようにとの趣旨から、個別の設置法に設けられた資産負債承継規定に基づいて各独立行政法人において適切に処理はされてきているものと考えております。
  13. 大久保勉

    大久保勉君 適切かどうかは私は必ずしも納得できません。方向としては正しいと思うんです、時価評価するとか何か問題があったら償却する。ただ、余りその金額が大き過ぎて、その中に一割とか、場合によっては数%、別の項目で損が入っているんです。その損というのは官製談合であったり若しくは無駄遣いであったり、この辺りはきっちり見ていくことが必要だと思いますから、是非大臣のリーダーシップを期待します。  続きまして、じゃこの政府出資金増減に関しましては毎年国会報告しているということですが、いろんな資料を見せてもらいました。でも、私は非常に不十分だと思います。二百ページ、三百ページの資料の中に一枚重要な項目が紛れていて、ほとんど普通の方が見ましても何を意味しているか分からないんです。是非この部分は改善してもらいたいと思います。  じゃ、その関連で、平成十八年度における政府出資金減少幾らであったか、またその法人の名前を教えてください。大臣に質問します。
  14. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 政府出資法人に対する出資につきましては、御指摘のとおり、国有財産法に基づく国有財産増減等報告書におきまして、会計年度間の増減額を毎年国会報告するとともに、衆参両院予算委員会への提出資料財務省ホームページ等を通じて、法人ごと政府出資状況資産負債状況について報告対外公表を行っているところでございます。  その際、財務省といたしましては、より分かりやすい情報提供を行うことといたしまして、先般関係法令を改正をいたしまして、十八年度以降の国有財産台帳上の出資金について、より現状に即したものにするために、従来の出資累計額による計上方法を改め、毎年度、総資産から総負債を差し引いた純資産額等により計上するなどの取組を行ってきたところでございます。今後とも、政府出資に係る情報提供の充実については必要な検討を続けてまいりたいと考えております。  十八年度において、独立行政法人化に伴い政府出資金減少したのは年金資金運用基金独立行政法人化の一件だけでありまして、減少額国有財産台帳計数に即して申し上げますと、四千三百七十四億円でございます。このうち、四千三百八億円は資産を国へ承継したことによる減少でございまして、六十六億円は会計基準の変更により貸倒引当金の再評価を行ったこと等により生じた帳簿額との差額でございまして、いわゆる事業損失政府出資で穴埋めしているという性格のものではないと考えております。
  15. 大久保勉

    大久保勉君 こちらに関しては初めて来た数字ですから、もう少し分析しますが、非常に分かりづらいんですよね。  本当に、じゃ四千三百七十四億円のうち一部を、資産を国に計上したといいましても、本当に四千三百、多分十四億円ですか、六十億円は別の要素ですから、四千三百十四億円の価値があるかどうか、その辺りも非常に疑問ですし、もしこれ、一般会計で考えてください。今年の予算で四千三百億出資が増えるとか若しくは税収を増やすために課税するとかというんでしたら大変大きな問題なんですよね。やっぱり四千三百億というのは非常に大きいんです。こういった数字がいわゆる会計処理とかそういった形で見えなくなっているのは非常におかしいですから、やはりきっちりここは説明すべきだと思うんです。その詳細にわたって説明する慣行を是非付けてもらいたいと思います。  じゃ、続きまして、今度はこれからの話です。今日本政策金融公庫法審議しておりますが、四つ機関一つにします。四つのうち三つは大きな損失を持っています。一方、国際協力銀行剰余金を持っています。この損失剰余金をどういう形で処理していくかというのは極めて大きい問題です。  そこで、質問します。  じゃ、日本政策金融公庫に関して、厳密に勘定分離がなされ、例えば国際協力銀行剰余金を他の勘定に充当することができないようにしているということでございますが、じゃ、もし新設される危機対応円滑化業務のための勘定に対して、この勘定と例えばJBIC、国際協力銀行勘定を一緒にすることはできるんですか、若しくはできないんでしょうか。このことに関して渡辺大臣にお尋ねします。
  16. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 日本政策金融公庫は国が責任を負う機関であります。透明かつ厳正な運営が必要になります。  その業務においては、御案内のように、零細事業者から国際金融まで多様なものがあります。政策目的ごとに拠出された出資金等財政資金をきちんと分別管理をする必要があります。そして、各政策の適切な実施と透明性の確保を図っていく必要がございます。そのため、勘定区分を設ける、他の勘定との損益通算は行わないということにいたしました。  したがって、危機対応円滑化業務のための勘定についても他の勘定剰余金を充当することは法律上できません。
  17. 大久保勉

    大久保勉君 分かりました。じゃ是非実行してください。  じゃ、関連しまして、尾身大臣国会答弁によりますと、新公庫の各勘定に継承された累積欠損金については、その後の経営努力により累積欠損金解消を含め適切に管理されると、適切に。じゃ、国内三部門のそれぞれの欠損金は何年をめどに解消を行うことを考えているのか。  また、その場合に、損を埋めないといけませんから、どういう形で埋めるのか。例えば補助金を出して埋めるのか。若しくはこれまでと同じように、独法と同じように政府出資金を充てて見えない形で消し込むのか。場合によっては、特に国民生活金融公庫なんかで聞いておりますが、いわゆるDESというやり方があります、デット・エクイティー・スワップ。国の貸出しを出資に変えてしまうと。このデット・エクイティー・スワップというのは破綻企業の再建の方法なんですね。こういったことを使うことは非常にいわゆる禁じ手だと思うんですね。こういったことをやろうとしているのか、このことに関して御質問します。大臣、お願いします。
  18. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今最後におっしゃられたいわゆるDESやり方については後ほど政府委員から正確に必要があれば御説明をさせていただきたいと存じます。  私の方からは、新公庫法上、財務会計透明性が必要であります。きちんとしたデューデリジェンスを行う必要がございます。それを経た上で資本、負債ともにきちんと承継をし、透明かつ厳正に管理をしていくことにしております。したがって、デューデリの結果、平成二十年十月の新公庫スタート時点累積欠損金が生ずることとなれば、そのまま新公庫承継されます。その後、累積欠損金をどう取り扱うかについては、経営努力によって縮減をしていくことも含めて新公庫主務大臣十分検討をすべき問題であると考えます。
  19. 大久保勉

    大久保勉君 ここは、この法律を通すか通さないか国会で質問していますが、デューデリをしないとどうなっているか分からないと。さらに、その結果を見て主務大臣が決めますということでしたら、この法律審議は何なんでしょうか。じゃ、この法律の構成は何ですか。内容が分からないのに賛成か反対か決めろというのはおかしいですよね。国会軽視も甚だしいです。少なくともデューデリをするんでしたらその数字国会に見せて、三年後、五年後にこの欠損金解消します、こういう方法解消するんだと、それで国会の方で審議してくださいというのが筋でしょう。何も分からなくて法案だけ通して、あとは任してくださいといったら、私どもはもう懲り懲りです。独法化法案でも同じ手法を取りました。形だけ作って、あと行政改革特殊法人改革だという改革の名の下で国会を可決させて、実態的には悪い部分があったら見えないところで処理をすると。その結果が十二兆円の損失でしょう。今回も同じ手法を使っているんじゃないですか。渡辺さんとしては非常にがっかりした答弁です。渡辺大臣政治家としての個人的な見解を、突っ込んだ見解を期待していますが、もう一度お願いします。
  20. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) いろんな観点から新公庫についてはガバナンスを利かせる仕掛けが作られております。民間的なガバナンスを利かせていくやり方、また国のガバナンスを利かせていくやり方もございます。また、国会によるガバナンスも当然のことではありますが、利かせていかなければならないという仕掛けに当然なっております。  累積欠損金処理をどうするかという問題でございます。  これは、先ほども申し上げましたように、新公庫の具体的な事業計画については、一義的には新公庫経営陣において今後検討される課題であります。新公庫の毎年度の収支については、時々の金利の動向、経済の情勢、民間金融機関状況等に左右される場面がございます。加えて、国からの財政支援の額については、毎年度国会の御審議をいただいた上で決定をされることになります。  累積欠損金の中長期的な処理計画について、今ここで私がお示しをするのは適当ではなかろうと思います。
  21. 大久保勉

    大久保勉君 適当ではなかろうといいますか、具体的な数字を使った提示ができないことがこの国の問題点なんです。  私も、民間におきましてはMアンドAの実務を経験したこともあります。若しくは会社の決済に関しても関与しておりました。民間の場合どうするかといいましたら、新しい会社をつくる、若しくは四つ会社一つにする場合には、収益予想を作っていきます。一年後、五年後、十年後、シミュレーションで一番いいケース、悪いケース、中間と、その三つの指標を見ながら、ある程度のリスクを考えて、どういう形で新経営陣にどこまで権限を任すかをきっちり検討しています。  でも、国会では数字が全く出てきません。その数字の計算すらできないと、それはデューデリができていないから分かりませんと。これがこの国の実態です。行革担当大臣といっても行革していないんじゃないですか。  渡辺大臣、もう一度質問いたします。
  22. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 委員は、中長期的な手法が明示できないというのはこれは欠陥ではないかという御指摘をされているのかと思います。  新公庫の財務においては、先ほど来申し上げておりますように、透明かつ厳正に管理されるよう手当てをしております。  具体的には、民間企業会計会計監査人による監査を導入をいたします。各政策の適切な実施と透明性の確保、責任の明確化を図っております。そのため、主要政策ごとに勘定区分を行います。各政策分野に責任を持つ主務大臣がきちんと業務実施を監督をいたします。さらに、リスク管理について金融庁の検査を行います。加えて、各事業年度の資金計画を含む予算国会議決、決算の国会提出は当然のこととして規定がされております。  その上で、行革推進法により経営責任に帰すべき損失については財政上の措置は行わないとされております。予算国会議決を経る過程で、そうした措置が講じられていないかどうか、きちんとチェックを受けることになるわけでございます。  したがって、先ほどの御指摘の、この法案が欠陥ではないのかという趣旨観点は、これはそうではないと申し上げたいと思います。
  23. 大久保勉

    大久保勉君 分かりましたと言いたいんですが、渡辺大臣は今日の趣旨を御存じないですね。今日は合同審査です。財金部門も入った合同審査です。財金部門は、抽象的な透明とか厳正とか、そういったことだけではだまされません。もう少し具体的な数字がないと無理なんです。ですから、法律論争じゃなくて、より現実、経営とは何ぞやとか、そういうことを議論したいんですが、それが全く出てこないんですよね。だから、こういったものだったら非常に私は不満足です。  恐らく渡辺大臣と方向性は一緒なんです。行革をしたいとか、きっちり税金の無駄遣いを正したいということは同じなんですが、数字がないと、じゃ、自分で数字を見ないと、本当に、あなたの部下が、大臣、こういうことですと。でも、政省令の段階で全く別のことをやってしまうと。新経営陣が更に全く別のことをやってしまうと。やりたいことは一緒なんですが、結果が違うと。その積み重ねがこの十数年なんです。それで十二兆円の損失が発生しているんです。是非、もう少し細かい議論をしましょう。若しくは、少なくとも部下に対して細かい数字を出してもらって、専門家に見てもらうとかした方が私はいいと思います。  続きまして、じゃ渡辺大臣に対しまして、新公庫の経営が縦割りにならないことは当然で、各部門のシナジー効果を発揮し、一体的、効率的な組織運営が行われることが重要である、これは渡辺大臣国会、本会議での答弁であります。勘定分離はきっちりやる、一方で勘定分離はやると。  私は、常識的には勘定分離をきっちりやるということとシナジー効果を出すということは矛盾するんですよね。その矛盾をどういう形で経営するか、是非渡辺マジックを教えてもらいたいと思いますが、是非よろしくお願いします。
  24. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 一見相反するかのように見える要請を同時に達成するのは経営者の技というものだと思います。我々政治家も、一見相反する要請を同時に満たす必要性に迫られることが多々ございます。  今御指摘のシナジー効果の発揮と、それぞれのガバナンスを利かせる、勘定区分をきちっとやるということが矛盾するのではないかという御懸念かと思いますが、今回の新公庫設立の大きな目的は、四つ機関一つにまとめる、そして、内閣の関与の下において厳格な手続に基づいて選任される経営責任者を中心に一体的かつ効率的な運営を図ってまいります。そして、簡素で効率的な政策金融機関をつくることでございます。この観点から、組織形態は会社法に基づく会社といたします。経営責任者を中心とする業務執行取締役会による意思決定、監督、会計監査人による監査等、民間的なガバナンスの仕組みを取り入れております。  他方で、新公庫の財務については、国が責任を負うべき政策金融の実施機関であることにかんがみて、透明で厳格な管理が必要であることから主要政策ごとに勘定区分を行っております。その政策ごとの内容を明らかにした上で、事業予算については国会の議決を経るという国会ガバナンスを掛けていただいております。  したがって、このような観点から、一方において累積赤字がこれだけたまっているじゃないか、じゃこれをとにかく圧縮することを優先しろと言われちゃいますと、逆に政策の方がなかなか実現しにくくなってしまうということから、先ほど御指摘いただいたようないわゆるDES的な手法も使いながら苦心の策を今回提出をさせていただいたところでございまして、相反する要請を同時に達成していくというのは正に新経営陣の技であると申し上げさせていただきます。
  25. 大久保勉

    大久保勉君 非常に難しそうな、これこそ正に渡辺マジックですね。よく、羊の頭を掲げて犬の肉を売るという言葉もありますが、要は、ごまかすということにならないように、是非大臣のリーダーシップを発揮してもらいたいと思います。  国民生活金融公庫と国際部門とか、若しくは農林水産部門と国際部門のシナジーとかということを質問しようと思いましたが、これは時間が押していますので、省略します。  本当に難しいと思うんですよね、全く性質が違うものを一緒にマネージしようとしましても、また勘定が別ですから、私は新公庫の総裁の苦労がよく分かります。  そこで、大臣は、きっちり縦割りにならないようにしっかりと監視していくということを答弁で行われています。読み上げますと、行革担当大臣立場からも、経営が縦割りとなることがないよう、しっかりと監視してまいります。そうですね。是非監視してもらいたいんですが。  そこで、大臣の任期を聞きたいと思います。つまり、大臣は何年今の仕事をなされるんですか、若しくは行革担当大臣は何年継続するんですか。未来永劫あるのか。といいますのは、新公庫は未来永劫あります。でも、行革担当大臣が監視しようとしても、もうポストはありません。だれもそういう機能がありませんから、監視できないんじゃないですか。無責任だと思います。無責任にならないためにどういうことが必要か、是非おっしゃってもらいたいと思います。議事録に残して、新経営陣に、ちゃんとこういうことはしろよと、そういう決意を是非ともおっしゃってもらいたいと思います。
  26. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 次の内閣改造で私がどうなるかは安倍総理に聞いていただきたいと思います。  仮に私が行革大臣を外れたら何もできなくなるのか、そんなことはございません。行革担当大臣というのは、行革推進法において、内閣に総理を本部長とする行革推進本部が設置されております。行革推進本部は、政策金融改革を含む行政改革の推進に関する総合調整や施策の実施の推進等を行うことになっております。したがって、行革担当大臣は閣議決定において行革推進副本部長になっております。総理大臣を助け、新公庫運営状況について監視していく役割を担っているのでございます。今後、行革担当大臣を設置するか否かについては、その時々の情勢に応じて総理が御判断をされることになります。  いずれにしても、行革推進本部は総理大臣の下で内閣としてきちんとその役割を果たしていくことに変わりはございませんので、どうぞ御心配なさらないようにお願いいたします。
  27. 大久保勉

    大久保勉君 分かりました。  じゃ、行革推進本部は、これは任期はあるんですか。何年間続くんです。未来永劫ですか。これは通告しておりませんから。
  28. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 行革推進法の七十六条において五年と定めておりますが、行革推進法は恒久法であります。この法律に規定された行政改革の内容については、内閣としてその時々の情勢を踏まえ責任を持って適切にフォローをしていくことになります。  新公庫法附則の四十七条において、政府は新公庫業務の在り方について検討を加え、必要に応じて措置を講ずることとされております。この観点からも、政府責任を持ってフォローしていくことになるわけでございますから、御懸念のことは御心配はなかろうと思います。
  29. 大久保勉

    大久保勉君 私は、行革推進法上は五年の任期であると、渡辺大臣ももしかしたら五年後、大臣立場にないかもしれないと、そういうことで若干不安なんです。そこで、ここはきっちりだれかが監視するようなシステムを作ってもらいたいと思います。これは大臣のリーダーシップに期待します。  続きまして、大臣答弁の中で、新公庫の役員数は必要最小限のことであるということであります。  じゃ、そこで質問したいです。非常に抽象的なんですね。必要最小限って何ですかと。じゃ、現在の四公庫の役員の総数は何名ですか。じゃ、必要最小限とは、現在の合計の役員数に対して何割を意味するんですか。大臣の突っ込んだ答弁を期待しています。
  30. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 現在の四機関の役員数は、単純合計でいきますと四十二名になっております。御案内のように、JBICが旧OECFと旧輸銀とに二等分されますので、JBICの役員十二人を仮に半分とした場合には合計で三十六名になります。  会社法上は、役員の数というのは会社の自主的な判断にゆだねております。それが基本でございます。他の特殊会社においても同様になっております。ただし、新公庫については政策金融改革趣旨を踏まえなければなりません。現在に比べて、役員の数を適切に見直し、必要最小限の数とすることが求められます。このため、役員数については定款で定めることとしております。定款の認可に当たっては、主務大臣が必要最小限の数であることを責任を持って判断をしていただくということになります。役員数の判断に当たっては、当然のことでありますが、きちんとした考え方が貫かれなければなりませんので、私、行革担当大臣としてもしっかりと見てまいりたいと考えます。
  31. 大久保勉

    大久保勉君 何か、必要最小限とか適切とか、いろんな言葉、時間は長かったんですが、ほとんど魂がないですね。つまり、私が聞いているのは、現在の三十六名の総数に対して何名になるんですかと。必要最小限でしたら、半減するとか、そういう言葉を期待していたんですね、若しくは四割カットとか。大臣らしくないですよ。是非大臣、もう一度、じゃ、一個人として何割カットが適切ですか。
  32. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほども申し上げましたように、これは定款で決められることになるんです。その定款の認可に当たってしっかりと見てまいりますということを申し上げているわけでございます。
  33. 大久保勉

    大久保勉君 定款を作るのは政省令であったり、若しくは最終的な人数を決めるのは総裁、新経営陣でしたら、結局はコントロールは利かないですよね。しっかり見ると言っても、来た数字に対して基本的には容認せざるを得ないというような状況でしたら、若しくは、渡辺大臣だったらそれはノーと言うかもしれませんが、別の方だったら必ずしもノーと言わない可能性がありますから、私は不安ですね。だから、本当に行革推進とか、言葉だけは躍っております。でも、本当に実態が伴っているかどうか私は心配です。  そこで、同様の質問としまして、委員会等設置会社に関して質問しました。これは、大臣答弁によりますと、新公庫ガバナンスについては可能な限り強固にするという一方、委員会等設置会社にするかどうかは新公庫経営陣に任せるということであると。  通常、経営陣は自分を縛るガバナンスの強化などは望むことはありません。よく、この議論は泥棒が警察官を任命するというような議論なんです。決して有能な警察官は任命しようとしませんし、そういう制度は導入しようとしません。ということは、新経営陣に任せるということは事実上は委員会等設置会社を設置しないということに等しいと思うんですよね。  やはり、じゃ一般の株式会社でどうして委員会等設置会社をつくったかといいましたら、株主の圧力とか、いろんな不祥事によって、外部からの圧力で委員会等設置会社をつくって、外部の取締役が経営陣をきっちりチェックするような形になっています。  やはり、今回の法案で感じますのは、仏作って魂入れずという状況が多いと思います。魂を入れることができるのは渡辺大臣しかいないんです。だから、ここできっちり具体的な数字を言ってください、思いを。そうしない限りは、結局は仏作って魂が入らないという状況なんですね。  このことに関して、最後、本当に改革するつもりがあるかどうか、この項目に関して質問します。
  34. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 新公庫法においては、委員会設置会社としてはいけないなどとはどこにも書いてありません。委員会設置会社とすることを排除などは全くしておりません。  委員会設置会社とする場合には、会社法上はこれは会社の裁量にゆだねられております。したがって、定款で定める必要がございます。先ほど来申し上げておりますように、その定款の認可に当たっては、正に私ども責任を持ってそのチェックをしてまいるということでございます。  新公庫運営については、行政改革推進本部の下の行政減量・効率化有識者会議というのがございまして、そこに国会の御審議も踏まえながらワーキングチームを設置をいたします。今月中にもしこの法案が御採択いただければ今月中にこのワーキングチームを立ち上げて、そこで徹底した議論を行ってまいりたいと考えております。
  35. 大久保勉

    大久保勉君 慎重に聞いていましたら、今後どういうことをするとかは議論されていますが、そのワーキングチームに、大臣国会に対してこういうふうな答弁をしたと、指示をした、だからこれにのっとってやれというような強制力はないですよね。  つまり、委員会等設置会社に関して賛成ですか、反対ですか、質問します。
  36. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 新公庫法においては、委員会等設置会社にすることを何ら排除はいたしておりません。これは、新経営陣の裁量にゆだねられているということでございます。
  37. 大久保勉

    大久保勉君 ということは、もう大臣は委員会等設置会社に関して、経営陣にやれとは言いませんでしたと。つまり、私にとっては、委員会等設置会社ガバナンスを強化するための一手法ですから、そこまで踏み込んだ行政改革は指示しなかったということですね。それなりの法案なんですね、これは。はい、分かりました。  じゃ、随意契約に関しても質問します。  大臣は、必要に応じ、入札を始めとする競争性のある契約に移行するよう、契約方法について不断の見直しをすると。またまた抽象的なんですね。  不断の見直しを行う主体はだれなんですか。大臣が不断の見直しをするのか、それとも新経営陣ですか。若しくは、新経営陣に不断の見直しをさせるという保証はどうやって担保するんですか。この国会議事録を残して保証さしてください。
  38. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 随契の見直しというのは非常に大事な課題だろうと思います。  今、政策金融の世界で残っている随契の主なものというのは、賃貸借契約とかレガシーITの費用とか、そういったものが多額に上っていると聞いております。いずれにしても、入札を始めとする競争性のある契約に移行するよう適切に対処をしていくことが随意契約の見直しについては大事だと考えます。これも、一義的には新公庫経営陣によって検討をされるべきものでございます。  また、業務運営については主務大臣が監督責任を負っております。必要があれば、監督命令を含む的確な対応を取ることができます。そして、行革担当大臣としても、新公庫運営を監視する立場から、随契の見直しを含め新公庫運営についてはしっかりと見てまいります。  先ほど申し上げました減量・効率化会議、ここにワーキングチームをつくりますので、国会の御審議も踏まえながら、こうした問題についても議論をしてまいりたいと考えます。
  39. 大久保勉

    大久保勉君 ちょっと確認しますと、随意契約が残っている分野は賃貸借契約とレガシー契約が中心だということですね。
  40. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 中心というか、額が多い。
  41. 大久保勉

    大久保勉君 額が多いということですね。分かりました。  ということは、ここに国民生活金融公庫と農林漁業と、あと中小企業国際協力銀行の随意契約のパーセンテージがあります。これはきっちりした資料で、衆議院調査局が出した資料です。ということは、国際協力銀行の随意契約は九七・九%、ということは国際協力銀行は賃貸契約が九八%もあるんですか。とんでもないですよね。ほとんど勉強されていないんですか。  まず言いますよ。国民生活金融公庫、随意契約件数が八六・七%、契約金額八三・八%、農林漁業金融公庫、随意契約九一・四%、契約金額九五・二%、中小企業融公庫九一・一%、契約金額八四%、そして国際協力銀行は九七・九%が随意契約、金額に直したら九七・六%、ほとんどじゃないですか。そんな、一部が随意契約ということじゃないでしょう。実態把握がなされていないですよ。  もう一度同じ質問をします。じゃ、数値目標をつくったらどうですか。九八%を半減する、随意契約は現在の水準を半減するとか、そういう形のきっちりとした答弁を期待します。もう一度お願いします。
  42. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほどもお答え申し上げましたように、随意契約の見直しは極めて大事なことでございます。したがって、競争性のある契約に移行するよう適切に対処をしてまいります。
  43. 大久保勉

    大久保勉君 適切に見直すとか適切にやっていくといいましても、現状を理解されていなかったら適切にできないですよ。まず現状をきっちり把握されてください。  じゃ、ついでに質問しますが、私が読み上げた随意契約のパーセンテージは既に御存じでしたか、それとも今さっきに聞きましたか。
  44. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 随意契約、競争入札の実績で、十八年度上期の実績として、これは衆議院調査局、中央省庁の補助金交付の状況事業発注状況及び国家公務員の再就職状況に関する予備的調査の中からの資料と承知いたしております。
  45. 大久保勉

    大久保勉君 あなたが既に頭の中に入っていたか入っていないか、もし入っていてさっきの答弁でしたら、ごまかそうとしていた答弁です。つまり、随意契約は賃貸契約とかそういったものしか、一部のものしかないというのは、国会で偽証ですよ、これは。もし知らなかった場合には勉強不足です。やはりきっちり数字を確かめて議論しないと、本当のこの法案審議はできないんです。いわゆる、形をどういうふうにつくります、頑張りますとかでしたら、本当、実質のある審議じゃないんですね。行政改革と、がいがいわいわいとか騒いでいるだけの大臣になりますから、実質を見てくださいよ、是非。  では、続きまして、危機対応関連に関して大臣に質問します。  今回の法案の特徴としましては、危機対応業務に関しましては、新公庫は指定金融機関に対して信用の供与を行い、リスクの一部補完及び利子供与を行うことができます。つまり、間接的に危機に対応するというものなんです。  そこで確認したいのは、指定金融機関は貸出しによるリスクをすべて新公庫に移転できるのか、それとも一部なのか。この場合、一番重要なのはモラルハザードです。一部のリスクを取るといいましても、そのリスクというのは、非常にテクニカルな話ですが、いわゆるファーストロスを取るのか、若しくは十億円融資をして五億円損失になった場合の最初の五億円を取るのか、若しくは十億円のうちの五億円、その半分をシェアするのか、いろんなやり方があるんです。具体的にどういう方法でリスクを取るのか、制度設計を教えてください。質問します。
  46. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今回の民間の指定金融機関を活用した危機対応制度については、新公庫はリスクの一部を補完するにとどめております。民間金融機関に一定のリスク負担を行っていただくことによって、モラルハザードの防止に留意をしているところであります。  また、指定金融機関の危機対応業務は、実施体制や実施方法などを定めた業務規程に基づいて行われることになります。業務規程の策定に際しては、モラルハザード防止のために必要な事項を盛り込みます。そして、適正かつ的確な貸付け等を確保していく必要があると考えます。  本法案においては、指定金融機関に対し、監督命令、指定の取消し、報告及び検査等の措置が規定されております。モラルハザードの観点から不適切な貸付けを行う機関が存在した場合、主務大臣が適切に対処するものと思います。
  47. 大久保勉

    大久保勉君 モラルハザードを回避することは極めて重要なんです。そこで、私はリスクの一部を負担するということで一部の内容を聞いているんですが、具体的な答弁はなかったと思います。  実は、事務局とも話をしましたが、全く決まっていません。やはりきっちり制度設計をしませんと、分からないところでモラルハザードが発生します。通常、市中金融機関は借り手に対していろんな融資を行っております。その場合に、自分たちの融資を回収して損だけを新公庫に押し付けるとか、そういったことが往々にして起こるんです。こういったことを是非回避すべきだと指摘したいと思います。  また、指定金融機関に関しては、説明を受けておりますのは、商工中金を始め市中大手銀行、若しくは地方銀行等が入ってくる可能性があるということを聞いております。  そこで、問題なのは、じゃ、どういう形でその資金が配分されるかです。もし、大臣が危機を指定しまして五百億の融資枠を設定したと。大きな地震が起こって五百億の融資枠を設定しました。金融機関にとりましては、貸出しをしたら、借り手に、お客さんにいい顔ができますと。リスクは国持ちだったらもう喜んでみんな手を挙げます。じゃ、五百億の枠なのに市中金融機関が二千億貸してくれと言った場合に、どういう順番で貸し出していくのか。極めて大きい問題なんです。じゃ、その場合、商工中金を先にやるのか、市中金融機関を先に、優先するのか、この辺りに関して、まずどこを優先しますか。大臣に質問します。
  48. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 御質問の新公庫が各指定金融機関にどのように貸付けを行うかというのは新公庫検討課題でございます。  例えば、新公庫法律に基づいて策定し、主務大臣による承認の上、公表される危機対応円滑化業務実施方針等においてその方針は明らかにされるわけでございます。この方針の具体的な内容については、政策金融改革に係る制度設計において、完全民営化機関、今御指摘の商工中金等を含む民間金融機関の活用に当たっては、イコールフッティングの確保やモラルハザードの防止にも留意するとされております。こうした考え方を踏まえて検討が進んでいくものと思います。
  49. 大久保勉

    大久保勉君 この点はきっちり制度設計をしてもらいたいと、特に大臣自らが指導してください。極めて重要なポイントなんです。  新経営陣が、じゃ、どういう形で貸出しをするか決めると、ここにまた一つのわながありまして、仮に五百億でしたら、その枠を配分するということでしたら、配分を受けた市中金融機関にとりましては非常にメリットが生ずるケースもあります。じゃ、天下りを受け入れようと、つまり新公庫の出身者を受け入れていい顔をしようとか、そういった問題が発生します。また、地元の有力者が口利きをして無理やり配分すると。その有力者の中にはいろんな人がいるでしょう。いわゆる首長であったり若しくは政治家であったり、こういったものに関してどうやって予防するか、これも重要なポイントなんです。この辺りは、是非、事務局に任せず、大臣が大きい方針を出してもらいたいと思うんですね。るる問題点があります。  時間が来ましたので、あと十数問残しておりますが、これで質問を終わります。  最後に、渡辺大臣の全体に対する決意を聞きたいと思います。
  50. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 四つ政策金融機関一つに統合するという歴史的な改革を実践するわけでございますから、正にその政策金融の円滑な実施と同時に、後世代にツケ回しをしない、きちんとガバナンスを利かせていく、その両面から行革担当大臣としての職責を果たしてまいりたいと考えております。
  51. 大久保勉

    大久保勉君 ありがとうございました。  これで終わります。
  52. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立でございます。  まず、連合審査に当たりまして、貴重なお時間を与えていただきました仲間の皆様に感謝を申し上げたいと思います。  私、今、大久保委員からもお話がございました、若干この国会での議論というのは割と理念的な文言でのやり取りが多いもので、もう少しきちっと数字を見ながら質疑をさせていただきたいと思いまして、今日は質問を用意をさせていただきました。  そこで、まず新公庫の予定されております財務状況について、今資料をお手元にお配りをさせていただきました。これは、私が現状ででき得る限りの財務状況を仮定をいたしまして作ったものでございますが、三つ公庫一つの銀行が一緒になってどういった公庫ができ上がるのかというこの現状ベースの数字でございますが、概略を申し上げますと、資料の一ページでございます、総資産が二十九兆三千億円余りの大きな会社でございます。そして、資本金が三兆一千億、しかしながら、現状でさえ累積欠損が八千三百三十億予定されておりますので、いわゆる純資産という意味では二兆四千六百億辺りになるのではないかと思いますが、今後、この図表を基に、渡辺大臣、新公庫の財務状況はどんなふうになるのか、開始時点で、デューデリジェンスを行って更なる精査が行われるということでございますが、私は、可能性としてはこれが良くなるというふうな、プラスに向かっていくというような要素はなく、更に損失が膨らむのではないか、こんなふうに思っておるわけでございますが、渡辺大臣の御見識をお伺いしたいと思います。
  53. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今先生のお作りになりましたBSを見ておりまして、約三十兆円の規模の公庫になるんだということを改めて感じた次第でございます。  民間企業会計ベースで財務状況を見ますと、十七年度決算では、四機関中三公庫において欠損金が存在をしております。現行の各機関の権利義務は、デューデリを経た上で新公庫承継をいたします。承継に当たっては、透明性と厳格な管理観点から主要政策ごとに勘定を区分して承継をいたします。  統合後の政策金融機関の経営状況については、その時々の金融、経済情勢、金利の動向、民間金融機関状況等に左右されることがございますので、統合後の財務状況について現時点でどうなるかということを述べよというのはなかなか困難なものがあるかと存じます。
  54. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 最低限、今この情報があるわけでございますので、ここがいわゆるベースラインでございまして、これより良くなるのか悪くなるのかということでいえば、悪くなる可能性が高いという認識をまず是非持っていただきたい。累積欠損金が現時点で、これは平成十七年度ですから古いわけでございます、もう一年、二年たっておるわけなんで、ひょっとしたら一兆円を超える損失が開始時にはあるかもしれないと、こういう前提をまず御理解いただきたいと思いますが、なぜこのように多額な累積欠損金が出るのかということを少しお話をさせていただきたいと思います。  この表の貸倒引当金という欄を見ていただけますでしょうか。例えば国民生活金融公庫、貸倒引当金、つまり不良債権として、貸したのに返ってこないだろうと、取れないだろう、こういうものが三千九百三十二億円、民間企業会計ベースでは想定されるわけですが、今の特殊法人会計では、これを二百九十三億というふうに見積もっておるわけですね。下の括弧書きが特殊法人会計での数字でございます。  すなわち、現時点でも、民間ベースと、つまり今一般銀行がやっている民間ベースとこの特殊法人会計では十三倍もの開きがあるということでございますし、さらに隣の中小企業融公庫を見てください。特殊法人会計では六十二億しかたった引き当てをしていないんですね。しかしながら、民間ベースでやると三千七百九十四億、何と六十一倍もの開きがある。いかにこの特殊法人会計というのが特殊かということ、名前のとおり、お分かりになっていただけるかと思います。そういった意味で、この引当金だけで、合計すると九千四百九十一に対して千五十三しか引き当てていませんので、約八千億出てくるわけでございます。  そこで、大久保委員の質問にもございましたが、じゃ、この八千億なり一兆にもなりかねない損失を新会社でどう処理するんだというところをもう少し、私はそうしないと、ここをもっと議論しておかないと、また新たな国民負担、さらには立ち行かなくなる、そして、本来やりたくてもやれないといった業務が出てくるんではないかと思うわけです。  そこで、これは尾身大臣にも大久保委員からございましたが、独立行政法人化に当たって、いわゆる損失政府出資金で穴埋めをしたと、こういうパターンが幾つもありました。  それで、渡辺大臣にお聞きしたいんですが、今回は、先ほども答弁ございましたが改めてお聞きしますが、この繰越欠損金をどう処理されるのか、もう一度お聞かせください。
  55. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 新公庫法上、財務会計透明性観点から、厳格なデューデリを行います。その上で、資本、負債とも承継をし、管理をしてまいります。  したがって、デューデリの結果、平成二十年十月の新公庫スタート時点累積欠損金が生じるということになれば、そのまま新公庫が引き取ります。その後、累積欠損金をどう取り扱うかについては、先ほど来申し上げておりますように、経営努力によって縮減することも含め、まず新公庫主務大臣十分検討をしていただくということになります。  また、毎年度の財務諸表については、予算と決算とともに国会に提出されますので、国会ガバナンスを利かせていただくということになります。
  56. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 そうしますと、この新しい公庫移行するときには、取りあえず前回独法でやったようにどさくさに紛れて損失をチャラにすると、こういうことはやらずに、取りあえずあらわにまずいたしますと。その現実を見て、それを税金で補うのか又は経営努力で頑張って解消していけというのかを決めていくというお答えに聞こえましたが、それでよろしいですか。
  57. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 新公庫は国が責任を持って担っていく政策金融を実施する機関でございます。したがって、政府の信用に支えられているという機関でもございます。また、その円滑な遂行に支障が生じないよう、財政融資資金の借入れや政府保証等による円滑な資金調達を行います。必要な場合には補給金等による国の支援を行う仕組みになっております。したがって、累積欠損金が委員御指摘のように今現在時点で存在することによって直ちに新公庫運営に支障が出るということにはならないわけでございまして、また引き継いだその累積欠損金をどうするかというのは、先ほど来申し上げておりますように、新経営陣主務大臣との間でまずは検討いただくということでございます。
  58. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ありがとうございます。  私、結局、いろいろ御答弁されていますが、最終的にはこれ政府が面倒見なきゃいけないんじゃないか、国民負担になるんじゃないかというふうに私はもう考える以外ないなと思っておるんです。  なぜかというと、二ページ目を見てください。これは、新公庫民間企業ベースの平成十七年度における損益計算書を合算したものでございます。そうすると、三公庫一銀行で合計、一番下を、右下ですか、見てください。当期純利益、まあ純利益じゃなくて純損失なんですが、マイナス四千五百四十億出ているわけなんです。大きいですよね。このぐらいの利益が出れば二年で解消なんですけれども、逆ですわな、積み上がっていってしまうと。そして、そのほとんどの原因が中小企業融公庫、何と五千四百六十四億もこれ損失が出ておるわけです、これ民間企業ベース。当然、移行したらこれでやるわけですからこれが当てはまるわけなんですね。  じゃ、平成十七年度だけの特殊事情でこの中小企業融公庫、これだけ赤字出たんじゃないかと言われるかもしれませんが、調べてみました。そうすると、十六年度も三千六百億円の赤字なんです。そうすると、経営努力によって云々ということは、私、非常にこれ非現実的だと思います。  そういう意味で、冒頭申し上げましたように、この累積欠損金損失というのは税金で穴埋めする以外ないんじゃないかと。時期の前後はあれ、どさくさはやめておこうと、今回、その代わりしばらくしてからやろうと、こういうことになるんじゃないかと思いますが、どうですか、大臣
  59. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 中小公庫累積欠損金が多いのは、逆に言いますと、大変な金融危機の状況の中でそれだけリスクを取って中小企業向けの貸出しをしてきたその結果とも言えるわけでございます。したがって、そういった過去の要因を引きずっている面があろうかと存じます。  いずれにしても、新公庫において累積欠損金処理計画をどう作っていくかという点に関しましては、新公庫の具体的な経営方針、事業計画を新経営陣検討することになります。  新公庫の毎年度の収支については、その時々の金利の情勢とか民間金融機関状況にも左右されるわけであります。国からの財政支援の額についても、これも毎年度国会ガバナンスの下に置かれるわけでございます。したがって、累積欠損金を中長期的にどう扱っていくかというのを私の立場で今ここで申し上げるのは適当でなかろうと思います。
  60. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ここにいらっしゃる委員の皆さんにも是非御認識いただきたいのは、もう既にこの時点で一兆円近い負担が現実にあり得るということでございます。消費税一%で二・五兆でしょうか、全国民消費税の五か月分ぐらいのお金がこのまた処理に使われかねないということは指摘をしておきたいと思いますし、こういうことが起こるのも、正に特殊法人会計といって特殊な会計を使い続けているがゆえなんです。だからこそ私たちは、もっと国や特殊法人に対しても早め早めに実態が分かるように公会計をしっかり整備しろと、こういうふうに御提案をしておりますし、また、尾身大臣にもそのことを改めて私は提案をさせて今後いただきたいと思っておりますので、大臣もよろしくお願いをしたいと思います。  そしてもう一点、新しい公庫になった際のガバナンスについて、これまた若干質問が重複いたしますが、大事な点なので改めて聞いておきます。  先日、機会をいただきまして参考人の方々から意見を聴取をさせていただきました。何人もいらっしゃったんですが、その中で中央大学の根本教授から、基本的にはこの統合に関して賛成という中でも、しかし、今後の課題の中で一番大事なのはガバナンスの強化だと、こういうふうにおっしゃっていたわけでございますが、そこで、やはり新経営陣に任せる任せるという答弁ではなく、もう少しこの時点で、私たちの国会の、また行革大臣の意向というものを経営陣にしっかり分かっていただくためにも、是非前向きなこれから答弁をいただきたいんですが、私は、今申し上げましたように、一兆円ものやっぱり負担、さらには補給金や財政投融資資金を使うという可能性もある中で、やはりこれは国民の負担の下に、国民のニーズもありながら運営されるものですから、そうしたら、これは国民みんなでしっかり運営を監視していこうじゃないか、チェックしていこうではないかと、これは当然のことだと思います。一部の新経営陣、だれがなるか分かりませんが、ほとんどがお役人の方、そんな中でこれは私は到底そういうことは許されるものではないと思っています。  そこで、例えば先ほどもありました委員会設置会社監視委員会、こういうものをつくって、その中に国会議員や省庁の代表者の方、当然いいと思います。さらには、利用者、この公庫を利用される方の代表者や、また有識者など入っていただいたこういう委員会をつくってガバナンスを利かせる、経営をチェックさせる、こんな新しいスタイルを大臣としてこの段階で提案されたらいかがですか。どうぞよろしくお願いします。
  61. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) ガバナンスについては、これは非常に大事なポイントでございます。したがって、国会によるガバナンスも利かせていただきます。政府によるガバナンスも利かせます。また、ユーザーや学識経験者等による評価を反映させる観点から、運用上、新公庫評価委員会を設けるということにいたしております。  さらに、幅広い有識者による継続的なガバナンス確保のために、先ほども申し上げました行政減量・効率化有識者会議がもう既にございまして、ここにワーキングチームをつくって、国会の御審議も踏まえて、できれば今月中にその会議のスタートを図りたいと考えているところでございます。
  62. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 先ほど来おっしゃっていますが、私はこれを一遍に集めることが大事だと思うんですね。国会国会評価委員は評価委員会、有識者は有識者というふうにばらばらにやるんじゃなくて、一堂に会してしっかりみんなの目でチェックをする。そうじゃないと経営者に都合のいいような人選で全部話がされてしまうわけでございますので、行革担当大臣、後世に名を残すためにも、こういう機能を是非入れていくんだという強い決意をいただきたいと思いますが、どうですか。
  63. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) ガバナンスを利かせるのはこういう大改革をやる上で極めて大事なポイントでございますから、私としても最大限の努力をしてまいりたいと考えます。
  64. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 よろしくお願いいたします。  それではもう一点、政策目標ということで今回余り議論がされておりません。私、やはり公庫というものの役割と政策目標がしっかりつながっていかないと本当の意味で新しい公庫になっていかないのではないかと、このように思っています。そのためにも、政策目標をまず事前に立てて、それが事後にチェックできるようなこういう体制も組み込んでいかなければならない、このように思うわけでございますが、渡辺行革担当大臣評価制度の在り方というものについての御見識をお聞かせいただきたいと思います。
  65. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 新公庫の経営目標は、まず第一に、国民一般、中小企業者、農林水産業者の資金調達の支援、重要な資源の確保、国際競争力の確保、危機対応といった国の政策として行う金融業務の的確な実施でございます。二番目には、効率的かつ透明な事業運営を行うことであります。第三には、政策金融の各機能間の相乗効果の発揮を図るという点でございます。  こうした考えを踏まえて経営目標については新経営陣に策定をいただくことになりますが、評価に当たりましては、これまで現行四機関において、まず第一に、機関が自ら行う業務評価がございます。第二番目には、政府系金融機関を所管する財務省政策評価がございます。第三には、財政制度審議会財政投融資分科会の審議を経て公表される政策コスト分析がございます。第四には、会計検査院による検査を経て国会に提出する機関の決算を行ってきたところでございます。新公庫においては、これら従来から評価の取組を引き続き当然ですが行ってまいります。  会社法に基づいて、取締役会による意思決定、各取締役の業務執行の監視が行われます。これはまさしくガバナンスの強化に当たります。なお、新公庫評価に当たっては、先ほど来申し上げております減量・効率化有識者会議のワーキングチームにおいても更に評価を行ってまいります。
  66. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 具体的な数値でちょっとお聞きしたいんですが、二枚目の私が用意させていただきました損益計算書の中で、減量化チームもあるわけでございますが、例えばこの経常費用をどのようにどう削っていこうと考えておられるのか、何%やろうか、こんな議論はないんでしょうか。
  67. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) それは正に国会の議論を踏まえて、できれば今月中に検討を開始をしていきたいと思います。
  68. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 是非、またその途中経過も含めて情報開示をしていただきたいと思いますし、また私どももそれに対して意見を言わせていただく機会をつくっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  69. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 有識者会議の中には公認会計士の先生もいらっしゃいますし、こうした政府系金融機関に詳しい委員の方にも更に加わっていただいて、バージョンアップをして検討をしてまいりたいと考えております。
  70. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 ありがとうございます。  それではもう一点、ちょっと時間がなくなってきておりますので、民間金融機関からの実際に貸付けが縮小した場合の機動的対応がこの新公庫でしっかりできるのかどうか、この辺、渡辺担当大臣にお聞きしたいと思います。これまた参考人の皆様が非常に大きく心配されている部分でございまして、正に民間金融機関の融資が縮小した場合に、この公庫がしっかりと機動的にそれに対応してセーフティーネットの役割を果たせるのか、その辺についての御見識を大臣からお聞きしたいと思います。
  71. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 正に、政策金融機関の出てくる場面というのがあると思うんですね。もちろん、平常時においては民業の補完に徹するという基本は、これは絶対に譲れません。ただ、災害や金融危機が発生をし、中小零細企業等が経営状態の一時的な悪化によって民間金融機関から融資が受けられないというような場合が想定されます。そういうときには、政策金融機関が迅速かつ適切に資金供給を行うというセーフティーネット機能は非常に大事なことであろうと考えます。このセーフティーネット機能は、現行の四機関から新公庫承継される業務の中にきちんと入っております。加えて、今回の政策金融機能の限定によって政策金融として対応できなくなった危機、つまり商工中金とか政投銀が行っていた金融についても、新たに指定金融機関を活用した危機対応のための制度を盛り込んでおります。  こういった制度を活用することによって、引き続き、危機の中で中小零細企業などの資金調達に支障が生ずることのないよう、新公庫の機動的な運営を図ることは可能でございます。
  72. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 私事で恐縮ですが、私も自分で会社をつくった際に、この国民生活金融公庫に大変お世話になりました。私の場合はしっかり返しましたけれども。そういう意味で、企業を育てていくという面、セーフティーネットの面、是非しっかりよろしくお願いをしたいと思います。  最後になりますが、政策金融機関以外の政策金融というのが実はあるんですね。その点につきまして質問をさせていただきたいと思います。  正に、平成十七年十一月に経済財政諮問会議から出されました政策金融改革の基本方針というところに、現在行っております独立行政法人や公益法人等による政策金融についても見直しを行うことと、こうなっておるわけでございます。政府系金融機関は統合や廃止が行われますが、その他の部分についても官の増殖を防ぐような厳しいチェックが私は必要ではないかと思っております。それは、先ほど申したとおり、どんどんどんどん特殊な会計の中で、ふたを開けてみるとどっと損失が実は積もり積もっていたと、こういうことになりますと、後世の人たちに私たち大変な責任もございますし怒られる、こんなこともございますので、是非ここをきっちり確認をさせていただきたいと思います。  そこで、現状、独立行政法人や公益法人等による政策金融がどのように見直しがされつつあるのか、また現在のそれらによる政策金融の規模と見直しの数値目標、現時点での達成状況、御説明いただきたいと思います。
  73. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 独法の行う融資業務の見直しについては、例えば日本学生支援機構の学生に対する奨学金の貸与とか福祉医療機構の資金貸付けなど多様なものがございまして、一律の量的縮減の目標は設けておりません。  しかし、政策金融改革の見直しの考えを踏まえて、平成十八年度から二十年度までに十四法人の行う融資等の業務を対象に、昨年見直しを実施いたしました。五十九の融資業務のうち半数に及ぶ三十二の業務を廃止、縮減することにいたしました。また、国からの補助金等を受けて行う融資業務については、直近三年以上実績がない事業十四事業を廃止、保証割合が一〇〇%の債務保証事業については、民間金融機関の自発的な活力を引き出す観点から、七事業の保証割合の引下げを行っております。  いずれにしても、特殊法人の行う融資業務についても業務の廃止、縮減を行ってきたところでございまして、先日、総理から百一独法についての抜本見直しの指示が出ているところでございますので、そういった観点からも引き続き最大限の努力を図ってまいります。
  74. 尾立源幸

    ○尾立源幸君 最後に、これらの法人等でもう既に多量の不良債権が出ておりますので、是非手遅れにならないうちに抜本的な改革に手を付けていただきたいと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  75. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  まず、私の方からは、今回、各種公庫が統合することによって日本政策金融公庫というのができるわけでございますけれども、危機対応のみならず、従来の借入顧客層が借入れできなくなるのではないかという声はやはり私のところにも随分地元の中小零細企業から届いてきております。  民間金融機関からそもそも借入れが困難な顧客が中小零細企業を中心にこれまで利用者として多かったと思いますけれども、今回のこの法案の中でそうした懸念をお持ちの中小零細企業に対する配慮というのがどういうふうに規定されているのか、ちょっとこれをお答えいただきたいと思います。
  76. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 御指摘のような心配のない設計になっております。どうぞ御安心をいただきたいと思います。  新公庫法においては、第一に、引き続き中小企業者や国民一般に対する金融は政策金融としてしっかりと承継をいたしております。第二に、民間金融機関を活用した危機対応制度を盛り込んでおります。第三に、民間金融機関の無担保貸付け等を促進をし、民業補完を進める観点から、保証業務や証券化業務を追加、拡充するなどいたしております。こうした制度的に必要な措置を講じております。  新公庫の成立後、民業補完を旨としつつ、民間金融機関の動向、中小企業や地域経済の実情を十分把握し、政策金融として必要なところに資金が円滑に供給されるよう運営していくことが重要であると考えております。
  77. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非とも、それよろしくお願いしたいと思います。  この日本政策金融公庫の発足につきましては、昨年の制度設計にも簡素かつ効率的な運営ということがうたわれているわけであります。そうはいっても、政府一〇〇%出資政府機関としながら民間並みの効率を求めていくという大変難しい課題に今挑戦をしようとしている。  そこで、今後の日本政策金融公庫の、現状と、今後統合後の在り方ということについて、もちろんこれから議論するという面もたくさんあるというのは今まで随分大臣から御答弁いただきましたけれども、私の方で用意させていただきました資料でございます。これを基にして、幾つか懸念となるもの、また疑問と思われるものを具体的に、総論というよりも具体的にちょっとお聞きしたいと思っております。  お手元にお配りさせていただきました日本政策金融公庫の損益計算書、十七年度決算額に加えて十八年度予定額、十九年度予定額と、それぞれ、沖縄振興開発金融公庫の統合は先でありますので、国金、中小公庫、農林漁業金融公庫国際協力銀行国際金融部門、これを合算を単純にしておりまして、損益計算書、貸借対照表、そして一般会計、特別会計、財政投融資との関係表をこちらで作成をしたわけでございます。  まず、損益計算書の疑問点でございますけれども、この損益計算書は、中小公庫の保険業務などが混在していて大変に分かりにくいわけですけれども、ともかく当期利益は、十七年度黒字から、予定額としては十九年度になりますと二百七十一億ということで、まず事実としてこの当期利益が急減をするという見込みになっているという、そこの前途多難さというものがあると思います。  しかも、問題点として、貸借対照表を見ていただくと分かりますけれども、十九年度の貸付金残高は微減になっているわけでありますけれども、しかし損益計算書における貸付金利息は急増しているということでございまして、これは国際金融部門の急増が貢献しているということだろうと理解しております。それがそうだとすれば、この日本政策金融公庫全体のPLを見ますと、この国際金融部門がかなり収益支援をするという構造になっているんだろうと思います。もちろん区分勘定しておりますけれども、全体としてはそういうことが言えると思います。  一般会計、特別会計からの受入れというのが赤字で書いてございますけれども一般会計からは五百四十八億、十九年度で、特別会計からは三千九百万、これは赤字の補てんということになるんだろうと思います。そして、貸付金の償却でございますけれども、貸付金償却は左側の経常費用のところにございますけれども、これは平成十九年度で見ますと、十七年度の決算、また十八年度の予定額に比べてかなり急減をしておりますけれども、これが果たして本当にそうなのかどうか、見込みですのでちょっとよく分からない面もございます。こうしたことからすると、かなり統合後の日本政策金融公庫の収益状況というのは厳しいものになるんだろうなという前途多難なものを感じます。  一方、貸借対照表を見ていただきますと、総資産が二十八兆七千億という見込みで平成十九年度予定額となってございますけれども、そのうち貸付金残高は二十六兆二千億、貸付け、言葉はどうか、貸付け偏重というような巨大な金融機関。じゃ、調達面はどうかと見ますと、政府部門からの借入れが十五兆七千億、総資産の半分以上を占めておりまして、その大宗は財政融資資金。債券発行では約七兆円を超えていると。資本金は三兆円と。  今後、統合後の在り方ということで今御質問させていただいておりますけれども一般会計、また産業投資特別会計からの出資金が増えていくというのは余り考えにくいと。そして、先ほど当期利益のところで見ていただいたとおり、利益としても先細りが予想されるということで、逆に政府の一〇〇%出資のままですと自己資本の充実というのが大変に難しくなってくるんじゃないかというふうに思います。  加えて、貸借対照表の中では未収収益というのがございますけれども、未収収益が増加傾向にございますし、今後資産整理が行われるとすれば更に増えていくだろうと。貸倒引当金の水準が低いんじゃないか。そして、恐らく最終的には整理されてくるであろう財政融資資金への依存が高いんじゃないかと。そして、加えて申し上げれば、保証債務が増えてきていると。  こうしたいろんな、マイナス面ばっかり申し上げているようですけれども、要するに前途非常に多難な新たな政府系の金融機関日本政策金融公庫がここで登場してくるというふうに私は思っております。  それでどうするかという問題はちょっとその後お聞きしますけれども、取りあえず現状として、今公表されている数字を私なりに合算して申し上げますとこういう姿が見えてくるんじゃないかと思われますけれども大臣の御認識はいかがでございましょうか。
  78. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 大変的確な分析を行っていただいたものと思います。また、こうした分析に基づいてこれからどうしていくかということについてはまた後ほどということでございますので、承らせていただければと思います。
  79. 西田実仁

    ○西田実仁君 結局、政府機関でありながら民間並みの効率を求める。四つ一つにして、支店の統合とか様々なバックヤードの効率化とか、そういうことはできると思うんですね。結局、やっぱり縮小均衡をいかに成功させるかと。そして、縮小均衡が成功した暁には、資金調達のもっと多様化とか、もっとルートを開いていくとか、政府一〇〇%出資だけではなくてというようなことも考えていかなければならないんではないか。不良債権の整理ということもあろうと思います。  そうした今後の統合後の在り方という一つのイメージとして現状を私は申し上げましたが、イメージとして、大臣、もちろんこれからいろいろ議論していくということございますけれども、方向性としてはどんなことを今お考えになっていらっしゃるのか。統合後の在り方ということについて、可能な限りお答えいただければと思います。
  80. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 統合後は、やはり統合のシナジー効果を発揮をしていただく必要があろうかと思います。  まず、支店の重なっているところはこれは当然統廃合をしていただくことになるでしょう。管理部門など共通の業務をやっているところはできるだけ早いうちに統合をしていただくと。また、店舗が一つになればワンストップサービスが可能になります。それぞれのノウハウを持ち寄りながら、ビジネスマッチングやコンサルティング業務が更にバージョンアップできるようになれば、これはお客様の利便性の向上に大いに役立つものと思います。  また、ガバナンスの面からは、先ほど来申し上げておりますように、民間ガバナンス政府ガバナンス国会ガバナンス、これを利かせていただくわけでございますから、正に民間手法の導入によって、新経営陣の方々には、是非与えられた任務、これも先ほど来申し上げておりますように、一見相反するミッションを帯びているわけでございますが、それを同時に達成をしていただくという技が求められると思います。  したがって、新公庫によって今までの政策金融が全くできなくなるとかいうことはもちろんございませんし、赤字、累積欠損がますます膨らんでいくというのもこれも避けなければなりません。まさしく一つ公庫に統合されたその相乗効果が発揮される在り方が必要であるかと考えます。
  81. 西田実仁

    ○西田実仁君 そういうことなんだろうと思いますけれども、先ほど私が具体的な数字で申し上げたのは、そういう政策金融機関として果たすべき役割がもちろんあるということを私も冒頭で申し上げたわけなんです。それを持続可能にしていくためにも、じゃ、どういう収益構造を持っていったらそれが持続可能になるのかと、しかも国民の負担を過大にはできないという大変難しいことにチャレンジしようとしているわけであります。  そこで、資金の調達、また運用の方で、先ほどBSの話もさせていただいたわけでございまして、基本的にやはり縮小均衡に持っていって、民間銀行ができないようなところで専門化していくというか、そのときに、それを持続可能にしていくためには、その資金調達の多様化ということも考えなきゃいけないのかもしれない、そういうことを私なりに漠たるイメージとして持っておるわけであります。  この点につきましてはどんな、要するに収益構造に基づいてのお話でございます。
  82. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) お答えいたします。  新公庫の担う業務政策金融として国が責任を持った自主的業務であると、今大臣からも御答弁があったとおりでございまして、そういう意味では、縮小均衡に入っていくことということは、逆に補完しなくていい部分が増えて民間の金融機関がたくさん貸してくれるようになるという前提でございますから、全体としては望ましい方向であろうと、こういうふうに思いますけれども、逆にそうならなかった場合に補完の役割が増えるということもあるわけでございまして、そういった意味で業務の円滑な遂行に支障が生じないように、今正に委員が御指摘になったように、資金調達についても財政融資資金の借入れや政府保証債の発行が可能となるようにこの法案において所要の規定を措置しております。  具体的な資金調達に当たっては、今委員が正にいろいろ分析をしていただいたように、いろんな視点が必要になると思いますが、正にアセット・ライアビリティー・マネジメント、いわゆる資産負債の総合管理という観点が必要になってくると思います。今までも必要であったわけでございますが、大きくなりますと、それぞれの部門が別々にやっていたわけでございますけれども、せっかく一つになったわけでございますから、全体として一元化した資金調達を効果的、効率的にやっていく必要があると、こういうふうに思っておるわけでございまして、市場が相手の部分もございますが、財投機関債や政府保証債、今申し上げました財政融資資金というような借入れ等を適切に効率的に組み合わせていくということが非常に大事になってくると思います。  また、大臣からも御答弁があったところでございますが、資金計画を含む予算それから決算についてはこの国会の場で御審議いただくと、こういうふうになっておるところでございます。
  83. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございました。  国会ガバナンスということも再三大臣から、また今副大臣からもお話がございましたので、話題はちょっと次に移らせていただきまして、先ほど議論にもなりましたけれども特殊法人等の累積欠損金の償却ということにつきまして財務大臣にお聞きしたいと思います。  ありていに言えば、特殊法人から機構になっていくときに、個別の機構法においていわゆるネットで、その資産負債をネットにしてそれを出資金にするというふうに個別法に書いてあるわけなんですね。個別法の附則に書いてあるというところでございます。ですから、法令にのっとって適切に処理をされているという御答弁になろうかと思います。  私もこの点について、先ほど来の御議論とはちょっと違う観点、特に四条公債を出資金に充てることの是非ということについて議論をさせていただければと思っております。  平成十五年度、また十六年度に多くの特殊法人独法化をしました。その際、特殊法人等が抱えていた累積欠損金政府出資金で償却する措置がとられている。これは先ほど、今申し上げた個別の機構法においてそういうふうに法令にのっとってなっているわけですね。その多くの特殊法人は、一般会計から出資を受けていると。  ちなみに、この日本政策金融公庫に統合される中小公庫についても、出資金というのが四条公債で充てられているわけでございますが、ここで言う特殊法人一般会計から出資を受けて、その財源がほとんど四条公債の発行で充てられている。研究開発費につきましても、十三年度までは四条公債の発行によっていましたけれども、十四年度以降はその対象にしなくなったというのは、この間、本会議で御答弁いただきました。  出資金の財源として四条公債の発行がなぜ認められるのかというのは、財政法第四条のただし書のところに、国会の議決を経て認められるとなっているわけでありますけれども、その解釈ですけれども、財政法四条の解釈。これはやはりその出資金額に見合う資産が存在していると。当たり前のことですけれども、四条公債を充てるわけですから、当然のことながらその見合いの資産があるということが前提になっているし、それが定着した解釈であろうと思います。であるから、その資産があるから、長期にわたってあるので後世代にもその便益が及ぶ、また世代間の不公平がなくなると、こういう解釈の下で出資金に四条公債を充てることが許されてきたということだろうと思うんです。  ところが、今話題になっておりました特殊法人から独法移行する際には、この累積欠損金政府出資金の償却によって、ジャーナリスティックに言えば損切りをしたということになるんだと思うんですね、表面的には。そうすると、この財政法第四条で前提として認めてきた見合いの資産がもうないということを言わば公式に認めるということになるんじゃないかと、これは問題になるんじゃないかということですね。  民間であればすなわち減資ですけれども、減資を行う場合には株主総会で大体特別決議等が必要とされているわけでありまして、やはりここは財政法四条という法律に基づいて発行された公債によって充てる出資金、それが個別法によってネットで出資金として機構法になって認められたという意味で、法令にはのっとっているというものの、ここは民間で言う減資のときに特別決議が必要なように、財政をつかさどる大臣の何らかのコメントというのがやっぱり必要ではなかったのかというふうに思うわけですけれども、いかがでございましょうか。
  84. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 財政法四条におきましては、国の歳出は原則として租税等をもって賄うべきであるという、いわゆる非募債主義があるわけでございますが、そのことを原則としつつ、公共事業費とかあるいは出資金、貸付金等の財源としては、国会の議決を経た範囲内で例外的に公債の発行あるいは借入金を許容しているということになっているわけでございます。これは、これらの経費がいずれも消費的支出ではなく国の資産を形成するものであり、その資産から受益も長期にわたるものであるために、公債発行等により財源を賄い、その元利の償還を通じて後世代にも相当の負担を求めることを許している趣旨というふうに解釈されるわけでございまして、先ほどお話のございましたようないわゆる研究開発費につきましては、平成十四年度からは出資金ではなしに補助金という形に実態に合わせて直したと、こういうことでございます。  この政府系金融機関に対する出資金については、形式的には利益配当請求権あるいは残余財産の分配請求権等の出資による権利が確保されているわけでございます。そういう意味で資本的支出であります。また、実態的にもこの出資金政府系金融機関の投融資の原資あるいは有形固定資産の取得に充てられた場合には、出資金見合いの支出が有形無形資産として残り、将来国民がその利益を享受し得るということから公債発行経費としているわけでございます。  ただ、現実に、例えば福祉の施設等の法人については、独立行政法人にするときにその辺りをきちっと整理をして引き継ぎませんと、実態に合わないものが残ってくるということでありましたので、国会の議決もいただきながらその整理をさせていただいたと、こういうことでございます。
  85. 西田実仁

    ○西田実仁君 国民に還元されるという意味で、研究開発費の場合ですけど、今までは出資金だったのを補助金等にしたと。ただ、私が問題にしているのは、出資金補助金等かということを問題にしているのではなくて、その見合いの資産があるべき四条公債を充てているか充てていないかということを問題にしているわけであります。  国民に還元されているという技術とかノウハウがあるということは否定するものではないと思いますけれども、じゃ金額に換算するとどうなのかというのは、数字上見る限りは、例えば特許権等として国有財産に記載されているのは二十九億円ぐらいしかないわけですね。非常に分かりにくいということを私は指摘をさせていただいているわけなんです。  この一般会計からの出資金の話をしていましたけれども、決してこれは一般会計の問題だけではなくて、特別会計、例えば労働保険からの出資金も、平成十四年度と十九年度を比べますと二兆円ぐらいが償却をされているわけでございまして、その元の財源は保険金なわけですね。確かに、なぜそうなっているのかという理由は、もうお聞きしましたので分かりました。しかし、問題は、やっぱり保険料を支払った保険加入者に対してそういうことを説明するということが、分かりやすく説明するということが必要だったのではないかと思いますけれども、厚労省の方、いかがでございましょうか。
  86. 草野隆彦

    政府参考人(草野隆彦君) お答えします。  お話がございましたように、独立行政法人雇用能力開発機構政府出資金につきましては、特殊法人でありました平成十四年度の決算額と平成十九年度の見込額を比較しますと、約一兆三千七百五十七億円減少してございます。  これはまず第一に、独立行政法人への移行に伴う保有資産減価償却資産時価評価などにより約一兆三千五百四十八億円。それから、独立行政法人移行後におけます勤労者福祉施設譲渡などによります資産の売却、除却、除売却損でございますね、これが二百九億円でございます。これは、こうした取扱いは独立行政法人会計基準及び独立行政法人能力開発機構法等に基づくものでございますが、この減少額につきましては国の財務諸表などにおいて明記いたしまして、これは財務省、厚労省、それから機構、それぞれのホームページにより公表して透明性の確保に努めているところでございまして、今後ともこうした措置を努力していきたいというふうに考えております。
  87. 西田実仁

    ○西田実仁君 保険金を出している保険加入者からすると、それが五年ぐらいたったらいつの間にか、さっき一兆三千億と言われましたけれども、それは一つの機構だけの話で、二つの機構を合わせて特別会計では二兆円ぐらいになりますけれども、それが毀損しているということ、何かいつの間にかそうなっていたというふうに思われがちなので、ここはしっかりと、そういうことはなぜそうなるのかということを分かりやすく説明することは必要ではないかという私の指摘でございます。  もう一つ、この出資金については、中小公庫にも出資金が出ていますのであえて申し上げますと、見合いの資産が存在しなきゃいけないということを私申し上げましたけれども、それだけではなくて、いわゆる利益配当請求権あるいは残余財産分配請求権というのが出資金にはあるという、そういう前提になっているわけですね。  そうすると、利益をそもそも追求をしない機関出資金を出すことが果たして、つまり四条公債を発行して出資金を出すことが、この利益配当請求権を持つ出資金を充てることが本当にいいのかどうか。むしろ、お金を出しちゃいけないということではないんですけれども、四条公債を充てるんではなくて、もっと見えやすく税金で充てていくとか、そういうようなことも考えていいんじゃないかというふうに思いますけれども尾身大臣、いかがでございましょうか。
  88. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) もちろんそういう考え方もあろうかと思いますが、これは金利を取って貸し付けているわけでございますから、そういう意味でパブリックセクターからの資金供与でありますけれども、そういう意味で利益が出た場合には、この利益そのものは出資者というか、つまりこの場合は国でありますが、そういうものに帰属するという考え方でその権利は留保してあると、こういうふうな考え方からこういう体制を取っているわけでございまして、現実の運用としては今後もそういう体制を取ることが必要かと考えております。
  89. 西田実仁

    ○西田実仁君 いずれにしましても、先ほどのお話の続きでございますけれども、この四条公債は財政法第四条のただし書に規定されて発行されて、なぜこういうものが有効なのかということは一般解釈として定着しているものがあるわけですね。ですから、そのことをやっぱり分かりやすく説明しなきゃいけないし、当然国会で議決を受けてやっていることということでいえば、国会の方も怠慢のそしりを受けないためにきちっと明らかにしなきゃいけない面があると思っております。  もう時間もありませんので、最後ちょっと具体的な話で恐縮ですけれども、分かる範囲でお答えいただければと思います。  四条公債がこれまでどれだけ発行してきて、そのうち償還した四条公債がどのぐらいあるのか、残高がどのぐらいか。そのうち公共事業出資金、貸付金、それぞれどの程度充当されたのか。私が問題にしております四条公債を財源にした公共事業で今公共物どの程度残っているのか。また、出資金によって造成された資産は現在どの程度残っているのか。同じく、貸付金にどの程度残高があるのか。そうした財源と、それによってこれだけ国民資産が残っている、こういうことを関係を明確にしていくと、後世の方に借金として残しても、ああ、そうか、こういうことが残っているんだなと。いつの間にかなくなってしまうということが一番いけないわけでありまして、その対応関係、ちょっと残された時間は少ないんですけれども、可能であればお答えいただければと思います。
  90. 松元崇

    政府参考人(松元崇君) お答えいたします。  四条公債のこれまでの累積の発行額、償還額、残高等といった点でございますが、四条公債につきまして、昭和四十一年度から平成十九年度末までの累積の新規発行額は約二百八十六兆円となっております。また、十九年度末までの借換えを除きました純償還額は約四十五兆円となっておりまして、その結果、十九年度末の残高は約二百四十一兆円と見込まれております。  その残高の内訳でございますが、現在の減債制度は、公債の償還年限を、それを財源とする個々の見合いの資産の耐用年数と対応させて考えるということはいたしておりませんで、四条公債の見合い資産全体の平均的効用発揮期間を目安に六十年間を通じて償還を図っていく総合減債制度を採用しているところでございます。  したがいまして、公共事業や貸付金、出資金といった区分にかかわらず、一括して公債発行対象経費の範囲内で四条公債を発行いたしまして償還を行っておりますので、区分ごとの整理は行われていないということでございます。  次に、四条公債によって建設された公共物の残存価値という御質問でございましたが、ただいま御説明いたしましたように、我が国におきまして総合減債制度を採用しておりますので、公共事業や貸付金といった区分にかかわらず、一括して公債発行対象経費の範囲内で四条公債を発行し、償還を行っておりますので、四条公債残高に見合った個別の資産の残存価値という考え方は取っておりません。  ちなみに、財政法の趣旨は、公債発行対象経費が国の資産を形成するものであり、その資産からの受益も長期にわたりますことから、公債発行といった形でその財源を賄い、その元利償還を通じて後世代にも相応の負担を求めることを許容しているものでございます。  政府といたしましては、この原則にのっとりました六十年償還ルールに基づき償還を行ってきているところでありますが、全体として四条公債の残高に見合った資産価値を有しているものと考えております。
  91. 西田実仁

    ○西田実仁君 もう終わります。  いずれにしても、後世に負担を課すわけですから、その資産が何ら明確な説明がなくなくなってしまうということがないように、我々国会としてもしっかりと見守っていきたいというふうに思っています。  ありがとうございました。
  92. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  十五分でございますので、マクロ的なそもそも論に絞ってお聞きしたいと思います。  この法案の大本にあるのが政策金融をGDP比で半減するという目標、そこからいろんなことが始まってきたわけですけれども、一体そもそもそれはどこから出てきたのかというと、〇二年十二月の当時の竹中大臣が提案をされた経済財政諮問会議ですね。これはもう説明抜きに提案がされておりますけれども、将来的にGDP半減すると。その後、これは閣議決定までされた目標でございまして、行革推進法、そして今回の法案の出発点になっているということでございます。  そもそも、なぜ半減かという説明はずっとされてまいりませんで、〇五年になって初めて経済財政諮問会議で日銀の福井総裁が竹中大臣に、なぜ半分なんですかという質問をされて初めて、三年前に議論したときに、国際比較をしたら比較的高い国と比べても二・五倍ぐらいだと、だから半分を目標にと、これが初めての説明でございまして、その後、政府答弁国会答弁でも繰り返しこの話が使われているわけでございます。  お手元資料を用意いたしましたが、一枚目が、そのときの諮問会議で出された資料でございまして、比較的高い国というのはドイツのことでございます。ドイツが間接金融を除くと六・八%だと、日本はその二・五倍だということで、ばくっと半分にということになったと思います。  これは二〇〇〇年度末の数字でございますけれども、その後、この数字がどうなっているのかということと、あるいはこれはGDPを分母にしておりますけれども、GDPの項目を国際比較するなら分かるんですけれども、いきなりGDPを持ってきて政策金融と比較しているというのも余り正確な数字ではないような気がいたします。  そういう点で、ほかに客観的に日本の政策金融が外国と比べても大きいというような客観的に示すデータはあるんでしょうか。
  93. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) 私どもの調査いたしました数字では、GDP比のこの数値でございます。
  94. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、それは分かっているんですよ、だから出したんでしょう。ほかにないんですかとお聞きしているんです。
  95. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) 私どもございますのはこのGDP比だけでございます。
  96. 大門実紀史

    大門実紀史君 ほかのいろいろ調べてみると、日本が幾らか多いのはいろいろ出てくるんですが、二・五倍、だから半分と。この数字というのは非常に重要でございまして、ほかのデータではそういうものは出てきません。  たった一つのデータを使って、二・五倍だから半分にと、余りにも話の始まりが乱暴ではないかというふうに思いますし、財務省の総合研究所が〇五年八月に政策金融の国際比較というものを出しております。要するに、書いてあることは、国によって実施主体もあるいはその中身も、直接金融以外に保証、利子補給、あるいは手法も違うと、単純に規模を比較するということはできないんだということを財務省の研究所もおっしゃっておりますし、このデータは意図的に住宅を除いておりますけれども政策金融全体で考えると、アメリカはGDPでいくと、アメリカの場合はその占める割合は五〇・二%、日本は二七・九%とか、あるいは、この研究所の報告に出ておりますけれども、住宅分野とODA等実施機関及び地方貸付、中小企業向け信用保証を除けば全然違う数字が出てまいります。ドイツが一三・二%、日本は九・六%、フランスが七・六と。したがって、全然こんなものとは違う数字になるわけでございます。  仮に外国よりも多いとしても、二・五倍じゃなかった可能性の方が高いわけですね。二・五倍だから半分にというようなことで、ずっとこの話の最初が来て、いろいろやろうということになってこうなっているわけですけれども、もしもこれが一・一倍とか一・三倍だったら、話の流れが全然違って、今回のような法案にもならなかったんではないかと私はそもそも思うわけですけれども、大体こんな適当な話で、こういうふうな法案にまでなっていることについて疑問をお感じにならないのか、おかしいと思われませんか。
  97. 鈴木正徳

    政府参考人(鈴木正徳君) 先生今御指摘ございました、財務省の研究所の数字でございますけれども、ドイツにつきましてODAや地方貸付を除外すると一三・二%という数字を先生今お述べになられましたけれども、その一三・二%の数字は、先生お配りの数字の、ドイツの一六・七、これに対応する数字だと思います。したがいまして、この報告書では、ドイツの間接融資を除きました直接融資の残高の数字はたしか出ていなかったんではないかというふうに考えております。
  98. 大門実紀史

    大門実紀史君 あなたに聞いていないんです、大臣にお聞きしているんです。  そもそも、こういう法案の提案の出発点がこういうものだったと。半分というようなところが非常に、竹中さんが言ったわけですけれども、机の上で考えた、政策金融の現場も知らないで机の上で考えただけ。しかも内閣府はこのときに適当な、適当とは言いませんが、聞き取りで作った数字です。したがって、後のフォローされたデータがないと。一発で作ったその場限りのデータで二・五倍だと、だから半分だと、こんなことでこの問題が始まっているということについて、提案されている大臣は疑問を感じられませんかということを申し上げているわけです。
  99. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 大門委員の作成された資料の二枚目にグラフと折れ線グラフのものがございますが、これを拝見いたしておりますと、政策金融のシェアというのはかつては一〇%ぐらいだったんですね。一九七〇年にも一〇・七%、一九八九年というと日本経済が絶好調といいますか、バブルの初期のころだったと思いますが、これも一割ぐらいなんですね。これがずっとバブル崩壊以降上がり続けて、最近ちょっと下がってきたというグラフになっておりますが、やはり二割近いという数字は、このグラフからもちょっとやはり膨らみ過ぎではないかということが言えるのではないかと思います。
  100. 大門実紀史

    大門実紀史君 これの見方はそういうふうに見るんじゃないんですよ。あのね、政策金融とはそもそも何かをこれで見てもらいたいんです。政策金融というのは、要するに景気が悪ければ増えるわけですよ。景気が良ければ必要ないから増えないわけですよ。景気との関係で見てもらいたいというために用意したんで、それでおっしゃるとおり膨らんだわけですよね、膨らんだわけです。  この竹中さんのときの資料は二〇〇〇年のときの一番ピークのときを取って半分にすべきだと、景気が良くなる、良くならないと関係なしに、ただ外国と比べて大きいから半分にすべきだと。おかしいと思いませんかということを申し上げているんです。おっしゃるとおり、景気が良くなればほっといたって半分になっていくんですよ、政策金融というのは。そういうこと抜きに、外国と比べて半分という話から始まっているのがおかしいと思いませんかということをお聞きしているわけです。いかがですか。
  101. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 日本経済が非常事態に陥っていたころ、政策金融はその役割を非常によく果たしたと思います。逆に、先ほどの御審議にもあったように、そのころのマイナスのツケが今来ているという面もあるわけであります。  今回の一連の政策金融改革に当たっては、商工中金や政策投資銀行は民営化をするという形で、正に政策金融の外側に出ていくわけでございます。したがって、そういうことをやりながら政策金融の残りを一つにまとめるということをしているわけでございまして、これは取りも直さず国民お金というものをより有効に使っていこうということにほかなりません。  政策金融というのは、御案内のようにこれは財政資金でございます。財政資金だけで金融をやろうという立場に我々は立たないのでございまして、そこのところは共産党との違いだと思います。
  102. 大門実紀史

    大門実紀史君 別にうちはそんなこと言ってませんよ。勝手に解釈をしないでいただきたいと思います。  要するに、おっしゃったとおり国民お金ですからね、効率的に使うというのは大事なことですよね。どんどんお金がじゃぶじゃぶ入ってくるからじゃぶじゃぶ使っていいと、そんなことはないですよね。それを前提にしてこういう進め方についてお聞きしているわけでございます。  ですから、私はこの最初の半減論というのは何だったのかというふうに思うわけですけれども、実はGDPと比較というのはどうでもよくて、結局、民営化、民営化論というところから最初に来ているんではないかというふうに思います。ですから、竹中さんにとっては今の法案というのは失敗作ではなかったかと、もっと彼は民営化を徹底したかったということではないかと。だから今外でいろいろおっしゃっていますけれども。  だから、そういう点でいくと非常にぐちゃぐちゃの法案になって出てきているというふうに思いますし、そもそも政策金融はどうあるべきかとか、これからどうあるべきだとか、こういう景気との関係も含めてちゃんとした議論の上にこういう法案が出てきたならば議論のかみ合いようがあるんですけれども、その動機がそういうところからですから、非常にみっともない法案になっているんではないかというふうに思います。  林副大臣は竹中さんとお親しかったようですから、いかがお考えですか。
  103. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 特にお親しいお付き合いをいただいていたわけではございませんが、参議院の同僚の議員でおられましたので、竹中大臣時代にどういう御主張をされていたか、今先生方のお顔を見ながら今思い出そうとしておるところでございますけれども。  今の問題は、正に委員がおっしゃったように、じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ入ってきたお金をどんどんどんどん使うという財政投融資そのものの改革がございまして、大臣が何度もいろんな場で答弁しておりますように、それの出口の改革がこれを位置付けられると、こういうことでございますので、あくまで、このあるべき姿よりも肥大化してしまったものを改革をするときに、一つの目標としてこういう数値をお使いになったんであろうと、こういうふうに私は理解をしておりまして、そのことが、どうしても税金を使って必要なところを補完的にやっていくというところでございますから、もし万が一民間ができるところとダブっているということになりますと、どうしても競争上、法人税を御負担いただいたりしているところと比べてこちらの方が有利な条件になりやすいと。ということでモラルハザードみたいな問題もあるということで、ここを最小限の補完にしていく必要があると、そういう大きな方向の中でこういう目標をつくったものと、こういうふうに承知をしておるところでございます。
  104. 大門実紀史

    大門実紀史君 中身出ておりますので、中身について一つお聞きしたいと思いますけれども、三枚目に資料をお配りいたしましたが、要するに大企業向け融資がまだ非常に多い、依然多いわけです。大企業は既に自己調達ができますので、大企業に対して低金利融資を続けるということは、民間とのその差額の利息分を、これは事実上補助金になっているというふうに委員会でも指摘したことがございます。これは竹中大臣も、もう大企業に向けた融資は必要ないということをおっしゃっていまして、その点は一致するわけなんですけれども。  今回の政策金融公庫法案の中には、国際協力銀行国際金融部分がこちらに入ります。そうすると、私心配なのは、全体が何か訳の分からない数値主義がずっとまだ続くと。しかも、国際金融がグローバル化する中で、財界、大企業の皆さんも強めてほしいと言っていると。そうすると、結局この中小企業分野が新たな公庫の中でも圧迫される懸念がないかと、この二つの枠の中で心配されるわけですが、その点はいかがですか。  ですから、余り数値目標とかそもそも論、さっきの話に戻りますが、中小企業金融に関してはそういうものではないと、景気との関係があるのでそういう設定をすべきじゃないという考えでお聞きをしたいと思いますが、大臣いかがですか。
  105. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) まず第一に、GDP比半減目標というのはこれは着実に達成をしていかなければなりません。その後、数値目標を設定するかということについては、中小零細企業等への資金需要が的確になされているかどうか、あるいは民間金融機関の動向、経済情勢、また今回の法案で仕組んでおりますように、部分保証や証券化といった民業補完の手法がどんな具合に活用されているかといった状況を踏まえての検討でございます。  行革担当大臣として私に与えられた使命というのは、新公庫の貸付けが政策金融改革趣旨を踏まえて民業補完に徹しているかどうかと、適切な貸付けの規模となっているかどうかということを不断にチェックをしていくことであろうと考えております。
  106. 大門実紀史

    大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。
  107. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございます。私最後でございますので、もうちょっとお付き合い願いたいと思います。  今日は沖縄の振興開発金融公庫の副理事長もお見えいただいておりますので、まず最初に沖縄の問題についてお尋ねしたいと思うんですけれども、ちょうど一昨日に沖縄が日本に復帰してから三十五年を迎えました。そういう意味では、この日本政策金融公庫と統合される、これ二十四年以降、統合されることが予定されておりますけれども、三十五年間、沖縄においてちょうど統合されたような状況でこの問題をやってこられたわけでございまして、そういう意味では、中小企業融公庫国民融公庫、あるいは農林漁業金融公庫、全部を合わせた格好でやったんですから、いろいろな経験を持っておられるので大いに参考になると思いますけれども、お尋ねしたいのは、沖縄振興開発金融公庫の方にお尋ねしたいのは、四つの違った、全く違った業種のことを業務を行うことについて何か問題なかったか、また注意すべき点はないかという点についてお尋ねしたいと思います。
  108. 金井照久

    参考人(金井照久君) お答え申し上げます。  私ども沖縄公庫は、昭和四十七年の五月に沖縄の復帰に伴いまして設立されました。自後三十五年間、沖縄におきます政策金融機関といたしまして、中小企業資金、生業資金、農林漁業資金などの貸付けなどにつきまして、政策金融を一元的、総合的に行ってまいったところでございます。  その業務の遂行に当たりましては、それぞれの資金の担当者や窓口などの間の連携を密にいたしまして、お客様に対してきめ細かいサービスを提供するように努めてまいったところでございますが、多種多様な資金がございますことから、担当します職員には、円滑な融資対応が可能となりますよう様々な研修の機会を設けますとともに、また本土の政策金融機関との間で人事交流を積極的に図るなど、職員の技量の向上に努めておるところでございます。  今後とも、本土の政策金融機関と引き続き密接な連携を図りつつ、またその御協力をいただきながら、沖縄県民のニーズにこたえてまいる所存でございます。
  109. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 特に問題点はございませんでしたか、ちょっと続けて聞きますけれども
  110. 金井照久

    参考人(金井照久君) お答えいたします。  私ども、沖縄におきます政策金融を総合的、一元的に行ってまいりました。沖縄県民のニーズにこたえられるよう努力してまいったと考えております。
  111. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。  このように、先立つ三十五年間ずっとそういう仕事をしてきておられて、今お話がありましたように、いろいろな点で気を遣っておられたわけですが、経験とノウハウも持っておるわけでございますから、大いにこれを参考にしていく必要があると思いますけれども、特に従業員の、職員の訓練では気を遣っているということが出ましたけれども、こういった経験を見習う考え方は大臣ございませんか。
  112. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 沖縄公庫が、先ほど金井副総裁の説明にあったように、こうした分野について非常に努力をしてこられたそのノウハウというのは大変貴重なものがあろうかと思います。  今回、新公庫をつくるに当たって、職員の研修については、一義的には新公庫が決めることでありますが、やはり四つの組織が一つになるわけでありますから、一体感をどうやってつくっていくかというのは大事なことであろうかと思います。沖縄公庫において培われたノウハウも十分参考にしてまいりたいと考えます。
  113. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 しっかり参考にしてやっていただきたいと思いますが、国民融公庫は教育資金の対象範囲の縮小だとか、農林漁業金融公庫は大企業向けの食品事業貸付けの廃止だとか、あるいは中小企業融公庫は一般貸付けを廃止するとか、全体として限定する方向と見受けられますけれども、しかし公庫の場合、これからいろいろと、また不況になるかもしれませんし、いろいろなことがあるかもしれませんけれども公庫業務を追加することもあり得るんでしょうか。
  114. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 公庫業務を追加することがあるのかというお尋ねでございますが、新公庫業務については、新公庫法において、一般の金融機関の金融を補完するものであるという観点から継続的な業務の見直しは行ってまいります。したがって、新たな政策金融のニーズが生じた場合にこうした基本的考え方を踏まえて政策金融として実施すべきか否かについて十分検討し、判断をしていくことになります。  新公庫法で規定する業務の範囲を変更するという場合には、当然のことでございますが、法改正の手続が必要となります。
  115. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 いろいろな業務をやる中で、特に沖縄の場合は民間の金融機関といろいろ深い関係あるわけですけれども民間の金融機関も使われているように聞いているんだけれども、いかがでございますか。沖縄の開発金融公庫、ちょっとお尋ねします。
  116. 金井照久

    参考人(金井照久君) 私ども、沖縄におきまして政策金融をやっておりますが、その間、資金によりましては民間金融機関の代理貸し等によりまして対応させていただいているところでございます。
  117. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今度、政策融公庫、考えてみると、平成十一年には一回統合したわけですけれども、今回また、それに加えて政策金融機関一本にするということでやるわけでございますけれども民間金融機関一つにしなきゃいけない、そうした必要性はどこにあったのかと。全然異質ですから、形だけ足し算したということになりかねないわけですし、実際に四つを一緒にする必要があるのかと、どうもまだよく分からないんですけれども、それについてはどうお考えでしょうか。
  118. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 統合のメリットというのもあると思うんですね。四つ機関がそれぞれ支店を抱え、管理部門を抱えやってこられた。しかし、今私がやっております仕事などというのは、昔の縦割りの体系ではうまくいかないというものばかりやっているわけでございます。例えば、地域活性化という担当大臣安倍内閣において初めてつくられたものでございますが、今国会において九本の法律を出し、それを様々な角度から生かす舞台装置を作り、そのところを私が担当しているわけでありますけれども、そういった地域活性化一つを取ってみても、やはり今までのやり方ではうまくいかないのではないかという問題が多々ございます。したがって、四つ一つになってコスト的に縮減が行われていくと同時に、例えばビジネスマッチングが容易に行われやすくなるとか、例えば今農林業が長期的なデフレの中であえいでいますけれども、お米の輸出というものが大々的に行われるようになりますと、がらっとこのデフレ環境は一変をしていくと思うんですね。  例えば、今、私どもの地元では農家の手取りが、肥料代とか農薬代とか引かれてしまいますと、手取りで一俵八千円ぐらいになってしまいます。しかし、おすしという日本のソフトパワーのおかげで、台湾辺りで取引されている日本米は何とキロ千円すると。ということは一俵六万円ということですね。もうとても日本のデフレ的な環境からは想像を絶するような取引が行われているわけでございます。お米などというのは世界じゅうで五億トン消費されている。そのうち二億トン、中国人が食べているんですね。我々日本人は、一千万トンぐらい作る能力があっても、八百六十万トンぐらいしか消費しないわけでございます。  したがって、こういうのが輸出がされていくということになれば、これはもう大変な地域活性化、農村活性化に役立つようになるわけでございまして、まさしくそういうことも新しい一つに統合された政策金融の中で、農林漁業金融公庫のお客様だった人が是非海外展開をしたい、輸銀の培ったノウハウを利用して大化けしていくというようなことだって大いにあり得るわけでございまして、これはもう是非前向きの発想で私としては取り組んでまいりたいと考えております。
  119. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 大臣のそういった前向きの姿勢を更に一歩進めて考えると、思い切って一つもつくらなくてゼロにして、政策金融だけで、民間の金融機関を使うということが民間の活性化になるんじゃないですか。思い切って、おっしゃるなら、そういうことも考えられると思うんだけれども、それはどうなんですか。
  120. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) やはり主役は民間でございまして、民間に頑張っていただくということが大事なことであろうかと思います。  民業補完という観点から、やはり政策金融はあるべき姿を模索をしていくことが大事でございまして、御指摘のように公庫を全部やめちゃうということでいきますと、では、民間金融機関に例えば公庫がやっていた資金を融通して、そこを通じて政策金融を行うということになるのだろうと思います。しかし、あくまで融資の可否というのは、これは金融機関が判断をしていくわけでございますから、政策として実施すべき資金の貸付けなのかどうかというところは、恐らく金融のアンバンドリングを考えていっても政策金融が残るんだという立場では、その部分民間委託は無理ですよということになるんだろうと思います。  現在、政策金融機関の特徴として期待をされている、中立的立場からのきめ細かい経営コンサルティングや企業診断、再生支援というようなことも、これは政策金融として培ったノウハウがたくさんございますから、こういうものは別に全部廃止をして民間にお任せをするということでなくてもよろしいのではないでしょうか。
  121. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 もう時間になりましたので、最後に一つ公庫法の六十一条に、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないようにとありますけれども、これはどういう意味なんでしょうか。官民交流をやっていく場合にこれが阻害要因になるんではないかということがありますけれども、お答え願いたいと思います。
  122. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今、亀井先生がおっしゃった六十一条には、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないようとの規定がありますが、これは当時の行革推進法の審議の際に小泉総理が御答弁をされておられますが、固定的に、事務次官だからトップになる、そういう時代ではなく、官民のいかんを問わず、必要と認められる識見及び能力を有する者のうちから適材適所で経営責任者を選任していくと御答弁されておられまして、そういうふうな意味だというふうに思っておりますので、官民問わず適任者をやっていくと、固定のところにいた方がその能力にとらわれずに必ずここにいたから行くという趣旨ではないと、こういうようなことでございまして、官民交流が妨げられるという趣旨ではないということで御理解いただけたらと思います。
  123. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 どうもありがとうございました。  これで終わります。どうも済みませんでした。
  124. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後零時三十六分散会