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2007-06-18 第166回国会 参議院 内閣委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
平成十九年六月十八日(月曜日) 午後一時開会 ─────────────
委員
の
異動
六月十四日
辞任
補欠選任
加藤
敏幸
君
黒岩
宇洋君
六月十五日
辞任
補欠選任
松下
新平
君
松井
孝治
君
風間
昶君
山本
香苗
君 六月十八日
辞任
補欠選任
木俣
佳丈君
松下
新平
君
山本
香苗
君
風間
昶君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
藤原
正司
君 理 事 秋元 司君 鴻池
祥肇
君 朝日 俊弘君
工藤堅太郎
君 委 員 佐藤 泰三君 末松 信介君
田村耕太郎
君 竹山 裕君 林 芳正君
山谷えり子
君
神本美恵子
君 主濱 了君
松下
新平
君
風間
昶君 亀井 郁夫君
事務局側
常任委員会専門
員
鴫谷
潤君
参考人
富士電機ホール
ディングス株式
会社相談役
日本経済団体連
合会労使関係委
員長
加藤
丈夫
君
千葉大学法経学
部長
新藤
宗幸
君
兵庫県立大学大
学院応用情報科
学研究科准教授
中野
雅至
君
財団法人総評会
館理事長
行政改革推進本
部専門調査会委
員
丸山
建藏
君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
国家公務員法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ─────────────
藤原正司
1
○
委員長
(
藤原正司
君) ただいまから
内閣委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る十四日、
加藤敏幸
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
黒岩宇洋君
が選任されました。 また、去る十五日、
松下新平
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
松井孝治
君が選任されました。 また、本日、
木俣佳丈
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
松下新平
君が選任されました。 ─────────────
藤原正司
2
○
委員長
(
藤原正司
君)
国家公務員法等
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
参考人
の
方々
から御
意見
をお伺いいたします。 本日は、
富士電機ホールディングス株式会社相談役
・
日本経済団体連合会労使関係委員長加藤丈夫
君、
千葉大学法経学部長新藤宗幸
君、
兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科准教授中野雅至
君及び
財団法人総評会館理事長
・
行政改革推進本部専門調査会委員丸山建藏
君に
参考人
として
出席
をいただいております。 この際、
参考人
の
方々
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ当
委員会
に御
出席
をいただきまして、誠にありがとうございます。
参考人
の
方々
から忌憚のない御
意見
をお聞かせいただき、今後の審査の
参考
にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 それでは、議事の進め方について申し上げます。 まず、
加藤参考人
、
新藤参考人
、
中野参考人
、
丸山参考人
の順序でお一人十五分以内で御
意見
を述べていただき、その後、各
委員
の
質疑
にお答えいただきたいと存じます。 御
発言
をいただく際は、その都度
委員長
の指名を受けてからお願いいたします。 また、各
委員
の
質疑
時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。 なお、御
発言
は着席のままで結構でございます。 それでは、
加藤参考人
からお願いいたします。
加藤参考人
。
加藤丈夫
3
○
参考人
(
加藤丈夫
君)
加藤
でございます。よろしくお願いいたします。 私は長年、
富士電機
という
電機会社
で長く
人事
・
勤労関係
の
仕事
に携わってまいりまして、二〇〇四年までの四年間会長を務めてまいりました。現在は
相談役
をしておりますが、
日本経団連
では二〇〇三年から
労使関係委員長
を務めております。そうした
経験
に基づいて
国家公務員法改正案
について
意見
を述べさせていただきたいと思います。 第一に、
能力主義
、
実績主義
に基づく
人事管理制度
についてでございますが、
日本経団連
ではかねてから
国家公務員
の
人事管理
について、第一に
年功序列
の
人事慣行
を見直すこと、第二には
職務遂行能力
、
実績評価
に基づく
人事管理
のための新たな
評価手法
を
導入
すること、第三に適正な
評価
に基づく抜てき、降格、
配置転換
を
実施
することを提唱してまいりましたけれども、今回の
政府案
が
能力
・
実績主義
に基づく
人事管理制度
の
確立
を明記した点については
評価
できると考えております。今後、この
基本方針
に沿って、できるだけ速やかに新
人事制度
をスタートさせるように努力していただきたいと考えております。 特に近年、優秀な
若手公務員
の士気の低下、退官が目立つと聞いておりますし、また、
法文系
の
学部卒
や
法科大学院卒
の優秀な学生が
公務員
を志望しない風潮があると聞いておりますけれども、新
人事制度
の
確立
によってこうした傾向に歯止めを掛けることを期待しております。 新
人事制度
の
導入
に当たって、
民間企業
で
能力主義
、
実績主義
に基づく
人事制度
の
実施
に取り組んだ
経験
から、次の三点を指摘しておきたいと思います。 第一には、当然のことながら、
評価
結果は任用や
昇進
などの
配置
だけでなく、
給与
や
特別手当
、
賞与
でございますが、これらの
処遇
に積極的に反映させるべきだと思います。特に
賞与
については、
期間
内に努力して
成果
を上げた者に対しては額の面で報いることができるような
制度設計
をしていただきたいと思います。
人事評価
を行うに当たっては、
評価項目
とその内容をオープンにすべきであり、さらに
評価
結果については、なぜそのような
評価
になったかの理由を含めて本人に説明できるようにしていただきたいと思っております。 もう
一つ
は、現在のように
国家公務員
の総
人件費抑制
の中で
能力主義
、
実績主義
を
導入
しようとすれば、ややもすれば
制度
は
減点主義
に陥る
可能性
があると思います。
制度
の目的の
一つ
が
公務員
のやる気を起こさせるということにあるのであれば、財源の問題もございますが、あくまでも
加点主義
を貫くということで運用していただきたいというふうに考えております。 次に、
公務員
の再
就職
に関する
規制
の
改正
でございますけれども、これも
日本経団連
では、
国家公務員
の再
就職管理
について、第一に、
役職定年制
を
導入
し、希望する者に
定年
までの
雇用
が選択できる
複線型人事制度
を設けること、第二に、再
就職管理
の
一元化
を行うために
透明度
の高い
人材マッチングシステム
を
導入
することを提唱してまいりましたが、今回の
政府案
で再
就職管理
の
一元化
を打ち出した点は
評価
できると考えております。新設される
官民人材交流センター
はこれが効果的に機能するような
仕組みづくり
が重要だと考えておりまして、今後、この経過を見守ってまいりたいというふうに思います。
民間
の
企業
で
人材
の
採用
にかかわってきた
経験
から申し上げますと、豊富な
経験
を積んだ
国家公務員
が
民間企業
で活躍できる場はたくさんあると考えております。特に、現在、
企業経営
の重要な
課題
になっています
一つ
は
国際化
の
推進
、
二つ目
にはCSR、コーポレート・ソーシャル・リスポンシビリティーへの
取組
の問題、第三には、コーポレートガバナンスの
確立
というテーマでは
公務員
としての
経験
が大いに生かされることになると考えております。 もちろん、押し付け的な再
就職あっせん
や特定の
利益誘導
をねらった
人材招聘
を厳しく排除することは当然のことでありまして、
政府案
にも盛り込まれておりますが、
監視体制
の整備やルールに違反した者への罰則を明確にする必要はありますけれども、一方で、優秀な
人材
が広く
民間企業
で活躍できる
機会
を増やしていくことは重要だと考えております。その
意味
で、
国家公務員
の再
就職
を厳しく制限して実質的に再
就職
ができなくなるような
取組
というのは
国民経済
全体にとってマイナスになるのではないかと思います。
日本経団連
では、かねてから
官民
の垣根を低くして活発な
人材交流
を行うということを提唱してまいりましたけれども、今回の
センター
が
運営面
で高い
透明度
を維持して
人材
の
交流
に前向きの役割を果たすことを期待したいと思います。 ただ、今回は、
国家公務員
のいわゆる
出口管理
について
一つ
の方向が示されましたが、できるだけ速やかに
入口管理
の
見直し
にも取り組んでいただきたいと考えております。
日本経団連
では、Ⅰ種
公務員
は
内閣
の下で一括
採用
すべきであり、
既採用
の
キャリア社員
については、
一つ
は
一定
の
官職
以上にある
職員
の
内閣
による
一元管理
、
二つ目
に
課長補佐
以上の
職員
を
対象
とした定期的な
府省庁
間のローテーションの
導入
を提唱しておりますけれども、今後、
センター
の
仕組みづくり
と併せてこの
課題
に取り組むことが
公務員制度
の
改革
にとって重要だというふうに思っております。 私の
意見
は以上でございます。
藤原正司
4
○
委員長
(
藤原正司
君) ありがとうございました。 次に、
新藤参考人
にお願いいたします。
新藤参考人
。
新藤宗幸
5
○
参考人
(
新藤宗幸
君)
千葉大学
の
新藤
でございます。 現在上程されております
国家公務員法等
の一部を
改正
する
法律案
について
意見
を述べさせていただきます。 国、
地方
にわたって
現行公務員制度
に多くの
問題点
が生じており、その
改革
が必要であるのはもはや自明であると言えます。ただし、
公務員制度
は国の
基幹的行政制度
の
一つ
ですが、それ
自体
として存在するのではなく、
行政組織制度
、
予算制度
、
地方制度
、
行政処分
や
行政手続
の
制度
などとの
整合性
を
視野
に入れつつ
改革
が行われるべきだと考えます。その
意味
では、
公務員制度改革
基本法的なものが前置されるべきであると考えます。しかし、本日は、
政府提出法案
に対する所見が求められているわけですから、時間も限定されておりますので、他の
基幹的制度
を
視野
に入れつつ、以下の三点について述べさせていただきます。 第一点は、
国家公務員
の
職階制
に関する
法律
の
廃止
及びその根拠となっている
現行国家公務員法
第二十九条の削除についてです。 今回の
法案
をめぐる
国会内外
の論議は、専らと言ってよいほど
公務員
の再
就職規制
の
在り方
に置かれているように思います。これについては後ほどまた述べますが、そのような中で、ほとんど
議論
なく
職階制
に関する
法律
が
廃止
されようとしております。
現行法
に
職階制
の
規定
が定められ、
職階制
に関する
法律
が制定されていても
完全実施
に至らなかった経緯は省きますが、どこまで詳細な
職務
と
職級
の分類を行うかは検討を要するとしても、
職階制
の
廃止
は
時代
の求めに逆行してはいないでしょうか。
国家行政組織法
を
基準法
として、
各省設置法令
は、省、局、
課等
の
組織単位ごと
の
所掌事務
を定めています。しかし、ポジションの
責任
と
権限
とは何かについては
明文
上の
規定
を置いておりません。
HIV薬害事件
で、当時の
厚生省薬務局生物製剤課長
が業務上
過失致死罪
で起訴されております。
生物製剤課
さらには
薬務局
を弁護する気持ちなど毛頭ございませんが、
生物製剤課長
、
薬務局長
の
権限
と
責任
とは何かは法的には不明であります。 こうした
公務員制度
並びに
行政組織制度
が、無
責任
の
体系
と言われる
日本
の
行政
の
根幹
を形成していると言えます。それは、今正に重大な政治
行政
問題となっている年金問題にも当てはまります。
社会保険庁長官
、
地方社会保険局長
、
社会保険事務所長等
の
権限
と
責任
に
明文
上の
規定
を置いていたならば、ここまでの
事態
の悪化は避けられたのではないか。
職階制
の
廃止
については
法案
から削除し、
時代状況
と
日本
の
行政組織
に適合する
職階制
を、
国会
、
内閣
、さらに
民間
の英知を結集して探るべきだと言えます。 第二点は、
採用
、
昇任
、
降任
、
転任
、
免職等
に関する
法案
の
規定
です。 まず、これまた
議論
が再
就職規制
に偏っているためか、
法案
から全く見えないのは、
公務員制度改革
と言いつつも、
現行
の
入口選別
によるいわゆる
キャリアシステム
をどうするのかです。将来
的昇進可能性
を
入口
で決定している
現行公務員制度
は、
戦前期官吏制度
を事実上引き継ぐものであり、
行政省内
に隠れた
身分制
をしいているとしか言いようのない
システム
です。それが
職員
のモラール、モラルにダメージを与えていることは、九〇年代の旧
大蔵省高級官僚
や外務省のいわゆる
キャリア
、ノン
キャリア
にわたる不祥事に表れております。 再
就職規制
の前提とされている
早期退職勧奨制度
の根源もこの
入口選別
にあると言わねばなりません。
昇進可能性
を当初から制約している
現行
のⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の
試験区分
を
学歴区分
の
試験制度
に改め、入省後の
一定期間
を経過した後に
能力判定
を客観的に行う
システム
に改めるべきです。 また、今回の
法案
では、
官職
にかかわる
標準的職務
の
遂行能力
を定め、それによる
昇任
、
降任
、
転任
、さらには
免職
を
制度
化するとしています。これは、二〇〇一年十二月の
公務員制度改革大綱
以来の流れです。しかし、これを
導入
するならば、正に先に述べた大くくりであれ、
職階制
の
実施
と一体で考えるべきことです。 また、
職員
からすれば、
勤務条件
の変更に係る
事態
が生じますから、当然、
労働基本権
の
保障
、少なくとも
労働協約権
の
保障
を
制度
化せねばならないはずです。
日本政府
は、ILOから度重なる勧告を受けているのであり、
国際標準
に
国内制度
を適合させるべきです。もちろん、
労働協約権
の
対象
をどこまでとするかについては
議論
が残ると言えます。ただし、
給与
にまで及ぼすとすれば、他方で
財政民主主義
と適合させねばなりません。したがって、この場合には、
人事院
の
民間給与実態調査
を充実させ、
人事院
に
標準値
を示させる
システム
を整える必要があると言えます。 さて、第三は、再
就職規制
、つまり
天下り規制
の
在り方
と、そのために設けようとしている
官民人材交流センター
についてです。 現在、問題視されている
緑資源機構
、
国土交通省
の問題だけでは決してありませんが、
早期退職勧奨制度
と、いわゆるお
土産付き天下り
が
官製談合事件
の温床になっており、
天下り規制
の強化が必要であるのはもはや
社会的合意
であると言えます。しかし、今回の
法案
における再
就職規制
は果たして
実効性
を持っているのか、甚だ疑問の点がございます。
法案
では、それぞれの
官庁
による再
就職
の
あっせん
を禁止し、
内閣
府に設置する
官民人材交流センター
が
職員
の
離職
後の
就職
の
あっせん
、援助を行うとしております。また、従来の
人事院
の
事前規制
を撤廃し、その代わりとして、再
就職
後二年間は
離職
前五年間に担当した
職務
に関する働き掛けを
出身官庁
にしてはならないとしております。さらに、再
就職等監視委員会
を
内閣
府に設置し、再
就職規制
の
適用除外
、再
就職
後の活動に対する
監視
を行うとしております。 しかし、
法案
に即して
問題点
を指摘をしておきますと、第一に、
官民人材交流センター
は、
官庁
から独立していかに
求人情報
を集めるのかです。
センター
が再
就職
を
あっせん
、支援する
対象者
はほぼ五十歳以上の
公務員
と想定されますが、
規制権限
や補助、
融資等
の
権限
を離れて考えるとき、
民間企業
は果たして
官庁
の
管理職
、幹部であったがゆえに受け入れようと考えるでしょうか。もっと若い有能な
人材
を求めるはずです。ここに正に
天下り
問題の
根幹
があって、
各種
の
行政権限
が
官庁
に高度に備わっているゆえに
天下り
を受け入れてきたと言えます。 本年四月二十四日の「
公務員制度改革
について」なる
閣議決定
は、
あっせん
の
対象職員
に関する必要な
キャリア
及び
人的情報把握
のため、
センター職員
は
人事当局
と必要に応じて協力するものとするとしております。しかし、
求人情報
が
各省官房
からこうしたルートを通じて
センター
に渡れば、
センター
なる新たな
就職
の舞台がつくられるとしても、
実態
は変わらない。もう少し言えば、
現行
の
各省
による
あっせん
にカーテンを掛けるようなものだと言ってもよいのではないでしょうか。 第二に、
官民人材交流センター
は、在任中の
職員
の再
就職
を
あっせん
することになっています。逆に言えば、
職員
が退職したならば、その日から多様な
官庁時代
に培ったコネクションを用いて再
就職
することは全く
規制
の
対象
となっておりません。これは明らかに
法的規制
の盲点であって、これを利用しようとする動きが生じるはずです。 第三に、
官庁
の
大臣官房
が再
就職
の
あっせん
をすることは禁じているものの、
退職官僚
が再
就職
の
あっせん
をすることには何らの
規制
も掛かっていません。一種の影の
官房長
がつくられ、そこを通じた再
就職
、
天下り
が行われることも十分に想定できます。 第四に、
退職手当通算予定職員
は、法の建前からいえば
出向
であって、原籍のある
官庁
に戻ることになっております。しかし、このいわゆる
出向先
で退職し、
当該独立行政法人等
の
役員
あるいは
関連法人
の
役員
に就くことがあり得るし、現にそのような
状況
が存在しています。しかし、これへの
規制
が抜け落ちております。 第五に、これとの
関連
で、
独立行政法人
、
特殊法人
からの
営利企業等
への再
就職
は
法案
では
規制
の
対象外
とされていますが、昨今の
官製談合事件
、そこまで言わないにしても、
随意契約
による
営利企業等
への発注の多さは正にそれが
規制
されていないからだと言えます。 第六に、再
就職
した人間が二年間は過去五年間の
職務
に属するものに関して
依頼等
をしてはならないとしておりますが、実際問題として、
退職高級官僚
がセールスに歩くわけではないし、
官庁側
が
口利き
の
記録簿
を整備し公表するとは到底考えられず、
実効的意味
を持っているのか疑問と言わざるを得ません。要するに、
官民人材交流センター
による再
就職規制
が何やら
万能薬
であるかのような言説が流布していますが、子細に検討するならば、再
就職規制
に
実効性
を持っているとは考え難いと言えます。 再
就職
、
天下り
の解決のためには、
入口選別
、
年功序列
の
人事運用
、
早期退職勧奨
の根本からの
見直し
が必要です。それをベースとした新たな
公務員制度
の構築を検討しつつ、しかし現時点において
規制
を
実施
するならば、
現行
の
人事院
による
事前
の
規制
、
承認
の範囲を拡大することです。
営利企業
はもとより、
特殊法人
、
独立行政法人
、
公益法人
への再
就職
を
内閣
から高度に独立した
機関
の
事前承認制
の下に置くことではないでしょうか。また、
特殊法人
、
独立行政法人
からの再
就職
に別途
法的規制
を加えることであると言えます。それでもなお
口利き
がなくなるとも思えません。これに対しては、
片山善博知事時代
の鳥取県が試みたように、
口利き
の
記録簿
を義務付け、かつ公表する
制度
を整備することであると思います。
現行公務員法
の枠内においても、
年功序列
と
早期退職勧奨
の慣習を改めることは可能であります。
定年
までの
就業
を当然とした
人事運用
を図ればよいことです。
ライン
の長とは別に
各種
の
専門職
をつくる、当然のことですが
年功序列
の
給与体系
を改める、
入口選別
をやめる。これらを同時に
実施
するならば、
公務員定数
や総
人件費
に甚大な影響は出ないはず。どこまでが官であり、どこからが民なのか判然としない
独立行政法人
や
公益法人
などの
グレーゾーン
の巨大な
体積自体
が問われているのであり、この
改革
のためにも
運用面
の
改革
に緊急に着手するべきではないかと思います。 最後に、
民間労働市場
における
正規就業
と非
正規就業
の格差の拡大やリストラが問題視される一方、
公務員
の
世界
の
安定性
が世上の関心となっております。私は、
公務
の
世界
の
安定性
を否定するものではありません。ただし、こうした
状況
の中で、
退職予定公務員
のみを
対象
とし、多大な
予算
と人員を
配置
した再
就職あっせん機関
を設置することは、世論を逆なでするようなものではないか、そのように申し上げたいと思います。 以上でございます。
藤原正司
6
○
委員長
(
藤原正司
君) ありがとうございました。 次に、
中野参考人
にお願いいたします。
中野参考人
。 どうぞお座りください。
中野雅至
7
○
参考人
(
中野雅至
君)
兵庫県立大学大学院准教授
の
中野
でございます。 本日は、
参考人
として
意見陳述
を行う
機会
をいただきまして、誠に光栄に存じております。 私は、
厚生労働省
に十四年間勤めました後、公募で現在の職場に移りました。現在は、
行政
の
情報化
や
公務員制度
を
中心
に
研究
を行っております。本日は、これまでの
経験
を踏まえまして、
現行
の
公務員制度
の
問題点
、
政府案
の
評価
の
二つ
について
意見陳述
したいと思っております。 まず、
現行
の
公務員制度
の
問題点
についてですが、大きく分けますと
二つ
あると考えております。
一つ目
は、
採用
から
退職管理
まで
各省ごと
になっている、いわゆる
セクショナリズム
の問題であります。今更言うまでもありませんが、
日本
の
行政
の大きな
課題
として、
各省
が国益ではなく
省益
を追求する
セクショナリズム
を挙げることができます。
セクショナリズム
をもたらす
要因
は幾つかあると思いますが、私は、
退職管理
が
各省ごと
になっていることで多くの
公務員
が
省益
に取り込まれるというふうに考えております。
各省
が自らの
専門知識
に基づいて対立するような、そういう
セクショナリズム
は決して悪いとは思わないのでございますが、
各省
の
意見
の対立の背後に再
就職先
の確保も含めて様々な利害が
関連
していることが今日の大きな
課題
となっておると考えております。そんなことを考えますと、様々な
改革メニュー
の中でも、
各省ごと
の
退職管理
こそが最もプライオリティーの高いものだというふうに考えております。
二つ目
の
問題点
は、再
就職先
や
省益
というものは
各省別
で非常に個性的になっているにもかかわらず、
公務員
全体といたしましては、どの省に所属しようが、どこに勤務しようが、どういう
実績
を上げようが、余りにも
労働条件
が一律平等になっているということでございます。
公務分野
では、
民間企業
と異なりまして、
仕事
の
評価基準
がたくさんございます。
役所
や
公務員
の場合、
効率性
や
利益
だけを追求するというわけにもいきません。
効率性
のほかにも、
平等性
や
有効性
など様々なものを追求しなければならないことから、
役所
や
公務員
の
仕事
の
評価
は簡単ではありません。また、大半の
組織
では
ライン
を
中心
に集団で働くのが一般的ですので、個々人の
成果
を測ることは非常に難しいと思います。さらに、OECDの
調査
でも、
公務分野
におきましては過度の
成果主義
は機能しないというふうな結果が得られております。これらのことを踏まえますと、極端に
労働条件
に差が付くことは余り望ましいとは思いません。 しかし、これらのことを割り引いて考えましても、現状は余りにも
労働条件
に差がないと思います。
採用試験
、
採用年次
を
中心
に、
処遇
が年功に重きを置き過ぎていること、
勤務評定制度
が事実上機能していないことなどから、信賞必罰の
人事
ができておりません。総じて言えば、
部内均衡
に気を配り過ぎていると思います。最近はその反省の上に立って徐々に改善が加えられておりますが、一層の努力が求められます。 また、認識すべきなのは、このように一律平等過ぎる
労働条件
が
民間
との著しい違いを生み出しており、それが
公務員批判
の
一つ
の
要因
になっているということです。
バブル経済崩壊
以降、
民間企業
では
成果主義
の
導入
や
雇用
の
不安定化
が起こっております。これの善悪はさておくにしましても、
公務
の
世界
では
バブル経済崩壊
以降も
年功序列
の
処遇
がなされてきましたし、
部内均衡
が相変わらず重視され続けました。その中でも最も大きな違いは、
民間
では
終身雇用制度
が崩壊した結果、
雇用
が
不安定化
する一方で、
公務分野
では身分
保障
が厳然としているということです。 確かに、
仕事
の性格上、
公務員
の身分
保障
は求められると思います。試験任用を
公務員制度
の
中心
に置く限り、身分
保障
もセットにして考えるべきではありますが、
現行法
においても勤務
実績
などを分限処分の基準にしていることから考えると分かるように、専門
能力
の発揮や生産性の高い
仕事
というのも身分
保障
の一要件だと思います。その
意味
では、
官民
の
労働条件
をもっと近づけるような努力が求められます。 このような
状況
を考えますと、
公務分野
では業績
評価
や
能力
評価
が難しいという
意見
もあるでしょうが、
人事評価
を任用、
給与
の
中心
に置くことで、
公務分野
においても
労働条件
の多様化を促すべきだと思います。 第二に、
政府案
の
評価
について幾つか総論的に述べさせていただきたいと思います。 まず第一に、
国家公務員
の
退職管理
の
一元化
、
能力
評価
など、これまでなかなか進まなかった
改革
が進んだことは高く
評価
されるべきだと思います。 これまで、九七年の
公務員制度
調査
会の
意見
、二〇〇一年の
公務員制度改革大綱
など様々な
改革
案が出されてきましたが、十年間以上の長きにわたって実行に移せなかったことを考えますと、
法案
の
提出
に至ったこと
自体
、高く
評価
されるべきだと思います。 第二に、
政府案
が包括的な
改革
を目指しているという点についてです。 今年四月二十四日に
閣議決定
されております「
公務員制度改革
について」というペーパーを見ますと、
公務員制度改革
をパッケージとして進めていくとされていまして、今回の再
就職
の
内閣
一元化
の後に、総合的な
公務員制度改革
を
推進
するため、
基本方針
を盛り込んだ
法案
を次期通常
国会
に
提出
するとしております。このように、包括的な
改革
を
視野
に入れてプライオリティーの高いものから順次
実施
していくという視点は非常に重要だと思います。
公務員制度改革
の論点は、大まかにとらえましても、定員管理や
組織
編成を含めた
公務員制度
の管理手法、それから
採用
、
昇進
の基本原則の
在り方
、それから幹部
公務員
の
在り方
、再
就職
問題、給料
制度
、
人事評価
制度
、身分
保障
、
能力
開発、労使関係の
在り方
、それから中央
人事
機関
の
在り方
も含めて十項目が考えられます。しかも、これらの
制度
は相互に依存しておりまして、単一分野の
改革
で瞬時にすべての
課題
を解決することは恐らく不可能だと思います。例えば、
公務員
の再
就職
についても、定員数や
組織
活性化、それから
公務員
の職業選択の自由という制約がある中で、
早期退職勧奨
という
雇用
慣行や
各省別
の
採用
などが
関連
しております。これらの
課題
を解決するためには、様々な
改革
案を総合的に
実施
していくことが必要であります。また、人を扱っている以上、短期的に物事を解決することは難しい側面があり、粘り強く
改革
を
実施
していくことが重要であると思います。 このような観点から政府の
取組
を見ますと、
組織
活性化や定員管理などの制約あるいは
官民
交流
の促進という観点から、
早期退職勧奨
を維持しつつも、
定年
延長やスタッフ職
制度
の創設を検討するなど、様々な分野の
改革
を総合的に
実施
することで
課題
の解決を図ろうという姿勢が見られるところが非常に
評価
されます。 このように、適度なスピード感を持ちながら総合的な観点から
改革
を
実施
していくということは、
公務員制度改革
の複雑さを考えますと、非常に重要だと思います。
公務員制度改革
の複雑さや難しさは、諸外国においても変わりません。そのため、諸外国の事例を見てみますと、総合的なパッケージやデザインを描けないまま、まず人員削減から手を付けるというところが多くございまして、その結果、思ったような結果が得られておりません。他方で、
公務員制度改革
が複雑で簡単に手を付けられないということを理由にして
改革
を先送りするというのも許されるものではありません。今回の
政府案
は、このような両極端な対応を退け、複雑な
公務員制度改革
に正面からぶつかりながらもグランドデザインを
視野
に入れて現実的に
改革
を推し進めようとしている点が非常に
評価
されます。 第三に、
政府案
のバランスの良さについてです。 それは、
公務員
の再
就職
の扱いに表れています。様々な不祥事もあり、
公務員
の再
就職
については厳しい目が注がれております。他方で、
公務員
といえども職業選択の自由は認められるべきです。また、官に眠っている
人材
を有効活用したり、
官民
交流
も進めなければいけません。さらに、
組織
の活性化や定員削減も求められております。このような相矛盾する要素から成り立つ連立方程式の解として政府が厳しい事後
規制
と
退職管理
の
内閣
一元化
を打ち出したところは、非常にバランス感覚としても優れていると思います。 第四に、これまで徐々に進められてきましたが、
官民
交流
という概念を中核的なものとして打ち出したところも
評価
されます。その具体的な表れが、
事前規制
から事後
規制
への方向の明確化です。確かに、
事前規制
が撤廃されることで
官民
癒着が起こるのではないかという問題もあると思いますが、今回はそれに見合った厳しい事後
規制
が
導入
されております。 これからの
時代
、より少ない
公務員
でたくさんの
仕事
をするためには、
民間
資源を有効に活用することが求められます。また、労働力人口
自体
が少なくなることを考えると、
官民
を区別せず、働ける人を有効に活用していくことが求められます。更に言えば、
民間企業
でも
役所
でも
仕事
のできる人の
評価
は似通ってきつつあります。与えられた
予算
と人的資源の中で最大の効果を上げるという
意味
では、経営
能力
が求められていることは官も民も変わりません。実際、米国などでは経営
能力
を頼みにして、非営利、それから営利法人、全部渡り歩く人がいます。そういう
時代
においては、
官民
交流
がもたらす弊害を除去する措置を講じた上で、
官民
を積極的に
交流
させる方向に進む方がメリットは大きいと思います。 次に、
政府案
の各論について幾つか述べたいと思います。 まず第一に、今回の
法案
で
退職管理
を
各省
管理から
内閣
管理に移したところは非常に
評価
できます。第二に、
各省
による再
就職
の
あっせん
が禁止される
対象
として非営利法人まで含めたという、この点も非常に
評価
されます。第三に、
天下り
に焦点が集まる一方で看過されておりますが、
人事評価
を
人事管理
の原則の基礎としたことは画期的なことでございます。 このような観点から、
政府案
というのは非常に優れたものだと考えております。 最後に、
公務員制度改革
は、政治
改革
や
行政
改革
に続く大きな
改革
でございます。新しい
公務員制度
の下で、
公務員
が誇りを持って働くことができる環境の整備を望むばかりであります。 本日は、
意見
を述べさせていただける
機会
をいただきまして、誠にありがとうございました。
藤原正司
8
○
委員長
(
藤原正司
君) ありがとうございました。 次に、
丸山参考人
にお願いいたします。
丸山参考人
。
丸山建藏
9
○
参考人
(
丸山
建藏
君) 総評理事長の
丸山
でございます。 私は、
公務員
組合の
役員
をやってきた立場から、働く者の立場で
意見
を申し上げたいと思います。 私は、審議されております
国家公務員法等
改正
案は、本質的に重要な
問題点
が三つあると受け止めております。
一つ
は、これからのあるべき
公務員
像や、
公務員
の役割を含む
公務員制度
全体の抜本的な
改革
の方向が示されていないことであります。
二つ
は、いわゆる
天下り
の行為
規制
について、勧奨退職など
人事管理
を改めないと
実効性
が危ぶまれることであります。三つに、
能力
・
実績主義
の
人事管理
では、使用者
権限
が強まる一方で、
労働基本権
の
在り方
を含む労使関係
制度
の
改革
や
人事評価
制度
の考え方が示されていないことであります。 このうち、私は、
能力
・
実績主義
の
人事管理
を
中心
に
意見
を述べたいと思います。 私は、
能力
・
実績主義
の
人事管理
に反対するものではありません。ただ、個々人の
仕事
を
評価
し、それを
処遇
に結び付け、これを実効あるものにするには、
評価
者と被
評価
者、労使の関係など、十分な条件整備が必要だと思うわけであります。その点で、
改正
法案
には幾つかの疑義があります。 その第一は、
人事
行政
の中立公正性についてであります。 中央
人事
行政
機関
として
人事院
と
内閣
総理大臣があるわけですが、
改正
法案
ではこの
所掌事務
を
見直し
、
内閣
総理大臣が標準
職務遂行能力
、
採用
昇任
等の
基本方針
、
人事評価
に係る事務を所掌することになっております。任用や
人事
行政
全般の基準と
実施
が使用者である
内閣
総理大臣、各府省大臣にゆだねられますと、政治が
公務員
の
人事
に介入をし、中立・公正性が損なわれる危険性が高まるわけであります。政治から
公務員
の地位、
官職
を
保障
する中立・公正性が確保できるようにしていくべきであります。 第二は、新たな
人事評価
制度
の
確立
が不可欠であります。 今回の
改正
法案
は、任用、
給与
、分限がすべて
人事評価
に基づくことになっております。そのための新たな
人事評価
制度
は現在試行中のものを整備する、このようでございますが、どのような
システム
になるのか、いつ本格
実施
となるのか、どのように活用するのかが現段階では全く不明確であります。これでは
評価
される側の
公務員
は不安でありますし、使用者として無
責任
と言わざるを得ないと思います。 新たな
人事評価
制度
は、任用や
給与
を活用するだけに公平公正、透明で納得性のあるものにする必要があります。そのためには、特に
評価
の基準の周知、本人への
評価
結果の開示、
職員
代表等が参加をする苦情処理
制度
の整備が不可欠であります。政府はこれを明確にするべきでありますが、試行の現段階では不透明です。この実行は年功主義の強い
キャリア
やいずれ
管理職
的立場に立つそういう人たちが多い霞が関、本省から範を示すべきと思います。 次に、
人事評価
の
勤務条件
性と労使協議についてです。 政府は、
人事評価
に関して
勤務条件
ではないという見解のようであります。そこに疑義があるわけであります。
評価基準
に基づいて個々人をAあるいはBに評定し、その結果で
人事
を個別に行うことは確かに
人事管理
権限
です。しかし、
評価
の結果が
人事
や
給与
の
処遇
に影響するわけですから、どのように
評価
が行われ、それがどのように活用されるのかは、すなわち
評価
や任用の基準、昇給昇格の基準は切り離すことができないわけでありまして、
勤務条件
性を含んでいるというふうに思います。したがって、基準や運用の仕方については労使の交渉、協議事項であると考えるわけであります。 そして、
能力
・
実績主義
の
人事
給与
管理を行うには
評価
される側の理解と納得が不可欠であります。
評価
によってそれぞれが弱点を克服し、モチベーションを高め、
成果
に結び付ける、それがこの目標ですから、使用者が一方的にやるべきではないと思います。その
意味
で、
人事評価
にかかわる
システム
設計に当たりましては
職員
団体と十分に協議をし、合意を得るべきであります。
民間
では労使交渉に加え、労使協議によって創意工夫を重ねているわけですから、
公務
も労使協議制を整備することが重要な
課題
と言えます。 第三は、
能力
・
実績主義
人事管理
と労使関係
制度
の
改革
は不離一体であります。
能力
・
実績
に基づく
人事管理
がスムーズに機能するためには、これまでのように使用者側の一方的な関係性ではなく、労使双方が対等の関係性の中で話し合う交渉、協議によって物事を決定していく
システム
が必要です。今回の
改正
法案
で、使用者、当局の
人事管理
権限
が強化されるにもかかわらず、
公務
における労使関係の
改革
の方向性が一切盛り込まれておりません。極めて遺憾なことと受け止めております。本来、
能力
・
実績主義
と労使関係の
改革
はセットで行うべきであります。労使関係の
改革
はこれと切り離し、先送りすることは認められないことであります。 四月の二十四日の
閣議決定
で、
労働基本権
の
在り方
は専門
調査
会の審議を踏まえ、引き続き検討するとし、渡辺大臣は、
労働基本権
を付与する方向で検討すべきとの考えを表明されております。これ
自体
は、これまでに比べ一歩前進と言えますが、明確ではなく、不十分と思います。
能力
・
実績
の
導入
は、
公務
の特性を踏まえながらも、
民間企業
と同じように
能力
と
成果
で
人事
、
給与
を行うわけですから、
公務員
にも同じような権利を
保障
すべきです。この点は、ILO勧告に基づいて
公務
の労使関係を
改革
するとの方針を
改正
案に明記すべきと考えます。
公務員制度
の抜本
改革
の必要性にかかわって、
改正
法案
の慎重審議を求めたいと思います。 今回の
改正
法案
では、具体的な
人事制度
の中身はすべて先送りとなっています。例えば、
官民人材交流センター
の
制度設計
は
官房長
官の下の有識者懇談会へ、
人事評価
制度
の中身は政令へ、
労働基本権
の
在り方
は専門
調査
会へといった具合です。これらを見れば、今回の
法案
がいかに拙速なものであるかが明らかであります。 政府は、四月二十四日の
閣議決定
で、総理の下に有識者による検討の場を設け、全体パッケージとして
改革
を進めるための検討を行い、来年の通常
国会
に
国家公務員法等
改革
基本法を
提出
するとしています。そうしますと、この有識者による検討の結果や
労働基本権
にかかわります専門
調査
会の最終報告を踏まえ、改めて総合的で具体的な法
改正
が行われることになります。今回の
改正
法案
は、
公務員制度
の部分
改正
で、不十分な点がたくさんあるだけに、慎重な審議を尽くしていただきたいと思います。 最後に、総理の下の有識者による検討の場には、労働界代表の参加を要請したいと思います。 今申し上げましたように、総理の下に設置される検討の場は、抜本的な
改革
に向けたものと言えます。今、我が国は多くの
制度
改革
が進められております。
公務
部門も、事務事業に加え、人と
組織
の
改革
が待ったなしの状態であります。
公務員制度
は、立法や司法と並ぶ
行政
の
在り方
にかかわります。その
改革
は、国民が安心して暮らせる土台づくりでもあります。この
改革
には広く国民の声を反映させる必要がありますし、働く者を代表する参加を要請しておきたいと思います。 私の
意見
は以上であります。
藤原正司
10
○
委員長
(
藤原正司
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見
の聴取は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
末松信介
11
○末松信介君 自民党の末松信介です。 今日は、四人の
参考人
の先生方には、お越しをいただきまして大変有益なお話を聞かしていただきましたことに、心から厚くお礼を申し上げます。印象として、お二人賛成、お二人反対というふうにまずは受け止めさせていただきたいと思うんですけれども。 それで、私、まず基本的なことをお聞きをしたいんですけれども、最近、公僕という言葉、余り使わなくなったなと、耳にしなくなったなということを思うんですよね。それで、今は
国家公務員
Ⅰ種、いわゆる
キャリア
と呼ばれる
方々
ですけれども、非常に高い志を持って、自分が国を引っ張って、そして
世界
の中の
日本
がどうあるべきかという、そういう大きな視点を持っておられるわけなんですけれども、しかし、同時に、早い時点で、支配階級的なそういう
意味
合いというのを持ち始めると、そして、支配者対被支配者という、そういう感覚というのが出てくるんだなということは、何となく伝わってくるものがございます。 公僕というのを広辞林で調べましたら、パブリックサーバント、公衆に奉仕する者、
公務員
などの総称となっております。官僚というのはこれ、
行政
の執行者、官吏、役人とも書いているんですが、特に政策決定に影響を与えるような上級の
公務員
というように広辞林では書かれているわけなんですけれども、官僚もまた
公務員
でありまして、
キャリア
、ノン
キャリア
の区別なくこれから
人事評価
をしていこうということなんですけれども、官僚という言葉というのは、これからも、諸外国には当然存在しておるんですけれども、残り続けると先生方は思われるか。また、残り続けさせるべきかということをお考えか。官僚
制度
をどういうように変えていくべきかということを、まず四人の先生にちょっと冒頭、簡単でも結構ですから、お伺いしたいと思います。
加藤丈夫
12
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 私は、特にⅠ種
公務員
について、国の政策執行にかかわる重要な立場として今後もその立場というのをしっかり守っていただきたいと思うし、先ほど優秀な学生が
公務員
を志望しなくなっているのは心配だというふうに申し上げましたけれども、是非この
改革
を通じて国を背負う高度な政策判断のできる官僚がこれからもしっかり育っていくことを期待しています。
新藤宗幸
13
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 私は、先ほども申し上げましたが、
入口
でのⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種という選別は、もう
昇進可能性
を前提にしている選別はやめるべきだと。現にⅡ種試験の合格者の九九%近くが大卒であります。かつての高等文官試験あるいは私どもが大学を出るときの上級職甲という
時代
とは全く違うわけでありまして、したがって
学歴区分
の試験を行い、その後、
一定期間
後に
能力判定
を客観的にやるべきだと。 ただ、官僚という言葉、ビューロクラットという言葉は私は残っていかざるを得ないだろうと。それは、なぜならば、現代のこの国が極めて複雑な機能を政府は発揮していかなくてはならないし、その正に政策、事業案等の準備をするテクノクラートを必要としているわけでありまして、その
意味
では官僚という言葉は残ると思います。 以上です。
中野雅至
14
○
参考人
(
中野雅至
君) 今回の
改革
案では
採用試験
や
採用年次
にとらわれない実力主義の
人事
が行われるということですので、近未来的にいいますと、
採用試験
によるそういう言葉遣いの違いというものはなくなっていくんだろうというふうに認識しております。ただし、
民間企業
を見ましても、最近は厳選
採用
とか早期の時点からの経営幹部への登用みたいなものが起こっておりますので、
民間
では逆のことが生じておるということでございます。 そういうことを考えますと、今後、今の
日本
の官僚
制度
というのは幹部
公務員制度
としては非常に中途半端なところにありまして、イギリスとかフランスの場合には
公務員
法上にちゃんと幹部
公務員
というのを位置付けておりまして、それに基づいて幹部
公務員
を育成しております。それに対して、現在の
国家公務員
の
世界
では三級一号俸への
採用試験
にすぎなくて、実際は運用でエリート官僚を育成しているということだと思います。 そういう
意味
でいいますと、幹部
公務員
を
制度
化するのか、あるいはこれをなくすのかという方向で、どちらかの方向に行くのかで相当
議論
があるというふうに考えております。
丸山建藏
15
○
参考人
(
丸山
建藏
君) どういう
組織
もそこをリードするリーダー役は必要なわけでありまして、国におきましても優秀な
人材
を育成しなければならないと。そういう
意味
では官僚あるいはリーダーは必要だというふうに思っております。 ただ、これまで指摘されておりますように、いわゆるこの
キャリアシステム
は
セクショナリズム
、縦割り
行政
あるいは官業癒着、いろんな問題を起こしているわけです。そういうものをどういうふうに国民に信頼あるものにしていくかという点で考え方を整理する必要があると、このように思います。
末松信介
16
○末松信介君 ありがとうございます。 四人の先生方の言葉を重く受け止めたいと思うんですけれども。前の首相の小泉さんというのはやっぱり演説のときに必ず言ってたのは、官僚の既得権益の打破だということをずっと演説で言っておられましたんで、正に、官僚は残るけれども既得権益はやっぱり守ってやるということはこれ駄目だと、つぶしていかなきゃならないと、そういう社会に変えようという、その点では四人の先生方の御
意見
、一致するなということを私も思ったわけであります。 それで、実は、
新藤
先生からⅠ種、Ⅱ種の話が出ましたんですけれども、私も国土交通
委員会
におりましたんですけど、急遽
内閣委員会
に入ってまいりまして、今
質疑
に立っておりますんですけれども、
地方
公務員
にこういった今回の
官民人材交流センター
とか新たな
人事評価
制度
、既にやっている自治体もあるんですけれども、こういったものについて、
地方
自治体まで合わせていかなきゃ駄目じゃないかと。先輩の、総理までお務めになった方も、これ
地方
公務員
はどうするんだという話が最初に出ましたですよ、今年の四月ごろでしたかね。 私思うんですけれども、既に
地方
公務員
の場合は
キャリア
、ノン
キャリア
というのは存在していないわけですよね。私の兵庫県では、実は前の副知事は、実は高校卒業なんですよ、高卒なんです。だから、全く頑張ってもなれない、絶対なれないという、そういう
可能性
を残さない
制度
というのは、私は間違っていると思っているんです。だから、今回のやり方で
キャリア
、ノン
キャリア
なしに、
採用年次
や
採用
種別というのは問わず、頑張れば報われるという
制度
に変えようということは正しいなと思うんです。 ただ、
地方
公務員
の場合は六十歳まで、ほぼ
定年
、お勤めになります。と同時に、七級以上の方は、どうされますかというようなお尋ねが退職前の秋ごろあるんでしょうけれども、まあ県税所長だったら主任クラスで残られておられるというような、そういう甘い面も実は存在をしているわけなんですね。 それともう
一つ
は、今おっしゃったように、
キャリア
、ノン
キャリア
の問題がないということで、この三つが既に存在をしておりますので、私はちょっと
国家公務員
と
地方
公務員制度
というのは、これはなかなか一致させることは難しいという、すぐ同じ舞台で、レベルで考えることは難しいかもしれませんけれども、ただ、国民は、いろんな不祥事等々については極めて
地方
公務員
の不祥事というものに対して敏感に反応すると。
国家公務員
はやっぱり非常に遠いところで起きるわけなんですね、問題というのは。そういう眺め方をしておると、そう思います。 したがって、私は
地方
公務員
についても将来的にこうした
人事評価
なり、あるいは
官民
の
人材交流
センター
というものを設置していくかどうか、その必要性について先生方にちょっと、簡潔で結構ですので、御答弁をいただきたいと思います。
加藤丈夫
17
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 先ほども少し申し上げましたが、
日本経団連
ではかねてから
官民
の
人事
交流
についてお互いの垣根を低くした積極的な
交流
をすべきだということ、そして、イコールフッティングという言葉を使って
交流
の活発化ということを提唱しておりますけれども、それは
国家公務員
も
地方
公務員
も同じだと思います。 ただ、現在進めている
国家公務員
の
改革
をそのまま
地方
公務員
に広げていくということについてはいろいろな問題があるし、まだ解決しなきゃならない問題があると思いますので、やがて
地方
公務員
にまでも広がる問題だと思いますけれども、まずは
国家公務員
の問題をきちっと整理すべきだというふうに思っています。
新藤宗幸
18
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 末松先生御指摘の問題というのは、よくそれなりに分かります。ただし、
入口
でその選別をしているわけではなくて、
学歴区分
の試験であり、それから
年功序列
を取っているわけではない。ただ、
部長
級まで行くと、六十歳まで勤めないで一年ぐらいを残して外郭団体に行っているというのは、多くの県レベルでは、あるいは政令市ではほぼそのとおりだと思います。 ただ、今問題になっているのは、
国家公務員
の正に言うところの
キャリアシステム
を前提にした
早期退職勧奨
とその後のいろんな再
就職
、そこに様々な腐敗というかスキャンダルの温床が生まれるから社会的な問題になっているのであって、そこの
議論
に当面は私は絞るべきだろうと。 それから、
地方
公務員
といっても、四十七都道府県、十七の政令市、それ以外の市町村、これは非常にバラエティーがあります。また、いわゆる一般市のレベルでいえば、例えばこの近くでいえば、埼玉県志木市の前市長の
時代
から試みられているような、いわゆる
キャリア
というのは職業
公務員
としての
公務員
だけではない部分も加えた
職員
機構をつくろうという動きも出ておりますので、そこは相対的に分けて考えるべきだと私はそう思っております。
中野雅至
19
○
参考人
(
中野雅至
君) まず
退職管理
に関しましては、
地方
公務員
は恐らく
国家公務員
ほどシステマチックに
退職管理
を行っておらないと思いますので、同じような厳しい事後
規制
が要るのかどうかというのはちょっと疑問に感じております。 それから、
二つ目
は
人事評価
でございますが、これは
地方
公務員
も当然
導入
されるべきだと思っております。現在、
国家公務員
の、今正に
法案
で
議論
されておりますが、その前に既に鳥取県では
人事評価
を行っておりますし、もっと厳しいところで見ますと、北海道庁なんかは分限処分と
人事評価
を絡めておりますので、非常に厳しい
人事評価
がなされておるというところで、各県、各市によって非常に多様性が見られるというところだと思っております。
丸山建藏
20
○
参考人
(
丸山
建藏
君) 地公にはいわゆる
天下り
というのはあるんだろうと思いますけれども、国公のように
キャリアシステム
というふうに
制度
化、やや
制度
化されたものはないというふうに私は仲間から聞いております。そういう
意味
では、国からまず優先して範を垂れるべきだと、このように考えております。
末松信介
21
○末松信介君 ありがとうございます。 私も先生方と考えが一緒で、やはり条件が違うんです、環境が違うんですよね。まずはここをきちっとやってということで。 ただ、割合、県民は、国家
公務員制度
で
キャリア
とノン
キャリア
と、そういう言葉の違いって分からないんですよね、何でそんなに早く辞めちゃうのと言う。新大阪から東京まで、新大阪を出発して東京が事務次官となったら大体早い人だと名古屋で降りちゃうと、もう遅くとも新横浜では降りてしまうということが、その
意味
が分からないんですよね、これが。気が付けば何とか財団法人行っているとか、何とか法人行っているというようなことが起きてくるということで、何かいい思いしているんじゃないかという、そういう向きというのがありますんですけれども。 私は、とにかくこの有為な
人材
をどう活用するかということで、
人材
の
交流
センター
つくって、しかも透明感を持たすという、
口利き
についても厳しい制約を設けるということになっていますんですけれども、期待を寄せたいと思うんですけれども、一部先生方と御
意見
違うところあるんですけれども。 それで、ちょっとまた原点に戻るんですけれども、
公務員制度改革
というのは、一九六二年ごろに第一次臨時
行政
調査
会で話合いが持たれまして、このときにも既に
国家公務員
の
公務
の民主的で能率的な運営を
保障
するが、
公務員
の現状は相当懸け離れているという、そういった指摘がありました。そのころから
人事管理
の
確立
や
能力主義
、
実績主義
、信賞必罰を励行、退職後の再
就職あっせん
一元化
ということは答申に出されていたわけでございます。 それで、第二次臨調を経て、一九九〇年に省庁再編などの道をも付けて、そしてこの一括管理
システム
の動向を見ながら一括
採用
は検討しようじゃないかということで、しかも
人事慣行
についてもこれはどうすべきかという、そういった
議論
がなされてきたわけなんです。ようやく二〇〇〇年の十二月の
行政
改革
大綱で
公務員制度改革
が重要
課題
となって、二〇〇一年にこの
公務員制度改革大綱
ということに正式につながってきたわけなんですけれども、非常に長い歴史があるわけなんです。 先生方の方がずっと我々よりよく勉強されておられますんですけれども、先ほど話がありましたけれども、それは私も思うんですけれども、この
能力
等級別について考えると、現在の
公務員
法第三十三条一項にもこう明記されています。すべての
職員
の任用は、この
法律
及び
人事院
規則の定めるところにより、その者の受験成績、勤務成績またその他の
能力
の実証に基づいてこれを行うと。
国家公務員
法第七十二条には、勤務成績の評定として、
職員
の執務について、その所轄庁の長は、定期的に勤務成績の評定を行い、その
評価
の結果に応じた措置を講じなければならないと明記されているわけなんです。 だったら、やろうと思えばできたはずなんですけれども、先送ってきた、運用されなかったと。こういう歴史があるんですけれども、今回、なぜかちょっと違うなと思うのは、具体的に安倍総理がパンドラの箱を開けてしまったという感じを受けているんです。だから、私は、慎重という言葉を使えば、これは優柔不断と取られてしまうなということは思います。そして、検討という言葉を使っていけば、こいつはやる気がないなということを受け止めてしまうと、これだけの歴史を繰り返していますので。 私、このことにつきまして、一体どういうように、過去の、繰り返し繰り返し試行錯誤してきて、今も
人事
の、試行錯誤はされていますけれども、
人事評価
については。こういう苦労の歴史について、なぜ実らなかったのかということ。このことと、今後この
制度
改革
を行っていくわけなんですけれども、高いハードルが出てくるわけですけれども、衆議院の審議を見て、中で、更にここをこうしなきゃならないという点、新たにこうしなきゃならないという点がありましたら、我々が考えなきゃならぬのですけれども、今日は
参考人
の先生方なので、御提案がありましたらちょっとお話をしていただきたい。なければ結構なんですけれども。これは
加藤
先生と
中野
先生に、じゃ、ちょっとお話をお願いいたしたいと思います。
加藤丈夫
22
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 私も今回の件で、
公務員制度改革大綱
から始まった幾つかの
改革
の案について拝見をさせていただきましたけれども、いずれの案もかなり大胆な
改革
が盛り込まれている。ただ、それが今まで十分な効果が発揮できなかった。今回のこの
改正
案は、そういう
意味
での
改革
を実行に移す第一弾だという点で、やっぱりこれは実行をするということが極めて大事だと思っています。 なぜそのことができなかったかといいますと、私の感じでは、ルールはあるんだけれども、やっぱり長年培われてきた
年功序列
の
人事慣行
だと思います。この慣行を改めるということが今度の
改正
の
一つ
の大きいポイントだろうというふうに思っています。
中野雅至
23
○
参考人
(
中野雅至
君)
公務員制度改革
は、人を扱う問題であるがゆえに非常に反対なども大きくて、なかなかこれまでもコンセンサスを築きにくいという面がありまして、そういう観点からいいますと、よく今回はここまで本当に通したなというふうに感じております。どこの国の
制度
もそうなんですけれども、非常に精緻にできておりまして、いろんな
人事
と
給与
が絡み合ったりしまして、非常に複雑にでき上がっているものですから、メリットとかデメリットの予想が非常に付けにくいと、こういうこともありまして、なかなか
改革
まで進まなかったのかなというふうに感じております。 今後は、
退職管理
という非常に重要なところとそれから
能力
評価
という非常に中核になるものを
二つ
入れておりますので、この
二つ
を核にしまして、今後、定員管理の
在り方
とか、あるいは幹部
公務員
とか、あるいは
人材
育成をどうするのか、そういったところも重点的に絞りながら、あるいは労働三権の
在り方
、これ一番重要だと思うんですけれども、こういったところを進めていかなきゃいけないというふうに考えております。
末松信介
24
○末松信介君 ありがとうございます。
新藤参考人
と
丸山参考人
にお伺いしたいんですけれども、現在、国と
地方
の借金七百七十兆円ございます。道州制
調査
会というのが開かれております、自民党の中で。一応まとめていこうということなんですけれども、マニフェストに入るかどうかは、これは安倍総理がお決めになることなんですけれども。その中でも道州制を、これを
導入
することは構わぬけれども、今の
地方
特有の借金をどうするかというスタート
ライン
の具体的な財政基盤の数字を
議論
せずして、危険じゃないかという話も出たんですよ、指摘もあったわけなんです。 それで、今、この七百七十兆円ある財政赤字の中で、
公務員
給料において総額抑制は避けては通れないと思います。行財政構造
改革
の基本というのはやはり、基本的にはできるだけ、これは
行政
サービスの限界点をきちっと定めにゃいかぬだろうし、サービスの中身も点検せにゃいかぬということだと思うんですけれども、
公務員
数についてもできれば削減を当然やっていかなきゃならないということになるんですけれども。この総額抑制は避けて通れない問題と思われるんですけれども、今後の少子高齢化における
時代
において低成長が予想される社会の中で、財政再建を念頭に置いていかなる
公務員制度
の構築方法があるのかということを
新藤
先生と
丸山
先生にちょっとお話を聞きたいと思います。
新藤宗幸
25
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 極めて大きな問題で、簡単にお答えできる話ではないのですけれども、まず大前提として、私は、八百兆円近い債務を積み上げた
責任
がどこにあるかは
議論
はおいておくにしても、やはり果敢に、少なくとも税の、中央、
地方
の税目の問題と、それから税率の引上げ、端的に申し上げれば消費税をもっと完璧な付加価値税に改めた上でというふうに申し上げたいですが、これは避けられないんじゃないですか。 つまり、入ってくるものの方の話をもはや抜きにして、したがって出る総額の抑制だ、その話が決して私ども普通の市民のサービスに、生活にとってプラスにならない、ダメージになる部分の方がかなり多いのではないか。ここは、私はいろいろと申し上げてまいりましたが、
責任
を持って付加価値税をきちんと大規模に
導入
をする、その上で、いわゆる政府の
責任
領域を単に縮小するという話ではなくて、大胆に政府が基本的なことをやるのだという方向で考えるべきで、それに沿った
職員
機構というものをまたその段階で考えるべきだと、そう思います。
丸山建藏
26
○
参考人
(
丸山
建藏
君) どれだけの公共サービスを提供するか、あるいは受けるかというのは政治が決めることであり、国民のまた需要にこたえることでもあると、こういうふうに思います。
公務
の範囲と役割はそういう
意味
ではそういう政治の場で決められるんだろうと、こう思います。そういう中で、やっぱり良質でしかも効率あるサービスをしてほしいと、これには働く者もこたえていかなけりゃならない、こう思っております。 ただ、良質なサービスを提供するには良質な
人材
が必要なわけでございまして、そういう質のいい
人材
をどう確保するかということもかかわるわけでございまして、単に総
人件費
で人を削減したり
給与
を抑制したらそれでいいんだということにはならないということを申し上げておきたいと思います。
末松信介
27
○末松信介君 ありがとうございます。
丸山
先生、
新藤
先生、特に
丸山
先生からは
労働基本権
の付与のことについてのお話ありましたし、もちろん連合なりのお話はいただいておるわけなんですけれども、これは確かに専門
調査
会においていろいろと
議論
をされていて、十月ごろですかね、一応何か基本的な話はということで出てくるということを渡辺大臣、総理もまたそのように語っておられるわけなんですけれども。 大分時間なくなってきたんですけれども、私も昔、県議になる前はサラリーマンしていまして、当然労働組合に参加していました。指名ストも入ったこともございます。ただ、
一つ
は思想的な問題じゃなくてやはり労働の対価の問題、給料をやっぱりきちっと上げて
評価
してほしい、上げてほしいということ、それと職場の環境というのをやっぱり良くしてほしいという、この二点がございました。そういった中で、統一労組懇へ組合が参加していくということでもう大もめにもめたことを実は記憶をしておるわけなんですけれども、大変いい勉強をさしていただいたと私は思っています。 県議になってから自治労なりのいろんな組合の
方々
のお話も聞くことあったんですけれども、さて県立病院の赤字ということで言ってみたら、どういうことかなということを思うんですけれども、
一つ
はやっぱり
給与
費が非常に高いという問題が出てきます、これは致し方ないところもあるんですけれども。高度医療をもう
一つ
は公立病院でやっているということも、これが赤字の原因でもあるわけなんですけれども。 ただ、MRAの機械なんかを償却せないかぬわけですけれども、やはり
職員
団体、組合とは言えませんから
職員
団体と、病院だったら管理局長さんとの話合いの中で交渉を行って、大体一人十人ぐらいだ、この機械は十人ぐらいだなというようないろんな形でやはり
一つ
の慣行、話合いがなされておるというこれ
実態
があって、
職員
団体は
一つ
の赤字の
要因
かなということを、具体的にそういったお言葉を聞いたことがあったんですよ。私はまあそんなものかなということを思ったわけなんですけれども。ただ、
公務員
としての顔と労働者としての顔というのは
二つ
ありますんで、どこかでやっぱり折り合いを付けていかなきゃならぬということが私の思いであります。 したがって、
労働基本権
につきまして団結権は認められていると、ただ警察や自衛官とか消防の方はちょっと適用は避けていただきたいんですけれども。この協約締結権、労働協約の締結権云々ということにつきましてはまだ認められておりませんけれども、今後しっかりと我々も、
時代
は変わっていきつつありますんで、見ていかなきゃならないなということは抱いておりますんですけれども、こういうことについて
加藤参考人
は、この
労働基本権
の付与につきましてどのようにお考えか、ちょっと御見解を承らしていただきたいと思います。
加藤丈夫
28
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 私も実は現在
行政改革推進本
部の専門
調査
会の
委員
の一人でございまして、昨年の秋から検討に参加をしております。先ほどもお話がありましたように、この四月に
改革
の方向で見直すべきであるということで
委員会
としての方向を示して、現在具体的な問題についてシミュレーションを行って検討を深めているところです。今どうあるべきかというのは、
委員
の一人として検討に参画していますので、ここでは個人的な
意見
をちょっと控えたいと思いますけれども、ただこの
公務員制度改革
の問題、いずれはこの
労働基本権
の問題とのかかわりは持ってくると思います。 ただ、今の
公務員制度改革
の問題は、やはり先ほど来
議論
がありますように国としての喫緊の
課題
だと思いますので、後から追い付いてくる問題かもしれませんけれども、このことを先行してきちっと取り組むべきだというふうに考えております。
末松信介
29
○末松信介君
中野
先生からも、一言ありましたらちょっとお答えいただけますか。
中野雅至
30
○
参考人
(
中野雅至
君) 今回、
能力
等級
法案
を入れておりますので、その流れから考えますと、労働基本三権の付与については前向きに検討すべきだというのが筋だと思います。警察とか監獄、消防
職員
、これは続いて制限すべきだと思うんですけれども、一般職の非現については前向きに検討すべきだと思います。 その際注意しなければいけないのは、一般非現の
国家公務員
に付与しますと恐らく
地方
公務員
も同じような話になってきますので、人数あるいは
行政
サービスの量から考えますと
地方
公務員
の一般非現に当たった場合どうなるのかと、そういうところは相当シミュレーションしないと難しい問題が出てくるというふうに思っております。
末松信介
31
○末松信介君 時間が迫りまして最後の質問になろうかと思いますけれども、
中野
先生も御指摘がありましたけれども、若い人の官僚離れが進んでおる、本年度の志願者数は昨年度より約一五%減っておると。特に顕著なのは東大卒の官僚離れであって、九〇年度三百十六人だったのが、二〇〇五年度には百六十二人に減っております。また、志願者だけでなくて、
キャリア
の退職者も過去五年間で二百九十二人、年平均六十人の方が自分の都合で退職していると。このような現象は
時代
の流れということも言えるんですけれども、ある面で税金使ってそこまで知識人にしてきたという、そういった面においてはこれは国家としては大きな損失でございます。官僚志望の人たちを増やしていくために、
公務員制度改革
において何が必要かどうかということをお尋ねしたいんです。 いろいろと見ていましたら、まあ村上さんのように、
一つ
は自由になって資金をためたいという方もおられますけれども、多くの方は第一番はやっぱり自分の持っている専門分野の知識を生かしたいということですけれども、やはり国家のために奉仕をしたいということは第二希望に挙がってきておりました。これは
中野
先生も書いておられたあの文章、本の中、エコノミストだったかな、隣に書いておられましたので私も読んだんですけれども、志ある人はおるわけなんですけれども、なぜ離れていくのか、どういう歯止めを掛けていくべきかということについて、
中野
先生と、そうですね、
新藤
先生のお言葉をいただけたら幸いでございます。
中野雅至
32
○
参考人
(
中野雅至
君) 済みません。私も辞めた一人なので、国家の損失だと、税金の損失かもしれないですけれども。 なかなか、今
役所
にいますと、
仕事
が非常に忙しい割には、次、自分がどうなるのかというのが非常に見えにくいというところと、
仕事
の中身が、自分がやっている分野に加えて、
行政
改革
とか
組織
改革
とかあるいは様々な雑務も含めて、なかなか自分の思ったような
仕事
ができないという、社会
保障
をやりたいと思って入ってきても、なかなか社会
保障
だけでき切れないというところもありまして、そういったところもあって辞める人が増えているのかなという気はします。 戻すためにはいろんなことが考えられるんでしょうが、今回出したような
官民
交流
というのはやっぱり
一つ
の大きな考え方だと思っておりまして、これからやっぱりアメリカ型みたいになるのが望ましいのかどうかは分かりませんけれども、やっぱりある程度政官財、それから学者も含めて、マスコミも、こういったところを渡り歩くような人を育成していかないと、全体を見れるような
人材
はなかなか育たないんじゃないかなというふうに私は考えております。
新藤宗幸
33
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 昨年、一昨年来からそういう御指摘ずっとありますけれども、ある
意味
で私は当然だろうと思うんです。お亡くなりになりましたが、城山三郎さんがかつて「官僚たちの夏」という、これは通産官僚をモデルにしたものですけれども、要するにナショナルゴールが非常に明確である、先進国に追い付き追い越していく、そのために我々が
中心
に立たねばならないのだと。こういうときには確かに、国あるいは国家への貢献でそれなりの頭脳を持った人間が集まってくる、これは当然だと思います。 ところが、ポスト近代化もいいところでございまして、一方において、官僚機構が今やるべきことの目標というのが非常に不明確になってきている。こういうときには、むしろもっと
就職
を探そうという、それなりの優秀な学生たちは、自分の
能力
がそれなりに発揮できるという、いろんなことが国内のみならず国際的に開かれているわけであって、そちらに向かっていくのは当然だろうと、私はそう思います。 ですから、そういう中でなお確保しようと思うならば、私が先ほど申し上げましたような
職階制
を明確にするということです。アメリカの
官民
の
交流
ということで申し上げても、その職の専門性が明確になっていれば民との
交流
も比較的容易になるであろうと、そういうことです。
末松信介
34
○末松信介君 先生方四人のお話を承りまして、本当にありがとうございました。十分に
参考
にさせていただきたいと思っています。感謝申し上げます。終わります。
朝日俊弘
35
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。 今日は四人の
参考人
の皆さん、大変ありがとうございます。先週の木曜日にお願いして急遽日程をつくっていただいたという、御無礼を承知でのお願いでございました。ありがとうございました。しかも、これは私が言うべき話ではないのかもしれませんけど、この
法案
の審議の行方がいまひとつ不透明な中でこういう
参考人
という
機会
をつくることについて、もしかするとお怒りではないかという気もいたしまして、大変恐縮しております。 さはさりながら、せっかくの
機会
でありますから、まずは最初に四人の
参考人
の皆さんに共通してお尋ねしたいことがあります。 この
法案
が具体的な
課題
に上がってきましたときの私の率直な印象は、やっぱり、
公務員制度改革
というのは、えっ、こんなものだったのと。先ほど来お話があったように、既に具体的な話になってからでも、二〇〇一年からですから、六年、七年たっているわけですね。その中では、賛否両論を含めていろんな
議論
がされてきて、結構おもしろいというか
議論
もあったと思っているんです。ところが、それが紆余曲折するうちに、何か
法案
としていったんまとまったけれどもそれは
提出
されないままぐちゃぐちゃっとなって、またぞろ出てきて去年は中馬さんがこうするああするという話をしたけども、それがまたすうっと消えていって、今度は大臣が代わって急遽頑張るという形で出してきたと。 どうもその中身が、これでいいんだろうかと。先ほど来お話があったように、来年の通常
国会
には
公務員制度改革
の
基本方針
も含めた言わば基本法的なものを出すと、こうおっしゃっている。それならそれで、まずそれちゃんと出せやと、その上でこの部分についてはどうするこうすると、こういう
議論
があってしかるべきじゃないかと、私はいまだにそう思えてなりません。 その率直な疑問を、先週でしたか、渡辺担当大臣にぶつけました。こんなふうに私、質問しました。今回
提出
された
法案
は
公務員制度改革
全体の中でどんなふうに位置付けられるものなのか、それは果たして妥当なものなのかということについてお尋ねをしました。そうすると、そのお答えはこういうお答えでした。今回は
公務員制度改革
の全体パッケージとして考えていく中での
能力
・
実績主義
と再
就職規制
の
導入
だった。なぜこの
二つ
から始めたのかというと、まさしく今ある様々な
公務員制度
における弊害というものがこの
二つ
を
導入
することにおいて除去される、こういう観点だと、こう自信を持ってお答えになるんですね。 彼は何事にも自信を持ってお答えになるので、この点ばかりじゃないんですけれど、本当かいなと。私は、いや、次の
改革
のいいステップになるんならそれはそれで認めることにやぶさかではないんですが、下手をするとこんなことをつくったがために次の
改革
が障害になってくるということだってあり得るわけですね。そういう
意味
で、もっと全体像をきちっと踏まえた上で、これがどういう位置付けになるのかということを明確に説明してほしかったんですが、何度求めてもきちっとしたお答えにならない。残念であります。 そこで、今日は四人の
参考人
の皆さんにそれぞれ、今私が素朴に思っているこういう中身を今、
国会
で審議して成立させることについて、本当にこれでいいのか、何でこういうことになっちゃったのか、下手すると障害物になるのではないかという点について、それぞれの御
意見
を伺いたいと思います。
加藤丈夫
36
○
参考人
(
加藤丈夫
君) ただいま御指摘ありましたように、この
二つ
の問題を解決すると大きな障害が全部除去されるとは私も思いませんけれども、ただ、今回の
能力
・
実績主義
人事管理
それから再
就職
の
規制
というのは、今やはり社会的に問題になっている私は解決すべき喫緊の
課題
だと、これはこれから手を付けても全体の
公務員制度改革
のマイナスになるとは思いません。 先ほど来お話がありますように、今回の
法案
は
一つ
の、何といいましょうか、スタート台に立ったということで、これから中身を詰めていくことは一杯あるわけですけれども、これは
一定
の時間を掛けてきちっと詰めていけば、全体の
公務員制度改革
の中で整合が取れたものになっていくというふうに思っております。
新藤宗幸
37
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 二〇〇一年の十二月、小泉
内閣
の下で
公務員制度改革大綱
が決定されましたが、それ以前、つまりお亡くなりになりました橋本龍太郎さんが行革担当大臣で、この辺りから今回の
公務員制度改革
についての
議論
が始まっていくわけですね。私は自分の本にも書きましたけれども、この
公務員制度改革
という極めて国の重要な
制度
の
改革
案の作成が、橋本さんの
時代
から、さらに
公務員制度改革大綱
を決定してその後
法案
要綱の作成にまで至りますけれども、密室の下で行われた。従来の戦後のいろんな節々ございましたけれども、
公務員制度
というものの重要性にかんがみて、それなりに公開の場で審議会等諮問
機関
を設けてそこで
議論
してきたはずなんです。ところが、今回はとりわけ密室で、行革
推進
事務局の中で行われ、しかも、お亡くなりになった橋本さんとの関係があったと私は思うんですが、旧通産官僚の、経済産業省官僚の一部がこの原案の作成にかかわった、この辺りからボタンの掛け違いが起きてきているんだろうというふうに思います。 今おっしゃいましたように、私は取りあえず
天下り規制
の問題を行うというのは別に反対はいたしませんけれども、しかし、これを行うならば同時に、先ほど来申し上げましたように
入口選別
の話を明確にしなさいと。それから、
天下り
は事後
規制
でやろうといってもほとんど無理なんであって、第三者
機関
を通じた
事前規制
を強化すると、こういう形ならば今直接の処方せんとしては役立つんではないか。 ただ、それにしても従来のこの七年間、八年間の
公務員制度改革
の案の作られ方をいったん、もう一回自省をして、より公開の場で、今、
日本
の
公務員制度
に何が問われているのか、最も問題なのは
キャリアシステム
をいかに
改革
するか、透明化するかということですので、そこを前提にして、本来ならば練り直したものを来年、通常
国会
というのはもうすぐなんだから、ある
意味
でもうすぐなんだからそこで
議論
していただきたいというのが私の偽らざる気持ちです。 以上です。
中野雅至
38
○
参考人
(
中野雅至
君) まず、
能力
等級でございますが、これはもうこの間ずっと長く
議論
されてきた問題でして、先ほど申し上げましたように現在の
公務員制度
が持っている
二つ
の
問題点
、その
一つ
である
労働条件
の多様化、これと密接に絡まっておりますので、非常に重要な点であると思います。 それからもう
一つ
は
退職管理
ですけれども、これもたかだか
退職管理
という
意見
もあるかと思いますが、やっぱり
セクショナリズム
の
根幹
になっているのは
意見
の対立ではなくて、やっぱりそこに利害が絡んでいることだと。その利害の
根幹
が
退職管理
だということを思いますと、この
二つ
を取り上げたというのはなかなかセンスはいいと思います。 もう
一つ
、
公務員制度改革
で恐らく難しいのは、
人事院
の
在り方
と労働三権付与の
在り方
、ここがやっぱり非常に難しい問題でして、三権を付与するとやっぱり
人事院
の
在り方
をどうしても
議論
しなきゃいけない。この十年間ぐらい、
人事院
の
在り方
をめぐってなかなか
議論
が進まなかった。諸外国の事例を見ても、やっぱり
公務員制度改革
で一番最初に入るのは
人事院
の
在り方
です。
人事院
をどうするかというところからまず
議論
が入るんですけれども、やっぱりここは、
人事院
勧告を中核にして今の
公務員制度
はほとんどでき上がっておりますので、ここに手を付けるとなかなか短
期間
では恐らく手が付かないんだと思います。 そういうことを考えますと、まず
能力
等級と
退職管理
から手を付けたというのは、現実的な対応策としては非常に優れていると私は考えております。
丸山建藏
39
○
参考人
(
丸山
建藏
君) 私ども労働界といたしましては、
改革
のテーマは幾つか持っております。民主的で公正中立な
公務員制度
をつくってほしいと、これはある
意味
で政と官の関係改善、こういうことから始まりまして、今焦点になっております
キャリアシステム
の
在り方
あるいは
天下り
の問題、そして
能力
・
実績
と
給与
、
人事
の
在り方
、新しい労使関係、いわゆる
労働基本権
付与の問題、さらには代償措置、人勧
制度
の問題の
廃止
、そしてさらに中央
人事
行政
機関
の
在り方
、再編の問題などについて全体を
改革
してほしいと、こういうふうな考え方を持っております。 そういう
意味
では、今回の
課題
はその中の部分的な問題でございまして、本来、
委員
おっしゃられましたように、基本法、パッケージ法が先にあって、それはスケジュール法ですから、それをまずやっぱりきちっとして、その中で
一つ
一つ
法律
を
改正
して全体の枠をつくると、こういうことが私は順序だというふうに思います。 ただ、喫緊の
課題
でこの
二つ
、いわゆる
能力
・
実績
、再
就職
の
二つ
をやるにしても、その問題をやっぱりしっかり整理しないと、私が危惧いたしますのは、本当に
天下り
はなくなるのか、あるいは公正で透明なそういう再
就職
になるのか、国民から見てそれが本当にいいことだというふうになるのかが疑念を持つわけであります。それは、もう言われておりますように、勧奨退職の
在り方
やあるいは
採用
の
在り方
や、そういう問題にもかかわるからであります。 また、
能力
・
実績評価
の
人事
の問題ですが、二〇〇一年のとき私も担当いたしておりまして、与党のある政治家は、
民間
と同じように信賞必罰の
給与
、
人事管理
をやるんだと、だとすれば、
民間
と同じように
労働基本権
を付与するから、それで皆さん方はしっかり論議できるかと、こういう問題提起をいただきまして、それならということで私たちは一生懸命論議をして関係者と協議をさせていただいた経過がございます。そういう
意味
でも、本当に
能力
・
実績
の
評価
、
人事管理
をやるには、労使コミュニケーションを始めとして、その
在り方
を抜本的に変えると、こういうことが必要ではないかというふうに思っております。
朝日俊弘
40
○朝日俊弘君 ありがとうございました。 それでは次に、
新藤参考人
にお尋ねしたいんですが、実は今もちょっと話が出ましたけれども、今回、
人事院
の機能と役割をぐっと小さくして、逆にというか、相対的に
内閣
総理大臣の機能を強化するということがはっきりと出てきているわけですね。もちろん、
新藤参考人
は
内閣
機能の強化というのはある
意味
で必要だというお考えだということは承知しているんですけれども、ただ私は、こういう
人事
権あるいは
人事評価
にかかわる問題等について、
人事院
という言わば比較的独立性、中立性の高いところから、正に
雇用
主というか、雇っている当の本人のところへ集中するということは非常に危険性があるというふうに思っているんですね。 それで、先日渡辺大臣にお尋ねしましたら、今回の
改正
において
内閣
総理大臣の
所掌事務
について三点明記したことがあると。その第一は、標準
職務遂行能力
及び
採用
昇任
等
基本方針
に関する事務を明記した、第二に、
職員
の
人事評価
に関する事務を明記した、第三に、
職員
の
退職管理
に関する事務を明記した、この三点を明確に強調されて、むしろこのことが大変はっきり書いていいことだと、こうおっしゃっていた。 しかし、このように
内閣
あるいは
内閣
総理大臣に
所掌事務
を明記して
権限
を強化することについて私はかなり危惧を感じているんですけれども、一方で、幾つか大事な
課題
は先送りしていると、ここの部分だけ先行して決めちゃうというのはいかがなものかと思っているんですが、
参考人
の御
意見
をお聞かせください。
新藤宗幸
41
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 先ほど来
議論
出ております二〇〇一年十二月の
公務員制度改革大綱
をめぐって、それ以降ですが、そこの
一つ
にあったのは、明らかに
人事院
の解体ということでございました。ですから、二〇〇二年段階でいえば
採用試験
すら
各省別
で行うという案が出てきたのは皆様御承知のとおりだと思います。そして、
人事院
から研修
権限
すら奪うというのも出てきました。 したがいまして、任命権者に
人事
権限
が明確にするべきだと、それが今お話しになりましたような首相の
権限
強化にストレートに結び付いているんですけれども、私が申し上げたいことは、いわゆる職業
公務員
の政治的中立性あるいは専門的
能力
の判定の客観性というものは第三者
機関
にゆだねるべきであると。 私は、かねてより、
公務員制度改革
を本気に行うんならば、局長級以上を政治的任命職にせいと、とりわけ事務次官という職はなくせというふうに度重ねて言ってまいりました。そういう
改革
を行ったときの政治的任命職の範囲内について首相が
権限
を持つのは当然の話でありますけれども、いわゆる職業
公務員
の、言わば今のこの
法案
に出ているような形に首相が
権限
を持つことは非常に私は、政治的中立性の問題、あるいは標準
能力
の基準を首相サイドでつくるということまで含めて、いわゆる科学的
人事
行政
にそぐわない
事態
が生じるおそれの方が多いというふうに思っております。 以上です。
朝日俊弘
42
○朝日俊弘君 もう一点、
参考人
から見ると小さな問題になるかもしれませんが、気になっているもう一点があるんです。教えてください。 今回、再
就職
の問題を
官民人材交流センター
というのでやろうと。これも
内閣
府に置く。
内閣
府に置かれる特別の
機関
だと、この中で中立にやるんだと、こうおっしゃるんですけれども、それが
一つ
。もう
一つ
、
監視
委員会
をつくる。これも
内閣
府に置く。これは
内閣
府の中の審議会等というところに位置付けるものとして置く。両方とも、
人材
センター
が
内閣
府にあって
監視
委員会
が
内閣
府にあって、これでうまくいくのかねという質問をしたら、いや、うまくいかせるんだと、こうおっしゃるんですけれども、この点について何か御
意見
があったら御示唆ください。
新藤宗幸
43
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 冒頭の
意見
でも申し上げましたけれども、私は、
官民人材交流センター
という名称の下に、要するに退職予定の
キャリア
公務員
を
対象
とした再
就職あっせん機関
をつくることには異論を持っております。しかも、それが
内閣
府、首相を主任の大臣とする
内閣
府に置かれるということは、実際問題として言えば、
求人情報
はいったんそこへ集まる。その
意味
で、
各省
からの直接の
あっせん
ではないという外形がつくられるということだろうと、そう思います。 それから、
監視
委員会
も、もし本当に退職後の
あっせん
等の、
口利き
等の禁止ということで言うならば、先ほど私が申し上げたような、
口利き
のきちんとした
記録簿
、その公開ということを前提にして、その上で
監視
委員会
を少なくとも
内閣
府の外に設けることが妥当なんではないか、そう考えております。
朝日俊弘
44
○朝日俊弘君 ありがとうございました。 質問を一区切りしますけど、
監視
委員会
の下には監察官も置くんだ、当然事務方も置く、それ全部
内閣
府でやるっていうんで、その中でどうするんだろうという質問をしたんであります。是非御関心があれば議事録を見ていただくと有り難いと思います。 さて、次の問題として、
丸山参考人
にお尋ねします。 先ほど少し冒頭の
意見陳述
でもおっしゃったことなんですが、私もちょっと引っ掛かっていることが
一つ
あるんです。先週の木曜日でしたか、今日はこっちに座っていますけど、林議員が向こうの副大臣席に座っていて答弁されたことなんですけど、それで、
能力
・
実績主義
について、政府としてはこんなふうに整理をしていますということをおっしゃいました。 そのときに、
勤務条件
制度
というものとこれまでの様々な代償措置との関係が対応する関係になっているんだけれども、今回の
人事評価
というものは直接この
勤務条件
には当たらないという御説明をされました。先ほどの
参考人
の御
意見
を聞いていると、いやそれはなかなかそうはいかないんじゃないかと、こういう御
意見
でした。私もそんな簡単にクリアに分けられるのかなという疑問がありまして、そうしたら、いやいや、これは最高裁判決以来の判例でもあるんだと、こう自信を持ってお答えになったんですけど、ちょっとこの点について、私自身もいまだに疑問ですし、本当は直接やり取りしてもらうといいのかもしれませんが、それはできませんから、
参考人
から改めてその点について問題の指摘なり疑問点の提示なりをお願いしたいと思います。
丸山建藏
45
○
参考人
(
丸山
建藏
君) 今度の
評価
、
能力
・
実績
と
勤務条件
性の問題について論議はされているというふうには伺っております。
職務遂行能力
を
内閣
が政令で定めて、それを各府省が
実施
をする、それを
評価
で
実施
するに当たっては、活用するのは任用と
給与
と分限だと、こういうことになっております。
人事評価
に係る問題は、
実績評価
に係るその
給与
は
人事院
が別に定めると、こういうふうに任用と
給与
を切り離すと、だから、任用の方は管理運営事項で、そして
給与
の方は
勤務条件
性があると、こういうふうに区分けされたのが今回の考え方ではないかと思います。 これは、二〇〇一年の十二月に
閣議決定
された際の
能力
等級
制度
と考え方は似ているわけです。すなわち、
能力
等級という、
能力
を
評価
する、そのこと自身は私は管理運営事項、いわゆる
勤務条件
性はないと思います。しかし、その
評価
した結果を
給与
や任用あるいは分限にまでも活用すると、こういうことになりますと、一人の人間が、おまえの
能力
はこれだけだよと、しかし任用するときはこうでと、こういうふうに区分けすることは本来できないわけでございまして、私は一体で考えるべきだと、こういうふうに思っているわけであります。そういたしませんと、一体だれが
責任
を持って
評価
をし任用するのかと。私は、
評価
をするのも任用するのもそれを用いるのも現場の管理者なんですね、あるいは
人事
権者なんです。そう考えますと、この
二つ
を切り離しては私は
能力
・
実績
の
給与
人事管理
は機能しないと、このように思っているわけであります。 また、判例では
勤務条件
ではないんだと、こういうふうに
評価
はなっているというお話でございますが、これは、下級裁の
地方
裁では
勤務条件
だよと、こう言い、高裁では
勤務条件
ではないよと、こう言っている。これは既に四十年も前の話でございます。当時の
公務員
の生活の
実態
からすれば、まだやっぱり
給与
を上げてほしい、こんな成熟化した社会ではございません。そういう
意味
でも、勤務評定にかかわる労使紛争があったことも事実です。同時に、それは特昇や一時金に扱うと、こう言っても現実的には余り機能しない。 そういう中での、歴史的なことの流れの中の話でありますから、今日の
事態
で判例を云々というのは、私は、
改革
の視点から見ても
時代
に合わないのではないかなと、このように考えております。
朝日俊弘
46
○朝日俊弘君 ありがとうございました。 幾つかまだ質問を残していますけれども、ちょっと中途半端な時間になりますので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
風間昶
47
○
風間
昶君 公明党の
風間
でございます。 今日は、お忙しいところ、四
参考人
の先生方、ありがとうございます。
公務員制度改革
というのは、私は、
官民
癒着の防止と、そして
キャリアシステム
の
廃止
、この二点がきちっと内容に盛り込まれなければならないというふうに思っております。そういう
意味
で、今回のこの
法案
は、
公務員
個人の行為を罰則で
規制
して、そして
各省
個別の再
就職
を
あっせん
禁止して、
官民
交流
人材
センター
で一元的に再
就職管理
を行うという一方で、
人事院
による
事前承認制
を
廃止
ということになっている仕組みになっていると私は思っていますが、そこで、この
公務員
個人の行為
規制
と
官民人材交流センター
による統一的再
就職管理
、この
二つ
で新たな
天下り規制
になるというふうに私は思っているわけでありますけれども、このことについて、四
参考人
の先生方から御
意見
いただければ有り難いというふうに思います。
加藤丈夫
48
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 御指摘のように、
一つ
のポイントがやはり再
就職
の
規制
、管理の
在り方
の問題だと思いますけれども、先ほど来御
意見
ありますように、この
センター
をどこに置くかということが
一つ
問題だというふうな御指摘がありましたけれども、私は、
内閣
府に置いて全然構わないんではないかなというふうに思います。 一番大事なことは、再
就職
に当たって
各省
庁の許認可
権限
を切り離すということが
一つ
重要なんで、今回の
法案
でそのことが
一つ
明確になったという点では
評価
すべきだというふうに思っています。
新藤宗幸
49
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 冒頭で申し上げましたけれども、形上は
天下り規制
の体裁は整えているけれども、しかしこの
センター
がいわゆる公平に、しかも透明な形でもって、それぞれのそれまで所属していた
官庁
の
権限
と懸け離れた形で
就職
の
あっせん
をするのかといえば、非常に多くの疑問が生じておりますので、まず今の
実態
にカーテンを掛けるというか、ふたをするというか、そういう感じであろうと私は思いますし、それから、ちまたの声というのは、何でハローワーク使わないのというのがちまたの普通の人の感覚です。何で高級官僚のために国の、この赤字だ赤字だと言っているときに、
予算
と人員を使ってそんな
センター
つくらなきゃならないのというのがちまたの声なんでありまして、そのことをやはり先生方はお聞きになっていただきたいと、そういうふうに思っております。
中野雅至
50
○
参考人
(
中野雅至
君) 世の中全体が
事前
に
規制
する社会から事後
規制
の社会に移って、事後
行政
の社会に移っておりますので、そういうような流れとか、あるいは
官民
交流
のメリットを考えますと、事後
規制
に比重を移した政策の方が優れていると私は思っております。 これは
天下り
の定義によるんですけれども、やっぱり
各省
の
予算
とか
権限
を背景にして再
就職
することがこれやっぱり
天下り
だと、それが再
就職
という言葉との違いだと思っておりまして、私は、再
就職
自体
はなくならない、あるいは途中でいろんなところに移る人、それ
自体
はなくならない、ただ、いわゆる
権限
とか
予算
を背景にして特定の
関連法人
に行くところは、これはどんどんどんどんなくなっていくと。その
意味
で、今回、
民間
法人だけではなくて非営利法人まで
対象
に入れたということは、これほとんどが独法に再
就職
しておりますので非常に大きな
規制
だというふうに、
改革
だというふうに私は思っております。
丸山建藏
51
○
参考人
(
丸山
建藏
君)
各省
で勧奨退職を行うという、後進に道を譲るという形で肩たたきをやるわけです。そして、再
就職
を
センター
に依存する。その関係というのは一体どういうふうになるのか、ここがなかなか見えないところでございまして、そういう
意味
で、本当に機能するのかマッチングするのかどうか、あるいは本人がその意に添って
能力
やそういうものを発揮できる、そういうところになるのかというところが私は非常に素朴な疑問でございまして、これが機能するというのには相当のやっぱり工夫、時間が掛かるのではないかなと、こう思っております。
風間昶
52
○
風間
昶君 ありがとうございます。
民間企業
から
各省
庁、各
職員
への働き掛けは自由、
民間企業
は
官民
交流
センター
を通じて自由に
天下り
を受け入れ、そういう
意味
では、外観上、
天下り
のイニシアチブが官から民に移っているだけで
官民
の癒着がなくならないというふうに私は思うんですね。そういう
意味
で、
官民人材交流センター
への
一元化
というのは再
就職
の手続、その手段の透明化になる点では望ましいんだけれども、本当にその
官民
癒着の防止と直結するのかどうかということだと、直結するものではないというふうに思うわけです。 そういう
意味
では、先ほど
新藤
先生もおっしゃっていましたけれども、
センター
業務の透明性をどう図るかということが極めて大事でありますし、もう
一つ
は、
官民
交流
センター
が再
就職
を
あっせん
する際に
官民
癒着防止の審査を行うことが是非私は必要だと思っているんですけれども、
法案
には具体的にはそこが書いていないわけでありますから、そこをどうやってこれから担保を取ることが大事かというふうに私は思うんですが、そこの点について四
参考人
の
方々
に御
意見
をいただければ有り難いというふうに思います。
加藤丈夫
53
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 先ほど来
議論
がありますように、
国家公務員
が省庁別の
採用
になってきたわけですから、それぞれの
公務員
が
一つ
の
役所
とのかかわりが深くなっている、退職まで深くなっているというのはこれもう当然のことでございまして、再
就職
に当たってもそのことが前提になっているということは、これはもう現状ではしようがないことだと思いますけれども、そういう中で、先ほど来申していますように、
一つ
新しい
機関
をつくってこれまで勤めてきた省庁別の管理と切り離してやるというところに私はやはり意義があるんだろうというふうに思います。 それで、先ほどハローワークの話もありましたけれども、やはりその中で一番大事なのはここに設けられる
監視
機能の問題でして、この
監視体制
をどういうふうに充実していくのか、事後のチェック体制をこれからきちっとつくることが重要だというふうに思っています。
新藤宗幸
54
○
参考人
(
新藤宗幸
君) いわゆる、私には非常に想像し難い
世界
なんですけれども、
人材
センター
が非常に多くの
求人情報
を持っている、そこへ退職予定の
公務員
が行けばそこから選べるというふうに一般的にはイメージされるのかもしれませんが、しかし、例えば、固有名詞を挙げても構わないと思うんですけれども、公共事業
官庁
の局長あるいは技官のかなりの幹部が、じゃ、そこの
求人情報
を見に行ったときに銀行の何かの職があったと、それをアプライして取るでしょうか。結局、私は取らないと思うんですね。結局は、
天下り
問題のその最も基本は、別に若い方の問題じゃないんです。ある一
定年
齢以上の、要するに
早期退職勧奨
の
対象
になる、
キャリアシステム
上なる、そういう部分の話ですので、私はこの
センター
をつくっても、ほとんど
実態
的な変化はないだろうと。 にもかかわらずこれをやるならば、最低限、正に勤めた後の、再
就職
した後の
出身官庁
との関係に関する
規制
をきちんと強化する、そのためにも、先ほど申し上げたような
口利き
に対してきちんと公文書として残す、あるいはそれを公開する、そういう
制度
的な整備をやることであって、
監視
委員会
をつくればそれで済むということでは私はないと思っております。 以上です。
中野雅至
55
○
参考人
(
中野雅至
君) 今回の
法案
では、現職
職員
の求人活動の
規制
でありますとか、退職
職員
の働き掛けの
規制
など事後
規制
は
事前規制
にも増して非常に厳しいものが
導入
されておるということで、この事後
規制
がどこまでこの
規制
どおりに、この
現行法
どおりに動くのかどうかというのが
一つ
論点になるだろうと思います。 あとは、
人材
バンク経由の再
就職
の透明性みたいなものをやっぱりはっきりさせるということで、特に、
関連
の法人とか
関連
のあるいは会社とか、そういったところに何人ぐらい
就職
しているかとか、そういったものをよく世間に示して、
国土交通省
から全く違った独法とかあるいは全く違った
民間
会社に行っている人が増えれば、これは単なる
各省
の
予算
や
権限
に基づいた再
就職
ではないということがはっきりしますので、そういった透明性を確保しながら癒着を防止していくというのが一番妥当ではないかというふうに考えております。
丸山建藏
56
○
参考人
(
丸山
建藏
君) 単純に考えまして、受け入れる先が、
能力
のある、使いたいという人なら別ですけれども、そうでないとすれば、
権限
や何らかのメリットなしには私は受け入れないというのが
実態
だと思います。先輩の中に行かれた方も、いわゆる
天下り
された方は非常に苦悩されておることも私はかいま見ております。 そういうことを考えますと、
各省
の勧奨退職をやめるなら別ですけれども、やめてもこれは残ると、こういうふうに考えるなら、少なくとも早期勧奨退職をどのようにやっぱり是正していくのか、あるいは専門スタッフ職等についてどういうふうに、いわゆる年次別逆転
人事
を容認していくのかと、
キャリア
の人たちもそれをのみ込んでいけるのかと、そういう問題や、多様な就労形態を整理をして、年金支給開始まで大
丈夫
だと、生活はできるぞと、こういうものをつくってやるのか、そういう上でなおかつ再
就職
の適正化を図る
事前
事後の
規制
もあって、そういうふうに考えないと、ただ
一つ
だけ、再
就職規制
だけぱんとやればこの問題が解決するという、そういうふうにはならないのではないかと、このように考えております。
風間昶
57
○
風間
昶君 お話を伺っていますと、正にパッケージとしての
改革
、極めて大事でないかというふうに今、聞かしていただきまして思ったわけであります。今回のこの再
就職規制
、それから
能力
・
実績主義
に加えて、やっぱり
官民
交流
の部分、あるいは公募制、
定年
延長、
労働基本権
という、このつながっていくこととしてのやはり
制度
改革
基本法みたいなものが当然必要だなということを私も感じるわけであります。 そこで、
官民
交流
ということだけ取り上げてみますと、
官民
交流
の抜本的拡大というのはますます私は望まれているんじゃないかというふうに思うわけであります。しかし、今の、
天下り
が全部駄目、つまり官から民という人的流れはすべていけないという、そういうイメージは、今後の
交流
拡大を阻害することにならないのかという考え方も出るかと思うんですけど、この点について御
意見
いただければ有り難いと思いますけど。
加藤丈夫
58
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 冒頭の
意見陳述
でも申しましたように、
民間企業
にいる立場から見ますと、これからの事業展開に当たって、
国家公務員
として豊富な
経験
を積んだ人たちの活躍する場というのはますます多くなると思うんですね。 先ほど例に挙げました、
企業
としての
国際化
の
推進
ですとかCSRとかコーポレートガバナンスということについて、これはやはり
公務員
としての
経験
が役立つ。むしろ、こういう方たちをたくさん
企業
に受け入れやすくするということが全体の経済活性化にもプラスになるなと。いろいろな
規制
が、これが今問題になっていることとの
関連
ですけれども、
事前規制
を強める、それから実質的に再
就職
が難しくなるようなルール作りをするということは、かえってマイナスになってしまうんではないかなというふうに思います。
新藤宗幸
59
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 私も、いわゆる
天下り
と再
就職
というのは、やっぱり相対的に分けて考えるべきだと思うんですね。
国家公務員
というか、どこかの省の
職員
になった。それが、しかし、こういう省庁の
行政
の
世界
ではなくて、自分の元々の知識あるいはそこで培った
経験
というものも含めてほかへ出ていきたいと、それが
民間企業
であるかもしれないし、国際
機関
かもしれないし、あるいはNPO等かもしれませんが、これはこれとして、どんどん私は推奨したらいいのではないか。 問題は、
権限
を、この
権限
の中には
規制権限
もあれば補助や融資の
権限
等々非常にありますが、これを一種バックにして、そしてある特定のところへ再
就職
している。現にそれが
各省別
に
特殊法人
であり
公益法人
であり、さらにまたそのグループ傘下にある
民間企業
であったりしている、ここの問題だと思うんですね。これについて、要するに
権限
等を背景にした再
就職
についてどういう
規制
を加えるのか。 元々は、私は、
独立行政法人
や
公益法人
の整理をちゃんとせいと、あるいは許認可
権限
の整理をせいというふうに申し上げたいんですけれども、物すごく話があちこち行ってしまいますので、それはちょっとここでおいておいて、言わば、そういう傘下の、一種の、そこまで含めた一家的な部分へ再
就職
するということについては、事後
規制
なのではなくて
事前
に第三者
機関
が審査をしろと、そうでない限りなくならないというふうに申し上げたいと、そう思います。
中野雅至
60
○
参考人
(
中野雅至
君) 極端に
事前規制
を強めますと、
官民
交流
といいますか、ほとんど再
就職
もままならないという、六十から六十五までの年金が出るまでの間どうすればいいんだという、極端な話こういうふうになってくるんだと思います。
権限
に絡んだところには行けないというふうになりますと、例えば
日本
の
公務員
の場合ですと、何年の
公務員
白書か忘れましたが分析しておりますが、諸外国に比べて許認可
権限
を持っていて、プラス、アドホックにプロジェクトを担当し、プラス、政治の
世界
の補助機能も果たしている、これだけたくさんの機能を果たす幹部
公務員
って恐らく
日本
だけだと言われておりまして、そういうことを考えますと、
権限
の及ぶ範囲と広くとらえますと、ほとんどもうどこも駄目だということになってきまして、それが五年間というふうになりますと、ほとんど
人材
有効活用できない。 それどころか、今イギリスなんかで最近問題になっていますが、幹部
公務員
のオファーがほとんど埋まらないと。条件が悪いということですね。ニュージーランドも同じように
公務員制度改革
の後起こっておりますが、こういったことも起こりかねないと、そういうことも十分
視野
に入れながら
改革
を行う必要があるというふうに考えております。
丸山建藏
61
○
参考人
(
丸山
建藏
君) 現状の制限をしている中にあっても、やっぱりいろんな不祥事を起こしているわけです。それを
規制
なし、
センター
の方に持っていっちゃったら本当に大
丈夫
かよと、こういうところがやっぱり私は一番心配しているわけです。 問題は、やっぱり
キャリア
の人たちのありようの問題なんですけれども、それは主に政策の企画立案と執行に
責任
を持つ、そういう優秀な
人材
を育成していくわけですが、そういう
人材
をどのように確保していくのか、国として、政府としてどのように確保していくのかというところに私はこの問題が行き着いてしまう、そういうふうに思っておりまして、
官民
交流
は私はやらなきゃならぬと思いますけれども、そこはやっぱり国民の目から見ても公平、納得ができる、そういうものにしていただきたいと思っております。
風間昶
62
○
風間
昶君 ありがとうございます。
能力
・
実績主義
の部分で、
現行
の
人事院
による
事前承認制
を
廃止
するということがあるんですけれども、この
労働基本権
の制約の代償措置である
人事院
の
事前承認制
を
廃止
するということは本当にどうなのかなというふうに私は思うんですけれども、四
参考人
にこのことについて御
意見
をいただければ有り難いというふうに思います。
加藤丈夫
63
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 新
人事制度
については、まだそれほど具体的な内容が決まっていないように思いますので、今のところは
能力主義
、
実績主義
に基づく
人事制度
を実行するという段階だと思いますので、その範囲で私はこれを是非進めたい、それを進める中で
人事院
の役割も改めて決まってくるんではないかなというふうに思います。
一つ
申し上げたいのは、先ほど来、若手の優秀な学生が
公務員
になりたがらない、あるいは優秀な官僚の士気低下と退官が目立つと、その辺の、
一つ
ではありませんけれども、やはり今の若い人たちの価値観として、一生懸命やったことについて具体的に目に見える形で報われるルール、これは
官民
問わずに共通した感覚なんではないかと。今までの説明では、頑張れば次官の道も開けるよと、局長、審議官の道もあるんだということの説明がなされてきましたけれども、今の若い人たちに対する動機付けとして、そういうことでは納得できないのではないかと。 それは、単に任用面じゃなくて、
給与
その他の
処遇
面でも努力したところが報われるんだというところを、
公務員
という特殊性は
一つ
あるにしても、そういう考え方を取り入れた
人事制度
、
人事院
のこれからの
取組
もそのことを検討
課題
に入れていただきたいなというふうに思っています。
新藤宗幸
64
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 何分にも、今回の
法案
というのは政令事項にゆだねるという部分が多過ぎまして、一体どういう政令が、仮にこの
法案
が通ったとして、どういう政令が出るのかよく分からない、したがって全体像が描きづらいという部分がございます。 ただ、そういうことを含めて申し上げますと、少なくとも
日本
が科学的
人事
行政
ということを言い出したのは、要するに戦後
改革
によって、つまり
戦前期官吏制度
の下においては政治から完全に中立的な形でもって官吏
制度
はつくられてこなかった。それを、問題は、いかに
改革
するのかということが戦後
改革
の、
公務員制度改革
の
一つ
の重大な焦点であったわけでありまして、私は、先ほどもちょっと申し上げましたが、少なくとも
公務員
であることをほぼ唯一の職業とする職業
公務員
については、これは正に中央
人事
行政
機関
、政権から距離を置いた中央
人事
行政
機関
に多くの標準の設定等々をゆだねるべきであろうと。 しかし、他方において、
日本
の
公務員制度
に今正にこういう
時代
だからこそ欠けているのは、余りにも職業
公務員
が強過ぎると。副大臣
制度
は設けたものの、依然として事務次官会議が
日本
の意思決定に重大な影響力を持っている。この事務次官会議について言えば何の法的根拠も存在しないという、こういう
実態
があるわけでありまして、ある
一定
、私はいつも局長級以上と申し上げている、これ全部カウントしてもせいぜい百三十程度でしかないのですが、ここは政治的任命職にせいと。そういう幹部の部分について政権が指揮監督するのは当然だとしても、職業
公務員
のところにそれはあってはならないし、中央
人事
行政
機関
をきちんと
確立
して、そこで標準をきちんと決め、あるいは管理をしていくべきだと、私はそう思っております。
中野雅至
65
○
参考人
(
中野雅至
君)
人事院
の
事前
承認
から事後
行政
に移すということにつきましては、恐らく、
人事院
の第三者性というものと例えば
内閣
のグリップの強さ、こっちのどっちを取るかということだと思うんですけれども、現実に
人事院
の
承認
の中にも例外は非常に多いものですから、第三者性がどこまでこれ機能しているのかというのは非常に疑問なところがあります。代償性というのも恐らく第三者性ということだと思います。 今度、
内閣
府にいろんなものをつくるというのは、確かにいろんな問題をはらんでいるとは思います。これはどこの国の
改革
でも同じなんですけれども、やっぱり
内閣
のグリップを強めながら、職業
公務員
の自主性とかあるいは政治的中立性、これをどう担保していくかというこのマトリックスをかくのが非常に難しいと言われておりまして、諸外国どこでも苦悩しております。ですので、今後は恐らくここら辺は大きな
課題
になってきて、幹部
公務員
の独立性も含めまして、それから
内閣
の主導性ですね、その
二つ
の矛盾をどう埋めていくのかというのは大きな
議論
になるとは思います。
丸山建藏
66
○
参考人
(
丸山
建藏
君)
人事院
の
権限
を政府に持っていく、こういうことでございまして、いわゆる使用者自身が
人事
交流
、いわゆる
天下り
の問題を処理すると、こういうことになりますと、本来やっぱりその中にいる人たちがどういうふうに論議をして整理するかが重要だというふうに思います。 私は、
人事院
の代償措置、
労働基本権
制約のところで運動してきた
経験
からいたしまして、当局は使用者
責任
を果たそうとしない。また、そういうことがあるゆえに組合側も現状の既得権益擁護という主張になる。言葉は悪いですけれども、お互いに第三者
機関
におんぶにだっこしてしまう。そこのところが国民から見れば非常に奇異に映ると、こういうことだったんだろうと思うんです。 そういう視点からいたしますと、労使が本当に知恵を出し合って創意工夫して、相互に
責任
を持つ、そういう体制づくりが重要なのであって、今度の
人事院
の
権限
を政府に持っていくということであれば、政府自身が本当にどういうふうにするのか、あるいはそこを動かす
キャリア
の皆さん方が本当にこの再
就職
問題をどうするのかという声が聞こえてこない限り、私はなかなか思うようにはいかないのではないかというふうに思っております。
風間昶
67
○
風間
昶君 ありがとうございました。終わります。
亀井郁夫
68
○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございます。 四人の
参考人
の皆さん、御苦労さまでございます。いろいろと貴重な
意見
をありがとうございました。 これまでいろいろとお話が出ておりましたんですが、まず第一点、話に出ておりましたけれども、これについては基本法を来年作ると言っているんだけれども、政治に対して筋を通していくということが大事なんですから、政治に筋を通すという観点から考えた場合に、こういうふうに先にこの問題をやるんじゃなしに、もっと基本的な問題、基本法を作って、それからやった方が国民に理解しやすいんじゃないかと私は思うんですけれども、これについて四人の方に御
意見
を伺いたいと思います。
加藤丈夫
69
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 先ほど申し上げましたけれども、
公務員
の基本法の問題は非常に重要な
取組
だと思いますけれども、今の
能力主義
・
実績主義
人事制度
の
導入
と、それから
公務員
の再
就職
問題というのは、これを先行して解決する、これは正に国としての喫緊の
課題
だと先ほども申し上げましたけれども、そのことはこれから取り組む基本法と矛盾をしないし、その中の重要な一環を成すものだというふうに理解しております。
新藤宗幸
70
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 私は、理想的なことというか基本的には、先生がおっしゃるように基本法をきちんと、枠組み法を明確にして、そこの中で
キャリアシステム
であるとか
採用
の仕方であるとかということを含めて、出口の
規制
等も個別に、具体的にどうするのかということを公開の場でまず審議してやるべきだろうと、そう思っております。
中野雅至
71
○
参考人
(
中野雅至
君) 全体パッケージについて、まず四月二十四日の
閣議決定
の
公務員制度改革
についてという文書で大体示されておりますので、基本法という形にはなっておりませんが、全く見取図を示していないということではないとは思います。時間の制約の関係から、恐らく、プラグマティックに
一つ
最初処理してその後というふうに考えたのだと思います。 それから、なかなか基本法の方向が見えにくいというお話なんでございますが、
公務員制度
につきましては中央省庁再編時にもある程度書かれておりますし、それからこの間の官から民、それから中央から
地方
、それから
内閣
主導という流れが相当はっきりしていますので、恐らくその中でしか
改革
も行われないということですので、それほどその基本法の個別具体的な中身に入らなくても、ある程度その
閣議決定
文書で中身は分かるのではないかというふうには思います。
丸山建藏
72
○
参考人
(
丸山
建藏
君) 先生おっしゃるように、基本法が先で、その枠組みをつくって進めるというのが一番いいと私も思っております。 この問題は、経済財政諮問会議に渡辺大臣がポンチ絵で示された図がございまして、非常に分かりやすいことだと思っておりますが、あのことをもう少しやっぱり具体化して
体系
的に整備をすること、本来、この
法律
を通すに当たってそのことをやっぱりしっかりと国民に約束をすると、そういうことがなければ、部分的なものだけが先というのは私は腑に落ちないというふうに思っておりまして、とりわけ、それは
能力
・
実績
をやるとすれば労使関係
制度
を
見直し
ていただきたいということを主張しているところでございます。
亀井郁夫
73
○亀井郁夫君 ありがとうございました。 その次にお聞きしたいのは、
公務員
の試験の場合、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種という格好で
採用試験
をやっておるわけですね。今度の場合は、そういった
採用試験
の種類によって後は区別しないんだと書いてあるけれども、実際には、Ⅰ種の人は
キャリア
ですね、いわゆる
キャリア
についての扱いは変わらないだろうと思うし、これからも変わらないと思うし、おかしいと思うんですが。 本当は、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種なんて言わないで、せめて
民間
でやっているように学歴別の
採用試験
ぐらいでやって、後は局長になるところの
職員
を教育するためには課長クラスのときに試験して選んでいくという格好でやっていくという、そういうことをやればいいと思うんですけれども、なかなかそうはいかないと。その背景にはどうしても
キャリア
の人の
早期退職勧奨制度
があるというのが一番大きな問題で、この
制度
をやめてしまうと言えば一番いいことだと思うんですけれども、そこは何も書いていないんで、そのためにいろいろと
センター
つくったり
監視
委員会
つくったりということをつくっているんだけど、これはどうも首尾が一貫していないような気がしてしようがないんですけれども、この
キャリア
制度
について、やめることについてはどのようにお考えでしょうか。四人の方にお聞きしたいと思います。
加藤丈夫
74
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 今お話しのように、
キャリアシステム
の
見直し
についての検討は必要だと思いますが、今、私どもの間で
議論
をしていますのは、これからの国際間のいろいろな交渉、協議事項がますますシビアになってくる。
日本
が取り組まなきゃならない難題というのがこれからたくさん出てくる。そのとき、本当に国益を代表して外国の、あえて手ごわいといいましょうか、交渉相手と闘ってきちっと国益を守り切ってくれる人、これは政治家の皆さんでもありますし、特に優れた官僚に期待するところが非常に大きい。今、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種という
制度
を機械的に整理をして単に区別をなくすということでそのことが本当に守れるんだろうかと。 先ほど来、本当に優秀な人たちが
公務員
を志望して、そういう国益を代表するような
人材
に育っていってほしい、そのことは
一つ
踏み外せない大事な問題だというふうに思っています。
新藤宗幸
75
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 先ほどの冒頭でも申し上げましたが、
現行
の
試験区分
というのは
戦前期官吏制度
の高等文官、普通文官、さらにはその下の属だ、雇だと言っていた、この身分関係を実質上引き継いでいるというふうに思えるわけです。 私は、現代的な社会において、正に現実問題として、
昇進可能性
を
入口
でもう、あなたは事務次官になれるかもしれない、しかしあなたはせいぜい
地方
局の課長まで行けばいい方よという、こういうばかばかしい
制度
を初めから設定していたのでは、優秀な
人材
もあるいは国のために働こうという
人材
もますます出てこなくなるだろうというふうに思っております。ですから、
学歴区分
で試験をし、一
定年
限のところで
管理職
として登用する試験を行うと、こういうことが必要になってくるんだろうと。 それからもう
一つ
は、例えばイギリスでいえば、今のイギリス労働党というか与党が官僚機構の中に占めているポストというのは大体百五十ぐらいございます。ですから、議席三百としても半数以上がそれぞれの
官庁
の中に入っているわけですね。そういう場合に、エキスパートの補佐官といいますか
専門職
をそれぞれ雇っていけばいろんな問題が政治的な
責任
の所在を明確にして解決し得るわけですから、そうした方向に解決もするべきだと。 今申し上げたようなことも含めて、だからこそ、先生先ほどおっしゃいましたような、基本法が前置されて、そこから細かいことが考えられるべきで、あっちこっち何かばんそうこう張っているような
法律
の作り方というのは、私は妥当であるとは思っておりません。 以上です。
中野雅至
76
○
参考人
(
中野雅至
君)
早期退職勧奨
につきましては、
定年
延長とかスタッフ職
制度
の整備などによって将来的にはなくなっていくものだと思っています。ただ、短期的にはなかなかなくすことも難しいんだと思います。これ、全面的になくしますと、
組織
の新陳代謝を阻害して新規
採用
の抑制につながりますので、今すぐ
早期退職勧奨
をなくすのは無理だと思います。 これ、恐らく
公務員
の管理の枠組みの話になってきまして、
現行
は
組織
編成も含めて全部
国会
事項になっていて、例えばほかの国に比べて省庁再編もやりにくいですし、あるいは定員管理が掛かっておりますので、何人雇えというのは全部決まっておりますので、こういうきつい枠組みがありますと、早期退職をなくしてしまいますとどうしても新規抑制につながらざるを得ない。どうしてもこの
早期退職勧奨
をやめろという話であれば、管理の枠組みを変えざるを得ないと。 恐らく今考えられるのは、
人件費
とかその
役所
の運営費も含めて総額の経費で全部コントロールしてしまう、
国会
で例えば
厚生労働省
幾らというふうに管理して、その中で
組織
編成からそれから定員の数からすべて
各省
に任せる、
権限
移譲してしまう、こういった枠の中でやりますと
早期退職勧奨
というのもある程度はドラスチックに減ってくる
可能性
はあるというふうには思います。 以上でございます。
丸山建藏
77
○
参考人
(
丸山
建藏
君) Ⅰ種試験合格者は非常に優秀で私は頑張っていると、こういうふうに思っております。ただ、
入口
で、入ったときにⅠ種で入って、先ほども話が少しございましたが、新幹線に乗っていく人とⅢ種のように鈍行に乗っていく人と、最初からもう行く先は同じで、それがチームで
仕事
をしているゆえに非常に
キャリア
は大
丈夫
かよと、こういう話が出てくるというのは思っております。 そこには、年功的に上がっていく、卒年次ごとに扱われていくというルールになっておりまして、端的に言えば後輩には使われないと、こういうことを、いわゆる逆転
人事
をどうするかという問題に突き当たるわけだと思います。ピラミッド型を変えて円筒形のものにしていくということになれば、この場でも論議があったと思いますけれども、膨大もない
人件費
が掛かるじゃないかとか、いろんな弊害が出てくることは事実でして、そういう
意味
で、それを何でやるかといったら、
能力
・
実績
の
評価
で選別するんだと、こういうふうに言われているわけで、分かりやすいんですけれども、言葉では簡単ですが、これを本当に実行させるには相当の政府内における論議や苦悩がなければ私は実行し得ないんではないかなと、こう思っております。
亀井郁夫
78
○亀井郁夫君 今度は
実績主義
を
採用
するということが大きな柱になっているわけですけれども、
民間企業
だと、同じように同期で入っても、一人の人間が社長になってもほかの人間はそれまでに辞めていくということは全然やっていないんだし、そのような
実績主義
を基にしてやらなきゃ会社は発展しないということなんですから、考えてみたら一緒、同じことなんですね。 ところが、
役所
だけは、
キャリア
だけ、大学
時代
の成績が良かったというだけで、そのときの、二十二、三歳ぐらいのときの試験だけで、
各省
庁とも二十二ぐらいで採って、それを特別に育てていくという格好でやると。そのために早く、同期の下の人間を早く辞めさせにゃいかぬと、一人の人間を次官にするために。せいぜい二年ですよね、次官も。そうすると毎年出るわけじゃなくって、そうすると、早く辞めさせにゃいかぬという形で早期退職勧告やると。早期退職の勧奨やろうと思えば、権利が付いていろいろと悪いことにつながってくるということなんですから、そこさえ割り切ってしまえば、何もかも
民間
と同じようにそこだけやってくれれば簡単なことなんですね。やる気になりゃできるんです。
民間
だって、戦前は今の
役所
と同じようなやり方だったのが、戦後、私自身
民間
おりましたから知っていますけれども、三十数年前からもうずうっとそういうことを努力しながらやってきているということでありますから、同じ苦労をすればいいと思うんですね。 そういう
意味
で、
能力主義
について今のやり方では、本当に形だけ
能力主義
をやって
キャリア
だけは生かしていくというんじゃ何にもならないと思うんですけれども、この
実績主義
の
採用
についてどのようにお考えですか。
藤原正司
79
○
委員長
(
藤原正司
君) どの
参考人
にお尋ねですか。
亀井郁夫
80
○亀井郁夫君 四人に。
加藤丈夫
81
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 今御指摘のように、
能力主義
、
実績主義
というのが、
公務員
の場合、
民間企業
とは違った物差しで行われなければならないということは当然だと思いますし、そういう面での新しいルール作りが必要だと思いますが、非常に大切だと思っていますのは、私は、例えば若手の
公務員
、これはⅠ種でもⅡ種でもいいんですが、自分がどうやって、どういうふうに頑張ればどんな道筋で
昇進
していくのかということが実は本人にも分からないのではないか。これからの
能力主義
、
実績主義
というのは、そういう道筋、こういうふうにやればこういうふうになるんだという、少なくとも道筋が示されるような
能力主義
、
実績主義
であるべきではないかと。そのことが、先ほど来問題になっているモラルの問題、全体としての
公務員制度
の活性化につながるんではないかと、そういうふうに思っております。
新藤宗幸
82
○
参考人
(
新藤宗幸
君)
公務員
の
世界
であろうが、
民間
であろうが、私ども大学の教員の
世界
であろうが、
能力主義
を前提にして組み立てていくというのは当然の話だと、そう思います。 ただ、問題は、我々の
世界
ですらある昇格
人事
をするときに本当にその論文がそれに値するかどうかというのはなかなか
評価
するのは難しいのですが、まして
公務員
の
世界
における
評価基準
というものをどう設定するのか、その
評価基準
の設定に少なくとも客観性をどう持たせるのかということを考えるべきではないかというふうに思っております。 それから、
入口
の話を再度申し上げれば、今のⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種と、あれは別に
能力主義
じゃないですね。教えている側から見ると、もう本当にかつてのような
意味
での話で、意欲とかそういうことではない。だから、それをもっと取り入れた
採用
、そういう
意味
の、
能力
という言葉は適切かどうか分かりませんが、そういう
試験制度
に切り替えるべきだと、そう思っています。
中野雅至
83
○
参考人
(
中野雅至
君) まず、一点目でございますが、せっかく
制度
を入れたわけでございますから
制度
どおり運用する、これが一番大切だと思います。
公務員制度
の場合、えてして運用ベースですべて変わってしまうということが非常に多いものですから、そこはしっかり運用させるべきだというふうに思います。 それから、
二つ目
でございますが、OECDの
調査
などでも、
公務員
の場合、
成果主義
を入れましても、余り厳格な
成果主義
を入れても機能しないと。大体真ん中にいる九割ぐらいは、試験任用で入ってきている、それほど差はないと、
能力
に。ですので、差を付けるべきことがあるとすると、上五%と下五%を厳格に
評価
する。これが一番重要だということで、上五と下五というのを余り定量的指標にこだわらず、定性的にちゃんと
議論
して選別すべきだというふうに思います。 それから三点目でございますが、やっぱり
成果主義
を入れる場合には、一番最初は幹部
公務員
に入れるべきだと。人的資源と
予算
権限
を持っている局長級クラスから
成果主義
をちゃんと入れていかないと、末端の
公務員
というのはなかなか、
成果主義
と言われましても、何をもってして
成果
と言うのか、何をもってして
能力
と言うのかと。これ恐らく
能力
評価
というのはなかなかできないと思いますので、まず分かりやすい幹部
公務員
からしっかりやっていく、これが一番重要だと思います。 以上でございます。
丸山建藏
84
○
参考人
(
丸山
建藏
君)
能力
・
実績主義
は必要だというふうに思います。そのためにはやっぱり条件整備が必要だというふうに私は主張しております。 なぜ
現行
制度
の下でも、いわゆるメリット
システム
でも機能しなかったのかと、こう考えますと、
一つ
は、
給与
の流れで言えば、
職務
職階と任用のところの基準が明確にならないまま進んできた。そういう
意味
で、
給与
・
人事
システム
を明確につくり直さなければならないというのが
一つ
。 それからもう
一つ
は、勤務評定があったわけですけれども、これが機能しなかった
要因
はいろいろありますけれども、そういう、恣意的であったり、あるいは
評価
をどういうふうに使うかというのも定かでなかったり、いろんな問題があった中での
評価
システム
ですから、新しい
時代
に見合う
評価
システム
を
二つ目
につくらなければならない。 そういう上に立って、それを動かすのは人でございますので、
評価
される者とする者との関係、端的に言えば労使関係を改めて
改革
していくという、少なくともこの三つが
能力
・
実績
を入れる条件整備として最低必要だというふうに思っております。
亀井郁夫
85
○亀井郁夫君 ありがとうございました。
民間
の場合はやはり苦労しながらいろいろやってきているわけですね。だから、
役所
だけできないことはないんだから、これを
参考
にしてやっていくべきだと私は思いますけれども、今度
人事院
から外して
内閣
府に
官民
交流
センター
をつくり、更には
監視
委員会
をつくるというような格好で新しくつくるわけですね。 今ある
人事院
でも、既に経団連を通じて
採用
、募集があれば
あっせん
するという格好で今六十人ぐらいは行っていますけれども、総理府のやつは一人だったですけれども、わずかなことでございますけれども、しかし、そういう
機関
があるんですから、なぜ
人事院
ではまずいのかということをもう一回考えてやるべきであって、むしろ新しく
内閣
府につくって官僚の
組織
を増やすよりは、さっきハローワークの話が出ましたけれども、別に役人だからって特別な扱いはせぬでもいいんじゃないかと思いますけれども、せめて
人事院
ぐらいでいいんじゃないかと思うんですけれども、別につくることについてはどうお考えですか。四人の方にお尋ねしたいと思います。
加藤丈夫
86
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 先ほども申しましたように、許認可
権限
を持った
各省
庁とのかかわりをいったん切った
人材
あっせん
という場が大切だと思いますし、そのためには、これは
人事院
が機能しなかったと言うつもりはありませんけれども、従来よりも
権限
を強く持った
組織
ということが恐らく求められてこういう
組織
の案になったんだろうというふうに思います。 ですから、今社会的に問題になっているいろんな不祥事その他をきちっと断ち切るという面で、
あっせん
の機能についても
監視
機能についても従来以上の
権限
を持てる機能ということで、今回の案については私はいいんではないかなというふうに思っています。
新藤宗幸
87
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 従来の
人事院
の
事前規制
というのは、長いこといわゆる
営利企業
に再
就職
する場合の
事前
審査、
承認
であって、
特殊法人
、
独立行政法人
等への
役員
として再
就職
することは野方図で行われてきたわけですね。ですから、千人近く毎年退職するとして、
人事院
審査に掛けられているのがその一割いるかいないかという
実態
が続いてきた。 今度これを、すべて
人材
センター
に
一元化
しようと。発想はそれはそれなりに全く理解できないことはないのですが、何度か繰り返し申し上げましたけれども、一体、その
求人情報
はその
センター
はどうやって集めるのかということですよね。直接の
あっせん
がどうも世上の批判を浴びている、それをやればやるほどスキャンダルを生み出しがちである、だったらもう
一つ
何か首相の下に
機関
つくればいいんではないかと、そうしたらその批判も和らぐだろうかという、そういう私は印象を受けてしようがないんです。ですから、現に
営利企業
への再
就職
の審査を
人事院
はやってきたわけですから、これを拡大しろというふうに申し上げたい。 それから、別にこれは再
就職
を制限する話では決してなくて、私は、六十五歳まで、まあまた六十五まで延長したらまた年金が今度七十だという話になっても困るんですけれども、六十五まで
定年
延長していいと思っていますよ。ただし、そのときは、
公務員
の
世界
だけやらないで
民間
にもきちんとそのことを守らせるという、そういうことと一緒にやらないとまた
官民
格差という批判になりますけれども、それでいいと思うんです。 そして、何でもかんでも官の縮小だとか政府の領域の縮小だ、小さい政府がいいかのように言うけれども、決してそんなことはない。少なくとも、人の命に敏感にかかわる部分についてちゃんとやりなさいと。そういうことの守備範囲論との兼ね合いで、別に何でもかんでも小さくすればいいというわけではありませんから、極端なことを言えば六十五歳までの
定年
延長を認めてもいいと思っています。 以上です。
中野雅至
88
○
参考人
(
中野雅至
君) 今回の再
就職
につきましては、
人事院
から移したというよりも基本的には
各省
から
内閣
府に持っていったというふうなことですので、これは大きな
改革
だと私は思います。今までほとんど
各省
の
予算
と
権限
を盾に再
就職
してきたものですから、これを
人事院
でも若しくは
内閣
府でも違うところに移したというのはそれなりの大きな意義があります。 分かりにくいのは、とにかく
官民人材交流センター
の詳細設計ができていないということ、それから、実際にまだ結果が出ていないので今の時点では何とも申し上げようがないのですが、基本的には透明な
制度設計
にして、それで結果が出たときに、
役所
と全く
関連
のない、
関連
省庁とは全く
関連
ないようなところに行って活躍する人も出てくれば、これは何年後かに画期的な
改革
であったというふうに見直されることもあるというふうに考えております。
丸山建藏
89
○
参考人
(
丸山
建藏
君) 政府に
権限
を移す、こういうことになるわけですから、先ほども申し上げましたように、政府自身が本当にいわゆる
利益誘導
型にならないかということを考えるときに、
各省
が本当にそれを受けてやれるかというところが私は最大の問題だと、こういうふうに思っております。
亀井郁夫
90
○亀井郁夫君 最後になりましたけれども、あと四分ばかり時間がありますから四人の方にまたお尋ねしたいんですが、こういう
法案
が提案されていますけれども、これについては賛否両論いろいろあるようでございますけれども、それぞれの立場から、これはこの
法案
についてどういう点を希望するというような点があれば、希望する点ないのか、何か希望する点があれば、こういう点について考えてほしいということを言っていただけませんでしょうか。四人の方にお願いします。
加藤丈夫
91
○
参考人
(
加藤丈夫
君) 実行に当たってこういうことを考えていただきたいということは一杯あるんですけれども、私は、先ほども申しましたように、
公務員制度
の
改革
大綱以来いろいろなところでの提案がなされ、提唱がなされてきて、どうも言われている割に実行が伴わないで随分来てしまった。今回のことについては是非先送りせずに、ひとつ
改革
の第一歩として実行に着手していただきたいというふうに思っています。
新藤宗幸
92
○
参考人
(
新藤宗幸
君) 先ほども冒頭で申し上げましたが、今回の
法案
から、いわゆる
現行公務員法
の二十九条並びに
国家公務員
の
職階制
に関する
法律
が削除ないし
廃止
ということがいつの間に、どれほどの深みを持った
議論
の下にこれが
法案
に書かれたのかよく分かりませんが、これは逆に削除するべきであると、そういうふうに思っております。 それから、
官民
交流
センター
につきましては、もはや繰り返し申し上げませんけれども、そうではない、私は
実効性
に甚だ疑問を持っておりますので、むしろ今の
人事院
の
事前
審査を強化するという形で社会のいろんな不信の目をぬぐうべきではないか、そういうふうに思っております。
中野雅至
93
○
参考人
(
中野雅至
君) 今回の
改正
案の中では、
能力
等級とか、それから
各省
管理から
内閣
管理の
一元化
など、これまでなかなかできなかったことが入っているものですから、早期に成立させて、とにかく次の包括的な
法案
に早く
議論
を移してほしいというのが一点でございます。恐らくその包括的な
法案
の方が、労働三権の問題と
人事院
の
在り方
ですとか、あるいは
内閣
主導と
公務員
の中立性の問題でありますとか、なかなか専門的で難しい話が一杯あるものですから、そういったところに一刻も早く軸足を移して、基本的なグランドデザインを描いてほしいというふうに考えております。 以上でございます。
丸山建藏
94
○
参考人
(
丸山
建藏
君)
公務員
バッシングが厳しい中で、
公務員
が働きがいのある
仕事
と職場、そういうものになるように、この
改革
を皮切りに構造的、抜本的な
改革
につなげていただきたいと。
二つ目
は、
公務員
労働法制を、
国際化
時代
でございますので、ILO勧告がございますし、国際基準、ILO基準に沿って整備をしていただきたいと。この
二つ
だけを要請しておきたいと思います。
亀井郁夫
95
○亀井郁夫君 以上で終わります。ありがとうございました。
藤原正司
96
○
委員長
(
藤原正司
君) 以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。
参考人
の
方々
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、貴重な御
意見
をお述べいただきまして誠にありがとうございました。当
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十七分散会