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2007-06-14 第166回国会 参議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年六月十四日(木曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  六月十二日     辞任         補欠選任         小林  元君     神本美恵子君  六月十三日     辞任         補欠選任         末松 信介君     山下 英利君      黒岩 宇洋君     加藤 敏幸君  六月十四日     辞任         補欠選任         山下 英利君     末松 信介君      郡司  彰君     主濱  了君      松井 孝治君     松下 新平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 正司君     理 事                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 朝日 俊弘君                 工藤堅太郎君     委 員                 小池 正勝君                 佐藤 泰三君                 末松 信介君                 田村耕太郎君                 竹山  裕君                 林  芳正君                 山谷えり子君                 加藤 敏幸君                 木俣 佳丈君                 主濱  了君                 松下 新平君                 風間  昶君                 白浜 一良君                 亀井 郁夫君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 塩崎 恭久君        国務大臣     渡辺 喜美君    副大臣        内閣府副大臣   林  芳正君        総務大臣    大野 松茂君    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局次長  株丹 達也君        人事院事務総局        総括審議官    川村 卓雄君        人事院事務総局        職員福祉局長   吉田 耕三君        人事院事務総局        人材局長     鈴木 明裕君        人事院事務総局        給与局長     出合  均君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省自治行政        局公務員部長   上田 紘士君        外務大臣官房審        議官       深田 博史君        社会保険庁総務        部長       清水美智夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国家公務員法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 藤原正司

    委員長藤原正司君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二日、小林元君が委員辞任され、その補欠として神本美恵子君が選任されました。  また、昨十三日、黒岩宇洋君委員辞任され、その補欠として加藤敏幸君が選任されました。  また、本日、松井孝治君及び郡司彰君が委員辞任され、その補欠として松下新平君及び主濱了君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官行政改革推進本部事務局次長株丹達也君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 秋元司

    秋元司君 自由民主党秋元司でございます。  またまた質問の機会をいただきました。ありがとうございます。今日も一時間の時間をいただきましたもので、どうぞ大臣、よろしくお願いしたいと思います。  前回委員会でも申し上げさせていただきましたが、代表質問もさせていただき、そしてまた、前回一時間、それなりのこの今回の改正案ポイントである能力実績主義又は天下り規制をしっかり含んだ、そしてその後の対策として官民人材交流センター、この件、この二点について、概論的な話とそしてまた方向性、そしてその後どうやって運用をされるのか、もろもろについて質問をさせていただいた次第でありますけれども、今日はちょっと違った観点から何点か質問をさせていただきたい、そのように思うわけであります。  再三再四、こういった公務員改革、そしてまた能力実績主義、これを設ける過程には、公務とは何なのか、そしてまた突き詰めれば公務員が本来行うべき仕事又は心の持ち方は何であるのか、そういったことが非常に基本となってくるんじゃないかと思うわけであります。  従来、公務員といいますとどうしても民間とは違う。といいますのは、なかなか仕事ぶりというのが数字で出てこない、そういったことの中で能力実績主義がなじまない、それがずっとこれまでの慣行でした。しかし、これからはこの公務員世界にも能力実績主義を導入して公務員一人一人の皆さん生産性を向上させていこう、これが基本的な大きな目標であると思っております。  しかし、私、冷静に考えてみますと、公務員仕事というのは当然そういった能力実績主義ということで一つ物差しで測れる仕事もあれば、やっぱりある意味なかなか測りづらいなという分野もあるのかなということを強く感じている次第でありまして、じゃ公務員皆さんというのはどういう姿が望ましいのかということを考えますと、当然、大臣が再々いろんなところでおっしゃるように、三十代で、四十代で場合によっては局長になるかもしれないよと、それは大変非常にすばらしいことであって夢があることであると思いますが、しかしそれがすべての目標となりますと、三十代、四十代で局長、今の人事慣行の中で、今回この法が改正されたとしても、そういったスピード出世を上げるということは当然いろんな巡り合わせ、仕事の運もありましょうし、場合によっては私は、ちょっとそれが役所の中での一つ目標みたいな雰囲気になると、ある意味パフォーマンス主義になってしまいがちであるんじゃないのかなということも懸念をされるわけであります。  本来、公務員皆さんというのは、やっぱりこつこつとまじめに、まあ言葉は悪いですけど地味に一つ仕事をやっていくという作業もあるわけでありまして、本来公務というのはそういった色彩が強いのかなと。そして、今現在、政府又は国民に余り受けないことでも地道に研究を重ね、そして行政マンとしてしっかりとその役割を担っていく、これも私は大事な公務の姿ではないかなと改めて感じる次第でありますけれども。  そういった意味合いから見まして、改めて大臣にお伺いしたいわけでありますが、この公務員における公務とはどういったものだとお感じになられますか。改めてお伺いさせていただきたいと思います。
  7. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 秋元委員指摘のように、公務世界というのは大方は地味でこつこつやらなければいけない、そういう世界なんだろうと私も思います。我々選挙選抜公務員は目立って何ぼの世界がないとは言えませんけれども、やはり試験選抜公務員世界は、それなりに長い時間を掛け、地道に仕事を行っていくのがごく普通のやり方なんだろうと思います。  一方、今までのやり方で、ではこれから先やっていけるのかという問題も併せて考える必要があるんだろうと思います。かつて、日本世界の中で右肩上がりで、年功を積めばそれがイコール能力と実力になってきたという幸せな時代もかつてはあったと思います。残念ながらそういう世界がかなり以前に終わってしまったのも現実であります。  一九九〇年代半ばに世界経済が一体化をいたしました。大変な勢いで世界構造変化が起こってきております。  そういう中で、我々は平成大改革と称して、まず政治改革を行いました。選挙制度から始まって、政党中心主義改革を行ったわけでございます。様々な構造改革の中で行政改革も行ってまいりました。省庁再編も行いました。そして、公務員制度改革に切り込んだわけでございます。小泉内閣のときに二回ほど公務員改革のもくろみがございましたが、残念ながら閣議決定にすら至らずにとんざをしてしまったわけでございます。  我々、この平成大改革を振り返ってみるときに、相当すごいこともやってきたなと思います。例えてみれば、大変なモデルチェンジを行ってきたなという思いもございます。車に例えてみれば、ボディーモデルチェンジは相当すごいことが行われたんだろうと思います。でも、ボンネットを開けてエンジンを見てみますと、これって昔のエンジンそのものじゃないのかというところがまだあるんだろうと思います。せっかく新車になったのにエンジンが昔のままでは、これはその時代に合った走り方ができないんじゃないのかと、そういう思いもあるのではないでしょうか。まさしく今回の公務員制度改革というのはそういったエンジンの部分を変えていく、新しい時代に即した新しいエンジンを積み替えるという作業ではないでしょうか。  世の中には建前本音というのがございます。建前だけではなかなかうまくいかないのも世の中の常であります。本音ルール、言ってみれば実態的なルールが伴って建前ルールというのはうまくいく性質のものかもしれません。そういうことを考えると、やはり公務世界において建前ルールではない本音ルールというのがあったんだと思うんですね。それがどうもちょっと今の時代に合わなくなってきているんじゃないんですかという思いが私にはございます。  例えば、本音ルールとして行われてきたのは法律には書いていないシステムでございます。年功序列主義というのがその一つなんですね。法律のどこにも年功序列人事をやりなさいとは書いてありません。Ⅰ種、Ⅱ種の試験区分に応じてその昇進を決めなさいということも法律には書いてないんですね。しかし、そういった本音ルールというのがまさしく厳然たる慣行として行われてまいりました。天下りあっせんをやるというのは法律のどこにも書いてございません。ましてや、二回目、三回目のわたりあっせんをやるというルール法律のどこにも書いてないんですね。  ですから、そういったことはもう正に本音ルールとして行われてきた、言ってみればこの世界はサンクチュアリの世界だったんですね。しかし、その世界が余りにも弊害をもたらし、国民の不信を買ってしまっているということも厳然たる事実なのであって、我々はやはりそこにメスを入れ、活を入れなければならないんではないかということに至ったわけでございます。  したがって、そういう観点から、我々は本音ルールも変えていこうということで、今回、能力実績主義天下り規制の二本立てで改正案を提示をしたところでございます。
  8. 秋元司

    秋元司君 ありがとうございました。  確かに、大臣が今おっしゃられるように、ボディーは変わっても中身は、エンジンは変わらない、だからエンジンを変えよう。確かに、日本の今までの公務員制度の流れを見ますと、正にエンジンがそろそろ変わってこなければ、これから幾らボディーを変えたって付いていけないよ。ひいては、日本一国のことだけを考えてもそうかもしれませんが、実は公務員世界というのは、何といいますかね、各国際会議等に各大臣はそれぞれ出席をするわけでありますけれども、大臣はそれぞれの日本国内での積み上げの議論の中でその代弁者として発言をし、そして世界とのいわゆる競争の中に飛び込むわけでありますが、当然その行政スタッフ、これは大臣の右腕でありまして、そのスタッフがどうやって情報を収集し、又は事前協議をしてくるか、いわゆるスタッフ皆さんというのはある意味世界行政マンとの競争ということにも私はつながっていく、それも私は大事な公務一つでもあると思います。  ですからこそ、正にこのエンジンを変えて、それぞれ公務員皆さんモチベーションを上げていく、私は大事なことであると改めて感じさせていただきます。  ただ一方で、この国というのはやっぱり行き過ぎというものは必ずまた戻らなくちゃいけないということもあって、これまで余りにもエンジンを変えなさ過ぎたから今回エンジンを変えていくわけでありますけれども、しかし変えた後は行き過ぎたらまた戻らなくちゃいけない。こういったバランスの中で常に右に振れたり左に振れたり、そういった中で制度というものは考えていかなくちゃいけないでしょう。  そういった観点からしますと、能力実績主義、私は、今回これは何としても法案として通し、そして公務員皆さんに対してある意味意識改革をしてもらわなくちゃいけない。これは私、必要なものであると思いますが、どこかでまた何年か先行きますと、公務員世界が余りにも競争社会になっちゃって、先ほど言ったような地道にこつこつとということが忘れ去られてしまうような制度だったら、またそのときに考えていかなくちゃいけないなと思いますから、是非、今回はこれを当然法案として我々も努力をして審議をしながら成立という思いでありますけれども、将来的にはまた行き過ぎたところは直す、それは当然のことだと思いますので、そのときは渡辺大臣はもっと違う大臣になっているかもしれませんが、常に御自分がかかわった担当の仕事というのは忘れずに頑張っていただきたいなと思うところであります。  続きまして、ちょっとまた今日は社会保険庁にお越しをいただいたわけでありますけれども、前回といいますか、火曜日ですか、質問のときに、社会保険庁は実は今回この法律の前に様々な改革ということをしてもらって、既にこの能力実績主義というのを導入してもらう形で今日の社会保険庁があるというふうに理解をさせていただいていますし、前回の御答弁でもそうでした。  そして、その結果どういうことが生まれたのかという質問に対しましては、前回お越しいただいたのは課長さんだったわけでありますけれども、大分上司現場職員とのコミュニケーションが増えてきて、現場職員もだんだんモチベーションが上がってきて職場関係が良くなったという御説明があったわけであります。  それはそれとして、良くなってきたと感じることについては全く私は否定をさせていただくつもりはないわけでありますけれども、しかし、今現在、厚労委員会で連日年金問題で議論がされておりますけれども、結果的には、それが導入したのは昨年で、大分良くなってきたんだけれども、しかし余りにも過去のいろんな問題があり過ぎて、今回そういったことがとてもじゃないけど追い付く前にこういうふうになってしまったということも理解をするわけでありますが、今日ちょっと改めてお伺いしたいのは、この能力実績主義、具体的に、もうこれは一つの例を挙げていただいても結構でありますけれども、どういう形でこの能力実績主義というのを導入されてきたのか、この辺をちょっとお答えいただきたいと思います。
  9. 清水美智夫

    政府参考人清水美智夫君) お答え申し上げます。  社会保険庁におきましては、十七年の十月からこの人事評価制度を試行しておるわけでございますが、その中で評価が二つございます。一つ実績評価と、もう一つ能力評価ということでございます。  今のお尋ねは実績評価がどのようなものかということでございますけれども、私ども、社会保険、すなわち年金医療保険の事業をやってございまして、比較的数字に表れやすいものがございます。例えば国民年金保険料収納率でございますとか、それからお客様から提出いただいた諸書類、申請などを二週間以内に処理することができたかどうか等々、数字化しやすいものがございますので、そのような数字化しやすいものを中心実績評価を行うということでございます。  この評価は年に二回、半期ごとに行っておるわけでございますが、より具体的に申し上げますと、例えば社会保険事務所長という管理職評価項目でいいますれば、国民年金保険料納付率の対前年の改善率に着目した国民年金保険料収納率という項目、あるいはお客様満足度アンケートということで、事務所に来訪いただきますお客様アンケートをしていただいてございまして、相談等が良かったかといったものにお答えいただいているわけでございますけれども、その結果に着目したお客様満足度といった項目、あるいは、これは必ずしも明確な数値化は難しいわけでございますけれども、組織の取りまとめに着目したリーダーシップの発揮といったような、これらの項目につきまして五段階で評価し、それをすべて足し上げて合計点数を出し、それを各職員の中で相対評価、Sは五%、Aは二五%、Bは五〇%、C又はDは二〇%ということで各職員評価していくと、このような形で運用しているところでございます。
  10. 秋元司

    秋元司君 実績主義ということでございますが、今みたいな細かく詳細に目標設定を定めてもらって、それなり業務に携わってもらったということなんでしょうけれども。  もう今の話を聞いちゃいますと、ちょっと聞きたくなっちゃうのは、そのお客様アンケートですね、良かったか悪かったか、満足度、その数値なんかを、どういう評価が上がっているのかって聞いてみたいんですけれども、お答えできますか。数値については事前にお知らせしていないけれども。
  11. 清水美智夫

    政府参考人清水美智夫君) 大変恐縮でございます。お客様満足度アンケート調査結果自体につきまして、本日手元に持ってきておりません。大変恐縮でございます。  しかしながら、傾向につきまして申し上げますならば、お客様満足度アンケートは年に二回やってございますけれども、その夏と冬、各々時期が違いますのでベースが違ってくるわけでございますが、一年前の冬のものと今年の冬のもの、一年前の夏のものと今年の夏のものといった形で比較いたしますと、プラスの方になっているというのが現状でございます。  ただ、現時点におきましては、年金記録問題で大変お客様をお待たせしたりということがございますので、現時点お客様満足度はややいかがかというふうには思ってございます。
  12. 秋元司

    秋元司君 まあ満足度は低いでしょうね、正直言ってね。しようがないね、これはもう。  ただ、今冒頭に言われた収納率、これについても再三問題になっておりましたけれども、ちょっと分母を減らしちゃったとかいう問題もあって、いささか我々も憤りを覚えたわけでありますけれども、要は何を言いたいかというと、能力実績主義実績主義、これは大事なこと、仕事の中に目標というものを持つことは私は大事なことだと思っていますけれども、しかしその目標の立て方ってね、これが一つポイントになると思うんですよ。低い目標を立てれば、それを達成して良かったねって当たり前なんですよね、まあ達成したから良かったんでしょうけれども。低い目標だったら当然それはクリアできるわけであって、それを、高い低い、どこで物差しを測るのかというのは一概に言えないところはあると思いますけれども、ある程度ここがポイントであって、民間であるならば、どこに目標を立てるのか、それに基づいてどういうプロセス仕事をしていくのか、そういったところを重点的に考えていかないと、今日、残念ながら社会保険庁の今指摘されているような問題にぶち当たってしまうということにも私は通じると思いますので、今後とも、これは社会保険庁だけの問題じゃなくて、この実績主義ということが全役所の中で今後行われるとすれば、それぞれの役所が中でつくった実績目標というのは、それはやっぱり中の人間がつくれば多少甘くなってしまうということがあるから、場合によっては外部が、又は国会というものがそれなりに、この仕事であるならばこういうプロセスなのかなということをやっぱりチェックをしていきながら、それぞれ目標を立ててもらって頑張っていく、それも今後とも運用面では必要なことじゃないかなと思いますので、これは別に答弁は要りませんけれども、大臣、また副大臣に申させていただきたい、そのように思うところであります。  いずれにしましても、社会保険庁、これから先、委員会でもいろんなことが明らかになっていくでしょうけれども、やっぱり非公務員化になった後でも、職員皆さんは何人かは当然残って引き続き従来の業務に携わってもらわなくちゃいけない方も多分にいらっしゃると思いますので、より一層切磋琢磨していただいて、国民皆さんにしっかりと責任が果たせるように頑張っていただきたいと思います。  厚労委員会でも大変でしょうから、どうぞこれで結構でございますので、厚労委員会へお戻りください。
  13. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 退席していただいて結構です。
  14. 秋元司

    秋元司君 じゃ、テーマを移らせていただきます。  続きまして、天下り規制について一点お伺いをさせていただきたいと思います。  今まではいわゆる事前規制、二年間は自分所管をしていた民間企業には働けない、国土交通省の方であればゼネコンには、またゼネコンに限らず、いわゆる公益法人若しくは社団法人だとか財団法人、そういったところには、役所補助金を出しているところには行けないということでした。  今回、参議院の方では民主党さんからは法案提出をされておりませんけれども、衆議院のときには対案が出された中に、民主党さんでは五年間禁止をしていこうじゃないかという案もあったようでありますが、いずれにしましても、事前規制というのは、数年間自分が携わった所管する民間企業に行けないという法律でした。  しかし、今回は行為規制ということで事後チェック、それぞれの所管をしていた仕事に就くのはいいけれども、しかし自分が今まで畑として頑張っていたことを背景に現役の後輩に対して働き掛けをすることはいかぬというのが今回のこの行為規制だということと理解しておりますが、私は、現在、今は二年間事前規制ということで禁止になっておりますけれども、実態を見てみますと、結果的には、本当はAという会社に天下りをしたいわけでありますけれども、二年間の縛りがあるから取りあえず仮でいて、二年後には予定されたところにすぱっと入るという、まあ当初の思いとは全然違うようになっているというのが私は実際問題あると思うんですね。だから、そんな無駄なことをするのであれば、この私は行為規制、これによって、実際は仕事に行くわけであるけれども、実際この官と民の癒着、そういったものを断ち切るための行為規制に変えていくというのは、これは私は非常に現実味がある話だと思うわけでありますけれども、改めてお伺いしたいんです。  この行為規制の概念、また行為規制というのはどういったものなのか。実務的な話なもので林副大臣でもよろしいんでしょうけれども、大臣がうなずいていらっしゃるので、大臣、じゃよろしくお願いします。
  15. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 秋元委員指摘のように、国会審議でも度々出てきた言葉迂回天下りというのがございました。最初の天下りが、いきなり営利企業に行かずに非営利法人にいったん行くわけですね。で、いわゆるクーリングオフ期間、喪が明けるなどと言うそうでございますが、こういう期間の後で営利企業に天下ると、こういう実態が厳然としてあるわけでございます。こうしたことを考えると、このクーリングオフ期間というのが果たして実効的な官民癒着防止の、抑止効果があるんだろうかという問題認識を我々は持ってきたわけでございます。そこで、より現実に即した、なおかつ抑止的効果のある行為規制はどういうものがあるだろうか、そう考えて今回の改正案の中でその官民癒着の防止措置を講じたところでございます。  まず、各省のあっせんを全面禁止をします。また、その後の当該職員の再就職先との直取引も各省においては禁止されるわけでございます。一方、当該職員が利害関係先に対して行う求職活動も禁止をいたします。そして、OBになった職員が出身省庁の現職に対して行う働き掛け規制、口利き規制についても厳格な措置を講じております。また、OB職員から働き掛けを受けた職員に対して、これは再就職の働き掛けでございますが、監察官への届出義務も課していると、こういうかなり今の規制よりは厳格な行為規制を掛けているわけであります。  こうした事前から事後にわたる一連の行為規制に対する違反行為に対しては、罰則も掛かります。また、外部監視機関によるチェック体制も構築されます。こうしたことを考えれば、今のいわゆるクーリングオフ規制よりも、より効果的な癒着防止が講じられるものと考えております。
  16. 秋元司

    秋元司君 非常に細かくお答えいただきました。いや本当にこれが実施されれば、かなり本当官民の癒着というものはなくなっていくような気がします。しかし、ある意味非常に厳しいなということもあって、これが本当に実施されると、親子の関係であっても余り外では話しするのも危険なのかなと思われるぐらいの厳しい法律だなと、そういうふうに理解をさしていただきます。  ただ、実際問題、こういう法律を作りましても、悪いことするやつはやっぱり悪いことするやつがいるんですよね。ですからこそ、本当の深い人間関係がありますと、まあどういう形でもやってくるというのが実際の話であると思いますけど、ただ、こういう全体として雰囲気づくりとしてやっちゃいかぬということを網を掛けていく。その中で悪いことをした人は、これはもう刑法で罰する話でございますから、その一人か二人やってしまう人のためにぐんぐんまた縛っていくというのはこれまた考えものでありますので、私はこれは非常にそれなりに適した内容になっているんじゃないかと改めて思うわけでありますが。  ただ、名称があれなんですよね、行為規制。これ漢字を見れば分かるんですけど、言葉で言われますと行為規制ってぴんとこないんです、大臣。だから、本来もっともっと国民に分かりやすく言うのであれば、先ほど官民癒着という言葉がありましたけど、正にこの言葉を冒頭に付けてもらって官民癒着行為規制、そういうふうな名称でもつくってくれれば分かりやすいんですけれども、やたら行為規制行為規制行為規制というと、何じゃらほいという話にもなりがちでございまして、その辺せっかくでございますから、この行為規制という、今おっしゃられた正にこの天下りを止めて官民の様々な癒着を止めていく、そういった思い、この法律の中身になっていると思いますので、是非名称の面でも、今後大臣がいろんなところで、法律が通った後でも、今回こういうふうな法律になりましたというときには、冒頭に官民癒着の行為規制を作りました、防止するために作りましたと、そういう形でメッセージをところどころで発していただければ分かりやすいんじゃないかなと思いますので、御提案をさしていただきたい、そのように思うわけであります。  続きまして、同じくこの天下り規制とは一部関連でありますけれども、その天下り規制をなくす代わりにつくられる官民交流人材センター、この全体の話は前回質問でさしていただきました。その中で私が指摘さしていただいたのは、センターをつくるのは大いに結構なんだけれども、本当にこの押し付け的あっせんというのがなくなった後、いわゆる需給のバランスによって人材を、言葉は悪いですけど、はめていくというのは大変困難な道だと、なおかつ、それを業としてやってもらうのはいわゆるキャリアコンサルタントと言われる人たちだと。そのキャリアコンサルタントを育成するには、これは民間企業でも、大変職業紹介で頑張っている民間企業でも、このキャリアコンサルタントの育成には大変苦慮しているし、本当にこういった人材を確保しつくっていくのは並大抵のことじゃありませんということを御指摘をさしていただきましたけれども。  今度は更に一歩進んで、今回のこのいろんな政府からいただいている資料の中にも、押し付け的あっせんができないわけでありましょうから、じゃどういった企業に優秀な役人の退職した皆さんをはめていくか、そのためには求人開拓をしていかなくちゃいけないということをそれなりにこの政府にいただいている文書にも言及されているわけでありますけど、具体的にどうやってこれ求人開拓をされていく予定であるんですか。これから制度設計という話もありますけれども、もう実務的な話なんで林副大臣にお願いしたいわけでありますが、どういうイメージをされていらっしゃるか、イメージだけでもちょっとお答えいただければと思います。
  17. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 先生御指摘のように、閣議決定では、官民人材交流センターに関する方針ということで四つほど、内閣において以下の原則に従い検討することとすると、こういうふうになっております。今委員からお話がありましたように、今から有識者懇談会というのを置いて、そこで具体的に検討をしていって、その検討を踏まえながら最終的には内閣で検討をすると、こういうことに閣議決定でさしていただいたわけでございます。  今後は、官の方も能力実績主義が入ってくる、また、専門職スタッフのようなものも入ってくると。民間の方も、先ほど国土交通省の方がゼネコンへというようなお話がありましたけれども、民間世界の方も随分変わってきておりまして、例えばNPOですとか、いわゆる非営利のところも随分広がってきていると。ですから、双方にいろんな新しいこういう人がいるということと、こういう人が欲しいということが出てくると、こういうふうに思うわけでございまして、そういう言わば動いている民間の状況というのをよくよく先取りもしながら、しかしそのために、今いる人が辞めるときにいいように今仕事をしてもらうということでは困るわけですから、今やっている仕事、また今やっている仕事を通じて得られたそういう能力といったものを本当に発揮できるところが実際どういうところにあるのかと、こういうことをよくこのセンターの人たちにも、そういう理解というか展望を持って仕事をしていってもらわなければならないと、こういうふうに思うわけでございます。  今までこういうことだったからということにとらわれますと非常に視野が狭くなってくると。ですから、今後は特に公益法人改革もいたしまして、どんどんどんどん、何といいますか、民なんです、公益法人は、しかしこれが公のセクターも担ってもらうと、こういうことになってまいりますと、例えば法案を作るとか行政の運営をすると、こういったようなこと、また、そういう意味での公的なマネジメントをすると、こういうようなことも実は公務員のスキルとしてはあると、こういうことになってくるわけでございまして、そういうことを種々踏まえて、今までの固定概念、既成概念にとらわれずに、公務の人はこういう能力があるんだということをきっちり踏まえた上で、新しい民間の動向に合うようなキャリアコンサルティング、又は求人開拓営業と、これはもうセットだと、こういうふうに思っております。  公務の方も自分では実は気が付いていないような、この民間で発揮できる、民間というのは非営利も含めた民間でございますけれども、というようなところがあると思いますので、そういうことを踏まえて、このキャリアコンサルティングと求人開拓営業というのをしっかりやってもらう必要があると、こういうふうに考えております。
  18. 秋元司

    秋元司君 まあ非営利法人ということを強調しちゃうと、みんな何か、独立行政法人とか、そういった方に行きがちなような雰囲気が今答弁の中で聞こえちゃったんで、まあそういうことじゃないですよね、あくまで、すべて。  よくそれはもう理解をするわけでありますが、民間企業に行くとなった場合に、何といいますか、それなりの課長職以上を経験された方、まあその方の恐らく給料というのは一千万を超えてくる年収でありましょう。それと同等の賃金を保障する形で民間企業が受け入れるとなれば、やっぱりそれ相当な規模を持った企業だということが想像されるわけでありますけれども、私が実は気にしている点というのは、この求人の営業開拓の中に、民間企業にどうしてもということになれば、変な話、こういう人材がいますけれどもどうですかなんといって、手紙を送ってアンケートにお答えください、アンケート来るのを待っていて、さあどこにはめようかなんということになったら、これはとてもじゃないけど、そんなふうにしてうちの会社に役所OBの方を下さいなんて、そんなうまくスムーズにいく話なんかないわけでありますよね。  要するに、営業ということは攻めなくちゃいけない。しかし、どうしても行政のやる感覚だと、書類を出すから送り返ってくるのを待っているという感覚になりがちだと思うんですよ。  何を言いたいのかというと、今後ともこの求人営業開拓というならば、それぞれの企業の人事担当者のところへせこせこ、足を通いまして、御社でどうですかと、何々省のOBがいるんですけど、おたくに合った働き口はありませんかということを、このキャリアコンサルティングと言われる方又はこの官民人材交流センター全体が、そういった営業に走っていかなくちゃいけないわけでありますよね。そうなると、必然的に、何といいますか、開拓する営業マンの数と言っちゃ失礼なんですけど、その数も確保しなくちゃいけないし、当然就職というのは一言で言えない世界であって、まあ民民の話であれば、非常に人事担当当局との間に何とも言えないこの人間関係を構築していかなくちゃいけない世界もあるわけであります。  そういったことを考えますと、非常にこのハローワークのように一方的に両方の情報を待っている状態でのお見合いだったらいいんでしょうけれども、これは積極的に攻めないとなかなかうまくいかないような気もしますからね。この辺、要するに公の立場でどこまで攻めたらいいのかということが非常に私はポイントになっていくと思うんですよ。  しかし、当然官民交流センターというのは内閣府の中の位置付けでありましょうから、公的要素があるんで、民間がやるような営業方法とはちょっと逸脱、ちょっと違う営業方法をしていかなくちゃいけないところに非常に困難さが要求されるという、私はそういう思いでありますから、本当にこの細かい、詳細制度設計についてはもうしっかりとした考えを持ってもらって、机上の空論で終わらない形でしっかり議論をしていき、当然我々国会の方でも有識者会議が出した結論に対して何かしら助言ないし提言をすることもあるかもしれませんが、是非しっかりとした運営になっていただくように改めてお願いをさせていただきたい、そのように思うわけであります。  テーマを移ります。  同じく、同じくといいますか、前回質問のときに民主党松井議員だったと思うんですが、六十歳定年以後のあっせんについて少し質問前回飛んでいたような気がするんですけど、内容については余り私も詳しく覚えてないわけでありますが。この官民交流センターとして、いわゆる今申し上げた六十歳定年を迎えた人、このあっせんについてはどのように考えていらっしゃいますか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  19. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) まず、先ほどの答弁で、非営利法人のことを申し上げましたが、これはあくまで独立行政法人とか行政委託型公益法人など政府と関連しているところという意味ではなくて、まあ町づくりの法人ですとか、例えばオーケストラみたいなところですとか、そういう意味で申し上げましたので、ちょっと申し添えさせていただきます。  独立行政法人は、もう当然役員出向、現役出向ということを中心にしてやってもらわなきゃいけないと我々は考えておるところでございますが、そこで、今お尋ねのありました定年退職者ですね、条文上は十八条の五で、「内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。」と。この内閣総理大臣仕事官民人材交流センターに委任すると、こういう立て付けになっておりますから、条文上は定年退職の方を排除するということにはなっておらないわけでございます。  ただ、衆議院でもまたこちらに参ってからも議論がございますように、今までやっていた方、特に退職勧奨をしてまたそのうちあっせんをしていたと、ここが今度はあっせんを全面禁止するということで、これをつくっていこうと、こういう流れになってきたわけでございますので、主な目的というか対象というのは当然そういうところになってくるであろうと。それで実際多くの方が定年退職をしておられますので、これらの人を対象にしていくというのは運用上は非常に難しいところが出てくるんではないかというふうに考えられるところでございますけれども、いずれにしても条文上はそういうふうになっておりますので、詳しい検討を正に有識者懇にやっていただいて、その有識者の意見も踏まえた上で我々として最終的に決めてまいりたいと思っておるところでございます。
  20. 秋元司

    秋元司君 まあ、六十歳で定年し、しかし年金の受給年齢というのが六十五歳でありますからね。残り五年間、今人生八十年と言われる時代において、まだ六十歳を過ぎた方でも元気ですよね。当然、政治家の方でも六十歳以上の人はたくさんいらっしゃるわけであって、本当にこの方は何歳なのかなと思われる方もいらっしゃるわけであって、まあ一概に六十歳を過ぎたからといって終わりというのは甚だ時代にそぐわない、そういうふうに思うわけでありますが。  確かに副大臣おっしゃられるように、まずは定年前でいわゆる肩たたきに遭う方を、どうやって押し付け的あっせんじゃない形で再就職先を探していくか、これが一番の目標であるということにしますと、そちらにまず全神経を集中するわけでありますから、六十歳で定年を迎えた方に対してなかなか世話をするのは実務的には困難だということは理解ができるわけでありますけれども、せっかくこういうセンターをつくるということもありますし、又は何といいますか、六十を過ぎたら、逆に言うと、あんた今度ハローワークへ行きなさいという話になるというのも、まあ一歳、二歳違う中でどうかなと思うこともありますから、これは今後の検討課題であると思いますけれども、幅広い、本当は公務員の方の私は再就職先のあっせんということを考えるのであれば、やっぱり六十歳以上の方についても多少の私は考える余地はあるんじゃないのかなということを思いますので、まあこれは今後の検討材料であると思いますからあえてここでどうのこうのとは言いませんけれども、是非今後の検討課題として考えていただきたいなと、そのように思うわけであります。  続きまして、この閣議決定の用紙の中に、パッケージとしての改革となっている項目に、実は四項目書かれているんですよね。内容を申し上げれば、専門スタッフ職の実現、そして公募制の導入、又は官民交流の抜本的拡大、そして定年の延長、この四項目が書かれているわけでありますけれども、いわゆるこの専門スタッフ職、よくいろんなところの答弁を聞いてもこれをどんどん拡大していきたい、そういった話があるわけでありますが、イメージとして大臣、どういった職をイメージされていらっしゃるんですか、この専門スタッフ職というのは。お願いします。
  21. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 専門的な能力を持った公務に携わる人たちはかなりたくさんいると思うんですね。私、ついこの間まで金融庁の副大臣をやっておりました。そのときに多重債務者防止法を作ったのでございますが、調査研究の論文がないかと何度も催促をしたのでございますが、金融庁はあれだけ優秀な人たちがいても、そういった論文がなかなか出てこないんですね。恐らく金融庁にはそういった優秀な人材がいるんだが正に調査研究に携わる部門がないと、こういうことだったんだろうと思います。そういうことを考えれば、まさしく調査、研究、分析なんというのはもう典型的な専門スタッフ職の世界だろうと思います。  また、広報とか人事なんていうのもそういう世界だと思いますね。最近よくテレビに出てくる文部省を辞めた寺脇さんといいましたですか、彼などはまさしくいわゆるゆとり教育の広報担当みたいな仕事をやっていた人ですよね。ですから、小坂文部大臣のときにたしか、あなたのそういった能力を生かしてほしいと大臣から言われて、指定職から課長的なポストになって小坂文部大臣の御要請にこたえたと、そういう事例もあったわけでございます。  したがって、専門スタッフ職のイメージというのは実はたくさんあるんだろうと思います。私の思い付く世界でも、例えば国税不服審判所というのがあります。これはトップは検事、判事でありますが、次席は財務省のキャリアのポストなんですね。こういうのも同じ身内でやっているんだから余り意味がないんじゃないかなどと言う人もいるんですけれども、不服審判所に持ち込むと、何と二割近くがひっくり返っているんですね。一〇%台後半で身内の判断をひっくり返しているわけでありまして、こういうのもまさしく専門的な能力と判断力が求められる世界であって、専門スタッフ職というのが創設されればそういう世界でも活躍できるのではないかと思います。  国際交渉の世界でもそうであります。委員が先ほど来言及しておられるように、国際交渉の世界というのは別に外務省だけがやっているわけじゃないですね。農水省だってWTO交渉なんていうのは実に細かい分野で、なおかつ交渉相手というのはもう三十代、四十代のばりばりの連中が出てくるんですね。こういう国際交渉なんていうのも正にフェース・ツー・フェースの関係が極めて物を言う世界なわけでございますから、そうすると、こういうのも正に専門スタッフ職の活躍する場面ではないかと思うのでございます。考えてみれば切りがないぐらいにこの世界は無尽蔵にあると思います。
  22. 秋元司

    秋元司君 そういった中で、今たまたま寺脇さんの話が出ましたが、私の鹿児島の先輩でありますからよく存じ上げているんですよ。確かに優秀な文部科学マンだったことは間違いありませんが、政策については私はいささかううんと思うところもあるんですけれども、それはおいておきます。  続きまして、このスタッフ職、待遇についてお伺いしたいんですが、どのような今俸給表というものを考えていらっしゃるか。あわせて、この権限等についてはどの辺のことを考えていらっしゃるのか。人事院と、じゃ林副大臣で、連続でお願いします。
  23. 出合均

    政府参考人(出合均君) お答えいたします。  人事院としてはかねてより、行政の多様化、複雑高度化に対応するために、公務において職員が培ってきました高度の専門能力、経験を活用するとともに、在職期間の長期化に対応する観点から、複線型人事管理の導入に向けての環境整備として、専門スタッフ職を対象とした俸給表の検討を行ってきておるところでございます。また、昨年十月には政府からも閣議決定において検討要請をいただいたところでございます。  具体的にどのように待遇を考えているかということでございますが、各府省における専門スタッフ職の対象職務の検討を踏まえながら、現在俸給表の具体的な内容を詰めを行っております。  まず、俸給表の対象になるものとしましては、例えば特定の行政分野に関する調査研究、分析をし、ライン職の職員が政策立案を行うに当たっての助言、提言を行うような職務、先ほども出てまいりましたけれども、国際交渉の準備やラインの交渉担当官のサポートを行う職務、こういうようなものを考えております。  また、待遇、俸給表につきましては、公務経験で培った高度の専門的な知識又は経験を有する職員に適用します俸給表でございますので、本府省の課長補佐級から課長級までに対応した三級程度の簡素な俸給表を考えております。その水準につきましても、本府省の課長級までの水準を考えておるところでございます。  いずれにしましても、人事院としては、引き続き関係機関と議論を重ねながら詰めを行っていきたい、こういうふうに考えております。
  24. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今人事院からの俸給等の待遇のお話もあったところでございますが、その中でもちょっとお触れになられておられましたけれども、いろんな官職にそれぞれこの専門スタッフ職が付いていると。今大臣からお話がありましたように、例えば国際交渉やる、国税不服審査やる、調査分析をすると。それぞれ国家行政組織法や各省の組織法令でこの仕事はこういう仕事になりますというのが書いてございますので、それぞれの個々の専門スタッフになった方がどういう権限を持つのかというのはそちらで規定をしていくわけでございまして、当然、金融庁で先ほどの貸金業法の研究をしている人の権限と国際交渉へ出ていって実際に交渉をしている人、また国税不服の審査をする人の権限というのはそれぞれで異なってくるわけでございますので、職務上の権限は、冒頭に申し上げましたように、それぞれの各省の組織法令ということによって決まってくると、こういうことでございます。
  25. 秋元司

    秋元司君 何といいますか、今まで役所の中でそれなりに頑張ってこられて、しかしあるときに、課長から上、本当は上りたいという思いがあっても、それなりの都合で役所をどうかと、後任に道を譲らないかと言われた方にとっては、不本意だと思われる方においては、引き続き役所に残りたいとなれば、このいわゆる専門スタッフ職という場所に、この道を選んで残ってやっていただくということもあるでしょうし、場合によっては、先ほど、もう上り詰めた方でももう少しいてくれということの中でやる方もいらっしゃる。  いずれにしても、役所として必要だと思った人材は、それは最終的には定年ということがあるでしょうけれども、まだまだ定年に満たない方にとっては、残したい人ならばこの制度でもって残せるというのがこのスタッフ職の位置付けであるのかなということを理解させていただきますと、本人との合意ということもあるんでしょうけれども、非常に柔軟な人事制度の在り方、それは私は一定の評価はあると思いますので、是非、こういったものの活用を通じまして、優秀な人材をすべて民に出すということじゃなく、やはり公務の本質ということを考えますと、また国の仕事ということを考えますと、スタッフ職ということで優秀な人材をしっかり官庁の中に置いておく、これも一つの私は道であると思いますので、是非この制度の充実というものを図っていただきたいなと改めて思うところであります。  次に、公募制について少し触れさせていただきたいんですけれども、その公募制の前に、現在いわゆる他省庁との間で人事交流というのが行われていますよね。よく我々もいろんな役所の方と話をした瞬間に、例えば経済産業省と話をしたつもりであっても、実は自分は本籍は財務省なんですなんて話はよくある話でありまして、この人事交流の現状と、そしてまた何のためにやってきたのか、そしていわゆる省庁間におけるルールというのはどのようになっていらっしゃるのか、もう時間も迫ってまいりましたので、簡単で結構でございますから、よろしくお願いします。
  26. 戸谷好秀

    政府参考人(戸谷好秀君) 人事交流でございます。  現場ベースでやっている人事交流等は幾つかあるかと思いますが、政府として枠組みを持ってやっておりますのは、平成六年、閣議決定で省庁間人事交流の推進というものがございます。目的としては、各省庁間の緊密な連携の強化と広い視野に立った人材の養成の観点から人事交流を行うと。閣議決定におきましては、将来の行政の中核的要員と見込まれる職員について、本省庁課長職に就くまでの間に他省庁、国際機関等における勤務を原則として二回以上、その際、他省庁における勤務を一回以上経験させるよう努めるというふうになっております。  現在、平成十八年四月一日現在の数字がございます。総数で二千百八十四人がこの閣議決定に基づく人事交流を行われております。本府省省令職、企画官等以上の幹部職員が七百八十五名、一般職員、課長補佐相当以下が千三百九十九名という状況になっております。
  27. 秋元司

    秋元司君 非常に私はこれはいい制度であると思うんですね。課長になるまでの間にそれぞれあちこちの省庁行って、また場合によっては民間にも出向してそれなりのものを、自分の省から出ていって外のことを吸収してくる、いい制度だと思っているわけであります。  ですから、私はこの官民交流、その延長の中に実は、場合によっては、分かりやすく言うと、経済産業省の方が金融庁に行って、今までは企業育成育成ということを考えてもう少し中小企業に対する融資が出ないのかななんということを思いながらも、金融庁に行って初めて金融という面で行政を見ると、なるほど、こういうことがあったのかと学んだ瞬間に、何といいますか、中小企業政策というものを進めた方が金融庁の、例えば信用金庫、信用組合、または第二地銀と、いわゆる中小企業を扱う部署に行ったときに、もっともっと中小企業対策の金融政策というのはこういうふうに考えるべきだ、そういう案が提唱されるとより一層現場に即したような制度もつくれるということもあって、何を言いたいかというと、場合によって、出向したときに、おれは本籍は経済産業省なんだけど、実はこの金融庁で働いてみたいなと、それで将来的にこの金融庁で頑張りたいと思ったときがあれば、公募制というものがもしあるのであれば、本籍をぐるっと今度は変えちゃうということもできるんだったら、それはそれで面白い、省庁間の縦割りというものを本当の意味でなくした形の交流というものが深まるんじゃないのかなと思うわけでありますけれども。  この辺、大臣、どういうような御意見がありますか。実は時間がもうすぐ迫ってまいりますので、簡潔にお願いします。
  28. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 民から官、官から官、民から官から官へという人材移動は非常に重要なことだと思うんですね。やはり、今までのやり方ですと、とにかく縄張主義でやっているわけですから、そこの組織に入っちゃうともうパラダイムシフトが非常に難しいという面があろうかと思います。  柳澤厚労大臣がよくおっしゃるんですけれども、ドイツでは社会保障制度大改革をやるときに事務次官はほかの省から持ってきたそうですね。同じ省ではこういった大転換、発想が出てこない、多分社保庁改革なんというのもそのたぐいの話だろうと思います。  したがって、そういう観点からいきますと、今委員が御指摘になられたような官から官への人材移動の仕組みを確立をするというのは大変大事なことだと思います。
  29. 秋元司

    秋元司君 時間なんで最後に一言だけ申し上げて終わりますが、本当、官から官って今までなかなかあり得ない制度だったんですよね。民間企業であればある程度、トヨタで働いた、あるときに何かのヘッドハンティングがあって日産に行ったなんてことはある世界でありますけれども、官と官はなかった。  しかし、これからは何も新規採用で入ったからといって新規採用で入ったところでずっと頑張る、こういう時代じゃなくなってきたというのも事実でありましょうから、この官から官ということを、しかし役人になる方というのは私はそれなりの国のために頑張るという思いと、それなりにまじめに頑張ってきた方が多いと思いますから、何せ我々が大学時代遊んでいる中で一生懸命公務員試験のために頑張って勉強する、何というんですか、耐えられる力を持っているわけでありますからね、それであの難しい公務員試験をクリアしているわけでありますから、それは本当に私はそういった行為に対しては敬意を表したいと思っていますので、是非、官から官、このことも本当に今回の改正の中に大きな位置付けの一つとして考えていただいて、ちょっと質問残りましたが、また質問の機会があると思いますので、この辺で終えたいと思います。  以上です。
  30. 小池正勝

    ○小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。  私も火曜日に引き続いて再登板ということでございまして、恐縮ですが御質問をさせていただきます。  まず、大変恐縮なんですが、一昨日の御質問のおさらいをさせていただこうと思うんですが、まず冒頭に、今も秋元先生がおっしゃられましたが、志の高い者が公務員になるんだということをおっしゃっておられて、これは私もそのとおりだろうと思うんですね。国家国民のために、あるいは公共のために頑張るということですから、これは志の高い職業なんだろうと思っているわけです。ところが、一昨日のお話の中で、これは林副大臣から御答弁をちょうだいしたんですが、大変志望者が減っているというのが数字で表れておりまして、それに加えて、いったん入られて、志を持って入られた方が大変若い段階でお辞めになっていく、こういうことも十年前、二十年前と比べてますます増えてきておる、こういう状況があるわけでございましてとおっしゃっておられまして、だから今回の改正で、その減った理由として大きいのは年功序列能力が発揮できないから、今回、能力主義、実績主義というのを導入して正に活躍できる場を用意するんだと、こういうお話でございまして、これはよく分かるお話でございますから、これは積極的に進めていかなければならないと思うんですが。  そこでもう一つ、これとの関連なんですが、その志を持った方というのは何も新卒だけではないのでありまして、民間に行って、しかしやはり公共のために働きたいという方もこれまたたくさんいらっしゃる。しかし一方で、年齢制限があって、Ⅰ種にしてもⅡ種にしてもⅢ種にしても、なかなか入れないと、こういう話になってしまっているわけです。  そこで、よく再チャレンジ試験ということが最近盛んに言われるわけでございますが、この再チャレンジ試験、これは御担当は人事院というお話のようですが、まず政府としてこの再チャレンジ試験についての基本的なお考えを教えていただきたいと思うんですが。
  31. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 人事院の方で詳しい御答弁があると思いますが、これは再チャレンジということで、実はこの公務員所管ではございません規制改革会議でも、大臣と私所管しておりますが、取り上げさせていただきまして、公務員試験の受験資格というのが非常に年齢制限が若いところで止まっておる、これを引き上げることによりまして、正に委員がおっしゃられましたように、新規採用ですね、途中の官民交流ではなくて新規採用の部分においてもいろんな方が志を持ってある年齢を超えても入ってこれるようにしようと、こういう考え方で御提案をさせていただきまして、今、人事院の方でその具体的な取組をしていただいていると、こういうことでございます。
  32. 小池正勝

    ○小池正勝君 詳細は人事院の御担当のようですが、人事院さん、いかがですか。
  33. 鈴木明裕

    政府参考人(鈴木明裕君) お答えいたします。  お尋ねのいわゆる再チャレンジ試験でございますけれども、これは昨年のいわゆる骨太の方針で、三十から四十歳程度のフリーター等にも国家公務員への就職機会を提供する仕組みの構築について検討をするということとされたことを踏まえまして、三十歳代の人を対象に、国家公務員中途採用者選考試験として今年の秋に新たに実施するものでございます。これによりまして、フリーターの方とか子育ての一段落した主婦の方等々にも国家公務員の就職機会を広げることになるものと考えております。  今日までの状況でございますけれども、今年の、先般五月の十四日から人事院の本院及び地方事務局等におきまして受験案内、受験申込用紙の配付を始めております。それで、間もなく、六月の二十六日から七月の三日までの間に受験の申込みを受け付けまして、九月の九日に人事院による筆記試験を実施するという予定になっております。
  34. 小池正勝

    ○小池正勝君 この再チャレンジ試験、秋からされるということでございますが、それは何人募集して全体の採用者の何割程度、何%程度になるんでしょうか。
  35. 鈴木明裕

    政府参考人(鈴木明裕君) 採用予定数をこれは政府の方で申合せをしていただきまして出していただきまして、百五十二名ということになっておりまして、これはⅢ種、高校卒業程度の試験の約一割程度を目途に出していただいているということでございます。
  36. 小池正勝

    ○小池正勝君 まず一割程度ということですが、いずれにしても志の高い人に公務員になっていただくということが趣旨ですから、それはやはり年齢というだけではない部分があると思いますので、是非この再チャレンジ試験というのを積極的にやっていただきたいと思っております。  続きまして、もう一つ一昨日のおさらいをさせていただきたいんですが、この人事管理原則との絡みでございまして、人事管理原則の中で職員の採用年次及び合格した採用試験の種類にとらわれることのない旨規定するというお話になっておるわけでございます。  それに関連する御質問をさせていただいたときに、大臣さんの方からキャリア、ノンキャリアという区別は今回の改正によって意味を成さなくなるものと考えておりますという御答弁をちょうだいいたしました。これは確かに実態的なものであって、これはやはり変えていかなければならないというのはおっしゃるとおりですから、それはそれでいい方向だと思うんですが、そのときに、試験の採用区分、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種とあるわけですが、これは試験の採用区分がなくなるというのが帰結のような気がするんですが、そこはいかがなんでしょうか。
  37. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 正に、今回の法案では採用年次や採用試験の種類にとらわれてはならないというのは人事管理をするときのお話でございます。  一方で、採用試験そのものについても、全般的な今後検討する中での大きな課題になって、総理の下に置かれる方の有識者会議での検討課題の一つになってくると、こういうふうに考えておるわけでございまして、もとより、今の試験でいわゆるⅠ種と呼ばれる非常に難関の試験を突破されてこられた方が、先ほど区別がなくなるというような、そういうふうにとらわれずにきちっと中での仕事評価した上で能力実績主義によって人事をやっていった結果、ここのⅠ種とⅡ種の人が全くかかわりなくということになってくれば、そもそもこの採用試験の組み方自体が非常におかしいんではないかと、こういう議論になってくるわけでございまして、そういうことを動的に踏まえながらここで検討をしていっていただくと、そういうことになってこようかと、こういうふうに思います。  蛇足かもしれませんけれども、諸外国でもいわゆる幹部候補生ということについて、ドイツではラウフバーンということだったと思いますし、アメリカはプレジデンシャル・マネジメント・インターンでしたか、それからフランスでもENAといったようなものがありまして、それぞれいろんな仕組みをそれぞれ持っておられるわけでございまして、この今回の採用試験の今度全般的な検討の中での見直しということを通じて、いわゆる官の世界におけるそういう幹部候補生の育成はどういうふうにしていったらいいのかというのは、正に今回、こういうとらわれずに人事能力実績主義でやっていくということが端緒になって、より深い本質的な議論をして、結果として大変に能率のいい、また競争力のある公務世界というのを構築していかなければならないと、こういうふうに考えておるところでございます。
  38. 小池正勝

    ○小池正勝君 今の副大臣のお話は、キャリアシステムというのは、これはおっしゃるように諸外国、ほかにも例はあるわけでございますけれども、しかし、キャリア、ノンキャリアという区別は今回の改正によって意味を成さなくなると、こういうことを前回はおっしゃられたわけでございますが、今のお話はキャリアシステム自体をやめてしまうということまではまだ決めていないという趣旨をおっしゃったんでしょうか。
  39. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 現行の、今大臣がお話をされておるように、Ⅰ種試験を通った人がもう実際は必ず偉くなっていくというようなキャリア、ノンキャリアという区別はもう能力実績主義でなくなっていくわけでございまして、しからば、諸外国もいろいろ苦労されておられるようですけれども、いわゆる幹部候補生みたいなものをつくるのかつくらないのかも含めて、今後我が国の官の世界をどういうふうにしていくのかと、こういうことを、このことを前提に今、古い、実際的な運用になっている、いろんな弊害も指摘されているキャリアシステムなくなったその後をどうしていくのかということをきちっと考える必要があると、そういう趣旨でございます。
  40. 小池正勝

    ○小池正勝君 分かりました。  それでは、次の御質問をさせていただきますが、勤評のお話でございまして、勤評のお話で、今でも勤評制度というのはあるわけでございますけれども、それとの関連で、今回、勤評を変えていくわけでありますが、一昨日の御答弁で、勤評とこれからこの改正法で考えている新しい人事評価は違うんだというお話があって、今までの勤評は職員の能率の発揮、増進の手段という位置付けであった、しかし、新しい人事評価は任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用されるツール、道具であるということ、法律上の位置付けを与えますと、こうおっしゃって、これは株丹さんが御答弁されたわけですが。  能率の発揮、増進の手段として正に任用とか給与があるんじゃないんですか。だから、どこが違うんでしょうか。
  41. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) 前回私が答弁いたしましたことに関しましてお尋ねをちょうだいいたしました。  今先生御指摘ございましたように、現在の法律の中に勤務成績の評定というものがございます。これは、職員の研修ですとか保健あるいは安全保持、こういったものと併せまして能率という節、国家公務員法の中に能率という節がございまして、その中に入ってございます。この能率の節の中に「職員の能率は、充分に発揮され、且つ、その増進がはかられなければならない。」と、これを根本基準とするという規定がございます。  私が御説明をいたしましたのは、ここを受けまして、現行の勤務成績の評定というのは職員の能率の発揮、増進の手段として位置付けられていると、こういうふうに申し上げました。  では、この勤務評定というのがどうなっているかということでございますけれども、確かに、今の法律の中でも、この評定を行いまして、「その評定の結果に応じた措置を講じなければならない。」という規定自体はございますが、任用ですとか給与ですとか分限ですとか、そういう人事管理との関係につきまして、必ずしも今の国家公務員法上明確に規定をされてはおらないということでございます。また、勤務成績の評定自体の基準につきましても不明確だと、こういうことが相まちまして、現実には人事管理にこの勤務評定というのが十分に活用されていないという点が指摘をされておるということがございます。  もう一つ、新たなじゃ人事評価制度、これはどういうものであるかということでございますけれども、今回の法律案の中で、人事評価につきましては、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たりまして発揮をした能力及び上げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評定と、これを明確に定義をしたということが非常に定まったところでございまして、それを踏まえまして新しい人事評価制度をとらえて、人事管理の基礎として活用されるツール、道具であるということを申し上げたところでございます。
  42. 小池正勝

    ○小池正勝君 今のお話は、能率の章に書いてあるから能率の発揮、増進の手段ということなんだということをおっしゃられますが、そしてもう一つ、今の勤評が基準が不明確だから明確にしたと、これもよく分かる話ですし、基準が不明確ということのゆえをもって勤評をきちっとやってこなかったということがむしろ問題なんだろうと私は思うんですよね。  ですから、一昨日も御質問申し上げたんですけれども、分限であるにしても昇格にしても、この勤評というのをきちっとやって、勤評というか人事評定というか、言葉はともかくとして。  要するに、あるにもかかわらずそれを管理者がきちっとやってこなかったということの方が問題、で、そのことを、基準が不明確だからとか訴訟になったら困るからという逃げ口上みたいなことばかり言ってやってこなかったということの方が問題だと思うんですが、いかがでしょうか。
  43. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) 大変厳しい御指摘でございます。  どのように申し上げてよいかなかなか難しいところもございますが、物事としまして、確かに、実態の部分につきましていろいろ反省すべき点もあると思います。その点の改善というのも当然やっていかなきゃいけないわけでございますが、あわせて、政府として、現状の問題点というのもこれまで指摘もされてきておるところでございますので、そういう点に対しまして、まず法律の中できちんとした対応をしていくというのが今回の考え方であるというふうに思ってございます。  その点に加えてもう少しだけ申し上げさせていただければ、今回の改正案の中では、先ほど申し上げました人事管理ということで、先生も御承知ではございますけれども、任用あるいは分限につきましても、それぞれ法律の規定として、例えば任用については、職員の昇任等の際には任命しようとする官職に必要な能力、適性を有するかどうかを人事評価に基づいて判断をするんだよと、そういうことを法律できちんと定めさせていただいておりますし、分限につきましては、もう既に御指摘がございましたとおりでございますが、意に反して降任、免職ができる勤務実績が良くない場合、こういう判断について、任命権者が人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして行うということも新たに加えて、法律上明確にして要件の一層の明確化を図ると、こういう部分もございます。  もちろん、それだけですべて解決できるというわけでございませんで、実態としての努力というのも当然必要というふうに思ってございますが、制度面で改正をさせていただこうという趣旨でございます。
  44. 小池正勝

    ○小池正勝君 一昨日も申し上げましたが、地方公務員の例ですけれども、奈良市の長期病欠ということで多くの国民が怒り心頭に発して、公務員って何だということになったわけでありまして、そんなことを許してきたというのが、やはりこの勤評から分限につながっていくその流れが十分機能していなかったと。  要するに、制度はあったんだけれども、おっしゃるように、不明確な部分があったというのはおっしゃられるとおりですから、そこは明確にするというのは一歩前進であるし、それはもう大賛成でありますけれども。  いずれにしても、幾ら明確にしても明確にするだけでは意味がないのでありまして、そういったものにはきちっと対応していくと、厳格に対応していくということを是非お願いしたいと思っております。  それでは引き続きまして、能率主義のお話はこれで終わらせていただいて、天下りの方に入らせていただこうと思うんですが。  一昨日も天下りの御質問をさせていただきまして、戻りましていろんな新聞をひっくり返して読んでおりましたら、こういう記事が載っていました。金融検査で問題点を指摘されても金融機関の人間だけでは具体的にどう改善したらよいのか分からないと語るのは信用金庫の理事長、天下りは地域の金融機関の人材不足を補ってきたというわけだ、有力地方銀行の幹部も、地元以外の政治家や官僚と折衝する能力は金融機関出身者には乏しいと天下りを肯定する、という記事が載っておりました。この人は間違っているんでしょうか。
  45. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今回の我々の御提案している仕組みでは、そういう方が、正に金融の行政の御経験があって、そしてそういう知見を活用され、能力を活用されて行かれる再就職というのを必ずしも全面的に否定をしておらないわけでございますが、その方が、部下がいる金融庁の検査部門に対してOBという立場で影響力を行使する、そういうことを行為規制ということできちっと厳格に正していこうと。守られるべき保護法益は、国民の方から見て行政が公正にきちっと行われていると、このことを守らなければならない。  一方で、公務で培われた能力をきちっと社会のために生かしていただく再就職というのはきちっと支援をしてまいろうと、こういうことが我々の考え方でございますので、いろいろ定義の置き方があると思いますけれども、全面的に今のお話と食い違っているということにはならないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  46. 小池正勝

    ○小池正勝君 今のお話は、これもよく言われる話ですけれども、押し付け的な天下りはいけないとか癒着というのはいけないとか、正にそれはもうそのとおりだろうと思いますし、一方で、公務に長年従事しておって能力がある、経験がある人は、これは社会的に活用しなければ社会的な損失になっていくと、これもまた事実なんだろうと思いますから、その接点、これは非常に難しいというのはもうそのとおりなのであって、ここは、どこまで行ってもこうすればという一〇〇%の答えというのはなかなか出てこないから、先ほどおっしゃったように、センターをつくってやっていくという、各省庁との関係を遮断してセンターで一元的に管理していくということなんだろうと思っていまして、これは一昨日もいただいた御答弁でございますが、正にそのとおりであろうと思って、そこは私も賛成なんですが、問題は、これもよく出る話なんですが、そのセンターなるものがどう機能するのかと、これも繰り返しになる話でありますけれども。  民主党さんの方からも御質問があった話でありますが、今現に、政府総務省では国家公務員人材バンクというのを既に持っておると、平成十二年からやっているんだけれども一件しかまだ適用になっていないという御答弁があったわけでありまして、そんなことになってはいけない。それはなぜそうなっているかというのは、各省がやっているから結局はこのセンターには行かないから結果として一件しかないのであって、それを一切遮断するからそんなことにはなりませんよという御答弁をちょうだいして、それもよく分かる話なんですが、そこで、この官民人材交流センターという中身の議論であります。  これも、再三にわたって衆議院でも御議論があり、また民主党さんからも御指摘があったお話でありますが、この中身の詳細設計というものが法律には書いてなくて、有識者懇というものにゆだねられているわけですけれども、あえて法律に書かずに有識者懇にゆだねたと、その理由はどこにあるんでしょうか。
  47. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今回の法案では、大原則と、それに付随する小原則をお示しをしてございます。  例えば、今小池先生御指摘のように、各省のあっせんというのが問題の相当大きな部分を占めているわけでありますから、これを全面禁止をする、そして一元化の後には各省と当該職員の就職予定先との直取引は厳禁をする、また出身省庁の職員あっせんは行わないという小原則については閣議決定ルール化しているわけでございます。  そういった縛りを掛けた上で、今行っております再就職のあっせんというのは全く何のルールもないんですね。法律にも規定されていない。まあ人事の一環として事実行為として行われているわけであります。言ってみれば自由自在ということであります。我々は、大原則、小原則をつくり、きちんと透明なルールの下に再就職のあっせんというのはしなければいけませんよと申し上げているわけであります。国民の目から見て押し付けのように見えてはいかぬということも踏まえて制度設計をするわけであります。  今、かなりの人数が事実行為として天下りをしている。こういう弊害を取り除きながら正しい再就職を行うにはどうしたらいいかと。もうまさしく、そういった要請にこたえた具体的な制度設計をこれから行わなければいけないわけでございまして、何でもかんでも法律に書いてがんじがらめにしてしまうというのでは、これはせっかく透明なルールの下に市場価格で評価をされて再就職していく、第二の人生を有意義に過ごす、また国家公務員世界で死蔵しかねない人材を世の中に開放して世の中の活性化に努めてもらおうと、そういうことがうまく機能しないのでは何にもならないわけでございまして、もうまさしくそういった観点から、大原則、小原則は決めるが、具体的なやり方運用の仕方については、これは有識者の方にお任せをしようということでございます。
  48. 小池正勝

    ○小池正勝君 そうなってきますと、この有識者懇の任務というのは極めて重大だというお話になると思うんですが、そうすると、どんな人がなるんだろうかということに当然なっていくわけですけれども、人選についてどのようなお考えなんでしょうか。
  49. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) これは国会の御審議も踏まえて、成立させていただければすぐにでも立ち上げていきたいと考えております。  やはり、官と民との懸け橋あるいは民から官へのゲートウエー、将来そういう任務を帯びるわけでございますから、両方の世界に通じた人たちがいなくてはいかぬと思います。一方、この人材交流センターをトンネル機関化しようともくろんでいる人たちに入ってもらったら、これは何にもなりませんので、そういう点は人選においては十二分に注意しながら進めていく必要があろうかと思います。
  50. 小池正勝

    ○小池正勝君 それともう一つ、任務重大であるだけに、その議論の内容は当然徹底して情報公開をしなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。
  51. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 正にそのとおりだと思います。具体的なやり方は、まさしくその有識者懇の会議ルールにおいて決めるわけでございますが、国会の御審議の中で、完全ディスクロをやった方がいいとか、あるいはライブ中継でもやったらどうだとか、ネットを使ってですね、そういった御意見もございまして、そういった国会議論を踏まえて会議ルールは作ることになろうかと思います。
  52. 小池正勝

    ○小池正勝君 分かりました。  それともう一つ、一昨日のお話でも、事後チェックということで、外部監視機関ということによって官民人材交流センター事後チェックを厳格に行うという御答弁をちょうだいしたわけですが、しかし、この外部監視機関というのはこの法律には出てこないわけですけれども、これはどうしてなんでしょうか。
  53. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) この外部監視機関というのは、法律に規定をしております再就職等監視委員会、またその下に置かれます監察官といったものを想定をしておりまして、こういうものによる厳格な事後チェックをきちっとやると。それから、ここでやっているあっせんによる就職実績の公表等をやって透明性を図る、こういうことでやっておりますので、再就職等監視委員会等がこの外部監視機関という立て付けでございます。
  54. 小池正勝

    ○小池正勝君 分かりました。  それともう一つ、これもよく言われるお話なんですが、今回の法律にセンター設置から五年経過後に体制を見直すという規定があるわけですけれども、それを根拠にしてまた省庁によるあっせんが復活するんではないかということを危惧されるといいますか、おっしゃる方がいらっしゃるんですが、これはいかがでしょうか。
  55. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) この見直し規定につきましては、この三年間で一元化をすると、さらにその後二年でございますので、一元化になって暫定期間であります事前承認制度もなくなった後の二年間の経過の後にということでございまして、最終的な新しい行為規制の体系になった後に、きちっとした体制、運営がなされているかという意味でございますので、法律の骨格部分の例えばあっせん禁止する部分といったところにつきましては、この見直し規定の対象にはなっておらないわけでございます。  附則の十七条には、「五年を経過した場合において、その体制を見直し、その結果に基づき、必要な措置を講ずる」と、こういう規定ぶりにしておりますので、その範囲内での見直しと、こういうことでございます。
  56. 小池正勝

    ○小池正勝君 もう一つお伺いしたいんですが、先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、今の役所というのは縄張主義だと、省益優先と言ったらいいんでしょうか、ということを再三おっしゃっておられます。  そもそも、一昨日も御答弁ちょうだいしたんですが、橋本行革のときに、そういった省ではなくて政治主導、官邸主導ということにやろうとしたわけですけれども、結果として今はそうなってないという御認識なんでしょうか。
  57. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 官邸主導体制を確立しようという、言ってみれば過渡期の状態にあるのではないでしょうか。必ずしも全部うまくいっていないということではなくて、ただ相変わらず各省の壁が岩盤のようにそびえ立っているという現実も一方において否めないと思います。  私のやっております仕事、例えば規制改革もそうです。地域活性化もそうです。行政改革もそうであります。いずれも、各省の縄張、縦割りの壁を突破しなければ仕事ができないということでございますから、なおさら、私の立場で申し上げますと、この岩盤をいかに突破をし、官邸主導型の体制をつくるかに心を砕いていく必要があるかと存じます。
  58. 小池正勝

    ○小池正勝君 そして、そのために再就職の管理を一元管理するんだというお話なんですが、であれば更に進めて採用も一元管理すると。本来、先ほど来、他省庁の交流であるとか、官官というようなお話が出ていましたけれども、そもそも再就職だけではなくて採用の一元管理ということをしないと、この話は完結しないんではないんでしょうか。
  59. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 正に、採用の一元化というのは、もう私が記憶する限りでも、十年以上前からいろんなところで御議論がされておったところでございまして、正に今回の法案が成立させていただきますと、退職管理のところの一元化がなされる、また中も能力実績主義で見ていくと、こういうことになっていくわけでございまして、先ほど採用試験の区分についてもちょっと申し上げたところでございますけれども、その試験の区分に加えまして採用そのものをどうしていくかということも、今後総理のところで行います有識者の中の大事な項目になってくるんではないかと、こういうふうに思っております。  先ほどの御議論でも本籍という言葉がございましたけれども、そもそも国家公務員法上、またほかの法令上、本籍というのは法律上の根拠はないわけでございますので、いわゆる、大臣が先ほど来御答弁がありますように、慣行といいますか、そういう運用になっているわけでございます。逆に言いますと、法律をどこか変えればこれはなくなるということではないわけでございまして、いろんな仕組みをしていって、より二十一世紀にふさわしい官の世界を構築していかなければならないわけでございますので、単にどこかの条文をいじるということではなくて、全般的にそういうことを検討していって、各省のいわゆる縦割りと言われている弊害がどういうふうにしたらなくなっていくのかと、こういうことを、正に今後の、総理の下に有識者から成る検討の場を設けるわけでございますので、そこで、閣議決定いたしましたように、採用から退職まで人事制度全般について検討していくという中での重要な一つ項目になろうかというふうに考えておるところでございます。
  60. 小池正勝

    ○小池正勝君 もう時間もなくなってまいりましたので、最後に大臣にもう一度お伺いしたいんですが、一昨日、大臣、こうおっしゃっておられます。もし、この国家公務員改正案が廃案になってしまうということになりますと、これはもう今の天下りシステムが延々と続くと、こういうことになってしまうわけでありますから、我々としてもう是が非でも云々と、こうおっしゃっておられますので、いま一度決意をお伺いしたいと思います。
  61. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) まさしく我々は、今回の法案によって日本の優秀な志の高い人たちが公務世界に入ってきていながら、なぜちょっと違った方向に行ってしまっているのか、そういう思いを強く持って今回の法改正に当たらせていただきました。  今、公務世界が大変な批判にさらされている現実を見て悲しく思うのは、私だけではないと思います。やはり改革をきちんとやることによって国民の信頼も回復することができるはずだ、そのことは公務に携わる人たちのやる気を更に増すことにつながっていくわけであります。まさしくそういう好循環をもたらすための改革を行っていきたいと考えております。  現役の時代能力実績主義を取るということは、もうまさしく今の年功序列慣行を打ち破ることにつながってまいります。ともすれば、今の慣行の下でなれ合い的、談合的な体質が蔓延していたところが、そのまま天下り後の現役とOBとの関係にも持ち込まれてしまっているのではないでしょうか。こうした公務天下り先との関係のなれ合い構造を打破をするためには、現役時代から能力実績主義を導入すると同時に、再就職をする際に当たっても、なれ合い、談合を排して能力実績主義による正当な評価を受けて再就職をしていくという新たなルールの確立が必要であります。  まさしく、そういう改革を行うことによって、今、世間の大変な批判にさらされている問題が相当大きく変わっていくことになると我々は考えております。今回の公務員制度改革こそは、行政改革が一気に進んでいく突破口になるものと考えております。  しかし、この法案審議未了、廃案ということになりますと、今のなれ合い、談合体質が延々と続いていってしまう、天下り天国が延々と続くことになりかねない、そういう意味で、是非とも慎重な御審議の上、御可決いただきますよう改めてお願いを申し上げる次第でございます。
  62. 小池正勝

    ○小池正勝君 終わります。
  63. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  64. 藤原正司

    委員長藤原正司君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  65. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。午前に続いて午後の質疑を続けさしていただきます。  まず、おとといも質疑を厳しくさしていただきましたけれども、我が党としては、このままではやはり大臣が挙げられているような、能力を十分に生かしたようなそういう公務員制度になってないと、更には天下りもかえってどんどんやれるようになってしまうんじゃないかということで、この法案については大反対ということを冒頭申し上げたいというふうに思っております。  私も出身が経団連であります。今の日本経団連でありますけれども、やはりある財界人の遺言のように、天下りをなくさなければ日本の国は良くならないと。日本の全体のGDPの四割が規制に掛かっている業種であると、これは市場主義又は自由主義ではなくて、自由主義社会ではなくて正に共産主義社会に近いんじゃないか、こういうことを言われながら、地方分権とか規制改革を唱えながら、一昨年でしょうか、亡くなった方のことを思い出します。  そういう意味で、本当に悪い天下り、総理や大臣から言わせれば押し付け的あっせん、押し付け的天下りを根絶するんだというのは、その方針はもちろん大賛成でありますけれども、なくならないならば、今日の午前でも自民党の議員がいみじくも言われたように、法律能力を使うというふうに書いてあるが、新旧で見ても分からないというような向きの御質問をされたかに覚えておりますけれども、本当に私どももそういう思いをしているわけであります。  冒頭、二、三、大きな問題を御指摘というか御質問さしていただきたいと思います。  これは、公務員制度改革というものを現在政治問題化しているということでございまして、官房長官にもこれは是非伺いたいと思います。  渡辺大臣は、再三この委員会の席でも、これを廃案にするならば、さも民主党又は野党が談合や天下り問題解消を反対しているというような趣旨の発言を何回もされておりまして、これは非常に私どもとしても、いや、それはちょっと逆にお返ししたいよと、のしを付けて返したいと、そういう私どもは思いで伺っておりますので、同僚議員の思いを述べたいと思います。  そもそも何を言いたいかというと、公務員改革の焦点は何だったのかというと、やはり公務員の身分保障をどう扱うかということだと私は思っております。その身分保障というのは何かというと、やはり例えば終身雇用を守るとか年功序列賃金体系というものを変えるとか、こういうことではないと私は認識をしております。  それは何かというと、やはり近代の、多分イギリス辺りだと思いますけれども、十分勉強はしておりませんが、この近代の公務員制度が求めた身分保障というのは、政権交代を理由として、例えば公務員を更迭するとか又は政争の具に使うことがないように、政治的な中立性を保つというために公務員の地位をどういうふうに確保したらいいかというところから私はそもそも始まって、そういう身分をどう保障していくかというのが一番私は大事な、つまりは公務員の中立公正というのを、そしてまたスピーディーに効率的にというのをどう確保していくかというのが一番大事なところではないかというふうに思っているわけであります。  そういう中で、結局は政治問題化する、又は、大臣が何度も言うように、もしこの法案が通らない、廃案になった場合には、我が党が又は野党が反対しているというのは、正に今言った趣旨の、中立的にあろうとする公務員を逆手に取って争点化するというのは非常にゆゆしい問題ではないかと私は思うんですけれど、これは政府を代表して官房長官から、どんなふうに大臣のそういう発言をお聞きになっているか、ちょっと伺えますか。
  66. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 渡辺大臣が申し上げていることは総理が申し上げていることとほとんど同じことだろうと思いますけれども、予算や権限をバックにした押し付け的な天下りを根絶をする。昨今、緑資源やあるいは社保庁でも、衆議院の段階でも委員会で随分取り上げられた具体例の中に、社保庁長官がわたりを続ける、天下りの典型のようなものを出しておりましたが、正にこういうものをやめていくということをするために、是非、今回御審議を賜っている国家公務員法の改正について御審議を賜って結論を出していただきたいということを申し上げているんだろうと思うわけでございます。  国民が今望んでいる、官製談合や押し付け的なあっせんというものを根絶するという、それはやはり政治の決意として与野党挙げて一緒にこれはやっていかなきゃいけないことじゃないかということだろうと思いますので、そのことを渡辺大臣は申し上げているんだろうと思います。
  67. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 続けて官房長官に伺いたいのは、官房長官は我々、例えば我が会派民主党・新緑風会は天下りに対して反対していると思いますか。いわゆる押し付け的あっせん、押し付け的天下りについて反対していると思いますか。
  68. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 一言で天下りと言った場合にも、いろんな意味があるんだろうと思います。  そもそも、我々は、天という言葉が使われているということは、お上ということですわね、これ。長らくこの国は、お上と平民というか民の、お上と民の、こういう上下の関係だったと。このパラダイムシフトをやっぱりやっていかないと、正に戦後レジームからの脱却を図るためには、言ってみれば岩盤のような、ある意味では戦後の成功モデルのベースになったこの公務員制度でありますけれども、今はやっぱりそれがもう時代がすっかり変わってしまった。立法府の役割も本当に強くなって、いろんなことをやっぱり立法府が議論の上で決めていく。そういうときに、いつまでももうお上と民という上下関係じゃなくて、むしろ民のために官がある、言ってみれば官を民に取り戻す、そういうことを我々はやろうとしているというふうに私どもは考えて、ですから、今回一番私たちにとって大事なのは、再就職の話もありますけれども、やはり能力実績主義というのが一番大事なことだろうと思うんです。  そういうことになると、今お尋ねの天下りに反対かどうかという、そういう何というか簡単な話では私はないんではないかと思います。何を天下りと称するのかと。つまり、民主党さんの、衆議院で出ていた民主党案を見ると、むしろ官から民に行くことをすべて天下りと呼んでいるというふうに私どもには見えるんです。私たちはそういうことを言っているわけではなくて、むしろ官と民というのは同格であって、本当は民の方が上にあって官が下にあってもいいかも分からない。まあまあ同格で、ここは横に行くと、そういう気持ちで私たちいくんで、思っております。  ただ、権限が官にあって、そこに予算と権限が付いているわけですね。ですからこそ、ここは強くなりがちで、今まで強かった。だから、それを背景にした、いわゆる天から下に下ってくるということがあって、相手が嫌がってもまあ持っていけと、こういうことをやっていた。そうじゃなくて、今度我々は、そういう上下じゃない関係で動くこと自体は悪くないんじゃないか。問題は、この権限とか予算を目当てに民が官に対して働き掛けをすることについての規制をきっちりやって、そして同じ人間が、有為な人間が官にいても民にいてもこれは活躍できるような、そういう日本社会にしようという哲学の話をしているわけですから、少し長くなって恐縮ですが、この哲学をやっぱり理解してもらいたいんですね。考え方を変えようということを言っているので、天下りに賛成ですか反対ですかというふうに簡単にはなかなか割り切れないことだろうと思うんですね。
  69. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 官房長官、質問に対して簡潔にお答えください。
  70. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 質疑時間もそうあるわけでございませんので、是非簡潔に、わざわざそう……
  71. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 哲学は大事。
  72. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いやいや、哲学をここで述べられても困るんで、質疑を──いやいや、塩崎官房長官の哲学はそれは結構ですが……
  73. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 委員長の許可を得て発言してください。
  74. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それで、いずれにしても、要するに押し付け的天下りは官房長官も当然ながら反対でしょう。私どもも反対ですよ。それは分かりませんかということ。簡潔に。
  75. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) そこは同じ気持ちだろうと思います。ただ、先ほど来申し上げているのは、おしなべて官から民に行くこと自体が駄目だというのは少し行き過ぎじゃないでしょうかということを申し上げているわけでございます。
  76. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 非常に簡潔に言っていただきましたけれども、我々はやはり、まあこの表、松井さんも持って言われましたけど、要は、四千五百七十六法人、二万七千八百八十二人の方が平成十八年四月時点で天下っているという実態をかんがみたときに、やはり徹底的なこれはもう規制を掛ける方が当然ではないかということを思っているわけですね。つまり、一部、例えば良質な、いわゆる天下りという言葉は私も変えたいと思うんですよ、この言葉を。これは本当、私も国会図書館で調べましたら、天孫降臨説にもとを発していると。つまりは、要は降天してきたと、神様が、というところから来ているという、そういうことですよね。  これについては、要するに一九四七年、昭和二十二年七月五日の例えば片山内閣に対しても、例えば全官公庁職員労働協議会の要望書にも、これ初めて天下りという言葉がそこから出るらしいんですが、民間への天下り人事廃止という要望をこれは労働組合としても言い続けている、労働組合こそ言っていると言っていいかもしれませんが、そういうことだと思うんですよね。  ですから、渡辺大臣が何度も何度も公の場を使って、さもこれが廃案になったら、民主党反対しているというようなことを繰り返し与党の質問を使いながら言われるのは非常にゆゆしい問題であると。今官房長官が言われたとおり、要は我々も反対であると。つまり、悪い天下りはとにかく根絶しなきゃ社会良くならないと。そしてまた、公務員の方々にどんどんどんどんできる、頑張れば報われるようなそういう人事年功序列賃金体系ではない賃金体系をやはり持ってもらわなきゃいけないと、こういう思いをこれは持っておりますので、そこは何度も何度もこれから大臣言わないでほしいと思うんですが、ちょっと大臣、答えてください。
  77. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 私は野党のせいでということは言っておりません。結果としてこの法案が廃案になってしまったときに現状が続いてしまうのではないかという問題認識を申し上げているわけでございます。  今のシステムをどうやって変えるか、それは民主党も御提案されたようなやり方もあるんでしょう。政府としては、まさしく今御審議をいただいている法案の中でその解決方法を明確にしておるわけでございますから、是非これは、廃案にしたら現状が固定化されてしまうおそれがあるので、是非これは通していただけませんでしょうかというお願いをしておるわけでございます。
  78. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 とにかく政権取ったら変えなきゃいけないんだろうけれども、しかし今例えば二年、五年の規制をこれ撤廃されますよね、今回の法律で。で、行為規制に直すということになりますけれども、それで本当に直るとは、この間松井さんが、同僚の松井議員が言われたとおりで、なくなるとは思えないんですよね。それは概念的には分かりますよ、言われたいことは。行為規制をすれば、出口のところでいろんなそういう不正が行われないようになるだろうという気持ちは分かりますけれども、あうんの呼吸で、彼元気ですかというこの一言で例えば談合になるという言葉がありましたけれども、私は談合の現場を知りませんが、しかしそういうことがあるだろうと私は思いますし、それともう一つは量ですよね。今でこそ規制があっても三万人近い方が要は天下っていると。これ、全部あしき天下りじゃないかもしれませんよ。だけれども、こんなにたくさんの方が天下っていると。これがもうほとんど規制がなくなると、これはどれだけに増えるかというと、非常に危機感はありますね。それを全部行為規制を、一々だれが悪いことしているかと見るために、正に改革という名のそういう組織がまた膨れ上がるというようなことも含めて、これ非常に私は難しいんじゃないかと思っている次第でございます。  ちょっと、今回、一つ天下りの話、それから一つ能力評価の話、最終的には地方の自治体の外郭団体への天下り、この三点について伺いたいというふうに思っております。  先ほど公務員の身分保障の話をさせていただきました。政治的な中立性を確保するというのが近代の公務員制度が求めるものであると私は思っておりまして、これは別に能力給では駄目とか、又は労働三権付与しては駄目だとか、そういう問題では私はないと思います。これは警察や自衛隊はもちろん別だと思いますけれども、そういうふうに思っています。  何度も答申の中で労働三権の付与ということを言っているにもかかわらず、今回もこれ後回しになっているんですよね。だから今年の四月の閣議決定、四月二十四日の公務員制度改革についての閣議決定でも、どこにそれが書いてあるかなとずっと見たんですよ、改めて。そうしたら、最後の五、その他の中のその最後の(四)に、労働基本権については、引き続き検討すると、こういうふうにくだりが書いてある。そもそもこれが一番初めになければ、能力給というのはないはずだと私は思うんです。  これは判例でもあります。判例の中にも、憲法判例の中に、昭和四十八年四月二十五日の全農林警職法事件判決ですか、まあ幾つかあるかもしれませんが、一つはこれで。つまり、労働三権を制限するに当たっては、別途人事院が給与、勤務時間その他、いわゆる人勧ですね、そういったものを適切な代償措置が講じられているから憲法二十八条に違反をしないという判例があるわけですよね。つまりは、今回、能力給を出すにつけては、当然ながら労働三権が付与されないということは非常にバランスを欠いたものだと私は言わざるを得ないんですが、その辺りは官房長官、どういうふうに思いますか。
  79. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 衆議院でも御議論があったところでございますが、正に労働基本権の問題については、今、木俣先生がおっしゃったように、専門調査会で組合の代表の方も入られた場で詳細な検討をしていただいているところでございますが、今回の能力実績主義につきましては、我々の整理といたしまして、この勤務条件性というものがこの代償措置との対応関係になっているわけでございますので、直接この勤務条件に当たらないというのがこの全農林最高裁判決以来の判例でもございますので、勤務条件には当たらないこの能力実績主義という整理でやっておりますので、今回の法案の中には直接その基本権についてのものは入っておりませんが、これは正に専門調査会、既に何回も御議論をしていただいているところでございまして、かなり詳細に検討が進んでいるということも併せて申し上げさせていただきたいと思います。
  80. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ということは、この判例の中で、人事院は、公務員の給与、勤務時間その他の勤務条件についてということになっていますが、今回の法律では、その勤務条件について触れていないと、そういう認識ですね。そういうことですね。
  81. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 繰り返しになりますが、正に今、木俣先生おっしゃったように、今度のこの能力実績主義の導入というのは、いわゆる判例で言うところの勤務条件というものには当たらないというふうに考えておるところでございます。
  82. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 だけど、そんなことだれがちょっと信じるかという感じがするんですね。公務員の給与が要は能力給にこれからなっていくというのは、再三先ほども大臣も言われた。大臣、違いますか。能力に合わせた給与体系、要は能力に合わせたポスト、そして給与体系、それを決めるんじゃないんですか。大臣、ちょっとお答えください。今回違うんですか。
  83. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今回の改正では、現行規定にもあるんですが、非常に不明確な能力主義になっているわけであります。  午前中も申し上げたように、本音ルールがかなり岩盤のような文化を形成をしてしまっているわけでありますから、その岩盤を打ち破るために、今回は法案において能力実績主義を明記をすると。それがポストと給料に反映をするということを書こうとしているわけでございます。
  84. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ですから、それが勤務条件に入らないという、そういうことなんですか。ちょっと大臣、今の。
  85. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほど林副大臣答弁申し上げたように、新たな人事評価制度を導入をするわけであります。それは能力実績主義人事管理を貫徹をするためであります。この新たな人事評価制度は、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎となるものでございます。人事評価制度それ自体は、職員の執務の状況を的確に把握、記録するツールと位置付けられます。また、人事評価の結果をいかに活用するかについては、人事評価制度において定められるものではなく、任用、給与、分限等のそれぞれの制度において定められることとなるものであります。したがって、人事評価制度それ自体は勤務条件には該当しないものと考えております。
  86. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 人事評価は、それは評価というクライテリア、要するに尺度であって、しかしそれによって勤務条件が、当然ながら、だからこの判例にあるように、人事院は公務員の給与、勤務時間その他勤務条件について、給与とある。だから能力に合わせた給与に変わるんじゃないんですか、今度、法律によって。何度も言われてませんか、それ。それをちょっと。
  87. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 大臣からお話があったように、今回の法案能力実績主義人事管理をやるために評価制度を導入していると、こういうふうにしてありまして、それを評価をすることと、その評価を今度は任用や給与にどういうふうに位置付けていくかということは、今大臣から御答弁がありましたように、別のところということで、これはまあ人事院にも聞いていただいてもいいと思いますが、東京高裁の先ほど一連の判決と申し上げた中で、昭和四十年の東京高裁判決で、勤務評定についても、いずれもそれ自体は教職員の待遇に属する事項とは認められないから前記広義の勤務条件に該当しないという判例が出ておりまして、先ほど一連の判例と言ったのは、このものが含まれるということでございます。
  88. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ということは、まあ基準は決めますが、いわゆる給与等々については後に決めますよと、これは人事院からしてもそういうふうに読めるわけですか。  じゃ、総裁、せっかく来ていますから。
  89. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) ただいま御答弁もございましたけれども、この人事評価と勤務条件の関係につきましては、任用、給与にどのように活用されていくかということを勘案した上で全体として判断される必要があるわけでございまして、今回の法案におきましても、これに関しまして政令で必要な事項を定めます際には人事院の意見を聴くということが規定されております。  私どもとしましては、この問題のほかに救済、苦情処理、あるいは評価結果の任用、給与への具体的な活用の在り方等いろいろ問題があるわけでございまして、そのことにつきましては、現在試行いたしておりますが、その結果なども踏まえながら職員の利益の保護、それから人事行政の公正確保の観点から検討していきたいと考えております。
  90. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 はっきりしたのは、この法案が通ったからといって能力給になることはないと、そういうことですよね。能力給になることはない。要するに、年功序列賃金体系は崩れるかもしれないし、ポストは若干変更があるかもしれないけれども、つまりは、その勤務条件に関するところの給与とか等々については後に定めると、こういう話だと思うんですね。  しかし、もしそうであるならば、この法案自体をどういうふうに、いや、例えばですよ、推進したいというふうに思っていらっしゃるのは、官の側だけじゃなくて民の方でもかなり、経団連からも言われてますよね、同友会からも言われていますね。そうすると、能力主義、つまり能力給になるというふうに信じている人たちからすると、この法律だけでは変わらないということがはっきりしたわけです。そういうことですよね。官房長官、そういうことですよね。  じゃ、要は、よく考えてみますと、今、現法で三十三条に根本基準、これは任免の根本基準というところにあるように、「勤務成績又はその他の能力の実証に基いて、これを行う。」と。これは能力主義というのは実は書いてあるわけですよね、恐らく衆議院の方でもこれ言われたかもしれませんが。今回は、その能力という言葉を標準職務遂行能力というふうに、つまりは言葉を変えただけと、こういう話になるわけですね。  総裁、どうですか。人事院総裁、そういうふうに読めませんか。余り聞くことじゃないかもしれないけど。
  91. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) ちょっと先生の御趣旨を、どういう意味でございましょうか。恐縮でございますが、もう一度。
  92. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 現法でも三十三条で能力主義というのが根本基準だということを書いてある。新法で三十四条に、要するに、その能力という言葉を若干修飾語を付けて標準職務遂行能力と書いてある。しかし、今言われたように、それが直結して能力給に反映するものではないということであるならば、現法と、新しく制定される、今、内閣、閣法の違いはないでしょうと、基本的に。言葉が変わっただけですねと。言葉が要は標準職務遂行能力と変わっただけじゃないかと、まやかしじゃないっていうこと。そう思いませんか。
  93. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 私どもとしましては、この法案の立案をした立場ではございませんので、責任を持ってこの内容の解釈をすることはできませんけれども、受け止めておりますのは、この標準職務遂行能力と申しますのは、能力実績に基づく人事管理の推進を行いますために、職制上の段階の標準的な官職に就いて職務を遂行する上で発揮することが求められます能力を大ぐくりに整理して記載するという趣旨のものと考えておりまして、基本的に人事権を行使する上で、それらの使用者を代表する内閣総理大臣がそういうことをおまとめになるという趣旨のものだと考えております。
  94. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 だったら、さっきから言いますように、基本的には、要は、さっき言った労働三権を制約しながら人事院勧告でやっていくというところの憲法判例には抵触しないというのがまあ大臣の御意見で、それは分かったと。だけれども、そうすると、私は分からないのは、要は今の現法でもそもそも能力主義って書いてあるじゃないかと。今度の新法でも、さっきいみじくも言ったように、後は人事院に任せますということになっていると。だから、要するに、法の立て方としては憲法には抵触しないというのが今の意見だったわけですよ。  となると、今の新法にならんとするものと閣法と現法というのは、要は言葉を変えただけで、ほとんど変わらぬじゃないかと。私は、これはもう多分、委員それぞれの納得するところじゃございませんか、与党の方も含めて。  要は、三十四条のところでちょっと伺いたいのは、三項のところというんでしょうかね、これ。標準職務遂行能力の標準的な官職は係員、係長、課長補佐、課長その他官職と、こうありますけれども、これは具体的に、例えばどういう評価基準を今具体的に考えていらっしゃるのか。これはどなたから聞いたらいいのか分かりませんが。
  95. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) 今、標準職務遂行能力についての御質問でございます。  標準職務遂行能力につきましては、政令で定めます標準的な官職、これは別途政令で定めるわけでございますけれども、それに対応して、その標準的な官職の職務を遂行する上で必要な能力を把握をして分析をして定めるというふうにさせていただこうというふうにしてございます。  今、別途人事評価につきまして試行をしてございます。これは、人事評価に係ります検討課題を実証的に確認をするという目的が中心でございますけれども、例えばその中では、課長について申し上げますと、明確な根拠を持ったタイミングのよい判断を下すという項目、あるいは組織方針について関係者との合意を形成する、こういう項目などを挙げまして評価をしております。これはあくまでも試行でございます。でございますが、その試行の中でそういう項目を挙げさせていただいています。  これを言わば参考といたしまして今度の新しい法案の中では標準職務遂行能力を定めますので、今のままで本当に進むかどうかというのは今後の試行の状況にもよりますけれども、イメージ的に申し上げれば、今申し上げたような項目などを中心評価をしていくという考え方でございます。
  96. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 途中何を言われているか余りよく分からないんですが、最後のところで、能力給になるかどうかは分かりませんがというのが多分真意だというふうに思うんですけれども。  要するに、東京都がたしかやっているようなボーナスなんかだと三十万ぐらい差が付くそうですね、多いと。そういうような給与体系にこれはなるんですか。これは大臣にちょっと。なるんですか、抜てきされていけばすぐにそういう給与差が出るようになるんですか。なるかどうかをちょっとお答えいただければ。つまり能力給になるか、年功序列賃金体系が崩れて能力給になるかと。  これ、ポイントなんですよ。これはだれも信じているんです、これ。いろんな財界の方に僕聞きました。いや、今度能力給になるのを何でおまえ反対するんだと、おまえ賛成だろうと言うから、いやいや、ちょっと待ってください、法文読むとそうなりませんよと。さっき林副大臣が言われたとおりなんですよ。憲法の制約があるから、結局、人事院に任せますよという話でなければおかしくなってしまうという、そこだと思うんですよ。  そうすると、大臣、これは大臣に聞きたいのは、能力給になるかならないか、これだけはちょっと答えてください、是非。
  97. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 官職に任命された職員の給与につきましては、職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなすという職務給原則に従い、一般職給与法において給与の等級である職務の級が決定されて、職員の職責に応じた給与、処遇がなされることになります。
  98. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 だから、能力給になるということでいいんですか。大臣言葉でちょっと言ってください。  いや、大臣だから。駄目だそんな、役人が答える話じゃないです。大臣に聞いているんだから駄目だって。(発言する者あり)細かくないですよ、ここ太いところなんです、一番大事な。
  99. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) ですから、能力等級制というのは、前回、我々閣議決定には至りませんでしたけれども、正に今委員がおっしゃるように、給与の俸給表そのものを職階に結び付けるというのをやりましたけれども、正に今委員が御指摘になったような労働基本権の問題があったわけでございまして、ですから、今度のやつは、先ほど人事院にお任せするという御指摘ありましたが、政令で定めるということで、内閣の方でまず定めて、そのときに人事院の御意見を聴くという、こういう立て付けにまずなっております。  さらに、この標準職務遂行能力というのは、従来、委員御承知のように、官職、職階制というのがありまして、言わばポートフォリオで縦と横を全部、財務省の課長とかなんとかはどういう仕事をするんだというのを縦横全部決めるという立て付けになっておりました。なかなかこれやりにくいと。今回は、例えば課長とか課長補佐といったような、横ぐしでどういう標準的な職務遂行能力が必要になるかというのを定めて、それを内閣総理大臣で定めると、こういうことにいたしたわけでございます。  それに基づいて評価を行っていこうというのが今度の能力実績主義でございまして、正に今大臣が御答弁がありましたように、それに基づいて評価をした上で任用、給与ということが決まってくる。その給与については今の、別途給与の方の法律世界、一般職給与法において職務の級が決定されていくと。ここが能力等級制、前回検討いたしたものとは切り離されているというところが前回の検討したものとは違うと、こういう理解をしていただければというふうに思います。
  100. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 だから、要するに、労働三権のところを触れることができないから、簡単に言うと能力給というものも当然導入できないと、まずは。だから、要するに、苦肉の策として別の能力等級制ではなくて標準職務遂行能力というものの基準を定めることによって、別途政令でそこに合った等級を決めて、そしてそれは元々あるものに当てはめて給与が決まると、だから別に問題ないだろうと、こういうことだと思うんですが、しかし、そうすると、何度も言いますように、これ前の法律とほとんど変わらないと僕は思うんですよね、基本的には。前のじゃない、現法と変わらないということははっきりしたと思うんですよ。  だから、一般的にはやはりこれで能力給が要は導入されて、頑張ればぼんと課長になれるよ、局長になれるよというのはあったとしても、大事なことは、やはり年功序列賃金体系というのがある種、これ日本社会全体がそうでしたからまあ余り良くなかったかもしれませんが、それが官の部分だけ残ってしまっていると。それがやはり非効率の温床にもなっているんじゃないかというようなところを変えるという今回のものは十分ではないんだろうと私は言わざるを得ないというふうに思いますし、以前とは変わっていないだろうなという感じを受けました、すぱっと言えないところが。意見は結構です。  次は天下りのところでありますが、先ほども官房長官言われたとおり、これ言葉変えませんかね、何とかね、天下りという言葉自体を。天下りと言うのも変えたいし、押し付け型天下りと言うんじゃなくて、あしき天下りを何か別の言葉で考えてもらえませんか。どうですか、官房長官。
  101. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) にわかに別の言葉はよく分かりませんが、少なくとも官から民に行くことを全部天下りと呼ぶのはやめた方がいいんではないのかなと。まあ哲学言うと怒られそうですが。  同じ人物が官にいても民にいてもやっぱり有効に活用されて活躍するということが大事で、その人の能力を社会が大事にしていこうということだろうと思うんです。今はその能力を大事にするんじゃなくて、役所とのつながりとか、あるいは明示的な条件もあったケースもあると聞いていますけれども、言ってみれば今でいう天下りをすれば予算が付くとか、そういうようなばかげたことがあったということでありますので、私は横滑りとよく今までの議論では党内では言ってまいりましたが。  そういうことで、官で蓄積した能力を民で活用する、民で蓄積した能力を官で活用するということはもう幾らでもあってもいいと思いますし、同じ議院内閣制のイギリスなんかは、官から民に行ってまた官に戻ってくる、そういうことがもうこの十年ぐらいで随分増えてきているんですね。ですから、そういうことをひとつ考えて、何か官にいる人はすべて悪で、民に行った人は全部天下りだということではなくて、国民経済的にやっぱり有効に使わなきゃいけないものは使おうというおおらかな気持ちもなければいけないけれども、厳しく、予算や権限をバックにして嫌がるところに押し付けるという天下りは良くないし、ましてや官製談合にも結び付くようなものはあかんと、こういうことだと思います。
  102. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今おっしゃったような横滑りというか、横滑りというより、今、ぱっと思ったのは土砂崩れみたいな、そういうことじゃないかなというような表現の方が当たっているのかなと思いますけど。これ言葉を本当変えないとやはり直らないかなというふうに思います。  今、最終的に官房長官言われたように、私も、その官民の癒着というのはもう本当にゆゆしい問題でありますし、ただ、企業側にとっては、これ都合がいい話であります。一部最適みたいな、一部最適とは言わないわ。しかし、全体の公正性とか社会的公正という観点でいうと、非常にこれを阻害する、正に公害のような外部不経済というものに言わば私はなると思っていまして、つまり一企業は利しても社会全体としては大変な損失になっているというのがこの天下りのあしきものだと私は思っております。  再度あれですが、官房長官は、これで天下りはもう一掃されると、根絶されるということを明確に是非言ってください、これでもうなくなるぞと。
  103. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 基本的にこの法律が忠実に執行されていけばそうなると私たちは信じております。  しかし、世の中というのはいろんなことがあって、だからこそ法律があって、それを執行するその執行能力が弱ければいろんな問題がはびこるということがありますから、この法律を通していただいて、これを執行していく、そして刑事罰を伴って、やってはいけないことをやった人は罰するということをやっていかなければ駄目です。  我々、お互い選挙をやっている身は、政治資金を政治活動をやっている場合には必ず要る。それを随分影響を与えたのはやっぱり連座制だったと思います。あれも執行しなければ余り効いていなかったと思いますけど、執行していったからこそ効いて、それで政治と金の文化というのは随分変わってきて、私たちもその余計な労力というか神経をそういうところに使わないで済むようになってきているというのは、やっぱり法律がいいように効いてきたんだろうと思うんで、是非これをお通しいただいた上で執行をきっちりやっていくということだと思います。
  104. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ただ、私は、さっきも言いましたように、定性的な話はよく分かるような気もするんですが、これ量というところもあると思うんですよね。つまりは、もう今でも三万人の方がいわゆる天下りというか、この中にはかなりあしき天下りというのも、特に地方へ行けば行くほどあるというのは前回松井議員が言ったことでございますね。ですから、量をそれだけ見張るということが本当にできるかどうかというと、甚だ疑問ではないかということを私は思っております。  先ほど官房長官がおっしゃったことはちょっと伺いたいなと思っていたことなものですから、ちょっとそっちの質問になりますが、ポリティカルアポインティーのお話ですが、この政治任官ですね。これは大使なんかは、外務省改革のときに私もいろいろさせていただきましたけれど、いや、外務省のことではないです、ポリティカルアポインティーだから多分一番お得意なところじゃないかと思いますけれど、事務次官、局長、審議官又は課長、まあ課長以上ぐらいは政治任官すべきだというふうに官房長官も前から言われていたように思うんですが、今回そういったものが余り見えないんですけれど、どうでしょうか。
  105. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) いわゆるポリティカルアポインティーというのは、アメリカなんかの場合には数千人単位で大統領が替わるとホワイトハウス以下ワシントンでは人が替わっていくわけでありますが、私は、元々ポリティカルアポインティーを賛成してきたわけではございません。むしろ、例えばオーストラリアなんかの場合には、空きポストを全部公開にしていると。多分イギリスも今ホームページで全部やっています、オーストラリアもそうですが。そういうのは実はだれがじゃアポイントしているのかというと、やっぱりそれは役所が公募して、その役所でもいいし、ほかの役所からでもいいし、民間からでもどうぞということで、いい人を選ぶというのを、選ぶときの選ぶ人が、アメリカだったら大統領の場合はポリティカルアポインティーになりますけれども、これは役所が選んでいると。ビューロクラティックアポインティーということで、議院内閣制の場合には多くやっているんだろうと思います。  したがって、私もこの議院内閣制の日本である限りは、そんなにポリティカルアポインティーがたくさんいていいのかというと、やっぱりそれは少し違うんじゃないかなと思っておるところでございます。民間人を、あるいは一般の方を政治が、時の政権が選ぶという意味でのポリティカルアポインティーという意味では、私はそんなに本質的なことではないんじゃないかなと思っております。
  106. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 渡辺大臣はいかがですか。
  107. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 木俣委員先ほど来御指摘の身分保障という観点からいきますと、いわゆる政治任用には身分保障は付かないんだろうと思うんですね。一方、メリットシステムといいますか現在の試験選抜システムでいきますと、これは公務の公正さや中立性を確保するために身分保障というものが付いてくると、こういう整理であろうかと思います。  日本の歴史でいきますと、たしか大隈内閣のときに政治任用を導入をしたのだと思いますが、これが猟官制度と言われて内閣のとんざとともに、たしか次の内閣は山県内閣だったでしょうか、これが排除をされて、現行の原型となるメリットシステム、身分保障制度が確立をしたとどこかの教科書に書いてあったのを思い出します。  いずれにしても、我々が目指す公務員制度改革は、アメリカをモデルにするわけでもございません。言ってみれば、日本型の官民交流を促進をした公務員制度であって、身分保障を取っ払ったものを今回お示しをしたわけでは全くございませんで、公務員の身分保障というのは今回の改正案の中でも維持をされているところでございます。
  108. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今大臣から官民交流ということを言われたんです、午前中の質疑にもありましたけれど。要は、これはだから平成十二年以来、官民人事交流の実績でいいますと、官から民というのがこれ二百五十一、それから民から官というのが五十六。逆、どっちですか。  いずれにしても、合わせてもトータルでも三百程度しかないわけですよね。これ、多いか少ないかということでありますが、こういったものって、数値目標を立てて交流をこのぐらいまで伸ばしていきたいというのはあるわけですか。
  109. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 官から官の交流は数値目標を何年か前につくりまして、幹部公務員の一割を官官交流でやっていこうということにしたわけでございます。これは御案内のように数値目標が達成をされました。  さらに、次の目標といいますか、私が経済財政諮問会議で何か月か前にお話し申し上げましたのは、さらに官官交流の窓口をもっと民間にも広げてはどうかということを提案をしたことがございます。ただ、現行制度の下ではこれは各省の判断にゆだねられると、こういうことでございますから、民間からの公募についてはまさしく採用から退職管理に至るまでの公務員人事制度のパッケージの中で議論をされていく問題であろうかと思います。
  110. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 失礼しました。  要は、官から民が五十六、これ七年の累計ですね。それから、民から官というのが二百五十一だから五分の一ということで、やはりまずは比率が非常に少ないということと、全量ももうちょっと、例えば官から民こそ、要は民間が今効率的にこうやっているという観点からすれば伸ばしていくべきだと思いますけど、これは大臣、どうですか。大臣
  111. 大野松茂

    ○副大臣(大野松茂君) 今御指摘ありましたように、官民人事交流法においてこの促進をしているわけでございますが、実態の上での数字は今御指摘のとおりでございます。  実は、更に官民交流を進めるという動きをもちまして、この五月に総務省の私の下で、国、経済団体、有識者等から成る官民人事交流推進会議を立ち上げたところでございます。この会議を通じて官民双方から様々な御意見を承りながら、更に官民交流の拡大の方策について検討していきたいと、こうしているところでございます。
  112. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、だからね、目標というか、検討をいろいろなところでされるのはいいんだけれども、今数字を挙げたとおりで、例えば官から民というものが今大事だということでこの法律もなっているということからすると、要は民から官というのは五倍あると、民から来ていると、これは逆じゃないかということを言っておるわけなんですよ。これはそういう認識ですか、少ないと。だから、官から民にもっと行けと、そういう認識ですか。どうですか。
  113. 大野松茂

    ○副大臣(大野松茂君) かかる事柄についてもいろいろな角度から検討をしております。その中で、行政需要が増大する中で各府省におきましても人材を派遣する余裕はなくなったと、こういう声もございます。それと同時に、民間企業においても官民人事交流制度が十分にまだ知られていないということもありますものですから、こういう形の中でそれぞれの意向などを承ることも大事だと思っておりますが、しかし一層その交流を進めていくことの意味は大きいと思います。
  114. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ちょっと副大臣というより、内閣全体の話として官房長官にちょっと伺いたいんですが、今、要は官から民が実績七年間で五十六人、官から民が。民から官が二百五十一人で五倍になっていると。だから、もっと今この法律であるように、効率主義とか市場主義とかいうものを学べと、役人がということですよね。だったら、もっと派遣して勉強したらどうですかという、そういうことを言っているんですが、今のようなお答えしかないんですが。このアンバランスについて、アンバランスです、インバランスじゃなくてアンバランスについてどういうふうに思われますか。
  115. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるように、官から民に行って民の論理をよく吸収して、官でそれを生かせ、その考え方は私も賛成でございます。なぜ進んでいかないのかという問題でありますが、恐らくいろんな背景があって一時より減ってきているというふうに聞いています。ここはやっぱり行き来がもっとあっていいのかなというふうに思っているところでございます。  一方で、そもそもお客さんで官から民に行くとか民から官に来るとかいうことに私は余り個人的には賛成ではなくて、もっとダイナミックに、先ほど来申し上げているように、もう官と民と本当に行ったり来たりできるような、出入り自由の公務員制度というのを私はかねてから申し上げているわけで、お客さんでいるということよりは、やっぱり民にいても官で使える、あるいは官にいる人よりも能力がある人だったらば官で働いてもらうことが国民経済的にプラスになるということは十分あると思うんです。例えば環境の問題などは本当に先端的なところはたくさんありますから、まあ科学技術もそうですけれども、そういう人たちが官で働いていただいて、官の論理も知ってまた民に行っていただくということ、こういうことがやっぱり経済社会のダイナミズムを増すんではないのかと。  そんなこともあって、実は今回、こういうような出入り自由の公務員制度にしていく中で、不正は断ち切っていく、その工夫をどうするのかということをずっと思い悩んできて、今回こういうような法律に仕立て上げて御審議を賜っていると、こういうことだと思います。
  116. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 理念というかお気持ちはよく分かるんですけれども、しかし、実際、給与のトップレベルの層の人材の流動化というのは日本ではそれほどやっぱりまだ起きていないように、私の同期なんかを見ても思います。ですから、官僚だけ、つまり、何というんでしょうか、外にどんどん行けよと、優秀なんだからもっと外で国のために、民間で働いて頑張れよというのはちょっとなかなか難しいんではないかなと私は思うし、この人材交流というのはやっぱり試金石だと思うんですよね。だから、まずそれで試してみて、ああそうかと、じゃおれやれるなとかいうことで例えば行くとか、そういう意味ではこれはもっと増やすべきですよね。官房長官、ちょっとお答えください、もっと官から民にね。
  117. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 私も大賛成であります。
  118. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 もう一つ、これ、私もNGOにいたものですから残念だったのが、これは企業らしいですよね、この民というのは。官から民間企業らしいですね。それからまた、民間企業から官らしいですね。NGOとかNPOは入らないそうなんです。先ほど、午前中、林副大臣がやはりいろんな交流をと言って、民間、NPOも含めたと、こういうふうに言われておるんですけれど、これは退職後の話だったですがね。だけれども、要はNGOとか入っていないということらしいんです。  つまり、NGOから例えば外務省というルートがないと。外務省からNGOというのは何か別の仕組みの中であると。つまり、官民交流では民間企業、別の仕組みで外務省からNGOにまあ査察に行くことはあると、だけれども情報取りにNGOが来られちゃ困るよというような感じに思えるんですが、この辺ってだれに答えていただくといいのかな。外務省。
  119. 深田博史

    政府参考人(深田博史君) 外務省とNGOとの交流の現状について簡単に御説明申し上げますが、御指摘のとおり、外務省からNGOに派遣は、もう平成十四年から始めていまして、八十名ほど今まで行っております。それで、今年度からNGOの方につきましても外務省に来ていただいて、これは短期間ですが研修の機会を持ってもらうと、こういうことを始めております。それで、今年度から始めていまして、五名受け入れまして、大変有意義だったという評価を受けておるところでございます。
  120. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これ、期間は双方同じぐらいですか。何か月ぐらいですか。どうぞ。
  121. 深田博史

    政府参考人(深田博史君) 外務省からNGOに派遣する場合は一週間から一か月ぐらいなんですが、まだNGOから外務省に来ていただくのは、取りあえずいろいろ知っていただこうということで、まだ一週間程度でやっておるということでございます。
  122. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 だから、これは官房長官聞いていてお分かりのように、NGOの応援団ですから、官房長官、そうでしょう、私も知っていますよ。だから、言いたいのは、官民交流って一週間とか一か月ですか。違いますよね、絶対違います。年単位ですね、三年とか二年とか。私の友人も民から官に今来ようとしているのが一人おりますが、これ三年だって言っていました。だから、一週間で交流したというのは、それはパーティーですよね、本当に。  だから、これはちょっとおかしいから是非直していただきたいと。官房長官、是非お答えください。
  123. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 官房長官の立場でこういうことをちょっと言いづらいんですけど、私、外務副大臣のときに今の問題は聞いてみました。今、外務省からNGOに八十名行っているというのは、たしか田中眞紀子さんが外務大臣やっていた、あのNGOとの問題のあった直後ぼんと増えて、最近は余り数が多くないんじゃないかと記憶をいたしております。  NGOと政府というのは、やっぱり対等だと思うんですね。いつまでもお上とNGOみたいな上下関係で考えているからいけないんで、そこのところはやっぱりNGOの論理というものをしっかりと身に付けるためには、二年、三年、フィールドも含めて行っていただくと。そして、また逆に、NGOしか持っていない情報というのも一杯あるんですね。そういうものをちゃんと外務省の中で生かすことによって日本の外交の厚みが増していくと、こういうことを是非僕はやってもらったらいいと思う。そういう意味では出入り自由でいいじゃないかと。アメリカの場合には、国務省、USAIDとそれからNGOなんというのはしょっちゅう行ったり来たりしているわけであって、だからこそ出入り自由にした方がいいんじゃないかということを言っているんですよ。  そこで問題になるのが、じゃ五年間かかわってきた先に行ってはいけないという皆さんのやつだと、あれですね、外務省の人がNGOに行くのは五年間は駄目よというばかげたことが起きると。それから、NGOから例えば無償課に来るなんということはこれは絶対駄目という発想になってしまうので、そういう駄目駄目というんじゃなくて、もっとルールを定めた上で、罰則付きでルールを定めて出入りを自由にした方が、やっぱりずっと木俣先生のお考えも生かされるのではないかと、こう思うわけであります。
  124. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、それは、要するに私今言っているのは交流の話であって、要は下に下りていくというようなそういうあれではないんですよね。いや、だから、要するに今ある制度として官民交流というのがあると、今ある制度としてね。だけれども、例えばこれは民というのは民間企業のことであって、NGO、NPOは入っていないよということを言っているわけですよ。入ってないんですよ、これ、この中に。さっき総務大臣お答えになったのには入っていないんですよ、NGO、NPOが。  だから、今外務省が別建てで交流をやっていますよと言ったけど、一週間とか一か月とか、何を交流するのかなというようなことしかないので、是非もうちょっと長い期間、例えばせめて半年というような期間にこういったものをしたいと、すべきだと思うんですが、どうですか。交流、まずはね。
  125. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 交流は、今先生おっしゃったように長い方が、じっくりやっぱり相手の論理というものを学ぶということも大事だと思います。  ちょっとさっき、NGOに当てはまらないんですが、官民交流法の下では、これ実はクーリングオフは適用になっていないと思うんです。それは元々、関係深いところから来ちゃいけないということになっておるものですからそうなっているので、そこのところもやっぱり私はルールを定めて設けるべきだというふうに思うんです。  つまり、正に一番プロの、民間にいるプロの人が官に来る際には、直接、言ってみれば関係のある監督している先とか、そういうところから来れないということになっているわけでありますので、後は任期付採用の場合にはいいんですけれども、そうすると二年のクーリングオフが掛かると。そうすると、本当によく知っているその分野の人はその分野を監督するようなところには絶対に来れないということになってしまうので、何でかといったら、戻れなくなるからですね。クーリングオフは、皆さんのあれだと今度五年になると言われて、そうしたらもう絶対来なくなるんですね、民から官に。そういうことをなくそうと我々は言っているわけです。
  126. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 だけど、そうすると、今やっている外務省の交流というのはどういう位置付けになるんですか。全くNGOの人が、例えば外務省の無償課、民間援助室かな、どっちへ行くか分からないけれど、その交流はやっているわけでしょう。これはクーリングオフの対象になっていないわけでしょう。だから、同じ論理でできるはずですよ、それは。それはおかしいじゃないですか。今実際あるわけですからね。あるわけですから。NGOにも行っているし迎えている。それが期間が短いから長くした方がいいということを言っているわけですよ。ね、そうでしょう。それは別建てじゃないですか。
  127. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) NGOの整理については外務省から答えてもらおうと思いますけれども、私が申し上げているのは、官民交流法の世界というのは、民間企業との間で直接監督するような先、直接利害関係先からは来れないというふうになっているところが問題だということを言っているだけです。
  128. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ちょっと時間がもうございませんので、地方の天下りというやつを少し考えたいと思うんですが、私、以前から、以前からというか、国それから国の外郭団体、これは非常に明確に、どのくらいの人員が外郭団体におり、例えばそこのサービスの総量もどのぐらいであるということは明確になっております。地方公共団体ももちろん明確になっています。ところが、マトリックスのこの第四象元の地方の外郭団体のいわゆる人員、そしてまたサービス量というのは本当に分からないんですよ、大臣、違いますか。これお答えいただきたい、総務
  129. 大野松茂

    ○副大臣(大野松茂君) 今総務省で把握しておりますことですが、総務省では、地方公共団体が出資している株式会社、財団法人、いわゆる第三セクターや地方三公社につきまして毎年度その実態を調査しております。平成十七年度末時点の調査によりますと、これらの地方公共団体が出資している団体は九千二百八法人あります。そして、その役職員の総数は三十一万九千人となっております。これが実態でございます。
  130. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それは全然僕は違うと思いますよ。ざっと、我々例えばいろんな方と話をしていて、公務員四百万であるならば、その倍いるというような、もう関連した外郭も含めて。まあ倍って一・五倍ぐらいはいるという推計を出していますよ。  これは調べるつもりはあるんですか。これはもうずっと言われていると思うんですけれど、いつまでにお調べになるつもりですか。
  131. 大野松茂

    ○副大臣(大野松茂君) 先ほど申し上げましたように、毎年その実態を調査しております。その結果、ただいま申し上げましたのは、平成十七年度末時点の調査によりまして、平成十七年度末の数字につきましては、そのまた結果は集約できるものと思っております。
  132. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、だから毎年というのは、それがだから実態ということで、確定ということですか、十七年末では。そんなばかな話があるわけないじゃないですか。こんな三十一万九千人なんていう数ではないですよ。専門家にそういうのを聞いた方がいいんじゃないですか、副大臣。はい、後ろの方、じゃ。
  133. 上田紘士

    政府参考人(上田紘士君) 申し訳ございません。  総務所管でございますが、公務員とちょっと違いますので、ちょっと少しずれますけれども、ただいま副大臣から御説明申し上げましたのは、第三セクターに関する調査につきましては、一定の、出資が何%以上とか、そういうような一定の基準に該当するものに限って調査をしておりますので、そういうものにつきましては今副大臣申し上げたとおり、びしっとその数とそれから職員、それからその中に地方公共団体から来ている人が何人いるか、そういうことはデータを持っておりますけれども、いわゆる出資法人の中には、例えば地方公共団体で株を買っている法人というのは実はたくさんありまして、例えば私の経験で申しますと、ある県で地元の放送局の株券を持っていて、出資法人ということになるとそういうところも出資法人になってしまったりする、そういうこともありますので、出資率二五%以上というような一定以上の地方公共団体が関与できる法人という観点から数値をしっかり押さえているということでございます。
  134. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 では、それを確認しますが、出資率二五%以上だったらこの数字と、これは絶対間違いないですか。
  135. 大野松茂

    ○副大臣(大野松茂君) ただいま私が申し上げましたこの数字は、出資しておりますところの法人すべてでございます。それがこの九千二百八法人になります。
  136. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 本来、質疑をするつもりはありませんけれど、後、明確なものを、何か後ろでごそごそ言われていますから、理事会に提出してください。委員長、お願いします。
  137. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 理事会で協議します。  政府参考人、ちょっと後ろ、声大きい。
  138. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 私は何を言いたいかというと、今回例えば、あしき天下りが国の方ではなくなると、官房長官も言われた。だけれども、じゃ地方はどうかということを考えたいということなんですね。そうすると、今までのような二年、五年のこの再就職のものも法的にはなくて、全国知事会が平成十八年十二月十八日にガイドラインとして一応、最低二年間は職務上関係のあった企業への再就職を制限するということのみなんですよ。  さらに、現在、現国会に地方公務員法の改正案提出されて審議されようとされておりますけれども、いわゆる罰則規定であるところの百六条の二に当たるあっせんの規定ですね、現職の。こういったものはこの中に入っていないと聞いているんですよ。この規定は入っていないと。そうすると、国の方ではしっかりやりますよ、だけど地方の方ではそうなりませんよという話では困るじゃないかということを私は言いたいんだけど、これは総務大臣、お答えください。
  139. 大野松茂

    ○副大臣(大野松茂君) 今般の改正案におきまして、今御指摘のありましたように再就職のあっせんや現職員の求職活動、こうしたことについては国の退職規定に準ずるわけでございますが、この二年間ということにつきましては全国知事会からもそのような要望……
  140. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 あるかだけ、ちょっと時間がありませんからね、あるかないかだけ言ってください。
  141. 大野松茂

    ○副大臣(大野松茂君) はい。この規定の中には、特に二年ということはうたっておりません。
  142. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これは渡辺大臣に伺いたいと思うんですが、地方のあしき天下りもこれなくすわけですよね、なくさなきゃいけないと思っていますよね。違います。国だけでいいんですか。地方のあしき天下りもなくさなきゃいけないと思いますよね。どうですか。
  143. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 地方の方は定年まで勤める人が多いとよく言われております。天下りの実態については先ほど大野副大臣が御答弁されたことと思いますが、いずれにしても、今回の国家公務員改正案の趣旨は地方公務員法の改正案にも生かされているものと考えております。
  144. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、そうじゃなくて、百六条の二という大変大事な条項、条文が今審議されているものにあるんだけれども、あっせん禁止というのは。しかしながら、地方公務員法の改正案にはないんですよ。要するに、もうどうぞという、もう自由にそのままやっていいという話じゃこれは困るでしょうということ。そうですよね。だから、それだけは決意を言ってほしいんですよ。中央はいいけど地方のあしき天下りは、うん、そのままどうぞという話ですかということ。これは大臣答えてください、是非。
  145. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 地方公務員の場合は、先ほど来お話がありますように、国家公務員の規制とは違った仕切りになっているんだろうと思います。例えば、国家公務員法百三条のいわゆる待命期間という規制が地方公務員においてはございません。そのような沿革も考慮した今回の地方公務員改正法案になっているかと存じます。
  146. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 最後になりますけれど、申し上げたいのは、結局お答えになっていただけないから残念至極という感じなんですね。つまりは、中央のあしき天下りは、それはひょっとしたらできるかもしれないと。しかしながら、地方の天下りはもう全然、今審議をされているものですらそれ条項がないという、そういうのがはっきりしたわけで、それは地方は地方の話だよと、変なところだけ地方分権というんじゃ、ちょっとこれは駄目だと思うんですよね。だから、能力給のこともはっきり、これはそうではないということがはっきりしたし、地方の天下りについてもこれはもうそのままだと。  実際に、例えばこれは経団連の資料ですけれども、全労働者の平均賃金、四十・三歳で平均月額が三十万円、三十・二万円ということ。だけれども、例えば地方公共団体が四十二・六歳で三十六万八千円、こういうこともやはりいろいろ地元、まあ我が地元でもこれはちょっとどうだろうかということが言われています。  片方で、いわゆる頑張っている人もおしなべて一緒になっちゃうというのはいかがなものかというふうになっている。だから、この辺を民間にどんどんどんどん、要は就職のとき、職を探すときに民間にどんどん優秀な方が行ってしまっては日本としても困る。だから、役人でも頑張る人はやっぱり高給をもらえばいいと思う。  ただ、汚職をしたら、シンガポールのあの方式じゃございませんが、徹底的にそれをもう排除するというような、やはりもう少し能力制度をしっかり明記しなければ、とても我々は、やはりこの法案については賛成することはできないということをお伝え申し上げて、是非官房長官も、これ地方そのままでいいってわけないわけですから、その辺りもしっかり申し伝えながら、次の同僚に代わりたいと思います。  以上です。
  147. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございます。民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。  木俣委員に引き続きまして、提案されています公務員制度改革関連法案、これについての質問を続けたいと思います。  木俣委員は経団連御出身ということですけれども、私は連合ということでございまして、別に敵味方というわけじゃないんですけれども、労使がいろいろ真剣に議論をして、正にいい国をつくっていこう、いい制度をつくろう、いい企業をつくろうと、そういうことで戦後いろいろ実績のある努力をしてきたと、そういうことも踏まえながら私は質問の大きなテーマをつくっていきたいと、このように思います。    〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕  そこでまず、衆議院でもいろいろ議論がされてきましたけれども、相当論点は整理されてきたのではないかと、このようにも感じております。私なりに考えてみますと、一つは、現在の公務員制度時代に即した、いわゆる二十一世紀型という言葉を使われていますけれども、リニューアルをしていこうということから、特に能力主義、実績主義を本格的に導入していって、公務員公務に携わる皆さん方の働くすべてのステージでそれなりに意義のある制度をつくっていこうと、こういうことで国会の中で議論をしているのが一つ。  二つ目は、これは随分議論されましたけれども、天下りというこの問題についてどう対応していくのかと。官民人材交流センターとかいろいろなアイデアが出ていますけれども、それが本当に今国民がやめてほしいと期待していることに的確にこたえられるのかどうかという課題。  三つ目は、そういう天下り人事が発生する大きな要因となっています人事管理上の一つ、これは渡辺大臣も、別に法律に書いてあるわけじゃないんだけれどと言われる早期退職勧奨という、いわゆる肩たたきということが本当に一番大事な組織運営のように行われてきたという、ここをどうするんだと。  それから四点目は、そういうふうな改革をしていくことの中で、公務員皆さん方の雇用の問題、労働条件の問題、働く職場、やりがいの問題ということを含めて、若い皆さん方にも、手を挙げてやってみたいと、こういうふうな意欲のわく制度というふうなものを本当につくっていくのかと。おおよそ四つのポイントがある、このように私は考えます。  全部やってもしようがないので、私は特にその中で、人事管理制度なり、能力主義だとか、あるいは魅力のある公務の在り方とか、こういうところに集中して今日は御質問をしたい、つまり公務員制度における能力主義、実績主義の導入、これについて私なりの体験を交えながら御質問をさせていただきたいと、こういうふうに思います。    〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕  そこでまず第一に、公務員に求められる資質、能力評価制度ということがテーマでございますけれども、端的にお伺いをしたいんですけれども、現行、六十年間やってきたこの制度公務員制度、これ弊害がある、問題があると、だから変えようということですよね。何が問題なんですか。現実にどんな弊害が出ているんですか。例えば、コスト主義がないとか、縦割り行政じゃないかとか、そういうふうにいろいろあって、省あって国なし、局あって省なしと、こういうふうないろんな形で言われてきたことを含めて、まず率直に渡辺大臣として弊害は何なんだと、ここを具体的に整理をしてお話をいただきたい。
  148. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) まず、国家公務員になる人というのは成績優秀な人が結構多いと思うんですね。試験も、難しい試験をくぐり抜けて合格するわけでございます。  いみじくも委員が御指摘のように、法律には書いていないやり方人事慣行が行われております。試験区分Ⅰ種、Ⅱ種に応じて、Ⅰ種の方はやたら昇進のスピードが速いとか、あるいは入省年次に従って人事が行われていく、いわゆる年功序列人事ですね。結局、こういうものが何を生み出しているかというと、同期横並びのスーパー護送船団方式になっているわけであります。その中で肩たたき慣行が起こるわけでございます。課長ぐらいまでは全員キャリア組は横並びで昇進できますが、指定職になるとポストが足りなくなるということで、受皿を探して人事の一環として天下ると。そうすると、天下った先というのは、スーパー護送船団方式でありますからなれ合いなんですね、談合体質。先輩が肩身の狭い思いをしないようにというんで、税金を使って天下りOBの面倒を見るというとんでもない弊害が生じてしまっているのではないでしょうか。  そこで、我々はこうした慣行を排除をする。一つは、能力実績主義を導入すれば年功序列というのはなくなりますよねと、肩たたき慣行というのは専門スタッフ職の導入と相まって自然消滅するではないですかということを提案をしているわけでございます。  それだけではございません。今の天下りというのが人事の一環としてスーパー護送船団方式で行われているわけでございますから、まさしくこのところを全面禁止をしてしまう、一回目のあっせんも二回目のあっせんも三回目も全部これは禁止であるというすごい規制を導入をしようとしているわけでございます。そういたしますと、この再就職支援の機能というのは各省から内閣に一元化されるわけでありますから、各省縄張主義の弊害もここで取り除かれていくではないかということであります。  現役の時代能力実績主義、再就職するときも能力実績主義という形で一貫して行われていくようになりますし、正に今の弊害、すなわちなれ合い、談合体質が排除されて、ガバナンスの利いた、緊張感にあふれる官と民との関係、公務員世界が生まれてくるものと考えます。
  149. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 大臣、今大臣がとうとうとお話しになったことは、本会議場で趣旨説明において私はお話しされることについてはそういう説明は受入れいたしますけれども、やはり委員会のこの議論に入ってきて、質問する方もいろいろときめの細かい、言ってみたら非常に詳細な点も含めて質問を作っていきたいと。やや、ややというか、今申されましたこの六十年間、日本国の公務員皆さん方が仕事をされてきた歴史的経緯、そういうようなことを踏まえたときに、今総括された言葉だけでは、私はちょっとこれはバランスを欠く部分もあるんじゃないかと。ややきめが粗い。  やっぱり私は、そこのところは、今いろいろ言われた、例えば談合体質、なれ合いになっているという、しかしこれは談合を引き起こしている、そういう天下りという問題があることは分かりますよ。だけど、今省庁でお仕事されていて、法律を作って省庁間協議をかけて真剣にやっている、そういう皆さん方がなれ合い、談合体質ということではないと思うんですよ。この点、どうですか。
  150. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 正に公務に携わる人たちが高い志と気概を持って、また情熱を持って仕事をしていくことが必要であり、実際そういう人が圧倒的に多いんだと思います。先ほど委員の御質問の中に、弊害は何かという御質問でございましたので、私はあえて弊害の部分を取り出してお答えをしたわけでございます。  大多数の国家公務員は志も高い、やる気もある、情熱もある。ただ、そういったやる気と情熱と気概が本当に生かされているだろうか、一〇〇%完全燃焼できているだろうかという思いをいたすときに、やはり弊害の部分に目をつぶるわけにはいかないということで申し上げた次第でございます。
  151. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 では、じゃ整理をいたしますと、大部分の公務に携わる皆さん方は汗水流して、大臣の目から見ても満足のいく仕事ぶりだと、大部分は。問題は、やっぱりそうでない、例外的か少数か分かりませんけれども、問題の部分があるから対応せないかぬという理屈なのか。それとも後段言われた、本当にもっともっといい仕事ができるための、そのことをエンカレッジする、激励をし、勇気を付けていくという、そういうシステムを、言わば前に向かってどんどんどんどん回していくということをねらいとしてこの制度をつくっていかれるということなんですか。それは、見方によって随分方法論は違ってくるということを私は申し上げたいために今お聞きしたんです。  ただ、報道を通じて、あるいはここ数年間、不用意な公務員バッシングということが必要以上にこの国の公務に携わる人たちのプライドと自信、やる気、そういうようなものを私は傷付けていないのではないか、そこのことについてやっぱり懸念を持つわけなんです。  やはりそのことを含めて、大臣がガバナビリティー、統治者としての統治を言われるならば、一つはやっぱり、しっかりと今の制度を支えて、残業代も出ないのに夜遅くまで仕事をして、正に志を持ってやっている人たちに対するまず正しい認識と理解、そのことから私は制度を出発させないと、一生懸命やってくれている皆さん方は、これ成功例でしょう、我が日本の官僚組織運営の中において。だから、そこのところを是非とも、あなたのその力強い、説得力のある、場合によっては壇上から転げ落ちんばかりのその表現力をもって、私はもう一歩そこはしっかり受け止めてもらうということがまずこの改革に当たってのスタートラインだと、このように思うわけであります。  さて次に、じゃ、今まで弊害だったという年次、年功序列、横並び、キャリア、ノンキャリア制度の問題点と今言われました。そのことについて、この六十年間、我が国の歴代のお役人の総元締である総理大臣以下内閣、それは何もしなかったんでしょうか。今までいろいろな措置をされてきて、対応策を打ってきたというようなことについて少しお話しいただきたいです。
  152. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 現行制度でも人事権の最高責任者は大臣であります。では、大臣人事権をきちんと行使しているかというと、人事権を行使する以前に自分人事権を行使されて首になってしまうという時代が長く続いていたと思います。  小泉内閣においては一内閣一閣僚という大方針を打ち立て、一〇〇%このとおりにいかなかったわけでありますが、相当今までのやり方とは違ってきたのも事実だと思います。その小泉内閣において公務員制度改革の試みが二回ほどあったのは御案内のとおりであります。残念ながら、この二回とも成案を得るに至らなかったわけでございまして、我々は、その小泉内閣公務員制度改革を引き継いで安倍内閣においてこれを実現をすべく、今、今国会法案提出をさせていただいているところでございます。  問題の一つに、試験区分によって厳然として今人事の区別があるわけでありますが、こういうことはもうなくしましょうということを法案の中にはっきりと書いてあるわけでございます。こういうこともかつて是正が試みられたことがないわけではないと思います。例えば、一九八〇年代前半だったでしょうか、お札の改刷を大蔵省がしたことがございました。旧札と新札を両方印刷をする印刷局においては大変な労働過重になる。時の大蔵大臣が本省の印刷局長はノンキャリがいいではないかと考えて、当時の東北財務局長にあったノンキャリの方を大抜てきをしたわけであります。このときは大変な摩擦を生みました。しかし、この人事が行われて一年後には、その印刷局長、石井直一さんという方でございますが、組合も含めて留任運動が起きたということがございました。  したがって、現行制度でもきちんと大臣の情熱と突破力をもってすればできないことではなかったのかもしれませんけれども、やはり岩盤の方が非常に強かった、法律に書いていない本音ルールというものがいかに強硬で打ち破り難いものであったかということではないでしょうか。  したがって、我々は今回の法案の中で、法律に書いていない実態的なルールの中で弊害を生み出している問題、先ほど申し上げました年功序列主義とか各省割拠主義、こういったことについてははっきりと打破をしていこうという方向性を持って今回の法案提出をさせていただいたところであります。
  153. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今大臣の御説明の、お話の中で引用されました造幣局の人事の話、それうまくいったわけでしょう。
  154. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 印刷局。
  155. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 印刷局ね、うまくいったわけですよね。できないことじゃなかったけれども、やればできるかも分からないと。それから、先ほど同僚議員の質問の中にもありましたけれども、やっぱり十万、二十万給料を上げることもできないわけじゃないんでしょう。問題は、そういうふうなことが果たして法律事項、そういうふうなことの変更によってのみなし得るのか、逆に言えば、それをやったら必ずできるのかというところが実は組織運営で一番難しいことなんです。  これは、私どもは、三十何年私もやってきたんですよ、民間企業の中にあってね。あるところは民間企業もお役所も変わらないんです。これは制度がどうだこうだということで幾ら制度をいじくり回しても、なかなかあなたが言っている岩盤というのは、ばあんとはね返してくるということはそのとおりなんです。  そのときに、どういう問題の提起、立て方、アプローチの仕方をつくっていくかというところにこの手の仕事をするときの職人の腕の見せどころがあるわけですから。だから、そこがやっぱりポイントは土壌なんですよ。法律制度に由来しない、しかし土壌と言われる、組織風土と言われる、この訳の分からない妖怪のような怪物のようなこのものをどうやって変えていくのかというのが正にポイントでしょう。それこそあなたが言っている岩盤なんですよ。今、あなたは岩盤を、この法律を参議院で重要広範にもかかわらずつい最近送ってきて我々迷惑しておるんだけれども、よく考えてくださいよ。この法律だけでぴしっといくということじゃなくて、あなたの説明を聞くほど、やっぱり岩盤を何とかせないかぬということなら、この方法論はやっぱりいろいろありますねと。  だから、後で我が郷土のヒーローである塩崎長官にも意識改革ということで私はお尋ねをしたいということで質問を構成をしてきているということですから、別に私はけちを付けるとかそういうことではなくて、本当にこのことを議論するならば、問題の大きさとともに、その方法論をやっぱり相当巧妙に丁寧にしっかりやっていかなきゃいけないんですよと、多分同感されると思いますけれども、ということでお伺いをしたわけです。  さて、三つ目に、じゃ、官民交流のお話も出ました。官民交流も、あれは役所の体質を変える、風穴を空けたいということで始めたことなんですからね、あれは。そこで、官民交流だとかいろんなことを言われますけれども、じゃ、お役所仕事というのは、業務構成あるいは職務構成と言われていますジョブストラクチャー、これは一体どうなっているんですか。  日本とアメリカの企業で一番違うのは、職務についての記述書が日本の場合はほとんどないんです。会社の規則で総務課長は何とか何とか、総務についてその他全般を扱う、会計は経理と原価計算と何とかをやるという、職制表によって記述されている説明書きのようなものなんです。その次のレベルで職務権限と職務の範囲、やるべきこと、やってはいけないこと、気を付けないかぬこと、そのことについて、やっぱり職務記述ということをこれは相当きめ細かく分析をして記述していくと。その上で人事交流は可能なんですよ。  私は電機会社におりましたから、電機会社たくさんありますけれども、経理の仕事は専門家だから、専門職だから、A社、B社、C社、どこに行ったってその経理という仕事が通用するのかしないのか。する場合もありますけれども、しない場合も多いんです。なぜかというと、経理の仕事の中でも原価計算とかいろいろありますけれども、半分以上は結局工場の配置だとか人的な環境がどうなっているとか、そういうきめ細かな事情に由来する知識でもって初めて経理の職務能力が遂行できると、そういう構造になっている場合もあるわけなんです。  したがって、私は林副大臣にお尋ねしたいのは、能力主義、実績主義、この後この定義についてもお伺いしますけれども、仮にそういうふうなものを導入したり、官民交流を促進したり、いきなりの抜てきをやって組織の活性化を図るとかそういうふうなことをするときに、やっぱり大事なことは業務構成を明確にして、責任と権限、そのことをはっきりさせるということが基礎作業として必要ではないんでしょうかということで、お考えをお伺いしたいと思います。
  156. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 大変大事な御指摘をいただいたというふうに思っております。  今先生のお言葉を聞いておりまして、私の限られた経験でございますが、商社へ勤めておりましたときに、我々はもう最初から営業部門に行きましたけれども、営業経理という部門がございまして、そこは営業の者と一体となって、その営業をよく熟知した上で、商いと言っておりましたが、その商売についての経理をすると。しかし、もう一つ本部経理というのがありまして、こちらは会社全体としての損益計算書ですとかバランスシートをきちっと最終的に作っていく。この営業と営業経理の間でもかなり緊張を含んだやり取りがございましたし、今度は営業経理は、いったん納得してくれますと我々の顧問弁護士のように本部経理と掛け合っていただくと、こういうような緊張関係の中でやっておったわけで、今の先生のお話からいきますと、外で経理マンとして汎用性があるのは多分本部経理の方だろうなと思って聞かせていただいていたわけでございます。  そのときもいろいろ中でも議論をした記憶がございますけど、正に業務規定書といいますか、ジョブディスクリプションというのを日本の企業というのはなかなか事細かにしないで、大部屋主義でみんなでチームワークでやっていくと。このことは八〇年代には一時脚光を浴びまして、アメリカの企業の方がそういう方がうまくいくんだということで、社長と工場の人が同じところで昼飯食うだけをまねしてうまくいかなかった例もございましたけれども、どちらがいいかというのはその世界でもなかなか定まらないところだろうと思っておりますが。  一方、公務世界、行政組織の中では、いわゆる価値判断のない言葉としての官僚主義というのがございまして、内閣の統括の下に任務、それからこれを達成するために必要となる範囲の所掌事務を有するそれぞれの行政機関というのがあって、これを系統的にピラミッド型に構成していくと、こういうふうに形づくられているわけでございまして、一番上にあるのが国家行政組織法、そしてその下に各府省の設置法、その下に組織令、組織規則、訓令というふうにだんだんだんだん下りていって、事細かに所掌事務や職務が明確に規定をされているというところでございまして、これはある意味では我々が経験したときの民間企業とは少し違った世界であろうと、こういうふうに思います。  一方で、先ほど木俣先生との御議論の中でもあったように、現行法は職階制というので、横の並びと縦の並び全部マトリックスで、それぞれ一つずつジョブディスクリプションを作っていこうという壮大なことをやって、法律自体もできるところからやっていいですよというようなことになっているというぐらい難しいことをやろうとしていたわけで、実際はそれが余りワークをしていなかったということでございますので、今回は正に職制上の段階という横のところに注目をいたしまして、政令ということになりますけれども、例えば課長補佐とか課長という、いわゆる職制上の段階というものが、まずこれを標準的な官職ということで確認的に定めまして、こういうところにあるためには一体どういうことが要求をされるという仕事になるのかと、こういうことを標準職務遂行能力として定めていこうと、こういうふうにしたわけでございます。  今後は、職員の昇任等の際には、任命権者は、任命しようとする官職に必要な標準職務遂行能力、適性といったものがあるかどうかというのを判断していくということがこの新しい仕組みの中で変わってくるわけでございまして、今までは職階制をやるということになっておりましたが、ない中で、先ほど大臣がお話のありました石井直一さんみたいな方を非常に大きな決断でもって例外的にやらなければならなかった。もう少し客観的な基準でもってこういうことが、本当の標準職務遂行能力やそれに基づく評価に基づいてきちっともう少し日常的にできるようにしていこうというのが今回の法案の中身であろうと了解しております。
  157. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 営業経理、私どもは工場経理という名でありました。  今お話を聞いて私は非常に強く思うことは、電機産業のパソコンと自動車産業の自動車、自動車は日本のメーカーのやつは随分売れて競争力がある、パソコンは今ほとんど海外のメーカーが主力になっている。それはどこが違うんだと。パソコンというのはユニット、モジュールですね。モジュールに入る信号と出ていく信号と全部これは規定がされていると、こういうふうなことですから、これはどこのモジュールを使っても、どこのメーカーを使ってどこの国を使っても全部それは使えると。相性が悪いとか悪くないという話はあったとしても基本的には使える、だからもう組合せ物づくりなんです。  今大臣もさすがすり合わせという言葉を使われた、自動車はすり合わせだと。ドアとシートをぱっと持ってきて合わせてかぽっという、これは駄目なんだと。やっぱりセルシオはセルシオの風格を出すためにきちっとやっぱりそういうすり合わせをしていくと。ジョブストラクチャーも、実は今言ったユニット的に、モジュール的にきちっと記述定義してやっていけるケースと、すり合わせ的にせざるを得ないという職務ということがやっぱり現実にあり得るんですよね。  今言われましたように、課長補佐だとか課長級、私は、課長級になるとちょっとその職務というのは相当応用範囲が広いんでなかなか難しくなってくると思うし、そういうところまで無理に職務記述書を作る必要もないし、そういう迷宮に迷い込んでも無駄ですから。だから、そういうふうな部分についてやっぱりすり合わせ的な要素も残したような運用というようなことも必要になってきますねと、こういうふうなところを少しお話し申し上げて次の質問に入りたいと思います。  そこで、仕事ということがある程度明確になったし、一方、その仕事に合わせて職階表という支払うべき給料に関係するような仕組みもできてきたと。そうなったときに私は一つ疑問があるのは、お役所で言う上司というのは何なんですかと。何なんですかって、批判して言っているんじゃないんですね。私は、民間で上司というのは業務命令を出す人間なんです。そして、そのことによって発生したことについて責任を負う人なんです。だから、課長、部長、もうオールマイティーとは言いませんけれども、相当大きな権限を持っているんですよ。うちも忙しいんだけど、何か電気製品でリコールが起こったから後始末に三百人要ると、うちからも二人出すと、それは部長命令、課長命令で出すことはできる。そういう臨機応変に人をいろんな形で使っていく業務命令、指示が結構フットワークがいいというか臨機応変にやっていけるという体制が、これは民間企業の上司たる者は持っている。場合によると、査定権持っている、人事考課権持っている、人の異動についても進言することができる、そういうふうに非常に大きな力を持った上司というのがあるんですけれども。  この公務における上司と言われている皆さん方の業務命令権というのは、一体どういうふうに裏打ちされてどういう中身を持っているのかについてちょっとお伺いしたいなということで、これは総務省人事・恩給局長さんの御担当だということでございますから。
  158. 戸谷好秀

    政府参考人(戸谷好秀君) 大変具体に即してということになりますとなかなか御答弁うまくできるかどうか、国家公務員法上の規定ということで少し私として御報告したいと思います。  職員の方には、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないと、こういう義務がございます。この義務がございますが、一方、国家公務員法の九十六条でございますが、これにより、職員国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務する義務を負う、また同法の九十八条によりまして、職務の遂行に当たり法令に従う義務を負うということでございますので、上司の職務上の命令もこれらの趣旨に沿ったものであることが当然求められるというふうに考えております。  それから、公務は能率的な運営がなされなければならないということから、上司には職員に最大の能率を発揮して職務に取り組ませるということも法律上求められているというふうに考えております。
  159. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今、法律に基づいて御答弁をしていただきました。  だから、お役所公務部門における上司というのは民間で言う上司とは少し性格が違うし、仕事をする側からいくと上司が二人おるんです。生きた人間の上司と、もう一つ法律、規則という上司があって、一人一人の人はそれにやっぱり相当強い、牽制されているというんですか、束縛されて仕事をしているということがありますねと。ここは私少し押さえておかないと、やっぱり実力主義だ、能率だ、そして業績だという議論がこれいたずらに走り出しますと、今持っている、今言われた上司たる者が何なんだと。こう言ったときに、法律という、国会が定めたこの規則に従うという性格が、やっぱり働く人たち、公務に働く人たちには全部網の目のように覆いかぶさっている。それを背負ってやっているということの中でこの人事処遇制度なり公務員制度というふうなことはやっぱりとらえていかないと、通常、世の中で言っているような実力主義、実績主義という議論だけでは収まらない。だから身分保障の問題も当然出てくるだろうし、私はそういうふうなことを少し頭のどこかに置いていただきたいということで、そういうことがありますねと。  それから次に、先ほど出ました、身分制度と私は呼んでいるんですけれども、キャリア、ノンキャリアですよ。二十二年前に私は全民労協の事務局に兵庫県からやってきて、その日から霞が関の皆さん方とのお付き合いが始まったんです。知らなかったです、キャリアというのは。キャリアといったら何かこう、お船のこともキャリアと言うしね。これは、職務経歴がキャリアだと言ったらそうじゃなくて、言わば身分の違いを表す言葉がキャリアだったと。霞が関にはキャリアという人種がいるらしい、ノンキャリアという多くの方がおられる。  私は最初、何という世界だと。身分制度の近代化というのは、戦前の職員、工員、これは身分制度を各企業持っておったんです。工員は日給制、職員は月給制。戦前からそうだったんです。財閥系の企業は全部そうだったんです。そういうことの中で、工場における身分制度、近代化というのは、工員、職員の身分差別撤退ということをずっと我々はやってきて、その中で試験制度、資格制度、処遇制度というふうなことの近代化をやってきた。しかし、やっぱり大卒で入った人は優秀な成績を修める確率高いですよ、相関性は。これ、学歴が相関性ないんだったら、学歴って何だと、大学行ったの損したと、やっぱり教育の効果性問われるわけですから。  そういう要素はあるけれども、しかし当然、高卒であっても、技能工として入って、中卒の人が入ってきても、やっぱりできる人はできるし、その人たちの研さん、努力にインセンティブを与えるという意味での社内におけるいろんな議論を、工夫の中からやっぱり登用制度というふうなことをつくっていくわけですよね。養成工という技能工からでも所長になることはできるんだと。そういうふうなことを含めてやっぱり社内の中の活性化を図ってきたという歴史的な経過があるわけです。  さて、このキャリア制度ということを、私、そういうふうな意味で非常に否定的に見ておった時代もあったし、しかしキャリア制度が支えてきた日本の政策立案、これだってやっぱりあり得るわけですよね。だから、ここは一回率直に、このキャリア、ノンキャリアの制度についてどう考えるんですかと。実はこれ、一年前、前の通常国会のときの、行革国会ですか、私、質問をさせていただいた。  それはともかく、本日時点において、渡辺担当大臣にお伺いしたいんですけれども、率直に言って、このキャリア、ノンキャリア、朝のテレビのワイドショーでも話題になったり、誤解のあるところもあればいろいろなこと言われていますけれども、少し総括をして御見解をいただきたいと思いますけれども。
  160. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほど来申し上げておりますように、こういった試験区分に基づく人事慣行というのが法律には書いていないわけでございます。一方において、いわゆるノンキャリであっても大変優秀な人がいるんだと思います。したがって、ノンキャリで企画立案能力があるという人を生かさない手はないと思うんです。今回の法案では、はっきりと書いておりますのが、採用試験の種類や年次にとらわれてはいけないということであります。正に能力実績に基づいた人事を行うということにしているわけでありますから、Ⅰ種採用だから人事評価が良くなくても昇進するんだと、これはもはやあり得ないということになるわけでございます。  いずれにしても、委員のおっしゃる身分制度というものは、法の規範には書いてないことでございますから、我々はきちんと規範においてこうした岩盤を突破しようということを考えているわけでございます。
  161. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今の御答弁はそのまま、身分制度という岩盤を突破すると、それはそれで私は是としたいと。  更に議論をしたいのは、今、実力があれば、実績があればと言われましたけれども、民間企業もお役所も、やっぱり仕事というのは一人でやっておるわけじゃないんだし、いい情報をもらわないかぬのだし、情報を与えたりもらったりギブ・アンド・テークで人間関係を構築していく中で、強い集団、グループ、そういうふうな仕事をしていく上でのいろいろな工夫をしていくわけでしょう。そのときには同級生だったかも分からない。  そういうふうな生きた仕事が現実やられているという仕組みの中で、端的に、キャリア制度が悪いからそれを壊せばいいということ。大臣が先ほどお答えしたのは、一つの対応策として、優秀な人はたまには抜てきしたらどうだと、試験区分とは関係なくということはそのとおりなんです。だけれども、やっぱり今は、この霞が関の中で圧倒的なパワー、力をつくり、そういうネットワークをつくって、場合によったら塩崎官房長官にまで談判に行くような、そういうグループがキャリアじゃないですか。これは現実なんですよ。この現実のキャリア制度なんかあしたにでもなくなるような、そういう議論ではこれは解決策にならないと私は思うんですよ、現実主義的な立場で言えば。  やっぱりそういうふうな、ある種、命懸けとは言いませんけれども、この国の公務、政治、政策のために徹夜なんか何日でもやるぞと。それはそれだけの自分は選ばれた人間だし実力があるという自信なり、またそれを裏付ける力と、そしてネットワークだとか、そういうふうなやっぱり仕組みというものについて、私は、これ単純にそれは必要悪だからない方がいいということだけでは、統治者として、一番大事な公務に携わる、政策立案に携わるブレーンたる、そういう皆さん方を従えていくという日本国の政治をつくり上げることにはちょっとならぬのではないかなということを含めて、単純にキャリア制度のことだけを、今言われた、私が最初に言った身分制度という視点だけで私は処理することではちょっと物足りぬなと。  私は最初そう思ったけれども、二十二年間やっているうちに、やっぱり今日つくり上げた、ある種生き残っている現実というのはそれなりの根拠がある、適合性を持って、淘汰される中で生き残っている仕組みなんだと。それには有用性もある種あり得ると。だから、それを全部そっくり変えていくということになれば、今失われていくそういうものを代替するような私は機能をこの霞が関につくり出していくということをしなければ、いたずらにドリルで穴空けていいということにはなりませんので、そこは是非御理解をしていただきたいと。  時間もあれがありますので、次に、さて、そういうふうなことをつくっていくと、やっぱり実力主義だ、実績だ。何が実力なんだ、何をもって能力なんだ。これ、基本的に差を付けるということなんです。差を付けるということは、評価システムが非常に問われる。だから、ここで評価システムについてお伺いをしたい。  まず、小学生、中学生が言うような質問で申し訳ないんですけれども、皆さん方、ここで言う能力とは何でしょうか。その定義を明らかにしていただきたい。また、能力の測定方法をどのように考えておられるのか。実績主義における実績とは何でしょうか。職種、職場によって動きが違う、個人に帰属する業務、グループでの作業に帰属する業務、いろいろ違いのある中で、置かれている立場がいろいろ変わる中での実績、その測定の仕方って何でしょうかということについて、ちょっと質問が荒くたくて大変申し訳なく思いますけれども、お答えをいただきたい。
  162. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) 今、能力あるいは実績の定義、あるいは測定方法を中心に御指摘をちょうだいをいたしました。  既にここで議論されておりますように、今回の法案の中で、新たに人事評価制度、任用等の人事管理の基礎として活用されるツールとなるものを構築をするということとさせていただいております。能力あるいは実績のそのものの定義ではないんですけれども、人事評価について法律に定めをさせていただいておりまして、それでいきますと、能力につきましては、職員が職務を遂行するに当たり発揮したという、言わば冠といいましょうか、修飾を付けて能力というものを出させていただいております。つまり、人事評価につきまして、職員の職務について評価をするものでございますので、職員の潜在的な能力を把握をするというものではない。これは仮に測ろうといたしましても、恐らくは客観性を著しく欠くということになるとも思っております。測ろうとする能力は、あくまでも職務上の行動等を通じまして顕在化をした、明らかになった能力というものを考えてございます。  それから、実績法律上の言葉では業績でございますけれども、これにつきましては、職員がその職務を遂行するに当たり上げた業績というふうにさせていただいております。つまり、職員が所属をいたします組織におきまして担当する業務の実施結果を意味するというふうに考えてございます。これをどう測定をするかというのが非常に重要なわけでございます。  今現在の法律の中では、勤務成績の評定というものがございます。この現行の法律の範囲の中でございますけれども、既にこれまでにこの評価について今の法案と同様の方向性でもって試行させていただいております。その試行の中で、今の能力実績にちょうど対応するものとして、能力の方については職務行動評価部分という言い方、それから実績の方につきましては役割達成度評価部分と、こういう言い方で人事評価についてトライアルをさせていただいているということでございます。言わばその中で、どうやって測定をしているかということを関係者が協議をしながら実際に検討しているという状況でございます。  じゃ、具体的にということになりますと、職務行動評価の部分、能力の方でいきますと、例えば本省の課長級であれば、事柄の優先順位とか、あるいは全体に与える影響を考慮して適切なタイミングで判断を行えるかどうかというのが一つポイント。じゃ、明確な根拠を持ったタイミングの良い判断を下すということで、この人は実際どうしたんだろうかというようなことを評価する。  それから、実績の方について申し上げれば、役割達成度評価の部分ということでございますけれども、対象となる者が担当しております業務内容ごとに、それに即して課題なり目標なりというのを明確にして、期首の段階でどういうところまで行くのかということを言わば決めて、その達成状況をその後に評価をするというようなことを言わば試行ではやらせていただいた。  この後、更に対象を拡大をして試行を行っていく、もちろん法案が成立をしてということでございますけれども、そういうものをやりまして、実証的な知見を得て、それを踏まえて実効性のある人事評価制度を構築をする、それを基にして能力実績というのをきちんと把握をすると、こういう考え方でございます。
  163. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 非常に真摯に取り組まれていると、こういう印象を持つものであります。  ここだけに議論を集中してもちょっと時間配分の問題がありますので、早々に切り上げたいという気持ちがあるんですけれども。  まじめにやり過ぎて本末転倒な結果を得るというのがこの評価なんです。これ皮肉でも何でもなくて言うんですけど。だから、私は委員長として会社と、こんなもの労使合作ですからね、これ労働組合がやらなきゃ適用のしようがないんですよ。会社が勝手にコンサルタント雇っていて、すごいの、世界一すばらしいのを持ってこられたって、これは正に納得ずくでやらなきゃ通用しない。そのときに責任者の立場として言うのは、評価だけで課長の仕事全部終わるようじゃ駄目だよと、ほかに仕事が一杯あるんだから。評価をやると、まずコミュニケーションということが出てきますよ。公平性についてどうだ、苦情処理がどうだ。随分評価を始めると評価のための仕事が山のようにずっと数珠つなぎで出てくる。気が付くと、課長が一番やりたくないのは評価ですと、こういうふうなことになって、評価システムのために倒産するかも分からないという、やっていくわけでしょう。  コスト意識が問われているお役所でこればっかりやっていたら、何これ、これでアウトプットが増えるんですかと、内部の評価システムが完璧にできたから、公務としてのアウトプットが評価されるんですかというと、これはまた違うわけですから。そういうふうな意味で、しなければならないしたくさんあるけれども、ここのところがしゃくし定規に、特に恐らくお役所の土壌ということを洞察すれば評価のための評価で、私はまた別の意味で、正当性を声高に言いながらコストを浪費していくという、そういう問題点がある。  副大臣、よろしくお願いします。
  164. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 誠にもって質問に聞きほれると言うとちょっと言葉があれかもしれませんが、大変御貴重な体験に基づくお話を今していただきまして、そのとおりだと私も聞かせていただきました。  やはり私も民間におりましたので、どうも公務世界は物事を詰め過ぎるといいますか、最終的に利益という最終的な基準がないものですから、例えば先ほどの私のいた会社の例でいきますと、余り完璧にやり過ぎてそれだけ残業代が掛かったら、そんなことはやらない方がいいんだと、こういう判断でどこかで止まるわけでございますけれども、なかなか公務世界はそういうところがないので、いつまでたっても詰めてということが往々にしてよく言われるところでございますので、そういうことをどうやってやるのかというのは、正におっしゃられたように、評価をする人とされる人の間にいいコミュニケーション、フィードバックがあって、そして全体としてそのグループがやっぱり生産性が向上していくということがなければ、何をやってもなかなかうまくいかないのかなと、こういうふうに聞かさせていただきました。  この間、どなたかの御議論のときに、今の営業成績とか売上げとかいうのが数字がありますがと、こういうお話をしましたら、亀井先生だったかもしれませんが、民間企業でも、例えば経理の部門とか総務の部門というのはそういう数字が出ないところもあるんだと、そういう正に当然の御指摘もいただいたわけでございまして、そういうところを少しうまく組合せをしながら、他方で今行政評価というのも大分何年かやってきておりまして、一部そういう評価数字で表すと。  ただ、これは各部門の相互間の比較というのはなかなか難しいようでございますけれども、こういったアウトプット、アウトカムの評価も取り入れながら、今、株丹次長からお話がありましたように、被評価者と評価者の間で一体どういうことを評価をするのかということをあらかじめ了解をしておくと。そして、一年たったときに、じゃその一年前に最初に目標立てたところのどのぐらい実際にできたのかと、そしてできたのならそれはどういうことでできたのか、特にできなかった場合はどういう理由だったのかということをきちっとやっていって、その次の年につながって好循環になっていくと、こういう考え方でやはり物事を設計していくことが必要だと、こういうふうに思っておりまして、二次評価、一次評価やっておりますが、第一回目の試行のときも、終わった後アンケートを取りますと、やはりその間のコミュニケーションがきちっと取れているところほどこの評価の試行についての受け止めが良かったということは出ておりますので、正に委員指摘のところを拳々服膺して実際の設計をしてまいらなければならないと思っておるところでございます。
  165. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 では、今まで一時間近く議論をさせていただきまして、おおむね今言われたような形で民間公務との違いとか、いろいろ浮き彫りになったと思います。  そこで、大臣に、今までの議論を踏まえていただいて、この民間物差し公務部門に適用することの是非を含めて、ざっくり言って、私はいろいろ議論が出てくると思うんですけれども、単純比較してみても仕方のない、本質的に公務とそれから民間の職務とにも差があると、こういうようなことがございますので、その辺のところを少し中間まとめ的に何か所感、所見がありましたらお願いします。
  166. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今、林副大臣が申し上げましたように、民間でしたら営利という一つの明快なメルクマールがあるわけでございます。そういうことを目的としない公務世界においては、では職員能力実績評価できないかというと、そうではないんだろうと思います。公務世界においてもその実態に根差した能力実績主義は導入し得るものと我々は考えております。  公務員が公のためあるいは国益のためという使命感、誇りを持って仕事に邁進していく過程で、その能力を高め、その能力を多様に生かせる仕組みをつくっていくことが必要でございます。まさしく今の世界にふさわしい行政モデル、行政システムをつくることが同時に新しい公務員像をつくっていくことになるんだろうと思っております。  能力実績主義人事管理の基礎となる人事評価につきましては、先ほど来御議論がありますように、評価項目評価基準、評価にかかわる検討課題を実証的に確認するためのトライアルを今やっているところでございまして、このトライアルを踏まえて実態に根差した人事管理のシステムをつくっていくことが大事かと思います。
  167. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今トライアルをされていると、こう言われましたし、秋元委員質問の中でもたしか少し御報告を受けて、窓口での評価社会保険庁でどうだったんだとかいう、こういうやり取りもございましたけれども、無から有をつくるというのはなかなか難しいと思うんですよね。だから、この手の話というのはやっぱりモデル化をしていってモデルを使ってやっていく。そして、モデルともう一つは仮説を、組織内にある仮説を幾つか記述をして、それを前提としていろいろやっていくという手法になっていくわけでありますけれども、今言われた、今トライアルをやっているという報告を、現場主義だとか即したということでとらえるということでは少し私は物足りないと思っています。  あのトライアルは、お話を聞いた限りにおいて、私の経験でいくと、言わば、いわゆる一般的な窓口業務だとかルーチンワークをされている場合の一つのテストとしてそれなりにいいんですけれども、今議論されているレベルは、更に上の課長クラスだとかもう一つ上のレベルを含めた評価だとかいうことになってくると、ちょっと違った私はアプローチが必要になってくるので、そこは今日はもう時間がございませんので置いておきますし、この点について能力主義、実績主義の導入について、民間モデルの適用について質問を考えておったんですけれども、これは今一連の話の中で、今日のレベルではこれ以上やってみても生産的な議論になりにくいので、これは割愛をさせていただきたいということで、そろそろ残り時間が近づいてきました。少なくなりましたので、塩崎官房長官にいよいよお聞きをしたい。  それは、人材育成と日本でいう長期選抜方式、これ日本型昇進モデルとこう言われていますよね。欧米なんかは、もう最初からMBA持っていたらバイスプレジデントだということで副社長というか、ばあっと抜てきをして、三十歳代で一杯そういう人たちがいるけれども、日本の企業は、入ったときからある程度同期横並び的な要素を少しずつ減じながら、十年、二十年、比較的長い期間を掛けて本人の資質だとかいろんなところをテストして、最後に社長になる人間、役員になる人間という、そういうふうな人材の育成の仕組みをつくっていると。  また、人材育成で大事なのは、私はやっぱり先輩の背中を見てみんな伸びていくんです。ああいう先輩、ああいうときにああいう仕事ができる、ああいうのを取りあえず自分目標にしようと。まず、そういうふうな生きた実在の人物がまた自分のモデル、目標として、自分の研さん、自己育成に力が、それに注いでいくというそういう仕組みを、私は日本の今までの人材育成の中にあったと思うし、お役所もそれに非常に近い人材育成のプロセスだったと思うんです。  だから、これは本当に横並びだとか、要らない海外出向だとか言われているローテーション、ローテーションも考えようによってはやや無駄なところがあるんですよね。だけど、民間の企業はお金がなくてできない。しかし、ある程度海外勤務も含めてそのコストも国が背負って、ローテーションという中で人を長期的に育てていくというふうなことから、やっぱり国家の要請にこたえられる公務員をつくり上げてきたというのがこの日本近代化の中の一つの人材育成のノウハウであったというふうに思います。  今回、三十歳で局長、四十歳でどうと、いろんなことが言葉が飛び交っておりますけれども、こういうふうな人材育成、本当に骨太の、外交も含め国内も含め、そういう公務員、力になる公務員を育てていくという視点から、是非、内閣の番頭、束ね役である、またこれから先もいろいろ御活躍されるだろうと、その官房長官に是非ともこの公務員制度の中における人材育成、このことについて御見解をいただきたいと思います。
  168. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 我が愛媛県新居浜の御出身の先輩議員である加藤先生に胸をかりて今日は質疑ができることは大変光栄に存ずるところでございます。  今人材育成の話をちょうだいいたしましたが、いろいろ世の中単純化をして語られることが多いと思うんですね。アメリカというのは、何だか知らないけどみんな短期で物事を考えて、ころころころころ変わるというふうに思われていますけれども、意外にそうでもないところもあって、例えば今財務長官をやっているポールソンというのはゴールドマン・サックスに入って多分三十年ぐらいずっとやっていた。それから、割合大きな会社でも、結構生え抜きでずっとトップまで行くという人がいるんですね。何かいつもキャリアパスをどんどん変えながら行くというふうに思われがちでありますが、必ずしもそうでもない。  さっきイギリスやオーストラリアの例、公務員の例を出しましたが、実はこの二、三十年の間にどの国も、公務員制度、あるいは公務員とそれから大臣との関係、あるいは大臣のサポーティングスタッフの在り方とか、みんな試行錯誤でどんどんどんどん変えてきているんですね。日本だけがほとんど、まあ副大臣、政務官というのを設けたとかそういうことは若干ありましたけれども、本質的にもっと変えなきゃいけないと。特に、今回はこの戦後レジームの象徴でもある公務員制度を変えようということでございますけれども、恐らくこれから総理の下に有識者会議を設けて、採用から退職までのこの公務員制度の全体像をもう一回議論し直そうと。今回先行的に二つの柱を御審議をお願いしていますけれども、ここはもう待ったなしで、今までも積み上げてきた議論があったからこそ先に本質的な部分で御審議いただこうということになっています。  恐らく、公務員ということで全部をまた語ることは、そう単純化してもいけないんじゃないかと思います。ほかの国の例もいろいろ参考にして我々は考えて、今回公務員制度改革法律を作りましたけれども、例えば、私の父は実は大蔵省出身です。多分、主税局以外にいたのは、主計局にちょっと、主計官を一回ぐらいと国際金融局に一回ぐらい、その程度であって、あとずっと主税局で来た。そういう育て方というのがあって、その代わりそれなりのやっぱり知見を持った人間が育っていくということになりましたが、今そんなふうにやっている、育て方をしているところは多分ないと思います。かなり長い間一つの局にいるということはあったとしても昔ほどじゃないと。  それはやっぱり、それぞれの時代のニーズに合ったもの、ニーズに合った人材を育てようということであって、例えば今いろいろ考えているのは、一括採用すべきかどうか。それから、例えばカナダのように局長以上ぐらいを一括任用していくかどうかというようなことも議論になっていますが、それは恐らく一つ役所のことを知っている人間が上の方に来てもなかなかマネジメントができませんよねと。多分そんなことが増えてきているんだろうと思うんで、その育て方について、育成についてどういうふうにしたらいいのかというのは、本当はこれから緻密に、いろんな固まりがあって、技術系の方もおられるし、あるいは仕事によっては非常に科学知見を持っていなければ駄目だとかいろんなことがあると思うんで、場合によっては即戦力で民間から来た方がいいというところもあると思うんです。  ですから、結論として申し上げれば、長期選抜方式というやり方一つやり方としてこれからもあるかも分からない。しかし、それだけでももちろん駄目だし、いろんなやり方を、どういう公務員像を描きながらこれから人材育成の方法を考えていくのかということを総理の下での有識者会議で大いに詰めていこうじゃないかというふうに私どもとしては考えているところでございます。
  169. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今官房長官のお話にあった、総理の下で有識者会議で、そこで議論される中身は非常に大切なことでしょう。そうですよね。私も大切なことだと思うんです。  そして、じゃそれを、それが上がるまでこの法律待てよとまでは言いませんけれども、しかし今私たちが遭遇している問題は、やっぱり優秀なだけでもまだ足らない。本当にこの国家の危難の状況の中で、やっぱり国難に遭遇したときに頼りになる公務員、お役人、昔で言う官僚の、そういう人材をしっかり得たい、またそれを得ることが国民に対する一番の私たちの責務ではないかと、政治のやっぱりポイントだということにおいて、私は是非とも今言われた議論をやっていただきたいし、それを私たちは待ちたいということで、政治が議論すると、何となくいいところが消えていってぐちゃぐちゃになっていくということは我々も心しますけれども、また内閣においても、やっぱりそこは大きく心を開いて、今も開いていらっしゃるけれども、是非とも私は対応していただきたいということを注文申し上げまして、最後に一つ。  先ほど、土壌、組織風土、土壌に大きな問題があるんですよと。それを改革するのに意識改革というふうなことをどうやるかというのは、これは大変なんですよ。万年赤字会社を万年黒字会社に変換するときに、一体どういう作戦、戦略を持ってやっていったか。これはなかなか大変なんですけれども、結局、この組織風土というものを、マネジメントにおける風土がある、現場における風土もある、ボードの意思決定のパターンにもやっぱり風土があるんです。  そういうふうないろんなことをしたときに、一つの事例として、今お手元に最後に余分な紙を一枚お配りをさせていただきましたけれども、これが、厚生労働省、雇用状況実態調査。これはちょっと古くて平成十三年のしかなかったんですけれども、年下の上司が年上の部下を使う状況に関する調査。これは民間企業も二十年前から随分遭遇したんですよ。やっぱりいい大学出ても、結局最後、係長か主任ぐらいで終わる人だってこれは当たり前におるわけですよ。これは人の世はというのはなかなか難しい。そういうことの中で年下の上司が年上の部下を使い切っていく。ここには感情、いろんなものが出てくるものをどう克服をして職場の生産性を高めていくかと、こういうふうなこと、大きな課題にいろいろ直面したと。  そういうようなところで、ここにありますように、こういう状況は、八割の職場ではやっぱり逆転現象がもう起こっていますと。それから、何でそういうふうな年下の上司、これは同じ学歴・資格ということでとらえていますけれども、状況になったときのメリットはといったら、活力が生まれると。それは緊張感出ますよね、このやろうという気になりますから。優れた若者を上司がいなくなるまではあれは課長にできないというのは、のいてもらって抜てきをするから、生き生きとした若い人を課長にできるというメリットがある。裏を見ていただきますと、じゃその反面、年上の部下のモチベーションが低下する、これは当たり前ですよね。それから、上司が指示・命令を出しにくい。やっぱり遠慮をしてしまうと。  こういうようなところで、じゃこの問題を解決するために、年長者のモチベーションを維持するために何が効果的だったですかというと、やっぱりその人たちは専門的な仕事に配置する。先ほどスタッフ制という議論をされていましたけど、やっぱりそういうふうにきちっと限定をした使い方をする方がいいんじゃないか。あるいは、目標管理制度の中にやっぱり気持ちを昇華してもらうと。それから、職位にこだわらず仕事に打ち込める職場風土を醸成する。そうだよなと、やっぱり若い者が順番にリーダーやればいいんだと、おれたちは、経験があって知識があるのは、あいつを支えてやろうと、今の内閣もそういう雰囲気だと思いますが。  そういうようなことを含めて、こういうふうなことがあるということで、最後に、公務員制度改革における意識改革について、取りあえず本日は第一読会という立場で、長官、塩崎長官の考え方なり所信をお伺いをして、私の質問をそろそろ終わりにしたいと思います。
  170. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 大変深みのある御質問、御意見をちょうだいいたしまして感銘をいたしたところでございます。  これを見て分かるように、今また加藤先生がおっしゃったように、もう民間では二十年も前からこういうことが起きてきて、いろんな悩みを経ながら今を迎えているということでございます。正に公務員世界でも同じようなことをこれからやっていこう。つまり、当たり前に世の中で行われていることを官の世界でも当たり前に行っていこうと。  こういうことで、特に、どういう制度に、例えば採用のやり方にしても育成のやり方にしても、評価は恐らく今私たちが提案しているものになるだろうし、再就職の在り方も、やはり能力実績主義でいくということでいくということも変わりないだろうということで先行的に提案をしているわけでありますが、この意識改革、恐らく民間でも、いろんなトラブルもあって御苦労されるマネジメントに当たっていらっしゃる方もおられたと思うんです。  これを、同じことを多分公務員でもやると思いますが、先ほど申し上げましたように、いろんな公務員を私たちは必要としていると思います。そういう中で、多分、恐らく横ぐしで必ず必要であろう意識改革は、やっぱり能力をきちっと評価をする、客観的に評価をする、できる限り客観的に。もちろん人間ですから感情的なことだって、先ほどのこのやろうという話がありましたが、そういうことは若干あるにしても、やっぱり今まで何でこういう人に仕えなきゃいけないのかというのは、まあ日銀でも若干ありましたが、それはやっぱり能力が納得できないというときに一つうまくいかない。もう一つは、これもどこでも同じでしょうが、人間として信頼できるかどうかというのは、時としてやっぱり年齢は関係ないというふうに思うわけであります。  そういうことで、能力を正しく評価をして、それは別に人間の評価の問題、人間としての評価の問題ではなくて、職、仕事としての能力の問題を冷静にやはり認め合うということと、あとはやっぱり人間関係がうまくいくような、そういう環境をつくりながら、これからの公務員皆さんがやる気を持ってやれるような公務員制度をつくって、先ほどの専門性を大事にするとかいろんな工夫をしながら、やっぱりみんながいつもやる気満々で頑張ってくれるような公務員世界をつくっていくことが、実は官だけではなくてこれは民に一番大事なことで、国民が一番それでメリットを享受するんではないかと、こんなふうに思っております。
  171. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 終わります。
  172. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  官房長官、前回と同じく一問だけ。  この公務員制度改革の柱、前回も言わせていただきましたけれども、私は、官民癒着の防止とそしてキャリアシステムの廃止だというふうに思っております。  それで、この官民癒着の防止の観点で、今度センター長になられる官房長官、このセンターによる再就職あっせんがいい加減に行われたこと、起きてはいけないけど、行われたことによって官民癒着の問題が発生した場合に、私はセンター長である内閣官房長官が直接的な法的責任を負うというふうに考えていますが、同じ考えに立てますか。
  173. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今先生御指摘の、センターを通じて再就職した際に官民の癒着の問題が発生して悪事を働いたというときの責任は官房長官が負うのかということでございますが、まず、違法行為を仮に行ったとするならば、当然のことながら、法的責任は一義的にはこの違法行為を行った者が負うのが筋だと思うわけでございます。もちろん、それがセンターが悪事を行うように仕組んでやったというんだったら別でありますけど、まあそんなことは多分ないでしょうから、そのためにセンターが行う再就職支援はやはり中立性、透明性をどれだけ確保し、その実績をきちっと見せていくかと。そして一番癒着が起こりやすいのは、何度も申し上げておりますけれども、お世話をするセンターの職員が、自分の出身の、やや情が移りそうな、自分の出身の役所の再就職ケースをお世話をするときにそういうことが起きがちだろうということで、我々は自分の出身官庁の再就職案件は扱わないということを明確にしているわけであって、さらにそれを潜脱しないように透明性を高めていかなければならないということで、私たちのこれからの仕事は有識者会議を設けるわけでありますから、その制度設計の際に、今申し上げたような哲学をきちっと制度として積み上げていくということが一番大事なんだろうというふうに思うわけでございます。  そういうことで、今回の法律の中にも、ルール違反に関しては懲戒処分等々のものを用意しておりますので、そういうことがないように考えながらも、法的にはそういうものを仕組んだ法律にしているということでございます。
  174. 風間昶

    ○風間昶君 官房長官は御退席して結構でございます。ありがとうございます。
  175. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 塩崎長官、御退席どうぞ。
  176. 風間昶

    ○風間昶君 官房長官は負わないというふうに私は理解をさせていただきます。  そうしたら、本当にこういう問題が起こったときに、委任した私は総理が責任を負うことになるんではないかと、問われるんではないかというふうに思うんですが、大臣、どうですか。
  177. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 個別のセンターの事務について、総理大臣が責任を負うものではないと考えております。総理大臣から官民人材交流センターに委任をいたしますのは、官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行うことであります。したがって、個別の事案から不祥事が起こってしまったことについて総理に責任があるとは言えないのではないでしょうか。  総理大臣内閣府の長でございます。センターの職員を任命して、その服務を監督する立場にございます。したがって、これらの事務が適切に行われていたかということに応じた責任を問われることはあろうかと思います。
  178. 風間昶

    ○風間昶君 非常に今微妙な言い方をされました。  恐らく十八条の六項のことを言っていらっしゃると思うんですけれども、個々には総理大臣は問われないと。しかし、業務がきちっとやられているかいないかということについて問題が生じた場合はどうなのかと。これは私は本当に責任はないのかなというふうに思うわけであります。  もう一回繰り返しますが、センターによる再就職あっせんが適切な政省令以下で定められるルールに従って業務が行われていた場合、本人を含めて問題が起こったというようなことがあった場合、法的責任はどうなるんでしょうか。
  179. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほど官房長官もお答えになりましたように、再就職をしたOBがその再就職先の業務に関して何らかの違法行為を行った場合の法的責任は行為者であるOBが負うわけでございます。したがって、センターによる再就職あっせんルールに従ってきちんと行われている場合はセンターには責任はないということになります。
  180. 風間昶

    ○風間昶君 私が危惧しているのは、個々に行われた場合、個々にできたことについては問われないかもしれないけど、たくさんぼこぼこぼこぼこ出てきたときに、官民癒着の問題が生じた場合に、これは内閣府の体制そのものが問われることになるというふうに思いますから、その場合はやはり総理の責任になるのではないかというふうに思うんですが、どうですか。
  181. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 内閣総理大臣内閣府の長としてセンターの職員を任命をいたします。当然、その服務を統括する立場にございますので、これらの事務が適切に行われていたかということに応じた責任が問われることはあり得ます。
  182. 風間昶

    ○風間昶君 この再就職あっせんで、官民癒着の問題が生じない体制づくりと同時にセンターの維持運営に努める、私、法的責任は委任者である総理大臣と受任者である官房長官、両者であるというふうに思います。問題が生じないような体制づくりと適切な運営管理ができるようにするということの法的責任、これは法律の作り方から見て当然のことだと私は思うんですけど、どうでしょうか。
  183. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 繰り返しで恐縮でございますが、センターによるあっせんルールに従って行われている前提では、内閣総理大臣には責任はないと考えております。
  184. 風間昶

    ○風間昶君 そうであれば、現在のような悪質な官民癒着が蔓延している、一昨日もちょっと例を出しましたけれども、私は、国民の目から見れば、法律を作った者がやっぱり責任を問うべきだという声が当然出てくるはずだと思いますし、総理が責任を問われないというのはおかしいというふうに思うんですけれども、どうですか、再度。
  185. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) いろいろな不祥事の起こってくる原因がどういうところにあるのかというのはこの委員会でも再三議論がされてきたと思います。  一つには、入札制度の問題がございます。なぜ官製談合のような問題が起きるのかと。まさしく随契依存型のなれ合い構造の中で起こってきているわけであります。したがって、入札制度改革、随契の見直し、こういった問題も一つございます。また、独法から認可法人、特殊法人、公益法人に至る制度の見直しがございます。まさしく独法改革というのも総理から私のところに指示が下りてきた問題でございまして、こういった制度見直しをお金の面から行っていく、人の面から行っていくという両面作戦が必要であろうかと思います。  したがって、公務員制度改革による天下り規制によって解決できる部分も相当あると考えます。一方、パッケージで、そのほかの制度の見直しによって同時解決をしていく問題もあるわけです。我々は、改革の手を休めることなく不祥事の撲滅を図っていく必要があろうかと考えます。
  186. 風間昶

    ○風間昶君 この法律案に私は、安倍内閣の重要事項だから是非成立しなければならないという思いが伝わってくるわけですね、しゃべればしゃべるほどというか、質問すればするほどそういう感をするわけでありますけれども。  だったら、官民癒着防止という、法案の中にちゃんと、例えば官と民の不適切なことが生じないようにというぐらいの文言を入れるべきだというふうに私は思うんですけれども、これは修正せいということになるのかな、じゃ。どうですか。
  187. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) これはもうまさしく今回の法改正の趣旨の中で御理解をいただけるのではないかと思います。  つまり、官民癒着防止のやり方として、求職活動から退職後の口利き規制に至るまで、かなり厳格な規制と制裁措置を導入をしているわけでございます。したがって、まさしくこれらの措置が官民癒着の防止を目指していることは明らかでありますから、こういうことが官民癒着の根絶につながるものと我々は考えております。
  188. 風間昶

    ○風間昶君 法案の中には書き込まないという明確な意思が伝わってきている感じがしますが、じゃ百歩譲って、私は、だったら政省令の中にちゃんと規定すべきだというふうに思いますけれども。そうしないと、内閣は憲法七十三条で法律を確実に執行するという、憲法の中にうたわれているわけでありますから、それに反するという批判が私はなされることになると思うんです。したがって、百歩譲っても政省令の中にきちっと官民癒着の防止ということが明確に規定していく必要があると思いますけれども、どうですか。
  189. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今回の法案では、密接関連先に対する求職活動の規制から始まって、各省によるあっせんの全面禁止、また各省が当該職員の就職予定先との直接交渉の禁止、また各省出身者のあっせんを行わないこと、OB職員の接触、口利き規制、こういったものを盛り込んでいるわけでございます。それだけではなく、今回の改正案とは別途、随契の見直し、公共調達の適正化、公益法人制度改革を更に進めていくことなどを通じて、今起こっていますような様々な不祥事を我々は撲滅していくことを考えております。  国家公務員法だけですべてが解決できるわけではございません。まさしく総合的、整合的なアプローチによって不祥事は撲滅していくべきものと考えております。
  190. 風間昶

    ○風間昶君 すべて、この公務員制度改革は何のためにやるのかということがもっときちっとしていくために私は、再度繰り返しますけれども、政省令の中に規定して、そしてしかも、それをきちんと実施するということをやっていかないと本当に国民の批判に私は堪えられないんではないかと。堪えられなくなるとどうなるかというと、正に総理の責任が問われて倒閣につながる話だと私は思う。それだけの重要なこれは法案なんでありますから、再度、政省令の中に規定すべきだと思いますが、どうですか。
  191. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今回の法案においては、官民癒着防止の措置が至る所に埋め込まれております。それに加えて、公共調達の見直しや随契の見直し、独法から特殊法人、公益法人に至る制度の見直しを行っていくわけでございます。  そういう中で、今起こってきたような不祥事を根絶をする、官製談合を撲滅をするというのが安倍内閣の強い意思でございます。どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  192. 風間昶

    ○風間昶君 あちこちに埋め込まれているといったって、きらりと光るものがなかったらだれもそんなものは気が付かないわけでありますから、気が付いて、ああ、これが美しい国のありようだということが分かるように是非実行していただきたいというふうに思います。  次に、もう一つのキャリアシステムの廃止についてです。  この法案の趣旨説明の中に、本来優秀な人材が集まっているのに、その能力が十分に生かされているとは言えないというふうに書かれています。  たしか今年のⅠ種の志願者は二万二千人ちょっとでありまして、前年度比とあれすると一四・何%減少しているわけでありますけれども、この事実は掌握されていますか。
  193. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 国家公務員採用Ⅰ種試験の申込者数が平成十九年、十八年、十七年、ずっと下降ぎみであることは承知をいたしております。  一般的に、景気がいいときには公務員の志望者が少なくなるということも世間では言われております。ちょうどバブルの真っただ中の平成元年のときには、やはり公務員Ⅰ種採用試験申込者数が当時としてはかなり減ったこともございました。一方、景気が非常に悪くなり始めた平成八年などは申込者が過去最高に達した、これは昭和六十年代以降のことでございますが、四万五千人を超える申込者数があったということが記録されております。したがって、こういう申込者数だけを見ていますと、景気の動向というものもあるいは作用しているのかもしれません。  しかし、長期トレンドとして見たときに、やはり公務に対する魅力が薄れてきているのではないかということはあるのではないでしょうか。やはり公務世界がより魅力のある職場であるということをPRをしていかなければいけません。しかし、それは空PRであっては何の足しにもならないわけでございますから、正に実質を伴ったPRである必要がございます。  我々は、その新しい実質をつくるために今回の能力実績主義の導入ということを決断をしたわけでございまして、こうした新たなシステムが機能するようになれば、公務志望者が優秀な人材が集まってくるというトレンドは維持できるものと考えております。
  194. 風間昶

    ○風間昶君 おっしゃるとおりでございまして、経済がグローバル化してきて社会とかビジネスの状況が急速に変わってきているのに役所は対応し切れないといった指摘もあるわけでありますから、この人事評価制度の中で、人材が流出していくのを防止していくという観点から、優秀ないい人材を確保していく、それは短期的だけじゃなくて、もうちょっと中長期的にも人材確保の観点という視点をこの人事評価制度の中できちっと生かしていくことが重要だと思いますけれども、どうですか。
  195. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 正におとといの議論でもあったかもしれませんけれども、正に今先生がおっしゃったような受験をする人が減ってくるということに加えて、いったん入った方がかなり若い時期でも辞めていってしまうということも、ちょっと前に比べますと非常に数字的にも増えていると、こういうようなことが実際に数字で表れているわけでございます。  そのときにも、私の方で申し上げましたけれども、いろんなバッシングがあるとか、そういうことも一つの要因かと思いますけれども、やっぱり一つの大きな要因としては年功序列で、民間の方のやり方が随分変わってきたという先ほどの加藤先生との御議論でもあったように、その中で公務だけが昔と全く一緒で、年功序列でなかなか若手にチャンスが回ってこないと、こういうようなことが非常にこういうことの原因になっているんだろうというふうに考えておるわけでございまして、正にきちっとした人事評価をやって、能力実績に基づいて、若い優秀な人材については、キャリアであるかノンキャリアであるかを問わず、きちっとした政策の企画立案等を担う機会を与えていくと、こういうことによって公務を魅力ある職場にしていくということが大変大事であるというふうに考えておるところでございます。
  196. 風間昶

    ○風間昶君 加藤議員との質疑の応答の中でもありましたし、今副大臣がお話しされました。  現実には、このⅠ種、Ⅱ種の試験区分にとらわれない人事評価がなされていかなきゃならないというふうに思うんです、現実にですよ。それは、人事管理について、職員の採用試験の種類や年次にとらわれてはいけないというふうにあるわけでありますから、それをどう進めるかということだと思うんです。  そしてまた、ちょっとお聞きしたいのは、将来的にこの試験区分やキャリア、ノンキャリアなどの区別がなくなって、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種の試験区分自体がなくなっていく方向なのかどうかということがまた志願者が増えていくか増えていかないかということにつながるものですから、このことについてはどのように、将来を含めて、有識者懇談会で議論するというだけじゃなくて、今法案を出した側がどういうふうに考えているのかを伺いたいと思います。
  197. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 大変大事なところでございまして、正にこの人事評価制度を導入して採用年次や試験区分にとらわれてはならずということを明確に法定いたしたわけでございます。これは原則でございますから、正に先生おっしゃるように、実際にそれが行われていく、このことが大事でありまして、今までは、現行法の下で職階制ということは導入をするべきだということになっておりましたけれども、先ほど来の御議論であるように、ほとんどこれがまだできていないということが大きな問題でございます。  我々が今回御提案しておりますその標準職務遂行能力というのは、職階制と一番違いますのは、職階制の場合は縦横マトリックスで、例えば財務省の主税局の課長、課長補佐、係長と、こういった事細かく分けてそれぞれのジョブディスクリプションをしていこうと、壮大なことを目指していたわけでございまして、なかなかそれは難しいと。  今回の我々の御提案は、まず横で、課長とか課長補佐、こういうものに対しての一般的に要求される水準というのはどういうものかと。部下を使いこなすとか、きちっと法案閣議決定に向けてのいろんな方針を取りまとめていくと、こういうようなことを具体的な基準を置いて定めていこうと、こういうことをやって原則を明確に定めたわけでございます。  もとより、公正に職員人事評価をやるというのは当たり前のことでございまして、こういうことによって今まで職階制できていなかった部分が進んでいくと、こういうことを目指しているわけでございます。  このことが行われていくようになりますと、当然、有識者懇で御議論をしていただく大事なポイントの中にこの採用試験についても入っているわけですが、午前中の質疑でもありましたように、今、現段階でまずこの法律が先行いたしますと、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種で入ってきた方々が実際いらっしゃるわけでございまして、しかしそれにとらわれずに今の評価をやっていくと。そういうことになると、なるほど、Ⅰ種で受かってきたにもかかわらず評価をしてみたら大したことないじゃないかと、こういう人が出てくるかもしれないわけですね。それは、先ほど来御議論があるように、いい大学を出たからすぐ仕事ができるわけじゃないという例もあるということでございましたけれども、それが、このⅠ種で通った人が余りにたくさんそういうことが出てきますと、そもそもⅠ種の試験というのは一体何なんだと、こういうことになってくるわけでございますから、そういうふうなことになってきますと、もうⅠ種の試験そのものをやはり見直していくというか、そういう区分をなくしていくと、こういうつながりが出てくるんだろうと、こういうふうに思っておるところでございまして、正にそういう中で、この採用の試験区分の在り方、またさらにもっと大きな問題として一括採用とか、そういうことが入ってくると。  こういうことを考えまして、閣議決定では、この採用から退職管理まで一貫した総合的な検討をしていこうと、こういうふうに閣議決定をさせていただいたわけでございます。
  198. 風間昶

    ○風間昶君 さきの六月十一日の本会議でも、総理は、今回の公務員制度改革では、採用試験の種類や年次にとらわれず、能力実績評価に基づいて人事を行うことを明確にしておりますと。このような能力実績主義の導入により、公務員がその能力を生かして国民の負託に生き生きとこたえていくと、そういうような公務員制度に変化していくものと確信しておりますというふうにおっしゃっています。  今のお話の続きですけれども、まず横でということでありますけれども、ただ、例えば同期で入った人は、同期というか一緒に入った人が、隣はライバルだという意識から仕事が十分な引継ぎがされないとか、あるいは失敗したらどうしようとかという形で萎縮してしまうとかという、そのことによって職員モチベーションが下がって、余り安易な方向に流れてしまってもいけないわけでありますから、もしそういう弊害があるとすれば、この一、二年の間に多少補正していく必要があるんじゃないかというふうに思うんです、これはだれがやるかまた難しい問題がありますけど。どんなふうに考えていったらいいでしょうかね、どのような補正すればいいのか。
  199. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 民間の企業もそうであろうかとは思いますけれども、公務仕事というのは組織できちっとチームでやっていくという方が性格が強いんではないかなと。スポーツでいうと、相撲型というよりは野球型なんではないかなと私は思っておりまして、そういう意味では、正に同期で入って、最初同じスタート地点からスタートした皆さんが、ライバル視をしてその結果として、同期で入った人が同じ課に行くということはそもそも余りないかと思いますけれども、やはりそういう中でチームワークを乱して、自分だけの業績を上げようということでかえってそういうチームワークが乱れる、こういうことがあっては元も子もないわけでございますから、これはきちっとこの人事評価項目の中でこういうようなことをちゃんと見れるようにしていく必要があると、こういうふうに思っております。  今、総務省でやっていただいております試行の中でも、例えば自分評価を相対的に高めるために行われる弊害となるような行動、例えば今正におっしゃった情報を囲い込むとか、そういうことについては、仮にそういった近視眼的なまた利己的な業務遂行態度が客観的に認められ、組織にとってマイナスの結果が明らかに生じている場合には、当該職員の役割達成度の全体評価を行う際に、そのような状況等勘案して評価することはできると考えられ、一時的にそのような現象が見られたとしても、評価の積み重ねによって意図的にそのような行動を取る者は減少していくものと考えられるという、そういう旨が、各府省の人事当局にマニュアル等を配って、既に試行の中でも実はそういうところを入れておるところでございまして、また逆に言うと、そういうふうに積極的に評価を上げていこうというのと逆に、職員評価を余りに気にして萎縮をしてしまう、こういう部分も検討の課題になっておりまして、先ほどの御議論でありましたように、評価をする人とされる人の間でよくよく、年度の初めに目標を設定するときとか、それからそれを最終的に評価するとき、中間段階でコミュニケーションを取っていただいてフィードバックをしながら、要は上司が評価をするわけでございますので、部下を育てるという意味の中でも被評価者、評価される人に対して指導や助言の徹底を行っていくと、そういうことで非常にきちっとしたフィードバック、コミュニケーションが行われていく中できちっと評価をするということで、この逆の方の萎縮をするというデメリットを取り除いていかなければならないということでございまして、いずれも、行き過ぎも萎縮もこの評価の仕組みの中できちっと、委員が御指摘になったようなことが起こらないようにやってまいらなければならないというふうに考えておるところでございます。
  200. 風間昶

    ○風間昶君 また公務員の話に戻ります。公務員制度改革法案ですから、そもそも公務員が身に付けるべき倫理規範ということについて、一体何なのかということについてお尋ねします。  官房長官がいるときにあれすればよかったですけれども、官房長官は去年の十二月号の人事院月報に、「国家公務員としての誇りと使命感を忘れずに」というタイトルで、公務員倫理規程第一条に掲げております倫理行動基準を、国家公務員皆さんには、一条に掲げられている倫理行動基準をしっかりと胸に刻み、国民から信頼される公務員としての行動をお願いしますというふうにメッセージを述べています。  この倫理規程の第一条は、当然言わずもがなでありますけれども、職員は、全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをするなど国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならないというのが第一項目にあります。第二項目には、職員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならないというふうに定められております。  そこで、憲法の国民主権、公務員の選定罷免権は十五条にあります、一項にあります。そしてまた、全体の奉仕者であるべきというのは十五条二項にあります。その前の十四条には法の下の平等という項目がきちっと書かれております。この憲法の国民主権と全体奉仕者と法の下の平等ということの関係について、どんなふうに考えているのかお聞きしたいと思います。  これは法律案とは直接的に関係ありませんが、大臣ちょっと待ってくださいね、もう一回言いますから。国民主権と法の下の平等に基づく民主制国家において、一つ目は、公務員はすべての一人一人の国民に対して平等に仕事する、対応するということ、二つ目は、特権的立場に立つのではないんだと、それは許されないんだというのが二つ目で、当然、ですから公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないということと、本来はそういう意味理解をしなければならないと思います。したがって、倫理規程一条もこの趣旨で書かれているというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  201. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 御指摘のように、憲法十五条は、我々のような選挙選抜公務員試験選抜公務員と両方束ねた規定であると思います。全体の奉仕者であるという理念は、まさしく特定の者に対する利益誘導となる官民の癒着はあってはならないということでもございます。したがって、官民癒着防止のために公務員の権利に一定の制約を加えるということは合理性があろうかと思います。  他方において、御指摘の憲法十四条、法の下の平等という理念において、公務員であることを理由に特別扱いをするということは必要かつ合理的な範囲に限られるべきことであろうかと思います。例えば、公務員の身分保障というのは国家公務員法にも規定があり、今回の改正案においてはこれをそのまま引き継いでおります。これは公務の公正さあるいは中立性を担保するための規定であり、その点において合理性はあろうかと思います。  今回の政府案におきましては、公務員の求職活動や離職後の口利き規制を入れてございます。その中身は、まさしく今申し上げたような理念間のバランスを踏まえて仕組んだものでございます。その点で合理性は担保されているものと考えます。  一方、委員が御指摘の倫理の問題でございますが、まさしく全体の奉仕者として公務を遂行していくプロセスにあっては、国民から信頼されるということが極めて大事なことでございます。今回の改革案においては、将来の公務員像として、国民と国家の繁栄のため、高い気概、使命感及び倫理観を持って、優れた企画立案能力、管理能力を有する公務員像の実現を目指しておるところであります。
  202. 風間昶

    ○風間昶君 国家公務員倫理規程できちっと一人一人に対して平等に対応、そして特権的立場に立つのは許されないというふうに言っているわけでありますから、私は大臣と憲法論争をすることは、ちょっと踏み込むのは差し控えたいと思いますけれども、法律の中に、憲法の中にもうきちっとこれは私は書くべきではないかと、それが正に自民党さんが出している改憲の一つの柱にこそすべきではないかというふうに思っているくらいでありますけれども、なかなか、憲法論争をしてもしようがないことはあったとしても、余り法律上にはこういうことは何にも書かれておりませんので、一般論として結構ですけれども、大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。倫理規程にはあります。法律上はないんです。
  203. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほどの繰り返しで恐縮でございますが、正に公務員の高い気概、使命感、倫理観、こういうモラルに裏打ちされた企画立案能力、管理能力が必要でございます。公務員というのは言ってみればエリートであります。選挙選抜であっても試験選抜であってもエリートとしての自覚、ノーブレスオブリージュという言葉もそれにつながるものだと理解しておりますが、そういった気概がなくてはまさしく公務世界はやっていけないのではないでしょうか。
  204. 風間昶

    ○風間昶君 一般論ですか、それはね。まあいいですわ。  去年の人事院が出した公務員白書の中で、「行政官の志・使命感の原点」というタイトルで、公共哲学や倫理の素養を含め、思考や判断の基準となるべき公共精神をいかに培っていくかについて改めて真剣に取り組んでいく必要があるというふうに述べられております。私は、この公共精神というのは、今ほども何回か言わせていただいているように、すべての国民、一人一人の方に対応していくということと、もう一つは私利私欲のために特権的な立場に立つことは許されないということがこの公共精神の哲学だというふうに思っているんですけれども、非常に哲学的というか形而上的な議論になって恐縮ですけれども、共有できますか、これは。
  205. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 大変深みのある御議論に付いていけているかどうか分かりませんけれども、公務員白書において、公共の哲学や倫理の素養を含め、思考や判断の基軸となるべき公共精神を培っていく必要があるという記述がございます。国の行政を担う国家公務員国民から信頼されなかったら、これは仕事にならないということであります。その信頼を構築するためには、行政の誤り、非能率性など、国民から不信を招く原因があったならばそれを真摯に反省をし改めていく必要がございます。同時に、全体の奉仕者としての自覚を持って職務を遂行していく必要があるのは当然のことだろうと考えます。
  206. 風間昶

    ○風間昶君 民間企業では不祥事があれば、最近は本当に会社の責任者が九十度以上頭を下げている映像があちこちで流れていますけれども、いずれにしても、不祥事があれば徹底的に原因追及して経営に生かしていくことが行動原則になっておるわけであります。そうでないところは結果的に努力が認められないと消費者から信頼を失ってつぶれていくと。  ということからすると、幾度も幾度も、まるで業務というか仕事のように反復継続されているこの官民癒着の官製談合の実態があるわけでありますから、本当に私は、公務員公務部門で、今の一人一人の国民に対応するという倫理規程の一項と、そして私利私欲のために権力を使ってはいけないというその公共精神、公共哲学、これを私は、公務員の方の研修があるわけでありますけれども、きちっと最近の不祥事から学習をして、そのことを事例として私は研修を全国に展開すべきじゃないかというふうに考えます。これ大臣がやるしかないと思っています。どこがあとやるんでしょうか。私は大臣でないとできないと思いますので、是非、所掌が違うってまた逃げないで、公務員制度改革法案を出しているんなら所掌が違うってまた言わないで、まずは腹構えと取り組むことの是非意思を明確にしてもらいたいというように思います。
  207. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほども申し上げましたように、公務員の一番の基本となるモラルとモラール、この部分で国民から指弾されるようなことがあってはならないと考えます。したがって、徹底した公共の哲学を公務員には持ってもらう必要があるわけでありますから、そのための必要なトレーニングは行っていかなければならないと考えます。
  208. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  209. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  210. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 速記を起こしてください。
  211. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、朝から御苦労さまです。大分お疲れになっているんじゃないかと思いますが、あと三十分ですから、よろしくお願いしたいと思います。  最初にお尋ねしたいのは、衆議院天下り規制を強化する民主党案が提案されたんですけれども、それに対しては、公務員の一生塩漬け法案だと叫んで反対し政府案に賛成された議員の方がおられますけれども、しかし国民のために一生最後まで勤め上げるということは大事なことでございますし、立派なことだと思うんですね。そういう意味では、こうした公務員一生塩漬け法案という言い方は非常に失礼な話だと思いますけれども、こうしたことについて大臣はどうお考えですか。
  212. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 公務員が定年まで勤め上げるということは、それ自体は大変立派であり、私は尊敬すべき生き方、生きざまであると考えております。公務員というのは先ほどの議論にもありますように全体の奉仕者であります。まさしく一部の奉仕者ではない、国民のために公務を行うということでありますから、これはまさしく尊敬に値する仕事であり生き方であると考えます。様々な経験で得られた専門知識を官の世界で長期間にわたり思う存分発揮をしてきたということが、公務の外側に出たときにあっても活用されることは決して否定されるべきことではなかろうと思います。  いずれにしましても、定年まで公務員として勤め上げることについて何ら我々がそういう生き方を否定するものでもありませんし、尊敬に値する生き方の一つであろうと考えております。
  213. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございました。  その次にちょっとお尋ねしたいのは、今回の法案が、能力主義と同時に早期退職勧奨制度を廃止しようということが大きな柱になって、そのためのセンターをつくろうということになっているんですが、これまでも早期退職勧奨制度というのは随分行われてきたわけですけれども、それが一級、二級、三級といろいろ分かれておりますけれども、それぞれごとにどの程度行われておったのか教えていただけませんか。
  214. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) いわゆる勧奨退職のⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種ごとの平均的な年数というのは必ずしも、済みません、今手元にございません。  ただ、一般的にはよくⅠ種についてだけ勧奨退職というのが行われているというような御認識もあるようでございますけれども、必ずしもそういうことではなくて、別なⅡ種、Ⅲ種の方であっても早期に、定年前に勧奨を受けてお辞めになると、こういうケースはあるというふうに承知をしてございます。
  215. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 じゃ、確認しておきますけれども、ちょっと事前に言っておけばよかったんだけど、この程度大きな問題で中心的に議論された問題ですから調べていないはずはないので、聞いたらすぐ分かると思って今聞いたんですが、そういう意味で、大体、早期勧奨退職制度というのは、一級じゃなくてⅠ種ですね、Ⅰ種の人たちは、大体一人が次官になってほとんど辞めていきますから一〇〇%早期退職勧奨がなされると。二級、三級はほとんどまた行われないで、六十までは勤めると考えていいんですか。
  216. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) 手元にきちんとした数字がなくて大変恐縮でございます。  全体的な傾向として申し上げますと、国家公務員、毎年一万人程度がお辞めになると。その中には定年で辞められる方もございますし、勧奨退職によって辞められる方もあるということで、定年で辞められる方がたしか四千人程度、いわゆる勧奨でお辞めになられる方が四千人程度、そのほかに自己都合というような方もいらっしゃると、こういうことで承知をしてございます。  平均の年齢でどれぐらいで辞めるかということに関しましては、Ⅰ種につきまして、従来から政府として早期退職慣行についてこれを是正をしていくということで取組をしてございます。そういう点では、Ⅰ種の勧奨退職の方については平均の年齢というのはございます。  これは、決めたときに今後五年間で平均で三歳、勧奨退職の年齢を引き上げていくということで取り組んでございますけれども、スタートの段階では五十四・四歳、それから一番近い段階では五十五・八歳ということで、もちろんこれ平均でございますので、早い方の場合には五十歳を過ぎた辺りから勧奨退職があり、ここでもよく御指摘がございますけれども、一番最後までお勤めになる方というのは事務次官の方で、事務次官につきましては、制度としては一般的な定年六十歳、それを超えて制度的には六十二歳まで勤められるということでございますけれども、次官の方であっても実態としては六十よりも少し前にお辞めになる方もかなり多いと、こういう状況だと思います。  全体、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種を通じて平均年齢というのが別途の調査であったんではないかというふうに記憶はございますけれども、ちょっと今直ちに年齢的なところのⅡ種、Ⅲ種の部分、あるいはそれを含めた平均年齢というのが手元にございませんので大変恐縮でございますけれども、今申し上げましたような全体の数字でございますので、一万人の中で定年までお勤めになるという方は四割程度ということでございますので、平均を取れば、数的にはもう少しⅠ種の方よりは上ではあっても六十まで行っているということではないということでございます。
  217. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ちょっと今よく分からなかったけれども、Ⅰ種の人はほとんどが退職勧奨を受けるわけですよね。我々の友人でも五十過ぎたらほとんどもういなくなってきているわけで、あれ大体官房の人事課がその仕事をしていて、人事課の大きな仕事は退職勧奨だということで職探しが大変で、次官をやった人は退職後三つぐらいあっせんしなきゃいかぬということで往生しておりましたけれども。  そういうふうに二個、三個と回れるわけですけれども、それ以外の局長なんか何個だとか課長までだったら何個だということがあるんだろうけれども、そういった格好で、今四千名ぐらいとおっしゃいましたけれども、一般にちゃんと六十歳まで退職するのは何人ぐらいいるんですか。Ⅰ種とⅡ種分けて分かりませんか。
  218. 株丹達也

    政府参考人株丹達也君) 恐縮でございます。  数的にはⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種合わせた全体の数ということで、一万人程度お辞めになる中で定年までお勤めになってお辞めになる方が四千人程度という、定年までお勤めになる方が四千人程度という状況でございます。
  219. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 局長、今のようなことでなんですけれども、こんな大きな問題を法律で通そうということでやっておるのに、こうした早期退職を勧奨するという制度を検討するのに、今のようなことで聞いても分からぬというのじゃどうしようもないので、特にこの制度中心は私はⅠ種の人たちを中心にした話だと思いますので、そういう意味で、本当にデータはあるんじゃないんですか、隠しているんじゃない。
  220. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) この委員会でも再三議論されておりますように、推計の数字はございます。それは先ほど株丹次長が説明しましたように、年間一万人ほど退職をする人がいる。そのうち定年まで勤め上げる人が四割、残りの六割のうち、大体二割が自己都合退職、残りの四割の方がいわゆる早期勧奨退職、その四割のうちの半分があっせんによって天下りをしているという推計がございます。
  221. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 大臣、実際にやっているのは各官房の人事課ですから、こんなにたくさんの方々を世話できるとは思えないし、大体Ⅰ種の人たちの世話だけで手一杯じゃないかと思うんですけれどもね。そういう意味で、この制度はⅠ種の人を対象にした、いわゆるキャリア族に対する早期勧奨退職ということを中心にした法律だと思いますので、そういう観点からまたいろいろとお聞きしたいと思うんですけれども。  それはそれとして、こうした問題もいろいろあるけれども、実際に長い間の経験を生かしながら、そのノウハウを民間で利用していくということもまた立派なことだと私は思いますけれどもね。そういう意味では、これを求める動きがあって当然だと私は思いますし、そういう意味では、人事院の方おられますよね、人事院の方は、経済同友会から要請があれば、これを各省に紹介するという形でやってきておられたんですけれども、それは何人ぐらいありますか。
  222. 吉田耕三

    政府参考人(吉田耕三君) 先生から今御指摘がございました、私どもの行っております公正な人材活用システムでは、各企業から日本経団連を通じて人事院に対して人材の要請が行われまして、その就職について人事院が承認が必要とする場合は承認をするということになっておりますが、その件数は、平成十年にこの制度をつくって以来、平成十八年までで合計六十五件となっております。
  223. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 六十五件だということですから、何か総務省の方では一件だということだったですから、わずか六十六件ということで、その他については黙って各省庁があっせんしているというふうに理解していいんですか。今さっきおっしゃったように、一万名もいる中で早期退職勧奨を受けた人が二千人とおっしゃったか、四千人が受けたと言われるんですから、その残りを各省庁がやっているわけですか。
  224. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 先ほど株丹次長からございましたように、一万人の内訳は、まず肩たたきが四千、それから定年まで行った人が大体四千と、残りの二千が自己都合みたいなやつで、例えば私が役所にいたとしますと、選挙へ今度出るので辞めさせてくれと、こんなのは別に勧められても何にもなくて、自己都合で辞めるわけでございますので、そういう方が大体残りの二千人ぐらいと、こういうような、大ざっぱな数字でございますけれども、そういうのがあるわけでございます。  この四千の勧奨退職の中で、実際に今委員がおっしゃったようなあっせんというようなことを人事当局、官房長辺りがやっているんではないかというのは、これはあくまで確認ができたとか書類があるとかないとかいろんなことがあるわけでございますが、推定ベースで半分ぐらいではないかということが言われておるわけでございますけれども、実際に、じゃそれがきちっと文書で残っているかと、こういうことになると、かなり数は少なくなってくると、こういうことでございます。  いずれにしても、そういうような数の中で、総務省でやっている今の人材バンクは、こういうあっせんがあるという中で、こちらへどんどん流れてきますから、わざわざそっちへ行く人はほとんどいないということで一件しかないと。また、そういう状況の中で、経団連だったと思いますけれども、人事院さんのやっているシステムについても百件には行かないような数字にとどまっていると、これが現状であろうかというふうに考えておるところでございます。
  225. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 お話聞いていると、そうした形で早期の退職勧告をやっている人たちが四千人いると。省庁で本当に全部やっているわけじゃないだろうと思うんだけれども、人事院通じてのやつはわずか六十何人ですから、年に十名おるかどうかという程度のことですよね。  そういう状況ですと、考えてみると、Ⅰ種の人たち、いわゆるキャリアの再就職を世話するのを一生懸命にやっているのが実態ですから、むしろキャリアのそういった早期勧奨退職やめるということにしてしまえばこの問題は解決するんじゃないですか。だから、同期の人間が次官になっても、ちゃんと局長なり、あるいは専門職でいろいろやるとか、民間ではやっているんですから、同期の人間が社長になってもちゃんと六十までは勤めているんですから、役所の人間で辞めさせる必要はないんじゃないかと思うんですけれども、それについてはどうなんです。そういうのを思い切ってやめた方が早いんじゃないですか。
  226. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 前回も亀井先生から御指摘をいただいたところでございますが、今回の改正案が成立をし、この中身が実行に移されてくるようになりますと、年功序列システムが壊れてまいります。一方において、複線型の人事制度として専門スタッフ職が定着をすることと相まって、従来行われてきた肩たたきシステムは自然消滅をしていくものと考えております。  一方、年功序列制度が残り、全員定年まで勤め上げるんだということにいたしますと、行政の減量化が非常にやりにくくなってしまいます。我々は、行政の減量化を目指すとともに、今の人事慣行を抜本的に変えていこうということを考えているわけでございまして、そういう新制度の下では減量化対応としての早期勧奨退職はあり得るものと考えております。
  227. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今大臣言われたように、減量化するということは大事なことですけれども、その前提にはやはり能力主義を徹底するということが一番大事なんで、それをやっていけばおっしゃるように軽量化するわけですね。と同時に、早期退職勧告もしなくていいわけですね。だから、そういう意味では、後の方はほっといて、むしろ実力主義の方を徹底してやることにする方が先じゃないかと思うんだけれども、大臣はどう思われますか。
  228. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 正に御指摘の実力主義を徹底していく過程で、中には公務の外に出た方がいいのではないかという職員も出てくるものと思います。したがって、そういう職員に対して定年まで公務世界にいろということが逆に本人にとっていいことではないこともあり得るわけでございます。したがって、そういうことを考えれば、リストラ型の肩たたきというのはあり得るものと考えます。
  229. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 本人が望んで出ていく分は、それはそれでいいと思いますよ。だけれども、そうじゃなければ、実力主義を徹底していけばそういう人間も出てくるでしょう。だけれども、わざわざセンターつくったり何かして、内閣府に、やるのは、それこそ余分なものをつくることになるんじゃないかと思うから言っているんで、むしろ実力主義を徹底してほしいと思うんですけれどもね。  そういう意味で官房長官にお尋ねしたいのは、官房長官としてはこういったことについてはどうお考えですか。実力主義を徹底してやっていくわけですけれども。
  230. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 何度も申し上げておりますけれども、今回の法律改正で特にお願いを申し上げている大きな柱、特に考え方の転換というのは、能力を適正に評価をして、実績に基づいて人事評価を行って、それが反映されていくようにと、こういうことでございます。  これは、先ほど先生、キャリア、ノンキャリアの差を言っておられましたけれども、基本的には、大なり小なりノンキャリの世界でも多分行われていることで、早期勧奨退職の問題は行われていることでもございましょうから、やはり早くから適正に能力実績をきちっと評価してさしあげて、それを反映した人事をやっていくということがやはり御本人にしてもやる気が出てくるでしょうし、今のいわゆる肩たたきというのが、かなり労働市場においては、年齢的に少しやっぱり民間の方々の常識から考えると、上にいっている人たちをどう言ってみれば再就職していただこうかと考えると、なかなか予算とか権限とかバックにしてないと難しいという状況が続いてきているんだろうと思います。  したがって、その方々の能力に見合って、再就職を希望される方はやはりそういう形で力に合った転職というのができればいいと思いますし、また、残るならば今度は、スタッフ制を今言っておりますけれども、そういうような形で専門性を生かしながら残っていただくということなのかなというふうに思っております。
  231. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 この問題については、押し付けの退職勧告ということをやっているから天下りが片方であるわけですよね。だから、民間の方から希望することに応じてやるんだったら、天下りといっても別に悪い問題じゃないんですけれども。片方で押し付けするから押し付け天下りになっちゃうということですから、そこを排除するためにはやはり実力主義を徹底してうまくやっていくのが一番だと私は思います。民間の場合でも、再就職をあっせんする前に実力主義を徹底する努力を随分やりました。正直言って私もやりましたけれども、今から三十数年前からその問題に取り組んでやったわけですけどね。  そういうことで考えていただきたいと思うんですけれども、そうすれば再就職監視委員会など、変な委員会もたくさんつくってまたやらなきゃいかぬという必要もないし、余分な組織をつくる必要もないわけですから、それについては十分考えていただきたいと。特に、人事院をもう少し活用していけばいいんじゃないかと思うんですね。そのためには、今回内閣府につくるという案になっているけれども、もうちょっと人事院の方のいろんな組織を使うことについてはどうお考えですか、大臣
  232. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) この法案審議の中でも再三御説明申し上げておりますように、いきなり人事院の今やっている仕事、例えば百三条の事前規制をなくすということではございません。一元化まではこういった規制は残すわけでございますし、人事院の意見を聴いて行っていく仕事もございます。したがって、人事院がいきなり仕事がなくなるとか、そういうことでは全くないと考えております。
  233. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今既に人事院が採用活動をやっているわけだから、そこをちょっと広げる格好でやればいいんで、逆に各省庁のやっているあっせんを例えば禁じるということになれば、全部そちらへ回ってくる格好になるわけですね。そうすると、別に内閣府に新しくつくらなくてもいいんではないかと思うんですけれども、それはどうですか。
  234. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) まず、早期退職勧奨とそれからあっせんのところで、一つ、一段階四千と、その半分ぐらいというお話を先ほどさせていただきました。  民間でもあることでございますけれども、少し定年より早く辞めると退職金が割増しになると、こういうことで、会社のリストラをやるときに労使合意の上でやると、こういうことがございまして、実は、我々が勧奨退職と言っておりますのは、ただ肩たたきをするということではなくて、労使合意の上で定年より先に辞めるときには退職金の割増しを行えると。これは退職手当法の五条の三というのがございまして、ここでそういう規定があるわけでございます。  ですから、特に行き先をあっせんしなくても、民間で行われているような退職金の割増しがあるんなら私は定年より前に辞めて自分で何とかしようという方もあり得るわけでございまして、そういった意味での、先ほどから委員が御指摘のピラミッドで、同期が二十何人いて一人ずつ減っていくというピラミッドを維持するためのいわゆる今までの肩たたきということではなくて、そういった意味での退職金が割増しになる代わりに自分は外へ出ていって行こうと、こういう形での早期退職勧奨というのは残るであろうというのが我々の考え方でございます。  一方で、そういうことも自分はしたくないと。そして、先ほど来、能力実績主義の方でございますように、ポストを必ず決めて、国家行政組織上、こういう仕事をする人が公務にいますと、こうなっているわけでございますから、逆に六十歳まで、私は定年になるまでいますというと、身分保障の関係でずっとその人はいるということになります。そういたしますと何が起こるかというと、その人がいる限りはそのポストが空きませんので、定数がどんどんどんどん増えていけば別でございますけれども、我々は逆にスリム化をしていこうと、おととしぐらいからこの五年間で五・七%の定員純減をしていこうと、こういうことを決定しておりますので、結局何が起こるかというと、この新しく入ってくるというところが結局絞り込まれていく、こういうことが起こってしまう、こういうことになるわけでございまして、そういうふうに新陳代謝が進まなくなるという、今あっせんをやっているわけですから、あっせん禁止するということになるとそういうことも想定をされるんではないかと。  そういうことであれば、きちっと見えるところで、透明性を確保したところで正々堂々と行ってもらう場をつくって、そこでどんどんどんどんと外に出ていってもらえる人には出ていってもらうということをきちっとやっていくと。しかし、今までのように官民癒着の原因になっていた各省が権限を持っている各省であっせんをするということは禁止をしていこうと、こういう考え方で官民人材交流センターというのを提案をさせていただいたわけでございますから、委員がおっしゃるようにだんだん能力実績主義が入っていって、そもそもこのピラミッドが少なくなってまいりますと、いわゆる今の省庁でやっているあっせんに代わるところの部分がだんだん減ってくるんではないかと、こういうふうにも将来的には我々は考えておりますが、逆に言うと、先ほど来御議論があるように、外からこの官の世界に入ってくるという方もどんどんと流動化させていこうというのが我々の考え方でございますので、あえて名前を官民人材交流センターというふうにさせていただいたのは、そういう仕事もここを通じてやっていただこうと。  ですから、出ていくだけではなくて入っていく人のゲートウエーにもなっていただくという意味でこういうものをきちっとつくって、正に官房長官の言葉をおかりすれば横滑りといいますか回転ドアで、どんどんと有為な人材が官民の壁を越えて国のために、また民間のために活躍していただくと、こういうことを考えてこういう提案をさせていただいたということであろうかというふうに思っておるところでございます。
  235. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 どうも分からないのは、退職金の加算なんかも今は民間でも全部して、そこの中でみんな選んで辞める人間は辞めるという形で辞めていっておるわけですよね。そうすれば、役所の場合でもそういう状況を出せば選んで辞める人間もおると。実力主義でいけば、やはりポストに就くことができないという人間もおれば、本人が一番よく分かるわけですからね、やっていけるんで。  今、上が詰まるじゃないかと言われましたけど、それこそ人事権で外していくことができるわけですからね。駄目な局長は替えることできるでしょう、局長でもいろいろ、Aという局長はほかのところに替えることできるんだし、どんどん、だから替えられないことはないわけですよね、特定の職種の場合は。だから、役人の場合はそうして六十までは働ける人は働くということにしていけばいいんで。  そうすると、今言われたように外から入ってくる人間のためにと言われるけど、そのためにも人事院があるんだから、人事院はちゃんと採用するためにあるわけですから、そういった客観的な機関をうまく使っていけば、新しく組織、センターなんかつくらぬでもいいじゃないかと、監視委員会などつくらずに、つくったらまたそこへたくさんまつわりつくから、そっちの方が不経済ですよ。  だから、そういう意味で、もっと、実力主義はいいんだけど、そこを中心にやっていくべきではないかと思うんだけれども、大臣はどう考えられますか。
  236. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 我々は、今の公務員制度に対する国民の不信感、これを完全に払拭をしたいと考えております。公務世界に携わる人たちが、高い気概と情熱とやる気を持って仕事ができることが必要であります。そういう新しい公務員像を念頭に置きながら、今の弊害を取り除いていくための提案を今回しているわけでございまして、それがまさしく能力実績主義天下り規制の二本立てでの今回の御提案になったということを是非御理解をいただきたいと考えます。
  237. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 終わります。
  238. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  239. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十一分散会