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2007-05-10 第166回国会 参議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年五月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月八日     辞任         補欠選任         尾立 源幸君     松井 孝治君      木俣 佳丈君     芝  博一君      亀井 郁夫君     長谷川憲正君  五月九日     辞任         補欠選任         郡司  彰君     櫻井  充君      芝  博一君     木俣 佳丈君      長谷川憲正君     亀井 郁夫君  五月十日     辞任         補欠選任         櫻井  充君     郡司  彰君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 正司君     理 事                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 朝日 俊弘君                 工藤堅太郎君     委 員                 佐藤 泰三君                 鈴木 政二君                 田村耕太郎君                 竹山  裕君                 林  芳正君                 山谷えり子君                 木俣 佳丈君                 郡司  彰君                 櫻井  充君                 風間  昶君                 白浜 一良君                 亀井 郁夫君    国務大臣        国務大臣     渡辺 喜美君    副大臣        内閣府副大臣   林  芳正君        農林水産大臣  国井 正幸君    大臣政務官        財務大臣政務官  椎名 一保君        経済産業大臣政        務官       高木美智代君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局次長  大藤 俊行君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局審議        官        鈴木 正徳君        金融庁総務企画        局審議官     河野 正道君        財務大臣官房参        事官       香川 俊介君        財務省理財局次        長        小手川大助君        財務省国際局次        長        玉木林太郎君        農林水産大臣官        房政策評価審議        官        中尾 昭弘君        中小企業庁事業        環境部長     近藤 賢二君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      薄井 信明君        農林漁業金融公        庫理事      坂野 雅敏君        中小企業金融公        庫理事      石川 雅郎君        日本銀行企画局        長        雨宮 正佳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○株式会社日本政策金融公庫法案内閣提出、衆  議院送付) ○株式会社日本政策金融公庫法施行に伴う関係  法律整備に関する法律案内閣提出、衆議院  送付) ○議案の撤回に関する件     ─────────────
  2. 藤原正司

    委員長藤原正司君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八日、尾立源幸君が委員辞任され、その補欠として松井孝治君が選任されました。  また、昨九日、郡司彰君が委員辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法施行に伴う関係法律整備に関する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官行政改革推進本部事務局次長大藤俊行君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法施行に伴う関係法律整備に関する法律案審査のため、本日の委員会国民生活金融公庫総裁薄井信明君、農林漁業金融公庫理事坂野雅敏君、中小企業金融公庫理事石川雅郎君及び日本銀行企画局長雨宮正佳君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法施行に伴う関係法律整備に関する法律案、両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 秋元司

    秋元司君 おはようございます。自民党の秋元司でございます。  またまた質問の機会をいただきました。毎度毎度ありがとうございます。  また、今日は、渡辺大臣におかれましては本当連日御活躍で御苦労さまでございます。今日もまた改めて審議をさせていただき、いろんなことから質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  さて、今日議題となりました日本政策金融公庫法案、この件であります。これらにつきましては、行政改革推進法の中で、より今ある政府系金融機関スリム化させて、そして効率よく、そしてまたスリム化ということと同時にコストというものを削減し、そしてまた時代に合わせて必要なものは残しながら国として取り組むべきことは取り組む、そういった思いの中で、推進法である意味議論をさせていただく中に、今度その中身をどうしていくかということの中でこのたびの議案となりました法律があるということで理解をさせていただいております。  冒頭に何点か申し上げたい点があるわけでありますけれども、確かに、官から民、そしてまた民でできることは民、私はこれは大事な位置付けであると思っております。ですからこそ、今まで国がいろんな形である意味助けてきた分野というのは、民間でできることは民間でということの中で、極力国が口を出さずに、また税金等を使わずに民活を利用しながら頑張ってもらう、これは私は新しいこの新時代において非常に大事なことだと思っております。  しかしただ、政府としてやはり助けるべきものは助けていかなくちゃいけない、そして必要なものは必ず国が何かしら携わっていかなきゃならないという分野はあるわけでありまして、とりわけ私は、この経済分野でいえば中小企業零細企業、当然民間の中で、市場の原理の中で、それぞれが切磋琢磨し合って、競争し合って頑張ってもらう、これは当然のことでありますけれども、しかし頑張る前提として、ある意味少し国が後押しして、また金融機関の中であれば、民間金融機関がなかなか手を出しにくいと言われた分野においては多少国がある意味政策的に助けてあげれば、それによってこの中小企業零細企業が元気になる一つのきっかけになるのであれば、わずかなりでも国が応援してあげるというのは私はこれは必要なことであるんじゃないかなと、そのように思っているわけでありまして。  そういった意味におきましては、これはさんざん行政改革推進法の中でも大分議論をさせていただきましたけれども、特にこの政策金融機関につきましては、やはり政策的に必要な部分は残していく、しかし時代の要請に応じてもはやこういった部分においてはいいんじゃないかと言われる部分はカットする。そういった意味で、いわゆる国金中小公庫、また農林公庫、そしてまた国際協力銀行ですか、この分野をすべて一本化して、そして国として応援できる体制は応援する、そういった形を取ったという理解であります。  今日は、そういった意味において、じゃ、何が必要で何が必要じゃないのか、そしてまた必要なものであれば、今後株式会社となり、といいましても特殊会社という位置付けでありますけれども、政策的に国が進めていかなくちゃならない分野をどうすれば株式会社として運営するこの日本政策金融公庫、しっかり国の政策を実現できる方向に行けるのか、そういったことを何点か質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  まず、一点目でありますけれども、組織在り方として、今私が前段申し上げさせていただきました、今回株式会社となるといえども、当然国の目指していく政策、そしてまた中小企業に向けて、中小企業をある意味助けていく、そういったことを重視をしてもらうための私は株式会社在り方だと思うんですけれども、その中で国が政策を実現するために、どのようにしてある意味この株式会社に対して担保をしていくのか、この件についてお伺いをしたいと思います。
  9. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 先生が御指摘になりましたように、新公庫特殊会社ということになるわけでございますけれども、政策金融として必要な機能をしっかりと担っていくべき機関でございまして、毎年度国会議決を経て必要な財政支援は受けながら政策上必要な業務を的確に実施できるよう、本法案において所要の措置を講じているところでございます。  具体的には、まず、国は新公庫の株式の総数を常時保有しなければならないというふうにしているところでございます。また、資金調達におきましては、引き続き財政融資資金の借入れや政府保証債の発行を可能とするという措置も講じているところでございます。また、予算につきましては国会議決を経ることということにしているところでございまして、今申し上げましたような様々な規定を設けて措置をしているところでございます。
  10. 秋元司

    秋元司君 今お話出た話によりますと、ある意味今までとそう変わりはないというような形でありましょうから、そういった意味においては、しっかりと国の政策をこの会社は受けてしっかり政策金融という仕事ができる、そういった私は体制にあると。それは私としては確認をさせていただいてある意味ほっとしているわけでありますけれども。  今、渡辺大臣が推進されて、そして何とかこの国会で成立しなくちゃいけない、特段の思いで進めていらっしゃる、いわゆる人材バンクを含めた公務員改革法、取り組んでいらっしゃる。私はこれは大いに応援をさせていただきたい、そういった立場でありますけれども、今までは特殊法人として位置付けであったこの政府系金融機関、どちらかというといわゆる官の天下り先じゃないのかというような色彩が一番強かったところであります。  ただ、一部の機関におきましては、やはりもうそういう時代は古いということの中に民間から総裁を迎える形でやっているところもあるわけでありますけれども、私は実は、変な天下り、又は公務員の、いわゆるこういった特殊法人も含めた政府が株を保有している会社公務員の方々の固定的なポストであるということについては非常に私は否定的な考え方でありますけれども、しかし今までのそういった公務員としての、又は専門分野としての知識を生かしてそれなりの役所以外のところで働く、専門分野をフルに使ってもらって頑張ってもらう、そういったことについては決して私は否定すべきものじゃないと思っておりまして、大いにそういった特殊能力をどんどんと民間でも、またある意味特殊法人でも活用していただきたいと、そういった思い立場でありますけれども。  しかし、今度、このたびの日本政策金融公庫、これは株式会社としてこれから存在するわけでありますが、ここに対して、政府が当然株を保有しているわけですから、当然政策的には口出しをするわけでありますけれども、同時に、いわゆる天下りポストとしてこれがまた固定的になっては私はこれはいけないんじゃないかなという思いがあります。しかし、ある意味先ほども申し上げましたけれども、ここの会社に対して、決して公務員としてのキャリアというものを無駄に、キャリアとして備えた能力を持った人がここに働いてはいけないという、そういったまた決まりも作るべきではないと思うわけでありますが。  改めてお伺いしたいんですけれども、今回この日本政策金融公庫、これは今大臣が推し進めようとしている国家公務員法の、何といいますか、対象となるべき会社になるのかということが一点と、もう一つは、いわゆる天下りと言われている対応策についてはどのようにされていくのか、この点をお伺いしたいと思います。
  11. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) まず、今回私どもが国会提出をいたしました国家公務員法改正案におきましては、営利企業のみならず、非営利法人、例えば独立行政法人とか特殊法人認可法人公益法人等々もその規制の対象といたしております。したがって、当然のことながら今日御議論をいただきます政策金融についてもその対象の中に入っているわけであります。  また、今回の新公庫法においてどのような対策を取っておるのかということであります。行革推進法議論のときにさんざん小泉総理がおっしゃられたことでありますが、固定的に、事務次官だからその組織のトップになるという時代ではもはやないんだと。官民のいかんを問わず、必要と認められる識見、能力を有する者の中から適材適所で経営責任者選任をしていくという方針は正しいことであろうと思っております。  具体的に選任をするに当たっては、まず新公庫自らが人を選びます。そして、主務大臣もこれをチェックをいたします。また、主務大臣認可に当たっては、適切な人選であるということについて政府の確立したルールに基づいて内閣としてきちんとチェックをしてまいります。具体的には、第一に、役員全員について官房長官同意が必要となります。第二に、代表権の付与に当たっても官房長官同意が必要となります。第三に、代表取締役会長それから社長については閣議の口頭了解が必要になります。したがって、固定的に、事務次官だからどこそこの総裁理事長ポストに就けるんだということはなくなるわけでございます。
  12. 秋元司

    秋元司君 今の大臣の御答弁にありますように、固定的なポストとしない、これは本当にさんざん行革推進法でも議論したとおり、私は本当に大事なことであると思いまして、それがある意味国民に対して政府としてメッセージを出していく、こういった天下りはやめていく、そういった国民に対するメッセージでありましょうから、この点をしっかりやはり守っていただいて、そして、かといってすべていわゆる公務員の方を排除するというのじゃない、それはもう確認をさせていただきました。しっかりその目標に向かって頑張っていただきたいと思います。  次に、同じガバナンスという観点から、今回のこの新公庫法では、先ほど申し上げましたが、四つのいわゆる旧政策金融機関、これが一本化するわけでありまして、そうしますと、今までの四つ金融機関、それぞれいろんな立場政策を異にして仕事をされていたわけでありますけど、一つ会社となりますと、どうしても、何というんですか、グロスで仕事評価を私はしがちになってしまうんじゃないかなと思うわけでありますが、それぞれ、本来ですと持ち場持ち場政策意義、そしてまた仕事に対する評価というものは私はしていかなくちゃいけないかと思うんですけれども、そういった中で、政策実施責任に対する明確化ということについてお伺いをしたいと思います。
  13. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 新公庫は、先生が今お話しになりましたように、国会議決を経て必要な財政支援を受けつつ、零細事業への貸付けから国際金融といったようなところまで多様な業務を担う機関でございます。このため、新公庫におきましては、各政策の適切な実施透明性確保責任明確化というものを図るべく、まず主要政策ごと勘定区分を行いまして、政策目的ごとに拠出された出資金等財政資金をきちんと分別管理するとともに、各政策実施状況を明確にするということでございます。また、各政策分野責任を持つ主務大臣がきちんと業務実施を監督をするというものでございます。  また、財政支出ということにつきましては、その在り方につきまして、機関全体の収支差額を一括して事後的に補給金という形で補てんするいわゆる収支差補給金の形となっているものにつきましては、あらかじめ必要と考えられる金額につきましてできる限り明確な基準で見積もっておく方式に改める方向で見直していきたいというふうに考えているところでございます。  こういったような措置を講じることによりまして、政策実施責任明確化等を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  14. 秋元司

    秋元司君 本当にそれは大事な私はことであろうかと思いますので、是非そのことをしっかり実施していただいて、それぞれやっている仕事が適切に評価される、そしてまた、足らざるはしっかりと補えるような体制を取っていく、このことが必要だと思いますので、是非頑張っていただきたいと思います。  続きまして、少し運営の方について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。  国金中小公庫、そして農林公庫国際協力銀行先ほどから申し上げますとおり、これは似たような、例えば国金とか中小公庫、同じ中小企業対象金融機関であるとしても、ただ対象となる企業はやっぱり、企業体質そのものはそれぞれ違うわけでありまして、国金中小公庫、来るお客さんの、何といいますか、企業売上規模資本金、これは全く異なったケースが私は多いと思うわけであります。  そうしますと、一本化した金融機関の形ですと、国金に来るようなお客さん、来るような会社中小公庫担当者のところに行ったときに、とても話が合わないとか、よく話が合わない、そんなことはよくある話でありますから、私は特に目利きという分野についても今後非常に心配する点があるわけであります。同時に、もっと大きな目で見れば、国際協力銀行、これはどちらかというと国際金融機関分野でありますから、当然国内金融とは全く違う。  そういったことからしまして、こういったそれぞれ今まで四分野で頑張っていた組織を一本化するということの中で、どのように組織設計というものを考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  15. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 会社法上、今後の新公庫内部組織の具体的な在り方につきましては、会社自主性にゆだねることが基本であると考えております。ただし、今後の具体の組織設計に当たりましては、政策金融改革趣旨を踏まえまして、効率的な事業運営実現等政策上必要な業務の的確な実施を図る観点から最もふさわしい姿となるように努めていく必要があると考えているところでございます。  その際、行革推進法の第五条におきまして、事業の性格の差などから、国内金融業務を行う部門国際金融業務を行う部門とに大別をすると。それから、国内部門につきましては、業務の態様に応じた区分を明確にして内部組織を編成するというふうに規定されているところでございまして、これに沿った組織となることが重要であると考えております。  また、新公庫政策金融機関として必要な機能をしっかりと担い、政策上必要な業務を的確に実施していくためには、先生が今御指摘になりましたように、それぞれの分野の各政策や実情に精通した人材確保、養成が行われて利用者と直接相対する窓口に適切に配置されるなど、きめ細かな対応が極めて重要であると考えているところでございます。この点につきましては、行革推進法第五条におきましても、新公庫組織について、専門的能力を有する職員の配置及び育成を可能とするものと規定されているところでございます。こういったように、きちんとした人材育成確保といったような点にも配意していく必要があると考えているところでございます。  また、先ほど申し上げましたように、新公庫は、政策金融実施する機関といたしまして主要政策ごと勘定区分をいたしまして、各政策分野責任を持つ主務大臣がきちんと業務実施を監督するということにしているわけでございます。これらによりまして、各分野における政策上必要な業務の的確な実施というものが図られていくものと考えております。
  16. 秋元司

    秋元司君 本当にこれが一番大事な私は分野であると思うんですね。  先ほどもちょっと触れましたけれども、国金中小公庫、同じ中小企業対象ということではありますけれども、来るお客さんの質は全く違う。特に国金においては、後段にも触れようと思っていますが、一個人事業主、いわゆる昔、旧環衛公庫対象となった、そういった方がお客さんとなるわけでありまして、そうしますと、ある程度中規模クラスの工場とかそういったインフラを持った企業対象となる中小公庫とは全く違う。ですからこそ、非常に職員教育体制というものを今後どういうふうに充実していくか、これが私は一番大事な分野であると思っています。  どんなに組織をつくりましても政策を作りましても、これに対応できる人材育成をしていかなければこれはすべて絵にかいたもちになっていく、そういう思いがありますから、とりわけここ五、六年ないしは七、八年は当然それぞれの、今、国金だ、中小企業公庫だ、又は農林公庫だ、国際協力銀行だ、それぞれ別組織であったのが一本化するといっても、それぞれ別組織であった教育訓練体制の中で業務をしてきた皆さんが最初携わっていくわけでありますから、私は当初は余り心配しておりませんけれども、しかしそれが五年たち、七年たち、八年たちというふうになりますと、新しいいわゆる新入社員というものを入れていった場合においては、今度はその人たちはある意味一本化された中での新しい人材なわけでありますから、そうしますと、今までのような、自分は国金に来るようなお客さんを対象とするための目利きということじゃなく全体を今度見ていかなくちゃいけない。これはある意味バランスを取るためには大事なことかもしれませんが。  しかし、事政策金融ということに対しますと、それはそれで専門的な知識をそれ用でやっぱり学んでもらい、それでもってお客さんに対応してもらう。このために、私はある意味民間金融機関と違って政策金融機関が果たしていく役割がここにあると思っておりますから、それが民間金融機関と同じようになってしまって、中小公庫対象企業も見れますよ、又は国金対象も見れますというふうな、すべてが中途半端な形になってしまうとこれはこれでまた政策意義がなくなる可能性がありますから、その教育体制というものだけはしっかり充実していただいて、立派な専門家を是非これからもつくっていただきたい、そのようにお願いをさせていただきます。  同時に、先ほどガバナンスのところにもちょっと触れていただきましたけれども、資金調達におきましてどのような組織体制で挑まれるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  17. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 資金調達についてのお尋ねでございます。  新公庫の担う業務は、政策金融として国が責任を持って実施していく業務でございます。このため、今回の公庫法におきまして、業務の円滑な遂行に支障が生じないよう、新公庫はこれまでと同様に財政融資資金の借入れや政府保証債の発行が必要に応じ可能となるよう所要の規定を措置しているところでございます。  こういった措置を前提といたしまして、新公庫におきましては、資産、負債の総合管理、いわゆるALM管理の観点も踏まえまして、資金調達コスト、期間、市場の状況等を勘案しながら、財投機関債、政府保証債財政融資資金の借入れ等を適切に組み合わせて、予算、決算につき国会での御審議をいただいた上で、新公庫による効果的、効率的な資金調達を図っていくことが重要であると考えております。  新公庫の資金需要につきましては、各分野の資金需要、調達時期、償還期限は様々でございますけれども、資金調達コストをできるだけ低減をしていくという観点を踏まえまして、新公庫において一元的、効率的に資金調達実施していくということになるわけでございます。
  18. 秋元司

    秋元司君 元々政策金融機関がやってきた分野でありますから、どちらかというと余りもうかる分野じゃないんですね。もうかる分野というのは当然民間金融機関がどんどん手を出していくわけでありますから、どちらかというとリスクを抱え込んでもらったまま商売やってもらうという体質でありますから、本当この資金調達、これをいかに効率よく、そしてまた政策実現できるような体制を取ってもらう。非常にある意味難しいのかなという思いがありますけれども、そこは財投というものがあるわけでありますから、そういったものをいかに有効活用してもらうか、こういったことも同時並行にしてもらいながらの流れでありましょう。是非引き続きの政策実現のための組織設計、頑張っていただきたいな、そんなふうに思うわけであります。  今回の法律一つの目的というのは、先ほどから申し上げているように、すべての組織を統合したということであります。当然、一本化するということになりますと、職員の数も含めて、支店を統合すればそれだけの固定費も軽減されるわけでありますから、統合効果ということを考えますと、一番考えられるのは経常経費が削減される、これが一番目に見える形の統合効果であると思いますけれども、実はそれ以上に統合することによってのメリットというのは幾つか私はあると思うんですが、今政府が考えている統合効果というのをどのようにとらえていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  19. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 現行四機関一つ政策金融機関に統合する主なメリットとしては、まず先生が最初にお話しになりましたように、管理部門等の共通する業務の一元化や同一地域に複数の支店が存在する場合に統合する等によりまして役職員数の縮減、経費の節減を図るということがありますし、また資金調達のところでお話しいたしましたように、新公庫が一元的、効率的に資金調達実施することによって資金調達コストの低減を図っていくということがございます。  このようなことに加えまして、まず業務に関するノウハウの共有などによりまして、新規創業の支援や事業再生支援といったいわゆる分野を超えた共通の課題といったようなものにつきまして連携した取組を行うことができる。また、経営コンサルティング、ビジネスマッチング等、またこれについても幅広いサービスの提供に取り組むことができるといったようなメリットがあると考えております。  また、さらに支店統合によりまして主要な支店におきまして新公庫のすべての金融サービスに関する、言わば利用者から見てワンストップサービスを提供するということも可能になると思っておりますし、また、全支店におきまして新公庫が提供いたしますすべてのサービスに関する情報提供体制整備するといったようなメリットも考えられるのではないかと思っているところでございます。
  20. 秋元司

    秋元司君 私もそんなところがこの統合効果じゃないかと思うわけでありますが、当然、一つ組織になったわけでありますので、中小企業の中にはこれからどんどんと世界に対して進出をしていきたいと思った企業があるとすれば、国際協力銀行職員の皆さんが組織的には一本化しているわけでありますから、場合によっては内部連絡の中で、こういう企業があるんだけれども何かいいノウハウないかとか、そういった横の連絡も取ることによって適切なアドバイスを今までとは違った形でお客さん、いわゆる企業に対して与えられるという私はメリットもあると思いますから、やっぱりそういった、今までそれぞれの分野で頑張ってきた人たちが一本化するわけですから、よく情報というものを、また同じ職員の中でも、おれは元々旧組織のここだよとか、そういった心の壁をつくらずにオープンになって情報を共有できるような、そういったすばらしい組織になってくれれば、これはこれで、私は今後この新しい日本政策金融公庫、すばらしい会社になるんじゃないかなと期待をさせていただくところでもありますから、是非そういった意味においては、人事交流大いにやっていただきながら、よりこの組織が、この統合が効果的に発揮されるようなすばらしい組織をつくっていただきたいな、そのように改めてお願いをするわけであります。  続きまして、少し業務の方に何点か入り込まさせていただきたいと思うわけであります。  まず最初に、いわゆる国金業務でありますけれども、再三再四我々は、金融在り方として議論をする中に、日本というのはどうしても中小企業に対して保証人、担保というものを要求しがちでありまして、本来、融資というのは企業に出すとすれば、そのビジネスモデルというのがいかがなものなのかということの評価判断で融資をしていくというのが本来の在り方であると思うんですけれども、日本はどちらかというと、先ほど申し上げたように保証人又は担保、そういったものに頼りがちでありまして、それに基づいてそれなりの融資をしていく、これがずっと長い時代ありました。  その結果、いわゆるバブル崩壊のときに、多くの中小企業がバブル崩壊のあおりを受けて、結果的に企業における代表者が個人保証を入れているがために会社も倒産すると人生も終わってしまう、そういった傾向になりまして、ある意味多くの自殺者を生んでしまったということにも私はつながっているんじゃないかなと思うわけであります。  ですからこそ、政府として、やはりこれからは、ある意味企業を応援するんだという観点から、この無担保無保証というものをまず国が取り組んで、そういった国の実績を見て今度は民間金融機関が、ああそういうことがこの国もできるのかという安心の中に今後民間金融機関がどんどんとそういった分野にもっともっと積極的にやっていただければと思うわけでありますが。  国金の方では既に経営改善貸付金という、こういった分野の中で、当然これは民間のいわゆる経済団体との連係プレーをもっての在り方だと思いますけれども、無担保無保証を率先してやっていただいていると。無保証まで行ったのかな、無担保かな、無保証まで行っているか、ちょっと私記憶が定かじゃありませんが、いわゆる無担保ということについては積極的にやっていただいているわけでありますけれども、どうですか、この経営改善貸付金、これにおける少し実績等をお話しいただきたいと思うんですが。
  21. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。  まず、先生今御指摘の経営改善資金貸付けというのは小企業等経営改善資金融資制度と言っておりまして、いわゆるマル経融資と言っておる制度でございます。商工会、商工会議所の経営指導を受けた小規模事業者がその商工会等の推薦に基づきまして国民金融公庫から、無担保無保証でございます、無保証人で低利融資を受ける制度でございます。  まず、その実績について話せということでございますので、少し数字を申し上げたいと思いますが、マル経制度は昭和四十八年に制度を創設して以来相当何度も何度も拡充、充実をしてまいりました。最近のこの十年間のマル経の貸付けの推移を見ますと、平成九年度には貸付けが約十二万件ほどございました。十八年度では約五万件の貸付けでございます。貸付規模の方は、平成九年度で約四千億でございます。十八年度の数字では千六百四十億と、こういう実績になっておるところでございます。まず実績を御報告を申し上げます。
  22. 秋元司

    秋元司君 やっぱり多くの企業の方がこの制度を利用していただいている、そういった結果であろうかと思います。  是非、新しい別組織になっても、この制度は引き続き残していただきまして、今回の法案を見ますと、しっかりこれは残っているという位置付けになったと思いますが、国金対象とする方というのは額的には五百万、六百、七百、大体一千万円以下の方が大半じゃないかと思うわけでありますが、そういった、ある意味個人事業主の方も多いわけであります。  是非、そういった方に融資をするというような意味では、こういった制度を利用してもらって、本当は商売でありますから自分が、日本の感覚で言いますと、自らの自己責任を持って頑張ってもらうためには誠意を持って自分も保証人にもなって仕事に取り組む、そういった精神論からいえば大事なことかもしれませんが、しかしビジネスはビジネス、余り過度に個人の保証も取りますと、いわゆる我々としてはどんどんとビジネスをやってくださいという、国としてもそういった政策を出しているにもかかわらず個人保証を余り押し付けますと、どうしても何だという話にもなりがちでありまして、そういった意味においては、より多くの経営者がどんどんと生まれてくるためにも、この無担保無保証、私は大事な政策一つだと思いますので、引き続き政策としては残していただいて、もっともっと、マル経じゃなくても、マル経という制度を使わなくても、ある意味国金のサイドでこの会社はいけると踏んだのであれば、無担保無保証というのをどんどん枠を拡大してもらって、積極的にそういった多くの経営者の皆さんに頑張ってもらう、そういった拡大の意味での、拡充の意味での活躍というものを私は期待させていただきたいと思うんですが、その辺いかがですか。
  23. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) まず、マル経の制度の方から御報告をさせていただきますと、まず先生おっしゃいましたように、中小企業者、特にこの小規模企業者の場合には担保とか信用力に非常に乏しいわけでございます。資金調達でなかなか苦しむという現実がございます。そういう中で、このマル経制度は非常に有用な、有益な役割を果たしてきたというように私ども認識をしておりまして、昨年成立をさせていただいた行政改革推進法、それから昨年六月に決定をされました政策金融改革に係る制度設計、さらには現在正に今日御審議いただいております株式会社日本政策金融公庫法案におきましても、新公庫にマル経融資制度がしっかりと承継されることなどが規定をされているところでございます。引き続き、この制度の積極的な活用を図りながら、小規模事業者の資金調達支援に取り組んでまいりたいと考えております。  それからさらに、今本人保証の御質問がございました。本人保証のところは先生のおっしゃるところ非常によく分かるわけでございます。中小企業向け融資については、ただ、経営と所有が分離していないという場合に経営者のモラルハザードを防ぐことが難しいということで、経営者の本人保証を徴求するという現実もあるわけでございます。  ただ、これは余り過度な本人保証を取っていきますと、先生今正に御指摘のありましたような、一度事業に失敗すると経営者の生活基盤を破壊してしまう、創業とか再チャレンジがなかなかできない、こんな実態もあるわけでございまして、これは中小企業金融公庫で今年の四月から予算で認めていただいてスタートさせたんですけれども、定期的な財務報告等の約束をしっかり履行する場合に、経営者本人の保証を免除するような本人保証の猶予特例制度というものを創設をいたしまして、経営者本人の保証を不要とするような融資にも取り組んでいるところでございます。  こういう、きちんと経営ができているものについて経営者本人の保証に過度に依存しないような融資を積極的に推進していきたいと、このようにも考えているところでございます。
  24. 秋元司

    秋元司君 是非、国金さんにはこれからも頑張っていただきたいと思います。我々もよく相談を受けて、国金さんへ行ったらどうですかということは、よく地元のいろんな企業から相談されるとそういったことをよく宣伝させていただきますけれども、我々が、どちらかというと接しやすい、そういった地域経済の担い手の皆さん、これはもう国金が頼りでありますから、是非これからも業務という中においては頑張っていただきたいと思います。  国金業務の中でいわゆる生活衛生貸付金、昔はこれは環衛公庫があったわけでありますが、環衛公庫がなくなってその業務国金にやっていただいているわけでありますけれども、実は今回この組織統合ということの中で、どちらかというとこの生活衛生分野に携わっている皆さん、なかなか法的な位置付けが自分たちはないので、ひょっとしたら自分たち分野は今後忘れ去られてしまうんじゃないのかという懸念の声が大分飛んでいるようでありまして、衆議院の方でも相当議論していただいて、改めてこの法律の条文の中に生活資金貸付けに当たる、いわゆる環衛分野国金にもしっかりと業務をやっていくということを衆議院の方では大分確認をされたというふうにお伺いしておりますけれども、改めてお伺いしたいわけでありますが、新しき新公庫法、これが実現したとしましても、この生活衛生に携わる方、しっかりと政策の担保取れていらっしゃるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  25. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 生活衛生関係営業者の方々は国民にとっては大変身近な存在であります。十六業種ございます。事業者数にして約百万人、従業者数が何と六百万人に及んでおります。我が国の経済にとって、国民生活の向上において大変重要な役割を担っているということであります。国民生活金融公庫のこうした方々に対する融資が円滑に事業を継続する上で大変重要であると私どもも考えております。  政府としては、新公庫を設立するに当たって、こうした貸付けはしっかり継承をしてもらうということでございます。  新公庫法においては、第一に、目的規定において、行政改革推進法において用いられている国民一般という用語を用いております。これが生活衛生関係営業者を含むものであることは法文上明示されております。第二に、業務の規定において、生活衛生貸付けの具体的内容を明記をいたしております。第三に、新公庫の資金計画において生活衛生関係の貸付予定額の合計額を明らかにしなければならないとしております。  政府としても、新公庫の設立により生活衛生関係営業者の皆さんが融資や利便性について不安を持たれることがないよう、新公庫運営に当たって十分配慮をする方針でございます。
  26. 秋元司

    秋元司君 今の大臣のお言葉を聞いて、生活衛生に携わる業界の皆さん安心されていると思いますので、是非引き続きのこの組織の上での、又は政策分野での継承というものをお願いしたいと、その辺改めて御要望させていただきたいと思います。  次の業務として教育貸付金、これにつきましては、まず貸付対象の範囲を縮小するということが明言されております。政策的な継承は当然していただくんでしょうけれども、この貸付対象を縮小する、これが実は多くの制度を利用したいという方にとっては不安の声が飛んでいるわけでありますけれども、民間金融機関ですとどうしても勤続年数で排除されたり、もう一つは、個人の方であると、住宅ローン等があっていわゆるオーバーローンしてしまった人についてはなかなかこの教育貸付金ということは民間金融機関で利用するのが難しいという声もあるわけであります。  これは直接この法案とは関係ありませんが、非常に近年住宅ブームが起きていて、民間金融機関も法人貸付けというよりは非常に個人貸付けの分野を力入れておりまして、私の友人なんかの話をしますと、住宅ローンすごいんですよね、年収の六倍貸し付ける。大体今彼らと話を、業界の人間とも話をしますと、年収五百万の人に対して三千万のお金を貸してあげて、要するに三千万ぐらいの一戸建ての家が東京都内も結構今増えているみたいなんですけれども、それを購入してもらう。いよいよ日本も一戸建てを買えるような時代になってきたということは大いに結構なことでありますが、しかし考えてみますと、今は低金利でありますからいいんでありましょうけれども、これがだんだん金利が上がっていく局面においては非常に恐ろしいことじゃないのかなとある意味不安に思う部分もありますが。  いずれにしましても、住宅ローンを抱え込んだ家庭においてはその時点で既に個人の融資枠というのをはるかにもう超えている。そうなりますと、改めて若年層が、どんどんお子さんが大学という進学の時期になって教育資金をと思って民間金融機関に申し出ても、おたくはまだまだローンが残っているから無理でしょうということを言われますと非常に苦しい立場に追い込まれるのかなと考えますと、やっぱりこれは国金サイドの方でそれなりに対応していただくということは必要なことであるのかなということを思いますと、今後貸付対象範囲の縮小ということになりますと、これはまだまだ具体的な中身は決まっていないという事前のお話でありましたけれども、いささか不安な声も飛ぶのもある意味理解はできるわけでありますが。  今現在、ちょっとお伺いしたいんですが、どういうふうな制度設計を考えていらっしゃるのか。制度設計といいますか、縮小範囲というのをどのようにして今青写真をかいていらっしゃるのか。決まっていないから答えられないと言ってしまえばそれまでですけれども、ちょっと今、簡単に答えられる分野で結構でございますから、お願いできますか。
  27. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) 国民公庫の教育ローンにつきましては、今おっしゃいましたように低所得者層の資金需要に配慮しつつ所得制限を引き下げることとなっておりますが、その検討を進めるに当たりましては、まず基本的な考え方としまして、見直しによって民間金融機関からも新公庫からも借りられない人が出ないように検討していきたいと思っております。その際には、利用者の資金ニーズ、それから民間金融機関がどのようなローンを出しているかという実態を把握することが重要であろうと思っております。  おっしゃいましたように、民間金融機関の教育ローンの場合は申込人の勤続年数でありますとか負債状況などによって融資を拒絶するケースがあるということも伺っておりますし、それから子供の人数が多いほど家計負担には大きいわけですけれども、子供の数について勘案してほしいというような要望もあるというふうに伺っております。  これらの事情をしっかり把握した上で、具体的にはまだ申し上げられませんけれども、先ほど申し上げましたような、どちらからも借りられないというようなことがないように対応していきたいと思っております。
  28. 秋元司

    秋元司君 是非お願いしたいと思います。  特に、今触れていただきました子供の数ですね、国としては少子化を防止するがゆえにどんどんと子供を産んでくださいという話をしているわけであります。そうすると、親御さんとしては、将来の不安として、子供に対して自分の生活水準だとどこまでの教育を与えられるかという不安の中で子供をつくるのにちゅうちょするという声もあるやに聞いておりますから。  そういった中で、国がどういう形で応援できるかということになりますと、教育の資金というのは将来に対する投資でありますし、当然大学生ぐらいのお子さんになりますと、もう卒業すれば、あとは子供本人も今度は、何といいますか、就職すれば当然自らも返せるということにつながっていくわけで、どちらかというと回収という観点から考えればしやすいのかなということもありますから、ある意味、小中高大と行くことを考えますと、特に高等教育の分野についての貸付金ということであれば、その後すぐ社会人としての今度返済ということが待っていますから、しやすくなるということもありますので、どういう分け方をこれからしていくのか、またどういう範囲を対象とするのか、これからでしょうけれども、今おっしゃられたことも含めまして、今後この制度自身が何か縮小して余り使い勝手が悪いということにならないように制度設計を是非よろしくお願いしたい、そのように思います。  次に、安倍内閣でも総理が再三再四おっしゃっていらっしゃる再チャレンジという概念で、金融機関に対して、とにかく再チャレンジの概念、倒産しても何度でもチャレンジできる、これが日本なんだということで、金融機関に対して積極的に、再チャレンジということで、倒産する又は今現在苦しい立場に追い込まれている企業に対しても、ある意味ビジネスモデルがしっかりしているのであれば応援する、そういう体制をどうしけるかということの中でずっと議論させていただいたわけでありますが、なかなか民間金融機関に今これをすぐやれといってもちゅうちょするところが多くて、余り実績件数としては上がっていないというふうに聞いておりますけれども、それを今国の方が、いわゆる政府系金融機関が率先してこの分野取り組んでいただいていると思います。  四月からスタートした制度であると思いますから、四、五、二か月たったわけでありますけれども、どうですか、実績の方はどれぐらい上がっていらっしゃいますか。
  29. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答え申し上げます。  今先生の御指摘のございました再チャレンジの関係でございますけれども、正に、だれでも何度でもチャレンジが可能な社会の実現というのは私どもにとりましても最も重要な政策課題の一つであると認識をしておるところでございます。  この四月に国民金融公庫それから中小企業金融公庫で再チャレンジをする企業家の資金調達を支援する再チャレンジ支援融資制度というのを創設をいたしました。国民生活金融公庫の場合には二千万円以内、中小企業金融公庫の場合には七億二千万円以内の貸付限度額でございまして、ちょっと金利が特色がございまして、最初の二年間は非常に低い金利、三年目以降で成功の度合いに応じて、どんと成功していれば少し高く返してもらう、余りうまくいっていないと低い金利のまま返してもらう、こういうようなちょっと変わった形でございまして、実績連動金利型貸付けと、ちょっと難しい名前でありますが、そういう工夫もしてみたところでございます。  この制度でございますが、四月、五月と二か月たったとおっしゃったんですが、まだ五月は始まったばかりでございまして、実績で申し上げますとこの四月からの一か月でございます。この一か月の実績、まだ一か月ですので必ずしもまだ十分ではございませんけれども、この一か月の間に小売業、製造業、運輸業といったところで再チャレンジをする企業家に対して既に二十六件の実績を上げておるところでございます。  中小企業庁といたしましては、引き続きこの融資制度を積極的に活用して、中小企業者、一度事業に失敗した方々、そういう方々が再チャレンジしていくことを積極的に支援をしていきたいと思っているところでございます。  こういった業務につきましては、先ほどのマル経資金のところにもお話をいたしましたけれども、重要な政策課題に対応した融資制度でございますので、この政策金融公庫法案におきましても新公庫で承継をされるという旨が規定をされているところでございます。こういったことを新しい機関統合後も引き続き万全を期してしっかりやりたいと、こんなふうに思っているところでございます。
  30. 秋元司

    秋元司君 是非、この分野、しっかり継承していただきたいと思います。  特に、バブルが崩壊した当時にあった、それからのいわゆる失われた十年、十五年と言われた期間にあった話でありますけれども、自分がやっている会社の本業というのは非常に好調なんですよね。利益もどんどん上がっている。しかし、バブル前後に手を出した不動産等、そういった手を出した分野が非常に担保も担保割れも起こして、結果的には借金返済ができなくなってしまう、しかし本業は元気だと、そういったところが多くの中小企業に見られたわけでありますけれども、当時としては、不良債権を早く処理しなくちゃいけないということの中で、各金融機関は、本業が好調なのは分かるけれども、しかし抱え込んだ負、これを何とかしなくちゃいかぬよということの中で、企業としては、五年、あと十年待ってくれれば、変な話、今本業が好調なわけですから、その中で返済をしていくから何とか待ってくれという話もありますけれども、しかし金融機関としてはもう待てないと言ってばさっと切り捨てるという意味で、結果的に好調だった本業も会社がなくなることによって終わってしまったということが度々ありましたね。  だからこそ、私は、そういったときに少し金融がバックアップをしてもらえれば、もっともっと私は多くの中小企業がある意味救われたことがあったんじゃないかなという思いがありますから、そういった本業が好調なのであれば、それに対して新しくエクイティーのお金を入れてあげる、そういったことも、民間金融機関が手を出さないのであれば、政府系が積極的にやってもらうということも一つの私は企業を助ける、再チャレンジ、この分野は余り再チャレンジとは言わないんでしょうけれども、必要なことであると思いますので、そういった観点からもこれからも政府系金融機関政策意義というものをしっかりと考えていただいて、多くの中小企業のバックアップをしていただきたいなと、そのようにお願い申し上げるわけであります。  残り数分でありますけれども、改めて今日は大臣にお伺いしたいわけでありますが、国としては、再三先ほど私も申し上げましたように、効率よく、そして肥大化されてしまった組織はどんどん縮小して、そして必要なものを残して、国としてもバックアップをしていく、そういった中での新しい新公庫法であると思います。  この法律の基本方針として、総資金額というんですか、融資額というんですか、政策金融貸付けの対GDP比を半減するということが基本方針としてうたわれているわけであります。国としては積極的にこういった政策も、こういった政策というのは政策金融機関が果たすべき役割というのはしっかり残していくというわけでありますけれども、しかしこの行政コストのスリム化ということを考えますと、過度なことはできないということの中でこういった基本的な考え方としてGDPも半減ということをうたっていらっしゃるわけでありますけれども、大臣として、今後、これは先の話になるかもしれませんが、国としての、中小企業も含めたこの政策金融公庫が果たしていく役割というものを、資金的なことも含めまして更にもっともっとスリムに国としての関与はしていくべきだとお考えか、ある意味時代の要請に応じては、もっと国が積極的に頑張らなくちゃいけなくなったときには、これはもっともっと大いに柔軟的に対応していかなくちゃいけないと考えるか、その辺を、大臣思いの方針というのを少し残りの数分語っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  31. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 貸付残高のGDP比半減目標については、確実に達成をしていくつもりでございます。  その後、じゃ一体どうするのかというお尋ねもございました。  これについては、国会議論も踏まえながら、また民業補完ということは譲れませんので、民間金融機関には是非リレーションシップバンキングで頑張っていただきたいというエールを送りたいと思っております。その上で、民間金融機関の動向も踏まえ、中小企業その他今回の新公庫対象とするお客様の方の資金繰りの状況なども考えて、その後の目標については検討をしてまいりたいと考えております。  いずれにしましても、今回の新公庫による統合の効果がより一層発揮されることを願ってやみません。
  32. 秋元司

    秋元司君 最後に。当然、民業補完は私は大事なことであると思うんです。ただ、私は、中小企業分野においては、民間がどうしようかなと迷っているときに政府系がこれは応援してやろうと思うと、それがある意味呼び水となって民間も付いてくるというのはよく地方に行くとあるわけでありますから、そういった意味においては、積極的に頑張ってもらうということもよろしくお願いしたいと思います。  以上です。終わります。
  33. 櫻井充

    櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井でございます。  まず、ちょっと冒頭、委員長にお尋ねしたいことがありますが、この委員会の定足数は何人でしょうか。
  34. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 二十名です。
  35. 櫻井充

    櫻井充君 定足数ですが。
  36. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 十名です。
  37. 櫻井充

    櫻井充君 その要件を私は満たしていないと思いますが、委員長としてどのような判断をされて委員会運営されていらっしゃるんでしょうか。  済みません、同じ会派の中でこういうことをきつく申し上げるのはちょっと筋としてどうなのか分かりませんが、私は、そういう観点を全然抜きにしてですね、抜きにして、まずきちんとした委員会運営議論をしていく上においては、まずちゃんとした要件を満たした上で議論をするべきではないのかなと、そう考えております。  今日の時点で今からどうしようという話を申し上げるつもりもございません。私は今日はたまたま、厚生労働委員会にいつもおりますが、たまたま今日は内閣委員会に来て質問させていただいておりますけれども、幾ら選挙が近いからといっても、こういう形での委員会の私は進め方というのには問題があるのではないのかなと、そう思っておりますので、是非、理事の先生方、併せて御検討いただきたいと思います。委員長、いかがでしょう。
  38. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 今の申入れを踏まえて、また検討させていただきます。
  39. 櫻井充

    櫻井充君 それからもう一つ、日銀の方にお伺いしたいと思いますが、私は、今日質問通告をする際に日銀の方から、重要な会議があって、総裁以下皆さんがその会議に出られるので出席できないと最初に言われました。ところが、今日、財政金融委員会で日銀報告に対する質疑が行われていて、日銀の総裁は今日は財政金融委員会出席されておられます。今日は何の会議があるんでしょう。
  40. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  今先生から御指摘ございましたとおり、現在、財政金融委員会におきまして日本銀行の金融政策に係ります半期報告の集中質疑が行われておりまして、そちらに出席しております。
  41. 櫻井充

    櫻井充君 私は、総裁でなくてもよろしいという話をしましたが、理事の方以下全員の方が何か会議があってこの委員会には出席されないと、出席できないと、そういうふうに連絡室から報告を受けました。しかし、総裁は財政金融委員会出席しているということは、現在どのような会議が行われているんですか。なぜそのような私は連絡室から報告を受けなきゃいけないんでしょうか。
  42. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  今の私どもの国会の担当から申し上げた重要な会議と申しますのは、まさしく今現在行われております財政金融委員会のことと了知しておりまして、そこで私どもの総裁、副総裁及び役員が御出席申し上げまして金融政策の半年に一度の集中検討をさせていただいているというふうに理解しております。
  43. 櫻井充

    櫻井充君 私は、財政金融委員会に所属していたことがありますが、総裁以下全員の方がそこの委員会出席されている姿を見たことがありません。今日は特別、全員出られていますか、じゃ確認しておきますが。
  44. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  恐らく、全員と申し上げましたのは何か説明のときに行き違いがあったかもしれませんけれども、金融政策に関する半期質疑でございますので、金融政策に関してお答え申し上げられます総裁、副総裁関係理事はそちらの方に出席させていただいておるというふうに理解しております。
  45. 櫻井充

    櫻井充君 我々は必要だと思っているから招致を求めているのであって、出れる方がいらっしゃるのであれば最大の配慮をするというのはこれは当然のことじゃないですか。  私は、政策決定会合か何かがあって全員の方が出られなければいけないと思っているからどなたでも結構ですというお話をしましたが、出れる方がいらっしゃるんであればちゃんと出てくるべきじゃないですか。これは国会軽視と取られても仕方がないんじゃないですか。
  46. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) 私ども、お話をいただいたときに、今回の金融財政委員会、それとこちらの委員会で、それぞれ最大限きちんとお答え申し上げるように努めている所存でございます。  今回は、財政金融委員会で、これは法律に定められた半年に一度の半期報告でございます。そこで、総裁、副総裁、理事が出席しておりますけれども、一方で金融政策の所管といたしまして私ども企画局も所管しておりますので、本日私がこちらに出席させていただいているというふうに理解しております。
  47. 櫻井充

    櫻井充君 日銀は、法律上、参考人として我々はどの委員会でも招致できるというふうに僕は理解しております。ですから、どこの委員会だから日銀は出席する、どの委員会だから出席しないということにはならないんじゃないですか。
  48. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  したがいまして、両方の委員会に私ども可能な人間が出席申し上げて御答弁申し上げるという体制を整えております。
  49. 櫻井充

    櫻井充君 もう少しその点もきちんと考えていただきたいと思っております。  それは、なぜ今日は日銀をお呼びしたのかというと、まず金利政策そのもの自体が、これは国全体として金利を決めていきます。しかし、今の金利で本当に各々の地区が、各々の地区の資金需要とか資金供給がうまくいくのかどうかというと、かなり難しい面があるんだろうと思っております。  それは、例えば東京のように景気が極めて良くなっている地域と、私が住んでいる宮城県、特に県北などは極めて景気が悪くて、そこでの資金の供給等を考えてくると、果たして金利が全国一律ということが適切なのかどうかというのを考えたくなるぐらいの私は状況じゃないのかなと、そう思っておりますが、日銀としてのまず御見解をお伺いしたいと思います。
  50. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  今先生から御指摘ございましたとおり、今回の景気拡大は、大企業、製造業あるいは中小企業の間でばらつきがかなり残ってございます。  御承知のとおり、今回の景気拡大の背景、構造調整の進捗ですとか世界経済の拡大がございますので、世界経済により近い、あるいは過剰債務の調整を終えた先、具体的には大企業、製造業の業況の改善が先行し、中小企業、まあ全体としては改善しているわけでございますけれども、その改善の程度は及ばないということでございますので、一方、私どもの設定している政策金利、これは日本経済、市場全体の市場金利の言わばかなめとなるコールレートでございますので、この同じコールレートの下でも、その地域によりまして金融情勢等には差が生じるということかというふうに理解しております。  私ども、一応こうした地域の経済情勢、金融情勢につきましてはつぶさに点検させていただいた上で、しかしマクロの金融政策の設定としては、そうした情勢を総合した日本経済全体というマクロの環境を念頭に置いて適切な金利設定に努めているという次第でございます。
  51. 櫻井充

    櫻井充君 今の中で、まず一つ中小企業も全体としては良くなってきているという御答弁がございました。日銀が調査されている中小企業というのは、資本金二千万円以上の中小企業ですよね。これを本当に中小企業と呼んでいいのかどうか、僕はかなり難しいところがあると思っていて、実際その中小零細企業にとっては、資金繰りも極めて厳しいし、それから企業の成績としても極めて厳しい状況にあると、私はそう認識しております。その点についてはいかがお考えですか。
  52. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  今先生に御指摘いただいた中小企業の定義は多分私どもの短観調査の定義かと存じます。我々、御承知のとおり短観の調査をしておりますけれども、それ以外にも、各地の支店あるいは事務所のネットワーク等を使いまして、それぞれの地場の企業の状況は実際に企業に伺って調査させていただいております。  したがって、そうした情報も含めまして全体として判断しているわけでございますけれども、今先生指摘のとおり、大変厳しい資金繰りの企業、あるいは景況のばらつきは残っているわけでございます。ただ、全体としては、私どもの調査だけではなくて、その他の、例えば中小企業公庫さん、あるいはその他の調査を見ましても景況感は緩やかであるが改善していると。ただし、ほかの、例えば先ほど申し上げました製造業、大企業と比べますと、その差は拡大しているという状況かというふうに理解しております。
  53. 櫻井充

    櫻井充君 全体的に回復しているということそのもの自体は、何をもってして全体的に回復しているかということになるんじゃないのかなと思うんですよ。  例えば、これはまず金融庁にちょっとお伺いしてみたいと思いますが、資金側の供給サイドとしたときに民間金融機関の貸出しがいまだにずっと私は減り続けているんじゃないのかなと、そう思いますけれども、まずその点について。それから、地域ごとにおいて、地域ごとにおいてばらつきが見られるのではないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  54. 河野正道

    政府参考人(河野正道君) お答え申し上げます。  民間金融機関の融資額につきまして、私ども一番利用しやすい統計としましては日本銀行の統計になりますけれども、この動きを御説明をさせていただきますと、まず、この統計が今のベースでスタートいたします平成十年の四月末に、この国内銀行による貸出し残高、四百七十七兆八千億ほどございました。これがその後七年ばかりの間、つまり平成十七年の十一月末までの間はほぼ一貫して減少いたしまして、約三百八十八兆一千億ぐらいまでに減少しました。しかし、その後は対前年同月比プラスに転じまして、直近の平成十九年三月末の数字は約三百九十九兆二千億ほどまで増加をしておりまして、対前年同月比でも一応これは〇・九%の増加という緩やかな増加という格好になってございます。  次に、地域ごとということでございましたので、確かに地域ごとにばらつきがございます。ただ、全体的な傾向はある程度今の全国の動きと並行しておりまして、東京都と東北地方を代表的な例として御説明申し上げたいと思いますが、まず、東京におきましては、平成十年のやはり四月末の数字で百九十八・四兆、これが平成十七年の十二月末まで百四十九・九兆というところまで減少しまして、やはりこの間ほぼ一貫してマイナスでございました。しかし、その後やはり前年比におきましてプラスに転じまして、直近の平成十九年三月末では百五十四・二兆まで増加をし、これが対前年同月比では約一・五%の増加という数字になっております。  一方、東北の方につきましては、平成十年四月末に十七・一兆、これがやはり平成十七年四月末までの間、十五・二兆まで減少しまして、その後直近の平成十九年三月末は十五・五兆ということでプラスになってきておりますが、ただし、一番直近の対前年同月比では、東北地方は対前年同月比ということでございますが、マイナス〇・四%ということで、そういう意味でばらつきがございます。
  55. 櫻井充

    櫻井充君 本当に改善しているといっても実は本当に緩やかであって、資料をいただいておりますが、先ほどお話があったとおりの数字です。しかし、例えばその九八年の四月当時と比べるとはるかに貸出し残高は減っているわけですよね。これをどういうふうに見ていくのかということが最大のポイントになるんじゃないのかなと、そう思いますが、これは十分な資金需要がないから当然の結果としてそうなっているのか、若しくは本来であれば資金を提供すれば経済が活性化するはずなのに、十分な資金が提供できないというふうに判断するべきなのか、この点について金融庁はどう判断されていますでしょうか。
  56. 河野正道

    政府参考人(河野正道君) これは資金の需給につきましては当然需要側と供給側、両方の要因というものがあろうかと思います。確かに、数年前というふうに申し上げますが、金融機関の貸し渋りということが大変問題になりまして、金融庁といたしましても、こういった貸し渋り、貸しはがし対策といったものを窓口を設けたりしまして対応を取らせていただきました。またこの四年間、委員もよく御存じのことでございますけれども、いわゆるリレーションシップバンキングの推進ということで、地域密着型金融を各金融機関が積極的に取り組んでいくということで金融庁からも要請をしてまいりました。  直近の状況の判断ということになりますと、これはもちろんいろいろな方々の判断というものはあろうかと思いますが、例えばこの日銀短観の貸出し態度のDIという指標が一つございますけれども、こういったものにおきましても最近回復が見られておることは事実でございます。ただ、これも繰り返しになりますが、当然各地域ごとにかなりばらつきがございまして、また各企業によっても当然差があるということは事実でございます。
  57. 櫻井充

    櫻井充君 本当に、実は答弁になってないわけであって、日銀ももう一つ伺いしておきたいのは、ここの判断どうするかなんだと思っているんですよ。  つまり、私はゼロ金利は解除していった方がいいと思っていますし、金利は早いところ適正金利に戻すべきだと、そう私は思っております。しかも、ちょっと何年前か忘れましたが、一時期ゼロ金利を解除した際に貸出し残高というのは余り影響がなくて、なぜ私はあの時点でもう一回ゼロに戻したのかよく理解できなかった、正直言うと。日銀の金利調節機能というのを早く回復しないと、例えばお金の運用の面とかそういうことで考えてくると、年金の運用利回りが極めて悪くなったりして、そのために保険料率を上げなきゃいけないとか様々な副作用的なものが出てきているわけであって、そういう点でいうと、日銀の機能が発揮できるような形の金利にまず戻すべきだと僕は思っているんですよ。  ただし、ここで申し上げたいのは、判断としてどうなのかということです。つまり、日銀の判断としての資金の供給の問題、需給の問題のところで、今の民間金融機関の貸出しというものの調整機能を僕は日銀はある程度持っていると思っていますから、その調整機能としたときに、そこの観点から見たときに十分資金は供給されているというふうに判断されているんでしょうか。
  58. 雨宮正佳

    参考人雨宮正佳君) お答え申し上げます。  実際の貸出しの数字の背景には資金需要、供給、様々な要因があるわけでございます。私ども金融政策運営を通じてそうした金融環境に影響を与えているわけでございますけれども、そのうちの一つの重要なルートといたしまして金融機関の貸出し態度がどうなっているかというのがございます。  これは、一つまず全体としてどうかということだけを申し上げますと、先ほど御答弁の中にもございましたけれども、例えばDI調査ですとかあるいはヒアリング調査を見ましても、金融機関の貸出し態度はこの十年前、十五年前と比べますと全体としては相当大幅な緩和方向に向かっているということは事実でございまして、実際に金融機関は自己資本の回復あるいは収益力の回復の中で貸出しを積極的に増やしたいという方向で動いているということは全体としては言えるかと存じます。  ただし、この中で、先ほど申し上げましたとおり、この回復の仕方にいろいろばらつきがあるという中で金融機関としても厳格な信用のコントロールという姿勢はキープしてございますので、結果的には貸出しの出方等については企業ごとあるいは地域ごとにはばらつきが生じているということかというふうに理解をしております。
  59. 櫻井充

    櫻井充君 銀行は利益出しているとおっしゃいますが、一時期、去年、おととしぐらいになりますか、あれは過剰な引当金を積まされていたから、あの当時の金融行政の中でですね。ですから、例えば東京三菱なら東京三菱で六千億引当金が余って戻ってきたとか、そういうことで利益を出してきている。それからもう一つは、これはゼロ金利政策の恩典だろうと思いますが、預金者に対しての金利が極めて低いから、だから利益を出してきているだけの話であって、本当の意味企業、例えば地域活性化のために貢献してそれだけの利益を上げてきているのかというと、私は若干違うんじゃないのかなと、そういうふうに思っております。  ここだけ話をしていてもしようがないので、そこで本題に入りますが、こういう状況の中で公的金融機関の再編なり見直しというのをなぜしなきゃいけないんでしょうか。つまり、民業補完だと言いながら、民業として十分に機能している状態と言えるのかどうか、言える状態なのかどうかというまず判断をされたのかどうか、この点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  60. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 民業の方は、地域の民間金融機関においては、これは河野審議官から説明した方がいいのかもしれませんが、新アクションプログラムにのっとって実にいろんなことをやってきていると思うんですね。例えば、事業再生に取り組むとか、それから担保、保証に過度に依存しない融資の推進をするとか、取引先企業に対する経営相談、支援を強化をするとかですね。したがって、こういう金融機関の側からの努力が行われてきているのは事実だと思います。  一方、借り手の方の問題としては、これは私の個人的な感想でございますが、地域経済の需要と供給のミスマッチがあるところでは依然としてデフレが続き、過剰債務状態に陥って、そこから抜け出せない企業がたくさんあるという状況だと思うんですね。したがって、こういった状況を改善していくのに、例えば経済産業省の方で中小企業支援協議会の機能を強化をする法案を出して、たしかこれはもう成立したと思いますけれども、こういった試みが行われているわけでございます。  したがって、そういうことを考えた上で、やはり日本の公的金融が、言ってみれば財政資金を流すという形で先進資本主義国の中では突出したシェアになっていたということでございますから、やはりこれはきちんと行政改革観点も含めた意味での民業補完に徹するという改革をやっていくのは当然ではないでしょうか。
  61. 櫻井充

    櫻井充君 答弁になっていませんよ。要するに、今の時点で民間そのもの自体がきちんとした形で融資できる状況になっているのかどうかということを私はお伺いしているんですよ。  それで、世界の国々でというお話をされました。それでは、アメリカの金融制度と日本の金融制度はみんな同じですか。アメリカの金融制度の中でいうと、例えば日本はフルリコースローンですよね。ところが、アメリカはノンリコースですよね。まず一点そこも違いますし、それだけではなくて、アメリカの場合には証券化業務が相当進んでおります。ですから、アメリカの金融機関、特に銀行は手数料収入で稼ぐという構図になってきていて、言わばBIS規制上で言う分母の部分のリスクアセットの部分は小さくいつでもできるような状況になってきていますよね。ところが、日本の場合には、やっと証券化業務をいろんなところで始めてきていて、アメリカから見れば規模は極めて小さい。そうすると、いまだに金を貸して利ざやで稼ぐ構図になってきている。そうすると、分母のリスクアセットの部分は小さくできないんですよ。  つまり、アメリカと日本とを比較した際に、金融システムそのもの自体が違うわけですから、ですからそういうことだけを取り上げて、そういうことだけを取り上げて、日本の例えば確かに政府系の金融機関の貸出し残高はGDP比で高かったですよ。ですが、それをもってして、世界の国々と比較するからこうだということにはならないんじゃないですか。
  62. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほども申し上げましたように、民間においては様々な努力がなされております。例えば、中小企業金融の世界においても無担保無保証で簡単審査のスコアリングモデル融資などというのが最近はかなり出てきております。大体一週間も掛からないんじゃないでしょうかね、審査をするのに。例えば、十五年度はこういったものが十三万六千件ぐらいしかなかったのが、失礼しました、十五年度一兆円ぐらいか、これがだんだん増えてきているんですね、十八年度上期だけでも一兆二千億円とか、こういう実績がございます。  したがって、こういう日本の金融のいろんな商品開発が行われ、かつてのような土地担保融資で個人保証付きというような形態から脱皮をしようとしてきているわけでございますから、いつまでも公的金融財政資金としてお金を流し続けるよりも、やはり民業補完にこの際徹するべきではないかという判断は私は正しいと思っております。
  63. 櫻井充

    櫻井充君 私も別に全部公的金融機関でやれと申し上げているわけではありません。つまり、補完補完と大臣答弁されますが、今民業がきちんと動いているのかどうかと、つまりきちんと融資されているのかどうかということが最大の問題なんですよ。  それと、今回の金融機関そのものは全国一律の金融機関になっていますよね。僕は、日銀の金利政策というのは、当然のことながら全国一律でなければならないと思っています。一つの国ですから、これは当然のことです。しかし、その金利政策を取った際に、地域間でのばらつきが出てくるのはこれは当然のことですね。東京でもし金利を合わせるとすればもう少し金利を上げてもよかったはずですし、それこそ東北の田舎の町に行ったら金利をもっと下げなきゃいけないかもしれないし、これは全国によってばらつきがあることはこれは確かなことだと思うんですよ。そうなってきたときに、民間の多分資金供給も同じようなことが起こってきていて、そうすると地域ごとにそこの穴埋めをしてこなきゃいけないのが公的金融の役割なんだろうと私は思っているんですよ。  ですから、そういう点で、先ほどから補完補完とおっしゃいますが、そこまで考えて、金融システム全体として、全体としてですよ、地域ごとのシステムとして本当に改善されてきているのか、そしてこういう今回の政策でうまくいくと判断されるのかどうか、そこが僕は最大の問題だと思っているんです。  民間でやれるんだったらこの機関そのもの自体全くなくてもいいし、こういう議論しなくてもいいですよね。ですが、私の今の認識は、民間でまだまだ十分にやれていない地域があって、それなのに数字だけを持ってきてGDPの半分にしますとか、そういう暴力的なやり方は間違っているんじゃないのかなと、そう思っていますが、大臣、いかがですか。
  64. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほどから申し上げておりますように、お金の貸手がいれば借り手がいるわけですね。したがって、借り手の方の問題はまだ解決していないという状況なんだろうと思いますよ。したがって、中小企業支援協議会がきちんと債権放棄まで含めた事業再生に本格的に取り組むという法案を出したわけでございますから、これが面的な再生にまでつながっていけば、これはもう正に、需要と供給のミスマッチがあり、なおかつ過剰債務状態にがんじがらめになっている地域の産業が再生をされていくのではないでしょうか。  したがって、そういうことは政府を挙げてこれから取り組むべき課題であって、公的金融だけに、おまえだけがしっかりやれよというのでは余りにもバランスを失した政策ではないでしょうか。
  65. 櫻井充

    櫻井充君 政策金融だけでやれと私は申し上げておりませんよ。民業の補完でいいんですよ、それは。ですが、その民間が本当に機能しているかどうかというところが一番大きな問題なんだと思うんですよ。  この一条の目的のところに、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつと書いてありますよね。じゃ、この民間金融機関の補完を旨としつつということはだれが判断するんですか、この補完をするという。つまり、民間を補完するということは、民間金融機関がきちんと融資していると、貸出ししているとだれかが判断し、若しくはそこが不十分だったら政策的に、多分これは政策的な銀行ですから、政策判断をして何らかの措置をとることになるんでしょう、恐らくは。つまり、ここの一条のところに書いてある補完のところはだれが判断するんですか。
  66. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 第一条に補完とあるが、だれが補完する必要があると判断するのかというお尋ねでございます。  まず、新公庫法案に規定した目的や業務の範囲というのは行政改革推進法に忠実にのっとったものでございます。行革推進法においては、民業補完の徹底の観点から現行四機関業務を見直した結果、民間のみでは対応が困難であり、政策金融として残す必要があると判断された業務を規定したものでございます。  また、新公庫法案の附則において今後とも……
  67. 櫻井充

    櫻井充君 だれが判断するのかと聞いているんだよ。
  68. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) ということになりますと、そこは政府として判断をいたしまして、法案として提出をいたしまして行革推進法で決めていただいたということ、業務の内容につきましてはですね、ということになろうかと思います。  それから今後、新公庫法案の附則において、今後とも政府が民業補完の観点から新公庫業務在り方については検討を加えて、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講じるということになっているところでございます。  さらに、新公庫法案に規定されました業務の具体的な運用に当たりましては、一義的には新公庫の経営陣が政策金融業務実施に当たりまして、個別具体的な審査において民業補完という観点も含めて実際貸付けを行うかどうかということについて判断することになると思っております。  また、主務大臣といたしましても、新公庫政策金融業務を適切に実施しているかどうか監督責任があるというふうに考えております。  以上でございます。
  69. 櫻井充

    櫻井充君 もうちょっと分けて答弁いただきたいんですが。この法律上、一条に書いてあるその補完というところは、組織の形態としてただ単純に民間業務が十分でない部分があり得るだろうから、だから補完しなきゃいけないと、ただそういうことでこれは書いてあるだけですか。
  70. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 今回の新公庫につきまして政策金融機関として担うべき機能、ですから、いかなる資金をどういう対象の者に対してどういうことで貸し付けるかということの内容につきましては、今回の新公庫がなし得る貸付けにつきましては法律で具体的に規定をしているところでございます。  そういうことでございますので、それにつきましては政府として判断をして、法案の形で国会で御審議をいただいて決めていただいているということでございます。
  71. 櫻井充

    櫻井充君 そうじゃなくて、この補完というのは何をもってして、どの部分の補完になるんですか。つまり、こういうふうに言った方がいいのかもしれないけれども、まず組織としてつくらなきゃいけないでしょう。その組織形態としての意味での補完という形になっているんですか。それとも運用上何らかの形で、私が申し上げているように、例えば中小企業に対しての貸し渋りや貸しはがしがまた起こったとした際に政府系の金融機関がこれは頑張ってやらなきゃいけない時代も来るのかもしれないです。これは不幸な時代だと私は思いますがね。しかし、そういうところもこれは民業補完でしょう。民業補完でしょう。運用上の補完と、それから法律で定めてくるところの補完というのはまたこれ別な意味なんだろうと思うんですが、ここで指している補完というのは、じゃ何を指していて、もう一度お伺いしておきますが、この補完という、まず、じゃこの意味合いからもう一回、どういう意味合いを指しているのか、その点についてもう一回明確に御答弁いただけますか。
  72. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) ということでございますと、公庫が担う貸付業務につきましては、民業が民間による貸付けのものを補完するというものであるという考え方に基づいているわけでございまして、例えば今回中小企業関係の貸付けにつきまして、従来一般貸付けというものを設けておりましたが、これにつきましては今回廃止をすることにいたしまして特別貸付けというものに限っているということでございまして、まず貸付けの態様と申しましょうか、内容につきまして、民業補完という観点から認められるものであるかどうかというのをまず法律で決めていただいているということでございます。
  73. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、現状判断されてここまでは民間でやれると、それ以外のところはまだ民間で十分やれないから、若しくはだれがやるのかという判断になったときに、その部分は、じゃ公的金融がやりましょうと、そういう意味合いでここの部分は全部制度設計されているということでいいんですね。
  74. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) そういうことになっていると思いますということでございます。
  75. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、今の資金供給がここの部分民間できちんとやれると、そういうふうな根拠になった数字はどこにあるんでしょうか。
  76. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 具体的にどの根拠だけで判断したということではございませんけれども、経済財政諮問会議の場で政策金融として残す貸付機能として何があるかという観点から相当議論が行われたところでございまして、その場で、いわゆる先ほど日銀でありますとか金融庁の方から御説明があったような金融情勢の状況でありますとか、あるいは民間金融機関からのヒアリングでありますとか、そういったようなものを踏まえまして政策金融として残すべき機能について決定をしたというところでございます。
  77. 櫻井充

    櫻井充君 数字的な裏打ちがなくてなぜ判断できるんですか。つまり、民間金融機関でここの分野に関しては十分資金が供給できていると、だからここは公的金融機関が手を引いていいんだという判断をするのはこれは当然ですね。つまり、経済財政諮問会議ってすぐ名前出しますが、あんな大企業の代表者の集まりのような会合で本当に地場の中小企業のことまで分かっているかというと、決してそうじゃないですよね。大企業はですよ、大企業は直接市場から調達できるんですよ、今、株式を発行して。間接金融に頼らざるを得ないんですよ、中小零細企業は。ですから、その人たちに対してどういう対策を取っていくかということが根本でしょう。経済財政諮問会議なんてそんなこと分かっちゃいませんよ。その経済財政諮問会議で議論されたからというのは根拠になっていませんよ。私が申し上げているのは、数字的な裏打ちはどこにあるのかということをお伺いしているんですよ。
  78. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) ですから、具体的に今どの数字ということを持ち合わせておりませんけれども、全国の金融機関の貸出しの状況、それから貸出額の動向等、そういったものでありますとか、民間金融機関の状況をヒアリングするとか、そういったことによって判断するものでございます。
  79. 櫻井充

    櫻井充君 今持ち合わせていないというのは、この委員会で持っていないということですか。
  80. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 具体的に民間の今委員が御指摘になられました地方金融機関、これぐらい貸していて、それが何年間たって、ちょっと私は先ほど衆議院の方に呼ばれましたんで遅れて参りまして、御議論いただいたところの数字でもって今まで政府・与党でこの御議論を定量的にやってきたというよりは、今、大藤事官からお話がありましたように、そもそも政策金融というのは何か政策目的があって、櫻井先生おっしゃるように中小零細はなかなか民間行って借りられないんだと。それから、個人でやっておられる環衛の方々にもその民間金融機関審査というのはなかなか及ばない。そういうところは政策的にコストを財政が負担しても政策金融としてやっていくべきだと、まずこれがあるわけでございます。  ですから、政策金融は全部やめるんではなくて、目標を立てて必要なことだけに絞っていこうという議論をしてきたわけでございまして、逆に言いますと、今やっている部分で本来は政策金融でやるべきではないんじゃないかという政策判断があるわけですね。でも、今やっていればそこは政策的に補助をして、安い金利でやっていますから、民間から見れば、うちの方が高い金利しか法人税負担しながらやっているんで出せないけれども、ここに持っていかれるではないかという、そういう議論があったわけでございまして、じゃ、しからば今ここでやっているからこっちはないじゃないかという議論はなかなか定量的には難しいわけでございまして、そこは政策判断として、経済財政諮問会議は余り人気のない会議かもしれませんけれども、政府・与党でもそういう議論をしまして、この一般貸付けと例えば特別貸付けみたいなところの線を引いたり、また逆に環衛のところなんかはきちっと残すと、こんな議論をしてきた結果この法案ができ上がって、それを今御提案している、こういうふうに御理解いただくと有り難いと思います。
  81. 櫻井充

    櫻井充君 政策判断することはそれはよく分かるんですよ。しかし、政策判断というのは客観的な数字をもって判断しなきゃいけない場面って一杯あるんじゃないですか。例えば僕ら医者になった時代はコレステロールの正常値って二百四十だったんですよ。ところが、それは統計を取っていって見たときに二百二十まで下げた方がいいという話になった。ところが今、これ以上下げるとどうなるかというと、がんの発生率が増えてきてしまって、動脈硬化を抑えることは抑えるかもしれないけど、逆に様々な問題があるから正常値はこのぐらいじゃないかと。僕らの世界は極めて客観的な数字をもってみんなやっていますよ。しかし、経済の話になると途端にそういうことがなくなるんですね。僕は、だから相当、竹中大臣にだまされている人たちが一杯いると思っているんですが、元ですね。つまり、客観的な数字ないんですよ。しかも、何かの政策をやった際に、その後どうなったかのフォローも全くされていない。  例えば、宮城県で徳陽シティ銀行が破綻して、その後大変でしたよ、それは。仙台銀行なんかは無理やりその一千億の債権引き受けて、それが傷んで、自己資本比率規制のために地域に貸し出したくても貸し出せなかったとか。だけど、そういうフォローアップをしていないから、だからこの金融政策が正しかったのかどうかなんということを全然分からずに、また次のことをやり続けているんですよ。  だから、私は、政策判断する際に、まず客観的な数字をもってして、だからもうここのところは政策的にやらなくていいでしょうと。大企業はもうやらなくていいんですよ。大企業金融はもう僕はこれ国がやる必要がない、これはもうそのとおりだと思いますよ、だからそこはおやめになったらいいけれども。しかし、地域の場合に本当にそれでいいのかどうかということですよ。  もう一つ。僕は中小企業を守ろうというためにこういうことを言っているわけじゃありませんからね。つまり、どんな企業でも最初は中小企業から始まって、そしてだんだん大きな企業になっていきます。私の今お付き合いしているある眼鏡屋さんなんかは脱サラして始めた方ですよ、肉屋で働いていて。今は全国に二百数十店舗を展開されて、この間山口にも新しいお店が出ましたが、ですが、今はもう年商百二十億を超える企業に育ちました。つまり、やはり中小企業というのを守っていこうとかいう観点ではなくて育てていくんだと、そしてこの地域の経済を支えていくんだと。  例えば、宮城県の方にも僕はよく言われるのは、どこかの企業を誘致できないですかねと。岩手県は関東自動車を呼んできて、それから少し雇用が増えて良かったとか、そういう話になるけど、僕は発想をやっぱり変えて、地域でちゃんと産業を起こして、そして育てていくということの方が大事なことであって、果たして今のシステムでそういうことができるのかどうか。  民間金融機関でそういうことができるのかどうかというと、私は今のところ無理だと思っているんです。その根拠は、今民間金融機関が貸し出して、最大多分三年程度ですよ。五年貸し出してくれているところがあるのかどうか分かりませんが、しかし、例えば設備投資をした際の減価償却は一般的に七年ぐらいでしょう。そうすると、その借金を払っていくために大体どのぐらい利益を上げてとかいう計算をしなきゃいけないけれど、三年ごとにお金を借り換えさせられていたら、この次の金利が幾らになるか分からなかったら、そういう事業計画すら立てられないんですよ。つまり、長期の運転資金であるとか長期の設備投資資金というリスクの高いものに関して言うと、民間金融機関でこれはできないのは当然だと私は思います。一方で、じゃできないからあとはどうするんだと、もう金ためるまで待てと言われたら新規の産業なんて起こせないですよ。地元の土建屋さんの中で、今、新連携で通ってソフト会社をつくっているところがありますが、そうやってみんな今のところで駄目なので一生懸命頑張ろうとしているけれども、残念ながら資金的な供給が追い付いていないところもあるわけですよ。  ですから、そういう観点から考えて、もう一度申し上げますが、政策的な判断というのは、政策的な判断というのは客観的な数字をもってして、ここまでは民間ができる、残念ながらここは将来は民間で担ってもらいたいけれど今のところはできないから暫定的にここは政府としてやるんだとか、そういう判断をもってして統合しなければいけないはずなんですよ。ですから、私は、どういう客観的な数字をもってして、現在はここの分野に関しては資金需要がうまくいっているんですよと、ここはうまくいかないから政策的に残しますと、だからどういう判断で、どの数字をもってしたのかということをお伺いしているわけです。  その点について、いかがですか。
  82. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今、櫻井先生がおっしゃったことは誠にごもっともで、実は政府・与党でいろいろ議論したときも、実際にそういう利用者の方に来ていただきまして、一番最初に、先生の、お肉屋さんが眼鏡屋さんになったということで、山口県にもいらっしゃったそうですから是非御紹介いただければと、こう思いますけれども、そういう方が最初に行ったときに、例えばどこどこ信用金庫に行って断られて、どこどこ信組ももちろん断られて、そして最後というか、どこかの段階で国金国金でしょうかね、中小公庫でしょうか、そこに行って初めてやってみようと。それは、そこにそういう政策融資の制度があって、民間の銀行でなかなか貸してくれない、担保もないという状況の中できちっと融資を付けていただいて、それがあったから随分スタートが楽になって、そこからだんだん企業は大きくなっていずれ卒業していくわけですね。今おっしゃったようないい例は、中小公庫で最初借りたけれどもそこからだんだん大きくなって、もうそこから卒業していく、正にそれが一番いいパターンでございまして、実はそういうふうにして、そういうところは残していこうということになっているわけです。  今、一般貸付けとか特別貸付けというのは正にそういうところでございまして、一般貸付けというのは、むしろ逆に言うとそうではなくて量的補完をやっていこうということでございますが、特別貸付けというのは、正に今のように、ほかのところでなかなか貸してもらえないけれども、将来いけるんじゃないかと、うまくいけば卒業まで行けるんじゃないかというところはこれ残していくわけですね。  例えば、一般貸付けは数量というのはなかなかないと申し上げておるわけでございますけれども、一般貸付けの実績を見ますと、ずっと毎年これは減っているわけでございまして、高度成長期に量的に補完が必要なときに一般貸付けというのを始めたものですから、これは役割を終えただろうと、こういうことをやったわけでございまして、最初に申し上げたように、今一般貸付けのように、もう数字で落ちているのが分かるものはいいんですが、そうでなくて、先ほど委員がおっしゃったように、例えば大企業に貸しているやつについては、大企業に貸している政策金融が減っていくかというと、民間より有利な場合は減らないんですね。じゃ、減らないからといってこれは政策金融として必要なのかという議論は、やっぱり政策観点、我々税金を使ってこの政策金融をやるわけですから、そういう判断は、数字も一般貸付けのところでやったような判断等ありますけれども、もう一つ、やっぱり税金を使ってやるべきものなのかという政策判断は、定性的な判断も入るということは御理解いただきたいというふうに思います。
  83. 櫻井充

    櫻井充君 分かりました。  じゃ、そうすると、例えば二〇〇三年以降、大企業の利益率と中小企業の利益率、全然違っていますよね。製造業でいうと、大企業の利益率は七%弱ぐらい、中小企業の利益率は四%前後ぐらいだったかと思いますが、大きく懸け離れてきています。つまり、その政策金融で本当に金利が安く借りられていて利益がそれだけ上がってきているという数字があるから、じゃこれはもう一般から、民間金融機関から借りてもいいでしょうと、これは判断できると思うんですよ。じゃ一方、中小企業はどうかというと、非製造業の分野でいうと、大企業の今利益率が四%弱ぐらい、中小企業の利益率が二%行っておりません、一・八ぐらいじゃないかなと思いましたが、全国平均するとですね。  つまり、その二〇〇三年度以降物すごく変わりました、これは。これは竹中・小泉改革の影響だと思いますけれども、大企業の利益率は極めて高くなってきています。その分、ちなみに労働者分配率は下がってきていて、株主配当がめちゃくちゃ増えてきています。これが今の資金の構図ですよ、お金の流れの構図。ですが、そういう数字があるからこそ、大企業はこれだけの利益を上げているんだから政策的なもう金融というのをやめても十分に賄えるでしょうと。これだって僕は数字的な判断があるんだと思うんですよ、今の林副大臣がおっしゃるとおり。私はそれはそれで納得しますよ、僕はそういう数字知っていますからね。  ですが、一方、中小企業はどうかというと、利益率まだ全然上がっておりません。そういう中で、果たして何を、数字をもって、じゃ中小企業はやれるのかやれないのかと、ここのところをどうやって中小企業を育てていこうとするのか、地域をどう活性化していくのか、格差是正をどうしていくのかということをもう一度考え直さなきゃいけないんじゃないかと思っているんですよ。  私は、この国の中小企業政策というのは、たしか経済産業省の予算って一千七百億程度だったかと思います。ちょっと正確な数字は忘れましたが、そんなものですよ。ですが、この公的金融機関からの融資そのものが実は最大の中小企業支援政策だろうと、私はそういうふうに思っております。その意味で、どのぐらいのところまで、何と言ったらいいんでしょうか、リスクをこちら側が取って貸し出してみている。例えばソフトバンクなんか、孫さんのところなんかは一杯いろんな事業をやってみたけれども、随分外れたけど、うまくいった事業があって今あれだけ大きな会社になっているわけですからね。  そういう点でいうと、税金をそんな適当に使えと言っているわけではありませんが、ある程度リスクを取って貸し出して、そしてその代わり、何とかなりそうだと思うようなところにもちろん貸すわけですが、そして地域の経済の活性化に努めていくようなことをやるべきなんだろうと思っているんですよ。それは多分同じ考えだと思うんですね。そうすると、どこまでが民間に本当に任せられるのか、それからどこが任せられないのかのまさしく政策判断、その政策判断はちゃんとした根拠のある数字をもってするべきではないのかなと、私はそう思っています。  もし、その点について、今回ないのであればこれは仕方がないんですが、今後検討していただきたいんですよ。つまり、なぜかというと、これで公的金融機関、対GDP比で言うと、竹中さんがおっしゃっていた、半分にすると、なぜ半分にするかの根拠も全く分かりません。これは日本の貸出し残高が三四・四%、これは住宅金融公庫も含めた時代はそのぐらいの貸出し残高で極めて大きかったんですよ。いろんなものを含めると確かにそうなるんです。ですが、なぜ半減できるのかという根拠ないんですよ。  だから、半減されたときに、自分たちは借りられるんだろうかということを皆さん心配されていて、そこのところをまず払拭するためには、ちゃんと民間で資金需要、資金供給ができない分野で、必要な分野に関してはきちんとやりますと。そして、しかもその場合には対GDP比で半分という数字とか、そういうことにはこだわらないんだと。まずそこら辺を宣言していただかないと、一生懸命頑張っている中小企業がもう本当に困るような状態になるんじゃないかなと、そう思いますけど、その辺についていかがですか。
  84. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 正に認識を共有させていただいているなと思って今お聞きしておりましたが、そのために、冒頭申し上げましたように、ゼロにするという改革ではなくて、残すべきはきちっと残してやっていこうと。  二分の一というのは、今回の法案で達成されることが確実だと思っておりますが、二分の一になる過程でやめてしまうもの、政策金融から撤退するものをよく見ていただきますと、今委員がおっしゃったような、もう既にいいんではないかというところが外れていったり、民営化されたりする。大事な、今まで国金がやっていたようなところですね、それから中小企業金融公庫がやっていた、先ほどのお肉屋さんから眼鏡屋さんになるような政策的に必要なものですね、これは詳しくは中小企業庁の方に聞いていただいた方がいいかもしれませんが。  そういうものは残そうということで、きちっとこの法律に明記をして、さらに一条の目的のところにも、どういう人の融資はきちっと今後やりますということを、今補完というところでお引きになった一条の目的のところにしっかり明記をして、そこは今までと同じようなことはやるんですということをはっきりうたって御提案申し上げておるわけでございまして、正に委員がおっしゃったとおりでございますから、そこは我々もこの法案審議を通じて、また法案審議をしていただいた後、可決成立させていただければ、きちっとした広報をそれぞれの窓口を通じて、また政府としてもやってまいる必要があるというふうに考えております。
  85. 櫻井充

    櫻井充君 とにかくもう一度お願いしておきたいのは、今後の政策判断の際に、ある程度客観的な数字を出していただけるようなシステムをつくっていただきたい。そうでないととにかく評価できなんですよね。この後、こういう改革をしましたと、だけどうまくいきました、うまくいきませんという、そこのところが何をもってしてうまくいったのか、うまくいかないのか全然分からないんですよ。ですから、ある程度の客観的な数字を考えていただきたいなと、それは要望しておきます。御検討ください。  それで、そういう点から、もし政策金融だということで政策的なことを行うんだという判断であるとすれば、ここはちょっと通告したと思いますが、財投機関債そのもの自体を発行しなきゃいけないんでしょうか。つまり、政策的にやるところがなぜ市場原理にゆだねなきゃいけない部分になるのか、私には全く理解ができないんですが、なぜここが財投機関債を発行、政策的なことをやるんだと、そこまで林副大臣おっしゃるのであれば、市場原理にゆだねるような財投機関債の発行をさせるというのはちょっと筋が違うんじゃないかなと、そう思いますけど、いかがですか。
  86. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) これは今までも、それぞれ一緒になる機関も財投機関債、努力して財投、全体の改革で決めたとおりにやっていただいておりますから、できることは別にやっちゃいけないという必要もないだろうと。しかし、財投機関だけで、今委員がおっしゃったように、例えば国民金融公庫がやっていた環衛の零細のところの部分とか、こういうところだけで、そういうことはないんですが、例えばそういうところだけで財投機関でやっていけと、これはなかなか難しいわけですね。  ですから、政府保証を付けたり、それから財投機関も今までやっていたぐらいのことはきちっとやってもらわなきゃいけませんが、それに加えて財政融資資金からもきちっとした措置をとるということを、正に今委員がおっしゃったように相まってきちっと政策融資が、何というんですか、スムーズに実行されるような措置はとっていくということを法律の中に明記をさせていただいたと、こういうことでございます。
  87. 櫻井充

    櫻井充君 政策金融を行うということは、まず、じゃここはお伺いしておきたいんですが、政策金融を行うということは市場原理に合うものなんですか。
  88. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 全くの市場の中でやれることは、これはもう政策金融から外へ出ていっていただかなければいけないわけでございまして、普通に市場で、銀行とか社債を調達して、それでやっていける融資の枠組みというのは、正に補完ということであれば民にやっていただければいいわけでございまして、政策というからには、なかなかそれではできない部分があるんで政策金融として補完をしていこうと、正にそういうことであろうかというふうに思っております。
  89. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、財投機関債を発行して、その財投機関債を市場で買ってもらえないからこの金融機関は駄目な金融機関なんだと、そういう判断をするんだと。これは、財投機関債を発行する際に、あのときは宮澤財務大臣だったんじゃないかなと、それで林副大臣であったと思いますが、そのときも相当議論をさせていただきました、この点についてはですね。  今度は、じゃ、本当に政策的なことをやるんだとまではっきりおっしゃるのであれば、これは市場原理から外れた部分をやりますと、今そうまさしくおっしゃっているわけであって、市場原理でやれるところはもう民間でみんな任せますということになれば、財投機関債、市場でのチェックを受けるようなシステムをつくる必要性がないんじゃないか。  つまり、本当に民間でやれる利益の出るところは全部民間に任せたとすると、今度は逆に言えば、公的金融機関の赤字の割合というのは高くなってくる可能性は高いわけですよね。それは、だって利益を出していたところで、利益を出していたところで、利ざやで稼いで補てんしていたわけですよ。ところが、その部分民間に譲るということは、それは決算上絶対に悪くなるか、もうリスクのあるところは全部削れという話になってしまう。だから、僕は財投機関債を発行することそのもの自体おかしいと思っているんですよ。いかがですか、そこは。
  90. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 大変大事なところだと思いますが、政策金融をするための政策コストというのは当然賄うということでありますので、例えば一年やってみて赤字が出たんでそれは常に埋める、こういう形の収支差補給はやめようということにいたしましたが、あらかじめ必要なコストを算定して、政策金融ごとにこういうコストは必要だというのは財政からきちっと出すわけでございまして、そういうことをやった上で全体としての機関として仕事をやってもらうと。その全体を見てもらった上で、市場がこの判断をしてもらって財投機関債を買ってくれるんならそれでもいいと。  だから、国債も市場で運用されているわけでございまして、じゃ国債は、国の仕事をやるために市場でできることをやっているから国債を出すというわけではないわけでございますから、財投機関債もそういった意味では全体を見てもらって、この機関としてこれぐらいの利率が決まるための格付も必要かもしれませんけれども、そういうものを判断していただいてやっていくと。ですから、それだけではなかなか厳しいと思いますけれども、今までも財投機関債それぞれ出してきた実績もございますから、それを全部合わせてきちっと資金調達をしていこうと、こういう考え方でございます。
  91. 櫻井充

    櫻井充君 林副大臣ね、国の事業というのはいろんな事業があるんですよ。国の事業いろんな事業があって、うまくいく事業もあればうまくいかない事業、赤字覚悟でやっているものもあれば、そういうことを全体ならしたところの金利になるわけでしょう。  それから、国の財政上どのぐらいなのかということを見て国債の利率って決まってくるわけであって、それとこれは一緒にならないんじゃないですか。つまり、単体なんですよ。公的金融という役割ですから、政策金融をやって、市場原理にもう合わないところでやりますと。これは今おっしゃったとおり税金で補てんしてくださるそうですが、税金を投入するということは、もう最初から赤字で、全体として黒字になるのかどうか分からないけど、それで財投機関債を発行するとおっしゃっています。  しかしですよ、そこまでする必要が本当にあるんだろうか。財投機関債と財投債の今金利はどちらが高いですか。財投機関債の方が高いでしょう。調達コストは実は財投機関債を発行した方がはるかに損なんですよ。ですから、私が考えるには、何もそうやって、今までだって、今少しとおっしゃるけど、これからはもっと利益の出る部分はそっち側、外に出すとおっしゃるんであれば、だったらば何も最初から財投債で運用すればいいだけの話なんですよ、こんなものは、政策的にやるんだから。  だから、国債を発行して、それで借金でやりますというんだったら、それでいいじゃないですか。税金を投入しますということ、その方がすっきりすると思うんですよ。なぜそんなことを言うかというと、財投機関債を発行するためにまたいろんなことをやらなきゃいけない。無駄な業務とまでは言いませんが、そういうところをもっとほかのところに人を回した方がいいと思うし、財投機関債そのもの自体やめて財投債で運用しちゃった方が私ははるかにいいんじゃないかなと、そう思いますけど、いかがですか。
  92. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今どれぐらいのスプレッドかというのはちょっと今手元にありませんが、基本的な考え方としては、そういうスプレッドが財投機関債の方が財投債とか国債のソブリンよりもかなり高いということがずっと続くんであれば、そのときに財投機関債をその時期に高い金利でわざわざ調達するというのは余り意味がないことではないかなと私も思います。  ただ、そうなるか、逆になるかというのはやってみないと分からないところもありますし、最近までも常にそういう逆のスプレッドだったかというのはちょっと今手元にありませんが、そもそもは財投機関債単体で出した方が有利に調達できる場合もあり得ると。それから、その機関がきちっと責任を持って仕事をやってくれと、こういうこともありましたし、今度半分がこっちに来ますJBICなんかもかなりいいレートで取っていたということもあるものですから、オプションとしてはこれを取っておいて、そして今正に委員が御指摘になったように、ずっともう機関債の方が常に高いというときにわざわざ財投機関債にこだわるということはないと思いますが。  ただ、注意をしなきゃいけないのは、財投の改革そのものは、先ほど指摘あったように、私、政務次官でおりましたけれども、やったときの基本的な発想は、財投に頼り過ぎるとどんどん不必要なところにも、あのときは預託の義務があったものですから、入口に入ってきた金がどんどんもう出ていくと。それはやっぱり何らかのきちっとした歯止めを掛けなければいけないんじゃないかという発想もあったものですから、そういうところもやっぱり加味していく必要はあるんではないかというふうに考えておるところでございます。
  93. 櫻井充

    櫻井充君 今のお話はそのとおりなんですよ。あのとき議論したのは、あのとき議論したのは、入口のところの市場原理とか、そういう形を使ってやるのはおかしくないですかということを私は指摘させていただきました。そして、その上で、そこの歯止めを掛けるんであれば、むしろ政策的な判断として、政策的な判断としてじゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ流れてこないようなシステムをつくるべきなんじゃないかということをそのときに指摘をさせていただいたと、私はそう思っているんですけど、後で議事録ちょっと見てみないと分かりませんが。  ただ、そのときに、今まさしくそういうことをおやりになっているわけですよ。つまり、公的金融機関の問題点がいろいろあるんだと言われている中で、まさしく今回は政策判断なんですよ。政策判断で出口をちゃんと絞っているんですよ。あのときに、お金の流れを変えるために入口で財投機関債を発行して、財投機関債が発行できないところは市場原理の中で淘汰されていくんだというふうにこれは御答弁されています。ですが、そういうことではないはずなんですよ。  それはなぜかというと、政策金融機関ですから、これ淘汰されちゃ困る分野のはずなんですね。ですから、政策的に決められているところが入口のところで市場原理を用いてくるのはおかしな話で、政策金融はあくまで政策判断として何をやらせるかで、縮小するなりなんなりして、お金の流れをじゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ来ているのをやめましょうというのがこれが僕は筋だったと思うし、今回やっていることそのもの自体を否定しているわけではないんです。  ただし、問題は、客観的に皆さんが納得いくような形なのかどうか。特に、最初からGDP半減だというふうに、貸出し残高、そういうふうに言われてしまうと、民業補完だとすれば、民間でここまで貸しているから、あとは公的な部分はこのぐらいで済むので計算上GDPで半分になりますねとか、それから三分の一まで減らせるかもしれないとか、そういうふうに言われるんならこちらとしても納得いくんだけど、頭から目標が決まっていて、この範囲の中でやりますとかそういうことでやられるとちょっと筋が違うんじゃないのかなと、個人的にはそう思っています。  済みません、あとはちょっと法案審査なので、法案のところも幾つか聞きたいと思って用意していたのを何点か聞かせていただきますが、一条に国民一般とありますけれども、この国民一般というのは一体だれを指すんでしょうか。
  94. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) まず、一条の国民一般について、だれを指すのかということでございます。  これにつきましては、まず、行革推進法におきまして、まずその第四条で、新政策金融機関政策金融機能は、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援する機能を担うということが規定されております。その際の国民一般とは、これまで国民生活金融公庫の融資対象となってきた方々を意味するものとして考えているところでございます。ということでございまして、今回の新公庫法におきましても、この行革推進法の規定を引用しておりますので、新公庫法においても同じ意味であるということでございます。  それで、新公庫法におきましては、これに相当する融資対象者につきましては、別表第一、具体的に申しますと、第十一条につきまして、どういう者に対して貸付けを行うかというものを十一条の別表で具体的に規定をしているところでございまして、そこの中では、まず第一に、独立して事業を遂行する意思を有し、かつ適切な事業計画を持つ者で、当該事業の継続が可能であると見込まれるもの、それから第二に、教育を受ける者又はその者の親族であって、その所得の水準その他の政令で定める要件を満たすもの、それから第三に、生活衛生関係営業者ということで規定をしているところでございます。
  95. 櫻井充

    櫻井充君 一般的に、こういうふうに法律に書かれた際に、国民一般と書かれれば、だれしもが融資を受けられるような形になるんだろうと思うんですよ。それは今御説明ありますが、普通にこの法文を読めば、国民一般というのは、だれでもこの公的金融機関から借りる権利を有するように僕には法律上読めます。  私は、ちょっと違う観点で申し上げたいんですが、この間、貸金業法の規制が変わりました。その結果、どういうふうになっていくのかというと、もしかすると融資を受けられない人たちが増えてしまう可能性がある。特にリスクの高い人たちというのは多分無理になって、病気になってしまって失業するとか、それからある企業がつぶれてしまってそれで働き口がなくなったとか、そういう人たちが、じゃ生活資金を得るためにどこに行かなきゃいけないのか。  今までは確かに、高い金利を払ってまでいわゆる町金さんやそれから消費者ローンに行っているというところに僕は問題があったんだと思うんですよ。つまり、消費者金融の中で、例えばパチンコであるとか娯楽費用にお金を使っている人たちを救済してほしいとは思いませんが、一方で、自己破産までしなきゃいけないような人たちを見てみると、そういう方々もいらっしゃると。その方々を救済する僕は公的金融機関というのがないと、いわゆるやみ金対策には不十分じゃないのかなとあの当時から考えておりました。  ここで国民一般と規定してくださるのであれば、そういう人たちに、この際統合して新しい政府系の金融機関になるのであるとすれば、消費者金融なりいろんなところで苦しんでいる方々がいらっしゃいますから、そういう方々を救済するために政策的な判断として融資業務ができないのかなと、そう思いますけれども、これは大臣にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょう。
  96. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 御案内のように、多重債務者問題につきましては、昨年の臨時国会で貸金業法等の抜本的な改正を行っていただきました。その上で、政府に多重債務者対策本部を設置をし、山本金融大臣が中心となってこの対策に取り組んでいるところであります。  非常に数が多い多重債務者の問題をどう解決していくのか。一つは、やはり債務をどうカットするか、債務整理の問題があると思うんですね。これなしにニューマネーだけ貸し続けるというのはこれは不可能な話でございます。なぜ多重債務に陥ってしまったのか、この消費者教育もとっても大事なことだと思うんですね。したがって、多重債務者本部においては相当念入りなプログラムを作っているわけでございますが、このプログラムに従って今取り組み始めたところでございます。  したがって、もういきなり公的金融に、あんた出番だよというのもこれもちょっとむちゃな話でございまして、もう正に総合的な対策が必要なのではないでしょうか。
  97. 櫻井充

    櫻井充君 別に今急に、それは大臣はそうお感じになったかもしれないけれど、私は前々からそういうことができないんだろうかと。  つまり、今金利をあれだけ引き下げたと仮にしたとしても、二〇%前後ぐらいのところの金利で本当に返せるのかどうかということですよ。今申し上げた、例えば病気になられた方とか、失業されてしまって、最初は失業保険それなりに受けられるかもしれないけれど、なかなか就職が決まらない地域にいらっしゃる方なんかの場合にはどうするのかといえば、結局そのところがお金を貸してくれるんならまだいいかもしれない。借りられなければ、生活資金借りるためにやみ金に行かざるを得ないような状況になってくるんであるとすれば、やはりそういう人たちに低金利で貸し出すようなシステムというのは一応考えていただいてもいいんじゃないのかなと。つまり、全部を僕は公的金融に回せなんて思っていませんよ。だから、今言ったようなある特定の方々に対しては、何というんでしょうか、社会保障政策の一環としてそういうことがあってもいいんじゃないだろうかと、私は個人的にはそう考えております。  御検討いただけるのかどうかよく分かりませんが、私としてはそういうことも、これは民間でできないことですから、実際のところは。そういう人たちに対しての対策を取っていただければ有り難いなと、そう思います。  それから、今回は株式会社の形態を取るようですが、三条でそう定められておりますが、なぜ株式会社の形態を取ることにしたんでしょうか。
  98. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) まず、新公庫の法人形態につきましては、強固なガバナンスを発揮しつつ透明性の高い効率的な事業運営の実現と政策上必要な業務の的確な実施を図るため、株式会社という形態にさせていただいたところでございます。  具体的には、そうなりますと、運営は基本的に会社法に従うということになりまして、民間企業会計や会計監査人による監査の実施及び取締役会や監査役による企業組織運営による透明性の高い効率的な運営を目指すというところでございます。  ただ、新公庫は引き続き政策金融実施する機関でございまして、毎年度国会議決を経て必要な財政支援を受けて業務を的確に実施していくということになります。これを担保するため、新法案においては、株式会社という形態を取りながら、国は新公庫の株式の総数を常時保有しなければならないこと、あるいは国が引き続き資金調達について所要の支援の措置を講ずることができること、予算について国会議決を受けること等の規定を設けているところでございます。
  99. 櫻井充

    櫻井充君 三条に、今御答弁ありましたが、発行済株式の総数を政府が保有しろと書いてあるということは、まず、これは基本的に言うとコーポレートガバナンスが働くのかどうかというのは極めて難しいですね。つまり、一般の会社法で言うのとは違うということですね。それから、一般の会社法というのは、あれは基本的には民間のことですね。だから、民間が遵守するという話になるのかもしれないけれども、これは先ほどからの御答弁で、要するに市場原理に合わない分野に関して補完的にやりますということであるとすると、なぜその会社法そのもの自体の制約を受けてやらなきゃいけないのかというのは、私にはちょっと理解できないんですね。  今までも、ずっと委員会指摘していて変わりましたが、例えば企業を救済する際に、債権放棄をするか、それか条件緩和してあげるかしか本当は銀行として助けられるものがない中で、債権放棄は資金的に難しいので、本来条件変更してあげればよかったはずなんですよ、三年で返せないのを五年にして金利とか一回の支払を下げてあげるとか。だけれども、それをやるとみんな不良債権扱いになっていたんですね、金融庁がそう決めていたから。公的金融機関にもそれを全部実施してしまったがために、一気に公的金融機関の不良債権比率が上がったんですよ。  私は、医者の立場でいうと、すごくおかしいと思う。それは何かというと、月々の支払ができなかったときはそれは重病かもしれないけれども、その月々の支払五十万でできない人が三十万に減らしてもらって月々の支払ができるようになったということは、これは治療したことだから、治療してやって何で格付が悪くなるのか、私には全く理解できなかったですね。  ましてや、公的金融機関というのは、そういうことをやっても、何とか経営してこの苦しい時期を乗り越えれば、それは政府政策の中でいずれ良くなるということを踏まえればの話ですよ、ですが、そういう一時期、その苦しい時期に何とか堪え忍べるような形で手助けをするとか、そういうことをやることが僕は公的金融機関の役割だと思うんだけれども、ところが、その不良債権の扱いから何からみんな民間と同じようにしちゃったわけですよ。そのために、不良債権比率が高くてどうだとか、何がどうだと問題になってきているわけです。  だから、僕は、これは政策的にやることなんだから、何もそういう、必ずすぐ民間民間みたいな話が出てくるけれども、そこは全然違っているんじゃないのかなと、そう思いますけれども、いかがですか。
  100. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 繰り返しになりますけれども、運営につきまして、会社法に従いまして、まず会計基準につきまして民間企業会計を適用する、それから会計監査人による監査の実施を行う、それから所要のディスクロージャーを行うといったことや、取締役会や監査役による企業組織運営による透明性の高い効率的な運営確保するということは、それは意味のあることではないかというふうに考えております。
  101. 櫻井充

    櫻井充君 どちらの部分を取るかということなんですよ。つまり、政策判断でやるんであれば、政策的なことが実行されているかどうかさえ判断すればいいんですよ、こんなものは。その政策判断に従ってやっているか、やっていないかだけ見ればいいことであって、それを、あとは一々その市場でどうのこうのとか、民間と何とかだとか、僕はそんなことをやる必要性ないと思いますよ。  何でこういうことになっているのかというと、ちゃんとやるべきことをやらないから、また様々な手法を持ってきて何とかしましょうみたいな話になるけれども、ちゃんとやりさえすれば全く問題ないんだから、余計な手間暇掛けるようなことを僕はさせない方が本当はいいんじゃないのかなと、正直思っています。  それから、十二条のところに国内金融業務の方法と、こう書いてあって、いろいろ書いてあるんですが、四項に林業や漁業やそれから農業だけ、要するに一次産業だけ特別に取り上げて明記されているんですが、なぜこれだけこういう形で特別に取り上げなきゃいけなかったんでしょうか。
  102. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 新公庫業務に関する規定につきましては、政策金融として引き続き実施することと判断された部分につきましては、現行四機関業務を新公庫に過不足なく確実に承継させるということにしております。  それで、行革推進法における各機関に関する業務の限定を忠実に反映しつつ、現行四機関業務に関する規定を引用することを基本として規定をしているところでございます。このため、農林漁業分野につきましては、現行の農林漁業金融公庫法と同様な規定ぶりということにしているところでございます。  それで、現行の農林漁業金融公庫におきましては、農林漁業関係資金の金利の上限等を法定しているわけでございます。御指摘の十二条第四項につきましては、農林漁業金融公庫法第十八条三項を引用したものでございますけれども、農林漁業分野の中でも政策性が特に強い資金として、新公庫法案の別表第五に掲げる資金といたしまして、低利かつ安定的な融資を確保するために、他の農林漁業関係資金よりも低利で実施するという観点で規定をしているところでございます。
  103. 櫻井充

    櫻井充君 僕からすれば答弁になっていないと思っているんですけれどもね。  つまり、農業関係者とかだけはまた別にこういう形でやりますというふうに全部書くんであったとすれば、一つのシステムにはならないわけでしょう。要するに、今、中小公庫やそれから国金、それからこの農林関係のやつとか全部入れて一つに束ねるけれども、今のお話一つ取ってみても、実はシステムそのもの自体が違っている、違ってくるんだろうと思うんですね。  そうすると、果たしてこういう違うシステムのものを一つにすることにどこまで意味があるんだろうかと。特に、午後に木俣委員からまた質問ありますが、国際業務のところなど二つのところが一緒になってやって、システムまで開発して、さあ、これからやろうかと昨年決めた途端に、今年からまたシステムばらばらにしてくれと言われていて、現場は大混乱しているという状況にあります。  ですから、これは小泉総理の決断でこういう形になってしまってはいますが、そのことによって現場が混乱しないように、それから、こういうこの公的金融機関の見直しによって一生懸命頑張っている中小企業が困らないような、そういう政策金融にしていただきたいということを御要望申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  104. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ─────・─────    午後一時十七分開会
  105. 藤原正司

    委員長藤原正司君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、櫻井充君が委員辞任され、その補欠として郡司彰君が選任されました。     ─────────────
  106. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 休憩前に引き続き、株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法施行に伴う関係法律整備に関する法律案、両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 午前に続きまして、若干時間が過ぎておりますけれども、質問を続行させていただきたいと思います。  まず、幾つか、八機関のことについてでございますが、ちょっと多岐にわたって質問をさせていただきたいと思いますので、まずは農水関係農林公庫の方から一つ、二つ御質問させていただきたいと思います。  今回統合される公庫の中では、沖縄公庫に次いで貸出し残高の低い公庫であるというようなこと、そしてまた、農林全体の融資の中でも比率が若干低いというようなことはあるわけでございますけど、ちょっと事前に聞いたときに、やはり農林漁業というのは非常に食料安保であるとか、それから環境問題であるとか、またさらには、最近でいうと農林水産物を平成二十五年までに四千億から二・五倍ということでしょうかね、これ一兆円にするというような大々的なキャンペーンを張っている割には、結局どのぐらいの資金需要が見込まれるかというプランのところで、民間も含めて、いろいろ調査室で調べさせたんですけれども、又は農水省にも伺ったと思いますが、資金需要はどのぐらいあるんですかと、どういうふうに考えられますかということを伺うんですけれども、これがほとんど具体的に数値を見いだせなかったんですけれども、今後、合体した中でどんな規模で融資が農林漁業に対して行われていくようになるのかとか、又は全体で言うと、農林漁業の公的資金の入り額はこのぐらい伸びていって、その中でこのぐらいの割合になるんだというところがお示しいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  108. 国井正幸

    ○副大臣(国井正幸君) 詳細な数値につきましては事務方の方から後ほど申し述べさせていただきたいと思うわけでございますが、今先生指摘のように、農林漁業の資金の特徴としまして、非常に長い期間やっぱり掛かるという、一つの作物を育てるにも、特に果樹等におきましては栽培期間が非常に長かったり、そういう部分がありますし、なかなかそれから付加価値をすぐに高く取れるというふうなこともないものですから、そういう意味ではなかなか資金需要全体は大きくないかもしれませんが、やはり長期間で低利の資金は是非農業の現場で多くを必要としているわけでございます。  特に、今先生指摘のように、一兆円という部分につきましては、これまでどうも我が国の農産物は国内だけに終始をしていたわけでありますが、攻めの農業ということで、これだけのいい品質のものを作っているわけでありますから、是非海外に向けても輸出を展開したいと、このように思っているわけでございます。  数値については、ちょっと事務方の方から恐縮ですが申し述べさせていただきたいと思います。
  109. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 今後の農林漁業分野の資金需要についてでございますけれども、これまでの融資実績の伸び、それから地域の農林漁業者のニーズ、更には担い手農業者の育成目標など、国の重点政策を踏まえまして毎年度必要な資金需要を見込み、毎年度の資金計画額を公庫予算の国会での御審議を経て決定をしておりますが、例えば十九年度の貸付計画額は三千五百億円としております。  このような貸付計画額の決定の仕組みにつきましては、現在御審議いただいております新公庫法案におきましても同様となっているところでございます。
  110. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 確かに、単年で、翌年とか翌々年ぐらいのところはあるかもしれませんけれども、じゃ、今副大臣がおっしゃったように、農林水産業というのは足が長い又は時間が掛かることだということかもしれません。又は、採算、不採算で言うと、なかなか採算に合わないかもしれない。つまりは、金融界で言うと、先ほど同僚議員が言いましたような市場の失敗が起きやすいという言い方かもしれませんけれども、そういったことだからこそ政府系の融資が大変利いてくるという観点からしても、若干、若干というか極めて将来スコープとして、将来展望として残念ではないかと私は思うんですね。  例えば、一番難しいかもしれませんが、林業を見ても、やはり間伐をしてただ捨てるだけではなくて、これをどういうふうにリサイクルしていくか。これをアルコールにしていくというのもありますけれども、木を木としてやっぱり使っていくとか、恐らくは木材というもの自体が、もう少したちますと木の家なんというのはぜいたくで建てられないという時代が恐らく、もう今来ておりますけれども、更に来るというふうに私は思うんですよね。それはそんなに遠くないんじゃないかと。  そういうようなことで、例えば間伐やら伐採したものを流通させる業とか、又は水産業においてももう既に、釈迦に説法でありますけれども、淡水で海水のものを、タイを育てるとかフグを育てるとかいうことはできるようになっているわけでございますね。だから、栽培漁業なんという話やら、農業のリンゴが台湾で千五百円で売れるとか、こういう話だけじゃなくて、いろんなやはり私はものがあるだろうと。規模がそれぞれが小規模であるので、農家等々又は企業家ということがですね。ですから、そういう、なかなか見込めないかもしれませんけれども、極端に言うと、うそでもいいからというのか、資金需要は例えば平成二十五年だとこのぐらいになりますよというものが出てこないというのは残念至極であると。  これは実は政府の、私はやっぱりさっきから言いますように、市場がなかなかうまく機能しない分野であるからこそ政府が出さなきゃいけないと思うんですが。これは恐ろしいことに、結局民間の農業団体でも資金需要を見いだすことができませんでしたんですね、私も。ですから、そうなると、例えば一兆円輸出するとか、目標は非常に面白いかもしれないんですけれども、なかなかこれは、どういう目標なんだろうかというような、戦略なき目標ではないかというふうに言わざるを得ないんで、是非、何というんでしょうか、我が党も含めて農林水産関係、大事にしたいというふうに思っていろんな提言出しておりますけれども、政府としても、市場が失敗する分野一つであるということであるならば、今後の例えば十年、十五年という、二十年というその中で、どういう形でどういうものを伸ばしていきながら食料安全保障、環境であるとか、また新規の企業的な分野というものをしていくかということを是非副大臣の手で作っていただけませんでしょうか。
  111. 国井正幸

    ○副大臣(国井正幸君) 実に重要な御指摘をいただいているというふうに思っております。  思いは私も同じ思いでございまして、是非、今世紀が特に飢餓の世紀になるのではないかと、こういうことも指摘されているわけでありますし、あるいはここ一両日のマスコミのニュース等においても食用油が上がる、あるいはマヨネーズの価格が上がるというふうなことで、これまたバイオエタノールの関係も、やっぱり地球環境を守るという意味では非常に有意義なものでありますが、食料とのリンクもしているというふうなことでもございまして、正に生命系産業として大変困難を伴う部分はあると思いますが、少なくとも中長期的にそういう有用な役割を果たしつつ、かつまた産業として自立できるように最大の努力を重ねていきたいと、このように思っておる次第でございます。
  112. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 もう一つ踏み込んで、是非副大臣の手でやはり計画を副大臣のうちに作っていただけませんですか。このぐらいの需要になるんだと、こういう産業にするんだと、だからこのぐらいの金融は需要が出てくるんだというものを是非作ってください。
  113. 国井正幸

    ○副大臣(国井正幸君) 是非、先生の御意見を承って、ただ、これどうなんでしょうかね、率直なところ申し上げて、思いは一緒でございますが、私も役所へ戻りましてしっかりと、机上の空論にならないように、少なくともやっぱり具体性を持ってやれる計画になるように、そういう努力を重ねたいと、このように思っております。
  114. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 じゃ、副大臣どうぞ、もう結構でございますので。  続きまして、全般的な、総論的な話でございますけれども、午前中の質疑の中でも貸出し残のGDP比、つまりは半減、GDPで半減させるという目標は、大臣もこれはもう確実にできる、これはまあある意味で民営化したりいろいろするものですから当然でありまして、これは当然できるわけでありますけれども、片方で、じゃ融資をしている、これ、まず非常に区分けがどういうことなのかなと思いながらお話をさせていただくんですが、いわゆる政策金融機関というものが八あって、これをいろいろ統廃合する。独行がいわゆる融資をしている、独行の十二機関、これが政策融資という名前で言われておるわけでございますけれども、独行のこの十二機関が非常に大事なものがあります、この中身見てみますと。やっているのも十兆円ぐらい実は残があるんですね。  私は、今回の法律とはちょっと離れますけれども、現在の八機関政策金融機関というものだけをターゲットにしているのは一つの見方かなと思うんですが、この独行についても政策金融機関と同様なスクラップ・アンド・ビルドがやはり私は必要だというふうに思いますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
  115. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 独行、独立行政法人でも委員が御指摘のように政策金融のような融資業務をやっているところはあるわけでございますが、まず委員がおっしゃったように、この政策金融機関については、先ほど来いろいろ御議論がございましたけれども、GDP比半減という目標を作ってこれを達成すべくやるということでございますが、一方、今先生がおっしゃった独法でやっている融資等の業務については、例えば日本学生支援機構のいわゆる奨学金貸与とか福祉医療機構の医療関係施設の設置等に必要な資金の貸付け、極めて多様なものでございまして、いろいろチェックをいたしましたけれども、本来業務と付随してやっているという、こういうことになっておるようなところもあって、一律に全部、政策金融機関でやったような数値目標というのはなかなか難しいということで設けておりませんけれども、同じような視点で政策金融改革の見直しの考え方を踏まえて、平成十八年度から平成二十年度までに中期目標、これは三年から五年で独立行政法人というのは中期目標を作ってやっておりますので、その終了する十四の法人が行う融資等の業務対象に去年見直しをやりまして、五十九、融資等の業務がこの十四法人にあったわけでございますが、三十二業務、これ半分以上になるんですけれども、廃止、縮小ということにいたした次第でございます。  見直しに当たっては、十八年度以降当面の独立行政法人の見直しの基本的方向についてというのを決めて、全独法についてそういうことをやりましたわけでございますが、この政策金融機関が撤退して、もう要らないということで退いたところについて、そこが退いたから独法が行ってやるということではいけませんから、そういう受皿にならないようにそこの基本的な方向に書いて、そういう検討をさしていただいたということでございますので、代わりに独法が代替機関になっちゃうというようなことはないと思いますけれども、今後も独法の仕組みとして定期的に見直していくことになっておりますので、今先生がおっしゃったことの視点も含めて、効果的、効率的に業務運営がなされるように見直しを引き続きやってまいりたいと、こういうふうに思っているところでございます。
  116. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 今のお話は、当面はもう見直しは終わっているからやらないと、こういうことでよろしいんですか。
  117. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 実は、昨日の経済財政諮問会議におきまして総理の方から指示がございました。もう既に今朝の新聞等で御案内かと思いますが、私の方に対して総理のブレーンの方から、百一法人、独法の百一法人ですね、これを、全法人を対象に見直しを行い、年内を目途に独立行政法人整理合理化計画を策定していただきたいというお話でございました。私の方からは、大変重い課題だけれども全力を尽くしてやっていきたいと申し上げ、菅大臣も、全面的に協力するという御発言がございました。  その上で、総理の方から、総理はかねて行政の新たなグランドデザインを描くということをおっしゃっておられるわけでございますが、独法改革はその一環として避けて通れない課題であると。私、渡辺においては、政府機能の見直しの第一弾になるような本格的な改革をよろしく頼むと。同様のことは菅大臣に対しても総理から指示がございましたので、こうした政策金融の独法における金融の問題も含めて、すべて対象にしていく方針でございます。
  118. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 大変前向きな御答弁をいただいて、大変心強い気持ちがいたします。  百一法人、私は、今調べているのがその十二機関で十兆円ぐらいあるということで、林副大臣言われたように、その中で、いや、要らないものが多いぞというような荒っぽい話をするわけではございません。しかしながら、要は、今回の八機関でやって、独行、独法の方で余りメスが入らないというのはやはりバランスを欠いているんじゃないか、バランスを欠いているというより、行政改革という、財政削減又は財政負担をとにかく減らすという観点からはやはりおかしいんではないかということでありますので、今、年内というお話を改めて伺って、是非、これ十兆円も貸出しの残がございますので、必要なものはやはり取る、削ったり、それから又は残すということは是非年内にまたお願いしたいというふうに思います。  続いての質問でありますが、政策金融又は政府系金融機関の改革で、過去十年で五回、平成七、九、十三、十四、十七と既に五回行われているかと思います。恐らく衆議院の方でもこういった質問はあったかと思いますけれども、改めて、五回もころころ変わるというのは、これはある種異常事態ではないかなというふうに思うわけでございます。  いろいろ伺う中で、例えば国際協力銀行、JBICと呼ばれますけれども、私も援助畑の仕事をしておりましたので、この国際金融部門とそれからOECF、いわゆる円借款を中心とした出資機能もございますけれども、こういったものがくっ付いて、ああ良かったなというふうに思ったら、実はシステム的にもいろんなシステムも去年かぐらいの時点でようやくどうも統合できたというようなお話らしいんですよね。そうしたら、またこれはやめますというような話でまた離れちゃうと。  ここも相当膨大な資金を必要としながら、システム開発をしたり、また人事交流も含めたいろんな政策案件をやってきたわけでありますが、ちょっと本当、朝令暮改というか、ころころ変わり過ぎると。こういうことについては大臣はどういうふうにお考えになるか。将来は、この統合した、今、日本政策金融公庫、新公庫というんでしょうか、又はJICAに統合するもの、民営化されるもの、特に上位この二つについてはほぼこれで決定版であるということを思っていらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
  119. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) たしか村山内閣のころだったと思いますが、最初の政府系金融機関の統合が決定をされたわけであります。  JBICについては、旧輸銀とOECFがたまたま同じ建物の上と下にあって、これは一つにしたらいいじゃないかというような議論も当時聞いたことがございます。ただ、いざ統合してみると、ODAとOOFといいますか、そのほかのオフィシャルファイナンスの違いというのが相当やはり残ってしまったんだろうと思うんですね。  ODAというのは、御案内のように、どっちかといえばお金返せそうもない国にお金を貸して、経済成長を通じてお金を返せるようにしてあげようと、そういう発想もあったと思うんですね。一方、OOF、アザー・オフィシャル・ファイナンスの方は、これは基本的に日本の企業を相手にお金を貸すわけでございますから、そういう違いがどうも同じ組織の中でうまくいかなかったということが一つはあったんだろうと思います。  今回、そうした基本的なコンセプトの違いを教訓として、ODAはODAとして一つの体系でまとめていく、新しいJICAに統合するわけですね。一方、OOFの方はまさしく一つ組織として今回統合をされるわけでございまして、これは私は基本的には方向性としては非常に正しいことであろうと考えております。  したがって、今回の統合をきっかけに簡素で効率的な政府を目指すその延長線での改革を進めると同時に、民業補完を徹底をさせるということ、そしてシナジー効果、統合のシナジー効果を発揮をしてもらって利用者の利便性の向上に資するということが図られていくものと考えております。
  120. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 渡辺大臣思いっ切りの良さというのは私も大好きなんですけれど、今の発言はやはりいかぬと思いますね。いかぬと思うというのは、円借款なんかもやはりどれだけ返っているかというのを見ていただければ分かると思うんですけれど、ソフトなローンということもあるんでしょうけれど、かなり開発についても成功し、そしてまたそれが返っているんですよ。だから、返せないだろうというようなところに、インドネシアなんかも多分非常に御造詣が深いと思うように、それはちょっと言葉が違うんじゃないかなと、言い過ぎじゃないかなというような感じがします。  今まとめると、援助とビジネスの違いだからそうなんだというお話だと思うんですよ。ただ、私、やはりこういった関係のことをやっていましたんで、確かにたまたま階が上下というのもよく知っているんです、もう十数年前から私もよく行きましたので。ただ、それだけではないんですよ。だから、それを今、国会の場で言われてしまうと、恐らくは一生懸命今やっていらっしゃる方がすごくがっかりするんで、これは是非、何というんでしょうか、御訂正、是非これを僕はいただきたいというふうに思います。  それはどういうことかというと、年間、ちょっと調べますと、六十人ぐらい、例えば大臣級の方でもJBICの総裁と会っている方が大体年間六十人あるんです。大体年間六十人ずつ。副大臣やその他政府関係者といったらもう本当に大変な数になる。もちろん総裁と絶対会っているというわけではないんです。  そのときに、こちら側の論理じゃなくて、つまりは援助というのはリクエストベースというのがこれ援助の大基本になりますが、要は、彼らは口そろえて言う言葉は、便利になったなと。つまり、階が上下でも同じ話を二回しなきゃいけないと。もっと言うと、同じ方にぽっと言っておけば、ああ、これは要は援助だ、これはOECFの範囲だ、これは輸銀の範囲だと、かつての名前で言えば、ということにやはりなっているんですよ、実際に。だから、今大臣が言われた、こちら側の、つまり我が国側の論理で言えば若干そういうところはあったかもしれませんが、やる側もそうでもないんですよ、実際。  プロジェクトベースでもう幾つか、私も今回も改めて幾つか聞いたりしました。これ例えば京都メカニズムを活用した温暖化防止のCDM、こういったものに対してのマッチングファンドのようなものとか、それから、例えばこれは具体的に言えば電力の関係で、ある送電部分は円借でやる、だけれども、その火力発電はある意味、本邦企業関係も含めて輸銀のローンで協調融資で民間銀行と一緒にやっていくというようなものとか、かなり実はこういったプロジェクトベースで見ても協調的にやっているのが多いですし、更に言えば、例えば市、市というエリアの中で下水道とかそういう生活インフラ又は衛生関係についてはこれは援助マターだと、だけれども、商業マターに近いようなものについては、これはいわゆるかつての輸銀のローンがアンタイドローンでいこうじゃないかというのはこれは非常にある話でして、それが言ってみるとワンストップでやれるというのは非常に便利が当然ながらいいわけなんですよ。これはやる側、現場もそれはそう言っているわけですから。  それを大臣から、いや、援助と、ODAとOOFだからそうじゃないんだと、今回また非常に良くなるんだというのは、これはちょっと言葉が違うので、是非これは訂正いただきたいと思います。大臣が訂正いただきたいと思います。いや、是非大臣、お答えを。
  121. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今委員がおっしゃったところは大事なポイントで、実は、この設計をするときもそういう議論も実際にはございました。  それで、ただ、そういう援助の方から見た、援助の後の民間の融資で出ていくところとの連携というのは非常に大事なポイントということは一方で議論としてあったわけでございますが、一方で、政策金融一つにするという、最初に御質問があった政策金融改革、こういうこともございましたので、この部分だけ少し別出しにしまして、検討を重ねさせていただいたところでございます。  そこで、やっぱり援助の、今正に先生がおっしゃったように、効率的実施観点から、ODAの各スキームを一元的に実施するとのODA改革の趣旨に沿ってやったということでございまして、この新しい体制に移行した後も、円借款と国際金融業務、ODAとOOFというんでしょうか、この部分は有機的に連携していくようにきちっと、場所がどうなるのかという物理的な問題は別としても、機能としてはきちっと連携を取れるようにしていくというのは別途政府としても決めておりますので、そういう中で先生がおっしゃった趣旨が生かされていくことは非常に重要だというふうに考えておるところでございます。
  122. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 何か、大臣、御訂正があれば。
  123. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 林副大臣の言ったとおりでございます。
  124. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 だから、何というんでしょう、返せる当てもないようなところに貸していたところとビジネスベースのというお話をされたんでしょう。それはそのとおりだという、そういうことですか。ちょっとその辺も含めて。  それから、中でやはりやりやすかったということを私はだから現場の方々から伺っているし、それから、日本を訪ねてきた要は要人の方から伺っているんですよ。それを、だから、簡単に切って捨てるようなことではやはり残念だと思うんですがね。
  125. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 私が申し上げたかったのは、ODAというのは、例えば相手国の非常に大事な基幹インフラの整備等々、こういったものの、経済成長に大変役立つものへの援助、支援を通してまさしく国力を増進をしていただくと。それによって、基本的に半分税金で成り立っているお金でございますから、こういうものを返していただくと、そういうスキームであることを多少私流の強調も含めて申し上げたところでございます。
  126. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 いや、何というか、一介の議員でも恐らくはちょっと僕はやっぱり聞きづらいと思うわけですから、やはり大臣閣下でいらっしゃるわけですから、それは御配慮を、御造詣が深いと思うんですよ、その分野については。それだけに、やはりそういった御発言は控えていただきたいというふうに思うんです。  元々、譲許性、つまりはグラントエレメントとかいろんな言葉がありますけれども、日本のODAというのはいろんなことを言われて今もきているわけです、実際、私は当てはまらないところが多いと思うんですけれども、何でもっと、要は、JICAというのは全然違うものですよね。技術協力とか無償の援助ですよね。これはもっともっと、違う民生の衛生部門とかいうところになるんですよ。今言われたインフラについては、やはりこれは、何というんでしょうか、相手国の経済発展の基盤になるようなものであるし、要は、返して当然なものであるという観点からやっているものですから、全くこれは私は違うものだというふうに思うので、やはりお言葉は是非気を付けていただきたいなと私は思います。  そういう中で、今回、新機関の、新公庫の役員人事というものをどう考えていらっしゃるかということを伺いたいと思います。  もちろん、官僚の方が全部駄目だということを言っているわけではありません。それから、又は学者の方では駄目だということを言っているわけではありませんけれど、ともすると金融の現場にイロハも分からない方が出てくる可能性もやはり否めないということを危惧する方も多いわけでありまして、やはり金融のプロとして中で育ったプロパーの方も含めた民間金融機関の方、又はもちろん元々の公庫の方も含めて役員にやはりびしっと登用すべきだというふうに思うんですが、お考えをいただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  127. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) これは、今回の新公庫法の六十一条でも書いてあるわけでございますが、正に業務に照らし必要と認められる識見及び能力を有する者が選任をされること、そして特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分配慮することと明言をしているわけですね。したがって、これはもう適材適所ですよ。小泉総理がよくおっしゃっていたように、どこそこの事務次官だから自動的に固定的にトップになるということはなくなるわけでございます。  今回の法案では、役員の選任においては、政策金融責任を負っている大臣主務大臣として認可をするというのが一つであります。そして、その認可に当たっては、政府の確立したルールに基づいて内閣としてきちんとチェックをする。第一には、役員全員について官房長官同意が必要である。第二に、代表権の付与に当たっても官房長官同意が必要となる。第三に、代取会長、社長については閣議の口頭了解が必要となるということでございます。したがって、こうした手続によって、プロパー職員はもとより、民間金融機関出身者を含む民間人材も幅広く視野に入れて適材適所の人選が行われるということが適切であろうかと存じます。
  128. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ちょっと駄目押し的な質問になるかもしれませんが、特に四機関、四公庫ですね、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の役員数の中で、役員数が何人あって、そのうちの官僚出身者の数というのがどのぐらいかというのを、ちょっと数だけお願いします。事務方でいいです。
  129. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今、新公庫に統合する各機関の役員数と公務員出身者は、国民生活金融公庫が、常勤役員数八名で、そのうち退職公務員は四名です。それから、例の公務員現役出向というのがございまして、これが一名おります。それから、非常勤役員は二名で、退職公務員が二名ということです。それから農林公庫は、常勤役員が八名のうちで、退職公務員が四名。中小公庫は、常勤役員数十一名のうち、退職公務員が四名と、公務員現役出向者が一名。非常勤役員数一名のうち、退職公務員が一名。それからJBICは、常勤役員数十名のうち、退職公務員が三名で、現役出向者が二名。非常勤の役員数は二名で、公務員出身者がゼロと、こういうふうになっておるところでございます。
  130. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 何というんでしょうか、今天下り問題というか、適材適所で固定化させることはないと大臣から言明があったわけでございまして、やはり本当に適材適所で国のために、又は金融機関金融機関然とするような、又は政策金融により資するような人材がやはり当然ながら任用されるように、こういった今数が、あるところでは五〇%というような、あるところではというか三つの公庫では五〇%を超えている数になっておりまして、ですから、こういったのが固定的にならないということで大臣、よろしいわけですね。
  131. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 正に今委員がおっしゃったように、こういう特殊法人とか独法の長の人事についてというのは、十六年の三月に事務次官懇談会で二橋内閣官房副長官から発言ございまして、法人の長については、全法人を通じ公務員OBは二分の一以下と、それから常勤役員については公務員OBを二分の一以下とする目標を念頭に置いて前広に御相談いただきたいと、こういうのが既に出ておりますので、今、ぎりぎりそこに張り付いているところも今おっしゃったようにあるわけでございまして、まずトータルの役員数が統合して増えるようなことは絶対あっちゃならないと、こういうふうに思っておりまして、統合するメリットということでありますから、今後は具体的にそういう姿を固めていく過程で決めることになるんですけれども、その他の数は縮減していく。  ですから、その中で、今申し上げました今までの二分の一ルールというのは当然適用されていくということがまずございますし、その上で、先ほど大臣からもお話がありましたように、適材適所で固定的な人事にならないようにすると、こういうことでやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  132. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 あと、次の質問でありますが、資金調達の見直しについての質問になります。  午前中の質疑の中にもありましたけれども、若干、論が逆転するようなことがあるかもしれませんけれども、統合される五機関においては、財投資金や政府保証債による資金調達が全体の九割というような形になっておりまして、公的資金に依存する割合が非常に大きいわけで、つまりは財投機関債の割合というのがわずか一割というふうになっているわけでありますけれども、そもそも、平成十三年の財投改革のときに、郵貯、年金、簡保の見直しとかいうこと、またいろんな特殊法人の改革の中で財投機関債の役割をどんどん増やしていくんだということからすると、この割合がどういうふうになっていくのかなということを考えるわけでありますけれども、この新機関は、資金調達の方法を当然ながらこれまでの公的資金の依存から財投機関債中心のものに更に見直していくという考え方でよろしいわけでしょうか。
  133. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 午前中に櫻井委員からは財投機関債もうやめたらどうかという御指摘があったところでございますが、そのときにも申し上げましたけれども、正に今委員が御指摘いただいたように、財投改革全体をやったときに、財投機関債を出すことによってディスクロージャーをきちっと促進をさせる。櫻井先生は官がやることだから市場とは関係ないじゃないかとおっしゃられましたけれども、やはり出すことによって市場と接する、そこで緊張関係が出てくることによって業務の効率化へのインセンティブを高める、こういうことで財投機関債を入れてきたわけでございますが、ちょっと先ほど私、急に言われたので答弁が不確かなところがございました、午前中のときに。機関債による調達コストは、国債のソブリンよりは多少はプレミアに乗るというのはこれは当然のことでございますので、コストが高くなると。  ですから、どちらの目的をどういうふうに考えるかということではあろうかとは思いますけれども、これをやっぱり機関債とそれから財政融資資金政府保証というものをきちっと組み合わせていくということでございまして、どれを一方的にどんどん増やしていくとかいうことはなかなか今の段階では方向性を申し上げるところまで至りませんけれども、正に組合せによって、それぞれいいところを組み合わせながら、財投改革の趣旨にも沿った形で効率的な資金調達を図っていく、これが大事であろうというふうに思っておるところでございます。
  134. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 私は、やはり財投債という丸ごとでやるよりも、機関債、要するに目的に合わせた、又はこういった目的で資金調達をするんだよという債券の出し方をしながら、それを集めて、そしてまたその中で収支相償というような形でやはりやっていく方が当然ながら私はいいというふうに思っております。それが財投改革の一つだというふうに思っております。  ただ、今回本当にそういうふうになるのかなというようなところを申し上げると、先ほどのJBICとその他というような、つまり国際金融部門で公的金融の中でもやっているものとそうでないところの差がある、又はその考え方が正反対になるわけですよね。つまりは、国内金融については市場の失敗という観点から、つまりは補助が中心になって市場ができないところを支えていくんだということであるから、要は収支については余り問わず、補助金的に出してもいいじゃないかと、こういうような発想だと思うんです。これはこれで私は大事なことだと思うんですよね。ただ、要はこれが余りにも肥大化して極めて、何というんでしょうか、不効率になったので今回改革しようじゃないかと、これも分かるわけなんです。  ところが、国際部門のところを見た場合に、JBICはプラスですよね、黒字になっているわけで、債券自体も結局非常に日本のソブリンよりもいいレートが付いていたというふうに私は記憶しております。しかも、外債で回せるというようなことも含めて、非常に効率がいいところを効率の悪いところとくっ付けて債券を出していくというのがちょっと不可解だなと思います。これは衆議院の方でも林副大臣の方から御答弁があったように聞いております。  要するに、そこだけ切って、海外向けには海外のものを出していくんだと、債券を出していくんだというような話だと思うんですけれど。そういった例、ソニーなんかは一部そういう営業部門で起債をして、社債をやってなんというところも何かあるというふうに、うなずいていらっしゃるんで多分当たっているかなと思うんですが、そんなことも聞いたことありますけれど、それは公的部門でそういうことをやっているところというのは世界でもあるんでしょうかね。
  135. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 突然の御質問でございますので、今答えるだけの材料を持ち合わせておりませんが、プロジェクトファイナンスみたいなものは、ちょっと公的かどうか分かりませんけれども、こういう仕事をやるのでこのプロジェクトについて調達するというのは、もう民間では委員よく御承知のようにあるんですが、ちょっと公的機関については、あるかどうか調べさせていただきたいと思います。
  136. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 政府委員の方でどなたか分かる方。
  137. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) 各国ともいろいろと公的機関ございまして、例えば債券を発行する際には、その債券の目論見書でございますけれども、そこに大体こういうような使途のために調達をするというのもございます。また、別途、これはドイツの公的機関の例でございますけれども、ドイツの公的機関の輸出関係のところにつきましては、アメリカの方に資金調達の子会社を置きまして、そこで発行しているような例もございます。  ただ、先生がおっしゃっているようなソニーの例のように、ある部門のところに限定をして、それの債券の発行というところは、私も全部は承知しておりませんけれども、私の承知しているところではございません。
  138. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 ですから、恐らくなかなかないだろうというふうに結論から言うと思うんですよね。  だから、あるプロジェクトファイナンスは、あるこういうプロジェクトをやりますよ、だから債券を発行するからそれに対して乗ってくださいよという話かもしれない。しかしながら、これはもう銀行丸ごとの話になりますから、丸ごとの業務においてそういう債券の発行の、要するにある全体銀行の中で、この部門の銀行については別にしてねというのがあるのかなというのが、多分ないだろうなというふうに思うんですよ。  だから非常に、そうすると一本化された機関債で出すようになるんですか、そうすると。
  139. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 衆議院で私、答弁ちょっと今詳細には手元にありませんが、正に委員がおっしゃった、今政府委員からもあったように、社債みたいなものを出すときに目論見書というところに書くケースがあるだろうという答弁をたしかさせていただいたと思いまして、だから、例えばプロジェクトファイナンスというようなものを、例えば輸銀部門だけのプロファイみたいなものを出すというのは想定していないわけでございまして、機関はあくまで株式会社日本政策金融公庫として出すと。ただ、その出す目論見書の中に、今回調達するお金はこういう目的に使いますというのは当然入ってくると、こういう整理でございますので、いずれにしても、一番いいレートで取れるようにうまくやっていかなければいけないわけでございますから、どういうふうにやったらきちっとやれるのかということは、今度新しい経営陣によく御検討いただかなければいけないことと、こういうふうに考えております。
  140. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 目論見書で、同じ債券でも裏を見ればしっかりその目的が書いてあるよと、そうすればレーティングも違うんだというのがあるかということですよね、簡単に言うと。多分ないんじゃないかなと。私は直観的に言っているだけでありまして。  つまりは、国内公庫が、結局国内業務経営が当期利益でマイナス三百十七億円になる、それに対して国際協力銀、JBICはプラスの七百九十七億円になっているということなんですよね。さっき大臣がおっしゃったとおりなんですよ。収支相償でやりましょうと、ビジネスベースでとにかくやらなきゃいけないというJBICに対して、つまりは、何というんでしょうか、余り返りがないような、戻りがなくても仕方ないというのか、市場の失敗ですから、ですから市場が失敗するようなその部分に貸し出しているところのものが合体して、目論見書としては後ろに、結局、国際業務のためにというようなことが書かれるのかどうか、私も債券というのもしっかり勉強したことがございませんので分かりませんけれども、そういうことだけで同じ価値の債券がレーティングが変わってくるとはちょっと私も思えないわけなんですね。つまりは、全体が落ちていくというような感じに思うんですけれども、どうでしょうか。
  141. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 衆議院でもかなり専門的な御議論があったところでございますが、こういう公的な機関の公社債的なものになりますでしょうか、その格付をするときに一体どういうふうにアナリストのような人や格付機関が見るかという考え方の中に二つあるそうでございまして、一つはトップダウン方式といって、政府との距離がどういうふうになっているのかと。要するに、何か赤が出て償還可能性にちょっと懸念が生じたときに政府が何かしてくれるのかという観点で、その機関の内容やその目論見書をどうするかというのよりもそちらを重視すると。償還確実性があればレートは低くてもいいわけですから、その考え方と、もう一つは正にボトムアップで、そこの機関をきちっと見て、民間でやっているようなことをやって格付をすると、こういう二つの考え方があるようでございまして、そのことを衆議院の議論でも申し上げたわけでございますが。  そうすると、目論見書にどう書くかというのは、どっちかというとボトムアップの考え方に対応してやっていく方向であろうと、こういうふうに思いますし、一方でトップダウンの考え方を取れば、この収支相償のところとそれから収支差補給入れるところのことを区別で勘定しますけれども、最終的には一緒になる、一つのことになるということを格付機関やマーケットがどういうふうに受け止めるかと、こういうことを判断材料にしていただいて、新しい経営機関の方に適切な判断をいただくと、こういうことになろうかというふうに考えておるところでございます。
  142. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 この辺り十分注意をいただいて頑張っていただきたいなということを加えたいと思いますし、やはりJBICの一つのブランドというイメージで起債をされているというふうに聞いておりますので、ですから、そのブランドが傷付かないようなやり方をやはりしていただくというのは非常に大事ではないかと思います。  続きまして、中小企業問題でございます。  午前中もいろいろありましたけれども、片方で国内の公的金融というのは、市場の失敗、つまり市場の経済に任せておくと余りにもそのリスクというものが分かりにくいがゆえに、淘汰されていくというか、無用に淘汰されていくところと有用に淘汰されていくところと両方あると思うんですが、一番大事なことは、やはり、百年前のトヨタは井桁商会なんですよね。つまり、本当にちょっとした芽、あらゆるものが初めは小さい芽だと思いますけれども、特別なもの以外は、その本当に小さな芽、井桁商会がトヨタになり、昨日、おとといですか、昨日かな、二兆円の経常を出したという、これは物すごいやはりことだというふうに思いますし、地元でございますので大変誇りに思う気持ちがあるわけでありまして。  そういった意味で、何が言いたいかというと、確かに市場が失敗というのは、つまり余りにも市場原理、原理というより原理が働かないということだと思います。情報の非対称があって、つまりは良きものではないかというものだけれども、リスクが測れないからそこに貸し込めないと、こういうような話だと思うんですけれど、そういったものや、又は社会的に弱い立場に構造的になってしまって、今ここでだんと消えてしまうと大変な社会不安が発生するからこそ、そこは何とか福祉的な要素を持って助けなきゃいけないという観点だったと思うんですね。  片方で、私、公的金融の役割というのは、それと同時に、何というのかな、今度は市場の失敗じゃなくて政府の失敗という言い方でしょうかね。つまりは、本来であれば市場がやるということなんでしょうが、それよりちょっと先に行っちゃう場合ってやっぱりある。今のトヨタの話も、その今の私が言おうとしたのをちょっと先に言ってしまいましたけれども、何というかな、本来だったらもっと、ちょっと先のことをやることによって、例えば技術の特許に対して融資をするとか、少しずつ政府が中公とかでやっているような、民間ではやれないようなことをちょっと先んじて手を打っていくというようなやり方を是非やってもらわなきゃいけないというふうに私は常々思って今までも議員活動させていただいてまいりました。  いろいろ知財の話なんかも、今技術の話、知財の話もしましたけれど、知財の担保、知的財産についての担保の融資というものが、中公にしても国金にしてもこれはゼロなんですよね、実際。制度としてはできているけれども、実際の実績はゼロということなんですね。こういったことに対して、これは、だから多分政務官に伺う、どなたに伺うあれですか、じゃ、ちょっと政府から御答弁いただきたいと思いますが。
  143. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今先生からお話のございましたような、例えば知的財産を担保にとか、それからその中小企業が持っているノウハウとか、中小企業独自の技術、そういったものを担保にしていろいろなものを、お金を貸していこうということ、さらには売り掛け債権を担保にしてお金を貸すとか、それからそれ以外にも持っている動産を担保にお金を貸す、こういったことを含めて中小企業金融をもっとやっていかなければいけないのではないかと、こんな問題意識を私どもも持っております。  制度的にそういうところを今始めたところでございまして、もし御質問がありましたらもう少し細かくお話をいたしますが、例えば売り掛け債権の方もやっと今一兆円規模の状況にはなりました。ただ、まだまだそこは十分ではございません。さらに、動産担保のところも、今年の信用保険法の改正を今御審議をいただいておりますけれども、こういったところができればそういったところもできるようになってまいります。  こういったことを通じて、今御指摘のようなものを持った中小企業に対する金融ができるように、そういうものの拡充、充実をしていきたいと、こんなふうに考えて対応しているところでございます。
  144. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 一兆一千七百六十七億円、売り掛け担保の特例、二〇〇一年を契機にしてできたわけですが、確かに増えているとはいっても、例えば、国ベースで全体の売り掛け債権どのぐらいあるかといったら九十兆あるわけですね。ですから、それからすれば百分の一というか、百分の一はちょっと大げさですが、六十分の一ぐらいの形になっているんですが。そうすると、その政策金融における取組で実績は今出ますか、どのぐらいあるか、政策金融の中で売り掛け債権に対してどのぐらい。
  145. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。  今申し上げておりました売り掛け債権、少し細かく申し上げますと、御指摘のとおり平成十三年でございます。もう大分前でございますけれども、売り掛け債権担保の融資保証制度というのを創設をいたしました。その後、その制度創設以降十九年二月まで、約六年弱でございましょうか、の間で約五万四千件、一兆二千億円の保証を実施し、着実に実績を伸ばしているところでございます。  この実績でちょっと数字を手元にあるのを申し上げますと、例えば商工中金で売り掛け債権を担保にした融資が十六年度で千五百八十五件、十七年度で千四十二件、十八年度で七百九件と、こういったような実績が上がっているところでございます。
  146. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 その他のところは。
  147. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) それから、中小企業金融公庫の方は残念ながら売り掛け債権担保の融資はございません。  と申しますのは、売り掛け債権を担保にした融資の場合には、どうしてもある程度期間が、売り掛け債権の性格上、長期の金の担保になかなかなりにくい、こういった問題点がございまして、実際にはある程度短期のお金のときの材料になるわけでございます。したがいまして、商中ではこういうものはございますが、ある程度中期のものを中心にしております中小企業金融公庫の融資の場合には必ずしもうまく回っておらないわけでございます。  ただ、今こういうものを上手に使っていく方法といたしまして、例えば今年度、中小企業金融公庫において創設をいたしました民事再生法の再生計画等の認可手続前の段階にある中小企業に対する貸付け、いわゆるアーリーDIP、こういうものに対して、こういう比較的貸付期間が短い融資になじみやすいと考えられますので、こういったところを特に積極的に売り掛け債権を担保として活用していきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
  148. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 分かりました。  ただ、中公にしても全部が足が長いローンかというと、私はそうではないというふうに思いますので、例えば今、DIPファイナンスの話だと思いますけれども、そういったことについてはやはり積極的に、今本当は始めるのはちょっと遅いとは思うんですけれども、始めていただきたいなというふうに思います。  さらに、この売り掛け債権担保融資についての問題は、債権譲渡特約の解除という問題があって、これは公的なものについてはできるわけでありますが、しかし譲渡できないというのが基本的には契約のときに書いてあるわけで、これについて解除をしなければ九十兆の売り掛け債権が流動しないというように思うんですが、これを何とかしようというような気持ちはありませんか。
  149. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答え申し上げます。  今先生おっしゃいましたように、売り掛け債権を有効に活用していくために恐らく問題になるのが、今先生指摘のございました債権譲渡の禁止特約、それからあと、そんなにこういうものまで担保にしないとお金借りられないのかというようなことで、この会社は危ないんじゃないかということで、そういう変な風評が立ってしまう、この二つが大きな問題としてございます。  まず、先生指摘のございました債権譲渡禁止特約の問題につきましては、例えば官公庁の契約についてはもう既に特約を解除しております。各事業者団体や経済団体、経団連とか日本商工会議所、さらには地方公共団体に対して特約の解除を要請してまいりまして、今、着実に債権譲渡禁止特約の問題については改善しつつあるという状況だと思っております。  それから、風評被害の点についても少しだけ申し上げますと、こういったものを使うことは決して変なことではないし、正当な資金の調達手段なんですよということを広報活動等を今やっておるところでございまして、だんだんにこの制度の利用拡大とともに、こういう風評被害のようなものが起こらないような認識が広まっていくような、そういう広報活動もしっかりやっていきたいと考えているところでございます。
  150. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 次の質問でありますけれども、教育ローンの関係にしたいと思います。  これは国金国民生活金融公庫の教育ローンが大変低利で使いやすいということであるようでございまして、平成十七年末で貸出しが百二十一万件で、金額だと一兆千四億円というような形で大変有効に使われて、有効にというか、大変たくさんの方々に使われていると思っております。  この上限の給与所得というのが、今九百九十万円以内、事業者所得は七百七十万円以内ということになるわけでありますけれども、これが例えば大学や高校生を抱えるような夫婦、うちでも四人ありますから、例えば、四人一遍はありませんけれども、三人が大学生になったらじゃどうなのかとかいうのを考えたときに、やはりなかなか、それで高いのかなというような感じもしたりもするわけでありますが、今回、所得制限の幅を政令で定めるということを書いてございますので、いや、ひょっとしたら相当下がるんじゃないかという不安もありまして、これはある種、福祉の世界の話だと思うんですけれども、現在の国金の金利が二・三%、民間の学資ローンなどは三から六%、さらには変動というのが多いわけなんですよね。ですから、そういう意味でいうと、相当不安に思っていらっしゃる方々が多いと思いますので、どの程度下がるのか、またどういうふうに考えていらっしゃるのか、お答えいただければと思います。
  151. 椎名一保

    大臣政務官(椎名一保君) 木俣先生の御懸念、御指摘、大変もっともなことであると思います。  衆議院の教育特でも御答弁させていただきましたけれども、今回の政策金融公庫の改革でございますけれども、一つには民業補完という大きなテーマを持っていると。しかし、それを推し進めるためにもう一つの最も大切な教育や子育て、その経済援助ができなくなるという、民の方から借りることができなくなるというようなことも考えられるわけでございまして、官房長官からも御答弁申し上げましたけれども、十分調査し、検討し、そういうことがないように配慮をしていきたいと思っております。
  152. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 今のお話は、基本的には所得制限等々は今より大幅に下がるということはないということでよろしいですか。
  153. 椎名一保

    大臣政務官(椎名一保君) 先生からお話ございましたとおり、子供を複数育てておられるとか住宅ローンを併せてお支払いしているとか、そういったこともございますので、そういったことを踏まえて、困ったことにならないように配慮をしていきたいというふうに考えております。
  154. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 民間に移管するべきものでも、例えば住宅ローンのように、何というんでしょうか、非常に安定性が高いというか返済率が高いというか、というものとやはり違うと思うんですよね。であるから当然ながら金利というのは高くなるわけで、民間に任せたときに高くなるというのは当然だと思うわけでありまして、そういった観点からも、やはり非常に、今教育国会ということでやっていただくわけですので、圧迫がないように是非お願いをしたいというふうに思います。  続きまして、ちょっと法案ではございませんが、全体の八機関の中で、先ほどもお話がありました商工中金の完全民営化の件であります。  やはり、この機関も非常に健全に中小企業を支えていると私も確認したいというふうに思っておりまして、大変な不況のときにも、組合ごととかいろんな形で民の補てんというか、ということをしっかりされたと思います。  完全民営化と言いながら、原資の部分政府の出資は残るということで大体落ち着いたということで、当然、その方が私もいいなというふうには思っておる次第でございますけれども、確認のために御答弁を是非いただきたいと思うのは、完全民営化後の商工中金の姿、ビジョン、これをだから政府というのはどういうふうにお考えなのか、お答えいただければと思っています。
  155. 高木美智代

    大臣政務官高木美智代君) ただいまお話しいただきましたとおり、商工中金につきましては、七十年間の長きにわたりまして中小企業との信頼関係、そしてまた中小企業に対する事業評価能力を培ってきております。そうした経営資源をフル稼動いたしまして、完全民営化になりました後も中小企業向け金融機関としての役割を引き続き担っていただきたいと思っております。また、そのことが日本の九九・七%を占める中小企業にとりまして重要であると考えております。  そうしたことを踏まえまして、行政改革推進法におきましては、完全民営化に当たりましても、金融機能の根幹が維持されることとなるよう必要な措置を講ずるものとされておりますし、また昨年、同法の附帯決議におきましても、制度的に措置することと、こうした方向性を担保されております。  これらの規定等に従いまして、株式会社商工中金法案、これから参議院では御審議いただく予定になっておりますが、商工中金が特定の者に支配されることなく中小企業向けの金融機関であり続けられますように、株主資格の制限その他必要な措置を講ずる旨を規定をしております。  経済産業省といたしましては、完全民営化後の商工中金が変わらず機能を維持できますように、法的な枠組みを含めまして必要な措置をしっかりと講じてまいりたいと考えております。大事な御指摘であると思っております。
  156. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 続けて商工中金でありますけれども、三角合併等々解禁になる中で、別にこれは三角合併の対象ということではないわけでありますが、いろんな外国ファンドなどに買収をされるという懸念もあったりする企業が多数あるかと思うわけでありますけれども、こういった懸念というのは、商工中金の場合には資本金からすればないんでしょうかね。
  157. 近藤賢二

    政府参考人(近藤賢二君) お答え申し上げます。  商工中金につきましては、平成二十年の秋に予定をしております、今回の御審議をいただく、今から参議院で御審議をいただく商工中金法、その後、七年後を目途に政府の出資を完全に手放しまして完全民営化をするわけでございます。その完全民営化する際にも、政府の株式の売り先は中小企業者ないしは中小企業団体等に限る形になってまいりますので、今おっしゃったような、外国からのファンドとか、そういう形にならないような仕組みを考えていく、そういう方向で検討を進めていくことになろうかと思っているところでございます。
  158. 木俣佳丈

    木俣佳丈君 最後になりますけれども、市場の失敗、政府の失敗とかいろんな話をさせていただきましたけれども、金融のあるべき姿というのは各国各様で、なかなかこれが決定版であるというのは言えないというふうに思います。ですから、時と場合によってはやはりスクラップ・アンド・ビルドが必要だということはもちろん思いますし、今回もある意味で間違いがないような形になっていただきたいと思います。  ただ、先ほど冒頭の方で申しましたように、十年間で五回もこれがくるくる変わったり、システムをいじってようやくできたら、いや、それは使いませんから捨ててくださいと、もう一回戻しますなんていう話があったりという中で、もうちょっと言いますと、給与も実はこの八機関で大分差がございますよね。余りそういうことは言わないようにしようかなと思ったんですが、実は相当ありますよね。都市銀行より上ぐらいのクラスとそうでないところとやっぱりありますから、そうすると、一緒になったらこれ給与ってどうなるのかななんて言う方も私の友人にも多くおりまして、そういう中でやっていくというのは非常に難しいというふうに私は思っておるんですね。  やっぱり人と金と情報ですよね。これはどこの企業でも同じかもしれませんが、やはりバンカーの気概でやっていくということからすると、今回、これが合併するのがふさわしいかどうか、私はやはりちょっと難があるんではないかなということだけ結論として言わさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。
  159. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間でございますけれども、まず最初に大臣に、ちょっとここは押さえておかなきゃならないかと思いますのでお伺いします。  今回のこの政策金融機関の再編というのは、特殊法人改革における最後のやっぱり大きな改革だと認識しております。ただ、特殊法人改革法案は去年の三月末で失効していますからあれなんですけれども、この今回の金融公庫法案の政策金融改革をもって特殊法人改革が終結するというふうな認識でありますけれども、じゃ一体、これまでの特殊法人改革というのは、国民にどういう経済波及あるいは財政負担の減少などを含めてもたらしたのかということを明らかにしておく必要があるんでないかというふうに思いますので、この点、総括的に大臣からお伺いしたいと思いますけれども。
  160. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 特殊法人改革につきましては、官から民へという流れの下で公的部門スリム化をする観点から行ってまいりました。平成十三年に策定をしました特殊法人等整理合理化計画に沿って進めてまいりました。  改革対象である百六十三法人のうち、約八割強の百三十七法人について廃止、民営化、独法化等の措置を講じてまいりました。財政支出面では、約一兆八千億円削減をしてきております。百六十七引く百三十七で残り二十六法人のうち、現状維持とされた五法人を除いた政策金融機関等の二十一法人の措置内容を既に決定をしております。今国会政策金融改革関連法案提出をしたところでございます。こうした改革によって、官から民への流れは一層明確になるものと思います。  また、先ほど申し上げましたように、昨日の経済財政諮問会議において総理の方から指示をいただいております。かねて安倍総理は、行政の新たなグランドデザインを描くということをおっしゃっておられるわけでございます。独法改革はその一環として避けて通れない課題であると、渡辺大臣におかれては政府機能の見直しの第一弾になるような本格的な改革をよろしく頼むということをおっしゃっておられました。総理のブレーンの方からは、ゼロベースで百一独法法人、全法人を対象に見直しを行うべきであると、年内を目途に独法整理合理化計画を策定していただきたいという要請を受けております。私の方からは、大変に重い課題だけれども、全力を尽くしてやってまいりたいというお答えをしたところでございます。
  161. 風間昶

    ○風間昶君 意気込みは分かりましたが、いつまで大臣やれるか分かりませんから、どこまで現在の時点でやれるのかというところは、ちょっと示していただければ有り難いと思いますけれども。
  162. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 現在の時点では、先ほど申し上げましたように、百六十三法人のうちの八割強、百三十七法人について既に廃止、民営化、独法化等の措置を講じたところでございます。財政支出にして一兆八千億円削減をしております。残り二十六法人のうち二十一法人の措置内容は既に決定を見ております。今御審議をいただいておる法案もその流れの一つでございます。
  163. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  今度のこの新しい、新公庫における組織の問題でありますけれども、先ほどは役員の方に関する質疑がありましたけれども、政策金融の性質上といいましょうか、実施機関であるということからすると、私は独立行政法人の方がふさわしいというふうに思う部分もあるんです、実は。  だから、今回、株式会社にするということの、独法か株式会社かというと、どっちもそれぞれ一長一短あると思うんですけれども、なぜ株式会社にするんですかと、こう聞かれたときに、端的にこういうことだから株式会社というふうに言えないと困ると思うんですけれども、そこのところをちょっと教えていただきたいと思うんですけれども。
  164. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 新公庫組織形態についてのお尋ねでございますけれども、新公庫の法人形態につきましては、強固なガバナンスを発揮しつつ、透明性の高い効率的な事業運営の実現と、それから先生指摘政策上必要な業務の的確な実施を図るという観点から、どういう組織形態が適当と考えられるかという観点から検討を行い、結論としては株式会社としているところでございます。  具体的には、株式会社といたしまして、運営は基本的に会社法に従い、それから民間企業会計や会計監査人による監査の実施、あるいは会社法等に基づくディスクロージャー、それから取締役会や監査役による企業組織運営による透明性の高い効率的な運営を目指すということにしたところでございます。  ただし、政策上必要な業務の的確な実施という観点から、新公庫は引き続き毎年度国会議決を経て、必要な財政支援を受けて業務を的確に実施していくこととなるわけでございまして、これを担保するために、本法案におきましては、会社法をベースとしながらも、まず国は新公庫の株式の総数を常時保有しなければならない、また国が引き続き資金調達について支援をし得る、予算について国会議決を受けること等の規定を設けたところでございます。  ただ一方、先生指摘のように、なぜ独立行政法人としなかったのかということでございますけれども、独立行政法人の基本的な特徴といたしまして、中期業務計画の範囲内で、毎年度の予算認可を行わす、経営者の運営の裁量を持たせるという点がございます。  しかし、既に御説明させていただいたように、新公庫につきましては、時々の経済情勢を踏まえまして、迅速的確に政策金融を適切に遂行するために毎年度の事業予算の国会議決等を行うことが適切であるという面もございます。こういった点でも独立行政法人というのはなじみにくい面があるというふうに考えまして、基本的には会社法に従いながら所要の措置を講ずるということで特殊会社という形態にさせていただいたということでございます。
  165. 風間昶

    ○風間昶君 国民の側からするとやっぱり非常に分かりづらい。もうちょっとクリアカットにぱんと言ってもらえれば有り難いと思いますけれども、それ研究してください、済みません。実際に今度、新公庫株式会社になるわけですから、株式会社といっても特殊会社でしょうけれども。  そこで、株式会社にするということになると、将来的に、政府に株式全額保有ということになるわけですから、株式会社にしたということで全額保有を見直す可能性があるんでないかというまた疑問も出てくると思うんです。この部分についてはもうちょっときちっと、やっぱり今後、今回の法が成立して動かしていって、法律を見直さざるを得ないような状況が出てこないとも限らないわけで、そのようなことも検討対象になるのかも含めて、そんなことはないという顔をしていますけれども。
  166. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) いずれにしても、今回の新公庫につきましては、専ら国の政策実施するための機関でありまして、その業務の遂行に当たっては国が最終責任を負っていること、あるいは資金調達等国が必要な財政等の支援を行うことというようなことから、国が一〇〇%出資をするということで、常時全株式を保有し続けるということにしているところでございます。これは、法律の第三条に、政府は、常時、公庫の発行済株式の総数を保有していなければならないということで明記をしているところでございます。  したがって、法律上は、新公庫成立後に株式を民間に売却することを想定して立法しているものではないということでございます。
  167. 風間昶

    ○風間昶君 想定してというよりもあり得ないということですよね。法律でちゃんと決めているんだから。
  168. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 法律の改正ということになりましたらそこはあり得るということだと思いますけれども、法律上明記をして、そこを明らかにしているということでございます。
  169. 風間昶

    ○風間昶君 次に、人事についてお伺いしたいんですが、今日はそれぞれ三公庫総裁始め理事の方にわざわざおいでいただきましたこと、申し訳ございません、感謝申し上げます。  要するに、国金の方々はそれこそ五千人近くいらっしゃる、また中小公庫の方々も二千人ちょっといらっしゃる、農林公庫の方々も約九百人ぐらいちょっといらっしゃる中で、新しい会社になったときに、まずこの方々をどうするのかという話と、どうするのかというのは、新しい今度会社、新公庫職員になると思うんですけれども、そのときに新規採用をするための条件とかあるいは配属の仕方とかという、非常に工夫が要るんじゃないかというふうに思いますが、新しい会社にまだなってないから、なることを前提にして今それぞれの公庫総裁始め代表の方に来ていただいたんで、ちょっと意見をいただければ有り難いと思うんですけれども。
  170. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) まだできておりませんので、私の方から答えさせていただきます。  新公庫における人事、新規採用とか配属をどうするか、また給与をどうするか、そういったことについては新公庫が決めます。  その際、新規採用の要件、配属については、行革推進法において国内と国際部門ごとに専門能力を有する職員の配置及び育成を可能とするとされていることに十分留意をする必要があろうかと思います。これを踏まえ、新公庫業務内容、求められる専門性などを総合的に勘案をして、新規採用の要件、配属の具体的仕組みをつくることが必要であると考えます。給与につきましては、業務の内容、専門性あるいは各機関における現行の給与体系などを総合的に勘案し、対外的にきちんと説明できるものにすることが必要であると考えております。  新公庫の管理運営に当たっては、強固なガバナンスの下で一体的かつ効率的な組織運営が図られ、新公庫の役職員が一体感と高い士気を持ち、その能力を十分発揮できるような環境を整備することが重要であると考えております。
  171. 風間昶

    ○風間昶君 それでは、それは新しい会社になっていく前の段階の話で、今大臣がお答えになりましたけれども、平成二十年の十月一日に新しい会社になっていく前の段階で、それぞれの公庫職員の方々の言わばトレーニングというか、トレーニングと言うと失礼な言い方か、専門性を持って仕事しているんだから。ただ、国金の方々も例えば中小、あるいは中小の方々も農林の業務を携わらざるを得ない部分というのは当然出てくることでありますから、それに対してどういう、言わば相互の研修を含めてやるかということは極めて重要な課題だと思いますけれども、そこについてのお考えを伺いたいと思います。
  172. 薄井信明

    参考人薄井信明君) 新公庫が担うことになります四つの融資業務、それぞれ利用者の業種だとか、あるいは企業規模だとか、あるいは融資の単価、それから融資先数、大きく異なっております。したがって、その業務遂行にはそれぞれの専門能力が必要とされます。このため、昨年決定されました制度設計におきましては、利用者の利便性の維持向上とともに、専門性の維持強化が求められております。したがって、新公庫におきましても、基本的には利用者の方々のそれぞれの資金需要の態様に応じまして現在の各機関職員対応していくというのが基本かと思います。  ただ、御指摘のように、統合後の支店窓口におきまして、来店されたお客様に的確に対応できなくて混乱してしまうとか、御迷惑を掛けてしまうということがあってはいけません。そのためにも、御指摘のような準備が必要かと思っております。  このような認識の下で、今後検討されます店舗統合の状況、どういう店舗統合になるか、あるいは職員配置の状況、これも今後の一年半で考えなければなりませんが、それらを踏まえまして円滑な窓口対応ができますよう、職員研修等も含めて、他機関と協議し検討を進めてまいりたいと考えております。
  173. 風間昶

    ○風間昶君 国金総裁から、一番お店の多いところからの答弁があったので、むしろ私が心配なのは、例えば最も少ない支店を持っていらっしゃる農林公庫なんかは二十二か三でしょう、いや、それがいいとか悪いとかの話じゃなくて。極めて今度多忙にならざるを得ないから、そういうことを含めるともうちょっと、何というんですかね、相互の業務のありようというのは相当綿密に体制を取っていく必要があるんじゃないかと思いますけど、その辺について、これからの協議と思いますけれども、今の時点でお考えがあれば伺いたいと思いますけれども。
  174. 坂野雅敏

    参考人坂野雅敏君) 今後の対応でございます。  新公庫になりましても、農林漁業向け融資というのはかなり専門性、独自性もございますので、それに支障を来さないように、基本的には農林漁業政策や生産現場の実態に熟知した人材、そういった者による融資対応を行わざるを得ないというふうに考えております。  しかしながら、支店窓口において利用者の方が混乱することのないように、すべての分野の融資制度に関する情報提供とか円滑な窓口対応について、研修等について他機関と検討を進め、万全の措置を講じてまいりたいと思っております。
  175. 風間昶

    ○風間昶君 済みません、農林漁業公庫の理事もおいでになっていただいている中で、同じことだと思うんですけれども、一言どうぞ、済みません、わざわざおいでいただきましたので。中小公庫です。
  176. 石川雅郎

    参考人石川雅郎君) 現在、各機関において新機関への移行準備室を設置して、統合に向けた様々な検討を行っております。  その中で、お尋ねの他機関業務に関する研修、他機関中小公庫で言えば国民公庫農林公庫業務について、あるいは他機関中小公庫業務についてということで、研修については、統合後の窓口に来店されたお客様に対して円滑に対応させていただく、これが一番のポイントだと思いますので、それを考えて、今ワーキングチームを設置してそれぞれ検討を進めておりますが、相互に講師を派遣して研修するなど、比較的実務的な部分も含めて研修を行っていく予定をしております。  以上です。
  177. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  組織形態もさることながら、勘定を分ける、業務ごとに分けるということについてもまたいろいろ議論これまでもあったと思うんですけれども、一体化しない、分けるということではどんぶり勘定を避けたということで理解できるわけですけれども、一方で、統合は今度不徹底だという指摘もないわけではない。  そういう意味で、勘定を分けたことによる、メリットの方が大きいと思うんだけれども、デメリットも実はないわけじゃないと思うんだけれども、ここについてはどういうふうにとらえたらいいですか。
  178. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 先生からの御指摘でございます。まず、新公庫零細事業者への貸付けから国際金融まで多様な業務を担っております。政策実施ということで、政策目的ごとに拠出された出資金等財政資金をきちんと分別管理をいたしまして各政策の適切な実施と、それから政策実施透明性観点を図るため主要施策ごとに勘定区分を行ったわけでございます。それで、各政策分野責任を持つ主務大臣がきちんと業務実施を監督していくということにしたわけでございます。  しかしながら、先生指摘のように、そういうことになりますと、とかく勘定を分けることによって縦割りの運営になってしまうのではないかという懸念もあり得るのではないかと思いますけれども、これにつきましては、そういった勘定区分をした必要性というものをきっちり確保しながら、新公庫運営に当たっては、新公庫が強固なガバナンスの下で一体的かつ効率的な組織運営というのをまず図るということとともに、業務に関するノウハウの共有でありますとか、新規創業の支援や事業再生支援といった共通の課題について連携して取り組むとか、それから共通の管理部門等については積極的に一元化を図っていくとか、そういったようなことによって、そういった懸念が指摘されることのないように努力をしていくということだと思っております。  また、各主務大臣におかれましても、緊密に連携をされて新公庫の一体的な組織運営が図られるよう指導監督を行っていくということが必要であると考えております。行政改革推進本部といたしましても、運営在り方等につきまして、いやしくも縦割りというふうなことが言われることがないようにしっかり見てまいりたいというふうに考えているところでございます。
  179. 風間昶

    ○風間昶君 利益が出た場合の余剰金ですけれども、全額国庫納付ということでありますが、株式会社ということであれば配当という形で当然還元、利益がされるというのが筋なんですけれども、これを国庫納付にするとなると、形態は株式会社、しかし得たお金は配当しないで国に入れる、国庫納付という、言わば何となくどっちなんだ一体という違和感がやっぱりあると思うんですよ。そこの要するに整合性、きちっとやっぱり説明することが必要だと思うんですけれども、株式会社在り方と国庫納付ということの整合性をどう説明付けるのかということを教えてもらえれば。
  180. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 繰り返しになりますけれども、新公庫につきましては、効率的な事業運営の実現を図るとともに、政策上必要な業務の的確な実施を図るため特殊会社としたわけでございます。  それで、会社法としてガバナンスの強化等に資する面につきましては、できるだけそれによるというまず基本的な考え方によりながら、ただそうはいっても、政策実施機関という観点から所要の措置を講じたということでございまして、御指摘の国庫納付のところにつきましても、通常の会社であれば株式配当という形になるわけでございますけれども、新公庫におきましては政策上必要な業務を国が責任を持って実施するということで、予算の国会議決を経て必要な財政措置を講じるとともに、財政融資資金の借入れ、政府保証による資金調達を行うというようなことで、株式については政府全額保有を義務付けているところでございます。  このように、新公庫は国の全額出資の下で国からの支援措置が引き続き講じられ得る機関でございますので、こういった下で株式配当というようなことを行うというのは必ずしも適切であるとは考えられませんので、民間の株式保有者というようなことがもしありますと、それにつきましては、国が株式を全額保有した上で、配当ということではなくて、剰余金が生じる場合には必要な内部留保を行った上で残額はすべてきちんと国庫納付にさせるということで措置をさせていただいているということでございます。
  181. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  この法律施行された後は、今は渡辺行政改革担当大臣の手を離れてしまうわけで、要するに業務ごとに勘定分かれて、また主務大臣業務ごとになっているわけでありますけれども。新公庫、この新会社が一体として運営していくということは、言わばそれぞれの社長が五人も六人もいると、主務大臣がいらっしゃるわけだから。いや、そういうふうにとらえることもできるわけで、そうすると、本当に業務ごとの主務大臣間の、先ほど大藤さんもおっしゃっていましたけれども、連携調整の、何といいましょう、ガイドラインを出すなんということはそれはおこがましいかもしれないけれども、方向性だけはきちっと今の行革大臣が示しておく必要があると思います。これがないと、本当に大変調整がうまくいかないんでないかと思いますけど、ここは大臣に是非お考えを伺いたいと思います。
  182. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 私が大臣を辞めれば、私の手は離れるかもしれませんが、行革担当大臣の手は離れません。これは新公庫法が成立した後でございますが、行革推進本部が継続的に監視をしていくことになっております。したがって、私の手は離れても行革担当大臣の手は離れないということでございますから、PRをさせていただきます。  その上で、やはり御指摘のように、施行後の運営在り方について、これは縦割りじゃないかと言われることがないようにしていかなければなりません。その点はしっかりと見てまいります。  また、各主務大臣間で緊密に連携をするというのもこれも当然のことだと思います。新公庫の一体的な組織運営が図られるよう指導監督を行っていくことは政府としては全く当然のことであると考えております。  行革担当の立場から申し上げますと、行政減量化・効率化会議というのがございます。ここに近々ワーキンググループを設けまして、こういった問題について検討をしてまいりたいと考えております。
  183. 風間昶

    ○風間昶君 ここはしっかりやっておかないと、本当に引継ぎをきちっとやっていくことが大事だと思いますので、よろしくお願いします。  業務について次伺います。  この法案そのものがある意味では民業補完ということは一つの大きな役割だと思いますけれども、新しい会社になって、例えば、さっきもお話が出ていましたけれども、中小企業者への一般貸付けだとか、あるいは食品製造業への貸付けだとか、生活衛生関連では生活資金の貸付けが縮小あるいは廃止という方向になっているというふうにありますけれども、実際に、じゃ国内の、先ほどは生活衛生営業者が大臣は十六業者とおっしゃっていましたが、実際に民間の手が挙がってくるのかどうか、そのまま挙がってくるのかどうかというのが一つ懸念です。挙がってこなかったら、それこそ民業補完業務を果たせないことになるわけですから、ここについての懸念は本当にないのか、やっぱりちょっと心配なものですから、伺っておきたいと思いますけれども。
  184. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) ただいま委員指摘ございました生活衛生関係、これはまずしっかりと残すというところでございますけれども、今回の政策金融改革議論の中で、どの分野を残すかという議論を慎重にしたわけでございます。その議論の過程で、民間金融機関の方から、不良債権処理の進展や金融技術の高度化により民間金融機関中小企業金融分野に対する取組が進んでいて融資体制が整いつつあると、また、無担保無保証融資の拡大など、金融サービスの内容についても多様化しているという認識が民間金融機関の方から示されたところでございます。  あわせまして、現在の状況を見ますと、例えばスコアリングモデルを活用した民間金融機関の商品による融資につきましても、平成十五年、十四万件、一兆円の実績から、十七年度には二十五万件、二兆六千億の実績へ増加をしているところでございます。  私ども、まず、このような廃止、縮小される分野につきましては民間金融機関の方からもこういうことができるという認識が示されたところでございますので、まずもってしっかり取り組んでいただくということでございまして、私ども行政改革推進本部といたしましても、この民間金融機関の融資実績や融資の姿勢、これを十分注視してまいりたいというふうに考えています。
  185. 風間昶

    ○風間昶君 中小企業者向け業務について、信用保険業務とともに、現在でもやっている証券化業務に加えて、リスク補完契約(CDS)とありますけれども、これは法律上はCDSという言葉は出てこないんですが、十一条二項の別表第二、また別表を見てみると、それぞれ国金農林公庫中小公庫部分で別表に出ているんですけれども、まずちょっとよく分からないんですけれども、リスク補完契約って一体何なのかちょっと教えてもらえますか。
  186. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) 先生が御指摘のリスク補完契約、CDS、クレジット・デフォルト・スワップ契約でございますけれども、このCDS契約というのは、最近特にこの十年ほどできてまいりました金融デリバティブの一種でございます。  通常ですと、こういう融資の債権をいたしますと、その債権そのものを売ってしまうとか何かということでございますけれども、その融資契約のリスクの部分、このリスクについて、そのリスクを買ってあげます、その代わり毎年幾ら幾らのお金はいただきますよと、万が一そういうデフォルトが起きたときには何ぼお金を払いますというような契約を結ぶものがこのCDS契約でございます。
  187. 風間昶

    ○風間昶君 それを、ですから、今までどこもやってないんだけど、証券化業務をやっている中小企業公庫が一番経験的にはやっていらっしゃるんだと思うんですけれども、今度は国金農林公庫もCDS契約を活用して証券化支援業務をやることになるわけですけれども、実際にこれメリットあるのかどうかということを、今の説明だと何か信用でやり取りすると言ったから、債権が動かないというふうに単純に考えていいんだと思うんですけれども、それがメリットなんですかね、ちょっと教えてくれますか。
  188. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) これまで中小企業金融公庫におきましては、証券化業務、これはCDSではございませんけれども、証券化をやってまいりました。  これは民間金融機関が無担保無保証で融資を行うと。そのような債権について中小企業金融公庫が買い取りまして、それを証券化をしていくというものでございます。これは、中小企業の無担保無保証融資を促進させようということで始めた制度でございます。  ところが、民間金融機関にしてみますと、債権そのものを売ってしまいますとオフバランス化で中小企業向けの融資残高は減ってしまうというようなことがあり、また、今だんだんと正常化していますのでオフバランス化するまではしたくないというようなこともございます。  私ども、今回これお願いをしておりますのは、例えば民間金融機関が無担保無保証で中小企業者とか小規模事業者の方々に融資を行う、これを是非とも促進をしたいということでございまして、そのような融資を行った場合には、CDS契約を通じましてそのリスクをこちらの政府系金融機関の方で買い取りまして、ただ、政府系金融機関もそのリスクをずっと持っていると大変ですので、そのようなリスクは証券化いたしましてまたマーケットに売っていくというシステムでございます。  このメリットは、民間金融機関がそのような望ましい融資を行うというものを促進させるということがこのメリットでございます。
  189. 風間昶

    ○風間昶君 民間がやりやすくなるというとらえ方でいいんですね。  じゃ、それを今までやっていなかった国金農林公庫の方々の、担当者の方の研修をどうするかという、これ大変大事な問題だと思うんですけど、どういう今準備を考えていらっしゃるか教えてください。
  190. 薄井信明

    参考人薄井信明君) 国民生活金融公庫におきましても、法案が成立後にCDSを活用した新業務につきまして具体的な検討に入りたいと思っておりますが、ただ、中小企業ということではなくて、我々のお客様、本当に小さな数人で事業をやっておられる小企業分野において業務実施するということについての御指摘だと思います。  当公庫におきましては、小企業分野におけるリスク評価に関する定量的、客観的な評価方法を確立しなければならないと思っていますし、またシステム開発もしなければならないと思っております。また一方、民間金融機関サイドにおきまして必要なインフラ整備を行っていただくと、そういう課題が前にはあるというふうに思っております。  今後、中小公庫あるいは農林公庫と連携しましてノウハウの共有に努めるとともに、民間の専門的な知見も活用いたしましてこうした課題を解消してまいりたいと思っております。これに併せて、本店におきましては専門的なスタッフの育成を図るとともに職員に対する必要な研修もやっていくと、そのように考えております。
  191. 坂野雅敏

    参考人坂野雅敏君) 農林漁業者向けの融資は、農林漁業経営が自然条件に左右されまして、また農地等の担保というのは特殊でありますから、民間金融機関の参入というのは低調な状況にあります。このため、農林公庫としましては、平成十六年からですけれども、業務協力とか協調融資を推進しまして民間金融機関の参入支援を行っているところであります。特に、担い手農業者に対する業務協力行の融資は最近増加傾向にあるところであります。新機関においては、より一層の参入促進を図りまして、農林漁業者の資金調達手段が多様化されるようCDSに取り組むこととしております。  現在、農林公庫が取り組んでいます信用リスクの計量化というものを踏まえつつシステム構築等の検討を行っているところであります。今後、外部専門家の協力を得て、担当者向け業務マニュアルの作成や研修によりまして職員育成を図るほか、国民中小公庫とも連携しつつ事業実施に万全を期したいと考えております。
  192. 風間昶

    ○風間昶君 これまでもやっていただいてきましたそれぞれの公庫の危機対応についてちょっと伺いますけれども、新しい公庫に承継される国金、中小、それから農林公庫の危機対応業務についてはそのまま引き継いでいかれるというふうに私は理解していますけれども、でも実際には大きい会社になっていくので、何といいますかね、規模の縮小が本当にないのかという思いを持っているんですけれども、そこをちょっと確認したいと思いますけれども。
  193. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) その点は御心配には及ばないと考えます。  今御審議いただいております新公庫法におきましては、危機対応として、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズムあるいは感染症などによる被害に対処するため、新公庫に加えて、完全民営化されます商工中金あるいは政策投資銀行などを含む指定金融機関を活用する制度を盛り込んでおります。したがって、こういう制度を使いながら危機対応は完璧にできるものと考えております。  したがって、平時においては民業補完を旨として更なる検討は行ってまいりますけれども、民間金融機関の動向を十分把握した上で政策金融として必要なところに資金が円滑に供給される、そういう政策金融の肝心のところはきちんと残してやるわけでございます。
  194. 風間昶

    ○風間昶君 先ほど木俣委員から完全民営化に移行する商工中金のお話がありましたが、私はもう一つの、今大臣もちょっと出されました日本政策投資銀行の件についてお伺いしたいというふうに思います。  民営化に伴って、これまでも政策投資銀行は災害や、あるいは様々な町づくりのための地域振興、地域活性化の業務をやっていただいてきたわけですけれども、民営化に伴ってその役割の維持というのが本当にそのまま可能なのかどうかということは、不可能になるんでないかという心配もないわけじゃないので、このことについて所管している財務省の方からお伺いしたいと思うんですけれども。
  195. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) 政策投資銀行ですけれども、これまで地域再生でありますとか事業再生の分野で出資と融資による長期のリスクマネーの供給を行ってまいりました。  民営化後の新会社につきましては、この地域再生等の分野におきまして、引き続き今まで培ってきました事業評価能力などのノウハウを生かしまして出資と融資による長期のリスクマネーの供給を行っていくことは可能であると考えております。移行期間中に新たなビジネスモデルを確立いたしまして、従来ノウハウのあるこういう分野で引き続き事業を行っていくことは可能であると考えております。  ただ、これまでは財政融資資金の借入れでありますとか政保債の発行というようなことで調達面での財政支援があったわけですけれども、こういうものは完全民営化後はなくなりますので、個別契約ごとにリスク見合いの収益性が確保されるような条件を設定した上で、先ほど言いましたようなノウハウを生かして地域再生等をやっていくんだろうというように思います。
  196. 風間昶

    ○風間昶君 調達面での財政支援はなくなるが、少なくとも地域再生を含めた地域支援事業はきちっと担っていただくということでいいですね。確認ですけれども、もう一回。
  197. 香川俊介

    政府参考人(香川俊介君) そういう分野に一日の長がございますので、恐らくそういうビジネスモデルを確立してやっていかれることになろうと思いますが、民営化後の会社ですので、私がここで必ずそうなるとは申し上げられませんけれども、恐らくそうなるであろうと期待もしております。
  198. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  先ほど木俣委員がこの参議院の行革特で出されました附帯決議にも商工中金の部分について読み上げましたけれども、同じく政投銀行についても所要の制度的措置をとることというふうになっていますことは是非御理解をいただければ有り難いというふうに思います。  それでは次に、資金調達コストについてお伺いしますけれども、社債の発行について、まず、これは勘定ごとに区分して発行するのか、端的に伺いたいと思います。
  199. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 新公庫が行う資金調達の契約主体というのは、新公庫設立後はすべて株式会社日本政策金融公庫となるわけでございまして、勘定別に区分して発行するということではございません。
  200. 風間昶

    ○風間昶君 資金調達コストが余り下がらないでいると統合メリットが実際に出ないんではないかということについて、低くなるんでないかと。その資金調達コストが下がるということについての考え方はちゃんと示すべきではないかと思うんですけれども、どうですか。
  201. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 新公庫の資金需要につきましては、各分野で必要とされます資金でございますね、これについての調達時期とか償還期限、様々であるわけでございますけれども、それを勘定ごとということでやるのではなくて、いわゆる新公庫におきまして一元的、効率的に、公庫全体が必要とする資金をいかに一元的、効率的に調達を図っていくかという観点資金調達コストの縮減等を図っていくということでございます。
  202. 風間昶

    ○風間昶君 この新公庫というのは市場化テストの対象になっておりますけれども、基本的には四機関統合で管理部門中心の人員削減になるのはこれ間違いないと思うんですけれども、問題は、管理部門以外の方々の更なる人員削減になっていくのかどうかということがある意味では非常に興味あることなんですけれども、このことについては大臣としてはどういうふうに今お考えか、伺いたいと思いますけれども。
  203. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) この政策金融改革議論を始めたころ、金融のアンバンドリングという議論を行いました。政策金融の中でどういう機能が最終的に残るのか、また民間にできることは民間にという観点から、機能を分解をして、そして残すべきもの、民間に出すべき機能を分けたらどうかという発想からの議論でございました。  市場化テストにつきましては、まさしく御指摘のように、民間の創意工夫をより質の高い、かつ効率的な業務運営を行う観点から幅広く検討対象になり得ると考えております。政策金融の的確な実施を図るという点はもちろん踏まえていかなければなりません。個々の業務の性格や民間に委託するメリットについてきちんと検討をした上できめ細かく対応していくということが大事であるかと考えております。
  204. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  205. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、最後でございますのでもう少し付き合ってください。よろしくお願いします。  今回のこの改革案ですけれども、国民金融公庫にしろ中小金融公庫にしろあるいは農林漁業金融公庫というのは非常にセーフティーネットワークとして機能を果たして、一般の民間銀行がなかなかやらないことをやってきたという面では非常に意味があったということを考え、これを簡単にまとめることは非常に大きな影響があるということを考えた上で十分取り組んでほしいと思うわけでありますが。  まず最初に聞きたいのは、平成十四年十月七日の経済財政諮問会議で取りまとめられた政策金融の抜本的改革に関する基本方針では、公益性が高く、またリスク評価が困難な領域に政府金融業務内容を限定するということにして、国民金融公庫については教育資金貸付けの対象範囲やあるいは農業金融公庫の大企業向け食品産業貸付けだとか、中小企業金融公庫についても一般貸付け等が廃止されるほかは、ほとんどそのまま業務が引き継がれるわけでございますけれども、ということは、これらについては非常に小さな縮小なんで、それぞれの金融機関は必要な範囲で大事な仕事をしてきたんだというふうに評価できると思いますけれども、大臣は、この三機関のことについてどのように、三つの公庫のこれまでのことについてどういうふうにお考えでしょうか。
  206. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今回、四つ機関一つに統合する法案提出をしたわけでございます。これについては、やはり簡素で効率的な政府を目指すというのが私どもの立場でありまして、政策金融の世界においても民業補完という点を更に徹底をしていくべきであるという考えから行っているところでございます。政策金融として引き続き残すべきものについてはきちんと残しております。必要最小限の業務というのを一つ機関に担わせるというのがまさしくそういう観点からの結論でございました。新公庫に統合される各機関業務において、民間金融機関対応できると判断されたものについては廃止、縮減をするものでございます。  いずれにしましても、政策金融改革趣旨に沿った業務の見直しが行われているものと考えております。
  207. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今大臣もおっしゃったように、簡素化するということは非常にいいことでありますけれども、なぜこの三つを一緒にしなきゃいけないかということについてお尋ねしますけれども、国民生活金融公庫については平成十一年に既に国民金融公庫と環境衛生金融公庫、合体したと。そしてまた国際協力銀行については同じく平成十一年に日本輸出入銀行と海外経済協力基金を合体させたということをやっているわけですね。  そのときにはそれぞれ類似性と共通性が想像できてくるんですけれども、今回の統合については何か理念も理由も見当たらないような気がするわけでございますけれども、これを実際に利用する国民立場に立っても、また実際、業務に携わる職員にとっても納得性が必要だと思うんだけれども、これについて、どうもなかなか納得しにくいという感じがあるんですけれども、納得できる説明をお願いしたいと思います。
  208. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) まず、一つ機関に統合するわけでございますから、管理部門など共通の業務については一元化することが可能になります。また、同じ地域に複数の支店が存在する場合に、これを統合するということによって役職員の数を減らすことが可能になりますし、当然コストを削減することができるようになります。二番目に、新公庫が一元的かつ効率的に資金を調達をするということによって資金調達コストの低減が図られるようになります。第三に、業務に関するノウハウを共有することが可能になります。それぞれの部門間の協力によって統合の相乗効果が発揮できるようになると考えております。新規創業、企業を起こすことへの支援とか、あるいは一度死んでよみがえる事業再生の支援とか、また経営コンサルティングとかビジネスマッチングとか、そういったことについて、それぞれの垣根を越えた幅広いサービスを提供することが可能になります。四番目に、支店の統合によって、すべての四つ公庫のですね、すべての業務についてワンストップサービスの提供が可能になるわけでございます。  こうした観点から、まさしく四つ一つにするということの合理性とメリットが御理解をいただけるのではないでしょうか。
  209. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今いろいろと統合の効果を言われたんですけれども、そういうことで統合したらどの程度の統合効果が出るというふうに読んでいるんでしょうか。
  210. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) ただいま大臣から申し上げました、例えば同一地域に複数の支店が存在する場合の統合でございますけれども、現在、三公庫で全国に二百三十三の支店がございます。六十地域で約八十の支店が複数ございまして、このような支店をできるだけ一地域一支店に統合をしていくということでございます。そうしますと、この約八十の支店、こういうものは現存のほかの支店に統合されるということでございます。  それから、管理費等につきましては現在まだ計算中でございますけれども、例えば役職員につきましても五年間で五%以上の削減は当然でございますけれども、それに加えまして、現在様々な業務を精査しております。例えば、本店の管理部門でも一千百名ほどの職員がいらっしゃいますけれども、どのようにこれを統合していくのか、今正に精査している最中でございます。
  211. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今、抽象的に言われたけど、具体的な話になっていないんだけれども、大体何名ぐらい、そして何億ぐらい、例えば何百ぐらい合理化されるんだというふうに、例えばですよ、そのようなことを頭に描いてやられているはずだと思うんだけれども。統合したら数は減りますよ。だけれども、どの程度の、一緒になったやつはまた大きくなるわけだから、そういう意味では余り変わらぬと思うし、人員なんかはどの程度変わってくるんですか。
  212. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) 人員につきましては、全体の人数が精査できているかということでございますけれども、例えば本店等の間接部門、こういう間接部門を中心に削減することは可能だと考えております。  先ほども申し上げましたように、本店の間接部門職員数でございますけれども、一千百名でございます。私ども、できるだけシステムとか様々なことにつきましても統合化を図っていくことが必要だと考えておりますけれども、一方、現場でまた混乱が起きても、これもまた統合の目的ではございません。  したがいまして、誠に恐縮でございますけれども、今、まさしくこの法案の御審議と並行させていただきまして、どの程度の職員数の削減等ができるかを計算をさせていただいている最中でございまして、平成二十年十月に統合いたしますけれども、その統合が円滑にいくように、それまでに検討を進めたいというふうに考えております。
  213. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 私、言いたいのは、そういうふうな合理化の形というのは十分検討して、大体どの程度削減できるんだということを見越した上で合理化していくのが、普通、会社の場合でも同じだし役所でも同じだと思うんだけれども、何か今は、統合が先にあって、統合効果は後から来るというような形で、結果的にはどうなるのか分からぬような状況でしょう。それじゃ困るので、十分検討してやってもらわないと、何か統合するということだけが先行しているような気がするものですからお尋ねしているんですけれども、それは分からぬわけですよね、今は、要するに。
  214. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) 方針としてははっきりしているところだと思います。例えば支店についても、同一地域に複数ある支店については、これは統合するということで方針をはっきりしております。また、間接部門も一元化しまして、できる限り職員の削減を図っていくという方針も、これもはっきりしております。  その結果、統合効果としてはこれはメリットがあるということははっきりしていると思いますけれども、誠に恐縮でございますが、それで具体的な数字がどうかというところにつきましては、例えば、統合の際に不必要な資産は売却を当然いたします。その資産を売却するときにその価格がどのくらいになるのかということは、まだそれは、その時々の不動産市況によっても違ってまいりますので計算はできませんが、方針としてはっきりしておりますし、この方針に沿って行えばやはり統合のメリットはあるというふうに考えております。
  215. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 抽象的な作業だけだったということがはっきりしたわけですけれども、しっかり頑張って効果を出すようにしなきゃ、どうせ決まるんだから、お願いしたいと思いますが。  それから、民業圧迫ということなんですけれども、国民金融公庫農林漁業金融公庫、中小公庫はいずれも赤字経営なんですが、赤字経営で民業圧迫ということはどうなのか。民業圧迫については、赤字を出して圧迫しているという意味なんですか。そこについてお尋ねしたいと思います。
  216. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) いわゆる民業圧迫という指摘でございますが、本来、政策金融機関が、民間金融のみでは適切な対応が困難であるという分野に資金を供給しているわけでございます。それにもかかわらず、実態上、民間金融機関でも対応可能な分野に資金が供給されて競合が生じてしまっているではないかというのがいわゆる民業圧迫論であろうかと思います。  今回の改革におきましては、民間でできることは民間にという観点から、担うべき機能そして役割分担について相当の議論をやってまいりました。その結果、平成十七年末に行革の重要方針が決定をされました。これを受けて、行革推進法において政策金融として残すべきものと廃止、縮小を行うべき業務が決定されたわけでございます。  現在の公庫は、民間企業会計に基づいて損益を試算をすると収益性は高くはない、まあ低い方だと思います。これは、現在の公庫民間金融機関に比べて金利が非常に低い低利貸付けを行うという制度設計に由来しているものと思います。したがって、公庫の収支赤字ということをもって公庫は全く民業との競合がないということではないと考えております。  今回の改革の過程において、民間金融機関中小企業団体等の利用者からも十分なヒアリングは行っております。現行機関業務の精査を十分に行った上で今回の案を出しておるわけでございます。
  217. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今言われたように、民間金融機関でできるものはそこにやらせるということは分かりますけれども、今後は主としてセーフティーネットワークなんかを中心にした政策金融が中心になるということになれば、なおさらもうからないということになるわけですから、それだけにそれだけの配慮をしていかなきゃいけないと思うんですが。  ただ、国際金融関係ではちょっと今は違うんだけれども、それぞれ業務ごとに経理を区分して勘定も設ける、また主務大臣も違うということになりますから、なかなか複数の調整が必要になってくると思うわけですね。そうすると、たくさんの大臣を調整しなきゃいかぬということになってくるので、新しい会社の経営者は主体的なガバナンスを発揮できないんじゃないかという懸念もあるわけでございますけれども、そういう点についてはどうするんだろうかということで、これからガバナンスの発揮を期待するためにどうするかと。何か今回の改正は、株式会社にしたのは計算書類を作るためだけの会社みたいな感じになるわけでございますけど、これについてはどのようにお考えですか。
  218. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今回、株式会社にいたしましたのは、これは、先ほど来御議論をしていただいていますように、会社法適用なんですね。そういたしますと、当然これは内部統制が掛かってまいります。取締役会による意思決定や各取締役の業務執行の監視など、企業的な運営の仕組みになっていくわけでございます。こういうことを称してガバナンスを利かせると、こういうことを言っているわけでございます。したがって、業務執行に当たって、それぞればらばらに縦割りで、全く垣根を取っ払わずにやるというのではなくて、一つ公庫として会社法適用のガバナンスを利かせていくということが非常に今回の特徴的な改革であるわけでございます。  また、これは公庫でございますから、政策金融を行うわけでございますから、それぞれの主務大臣においても、一体的な組織運営や経営陣による迅速な意思決定を妨げることのないような緊密な連携は行っていく必要がございます。  いずれにいたしましても、行革担当大臣立場からは、この法案施行後も新公庫の一体的な、かつ効率的な運営確保するように十分ウオッチをしてまいりたいと考えております。
  219. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ガバナンスの問題に絡むんですけれども、勘定も分けていろいろ別々にやりますね。そうすると、そこで片方は赤字だと、片方は黒字だという場合に、合わせてこの会社の赤字か黒字かとなるわけだけれども、全部を足してみるという仕組みには必ずしもなってないということで、会社としてですね、配当せぬのだからいいじゃないかということかもしれないけれども、何かちょっとすっきりしないんですよね。一つであれば、最後は別々かもしれないけれども、やはり一つにしてやっていくんだというのが普通の会社在り方ですよね。それについてはどのようにお考えなんでしょうか。
  220. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 経営者というのはどこでもそうでございますが、相反するかのように見える要請を同時に満たしていく必要があるんだろうと思うんですね。我々政治家もそうでございます。  新公庫においては、新公庫の経営陣が一方において政策金融を適切に実施をしていくと、しかし一方において、とてつもなく財政資金、税金投入が必要であるというのでは、これは持続可能性がないわけでございます。したがって、会社法適用の下に、きちんとガバナンスを利かせながら政策金融の適切な実施を行い、なおかつ国民負担は必要最小限にしていくという経営努力が求められるわけでございまして、これは一見相反するようでございますが、やはりこういうものを同時に満たしていくというのが経営者の技というものではないでしょうか。
  221. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今経営者の技だという話があったんですけれども、ここらについては三つを一緒にするというのならまだ分かるんだけれども、国際金融も一緒にするというのは、どう見ても全く異質のものを一緒にして、しかも別々に会計を見ていって、それでガバナンスをちゃんとやれといっても、そしてそれがここの社長の仕事だと言ってみても、社長は何もできなくて、管理部分の統合ぐらいしかできなくなるんじゃないかなという気がしますけれども、本当に理解に苦しむんですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  222. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) いずれにしても、せっかく四つ組織一つに統合されたわけでございますから、統合の相乗効果を大いに発揮してもらいたいと思うんですね。  例えば今、日本経済の中で、地域も企業もそうでありますが、世界経済とつながっているところは非常に業績がいい、絶好調なんですね。残念ながら、国内経済だけのところは余りいいところがたくさんないという現実がございます。  中小公庫においても、既に海外展開をしておられるお客さんが相当の数に上っているという結果がございます。零細企業であっても、もう今や世界経済がIT革命の下で一つにつながってしまっているということがございますので、本当に少人数で起こした企業が世界とつながってすごいビジネスができるチャンスが幾らでもこれあるわけであります。  一方、農業の世界においても、例えば日本のお米がおすし屋さんというソフトパワーのおかげで、台湾辺りでは何とキロ千円ぐらいで取引をされていると。キロ千円ということは一俵六万円ですよ。今一俵六万円でお米が売られているなんてちょっと信じ難い話でございますが、正に世界経済の中ではそういう取引が行われているんですね。  そういたしますと、例えば農林漁業金融公庫のお客さんの中でこれから海外展開をやってみようかなんという人が出てきてくれたら、これは本当に夢のある話ではないんでしょうか。旧輸銀が蓄積したノウハウはたくさんございますので、正に四つ公庫一つに統合をされますと、そういう夢のある展開が大いに可能になってくると考えているところでございます。
  223. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 時間がなくなりましたが、平成十一年に国際協力銀行をつくりましたけれども、そのときには海外経済協力基金の部分をJICAと一緒にしちゃったということですね。日本輸出入銀行の部分を今度は日本政策金融公庫にするということで、せっかく十一年に一緒にしたものをまた二つに分けてしまうということで、正に朝令暮改の典型ではないかというような感じがするわけでございまして。  国際経済につながるところについてはもうかっているという話が今出ましたけれども、確かにそうかもしれませんが、こういうふうに、国際的な問題も、せっかく併せたものをまた分けるというふうなことは、どうしてこんなになるのかということで、どうしても国際協力銀行の扱いについては理解できない点があるわけだけれども、これについてはどのように考えたらいいのか。  また、附則四十七条ですか、見直し規定がございますけれども、今後、これについては十分考えて、国益を害することがないようにやってほしいと思うわけだけれども、どのようにお考えでしょうか。
  224. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) JBICにつきましては、先ほども申し上げましたように、基本コンセプトの違いというのが一つはあったんだろうと思います。  今回は、援助についてはまさしく技協、無償そして円借という援助を一体的に運営をしていく仕組みを一方においてつくりました。そして、先ほども答弁しましたように、今JBICの中で行われている機能についてその連携もやっていこうということも決めたわけでございます。  一方、旧輸銀の機能につきましては他の三つと統合をしていくわけでございまして、JBICのときに残念ながら二つの機関がうまくいかなかった、その失敗の教訓も学びながら、今回は四つ機関一つに統合し、まさしく経営者の技を発揮をしてもらって適切なマネジメントを行っていくことになるならば、この統合は成功をすると我々は考えております。
  225. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 時間になりましたから、あとはこの次に。
  226. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  227. 藤原正司

    委員長藤原正司君) この際、議案の撤回についてお諮りいたします。  特殊法人等の役職員関係営利企業への就職の制限に関する法律案について、発議者松井孝治君外四名から、国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化のための国家公務員法等の一部を改正する法律案について、発議者松井孝治君外五名から、それぞれ撤回の申出がありました。  両案の撤回を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 藤原正司

    委員長藤原正司君) 御異議ないと認めます。よって、特殊法人等の役職員関係営利企業への就職の制限に関する法律案及び国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化のための国家公務員法等の一部を改正する法律案は撤回を許可することに決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会