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2007-03-29 第166回国会 参議院 内閣委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十九年三月二十九日(木曜日) 午前十時三分開会 ─────────────
委員
の
異動
三月二十八日
辞任
補欠選任
木俣
佳丈君
櫻井
充君 三月二十九日
辞任
補欠選任
櫻井
充君
木俣
佳丈君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
藤原
正司
君 理 事 秋元 司君 鴻池
祥肇
君 朝日 俊弘君
工藤堅太郎
君 委 員 佐藤 泰三君 鈴木 政二君
田村耕太郎
君 竹山 裕君 林 芳正君
山谷えり子
君
神本美恵子
君
木俣
佳丈君 黒岩 宇洋君 郡司 彰君 松井 孝治君 風間 昶君 白浜 一良君 亀井 郁夫君
国務大臣
国務大臣
(
国家公安委員
会委員長
) 溝手 顕正君
事務局側
常任委員会専門
員
鴫谷
潤君
政府参考人
警察庁刑事局組
織
犯罪対策部長
米田 壯君
金融庁総務企画
局参事官
知原
信良君
法務大臣官房司
法法制部長
菊池 洋一君
法務省民事局長
寺田 逸郎君
参考人
全国銀行協会
副
会長
・
専務理事
斉藤
哲君
日本弁護士連合
会副
会長
松坂
英明
君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
犯罪
による
収益
の
移転防止
に関する
法律案
(内 閣提出、
衆議院送付
) ○
政府参考人
の
出席要求
に関する件 ○
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ─────────────
藤原正司
1
○
委員長
(
藤原正司
君) ただいまから
内閣委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨二十八日、
木俣佳丈
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
櫻井充
君が選任されました。 ─────────────
藤原正司
2
○
委員長
(
藤原正司
君)
犯罪
による
収益
の
移転防止
に関する
法律案
を議題とし、
参考人
の
方々
から御
意見
をお伺いいたします。 本日は、
全国銀行協会
副
会長
・
専務理事斉藤哲
君及び
日本弁護士連合会
副
会長松坂英明
君に
参考人
として御
出席
をいただいております。 この際、
参考人
の
方々
に一言ご
あいさつ
を申し上げます。 本日は、御多忙中のところ当
委員会
に御
出席
をいただきまして、誠にありがとうございます。
参考人
の
方々
から忌憚のない御
意見
をお聞かせいただき、今後の
審査
の
参考
にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 それでは、議事の進め方について申し上げます。 まず、
斉藤参考人
、
松坂参考人
の順序でお一人十五分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、各
委員
の
質疑
にお答えをいただきたいと存じます。 御
発言
をいただく際は、その都度
委員長
の指名を受けてからお願いいたします。 また、各
委員
の
質疑
時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。 なお、御
発言
は
着席
のままで結構でございます。 それでは、
斉藤参考人
からお願いいたします。
斉藤参考人
。
斉藤哲
3
○
参考人
(
斉藤哲
君)
全国銀行協会
の
斉藤
でございます。 本日は、
法案
の御審議に当たりまして、私
ども
の
マネーロンダリング対策
及び
テロ資金対策
への
取組
について御
説明
を申し上げる
機会
をちょうだいをいたしまして、誠にありがとうございます。
藤原正司
4
○
委員長
(
藤原正司
君)
斉藤先生
、
着席
のままで結構でございます。
斉藤哲
5
○
参考人
(
斉藤哲
君) それでは、お許しをいただきましたので、失礼でございますが
着席
のままで御
説明
を申し上げます。 私
ども全国銀行協会
は、
日本国内
で営業を行っている
銀行
百八十四行をメンバーとする
任意団体
でございまして、
事業
の柱は、
一つ
は
共同事業
の
運営
でございます。これは、
内国為替
、
手形交換等
の
決済システム
、あるいは
個人信用情報センター
の
運営
、その他の諸
事業
を行っております。もう一本の柱は、
銀行業務
に関する
調査研究等
に基づいて
銀行経営
上の
共通課題
を解決し改善を図っていくというものであります。
全銀協
におきましては、この
マネーロンダリング対策
及び
テロ資金対策
につきまして、国際的な
協調
の下で行われるべき
課題
として重く受け止めておりまして、
平成元年
にアルシュ・サミットで
FATF
が設置されたことと軌を一にして
取組
を開始いたしまして、以来、二十年近くにわたり
業界
全体でこれに取り組んでまいりました。 本日は、これまでの
全銀協
の
取組
を御
説明
するとともに、
対策
を進めていくに当たっての主な
課題
などについて御
説明
を申し上げます。 当
協会
が
会員
に対して初めて
マネーロンダリング対策
の
周知徹底
を図ったのは
平成
二年のことでございますが、そのときは通達を出しまして、
マネーロンダリング防止
の
重要性
を
説明
するとともに、
口座開設
時や
大口現金取引
のうち三千万円を超える金額の
取引
について
本人確認
を励行することといたしました。また、これに併せて、
本人確認
のための
手続
を行うことについて
お客様
の御
理解
、御
協力
をいただくという
趣旨
から、
ポスター
を作成いたしまして
銀行
の
店頭
に掲示する、あるいは
店頭
でチラシを作成して配布するというようなことをいたしまして、
周知啓蒙
に努めたところでございます。しかし、正直に申し上げまして、当時は
マネーロンダリング
という問題が余り認知されていなかったということもございまして、
お客様
の
理解
をいただくことは大変困難であったと聞いております。 その後、
平成
四年には
麻薬取引
に係る疑わしい
取引
の
届出制度
が創設されたわけでございますが、しかし、この
制度
に基づく
銀行
からの疑わしい
取引
の
届出
の
件数
はかなり低いものにとどまっております。 この低いものにとどまっている
理由
でございますけれ
ども
、この当時は、まだ
マネーロンダリング
の疑わしい
取引
の
届出
の
対象
が
麻薬特例法
で言う
薬物犯罪
に係るものに限定されていたということ、また、疑わしい
取引
とは何かということに関する具体的な基準の設定がなかったということから、仮にその
取引
が何らかの
犯罪収益
に関係する疑いがあったとしても、
薬物犯罪
に絡むものであるかどうかを
銀行実務
の
現場
で判断することが非常に難しかったというような
理由
からでございます。 しかし、その後、
平成
八年に
FATF
の四十の
勧告
が
改正
されまして、疑わしい
取引
の
届出
の
前提犯罪
が
薬物犯罪
から
重大犯罪
に拡大されました。これを受けて、
国内
でも
平成
十一年に
組織的犯罪処罰法
が
制定
されるなど、
マネーロンダリング対策
の
法的基盤
が確立されたわけでございます。
全銀協
におきましても、
組織的犯罪処罰法
の
制定
を機に、
対策
の力点を、
マネーロンダリング問題そのもの
の
周知啓蒙
に加えまして、各
銀行
における
本人確認手続
や疑わしい
取引
の
届出
をより効果的に実行するための
環境整備
に置くことといたしました。 具体的には、この
処罰法
が
制定
をされました
平成
十一年に、各
銀行
における
体制整備
の指針といたしまして、
マネーロンダリング防止対策
の
行内体制整備チェックポイント
というタイトルのものを作成いたしまして、全
会員
に通知いたしました。この
チェックポイント
には、各
銀行
が
マネーロンダリング対策
に係る
行内体制
を構築していく上で必要なこと、例えば、
行内
に
金融庁
、
FIU
との連絡を行う疑わしい
取引
の
届出
に係る
責任者
を置いているか、あるいは
マネーロンダリング対策
として
組織的犯罪処罰法等
の
関連法規
の
内容
について
十分職員
に知らしめているかといったような
マネーロンダリング対策
に関して最低限求められる
留意項目
を記載いたしております。 また、このほかに、
銀行
が
チェックポイント
を踏まえて策定する
行内規程
やマニュアル、こういうものへの
記載事項
の
参考例
というものを作りまして各行に通知いたしております。 さらに、
金融監督庁
の
担当者
などを招きまして、
組織的犯罪処罰法
や疑わしい
取引
の
届出
の
参考事例
についての全
会員向け説明会
を開催したところでございます。 翌十二年には、
新入社員
から
役職員
までを
対象
といたしました
研修用
のテキストということで、
マネーロンダリング防止対策ハンドブック
を作成して、
会員銀行
全行に頒布いたしました。これは、本日お
手元
に、この冊子でございますけれ
ども
、こういうものをお配りいたしておりますが、これは、本年一月の
本人確認法
の
政省令
の
改正
を織り込んだ最新の
ハンドブック
でございます。この
ハンドブック
、お手に取っていただくとお分かりいただけると思いますけれ
ども
、かなり長期にわたって
銀行実務
の
現場
で使用するということを
前提
にしておりますので、大変丈夫な紙を使用いたしております。 ちょっと中を簡単に見ていただきますと、表紙に続いて、二枚ほどめくっていただきますと目次というのがございます。ここで
構成
を見ていただきたいと存じますけれ
ども
、第一章「マネー・ローンダリング/
テロ資金供与
の
基礎知識
と
銀行員
としての
こころ構え
」、それから第二章「
本人確認
」、第三章「疑わしい
取引
の
届出
」という
構成
になっております。 本文を若干御紹介いたしますと、まず十三ページをちょっとお開きをいただきます。十三ページが
銀行員
としての
こころ構え
という項でございますけれ
ども
、このページの三行目のところにございます、まずはというところからでございますが、一人一人の行員が、
マネーロンダリング
、
テロ資金供与犯罪
の
重大性
や国際的な
課題
として防止する必要についてしっかり認識することが
マネーロンダリング
、
テロ資金供与防止
の第一歩ですというふうに書いておりまして、
銀行員
として
問題意識
を持つことの
重要性
を訴えております。 次に十五ページを
ごらん
いただきますと、大きな図がございまして、自転車をこぐ
銀行員
の絵になっておりますけれ
ども
、ここでは
本人確認
と疑わしい
取引
の
届出
という
両輪
の
バランス
がうまく取れなければこの
対策
は進まないということを表したものでございます。 次に二十三ページを
ごらん
をいただきたいと存じますが、この二十三ページでは、
本人確認法
に基づく
事務
の具体的な
流れ
を図にいたしております。ちょっと
ごらん
をいただきますと、例えば
本人確認
を行っていない
顧客
との
取引
、一番
最初
のところにございますけれ
ども
、これについては十万円以下の
現金振り込み
などは
本人確認
が不要な
取引
であるということ。その次に、
預金口座開設
や十万円超の
現金振り込み
などは
本人確認
が必要な
取引
であるということが分かりやすく示してあるということであります。 それから、五十六ページ以降につきましては、疑わしい
取引
の
届出
の
手続
の
流れ
や、疑わしい
取引
の
参考事例
の
ポイント
について図を交えながら
説明
いたしました。 飛び飛びの
説明
で恐縮でございましたけれ
ども
、これ一冊があれば
銀行員
として最低限の
基礎知識
を学ぶことができるようにいたしております。この
ハンドブック
は、
全国銀行
その他の
金融機関
の
役職員向け
に三十五万部以上発行いたしておりまして、現在も
マネーロンダリング対策
の
理解
、進行に役立てているところでございます。
本人確認法
につきましては、本年一月四日から十万円を超える
現金
による
振り込み等
が
本人確認手続
の
対象
となりましたので、例えば、ATMから
現金
による十万円を超える
振り込み
を行うということはできなくなりまして、代わりにキャッシュカードを使って自分の
口座
から振り込むか、
銀行窓口
で
本人確認書類
の提示をいただいた上で
振り込み
をいただくこととなっております。 このため、当
協会
では、
お客様
にこの
制度変更
を知っていただくための
周知活動
を集中的に行いました。具体的には、
ポスター
を
銀行
の
店頭
に掲示する、パンフレットを
店頭
でお配りする、さらには昨年末から年初にかけて
全国ベース
で
新聞広告
や
テレビ広告
を行うということで集中的に
お客様
への呼び掛けを行ってまいりました。このほか、
政府広報
も打っていただいておりまして、今回の
法令改正
に関して大きなトラブルになったという
事例
は伺っておりません。
お客様
に対しましては、
法令改正
の意味や
マネーロンダリング対策
及び
テロ資金対策
への御
協力
へのお願いを丁寧に
説明
申し上げているところでございます。 次に、当
協会
として本件に関して
課題
として認識している
事項
について若干申し上げたいと存じます。 今後ますます強化されてまいります
マネーロンダリング対策
を推進するためには、
お客様
に
マネーロンダリング対策
及び
テロ資金対策
への御
理解
をいただいて、その上で御
協力
をいただくということが最も大きな
課題
であると考えております。そのためには、
銀行サイド
では
銀行員
一人一人が
マネーロンダリング対策
、
テロ資金対策
の
重要性
をしっかりと認識をし、関係する
法律
の
内容
、
意義
を十分に
理解
した上で
お客様
に御
協力
をお願いする
体制
の
整備
が大切であると考えております。
お客様
に御
説明
する際には、
本人確認等
の
手続
の強化が
マネーロンダリング対策
及び
テロ資金対策
のための国際的な要請に基づくものであることを十分御
理解
いただけるかどうかと、このことが
ポイント
になってまいります。そのためには、
政府
と
民間
が一体となって
対策
に取り組んでいるという姿勢を示し
啓蒙
を図るということが非常に重要であると思います。特に
政府
には、
法制度
の枠組みをつくって
対策
の
重要性
を広く
周知
いただきまして、それを受けて
民間
が
顧客対応
をしっかり行うといった車の
両輪
の
バランス
を取ることによって
マネーロンダリング対策
及び
テロ資金対策
が円滑かつ効果的に推進されるものと考えております。 最後に、現在御審議いただいております
犯罪収益
の
移転防止
に関する
法律案
について若干御
意見
を申し上げたいと思います。
法律案
を拝見させていただきますと、その主な
目的
は
FATF勧告
の
実施
の
具体化
でございまして、その大きな柱として、
現行
の
本人確認法
の
内容
、
組織的犯罪処罰法
における疑わしい
取引
の
届出
に係る
規定
、こういうものを取り込んだ上で
FIU
の機能を
金融庁
から
国家公安委員会
へ移管するとともに、これまで
金融機関等
に限られていた
法律
の
適用対象者
を
特定事業者
として
ファイナンス会社
や
弁護士
、会計士などの
金融機関
以外の業者まで広げることと伺っております。
FATF勧告
の
実施
は
国際的協調
の
観点
から求められているものでございまして、
銀行実務
の
観点
からはこの
法案
に特段の異論はございませんけれ
ども
、
政省令
を含む
運用面
におきまして
現行
以上の
事務負担
が生じることのないよう御配慮をいただきたいと存じております。 今後とも、
金融庁
、
警察庁
を含めて
関係当局
との
情報交換
、連携を一層緊密に行って、
業界
を挙げて
マネーロンダリング対策
及び
テロ資金対策
を推進してまいりたいと考えております。 以上、簡単ではございますが、私からの御
説明
を終わらせていただきます。 私
ども全銀協
の
取組
が、今後
対策
を進められる
事業者
の
方々
のお役に立てることがございましたら
大変幸甚
でございます。
先生方
には、御清聴いただきましてありがとうございました。
藤原正司
6
○
委員長
(
藤原正司
君)
斉藤参考人
、ありがとうございました。 次に、
松坂参考人
にお願いいたします。
松坂参考人
。 どうぞ、座ったままで結構です。
松坂英明
7
○
参考人
(
松坂英明
君)
最初
の
あいさつ
だけは起立をしてさせていただきたいと思います。 まず、おはようございます。
日本弁護士連合会
の副
会長
の
松坂
でございます。
日弁連
、当
連合会
にこの問題につきまして
意見
を述べる
機会
を与えていただきましたことに対して心から感謝を申し上げたいと思います。 それでは、お
手元
のA4サイズの「
参考人意見
(レジュメ)」という
ペーパー
がございますので、これに沿って
意見
を述べさせていただきます。 以下、
着席
をさせていただきます。 まず
最初
は、
日弁連
は
弁護士
に疑わしい
取引
の
届出
を義務付けることに
反対
であるということでございます。
弁護士
は、
憲法
に定められた
基本的人権
の擁護をその使命とすることが求められている
法律専門職
であります。それを
前提
に、
最初
に
弁護士
に関連する本
法案
の
規定
について
意見
を述べさせていただきます。
日弁連
は、
弁護士
が
依頼者
に知らせないで
警察
に報告を行うといういわゆる
依頼者密告制度
は
弁護士制度
の
根幹
を揺るがすもので絶対に容認できないとして強く
反対
をし、当初の
法案
からの削除を求めてまいったわけであります。また、
日弁連
は、二〇〇六年五月二十六日、
定期総会
におきまして
弁護士
から
警察
への
依頼者密告制度
の
立法化
を阻止する決議を行い、その中で、全
会員
が一丸となってこのような
立法
を阻止する運動を更に強力に推し進めることを決意すると宣言しております。 このように、
日弁連
はこれまで一貫して
弁護士
に対して疑わしい
取引
の
届出義務
を課す
法律
の
制定
に
反対
するとともに、世界の
弁護士会
と連携して
FATF
の
勧告
から
弁護士
に
届出義務
を課す部分を削除するように求めてまいりました。
FATF加盟国
の中でも、アメリカではこれまで
弁護士
に疑わしい
取引
の
届出義務
を課す
制度
は提案すらされておりません。
カナダ
では
弁護士
に対する疑わしい
取引
の
届出義務
を課す
立法
が提案されたことがありましたが、
弁護士会
が直ちにその
法律
を差し止める裁判を提起をいたしました。で、勝訴をしたと。それを受けて
カナダ政府
がその
法案
を撤回しておりまして、現在
弁護士
に疑わしい
取引
の
届出義務
を課さない形での
立法
が準備されているというふうにお聞きをしております。また、ヨーロッパにおける
EU指令
によって
弁護士
に疑わしい
取引
の
届出義務
を課す
立法
が義務付けられ、既にこの
制度
を
実施
している
EU諸国
においても、ベルギーとポーランドの両国の
弁護士会
は、
弁護士
による疑わしい
取引
の
届出義務
が
当該国
の
憲法
に違反するとして、
欧州裁判所
に対し若しくはその国の
裁判所
に対し
行政訴訟
や
憲法訴訟
を提起しております。 ちなみに、いち早く
弁護士
に疑わしい
取引
の
届出義務
を
制度
化して罰則まで設けている
イギリス
においては、
弁護士
のうちのソリシターの
方々
の年間の
届出件数
は一万件を超えるというふうにお聞きをしております。これを受けて
イギリス
の
弁護士団体
の
一つ
であるローソサエティーの代表の方は、自由というものは少しずつ削られていくものだと、
最初
に妥協したのが失敗であったと、そういうように述懐なさっておられます。この指摘は
弁護士
に疑わしい
取引
の
届出義務
を課すことについて考えるに当たって極めて示唆的であると考えております。 次に、
弁護士
は
司法制度
の
一翼
を担っているということについて述べさせていただきたいと思います。 民主的な
司法制度
において、
弁護士
は裁判官、検察官とともに法曹の
一翼
を担う重要な
存在
であると考えております。
弁護士
は罪を犯したとされる
被疑者
、
被告人
を弁護する
刑事弁護
をその
職務
としているという点で他の
専門職
とは本質的に異なっております。すなわち、通常の
業務
の中で
被疑者
、
被告人
の正当な権利を擁護することを本来的な
職務
としており、
弁護人選任権
が保障されるなど
憲法
上も
弁護士
の地位が認められております。
弁護士
はその
職務
のゆえに場合によっては
捜査機関
である
警察
とも激しく対峙しなければいけない
役割
を負っております。 このような
弁護士
の
職務
は
司法制度
上も極めて重要な
役割
を果たしております。
弁護士
を信頼して
依頼者
からもたらされた
秘密情報
を疑わしいというレベルで
依頼者
に内密のまま
捜査機関
に通報することは、これまで述べたような
弁護士
の
職務
とは相入れないものであると考えております。この
依頼者密告制度
が
立法化
された場合には、
弁護士制度
の
根幹
である
依頼者
と
弁護士
との
信頼関係
は根底から覆され、
市民
が安心して
弁護士
に対して
秘密
を打ち明けられなくなってしまいます。そうなれば
市民
の側においても適切な
法的助言
を得ることができなくなり、
市民
の
司法
へのアクセスは阻害され、
市民
の守られるべき
法的利益
も損なわれます。このように、
弁護士
による
依頼者密告制度
を認めてしまうと、
弁護士制度
の
存在意義
を危うくし、ひいては民主的な
司法制度
の
根幹
を揺るがすことになると考え、
日弁連
としても
反対
をしてきたわけであります。 次に、
政府案
が疑わしい
取引
の
届出義務
の
対象
から
弁護士
などを除外したことについて述べさせていただきます。 今回
政府
によって国会に提案された
法案
は、疑わしい
取引
についての
届出義務
について
弁護士
などの
専門士業
をその
対象
から除外したものとなっております。このように
弁護士
を
届出義務
の
対象
から除外したことについては、
政府
・与党が
日弁連
のこれまで主張してきたところを受け入れていただいたものと
理解
でき、
評価
しております。 次に、
日弁連
は
犯罪収益移転防止
について
会規
を
制定
したことについて御
説明
申し上げます。
日弁連
は、
弁護士自治
の範囲内で、
犯罪収益移転防止
に万全を期するため、本年三月一日に開催された
臨時総会
において
会規
を
制定
いたしました。机上にお配りをいたしました
参考資料
の中に
依頼者
の
身元確認
及び
記録保存等
に関する
規程
という
ペーパー
がございますが、それを
ごらん
いただきたいと思います。 この
会規
は、
本人確認
と
記録保存義務
、さらには
犯罪収益
の
移転
に関連した事件を受任しないこと、
依頼
を受けた後にその
依頼
の
目的
が
犯罪収益
の
移転
にかかわるものであることを知ったときは、
依頼者
に対し、違法であることを
説明
するとともに、その
目的
の実現を回避するように
説得
に努めなければならないこと、
依頼者
が
説得
に応じない場合には
辞任
しなければならないことなどを
内容
とするものであります。そして、この
会規
は本年七月一日から
実施
することとしております。この
会規
は
日弁連
自らが自主的に
制定
したものでありますが、この
法律
の求めるところにも合致したものとなっております。この
規程
により
弁護士
の
職務
の適正さが更に確保されることになったものと確信しております。 次に、五番目でありますが、
会規
の
周知徹底
と
会員
に対する
研修
についてであります。
日弁連
は、この
会規
を確実に
実施
していくため、
機関紙
である「
日弁連新聞
」や全
会員
に対する
ファクスニュース
などで既に
会員
に
周知
を図ったところでありますが、今後更に
周知徹底
を図るために、
会員
すべてが購読している
日弁連
の
機関誌
でありますこの「自由と正義」という
月刊誌
がございますが、これで特集を組みまして、この
会規
の
趣旨
、
内容
、
実施方法
などを
会員
に徹底する
所存
であります。また、なるべく早い時期において
会員向け
の
研修
も重ねて行います。さらに、秋には
全国
の
単位弁護士会
を
衛星放送
で結びまして
サテライト研修
を
実施
することにしております。
日弁連
としては、この
会規
を確実に
実施
することで、
弁護士
が
犯罪収益
の
移転
にかかわらないこと、それに利用されないことを徹底していくつもりであります。そして、今後とも
弁護士
に対する疑わしい
取引
の
届出義務
の創設には強く
反対
していく
所存
であります。 次に、
FATF
の
相互審査
に対する
対応
について
日弁連
の考えを述べさせていただきます。 本年秋にも予定されております
FATF
の
相互審査
において、
弁護士
などの
専門職
を疑わしい
取引
の
届出義務
の
対象
から除外したことについて、
勧告
に従っていないという
評価
を受ける
可能性
は否定できません。しかしながら、
日弁連
は、そのような
評価
を受けたとしても、日本
政府
が、この国会審議の中でも答弁されているように、今回取った
対応
を堂々と
FATF
に対して
説明
をしていただきたいと思うものであります。そしてむしろ、
FATF
の
勧告
の該当部分の
改正
を求めるなどの積極的な
対応
を
FATF
に対して行っていただきたいと考えているところであります。 もちろんのことながら、
相互審査
の際に行われるであろう
FATF
と
日弁連
との間の
意見
交換の場においても、
日弁連
も全力を挙げて
FATF
に対し
日弁連
の考え方を
説明
、
説得
をしていく
所存
であります。 最後になりますが、七番目、監視社会が強まることについての懸念を若干表明させていただきたいと思います。
基本的人権
を擁護し、社会正義を実現することをその使命とする
弁護士
としての立場から検討すれば、今回提案されている
法案
の中には、監視社会を招きかねないという点からの懸念があります。 ちなみに、
日弁連
としては、今年の秋の第五十回人権擁護大会において、監視社会の問題を取り上げて議論をすることとしております。密告
制度
も含めて、監視社会の問題についてどのように
対応
するのが適切なのかについて今後も継続して検討し、適切な
意見
を述べていきたいと考えております。 最後に、結論でございます。 以上のとおり、
基本的人権
の擁護を使命とする
法律専門職
としての
弁護士
が、
依頼者
の
秘密
を密告するなどという
制度
が
立法
されるようなことがあってはならないということを再度強調させていただきますと同時に、他方、
日弁連
としても、先ほど述べさせていただいたとおり、自主的に
制定
した
会規
を全
会員
が遵守し、
研修
も充実させ、これまで以上に自ら襟を正していくということも述べさせていただきまして、私の
参考人
としての
意見
陳述を終えさせていただきます。 どうも御清聴ありがとうございました。
藤原正司
8
○
委員長
(
藤原正司
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見
聴取は終わりました。 これより
参考人
に対する
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
秋元司
9
○秋元司君 座ったままで失礼させていただきます。自民党の秋元司でございます。 今日は、両
参考人
におかれましては、大変お忙しい中、お越しをいただき、貴重な御
意見
をいただきますこと、まず感謝を申し上げるところであります。 限られた時間が十五分でございますから、一括して質問させていただきますので、それぞれお答えいただきたいと思います。 まず、
斉藤参考人
にお伺いしたいところでございますけれ
ども
、実は国民の声を聞きますと、非常に
銀行
さんに対して、今回のことは別に、いろいろとフラストレーションがたまっているということを多々聞くわけでありまして、今回はテロ
対策
並びに
マネーロンダリング対策
ということで、個人の身分確認とか又は疑わしい
取引
に対することをそれぞれ所轄をしている行政庁に上げるという、こういうことを行う中で、もう
一つ
は、具体的な例を出しますと、今現在は十万円以上の
振り込み
については個人確認を行うと。場合によってはキャッシュカードでやってもらうとか等々で、お客さんにとっては甚だ金融サービスという面においては非常にやりにくいなという声があるわけでありますね。 それはいろんな声があるわけでありますが、結果的に、こういった物騒な世の中でございますから、国民もそれなりに一定の
理解
は当然あるとは思うんですけれ
ども
、度重なるこういった
制度
の変更に対して
現場
のお客さんとのトラブル云々も含めて混乱はないのかということをまず
一つ
お伺いをさせていただきたいと思います。 同時に、あわせて、どんどん
制度
が変わっていくわけでありましょうから、それに伴い、先ほ
ども
お話の中にありましたけれ
ども
、いわゆる行員への教育というものをどう図っていくかということが私は本当に
ポイント
になっていくんじゃないかと思うわけでありますが、
銀行
によってもそれぞれでありましょうけれ
ども
、私も個人的に
銀行
に対していろんな一応お客さんとして問い合わせをしたりすると、なかなか明確なお答えが返ってこないことが多々あるわけですね。そうすると、個々に話を聞いてみると、いや、つい最近来たばかりでございますとか、場合によっては、今まで違う畑にいましたのでとか、要するに、
銀行
の職員の皆さんの
一つ
の職場の定着率というのが最近非常に流動化しているということを我々心配しておりまして、場合によっては、各部署において派遣社員等も多くてなかなか一律な回答が返ってこないということも私も個人的に受ける感想であるんですが、こういったすばらしいパンフレットを作っていただいて行員に対して渡していただいているということは、大変努力は認めさせてもらうんですけれ
ども
、いまいちその努力がまだまだ行員の皆さんに徹底されて、またその行員の皆さんがこれをちゃんと熟読して
理解
するというところまでいっていないんじゃないかなという私なりの懸念があるんですけれ
ども
、それについて感じることがあればお答えいただきたいと思います。 次に、
弁護士
連盟さんにお伺いしたいわけでありますが、今回のこの
法律
は、
弁護士
さん、
弁護士会
からの要望を、
意見
というものを十分尊重した形の
法律案
となっております。 ただ一点、いわゆる同じ
特定事業者
という組み方からすれば、なぜ
弁護士
さんだけがこうなのかという声もあるわけでありまして、そういったことを勘案しますと、ますます皆さんが主張される
弁護士自治
という立場でのコンプライアンスの重視ということを今後とも徹底してもらわなくちゃならないということは、まず冒頭申し上げたいと思うわけでありますが。 そういったことの一環として、どうしても自分たちの
業界
の人間には、また自分の息子には甘くなるとかいうことも、身内に甘くなるということも言われるわけでありますけれ
ども
、著しくそういった
弁護士
で決めた
規定
を逸脱した行為を行った者には、今の
規定
で言うと、除名、退会命令、
業務
停止、戒告等があるというふうに聞いておりますけれ
ども
、年間こういったことを発動する
件数
というのはどれぐらいあるものなのか、お答えいただけたらと思います。 以上です。
藤原正司
10
○
委員長
(
藤原正司
君) まず、
斉藤参考人
、お願いします。
斉藤哲
11
○
参考人
(
斉藤哲
君) 御質問をいただきました点、二点あると思います。
最初
の御質問でございますけれ
ども
、このたびのあるいは従来の
制度変更
時への
対応
方はどうだったかというお尋ねというふうに
最初
の件は
理解
をいたしました。 このたびの新法は、
現行
の
本人確認法
、
組織的犯罪処罰法
の疑わしい
取引
の
届出
というものの
現行
規定
を盛り込む形で
構成
をされているところでございまして、その
観点
から見ますと、現在
銀行
が行っている実務を大きく変更するものではないというふうに考えております。 過去の
制度変更
におきましても、当
協会
におきましては、
会員
あてに
制度変更
に関する詳細な通達を出したり、あるいは当局の
担当者
においでをいただきまして
説明
会を開催すること等によりまして、
会員銀行
に
制度変更
を
周知
いたしております。 また、
会員銀行
が
お客様
に御連絡をする、あるいは
周知
をするという意味での
ポスター
やステッカーを一括で作成をいたしまして配付をする、あるいは今日お
手元
にお配りをいたしました
ハンドブック
を改訂すると、こういうことで、まずは
銀行
協会
ベースで
対応
をすると。こういうものを受けて、
会員銀行
では新
制度
についての行員の
研修
を徹底すると同時に、
お客様
への
ポスター
等による
周知活動
、新
制度
の御
説明
の徹底に努めるということをやっておりまして、少なくともこの
マネーロンダリング対策
、
テロ資金対策
の関係で申し上げますと、
制度変更
のときに
現場
で大きな混乱が起きたというようなことはなかったものというふうに認識をいたしているところでございます。これが
最初
のお尋ねについてのお答えでございます。 それからもう
一つ
、大変耳の痛いお尋ねがございまして、一般的に申し上げますと、先生の御認識では、
顧客
サービスの徹底にまだ工夫する余地があるのではないか、努力する余地があるのではないかということだというふうに受け止めておりまして、誠にじくじたる思いがするわけでございます。 こういうことについてどんな工夫をしているかというようなお話だと思いますので、若干申し上げますと、まずこの新法についてのお話から申し上げますと、各
会員銀行
におきましては、このマネロンの問題というものについては様々な工夫で行員に対する
研修
を徹底しているわけでございます。 各
銀行
でいろんな形でやっておりますので、ごくごく一例だけ申し上げますと、例えば階層別
研修
というやり方がございますが、階層別
研修
を取っているときに、新人に向かって行う
研修
、こういうところでは、お
手元
にお配りいたしましたような
全銀協
ハンドブック
によりまして、まず基本の
理解
をさせるというようなこと、それから、窓口の係向けの
研修
では、
口座開設
時の
本人確認手続
や
お客様
への
説明
方法について具体的にケーススタディーを用いて
研修
をするというようなこと、それから、管理職の昇進
研修
のところでは、疑わしい
取引
の発見の
ポイント
であるとか、苦情とかクレーム
対応
、こういうものに焦点を当ててやるというような、こういうような形で
研修
をやっているところがございます。それから、また別な切り口で見ますと、全店向け
研修
をテレビ会議でやるとか、あるいは各支店においてそれぞれの工夫で実例に沿った勉強会を行うというような形で
研修
を行っているようなことをやっております。 それぞれに努力をしているつもりでございますし、また、今お話がございましたような雇用形態の変化によるもの、要するに、かなり
銀行
の
店頭
でもパートの方とか嘱託の方入っておりますので、こういうところに問題はないのかという御指摘も今ございましたけれ
ども
、こういう者がかなりの比率を占めるようになっておりますので、一般の行員とそれからパートなり嘱託なり、こういう雇用形態を取っているところも変わらずに
行内
研修
は進めているところが大部分だというふうに思います。
研修
、一生懸命進めておりますけれ
ども
、行き届いていない点かなりあると思いますので、こういうものについては私
ども
、よろず相談所という、
銀行
とりひき相談所というところがございまして、ここには、
銀行
取引
における苦情等につきましては受け止めて改善を図っているというような形で、なるべく
お客様
の声を聞くように努力をいたしているところでございますので、御
理解
を賜りたい。 私からのお答えは以上でございます。
松坂英明
12
○
参考人
(
松坂英明
君) 御質問いただきました件は、
弁護士会
の懲戒
制度
に関するお問い合わせ、お尋ねであると
理解
をさせていただきます。 まずは、
弁護士制度
の懲戒
制度
の前に、自治の話でございますが、
弁護士制度
の歴史の中でさかのぼると明治時代にさかのぼるわけでありますが、そのいろいろな動きの中で、戦後、新しい法
改正
以来は
弁護士
の自治というものが
法律
で認められ、以来
弁護士
の懲戒処分というものは、監督官庁は持ちませんので
弁護士会
が自らやるんだと、やりなさいと、こういうことになったわけであります。どういう
制度
かといいますと、これは
弁護士自治
の基礎を成すものでありますので、国民の
方々
の御信頼にこたえるべく極めて透明性の高い
制度
設計がなされていると自負しているところであります。 まず
一つ
は、懲戒申立てはだれでもできるということであります。それから、懲戒の種類が四種類、今、秋元先生から御指摘のあったとおり、最も重いものが除名、それから二番目が退会命令、三番目が
業務
停止、例えば一か月とか二か月とか、最後が戒告、これは戒める、告げるということでありますが、これは注意処分というふうに御
理解
をいただければいいと思います。ただ、注意処分、戒告といっても、
弁護士
にとっては本当に、
弁護士
生命を絶たれるというくらい皆さん真摯に受け止めるものでありますから、非常に重く重く受け止められる処分であります。 それから、だれが判断をするんだということでありますが、綱紀
委員会
、それから懲戒
委員会
制度
というのを持ちまして、これは単位会の
会長
若しくは
日弁連
の
会長
も介入できない独立
委員会
という
構成
になっております。その
委員会
の中には、
弁護士
だけでは透明性が保てないだろうということから、検察官、裁判官、それから大学教授などの学識経験者、外部の方にお入りをいただいて、この件についての適正な処分はどのくらいかということを議論をしていただいているということであります。 さらに、その判断に不服があったら、今度はそういう
弁護士
も裁判官も検察官も法学部の関係者も入らない、いわゆる国民の目から見て一切法曹関係者が一人もいないという綱紀
審査
会
制度
というのを今回立ち上げまして、数年前でありますが、綱紀
審査
会というところにいわゆる不服の申立てをすることができる。その綱紀
審査
会で、
弁護士会
の処分がおかしいというときは綱紀
審査
会がそれを判断し直すと、こういう
制度
を持っておるわけであります。 次に、更に加えまして、懲戒処分があった場合には、我々の
月刊誌
のこの「自由と正義」でございますが、これにいわゆる公告、公に告げるということでありますが、掲載をして公告をするということになります。それからさらに、特段の事情がある場合には記者会見などを開きまして、いわゆる公に表す、公表をしております。 次に、お尋ねの年間どのくらいの実績があるのだというお問い合わせでございますが、ここ二、三年の実績をちょっと調べてみたところ、年間、これはほとんどが戒告が多いんでありますが、五十から六十、半分以上が戒告であります。それから、一番重い除名、退会命令というのは、年間で二つ合わせて四から五くらいございます。あと残りが
業務
停止、例えば一か月とか二か月とか、あと場合によっては十五日とか、そういうのがございます。これも自ら厳しく、いわゆる身内びいきと言われないように厳しく律しているということの現れであるというふうに御
理解
をいただければ幸いだと思います。 どうもありがとうございました。
秋元司
13
○秋元司君 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
朝日俊弘
14
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。 今日はお二人の
参考人
の皆さん、ありがとうございます。多分、突然のお願いで御苦労されたと思います。大変恐縮でございます。 限られた時間ですので、まず
斉藤参考人
にお伺いします。 先ほ
ども
お話がありましたけど、既に
金融機関
、
銀行
については従来から
本人確認法
と
組織的犯罪処罰法
、この二つがあって、実務的にはやってきているのでそう大きな変わりはないんだと、こういうお話でした。 そうだと思うんですが、ただ、そういうことをやってきておられた
銀行
の
方々
に是非お聞きしたいのは、今回スキームが変わるわけですよね。従来は
金融庁
がやっていて、そこから必要な情報は
警察庁
に送るという、そういう仕組みだったのが、今回は
FIU
そのものが
警察庁
、まあ
国家公安委員会
の下に置かれると、こういうことで全体のスキームが変わったということ。私は、そのことがより機能的になるのかなと思う反面、様々な情報が
警察庁
に集中することの問題はありはしないかという気がしていて、スキームが変わったことがどうしても必要だったのかどうかということが
一つ
。 それから、
特定事業者
の範囲を広げましたよね、従来の
金融機関等
からかなりいろんな企業あるいは職種まで広げたと。そういうことの必要性が、今まで
マネーロンダリング対策
とか
テロ資金対策
とかを強めていくに当たってどうしても必要なことだったのかどうか。 この二点について、ある意味では先輩としての御
意見
をいただければと思います。
斉藤哲
15
○
参考人
(
斉藤哲
君) 今回の新法の
制定
は、国際的な
協調
の
観点
から、
FATF
の
勧告
をなるべく受け入れて
実施
をしていこうという
観点
から進められたものだというふうに
理解
をいたしておりまして、私
ども
の方からこのスキームについて、今までのものを変更する必要があったのかどうかということについて申し上げる立場には基本的にはないわけでございますけれ
ども
、情報が集中するというようなことについての懸念その他につきましては、これは官庁、官庁というか国でありますから、それはどこに情報が集中しても一緒なのかなと。
対象
業種を広げたという
観点
からすると、集中の、集積の度合いが増したんだということでございまして、そのことについて特に情報が集中することで心配はないかというお尋ねであれば、そのことについては余り心配をしているところではございません。 それから、本当に
対象
を広げる必要があったのかと。特に、今までの
マネーロンダリング対策
の窓口をやっている、あるいは疑わしい
届出
をやっていた感触からするとどうかというお尋ねがもう
一つ
ございましたけれ
ども
、これも私
ども
の方で、
対象
を広げなければ本当に実効が上がっていかないんじゃないかと。
銀行
だけが一生懸命やってもほかのところに抜け道が出てくることがないのかというのは、やはり
犯罪
を捜査する立場からすると、やっぱり穴が、なるべくふさいでいきたいということはよく分かるところでございまして、本当に実効を上げようとすると、
犯罪
人というか悪い方が何かやる手段というのはなるべくふさいでいこうというお考えをお持ちになるのはよく分かることでございまして、それが正に
FATF勧告
が
薬物犯罪
から
対象
犯罪
を
重大犯罪
に広げていった経緯だというふうに思っておりまして、これはやむを得ないことではないかというふうに私は考えております。
朝日俊弘
16
○朝日俊弘君 ありがとうございました。 あともう一点。
特定事業者
の範囲が広がったということもあって、今非常にあちこちから聞こえてくるのは、疑わしい
取引
というのはどこまでをもってどう疑わしいと判断して
届出
するのかという、疑わしい
取引
の範囲について随分疑問というか懸念というか聞くんですが、今まで既にやってこられた立場からすると、この疑わしい
取引
というのは、具体的にはいろいろガイドラインとか何かあるんでしょうけれ
ども
、新しい
事業者
の皆さんとこれから関係省庁との間で疑わしいというのはどういうものをいうのかという一定の材料が出てくるとは思うんですが、この点について、何をもって疑わしい
取引
とするのかということについて何かアドバイスがあればいただきたいと思いますが。
斉藤哲
17
○
参考人
(
斉藤哲
君) 大変それはこの核心の部分でございまして、疑わしい
取引
ということについてどこまで窓口なり
特定事業者
が追求した上でこれを疑わしいと見るかということにつきましては、大変難しいというふうに思います。 私
ども
で、
最初
に冒頭陳述で申し上げましたけれ
ども
、
薬物犯罪
だけを
対象
にしたときには疑わしい
取引
というのを届け出る実態はほとんどなかったというのは、これは正にこの
取引
がどういう
犯罪
に使われる
可能性
があるかということについて特定業種の人間が知る立場にないわけでございまして、ただ怪しいなとか、こういう方がこういう金額をこんな回数でこんな形でお持ちになるというのは怪しいじゃないかというのは、これは長い職業経験からするとある程度見えるわけでございまして、こういう怪しいなという部分については、それは本当にそれが
犯罪
に結び付いているかどうかということを確信を持たなければいけないといったらこれはできない。ただし、怪しいということだけを一回はとにかく御連絡する、お届けするということであればこれはできるだろうということなんですね。 したがって、疑わしい
届出
についてまず
最初
に必要なのは、その疑わしい
届出
というものがどこまで確信が持てる、確証があったら届けていいんだという話になってしまうと、多分実効が上がってこないだろうというふうに思います。そういうたぐいのものだろうというふうに思っております。 疑わしい
取引
につきましては、先ほどのパンフレットの中にも書いてございまして、お
手元
の六十八ページ以下に具体的に記載をいたしております。これはもう
ごらん
をいただいたかもしれませんけれ
ども
、これはこのケースに当てはまったら即届け出るということではないんですね。これを
参考
にして、先ほど申し上げましたように、職業的な経験から見て、一般的な知識あるいは経験、そしてそういうもののかつての
事例
とか、こういうものを踏まえて判断をしているわけでございます。実際の
取引
の中から不自然性のある
取引
というものを実質的に判断するということがこの特定業種に当てられた者の使命でございますから、これをどれだけ追求していけるかというのが
ポイント
になってくるということでございます。
銀行
の規模であるとか、あるいは
お客様
の属性、学生なのか、あるいは商売人なのか、サラリーマンなのかと、こういうことでございますけれ
ども
、そういう方、それから地域、この地域はどういう地域だということもありますし、それから
取引
態様でホールセールなのかリテールなのかということで、大口の
取引
が一般的に行われているお店、それから小口の
取引
だけのお店とか、こういう形での
お客様
の見方等々、かなりのカテゴリーに分けられるような
内容
でございます。特定の
犯罪
の
存在
を必ず認識させなければいけないというわけでなければ、それは一応怪しくないかということについては確認をしていく必要があるんではないかということでございます。 御
参考
になるかどうか分かりませんけど、そんなような感じがいたします。
朝日俊弘
18
○朝日俊弘君 ありがとうございました。なかなか難しいなという感想を持ちましたけど。 じゃ次に、時間がありませんので、
松坂参考人
にお尋ねします。 一番目の御質問は
最初
の質問と同じでして、今回新しいスキームを提案されている。
一つ
は
金融庁
から
警察庁
に
FIU
を置いたと、それからもう
一つ
は範囲を広げたと。今回、範囲を広げる中で、
弁護士会
の皆さんもその
対象
になる。
届出
のことについては除外されたけれ
ども
、
特定事業者
という範囲には入っているわけですね。この範囲拡大されたこと、新しいスキームについて御
意見
があれば率直にいただきたいと思います。
松坂英明
19
○
参考人
(
松坂英明
君) まず、
日弁連
としては、従来から申し上げておったところでありますが、このマネロン
対策
、テロ
対策
そのものに
反対
しているものでありませんと、それは必要性もよく了解をしているところでありますと。ただ、だからといってそういう
届出
をさせるということが手段としていいのかどうかということで、
弁護士
のところは
反対
であるということで、そこに論点を絞って議論をさせていただいてまいったところなんですね。 今お尋ねの、他の
業界
、業種の
方々
についていかがかと、こういう御質問かと
理解
させていただきますが、基本的にはその
立法
事実ないしはその業種の
方々
の仕事の性質であるとか
依頼者
との関係であるとかいうものが、皆さんの業種がそれぞれ違うんだろうと思うんですね。我々がその業種について一から十まで知っているかというと、存じ上げておりません。したがいまして、一概に他の業種まで広げたことがいいとか悪いとかいうことを直ちにこの場で私が軽々に申し上げることはできないなというふうに思っております。
朝日俊弘
20
○朝日俊弘君 ありがとうございました。 もう一点だけ。疑わしい
取引
の
届出
が除外されたということと同時に、
本人確認
、
取引
記録については会則で決めると、こうなったわけですね。先ほ
ども
御紹介あったように、かなり、私見せていただいて、相当に厳しい会則を作られたというふうに思うんですが、会則を作るに当たって特に留意された点をお聞かせいただければと思いますし、一点だけちょっと具体的なところで気になっているのが、記録の保存が五年と決められていますよね。ところが、関連する
法律
はたしか七年となっているので、この辺は問題ないのだろうかという、これもちょっと気になっているんですが、その点、時間の許す範囲内で。
松坂英明
21
○
参考人
(
松坂英明
君) この先ほど御
説明
をさせていただいたいわゆる
会規
を定めるに当たりましては、
弁護士会
内部で相当の議論をさせていただきました。そこまでする必要があるのかないのか、場合によってはもっとすべきなのかどうか。元々、この
会規
を作る必要があるのかないのかから始まるわけでありますが、いろんな議論をいたしました。 ただ、先ほど申し上げたとおり、我々も日本国の中の自治をいただいている
日弁連
といたしまして、きちっと国民の
方々
に御
理解
をいただけるようにしないといけない。そういう
観点
からは、きちっとできる範囲でやれることはやるという
観点
で、どこまでできるかということを議論いたしたわけであります。その集大成がこの
会規
であります。会則であります、
法律
上は会則となっていますが、この
会規
も会則の一種類でありますので、全く法制上は問題がないというふうに御
理解
をいただきたいと思います。 次に、記録保存の期間が七年、
法律
では七年となっておりますが、我が方の
会規
では、会則では五年というふうになっております。これはそもそも
FATF
の
勧告
が五年以上というふうになっておりますので、
日弁連
としてはその
FATF
の
勧告
な
ども
参考
にさせていただいていわゆる五年とさせていただいたところであります。
朝日俊弘
22
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
白浜一良
23
○白浜一良君 公明党の白浜一良でございます。
参考人
の皆さん、今日はお忙しいところをお越しいただいて貴重な御
意見
をありがとうございました。
斉藤参考人
にお伺いしたいんですが、
本人確認
はもう既に
銀行
で
実施
されているわけでございますが、私
ども
いろんな陳情とかの相談を受けることが多いんですけれ
ども
、特に二月多かったのは、大学入試ございますね、それでいわゆる入学金の
振り込み
で、公立の高校生の場合は学生証が
本人確認
の証明になって、私学の高校の場合は駄目だと言われたと、こういう声をたくさん聞いたんですよ。ですから、これは
一つ
の具体例なんですけれ
ども
、今まで
実施
されていてそういう
本人確認
上の何か顕著なトラブルとかあるんでしたらお教えいただきたいんですけれ
ども
。
斉藤哲
24
○
参考人
(
斉藤哲
君) 今の公立学校と私立学校の学生証の効果の差というのは、これはもう
本人確認法
で決まっている形でございまして、公立学校は官公署、私立学校は私的な経営体ということで、公立高校についてと私立学校の学生証でその学生証の意味するところが
本人確認法
上は違うというのはそのとおり事実でございます。 学費とか入学金の納入につきましては、今回の
本人確認法
の
政省令
の
改正
のところに当たりましては、窓口で保護者とそれから本人、学生本人でございますが、保護者の方が学生の方に代わって
振り込み
をされるというのは一種の代理人の形を取るわけでございますけれ
ども
、通常であれば、代理人が何かをする場合には、
本人確認
は本人と代理人と両方についてやらなければいけないわけでございます。 ただ、今年のケースにつきましては、窓口で保護者の方が学生の方に代わって
振り込み
を行うというような場合には、保護者と学生の双方の
本人確認書類
の提示を求めないで、実際に
振り込み
資金を出して
手続
をされる保護者御本人の
本人確認
で足りるという扱いをするということで、御迷惑をなるべく小さくしようということで
会員
あてに通知を出しております。各
会員
にはこういうケースに限らず柔軟な
対応
を取るようにお願いをしているところでございます。 先ほどの学生証の差というのは、ちょっと私
ども
の方としてはいかんともなし難いというところでございます。
白浜一良
25
○白浜一良君
金融庁
も柔軟に
対応
するように指示出されたとは伺っておりますが、まあ分かりますわな、もう大体入学金とか払う者はもうね。だから、そういう厳格さ、法の
趣旨
から厳格さも必要ですけれ
ども
、一方で柔軟な
対応
もしてあげないと。本当に失望している声を聞いたんですよ、なぜですかということで。それは学生にとっては素朴な感想ですよね、それは。それで、確認の意味で御
意見
を伺ったわけでございます。 それから、同じような意味で、先ほどからお話も出ていますが、疑わしい
取引
といっても、ここをどう確定するかというのは難しくて、一方で個人情報の保護というのが
法律
制定
後特に強く出ていて、じゃ、窓口でちょっとおかしいなと思っていろいろ聞いて確認しようかなと思っても、余りしつこく言うと、何じゃと、お客さんとトラブルが起こるでしょう。そういう面で何か留意されていることはあるんでしょうか。
斉藤哲
26
○
参考人
(
斉藤哲
君) トラブルを起こすケースというのは、実は疑わしい
取引
かどうかを確認するというようなことでは余り起きているわけではないんですね。これは余り、怪しいんじゃないかといって根掘り葉掘り聞くということ自体がもう既に疑わしい
取引
のところで、
お客様
に対してこれは疑わしい
取引
について届けますよということを言ってはいけないと、そういうことについて第三者に伝えてもいけないということで、疑わしい
取引
の
届出
というのはこっそりやれということになっておりますから、そこでトラブルをこの件については起こすということは一般的にはないところでございます。 そのほかの一般論として、
取引
の態様について
本人確認法
上のいろんなことをやるときにやはり注意をよくさせる、注意を喚起するのは、やはりまずこの
本人確認
の
趣旨
というのは、
銀行
のためにやっているとか、だれかのためにやっているということじゃなくて、やっぱり基本的には国際秩序の問題であり、かつ全体の治安の問題をみんなで
協力
して維持していきましょうという
観点
からやっているものですということについての御
理解
をよく
説明
をしていくというに尽きるということに考えていまして、それでもなおクレームといいますか、御不満な方はどうしても出てしまうと思いますけれ
ども
、なるべく丁寧に御
説明
をするようにということを
周知
しているところでございます。
白浜一良
27
○白浜一良君 それから、先ほどおっしゃっていました、
政府
、
民間
一体の
取組
の
重要性
とか御主張されていましたし、
政府
は
法制度
の枠組みをつくって
対策
の
重要性
を広く
周知
すると、これがベースになっているんですけれ
ども
、
政府
といっても何か広報システムが余りございませんでして、何か特にそういう
政府
の
取組
といいますか、
銀行
業界
はいろいろ努力されているのは、それは伺っていますけれ
ども
、何かそういう御要望とか御
意見
などがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
斉藤哲
28
○
参考人
(
斉藤哲
君) その件につきましては冒頭に申し上げたところでもございますけれ
ども
、ただいま申し上げましたように、このマネロン
対策
、
テロ資金対策
というのは
国際的協調
の
観点
から行うものだということで
実施
をいたしますけれ
ども
、ただいま申し上げましたように、その成否は
お客様
にこの点を
理解
いただけるかということでございます。
政府
に広報をお願いをしたいというのは、やはりこれは一
業界
からお話をしてもなかなか納得感を得られない方も多い。そういうことで、
政府
から国としてこういうものが必要なんだということをよく
周知
をしていただければ有り難いというふうに思います。 実際に、先ほ
ども
ちょっと申し上げましたけれ
ども
、この年初に
本人確認
の
政省令
、一月四日から
実施
をされまして、十万円以上の
現金
による
振り込み
というのは
本人確認
が必要ですよという点について混乱も予想されたところでございますが、この際には
政府広報
を早めに打っていただきまして、私
ども
の広報と併せて
周知
をしたということで、そういう意味では今回うまくいったということで、この経験を是非踏まえて引き続き
政府
の方にもこういうことについて、今回、新法を
制定
するに当たっては、
周知
方についてはお願いをしたいなというふうに思っております。 関連してちょっと二点御要望がございますので、よろしゅうございましょうか。
白浜一良
29
○白浜一良君 ええ。
斉藤哲
30
○
参考人
(
斉藤哲
君) 申し上げたいと思いますけれ
ども
、
一つ
は、
政府
にお願いしたいことは、実際に疑わしい
届出
の
事例
について
民間
にフィードバックしていただきたいということでございます。
金融庁
で主催をされてきました疑わしい
取引
の
届出
研修
会というのがございますんですが、ここでは典型的な疑わしい
取引
の
届出
事例
というものを御紹介いただきますし、そのほか
FIU
として留意
事項
について
説明
をいただけるという
機会
でございました。
銀行
としても、これは大変有用なものというふうに受け止めております。疑わしい
届出
がどのように活用されたのかということをフィードバックしていただくことによって個々の
銀行
がこの仕事をするときの
ポイント
がよく分かってくるということで、是非これは引き続きフィードバック充実をお願いをしたいというのが一点でございます。 もう一点は、これもお願いでございますけれ
ども
、この後に
政省令
がそれぞれ出されると思いますけれ
ども
、こういう
運用面
におきまして、実務に
現行
以上の負担が課されないように御配慮をいただきたいということを申し上げたいと存じます。 以上でございます。
白浜一良
31
○白浜一良君 よく分かりました。今日、昼からも
委員会
やりますので、御
趣旨
を踏まえていろいろ確認していきたいと思いますから。 どうもありがとうございました。
斉藤哲
32
○
参考人
(
斉藤哲
君) 済みません、ちょっとよろしゅうございますか。今のちょっと訂正がございます。
藤原正司
33
○
委員長
(
藤原正司
君)
斉藤参考人
。
斉藤哲
34
○
参考人
(
斉藤哲
君) 訂正がございまして、今十万円以上と申し上げました点、十万円超でございます。失礼いたしました。
白浜一良
35
○白浜一良君 どうもありがとうございました。 それでは、
松坂参考人
にお伺いしたいと思います。
最初
お述べいただきました、
弁護士
というのは
司法制度
の
一翼
を担っていると、それはよく分かります。もし裁判になったら原告なり被告なりの立場を弁護されるお仕事されるわけですから。そういう面で、いわゆる
依頼者
を
本人確認
、知らすことなしに
届出
するというのは
反対
だと、密告
制度
は
反対
だと、こういうふうにおっしゃった。密告というのは余り言葉、いい言葉じゃないですからね。余り使いたくないんで、あれですけれ
ども
。まあそれはよく分かります。それで、自主ルールとして、いわゆるこの
規程
を設けられたということもよく分かります。 ただ、少し具体的に伺いたいんですけれ
ども
、「
依頼
を受けた後の適切な
対応
」という項目、第五条がございます。これを見たら、
犯罪収益
の
移転
にかかわるものであると知ったときは、違法ですよと、こう
説明
すると、また、
説得
に努めなきゃならないと、こういうふうに
規定
されて、それでも駄目な場合は
辞任
するんだと、こういうふうに
規定
されていますよね。まあこれはこれでいい。職業としての
弁護士
というのはそれでいいと思うんですが。 明らかに
犯罪
性があると、こういうふうに思われた場合、その相手、相手そのものはそのまま不問になるんでしょうか。
松坂英明
36
○
参考人
(
松坂英明
君) ただいまの御質問は、実は我々の守秘義務との関係で大いに問題のあるところであります。我々の、今の先生の御質問のケースというのは、守秘義務が解除される場合はどんな場合かということになるのではないかということであります。 そこで、我々
弁護士
の
法律
上のいわゆる守秘義務が解除される場合をちょっと御
説明
をさせていただきたいと思います。 基本的には
依頼者
本人から守秘義務を解除しますというふうに承諾を得た場合、これは当然いいんでありますが、今のようないわゆる厳しい判断を迫られる場合というのは、次の要件がある場合に解除されるということになっています。 条件は四つあります。
一つ
は、
依頼者
が
犯罪
行為に及ぶ意思が明確であること、二つ目、その実行行為が差し迫っていること、三番目、犯行の結果が極めて重大であること、四番目、それを回避するためには
秘密
の開示が不可欠であると、こういう四つの条件が整ったときに我々の守秘義務というのは解除されるんです。 例えば、
一つ
の設例を挙げます。これは実例があったというふうに聞き及んでおりますが、例えば離婚事件で非常にもめたと。で、そのだんなさんが非常に問題のある方で、非常に不満であると。自分のお嫁さんを、離婚の相手方である奥様をこの世から抹殺したいと、で、自分の
弁護士
に、包丁を持って駆け込んできたと、今から行きますと。さあ、その
弁護士
、どうするんだと。これは今の条件に合致するんですね。直ちに適切な
対応
をしなければ、その人はそのまま行って、その奥さんを、無防備な奥さんをあやめてしまうかもしれない。そのような場合には我々は、この条件に照らして適切な判断をして、いわゆるしかるべき適切な
対応
をいたします。具体的には、場合によっては相手方の方の
弁護士
さんに通報して、逃げなさいと、しかるべき
対応
をしなさいと、あと
警察
とも連携を取りなさいというふうな情報提供をすることもあるでしょうと、そういうことになっております。 ですから、よく、これまでの
先生方
との御議論の中で、
弁護士
は何でもかんでも
秘密
にするのではないかというふうにおっしゃる方がいらっしゃるが、このように守秘義務が解除される場合もあります。そして適切な
対応
をするということになっておりますので、御安心をいただきたいなと思っております。 どうもありがとうございました。
白浜一良
37
○白浜一良君 終わります。
亀井郁夫
38
○亀井郁夫君 今日はお二人ともどうもありがとうございました。非常に貴重なお話聞きまして、これからわずかですけれ
ども
、お尋ねしたいと思います。 まず
最初
に、
斉藤参考人
に聞きたいんですけど、いろいろとパンフレット作ったりビラ作ったりしていろいろ努力しているという話、よく分かりましたが、そういうことの結果として、こういった
犯罪
行為になるかもしれないという問題、そういうふうな事件というのは起こったことがあるのかどうなのかということをちょっとお聞きしたいんですけどね、テロとの関係を含めて。
斉藤哲
39
○
参考人
(
斉藤哲
君) 私
ども
の方で疑わしい
届出
をしたものについて、それが実際に
犯罪
であったかどうかということのお尋ねだったというふうに思いますけれ
ども
、実際に疑わしい
取引
の
届出
をしたものがその後どうなったかということにつきましては、基本的にはフィードバックがされておりませんので、実際にはそれが本当にそういうものに結び付いたかどうかということは、ほとんどは分からないということになると思います。
亀井郁夫
40
○亀井郁夫君 分かりました。 疑わしい事実として申告した事案というのはどのぐらいあるんですか。疑わしい事案として
警察
に届けたような事案というのはあるんですか。
斉藤哲
41
○
参考人
(
斉藤哲
君) 疑わしい
取引
の
届出
をした
件数
というのは、私
ども
の方は全体を把握しているわけではございませんけれ
ども
、
金融庁
さんの方で整理をされた数字としては
届出件数
が十一万件超あるというふうな数字をおまとめになっていらっしゃいます。これ、私
ども
のまとめた数字ではございません。
亀井郁夫
42
○亀井郁夫君
金融庁
の方の数字として十一万件というのは、何年間かよく分かりませんが、毎年十一万件もあるんですか。
斉藤哲
43
○
参考人
(
斉藤哲
君) ここにございます数字は十八年度でございます。
藤原正司
44
○
委員長
(
藤原正司
君)
斉藤参考人
。
斉藤哲
45
○
参考人
(
斉藤哲
君) 失礼いたしました。ここにある数字は十八年度でございます。
亀井郁夫
46
○亀井郁夫君 一年間ね。 次に、
松坂参考人
にお聞きしたいんですけれ
ども
。いろいろと
弁護士会
でやっておられると、よく分かりましたけれ
ども
。一番しっかりしていますよね、団体の中でね、主要な団体の中で。ほかのところを全部調べてみたんですけど、ほかのところにはそういう
規程
は
一つ
もないんですよね。倫理
規程
に類するようなものは全くなくて、会の
運営
に絡む程度のものしかないんですね。そういう状況の中でいろいろやられるんですけれ
ども
、
弁護士会
と同じような形で、差があるのに差を認めないで今回一緒に除外しちゃったというのはおかしいんじゃないかなと思うんですけど、それについてはどのように思われますか。
松坂英明
47
○
参考人
(
松坂英明
君) 先ほ
ども
別の団体、業種の
方々
の、業種が広がったというときに述べましたところと同じなんでありますが、他の士業の
方々
について、我々は業種などについては違いがあるとは思っております。すなわち、
憲法
上の位置付けはどうなんだとか、それから
依頼者
との関係がどうなんだとか、刑事裁判に絡むのか絡まないのかとか、いろんな違いがございます。したがいまして、他の士業のところの報告義務が削除されたことについては我々知りませんので、その
業界
のことについては詳しくは知りませんので、何とも軽々にコメントができないというのが実情であります。 ただ、各士業の
方々
が、仄聞するところによりますと、非常に良かったというふうに感想を述べておられるということなんですね。それはそれで我々も良かったのではないかというふうに思っているところでありますが。
亀井郁夫
48
○亀井郁夫君 次にお尋ねしたいのは、いろいろあるけれ
ども
、この規則も見せてもらいましたけど、これは今年の七月から
実施
なんですね。だから、これまではこういう
規程
がない中で運用されておったわけで、そういう意味でも最後は、さっきおっしゃった守秘義務の解除の場合ということですべてを解決するんだということで言われましたけれ
ども
、そうであれば、この
規程
の中に、
マネーロンダリング
なんかの場合、例えば、それをやるためには守秘義務の解除の問題にも触れて、もっと具体的にこういう場合にはこうするんだということを言われないと、辞めることまで言ってあるけど、後のことが書いてないんですよね、
規程
にはね。だから、そういう意味じゃ不十分だと思うんですけど、その辺は議論はなかったんですか。
松坂英明
49
○
参考人
(
松坂英明
君) まず
最初
に、ちょっと
説明
を付加させていただきたいのですが、この七月一日から施行予定の
本人確認
・記録保存の
会規
というものは、確かに明文化したものは、今回がきちっと作ったのは初めてなんですが、それの考え方、基本的な理念というものは、我々が
職務
上のルールとして定めた
弁護士
職務
基本
規程
というルールの中に全部書き込んであると、ほとんど書き込んであると。今回のこの七月一日から施行する予定の
会規
は、それのいわゆる分かりやすく特別
規程
にしたというものでありまして、その精神は元々あったわけであります。取って付けたように今回初めて作ったものではありません。 次に、先生の御質問の
趣旨
というのは、守秘義務が解除される場合をきちっとルールの中に明文化したらいいのではないかという御指摘だと思います。これに対してはなかなか、その性質上、条文化することがなかなか難しい面がございますので、一様に、はい、そうですねとは言えない事柄なものなんです。今度時間があればゆっくり御
説明
をさせていただきたいと思いますが。 ただ、先生の御
意見
の
趣旨
はそういうことをもっときちっと
周知
してくださいということだと思いますので、今後全
会員
の、先ほど申し上げた
研修
であるとか
サテライト研修
であるとか、それからこの特集の記事の中でそういうことについても触れて、各全
会員
が適切な
対応
ができるように
周知徹底
を図っていきたいと思っております。 どうもありがとうございます。
亀井郁夫
50
○亀井郁夫君 おっしゃるように、長い歴史の中で積み重ねられた内規だと思いますけれ
ども
、
弁護士
さんの中には、いい
弁護士
さんがほとんどですけど、九九・九%は立派でも、中には〇・一%ぐらい変な
弁護士
さんも実際にいるんですよね。それを変なことが起こってからいろいろと処罰されることもあるけれ
ども
、やはりこういった大事なことを、国民の生命にかかわるようなことにも絡むわけですから、その辺は十分考えて、やはりこういう場合はこうするんだと、だから大丈夫なんだと、こう言ってもらえれば我々は安心しますけれ
ども
、やはり一番いろんな士業の中でも
犯罪
行為に結び付きやすいのは
弁護士
さんですからね、正直言って。
弁護士
さんのところがしっかりちゃんとやってもらわないと我々は不安ですよね。悪い相談乗ってからやられたんじゃ困りますからね。だから、その辺についてよろしくお願いしたいと思いますけど、いかがでしょうか。
松坂英明
51
○
参考人
(
松坂英明
君) 大変励ましのお言葉であると受け止めさせていただきたいと思います。 先ほど自由民主党の秋元先生から御指摘があったとおり、我々は
弁護士自治
を守るために、先ほど申し上げたように懲戒
制度
というのを持っております。今先生の御心配は、そういう若干問題のあるときには、見過ごすことなくきちんと手を掛けて懲戒という
制度
の中で指導監督をしていくと。余りひどい場合には、先ほど申し上げたとおり退会命令とか除名とかいう厳しい
対応
も取って、いわゆる
日弁連
、
日本弁護士連合会
の全
会員
が国民の
方々
から信頼されるということを毎日毎日考えて会務活動をしているところであります。 今後とも、亀井先生にも御支援をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
亀井郁夫
52
○亀井郁夫君 終わります。
藤原正司
53
○
委員長
(
藤原正司
君) 以上で
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。
参考人
の
方々
に一言ご
あいさつ
を申し上げます。 本日は、貴重な御
意見
をお述べいただきまして誠にありがとうございました。当
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 午後一時に再開することとし、休憩に入ります。 午前十一時二十六分休憩 ─────・───── 午後一時開会
藤原正司
54
○
委員長
(
藤原正司
君) ただいまから
内閣委員会
を再開いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 本日、
櫻井充
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
木俣佳丈
君が選任されました。 ─────────────
藤原正司
55
○
委員長
(
藤原正司
君)
政府参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
犯罪
による
収益
の
移転防止
に関する
法律案
の
審査
のため、本日の
委員会
に、理事会協議のとおり、
政府参考人
として
警察庁刑事局組
織
犯罪対策部長
米田壯君外三名の
出席
を求め、その
説明
を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤原正司
56
○
委員長
(
藤原正司
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
藤原正司
57
○
委員長
(
藤原正司
君)
犯罪
による
収益
の
移転防止
に関する
法律案
を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
朝日俊弘
58
○朝日俊弘君 昨日に引き続いて、
犯罪収益移転防止
法について幾つか質問を続けたいと思います。 昨日の質問に幾つかお尋ねし忘れた点がありますので、まず
最初
に二問ほど宿題を先に片付けてから今日の
課題
に行きたいと思います。
一つ
は、念のため確認しておきたいという意味で御質問をさせていただきますが、今回提出されている
法律案
は、従来からある
本人確認法
と
組織的犯罪処罰法
、この二つの
法律
を基本として組み立てられていると、こういう
理解
はしているんですけれ
ども
。 さて、今回このような
立法
をすることによって、従来からある二つの
法律
、つまり
本人確認法
と
組織的犯罪処罰法
の二つの
法律
は廃止されて新しい
法律
に全部包括されることになるのか。それとも、それはそれで枠組みとしては残って、それぞれの一部を新法に統合されるという形になるのか。その場合、そうだとすれば、新しい
法律
と従来の二つの
法律
との関係はどうなるのか、ちょっと
法律
の関係について御
説明
いただけますか。
米田壯
59
○
政府参考人
(米田壯君) この
法案
と既存の関係
法律
の改廃との関係でございますが、この
法案
の施行は、大ざっぱに申しまして前段、後段の二つに分かれております。前段の施行は四月一日、そして後段の施行は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日となっております。 前段の施行の日においては、
FIU
が
金融庁
から
国家公安委員会
に移管がされます。それに伴いまして、現在疑わしい
取引
の
届出
を定めております
組織的犯罪処罰法
第五章、この
規定
を多少手直しをいたします。そして、後段の施行のときに、新しい
事業者
に関する規制、監督等々の
規定
が一斉に施行されます。それに伴いまして、
組織的犯罪処罰法
第五章、第五章は削除をいたしまして、そして
金融機関
本人確認法
は廃止がされるということになるわけでございます。
朝日俊弘
60
○朝日俊弘君 そうすると、
実施
時期によって違うけれ
ども
、
組織的犯罪処罰法
の方は第五章の部分がこれに統合される、
金融機関等
にかかわる
本人確認法
の方は廃止されると、こういうことですが、そうすると、お尋ねしたかったのは、
組織的犯罪処罰法
の五章以外の部分は残りますよね。それと今回の
法律
との関係はどんなふうになりましょうか。
米田壯
61
○
政府参考人
(米田壯君)
マネーロンダリング対策
の
法制度
としての柱は二つございまして、
一つ
は
組織的犯罪処罰法
の第五章以外の部分で、
マネーロンダリング
行為、どういう行為に対して処罰をするか、そしてその
収益
を剥奪するかということが定めております。 もう
一つ
は、そういう処罰
対象
となっている
マネーロンダリング
行為の防止、そしてそういう
収益
剥奪等のことが行いやすくするために、
本人確認
や疑わしい
取引
の
届出
が
本人確認法
あるいは
組織的犯罪処罰法
第五章で定められております。 そういうことで、今回は
組織的犯罪処罰法
第五章と、そして
本人確認法
の
内容
が今回の
法案
の方に入ってくるわけでございますので、そういう意味では、残った
組織的犯罪処罰法
の方はどういう行為を
マネーロンダリング
行為として処罰するかといったことが中心になって定められておりまして、それをどう防止するかということにつきましては今回の
法案
の方で定められていると、こういうことになるわけでございます。
朝日俊弘
62
○朝日俊弘君 分かりました。 そうすると、両方の
法律
が相まって
対策
に資すると、こういうことと
理解
しました。分かりました。 それじゃその次に、これも宿題なんですが、今御
説明
あったように、四月から少なくとも
FIU
が
金融庁
から
警察庁
に移る、
国家公安委員会
に移る。当然、そういうふうに仕組みが変わるわけですから、関連する予算も動くというか変わると思うんですね。つまり、ごく普通に考えれば、当然、
警察庁
の方に
FIU
が来るわけだから
警察庁
の予算は増えるんだろうし、逆に
金融庁
に置かれていたのが動くわけだから
金融庁
の予算は減るんだろうと思うんですが。 これは予算の関連
法案
ということでもありますので、大ざっぱにで結構ですから、
警察庁
にかかわるこの新しいスキームの変更に伴って予算はどの程度増えるのか、逆に
金融庁
の方はどの程度減るのか、ちょっとお聞かせください。
米田壯
63
○
政府参考人
(米田壯君)
平成
十九年度予算におきましては
FIU
機能の基盤の強化に必要な経費、主にシステムを構築するということでございますが、これが七億四千万円、それから
FATF
を始めとする国際的枠組みへの参加、外国
FIU
との
情報交換
等に必要な経費、これが約一億円、それから広報啓発活動に必要な経費約三千万円、合計いたしますと約八億七千万円を措置してございます。
知原信良
64
○
政府参考人
(
知原
信良君)
金融庁
の方の十九年度の予算額につきましては、十八年度の
FIU
関連の予算の中から合計約五千三百万円の予算減となっております。 その内訳につきましては、分析システム関連予算の減といたしまして約四千八百万円、それから国際連携
協力
のための経費の減といたしまして約五百万円というような減となっております。 以上でございます。
朝日俊弘
65
○朝日俊弘君 そうすると、数字は分かったんですけれ
ども
、何か
金融庁
の方の減る分と
警察庁
の方で増える分と比べると随分差があるんですが、これは何でですか。
米田壯
66
○
政府参考人
(米田壯君) 今度
FIU
を
国家公安委員会
に移管をするということになりますと、
対象
事業者
が増えるということを
前提
に、かつその分析能力を強化しなければならないということで新しくシステムを組むわけでございます。したがいまして、一時的にその開発経費が非常に多く掛かるということがございまして、それを除きますと、平年化いたしますと、システム関係ではランニングコストは大体六千万円ぐらいということになります。 それから、国際的な交流というのも活発化させなければならない、諸外国の
マネーロンダリング対策
の進んだ国に人も派遣しなければなりませんし、もっと積極的に国際会議に参加しなければならない。したがって、そういう関係の経費も、従来
金融庁
が行っておられたときに比べれば増えているということでございます。
朝日俊弘
67
○朝日俊弘君 分かりました。ただ単に移るだけじゃなくて、
対象
事業者
の範囲も拡大するわけですし、そういう意味ではトータルとしての予算額は増えるということで、それは
理解
するんですが。 これもまた念のため確認しますけれ
ども
、当然、
警察庁
は
警察庁
でその他の予算もあるわけですね。今回新たにこの仕組みを引き受けるということになると、これ一応、先ほど御
説明
になった額は純増と考えていいんですか、トータルの
警察庁
関係の予算から考えると。
米田壯
68
○
政府参考人
(米田壯君) これはなかなか、トータルの中でどのように判断すべきか。いろんなほかの要因で減らされたりしているような部分もございますので分かりませんが、大ざっぱに言うと、純増というわけではございませんが、ここの部分についてはかなり配慮を財政当局からいただいているというふうに
理解
をしております。
朝日俊弘
69
○朝日俊弘君 少なくとも、新しい仕事を引き受けることになったわけだから、その分については、丸々というわけではないかもしれないけれ
ども
、その分きちっと手当てはしていただいていると、こういうお答えだったというふうに思います。 じゃ、以上、二つの宿題を済ませた上で、今日幾つかお尋ねしたいのは、もう午前中にも
参考人
の方においでいただいて御
意見
をちょうだいしたわけですけれ
ども
、
特定事業者
の問題について幾つか尋ねていきたいと思います。 まず、これは
国家公安委員
長にお尋ねするわけですが、従来の
規定
、
金融機関等
が
対象
になっていたと。今回の
改正
で、金融業者以外の、例えば不動産業者とか貴金属商とか宝石商とかという新しい
事業者
及び職業専門家、
弁護士
さんとか会計士さんとか、適用範囲をかなり広げました。そのことの
理由
と、それからその広げた範囲が妥当であるかどうか、なぜその範囲に広げたのかという、この二つの点について基本的な考え方をお聞かせください。
溝手顕正
70
○
国務大臣
(溝手顕正君) 今回、新たにファイナンスリース、クレジットカード、宅地建物
取引
業、貴金属・宝石商、郵便物受取・電話受付代行業及び各士業者を
特定事業者
として追加したのは、
FATF
の
勧告
において追加が義務付けられているというのがまず主たる
理由
でございます。これは、
マネーロンダリング対策
及び
テロ資金対策
は各国が密接な連携
協力
の下に行うべきであり、その国際標準である
FATF
の
勧告
を立案の指針とすべきであるという考え方からでございます。 ただし、例えば、宅地建物は財産的な価値が高く
現金
との交換を容易に行うことができること、様々な
評価
が可能であり、実際の価格に上乗せする形で
犯罪
による
収益
の
移転
ができるというような特性、あるいは宝石、貴金属は財産的価値や流動性が高く、世界のどの地域においても
現金
との交換が容易なことや、その小さな形状から持ち運びが容易であることなど、それぞれの特徴についても検討を行って、その規制をすることに対する合理性についても検討を行ってまいったところでございます。
朝日俊弘
71
○朝日俊弘君 そうすると、基本的には
FATF
の
勧告
に示されている業種というか
事業
体を念頭に置いて広げたと、こういうことなんですが、ちょっとその広げ方なんですけれ
ども
、これまでにあった
本人確認法
では、
法律
の条文においてそれぞれこれこれの業、これこれの業と定めておいて、最後に、そのほか政令で定めるものという項目があって、多少政令の範囲でいろいろ追加したりすることができるような
規定
が書いてありました。ところが、今回はそういう政令で定めるものという
規定
はなくて、まあ全部、全部というか、
対象
とすべきものは全部条文できちっと明記するという形にされていますよね。こういうふうにされた何か意味というか
理由
はあるんでしょうか。
米田壯
72
○
政府参考人
(米田壯君)
現行
の
本人確認法
は
金融機関等
が
対象
でございまして、
金融機関
あるいはこれに準ずるものという一応全体の概念、
対象
の大くくりがあるわけでございます。それで、
法律
で
制定
当時明定、明確に書くことができたものは書いていくと。政令で言わばセービングクローズを設けておりますが、政令で何を追加するかといえば、それはやはり
金融機関等
という、
金融機関
あるいはこれに準ずるものというまあ大ざっぱな枠があって、それを具体的に書くということになろうかと思います。 そういう意味で、今回の
法案
では、
金融機関等
というようなある意味特定の何となく類似するグループではなくて、いろんな種類の
特定事業者
が入っておりますので、なかなかそういう同じような政令委任の方式はちょっと取りにくいということで、今回はもう
法律
ですべて書かせていただくということになってございます。
朝日俊弘
73
○朝日俊弘君 その
理由
は分かりましたが、そうすると、今後仮に範囲を広げるとか逆に削除するとかいう場合は法
改正
が必要になると、こういう
理解
でいいですね。
米田壯
74
○
政府参考人
(米田壯君) そのとおりでございます。
朝日俊弘
75
○朝日俊弘君 次に、
特定事業者
の範囲、一応そういうことで
法律
で定めたと。しかし、その
業務
実態を個別に見ていきますと、非常に規模が小さいとかあるいは限定的であるとかいうことで、確かに
事業者
の範囲には含まれるけれ
ども
、個別の
事業者
単位で見ると必ずしも適用
対象
にする必要がないのではないかという
事例
も出てくると思うんですよね。そういう実態があると私は思うんですが、そういう実態があるとお考えになっているかどうかということと、そういう実態があった場合に、そういう場合にはどういう
対応
をするのか。いや、小さくとも範囲が限定されて、もう全部とにかくしゃくし定規に適用するんだという考えでいくのかどうか。ちょっと考え方をまず聞かせてください。
米田壯
76
○
政府参考人
(米田壯君) この
法案
では、その
対象
が、まず
対象
事業者
ということを特定をしまして、そしてこの
法案
に基づく措置をとっていただく
対象
業務
、その
対象
事業者
の
業務
の中でこの
法案
に基づいてとっていただく
対象
業務
、これを特定
業務
といいますが、ございます。さらに、
本人確認
でありますと、その特定
業務
の中で特定
取引
行う際に
本人確認
を行っていただくということで、順々に絞っておるわけでございます。 例えば、不動産業者について申し上げますと、これは特定
業務
が既にその宅地建物
取引
業者の行うもののうち売買関係
業務
ということでまず絞っておりますので、例えば賃貸の関係を中心とするような業者さんでありますとそれはそもそも入ってこない、特定
業務
にないということで、この
法律
の措置はほとんど関係ないということになります。 それから、いわゆる士業者につきましても、士業者の
業務
のうち不動産の売買、会社設立それから資産管理等の代理代行ということに特定
業務
は絞っておりまして、さらにそれの関係の委任を受けるところが特定
取引
と、こういうことになりまして、かなり実際の適用場面としては絞られるということになろうかと思います。 したがって、そういう、私
ども
がいろいろマネロンリスク等々考えてこれは必要だと思っております特定
業務
あるいは特定
取引
というものに該当しない、ほとんどやっていらっしゃるけど該当しないという
事業者
さんもいらっしゃると思いますけれ
ども
、それは時々はあるかもしれませんけれ
ども
、それは
記録保存等
の負担もそんなに重くはないだろうというように考えております。 いずれにしましても、私
ども
といたしましては、
業務
負担とかあるいは実行
可能性
ということも考えながら、所管の行政庁が窓口になりまして、十分
業界
の
意見
を入れながら、政令で絞っている部分もございますので、そういうものを立案の際には十分
業界
の
意見
も反映させながら
対応
してまいりたいというように考えております。
朝日俊弘
77
○朝日俊弘君 そうすると、今の御
説明
だと、
特定事業者
というふうに大きく、まあ網を掛けると言ったら変だけれ
ども
、枠を決めるけれ
ども
、具体的には特定の
業務
が何で、特定の
取引
が何でという形で絞り込んでいく作業はあると。それは今のお話でいうと、関係省庁ごとにいろいろ実態を把握し、あるいはどういう分類というかランク付けになるのかということを省庁ごとにやっていくということになるようなんですが、多分もう既にいろんな団体というか業者、グループから
意見
なり要望なりも寄せられていると思いますし、それらを各省庁ごとにいろいろと聴いて受け止めていただいて、これから具体的に
対応
していくということになると思うんですけど、ちょっとその手順というか段取りというのがどんなふうになっていくのかということと、その作業に
警察庁
はどんなかかわり方をするのかと、この点ちょっと御
説明
ください。
米田壯
78
○
政府参考人
(米田壯君) あくまで各
事業
所管官庁が窓口となり中心となるとは思うんですが、例えば、疑わしい
取引
のガイドラインあるいはこの
法案
に基づきます
政省令
、こういったものを作る際には、
一つ
は各所管官庁がまず原案を作って、そして
一つ
はその
業界
と調整をしていただくと。もう
一つ
は、全体の取りまとめ、それとマネロンの実態を一番把握しております
国家公安委員会
、
警察庁
において、これが果たして実効性があるのか、あるいは全体の公平性がどうなのかといった点からやはり
意見
を言わせていただくと。こういうようなことを経まして、なおかつ当然パブリックコメントも必要ですから、パブリックコメントも行って、そして立案、決定されていくというものであろうと考えております。
朝日俊弘
79
○朝日俊弘君 今の答えは次の答えとごっちゃになっていませんか。 私が今お聞きしたのは、これからお聞きするのは疑わしい
取引
の範囲の話をお尋ねしようと思っているんですけど、今お聞きしているのは、まず特定の
事業者
を枠組みを決めるでしょうと。その中で、じゃ全部が全部
対象
になるのかと言ったら、いやいや、それはある程度具体的に実態を見ながら除外していく場合もあるんですよという御
説明
をされた。その作業はどこでどんな手順でされていって、
警察庁
はそれにどのようにかかわるのかということをお尋ねしたんですよ。今の答えでいいんですかね。
米田壯
80
○
政府参考人
(米田壯君) 結局は、個々の
事業者
にどのような、何というか、具体的に措置をとっていただくとか、あるいはどの範囲がその
対象
業務
になるとか、そういった話でございます。 したがいまして、
政省令
を定めていく、あるいはガイドラインを作っていくということは、
手続
としては似たようなものになるんではないか。つまり、
業界
と調整をしつつ、そしてその全体のマネロンの実態を把握し、なおかつ全体の取りまとめをする国家公安、
警察庁
からの
意見
も反映させていただいてそして作っていくと、こういうことになろうかと思います。
朝日俊弘
81
○朝日俊弘君 そうすると、確認しますけど、その
対象
となるかどうかについても各省庁ごとに
政省令
で定めていくという
手続
が必要になるわけですか。
米田壯
82
○
政府参考人
(米田壯君)
対象
のところは全部をちょっと把握しているわけでございませんが、大体政令でございます。それからあとは、そうですね、
対象
業務
については政令でございます。
朝日俊弘
83
○朝日俊弘君 分かりました。 じゃ、それはそういうことと
理解
して、じゃ今の話とある程度重なってくるんじゃないかと思うんですけど、その次に、今日も
参考人
の皆さんからも大分やり取りをしましたが、
届出
が義務付けられる疑わしい
取引
の範囲の問題であります。 今日、
参考人
の方からも結構、疑わしい
取引
とは何ぞやということについて随分、
銀行
ではマニュアルというか具体的な
事例
などを示したパンフレットを作って勉強してもらっていると、こういう御
説明
もありました。御
説明
を聞きましたけれ
ども
、聞いてもやっぱり結構難しい点があるなという印象でした。 そこで、この疑わしい
取引
の範囲あるいはその判断基準、これをどういうふうに示していくのか。私は、それなりに
法律
なりあるいは
政省令
できちっと厳格に示していくべきであるというふうに私は思うんですが、一体この疑わしい
取引
の範囲あるいは判断基準についてどんなふうにその具体的な基準を示していこうとしてるのか、どういう作業で、手順でそれを作っていこうとされてるのか、是非これからの
取組
方も含めてお答えいただきたいと思うんですが、やっぱりかなり関係する業者からもこの点に関しても結構要望あると思うんですね。余り分かりにくくても困るし、逆に余り分かりやすくというか具体的にやるとそれ以外は駄目だということにもなりかねないし、結構難しいんじゃないかと思うんですが、どんなふうにされるおつもりですか。
米田壯
84
○
政府参考人
(米田壯君) まず、疑わしい
取引
の
内容
でございますけれ
ども
、これは
顧客
の属性あるいは
取引
の状況、その他
事業者
が保有しております当該
取引
に関する具体的な情報、これを総合的に勘案して、当該
事業者
において、この
法律
で定めております収受した財産が
犯罪収益
である疑い、それから
顧客
が
犯罪収益
の隠匿等を行っている疑いというのを判断していただくということになっております。これを
法律
あるいはその下位法令で細かく
規定
していくということは、これはこういう、何といいますか、
事業者
の知見、経験に基づいて判断をしていただくという、この現在の
制度
も含めましての
趣旨
とは少し異なることになろうかと思います。 ちなみに、今
金融機関
に対しまして
金融庁
からガイドラインが示されております。このガイドラインには注意書きが書いておりまして、かなり細かい要件、何といいますか、着目点を書いておるわけでありますけれ
ども
、これに注意書きが書いておりまして、これに当たるからといって疑わしい
取引
と必ず届けなきゃいけないというものではないし、逆に、これに当たらないからといって疑わしくないというわけでもないということになっておりまして、形式的に判断すべきものではなくて、あくまでそういうものを手掛かりにしながら、疑わしいかどうかということをそれぞれの
事業者
において
事業者
が持つ一般的な知見、経験に基づいて判断をしていただくと、こういう
制度
でございます。 したがいまして、そのガイドライン作りというのは大変重要でありまして、なおかつ、それは単に役所が考えるというんではなくて、
事業者
さんの方でこれが実行可能であると、これを目安にすれば判断可能であるということでなければならないわけでございますので、先ほ
ども
申し上げましたけれ
ども
、ガイドライン作りにおきましても各
事業者
の
意見
を十分に反映させ、なおかつ、やっぱりマネロン実態等の問題がありますので、私
ども
国家公安委員会
、
警察庁
の
意見
も言わせていただいて、そして各
事業者
ごとにその
事業
所管官庁において作られると、こういうことになろうかと思います。
朝日俊弘
85
○朝日俊弘君 そうすると、多分
法律
とか政令とか省令とかいうものにかちっと書きにくい面があって、それをあえて、しかし何もなしでは、判断基準がないでは困るので、従来
本人確認法
などではガイドラインという形で示してきたと。したがって、今回も、
特定事業者
の範囲は広がったけれ
ども
、それぞれの
事業者
ごとに
意見
を聴きながら、それぞれにこの
事業
についてはこんなガイドラインという、個別のガイドラインを作っていくんだというお考えと
理解
していいですか。
米田壯
86
○
政府参考人
(米田壯君) さようでございます。 各
事業者
ごとに相当事情というか
業務
の実態も違いますので、それぞれに作っていただくということになります。ただ、余りに、何といいますか、ガイドラインのレベルが違うということになっても困りますので、そこは全体を取りまとめる私
ども
からいろいろ
意見
を言わせていただきながら調整を図ってまいりたいと考えております。
朝日俊弘
87
○朝日俊弘君 そうすると、それで分かったんですけど、今日午前中の
意見
でも出ていましたけど、そういうことを何かもうちょっと
現場
にフィードバックしてほしいという
意見
があったんですよね。 だから、一応届け出る、それをいろいろいろんなところから情報を
FIU
が集める、その中でやっぱりそうだったのかというのと、いや、全然違っていたというのとあると。それについてはフィードバックして、場合によってはガイドラインそのものを作り直すというか、よりいいものにするというか、そういう作業も必要だと思うんですけれ
ども
、その辺はどうでしょう。
米田壯
88
○
政府参考人
(米田壯君) 私も
金融機関
の方と公式ではないんですがお話をさせていただいておりますと、やはり自分たちが一生懸命届け出ると、しかしそれがどのように役立ったか分からないというようなこともお伺いをしておりまして、このフィードバックというのは是非やってまいりたいと思っております。 この
法案
の第三条に、
国家公安委員会
の責務として、疑わしい
取引
の手口の情報、これを各
事業者
に提供するという
規定
も置いておりまして、これは個別に、あなたの提供した
届出
が個別にこの事件の検挙につながったというようなフィードバックの仕方がよいのかどうか。これは、いろいろ
秘密
の問題もあり、かえってその
事業者
さんの方が何らかの、何といいますか、報復というか、そんなことの心配もあるわけですから、どの程度具体的なものをフィードバックするかということは、これはまたよく検討させていただきますけれ
ども
、いずれにいたしましても、
事業者
へのフィードバックというのは大変重要なことで、やってまいりたいと思っております。
朝日俊弘
89
○朝日俊弘君 是非、そういう御
意見
もございましたので、受け止めていただければと思います。 じゃ次に、今は疑わしい
取引
の
届出
のお話でしたけれ
ども
、今回新たに、
弁護士
を始めとするいわゆる士業の皆さんにも
特定事業者
として位置付けるということになっているわけですけれ
ども
、この疑わしい
取引
の
届出義務
に関しては、そこは課さないと、義務は、その部分は課さないと、こういうことになりました。 この点については、いろいろ様々な
意見
というか経過があってこういう結論に達したんだと思いますが、大事なところですので、ここは何ゆえ課さなかったのか、
国家公安委員
長にお尋ねします。
溝手顕正
90
○
国務大臣
(溝手顕正君)
弁護士
による疑わしい
取引
の
届出
という点に関しましては、法務省等の御
協力
も得ながら、守秘義務の範囲には変更を加えないということ、あるいは
届出
も
日本弁護士連合会
に行うということなどの条件を付けまして、
依頼者
との関係に十分配慮した仕組みを当方で考案、検討して公表してきたところでございますが、
日本弁護士連合会
から、なお
依頼者
との関係において与える影響につきまして懸念が示されたということでございまして、その点を踏まえまして、これらの点については引き続き検討していく余地があるだろうと、必要があるだろうという判断をしたと。我々の提案について必ずしも一〇〇%受け入れられることはなかったということで、引き続き検討をする必要があろうという判断を我々サイドでしたわけでございます。それで本法から除外をするという結論を出したところでございます。
朝日俊弘
91
○朝日俊弘君 もう少しきっぱりと言われるかと思ったら、引き続き検討していくというお答えで、これはまた問題を引きずっちゃいそうだなという気がちょっとしたんですが、続けます。 そういうことで、
届出義務
を課さなかったわけですが、ところが、しばしば根拠とされております
FATF
の
勧告
の中では明確に、
弁護士
とか公証人とか会計士とかも義務付けられるべきであるというふうに明記されているんですよね。昨日のお答えでは、我が国も
FATF
には主体的に参加して
意見
を述べてきたと、こういうことですから、多分我が国もそういう考え方に賛同してきたんじゃないかと思うんですね。 その明記されている
FATF
の
勧告
を受けて、昨日お話を伺った
政府
が定めた行動計画の中では、わざわざ
FATF勧告
の完全
実施
に向けた
取組
と書いてある。私、完全
実施
という言葉が非常に印象的でして、完全
実施
するとなるとどうなのかなと、今回の
法案
は。この辺の関係をどう
理解
したらいいのか、まだいまだにすとんと落ちていないんですが、どう
理解
したらよろしいでしょうか。
溝手顕正
92
○
国務大臣
(溝手顕正君)
弁護士
とかその他の士業者については、もう一点、本法の
特定事業者
として位置付けられるわけでございまして、本人の確認及び
取引
記録等の措置を行うことになるわけでございます。 このことによりまして、例えば偽名などを使ってこれらの士業者を利用したり
取引
を行うことにより
犯罪収益
の隠匿を図っていくということは困難になるなど抑止効果はあるほか、一定の
取引
記録等が保存されることにより、より効果的な
犯罪収益
の追跡、剥奪、被害回復が可能になるなど、
金融機関
その他の
特定事業者
による措置とも相まってかなり実効的な
犯罪収益
対策
が確保されるものではないかと考えているところでございます。 すとんと落ちないというところなんですが、
弁護士
その他の士業者の疑わしい
取引
の
届出
につきましては、
日本弁護士連合会
から懸念が示されているということを踏まえて引き続き検討していく必要があると考えておりますが、将来、疑わしい
取引
の
届出義務
の
対象
に加えるんだという、結論ありきという考え方は我々は持っておりません。 当然のことながら、今回の
法律案
における士業者の取扱いについても、その前段階として位置付けているわけではないということは申し上げておきたいと思います。
朝日俊弘
93
○朝日俊弘君 しつこいですけれ
ども
、もう一問。 もちろん引き続き検討されるわけですから、あらかじめ結論ありきではないと、これは当然のことだと思うんですが。ただ、
FATF
というところは、定期的にというか、
相互審査
をすると。いつごろまた
相互審査
があるのかちょっとお聞きしたいんですけれ
ども
、この
相互審査
の場合にレポートを出すと。
勧告
と比べてここがこうだこうだと、かなり厳しいレポートが出るようなんですね。 私は米国に出された
相互審査
のレポートを見せていただいたんですけど、仮訳ですから間違っているかもしれませんけど、そこでもやっぱり、
弁護士
等について
届出義務
を課すと、もっとはっきり内報条項の
対象
とすべきと、こう言った上で、疑わしい
取引
を報告した場合の免責について考えましょうと、こういうレポートが出されているんですよ。 とすると、当然、我が国も近々
相互審査
という
機会
があるだろう、そこで改めて
相互審査
のレポートでこうだと、こう言われたら、これはそうせざるを得なくなっちゃうんじゃないかという心配があるんですが、どうですか。
溝手顕正
94
○
国務大臣
(溝手顕正君)
FATF
による我が国に対する
相互審査
の件でございますが、これは今年の秋以降を予定していると想定されておりますが、実際、それから数か月後ということですから、結果というのは来年の今ごろになる、一年後ぐらいになるのかなという予想はしているところでございます。
相互審査
においては、本
法案
の成立、施行により我が国の
マネーロンダリング
の、あるいは
テロ資金対策
が大きく前進したということを強調してまいりたいと思っております。 なお、
弁護士
その他の士業が
届出義務
の
対象
外になったことについては、何らかの指摘を受けると思います。したがって、
日本弁護士連合会
は自主的な
取組
もしていただいていることも含めて、我が国のこういった施策の前進について御
理解
をいただけるよう努力をしてまいりたいと考えております。 更に加えますと、本案の成立によりまして、我が国の
マネーロンダリング
及び
テロ資金対策
は
FATF
の
勧告
のかなり重要な部分には
対応
しているということになり、それ自体は大きな成果を上げたというように我が方では認識しているところでございます。 精神論として、我々はそれにとどまらず不断の努力をしていくこともあえて申し上げて御
理解
を賜りたいと、このように思っております。
朝日俊弘
95
○朝日俊弘君 今のお答えは、そのとおり受け止めたいと思います。 今日、午前中の
参考人
からも、
松坂参考人
の方から、もし必要であるならばそういう
機会
に我々も出てちゃんと反論したいと、こうおっしゃっていましたので、そんなことも含めて、念頭に置いて
対応
されることを求めておきたいと思います。 それでは次に、
弁護士
さんについては
身元確認
とか記録保存について特段の
規定
を定めずに
弁護士会
の会則にゆだねると、こういうことにしました。それは何でだろうと。違った側面から見ると、何で
弁護士会
だけはそうして、ほかの士業の方はそうしなかったのかなというふうに思うんで、この点についてちょっと御
説明
ください。
米田壯
96
○
政府参考人
(米田壯君)
弁護士
を含みます士業につきましては、疑わしい
取引
の
届出
を除外をしているということでございます。 その中で、
弁護士
とその他の士業の違いでございますけれ
ども
、これは監督官庁というものがあって、その監督に服しているのが
弁護士
以外の士業、
弁護士
につきましては
日本弁護士連合会
がございますが、
日弁連
はどこの役所の監督も受けていないと、極めて高度の自治を保障されているという、そういう
存在
でございます。したがいまして、この
弁護士
につきましては、
本人確認
、それから
取引
記録の保存というものにつきましては、その具体的な規範を
日弁連
の会則にゆだねると、こういうふうにしたものでございます。
朝日俊弘
97
○朝日俊弘君 いや、それで二つ目の質問、何でほかの士業とは違うんだろうと。私は素朴に、
弁護士
さんにしろ税理士さんにしろ会計士さんにしろそれなりに、何というか、それぞれの専門家団体としてそれなりの自治を与えられている職能団体だと私は
理解
しているものだから、何で
弁護士
さんだけが特別扱いになるのかよく分からないんだけど、その
理由
は何ですか。
米田壯
98
○
政府参考人
(米田壯君) 他の士業の方は、これはそれぞれの行政官庁の監督にふだんから服しております。そこはもう全然自治の形態が違いまして、そういうどこの行政官庁の監督にも服していない
弁護士
と、それぞれ、例えば
司法
書士であれば法務大臣、行政書士であれば都道府県知事、税理士は財務省ですし、公認会計士は
金融庁
ですけど、そういうふうにすべてそういう監督下にある士業と、そしてそういう監督下にない
弁護士
というものは、おのずからやはり区別されてしかるべきであろうと思っております。
朝日俊弘
99
○朝日俊弘君 そうすると、それは
現行
の資格法というか
法律
上そういう扱い、定めの違いがあるからそれに
対応
したまでと、こういうことのようですので、そのように
理解
をしておきますが。 そこで、
日弁連
さんがこの三月に、規約というか
規程
というか、会則とおっしゃったかな、
会規
とおっしゃったかな、を定められたということで具体的な
ペーパー
を見せていただきましたけど、ちょっと細かい点で恐縮なんですが、その中の
本人確認
と記録の保存というところの記録の保存期間が五年というふうに定めてあるんですよね、
会規
の中では。今日もお尋ねしたんですけど、
本人確認法
とか、従来の我が国の
法律
では時効の関係もあって七年というふうに保存期間を定められているということで、二年の差があるんですよ。これ、たまたまこの二年に挟まっちゃったらまずいなと思うんですけど、この点はどうお考えですか。
米田壯
100
○
政府参考人
(米田壯君)
日弁連
が三月一日付けでお決めになられました
規程
は、これは
会規
ということで、会則から委任を受けた
会規
ということでございまして、現時点ではこれは
日弁連
が自主的に自分たちの中のことをお決めになった自主的な単なる規範であると。ただ、この
法案
の当該部分が、これは後段施行の部分でありますけれ
ども
、施行がされればこの
法律
の中に位置付けられまして、
司法
書士等の例に準じて
日弁連
が会則で定めるところにより
本人確認
とか
取引
記録保存が行われる、その会則に当たるということになろうかと思います。 まず現在の、
現行
本人確認法
でこれ七年と決めておりますのは、先ほど
委員
が御指摘のように、
テロ資金供与
等の罪の公訴時効が七年であること、あるいは実態的にやはり
犯罪
が五年を超えてから摘発をされるというようなこともあるものですから従来七年と定められておりまして、今回の
法案
でも七年というように、そのように
規定
をしたものでございます。
日弁連
が三月一日に定めました
会規
につきましては、おおむねこの
法案
の
趣旨
に沿っているものと認識はしております。ただ、これは詳細に見てみました場合、例えば御指摘のような点もございます。ただこれは、この
法案
の後段の部分が施行された後、そうすると、それは例に準じた、ここにいう会則としての要件を満たしているのかどうかというような問題は、これは単に例えば五年か七年かというような形式的なものではなくて、やはり
弁護士
の
業務
実態等をよく見た上で合理的に
説明
できるのかどうかというような点であろうかと思います。 いずれにしても、これはまず
日本弁護士連合会
において御検討されるべきことではなかろうかと考えております。
朝日俊弘
101
○朝日俊弘君 いや、私も形式的に五と七と違うからどうするんだと言うつもりはないんですけど、
日弁連
さんがお決めになったことについてそれはそれで尊重しなければいけないし、今日も、いや
FATF
の
勧告
では五年以上となっているんだからいいんだと、こうおっしゃっていたので、それはそれでそれなりの論拠があるのかなと思うんですが。ただ、
可能性
としては、ちょうどたまたまずれた二年のところにある出来事が起こってしまってはまずいなという気は残るんですよね。だから、ちょっとこれは今後の検討
課題
なのかなというふうに私は思っています。また、しかるべき
意見
交換の場があれば、十分そこのところは
意見
交換の
一つ
の
課題
にしておいていただいた方がいいかなというふうに私は思います。 さて、その次に、今日は法務省にも来ていただいていると思うんですが、先ほどの議論とちょっと重なるんですが、要するに
弁護士
さんとほかの士業さんとの違いの問題について若干、もう一遍くどいですけれ
ども
、お尋ねします。 今回、
弁護士
さんたちは、疑わしい
取引
について
届出
をしなくてもよろしいと、こういうことにはなっているんですが、当然、さはさりながら、
弁護士
さんが
職務
上かなりこれは問題だというような
事例
に当たることもあるでしょう。むしろ、これは捜査当局にもうやむを得ず届けざるを得ないという
事例
もあると思うんですね。 そういうせっぱ詰まったそういう事情があったときに、片っ方で
弁護士
としての
秘密
保持の問題、守秘義務の問題に違反じゃないかと、こういうふうに問われちゃうと板挟みになっちゃうことがあり得ると思うんですけど、そういうことについて免責というのか回避というのか、この辺のことを法務当局としてはどのようにお考えか、お聞かせください。
菊池洋一
102
○
政府参考人
(菊池洋一君) まず、今
委員
から御指摘のありましたとおり、
日本弁護士連合会
では、今年の三月一日に
会規
、
依頼者
の
身元確認
及び
記録保存等
に関する
規程
というのを自主的にお定めになったというふうにお聞きをしております。その中で、ただいま御指摘のあったとおり、
弁護士
の方は、
法律
事務
という仕事の
依頼
を受けようとするときには、
犯罪収益
の
移転
にかかわるものであるかどうかをまず第一に慎重に検討しなさい、それから、
犯罪収益
の
移転
にかかわるものであると判断したときには
依頼
を受けてはいけませんと、さらに、
依頼
を受けた後に気付いたときには、
依頼者
に対して違法であるということを
説明
して違法な行為をしないようにという
説得
をしなければいけない、
依頼者
が
説得
に応じない場合には
弁護士
さんは
辞任
をしなければいけないと、そういう
会規
を定めて
対応
をしているというふうにお聞きをしております。 お尋ねの点は、例外的な場合、
弁護士
さんは進退窮するではないかという点でございますが、これは
弁護士
法という
法律
の中に、「
弁護士
又は
弁護士
であつた者は、その
職務
上知り得た
秘密
を保持する権利を有し、義務を負う。」という定めがございまして、一般には
弁護士
の守秘義務というふうに言われているものでございます。すなわち、
依頼者
は
弁護士
さんのところに行きまして、トラブルに巻き込まれているんでしょうからいろんなことをお話しになると。そうすると、
弁護士
さんは
依頼者
の
秘密
を知る
機会
が多い。しかし、それを正当な
理由
もなく第三者に漏らしては、
弁護士
としての
業務
もできませんし、
依頼者
も困るということでございます。 ただ、今申し上げました
弁護士
の守秘義務を定めた条文は、正当な
理由
があれば
秘密
を開示しても構わないというふうに一般に解釈されておりますし、現に、高等
裁判所
レベルでございますが、
裁判所
でもそういう判断が判決の中で示されております。正当な
理由
がどんな場合かというのは、これは一概になかなか申し上げることはできませんで、個々の事実関係いかんでございますけれ
ども
、この点について解説してあります
法律
の本などを見ますと、ただいま
委員
御指摘のような正にそのようなケース、すなわち
依頼者
の
犯罪
行為の意図が明確であること、そしてその
犯罪
行為を行うということが差し迫っているということ、さらに
犯罪
をした結果が極めて重大であって
秘密
を開示することが不可欠であると、そういった場合が正当な
理由
がある場合の
一つ
の
事例
というふうに示されているわけでございます。 したがいまして、
現行
法の今申し上げました解釈を
前提
にすれば、
委員
御指摘の御懸念はそれほど心配はすることはないんではないかというふうに私
ども
としては
理解
いたしております。
朝日俊弘
103
○朝日俊弘君 分かりました。今日、
参考人
も全く同じことを述べられておりましたので、それはそれで
理解
いたしました。 そこで、今は
弁護士
さんの話なんですが、
弁護士
さん以外の士業についてはどうなっているんだろうか。当然、同様の配慮があってしかるべきと私は思うんですけど、まあ
一つ
一つ
聞いていても切りがありませんから、例えば
司法
書士さんの場合は今御
説明
のあったような
弁護士
さんについての考え方というか
法律
の解釈というか、いうことと同じように考えていいのかどうか、この辺についても重ねて考え方をお示しください。
寺田逸郎
104
○
政府参考人
(寺田逸郎君) 結論から申し上げますと、同様にお考えいただいてよろしいと考えております。
司法
書士の場合には、同様に守秘義務の
規定
が
法律
上置かれております。むしろ、
弁護士
法と異なりまして、そもそも正当な事由がある場合でなければ
業務
上知り得た
秘密
を漏らしてはならないという、正当な事由が除外されているというそういう
規定
ぶりになっておりますので、今、司
法法制部長
の方から
弁護士
法の解釈について述べられたことはむしろ明文上明らかであり、その適用の範囲も恐らくは同様というように考えているところでございます。 なお、この点につきましては、
司法
書士会の団体、
司法
書士会の
連合会
等とも十分な打合せを今後して、適用について明らかにさせていただきたいと考えているところでございます。
朝日俊弘
105
○朝日俊弘君 ありがとうございました。もちろん、具体的な
事例
の判断については、場合によっては裁判による判断を求めざるを得ない場合もあるかもしれませんけど、
規定
として、あるいは解釈としてそのような解釈が成り立つということをお聞きしました。 そこで、最後にこの
法律
の検討
規定
について伺います、何かまだ
法律
ができ上がっていないのに検討
規定
聞くのもおかしな話ですけど。 この
法律
の最後の附則のところに、
法律
の
実施
状況とかあるいは国際的動向とかを勘案して必要な措置を講ずると、こういう書きぶりをしてあるんですね。これはまあ余り気にせずにさらっと読めばさらっと読めるんですけど、しかし国際的動向というところを気にすれば気になるんですね。この検討条項の書きぶりについて若干の御
説明
をいただければ有り難いと思います。
米田壯
106
○
政府参考人
(米田壯君) この検討条項は、規制改革・
民間
開放推進三か年計画、これ閣議決定でございますが、これにおいて必ずこの検討条項を置くようにということになっておる、その例によりまして置いておるものでございます。ですから、特別な何か意図があるというわけではございませんけれ
ども
。 具体的には、国際的動向というのは当然やっぱり
FATF勧告
というようなものが今後どのように改定されていくのかというようなことは当然入るでしょうし、また
国内
におきましても、本法の
特定事業者
以外の
事業者
が
犯罪
による
収益
の
移転
に著しく利用されているような実態が出てくるとか、そのようなことを勘案をいたしまして、この
法案
の
内容
についてもまた検討していく必要が生じてくるということもあり得ると、こういうようなことを考えております。
朝日俊弘
107
○朝日俊弘君 ありがとうございました。以上で質問を終わります。 最後に、お願いをして終わります。 昨日も繰り返し申し上げましたけど、確かに
FATF
という国際的な組織があって、何かタスクフォースというんだそうですね、そのところからいろいろな提案なり
勧告
が出されると。しかし、それは我が国が受け身でいただくばっかりではなくて、むしろその
FATF
の活動に我が国が主体的に参加をしているんだということでありますから、これからも様々な国際的動向について、一方的にというか受け身的に受け止めるだけではなくて、主体的にどう参加するのかというスタンスで
対応
していただきたいと、こういうことを望んで、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
白浜一良
108
○白浜一良君 若干の時間をいただいておりますので、
質疑
をさせていただきたいと思います。 何回も
説明
はされておりますが、
FATF
ですか、の
勧告
を受けてこの
法律
が出てきているわけでございますが、従来
金融庁
に
FIU
がございましたが、今回
国家公安委員会
に所属替えされると。 何か三十一か国で、聞きますと、十七か国は
捜査機関
にそのような機関があって、あと十四か国は
金融機関等
にあるというふうに伺っておりますが、日本の場合は、
国家公安委員会
に所管された、新しい
体制
をですね、
法律
の体系としても作られたということでございますが、その背景と、どのようなそういう
体制
変更で効果があるのかと、概括的にまず御
説明
いただきたいと思います。
米田壯
109
○
政府参考人
(米田壯君) 今回、
FIU
を
国家公安委員会
、
警察庁
の方に
金融庁
から移管をするという判断は、これは内閣官房が中心となりまして
政府
として行ったものであります。 これまで
FIU
が
金融庁
に置かれておりましたのがそもそも
対象
事業者
が
金融機関等
であるというようなこともございましたが、今回
金融機関
以外にも
対象
業種が拡大をされるというところを契機といたしまして、暴力団その他の組織
犯罪
対策
、それからテロ
対策
等に中核的な
役割
を担っております
国家公安委員会
、
警察庁
にその機能を移管することが適当であろうと、こういう判断がなされたものでございます。
国家公安委員会
、
警察庁
が
FIU
機能を担うということになりますと、
一つ
は、暴力団、テロ組織、大量破壊兵器関連物資等に関する資金源
対策
の推進強化、それから関連する情報や専門的知見を活用した分析、そして国際捜査共助等の経験を生かした外国機関との
情報交換
の促進、こういうようなことが推進されていくだろうと考えております。
白浜一良
110
○白浜一良君 せっかく公安
委員会
の下に置かれるわけでございますから、実効性が高まるように期待をしておきたいと思いますが。 それで、今回、いわゆる
業界
の、業種も増やされたわけでございますが、大方、
業界
に所属されているような団体はいいですよね。だけれ
ども
、今回業種が広がりまして、その業種によりましては必ずしも
業界
団体に参加されていないというケースもありますよね、これ。そういう個別的な業者の方にもやっぱり本法の
趣旨
、徹底をする必要はあると思うんですが、この辺の実効性を高めるために、それを所管されているいろんな省庁との連携をどのように取られていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
米田壯
111
○
政府参考人
(米田壯君) それぞれの業につきましては、それぞれの
事業
所管行政庁において監督をし、実績を上げていくということになるわけでございますけれ
ども
、私
ども
の方でも、
犯罪
捜査その他の
警察
活動により掌握をいたしましたその業の実態というものは、その行政庁にお知らせをすると。あるいは、
国家公安委員会
自身にも行政調査の権限がございますので、そういうようなものも活用して、悪質な業者については、その所管行政庁と連携をして業の適正が図られるように努めてまいりたいと考えております。
白浜一良
112
○白浜一良君 それで、私、今言いましたように、
業界
に入ってない業者いるでしょう。この辺は当然、直接の所管じゃないんでどうこうとは言えないんでしょうけれ
ども
、それぞれ所管されている省庁がどうされるのか。これ具体的に何か
取組
やらないと、そういう
業界
に入っていらっしゃらない業者の方が悪質な方が多いかも分かりません。ということで、その辺の具体的な
取組
は特段何かお話合いはされているんでしょうか。
米田壯
113
○
政府参考人
(米田壯君) 確かに、今回
対象
事業
になるものの中には、その業法がない、さらには
業界
もないというものもございます。これにつきましては、もちろんそれぞれ所管行政庁が責任を持っておるわけでございますけれ
ども
、先ほ
ども
申しましたとおり、私
ども
も、
警察
活動を通じての実態把握の中で、どこにそういう業者があり、どういう悪質な業者がいるということは把握できると思います。したがいまして、相
協力
してその業の実態をよく把握して、そして監督に遺漏がないようにしてまいりたいと考えております。
白浜一良
114
○白浜一良君 その辺、具体的に話合いを詰めていただきたいと思います。 それから、先ほ
ども
お話合いございましたが、
弁護士
とか
司法
書士とかが今回
届出義務
を外されたということなんで、
弁護士会
は所管省庁がないのでそういう
規程
、自主ルールを決められたと、こういうことでございますが、あとの税理士会とか会計士会もそうでございますけれ
ども
、それは所管はあるんですけれ
ども
、所管省庁はあるんですけれ
ども
、
届出義務
を除外されたんで、そういうところも何らかのそういう自主ルールを本来決められるべきだと思うんですけれ
ども
、これいかがでしょうかね。
米田壯
115
○
政府参考人
(米田壯君) 必ずしも私
ども
で各所管行政庁とそれぞれの士業あるいは士業団体との、何というか、やり取りを把握しているわけじゃございませんけれ
ども
、引き続きまして、その各所管行政庁につきましては、この
制度
の
周知
を図りながら、これらの士業者が
マネーロンダリング
に利用されることがないように、各
業界
による自主的な
取組
が行われるように働き掛けていくものというように承知をしております。 当然、私
ども
といたしましても、
マネーロンダリング
の実態、あるいはテロ、組織
犯罪
の実態等々を、所管行政庁にそういう情報を還元することによりまして後押しをしてまいりたいというように考えております。
白浜一良
116
○白浜一良君 それから、当然、
対象
の業種が広がりまして、
金融庁
から公安
委員会
に来たと。そのいわゆる
事務
局でございますけど、担当されているんですね。当然スタッフも増える、増やさなきゃならないと。先ほど予算の話、予算だけのお話ございましたけれ
ども
、その辺の
体制
、人員
体制
の強化ですね。その辺はいつまでにどの程度というような目標というか、決めていらっしゃるんでしょうか。
米田壯
117
○
政府参考人
(米田壯君)
平成
十九年度予算におきまして、先ほどお答えしましたお金の問題だけではなくて、増員あるいは組織につきましても認められております。 移管後の
FIU
の
体制
につきましては、課長級を長とする約四十名の
体制
の組織でまずこれを担当するということにしてございます。現在、
金融庁
に置かれております
FIU
の
体制
はこれは課長より下の室長以下で十七名でございますんで、そういう意味ではかなりの
体制
強化になろうかと思っております。 ただ、主要各国の
FIU
は、アメリカのFinCENだと二百九十名、
イギリス
だと二百名ということで、大体三けたの人員を持っているところが多いわけでございます。この辺は、そういう諸外国の例も
参考
としながら、今後、移管後の状況をいろいろ踏まえまして、更に
体制
については検討を続けてまいりたいと考えております。
白浜一良
118
○白浜一良君 それから、先ほど御質問したことと関連するんですけれ
ども
、
金融機関
の場合は先行していますので、いろんな意味でガイドラインができているわけですね。今回、業種が広がりまして、他業種にもやっぱりガイドラインが必要だと思うんですが、これはまあその所管の省庁とのまた話合いということにもなるんですけれ
ども
、こういう具体的なガイドラインの作成という面では話が具体的に進んでいるんでしょうか。
米田壯
119
○
政府参考人
(米田壯君) 各省それぞれ個別の
業界
といろいろお話はされていると思いますけれ
ども
、いずれにしても、この新規
対象
事業者
の部分の施行までにガイドラインを
業界
とよく話し合って作っていただくということが大切ではないかと思っております。 その際、
業界
の
意見
をよく聴いていただくとともに、私
ども
から、やはり
マネーロンダリング対策
のレベルの問題がありますし、それから各
事業者
間の負担公平といった問題もございますので、その辺は私
ども
からも
意見
を言わせていただくということで、よく
業界
、それと
政府
内部の調整を通じまして詳細なガイドラインが策定されていく、いくといいますか、私
ども
もそれを後押ししてまいりたいというふうに考えております。
白浜一良
120
○白浜一良君 よろしく推進をしていただきたいと思います。 それから、これも先ほどお話にあったんですが、三条一項ですか、手口情報の提供というのがありますね。当然、そういう手口情報を提供されるということもこれ大事なんですが、その手口情報の提供が逆に悪用されてしまうというか、その情報を受けて、そういうケースもあるわけで、そういう面では、これは一般的な
事例
であると思うんです。個別ケースをおっしゃるわけじゃないんで、そういう面では心配ないんですけれ
ども
。一般的なそういう手口の情報提供ということであっても、そういう情報が逆に悪用される。悪意を持った特定業者というのはありますよね。その辺の情報管理ということも一方で大事なんですが、この辺の関係というのはどうなんでしょうか。
米田壯
121
○
政府参考人
(米田壯君) 大変悩ましい問題でございまして、この手口情報提供だけではなくて、そもそも
警察
がいろんな
犯罪
に関する情報を一般にどのように提供してどのように知っていただくかというようなときに常に悩むといいますか、問題になる問題でございますけれ
ども
、先ほど
委員
御指摘のとおり、やはり情報提供の方法とか
内容
を工夫しながら、その均衡といいますか、何とか適切に提供ができるように図ってまいりたいと思っております。 いずれにいたしましても、我が国の
マネーロンダリング
それから
テロ資金対策
のレベルを上げるためには、国民の
理解
、それから各
事業者
の
協力
というのは不可欠でございますので、積極的に情報を提供してまいりたいと考えております。
白浜一良
122
○白浜一良君 それから、情報管理という面で、いろんなこの疑わしい
取引
の情報がこうばっと集まってくるわけでございますが、その集まってくる情報をしっかり逆に流出せぬように管理するということもこれ大事なわけでございますが、来年度予算の中で
FIU
の関連予算が八億七千五百万ですか、その中でそういう情報管理という意味での要素、中身、こういうものは含まれているんでしょうかね。
米田壯
123
○
政府参考人
(米田壯君) 先ほど申しました八億七千万円、そのうちのシステム関連予算が大体七億三千万円でございます。当然、この中には情報管理
対策
も入っておるわけでございますが、これをなかなか切り分けるというのは難しいわけでございます。 ちなみに、どういったことを考えておるかといいますと、まず、その生体認証、指紋等の生体認証による使用者の制限、各種情報に対するアクセス制限、それから端末操作の履歴の保存、アクセス記録の保存、情報の暗号化、不正プログラム
対策
、そういった
対策
を講じることといたしております。 ただ、それ以外にも施設面にもいろいろ工夫を凝らすセキュリティーもございますので、なかなかその全体で幾らというのはちょっと出すのは困難でございます。
白浜一良
124
○白浜一良君 別に、そういう切り分けておっしゃってもらう必要はないんで、ちゃんとされていたらそれでいい話で、全体のシステムとしてですね。 これ、なぜこんなことを言うかといいますと、何か先日、個人のパソコンか端末のパソコンか知りませんけれ
ども
、ある
警察
で、いわゆる同僚の情報を全部抜き取られたという事件がございましたですよね。だから、その捜査の経緯、どういう情報だったのか私は知りませんけれ
ども
、簡単にそういう同僚が抜き出せるような情報管理じゃとてもじゃないけどこれは駄目だと、そういう意味で私は申し上げたわけでございまして、これは御担当じゃないかも分かりませんが、
警察
全般のそういう情報のセキュリティー、情報管理のセキュリティー、これはしっかりやるようになっているんですかね、これ。
溝手顕正
125
○
国務大臣
(溝手顕正君) 今のは山梨県の件だと思いますが、今まで分かったところによりますと、パソコンを使っている
警察
官が使っていたインサートする何かデータですね、それを同僚が盗んだという話でございます。この問題がいろいろ、何というんですかね、示唆する問題は大きいと思うんですが、泥棒をするのをやめさせるというのはこれは大変難しいだろうと思います。それはまあそんなことを言ってはおれないんですが、ただシステムとしては、今、内閣官房で行われた
評価
結果によりまして、
警察
もかなり悪い指摘をされているというようなことがあるので、懸命になって今
対策
を取っているところでございますが、まだここではっきりいつからと言うことは、公表できないのが非常に残念なんですが、もう三月の中旬から既に一部は開始しておりますが、暗号による情報管理をシステムとして、プログラムとしてほぼ完成しておりますので、これを中央、地方、全面的に導入をしていこうと。だから、これは取っても解読できないということを含めてかなりの効果が上げられる、年度内には勢いが付いておおむね進み始める
体制
ができるんではないかと、このように思っているところでございます。
白浜一良
126
○白浜一良君 しっかり
対応
をお願い申し上げたいと思います。 それから、これは本法とは直接関係ないんですが、ちょっと関連してお伺いしたいのは、二〇〇四年の十二月、テロの未然防止に関する行動計画を策定されているんですが、そのときに、今後の継続すべき検討
課題
ということで、大変難しいんですけれ
ども
、三つ挙げていらっしゃるんですよね。
一つ
はテロの未然防止
対策
に係る基本方針に関する法制、二つ目はテロリスト及びテロ団体の指定
制度
、三つ目がテロリスト等の資産凍結の強化、これが継続して検討すべき項目だと、関係省庁と検討をするということになっているんですが、これは二〇〇四年の十二月の話でございますが、この点はその後どういう経過にあるか、御
説明
いただきたいと思いますが。
溝手顕正
127
○
国務大臣
(溝手顕正君) 御指摘のとおり、個別法がぱらぱら出てきて、基本の問題がしっかりしてないじゃないかという御指摘については全くそのとおりだと思います。 昨日ですか、朝日
委員
の指摘、同じような御指摘をいただいております。
平成
十六年十二月において
政府
で決定いたしましたテロの未然防止に関する行動計画というのがありまして、それに基づきまして、テロの未然防止の
重要性
や関係機関や国民の責務等に関して定めることを
目的
としたテロの未然防止に関する法制については、
政府
としては検討を行っているところでございます。 当方としましては、関係省庁が多岐にわたるということなんで、
政府
が一体になって検討を進めるべきだと、早急に進めるべきだという主張をいたしておりますし、この検討に対しては積極的に参画をしてまいりたいと、このように思っておるところでございます。
白浜一良
128
○白浜一良君 それぞれ大きなテーマなんで、それで、日本のような島国というか歴史的にそういう繊細さはないんですよね、危機管理という面では。だけれ
ども
、オウム事件のようなこともございましたし、しっかりした
体制
づくりをやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。 最後に、今朝、
銀行
協会
と
弁護士会
から
参考人
来ていただいて、
意見
聴取をやったわけでございますが、これ通告してないんですけれ
ども
、大臣、簡単なことですから。 二つ
銀行
協会
から要望がございまして、
一つ
は朝日先生がおっしゃったことなんですけれ
ども
、いわゆる
事例
をできるだけ教えていただきたいと
一つ
は申しておりました。それは何というか、フィードバックという意味だけじゃないと思うんですね。いろいろな
事例
が分かればチェックしやすくなる、
現場
が、そういう意味だと思いますが。 もう
一つ
おっしゃったのは、
法律
がこれ成立しましたら、その後
政省令
を決めていかれるんですが、今でも
銀行
はそれぞれ
本人確認
、それからいわゆる疑わしい
取引
の
届出
やっていますよね。で、
政省令
作られるんでしょうけれ
ども
、これ以上
事務
量が多くならないようにしてほしいという切実な要請が、この二点ございました。 せっかく
参考人
から御
意見
聴きましたので、それに対する所感を聞いて質問を終わりたいと思います。
溝手顕正
129
○
国務大臣
(溝手顕正君) 第一の点ですが、その
事例
の問題、情報の、さっき部長が答えたそういう面は確かにないことはないんですが、出した方がやっぱり出して良かったというようなことは
対応
しなくちゃいかぬだろうと思いますので、
事例
集というか、こういうことで効果があったんだということについて、我々、積極的に受け止めていく必要があろうかと思います。 それから、作業量が増えるということについては全くそのとおりでございますが、私個人の念願としては、振り込め詐欺というのが、
マネーロンダリング
を含めて、いろんな
金融庁
の
届出
が十一万件に及ぶという、数に及んだ大きな
理由
の
一つ
だろうと思いまして、これはかなり沈静化をしてくるんだろうと思います。こういう仕事自体は暇であれば暇であるほどいいわけでございまして、我々としてもしっかりこの問題に取り組んで、
業界
に迷惑を掛けることがないようにこれからも頑張ってまいりたいと、このように考えております。
白浜一良
130
○白浜一良君 終わります。
亀井郁夫
131
○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございます。最後でございますので、もうちょっとよろしくお願いしたいと思います。 この前は時間がなくてちょっと質問できなかったことを一、二質問して、本日の問題に移りたいと思いますけれ
ども
。 まず
最初
に、本年度は三千名ぐらい
警察
官を増やしていきたいということが言われたわけですけれ
ども
、非常に結構なことだと思うけれ
ども
、検挙率がなかなか上がらないと。三〇%ぐらいにちょっと上がっているけれ
ども
、まだまだいかぬという状況ですし、
警察
にしても
犯罪
が増えたんじゃ困るんですけれ
ども
、しかし
警察
官も、
警察
官がこんな
犯罪
を犯したのかというふうなこともあるわけですから、教育は非常に必要だと思いますけれ
ども
。そういう意味では、教育をしっかりやるとか、あるいはまた配置の問題も、警備
警察
から刑事
警察
、交通
警察
、いろいろあるけれ
ども
、それについてもいろいろ考えておられると思うんだけれ
ども
、それについてお尋ねしたいと思います。
溝手顕正
132
○
国務大臣
(溝手顕正君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、新年度で三千人という枠をいただいて我々としては非常に喜んでいるところでございますが、決して無駄にしてはならないと思っておりますので、先ほど御指摘がありましたように、内部努力も含めまして、効率的に要員の配置を考えてまいりたいと思います。 ちなみに言いますと、検挙率については、
平成
十八年は三一・二%となっておりまして、五年連続で改善していることは改善しているわけですが、更にもっと努力をしてまいりたいと思います。 教育の問題というのは、最もそういう意味でこれからの大量退職時代を迎えて一番重要なことだろうと思います。真に
警察
官たるふさわしい人物を採用するところから始めて、学力、体力、使命感、高い倫理観と
職務
執行能力を持つ、個々の
警察
官の資質を高めるように最大限の努力をしてまいりたいと、このように考えております。
亀井郁夫
133
○亀井郁夫君 ありがとうございました。 今、検挙率も三一%というんじゃまだ低いですから、やっぱり五〇%以上せめて行くようにしっかり頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 次に聞きたいのは、コンプライアンス経営に対する取締りの問題ですけれ
ども
、この間、
民間
会社の人と会っていたらこんな話を聞いたんですね。我々のときにはかけマージャンいつもやっていまして、千点五十円か百円かそんなもんで、今ごろはそういうマージャンもいかぬという通知を出しているということで、非常にセンシティブになっているんですけれ
ども
、しかし、永田町では千点百円なんてマージャンじゃなくて、もっと高いのもあるやに聞くんだけれ
ども
。 そういうことで、
警察
としてはこういったコンプライアンス経営に対する考え方、どの程度からマージャンなんかでも挙げるのか。まあ、暴力団とかそういうのは別ですけれ
ども
、普通みんなやるのはお互いに仲よくするためにやっているわけですし、わずかな刺激というのは必要ですけど、他方で
警察
も、パチンコなんかではもう物すごい激しいものを認めてきておるわけですから、ちょっとおかしいんじゃないかと思うけど、それについてはどう考えておられますか。
溝手顕正
134
○
国務大臣
(溝手顕正君) 私もマージャンをしたことがありますので、お気持ちはよく
理解
できるところもありますが、こういう御質問でございましたら、もうこれは、刑法においてかけマージャンは
犯罪
とされているものだという御回答をする以外はないだろうと思います。 しかしながら、
警察
としては、賭博の疑いのある事案を認知した上で、個別具体的な事案に即して、法と証拠に照らして、事件として取り上げるべきだと判断した場合には厳正にやるということでございますので、御
理解
を賜りたいと思います。
亀井郁夫
135
○亀井郁夫君 まあ、賭博をやっていいなんて
警察
が言うわけにいきませんから、大臣の回答も分かりますけれ
ども
、しかし、取り調べる前によくその辺をよく考えて、余りむちゃな取調べはしないようにひとつよろしくお願いしたいと思います。そういうことで検挙率を上げようなんて考えないでね、お願いしたいと思います。 それでは、今日の本題に移りますけれ
ども
、まあいろいろと議論されてきたんで、大分疑惑の点が分かってまいりましたけれ
ども
、一番難しいのは、疑わしい
取引
について、これの
届出義務
を士業の人たちが全面的に免除されているということですね。 そうすると、これについては、今
弁護士
連合会
やらあちこちから話がございまして、いろいろ調べてみたけれ
ども
、一番
弁護士
連合会
はしっかりはしておるものの、疑わしい
取引
についていろいろ知ることも多いだろうと思うんだけれ
ども
、いざとなったらそれをちゃんと口説いて、やめるように言ってやめなければ辞めたらいいというような言い方に今度の
規程
はなっていますけれ
ども
。それからまた、あれですね、問題は、そういう疑わしいことについて守秘義務の厳守の問題との
バランス
になってくるというようなことがいろいろあるんだけれ
ども
、これについてもうちょっと姿勢を正して厳しくやってほしいと思うんですね。
業界
でもいろいろな
業界
がありますから、士
業界
、士
業界
の中でもいろいろあると思いますから、その辺よろしくお願いしたいと思いますが、その辺どう考えておられますか。
溝手顕正
136
○
国務大臣
(溝手顕正君) 今御指摘の点でございますが、本件に関しては守秘義務の範囲というのには変更は加えない、あるいは
届出
は
日本弁護士連合会
に行うことにするというような案を我々から提案をいたしたところでございます。 それで、何とか事態の進展が図れないかということで
連合会
と話を進めてきたところでございますが、今回は
弁護士
連合会
の方から、なお
依頼者
との関係において懸念があるということで、この点については更に引き続き検討しようということで本
法案
から除外をしたわけでございます。その代わりと言っては、それはそれながら、いわゆる個人の確認、認証の件に関しては御
協力
をいただいて、このことによって本
法律案
の
目的
がかなり大きく達成できる、前進できるというような判断をして除外をしたというところが今回のいきさつでございますので、ひとつ御
理解
を賜りたいと、こう思っております。
亀井郁夫
137
○亀井郁夫君 守秘義務の問題と、それから
届出義務
の関係、これはなかなか難しい問題とは思うけれ
ども
、しっかりこれやめるんじゃなしに、これから厳しくその辺は考えてほしいと思うわけですね。そういう意味でよろしくお願いしたいと思いますけれ
ども
。 それからまた、こういうことから
弁護士
さんだとかあるいは士業の関係がこういうふうにあいまいにされたということから、ここは抜け穴になってしまう
可能性
が多分にあるわけですから、
業界
としては抜け穴に使われたんでは非常に困るわけですから、これについてもしっかり考えてほしいと思うんですけれ
ども
、その辺はどのように考えられますか。
米田壯
138
○
政府参考人
(米田壯君) まず、この
弁護士
その他の士業者につきましては、
本人確認
、それから
取引
記録の保存は行っていただくということでございますので、例えば偽名を用いてこういう士業者を利用して
取引
を行う、そのことによりまして
犯罪収益
を隠匿するということは、これは現状に比べて大変困難になろうかと思います。 そういうようなことで、他の
金融機関等
による措置と相まって
マネーロンダリング対策
というものは我が国では相当これで進展していくものであろうと思います。
警察庁
といたしましても、この手口情報を提供するとか、あるいはそれぞれの士業者団体でいろいろ
研修
をされるということに対しては
協力
をいたしまして、これらの士業者が
マネーロンダリング
に利用されないように、利用されにくいように努めてまいりたいと考えております。
亀井郁夫
139
○亀井郁夫君 しっかり頑張ってほしいと思いますが、最後に公安
委員長
にお尋ねしたいと思いますけれ
ども
、こういった
マネーロンダリング
だとかそれからテロ
対策
というのは、国際的な
協力
が必要であり、相当思い切ってやっていかなきゃいけないと思うけれ
ども
、どのようにお考えなのか、その決意のほどを聞きたいと思います。
溝手顕正
140
○
国務大臣
(溝手顕正君) 御指摘のとおり、国際テロ
対策
及び組織
犯罪
対策
というのは一国限りの問題ではなく、今回の
立法
の契機となった
FATF
のほか、国連であるとかG8、あるいはICPO等の国際的な枠組みの下において国際的連帯の必要性が強調されてきたところでございます。 特に、現在ではテロ資金や
犯罪収益
を瞬時に国境を越えて
移転
させることが可能になったわけであり、これを防止してあるいは追跡してそれを剥奪するためには外国との連携は不可欠であろうと、このように考えているところで、万全を期し最大の努力をしてまいりたい、このように思っております。
亀井郁夫
141
○亀井郁夫君 ありがとうございました。 それじゃ、しっかり頑張ってください。いろいろとこれまでの質問の中で、大体疑問点が分かりましたので、これで終わります。 どうもありがとうございました。
藤原正司
142
○
委員長
(
藤原正司
君) 他に
発言
もないようですから、
質疑
は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御
意見
もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
犯罪
による
収益
の
移転防止
に関する
法律案
に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
藤原正司
143
○
委員長
(
藤原正司
君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、
工藤堅太郎
君から
発言
を求められておりますので、これを許します。工藤君。
工藤堅太郎
144
○
工藤堅太郎
君 私は、ただいま可決されました
犯罪
による
収益
の
移転防止
に関する
法律案
に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び国民新党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。
犯罪
による
収益
の
移転防止
に関する
法律案
に対する附帯決議(案)
政府
は、本法の施行に当たり、次の
事項
について万全を期すべきである。 一、
犯罪
による
収益
の
移転防止
及び
テロ資金対策
においては、国際的な連携を十分に図ること。また、金融活動作業部会(
FATF
)等におけるルール作りにおいては、我が国の国情を踏まえつつ、主体的な
役割
を果たすことができるよう
体制
を整えること。 二、本法による措置の
実施
に当たっては、国民及び
特定事業者
に過度な負担を負わせ、その結果、健全な経済活動を萎縮させることがないよう十分配意すること。 三、本法により新たに疑わしい
取引
の
届出
を行うこととなる
特定事業者
に対し、疑わしい
取引
の判断要件をできる限り明確に示すこと。 四、本法において疑わしい
取引
の
届出
が義務付けられていない、いわゆる士業等
特定事業者
が、疑わしい
取引
と認識して自ら
届出
を行った場合については、免責を受けることを可能とする等、守秘義務との両立を図ることができるような措置を検討すること。 五、疑わしい
取引
の
届出
に係る情報の取扱いについては、
特定事業者
から
届出
を受ける行政庁はもとより、当該情報その他の
犯罪
による
収益
に関する情報の集約、整理及び分析を行う
国家公安委員会
において、外部への漏洩等が発生しないよう、情報管理の徹底等に十分留意すること。 六、
国家公安委員会
が金融情報機関(
FIU
)としての機能を十分発揮できるよう、
金融庁
のノウハウを活用するほか、情報の集約、整理及び分析に当たる人材の育成等
体制整備
を図ること。 七、
国家公安委員会
による行政庁への
意見
陳述及び都道府県
警察
による
特定事業者
への立入検査等については、本来の
目的
を超え、濫用されることがないようにすること。また、一般国民への不当な権利侵害がないよう留意すること。 八、本法の施行状況等を勘案して行われる
犯罪
による
収益
の
移転防止
のための
制度
の検討に当たっては、士業等
特定事業者
が有する自治の原則又は守秘義務の遵守、並びにこれらの
事業者
が疑わしい
取引
の
届出
の
対象
とされていない
趣旨
等に十分配慮すること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ
委員
各位の御賛同をお願いいたします。
藤原正司
145
○
委員長
(
藤原正司
君) ただいま工藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
藤原正司
146
○
委員長
(
藤原正司
君) 全会一致と認めます。よって、工藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本
委員会
の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、溝手
国家公安委員会
委員長
から
発言
を求められておりますので、この際、これを許します。溝手
国家公安委員会
委員長
。
溝手顕正
147
○
国務大臣
(溝手顕正君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その
趣旨
を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
藤原正司
148
○
委員長
(
藤原正司
君) なお、
審査
報告書の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤原正司
149
○
委員長
(
藤原正司
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
藤原正司
150
○
委員長
(
藤原正司
君) 次に、
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 まず、
政府
から
趣旨
説明
を聴取いたします。溝手
国家公安委員会
委員長
。
溝手顕正
151
○
国務大臣
(溝手顕正君) ただいま議題となりました
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その提案
理由
及び
内容
の概要を御
説明
いたします。 この
法律案
は、最近における道路交通をめぐる情勢に
対応
して、交通事故の防止その他交通の安全と円滑を図るため、飲酒運転を行った者等に対する罰則の強化及び運転免許を取り消された場合における運転免許を受けることができない期間の延長、七十五歳以上の運転者に対する認知機能検査
制度
の導入、後部座席ベルトの装着の義務付け等を行うことをその
内容
としております。 以下、項目ごとにその概要を御
説明
いたします。 第一は、悪質・危険運転者
対策
の推進を図るための
規定
の
整備
であります。 その一は、飲酒運転を行った者等に対する罰則を引き上げるほか、酒気を帯びている者で飲酒運転を行うおそれがあるものに対し車両等を提供する行為及び自己の運送の要求等をして飲酒運転が行われている車両等に同乗する行為を禁止するなどするものであります。 その二は、救護義務に違反した一定の者に対する罰則を引き上げるものであります。 その三は、一定の悪質な違反行為をしたこと等を
理由
として、公安
委員会
が運転免許を取り消したときにおける運転免許の欠格期間の上限を引き上げるものであります。 その四は、
警察
官が運転免許証等の提示を求めることができる
規定
の見直しをするものであります。 第二は、高齢運転者
対策
等の推進を図るための
規定
の
整備
であります。 その一は、七十五歳以上の者は、運転免許証の更新を受けようとする場合等には、認知機能に関する検査を受けなければならないこととし、公安
委員会
は、当該検査を受けた者が一定の基準に該当するときは、臨時に適性検査を行うこととするものであります。 その二は、七十歳以上の者は、更新期間が満了する日の六月前から高齢者講習を受講することができることとするものであります。 その三は、七十五歳以上の者及び聴覚障害者は、普通自動車を運転する場合において、一定の標識を表示しなければならないこととするなどするものであります。 第三は、自転車利用者
対策
の推進を図るための
規定
の
整備
であります。 その一は、普通自転車は、その運転者が児童等である場合、車道等の状況に照らして歩道を通行することがやむを得ない場合等には、歩道を通行することができることとするものであります。 その二は、児童等を保護する責任のある者は、児童等を自転車に乗車させるときは、乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めねばならないこととするものであります。 第四は、自動車の運転者は、助手席以外についても、座席ベルトを装着しない者を乗車させて自動車を運転してはならないこととするものであります。 第五は、その他の
規定
の
整備
であります。 その一は、
警察
署長は、車両移動保管関係の
事務
を一定の法人に委託することができることとし、指定車両移動保管機関
制度
を廃止することとするものであります。 その二は、安全運転管理者に関する
規定
を
整備
するものであります。 なお、この
法律
の施行日は、七十五歳以上の者及び聴覚障害者の標識の表示等に関する
規定
、自転車利用者
対策
の推進を図るための
規定
、座席ベルト装着に関する
規定
、車両移動保管関係
事務
の委託に関する
規定
、安全運転管理者に関する
規定
については公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日、認知機能検査に関する
規定
、高齢者講習に関する
規定
、免許の欠格期間の上限引上げに関する
規定
については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日、その他の部分については公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としております。 以上が、この
法律案
の提案
理由
及びその
内容
の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
藤原正司
152
○
委員長
(
藤原正司
君) 以上で本案の
趣旨
説明
の聴取は終わりました。 本案に対する
質疑
は後日に譲ることといたします。 ─────────────
藤原正司
153
○
委員長
(
藤原正司
君) 次に、
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
の
審査
のため、
参考人
の
出席
を求め、その
意見
を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤原正司
154
○
委員長
(
藤原正司
君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤原正司
155
○
委員長
(
藤原正司
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十七分散会