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2007-03-22 第166回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年三月二十二日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  三月二十日     辞任         補欠選任         江田 五月君     水岡 俊一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 正昭君     理 事                 阿部 正俊君                 山下 英利君                 犬塚 直史君                 富岡由紀夫君                 浮島とも子君     委 員                 岩城 光英君                 岡田  広君                 神取  忍君                 岸  信夫君                 坂本由紀子君                 中島 眞人君                 朝日 俊弘君                 加藤 敏幸君             ツルネン マルテイ君                 藤末 健三君                 水岡 俊一君                 若林 秀樹君                 高野 博師君                 松 あきら君                 大門実紀史君                 近藤 正道君                 亀井 郁夫君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君    副大臣        外務大臣    浅野 勝人君        財務副大臣    富田 茂之君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       小川 和也君        外務大臣官房儀        典長       渋谷  實君        外務大臣官房外        務報道官     坂場 三男君        外務大臣官房審        議官       新保 雅俊君        外務大臣官房審        議官       佐渡島志郎君        外務大臣官房審        議官       深田 博史君    参考人        国際協力銀行総        裁        篠沢 恭助君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十九年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十九年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十九年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (政府開発援助関係経費)     ─────────────
  2. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として水岡俊一君が選任されました。     ─────────────
  3. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官小川和也君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会国際協力銀行総裁篠沢恭助君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) この際、御報告いたします。  去る十五日、予算委員会から、本日一日間、平成十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  政府開発援助関係経費について麻生外務大臣から説明を聴取いたします。麻生外務大臣
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平成十九年度政府開発援助に係る予算案について、概要を御説明させていただきます。  平成十九年度一般会計予算政府案において、政府開発援助に係る予算として、対前年度比四・〇%減の七千二百九十三億三千九百万円を計上いたしております。  ODAは、我が国外交の重要な手段であります。現在も、国際社会は貧困やテロ自然災害といった様々な困難な問題に直面をいたしております。我が国が、こうした課題に向け指導力を発揮することを通じ、国際社会の一員としての責務を果たし、かつ、自らの繁栄を確保していくために、ODAを一層戦略的に実施してまいります。また、人間の安全保障の理念の実現、自由と繁栄の弧の形成のため、ODAを活用してまいります。  ODA事業量については、百億ドルの積み増しなど、対外公約を達成すべく、ODA事業量の一層の戦略的拡充を図ってまいります。同時に、厳しい財政事情の中にあって、ODA全体を効率的に実施し、効果を最大にしていくための努力を引き続き行います。関係省庁経済界NGO連携しつつ、効果的にオールジャパン経済協力を進めてまいります。  今回お諮りいたしております予算案は、このような基本的な考え方に立つものであります。  次に、各分野につきまして、一言触れさせていただきます。  まず、無償資金協力につきましては、アジア大洋州における戦略的な外交展開や、ミレニアム開発目標への貢献、対アフリカ支援強化のほか、テロ対策、防災・災害復興といった援助需要への対応重点化を図り、所要予算を計上いたしております。  技術協力につきましては、外務省所管事業文部科学省所管留学生交流等事業を始め、十三の府省庁予算を計上いたしております。これらの事業実施に当たりましては、関係府省庁の間での情報共有連携を通じ、一層の効率化を図っていくことといたしております。  特に、国際協力機構実施する事業につきましては、業務運営効率化や、既存事業見直し等合理化を図りながら、アフリカ支援や、経済連携推進のための協力等強化に必要な予算を計上いたしております。  次に、円借款につきましては、引き続き、イラク復興支援等要請を踏まえ、事業規模を維持することとしております。そのため、所要財政融資資金等を計上しているほか、一般会計におきましても、国際協力銀行に対する出資金及び交付金を計上いたしております。  国際機関への分担金拠出金につきましては、我が国外交政策上の重点事項等を踏まえ、地球規模の諸課題等への対応国際機関を有効に活用するとの観点から、所要予算を計上しております。  これらに加え、より効果的かつ効率的なODA実施のために、NGOとの連携強化現地実施体制強化等予算を計上しております。  以上が平成十九年度政府開発援助に係る予算案概要であります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  9. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 以上で説明の聴取は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 岡田広

    岡田広君 自由民主党の岡田広です。  今、平成十九年度の予算案概要説明大臣からいただきましたが、質問に入る前に大臣一つお尋ねをしたいと思いますが、インドムカジー外相が本日来日をされるということを伺っております。麻生大臣は、来月、四月三日から南アジア地域協力連合首脳会議に今回初めてオブザーバー出席をするということで日程の調整が進められるということで伺っておりますけども、この会議出席をされれば、大臣南アジア諸国との関係についてのスピーチもなされるんだと思いますけども、この考え方出席をされたときに何を訴えるのか。そして、年内安倍総理訪印をなされるということも伺っておりますが、このための地ならしという、こういうこともあるのかどうか、この点についてまずお尋ねをしたいと思います。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、インドの場合は長く外務大臣を置いておりませんでした。内閣総理大臣マンモハン・シンの兼務という形になっておりましたので、私としてはカウンターパートがないという状況がかなり続いておりましたが、今回インドムカジーという、これは長く国防大臣をやり、国会の中では主に外交よりは、日本でいえば国対とか議運にえらい強い人だというように理解いただければと存じますが、そういうのがこのたび外務大臣になっております。強いがゆえに海外に行けるからというのがマンモハン・シンという人の理屈でして、そういうのができないと海外に出られないんだという話をしておりましたので、そういった意味では実力者だと存じております。  そのムカジーの方から、このたびSAARC、いわゆる南西アジアの会合に日本に対して初めてオブザーバーとしての参加を要請されておりますのが今御指摘のあったとおりであります。  私どもとしては、これは国会都合等々いろいろあろうと思いますので、これ正式に行けるかどうかまだ答えを出しておりませんが、少なくともこの南西アジアというのはユーラシア大陸の周辺の弧の中に入る、しかも一番大きな、人口的には一番大きな国でもありますので、極めてこの国は大事であり、あの地域においてはこのインド中心的な位置位置している、また人口的にも、また経済的にもそういう位置に属しておりますので、これは日本といたしましては最も重要なところだと思っております。  したがいまして、是非これに、国会事情が許せば、この場において、我々としてはインドとの関係を非常に重要視しているということはきちんとメッセージとして伝えたいと思っております。  また、総理は、昨年マンモハン・シン首相来日のときに、相互で交代に訪問をするという話をしておられますので、今回は日本インド訪印する順番、そういう年回りになりますので、年内訪印されるに当たりましては、日印間の例の戦略的グローバル・パートナーシップという言葉を、これはたしか森総理のときに、たしかこの言葉は二〇〇〇年だったかに作られたと記憶しますけれども、政治とか安全保障経済、人の交流等々のところにおいて幅広い分野日印間で、向こうはソフトに極めて強い、こちらはハードに強い、いろいろなところで補完し合えるところ多々あろうと思いますので、きちんとそういったものが両国間で具体的なものに進めていければと、私どもとしてはそのように考えております。
  12. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございます。  インド大変日本にとってもこれから重要な国になると思いますんで、またODA円借款についても大変多い国でありますから、訪問をされるという日程になったときには、是非安倍総理訪印についても地ならしをしていただければというふうに考えております。  それでは、質問に入りたいと思います。  先日、本特別委員会参考人質疑の際にも発言をさせていただきましたが、今日ほど我が国ODA戦略を考えるに当たって大変重要な時期はないのではないかと思うわけであります。昨年は、官邸に海外経済協力会議、そして外務省国際協力企画立案本部が設置されまして、国際協力機構ODA業務一元的実施機関とする法改正が行われるなど、ODAをより戦略的、効率的に実施するための改革が進められた年でありました。  また、来年、平成二十年、大変重要な年です。中国への新規円借款が終了し、第四回アフリカ開発会議、そして主要国首脳会議、サミットが我が国で開催されるという、我が国援助戦略にかかわる大きなイベントがメジロ押しになっております。ODA実施体制の面でも、昨年の法改正に基づき、来年十月には世界銀行に次ぐ世界第二位の資金力を誇る援助実施機関となる新JICAが発足する予定となっているわけであります。  その重要な年である平成二十年に向けまして、ODA戦略に立ってどのような布石を打っていくのか。国内での歳出削減の議論を踏まえつつ、ODAにいかに戦略性を持たせるのかということが問われるのが今年あるいは来年ということになるんだろうと思っているところであります。  今、予算案概要説明の中にありましたように、今後五年間でODA事業量の百億ドル積み増し国際公約をしております。本特別委員会でもこれまで四回にわたりまして参考人質疑を行ってまいりましたが、その中で参考人方々から、この国際公約が達成できなかったら国際的な信頼を損なうという発言が多くの参考人の皆さんからありました。  一方で、骨太方針、今後五年間の歳出削減改革方向性も示されております。ODA予算については先ほど大臣から御説明があったとおりでありますが、基本的には今後、一般会計ODA予算規模は減少していくということが予想をされているところであります。  政府では、現在までのところ、円借款債務救済中心事業規模の拡大を着実に行ってきておりますが、この一般会計ODA予算減少傾向に加え、円借款では中国などが返済を進めており、今後その回収金額を差し引いたネットの事業規模は伸び悩むことが予想をされるわけであります。  こういう中で、百億ドル積み増し国際公約達成が楽観できない状況にあるんではないかと思うわけでありますが、この外務省ODA予算について、あるいはミレニアム開発目標達成への貢献、あるいは対アフリカ支援強化等重点外交政策も考慮しながら、コスト削減予算重点化等を行いながら編成をしたものと理解をしているわけであります。  こういう考え方の中でありますけれども歳出削減改革方向性というのは理解はできるわけでありますが、このODA事業量の百億ドル積み増し国際公約をいかに達成するのか、これをどのように両立をさせていくのか、この見通し政府対応方針について麻生大臣からお尋ねをしたいと思います。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のありました百億ドルの事業量積み増し、これはグレンイーグルズ・サミットにおいての公約になっておりますが、いわゆるこの事業量積み増し内容というのは、いわゆる一般会計予算の中の財源なんですが、無償資金協力とか、それから技協技術協力だけではありませんで、いわゆる円借款とか債務救済援助、また国際機関への出資拠出などというものも含めて構成をされておりますのは御存じのとおりです。  平成十九年度のODA一般会計当初予算というものは、外務省とともに対前年度比マイナス四%というくくりとなっておりますが、円借款事業規模を七千七百億円台として最大限の活用を図ることといたしております。ODA外務省全体としては四%ですけど、これは七千七百億を維持したいということで、他を削ってもここにはそこそこな配分はしたということであります。  もう一点は、平成十八年度のいわゆる補正予算と合わせてみますと、対前年度比が若干ではありますけどプラスとなって、ODA事業量の押し上げにつなげていけたと思っております。  国際公約実現につきましては、基本方針の二〇〇六、御指摘のありましたとおりで、これで確認をされておりますんで、二〇〇九年度の時点におきましても、いわゆる公約はしっかり達成していくというために必要な事業量を確保しなきゃならぬと思っております。  この公約達成見通しにつきましては、これはちょっと今の段階で何とも申し上げられませんけれども、随時これは見直していくなりモニタリングするなりということで、財政当局とも協議をしてまいらねばならぬと思っております。  アフリカの点にも御指摘がありましたが、もう御存じのように、アフリカ飢餓とか紛争とか感染症とか、いろいろな問題を抱えておりまして、アフリカの問題の解決なくしていわゆる世界の平和と繁栄はないというのはよく言われるところでありまして、我々もこれに対応していかなければならぬと思っております。  特にアフリカの場合は、日本経済全体にとりましても重要な、いわゆる石油とかレアメタルとか、いろいろな意味での資源を持っておりますんで、この関係強化というのは軽視し得ないところだと思っております。  また、ここは五十三か国ございますので、国連全体百九十二か国のうちの約三割というのがここに集中をいたしておりますんで、そういった意味ではアフリカという諸国との関係強化というのは今後とも大事だと思っております。  したがって、来年、TICADⅣというのを日本で開くことになりますけれども、このプロセスを軸に更にアフリカ支援というのはきちんとしてまいりたいと思っております。  対アフリカODA、三年倍増という公約小泉内閣のときに出されておりますが、二〇〇七年の実績で約十七億ドル、千八百億円を目指すものでありまして、公約に当たります、中にあります贈与には、技術協力、それから無償資金協力、それから国際機関への出資債務救済などが含まれておりますが、是非、こういった厳しい条件の中ではありますけれどもアフリカ向け案件というものはきちんと積み上げるなど、骨太の二〇〇六に示されておりますとおり、日本としてはその公約実現というものに今向けて努力をいたしておるところでありまして、二〇〇七年という状況はそれを達成し得る可能性が高くなりつつあるというように御理解いただければと存じます。
  14. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。  アフリカ支援ということで、これから更に工夫をされましてこの支援強化をしていただきたいと思うわけであります。  これ、私の地元の新聞でありますけれども、資料としては出しておりませんけれども、高校生が慈善ライブをやると。アフリカの音楽を通じてアフリカ人たち支援をしようということで、一般篤志家企業中心にして協賛企業を募りましてお金を集めて、そして県内の二十校の学生たちライブをやるわけですけれども、やっぱりODA、よく顔の見えない援助ということも言われていますけれども、外に向かってもそうです。  今日の質問、限られた時間ですから在外公館のところまで行かないかもしれませんけれども、やっぱり国内向け学習指導要領等子供たちにこのODA必要性、そういうことを教えているわけだろうと思いますが、文科省、今日は呼んでおりませんけれども、そういう検証もされているのかどうか。やはり私たちは、教育の過程の中でこういう現状を子供たちにも知ってもらう、これはとても大事なことだろうと、そう思っています。  エチオピア訪問したマザー・テレサという人が、エチオピア訪問して六歳ぐらいの子供を抱き上げて一枚のパンを上げた。その子供はうれしさを顔一杯に、満面にたたえて、その一枚のパンを小さく小さくちぎって食べた。マザー・テレサは、なぜそんなに小さくちぎって食べるのと聞いてみました。聞いてみた。そうしたら、その子供から、だってすぐ食べるとまた空腹になりそうだからという答えが返ってきた。私、大変このマザー・テレサさんの本を読んで感動をしたわけでありますけれども。  考えてみますと、大臣も御承知のように、日本食料自給率カロリーベースで四〇%、六割は輸入している。今アフリカ石油とかというお話もありましたが、八割はエネルギーを輸入をしているという。そういう中で、しかし日本の、六割を輸入していながら二五%は残飯として残していると。これ平成十年度の数字調べてみましたら、金額ベースにすると約十一兆円ということです。一日餓死する人たちアフリカ中心に四万人という数字が出ています。一年間で千五百万人の方々が餓死をする、飢餓で。しかし、この日本の十一兆円、残飯だけでこの人たちの命を救えるんだという、こういう数字も出ているわけですけれども、正に一日一ドル未満で生活している人十一億という数字も、これも出ています。本当に、やはりアフリカ中心に、是非このODAについても、民間等連携をしながら、関係機関連携してこの支援の輪を広げていただきたいということを要望したいと思っています。  次に、中国との援助対話透明性向上要請についてお尋ねをしたいと思います。  中国アフリカ諸国などへのODAについては、OECD未加盟の中国外交手段としてODAを活用し、人権や環境基準マクロ経済影響といったことを考慮せず、国際ルールを逸脱した形での援助を行っているとして先進国の間で警戒心が強まりあるとの指摘もされています。  中国に対する我が国新規円借款は来年で終了することになります。一方で、対中無償資金協力の継続という問題があります。  中国における急速な経済発展による環境問題や感染症等は、日本にも直接影響が及び得る地球規模の問題になっています。これらの問題を始めとして、日中両国民が直面する共通課題がまだ数多く存在をしているということも事実であります。  この日中両国相互発展のためには、協調と連帯が必要なことは言うまでもありません。今後は、中国を被援助国として見るだけでなく、国際社会における主要な援助国一つとして、国際社会ルールに従って援助を行っていくように導いていく必要性というのがあるんだろうと思うわけであります。  安倍総理、昨年十月、首相就任直後に一番先にこの中国訪問して、言葉では冷却していたと言われるこの日中関係の改善を図る、これは大変私も評価をするわけでありますが、戦略的互恵関係に基づく両国関係発展中国と合意をしたわけであります。  そこで、大臣お尋ねをしますが、この日中間で援助政策の在り方に関する対話を行い、また中国ODA情報開示による透明性向上を求めていくなどの取組を行うことなどによって、中国援助政策国際社会ルールに基づくものへと誘導していくということが重要であろうと思うわけでありますが、麻生大臣考え方お尋ねしたいと思います。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これまで援助を受けていた国が経済発展して援助をする側に回れるというようになったこと自体は、これは評価すべきものだと思っております。日本南南協力というのはいいことだと思いますので推進をしておりますが、その一方で中国に関する援助につきましては、今、岡田先生から御指摘がありましたように、その内容に関する情報が極めて不透明であって、何をやっているのかさっぱりよく分からぬというのが一点。  それから、金を貸すのはいいけど、その金、返ってくる当てもない国にどんどんどんどん貸すというのは、いわゆる返済持続性がほとんど期待できないというようなところに関して配慮していない貸付けはいかがなものかと。  また、統治能力等々がかなり、独裁とかいろいろ、今アフリカはいろいろな国がございますが、そういった国々に対する支援というのは、これはほかの先進国が皆一応引いておりますところに、それはどんどんいく。また、国民に対して直接裨益するような話よりは、そこの統治者に対して裨益するものの方に偏る。例えば大統領の官邸建ててあげますとか、大統領の公邸建ててあげますとか、いろいろ例がありますけれども、そういった指導者層との結び付きの方を重視と。そういった点は、これは国際ルール援助供与国間の協調とかいろいろなものがございますけれども、そういったものとは、今御指摘のありましたとおり、相入れない面があるというのは事実だと存じます。  したがって、日本としては、OECD開発援助委員会、通称DAC、DACという委員会がございますけれども、ここやら、ほかには世銀なんかと連携をいたしまして、対話を今呼び掛けて、ちょっとこういったのはもう少しという話を、中国との対話というものを世界銀行若しくはDAC等々で始めております。したがいまして、日本としてもこの中国の対外援助というものが、一応国際ルールというのがございますので、そういったものにのっとって援助というものを、援助自体が悪いわけじゃないんで、そういった形でルールというものがあるんで、それに沿って行われていくよう、引き続き日本としては働き掛けてまいりたいと思っております。
  16. 岡田広

    岡田広君 中国との対話の重要性というのは私も昨年しみじみと感じました。  二つ簡潔に、もう時間ありませんから、簡潔に例を申し上げますが、昨年、世界保健機構、WHOの事務局長選挙、私も尾身茂候補のお願いのためにエルサルバドル、ジャマイカ、訪問をしました。やはり、最終的には中国支援を受けた香港の候補者に負けたわけでありますけれども、これについては省庁横断的でそういう応援体制、このWHOのみならず世界のいろんな機構の立候補する際のサポート体制を強化するために、外務省にこれは選挙対策委員会を設置したとの新聞報道もあって、大変良かったなと思っているわけであります。  もう一方では、昨年十月にIPU、列国議会同盟、国会議員の世界会議に参議院の団長として出席をさせていただきまして、北朝鮮による核実験の声明と核不拡散強化につきまして緊急追加議題として提案をしました。このときにレバノンの再建の議題も提案をされまして、最終的には、一議会一つの緊急追加議題ということでありますから、選挙になりました。最終的には選挙になって、日本提案が緊急追加議題として採択をされたわけでありますが、そのときの選挙、賛成七百七十三、反対三百三十九、棄権二百二十七ということで、この採択を決定されるために必要な三分の二の票数、七百四十一というんですが、これを三十二票、わずかに上回った採択でありました。これで各ほかの国々の国会議員の皆さん方にロビー外交いろいろしましたけれども、なかなか、ODA援助等、その参加する国会議員の方々も余り理解をしていないということを初めて私、分かりました。  在外公館の広報活動、国会議員がそれぞれ現地に行ったときには対応はすばらしいものがあります。しかし、そういう対応だけではなくして、やはり日常、政府の要人等に日本援助状況あるいは要望を聞くという、やっぱり御用聞きというようなそういう姿勢も、やっているんだろうと思いますけれども、PR、広報活動というのは大変重要ではないかなと思っているわけであります。これは要望さしていただきたいと思います。  この大使館の、在外公館ですけれども平成十九年度予算において六大使館が新設をされ、そのうち三大使館がアフリカに設置をされるということでありますが、中国アフリカに四十五の大使館、我が国はこの三大使館も設置されても二十七ということでありまして、在外公館の更なる整備ということについても考えていく必要があるんだろうと思いますけれども、私、去年は多分ゼロだったと思います。今年はこの六館ということで、こういうことも戦略的に何年か計画を作られるということが必要なんじゃないかなと思いますけれども、そういう点につきましても麻生大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 在外公館の数の御指摘があっておりましたけれども、これは過去、日本の場合は予算案の削減等々もありまして、十年間で七つの大使館がつくられております。今、外交実施体制強化ということがいろいろ御討議をいただきました結果、来年六つの大使館というのを新設させていただく、そのうちの三つをアフリカに充てております。戦略的にいろいろやらしていただくということで、増えませんとどうにもなりませんので、そこらのところが一番問題なんですが。  今、主要国の大使館数というのは、日本が、世界じゅう百九十三か国の中で、百十七持っています。中国が百六十、それからフランスが百五十八、ドイツが百四十、いろいろあっておりますので、日本としては、この人数も、中国、イギリス、いずれも七千二百、四百というところに対して日本は五千四百、そういった中にありまして特に気になりますのは、アフリカにあります大使館の数というのは日本は二十四であります。たしか中国は四十五だと思いますので、四十六か、そうだと思いますので、是非そういった意味では、こういった地域において大使館というのは重要でありますし、何となく具合悪いのは、向こうの大使館は東京にあるけど、こっちの大使館がアフリカにないというのは、なかなかちょっと、豊かな国と言っている割には、向こうは無理してでも日本にというのに対して、我々はそれに対してこたえていない。  隣の国で兼轄という話よくありますけれども御存じのように、隣の国が一番遠い国でして、隣の国、道路がありませんものですから、一回パリまで行って戻るとか、ロンドンまで行って戻るというのが現状でございますので、兼轄というのはなかなか隣の国ではしにくいという状況にもあって、この問題に関しましては、私どもとしては積極的に取り組まねばならぬ大事な課題だと思っております。
  18. 岡田広

    岡田広君 是非、積極的な取組を期待をしております。  もう時間ですから、最後に、この平和構築分野の人材育成構想について大臣のお考えを伺いまして、終わりたいと思います。  この外務省平成十九年度予算においては、パイロット事業として、いわゆる寺子屋事業を開始するための経費が計上をされております。平和構築に役立つ人材の育成、人材はもうどの分野でも一番重要でありますけれども、この寺子屋事業を積極的に評価し、是非発展をさしていっていただきたいと思うわけであります。そういうことで、参考人質疑の中で幾つか指摘があったことを御紹介したいと思います。  この人材育成に当たっては、一方的に知識を与えたり答えが用意されているような研修内容では有益でないどころかかえって害になる。自分で問題を解決する能力を身に付けさせる研修が必要であるとの指摘がありました。研修の対象者についても、日本国内の人材育成さらにアジアの人材育成ということをうたっていますが、その際に抜け落ちるアフリカの人材育成、アフリカ支援のお話もありましたが、またやっぱりアジアと違う支援の取組をしていかなきゃならないんだろうと、そう思う。これはちょっともう時間ありませんから話できませんけれども、そういう中で、このアフリカの人材育成どうするのか。さらには、平和構築の基盤となる現地社会の人材育成に日本の人材がどのような貢献ができるのか、そういった観点を積極的にこの寺子屋教育の中に取り入れてもらいたいという指摘がありました。  こういう点を踏まえまして、大臣に所感を伺いまして、質問を終わらしていただきたいと思います。
  19. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のありましたように、今、世界各地でいわゆる紛争が起きておりますが、問題は、その紛争が終わった後、その国の治安を取り戻した後、その国がどうやって復興していくかというところに人材が不足をいたしております。  例えば、役人がいない、また司法が全然作動していない等々、数え上げりゃ幾つもありますが、我々日本としては、そこらのところは大いにいろいろと一緒にやれるところがあるのではないか。地方でいえば、地方税がない、地方行政がない、地方分権、全く意味が分からぬというようなところに対してきちんといろいろ整理をして教えていく。  また、今カンボジアで若い日本の、法務省から三人、四人行っていますか、三十代の若いのが行っておりますけど、この人たちはそこで民法、民事訴訟法、商法を作っております。そういうところも商法、民法がなけりゃ、企業の誘致なんかいったって行かされた方はたまらぬということになりますので、そういったところもやっておる。  そういったところは、まだある程度危険なところもあるというんであれば、そこそこの、自分のことは自分で守れるぐらいの少なくとも訓練はして、その上で今言ったようなことをきちんとできるようなところを考えていくということを考えていったらどうだというんで、これまで先生としては日本以外にも、例えばカナダのピアソン・センターとかオーストラリアとかニュージーランドとか、これの先輩の国がおりますので、それらの人たちも我々の教師として呼び、日本の経験を生かして現実そういったところにやらせていただければと思っております。ただ、日本だけがやるんじゃなくて、アジアの人も是非そういうので訓練を受けたいと、勉強したいという人はどうぞということをやろうといたしております。  アフリカの件に関しましても、これちょっとまずアジアからやらせていただきますけれども、そこでそこそこでき上がった経験を踏まえまして、更にその人材育成の枠をアフリカにも広げていければと考えております。
  20. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。
  21. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党の若林秀樹でございます。  十九年度ODA予算について、私としてはそろそろ下げ止めにすべきではないかという問題意識から幾つか質問させていただきたいと思います。  ただ、その前に一つ苦言を呈したいと思いますが、昨日の長崎県での講演の中で、今日の日経新聞にありますけれど、「青い目、金髪は駄目」というこの見出しにありますように、米国人にできないことを日本がやっている。日本というのは信用がある。青い目で金髪だったら多分駄目よ。我々は幸いにして黄色い顔をしている。中東で搾取をしてきたとか、ドンパチ、機関銃を撃ったとか一回もないという、こういう御発言であります。  私は、これ前後の文脈が分かりませんが、どんなに言い訳をしても、外交と人種とか外見を結び付けるということは、これは論外です、私の常識から言えば。  そして、なおかつ、もう一つ私が問題だというのは、アメリカ人は信用なくて日本人はできるんだ。その理由に、ドンパチしたことがないという理屈付けですけれど、米国のイラク攻撃に対して日本は支持をしているんです、武力行使に対して。確かに武力行使を直接下していないという意味はあると思いますけれど、支持をしたというのは同じ責任を負っているという観点から、私は、こういう発言というのは少しいかがなものかなという、政府の要人としては、思いますので、この二点について釈明なり謝罪すべきことがあれば、まずお伺いしたいと思います。
  22. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) その事実は極めて悪意に満ちた一部のところだけ注釈してつなぎ合わせた話だと、基本的にはそう思っております。こういう人たちが最も国益を損なう人たちであると、改めてそう思っておりますけれども。  平和と繁栄の回廊というのを申し上げて、先週でしたか、イスラエルのシモン・ペレス、パレスチナ、PLOの交渉局長等々を呼んで日本でやりましたときに彼らが言ったせりふを、私どもとして、私が一部使わせてもらって、日本人は信用できると、なぜならこの地域に全く関係がなかったからだと。それは確かに関係がありませんから、今まで。  したがって、そういった意味では、我々としては、こういった日本のように関係ない国で、しかも経済力が大きくて、そういった国々が積極的に出てきてくれるということは、我々としては心から歓迎をするという話を向こうがしたのを私が例に取ってその話を使わせていただきました。  確かに、我々としてのアドバンテージの良さは、我々の顔がいわゆるアジア人だからだろうと言ったら、そうだという話をしたから、じゃ、そういった意味でお互いにアジア人でもいろいろいますよと。アラビア人でもいろいろいるでしょうがと。我々は、イラク人だかパレスチナ人だかシリア人だか区別付かぬと。あなたたちも、韓国人か日本人か中国人か区別付かない、同じですよと。だから、そういった意味では、是非我々としてはこういった機会で、関係がないと言われるんだったら、是非そういった中で、これまで日本がやってきた経験を生かしてこういった平和と繁栄の回廊というものをパレスチナでやると、その代わりイスラエルはちゃんと保障してくださいよと、安全保障を、それが条件ですということを申し上げたというのを、話の中の一部だけ取り抜いて今のような話になったと思いますんで、いろいろ御指摘のありました点は、今、反論の機会を与えるということでございましたんで、ありがとうございました。
  23. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 冒頭申し上げましたように、前後の文脈も私も知りませんけれども、ただ、発言としてこういう人種とか外見を結び付けるということ自体がもうこれは論外だということに対して、それは適切な発言だと思っていらっしゃるんですか、今でも。
  24. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) そのときの会話で、ほかに二人でやっておりました、パレスチナの人と私、それからイスラエルの人と私。そういったところで普通に話しておった話で、少なくともいわゆる公衆の面前でやったわけではありませんで、そこの話の内容を紹介したというところが適切を欠いたということをおっしゃりたいのかもしれませんけれども、私は二人で、パレスチナの、シモン・ペレスと二人でやって、そうじゃないのかと言ったら、向こうも、向こうが言うからこっちも反応したと、それに答えたというだけの話でありまして、これは向こうが振ってきた話だったんで、私は別にそういう余り適切を欠くとか欠かないとかいう話ではなかったのかと思っておりますけれども、御指摘のありましたように、そういう点を紹介するのが適切さを欠くというんであればそうなのかもしれません。
  25. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私は、そういうことを講演の場で発言するに際してはやっぱり注意が必要だというふうに思いますし、そういうことを重ね合わせることについては、私は必ずしも適切な、例としてふさわしくないと思います。  それから、後半の私が言ったことについてはお答えになっておりませんけれども、それについてはもう時間がありませんので、先に進みたいというふうに思っております。  その上で、日本の国際貢献でありますが、私も予算委員会で申し上げたんですが、日本発言力の裏付けは何だかんだ言って分担率ですね、国連の、それと私はODAの実績だというふうに思います。分担率も、二〇%を超えたものが二〇%を割り、今年から一六・六%になっている。この先、長い目で見ますと、相対的には日本のGDPは下がる傾向にあるということでは更に分担率が下がるというふうに私は思います。一方では、PKOはまだまだ少ない、国連の職員は少ない。そのときにODAが更にどんどんどんどん下がっていくということに対して、私は、日本のその発言力あるいは外交への影響が大きいんではないかなというふうに思っております。  これは主要ドナー国のODAの実績及び推計値であります。(資料提示)御案内のとおり、日本は二〇一〇年には、一位だったものが五位になると。アメリカの後にドイツ、イギリス、フランスに続いて五位になってしまう。この前は九年連続一位だったんですね。それがどんどん下がって五位になるという可能性が今出てきているということでありますんで、そして今回の予算を見ますと八年連続で減少しています。そして、ピーク時の六割、四割減であります。  これらの状況を見ますと、私は長期的に非常に外交への影響をやっぱり懸念するところでありますんで、この辺についてどういう認識なのか、まず外務大臣にお伺いしたいと思います。
  26. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 日本にとりまして、これは若林先生、ODAというのは最も重要な外交手段一つであることははっきりしておると思っております。経済力に裏付けられておりますんで、そういった意味では国際社会においていわゆる日本発言力の維持する大きなものだと思っております。十年間で四割削減されたというのは事実であろうと思いますんで、このODAというものの比率、予算が下がったということによって今国際社会の中における、今グラフにお示しになられましたように、こういった点はもう間違いない事実として、我々としては、財政再建、いろいろなことがございましたけれども、その中にあってどうしていくかということだと存じます。  〇五年、二年前、グレンイーグルズのサミットにおきまして、このODA事業量につきまして百億ドルの積み増しということを表明をしたりいたしてもおりますので、こういったものは、仮にも国際公約をいたしておりますので、きちんと対応していかなければならないのは確かだと思っております。  また、アフリカ援助の倍増というものもきちんと約束をしておりますので、こういったものは、今、基本方針の中でODAが四%から二%減らされていく中にあって、我々はいろんな形で、外務省全体の予算の中でこのODAの分については大きな影響が出ないように、我々としてはいろいろODAの分については配慮をし、補正予算等々を使わせていただいて、今後この分をなるべく少なくならないようにということで対応しておるというのが現状であります。
  27. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 長期的にはODAは削減するというのが見えていることに対して、どういう中長期的な影響があるかという私の質問なんで、必ずしもお答えになってはおりませんけれど、外務大臣の趣旨としては、きっちりODAは確保していくんだという意思の表れの発言かと思いますが、その上で、国際公約アフリカ援助倍増、五年間で百億ドル上積みというのは既に岡田委員の方から御質問がありましたので、外務大臣にはお伺いしませんけれど、せっかく副大臣が来ていらっしゃるのでちょっとお伺いしたいというふうに思います、財務副大臣ですね。  それで、同じ質問をしても大体答えは一緒だというふうに思うわけで、あえてちょっと質問も少し変えてみたいというふうには思いますが、二〇〇四年度というのはちょっと特殊な年なんですよね。政府のこの、見ますと、政府貸付け等がマイナスになっているんです。ですから、事業量が非常に下がっているところに対して、どんとまたそれに対して五年上積み、あるいはアフリカを倍増するということについては数字のマジックが少しあるんですね。  ただ、一方では無償資金協力もどんどんどんどん、これ、下がっています。対アフリカ援助もやっぱり無償資金協力をやらなきゃいけないというのがあるにもかかわらず、全体でこれを見ますと、どう見ても、今の骨太方針等を考えますと公約を達成するというのは難しいと思いますが、財務大臣の立場で簡単に一言、お願いいたします。
  28. 富田茂之

    ○副大臣(富田茂之君) 先生の御質問の趣旨は、百億ドルの積み増しODA予算の対前年度比マイナス二から四%は両立しないんじゃないかという御趣旨での質問だと思いますが、それでよろしいですか。
  29. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 はい。
  30. 富田茂之

    ○副大臣(富田茂之君) ODA事業量につきましては、円借款の期限前返済、あるいは債務削減、為替等の動向に大きく左右されるものでありまして、今後の事業量について現時点で確たる見通しを付けることは困難であります。これは麻生大臣の方で先ほど御答弁されておりましたが。  政府といたしましては、今後とも、歳出削減を通じた財政再建という目下の我が国喫緊の課題を踏まえつつ、百億ドルの目標達成に向け、円借款の積極的な活用などの努力をしていくことに尽きるというふうに考えております。
  31. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その上で外務大臣にお伺いしますが、一般の国民とか海外から受けるイメージというのは、百億ドル上積みというのは、それ自体をグロスで上積みするというイメージでとらえている方が結構多いと思うんですよね。一方では、これはネットでやるという、事業量で測るというのは国際公約の中に入ってはいるんですが、しかし、必ずしもそうは受け止めていただけない。なおかつ、この目標が相手国の返済額、償還額の額によって変わってしまうということ自体が、本来の目標設定の在り方として私はおかしいんではないかというふうに思っています。  そういう意味では、グロスで円借款このぐらい、無償資金協力これぐらいやる、それでトータルこれでやるんだというのが本来の私は目標設定の仕方であるというふうに思っておりますので、その辺の問題意識としてこの設定自体の仕方がおかしいんではないかということに対して、今から修正できる部分もあるんではないか。我々は円借款でここまでやるんだ、無償資金、これもやるんだ、その中での百億ドルだということを今言っていただけたら、また国際社会理解も深まるんではないでしょうか。
  32. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 若林委員にはちょっと釈迦に説法ですけれどもODA事業量は、一般会計を財源とする無償資金協力技術協力だけではなくて、円借款債務救済国際機関への投資、出資などが含めて構成されています。  委員指摘のようにグロスの供与額で実績を示すべきだという議論があることも承知をしておりますが、国際的にはネットがODAの実績値として使用されています。国連のODA費、GNI比〇・七%、この目標もネットについての目標値になっております。日本としては、こうしたルールに従って、国際社会が共有する目標の達成のために引き続き努力してまいります。
  33. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 だから、そういう問題意識を踏まえて質問しているんですから、それを乗っけておいて、この設定自体に対して、改めてもう一つの目標としては政府としてこう考えるということが必要ではないかということを言っているんですよ。それに対してはお答えになっていないわけですから。じゃ、簡潔に。
  34. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 重ねての御指摘でございますけれども、国際的にはネットでやるということになっておりますが、委員の重ねての指摘でありますので、その思想をどのように、どのようにODA計画の中に生かしていくことができるか、外務省内でも検討の対象にさせていただきます。
  35. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 あえてもう一つ、そのODAの目標設定の中でGNI比〇・七%というふうにあります。確かに日本は未達成でありますが、単純に〇・七%当てはめると、まあ五百兆だったら三・五兆円ぐらいODA予算を積み増さなきゃいけないんですね。これは、今の現状から見るとやや非現実的な部分もあろうかというふうに思いますし、一方では、単純にGNI比を掛けるという、GNIを掛けるということ自体が私は目標設定としていかがなものかなというふうに思いますが、やはり〇・七%が本当に日本の目標として、進むべき方向として正しいと思っているのか、それについて外務大臣にお伺いしたいと思います。
  36. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 三兆五千億円という、いわゆるODA含めますこの種の話が三兆五千億というのは、ちょっと額としてはいかがなものですかなと、これは常識的にはそう考えられると思っております。  この種の話は、GDP比、国防費が一%という話も随分長く続いて、最近は聞かれなくなりましたけれども、よくあった話で、何となくこういうのは、数字が一歩出ますとそれがもう固定概念のごとくずっと流れますんで、私どもとしては極めて危ない話だなと思っております。  あのスウェーデン、デンマーク、北欧三か国、いずれもそういった数字からいきますと、まあGDPが少ないせいもありますけれども、そういったものに対しての貢献の寄与度からいきますと、北欧三か国等々が極めて高いのは御存じのとおりです。日本としてどれぐらいのものがいいのかというのは、ちょっと一概に今の段階で申し上げるべきところとは存じませんけれども、少なくとも、今、こっちはデフレだった、世界じゅうはインフレだった、こっちは円高になった、向こうはドル安、ドル高になってこっちは円安になった、いろいろなものが重なってきましたんで、それを単純に比較はできないところではありますけれども、かつて一番出されてから四割ぐらいも減っておりますんで、そこらの点からいきますと、今までのところ四割減らされた分ぐらいは元に戻してもおかしくないのではないか。全体としてはそんな感じはいたしますけれども、これも、これはこっちの経済の、景気の度合い、税収の具合、いろんなものを考えて対応していかなければならぬもんだと思っております。
  37. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私は、援助予算を増やすということは必要なことだと思いますが、ただ一方、国際約束で〇・七%、日本も入って決めたんだったら、やっぱりそこが独り歩きするというのは当然ですから、やはり〇・七%というのが妥当なのかどうか。あるいは北欧系の方は、まあGDP少ないって言いましたし、人口も数百万人ですから、そういうところ等含めて、一緒くたに目標設定を同じような土壌で議論するということもいかがなもんかというところもないわけじゃないんで、やはりしっかり発言すべきところは発言して、決めたらそれに向かってやるということが必要ではないかというふうに思います。  そして最後に、時間がありませんので、ODAの体制の件についてお伺いしたいと思います。  今回の新JICAに一元化するということでありますけれど、私は、もしやるんであれば、外務省が抱えている今の草の根無償あるいは緊急援助等々も含めて全部一元化をJICAにして、その上で、外務省というのは外交政策を専門的につかさどる省庁ですから、外交政策、国別援助政策、そして外務省は、ODA外交のツールの一つであるということを考えれば、当然その中でその新JICAに対してきちっとやっぱり指導していくという考え方が極めてすっきりして、その方が受け手の被援助国から見ても、やはり整理される部分があるんではないかなというふうに思いますが、そういう意味では、少しまだ中途半端な部分が残っているんではないかなというふうに思いますが、その辺の問題意識についてお伺いしたいと思います。
  38. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 平成二十年の十月には発足をする予定になっております新JICAというものに関しましては、いわゆるODAの三つの手法、無償資金、技術協力、有償資金協力を一元的に実施する機関となるんですが、いわゆる無償資金協力実施業務については原則としてJICAということが行うことになっております。  これで、その一方で、いわゆるすぐやらなくちゃいけないというのが出てきます。例えば、何でしょうね、台風の話とかいろいろありますけれども、そういった意味で、外交政策上に緊急を要するものとか機動的な要するものにつきましては外務省実施するということで、主にそこらのところが外務省が引き続き実施するものであります。  また、具体的には、今申し上げた緊急無償援助、それからノンプロ、草の根、人間の安全保障といったようなことの非プロジェクト型のものを想定しているというのが今のあれでして、最もタイミングというか、機動的に実施する必要性を考えてこういったことに、私どもとしてはいろいろ検討した中で、まあ緊急やって、ぱっとやるのはこれかなというので、いろいろ政治的決断を要する部分が幾つもありますので、それならこういう形かなと、分かれてはおりますけれども、しかし、政府が策定をいたしますODA戦略とか政略とかいうものに基づいて、援助手法というものはいろいろあろうと思いますので、その枠にとらわれない感じでやっていく、広い視野に立つといってやっていくことは大事なんだということが御指摘の点だと思いますので、私どもとしては、そういったことも考えてJICAとの連携を密にしてやってまいりたいと考えております。
  39. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まだまだ議論したいんですけれども、時間がありませんので、また改めての機会にさせていただきたいと思います。  私の質問を終わります。
  40. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。  私は、来年度のこのODA予算案につきまして、二つのポイントをお聞きしたいと思います。  一つは、先ほど岡田委員からもお話がございましたが、平和構築のための寺子屋の話でございます。  本件につきましては、昨年八月にUNハウスで麻生大臣が講演された内容を実は外交関係の雑誌で読んでいまして、いいことをおっしゃるなと思ったんです、正直申し上げて。それを思っていましたら、ちょうど来年度予算案での予算要求をなさるということで、この具体的な中身について幾つか議論させていただきたいと思います。  そしてもう一つは、今回の予算案にございますように、連携強化NGOとの、非政府組織との連携強化というのがございますが、いろいろ話していますと、NGOとの連携強化というのが非常に納税者に対するPR、広告に役立つんだという話を実はイギリスの方が聞いていまして、その二点についてお話しさせていただきたいと思います。  まず、平和構築者の寺子屋についてなんですが、外務省の方といろいろ議論しても、まだ細かいところは決まってないということでございますが、私が申し上げたい点、一つございますのは、国内の学術機関との連携を進めていただきたいというお願いでございます。  実際、このODA委員会でも、神戸大学の高橋先生に来ていただいたり、また東京外語大学ですと伊勢崎先生といった、こういう国際研究協力分野のいろんな研究者の方がおられますので、そういう方々との連携を今後のこの寺子屋の人材育成の取組に生かしていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  41. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先生の話ですか、基本的に、教官の話を……
  42. 藤末健三

    ○藤末健三君 学術機関との協力です。
  43. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 寺子屋をやっていくに当たりまして、昨年の国連大学でやらせていただいた講演を聞いていただいたということを前提にちょっとしゃべらせていただきますけれども、ああいうことをやりますときに、いわゆる現場を知らない人の話というのは駄目なんですよね。  私はよく申し上げますけれども、現場の分かってない方の話というのは、こうでああでと言われても、現場はなかなかそうはいきませんから、そういった意味で、現場を知っている、ODAでそこに行っていた経験者というような人が、ボランティアやってきた人は、現地に行けばこうなるのよという話をよくさせてもらうというのが大事なところなんだと思っておりますので、今、どういった方々がそういった経験者かというのは、結構いろいろこれまでにもありますので、そういった方々を主に講師に、また海外で、例えばスウェーデンとか、またデンマークとかノルウェーと、いろいろそういったもののセンターもありますし、また経験者でカナダのピアソン・センターとかいろいろありますので、そういったところの方の先生をというのも考えたりいたしておりますが、今御指摘のありましたように、経験のある学者というのは重要な要素だと思っております。
  44. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、我が国にも国際協力の経験があられる学者の方々がおられますので、是非ともこれ使っていただきたい、使っていただくというのは失礼ですけれども連携を取っていただきたいと思います。  また、三月十四日のODA委員会で神戸大学の高橋教授に来ていただきましていろいろ話をさせていただいたんですが、そのときに、卒業生がもう十年間、国際研究科というのを作って十年間活動されているんですよ。そのときに何が問題かということをお聞きしましたら、卒業生がこのキャリアパスを明確に作れないと、国際協力で例えば就職するにしても、例えば就職先がパートタイム、期間雇用しかないとか、そういう問題があって、例えば三十代、四十代になったときの自分の国際研究協力におけるキャリアの姿というのがまだ描けないということをおっしゃっていまして、是非ともこの寺子屋構想を成功させるためにも、卒業生がどういうキャリアパスを作るかということを明確に考えていただきながらやっていただきたいと思うんですが、その点につきましてよろしくお願いします。
  45. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) キャリアパスになるようなものにしろということですね、簡単に言えば。
  46. 藤末健三

    ○藤末健三君 そうですね、はい。
  47. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 簡単に言えば、そういうことになるのか分からないから、とにかくちゃんとキャリアパスになるようなものにしろと。分かりました。  これは国際協力平和懇談会の報告書の中にもあっておりましたので検討させます。これはもう間違いなく大事なところだと思いますので。  何というの、国際機関や現地のミッションとかいったものの情報というものを迅速にぱっと提供いたしますし、何でしょう、いわゆる再就職とか就職とかいうのにかかわる助言、働き掛けというようなものも、これ研修後のいわゆるキャリアパス、キャリアパスって今、日本語で何と言うんです、これは。キャリアパスの日本語は何です、今。
  48. 藤末健三

    ○藤末健三君 職業の何かあれみたいですね、将来展望みたいな感じですね。
  49. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ああそうですか。形成についてちょっと適当な、どうもなるべく、片仮名がやたら多過ぎる役所なんで、こういったのは努めて漢字に変えたいと思って言うんですけれども。ちょっと適当な言葉がありませんので、キャリアパスの形成について、今言われました点を踏まえて対応してまいりたいと存じます。
  50. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、このキャリアパスということについては御検討いただきたいと思うんですよ。  実際に、この高橋先生からいただいた資料が、配られた資料を読みますと、卒業生のうち期限付の契約職員というのは非常に多うございまして、正職員じゃないんですよ。国際機関とか、例えば国際協力機関の中に入っても、非常に期限付契約職員が多くて、実際に卒業生のうち七十一人がそういう期限付に行かれていると。  実際にお聞きしたのは、魔の三十代というのがあるらしいんですよね。三十代にどういう職業に就けるかが分からないと、明確に、将来展望として、というのがありますという話をお聞きしていますので、是非とも麻生大臣にイニシアティブを取っていただき、こういう国際協力を行う方々が将来どういうキャリアパスというか職業の進路みたいなものを描けるかということを考えていただきたいと思います。  そして、先ほど麻生大臣からもお話がございましたが、実は先日、ODA委員会におられる犬塚委員と一緒にイギリスのDFIDという、デパートメント・フォー・インターナショナル・ディベロプメント、国際開発省と多分訳すると思うんですけれども、の方とちょっとお話をしました。  そのときにおっしゃっていただいたことで印象的なのが二つございまして、一つが、先ほど大臣おっしゃいましたように、ピアソン・センターといったカナダのそういう国際協力の人材養成センターとの国際的な連携が必要ですよということがまず一つございます。そして、もう一つございますのは、このイギリスで二年前に始めたらしいんですけれども、PCRTという、ポスト・コンフリクト・リジョイン・チームといって、紛争後の共同チームというのを人材教育の対象にしているということをおっしゃっていました。  で、これは何かと申しますと、紛争後の復興みたいなことをやるために、国防省とODAをやっている組織が連携して職員の養成するらしいんですよ。国際協力のみならず、その紛争関係の処理ができる人間も一緒に教育していこうという動きをしているということをお聞きしていまして、それが非常に印象的でございました。  大臣が、昨年のUNハウスでの講演の中でも、カンボジアにおける銃とか小型武器の回収の話をされているじゃないですか。私もあれは非常に興味深く見ていまして、カンボジアにおいて銃とかを持ってくればその分だけ井戸を掘ったり、あと橋を造ったりしてあげますよという話で小型兵器の回収をしていると。大臣は刀狩りとおっしゃっていましたけれども。  そういうような形で、国際協力のみならず、やはりそういった武器の回収などのノウハウなども必要だと思うんですけれども、その点、いかがでございましょうか。お願いいたします。
  51. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) PKFという話とこれは結構かむ話になりますから、これはなかなかうかつには、大丈夫ですよなんてちょっと言うと、また話は込み入らせる方々もおたくの党の中にもいらっしゃったり、いろいろいらっしゃいますんで、これは難しいところですよ。なかなか答弁の仕方としては考えにゃいかぬというところだと思いますが。  ただ、現実問題としては、安全だからと思って行ったら意外とまだ安全じゃなかったというようなことも十分にあり得ますから、少なくとも最低限自分のことは自分で守れるぐらいのことは覚悟してもらわないかぬということは、きちんとした対応が要るという地域もあろうと思います。  ただ、私どもが一番考えておりますのは、一応ゲームというか、戦争というゲームが、若しくは紛争という騒ぎが終わった後、さあ国をといったって、役人はいない、何にもないというところでやれといったってできるわけじゃありませんので、そういったようなものはどうしたって必要なものだと思っております。  日本の場合は、役人が、少なくとも戦争のとき、終戦直後、散り散りになった役人を再結集して、高齢者から若いのから随分集めて日本の場合うまくやったところが一つだと思いますが、なかなか、それが全然、国外に逃亡というようなことになっているところは集め直してやるだけでも大変。しかも、そこは地雷が埋まっている、何やっているということになりますと、それは当然のこととしてなかなか難しい問題が一杯抱えますんで、今言われたのは間違いなく御指摘のとおりだと存じますけれども、そこの対応は、どの程度まで日本がやっていけるかというのは、ちょっと日本の中での論議が必要かなと思っております。
  52. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非とも国際的な連携を進めていただきたいと思います、ピアソン・センターなどとの。恐らく、私が知っている範囲で聞きますと、海外のこういう寺子屋、国際協力人材の育成機関は、ピアソン・センターもそうですけれども、やはりある程度そういう国防組織との連携を取っておりますので、是非とも海外連携を取るということをまずやっていただきたいということ。  そして、もう一つはやはり、私は、これは先週の外交防衛委員会で犬塚議員が指摘していたことと同じでございますけれど、防衛省との連携をやっぱり進めていただきたいと思います。実際、防衛省の方とお話ししていましても、PKOの教育センターみたいなものをつくろうという話を何か検討されているらしいんですよ、これは正式ではありませんけれど。そういったところとやっぱりきちんと連携を取って、この寺子屋を本当に国際的に役立つものに構築していただければ有り難いと思っております。  次に、NGO関係の話を申し上げますと、今回、来年度予算案におきまして、NGO、非政府組織との連携強化するという話がございました。ただ、私自身、実際にアフリカODAとかを拝見させていただきまして感じましたのは、もっとNGOを使えば効果的なODAができるんじゃないかなというふうに考えております。  例えば、もうこれ、しつこくしつこく申し上げていますけれど、タンザニアに行って、我が国の税金で造っている、無償協力で造っている学校に伺ったんですよ。聞きましたら、やはり日本企業が行っていただき、学校を造っていると。そうすると、現地の方が造ったのよりもやっぱり倍になりますよという話がございます。ここはしようがないところはあるかもしれません。  もう一つありますのは、NGOの方から聞いたら、NGOが造ったら恐らくもっと安くなると。なぜかというと、現地の方を利用するし使うし、かつ利益を求めないということをおっしゃっているんですよ。実際に、これデータはまだ調べていませんから分かりませんけれど、NGOを使うと三分の一ぐらいになりますよという話も実際にNGOの方からお聞きしておりますので、是非とも、一つは、明確なNGOの活用の目標みたいなものをつくって活動していただきたいということが一つございます。  そして、もう一つ付け加えますと、先ほど申し上げましたイギリスのDFID、国際開発省の方とお話ししてましたら、やはり今私も実際に選挙の関係でいろいろ有権者の方々とお話をしていますと、ODA、今我々が苦しいのに途上国の方々に税金を渡す余裕があるのかってやっぱりおっしゃっていただいているわけですよ。  そこでやっぱり感じますのは、このODA必要性をまだ御理解いただけていないんではないかなという、有権者の方々に、納税者の方々に。やはりこの広報というものをより強力にしていただきたいなと思っております。その中の一環としてやはり思いますのは、NGO、そういう市民レベルの方々が途上国の協力、開発協力や国際協力に出られることによっていろんな広報になるということを、これイギリスの方がおっしゃっていましたけれど、効果があるということをおっしゃっていまして、我が国もやはりODAのPRという観点からもこのNGOを活用するということを進めなきゃいけないと思うんですが、その点につきまして御意見、お願いします、副大臣
  53. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 広報手段には様々なものがございまして、例えばODAホームページ、メールマガジン、ODA新聞、地球環境問題を含む各種パンフレットなどによる情報開示がございます。  ちなみに、ODAホームページ、二月の月間アクセス数は約百八十万件でございます。そのほか、ODAに関心の高い層につきましては、ODA出前講座というのを平成十七年の十一月から、これはタウンミーティングに加えてやっておりまして、例えば青年協力隊のOBの人などが現地で経験したことを学校に呼ばれて子供たちに分かりやすく話しするとかというきめの細かいやり方をやっておるものですから割と好評のようでございます。  委員指摘NGOとの連携強化という点ですけれども、これは最も重要な分野だと認識をしております。その一環として、平成四年以降毎年、NGOと協力しながら、ODAの日などには国際協力フェスティバルを開催したり各種イベントを一緒にやっていくということで国際協力への国民の皆さんの理解と参加を呼び掛けております。
  54. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今言われた一般市民の参加が大きいというのは確かです。  ピナツボ火山の爆発でしたから何年前ですか、十何年前でしたか、あのときたしか急に出ましたんで、国境なき奉仕団というのを青年会議所で組織しておりますんで、船で二千人だったかな、乗っけて、植林業をやっているのとそれから井戸掘りの会社をやっているやつ、この二つは優先的にというんで集めて、二千人、約二週間送ったんだと思いますが、少なくとも帰ってきてそのうちの約三分の一がこれにえらく目覚めて、以後この種の指導をするところまで行っておりますんで、やっぱり現地で経験させるというのは物すごく大きいというのは私もそう思っております。
  55. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、副大臣大臣がおっしゃるように、このNGOの活用を図っていただきたいと思っております。  私がやはり役所の方々とお話しして感じますのは、NGOをもっと活用してはどうかというお話を申し上げると、実績がないから大変なんですとおっしゃるんですよ、実績がないから。ただ逆に、私は、実績がないからということをおっしゃり続ける限り実績が上がらないと思うんですよね。ですから、私は逆に思っているのは、まず政治のイニシアティブでNGOをこれだけ利用しましょうという目標を掲げていただきまして、取りあえず初めは転んでもいいから実績をつくっていただくということをやっていただきたいと思うんですけれども、その点についてはいかがでございますか。お願いいたします。
  56. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 大事な御指摘をいただいたと存じます。
  57. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣いかがですか、せっかくなんで。
  58. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一回はやらなきゃ、いつまでたっても覚えねえんだからしようがない、しようがないというところで、どこから始めるかですよね。だから、そこのところは、最初にやって失敗するとまた予算委員会や何かに呼ばれて、呼び出しを民主党の方から言われたりなんかするとちょっとまたかわいそうじゃないですか。だから、どの程度の経験をさせるか、どの程度の規模でさせるかというのが難しいし、NGOという方々も中もいろいろいらっしゃるというのはもう御存じのとおりですから、そういった中の選び方が難しいなとは思いますけれども、御指摘の点は正しいと思います。
  59. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非ともこのODA、私は人材の質、あと、やり方が非常に重要だと思います。そういう意味では、この寺子屋を実際人材育成に使っていただきたい、成功させていただきたいと思いますし、またこのNGOの活用につきましてもっと深くいろいろ議論していただければと思っております。一つのキーワードだと思うんですよ、我が国の存在意義を各国に示すという意味では。  ということをもちまして質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  60. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、まず外務大臣に、価値の外交と、自由と繁栄の弧と、それとODA関係についてお伺いしたいと思いますが、その前に若干、頭の整理も含めてお伺いしたいと思います。  価値の外交というのを日本外交の柱の一つにしたということで、これは新しい発想、新しい戦略で、非常に画期的なことではないかなと思っておりまして、これが日本外交にダイナミズムと力と方向性を与えるんであれば、これは麻生大臣の提案は歴史に残るかもしれないなというふうにも思っております。しかし、自由、民主、法の支配、人権、市場原理、こういう普遍的価値を追求するということにだれも異論はないと思いますし、麻生大臣日本外交にビジョンが必要だということもおっしゃられておりまして、正にそのとおりだと思います。  しかし、まだ私の中にはこれがすとんと落ちていないんでありまして、幾つかお伺いしたいんでありますが、小泉前総理のときは世界の中の日米同盟ということを声高に強調しておりました。しかし、最近はアジアと世界のための日米同盟という表現をしておりまして、若干、微妙に変わってきているなと。安倍総理の主張する外交というのもどうも観念的でよく分からない点があると。しかし、いつもスローガンは立派なんでありますが、内閣が替わって時がたつと徐々に消えていくという面がありまして、そもそも日本外交について、日米重視とかアジア重視とか国連重視、こういうことは、外交方針ではありますけれども外交の理念ではないんではないかと思うんですね。日本外交の理念というのは一体何なのか、これを端的にお答え願いたいと思います。
  61. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 高野先生、これは、これが理念といって決められたというようなことは、政治的な指導で決まったとは思っておりません。ただ、結果としてこの六十年間を見れば、少なくとも経済繁栄と民主主義を通じて現地に、現場に、世界に平和と幸せを、多分ピース・アンド・ハピネス・スルー・エコノミック・プロスペリティー・アンド・デモクラシー、多分これです。これが六十年間の間の国民的な合意だったんだと、私はそう思っております。  それに基づいて今、日本の場合は、今、自由と繁栄の弧というのは、従来の三本の柱であった日米基軸、国連協調、そして近隣諸国との友好、この三つの柱以外は、この六十年間、経済がこれだけ繁栄し、技術がこれだけ進歩し、国際社会における評価がこれだけ上がっても、日本からそれを使って何したいというメッセージが出されたことはありませんから。そういった意味では、今我々が考えているのは、こういったものを理念というのを基にして、うちもこれで成功したんだと、資源のない国で。だから、おたくもこういった我々と同じような価値観を共有しているんだったら、我々と同じようなやり方をすればきっとうまくいく可能性があるということを、パレスチナやら何やら、今自由と繁栄の弧というところ申し上げましたけれども、そういったところで今打ち出そうとしておるというので。  多分一番の違うところは、多分、高野さん、日本がアジアでうまく成功した最大の理由は、多分一緒に働いたんですよ。僕はこれが一番大きな違いだったと思っております。アフリカに二年、ブラジルも一年少々住んだことがありますけど、現地で働いているという金持ちというのは見ませんものね。日本の場合は、とにかくおっさんがそこに出ていって一緒に働いてみせるというのが一番大きいんで、やっぱり労働というのは美徳であり、イスラム教とかキリスト教とかユダヤ教と違って、これは旧約聖書ではないんで、我々は、労働は善、労働は善行なんであって、労働は罰ではないという根本的な哲学、宗教観というのが一番大きなそこの背景にあるのかな、それがうまく伝わればというのが率直なところであります。
  62. 高野博師

    ○高野博師君 日本外交には、外交方針はあったけれども、私は理念というのは明確に出してこなかったんではないかと思うんですね。要するに、理念というのは哲学でありますから、今大臣がおっしゃられたように。それは、何に最も価値を置いて外交をやるのかということだと思うんですね。そうすると、僕は人間の安全保障というものが日本外交理念ということになるんじゃないのかというふうに思っております。したがって、価値の外交というのは、理念そのものではなくて、これは方針、指針だというふうに思っております。  そこで、価値の外交というようなことを言っている国はあるんでしょうか、価値の外交。あったら教えてください。
  63. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 私は、価値の外交というものを声を大にしてこれだと言っているというのは、多分、アメリカが民主主義とかいうことを多分言っているのがそうかもしれませんけれども、じゃ、これが価値の外交だと正式に言っているかどうかというところまで定かではございません。
  64. 高野博師

    ○高野博師君 アメリカ以外にはないんではないかと私も思うんですが、これは詳細に調べたわけではありません。  そこで、価値観といってもこれはもう多様でありますから、アメリカ、日本を比べても、それは世界観、人生観、歴史観、倫理観、これも全然違うものがあります。しかし、体制としては自由とか民主主義とかあるいは市場経済、こういうことではいいんですが、しかし、アメリカの価値の外交というのは成功しているかというと、必ずしもそうではない。イラクを民主主義にしたと。しかし、あそこで一番侵害されたのは人権ではないか、治安という問題がありますので。今まで、だから、アメリカも人権外交をカーターのときにやりました。しかし、これも必ずしも成功したとは思えません。  ただ、一つ気になるのは、ある外交評論家が、自由と民主主義の価値観を柱とするのはアメリカ外交の基本だと、それから、イラク戦争の結果がどうあろうと何の関係もないと、アメリカの価値観に沿う基軸を設定するのが日本の安全につながるんだと、さらには、アメリカの外交と表裏一体でいいんだと、要するに世界一強い国との関係が一番大事なんだと、こういうことを言っているんですね。ということは、日本の価値の外交というのはアメリカの裏返しだと、同じことを言っているんだと、アメリカと同じことを言っていればいいんだというような、要するにアメリカと同じことを言い出したんだと、それでいいんだとこの評論家は言っているんですね。  ああ、そんなものかなと。そういうことで日本というのは打ち出したのではないんだと思うんですが、そこはどうお考えでしょうか。
  65. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この際、日本とアメリカと一緒というのは、それは一緒の部分も、確かに自由とか一致しているところはあろうと存じますけれども、何となく我々の言っているのの価値という点においてはほぼ似たような価値を共有しているとは思いますが、少なくともアメリカと日本の場合は、その生い立ちも違いますし、歴史も違いますし、いろんな意味でかなり価値観の本質的なところでは双方で違っている部分は多々あろうと思います。  そういう中にあって、日本が少なくともイラクのサマーワにおいて大いに成功した最大の理由は何か。これはフランス国防省の出した「今日の軍隊」という月刊誌の中に出ていた一節ですけれども、やっぱり日本の自衛隊に対しては、間違いなくイラクの人は、彼らはイラクの人道支援、復興支援のために来てくれているということを確信させたからだと、それが我々フランスにもほかの国もできなかったがという文章がありますけれども、そういうものというのは、やっぱり日本が持っているいろいろな人間性とか、いろんな表現あるんだと思いますけれども、一概にちょっとこれだという適切な言葉を持っておりません。  ただ、アメリカと同じなわけはないんであって、基本的なところ、自由とかそういったところは多分オーバーラップするところはあろうかと思いますが、その中も、民主主義だっていろいろな民主主義がありますので、大統領制もあれば議院内閣制もあるのと同じように、いろいろあろうと存じますので、一概にこれが同じと言われると、ちょっと違うんじゃないかなと存じます。
  66. 高野博師

    ○高野博師君 それで、普遍的価値を掲げるんであれば、これは全世界に向けて発信すべきであって、なぜユーラシア大陸の外周部分を弧という形で限定するのかということなんです。  グルジアとかウクライナとか、あるいは中央アジア、カスピ海沿岸国、極めて重要でありますし、しかし非常にデリケートな地域なんですね。日本外交としてここに力を入れなくちゃならぬということは私はよく分かりますが、普遍的な価値を言うんであれば、地域を限定するのはおかしいし、地域を限定するということはパワーポリティックスの考えを入れているんではないかというふうに思うんですね。ここは前もって言っていなかったんで、できるならお答えいただきたいと思います。
  67. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この自由と繁栄の弧というのは、たまたまユーラシア大陸の周辺地域ということで、強調する意味で使わせていただいておりますけれども、例えば、今TICADを例に引けば、TICADで今いろいろなことをやらせていただきつつありますけれども、こういうのを含めまして、我々としては、これを何もこの地域以外やりませんなんということを申し上げているわけでは全くございません。
  68. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、自由と繁栄の弧の外交を展開する場合に、あの地域、大使館も余りないと、ないところが多い。それから、ODAというのはどういう考えであそこにやっていくのか。それから、あの地域、特に中央アジア、私も十年前にカザフスタンとウズベキスタンへ行きました。あの地域の専門家というのは日本にはほとんどいないんですね。カスピ海沿岸のことをよく分かっている日本人なんてほとんどいないということを考えますと、人材育成というか、専門家をつくっていかないと外交にならないんじゃないかというふうに思うんですね。  ですから、大使館を設置するということ、もっとODAを有効に活用する、人材をつくるという、その点はどうお考えでしょうか。
  69. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) おっしゃるとおりで、中央アジアといいながら役所の中は欧亜局にある、おかしいじゃないかと、何でアジアなのにアジア局じゃないんだというと、元々あれ、ロシアの中にいましたものですから、何となく欧亜局の配分になっておりますし、ウズベキスタンに限りません、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、みんな大体ロシア語がかなり使われるところでもありますので、そういったところでなっているんだと思いますが、おっしゃるように、プロフェッショナルが育っていないではないかという御指摘は正しいと思います。  そういった意味では、ここはいろんな、そういったもののプロの力をかりねばいかぬと思いますが、幸いにそれらの国々は、非常に日本と、今大使館をつくり、何をつくり、非常に日本の方に向いて、日本の知見を、日本の経験を、日本の投資をということを非常に言っておりますので、我々としてはそういったものを頼りにしながら、今その国に合ったものを考えてまいりたいと思っております。
  70. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、先ほどの続きは別の機会にと思いますが、アフリカに対するODAについてお伺いしたいと思います。  先般、この委員会参考人からの意見を聞きました。私は発言の機会はなかったんですが、そのときに、援助の理念として人間としての共感だということを強調されたんですね。これはアインシュタインなんかも、生きとし生けるものすべてに対して共感の輪を広げようと、こういうことを言っているんですが、日本としての責任ではなくて、日本人の品性とか感性とか知性とかという問題だと、広い意味日本自身の安全保障の問題だと、こういうことを言っているんですね。  僕は、ちょっと、ちょっと待ってくださいよと。日本人の知恵とか感性とか品性と言われると、ちょっと違うんじゃないかなという気もしたんですが、若干違和感がありました。しかし、日本という国は金が幾らでも余っている慈善団体ではありませんから、税金に基づくODAという限られた予算の中で国家の存在があり、意思があり、戦略があるわけですから、人間としての共感だけで援助ができるわけではないと思うんですね。  そこで、なぜアフリカ援助しなくちゃならないのかということなんです。小泉前総理もサミットでかなり大盤振る舞いをしたようでありますけれども、現実にアフリカ諸国の人口の四六%は一日一ドル以下で生活しているという貧困状態にあると。貧困の問題、環境破壊の問題、民族紛争、あるいは感染症等、様々な深刻な問題がある、できるだけ援助してやりたいと、これはもう当然だと思うんです。  しかし、そもそも今のようなアフリカになってしまった原因はどこにあるのかという歴史的な経緯も考えてしかるべきではないかと思うんですね。これは、ヨーロッパの国々がアフリカ大陸を勝手に線を引いて、そして数百年も植民地支配をやってきたと、搾取を続けてきたんではないかと。あるいは民族紛争にしても、例えばルワンダのツチ族とフツ族、これは元々言語が同じだったと。遊牧民族か農耕民族の違いしかなかった。しかし、あそこに入ってきた、具体的な国は挙げませんが、彼らにIDカード、身分証明書の中にツチかフツかということを明記させたと。そして民族の紛争もあおった部分があるわけですね。あの数か月間で八十万というすさまじい大量の虐殺が行われたというようなことで、いろんな権力闘争、ルワンダの中での権力闘争、いろんな事情がありますが、しかしその背景にあった国々の責任というのはどうなんだということであります。  アフリカの現状についての歴史認識というのはどうなっているのかと。日本中国日本と韓国、アジア、歴史認識ということが非常に強調されておりますが、なぜこのアフリカについてこういう問題、歴史認識の問題というのが議論にならないかというのが私は不思議でしようがないんであります。  ここもちょっと大臣質問通告してませんので、結論的に言いますと、アフリカ支援というのは、第一義的にはヨーロッパがやるべきじゃないのかと。それを補完的に、日本は人道的な観点からやるという、かなり限定してもいいんではないか。しかしもう一方で、国連安保理の常任理事国入り云々ということがありますんで、戦略的な意味でのODAの使い方というのは当然あると思いますが、その辺は大臣はどうお考えでしょうか。
  71. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) アフリカに対する歴史的認識、これはアフリカ大陸発見、喜望峰のいわゆるあそこらの発見から長い長い、これはいわゆる大航海時代にさかのぼっての話、しかも、そのころのヨーロッパの諸勢力の勢力争いによってイギリス、フランス、南アフリカ、オランダ、またそのほかベルギーだポルトガルだ、いろいろな国の覇権争いに巻き込まれて宗主国、植民地国ということになっていったという長い歴史がありますので、この歴史を無視して全然話にはなりませんし、そこから、アメリカができましたときにはスレーブコーストと言われた、西アフリカと言われます奴隷海岸、あの辺から大量の奴隷がアフリカから、何ですか、アメリカに送られた等々の長い歴史がありますんで、これを我々はまた知っておるかといえば、私はほとんどの方は御存じない。ましてや、今アフリカは五十三か国ありますけれどもアフリカ五十三か国の経済のうち九〇%は四か国で握られているなんということを知っている方もほとんどいらっしゃらぬというのが現実だと思っております。  そういうことを知らずしていきなりやるのは極めて、これまた、おまえ何も知らないじゃないかという話になるんであって、私どもしてはそこらのことをよく学んだ上でいかなきゃいかぬというのは事実であろうと、私どももその点に関しましては全く意見は同じにいたしております。
  72. 高野博師

    ○高野博師君 あと二、三分しかないので、ちょっと中南米に対するODAなんですが、どうも金の切れ目が縁の切れ目にならないように外交をやってもらいたいと思うんですね。中南米三十数か国は非常に親日的なんですね。日本に対して国際機関でも非常に今までずっと応援をしてくれたところであります。  ブッシュ大統領が、この間、中南米五か国訪問しまして、反米の空気も強いということで余り成果は上がらなかったという評価があるようでありますし、しかし来年はブラジル移住百周年、実行委員長外務大臣がなっておられると思いますが、日伯関係もかつてほどの熱意がなくなっている、緊密ではないというような印象を私は持っております。大臣が行かれていたころのブラジルとの関係と今の関係を見ると相当差ができてきているのではないかと思うんですね。  そういう中で、中南米とは経済的な相互補完の関係にもありますし、中国も物すごい勢いでここに進出しているということがありますが、また中南米には日系社会があると。この日系社会をどういうふうに使っていくのかというか、日本にとっての財産だと思うんですね。これがうまく使われていないということもありまして、僕は中南米外交というのはもう一回見直す必要があるんではないか。そういう中で、ODAの使い方ももっと有効にやっていくということは日本にとってもこれはプラスになると思うんですね。  そういうことで、政府も民間もかなり退いたというか、引いてしまった部分があるということがあり、もう一度この地域を見直す必要があるんではないかと思うんですが、大臣の御所見を伺って終わりたいと思います。
  73. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 中南米は、いわゆる社会主義圏とかそういうのと全然違ったものですから、それなりの付き合いの仕方というのは、民主主義とか自由主義経済とかいろいろあったんで、その点は結構付き合いやすかったところもあろうと思いますし、加えて今、日伯百周年のお話されましたけれども、今、在ブラジル在留邦人というか、その子孫系列約百五十万人、少なくとも日本の在外では最大のソサエティーって、コミュニティーができておりますのは多分ブラジルだと存じます。  他方、ブラジルから日本に入っているブラジル系日本人というか日本系ブラジル人というのはもう三十万人ぐらい中南米から来ておられると思いますが、そういった意味では、関係はかなり、人間関係の方がむしろ深い。  それから、総務大臣のときの経験でいけば、今ブラジルは、第三世代、3Gという例の通信網に関しましては、最終的に交渉して外務大臣のときにまとまっておりますけれども、ブラジルの3Gは海外で初めて全部日本製ということに、日本のシステムが採用されることが決まったりしておりますので、そういう意味では、いろんな意味で近いというのは、いろいろな意味で遠い部分もありますけど近い部分もある。幸いにして、昔おられましたデルフィン・ネットの時代とは違って、今の、ハイパーインフレーション、一七〇〇%とか一六〇〇%とかふざけた話は今もう落ち着いておりますんで、ブラジルの状況というのはかなり昔と違って落ち着いてきている。  ブラジル以外のところで、例えばチリなんというところとかメキシコ辺りというところといわゆるFTAやら何やらを結ばせていただいたおかげさまをもって、アメリカへは少なくともメキシコ経由とか、今後FTAができればチリとか、そういったようなことになっていく可能性がありますんで、私どもとしては、このODAの部分はおっしゃるように確かに漸減しているのは事実だと存じます。  ただ、その中にあって、他方、いろいろな形でEPAだ、FTAだというふうなものを有効に使わせていただいてやらせていただいたり、今パナマ運河の造り直しとか再構築とかいうのが始まって、そういったプロジェクトの話も日本に来たりしておりますんで、そういったものを含めまして、いろいろなもので中南米との関係というのは何となく、日本から二十何時間、丸々ちょっと反対側みたいなところなものですから、何となくアジアに比べりゃ確かに意識的なものは違うと思いますけれども、今おっしゃられたような点、資源に限らずいろんなものが、日系社会等々非常に大事なところがあろうというのは私どももさよう認識しております。
  74. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  75. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。十分ですので簡潔な答弁をお願いしたいと思います。  昨年十一月二十七日のこのODA特別委員会で、調査団を代表して質問をさせていただきました。参議院のODA調査団がインドネシアで調査の際に、JBICの現地コーディネーターが調査団がヒアリングをした村長さんに現金を渡した件について厳しく抗議をしたわけです。そのとき、麻生大臣も、買収したかのごとき疑惑を持たれるような行為は厳に慎むべきというふうに御答弁をいただいております。  にもかかわらず、今年の二月の十三日、同じインドネシア、同じインドネシアJBIC、同じ首席責任者の下で同じようなことが行われました。簡単に言いますと、JBIC主催の記者会見があったわけですけれども、これはジャカルタの大量高速交通システム、円借款十九億円だったかと思いますが、それについての説明の記者会見でございました。そこで、来た記者の人たちに現金がまた配られたと。二十万ルピアということで、日本円にすると二千七百円ということですけれども、これは現地では少ない金額ではございません。現地の新聞記者の一か月の給料というのは大体日本円にすると二万円ぐらいですから、大きな金額が配られたということでございます。こういうことが二回も続いておりますので、今日は総裁に直接来ていただきました。  あれほど国会で参議院調査団が怒りを込めて指摘をして、大臣も御答弁をいただいたと。その後、どういう対処をされたのか、なぜまた同じようなことが起こったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  76. 篠沢恭助

    参考人篠沢恭助君) 国際協力銀行篠沢でございます。  昨年、コタパンジャンにODA調査団がおいでになりました際の件につきましては、調査団の報告書並びに本院の審議におきまして御指摘をいただきまして、私ども謹んで承ったところでございます。これにつきましては、御指摘を踏まえまして、この点につきまして関係役職員に私どもの中で周知を図っております。特にジャカルタ首席駐在員に対しましては、ODA円借款の担当部長からジャカルタ首席に対しまして、直接厳しくこの点について周知並びに注意喚起を行ったところでございました。  今回、今御指摘の同じようなことが起こったのではないかということでございますが、ただいま先生のお話にもございましたが、今回初めてジャカルタ市の中央部分に地下鉄を含みます大きなMRT事業日本円借款と技術をもちまして造るということになりましたので、そのPRということで多くの新聞記者を集め、そしてこの説明会を開いたということでございますが、その際、その場の設定に活動してもらいました現地コンサルタントのアドバイスと、それからインドネシア運輸省の方の慫慂によりまして交通費を、現地慣行ということだそうでございますが、現地慣行ということで、今先生がおっしゃいましたような金員をそれぞれお配りをするということを行ったようでございます。  現地慣行とは申しますが、やはり誤解を招くようなことが再び生じましたことは大変遺憾なことでございます。私どもといたしましては、既に総務部長から、今回は書面をもちましてジャカルタ首席に注意を行う、そのほか世界各地の駐在員事務所にも同様なことが起こらないように注意を喚起したところでございます。
  77. 大門実紀史

    大門実紀史君 まあ前回の指摘、周知を図った、注意を喚起したということですが、実際にはされておりません。  前回は電話代等ということを名目に出されたわけですが、その指摘をしたら今度は、電話代を払う場合は領収書をもらえと、これだけのことでございまして、向こうの現地コーディネーターが領収書を発行したら同じように出すということですから、何もきちっとした徹底がされていないからこんなことが起きたわけでございます。しかも、現地のちょっと関係者にも聞きましたけど、二社は、新聞記者のうち二つは現金を渡さなかったと。これはどういう二社なのかということもあります。つまり、都合のいいことを書いてくれるところだけ渡したと。  交通費等と言いますが、先ほど申し上げたように、これは、向こうの記者の月収が二万円ぐらいで、その十分の一に当たる金額ですから、交通費をはるかに超えております。一日か二日の日当分を渡しているということになりますので、どういう認識でそういう話をぺらぺらされるのか分かりませんけれどもインドネシアの要請があったら、政府要請があったら何でも金を出すんですか。こういうことそのものが、もう何も改善がされていないというふうに思います。  もう日本の恥だと私は思います、これ。向こうのジャーナリズムの協会の中では、もうこういうものを受け取らないようにということまで協会がやっているわけですね。ただ、現地の記者は受け取ってしまうというのがまだ続いているのは確かなんですけれども日本政府が、JBICが記者会見をやって、こんなことがまた表に出て、全く恥さらしを続けているんではないかというふうに思います。  麻生大臣、いかがお考えでしょうか。
  78. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 前回に続いて今回もこのようなことが起きた。これは間違いなく不適切、もうこれははっきりしておりますんで、先ほど総裁のお話があっておりましたんで、これは更に指導を徹底させるということが当然のことだと存じます。  この種の会議って、これはJBICが記者会見の準備をされるんだと思いますんで、僕はその、僕の知っているインドネシアというのは三十年ぐらい前のインドネシアですんで、ちょっと最近のインドネシアがその種のことをどうやっている、どういう事情になっているかはちょっと知らないんですが。私がおりましたころ、いろいろ仕事しているときは、今のような確かに慣行であったことは確かですよ。それはもう間違いない、確かですけれども、もう大分時代も変わってきておりますんで今言われたような御指摘が出てきているんだと思いますが、何となくそういったところに関して、現地、現場の方が対応できていないというようなところが、大門先生から見て、おまえ何だ、今、時代と、一番、何というの、元に戻しているのは日本じゃないかと言われるのは甚だ日本としてはという点を言っておられるのはよく分かる、分かると思っております。よく理解ができるところであります。
  79. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう時間なくなったんで終わりますけれども、JBIC、現地慣行とか相手の国の責任にしますけれども、JBIC自身がかなりお金の使い方が私はルーズだというふうに思っております。この問題は今日午後、財政金融委員会が、当該の委員会がありますんで、そちらで指摘したいというふうに思います。  終わります。
  80. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  私は、平成十九年度の外務省ODA予算というか、アフリカに限定して質問をさせていただきたいと思っています。  無償資金協力が四十六億円のマイナス、JICAの交付金も十九億円のマイナスということで、大変厳しい状況の中での十九年度予算でございますが、小泉政権のときにアフリカ向けODA倍増の公約が行われました。それによりますと、〇七年は十六・八億ドル、こういうことが公約として出てきているわけでありますが、この厳しい財政状況の中で達成が果たしてできるのか、どのように達成をされるのか、そして真水部分、債務救済以外の真水部分はどの程度なのか、お答えいただきたいと思います。
  81. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 公約にありました二〇〇七年の実績でまいりますと約十七億ドル、一千八百億円を目指すものということになろうと存じますが、公約の中にあります贈与の中には、御存じのように、いわゆる技術協力、それから無償協力、それからいわゆる、何というの、国際機関へのいわゆる出資等々のほか債務の返済分というものも、いわゆる返済分じゃない、済みません、救済分、あれするやつ、チャラにする、チャラじゃないな、チャラと言っちゃいけないな、徳政令じゃないけれどもそういった話です。そういったものも含まれておりますんで、来年度、平成十九年度分といたしましては検討予定の案件も含まれて、これも公約しておりますんで、おりますんで、現時点で支援の内訳全部というわけにはまいりません、確定している状況ではありませんが、しかし仮にも、骨太の二〇〇六にも示しておりますので、我々としては、これは少なくとも公約実現というものに向けてきちんとした形で終わらせたいと思っております。
  82. 深田博史

    政府参考人(深田博史君) 真水の部分はどうなのかと、こういうことでございますが、アフリカ援助の中身におきまして、例えば二〇〇五年十二億ぐらいですけれども、その中で無償、技協が大体六・四億ドル、それから政府貸付けが三・三、あとアフリカ開発銀行への拠出金とか債務救済が一・二程度と。  今後、債務救済の額というのは年によって変わってくるわけですけれども、先生御指摘のとおり、やはり債務救済だけでなく、むしろ無償だ技協だというところを中心にきちっとやっていかなきゃいかぬということで、来年度につきましても、そこのところで引き続き最大限我々としては実績を積み上げていくということで努力したいと、こういうふうに思っております。
  83. 近藤正道

    ○近藤正道君 ですから、その真水部分はどのぐらいになる見込み、あるいはどのぐらいにしたいと皆さんとしては考えておるんですか。それは後になって、まあそれはということではなくて、今時点でどのぐらいを真水で確保したいと、あるいはできるというふうに思っておられるんですか。具体的な数字を示してください。
  84. 深田博史

    政府参考人(深田博史君) 先ほど申し上げましたとおり、可能な限り、無償だ技協だというところで頑張っていきたいということで、現時点において、申し訳ございませんが、真水、まあ真水というのは何を定義するかによりますけれども債務救済以外のところが幾ら、債務救済は幾らということはちょっと今の、現時点では申し上げられないと、こういうことでございます。
  85. 近藤正道

    ○近藤正道君 数字と言ったからそういうふうにおっしゃっているのかも分かりませんけれども、しかしある程度、全く分からぬということじゃないわけで、大臣、大体、割合でも結構なんですが、このぐらいは是非行きたいということは、それは言わなきゃならないんじゃないですか、それは。
  86. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) なかなか近藤先生、これ言わないのは、おまえ、こう言ったじゃないかと年末になるとやられるとかないませんから、だから我々は言わぬ。いや、近藤さんにこう答えたじゃないかとまたあの辺の方が言われる可能性もありますので、みんなこの種の方は言いにくいわけですよ。だから数字というのは物すごくみんな慎重に慎重に発言するということになっておりますので、今の段階としては、我々としては、半分ぐらいできればやらにゃいかぬだろうなというところが私らの答えられる精一杯です。
  87. 近藤正道

    ○近藤正道君 はい、分かりました。是非その方向に向けて頑張っていただきたいというふうに思っています。  ノンプロジェクト無償の中に今回、六億ではありますけれども新たに貧困削減戦略支援無償、こういう制度ができました。我が国はプロジェクト型の支援中心だったんですが、ヨーロッパではこのノンプロジェクト型、これが主流だと。この間の参考人から、来ていただいたお話の中でも、このノンプロジェクト型のものをこれからやっぱり増やしていかなきゃならぬよと、それが本当にアフリカの自立を支援することになるよという話をかなり強調されました。  そういう中で、今回新たに、額はそんなに多くないけれども貧困削減戦略支援無償が入った。評価したいというふうに思っていますが、この意義というかねらいを、これからこれをこういうふうにしていきたい、こういうことについてお考えをお聞かせいただければ有り難い。
  88. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 御指摘のとおり、平成十九年度予算案で六億円、PRSPを支援する無償を計上をしております。これは、援助資金を被援助国に直接供与して、他の援助国や機関とも連携しながら、経済社会開発計画全体を進めながら貧困削減戦略文書の包括的な支援実現していくと、スキームは先生御指摘のとおりです。  日本としては、これまでプロジェクト型支援を主要な援助手法としてきていることは事実でありますけれども、その上、この新しい形態の無償資金協力という思想が出てきたわけでありますから、ほかの援助国や機関と協調しながら、これを通じて政策対話強化していくようなてこにしたいと思っております。  今、試行的にこのノンプロジェクト無償はタンザニアに対してやっております。もう少し時間がたちましたら、その内容について御報告できるようになると存じます。
  89. 近藤正道

    ○近藤正道君 最後の質問でありますが、ミレニアム達成が二〇一五年ということでございます。アフリカに関しまして八つのミレニアム開発目標があるわけでありますが、この達成に向けたODAの現状がどうなっているのか、課題は何なのか。中間年の〇八年までに何をどう達成できるかなどをまとめた資料をいろいろ外務省等に聞くんですが、開発途上国全体についてこういうふうにしたいというものはあるけれどもアフリカに限定したものはなかなかないという話がありまして、私は途上国全体ということじゃなくて、アフリカに限定してそのミレニアムの目標はどうなっているのか、今どこら辺まで我々来ているのかと、こういうことをいろいろ聞くんですけれどもアフリカに限定したものが、まとまったものはないと、こういうことをあちこちで言われまして、今回も困っちゃったんですけれども。  やっぱりアフリカに限定したその客観的な資料、到達目標と現状、こういうものをまとめた資料をやっぱりちゃんと作るべきだと。ODAについてはアフリカというのは一つの大きなポイントになっておりますので、そのやっぱりアフリカに限定した資料がないということは、私は大変困ったものではないかと、こういうふうに思っておりますが、是非この際、客観的なアフリカに限定した資料を是非作っていただきたいと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  90. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 委員指摘の分かりやすい資料をですね、今たまたま作成中であります。特に、サブサハラ・アフリカというんですか、サハラ以南の四十七か国のブラックアフリカにおいて進捗状況が必ずしも芳しくないと、そういう状況もありますので、すべての目標について、一体その進捗状況がどうかというようなことを絶えず掌握していくということはとても大事な御指摘だと心得ております。  日本としては、来年、G8サミットそれからTICADⅣを開催するわけでございますから、十分リーダーシップを発揮するためにも、今日たびたび御審議いただきました百億ドルの事業量積み増しや、アフリカ向けの倍増ということを国際協力の実現に向けて努力する中で、御指摘の目標を実現するように引き続き努力してまいります。
  91. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。     ─────────────
  92. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会政府参考人として、外務大臣官房儀典長渋谷實君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  94. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 引き続き、平成十九年度一般会計予算外二案の委嘱審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございます。もう最後になりましたので、もうちょっとだけ付き合ってください。  二点だけお尋ねしようと思いますが、細かい問題ですので、大臣はそういうことが問題になるのかということをそばで聞いていてもらえればいいんじゃないかと思いますけれどもね。  最初に、もう皆さんがODA中心にして頑張っておられることは本当に感謝しますけれども、特に発展途上国に対する招待外交がいろいろと行われておるわけで、日本から案内状を出して、来てくださいという格好でやっておるわけで、これも非常に意義があると思うんですけれども発展途上国の場合、発展段階がいろいろ違うから、喜んで来るところもあればいろいろあるだろうと私は思うわけでございますけれども。  ちょうどその前に、私が知っているリベリアの、リベリア、日本の大使館はないんだけれども日本には大使館はありますけれどもね、それが呼ばれたというんで聞いたら、何と、一定の基準があって呼んでいるというんだけれども大統領と随行員が一人だけと。二人だけで来いというんだね。確かに二人でも来れますけれども。それから、宿泊費は三人分だけどういうわけか払ってくれているという状況なんですけれども、実際来るときは、二十一人の人がみんな日本に来たいから来たわけですよね。そうすると、日本から招待する場合には、やはり十何人かになるから、それを考慮してやっぱり費用も持ってやらないと大変ですよ。向こうから来る人間は、旅費を出せ、宿泊費を出せといっても、十何人は持ってもらえないものだから、宿泊料は日本の大使館で調達しろと言われて、頼まれたわけですよね。変な話ですけれどもね。そういうのは外務省でよくいろいろ考えてやってほしいと思うんですよ。  特に、内乱が終わったような国ですから、大統領はおるけれども、まだまだそろっていない状況ですから、その辺はいろいろ考えてやってもらったらいいと思うけれども、招待外交についてそういう基準があるんなら基準を教えてほしいと思います。
  96. 渋谷實

    政府参考人(渋谷實君) 元首等の外国要人の招聘スキームはいろいろございます。その招聘スキームに応じて、例えば宿泊費等の負担の枠も決まっておるんでございますけれども、リベリアの大統領が来られた実務訪問賓客の場合は、対象期間が三泊四日以内、それで対象者は、今先生のおっしゃったとおり賓客及び随員一名ということになっております。  ほかのスキームで来られる場合はもう少し見られることもございますけれども、どのスキームで来られるかは先方政府との合意によって決まっております。
  97. 浅野勝人

    ○副大臣(浅野勝人君) 大統領が見えて随員が一人というのは、まあちょっとどういうものですかね。亀井先生、事前に指摘をしていただきましたら、もうちょっと省内きちんと対応させました。この御指摘は今後のために生かさせていただきます。
  98. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 ありがとうございます。  直前に分かったものだから、外務省にはちゃんと言ったんですけれども外務省の答弁は、基準に従ってやっているんですと言うから、ひどい基準だなと私は思いまして、今副大臣おっしゃったように。だから、その辺よく考えてひとつ、アメリカが来るのなら向こう持ちでいいですけれどもね、全部ね。だけれども、こういう国じゃちょっとかわいそうですよね。自動車二台付けてもらったけれども、足りないから二台また用意しましたけれども、本当にひどい状況。だから、麻生大臣からパーティーやってもらって喜んで帰りましたけれども、あのパーティーも、あのパーティーじゃなくて、大臣中心にして数人、二十人でも三十人でもいいから、もっと実のある会にすればよかったなという感じがしましたけれども、パーティーやってみても、一部の人が話しているだけじゃ駄目ですからね。余分ですけれども、ありがとうございました。  それから、もう一点聞きたいのは、だんだん東南アジアからアフリカや南アメリカの方に、南米の方に目が向いてきているけれども、十年ぐらい前に行ったんですけれども、そのときにはブラジルにね。そうしたら、橋本総理が向こうに行って、そして日本の伝統文化を知らせるために日本学院か大学かつくりたいということを言って帰られたんだけれども、いまだにまだ大学ができたという話を聞かないんだけれども総理大臣たる者が向こうへ行って約束したのなら、やっぱり外務省は守らぬといかぬと思うんだけれども、それはどう考えられますか。
  99. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今の件については、一九九六年、橋本総理のブラジル訪問のときに出た話だそうであります。御要望の内容というのはいろいろあったんですけれども、向こうからの要望内容というのは最終的にまとまらなかったというのが、亀井先生、その背景なんです。  他方、昨年の八月、日本移民百周年だったかな、何とか記念協会というのが向こうにありまして、移民関係の人を全部やって、日本、約百四、五十万人、向こうに移民ということでおりますので、日系人の子弟を対象とした今あそこにアルモニア学園というのが御存じのようにあるんですが、ここの学校の拡張工事を計画しておられて、その支援の要望が出されたんです。それで、私どもとしては、それに対応しようと思ったら、本年に入りましたらこの要望は取り下げられております。  したがいまして、この種の話としては、日本人社会の、この協会に限りませんけれども日本人社会の総意として要望がその後提出されたことがないというのが経緯でありまして、私どもとしては、具体的な御要望がいただければ、私どもとしてはそれを検討する用意があります。  ただ、日系社会も、先生御存じのようにかなり大きな社会になっておりまして、いろいろ派閥と言ってはなんですけれども、いろいろグループが、なかなか難しいところもあったりいたしますんで、この要望がなかなかまとまらないというのが現実であることは確かですんで、こういったものがまとまりさえすればちゃんと出せますよという話を亀井先生の方からしていただくなりなんなりしていただければ、我々としては出されればそれに対応する用意があることだけは間違いございません。
  100. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 もう時間ですから終わりますけれども、今のお話で、よく聞いてからまた御相談に上がりますので、よろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  101. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 以上をもちまして、平成十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 山崎正昭

    委員長山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会