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中原爽君 お
手元に
資料を四枚ほど配付をさせていただきました。
十分の時間でございますので、最初の
ページ、
右下に
ページ数を打ってございますけれども、
平成十七年の十月に本
調査会として、
テーマが
団塊世代対策等少子高齢社会の
課題に関する件と、こういうことでございまして、
内閣府、
文科省、
厚労省からそれぞれ
説明を聴取いたしました。そのときに、
内閣府は全般的なこと、それから、
文科省はどちらかといえば少子問題を
説明されて、実際に
団塊世代の
説明をされたのは
厚労省が
説明をされました。
そのほかに、この
団塊問題について、元
経済企画庁長官の
堺屋太一先生以下、
参考人の御
意見を伺った
記憶があります。そのときに
堺屋先生は、
団塊の
世代という
言葉をつくったのは私だと、そういうふうにおっしゃった
記憶があります。
そんなことなんですが、
団塊の
世代というのは、
世代の
出生年代の範囲というのが狭い
意味ですと三年間、一九四七年から四九年までの三年間、それから広い
意味でいいますと五年間になりまして、一九四七年から五一年までの五年間と、こういうことであります。
このうち、
世代の一番最長の
年齢層が六十歳に達する、要するに一九四七年生まれの
人たちが六十歳に達するのがこの二〇〇七年と、こういうことになっておりまして、これを二〇〇七年問題と、こういうふうに言ってきたんですけれども、実際に今二〇〇七年なんですが、もう何というか、
団塊の
世代の話が遠く行っちゃっているような感じで、どこでどうなっているのかよく分からないままになっているというふうに見えるんですけれども。
すなわち、今年が二〇〇七年問題であるならば、もう一度これ見直す
側面、必要なのかなと思うんですが、この二〇〇七年問題というのは
日本の
高齢化の一端を表すその象徴的な問題なんですけれども、この
団塊の
世代に特有の
側面もあるんだろうというふうに思います。
それで、十七年の十月に
厚労省が
説明をされた
内容というのはこの①から⑥までございまして、もっと文章になっていたんですが、要約して一行に縮めてございますけれども、大体こんなようなことを
説明されたということであります。この中で、後から問題が出てきますので、特にこの①から⑥までの
内容は申し上げません。
⑦、一番下のところは私が勝手に付けたところでありまして、
年金支給年齢が今六十五歳ですから、六十歳
定年で六十五歳までの五年間の
雇用をどうするかということなんですけれども、実際に現時点でも
企業、
事業所のおよそ八〇%がやはり六十歳
定年のままと、こういう
状況になっているわけであります。
二枚目の方ですけれども、この二〇〇七年問題の
問題点があるわけなんですが、
メリットも
デメリットもあると、こういうふうに言われております。
①のところで、
団塊の
世代の
定年退職と、それから
少子化が進展するわけですから
労働力の
人口というのは減少するという、
バランスが取れなくなるということでありますので、構造的な
労働力の
不足ということに引き続いて
経済の成長が抑制される、これが
デメリットだと、こういうふうに言っているわけであります。
その反対に、②のところで、
団塊の
世代が大量に
退職いたしますので、その穴埋めという形になる
若年者層の
雇用と
失業率が改善されるんじゃないか、これは
メリットだと、こういうふうに言う人もあります。
それから③で、
技術とか今まで
日本が蓄積した
ノウハウを継承していくということができなくなる、それから
ものづくりの
技能の
低下が起こると、こういうことであります。これが
デメリット。
それから④に、
退職金を大量に用意をするということになりますし、
退職金以外に一時金あるいはその後引き続いての
企業年金の
給付を行うということですから、
企業、
事業所の
財源不足というのが起こるだろうということであります。
それから⑤で、
高給取りの、六十歳代の
給与水準の高い
団塊の
世代が
退職しますので、それから以後は
企業の
人件費は減るのではないか、こういう
メリットがあると、こういうふうに言う人もあります。
それから⑥で、これは国の問題として、現在の
年金制度は、この大量の
退職者を含めてその後、
年金を維持していくという、国の
年金制度自体が
賦課方式でやっているので、これはとても
財政上、
社会保障財源というのが
少子化が進むということと併せて非常に
財政が苦しいという国の
状況が起こると。
それから
⑦、しかし
団塊の
世代が大量の、大量と言うとおかしいですが、一応
退職金をもらうわけですので、その
退職金を活用するということになりますと
消費経済が活性化する
方向性があるんじゃないかと、こういうふうに言う人もあります。あるいは、
たんす貯金のような形になってしまって動かないかもしれないということもあります。
それから⑧として、この大量の
団塊の
世代の
退職者はこれから何年
寿命があるかという平均的な
余命、六十歳以降の
平均余命でありますけれども、これは
平均寿命と違いますので、六十歳まで生存してきたという仮定の中からそれから先どのぐらい
余命があるかというと、男子で二十三年ぐらい
余命があるわけなんですね。そうすると、もう八十歳以上確実に生き延びるということになりますので、八十歳以上になっていく超
後期の
高齢者になればなるほど
医療と
介護というのがくっ付いてくるわけですから、これの
給付それから
保険料の問題、これがまた大きな
問題点になると。こんなことが
メリット、
デメリットで羅列されているということであります。
ところで、別の
法律がありまして、
高齢者等の
雇用の
安定等に関する
法律で
括弧書きのところ、
平成十六年の六月に
改正になったわけであります。
これで主な
改正点というのは、六十歳までの
定年を引き上げろと、
定年を六十五歳まで引き上げろということで、毎年一年ずつでいいから五年掛けて六十五歳まで引き上げていいんだと、こういうことであります。それから、六十歳で
定年になっても引き続き
雇用制度を
導入しろと、あるいは
定年そのものの定めを廃止してしまえと、こういうことがこの
法律に
改正点として書かれているわけでありまして、これを義務的に各
企業は行えと、こういうことになっております。
しかし、ただし
労使協定で、
継続雇用制度の
対象労働者にかかわる
基準の設定で
希望者全員を
対象としないことも可能だと、こういうようになって難しい
表現になっているんですけれども、要するに、
継続雇用の
制度を
労使でもって相談するときに、
全員がその
制度に乗っかるということじゃなくて、
希望者だけで考えてもいいんだろうと、こういうことであります。
それと、その次が、そういう
関係のもので、政令で定める日まで、大
企業と
中小企業は少し年限が違いますけれども、それぞれ
猶予期間を置いていいんだと、こういうことで、
労使協定でなく
就業規則等で
当該基準を定めることは可能だと、こういうふうな
表現になっているんですが、実際にこの
法律の条文の中で
労使協定、こういう
表現になっているんですが、実際には
協定という
言葉は通用しないので、一番重きを置くのが法令でありますけれども、その次が
労使の
協約、
協約という
方式、その次がここで言っております、何というんですか、
就業規則になって、その後が
雇用の際の
雇用の
条件ということになりますので
雇用契約と、こう三
段階ぐらいに重要なものが来るわけなので。ですから、
労使協定でなく
就業規則等に
当該基準を定めることは可能だという
表現が、なかなか微妙な
表現になってきます。ここで言っている
労使の
協定という
意味は何なんだということになると、
労使の
協約なのか、
労使の
契約なのか、あるいは
就業規則そのものなのかということのニュアンスが非常に
表現をするのが難しいという面があると思います。
それから、
中高年者の再就職を促進させろと、それから多様な
就業機会を
確保しろと、こんなことが書いてあるわけですね。これで、じゃ
企業は今どんな
対応をしたかということですけれども、とにかく
定年の
年齢を引き上げろと、一年ずつでもいいですから、六十一歳、六十二歳、六十三歳というふうに年々引き上げてもいいということなんですけれども、それと
継続雇用制度の
導入及び
定年の取決めの廃止と、この三つが
条件になって、各
企業はこれ義務付けてやれと、こういうことでありますけれども、一応、
企業、
事業所の九七・九%がこの
雇用の
確保の
措置という
義務化を
導入するんだということは言っているわけなんですが、実際にどういうことをやったかといいますと、
企業の
対応、
企業などが
対応している
中身のほとんどが、この
措置の
対応の
基準は一応
労使で決めるなりなんなり決めたと。しかし
中身は、一応
退職してもらうと、六十歳で
退職してもらって
退職金を払うと、それで再
雇用をするけれども、その再
雇用の
期間は一年
契約だと、こういうことがほとんどだというわけであります。
したがって、その年の
退職金以上のものは払っていないわけですから、それで再
雇用した場合に、今までの
雇用形態の
給与よりもずっと減額した給料を払うということができます。それから、ボーナスは払わないと、こういうことになるわけなので、この
対応が果たしてここで取り決めた
雇用確保の
措置ということに本当に合っているのかどうかというふうなことは疑問視されるというふうに思います。
あと、
カラーの
資料の方でございますけれども、これ
縦書きの方をごらんいただきますと、これは
内閣府の
高齢社会白書の
資料でありますけれども、一番下のところを見ていただくと(5)というのがあって、
技術・
技能の伝承というのがあります。これで、大量の
団塊の
世代が
退職するので、その
団塊の
世代が持っていたいろいろな
技術、
ノウハウを引き継ぐということは困難ではないかと、こういうことを言われていたんですけれども、実際のアンケート見ていただくと、特に変化はないよというのが五〇%近くと。
あと、多少困難になるというのは四〇%ぐらいで、余り、
企業としてはこの
技術を伝承するとかそういうことはほとんど考えていないんじゃないかと、そういう気がいたします。
それから、その上の(4)も同じ
状況で、
専門・
技術者層の
確保ができるのかできないのかということは、特に
懸念はないと、多少
懸念はある程度だと、こんな回答が出てくるということでありまして、
法律上考えているものと実際の
企業が
対応しているものは何かえらいずれがあるような気がするということを申し上げたいと思います。
それから、一番
最後の
カラーの
資料ですが、これ左の方が二〇〇五年の実績でありますが、これで、大体六十歳のところで今の
団塊の
世代の第一陣が
退職してくるということであります。もう
一つ下の山が、これが
団塊の
世代の
子供たちの、
ジュニアの山であります。その両方の間に落ち込んだところがあるのは、これはひのえうまということになります。
これが三〇年になりますと、
団塊の
世代はほとんど七十五歳、八十歳になってしまうということでありまして、次の
団塊の
ジュニアの
世代の、特にひのえうまに当たるところ辺りが六十五歳、すなわち
団塊の
ジュニア世代、もう六十歳に掛かってくるということになります。
一番右の二〇五五年は、これはもう完全に、こういう
状況でいきますと、
団塊の
世代の
ジュニアの
世代が既に八十歳に掛かるということになります。そうしますと、この
団塊の
世代の
ジュニアのもう
一つ後の
ジュニアはないということになりますので、ここから先はもう完全に総
人口も何もないということになりまして、
団塊の
ジュニアの
世代の
年金を支えてくれるようなとにかく
若年者層がいなくなるということが心配だと、こういうことになっているわけであります。
しかし、私申し上げたいのは、どうもこの二〇〇七年の問題があやふやになったままになっておりまして、それで実際に企画をした
法律上の
対応というのは、
企業は適当に
対応しているんじゃないかということが私は申し上げたいというふうに思っております。
以上でございます。