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国務大臣(
冬柴鐵三君) いわゆる商法に
保険というところがありますけれども、今言われたように、それは
保険事故というものが軽
過失によるものを
対象としております。したがいまして、
保険事故、すなわち
自動車であれば
自動車事故とか、あるいはこの
瑕疵担保の問題であれば
住宅の隠れた
瑕疵あるいは
瑕疵というようなものが
建設業者の
故意とかあるいは
宅建業者の
故意あるいは
重過失というようなことで生じたものまでは
保険ではいわゆる
補てんができない、すべきではないわけであります。
それはなぜかというと、
保険事故というものの
発生する
確率というものから
保険料金というものが算定されるわけですから、そういうようなものまで入れてしまいますと、これは
補てんすることが破綻することになってしまいますから、そういうものはいわゆる
保険の範疇に入らないということが
一つあります。
じゃ、ここで
指定する
保険法人、何だと。これは、
保険という言葉を使っていますけれども、私は似て非なるものだと思うんです、そういう
意味では。似て非というのは、それは違うと、
保険とは違うわけでありまして、
重過失であってもあるいは
故意であったとしても、
消費者保護のためには、
消費者はそれは分からないわけですから、ひとしくそれを
保証してあげなきゃならないという
政策目的があるわけです。したがいまして、我々は、
重過失とか
故意というようなもので生じた
保険事故、すなわち
瑕疵担保責任というものについては
保険とは別の精神でこれ考えなきゃいけない。そこに
基金というものを考えているわけでございまして、その
部分は
基金で
補てんする、
消費者保護のために
基金で
補てんをするという
制度をそこに入れているわけでございます。
それからもう
一つ、じゃ、
自賠責保険のような形でなぜやらないのか、なぜそんなものにこだわるのかという問題については、
保険事故の
発生の
確率が物すごく低いということが
一つあると思います。
それは、
自動車の場合、七千数百万台が
日本で走っておりますが、
自動車事故というのは、日常茶飯と言ったら申し訳ないですけれども、年間百万件以上起こっておるわけです。したがいまして、
死者でも六千人を超える
死者が毎年出ています。そういうものについては、
保険に入っていないから亡くなった方は泣き寝入りというわけにはいきませんので、
強制的に
保険契約を
強制させているわけでございます。しかしながら、本件の場合、
住宅の
瑕疵というのは、いろいろな
法律を作りまして誠に希有な
事例になると私は信じます。
確率が物すごく低いということと、それからもう
一つは、今回、
保険だけではなしに
供託という
方法を選択することもできる。いわゆる自分の
資力保証に
保険以外に
供託という
方法もあるということになりますと、これをひとしく
建設業者とかあるいは
宅建業者にその
加入を
強制するという形での
強制保険にはなじまないということが
一つあります。そういう、以上のところから、非常にいろいろ苦労をしながらつくり上げたのがこの
保険法人でございます。
じゃ、それと
保険はどういう形になるか、
民間保険会社はどうかというと、
民間保険会社は
故意、
重過失の
部分を除き、それから
住宅の場合は
保険契約を締結する前にその建物がきちっとした
瑕疵がないものかどうかということを
専門的な目で
審査せないかぬという面倒くさいことがあるわけです。したがいまして、
一般の
損保会社ではそういう
審査までできないということからこれをエスケープしていますけれども、もし
保険法人が引き受けた
保険の中で
故意、
重過失を除いた
部分は再
保険として引き受けますと、こう言ってられるわけで、再
保険制度というものは
一般の
保険会社が受けてくれると、そういう、私が今るる言ったことを、ややこしいところを全部除いた
部分についての再
保険は我々は受けます、こういうことをおっしゃっているわけでございます。
したがいまして、
田名部先生の
質問でございますが、我々はいろいろ紆余曲折をした挙げ句、これにこだわったわけではなしに、ここへ行き着いたというのが結論でございまして、御理解をいただきたい。これによって、私は、善意で、とらの子で家を買った人が悪い
建築業者とかあるいは
宅建業者によって
損害を受けることがない、少なくとも二重
ローンを組まなきゃならないというような悲惨な目には遭うことがないという
制度をつくり上げようというのが本法の趣旨でございますので、御理解いただきたいと思います。