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2007-04-19 第166回国会 参議院 国土交通委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年四月十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十八日     辞任         補欠選任         犬塚 直史君     羽田雄一郎君      加藤 敏幸君     松下 新平君  四月十九日     辞任         補欠選任         羽田雄一郎君     林 久美子君      魚住裕一郎君     風間  昶君      後藤 博子君     亀井 郁夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大江 康弘君     理 事                 末松 信介君                 脇  雅史君                 藤本 祐司君                 山下八洲夫君                 谷合 正明君     委 員                 市川 一朗君                 岩井 國臣君                 小池 正勝君                 田村 公平君                 中島 啓雄君                 藤野 公孝君                 吉田 博美君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 田名部匡省君                 林 久美子君                 前田 武志君                 松下 新平君                 風間  昶君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君                 亀井 郁夫君    衆議院議員        国土交通委員長  塩谷  立君        国土交通委員長        代理       石破  茂君        国土交通委員長        代理       西村 康稔君        国土交通委員長        代理       細野 豪志君        国土交通委員長        代理       大口 善徳君    国務大臣        国土交通大臣   冬柴 鐵三君    副大臣        国土交通大臣  渡辺 具能君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       藤野 公孝君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       草賀 純男君        外務大臣官房参        事官       伊原 純一君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        文部科学大臣官        房審議官     辰野 裕一君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        岩井 良行君        国土交通省総合        政策局長     宿利 正史君        国土交通省海事        局長       冨士原康一君        気象庁長官    平木  哲君        海上保安庁長官  石川 裕己君        防衛省運用企画        局長       山崎信之郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海洋基本法案衆議院提出) ○海洋構築物等に係る安全水域設定等に関する  法律案衆議院提出) ○特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する  法律案内閣提出) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 大江康弘

    委員長大江康弘君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、犬塚直史君、加藤敏幸君及び魚住裕一郎君が委員辞任され、その補欠として羽田雄一郎君、松下新平君及び風間昶君が選任されました。     ─────────────
  3. 大江康弘

  4. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 海洋基本法案及び海洋構築物等に係る安全水域設定等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  提出者衆議院国土交通委員長塩谷立君から趣旨説明を聴取いたします。塩谷立君。
  6. 塩谷立

    衆議院議員塩谷立君) ただいま議題となりました両案につきまして、提案趣旨及び内容を御説明申し上げます。  まず、海洋基本法案について御説明申し上げます。  本案は、海洋人類等の生命を維持する上で不可欠な要素であるとともに、我が国国際的協調の下に、海洋の平和的かつ積極的な開発及び利用海洋環境保全との調和を図る新たな海洋立国を実現することが重要であることにかんがみ、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、海洋に関し、所要の措置を講じようとするもので、以下その主な内容について御説明申し上げます。  第一に、基本理念として、海洋開発及び利用海洋環境保全との調和海洋の安全の確保海洋に関する科学的知見の充実、海洋産業の健全な発展海洋総合的管理並びに海洋に関する国際的協調を定めております。  第二に、国は、基本理念にのっとり、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有することなど、国、地方公共団体事業者及び国民責務を明らかにしております。  第三に、政府は、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、海洋基本計画を定めなければならないこととしております。  第四に、海洋に関する基本的施策として、国は、海洋資源開発及び利用推進海洋環境保全排他的経済水域等開発等推進海上輸送確保海洋の安全の確保海洋調査推進海洋科学技術に関する研究開発推進海洋産業振興及び国際競争力強化沿岸域総合的管理、離島の保全、国際的な連携の確保及び国際協力推進海洋に関する国民の理解の増進等のために必要な措置を講ずることとしております。  第五に、海洋に関する施策を集中的かつ総合的に推進するため、内閣に、総合海洋政策本部を置くとともに、本部の長に内閣総理大臣を、副本部長内閣官房長官及び海洋政策担当大臣をもって充て、海洋基本計画の案の作成及び実施の推進等事務をつかさどることとしております。  次に、海洋構築物等に係る安全水域設定等に関する法律案について御説明申し上げます。  本案は、海洋構築物等の安全及び当該海洋構築物等周辺海域における船舶航行の安全を確保するため、海洋構築物等に係る安全水域設定等について必要な措置を定めようとするもので、以下その主な内容について御説明申し上げます。  第一に、国土交通大臣は、海洋構築物等の安全及び当該海洋構築物等周辺海域における船舶航行の安全を確保するため、国連海洋法条約に定めるところにより、安全水域設定することができることとしております。  第二に、安全水域設定は、特定行政機関の長の要請に基づき行うこととしております。  第三に、国土交通大臣は、安全水域設定したとき、又は廃止したときは、安全水域の位置及びその範囲を告示しなければならないこととしております。  第四に、船舶の運転の自由を失った場合等を除き、何人も、国土交通大臣の許可を受けなければ、安全水域に入域してはならないこととしております。  以上が、両案の提案趣旨及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  7. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 松下新平

    松下新平君 おはようございます。民主党・新緑風会の松下新平と申します。  国土交通委員会では初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま提案理由説明をいただきまして、ありがとうございます。この二法案について質疑をさせていただきたいと存じます。  まず冒頭に、本日御出席いただいておりますけれども、この議員立法法案提出者の皆様を始め関係各位の御尽力に心から感謝を申し上げますとともに、本日の御出席、誠にありがとうございます。  さらに、この法案多岐にわたっております。農林水産あるいは経済産業外務防衛、いろいろ多岐にわたる中で、国土交通委員会がお引き受けいただきました。大江委員長を始め与野党の理事の皆さん委員皆さんに厚く御礼を申し上げます。  それでは、随時質問に移ります。  お手元に資料もお配りさせていただいておりますので、併せてごらんいただきたいと思います。  海洋は、地球の表面の約七割を占めております。人類その他の生物は、これまでも海洋を十分利用し、多くのものを海から授かってまいりました。世界百九十二か国の中で海に面している国は実に百五十か国もあるそうであります。特に日本は、四方を海に囲まれ、はるか昔から海と深くかかわってまいりました。今日でも、エネルギーの九割、食料の六割を海外に依存し、また貿易の九九%以上を海上輸送が担っております。  さらに、日本陸地の面積の大きさは世界で六十番目ですけれども管轄海域では世界第六番目になるそうです。お配りした資料も併せてごらんいただきたいと思います。ちなみに、一位がアメリカ、二位がオーストラリア、三位がインドネシア、四位がニュージーランド、五位がカナダとなっております。日本は、陸地だけではアメリカの二十八分の一でありますけれども、この管轄海域では一位のアメリカの三分の二を占めることになります。また、日本陸地の十二倍の広大な水域大陸棚を管理していることになります。この数字の上からも、日本海洋から受ける恩恵は計り知れないことがうかがえます。  さらに、歴史的にも、海は日本安全保障に大きなプラスの要因をもたらしました。同時に、海は日本の美の一つでもあります。  しかし、残念ながら、近年、その海洋に大きな異変が見られるようになりました。地球温暖化を含め、海洋環境が悪化の一途をたどり始め、漁獲量は激減し、大規模自然災害や津波が発生しておりますし、海賊や海上テロなどによる海上輸送の安全が脆弱化してまいりました。加えて、大陸棚石油ガス海洋資源開発利用する関係国争いが深刻化しております。我が国周辺では領土領海問題を含め、海洋関係境界争いなど安全保障上の問題が激しく、海域が重複するのはロシア、北朝鮮、韓国中国、台湾、フィリピン、アメリカでありますが、いまだ一つとして最終的な合意に至っていないのが現状であります。このような様々な背景から、世界海洋を分割管理する方向へ大きくシフトし、平成六年に国連海洋法条約発効されたところであります。  そこで、まず、国土交通大臣にお伺いいたします。  この条約発効により、海洋国家たる我が国としては政策をしっかりリードしていくことが求められておりました。そこで、これまでの政府取組のうち、国土交通省海洋政策についてお伺いいたします。
  9. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 四面環海海洋国家である我が国は、はるか昔から人や文化の往来、物の輸送産業生活等の分野におきまして海と深くかかわっており、海の恩恵を満身に受けてまいりました。  一方、我が国海洋をめぐっては、海上における安全や防災海洋環境保全海洋開発利用、そして海洋産業活性化等、多くの課題がございます。これらは独立に存在するものではなく相互に関係があることから、関連する施策を総合的に進めていくことが必要であります。  このため、多くの部局で海洋に関する施策を進めている国土交通省といたしましては、海洋に関する課題についての基本認識と、それから基本的な施策方向及び施策推進するに当たっての基本的な考え方を、昨年の六月でありますが、国土交通省海洋沿岸域政策大綱として取りまとめるとともに、昨年七月に国土交通省海洋沿岸域政策推進本部を設置をいたしました。  国土交通省としては、この大綱を指針とし、海洋の安全の確保海洋の治安・秩序の確保、それから国土保全防災対策海洋環境保全海洋輸送確保海事産業振興海洋気象海底地形等調査などの施策を総合的かつ戦略的に推進しているところでございます。
  10. 松下新平

    松下新平君 実は、政府全体の海洋政策というくくりで質問をしたかったんですけれども、残念ながら、それを受けるところがないということで、あえて国土交通省に関しての質問にさせていただきました。  御案内のとおり、漁業については農林水産省、海底資源については経済産業省外国との交渉については外務省海上輸送国土交通省縦割り海洋関係行政を総合調整する仕組みが不十分でありましたし、責任の所在も不明確でありました。このことは次の質問に続けたいと思います。  次に、法案提出者皆さんにお伺いいたします。議員提出となりました背景経緯についてお伺いいたします。
  11. 石破茂

    衆議院議員石破茂君) お答えを申し上げます。  今委員からお話がございましたような歴史的な経緯がございまして、国連海洋法条約採択発効あるいは国連海洋開発会議リオ地球サミットと申しますが、そこにおけるアジェンダ21の採択というのがございまして、各国とも一元的に海洋政策に取り組む、そのような体制を整えてきておるわけでありますが、我が国においてはそれがなかったということでございます。  これはもう委員案内のとおり、本当に七つ役所が絡むわけですよね。つまり、農水、経産、外務防衛、国交、文科、環境ですか、七つ役所がそれぞれある。それはもう何も海洋に限らずそうなんですが、縦割り行政ということになっておって、それぞれがいろいろな考え方でやっているわけですが、それを一元的にやっていかねばならぬ。政策を一元化し、そしてまたその遂行も一元化するような方針を示すことが必要であろうと。となるならば、これは政治の強いリーダーシップによってやっていかねばならない、さればこそ議員立法であろうということであったかと私は存じております。  昨年、そのような海洋基本法研究会というものを設立をいたしまして、これは自由民主党、公明党、民主党議員、あるいは有識者から成りますそのような研究会設立をいたしまして、十回にわたって議論を重ねてまいりました。それを受けまして各党でいろいろとまた議論を積み重ねました結果、海洋基本法案というのを策定した次第でございます。  したがいまして、我が国としてもこの法案是非とも制定をいたしまして、委員指摘のような、世界六番目とも言われるような広い経済水域排他的経済水域、これを管轄する海洋政策が総合的かつ体系的に推進されるようにいたしたい。それを言葉で言えば、島国から海洋国家へということなのだと思っております。それに資するための法案であると、かように承知をいたしておる次第でございます。
  12. 松下新平

    松下新平君 どうもありがとうございました。超党派で政治リーダーシップという強い意気込みでこの法案の策定に当たられたということでありました。どうぞ、その思いが法案が成立して運用までも続くようにお願いしたいと思っております。これは執行部の方にお願いしたいと思います。  それでは、当然、諸外国の様々な取組参考にされたと思いますけれども、その点について法案提出者皆さんにお伺いいたします。
  13. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) 諸外国の例でございますけれども、これはやはり国連海洋法条約が一九九四年十一月に発効し、そして一九九二年にこのアジェンダ21が採択されて以来、諸外国海洋に関する様々な施策を実施するための制度的枠組みを整えて海洋政策に積極的に取り組んでいると承知しております。  米国は、海洋をよりきれいで健全で生産的なものにすることを目指した米国海洋行動計画を二〇〇四年に策定しています。韓国は、海洋政策への優先的取組海洋産業競争力強化を通じた先進海洋大国を実現することを目指した二十一世紀海洋水産ビジョンを二〇〇〇年に策定しております。中国は、海洋資源を合理的かつ持続的に利用し、海洋経済の一層の発展を促進することを目指した二十一世紀中国海洋政策大綱を一九九六年に策定しています。これらの諸外国海洋政策は総合的に推進をしております。  また、安全水域に関しては、主要な諸外国では、国連海洋法条約に沿って排他的経済水域等において安全水域設定する制度を整えていると承知しております。  今般、海洋基本法案及び安全水域法案は、このような諸外国海洋政策状況を踏まえて提案したものでございます。
  14. 松下新平

    松下新平君 条約発効から十三年たっておるわけですけれども、その間に諸外国のいいところを参考にされた、また日本に合う形で取り入れたということだろうと思いますが、ありがとうございました。  次に、先週の中国温家宝首相の訪日についてお伺いしたいと思います。  この法案にも日中間課題解決という大きな期待が寄せられておりました。私も大きな期待を持って国会演説を拝聴いたしました。しかし、国会演説首脳会談共同プレス発表の記録を子細に分析しますと、中国の対日政策基本は何も変化していないと言わざるを得ません。表現が従来のものより多少和らいだというだけであります。基本が何も変化していないのに、これが変化したかのように受け取って対中外交に臨めば、しっぺ返しを食らうのは日本側であります。  そこで、中国側の対応の中で象徴的で、本法案にも関係する東シナ海ガス田問題について外務省にお伺いします。これは安倍総理の掲げる戦略的互恵関係の中枢に位置するテーマでもございます。  共同プレス発表では、双方が受入れ可能な比較的広い海域共同開発を行うと記されていました。これが果たして合意と言えるのでしょうか。  実際、中国外交部は、首脳会談プレス発表の後、翌十二日の北京での定例記者会見で、中国海洋権益が及ぶ範囲沖縄トラフまでであり、日本側が提示する中間線が日中を分けるという解釈は採用しないと改めて主張しております。しかも、十一日には、白樺に加えて樫で中国海洋石油ガス生産を開始したと発表し、定例記者会見では、個々の企業の具体的な活動状況は把握していないが、主権に基づく正当な活動だといった趣旨のことを平然と述べております。日本側が主張してきた、地下構造中間線にまたがっている可能性があるために開発中止すべきとの再三にわたっての求めは全く無視されております。  まず、このことに対する外務省の御所見を求めます。
  15. 伊原純一

    政府参考人伊原純一君) ただいま委員指摘のとおり、中国外交部報道官は、十二日、記者会見におきまして、中国側開発活動日本側争いのない海域で行っていると、中国主権的権利を行使する正常な活動なんだというふうに述べております。  これに対する私どもの見解でございますけれども、私どもとしては、このような中国側立場を受け入れることはできないということでございます。  理由としては主として二つございます。  まず第一に、今委員も御指摘ございましたけれども、この樫ガス田につきましては、日本側調査によれば、構造中間線日本側まで連続している可能性があるということを確認しております。  二つ目理由でございますけれども、これは日本は、国連海洋法条約関連規定に基づきまして、領海基線から二百海里までの大陸棚及び排他的経済水域権限を有していると、その上に立って、隣国と二百海里が重なる部分については中間線を基に境界画定を行うと、そういう立場を取っているわけでございます。しかし、中国との間ではいまだにこの中間線でもって境界を画定するということは合意されていないのみならず、中国我が国中間線に係る主張を認めていないと、そういう状況でございますので、今そのような状況においては、日中間境界画定が行われるまでは、その係争となっている海域、つまり日本権限を有している二百海里の海域に位置しているガス田についてはやはり中国としても慎重に対応すべきであるということで、この樫は正にそういった係争となっている海域に位置していると、そういう立場から今回の中国外交部報道官発言については受け入れることはできないと、こういう立場でございます。
  16. 松下新平

    松下新平君 ただ、報道によりますと、一定の進展はあったとか発言を擁護するようなコメントも出されておりまして、なかなか明確に中国側に伝わっているかは疑問であります。  今回の日中共同プレス発表では、東シナ海問題を適切に処理するため、東シナ海を平和、協力友好の海とすることを堅持し、最終的な境界画定までの間の暫定的な枠組みとして、双方海洋法に関する諸問題についての立場を損なわないことを前提として、互恵の原則に基づき共同開発を行う、双方が受入れ可能な比較的広い海域共同開発を行うとされております。  それでは、今回のプレス発表での双方が受入れ可能な海域、この双方が受入れ可能な海域に対する見通しについて外務省にお伺いします。
  17. 伊原純一

    政府参考人伊原純一君) 今御指摘のとおり、今回の日中首脳会談におきましては、東シナ海を平和、協力友好の海とするために共同開発を行うということでは一致しておるわけですけれども、その共同開発を行う海域については、首脳会談に至るまで相当局長級等協議を行いましたけれども合意することはできなかったわけでございます。  したがって、今後の課題としては、正に委員指摘のとおり、共同開発を行う海域について協議をしていくと。ただ、そのときに一つ考え方として、双方が受入れ可能な比較的広い海域という概念、この概念を基に今後鋭意協議をしていくということにしておりまして、まず、五月にも次回の局長級協議を行う方向でございます。  それから、本年秋にこの共同開発具体的方策首脳に報告することを目指すということが今回首脳間の共通認識として合意されておりますので、その実現のために協議を今後加速して、対話を通じて、我が国主権的権利確保しつつ、迅速な解決を目指していきたいというふうに考えております。
  18. 松下新平

    松下新平君 是非共同認識の中のお話がありましたプロセスを加速させて、今年の秋、再び安倍総理が訪中される際には何らかの方向性が出ることを望んでおります。  次に参ります。  中国が主張する東シナ海境界線日本が主張する両国の地理的中間点と相入れず、境界線を画定するには至っておりません。現在も白樺油ガス田では、中国日中地理的中間線日本側までも含めて開発を行っておりますが、中止を求める我が国に対して、中国中国側海域資源開発を行っていると主張しております。これでは、中国日本海域での開発は続きますが日本中国側では開発ができないことになり、日本だけが譲歩していることではないでしょうか。このことについて資源エネルギー庁にお伺いいたします。
  19. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  今し方外務省の方からも御説明申し上げましたように、基本的な考え方といたしましては、我が国主権的権利確保しつつ、東シナを平和、協力友好の海とするということで各般の協議を続けているところでございます。局長級あるいは技術専門家会合等が開かれ、四月十一日に行われました日中首脳会談では、次回局長級協議を五月に開催するという合意を見ております。  こうした協議を通じまして、私どもは、東シナを先ほど申し上げましたような平和、協力友好の海とすべく迅速な解決を図って協議を続けていきたいというふうに考えております。
  20. 松下新平

    松下新平君 引き続き、よろしくお願いいたします。  次に、法案提出者にお伺いいたします。  ただいまの議論をお聞きになったと思いますけれども、正にこの法案提出の背景経緯を述べていただきました。その中の一つであります東シナ海などの領土問題の解決のためにこの法案をどのように反映されたんでしょうか、またそれによってどのような効果が期待されるのでしょうか、お伺いいたします。
  21. 西村康稔

    衆議院議員(西村康稔君) お答えを申し上げたいと思います。  今回、提案をいたしました二つの法案でありますけれども、今委員指摘のありました東シナ海を始めとする特定の海に限定したものではなくて、日本が権益を有するおよそすべての海域において積極的に資源開発は進めていこうと、そういう意図で我々、提案をしたわけでございます。  具体的には、海洋基本法では十七条に海洋資源開発について推進を図るということを示しておりますし、そのことを踏まえつつ、政府基本計画を作り、その中で積極的に資源開発を進めていくということを期待をしているわけであります。  また、併せて提案をさせていただいております安全水域法案におきましては、そういう資源開発をする際のいわゆるリグですね、やぐら等の海洋構築物、そしてその周辺を通る船舶の安全を確保するために安全水域というものを設定すると、こういう法案趣旨にしておりまして、この二法案が成立をした暁には政府において積極的に海洋資源開発推進をするということを期待するわけであります。  特に、安全水域法案に基づいて試掘をしたいという企業もあるようでありますから、それらの企業と連携をしながら、海洋構築物を設定した場合に安全水域設定して海洋資源開発がスムーズに進むように、そして周辺船舶航行の安全が確保できるように期待をしているところであります。  いずれにしましても、この二法案是非成立をさせていただきまして、我が国の権益に及ぶ水域における海洋資源開発が積極的に進むことを期待をしている次第であります。
  22. 松下新平

    松下新平君 ありがとうございました。是非、その効果を私も期待したいところであります。  次に、本日は法案提出者の中で、民主党で中心になってまとめてこられた細野議員もいらっしゃいますので、ここで二、三お伺いしたいと思います。  まず、民主党が提出していた海底資源開発法案並びに排他的経済水域等における天然資源の探査及び海洋の科学的調査に関する主権的権利その他の権利の行使に関する法律という海洋権益法案についてお伺いいたします。  この二つの法案を提出するに至った当時の問題意識と基本的な考え方をお尋ねいたします。
  23. 細野豪志

    衆議院議員(細野豪志君) 松下委員にお答えをいたします。  まず、この二法案を提出するに至りました基本的な問題認識でございますが、これは先ほどからそれぞれ答弁者の方からありましたとおり、海洋に関する政策というのが各省庁でばらばらで司令塔が不在であると、それを反映をして一九九六年に発効をしております国連海洋法条約というものに基づいての国内法の整備が全く進んでいない、それを解決をするためにということで法案の提出に至ったわけでございます。  具体的に申し上げると、一昨年の十月、我が党は海洋権益に関する二法案を提出をしております。その趣旨でございますが、まず一本目の海底資源開発推進法案でございますが、こちらにつきましては、海底資源開発に関する基本計画をまず策定すべしということになっております。そして、それを実現をするために海底資源開発推進本部を、これを設置をして総合的な施策推進をするという形になっておりまして、これはもう既に皆さんお気付きのとおり、今回、海洋基本法案にかなり反映されたのではないかというふうに考えております。  もう一本の方でございますが、私どもこれはいわゆるEEZ主権法と呼んでおりますが、これにつきましては、国連海洋法条約というのが発効をしておりまして、我が国はそれに基づいていわゆる排他的経済水域、EEZというのを設定はしておるんですが、その中で具体的にどういう権利を我が国として主張できるのかということについての国内法が存在をしておりません。国連海洋法条約によりますと、例えば、我が国排他的経済水域において外国が資源探査をした場合、これは違法となります。また、科学的な調査につきましても、事前の通報がない場合にはこれは国連海洋法条約上は本来違法となるはずなんですが、そこに関しまして法の空白が日本の場合は存在をしておりまして、それを取り締まることができないという限界がございます。それについて具体的に書いたのが今申し上げましたEEZ主権法ということでございます。  この部分に関しましては、先ほど西村議員の方から御答弁がございましたとおり、海洋基本法の二十一条、この法案の二十一条で安全確保について書かれてはおるんですが、これをもって具体的に海保が行動できるという形になっておりませんものですから、まだ今後の課題として残ったというふうに認識をしているところでございます。  以上です。
  24. 松下新平

    松下新平君 ありがとうございました。民主党の案も相当盛り込まれたということでお答えをいただきました。  事前に与党案とそれと民主党案と、それぞれ協議をされたとお伺いしておりますけれども、この合意に至った、合意形成の過程の話を少しお伺いしたいと思います。
  25. 細野豪志

    衆議院議員(細野豪志君) 我が党がこの二法案を提出したのが二〇〇五年の十月でございます。その後、今回も改めて超党派でということで提出をしておりますが、自民党の方からも海洋構築物の安全水域設定に関する法律案、これは公明党と協議をして出されておりまして、それが二〇〇六年の五月ということでございます。この辺りから与野党でこれを一緒にやろうという機運が出てまいりまして、昨年ほぼ一年間を掛けまして海洋基本法の研究会というのを超党派で開催をされまして、合意を目指してきたということでございます。  そして、最終的にはそれぞれの党内手続を経て、今年になりまして、まあ最終的には委員長提案ということでございましたが、実質的には三党の共同の議員提案という形でこの二法案法案の提出に至ったということでございます。
  26. 松下新平

    松下新平君 分かりました。民主党案、それぞれもう与党案よりも先に進められて準備をされたということですけれども合意に至ってはいろいろ案を盛り込んでいただいたということでありました。  ただ、その話合いの中で、やはり民主党案が通らなかったところもあると思うんですけれども、その違い点についてお伺いしたいと思います。
  27. 細野豪志

    衆議院議員(細野豪志君) まず、私どもが提出をしております海底資源開発推進法案につきましては、その中身がほとんど海洋基本法案の中に反映をされたというふうに思っております。むしろ、我が党は、これ資源開発にかなり限定をした案ということで出しておったんですが、それを海洋全体、すなわち海洋環境であるとか産業振興であるとか国際協力の進展、さらに最も大きなものとして離島の保全、これEEZを考えると大変大事でございまして、一例を挙げますと、沖ノ鳥島が仮に日本の領土でなくなった場合には、それだけで約四十万平方キロの排他的経済水域が失われます。この四十万平方キロメートルというのは日本の領土よりも大きい面積でございまして、それぐらい離島の保全がこの排他的経済水域確保において大事だという認識を持っておりまして、それも入ったという意味では前向きにこの法案についてはとらえております。  特に我が党案が反映をされたところといたしましては、司令塔不在のところに本部をつくって、そして担当大臣を置くというところが正に我が党が主張してきたところでございますので、それが反映をしたところを大変高く評価をしておりまして、海洋立国としての第一歩を踏み出す法案として、私どもは自信を持って提出をしております。  ただし、残った課題といたしましては、先ほど少し答弁をいたしましたが、国連海洋法に基づくいわゆる違法な調査についての措置はまだこの法案には入っておりません。具体的には、日中の間には、争いを起こさないための日中口上書というのが存在をしておるんですが、この口上書に違反をして中国側が科学的調査をしているケースが散見をされます。毎年のように散見をされます。そういったものについてこの口上書に基づいて海上保安庁が取り締まれるかというと、これは国際約束、いわゆる条約のたぐいではありませんから、それはできません。そして、国連海洋法に基づいてできるのかというと、これも先ほど御答弁申し上げましたが、これも取締りということになってまいりますので、国内法の空白があるとできないというところでございまして、そこが課題として残っておりますものですから、今後、せっかくこういうベースができましたので、できるだけ国会において幅広い議論を行って、その国内法の空白を埋める努力については併せて行っていきたいというふうに思っております。
  28. 松下新平

    松下新平君 分かりました。  最後に一点お伺いいたします。それは、海上保安庁の位置付けについてであります。  船舶の安全確保海上警備という危機管理体制など重要な役割を担う海上保安庁は、現在、国土交通省の部局ではなく、あっ、現在そうですけれども、より他の危機管理組織との連携が図られるような組織改編を行うべきではないかという声も聞かれますけれども、ここの点についていかがでしょうか。
  29. 細野豪志

    衆議院議員(細野豪志君) 先ほどの答弁、若干付け加えますと、日中の間に口上書が存在をいたしますので、外交上、抗議はできます。ただし、その違法なものに対しての取締りができないということでございまして、そのことを付け加えさせていただきたいと思います。  今御質問いただいた海上保安庁の問題でございますが、海上保安庁につきましては、今、国土交通省の方に存在をしておりまして、国土交通省というのは、これ言わずもがなですが、巨大な官庁でございまして、その中に危機管理の部門が海上保安庁ということで、その下に存在をしているという形になっております。  私どもとしては、この法律が通ることによりまして、海上保安庁はより危機管理について具体的な様々な対応を迫られるであろうというふうに思っております。したがいまして、警察組織との連携、そして防衛省との連携が当然のことでありますが、そのほか資源エネルギー庁、水産庁などとの連携も非常に重要であるというふうに思っておりまして、それを今の国土交通省の下にある海上保安庁でやり得るのかということについては慎重に見ていきたいというふうに思っております。  衆議院の方の決議でございますが、こういう部分がございます。「海上保安庁について、危機管理に関する関係行政機関との連携を含め組織体制の総合的な検討・充実を図ること。」ということでございます。  今般、この法律が成立をいたしますと本部ができます。その本部の下で様々な危機管理的なことについても所管をすることになるということを想定をしております。その本部基本的な意思に基づいて海上保安庁がきちっと機能をするのか、それとも国土交通省の中の組織としてとどまるのか、その辺りをじっくり見極めた上で、私どもとしては組織の在り方について変更が必要であれば海上保安庁を危機管理部門として位置付けるということについて再度検討をしていきたいと、そんなふうに思っております。
  30. 松下新平

    松下新平君 ありがとうございました。  諸外国の例も参考にしながら組織をつくられたということですけれども、やはり冒頭に申し上げましたように、縦割りの弊害がやっぱり出ておりますし、指摘もされておりますので、緊密な連携という言葉はあるんですけれども、実際組織として私は更に独立した機関として海上保安庁を位置付けるべきだという観点からお伺いをいたしました。また、今後協議してまいりたいと思っております。  どうもありがとうございました。  残りの時間で、与党側法案提出者皆さん政府側に質問をいたします。  まず、海上警備体制についてお伺いいたします。  尖閣諸島などの領海問題がございます。我が国海域の警備について強化の必要性が増していると考えます。この二法案が制定された場合に、海上警備に対する期待は高まってまいりますが、海上警備体制について法案提出者期待するものはどのようなものでありましょうか。
  31. 塩谷立

    衆議院議員塩谷立君) お答え申します。  二法案が制定された場合には、これらの法律の趣旨にのっとって、当然海上警備の的確に実施されることが期待をされるわけでございます。ただいま細野議員からも海上保安庁についてお話がありましたが、海上保安庁については、海上の安全、治安の確保を任務として、領海警備、犯罪捜査等、海上における法執行機関として業務を実施しておりますが、この海上保安庁においてもその強化体制を整えて、また関係機関とも連携して海上の警備を万全にすることを期待をしているところでございますが、委員指摘のとおり、いろんな縦割り行政の問題があって、先ほど細野委員から答弁ありましたように、衆議院の方でも特に危機管理に関する関係行政機関との連携を深めて組織体制の総合的な検討あるいは充実を図ることを決議したところでございます。
  32. 松下新平

    松下新平君 ありがとうございました。  今期待をいただいたわけですけれども、同じ質問になるんですが、海上保安庁にお伺いいたします。この基本法が制定された場合に警備体制の増強も検討されていると伺っておりますけれども、いかがでしょうか。
  33. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 現在、海上保安庁は航空機が七十二機、巡視船艇が三百五十六隻、これで警備救難その他、様々な仕事をやっております。今お話しのように、この二法が成立しますれば、ますます我々の仕事、重要になってくるということだと思っております。  ただ、その中で、実はこれらの船、飛行機につきましては昭和五十年代に整備されたものが多くございまして、犯罪の取締りや海難救助に一部支障を生じているようなこともございます。さらには、新しいこのような海洋権益保全などなどにつきましては、飛行機あるいは巡視船艇の性能を上げる必要がございます。例えば高速化であるとかあるいは夜間対応能力であるとか、そういうようなことが必要だろうと思っております。  したがいまして、私ども、先ほど申し上げました全体三百五十六隻の巡視船艇、航空機七十二機のうち、老朽化あるいは旧式化の進んだ巡視船艇では約百二十隻、航空機につきましては約三十機、これについての代替整備等を緊急に行う必要があるというふうに考えておりまして、十八年度予算から本格的に着手したところでございます。十九年度予算におきましても、巡視船艇の新規十二隻、継続十五隻、航空機、新規二機、継続十機、このような代替整備等を図るための経費というものを予算計上をさせていただいております。できるだけ早く、これらの老朽化したものについての巡視船艇、航空機の早期解消というものを図ってまいりたいと考えております。  さらには、人員でございますけれども、現在、海上保安庁の人員は一万二千三百人余でございます。これらの人員の中で様々な仕事をやっているわけでございますので、私どもの任務をきちっと果たせるように、この人員の増強ということについても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
  34. 松下新平

    松下新平君 よろしくお願いいたします。  それでは、法案提出者皆さんにお伺いいたします。  海洋基本法案の二十条ですけれども、これは日本船舶確保、船員の育成及び確保の条項なんですけれども、この文言を盛り込んだ趣旨は何でしょうか。
  35. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) 先生御指摘にもありましたように、エネルギーの九三%、食料はカロリーベースで六〇%を海外に依存しておりまして、重量ベースで貿易量も九九・七%、国内輸送の四割を海上輸送で担っていると。こういうことで、我が国の経済、国民の生活に非常に大きな役割を担っているのが海上輸送であります。  ところが、今、外航海運についていいますと、この日本の船籍の総数、これは昭和四十七年、ピーク時で千五百八十隻あったんですね。それが平成十七年は九十五隻になった。それから、外航の日本人船員は昭和四十九年、五万七千人、これがピークでした。それが平成十七年で二千六百人になっていると。こういうことで、外航については日本船籍が非常に激減している、また日本人の船員も激減していると、こういう状況でございます。また、その中に団塊の世代、これも多くなっている。  内航海運につきましても、船員の高齢化、後継者不足がこれが顕在化していて、国内物流の基幹としての安定的な輸送確保においても憂慮すべき事態にある。そこで、国として効率的かつ安定的な海上輸送確保を図るために、日本船舶確保、船員の育成及び確保その他の措置を講ずると、こういうことで第二十条を策定したわけでございます。  いずれにしましても、この諸外国我が国の間の国際競争条件の不均衡、この是正をしないとこういう傾向はこれを歯止めができないと。そういう点で、税制においてもトン数標準税制、こういうものを平成二十年度の税制改正から導入してまいりたい、そういうふうに私ども努力してまいりたいと考えております。
  36. 松下新平

    松下新平君 ありがとうございました。  じゃ、それを踏まえて国土交通省にお伺いいたします。  本法案でも日本船舶確保、船員の育成及び確保、港湾の整備などが挙げられておりますけれども、中でも日本人船員の育成と確保は重要と考えております。自動航行中の針路の見張りを怠り、漁船など他の船舶と衝突する海難事故も多数起こっている現状を考えますと、船員数の確保は急務であると考えておりますが、今後の取組についてお伺いいたします。
  37. 冨士原康一

    政府参考人冨士原康一君) 船員の育成それから確保の問題でございます。非常に日本経済を支える基本的な人的なインフラであるというふうに私ども承知してございまして、一方でこれがかなり脆弱化してきているという状況について、私ども非常に強い懸念を今抱いている状況でございます。  数的な御説明はただいまございましたので重複を避けたいと思いますが、大きな方向としては二つあるというふうに考えてございます。  まず、外航海運につきましては、現在二千六百人というところまで減少しているわけでございまして、今後いかにして優秀な船員、海技者を確保、更に増大をさせ海技の持続可能な伝承を図っていくのかというのが外航海運の船員の問題でございます。  それから、内航海運につきましては、安定輸送を支える専門技術者としての優秀な船員、海技者の後継者をいかにして確保、育成し、世代交代を円滑に進めていくのかというところが大きな課題であろうというふうに考えてございます。  このため、私どもいたしましては、船員教育のあり方に関する検討会というのを設置してございまして、ニーズに沿った質の高い船員の養成に向けた教育システムの改革をまず進めようということで検討してまいってきております。  またさらに、本年の二月に、交通政策審議会に対しまして、今後の安定的な海上輸送の在り方について諮問をいたしました。ここで、先ほど御説明ありましたトン数税制の問題も含めて、船員減少の一つの要因となっております内外の制度格差の是正も含めた広い視野から、外航海運の在り方あるいは船員教育の在り方について御審議をいただいておるという状況でございます。  具体的には、ヒューマンインフラ部会というのも設置されてございまして、そこで先ほど申し上げました船員教育のあり方に関する検討会の結果も踏まえながら、今後の日本人船員の外航あるいは内航を含めた確保、育成策について審議をいただいているということでございます。  本年六月を目途に、六月に中間取りまとめをしていただくということで今作業を行っているところでございまして、今後、それを踏まえた上で、来年、平成二十年の所要の法整備も視野に入れながら私どもとしては本件に取り組んでまいりたいというふうに考えているところございます。
  38. 松下新平

    松下新平君 ありがとうございました。  続きまして、法案提出者にお伺いいたします。  海洋基本法案二十八条ですけれども、これは海洋教育の条文でございます。まず、この趣旨についてお伺いいたします。
  39. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) 海洋国家、そしてまた海洋立国を目指す我が国は、やはり海を知る、海を守る、海を利用すると、このバランスの取れた政策推進していかなきゃいけないと思います。特にこの海を知るということが非常に大事でございまして、海を知ることによってやはり担い手というものが育ってくる。また、海洋科学技術については日本世界一のそういう技術も持っていますね。そういうことで、そういうものも発展させていかなきゃいけない。  そうしたことから、我が国世界を代表する海洋立国として海洋に関する内外の政策課題に的確に対応するために、海洋に関する知識、能力を有する人材の育成が必要であると、大学、大学院、大学校等において学際的な教育及び研究が推進されるような措置を国が講ずるよう努力をすべきであるということにした次第でございます。  また、学校教育、社会教育において、子供のころから海洋に慣れ親しむことが、これが国民海洋について理解と関心を深めることになるということでございまして、この点も非常に重要である。  そのようなことからこの二十八条を策定したわけでございます。
  40. 松下新平

    松下新平君 ありがとうございました。  それを踏まえて文部科学省にお伺いいたします。  海洋国家である日本において、海洋の重要性、これは環境保全面、貿易面、鉱物資源面、漁業資源面、領土面、それらを子供のころから認識させることも重要と考えます。この法案では、学校教育、社会教育における海洋に関する教育の推進がうたわれております。海洋に関する教育推進のためのカリキュラムの充実は大変重要であると考えております。  しかし、学校教育で海洋に関するものはどの程度あるか調べてみましたところ、小中の義務教育の学習指導要領には海という字は出てきておりません。もちろん、総合的な学習の時間での取組はなされていたと推察はいたします。  ただし、海洋教育の現状を教科書の記述から調べた日本大学理工学部の横内憲久教授の論文によりますと、義務教育、小中学校の社会、理科、生活、地理、歴史などの教科書を調べたところ、海に関する記述は教科書総ページ数の三・一%であるという結果が報告されております。海洋基本法案が成立しても、国民が海に関する関心を持てなくなってしまうことを危惧しております。  海洋教育を充実していくことで我が国海洋国家としてのアイデンティティーを確立することが必要であると思います。今回、海洋基本法案に盛り込まれたことで文部科学省としてどのように推進していくお考えか、御所見をお伺いいたします。
  41. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  海に囲まれた我が国にとりまして、国民一人一人が海洋についての理解と関心を深めることは重要な課題と認識しております。義務教育を含めまして学校教育におきましても、小中高等学校の発達段階に応じまして、社会や理科などにおいて海洋に関する学習を行うことといたしております。  具体的に、例えば小学校の社会科においては、第五学年におきまして、国土の位置の学習の中で、日本の周りの海について地図帳などを活用して調べる学習を行っております。また、海洋に関する産業である水産業についても学習する中で、水産業の果たす役割、主な水産物の漁獲量や主な漁港などの分布、水産業に従事している方々の工夫や努力などについて直接子供たちが調べる学習も行っております。  中学校の社会科におきましては、地理的な分野におきまして、日本周辺の海や海岸、海流、海溝、大陸と海洋の分布などについて地球儀や地図を活用しながら学習を行っております。また、公民的な分野というところでは、国家間の相互の主権の尊重と協力についての学習の中で、領海、領土、領空などについて学習することをしております。  これらはいずれも教科書においても取り上げられ、地図、あるいは公海、経済水域、領海などについても具体的に取り上げられているところでございます。  現在、教育課程の基準の見直しの作業を文部科学省において行っているところでございますけれども、その審議の中では、今回の海洋基本法案の御趣旨、それからまた、今回の見直しの中でも、国家社会の形成者としての資質の育成を図るための基礎的、基本的な知識、技能として、我が国の領土など国土の地域構成を確実に定着させることが重要であるという方向も出ておりますので、この海洋基本法案趣旨などを踏まえまして、学校教育におきまして海洋に関する教育が適切に行われるよう今後とも努めてまいりたいと考えております。
  42. 松下新平

    松下新平君 ベトナムでは、金の森、銀の海という、豊かな自然に恵まれているという教育をされているそうであります。それに対して日本はいかがでしょうか。狭い国土で資源も乏しいということを植え付けるような教育になっているのではないでしょうか。日本の教育においても、この海、海洋に関してポジティブな姿勢でこの重要性についてしっかり教育をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  もう時間も迫ってまいりましたけれども、文部科学省にもう一問お伺いいたします。  平成十四年八月の科学技術・学術審議会、長期的展望に立つ海洋開発基本的構想及び推進方策について答申が出されております。その中に人材育成の推進の項目がありまして、海洋教育の充実として、大学・大学院や水産系の高等学校等の教育において海洋科学技術の分野や海洋に関する国際・国内ルール等について幅広い知識を有した人材の育成を推進し、国際的な立場で活躍できるようにすることが必要である、中略、その際、海洋に関する教育が社会に理解されるよう、学部や大学院の専攻名に海洋を用いる等の工夫をすることも重要であると書かれております。  しかし、高等教育の場である大学、国立大学の理工学部には海洋学科というものがないそうであります。旧東京商船大学である東京海洋大学はありますけれども平成十八年度の全国大学一覧を見ても、四年制大学で海洋を学科に掲げているのはゼロだそうです。お隣の韓国では、海洋学科がある大学は十二校もあるそうであります。  答申でこのように重要性を指摘されているにもかかわらず、専攻名に海洋を用いる等の工夫は依然としてなされていない現状であります。今後の海洋に関する様々な研究や技術開発などが世界に後れを取ることなく発展していくために、やはり高等教育の充実が求められます。  文部科学省は、今後の高等教育における海洋関連教育研究についてどのように充実を図り推進していくお考えかをお尋ねいたします。
  43. 辰野裕一

    政府参考人辰野裕一君) 大学における海洋に関する人材育成につきましては、現在十七大学二十学部三十六学科にわたりまして、海洋学部、生物資源学部及び水産学部などの海洋関係の学部、学科において、海洋環境海洋生物、海洋資源についてなど様々な角度からの教育研究の取組が行われているところでございます。  最近の特徴的な取組の一例を挙げますと、先生御指摘ありました東京海洋大学、これは東京商船大学と東京水産大学が統合してでき上がったわけでございますけれども、その発足の当初におきまして、国際的視点での海の利用、資源の利用海洋利用政策提言を行える問題解決型の人材を育成するという観点から、平成十六年に海洋政策文化学科というのを新たに設置しておりまして、このような取組は、海洋に関する政策課題に的確に対応するために必要な知識及び能力を有するという海洋基本法案方向を一にする取組だと考えております。  また、海洋という名称を付した学科名もこれは増えてきておりまして、例えば東海大学の海洋学部では海洋文明学科ということで、これも幅広い立場からの政策提言を行える人材の育成というものを行っておるところでございます。  今後とも、海洋にかかわる人材の育成ということの重要性にかんがみまして、海洋基本法案趣旨も踏まえたこれらの積極的な取組に関しまして、引き続きしっかりと支援をしてまいりたいというふうに思っております。
  44. 松下新平

    松下新平君 よろしくお願いいたします。  もう時間も参りましたので、最後にまとめをしたいと思います。  海洋についていろいろ質疑をさせていただきました。日本が、面積だけでも世界六位ということもありますし、また様々なことでこの海洋は永遠にこの日本恩恵をもたらしているわけであります。教育の世界、教育の分野でもしっかりこのことを伝えることも重要であるということも指摘させていただきました。  今、憲法改正、この政治日程に具体的に上がるところまで参りましたけれども、私はこの海洋という言葉を環境という言葉とともにこの憲法の中に位置付けるべきではないかという考えを持っております。申し上げてまいりましたように、海洋国家を標榜する日本、そしてそこからたくさんの恩恵を受けている日本、この憲法の中に海洋国家としての日本の位置付けをしっかり明確にするためにも、この憲法の中でも具体的に論議していきたいと思っております。  また、日本近海でのメタンハイドレート等の開発も大変期待をされておりますし、また最近、この海洋とまた別次元ですけれども、宇宙開発議員連盟が与野党に設置されたとお伺いしております。未知の部分で共通するところがあると思いますが、そちらともまた連携を取れるところはしっかり取っていただきたいと思っております。  そろそろ時間も参りましたので、こちらで私の質疑は終わらせていただきたいと思っております。  本日はどうもありがとうございました。
  45. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  本日は海洋基本法を中心に質問をさせていただきます。  改めて申し上げるまでもないわけでありますが、我が国は四方を海に囲まれておりまして、大小合わせて六千八百もの島々から成っておる国でございます。海岸線の長さにおきましても世界で六番目の長さを有している国でございまして、先ほど海の面積は世界で六番目という話もございましたが、海と陸を合わせても世界で九番目の面積を誇る世界の有数なる海洋国家でございます。  しかしながら、これまで我が国は近隣諸国と比べまして総合的な海洋政策が出遅れていたと思っております。我が国海洋政策が国家戦略として一元的に進めることができなかったその阻害要因、一番大きな要因は何であると認識されているのか、まずお伺いいたします。
  46. 塩谷立

    衆議院議員塩谷立君) 我が国では、これまで海上の安全確保、あるいは海底資源開発、漁業資源の管理、海洋環境保全、あるいは外交、さらには研究開発推進等々、広範な分野にわたる海洋政策については、大変な課題に対して縦割り行政というそういったこともあり、内閣官房においてもその調整を行ってきたわけでありますが、必ずしも十分でないということは今御発言のとおりでございまして、これに対して、国の安全確保等も含め、様々この時代の変化になって海洋にかかわる案件がまた多く出てきた。そういう観点では、この海洋政策をより強力に推進していくことが必要であるということで、この海洋基本法を制定するに当たって、大変その点が重要な点だと思っております。  今回、海洋基本法については、多くの方々の努力で提案されて審議されるということは非常に我が国海洋政策についても重要であって、この前進を我々としては期待しておるところでございまして、今後具体的な案件に対しても、この海洋基本法の制定によって総合的に調整して進められるものと確信を持っているところでございます。
  47. 谷合正明

    ○谷合正明君 その総合的に推進する、調整する役割として、このたび総合海洋政策本部内閣官房の方につくられるわけでございます。  先ほど、縦割りの弊害という話もございましたが、ますますこれから海洋政策が増えてまいると、そういった中であくまでもこの政策本部というのはスタートであって、つくったからといってすぐにうまくいくか、機能するかどうかというのがまた一つ議論だとは思います。これは運用の問題かもしれませんが、この総合海洋政策本部が軌道に乗るためには一番何がポイントなのかということをお伺いいたします。
  48. 石破茂

    衆議院議員石破茂君) それはもう一言で言っちゃえば総理大臣の強力なリーダーシップ以外あり得ないということです。ですから、どこに置こうが、内閣官房に置こうが内閣府に置こうが、それはどっちでもよかったわけですが、何で内閣官房に置いたかといえば、最終的な総合調整の権能を持っているのは内閣官房であるということが決定的な理由であったと思っております。  では、内閣官房に置いたらちゃんと動くのかといえば、やはりそれは総理大臣がこの認識を持ち、今まで各省ごとの縦割りで弊害が生じておったという御認識をきちんとお持ちになって、強烈なリーダーシップの下にまさしく最終的な総合調整権限というものを生かすか生かさないかということでありまして、どこに置くのかと同時に、まさしく委員指摘運用、そのかなめは総理大臣リーダーシップ以外にあり得ないと思っております。
  49. 谷合正明

    ○谷合正明君 よく分かりました。  それはやはり総理の強いリーダーシップが必要であろうと。また、この質問の後ほどで政策担当大臣の在り方に、在り方というか、だれがふさわしいのかについても伺いたいと思うんですけれども。  まずその前に、我が国海洋政策が遅れてきたもう一つ理由としては、縦割り以外には公海自由原則をこれまで掲げ続けてきた過去があるというふうに言われております。例えば水産業一つに取りましても、我が国の水産業、水産資源に対する認識というのは、法的にも自然の恵みとして無主物、所有者がいないとされる、そういう位置付けがされておって、したがって早く取った者勝ちだと、そういうような発想になりがちではございました。  しかしながら、海洋レジームの変化によりまして、この公海自由原則から資源管理原則に変化しまして、漁業あるいは大陸棚資源、深海資源などが国家あるいは人類共通の財産として管理されることになったわけでありますが、現実にはまだまだ法的にも海洋に関する国内法が追い付いていないということもあります。  そこで今回の法律案があるわけでありますが、この法律案の意義について、また果たす役割についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  50. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) もちろん公海の自由あるいは航行の自由というものはしっかり確保されなきゃいけないことは確認をしておきたいと思うんですが、この法案の第一条に、「海洋人類をはじめとする生物の生命を維持する上で不可欠な要素である」、こういうように海洋というものをこの第一条で位置付けておって、そして我が国はこういう海洋法に関する国際連合条約等に基づいて、「我が国国際的協調の下に、海洋の平和的かつ積極的な開発及び利用海洋環境保全との調和を図る新たな海洋立国を実現することが重要である」と、こういうふうに記述し、そして、「海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上を図るとともに、海洋人類の共生に貢献することを目的とする。」と、こういう形で目的の中、第一条の中でこの海洋というものを位置付け、そしてまたこの法律の目的を位置付けているわけでございます。  したがって、この法案は近隣諸国との海洋権、海洋権益争いを意図するというものではもちろんなく、国連海洋法条約等による海洋に関する国際的なルールにのっとり、海洋に関する我が国の利益を確保するとともに、海洋環境保全等の国際的な義務を果たしていこうとするものでございます。我が国海洋政策について国家戦略を持って海洋政策が総合的、体系的に推進されることとなるものと期待しております。
  51. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  具体的な法案の中身に質問をさせていただきますけれども、この海洋基本法を受けて期待されるものの一つとしては、鉱物資源の開発利用について書かれた第十七条の部分があると思います。  この第十七条におきましては、石油、可燃性天然ガス、あるいはマンガン鉱、コバルト鉱といった、これはレアメタル、希少金属が具体的に明記されております。特にレアメタルについては、陸上部での埋蔵量が少ない上に、偏在性の高い金属でございますので、日本はこれほぼ大半を輸入に頼っております。しかし、電子部品だとか燃料電池でございますとかそういった分野で非常に大きな需要が見込まれております。海外の需要に左右されないで必要な数量を安定した価格で確保したいという要望もあるわけでございますが、本法律を受けて、この鉱物資源の開発利用推進のために海洋産業振興をどのように図っていくことが望ましいと考えているのか、その点についてお伺いいたします。
  52. 西村康稔

    衆議院議員(西村康稔君) お答えをいたしたいと思います。  委員指摘のとおり、我が国はいわゆる資源小国でありまして、石油のみならず鉱物資源も大宗を海外に依存しているという国でありますけれども、御指摘のとおり、我が国排他的経済水域を始めとしてこの権益の及ぶ水域には様々な鉱物資源の可能性指摘をされているわけでありまして、この資源の安定供給の観点から、この開発は極めて重要な政策課題であるというふうに考えているところであります。  その考えに基づいて十七条を作らせていただいたわけでありますけれども、これまで何が、どんな資源がどこにあるのかというデータがなかなか十分に取得をされてないということがありますので、そういう水域については国が積極的に物理探査などの資源調査を展開をしておりまして、その調査結果を民間企業にいろんな形で提供していくということでありまして、この調査、そして調査結果の提供が非常に重要な役割を果たしているというふうに認識をしております。  この海洋基本法の成立に伴いまして、是非政府が積極的にこの資源調査、更に言えば開発に取り組んでいくことを期待をしているところでありますけれども委員指摘のとおり、我が国周辺、具体的に言いますと、レアメタルがあるそういう鉱床が期待をされておったり、あるいはメタンハイドレート、これはシャーベット状になった天然ガス、メタンでありますけれども、これも我が国が消費する一年間の天然ガスの消費量の百年分ぐらい埋蔵量があるんじゃないかというふうな指摘もありまして、言わば資源小国である我が国海洋資源を積極的に探査、調査そして開発することによって資源大国になり得る可能性を秘めているということでありますので、いずれもこのような調査は基礎的な段階でありますけれども、引き続き政府としては、是非調査を積極的にやってほしいということでありますし、そういう認識であるというふうに聞いております。  さらに、この海洋基本法と併せて安全水域法の成立がなされれば、安全水域設定してその開発が進むということでありますので、この二本、海洋基本法と安全水域法併せて早期の成立をお願いをして、是非政府取組を、一層の取組期待をしたいというふうに思うところであります。
  53. 谷合正明

    ○谷合正明君 正に今おっしゃられた国、政府が積極的に関与していくという部分であると思いますが、もう一つ可能性のあるものとしては海洋の自然エネルギーというものが私はあると思っております。海洋の自然エネルギーを合算すると、現在の人類が使用している全エネルギーを上回るという試算もあるそうでございます。  海洋の自然エネルギー、例えば波、潮の干満の流れ、あるいは海洋中の温度差、あるいは洋上の風力発電といったいろいろなものがあるわけでありますが、コストや技術の問題もあるわけでございますが、この本法律を受けて、この海洋エネルギー開発、実用化の可能性、これどのように広がっていくことを期待するのか、先ほどの同じような趣旨になるかと思いますが、よろしくお願いします。
  54. 西村康稔

    衆議院議員(西村康稔君) 委員指摘のとおり、鉱物資源のみならずこの海洋を活用したエネルギー源、御指摘の波力発電であるとか潮汐発電というんですかね、潮の干満とか流れを活用した発電、あるいは海洋の温度差を利用した発電、こういったものの可能性指摘をされているわけでありまして、国内で過去様々な実証実験を行ってきておりますけれども、現在のところ航路標識のあのブイ、ブイ向けの波力発電を除いて実用化には至っていないというのが現状であります。  一方、海外では、波力発電についてはイギリスで、潮汐発電についてはフランスで、幾つかの例は実用化された例があるところでありまして、この海洋基本法の制定を契機に、いま一度海洋を活用したエネルギー源としての海洋の活用方法を是非政府においても検討を進めていただきたいというふうに思うところでありますけれども。発電効率の低さとか、おっしゃられたコスト、経済性の低さというのがありますので、直ちに実用化できるということはないと思いますけれども、洋上の風力発電なども北欧を中心に世界ではこれかなり実用化されております。日本ではまだ北海道の二基だけと聞いておりますけれども、私の地元兵庫県の淡路島でも洋上でやりたいという人もおりますので、そういう意味ではこういう法律、この法律の制定を契機にそういった動きが広がればというふうに期待をしているところであります。  政府の方におきましても、是非、積極的に支援をして検討していくということでありますので、研究開発も含めて更なる取組を応援しておきたいというふうに考えております。
  55. 谷合正明

    ○谷合正明君 ありがとうございました。  続きまして、第二十五条の二項に掲げております海岸管理の取組について質問いたします。  第二十五条の二項に、沿岸の海域及び陸域のうち特に海岸に着目しておるわけでございますが、なぜ海岸に着目したのかと。また、その海洋沿岸域の一体的管理をどのように進めていくことが望ましいのか、その点についてお伺いいたします。
  56. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) この二十五条の一項は、沿岸の海域とそして陸域について一体的な施策を講ずると。そして、特にこの二項で沿岸海域及び陸域のうち海岸というものに着目をしてこの規定を置いた。これは公明党の議員からの非常に強い要望がありまして、これが入ったわけでございます。  そして、これは海岸というのは津波、高潮、波浪等の厳しい条件下にあると。それから、多様な生物が生息、生育する、そして独特の景観を有していると、こういう特性が集中しているということ。そして、近年、海岸侵食が非常に速いペースで進行していると。また、地球温暖化に伴う海面上昇、こういうこともあって、一層海岸侵食が進行しているところが懸念される。一九〇八年から一九七八年の間、年七十二ヘクタールの侵食が、一九七八年から一九九二年の間、百六十ヘクタール毎年侵食している、こういう状況があるわけでございます。  そこで、この二十五条の二項というものを置いて、しっかりとこの海岸について、この海岸の防護、海岸環境の整備及び保全、海岸の適正な利用確保に国が十分留意すべきことという形を規定させていただいたわけであります。  また、海岸と沿岸域の一体的な管理については、沿岸域海域においてその問題が汚水の排水やごみの流出等を通じ陸域の諸活動に起因していることから、海域について施策を講ずることだけでは沿岸の海域の資源、自然環境がもたらす恵沢を将来にわたって享受することが困難である、こういうことからでございます。  海洋基本法において一体的施策を講ずることが相当と認められる沿岸の海域及び陸域について、そこにおける諸活動に対する規制その他の措置が総合的に講ぜられることにより適切に管理をされるよう、関係諸機関の連携により必要な措置を講ずべきとしております。
  57. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  特に、海岸については我が国が、先ほど申し上げましたとおり、三万四千キロメートルの海岸線を有する国でもございますし、しっかりとした管理、これは地方自治体との共同もあろうと思いますけれども、私も期待をしているところでございます。  またちょっと脱線するかもしれませんが、私も、山も海岸と、海との一体的な観点を持った方がいいのかなと。よく山は海の恋人ですか、海は山の恋人だったかな、実はそういう観点も必要なんだろうなと思っておるわけでございます。それはちょっと脱線しますので省きますけれども。  続きまして、第三十三条には海洋政策本部海洋政策担当大臣を置くとございます。  先ほど石破委員の方から、何はともあれ総理の強いリーダーシップが必要であろうと、それはおっしゃるとおりでございます。もう一つ私は、やはりこの担当大臣の役割というのも非常に重要だと思っておりますが、この担当大臣、これだれがふさわしいのかといったところ、だれがふさわしいというのも変ですけれども、どこの大臣がふさわしいのかといったところについて、見解があればお願いします。
  58. 石破茂

    衆議院議員石破茂君) ここは、だれがというと属人的な話になってしまいますので、どの大臣がよろしいのかというようなことでお答えをするのが適切かと存じますが、これは本当に総理がお決めになることですから、これはもうどなたを総理がお選びになるかに懸かるわけですが、法案提出者の中でこれもいろんな議論はいたしました。  やはり七省庁かかわり合うわけですけれども、最も多くの分野がかかわっているのはやはり国土交通省ではないのかなという感じは持っております。つまり、海事局であり、あるいは海上保安庁でありということであります。  ですから、そういうような意味から言えば、国土交通省国土交通大臣というのがふさわしい候補の一つではないかという、何か持って回ったような言い方で恐縮でありますが、そのようには考えておるところでございます。ただ、もう、ほかにももちろん農水ですとか環境ですとか文科ですとか経産ですとか防衛ですとか外務ですとかいろいろございますが、今の感じではそういうようなのも一つの考えかなというふうに考えておる次第でございます。
  59. 谷合正明

    ○谷合正明君 では最後に、今の答弁を踏まえて、やはり多くの分野をカバーしている国土交通大臣、担当大臣はそれは総理が任命するわけでございますが、最後に冬柴国土交通大臣に、この法律を受けて日本の本格的な海洋新時代を開くためにどのように海洋政策に取り組んでいくのか、最後に決意を聞かせていただいて、質問を終わらせていただきます。
  60. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 四面環海我が国でございまして、海洋から多くの恩恵を受けてきております。また、今後の我が国発展のためにも、海洋に関する施策に強力に取り組んでいくことが必要でございます。  このため、海上の安全の確保、それから海上の治安、秩序の確保国土保全防災対策海洋環境保全あるいは海上輸送確保海事産業振興海洋気象海底地形等調査など、海洋政策を総合的、体系的に推進する観点から今回の海洋基本法の制定は誠に意義が深い、このように考えております。  海洋政策は広範にわたるものでありまして、我が国でも多くの省庁が関係しておりますが、今後は海洋基本法に基づき、政府一体となって戦略的に取り組んでいくことが重要である、このように考えます。  国土交通省海洋政策の多くの分野を担っております。そのような観点から、その推進につきましては今後も積極的に役割を果たしていきたい、このような決意でございます。
  61. 谷合正明

    ○谷合正明君 我が国は、森とか水とか海とか当たり前、あるのが当たり前と思っているところがありまして、それがいつの間にか森林も資源も、あるいは私は水資源もこれからそうであると思っているんですけれども、本当に手遅れにならないうちに手を打たないと駄目になると思っております。その意味で、我が国海洋国家になるために、国土交通大臣の先ほど御決意聞かせていただきましたが、私も含めて、委員含めて頑張っていきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  62. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  まず、提案者の皆さんにお伺いしたいと思います。  この海洋基本法案を見ますと、国の海洋政策をそれこそ総合的に実施するために、基本理念そして国などの責務基本計画、基本施策推進体制と、正に政府全体で取り組む内容になっていると思います。  そこで、お伺いしたいのは、先ほどもちょっと議論がございましたけれども、これまでどうしてそういう総合施策が取れてこなかったのか、そしてまた総合的にすることでどのような効果が期待できるとお考えなのか、お伺いします。
  63. 塩谷立

    衆議院議員塩谷立君) お答えいたします。  これまで、我が国については海洋政策について様々な案件がありますが、それぞれ各省において、七省が対応してきたわけでございます。先ほどの谷合議員質問にもあったように、そういった縦割りの中で行われ、同時に内閣官房においても調整に努めてきたわけでございますが、最近の海洋に関する多くの案件、あるいは時代の変化に伴ういろいろな事態に対して果たしてこの体制が十分であったかというと、必ずしもそういう状況になかったことも明らかであると思います。  したがって、今回の海洋基本法におきましては、内閣総合海洋政策本部が置かれ、そして担当大臣も含めてその企画立案、総合調整が実施されるということで、この新しい時代に向かって海洋立国として適切な施策が実施されるように政府一体となって総合的に推進できるということで今回の基本法に期待しているところでございます。
  64. 小林美恵子

    小林美恵子君 もう一つ、そういうふうにして総合的にすることでどういう効果が期待できるのでしょうか。
  65. 石破茂

    衆議院議員石破茂君) 総合的に行うことでまず時間の短縮が図れるんだと思っております。つまり、各省がいろんなことを言っておってその調整ができない。でも、それを総合的にやるんだということであれば、政策調整の時間が短縮できるということがあるのだろうと思います。そしてまた、それぞれがいろいろな、各省庁がいろいろなことを主張するわけでございますけれども、それを調整をするということがより可能になるということだと思っております。あちら側も立てこちらも立てということではなくて、何が国益かということをきちんと踏まえた上でそれを一つ政策にしていくということが総合的ということの意味することかと存じます。
  66. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、大変基本中の基本なんですけれども、この法案海洋という意味はどういうものか、そしてまたこの法案における海洋はどこを指すのでしょうか。
  67. 細野豪志

    衆議院議員(細野豪志君) 小林委員にお答えをいたします。  御指摘のように、この海洋基本法の中には海洋についての定義はなされておりません。また、国連海洋法条約という国際的な枠組みにおいても、海洋とは何かという定義は条約上もこれはなされておりません。したがいまして、この海洋基本法における法令用語としての海洋につきましては、地理的、空間的にそのもので限定をされたものではないというふうに考えております。  具体的には、この法律の中でいいますと、基本的施策のそれぞれの条文における海洋の言葉にそれぞれの条文の中でやはり限定をされるべきものであろうと。例えば、十九条では排他的経済水域等開発、ここで、十九条で書いてある海洋については、これは我が国のEEZ法に基づく排他的経済水域及び大陸棚海洋と言えば指すということであります。一方で、二十一条、海洋の安全の確保、この条文で言う海洋ということになってまいりますと、日本の船は世界じゅうを当然航行しておるわけでありますから、日本が行くであろう世界じゅうの海をこれは指すということであります。また、十八条には海洋環境ということが書いてありますが、環境ということになれば、これは当然一部に限定しても全く意味がありませんから、これもまた世界じゅうの海を指すということでございまして、それぞれ条文ごとに海洋の意味するところが変わり、その範囲がそれぞれの条文において特定をされ得るということでございます。
  68. 小林美恵子

    小林美恵子君 分かりました。  もう一つ、先ほどの議論の中で、海洋人類共有の財産であるというお話もございました。それ自身はそういう御認識ということで確認していいでしょうか。
  69. 細野豪志

    衆議院議員(細野豪志君) 目的規定にもございますとおり、基本的には海洋というのは正に世界の財産でございまして、それを大前提に立った上で、我が国としては、例えば資源の開発であるとか様々な保全に入るということでございますので、それは、小林委員指摘のとおり、大前提としてこの法案では踏まえているというふうに考えております。
  70. 小林美恵子

    小林美恵子君 それでは、先ほども外国の例がございましたけれども、また衆議院のいわゆる審査の方も拝見させていただきましたけれども、他国に比べまして日本のいわゆる海洋政策の対応が遅れているというお話がございました。そういう対応の遅れという点、どういった点で他国と比べて日本の場合は遅れているとお感じになっているのか、教えていただけるでしょうか。
  71. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) 先ほども御答弁をさせていただきましたが、例えばアメリカは、二〇〇四年に米国海洋行動計画と、こういうものを策定して、そして海洋をよりきれいな、そして健全で生産的なものにすると、こういう目標を目指してやっていると。それから、韓国につきましては、これは海洋政策への優先的取組ということ、そして海洋産業競争力強化ということを通じて先進海洋大国、これを実現するということを目指して二十一世紀海洋水産ビジョン、これを二〇〇〇年に策定している。中国は、これ一九九六年でございますけれども、二十一世紀中国海洋政策大綱、こういうものを策定して、海洋資源を合理的かつ持続的に利用し、海洋経済の一層の発展を促進するということを目指しているということで、諸外国海洋政策というのが海洋資源開発海洋環境保全海洋産業発展等を総合的に推進する、こういう体制をしいている。  また、安全水域についても、主要な諸外国国連海洋法条約に沿って排他的経済水域等において安全水域設定する制度を整えている。  こういうことに比べますと日本は対応が遅れていると、こう考えております。
  72. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、法案の条文にかかわってお伺いしたいと思うんですけれども、第一条の目的に、海洋法に関する国際連合条約その他の国際約束に基づき云々というふうにございますけれども、要は、この海洋基本法案といいますのはあくまでも国連海洋法条約の枠内の国内法整備ということでよろしいのでしょうか。
  73. 西村康稔

    衆議院議員(西村康稔君) お答え申し上げます。  国連海洋法条約、一九八二年十二月に採択をされまして九四年の十一月に発効をいたしておりますけれども、この条約は、各国に排他的経済水域等の権利を与えるということとともに、海洋環境保全に関する義務等を課したものでございます。議員案内のとおりでございます。  今回、私ども海洋基本法案というのを提案をさせていただいた、提出させていただいたのは、先ほど来議論がありますとおりに、日本四面環海世界第六番目と言われる広大な排他的経済水域を有する海洋国家ということでありますので、この国連海洋法条約に規定をされております様々な規定、海洋環境保全、あるいは排他的経済水域における開発推進、持続可能な開発、こういったそれぞれの規定について、我々日本として新たな海洋国家実現のために必要な基本理念であるとか国家戦略としての基本計画の策定、こういったものについて盛り込んだ法案でございます。
  74. 小林美恵子

    小林美恵子君 国連海洋法条約の枠内だということでございますね。  それで、その一条にもありますけれども、いわゆる海洋の平和的かつ積極的な開発という文言がございます。また、さらに、これは二条でしょうか、二条にも、海洋環境保全を図りつつ海洋の持続的な開発及び云々とありまして、その積極的な開発というのがございます。ここで言います、いわゆる積極的な開発というのはどういう定義になるんでしょうか。
  75. 細野豪志

    衆議院議員(細野豪志君) 開発ということになってまいりますとやっぱり対象をある程度イメージをしていただいた方がいいというふうに思いますので、まずそのことについて申し上げますと、海洋上の資源ということになってまいりますと、大きく分けて水産資源と鉱物資源ということに分けられると思います。この法律案では、この海洋開発につきましては、海洋の資源というのはもう既に存在をしているものでありますから、それを開発利用というのを一体としてとらえて二条でも書かせていただいております。  具体的な施策につきましては、やはり十七条をごらんをいただくのが一番よろしいかと思うんですが、まず水産資源に関しましては、保存及び管理、そして水産動植物の生育環境保全及び改善、漁場の生産力の推進、こういう書き方をしております。また、鉱物資源の方に関しましては、具体的な資源名を特定をいたしまして、石油、可燃性天然ガス、マンガン鉱、コバルト鉱などという書き方をしておりまして、こういったものの開発を積極的に行っていくという趣旨基本方針ですね、二条で基本的な考え方を示し、十七条で具体的な施策として書かせていただいているということでございます。
  76. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、海洋環境保全に影響を与えるような開発については私自身は大変厳しく規制をされなくてはならないのではないかと思います、開発そのものを否定しているわけではございませんけど。  この法案でいきますと、そういう点についてどのように担保されて、そういう海洋環境保全に影響を与えるような開発についての規制というのはどういうふうに描かれているんでしょうか。
  77. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) まず、一条に、海洋人類を始めとする生物の生命を維持する上でもう不可欠な要素と、そして、その一条に、海洋の平和的かつ積極的な開発及び利用海洋環境保全との調和を図るという形で、目的でまずきちっと書いております。  そして、第二条で、海洋開発及び利用海洋環境保全との調和という形で二条で規定しておりまして、海洋環境保全を図りつつ海洋の持続的な開発及び利用を可能とすることを旨として、その積極的な開発及び利用が行われなきゃいけないという形で第二条で書いております。  そして、第十八条に、海洋環境保全ということで、国は、海洋地球温暖化の防止等の地球環境保全に大きな影響を与えること等にかんがみという形でずっと書いておりまして、その他海洋環境保全を図るために必要な措置を講ずるものとすると、こういうふうに書いてあるわけでございます。  そして、こういう基本的施策として、この第十八条に海洋環境保全等と、こう書いてあるわけでございますが、これが海洋基本計画の中に盛り込まれまして、そして政府はそれをしっかり推進していくという形になるわけでございます。
  78. 小林美恵子

    小林美恵子君 要するに、この基本法の中でも、いわゆる海洋環境保全に影響を与えるような開発についてはきちっと規制をしていくようなことが含まれているということですね。
  79. 大口善徳

    衆議院議員大口善徳君) はい。
  80. 小林美恵子

    小林美恵子君 次にお伺いしたいというふうに思いますけれども政府の方にも質問をさせていただきたいと思いますので、少し飛ばしまして、今度は海洋構築物に係る安全水域設定等に関する法案について少しお伺いしたいと思います。  この安全水域に許可なく入域する、侵入した場合、だれがどのように対応するのでしょうか。これは政府じゃなくて提案者の方に。
  81. 西村康稔

    衆議院議員(西村康稔君) 安全水域がまず設定された場合には、これ船舶交通の安全確保をしなければいけませんので、知らしめなきゃいけませんので、まず事業所管大臣から安全水域範囲を示すブイの設置等を事業者に対して要請をするということで、ブイを置いてここから先には安全水域になりますよということをしっかり示すということをまずやります。  その上で、安全水域に許可なく船舶が侵入してきた場合でありますけれども海上保安庁が安全水域を含む国内法、そして国際法に基づいて侵入船舶を停泊をさせた上で立入検査等を実施して、最初は警告をすることになろうと思うんですけれども、聞かない場合には停泊をさせて立入検査を実施をすると。さらに、出ていかない場合には必要な取締りを行うということになることと承知をしております。
  82. 小林美恵子

    小林美恵子君 要するに、まずは海上保安庁ということですよね。  それで、私はちょっと時間がせいてきましたので、国交大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  私は、この法案の中で大変大事なのは、やっぱり海洋環境保全、幾ら開発をしたとしても海洋環境保全というのが一番大事だというふうに思います。  そこで一点お聞きしたいんですけれども、今大気中のCO2濃度が大変増加をしていまして、その吸収源としての海洋の果たす役割が大きな注目を集めています。しかし、その海洋中のCO2濃度も急増しておりまして、地球規模の気候変動を引き起こす要因になるというふうに研究者からの不安も高まっています。国交省も海洋・沿岸地域政策を掲げておられますけれども、こういう海洋環境の危機に関して、大臣はどのように御認識されていますか。
  83. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 御指摘のとおりでございまして、今年の二月に公表されました国連の機関である、気候変動に関する政府間パネルの最新の報告書によりますと、この十年間で海洋は人為起源により排出された二酸化炭素の約三分の一を吸収しているという報告があります。ちなみに一九九〇年代は化石燃料等による排出量が六十四億トンプラス・マイナス四億トンというところであったようでございますが、そのうち海洋の吸収量は二十二億プラス・マイナス四億トン、年間ですね、そういうことであったようでございますが、二〇〇〇年から二〇〇五年は各年、今まで六十四億トンであったものが七十二億トンに増えて、そして、しかしながら海洋の吸収しているものはやはり二十二億トンプラス・マイナス五億トン、余り変わっていないんですね。すなわち飽和状態に近いんじゃないかなという心配を私は、この報告書だけですけれども、いたします。  したがいまして、二酸化炭素の排出が続けばこの海洋が吸収できる容量というものはだんだん率が落ちてきてしまいまして、その結果、地球温暖化に伴いまして海水温が上昇すると。その結果、また海洋の二酸化炭素の吸収量が減少するというような悪循環が始まって、地球温暖化が今後更に加速することまで懸念しなければならないというふうに思います。  したがいまして、今後も引き続き海洋環境状況を厳しく監視しながら、この二酸化炭素の排出量というものについて抑制策を取っていかなければならないというふうに考えております。
  84. 小林美恵子

    小林美恵子君 もう一つ海洋環境保全に影響を与えるものとして、先ほどの議論もございましたけれども資源開発について、いわゆる経団連がメタンハイドレートについての海洋開発の柱に掲げています、これその文書でございますけれども。このメタンハイドレートの開発は非常に危険だという指摘もございます。それが一たび爆発すれば人類は八十年で滅亡するという西澤潤一首都大学学長も警告をされておられますけど、こうした危険性が高い、指摘されている開発促進に対しては、政府としてはどう対応するか、大臣はどのような御認識でしょうか。
  85. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 国連海洋条約におきましては、各国に排他的経済水域等海洋資源開発に排他的な権利を認めていますが、その大前提として海洋環境保全に関する義務に従いながら行わなければならないということとされております。このように、良好な海洋環境人類の存続の基盤でありまして、これを将来にわたって引き継いでいかなければならないことはもう言うまでもないわけでございます。  したがいまして、今言ったことは既に国際的に共通の認識であるというふうに考えております。我が国四面環海世界で第六番目と言われる広大な排他的水域を管轄する国でありますから、国際的協調の下に海洋の平和的かつ積極的な開発利用と、そしてまた、海洋環境保全との調和を常に図っていかなければならない、これが重要であるというふうに思っております。したがいまして、これを旨として海洋政策を実施していかなければならないというふうに思っています。
  86. 小林美恵子

    小林美恵子君 海洋環境保全が何よりも大事だという御答弁でございましたけれども、私も、本当にその海洋環境保全を中心に据えまして、日本海洋環境保全の先頭に立っているということを世界にアピールしていかなくちゃならないと思います。この提案されました基本法が、それがそういう機会になるようにということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  87. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  まず、発議者の方に御質問いたしますが、日本海洋国であり、国民の関心の強い海に関する基本法を制定することは必要なことだと思っております。  今回の審議で明らかなように、多少この法案については拙速であったのではないかというふうに認識しているところでございますが、まず法案審議に当たって、それは院が決めることだということで言ってしまえば終わりのことでありますが、国土交通委員会だけでなく、内閣委員会外務委員会、農水委員会、それから経済産業委員会環境委員会など、関係する委員会が数多くあるわけでございまして、ここはやはり連合審査等々を考えていくべきではなかったかというふうに思うんでありますが、発議者の皆さん方はいかがにお考えでございましょうか。
  88. 細野豪志

    衆議院議員(細野豪志君) まずこの海洋基本法に関して衆議院の方の議論でございますが、これは国土交通委員会の方でこの二法については全会一致で委員長提案という形になりました。まあ委員長提案ということでございましたので、法案そのものについての質疑という形にはなりませんでしたけれども、一般質疑という形を取りまして、三時間、担当にかかわる国土交通大臣等とのやり取りもしておりまして、その意味では、ある程度の審議は衆議院の方では行ったというふうな自負は持っております。  また、参議院の方でございますが、この件に関しては、我々は今衆議院側からお願いをしている立場でございますので、参議院の方の審議の在り方につきましては答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  89. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 基本法では、環境保全や持続、それから調和と言われているものの、海洋資源の積極的な開発利用や、海洋産業振興国際協力強化に傾斜をしており、環境や生態系優先の視点が弱いように思われます。  また、海にとって大事な産業である水産業については、もちろん位置付けというものをきちっと位置付けるべきではないかと思うのでありますが、発議者の御意見はいかがでございましょうか。
  90. 細野豪志

    衆議院議員(細野豪志君) 渕上先生がおっしゃるとおり、良好な海洋環境というのが人類にとっても、当然我が国にとっても非常に重要であるというのは私どもも大前提としておるところでございます。  そういう考え方に基づきまして、この海洋基本法の中では、まず総則の二条のところで、海洋開発及び利用海洋環境保全との調和ということをまず大前提としてうたっております。  また、それぞれの基本的施策のところでも、例えば十七条、これは開発について規定をしたところでございますが、前段で、海洋環境保全について当然それを配慮するという規定を置いておりますし、個別の条文をこれ以上御説明は省かせていただきますが、それぞれの条文について環境保全について懸念をされるところについてはかなり丁寧に書き込んだつもりでございます。当然、この法律の趣旨に基づいて海洋開発利用がなされる場合には、それぞれの省庁において最大限の配慮を払うように我々としても今後も求めていきたい、そのように考えております。  また、水産業についても御質問をいただきました。水産業につきましては、五条で、海洋産業の健全な発展というところの中に水産業についても位置付けております。また、十九条、十七条の、この開発の部分についても水産資源についても具体的な記述を置いておりまして、総合的な施策の中で非常に重要な産業として水産業を位置付けているということについては、この基本法の中でかなり明確になっているのではないかというふうに私どもは考えております。  また、若干付言をいたしますと、一九九六年に国連海洋法条約というのが発効しておりますが、その直後に、漁業資源に関してはかなり国内法の整備がなされておりまして、漁業法を始めといたしまして、そういう具体的な施策と併せて、水産業振興がこの海洋基本法が成立することによってなされることを我々としては求めていきたいと、そのように考えております。
  91. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 基本法の第二十一条には、国が我が国の平和及び安全の確保のために必要な措置を講ずるものとすると定めておりますが、これは安全保障のことであると考えますが、平時を想定しているのでしょうか、それとも有事も含まれているとお考えなんでしょうか。
  92. 石破茂

    衆議院議員石破茂君) これは何を平時と言い、何を有事と言うかというお話にも関連をすることでございますが、例えば、海上保安庁の行動があって、特別な必要がある場合には海上自衛隊が警察権の行使として海上警備行動を行う、そして治安出動が海上自衛隊に対して下令されることも決して否定されるものではございませんし、そして防衛出動と、こういうふうにエスカレーションラダーが上がっていくわけですね。  この第二十一条第一項後段ですが、「海洋について、我が国の平和及び安全の確保並びに海上の安全及び治安の確保のために必要な措置を講ずるものとする。」というような文言になっておるわけでございまして、我が国の平和の確保のために必要な措置というふうに記しております以上、これは有事、防衛出動というふうに考えていただいて差し支えないものであります。あるいは、安全の確保ですと、海上の安全及び治安の確保等々は、それは平時というふうにお考えをいただいても結構でありまして、それに対応する法制はそれぞれ独立をして存在をするものでございます。  ですから、先生の御質問にストレートにお答えをしようと思えば、これは平時並びに有事も含むものであるということになろうかと存じます。
  93. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 平時も想定をし、有事も想定をしているということが前提であれば、海洋基本法の海洋に関する施策としての平時における自衛隊の活動はどのようなことを想定しているのか、お伺いをいたします。
  94. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 自衛隊は、防衛警備のための調査というのが任務として与えられております。それに基づきまして、防衛省・自衛隊は平素から我が国周辺の海空域におきまして警戒監視活動を実施をしておりますが、こうした平素における活動を含めて、例えば海上保安庁さんに情報を提供する等の活動を行うということを考えております。
  95. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 海洋政策に自衛隊の活動を位置付けるということになると思われる海洋基本法は、いたずらにやはり周辺諸国に対して脅威を与えることになるのではないかと思うんでありますが、その点、外務省はいかがお考えでしょうか。
  96. 草賀純男

    政府参考人草賀純男君) お答え申し上げます。  この二十一条の条文の趣旨自体について政府として解釈あるいは御説明する立場にはございませんけれども我が国といたしましては、専守防衛に徹しまして、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならないという基本理念に従いまして、適切な防衛力を自主的に整備するという基本方針を堅持しているところでございますので、海洋基本法が成立した後にもこの方針には変更はないと考えております。
  97. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 基本法に定める海上輸送の安全を確保するためには、特に内航海運における船員の労働条件や労働環境を大きく改善させる必要があると思いますが、政府としてはどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。
  98. 冨士原康一

    政府参考人冨士原康一君) 海上輸送の安全を確保するために、優秀な日本人船員の確保、育成が重要であるというふうに私どもも認識をしております。このため、現在、交通政策審議会の下に設置されましたヒューマンインフラ部会におきまして、その確保・育成策について鋭意審議をいただいているというところでございます。  この場合におきまして、優秀な日本人船員の確保、育成のために、やはり日本船員という職業の魅力をいかに高めていくかということが重要であるというふうに考えてございまして、その場合、労働条件の改善も当然取り組むべき施策一つであるというふうに考えております。具体的には、他産業と比較して長時間となっております所定外労働の抑制、あるいはグローバルスタンダードを踏まえた労働条件の向上などが必要であるというふうに考えております。  今後、同部会におきまして、労働条件の改善を始めとする諸課題について御審議をいただき、その結果を踏まえて労働条件の改善に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  99. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 海上輸送、安全を確保するために、我が国周辺海域も東京湾や瀬戸内海のような安全運航に関する規制を広げることが必要ではないかと思うんでありますが、例えば海上衝突予防法に加えて海上交通安全法が我が国周辺海域に適用を拡大するべきだと考えるんでありますが、その点、大臣、いかがお考えでしょうか。
  100. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 海上交通の安全を図るために、船舶の遵守すべき航法等一般的な交通ルールを定めた法律が海上衝突予防法でございまして、すべての海域において適用される一般法でございます。これに対して、特別法として、ふくそう海域における更なる安全対策として、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海において海上交通安全法、何か一般法のような名前になっているんですが、これは実は特別法でございます。また、全国の五百一の港においては港則法という法律におきまして航路における航法等の特別の交通ルールを定め、海上交通の安全の確保を図っているところでございます。  今これを特別法から、海上交通安全法、特別法から一般法に格上げしたらどうかというような御提案のように伺うんですけれども、ここ五年間、三百トン以上の船舶の座礁事故について調べますと、年間大体七十隻程度で推移しております。このうち海上交通安全法の適用海域、それから港則法の適用海域、その他の海域における発生件数は、各海域ともほぼ同様の件数になっております。同じように二十件前後です。その原因別で見てみますと、各海域とも居眠り、それから船の位置の不確認などの人為的な、ヒューマンエラーといいますか、そういうものが要因になっているものがほとんどなのでございます。  このようなことから、座礁事故防止の強化につきましては、居眠りや船の位置の不確認などによる危険な状態の把握、それに対する適切な情報提供が重要であると考えまして、海上保安庁におきましては、船舶の名称、位置、速力などが自動的に入手できる船舶自動識別装置により東京湾から関門海峡に至る海域において航行船舶の動静の把握や安全航行のための情報提供等を順次、今開始しておりまして、今後、全国展開を図りたいというふうに思います。これによって座礁等の海難防止に大きく裨益できると考えております。  今後とも、事故の発生状況船舶のふくそう状況を勘案し、船舶の交通の安全確保に取り組んでまいりたい。現行の一般法、特別法ということでも十分そういうことで防止できるのではないかというふうに考えているところでございます。
  101. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。     ─────────────
  102. 大江康弘

    委員長大江康弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、羽田雄一郎君及び後藤博子君が委員辞任され、その補欠として林久美子君及び亀井郁夫君が選任されました。     ─────────────
  103. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、海洋基本法案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  104. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、藤本君から発言を求められておりますので、これを許します。藤本祐司君。
  105. 藤本祐司

    ○藤本祐司君 私は、ただいま可決されました海洋基本法案に対し、自由民主党民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び国民新党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     海洋基本法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、本法に規定する海洋基本計画の策定及びこれに基づく諸施策推進に当たっては、総合海洋政策本部に、海洋に関する幅広い分野の有識者から構成される会議を設置し、その意見を反映させること。  二、海洋法に関する国際連合条約等の規定に基づく国内法の整備がいまだ十分でないことにかんがみ、海洋に関する我が国の利益を確保し、及び海洋に関する国際的な義務を履行するため、海洋法に関する国際連合条約その他の国際約束に規定する諸制度に関する我が国の国内法制を早急に整備すること。    また、生物多様性条約その他の国際約束を踏まえ、移動性動物の移動ルートを考慮した海洋の生物の多様性の確保等のための海洋保護区の設置等、海洋環境保全を図るために必要な措置について検討すること。  三、海上の安全及び治安の確保とともに、危機管理について万全の体制を整備することが極めて重要であることにかんがみ、海上保安庁について、危機管理に関する関係行政機関との連携を含め組織体制の総合的な検討・充実を図ること。  四、我が国が正当にその領有権を有している領土の保全に遺漏なきを期すとともに、海洋の新たな秩序を構築することが海洋国家としての我が国の国益に沿うことにかんがみ外交的施策を始めとする各般の施策をより一層強力に推進すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  106. 大江康弘

    委員長大江康弘君) ただいま藤本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  107. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 多数と認めます。よって、藤本君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、冬柴国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。冬柴国土交通大臣
  108. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ただいまの海洋基本法案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重させていただき、海洋政策推進に努力してまいる所存であります。  ありがとうございました。
  109. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 次に、海洋構築物等に係る安全水域設定等に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  110. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  塩谷委員長を始め各委員の皆様、今日は御苦労さまでございました。ほかになければ、もうこれでどうぞ退室してください。     ─────────────
  112. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 次に、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。冬柴国土交通大臣
  113. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ただいま議題となりました特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  従来より、欠陥住宅問題に対応するため、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、新築住宅の売主等は、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、十年間の瑕疵担保責任を負うこととされております。  しかしながら、先般の構造計算書偽装問題を契機として、新築住宅の売主が十分な資力を有さず瑕疵担保責任が履行されない場合、新築住宅の購入者が極めて不安定な状態に置かれることが改めて認識されることとなりました。  このように住宅取得に対する不安が強まる中、住宅の安全の確保に対する国民のニーズにこたえていくためには、新築住宅の売主等に対し瑕疵担保責任を履行するための資力の確保を義務付け、新築住宅の購入者等の利益の保護を図っていくことが必要であります。  このような趣旨から、このたびこの法律案提案することとした次第です。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、建設業者及び宅地建物取引業者に対し、新築住宅に係る瑕疵担保責任の履行の確保を図るため、住宅建設瑕疵担保保証金等の供託又は住宅瑕疵担保責任保険契約の締結を義務付けることとしております。  第二に、国土交通大臣は、住宅に係る瑕疵担保責任の履行の確保を図るための保険契約の引受けを行う法人を住宅瑕疵担保責任保険法人として指定することができることとしております。  第三に、住宅瑕疵担保責任保険契約に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るための処理体制を整備することとしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  114. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  115. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案の審査のため、来る二十四日午後二時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 御異議ないと認めます。  なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会