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2007-03-15 第166回国会 参議院 国土交通委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年三月十五日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大江 康弘君     理 事                 末松 信介君                 脇  雅史君                 藤本 祐司君                 山下八洲夫君                 谷合 正明君     委 員                 市川 一朗君                 小池 正勝君                 田村 公平君                 藤野 公孝君                 吉田 博美君                 加藤 敏幸君                 北澤 俊美君                 輿石  東君                 田名部匡省君                 羽田雄一郎君                 前田 武志君                 魚住裕一郎君                 小林美恵子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   冬柴 鐵三君    副大臣        国土交通大臣  望月 義夫君        国土交通大臣  渡辺 具能君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       梶山 弘志君        国土交通大臣政        務官      吉田左エ門君        国土交通大臣政        務官       藤野 公孝君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局総括審        議官       舟橋 和幸君        厚生労働大臣官        房審議官     森山  寛君        国土交通大臣官        房長       竹歳  誠君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      柴田 耕介君        国土交通大臣官        房運輸安全政策        審議官      杉山 篤史君        国土交通省総合        政策局長     宿利 正史君        国土交通省土地        ・水資源局水資        源部長      棚橋 通雄君        国土交通省河川        局長       門松  武君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省住宅        局長       榊  正剛君        国土交通省鉄道        局長       平田憲一郎君        国土交通省自動        車交通局長    岩崎 貞二君        国土交通省航空        局長       鈴木 久泰君    参考人        本州四国連絡高        速道路株式会社        代表取締役社長  堀切 民喜君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (国土交通行政基本施策に関する件)     ─────────────
  2. 大江康弘

  3. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土整備交通政策推進等に関する調査のため、本日の委員会本州四国連絡高速道路株式会社代表取締役社長堀切民喜君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、国土交通行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 田村公平

    田村公平君 末松筆頭理事の御配慮をいただきまして、我が党の割当て時間のうちの二十分をいただくことになりました。  本来であれば、大臣の所信に対する質疑でありますから総合的なことをお伺いしたいんでありますが、私は、昨年の六月十三日に、カナダボンバルディア社飛行機の件でこの国土交通委員会質問をさせていただきました。そういうこともありまして、この三月十三日に高知空港で起きました、実はこれ地元新聞でありますけれども、いつかは、いつかは…で不安的中と。昨年の六月十三日に私は重大な事故が起きますよということを申し上げた。これは委員各位皆さん案内のとおりであります。とうとう起きてしまった。結果として、たまたま運に恵まれて六十名の乗員乗客けがもなしに、正に奇跡的に助かったわけであります。機長の腕が良かった、あるいはいろんな天候条件にも恵まれたと思っております。  そこで、大臣お尋ねしますが、現在までの事故の経緯、お分かりの範囲でお尋ねをいたします。
  8. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 最初に、このような重大な事故が起こったことについて本当に心から遺憾の意を表したいと思いますし、本当に奇跡的と申しますか幸いにして、五十六名にも及ぶ乗客、四名の乗員についておけがもなかったということについて本当に守られたなという喜びを感じているところでございますが、お尋ね事故の概要について御報告を申し上げます。  この御指摘の全日空機は、大阪国際空港を離陸し高知空港に進入中、通常操作で前脚が下りなかったことから、非常操作手順による脚下げや、主脚のみを接地させてその衝撃で前脚を下ろすタッチ・アンド・ゴーを試みましたが、前脚下げはできず、十時五十四分、前脚が下りていない状態で高知空港に着陸いたしました。事故機には乗客乗員六十名が搭乗していましたが、幸いなことに死傷者はありませんでした。  現在、航空鉄道事故調査委員会事故調査官二名を派遣し、事故原因等について調査を行うとともに、航空局より運輸事業者に対し、同型機機種についての緊急点検指示したところでございます。  公共交通機関に対しては安全対策の徹底を指導している中でこのような事故発生したことは誠に遺憾ですが、今後このようなことが起こることのないよう原因究明再発防止に全力を尽くしてまいる所存でございます。
  9. 田村公平

    田村公平君 これから先、若干技術的なことになりますので航空局長お尋ねをしますけれども、私は昨年の六月十三日に具体的な件数を挙げながらこの委員会質問させていただきました。今までに、皆さん方航空局の方が言うところのインシデント、重大な事故に至らなかったけれども、一昨日十三日の件は、これはもう一歩間違えれば死んでいたかもしれない大変大きな事故だと私は思っております。  航空局、この飛行機導入以来、一体何件のインシデントがあったんでしょう。
  10. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  DHC—8—400型機は七十四人乗りのプロペラ機で、平成十五年より我が国導入されまして、現在、全日空グループとそれからJALグループ合計二十二機運航されております。  平成十五年の運航開始以降、今回の事故、それから平成十六年十一月に滑走路を逸脱するという重大インシデント一件ございましたが、それプラス、イレギュラー運航と申しまして、より軽微なトラブルでありますが、これが七十七件、合計で七十九件のトラブルが起きてございます。
  11. 田村公平

    田村公平君 就航している、我が国では二十二機とおっしゃいました。じゃ、このボンバルディア社飛行機というのは世界一体何機飛んでいるんでしょう。
  12. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 正確な数は手元にございませんが、百数十機だと記憶しております。
  13. 田村公平

    田村公平君 百数十機の中で二十二機我が国運航しておって、今までに七十七件、重大なものを入れて七十九件。このことは、昨年の六月十三日にも同じパターンであり、指摘してあったにもかかわらず、監督官庁としてそのまま放置してきたということは一体どういうことですか。
  14. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) このダッシュ8—400型機が他機種に比べてもトラブル発生の確度が大きいということは私どもも重大な問題だと考えておりまして、しかもこれが、トラブルの多くが設計段階あるいは製造段階に問題があったんではないかと思われましたことから、昨年四月に私ども担当官カナダに派遣いたしまして、カナダ政府及び製造者であるボンバルディア社に対しましてトラブル原因究明再発防止策の策定、更には必要があればそのトラブル低減のために設計改善するといったことを強く申入れをいたしまして、カナダ航空局に対してもしっかり指導監督してくださいということを申入れさせていただいております。  以来、ボンバルディア社は当時トラブルが多発していた部分設計改善もいたしまして、改良型の部品というのも逐次開発をいたしまして、それを既に運航しているエアラインにも知らせまして、順次交換をするなどの対策を講じているところでございます。
  15. 田村公平

    田村公平君 いや、そういう官僚的な答弁必要じゃないんですよ。僕はだんだん腹立ってきますよ。なぜかというと、去年の六月十三日にあれだけシリアスなやり取りJAL関係者全日空関係者参考人として来ていただき、当時の航空局長との間でやり取りをしたにもかかわらず、なおかつその後も、改良したと言うけど、幾らでも起きているじゃないですか。十八年度だけでも三十件じゃないですか。そして、この三月十三日の事故につながっている。  テレビ報道等によれば、ボンバルディア社広報担当いわく、初めての事故であると、脚が下りないということが、ドアが開かないという。しかし、えらいスピードで当該の全日空さんは昨日から、昨日の一便から飛行機飛ばしているじゃないですか、世界に例を見ない、今までの事故とは違う、初めてのことだと言いながら。監督官庁としてそんな甘いことでいいんですか。人の命が懸かっているんですよ。パロマの問題、いろんなところで、普通であればこんなの、車で言えばリコールの対象でしょう。乗っちゃいけないでしょう。どうしてそんなに監督官庁として毅然とした態度が取れないんですか。事人命にかかわる話ですよ。
  16. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  私どもとしても、今回の事態は大変重大な事態だと受け止めておりまして、特にその前脚が下りなかったというところにつきまして、事故当日に同系列ボンバルディア社製三十六機、ダッシュ400ではなくて、ダッシュ100から300というもう少し小さい機材もございますが、これも同じような脚のメカニズムでありますので、これに対しまして緊急の点検指示いたしました。  その中で、特に当事者であります全日空は私ども指示を待たずに当日直ちに全機運航を停止いたしまして緊急点検をやりまして、夜中まで掛かりましてやりまして、それで問題がないと、残りの航空機については問題がないというのを十分確認した上で昨日から運航を再開したということでございます。
  17. 田村公平

    田村公平君 冗談じゃないですよ。事故が起きてから一体、一日もたたないうちにどこに安全性の保証があるんですか。大体、事故調が入ったばっかりじゃないですか。普通であればその原因、しかもこれ一件じゃないんですよ、言っておきますけれども。先ほどあったように七十九件じゃないですか。極端なことで言えば、一週間に一回どころの割合じゃないですよ。  私は前回も言いましたよ、欠陥飛行機だと。構造上、設計上の問題があるとまで言ってあったんですよ。正にそのとおりじゃないですか。(発言する者あり)そうです。にもかかわらず、そういう答弁なさるというのは私は非常に納得いかない。  去年の六月十三日、全日空の大前参考人は私の質問に対して、「我々はワーキングツゲザーという手法を用いまして、ともにこの不具合を認識し、共通の認識の下に改善していく取組をしております。」、取り組んでないじゃないか。結果責任ですよ、すべて。  安全ということに対して一体航空局はどういうふうに考えているんですか。
  18. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 先生のお話にもありましたように、今まで多数のトラブルが起きておるということについては、その都度エアラインに対しても対策を取るように指示しておりますし、ボンバルディア社に対しましても昨年四月に申入れを行った結果、今ボンバルディア社担当が日本に常駐してエアラインと一緒にいろいろ改善取組をしているということもございます。  ただ、その中で今回は非常用の手段である手動による脚下げもできなかったというところは、これは大変重大な問題だと認識しておりまして、そこのところは徹底的に原因究明してまた対策を取りたいと考えているところでございます。
  19. 田村公平

    田村公平君 ボンバルディア社のこの飛行機は過去においてもノーズギアステアリングが利かなくなって、つまりかじが取れない、だから滑走路にもタキシングできない、そういうこと、だからノーズギアに根本的な欠陥があると思うのが普通の素人が考えても常識じゃないでしょうか。  私、前も言いましたよね。脚を出し入れする、昔は固定式だった。戦争をやるたんびにどんどん航空機は発展して、最も原始的かつ基本的なものなんですよ。コンピューターがどうのこうのとかマイコン制御がどうのこうのというレベルじゃない。飛行機歴史においては三点式もあった、ノーズにないときもあった、おしりの方にあった。長い長い戦争という大きな犠牲を払って航空機というのは進歩してきている、それが民間用に転用されてきたという過去の歴史があります。ひどいときは脚を切り落として飛んでいったこともあります、空気抵抗を減らすために、これは戦争だからと。  しかし、これは戦争じゃないんですよ。普通の、普通の国民が、普通の市民がお金払って乗っている。何かトラックの事故とかそんなのを想起せざるを得ない。脱輪してもほってあった。そういう事案が一杯今まであっているじゃないですか。にもかかわらず、そのような答弁をなさる。  実は、私はこの委員会全日空責任者参考人としてお願いをしておりました。しかし、事故直後であり、ここに呼ぶのはいかがなものかという御意見もあったものですから当事者を呼んでおりませんが、これは後で、委員長お願いがありますけれども法案審議も大変、そして会期末のこともありますが、この委員会ででき得れば一段落したときに全日空のしかるべき方を呼んでいただけるような取り計らいをお願いしたいと思います。  航空局長ね、私実は去年の六月十三日に何でこんな欠陥飛行機を買わざるを得なかったのか、かつてのロッキードのことも念頭に入れながら、こんなぼろ飛行機買って飛ばしているというのは何か政治的圧力でもあったんじゃないかというふうに質問をしましたよね、会議録読んでおられると思う。まさかそんなことないでしょうね。何かかばい過ぎている。どうしてこんなぼろ飛行機を。アメリカもカナダも似たような法律の体系になっています。いわゆるPL法製造物責任法に基づいて、今二十二機と言いましたか、たたき返しゃいいじゃないよ。一兆円でも二兆円でも訴訟を起こしてやりゃいいじゃないですか。それぐらいの欠陥飛行機じゃないですか。そういうことを監督官庁として指導していくような気はないんですか。
  20. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 先ほどの田村委員の件につきましては、理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  21. 田村公平

    田村公平君 はい、よろしくお願いします。
  22. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 今回の事故原因につきましては、先ほど大臣が答弁いたしましたように、航空鉄道事故調査委員会調査官が現地に赴いて今調査中でございます。  また、事態重大性から、製造会社ボンバルディア社及びその前脚の製造会社グッドリッチ社も今高知担当官を向かわせておりまして、調査に加える予定と聞いております。その調査結果を待たなければ原因というところがまだはっきりしないわけでございますが、私どもはその調査結果を待ってしっかりと対策を講じてまいりたいと思っております。  それから、航空機機種選定につきましては、これはエアライン判断、我々は一切関知せずにエアライン経営判断でなされるものでありますが、この飛行機性能的には七十四人乗れて、プロペラ機で結構スピードもありまして、そういう意味の性能上は非常に同クラスでは評判のいい飛行機だと聞いております。
  23. 田村公平

    田村公平君 導入時に、平成十五年度四件、十六年度十二件、十七年度三十一件、そして十八年度は三月この十二日現在で三十件。何が性能がいいんですか、欠陥商品じゃないですか。最初に入れたときは機数が少ない、二十二機までいきゃどんどんどんどん、私はこれ事故だと思いますよ。欠陥商品ですよ。油圧が利かない、煙が出る、ステアリングは利かない、しょっちゅう飛び立てない、あるいは飛んでいっても返ってくる。じゃ、他の機種でこんなに一杯ありますか、お伺いしますけど。
  24. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 他機種と比べて、先生おっしゃるようにトラブル発生率が高いというのは事実でございます。その都度、我々はいろいろ調査をして原因究明して、対策を講じておるところでございます。  ただ、引き返しなどの件で、計器に異常が表示されて引き返したけれども機体はそれほどおかしくない、計器けがおかしかったというような例も中には含まれてございます。
  25. 田村公平

    田村公平君 そんな小手先なことを言うんじゃないよ、何言っているんだよ。計器に異常があっても駄目じゃないかよ。接触不良があったら駄目なんだよ。それは分かるよ、ノーズギアダウンしてグリーンランプがともらない、接触不良でグリーンにならなかったと。そんな、おれの同級生にもパイロットいるんだから。そういう正に官僚的答弁しないでほしい。事命にかかわる問題じゃないですか。  だからこれだけの、まあ前科と言っちゃいけないけど、これだけの事故歴を山ほど抱えておって、たまたま高知空港で奇跡が起きただけの話なんですよ。にもかかわらず、昨日の一便から安全だって、一体どこに安全を求めればいいんですか。乗っている人間は命懸けで乗っています、今も。私たちの間ではいつか必ず起きると言われてきた。だから、地元新聞だって、いつかはだもん、不安的中と書いてある。利益の追求、安かろう悪かろう、そういう下に、かつて全日空にはおたくの役所のトップが天下りしていろんな事件起こしたじゃないですか。そういう癒着があるんじゃないかとすら私は思いたくなりますよ、ここまで言うつもりなかったんだけど。  事が起きるよりも、これは大臣、この前の予算委員会で私も言わさせてもらった、防災対策にせぬといかぬ。予防医学ですよ。病気になってから特効薬ありますよ、事故が起きて人が亡くなってから特効薬ありましたじゃね、死んでも死に切れませんよ。明らかに予見できるこういうことに対して、監督官庁として毅然とした態度で臨んでいただきたい。事故が起きてから事故調派遣して、ああでもないこうでもないってへ理屈こねたってしようがないじゃないか。事故を起こさないようにすることが仕事じゃないか。  かつて事故調メンバー運輸省当局が、当時の、何言ったと思う。航空会社関係者いません。何言ってるんだよ、JALの元機長事故調メンバーじゃない。身びいきするよ、そりゃ自分の出身会社を。事故調メンバーにすらそういうことをやってきている体質があるじゃないですか。  私は、末松理事の時間をもうちょっと一、二分食いそうなので、消化不良でこのまま終わりそうな感じですけど。  大臣、私の質問最後になりますけど、北側大臣もあのとき大変もう事故事故事故の連続で、はたで見ていてもお気の毒というか、つらいことばっかりでしたよ。大臣も御案内のとおり、尼崎もありました、いろんなことがありました。私は、冬柴大臣になって、幸いなことに大きな事故も起きていない。ああ、少しは良くなってきて、過去の経験に基づいて、国土交通省は大変大きな役所であります、綱紀が保たれ、いろんなところで官も民も立派にやっていっているんじゃないかなと思ったやさきに、正にこの会議録にも残っておりますけれども、去年の六月十三日に言ったことが当たってしまった。  もっと言いましょうか。私、二月の二日、今年の、高知行きの飛行機に乗りました。これはボーイング767—300、いつも置き止めされています。ドアが閉まって、牽引車がある一定の場所まで来て、それからエンジン掛けてタクシングしようと思ったら、一時間機内に閉じ込められたまま、エンジンが掛からない。その次が二月の七日だったと思う。また、同じ便で高知に帰ろうと思ったら同じことが起きまして、また一時間。まあ、さすがに天下の全日空さんです、代わりの飛行機を一時間以内に準備して、何とか国には帰れましたけれども、こういうのはインシデントでもなければ報告もされていないと思う。しかし、これ、たった一週間に確率十割ですよ。しめたと思って、私、宝くじ買った。宝くじは当たらなかった。最近、飛行機乗るのはおっかない。  そういうことを含めまして、大臣最後に御意見をお伺いします。
  26. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 田村委員高知の御出身だということだけではなしに、この問題について、過去においてこのように取り組んでこられたにかかわらず、このような重大なことが起こったということで本当にお怒りなのはもう当然のことでありますし、私どもも重く受け止めなければならないというふうに思います。  私といたしましては、昨日、もう上を、上空を旋回しているときからこのニュースに接して、最後、無事四十人が機外に出ましたという報告を受けたときは、本当にああよかったという思いになりました。それで、直ちに私は、次の三点の対策指示をいたしました。  一点目としては、事故の直接の原因が前脚が下りなかったということでありますので、事故当日に同系列機航空機全三十六機、この機自体は二十二機ですけれども系列機を含めて三十六機に対して直ちに飛行を差し止め、前脚の手動操作に関する緊急の点検及び作動点検指示をいたしました。  二点目としては、今後、前脚ドア構造詳細点検を、今まではこれは四千飛行時間ごと、約二年ごとに、どちらかに相当したときに点検したらいいという部分だったわけでございます、この前脚の部分は。まだ、これは購入後そこまで飛んでいないんですね、これ。第一回目の検査まで到達していなかったわけですけれども、私はこれを四百時間、四千時間を十分の一、四百時間、三か月ごと点検をせよということに、同系列型機全体についてそうしなさいということで運航者に指示をいたしました。  三点目としましては、同系列型機運航者を招集して安全対策会議を開催して、事故に係る不具合の今後の対策について検討をするように指示をいたしました。  三番目に、事故発生原因については今後の航空鉄道事故調査委員会調査結果によりますが、事故重大性から、製造会社ボンバルディア社を始め前脚の製造会社グッドリッチ社高知に専門家を派遣し事故調査に加わるよう、そのようにするということでしたから、直ちにそうしなさいということにいたしました。  また、十三日に、事実関係の概要と今後の事故調査及び是正対策への協力について、航空局からボンバルディア機の製造国当局であるカナダ航空局に要請をいたしました。翌十四日にはカナダ航空局より全面的に協力させていただきますという回答がありました。  国土交通省としましては、関係各所と必要な連携を図り、適切に対応していかなければならない、そのように思っております。  なお、これが下りなかった原因については、事故調で当面、一応の判断ができましたので、それについて、今後もどうあるべきなのか、なぜそうなったのか、そういうことを究めていきたいと思っております。
  27. 田村公平

    田村公平君 先ほど私、二月二日とそしてその後二月七日のと言いましたが、二月八日のANA五六五便、二月二日のANA五六五便が一時間ほど遅れたと。  それから、今大臣、お話を聞かせていただきました。私は本当に、この似たようなことがまたボンバルディア機で起きたときにこれどうするんだと、そういうことが起きないことをただひたすら祈るのみであります。  質問を終わります。
  28. 末松信介

    末松信介君 おはようございます。  田村委員から大変今厳しい指摘があったわけなんですけれども、ボンバルディアという飛行機は非常に機材の信頼性が高いんで全日空も購入をしたわけなんですけれども事故というのは、ここ二年ほどこの委員会でも参考人招致をずっと続けていろんな意見を聴いてきたんですけれども、人為的ミスか、あるいは機材の故障とか欠陥、あるいは予期せぬ外部からの何らかの原因があったという、いずれかだと思うんですけれども、前の大臣北側大臣はヒューマンエラーとかヒューマンファクターという言葉をよく使われて、委員も我々も人間の心理状態とはどうかということをいろいろと話し合ったわけなんですよね。やっていないことを、やらなければならないことを実際やったというように、こう、定時性を守る余り思ってしまうという、そういった状態も明らかになったわけであります。いろいろと相互チェックとか指さしチェックとか各航空会社もそれぞれもう一度基本動作というのを確認し合ったわけなんですけれども、今日に来ていると。  問題なのは、整備に問題があったらいいんですけれども、もうこれだったら全日空側が大きな反省と対応をすればこれは可能だと思うんですけれども、最も心配なのは、正にその機材そのものに、先ほど田村先生から話があったんですけれども、重大な欠陥が存在しているのに今は整備点検しても問題がないので飛ばし続ける中、再度あのような事故が起きてしまうということが一番恐れることなんですよね。  今大臣からこういう指導をしているということのお話を伺いました。四点ほど伺ったんですけれども、改めて、そういうことが起きる、もう再度あのような事故が起きる可能性というのはあると思うんですけれどもね、どういうようにその点お考えなのか、大臣局長、いずれで結構です、お答えいただきたいと思います。
  29. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 昨日の夜に現地に行っております鉄道事故調査委員会調査官が公表した事実によりますと、前脚のロック機構の結合ボルトとナットが脱落しておったと。さらに、そのボルトの外側にこう円筒形の筒があるんですが、そのブッシングというその筒がそのボルトが外れた関係で少しこう飛び出ておりまして、それが突っ掛かるような形で前脚を収納しておるドアの開閉を妨げた結果、どうもうまく下りなかったというような事実が判明しております。  どうしてそのボルトとナットが外れてしまったのかというような辺り、そこにつきましてはこれからまた詳細に調査がなされるものと思っております。特に、このナットにつきましては、大事な部分のナットでありますので更にピンを差してナットが回らないように固定をするというような仕組みになっておりますが、このピンは見付かっておらないようでありますし、そこら辺のところをいろいろこれから検討を進められるものだと思っております。  いずれにいたしましても、大変重大な事故でございますので、私どもとしては、その調査結果も十分踏まえながらもうしっかり対策を取っていきたいと思っております。
  30. 末松信介

    末松信介君 国土交通省は昨年六月ですか四月ですか、ボンバルディア社の方に職員の方を派遣をしておられると。いろいろと、どういう内容か分かりませんけれども改善要求とか、本来政府がそういうことを航空会社に対して、外国のメーカーに対してそういうことをやるというのは珍しいと思うんですけれども、こういう要求を出されたということなんですけれども、その成果が上がっていないからこういう問題も起きてきているのかなということを思うんですけれどもね。  とりあえず私が今お尋ねしたいのは、これ平成十七年だけで、これホームページからですけれども、同機のトラブルが四十四件発生しておるという、不具合が発生したということが明らかになっているんですけれども、今後このボンバルディア機が急遽就航できなくなった場合、この場合、このQ400、クワイエット400の代替機があればいいんですけれども、大阪空港でこれがない場合、例えばジェット機を代替機として使わなきゃならないと。そうしたら、このジェット枠というのは大阪空港の場合二百と決まっていますんで、その場合、この二百枠を超えなきゃいかぬという問題が出てくると思うんですよ。当然、関係自治体とも協議し、了解も得ていかなきゃいけないわけなんですけれども、非常に緊急性を要するときもあろうかと思うんですけれども、このことについて柔軟に対応するお考えがあるのかどうかということをお聞きをしたいと。  もちろん、ボンバルディア機が全機いったんもうこれは運航を休止するということが決まった場合は当然のことなんですよね。このことについての対応策、ジェット枠を拡大してやるのかどうかということについてお聞きをしたいと思います。
  31. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) このボンバルディア機に対しましては、事故当日から緊急点検を実施いたしまして問題のない旨の報告を受けたところでありますが、今事故調の方で発見いたしましたそのボルトの脱落の部分、そこについては更に昨夜指示をいたしまして、そこのところだけもう一回再チェックしてほしいということでエアラインお願いをしてチェックをしてもらっております。したがいまして、今直ちに同型機がほかの型の機が事故機と同じように危険かどうかというところは、今のところ安全が確認されていると申し上げたいと思いますが、先生おっしゃるような事態になりました場合に、多分、直ちに、パイロットとか整備の体制の問題もありますので、あるいは飛行機というのは発注してすぐ手に入るというようなものでございません、注文生産でございますので、ほかの機で代替できるという体制はなかなか組みにくいと思いますが、そういう事態に立ち入らないように我々としてはまず万全の対策をこのボンバルディア機に対して取っていきたいと思います。  それから、伊丹のジェット枠の問題については、長年の地元とのいろいろな経緯があって一応二百ということで決められたものでありますので、これはやはりその騒音問題の方も慎重に検討しながら考えていくべき問題だろうと思っております。
  32. 末松信介

    末松信介君 そういうことがないようにという話なんですけれども、私は今、起きた場合のことを聞いたんですよ。実際そうなったら、大阪—高知、これ伊丹—高知だけでも十二便一日飛んでいるんでしょう、これ、田村先生。これ生活路線でしょう。じゃ、ほかのボンバルディア機がもう使えないということが決まった場合、ジェット飛ばすしかないじゃないですか。それについてはそのときという考え方ということですけれども、もう少し局長として踏み込んだ、そのときには当然二百を関係自治体の方の了解を得てこれは飛ばさしていただくのは当たり前だという、それはもう踏み込んだ答弁されるのは、僕はしかるべき、私はお答えになってくるんじゃないかと思うんですけどね、これ。何か希望的観測ばっかりを述べられておられると。  もう一度ちょっとお考えお話しください。
  33. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 大阪国際空港につきましては、かつての深刻な騒音問題に端を発して、いろんな訴訟とか重たい経緯がありましてジェット枠二百枠と決まった経緯がございますので、そこは慎重に判断する必要があると思いますが、万一、先生がおっしゃるような異常な事態ということであれば、そこはまたよく地元とも相談しながらいろいろ検討していくべき問題だろうと思っております。
  34. 末松信介

    末松信介君 分かりました。できるだけその節、善処策をよろしくお願い申し上げたいと思います。  時間が大分迫っておりますので少し早口で。関西新空港のことにつきまして、関西新空港のことについてお伺いしたいと思いますけれども。  本年の八月に国内最長の四千メートルの第二滑走路が運用が開始されるわけでありまして、この前、滑走路に立つ大臣のお姿をニュースで拝見をいたしました。実は私たちもこの一月に大江委員長の御案内で和歌山県の行政視察をいたしまして、最後にこの関空に立ち寄ったわけなんですけれども。私はよく知らなかったんですけれども、米国土木学会のASCEによって二十世紀の十大プロジェクト、空港設計・開発部門において選定をされておるということです。それとか、このエアポート・オブ・ザ・イヤーでは、顧客満足度は世界第四位と、トイレの清潔度は世界第一位と、もう一遍よくトイレ見なきゃいかぬと思うんですけれども、非常に評判が高いと、評価が高いということになっておりますんですけれども。  止水工事も終えられて問題点も徐々に解消されてきているわけなんですけれども、非常に国際空港として、特に物流面で今後大きな期待が寄せられておると。ハイテクの電子部品などは翌朝中国とか、あるいはまたアジアの各地、現地工場に届いていくということで、時短、時間の無駄を省くということと、保管コストの問題とか、あるいはリスクを軽減するということで、こういったことについて大変大きな貢献をするんじゃないかということが考えられるわけなんですけれども。  そこで、私はその関空のことで何が言いたいかといったら、ああいった空港というのはこれはもう国策で造ってきた空港でありますので、外国の空港と競争して戦っていけるという、そういう空港にしてやる、環境を整えてやるべきだという、そういう思いなんですよね。  着陸料一つ取りましても、実はこの成田が七十七万円、これはB4ですね、ボーイング747で停留時間を三時間とした場合、成田で七十七万円、中部国際空港で六十五・六万円、関空八十二・六万円ということなんですね。パリのシャルル・ドゴール空港は三十八・六万円、香港が三十九・七万円、ソウル三十五・四万円と、ロンドンのヒースロー空港は十一万円ということなんですよね。もうこれ運営の仕方が全然違っておると。諸外国では国家戦略として施設整備などに対して国が大きな負担を強いているわけなんですね。  以前、四年前にもこの新東京国際空港と中部国際空港とこの関空とを、下物法人とそれと各空港を管理運営する上物法人に分けて行おうという話があったんですね。しかしながら、各空港の財務状況が違うから結果的にとんざしてしまったということがあります。  現在、有利子負債が一兆二千億抱えておると。毎年九十億の利子補給もしているということなんですよね。今これ、利払いだけで二〇〇五年度で二百三十億円ということを払っておりますし、第一その空港への連絡橋につきましても、成田とか中部の国際空港へのアクセス道路というのは公道なんですけれども、もう御存じのとおり、これはもう関空連絡橋は関空会社が建設と維持管理を行っておるということで、年間二十数億円の固定資産税も払っておるということで、もうそろそろ私は、もうこれ第二滑走路ができるこの時期に、根本的な国際競争力を持った、世界の空港に勝っていける、そういう一つの手術をするような構想を練ったらどうかということを思っていますんですよ。だから、この辺、大臣、思い切った対策というものをお取りになったらどうかと思うんで、今日、所信でございますので、御答弁のほどをお願い申し上げたいと思います。大臣でなくても結構ですよ、局長でも。
  35. 望月義夫

    ○副大臣(望月義夫君) お答えさせていただきます。  関空会社は経営改善努力によって、ただいま大変ないろんなリストラございますけれども平成十六年度に初の経常黒字になっておりまして、大体平成十六年度、五十二億円を達成しております。それから、十七年度も引き続き経常黒字になりまして、九十二億円を計上しておりまして、単年度では一応黒字になっております。  しかしながら、依然として先ほどの先生のお話のように多額の有利子債務、一兆二千億という多額の有利子債務を抱えておりまして、安定的な経営基盤、国際競争力ということを考えますと、これをいち早く確立をしていかなくちゃならないということが実は課題になっております。  このため、平成十五年度から年間九十億円の補給金を継続して交付しております。これは三十年間で経営の努力とそれからこの補給金とで有利子債務をなくしていくというような大体のめどを立てて実はやっているところでございますけれども、これで有利子債務の着実な償還に努めることと実はしております。  しかしながら、現状において関空の有利子債務は依然として高い状況にございますので、これ、実は我々が心配しているのは、例えば今金利が一%上がると一兆二千億で大体年間百二十億、二%上がると二百四十億というような形になりますので、この辺は若干ちょっと心配しているところでございますけれども、関空が環境に配慮して、まあ陸上から五キロメートル離れている、これはやっぱり環境に配慮しておりますけれども。それから、大深水の二十メートル、我々は港を造るのに大深水というと大体十五メートルという、大型のこれはバースということになるんですけれども、そういった二十メートルというようなことでございまして、これを埋め立てているという、そういう費用の掛かった具合があると、こういうことでございます。  このため、着陸料というのを、やはり有効な収入でございますので、これ以上下げるということは事実上非常に難しいことでありますけれども、現在開催されております航空分科会、あるいはまた国際拠点空港懇談会において国際拠点空港の在り方に関する論議の中でも現在御審議をいただいているところでございます。
  36. 末松信介

    末松信介君 ちょっともう次急ぎますので、移ります。  次は、大阪伊丹空港についてお伺いしたいわけなんですけれども、この大阪国際空港というのは昭和十四年に大阪第二飛行場として開港しまして、昭和三十五年に初めて国際線が就航したわけなんです。昭和三十九年にジェット機がこれ就航しまして以来、羽田と並んで国際空港として世界の玄関口となったということなんですが。  実は平成五年の利用者というのは二千四百万人おられます。関空開港した平成七年には千三百万人に旅客が減少したんですけれども、しかし平成十六年には千九百五十万人にまた増加したと。今、国内の長距離便を大阪空港から関空へ持っていきましたので、こういったことによって若干減少したけれども、それでも千七百万人利用なさっておられるということなんです。  この空港は、現在まで環境対策が最も大きな問題だったということ。これは、私も長らく兵庫県の県議会議員やっていましたのでよく分かっておりますんですけれども、昭和四十二年から平成十八年まで八千五十四億円の環境対策費を投じてきているという大変な空港だったわけなんです。しかし、この対策費こそが、実は平成二年、地元と存続協定が結ばれ、国が直轄で管理運営をする国際空港として位置付けする私は証明であると、裏返しであると理解を実はしているわけなんです。  関空は、西日本を中心とする国際拠点空港であると、そして国際線乗り継ぎのための関西における国内の基幹空港であると。大阪国際空港は、この伊丹空港は国内線の基幹空港でありますが、このたび関空が二本目の滑走路が完成をようやくするわけなんですけれども、私は将来あらゆる面でその国際競争力を考えた場合、関西圏が競争力を持っていくには、大阪空港を活用することを常に念頭に置いておく必要があると思っているんです。  関空にとって大阪空港が邪魔であるという発想というのは、全く間違っていると私は思っているんですね。邪魔じゃないですよね、これ。直観として、大阪空港は国際空港として将来の需要に対応するために名実ともにその役割に幅を持たしておく必要が私はあると思います。両空港の共存共栄というのは結局は関西の発展につながるし、関西の発展というのは両空港の共存共栄につながってくると思うんですけれども、しかしながら、今、何度も話が出るんですけれども、この大阪国際空港を二種のA空港とするということについていろいろな意見が出てくるわけですね。話が持ち上がってくるわけなんですけれども、この二種のA空港にするということについて、歴史的な経緯とか将来の不透明さとか、また将来の期待というものを念頭に置いて考えますと、私は反対なんですよ。  道州制まで議論される今日ですから、その実現はともかくとして、関西圏に二つの国際空港が存在しても私は正しいと思っていますんですけれども、この点につきまして、冬柴大臣大臣が尼崎市選出の国会議員であるということは忘れていただいて結構です、もう日本の国土交通行政の代表でありますし、大江委員長が関空に近い和歌山県の選出であるということも忘れていただいて結構でございますので、ひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
  37. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 関西二府四県というのは、GDPでは韓国を上回っております。そして、人口ではオランダを上回っているわけでございまして、狭い大阪湾を取り巻く中に三つ空港があるということでいろいろ、ばか査定だとかいろいろ言われたことはありますけれども、私はこの国際化時代に、日本が少子高齢社会、そしてまた人口減少時代を迎えて、その中で持続的な経済の成長を図っていくためにはどうしても近隣諸国の力というものを日本に取り入れるということが必要になってくるわけでありまして、そう考えたときに、日本は四面環海、とにかく海を越えなければ人も物も流れてこないわけです。そういう意味で国際拠点空港というのは整備は絶対に必要ですし、またそれと国内とのネットワークも必要であります。そういう意味で、私はこの三つの、関空それから伊丹、そして神戸というものが有機的に理想的な取組をしていかなければならない、そうすればこれは一つも過大ではなくて、十分にその責めを果たしていくものであるというふうに確信いたしております。  しかしながら、その位置付けをどういうふうにするかということについては、平成十七年十一月に国土交通省から地元の自治体、地元経済界に、関西三空港懇談会というところでその役割分担というものを決めたわけでございます。その内容は、先ほど末松議員もおっしゃいましたように、関西国際空港は西日本を中心とする国際拠点空港であり関西圏の国内線の基幹空港でもある、伊丹空港は国内線の基幹空港であり環境と調和した都市型の空港である、神戸空港は百五十万都市神戸及びその周辺の国内航空需要に対応する地方空港である、このようなすみ分けをしようという合意が関係者の間でなされたわけであります。  問題は、じゃ、その伊丹空港を航空整備法上どうするのかということにつきましては、平成十六年十二月、関西国際空港の二期工事の取扱いについての協議の中で、国土交通大臣と財務大臣、当時の北側大臣と財務大臣は谷垣大臣の間で書面が取り交わされておりまして、交通政策審議会航空分科会において検討を行うというふうにされたところであります。それを踏まえまして、本年六月の取りまとめを目途に、現在、航空分科会において伊丹の位置付けというものが審議を、論議をいただいているところでございます。  したがいまして、私は、大阪国際空港については今後も利用者の利便性を生かしつつ環境と調和した都市型空港として運用することで関西圏全体の経済の活性化に資していかなければならないと思っております。その位置付けについてはこの論議にまたなければならないわけでありますが、過般来、大阪あるいは兵庫の知事等もいろいろな意見をそこで披瀝をされているところでございます。
  38. 末松信介

    末松信介君 是非、歴史的な経緯ということと将来への我々の期待というもの、このことを御理解いただきまして、是非政府としての考えをきちっと示していただきたいと。もちろん、第三者機関とかいろんな御意見を参考にするのは結構なんですけれども、その思いというものを是非伝えていただきたいと思います。  最後に、時間がもうほとんど来ていますんですけれども、国交大臣に公務員制度改革についてお伺いしたいんですけれども、先日、自民党本部で渡辺行政改革担当大臣が、各省庁による天下り支援を禁止する案を説明をしたわけなんです。いろんな意見が確かに出ました。一番大きかった問題というのは、もちろん、各省庁の天下りのあっせんを禁止して、民間企業との橋渡し役となっている新たな人材バンクに一元化していくということ、こういった提案につきましていろんな意見が出たんですね。この天下りの慣行が官製談合の温床になっているということが一つは背景にあるとは思うんですけれども。  私、これまでの公務員制度を見ていて、キャリアの方なんかは事務次官を頂点に目指してレースをされておられると。ある程度同期の方々を横を見ながら、もう難しいなとなってきたら、非常に五十何歳かでお辞めになって下っていくということがなっていると。民間企業の場合は大概やっぱり六十歳までお勤めになるという、こういう民間企業の方々から見た場合に、極めて今の官僚制度、この人事制度というのは非常に奇異にも感じると思うんですよね。  この点につきまして、できましたら冬柴大臣の、官僚の人事制度の在り方とか天下りの、正に渡辺行革担当大臣が出されたこういった案につきましてお考えをお示ししていただきまして、最後質問にしたいと思います。
  39. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私、渡辺大臣、とりわけ内閣官房の方からまだその制度改革の案についてお話をいただいてないんですよ。したがいまして、具体的な内容についてのコメントは今日は差し控えさしていただきますけれども、公務員の天下りと言われているものにつきましては、予算や権限を背景とした押し付け的なものは根絶するという総理のお話は、私は全く同感でありまして、これはもうやめさせなきゃならない。そのための制度設計はどれがいいのか、それは今からも私も議論に参加さしていただいてやらなければならないと思っております。  しかしながら、私、この国土交通省の現状を見てみますと、国土交通省には相当優秀な大学を卒業して二十年、三十年勤めた、そして特殊な方面についての経験や知見を重ねた、社会でも有用なそういう人たちがたくさんいるということがまず事実があります、これは事実です。そして、その人たちが六万三千人のこの国土交通省の職員の中でもう大多数、一割未満です、五千人ぐらいしか中央にはいません、全部が地方に散っているわけです。その人たちがどういう状況にあるかといいますと、年間に約九百人の人が退職していきます、退職していきます。そのうちの七百六十人ぐらいが地方の方です。地方の方が定年を待たずに辞めていくわけです。  こういう実態を見たときに、それともう一つは、定年は六十歳だけどもそれまでに辞めている。それから、それを前提にして定員の配分とか新規採用というものが行われているという、これは長い間そうでした。それから年金は、共済年金は六十五歳からしか支給されないということでございます。それを、例えば一元的に公的なハローワークをつくるといいましても、日本全国に散らばっている人たちの有為な人材をそういうところで本当に適宜適切に配分できるんだろうかと。それができないと、その人たちは辞めません。六十歳までお勤めになる、当たり前の話です。  そうしますと、今まで七百六十人辞めていられる方が辞めなくなりますと、新規採用はできません。一人もできなくなると思います。というのは、定員枠がありますから。そうすると、本当にこれで回っていくんだろうかということが思われます。  したがって、私は、こういう改革する前に、こういう事情を全部セットにしてワンパッケージで解決しないと、例えば六十五歳までもう定年全部延長するからうろうろするなとか、それからもう外へは行ったらいかぬとか、そういうことを保障した上でいろんなことを決めるのはいいんですけれども、ただ悪いことするからということですべてそれを制限してしまうということになりますと、私は公務員の今働いている人たちの士気に関するし、そして五十五歳から六十歳の間で辞めるなんという人が自分の就職を求めてうろうろし出したらもっと危険なことが起こるんじゃないかと僕は思いますよ。ということも私は、議論に参加すればいろいろと私の意見として申し上げたいというふうに思っているわけでございます。  したがって、決して私はこの現状のままで改革案をしなくてもいいというようなことは全く思っていません。これは、私どもが水門談合を指摘されたということも重く受け止めながらも、しかし公務員の士気が、国士としての自覚がなくなってしまうんじゃないかという、そしてまた、こういう有能な人たちの知見というものが社会の中で生かされないようなことになるのも国家としては大きな損失ではないかということを考えるわけであります。
  40. 末松信介

    末松信介君 時間が延びまして、申し訳ございませんでした。  終わります。
  41. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。  冬柴大臣への質疑は初めてでありますし、また、昨年の臨時国会前までこの委員会委員長職にございましたので、一年ぶりの質疑ということでございまして、少し緊張しておりますが、よろしくお願いを申し上げます。  大臣が所信の冒頭で述べられた談合問題に関しましては、私の後で質問に立たれます山下理事にお任せをさせていただきたいなというふうに思っておりますが、大臣が所信でそしてまた昨日の本会議においても言われました、談合がいかに割に合わないかという言葉なんですけれども、このときにも周りからざわざわということがございまして、実際昨日も、割に合わないかという言葉ですね、割に合えばやってもいいのかということではこのことはないというふうに、もちろん大臣は御理解されていると思いますけれども、取られかねないような発言なのかなというふうに思っておりまして、不正行為であるということ、そして絶対に許さないという姿勢をしっかりと打ち出すということが大切なのかなというふうに思っておりまして、二回も、所信の冒頭でも出ましたし昨日の本会議でも出たものですから、これはちょっと大臣の意に沿わないんじゃないかなと思いまして一言言わせていただきましたが、何かございましたら。
  42. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私は、役所の人はコンプライアンスの確立を目指しますというようなことを書いていられるんですけれども、私はそれは本当に心に響くのかなと。私は、職員にも割に合わないということを言いました。それは三つの面から割に合いませんよと。  一つは、雇用契約上、こういうことをすれば、私どもは懲戒をやると。それで最高が免職ですと、懲戒免職になります。これは人生誤りますよと。退職金は出ませんよ。それから、共済年金も減額になりますよと、これ規定があります。  それから、民事で、私どもは、そういう不法なことをやったら民事責任、いわゆる損害賠償請求を退職金もない人に対してでもやりますよと、やらざるを得ないんですよと。  それからもう一つは、刑事上、今度の新しい、まあ去年の末ですけれども、官製談合防止法によれば、公務員がこれにかかわった場合には五年以下の懲役、二百五十万円以下の罰金、こういうもので訴追されますよ。今回の場合は、水門はそれの前ですから刑罰は遡及しませんけれども、しかし入札妨害罪の共犯として逮捕され訴追され有罪になる可能性ありますよと。有罪になった場合には、もしOBで退職金をもらっていた人であっても、その退職金全額の返還を求められるんですよ。  これは、あなただけではなしに、家族、お子さんも巻き込んで大変不幸になってしまうんですと。大学を出て公務員として二十年、三十年勤め上げて、そしてこんなことで人生を誤るようなことはやめてください、それは割に合わないじゃないですかという言葉で私は申し上げている。それを同じように業者の人に対しても、こんなことが起こりますよということで、もう本当に身にしみて、これやったら駄目だということを分かってもらうために、コンプライアンスの確立というようなことじゃなしに申し上げた言葉でございますので、そのように御了解いただきたいと思います。
  43. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 もちろん冬柴大臣はそういうような思いでということは我々は分かるわけでありますけれども、一般的に使われると、こういう説明があれば分かるわけでありますけれども、一般的に談合がいかに割に合わないかというお話だけされると、誤解を招いたり、マスコミの方はそこだけ取り上げて言う場合がございますので、お気を付けをいただいた方がいいのかなというふうに思いまして、一言申し上げさせていただきました。  本日は、私は公共交通全般について質問をさせていただこうかなというふうに準備をしておりました。そういう中で、田村委員とか末松理事質問されたように、全日空の機の胴体着陸という大変重大な事故が起こったわけでありまして、私も田村委員が言われたように、次の日の一便からその同機種が飛んでお客さんを乗せているという、これが大変違和感を持ったわけであります。もちろん、まだ原因究明している段階でありますし、そういう中で本当に安全、安心を守って運航ができるのかなと。  実は、私の地元の松本空港、ここから伊丹そして福岡ですね、これも同機種が飛んでおりまして、次の日の一便からもちろん飛んでいたわけでありますが、これ空港の、今どんどん便が縮減されて存続問題にも松本空港なんかはなっているわけでありますけれども、そういう中で、県民の皆さん、国民の皆さんが不安に思っている機種を使っている中で、これ人をもっとたくさん乗せろと言われても、これがどんどん進んでいくというふうには思えないわけでありまして、本当にこういう形で安心、安全が守られない、また原因究明されていない中で本当に飛ばしていいのかなという疑問を持っているところでございます。  これ航空機の問題だけではなくて、JRで停電が起きたり、また今規制緩和でタクシーがどんどん増えたり、バスの問題等もありますし、そういう意味では、公共交通の集中審議というか、しっかりと議論を深めていくようなことが必要なのかなというふうに思っておりまして、これは折を見て、委員長、是非そういうような形で、公共交通全般の集中審議等、是非やっていただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いをさせていただきたいと思います。
  44. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 後刻、また理事会の方でも、先ほどの田村委員の御意見と同様の部分もありますので、検討させていただきたいと思います。
  45. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 是非お願いをさせていただきたいと思います。  やはり大きな事故が起こってからでは遅いわけでありまして、しっかりと委員会の中で議論をし、改善できるところはどんどんどんどんと改善していく必要があると思いますし、同じ認識をみんなで共有していくということが大切なのかなというふうに思っております。  それでは、航空問題についてお聞きをさせていただきたいと思います。  相次ぐ運航トラブル、内紛等によって業績の低迷が続いている日本航空でありますけれども、二月の六日に四千三百人にも及ぶ人員削減等を含む再生中期プランを発表されました。一部報道では同プランを最後の処方せんと評するなど、依然として日本航空の前途は大変厳しいものがあるのかなという見方が支配的であります。  まず、日本航空の再生中期プランへの評価を伺うとともに、二〇一〇年秋に供用が予定されている羽田空港再拡張事業を見越して経営戦略の見直しを図る航空各社は、機材の更新を図ることに加えて、特に搭乗率の低い地方路線を中心に大規模なリストラを展開しようとしている中で、これまでの路線再編の状況と今後の見通しを教えてください。
  46. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  まず、日本航空の再生中期プランでございますが、日本航空は、昨年度四百七十二億円という大幅な赤字、今年度も燃油が上がったりいたしまして大変厳しい経営状況の中で、二月六日に新しい中期経営計画、二〇〇七から二〇一〇年度の再生中期プラン、四年間の中期計画を出したわけであります。この計画は、安全水準の更なる向上というのは基本に置きながら、人件費五百億円の削減を始めとするコスト削減、あるいはボーイング787とか737の新しい機材であるような中小型新機種導入等の機材更新、それから国内線のファーストクラスの導入等の商品競争力の強化、さらに関連事業の見直しによる本業への資源集中といった点を柱として重点的に取り組みまして、事業基盤の再構築を図っていくものと理解しております。  ただ、これは民間企業であります日本航空の経営に関するものでありますので、国土交通省として基本的にこれにコメントする立場にはないと考えておりますが、社内で十分議論を重ねた結果取りまとめられたものでありまして、金融機関等の関係者も一定の評価をしておると聞いております。ただ、あくまでこれは計画でございますので、これから日本航空がこれをいかにきちっと着実に実行していくか、その上で利用者に安全で利便性の高いサービスを提供するようなしっかりした会社になっていくかというところを私どもも期待しているところでございます。  それから、二点目の地方路線の再編の現状と見通しでございますが、先生おっしゃいました羽田の再拡張事業、あるいは成田も今二千五百メーター化の平行滑走路の北伸事業をやっておりますが、そういう新しい航空ビッグバンと言われるような、逆に言えば、かなり競争が厳しくなる時代に向けて、いろいろ今体制の強化を図っているところであります。  その中で、航空各社とも地方路線の利用状況等を勘案しながらその再編を進めているところでございまして、日本航空グループでは、神戸—石垣線等五路線で新規就航や増便を行う一方で、小牧—北九州等九路線を廃止するというような計画を来年度立てております。全日空の方も、関西—高知、沖縄—石垣等八路線を増便する一方で、新千歳—女満別等六路線を廃止する計画と聞いております。  各エアラインとも、この地方路線の維持について何とか維持できないかというところで様々な努力を行っておるところでありますが、今後の開設や改廃という点につきましては、やはり利用実績等を勘案しながら各航空会社経営判断の上でその存廃を決めていくものと理解しております。
  47. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 私の地元の長野県では、松本—新千歳間の航空路線が廃止対象と一時期なっておりましたけれども、去る二月十九日に路線の維持が決定を見たところでございます。  この間、長野県では、路線存続を求める約十五万人の署名を日本航空へ提出しました。私も青年会議所の一メンバーでございまして、署名活動に立たせていただきましたけれども、また、この松本地域選出の議員である民主党の下条代議士を先頭に、我々民主党の長野県連の議員も存続を強く要請しながら、提言まで用意をさせていただいたところでございます。また、県知事、村井知事も日本航空の本社を訪れて路線存続を強く要請するなど、様々な努力の中で実を結んだことになりました。  もちろん今回の存続決定は条件付であり、長野県も一定の負担を求められておりますけれども、特に松本空港では利用客の約半数を同路線が占めており、その廃止は空港の存続にかかわるということで県民の大きな関心を呼ぶところになりました。松本—新千歳の利用率は採算ラインと言われる六〇%以上を超えております。このような路線でも航空会社の事情によって路線廃止の危機が訪れたということは誠に遺憾であります。  冬柴大臣は、二月六日の記者会見で、地方路線廃止の問題に関して、地域も併せて乗客を増やすということについて努力が必要ではないだろうかと思うというようなことを述べられておりますけれども、地方の努力、工夫というのはもう既に相当しておりまして、各自治体においては着陸料の減免とか、また搭乗者保証制度の導入、また国際便の誘致等、積極的な対策を行ってまいりました。  財政状況の厳しい折、地方も懸命に努力していることはもちろん冬柴大臣も十分御承知のとおりでありますけれども、そこで、この地方路線の相次ぐ廃止問題について大臣の認識を伺うとともに、特に当該地方空港の存続にかかわる路線維持の在り方について何らかの具体的なルールがあった方がいいんではないかというふうに考えます。地方自治体と航空事業者が事前に公正かつ透明な協議を行ってその存廃が決定される仕組みづくりが求められているというふうに思っております。  そして、先ほども言わせていただいたんですけれども、この路線というのは一応新千歳まで行くのが決定されたわけですけれども、福岡を減らしてそれを新千歳にということで、それも先ほど言われたボンバルディア社飛行機でございまして、これボンバルディア社飛行機全部駄目ということになると松本空港は一機も飛ばないという話になってしまいますので、そういうことも含めて、やはりしっかりとふだんから地方路線についての議論というものをしていただくことが大切なのかなというふうに思っておりますが、冬柴大臣、よろしくお願いします。
  48. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 国内航空路線の便数につきましては、航空会社がその路線の需要動向等を勘案して経営判断によって決定するということが原則であると思います。  一方、国土交通省としては、地方空港の発着路線の航空サービスの維持、充実は重要であると認識をいたしておりますので、このため、地方路線にかかわる国管理空港の着陸料の引下げや国内路線就航機に対する固定資産税の軽減措置等、相当厚い予算措置等も講じているわけでございます。  また、国土交通省では、地方空港の活用のためには当該空港を抱える地元による需要喚起等の取組が重要だと、先ほども指摘があったとおりでございますが、何ができるのかということについて真剣に検討していただいているんだろうと思いますが、それが必要だろうと思います。  例えば、そのときにも言いましたけれども、能登空港におきましては、能登空港利用促進企画旅行商品の企画など利用促進のための諸施策に取り組み、そして海外も巻き込んだ着実な成果を上げているところでございます。  いずれにいたしましても、航空会社に対しては、路線の見直しを行う場合には地元とよく協議を進めていただきたいという指導はさせていただいているところでございますが、この札幌線は搭乗率六二・七%、大変高い、それで五万九千三百六十九人が乗っておられるということでございますので、そういうことも含めてよく話合いをしていただければというふうに思います。
  49. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 是非、地方路線、これ空港の存続にかかわるようなことでございますので、是非国交省としても注視をしていただきながら見守っていただきたいなというふうに思っておりますので、またよろしくお願いを申し上げます。  次に、整備新幹線の建設促進に関する件について伺いをさせていただきたいと思います。  私ども民主党にも、私の父親、羽田孜が会長を務めながら整備新幹線の推進の議員連盟が民主党にもございます。小泉総理のときには、二回ほど衆議院の本会議でも、羽田さんが会長のというふうに指摘をされた会でございますけれども、道路も線路もつながらなくては十分な機能を果たさないというふうに考えておりまして、そのことを踏まえて質問をさせていただきたいわけでありますけれども。  北陸新幹線の用地取得に関して、長野県の浅川下流域の長沼地区では、地元住民が前知事時代のダム建設計画中止に反発し、県による治水対策が示されない限り北陸新幹線の用地買収交渉には応じないというふうにしておりました。これは六年間続いたわけでありますけれども、二月に村井知事は、新しく知事になられて、穴空きダム建設をするという方針を表明されて地元住民への説明会を開催するなど、事態に若干の進展が見られたところでありますけれども、買収交渉への協力要請に対する返事はいまだにされておりません。  新幹線の建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構の求めていた今年度中の用地更地化は断念せざるを得ないという状況になっております。穴空きダム建設による効果については疑問視する声もあり、新幹線開業を急ぐ余りダム建設を拙速に進めることは避けなければならないわけでありますけれども、穴空きダムを始めとする今回の治水対策案の効果や安全性について検証、説明を行うなど、地元住民の納得を得るための努力を尽くして、北陸新幹線、二〇一四年度開業を目指して全力を尽くすことが重要であるかなというふうに思っております。  このように、北陸新幹線建設に向けて課題を抱える地域が存在しているところでありますけれども、長野—白山総合車両基地における現在の用地取得状況、工事進捗率と、長野—金沢間の二〇一四年度開業に向けた見通し、そして決意についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  50. 平田憲一郎

    政府参考人平田憲一郎君) お答えいたします。  北陸新幹線につきましては、平成十六年の政府・与党申合せにおきまして、長野—金沢間において一体的に平成二十六年度末の完成を目指すこととされております。現在、着実に私ども整備を進めさせていただいております。  具体的に申し上げますと、長野—金沢間の工事全体としては、用地は七七%を確保しております。工事は六九%で着工済みとなっております。個別の箇所の状況を申し上げますと、まず、長野—富山間でありますが、区間最長の飯山トンネルにつきましては掘削率九九%となっているほか、主要な橋梁であります第五千曲川橋梁では、橋梁部分が概成いたしまして、今後、橋げたなどの工事に着手する予定であるなど、土木工事は着実に進捗しております。  また、お尋ねの用地確保を行うこととなっております長沼地区では、委員御指摘のとおり、浅川のはんらん区域にあります治水対策が必要となっておりましたが、本年二月の十一日に長野県が地元に対して治水専用ダムの建設を柱といたします浅川の治水対策を示されるということと同時に、北陸新幹線事業への協力を依頼し、これを受けまして、地元は、三月の十三日に北陸新幹線の用地交渉開始を了承したところでございまして、滞っていました長沼地域におきます用地交渉がようやく開始されることとなりました。  さらに、富山県の新黒部駅周辺地区でございますが、既に高架橋が連続して立ち上がってきておりまして、また新幹線の建設と在来線の連続立体交差事業を同時に行おうとしている富山駅につきましては、富山港線の撤去を済ませ、その場所に在来線を移設するための仮設線の建設に入っているなど、新幹線高架の建設に向けた事業も着実に進捗しているところでございます。  また、富山—金沢間でございますが、主に用地の取得を進めるとともに、庄川橋梁の工事に着手するなど、土木工事も進めてございます。  今後とも、政府・与党申合せに基づきまして、平成二十六年度末の完成を目指して着実に整備を推進してまいりたいと考えております。
  51. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 ありがとうございました。  それでは続きまして、北陸新幹線長野—金沢間の開通に伴って北陸本線金沢—直江津間、信越本線長野—直江津間はJRから経営分離されることとなっておりますけれども、これらの区間は貨物列車が走行する区間でもあり、JRから経営を引き継ぐ事業主体は国の貨物輸送の基盤となる鉄路を引き継ぐということになります。環境負荷の小さな貨物鉄道輸送は、CO2排出削減目標達成への貢献に加えて、構造的な原油高構造や若年労働力の減少下におけるモーダルシフトや企業の環境・省エネ行動の担い手としての役割への期待など、その社会的使命はますます大きくなっているところでございます。  このような観点からも、路線が適切に維持されることが求められておりますけれども、沿線自治体等による並行在来線のあり方懇談会報告では、開業後三十年間で県や沿線自治体などによる公費負担が合計で三百八十六億円が必要であるという結論が出されており、その経営環境は大変厳しいものになるということが予想されております。  貨物輸送への期待が高まる中で、貨物列車走行区間の第三セクター化、貨物輸送の担い手となる第三セクター鉄道の経営環境の問題についてどのように考えるか、所見をお伺いします。
  52. 平田憲一郎

    政府参考人平田憲一郎君) 委員御指摘のように、環境負荷の小さい輸送機関でございます貨物鉄道輸送につきましては、CO2の排出量の削減を定めた京都議定書目標達成計画への貢献が求められると同時に、構造的な原油高、若年労働力の減少傾向の状況下においてモーダルシフトでございますとか企業の環境・省エネルギー行動の担い手としての役割発揮が期待されるなど、その社会的な使命はますます増大してきていると考えております。  したがいまして、私ども国土交通省としても、我が国の鉄道貨物輸送をしっかりと支えていかなければならないと考えておりまして、各種貨物鉄道輸送に関する施策を積極的に講じさせていただいてきているところでございます。  一方において、委員御指摘のように、整備新幹線の並行在来線につきましては、JRへの過度な負担を避け、第二の国鉄をつくらないという観点から、累次の政府・与党申合せにおきましても、新幹線開業時に沿線の地方公共団体の同意を得ましてJRから経営分離することとされておりますが、並行在来線には貨物鉄道輸送ネットワークとして重要な路線も含まれております。  したがいまして、委員御指摘のように、この並行在来線の経営をしっかりと維持しながら、なおかつ貨物鉄道輸送を確保していくと。この両面での対策が非常に重要だという認識を私どもも持っておりまして、並行在来線が経営分離されるに当たりましては、平成十二年の十二月でありますが、政府・与党申合せに基づきまして、新幹線の貸付料収入の一部を活用いたしまして並行在来線の経営主体の適切な線路使用料収入の確保を図ると同時に、JR貨物が従来からJRの旅客会社に支払ってまいりました線路使用料と実質的に同じ負担で並行在来線の上を走行することが可能とするような貨物調整金の交付措置を国としても講じさせていただいてきたところでございます。  いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、今後ともこのJR貨物や沿線地方公共団体と協議をしながら、今申し上げましたような貨物調整金の交付措置を活用するなど、並行在来線の経営を維持しながら、なおかつ必要な貨物鉄道輸送の確保に適切に対応してまいりたいと考えております。
  53. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 時間がなくなってきましたので、少し質問を飛ばしながらお聞きしていきたいと思いますけれども。  北陸新幹線、我が国の高速交通体系の柱として、都市圏はもとより沿線各県との交流を飛躍的に活発化させ、地域の産業や経済の発展に大きく寄与する重要な国家的プロジェクトであり、その推進を図ることが必要であるというふうに思っております。また北陸新幹線は、東海道新幹線の負担を軽減し、また東海地震が今起きてもおかしくないという周期に入っていることを考えても、代替補完機能を有することからも、大阪までの一刻も早い全線のフル規格での整備が求められているところであります。  平成十七年四月に、平成二十六年度末を完成予定とする富山—白山総合車両基地間及び、平成二十年度末を完成予定とする福井駅の工事実施計画が認可され、平成十七年度六月には富山—金沢間及び福井駅建設起工式が行われ、また平成十七年十二月には南越—敦賀間、工事実施計画の申請が行われるなど、現在着々と整備が進められているところであります。しかしながら、依然として大阪までの全線の整備方針は明確に示されておらず、未着工区間の取扱いや建設財源の安定的確保など、多くの課題が残されているわけであります。  そこで、工事実施計画申請中ながらいまだ認可が下りず未着工の白山総合車両基地—敦賀間について、現在の状況をお伺いし、また敦賀—大阪間については、若狭ルート、米原ルート、湖西線利用の三つの案が検討されておりますけれども、いまだ決定がされない状況であります。大阪までの整備方針について、現在の検討状況及び工事実施計画申請へのタイムスケジュール等、お伺いをさせていただきたいと思います。
  54. 平田憲一郎

    政府参考人平田憲一郎君) 整備新幹線につきましては、既着工部分につきましては、委員御指摘のように、累次の政府・与党申合せに基づき着実に整備を推進しているところでございます。  お尋ねの金沢以西について申し上げますと、金沢の白山総合車両基地から敦賀までの間のうち、認可申請がなされていなかった南越—敦賀間につきましては、平成十六年の政府・与党申合せに基づきまして、平成の十七年の十二月に工事実施計画の認可申請が行われております。  また、敦賀—大阪間につきましては、現在、福井県、京都府、滋賀県、それから大阪府の四府県の関係府県でルートについての議論を行っているところでございまして、認可申請のためには、ルートの公表でありますとか、これに基づく環境影響評価の手続が必要でありますことから、まずは関係府県の議論を見守ってまいりたいと私ども考えております。  いずれにいたしましても、未着工区間の新たな認可、それから着工につきましては、財源をどうするかという大きな問題があることから、まずは平成十六年の政府・与党申合せに基づきまして着工区間について着実に整備を進めていくことが肝要かと考えております。
  55. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今言われたように、安定的な財源が確保されなければというお話でございますが、平成十九年度の国の公共事業関係費は六兆九千四百三十七億円、そのうち新幹線には約一%の七百六億円しか配分されておりません。公共事業関係費が削減される中にあっても、新幹線開業による経済地域への効果をかんがみれば整備新幹線の建設は真に必要な公共事業というふうに言えるのかなというふうに思っておりまして、重点的な予算配分を行う必要があるのではないかというふうに思っております。政府・与党の申合せ、この中でも、「今後の整備新幹線の取扱いについては、必要に応じ随時見直しを行うものとする。」という見直し条項がございます。  そこで、未着工区間の整備促進、推進を図るため、建設財源の確保策について改めて検討、見直しをする必要があるのではないかというふうに思いますけれども、御所見をお伺いします。
  56. 平田憲一郎

    政府参考人平田憲一郎君) ただいま御指摘ございましたように、未着工区間につきましての新たな着工については、安定的な財源見通しの確保、それから収支採算性、JRの同意などの基本条件が整えられていることを確認した上で行うということとされております。  したがって、未着工区間の新たな着工につきましては、財源をどうするかという非常に大きな課題があると先ほども申し上げさせていただきましたが、まずは平成十六年の、何回も繰り返しになって恐縮でございますが、政府・与党申合せに基づいて着工区間について着実に整備を進めていくということが重要ではないかと考えております。  平成十九年度の予算案でございますが、公共事業関係費が全体で約三・五%減とされたところでございます。また、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六におきましては、今後五年間の歳出改革として、公共事業関係費を前年度比マイナス三%からマイナス一%とすることとされているところでございます。  こういうような厳しい折ではございますが、平成十九年度予算案で、整備新幹線につきましては、この政府・与党申合せに基づいて着工区間の着実な整備を行うという観点から、前年同額の七百六億円の国費を何とか確保させていただいたところでございます。  こうした厳しい状況の中で未着工区間の整備を進めるために公共事業関係費を増額することは大変厳しい課題であると認識しております。
  57. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 次に、並行在来線に関する件について伺いたいと思います。  私が委員長をさせていただいた折に、国土交通委員会メンバー皆さん、そしてまた国交省の皆さんにも一緒にしなの鉄道に乗っていただきまして、車中で、杉野さんから井上さんと引き継がれて、努力と苦悩を社長さんから直接、車中でお話を聞きながら走ったわけでありますけれども。一九九七年の長野新幹線開業時に、全国で初めて新幹線並行在来線としての第三セクター鉄道であるしなの鉄道が開業をいたしました。しなの鉄道は、元々枢要な幹線鉄道である信越本線の一部区間を引き継いでいるため、輸送密度は平成十四年度の段階で八千二百人という高い数値を示しており、地域の交通機関として重要な役割を担っております。  しかしながら、JR東日本から引き継いだ過大な鉄道資産の減価償却費や輸送人員の減少などにより開業以来赤字が続き、平成十二年度決算では当期損失が四億一千四百九十二万円、そして累積損失が二十一億六千三百七十八万円となるなど、極めて厳しい経営状況が続いておりました。このため、長野県はしなの鉄道経営改革検討委員会を設置し、しなの鉄道経営改革に向けての提言を策定いたしております。  さらに、平成十四年からは旅行会社のエイチ・アイ・エスより杉野さんという社長を迎えて、今は井上さんに引き継がれているわけでありますけれども、経営努力を続け、平成十七年度には黒字を計上するに至っているところであります。とはいえ、今後も少子高齢化等による輸送人員の減少、旅客収入の減少が予想され、依然として厳しい経営環境に立たされていることには変わりがないところであります。  まず、このようなしなの鉄道の経営をめぐる経緯について、国土交通省の認識、感想をお伺いをさせていただきたいと思います。
  58. 平田憲一郎

    政府参考人平田憲一郎君) しなの鉄道の経営状況についてのお尋ねでございますが、平成九年の十月にしなの鉄道が開業いたしましたが、平成十七年度の経営状況は、今委員御指摘のように営業収入が約二十七億円、営業費用が約二十五億円、営業利益が約二億円、経常利益が約一億円、累積損失が約九億円となっているところでございます。  しなの鉄道のこれまでの経営状況でございますが、輸送実績が見込みを下回ったということ、それから開業時点から平成十三年の三月まで運賃を従来のJRと同額の運賃に据え置いていたこと、さらには運賃収入に対する人件費の割合が高かったことなどによりまして、赤字が続いていた経営状況でございました。  その後、運賃改定でありますとか列車の増発、沿線自治体の負担によります新駅の設置というものも行われておりまして、営業収入につきましてはほぼ横ばいを維持する一方で、営業費用につきましては、人件費の削減の取組をされておられた結果、営業損益は平成十三年度以降改善を示す傾向になってまいりました。  さらに加えまして、委員御指摘のように、同社が平成十六年度から長野県などの協力を背景に中期経営計画を策定をいたしまして、長野県からの出資を利用した累積損失の大幅な圧縮など、財務体質の改善も図りました。  こういうような経営努力を経まして、平成十七年度におきましては、開業以来初めて営業損益ベース、経常損益ベース、それから当期損益ベースともに黒字を計上して、十八年度におきましても黒字決算の見通しでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、並行在来線の経営分離後の第三セクターの運営につきまして、このしなの鉄道のような鉄道事業者の真摯な取組、さらには沿線自治体の関係者一体となった支援が極めて重要であると考えておりまして、今後ともしなの鉄道の黒字の基調が定着することを期待しております。
  59. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 経営努力を認めていただけたのかなというふうに思っておりますし、沿線の協力等地域の協力がなければ今の状態にはないというふうに思っております。  しかし、この厳しいという状況は変わっていないわけでありまして、そういう中で、しなの鉄道の営業の線区というのは軽井沢から篠ノ井間というふうになっております。信越本線でも最も輸送密度、そして収益性が高い、篠ノ井から長野というのがこれは一番高いわけでありますけれども、この部分はJR東日本が手放してないんですよ。手放さずにおいしいところ取りと、不平等条約を締結されたとの指摘もあるぐらいでございまして、今年一月には長野県とJR信越線長野以北沿線の四市町村でつくる長野以北並行在来線対策協議会がJR東日本と初会談し、篠ノ井—長野間の経営権の見直しを要請しているところであります。  経営分離の際、三セク鉄道における事業範囲は事業者間において決められるべきではなくて、公正なルールの下に決められるべきと考えますけれども、篠ノ井—長野間の取扱いについて、大臣、是非所見をお伺いしたいなと、今までの経緯も含めてお願いします。
  60. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 整備新幹線の並行在来線につきましては、JRの経営に過重な負担を掛けて第二の国鉄をつくらないという観点から、累次の政府・与党申合せにおきまして、着工に際しJRから経営分離することとし、これについて沿線地方公共団体から同意を得ることとされているわけでございます。  北陸新幹線の軽井沢—長野間の並行在来線につきましては、同区間の着工前に関係者による協議がなされまして、信越線軽井沢—篠ノ井間をJR東日本の経営から分離し、第三セクター、いわゆるしなの鉄道株式会社により運営することについて合意がなされたものでありまして、これは篠ノ井—長野間は含まないということにそのときに取り決められているわけでございます。  ここにも合意書がありまして、長野県知事の吉村午良さんですかね、の文書がありまして、そこは分離に同意すると、第三セクターで運営するけれども、当該第三セクターの列車は篠ノ井—長野間に乗り入れることとして、今後乗り入れに関して東日本旅客鉄道株式会社と協議をしますというようなところも入っていまして、これについてはJRが運営するということがここで書面で取り交わされております。  それは、松本から直江津まで、もちろんこの篠ノ井—長野も通っているわけですが、これずっと東日本が持っているわけですね。ですから、その真ん中、その篠ノ井と長野だけを切って第三セクターに渡すということができないという、いいところ取りじゃなしにそういう合意はされたという事情はあるように私は思うわけでございます。  したがいまして、そういうふうに取り決められていると私は認識をいたしておりますが、改めて長野県知事から東日本に対して要望をされたということでございますので、今後率直に意見交換をしていただきたいと考えますし、JRもそのように意見交換をしてもいいと、したいというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、並行在来線の経営分離区間につきましては、第一義的にはJRの経営判断によるものと考えておりますが、御指摘のJRからの経営分離されなかった長野—篠ノ井間の取扱いについては、現在も検討が進められている長野以北の並行在来線経営についての経営の場において、まずは当事者間でよく話し合っていただきたい。JRの方もそれは話合いをいたしますと言っておるものですから、話合いをしていただきたいというふうに思います。
  61. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 長野以北はもっと厳しい経営状況でございますので、このまま新幹線ができて譲渡されてもとても運営できるような状況じゃございません。そういう意味では、この条件、その当時はそのとおりだったと思います。オリンピックがあったものですから、それまでに新幹線を間に合わせなければならないとか、いろいろなことの絡み合いの中でこれが決まっているわけで、やはりしっかりと国の方でこの経営、第三セクターも含めてしっかりと公共交通を守っていくんだということも、そして地域の重要な足でございますので、そういう意味ではしっかりと経営が、状態が成り立つような形にしていただかなければならないなというふうに思っております。  また、最後でございます。済みません、山下理事、大変申し訳ございません、時間をいただいております。JR東日本からしなの鉄道への鉄道施設の譲渡価格は百三億円と高額な価格であった一方、九州新幹線開業時に経営を引き継いだ肥薩おれんじ鉄道は、JR九州から簿価六十億円だった鉄道資産を十億円で譲り受けておりまして、参考までに申し上げますと、しなの鉄道の路線距離は複線路線で六十五・一キロメートル、肥薩おれんじ鉄道は単線路線の百十六・九キロメートルとなっております。路線距離のみでの単純な比較はできないと思いますけれども、なぜこれほどまでの価格の違いが生じるのか疑問を抱かざるを得ません。  しなの鉄道ではこの高額な譲渡価格が経営を圧迫し、債務超過に陥り、結局長野県が同社への貸付金を債権放棄する結果となりました。鉄道資産の譲渡額はその後の経営環境に大きく影響するものであり、第三セクターに不利な条件とならないよう、収益性に基づいた価格が適切に算定されるべきと考えますけれども最後に御所見を伺って私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  62. 平田憲一郎

    政府参考人平田憲一郎君) 整備新幹線を建設する場合に、当該建設区間の並行在来線の取扱いについては、もう委員御指摘のとおりに、JRの経営に過重な負担を避けると、それから第二の国鉄をつくらないという観点から、これまで累次の政府・与党の申合せに基づきまして、JRの経営から分離することとしておりまして、並行在来線のJRからの経営分離後におきましては基本的には地域の力でこれを維持していきたいと考えております。その際に、支障を生ずることがないように関係者間で十分協議を行っていただきまして、適切に対処することが必要であると考えております。  したがいまして、並行在来線の経営分離に当たりまして、JRが保有しております鉄道資産、並行在来線の鉄道資産を第三セクターに譲り渡す場合、JRといたしましては、民営化した会社でございますので、鉄道資産の譲渡価格につきましてはJRと第三セクターとの間での当事者間としての取引として適切な、適正な価格が求められるものであると考えます。  これまでも、長野新幹線の開業に当たりましては、しなの鉄道と、委員御指摘のように、JR東日本の間におきまして、さらに、東北新幹線の開業に当たりましてはIGRいわて銀河鉄道とJR東日本間におきまして、九州新幹線の開業に当たりましては肥薩おれんじ鉄道とJR九州間におきます当事者間の交渉によりまして、鉄道資産の譲渡価格が決定されてまいりました。  やはり民間企業でありますJRは、資産価値を有するものを無償又は著しく廉価といった当事者間取引として適正とは言えない価格で譲渡することはできないという立場でございまして、この点につきましては様々な議論がございましたが、地元の御協力をいただきまして、先ほど申し上げた並行在来線の経営分離に当たりましては譲渡価格が決定されてきたと私は認識しております。  それでは、じゃ、国は一体どうするのかということにつきましては、国におきましても経営分離後の第三セクター鉄道の安定経営を支援するという観点から、第三セクターがJRから譲渡を受けた鉄道資産にかかわります固定資産税、都市計画税を十年間二分の一とするなどの税制上の優遇措置を講じております。また、JRに対して、要員の派遣でありますとか、運行面での協力などを行うよう必要な指示、指導を行うこととしております。
  63. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫です。よろしくお願いします。  去る三月十二日に冬柴国土交通大臣が所信表明を述べられました。これにつきまして数点質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、水門設備工事の談合問題が大変詳しく述べられているわけでございますが、ちょっと時間の関係でこれは一番最後に持っていきまして、若干順番を変えさせていただいて質問させていただきたいと思います。  まず最初に、この所信を述べられた中で、我が国の経済は長い停滞のトンネルを抜け出し、新たな成長の舞台に向けて離陸しようとしておりますと、このように述べられております。イザナギ景気がもう五十か月以上になったとか、大変景気のいいようなお話が一方では盛んに政府筋から、あるいは与党筋から聞こえてくるわけでございます。  また一方では、年金生活者を中心とする高齢者やあるいは生活保護家庭、そういう皆さん方は可処分所得がどんどん減っていって苦しんでいる。あるいは、勤労者の皆さん、昨日、随分あちこちで春闘のベア回答も出ております。あの立派な、一兆円、二兆円ですか、以上利益を上げたトヨタですらわずか千円のベアしか確保できない。我々が二十代後半のころはベア一万円、場合によったら三万円というような時期もあったわけでございますが、そのころを考えると余りにもスズメの涙かなというような感じもしないではありません。  そういう状況の中で、一方では大変苦しんでいるんですが、ようやく離陸し、長い停滞のトンネルを抜け出しということでございますが、やはり小泉内閣あるいは安倍内閣もやはりこの経済については失敗だったんだなということを、これ述べていらっしゃるんだろうなというふうに思いましたので、その辺について吐露をしていただきたいと思います。
  64. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 政府が十二日に発表した昨年の十月から十二月期の国内総生産、GDPでございますが、の二次速報では、企業収益の改善や設備投資の増加など、企業部門の好調さを背景に物価変動の影響を除いた実質前期比で一・三%増、年率換算では五・五%増と八四半期連続プラスとなるなど、景気回復が続いているものと考えておりますし、今日夕方も月例経済報告が行われますので、どのように動くか見てみたいと思っております。  また、現在の雇用状況でございますが、正規雇用数は平成十八年十月から十二月に前年同期比五十九万人の人が正規雇用者として増えました。同年一・四半期以降四四半期連続でこれは増加が続いています。失業率は、平成十五年四月の五・五から今年一月には四・〇まで低下しています。有効求人倍率は、平成十四年二月の〇・五一から今年一月には一・〇六倍となり、一を超えました等、改善が続いていることは事実であります。  しかしながら、個人消費はGDPの二次速報で〇・一ポイント下方修正されるなど、弱さが見られております。これは、バブル崩壊後の企業が厳しいリストラを進める中での景気回復であったために、業績の好調さが雇用や賃金へ波及しにくくなっているものと考えられます。  こうした動向等を踏まえると、今後の景気動向には注意する必要があるものの、企業部門から家計部門への波及が続く中で国内民間需要に支えられた景気回復が続くものと見込まれているわけであります。  私のこれは独自の見方ですけれども、日本の事業者の九九・七%が中小企業法による中小企業者であります。この中には中堅企業と言われる部分もありますけれども、本当にサービス業において五人以下とか、製造業で二十人以下というところが八〇%を超えるわけですね。そういうところがどういう状況にあるかといいますと、依然として厳しい状況にあることは事実です。そして、そこで勤労者のうち七割の人が中小企業で働いていらっしゃる。  ですから、私は、一握りの〇・三%の大企業が我が世の春を謳歌しても、そこで働く人々の数というのは全体から見れば少ないわけです。したがって、私は、真に、もう経済の月例経済報告でもいつでも私、言うんですけれども、この零細企業まで経済対策を行き渡らせて、そこが利益を上げるようになれば、この人たちはどこへ配分するかというと、一番に従業員に配分しているんですね。  そういうことを考えますと、やはり中小企業対策をもっと積極的に進め、ここがもうかるような状況を、仕入れ値段に対してどうしても転嫁できないという弱い立場にありますので、こういうところは転嫁できるようにして、ここが利益を上げてくれれば、必ず私は、末端と言ったら失礼ですけれども、上流と下流と言えば下の方までこのマクロの利益というものが均てんされていくことになるだろうと。また、政治はそこをやるのが政治だろうというふうに思っております。
  65. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 後半の答弁は百点だったと思いますけれども、前半のやっぱり原稿を読まれる答弁はやっぱり冬柴大臣には似合わないと思いますので、もう原稿なしで是非答弁をお願いしたいと思います。  たしか、私は岐阜県でございますので、東海というのは大変まだ日本の中でも元気のいいところですね。その中でも愛知県は特に元気がいい。それでも有効求人倍率は一・五まで行っていないと思うんです。じゃ、その中で正規雇用の有効求人倍率はどうかと。一に行ってないんですね、やはり。こういう非正規を入れて一を超えているんでありまして、あんな元気のいい愛知県ですら、まだ正規社員ではそこまで行かないという現状を見ていきますと、今大臣のお話がございましたとおり、中小零細企業、そういうところが一生懸命支えているということは間違いございませんので、その認識で是非、閣議の中でもいろんな場面で取り組んでいただければ有り難いなというふうに思っています。  これより、私は、一番ここで気に掛かりますのは、「自然に恵まれ、長い歴史、文化、伝統を持つ我が国を、子供や孫の世代が自信と誇りを持つことのできる「美しい国、日本」とすべく、新しい国づくりに取り組むときを迎えました。」と、このように述べられました。  昨年の十月二十四日の大臣所信では、実に安倍内閣のこの美しい国づくりには淡泊に述べられているんですね。「安倍内閣の掲げる「美しい国、日本」の実現のため、国民の視点に立ち、国土交通行政を推進してまいります。」と。この安倍内閣の美しい国につきまして、昨年の秋の臨時国会で質問をさせていただきました。  私は、安倍内閣が当時盛んに唱えておりましたのは、教育改革であるとか、あるいは憲法改正へ動いていくんではないかとか、当時で申し上げますと、そのときの安倍内閣が掲げる「美しい国、日本」より今の日本の方が大変美しいじゃないかというようなことを述べました。そして、大臣のあの美しい国について、あの安倍内閣をどう思うかということを質問させていただきましたら、また改めまして大臣のこの答弁をじっくり読まさせていただきましたら、本当に美しい言葉でまた丁寧に御答弁をなさっていられます。これは安倍総理のおっしゃっている美しい国についての答弁ではなくて、これは冬柴大臣の心の中の考え方だな、胸のうちの答弁だなというふうに感じました。  簡潔にちょっと申し上げますと、日本は北海道から沖縄まで長い国であって、そして海に囲まれ、そして四季もあり、緑もたくさんあり、この緑なんか緑滴ると言いますかと、本当すばらしい言葉で結んでいらっしゃいます。また、歴史観においても、二千年を超える歴史があるとか、あるいはまた、日本のこの恵まれた自然と歴史を大事にしないといけないとか、本当にすばらしい答弁をなさっているんですが、当然このことを冬柴大臣は今回の「「美しい国、日本」とすべく、新しい国づくり」ということは述べられているんだろうというふうに私は理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。
  66. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そのとおりでございます。
  67. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ありがとうございます。これで少しは安心をいたしました。安倍総理の考えている美しい国と随分乖離があるなというふうに思いまして、うれしいことでございますので、御安心ください。  次に、重要課題の問題について触れさせていただきたいと思います。  まず最初に出てきていますのが、国民の安全、安心の基盤の確立に向けた取組を推進します、これは当然のことでございます。大変重要な課題だと思います。前段では、大規模地震やあるいは豪雨、津波、高潮、自然災害についてハード面でもソフト面でもしっかりやりますよと、大変国民にとっては心強い政策だと思っております。  私も大江委員長に連れられまして、今年の一月の二十二日、二十三日と和歌山県や大阪を視察をさせていただきました。そのとき、一つは津波の関係の堤防の視察もさせていただいたんです。湯浅広港の津波堤防と広村堤防を視察したんですね。  まだ建設中の津波防波堤を遠望したんですけれども、やはりこの地域は、もう大臣詳しく御存じのとおり、江戸時代以来過去三回も大きな津波で甚大な被害を被っておると、住民の防災意識もひときわ高い地域であるということもよく分かりました。あの防波堤が完成しますと、やはりソフト面と併せれば間違いなく被害は大きく減少するだろうと、そのようなお話でございました。特に、ここは浜口梧陵さんの巨額の私財を投じて築いた広村堤防だと。せっかくでございますから、その上も踏査させていただいたわけでございます。  それがやはり大事なことだと思いますので、この日本は地震国でございますし、大臣は大きな地震を体験をなさっていらっしゃいますし、そのことを考えますと、この自然災害については積極的に取り組んでいただきたい、そのように思っております。  その後半に、ここは実にわびしいなという感じもするんですね。同じやはり国民の安全と安心に通ずると思います。公共交通の安全確保については、運輸事業者が構築する安全管理体制の評価を行う運輸安全マネジメントの評価を着実に実施する、これは当然のことだと思うんです。当然進めていただきたいんですが、今朝ほど、田村委員質問ではございませんが、空にいたしましても、それこそもう前回のあの胴体着陸だけではなくて、次から次へと、一つ間違えば大変大事故につながる、このような航空事故というのも大変多く起きております。  あるいは、じゃ海運国日本はどうだろう。この海におきましても、宮崎県のマグロはえ縄船が当て逃げされちゃうという、貨物フェリーに。こういう事故もありました。幸いにもあのとき死亡事故にならなかったのはよかったことでございますが、そうしたら、もう一つは今度は広島県でございますか、接岸していたフェリーに車が乗ろうと、車は海に落ちちゃって死んじゃったと。このような事故も起きております。もう事故といっていいのか事件といっていいのかよく分かりません。起きております。  じゃ、今度は陸はどうだろう。鉄道事故も脱線事故を中心に物すごく起きているんですね。例えば例を挙げますと、最近では三月一日に北海道で、トレーラーとぶつかって列車が脱線をして五十一人の方がけがをなさっているとか、十八年度だけでもう十五件から比較的大きな事故も起きていると。鉄道もそうなっています。  じゃ、道路の車はどうだろうと。大型トラックを中心に激しい事故が次から次へ起きていますね。たしか昨日もあったと思いますが、その前は都市高で大変な事故も起きておりますし、またタクシーにいたしましても右肩上がりで年々事故件数が増えている、こういう実態になっているんです。  なぜこのような事故が起こるんでしょうか。一つは、私は、一番大きな原因は余りにも規制緩和が行き過ぎたんではないか。規制緩和が行き過ぎたからもっと激しい競争原理が進んできた。そうしますと、そこで働いている皆さん方も労働過重にもなってくる。居眠り、ついついなる。あるいは企業側としては、先ほどのカナダのボンバルの飛行機じゃございませんが、とにかく少しでも安い飛行機を買おうと。何か一機三十億円ぐらいらしいですけれども、安いものを買おうと。これは経営側からすれば、やっぱり競争激しければ当然そうなると思うんですね。ですから、規制緩和が行き過ぎた結果、このような事故が次から次へ起きるんではないかなというふうに私は今強く感じているんです。  これもやはりすべて乗り物でございますし、すべて命にかかわる問題でございます。そろそろ原点に戻って、もう一度きちっと点検をして、余りにも規制緩和が行き過ぎていたんであれば、やはりある程度、安全のためにも、安心のためにも、人間のためには、まず命あってのことでございますから、そろそろ点検をして、もう一度考え直す時期に来たんではないかと、そのように思ったりいたしておりますが、いかがでしょうか。
  68. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 規制改革というふうに、最初は規制緩和と言っていましたけれども、だんだん過激になりまして規制改革ということになってまいりました。  私は、今までの日本の護送船団方式といいますか、何もかも事前規制でやる、運輸行政なんかの法制を見ましても、先発の企業があれば後発の参入を許さないような規定まであって、大変厳しい規制の中で行われてきたことは事実です。それが規制緩和というところから始まりましたが、行き過ぎたんじゃないかとおっしゃる面が、指摘される人が最近多いので、これはやっぱりいろいろ考えなきゃいけないと思いますが、ただ、経済規制はこれは緩和をし、そして社会規制、国民の生命、身体というようなものに関する部分については、やはり国家としてその事故を未然防止するためにも、社会規制というものはむしろ強化しなきゃならないと私は基本的には思っております。  このような規制緩和をしたためにいい面もあります。例えば運輸のタクシーの中で、福祉タクシーというような今までなかったものが出てきたり、あるいは値段は、それが問題だとおっしゃるかも分かりませんけれども、値段も安くするところも出てきたり多様なものが出てきた。あるいは、バスになっては身障者のバスツアーというものまで企画されまして、これが非常に好評をしている、そういういい面もあります。  しかしながら、御指摘のような社会規制の面はきちっとやっていかなきゃいけない。そのためには、また事後規制というものがその中の中心になると思います。違反をした者に対しては厳しく対処する、私はこれはやらなきゃいけないと思っていますし、そしてそのためには、違反を拱手傍観するんじゃなしに、こちらが積極的に検査をする、監査をする、こういうものを体制を整えなければならない。  そういうことで、私どもは当初、発足時では、検査のそういう運輸関係でございますが、百六名しかなかったものを来年は二百名要求しておりまして、昨日だったかな、私、新宿バスのところへ行きましていろいろな人の意見聞きました。もう若い人たちが物すごくたくさんいられまして、驚くべき値段であそこから乗っていくんですね。私はそれは結構なことだし、関西まで四千二百円ですよ。これは新幹線とかそれから路線バスとかあるいは飛行機から比べたら大変な安いもので、そういうことで若い女性の方まで、までと言ったら失礼ですけれども、怖いと思いますよ、夜中走るわけですから。でも、たくさんの女性の方がそれに乗車をされようとしていました。  そこで我々も検査をしたのは、もちろん安全に走っていただくために添乗員がきちっといる、もう一人の運転手は用意されているかとか、あるいは運行計画書、いつ、どういうふうに走って、どこで休憩してということを提出をさせたり、いろいろいたしました。旅行業者との契約関係もつまびらかにさせ、そしてこれはまた裏付けを後ほどきっちりそっちの方からもやろうと。現実にそこで認知したとおりに走ったかどうかということも今後やっていこうと思っていますが、そういうことはきっちりやらなきゃならないというふうに思っている次第でございます。
  69. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 社会規制の大切さを今お述べになられたんですが、ツアーバスの問題は後ほどまた質問させていただきたいと思いますが、その社会規制すらずたずたになっちゃっているんですね、今。今大臣がおっしゃったとおりじゃないんですよ。だから、百六名から今度二百名要求と、監査もきちっとしてやっていきたいということでございますけれども、あずみ野バスなんかはそれすらできなかったからああいう結果になったと。これは後ほど触れたいと思います。  いずれにいたしましても、そういう中で大変競争だけが激化してきていると。だからそんな四千二百円で行けるんですよ。高山辺りはあのツアーバスだと三千五百円で行っちゃうんですから、本当にもう異常なんですね。だからそこでどうしても無理が出てくるということです。これは後ほどまた申し上げたいと思います。  いずれにいたしましても、そういう中で規制緩和については是非もう一度点検のし直しが必要だろうと。私も、経済的な面では経済の規制はしてはいけないということはよく理解します。だけど、社会的規制が外れたからそちらの方へ走ってしまったという問題も起きるわけですから、是非再度再点検を強く要望しておきたいと思います。  これは乗り物だけではないんですね。建物にしたって一緒だったんですよ。また最近京都で起きましたが、これにもちょっと触れられておりますけど、そういうのもみんなそうだと思うんですね。どんどんどんどん社会的規制を外すから異常な競争になってくるということだろうと思います。  続きまして、道路特定財源のことも触れられておりますので、一言せっかくですから触れさせていただきたいと思います。  財務省は今日呼んでおりませんけど、財務省は何か一般財源にしたいようなことばっかり言っておりますし、安倍総理も一般財源にするようなことを言っておりますけれども、必要な道路は造るとおっしゃった分だけ少し前進かなとは思っておりますが、道路というのは、多分ここにいらっしゃる同僚の皆さん方も一緒だと思うんです。選挙区からの陳情の八割は大体道路なんですよ。残り二割がいろいろなほかのものなんですね。それだけやはり国民の皆さんが強く要求なさっている。  新しい道路造るだけじゃないんですね。改良も一緒だと思うんです。歩道のないところもたくさんあって、危険なところも一杯ありますから、そういうところはこの道路特定財源を使って整備をするとか、あるいはボトルネック踏切、こういうものはいつになったら解消するんだろうかと。私鉄は一割の負担でいいですよと、ここまで負担軽減いたしましたけど、遅々としてあのボトルネック踏切も進んでいません。  一割とおっしゃいますけど、五十億、百億掛かれば民鉄にとっては大変な負担なんですよ。そんなお金はなかなか出てこないですね。だから私は、私鉄の皆さん方も協力をしたいけどその協力するための力がないということで、私は遅々として進まないんだと思うんです。この際、思い切ってもう、もう十割全部国で負担してもやるんだというぐらいの勢いでやれば、この道路特定財源も足りなくなるんじゃないかと思うんですけど、私の今述べていることは暴言でしょうか。
  70. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 評価は差し控えますけれども、なかなかそれは、やはり鉄道事業者が全然負担しないということも、またその地域の地方公共団体が負担しないということも不自然だろうと思います。  それは、国の予算というものは、全国の踏切全部一挙に同時にできるんだったらいいですけれども、やっぱりセレクトしてやっていかなきゃいけない。そうすると、やはり事故が多い、まあ一時間のうち、一時間、六十分ですが、五十八分閉まっているところがあると言われますと、これはもう幾ら何でもとんでもない話だということで、それを優先しなきゃいけない。でも、一時間のうち三十分も閉まっているんですよということを陳情の方が言われる。三十分ですかとは私は言いませんけれども、そういう優先順位もあれば、本当にそこで死亡事故が起こったところもあれば、あるいはそれによって町が截然と分断されているところがあるんですよ、北側は発展しているけれども南は。ですから、一杯事情があるんですね。  ですから、そういう意味でやはり地元も、それからそれを走らせている私鉄も一緒になってこれをやろうという気持ちになっていただいたところからやるということにならざるを得ないのじゃないかというふうに思います。
  71. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 確かに、踏切は一時間のうちに三十分あるいは五十分と踏切が下りているところは大変密集地なんですね。電車の本数も多い、あるいは車も多い、あるいは人の横断も多い、そういうところですから、そういうところを、例えばボトルネックを例えば地下にするのか上をまたぐのかは別にいたしまして、あるいは線路を上げるか、いろいろと方法はあろうと思うんですが別にしまして、いずれにいたしましても、大変な工事費の掛かるところなんですよ。わずか一割の、民鉄はわずか一割ぐらいを負担をしなさいと言っても、その一割が膨大な負担になるんですね。  ですから、私鉄にとっては余り不便を感じないんですから、遮断しておけばいいんですから、私鉄にとっては。そんな無理してやる必要はないですよ。それを無理してやっていただくためには、やっぱり国なりが、あるいは自治体なりが誘導しなくてはいけない。その誘導のために一割とされたんだろうと思うんです。それでも今日見ておりますと遅々として進みませんので、もう少しこの辺も検討の余地があるんじゃないかなということだけ提言をしておきます。  もう時間がなくなりますから先を急いでいきますので、恐縮でございます。  その続きにいいことがまた書いてあるんですね、述べられているんです。高速道路料金の引下げなどの新たな措置に関する検討を行いと。是非、高速道路は本来道路で、使用料を徴収すること自体がまずおかしいと思いますので、無料が原則だと思います。だから、それが今一気に無理でありましたらせめて、全国的にもうETCも随分普及してまいりましたし、二割や三割料金を引き下げてももういいんではないかと私は思います、そうしますとまたそれによって利用者も増えてまいりますし。また、ETC設置車も、今は大体七割ぐらいが高速道路でETC設置車だと言われておりますが、もう随分これも充実してきておりますので、これがほとんどもう一〇〇%に近づいてくれば収受員もまた少なくなってきますし、そういうことを考えれば、思い切って引き下げていただきたいなということを思っております。  ただ、今でも、確かに地域によって違いますが、通勤時間帯に五割引きのところもあれば、深夜といいますか、三割引きにもなっておりますし、あるいは地域的にはまた五割引きのところもあると、いろんなサービスはいたしております。だが、そのサービスではなくて、やはり基本をやはり二割、三割下げていく努力をまずお願いしたいなというふうに思いますが、その考えはいかがでしょうか。
  72. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 道路公団を民営化しまして、株式会社が経営することになりました。国とはもう独立しているわけでございますから、国の政策を一方的に押し付けるわけにはまいらないわけでございます。  今道路公団が総額で負担した、分割当時でですけれども四十兆円、目もくらむような金額ですが、これを四十五年間で分割弁済すると、それを賄っていくためにこの通行料というものがあるわけでございますから、それを国の政策で一方的に下げてほしいと言うことはできないわけでございます。  しかしながら、高速道路会社も大変努力して、今、山下委員もおっしゃいましたように、いろんな割引、ETCをかみ合わせて四十兆円を返せる範囲でそういう努力をしていられることは事実でございます。  ところで、昨年末の十二月八日の閣議決定で、道路特定財源を税率を維持しながら、一般財源を前提として納税者に十分説明をし、その理解を得つつ具体策を策定する、これは難しい話なんですね。私はその当事者なんです。揮発油税で道路特定財源でリッター、本税が二十四円三十銭のところを倍、二十四円三十銭もうそれだけ上乗せして、それは、平成十五年に約束したのは、これこれの道路を造りますという約束の下に税率が決まっているわけですから、今度それを維持しながら一般財源にするということになりますと、これはやっぱり負担と受益がバランスが取れなくなっちゃうというところから、私も相当いろいろ言いましたけれども、真に必要な道路は造るってそれだけでは駄目だと、それが真に必要かどうかはみんな価値判断入りますから、財務省の判断でこれは真に必要かどうか判断されたら、これは本当にバランス取れるかどうか、納税者の意思、納税者の理解を得つつというところが十分じゃないんじゃないかということから、十九年、今年ですね、中に具体の道路をきちっと特定して、その事業量も、整備事業量もきちっと明示して閣議決定していただこうと思っているんです。  そういう中で、高速道路の料金についても、もうお任せしたから道路会社でやってくださいというわけにはいかないほどの国民の、山下先生が今るる述べられたような要望があります。これを無視するわけにいかないわけです。  したがいまして、この道路財源の一部を、どういう方向かは今後検討して、そしてそれも年末までにきちっと決めますけれども、来年の二〇〇〇年の通常国会には提案をしてきちっとしますけれども、道路会社も納得できるような方法の中でこの引下げを、国民の納得いただけるような引下げの方法が取れないかどうか、こういうことはきちっと検討するということでそこへ書き込んであるわけです。  したがいまして、これはもう独立した株式会社を助成するとか、そういうものは全くありません。現在でき上がっている道路を有効に活用するというその視点でどうするか、国民の御納得をいただくためにはどうしたらいいかという、難しい仕事ですけれども、これをやらせていただくということで、ここへ道路、高速道路料金のことも今回の道路特定財源を要するに一般財源化するという中にこういうふうにさせてもらうということを盛り込んだわけでございます。
  73. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 この辺、議論したいんですが、もう時間がありませんので、また次の機会にしたいと思います。  ただ、一つだけ、小さな小さな要望をしておきたいと思いますが、高速道路というのは全国プール制になっていますよね。プール制だから、今日でも東名高速道路にしたって名神にいたしましても、もうこれ元引いていると思うんですが、いまだに利用料を徴収していると。一方では、今までそういうのをプール制でよそへ回していたということだと思うんですね。そうしますと、大変変なものがあるんですよね、今の料金体系にも。  一つは、大体、高速道路の料金というのは一キロ当たり二十四円六十銭ということで決められているんです。それプラス、ターミナルチャージ料が百五十円というふうになっているんですよね。それで大体料金が設定されています。だけど、関越特別区間というところは一キロ三十九円三十六銭となっているんですね。あるいは関門トンネルは六十四円と、一キロが。そして、恵那山については三十九円三十六銭と特別料金取っているんですね。おかしいんです、これは。もう恵那山なんかはとっくに元引いていますからね、もうこの特別料金というのもなくすべきだと思うんです。これぐらいはささやかなことですから、すぐ明日からでも実現できると思いますので、是非このぐらいはやっていただきたいというふうに思いますが、簡潔に答弁お願いします。
  74. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 検討させていただきます。
  75. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それでは、次に移らさせていただきます。  先ほど社会的規制のお話も出ておりましたが、大臣も一昨日の夜ですか、新宿の方へ視察に行かれたようでございますので、ツアーバスについて質問させていただきたいと思います。  乗り合いバス、貸切りバス、ツアーバス、どう違うのか、説明いただきたいと思います。また同時に、高速バスはどれに入るのか。  今回事故を起こしましたあずみ野観光バス、あの事故を起こした時点のあのあずみ野観光バスはどれになるのか、御説明をいただきたいと思います。
  76. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 道路運送法で乗り合いバス、貸切りバス事業をそれぞれ定義をしておりまして、貸切りバス事業というのは、一個の契約によってバスを貸し切って旅客の運送を行うと。ですから、旅行業者と貸切りバス業者が一個の契約でやるということでございます。  乗り合いバスは、個々のお客さんと契約をするということで、乗り合いであるものを乗り合いバス事業と呼んでおります。  それから、あずみ野観光バス、ツアーバスでございますけれども、ツアーバスというのは法律的な事業区分ではございません。我々、一般的に、旅行業者が貸切りバスを使用して募集型の企画旅行として二地点間を移動、旅行商品を売っていると、それをツアーバスと呼んでおります。  高速バス事業は、それに対しまして、乗り合いバス事業の中で高速道路を定時定路線でやっているというのを高速バス事業と我々一般的に呼んでいるわけでございます。  あずみ野観光バスは、貸切りバス事業の一種のツアーバスということでございます。
  77. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 結局、ツアーバスは観光業者が、旅行業者が介在をしているということですね。だけど、現実には、大臣見られたと思いますが、ツアーバスと高速のバスですね、一般の方で見て違いが分かると思いますでしょうか。  それと同時に、大体ツアーバスと一般的に発言しておるあのやり方というのは、インターネット等で顧客を一生懸命集めていらっしゃるんですね。それで集まらなかったらそのバスを取りやめるだけなんです。だけど、高速バスというのは定時定刻にお客さんが一人であっても運ばなくてはいけない、走らせなくてはいけない。これが大きな違いなんです。  ですから、先ほどツアーバスなら四千二百円で行けるけど、定期高速バスだったら五千五百円なり五千円ぐらい掛かると。こうなっちゃうんですね、いいところだけつまんで走らせるわけですから。ですから、また一方では旅行業者が無理を、お客さんが集まったんですから無理を言ってあずみ野のように、とにかくもう一台増やせ増やせって、結果的にああいう労働過重になって事故を起こしたんじゃないかというふうに思います。このあずみ野観光バスのことについてもいろいろとお尋ねしようと思いましたが、もう申し上げません。  あれも、昨年の六月に過剰勤務について労働基準署から改善の指摘をされながら、あの事故が起きたときにもまだ何にもその後されていないということでございますし、百六名、いや百八名ですか、のメンバーを若干、百六十六名に現在増えているようでございますけれども、それでも間に合わないという、もう数が少な過ぎるということで、この現状だったら五年に一回回れば精一杯じゃないかというのが大臣の会見でもおっしゃっているんですから。それを考えますと、ああ大臣じゃございませんでしたか、そのことを考えますと、余りにも今ツアーバスがゲリラ的に社会的規制緩和の中でやっているから先ほどの安全問題等に影響してくるんじゃないか、あるいは労働過重に影響してくるんじゃないかというふうに思っております。  ですから、結論を先に申し上げますと、一定のツアーバスについても規制をせざるを得ないんじゃないかなというふうに私は昨今強く感じているんです。  それは何かといいますと、一般の乗り合いバスと同じように、ツアーバスについては乗り合い事業者許可に切り替えて運行すると。もし、それはもう定着しているからもう無理だよとおっしゃるんであれば、百歩譲っても、一括そうならないとすれば、一定の運行日数あるいは一定の本数をきちっと乗り合い事業者と同じように先に申請をして、そして許可を取って、そのときにお客さん集まらなくても、一人でもちゃんと走らせていただくというようにすれば、かなり安全面では高まってくるんじゃないかと思いますが、その辺についてどのように、自動車局長でも結構でございますが、お考えか、いただきたいと思います。
  78. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、ツアーバスと高速バス事業、外見的には二地点間をお客さんを運ぶということで似たような形態のものだと我々も認識しております。  特に、我々、その中で、そうした高速バス事業とツアーバス事業との間で安全運行管理、こうしたものについて差があるのは適切でないと考えております。監査なんかも含めまして、こうしたツアーバスの安全面についてはよりきっちり見ていきたいと、このように思っているところでございます。
  79. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 まだこれからもどんどんどんどん私は事故発生するような気がいたしますので、今日は忠告にとどめておきたいと思います。また幾らでも、また事故が起きましたら、今朝の田村委員のように発言をさせていただきたいというふうに思っております。  時間が少しになりましたので、最後に一つだけまた質問させていただきたいと思います。  乗り合いバスの管理の受委託制度について伺いたいと思います。  最近、公営バスにいたしましても民営のバスにいたしましても、経営がどこも苦しいと思うんです。特に、私のような岐阜県のような山間へき地をたくさん抱えておりますと、バス路線もどんどんどんどんなくなっていっています。大変危機的な状況になっております。  そういう中で、当然事業者はいかにコストを少なくしていくか、この努力も大変なさっていらっしゃいますね。やはり、これコストの一番掛かる部分は、ざっくばらんに言って人件費ですよ。すぐ人件費の方にメスを入れていくということになってくるんですね。  そういう中で、現在、私はびっくりしたんですが、結局は、路線バスを委託をする制度があるんですね、委託をする制度が。それも、その二分の一までは委託をしていいですよと、どうも現行はなっているようです。例えば、よく分かりませんけれども、都バスが委託しているかどうか知りませんけれども、仮に都バスをAという民鉄バス会社に委託をする。そうしますと、その民鉄バス会社の乗務員は、都バスの制服を着て、都バスの帽子をかぶって、都バスを運転すると。だから、利用されている人は、ああ都バスに乗っているんだなと、こういうふうになっているんですね。こういう制度になっているんです。  その二分の一をどうも昨今、二分の一じゃもうけが悪いでもっと増やしてくれというような話なのか、よく分かりませんが、二分の一でなくてもっと委託制度を増やしてもいいんじゃないかというような動きもあるやに聞いておりますが、その辺いかがでしょうか。
  80. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、今管理の受委託を二分の一まで認めているところでございます。  やっている多くの形は、親会社が地域ごとのグループ子会社をつくりまして分社化をいたしまして、そこに地域の雇用条件に合ったような形で経営の効率化をしまして管理の受委託をやっている、あるいは公営企業が民間バス事業者に受委託をすると、こうした形態が多うございます。こうしたことによって、経営の効率化がなされて、逆に地域の足の確保につながったという側面もございます。  今二分の一までの制限でございますが、これをもう少し広げてほしいという要望があるのも事実でございます。私ども、この要望に対して、輸送の安全でありますとか利用者の利便の面でどうかというようなことを慎重に検討しながら、今勉強をしているところでございます。
  81. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 確かに、私鉄のバス会社にいたしましてもJRにいたしましても、ほとんどバス事業というのは、別会社へしまして連結決算でやっているというようなところが増えてきていることは事実です。  それ以外に、簡単に言えば、分かりやすく言えば、名義貸しを今、結局、言えば二分の一までいいですよということを認めているんですね。あれ簡単に言えば名義貸しですよ、きれいな言葉で言わなくて分かりやすく言えば。それを二分の一じゃなくてそれ以上にしますよということになれば、だんだんだんだんその名義を持っている事業者も責任が希薄になってくるんじゃないかと思うんです。もうただ、簡単に言えば、極端な言い方をすれば、七割、八割名義貸していれば、もうピンはね会社と一緒じゃないですか。それだったら、そういう事業をもうその人はほかにちゃんと譲渡した方がまだはっきりしますよ。  そして、利用している人は、例えばこれJRのバスだなと思って乗っている、これは都バスだなと思って利用している。そして、事故を起こしたら、中身はよその人が来て交渉をやっていたというんじゃ、それこそ安全問題が大変なことだし、これ規制問題も、やはりいろんなところでもう壊されているんですね。  ですから申し上げているんであって、これはやはり、株にいたしましても、五〇%以上確保されればもう確保した方の会社のものになっちゃうんですから、これも五〇%以上委託をすればもうそちらの方が権限も強いですよ。そうならないようにせめて、今行われていますので、せめて二分の一以内で止めていただくということは、やはり幾ら規制緩和が進んでも常識だろうというふうに思いますので、再度答弁いただきたいと思います。
  82. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 私ども、名義貸しのような状態になることを決して望んでいるわけではございません。  繰り返しになりますけれども、輸送の安全とか利用者の利便とか、そういうことを踏まえながら、この問題については鋭意検討を進めていきたいと思っているところでございます。
  83. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 もう時間が来ましたので、大変申し訳ないです、総合政策局長さんには、水門設備工事の問題をたっぷりと用意していたんですけど、今日全然質問できませんでしたので、また改めてこの問題を質問させていただきたいです。  これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  84. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  85. 大江康弘

    委員長大江康弘君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、国土交通行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  86. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  大臣所信質疑をさせていただきたいと思いますが、まず初めに官製談合の問題についてお伺いしたいと思います。  このたびの官製談合の水門設備工事の件に関しての問題ですが、公正取引委員会から改善措置要求を受けたところでございます。今事実関係を調査されているところだとは思いますが、多く報道等で指摘されているのは、既に昨年四月に国交省職員の関与が報道され、それを受けて国交省としても調査を行ったと。昨年の六月にはその調査結果を発表したと。しかしながら、現役職員百六十七名に対する面接による聴取を行った結果、その時点では職員の不正行為は確認できませんでしたという発表だったと思います。  そこで、今回の事案については、事実関係の調査に当たられるのは国交省自体でございまして、まず今回、前回見過ごしていたということもあり、今回のその調査でどれだけ事実関係が把握されるのかという声が多くございます。まず、国交省には、水門工事を含めて、それ以外も含めて、それ以外もですね、談合への関与がないのか。あと、できる限り早急に、スピーディーにやっていただきたいと。いつまでにということは明示できないのかもしれませんが、防衛施設庁の談合事件等では四か月半で明るみにしていったということもありまして、徹底的に調べていただきたいと。  特に、公明党としましても、二〇〇一年に官製談合防止法を提出させていただいて、党としてもこの官製談合については強くやっぱりこれは根絶しなければならないということでやってきたわけでありますので、公明党の大臣でもあります冬柴国土交通大臣に在任中に是非このうみを出し切る気概で取り組んでいただきたい、(発言する者あり)そういうことでございます。決意をまず伺いたいと思います。
  87. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 談合はあってはならないということを、私も就任後、日は浅いんですけれども、これは絶対にあってはならないと。とりわけそれに官が絡むなんということはもう言語道断だということで、私ども国土交通省としては国の直轄発注事業をたくさん持っているわけでございますから、そこが率先してこういうものを改めなきゃならないということでこれまで改善措置を進めてきただけに、先ほどのおっしゃったように、公正取引委員会から国家機関として初めてこのような改善措置要求というものが出たことに対して、誠にざんきに堪えない気持ちでございます。  そして、私としても、この事実がこれからの審議でその内容というものが固まってくるんでしょうけれども、そのように発表があった段階で、やはり私ども大臣、副大臣、政務官もこれは責任取るべきだということで、大臣給与等の返納をするということを決めたわけでございまして、国土交通省全体でこれは取り組まなければならない事案だと、最大のピンチだということも申し上げているところでございます。  この報道がありましたのは、先ほど言われたように昨年からでございますが、ただ一月六日、七日は非常に注目をすべきものでありまして、現職の職員が絡んでいたということが具体的に名前とか顔写真まで示されて報道されました。私もこれちょうど休みの日だったんですけれども、びっくりしまして、それで八日も日曜日で休みだったけれども、九日の朝一番に私は、私の部屋に最高幹部に全部集まっていただいて、これはもう省を挙げて徹底的に調査を遂げ、事実関係を確定させ、そしてその動機、背景、動機等も踏み込んで認知をし、それを基礎にして再発防止策を立てなきゃならない。その委員には私は外部の、内部の職員だけではなしに外部の有識者の方に入ってもらわなければならない、これは国民が聞いて納得できる人じゃなければならないということも申し上げました。  それを踏まえて、十一日の日にはこの入札談合防止対策検討委員会を発足させました。その中には九人の職員以外の有識者の方に入っていただきました。その中には高等裁判所の長官を経験された方、あるいは地方検察庁の特捜部の検事を経験された方、あるいは公正取引委員会の事務局長を歴任された方とか、あるいは弁護士、それから研究者、学者です、著名な大学の教授、助教授という方たち九人に入っていただきまして、私はこの方々に外部じゃなしに委員会の内部に入っていただいて、重要な人を調べる場合には必ずこの方々に入って調べていただきたいというようなことも指示したところでございます。  そして、これをするためには、今まで、去年やったときに百六十七名調べたけれどもそういうことは認められなかったという報告をしたじゃないかと、今回もそういうふうになるんじゃないかというような含みを持った質問だったと思うんですが、今回は、今までの去年の分は、だれが何したということは全く端緒なしに過去に水門の発注業務に携わった人、五年間の過去にさかのぼった職員について調べたわけでございます。しかし、今回はターゲットは絞られたわけです。具体的に新聞報道があり、また具体的に公正取引委員会から指摘をされております。したがいまして、私どもはその視点に立って、指摘された人たちについてはそのような有識者の方々に入っていただいて、そして我々の方の監察官というのがいるんですが、その二名とともに聞き取りをする、そういう作業をしております。  それから、公正取引委員会でも調べられた書類を提供していただくようにいたします。それと照らし合わせて、それからまた業界の人ですね、業界でこの具体的な行為に携わった人、我々の省の職員と接触した人というような人たちについても我々は聞いていこうと思っております。  それからまた、過去十年間ですね、もう今はOBになっている人も多いわけですけれども、さかのぼってそういうところに携わった人たちを調べようということで、大体六百人ぐらいになります。これの、三月七日現在で約七割は調べました。  そういうスピードでやっておりまして、ただ、その中で食い違ったり、あるいは裏付けを取ればまた違ったりすることはあるわけです。本質的に我々公正取引委員会とかあるいは警察、検察庁のような後ろに権限を持ってやっているわけじゃありませんので、あくまで任意の協力を求めてやるわけでございますから、非常に時間が掛かりますけれども、そういう形でこの事案をきっちり解明して、そして再発防止策というものを取ろうということで進めているところでございます。  ただ、それが結論出てから改善策を講じますと、これはファイナルですけれども、途中経過としても今できることは全部やろうということで、職員に対する問題、それから入札の合理化の問題、それから業者に対する問題、それからもう一つは職員の再就職の問題、こういう問題を起こしたところへは就職はしない自粛措置とかですね、そういう取り得る問題を我々はその日のうちに明らかにして、そして国民の信頼を一日も早く回復したいというふうに思っておるところでございます。
  88. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非、再発防止を努めていただきたいと、根絶していただきたいと強く申し上げたいと思います。  その官製談合の構造も含めて、やはり国民の目というのは今非常に、昨年の三つの現職知事が官製談合で逮捕されるという事案もありますし、非常に厳しい目を持っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日、ほかのテーマも用意させていただいておりますので、次のテーマに移らせていただきたいと思います。  本日、本州四国連絡高道路株式会社の社長さんにもお越しいただいております。道路特定財源の問題と関連しまして、瀬戸大橋のことを取り上げさせていただきたいと思います。  まず、本四連絡高速道路株式会社、民営化になりました。その経営改善努力をしていく過程の中で、通行料金の高さというのは際立っているわけでありますけれども、その引下げの努力をどれだけしてこられたのか、まずその点についてお伺いしたいんですが、三本橋ありますが、瀬戸大橋に限ってお伺いしたいと思います。
  89. 堀切民喜

    参考人堀切民喜君) 本四高速の堀切でございます。お答えいたします。  本州四国連絡高速道路につきましては、民営化に先立ちまして平成十五年に一兆三千四百億円の債務切離しをしていただきまして、そのときあわせて、平成二十四年度から三十四年度まで、年額八百億円の出資延長を受けることを前提といたしまして、当時の債務二兆二千億円を四十五年間で償還することとされたわけでございます。当社では、この償還を円滑に進めるために、目下必要な維持管理費を確保しながら経営合理化によるコスト縮減などを行いまして、計画的な償還に現在努めているところでございます。  ただいまお尋ねの民営化後の料金でございますけれども、当社といたしましては、毎年の高速道路保有・債務返済機構への貸付料の支払、これに支障のない範囲で、少しでも多くの方々に利用していただきやすい料金とするようにいろいろな企画割引を実施してまいったわけでありますけれども、特に瀬戸大橋につきましては、平成十八年度に地域イベントと連携いたしました与島Uターン半額割引並びにJTBと連携いたしまして宿泊とパックになった本四二橋めぐり、さらに、JR新幹線及びレンタカーと連携したクーポン、こういったことをいろいろ考案しているところでございます。ただいま申し上げました三つ目のところはしまなみのところでございますけれども、同様なことを今後瀬戸大橋についても是非やってみたいと思っているわけでございます。  今後とも引き続き経営合理化努力を進めるとともに、民間企業としての創意工夫を生かしまして、このような企画割引の充実に一層努める所存でございます。  以上でございます。
  90. 谷合正明

    ○谷合正明君 今、瀬戸大橋の料金は平成十五年度の本州四国連絡橋公団の有利子債務の切離しとともに、基本料金の二八%引きという新特別料金が設定されておるんですが、今回その切離し債務の処理完了したということで、この新特別料金が今後どうなるのかと。継続されると思っているわけでありますが、念のため確認させていただきたいと思います。
  91. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) お答えいたします。  委員御指摘のように、平成十五年の七月から新料金になっておりますが、これは一兆三千四百億の債務処理ではなくて、地方の追加出資ということで経営改善ができる、そういうものを背景にして継続を新たに入れておるわけでございますが、新特別料金につきましては昨年の三月三十一日に本四会社と機構で協定を結んでおります。この協定の中で新料金が継続定められておりますので、これに基づいてやってまいるということでございます。  今後とも、地方の御理解と御協力を得て一生懸命頑張っていきたいと思います。
  92. 谷合正明

    ○谷合正明君 道路特定財源の見直しということなんですけれども、公明党としましても、一般財源化ということを前提としたときに使途拡大、特に高速道路料金の引下げということは主張しておりました。大臣の今年の念頭の会見におきましても、高速道路の料金引下げについてコメントされておりました。もちろん独立した法人に一方的に安くしろということは言えないんだけれども、ただ、国民のニーズにこたえるために財務省とも協議をして、料金体系が違うであるとか、あるいはそもそも高過ぎるという問題についてしっかりと今後協議していきたいという趣旨だったと思います。  今回、その本四の場合なんですけれども、切離し債務という特別なこれまでの経緯もあり、あるいは料金を単純に引き下げただけではなかなか通行量、交通量が増えないという問題もあり、値下げについては様々な困難が伴うことは承知しておりますが、何分通行料金が高いと。先ほど高速道路はキロ当たり二十四・六円という話ありましたけれども、橋に当たりましては今特別料金になったとしても二百五十二円ということで十倍以上の料金が加算されているわけでありまして、依然として通行料を引き下げてほしいというニーズはございます。昨年の十月にも、香川県、岡山県の知事からもその要望が出されたところでございます。  昨年の十二月の道路特定財源の見直しに関する具体策の閣議決定の中で、国民の要望の強い高速道路料金の引下げなどによる既存高速ネットワークの効率的活用、機能強化のための新たな措置を講ずるということがうたわれているわけでありますが、まずその道路特定財源の見直しに関して、この高速道路という中にこの本四の橋というのはどうなっているのかと。また、通行料金の引下げに当たって、この道路特定財源の見直しと関して通行料金の引下げについて今後具体的にどのように検討されていくのだろうかと。その辺り、大臣の方から御答弁いただければと思います。
  93. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そのときの議論では、独立した道路会社に、本四も含めて補助をするということは一切しない、これはできません。それから、じゃ何をするのかと。引き下げてくださいということを要請するといったって、これ独立したところに、さっきもお話がありましたように二兆二千億というものを四十三年掛けて年賦で返していくという義務があるわけですから、その資源はこの通行料でございますから、一方的に我々の方が国民のニーズがあるから政策的に引き下げてくれ、これはもう言えないことになっています。  そういうことを前提にして、何ができるのか。これは道路特定財源を用いて、ただでやってくれということはなかなかできないということになれば、そういうことができるのかどうか、これを今年の年末までに協議して、そして話合いをして、国民のニーズにこたえられるようなことをしたいというのがその真意でございまして、来年の通常国会にはその法案を提案をしたいというふうに思っているわけでございます。
  94. 谷合正明

    ○谷合正明君 今、普通車が瀬戸大橋通ると四千百円でございまして、先ほどの何かバスの話でもう東京と大阪に行ける値段でございまして、それを十分間足らずの距離をそのぐらい、四千百円払うというのはやはりしんどい話でございます。  道路特定財源の柱というのはあるんですけれども、もう一つ、来年が瀬戸大橋は開通して二十周年を迎えます。明石大橋は十周年だと思うんですけれども、そういうときに利用促進を何よりも図らないといけないわけでありますが、例えば地元の倉敷市議会なんかでは記念ウオーキングなんかはできないかとか、そういった議論もう既にされております。あるいは、民営化の成果として更なる企画割引をもっとやってほしいという要望もございまして、二十周年という機会を是非利用しない手はないんだと思うんですね。  そこで、新しく民営化された会社として、これを機会に具体的に検討していただきたいということを要望させていただきたいんですが、お考えを聞きたいと思います。
  95. 堀切民喜

    参考人堀切民喜君) お答えいたします。  本四高速は、ただいま先生のお話のとおり、平成二十年、二十周年を迎えます。明石海峡大橋が十周年、またその翌年にはしまなみ海道も十周年を控えております。これら大きな節目の年は、私どもにとりましても、地域活性化のための交流基盤としての本四道路の架橋意義、これを再認識していただく絶好の機会である、また、民営化後の本四高速が瀬戸内企業として発展していく姿勢を示す絶好のチャンスだというふうに認識しておりまして、そのような観点から、多様な方法で記念事業を行いたいと考えている次第でございます。  記念事業の具体的な内容につきましては、今後、当社といたしましては、関係自治体と御相談しながら地域と一体となって盛り上げて、利用促進あるいは今後の交流の拡大に資するような有意義なものにしていきたいと考えているわけであります。  その中で、例えば記念ウオークなどの橋上イベントにつきましては、実施主体である岡山県、香川県両県等の関係機関とも相談しながら、今後適切に検討していきたいと、こういうふうに考えております。  また、料金の記念割引につきましても、現時点では具体的に決まっていないわけでございますけれども、今後積極的に検討してまいりたいと、かように考えている次第でございます。  以上でございます。
  96. 谷合正明

    ○谷合正明君 やっぱり、本州四国は基本的にそもそもの移動需要を喚起しなければならないわけでございまして、パイが限られている中で新たな需要を喚起する、一つは例えば観光であるとか、そういう切り口があるんだろうと思います。  そもそも、海というものは隔てるものではなくて結び付けるものと言っておりまして、更にその上に橋が架かったわけであります。これからの人口は減少していきますけれども、交流人口をいかに増やしていくのかということが喫緊の課題でもあります。是非、その辺りをにらんで大胆な、いわゆる地元の人あるいは地元以外の人にも響くようなアイデアを是非是非やっていただきたいと思います。  それでは、続きまして、水資源について質問をさせていただきたいと思います。  今、暖冬ということで、全国で雪不足という報道が出ております。東京都内でも百三十年間の歴史、観測史上初めて降雪ゼロを記録しております。今年の暖冬の影響による夏の渇水の懸念、あるいは、農業用水は春先以降水田の代かきなどで需要がどっと増えるわけでありますけれども、特にその雪解け水が農業用水のもととなっているわけで、その辺り、水不足はないのかという心配がございます。  一方で、ここ直近で一気に降雪量が、雪が降ったという報道もあるんですが、果たしてそれで十分なのかという心配もございまして、実際問題として現在のところ水不足の懸念はないのか、その辺りの認識を伺いたいと思います。
  97. 門松武

    政府参考人門松武君) お答えいたします。  委員御指摘のように、今冬の全国的な記録的な暖冬と少雪でございまして、二月末時点で降雪量は全国平均で平年比の約六割以下ということになっております。ただ、雨の方でございますが、太平洋側を中心に平年より多めでございまして、そういうことを受けまして、国土交通省の所管のダム、水資源機構所管のダム、全体の六割以上のダムで平年並み以上の水位を確保しているのが現状でございます。  一般的に、雪でございますが、融雪によりまして河川や地下水を涵養するという水資源の量の側面を持っておりますが、さらに、いったん降り積もった雪でございますが、河川等への流出時間を遅らせるという時間的な要素、遅らせる要素も持ち合わせておりまして、言わば自然のダムというような機能も果たしているところでございます。  御指摘のとおり、非常に雪が少のうございまして、この五月、六月以降の渇水が懸念されるところでございますが、国土交通省といたしましては、引き続き河川の流況の監視、適切なダムの管理、さらには、渇水に対します早め早めの対応として、情報の提供をいたしまして節水の意識を高揚させるような施策を適切に打ってまいりたいというふうに思っております。
  98. 谷合正明

    ○谷合正明君 今、水資源開発計画の見直しをされていると思うんですけれども、特に首都圏の水がめであります利根川・荒川水系に関する計画の見直しを予定しているということなんですが、今、その関係機関との調整あるいはその見直し時期について、見通しがあれば答えていただきたいんですが。
  99. 棚橋通雄

    政府参考人棚橋通雄君) お答えいたします。  我が国の人口が減少下にあるということを踏まえまして、水需要が横ばいになっております。それから一方では、気象変動等によりまして、水供給、水利用の安定性が非常に低下しているということで、全般的に水資源基本計画の見直しを進めておるところでございます。平成十四年から着手いたしまして、吉野川、木曽川、筑後川、豊川については既に改定を終わったところでございます。  お尋ねの利根川・荒川のフルプランにつきましても、現在こうした視点から、いかに安定的に水を供給していくかという視点からの見直しを進めておるところでございまして、現在、水需要の見通し等につきまして関係都県と調整するなど、関係者との調整や合意形成に努めておるところでございます。平成十九年度の中ごろまでには改定を終えたいということで、現在鋭意進めておるところでございます。  以上でございます。
  100. 谷合正明

    ○谷合正明君 そろそろ時間がなくなってまいりましたので、大臣に水という資源そのものについて認識を伺いたいんですが、今、気候変動という、温暖化という話が出ております。  例えば、降水量も、局地的に降ったりとか集中豪雨が多くなったりとか、これまでの水資源開発施設が本来の機能を発揮できないことも多くなってきているということも指摘されております。そういうことを考えると、新たな水資源対策も講じつつ水需給の安全度を上げていく努力が求められると。地球温暖化に伴う気候変動が水資源に与える影響については、今後やはり二十一世紀は真摯に真剣に検討する必要があるんだろうと思います。  水資源といいますと通常は淡水を想定して考えるわけでありますが、地球上の水の三%が淡水であると、九七%は海水だと。淡水のうち八割が氷であると、南極、北極。残りの二割が地下水であると。河川水というのは、淡水のうちの〇・〇〇四%にしかないということでございまして、世界水フォーラムではかつて、二十一世紀は石油をめぐる争いから水をめぐる争いになるだろうと言われておりました。  我が国の水戦略ということを考えたときに、大きく農業用水は農林水産省、あるいは工業用水であれば経産省、生活用水であれば厚生労働省と所轄がありますけれども、水資源全体の調整というのは国土交通省でございます。我が国の水戦略の取りまとめを是非していただきたいと思うんですが、大臣のこの水資源についての考えを是非伺いたい、最後に伺いたいと思います。
  101. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 確かに水の確保ということが我々の命の確保にも通ずる重大な問題であります。  そういう意味で、近年の気象変動というのは物すごいものでして、私も、川内川、鹿児島ですね、はんらんをしまして、その激甚の現場を視察させてもらいましたけれども、何と五日間ですけれども、観測十か所で五日間に千二百ミリを超える降水が、梅雨前線集中豪雨と言われましたけれども、それじゃもうもたないですよね。そういうことがあるかと思えば、平均すれば、日本の年間降雨量は過去百年間、百年確率で見た場合に約百ミリ減少しているということもあるわけです。したがって、ぶわっと降るかと思ったら降らないと、雪も、どかっと去年、おととしは降ったかと思うと今年は降らない、これは本当に異常だと思います。  したがいまして、近年の降雨状況等による流況の変化を踏まえた上で安定的な水の利用を可能とするような水資源開発施設の整備を推進しなければならないというふうに思っているところでございます。  地球温暖化に伴う水資源への影響を具体的に予測、把握するとともに、水資源の安定性を確保するため、必要なダム等の建設を進めるほか、ダム、ダム群の連携、ダムとダムとで多くたまるところと少なくなるところを、多いところから少ないところへ近隣のところから流し込むというような連携など、既存しているストックの有効活用等の検討も行いまして、安全で安心な水資源の確保を図らなければならないと、このように思っております。
  102. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  私は、質問に入る前に、午前中にも議論がございました高知空港で起こりましたボンバルディア機の事故の問題でございますけれども、改めて私も大臣原因究明再発防止対策に力を入れていただきたいということを求めたいと思います。同時に、田村委員、そしてまた羽田委員からも御提起がございましたけれども、こうした問題について本委員会でも集中審議を行うこと、私も賛同するものであることを表明したいと思います。  では、今日は住宅の問題で質問をさせていただきます。  昨年六月に制定をされました住生活基本法に基づきまして、秋に全国計画が決定をされました。そして、その前文に、住生活において憲法二十五条の趣旨が具体化されるようにと明記をされました。この文面といいますのは、そもそも住生活基本法の法文の中にはありませんでして、また全国計画の案の段階でもなかったというふうに私は理解をしております。それを改めて憲法二十五条の趣旨が具体化されるようというふうに明記をされることは大変賛同するところでございますけれども、この明記をされた趣旨についてお伺いをいたします。大臣お願いします。
  103. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) すべて国民は健康で文化的な生活を営む権利を有するということでございますから、その人が低額の所得しかないという方であっても、良質で快適な住居にお住まいになれるように国家としては頑張っていくということをうたったものでございます。
  104. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、実際にどういう状況かということを一つ事例を申し上げたいというふうに思います。国民の住宅保障がどうなっているかということですね。  群馬県前橋市で起こったことでございますけれども、六十代の御夫婦が公営住宅の家賃を滞納、そのことを理由にしまして強制退去させられました。そして、ホームレス生活を強いられたわけでございます。御夫婦は養豚関係の仕事に従事をされておられまして、それで倒産で失業、ここ数年でいきますと空き缶集めなどで月二万円の収入で、家賃は払いたくても払えなかったんだということでございます。そして、吹きさらしの土手のところでホームレス生活を強いられると。犬の散歩をされていた方々に発見されたということでございますけれども。  そもそも公営住宅といいますのは、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸云々というふうにあるかと思います。正に私は、公営住宅といいますのは、国民の皆さんのお住まいの最後のセーフティーネットだというふうに思うんですけど、そこから追い出されていくと、こういうことがあってはほんまに良くないと私は思いますけど、大臣はこういうことが許されるとお思いになられるでしょうか。
  105. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 保障しているのは、特定の個人に対して保障しているわけじゃなしに、すべての国民に、いわゆる低額所得の人もあれば、あるいは高齢の方、あるいは身体に障害がある方、あるいはドメスティック・バイオレンスで夫からの暴力に耐えかねて家を出た方というような人たち、特にその人たちが住居を求めるのに対して、特別の配慮を必要とするような世帯の人たちにやっぱり優先して入ってもらわなきゃならないわけです。先に入ったらこれはもう永久に出ていかないということになると、これは困るわけでございます。  そういう方々に、例えば公営住宅の競争率でございますが、東京都では、都下では実に二十八・五倍の競争率で、全国では九・七倍ということで、本当に我々が見て入ってもらわなきゃならない人がそんなにたくさんいるのに、限りある部屋を求めて抽せんでやるわけですから、これ約三十倍、三十年も待っておれないわけでして、そういう中でです、そういう中で、今おっしゃった方は、事由はいろいろありますが、二十五か月家賃を滞納されたら、これはやはり出ていってもらわなければならないという事例ではないでしょうか。ちなみに、これは裁判を、裁判所へ訴えられても、判決はこれは退去を命ずるだろうと、私はその事案だろうと思います。
  106. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、大臣は今特別な配慮を必要とする方々に入居をしてもらわなくてはならないというふうにおっしゃいました。この方々も決して二十五か月払えるのに払えなかったという問題ではないというふうに思うわけです。  改めてお伺いしたいと思いますけれども、これは国交省にお聞きをします。全国の公営住宅の家賃滞納世帯、滞納戸数といいますかね、戸数、そしてまた、そのうち退去された方々というのはどれほどいらっしゃるか教えていただけますか。
  107. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) お答え申し上げます。  公営住宅の家賃滞納世帯数でございますけれども平成十六年度でございますが、約三十万二千戸となっております。ちなみに、平成十二年度は約二十六万一千戸ということでございます。  それから、家賃の滞納の世帯数のうち、ちょっと強制退去された世帯数については私どもで今現在把握をいたしておりません。
  108. 小林美恵子

    小林美恵子君 今御説明いただきました全国の家賃滞納者戸数といいますか、その数値といいますのは、お手元に配付をさせていただきました資料に掲載をしておりますので、ごらんください。  いずれにしましても、御答弁いただきましたように、二〇〇〇年から二〇〇四年度を比べますと、滞納戸数というのは増加をしているということが明らかに分かるかと思います。  ちなみに、その下段は大阪府の府営住宅の家賃滞納戸数でございます。これでいきますと、二〇〇〇年一万一千六百八十九戸から、二〇〇四年一万三千六百十六戸となっております。  先ほど、このことで退去されたデータは取っていないということでございましたけれども、私は、やっぱりそのことをきちっと把握する必要があるんだというふうに思うんです。大阪の場合でいきますと、退去者滞納というのがございまして、それでいきますと、〇一年度は三千四百二十三件、そして〇四年四千四百十六件、〇五年四千五百五十八件と増加をしています。つまり、滞納者は増えているわけですね。それによる退去者も増えていると私は察します。  そこで、大臣に改めてお伺いしたいんですけれども、こういう滞納者が増加をされている、こういうことについてどのように認識をされているでしょうか。
  109. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) いろいろとあると思うんですけれども、憲法二十五条は、住居だけではなしに、その生活全般についても健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障しているわけですから、もし、どうしても払えないから払わなかったんだとおっしゃるんであれば、それは別の方法があるんじゃないでしょうか、社会福祉という。これは生活保護を申請をして、そしてその要件に合致すれば生活保護費が出る以外に住居費まで支給される、それがいいかどうかは別として、医療費も出ます。そういう保障が我が国では行われているわけ、これはあまねく。  したがいまして、公団住宅に入って、これ毎月請求に行っているんですよ、それで二十五か月払わない人が、なおやっぱりおる権利があるんだと言われましても、それを、入れてほしいということを待っている人がその背景には少なくとも全国平均で九・七倍いられるということを考えれば、それはやはり空けていただいて、次の待ってられる方に入っていただくというのが公平じゃないか。我々、住宅事業者に対してはそのように申し上げざるを得ないわけです。  したがいまして、生活保護を受け、そしてそれによって払っていただくというのが筋じゃないかというふうに思います。
  110. 小林美恵子

    小林美恵子君 今大臣は生活保護のそういう道もあるというお話がございましたけれども、私は、払いたくても払えないという滞納者がいらっしゃる中で、そういう方々にいっときたりとも住まいをやっぱり奪うことがないようにすべきではないかというふうに思うんです。  それで、八九年の十一月二十一日の公営住宅の管理の適正な執行についてと題しています旧建設省の住宅局長の通知がございました。それを拝見しますと、大臣がおっしゃったようなことも当然含まれているんだと思いますけれども、家賃を支払えない状況にある者に対しては、家賃の減免などの措置を講ずることなどにより、入居者の支払能力に応じて負担の軽減を図るようにすること。この場合、民生部局との連携を十分に取ることとあります。  私は改めて、この前橋の場合はこのことが本当に徹底されていたのかというふうに思うんです。それは前橋だけではございません。改めてこの趣旨の更なる周知徹底、そしてまた自治体が入居者に対して家賃額の算定結果を通知する際に、減免制度の生活の対象となるような方につきましては、そういうことがあるということを、やはり滞納者へ手厚い対策が必要だと思うんです。そういうことが必要だと思うんですけど、大臣、いかがですか。
  111. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 全くおっしゃるとおりでして、毎月請求に行って払ってもらえないときには、その減免の理由があるかどうかとか、あるいは先ほど言った生活保護という措置もありますとか、それはずっと通告、私、見てないけれども、通告しているという報告を受けております。それに応じてもらえずに、本当に二十か月、二十五か月ということになりますと、これはやっぱり裁判を起こして退去していただくと、強制執行によって退去していただくというところまで来るわけです。これは物すごい手数掛かるんです。そんなことはこちらとしても、事業者、地方公共団体としてもしたくないわけです、実際問題。  ですから、減免できるものは減免これはしますと、ですから申請をしてくださいということはきっちりやっているはずなんですよ、はずと言ったら申し訳ないけれども。そうしていただければもう来月から行かなくてもいいわけですから。ですから、そこのところは小林委員においても十分その方に事案を聞いていただいて、やはりその方がそういうことを受けるのは潔くなかったとおっしゃるんであれば、これはやっぱり退去せざるを得なかった事案じゃないかと私は思うんですけれども
  112. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、前橋の例は一例として申し上げたものでございますけれども、こういう家賃滞納者に対する手厚い対策というのはやはり改めてしっかりと徹底すべきだということを改めて申し上げたいと思いますけど、大臣、よろしいですか。
  113. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) はい、結構でございます。
  114. 小林美恵子

    小林美恵子君 さらに、こうした家賃滞納が増加している中で、昨年八月にパブリックコメントを行った公営住宅法施行令の一部改定案がございます。これを実施となるとどうなるかということで、二枚目の資料に全国公営住宅協議会の資料から試算したものを掲載をいたしました。  それをごらんいただきますと、応能による算定に加えて応益係数が掛かっていきますけれども、例えば第一分位、現行政令月収十二万三千円までの場合、基本家賃が係数をいろいろ掛けていきますと今二万八千円ですね。変更となりますと、月収十万四千円で基本家賃が約三万八百円、そしてまた十万四千一円から十二万三千円の第二分位となる基本家賃は三万五千五百円に、こういう試算が出ています。つまり、引き上がるということです。  これでいきますと、私は、ますます家賃が引き上がって滞納者が増えると、そのことによって退去者が増えていくということになるんじゃないかというふうに思うんですけど、この点、大臣はいかがでしょうか。
  115. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 残念ですけれども、そういう結果が起こる可能性は強いと思いますね。  それは、公営住宅の目的を最初おっしゃいましたけれども、本当に真に住居に困っていられる低額所得者等、いわゆるそれに配慮を要する人たちがあまねく平等に入っていただくということになりますと、あるいは所得がある程度上がった人が中に入っているということになりますと、これはやっぱりもっと困っている人がいられるわけですから、そういう人たちに入ってもらわなきゃならないということは国民が理解していただけるだろうと私は思うわけでございます。  ただ、そんな単純な問題ではないとは思います、たくさんの方が滞納してられるわけですから、先ほどの資料でも。ですから、ここのところは十分配慮をしながら、しかしながらこのまま放置することもできないという状況であることは理解いただきたいと思います。
  116. 小林美恵子

    小林美恵子君 私、もう一つ申し上げたいんですけれども、一部改定案でいきますと、入居者の収入基準を二十万円から十五万八千円に下げることになります。そのことによって収入超過者は増えますので、そしてまたその方々は市場並み家賃にどんどん引き上げられていくと、こういうサイクルですよね。入居者の収入が増えるわけではありませんけれども、そういう仕組みにされていく。  そうしますと、大臣はほかに入居しなければならない方がいらっしゃるからというふうにおっしゃるんですけれども、そういうふうにおっしゃいますけれども、結局、そうしますと公営住宅の入居者を入口で狭めてしまいまして、収入基準を下げて、そしてその家賃も引き上げていって、結局入居者を追い出していくと。私は、これが憲法二十五条の具体化というのにはなかなか合致はできないと思うんですけれども、そこ、大臣どうですか。
  117. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 限りある予算ですし、その公営住宅の場合は都道府県がやられるわけでございます。これ以上箱物は造れないというようなところがありまして、非常に公営住宅の建設戸数が絞られ、そしてその中に入りたい人が増え、激烈な競争になってしまうわけです。  そこで我々は、真に、例えば高齢の方とか障害の方とか子育て中のお母さんと子供さんとか、そういう人たちに特に配慮しなきゃならないという場合に、じゃもう足らないのをどうするのかというところから、民間の賃貸住宅をやっている事業者の方にこういう人たちを入れていただくという目的でもっと賃貸住宅を建てていただこうと、そうすることによって私どもはその方々にその建築費の、国だけではありませんけれども、地方も入れて約二〇%は補助をしようという地域優良賃貸住宅制度というものを考案をいたしました。そして、その賃料も払いにくいと、金額がですね、という方に対しては、一か月四万円を上限としますけれども、家賃補助制度も考えております。  そういうことで、いろいろの手は尽くすんですけれども、いったん入られると、もう一つの問題もありますね。賃貸名義人が亡くなるというときに、じゃ相続人がそこへ入れるのかという問題があるわけです、同居していた親族が入れるのかという問題。従来は親族だったら入れるようなことになっていました。親族といったら民法によれば六親等内ですから、もう恐らく見たことのないような上下の人たちまで含んで、同居しておれば入れるということがなっておったんですけれども、これでは待っている人に対してどうにもならないだろう。  そうすると、三十年以上入っている、公営住宅にですね、そういう人が三割もあるんですね。ですから、これは改めなきゃならないだろうということで基準の見直しをやっていますが、その一連の中で、小林議員が言われるように、入っておられる方が出ていただかなければならない部分が生ずることは事実でありますが、そういう方々が困らないように、我々はそういうことも、地域優良賃貸住宅制度とかそういうものも考えている、実際にやろうとしているところでございます。
  118. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、そういう施策も是非大いにやっていただきたいと思いますけれども、しかし、公営住宅にかかわりますと、例えば月収二十万円以下の人が入居できるような公営住宅の供給がされないことこそ私は問題だと思うんです。大臣は予算に限りがあるとおっしゃいました。ならば、やっぱりその予算をしっかりと取るべきだというふうに思うんです。それが大臣のお務めではないかというふうに思うんです。  さっきもおっしゃられていました。都営住宅の応募者数のことをおっしゃっていました。東京都では二十八・五倍です。その二十八・五倍、応募者数が〇四年で全国的にいきますと九十八万七千十五人いらっしゃいました。倍率は同年度で全国平均九・七倍です。東京都二十八・五倍、大阪は十三・二倍ですけれども、昨年、私、本委員会で四百五十一倍のときもありますという紹介をしました、大阪の場合ですね。  一方、策定中の公営住宅の供給戸数を見ますと、素案段階で見ますと、大阪府は十か年で十二万六千戸の目標で応募者比でいきますと九八・九%です。東京は十一万三千戸の目標で〇四年度応募者比四六・一%です。既に大臣が同意されました神奈川県でいきますと、五万六千二百八十七戸の目標で〇四年度応募者数比でいくと七八%で、いずれも供給目標は応募者比に比べてもミスマッチというか低いんですよね。私は、その供給目標の中にも建て替えがあって、新たに入居できるという方は限られてきますよね。それは、やっぱり応募者数にこたえるものではないと、国民の住生活を保障するものではないというふうに思います。  改めて、このままでいきますと国民の住生活を保障することにはなかなかならないというふうに思いますので、私は、再度施行令一部改定案のですね、これを昨年一年間延期というふうに聞いてもおりますけれども、一年間延期にとどめないで、それ自身はしっかりと撤回をしていただきたいし、供給目標もしっかりと国民のニーズに合うように確保していただきたいということを改めて申し上げて、大臣の決意をお聞きして、質問を終わります。
  119. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) もう気前のいい答弁したいんですけれども、なかなかこれは難しい、難しいんですね。しかし、委員のそのような非常に根拠を示しての御要望がありますので、前向きに検討させていただきます。
  120. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  航空機事故問題については、当委員会でも別の機会で集中審議をやるということでございますので本日は省きまして、私は安全問題について、特にバスの安全を重点的に質問をしたいと思っております。  まず初めに、二月の十八日の早朝、大阪府吹田市において発生をしましたスキーバス事故、アルバイト誘導員が亡くなり、運転手を含む多数の方々が重傷を負いました。亡くなられた誘導員の方には御冥福をお祈りしますと同時に、負傷された方には一日も早い回復をお祈りする次第でございます。  事故原因についてはそれぞれの機関において究明中だと思いますが、この間報道されました事故車両の運転手や会社代表の発言を見ていますと、労働時間、労務管理、運行管理に問題があったように思われます。  そこでお伺いをいたしますが、バス労働者の労働時間について、厚生労働省から自動車運転者の労働時間等の改善のための基準というのが告示されていますが、これはどのようなものでございましょうか。他の業種にこのようなものがあるかどうか、お教え願いたいと思います。  また、昨年の三月十七日に、過重労働による健康障害を防止するため事業が講ずべき処置が示されていますが、これはどのような内容なものでありますか。また、どのような趣旨で出されたのか、お伺いをいたします。
  121. 森山寛

    政府参考人森山寛君) お答えを申し上げます。  先生御指摘の改善基準告示でございますけれども、これは長時間労働の実態が見られる自動車運転手につきまして、その乗務の特性を踏まえながら関係労使の方々で御議論いただきまして、平成元年に告示をされたものでございます。  その内容でございますけれども、労働時間と休憩時間の合計である拘束時間、これは一日あるいは一定期間における限度、それからまた勤務と次の勤務との間の最低限確保すべき休息時間の長さ、それから運転時間の限度などを規定したものでございます。  それからまた、過重労働通達でございますけれども、これは近年の医学的知見を踏まえまして、長時間にわたる過重労働を排除し、労働者の健康管理に係る措置を適切に実施することが重要であることから、事業主が講ずべき措置といたしまして、時間外あるいは休日労働時間の削減、長時間の時間外休日労働を行った労働者に対する医師による面接指導の実施など労働者の健康管理に係る措置の徹底等を定めているものでございます。  なお、先ほどの拘束時間につきましては、ほかの業種においてこのような形で特別な取扱いをしているものはございません。
  122. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいま御説明がありました通達は、時間外労働、休日労働が一か月当たり百時間を超える労働者又は二ないし六か月の平均で一か月当たり八十時間を超える労働者の疲労蓄積による健康障害を起こす可能性が高いということでありまして、一般的には過労死ラインと言われているものです。これは、あくまで週四十時間、一日八時間労働の上に立って出されたものでありまして、自動車運転者の改善基準の一週拘束六十五時間、一日拘束十三時間を基本にして出されたものではないということであります。  ですから、バス運転手の労働時間を八時間労働に引き直しますと、毎日四時間の時間外労働をしているということになります。二十日労働で八十時間ですから、正に過労死ラインの危険水域に入っていると言えます。さらに、改善基準告示では、労使協定をすれば、最大拘束十六時間、四週平均して一週七十一・五時間の拘束時間を認めますとなっております。一週七十一・五時間ですから、月にしますと百六時間の時間外労働になり、これを通常勤務として行っているのであります。これでは健康が損なわれても不思議ではないという状態にあります。  さきの衝突事故を起こしました運転手が、一日の睡眠時間は五時間ぐらいで、二月の休みは一日だけだったと供述をしているようですが、バス労働者の労働実態を如実に表していると言えます。  また、国土交通省の自動車事故報告書規則に基づくバスの健康起因による事故調査では、〇一年から〇六年の六年間で八十二件もの交通事故発生をしています。症状別では、心筋梗塞、クモ膜下出血、心不全の順で多く、八十二件の大半で運転手が死亡しているというのが実態でありまして、自動車局の安全監査室では、八十二件について、通常勤務をしていても突然死する事例もあり、過重な労働が起因の一つと言えるとも話されておりますし、このようなバス労働者の実態について大臣はどのような認識をされているのか、これで本当にバス運行の安全が保たれるというふうに思われているのかどうか、また安全運行が確保されると思われているかどうか、御認識をお伺いいたします。
  123. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私も、一昨日になりますが、三月十三日、バスツアーの実況、実施状況等を把握するために、全国で一斉にやれという質問もありましたので、これをやろうじゃないかということで早速にやりまして、全国十三か所の都市で百二十人の検査官を動員しまして行いました。東京では新宿駅西口での状況を十時五十五分ごろから三十分間ぐらいですね、見せていただいたわけでございます。既に十時ごろから検査を検査官はしていられたわけですけれども、その一部を視察をさせていただきました。  その結果はまた報告できると思うんですけれどもお尋ねのどういう認識しているかというあれで、平成十七年のバス事業における運転者の年間労働時間は二千四百八十四時間に上っていると認識をいたしております。こうした中、貸切りバス事業者については、平成十六年度には六百十五事業者に対して監査を実施いたしましたところ、三十六件の過労防止違反を、平成十七年には四百九十四事業者に対して監査を実施し、五十件の過労防止違反を確認したところでございます。  こうした事業者については、安全最優先という意識が欠落しているため、長時間運転や長時間労働という事実が認められたものと考えておりますので、国土交通省としましては、過労運転の防止は輸送の安全の確保のために極めて重要と考えており、今後とも自動車運送事業者に対する監査の徹底及び行政処分の厳格な適用を通じて、労働基準監督署と連携しつつ、労働時間等に係る基準の遵守を徹底していかなければならない、このように考えております。
  124. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今大臣の御報告もありましたように、実態がお分かりになったと思うんですが、改善基準そのものが自動車運転手の長時間労働を固定化させるものでありまして、健康破壊を招くものであります。安全を損なうおそれが十分にある基準だと私は思います。  したがいまして、改善基準告示は関係労使の合意形成を図って定めているからよいという考え方ではなくて、やはり厚労省自らが率先をして、このような長時間労働をなくすということが大事ではないかと思うんですが、厚労省としてのこういう長時間労働に対する告示について見直しをして安全確保を図っていただきたいと思うんでありますが、その点いかがでございましょうか。
  125. 森山寛

    政府参考人森山寛君) お答え申し上げます。  委員今御指摘いただきましたように、この改善告示では、一日の拘束時間が原則十三時間以内とする、あるいは休息時間を八時間以上とするというふうに決めておりまして、大変残念なことに、十七年に私ども監督署がこの違反等について監督をいたしました結果、労働基準法令の違反が七二%に上る、あるいはまた改善基準の告示違反が五九・三%に上るということで、まだまだこういう改善告示が守られていないという状況であるわけでございまして、私ども、まずこの告示の遵守の徹底を図っていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。  今後とも、国土交通省と連携しつつ、この監督指導の実施について努めてまいりたいということを考えているところでございます。
  126. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 そのような長時間労働の実態ですから、厚労省ひとつよろしく、国土交通省も連携をしてやるということでございますので、やはり事故はあると思いますよ、だけど、やはり事故をなくすための努力を日々どうするかと、その背景というものもやはりきちっと直していかなきゃいけぬと思いますね。  厚労省の方、ありがとうございました。これで結構でございます。  次に、私は先日七十歳になりましたので、免許証の更新に行きましたら、講習を受けることになりました。そこで教官からの説明を受けまして、高速道路の安全運転という項目がございまして、高速道路を利用する場合は少なくとも一時間三十分から二時間に一回休憩を取るのがよいと、こういうふうに指導されているわけですよね。さらに、少しでも疲れたと感じたらすぐ休めと、それが安全運転のもとになると、眠くなったときもそうだと、こんなように書かれておりまして、なるほどいいことを言うておるなと。  しかし、現場で働いておるのはちょっと違うなと思いながら、バスの運転手の場合はそういうわけにいかないわけですね。やはり連続運転時間が四時間を超えなければ、疲労等により安全運転を継続することができないおそれとなっておりまして、中にはこれは間違いではないかと思うんでありますが、バス運転手は機械じゃないわけですよ。だから、人間がやっていることですから、全体にそういう指導をされるなら、そこで働いている人たちもそういう基準に合わせるべきではないかというふうに私は思うんですが、過労運転を防止しようとするのであれば、改善基準告示を最低の基準として勤務時間、乗務時間の定めを行うとともに、一日の乗務最高キロを規制をしてはどうかと、このようにまた指導すべきではないかと思うんでありますが、その点いかがでございましょうか。
  127. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先生今御指摘いただいたように、私ども今、時間の法定規制をやっているわけでございます。先ほど厚生労働省からもお話ありましたとおり、私どもの方の監査でも、やっぱりこの時間自体が必ずしも守られていないという今の実態でございますので、取りあえずは、この今の基準をきっちり守らすことに全力を挙げていきたいと、このように思っております。  御提案の最高距離規制の導入については、御提案として受け止めさせていただきたいと思います。
  128. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほど大臣は、三月の十三日、新宿に調査を行かれたと思います。大変御苦労さんでございました。実態を見てびっくりされたと思いますが、逆にそれほど利用者もまたいるわけですね。ですから、その点は既存の業者も反省しなきゃならないと私は思います。  こういう労働実態の中で横行しているのが高速バスに類似した行為ではないかと、それが行われている。だから、それはちょっと危ないなと思って大臣調査に行く、全国一斉調査をされたのではないかと思います。しかも、経由地においても乗降の取扱いも行っておりますし、バスツアーもありますし、バス事業者が運行している高速バスと何ら変わりはない運行が、インターネットによってツアーバス募集では高速バスと銘打っているわけですよ。これは私はやはり企画商品に名をかりた高速バスの類似行為ではないかと、最近のはやり言葉で言えば偽装高速バスではないかというふうに実は思うわけですが。  とりわけ自動車交通局長は、衆議院において我が党の同僚の議員の質問に対して、正規な貸切り契約に基づいて運行されているものについては道路運送上適法と答弁されていましたが、この正規とはどのような内容のことを言うのでありましょうか、お教え願いたい。  また、ツアーバスにいたしましてもスキーバスにいたしましても、バス事業者は旅行業者との契約に基づいて運行しており、バス事業自前というところはそんなに多くはありません。しかし、バス事業者の数は規制緩和以降一・六倍に増加をしておりまして、その多くはやはり十両未満の小規模事業者というのが実態でありまして、一方、業界全体の営業収入は一・一六%も減少しているというのが実態でございます。正に限られたパイを事業者同士で分け合っているというのが実態ではないかと思います。  事故を起こした会社の代表が、運転手は確保できない、ゆとりがないのに受けてしまった、それから業界の競争が激しく今後の取引を意識をしてしまったと話されておりますように、無理してやはり契約して運行しているというのが実態なんで、私はやはり、貸切りバスの運行責任については、バス事業者のみならず、契約先である旅行業者にも責任の一端があってしかるべきではないかと思うんですが、その連帯責任を持つ必要があると思うんでありますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  129. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 私の方から、正規な貸切り契約は何かということについて御答弁さしていただきます。  貸切りバス事業、道路運送法上は、一個の契約により乗車定員十一人以上の自動車を貸し切って旅客を運送する事業と定義されております。  ツアーバスでございますけれども、旅行業者と貸切りバス事業者の間で一個の運送契約が締結され、それに基づく運賃が収受されているということが正規の貸切り契約の意味だと、こういうふうに解釈しております。
  130. 柴田耕介

    政府参考人柴田耕介君) 旅行業者の責任についても御質問がございました。  旅行会社が募集型の企画旅行として実施する移動以外の目的を伴わないいわゆる二地点間のツアーバスにつきましては、旅行業者は旅行者との間におきまして旅行契約に基づきます責任を負うことになります。この点につきまして、募集型企画旅行における旅行者に対する旅行業者の責任につきましては、標準旅行業約款で、旅行業者等の故意又は過失により旅行者に損害を与えたときは、その損害の賠償をする責務に応じると、さらに、特別補償といたしまして、旅行会社の故意、過失を問わず、旅行中にその生命、身体又は手荷物の上に被った一定の損害については、あらかじめ定める額の補償金及び見舞金を支払うということになってございまして、死亡された場合には一千五百万円というのがこの特別補償の内容でございます。  ただ、いわゆる安全保障、安全運行についての責任という意味では、これはバス会社の方にあると思いますが、旅行会社につきましても、旅行者保護の観点から、きちっとした免許を持たれた貸切り事業者を使いますとか、無理強いするとかそういうことは適切ではないということで通達を出したりしておるところでございます。
  131. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 これは少し私どもも研究さしてもらいたいと思うんですが、省側も研究しておいていただきたいと、このように思います。  旅行業者とバス事業者との力関係については以前から言われておりましたが、過当競争が旅行業者の買手市場となっていることが今回の事故を通して明らかになったと思います。多くの旅行業者が優先的な地位を濫用しているとは思いませんけれども、優先的地位を利用しての契約方法というのは独禁法に抵触するのではないかと思うんですが、その点、いかがでございましょうか。
  132. 舟橋和幸

    政府参考人舟橋和幸君) お答え申し上げます。  優越的地位の濫用ということがございましたが、これは独禁法十九条に違反する行為でございまして、そういう行為があれば私どもは排除措置を命ずると、そういうことになります。  ただ、優越的地位の濫用ということになりますと、まず、そもそも優越的地位にあるかどうかの認定、それから、そういった地位の濫用であるか、この二つが立証されないといけないわけでございますけれども、まず、最初の優越した地位にあるかどうか、これ個別ケースで随分違いますけれども、一般論として申し上げれば、委託者からの取引が切られてしまうと、そうすると経営上非常に困ると、そういうことが背景になって、こちらにとってみると著しく不利益な要請であっても断ることができないと、そういった場合であれば取引上優越した地位にあるということになると思いますが、そのような場合に、先生御指摘の旅行業者とバス事業者の関係においてそういうことが成立するかどうか、濫用と言えるかどうか。それは、著しく低い対価での取引を要請して、正常な商慣習に照らして不当に不利益をもたらしているかどうか、その辺りの認定が必要になってくると思いますけれども、そういう認定ができる際には、独禁法違反の行為であるということで問題になってくると、そういうふうに考えております。
  133. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後質問になりますけど、質問通告したやつは二つほど飛ばして、最後大臣に、今の実態をお分かりになった上で、やっぱり安全問題に対して、規制緩和はよろしいと、それを元に戻せなんて言いませんよ。しかし、やはり人命を預かる交通機関としての運行の在り方の問題は、とりわけ安全問題に対して、再規制等、元に戻せなんとは言いませんが、ここは改めてもう一回考えるべき事柄じゃないかと思うんですが、どうかということを質問をして、終わります。どうぞ。
  134. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) あずみ野バスという衝撃的な、亡くなった方はお一人ですけれども、この方の御冥福を祈りますが、本当にその余の乗客の方も多くけがをされた事件で、こういう規制緩和の結果出てきたような業態だろうと思います。  したがいまして、私どもは、事後規制として、今まで、例えば運行管理者試験制度を導入するとか、あるいは新規参入事業者に対しては参入六か月以内に監査を実施するとか、長期間監査を実施していない旅客自動車運送者に対しては巡回監査を実施するとか、先ほどもちょっと述べましたけれども、過労運転とか酒気帯び運転というような悪質違反に対しては事業者に対する行政処分を厳格化するとか、それから運輸安全マネジメント制度を導入するとか、また、今国会、タクシーについてはこれを規制する法案を提出さしていただいておりますけれども、そのように、気が付いたところは、乗客の安全という観点から、社会規制だと思うんですね。ですから、そういう面はきっちりやっていかなきゃならないなというふうに思います。その上で、見直すかどうかはもう一度省内で検討をしてもらいます。
  135. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 よろしくお願いしておきます。  終わります。
  136. 大江康弘

    委員長大江康弘君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時四十九分散会