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2007-05-14 第166回国会 参議院 行政監視委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年五月十四日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十二日     辞任         補欠選任      林 久美子君     鈴木  寛君  四月十三日     辞任         補欠選任      松下 新平君     松井 孝治君  四月十六日     辞任         補欠選任      松井 孝治君     松下 新平君  四月二十六日     辞任         補欠選任      松下 新平君     松井 孝治君  四月二十七日     辞任         補欠選任      松井 孝治君     松下 新平君  五月十四日     辞任         補欠選任      橋本 聖子君     二之湯 智君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         草川 昭三君     理 事                 中原  爽君                 松岡  徹君                 風間  昶君                 渡辺 孝男君     委 員                 沓掛 哲男君                 小林  温君                 櫻井  新君                 中曽根弘文君                 二之湯 智君                 松田 岩夫君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 家西  悟君                 岡崎トミ子君                 木俣 佳丈君                 鈴木  寛君                 田名部匡省君                 千葉 景子君                 松下 新平君                 吉川 春子君                 近藤 正道君                 亀井 郁夫君    国務大臣        総務大臣     菅  義偉君        文部科学大臣   伊吹 文明君        厚生労働大臣   柳澤 伯夫君        国務大臣     渡辺 喜美君    副大臣        農林水産大臣  国井 正幸君    大臣政務官        法務大臣政務官  奥野 信亮君        外務大臣政務官  浜田 昌良君        財務大臣政務官  椎名 一保君        厚生労働大臣政        務官       菅原 一秀君        経済産業大臣政        務官       松山 政司君    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   高橋 利文君    事務局側        常任委員会専門        員        西澤 利夫君    法制局側        法制局長     大島 稔彦君    政府参考人        人事院事務総局        人材局長     鈴木 明裕君        総務省自治行政        局公務員部長   上田 紘士君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        財務大臣官房審        議官       坂口 勝一君        文部科学省初等        中等教育局長   銭谷 眞美君        文部科学省高等        教育局長     清水  潔君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        樋口 修資君        厚生労働省医政        局長       松谷有希雄君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        農林水産大臣官        房総括審議官   佐藤 正典君        農林水産省総合        食料局長     岡島 正明君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     広瀬 研吉君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政改革実施状況に関する件)  (行政評価等プログラムに関する件)     ─────────────
  2. 草川昭三

    委員長草川昭三君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る四月十二日、林久美子君が委員辞任され、その補欠として鈴木寛君が選任をされました。  また、本日、橋本聖子君が委員辞任され、その補欠として二之湯智君が選任をされました。     ─────────────
  3. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、人事院事務総局人材局長鈴木明裕君外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査議題といたします。  行政改革実施状況に関する件について政府から説明を聴取いたします。渡辺国務大臣
  6. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 御説明に先立ち、初めにごあいさつを申し上げます。  行政システムを始めとする日本成功モデルは、二十一世紀の時代の大きな変化に付いていけなくなってきていることが明らかであります。こうした戦後レジームから脱却し、官から民へ、国から地方へとの考えの下、簡素で効率的な筋肉質の政府を実現することが重要であります。このため、政府はこれまでに行政改革重要方針、今後の行政改革方針閣議決定のほか、昨年五月に成立した行革推進法に基づき積極的に行政改革を推進してまいりました。  それでは、行政改革実施状況について御説明申し上げます。  改革事項法律閣議決定等に定められることにとどまることなく、それが着実に実施されることが重要であります。このため、政府は毎年度末、行政改革実施状況を取りまとめることとしており、平成十八年度については去る三月三十日に最新の行政改革実施状況を取りまとめたところであります。  今回は、まず行革推進法に定められた改革事項実施状況について重点的なフォローアップを行うとともに、行政改革重要方針及び今後の行政改革方針のうち、行革推進法には含まれていない改革事項実施状況についてもフォローアップを行いました。  具体的な内容につきましては、お手元の「行政改革実施状況について」をごらんいただければと思います。  例えば、政策金融改革については、今国会株式会社日本政策金融公庫法案を始めとした関連法案を提出し、現在御審議をいただいているところであります。  特別会計改革については、三十一の特別会計平成二十二年度までに十七に統合するなどの規定を盛り込んだ特別会計に関する法律が今国会で成立をいたしました。今後、法律で定めた手順に従い、特別会計統廃合等を着実に進めていくところであります。  総人件費改革については、国の行政機関の定員を五年間で五・七%以上純減させる計画を閣議決定し、省庁の垣根を越えた配置転換取組などを進めております。  国の資産及び債務に関する改革については、財務大臣が本年三月に具体的な工程表を取りまとめました。  公益法人制度改革については、明治二十九年の民法制定以来となる抜本的な制度改正を行い、本年四月に公益認定委員会が発足をいたしました。  このように、全体として改革が着実に進展している状況であります。  また、公務員制度改革については、二十一世紀にふさわしい行政システムを支える公務員像を実現する必要があります。このため、今回のフォローアップを行った後に、能力・実績主義の導入、各省による再就職あっせんの禁止及び官民人材交流センターの設置などを内容とする法律案を今国会に提出をいたしました。また、全体パッケージとしての公務員制度改革の議論も進めていくこととしております。  今後ともこうした取組を着実に推進し、行政改革を加速させてまいりたいと考えております。  説明は以上であります。  委員長を始め、理事委員皆様方の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
  7. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 以上で説明の聴取は終わりました。  既に説明を聴取いたしました行政評価等プログラムに関する件に加え、ただいま説明を聴取いたしました行政改革実施状況に関する件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  8. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございます。  今日は、これ午後でありますけれども、決算委員会行政監視委員会同時進行ということで、少しいろんな意味で難しいのかなと。同じ中身が決算委員会とダブった場合、ちょっと大臣が要請してても出てこれないという状況がありまして、今日は私も大臣要求しておりましたけれども、決算委員会の方に取られているということで、それはそれなりにお譲りはしておりますけれども、今後、日程的なものも考えてもらわなきゃいけないのかなと思っております。  まず、質問骨子でありますけれども、私は、参議院会議代表質問における請託、そういった職務権限のありやなしやというのが今回の私の質問骨子であります。  今年は新憲法発布以来六十年目の節目に当たっておりますが、この六十年間の間、現憲法国際環境及び社会状況変化に伴いまして、一部改憲論もある中で国民の中に定着して親しまれてきたことはもう皆さん御存じのとおりだと思います。私たち国会議員は、この憲法の精神に基づいて民意国政に反映させるべく自由濶達政治活動を行ってまいった、私もそのようなつもりでおります。  現憲法は、国家の主権国民にあるということを宣言して、日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し云々とあります。つまり、主権国民に存することを宣言をしておるのが現憲法であります。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民代表者がこれを行使する、その福祉は国民がこれを享受するものである、これは明確に宣言をされておるわけであります。我々は、これに反する一切の憲法法令及び詔勅を排除するとこれは定められておりまして、その中で、三権分立制度の中で、我々立法府国権最高機関である、このような認識であります。また、私たち国会議員政治活動は、議員発言表決の無責任条項の中で、憲法五十一条は、両院議員は、議院で行った演説討論又は表決について、院外責任は問われないと定められております。院内発言問責権利として認められているわけであります。  このように、国会議員には憲法五十一条の定めるところによりまして、院内発言については正当性が当然認められております。院内における演説討論などの政治活動についての発言及び表決は、これは刑事責任は問われないとすると、私はこのように理解しておるわけでありますけれども、今日お越しいただいた法務省関係者、そして参議院法制局にもお越しいただいておりますけれども、この私の見解について、今少し開陳させていただいたわけでありますけれども、所見並びに感想でもお聞かせいただけたらと思います。
  9. 奥野信亮

    大臣政務官奥野信亮君) 憲法解釈につきましてはお答えする立場にはございませんが、憲法第五十一条は、両議院議員は、議院で行った演説討論又は表決について、院外責任を問われない旨定めているものと私は承知しております。
  10. 山内俊夫

    山内俊夫君 憲法五十一条について、非常にあっさりとというか、当然そういう考えでありましょう。  あわせて、今度、法制局にもちょっと先にお答えいただきたい。
  11. 大島稔彦

    法制局長大島稔彦君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、憲法五十一条におきまして、「両議院議員は、議院行つた演説討論又は表決について、院外責任を問はれない。」、つまり民事上及び刑事上の責任を問われないものとされております。
  12. 山内俊夫

    山内俊夫君 分かりました。  五十一条についての見解、これはもうほとんど同じと理解をさせていただいておりますが、既に院内での委員会における発言代表質問の違いを少し私なりに解釈をしてみたんですけれども、過去の例から申し上げますと、院内での委員会における発言というものはこれ受託収賄対象になっているんですね、一部ね。近々には、確定していると言われればそうなんですけれども、私はまだ確定されていないんじゃないかと思うんですが、これは昭和四十二年に関谷勝利さんのこれ職務権限ありと認められて、贈賄側はこれは有罪判決を受けておりますが、収賄側は本人が亡くなったということもありまして、これは最終的にまだ結論が出ておらないんですね。これは職務権限に準ずるということで、準職務権限ということで処理されております。  これは厳密に議論すれば、私は、憲法五十一条に違反するのではないかというおそれはあるんですが、こういったことを言っている識者もおりますけれども、ここでは時間の制約もありまして、委員会職務権限については私は議論するつもりもありません。先ほど申し上げましたとおり、代表質問ということについてお伺いをしたいと思うわけであります。  まあ皆さんも御承知のとおり、これは各派それぞれ代表質問システム在り方というのは、私、当然違うと思います。代表質問とは、国会において開院式の後に内閣総理大臣施政方針演説又は所信説明について演説をいたしまして、国務大臣が外交、財政、経済に関し演説することがこれ通例となっておりますね。そして、その演説に対して各党の代表者質疑をする、これもまた通例であります。これは帝国議会以来ずっと引き継がれている慣習として行われております。  そして、この慣習参議院先例として確立されております。これはいろいろ、参議院先例録というのがありまして、その中で大体確立しておるわけなんですが、この政党代表者質疑演説を行うというのがこれは代表質問だと私は認識をしております。ですから、代表質問というのは国会議員個人として行うものではなくて、あくまで政党代表するものであると、私はそのような認識をいたしております。  それで、私の独断というわけにいきませんから、私、先般、四月の下旬に参議院全員にアンケートを出させていただきました。議員皆さんはお手元にお持ちになろうかと思いますけれども、その中で簡潔に私が申し上げておりますのは、憲法に定めている三権分立についてはどうでしょうか、賛成でしょうか反対でしょうかと。そして憲法五十一条に定めている国会議員院内発言問責、この国会議員に付与されている権利についてどうなんでしょうかと。こう聞きましたら、これはもう百人が百人ですね、実は一〇〇%、これは賛成であるし、そのように考えるということを回答されております。  そして三番目に、政党人としての政治活動司法の干渉を受けることについてはどうなんだと、こう私も質問をいたしました。中には一部、時と場合にもよるし、その具体的な例によっては多少違うかも分からないがという注釈が入っている方もあります。その分については、私はまあ反対じゃなくて賛成の方にカウントいたしましたけれども、九二・三%、これ国会議員反対であるねと。  そして、政党人政治活動について職務権限があると思うかということについてはないと思う、これは先ほどと同じような条件で私はカウントをあると思う方にして、でも八五%の方はこれは確実にないであろうと。  そして、参議院会議場における代表質問議員として請託、応諾の余地があると思うか、これも同じような条件でありますけれども、七七%の人がこれはないと思うと答えております。  そして、各政党が行う代表質問、これは私は自民党しか知りませんが、国民民意を反映したものと思いますか思いませんかと、これはもう与野党ともに思いますと、これは一〇〇%、全員がそのように答えておるわけです。  ですから、やはりこの憲法五十一条の問題というのは私は大変重いものがあるし、我々国会議員国会の議場において発言することについては不問責というものは当然あるものだろうと思っております。  そこで、こういった背景がありますけれども、これについて法務省関係者、今日は政務官がお越しになっておりますけれども、政務官法制局長も併せて御見解を述べていただきたいと思います。
  13. 奥野信亮

    大臣政務官奥野信亮君) 代表質問性格についてはお答えする立場にはございませんが、「国会事典」等の文献によりますと、国会冒頭に明らかにされた政府国政全般にわたる方針に対して、各派代表する議員質疑することを言いまして、質疑国会議員の権能の一つとされているものと承知しております。  以上であります。
  14. 大島稔彦

    法制局長大島稔彦君) 代表質問につきましては、その実際の運用上は、政党といいますか会派代表として質問されているというふうに承知しておりますけれども、国会法規上は、これはあくまでも国会議員の行う質疑ということで位置付けられていると理解しております。
  15. 山内俊夫

    山内俊夫君 それじゃ、参議院法制局長にちょっとお聞きしたいんですけれども、この代表質問に関する法令上の規定というのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  16. 大島稔彦

    法制局長大島稔彦君) 代表質問そのものについての規定国会法規見てみましてもございません。
  17. 山内俊夫

    山内俊夫君 それで、実はこれ二月、今年の二月になるんですが、前議長斎藤十朗先生所見というのが出ております。これごらんになったことございませんか。  この斎藤十朗参議院議長所見の中で、代表質問政府の基本的な政治姿勢政治方針に係るものであり、個別の具体的施策利害関係事項は取り上げないこと、そしてさらに代表質問政党代表して行うものであり、最終的には質問内容は党の意思決定機関の了解を、了承を得なければならない、このように述べております。ですから、斎藤十朗氏も、私の冒頭質問の中で、同じように、やはり委員会代表質問というのはおのずと性格が違いますよということを明確にこれ二ページにわたって述べているんですね。  ですから、憲法五十一条違反という項目について、斎藤さんはこのようにも申しております。両院議院議員は、議院で行った演説討論又は表決について、院外責任は問われないと規定すると、これは国会国権最高機関であり、国の唯一の立法機関であることから、これを構成する議員国会内での自由な発言を保障したものであると、これ明確に位置付けしてあるんですね。ですから、この斎藤議長所見というのは私は非常に重いものがあるような気がいたしております。  それと、皆様承知のように、憲法三十一条、法定手続の保障の条項には、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はそれにその他の刑罰を科せられないと、こういうものがありまして、これは罪刑法定主義という言い方をされておりますが、このように、実はこの行為処罰するのは法律の明文がされていないと駄目なんだよということなんですね。ですから、慣習によって行われているこの慣習については法律ではありません、当然のことだろうと思います。  ですから、憲法三十一条の罪刑法定主義から見てでも、この代表質問という発言行為法律が介入できるものでは私はない。それに比較して、委員会における発言行為国会法という法律で定められております行為でありますので、この点については本会議上における代表質問とは全く性質が違うものだということが明確に、斎藤十朗氏も答えておりますが、私もそのように理解をいたしております。  ですから、今のことを大体簡略にまとめますと、まず第一に、代表質問憲法三十一条の罪刑法定主義からすれば法律は介入できないということを私ははっきりと申し上げることができると思うし、第二に、代表質問は組織の総意によって行われるというものでありますから、発言内容には制約が入ります。ですから、個人の思惑はそれには余り介在しないと私は認識をしておるわけなんですね。  ですから、自民党立場で私がいろいろ調査をした関係では、これはかなりいろんな人たち代表質問に対する意見集約をしながら文案を作り、それを役員会で諮って行いますから、個人責任というものは明確に問われないと、これは私はそう考えております。ですから、自由な濶達な言論に対する制約というのは、これは憲法に定められている議会制民主主義及び政党政治の根幹を私ははっきり言って、言葉は悪いですが、冒涜するという行為じゃないかと思っております。  私たちは、国会議員は、国民の負託を受けた選良である、立法府独立性はだれにも妨げられることなく、私たちは、国会議員は、民意国政に反映させるために、その目的のために憲法五十一条は制定されているものだと私は考えております。  それで、質問は、代表質問質問内容はどのように決定されているかというのは各派各党違いますし、これは法制局長官に問い掛けても政務官に問い掛けても、これは答えられる部分じゃないかと思います。私自身は自民党のいろんな角度から調べ上げた結果、これは個人意思がそんなには反映されないよと。これはほかの党の方は知りません。ですから、この辺りについて御意見があれば、感想があれば述べていただけたらと思うんですが、政務官、いかがでしょうか。
  18. 奥野信亮

    大臣政務官奥野信亮君) 大変難しい質問でありますが、どんな質問で良ければいいんだと、こう言われましても答えるすべを持っておりませんが、一般論として申し上げれば、公務員がその職務に関して賄賂を収受等した場合に収賄罪というのは成立するものでありまして、職務行為全体自体が処罰対象とされているのではなくて、職務行為への対価として賄賂を収受する等の行為処罰対象とされているものというふうな理解をしておりますから、これで推し量っていただきたいと思いますが。
  19. 大島稔彦

    法制局長大島稔彦君) 代表質問質問内容決定するというのは、別にルールが決まっているわけでもございませんし、法的にどう枠が決められているわけでもございません。  ただ、実際上は各会派の自由にゆだねられているというふうにしか申し上げられません。御理解いただきたいと思います。
  20. 山内俊夫

    山内俊夫君 確かにそうでしょうね。  ただ、実は私が質問するということは、司法ジャーナルというホームページにこの五月十四日、山内俊夫参議院議員がこういうことについて質問するということが流れたわけなんですね。    〔委員長退席理事風間昶君着席〕  そして、私のところにも投書がやってまいりました。その投書について、投書は後で少し述べますけれども、これは兵庫県の方なんで名前は匿名にさせていただきますけれども、後ほど申し上げますが、要するに刑法第三十五条、正当行為条項というものがありまして、これは「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」というこの法令によって担保されていると思うんですよね。  ところが、昨今のこれは少し検察独自捜査、これは私は今日のこの会議検察の個別の捜査在り方とか自白の強要の仕方とか、そういう細かいことには言及するつもりはありません。それをやりますとこんな時間ではもう終わりませんから今回はそれはやりませんけれども、国会議員院内での自由な発言が担保されないような在り方がここのところ大変多いんですね。これは大変大きな問題がある。そういったことがあって、初めて、この戦後憲法の中に五十一条の設定の趣旨というものは、これは議会制民主主義政党政治を軍事的なファッショまた検察ファッショから守るためのものであると私は認識しているんですよね。  ですから、政治家の理念に基づく正当な議論や質問であっても、それを曲解して、これが記録されている国会議事録、こういったものを根拠にされて、それと別の案件をうまく引っ付けられて意図的につくり上げられるということはあり得るんですね。ないとは私は言えないと思います。ただ、議事録が利用されたかどうかの云々は、私はあえて言及しません。議事録というのは公開されておりますから、これはもうだれしもその議事録は閲覧することができるわけでありますから。ただ、それをどう活用するか、利用するか、それによって犯罪が成立させるような思惑があれば、私、これは大変なことになるんじゃないかな。国会議員は立ち小便しても引っ張られるよという、言葉は悪いですけれども、そういうことも将来生じてくる話なんですね。大変私はこういったものを危惧をいたして、非常に危険を感じる一人であります。  先ほど言いましたちょっと投書のポイントですね。私申し上げますと、たまたま代表質問に自分の献金先の大物議員が立ち、その内容と自分の業界の利益が一致するものがあったことで贈賄側におとしめられやしないかという不安があります、大丈夫なのですか、この辺りをはっきりさしてくださいねと、こういう投書なんですね。    〔理事風間昶君退席、委員長着席〕  その中で一つ事例、この方も言っております、KSDの古関氏のように献金側の別件の弱みを検察は突いてシナリオどおりの虚偽の供述を引き出すことが行われている以上、これは私、言及しませんけれども、一般の献金者にとってぬれぎぬであっても検察に呼び出される可能性が将来的にあるならば、正直、献金なんて真っ平と考えるでしょうと。現実に政党政治は寄附で成り立っている以上、今の村上氏のケースは矛盾だらけではないだろうかという、こういう投書が私のところにも来ております。これは本人の直筆なものですから、全文を私は申し上げませんけれども、そういう危惧が私はあるのかなと思っております。  こういったことを考えまして、政務官の御見解、法務省側の御見解を少し聞かしていただけますか。
  21. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) お答えいたします。  御質問に特定の事件の関係が述べられておりましたけれども、あくまでも一般論ということで申し上げますと、収賄罪は、公務員がその職務に関し賄賂を収受などした場合に成立するものでございまして、職務行為自体が処罰対象とされているのではなく、職務行為への対価として賄賂を収受する等の行為処罰対象とされているものと承知しているところでございます。
  22. 山内俊夫

    山内俊夫君 今の答弁によりますと当たり障りのない話になりますけれども、それは国会議員が、この村上事件というのは私も少し調べておりますし、結構いろんな本も出ておりますね。少し調べております。そして、報道等も、KSD事件の村上裁判では、基本的なところは代表質問職務権限につながっている、請託につながっているという認定なんですね。これは私非常に危険極まりない、そう思うわけなんですね。  このKSD事件、私もそこそこ興味があったものですからそれなりにいろいろ調べておりましたら、これは特捜部の性格というのがどうも出ていますね。これは管理監督している法務省、法務大臣に今日来ていただいたらよかったんですけれども。  例えば昨日のテレビ、これは十三日日曜日のテレ朝の田原総一朗さんの番組の中でも、これは司法関係者の癒着とかいうテーマでやられておりました。最近特にそれが目立つ。特に今、司法問題、随分騒がれて、裁判員制度を導入しようとしているこの時期に、私は初めてやはりアンタッチャブルで、逆にアンタッチャブルだった、特捜部ですね、この考え方というのは私少し研究を今しておる途中なんです。  例えばホリエモン事件ですね、村上ファンド事件、いろいろもろもろの事件があります。で、逮捕になると何であのテレビが十台も十何台もいるんだろうと。これはどういうことなんだろうと。ということは、情報は一方的に出しますから、特捜部は。だから、自分たちの意図する方向にどんどんどんどん誘導すれば世論形成つくれるわけなんですね。世論形成つくった以上に、正義の味方、特捜が動き出したぞと、こういう私は流れをつくっているのではないか、またそれが出世の大きな勲章の一つであるというような、私は検察の最近のいろんな本を調べてみますと、それが随所に見えますね。これはもういろんな本、私も今日五、六冊持ってきていますけれども、これを開陳していますと時間が足りませんから、これは言いません。  ちょっと私の単純な思い、これちょっと総務省、法務省、答えていただけますかね。ホリエモンとかああいうところへテレビがばっと先に行って待っているというこの状況ですね。いかがでしょうかね。
  23. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 検察当局におきましては、従来から捜査上の秘密の保持につきまして格別の配慮を払ってきたものと承知しており、捜査情報やあるいは捜査方針を外部に漏らすということはないというふうに考えているところでございます。  社会の耳目を引く事件などにつきましては、報道機関の各社が関係各方面に広くあるいは深く独自の取材活動を行っているものと思われますが、そういった取材活動の結果としての報道がなされているというふうに考えているところでございます。
  24. 山内俊夫

    山内俊夫君 今の答えは私は答えになってないと思うんです。何でテレビ、幾ら彼らの情報調査力があるとしてでも、テレビ局が何十台も、それもまだ犯罪が確定してない人たちの要するに逮捕状態をがんがんテレビで表に出すんですね。もう完全に、ひょっと彼らが有罪じゃなかったらどうするんですかね。そういった配慮がなしに私はやっているようにしか思えない。ということは、裏を返せば捜査方法、我々は正当な捜査をやっているんだ、だから今犯人を捕まえているんだ、どうぞ見てくれ、国民見てくれというような、私、演出しているとしか思えないんですね。これは非常に問題あると思いますよ。  今日はその捜査在り方、自白の強要の話というのはこれはテーマじゃありません。鹿児島でもそういう事件がありましたね、随分。で、無罪になった。村岡兼造事件も一審、二審でがらっと、基準が違うにもかかわらず、判定が変わったとか、いろいろあります。ですから、この最近の捜査について私は正に検察ファッショが復活しているのかなという危惧がするわけです。  ですから、この代表質問ということについて非常にナイーブに私は言わば神経をとがらしているというのは、そこのところがあるわけなんですね。だから、それだけは是非御認識をいただいておきたいと思います。  それで、もう一つ最後の質問。もう一つは、実は裁判員制度の導入のさかのぼり契約というのは、今日裁判所の方来ていただいておりますけれども、今並行して決算委員会でそれをやられているということで、私も質問、これはもう外します、我が党の西島先生がもう決算委員会でやっているそうでございますので。  一つポイント、これは最高裁の件でございます。  これは手続上のいろんなシステムありますね、一審、二審、上告、最高裁に上告をしているという。そのときに、上告趣意補充書というのを出してくださいね、出せばその審理の基に使いますよと、こういうシステムになっているんです。これ上告趣意書の補充を追加書類として受け付ける制度になっているんですね。  最高裁の関係者によれば、実はこれは、これは水面下の話ですが、一般的に審理対象にはしていないよという声がちらちら聞こえるんです。確かにそういうことを言っている人たち、明確におります。でも、弁護士側は、その本人も、これで一つ間違えば犯罪が確定する、場合によれば今から刑務所に入らなきゃいけない、もう非常にわらをもつかむ気持ちで、そういう制度があるんだからと思って出しています。ところが、受け取る側はそうは取っていない、まあ制度的にしてやるんだと。私からすれば、これ正に形骸化しているというようにしか見えないんですがね。  これいかがでしょう、裁判所の関係者、お答えいただけますか。
  25. 高橋利文

    最高裁判所長官代理者(高橋利文君) お答え申し上げます。  今申し上げられました事件、個別の事件については申し上げられませんけれども、一般的に申し上げまして、最高裁に上告、刑事の場合、上告いたしますと、最高裁判所の方から一定期間内に上告趣意書、補充書ではございません、上告趣意書を提出してくださいということの連絡はいたします。上告趣意書がその期間内に提出されますと、それが正に上告審の審理の対象、つまり土台になるわけでございます。これで憲法違反があるあるいは判例違反があると、そういうことをその上告趣意書に書いていただくと。これを土台に最高裁は判断をいたします。  今委員がおっしゃいましたのは上告趣意補充書でございます。これは、期限が過ぎました後に、やはりこういうことも判断してほしいということで期限が過ぎた後に提出されることがございます。あるいは、次々に出されることもございます。それにつきましては、もう既に期限が過ぎておりますので、その期限過ぎたことについての合理的な理由がない場合は、それは参考にさせていただくということで、直接の審理の基礎にはしないということでございます。
  26. 山内俊夫

    山内俊夫君 確かにそのとおりだと思うんですね。ところが私はそうは取っておりません。  これは私も、個人のことでありますから、本人をちょっと呼んでここ一週間前から本人確認をして、おまえの事件について発表してもいいかねといって私は確認を取りました。これは業際研事件ですね、業際研事件。これは平成十六年、判決が出ております、(ワ)第一一八二号。これ決定書が出ております、上告破棄という決定が出されておりますね。  ところが、今おっしゃった補充書というのを十月の二十八日に出しているんですよ。ところがこの補充書の出し方も非常にもうぎりぎり、言わば面倒くさけりゃ出せないというぐらいの日程設定をして、それまでに出しなさいと。それでもやっぱり自分の行く末が懸かっていますから、被告側は大変な思いをして、夜なべをして、補充書を十月の二十八日に提出しているんです。ところが、提出したにもかかわらず、何の通知も来ない。もうそろそろ審理してもらっているかなと思っておりましたら、別の角度からその本人に、もう十一月の一日に決定が出たよというような情報がぽんと入ったんです。えっ、おかしいじゃないかと。二十八日は木曜日なんですよ。木曜日に出して、ぎりぎりに出して、それで金曜日一日。五人の第二法廷の判事がいるわけですね。その補充書の理由も見ていないんじゃないかな、その思いが私ありまして、ちょっと私も調べました。  実はこれは伝聞じゃないんです。彼は私の大学時代の同級生なものですから、第一審、第二審のときから私にいろいろ相談に来られていたんですよ。ですから、非常に身近に私も感じておりましたから、ちょっと待てと。十一月の私二日だと思いますが、岡本という書記官に電話入れさせてもらいました、実は、そのときに。これ、十一月二日ですよ。そうしたら、補充書が来ているというのはびっくりしている。書記官ですよ、事務関係の。でも、十一月一日にはもう発送されているんです、上告破棄書が。これは、ここにも書類があります、上告破棄書類がですね、決定出ております。主文は簡単であります。本件各上告を破棄する、ただそれだけなんです。これは裁判官は福田博さん、北川弘治さん、梶谷玄さん、滝井繁男さん、津野修さん、五人の第二小法廷です。十一月の一日に出しているんです、既に。岡本審議官はそれを知らない。ということは、もうこんなもの出たって関係ないよという、正に形骸化そのもの、私は裁判所側はそのぐらいの感覚でいるんじゃないかと。  被告はもうわらをもつかむ気持ちなんですよね。ですから、これは、言った言わないということになっちゃいけませんから、入構票というのを私コピーでもらっております、これ文書提出。こういったこともちゃんと手順どおりやっているにもかかわらず、裁判所側ははっきり申し上げて非常にずさんな審理をやっているとしか私は見えない。ですから、職務権限のことについても、今からいろんな人が、こういう趣意書、補充書を出してきていても、こんなものは関係ないよと、はっきり言って、そのような扱いをされているんではないか。  ですから、今回、大変裁判員制度ということで司法に随分いろんな人たちが興味を持ち始めて、自分が裁判員に指名されるんじゃないかどうかといっていろんなところで随分注目を浴びてき始めたし、認識も高まりつつあります。私は、この裁判所の在り方というのも我々国会議員も十分考えなきゃいけないし、将来のことでございますから。我々の、先ほどのKSD事件もそうです、我々の国会での発言が即犯罪に結び付けられたらたまったものじゃないということで、私は、今日は時間が余りなかったものですから、九番目の裁判員制度のさかのぼり契約というのもこれもかなり大きな問題がありますけれども、ちょっと私、一時から総務委員会が急遽開かれると、理事懇が開かれるということで、ここで退席させてもらいますけれども、これは、今日は私の趣旨は、検察も警察も、人を裁く場所におる人たちがもう少し真剣になって、また告訴されている側にも立って、十分な公正で公平なやっぱり審理をやってほしい、その思いで今日質問させていただきました。  ですから、私は今日、問題提起という形で終わらさせていただきますけれども、今後この問題については私も十分ウオッチングしておきますので、どうぞよろしくお願いします。  これで終わります。ありがとうございました。
  27. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  28. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 速記を始めてください。
  29. 鈴木寛

    鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。よろしくお願い申し上げます。  今日は、行政改革実施状況に関する行政監視ということがテーマでございます。実は私は、行政改革推進法ができるときの審議にも立たせていただきました。二〇〇六年の五月八日に行政改革特別委員会というのがございまして、そのときに、この行政改革推進法が成立をいたしますと、幾つか、とりわけ医療とか教育とか、非常に国民生活にとって重要な公共サービスに重大な支障が出る可能性があると、その点は大丈夫なのかということを議論をさせていただきました。やはり、当時の私どもの懸念というものは、ここに来て大いに顕在化をいたしております。  その典型例が医療の分野でございまして、例えば、行革推進法は五年間で国家公務員の総数を五%以上純減をするという目標を掲げておりますし、それから地方公務員に関しましても四・六%以上純減するように地方公共団体に要請し協力すると、こういう法律になってございます。その中で、医療公務員あるいは教育公務員も別に対象から外れているわけではなくて、正に医療公務員もここに含まれているわけでございます。  こうした中で、今公立の、まあ国公立のと言ってもいいかと思いますが、特に公立の県立でありますとか市町村立の病院、これはもう大変な今実態になっております。医師不足の深刻な状況でございます。例えば、今産婦人科、小児科の実態というのはもうこの一年間いろいろなところで、今国会でも議論をさせていただいてきましたが、例えば一人医長の問題ですね、要するに産婦人科の専門医がお一人しかいない。そういう中で大変に深刻な事態が起こり、そしてそのことが、更に申し上げると、そうでなくても大変に過酷な勤務状況の中で、産婦人科だけじゃありませんけれども、そうした公立病院の医師の皆さんあるいは看護師の皆さんは過酷な労働条件の中で頑張っておられる。そこに更に訴訟リスクあるいは刑事訴追リスクということが重なって、正に悪循環というものがもうとどまらずに、更にそこが加速していると、こういう状況でございます。  先般も、実は私、北海道の夕張にも行ってまいりましたし、それから赤平病院のいろいろな実態を教えていただきましたけれども、三年前には十八人いたお医者さんがこの四月には十一人に減っているという、限界集落という言葉がありますが、正に限界自治体というんでしょうか、限界病院というんでしょうか、そういう状況が本当に全国各地で、正に医療現場の崩壊ということになっているわけであります。  私は、やはりこの行革推進法、もちろん行政改革というのはやらなければいけませんけれども、しかしその行政改革以上に非常に重要な命の問題、こうしたことについてやはり配慮が少し足らなかったのではないかと。公立病院におきましても、やはりこの五年間に採算採算ということが本当によく言われます、赤字の垂れ流しとかですね。もちろん、それはその財務内容、経営は改善するにこしたことないわけですけれども、そんなに無駄がじゃぶじゃぶあるわけじゃなくて、特に医療現場は。本当にむしろその医療関係者の大変な献身的な御努力によって成り立っている。そこに一律にそうした効率性とか採算性ということを過度に言い過ぎている。そういう中で私は医療崩壊を加速しているという面もかなりあるんではないかと、このように思っておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  30. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 鈴木委員の方から、行革というものが医療従事者、お医者さん、看護師さん、薬剤師さん等々、そういうような人の定員の削減ということを推し進めていることが昨今非常にいろいろなところで強く訴えられている医師不足ということにつながっているんではないかと、こういう御指摘でございます。  私どもといたしましては、直接の私どもの外の組織としてのナショナルセンター、高度医療センターですね、そういうようなものであるとか、あるいは療養所といってハンセン病の方々の療養所等を持っているわけでございますが、これらにつきましてもやはり定員削減という一般的な努力を求められている一方で、また必要な分野については増員もお願いしているというようなこともございまして、これは定員の問題といたしましても、直接に医療にかかわりのある医師あるいは看護師、さらには助産師さん、あるいは薬剤師さんというようなところについては、できるだけその減員というものを避けるというようなことで、総定員の中でのやりくりというようなことをしている面が多うございます。  地方公共団体の公立病院につきましても、私ども同じような努力をしていただいているんではないかと、こういうように思いますが、総じて言いまして、今委員の御指摘の定員の問題なのか実員の問題なのかというのがまた別途にございまして、私どもといたしましては、定員の面では少なくとも今申したようなやりくりの中で努力をさせていただいていると、こういうことでございます。
  31. 鈴木寛

    鈴木寛君 私、ずっとこの行政監視委員会では医療問題の議論を続けさせてきていただいております。それで、私とこの三年ぐらい、二〇〇四年辺りからずっと厚生労働省とさせていただいている議論で、医師不足問題についての認識論というのを、これいまだに決着が付いてないんですが、私は今日もあえてさせていただきたいと思いますが。  川崎厚労大臣ともさせていただいたんですけれども、昨年の予算委員会では少し改善が見られるとかいう話とか、あるいは去年の七月に、ちゃんと需給の研究会をやるのでそこでもう一回出てきたところで議論しようとかいろいろなことがやり取りがあるわけでありますけれども、厚生労働省は一貫して、全体としては足りていると、しかし偏在はあると、偏在説なんですね。私は、医師は絶対的不足説なんですよ。これでまだいまだに折り合いが付かない。  私の根拠は、例えばOECDなんかの統計を見ましても、人口当たりの数字で見るとOECD三十か国中二十七番とか、これは開業医と臨床医両方含めて二十七番ですから、病院の臨床医ということになるともっと厳しい数字になってくるわけで、この数字をもってしても、あるいはいろいろ聞こえてくる全国の医療現場の実態、あるいはもうこれは東京でもどこでもそうでありますけれども、本当にお医者さん、特に病院の勤務医の皆様方は、もう過酷な残業、あるいは徹夜明け、宿直明けでもうそのまま三十六時間ぶっ続けで仕事をしておられるとか、もう明らかに労働基準法違反の実態が、正に大臣は厚生部門と労働部門と両方やっておられるわけでありますが、どう見ても医師の労働条件から見るとこれは足らないということが絶対的不足説の根拠なんですね。  そこで、厚労省と私どもとでずっとこの論争をやっておりましたところ、最近、与党におかれまして、自民党が緊急医師不足対策特命委員会というものを立ち上げられたり、それから、公明党におかれましては医師不足問題対策本部というのを立ち上げられたり、新しい説が出てきたのか、あるいは自民党、公明党も我々の鈴木説に御賛同をいただいたのかなと思って、一生懸命三年間この同じことをいろいろな角度で言い続けてきた成果かなと思っているんですが。  さて、この期に及んで、厚生労働省の御認識は絶対的医師不足説なのか、それともやはり引き続き偏在説なのか、これはいずれでございましょうか。
  32. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 厚生労働省といたしましては、従来、歴代の大臣鈴木委員意見交換をしているという御説明をいただきましたけれども、医師の総数においては、委員もこれはお認めになっていただけると思うんですが、三千五百ないし四千人、毎年増員が行われているということがございます。他方、そしてOECDなぞと比べますと、確かに人口当たりのお医者さんの数というものが日本は決してゆとりのあるような状況ではないと、これもまた事実であるわけでございますが。  私ども、この今の状況と、それから三千五百ないし四千人増えていく状況と、医師の今後の需要というようなものを考えたときに、やはり全体としては、今委員も御指摘をいただいたように病院のお医者さんに非常に負担が掛かっている、勤務時間が長い、そういうようなことで実際上賄いを付けているという面があるわけですが、他方、また診療所の先生方はそれほど労働時間も多くないと。こういうようなことで、今正にこの病院の勤務医の先生方に負担がしわ寄っているということは私どももよく認識いたしておりますけれども、他方で、診療所のお医者さんがそういう状況にありますと、これも一つ偏在ということを読み取れるのではないかと。  それから、地域的にも同じでございまして、医療圏ごとに見た場合には、非常に高い人口当たりの医師数が認められるところと非常に厳しいところと両方あるというようなことで、やはり地域的にもそうしたことがあるんではないか。それからまた、診療科目ごとに、余りもう長話はいたしませんけれども、偏在というか、そういうものがあるということは私ども認識をいたしているところでございます。  ところで、そういう中で、今自民党及び公明党で、今委員が御指摘になられたような名称のPTと申しますかそういうものを立ち上げて、医師不足ということを名前に、タイトルにうたったそういうものが立ち上がっておりまして、これからいろいろ御検討をいただくということでございますが、これは私どもといたしましては、私どもが認識しているその延長線上で、更にいろいろ我々も努力を、後でまた御説明させていただく機会があるかもしれませんけれども、そういう努力をさせていただいておりますが、それを更に後押ししていただくようないろんなお考えをお寄せいただくということであろうというふうに認識をいたしているところでございます。
  33. 鈴木寛

    鈴木寛君 柳澤大臣自民党員でもいらっしゃいますが、正に今のお話を確認させていただくと、厚労省の認識と基本的には自民党、公明党の考え方は同じだと、こういうお話と理解させていただきます。  それで、確かにそうなんですね。と申しますのは、この医師不足、地方に足らない、このことは私どもも認めており、というか我々は、全体的に足りませんから、地方も足らないし、診療科で足らないところもあるし、いろんなところで足らないところがあるということなんですけれども。新聞報道ではございますけれども、幾つかのこの対応策というものが報じられておりまして、これは厚労省ではなくて与党の方でお出しになっているんで、党員としてお答えをいただくということになるんだと思いますけれども、地方の医師不足を解消するために国公立病院などの拠点から派遣をすると。要するに、今までは大学の医局がやっていたけれども、その機能を今度は国公立病院が代わりに担っていくと、こういうことだと思うんですけれども、こういう構想が近々まとめられるというのは事実なのかどうかということですが、これはいかがなんでしょうか。
  34. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 拠点病院、これは現実に、例えば研修医の先生方をたくさん引き寄せて引き付けているところ、こういうところを拠点病院というふうに位置付けまして、そして地域によってもう不足だというところに派遣をするというそういうシステム、ネットワーク化とも申しておりますけれども、このシステムというのは、実は現在私どもも進めさせていただいているそういうシステムでございます。  私どもも、この医師の養成ということについても、非常に医師不足が顕在化していたり、地理的ないろんな条件でお医者さんが足りないということ、これはまあそういう地理的な条件、人口的な背景というようなものでいろいろ我々地域の状況というのを細かく見ていかないといけないと思うんですけれども、いずれにしても、そういう地域的な事情で不足のところには、その拠点で研修医の先生方等をたくさん引き付けていらっしゃるところからお願いをして配分をする、派遣をしていただくようにということをお願いいたしておりますが、これは現に我々のやっているところでもあるわけでございます。  と同時に、ちょっと言い掛けたんですが、明らかに不足なところを十県くらい選定しまして、そこの医科大学でもって将来の養成数を先食いする形のような形でもって、これは伊吹大臣の御専門でもあるんですけれども、定員を増やしているというようなことも努力させていただいていますが、お医者さんが一人前になっていただくにはざっと十年掛かるということですから、これは急場の間に合わないということで、今のとにかく急場の間に合うというか、緊急の対応としては、主として今の派遣制度というかネットワーク制度を使わせていただいているわけでございまして、それをどういうふうにしていくかということについてまた新たなお知恵をいただけるのかなと思って審議の行方を見守っているところでございます。
  35. 鈴木寛

    鈴木寛君 厚労省さんは、この偏在あるいは不足の解消を、あるいはその原因を、その卒後臨床研修が始まったことで研修医の配分といいますかローテーションが今までとちょっとゆがむというか、変わったことによってそのひずみが出ているという御認識に立っているので、そういう大臣の分析と御発言なのかなと思うんですけれども、そのことも私は否定はいたしません。否定はいたしませんけれども、要するにないパイの中でやりくりをしたら、どういうふうな方法を取ったとしてもやっぱりその足らないところが出てきてしまうわけですよね。ですから、私たちは絶対的不足説を取っていて、やっぱりそこをきちっと特に臨床医については増やさなければいけないと、こういうことを主張させていただいているわけでありますが。  例えば今、医局に人が、大学病院に集まらなくなってしまったと。したがって、国公立病院の研修医は、研修医が集まっているからこれを地域に派遣するんだと。こういうことになりますと、じゃどうなるかというと、今度また、若い卒後臨床研修の皆さんは今度は国公立病院を避けて私立病院とかあるいはまた大学病院に戻るとか、こういうことの繰り返しになってしまいまして、結局はそのねらっていることというのが、また何といいますかイタチごっこと言ったらおかしいんでしょうけれども、要は、結果としては、その地域に対して、地方に対して医師を供給するということにならない。そもそもの国公立病院のところのその人材集約力すら落ちてしまうという懸念もあるということを私どもとしてはやっぱり指摘させていただきたいと思いますし、それからそもそもやはり問題は、例えばその研修医だけの問題なのかと。  例えば、女医さんなんかが、産科の場合はもう十年たつとほとんど特に臨床の現場から離れてしまうと。そうすると、中堅医師の確保も含めて、やはり今のこうしたことでは結局は抜本的な解決にならないんではないかなというのが私どもの懸念でありまして、そういう懸念は十分踏まえて今後議論していただきたいということが私の意見でございます。  それで、それと同時に今の方法論というのは実は日本全体にとって非常に心配がある。それは何かといいますと、自民党、公明党、あるいは大臣のお話も、地方は足らないと、まあこういうお話。地方も足りませんけれども、私申し上げたいのは、都会も足らないんです。人口十万人当たり医師数の一番少ない県は埼玉県ですよね、四十七番。人口当たりにして、十万人当たりにして医師数百三十四人、四十七番。その次に足らないのが茨城県ですよ、次が百五十人。そして、その次が千葉県。正に埼玉、茨城、千葉が一番足らないんですね、人口当たり。もちろん、要するに広さの問題はあります。広さの問題もありますけれども、こちらが足りているという話じゃなくて、北海道も足らないし、千葉、埼玉、茨城も足らない。だから、どっちも足らないんですね。だったら、じゃ千葉、埼玉の国公立病院に人を寄せてそれを送ったら、今でも足らない、だけれども逆に小児救急とか救急とか、現に大臣も御承知のように、もうこの五年間で二割ぐらい救急病院返上していると。この現象は埼玉でも千葉でも茨城でも起こっているわけですよね。  ですから、私はややそういう意図、意図はないと思いますけれども、今の報道とか今の政策議論を積み重ねてみると、地方は足らないんだと、じゃそこから、都会から送ればいいんだと、こういうふうにミスリードしているのが私は大変心配なんです。そのことによって既に空洞化している埼玉、千葉、茨城、それから東京でも多摩の方は小児救急とか産科とかはありません。あるいは神奈川でも同じ状況でございます。確かに青森県は四十三番ですから青森県も足らないんですけれども。だから要は、申し上げたいことは、どこも足らないんですよということでありまして、その辺りはやはり正確な認識に基づいてきちっとこの医師不足問題というのはやっぱり取り組んでいかなければ、これは別に与野党の問題じゃなくて正に行政監視委員会、こういうところでその議論をきちっと整理をし、前提を確認をしていくということが大事ではないかなと思って、こういう発言をさせていただいております。  それから、正に大臣もおっしゃったように医師不足問題は中長期的アプローチと短期的アプローチとあると思います。それで、私はやっぱり短期的アプローチは、とにかく今過酷な労働条件とそして訴訟リスク、更に言うと最近は刑事訴追リスクと、こういう中でどんどん臨床医を辞めて、病院勤務医を辞めて開業してしまうとか、そこを何とか食い止めるということが重要ですよね。そして、報酬を出してももう関係ないと、要はそこで働く人数を増やしてくれと。とにかく少しでも休み時間あるいは休日を下さいというそういう状況でありますから、やはり病院、いわゆる病院で行う医療行為に対する診療報酬というものを少し増やして、そうなれば、公立であれ私立であれ病院経営者は、お医者さんの数を増やそう、あるいは看護師さんの数を増やそうと、こういうことになって、結果として休日とか休暇とか休養時間とかというものが取れると、こういうことになりますので、これをやはりきちっと速やかにやるということが短期的にはまず必要ではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  36. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。  診療報酬の設定に当たりましては、医師や病院団体の関係者が参画いたします中医協におきまして、医療機関の経営実態に関する調査を踏まえて設定しているところでございます。例えば平成十八年度の診療報酬改定について申し上げますと、産科、小児科、それから救急医療等につきまして、診療科や診療部門によりまして医師の偏在で地域において必要な医療を確保されていないと、こういった御指摘があることも踏まえて手厚い評価を行ったところでございます。今後とも、広く病院団体等の御意見を伺いながら、そういった御意見が適切に反映できるように努力をしていきたいと考えております。
  37. 鈴木寛

    鈴木寛君 このことはもう本当に毎年毎年申し上げておりますけれども、やっぱりまだまだ足らないと思いますので、この点、是非、頑張っていただきたいというふうに思います。  それから、長期的な話でございますが、今日、伊吹文部科学大臣もお越しをいただいておりますが、これも報道によりますと、卒後十年の地方での勤務条件を付けて、医学生を、その入学時にいわゆる地域医療枠というんでしょうか、自治医大方式を参考にして四十七都道府県で年五人程度こうした枠を設けていくというようなことが報じられておりますが、これは文部科学省が最終的には御判断される話だと思いますが、この真偽あるいはこうしたいわゆる長期的なアプローチについての御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  38. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 新聞報道で存じている程度で、与党からまだ私には何の話もございません。もちろん、ふるさと枠のようなものをつくるということはある意味では有能かも分かりませんね。しかし、現在の医師不足というのは、私は二つ大きな原因があると思います。  一つは、六年たって医師免許を取った後の人たちの研修の場所を自由化しましたから、結果的に民間あるいは大都市にその人たちが散逸をして、そして大学病院である意味では安価な労働力として実態的に使っていた人たちが不足になったので、大学院を出た後の、インターン終わって、研修終わった後の大学院を出た後の教室から派遣していた人たちを含めて、大学の教室が引き揚げたというところに大きな一つ問題がありますね。ですから、研修制をどうするかということは、私は大きな問題が一つあると思う。  それから、市場経済で動いているわけですから、そして子供さんの数と新生児の数が減っているわけですから、ここに対して、これは柳澤大臣の御所管ですけれども、ここに対する医療の需要が減ってきているときに、診療報酬の点数をある程度考えてトータルの収入を確保してあげなければ、産科、小児科のお医者さんのなり手は減っていくというのは当たり前のことなんですね。  ですから、対症療法的にふるさと枠を設けるだけでは私は解決しないと思いますし、職業選択の自由その他いろいろな問題がありますから、少し事柄を深めて議論をしてみる必要があるんじゃないでしょうか。
  39. 鈴木寛

    鈴木寛君 分かりました。また、ここについては文教科学委員会でも議論をさせていただきたいというふうに思います。  正に大学の医局が人を引き揚げたと、そのことなんですよ、この特に激化している理由はですね。その大きな契機となりましたのは、私は、これもこの委員会であるいは他の委員会で御議論させていただきましたが、福島県立大野病院の産婦人科医らが刑事訴追をされるという事件が一つ端を発して、そして大学の医局が、特にこの一人医長、そうした一人で極めて難しい手術も含めてやっているような現場から医局員を引き揚げざるを得ないと、こういうやむにやまれぬ御判断ではあったと思いますけれども。そうしたいわゆる萎縮医療とか保身医療とかという言葉がありますけれども、そうしたことが急速に残念ながら進んできてしまっているということだと思います。  こうしたことを受けて、今厚生労働省で診療行為に関連した死亡に関する死因究明等の在り方に関する検討会というのを設置をされて、こうしたいわゆる萎縮医療でありますとか保身医療を何とか食い止めて、そして、医療崩壊を食い止めて医療現場を正常化すると。その一つの重要な論点がこの論点だと思いますけれども、検討会を開いていただいていることは私は大変時宜を得たことだというふうに思っておりますが、幾つかその中身、まだ御議論のもちろん途上だとは思いますけれども、その中身について御質問をいたしたいと思います。  大野病院のときもそうでありましたけれども、業務上過失致死罪の問題とそれから医師法二十一条の問題と、これは二つあったかと思います。それで、この検討会では医師法二十一条についてどういう方向で御議論をされていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  こちらの御要望といいますか、私の意見を申し上げておくと、元々医師法二十一条ができたときの趣旨と今の運用がかなりやっぱり私は乖離しているというふうに思います。したがって、やっぱりいわゆる医療関係の死亡を異状死に含めるべきではないと私は思うんですけれども、こういう御議論というのはここでされていっていただけるのかどうかを御答弁いただければと思います。
  40. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 委員御指摘の今般の診療関連死の死因究明制度の構築に当たりましては、現在検討しております診療関連死の届出制度をこの中で検討してございますが、これと今御指摘の医師法二十一条による異状死の届出制度の関係を整理する必要があるというふうに認識しておりまして、これまでも法務省、警察庁及び厚生労働省の関係省庁連絡会議におきましてもこの点に関する議論を行ってきたところでございます。  この医師法第二十一条、異状死の届出の問題につきましては、意見募集に対しても多数の意見が寄せられたところでございまして、今後、こうした意見やあるいは検討会での議論を踏まえまして、十分にこの件についても検討してまいりたいと考えております。
  41. 鈴木寛

    鈴木寛君 これは本当に重要なポイントでございますので、是非、警察庁あるいは検察庁あるいは法務省等々との折衝もあろうかと思いますけれども、是非お願いを申し上げたいというふうに思います。  それと、ここで幾つかの検討課題というのが挙がっておりまして、死因究明のための調査機関というようなことについても御議論をされるんだと思いますが、そもそもこの検討会が、これ趣旨を読みますと、診療行為に関連した死亡に係る死因究明の仕組みやその届出の在り方について整理すると。是非、整理をしていただきたいと思うんですが、やはり政策というのは、やりたい目的というのがあって、その目的達成のためにはどういうふうな政策を講じたらいいのかということなんで、これを見ますと、目的がよく分からない。もうちょっと申し上げると、もちろんいろんな目的があっていいと思います、再発防止とかあっていいと思うんですけれども、結局、再発防止もする、あるいは訴訟リスクとか刑事訴追リスクとかというのを減らして萎縮医療を回避する、そのことによって医療崩壊を食い止める、悪循環を食い止める、それからあるいはその公正な調査を実現すると。まあどれも重要な課題なんですけれども、そこをきちっと腑分けして整理しないと、これでき上がったシステムというのは、何か結局事態の改善につながらずに更に悪化するという、こういうことを私、ややちょっと気になってというか、心配しております。  再発防止は、既にいろいろなモデル事業をやっておられて、そのカバレッジをもっと増やすとか深めていくとかということで私は足るんではないかなと。そうすると、あのモデル事業がありながら、加えてこういう第三者検討委員会をおやりになるということは、もう一回何のためにどういうことをねらってやっておられるのかということをちょっと整理していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  42. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 診療行為に関連した死亡等につきましては、これまで死因の調査や臨床経過の評価、分析あるいは再発防止策の検討などを行う専門的な機関が設けられていないといったようなこともございまして、結果として民事手続刑事手続に期待されるようになっているという現状があるというふうに認識しております。  ここが出発点でございまして、これらを踏まえまして、患者さんにとって納得のいく安全、安心な医療の確保、また不幸な事例の発生予防、再発防止等に資する観点から、平成十九年三月に、診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する課題と検討の方向性と題する厚生労働省の試案を提出したところでございます。専門性の高い調査組織による原因究明の仕組みを構築するということでございますが、それによりまして再発防止あるいは萎縮医療の回避にもつながるというふうに考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、パブリックコメントの御意見、また検討会の議論を踏まえまして、死因究明の在り方につきましても今後検討してまいりたいと思っております。
  43. 鈴木寛

    鈴木寛君 正に医療事故あるいは医療関連のこうしたことというのは非常に複雑でありますので、そういう意味ではそうした専門的な機関によってきちっと調査がされる、そのこと自体は結構なんですけれども、じゃ、だれのためかと。まあ民主党は患者の権利法案というのを国会にもお願いをしておりますけれども、正にその情報は非常に非対称で、特に患者さんが何が起こったのかということを正確に知りそして理解をする、調べ理解をするということが非常に難しいわけですね。是非、こうした機関ができるとすれば、私どもは患者のための、患者さんがこれを活用することによって、あるいはこの機関が患者さんを応援していただくことによって何が起こったのかということを正式に理解すると、そういう本旨に基づいてこの制度設計というのは是非やっていただきたいなと。  これだれのためのというところが間違ってしまいますと、結局、屋上屋といいますか、今、結局医師法二十一条は残ってしまって、医師法二十一条に基づく警察への届出もやらなきゃいけないと。加えて、今度新しい第三者専門機関ができて、そこに、まあそんなことはないと思いますけど届出義務なんか掛けて、まあそんなことは考えておられないと思いますけれども、仮に掛けて、その届出義務違反もあれされて、更にそこでの立入検査を受けなければいけない。警察からも立入検査があって、そして第三者機関からも立入検査があって、そしてそこに何か、何といいますか手続上の落ち度があった場合には、もう両方からの訴訟リスクであるとか訴追リスクということになってしまったら、何のためにこういう議論をしていただいているのかというのは全く分からなくなってしまうわけですね。  ですから、そういう意味で申し上げると、この検討課題の中で行政処分の在り方ということについても書いておられますけれども、これはもちろんきちっと医師法に基づく行政が行われるという、これは大事なんですけれども、今民事訴訟があって、そして刑事訴追があって、更に行政処分が強化されるということになると、結局、萎縮医療がもっと萎縮してしまうんじゃないか、あるいは保身医療がもっと保身になってしまう。  この前も正に奈良県の大淀病院で、まあいわゆる新しいタイプの形の患者のたらい回しというのが深刻化しているわけですね。しかしあれは決して珍しいことではなくて、それこそ先ほどからお話し申し上げている、千葉でも埼玉でも茨城でも神奈川でも、ああしたたらい回しの状況というのはもう日常茶飯なんですね。結果として、その患者さんが命を取り留めて回復しておられるのでニュースにならないだけで、元々はこの問題は正に保身、萎縮、医師の立ち去りと、こうしたことによって結果として一番困っているのは患者さんなんだというところから始まった議論だと思いますので、そこのところを是非とももう一回きちっと基本に立ち返ってやっていただきたいということと、そういう中で、結局司法という枠組み、これ自体が限界があるという、これ非常に難しい問題なんですね、医療にどこまで司法が入るかと。すなわち、裁判あるいは訴訟ということになりますと、原告、被告という関係、あるいは被告人と検察という、こういう関係になりますから、どうしても対立概念です。しかし、医療現場というのは、基本的には患者と医師との極めて濃厚な信頼関係というものがなくてはいけない。  最近、これは非常にレアケースだと思いますけれども、患者さんが初診のときからテープレコーダーを机に置いて、そしてどういう発言があったかと。これじゃ、もうお互いの信頼関係も何もあったものではないわけでありまして、これはもちろん極端なケースでありますけれども、もう一度医師と患者との信頼関係というのをつくっていくために、この訴訟制度も含めてどうしていったらいいのかと。そういう中で、対話型医療ADRの議論というのもしていくというようなお話も聞いておりますけれども、そうした点も是非心掛けていただきたいと思いますが、この対話型医療ADRについてはいかがでしょうか、この検討会ではどういうふうに議論されていくんでしょうか。
  44. 松谷有希雄

    政府参考人松谷有希雄君) 委員御指摘のとおり、医療の本質は、患者さんと医療提供者とがそれぞれ信頼関係を持って構築をしていく、そういうふうにしていくものであるというふうに思っております。  診療行為に関連した死亡につきましては、先ほど申しましたけれども、これまで死因の調査あるいは臨床経過の評価、分析、再発防止策の検討等を行う専門的な機関が設けられていなかったというようなこともございまして、結果として、民事手続あるいは刑事手続に期待するようになっている現状があるというふうに認識をしてございます。  このため、今般の診療関連死等についての死因究明制度が構築をされ、事実関係が明らかになるということになりますれば、医療機関と患者さんとの間での話合いも促進されるということになるものと考えております。  さらに、今回の診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する課題と検討の方向性におきましても、調査報告書の活用や当事者間の対話の促進などによります、当事者間や第三者を介した形での民事紛争の解決の仕組みを検討していくこととしてございまして、今後、意見募集に対していただきました御意見や検討会での議論等も踏まえまして、十分に検討していきたいと考えております。
  45. 鈴木寛

    鈴木寛君 大臣にお願いをしておきたいんですけれども、この問題は本当に医療関係者、それは患者さんも含めて大変関心を持っていただいておりますし、もう制度設計いかんで本当に、更に医療崩壊が進んでしまうのか、ここで医療崩壊がきちっと止まるのかという極めて重大な岐路にあると思います。  そういう中で、昨年来、この大野病院の問題などで、川崎前大臣などにも意見書を出したりしているグループがあったり、現場の、特に臨床現場のお医者さんたちが非常に問題意識高く、この一年間、いい意味で立ち上がってきていただいていまして、例えば、現場からの医療改革推進協議会のワーキンググループがパブリックコメントに対して五千七百十六名の方が署名をして意見を出しておられます。こういう形というのは非常に今まで珍しいことだなというふうに思っておりまして、もちろんそれぞれの有識者で構成されている日本の専門医の皆様方の学会の代表も出されております。  いろいろな方々が真剣に考えて真剣な議論を厚生省に寄せていただいておりますので、是非こうした議論を大臣、重く受け止めていただいて、遺漏なきようこの問題、対応していただければというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  46. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 厚生労働省におきましては、今先生がお触れになったような諸般のいろいろな問題を踏まえまして、診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する検討委員会を設置をいたしまして、去る三月九日に厚労省試案というものを発表しておりまして、四月の二十日までにパブリックコメントをいただいているところでございます。個人、団体を合わせまして、合計百四十件のパブリックコメントがいただくことができました。今、委員の言及されました現場からの医療改革推進協議会ワーキンググループの方々からもコメントをいただいたところでございます。  どのパブリックコメントも患者や御家族あるいは医療関係者からの真剣な御意見であるというふうに受け止めておりまして、今後、これらの御意見を十分踏まえまして、今委員も御指摘になられたように、なかなか難しい問題であるというふうに思いますけれども、何とかこの取りまとめを一定の筋の通った体系的なものとしてまとめることを目指しまして努めてまいりたいと、取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  47. 鈴木寛

    鈴木寛君 霞が関や永田町で考えているいわゆる、何というんですか、こういう言葉は使いたくありませんけれども、机上のことと、現場のいろいろな、表に出ること出ないこと含めてやっぱり現場の皆様方の声というのは本当に是非聞いていただければ有り難いなというふうに思います。  それから、そういう意味で、もう一点だけお願いを申し上げたいんですけれども、DPCが進んでおります。これにはもちろんいい点、悪い点、両方あるわけでありますけれども、お願いは、昨年私も民主党の医療改革PTの副座長といたしまして、がん対策基本法、これは正に与野党でできたすばらしいことだったと思いますけれども、その中で、がん対策基本法ができまして、抗がん剤治療について大きな後押し、大きな一歩が進んだと思います。これは厚生省に感謝をいたします。  例えば、抗がん剤の審査なども早くなっております。このこと自体は大変結構なことだと思いますし、基本法を作った一つの成果だというふうに思いますけれども、結局、いい薬ができて、審査も早く通していただいても、まあ新しい薬は高いですから、そうすると、DPCだとなかなかこれ、それは現場の判断なんですけれども、お医者さんは使いたいと、しかし病院の経営者は従来のと、こういう中で、せっかくいいことを行政もやってくれたし、それから医療者も一生懸命勉強して、そして製薬会社もそういうふうな開発をしてくれてということが、患者さんにあと一歩のところで届かないということになっているんですね。これは大変残念だと私は思います。  是非御検討をお願いしたいのは、今手術はDPCの外ですよね、その算定の枠の外ですよね。ある意味、患者さんからしますと、結局、これはがんだけじゃありませんけど、手術を選ぶのか、こうした抗がん剤治療をやるのか、あるいは放射線治療をやるのかと、その状態に応じてどれかを、それは医学的にベストなものを選ぶわけですから、この抗がん剤治療にしても、薬ではありますけど、やっぱりそれの投与というのは非常にある意味で医者の高度な技術、ケアの下にやらなければいけないということも事実でございますので、是非この点は、抗がん剤治療をDPCの枠組みの外に、手術と同じような扱いにしていくということについて是非御検討をいただきたいということ、これはもうお願いでございますので、よろしく御検討をお願いをしたいと思います。  それと、農林省さんに来ていただいていますので、もう時間がありませんのでお願いを申し上げますが、築地の卸売市場の豊洲地区への移転問題でございますが、私たち民主党は、この問題は実はこの委員会で私、二〇〇二年の四月一日にも問題提起をさせていただいて、余りにも強引に東京都が、六価クロムを始め有害金属の土壌がもう確認をされている、その土地所有者が確認をしているところに、食べ物の正に、しかも築地ですから、それを持っていくというのはこれはいかがなものかということをずっと言わしていただいております。  私ども民主党は、東京都連あるいは都議会民主党を含めて、この移転問題について白紙撤回をするためのプロジェクトチームを立ち上げております。それから、日本環境学会も移転反対の御意見を出されたところでございますけれども、是非やっぱり農林省としても、これは東京都の問題じゃなくて日本全部の消費者の食の安全、あるいは消費者の皆さんの食に対する安心の問題でございますので、是非ここはやっぱりきちっと再調査あるいは追加的な措置、こうしたことをやるように農林水産省から東京都に働き掛けるなり指導するなりアドバイスされるなり是非していただきたいと思いますが、この点いかがでしょうか。
  48. 国井正幸

    ○副大臣(国井正幸君) 今の御指摘の点はさきの都知事選でも政策の争点になったようでございまして、私どもが伺っているところによりますと、再度専門家の御意見等もしっかり聴くと、こういうふうに東京都が再調査に向けて取組を始めるような話を聞いています。  今先生御指摘のように、これはやっぱり食べ物ということで消費者にとっても大変重要なことでありますし、あるいはそこで勤務をして、常時働いている人たちの健康状況にも極めて重大な問題を含んでいるというふうに思いますので、しっかりと、これは第一義的には東京都の問題でありますが、農林水産省としてもしっかり働き掛けて、少なくとも疑義が挟まれないように、そういう努力を重ねていきたいと、このように思っています。
  49. 鈴木寛

    鈴木寛君 是非、今御答弁いただいたように積極的に農林省、食の安全ですから厚労省も絡むと思いますが、政府挙げてこの問題、注視していただいて、的確な指導、アドバイスをしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  50. 風間昶

    風間昶君 公明党の風間でございます。  今日はEPA交渉について伺いたいと思います。  日本はこれまで既にシンガポール、フィリピン、メキシコ、マレーシア、四か国とEPAを締結しておりますが、しかしオーストラリアとのEPAは私は質が異なるというふうに思っておりまして、それは日本にとってオーストラリアというのは非常に重要な輸入相手国であるということと、もう一つは、特に牛肉、牛乳、小麦それから砂糖といった言わば私たちの消費生活に重要な役割を果たしている品目があるのがこのオーストラリアということでございますので、これまでの四か国と結んできた締結とはかなり性質を異にした交渉を行っていかなきゃならないというふうに思っておるところでございまして、そういう意味で、この四月の末に行われましたまず第一回の日豪EPA交渉の経過について伺いたいと思いますけれども。
  51. 浜田昌良

    大臣政務官(浜田昌良君) 昨年十二月に日豪EPAについての政府間共同研究の最終報告が取りまとめられました。これを受けまして、同月、両国首脳間で二〇〇七年から日豪EPA交渉を開始することが決定されたわけでございます。そして、今御指摘ございましたように、四月の二十三から二十四日、キャンベラで第一回交渉会合が開催されまして、交渉の手続及び交渉範囲を含む交渉の枠組みについて議論が行われまして、両国代表間での認識を共有したわけでございます。  なお、次回の会合は七月末に東京で行うことを予定しております。
  52. 風間昶

    風間昶君 そこで、今ほど私が最初に話しさせていただきましたように、重要な輸入国であるんですが、産品がまた日本にとって重要品目があるということからすると、経済的には非常に、そういう意味ではEPA締結が遅れれば、日本にとって不利な状況も出てくることが予想されるわけでありますが。  そこで、このEPA締結がなされた場合に様々な個別交渉があるんだと思うんですけれども、例えば食料品あるいは知的財産といった様々なこのジャンルごとに見てみますと、国民にとって、つまり国益にメリット、デメリットというのが出てくるんじゃないかというふうに思いますけれども、現時点で考えられる、それぞれがジャンルを所管している省庁から、まず経産、財務、農水からお伺いしたいんですけれども。
  53. 松山政司

    大臣政務官(松山政司君) 豪州につきましては、先生もおっしゃいましたように、資源エネルギー等の安定供給の確保、そしてまた今後の東アジア地域における政治、経済面において非常に重要な戦略的パートナーでございます。この日豪のEPAの国民にとってのメリットという意味で三点が考えられるというふうに思います。  まずは第一に、何と申しましてもこの資源エネルギーの安定供給の確保でございます。二〇〇五年現在でございますが、日本の鉄鉱石あるいは石炭の輸入量に占める豪州のシェアはそれぞれ六〇%に達しております。EPAを締結することによってこの資源エネルギーの安定供給を図ることができれば、意義は大きいというふうに思います。  二つ目に、この関税撤廃による貿易の拡大という観点ですが、豪州への輸出を多く占める自動車、電気・電子機器でございますが、我が国鉱工業品の価格競争力を向上させることが可能となるという点でございます。  三点目は、知的財産権や投資等に関するハイレベルなルールの策定、そして先進資本主義国同士のEPAは東アジア地域での経済統合のモデルとなることを期待をしているところでございます。  日豪EPAの我が国国民にとってのデメリットでございますが、お話ございますように、農林水産品及び鉱工業品、特に革製品等々を使った履物もそうですが、センシティブな分野への影響が考えられております。今後の交渉において豪州側の十分な理解が得られますよう、政府一体で取り組んでいくことが重要であると認識をいたしております。
  54. 椎名一保

    大臣政務官(椎名一保君) この日豪EPAは、貿易自由化の促進に加えまして、重複いたしますけれども、資源及びエネルギーの安定供給の確保等に資するというメリットがあると考えております。しかし、その一方、農業などの問題につきましては、そのセンシティビティーに十分配慮する必要があるものと考えております。
  55. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) お答え申し上げます。  日豪のEPAを締結した場合の国民にとっての食料、農業に関係いたしますメリット、デメリットでございますが、まずメリットといたしましては、EPAによりまして仮に豪州産の農産物の関税撤廃が行われた場合につきましては、食料品などの購入価格が低下する可能性があることが考えられます。  他方、同時に、この場合、デメリットといたしまして、豪州からの輸入が増加することから、競合する国内農産物の生産が減少するおそれがございます。また、これによりまして農業が果たしている食料の安定供給の機能や国土、環境の保全等の多面的機能、さらには地域経済に影響が及ぶこととなり、農業関係者のみならず、広く国民一般にとってもデメリットが生ずる可能性があると考えているところでございます。
  56. 風間昶

    風間昶君 今三省からお伺いしましたら、いずれにしましても、メリット、デメリットと対比させると、それがいいかどうか分かりませんが、メリットの方が大きいと。しかし、デメリットとしては、センシティブ品目、いわゆる農産品で、ここのところをどうするかということがそれぞれ三省の課題だというふうに思って伺いました。  特に、競合するような農産物、牛乳やあるいは砂糖や小麦やお肉。お肉も日本では典型的に地域によって和牛が作られているわけでありますから、関税が下がって、あるいは撤廃されると、価格が当然消費者にとってはいいのかもしれないけれども、しかしそれを作っている日本の生産業者にとってみれば、もう作っていけなくなる。つまり、売れなくなるということからすると、この部分をどうするかということが本当に国民にとって、あるいは農業生産者にとってどうかということの判断をしなきゃならないというふうに思っておりますから、トータルでこのEPA交渉を、私は、国がきちっと責任を持つ人がいて、個別交渉は個別交渉であるにしても、そこの部分をどうコーディネートしていくかということが大事だと思うんですけど。そこは外務省がするのかどうか分かりませんけれども、外務省がするんですか。ちょっと教えてくれますか。
  57. 浜田昌良

    大臣政務官(浜田昌良君) EPA交渉につきましては、各省としっかり連携をしながら、守るものは守る、譲るものは譲る、攻めるものは攻めるというところをはっきりさせて連携して取り組んでいきたいと思っております。
  58. 風間昶

    風間昶君 ですから、資源エネルギーから知的財産からいろいろ、投資から公共政策から全部大事だと。しかし、センシティブな部分についてはどうするかということでは、今政務官おっしゃいましたように、守るものは守る、譲るものは譲るといったら、じゃどこかが譲らなきゃならないものが出てくるなということが予測されるわけですけれども、それをどういう形で連携するかということの具体的な戦略、政府として考えているのかということが聞きたいわけです。そこは、だから外務省はどう考えているのかと。
  59. 浜田昌良

    大臣政務官(浜田昌良君) 政府といたしましては、関係省庁間でしっかり議論いたしまして、全体として国益が最大になると、そういう方向で取りまとめを考えていきたいと思っております。
  60. 風間昶

    風間昶君 特に、このEPA、オーストラリアとの交渉に関しては、もう正に農畜産物への影響が懸念されているわけでありますけれども、安いものが入ってくるとなると、基本的には消費者は、今はBSE問題とか何かがあるから日本のお肉を買いたいという人が結構いてそれなりに守られているんだけど、守られているというか日本のものに対する食を取ろうとする人はそれなりの層がいるんだけれども、それも関税が撤廃されてしまうと当然、今でも値段はお肉一つ取ってみてもオーストラリアのものは日本の三分の一近くあるわけでありますから、もっと安くなってくると当然日本のものが六倍、七倍ぐらいの価格の差が出てくると、大半の消費者はオーストラリアを含めた輸入の生産物の方に向かっていくことがはっきり予測できるわけであります。  その結果どうなるかというと、農業をやっている方々にとってみれば、生産意欲わかないばかりか、もう見えないということになるとやめてしまう可能性があるわけであります。そのことがそのまま、やめてしまうと、国民にとっても、全体の食料自給率も下がってくるだろうし、そういう意味では、ですから、消費者側からこの関税撤廃を強く求める意見というのは余り出てきてない感じがしますので、国民に対してどういう発信をしていかなきゃならないのかということが極めて、農水省だけじゃなくて、日本全体としてどうなのかということを是非政府としてきちっと発信すべきだと思うんですけれども、まずは、農産物のことですから農水省に伺いたいと思いますけれども。
  61. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) お答え申し上げます。  日豪EPAにつきましては、豪州側との共同研究におきましてその利益と影響につきまして検討を行うとともに、仮に豪州産の農産物の関税が撤廃いたしました場合の影響につきまして、農業生産のみならず地域の関連産業への経営、雇用の面での影響、さらには国土環境保全等への多面的な機能にも大変大きな影響が生じることを含めまして、地方での説明会の開催などによりましてきめ細かい情報の発信に努めてきたところでございます。  先ほど来話がありますように、四月の二十三、二十四に第一回の交渉が行われております。今後につきましても、相手のある交渉事でございますし、また交渉の帰趨に予断を抱かせることがないようにしなければいけませんけれども、可能な限り交渉をめぐる状況等について国民皆様方にお知らせをしていきたいというふうに考えているところでございます。
  62. 風間昶

    風間昶君 僕はもうちょっと危機感を持ってもらいたいと思うんですね。本当に牛肉の例えば関税撤廃されれば、消費者にとっては安い方がいいから当然外食、今でも、自分たちで家族が少ない中ですから作るよりも、外食で食事を取る、あるいは少人数用の食品あるいはお肉を買ってくるということでありますと、当然そちらの方の価格が下がってくることははっきりしているわけであります。  だから、消費者側から当然本当は関税撤廃を強く求める意見は出てきていいはずなんだけれども、一つは、食料自給率について、今四〇%で、やっと下がるのを食い止めて今くれているけれども、一定のそういう意味では国民理解が出ているから、どうしても国民の方々からすれば危機感が持てない状況であるので、もっとですから国として、食料自給率に絡んでくる問題なんですから、もっと強い発信をすべきではないかと思うんですけれども、もう一度。
  63. 国井正幸

    ○副大臣(国井正幸君) 今先生がおっしゃられたことは確かに極めて重要でありますし、過日、農業団体と私どもが懇談した機会がありまして、その場で私も申し上げたんでありますが、農業者だけのこれは運動ではないと。少なくとも国民全体が、我が国の自給率の現状を考えたときに、今後の食の安全、安定、安心ということを考えたときに国民全体的課題ではないかと。したがって、農業者だけの運動ではなくて、広く国民皆さんに関心を持っていただくような運動を是非農林省としてもお願いしたいと、こんなふうな話を申し上げたところ、私の承知している範囲で、栃木県等においても、生活協同組合の皆さん等々とこれらに対しての認識を共有して、そういう運動が広まりつつあると、このように思っておりますが、さらに農林水産省としても、国民的課題としてこの問題をとらえていただくように努力を重ねていきたいと思っております。
  64. 風間昶

    風間昶君 今般、この日豪EPA交渉において本当に大変なことが予測されるということから、各自治体あるいは諸団体からこの交渉に対して、先行きが非常に不安定で、自分たちのこれからなりわいをやって本当にいけるんだろうかという不安の声が上がっておりまして、私のいる北海道も、(資料提示)具体的には、北海道の農業経済社会が崩壊のピンチだと。EPA交渉をやるなと言っているんでないんですよ。そのことによってお米や乳製品や牛肉や小麦や砂糖がこの重要品目としてきちっと除外していただかないと、もう本当に大変なんですという、こういうこのポスターを今、組合やあるいは自治体だけじゃなくて、道民の市民のレベルまで今この運動論が起こっているわけです。  そういう意味で、この交渉をスタートして、今ほど外務政務官の方から二回目の会合のことについても予定がお話しされましたけれども、私は、交渉内容を、これから向かうに当たっては、これから交渉することについてはつまびらかにする必要はないと思いますけれども、少なくとも一回目、二回目と交渉してかち取ったものあるいはその結果をきちっと情報提供はすべきじゃないかというふうに思うんです。  それができないのはなぜかというと、私は、WTO農業交渉を見据えて今後何をどのようにして守るかという戦略が、中期的な戦略がないからだというふうに思っているわけでありまして、少なくとも、国民すべてにとは言わないまでも、戦略をきちっと明確にすべきだと思っておりますが、そこについて御答弁を農水省と外務省にお伺いしたいと思います。
  65. 国井正幸

    ○副大臣(国井正幸君) 私どもも、このオーストラリアとのEPAにつきましては、これまでとは全く違うという認識を持っています。  先ほど先生がおっしゃられたように、極めて、我が国が重要品目と位置付けてきたものが先方での関心品目であると、こういう認識でございますから、私どもの立場からすれば、譲る中身なんというのは、率直なところ、農業という分野から見ていった限りとてもとても見付からないという状況でありまして、そういう立場政府全体の中で共有をしていただいて、何としても国内農業を守るために努力をさせていただきたいというのが農林水産省の率直な立場でございます。
  66. 浜田昌良

    大臣政務官(浜田昌良君) 風間委員が御指摘のとおり、我が国にとりまして農業分野というのはセンシティブ分野だと外務省も理解しております。  この分野についての理解をオーストラリアとの二国間でしっかり共有するということが重要と考えておりますので、第二回目の会合ではそういうことを議論させていただいて、そのポイントについては皆様に共有できるような形で広報したいと思っております。
  67. 風間昶

    風間昶君 よろしくお願い申し上げます。  次に、先ほど鈴木委員も医師問題について御質問されていましたけれども、絶対的医師不足という観点に必ずしも私は立っていないわけで、まあ二十七万人のお医者さんがいるわけでありますから。  むしろ偏在していることが事実としてあるわけなんで、この地域偏在をやはりどう解決していくかということをまずやっぱり、一挙にそれは医師は増えないわけですから、六年は最低限医学部で掛かり、また、なおかつ研修も含めると七年から八年ぐらいは掛かって、ようやっとある意味では一人前の医師が誕生するわけでありますので。その間でも、やはり現在の地域偏在に関して、やはり医師が不在しているところと常在して中心的なところの患者さんの移送、輸送体系やあるいはサテライト方式といったような形の様々な今すぐやらなきゃならない問題と、もうちょっと、その八年間ぐらいの間で、医師が誕生してくるまでの間に現在の医学部の学生さんが卒後どういう形でその偏在地域に散っていただくかということでは、昨日、おとといでしたか、丹羽総務会長が新たな医師確保対策で自治医大方式を、自治医大の制度を全国四十七都道府県の国公立大学に拡大したらどうかと、五人ずつ増やせばへき地での医師不足は間違いなく解消していく方向だということを提案をしたわけでありますけれども。  こういう様々な今アイデアが出ている中で、厚生労働省として、特に産科医、小児科医の問題はあるけれども、全体に、まずは地域偏在する問題点をどうとらえて、どういうふうにしていくかということの方針を伺いたいと思いますけれども。
  68. 菅原一秀

    大臣政務官(菅原一秀君) 風間先生から医師不足の問題、そしてその背景にあります地域偏在についてお話を賜りました。  政府といたしましては、昨年八月に新医師確保総合対策をまとめまして、今日まで鋭意取り組んできたところでございます。短期的におきましては、都道府県に医師が集まる拠点病院を整備いたしまして、このような病院と都道府県とが協力して、拠点病院から医師が不足する病院への医師派遣を行う仕組みの構築を進めてきたところでございます。  また、お話ありましたように、中長期的には、医師不足が特に深刻な十県におきまして、地域で医師として働くことを条件とする奨学金の充実等、実効性のある医師の地元定着策を実施した上で、暫定的に医学部養成数を増加をさせるように努めているところでございます。  いずれにいたしましても、現在与党の方で新たな検討が始まっているということを承知をいたしておりまして、国民生活に直結する重要かつ緊急な課題として、この医師不足の解消に向けて今後更に早急かつ力強く取組を進めてまいりたいと、このように思っている次第でございます。
  69. 風間昶

    風間昶君 是非進めていただきたい。  今政務官がおっしゃったように、与党の方でも特命委員会をつくって、今週中に立ち上げて医師不足対策の具体的な推進をしていく方向だというふうに伺っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  もう一点。去年、二回目なんですけれども、日本医師会が医師と患者さんとそれから一般国民の方々にそれぞれアンケートをして、そのうち二十歳以上の男女青年を含む二千人の方々に実施したアンケートの一つの中身に、医療に対して国民が望んでいる重要課題は何ですかって聞いたら、一番最も高いニーズが、夜あるいは休日診療、救急医療体制の整備が最も高いニーズであったわけであります。  そういう意味で、医師の地域偏在と、もう一つは診療科別の偏在、これが非常に問題でございまして、特に生命に直結する産科医、小児科医の不足に対して、これもやっぱり同じ切り口でいかなきゃならないと思うんですけれども、ここについて喫緊の対策と中期的な方向性の取組を伺って、私、質問を終わりたいと思いますけれども。
  70. 菅原一秀

    大臣政務官(菅原一秀君) 今お話にございました診療側の偏在によります、とりわけ産科、小児科医の問題でございますが、まず産科医につきましては、各病院に産科医が一名ずつ配置されるなど、医師の広く薄い配置などによる勤務医の厳しい勤務環境、あるいは特に産科におけるリスクの高まりや訴訟の増加に対する懸念、あるいは少子化による出生率の減少、こういった様々な課題があると認識をいたしております。そこで、現在、医師が集まる拠点病院づくりやあるいは医療機関相互のネットワークの構築をするとともに、今お話ありました新救命制度の制度化等の検討やあるいは産科医補償制度の検討等を推進をしているところでございます。  一方、小児科医につきまして、今日、核家族化の進行や共稼ぎ家庭の増加等に伴う、お話にございました休日夜間の診療が大変増えているという状況、あるいは親が専門医を志向するといった患者の受療行動の変化による小児医療の質的なニーズの増加といったような背景がある中で、今日、医療機関の集約化やネットワークの構築に加えまして、休日夜間診療など開業医の役割、機能の明確化等を対策としてしっかり推進をしていきたいと、このように思っております。  最後になりますが、特に産科医と小児科医には女性のお医者さんが大変多うございまして、早急に就労を支援するための女性医師バンク等の設立や院内保育所の整備等をしっかりと進めながら、女性医師が働きやすい環境の整備等についても着実に進めてまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  71. 風間昶

    風間昶君 終わります。
  72. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  公務員の分限問題について伺います。  政府は、小さな政府を目指す行革法で、五年間で国家公務員の五%、地方公務員の四・六%以上を削減すると規定いたしまして公務員削減を行っているところです。しかし、初めに公務員削減ありきで、その結果、国民サービスが低下したり公務員労働者の権利の侵害があってはならないことは当然です。  人事院にお伺いいたしますけれども、憲法十五条で、公務員国民全体の奉仕者であり一部の奉仕者ではないとされており、国公法九十六条、地公法三十条で、それぞれ公務員の服務根本基準として、国民全体の奉仕者として公共の利益のために服務し、職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならないとしています。その結果、公務員には強固な身分保障、七十五条が行われております。  国家公務員法、人事院規則では、公務員の身分は具体的にどのように保障されているのでしょうか、お伺いします。
  73. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 国家公務員の身分保障につきましては、成績主義の原則の下、職員が、先生御指摘のように、全体の奉仕者として情実に左右されず、また恣意的にその職を奪われることのないように、免職、降任等の処分を行うことができる事由を法令で明定することによりまして、公務の中立性、公正性、安定性を確保し、その適正かつ能率的な運営を図ろうというものでございまして、具体的に申し上げますと、ただいま御指摘ございました七十五条でございますが、職員をその意に反して分限処分をするには法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければならないということを規定いたしますとともに、七十八条におきまして降任及び免職の事由について、勤務実績が良くない場合、心身の故障のため職務の遂行に支障等がある場合、官職に必要な適格性を欠く場合、定員の改廃等により過員等を生じた場合という四つの場合に限定しているところでございます。
  74. 吉川春子

    ○吉川春子君 私、ちょっと公務員の分限規定ってややこしいものですから、資料を二枚お配りさせていただきまして、今、人事院総裁がおっしゃいました本人の意に反する降任又は免職の場合というのが資料一でございます。  それで、この四つの場合に限定して人事院規則で規定しておりまして、分限免職については公務員法三十三条四項で人事院規則で定めるとしていますけれども、その理由はどういうことなのでしょうか。
  75. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) ただいま申し上げましたように、国家公務員法七十八条は降任又は免職に係る四つの事由についての基本的な事項を定めているわけでございまして、人事院規則におきまして具体的な分限処分を行うに当たっての処分手続その他必要な事項を明らかにすることによりまして、処分の公正性あるいは職員の利益保護等を確保して、最初に申し上げましたように、公務の公正、適正かつ能率的な運営を図ろうという趣旨で特に人事院規則にその委任の規定を設けているわけでございます。
  76. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう少し具体的にお伺いしますけれども、人事院規則、まあ地方公務員にあっては条例なんですけれども、それによらずに勧奨退職制度などを策定して、その中に降任、減給、分限免職等の処分規定を設けて運用するということは認められるのでしょうか。
  77. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) お尋ねのその勧奨退職制度という制度の意味が、私十分理解をしておりませんけれども、いずれにいたしましても、降任や免職など職員の意に反する処分につきましては、法律や人事院規則の規定にのっとりまして制度の趣旨に沿って適正に運用される必要があるものと考えております。
  78. 吉川春子

    ○吉川春子君 基本的には、国家公務員の場合には人事院規則、横並びの地方公務員については条例と、そういうことによるという答弁でしたが、人事院は、昨年の十月に職員が分限事由に該当する可能性のある場合の対処措置について、分限事由などについて通知を出されましたね。それには人事院規則一一―一に関する判例などを添付して、詳しい手続等の通知を出したわけですけれども、その理由はなぜでしょうか。
  79. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) お答えいたします。  分限処分につきましては、処分後に裁判になるようなケースもあり得ますので、十月の分限指針の発出の前におきましては、各府省では、分限事由に該当する可能性がある場合にどのような対応が必要であるかについて、いろいろ悩んだり苦慮している例が見られたところでございます。  そこで、人事院といたしまして、各任命権者が分限制度の趣旨にのっとった対処を行いまして、公務の適正かつ能率的な運営が確保されるよう、昨年の十月に、国公法の七十八条の一号から三号までに係る裁判例とかあるいは人事院の判定例、過去の処分例等に見られる典型的な事例ごとに手続とか留意点等の対応措置を指針としてまとめて、各省の参考に供したという趣旨でございます。
  80. 吉川春子

    ○吉川春子君 念のために伺いますけれども、裁判例になるケースが増えてきたということですが、これから更に分限処分を大いにやろうというための手続ということで出したわけじゃないですよね。そこを確認します。
  81. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) いずれにしましても、分限事由がある場合には分限処分を適正に執行をしていただく必要があるというふうに考えております。
  82. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういうことを聞いたんじゃないんです。要するに、人事院規則があるわけでしょう、今、一号から四号について。それに更に詳しく、三号までについてこういうふうに詳しくやりなさいよという手続を出したわけですね。六十年間これはなかったわけで、六十年間というか五十数年間なかったのにいきなり去年出したわけですね。国民投票法案も六十年ぶりで作りましたけれども、何かそこに思惑があるんですか。どうしてこういうものを急に思い付いたかのように五十数年の空白を経て出したのか、その点はどうなんですか。
  83. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 申し上げましたように、各省からも、裁判なんかになるケースがあるので、どういう場合にどういうことをしたらいいのか、何か人事院の方で参考になる指針のようなものを作ってくれないだろうかというような相談や要望がかねてございまして、私どもも裁判例等も勉強いたしまして、裁判例の若干の蓄積もございますので、それを各省の参考になるように取りまとめたということでございまして、特にそのタイミングについて、たまたまこの時期になったということでございます。
  84. 吉川春子

    ○吉川春子君 その人事院の通知の中で、七十八条一項の勤務成績不良職員への対応措置、心身の故障の場合について人事院規則を補完する一層詳しい手続を示していますけれども、その意味は何ですか。
  85. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) お答えいたします。  任命権者が分限制度の趣旨にのっとった対処を行いまして、公務の適正かつ能率的な運営が確保されますように、分限処分の今御指摘がございました指針では、勤務成績不良職員への対応措置に該当するかどうかにつきましては、これも裁判例等の蓄積を踏まえまして、単一の事実や行動のみをもって判断するのではなくて、一連の行動を相互に有機的に関連付けて判断することが必要であって、客観的な資料を収集した上で行うことが適当であるという、そういうような言わば各省に対する指導の指針をお示しをしたということでございます。
  86. 吉川春子

    ○吉川春子君 例えば、成績不良職員への対応については医師の診断を付けるとか弁明の機会を付与するとか、その上で一定期間経過後も改善されない場合をおいて分限免職になるとか、あるいは心身の故障の場合にはまた詳しい手続を設けていますね。こういうふうに慎重にやられたいと、慎重にやるべきですよと、こういうことですね。ちょっと、簡単でいいです、そういうことですね。
  87. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 慎重を期するべきところはきちっと慎重を期して検討してくださいということでございます。
  88. 吉川春子

    ○吉川春子君 そして、四号について、これ俗に公務員のリストラと言われる規定ですけれども、この場合は分限処分の通知では触れられていませんけれども、これは、今までほとんどこういうことがやられた例がないから具体的に通知では触れなかったんですか。
  89. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) お答えいたします。  国公法の七十八条の一号から三号と四号というのはちょっと性格が違うところがございまして、一号から三号は職員側の、勤務成績不良とか心身の故障等の職員側の事情が処分検討の契機になるわけでございますけれども、四号につきましては官側の事情、組織の改廃とか予算の減少などの官側の事情が処分検討の契機になるものでございまして、両者は適用の場面や背景が基本的に異なるものだと考えておりまして、実際に公務組織が改廃される場合には、民営化されたり独立行政法人化されたり、大学法人化されたり等々いろんな態様がございますし、また職員の身分の取扱いについても、身分承継規定が置かれたり、そうでない場合等も、いろいろなケースがございます。  そういった公務の組織の改廃をめぐる事情につきましては多様な事情がございますので、四号につきましては公務組織の改廃の趣旨に応じて、個別に適切な対応を検討することが適当であるというふうに考えたというところでございます。
  90. 吉川春子

    ○吉川春子君 見方によっては、この四号の規定も大変難しいというか危険な規定だと思うんですけれども。  そこで伺いますけれども、人事院規則では、職員のいずれを降任又は免職するかは、任命権者が、勤務成績、勤務年数その他事実に基づき、公正に判断して定めるものとするとされていますけれども、まずその対象職員を選別して退職を強要して、応じない人物を即降格、減給、休職、免職というようなやり方は許されないと思いますし、公正に判断されたかどうかどのように担保されるのか、こういう場合にもやはり憲法三十一条の法定手続というものは求められるのではないかと思いますが、その点についてはいかがですか。
  91. 鈴木明裕

    政府参考人鈴木明裕君) 先生御指摘のとおり、国公法の七十八条四号を適用して一定規模の人員を削減する場合の人選の基準につきましては、人事院規則の一一―四の七条四項において、「任命権者が、勤務成績、勤務年数その他の事実に基き、公正に判断して定めるもの」というふうに規定をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、先生おっしゃった降任、減給等の、降任、免職等、職員の意に反する処分につきましては、法律や人事院規則の規定にのっとりまして、制度の趣旨にのっとって適切に運用される必要があるというふうに考えております。  また、こういった職員の意に反する不利益処分に対しましては、職員は人事院に対して不服申立てをすることができるものとされておりまして、公正さを含めまして、処分が適切に行われたかどうかを人事院が審査をする仕組みとなっているところでございます。
  92. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間で、省略しますけれども、法定手続の原則というものがこの行政処分にも当てはまるということは判例でも指摘されているところです。  そこで、総務大臣、今まで国家公務員についてずっと伺ってまいりました。国家公務員と地方公務員は横並びですが、条例と人事院規則という違いがあるんですけれども、全体の奉仕者、身分保障、意に反する分限処分など同様の規定があるわけですね。そして、地公法二十四条には、その勤務条件を定める際に、国及び地方公共団体の職員との権衡を失しないように適当な配慮を行うと、こういう義務を課していますけれども、この意味をどう受け止めておられますか。
  93. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 今委員から御指摘のありましたように、この地方公務員法第二十四条の五項では、今言われたように、国と地方の間にこの権衡を失しないような配慮がされなきゃならないということをうたわれています。  公務員は、国、地方を問わず、公共の福祉の増進のために勤務する者であるという点では同質のものであるというふうに思います。そういう中から、勤務時間等の均衡が取れていることが公正な処遇にかなうという、そういう趣旨であるというふうに考えています。
  94. 吉川春子

    ○吉川春子君 総務大臣、引き続きまして、本人の意に反する処分については、公平、厳正、慎重な対応が求められているわけですが、二十七条二項の条例で定める場合でなければ意に反して降給されず、あるいは二十八条の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続及び効果は条例で定めるとなっていますが、これについてはどのように受け止めておられますか。
  95. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 今御指摘のありました地方公務員法第二十七条第二項は、職員に対して行われる不利益処分のうち、もたらされる不利益の内容が専ら給料に関するものにとどまる降給については、それが行える事由を条例で定めることとしているものであります。  また、地方公務員法第二十八条第三項の規定は、降任、免職、休職及び降給の手続及び効果については各地方公共団体の自主立法である条例で定めることにしているものであります。
  96. 吉川春子

    ○吉川春子君 総務大臣、昭和二十六年、当時の自治省が地方公共団体に示した職員の分限に関する手続及び効果に関する条例、準則では、私、資料のもう一枚目、資料二の方にお付けしてあるんですけれども、これには、法律二十八条一項二号に該当するものとして、職員を降任、免職する場合、休職については医師二名にその診断を行わせなければならないと規定していますけれども、一号、三号については事実の認定を問う手続に関する記述はないわけですね。まあこれは準則ですから国が示したというものなんですけれども、やはり公務員の分限手続に関する人事院規則に照らしていかにも簡略過ぎると、この部分が欠落していると私は思うわけです。  是非、この点についてもう少し親切な具体的な規定を盛り込むような検討、見直しというものを総務省においてしていただきたいと思いますが、その点はいかがですか。
  97. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) 昭和二十六年に示しておりますこの職員の分限に関する手続及び効果に関する条例案というのは、あくまでも参考として、基本的に必要な事項と考えるものを盛り込んで地方公共団体に対して示しているものであって、分限の手続については各地方公共団体が条例で定めることとされておりまして、各地方公共団体において必要と判断される事項を適切に定めていただくというふうに私どもは考えております。
  98. 吉川春子

    ○吉川春子君 ですから、あくまでその例として示したにすぎないということは分かりますし、地方自治体が条例制定権があるわけですから、それはきちっとその条例で手続等を決めてほしいという、今の大臣の答弁はそういうことであったと思いますけれども。やはり意に反する分限免職、処分ですからね、そういうものに対してやっぱりきちっと条例で定めるべきなんだと、こういうような指導といいますか対応というか、検討ですね。昭和二十六年というとかなり前ですよね、そういう戦後のかなり混乱した時期に出した準則だから、それはそれでその当時の意味は別といたしまして、今日こういう時代になったときにもう一度検討していただきたいと、その点について大臣に最後お伺いいたします。
  99. 菅義偉

    国務大臣(菅義偉君) いずれにしろ、各地方公共団体、適切に対応していただくというように考えておりまして、こうしたものについては、今地方分権の時代の中で、私どもとしてはその全体像を示させていただくという中で、あとそれぞれの地方公共団体でやはり適切に処分に、していただくのが私は正しいのではないかなというふうに思っております。
  100. 吉川春子

    ○吉川春子君 委員長、済みません、あと一言。質問じゃありません。  私は、やはり総務省の方を向いて地方行政が行われる場合も多いわけですよ。その準則ってなって、その中に人事院規則にはあるんだけれども入ってないというものがあって、そっくりそのまま横並びで条例を定めている全国の自治体が幾つかあります。そうじゃないところもあります、きちっと細かく定めているところも。そういうものがありますので、是非再検討していただいて、適正に分限処分が、仮に行われるとしてもその法定手続に沿って行われるような、そういう目配りを是非総務省においてしていただきたいと。そうでないと不当に公務員の人権が侵害される場合があるんだということを指摘して、時間ですので質問を終わります。
  101. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  今日は、今年の一月の初めから各地の電力会社でデータの改ざんだとかあるいはトラブルの隠ぺい、こういうものが続出をしまして、それをきっかけに経産大臣あるいは国交省、大臣が不正の総点検を指示をいたしました。三月の末に期限を切って、それまでにすべてのうみを出せということで指示をしたわけでございますが、そのことに対する保安院の言わば処分結果、処分についてお聞きをしたいということで院長に来ていただきました。  今ほど言いましたように、原発の安全は絶対の条件でありますけれども、今回、水力発電にトラブルが非常に、データ隠しが非常に多かったんですが、原発についても約百件近く、四百五十回の不正が発覚をしたわけでございます。この原発の不正に対する行政処分、どういう結果を出されたのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  102. 広瀬研吉

    政府参考人(広瀬研吉君) お答え申し上げます。  今回の総点検の結果、原子力分野におきましては九十八事象のデータ改ざん等がありました。総点検結果に対しまして、経済産業省は原子炉等規制法や電気事業法が確保しようとする原子力発電所の安全が損なわれた、又は損なわれるおそれがあったものを最も厳しい評価区分Ⅰとするなど独自に評価基準を設けた上で、すべての報告事案に対しまして厳しく評価を行いました。  この評価の結果、原子力分野において評価区分Ⅰといたしました志賀原子力発電所一号機の臨界事故などの十一事案に対しまして、再発防止の観点から、重大事故が経営責任者に直ちに報告される体制構築や原子炉主任技術者の独立性を確保させるなどのために保安規定の変更を命令する行政処分を行ったところでございます。  これに加えまして、対象となる九つの原子炉に対しまして、直近の定期検査において原子炉停止中の安全装置の作動状況の確認等の特別な検査を追加的に実施し、より長い期間、二、三週間分の追加と考えておりますが、を掛けて厳格に安全を確認することとしましたこと、また対象となる七つの原子力発電所に対しまして特別原子力施設監督官を派遣して、変更された保安規定の遵守状況の確認などの特別な保安検査を行わせるとともに、特別な検査の監督を行うことなどの厳格な対応を行うこととし、安全確保の徹底を図ることといたしております。
  103. 近藤正道

    ○近藤正道君 今ほど院長が厳しい評価、そしてこれに基づく対応をやったということでございますが、中身的には保安規定の変更が中心であると。保安規定でありますので、原発運転の言わばルールですよね、運転のルールを変えなさいよと、こういうことが中心です。  このことについては私は、皆さんが処分をした後、各マスコミ、新聞社の社説等をいろいろ見さしていただきました。それを見ますと、やはり非常に甘い、処分としては大甘だと、こういう声が私は大勢だったんではないかというふうに思っています。とりわけ原発を抱える現地の地方新聞等は、非常にやっぱり厳しい評価をしております。私の地元の新潟などは処罰なしにあきれると、こういう見出しでありまして、とにかく原子炉等規制法の三十三条に、保安規定等に違反した場合には原子炉の設置許可の取消しだとかあるいは一年を超えない範囲で原発を停止をさせると、そういう規定があります。  私などは、当然、過去の事例から見て、〇二年度も福島第一の一号機でいろいろ不正がありました。あのときも一年間の原子炉の停止ですよ。過去の原発の事例から見まして、当然今回は、その保安規定の変更はもちろんあるとは思うけれども、原子炉等規制法の運転停止などは当然あるんだろうと、こういうふうに思っていたわけでありますが、その運転停止等は全くないと。  私は運転停止を求めるということはすべてだとは思いませんけれども、全くこの実質的な処罰がないということの中で、原発を抱える地元では本当にこんなことでいいのかと、余りにもいい加減に過ぎるんではないか、限度を超した大甘の処分ではないかという声が非常に強い。過去の事例から見ても私は非常に甘いと思うんですけれども、どうして今回はこんなに寛大な処分で済ませたんですか、理由を聞かしてください。
  104. 広瀬研吉

    政府参考人(広瀬研吉君) 今回の総点検の結果でございますが、現在において保安規定に違反し安全が損なわれ又は損なわれるおそれがある事例が見られませんでした。  また、今回の総点検の趣旨にかんがみまして、過去に行われた保安規定に対する違反の再発を防止し保安の向上を図らせる観点から、原子炉等規制法第三十七条第三項の規定に基づき、保安規定の変更を行政処分として命令し、より適切かつ確実に安全が確保されるような体制をつくらせることとすることが重要だと考えたところでございます。このため、保安規定の変更命令を発動したところでございます。  このような行政処分は、私どもといたしましては甘いものではなく、適切なものと考えておるところでございます。
  105. 近藤正道

    ○近藤正道君 どこが適切なのか、私には全く分かりません。  三月の二十六日の参議院の予算委員会で、私は総理大臣に、総点検の結果を踏まえて厳正にとにかく対処すべきだという質問をいたしましたら、総理大臣は、「今月末までの総点検の結果を踏まえまして、信頼性の回復に向けて厳正な措置を講ずるべきだ、このように思っております。」と、こういうふうに答弁をされました。  私は、今回の例えば志賀原発、あれは我が国最初の臨界事故ですよ。これを約十四名の原発の幹部の人たちが、最高幹部の人たちが集まってこれ隠ぺいしたわけですよ。そしてその証拠も全部隠したり、場合によっては改ざんをしたりしてこれを隠した。そして福島第一の三号についても、これも臨界事故、ほぼ皆さんはそういうふうに断定しているというふうに思いますけれども、これを隠したんですよ。  過去の原子炉等規制法三十三条の処分例、つまり運転停止一年、この処分例を見ても、どうして今回のような、志賀原発のようなケースが最低原子炉停止にならないのか。私は設置許可の取消しがあったって全くおかしくないと思っているんですけれども、過去の事例から見ても、何でこんなに私は軽いのかとても理解できない。  ですから、あちこちのマスコミが、新聞社の社説が、こんな甘い処分でいいのかという言わば論評を載せているわけですよ。私だけが言っているわけではない。マスコミが多く言っているわけですよ。それは、幾ら過去のことであったとせよ、現在は問題はないにせよ、とにかくある時期にこういう違法なことをやった、これは紛れもない事実なんじゃないですか。どうしてこんなに恣意的な差別的な取扱いをするんですか。  私は、これが、今回のケースがもしこれ前例になったら、これからよほどのことがない限り原発の停止などということはあり得ない、原子炉等規制法の三十三条の規定が発動されることなんかないんではないか、そういう危機感さえ持っているんですよ。もう一度どうぞ。
  106. 広瀬研吉

    政府参考人(広瀬研吉君) 委員御指摘の、原子炉等規制法第三十三条第二項の規定に基づく運転停止命令は、災害を防止して安全を確保するという原子炉等規制法の規則の目的を全うするためのものであると考えております。  保安規定の違反を理由とする運転停止命令については、この違反により、現在においても安全が損なわれ、又は損なわれるおそれがある場合に必要な期間を定めて運転を停止させ、是正を図らせる趣旨のものと理解をいたしております。  このことから見まして、北陸電力志賀原子力発電所一号機において平成十一年六月に臨界事故があったわけでございますが、この臨界事故におきましては、保安規定の違反が幾つかございました。例えば、臨界事故が発生した場合には、事故の原因について調査を行ってから起動すること、保安に関する記録を作成して保存をすること、また原子力本部長への報告を行うことがそれぞれ求められていたところでございまして、これらの保安規定に違反をしていたことは確認をいたしております。  しかしながら、このような保安規定の違反が現時点での原子炉の安全の確保を損なうものではないということでございまして、このため、原子炉等規制法第三十三条第二項の運転停止命令が設けられている趣旨や、今回の総点検を指示したねらいから見て、志賀一号機の運転停止を命令することは適当ではないと考えておるところでございます。
  107. 近藤正道

    ○近藤正道君 今ほどの保安院長の原子炉等規制法三十三条の解釈について、私は到底納得ができません。  院長の今ほどのお話は、保安規定違反の事実プラス現在も保安規定の違反の事実が続いていると、この二つの要件を満たすということが三十三条違反を問うためには必要な要件だと、こういう立場に立つんですか。
  108. 広瀬研吉

    政府参考人(広瀬研吉君) お答え申し上げます。  今、先ほど御答弁申し上げましたとおり、保安規定の違反がありまして、その保安規定の違反によりまして現在における安全性が損なわれ、損なわれるおそれがある場合に、その必要な期間を定めて運転を停止させ、是正を図らせるという趣旨のものでございます。
  109. 近藤正道

    ○近藤正道君 原子炉等規制法三十三条のどこに書いてありますか。現在もそういう状態が続いていると、そういうものが必要だというものは三十三条のどこに書いてありますか。そんなこと書いてないんじゃないですか。それが一点。  それともう一つ、今ほど院長がおっしゃった保安規定違反に加えて、現在もその違法な状態が続いている、この二つの要件が必要だ、こういうふうなお話ですけれども、あの〇二年の福島第一の一号炉、そんな要件のない中で処分が出たんじゃないですか。あのときは、要するに圧力容器の検査をごまかしたと。その数年前に出たやつがその後明らかになったんじゃないですか。  今までの処分で二つの要件なんか厳格に適用なんかしてこなかったんじゃないですか。今回のケースについてのみ、初めてそういうことを皆さん言い出しているんじゃないですか。そういう恣意的な差別的な行政処分の発動というのは許されないんじゃないですか。  重ねてお尋ねしますよ。  今までは保安規定違反があれば直ちに三十三条を適用していたんじゃないんですか。今までは保安規定違反があれば直ちに処分していたのに、何で今回だけ保安規定違反プラス現在も違法状態がそのことによって継続をしている、二つの要件を求めるんですか。そんなものは条文のどこにも書いていない、過去にもそういうふうな適用なんかしていない、私はそういうふうに思いますが、明確に御答弁ください。
  110. 広瀬研吉

    政府参考人(広瀬研吉君) お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げました原子炉等規制法第三十三条第二項の規定に基づく運転停止命令の適用の考え方でございますが、原子炉等規制法が災害を防止して安全を確保するという目的の法律でございますので、この法律の目的から照らしまして、先ほど申し上げました第三十三条第二項の規定の運用の考え方になると考えておるところでございます。  また、先生御指摘の東京電力福島第一原子力発電所一号機で平成三年、四年に実施されました国の定期検査におきまして、検査を妨害して不正な操作を行うことによって格納容器の漏えい率について適合確認を受けていたということがございました。これは保安規定に定める基準を満たしておらず、保安規定に違反をするものでございます。  この場合には、その後も格納容器の漏えい率がこの保安規定に定める基準に適合していたことは確認をされていないということでございまして、また事業者が国の検査を妨害して不正な操作によって適合確認を受けていたことについて自ら国に報告をしていなかったというようなことから、平成十四年当時であってもなお安全が損なわれているおそれがあると考えて、原子炉の運転停止の命令の処分をいたしたところでございます。
  111. 近藤正道

    ○近藤正道君 くどいようですけれども、私は今ほどの院長の説明には全く納得ができません。  皆さんは、原子炉等規制法の三十三条のどこにも書いていない言葉を法全体の趣旨のようなところから持ち出してきて、不当に、何というかな、要件を加重させて今回の厳正処分を回避した、極めて差別的で恣意的な処分だというふうに私は思いますよ、それは、これはね。ですから、マスコミ各社は社説等でこんな甘いあきれた処分はないというふうに言うし、現地の住民はこれでは国なんか信用できないんではないか、こういうふうに言うんです。  私は、原発については一つの考えあるけれども、原発がこの国の電力エネルギーの三分の一を占めている極めて重要なものであると、単に責任だけを問えばいいなどというふうには思っていない。同時に、やっぱりそれなりの役割というのは、それは認めるところはやっぱり認めなきゃならぬというふうに思う。これからもいろんな役割があると思うけれども、ならばなおのこと、やっぱりおかしなことをしたときには泣いて馬謖を切るという、そういう論理で厳しくやっぱり処罰をしていかないと、正に地域独占の国策会社の事故隠ぺい体質はやっぱり直っていかない、そういうふうに思うから私は厳しくやるべきだ。  だって、本当にこの志賀原発のこんな事故を原子炉等規制法違反で一定の停止処分にできなかったら、もうこれから原発の不正に対して原子炉の停止処分なんかできなくなりますよ。ここで処分しなくていつ一体するんですか。そんなこと考えたこと皆さんありますか、それは。余りにも皆さんはそれは原発について寛大過ぎますよ。だから、私は規制機関は推進機関から分離しろと、保安院を経産省から分離をしてやっぱり監視に徹底しろと、こういう議論が繰り返し出てくるわけですよ。こういう私は寛大な正に電力会社寄りの処分では、私は長期的に見ると結局国民の信頼を得られないことになると思えてなりません。  今度のこの処分の後、隠ぺいに対するペナルティー強化はするんですか、しないんですか。
  112. 広瀬研吉

    政府参考人(広瀬研吉君) お答え申し上げます。  今先生の御質問は、隠ぺいに対するペナルティーの法的な制度の強化を考えるかということかと思いますが、現在はその検討は考えてございません。
  113. 近藤正道

    ○近藤正道君 全くあきれるばかりだというふうに思います。  私は、電気事業法等で原発についての刑事責任については時効の壁があります、責任追及についてはね。ところが、行政処分についてはその時効の壁がないと、そういうことを皆さんもずっと言ってきた。だから、原子炉等規制法三十三条で悪質な場合には原子炉を一定期間止めると。これはやっぱり私は有力な武器だと思っていたんだけれども、皆さんのような、今回のような答弁だと、これについても事実上やっぱり時効の壁、時効的なやっぱり壁があるということがはっきりした。しかも、隠ぺいについても更にペナルティーを強化するという考えもないと。これでは本当に、国民、とりわけ原発立地の現地に住む、原発と隣り合わせに暮らす住民にとってみれば本当にやっぱり踏んだりけったりですよ。  本当に私は、原発は皆さんが大事だと言うんなら、やっぱり責めるときにはやっぱりきちっと責める、責任を問うときには問うと、こういうやっぱりめり張りのある対応をしなければこれはおかしいと思う。こんなことでやっぱり原発のあしたは私はないと思いますよ。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
  114. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございますが、大臣、久しぶりです。あと、これで最後ですので、ちょっとだけお付き合い願いたいと思います。  教育の問題についてお尋ねしたいと思うんですけれども、やはり教育を考える場合に一番問題は、私は教育委員会在り方が一番問題だと思うわけですね。今のように教育委員会には予算権もなければ人事権もないというような状況で、政治的中立性を理由にやっておりますけれども、こういう形で本当にいいのかどうか。  今回、文部省は、地教行法を一部直して、生命、身体を保護する場合には指示できるという形にしておられますけれども、何でこの程度の改正で、民主党の方も教育委員会廃止のところまで突っ込んだ案を出しているんですから、政府はもっと思い切ってこの教育委員会在り方についてお考えにならないんですか。いろいろと問題があると思います。どうですか。
  115. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) これは先生と何度も教育基本法の特別委員会の際に御議論を申し上げましたけれども、何事も制度改革というのは一長一短なんですね。今政府が提出をいたしましたのは、この前の改正教育基本法の十六条によって、教育行政は国と地方公共団体の適切な役割分担の上に行われると、これは改正教育法として国会で決めていただいた方針です。この中で、国は基本的な枠組みを決め、地方にその実施をお願いをしているということですね。ですから、現在でも国と地方との行政の分担については、平成十一年の地方分権一括法以来、法定受託事務と地方自治事務との二つに分類されたことはもう先生御承知のとおりです。  教育は、御承知のように、教育委員会がやる分野については、これは地方の自治事務になっております。自治事務について国会意思と違う状況が起こったり、必ずしも国会意思が担保されていないときは、一般則として地方自治法による是正要求権というものが国にございます。しかし、なかなか、未履修の問題、いじめの問題等を見ても、十分なことができ得ないので、今回は具体的な是正の内容を付して、そしてそれを地方教育委員会にお願いをするというのが四十九条ですね。そして、五十条としては指示をするということが書いてあります。  地方自治法の一般則は、具体的な是正内容を付すことを要件といたしておりません。今回は、具体的にここを直してもらいたいという是正の具体的要求を付すということを条件としております。それと同時に、本来、国と地方が分担をしてやる場合は、地方の教育委員会の構成員たる教育委員を指名された地方自治体の首長、それからそれを承認された地方議会、これが国の要請どおり、あるいは国会意思どおり行われていないということを、地方自治の力を発揮して、国が是正要求や指示をする前に改めていただかないと困るんですよ。  これは、改正地教行法の前の地方自治法の一般則においてそれはできるわけですけれども、それを地方自治の力を発揮して改めていただいていないから未履修やいじめの問題というのは何度も何度も繰り返されていくので、今回このような法案を作成して、中教審の御審議を経て作成をして、国権最高機関である、現在、国会の中の衆議院で御審議を願っているという段階でございます。
  116. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 いろいろなお話ございましたけれども、私言いたいのは、国と地方の関係の中で、特に地方分権推進法のときにいろいろな法律改正がありましたけど、あのときも、指導、助言するが指導、助言することができるとなって変えるんだよね。随分これ弱くなるじゃないかということをみんな、随分弱くなると、指導、助言することができるじゃ、要求があったらするというんじゃ困るから、もっと文部省が主体的にいろいろやるべきだということを話したことを覚えていますけれども。  変わらないんだと言われたけれども、やっぱり変わったんですよね。そして実際に、地方の教育委員会が、特に県の教育委員会と市町村の教育委員会になると全く問題があるわけで、まあ今日は議論しませんが。そういう意味で、私言いたいのは、教育委員会在り方を根本から考えて見直す必要があるんだということを申し上げたいんですが。  そのことに絡んでまた私学の問題ですけれども、私学については今は知事部局だということになっているけれども、知事部局でちゃんと見ているところはないんですよね。これは補助金だけの仕事で、全然やっていないから。未履修の問題でも私学が随分出てきましたよね。それからまた、野球の選手の特待生の問題なんかも全部私学でしょう。もう全くああいう形、いい加減なことをやらしていいのかどうなのかというのはしっかり考えていかなきゃいけないんだけれども、知事部局では考える力がないと。やはり教育委員会の教育長を中心にしたところで考えていくということを考えなきゃいけないわけでございますけど、そういう意味では、やはり知事部局でやるとか教育委員会で分けるんじゃなしに、一緒にして、それで両方とも知事さんが全部責任持ってやるような格好にしてやれば、教育委員会も諮問機関ぐらいでいいですよね、実際にやっていることが諮問機関みたいなものですからね、月に一回集まって話を聞くだけのことなんだから。それが実態に合わすことだと思うんで、その辺をやっぱり思い切って考えていっていただきたいと思うんですね。私学の問題なんかも、そうすれば随分良くなると私は思いますよ。  今度の野球の特待生の問題なんかでも私学だけじゃありませんか。本当に何百校で何千、三千人か、野球の選手だけで。陸上選手は特待生はほとんどないわけですからね。野球はもうかるからあれでいいんでしょうね。六十五億だとか、あんなふうなことでむちゃくちゃですからそうなんでしょうけれども、その辺は文部省として責任を持ってやってほしいと思うんですが、どうですか。
  117. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) ちょっと先生、これは整理してお話をしなくちゃいけないと思いますが、先生のかねてからの御主張は、国が主体的に責任を持ってということをさきの国会の教育基本法の特別委員会でも再三おっしゃいました。  ですから、国が責任を持ってということであれば、極端なことを言えば、教育権を国にすべて戻して、そして地方がやる仕事を地方自治法上の法定受託事務にしてやるというやり方もありますし、国が主体的に教育権を持って、例えば民主党の西岡先生がおっしゃっているように、義務教育の教員をすべて国家公務員にするというやり方もあるんですよ。しかし、それは多分、民主党の半分ぐらいの議員の先生や共産党や社民党の先生は反対されますよ。  先生の今おっしゃっている、国が主体的にやるべきだけれども思い切ってすべて知事さんにというお話は、これは非常に論理がなかなか私は結び付かないと思いますよ。知事がやる、主体的に知事にやらせるということになると完全な地方自治事務になってしまって、選挙で政党の支持を得て選挙で選ばれた知事の考えによって教育が実施をされるという状況を今までずっとカバーしてきたのが第三者機関である教育委員会なんですよ。この教育委員会が十分機能してくれれば今のようなことをする必要がむしろないんですよ。  ところが、議会と任命をされた知事自体が教育委員会の仕事ぶりに対して傍観をしておられるところにこういう問題がむしろ起こってきている。だから、私学の問題はいろんな経緯があって、私より先生の方がよく御存じだけれども、なぜ私も知事部局に所管が残っているのか分かりません。そして、この知事部局のやっていることはほとんどが私学助成費の交付事務であって、国会が決めている履修のカリキュラムの編成だとか内容をチェックできるだけの人がそろっておりませんね。  今回、この法律国会にお諮りするに当たって、安倍総理大臣から総務大臣と私に指示があったことは、知事部局においても先生が今御指摘になったようなことが起こらないように、私学に対する指導主事その他を置いて十分国で決めた統一的基準を守っていくというように、地方自治ですから強制はできませんから、促すようにという指示をいただいておりますので、衆議院で議了がもしできて参議院でこの法案が御審議をしていただける状態になりまして、いずれ国会の御意思が決まれば、私どもは総理の指示に従って、今先生が正に御指摘になったようなことが起こらないように知事部局にも促していきたいと思いますし、何よりも地方自治を言う限りは、地方議会が頑張って間違いを正していただかねばならないという原点をみんなで確認をしていただきたいと思います。
  118. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 教育についてはやっぱり文科省が責任を持つべきだと思いますけれども、しかし地方分権の地方自治事務だというふうに決めている以上、地方がもうちょっとしっかりやっていくにはやはり今の教育委員会を知事の仕事にしたらいいじゃないかということなんで、考え方としては、そういうことでよろしくお願いしたいと思います。  それから、次にお尋ねしたいのは、一つはそのことに関連して視学官の問題なんですけれども、視学官が文科省おりますよね。視学官というのは大臣、御存じでしょう。視学官がおってちゃんとやっているかといえばやっているんだけれども、何のことかよく分からないんですよね、この視学官も、文科省で。  これこそ、ちゃんと地方の教育の実態を見て指導すべきところは指導するとかいろいろするのが、本当にプラン・ドゥー・シーのシーをやっぱりやるべきだと思うんで、視学官の使い方についてどうなっているのか、非常に疑問に思うので、配置状況なり役割だとか人員だとか、それから仕事の内容についてちょっとお話し願いたいと思います。
  119. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) 視学官についてのお尋ねでございますけれども、現在、初等中等教育局の視学官は十名ほど配置をされております。この視学官の職務としては、文部科学省の組織規則におきまして、初等中等教育に係る専門的、技術的な指導及び助言に当たると規定をされております。  現在おります視学官は、具体的には、小学校や中学校、高等学校といった学校種別にまず担当を決めまして、かつ国語、数学などの教科別の担当も決めまして、加えて教育課程、生徒指導などの教育課題別にそれぞれ分担を決めて、そうして、各教育委員会に対しまして求めに応じまして専門的、技術的な助言、指導や、あるいは私ども初等中等教育局各課の業務に関する専門的な助言や援助などを行っております。  視学官の先生方、やはり数が限られておりますので、全部の教育委員会、学校を回るということはなかなか現状できない状況にございますけれども、教育委員会などの求めに応じて専門的な事項について指導、助言を行ったり、私どもが行いますいわゆる指導行政について専門的な立場から局の仕事に参画をしていただいているという状況でございます。
  120. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今のように十名ぐらいのことで、しかも各学科ごとに分けておってですよ、指導、助言に当たるといっても、各教育委員会から頼みに来たらということなんであって、文科省の各課のことについて相談に乗ることはできるけれども、それ以上のことはほとんどできないのが実態ですよね、十人で全国を、全校なんて到底できないんですから。こういうことではやっぱり困るので、やはりプラン・ドゥー・シーのシーについてしっかり文部省は見ているねというふうな体制つくらなければ、教育が全然改革されないだろうと私は思うんですよね。  文科省の中はできるかもしれぬけれども、全体の教育の問題はできないと思うんで、この視学官をもっと増やして、どんどん全国的にその辺を見ていくようなことを考えにゃいかぬと思う。そうしなければ、イギリスの場合もサッチャーさんはうんと増やして、四千人も大勢の人を入れたわけですから、非常勤でもいいから、たくさんやっているんだということにしなきゃいかぬと思いますが、それについてはどうお考えですか。  大臣のお考えを聞きたいね、むしろ。あなたの考えはいいよ、もう。いいよいいよ、あなたじゃなくて。
  121. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) これは学校評価に最終的にはかかわってくることだと思います。サッチャー元英国首相がやった教育改革は、先生がよく御承知のように、国の組織ではあるけれども第三者的な組織を立ち上げて、そして学校評価を厳しくするということによって公教育を立て直したという一つの実績があります。  実際の、うまくやっていくにはやっぱりあれなんですよね、北風だけでは駄目なんですよね、それで同時に暖かい太陽も必要なんで、その組合せによってやっていくと。ですから、視学官による今大々的なその監査、評価というお気持ちがあるというのも私よく分かります。同時に、学校の独自評価、それから地域の皆さんの、第三者的な地域住民、PTAの方々の評価、こういうものを今文部科学省としては促しておりますので、それを参考にしながら、余り官がすべてを監査する、調査するというだけでは、やっぱりこれは教育委員会の、広島でもそうじゃないですか、教育委員会に人を得るかどうかなんですよね。ですから、監査だけでは私はうまくいかないと思いますが、視学官がいいのかどういう組織がいいのかは検討させていただいて、いずれこの人員の問題、機構の問題になりますので、当委員会でも御意見を賜りながら進めていきたいと思います。
  122. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 今大臣言われたように、学校評価の問題等非常に大事でございますけれども、今度学校評価提案されておりますけれども、それに絡んで一つお願いしたいことは、最近学校の先生が物すごく忙しい、忙しくなって、子供と過ごすことができなくなっているんですね。その嘆きを随分聞くわけですけれども、また、学校評価について先生はタッチさせないで、副校長だとかいうのを設けるんだから、副校長と校長で学校の評価を自分たちでやればいいんで、先生は評価される立場に近いんだから、一生懸命子供のことを考えて、子供と一緒に過ごす時間をつくるように配慮していただきたいと思いますけれども、それについてはどうですか。
  123. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) もう今既に学校による自己評価というのは九割以上の学校で行っているのは先生御承知のとおりです。これを校長、教頭だけでやるのがいいのか、一般の先生にも若干意見を聞きながらやるのがいいのか。多分ここでも御意見の私分かれるところだと思いますね。  ただ、大変忙しくて児童生徒に向き合う時間が少なくなっているということは私も共通の認識でございますので、真正面から人員増をしていくというやり方を取るのか、少しお金を付けて事務的な仕事を外へ出す、例えば昔は小使さんという人がいたけれども、今警備員というお金でやっておりますね、そういう形を取るのか、あるいは、OBの方あるいは地元の方を少しの謝礼で、ボランティアという形で中へ入れてきて教師の仕事を軽くするのか。  いろんなことを年末の予算編成でひとつ考えたいと思っておりますから、是非、国民新党も御協力のほどをお願いいたします。
  124. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 教育の問題は非常に大事な問題ですので、大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  どうも、終わりにします。
  125. 草川昭三

    委員長草川昭三君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後四時十分散会