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2007-05-14 第166回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年五月十四日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月九日     辞任         補欠選任         伊藤 基隆君     高橋 千秋君  五月十日     辞任         補欠選任         大塚 耕平君     藤末 健三君  五月十一日     辞任         補欠選任         藤末 健三君     主濱  了君      藤本 祐司君     蓮   舫君      又市 征治君     福島みずほ君  五月十四日     辞任         補欠選任         岸  信夫君     秋元  司君      福山 哲郎君     尾立 源幸君      加藤 修一君     鰐淵 洋子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         泉  信也君     理 事                 小池 正勝君                 中島 眞人君                 吉田 博美君                 直嶋 正行君                 柳澤 光美君     委 員                 秋元  司君                 岩井 國臣君                 岡田  広君                 岸  信夫君                 西島 英利君                 山谷えり子君                 朝日 俊弘君                 犬塚 直史君                 尾立 源幸君                 神本美恵子君                 主濱  了君                 高橋 千秋君                 津田弥太郎君                 松井 孝治君                 蓮   舫君                 加藤 修一君                 山下 栄一君                 鰐淵 洋子君                 小林美恵子君                 福島みずほ君    国務大臣        法務大臣     長勢 甚遠君        国土交通大臣   冬柴 鐵三君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    溝手 顕正君    副大臣        内閣府副大臣   林  芳正君        財務大臣    田中 和徳君        財務大臣    富田 茂之君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        田村耕太郎君         ─────        会計検査院長   大塚 宗春君         ─────    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       大谷 剛彦君        最高裁判所事務        総局経理局長   小池  裕君        最高裁判所事務        総局刑事局長   小川 正持君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        警察庁刑事局長  縄田  修君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  米田  壯君        警察庁情報通信        局長       松田 正一君        総務大臣官房審        議官       津曲 俊英君        総務大臣官房審        議官       榮畑  潤君        法務大臣官房審        議官       後藤  博君        法務省刑事局長  小津 博司君        法務省矯正局長  梶木  壽君        法務省保護局長  藤田 昇三君        法務省入国管理        局長       稲見 敏夫君        財務省主計局次        長        鈴木 正規君        財務省理財局次        長        藤岡  博君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中村 吉夫君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      柴田 耕介君        国土交通省国土        計画局長     渡邊  東君        国土交通省土地        ・水資源局長   松原 文雄君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省住宅        局長       榊  正剛君        国土交通省航空        局長       鈴木 久泰君    説明員        会計検査院事務        総局次長     石野 秀世君        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君        会計検査院事務        総局第二局長   千坂 正志君        会計検査院事務        総局第三局長   高山 丈二君    参考人        独立行政法人都        市再生機構理事        長        小野 邦久君        独立行政法人都        市再生機構理事  尾見 博武君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十七年度一般会計歳入歳出決算平成十七  年度特別会計歳入歳出決算平成十七年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十七年度政府  関係機関決算書(第百六十五回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百六十五回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十七年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百六十五回国会内閣提出)(継続案件)  (法務省国土交通省警察庁及び裁判所の部  )     ─────────────
  2. 泉信也

    委員長泉信也君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、伊藤基隆君、大塚耕平君、又市征治君、藤本祐司君及び福山哲郎君が委員辞任され、その補欠として高橋千秋君、福島みずほ君、蓮舫君、主濱了君及び尾立源幸君が選任されました。     ─────────────
  3. 泉信也

    委員長泉信也君) 平成十七年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省国土交通省警察庁及び裁判所決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 泉信也

    委員長泉信也君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 泉信也

    委員長泉信也君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 泉信也

    委員長泉信也君) 速記を始めてください。     ─────────────
  7. 泉信也

    委員長泉信也君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 岡田広

    岡田広君 自由民主党の岡田広です。  それでは、初めに平成十七年中及びそれ以前のけん銃押収量検挙人員等推移等につきまして、まずこれは警察庁組織犯罪対策部長お尋ねをしたいと思います。
  9. 米田壯

    政府参考人米田壯君) お答えをいたします。  過去五年間押収されましたけん銃は、平成十三年九百二十二丁、以後、七百四十七丁、七百八十五丁、六百一丁、平成十七年には四百八十九丁でございました。  それから、過去五年間におきますけん銃けん銃部品に係る検挙件数検挙人員推移を申し上げますと、平成十三年が四百八十二件四百四十人、以後、三百九十七件三百八十人、四百五十三件四百十九人、三百九十件三百六十人、平成十七年が二百八十七件二百四十五人でございました。  この間、けん銃発砲事件平成十三年の二百十五件が平成十七年七十六件にまで大幅に減少する中で、けん銃に係る押収丁数検挙件数人員減少傾向にあるところでございます。
  10. 岡田広

    岡田広君 そういう状況の中で、今年、御承知のように、長崎市長に対するけん銃使用殺人事件、あるいは東京都町田市におけるけん銃使用しての殺人・立てこもり事件等暴力団員が関与するけん銃使用した凶悪事件が頻発をしているところであります。このように頻発する銃器犯罪に対して国民は大きな不安を抱いて生活しているところであります。  この銃器犯罪取締りに関しては、隠している場所が巧妙になったとかいろいろ様々な困難が伴うと思われるわけでありますが、国民生活の安全、安心というそういうことのためにも、これは今後、銃器犯罪取締りに向けた対策対応を一層強化をしていかなきゃならないと考えているわけでありますけれども、これについて溝手国家公安委員長から決意のほどをお尋ねをしたいと思います。
  11. 溝手顕正

    国務大臣溝手顕正君) 暴力団等によるけん銃発砲事件を伴う事件につきましては、これは決して許してはならないものだと、このように認識をいたしております。  警察庁におきましては、今回の一連の事件の発生に対しまして、全国警察本部長に向けまして、暴力団等犯罪組織管理、隠匿する銃器及び武器庫摘発等について徹底をするように申し伝えております。また、第二として、暴力団等関係する違法事案の掘り起こしと末端の構成員からの突き上げ捜査の徹底ということもまた指示いたしたところでございます。またさらに、暴力団排除活動に取り組んでおります関係機関、団体との積極的な連携並びに保護対策の一層の充実を内容といたしまして緊急な通達を出したところでございます。  今後とも、警察庁に対しまして、違法銃器取締り及び暴力団取締り徹底するとともに、暴力団によるけん銃発砲事案再発防止に一層努めるよう督励をしてまいりたいと、このように考えております。
  12. 岡田広

    岡田広君 是非、アメリカでも少年による大量射殺事件等起きました。正に国内での安全、安心のため、世界一安全な国日本と言われたわけでありますから、是非溝手国家公安委員長指導の下、いろんな対応対策があるだろうと思いますが、安全、安心国日本、この神話復活のためにも、銃器対策についての特段の対応お願いをしたいと思っております。  国家公安委員長質問が終わりましたので退席して結構ですから、委員長、どうぞお取り計らいをお願いいたします。  それでは、国土交通省関係質問をさせていただきたいと思います。  最初に、関西空港株式会社に対する検査院指摘についての認識及び対応について、これは冬柴国土交通大臣お尋ねをしたいと思います。  会計検査院、御承知のように、平成十七年度の決算検査報告において、特記事項として、関西国際空港の経営問題について指摘をしております。  国の財政が厳しい状況の中で、この政府補給金が、財務大臣国交大臣の合意によりまして、継続して、今九十億ですかね、毎年交付されていることに十分留意して、長期有利子債務の確実な償還を図って、もって政府補給金等に頼る必要のない安定的な経営基盤を確立することが必要であるとして、長期有利子債務の確実な償還を始め三点について検査院が所見を述べているわけであります。  これらの点について、まず国土交通省冬柴大臣認識、その及び対応についてまずお尋ねをしたいと思います。
  13. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 関空会社経営状況につきましては、会社経営努力改善努力地元一体となった利用促進活動外国に対するトップセールスも含めまして、そのような取組の結果、平成十六年度に初の経常黒字五十二億円を達成し、十七年度も引き続き経常黒字九十二億円を計上するなど、着実に改善をしております。  一方、関西国際空港は、環境問題に配慮いたしまして大阪湾沖合五キロメートルの大水深海域を埋め立てて整備されたことに起因いたしまして約一兆二千億円もの有利子債務を抱えていることから、関空会社の安定的な経営基盤を確立し有利子債務の確実な償還を期すために、年九十億円の補給金を交付しているところでございます。  国土交通省といたしましては、関空会社が一日も早く安定的な経営基盤を確立するよう必要な支援を行いつつ、今後とも関空会社経営改善取組について監督指導を行ってまいりたいと考えております。  委員も御案内のように、この八月二日に二本目の滑走路供用開始いたしまして、我が国では初めて二十四時間複数の滑走路を持つ本格的国際空港として発足するわけでございまして、大変、成田の状態とか、あるいは中部国際空港沖合でございますけれども滑走路が一本であるということを考えれば、関空の存在というものは非常に貴重であるというふうに考えているところでございます。
  14. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。  関空重要性必要性については今大臣から御意見をいただきました。  この八月に四千メートル滑走路使用が可能となるということでありますけれども、やはり、この関西空港の十七年度の連結決算、資料もいただきました、これいろいろありますけれども、時間の関係でこれ触れませんけれども、正に営業外収益に計上される九十億円の政府補給金というのを早くやっぱり健全経営の下でこれを出すことをやめる。国民はなかなか理解をしないと思います。第一種空港を始め日本空港の中でもこの補給金出しているのは多分ここだけなんだろうと思いますけれども、是非そういう指導をよろしくお願いをしたいと思っております。  そこで、羽田空港でありますけれども、羽田空港につきましては、これも新たに四本目の滑走路が今整備中であります。これが整備が終わりますと、年間発着能力が現在の二十九・六万回から四十・七万回かに増強されると。そういうことで十一万回増えるということでありますけれども、このうち国内線が八万回、アジア路線が三万回という、そういうお話も伺っておりますけれども、アジア地域中心にした運航回数増加予定をされているわけであります。  しかし、もう随分前からこの滑走路拡張準備をしていたわけでありますけれども、なかなか、漁業交渉遅れから工事開始遅れました。本年三月三十日から再拡張事業が開始されたと伺っておりますけれども、事業着手遅れましたから当然この運用開始平成二十一年末の予定から十か月以上遅れるということで二十二年十月と伺っておりますけれども、この使用開始時期の遅れによりどのような影響が出てくるのか、これは航空局長お尋ねをしたいと思います。
  15. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) お答えいたします。  先生の今のお話のように、羽田の四本目のD滑走路工事につきましては、いろいろ漁業補償等調整に手間取りまして、本年三月三十日に着工したわけでございます。本来、一年前の昨年三月に着工する予定でありましたのが十二か月遅れたことと、それから本格工事の前提となる準備工事が六か月必要なところ三か月しかできていなかったということで、十五か月実質遅れたわけでありますが、そこをいろんな工程の調整をぎりぎり行いまして五か月ほど挽回いたしまして、十か月の遅れということで、二〇一〇年の十月に新しい供用開始時期を定めさしていただいたわけであります。  この遅れによりまして、便数を増やしたりあるいは新規路線を入れたりという、そういうお客様利便性の向上にいろいろ御迷惑を掛けたということで申し訳なく思っておるわけでありますが、この新しい時期の確実な達成に向けて今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  そういうことで、羽田の新しい滑走路大変我が国にとって重要な問題でありますので、ここのところしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
  16. 岡田広

    岡田広君 この羽田滑走路につきましては、平成二十一年を目指して国際線ターミナルの建設とかあるいは関東付近飛行ルートとか空域の再編、成田羽田の管制の一部一元化等検討準備を進められていたわけでありますから、もうこれ以上遅れないように是非お願いをしたいと思っているわけであります。  先ほど申し上げました、羽田の新たな滑走路ができることによって発着枠増加分が十一万回ということで国交省は考えているということであります。国内航空需要を予測した結果、国内線が八万回、国際線三万回を予定をしているとされているわけでありますけれども、国際線につきましては就航範囲というのは二千キロ以内を半径とする圏域に限定をするということでありますから、こういうことになりますと、上海は入りますけれども北京やグアム、サイパンは入らないと。  私どもは、国民理解としては、成田国際線羽田国内線という理解をしています。羽田から外に出ているのは韓国の金浦空港だけだろうと思いますけれども、こういうことになれば三万回、羽田で将来アジア中心受入れをするということになりますと、今後、発着枠増加分国内線あるいは国際線への振り分け考え方、そして国際線就航範囲考え方について、これなぜ二千キロなのか、こういう点についてもちょっとお尋ねをしたいと思います。
  17. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 羽田D滑走路が完成した暁の振り分けの問題でございますが、羽田はやはり国内基幹空港でありまして、国内お客様をまず受け入れなきゃいかぬということで、そちらを十分確保した上で三万回は余力があるだろうということで、この三万回について近距離国際線を入れて、国際基幹空港であります成田を補完しようという考え方でございます。  やはり都心に近い空港には近い路線を入れるというのが一番お客さんの利便にかなうということで近距離国際線を受け入れることにしたわけでありますが、先ほどの約二千キロは一つ目安でございまして、国内線の最長距離が羽田—石垣間の千九百四十七キロでございますが、これを一つ目安として選んでいくと、大体その三万回でいいところかなという予測で何か当時、地元の八都県市と国交省との間で決めたという経緯がございます。  ただ、あくまで一つ目安でございますので、これから各国と交渉して決めていくわけでありますが、羽田にふさわしい路線というのをその中で近い方からしっかり吟味をいたしまして、それでその三万回にどこまで行くかなということで検討してまいりたいと考えております。
  18. 岡田広

    岡田広君 やっぱりこれからはなかなか、成田は多分、国際線発着枠世界で二十七位ということで聞いておりますけれども、やっぱりそういうことを考えますと、どうしても受け入れる量がもう満杯に来ていると。そういうことから考えますと、成田羽田国際線という考え方の、一体化するということも今後の一つ検討課題だろうと、そう思うわけでありますから、この二千キロという距離にこだわらず、アジアのやっぱり受入れ需要があれば受け入れるという形で活性化をしていくというのは大変重要ではないかと思いますので、これは要望しておきたいと思っているわけであります。  それで、この羽田空港は、昨年六千五百万人と世界第四位の乗降客数を誇りながら、国内線に特化しているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、羽田の再拡張成田滑走路の延伸で両空港発着能力が拡大されるということを契機にしまして、さっきお話し申し上げました、羽田成田一体的運用、そういうことによって大規模国際空港としての機能を強化すべきであると思うわけでありますが、この点についても再度ちょっと答弁をお願いしたいと思います。
  19. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 先生おっしゃるとおり、羽田D滑走路の新設、それから成田平行滑走路、これ暫定で二千百八十メーターでございます、これを二千五百に延伸する工事をやっております。これで成田回数年間二十万回から二十二万回へ二万回増加いたします。したがいまして、成田の二万回と羽田の方の近距離国際線三万回をうまく活用いたしましてこれからの首都圏国際航空需要にこたえていきたいと。その際に、先生おっしゃるように、成田羽田を別な空港ということではなくてペア空港のように考えて、一体的にうまく運用して首都圏の旺盛な需要にこたえていきたいと思っております。
  20. 岡田広

    岡田広君 是非一体的運用ということで今後検討を十分していただきたいと思います。  この羽田空港拡張を機に、国民利便性あるいは企業の活力強化、そしてアジア諸国における我が国国際協力強化等も踏まえまして、国際線にも十分な配慮をして一体空港という位置付けでとらえていただきたいと思っているわけであります。  外国の例でも同じですよね。ロンドンでもニューヨークでも、五つも六つも空港があって一体的に受入れをしている、こういうことでありますから。なぜこんな話をするかというと、茨城空港が今建設されています。これも当然、首都圏の第三空港でありますから、一体的という考え方の下で今羽田成田を申し上げたわけでありますけれども。  次に、茨城百里飛行場というのを、これ軍民共用飛行場とするため茨城空港整備が進められておりまして、平成十七年度は国土交通省から二十一億円予算をいただきました。また、この茨城空港全体の事業費は約二百五十億円ということで見込まれておるわけでありますけれども、予算上は平成二十一年度の開港を実現できる可能性が高まったわけでありますけれども、経済財政諮問会議で先日の会議の後、記者会見と後の新聞報道によりますと、また公共事業費三%削減という記事が載っておりました。いろいろ各新聞によって意見がまちまちでありましたが、こういう点も考えますと、まずこの予算確保についてどうなのか、その点について確認をしたいと思います。
  21. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 百里飛行場共用化の問題につきましては、平成十三年度に新規事業として事業化を認められまして、現在、共用化に必要となる滑走路民航ターミナル地区整備等を進めておるわけでございます。  今先生おっしゃいましたように、公共事業に対する予算、なかなか厳しいものがございますが、その中で一般空港整備に必要な予算の額というのを私ども是非しっかり獲得して、今新規はもうやっておりませんで継続中の事案をやっておりますが、継続中の事案をなるべく早く完成させたいということで鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
  22. 岡田広

    岡田広君 経済財政諮問会議関係でありますけれども、正にWTOについての農林水産大臣意見農業新聞に出ていました。これはEPAとかあるいはWTOファルコナー議長日本に対する考え方が出されました。そういうことを受けまして、この関税を引き下げるようという、そういうメンバーからの提案がマスコミに載っております。  そして、公共事業費についてもそうでありますけれども、やっぱり地方は公共事業まだまだ必要なところたくさんあるわけであります。例えば、高知県に雇用調査で行ったときに、高知商工会議所関係皆さん方は、例えば、非常に全国一番森林面積が多い高知県、その中で雇用場所がなかなか確保できない、そういう中で例えば去年は良かったんだと言うんです。何が良かったのかなと聞いてみたら、去年は台風災害があったから災害復旧事業で働く場所が確保できたんだという、そんなことも言っていましたけれども。青森にも雇用調査で行ったとき、青森もやはり、ちょうど十二月の末でありましたから除雪、大変な作業、なかなかこれでは企業も立地しないんじゃないかなという、そういう考え方を持ったわけですけれども。  やはり公共事業三%また削減、これ以上削減したら地方はどうなんだろうか、そういう考え方を持っているわけでありますけれども、これについての冬柴大臣考え方がありましたら、お尋ねをしたいと思います。
  23. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 八日、経済財政諮問会議に私も招かれて発言の機会を与えていただきました。  公共事業関係予算は、もう御案内のように、平成十年には十四兆九千億というものが計上されたわけです、補正後ですけれども。平成十九年は六兆九千億。もう半分以下まで、身を削る思いで、しかしながら、我が国の置かれた経済財政状態というものに対して何とか改善しなきゃならない、改革しなきゃならないということで私はそのようにし、十九年度も前年度比三・五%削減もそれをのんで、そして協力をしているわけですけれども。  しかし、今後も三%削れと言われると、私は、昨年の六月に二〇〇六骨太方針を決めるに当たって、当時は私は国土交通大臣じゃなくて公明党幹事長だったわけですけれども、これ以上削ることはもう限界が来ているということを強く主張して、結果、その時々の状況に合わせて三ないし一%の削減を行うということで明記していただいたわけです、閣議決定もしたわけです。それを一年もたたない間に、一%というものを飛ばして今年も三%、来年以降も三%とおっしゃるのは私はもう受け入れられないとはっきりそこで申し上げました。  そして、これは、例えば安全、安心を確保するためにも、日本は昨年も集中豪雨で大変な水害等を受けましたし、震災を考えてもやるべきことはたくさんあるわけですね。また、国際競争力を強化するためにも、今の日本状況を考えれば、これからやはり持続的な成長を遂げていくためにはどうしても海外からの勢いというものを取り入れなきゃならない。そのためには空港やあるいは港湾の整備が必要だし、またそこと消費拠点とかあるいは生産拠点とを結ぶ道路のネットワークはもう絶対必要なんだということを力説をいたしまして、そのような三%を、今ですよ、今の、まあ年末の予算編成時点でどういうふうにするかは別として、六月の骨太方針に来年も三%削りますなんて書いたら一番びっくりするのは地方ですよ、地方は本当に待っていらっしゃるんだ、だからそれはやめてもらいたいということを明確に申し上げたところでございます。  いろいろありますが長くなりますのでやめますけれども、今後、社会資本の整備された例えば道路なり橋梁もライフサイクルというものを延ばさなければ今後急速に老朽化していくわけですね。したがいまして、これを一律に削っていけばもう近い将来には新しい道路や橋梁はもう造ることは全くできなくなってしまう。  そういうことを見据えて、アメリカが、崩壊するアメリカ合衆国というような本があったようですけれども、アメリカは公共投資をやめたために橋梁がもう著しく老朽化してしまって、その設置保存の瑕疵のための訴訟が年間一万四千件もニューヨーク市に起こされた。こういうことを考えて、その後のアメリカの大統領はこの投資を物すごく増やしているわけですね。また、イギリスも五十億ポンドだったのが二百六十億ポンドまで短期間の間に増やしているということは、やはりそういう外国の先進国の例を見ても、日本のようにどんどんどんどん削っていくということはもう限度があるんではないかということを力説をしておきました。私は、その責任がある以上、日本の安全、安心というものを担保するためにも、これはもう限界に来ていますということを申し上げた次第でございます。
  24. 岡田広

    岡田広君 大臣の決意、よく分かりました。是非大臣お話しになられた国際競争力強化とかあるいは災害予防など、まだまだやはり日本の安全、安心のための公共事業必要性が十分あるということも発言をしていただき努力をしていただきたいと思うわけであります。  経済財政諮問会議の在り方にも私はいろいろ疑問呈するところあるんですけれども、これ議論すると長くなりますからしませんけれども、例えば先ほど申し上げたWTO関係でも、これはやはり農業の代表の方が多分この諮問会議の中には入っておりません。経済人中心に考えるとこういう意見になるのかなと思いますけど、やはりこれはあくまでも経済財政諮問会議が議論をして、この公共事業も三%というそういうところだけがマスコミに取り上げられますと、国民はこれで決まったかのような錯覚というか意識に陥ってしまいます。これはあくまでも総理の諮問機関であり、経済財政諮問会議で議論をしたことは総理に答申をして、総理が総合的に判断をしてやはり高い見地からこれを最終的に決定するんだと思いますが、どうもやはり国民はそうは理解をしません。そういうことで是非努力をしていただきたいと思うわけであります。  それで、また空港の方の話に戻りたいと思いますけれども、先ほど申し上げました首都圏空港という考え方に立ったときに、成田があって羽田、そして茨城空港が二十一年度開港予定で今進められているわけでありますけれども、そういう中で、この茨城空港はこの羽田成田を補完する空港としての位置付けがあるのかどうか、どういう位置付けになっているのか、この点について航空局長お尋ねしたいと思います。
  25. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 百里飛行場地元では茨城空港という愛称も付けていただいておりますけれども、これにつきましては平成十七年の七月に現地で着工いたしたわけでありますが、私も当時航空局次長としてくわ入れに参加させていただきまして、現地もよく存じ上げております。  首都圏空港、確かに成田羽田ということで大変不自由しておりますので、新しくまた茨城空港ができまして、これをバックアップするような体制になるというのは私ども大変いいことだと思っておりますが、当面は、やはり茨城空港というのは茨城県地域を中心とした航空需要対応する空港として位置付けさせていただいておるということでございます。
  26. 岡田広

    岡田広君 茨城空港は、今答弁がありましたけれども、やはり茨城空港が開港することによって、例えばお隣の福島空港とか、ただ、佐賀空港とか、なかなか福島空港につきましても、帯広とか函館とか広島とか、路線を廃止しています。もう既に福岡も含めて四つ廃止して、今名古屋路線が非常に厳しいという、存続が危ぶまれているという話も漏れ承りますけれども、佐賀空港も大変、開港しても、どうしても北九州とか福岡がありますのでなかなか難しいと。佐賀空港は航空貨物にシフトをしたと。そして、これは二十四時間、例えば空港の周辺三キロに人家がないんで、航空貨物にシフトして業績を上げているということも聞きますけれども、私心配なのは、この茨城空港に、羽田が先ほどお話ししましたように十一万回発着が増えるという、そういう考え方国内路線八万回ということを考えますと、果たして茨城空港に乗り出してくる航空会社があるんだろうかと、そういう心配を持っているわけであります。  そういう中で、航空貨物にシフトしろといっても、茨城空港の周辺には人家もあります、なかなかこれも難しい。あるいはプライベートジェットとかいろんな方策を検討しておりますけれども、航空会社が入ってくれるかどうかということについては、もちろん県当局が努力をしているわけですけれども、国土交通省としてはどういう支援をしていただけるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  27. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 国土交通省といたしましても地方路線の維持拡充は重要であると認識しておりまして、このため、地方路線にかかわる国管理空港の着陸料の引下げとか国内線就航機に対する固定資産税の軽減措置等を講じておるわけでございますが、ただ、路線を設定したり増便したりするかどうかというところはあくまで航空会社の経営判断でございまして、航空会社需要動向等を勘案して決めるわけでございます。  したがいまして、この空港の活用のためには、当該空港を抱える地元による需要喚起の取組、あるいは路線誘致の取組というのが大変重要だと考えておりまして、ほかの空港でのいろんな取組の事例も参考にしながら、是非茨城県におかれましてもこの茨城空港の活用方策というのを今からしっかり取り組んでいただけることを私ども期待しておるわけでございます。
  28. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。  それでは、再確認しますが、この茨城空港の位置付けというのは、羽田成田そして茨城空港首都圏三つの空港になるわけで、横田基地の民間共用化検討しているということも聞いていますが、これはこっちに置いておいて、例えば茨城空港首都圏空港という位置付けということでいいんでしょうか。
  29. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 首都圏にはやはり羽田成田という二大大都市拠点空港がありまして、これからできる茨城空港、それから横田の共用化の問題も今検討を進めておりますが、こういう空港は、やはり先ほど先生おっしゃったような佐賀空港のように、大空港のそばにあると、なかなかやっぱりその大空港の方が路線も便数もたくさんあって便利なもので、その線を張りにくいという面がございます。ですから、そこの厳しさを何とか克服して、しっかりネットワークを張っていただきたいと思っております。  ですから、まず首都圏の一翼を担う茨城空港ということで位置付けさせていただきたいと思います。
  30. 岡田広

    岡田広君 首都圏の一翼を担う茨城空港という答弁がありました。是非、これから羽田拡張あるいは成田の延伸ということで航空需要も多様になってくるんだろうと思われます。やはり首都圏全体で対応するということのためには、この茨城空港整備というのは大変重要な意義を持っていると思うわけであります。首都圏空港間の適切な連携そして機能分担の推進を図るという必要があると思いますので、是非国交省の支援もお願いをしたいと思っております。  やはり空港ができますと、それにつながる例えば成田羽田一体化するために、茨城空港に降りて成田から外国へ飛び立っていくと、こういうことが十分考えられるわけであります。そうなりますと、どうしても道路のアクセスの整備が必要になってくるわけであります。  東関東自動車道水戸線という道路があります。例えば首都圏中央連絡道路という道路もありますが、これは二十四年度県内完成、二十七年度最終的には完成ということで工事が進められていますけれども、これは是非遅れないようにということを要望しておきたいと思いますが、東関東自動車道水戸線というのは茨城町や水戸と鉾田間は今工事が進められておりますが、鉾田から潮来までのこの区間がまだ整備区間として決定をしておりません。もう大体基本計画を決定をして、圏央道でも東関東自動車道水戸線でもそうですけれども、都市計画決定、そして整備計画決定には大体五年ぐらいの期間で決定がされて工事に入っているわけですけれども、これ十年たってもまだそのままであります。  そういう中で、これは道路公団の民営化とかそういうことも遅れた理由にあるんだろうと思いますけれども、この東関東自動車道水戸線の潮来町—鉾田間、これ二十八キロですけれども、平成九年に基本計画決定されたままですけれども、県では都市計画決定の説明会が始まったということでありますけれども、これについての今後の考え方、これについてお尋ねをしたいと思います。
  31. 宮田年耕

    政府参考人(宮田年耕君) 御指摘のとおり、鉾田—潮来間二十八キロにつきましては、基本計画の決定が平成九年に出ておりまして、その後環境調査を実施しております。  今委員指摘のように、本年三月に茨城県の方が都市計画決定に向けた手続に入られたというふうに聞いております。正に道路四公団民営化の際に、そのときに九千三百四十二キロが整備計画区間でございました。整備計画区間を超えた一万一千五百二十キロにつきましては、基本的には会社が自主的にやるかどうかを決めるという法スキームになっております。したがいまして、具体的にこの区間の事業主体とかあるいは手法というのがまだ決定をしておりません。そういう整備に向けてのいろんな効果とか事業手法を我々の方で今検討している段階でございます。  昨年の十二月八日に特定財源の見直しに関する具体策というのが決定をされました。年内に中期計画を作るということでございます。そういうものも踏まえながら、一万四千キロの高規格道路、あるいは一万一千五百二十キロの高速自動車国道の整備、そういうものの検討を図ってまいりたいと考えております。
  32. 岡田広

    岡田広君 そうなんです、今お話しになったこの整備計画のキロの、それの外なんですね。だから今、都市計画決定の説明会は始まりましたけれども、なかなかその後が心配だということで、是非、どういう手法でこれができるか、やっぱりせっかく一つの、国から予算をもらって準備をしてきた、北関東では初めての空港ができるわけですけれども、これができてもアクセスが整備をされなければ宝の持ち腐れということにもなってしまうんじゃないかなと思うわけであります。  やっぱり、ネットワークというのは糸を結ぶということだろうと思うんです。結ぶというのは、漢字は左側はいとへんです。縁もいとへん、絆、そして一緒になる緒、国交省の組織の組も織もみんないとへんです。結納の結も納もそうですけど、やっぱり選挙だって、点を線にして線を網に、後援会網の目のように、みんな左側はいとへんなんです。糸で結ばれなければ、せっかくいいものを造っても全く宝の持ち腐れということにもなってしまうんだと、私はそう思うわけですから、是非このネットワーク、成田と結んで、そこから羽田と結ばなければ、せっかくたくさんのお金を掛けて造った空港も余り利用価値がないということになってきますと、御承知のように、空港では国内路線の八割は余りいい数字が出ていないというデータも出ているわけです。採算が取れなきゃ廃止すればいいという、そういうことにはならないんで、やっぱり、先ほど関空の話もしましたけれども、補給金九十億も入れるというのは正に、この需要のいろんな計算をして計画を作ったんだろうと思いますけれども、国土交通省の見通しが甘かったんだと、やっぱりそう言われても私は仕方がないんじゃないかと思うんであります。そういう中で、是非この推進をお願いをしたいと思うわけであります。  それでは次に、地籍調査についてお尋ねをしたいと思います。  十六年の十月に新潟の中越地震が起きました。そして平成十七年三月にも福岡県の西方沖地震が起きて、今年三月に能登半島地震等も起きています。  新潟県の中越地震が起きてからでも災害復旧とか復興がもうずっと進められているわけですけれども、地震に限らず火山の噴火あるいは土砂崩れ、水害等の災害が起きてしまった場合に、元の土地の境界が分からないために復旧に時間が掛かるということになって、この地籍調査の重要性必要性というのは指摘をされているわけでありますけれども、これ、国土調査法が制定された昭和二十六年から地籍調査って実施されているんですけれども、全国的には進捗率が四六%にすぎません。地域によってその進捗率にばらつきが見られます。首都圏とか関西圏とか非常に低い進捗率であります。進捗率が五〇%に満たない都道府県が二十八に上っており、東京周辺、大阪周辺というのは遅々として進んでいません。  正にこれは市町村等の地方公共団体が実施するものですけれども、国土交通省はこの地籍調査の必要性をどんなふうに考えて、全国に対してどういう指導取組を行っているのか、まずお尋ねをしたいと思っています。
  33. 松原文雄

    政府参考人(松原文雄君) ただいま先生の方から御指摘いただきましたとおり、地籍調査でございますけれども、災害復旧のときに限りませず、日ごろの不動産取引、あるいは土地を活用してのいろんなビジネス、それから一般の方々が住宅をお求めになります場合でも非常に重要なものでございますが、残念ながら、歴史的経緯もございまして、先生先ほど全国で四六%という数字をおっしゃいました。今、私どもの方の手元で一番新しい数字が、平成十七年度末でございますけれども、全国で四七%でございます。  特に、先生先ほどおっしゃいました大都市地域でございますけれども、こちらの方が土地の筆数が多いとか、あるいは地権者の皆さん方調整がなかなか大変だということもございまして、進捗率が一九%にとどまっておるということでございまして、非常に私どもも問題意識を持っているところでございます。これから先、都市再生でございますとか、そういったいろんな新しい土地活用を行っていく、あるいは個人が安心してそこの不動産取引を行う、あるいは予想される災害後の対策を考える上でもこれを至急に進めることがあるということで、平成十六年度からDID地区を対象にいたしまして、都市再生街区基本調査というものを三か年間で実施をいたしました。これは、全国のDID地区の各街区の四隅をポイントとしてきっちり整理をするというような事業を含んでおりまして、かなりそれなりに成果は上がったのではないかというふうに思っております。  ただ、これで十分ということではございませんので、本年度からは更にこれまでの成果を踏まえまして、密集市街地などを対象といたしまして街区の外周、外側でございますけれども、これの境界情報を整備いたします都市再生街区基本調査、土地活用促進調査というものを引き続き行うことにいたしておるところでございます。何分、住民の皆様の御理解というのが非常に重要でございますので、インターネットを通じまして、私どものホームページを通じまして地籍調査がどのくらい必要かというようなことをアピールをいたしながら、自治体あるいは登記を所管いたします法務省とも連携をいたしまして取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
  34. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。  地籍調査、中でも特にGPS、これを利用した森林の地籍調査を実施をするということでありますけれども、これは全国の対象面積の六割を森林が占めるということで、この四割しか調査がこれも進んでいないということでありますけれども、だんだん人口が高齢化して全く調査が年々困難になってきているということで伺っております。今年からですか、この衛星を利用したシステムによってその実施を推進するということとされていますけれども、これの予算措置とか今後の実施見通し、目標などについて、これも説明をいただきたいと思います。
  35. 松原文雄

    政府参考人(松原文雄君) 森林地域でございますけれども、こちらの方も実は四〇%ということで、非常な課題を抱えております。特に、私ども一番心配しておりますのは、山に人が入らなくなってしまいましたものですから、だんだんと境界が分からなくなってしまう。今のうちに早い段階である程度の目安を付けておく必要があるということで、現在、山村境界保全事業というものを国の直営で実施をいたしておるところでございます。  これは平成十六年度から実施をしておるものでございますが、具体的に申し上げますと、現地で山に詳しい方、山の境界に詳しい方々の御協力をいただきながら、GPSを、これは背中にしょうものがございますので、それを持ち歩きまして、おおむねの境界の位置、これを簡易、迅速に記録にとどめておくということでございます。将来、本格的な地籍調査を行いますときにこれが大きな参考となるであろうということを期待しておるものでございます。本年度の予算額でございますが、対前年度比二割増ということで、約一億三千万円の予算全国十地区程度を対象に実施をしていきたいというふうに思っております。  全体の面積が非常に広うございますので、これで十分ということではございませんけれども、こういった事業を通じまして、境界保全の緊急性について国民の意識の喚起、御理解をいただきながら、できるだけ早く山村部での地籍調査が実施されるように我々としても努力をしていきたいと考えておるところでございます。
  36. 岡田広

    岡田広君 是非しっかりと、この地籍調査は重要ですので、進めていただきたいと思います。  時間がもう来てしまいましたので、ちょっとほかの質問は割愛をさせていただきまして、最後に二地域居住推進、平成これも十七年の三月に二地域居住人口研究会事務局が発表をされた「「二地域居住」の意義とその戦略的支援策の構想」ということで議論がされているわけでありますけれども、もう時間がありませんので、これの施策の実現に向けての検討状況そして今後の見通しについて、これもう時間ありませんから、簡潔に伺って質問を終わりたいと思います。
  37. 渡邊東

    政府参考人(渡邊東君) 現在、国土形成計画全国計画を国土審議会で検討していただいておりますところですが、昨年十一月に取りまとめた計画部会中間取りまとめでも、二地域居住について、都市地域の居住者の願望が非常に高い、現在退職期を迎えている団塊の世代を中心に大きな動きになるということが期待されていることから、定住人口が減少する中で地域外からの人材の蓄積を進めるためにその促進を図ることが非常に重要であるというようにされているところであります。  また、地方公共団体におきましても、北海道から九州まで、各県、市町村で多くの推進事例が見られます。例えば、委員のいらっしゃる茨城県北部地域におきましては、福島県、茨城県、栃木県などでつくる二十一世紀FIT構想推進協議会というのがございますけれども、そこにおきまして広く共同して二地域居住の推進を図っているというようなことがございます。  こうした状況を踏まえまして、国土交通省においても有識者による研究会を開催しておりまして、先週も二地域居住の推進に伴う課題と取組の方向性について取りまとめを行ったところでございます。  今後、二地域居住人口を把握するための情報バンクや、二地域居住をしようとする人を受け入れる地域の双方のニーズを仲介するためのシステムの在り方の検討を進め、また、各府省とも連携して地域や民間の取組を支援していきたいというように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  38. 岡田広

    岡田広君 ありがとうございました。この二地域居住については、もう時間が来ましたからこれで終わりますけれども、例えば総務省では過疎対策として、農家の空き家とかを市町村が買って、借り上げてそれを居住に使う、二地域居住の提供をするという場合には補助を出すというような、そういう制度もつくられているということですから、国土交通省も将来、団塊の世代が今年定年してこれからまた多くなると思うわけでありますけれども、こういう中でいろんな政策を、様々なメニューを考えていただきたいというのを要望して、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  39. 西島英利

    ○西島英利君 自由民主党の西島でございます。  まず、心神喪失者等医療観察法について御質問をさせていただきたいと思います。  この法律は、平成十一年の通常国会で精神保健福祉法の改正がございまして、このときの附帯決議に、重大な事件を犯した精神障害者の処遇の在り方について幅広い観点から検討を早急に進めることというふうに決議をしていただきまして、その後一つの流れが起きてきたわけでございますが、実は私、当時、日本医師会常任理事をしておりまして、公衆衛生審議会でこのような考え方を述べ、当時の自民党の先生方にお願いに参ったという記憶がございます。  平成十三年に、御存じのように大阪教育大学附属小学校で非常に悲惨な事件が起きまして、一気にこの考え方が浮上をしてまいりまして、平成十三年に与党プロジェクトチームができまして、そこで私も呼ばれまして意見を述べさせていただきました。その意見を取り上げていただきまして、ほぼその内容でこの法律が作られてきたのではないかと私自身は自負をしているところでございます。  そして、法律が成立をいたしまして、この精神障害者の方が重大事件を犯された場合には、やはり治療が必要であればきちんとそのような指定された病院で治療を行うべきではないかという流れの中で、各都道府県にたしか一か所その病院を整備をするということが決められたはずでございます。  そこでまず、質問でございますが、その後の整備状況につきましてお教えいただきたいと思います。
  40. 中村吉夫

    政府参考人(中村吉夫君) お答えいたします。  心神喪失等の状態で無罪あるいは不起訴となり裁判所の決定により入院による医療が必要と判断された者は、指定入院医療機関に入院することとなります。  お尋ねのございました指定入院医療機関の整備状況についてでございますけれども、国立病院機構の医療機関といたしましては、現在、国立精神・神経センター武蔵病院を始め十か所が開棟しておりまして、二百八十床が使われております。現在、四か所が建設中でございます。また、都道府県立病院につきましては、現在、岡山県、大阪府、長崎県、東京都において建設あるいは建設準備中でございます。  制度を安定的に運営するためには、指定入院医療機関の更なる確保が必要であることから、今後ともその整備に向けて最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
  41. 西島英利

    ○西島英利君 これは先ほど申し上げましたように、一県に一そういう指定病院をというような考え方の中で進められておりまして、さらには、この指定病院は国公立病院を指定するという形に法律上はたしかなっているはずでございます。しかし、今御答弁ございましたように、確かに国立病院は十四か所、建設準備中も含めて十四か所でございますが、公立病院がたった四か所しかまだ決まっていないと。一体これはどういうことなのかなというふうに私は非常に疑問を呈さざるを得ないわけでございます。  そこで、いろいろ調べてみますと、私、これもちょっとミスったかなと思ったんですが、法律ができるときの最後の、どのような法律になるかというところまではチェックをしなかったんですけれども、その中でこういうことが書いてあるんですね。指定病院については設置者の同意を得て厚生労働大臣が指定すると。つまり、設置者というのは都道府県知事なんですね。この設置者の同意を得てということになりますと、それぞれの都道府県の知事が同意をしなければこれ設置できないということになっておりまして、意外とこれがこの公立病院の指定がなかなか進まないということになっているのではないかなというふうに思っているわけです。  実は、私自身、いろんなところでお話をお聞きしましたときに、ある公立病院の職員さん、医者も含めてでございますが、こういうことを言われました。何で私たちだけがこんなことをしなきゃいかぬのかという話だったんですね。  ところが、今、精神保健福祉法の中で、都道府県は精神科病院を設置しなければならないという義務規定になっておるわけです。それはなぜかといいますと、措置対象の患者さんの治療は要するに公立病院が負うということが精神保健福祉法の中に実は書き込まれているわけですね。しかし、事情によって都道府県ができない場合にはこれは民間病院を指定病院として指定することができるということになっておりまして、あくまでもこのような状況の患者さんたちの治療というのはこれは公立病院が負わされるということになっているわけでございます。  ですから、今回のこの医療観察法の指定病院もこれは国公立病院というふうになっているわけでございますけれども、これが進まない理由、これはいろいろ私は考えられるだろうと思うんですが、一つには、やっぱり職員組合とそれから県知事さんの関係も私は非常に強くあるんではないかなというふうに思っています。  私は福岡の出身でございまして、福岡には県立太宰府病院というのがございますけれども、今公設民営化になったわけでございますが、しかし、そこは非常に職員組合の方々が強いところでございまして、いろんな意味で実は問題になったところでもございます。こういうことが全国的にあって進まないのかなというふうに思っているんですけれども、厚労省はどうお考えになっているんでしょう。
  42. 中村吉夫

    政府参考人(中村吉夫君) お答えいたします。  都道府県立病院の指定入院医療機関としての整備が進まない理由につきましては、各都道府県により事情が異なり、一概には申し上げられないと思いますけれども、一つといたしましては、自治体立病院の再編成計画や建て替え計画等により直ちに医療観察法への対応が困難であること、二つ目といたしましては、精神科救急、児童思春期精神医療など地域の精神科医療を充実を優先させたい意向があることなどの理由があるものと考えております。  いずれにいたしましても、指定入院医療機関の整備は本制度に基づく適切な入院医療に必要不可欠でございまして、そのためにも都道府県立病院の整備が必要であると考えております。このため、私どもといたしましては、今後とも、都道府県に対しましてあらゆる機会をとらえて積極的に要請活動を行ってまいりたいというふうに考えております。
  43. 西島英利

    ○西島英利君 今、厚労省はそういうふうにお願いをしていきたいというふうに思われているんですが、じゃ、都道府県がなかなかそのお願いを聞かないという状況も私はあるんだろうというふうに思います。  それで、総務省にお伺いいたしたいんですが、何らかの指導といいますか、何らかの対策は総務省ではこれは考えられないんだろうかというふうに思うんですけれども、いかがでございますでしょうか。
  44. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) お尋ねの指定入院医療機関の指定でございますけれど、この指定を受けるかどうかというのは、まず第一義的には各都道府県の御判断に属するところでございます。したがいまして、私ども総務省といたしましては、自治体病院経営の観点から各般の助言を行うという立場にございます。  したがいまして、この本指定入院医療機関の指定の件につきましても、今後とも様々な機会をとらまえまして、この指定制度の趣旨につきまして各都道府県に対して周知を重ねていきたいというふうに考えておるところでございます。
  45. 西島英利

    ○西島英利君 私は、国会議員になりましてこういう委員会で質問するときのキーワードは、縦割りの弊害というのを私のキーワードでやっておるんですね。例えば、省庁間の縦割り、それから省内間の縦割り、これでずっとやってきまして、平成十七年のこの決算委員会締めくくりで、私は当時の小泉総理大臣にもこの観察法案のことを含めた縦割りの問題で私は御質問をさせていただきました。それ以降、なかなかやはり進んでいない。  となりますと、これは何らかの法の改正も必要になってくるのかなと。つまり、やはり全国、一県に一つずつの病院がなければなかなか、そういう患者さんたちがどんどんと出てこられるわけでございますから、じゃ、その患者さんたちを一体どこでどう診るのかということは、当然これは大きな問題として出てくるわけでございます。そういう意味で、どうしてもこれが進まないのであれば、私は何らかの法改正も必要なのかなというふうに思うんですが、厚労省、いかがでございますでしょうか。
  46. 中村吉夫

    政府参考人(中村吉夫君) お答え申し上げます。  指定入院医療機関の整備が都道府県において進んでない理由といたしましては、先ほど御答弁したとおり、都道府県立病院における様々な事情が影響しているものと考えております。法律において開設者の同意が必要だというふうになっておるわけでございますけれども、一方で指定入院医療機関は、裁判所が決定した場合には対象者を入院させなければならないということになっておりますので、指定に当たって同意を求めているという今の仕組みは必要な措置であるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、厚生労働省といたしましては、引き続き都道府県に対する整備要請を積極的に行って、指定入院医療機関の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  47. 西島英利

    ○西島英利君 このことでこれ以上議論をするつもりはないんですが、しかし、一県に一つずつの病院という方針を決めた以上は、やっぱり国としてしっかりとした協力体制の中でやっていきませんとこういう整備というのは進まないんですね。先ほどのお話の中で空港整備とか道路の整備とかいろいろありますけれども、しかし、これはまさしく、毎年毎年百人、二百人という患者さんたちが発生をしてくるわけでありまして、その方々を一体どこで診るのかと。  過去は、それを全部民間の、全部じゃありませんけれども、かなりの部分を民間の精神病院が実は診ていたわけです。それが大きな偏見を、精神科病院にその偏見を継続させるようなそういう状況があったわけでございまして、それを是正するために、先ほど申し上げましたこの附帯決議に平成十一年に入れていただいたと。そして、この法律の改正があったときに、こういう考え方是非お願いをしたいということで、それを受け入れていただいて、国公立病院でこういう患者さんたち診るべきであるというような法律の内容になったわけでございますから、是非この件に関しましては速やかに何らかの対策をしていただけないかというふうにお願いをするところでございます。  それでは、先に進ませていただきますけれども、それでは、この法案ができまして、実質的には平成十七年スタートしたわけでございますが、それ以降、これは申立てといいまして、裁判所に申立てをするようになっているんですけれども、申立て件数がどのぐらいあったのか。それから更には、申立てを却下されたケースが幾つぐらいあったのか。そして、その却下されたケースが、もしよろしければどういう内容で却下されたのかをお教えいただきたいと思います。
  48. 小津博司

    政府参考人(小津博司君) 当局が把握している状況を申し上げますと、本法が施行された平成十七年七月十五日から本年の二月二十八日までの間に、検察官が行った本法による医療等を求める申立ては五百七十三件ございます。うち四百八十七件につきましては裁判所の決定がなされまして、そのうち十三件について申立てを却下する決定がされたものと承知しております。  申立てを却下する理由といたしましては、対象者が対象行為を行ったと認められない場合と、対象者が心身喪失者及び心神耗弱者のいずれでもないと認める場合があるものと承知しております。
  49. 西島英利

    ○西島英利君 五百七十三件も申立て件数があるんですね。そして、今この整備をされている病院がたしか十か所ですかね、今準備中も含めるともう少し増えますけれども。それで、これを今、要するに対応していかにゃいけないわけでございますね。  公立病院はもう既に一県か二県を除いてあるんですね、都道府県立病院というのは。その中のある病棟をきちんと整備し直せば私はつくれる話だというふうに思うわけでございまして、やはりこういう事例がどんどんどんどん今後も増えていくわけでございますから、そのような認識是非持っていただけないかなというふうに思います。  さあそこで、どのような病名の患者さんたちが入院対象になっているのかお教えいただければと思います。
  50. 中村吉夫

    政府参考人(中村吉夫君) お答え申し上げます。  手元に詳細な資料を持っておりませんので正確な話ということは難しいわけでございますけれども、例えば統合失調症というような病気を患っておられるという方がかなりの部分を占めておるのではないかというふうに思っております。
  51. 西島英利

    ○西島英利君 ありがとうございます。  その中で、これは二月二十八日現在なんですが、アルコール中毒の方が五名いらっしゃるんですね。アルコール中毒の方がこの対象になるのかなと、私はちょっと疑問があるんでございますけれども、何か厚労省としてのお考えがあればお教えいただきたいんです。これは法務省でしょう、法務省ですね。じゃ、よろしくお願いいたします。
  52. 小津博司

    政府参考人(小津博司君) 心神喪失者等医療観察法は、心神喪失又は心神耗弱の状態で同法所定の重大な他害行為を行った者が対象となるものでございまして、先ほど厚労省から御答弁ございましたように、対象の方の疾病としては、統合失調症がございますし、あるいは躁うつ病の方もおられると承知しております。  したがいまして、同法の適用の可否につきましては、特定の種類の疾病に罹患しているか否かがその基準となっているものではございませんので、もちろん対象者がアルコール中毒であることから直ちに同法の適用の可否が定まるものではないわけでございます。アルコール中毒と診断された者について責任能力があると判断された場合には本法の対象とならないわけでありますが、逆に、例えば殺人を犯した対象者について、アルコール依存症に罹患し、アルコールにより容易に触発される精神病性の障害を合併しておりまして、幻覚、妄想の圧倒的影響下で殺害行為に及んだものであって心神喪失であったと、こういうふうに認めて入院決定をした事例もあるものと承知しているところでございます。
  53. 西島英利

    ○西島英利君 ありがとうございました。  それではもう一つ、実は重度認知症の事例で入院になったという事例もあるというふうに聞いているわけでございますが、重度認知症がこの対象になるのかなと。今の御答弁ですと、対象になるというふうな御答弁になるのかなというふうに思うんですけれども、何かお考えがあったら教えてください。
  54. 小津博司

    政府参考人(小津博司君) ただいま御答弁申し上げましたように、特定の疾病であるか否かということが直ちにその適用の可否の基準となるものではないわけでございます。  ただ、本法の入院や通院の決定がされるためには、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合であることが必要とされているわけでございまして、そのような必要性が明らかにないと認めるときは検察官は申立てをしないことができるわけでございますけれども、医療を受けさせる必要があるということは、その精神障害が治療可能性のあるものであることを意味するというふうに解されているわけでございます。  認知症の方が対象である事例につきましても、もちろん検察官といたしましては、精神鑑定の結果でありますとか主治医の方を含む専門家の方の意見を聞くなどして申立ての要否を判断しているところでございまして、全く回復の見込みがなく医療を受けさせる必要がないという判断で申立てをしなかった事例もある一方で、対象者の精神障害が認知症であるものの、その症状や、同時に罹患している他の精神障害について治療によって回復が期待できる事例について入院決定がされた事例もあると、このように承知しているところでございます。
  55. 西島英利

    ○西島英利君 私、何でこういうことをちょっと御質問したかといいますと、もう六百例近い症例が申立て件数としてあると。そうしますと、様々な課題が私はこういう病的な状態についても出てきたんであろうと。ですから、何らかのやっぱり見直しをしていきませんと、やはりもう最初の考え方の中でこうせざるを得ないというふうに実は判断をする医師も私はいるのではないかというふうに思いますので、やはりこういう症例を検討していくという、そういう会をつくっていただければなと。私も精神科医でございますから、そういう視点で実はこういう御質問をさせていただいたわけでございます。是非、後ほどちょっと大臣にも御質問させていただきますけれども、そういう点での御検討もしていただければなという、これは希望的な要望でございますので、是非よろしくお願い申し上げます。  さあそこで、六か月ごとにこの状況を報告をして、患者さんを退院に持っていくわけでございますが、退院後に何らかの課題が恐らく出てきているんだろうというふうに思いますけれども、何か課題がございましたらお教えいただきたいと思います。
  56. 藤田昇三

    政府参考人(藤田昇三君) 指定入院医療機関から退院を許可されました対象者につきましては、これは当初から入院によらない医療を受けさせる旨の決定を受けた対象者と同様に保護観察所による精神保健観察というものを受けることとなっておるわけでございます。  この精神保健観察の目的でございますけれども、一つは、必要な医療を受けているか否か及びその生活状況を見守ること、いま一つは、継続的な医療を受けさせるために必要な指導その他の措置を講ずることというふうに法律上なっておるわけでございます。  これらの目的を踏まえまして精神保健観察を実施する上での今後の課題ということを考えてみますと、これは今までも課題であったわけでございますけれども、一つには、対象者との信頼関係をいかに構築していくかということでございます。もう一点は、指定通院医療機関を始めとする医療機関や都道府県、市町村などの地域の関係機関との連携を強めるということであると思います。もう一点は、対象者の緊急時の対処体制の整備ということも挙げられるかと思います。さらに、地域の住民の皆さんの御理解を得るということも大切なことだと思っております。  私ども保護観察所におきましては、関係機関との会議等を緊密に開くことなどを通じましてこれらの課題に対処してまいったわけでございますけれども、今後とも適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
  57. 西島英利

    ○西島英利君 私は、やはり地域の住民の方々の理解というのが非常に重要だと思うんですね。今回、公立病院をいろいろお願いをしていく中で、厚労省も大分御苦労されたと聞いております。ところが、これをつくりたいということを、地域の住民の方々に理解を求める活動をされていると。そうすると、これはなかなか賛成も、いいですよ、それは賛成するという、なかなか難しいんですね、大変な実は偏見があるわけでございますから。  ですから、そういう意味でのやっぱり地域住民といいますか、日本国民と言った方がいいでしょうか、そういう偏見に対して理解を求めるやっぱり活動というのは非常に重要なのではないかなというふうに思いますので、これはもちろん法務省だけの問題じゃございませんけれども、是非そういう視点を、厚労省も含め、お持ちいただければなというふうに思います。  そこで、この件については最後の質問になりますけれども、医療観察法できまして数年たったわけでございますが、まだまだ整備状況はこういう状況だということで様々な課題も出ているわけでございますけれども、今後のこの医療観察法の行方といいますか、そういうことにつきまして、大臣、何かコメントございましたらいただきたいと思いますけれども。
  58. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) もう先生御案内のとおり、この医療観察法の制定に当たっては、いろんな御議論があった経過があるわけでございます。いよいよ施行になって、指定病院を確保できるかどうかが大変心配をいたしておりましたが、取りあえず今のところ特段の支障が生じているという状況ではないというふうに伺っておりますのでほっとしておるところでございますが、今先生からもいろいろ、具体的な申立ての仕方その他、御指摘もございました。  恐らく、警察庁においても、あるいは裁判所におかれましても、また関係医療機関におかれましても、まだまだ経験が積み上がってないところがあると思いますので、今後いろんな観点から、御陳情もいただいている部分もありますが、相談をさしていただきながら、円滑なこの制度の目的に沿った運用が行われるように努めていくということがまず先決ではないか、その上でまた必要なことがあればまた御相談申し上げるということになるのかなというふうに思っております。
  59. 西島英利

    ○西島英利君 非常にやっぱり重要なこの法律でございますので、是非理解いただきまして、様々な課題について御検討をいただければと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、次の質問に移らしていただきますけれども、警察庁がつくられました偽造クレジットカード解析システムでございまして、先日出されました会計検査院の報告書を読みますと、偽造クレジットカード解析システムの運用状況が著しく低調となっていたため、その運用の廃止を行うなどの改善をさせたということが実は書かれているわけでございます。  私は北九州市でございますけれども、北九州市にメディアドームという、実は競輪場をドームにしたところがございまして、多目的に使えるドームになっているわけでございますが、先日、関係者の方々とお話をしたときに、メディアドームを計画したときは世界で最先端を行くIT技術を使ったドームだというふうに思って造ったところが、五年後でき上がったときには世界で一番遅れているメディアドームになったということを言っておられました。それほどやっぱりIT技術というのはもう次から次に進んでいくわけでございまして、今の現状をどうかしようと思えば、とてもじゃないけれどもそれは追い付かないような、そういうのが今のITの進行状況だろうというふうに思っております。  その中で偽造クレジットカード解析システムをつくられたんですけれども、そういうことまでお分かりになりながら、例えばバージョンアップとかいろんなことを考えながらおつくりになったのかな、検討されたのかなというちょっと疑問が出てきましたのでこの質問をさせていただくんですが、このシステムの導入において、どのようなメンバーで、どのような検討をしながら、そしてどのような会社に依頼をされたのか、詳しくは必要ございませんけれども、お教えいただければと思います。
  60. 松田正一

    政府参考人(松田正一君) お答え申し上げます。  平成十七年度決算検査報告において、偽造クレジットカード解析システムの有効性等について指摘がなされたところであります。  御質問の偽造クレジットカード解析システムとは、偽造カードの簡易鑑定、磁気データの解析及びスキマーの解析の機能を保有し、その結果をデータベースに登録して捜査に活用することを目的としたシステムで、警察庁平成十二年度補正予算をもって平成十三年度に整備したものであります。  このシステムの導入を検討した当時におきましては、クレジットカード等の支払用カードを悪用した犯罪の急増、支払用カード電磁的記録に関する罪の新設等を内容とする刑法改正等の情勢がございまして、これに的確に対応するために、警察庁の捜査担当部門そして情報通信部門、ここにおいて新たなシステムを活用した捜査手法を検討し、本システムの必要性を認めるに至ったため整備を行ったところであります。  また、業者につきましては、これらの整備に必要な条件を満たす、これに精通した業者と契約を行ったところであります。
  61. 西島英利

    ○西島英利君 今回のこの会計検査院の報告書の中でこう書いてあるんですね。押収した偽造クレジットカード約四万一千枚あったと。その中で実際に情報端末装置を利用して検査した実績は百九十七枚と。さらには、そういう情報を分析して将来に使おうという意味だろうと思うんですが、それをライブラリ装置に登録した実績は百九十五枚にすぎなかったと。つまり、これだけしか実は使われていなかったと。さらには、都道府県通信情報部における情報収集装置の利用状況についてもそういうレベルでしか使われていなかったと。  つまり、私は何が言いたいかというと、先ほど申し上げましたように、どのような方々で検討をしてこのシステムを導入されたのか。要するに、よくITのことがお分かりになっていてされたのかどうかということを私はちょっと御質問をしたかったわけでございまして、やはりIT、ITと、今も何かもうITがすべてを救うみたいに言われていますけど、ITというのはつくったときにはもう古いんですね。次から次に新しいものができてくる。ですから、そういうことを理解しながらこれ検討されたのかどうかということを実は私はちょっと疑問に思いましたので今この質問をさせていただいたというところでございます。  そして、よくお分かりになってない方々が、これは是非やろうやということで専門の会社に委託をされたんであれば、恐らく専門の会社はその先のことは考えずに私は開発したんじゃないかなと。もしそうなるとすると、じゃ、調達経費とか保守経費については、もう向こうの言いなりで実は経費というのは設定されるわけでございますから、そういう意味でこの調達経費、保守経費の妥当性についてその後その御検証をされたのかなということをちょっとお伺いしたいと思います。
  62. 松田正一

    政府参考人(松田正一君) そのころの担当者、警察庁の刑事部門、情報通信部門ということで検討したわけですが、情報通信部門の人間につきましては技術的能力を十分持った人間が、刑事部門につきましては現場をよく知った人間がということで、その時点で最も必要であろうと、これが必要であろうと、役に立つであろうということで検討して、それを整備したものでありますが、最近の犯罪がそのころの状況と違いまして、例えば外形上の偽造を行っていないホワイトカード、当初は精密な偽造をして偽造カードを蔓延させるだろうと予測されていたものが、そういうものを使わずにホワイトカードとか使い古しのカード、これを再利用するということで、本システムを用いて外形的特徴からその同一犯行を特定するというような当初の目的、これが満足できなくなったということ。  それから、本システムの運用当初未整備であったカード会社との協力体制、こういうものもその後整備されまして、実際本システムを用いなくても事案を解決できる場合が増えてきたということで、なかなか使われない状況になってきたということがございます。  それから、この調達経費、保守経費につきましては、そのころは整備目的に照らして必要な機能、性能等を定めた仕様を策定した後、最も経済的な調達をするために市場価格を調査する等して適切かつ合理的に予定価格を作成して適正化を図っていたということでありますが、保守経費につきましても、システムの有効性を図るために、必要な範囲において最も経済的な調達をするために市場価格を調査する、そして適切かつ合理的な予定価格を作成して適正化を図っているということですが、そういうことで、その目的、使用状況がもうそのころと状況が変わってきたということで、ちょっと不適切だった点があったかという具合に反省しております。
  63. 西島英利

    ○西島英利君 本当に、非常に高額な要するに経費が必要になってくるわけでございますから、やはり本当に慎重な検討を、今後はやっぱりそういうシステムは必要でございますので、これはつくっていくことは、これはもういかなきゃいけないことは間違いございませんけれども、やはり専門的な人たちを何人も入れてその中で検討していく必要性があるのではないかなというふうに思いましたので、この質問をさしていただきました。  当然、これは簡単にお答えいただいて結構でございますけれども、ほかのシステム一杯お持ちだろうと思うんですが、このITに関しては常にやっぱり検証をしていかないと、本当に遅れてしまう、間違ってしまうということもありますので、そういう検証体制は何かおつくりになったんでしょうか。簡単で結構でございます。
  64. 松田正一

    政府参考人(松田正一君) 特にその検証体制をつくって全部洗い直すというような作業はしておりませんが、それぞれの業務の実施状況警察庁で把握しておりまして、日常業務の中でその有効性等も見ていこうと、その整備目的に照らしてより一層有効活用を促進していこうということで各都道府県警察をして指導してまいる所存でございます。  警察業務の特殊性ということでちょっと申させていただきますと、一概にその使用実績が多い少ないということだけでなかなかこの有効性、必要性というのは判断することが難しいという点がございまして、簡単に把握は難しいんですが、一応目的は、犯罪等が発生した場合、どんな犯罪であっても迅速、的確に対処するということを目的としておりますので、これにかなうものでなけりゃいけないということで、日々調査、指導しているところでございます。
  65. 西島英利

    ○西島英利君 ありがとうございました。  是非、やはり常にこの検証体制を持つということ、それから、これが実は一番経費削減にもなるんですね、ITの場合は。これは少々の人を投入しても、十分にそのお金はこの経費の削減で私は出てくるだろうというふうに思いますので、是非その辺りの一つ考え方を持つ必要性があるのではないかと思いまして質問をさしていただきました。ありがとうございました。  それではもう一つ、次に進めさしていただきますけれども、裁判員制度全国フォーラムについていろいろと問題が出てきたようでございまして、新聞にもニュースとして今年、これは二月とか三月にニュースとして出てきておりますし、この会計検査院の報告書の中にも裁判員制度フォーラムにおける問題点ということが書かれているわけでございまして、これ簡単に御質問をさしていただきたいというふうに思います。  まず、費やされた費用というのは大体聞いておりますのでいいんですけれども、この裁判員制度フォーラムについて企画競争をされました。企画競争をされて、結果的には電通がそれを受けられたということでございます。この新聞の報道によりますと、ほかの四社は非常に似通った要するに見積額が出てきていたということでございまして、結果的に電通が見積額としては一番安いんですね。ですけれども、企画競争だから企画で選んだんだというふうに聞いているわけでございますが、本当に談合的なものはなかったんだろうかというふうにちょっと疑いを持たざるを得ないわけでございます。  そこで、今回のこの裁判員制度フォーラムについて報告書みたいなものを出しておられますけれども、その中を読みますと、企画競争に参加した各社に対して調査を実施したところ、談合について否定した回答を得たと。だから談合はなかったということは私は言えないんだろうと思うんですね。ここで談合があったと言ったらこれは大変な問題になりますから。ですけれども、最高裁判所事務総局から出された報告書の概要にはそういうことが実は書いてあるんですね。  私はこれを深くこれ追及するつもりは毛頭ございませんが、この中で、全国五十か所でフォーラムをされているわけでございますけれども、その中の一部、一部だろうと思うんですが、一部で、人材派遣会社等に派遣を要請をして、そしてそのフォーラムに参加する人をある程度確保した、それに対して日当的なものが支払われたということが書いてあるんですね。  その中で、更にこの報告書等々を読んでみますと、ここにはこういうことが書いてあるんですよね。このような不適切な募集行為は、某新聞社ですと新聞社名が書いてはございますけれども、その新聞社の判断で行われて、裁判所はもとより、実施業務全体の請負人である株式会社電通も一切関与していないと、こう書かれているんですね。ところが、三億数千万の見積りで請け負ったのは電通なんですよ。そうしますと、この電通はやっぱり最後まで見届ける私は責任があるだろうというふうに思うんですね。それが、いや、それは依頼をしたその新聞社が勝手にやったことだということが果たして言えるのかなと、私、それちょっと疑問を持つんですよね。  だったらば、単なる、手数料を取ってあとはもう丸投げですよというものではないのかなとちょっと思いますので、この件に関して、もう簡単で結構でございますが、何かコメントございましたらいただきたいと思います。
  66. 小川正持

    最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。  平成十九年一月二十日開催の大阪フォーラムにおいて有償による不適切な募集行為があったのではないかとの疑いが生じましたために、最高裁判所といたしましては、平成十七年度及び平成十八年度のフォーラム開催業務を請け負った電通に調査をさせました。また、電通の調査の結果、一部の会場で不適切募集があったことが明らかになった後は、当該地方新聞社に対しても直接事情を聴取したところでございます。  電通からの説明では、平成十七年度及び平成十八年度とも、電通がこのような不適切な募集行為を明示的にも黙示的にも指示したことはないこと、平成十八年度については、政府のタウンミーティングにおけるいわゆるやらせ質問、地方自治体等の職員等の動員依頼等の問題が明らかになっておりましたために、最高裁判所からの指示を受けて、地方新聞社の担当者との打合せにおいて強引な動員はしないようにと指示していたこと、不適切募集に当たって支出された金額はすべて各新聞社においてフォーラム運営経費とは別の経費で処理され、これに相当する金額は電通に請求されていないこと等の説明を受けました。経費の処理につきましては、関係する帳票にも当たって確認をいたしております。  また、今回の不適切募集を行った地方新聞社からは、新聞紙上の告知広告、後援団体、大学等への働き掛け等の方法による参加者の募集を実施しても集客状況が厳しかったことから、とにかく定員を満たさなければならないという思いで、不適切なこととは知りつつ人材派遣会社に依頼した、あるいは開催日は悪天候が予想され当日のキャンセルが多いと予想されたために、急遽、交通費を支払うことを条件としての集客活動を実施することとしたというような説明を受けました。  以上のような事情のほか、平成十七年度及び平成十八年度を通じまして問題となった四会場以外では同様の不適切募集が行われたことを疑わせる事情が明らかにならなかったことをも併せ考えますと、今回の各不適切募集は該当する地方新聞社の判断により行われ、電通については、これは関与していないとの判断に至ったものでございます。  そして、今申し上げましたとおり、電通は不適切な募集行為には関与しておりませんけれども、結果として、不適正な募集行為が行われることにより裁判所が開催するフォーラムそのものに対する信頼、信用が損なわれたことは否定し難いのですけれども、有償募集行為の経緯、原因等についての新聞報道が速やかにされ、その中で、関与した地方新聞社が自ら謝意を表しているほか、電通もこの報道の直後に自らのホームページに、国民や最高裁を始めとする関係者に多大な迷惑を掛けたことをおわびする旨の謝罪記事を掲載しておりまして、フォーラムに対する信頼回復に向けた措置が一応は講じられたものと認識しております。
  67. 西島英利

    ○西島英利君 今の御説明は私も読ませてもらいました。だけどこの質問を私したんですよ。  つまり、三億四千万というお金が電通に支払われているわけですね。電通は、これに対して責任を当然持たなきゃいけないわけですよね。ですから、それぞれの、開催をして、例えば大阪の某新聞社に、それは丸投げだったら丸投げで構いませんよ。ですけれども、そうしたらば、その経過についてやっぱり必ず電通の社員がいてそこをきちんと監視するというのが、そもそもこういうのを請け負う会社の私は責任だろうというふうに思うんですよね。  ですから、責任がない、関与していないというのはそもそもおかしいんです。関与しなきゃいけないんです。そうですよね。三億四千万ですよ。ですから、そういう意味で私は今日今御質問申し上げているんであって、是非そのような認識をこれ持たれないと。だって、裁判所はまさしく法を守らせなければいけないところでございますから。  と同時に、さらにまた似たようなことで、実はここに「裁判員」というこういうDVDがございますし、様々な広報のためのパンフレット等々もお作りになったということで、もちろんこれはもう非常に大事なことで重要なことでございますからそれはそれで構わないんですが、しかしその八割、使われたお金の八割、二十一億円が不適切契約といいますか、さかのぼり契約といいますか、実際にそれができ上がった後で契約をされているということについて、報告書を読ませていただきますと、不慣れだったからということも書かれておりますし、さらには、ほかの事務が大変だったからと書かれております。でも、これはどこでもそうなんですね。ですから、これは実は言い訳としてはやはり余りいい言い訳では私はないだろうというように思うんですね。  ですから、四人から六人に増やしましたということですけれども、じゃどれだけの実は事務量があったのかと。それに対して、この四人ではできないから六人にしなきゃこれはとてもじゃないけど、この作業はとてもできないということで検討されて増やされたのかどうか。そういうことも含めて、今日はこれ決算委員会でございますからちょっと厳しいような御質問をさせていただきますけれども、やはり今後こういうことのないようにしっかりとしたやっぱり体制づくり、そしてやはりこれ、こういうのは言い訳利かないんですよね。言い訳はだれでも言い訳すれば全部それ責任は取らなくていい話でございますから、是非今後そういう意味での体制づくりをしっかりとしていただければなというふうに思います。  それでこれだけのお金が増えたから、それはそれなりの私は説明ができるだろうというふうに思うんですが、なった後で、忙しかったからというのはちょっと言い訳にならないのではないかなというふうに思いましてこの質問をさせていただきました。  何か御意見ございますでしょうか。簡単で結構でございます。
  68. 小池裕

    最高裁判所長官代理者小池裕君) 裁判員制度という国民の皆様に御参加いただく制度のPRにおいて不適切な契約の対応があったというのは、誠に恥ずべきことであると考えております。  委員指摘のように、るる言い訳するよりも、今後のことをその後私ども検討いたしました。大きく言いますと三つのことを検討しております。  一つは、まずスタッフを強化すると。契約事務を担当する者にベテランのスタッフを配置するということであります。それから、ルーチン業務と兼ねるのではなくて、専属のスタッフという体制を取ることにいたしました。  二つ目には、やはりスケジュール管理というものが甘かったと。この点について、調達スケジュールについてきちっとした計画を策定いたしまして、これは私が所轄いたしておりますので、経理局長に対してその随時進捗状況を報告させるという体制を整えました。  三番目に、これは契約確定するということと会計の連携が悪かったと。ここのところにつきましては、契約担当部署と企画担当部署とのプロジェクトチームをつくりまして、その進捗状況について互いにこれは連携を取って随時指導、指示し合うという三つの体制を取りました。  こういった体制を取りまして、決意を持ってきちんとした契約事務を、また企画を進めてまいりたいと、かように考えております。
  69. 西島英利

    ○西島英利君 この裁判員制度というのは、国民に大変な負担を強いる制度でもあるんですね。そういう意味では、本当にいろんな不安を国民は持ちながら来年を迎えようとしているわけでございます。ですから、そういう意味で、それの元締となる最高裁判所はやはりそういうことも含めてしっかりとした体制づくりをしていただいて、国民安心して裁判員制度に参加できるような、そういう準備是非していただきたいというふうに思います。  終わります。
  70. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日です。  今日は、主に警察庁法務省裁判所の皆さんに、平成十七年度決算に関連した項目について幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず最初の質問は、今お手元にも資料をお配りいたしましたけれども、参議院の内閣委員会の調査室で警察に関する資料集というのをこの間毎年作っておりまして、平成十九年度版を手元に取り寄せて見てみました。最初の質問は、幾つかこの資料集から気になる点を引っ張り出して質問したいと思います。  まず第一点は、この間日本も随分治安状況がよろしくないと、様々な事件が増えてきているということで、二〇〇一年ごろから地方警察員を順次増やすという策を取ってきたと思います。とりわけこの三年間平成十七年から十八年、十九年とかけて地方警察官を更に一万人増員すると、こういうことで取り組んできておられたと思います。  十九年度の額、数字は後でお尋ねするとして、まず、二〇〇五年、平成十七年三千五百人、二〇〇六年三千五百人の増員を行うと、こうおっしゃってきたわけですが、この実績について御報告をいただきたいと思います。
  71. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  依然として深刻な治安情勢に的確に対応するためということで、平成十七年度からの地方警察官三か年一万人増員構想、今御指摘のとおりでありますが、に基づきまして、平成十七年、二〇〇五年度及び平成十八年、二〇〇六年度におきまして、それぞれ三千五百人の増員を要求いたしまして、これを全員認めていただいたところでございます。
  72. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 念のため確認しますけれども、この三千五百人、三千五百人というのはすべて地方警察官の数という理解でよろしいですね。
  73. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) そのとおりでございます。
  74. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今のお話ですと、目標どおり三千五百人、三千五百人実績としても確保されていると。これは何を見たら分かります。予算決算とを見ようと思ったら出てないんですよね。何を見たら分かります。
  75. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) 予算書について私ちょっとどういうふうに書かれているかあれでございますが、三千五百人、三千五百人、それから平成十九年度三千人につきまして文書にどう書かれているかというのは、ちょっと詳しく承知しておりません。
  76. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと、そんな説明じゃちょっと困るな。  私が聞いたのは、これは国の予算で三千五百人、三千五百人と予算化しているんじゃないんだと。政令で数字だけ示して、あと実際に数を確保しているのは都道府県の条例なんだと。都道府県の条例のトータルを数えるとちゃんと三千五百人になっていますというふうに聞いているんだけれども、そうじゃないの。
  77. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) ちょっと、今予算書についてどう記載されているかと勘違いいたしましたけれども、これは、三千五百人、三千五百人につきましては政令基準、地方警察官の定員というのは政令基準というのが定められておりまして、これは警察法施行令の別表二というところに各県の、政令、つまり定員の政令基準が書かれておりまして、そこを改正いたしまして全体で三千五百人増員と。  実際に各県で増員を行う場合は、御案内のとおり、条例でこの政令基準に基づきまして定めるということでございますので、これは各県の条例でそれぞれこの基準に沿いまして、原則このとおり、あるいは各県の事情によりまして多少増加ということ、あるいは減少というのは、減少というのは、例えば緊急に過去増員をしたのでその分、この増員をしますけれども、結果的にトータルで若干減ということでありますが、あくまでも各県の条例で具体的な定員というのは定められるということでございます。
  78. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 だから、結局これは国の予算を見ても決算を見ても出てこないんですよ。政令でこう数を決めて、その政令に基づいて各都道府県が条例で決めて予算化して確保するんですよ。だから、条例の数をトータルしないと数は出てこないんですよ。そうですよね。
  79. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) そのとおりであります。  ちょっと補足いたしますと、三千五百人というのは、あくまでも国が全体の、全国の警察官の定員をこれだけ増やした方がいいという基準でございますので、実際の条例で決まる数字は若干変動がございます。
  80. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そこで、もう一つ伺います。  その三年度の最後の年、平成十九年度、二〇〇七年度について警察庁予算を見せていただきました、平成十九年度警察庁予算の概要というもの。それを見ますと、(5)番に精強な第一線警察の構築と、こう書いてあって、その総額が約百九十四億円。その中身、アのところを見ると、人的基盤の充実強化と。その中に二つあって、地方警察官の増員、増員数三千人、国家公務員の増員、増員数百九十一人と、こう書いてある。  増員三千人なのに、どうして百九十四億で済むのかなと思って不思議なんですが、よくよく見たら、この百九十四億円の大半は装備資機材、警察施設の整備充実に使われていて、人的基盤の充実強化にはわずか八億しか使われていないんですね。これ、どういうこと。
  81. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  今御指摘のように、精強な第一線警察の構築の中で、中身として、人的基盤の強化として八億一千四百万ということでありますが、その中身として地方警察官の増員と国家公務員の増員ということであります。  増員数三千人と書かれておりますが、これは御案内のとおり、地方警察官の、というのは自治体警察の職員でありますので、これ人件費は地方公共団体が負担するというのが原則であります。地方警察官を増員する場合、ただ、その関連経費としまして、けん銃等を一人一人に貸与しなきゃいけないわけですが、けん銃等の購入、あるいは実際に警察学校で教育を行うと。これはこの警察法のシステムとしまして国費で、国庫支弁だということになっております。ですから、そういう額を合わせますと約三億四千五百万円が国費として措置をされるということであります。  なお、他方、先ほども言いましたように、地方警察官一人一人の人件費とか被服費等、これは地方単独経費として措置されておりますので、ここには計上されておりません。ただ、これにつきましては、地方財政計画におきまして増員をするときに総務省と協議させていただいて、これは総務省の方で所要の手当てがなされているものと承知しております。
  82. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いや、総務省は後で聞きますから、その分は答えないでください。  それで、私がお聞きしたのは、精強な第一線警察の構築、百九十四億円という予算があって、それにアとイとあって、そこに更に地方警察官の増員数三千、国家公務員の増員数百九十一人と、ここに、予算の中に書いてあるんですよ、警察庁の十九年度予算の中に。それがどうしても計算が合わぬなと。合わぬ。だから、これ本来なら別枠で、これは人件費は都道府県から出してもらいますよと書かなきゃいけないんじゃないの。警察庁があたかも三千人分の人件費を持っているようにこれ読めるじゃない。
  83. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) これは、平成十九年度警察庁予算、つまり国の予算の概要ペーパーでございまして、これ例年、地方警察官増員という場合に国費分だけにつきまして計上すると。確かに、今先生おっしゃるように、増員数三千人と書いてありますのでそういう意味に取られかねないわけでありますが、そういう国費の費用として、地方警察官分は先ほど言いました三億四千五百万、国家公務員のその増員分がその残りの四億六千九百万、合わせて八億一千四百万ということでございまして、警察庁予算、国費としての予算の概要を示したものということでございます。
  84. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 だから、私が言っているのは、国費で幾ら、都道府県費、県の負担として幾らというふうにはっきり分かるように書いた方が正確じゃないんですかということを言っているの。これあたかもうっかり読むと全部国で出すように読めるじゃない。これはある種、意図的な表の作り方だというふうに思わざるを得ないんだけど、直してくれませんか、これ。
  85. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) 先ほど御説明したとおりでございますが、その地方の経費につきましては、私ども、その所管そのものではございませんので、どういう書き方がございますか、ちょっと検討させていただきたいと思います。
  86. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 検討すべきなんです。どう考えても国が丸々面倒見ていないんです。むしろ大半は都道府県が持っているんです。だから、国は何千人増やせと言った途端に都道府県の負担が増えるんです。そのことを示したのが皆さんのお手元の表の一ページ目の数字です。  これについて、総務省の方からちょっと分かりやすく説明をしてください。余り細かい部分は結構です。ポイントだけ御説明ください。
  87. 津曲俊英

    政府参考人(津曲俊英君) 十七年度の地方公共団体の普通会計決算において警察費は三兆三千百七十六億円であり、その財源の構成比が、地方税、地方交付税などから成る一般財源などが九〇・九%、そのほか使用料、手数料等が四・五%、国庫支出金が一・八%などとなっております。また、都道府県歳出総額に占める警察費の割合は近年増加傾向にありまして、平成十七年度には六・九%となっております。
  88. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ですから、今御説明いただいたように、地方における警察費の一番主要な部分はやっぱり人件費なんですね。八割方、人件費なんです。それで、どんどんどんどん、もちろん地方自身も増やさなきゃいけないと思っているから、すべてがすべて国が増やせと言っているわけじゃないけれども、しかし国も増やせと言ってきていると。そこで増やしてきたら、都道府県の歳出総額の最初のうちは六・四%ぐらいだったのが六・九%ぐらいまでだんだん増えてきているんですよ、この厳しい地方財政の下で。じゃ、その財源はある程度国の方から支援なり援助なりあるかというふうに聞いたら、基本的には九〇%は一般財源なんですよね。そういう状況なんですよ。  そういう状況を踏まえて、この問題の最後に、ちょっと大臣お尋ねします。  二つあります、問題は。一つは、現在の治安情勢をどう見ておられて、今後も警察官の増員が必要だと考えているのかどうかということが一点。その場合に、今ずっと指摘してきたように、国でこれだけ増やせよというふうに政令で書くのも何かへんてこな話だと私は思うんだけれども、政令で何千人増やせと言った途端にその実費は都道府県が負担すると、この仕組みはちょっといかがなものかと思うんだけれども、どうする考えか。その二点、お聞かせください。
  89. 溝手顕正

    国務大臣溝手顕正君) まず、その増員のバックグラウンドでございます治安情勢の認識でございますが、刑法犯の認知件数は平成十五年から四年連続して減少しており、やや治安再生の曙光が見え始めているのかなという感じがないことはございません。しかし、刑法犯認知件数は、そうはいいながら、昭和四十年代に比較してその一・五倍を超える水準にあります。また、子供が被害者になる事件けん銃使用した凶悪な事件が発生するなど、依然と厳しい状況にあるという認識は持つ必要があろうかと思っております。引き続き、あらゆる角度から警察力の強化に努めてまいりたいと考えております。  地方警察官の増員というのは、警察力の強化にとって最も有効な手段であるということは言うまでもないところでございますが、最近の年齢構成等から大量退職あるいは大量採用時代が到来をしてまいりまして、警察官の採用をめぐる情勢が大変厳しくなってきております。積極的な募集活動、人物重視の採用等により優秀な人材の確保に努めるとともに、警察官OBの活用あるいは人的基盤の充実を図るほか、IT化の促進、装備の資機材の充実を図るということも並行して打っていかなくてはいけない手だと思っております。平成二十年度以降の地方警察官の増員については、現時点では、今申し上げました点や治安情勢をこれからもう少し見ながら検討してまいりたいと考えているところでございます。  いずれにいたしましても、総合的な視点から警察力の強化に努め、深刻な治安状況対応してまいりたいと考えております。まず、私の印象を申し上げますと、地方団体からの警察官増員の要求というのは大変多いと、想像以上にたくさんの陳情を受けているところでございます。
  90. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 何かちょっと本質的な問題をはぐらかしていると思うんですけれども、地方からの要望が多いから当然じゃないかとおっしゃるんでしたら、だったら国の予算書に三千人増員とか三千五百人増員とか書かずに、地方からこれだけ要望が上がってきているというふうに書いたらいいんです。でしょう。つまり、私は今の仕組み、もう今日はやめますけど、警察法に、職員の定員について、第五十七条で政令で定めると、都道府県はその政令で定める基準に従わなければならないと、こう書いてある。この法律に従っているんだと思うんだけど、しかし、結果としてこの法律に基づいて各都道府県が増員をする、増員した人件費はその分ほとんど丸々都道府県の負担になっている、これでいいのかという問題提起をしたつもり。  是非、これは今日、結論まで到達しそうにないので問題提起だけにとどめますけど、これからの考え方を整理する意味でも、警察庁予算決算の立て方をもう少し正確にしてください。あの概要の説明と、それから予算も出ていない、決算も出ていないで何千人増やすという話では全然議論できない。ここは是非、今後の予算の組み方、あるいは決算の立て方についてきちっと工夫をしていただきたいというふうに思います。  二番目の問題、刑務所の問題。  昨日今日と、随分テレビで山口県の美祢市にオープンした新しい刑務所についての報道がされています。大臣も何か開所式に行かれたというニュースがありました。  そこで、この刑務所、もう何年来、刑務所の収容者の収容率、要するに過剰収容をしているという指摘が何年来あって、例えば平成十七年でも一一六%だと、こういう指摘がされていました。そういう過剰収容の状況があるので、これから山口県の美祢市における方式も含めて増やしていこうと、こういうことなんだと思いますが、まず具体論に入る前に、基本的に刑務所の収容者数がどういう動向で収容率はどうなっていて、今後はどんな見通しなのかについてお尋ねします。
  91. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) まず、刑務所等の収容人員でございます。  今御指摘のように、平成十年以降急激な増加継続しております。平成十八年の末の数字で見ますと八万一千二百五十五人ということで、この五年間で率にして二四%増加したということになっております。特に、受刑者等の、既決の被収容者、刑が決まった者でございますが、既決の被収容者について直近の収容人員見ますと、平成十九年三月末の現在で約七万二千人に達しております。収容率にして約一一六%ということで、収容状況厳しいものがあるととらえております。  こういった過剰収容が継続しておりますことによりまして、受刑者のストレスが高まったり、あるいはトラブル、暴行事犯等が増えたりということもございます。過剰収容解消のために様々な努力をしておるわけでございますが、まず収容棟の増築工事を手掛けております。さらに、今御指摘のございましたPFIの手法によりまして、刑務所の新設を含めまして平成十九年度末までに約七千五百人分、そして平成二十年度末までに更に二千人収容能力を拡充することとしております。現在の既決の数字、先ほど申しました約七万二千人ということでございますので、これからの犯罪情勢というものがあろうかと思いますが、一応追い付いていけるのではないかという期待を持って準備をしております。  引き続き、この収容動向を見極めながら、施設あるいは要員の確保等に努めてまいりたいと考えております。
  92. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 次の質問に移る前に、ちょっと念のため確認しておきたいんですが。  報道を見ていると、美祢市にできた刑務所は何か社会復帰促進センターという看板が出ているんですけど、これからは刑務所という看板ではなくて社会復帰促進センターというふうな正式名称でいくのかどうかということと、それから、民間刑務所とか民営刑務所とかって書いてあるんだけど、正式にはPFIですよね、あれ。そこの二点、ちょっと念のために聞かしてください。
  93. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) まず、名称でございます。これは法律上は刑務所でございます。  初めて我々が民間の資金あるいはノウハウをかりながら、この過剰収容解決のために新しい刑務所をつくっていこうということで、様々な相談をし準備をいたしました。その過程で地域の方々の御意見を伺い、あるいはこういうものに手を挙げてくれた企業の意見を聴いて、この施設の名前を美祢につきましては社会復帰促進センターというような名称を付けたということでございます。  それから、今おっしゃいました民営ということ、これは、我々も誤解のないように報道機関の方々には御説明をしておるわけでございますが、向こう様の様々な事情がありまして、おっしゃったようにPFIによる事業でございます。
  94. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 分かりました。  それで、いろいろ御苦労があって名称を工夫されたんだと思うんですけど、実は先ほど御質問された西島先生も私も精神科医でありまして、社会復帰促進センターと聞くと、おっ、何か精神障害者の社会復帰施設かなとつい思ってしまうんですね。決して、悪い、反対だと言うつもりはないんですけど、やや紛らわしいというか誤解を生ずる可能性あるなと、お互いがお互いにという気がしますので、これでずっといくんだというふうに決め決めにしないで、もう少し工夫の余地があれば考えていただいた方がいいんでないだろうかということを、これはアドバイスしておきます。  その上で、大臣お尋ねしたいんですが、このPFI、PFIというのは、当然、公務員も仕事をするし、その中の相当部分を民間の会社にもしていただく、委託契約をして、相互で運営していくと、こういう仕組みだと思うんですが、こういうPFI方式、今回初めてオープンすると思うんですが、私は、確かにそれなりのメリットもあるんだろうと思いますけど、しかし想定されるデメリットといいますか問題点というか、余りこういうことは望ましくないなという点と、両面があるんだと思うんですね。ちょっとその点について大臣のお考えをお聞かせください。
  95. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 過剰収容の状況、先生御指摘のとおりでございまして、早急に施設整備を図る必要があるという中で、施設の設計、建築ということ、またその資金ということも含めまして、民間の力も活用してやっていこうというのがPFIによる施設整備でございます。  同時に、地域に、方々にも御理解いただく、そしてそこの経済振興にも役立つと、また、実際の警備やあるいは教育訓練やそういう業務についても民間ノウハウも活用して、より効果的な受刑者処遇を実現をしたいというのが今回の目的でございます。  先生御心配の点、どういう点か、まだ伺ってはおりませんけれども、例えば今、名称においてもちょっと刑務所のイメージとは違うんじゃないかとか、あるいは従来の刑務所のイメージからすると警備等々について大丈夫かといったような不安もお持ちになる方もおられるかもしれません。そういうことも十分に留意をして、今回、開設に至ったものでございます。  昨日、開庁式に私も出席をしてまいりましたが、地元の方々も非常に御理解をされておられまして、どういいますか、歓迎をして、歓迎という表現は適切でありませんかもしれませんが、開設を祝っていただいたというふうに思っております。
  96. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 もう少し具体的に御説明いただきたいと思ったんですが、それでは一つ飛ばして、もう少し具体的にお尋ねします。  要するに、PFI方式で運営する刑務所であっても、国家公務員が行うべき業務の範囲とそれから民間の会社の職員が行うべき範囲というか、逆に言えば民間の職員は行ってはいけない業務と、範囲があると思うんですね。そこはどんなふうに区分けされているのかということと、多分、PFIですから契約を交わしていると思うんですね。そのときに、契約上これこれしかじかとちゃんと明示されているのかどうか、そこの二点ちょっと具体的に説明してください。
  97. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) PFI手法によって建設、運営するわけでございますが、刑務所でございますから、当然公権力的なものは民間に委託するわけにはいかないというのはもうおっしゃるとおりでございます。そのことも特区法、構造改革特別区域法に法律上も明記をしておりまして、それに基づいて契約も結んでおるわけでございます。  具体的に申し上げますと、総務系の事務ですとか自動車運転ですとか、差し入れ窓口受付等の非権力的な事務などは従来からも一部民間委託をしてまいりました。これに対しまして、例えば武器の使用だとか懲罰の賦課だとか信書の発受の許否処分、あるいは被収容者の身体、財産を直接侵害をするような実力行使を行うとか、あるいは直接的な義務を課す、あるいは権利を制限する処分性のある事務というものは当然国家公務員たる施設の長あるいは刑務官が行わなければならないというふうになっておるわけでございます。  しかし同時に、所持品や居室等の検査、収容監視、職業訓練の実施など、こういうような若干権力的なものではありますけれども、そのための準備行為あるいは補助行為といったようなものについては、それは補助という形、補助という範囲において委託することは可能というふうに考えておるわけでありまして、こういう委託のできるものについては法律に今申しましたように根拠規定を設けると同時に、守秘義務ですとか、みなし公務員規定ですとか、監督規定などの担保措置を併せて講じることによって民間委託をいたしておるということでございます。  今後、この後あと三か所PFI手法による刑務所を予定しておりますので、万全を期してまいりたいと思っております。
  98. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 どうもまだ要領を得ないんですが、少し材料をいただけませんか。要するに、法律上どういう区分けをしているのか、それから契約上どんなふうに書いているのか。  私は、法律上区分けをし、契約上かなり明確に書いても、実際には行為が連続する場合が結構あって難しい面が多々出てくると思うんですよ、今後。例えば、急に逃げ出そうとしたときに捕まえようとする、そのときに言わば体に触れて強制していいかどうかという問題を一つ一つ点検していくと結構難しい問題出てくると思うんですね。  ですから、私は、このPFI方式というのはメリットだけでどんどん行けではなくて、具体的にやるとなればどんな問題が出てくるのか、かなり慎重なチェックをしながら進めないといけないと思うんです。そのためには、法律上どういう整理をし、契約上どういうふうに明記をし、実際どう動くかという三段階きちっとフォローしてもらわないといけないと思うんですが、それしていただけますか。
  99. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 法律上あるいは契約上の点は、担当から必要があればここででも御説明できる範囲ではさせていただきたいと思います。  それから、おっしゃるように、いろいろ現実には十分な連携、打合せをしておるようでありますけれども、具体的にどういうことが起こるかというのはやってみなきゃ分からないこともあると思いますけれども、そういう点はこれからも十分問題のないようにしたいと思いますし、そういう保安上のリスクもあり得ますので、現在、収容対象というものは犯罪傾向の進んでいない受刑者というものに限定をして今始めたわけでございまして、そういう問題もないような体制で、まず今回、開庁させていただくということにしておるわけでございます。
  100. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 補足もありますか。
  101. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) 先ほど大臣がお答えしましたこととちょっと重なることではございますが、まず事の性質上、先ほど申しましたように、権力性が強くて概念上委託になじまない事務というものがございます。それから、先ほど大臣も申しましたように、総務系の事務とか自動車の運転というように公務員がやっても民間がやっても同じものという、そういった種類の事務がございます。したがいまして、この二つにつきましては、前者の方は、どうやってもこれは公務員以外の者にやらせるわけにはいかないということでございます。  ところが、先ほど大臣、説明をいたしましたように、権力性が弱くて、本来、公務員がやるべき事務ではあるけれども、その準備とか執行とかということで権力性の弱い事務というものが類型的にございます。そういったものを民間の事業者にやらせる、そのためにはどういうものをやらせるのかということを列挙するということ、これは構造改革特別区域法の中でそういう整理をさせていただいて、民間にやらせることができるようにさせていただいたということでございます。  それから、先ほど委員が御発言になりましたように、契約というのが我々と民間の業者との間にあるわけでございます。この契約のボリュームは物すごく細かい大きなものになっております。もちろん一般的な規定、例えば被収容者の逃走等がないように、あるいはそれを阻止するようにこういった警備をしなければならないと、そういう一般規定があるわけでございますが、それ以外に、こういう場合にはこうしなさい、こういう場合にはこうしなさいという細かな業務規定をお互いの間で合意をして設けていると。そのことによって委託した事務の水準が維持されていくように考えているわけでございます。  しかしながら、これは正に今始まろうとしておるわけでございます。我々は、頭の整理をし、法律の整理をして、契約を結んで始めておるわけでございますが、これから毎日いろんなことが起きていくと思います。その中で更に整理、検討をしながら次につなげていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  102. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非そこを、さっきも言いましたけれども、何でもかんでもPFIがよろしいと私は言えない面が多々あると思うので、この方式を採用することによってどういう問題が生ずるのか、一つ一つチェックをしながら前に進んでほしいと思います。  そこで、そのこととも直接関連するのかしないのかを含めてお尋ねするんですが、この山口県の美祢市に設置された刑務所では、受刑者に対する医療の提供について地元の公立病院と契約を結んで、そこの契約の下に地元の公立病院との連携でやっていくという報道を見たことがあるんですけれども、それは一体どういう契約なのかなということと、その話とこの刑務所そのもののPFI方式の運営ということと関係するのかしないのか、この点を含めてちょっと御説明ください。
  103. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) まず、このPFI、美祢でやろうとしていることから御説明をいたします。  委員承知のように、我々刑務所は人を拘禁しておるわけでございますから、その健康を保持する責任がございます。通常の刑務所の中には国が開設をいたしました診療所があり、そこで医務部長等が管理者となって医療の提供をしているというのが通常の刑務所での状況でございます。美祢社会復帰促進センターは、やや医療の過疎的な地域にございまして、医師の確保等がなかなか難しいという地域でございました。そこで、ここの施設に設置をいたします診療所の管理について、構造改革特別区制度を活用いたしまして、地元の公的機関である美祢市立病院にこの管理を委託する、そして受刑者に対する医療を実施するということを考えたわけでございます。  具体的な内容でございますと、先ほど申しましたように、国が診療所を開設をいたします。そして、美祢市立病院が管理者となってその管理運営をする、複数の診療科の医師が交代でこのセンターに来ていただいて受刑者の診療を行っていただくと、こういうことでございます。こういう運営手法を取ることによりまして、受刑者に対する安定的な医療の確保が可能となるというふうに考えたわけでございます。  また、折しも、美祢市ではかねてから婦人科診療を行う診療機関の設置が地元から要望されておったということでございます。この美祢のセンターはトータルで千人の施設でございますが、男子を五百、女子を五百ということで女子受刑者がおります。したがいまして、婦人科診療科目を置く必要がある。そこで、今申しました法的な整理によりまして、美祢市立病院に管理運営を委託し、婦人科につきましても必要な診療設備を設け、地域の住民に対して、この施設を利用して地域住民に対して婦人科診療を行う、こういうやり方を取ったということでございます。
  104. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 またちょっと詳しくお尋ねしたいんですけど、そうすると今の御説明からいうと、受刑者が美祢市立病院に出向いて医療を提供される場合もあれば、地域の住民が刑務所の中の産婦人科の施設を使って医療を受けるという双方向があり得ると、こういうことですか。
  105. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) 施設の中に医務の部屋がございます、施設がございます。したがいまして、おいでいただいた先生、あるいはそこの施設で治療ができる場合は、受刑者についてはその施設の中で治療を受けるということになります。仮にそこに設置された機械器具等で医療が賄えない場合には、今までと同様、外部の病院等に連れていって医療を受ける、こういうことでございます。  と同時に、この建物の横に別の入口を作りまして、受刑者が診療を受ける時間とは違う時間帯をセットいたしまして、地域の方に訪ねていただいて診療を受けれるような利便を提供しようと、こういうものでございます。
  106. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 考え方は分かりました。ちょっと、後、私も地元に出向いてフォローしてみたいと思います。  ただ、やや、私は頭から反対しているんじゃなくて、一つはどういう契約を結んでいるのかなということと、受け入れる側の市立病院がどういう条件を整えているのかなという心配があるんですよね。例えば、あれ結構難しくて、刑務所からほかの外の、外部の病院に行って手術をしなきゃいけない場合に、その間、刑務官をちゃんとおってもらわなきゃいけないとか、いろんな結構あるんですね、現実問題は。だから、そこら辺をどんなふうにされているのか、また一度、今日はこの場では結構ですから、具体に御説明をいただければと思いますし、今後十分、こういう形が各地でできるのかできないのかのある意味では試金石にもなると思いますから、この点も是非慎重にというか、チェックをしながら石橋を渡ってほしいなと思います。  この問題の最後に、いろいろ刑務所を確かに増やしていくと、こういうお話で、それはそれでいいんですけど、いいというか、余りいい話じゃないが、やむを得ないんですけど。そこで受刑者の面倒を見るというか世話をする刑務官ですね、たしか四年ほど前に刑務所における様々な事件があったときにも、一体刑務所の人員の体制はどうなっているんだという議論がありました。  私もその問題に質問に立って、これはいつですかね、二〇〇三年ですから、四年前質問をさせていただきました。細かく統計は取っていないようですけれども、いわゆる刑務所とか拘置所などの行刑施設において刑務官が配置されているわけですけれど、この刑務官の一人当たり何人の受刑者を見ているかと、こういう数字をお尋ねしました。そしたら、そのときは、平成十四年の数字だったと思いますけど、四人だ、四・〇と、こういう御報告でした。ちなみに、そのときのOECD各国では、同じように数字を探してみると、例えば刑務官に相当する職員一人当たり、アメリカでは三・一とか、イギリスでは一・六とか、フランスでは一・九とか、オーストラリアでは二・一とか、カナダでは一・一という数字を挙げられておりました。  したがって、そういうOECD各国と比べても日本の四・〇というのは随分と高いねと。つまり、逆に言えば刑務官の数は少ないねということを指摘し、その様々な刑務官の問題の前提として、刑務官の勤務条件、労働条件のことをもう少し考えた方がいいでしょうという指摘をしました。  どういう努力をなされて、どこまで数字が到達されたのか、御報告ください。
  107. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) 平成十四年以降、急激に受刑者の数が増えてきたということで、我々も、職員の増員の手当て、最大限努力をしてまいりました。十四年、十五年、十六年、十七年、十八年、十九年と、合計でいきますと二千三百七十八人の増員要求をしてまいったわけです。合理化減がございますので、実質千二百九人増員をしていただいております。  しかしながら、先生が今御指摘のありましたように、あるいは先ほど私が御説明をしましたように、それを上回るスピードで受刑者の数が増えてきております。したがいまして、この職員一人当たりの受刑者数という割合、十八年の一日平均収容人員で割り算をしてみますと、これが四・五人になってしまったということでございます。
  108. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 これは問題ですね。努力をされたけれども、結局、増やしたけれどもそれ以上に収容人員が増えたということなんでしょうが、四・五人。前のときにも、これじゃ少な過ぎるんじゃないかという指摘をしましたが、今の数字聞いて、大臣、どう思います、どうされます、大臣
  109. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) この過剰収容の中で、施設の問題もさることながら、御指摘のとおり、刑務官の負担が非常に重くなっているというのは御指摘のとおりであります。我々としても、非常に厳しい業務でもありますので、是非その負担の増加を減らしたいということでございますが、また、今御説明申し上げましたように、大変定員事情の厳しい中で、特段の配慮をいただいてようやくそれなりの増員は認めていただいてきたというのが経過でございます。  御指摘のように、といって、まあ改善の方向ということにはなっていないというのも大変申し訳ないことだと思っておりますので、今後とも増員に努めると同時に、やはりこの業務の委託なり簡素化なり効率化なりということにも最大の努力を払って、刑務官の方々の負担をなるべく減らすように全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  110. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非、これも私からすれば二度目のお願いでありますから、幸か不幸か、当分収容者数、急に減るようなことはちょっと考えにくいと私思いますから、そのための刑務官の増員、特に数だけじゃなくて、私はもう少しきめ細かくスタッフの確保をしていく必要があるんじゃないかと思う。例えば、これは答弁はいいですけど、高齢者が増えているので高齢者を念頭に置いた職員とか、あるいは様々な、知的障害など障害を持った方たちが結構増えていると思いますから、そういう能力を持った人たちを配置するとか、そういう質の方も配慮しながら、刑務官の人員の確保に是非きちっと取り組んでいただきたいと。でないと、また四年前に様々な形で指摘されたようなことが起こりかねないというふうに私は思います。  さて、これからの質問は、実は西島先生から先ほどされた心神喪失者等医療観察法の施行状況についてお尋ねしようと思っていました。別に事前に打ち合わせたわけでも何でもなくて、同じ課題についてやはり同じ問題意識をお持ちなんだなと思って聞いておりました。時間がなくなってきましたので、一、二点だけお尋ねして終わりたいと思います。  この法律を施行する前の段階では、ちょっと頭の中に、まず入院があって、それからまあ何か月か、三か月とかあって退院があって、それで地域支援が必要になってくるだろうというようなことが頭にありました。皆さんはお手元の資料の二と三に資料がありますので是非ごらんいただければと思うんですが、それで今日最後にお聞きしたいのは、ところが、審判の結果、入院ではなくて、最初から通院処遇という精神保健観察の処分を受けるという人が結構な数いるんですね。百人を超えているんじゃないでしょうか、もう。  ですから、言いたいことは、保護観察所における社会復帰調整官の仕事が結構動き始めてから急に増えてきているというか、だから当初のペースよりももっと増やさなきゃいけないというふうに思っているんです。ちなみに、元々この社会復帰調整官は精神保健観察官というおどろおどろしい名前だったのが、まあ名前は一応変わった。だけど、基本的には精神保健観察処分の間ちゃんとフォローするという任務は余り変わっていないという、そういう状況なんですが、地域における役割は大変重要だと思うんです。  そこで、現在までにどれだけ確保してきているのか、そしてこれからどの程度増員していくおつもりなのか、この点だけお伺いして終わりたいと思います。
  111. 藤田昇三

    政府参考人(藤田昇三君) 平成十九年度当初の時点でございますけれども、全国の社会復帰調整官の数は七十人となっております。これは、平成十五年度当初で五十六、それから十七年度に七人増員をいただきました。十八年度にも七人を増員いただいた、こういう結果でございます。  それで、平成十九年度の予算におきまして更に七人の増員が認められております。この増員分を本年の十月以降に採用する予定でございますので、合計でその暁には七十七人というふうになります。  御指摘のとおり、社会復帰調整官の仕事は非常に重要でございますし、充実した精神保健観察を行う必要がございます。そういう観点から、社会復帰調整官の数につきましては、対象となる事件数の推移など諸般の事情を考慮しながら、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。
  112. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 適切にということで、是非積極的にやってほしいと思うんですが、全国の保護観察所が五十なんですよね。だから、五十の保護観察所に七十人あるいは七十七人というのは、いかに少ないかというのはもうだれが考えても分かる話。是非この体制づくりをもっと本腰を入れてやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。     ─────────────
  113. 泉信也

    委員長泉信也君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、岸信夫君が委員辞任され、その補欠として秋元司君が選任されました。     ─────────────
  114. 尾立源幸

    尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。  今日は、現在国会の方でもまた政府の方でも天下り規制が議論されております。政府の方では天下りバンクでしたでしょうか、人材バンクですね、人材バンクというものを考案されて議論されておるということでございますが、今日は独立行政法人都市再生機構と天下りの関係、天下り会社関係について議論をし、問題点を指摘させていただければと思っております。  まず、この当決算委員会で多くの委員の皆様また先輩議員の皆様の御努力によって、皆様の視線が中央省庁だけでなく、また特別会計だけでなく、独立行政法人や公益法人またそのファミリー企業等々といったところにどんどん国民の目も向いていっているということに、私は大変これは評価をしていくべきところだと思っております。そういった意味で、だんだん、逆に言うと、私感じておるんですが、下の方へ行けば行くほど実態が見えなくなって難しくなっているので、どっかできれいにしていかなきゃいけないな、こんなふうに思っておる、問題意識を持っておるということをまず御理解をいただきたいと思います。  この都市再生機構でございますが、ここも天下りと随契というのが見事にきれいにセットされている利権の構造が見られるわけでございますが、先日、ゴールデンウイーク中にも痛ましい事件が起きました。例の、冬柴大臣もお隣の兵庫でございますが、私の選挙区でございます大阪の吹田のエキスポランドの事故でございます。ここでもやはり随契と利権が密接に結び付いているという、こういう構図があるわけでございます。  これも私調べておってすごいなと思ったのは、実はもう昭和四十八年の国会の衆議院の予算委員会の中で、既にこの関係、不明朗な関係について指摘をされている方がいらっしゃったということで、もう三十年以上前の話でしょうか、こんなこともまだ当時から指摘されながら残っておったということを、もう御承知でしょうが、改めて指摘をしておきたいと思います。  そこで、まず、今日、都市再生機構、皆様もよく最近テレビのコマーシャル、深夜にやっていたりするので御承知かと思いますが、官による最大の賃貸住宅といいますか、住宅供給機構なわけでございますが、お配りをいたしました資料の一ページをちょっとごらんをいただきまして概括を御理解いただければと思います。  真ん中に都市再生機構、通称URと言います、独立行政法人でございますが。ここは平成十七年度決算では売上高として一兆五千億、利益として七百八十億ぐらい出しておるところでございまして、欠損金は約六千億という財務状況でございます。  そして、そういう状態なんですが、国からは、左の方を見ていただきたいんですが、補助金や補給金ということでいまだに一千五百億円近いお金をこの都市再生機構はいただいておるといいますか、使いながら仕事をしておるということでございます。  そして、右側には、問題点として職員宿舎の問題、さらにファミリー企業等々が書いてございますが、ファミリー企業と呼ばれるところに業務委託として一千五百億円程度の業務発注をしておると、ここがほとんど随契なわけでございますが、こんな構造になっております。  さらに、後ほど出てきておりますファミリー企業の中の一番大きな日本総合住生活株式会社でございますが、通称これはJSと言います。ここは駐車場の管理なども任されておりまして、これは後ほどしっかりと議論をしていきたいと思います。  それで、まず最初に私が確認をしておきたいのは、左上の財政投融資資金特別会計、これ実は都市再生機構が独立法人化されるときに今まで借りておったお金を繰上げ返済をしておりまして、そのときに、本来、繰上償還をした場合には補償金というものを払わなければならないという、こういう規定になっておりました。これを、特別の法律を作りまして、その補償金が幾らだったかといいますと九千億円あるわけですが、これを免除したというのがその当時のいきさつでございます。  そこで、この点について財政金融委員会で理事長様に御確認をしたところ、そういう意味で、本来、九千億払わなきゃいけないんだけれども免除してもらったと、これは確かに国民の皆さんに負担を強いたと、こんな答弁を私はいただいたんですが、今日実は、それは私、非常にすばらしいお答えだったと思います。しかし、以前よりずっとやり取りをさせていただいております尾見理事、今日はお約束どおりお呼びいたしましたので議論をさせていただきたいと思いますが、尾見理事は同様に、同じような、理事長と同じような御認識をお持ちなのか、まずその点を確認したいと思いますが。  その前に、最終の職場の職位と出身と、さらに私に対する意見も併せてお聞かせいただきたいと思います。前職を聞かせていただければと思います。
  115. 尾見博武

    参考人(尾見博武君) それでは、前職というのは公務員時代の再就職という意味でございましょうか。
  116. 尾立源幸

    尾立源幸君 はい。
  117. 尾見博武

    参考人(尾見博武君) 国土交通省の国土計画局長というのをしておりました。  それから、先ほど先生が御紹介のありました財政金融特別委員会で私どもの小野理事長が先生の御質問に対してお答えしたこと、全く私同感でございます。
  118. 尾立源幸

    尾立源幸君 それで議論がようやくかみ合うようになったと思います。以前は余りそういうふうにおっしゃっていなかったので、ちょっと私の感覚がおかしいのかなと思いながらおったら、理事長の方で、いや、そのとおりだとおっしゃっていただいたんですっとした思いがあるんですけれども、是非、まずその認識を持っていただきながら今後の議論をさせていただければと思っております。  それでは、具体論に入っていきたいと思うんですけれども、まず都市再生機構の主な業務でございますが、一つは再開発、そして宅地開発、賃貸住宅事業と、大きくは三つに分かれておるわけでございますが、この部門を通じて大きく天下りのルートが二つでき上がっております。  まず一点は、再開発や住宅開発にかかわる分野でゼネコンに天下りの方々を大量に送り込んでいるというのが一つの天下りルートでございます。  もう一点は、賃貸住宅事業については関連法人をたくさんつくって、そこに都市再生機構のOBの方をどんどん天下らせていると、こういうことでございますが、そこで質問でございます。  都市再生機構OBがゼネコンや機構の関連会社にどの程度再就職しているのか、御説明をいただきたいと思います。  また、機構の関連会社に再就職している方たちについては、人件費の総額、これは機構の関連会社なんで分かるんですね、その財務の内容が。  ということなんで、理事長、御説明いただけませんでしょうか。
  119. 小野邦久

    参考人(小野邦久君) 御説明申し上げます。  私ども、先生御案内のとおり、関連会社幾つかあるわけでございます。これは、御案内のとおり、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、業務も民間でできるものはなるべく民間にゆだねると、機構本体の代行・補完業務に私どもの関連会社は特化しようと、こういうことでございまして、類似の会社の統合とか、あるいは出資目的を達成したものは株式売却等、もちろん株主の同意を得ることが大前提でございますけれども、そういうことをやってまいりまして、平成十三年度末で五十八社ございました関連法人は平成十八年度末には二十八社ということでございます。  これらの機構の関連会社に私どもの役職員が再就職をすることが大変多いわけでございます。これは業務運営上の必要性からも機構の技術力とかあるいはノウハウを活用していただけること、あるいは双方にとって有意義であると、こういうこともあるわけでございまして、再就職の状況でございますけれども、関連法人、これは二十八社ございますが、それに公益法人も実は管理業務を先生御案内のとおりやっているわけでございますが、この旧公益法人も含めまして関連法人にどのくらいの役員が今在籍をしているかと。これは過去の累積という数字でございますけれども、役員として百二十七名行っております。それから職員、これも過去、三年前に行った者もおるわけでございまして、必ずしもこの職員の方は正確な数字という自信もちょっとないんでございますが、調べましたところでは二百八十八名。合わせまして、役職員で四百十五名と、こういうことでございます。  それから、先生は二つのルートというふうにおっしゃいましたけれども、建設会社等の民間企業、これに再就職した者がどのくらいいるかというお尋ねがございました。  これにつきまして、退職者は退職時にこういうところへ行くと言って辞めるわけでございますけれども、これはなかなか、民間企業がゼネコンということになりますと、関連会社と違って追跡調査難しいわけでございますけれども、平成十八年度でどのくらい民間に行ったかということをお話をさせていただきますと、これはストックということではございませんで、ある意味ではフローということで御理解いただきたいと思いますけれども、十八年度については十三名が民間企業、建設会社等の民間企業に再就職をいたしました。  それから、人件費でございますけれども、どのくらいの総額になるのかということでございますが、これは定年前に行く、あるいは定年で行くとか、いろんなケースがあるわけでございますけれども、先生の御質問がございましたので急遽関係法人に調査を依頼をしたわけでございますが、人件費の額は、機構としてはこの関連会社の調査をそのまま申し上げるよりしようがないわけでございますけれども、機構を退職し関連会社の役職員として在職している者の平成十八年度の人件費総額は、二十八社、関連法人二十八社でございますので、これで三十一億円ということでございます。
  120. 尾立源幸

    尾立源幸君 関連法人、公益法人等に四百十五名で三十一億円の人件費と、さらに、フローですけれども民間ゼネコン等に一年間で十三名という、こんなお答えでございますが、そのフローということしか分からないんですか、それともストックも分かるんですか、過去の。
  121. 小野邦久

    参考人(小野邦久君) 私どもでは、民間企業の場合には直接、要請によってゼネコンにあっせんをするというようなことをなかなかやっておりませんので、例えば職員として専門役の職員が請われて行くとかいうようなケースがございまして、お時間をいただければ概数ぐらいは分かるんじゃないかと思いますけれども、現時点では十三名が行ったということを自己申告で把握をしていると、こういうことでございます。
  122. 尾立源幸

    尾立源幸君 理事長の御答弁、大変残念でございます。  というのも、ここまで来てやはり情報隠しをされるのかなとつくづく思います。というのは、御承知のとおり、昨年来、これは参議院ではございません、衆議院を通して、予備的調査ということで百一の独立行政法人に民主党が中心となって調査をさしていただきました。ここにその結果が出ておるわけでございますが、その中で百一の全部に同じことを聞いておるんですね。その十八番目の質問で、独立行政法人から他の法人への再就職ということでそれぞれの法人に聞きましたところ、多くの法人はちゃんと答えてきているんですが、URさん、都市再生機構に関しては一部限定した方の再就職先しか出されてこなかったというまず事実がございます。  そこで、私たちはそれ以外に実はある資料を持っておりまして、ゼネコンやその他の天下り先へのリストを持っておったわけでございます。そしたら、それ以外にあるんじゃないですかと言うと、やっと次の資料がこうやって出てきました。これ、何ページございますか、七ページぐらいあるわけですね。一つのページに四十人か五十人ぐらいあるわけでして、見事にこれ、ゼネコンのところに天下っておるわけでございます。実は、理事長も分かってか分からなくてかおっしゃっているんでしょうけれども、こんなのがあるんですよ、ちゃんとね。これも私たちは全部じゃないと思っております。  そこで、今日、行革を渡辺大臣の下でやっていただいております林副大臣、あと冬柴国交大臣、これ担当でございます。  実は、多くの省庁においてはこの予備的調査をやるときに本省と、どういう答えをするかというようなすり合わせをしておるんですね。特にURさんの回答が不親切というか、実態をあらわにしない回答方法をされているということなんですよ。ですから、きちっとこれ指導していただかないと、言われればちょろちょろちょろちょろ出すというのは、これ一番悪いリスク管理のやり方なんですよ。  我々、もうこれ以上のことを知っているわけなんですから。ですから、さっき十三人とおっしゃいましたけれども、もう既に十三人以上のものが出てきていますよ、御社から。言っていらっしゃることとやっていらっしゃること違うじゃないですか。理事長、それと国交大臣、どうですか、指導していただけますか。まず理事長から。
  123. 小野邦久

    参考人(小野邦久君) 確かに、先生から御指摘をいただきました資料は、何ページにもわたって他の就職への最終年月日等を調べたものがあるわけでございます。これは現実にこの会社にいるかどうか等は確認ができていないということがございまして、十六年の七月一日に民主党から予備的調査ということでいただきましたものを併せてこれは御提出をしているわけでございまして、具体的に現段階でストックとしてと言ってはちょっと言葉があれでございますけれども、累積として民間企業に何人行っているかということになりますと、ちょっとこれ現段階では直ちにお答えができかねると、こういうことを申し上げたわけでございます。
  124. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 独立行政法人、我々から独立をしているわけでございますから、それは独立行政法人の判断で行われることですけれども、しかしながら、国会から尋ねられたことについては誠実に誠意を持って答えてほしい、そのように申し上げます。
  125. 尾立源幸

    尾立源幸君 今の大臣の言葉もございましたので、隠してもしようがなくて、我々は実態をお聞きして、どうしていくかという建設的な議論をしようとしているわけでございますので、是非その言葉を重く受け止めていただきたいと思います。  林大臣、今のやり取り聞いていただきまして、いかがですか、感想は。
  126. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 尾立委員は公認会計士でいらっしゃいますから、正にこういうディスクロージャーということの専門家であられると。非常に論理整然として今お聞きになられておられたなという感触を持たしていただきました。また、大臣からは、今、きちっと国会で取り上げられたことはやらせると、こういう御答弁がありましたのでそれに尽きると思いますが。  実は、私が所管をしております規制改革会議でも民間開放という観点から、後ほどまた御議論があるかとも存じますけれども、このURを含めた三独立行政法人についてはそういう立場で今やっておるところでございますし、全体として独立行政法人の見直しというのは、これはもう制度上も、またこの間の経済財政諮問会議で総理からも私どもの渡辺大臣の方に御指示があったところでございますので、しっかりとやってまいりたいと、こういうふうに思っております。
  127. 尾立源幸

    尾立源幸君 林副大臣、どうもありがとうございます。  政府の方でもいろんな資料をお持ちだとは思うんですが、実はこの我が党のというか衆議院の財産でございますが、この資料非常に、手前みそではございますがよくできた資料でございますので、一部そうやって誠実に答えていただけないので全体像が若干欠けるところもあるんですが、非常に細かく調査をしておりますので、一度、田村議員も林議員も参議院なので余りこういう存在を御存じないと思うんですよね、是非ごらんをいただければと、そのように思います。  それでは次に、いよいよ日本総合住生活について質問をさせていただきたいと思います。  ここは、先ほど申し上げましたように、様々な業務を行っておる特定関連会社なんですけれども、ここの役員さんは十六人中十二人が都市機構のOBの方でございまして、売上げが平成十七年度で千四百八十二億円、そのうち機構からの発注が、駐車場等その他管理業務を合わせたもので千三百十億円、約八八%がこの都市機構からの発注で構成されているという、こういう巨大な会社でございます。そこで、さらに、当然そのほとんどが随意契約でございますので他の民間がこの仕事を受けるということはほとんどないわけでございますが、機構はこのように御説明されているんですね。日本総合住生活には必要最小限の業務を行わせていると、こういうふうに説明されているんですが、私は、これはもう必要最小限どころか過大ではないかと、このように思っておるわけでございます。  じゃ、実際にどんな業務があるかでございますが、団地内清掃業務、安全点検が百三十二億、給排水施設の管理、修繕が三百十四億、空き家修繕工事が五百十一億、そして駐車場の管理収入が約三百三十億と、こんな構成になっております。そこで、私自身この項目を見ると、こういった業務は日本総合住生活でなくても可能ではないのかと、民間人としてはすぐこういうふうに思うわけでございます。  実際に、昨年の十二月に出された規制改革・民間開放推進会議の第三次答申でも、資料の二ページでございますが、このように言われております。「都市再生機構「平成二十年度までに検討・結論、結論を得次第措置」」ということで、イの賃貸住宅事業というところを見ていただきたいんですが、そこのfでございます、「管理業務においては、入札などを行い、可能な限り民間委託の範囲を拡大し、業務の効率化と管理コストの削減を図るべきである。」と、こういう答申が出ておるわけでございます。  そこで、林副大臣冬柴大臣にお聞きをしたいんですが、今申し上げましたように、こういった業務は機構業務の代行・補完的役割というふうにおっしゃってこの日本総合住生活にだけ随意契約で発注をしておるわけですが、純粋な民間企業でも今申し上げましたような業務は私は可能だと考えるんですけれども、両大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  128. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 都市再生機構の関連会社につきましては、平成七年に閣議決定されました特殊法人整理合理化計画におきまして、機構との業務分担を整理の上、機構を補完する業務に重点化し、民間と競合する大規模修繕工事から段階的に撤退することとされております。これを踏まえまして、大規模・中規模補修工事につきましては平成十五年までにすべてを競争入札とし、株式会社日本総合住生活はこれらの工事から撤退していると私の方には報告をされております。  また、平成十五年の都市再生機構法案に対する参議院国土交通委員会の附帯決議においても、整理合理化を図るとともに、財務内容等に関する情報公開を推進すること、業務契約について、随意契約の適用を厳格に行い、競争入札を原則とし、民間事業者の業務機会の拡大に努めることと決議をされております。  こういうものを踏まえまして、都市再生機構におきましては、植栽、木のですね、あるいは剪定やリニューアル工事について段階的に民間開放を行っており、現在は、二十四時間の対応が必要な水漏れ事故など緊急の修繕、居住者の退去後の逐次補修、駐車場等の管理運営など、機構の補完的業務に重点化を図っていると報告を受けております。  いずれにいたしましても、民間にできることは民間にゆだねるという基本的な考え方に基づき、機構の賃貸住宅管理等の業務との関連性、一体性やコスト縮減の可能性について検証した上で、居住者サービスの低下を招かないよう配慮しつつ、民間企業の活用について検討をしていただきたいというふうに考え、指導をいたしているところでございます。
  129. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今大臣から御答弁があったとおりですが、昨年の十二月に、今委員が御指摘になりました規制改革会議、これは答申でございますとともに、内閣として最大限尊重するという閣議決定をしておりますので、この内閣としても合意を最大限尊重ということでしておるものでございます。  なお、今大臣からも御答弁がありましたが、平成十三年にも実は似たようなことを決めておったわけでございますが、よくよく読みますと、大変、可能な限り民間委託の範囲を拡大し、効率化を図るというところは全く同じことが書いてありますが、今回はさらに、入札などを行いということをきちっと入れておるわけでございます。  正に参議院は決算を重視していこうということでございますが、こういうことを決めた後、この文言に従って、正に今委員が御指摘になっているように、決めたとおりに、ではやっているかと、可能な限り民間というのは、じゃ具体的にはどの部分かというのは、こういう文書を作るときには一つ一つなかなか書くわけにはいきませんから、これを決めたことをきちっとその後履行しているかということをフォローアップするというのが大変大事なことだと私どもも認識しておるところでございます。
  130. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。  それでは、もう一つこのJSがやっております駐車場管理業務について議論をしていきたいと思いますが、まず、この駐車場管理業務でも、私、個人的には民間企業でもこれ十分できるんじゃないかと、このように思っておりまして、そうすれば、サービスを維持し又はそれ以上のサービスをしつつ、更に安い価格でこの業務ができるのではないかと、このように私は思っております。  しかし、この件に関しまして、日本総合住生活、JSの荒田社長が週刊誌の取材にこのような、次のような形で答えられたんです。読みます。民間企業に任せると、必ず安かろう悪かろうになりますよ。自分が継続的に受注できるか分からないと、民間企業は手を抜くというのはよく聞く話です。これはもう非常に失礼な私は話じゃないかなと思っております。全く国や独立行政法人とは関係ないところで民間の方は一生懸命頑張っていらっしゃるのに、このような御認識が私、トップの方があるというのは非常に情けないといいますか、ある意味で怒っております。  そこで、この荒田社長の認識ですね、大臣国交大臣、そして林副大臣、さらには直接的な管理者でございます理事長、感想というか、御意見、御見識をお聞かせください、三名から。
  131. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 日本総合住生活の社長の発言について、私は承知はいたしておりませんけれども、特殊法人合理化計画等に基づきまして、日本総合住生活は大規模・中規模補修工事については十五年までに撤退したとか、あるいは植栽や剪定のリニューアル工事については段階的に民間開放を行っておるとかいうことは先ほど報告したとおりですけれども、現在は、二十四時間の対応が必要な水漏れ事故などの緊急の修繕、居住者の撤去後の、賃貸借が終わって撤去していった後の逐次補修、駐車場等の管理運営など、機構の補完的業務に重点化を図っていると聞いています。  この管理の業務との関連性、一体性やコスト縮減の可能性について検証した上で、居住者のサービスの低下を招かないように配慮しつつ、民間企業の活用について検討していただくことが必要だと、私はそのように考えております。  おっしゃる駐車場というものの管理運営がどうかという問題については、居住者の二十四時間の安全、安心の確保に係る要望に対応する必要があるというふうに考えて補完業務としてやってられるというふうに報告を受けておりますが、そのような認識でございます。
  132. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今のコメントにつきましては、私も直接お聞きはしておりませんが、今委員が御紹介になったようなことを本当におっしゃったとすると、いかがなものかなという感じがするわけでございます。  必ず安かろう悪かろうになるというのは、私も民間企業で働いておりましたので、ちょっと耳を疑うコメントではないかと思っておりますし、この日本総合住生活というのはそもそも株式会社でございますから、御自身は民間という認識は多分ないんだろうなと、こういう感じが非常にいたすわけでございまして、きちっとそういうところはいかがなものかなということは我々としては申し上げておきたいと、こういうふうに思いますし、民間でできることは民間に任せるというのは小泉時代からのもう大原則でございますから、こちらが原則であって、どうしてもできないことは国や国から独法に委託したところでやっていくというのが大原則であるということは安倍内閣でも変わっていないと、その観点でいろんな改革を引き続き進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  133. 小野邦久

    参考人(小野邦久君) 先生御指摘の週刊誌、これは恐らく写真週刊誌フライデーに突撃取材ということで受けたものだろうと思うんでございます。  認識を問われているわけでございますが、どういう経緯あるいは文脈での発言なのか、私承知をいたしておりませんで、それについて果たしてこういうことを言ったのかどうかもはっきり私分からないわけでございますが、ただ、日本総合住生活自身は、やはり閣議決定に従いまして努力をいたしまして、それぞれ民間のお力をかりるものはなるべく民間のお力をかりるようにしてまいりました。大規模修繕工事あるいは中規模修繕工事から完全に平成十六年以前に撤退をいたしました。また、植栽の剪定作業でございますけれども、これも今、相当の団地でこれを一般競争入札に実施をいたしております。  ただ、これは管理組合の方等からはちょっと不評でございまして、居住者の方、私どものお客様が共益費としていったん私どもの機構にお払いをいただくその中の一部で植栽の剪定をやるわけでございまして、やはり一般競争で民間がとにかくどんどんやるというよりは、従来、住生活がいろいろ刈る時期あるいはその処理の方法等も相談しながらやってきたということで、苦情が住生活に行っているというようなこともございまして、そういうようなことから、もしこの発言がこの趣旨であるとすると、そういうようなことも含めて社長は答えたのではないかというふうに思うわけでございます。  住生活そのものは、本当に小規模なあるいは緊急な事故対応、これは二十四時間対応というふうに大臣が言っていただきましたけれども、二十四時間緊急修繕あるいは緊急事故、これにすべて対応いたしておりまして、これは緊急な事故対応センターが一か所、そこから全部指令が行くというような形でJSが対応しているわけでございますので、そういうお客様の居住環境の安全、安心の部分で大変重要な部分を担当しているということでございます。  ただ、先ほど来、大臣あるいは林副大臣からお話ございましたとおり、閣議決定ベースでなるべく民間のお力をかりるものは民間のお力をかりるようにということを言われているわけでございますから、コストあるいはお客様管理水準を下げるということのないようなベースで、コストを十分勘案しながらなお検討してまいりたいというふうに思っております。
  134. 尾立源幸

    尾立源幸君 理事長、質問通告をしておりましたよね。自分の一〇〇%ほとんど子会社のこの社長さんとお話にならなかったんですか、まず。    〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
  135. 小野邦久

    参考人(小野邦久君) 私は、去年、週刊誌が出たときにこの件について彼から電話が掛かってまいりまして、突撃取材を受けて相当自分はびっくりいたしましたというようなことで、大きな声で取材をされるものですから近くの公園にとにかく行こうということで公園で取材を受けたと、これも真夜中のようでございますが、というようなことがあって、この具体的な内容等については、いろいろ自分もちょっと急な話であったので、言い過ぎたり、あるいはいろんな発言をしてしまったということは反省をいたしておりました。
  136. 尾立源幸

    尾立源幸君 じゃ、この発言があったということは御承知だということですよね。ただ、林副大臣は本当に我々と同じような感覚を持っていただいて大変うれしい思いなんですけれども、どうもそのほかの冬柴大臣始めこちら側の人はちょっと感覚が違うのかなということでございます。  なぜかなと思いますと、一つは、当然、国交省、独法、この株式会社というふうにつながっておるわけでございますし、この社長さんは前の副総裁ですよね、特殊法人時代の。先輩には余り言えないんですか。
  137. 小野邦久

    参考人(小野邦久君) 私の先輩ではございませんけれども、公団時代には管理をずっとやってまいりました。副総裁になりました後、総合住生活の方へ転籍をしたものでございます。
  138. 尾立源幸

    尾立源幸君 やっぱり感覚の問題といいますかね、先ほどいみじくも林副大臣おっしゃいましたように、まだ役人の感覚なんでしょうね。今株式会社でございますし、それならもう完全民営化しちゃえばどうですか、その感覚が抜けないんだったら。株式も売っちゃえばいいじゃないですか、理事長。
  139. 小野邦久

    参考人(小野邦久君) 民営化と申しますか株式会社、民間としての意識がないということは、恐らく彼の経験から等言いますと、役所とかあるいは公的な機関の勤務歴が大変長かったわけでございますから、そういう部分のあれはあると思います。
  140. 尾立源幸

    尾立源幸君 独立行政法人の民間議員からの、規制改革会議ですか、ゼロベースでの見直しというところにもいろいろな提言がございますが、正にその辺りの意識の改革というのがないと駄目だよということを言われております。なかなか民間でないところからキャリアを積まれた方には分かってもらえないのかなと思いますが、正にそういうところに民間のトップをまず持ってくるとか、そういう配慮もひとつやっていただけないかなと思います。  では、ちょっと次の話に移らせていただきます。駐車場の話でございます。実際の、幾らこのJSが駐車場管理でもうけているかという話でございますが。  一枚目の図に戻っていただきたいんですが、実は都市再生機構からこのJSは土地を借りていることになっております、借りております。当然、随契でございます。一台当たり月四千五百円の賃料を払っておるわけですよね。尾見理事、いいですね。それを、ユーザーの方、下の方に線が引いておりますが、UR住宅住民ということが書いてありますが、一台当たり九千百円で、倍近いお金で貸しているわけでございます。  それで、この差額が利益になるわけでございますが、今、日本総合住生活に聞きましたところ、このやり取りの中で、つまり九千百円の駐車場料金をもらいつつ、四千五百円の地代を払いながら、どういう利益構造になっているかといいますと、三ページ目をちょっと見ていただけますでしょうか。三ページの左側がJSの駐車場事業についての損益でございまして、売上高が年間三百三十億ぐらいございまして、地代、減価償却、ずっとありまして、物件費計で二百八十六億、経費及び人件費で五十三億で、トータルではマイナス九億円、要は、この駐車場を引き受けることによって、管理を、JSは赤字を出しているという御説明なんですね。まずそういうことでございます。  じゃ、引き受けなきゃいいじゃないかと、私なんかは株式会社ですから思うわけでございます。毎年こういう赤字を出しているという御説明です。尾見理事、よろしいですか。
  141. 尾見博武

    参考人(尾見博武君) 駐車場事業でございますけれども、JSは、まず基本的には自ら駐車場事業の経営をするという形になっておりまして、私ども都市再生機構が駐車場を整備して、その管理をJSに委託するという関係にはなっておりません。  そこで、今御指摘の駐車場事業の件でありますが、実はJSの中では駐車場事業について区分して経理というものをいたしておりません。したがいまして、お求めがありましたときに、左側にもなお書きで書いたと思いますが、事業種別に管理していないところであるが、駐車場収益が全体収益に占める割合により案分したもので試算すると五十三億になると、こういうふうに申し上げた。その結果、この数字ではマイナスが立ったと、こういうことでございます。
  142. 尾立源幸

    尾立源幸君 林副大臣、この計算例を見ていただきましてもお分かりのように、いかに民間と懸け離れた株式会社の在り方だということがよく分かると思うんですね。先ほど申し上げましたように、このJSはいろんな事業をやっております。修繕やリフォームや植木の管理等々だったと思うんですけれども、それでこの駐車場。普通、民間企業だったら区分損益というのをやっているわけですね、それぞれの事業でどうプラマイが出ているか。それができない株式会社なんて私聞いたことがないんですけれども。  まず、この辺が出発点として私はいかがなものかと大変思っておりますし、右側見てください。これを民間のある会社に試算をしてもらいました。同じ三百三十億の収入が得られると仮定した場合に、この右側の試算でございますが、利益を十億ぐらいは堅く見積もっても出せると、こういう、要は、相みつを取ってどっちにやらせるんだといった場合に、右の方でも十分できるという答えが返ってきております。そしてここは、先ほどおっしゃいました、二十四時間対応とおっしゃいましたが、御丁寧なことに、設備等保守点検、防犯カメラまでこれは付けてこの値段でやれますよと言っておるわけでございます。  じゃ、この利益を出せるということはどういうことかというと、つまりURから住生活に貸し出す地代のお金をアップできる、又は貸し出すときの賃料、住民の方に安くできる、両方の可能性があるわけなんですよね。そういった意味で、まだまだ、皆様方がやったJSのこの収益構造、不透明でございますし無駄が多いと、私はこういうふうに見ておるわけでございます。  それで、右の方を見ていただいたように、民間でやれば安かろう悪かろうどころか、安かろう良かろうにもなり得る可能性があるわけなんです。その点について、林大臣国土交通大臣冬柴大臣、そういった意味でこの競争入札を一回試しに、分割でもいいですから、地域ごとでも案件ごとでもやらしてみたらどうですか。
  143. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) この中で、両者で修繕費が片方は、会社の方は十億と、それから委員の方からは八千二百万と、えらい違いですね。九億も違う。計算すると、これ八億一千六百万、ちょっと委員の計算はけたが一つ間違っているんじゃないですか。
  144. 尾立源幸

    尾立源幸君 ちょっと私も今手元に計算機がないのですぐ申し上げられませんが、例えばそれが八億だったといたしましても十二億の利益が出ます。ちょっと今計算しますけれども、そういう前提でちょっとお話をお聞かせいただけませんか。
  145. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) こういう問題について住民の意思とかそういうものも聞かなきゃならないと思います。    〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕  これは、独立行政法人つくるときに参議院でも附帯決議をちょうだいいたしております。その中に、住民との信頼関係をきちっと築けとかいうことがいろいろとここに述べられておりまして、ですから、駐車場のことですから二十四時間出し入れができるようなサービスが必要だと思いますし、そこら辺の住民の御意思も聞きながら、これは機構の方で考えてもらわなきゃならないというふうに思います。
  146. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 数字はいろいろあると思いますが、まず、こういう表を出していただいて検討を細かくしていただくというのは、大変決算委員会として有り難いことであるなというふうに参議院議員としては思うところでございますが、今ちょっと聞いておりましたら、管理業務を委託しているということでございましたので、少し疑問に思いましたのは、管理業務であれば、管理費を払ってその分管理をやるというだけの収支であってもいいわけでございまして、民間企業であれば、その管理費に見合う、うちはこういうことをやりますという管理委託契約を結んで、こんないろいろ駐車場収入が入ってきていろんなあれが出ていくということは駐車場経営そのものですから、そこをどういうふうに仕切るかということもあろうかと思いますが、今大臣が正にお話しいただいたように、細かくいろいろ見ていく必要があるというふうに思います。  住民のニーズはどういうところにあるかとか、どういうサービスが必要なのか。しかし、その中でどうしても公、独立行政法人でやっていただかなきゃいけない部分はどこなのかと、民間に任せた方が大変にコストエフェクティブにやっていただくところはどこなのかというのをきちっと精査をして、その部分はきちっと入札なりをやって一般の民間企業の方に参入してもらう必要があると我々考えておるわけでございまして、それを平成十三年末に決めさせていただいた大方針の下で、細かく規制改革会議の方でフォローしていただきたいと考えておるところでございます。
  147. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございます。  数字は、済みません、私の間違いで、八億二千万ということでございます。大臣のおっしゃるとおりでございます。  そこで、今、林大臣に非常にいいことをまたおっしゃっていただいたんですが、この駐車場経営、非常に特殊な形になっておりまして、本来ならば、駐車場の土地はURがきちっと管理をしているわけなんですけれども、建物だけはURさんがやって、土地の底地を丸ごと裸でこの住生活に貸出しをして、アスファルトを塗って車止めを使ったり、機械式の駐車場を入れたりするという非常に変わったスタイルになっているんですね。本来ならば、普通は駐車場というのはその管理だけを民間では任されることが多いわけでございまして、もうそろそろ、仕事をつくらんがための仕事の発注じゃなくて、きちっと切り分けをして、一回きちっと引き取って管理だけを入札なり競争入札ということで明確な形でやればいいんじゃないかと、このように私も思うわけでございます。  というのは、この四千五百円で土地代を借りて、整備費込みで九千百円で貸付けをしておるというところが非常にこれ、ブラックボックスになっておるわけでして、これがゆえに民間には普通ない形をわざわざ取っておるということをまず指摘をしておきたいので、是非今後は、そこの部分も検討いただきたいと、このように思います。  それで、次でございます。もう一つは、剰余金の問題に移らせていただきたいと思います。  まず、この住生活についてなんですけれども、JS、剰余金、実は五百二十三億円もあるわけですね。ここは私が申し上げている、わざわざ高値で出して、しっかりJSで、特定関連会社ですか、こちらで余剰金をため込んでいるのではないかと、こういうふうに見ておるわけでございますが、五百二十三億のうち百五十億は基金として積み立ててURの環境整備のために使っておるということでございますが、そこはそことして、じゃ、そのほかはどのようにされるのかということと、他のファミリー企業はどうなっているのか。これは理事長にお答えいただきたいと思います。
  148. 小野邦久

    参考人(小野邦久君) 他のいわゆるファミリー企業について、どのように剰余金があってこれをどうするかというお尋ねでございますが、平成十七年度決算時の関係会社は三十社、先ほど私、二十八社と申し上げましたけれども、これは現在、十九年三月三十一日現在の会社の数でございまして、決算ベースで申し上げますと三十社でございます。この合計の額は五百九十四億円で、一社当たり平均いたしますと十九億円ということになるわけでございます。このうち剰余金の大宗は、先生御指摘の五百二十三億円が日本総合住生活の剰余金でございまして、その他の関係会社の剰余金の合計額は、実は累積損失を計上している会社が三社ございます。北総鉄道株式会社等、千葉ニュータウンの中を走っている鉄道業務を私どもも第三セクターで運営をしているわけでございますが、大変な実は赤字でございまして、それ以外に筑波学園ホテルの赤字もございますが、これも既に売却済みではございますけれども、十七年度の決算ベースでいいますと、この赤字の三社を除く二十六社で四百四十億円の、一社当たり平均十六億の剰余金と、こういうふうになっております。  それで、実は関係会社の剰余金と一口で申し上げましても、いろんな関係会社がございます。一つは地区サービス会社でございまして、これは御案内のとおり、再開発あるいは生活利便施設の運営等を任せているわけでございますけれども、なぜそういうふうになったかといいますと、民間の進出が期待できない、まだ都市が熟成していない段階で、やはり宅地を購入して入っていただくお客様に御不便をお掛けできないということで、民間の進出が期待できない事業の初期段階で建設したスーパー等の居住者の日常生活に最低限必要な生活利便施設の整備等に使っているわけでございます。あるいは施設の維持管理あるいはテナントの保証金の償還財源というようなことで確保している金額でございまして、地区サービス会社一社当たり平均十九億の剰余金がございますけれども、これはやはり今申し上げましたような理由によって、何とか引き続き確保していかなければいけない、こういうことでございます。  ちなみに、民間の同業の会社、例えば平成十七年度の不動産賃貸の会社の平均、これは日本経済新聞社の経営指標二〇〇七から取ったものでございますが、同業他社の場合には、例えば自己資本比率は三六%、私どもの地区サービス会社、これらと比較いたしますと半分にも満たないと、こういうこともございまして、経営の安定化のために今後も自己資本の充実を図っていく必要があるというふうに考えております。  それから、代行会社というのがございます。これは、私ども大変定員をどんどん削ってきておりますので、かつて五千人おりましたものが今四千人というようなこともございまして、代行会社で五社で百三十四億の剰余金がございます、一社当たり二十六億ということになるわけでございますが、これは御案内のとおり、代行会社は私どもの業務の代行・補完ということで、区画整理をやります場合に補償業務を担当してもらうといったようなことでございますけれども、これらはどちらかというと固定資産が大変少ないということもございまして、所要の内部留保が必要であるというふうに考えているところでございます。
  149. 尾立源幸

    尾立源幸君 理事長の能弁によって私の時間がどんどんなくなっておりますので、もう少し民間のことを考えていただきたいと思います。  それで、私の試算ですと、財務諸表から見ますと、URの、一千億近いやっぱり剰余金がたまっておるわけですね。この辺も是非、今お金のない時代でございますので、国にも、是非この活用をしっかり考えていただきたい。特別会計は国に戻すというような話になってきておりますけど、いったん下に流れてしまいますと、なかなかそれを回収することができないということもございますので、是非この点は参考にしていただきたいと思います。  では、せっかく田村政務官にも来ていただいておりますので質問をさせていただきたいんですが、実は五月の九日、タイミングよく経済財政諮問会議で民間議員から独立行政法人のゼロベースでの見直しという提言が出されております。これは私たち民主党もずっとこの指摘してきたとおりでございまして、今、独立行政法人というのは、実態は特殊法人からの看板の掛け替えでございまして、その批判があるということで、また今日、変な報道が新聞に出ておりました。何か寄附金の控除の対象に、税額控除の対象にすべきだみたいな、こんなこともございましたけれども。  そこで、まずこの新聞報道で、内閣府の幹部の話として今の法人数や事業内容を半減できるという、こういうコメントが出ておったんですね。私もそのくらいの意気込みがなければこの独立行政法人の見直しはできないと思いますが、林大臣と田村政務官に意気込みを聞かせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  150. 林芳正

    ○副大臣(林芳正君) 今日御議論させていただきましたとおり、やはりこの独立行政法人というのは継続的に見直していこうということで制度をつくってきてやってきたところでございますけれども、正に後世代にツケを回さないようにやっぱり徹底した効率化と合理化というのが常に必要であると、こういうふうに考えておるところでございます。  田村政務官からもお話があると思いますけれども、五月九日に経済財政諮問会議の場で民間議員からも御提案がありまして、総理から、先ほどちょっと申し上げましたけれども、独法の改革は行政の新たなグランドデザインを描く上で避けて通れない課題であると、渡辺大臣の方にそういう意味で政府機能の見直しの第一弾にふさわしい本格的な改革をよろしくお願いしたいと指示があったところでございます。渡辺大臣は、既に答弁されておると思いますけれども、大変重い課題であるけれども全力を尽くしてやってまいりたいということでございますので、それを支えて私も全力でやってまいりたいと思っておるところでございます。
  151. 田村耕太郎

    大臣政務官田村耕太郎君) 尾立先生がおっしゃいましたとおり、私、経済財政担当ですから諮問会議出ているんですけど、九日に民間議員からしっかり提案がありまして、渡辺担当大臣が、今副大臣がおっしゃいましたとおり、大変重い課題ですけどしっかり取り組みますと、その後、直後に、菅総務大臣が自ら手を挙げられて全面的に協力しますと、そういう強い決意をお二人の大臣が合意されて取り組まれるということですので、副大臣も言われましたけど、私など微力ですけど、しっかり私も取り組んでまいりたいと思います。
  152. 尾立源幸

    尾立源幸君 ありがとうございました。     ─────────────
  153. 泉信也

    委員長泉信也君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、加藤修一君が委員辞任され、その補欠として鰐淵洋子君が選任されました。     ─────────────
  154. 山下栄一

    ○山下栄一君 最初に、高等学校卒業程度認定試験、この制度ができまして四年目を迎えているんでしょうか、法務省の矯正施設、刑事施設、少年院等でこの高等学校卒業程度認定試験が非常に希望を持って取り組まれておるということ、非常に私、高く評価したいというふうに思うわけでございます。この取組は、慎重に文科省とも法務省が連携されて、受刑施設内で高校を卒業してない中退した人、また中学もきちっと出てない人おるのか、中学卒業はしておるけれどもと、たくさんいらっしゃると思うんですけれども、そういう方々を対象にしてモデル的にやってこられたと。いよいよ十九年度からはそういう法務省人員だけで、施設で、どこか引率して行くのではなくてというふうなことを聞いておるんですけれども、この状況になっていった経緯、また意義というのをどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。
  155. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 最初に統計的なことを申し上げますが、平成十八年の速報値によりますと、受刑者については、新入の受刑者が三万三千三十二名、十八年度でございますが、そのうち最終学歴が高等学校卒業に満たない者は二万二千六百三十一名、約六九%。また、少年院在院者については、新入院者四千四百八十二名のうち高校卒に満たない者が四千三百二名、約九六%という状況でございます。  今までは、高卒の学歴を有しない者が高卒程度の認定試験を受けるためには一般の試験会場まで出なきゃなりませんので、これに刑務官があるいは教官が引率しなきゃならぬということで実施上の制約がございました。そこで、本年度から文部科学省さんと連携をして、受験希望者のいる矯正施設では当該施設の職員により試験を受験、実施できるということにしたところでございます。  このような受験機会の拡大をするということに先立ちまして、近年、モデルケースとして二、三のところで同様の方法により認定試験を実施をしてまいりました。その実績を見ますと、十六年から十八年の三年間で、この二、三のところでは受験者は五十六名、うち全科目に合格して高校卒の学力が認定された者は十四名という状況でございます。  これらを踏まえて、今後とも適切に対応していきたいと思っております。
  156. 山下栄一

    ○山下栄一君 この制度は我が党の松あきら参議院議員がもう繰り返し繰り返し、これは文科委員会ですけれども、訴えて、制度化をされていった経緯があるわけでございますけれども、特に、この矯正施設における取組はいろいろ御心配な点もあるかも分かりませんけど、非常に私は希望を与える取組であるというふうに思うわけで、今も大臣もそのようにおっしゃったわけでございますけど。  これ、受験するに当たって勉強もせにゃいかぬと思うんですね。突然受験してもなかなか合格しないと。一科目でも受験できるわけでございますけれども、もう場合によってはこれ、卒業すれば大学の道も開かれていくわけでございますし、もうそういう意味で、受験希望者への配慮もそうなんです、その前に、こういう制度があるんだということを、もう既に徹底されているんでしょうけど、施設の担当者、院長先生とか所長さんとか、また刑務官の方とか、そういう方々に御理解いただいて、そして勉強する配慮とか、こういうこともやっていただきたいと思うんですけど、もうこの辺はやっていただいているとは思いますけれども、どんなふうになっているのか、ちょっと答えられる範囲で答えていただけたら。
  157. 梶木壽

    政府参考人(梶木壽君) 今委員から御指摘がありましたように、受験をしやすい体制を取ることはもちろん大事でございますが、その前に、準備として個々の施設に収容しておる該当者がそれを目標にして勉強していくということが大事なんだろうと思っております。  そこで、今事務的に進めておりますのは、それぞれの施設の中に受験応募の掲示をする、あるいは所内の放送、それから少年院の場合でありますと担任の職員がおりますので、担任の職員が適切な、在院者に対しては告知をすると、そういうことで周知を図って、できる限り力のある人たちが勉強して受験をできるようにということを心掛けている最中でございます。
  158. 山下栄一

    ○山下栄一君 ありがとうございました。  安全な体制でまたきちっと、就労支援も一生懸命、今法務省取り組んでおられますけれども、なかなかまだまだ社会への理解がスムーズにいかないところもあると思いますので、受刑者に対する非常に希望を与える制度でございますので、取組の方をよろしくお願いしたいと思います。  それで、地方労働局問題に移りたいと思いますけれども、この問題、私、もう四月二十三日から三回目取り上げておるわけでございます。これは元々厚労省の問題ですけれども、官房長官にも総務大臣にも、もちろん厚労大臣にもお聞きしてまいりました。検査院が総力を挙げて取り組まれた報告に対して、これは私は、厚労省だけの問題ではないはずなんですけど、何となく厚労省止まりで終わっているようなふうに感じまして、今日は特に法務大臣にも、この問題に対する深刻な御認識はもちろんしていただいたと思いますけれども、できる範囲で一生懸命取り組んでいただきたいなと。  過去のこともなんですけど、こういうことがきちっとメスを入れてちゃんと解決しないと、中途半端に終わってしまうと、これは行政の体質そのもの、また公務員の改革なんというようなことは、これを解決なしでできないのではないかと、そんなことを思いましたので、繰り返し取り組んでおるわけでございますけれども。  つい最近の報道で、ちょっと突然の話ですけど、これ具体的な会社を言ったらどうか分かりませんけど、おとついの新聞に「ジュポン化粧品、所得隠し」と。七年で、新聞によって違うんですけど、六億円とか十億円脱税というか、指摘されたと。国税庁が、これはグループ会社の方であちこち点在している会社調べたと。七年間で総額、朝日新聞によると十億円。中身は、要するに経費を積み増しするために架空の役員報酬を計上するなどということがありますし、経費をおびただしく領収書を偽造してごまかしていたというふうなことでございます。  国税庁が入って、これ法人税法に基づくものだと思いますけれども、これちょっと犯罪のことは書いてはいないんですけど、これね。でも、追徴金二億円というようなことになっていると。だから、納めなかった税金を返したらええというものちゃうよと。追徴金というのが問われるし、場合によっては、これは犯罪として、法人税法に基づいて犯罪として告発され、摘発されていくというふうになっていくんだというふうに思うんですけどね。  これは、こういうふうにして税金を一生懸命、一生懸命というか、集めたと。それを、貴い税金をいかに使っていこうかと。その使い方のところの行政機関が、ここまでして民間の方々に対して取り組んで集めた税金の使われ方がいかにひどいかということがこの地方労働局、四十七労働局の問題だと思うんですけどね。私は、何でこれほど行政機関に対して甘くなってしまうのかということが問題意識でございます。  特に、この予算執行職員、直接その貴いお金を預かる職責をもって、そのために給料いただいている方が、もう業者ぐるみで偽造するとか、書類を偽造して裏金作って目的外使用をするというふうなことが、検査院の、検査院の調査は国税庁と違って強制権ありませんから、任意捜査で出してちょうだいという協議しながら出していただいて、書類を、そんなふうにして制約ある中で調べたのが七十八億円あったと。それ全部税金ですからね、これ。何でこういうほど甘いことになっているのかということでございます。  予算執行職員等の責任に関する法律という法律がございますけれども、これ昭和二十五年にできた法律ですけれども、この職員の責任、予算執行職員の責任に関する法律ですから、どんな責任があって、その責任を果たさない場合はどんな責任が問われるのかと、責任の問われ方はどうなっているんだということを財務省にお伺いしたいと思います。
  159. 鈴木正規

    政府参考人鈴木正規君) 国の会計の経理をつかさどる地位にあります予算執行職員につきましては、今御指摘いただきました法律によりまして特別の責任を課しております。これは、こうした職員が不適切な職務執行を行った場合には国に金銭上の損害を与え、国民に金銭的な負担を掛けることがあるということで、特別な責任を課しているという趣旨でございます。  具体的には、規定によりまして、「予算執行職員は、法令に準拠し、且つ、予算で定めるところに従い、それぞれの職分に応じ、支出等の行為をしなければならない。」と定められておりまして、仮に当該予算執行職員が故意又は重大な過失により法令又は予算に違反して支出等の行為を行い国に損害を与えた場合には、規定によりまして弁償責任が課されているということでございます。
  160. 山下栄一

    ○山下栄一君 弁償責任、それは返さないかぬということですよね。返さないかぬ。だけど、この法律では、その弁償責任だけじゃなくて、そういう重大な違反があった場合は返したらええのかというだけでは済まされないようになっていると思うんですけど。責任の問われ方ですけどね、弁償責任だけですか、この法律に書いてあるのは。そうじゃないんじゃないかなと思うんですけど。分かりにくいですか。これ、第六条はどうなるんですか。
  161. 鈴木正規

    政府参考人鈴木正規君) 懲戒処分の規定がございまして、弁償責任に併せまして、検査院指摘によりまして懲戒処分を行うということになっております。
  162. 山下栄一

    ○山下栄一君 この予責法という法律は財務省所管の法律ですよね。次長、そうですね。
  163. 鈴木正規

    政府参考人鈴木正規君) はい。
  164. 山下栄一

    ○山下栄一君 財務省所管で責任、どんな責任問われますかいうたときに、弁償責任しか頭になかったとしたら、ちょっと私はおかしいと思うんですけどね。その弁償責任も懲戒処分もきちっとされているのかということが問題だと思うんですけどね。  検査院にお聞きしますけど、このおびただしい法律違反、法令に従って仕事せないかぬ公金を扱う予算執行職員が、もうやりたい放題のルール違反して裏金を作っていたということでございますけど、その結果、どれだけ国に損害を与えたのかと、弁償責任伴うお金ですね。予算執行職員ですよ、予算執行職員がどれだけ国に損害を与えたかと、その責任を問うのがこの予責法やと思いますのでね。それはどれだけちゃんと責任果たしたのかということを確認したいと思います。
  165. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 会計検査院は、予責法に基づきまして、予算執行職員が国に損害を与えたと認められるときには、弁償責任の有無を検定することになっておりまして、労働局に係る指摘につきましては、不当事項として指摘した金額、六十八億円でございますが、このうち返還が必要となる実質的な国損額は十一億四千万円ほどであります。
  166. 山下栄一

    ○山下栄一君 もう一遍言ってくれますか、幾らですって、もう一度。国に損害を与えて弁償責任伴うものの金額。
  167. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 国損の回復が国の趣旨、目的でありまして、国が損害を受けたと認められる額、十一億四千万円のうち八億九千万円、約八億九千万円につきましては既にこれは国に返還されております。残りの二億四千万円につきましては、除斥期間である三年を経過しておりまして、予責法に基づくところの検定の対象とならない金額ではありますが、現在係争中であるというふうに聞いております。
  168. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっと院長、ちゃんと準備しておいてくださいよ。ちゃんと準備しておいてほしいと思うんですね、私。これずっと、初めて違うからね、この問題。  それで、予算執行職員がこの法律の責任に基づいて国に損害を与えた金額というのは分かっていますか。国に損害を与えた金額は十一億幾らか知らぬけれども、予算執行職員が法律に基づいて弁償しなくちゃならない金額というのは明らかになっているんですか。
  169. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 会計検査院としましては、弁償責任の有無を検定するに当たりまして、既に国損等が、損害が補てんされているというものにつきましては検定をしておりません。  今回のこの件につきまして、先ほど申し上げました十一億四千万円の中には、予算執行職員がかかわっているものとそれ以外のものが合わさって十一億四千万円となっておりまして、そのうち八億九千万円については既に弁償が行われているということでもって検定は行っていないということで、具体的に予算執行職員にかかわるものだけは幾らかということについては、私の今、残念ですけれども手元にはございません。
  170. 山下栄一

    ○山下栄一君 法律に基づいてきちっと検定を今回行ってないでしょう、行ってないと聞いているんですけれども、そのとおりでいいですか。
  171. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 国損が発生していないということで検定の対象とはしていないということでございます。
  172. 山下栄一

    ○山下栄一君 予算執行職員の人とそうでない、そういう責任もないのに直接発注して業者から請求書を偽造さしてやっているというふうなことを書いてあるわけで、それはだから、今回もうお聞きしたんですけれども、要するに、返したというのが、とにかく返したらいいのかということを私は言っているわけで、予算執行職員の方は特に責任が重たいと思うけれども、その人の返すべき金額とそれ以外の職員の方が返すべき金額がごちゃごちゃになってはっきり分からないままに、とにかく十一億円厚生省は返したという、それはもういろいろ話し合ってそうやられたと思いますけれども。だから、この法律に基づく責任がきちっと問われておらないのではないかというふうに思いますけれども、どうですか。
  173. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 予責法に基づくところの弁償責任というものの趣旨がいわゆる国損の回復というところにある、そこに法の趣旨、目的があるというふうに考えまして、十一億四千万円について弁償されるということで、検定は、もう既に弁償が行われているということでもって検定は行っていないということで、先生のおっしゃるように、本来、もし最初からスタートするということになれば、もしこれが弁償されないということであれば、予算執行職員のかかわるものとそうでないものはどうなのかという判断が必要になってくるんだろうと思いますけれども、今回につきましては、それを含めた十一億四千万円について弁償するということでございましたので、この検定の対象としなかったということでございます。
  174. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、不正経理がたくさんあったと、とにかく損害を与えているから返さにゃいかぬと、不正な経理に基づいて返さにゃいかぬ金額は大体返したと、若干例外は残っているけれどもということやと思うんですけど、法律に基づいてきちっとこの予算執行職員の責任を問うということが、手続がされてないということを今おっしゃったと思うんですけどね。  だから、要するに、とにかくそれ以外の方々は、執行職員の方々が返さにゃいかぬのは本来は民事訴訟を提起してちゃんと返せよということで、それは法律に基づく責任じゃないからね、予算執行職員以外の職員は、責任ないわけやから。だからとにかく、だけれども国損も生じているし、不正経理だから返さにゃいかぬということで返されたと思うんです。ただ、それは厚生省が一生懸命取り組んで、必死になって、どんなふうにして分担されたか知りませんけれども、とにかく耳そろえて返すだけ返したということになっておると、そういうことだと思うんですね。そういうことでしょう。  だから、これはそういう趣旨じゃないと思う、この法律というのは。だから、この法律がそもそも期待している弁償責任という手続にのっとってきちっと責任が問われておらないということだというふうに検査院が認められたわけでございます。  懲戒処分の方ですけど、これも、これは何回か、この前も私、人事院にも検査院にも聞きましたけど、法律に基づいて、もう結論だけ、ちょっと時間がなかなか余りないので、予責法六条一項に基づく懲戒処分要求、ちょっとこれ離れますけど、会計検査院法三十一条に基づく懲戒処分要求は検査院はされておらないということでいいですか。
  175. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 今回の労働局の事案につきましては、既に本件にかかわりました職員に対しまして任命権者による諸般の事情を考慮して行いました処分が行われているというふうに聞いておりますので、今回は処分の要求はしておりません。
  176. 山下栄一

    ○山下栄一君 懲戒処分の要求は、昭和二十七年以降、一件もやられてないということでいいんですね。
  177. 大塚宗春

    会計検査院長大塚宗春君) 委員のおっしゃるとおりでございます。
  178. 山下栄一

    ○山下栄一君 人事院、もう何遍も聞いていますけど、人事院も、この前も確認しましたけど、これは予責法じゃありませんけど、国家公務員法の第一の責任者が人事院やと思うんで、任命権者がきちっと懲戒処分をやっていないときはやることができると、人事院が自らということを、規定もあるんですけれども、八十四条二項、これは発動されておらない。結論だけでいいですからね、この前説明いただきましたから。それは発動されておらないと、今回の件について。それでいいですか。
  179. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 前回もお答え申し上げたかもしれませんけれども……
  180. 山下栄一

    ○山下栄一君 結論だけで結構です。
  181. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) はい。  各省に対して懲戒処分をどうするようにということは申し上げておりませんし、人事院自体も行っておりません。
  182. 山下栄一

    ○山下栄一君 財務省、また今度別の機会にお聞きしますけど、予算執行職員の責任に関する法律で大事な大事な税金を扱う予算執行職員の責任の問われ方は弁償責任と懲戒処分の責任だけれども、これ両方ともいい加減というか、きちっとされておらないと、法律に基づいてですよ。法律に基づいて検定もされてないし、返すことは返しているけれども、その予算執行職員の責任は問われておらないわけで、きちっとですよ、一部問われていると思いますけれども、そういうふうになってしまって長年たっているということでございます。  それで、ちょっと法務省にお聞きしますけど、会計検査院という組織が違法行為があったと検察庁に通告しなければならないと会計検査院法三十三条に書いてあると。しかし、これは昭和二十七年以降発動されないままに今日に至っていると。それで、人事院も国家公務員法七十条に基づいて、給料に不正な支払があった場合には通告しなければならないと書いてあるけれども、まあそういうふうに認めてないからされておらないということですね。違います。とにかく七十条の適用してないと。
  183. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) しておりません。
  184. 山下栄一

    ○山下栄一君 それで、検査院、組織としてちゃんとこれが犯罪であるかどうかということは何か難しいらしいんですけれども、認めるのがね。だから、検査院法三十三条の要求は長年やってないと、昭和二十七年以降、ということでございますけど。  だけど刑事訴訟法二百三十九条によると、この官吏というか公務員の方は、予算執行職員をいつも調べていて、これ不正がある、調べてみたら領得して裏金の一部を目的外使用の中に、自分の懐に入れたと、別の口座作って、自分の口座作ってやったというようなことも全部調べて分かっていると。分かっているけれども、今回は一切されてないわけですね。  それは刑事訴訟法二百三十九条に基づいた、これは一人一人の職員ができることになっているけれども、今回はそういうこともされておらないと。ということは、これ二百三十九条という刑事訴訟法、見付けた場合というか、検察庁に通告しなければならないけれども、今回を外していつやるのかなと私は思いますけれども。  お配りいたしましたペーパーの二枚紙の最初の、これは検査院報告に基づいて作成したものでございますけれども、相談員の架空雇用、謝金の不正経理、職員の旅費の不正支払、相談員等の不正支払、その次が物品の購入等にかかわる不適正経理。この中には、物品の購入の部分の丸四つの一番下は、虚偽の内容の国庫金振込明細票、これは日本銀行をだましたということでございますけど。それから、一番下の超過勤務手当の、これは人事院も関係ないことはないと思うんですけれども、超過勤務手当の不適正支給。  これは全部架空というか虚偽の、一部前申し上げましたけれども、相談員を雇うということをするために採用通知書を偽造し、出勤簿を偽造し、前渡資金支払決議書を偽造し、支給調書を偽造し、一番上ですけど、源泉所得税、これ財務省が返還されたかどうか知りませんけど、偽の源泉所得税を払って、これは偽というか本当に払っているわけやけど、雇用事実がないのに。そういうおびただしい数の虚偽の、これが十二労働局二千二百七件等々。物品の購入に至っては四十七労働局すべての労働局で八千四百六十四件。こういうもうすさまじい法律違反というか虚偽公文書作成行使に当たる、この前ちょっと刑事局長にお聞きしましたですけれども、そういうものでございます。  その次のページは、これは別途経理資金の捻出等の状況というのは裏金ということですけれども、裏金の捻出状況は、使ってしまったのが四億約四千万と、未使用残額が、未使用で金庫に残っていて、これはもう没収したと思いますけど、これが六千万等と。これはもう一つ二つの労働局じゃないと。  その下の円グラフ見ましたら、使途不明のままになっている三千七百四十一万、その他も書いてありますけど、とにかく、もう任意調査の検査院の調査では聞いたけれども分からぬかった。  その次、表の十四。これ、証拠書類及び経理関係書類の一部を保存期間前に廃棄又は紛失していた労働局、これはもうすさまじい数の労働局のことが書いてあります。これは、調べようと思ったけれども、もう保存期間、内規で保存期間内と決まっているのに廃棄していたと。これはもう紛れもない検査妨害やと思いますけどね。憲法機関の会計検査院が調べに行って、虚偽の報告をし、報告する前にもう廃棄しているというふうな、そういうことが報告されておるわけでございます。すさまじい私は犯罪性の高い行為が物すごい数されているということでございますけれども。  ちょっと幾つか質問したかったんですけれども、ちょっとはしょりまして、これ四労働局、四十七のうち四労働局七人の方が逮捕され、もう刑が確定しておりますが、これ四労働局だけなんでしょうか、捜査されたのは。法務大臣、答えれないかも分かりませんけど、四十七労働局に全部あるように感じるんですけど、犯罪性が高いと思いますけれども、実際四つの労働局の七人だけが有罪判決を受けているわけですが、ちょっとよく分からないですけれども、どの程度捜査は行われたのかということ、取りあえず聞いてみます。
  185. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 四つの労働局について捜査が行われ、その職員が譴責された旨は承知をいたしております。  その他についてどうかという御質問かと思いますが、誠に申し訳ございませんが、捜査機関の具体的な活動にかかわる問題でございますので、私からはお答えは差し控えさしていただきたいと思います。
  186. 山下栄一

    ○山下栄一君 それで、その四つの労働局のうちの広島の労働局における広島地裁判決、平成十七年五月十六日、ちょっと読ましていただきます。  本件業務上横領に関した者はほかにも複数あるところ、起訴された者は被告人ともう一名の二名にすぎず、その一名の方や起訴されなかった者との処分の均衡も考慮すべきことなど、被告人に有利な酌むべき事情も認められると。なぜこの人だけが起訴されたのかということに疑問を呈しておる判決でございます。それは長年にわたって、もう判決にも書いてありますけど、長年にわたって組織的に不正行為が行われていて、不正行為を行うための仕事に、あなたはこの不正行為しなさいというふうに命令を受けてやってきているわけですから、何でこの人だけが起訴されないかぬのやいうて広島地裁はおっしゃっているわけでございます。  これなかなか、起訴というのは個人にやらないかぬから、組織丸ごと起訴できないからだと思いますけれども、ちょっとこれは均衡というかバランスを欠くのじゃないかと。四十七労働局、それでさっき聞いたんですけど、それはどこに捜査入ったかなんてとても言えるわけはないと、だけど結果的には四労働局だけになっていると。同じ手法であちこちでやられたということは、今ちょっと、先ほど文書を配ったとおりでございます。  これは、だからそんなバランス欠いた起訴のやり方、起訴になっているんじゃないのかと。それは厚労省が告発したり、たまたま別の意味で検察が見付けて捜査したとか、そういうことから始まっているわけで、別にどっかから、検査院からとか人事院とかから一切告発はありませんし、別に告発しなくても捜査できると思いますけど、ちょっとこの判決を見るとこの程度でいいのかというようなことを裁判所おっしゃっているんじゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。
  187. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 重ねて恐縮でございますが、具体的な事件でございますので私からお答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、検察としては法と証拠に基づいて適切に対応しておるというふうに私としては承知をいたしております。  そのようにお答えをさせていただきます。
  188. 山下栄一

    ○山下栄一君 二枚目資料の一番下の件ですけど、公文書が破棄されていたと。紛れもない検査妨害、証拠隠滅に当たるのではないかと私は思いますが、刑法二百五十八条公用文書毀棄罪ですか、百四条証拠隠滅罪、こういう疑いが私はあると思うんですけど、法務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  189. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) この公用文書等破棄罪というものがあるわけでございますが、これは公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した場合に成立をするわけでありますし、証拠隠滅罪は他人の刑事事件に関する証拠を隠滅等した場合に成立するものと承知しておりますが、具体的な事案についての御質問であれば、それに当たるかどうかは収集された証拠に基づいて判断されるべきことになりますので、法務大臣としては、具体的にはお答えをいたしかねますので、御理解いただきたいと思います。
  190. 山下栄一

    ○山下栄一君 もう時間、最後の質問ですけれども。  私は、法務大臣のちょっと今回の事件に対する最後に感想を言っていただいて、その前に法務省設置法、法務省設置法三条は、法務省は、途中省きますけど、法秩序の維持を任務とすると。これは、こういう設置法は法務省だけやと思うんですね。当たり前だと思いますけれども、法務省は法秩序の維持を任務とすると。検察庁、検察庁法ですけれども、検察官はいかなる犯罪についても捜査することができると、別に告発があろうがなかろうが。これは内閣に提出しているので読んでおられると思いますけれども、これはちょっと心配だなというのは御判断されて、捜査、僕ら知らぬところで入っておられるかも分かりませんけど。  法務大臣にちょっと確認したいんですけど、この検察庁法第十四条ですけど、法務大臣は第四条及び第六条、これは検察官の職務権限にかかわることですけれども、に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる、ただし、個々の事件の取調べ又は処分については、検事総長のみを指揮することができると、こう書いてあります。こんなことほとんどされていないんだと思いますけど、私、この第十四条ですけれども、検察官を法務大臣は一般に指揮監督することができると書いてあります。  それで、これは、今回の事件、これは結局どうなっているんだということを法務大臣だったら聞けぬことないと思いますので、別に国会に報告する必要はございませんけれども、どういう認識でどんなふうな取組したのかということぐらいは聞いていただいてもええんやないかなと。ちょっとやっぱり国会でも御質問もあったし、これを読めば読むほど大変な犯罪で、ほとんどこれ、通告するも、告発はこれは行政府はやっていませんしね。検察、検査院も人事院もやっておりません。もう当該省庁の厚労省だけに任せられて、告発はですよ、一件もやっていないとは言いませんけど。だから、それでいいのかということがあります。
  191. 泉信也

    委員長泉信也君) 山下君、時間が参っておりますので、まとめてください。
  192. 山下栄一

    ○山下栄一君 はい、済みません。  最後に、この第十四条で、検察庁のことで、検察官に聞いていただくことぐらいの御認識と、それからこの今回の問題についての法務大臣の感想をお聞きして終わりたいと思います。
  193. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) この会計検査院指摘されているような不正経理については、あってはならないことであるというふうに思いますし、厳正に対処すべきことはしてもらわなければならないと私は思います。  今、刑事処分に関して、いわゆる世間では指揮権発動と言われているものでございますが、個々の事件について、これは具体的な事件でございますので、そのことについて直接検事総長にお話をするということは慎重でなければならない問題であると思っております。先生の御心配はよく理解をいたしましたが、事は極めて大きな問題のかかわる問題でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  194. 山下栄一

    ○山下栄一君 どうもありがとうございました。
  195. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  まず、今日は、大阪吹田エキスポランドでのジェットコースター事故問題について質問いたします。  死傷者を生み、目撃した方も心の傷を負うという惨事となりました。私は、十二日に、特定行政庁の吹田市、そしてエキスポランド社にも直接に調査に参りました。こうした事態が二度と起こらないように対策を講じなくてはなりません。事故の要因は、判明している点では、車軸が折れ、脱輪したと。建築基準法でいきますと、この場合は、エキスポがジェットコースターについて定期点検をして、特定行政庁である吹田市に報告が義務付けられているというものです。  私、吹田市からいただいてまいりましたけれども、これが実際のエキスポランドから吹田市に提出された遊戯施設定期検査成績表と言いまして、成績表、そして検査表と言いまして、あの事故を起こしましたジェットコースターの分の一覧表でございます。これがその報告書で、すべての項目が指摘なしのAというふうになっています。これは随分報道でも言われていると思うんですけれども、項目は四十七項目ありました。すべてAです。Aに当たる実態ではなかったというのが実態であったと思うんですね。  そこで質問ですけれども、要するにエキスポのこういう点検、それから自治体へ報告をする、そうした問題について国交省はどこが問題だったというふうに認識されているでしょうか。
  196. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) まず、どのような定期点検が行われたかという点でございますけれども、制度自体は特定行政庁が定める期間ということで、吹田の場合は一年ということで、一年ごとに基準法に基づく定期検査が義務付けられたと。  ちょっとここは持って回った説明になって大変恐縮なんですが、定期検査の内容なんですが、基準法の施行規則に定められた報告書、これに加えまして、特定行政庁の規則で定める書類を添えて行うと、こういうふうになっておりまして、その標準様式が財団法人の日本建築設備・昇降機センター作成の定期検査業務基準書というところに示されております。  実は、この定期検査基準書の中で標準的な検査方法といたしまして、建築基準法令とJISの検査標準に基づいて検査を行うことということになっておりまして、このJIS規格に基づいた検査を行うというのは、全日本遊園施設協会の安全管理マニュアルにも記載されているということになっていると。しかしながら、今回事故を起こしたコースターにつきましては、日本工業規格、JIS規格の検査基準に定めました一年に一回行うとされている探傷試験が行われていなかったということで、検査内容に不備があったというふうに考えています。  特に、実はこの日本建築設備・昇降機センターは、昇降機検査資格者講習というそういう制度で講習をしておるんですが、そこで遊戯施設の検査標準の講義を行っていた方が実はこの会社だということでございますので、その工業規格に基づく検査を行われていなかったというのは極めて私どもにとって問題でございますし、遺憾だというふうに思っております。そういった意味でいいますると、検査内容が基準法体系上、まあ言わば、俗な言い方をすると持って回ったような位置付けになっていたというようなことでございます。  それから、先ほども申し上げました検査資格者でございますけれども、実は省令で制度をつくっております。したがいまして、故意、重過失で問題のあるような定期検査をした場合に、資格者に対して行政指導とか、資格の喪失という要件に該当すれば資格が喪失されるということはあるんですが、いわゆる処分とか罰則という規定が法体系上ないということもございまして、これらを含めましてきちっとした整理をしたいというふうに思っているところでございます。
  197. 小林美恵子

    小林美恵子君 JIS規格で一応マニュアルにされている探傷試験がきちっと行われていなかったということと、エキスポ社の方は、点検する立場の人がJIS規格のそういう講習について講習をする側だったということで、JIS規格があるということを知らないということはおかしいという話ですよね。  エキスポに行ってお伺いをしましたけれども、毎年、一月の成人式後から二月一杯まで休園して定期検査を実施をしたと。しかし、定期検査時に探傷試験を行わず、大型連休明けなどに実施していたということで、おっしゃっておられたのは、数年にわたってあったと関係者が話しているというふうに担当者が説明をしていました。要するに、大型連休明けなどに実施、毎年、年に一回の、吹田市に報告すべきときに探傷試験をしっかり行わずに、以前も先送りをしていたというふうに、そういうことがあったと関係者が話しているというふうに担当者が説明していました。また、同園にありますほかの三つのジェットコースターもございましたけれども、これも検査の先送りがありませんと言えないというふうにおっしゃっておられたわけでございます。  そういうふうになりますと、そしてまた昨日の朝日新聞には、私、今年エキスポが吹田市に報告したこの遊戯施設検査表というのももらってきたんですけれども、二〇〇四年から二〇〇六年の三年間の分ももらってきました。そのすべて指摘なしのAで上がってきていました。昨日の朝日新聞を見ますと、いわゆるその三年間も探傷試験を行っていたかどうかという記録が保存されていないというふうな、調べによるとそういう報道がございました。そうしますと、私がせっかく吹田市から預かってきましたこの検査報告、指摘なしのAがずらりと並んでいるものは全く信頼できないということになるわけでございます。  となりますと、この報告書は、見ますと、とにかく結果を記入するだけですよね。結果を記入するだけでございました。どういう点検をしたのかが本当に分かりません。吹田市のお話でいきますと、やはりきちっとチェックする上でも点検データの添付の義務付けがあればという話もございました。特定行政庁に出された報告が、探傷検査などの実施がされていたというふうに、そういう下での報告なのかどうかチェックができる仕組みというのがやっぱり求められると思うんですけど、この点どうですか。
  198. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) そういう意味では委員の御指摘はもっともだと実は思っております。  実は、探傷検査を実施したとしても、探傷検査の実施結果を例えば定期報告に添付をさせるというようなことがあれば、例えば去年はやっていたということが明確になるわけでございます。したがいまして、私どもの方もそういったような方向での検討を今後進めたいというふうに考えているところでございます。
  199. 小林美恵子

    小林美恵子君 さらに、そういう報告を受ける特定行政庁側の体制の問題も私は質問したいと思います。  吹田の建築指導課は課長を含めて三人です。その職員が吹田市内の遊戯施設二十九基、そしてまたエレベーターなどの点検報告も三千件、共同住宅にかかわる報告も一千二百件と、三人でそれだけ報告を受けているんですよね。  特定行政庁は、自治体の職員でございますけれども、建築基準法上の安全を担保する上では本当に重要な職員だというふうに私は思うんです。私、耐震偽装事件の問題があったときにも国土交通委員会で御指摘を申し上げましたけれども、そのときにも特定行政庁の職員の充実が求められるというふうに申し上げました。  改めて、今回の事故を通しても、特定行政庁の職員体制、やっぱり充実が求められると思いますけど、これはどうですか。
  200. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 先ほど来ちょっと申し上げておりますが、建築確認の制度自体は、委員指摘のように、耐震偽装事件以来いろんな制度改正を行ってまいりました。その以前の問題として、民間における建築確認制度を認めまして、実はその建築確認制度で民間に担っていただいた分を建築行政のそれこそ安全のための充実の要員として活用したいというふうに私どもは思っておりました。  不幸にも今回このような事件が起きておるところでございますけれども、そういったようで、定期点検の内容が言わば特定行政庁に対して非常に分かりやすいように、例えば先ほど申し上げましたように探傷試験の結果がちゃんと添付されていればちゃんと的確に判断できるということでございます。  なるべくそういったような制度の改善を行うと同時に、委員指摘のように、現在の確認体制も充実が望まれるところだというふうに思っているところでございます。
  201. 小林美恵子

    小林美恵子君 現在のいわゆる体制は充実が望まれるというふうにお話がございました。是非そのように自治体にも、以前も通知を出しておられるというふうにお聞きしましたけれども、改めてしっかりとそういう国としての対応をしていただきたいと思いますけど、いかがですか。
  202. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 実は、この六月二十日にも、さきの通常国会で成立をさせていただきました建築基準法が施行されます。それに合わせまして、いろんな実は制度改正もございまして、それに合わせたような形でいろんな御注意なり御要望を公共団体の方にお願いしたいというふうに思っております。そういった中で、委員の御指摘のような点も踏まえて対応していきたいというふうに思っているところでございます。
  203. 小林美恵子

    小林美恵子君 もう一つ、探傷試験についてですけれども、現在は、先ほどもあったかと思いますけど、建築基準法では明記をされていませんよね。おっしゃっておられたように、財団法人日本建築設備・昇降機センターの検査基準としてマニュアル扱いになっていると。報道では、国交省が探傷検査の義務付けを行うというのもございました。  さらに、吹田市の御意見でもありましたけれども、大体ジェットコースターといいますのは時速七十キロ、このマニュアル等を拝見しても百キロという項目もありますよね。そういうスピードで走行するものでございますので、乗り物としての安全が講じられるべきではないかという意見もございます。  私も、この事故が起こって、このジェットコースターの扱いが建築基準法の扱いだったということに大変不思議を感じました。その点についても、建築基準法上の扱いであったとしても、乗り物としての、スピードを出す乗り物としての安全というのはしっかりと担保されなくてはならないというふうに思うんですけれども、そういう点の検討も含めまして、大臣はこの事故を通して、現状での法令上の問題点をどう考え、どのように改善するお考えでしょうか。
  204. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 五月五日のこどもの日にこのような痛ましい事故が起こってしまいました。  私は、アウトラインを聞きながら、これはやはりもっときっちりとした、これは昭和三十四年に建築基準法の中に取り入れられているわけですけれども、五十年こういうものを使ってきて、それなりにこういう大きな事故でクローズアップされなかったという、そういう経過があったんだろうと思うんですが、私はもっとはっきり、探傷試験とか、聞いたこともない話ですけれども、これを聞けば聞くほど大事ですし、そういうものについての建築基準法上の位置付けがあやふやだということが気が付きました。  したがいまして、五月十日には、ちょっと長い名前なんですけれども、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会、これは大変偉い先生方がたくさんいらっしゃる部会なんですが、そこに諮りまして、この問題点と今後のこれに対する対策について第一回目の協議をやっていただきました。  そこで指摘されたのは、定期検査の項目、方法、基準というものについてもっとはっきりすると。検査者の裁量にゆだねられている部分があるものですから、そうではないようにきっちりした方がいいと。それから、検査対象となる部品等について劣化の進行程度に係る基準が明確になっていないので、こういうものについてもはっきりさせるべきであるとかいう議論が出ました。  それから、定期報告の内容でございますが、先ほど小林委員も現物まで取り寄せられてしていますが、全部Aと。これは、検査のときに悪かったら直せばまたAになっちゃうんですね。したがいまして、その検査の結果の概要のみでその時点における判断が書き込まれているわけでありまして、次に検査を行うときまでに劣化するとか、そういうものについて全く含まれていないのと、過去の劣化状態というものが全くそこに表れていない、いわゆる過去の不具合に係る情報が含まれていないと、その報告の中に。そういう点も、これは不具合情報というものを生かした効果的な検査が十分行われるような方法が必要だろうと。  それからもう一つは、定期検査資格者の制度というものもどうあるべきかということを、やっぱりこれだけじゃなしにエレベーターもありますからね、昇降機ですね、ですから、そういう問題について問題点を、指摘を議論の中で的確にしていただきました。  したがいまして、早急にこの最終報告をいただいて、私は建築基準法上の明確な位置付けをこの際したいというふうに考えております。
  205. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、財務省の方にお越しいただいておりますので、質問させていただきます。  先ほど議論の中で、エキスポ社とそれから今独立行政法人万博機構でございますけれども、かつて万博記念協会でございました、その関係が随意契約だと衆議院で指摘された方がいらっしゃったというふうにお話がございましたけれども、それは一九七三年、我が党の三谷秀治衆議院議員が指摘をしたことでございました。  私は、今回、エキスポは財務省所管の独立行政法人万博機構の所有する万博公園内にあります。エキスポの土地は当然機構所有でございます。遊園地事業を機構としてエキスポに委託をしていると。その契約事項には遊園地事業を安全に行う旨の事項もありまして、エキスポからの遊戯施設の安全点検も日々報告があるというふうに聞いております。この点、財務省、間違いないでしょうか。
  206. 藤岡博

    政府参考人(藤岡博君) 独立行政法人日本万国博覧会記念機構と株式会社エキスポランドとの関係について申し上げますと、万博機構は、契約に基づきまして、日本万国博覧会記念公園内にある遊園地エキスポランドの管理運営業務を株式会社エキスポランドに運営しているところでございます。  本契約に基づきまして、株式会社エキスポランドは当該施設の利用者保護等の義務を負うているわけでございます。また同時に、当該施設は同社の所有に係るものでございますので、ただいま御議論のございました建築基準法上の諸規制、諸義務を負うているものと承知いたしております。
  207. 小林美恵子

    小林美恵子君 さらに、機構は万博基金を使っての事業で独立採算だと。エキスポのように委託事業で、たくさんの民間への委託事業を行って、そこから自己収入を得ているという話でございます。エキスポからも納付金が入っていると。そうして、万博機構のいわゆる余剰金というのは国庫へ返納されるような仕組みになっていると。一つはこの確認と、もう一つは、エキスポからの納付金というのはどれほどなのでしょうか。それとまた、それが減少傾向なのかそれとも増加傾向なのか、教えてください。
  208. 藤岡博

    政府参考人(藤岡博君) お答え申し上げます。  平成十八年度実績で見ますと、株式会社エキスポランドは万博機構に約三億円を納付しているところでございます。この金額につきましては、一定の計算ルールに基づいて計算がされているところでございます。  独立行政法人万博機構でございますが、今先生御指摘のとおり、独立採算でございます。これにつきましては、目的積立金という別途の制度がございますが、そのような積立てがない場合につきましては、中期事業計画終了時におきましてその二分の一を、財務省及び大阪府の出資法人でございますので、国及び大阪府に対して納付金として納める、そういう仕組みでございます。
  209. 小林美恵子

    小林美恵子君 今エキスポからの機構に対する納付金が約年間三億円という話がございました。私、エキスポの損益計算書というのをいただいてまいりました。例えば、営業収益でいきますと四十一億円ございますけれども、営業直接費用でいきますと約二十七億円で、営業総利益は十四億円です。また、営業利益でいきますと一億六千九百万、そしてまた当期純利益でいきますと五千八百万です。ということを一つ申し上げておきたいんです。  今機構さんへの納付金が年間三億円という話がございました。そういうのをして純利益が五千八百万だということでございますけれども、これは後でいろいろと検証していきたいというふうに思っております。  私が申し上げたいのは、とにかく万博機構さんとそれからエキスポさんという関係は深い関係であるということだと思うんです。  社内には、行ってまいりましたら、こういう訓示がございまして、安全の訓示というのがありました。安全を安全と思うな再確認、事故防止これでいいのか再点検、運営管理の事故防止、注意の上にも再注意、運営管理これでいいのか事故防止などとありまして、安全第一、誠実というのがありました。そういうふうに安全の訓示を掲げられておられるわけでございますけれども、今回の事故を起こしたと。しかも、Aの報告というのは、しっかりとした検査を行っていなくてAの報告をしてきたということでございますけれども。  そこで、財務省に改めてお聞きしたいと思います。こういうエキスポ社と委託契約をしている機構、それをまた所管する財務省として、やっぱり今回の事故をめぐって機構、財務省の責任も全くないというふうに言えないと私は思いますけれども、この点いかがですか。
  210. 藤岡博

    政府参考人(藤岡博君) 万博機構は、独立行政法人日本万国博覧会記念機構法等によりまして、法律上、業務を行っているところでございます。また、エキスポランド社との間におきましては、管理業務委託契約書におきましてその業務を委託しておるところでございます。  その際、利用者の保護ということにつきましては、当然でございますけれども、契約に明記し、エキスポランド社の責務としているわけでございます。あわせまして、建築基準法上の施設等の所有者でございますので、建築基準法におきます規制に服しているといったような状況でございます。  いずれにいたしましても、現在、警察当局における捜査、あるいは国土交通省あるいは特定行政庁である吹田市等で今調査が進んでいるというところでございます。万博機構におきましても、株式会社エキスポランドに対しまして、今回の事故原因を徹底的に究明の上、再発防止に向けた厳格な対応策の策定を求めているとのことでございますので、その推移を見守ってまいりたいと思っております。
  211. 小林美恵子

    小林美恵子君 安全の事項を契約時にしっかり交わしておられるのがエキスポ社と機構さんとの関係ですよね。  ですから、私は、推移を見守るというふうに所管の財務省がそういうふうにおっしゃるのではなくて、しっかり契約に基づいてきっちりやられたのかどうかという点では主体的にやっぱり見ていく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、改めてこの点、どうですか。
  212. 藤岡博

    政府参考人(藤岡博君) ただいま御説明申し上げましたとおり、本施設の所有は株式会社エキスポランド社でございます。したがいまして、建築基準法上の責務、また刑事上の責務につきましては、エキスポランド社を対象に捜査あるいは調査が行われているところでございます。万博機構といたしましては、本契約に基づきまして、その中にございます善管注意義務あるいは利用者保護義務、これに対しまして、これを課しているわけでございますから、これが果たされなかったという事態でございます。  今、具体的な状況につきましては、関係御当局の調査、捜査の段階でございます。私どもといたしましては、そのような報告を万博機構が受け止める、また、これは独立行政法人でございますので、独立行政法人通則法、また独立行政法人日本万国博覧会記念機構法の定めによりまして監督当局の権限が定められておるわけでございますので、報告を待ち、私ども法律上の責務を自覚しながらそれらの推移を見守ってまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  213. 小林美恵子

    小林美恵子君 法律上の責務は自覚しながら推移を見ていくというお話でございました。  もう時間が参りました。私、本当は航空のコスト構造改革についても質問予定しておりましたけれども、この問題で時間が参りましたので、今日はこの辺で終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  214. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、民法七百七十二条についてお聞きをいたします。  法務省は過日、通達を出されました。通達で救われない子供たちを救う方法を考えるべきではないでしょうか。いかがでしょうか、大臣
  215. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 民法七百七十二条問題は、御案内のとおり、嫡出推定について、それを覆すためには調停、裁判を要するということになっておるわけでございますが、離婚後に懐胎したケースについては、嫡出推定、婚姻中の懐胎ではございませんので、解釈上も通達で対応できるということで、先般、離婚後に懐胎したケースについては調停、裁判を経ないで、窓口で前夫以外の戸籍に入れることを認めることができるようにいたしたところでございます。  今御質問は、離婚前の懐胎のケースについてのお話と思いますが、離婚前につきましては基本的には婚姻中の懐胎ということになりますので、いろんな事情があることは重々承知をいたしておりますが、その事情が認められるかどうかについては調停、裁判の手続を経るというのが基本であると思っております。  ただ、今与党におきましても、社会的にやむを得ないようなケースについて現在の民法の枠内で対応できるものがあるかないか更に検討するというお取扱いになっておりますので、その検討に対しましては法務省としても御協力を申し上げていきたいと思っておるところでございます。
  216. 福島みずほ

    福島みずほ君 社会的にやむを得ないケースというのはどのようなものでしょうか。
  217. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) ちょっとここに、与党の方でお考えになっておられるところでございますが、与党の方でのお話では、従来の裁判例を参考にして、前夫を父とする届けでない戸籍の届出が認められることとするための方策はないかというようなことを検討するというふうに政調会長合意ができておりますので、そういうようなことを御検討されるのではないかと思っております。
  218. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回、法務省が通達を出してくださったことは一歩前進だと考えています。  ただ、これで救済されるのは法務省の報告書によっても一割だけです。七百七十二条の立法趣旨は子供のためです。子供のためにこれを保護すると。ですから、子供のため、子供のためということを考えれば、離婚後に妊娠したかどうかということは子供には基本的には関係がありません。  どうでしょうか、大臣、子供のためということで考えれば、離婚後に妊娠したかどうかだけを救済するというのは狭いんじゃないでしょうか。是非子供のために、民法七百七十二条の立法趣旨が子供の救済なわけですから、子供のためにこういう推定を及ぼしているわけですから、子供のためということであれば離婚後に母親が妊娠したかどうかを問題にする必要はないと考えますが、いかがですか。
  219. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 先生はいつも早口でしゃべられるんで、私も早口になりそうなおそれを感じますが。  お言葉を返すようでございますが、民法七百七十二条そのものが子供の地位の安定のために作られておる法律でございます。したがって、その法律に沿った形で親の方も考えていただくというのが基本でありまして、しかしいろんな事情がありますので、その基本例以外の場合でも考えることができないかということを今検討されておるんだと思います。
  220. 福島みずほ

    福島みずほ君 ということは、この通達は、今検討されていると、いろんな事情で検討する必要があるとおっしゃるのは、この通達を拡張するつもりが法務省はおありということでしょうか。つまり、是非今日はもう法務大臣の情に訴えたいんですが、子供のためということであれば離婚後に妊娠したかどうかを問わなくてもいいはずなんですよ。  例えば、再婚禁止期間、男性にはありません。男性の貞操義務などだれも問題にしていないわけです。子供のためということであれば、母親が離婚後に妊娠したかどうか、一日、二日、三日、十日、その違いで、一か月の違いで子供の手間暇、子供の救済が極端に変わる、これはやっぱりおかしいと思いますが、いかがですか。
  221. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 基本的に何か発想が違うような感じが私は正直言っていたしますが、いつも論理的に正確な先生から情に訴えると言われたんでちょっと戸惑っておりますけれども、どういいますか、先ほど言いましたように、この法の趣旨に沿った形でみんなが生活していくということが基本であると、それが子供のためではないかと思っております。  与党において今先生が言われたようなことも含めて御検討されるのかもしれませんが、私ども、法務省として今具体的にこういうことを考えているということは申し上げることは今ございません。
  222. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、論理的な法務大臣がどうもよく分からないので食い下がりますが、子供のためということであれば、母親が離婚後に妊娠したかどうかということは基本的に問わずに救済すべきではないですか。後の夫の子であることが明確であれば、それは子供の救済ということをすべきではないですか。  大臣は繰り返し子供のためとおっしゃるので、だとすれば、今度の通達の範囲は狭過ぎるのではないか。いかがですか。
  223. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 婚姻中に懐胎した子供はその婚姻中の夫の子とするというのが嫡出推定の規定でございます。それが子供のためになるという考え方で現行法制ができておるわけでございまして、しかし、離婚後に懐胎をした場合には、婚姻中の懐胎ではありませんので、必ずしも七百七十二条どおりと違う扱いをしても法制上は問題がないと、それは十分できると、こういう解釈で今回通達を出させていただいた次第でございます。
  224. 福島みずほ

    福島みずほ君 離婚後三百日以内に生まれた子は前夫の子と推定するという規定そのものを通達によって例外規定を設けるわけですから、そもそもどの範囲で救済するかというのは、これは立法判断です。  だとすれば、子供の救済ということであれば、離婚後三百日以内に生まれた子は前夫の子と推定するのを覆すわけですから、それは立法裁量あるいは法務省の判断として子供の救済のために一歩踏み込むべきではないか。どうして母親が離婚後に妊娠したかどうかによってそれは変わるのか。いかがでしょうか。
  225. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 度々専門家に申し上げて恐縮でございますが、婚姻中の生まれた子は婚姻の相手方の子とするというのが七百七十二条一項の規定でございます。それを受けて二項があるわけでございますが、離婚後に懐胎をしたというのは婚姻中の懐胎ではありませんので、今のような解釈ができるというふうに我々としては考えたわけであります。  どういう事態であっても、離婚後に生まれればどうでもできるという話になれば、これはもう七百七十二条そのものと違う考え方に立つことになりますので、それを無制限に認めるということはできないと思います。
  226. 福島みずほ

    福島みずほ君 七百七十二条の規定は子供のための規定で推定を及ぼしている。今度の通達で、七百七十二条が前夫の子と推定するとしている推定を破って救済するわけですね。その範囲が、だとすれば、離婚後に懐胎したかどうかに子供の保護という観点からいえば別に限定する必要はないのではないか。これを限定する理由が分からない。  もし、前夫の後の妊娠だと分かる。例えば明確に、実は離婚の調停中やあるいはDVなどの場合もそうですが、別居期間がもう続いていて、例えば今日まで仲良くしていたけどあした離婚ということは余りなくて、別居したりDVで逃れたりということがあるわけですね。ですから、その期間妊娠することもあり得るわけで、子供の救済という点では是非法務省が一歩踏み込んでいただきたい。いかがでしょうか。検討お願いします。
  227. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 離婚後の懐胎であるかどうかは医師の証明によって分かるということが、今回通達出した、できることになった理由でございますが、離婚前にもいろんな事情があると思います。しかし、それを戸籍の窓口で判断をするということは混乱を招きますので、事務負担も大変なことになりますので、それは法の趣旨からしてもできないと思います。そういう場合のために、そういう判断は、今先生いろいろ例を挙げられましたが、そういうことであるかどうかという判断はやはり調停、裁判という手続でやるのが基本であると思います。  ただ、与党においてもそういうことも含めて検討するというお取扱いになっておりますので、その検討に対しては法務省としても御協力は申し上げていきたいと、このように思っております。
  228. 福島みずほ

    福島みずほ君 実際こういう裁判を担当したことがありますが、子供にとっても、前夫にとっても、後の夫にとっても、母親にとってもすさまじく大変な作業です。これはもう本当にだれにも役に立たないことを延々裁判でやらなくちゃいけない。  今の通達によっても、医者の、後の夫の子であるという、離婚後に懐胎したという証明書を付けるわけですね。どっちみち窓口でその判断をするわけです。だとすれば、DNA鑑定や血液鑑定、いろんな方法で後の、あるいは別居中が大変長かったということなど、幾らでも後の夫の子という証明書は出せるわけです。だとしたら、同じ証明なわけですから、そのことは理由にならないというふうに考えます。  もう一つ、婚外子差別について、別のテーマですがお聞きをいたします。  子供の救済、子供のため、子供の権利、子供の人権という観点からは、婚外子差別の立法趣旨、これはもう根拠を失っていると考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  229. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 婚外子差別は、主として法定相続分のことをおっしゃっているのではないかと思います。  この問題についてもいろいろ論議がなされてきたと承知をしておりますが、これも婚姻制度や家族の在り方と関連する重要な問題でありますので、国民各層の御意見を踏まえて慎重に考えるべき問題というふうに考えております。  平成十八年の世論調査によりますと、嫡出でない子の相続分について、現行の制度を変えない方がよいと答えた者の割合は四一・一%、相続できる割合を同じにすべきであると答えた者の割合は二四・五%という状況でございまして、これを改めよという方向に意見がまとまっておるという状況には現在ないというふうに今は考えております。
  230. 福島みずほ

    福島みずほ君 世界で法定相続分の差別を設けている国はもう極めてまれです。  立法趣旨ですが、これは、例えば不倫を助長すると、平等にしたら、という意見もありますが、平等にしたからといって不倫がなくなるわけでもありませんし、どう考えても、立法趣旨から考えてなぜ合理性があるのか、法律上はもうこれはなかなか説明が付かないことだと考えています。  民法は憲法に違反するということから、もう子供の権利という観点からは平等に踏み切っていただくよう、かつて法制審も、法務省が出したのも、報告書はそうなっております。その方向で踏み出してくださるよう心からお願いをいたします。  次に、国連の、五月九日、十日、拷問等禁止委員会において、日本政府の報告書がつい最近審議をされました。代用監獄の問題について厳しく批判がされております。二十三日間判事は勾留を命ずるのか、二十三日とはとても長いのではないか、それは普通なのか、大きな非難が各委員から挙げられました。  この点についてどうお考えでしょうか、大臣
  231. 長勢甚遠

    国務大臣(長勢甚遠君) 拷問禁止条約に基づく我が国政府報告書についての審査が行われたということは承知をいたしておりますが、そして、そこで相当熱心にいろんな質疑応答があったというふうな報告は聞いておりますが、具体的な中身はまだ報告をいただいておりません。代用監獄についてはいろいろ議論がありますが、我が国において必要な制度として今日までやってきました。今回、施設法も変えますので、そういうことも踏まえて、更に日本に沿った制度として運用していきたいと思っております。
  232. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は、全部議事録を送ってもらって見ておりますが、報告上がってきていないんでしょうか。代用監獄問題について国連の委員会で、日本政府は、これは問題があると各委員から厳しく批判をされておりました。それを、じゃどう重く受け止めるか、どうですか。担当、どうですか。
  233. 小津博司

    政府参考人(小津博司君) 委員指摘の審査につきましては、法務省からも担当の者が出席しておるわけでございますので、戻りまして、その状況については今私どもも報告を受けつつあるところでございます。いろいろな御意見が出たということは承知しておりますけれども、更にその状況について把握をさせていただきたいと思いますし、その議論に基づいてどのような取りまとめと申しますか、勧告がなされるかということについても注目してまいりたいと思っております。
  234. 福島みずほ

    福島みずほ君 いやもう、議事録は私はいただいておりますし、というか、取ったメモをもらっておりますし、質問通告をしているのに、この法務省やあるいは警察ですか、警察はまだ質問しておりませんが、その危機感のなさというか、全然何が議論になったかもきちっと把握して重く受け止めてないというのは一体何なのだというふうに、日本は条約批准していますから、それをきちっと重く受け止めるべきです。  防声具については、刑務所ではこれは使わないことになっておりますが、留置場では使います。この点についても極めて問題ではないかという批判がありますが、検討、変更されるおつもりがあるでしょうか。今日の議事録はまた国連にすぐ送る予定なので、きちっと答えてください。
  235. 泉信也

    委員長泉信也君) どなたがお答えいただけますか。
  236. 福島みずほ

    福島みずほ君 警察でしょう、防声具の廃止ですから。
  237. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 警察署におきましては、法務省の施設と若干異なっておりまして、隔絶したいわゆる自傷他害のおそれのないような保護施設というのが必ずしも警察署の施設に全部ございません。そういった過程でいろいろ事故もございました、あるいは指摘もございましたが、そういった面で十分その中身につきまして科学的、技術的な検討も加えながら、通気孔あるいは装着した状態での十分な呼吸ができるという十分改良した上で、昨年の五月より使用を再開したと、こういうふうに承知をいたしております。  ただ、使用例は余りないんだろうというふうに理解をいたしております。
  238. 福島みずほ

    福島みずほ君 刑務所では革手錠を廃止をしてくださいまして、防声具もこれはなくなりました。それは私たちは高く評価をしています。  なぜ、じゃ留置場で防声具を使うのか、この点については検討せよということを国連で言われております。どうでしょうか、検討の余地はあるんでしょうか。
  239. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) これにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、保護施設の整備ということを順次しっかり進めていこうということで私どもやっております。そういった状況等、十分改善されますとそのような必要性もなくなってくると、こういうふうに理解をいたしております。  若干、運用を見ながらお時間をいただくことになろうかと思いますが、できるだけ早く解消できるようにということを考えておるところでございます。
  240. 福島みずほ

    福島みずほ君 刑務所と同じようにこの防声具の使用をなくすようにお願いいたします。  次に、国連でもシークレットマニュアルが問題になりました。留置場から、被疑者はできる限り調べ室に出せ、自供しないからといって留置場から出さなかったら余計話さなくなる、否認被疑者は朝から晩まで調べ室に出して調べよ、被疑者を弱らせる意味もある。このシークレットマニュアルに関して、国連でこの存在は個人が作ったものだということは認めておりますが、私が問題だと思うのは、これがやっぱり研修として使われて、研修というか、個人のものではなくて一応それがマニュアルとして存在をしているということです。この朝から晩まで調べ室に出して調べよ、被疑者を弱らせる意味もある、このような取調べマニュアルは、それこそ拷問あるいは品位を汚すと考えますが、いかがでしょうか。
  241. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 御指摘の資料につきましては、昨年、愛媛県警察本部の捜査員の資料から流出したということで、そういった資料の中に、先ほど委員の御指摘のような、取調べに臨む捜査員の心構えといいますか、そういったことを書いた、そういう資料が含まれておるというのは事実でございます。  これにつきましては、私どもで昨年十分調査をいたしまして、いかなる経緯でどうなのかということを調査いたしました。これは、平成八年から平成十三年ころまでの間に、一人の捜査官が学校で教養するときにどういうことを教えるかということで手元にメモをしたものというふうに理解をいたしております。その捜査員が退官する際に、先ほど流出した職員がこれを受け取ったということであります。  いずれにしましても、どういう趣旨で作ったのかということで、この作成者、もう退官しておりますけれども、十分尋ねましたところ、これは、若い捜査官の中には取調べを十分に行わずに、供述を得て事実の解明に当たるということを安易にあきらめてしまう者が見受けられると、そういったことも憂慮しながら、時間を掛けて被疑者のかたくなな心を解かせることによって、重要性を伝えようという趣旨で作成をしたと、こういうふうに述べております。こういったことで、何といいますか、御指摘になられておりますように、正に取調べの、本来適正な調べの趣旨を逸脱して長期間しっかり拷問的に調べようとか、そういった趣旨のものではさらさらないと。それは、その紙面全般見ていただければ御理解もいただける部分もあるのかなというふうに私どもは理解いたしております。  いずれにいたしましても、誤解を招くような記述があったというのは事実でありますし、昨年、十分厳重に注意をし、かつそのようなことが教養に使われていないということも確認をいたしておりますし、今後そのようなことのないように指導してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  242. 福島みずほ

    福島みずほ君 鹿児島の冤罪事件や富山、いろんな冤罪事件が問題になっております。調べ室に行ったら自供させるまで出るなというふうなこの取調べマニュアルは、やっぱりこれが若い人の研修に使われていたということをお認めになって、これは極めて問題です。このような立場で取調べをやるというのは、正に拷問に近い自白の強要になっていると思いますので、今後取調べ内容を検討していただきたいと思います。  捜査の可視化についても、国連の委員会で、テープレコーダーなり録音をちゃんとやるべきだというふうにしています。政府の答弁は、プライバシーを尊重する、あるいは信頼関係を重視するというふうに答弁していますが、国連の場では、例えば自分の国も録音をやっているけれども、プライバシーの保護や流出しないようにするのは別の問題であって、捜査の可視化をすべきであるという指摘がされておりますが、このことをどう受け止められるでしょうか。
  243. 縄田修

    政府参考人(縄田修君) 御指摘委員会等でも議論が出たということは承知いたしておりますし、私どもといたしましても、日本の司法制度の中で取調べというのはどういう意味があるのか、あるいは可視化についてなかなか困難なものもあるということも御説明をしたと、こういうふうに報告を聴いております。  御案内のとおり、取調べというのは、日本の場合、事案の真相解明のためにこれ重要な捜査の手法であるというのは否めないところでありますし、事件によっては、本当に調べといいますか、真相解明の中心になる場合もございます。さはさりながら、これは別に供述だけで直ちに捜査の方向を決めているわけではございませんで、委員御案内のとおり、正に供述に基づく裏付けといいますか、こういうようなものも十分吟味しながら、また周辺の者の供述あるいはその他の証拠等々も十分吟味しながら真相を解明していくということになろうかと思います。  そういった中で、やはり取調べにおきまして録音、録画ということになりますと、取調べというのはやはり調べ官と被疑者との呼吸といいますか、十分な信頼関係の下に初めて真実が語られるものであります。そういったものにつきましては十分障害になるというふうに理解をいたしておりますし、また、暴力団等組織犯罪の被疑者の取調べに当たりましては、こういった状況を録音、録画されますと、正に首領から監視されているようなといいますか、そういう状況下にあるわけで、とても供述が得られることはないと、捜査に支障が出てくると。  あるいは、調べの過程の中でやはり信頼関係を得る、腹を割ってということになりますと、もうこれは、調べだけじゃなしに一般の社会の説得の場面とか議論の場面も一緒だろうと思いますけれども、それぞれお互いの、自らの体験とかこういったことも含めながらかなり話していくということになろうかと思います。そういった意味合いでは取調べに支障があると、こういうふうに理解をいたしておりまして、直ちに、現在の状況の中では、受け入れることについては極めて慎重な検討を要する事項だと、こういうふうに理解をいたしております。
  244. 福島みずほ

    福島みずほ君 時間ですが、まだまだ聞きたいことがあったんですが、勧告が出た後、また改めていろいろお聞きをしたいと思います。  ただ、日本政府がそういう答弁を国会の中でも国連の中でもし続けることは、日本のやはりすごく後進性を非常に印象付けると、世界の中で尊敬されないことになるのではないかと非常に心配をいたします。また質問を続けたいと思います。  以上です。
  245. 泉信也

    委員長泉信也君) 他に御発言もないようですから、法務省国土交通省警察庁及び裁判所決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会