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2007-05-24 第166回国会 参議院 経済産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年五月二十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十二日     辞任         補欠選任      松村 祥史君     山崎 正昭君      尾立 源幸君     若林 秀樹君      荒木 清寛君     松 あきら君  五月二十三日     辞任         補欠選任      山崎 正昭君     松村 祥史君  五月二十四日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     山本 順三君      若林 秀樹君     広田  一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         伊達 忠一君     理 事                 加納 時男君                 佐藤 昭郎君                 藤末 健三君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 倉田 寛之君                 保坂 三蔵君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 松山 政司君                 山本 順三君                 岩本  司君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 広田  一君                 広野ただし君                 弘友 和夫君                 松 あきら君                 田  英夫君                 鈴木 陽悦君    国務大臣        経済産業大臣   甘利  明君    副大臣        内閣府副大臣   大村 秀章君        経済産業大臣  渡辺 博道君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        田村耕太郎君        法務大臣政務官  奥野 信亮君        財務大臣政務官  椎名 一保君        経済産業大臣政        務官       松山 政司君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局審議        官        鈴木 正徳君        内閣官房内閣参        事官       荻野  徹君        法務大臣官房審        議官       齊藤 雄彦君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        岡崎 淳一君        経済産業大臣官        房審議官     立岡 恒良君        中小企業庁長官  石毛 博行君        中小企業庁次長  加藤 文彦君        中小企業庁事業        環境部長     近藤 賢二君    参考人        商工組合中央金        庫理事長     江崎  格君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○株式会社商工組合中央金庫法案内閣提出、衆  議院送付) ○中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  昨日までに、荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として松あきら君が選任されました。     ─────────────
  3. 伊達忠一

  4. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  二案の審査のため、本日の委員会商工組合中央金庫理事長江崎格君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 株式会社商工組合中央金庫法案及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 どうもおはようございます。民主党の直嶋でございます。  今日は、従来とは違って変則の形になりまして、十時から先に質問させていただきます。トップに質問するのはなかなか気持ちがいいものでもあります。  今日は、二法案審査ということでございますが、商工組合中央金庫法案中小企業信用保険法改正案でございます。  最初に、大臣にお伺いしたいんでありますが、今日この二つ法律案、つまり商工中金民営化に向けた商工中金法中小企業信用保険法のこれは適用拡大ということになるんだと思うんですが、この二つ法案審議するわけでございますけれども、この二つ中小企業金融の面でそれぞれどういう役割を果たし、相互にどういう関連性を持つのか、まずその辺から大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  9. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま御審議をいただいておりますこの二法案、つまり中小企業信用保険法の一部改正そして商工中金法案でありますが、この法案はいずれも中小企業金融の今後の在り方に関する法律案でありますが、まずこの信用保険法の一部改正法律案につきましては、不動産担保を有しない中小企業、まあ中小企業資金調達力が大企業に比べて劣後するんでありますが、それは不動産担保がなかなか思うに任せないということで、そこの中小企業に対する資金調達力をどう整備していくかということとかかわり合いがあるわけでありますし、また事業再生に挑戦する中小企業もあるわけであります。そういった中小企業資金調達を円滑にできるために新しい保険を創設する、流動資産担保保険及び事業再生保険、これらを創設するものであります。  それから、商工中金法案につきましては、行革法を受けて完全民営化するわけでありますが、その際に、中小企業向け金融機関であるというその機能をきちんと確保しつつ、じゃ民営化利点をどう確保していくかと。つまり、経営自由度を増すということによりまして対中小企業に、対中小企業向け、より幅の広い質の高いサービスを提供する、それを可能にするための改正であります。このために各種具体的な施策を講ずるわけであります。  いずれにいたしましても、この両法案相乗効果を通じまして、中小企業向け金融機能が強化されるということを期待しているものでございます。
  10. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 以下、株式会社商工組合中央金庫法案中心にまず御質問さしていただきたいと思うんですが、今の大臣の御答弁の中にもございましたが、中小企業金融機能を確保しつつ民営化利点もということでございますが、まず商工中金民営化意義メリットについてお伺いしたいというふうに思います。  一昨年ぐらいからですかね、政策金融改革というのはいろいろ議論をされてきたわけでありますが、特にバブル崩壊以降、一つの物差しとしては、金融機関の総貸出し残高の約二割を政府系金融機関が占めていると、こういうことが一つ資本市場効率性を阻害して民業圧迫しているのではないかと、こういう懸念の声がありまして、その役割を問い直すということから始まったというふうに記憶しております。  まず、当時の簡素で効率的な政府ということで、行革論議の中でこの議論が始まったわけでございますが、まず内閣官房の方にお尋ねしたいんでありますが、この商工中金完全民営化することの意義とかメリットについてどのように考えておられるのか、改めてお伺いしたいと思います。
  11. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) 商工中金完全民営化意義及びメリットでございますけれども、ただいま大臣の方からも御答弁ございましたけれども、この新商工中金につきましては、完全民営化の実現に向けまして、株主資格制限、それから中小企業団体及びその構成員に対する金融円滑化を図るために必要な措置を講じまして、また財務基盤資金調達に係る措置、これも講ずることとしております。さらに加えまして、大臣の御答弁経営自由度を増すためでございますけれども、預金資格の撤廃、余裕資金運用先拡大子会社保有制限緩和等規制緩和を併せて行っているところでございます。  これらの措置によりまして、商工中金がこの七十年間、中小企業向け金融機関として培われてこられました強みを更に一層磨いていただきまして、完全民営化機関として一層自由に活動していただきまして、より多様なサービスをより効率的に提供していくことが可能になるのではないかと考えております。  このようなことを通じまして、中小企業団体及びその構成員に対する金融円滑化に一層貢献をしていただくと、そのような意義があろうかというふうに考えております。
  12. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今御答弁にございましたけれども、実は昨年の行革法、参議院の方の特別委員会で私もメンバーの一人として審議をさせていただきました。その折にも、やはり商工組合民営化についてはいろんな心配の声が上がっていまして、特に全国中小企業団体連合会の会長さんに参考人で来ていただきまして、民営化がされると中小企業金融の面で不都合が出たり、あるいは余り利益優先融資先を決められると中小企業金融に支障を来すと、こういう心配の声が上がったんでありますが、トータルとして資本市場効率を高めるということの意義は私もよく分かるんですけれども、先ほどの大臣の御答弁の中にも中小企業にとってもというお話ございましたけど、この中小企業の皆さんにとってのどういうメリットが、あるいは意義があるのかということを改めて具体的にお伺いをしたいと思うんですが。
  13. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先生のこの質問の冒頭の方の話にも関連するんですが、政府系金融機関民間金融機関との間の関係二つの論が従来からありまして、一つ民業圧迫論であります。本来ならば民業がそこの部分は担当してもいいんだけれども、官業の方がより有利な条件で融資オファーするから取られちゃって、民業がやるべきエリアを官業が出てきてしまうという議論と、しかし一方で、そうはいったって、晴れた日には傘使いませんかと、まあ日傘という話もあるのかもしれませんけれども、基本的に傘が必要ないときに傘を無理やりに貸そうとして、土砂降りのときには貸した傘取り上げると、これが民業じゃないかという議論も借りる側にはあったわけですよね。  だから、そこのところを、民業圧迫をせず、しかし本当に中小企業が困っているときに頼りになるような仕組みがちゃんと存在をすると。それは、駄目になるのを、どうにもならないのを延命しろというんじゃなくて、ここのところだけしのげば次は国家に貢献するだけの力を持っているというちゃんと目利きをして、そこを助けてやる能力というのは必要じゃないかという、その両議論のせめぎ合いであったわけであります。  商工中金は、私自身も実はこの議論に参加したときに、まあまあほぼ民業じゃないんですかと。政府出資はありますよ、出資に対する配当金は勘弁してもらっていますよと、そういうものはあるけれども、実質上それ以外は全部自分でやっているから半分もう民業じゃないのというような議論も、正直私は中小企業関係の議員として議論をいたしました。  その際に、じゃ、その良さをしっかり保ちながら、民営化した際にどういうメリットが加わるんだという議論と、それから経営安定性信用力は失われないのか、政府出資しているからこそ発行する商工債が低利で資金調達ができる、政府が手を抜いちゃったら、大丈夫かとなった途端に調達金利が上がっちゃう、そうすると貸出しまで上げなきゃならないという議論につながるじゃないかと、ありとあらゆる議論個人としてもさせてもらいました。  そういう中で、信用力を落とさないで自由度を増すという方法でかなりいい選択ができたんではないかと。つまり、自由度を増すというのは政府の関与を減らしますから、今までよりいろんな子会社ベンチャーキャピタルをつくったり、証券子会社をつくったり、保険子会社をつくったりという自由度があるといろんなことができますよと。それから、信用力を落とさないということでいえば、法律の手当てをして財務基盤をしっかり確立をすると。それから、中小企業向け金融だったはずなのに、もっともうかるところへみんな行っちゃって、中小企業の肝心な頼みのつえになっていないじゃないかということにならないような、そこは法律的な担保をして、引き続き中小企業向け金融であるという、それは縛りが掛かると。  そういうできるだけその強みを生かした民営化自由度合いを上げるという方向が取れないだろうかということで議論した結果がこういう法案として提出をさせていただいていて、そこで今正式に政府提案法案として与野党の御議論をいただいているところでございます。
  14. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の御答弁の中で、信用力を落とさず自由度を増していくと、こういうことなんですが、後ほどその点もお伺いしたいと思うんですが、その前に内閣官房の方にもう一点お尋ねをしておきたいと思います。  この政府系金融機関金融市場におけるシェアが大体二〇%ぐらいという中で、先ほど申し上げた民営化議論というのは実は始まったんですが、私も、さっき大臣お話しになったんですけど、商工中金のいろいろな資料もちょうだいをしまして、どういう活動をしてきたかということも含めていろいろ検討もさせていただきました。  それで、ちょっと素朴な疑問なんですが、実はこの政府系金融機関シェア二〇%というのは大体平均でございまして、中小企業金融だけに限定しますと、商工中金含めて一〇%弱しか占めてないんですよね、過去のずっと実績を見ますと。一方で、大企業中堅企業向け融資というのは、驚いたんですが、大体二〇%ぐらい政府系金融機関が占めている。それから、一番高いのは住宅が三〇から四〇ぐらい占めていると、こういう状況なんですね。これは政府の、政府系金融機関による公的資金の供給に関する政策評価書という資料を拝見させていただいたんですが。  つまり、実は中小企業分野は、政府系金融機関シェアというのはほかの分野に比べると半分ぐらいで、あえてこういう議論を本当にする必要があったのかどうかと。今の大臣の御答弁のように、両道兼ね備えたいいやつにするんだからと、こういうことになればそれはそれで一つ評価なのかもしれませんが、そもそも論からいって、非常にウエートの低い中小企業分野であえて商工中金民営化したということなんですが、民業圧迫と、こう言っているんですけれども、かなりこれは判断基準がそういう面でいうとあいまいじゃないかなと、こう思うんですけれども、ここら辺の判断基準整理というのはどのようにされてこられたんでしょうか。
  15. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) この政策金融改革経緯議論でございますけれども、先生指摘のございました総融資額に対する政策金融機関の割合という数値もございますが、平成十四年の経済財政諮問会議から議論が行われております。その際におきましては、現行の政策機関貸付規模の対GDP比、これを先進国と比較いたしまして、これが他の先進国に比べまして二倍強になっているということで、政策金融について、民にできることは民にという考え方基本にいたしまして個別に見直しを行ってきたところでございます。  この民にできることは民にという考え方基本に見直したところ、やはり中小企業金融公庫国民生活金融公庫、こういう中小零細企業個人資金調達支援、これはしっかりと政策金融として残すことが必要であるという判断をしたところでございます。  一方、この商工中金につきましては、民間金融機関と同様のフルバンキング機能を有しておりまして、所属団体向け組合金融という理由から、所属団体中小企業向けフルバンキング機能を担う機関として完全民営化することが可能だという判断をいたしまして、完全民営化ということを決定させていただいたような経緯でございます。
  16. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、重視したのは対GDP比で、これは確かに御指摘のように日本は高いのは事実で、二割というのは高いんですが、ちょっと私が申し上げたのは、実態面でいうとそんなに中小企業は高くないよということで、今御判断あったように、ただ商工組合中央金庫の特性も含めて民営化に踏み切ったと、こういう理解でよろしいんですかね。  それで、これから先の話を次にお伺いしたいんですけれども、商工中金の、今の法律では出資者中小企業団体限定をされています。これが今度の法律株主資格中小企業団体及びその構成員ということ、個人拡大されるということになるわけなんですが、やはり中小企業団体及びその構成員ということになりますと、中小企業関係団体個人ということに限定されるわけですが、移行期の五から七年ぐらいに、やはりその先の完全民営化に向けて十分な財務基盤といいますか、経済基盤を確保できるかどうかが大きなポイントになると思うんですが。そういう点でいいますと、この株主の話、ちょっと後で議論もさせていただきたいんで、この財務基盤を強化するということについてどういうことを今考えておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  17. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 出資者は、御案内のとおり、今まで中小企業組合、これが組合とその組合の中に入っている企業企業の中には個人企業もあります、そういうふうに幅を広げるというわけであります。  同時に、今の政府出資組合出資、みんな合わせて全部が確保されるとして、国際金融をやるぎりぎりの自己資本比率です。八%ちょっとでありますから、現状国際金融まで一部担当していますから、その機能をしっかり維持するためには現状財務基盤をそのまま、どうそれに近い状態で移行させるかということが大事でありますから、政府出資四千億の一千億程度が移行期出資で残るとしたら、残りティア1に入る特別の準備金として、個人的な思いをすればですよ、みんな残したいと。それは専門家議論の後に決定することでありますけれども、今の自己資本比率構成するロットは極力その規模で移行していくということが大事でありまして、そういう方向民営化へ歩んでいきたいというふうに思っております。
  18. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の政府出資分扱い等はちょっと後でまた議論させていただきたいと思うんですが、その前に、今大臣のお答えにもあったように、株主資格については中小企業団体及びその構成員ということでこれは今後も限定をすると、こういうことに考えておられるわけですね。それでよろしいわけですね。
  19. 甘利明

    国務大臣甘利明君) はい。結構です。
  20. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そうした場合に、本当に、さっきお話のあったように、民間の銀行としてしっかりやっていくということでいえば、むしろ株主中小企業者限定せずに広く集めるというのも一つ考え方だと思うんですけれども。例えば、経済財政諮問会議なんかでもそういう議論があったというふうにお伺いしているんですけれども、この点についてはどういうふうに受け止めておられるんでしょうか。完全民営化後の姿を考えると、やはり幅広い株主構成というのは大きなメリットだと思うんですけれども、いかがなんでしょうか。
  21. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 商工中金中小企業向け金融機関であります。要するに、株主構成を変える。つまり、これは、会社法上で言えばオーナーですね。オーナー中小企業以外に広げるということは、株主が貸出し先についてももっと有利ないい大企業のところがあるじゃないかという発言権を持つということになるわけであります。  そうしますと、中小企業向け金融機関の大枠が株主発言力によって変更していく可能性はあるわけですから、これは中小企業向けのノウハウを持っている金融機関ですよと、引き続き中小企業が貸出し先中心金融機関なんですという、そのオーナー会議はやっぱりそういう対象者構成していかないと、当初期待した方向と違うもっともうかる方に行けやという圧力になりかねないということではないかと思います。  そこで、民営化完全民営化する際にその趣旨をきちっと踏まえることができるような構成にしたいということで、そういう方向を取っているわけであります。
  22. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ということは、私はちょっと受け止めていたのは、融資先をある程度限定するとか、定款で将来民営化されたときも限定するとか、そういうことをしておけばある程度効果があるんじゃないかと思ったんですが、やはりそれでも心配だと、いろんなもうけ先がたくさんあるんでそちらへ向けられてしまう可能性があると、こういうことなんでしょうか。
  23. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 定款論というのは確かに議論であります。ただ、定款というのは株主総会幾らでも変えられるわけでありますから、オーナー会議で、オーナーたる株主会議でその企業方向性基本的な考え方幾らでも変えられるわけでありますから、一番の基本的な経営判断をしていく方向性を付けるところをちゃんと中小企業向けということでしっかりさせていくということが大切なんだと思っております。
  24. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 分かりました。  ここら辺はまだいろいろ議論はあるんだろうと思うんですが、それを一つ、今のように株主限定するということで、一つの補完的な方法といいますか、さっき大臣が、今政府出資している四千億のうちの一千億ぐらいを株式にして、残りティア1にというお話ございました。これ現状の八%の自己資本比率を維持するためということなんですが、この特別準備金を設置するということになりますと、相対として、今政府が四千億出資されていて、今たしかその他の民間のいわゆる中小企業団体持分が一千億ぐらいだったと思うんですね。そうすると、それを仮に大臣がおっしゃったように一千億政府出資にして残りの三千億を準備金と、こういうふうにした場合に、一つは、発行済み株式が減少することになりますよね。要するに、政府の四千億分が一千億になると。これは、株式が減少するのかそのままでやるのかちょっとよく分からないんですけれども、仮に株式が減少しますと、今全体の二割を持っておられる政府以外の方の持分が五〇%に上がりますね、仮に政府が一千億だとすると。そうすると、そこにある種の利益移転のような形になってこないのかなというのは、ちょっと私は危惧をしたんですけれども。  一つはそういう部分について何らかの整理をされているのかどうかということと、もちろんこの特別準備金はいずれは国庫に返してもらうということになるのかなと思うんですが、ここら辺の考え方について、ちょっと二点お伺いしたいと思うんですが。
  25. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今五千億のうち四千が政府、千が中小企業団体、これを、千、千とすると三千という割合になっていくわけですね。政府出資のものは、いずれ政府出資政府が手放して、そこで名実ともに完全民営化が完了ということになるんですが、それは、株主限定をされるわけですから、中小企業組合及び今度はその構成員に広げる、つまり中小企業組合の傘下の企業個人企業も含めて企業も、個々の企業が持つようにすると。その際には、そんなに何千億も引き受けろと言って、はい分かりましたと言うほどお金があれば、元々苦労しないわけでありますから、余り大きなロットを引き受けろと言うわけにはいかないし、時間も掛かると思うんですね。  そこで、その四千億をそっくり、じゃ中小企業団体が引き受けりゃいいじゃないかといったって、そうはいきませんから、その引受能力を勘案しなきゃいけないと。残り部分について特別準備金で自己資本算定する、ティア1に組み込むわけです。それが、じゃ例えば配当にでも使われちゃったら、元々政府が持っていた金が株主に回っちゃって、これはちょっとうまくないんじゃないのと。特別準備金としての設定ですから、これ配当に回せないと。最終的に、商工中金が内部留保をどんどん高めていって、その部分を自分の力で入れ替えることができれば、いつ、まあ時間はどのぐらい掛かるか分かりませんけれども、国庫納付をしていくと。これは元々、その解散時にはその特別準備金は国庫に納付するということになっていますし、体力の増強に従って特別準備金についても、これは返済というんじゃないんですね、借りているわけじゃないですから、国庫に納付するというんですかね、時間を掛けていくということになりますし、それは体力との見合いによってやっていこうということにするわけであります。ですから、特別準備金民間株主配当金で回しちゃうというようなことはありません。
  26. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 恐らく、その今の特別準備金部分がこれは附則に規定されている大臣がお答えになった部分だと思うんですが。  それで、ちょっと事務的にお答えいただいても結構なんですけれども、私が申し上げたのは、政府が今四千億の出資をしているものが、出資そのものは一千億になりますねと。そうすると、今まで民間の持っておられた、一千億持っておられたわけですが、従来は政府四に対して民間一だったんです、対比が。そうすると、株式数が変わらないんなら、これ何というんですかね、株式数がトータルで変わらないんなら、これは事務的にいうとどういう形になるんですかね。これ株式数が、一つ株式がどういう扱いになるかということと、それから、株主持分そのものは二〇%のウエートの人たちが五割に上がるわけですから、当然この商工中金がうまく経営していけばその部分、価値が高くなると、こういうふうに思うんですけれども、この辺の整理というのは付いているんですか。
  27. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 後でちょっと補足させますが、単にその配当の件だけで言いますと、今は国庫分の配当を免除してもらっていますから国に配当を出してないんですね。中小企業組合株主には配当を出していますけれども、国には出していませんから、その配当金が、例えば国に入ったのがその分が民間中小企業組合株主に多く回るということはないと思いますが、それ以外の分についてはちょっと補足。
  28. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 要するに、この商工中金が今どれだけの価値がある会社か分かりませんが、まあ仮に一兆円の価値があるとして、そのものを政府民間で持っているわけですよね。政府持分が五割に下がるわけですよね、八割から五割に下がる。そうすると、相対的に今商工中金の株をお持ちになっている民間の団体の持っている価値は高くなるんじゃないんでしょうかと。これはいろんな問題が出てくる可能性があるんじゃないかと思うんですが、そこら辺の話をちょっと聞いているんです。
  29. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) 配当の関係は今大臣が申し上げたとおりでありますけれども、確かに先生おっしゃるように、株式の数がそういうふうに減るということで、それが資産価値が変わらなければ一株当たりの単価は高まるんじゃないかという御指摘かと思うんですけれども、他方、特別準備金部分については、それなりにその資産、留保が高まってきて財務基盤が整った場合は、国庫に自主的にではありますけれども返納すると、そういう性格のものです。したがいまして、通常の、何といいますか、その部分がストレートに株価にどこまで反映するかというのはちょっとよく見てみないといけないという感じはしております。  いずれにしましても、今の御指摘は重要な点だと思いますので、私どももその点についてもう少しちょっと検討させていただきたいというふうに思います。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 分かりました。ちょっと調べて、また御報告いただきたいんですが。  例えば、これは団体が持っておられますから、今の株というのは時価評価されるでしょう、例えば決算のときに。そうすると、場合によったら課税対象になるとか、そういうこともあり得るのかなという気がするものですから。それは大丈夫ですか。じゃ、答えてください。
  31. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) ただいまの課税の点については、課税対象にならないように措置をするように今しているところでございます。
  32. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、もう一つ似たような話で、利益剰余金というのが今ありますね。商工中金のこの資本の部で見ますと、平成十八年三月現在で約一千四百億円の利益剰余金が計上されています。  一つは、この移行期においてこの利益剰余金の扱いはどういうふうになっていくのかと。そのままになるのか、何らかの形で準備金に繰り入れるのか、ここら辺について。これも、やりようによってはいわゆる利益移転になり得る可能性があると思いますので、お伺いしたいと思います。
  33. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) 直嶋委員指摘のとおり、利益剰余金はどういうふうに取り扱うかというのは一つの重要なポイントでございます。  それで、利益剰余金の性格でございますけれども、当然のことながら、その商工中金の事業活動、これまでずっとやってきているわけですけれども、それの中の利益から積み立てられたものであって、それを商工中金の自己資本としてその財務基盤構成すると、そういう性格のものであります。したがって、この利益剰余金は、株式会社化後の商工中金が強固な財務基盤を確立して中小企業向け金融を維持できるようにするために適切に引き継がれるということが必要でございます。  そのときに、利益剰余金を政府とそれから民間出資者の間でどのように配分するかというのが質問のポイントだと思いますけれども、この点は今後、評価委員の意見を聴いた上で、どこまでをその特別準備金に算入するのか、そういうものを検討していただいて、最終的には主務大臣判断をして確定をしていくということにする所存でございます。
  34. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 これは長官、ちょっとお伺いしますが、法律で言いますと、この四十三条一項のところに今のお答えが書き込まれているということでよろしいんですか。ちょっと私、読んでもよく分からないところありましたので。そこは改めて評価委員の御意見を聴いた上で省令か何かでルールを決めて取り決めると、こういうことになるんでしょうか。
  35. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) 委員指摘のとおり、その剰余金の額につきましては四十三条にその根拠を置いてございまして、それを株式会社化するときに基本的に引き継ぐわけでございますけれども、そのうちのどれだけの部分特別準備金として移行させるのかどうするのか、それはこれから評価委員の意見も聴いた上で、最終的に主務大臣判断をすると、そういうことでございます。
  36. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ありがとうございました。  ちょっとまだそこら辺はよく分からない部分なんで、またこれからお決めになるということなんですが、改めてまた教えていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。  ですから、今の話でいくと、利益剰余金から特別準備金にかなり替わる、振り替わるものも出てくると、こういう理解ですよね。
  37. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答えいたします。  どの程度振り替わるかということについて、正に評価委員の方で審議をしていただいてそれから決める話でございますので、その量的なことについては今、私どもここで何か予断を持って申し上げる状況にないということを御理解いただきたいと思います。
  38. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして、完全民営化に向けた政府株の売却等についてお伺いしたいと思うんですが、先ほど来の御答弁の中でもお触れになっていただいているんですが、本法施行後、五から七年後をめどに政府保有株式を売却すると、こういうことになるわけなんですが、さっき大臣がお答えになったように、そのメンバーは限定された中で売却をしていくということですから、かなり難しい面あるんじゃないかなと思うんですけれども、その売却のタイミングとか、あるいはどういうやり方をするかとか、ここら辺についての御所見をお伺いしたいと思うんですが。
  39. 甘利明

    国務大臣甘利明君) お話しのとおり、移行期間というのは五年から七年を取っております。ある程度幅を持たせていると。それは、引受手が中小企業団体構成する中小企業及び中小企業者ですから、法人企業もあれば個人企業もあるわけであります。数はたくさんありますけれども、元々そうべらぼうに体力があるわけではありませんから、引き受けるに当たってはある程度の時間的余裕が必要であります。でありますから、五年から七年という、最大七年という幅を持たせているわけでありますし、政府出資金のうちの一千億という、いや、ちょうど今引き受けているその量に匹敵するものを五年ないし七年掛けて引き受けてほしいということであります。  五年にするか七年にするかは、経済状況を見極めて、構成する中小企業者の体力を見極めながら、極力無理なく引き取ってもらうということになろうかと思います。
  40. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の株主中小企業団体の方中心ですよね。三万五千か、もっとあったんですかね、かなり幅広く今の一千億の株主がそういう団体の皆さんで持っていただいていると。そうすると、更に一千億をその方々、団体でということはなかなか大変だと思いますんで、やはり中小企業者の方ということになってくると思うんですが、これは簡単なようでなかなか難しいんじゃないかなと、直観的にそう思うんですけれども。  長官、例えば、今大臣の御答弁で五年から七年の間にということなんですが、何か段階的に考えておられることがあればちょっとお答えいただきたいと思うんですが。
  41. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) 株式をそういう形で民間の保有に替えていくときに、基本的な考え方として、もちろんその株式の価値の最大化と、これは国の側の要請としてその株を持っているわけですから、そういう要素と、それから資金余力が本当にその団体にどれぐらいあるのか、中小企業者にどれぐらいあるのかと、そういう要素を勘案してやっていくわけでございますけれども、具体的な処分の方法として今私ども二つぐらいあり得るのかなと。一つは、参加資格を限定した一般競争入札を行って、その入札結果を参考に価格を決めた上で売却をすると、そういうようなやり方。それからもう一つは、株式評価委員会のような第三者組織で価格を、こういう価格になるのかということで決めた上で、そういうことで中小企業者に直接売却をすると、そういう価格の決め方があろうかと思います。  いずれにしましても、そういう価格を決めても、今委員御質問のように、どのようなスピードでやっていくのかということにつきましては、正に中小企業者の、それを購入する側の企業者の資金余力、それからマーケットの状況、そういうものを見ながら、五年から七年の間というふうに決められておりますので、そういう期間に間に合うように完全に売却をしていくということかと思っております。今の段階で、この時期にこれぐらいの量というのをあらかじめ申し上げるのはちょっと難しいかと思っております。
  42. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 いろいろ心配はあるんですが、また経過を拝見させていただくということにしておきたいと思います。  それで、この商工中金の最後なんですが、格付についてお伺いしたいんですが、例えば今ムーディーズの格付はトリプルAになっているんですが、これは大体評価を見ると、やはり政府出資四千億というのがあるということで、特に長期の格付がトリプルAになっているんですね。ところが、同じムーディーズの格付を見ても、財務格付というのがありまして、こちらは実はD、DというのはAからEの五段階の中の下から二番目ということになります、という評価になっています。  したがって、今後、政府が先ほど来議論していましたように保有株を売却していく、あるいは、ということになってくると、こういう商工中金の格付評価がやはり下がる可能性があると思うんですね。その場合はいろいろ資金繰り含めて影響が出てくると思うんですが、こういう懸念を持っているんですけれども、この点についてはどのようにお考えになっているでしょうか。
  43. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 実は、この法案提出して、移行期、つまり格付機関は、政府出資四千億、つまり政府の後ろ盾がしっかりしているというときの評価と、これが民営化法案が出てどう変わっていくかというのを見極めて評価を下すわけですね。  この法案が出てこういうふうに変わっていきますという移行期評価で今の評価がなされているわけでありまして、悪いところでダブルAマイナス、いいところでトリプルAと、JCRだとダブルAプラスということでありますから、実はこの評価を見まして私が一番ほっとしましたのは、この民営化の方式は格付会社から見て信用力を落とさない方法だという評価をしてくれたというふうに思っております。  でありますから、ただ、これから気を付けることは、政府出資がスムースに中小企業組合構成員に移転をしていくかということ、それからこれは専門家審査をしていただいてティア構成をする特別準備金幾らにするかを決めるのでありますが、私は政府出資以外の大多数はそうあるべきだと思っているんです。それは大臣個人的な考え方、見解ですなんという役所もいますけれども、そうならないと信用力は落ちるわけでありますし、国際金融ができる下限でありますから、先ほどの剰余金と合わせて財務基盤をしっかりするということが完全民営化後の商中債の調達金利に直接跳ね返るわけでありますから、そこはしっかりと見守っていかなきゃならないところだというふうに思っております。
  44. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ちょっともう時間がなくなってきましたので、最後の質問になりますが、そうしたら、商工中金の方ちょっと終えまして、一点だけ、今回の、特にいわゆる在庫債権、在庫を担保にした債権、在庫の担保の融資等を含めた問題について一点だけお伺いしたいんですけれども、実は今、売掛債権担保融資制度というのがありまして、これ作ったときに私もこの委員会でいろいろ質疑をさせていただきました。  そのときに、たしか二、三年前だったと思うんですが、二〇〇六年末までに、当面、早いうちに二兆円というお話があったんですが、実は去年の暮れで実績は一兆円強ということで大分目標を下回っているんですが、それでけしからぬと、こう言うつもりではありませんが、いろいろ調べてみますと、やはりこの売掛金を担保にしてお金を借りる場合に、要するに譲渡禁止特約が付いている、あるいはそれが、特約が解除してもらえないと。こういう問題はやはり根が深いようで、中小企業庁でもいろいろ実態お調べになっているようですが、なかなかこれ難しい問題はらんでいますよね。政府の方は閣議決定して、政府が発注するものについてはそういう特約を付けないようにという指導をされているようですが、例えば地方自治体なんかまでそれがなかなか行き渡らないとか、あるいは、例えば民間企業でいいますと、簡単にそういう特約を外してしまうとだれにその債権が渡るか分からないんでやはり困ると、こういう声も結構強いようでありまして、これが結構ネックになっているんじゃないかなというふうに思っています。  実は、中小企業団体の方にもいろいろ聞いてみたんですが、なかなか実態がよく分からないというお話で、ただ、やはり制約になっていることは間違いないと。それで、今度それに一つは、だから売掛債権担保融資をやる上でのボトルネックになっています譲渡禁止特約の扱いを今後どういうふうにしていかれるのかという点をお伺いしたいんですが。  もう一つは、それに加えて、在庫担保で融資ということになってくると、これはまた実務的にいいますと非常に難しい面が、例えば評価一つにしてもなかなか大変ですから、果たしてこれ効果出るのかなと、率直に言ってそういうふうに思えないこともないんですが、ちょっとこれらの点について、これからこういうふうにしていきたいという御所見があればお伺いをしておきたいと思います。
  45. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) 売掛債権担保融資の制度についてですけれども、今、直嶋委員が過去の創立の経緯からずっとお話しになって、私どももそういうふうに理解をしております。  十八年二月現在で、累計で今一兆二千億円の利用実績になっているところでございます。なかなかもう一つ伸びないということについては、確かに債権の譲渡禁止特約の問題があるというのは最初から強く認識をしておりまして、委員も今御説明になられたように、国の契約については中小企業者から要請を受けた場合には特約を解除するという形にまずしてございます。ただ、これ以外に、国以外にももちろん民間でのそういう債権の流通があるわけでございますので、いろんな事業団体、それから経済団体、経団連とか日商、それから地方公共団体に特約の解除を要請をしてきております。こういった取組によって、一兆二千億円になってきたのはそういったような効果もそれなりにあったということだろうというふうに思っているところでございます。  こうしたことについての最近の私どもの取組でございますけれども、実はこの三月の二十三日に、全国五百六十三の事業者団体に対して下請取引の関係で要請書を出したわけでございますけれども、その中で、売掛債権の譲渡につきまして承諾を中小企業者から求められた場合には、親事業者として適切に対応していただきたいという要請も重ねて行っているところでございます。  委員指摘のとおり、この点、実は非常に重要なことでございますので、引き続き機会あるごとに要請をしていくとともに、それから、委員も先ほど、中小企業庁も調べているようだというふうに御指摘なさいましたけれども、私たち、それがどういうふうに事態が変わっていっているのか、改善しているのか、そういったようなことについて引き続きしっかりフォローをしていきたいというふうに思っているところでございます。  それから、担保評価の点でございます。  流動資産の担保保険評価関係でございますけれども、そのノウハウの確立というのが今まだ十分なされてないという状況でございます。そういったことから、この六月を目途に、ABL協会、アセット・ベースト・レンディングというものの略語でございますけれども、その協会を設立いたしまして、そこでそういう棚卸資産も含めました動産の評価、管理、そういうものに関する評価書の様式を統一するとか、評価手法を標準化するとか、評価専門家の育成をどうするのか、そういったようなことについて検討する。あるいは、そういう動産・債権担保融資の実績データ、統計データ、そういうものもまだ不十分でございますので、そういうものをしっかり蓄える。それから、そういう担保とされた動産がスムーズに市場で処分されるように関係事業者のマッチングを行っていくと。そういうようなことをこの協会で実施をしていく、そういうことによってこの動産の処分を円滑に進めることができるのではないかというふうに思っているところでございます。
  46. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 時間ですので、終わります。
  47. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。  本日は、商工中金法と中小信用保険法の見直しということでございますが、まず、民間金融全体における中小企業金融の在り方について金融庁にお話をお聞きしたいと思います。  今、企業統計を見ますと、二〇〇一年から二〇〇四年にかけての開業率というのは今三・五%ということでございまして、これは四年ごとに取られている統計では過去最低という状況でございます。開業率が三・五%という中で廃業率は六・一%ということで、もう廃業率の方がはるかに高いという状況。この開業率、我が国の開業率三・五%を他国と比較しますと、例えば二〇〇四年のアメリカは一〇・二%、イギリスが一〇%、フランスが一二・一%と、三倍から四倍ぐらいの開きがございます。  今、私が調べました日本アプライドリサーチという会社の調査によりますと、開業、会社を始めるに当たって一番の問題点は何かと申しますと、資金調達ということでございまして、四八・六%、会社をつくった方の四八・六%の方々が資金調達で苦労をしたということをおっしゃっているという状況でございます。  この中におきまして、私は、民間企業が果たす役割は非常に重要じゃないかと。我が国の開業率を上げ、そして経済を活性化するためには民間企業の果たす役割は重要だと思うんですが、金融庁としてはその点どのようにお考えかということを教えていただけませんでしょうか。
  48. 大村秀章

    ○副大臣(大村秀章君) お答え申し上げます。  我が国における開業、廃業の状況は今委員が御指摘のとおりでございます。これは私ども、政府全体でやはりこれは大きな問題意識を持っているところでございます。  その要因等につきまして一概に申し上げることは困難であると考えておりますが、例えば、開業時の資金の調達の問題でありますとか、特に専門知識を持った人材や得意先の確保が問題であるといった指摘もあるのは御案内のとおりでございます。  私ども金融庁におきましては、従来より、地域金融機関に対しまして融資審査能力、いわゆる目利き能力の向上でありますとか、創業・新事業支援機能等の強化に向けた取組を行うよう要請しているところでございます。  なお、また先般、金融審議会で取りまとめられました今後の地域密着型金融、リレーションシップバンキングの在り方についての報告でも、創業・新事業支援機能等の強化が重要と指摘されているところでございます。  今後とも、中小企業に対する資金供給の円滑化を図る観点から、この地域密着型金融という方向を模索していく中で、この創業・新事業支援というのを、これは金融機関の大きな役割として位置付けて進めさせていただければというふうに思っております。
  49. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、大村副大臣のイニシアチブでやっていただきたいと思います。  私は、実際に地方の企業の方とかお話ししていましてよく感じますのは、昔は四つ、五つ地方に銀行があったので、幾つか回ってお金を借りれたということをおっしゃるんですよ。ところが、金融ビッグバンに伴いまして、もういろんな合併が起きていると。そうすると、二つぐらい銀行へ行っちゃうと、二つ断られたらもう終わりらしいんですよ、行くところがなくなっちゃうと。実際に数数えてみるとそうなんですよね。自分の田舎でもそうですし、あと京都とかそういう大都会に近いところでさえも、銀行の合併などによって二つか三つ回ればもう行く銀行がなくなっちゃうという状況もございますので、そのリレーションシップバンクの中で本当全体的な地域の、特に中小企業を支援するということを是非深く突っ込んで考えていただきたいと思います。これは本当にお願いします。金融サイドの考えじゃなくて、やはりお金の使い手である業者がどういうふうに困っているか、何を望んでいるかということをきちんと把握していただきたいということが一つお願いでございます。  先ほど、直嶋委員からも指摘がございましたABL、アセット・ベースト・レンディング、流動資産担保融資というものにつきましては、二〇〇六年にベースで一兆円という融資残高でございます。これはアメリカを見ますと、アメリカはもう百兆円近いレベルまで達しておりまして、このABL、在庫とか売掛債権をベースとしたお金の貸出しというのは我が国でも非常に大きな位置付けを占めるんではないかと思っております。  実際に調べてみますと、今民間中小企業に対する融資、一九九八年に三百四十兆円だったものが二〇〇一年には三百二十兆円、そして二〇〇六年には二百六十兆円と、もうこの十年間で八十兆円も減っているという状況でございます。そして、今でも民間金融機関の四割が中小企業に対する融資をまだ下げ続けているという状況。この状況をどうにかしなきゃいけないと思うんですが、このABL、流動資産担保融資というのは一つの起爆剤じゃないかと思います。  実際に中小企業に対する融資の担保を見ますと、もう九割が土地、不動産になっているという状況でございます。実際にこの流動性資産担保の対象となるであろう売掛債権や在庫などを見ますと、大体中小企業関係で売掛債権が七十五兆円と、そして在庫で大体四十五兆円と言われますので、百二十兆円の担保の見込みがあるという状況でございますので、是非ともこのABLを、金融庁としても、先ほど申し上げました地域の中小企業などに対する中小企業対策としても金融庁で進めていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。  ちなみに、この間、先週ですが、北海道の方を視察させていただきますと、北海道ワインという会社に伺いますと、ワインの在庫を担保にお金を借りるということをやろうとされているんですよ。そういうものをまさしく金融庁が率先してガイドラインを作り、進めていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  50. 大村秀章

    ○副大臣(大村秀章君) 委員指摘の流動資産担保融資、いわゆるABLにつきましては、中小企業等の多くが在庫や売掛債権等を保有しながらこれまで必ずしも十分に活用してこれなかったというのはもう御指摘のとおりでございます。  今言われましたように、在庫と売掛債権を合わせて百三十兆とか、それだけの額があります。一方で、土地の額は九十兆円弱といった数字もございます。したがって、大変大きな可能性を秘めているというのは御指摘のとおりでございまして、そうしたABLへの取組が中小企業資金調達手段を従来以上に広げる効果があるというふうに私どもも認識をいたしております。  金融庁といたしましては、先ほども申し上げましたが、地域密着型金融といったこの考え方を進めております。これは平成十五年度以降その機能強化を、地域密着型金融機能強化を推進をしております。その中で、中小企業向けの資金供給円滑化の観点から、動産・債権譲渡担保融資の推進など、不動産や個人保証に過度に依存しない融資手法の多様化を促しているところでございます。  こうした取組の結果、最近の地域金融機関の動産担保融資実行額、件数はともに増加傾向にありまして、また、在庫、売掛金などを担保としたABLの取組が民間金融機関で行われているということで、様々な流動資産を活用した融資手法が広がりつつあるというふうに認識をいたしております。  そういう意味で、先ほど委員も御指摘がありましたように、いろんなバラエティーのある融資手法が進められておりまして、金融庁といたしましては、今後とも、このABLの活用、また不動産担保個人保証に過度に依存しない融資手法の多様化を促してまいりたいというふうに思っております。
  51. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、ABLを進めていただきたいと思います。  そのときに大事なことは、先ほど直嶋委員からも指摘がございましたけれども、やはり評価、目利きが非常に重要でございます。と同時に、担保とした在庫とかを、担保として持ったものをまたどこかに売りさばくという流通ルートも必要でございますので、是非とも、お願いは、経済産業省と連携してやっていただきたいと思います。もう既にABL協会などもつくって動いておりますので、是非とも金融庁と経済産業省は連携するということをここでちょっと大村副大臣のお言葉としていただきたいんですが、いかがでございますか。
  52. 大村秀章

    ○副大臣(大村秀章君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、この点につきましては私ども地域密着型金融という概念を、やはり日本、特に地域金融機関はそれにふさわしいというふうに思っておりますし、こうした点で特に中小企業の融資の多様化といったことも進めさせていただいておりまして、そういう意味ではこの点について所管をされておられる経済産業省さんと十分連携を取りながら、お互いに協議を進めながら、勉強しながら、こうした点の促進を深めていきたいというふうに思っております。
  53. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。恐らくこのABL、流動性資産担保の制度というのは、中小企業に対する融資制度としてすごい可能性があると思うんですよ。是非、大村副大臣にイニシアチブを取っていただきまして進めていただきたいと思います。  これをもちまして金融庁に対する質問、終わらさせていただきますので、どうもありがとうございました。  続きまして、商工中金、そして中小信用保険につきましての質問に移らさせていただきたいと思います。  今回の商工中金民営化議論、あとまた中小信用保険拡大議論におきましては、非常にこの中小企業金融を見直すいいチャンスではないかと思っております。私がお願いしたいのは、是非とも中小企業庁の方で中小企業金融全体についての考え方をまとめていただきたいと思います。  まず一つございますのは、金融におきましては、直接金融株式市場等からお金を調達する直接金融、そして銀行からお金を借りたりします間接金融、直接金融、間接金融という区分けがありますし、また同時に、民間政府金融という役割の分担というのがあると思います。  その中で一つ私が思いますのは、ミドルリスク・ミドルリターンの資金提供が非常に不足しているんではないかなということでございます。民間企業の融資においては、非常にリスクが低くそしてリターンが低いものを対象としている。一方で、今整備されています株式市場におきましては、リスクが高くそしてリターンも高いというものを対象としている。  ところが、今私が見ていますと、本当にお金を必要としていますのが、売上げが百億円ぐらいで、利益をコンスタントに五億円ぐらい上げていると、そして借入れが二十億ぐらいあるというような会社がございますが、そういう会社は幾つか見受けられます。そういう会社に対する資金の提供は商工中金、非常に今まで役割を果たしていただいたわけですけれども、果たして融資だけでいいのかどうか。やはり投資という形で、出資という形で資金を調達するような道をつくるとか、そういうことも検討しなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、その点につきまして渡辺大臣、いかがでございましょうか。お願いします。
  54. 渡辺博道

    ○副大臣渡辺博道君) 今委員指摘の内容としては二点あるかと思います。  まずは、中小企業金融全体を見た上で、それぞれの役割機能の分担をどう考えているかという点と、ミドルリスク・ミドルリターン、この点についての取組についてということをお尋ねだというふうに思います。  まず、中小企業全体について考えていくわけでありますが、日本の産業の競争力の源泉、もう御案内のとおり、全国四百三十万社の中小企業であることは間違いございません。その資金調達円滑化は重要な政策課題であります。この分野について検討を行う際、直接金融、間接金融の全体を見据えて政府民間との役割分担をしっかり踏まえていくことが大変重要だというふうに思います。  まず、中小企業全体の資金調達構造を見ますと、総資産に占める金融機関借入れの比率でありますが、大企業は平均して一八%であるのに対しまして中小企業は平均三二%となっており、中小企業では依然として間接金融に依存した調達が行われているということであります。  こうした状況の下、中小企業金融を担う主体の全体像といたしまして、ローリスク・ローリターンの分野については、民間金融機関が二百三十三兆円の資金を供給するとともに、政府系金融機関については、相対的にリスクが高い、民間金融機関では十分に対応できない困難な分野について二十三兆円の資金を提供してこれを補完しているわけであります。また、ハイリスク・ハイリターンの分野については、ベンチャーキャピタルにおいて約一兆円の資金の供給が行われているという構造になっているわけであります。  こうした全体の構造を考えていきますと、今後の中小企業金融に関しては、小規模企業、そしてまた再生局面にある企業不動産担保が不足する企業や新たに事業を起こすために挑戦する企業など、相対的にリスクの高い層に対する資金供給機能について、民間の動向を注視しながら政府系金融機関としての役割として強化していく必要があるのではないか、そのように考えております。  そしてまた、ミドルリスク・ミドルリターンの層でありますけれども、我が国においてはミドルリスク層の金利による事業者向けの融資が必ずしも十分に行われていないものと認識しております。このような融資が利用される局面としては、例えば担保や保証人を有していないなど比較的リスクの高い中小企業、まあ多少高い金利でも資金調達をするニーズを有すると、こういった層があるというふうに考えられます。経済産業省といたしましては、こうしたニーズに対応するため、政府系金融機関において担保や保証人に依存しない融資制度を現在進めているところであります。  具体的に申すならば、中小企業金融公庫については、担保がない場合、また不足している中小企業を対象としての融資制度として、平成十八年度には限度額の引上げなどの拡充をしているところであります。現在、五千万から八千万まで拡充したところであります。また、国民生活金融公庫においては、本年度から第三者保証人を不要とする融資制度の拡充を図っているところであります。  このように、担保や保証人が不足している中小企業に対しても円滑に資金供給がなされるよう取り組んでいるところであります。引き続き、中小企業の資金需要を踏まえまして、こうした制度を活用するとともに、必要な対応策について更に検討を進めてまいりたいと思います。
  55. 藤末健三

    ○藤末健三君 大臣、お願いします。
  56. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 若干補足をさせていただきます。  今、藤末先生の御質問の中に、中小企業向けも間接金融だけじゃなくて直接金融の面も広げていく必要があるんではないかと、それは御指摘のとおりだと思います。  新しいファンドの組成もいたしますし、エンジェル税制の拡充というのも課題だと思います。それと併せて、今回、民営化に際して子会社を持てるようにしようと、商中がですね、その中にはベンチャーキャピタルも入っているわけであります。ですから、商中というものの良さは、七十年間のノウハウで目利き能力が非常にあるわけですね。ベンチャーキャピタルにとって一番大事なのは目利き能力なんです。それを生かしたベンチャーキャピタル子会社をつくることができるように法改正をするということは、そういう中小企業に対する直接金融の道を開くということに私は大いに資することになろうかと思います。
  57. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございました。本当に前向きな回答をいただきまして、有り難いと思います。  私、先ほど甘利大臣からポイントをおっしゃっていただいたなと思います、目利きという話、すごく大事だと思います。ベンチャーキャピタル金融サイドも目利きが必要なんですけど、今私は自分で歩いて調べた範囲で何が足りないかということを申し上げますと、株式市場、証券取引市場の方に例えば目利きがいないんですよ。ほとんど技術分かる人いません、審査する方に。そして、もう一つ言うと、上場を手伝う証券会社も、審査する人に技術が分かる人はいないんですよ、いろんな人に会って見付けましたのは。  ですから、やはり、市場への入口のところの目利きも是非強化していただきたいし、ここは金融庁の話かもしれませんが、是非経済産業省の方々も考えていただければと思います。市場の入口のところをちゃんと目利きできる人をつくっていただきたいのが一つ。  それともう一つございますのは、先日私、アメリカのシリコンバレーの人とお会いして話をしていてびっくりしましたのは、シリコンバレーはもうベンチャーキャピタルじゃなくてエンジェル、個人のベンチャー投資の方が多くなっちゃったというふうにおっしゃるんですよ。やはり、日本の、我が国のエンジェル税制、大臣も言及いただきましたエンジェル税制ははるかにやっぱり劣っていると思います、他国に比較しますと。あれは意味ないです、今のエンジェル税制ですと。  ですから、是非ともエンジェル、今どんどん株式市場が発達し、ある程度個人的に資産を持った方が増えておりますので、起業して、そういう方からのだんだんお金がまた循環するような仕組みを是非とも検討していただきたいし、つくっていただきたいと思っております。  また、次に私は中小企業の設備投資についてちょっとお話をさせていただきたいと思います。  今、大企業中小企業を比較しますと、企業的な格差もございますけれど、やはり一番目を引きますのは、従業員一人当たりの設備投資額を見ますと、大企業は大体五百万円ぐらいになっていると、一方で中小企業は八十万円程度ということでございまして、もう差が六倍、七倍に開いているという状況でございます。  実際に生産性を見ましても、大企業中小企業も倍ぐらい違う状況でございますが、この設備投資の差がまた五年後、十年後に効いてきて、ますますこの生産性の差がどんどんどんどん開いていくんではないかということを懸念しております。  また、特に私は懸念していますのは、今我が国の中小企業は、日本全体のCO2排出量の大体六・六%を占めているわけでございますけれど、今中小企業の方々とお話ししても、地球環境問題まで頭がほとんど回っておられません、正直申し上げて。燃料が高くなって困ったとはおっしゃいますけど、CO2排出量を減らしたいと言う方とは余りお会いしたことはございません。ですから、まさしくこの面につきましては、政策的に商工中金や信用保険などを使って対応していただきたい、地球環境問題に対する投資も是非行っていただくように対応していただきたいと思うんですが、その点につきまして、渡辺大臣、よろしくお願いいたします。
  58. 渡辺博道

    ○副大臣渡辺博道君) 現在、委員指摘のとおり、中小企業の従業員一人当たりの設備投資額、大変低いわけであります。具体的に申し上げるならば、これは法人企業統計、財務省の統計によりますと、二〇〇六年では、中小企業では六十四万円でございます。大企業は四百九十一万円、こういった状況にあります。さらに、ストックの状況で全体を考えていきますと、中小企業は四千百八十六万円、大企業は二億三千二百七十万円、これが従業員一人当たりの固定資産額ということになっております。このような状況で、正に中小企業と大企業の格差というのは大変多いわけであります。したがいまして、中小企業の生産性を向上させるためにも、その設備投資を支援していくことは誠に重要なことだというふうに思っております。  こういった現在の経済状況を見ますと、緩やかに景気は拡大しているというふうに思いますけれども、従業員一人当たりの設備投資の状況は、今も申し上げたとおり中小企業と大企業では大変な差があると。したがいまして、この中小企業の設備投資に対して前向きに検討していかなければならない、そのように認識をしているところであります。  また、経済産業省としましては、政府系金融機関における政策融資や信用保証協会の保証制度を活用いたしまして、民間金融機関では十分に対応することが難しい長期、固定の資金を供給することなどを通して中小企業の設備投資を支援してまいりたいと思っております。  先ほどの、要するにCO2排出の問題については、確かに中小企業は意識がまだまだ十分ではありません。そういった中小企業から、今度は大企業と連携した形で一つの対応ができるような仕組みを今後検討してまいりたいと、そのように思っております。
  59. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いします。  あと、よく渡辺委員もおっしゃっているんですけど、中小企業政策って金融と税っておっしゃっていますけど、私はあと税制も是非、促進税制をやっていただきたいと思います。  やはり、中小企業全体の予算を見ますと千六百億円という非常に小さい分でございますが、政府金融でいきますと大体二十三兆円の規模がありますし、あと、減税額でももう兆に近い減税を行っているという状況でございますので、是非税制でも対応していただきたいと思います。  また、環境に対する対応もそうなんですが、もう一つ私がお願いしたいのは、やはり中小企業が将来の新しいビジネスを生むために研究開発をもっと促進していただきたいということを思っております。  私の事務所の方で調べますと、大体中小企業に対する研究開発の政府の補助というのが百億程度でございます、我が国は。これを非常にレベルが高いドイツと比較しますと、GDP比でいくと四、五倍違う状況でございまして、もっと充実させていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事加納時男君着席〕  そしてまた、これはフィンランドなどを見てきて感じましたのは、フィンランドはもう中小企業と大学が非常に一緒に連携して研究開発などをやっているという状況がございました。中小企業が五十研究を出せば、政府がそれに五十の研究費を付けて大学が研究をサポートするというような仕組みがございまして、そのように中小企業と大学との連携、今でもなされていることはもう重々存じ上げていますけれども、規模をもっともっと拡大していただくことが必要じゃないかと思うんですが、その点いかがでございましょうか。
  60. 松山政司

    大臣政務官松山政司君) まず、中小企業の省エネの推進でございますが、極めて重要な課題だと認識をいたしております。  中小企業の省エネ対策につきましては、省エネルギー投資に係るコスト負担や資金調達、ノウハウや人材の不足等の課題が存在しておりまして、これらに対応するために総合的に施策を推進していく必要がございます。中でも、省エネの投資に係る資金調達円滑化でございますが、これまで政府系金融機関、特に中小企業金融公庫、また国民生活金融公庫の低利融資等、支援をしてきておりますが、中小企業における省エネルギー対策の強化が求められる中、その在り方について中小企業のニーズを踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。  続きまして、二点目の大学との連携の件でございますけれども、我が国産業の競争力の源泉でございます新事業、雇用創出の担い手であります中小企業の技術革新を促進することは極めて重要と認識をいたしております。  この産学官の連携の研究開発につきましても、法律や予算措置によって強力に支援を現在しておるところでございます。具体的には、地域における産学官の共同研究体制を組みまして、実用化に向けた高度な研究開発を推進する地域新生コンソーシアム研究開発事業におきまして、中小企業と大学との連携による研究開発を国からの委託費により支援をしているところでございます。また、昨年六月に施行しました中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律では、ものづくり中小企業の産学連携を含めた研究開発プロジェクトを認定をいたしております。また、中小公庫からの低利融資やこの制度を利用した研究開発委託費、特に二〇〇六年度は八十件の採択をいたしておりまして、そのうち五十六件が大学と中小企業との連携というふうになっております。  今後とも、こうした支援策によりまして中小企業の産学連携による研究開発を強力に推進をしてまいりたいと思っております。
  61. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  ただ、例えば大学発事業創出実用化研究開発事業とかを見ますと、大体予算が三十億ぐらいなんですよ。非常に僕は小さいと思いますので、是非とも予算の拡大を図っていただきたいと思います。  私自身が実際大学で勤めておりましたので、地方の大学などに訪問して思いますのは、地方の大学の先生はやっぱり地方の産業に貢献するという定義を明確にすべきじゃないかということを感じております。もう最先端の研究よりも、どちらかというと教育とか、あと地場の産業に貢献するという明確な目的を提供するということを、是非これは文部科学省に申し上げなきゃいけないんですが、この場で申し上げさせていただきたいと思っております。  続きまして、私、これは決算委員会でも実はお話をさせていただいたんですが、今回の中小信用保険法に関連しまして、保証協会の話を申し上げたいと思います。  保証協会に今地方自治体のOBの方が役員として着任されているという状況でございまして、大体、数でいきますと五十二あるたしか保証協会の中で、役員の数が大体二百五十人ぐらいおられると。そのうち、百名が大体地方自治体のOBだということを教えていただきましたが、この中で専務や事務局長といった役職におられる地方自治体のOBの割合はどのくらいおられるのかなということをまずお聞きしたいということと、それともう一つは、保証協会の話をお聞きしていますと一つありますのは、地方議員がこの保証の査定について介入することがあるんではないかという話や、またもう一つございますのは、地元の商工会議所などに所属している企業にはちょっと保証が甘くなっているんじゃないかという話をお聞きしますけれど、その点につきまして是非教えていただきたいと思います。お願いします。
  62. 渡辺博道

    ○副大臣渡辺博道君) まず、中小企業の信用保証制度全体についてちょっとお話をさせていただきますが、中小企業の融資残高については二百五十五兆円、うち二十九兆円について信用保険が利用されておりまして、大変地域の中小企業資金調達に円滑に役立っているという、大変重要な役目を担っているということであります。  そこで、それぞれの信用保証協会の性格につきましては、中小企業政策や中小企業の実態、それから金融実務に理解のあることなどが重要であると考えているわけでありまして、個別の役員の人選については、こうした観点から踏まえまして、それぞれの協会ごとに適材適所で選定されているものと承知をしているわけであります。  そして、具体的に申し上げるならば、先ほども全体の数を委員がおっしゃってありましたけれども、会長職、現在、五十二の協会がございますが、二協会は現在会長職が空席でありまして、そのうち四十七名が地方団体の出身者であります。それから、専務四十六名おりますが、そのうち二十九名が地方公共団体出身者でございます。常務につきましては、六十一名中七名が地方公共団体出身者の数であります。  そしてまた、県会議員が口利きをしているんではないかとか、商工会議所の役員がそういったところで働き掛けをしているんではないかというお話でございますけれども、少なくともこの審査業務につきましては、中小企業の資金繰りの円滑化を図るために、個々の中小企業の実態に応じてきめ細やかにかつ適正に対応しているものと考えているところでございます。
  63. 藤末健三

    ○藤末健三君 例えば、役員数でいくと、大体四割近くが地方自治体のOB、そしてトップでいくと半分以上、六割から七割の間が地方自治体のOBというような状況は、私は世間から見るとちょっとおかしいと思います、正直申し上げて。  私はお願いしたいのは、地方の金融における保証協会の役割は非常に大きいというのはもう存じ上げています。これからその地方の金融が、先ほど金融庁のお話もございましたけれど、どんどんどんどん地域密着型でもっときちんと目利きをしようというふうに変わっている中、私はやはり自治体の方は、正直申し上げて、恐らく民間企業の経験もない、恐らく金融の経験もないはずです、これは間違いなく。そういう方が果たしてトップに立つことが妥当であるかどうかということについては是非検討を促していただきたいです、これは明確に。明確に促していただきたい。  それと同時に、新しい金融が求められているはずです、地域には。ですから、もう地域で人を見付けなきゃ、地域には人がいないんですよということを御説明される方います。自治体とかじゃないといません、自治体でなかったら企業から呼ばなきゃいけないけど、企業だと利益相反があるんですとおっしゃるけど、だったら首都圏から呼ぶべきですよ、金融のプロを、経営のプロを。その点いかがでございますか、渡辺大臣甘利大臣も是非お答えください。
  64. 渡辺博道

    ○副大臣渡辺博道君) 信用保証制度というのはやはり適正に運用するということが大前提であるというふうに思います。そのためには、各信用保証協会に対して適切に運用できるように経済産業省としても監督をしてまいりたいというふうに思っております。
  65. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先生指摘のとおり、保証協会が一番大事なところは目利き能力ですね。中小企業担保力は乏しくとも将来性があるとか、いいアイデアを持っているとか、この経営者なら任して大丈夫だと、ここを乗り切れば自治体や国、納税者になってくれると、そういうのを見抜いて苦しいところを助けるという能力が大事なんですね。おっしゃるとおりであります。  いろんな話があります。専門家でもない者を呼んでくるとは何事だと、あるいは専門家には違いないけど利益相反にならないかとか、いやそんなことよりもプロパーから育てるのが一番大事じゃないかと、モチベーションが上がる、いろんな話があると思います。ですから、ある程度きちんと適正なバランスが大事だと思っておりまして、自治体がやられることですから直接手を突っ込むということがなかなか難しいところはありますが、ちゃんと適正なバランスに配慮をして、目利き能力を構成できるようにやっていくべきだということは注文は付けさせていただいております。
  66. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、地方公務員の方の天下りみたいな形にならないようにしていただきたいと思います。少なくとも、そういうそしりを受けますと、恐らく行政の信頼性が落ちると思うんですよ。  これは、もしあれでしたら中小企業庁の方にお聞きしたいんですけど、これは第三者の評価機関みたいなことを設置するということは可能でしょうか。お願いします。
  67. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答え申し上げます。  今の時点でそういう第三者の機関を設置するという仕組みに必ずしもなっておりません。おりませんけれども、どういうような形でそういう信用保証協会の保証をしていくべきなのか。本来、信用保証協会は、当然その組織としてそういうことをやることが本来の業務でございますので、第三者委員会でその一件一件の審査をするというのもこれまた効率のいいことではありませんので、どういうやり方がいいのかよく考えてみたいと思います。
  68. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、ガバナンスという観点からチェックをする機関をつくってください。これは私のお願いでございます。  続きまして、中小企業の人材という観点につきましてお話をさせていただきたいと思います。  最近、新聞紙上などで外国人の労働者の話、どう管理するか、どう入っていただくかという議論がいろんな省庁から意見を出されているということでございますが、やはり中小企業でも非常に外国人の人材の方々に貢献していただいているという状況でございます。  そこで、経済産業省、厚労省、そして法務省の方に、これからの外国人人材の管理、活用につきましてどのようにお考えかということをこの場で教えていただけないでしょうか。お願いいたします。
  69. 渡辺博道

    ○副大臣渡辺博道君) 今委員指摘の方は、労働者としての取扱いということでよろしいんでしょうか。  現在、経済産業省といたしましては、研修制度という制度を活用して、そして二年間の実習を行っております。このスタイルを更に拡充していきたいというのは基本的な考え方でございます。
  70. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 厚生労働省でございます。  外国人労働者につきましては様々な考え方があると思いますが、いわゆる単純労働者等につきましては、労働市場の二層化の問題、あるいは高齢者とか若年者の雇用機会の問題等々様々な懸念もありますので、そういった部分につきまして受入れということについては慎重な検討が必要ではないかと、こういうふうに思っております。  しかしながら一方では、現在我が国におきまして、技術でありますとか人文知識、国際業務等々の専門的、技術的分野につきましては相当幅広く人材を受け入れるというシステムになっておりますし、むしろここは積極的に受け入れていくべきだと、こういうふうに考えております。  現に、留学生等の方相当増えておりますが、こういう方々も、我が国で卒業した上で働きたいという方は相当あると。四割ぐらいの方が就職を希望しているわけですが、現実にはまだ二割五分ぐらいということでありまして、これは企業の側、留学生の側、両方問題があるような気がいたしますけれども、ここの間を取り持ってより活躍していただくようなことは更に進めていきたいと、こういうふうに考えております。
  71. 奥野信亮

    大臣政務官(奥野信亮君) 外国人の入国、就労に関しましては皆さん方御案内だろうと思いますが、我が国の労働市場の問題、あるいは外国人の犯罪が大変増えつつあるというような事態、あるいは結果として十七万人にも及ぶ不法残留者がある。こういうことで、極めて慎重にならざるを得ないというのが一つであります。  しかしながら、制度としては今、経済産業省がおっしゃったように技能実習制度というのがあって、これをうまく使いながら海外への国際貢献も含めて技能実習制度をうまく使いたいという意思がございます。  ただ一つ、優秀な外国人をもっともっと使えばいいじゃないかという声もありますから、私どもは、その高度な技術を持った人材とかあるいは留学生の受入れについてはかなり窓口を広げつつございます。特に専門的技術分野の外国人労働者については、我が国の経済社会の活性化とかあるいは国際親善、国際貢献、そういったものをにらみながらこれまでも積極的に受入れを進めてきているところであります。ただ、むやみと広げるというわけではなくて、やはり産業とか国民生活に与える影響等を勘案しながら、極めて慎重に在留資格や上陸許可基準の整備を行っているところであります。  ちょっと具体的なことを一つ二つ申し上げますと、外国人の人材確保に資する措置として今まで私どもがやってきたものの中に、高度人材に係る在留期間の伸長、これは三年から五年に延ばすというような規制緩和もいたしております。そして、留学生が就労資格を取って資格を変更するような場合にも一年間、最大一年間の猶予期間を置いて資格変更ができるようにというようなことをやっておりまして、そういう意味では専門的、技術的分野の外国人労働者の積極的な受入れというのは進めているわけでございます。
  72. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、各省庁連携して外国人労働者の活用を図っていただきたいと思います。もう我が国労働者の人口、これからどんどん減っていくという状況になっておりますので、我が国の経済の発展等を考えますと外国人労働者の活用ということが必要となると思います。    〔理事加納時男君退席、委員長着席〕  ただ私、是非お願いがございますのは、イギリスやドイツなどの話を調べてみますと、外国人労働者の方々の管理するデータベースというのがあると聞いています。どういうところに住み、そしてどこで働き、税金を幾ら納め、子供たちは学校に行っているかどうか、社会福祉は受けているかどうか、すべての行政関係のデータが一つのところにまとまっている。ですから、そこを見ればもうその外国人労働者が何をしているか分かるというデータベースをドイツは整備していますし、またイギリスでももうすぐオープンするはずです。  私が申し上げたいのは、そのような外国人労働者の方々を管理する、いい意味で管理するようなものが必要だと思うんですが、その点につきまして現在、内閣官房で検討を進められているということをお聞きしていますが、ポイントだけをきちんと教えていただけませんでしょうか。ポイントをお願いします。
  73. 荻野徹

    政府参考人荻野徹君) 政府における外国人の在留管理に関する検討状況についてのお尋ねでございます。  これに関しましては、一つは、外国人の在留管理に関するワーキングチームというものがございまして、これは外国人の在留に関する情報を正確に把握し総合的に管理する仕組みの構築について検討をするということを目的としまして、平成十七年に犯罪対策閣僚会議において設置が決定されまして、七月に関係省庁の申合せにより発足し、以後検討を進めてまいりました。  また、この点につきましては規制改革・民間開放推進会議からも関連する答申を受けておりまして、昨年十二月の第三次答申につきましては、在留外国人の入国後のチェック体制の強化という項目で、このワーキングチームでありますとか、やはり内閣官房で庶務を行っております外国人労働者問題関係省庁連絡会議において、関係各府省が相互に連携協力して審議を進めると。その結果でありますとか、個人情報保護に関する法律や条例等の趣旨を踏まえつつ、外国人の在留に関する情報の関係省庁間における相互の照会、提供の在り方について所要の措置をとるという答申がございまして、これにつきましては、その答申に示された具体的施策を最大限尊重する旨の閣議決定がなされているということでございます。  政府としましては、これらを踏まえまして、関係省庁間が連携いたしまして、外国人の在留にかかわるもろもろの情報につきまして相互に照会する、あるいは提供するということについて、その適正な在り方について引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
  74. 藤末健三

    ○藤末健三君 私からお願いがございますのは、その外国人労働者の管理ということだけではなく、是非観点として入れていただきたいのは、将来発生するかもしれない難民の受入れ、あり得ると思います、私は、何百万人単位の難民が来る可能性が、それも考えていただきたいし、また、もう一つございますのが、テロの防止、国内でのテロの防止の意味でも、外国人の方々がどこに住み何をしているかということを管理できるようにしていただきたいと思います。その発想を是非お願いします。何となくつくりゃいいというものじゃなくて、将来何があるかということを是非内閣官房が先を見通した上で設計をして進めていただきたいということをお願いしたいと思います。  そして、最後に私からの提案でございますが、今回、中小企業関係の施策を勉強させていただいて感じましたのは、非常に勉強していただいているんですけど、一部、一部と申しますか、もう少し中小企業に役所の方々が行っていただきたいなという思いがございました、正直申し上げまして。  調べますと、今は官民交流法という法律がございまして、役所の方が民間企業に出向するという制度がございますけれど、実績が大体年間数名程度という状況でございます。見てみると、ほとんど大企業に行かれているんですよ。ですから、是非とも私は特に中小企業庁の方が官民交流法で中小企業に出向するようなことをやっていただきたいと思うんですが、その点につきまして、いかがでございましょうか。
  75. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 極めて大事な御指摘だと思います。  この官民交流法による出向、現場の状況を肌感覚で知るということが特に中小企業政策では大事であります。我が省としては、官民交流法による出向ではありませんけれども、入省二年目のⅠ種の職員を一か月程度民間企業へ派遣をして現場感覚を体得させているというのが現状であります。  かつて公務員倫理法ができましたとき、それ自身はいいことなんですけれども、予期せぬ副作用が起きたのは、官と民は接触してはいけないんだと、同窓会に出て懇親会に出ても監督官庁の者と業者とは同席しちゃいかぬみたいな話が流れて、これはえらいことになったなというムードが一時流れました。そうしましたら、現場の情報が全然入らないで、いわゆるもう政策が机上の空論になっていってしまうと。現場の動きをビビッドに受け止めた上で将来を見越した手を打っていくという政策の基本が失われそうになっちゃったと。これは予期せぬ副作用みたいな点があって、すごく心配しました。  こういう官民交流が大事で、現場の感覚を知ることが大事だということが、ちゃんと健全に復活をしてくるという状況ができつつあるというのは極めていいことだと思っております。
  76. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非皆様におかれましては、経済産業省の力はやっぱり現場力だと思いますので、現場とうまく連携して情報を吸い上げ、政策を作っていただきたいと思います。  以上をもちまして、質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  77. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 毎回オーラスでございますが、今日は何と初めて三番手ということで、たまにはこういう変則もいいのかなと思っています。ただ、余り余計なことを言っていますとすぐ時間がなくなってしまいますので、今日は中小企業信用保険法改正案について質問をさせていただきたいと思います。  今、企業倒産が新たな段階に入ってきているというふうに、経済紙などでは去年辺りから盛んに報じております。二〇〇五年の春を転機といたしまして、倒産件数が底を打ってから流れが変わりまして、倒産件数のベースラインが増加基調になってきている。倒産の内容、質も変化しておりまして、いわゆるバブル型から構造不況型への移行に続く新たな形の景気回復、企業活動の活発化に伴う好況型の倒産、これが目立つようになってきているということなんです。新たな設備投資とか資金調達で積極的な事業展開を図ったものの資金難から倒産するケース、これが小さい規模ながら都市部を中心に多く見られまして、こうした倒産の予備軍も数多く点在しているというふうに伝えられております。大手と中小零細、小規模事業者、中央と地方の二極化の進行が懸念されている中、政府はこの間、私も委員会で何回も申し上げましたが、様々な中小企業の支援策を打ち出していますが、こうした不安材料を払拭する効果というのはなかなか上がってこないというのが現状じゃないかと思います。  そこで、今回の中小企業信用保険法一部改正案は、様々な中小企業政策の中でどのように位置付けられるのか、二極化の進行に歯止めが掛かるのかどうか、ちょっと全体的な話ですが、中小企業庁の考えを伺いたいと思います。
  78. 加藤文彦

    政府参考人加藤文彦君) お答えいたします。  全国五十二の信用保証協会を通じて中小企業向けに提供される信用保証でございますが、中小企業金融円滑化に大きく貢献してまいりました。先生お話しの中小企業向けの全金融機関の貸出し残高、十七年度末、二百五十五兆ございますが、そのうちの二十九兆を保証しているところまで来ております。  現在、御審議いただいております中小企業信用保険法改正法案でございますが、流動資産担保保険及び事業再生保険の創設を内容とするものでございます。  流動資産担保保険は、不動産担保に過度に依存しない融資を推進するために、これまでの売掛金債権の担保保険を改めまして、新たに棚卸資産、いわゆる在庫でございますが、これを追加するものでございます。中小企業全体として保有する土地八十六兆円に対しまして、売掛債権九十一兆円、在庫は四十七兆円ございます。これらの在庫も活用することによって、例えば、先生お話がありましたけど、保有不動産はもうすべて担保に供しているけれどもさらに経営革新や新事業開拓のため前向きな資金需要がある中小企業、あるいは日々の事業の資金繰り、運転資金が必要な中小企業といった様々な中小企業の方々の資金調達円滑化に貢献できるというふうに思っております。  また、事業再生保険でございますが、こちらは経営の悪化により法的整理に入って民間金融機関を利用しにくい中小企業の再生を資金面から支援するものでございます。  中小企業資金調達円滑化は、中小企業施策の中でも極めて重要な政策課題でございまして、中小企業庁として全力を挙げて取り組んでまいります。
  79. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 次長の力の入ったところはよく分かりましたけれども、資金調達の枠が広がるというのは中小企業にとっては大変歓迎されることと思います。ただ、先週も北海道を視察いたしましたが、元気のある企業はもっと元気になるような、そういった支援になると、青息吐息のところはちょっと落ち込んでしまう、それがちょっと懸念されるところなんで、全般的な目配りというのも是非お願いしたいと思います。  ちょっと細かい話しますが、在庫とか売掛債権等を活用した、今日お話何回も出ていますが、金融手法でありますこのABL、流動資産担保融資、これが二〇〇五年から各方面で始まっておりますが、実際に流動資産を担保とした資金調達というのは、いろんなサンプル出てきますが、私の秋田県でも養豚業、これは桃豚という豚なんですが、この融資が紹介されております。二億円ですね。まだ数的にはそれほど多くないのが実情ではないかと思うのですが、いろいろと調べてみますと、金融機関がちょっと二の足踏んでいる部分も見えますし、企業も、経産省のアンケート調査によりますと、ちょっと抵抗感がいろいろあるという項目載っていましたけれども、これらもちょっと気になるところなんですが。  そこで、まず、このABL、これまでの実績に基づいてどのように分析評価されているのか、これ大事な、それこそプラン・ドゥー・チェックじゃありませんが、大事な部分だと思いますので、これを伺いたい。また、ABLが今回の法案にどのように反映されているのか、この辺についてもお答えください。
  80. 加藤文彦

    政府参考人加藤文彦君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、平成十三年十二月に売掛金債権担保保証制度を創設いたしました。これまでの融資実行額の累計でございますが、ちょうど五年たった十八年の十二月末現在で一兆一千億円を超えておりまして、そういう意味では、着実に実績を上げてきたものと考えております。  他方、在庫担保融資でございますが、御指摘商工中金が幾つかの先駆的な取組をしておりますけれども、民間銀行においてはまだまだ十分な対応がなされていないという状況でございます。今般の流動資産担保保証制度を創設することによりまして、売掛金債権、それから在庫を担保とした融資を積極的に推進してまいりたいと思います。  その際、先生指摘ございましたけれども、在庫の管理をいかにフォローしていくか、あるいは在庫の価値の評価、掛け目をどういうふうに見込んでいくか、さらには、風評被害を招く懸念などをどうやって払拭していくかということで、今後の普及のために解決しなくてはならない課題も多数存在していると思います。こういう点につきまして、保証協会を通じた周知徹底あるいは商工会、商工会議所など中小企業団体にも制度の普及を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  81. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 先ほどからお話出ていますが、ABLへの期待度というのは非常に高いと思うんですけれども、普及という点ではまだまだいろんな面で手当てが足りないのかなという感じもしております。ちょっと分かりづらい面もあるんではないかなという感じもいたします。  なお、今回の法案改正では、売掛債権、それから在庫を担保とするのに、経済産業省のテキストの定義によりますと、流動資産に限定しない例、機械設備のような固定資産も想定しているというふうにテキストに載っています。今年の夏、六月、七月めどということですが、間もなくABL協会を立ち上げてその調整を図るというふうにしているということなんですが、制度を支えるインフラの整備をきちっとしていかなくてはなかなか、普及といいますか、かなり浸透していくにはおぼつかないと考えますが、その辺についての取組というのはどうお考えでしょうか。
  82. 立岡恒良

    政府参考人(立岡恒良君) お答えいたします。  ABL普及に向けての一つのインフラといたしましては対抗要件制度があろうかと思います。これは平成十七年に動産債権譲渡登記特例法という形で制定を見ました。御案内でございます。これで、債権や動産を担保に取った場合にその担保権を主張できるという制度ができたわけでございますけれども、ただ、将来を見据えて、更なる普及ということを考えますと、やはり動産の場合にはどうしても、不動産と違いまして内容が多種多様でございますので、正に、先ほど来御審議ございますように、そういった担保の価値をどう評価する手法の問題あるいはノウハウの問題、人材の問題がございます。  したがいまして、御指摘ございましたように、来月を目途に今協会をつくろうと思っておりまして、その中では、銀行でございますとか、証券あるいは評価会社、正に市場においてそういう業務を実際に担うプレーヤーの方たちに、今言ったような課題を御議論いただこうと思っております。そこで、今のような課題をクリアしていく中で、更なる環境整備を進めていきたいというふうに考えてございます。
  83. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 今のお答えで、まだちょっと漠然とした部分が多いのかなという感じがいたします。  本来的には、協会を立ち上げてしっかりした体制を整えて、それからの法改正というのは、これは物の順序じゃないかなと私勝手に思っていますけれども、外堀から埋めて内堀行って、それからお城を建てると、これが順序かと思うんですが、今回は、いずれにせよ中小企業資金調達の道が広がる、スピードも必要と思いますが、この点では歓迎するんですが、チェックに対してはやっぱり随時行って、使い勝手のいい方向というのを是非打ち出していかなくてはいけないと思っております。  アメリカではABLの普及に三十年もの時間を費やしたということなんです。それを考えれば、先ほど申し上げましたが、じっくり取り組むのもいいかと思いますが、現実的には中小企業の環境がかなり厳しくなっておりますので、的確な対応と実績の積み重ね、これが必要と理解しております。  最後に、事業再生保険を含めた大臣中小企業政策に対する御決意を伺えればと思っております。
  84. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ABLにつきまして言いますと、商工中金が先行でやっていると。ただ、民間はまだノウハウもないしリスクも高いし、恐る恐るですから、なかなか踏み出してくれないと。そこで、保険でカバーをしてリスクを取りやすいようにするということで後押しをしたいということなんであります。  ただ、御心配のように、二つの問題をきちんとしなきゃならないと。一つは、いよいよそこまであの企業は行っちゃったのと、商売物まで手を出したというようなことになりかねないという風評被害。もう一つは、一体あまたある動産をどうやって評価するんですかと。古物、骨とうからワインから豚まで全部評価できる人なんかいるんですかと。しかも、ワインであれば、同じロマネコンティでも、年数ではこんなに違うし、保管状態がちゃんとしているのか、置いておいたところによって開けてみたら駄目だったということもありますから、動産をどうきちんとみんな評価できるのかと。このノウハウにやっぱり確かに時間が掛かるし、こういう融資方法は健全な方法の中の一つの手法ですよということが定着するには、先生おっしゃるように、アメリカ三十年掛かったよと。おっしゃるように、日本も三年や五年じゃなかなかうまくいかぬと思います。  ですから、政府系が先行して民間が後追いするように保険制度をしっかりとつくっていく、あわせて、協会をつくって評価の定着をさせていくと。そして、全体を通じて信用度を高めて、これは企業資金調達の選択肢の一つなんですということを定着をさせていくという総合的な努力が必要だと思っております。
  85. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 今、不安の部分がちょっと出ましたけれども、いわゆる風評被害というものですね。やっぱりそういうのは非常に懸念があると思いますけれども、この協会がいろんな形で機能してくれることを是非願いたいと思いますし、協会自体もまだスタートしておりませんので、いろんな形で、様々な角度からの目線、正にこの法案では、流動資産担保の創設についても再チャレンジという言葉が盛り込まれておりますし、事業再生保険の創設も再チャレンジという文言が載っておりますので、是非その再チャレンジにつながるような政策になってほしいと思います。  最近のある経済紙によりますと、新政権は再チャレンジ、セーフティーネットの充実を掲げてはいるものの、これらは本来、経済政策ではなく社会政策の色彩が濃いものである、確実な経済成長を維持するには、結局は高度成長を牽引する一部の勝ち組が優先される面が否めず、企業間格差の拡大は避けられないだろうという懸念もちょっとされておりますので、これにならない、この懸念を払拭できるような形で今回の施策が効果を発揮するよう祈りまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  86. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後二時三十分開会
  87. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  本日、倉田寛之君が委員辞任され、その補欠として山本順三君が選任されました。     ─────────────
  88. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 休憩前に引き続き、二案の質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  89. 松村祥史

    松村祥史君 自由民主党の松村祥史でございます。  午前中の議論に引き続きまして、質問に立たせていただきたいと思います。  午前中も活発な議論がございました。私も聞いておりまして、数年前までは経営者でございましたから、商工中金には大変助けていただいた思いがございます。その商工中金民営化ということでございますが、昨年の行革法から、今回、中小企業政策金融というのは国民生活金融公庫中小企業金融公庫、そしてこの商工中金、この三つというのは大変私どもにとりましても借り手のときには頼りになるパートナーであったと思っております。  今回、二つの銀行は引き続き政策金融をやっていただく、商工中金民営化ということでございますけれども、私もこの民営化に当たりまして現場を歩いてまいりました。借り手の皆さん、出資者の皆さんといろいろとミーティングをやったところでございますが、やはり一番心配していらっしゃるのは、完全民営化をやって単なる銀行になるようであれば、大臣も午前中におっしゃったように、信用度を落として出資が引くよと、七十年かけて一千億の出資者を募ってきた経緯があると、こんなお話を聞きまして、やはり慎重にやるべきであるというふうに思っております。  また、政策金融役割というのは、これはもう大臣に釈迦に説法でございますけれども、午前中もおっしゃいました、雨の日に傘を貸すのが政策金融役割であると。それが完全民営化して、業態として、業として単なる利益追求の会社になってしまえば、これはもう出資者の方々、信用度も落とし、その業が成り立たないんじゃないかなという不安がございます。  私は、今日は借り手ということではなく法の審査の中で、確かに民営化ではございますけれども、我が国においては中小企業をやっぱり育ててきた商工中金でございます。今後も中小企業に特化したオンリーワン金融機関であってもいいと、このように思っております。そのためにはやはり法的措置やいろんな措置をとっていかねばならないと、このように思っておりますが、午前中にも大臣には再三このことはお尋ねがございましたけれども、改めて今後、商工中金をどんな位置付けに置いてつくっていかれるのか、御見解をお尋ねをしたいと思います。
  90. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 松村先生は、全国の中小企業者の声を代弁して国会にお出になっていらっしゃる、そういう立場の方でおられますから、中小企業政策にとって何が重要か、そして商工中金のどういう利点中小企業政策を支えてきたかよく御存じだと思っておりますし、かつては借りる側から見た商工中金、そして今や政策を議論する側から見た商工中金、両方から商工中金のあるべき、あらまほしき姿ということについてしっかりとビジョンをお持ちだというふうに承知をいたしております。  私が資源外交で中東を回りましたときに、向こうの国は、脱資源といいますか、資源に依存しない国づくりで産業政策を求めてきております。ですから、そういう意味で産業政策と資源外交がタイアップでできたんですけれども、そのときに彼らが一様に言うのは、トヨタ自動車にお願いしてぱっと工場造ればいいじゃない、大臣、すぐやってよ、あるいは松下電器に頼んでぱっと持ってくりゃいいじゃないと、そういう感じが往々にしてありました。  私から、失礼ながら、一つの大企業が競争力を持っていくためにサポーティングインダストリーとしての中小企業がどのくらい必要か、日本の場合、御存じですかと聞きました。そうしましたら、大企業中小企業の比率ですか、まあ二対八ぐらいですかね、十のうちの二割が大企業、八割が中小企業ですかと、そういうことを産業政策担当大臣が私に言ってきたので、とんでもないです、比率でいいますと大企業一社に三百社の中小企業がある、つまり、それだけのサポーティングインダストリー群がそろっていないと大企業は競争力を発揮できないんですよと、それくらい中小企業というのは大事で、それくらいしっかりとそろっていないと、トヨタや日産や松下をぽんと持ってきたから産業・雇用政策がうまくいきますと、そんな簡単な話じゃありませんという話をしたのであります。  日本の強みは、何といってもやっぱり中小企業がしっかりとした技術力を持って、あるいはたくみの技を持って、そして大企業とのタイアップをする、あるいはもちろん中小企業自身での世界企業もありますけれども、そういう中小企業の力が日本の経済の力の源であるということを痛感をしておりますし、また、そのことを海外に行ってもPRしているのであります。  その中小企業にとって、意欲はあるし技術はあるし経営ビジョンもあると。しかし、弱いところが幾つかあって、そこが、その一つ資金調達力、そういう意味での調達に対する信用力というものが大企業に劣後していると、それをどう補完するかというのが政府系金融機関であり政策金融であると。  そこを民営化をしていくわけでありますから、そこの中小企業を、日本の力の源泉の中小企業をしっかりと支えていく機能をなくして民営化するのであるならば、正にやらない方がいいということでありますから、そこの点をしっかり見極めながらこの法案を製作したつもりでありますし、商中のすばらしさというのは、正に目利き能力、融資をする際に、そこの将来性とか可能性とかそこの意欲とか能力、経営者の能力、そういうのを見抜いて、見込みがある、今応援していけばかなり大化けしていくぞというのを見抜く能力が大切なのであります。雨が降っているときにちゃんと傘を差し出すと。もちろん、無駄に傘を出して、元々やる気もビジョンも何もないところに出せということではなくて、そういうところを見抜いて傘を差し出すと、その能力をしっかり磨きを掛けて民営化をし、更に自由度を深めて、ベンチャーキャピタルのようなものもつくれて、別な手法で更に応援ができるという能力も付けようということで今回の法案を提案させていただいたわけでございます。
  91. 松村祥史

    松村祥史君 やはり大臣におかれましては、中小企業のスペシャリストでありますから、十二分な御理解をいただいているものと今理解をしたところでございます。  民営化に向けては、今回、助走期間を設けてあるわけですが、その間に準備金特別準備金と称して政府出資の方を確保してございます。やはりこれは、いきなり、じゃ、あしたから民営化だよといってやれるものでもございませんし、この準備金の在り方が大変重要になってくると思います。  平成二十年の十月の株式会社の際に設置される特別準備金の決定に当たっては、やはり出資をしている中小企業の意見も十分に聴いていただいて、やはりその機能が十二分にやっぱり発揮できるような状態を考えていただきたいと思っておりますけれども、経済産業省及び、今日は財務省から椎名政務官においでをいただいております。両省にお尋ねをしたいと思います。
  92. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答え申し上げます。  午前中でも議論たくさんあったわけですけれども、特別準備金商工中金財務基盤を強化するための非常に重要な要素でございます。御案内のとおり、中小企業団体、それからその構成員に対する円滑な金融機能、そういうものをきちっと維持しなくてはいけないと、そういう観点から設けられるものというふうに承知をしております。  こうした性格でございますから、特別準備金の金額を算定する評価委員、そういうものにも民間出資者である中小企業団体等の立場を代表する方、そういう方に参加いただいて、そういう中小企業の意見を反映するということは非常に重要であるというふうに考えております。  この準備金の金額でございますけれども、評価委員会の意見を聴いた上で最終的には主務大臣が決定するものになるものでございますけれども、その際には、中小企業金融機能を維持して円滑な資金供給ができるように、そういうものを十分踏まえてその必要な額を決めていくべきであるというふうに考えているところでございます。
  93. 椎名一保

    大臣政務官(椎名一保君) ただいまの甘利経産大臣中小企業庁長官の御答弁に尽きるわけでございますけれども、松村議員が全国くまなく回られて、中小企業経営者の皆さん、そしてまたそこで生きる人々の皆様方の御懸念の声、それを御指摘なさっているものと、財務省としても強く受け止めさせていただく所存でございます。  民営化後も経済基盤がきちっとしていなければ円滑な金融機能が発揮できないわけでございまして、この特別準備金の重要性というものは十分に財務省としても認識しておるところでございます。  以上でございます。
  94. 松村祥史

    松村祥史君 ありがとうございました。  椎名政務官までおいでをいただいて、財務省もしっかりとした認識を持っていただいていると理解をいたしました。  ただ、今回、本法案では、完全民営化までの移行期においては特別準備金の取扱いが規定してございますけれども、民営化後については十分な議論が今後あるのかと思います。しかしながら、冒頭申し上げましたように、信用度を落とすようなことがあってはならないし、やはりバランスが必要であると。私は、ビジネスモデルができ上がっていくまでは完全民営化後もしっかりとした確保が必要だと思っておりますが、このことについての見解をお伺いしたいと思います。
  95. 渡辺博道

    ○副大臣渡辺博道君) ただいまの委員指摘のとおり、移行期においては、現在、自己資本の充実の状況等の財務状況の健全性が確保するに至ったと認められる場合に限りということで、商工中金が自主的に国庫納付できるというような規定がされております。  その後の完全民営化後の特別準備金につきましては、移行期商工中金の財務状況等を踏まえましてその必要性を判断してまいりますが、必要性があると判断された場合には、特別準備金を有効に活用できるよう必要な措置を講じてまいりたいと思っております。
  96. 松村祥史

    松村祥史君 ありがとうございました。  その必要性については十二分に御理解をいただいているということでございますので、出資者の方も安心をされていると思いますが、引き続きやはり議論の対象であるということには間違いないかなと思っております。  また、次にお尋ねしたいのが、株式の処分についてでございますが、これについては、平成二十年十月の株式会社化後五年から七年を目途に、そのすべてを処分をするというような話になっております。  この完全民営化後、やはりその機能がしっかりと維持されることが大前提というふうに私は思っておりますが、この株式の処分が、もうでき上がったからすぐ処分をしなさいなんていう議論にもなりかねないんじゃないかなということを心配をしております。そして、なおかつ、この株主の方というのは、今回限定をされまして、構成員またその団体という位置付けがあるわけですから、ここはやはり中小企業であるわけですから、資金力にも十二分な配慮が必要であると思います。  この株式の処分について、今後どのような見解をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
  97. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答え申し上げます。  商工中金に係ります政府保有の株式でございますけれども、市場の動向を踏まえながら、その売却によりまして政府保有の株式を縮減していくということで、最終的に商工中金株式会社化のおおむね五年後から七年後をめどとしてその全部を最終的に処分すると、そういうスケジュールになっております。先生指摘のとおりでございます。  その処分に当たりましては、午前中も多少議論ございましたけれども、今御指摘のとおり、その株式の売却先を確保する必要がまずあるわけでございますから、その株式となる者が中小企業団体あるいはその構成員ということでございますので、その資金余力が本当にどういうふうになっているのかというのをしっかり把握をして、そういう資金余力に配慮する必要があるというふうに思っております。  それから、加えまして、もう一方の観点でございますけれども、この株式は国民の貴重な財産でございますから、そういうものを毀損させることがないように、商工中金株式の価値の最大化にも配慮する必要があるというふうに考えております。したがいまして、政府保有の株式の処分につきましては、この両方の要請をバランスを図りながら、市場の動向をよく見極めながら、実務者の意見などもよく聞いて、商工中金中小企業向け金融機能が損なわれることのないように進めていくという考えでございます。  なお、その具体的な株式の処分方法については、午前中もちょっと申し上げましたけれども、その価格を設定する際に、参加者を限定した一般競争入札を行って、そういう中で入札結果を参考に価格を決めて、その上で売却をする方法、あるいは株式評価委員会のような第三者組織でその価格を決めてもらって、そういうところをベースにしてその中小企業に直接売却すると、そういうような方法があろうかというふうに思っているところでございます。いずれにしても、そういう株式の処分が円滑に行われるように対応していきたいというふうに考えております。
  98. 松村祥史

    松村祥史君 今のようなお話はまだまだ出資者の方々に伝わっておりません。これが売却されたときに、第三者に渡るんではないか、外資系に渡るんではないか、そうなると我々の出資はと。単なる評価だけではなくて、やはり七十年掛けて出資を募ってつくってきた我々の金融パートナーなんだという非常にその誇りもございますし、そういったものを是非、今後広く出資者の方々であるとか、こういう方向で進みますよという情報伝達をしっかりやっていただくようにお願いをしたいと思います。  次に、その機能についてお伺いをしたいと思いますが、商工中金は特に貸し渋りや貸しはがしのときにその威力を発揮していただいたと思っております。また、災害時なんかも大変その中小企業には安定で、かつ迅速に対応していただいたと。これが今後もしっかりと維持していただきたいし、中小企業にとってこれが民営化になることで不利になってはならないと、このように思っております。こういった点を政府としては今後どのようにとらえていらっしゃるのか、まず一点お尋ねをしたい。  それから、商工中金が今後、冒頭、大臣にお尋ねをいたしましたけれども、中小企業のパートナーとして、民営化を踏まえつつも、しっかりとその役割を果たしていく、こういう理解をさせていただきましたけれども、本法案においては民営化に当たって株主資格制限を設けてございます。この措置を講ずることでしっかりとそのことを守っていこうというふうに理解をしております。この完全民営化後もこのことは確実にやはり守られていくべきだろうと。  ですから、単なる措置だけではなく、今後、法的枠組み、こういったこともしっかりと規定をして、我が国特有の中小企業を育てるための銀行なんだと、こういったものをやはりつくっていく、今の時代だから必要があるんじゃないかなと、このように思っておりますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
  99. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり、商工中金は正に中小企業のための金融機関であります。そのためのというのは、単に融資をするというだけではなくて、中小企業を育ててきたノウハウを持っていると、これが極めて大事でありまして、ノウハウと融資が一緒に中小企業に入っていく、だからこそ日本の中小企業の優秀性が評価されていると。この機能を失ってはいけないということで、オーナーたる株主の資格の制限、それから貸出し先についても中小企業ということで、それをしっかりと担保をしていかなければならない。  この法案が策定される議論経緯の中には、定款で決めりゃいいじゃないかという話も確かにありましたけれども、それはもう定款は変えることができると。ですから、趣旨をちゃんと恒久的に維持するための措置は法的にしっかり固めていかなきゃいけないんだということに至ったわけでありますし、完全民営化の際には手当てすることはちゃんと手当てをすると。それは、財務基盤の確立であるとかあるいは商工債の発行についてきちんとできる。というのは、フルバンキング機能は持っていますけれども、預金といったって今九十九店舗しか支店はないですし、全部預金機能だけで賄えというのはなかなか大変だと思います。中小企業という貸出先も限定してくるわけでありますから、有利でいいところにどんどんどんどん貸していっちゃうということじゃないですから。言ってみれば、そこでは苦労もしながら頑張るわけでありますから、そういう低利で調達する機能もちゃんと付与さしてあげなきゃいけないというふうに思っております。あわせて危機対応体制、今もそうでありますし、民営化後も政府系金融機関と並んで危機対応を依頼される対象になっていくわけでありますから、その際にも支障がないような体制整備をしていかなきゃいけないと。  それらもろもろ全部合わせて、この七十年培ってきたノウハウが生きるようなしっかりとした体制を民営化移行期間、そして完全民営化後も間違いなかったと言われるようにしていくつもりであります。
  100. 松村祥史

    松村祥史君 大臣自らの御答弁、ありがとうございました。  次に、最後の質問になるんですけれども、時間的に、ABLについてお尋ねをしたいと思います。  午前中も同僚議員からございました。現場を回りますと、このお話をしますと大変喜んでおられます。棚卸資産、これが担保となるのか、ようやくそういうふうになったかと。私の地元で大変恐縮でございますが、私の地元は焼酎のメッカでございまして、米で作ります球磨焼酎でございます。これ売る方々が、この今の厳しい時代の中にあって自分の棚卸資産を担保にできる、これはもう非常に有り難いと、よくぞやってくれたというような評価もいただいておりまして、私はこれは大変高く評価できる一つであると。  これを今後広めていかなければならないんですが、経産省においては、これは今後どういった普及活動をやっていかれるおつもりなのか、まずお伺いをしたい点と、それから金融庁、これは結局、信用保険法を変えることで商工中金民営化、その役割をトップリーダーとしてやっていただく、そのことによって民間が連動して、これが当たり前の企業文化をつくっていただくことが一番大事であると、こう思っておりますけれども、今日は、金融庁からも田村政務官、おいでをいただいておりますので、民間に対しては、民間金融機関に対してどういった理念を持ちながら広げていくのかと、今後の展開、お聞かせをいただければ有り難いと思います。
  101. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答え申し上げます。  このABLについては午前中もいろいろ御議論ありましたので、基本的なところについては重複を省きまして御説明したいと思いますが、御案内のとおり、不動産担保に過度に依存する体制はまずいということで導入されているわけでございますけれども、資産の金額を申し上げますと、売掛債権については九十一兆円、在庫は四十七兆円、そういうものを中小企業は資産として持っていると。不動産については八十六兆円、それを上回る金額の資産を中小企業全体では持っているということですから、それを活用した融資というものをやろうというのがこの思想でございます。  今回、こういう形で信用保険法改正ということで提出をしているわけでございますけれども、こういう形で法律が通った暁には、先ほど来ちょっと御議論ありましたけれども、その制度の内容を広く普及すると。その普及に当たっては、私ども、一つの組織を設立することを考えております。この六月を目途にABL協会、アセット・ベースト・レンディングの協会を設立するということで準備をしております。  この協会では、在庫を含めた動産の評価、管理、そういうものに関する評価書といったようなものの様式を統一しなくてはいけないと、そういった点。それから、評価手法も標準化する必要があるだろうと。それから、評価専門家の育成というものも必要になってくるだろうと。それから、担保とされました動産がスムーズにマーケットで評価されていかなきゃいけない、そういう点もあると。それから、そういう今までのいろんな動産・債権担保融資のその実績データとか、そういうものを全部蓄えていく必要があるだろうと。そういう協会の一つ中心的な機能として、広く中小企業者にこういう考え方が行き渡って、こういうものが導入された暁にはそういうものの金融が円滑に進むように、そういうふうにしていきたいというふうに考えております。
  102. 田村耕太郎

    大臣政務官田村耕太郎君) 先生がおっしゃるとおりです。民間企業にしっかりやっていただきたい。  金融庁の方は、今回の政権から再チャレンジ政策の一翼も担うようになったわけです。再チャレンジ政策の一環として、担保や保証に頼らない融資、これ総理自らこれを普及していこうとおっしゃっています。金融庁もしっかりリレーションシップバンキング、地域密着型金融の中で進めていますし、先生がおっしゃられたように、焼酎だけじゃなくて、この前、進んでいる事例として沖縄県の方を見に行ったんですけど、沖縄では泡盛の古酒ですね、クースーと言うらしいんですけど、あれを担保にした融資が出ていまして、あれ古いほど価値が上がるそうですね。在庫が、長く寝ているほどその価値が上がるという珍しい事例なんですけど、そういうのも出ていまして、そういうのをどんどん広めていくようなこともやっていきたいと思っていますので、しっかり民間に広めていただきたい、そのための支援はしっかりしていきたいと思います。
  103. 松村祥史

    松村祥史君 中企庁におかれては、是非そういったものを毎年公表をして、ABL協会ができ上がったことでどれだけ普及ができたんだと。こういったものが当たり前になりますと、今一番必要なのは、中小企業にとりましては、販路拡大でもなく、やはり金融対策であると私は思っております。このことがしっかりできれば、地域経済の担い手の中小企業は、これから我が国が成長を遂げていく中で追随ができる形ができ上がると思います。そのためにも、民間金融というのはやはり民業ですから、政府がどれだけ指導をしたり、トップランナーをつくっていくかということをやることで変わってまいります。是非、我が国の金融文化として、こういったものが広く早く対応できるように御指導いただきたいなと思っております。お忙しい中に、田村政務官おいでいただきましてありがとうございました。  二分ほど残りましたけれども、商工中金が今後民営化を経ながら、あくまでも我が国独特の中小企業金融パートナーたる金融機関に育っていくことを期待しまして、またそのことをしっかり政治の中でも見極めていくべきだと強くお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。     ─────────────
  104. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日までに、尾立源幸君が委員辞任され、その補欠として広田一君が選任をされました。     ─────────────
  105. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 自由民主党、魚住汎英です。  午前中からそれぞれの先生方からすばらしい御意見がありまして、大変重複する分野もあるかと思うんですけれども、また大体聞きたいことはほとんど意見交換ができたようでありますが、まず大臣一つお尋ねしたいんですが、こういうような形になったものをずっと振り返ってみると、この行政改革推進本部専門調査委員会なんということのメンバーでありますとか、また行政減量・効率化有識者会議有識者名簿と、こういうものを見てみたときに、またその方々がそれぞれの会議で、例えば後で申し上げましたこの有識者名簿に載った方々の会議、こういう会議のいわゆる論旨を振り返ってみますと、もう最初に民間金融に返還せよと、公的金融機関なんというものがあること自体が後進国家であると言わんばかりのいわゆる議論が最初からずっと路線として敷かれておった。  時あたかも、いわゆる改革は世の神の声であると、何でもかんでも改革であればこれはもういいんだと、こういうことの下に、今、日時がたって、ああ、しもうたと、これ何でこんなことしてしもうたんだろうかと思うのが幾つかあると思うんですが、その辺の、たった二、三年の来し方を振り返ってみての、我々が、これはもう我々も参加者ですから同罪なんですけれども、これは間違うておった方向へ行ったんじゃないかなと、こう思うことがたくさんあるんですが、大臣、考え、いかがでしょうか。
  106. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 有識者の方は知識も経験もすばらしい方が集まっていらっしゃるので有識者と呼ばれるのでありましょうから、そう期待をし、信じているところであります。確かにおっしゃるように、私も党にいましてこの議論をしましたときに、時々かなり極端な論陣を展開する有識者の方もいらっしゃるなという思いは持ったことは事実であります。しかし、いろいろそれに対して反論をし、中身が修正をされ、押し合いへし合い、結局、いいところを生かしてこれから伸ばしていくという形に落ち着いて今回の案件はようやく来たのかなという気がいたしまして、そういう点では私は自信を持って答弁をさせていただくところであります。  ただ、いずれにいたしましても、一番最初に出る原案がもう完璧な案であるかどうかと、その法案になるまでの経緯でですね。そこにはいろいろな経緯があって議論があり、そして国会の中でも懸念が議論をされて、大臣答弁としてしっかり補完をし、あるいは附帯決議としてこういう点がしっかり守られるようにという決議をいただく、そういうものを通じてあらまほしき姿になる、よりなっていくといいんであろうと思います。そういう点では、本日も大変すばらしい御指摘、御意見をいただいておりますし、そういうことにきちんと答えられるようにということで答弁もさせていただいておりますし、これは、その答弁はその後の具体的な民営化に向けてのガイドラインといいますか、拘束力に当然なっていくわけでありますし、あるいは附帯決議が付けばそれに沿って政府は取り組まなければならないわけであります。そうした各般の御議論をいただいて本来目指す姿が実現をしていくというふうに思っております。
  107. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 もう大臣中小企業の本当に造詣の深い方でありますし、私どももその後ろ姿を見て今日まで御一緒させていただいたと、こう自負しておりますが、この委員さん方のこの名簿を見てみますと、もうほとんどの方が中小企業関係のない人ばかりなんですよね。これはどっちにいたしましても関係のない人たち。例えばの話ですけれども、新聞社の論説委員長さんであったり、大学の先生であったり、大手の企業の方であったり、弁護士さんであったり、大学の先生がほとんどなんですけれども。使う側の立場に立ったいわゆる委員の言葉というのは一切ないんですね。  ですから、今度は商工中金の話、また中小企業信用保険法におけるこの法の改正が議題でありますけれども、今、松村先生からも、午前中は藤末先生からも、また鈴木先生からもそれぞれ御意見がありましたように、今みんなが、なぜ今どきにこういうことなんだと、今までで十分であったではないかと、こういうのが偽らざる国民の、利用者側からの気持ちであろうと思うわけです。果たしてきた効用等については今、松村君がいろいろ申し上げたとおりで、私どももその団体の長としていろいろと皆さん方にお助けをいただき、いろいろと相談をしながら、より良き組織として、片一方では育ててきた者の一人であるわけです。  そういうようなことからしていって、これを完全民営化と、何でも完全民営化ありきと、こういうような話になると、今はいいんです、まだ民営化前ですから。完全民営化になったときに、あと五年たちました、はい、じゃ完全民営化になりました。そのときの現場の状況、対国民、対ユーザーとのいわゆるやり取りというのはどういうことになるかということを想像をしてみると、まず、銀行同士ですから生き残っていかなきゃなりません。民間金融機関ということになると、当然、ほかの金融機関とも金利競争、サービス競争始めその他のいろんな競争を勝ち抜かないことにはこの存在が危うくなってしまうということが一点であります。  そこに至らないようにということで、諸般の御配慮をいただくというのは午前中の答弁でお聞かせをいただいたんで、それは心を強くしておるわけでありますけれども、逆の現象ができて、これはもう当てにならぬと。昔の官業とちっとも変わらぬような形になって、昔の方がよっぽど良かったと。これはもう民間で競争するというのは同等な形になってきたんであったら我々のニーズに合わない、こういうようなことになりやしないかという心配が一杯あります。  そこで、まず貸出金利を始めとする運営の基本になるものはどういうお考えなのかということを、これはもう是非中小企業庁長官に聞いておきたいと思うんですが、そのシミュレーションされたことありますか。それで、五年先、ほかの銀行と競争するに当たっての商工中金が勝ち残り得るその必須条件というのは何なんだと、こうお考えですか、どうお考えですか。その辺のところを詳しく聞かしてください。これは私があなたにお尋ねをするのと同様に、国民は同じようなことを思うておるんですよ。どうぞひとつお聞かせいただきたい。  そして、組織としてそれが消滅するようなことになったとしたならば、この行革審で議論をされたことがこれは正に一日も早く公的資金なんというのはなくなったがいいじゃないかという論旨にぴったり合うような形になってしまいやしないかと、こういうことであります。  仮に今、予算見てください、それじゃ、一つの例として。中小企業の予算というのは幾らですか。これは知れたものですよ。パーセントにしたら一%台でしかない。じゃ、それに加えることでこういうようないろいろの施策をもってバランスを取っておるという過去の実例からしてそうであったわけですね。これはみんなのいわゆる先輩たちから今日に至るまで皆さん方の知恵なんですね。ですから、それを長々と言おうというんじゃないんです。  しかしながら、何か言われると、中小企業は日本の国を支えております、九九・何%は中小企業です、こう言いながら、おまえらだけで実際の話は自由にせいと、おれたちは、もうおまえたちが失敗したことだったら何も知りゃせぬぞと、こういう話で来たではないですか。  そういうときに、我々がわらともすがる、そういう公的政策金融機関というものがなくなってしまう、ああ、五年後にはなくなってしまわぬようにという心配の下に、みんながどう考えておるんだか、五年先はどういうシミュレートをしておるのかということをお聞かせをいただいておきたいなと思います。
  108. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答えを申し上げます。  今委員から、五年後、七年後、完全民営化ということで商工中金は計画をされているんであるけれども、そのとき一体どういう姿になっているんだろうかと、金利その他、民間金融機関と競争できるような状態に本当になっているんだろうか、それから、中小企業金融機関としての機能を十分果たし得るだろうか、そういう御指摘があったわけでございます。  私ども、商工中金は次のようなことから民間金融機関と十分競争をしていけると、そういう、何といいますか、能力、機能、そういうものを持っているというふうに思っております。  まず第一に、商工中金はほかの政策金融機関、国民金融公庫、中小企業金融公庫、これは今回、日本政策金融公庫ということで引き続き国の資本が一〇〇%入る金融機関として政策金融機関と存続するわけでございますけれども、商工中金は、御案内のとおり、今の時点におきましても七十年の年月を掛けて民間出資が一千億円、政府出資四千億円ということで、民間出資者をそういうふうに募って、言ってみれば民間出資者考え方経営のセンス、そういうものを今の時点でもしっかりそういう融資業務の中に取り込んできているというふうに考えております。  加えまして、商工中金の実際の融資の活動をいろいろ見てみますと、例えば動産担保の融資の制度、今回のABLの信用保証制度の基になるようなそういう考え方、そういうことについては先駆的に取り組んできている。あるいは、知的財産を担保とした融資制度、そういうものにも取り組んできている。それから、今中小企業においては事業の再生というのが非常に重要なポイントになっているわけでございますけれども、こういうものについてもいわゆるDIPファイナンス、経営者をそのポストに引き続き置いた形でファイナンスをしていくと。そういうような先駆的な、これは挙げればまだまだたくさんあるわけでございますけれども、そういう取組をしてきております。  それから、何よりも、これは第三点でございますけれども、先ほど来大臣もしばしば触れているわけでございますが、融資に当たっての目利き能力、ただ単にお金を貸すというだけではなくて、経営指導、あるいは商工中金の側のいろんな情報を企業者に提供すると、そういうような能力が非常に高いと私ども承知をしております。  こういった商工中金が従来からずっと七十年の間に培ってきた言わばDNAといいますか、そういうようなものをきちんと引き継いで、それらに加えまして、先ほど来御議論ありますように、政府出資のかなりの部分特別準備金化する、あるいは債券についても引き続きその発行が可能になるようにすると、そういう形での財務基盤の強化、さらには子会社を持つようなことができるようにする、そういうようなことによってベンチャーファンドを立ち上げることもできる。それから、預金獲得についても、従来は預金獲得について縛りがあったわけですけれども、そういうものを自由化をすると。  そういうもろもろの制度的な支援、それから元々商工中金が持っているそういう能力、そういうものを合わせて、今現在、商工中金で働いている職員の方々の、あるいは経営の方々のそういう従来にも増しての経営努力、職員のいろいろな努力、そういうものによって、私は、商工中金は五年後ないし七年後の完全民営化する段階においても十分民間金融機関と競争できるようなそういう能力を得てやっていけるんではないかと、そういうふうに思っておりますし、期待もしているところでございます。
  109. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 長官が言うたんだからうそはなかろうと思うけれども、是非ひとつしっかり議事録に書き留めておいていただいて。  僕は、五年たったら金融情勢もがらっと変わる、これはもう国際金融を始め国内の、当然国内の金融もがらりと変わると思う。しかし、今のような形で、方向性で物事を進めていったとするならば、これはもう市場原理、競争原理の社会が今の社会で、それにはみ出す者はあとは違う施策で生きていかざるを得ない、そういう具合にしなさいと言わんばかりの方向性で世の中が動いていますよね。とりわけ、この事業分野における中小零細企業というのはほとんどが今合わなくなってきている。商売やったって何やったって合わない。  ところが、貸付け条件、例えば商工中金の貸付けの全体を見てみると、一番貸してあるのは東京なんです。それで大体二千二百億程度かな。それと、その次が大阪、これが大体一千億程度。我が熊本は大体七百億程度と、この程度じゃないかなと、こう思うんだけれども、基本的に田舎に金が回らないように回らないように、そして競争原理で民営化されていくと田舎は金利は高く取らざるを得なくなるようにと、こういう形になっていかざるを得ませんよね。民間の銀行というのは、それは地域によって企業体制違うんだから。  しかし、商工中金というのはいわゆる一律でやるわけでしょう。そうすると、当然それぞれの支店のエクスペンスというのはこれはもう当然同じでなきゃならぬ、そういう一人当たりのエクスペンスも同じでなきゃならぬ。そういうような形になっていけば、今言うたことが本当に担保されるかどうかというような話になってくると、これはなかなか難しい問題だと思うんですが、いかがですか。
  110. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) 今、魚住委員が御指摘になられましたように、中小企業向けの融資の地域的な、何といいますか、配分の状況でございますけれども、御参考までに申し上げますと、一般の銀行でございますけれども、そのケースで申し上げますと、東京、愛知、大阪といった地域に、全体の融資、これ、今私の手元にあるあれで申し上げますと百九十二兆円ということなんですけれども、そのうちの五〇%を超える部分がその三都府県に配分されているという状況でございます。それに対しまして、政策金融機関でございますけれども、これ、私の手元には二十四兆円という形になっておりますが、この三都府県で見ますと三五・三%ということで、政策金融機関の合計、政策金融機関の方が三都府県にはより薄く、地域により厚くという形で融資をしているわけでございます。  そういう中で、恐らく魚住先生がおっしゃるのは、今までこういうふうに果たしている機能が引き続き、その完全民営化後あるいはそこに至る過程でしっかりそういう地域にお金が回るような形で機能できるんだろうかという御疑問だと思いますけれども、これは繰り返しになりますけれども、先ほどのような商工中金が従来抱えているいろいろな優れた点、それからこの制度改革に当たっての特別準備金の仕組みだとかのいろいろなバックアップによりまして、そういうできるだけ地域の金融についても従来の機能を果たせるようにしていっていただければ非常に有り難いと思っております。  もちろん、これは商工中金の中の経営のことでございますから、全国一律の賃金でやるのかどうかは、ちょっと私はそこは必ずしも今後どうなるかということは分かりませんけれども、全体の金融機関との競争の中で商工中金もいろいろな経営効率化をしていくんだろうというふうに思っている次第でございます。
  111. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 どうも正直にお答えいただいてありがとうございました。正に数字はうそをつかないんですよ。だから、今がそうだから、民営化したらどうなるかというと、当然採算性ということを主体としていくわけです。  そこで、大臣、一番大事なことはそこなんですよ。私は、前回もここで、この席で申し上げましたけれども、とにかく投資効率の悪いところに住んでおる人間が悪いんだと、そんな田舎に住んでおる人間の方が悪いんだと、こう言わんばかりの、そういう委員さん方が十五年にわたって経済財政諮問会議を始めとする政府委員の中におられて、こういう方々もやはり同じような経歴の方で、恐らくここには、労組の委員長さんも中央執行委員会のお役人の方もいらっしゃいますが、大体年収調べてみると二千万以上ですよ、多分。これはもう皆さん方も御存じだと思いますが、そうじゃろう。  だから、地域における人々の暮らしというのは分からぬのですよ、それぞれの地域における。それをしゃにむに、強権をもって片一方に更にこれを推し進めていくというような、意図は別として、そういう形で推し進めていくという結果が出てきた。こういうことは政治の方向性として決して正しいもんじゃない、私はそう思っております。どこで生きようが、どんな年齢であろうが、老若男女、これは問わず、やはりどこに住もうが、健やかに生活をしていくことは日本国の憲法でちゃんと保障してある。  にもかかわらず、現実はどうか。例えば年金者の生活一つ見てみても、これはもう極めて陰惨な形になっておる。医療費の問題、介護費の問題、その他いろいろの社会的な、払わなきゃならぬ経費の問題等から考えていくと、地域で住んでいる今の皆さん方の胸の中にあるものは何であるかということを考えると、これは本当に、焼き肉定食ならまあいいんですよ、弱肉強食ですから。焼き肉定食だったらもう、いやいや、それだったらいいんだけれども、本当にそうなんです。特に一番ひどいのが一道七県と言われるんです。一道はどこかというと、委員長のところでありますから、この前実地の見学に行かれたと思うんですが、本当にひどいんです。  ですから、そういうものをこういう中央の恵まれたところで、しかも恵まれた立場の人たちがただ単に財政理論の中で一つのロジックをこれは押し付けてそれを政策としてやったからといって、どこに政治があるかと、こう問うてみた場合に、果たして私たちは国民と真正面から向き合うてそれでちゃんとした政治やってきたとは言えない、これが私の今の気持ちです。  そこで、せっかく甘利さんというすばらしい私たちは大臣を持ち、本当にこういう改革という名のものをしなきゃならぬと押し付けられたなら、ここは大事なところですよ、改革をしなきゃならぬと押し付けられたならば、その結果として、それによって泣く者がたくさん出てくることのないようにいかにしていくかということを、是非ひとつ微に入り細に入り、聡明な皆さん方ばかりですから、しっかりとひとつ基本設計をつくっていただきますようにお願いをしておきたいと思います。  そのことについて、今私は、自民党ですから余り何か誤解されるといけませんから言いませんが、本当に今世の中は良くなっている方向を行っていますか、それとも悪い方へ行っていますかとかいって国民の皆さんに聞くんですよ。いい方へ行っていますと言う人はおりません。ほとんどの人が、不安を持っております、悪い方向へ行っておりますと言う人が多いんです。それであっては我々も政治家の端くれとして責めを果たしておるとは言えないわけでありますから、先ほど長官が言うたような設計書のとおりになって、五年後、ああ、あのときああいうような話したけれども、よかったなと、ちゃんとしたもので、その時々のいわゆる社会情勢というものをきっちり受け止めて物事を進めたからいい社会になったなと、こういうような話になっていくように、是非ひとつ、今度のこの法律だけで世の中良うなるわけじゃありませんけれどもね、本当に総合的にお考えをいただきたいと思います。  重ねて申し上げれば、もう一つは、本当に腹立たしい思いでここ四十二年間、私、議員やってきましたが、いつでも弱肉強食ですよ。これが世の常だと言われるなら、ああそうかと納得もしなきゃならぬのですけれども、しかし、それはそうあってはならない、そうしてはならない、そういう思いの中にいろいろやってきましたんで、特に先ほど来松村議員も言いましたように、地方の中小企業者というのはまじめなんです。一生懸命やっているんです。その人たちが手を伸ばしたときにちゃんと手助けができてあげられるような、そういうことをするのが私は政府だといつも思ってきました。  また、地方行政においてもそのとおりだと思ってきました。ところが、地方行政自体にしたって地方行政自身がもうギブアップでどうにもならない。何とか助けてくれぬかなと、こういうような形になっておる。この前、北海道に何とかというところがありましたね、あれは何だったかな、夕張だったですかね。ああいうところなんかも、悪いことをしようと思って最初からしたんじゃないんです。こうすれば将来は必ずいい形になるだろうと、こういう思いの中でああいういろんな施策をみんなの同意を得ながらされたのは分かっておるんだけれども、結果としてああなった。  私は、今度の、こういう民営化しなさい、何でも民営化しなさい、しなさい、これが改革だといって、これは私はごまかしだとあえてこの場で申し上げておきますが、改革はしなきゃなりません、その時々の。それは当然の話であります、時代が変わるんですから。しかし、何でもかんでも一挙にやって、弱いところから順序付けて一挙にやってやるというやり方はこれは決して妥当な方向ではないと、私はそう思っております。時間を掛けながら、やはりそれぞれの意見を聞きながら熟度を高めていく中において初めていい知恵ができて、いい法律ができてと、こういう形になるのが極めて順当な社会だと、こういう思いでおります。  そういうような意味で、大臣、期待しておりますから、決意をしっかり聞かせてください。五年後はそうはならないよと、そして、もっと良くなるよというお言葉をいただきたいと思います。
  112. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 恐らく、この委員会にお集まりの先生方、与野党を問わず思っていらっしゃることは、結果平等よしとはしない、しかし、能力と意欲のあるところにはきちんとチャンスの平等はあってしかるべきだという思いだと思います。それは、東京だからチャンスがあり、地方だからチャンスがない、これは正に競争社会の中の不平等であるという思いだと思います。  地域金融機関金融機関の数についても先ほど来お話が出ました。企業が集まるところには金融機関も集まるし、投資のチャンスの多いところには当然そういう機会も多くなる。ということは、逆に、地方には金融機関、地方の金融機関の数も減り、そして仕事を伸ばしていこうという、いいアイデアと意欲があるのにそういうチャンスがないということも、いわゆる格差の根本的原因になっているんではないかと。結果としての格差というよりも、格差を取り戻すためのチャンスがないということは、極めて政治の怠慢であるという御指摘だというふうに思っております。私も同様な思いであります。  この政府系金融機関の存在意義論のときにも、私は中小企業、当時調査会長として果たしてきた役割について論陣を張ったのを覚えております。この商中の民営化の際にも、もう完全に普通の銀行にしてしまうべきだという議論が識者から出たこともありました。私は、それに対して猛然と反発をいたしました。日本の中小企業はどうやってはぐくまれてきたのか。その中に、政府系金融機関が果たしてきた役割商工中金が果たしてきた役割がいかに大きいか、その具体例、それは単に直接間接、国の税金を投入することと、そして中小企業が育って、逆に税金として返してくれる企業に育ったと、それをちゃんと差し引きして考えてみてくれと。恐らく、政府系金融機関が果たしてきた役割、なかんずく商中が果たしてきた役割は、間接的に政府のお金が投入された金額よりも、その企業が大きく育って政府に返してきた税金の方がはるかに多いはずだと、そういう話もしたわけであります。  そこで、商中がはぐくんできたノウハウが生かせるような形で民営化をしなければならない。その辺にある銀行をもう一つつくるんであるならば、何のための民営化だということで、中小企業に特化した金融としてどう生き残れるかという議論をさせていただいたわけであります。その結果、株主の資格制限あるいは貸出先も中小企業金融。しかし、そこは言ってみれば、どこへでも貸し出せるところに比べれば、言わばハンディを持っているわけであります。だとしたら、財務基盤の安定化とか、あるいは調達金利をできるだけ安くする複数の手法、それを持ってしかるべきではないかという大議論をいたしまして、会社法、いわゆる土台法は会社法にのっとってやりますけれども、その二階に法的措置をして、中小企業金融としてのノウハウを最大限生かして、中小企業の健全育成に取り組めるような、そういう民営化にすべきだという大議論をいたしまして、ようやっとここまで来たわけであります。  この委員会に出ていらっしゃる与野党の先生方は、中小企業が日本をはぐくんできた、それはもうお題目だけじゃなくて、現場を見て御存じの方ばかりだと思いますし、別に甘やかすんじゃなくて、いいところは伸ばしてあげると、厳しさを乗り越えていくためのツールを出すんだと、差し出すんだということで、今日まで取り組んできていただいているというふうに思っておりますし、そういう考え方を最大限入れた民営化にしていくべく提案をさせていただいたつもりでございます。
  113. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 誠にありがとうございます。  しっかり期待をしておりますので、甘利先生、そして前二階先生、もう本当に一生懸命に地域の実態を御存じの方ばかりでありますから、期待を大にしておるところであることを申し上げ、委員長、済みませんでしたね、北海道の話して。
  114. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) いいえ、とんでもないです。御心配いただいて、ありがとうございます。
  115. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 一道七県というぐらいに今格差が出ておるところのあれの中に入っていますから、しっかり頑張ってください。  時間ですので、これでやめます。ありがとうございました。
  116. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  朝からの論議がございましたけれども、私、最後でございますので、また確認等、重複するところもあるかもしれませんけれども、お尋ねしたいと思います。  お話がありましたように、商工中金、昭和十一年設立されて以来、中小企業組合とその構成員である中小企業向け政府系金融機関として大きな役割を果たしてきたと。昨年の行政改革推進法を踏まえて、来年十月には株式会社化され、法施行後五年ないし七年後に完全民営化されるというわけでございますけれども、この検討の過程の中で、平成十七年十月に経済財政諮問会議政策金融機関改革に関するヒアリングで商工中金が配付した資料が、ヒアリングの中で、商工中金民営化した場合、中小企業に長期安定的な資金を供給することが困難になる等の商工中金さんの意見を表明されているわけですね。朝からの議論をお聞きして大分この懸念というのはなくなったかなと。先ほどの大臣の、押し合いへし合いしながら、いろいろやってより良い形に、今回の法案になってきたと、こういう御答弁があったわけですけれども。  今日はお忙しいところ、商工中金江崎理事長さんにもおいでいただいておるわけですけれども、政府の方としては非常にいい法律案になったと、こういうふうに言われるわけでございますけれども、当事者の商工中金さんとしては、果たして、こうしたそのときに表明されたいろいろな懸念というのは、今回、ああ、これでこの懸念はなくなったなというふうに思われているのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  117. 江崎格

    参考人江崎格君) 先生の御指摘の諮問会議のヒアリングがありましたのは平成十七年の秋でございましたが、その時点では商工中金について具体的にどのような条件で民営化するのかということが明らかになっておりませんでした。ですから、例えば、会社法とかあるいは銀行法を根拠として株式が上場されるというような格好で仮に民営化されたということになりますと、いろんな方々が株主になる可能性がありまして、そういう方々の御意見によりまして、もっと収益を重視したらどうかとか、あるいは、極端な場合には、中小企業金融ではなくてもっと別な分野に業務の重点を移したらどうかというようなことになる可能性もあったわけでございます。  そういうことになりますと、従来どおり中小企業向け金融、安定的な資金の供給というのはできなくなりますし、それから、資金調達の問題におきましても、今申し上げましたような銀行法ですとかそういうような根拠だけですと発行できないわけでございますし、それは非常に困りますし、また、政府出資金につきましても、民営化ということでどんどん引き揚げるということになりますと、金融債市場における私どもの発行主体としての信認が低下することになりまして、そうしますと、金融債の売行きが順調にいかないということになりますし、あるいは、発行しようとすると相当高い金利を付けなきゃいけないということになります。そういうことから、やり方いかんでは、従来果たしてきましたような中小企業組合とか中小企業に対する円滑な資金の供給ということができなくなる可能性がありますということを申し上げました。  今回、今御審議をいただいております法案でございますが、これによりますと、まず法律できちっと、事業の目的としまして、中小企業組合、団体、それからその構成員である中小企業に対して資金の供給の円滑化を図るということがきちっと明記してございますし、それから株主の資格も制限してございまして、これも中小企業組合とその構成員に限るということになっておりまして、異質な株主が入ってくるのが防げるようになっております。それから、財務の問題でございますけれども、特別準備金ということで、かなりの部分準備金化するということになっておりますので、こういった措置でございますので、私どもが懸念をしておりましたような点はかなり払拭できたというふうに思っております。  ですから、あとは私どもがこの枠組みの中で最大限努力をいたしまして、期待されている使命を果たすべく努力をしなきゃいけないと、このように思っているところでございます。
  118. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、理事長さんのお答えをいただきましたんで、大体聞かなくても次の質問もいいんだと思うんですけれども、確認のために。  中小企業組合の相互扶助に根差して出資者と融資対象を中小企業組合等に限定した協同組織形態、メンバーシップ制という特殊性があって安定的に今までやってきたわけですけれども、この行政改革の重要方針の中でもメンバーシップ制で行うべきであると、こういうふうなことも触れられているわけですけれども、この法案で、行革を推進してきた事務局として、行革事務局として、このメンバーシップ制を生かしたものとされているのかどうか。  それから、株式会社化された後、さらに完全民営化後も、大企業またファンドによる支配を受けることなく、商工中金の有するメンバーシップ制に根差した中小企業向け金融機能を維持するための措置がしっかりと講じられているのか、これは大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、お答えをいただきたいと思います。
  119. 鈴木正徳

    政府参考人鈴木正徳君) 先生指摘のとおり、平成十七年に閣議決定いたしました行政改革の重要方針、ここにおきましては、商工中金につきまして、所属団体中小企業向けフルバンキング機能を行う機関と、これで完全民営化するということが決定されているところでございます。  私ども、この行政改革の重要方針をより具体化いたしまして、今回のこの法案の中にも、株主資格制限など中小企業団体及びその構成員に対する金融円滑化を図るために必要な措置、それから財務基盤、また、資金調達が大事でございますので資金調達に係る措置、これを講ずることとしているところでございます。  以上のとおり、この法案は、平成十七年に閣議決定いたしました行政改革の重要方針をより具体化いたしまして、商工中金が我が国の中小企業団体及びその構成員に対する金融円滑化にますます貢献をしていただくと、そのような内容になっているというふうに考えております。
  120. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 仮に株主資格制限がなければ、これはファンド等の対象とされるおそれは当然あると思います。しかし、株主資格制限をきちんと掛けて、従来の中小企業組合、そしてそれを範囲を広げてその構成員たる企業個人企業も含めてですが、そこまで広げたわけであります。中小企業金融としての縛りはきちんと掛けてありますし、貸出し先についてもその縛りが掛かっているわけでありますから、ファンドに乗っ取られちゃったというようなことはこの法律上ないような措置はしてあります。
  121. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、商工中金が我が国の中小企業政策に果たしてきた金融中小企業向け金融という面でも大きな貢献があったわけですけれども、中小企業を組織化するという、そういう重要な役割を私は果たしてきたというふうに考えているわけですね。  ところが、これを今見ますと、中小企業組合数が、昭和五十六年三月には約五万九千この組合数があったんですけれども、その後ずっと減少していって、平成十八年三月には約四万八千というふうになっているわけですよ。これは、長期にわたる不況で企業の廃業率が開業率を上回る状況が続いていることの影響でありますけれども、解散する組合数がまた設立する組合数を上回っているということでだんだん減ってきているわけですけれども、これをどのようにとらえているか。  そしてまた、この組合組織内部の課題も指摘されている。中小企業団体中央会が取りまとめた報告書では、組織運営上の課題として、組合員の意見が多様化してきている、これは三〇・四%、賦課金、会費がアップ、増資の困難性が二七・四%、財政基盤の脆弱化が二三・五%という高い割合を示しているわけでございます。  ですから、組合員が減少すると財政が悪化する、組織を維持するために会費を値上げしなければいけない、そしてまたメリットがだんだんなくなるから今度は組合員もまた減っていくという悪循環に陥っているわけでございますけれども、これに対して、この脱退に何かの歯止めを掛けるような対応策が必要なんではないかと。  私は商工中金が日本の中小企業を組織化してきたという、そういう非常に大きな役割を果たしてきたというふうに思っているわけですけれども、その組織化の意義を改めて見直し、そしてまた減っていっているというものに対する歯止めが、対応策が必要なんじゃないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  122. 石毛博行

    政府参考人石毛博行君) お答えを申し上げます。  今先生指摘のとおり、その中小企業組合数でございますけれども、昭和五十五年度末をピークに、平成十八年三月で四万八千組合という形で減少してきております。その背景には、今先生おっしゃいましたように、全般の景気の動向というものももちろんあるわけでございますけれども、私は、それに加えましてある種の構造的な変化というものもあるんであろうというふうに思っております。  御案内のとおり、戦後中小企業組合は、中小企業経営規模がそれぞれでは小さいということで、同業種の事業者が共同生産などを行って経営の近代化、合理化をするというようなことで、その組合は大きな役割を果たしてきておりました。また、当時よく言われました過当競争を防ぐという観点からカルテル事業なども行ってきたわけでございますけれども、そういうある種の高度成長期が終わって日本の経済が大きく構造転換をする中で、市場のニーズも相当変わってくる、中小企業役割も多様化してくるということで、従来の同業種でスケールメリットを追求するというタイプの組合を使った効率化というものはなかなか難しいという状況になってきていると思っております。  そういう中で、近年、新しい動きをちょっと見てみますと、中小企業組合を活用した動きとして例えば企業組合というのがございますけれども、この組合のタイプでいきますと、平成十二年度末に約二千の組合があったわけでございますが、平成十七年度末には二千五百組合という形で、企業組合については増加をしております。この企業組合をつくって新しい事業を創業するといったような試みが行われております。それから、マーケティングとか技術だとかノウハウだとか、そういうソフトな面でそういうノウハウを交換、共有し合うと、そういう形での共同化、そういうものが進んできているように私ども受け止めております。  そういった中で、そういう新しい活動を支援するということで、例えば異分野中小企業が連携して行う新規性の高い商品あるいはサービス、そういうものを開発する場合に支援をするということで、数年前に新連携の支援制度というのを発足させております。それから、先日もこの委員会で御賛同いただいて法律として成立したわけでございますけれども、地域の中小企業が地域資源を活用して取り組むそういう活動についても、地域の組合がそういった支援を受けながらそういう取組をする、そういうものの支援、そういうものを私ども講じてきているところでございます。  先生おっしゃいますように歯止めという形で強制的なものはなかなか無理でございますので、私たちはそういう各組合が自ら努力をする、そういうタイプのものについてしっかり支援をしていくことによって、中小企業者組合に入ると、ああ、いいことがあるな、非常に役に立つなと、そういうことが実感できるようにしっかり支援をしていきたいというふうに思っております。
  123. 弘友和夫

    弘友和夫君 今後、民営化をされていった場合に、今店舗数は九十九店舗ですか、これが支店や営業所の一致とか廃止については現行法では大臣の認可が必要だと、これが株式会社化されれば届出制になるということですよね。ある意味では効率化を進めていかなければならないわけですけれども、だんだん今まででも平成七年度の百七から平成十七年度は百二へと十年間で四・七%減少していると。今後も採算が悪いところはどんどん減っていくんではないかという懸念があるわけです。  例えば地元の福岡県においては、福岡、北九州、久留米と三店舗あるんですけれども、まず久留米がなくなり、北九州がなくなるんじゃないかという、こういう懸念もあるんですけれども、その店舗数だとか、また職員数も、平成七年度の五千五百三十三人から平成十七年度で四千四百二十四名と十年間で二〇%減少しているということで、当然民営化、当然というか、民営化されればそういう採算の悪いところはなくなっていくとか、職員も減っていくということはある意味あると思うんですけれども、ですけれども一方、やはり今までのこの商工中金の担ってきた役割ということを考えれば、その折り合いをどう付けていくのかというふうに思うんですけれども、理事長、いかがお考えでございますか。
  124. 江崎格

    参考人江崎格君) 商工中金というのは、それぞれの地域の中小企業の団体ですとか、あるいは地域の中小企業の生の声を聞きながらといいますか、生かしながら全国展開で業務をするというところに私どもの特徴があるというふうに思っておりますけれども、来年十月に新体制になりましても、私どもの最大の課題は、これまでのすべてのお客様に引き続き安心してお取引を継続していただけるということが最大の課題だというふうに思っております。  ですから、今御指摘の店舗の問題でございますけれども、今断定的なことを申し上げるのは難しいんですけれども、私どもとしては基本的に当面店舗の統廃合ということはしないという基本方針で臨みたいというふうに思っております。  それから、人員の問題ですが、先生指摘のように、私ども随分合理化をしてまいりまして、五十年代のピーク時は七千人を超えておりましたし、それからこの十年でも先生指摘のようにかなり減ってきたわけですが、今度民営化ということになりますと、経営自由度が増しております。ですから、新しい中小企業向けサービスに取り組むということも出てまいりますと思いますので、そういったことも含めまして総合的にこの人員の問題も考えていきたいというふうに思っているところでございます。
  125. 弘友和夫

    弘友和夫君 是非そこら辺を、商工中金役割というものをしっかりと認識していただいて、そして民営化ですからいろいろ効率化だとか求められることになると思うんですけれども、頑張っていただきたいなと思います。  株式会社化に際しまして、今回、商工中金子会社の保有の一部解禁とか預金資格制限撤廃など業務の範囲が拡充されることになると。こうした新たな業務が円滑に立ち上がって、中小企業のニーズにより一層こたえていかなければならないんですが、その際、商工中金金融庁の監督を新たに受けるわけですね、新しい業務をやったりするとき。その監督があるために、商工中金の新たな業務の開始とか事業活動に制約が課せられると、商工中金に期待される役割それから機能が十分に発揮されない、いろいろいろいろ口を出されてという懸念があるわけです。そういうことは絶対に避けなければならないんですけれども。  例えば、売掛債権担保融資とか事業再生を支援するDIPファイナンス、今実績は少ないんですけれども、こういうのをやっていこうと、こういうふうに思っても、だからそういう取組に対して金融庁はどう考えて、余りいろいろ口を出すべきじゃないんじゃないかなと思いますけれども、いかがですか。
  126. 大村秀章

    ○副大臣(大村秀章君) 金融庁といたしましては、中小企業に対する金融円滑化というのは大変金融機関の最も重要な役割一つであると認識をいたしております。  今般の法案は、新商工中金は中小規模の事業者を構成員とする団体、その構成員に対する金融円滑化を図るために必要な業務を目的とする株式会社というふうに規定をされておりまして、当庁としても法案の規定にのっとって適切に監督をしていきたいと思っておりますが、今委員指摘のように、経済産業省と財務省は中小企業金融の観点からの監督そして金融庁は預金者等の保護と信用秩序の維持の観点からの監督をすることとなっております。  今委員指摘のように、商工中金は、これまで創意工夫によりまして、ABLでありますとかDIPファイナンスといった新たな金融手法の開発、そしてその普及に積極的に取り組んできているということは十分承知をいたしております。こうした取組が中小企業金融円滑化の観点から重要というふうに私ども認識をいたしておりまして、今般の法案にのっとりまして、関係省庁とも連携をしながら適切に監督、対応をしてまいりたいと考えております。
  127. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、中小企業は、自然災害の発生、取引先の倒産、取引金融機関の貸し渋り、環境の急激な変化によって苦境に陥ることもあるわけですね。それに対して、今まで商工中金は、そういう危機のときに安定的な融資体制を確保するということから特別相談窓口を設置したりして今までやってきたわけですよ。  これは、危機のときの危機対応機能というのは、私は、株式会社後も同様の水準また条件で維持されるべきであるというふうに考えるわけですけれども、そうした財政措置はしっかりと講じられるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  128. 渡辺博道

    ○副大臣渡辺博道君) 委員指摘のとおり、商工中金が今までやってまいりました危機対応、これは大変重要なことでございます。  したがいまして、株式会社後におきましても、危機対応が果たしてきた役割にかんがみまして、株式会社日本政策金融公庫法案法律ができましたけれども、その中で創設されました危機対応業務を行う指定金融機関の指定を受けたものとみなすこととしております。  また、完全民営化商工中金につきましても、政策金融改革に係る制度設計において、完全民営化後も原則として指定金融機関であることを継続するものとするとされておりまして、引き続き危機対応にしっかりと取り組んでいく必要があるということを考えております。  そしてまた、その際、財政措置につきましては、今後財政当局とも協議しまして具体的に検討していくことになると思いますが、商工中金などが果たしてきた今までの危機対応機能がこれまでと同様に維持されるように、必要な財政措置等を確保してまいりたいと思います。
  129. 弘友和夫

    弘友和夫君 一方で、危機のときにみなし金融機関ということで危機対応しなさいよと、それで、一方では余り財政措置もありませんよでは、これはいかぬと思うんですね。  それで、私、時間が余りありませんので、本当に今まで商工中金よくやってきたなと思っているのは、税金払っているんですね。去年十八億、十七年度は三十億払っている。自己資金比率はもうぎりぎりのところでやって、中小企業は厳しいところにやって、それでしかも税金まで払ってやっているというね。  これで私はけしからぬと思ったら、大手銀行、今回、住友信託銀行が初めて、今度、今までの過去、不良債権処理によって生じた繰越欠損金が、これが消えたために税金を払いましょうと、こういうふうになったわけですよ。あとのところはあと数年これは消えないから掛かりますよと、こう言うわけですね。それは不良債権処理、もう悪いところはどんどん切り捨てて、それを、何というか、繰越欠損というか、欠損にして税金は払いませんよと。給料はいまだに高い、それはいろいろ。  その当時、指摘された公的資金注入したときには、中小企業にはこれぐらい貸出しをしなさいよとかいろいろ言われているところがあるわけですね。そういうものは達成していないわけですよ。役職員数及び経費の抑制等により経営の合理化を行うとか、必要度が低い施設は売却しなさいよとか、中小企業への貸出しについては前年より増やしなさいよとかいろいろあるけれども、そういうのは余りやっていなくて、どんどんどんどん処理をしていって、悪いところを切り捨てていって、そして何というか税金払っていないと。  私は、同じ競争に、イコールフッティングになっていないんじゃないかと思うんですよ。商工中金、一生懸命、切り捨てられもしない、中小企業を。だから残しているわけです。だからどんどん、それも、しかも組合の皆さんが出資して、中小企業組合出資してやって運営しているわけですから、こんな不公平なことはないと思いますけれども、どうですか、金融庁。どういう指導、もっと、私は返し終わるまで税金を払わないというんじゃなくて、少なくとも、半分ぐらいはそれ回せるけれども、半分は税金で払いなさいとか、何かそういうことはできるんじゃないですかね。
  130. 大村秀章

    ○副大臣(大村秀章君) この点、商工中金とちょっと関係があれでございますが、御質問をいただきました。  大手銀行、メガバンク等々につきましての決算等々、また課税の問題等々につきましては今委員指摘のとおりでございまして、不良債権処理問題等々がありまして大変多くの繰越欠損を抱えていて、その課税上のルールの中で相殺をしているということで、今年から、今年のこの決算から住友信託銀行が税金を払う、納税をするということになったのは御案内のとおりでございまして、大手メガはまだまだ数年先であることは御案内のとおりでございますが、これ、ようやくメガバンクも不良債権問題の処理を脱却いたしまして、業績も回復している状況でございます。  そういう意味では、数年ぐらい掛かるとは思いますけれども、できるだけ早くそういった納税ができる状況になってもらえることを期待をいたしているわけでございます。
  131. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、私が言っているのは、商工中金は多くの中小企業組合の皆さんがなけなしのお金を出資して運営をして、それが税金も払い、悪いところはすぐ切り捨てるようなこともできないという中で運営しているわけですよ。片一方はどんどんどんどん切り捨てていってやる、そこはおかしいんじゃないかということを言っているわけですよ。(発言する者あり)いやいや、だから、これは与野党を問わず。  これは、私は商工中金が一生懸命やっているということを言いたいわけでございまして、だからそういう危機対応機能というときも、じゃ、そういうのをやりました、危機対応もやりましたよと。だから、あなたのところ、内容が悪くなっているから、早期是正措置とかを言いかねないから私は言いよるわけです。そういう、本当に中小企業経営の悪い状態、そういう中でもしっかりとそういう、簡単に同じレベルで、片一方どんどんやっているのと同じようなレベルで見るんじゃないですよということを私は言っておきたいなというふうに思います。  それで、ちょっと時間が余りありませんので、先ほどからABLの話もありました。一点だけ、我々も、何というか今まで動産担保だとかいろいろやってまいりましたけれども、知的財産担保についてもやはり考えるべきじゃないかなと。これも信用保証の対象とするように、信用保証制度、信用保険制度の在り方というのを検討していくべきだというふうに思いますけれども、最後に大臣のお考えをお聞きして、終わりたいと思います。
  132. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 商工中金のいいところといいますかすばらしいところは、民間金融機関がまだ乗り出せない新しい商品開発といいますか、そこの金融部分に自ら乗り出してリスクがあるところに、それをまた逆にノウハウとして強くなっていっているということだと思うんです。  そこで、ABLであるとか、あるいは知財担保融資ということに民間金融機関に先駆けて乗り込んでいって、そのノウハウを自分のものとして中小企業を育てる力にしていくという、その連鎖の歴史が今日を築いているというふうに思っておるんであります。理事長おいでですから理事長から実績をお話しになった方がいいのかもしれませんが、平成十九年三月現在で、こうしたABLや知財担保融資は、二十七社、三十四億の融資枠設定を既に行っているわけであります。  これからもこういう、従来型の不動産担保依存型じゃない、新しい、金融機関でいえば新商品開発というか、そういうことにどんどん取り組んでいってもらいたいと思いますし、今度は子会社がいろいろ持てるわけであります、ベンチャーキャピタル。そのノウハウをもってすれば、出資をして、それが大きくして、きちんと回収して、それを原資にまたというようなことも、今までの歴史を見れば、やっていけるんではないかというふうに思っておりまして、大いに期待をいたしているところであります。
  133. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  134. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 他に発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案に対する討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、株式会社商工組合中央金庫法案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  135. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、藤末君から発言を求められておりますので、これを許します。藤末健三君。
  136. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、ただいま可決されました株式会社商工組合中央金庫法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び各派に属しない議員鈴木陽悦君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     株式会社商工組合中央金庫法案に対する附帯決議(案)   商工組合中央金庫完全民営化については、行政改革推進法の趣旨を踏まえつつ、商工組合中央金庫の有する中小企業に対する金融機能の根幹を維持することが重要であることに鑑み、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 商工組合中央金庫完全民営化後においても、中小企業向け金融機能が維持されるよう、株主資格中小企業団体及びその構成員制限し、特別準備金の確保や商工債の発行を維持するとともに、危機対応における役割を引き続き果たすようにするため、法的枠組みその他必要な措置を確実に講ずること。  二 商工組合中央金庫株式会社化に当たっては、中小企業への円滑な資金供給が引き続き図られるよう、商工組合中央金庫財務基盤を確保するため、中核的資本として扱われるかたちで、政府出資のかなりの金額を特別準備金とし、既存の民間出資者の利益を害することのないよう留意しつつ、中小企業団体等の意見を聴いた上で、その額を決定すること。また、政府保有株式については、中小企業団体及びその構成員が円滑に取得できるよう、その財務余力等に留意しつつ、慎重に処分すること。  三 金融環境の悪化、災害等の危機時の対応について、商工組合中央金庫が行う融資の条件及び範囲がこれまでと同様に十分な水準に定められ、中小企業向け資金供給に支障を来すことのないよう、金融監督行政上の配慮、必要な財政措置等を実施するとともに、危機が生じた際には、迅速な対応が図られるようにすること。  四 これらの措置を前提とした上で、商工組合中央金庫において、不動産担保個人保証に過度に依存しない新たな金融手法の開発・普及に向けた取組が積極的になされるなど、中小企業資金調達円滑化・多様化に向けた取組を一層拡充すること。また、こうした取組が円滑になされるよう、金融監督当局は十分に配慮すること。    右決議する。  以上でございます。
  137. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ただいま藤末健三君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 全会一致と認めます。よって、藤末健三君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。甘利経済産業大臣
  139. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  140. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  141. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会