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2007-04-19 第166回国会 参議院 経済産業委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年四月十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十七日     辞任         補欠選任      小川 敏夫君     直嶋 正行君  四月十八日     辞任         補欠選任      田  英夫君     近藤 正道君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         伊達 忠一君     理 事                 加納 時男君                 小林  温君                 藤末 健三君                 渡辺 秀央君     委 員                 魚住 汎英君                 倉田 寛之君                 松田 岩夫君                 松村 祥史君                 松山 政司君                 岩本  司君                 小林 正夫君                 直嶋 正行君                 広野ただし君                 若林 秀樹君                 弘友 和夫君                 松 あきら君                 近藤 正道君                 鈴木 陽悦君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        内閣原子力安        全委員会委員長  鈴木 篤之君        資源エネルギー        庁長官      望月 晴文君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     広瀬 研吉君    参考人        電気事業連合会        会長       勝俣 恒久君        北陸電力株式会        社取締役社長   永原  功君        北陸電力株式会        社取締役社長  松波 孝之君        東京電力株式会        社常務取締役        原子力立地本        部長       武黒 一郎君        株式会社日立製        作所執行役常務        電力グループ長        &CEO     丸   彰君        株式会社東芝執        行役常務        電力システム社        社長       佐々木則夫君        有限責任中間法        人日本原子力技        術協会理事長   石川 迪夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (原子力発電所における運転日誌等の不正に関  する件)     ─────────────
  2. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、小川敏夫君及び田英夫君が委員辞任され、その補欠として直嶋正行君及び近藤正道君が選任されました。     ─────────────
  3. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のため、本日の委員会内閣原子力安全委員会委員長鈴木篤之君、資源エネルギー庁長官望月晴文君及び資源エネルギー原子力安全・保安院長広瀬研吉君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、原子力発電所における運転日誌等の不正に関する件を議題といたします。  本日は、参考人として電気事業連合会勝俣会長北陸電力株式会社永原社長松波社長東京電力株式会社武黒常務株式会社日立製作所丸常務株式会社東芝佐々木常務日本原子力技術協会石川理事長、以上七名の方の御出席をいただいております。  まず、勝俣参考人から説明を聴取いたします。勝俣参考人
  6. 勝俣恒久

    参考人勝俣恒久君) おはようございます。電気事業連合会会長勝俣でございます。  このたびのデータ改ざんや必要な手続の不備などの問題につきまして、先生方関係御当局、立地地域、そして広く社会皆様に大変な御心配と御迷惑をお掛けいたしましたことを深くおわび申し上げます。  とりわけ、業界の中で率先して範を示すべき東京電力において不適切な事例が多数確認されましたことは、誠にじくじたるものございます。重ねて深くおわび申し上げます。  本日は、電力各社から経済産業省に対して、三月三十日に提出いたしました総点検の結果と、四月六日に提出いたしました再発防止対策の概要などについて御説明を申し上げます。  お手元の資料の二ページをごらんください。  資料に例示してございますとおり、この四か月間、電力各社は、発電設備の総点検において、計器、コンピュータープログラム調査を始め、検査記録点検記録調査工事仕様書実施記録調査を実施したほか、現役社員はもとより、既に退職した社員協力会社メーカーなど、延べ七万人以上にも及ぶ規模で聞き取り調査などを実施いたしました。この調査結果は三月三十日に、そして再発防止策は四月六日に、それぞれ提出いたしております。  三ページにございますように、各社から御報告いたしました事案を集約すると三百九事案あり、それを件数に換算いたしますと、全体として約一万件と計算されます。各社によって精粗はあるものの、件数の内訳は、原子力約四百六十件、火力約千二百件、水力約九千件程度となっておりますが、水力は、例えばダム下流放流注意看板設置の無届けのものなどが含まれており、数が多くなっております。  四ページに入ります。  四ページに水力発電所火力発電所での事例を挙げております。水力においては、ダム、水路、発電機などに関する法定工事計画届出をしなかった事例や、例えば漏水などの記録データ改ざんするなどの事例があり、火力においても、法定溶接事業者検査を実施しなかった事例各種記録報告データ改ざんなどの事例がありました。  五ページには特に原子力について重大性による分類を試みた結果を示しております。  資料中には分類基準の一例が示してございますが、各種分類の仕方は若干異なります。最も重大なA区分は、法令かつ保安規定に抵触し、かつ設備健全性が損なわれていたものとあり、点検の結果、ここに該当するものが六事案七件ありました。  なお、A区分設備健全性が損なわれていたという定義ではありますが、このたびの評価事案が必ずしも設備健全性を損ねているものではなくとも、北陸電力東京電力事案はその重大性にかんがみてA区分といたしております。  六ページには、調査の結果、原子力で明らかになった事例を示しております。  それらは、予期せぬ臨界が生じた制御棒の引き抜け、原子力停止操作中あるいは起動操作中に原子炉が自動停止した、いわゆるスクラムの報告義務違反、さらには国の検査における偽装、不正行為などの事案であります。  このように、原子力中心に重大な事象を含む多数の隠ぺいなどがありましたことは、本来、社会安全に最も留意すべき立場にある電気事業者として深く反省するものでございます。とりわけ、原子力制御棒引き抜けによる予期せぬ臨界の問題につきましては、多大なる御心配をお掛けしてしまいました。  七ページに志賀一号機の例がございますが、これを飛ばしまして八ページに移らさせていただきます。  八ページをごらんください。  原子炉停止中の制御棒の引き抜けによる臨界につきましては、予期せぬ形で生じた重大な問題ではありますが、原子炉自己制御性と呼ばれた性質、すなわち燃料温度などが上昇すると出力上昇が自然に抑制される性質が働いて、定格出力に比べて十分に低い水準で終息し、設備事故人身事故、さらには周辺への影響が及ぶような事態には至りませんでした。しかしながら、このような事象が生じたことを隠ぺいし、立地地域を始め広く社会皆様方に大変な御心配をお掛けいたしましたことは誠に申し訳のないことであります。ここに重ねて深くおわびを申し上げます。  九ページをごらんください。  電気事業者といたしましては、二〇〇二年の東京電力における原子力不祥事などを契機として、これまでも各種対策に鋭意取り組んでまいり、こうした取組について、いまだ道半ばとはいえ、相応の改善をいたしていると考えておりました。しかしながら、このたびの点検において、過去のものとはいえ、社会不安に結び付くような数多くの重大な問題が見いだされたことにつきましては、正に本来打つべき対策が十分な状態に至っていなかったためであると深く反省しております。  十ページをごらんください。  電力業界といたしましては、各社社長で構成する信頼回復委員会再発防止対策について徹底的な議論をいたしております。これを受けて、電力各社はこれまでやってきたことの足らざる点を深掘りし、それぞれに具体的な対策を固めて四月六日に原子力安全・保安院に提出いたしました。電力各社報告した各種対策を勘案して、今後徹底した再発防止安全文化の再構築と定着を図るために、以下の点を重点に対策を講じてまいる所存であります。  第一に、企業倫理、コンプライアンスを再徹底するために、電気事業連合会行動指針の見直しや、特に各社協力会社などの幹部、管理職への徹底した研修、教育を行うこと。第二に、メーカー協力会社を含めた発電所で働く人々のすべてによる風通しの良いコミュニケーションを促進すること、そして不正、不備を隠すことなく自発的に言い出すことができ、それを積極的に受け止めて改善する仕組みを確立すること。第三に、品質保証面での電力間、関係会社間の情報共有に努めること。特に、原子力部門については原子力施設情報公開ライブラリー通称ニューシアを活用した一層の情報共有を進め、隠す、隠さないを判断する余地がなくなる公開仕組みを徹底すること。また、併せて電力各社内部監査強化なども行います。  失われた信頼は一朝一夕に回復することはできませんが、私どもの事業活動の基盤である信頼回復に向けてトップが率先し、電気事業に携わる従業員の一人一人がもう後がないという強い覚悟を持って業界を挙げて再発防止策を着実に実践してまいります。  先生方におかれましては、引き続き御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。
  7. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 以上で参考人からの説明の聴取は終了いたしました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 加納時男

    加納時男君 おはようございます。自由民主党の加納時男でございます。  今、勝俣電気事業連合会会長から全体についての御報告と決意が述べられました。全体で自主的に調べた結果、三百九の事案、一万件を超える件数があったということ、そのうち原子力では九十八の事案、四百五十九件の不適切な事例があったということでございました。率直に申しまして、極めて多くの事案であり、多くの件数であり、極めて遺憾なことでございます。  このことは、実は大事なことが二つ含まれていると思います。一つは、これによって社会信頼を著しく傷付けたということが一つ。それからもう一つは、これはもっと私は、最も大事だと思っているんですが、人は誤ることがあります。機械は故障することがあります。原子力政策大綱にもはっきりとこのこともうたわれております。ですから、間違いを起こしたからけしからぬ、機械が具合が悪かったからけしからぬと言っているだけでは不十分で、もちろん起こらないようにすることは大事でありますけれども、その失敗は次なる改善への貴重な教訓でございます。こういった貴重な教訓を是非とも、つまり失敗というものからいかに多くの教訓を学んで再発防止対策に生かすかということが絶対に必要だと思うので、今日はそれを中心質問をさせていただきたいと思っております。  まず、今原子力事例いろいろございましたけれども、その中で、今の御報告された資料の五ページでございましょうか。Aランク、つまり一番問題のあるものとして六事案七件が挙がっています。その中で、特に制御棒の引き抜けによります、あるいはずれでございますね、これによる予期せぬ臨界が二事案あったということでございますので、これにまず焦点を絞って御質問したいと思います。  初めに、勝俣参考人並び永原参考人に伺いたいと思います。  この二件は東電と北陸電力さんで起こっている問題でございます。今から二十九年前の一九七八年の福島第一の三号、それから今から八年前の志賀の一号でございますが、まずこれがなぜ起こったのか、なぜこの意図しない臨界に達したのか、安全上の危惧はどの程度のものであったのか、解析した結果を御報告いただきたいと思います。  初めに勝俣参考人質問いたします。
  9. 勝俣恒久

    参考人勝俣恒久君) お答えいたします。  本件は二十九年近く前のことでありますので、残念ながら調査を尽くしても当時の手順作業の実態を明らかにするには至らず、原因の特定には至りませんでした。ただし、他の類似事象などから考えて、本件も何らかの理由によって制御棒駆動機構冷却水の圧力が上昇したことが原因で、制御棒が引き抜けたものと推定しております。  また、当時は制御棒が引き抜けてしまう可能性について、経験や認識が必ずしも十分ではなかったのではないかと考えております。このことが制御棒引き抜けを防止する適切な対策が取られず、さらに制御棒が引き抜けることはあり得ないという先入観をもたらして臨界状態になっていることに思いが至らず、結果として臨界が長時間続くことになった原因一つであったと推測いたしております。  次に、安全上の危惧についてお答えいたします。  本件においては制御棒の引き抜けの程度が小さかったことなどから、原子炉臨界になったものの原子炉出力は定格の約一万分の一程度と極めて低く、かつ緩やかに推移したものと考えております。このため燃料が破損するおそれはなく、また放射線レベル運転中に比べて極めて低いレベルであったと考えております。  このように、本件臨界が発生したものの、原子炉安全性の点でも、放射線被曝の点でも、プラントは直ちに安全上問題となるような状態ではなかったと判断いたしております。ただし、原子炉反応度管理、制御することは原子炉安全確保上基本的なことであるのに対し、これに反して予期せぬ臨界が発生したこと自体については、結果としての出力の大小や影響程度にかかわらず、極めて重大なことと受け止めております。  当社は、これまでにもこのような制御棒の引き抜け及びそれによる臨界が発生しないように手順書の整備などを行ってきております。それらに加えて、今般、当面の対策強化を実施したところでございますが、さらに、本件の重大さにかんがみて、現在、他のBWR電力メーカーとも協力しながら、ハード、ソフト両面での更なる対策を鋭意検討しているところでございます。これらの対策によって、同様の事象が二度と起きないよう再発防止に万全を期したいと考えております。  以上でございます。
  10. 永原功

    参考人永原功君) 北陸電力永原でございます。  当社は、平成十一年六月、志賀原子力一号機におきまして臨界事故を発生しておりました。当時、これを隠しまして、必要な記録を残すことなく、国及び地方自治体へ報告をしておりませんでした。今般の調査で判明しましたので、速やかに報告いたしましたが、臨界事故を起こしたこと、またこれを今日まで隠しておったことを大変申し訳なく思っております。  この臨界事故の発生した理由につきましてですが、平成十一年六月、当時、定期検査中でございまして、機能強化工事の中で作業手順のミスから臨界事故を起こしたというふうな認識をしております。  先生から今この事故の安全の危惧について御質問ございましたけれども、この点につきましては、臨界事故が起こりまして、瞬時というか、一時出力が上がりましたけれども、先ほどの説明ありました原子炉自己制御性をもって瞬時に低下しました。したがいまして、燃料等への損傷はございません。それから、放射線等の環境への影響もございませんでした。また、この事故が発生した当時、原子炉の方には六名の作業員おりましたけれども、放射線被曝という面についてもなかったことを確認しております。  以上でございます。
  11. 加納時男

    加納時男君 四月十一日、朝起きましてNHKのテレビを見まして、正直言いまして跳び上がって驚いたわけであります。これは、志賀の一号について即発臨界可能性があった、そしてこれが、話がちょっと飛んでいるんですけれども、即発臨界水蒸気爆発につながるおそれがあるといって志賀事例を報道しております。  今、永原参考人からはるる御説明あったわけですが、ここで石川参考人にお伺いしたいと思います。石川先生はこの解析の分野では世界でも最高と言われている方でございますが、幾つか質問させていただきたいと思います。  まず最初に、今お二人の参考人の話の中で、福島第一の三号機は即発臨界はなかったという勝俣参考人のお答えがありました。先生は、これはなぜ福島の第一の三号機は即発臨界にならなかったとお考えでしょうか。
  12. 石川迪夫

    参考人石川迪夫君) 日本原子力技術協会石川でございます。  東京電力の場合には制御棒が五本抜けておりました。志賀の場合には三本でございました。したがいまして、東京電力の方がひどい状態になった方が当たり前ではないかというふうに皆さんお考えなのは当然でございますけれども、東京電力の場合、五本のうち一本は遠く離れた、大きな原子炉の中で一本遠く離れたところで抜けておりましたので、実質的には四本でございます。  ただ、私、話を伺っているところを聞きますと、抜けた量でございますけれども、大体四本が四、五十センチ、北陸電力の場合では一番深く抜けたのは約一・五メートルぐらいまで抜けております。立体的になりますので、核的な大きさで申しますと四本の東京電力よりも北陸電力の方が大きい、そうして、その計算値というのが東京電力の場合臨界ぎりぎりでございまして、誤差を含めましても即発臨界に至らない状況であると。これは計算上からも、聞いておるわけでございますので確かだろうと思います。また、七時間も続きましてほかのパラメーターが何事も起こっていないというのは、非常に小さな出力であったんだろうというふうに考えて差し支えないと思います。
  13. 加納時男

    加納時男君 違いは分かりました。核的な影響の違いだと思います。  そこで、北陸電力さんでやられた解析と、原技協さんでもやはり解析をやっていらっしゃるというふうに伺いましたけれども、その解析に当然条件がありますね、解析するときの条件。それから、その結果の評価解析した結果。北陸電力さんと原技協さんとで大きな違いがありますかどうか、伺いたいと思います。
  14. 石川迪夫

    参考人石川迪夫君) お答えいたします。  まず、結果的には非常に大きな差はございません。やりました計算の手法は、北陸電力永原社長より協力の依頼を受けまして行ったものでございますが、私たち即発臨界のところを中心計算をするコードを使いまして、そのコードパラメーター的に計算を行ったものでございます。  北陸電力の場合には、核計算をきちんと行い、それからまた除熱計算を行うという、非常に正攻法とでも申しますか、膨大な計算を行っておられるわけでございます。その結果、一つの基本となります一番あり得るケースと、即発臨界が起きたかもしれないというふうなケースにつきましては、極めていい一致、不思議なほどいい一致を示しているというふうに申し上げて差し支えないかと思います。  ただ、一つ申し上げたいことは、私たちパラメーター計算では、北陸電力の場合にも即発臨界になり得る状態もありますけれども、制御棒の引き抜きのスピード、それから三本ありますけれども、その制御棒をどの制御棒が抜けたかという選択によっては即発臨界になっていない状態もありますので、ぎりぎりのところであったと、即発臨界になったということの断定ができないわけでございます。
  15. 加納時男

    加納時男君 この今回の意図しない臨界でございますけれども、これはどのくらいの出力なのか、ピーク出力に対して何%ぐらいなのか。それからまた、即発臨界の継続時間ですね、さっきは瞬時にという北陸電力さんの話がありましたけれども、何秒ぐらいと考えられるんでしょうか。そこを教えてください。
  16. 石川迪夫

    参考人石川迪夫君) 私たち計算によりますと、即発臨界の方は後で申し上げますが、出力でございますけれども、四メガワットというふうに出ております。これは定格出力の三%ぐらいの時間で約十五分間ぐらい続いたであろうというふうに出ております。  なお、即発臨界が起こったといたしますと、臨界になって約六秒後に二百三十メガワット、これは定格出力の一四%ぐらいでございますが、瞬間的に上昇いたしまして、約〇・三秒の後には先ほど言いました四メガワットに近い状態に移っていっているというふうに出ているわけでございます。
  17. 加納時男

    加納時男君 そうしますと、出力的には瞬間的に確かに大きなものは出たけれども、それでも一四%ぐらいのものであると、その後は三%ぐらいに落ち着いているというふうに今伺いました。  そうすると、一番のポイントになるのは、この結果、要するに燃料温度はどのぐらい上がったのかという、上がることがあり得たのかということですけれども、マキシマムで何度ぐらいでしょうか。そして、それはどんな意味があるのか。例えば、燃料が壊れるというのは一体何度ぐらいであって、それに対して今回はいろんな仮定をした上で、保守的に計算して何度ぐらいまであり得たんでしょうか。これが一番の実は関心事でございます。
  18. 石川迪夫

    参考人石川迪夫君) 膨大な質問でございますので、暫時お時間をいただきたいと思います。  一つ、私、先ほど三%と申し上げましたか、それでは訂正して、〇・三%です、四メガワットはですね。その点、申し訳ありません。  即発臨界によりまして、即発臨界だけの発熱量ということになりますと十三カロリーというふうに出ておりますので、燃料は大体百五十度Cぐらいに約温度が上がったというふうにお考えください。  その後、出力が四メガワットに整定していく過程でずっと熱が燃料の中に集まりますので、約五百度から六百度ぐらいになって、そのままゆっくりと先ほど言った三メガワット、この場合には大体四百度ぐらいというふうに推定いたしておりますけれども、一番ピークポイントはその点に到達いたしております。全体がというわけではございません。今、ピークポイントは普通の炉心全体から比べると約七十倍ぐらいの高い状態になっていると。ですから、ほんの炉心のごく一部がそうなっているんだというふうにお考えいただければよろしいかと思います。  また、即発臨界によって、先ほど水蒸気爆発というようなお話がございましたけれども、これは起こり得ております。原研の、日本原子力研究所のNSRRの実験なんかでも起こり得ておりますが、これはUO2、二酸化ウラン燃料温度が溶融、蒸発をするというところに至ったところでございまして、温度にいたしまして二千八百度Cから三千三百度C、一挙に上昇するといったような場合にのみ水蒸気爆発が生じるわけでございます。それから比べますと今回の事象というのは非常に小さい、大分等差があるというふうに申し上げて差し支えないかと思います。
  19. 加納時男

    加納時男君 非常に大事なところの質問に対してお答えをいただいたところでございます。  そうしますと、いろいろな計算をして、解析をしていって、最悪の場合どのくらいまで上がり得たのかというのが我々の関心でありますけれども、百五十度C、そしてその後、安定して五百から六百、あるいは四百度Cぐらい、まあ四百度から六百度Cぐらいであると。燃料が壊れるようなこと、温度というのは約三千度前後であるという解析結果が別のところで計算されているということでありますので、今回はそういう水蒸気爆発のおそれという、NHKのあの見出しを見て跳び上がって驚いたんですが、これは石川先生がそういうことはおっしゃってないと確認してよろしいでしょうか。
  20. 石川迪夫

    参考人石川迪夫君) NHKのあれが非常に大げさに聞こえる報道であったことは事実でございまして、私もそのように感じておりますが、その前夜、NHKの記者が参りまして、一時間半ばかり話をいたしました。そのうちの一時間につきましては、非常に勉強家でございまして、まず、北陸電力が安全・保安院に提出されました資料に基づいて反応度投入事象と言っておりますけれども、即発臨界になったんではないかということを自分で勉強して調べてきております。また、私が書きました「原子炉の暴走」という本がございますが、この辺りも読んできたわけでございますが、ほとんど最初の一時間は即発臨界についての、学術的なともいいますか、質問でございました。そのときに、先ほど申し上げましたように、大変な大きな急激な出力の上昇があると燃料が破損に至り、水蒸気爆発があるということも伝えたわけでございます。  ただ、そのときに、私たち日本原子力技術協会といたしましては、私たちが行いました計算について、そのときの週末の十三日の金曜日に記者会見を、全部集めて一斉にお話をするというふうに約束をいたしておりました。NHKの記者が来たのは十日でございます。したがいまして、具体的には、今のような数値というのは私たちは信義上話ができないというところでお話を断ったわけでございますが、そうしてNHKの方に対しては十三日以降に出すようにというお話もしたわけでございますけれども、NHKの御事情があったんでございましょう、十一日の朝ああいうふうな突発的な発表になって、私も驚いた次第でございます。  よろしゅうございますでしょうか。
  21. 加納時男

    加納時男君 分かりました。  ちょうど時間が参りましたので、ほかの参考人にいろいろ質問用意したんですけれども、大変失礼を申し上げました。  私の質問に対する今の石川理事長の御回答を伺っていて感じたことでございますが、やはり今回のは大変遺憾な事例でございます、遺憾な件でございます。ただし、これは実際に水蒸気爆発のおそれがあるようなものではなかったということもまた明確になったかと思っております。  今後、この原因分析、その背景になったこと、こういったことも分析をしながら再発防止対策を努めていただきたい。関係者の皆様にお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  22. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末と申します。    〔委員長退席、理事加納時男君着席〕  本日は、発電所データ改ざんについて御質問申し上げたいと思います。  今回、発電所データ改ざんにつきましては、水力発電所火力発電所原子力発電所とございますが、特に原子力発電所の問題についてお話ししたいと思います。  原子力発電所の安全という問題、非常に大事ではございますが、今回のこの原子力発電所データ改ざんは、原子力発電の安全のみならず、エネルギーの安定供給という意味でも大きなインパクトがある。そして同時に、地球環境問題、温暖化への対応についても大きな影響を及ぼしたという意味では、非常に重要な問題ではないかと思っております。  まず、私がお聞きしたいのは、今回のこのデータ改ざん、もうほとんどの改ざんは二〇〇二年東電の事故の以前のものでございまして、恐らく今日お越しいただいた参考人の方々、直接は関係されていないことだと思います。私は、反省すべき点はきちんと反省すべきだとは思うんですが、正直にこの情報を公開した者、正直者がばかを見る、損をするようなことがあってはならないと思います。きちんとした情報を開示し、そして世の中に示し、その開示した情報をもって開示した人間が責任を取らなきゃいけないようなことは、私はあってはいけないんではないかと思います。  現在の経営陣は問題を明確にして、そしてこの改ざんがもう二度とないように徹底的に行われることが私は最大の責任だと考えるわけでございますけれど、北陸永原参考人、この点についてはどういうふうにお考えかということをお聞きしたいと思います。  そしてまた、私はこれはお願いでございますが、いろんな方からお話をお聞きしまして感じますのは、今もう日本的に原子力発電所で働く方々のモチベーションが落ちている。やはり原子力発電所、私は非常に我が国にとって重要、エネルギーの安定供給の問題、環境への対応という意味では非常に重要なお仕事をしていただいていると思います。そういう原子力発電所で働く方々が、やはり誇りを持って働いていただけるように徹底的にやはりやっていただきたいと思うんですが、その点につきまして、北陸電力社長であられます永原参考人からお話をお聞きしたいと思います。お願いいたします。
  23. 永原功

    参考人永原功君) お答えをいたします。  まず最初に、志賀臨界事故につきまして、この後早速社長としてどう取り組んでいくかということでございますが、私は二度とこのような事故を起こしてはいけないと、あるいは隠してはいけないという決意の下に、さきに提出しております二十一項目から成る再発防止対策、これをきちっと定着させていくということが大事であるというふうに考えておりまして、これを、この基本的なところは原子力はやっぱり安全最優先であるということ、あるいはコンプライアンスと申しますか、法令の遵守とか地域との安全協定を守るということが骨子になっておりますけれども、こういったことに社員の先頭に立って取り組んでいくということが大事じゃないかというふうに考えまして、社長としての経営責任をどう感じるかということも問われる場合ございますが、そういった再発防止に全力を挙げるということで責任を全うしていきたいというふうに考えております。  そして今先生の方から、現場の方の技術陣のモチベーションの問題を御提起ありました。実は、私も昨年一年間、志賀発電所でいろいろ品質管理にかかわるような事案がございまして何回か出掛けておりました。都度、発電所の技術陣、本当に疲労しておりまして、まずその疲労からどうやって救ってやれるかということを考えました。モチベーションを上げるということは大事だと思うんですが、私どもの志賀の場合は、まず普通の状態にしていくのが大事で、そして志賀発電所で働くということについて誇りを持って頑張れるように、そういうふうに一緒に悩んでいきたいというふうに思っております。
  24. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、永原社長には本当全社一体となって、もう皆様の士気が上がるような形で経営トップとして仕事をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  また、次に、先ほど加納委員からもお話がございましたが、今回の原子力データ改ざんにつきまして、この情報の管理がどうなっているのかなということを思うことがしばしばございました。今、この情報公開をしろということで保安院の方々が動かれているわけでございますが、ただ、マスコミに流れる情報を見ますと、本当に正確な情報が流れているんだろうかという疑問がございます。  例えば、東電のデータ改ざんの正式な発表前にマスコミが記事にしてしまった問題。また、先ほど加納委員からも深い指摘がございましたが、北陸電力のこの改ざんの話は、見出しだけを見ると、もう臨界状況であるということしか書いていないんですよね。そうしますと、もうチェルノブイリとかジェー・シー・オーの事故をすぐ思い浮かべる。もう規模としては全然違う、先ほど石川先生からも御説明いただきましたように、規模としてはもう全然違うものであるにもかかわらず臨界状況だということだけが強調され、また、水蒸気爆発があるというような話が流れているということで、世論が相当混乱したんではないかというふうに考えます。  このようなとき、だれに責任があるかということはもう問わないわけでございますが、ただ、私は、保安院にある程度役割があるんではないかなと。情報の公開をするとともに、いかに情報を世の中に伝えていくかということをきちんとやっていくという大きな役割が保安院にあると思うんですが、それについて保安院のお考えをお聞かせいただけませんでしょうか。お願いいたします。
  25. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  原子力安全性につきましては、透明性を高めるということが基本だと考えております。そのために、適切な情報を速やかに公表するという姿勢で私ども臨んでおります。先生御指摘の四月十一日のNHKの報道につきましては、私どもからNHKに対し、より適切な報道がなされるよう申入れをしたところでございます。  今後とも、報道機関、また国民の皆様には、正しい原子力安全の情報が伝わるように努力をしてまいりたいと考えております。
  26. 藤末健三

    ○藤末健三君 終わった後に注意をするという話ではなくて、予防をしていただきたいんですよ、変な情報が流れることを。一回流れてしまえば、もう臨界ってみんな頭に染み付いちゃうんですよね。恐らく、地域の方々、一般世論が、この原子力発電所に対する不安感が非常に大きくなっていると思います。多くの方々が二〇〇二年以前のものであることも知らないし、臨界という事実だけが頭にこびり付いて残っている。本当に原子炉は、原子力発電所は大丈夫だろうかということは、この被害は非常に大きいと思うんですよ、私は。  こういうことはもう二度とないように、きちんと情報の開示を行いだけじゃなく、その情報の開示が正確に伝わる努力を保安院がなされなければやるところないですよ。これは本当に申し上げたいです、私は。政府機関がきちんとした情報を流すから、我々、国民の皆さん、地元の方々は安心していられるんですよ。その責任を是非私は保安院に果たしていただきたいと思います。  そしてまた、お聞きしたいのは、国際的な保安基準との整合性はどうなっているかということを是非お聞きしたいと思います。  ちょうど石川先生が提出いただいた資料の一番最後のページを見ていただきますと、「日本の失われた十年」という資料がございます。私も先生のこの資料を拝見させていただきまして思いましたのは、我が国の原子力発電所のプラントの稼働率、落ちているんですね、この十年では。他国を見ていただきますと、もう九〇%以上になっていると、ほとんどの国が。今我が国は七五%程度です。この一五%の差というのはもう莫大な差。  私が申し上げたいのは、きちんとその情報開示をしていく、保管をしていただくことはもう非常に重要だとは思うんですが、やはり一つございますのは、国際的なこの保安のやり方というものについてどうなのかなと。他国はどんどん稼働率を上げ、この稼働率が上がるというのは、経済性が高まるだけではなく、やはり地球環境問題への対応、CO2の排出を減らすという意味でも大きな前進となっているわけでございますが、そのような意味でも、保安管理を国際的な標準と整合性をどのように取っているかということについてお答えいただきたいし、また、これはメーカーの方にお聞きしたいんですが、欧米のように、今、原子炉の型式認定、安全認定というのがございます、欧米では。ある、BWRだったら、この型だったらこの機械は、設備はオーケーですよと型式認定をしている。今、我が国はそれぞれの発電所ごとの認定になっています。  私は、ある程度、その型式認定のようなものを、長期的に議論しなきゃいけないとは思うんですが、やっていくことが必要ではないかと思っております。やはり検査とか保安管理の国際的な標準化みたいなものを図るべきだと思うんですが、これは保安院の方、そして東芝、日立のメーカーの方からこれは回答をいただきたいと思います。お願いいたします。
  27. 加納時男

    ○理事(加納時男君) 順次御回答を願います。  資源エネルギー原子力安全・保安院広瀬院長。
  28. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  最初に、先生御指摘の国際基準の点でございます。  発電用原子力設備に対する国際的な安全基準としましては、国際原子力機関、IAEAにおいて安全基準が策定をされてございます。私ども、電気事業法に基づく発電用原子力設備に適用される技術基準、これを順次、性能規定化しておるところでございますが、その際、IAEAの安全基準との整合性について検討を行い、可能な限りIAEA基準との実質的な整合性が確保されるように取り組んでおるところでございます。今後とも、この努力を更に続けていきたいと考えております。  二点目の型式認定の件でございます。  私どもの原子力の安全審査につきましては、個別の申請をその時点の最新知見をもって審査をするということでございます。現在、審査経験も生かしながら審査の実効性を高めるということで取り組んでおるところでございますけれども、やはり、特に耐震安全性の確認など個別の立地状況等をよく見て審査するところも多くあると考えておりまして、基本的には個別の申請内容をしっかり見て審査をしていくということであるかと考えております。
  29. 加納時男

    ○理事(加納時男君) 日立製作所丸参考人、お願いします。
  30. 丸彰

    参考人(丸彰君) 日立製作所の丸でございます。ただいまの御質問にお答えいたします。  特に、私どもが直接関係します設計にかかわる型式認定でございます。  海外、米国等ではこういう型式認定という形で設計が一括承認されるような形があるというふうに認識しております。それで、昨今、日本発の原子力の技術を海外で活用しようとするときに、特に先進国以外の国におきましては、先進国で承認許可されているような技術を期待するというような状況もございます。そういうことを考えますと、原子炉の型式として認定されているということは、そういう面では非常に有利でございます面がございます。  一方、これは国によってもそのプロセスというのは相当国情によって違いますので一概には申せませんし、非常に個別に難しい面もあるというふうに理解しておりまして、それと、私どもができますこういう許認可のプロセスに対する対応能力とか、私ども、これは相当違うプロセスになりますので、そういうことに対する能力等もございますし、そういうことを総合的にいろいろ検討した上で各種の検討が進められるということがよろしいかと思います。そういうふうに理解しております。
  31. 加納時男

    ○理事(加納時男君) 株式会社東芝佐々木参考人、お願いします。
  32. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 型式認定についてお答えをしたいというふうに思っております。  ただいま丸参考人の方からお話のありましたように、型式認定そのものにつきましては、我々メーカーにとりまして非常に有用な認可の方式だというふうに存じております。やはり同じ炉型に関して重複して審査が行われるという無駄を省くという意味では非常に有効ではございますが、先ほど保安院長の方の御回答にもありましたように、やはり国情というものがいろいろありまして、また耐震その他の問題もあるということで、やはり日本版の型式認定ということがまた一つは重要かなというふうに思っております。  ただ、日本版という形になりますと、いろいろな意味でまた日本の中だけということになりますので、これを国際的に協調をしながら、今NRCがいろいろ提唱をしております全体の多国間設計評価プログラム、この中でいろいろなディスカッションをしていくことによってより国際的な規格、型式認定というようなことについてもアプローチができるということが考えられますので、そういった方向を期待してございます。
  33. 藤末健三

    ○藤末健三君 私は、資源エネルギー庁長官にお話をお聞きしたいんですが、先ほどお話がございましたように、我が国の原子力技術は今世界のトップクラスでございます。なぜかと申しますと、他国が原子炉の設置をずっと止めていたんですよ。我が国は続けていた。という意味で非常に我が国のメーカーの方々の技術力が高い状況。そして、今海外のメーカー、例えば東芝はウエスティングハウス、そして日立はGE、三菱重工はフランスのメーカーという形で、国際的な取組をどんどん広げようとしている状況でございます。  そこで、私、お聞きしたいのは、原子力産業の育成、これは産業育成でございます。産業育成という観点から、原子力の保安の在り方の国際化展開、また原子力協定、例えばインドとの原子力協定を結ぶとかいった、原子力協定を締結という原子力外交に至るまでの原子力産業の育成という観点からの政策を私は資源エネルギー庁に期待したいと思うんですが、エネ庁長官、いかがでございましょうか。
  34. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  原子力産業は大変、先生御指摘のように、国際的な展開を余儀なくされているというよりは、必然のものになっていると思っております。日本における原子力の技術水準、日本における原子力発電所がより安全で効率的なものになるというためには、やはり今の世界の事情の中で、最先端の世界に通用するものを造るということが前提条件になるということだと思っております。そういった面で、世界のマーケットを目指し、きちっとしたものを造っていくという日本の原子力産業の発展というものが基礎になるというふうに思っております。  幸い、御指摘のように、過去の原子力についての大変逆風の時代にも日本で原子力発電所を造り続けてきたということが蓄積になって、今世界をリードする原子力産業の一翼を日本の産業界が担っておられるということは僥幸であろうかと思いますので、この点を十分に生かしながら、原子力産業の基礎であるところの安全に関する技術、それから効率的な技術、この双方を進めていけるように、私どもとしては是非万全の環境整備を進めていきたいと思っておりますし、そのためにも、国際展開をしていくためには、この原子力は不拡散の問題等々ございますので、各国との間で必要な原子力協定などを外務省とともにつくっていくということも必要であろうと思っております。
  35. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非よろしくお願いしたいと思います。  これからインド、中国、そして東南アジアの国々が原子力発電にシフトする中、その市場をやはり我々の国のメーカーの方々にきちんと進出していただくということは、経済産業省のエネルギー政策としても、そして産業政策としても是非やっていただきたいと思います。  私の最後の質問でございますが、今回、電事連の報告をいただいたわけでございますが、やはりちょっと読んでいて私は一つ感じますのは、この対策、非常に電事連の中だけで閉じているんではないかと、十一ページにございますが、という気がします。政府、電力業界だけで取り組むんではなく、やはり国、そして私は強調したいのは、大学団体との連携をもっと強固にすべきだと思うんですが、その点いかがでございましょうか。    〔理事加納時男君退席、委員長着席〕  例えば、先ほど申し上げましたマスコミの対応などにおいても、大学の先生などにきちんとした情報を提供、発言してもらう。臨界状況という話があれば、臨界状況もいろんなレベルがあって、このレベルでしかないんですよということをちゃんとしゃべってもらうとか、そういう大学の先生との連携などが考えられると思うんですが、これにつきまして電事連と保安院からお話をお聞きしたいと思います。お願いします。
  36. 勝俣恒久

    参考人勝俣恒久君) 今先生御指摘の点でございますが、従来から各種の取組を講じているつもりではございますが、特に再発防止の観点から積極的に社外の専門家のお力を今後ともかりていきたいと考えております。  例えば、東京電力では原子力安全・品質保証会議というものを開催しておりますが、ここには大学の先生、弁護士あるいはTQCの専門家、有識者等、社外の方々が中心になりまして御意見を承る、そういった委員会もございます。また、企業倫理委員会においても、大学の先生それから弁護士さん等々が中心になった委員会というのを催して御意見を承ると、こうしたことはいたしておるところですが、さらに今後こうした点も強化してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  37. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  私ども今回の総点検の結果を受けまして、その総点検の結果の内容を評価をし、その上で対応策を取りまとめていきたいと考えております。その対応策の中におきましては、もちろん私ども国が直接取り組むことのみならず、電力会社に期待をしたいこと、またメーカーに期待をしたいこと、また先生御指摘の学識経験者等の教えもかりてそのような対応策を考えていきたいというふうに、今進めておるところでございます。
  38. 藤末健三

    ○藤末健三君 もうこれは最後に、質問じゃございませんが、是非とも今回の改ざんデータ改ざん問題を機にこの原子力発電所の安全を確固たるものにしていただきたいと思います。そしてまた、政府におかれましては、この原子力の安全のみならず、エネルギーの安定供給、そして地球環境問題への対応、そして原子力産業の育成という観点から政策を立案し、そして実施していただきたいということを願いまして、質問を終わらさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  39. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 渡辺秀央でございます。どうも大変今日は御苦労さまでございます。  今まで同僚議員の方からも専門的にもあるいはまた重要な部分についての質疑が交わされたわけでありますが、基本的に私は質問でなくて、ついこういう場になってしまうと、自分の心情を申し上げて時間を経過してしまいますので、今日は少し注意しながら皆さんに考えをお聞きいたしたいと思っております。  その前に、この委員会、今日皆さんの御意見を承るということは、一つにはもちろんいわゆる各原子力発電所における、あるいは水力火力、それぞれのところで公表されてこなかった問題が大臣の方針によって、求むるものは際限なくと私は言っているんですが、しまいには明治時代に至るまで水力なんかどうなっていたのかということまで、大げさに言うと、そんな話まで耳に入ってきているわけでありますが、まあそれがいいか悪いかは別といたします。  しかし、いずれにしても、基本的に、一昨年のこの安全・保安院の設置以来、言わばこれはという重大な事故的なことは、そう指摘されるようなものが多くあったということではない。そこはせめてもであるなという感じはいたしてはおります。  失われた信頼回復するということだけではなくて、今日の審議においては、地域の信頼、あるいはまたこの原子力発電事業というものに対する信頼回復、あるいは自信回復とでも申しましょうか、そういうことの方向性の中でマイナスを求めるのでなくてプラスを求めていくための審議であると。また、そのための御意見を承り、そのためのまた私どもも意見を述べさせてもらうということでひとつスタートをいたしたいと、これからあと三十五分しか時間がないようですから。  もう一つは、昨今のマスコミの論評、一部先ほどのNHKに関することもありましたが、いわゆる新聞報道などは、正にこれ見たことかというような、各社によってそれぞれ違いますけれども、指摘がなされている。非常にまあ私は国策というものに対する、今なおこの三分の一ぐらいの電力発電を行って、しかもクリーンな、しかもこれに代わる代替エネルギーができ上がっていない今日の中で、まだいまだにこの原子力発電、核アレルギーと同じような取扱いの中で報道が今回、同等、共有のごときに流されているということは非常に遺憾であると思っておりますし、そういうものを醸し出した原因もこれはもちろんお互い反省せにゃいかぬことだ。事業所であり、電気事業者の皆さんであり、あるいはまたある意味においては科学者もその一翼を担っていかなければならない、責任の一翼は。あるいはまた、機械メーカーの皆さんも、私は後ほど素人考えを、非常に淡泊な疑問があるようなところを申し上げたいと思いますが。  しかし、そういう中でも一部の新聞は論説で、原発不正は責めるだけでは育たないという非常に良識的な見解を述べてくださっている。「温暖化とエネルギー需要の高まりという地球規模の難題が迫っている。この二大問題を早急に解決しうる技術は原子力をおいてほかにない。原子力発電を上手に育てたい。」、これは実にいい表現ですね。上手に育てたい。今後、不正は絶対にあってはならないし、電力各社はそれを肝に銘ずることが必要であると。こういう、これは私、ちょっと非常にうれしく感じましたんで、私の考えと同じですので申し上げたわけであります。  さてそこで、経済産業省を始めとして原子力関係事業者、政治家も含めて、この原子力については五十年前の昭和三十年代の前半の草創期に戻る私は心構えが必要だと。先ほども、勝俣会長からもこの決意と反省の言葉が述べられました。全くそう思います。今や草創期に原子力に携わった人で現役で活躍している人は、当時原子力基本法などの原子力関連法律を議員立法で制定した中曽根康弘元総理大臣だけが今日存在しているという感じで、しかも先般、この記念に東京工業大学で記念講演をし、あるいはまた茨城の方でも記念講演をしてきたと。そういう中で、中曽根元総理が昨年の五十周年でしたか、五十周年のいわゆる原子力の記念の式典で行った記念講演の中で、原子力に関する提言として、一つ原子力施設は常時点検して事故を起こさないようにすることである、二点目は常時広報をよくしておき、地元との協調、協力関係を築くことなどが一番大事であると述べているわけであります。  発電所のトラブル隠しやデータ改ざんに関する今回の一連の問題は、これらの点をないがしろにした原点の真剣さと緊張感の欠如の結果なのかなという私は感じがいたしているわけであります。  草創期においては、原子力に対する核アレルギーの中にあっても、我々は経済産業の発展のためにひたむきに努力してきたわけでありますが、今回の出来事によって信頼を失墜したことは誠にざんきに堪えないところであります。国策として推進してきた政府あるいは公益事業と言われてきた電力各社がこの問題をスタート台として新たな第一歩を踏み出し、先ほど申し上げたように初心に返るということ以外、地元の信頼回復する道はないのではないかと思うんです。今や、原子力について事業者間の情報交換や市町村の信頼回復に向けて地道な努力を重ねることが必要な段階に入ったと言えるのではないかと思うが、事業者として電事連の会長考えを承りたいし、また国策として原子力発電政策を推進してきたその責任を担っている行政責任者である資源エネルギー庁長官の今後のこういった問題に対するまず所見を、簡単で結構ですから、もうお互い言い出すと言い尽くせない面がありますが、その決意だけしっかりと述べていただきたいと思います。
  40. 勝俣恒久

    参考人勝俣恒久君) お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、失われた信頼というものは一朝一夕に回復することはなかなか難しいことかと自覚しております。  二〇〇二年のときもそうでございましたんですが、その当時から、まずは情報公開の徹底、企業倫理の遵守それから職場風土の改善と地域へのいろいろな対応と、こういったことを進めてまいりましたが、まだまだ足りず、その中でこうしたことなんで、まずは基本に返りまして、そうしたことを一つずつ一つずつ地道に愚直にたゆまずやっていく、このことが大変大事だと思っている次第でございます。  特に地域との関係につきましては、コミュニケーション、対話、これをどういうふうにうまく持っていくかと。昨今なかなか、各戸訪問しても必ずしも好まれないと、こうしたことも踏まえながら、どうやって皆様方とそうした対話といったものを展開するか、その辺を是非今後、いろいろな工夫をしてまいりたいと考えております。よろしく御支援のほど、お願い申し上げます。
  41. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  先生御指摘の、中曽根元総理の御講演の内容につきましては私も熟読いたしました。当時、自主、民主、公開、平和という大原則の下に原子力を実現しようと言って努力された熱意が非常に伝わってきた、私どもも非常に感銘を受けました。そういう原点に立ち返って、今、原子力が正に世界から切望されている時代に、この地球環境問題の解決の最大のキーテクノロジーとして、私どもとしても是非とも成功、発展させていきたいというふうに思っております。  そのためにも、足下の日本の原子力立地、あるいはその原子力を支えている地域の方々の信頼醸成、回復というものが基礎であろうかと思いますので、広報広聴を始めとして、真実の世界の情勢、情報、あるいは原子力をめぐる情報公開などを含めてきちっとやっていくことによってともに正しい理解を広めていくということについて、万般、政府としても努力をしてまいりたいというふうに思っておりますので、御指導賜りたいと思っております。
  42. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 先般、私どもの方で電事連の技術の方と話し合ったんです。その席上で、マニュアルどおりの対応をしていれば恐らく問題はなかったであろうというような御発言がありまして、私は少し御注意を申し上げたんですが、世の中に私は絶対ということはないと思うんですね。それは機械において、まあそのメーカーさんおられるが、絶対にこの機械は大丈夫だなんというものはあり得るわけがない、絶対でない人間が造っているわけですから。もしあったとしたら思い上がりであると私は思いますね。  そういう意味からすると、本日出席しておられる日本原子力技術協会の理事長の石川さんが書かれた論文に、これは随分、随分というか二〇〇五年に書かれて、私、石川さんを理解するために少し、加納君が大分推薦を申し上げておられたんで読んでみたんですけれども、こう言っておられる。  現場の指針や手引は細部に至るまで整備されているが、これらの書き物は過去の経験や辛酸、技術面での急所を伝えていない。技術伝承がないのである。マニュアルに従う業務は勢い形式的になる。現場のエキスパートが少なくなった今日の保全現場においてこれは致命的な弊害ともなるということを正に警告しておられるんですな、石川さんね。当たっちゃったわけだな、非常に残念なことですけどね。  しかも、原子炉を操作する人々には、環境へのなれや人間のなれ合いがあったのではないかと私は実は、原子力安委員会の話、委員長からも、鈴木さんから話聞いたときも申し上げたんですね。全く私は、どうもそんな感じがしてならないです。どうも、緊張関係が保たれていないと再び同じようなことがまた起こるんではないか。  また、原発は、様々な安全装置を備えているというが、制御棒が何本も抜け落ちたのだから、本来ならこれ技術面において、私は、素人考えですよ、全くの素人が申し上げるアバウトな話ですけど、これはちょっと、制御棒が三本落ちた、一本落ちた、いや落ちそうだというなら別だけど、落ちて、しかも臨界までやっている。それに全事業所内に警報も鳴るようなシステムになっていないなんて、今どきちょっと、ちょっと感じでですよ、私は考えられないですね。原子炉がストップして安全を確保する仕組みがあったって当然だと思うんですね。原子力安委員会のチェックはどうであったのか、鈴木参考人に伺いたいと思います。  また同時に、人間がやることは、先ほど申し上げたように、同時に、私は人間がやることは百点満点ではないと、百点満点ということはないということを申し上げ、機械にもそれはないというふうに申し上げているわけですが、管理者として、原子炉機械メーカーとしてですよ、日立さんやあるいは東芝さん、こういうメーカー側として、今度の問題というのはマニュアルどおりやらなかったから起こった問題であるということだけの見解でありましょうか。それとも、何らかの反省の点がございましたらお聞かせいただきたい。
  43. 鈴木篤之

    政府参考人鈴木篤之君) ありがとうございます。お答え申し上げます。  先生おっしゃるように、私どもも、機械は完全でない、またそれを扱う人間も完全でない、必ず、必ずといいますか、ミスはあり得るものだと、機械も壊れるものだという前提で原子力の安全には取り組まなきゃいけないと、こう思っております。  今回のこの一連の事案でございますが、先ほど来、参考人の方々からお話がありましたように、再発防止策の基本は安全最優先だということで、この考え方を企業内、事業所内で徹底していくという、そういうお話で、これは私もそれを是非やっていただきたいと、こう思います。  しかしながら、私が思いますに、そういう精神的なものを徹底したとしても、やはり人間はどこか弱さがあって、自分のミスを余り多くの人に知ってもらいたくないとか、あるいは、これは自分のためというより会社のために、ここはこういうふうにしたい、しておきたいというような、これは私は人間の弱さだと思いますが、こういうものもやはりあり得ると、こう思わなきゃいけないと、こう思っております。そういう意味で、精神論はもちろん重要でありますが、それを強化するような具体的な対策ができるだけなされるべきだというふうに思います。  例えば、先生が例として挙げてくださいました北陸電力臨界事象に関していえば、私も現場に行かせていただいて現場の方々と意見交換させていただきましたが、そこでも思いましたのは、あそこでもやはりあの事象が発生したときにはそれなりにスクラム信号が発生、作動し、それに伴って計算機にそのときの原子炉運転状態原子炉状態というのが時々刻々取り込まれて、そして記録されていたはずなんですね。ところが、計算機の記憶容量に限界があるためにそれは今日にはその記録が残っていないと、こういう御説明なんでありますが、それはそのとおりだと思います。しかしながら、今日、先生方御存じのように、計算機の記憶容量が限界でそういうことができませんというのは現在の技術レベルでは理由にならないと私は思っております。  したがって、そういうアラーム信号、スクラム信号が作動した場合には、このときに自動的に計算機にその原子炉状態を取り込めるように今でもなっておりますから、このときのデータを記憶化するような電子的な仕組み考えていただけば、あのような事案に関する限り、そのデータ改ざんするという余地はなくなるんだと思います。そういうような現場の人たちに過度な負担を与えないという、現場の人たちに難しい判断をゆだねないという仕組みをこれも精神論と併せて是非考えていただきたいと思います。  ただ、これはなかなか規制でそれを要求するのは難しいと思っておりまして、安全委員会としては、そういう具体的な方策について安全委員会で分かる範囲においてこれから意見を言わせていただきたいと思っております。  ありがとうございました。
  44. 佐々木則夫

    参考人佐々木則夫君) 御回答申し上げます。  先ほど先生のお話のありました、やはり人間は間違えるものであると、そういうものをベースにした設計ということがなされているかと、そういった御質問だというふうに思っております。  我々、本件制御棒の落下の問題については、やはりマニュアルどおりであればという考え方は当初ございました。やはり、今回、我々がリターン運転と呼んでいるその運転をしておけば、バルブを隔離していくときに特に問題なく隔離ができると。ただし、間違えたときどうするかといったときに、今のシステムでいきますと、差圧のアラームというものがあるんですが、それを見ながら、それから制御棒の位置の確認をしながらと、やはり我々設計の中で頭で考えていると、どうしてもそういうところに行ってしまいます。やはり運転員には優しくなかった設計かなというふうな反省はございます。  そういった意味からしまして、やはり、じゃ、すべてマニュアルどおりにやればできるものが、今回、運転管理の問題でどうしても再発、多発してしまうと、こういったところを本当に考え合わせたときに、これからはそういった事象が起きたときに、さらにフィードバックが掛かって、インターロック掛かって、そういった事象が起きないという、そういった仕組みについて今BWRの事業者協議会の方でいろいろな意味での対策考えさせていただいております。是非反映させていただきたいというふうに思っております。
  45. 丸彰

    参考人(丸彰君) お答えいたします。  先生の御質問の中で、マニュアルどおりにやればそれでよかったのかという点でございます。まず、技術的に申し上げますと、要領のとおりに流量を止めて操作すれば起こらなかったということが事実でございます。  それから、先生のほかの御指摘として、そのほかに更にないかということでございますが、設備改善というのは、ヒューマンエラーをある程度前提として改善を加えていくということは非常に重要だと思います。それで、この制御棒駆動設備に関しましても工夫を現在検討しているところでありますが、これは設備を改造することに伴いまして、更にシステムが複雑化して、更に間違いを起こすと、そういうことがないように十分慎重に全体のシステムを検討する必要がございますので、そういうことを含めて検討していきたいと考えております。  それからもう一点、先生から、人の技能といいますか、そういう点御指摘ありまして、私ども非常にそれは重要なことだと考えておりまして、ここを、技能の問題について言われることが多いという、そういう認識に基づきまして、私どもでもこういう試験関係の訓練、当社の中での人の訓練とか教育とかということに特別に注意を払って更に重点化を図っているところでございます。  今回の志賀一号機の制御棒の引き抜けの問題につきましては、私どもの作業員も現場で参加いたしておりまして、それが電力会社の社員の方と十分な連絡が取れない状況があったと、そういう連絡の不十分さで起こったことであるということにつきまして、私どもからも大変反省して、もっと積極的な自主的な参画というのを考えていきたいと考えております。
  46. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 ありがとうございました。  全くの、まあ私は政治家的感性とでもいうか、この問題に三十年取り組んできた一人として、極めて幼稚なところ、昔から上手な手から水がこぼれるとよく言うことわざがありますね。そういうことにならぬように、幸い、放射能が漏れた、あるいはまた被害を受けた人が大量に出た、あるいはまた現場において被害を受けた人が隠されていた、隠ぺいされていたなどということがなかった、もうこれが本当にせめてだと思うんです。これはもう、もちろんそういうことはあってはならぬことですが、次の質問にも関連するんですけれども、ここで触れておきますがね。  私は、メーカーさんにおいても、あるいは電力事業者の場においても、どうも、極端に言うと、あるいは安全・保安院もそうかも分からぬ、この原子力というものに携わる人たちがプライドといわゆる自信と、そういうものを持つがために、かつ責任感の旺盛なために非常に別格扱いされてきたんではないか。あるいはまた、どうも社内でも、言うなら、永原さんにもちょっとお答えいただきますが、これは、言うなら事務屋さん上がりの、そんな社長辺りが分かる話じゃないよとか、あるいは重役辺りがそんなことを報告したって分かる問題じゃないわと。だから、ここでこれだけ大きな事故にもならなかったんだから、この辺、ここでお互いに暗黙の了解でこの次起こさないようにしよう、いい意味で言っているんですよ、私は。  というようなことで、これはすなわち何かというと、この原子力事業に関する特別扱い、あるいはまた、いわゆるそこに働いている人たちの自信過剰というかプライド、ある意味、いい意味ではプライド、どうもそういうものが各社、各事業所、あるいは、それは悪い意味で、何回も言うけれども、言うのではありませんよ、それも大事なことなんだ。大事なことなんだが、どうもその辺における人事管理、あるいは情報のいわゆる円滑さというものが阻害されてきている原因がありはしないかなと。でなかったら、こんなことってあるかねと。もう夜なんか目が覚めると僕は考えましたよ。社長なんか特に、勝俣さんなんかよく寝られなかったでしょうけれども、本当に僕はそういう感じでした。このことに三十年やってきた人間として、誠に残念、ざんき至極なんですね。  だから、そこら辺の問題を是非一回ほぐしてみられたらどうかなというふうに思う。特に機械メーカーの方におかれても、今これだけのIT時代であり、今お二人がおっしゃっていただいたので私は非常に了解なんです。是非そういう意味での、原子力発電所というのはもう二重にも三重にも四重にも安全になっているわけですよね。そういうことは百も二百も分かっている。ところが、地域の人たちは分かってない。地域の人たちは分かってないんです。だから、ちょっと問題が起こると全部駄目ねと、こうなっちゃうんですね。だから、それはふだんのエネルギー庁あるいは安全・保安院のPR不足であり、啓蒙不足であると。  いつも僕はこの場でも、国会でも言うように、都合のいいところは国策である、都合の悪いところは事業者だと、こういうこれだけの大きな問題を有している原子力事業。だって、完成されていないんだもの、まだ。でしょう。と思いますよ、僕は。だって、まだ永遠に探求されている、技術的にもそうでしょうし。そういう意味で、またしゃべっていると時間がなくなりますから、是非ひとつ、今おっしゃっていただいた点で御検討、更にまた御精励を期待をいたしてまいりたい。  そこでもう一つ、ちょっとさっき藤末君が触れてくれた面なんですが、私もちょっとダブって悪いんですけれども、せっかくなので石川参考人にお聞きをしておきたい。  この稼働率ですね。これ、アメリカでは二〇〇〇年のカリフォルニア州の停電騒ぎのとき以降、原子力に対する規制方法を改めた結果、発電所の稼働率が顕著に向上した。さっき藤末君が言ったように、アメリカでは約八九%行っているが、日本は六〇%台、よく行って七〇%。我が国の原子力発電に対する規制は古くなっていないんでしょうか。規制、規制ということで、どうもそういう感じがしてなりません。簡潔にちょっとお願いしたいんです、時間がなくなってきましたので、恐縮ですが。  原子力に対して、昭和三十二年に制定された原子炉等規制法に基づき様々な規制が行われている。原子力技術はその後、海外に輸出するまでに成長してきた、先ほど来の話のとおり。最先端にある原子力技術にあって、この規制というようなのは一体似合っているんだろうかという感じがしてなりません。  原発は危険ということで原子力技術における安全性や危険性だけにこだわると原子力の全体像が萎縮してしまうんではないかなという感じがいたすんです。これがさっき言った話とイコールフッティングだと私は思う。果たして規制と管理だけで地域住民の信頼回復されるかどうかという問題。ちょっと石川参考人のお考えを端的に、もうお考えよく分かっていますんで。それからこれに対して、安全・保安院長、どういうふうに考えるかということをお聞かせをいただきたい、一言ずつ。
  47. 石川迪夫

    参考人石川迪夫君) 今規制が古いのではないかというお話がございましたが、物を造る、原子力発電所を造るという規制については、もう世界共通でございますから、古いも新しいもございません。  ただ、運転をいかに安全にやっていくかという規制でございますね。これは各国千差万別でございますが。そこで、日本がこの十年間じっとしている、ほかの国はみんな良くなっている、この理由は、運転管理に対する各国の規制が自主的に事業者に運転させるようになっているからこういうふうに良くなっているわけでございます。その点、日本は、事業者がへまを重ねておりますので規制が厳しくなったのはやむを得ないかもしれませんけれども、今の保安院の規制は安全からやや外れて細かいところ細かいところまで規制をしているんで、先ほど事業者が言われたように現場に疲弊感が募り、そうしてまた誇りを失っているというところかと思います。
  48. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  私ども、原子力の安全規制につきましても常に改善をしていくことが必要であると考えております。現在の検査制度につきましても、今まで全プラント一律の検査をやっておりましたが、これから個々のプラントの運転状況や機器の安全上の重要度等の特殊性に応じた個別の検査を実施する方向で検討を進めているところでございます。定期検査の間隔につきましても、プラントごとの個別の検査仕組みの検討において考慮していくということにいたしておりまして、常に原子力の安全規制の仕組みを向上させていきたいというふうに考えております。
  49. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 保安院長、ラフに緩やかにやれよという意味を言っているんじゃないからね。これ、公式な場だから、私がいかにも規制なんというのはいい加減でいいぞというふうに受け取られたら困るんで、あえて付言をしておきますが。  さて、そういう意味で少しいろんな角度から検討をしていかなきゃならない。まあ三十年、四十年たったわけですから、これはある意味においては禍を転じて福であって、ここを初一念にしてですね、この原子力発電事業というものに対して、もう一回あの原子力発電を平和利用をやろうといった当時の草創期の、まあメーカーもですよ、あるいは事業者、もうそれは東電におかれては平岩外四、私の尊敬する大相談役おられますよね。正にそういう皆さんがみんなで、当時の経済産業省の諸君たち、学者の皆さん、みんなでやったわけですよね、メーカー、みんなが肩寄せ合って。だから、そういうことを、これは回答は要らないが、エネルギー庁長官、これは政策の推進者として、これは少なくとも長官の責任である、そういう意味の政策をもう一回いい機会だから是非考えて、必要がなければ結構ですけど、考えていただきたい。  そこで、この間私がこの場で、実は、永原さん、北陸電力の問題について一般質問の時間が若干あったんで甘利大臣にどう思うかという質問をしたんですよ。三月二十日でありました。大臣の答弁では、簡潔に言うと、これは速記録取ってもらっても分かるんですが、その第一は、法律で報告しなければならない臨界事故報告を怠った、第二は、試験をしたような改ざんを行った、第三点目は、それ以後も再発防止策を取っていなかったと、以上の三点は看過できないという事態であるというふうに、珍しく彼の性格からすると激しくここで私の質問に対して答弁をしているんです。  あなた自身、責任者として、この問題についてどういうふうに、大臣の発言あるいは今日的なことはもうよく反省のことは先ほど承っていますし、分かっていますが、大臣がこれだけのことを言っていることに対してどういう感じを持っておられるかということをお聞きをしておきたいと思います。
  50. 永原功

    参考人永原功君) お答えいたします。  大臣のお話は直接承っているわけではございませんけれども、マスコミ等を通じて拝察しております。本当に、まず申し訳ないという気持ちが第一でございまして、法律に基づいてというか、保安規定に基づいて報告をしていないという保安規定違反というのがあるのが第一でございます。これを隠しまして、もっと悪いのは、臨界事故が起こって、本来であれば、これは報告しないのがまず間違いなんですが、報告しなかったためになかったことにしなくちゃいけないと。だから、何か運転日誌も別のことを書いているとか、あるいは本来、その事故を次に生かすというか、事故を起こしたことを次に生かすというチャンスをなくしてしまったということが一番残念に思います。  したがって、事故の後の燃料影響なんかはどうだったのかと。まあ、結果的にはこれ、幸いなことに燃料に異常がないということが分かりましたけれども、これも、発電所という組織あるいは北陸電力という組織としてきちっとやっておかなくちゃいけないのを、発電所の技術課の燃料担当が自分で検討するとか、あるいは日立さんの方へそっと照会するとかやっておりまして、そういう個々人の方の才覚でやっているというところが非常に問題であったかと思います。  本当にこの件、甘利大臣にも本当に申し訳ないという思いでございますが、それゆえにこそ、こういったことは北陸電力としては二度と起こしてはいけないということで、私もそう思っておりますが、うちの幹部挙げて二度と起こさないように頑張っていきたいというふうに思っております。
  51. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 時間も参りましたが、私は、このトラブル隠しやデータ改ざんなど一連の問題について報告が大体今出そろったわけであります。所管官庁である経済産業省から、恐らく近々見解をまとめたものが公表されるものと漏れ承っております。しかも近々の様子であると感知されますが、この中で、一連の問題についての解決策が打ち出されるであろうということを私は期待して見守っております。  同時に、原子力安全・保安院としては、地域の信頼を高めるために原子力保安検査官の増員など、やっぱりこの機会に考えられたらどうかと。地域の信頼関係を醸成する具体策を、これはやっぱり考えてほしいと。これは、ある意味においては保安検査官の常駐している人たちと地域の人たちとの、まあ言うなら形式的な人間関係ではなくて自然的な、その地域に生活している人たちとの人間の交わりの中で、心の触れ合いの中で安心感、安全感というものを地域の人たちに与えていくということだろうと思うんですね。そのためには、今の一体、体制でいいのかということも是非これは考えていってほしいことであるなというふうに思います。それがどういうふうに具体的な案があなたたちの方から出てくるか、見守りたいと。  原子力発電所安全性については、そこに常駐する保安官の国による監視が実質的に行われているんだと、だから心配ないんだよという意味で、私は先ほどの地域の人たちとの交わりをやりながら、そこで大いにアナウンスをしていくということだろうと思うんですが、保安検査官の増員もできるだけ速やかにこういうときにはやった方がいいというふうに思うんです。言うならば、これは知ったかぶって言うわけではなくて、特別会計持っているわけだから、少なくとも、そういうところで幾らでも活用して生かしていったらいい、一般会計なんてばかり戻していかないで。電気事業者はそのために払っている税金ではないと私は思う。  今後も、エネルギーは経済産業立国としての我が国にとって欠くことのできない経済の血液である、これからも国民に、経済活動に安心、安全を担保することは私は政治の責任であるという見地から申し上げているわけであります。  今後も、高度な技術立国にふさわしい文化生活を国民に共有してもらうために必要不可欠なエネルギーとして、また経済産業立国を推進して経済国家としての国運を盛んにするためにも、今後この政策を私はいかに大事かという見地から一層真剣に取り組んでまいるつもりでありますが、同時に、事業者の皆さんも、あるいはまた技術者のメーカーの皆さんも、そして政府におかれても、これを機として、本当に三十、四十年前、五十年前に戻った形で一度しっかりと精査をしながらダイナミックに自信を持って私は出直していただきたいということを期待して、質問を終わりたいと思います。  大変御苦労さまでございました。ありがとうございました。
  52. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  私の持ち時間二十分でございますので、端的にいろいろとお尋ねしたいと思うんですけれども。  今御質問、皆さんからございましたように、今回明らかにされたデータ改ざん、それから事故の隠ぺいというのは本当に悪質だと。今、甘利大臣が看過できないと言われたというお話がありました。まさしくそのとおりでありますし、また永原参考人は今、二度とこういうことを起こしちゃいけないという御答弁でございましたけれども、本当にこういう問題は二度と起こしてはいけないという観点でありますけれども、ただ、今回いろいろな、何というか、痛みを伴いながら、要するに過去にさかのぼって七万人以上の聞き取り調査を行って、この際すべて過去の不正というのを、隠し続けてきたものを、この悪循環を断ち切るんだと、それから不正を許さない仕組みをつくるんだと、それから事故やトラブルの情報を共有し、再発を防止するんだと、電力会社の体質を改善するんだということから総点検をやられたわけですね、経済産業省というか大臣の指示で。ですから、それだけ徹底して総点検をすれば、こういう問題、いろいろあるでしょうけれども、ある意味では出てくるのが当たり前のことだと思うんですよ。七万人の、過去にとにかくさかのぼって徹底してやるんだと、今後のためにということでやったわけです。  ところが、何かこの発表、先ほど来ありますけれども、マスコミ報道とかなんとかでは、何か今にいろいろなものが次から次から起こっているような報道もされている。国民の皆さんも不安になっている、大丈夫かという。これは決していいことじゃないと思うんですよ。  ですから、まさしく保安院が今からこういう総点検やりますよと、そうしたときにはこういういろいろな問題も出てくるでしょう、それは分析をして今後に生かしていくんですというような、そういう国民の皆さんだとか、そうした趣旨、目的というものをマスコミの皆さんにもきちっと最初に積極的に説明をしておく必要があったんじゃないかと。こういう点検、大々的にやりますよと、今後、事故を起こさないためにやるんですよというふうに思うんですけれども、保安院、どういうふうに考えられていますか。
  53. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  今般の総点検は、甘利大臣が昨年十一月三十日に、事実を隠さずに出すようにという指示に基づきまして、不正の悪循環を断ち切り、不正を許さない仕組みをつくり上げ、事故、トラブルの情報を共有して再発防止に生かし、電力会社の体質の改善を求めるという四つのねらいで着手をしたものでございます。  先生御指摘のように、必ずしも当初、その私どものねらいが十分世の中に伝わっていなかったということもございまして、この総点検のねらいを三月二十三日にホームページに掲載をし、三月二十九日には新聞広告に掲載をして広く積極的に説明をしてきたところでございます。  この総点検の結果につきましては、しっかり評価をした上で今後の対応をまとめていきたいと考えておりますが、それらにつきましても、私どもから地元に説明に行くなど、国民の皆様に対してしっかり説明責任を果たしていきたいというふうに考えております。
  54. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、原発につきましては、賛成される方、反対の方とかいろいろおられますけれども、そういうのじゃなくて、きちっと、何といいますかね、科学的知見じゃありませんけれども、そういうふうにきちっと説明ができるものにしていかないといけないんじゃないかなと思うんですけれども。  石川参考人にお尋ねしたいんですが、今回のを見ていましたら、先ほど鈴木委員長さんが、私も素人ながら思ったんですよ、何でこれデータを修正するようなことができるのかなと。こんな問題、自動的に何かやって、自動的になっておけば、それはデータなんか改ざんって簡単にできないんじゃないかというふうに思ったんですよね。だから、そういうことがこの一番最先端の中でできないのかなと思うんですけれども。  石川参考人は、何か書いておられる中で、規制に合格することを自己目的化する安全活動の最善を求めるよう日本の原子力発電の、自己目的化にされているんじゃないかと、今。だから、規制にしても、もういろいろ出す書類はたくさんあるけれども、実際、現場の、というのは何か今の教育委員会の問題とちょっと似ているんじゃないかなと。学校の先生は教育委員会にいろいろ書類は次から次から出さないといけないけれども、実際、子供たちに目が向いてないという、教育改革、こう言われておりますけれども、そういうところがこの原子力の行政の中にもあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、石川参考人にちょっとお尋ねします。
  55. 石川迪夫

    参考人石川迪夫君) 端的に申し上げますと、今の御指摘の点は、私は存在するというふうに思っております。  先ほど、私、ちょっと各国のデータを申し上げましたように、規制緩和によりというふうな、ちょっとこれはあれでございますが、自主的な規制が事業者にできるように各国が改めた結果、この十年非常に良くなっているんだというふうに改めさせていただきたいと思いますが。  日本が先ほど非常に細かくなっている、その最たるものが私は検査だろうと思います。検査には大きく言いまして三種類ございまして、定期検査、それから安全管理審査、これは年がら年じゅうやっておりますけれども、定期検査は年一回でございますね。それから、安全保安検査というのがありますが、これが三か月に一遍やっている。年がら年じゅう、働きながら、人間の健康ドックを見ているもので、これは疲れます。こういったようなところは、しかも現在、保安院の方は品質保証というのを取っておられますので、すべてが手順書であるとか証拠であるとか、そういうものを求められますので、非常に疲れている。そうして、細かくなっているから、形式的になっていく。働いている人たちが、もう少し自主的に現場へ行って、僕はここのところはこいつはこういうふうになっているからもっと調べなくちゃいけないというのが、だんだんだんだん五十年前から、私、五十年前から原子力、おりましたので、中曽根総理に次ぐものでございますが、このころから、昔は何にも分からないものでございますから、みんな体でもって調べていっておりましたのが、今は書類、形式的になっていっているというのは非常に心配いたしております。  なお、申し上げておきますと、私たち原技協は二年前でございますから、保安院とそういうことをお話をしているんではなく、話をしながら徐々に動かしてはいっておりますけれども、まだまだ本当に序の口に付いたところだというところで終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、これは原子力だけじゃなくて、日本の何というか危機管理とかいうものも何かそういうところが非常に多いんじゃないかなという、実際起こっていることとかなんとかじゃなくて、形になっていくという、そういうものは非常に危惧するわけなんですね。  今、保安院の話が出ましたけれども、いかがですか。話合いをされて今進めているという石川参考人のお話でございましたけれども、そういうことに関する考え方というのは、保安院、今後どうされていくのか、規制の在り方的な。
  57. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  先ほど、私ども新しい検査制度の改善に向けて取り組んでいるということを申し上げたところでございます。この内容の一つといたしまして、事業者自らに保全プログラムというものを策定をしてもらいまして、その事業者の策定した保全プログラムの妥当性を私ども見た上で、その保全プログラムにのっとって検査をしていくという方向性を現在考えているところでございます。すなわち、事業者がそれぞれの原子力施設の保守管理に自ら取り組む計画を立てる、その上で私どもが要所要所を検査をしていくという方向に今検討を進めているところでございます。
  58. 弘友和夫

    弘友和夫君 電事連の勝俣参考人にもお聞きしますが、これは、それぞれの電力会社とかありますけれども、電気事業連合会として、やはり共通するというか、全体をまとめて、今回の改ざんとかそういうものをどう受け止められて、再発防止にどのように今後リーダーシップを発揮されていこうとされているのか。  それとまた、情報の共有体制、先ほどニューシアの話がちょっと出ましたけれども、だけど今回、例えば北陸の志賀のやつは、それニューシアには登録されてなかったとかいうようなことも聞いている。じゃ、登録されなかったら何にもならないわけですからね。そういう何かシステムを進めていくという、業界全体としてどう考えられているか、勝俣参考人にお伺いしたいと思います。
  59. 勝俣恒久

    参考人勝俣恒久君) お答え申し上げます。  再発防止対策の実施そのものは、正に各社個々に責任を持っていたすものでございますが、共通の場といたしましては、社長で構成しております信頼回復委員会というのがございます。そこで、それぞれがこういうことをやっている、あるいはこんな問題があるといったことを議論し、そしてそれを共通のものとしてまた実施していくと。つまり、各社でいいところがあれば、それはまたそういうことで採用するよう指示する、こうしたことも含めて実施していきたいと思っております。  また、情報の共有、この辺はPWRもBWRも、いわゆる事業者協議会、メーカーさんと一緒に言うというのはあるんですが、それ以外にも、先ほど申しました原子力施設情報公開ライブラリー、いわゆるニューシア等で情報を共有して、そこで改善策等々も一緒になって考えていく、こういったことをより一層強化するといったことで今後いわゆる再発防止対策の実現に向けて努力していきたいと考えている次第でございます。  以上でございます。
  60. 弘友和夫

    弘友和夫君 最後に、私は日本のエネルギー政策の中でこの原子力発電が占める位置というのはかなりウエートが高いというふうに思いますし、やっぱり今回失われたそういう信頼回復、これを回復するには非常にやはりよほどそれぞれの皆様が努力されないと、我々もそれは、二重、三重にやって安全ですよと言っていた端から何かいろいろ起こってくるというような、そういうことがございますので、是非挙げて御努力をお願いして、また地球温暖化の問題とかいろいろあるわけでございますので、是非頑張っていただきたいなというふうに思います。  これで終わります。
  61. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。質問時間十分でありますので、端的にお尋ねをしたいというふうに思っています。  最初に、永原参考人にお尋ねをいたします。  私は、志賀原発事故直後に発電所にお邪魔をいたしまして、いろいろ事故報告聞かせていただきましてありがとうございました。このたび事故調査報告が出まして、要約版でありますが、それを拝見させていただきました。結論を言いまして、納得できないところがやっぱり多々あると、こういうふうに思っております。  とりわけ、事実関係のところでありますが、皆さんは保安規定違反だとか臨界事故のことは認められておりますけれども、それにかかわってどういう意思決定が行われたのかとか、あるいは事故記録改ざんがどういうふうに経緯でなされたのか、この辺のくだりにつきましては全く説得力がない。例えば、すべて発電所の所長以下十四名の方が協議をしてここで隠すということを決めたと、本社は一切知らないと。あるいは、いろんな事故データ改ざんされました。私も現場でいろいろお話をお聞きしました。コピーだけは残って現物がないとか、だれが指示して、だれがそういうことにかかわったのか、これみんな分からないと、こういう報告になっていますよ。これで果たして地元の皆さん納得するでしょうか。私は再調査があって当然だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  62. 永原功

    参考人永原功君) お答えいたします。  今、志賀臨界事故につきまして、志賀発電所で所長以下十四名の一応会議というか打合せがあって、その場で事故報告しないでおこうということを決めたことにつきまして、納得がいかないというか、分からないと。  これ、私ども、個々の細部につきましては、八年前の出来事でございまして、証拠とか残っていないものもございますので不明な部分はあるというふうには存じますが、全体としては、発電所で所長以下がこれなかったことにしようというか、報告しないでおこうと決めたのは間違いないと思います。逆に、本店の方が知っておったかというと、ここが全くつながらないというか、本店の方の隠すということについて関与はなかったということであります。  この点は、うちの方も社内で一生懸命調査しましたし、ほかには社外の弁護団の先生にもお願いしまして、幹部の方等について調査してもらいましたので、再度申し上げますけれども、細部については不明、疑問の残るところはありますが、当時の臨界事故につきましては、北陸電力発電所において臨界事故が起こって、これを報告していないという事件があったということは大筋は変わりませんので、再調査の必要はないというふうに考えております。
  63. 近藤正道

    近藤正道君 全くこれは納得できないというふうに思いますよ。  さっき言いましたように、事故の隠ぺい経過についてはほとんど不明で分からない。八年前なんというのはそんな大昔じゃないですよ、それは。ここについて全部分からない、これではとてもうみを出したことにはならない。それはもう総理大臣以下、甘利大臣もうみを徹底的に出せと言っているにもかかわらず、皆さんの報告書は肝心な部分が全部あいまいですよ。これは大臣の指示にも私はもとるものだと、こういうふうに私は思います。それは再調査をやっぱりすべきだ、強く求めておきたいというふうに思っています。  次に、勝俣参考人にお尋ねしたいと思います。  私は、原発が今、日本のエネルギーの中で占める割合を知っています。だから、それは重要だと思っていますが、重要であるならばなるほど、やっぱり時には泣いて馬謖を切る、信賞必罰をはっきりさせる、そういうことが私は必要だ、厳しくいくべきだと、こういうふうに思いますよ。皆さんはこの間何度も、勝俣参考人もそうですし、武黒参考人もそうですけれども、いろんな原発の地元自治体へ行って、議会へ行って頭を下げられて、二度とこういうことを起こさない、こういう発言をずっとされています。何度頭を下げられたら皆さんはいいのか、そういう思いが私は非常にしております。  うみは徹頭徹尾出せということでありますが、皆さんは昨日の衆議院のこの経産の委員会で、うみをこれで完全に出し切った、これで本当に出し切ったのかというふうに問われて、出し切ったというふうには断言できないと、まだ出るかもしらぬと、こういうふうに答弁されていますよ。これは一体どういうことですか、これは。これだけの問題を起こしながら、まだ出し切っていない、出し切りましたというふうに断言できない。一体どういう体質なのか、勝俣参考人にお尋ねをしたい。  こんな下で、先ほど来、世界の流れが原発の自主検査の方に移行する、日本の国もそうしてもらいたいと。私は、一般論としては分からぬわけではないけれども、こんな状況の下でどうして言わば検査の規制緩和なんということを国民が納得するんですか。それをきちっと説得力を持って言うためには、出し切ったということは何で言えないんですか、お答えください。
  64. 勝俣恒久

    参考人勝俣恒久君) 私ども、この四か月間、正に総力を挙げて調査点検をいたしました。そして、これは、書類類、データ類それから人間の記憶、こうしたことも含めて、ありとあらゆる手段によりまして調査点検をいたしたつもりです。したがって、調査をしっかりやったかと言われたら、もうこれは正に誠心誠意、徹底的にいたしましたということを断言できる自信がございます。  しかしながら、原子力発電所というのは、建設時代からいいますと五十年の歴史を持っております。そこには正に膨大なデータ、書類もございます。データ、書類だけを見ただけではその不正事項を暴けないということも今回の場合に判明いたしました。ということは、人間が対応にかかわっているその記憶に頼るということでございます。今、私どもの発電所で、三発電所で約一万人の方が働いております。そうしたことの五十年の歴史、そうした中でいろいろなことが起こっている。あるいは記憶にないことが言わばグループ討議等々によって呼び起こされた、あるいは触発されたということで今回かなり至近になって出てきたということもございます。  そういった中で、正にクリーンルームに何か掃除機を掛けてやったのと全く話が違います。そうしたことで、私は断言できないということを申しておるところでございます。
  65. 近藤正道

    近藤正道君 厳正な対処を私は安倍総理にも求めましたし、安倍総理も、体質改善をしてもらうと、今回の隠ぺい、改ざんについては厳正に対処する、こういうふうに言っておられます。  私は、今も言いましたように、やっぱり信賞必罰は明確にすべきだと、そのことをしっかりやった上で原発が残るんなら、やっぱりちゃんとこれから日本の国の中で生きていくんだと思いますよ。大事だからかばうなどということは、私は決してあってはならない、それは厳正に信賞必罰をはっきりさせるべきだと、こういうふうに思っています。  そういう意味で、今回はとりわけ、先ほどAクラス、六事案七件の重大、深刻事案が出ておりますけれども、保安院、厳正な対処は近く行われるんですね、これは。例えば、水力等については、水利用の許可についてはいったん取り消して、もう一度地元の同意の下から手続をやり直すというようなことも行われているようでありますが、私は行政処分は厳正にやっぱりやるべきだと。これだけのことをやって何もおとがめがないなんということは、正に国民の原子力行政に対する不信をやっぱり私は増大させることになる。私は厳正な対処こそ今必要だと、こういうふうに思いますが、これ何度も聞いておりますが、重ねて御答弁お願いします。
  66. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  今回の総点検の結果につきましては、まず原子力安全・保安院として評価をいたします。その評価の結果を踏まえまして、行政処分の可能性も含めた今後の対応を取りまとめていくということにいたしております。
  67. 近藤正道

    近藤正道君 もう一つでありますが、即発臨界のことですね。  先ほど石川参考人からお話をお聞きしました。ケースによってはその危険は非常にあるということで、同時に日本の原発については即発臨界の防止対策は必ずしも十分なのかなという、そういう問題提起もあったようでありますが、保安院、そういう石川参考人のコメント等も新聞に載っておるんですが、この即発臨界の防止対策については今後何か検討、対策は取られるんでしょうか。
  68. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) 今回の志賀一号機の臨界事故につきましては、私ども詳細に技術面、管理面から検討をいたしております。この臨界事象がどうであったのかということの評価につきましても私どもの報告書の中に取りまとめたいと考えております。
  69. 近藤正道

    近藤正道君 終わります。
  70. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 最後に質問させていただきます、無所属の鈴木陽悦でございます。よろしくお願いいたします。  私がこの委員会で初めて行った質問は、三年前の関西電力の美浜原発の配管事故でございました。十一人が死傷するという大変痛ましい事故でございまして、委員会のメンバーと現地も視察させていただきました。その中の反省点として、私その当時の委員会で言わせていただいたのは、配管の老朽化よりも人間の安全意識に対する老朽化の方が問題だというふうに指摘をさせていただきました。  今回は、データ改ざんとか制御棒抜け落ちたということで、内容は違いますが、しかしながら、安全文化の醸成という、それともう一つ、情報の水平展開という防止策をあれほど何度も申し述べたにもかかわらず、またまた同じような指摘をしなければならないわけで、一体この三年間というのは、さっき石川先生、空白の十年というのがありましたが、私は、この三年間この委員会でいろいろ原子力についてやってきましたが、何だったのかとちょっと疑心暗鬼に陥ってしまう部分ございます。こうしたことの反省は、先ほど来皆さんの発言で十分分かりました。もう繰り返してはならないと、固くお約束をいただいたというものと私は受け止めさせていただいています。  そこで、二、三質問させていただきますが、今回のデータ改ざんなどは経産大臣の、甘利大臣の強い意思が働いて先月末までに提出しろという中で出てきたことなんですが、先ほども申しましたが、過去の事故での反省が事業者の中でといいますか、事業者連合の中で生かされてきたかといえば、必ずしもそうではなかったということが言えると思います。今回も再発防止策をお示しでございますけれども、実態として、国の指示、それも大臣の指示がきっかけで行われた。これでは一体何のための防止策なのかと言わざるを得ないと思います。それこそが自助努力であり、また自浄作用といいましょうか、そうしたものが働かなければ信頼回復にはつながらないのではないかと思うんですが、今後の防止策に対する、大変、何回も同じことの質問になるかもしれませんが、最後の質問者でございますので、勝俣会長から今後の防止策に対する御決意とともに自浄作用に対する御見解、これを伺えればと思います。
  71. 勝俣恒久

    参考人勝俣恒久君) お答えいたします。  二〇〇二年の東京電力の不祥事、二〇〇四年の美浜事故等々踏まえまして、私ども電力会社は、各社ともデータ改ざんをしない企業風土とか、しっかりと物が言える風通しのいい職場づくりということに取り組んでまいりました。それはそれなりに一定の成果はあったと思いますが、まだ足らざるところが多々あったというのも事実でございます。  そうしたことが、ある意味で今回大臣の御指示によりまして徹底的に洗い出しましてその過去のものが出てきたということで、この辺のところは誠に申し訳なく、本来例えば私ども二〇〇二年にいたしたときに出ていればもっと早くいろいろな問題が解決できたということで、誠に申し訳ない次第でございます。  そうしたことで、これまで私どもが取り上げてきた再発防止対策の経験でいいますと、その基本は一つは情報公開の徹底と思っております。私ども東京電力事例でいえば、大体今、年間一万二千件ぐらい、すべてありとあらゆることをほとんど出していると言ってよろしいかと思います。この情報公開というのは、ある意味で大変牽制力になると、それぞれの行為を、変なことをしない牽制力になっているかと思います。  もちろん、それからもう一つ企業倫理の遵守。  そして、三番目にはやはりコミュニケーションだと思います。これは、会社内の縦横斜めもそうなんですが、メーカーさんとか協力企業を含めた言わば発電所で働く人々全体がコミュニケーションを良くする、情報共有すると。そうしたことを基本にしながら、あと例えばルールと、法令あるいは社内ルールと実態とのそごがあると、やはり現場というのはどうしてもそこのところでルーズになりがちだと、そういったことの是正。こうしたことを基本に今これまで進めてきて、それなりに成果は出ているんですが、まだまだ足りない。  そうしたことを踏まえまして、今回各社でお話し合いをしながら、足らざるところを拡充して着実に一歩一歩進めていくということが肝要と思っておりまして、多少時間も掛かるかもしれませんが、焦らずやることが言わば急がば回れの道かなということで判断している次第でございます。
  72. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 ありがとうございました。  ただ、ある専門誌では、定期検査の基準と保安規定の基準には理解に差が生じているんじゃないかと指摘する文面もありまして、規制の一貫性から好ましくないとする、そういった見解も出されておりました。こうした言わば現場での声というのも今後の安全に是非生かしていかなくてはならないと思います。  そこで、今回の指示を受けて、何回もお話出ていますが、七万人以上の関係者から事情聴取したということですが、反省は反省として速やかな信頼回復に向けての取組、これはもう一刻も早く行わなければならない。今会長からは急がば回れという話もありましたが、いろんな意味で急ぐ部分は急いでいただかなきゃいけないと思っております。  再発防止の具体策をいろいろと伺ってまいりましたが、より踏み込んだ具体策というのはどのように考えていらっしゃるのか、今すぐ動き出さなきゃいけない部分もあると思うんですが、その辺どうでしょうか、会長に伺います。
  73. 勝俣恒久

    参考人勝俣恒久君) 再発防止対策におきましても特効薬というのはないんで、一つ一つもうありとあらゆるいいと思ったことをどんどんやっていくんですが、まだ私どもの重点として特に急がなければいけないということは、地域の皆さん方にどうやって対話を深め理解をしていただくかと、そこの工夫で、例えば定期検査をやっている、我々の発電所で働いている人たちを、言わばPR館とか、あるいは市町村の集会のところでごらんいただくとか、そういったことを含めていかに地域の皆様方発電所を親身なものと思っていただくような仕掛け、仕組み、行動を起こすかと、そういうことかと考えております。
  74. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 ありがとうございました。  制御棒に例えるというのは余り例えは良くないんですが、いわゆる安心、安全、さらには信頼という棒が今回の一連のデータ改ざんとかの発覚で抜け落ちてしまったわけで、これを元に戻すというのはやっぱりかなり相当後退した部分からのスタート、再スタートになると思いますので、その点は地元の皆さん、国民の皆さん、しっかりと目線を据えながら頑張っていただきたいと思います。  こうした具体的な取組を受けて、最後に安全・保安院に伺いたいんですが、今回の連合会から示された再発防止策についてどのように評価するのか。  また、気になるのは、志賀原発の中央制御室で十五分間にたしか十二回の警報が鳴らされたというふうに聞いておりますけれども、国への伝達については時間のずれがありましたんですよね。  確かに、安全管理については事業者が全責任を負うところとされていますが、現在では保安院からも検査官の方が派遣されているわけでありまして、トラブル発生の第一報の伝達、それから連絡経路の確立というのはこれ必要じゃないかと思うんですが、今回のその一連のトラブル発覚で各社で対応策が取られるようでございますが、保安院として、例えば同時通報システムの確立など統一的な指導も必要だと思うんですが、その辺のお考えを聞かせてください。
  75. 広瀬研吉

    政府参考人広瀬研吉君) お答え申し上げます。  第一点目の電力会社の再発防止策につきましては、私ども今検討をしておるところでございます。特に、先ほど申し上げました総点検の四つのねらいを達成することになっているか、また具体性があるかなどの観点から、現在、再発防止策についても評価をし、私どもの見解を取りまとめたいと考えております。  第二点でございます。私ども各施設に原子力保安検査官を常駐をさせております。この原子力施設保安検査官は、定期の保安検査に加えまして日常の巡視点検を行っており、常に原子力発電所運転状況の把握に努めておるところでございます。これに加えまして、特に原子力防災の観点から、保安検査官事務所が置かれておるオフサイトセンターに緊急時に原子力発電所のプラント情報を把握をする緊急時対策支援システムが整備をされておりまして、原子力発電所原子炉圧力などの情報がオンラインで確認できる体制を整えてございます。  これからも情報の的確な把握につきましては更に取り組んでいきたいと考えております。
  76. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 ありがとうございました。  時間でございますので、終わります。
  77. 伊達忠一

    委員長伊達忠一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時七分散会