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2007-06-07 第166回国会 参議院 外交防衛委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年六月七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任         小池 正勝君     川口 順子君  六月七日     辞任         補欠選任         福島啓史郎君     松村 祥史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田浦  直君     理 事                 岡田 直樹君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                 浅野 勝人君                北川イッセイ君                 小泉 昭男君                 関口 昌一君                 松村 祥史君                 犬塚 直史君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 白  眞勲君                 浜田 昌良君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君        防衛大臣     久間 章生君        国務大臣        (内閣官房長官) 塩崎 恭久君    副大臣        外務大臣    浅野 勝人君        防衛大臣    木村 隆秀君    大臣政務官        外務大臣政務官  関口 昌一君        外務大臣政務官  浜田 昌良君        防衛大臣政務官 北川イッセイ君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       山浦 耕志君        内閣官房内閣審        議官       鈴木 敏郎君        内閣官房内閣参        事官       下川眞樹太君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  米田  壯君        警察庁警備局長  米村 敏朗君        外務大臣官房審        議官       長嶺 安政君        外務大臣官房審        議官       佐渡島志郎君        外務大臣官房審        議官       梅本 和義君        外務大臣官房参        事官       伊原 純一君        外務大臣官房参        事官       片上 慶一君        外務大臣官房参        事官       高橋礼一郎君        外務省中南米局        長        三輪  昭君        外務省中東アフ        リカ局長     奥田 紀宏君        外務省国際法局        長        小松 一郎君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        海上保安庁警備        救難監      冨賀見栄一君        防衛省防衛参事        官        辻   優君        防衛省防衛参事        官        小川 秀樹君        防衛大臣官房長  西川 徹矢君        防衛省防衛政策        局長       大古 和雄君        防衛省運用企画        局長       山崎信之郎君        防衛省人事教育        局長       増田 好平君        防衛施設庁長官  北原 巖男君        防衛施設庁施設        部長       渡部  厚君        防衛施設庁建設        部長       千田  彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動実施に関する特別措置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五日、小池正勝君が委員辞任され、その補欠として川口順子君が選任されました。     ─────────────
  3. 田浦直

    委員長田浦直君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官山浦耕志君外二十四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 田浦直

    委員長田浦直君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 おはようございます。日本共産党緒方靖夫です。  私は、今日、陸上自衛隊情報保全隊活動について質問をいたします。  昨日、我が党の志位委員長記者会見を行い、陸自の情報保全隊内部文書を明らかにいたしました。これは我が党が自衛隊関係者から入手したものです。委員会には、大部になりますので、抜粋したものを配付したいと思います。資料Aは、陸上自衛隊東北方面情報保全隊で収集され、一週間単位で分析したもの。資料Bは、「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力反対動向」と題する情報保全隊作成文書で、これには東北情報保全隊情報も加えられ、全国五つ情報保全隊情報が総合され、解析されております。  当時大きな問題になっておりましたイラクへの自衛隊派遣とその反対運動について、集会、街宣、抗議、申入れなど、共産党、これはPとなっておりますけれども、社民党、これはSとなっておりますけれども、また民主党、GLとなっておりますけれども、そういった政党、全労連、連合などの労働組合市民、宗教などあらゆる団体動き地方議会議員動向が集約されております。市街地における監視対象は、二〇〇四年の六週間分だけで、政党労働組合市民団体個人など、四十都道府県、二百八十九団体個人に上っております。  防衛大臣にお尋ねいたします。  政党市民団体個人調査するというこの種の情報活動はやってこられたんですか。
  7. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 自衛隊におきましては、自衛隊行動に対していろんな賛成反対、いろんなことがあろうと思いますから、絶えずそういうことについての情報収集は行っております。
  8. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 やってこられたと。
  9. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 情報収集は行っております。
  10. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 やってこられたと。  私は、こうした市民団体から個人からあらゆる形で情報を収集する、そしてそれを整理して集約する。これが自衛隊が進めている、これは全く理屈に合わないことだと思います。
  11. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、それは必ずしもそう言えないわけでありまして、自衛隊行動について、賛成の場合もあるし反対の場合もあるわけでありまして、こういうような賛成動きがあります、こういうような反対動きがあります、そういうことについてやはりちゃんと情報収集して分析をすることは、決して悪いことじゃないんじゃないでしょうか。
  12. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 とんでもないですよ。自衛隊活動関係ないことまでやられている。  この文書の中には、年金改悪反対運動医療費負担増の凍結・見直しの運動に関するそうした情報まで記録されているわけです。こうしたことは自衛隊と全く関係ないじゃありませんか。
  13. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それはいろんな集会で、例えばイラクに行っている自衛隊について賛成反対、それぞれあると思いますけれども、そのときにそのほかのことについても触れられた場合は、併せてそれを記録したとしても、それは別におかしいことじゃないと思います。付随していろんなことが一緒に語られたというときには、その状況について触れることは構わないんじゃないでしょうか。
  14. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 とんでもないですよ。少なくとも、イラク関係したことであっても、私は非常に重大だと思います。市民表現の自由あるいは結社の自由、そうしたものについてそれに公然と踏み入る、そうした行動、それに対して侵害することになる。そして、更に加えて、自衛隊関係ない、そしてイラク自衛隊派遣関係ない、そういった事柄まで情報を収集する、どうしてこうしたことが許されるんですか。
  15. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは別に人のあれを踏みにじるようなことじゃないわけでして、こういうような団体がこういうような集会を持っておりましたというのを、そういう公開の場で、出掛けていって、そういうことが行われておったということを事実として把握するだけの話ですから、表現の自由を抑えるわけでも何でもないし、踏み込んだということにはならないわけですね。  そして、そのときに、例えばチラシの中に同じようなことでほかのことが書いてあったとして、それを一緒にそのチラシを持って帰ってきたとしても、それは別におかしくないわけでありまして、そのための集会があっているのに出掛けていくというのはまあ無駄なことかもしれませんけれども、イラクの問題について集会があっていて、そのとき配られたチラシの中にこういう問題もありましたよということを併せて報告したとしても、それは別に報告事項として悪いことをしたことにはならないんじゃないでしょうか。そういう、やってないことまで、そういうこと書いてないことまで書いてあったというふうに虚偽の報告するならそれはおかしいですけれども、一緒にそれに報告があった場合には、全然それは法に触れることでも何でもないと思いますよ。
  16. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それはへ理屈ですよ。だって、おかしいじゃないですか。
  17. 久間章生

    国務大臣久間章生君) おかしくないですよ。
  18. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 おかしいですよ。だって、自衛隊活動関係ない情報まですべて把握しようとする。それじゃ、一体、情報保全隊という、それは何をするところか、それが問題ですよ。  いいですか、私はこの問題で一つ基本的なことを確認したいと思います。情報保全隊というのは、この調査対象については明確な答弁があるわけです。情報保全隊設置法律を作る際の衆議院平成十四年四月四日の審議で、当時の中谷防衛庁長官は我が党の赤嶺議員に対して、赤嶺議員が、自衛隊員だけでなく民間人情報保全隊による情報収集対象になるのかと、そういう質問に対して、あらかじめ防衛秘密を取り扱う者として指定した者、関係者のみに限定する、そう答弁しております。  この答弁のとおりで考えれば、明らかにそうしたことはできるんですか。
  19. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 情報保全隊防衛秘密の、そのもの取扱者だけに限定して情報を収集しなければならないというのは、私は理に合わないと思いますね。  私は、その法律を作るときに直接は関係しておりませんけれども、法律一般論として、情報保全隊の業務としてはもっと幅広く防衛に関することについての情報を収集することができるようになっているんじゃないですか。法律を素直に読めばいいと思いますね。
  20. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大臣が国会の場で、法律を作るときに、対象についてはこうした限定をしている、あらかじめ防衛機密を取り扱う者として指定した関係者のみに限定すると、そう言っているじゃないですか。
  21. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そのときの答弁のやつを今やっと資料が来ましたので見てみましたら、中谷長官は、防衛秘密漏えい罪適用範囲防衛秘密を取り扱う者に限定される者を述べたものであり、情報保全隊情報収集活動対象範囲について述べたものではないというふうになっております。
  22. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 その点はやはり法律を作るときに明確に、こうした問題について、防衛機密を取り扱う者として指定された者に、関係者のみに限定すると言っている、このことは明確なわけですよ。このことを法律を作るときに公に述べておきながら、なぜそのことを明確にしないのか。おかしいじゃないですか。
  23. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 赤嶺委員はそのとき、防衛秘密は、昨年の議論の中でも、自衛隊員だけではなくて防衛産業労働者マスコミ関係者など民間人対象として、漏えいした場合には最高五年の懲役を科すというものです、だから当然、自衛隊員だけでなく民間人情報保全隊の隊員による情報収集対象になるわけですねということで、防衛秘密限定しての質問をしておられます。それに対して中谷長官は、この対象につきましては、法律のときに議論したわけでございますけれども、あらかじめ防衛秘密を取り扱う者として指定をした関係者のみに限定するわけであります。  防衛秘密漏えい罪についての議論の中でその対象者を言っているわけでありまして、情報保全隊情報収集一般に広くして悪いということは一言も言ってないわけですよ。そこのところは勘違いしないでください。
  24. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 勘違いしておりません。  要するに、この情報保全隊任務、これは、言ってしまえば、隊の機密保全、それに当たることが任務であるということを明らかにしております。そしてさらに、この問題について、明らかに対象についてはこうした形での限定をしているわけですよ。
  25. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 今の質問ですが、さっきから何回も答えておりますように、情報保全隊は幅広く情報収集が、自衛隊行動に関することについても情報収集することができるわけですよ。ただ、秘密漏えい罪議論の中では、そのときには、秘密漏えいに関することについては今言ったような限定をしているということであります。
  26. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 納得できません。  それでは、大臣が最初に、そうした活動をしておりますと、そう答えられました。それについて、どういう活動をしているのか。  例えば、この文書で、昨日私は大臣にお届けいたしましたけれども、ここに書かれているような、こういう活動をされているんですか。
  27. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 文書そのものが正当なものかどうかについては私はつまびらかにできませんけれども。といいますのは、これはもう別に秘密文書でもないし、もうとにかく三週間たったら破棄していい文書になっておりますから、それそのものが私の手元に原本もございませんので対比をするわけにはいきませんけれども、いずれにしましても、そういう情報収集活動は従来も行ってまいりましたし、また必要に応じて、自衛隊行動に関して賛成の場合も反対の場合も、いろんなこういうような状況でこう動いていますよということについては情報収集するのはごく自然なことじゃないでしょうか。
  28. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そして、情報収集して文書にまとめる、こういうことをされているわけですね。
  29. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 文書にまとめることもありますし、もうまとめないでそのまま破棄することもあります。  いずれにしましても、情報を収集した文書については三週間ぐらいで破棄するというふうなことにしておりますから。
  30. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 こうした文書、ここにありますけれども、こういう形で文書が作成される、そしてこれは様々な形で市民団体等々の動きを事細かに示している。そうしたこと、これをあなた方やっているんじゃありませんか。
  31. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 何か市民団体市民団体とおっしゃいますけれども、市民団体でもいいですよ、それは。市民団体のそういう人たち動きが、国民全体の盛り上がりの中でそれが非常に多くなってくれば、こういう動きがあるから現在のこういうことはやめようとか、そういう判断材料になるわけですよ。反対の一部が非常に少なかったら反対はごく少なかったという判断して堂々とまたやれるわけですから、情報収集することがなぜ悪いのか、そこのところの、どうも基本的にみんなの動き情報収集することは悪いことかのように思っておられること自体がもうおかしいんじゃないでしょうか。  世間動きを正確にキャッチすることが本当は一番大事なことでありますから、反対運動があっておればあっているとして、反対運動が小さければ小さいとして、反対運動が大きければ大きいとして、それを正確に情報を収集することは決して悪いことじゃないんじゃないでしょうか。
  32. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それが、私が言っているのは、市民民主主義、それから人権、プライバシーにかかわる、そうしたことに入り込んでいるという、そのことを言っているんですよ。私は、様々な情報収集をしている、このことについては大臣認められました。そして……
  33. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ただ、情報収集するとき、さもこっそりやっているかのような印象を非常に強く言っておられますから、そうじゃないということをあえて言っておきます。  とにかく、いろんな公開の場に出掛けていって情報収集する。例えば、盗聴をするとか尾行して情報収集するとか、そういうことだったら今おっしゃるようなことで、それはけしからぬと言われていいと思いますけれども、そうじゃなくて、公開の場で出掛けていってどういうことを言われているか、そういうような同調者がどれだけ多いか少ないか、そういったことについて情報収集することについては今までもやってまいりましたし、それ自体は決して悪いことじゃないと思いますよ。
  34. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は、この文書の中で様々な形でジャーナリストや高校生や、あるいは著名人文化人や、そういう動向について事細かに調べて、そしてそれを集約して、そしてそれを情報として配付している、そうした活動が問題だと言っているんですよ。  それで、その際に、私は一つ確認したいわけですけれども、様々な情報活動をしているとおっしゃられた。そして、それを文書にもしたり、しない場合もあると言われた。そして、私たちがお示しした、大臣にも昨日お届けいたしましたけれども、こうした文書、これについて、これが自衛隊文書かどうか、その点ははっきりしてください。
  35. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 正直言って、私に届けたと言われますが、防衛省に届けられたんだと思いますけど、私自身にはおたくの党の関係者からもらっておりませんけれども、内部から、志位委員長がこういう形で配られましたというのは見ました。しかしながら、それが正式な公文書かどうかについては、まだちょっとチェックもできていないんですよ。といいますのは、さっき言ったように、文書そのもの秘密文書だったら保存しておりますし、保存義務がある文書だったらありますけれども、そういうやつの情報収集したやつについては、もう三週間、場合によって、物によって違いますけど、三週間で破棄していいということになっておりますから、全部残っているという保証もないわけでございまして、だから、どういう形でやっているのか、その辺ちょっとつまびらかじゃございませんので、今それについて論評は避けますけれども。
  36. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は昨日、大臣にということで、防衛庁の係員にお渡ししました。いずれにしても、その文書を読まれているから明らかです。  それで、これについて、どうか分からない、破棄しているからどうか分からないと言われるけれども、しかしこれについては元々大本があるはずですよ。しかも、この部隊というのは大臣が直轄している、そういう部隊じゃありませんか。ですから、私はこれについて、はっきりとこれが自分たち文書かどうかということを今でも言う必要があると思いますけれども、その点は今おっしゃられないと言われました。それならば、やっぱりきちっと調べる、そのことが必要じゃありませんか。
  37. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 保存文書であるならば、調べて一ページごとにそういうのが正しい正しくないというのは言えますけれども、それそのもの保存文書でございませんから、調べてきちっとしたものが出てくるかどうか、それもありますので、自衛隊の中のだれかがそういう文書を持っておって、そういうのがたまたま見付かれば、その言われたやつがそれと同じであるから多分そうだろうと、そのときに配られたものであろうというふうなことは言えるかもしれませんが、そういうような文書じゃありませんので、今ここでそれについてチェックしようがないというのが私の偽らない心情であります。
  38. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それは無責任ですよ。だってね、……
  39. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 無責任じゃないですよ。
  40. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 いや、無責任ですよ。  だってね、やはり責任を持ってこういったことについて示す必要があるんですよ、立場からして。
  41. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 防衛省、当時は防衛庁でしょう、防衛庁が対外的にどこか文書を出したやつが、これは正しいかどうか、それは信憑性があるかどうかについてチェックしろと言われれば、それはあれですけれども、内部でやり取りした文書について、それは外部の人からその文書がどうだ、おれはこっそり手に入れたけれども、おまえこれは正しいかどうかと言われて調べろと言われても、それは保存義務のない文書についてそれをやらなきゃならないということにはならないんですよ。そこのところの違いを御理解いただきたいと思います。外部に対して出した文書ならば、防衛省として責任持ってこの文書については正しいですとかあるいは間違っていましたということで言わなければなりませんけれども。
  42. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 とんでもないですよ。これは内部文書だから、そしてしかも、これは外に出ちゃいけない文書なんですよ。そのはずですよ。
  43. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そんなことないですよ。
  44. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 だから、こういう文書に対して、やはりこれについて確認できない、それ自身が私はおかしいと思いますよ。だって、それならば大臣、この文書自衛隊文書じゃないとはっきりと断言できますか。
  45. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、それは違うということが断言できないから今みたいな答弁しているんですよ。そして、それが外に出ていけない文書ならば庁秘としてマル秘として扱われるわけですよ。そういう扱いはしてないわけですから。それをもらった人がほかに渡したとしても、それは防衛秘密としてあるいは公務員法秘密としてそれが罰せられることにはならないわけですよ。  だから、そういうようなたぐいの文書で、それもしかも、見たらもう破棄しなさい、破棄しても構いませんというそういうたぐいの文書です。
  46. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 確認できない、しかし否定はできない、そういうことですよね。否定できない。それならば、やはりあらゆる手を尽くして調べていただく。要求します。
  47. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 別に調べる必要もないと思いますよ、内部文書ですから。それが共産党さんあてに何か出しているとか、世間に出している文書ならばそれは大変ですけれども。内部でやり取りした文書ですから、内部でそれを別に調べてどうだったこうだったということはあるとしても、それはもう過去の話について、しかも保存文書じゃないわけですから調べようもないわけでありますので、それでこれ全部が正しいかどうか。しかしながら、情報収集しておったのは事実ですから、そういう事実そのものを私は否定しておるわけじゃないわけでありますので。
  48. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大臣は、調査を行い、そして文書にまとめたりまとめなかったりするけれども、文書にまとめたと、そう御答弁されました。それは確認いたします。  そうすると、一体何をしたのかと。具体的に例えばデモとか、あるいは宗教人とか、あるいはジャーナリストとか新聞記者とか、そういう人々のそういう個人情報を集めるとか、そういうことをされているんですか。
  49. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 個人情報を集めようとしてやったのか、あるいは会合に行ったときにこういう人がこういうような話をしましたということでその人の名前が出てきているのか、あるいはこういう人がこういうことを新聞等でこういうふうに書いておりましたということをその情報収集の一環として書いたのか。いずれにせよ、その言ったこと自体がもう公表されているわけですから、秘密のことをこっそり聞き出して、そして情報収集したわけじゃありませんので。公に、例えば今言われた宗教人でもいいですよ、ジャーナリストでもいいですよ、それは公に言ったことをこういう人がこういうふうに言っておりますよと、映画監督がこういうふうに言いましたよということを書いているわけですから、それ自体はそんなに問題視することじゃないんじゃないでしょうか。
  50. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そんな公にされていない、そういったことも含めて書かれているわけですよ。例えば、ある市民自衛隊基地に行く、朝霞駐屯地の広報センターに行く、そういう資料もあります。それについてどういう質問をして、こうこうこうしたと、そういったことまで全部把握している。あるいは、東富士演習場に私たちの党の村会議員が行って、そこでアメリカの将校と話した内容、そうしたことについてもすべて事細かに述べられている。そういうことすべて、あるいは、最初に言いましたけれども年金や消費税や様々な、あるいは文化行事の小林多喜二展とか、そういったことまで事細かに集めている。そういったことがどうして自衛隊活動関係あるのか。そういうことになるじゃないですか。
  51. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 例えば村会議員の皆さんが抗議に来られたということを黙って聞き流しておくのと、こういう抗議に来られましたということを内部文書として報告するのと、どちらがいいか悪いかは、それは一概に言えないですよ。しなかったらいいんですか。ちゃんとこういう抗議がありましたということを報告する方がいい場合だってあるわけですから。だから、それはまた別の話だと思いますよ。だから、人の名前を、抗議のあった人の名前を出すことが悪いというふうに決め付けて話をしておられるから、それはそうとは限らないわけでありまして、むしろ抗議行動があった場合には、だれだれさんを中心として何十名の方がこういう抗議に来られましたということをちゃんととどめて報告を上司にする方の方が私は正しいんじゃないかなと思いますけどね。
  52. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それは国民のレベルから見たら国民に対する監視になるんですよ。そういうことになるんですよ。ですから、それは自衛隊の論理ですよ。
  53. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そうかな……
  54. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そうですよ、防衛庁の論理ですよ。  私は、やはり国民が平穏に暮らす、そしてだれからも監視されない、そういう平和な暮らしをする、その権利を持っているわけですから、そういう問題について自衛隊が事細かに情報を収集しそれを把握している、そしてそれを必要な配付をしている、そういうこと自身が問題だと述べているんですよ。
  55. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほどから何度も言っていますように、国民が平穏に生活しているのを尾行したりあるいは盗聴したり、そうしてその信条を探ったりなんかするなら、これはやっぱり私は問題あると思いますよ。そういう形じゃないわけですから、抗議をこういう方たちがやってこられましたということを言っているわけですからね。だから、そういうことについて、それまでいかぬと言われれば、じゃ情報収集のやりようがないじゃないですか。  賛成もあるし反対もある、いろんなことが物事を、政策をやるときには出てくるわけですよ。そうしたときに、賛成の者だけの意見を集めるという、それがいいのか。反対の方の意見をむしろよくたくさん集める方が私は合理的な場合もあると思いますよ。だから、それを集めたからといってそれはけしからぬと言われれば、じゃ賛成を集めればいいわけですか。そういうことじゃないんじゃないでしょうか。
  56. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そういうことに踏み入ること自身が問題だと私言っているんですよ。  ですから、自衛隊情報保全隊のそうした任務、これは機密の保護ですよ、自衛隊の隊の機密の保護ですよ、一言で言えば。それから大きく外れて国民のあらゆる活動を調べている。そしてそれは、防衛大臣の言い方によれば、何でもできることになっちゃうじゃないですか。私はそういうことが非常に危険なことだということを申し上げているんですよ。  だって、情報収集を行っています、それをまた文書で上げています、そのことはお認めになった。そうしたら、私は、そうした活動が本当に国民にとって、それからまた憲法に照らして適正なものなのかどうか、そのことは判断できないわけですから、そうした資料は全部出す、そのことを求めたいと思いますよ。どうですか。
  57. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 憲法上もそういうような情報収集しちゃいかぬということは全然ないわけでありまして、だから、その情報収集のやり方が非常に秘密裏にやるとかこそくな方法でやるとか、そういうことがあったら非難されることかもしれませんけれども、公の場で、公開の演説会なりあるいは公開の例えばデモ行進なりなんなりで主張されている内容等をこういう内容だということを、それを収集したからといって、これは憲法上も何ら抵触する問題じゃございませんので、そういうことについて何かさも悪いことをしたかのような印象で調べろ調べろと言われても、私はそれはどうかなと思います。
  58. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そうしたら、集会とかデモを写真で撮っていますよね、そういうことはやっていないんですか。
  59. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いろんなデモの状態とか抗議行動とか、そういうやつを一般的に写真を撮るということは、それは私は差し支えないと思います。これだけの盛り上がりがあるというようなことを撮ろうと思ったら、写真を撮ることの方がはっきり分かるときがありますから。ところが写真を撮ってみて余りたくさん盛り上がってなきゃ大した盛り上がりじゃないなという判断もできるわけですから、写真そのものについて私は別に違法だとは思いませんね。
  60. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 確認しますね、写真は撮っているわけですね。
  61. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 撮っている場合もあると思います。撮らない場合もあると思います。
  62. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それは大問題ですよ。最高裁の六九年の判例でこれは明確になっているんですよ。しかも、国民から見たってプライバシーの侵害ですよ。だって、捜査権を持つ警察だってやたらに写真を撮ることできないんですよ。  ですから、ましてや防衛庁が、自衛隊情報保全隊がそういう活動をする。とんでもないですよ。できないはずです。
  63. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 特定のだれかをクローズアップして、ねらい撃ちしてその人の顔を大写しにするために撮っているとか、そういうようなことならともかく、デモの風景とか全体のいろんな抗議行動の風景を、それを撮ること自体は決して最高裁の判例の趣旨からいっても私は違法でないと思いますよ。
  64. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 肖像権の侵害なんですよ、それは。犯罪が行われ若しくは行われた後に間がなく証拠保全の必要性、そういうときには写真を撮ることは許されるんです、警察。しかし、一般的にそういうことをやるということは許されない、これは明白なんですよ。
  65. 久間章生

    国務大臣久間章生君) マスコミ等でも一般的に写真は撮っていますよ。そして、ぱちぱちぱちぱち撮っていますよ。そうしたら……
  66. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 取材とは違うんですよ。
  67. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、取材の場合はよくて自衛隊だったら駄目だという、そういう法律の根拠はないわけですよ。駄目なものはだれがやっても駄目だし、いい場合はみんないいんですよ。だから、問題は、写真をいかにして撮って、それをどういうふうに使うか。特別の目的を持って撮るようなそういうことはいけないというのが、あの最高裁の判例じゃないですか。
  68. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大臣はとんでもないことを言われましたよ。取材と自衛隊と全く違うんですよ。当たり前じゃないですか。警察だって、捜査権を持つ警察だって限定されている。どうして自衛隊が写真をばちばち撮れる、そういうことができるんですか。これは問題ですよ。私はですね、いや、私はですね……
  69. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ばちばち撮っているわけじゃございませんで、そういうような抗議行動なりなんなりがあったときに、あるいはまたそういうデモ行進等があっているときに、どれぐらいの盛り上がりか、そういうことについての状況判断をするために撮っている、そういうわけでありまして、特定のだれかをねらい撃ちして撮っているわけじゃないでしょう。
  70. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それ自身、問題なんですよ。やはり情報保全隊が写真を撮っている、このことを確認されましたけど、やはりこれは重大な肖像権の侵害、またプライバシーの侵害になるんですよ。そして、大臣が、自分たち活動は何でもできると、そういうふうに踏んでそれで進めていったら、それこそ国民のあらゆるところに自衛隊情報保全隊が入っていって情報収集できることになるんですよ。私は、そうしたことが、憲法二十一条の集会、結社、表現の自由、これを侵すものであるし、憲法十九条の思想、良心の自由を侵害するものであると、このことを厳しく述べて、指摘して、時間になりましたので、質問を終わります。     ─────────────
  71. 田浦直

    委員長田浦直君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、福島啓史郎君が委員辞任され、その補欠として松村祥史君が選任されました。     ─────────────
  72. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 それでは、イラク特措法の関係について御質問申し上げるんですが、冒頭に、先日、ロシアのプーチン大統領が日本の報道関係者と会見をされたという記事がございました。この中で、私は本当にこれ、こんな発言を許していいのかなというふうなことがございましたので大臣にお伺いを申し上げたいと思いますが、北方領土問題について解決策を見いだすのは難しい状況だということを言明したという報道でございますけれども、外務省としてこの件についてどうとらえておられるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  73. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今の、記者会見においてプーチン大統領の方から、御指摘のとおり、日ロの立場の隔たりに言及をしておられるというのは確かであります。  御存じのように、これは日ロ双方の立場には隔たりは元々あるわけですから、そういった意味で、従来より日ロ間で諸合意、諸文書に基づいて双方で受け入れられる解決策を見いだすべく交渉を行うということに関しましては一致をいたしております。そして、今回の記者会見のそのときに同じように、プーチン大統領は、日本とともにこの問題の解決策を模索しており、ともにこの問題に取り組む決意であるとして、安倍総理との間でこの問題について話すことを期待も表明をしておられますんで、そういった意味では日ロ間の認識としては基本的に一致をしておるというように理解をいたしております。  そういった認識に立ちまして、この四島の帰属の問題というものを解決しない限りは平和条約の締結ということになかなか結び付いてまいりませんので、そういった前提条件というものを我々よく認識しているところでありますので、引き続き強い意思を持ってこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
  74. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大臣の御発言のように、日ロ間ではこれからも前向きに御協議を続けていくという、こういうことは私も認識をしているところでございますけれども、この発言だけが世界を飛び回りますと、これ自然のうちに北方四島はロシアのものだという、こういう国際世論を醸成しかねないと、こういう私は心配をしておりまして。  以前、北方領土の会合にお伺いしたことがあったんですが、そこで島民の方が、今現におられる島民の方がお話をされました。その内容を聞いて極めてショックを受けたんでありますけれども、第二次世界大戦が終わったと同時にロシアが四島に上陸して島民を追い出したような形になっているわけですね。これは、現地でそういう話を聞いて、私は今まで自分なりに持っていた情報だとか思っていたこと、これを極めて鮮明に裏付けるような衝撃を受けたんでありますけれども、これからロシアとのこの領土問題、これを、二島引渡しを拒否したのは日本側だという発言もあったように聞いておりまして、これについては私はちょっと変な形で世界を駆け回ってしまうんじゃないかなと、こういうような気がいたします。先ほども情報収集問題が議論されておりましたが、私はある意味、正確な情報を日本からも発信していく必要があるんじゃないかなと、こういうように思います。  そういう意味で、これから、この北方領土に限らず、竹島の問題も含めて、日本の領土だと主張はするんですけれども、現実にその島に上陸した方々の話を聞きますと、どうも現実はもう全く様相が違うという、こういう印象を強く受けて戻ってこられた、そういう印象を聞きました。そういう中で、私、国交省だとか外務省だとかという段階でもし解決がなかなか難しいような状況があるとすれば、日本の領土省とでも言うべきような、そういうような何か別の機関をつくってでも日本の領土を守っていくような姿勢を打ち出していくような必要もあるんじゃないかな、こんな気がいたしまして質問をいたしました。  あと、この北方領土については、大臣のお話ですと、これからも引き続き日ロで話を進めていかれるという、こういう認識でよろしいんですか。
  75. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今申し上げましたように、また小泉先生よく御存じのように、日ロの双方の立場にかなり隔たりがあるというのは、この六十年間にわたってもうはっきりしておると思っております。したがって、この問題に関しては、これ長い時間が掛かるというんであって、これ粘り強くやっていかにゃいかぬということはもう間違いないところであります。  今、四島の話に関しまして、第二次大戦後、八月十五日のいわゆる終結宣言後の話に関しましてはもう御存じのとおりでありますので、この点に関しましては私どもずっと一貫して申し上げてきたところです。また同時に、日本として日ソ共同宣言をやりましたあの一九五六年のときから一貫して二島のみの引渡しによる解決に応じたことは一度もありません。  したがいまして、我々としては、二島のみは、よくそういうお話がありますけど、それで話が付いているんであればもうこの問題は解決とっくにしていたはずなんであって、そうでないがゆえに今日まで解決をしないでここまで来ておるということだと思っております。是非、そういった点で引き続きこれ続けてやっていかにゃいかぬということだと存じます。  竹島のお話もございましたけれども、竹島が韓国によって占拠をされているという状況につきましては、これは国際法上何ら根拠がないままにその状態が続いているという、いわゆる不法占拠ということになろうと思っております。したがいまして、これは法的な正当性というものを有しているものではないということも、韓国の竹島に対する領有権というものについてはつながり得るものではないということも私どもとしてはこれまで何回となくこの韓国に対して厳重な抗議も行ってきておるところでありまして、こちらに関しましても、御存じのように、今の状況というのは小泉先生御存じのとおりですんで、これ以上ちょっと申し上げることはないと存じます。  また、今、領土省と言われましたけれども、私ども、この北方領土問題とか竹島問題とかほかにもいろいろあろうと思いますが、単にその問題だけが単独で解決するために取り組めばいい、その問題にだけ取り組めばいいというものではなくて、ロシアとか韓国とかいろいろ、海底の問題とかいろいろありますんで、そういった意味ではこれは二国間全体の問題にもなりますんで、歴史的な事実とか国際法上の話とか、そういった点も踏まえながら取り組んでいかねばならぬということだと存じます。したがいまして、外交全般というもので押したり引いたりいろいろなことになっていこうという感じがいたしますんで、国際法上の解釈とか実施とかということにつきまして、これは責任を有することになりますんで、全般的にはやはりどこの国でも外務省というところがこの種の問題を取り扱うということになるんだと思っております。
  76. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 外務省の取組というのがこれから極めて大変な時代に入ってくるんじゃないかな、こんな気持ちがいたしますけれども、領土問題というのはこれはもう本当に基本でありますので、日本はかなり島の数が多いと言われていますけれども、島国だけにその一島でも日本からなくなるというような結果にならないように、もうこれは、これからもこのことについては時間が掛かるような気がいたしますので、大臣始め省を挙げて取り組んでいただきたい、このことだけを申し上げておきたいと思います。  それでは、冒頭にこの質問から入らせていただきましたが、私はイラクにおける自衛隊活動継続に賛成の立場から御質問を申し上げたいと思います。  我が国がイラクの復興支援に取り組むことは意義のあることだということを考えるわけでありますけれども、今日までイラクで御苦労されている自衛隊の方々、どれだけ身をもって大変な環境の中で汗を流してこられたか、その方々の汗によって、努力によって今の日本が国際社会の中で孤立せずにおられるということを私たちは感謝申し上げなきゃいけない、こんな気持ちでおります。  こういう意味で、今回のこの特措法についても、もっと国民の皆さんに知っていただくような努力、これが必要だというふうに私は考えておりますが、この点について、大臣、お考えを伺いたいと思います。
  77. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 自衛隊イラクへの派遣につきましては、派遣部隊の安全等に支障を来さぬように配慮しながら、国民の理解と協力を得る観点から、できるだけ適時適切に説明を行うことが大事だと、私どももそういうふうに認識しております。したがいまして、こういう観点から、防衛省としても、テレビ、新聞等各種メディアや政府広報の枠組みも利用した情報発信をしておるところでございまして、先日も私自らが政府広報のテレビ番組にも出まして、イラク再建への努力を支援、促進する国際社会の取組に対しまして我が国が主体的、積極的に寄与する必要性などについて説明したところであります。  ただ、陸上自衛隊の場合は、その当時、まだマスコミのみんなも行っておりましたので比較的メディアに載ることが多かったわけでございますけれども、航空自衛隊の現在の活動については、安全性の問題等もございまして、マスコミ等の活動もやややりにくい点もございます。それと同時に、内容等につきましても、やはり各国から、あるいは国連からも、余り具体的にどういうようなことをやっているかについて報道してもらいたくないということもございますので、ややトーンダウンしているのは事実でございます。  しかしながら、各国がイラクについて積極的にかかわっておるときに、我が自衛隊としても、我が国としても、イラクの復興、安定に向けて一生懸命取り組んでいることについては、やっぱりこれは非常に評価されておることでもありますので、国民の皆さん方にももっと理解してもらえるように私たちもこれから先も心掛けていきたいと、そう思っているところであります。
  78. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 今大臣から、大分評価いただいているという御発言もございました。  今回、この特措法では四年を限度に延長できると、こういうふうになっているわけでありますけれども、あえて二年の延長にするというこの意味をちょっとお話しいただきたいと思います。
  79. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、内閣官房の方で最終的には二年の延長ということを決めていただいたわけでございますけれども、先般、テロ特措法の延長を一年いたしました。  しかしながら、イラクの場合は復興でございますから、法律そのものも四年ということでスタートいたしましたので、一年の延長では短いんじゃないかと、やっぱり最低二年は必要じゃないかということで二年にしたわけでございまして、テロ特措法の場合は二年の法律のときに一年、半分の一年を延長しておりますので、イラク特措法では四年のうちの二年延長を最低取ってもらいたいと、そういうことをお願いしてそういうような方向になったわけであります。
  80. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 理解いたしました。  先ほど、高く評価されているということでございましたけれども、イラク政府、国連からはどのような評価をいただいているか、再度お話しいただきたいと思います。
  81. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先般、マーリキー首相がお見えになりましたとき、私は直接お会いしました。また、副大統領が見えましたときもお会いしましたが、そのときも、日本はイラクに引き続き自衛隊を派遣してもらっておって非常に高く評価しておるという話がございました。また、国連の前の事務総長からも、あるいはまた現在の事務総長からも、日本が自衛隊を派遣して引き続きイラクで貢献してもらっていることについての感謝のメッセージ等をもらっておりますから、こういうのを見まして、やはりイラクにおける我が国の自衛隊の派遣については評価してもらっているんだなというふうに思っております。
  82. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 大統領からも、また……
  83. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 副大統領です。
  84. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 副大統領からそういうふうに感謝の言葉があったということでありますので、日本の貢献していることが評価される、そういう中にいるということは大変有り難いことだと思っておりますし、これから、今のイラクがどのくらいまでで日本も引き揚げることができるか、これは時間の掛かるような気がするんですが。  ここで、やはり行っていられる隊員の方々ですね、昼は五十度を超えるというようなすごい過酷な条件だということも聞いておりますし、今輸送機のパイロット、先日のやり取りの中でも、大分急上昇したり急降下したりしながら危険を回避している。  私は、以前、武山の駐屯地に体験入隊してみたことがあったんですが、そのときに航空自衛隊の一番の最大の仕事は何かと聞きましたら、パイロットを寝かせることだと言われまして、スクランブルなんかが掛かる、そういう緊張した状態の中でパイロットは寝られないというんですね。多分、イラクでもそういう状況の中ですから大変な緊張状態の中で任務を遂行されているんだと思います。  そういう隊員に対してのことも当然でございますし、既に隊員の中にはもう三回も四回も派遣に参加されているという方もおられるやに聞きました。御家族の方は当然、状況が全部分かりませんから大変な心配をされているんだと思いますが、その隊員に対するケアと、留守を守っておられる御家族に対する支援、こういうものについてどういうふうにお考えになって実施されているのか、それを伺っておきたいと思います。
  85. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは、今委員が気象条件についておっしゃられましたけれども、例えば五十度とかそういう高温もさることながら、特に今日のパイロットについては、身の危険の方が非常にやっぱりあるわけですね。確かに、幸いにしていろんな事故も起きておりませんけれども、危険との裏腹にあるのは間違いないわけであります。戦闘地域ではないバグダッド空港については、一応アメリカ軍が多国籍軍として安全を確保しておる、その中ではありますけれども、やはりロケット砲等がよそから撃たれる、迫撃砲等が場合によってはねらわれることもあるわけでございまして、そういう緊張の中で仕事をしているというのは大変なことでございます。  今スクランブルの話をされましたが、前長官時代に私はある基地に行きましたときに、スクランブルのサイレンが鳴ったと同時に血圧がばっと上がるということで、やっぱり普通のものでは感じられない、あのスクランブルでもそうでありますから、ましてや、クウェートから飛び立ってバグダッド空港に降りる、あるいはバグダッド空港から飛び立つとき、あるいはバグダッド空港におるときに、またよそからのロケット砲が来る可能性だってあるわけでありまして、そういうような危険性と裏腹におる隊員については、心理的にも物すごい圧迫があると思います。  そして、今おっしゃられましたけれども、特にC130の場合は部隊が非常に限られておりますから、同じパイロットが、同じ整備員が、同じ要員が何回か行くことが非常に多いわけでありまして、非常に数多い全国からの部隊というよりもC130のその要員でございますから、限られた人が何回も行く形になりますからなかなか心理的にも大変だろうと思っております。したがいまして、そのケアについても、前後にヘルスケアも十分しておりますし、またこれから先もやっていこうと思います。  それと同時に、家族の皆さん方も大変心配しておられるわけでございますから、通信の手段の確保とか情報の提供とか、そういうことも怠りなく、本当に家族の皆さん方も御心配でありますので、そういうような心配を少しでも和らげるようにと思っております。  それと、手当につきましては、現在までのところそれで一応いいんじゃないかとなっていますけれども、これだけ回数が重なってきた場合には、それについては何らかのやっぱり配慮をしていく必要があるんじゃないかなというようなことを私自身としては感じておりまして、いろんな検討をこれから先していきたいというふうに思っております。
  86. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 特殊な勤務でありますから、ただ手当を増やしたから隊員のその勤務が報われる、それだけじゃないと思うんですね。やっぱり一番大事なのは、そういう基本的な部分に、国民の理解だと思うんですね。国民の方々が、今イラクに行っている自衛隊の隊員に対して心から感謝の気持ちでいるということが大事だと思うんですね。  先ほどの話にまた戻るようですが、私、前に、UNTACで行かれている、そういう関係のところのカンボジアの方に入ったことがあったんですが、そのときに、タケオの駐屯地の方に行く道路の上をヘリが飛ぶんですね。どうして道路の上をヘリが飛ぶんですかと聞いたら、道路から外れると下から撃たれると言うんですね。そして、防弾チョッキは着ないんだと言うんですね。みんな、しりの下に敷くんですって。下からぷすっと撃たれて貫通するという、こういうことが大分頻繁にあったということを聞きまして、現地に行かなければ分からないそういう情報でありましたけれども、それ以上に今緊張の中で任務を遂行されている隊員の方々に、心から敬意と感謝を申し上げたい、こんな気持ちでおります。  これからも、大臣始め省を挙げて、こういうことに対する国民の理解、いただくように御努力をいただきたい、こういうように思います。  それと、当然のことながら、日本としては、ODAについては今世界で第三位と言われてしまいそうな状況にあるんですが、イラクに対する復興支援、この中で、我が国のイラク復興支援の人道復興支援、これは自衛隊によるわけでありますけれども、これとODAによる支援、これが車の両輪として今行ってきたわけでありまして、イラクに対するODAでは、無償資金、技術協力、イラク南部を中心にして十五億ドル支援を決定して実施中ということであります。一方、円借款、最大三十五億ドル規模で実施とのことでございますので、このことについて、現状どうなっているのか、伺いたいと思います。
  87. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 事実関係に伴う数字の報告ですから、私からお答えをいたします。  日本政府は、二〇〇三年十月のマドリード会合で、御指摘のとおり、最大五十億ドルのイラク復興支援を表明をいたしました。そのうち十五億ドルの無償資金協力は、電力、教育、水・衛生、保健、雇用などのイラクの人々の生活基盤の立て直しと治安の改善に重点を置いています。この無償資金協力に関しては、使い道をすべて決定して着実に支援を進めております。  先生御指摘の南部ということですけれども、ちなみに、イラク南部のムサンナ県への支援はこのうちのおよそ二億ドルでございます。  今後は、最大三十五億ドルの円借款による社会経済インフラの整備を中心とした支援に移ってまいります。この円借款に関しては、これまでに電力、運輸、石油、それからかんがい、それらの分野で十の案件について、およそ二十一億ドルの使い道についてイラク側と合意をし、既に伝達済みであります。  それから、先生御指摘の技術協力ですけれども、日本国内に来ていただく方、それからヨルダン、エジプトを中心とした周辺諸国へイラクの行政官おいでいただいて、医療とか電力、水、農業、治安などの技術協力をしてまいりまして、それらの方々、トータルで千八百人になっております。  それからもう一つ、今年の二月、イラク政府の国づくりを支援するため一億ドルの新規の無償資金協力を決定をいたしました。このお金は、現在、国際機関を通して、経由して、生活基盤、基盤的な生活の各分野、それから治安、人材育成などの事業の実施を進めているのが現状でございます。
  88. 小泉昭男

    ○小泉昭男君 ODA等こういういろいろな外交関係、これは本当に重要なことでございますので、これから鋭意努力をいただきたい、こういうように思います。  それと、大臣自衛隊の立場なんですけれども、私、いつもこう思うんですが、自衛隊というのはプロボクサーと同じかなと思うんですね。リング上では殴り合ってもいいんだけれども、外に出て殴ったらこれはもう犯罪になると。極めて技術、そういう鍛錬はしているんだけれども、あえて平和のために日本は武力を行使をしないと、こういう形で来ているわけでありますけれども。  先ほど、委員からも情報に対するいろんな議論はありましたが、私、これから日本がどういう方向に進んでいくかについて、基本的に、そういう部分に基本を置いての情報収集はこれからもしっかりやっていかなくちゃいけないと思うんですね。  私たち選挙に出る場合には、事前に瀬踏みということをやるわけですね。これは、自分が当選するかどうか、自分で情報収集するわけです。日常で、子供でも大人でも、これはいつも情報収集しているわけですね、気象情報から道路情報からショッピング情報から。これは情報の中に私たちいますから、こういう情報の収集というのは極めて高い位置にあるんだと思うんです。  この情報をしっかりと収集いただいて、これからも我が国の平和のために、そして世界の中での貢献を続けていって高く評価されながら、外交、そして防衛はもちろんでありますけれども、経済に関しても輸出入がスムーズにいくように、こういうことを心から祈るばかりでありまして、是非めげずに情報収集はしていただきたいと、このことを一点申し上げまして、質問を終わります。
  89. 高野博師

    ○高野博師君 公明党の高野でございます。  まず、自衛隊のことにつきまして、実は私、先日、地元の自衛隊の大宮駐屯地とそれから入間の基地を視察をしてまいりました。  大宮の駐屯地には約千二百名の自衛隊員がいるんでありますが、今までイラク、特にサマワについては約十五名派遣されてきました。大宮駐屯地には化学学校というのがありまして、あそこの、特定物質、サリンとかいろんな生物化学物質、これを作ることができる唯一の学校、施設があります。それから、第一〇一特殊武器防護隊というのもありますし、災害派遣については、地下鉄サリン事件のときは延べ人数で三百四名が派遣されてこの処理に当たったと。それから、JCOの臨界事故でありますが、JCOのときは延べ二百六十四名が派遣されてその処理に当たったと。それから、中国の遺棄化学兵器の処理についても、毎年数名ずつここから派遣されているということでありまして、非常に大きな役割を果たしている。特にテロ関係、生物化学テロについての研究とかいうことについては相当やっていると思います。  地域の住民の理解も得られるように、観桜会、桜を見る会とかあるいは夏祭りとかということもやってますし、大宮駅とか川口駅での訓練も、サリン事件が起きたという前提での訓練も行っていると。ここにある施設について、地元の住民からの抗議とかいろんな苦情は一件もないということでありました。これは非常に私は重要な役割を果たしているなということと、地域住民の理解も得られているなという感じを受けました。  それから、入間の航空自衛隊の基地でありますが、これは私住んでいるところの割と近いところにあるんですが、ここもクウェートにはC130輸送機の関係で今まで十二名派遣されていると。先ほど大臣がお話あったように、この操縦は相当ベテランが要求されるということがありまして、そう数は多くないと、操縦できるのが。ローテーションが早くて、何度も現地に行っているということも大臣お話しされたとおり私も聞いてまいりました。PAC3もあそこに配備されたということがありまして、私が行く直前にオーストラリアのネルソン国防大臣がPAC3を視察に行ったということでありました。ここも地域住民との交流ということで理解はされているという印象を受けました。  いずれにしましても、日本の防衛上、この大宮あるいは入間の駐屯地、基地というのは非常に大きな役割を果たしていると。特に、ミサイル防衛という観点での入間の基地というのは、日本の防衛にとっては非常に重要ではないかと思っております。  そこで、イラク特措法に基づいて派遣されている隊員、数は少ないんでありますが、実はそれを支える隊員あるいは家族、これは相当なバックアップがあるということも私現場に行きましてよく分かりました。正に自衛隊というのは日本の防衛の最前線にあるわけでありまして、またある意味では日米同盟をきちんと支えているということであろうと思います。しかし、いずれにしましても、国民の信頼と期待にこたえ得る組織でなければならないということだろうと思います。  そこで、一つ、自衛隊の役割が非常に広範になって重要になってきていると。海外での活動も本来任務という格付がされる、防衛庁から防衛省にも格上げになったというようなこともありますが、しかし自衛隊という言葉が憲法にはどこにも明記されてない。これは我が党も議論をしているところでありますが、憲法上に根拠がない。まあ自衛隊法という法律はありますけれども、それで果たしていいのだろうかということであります。憲法上は合憲でありますが、しかしそれに加えてきちんと憲法上に明記するということも必要ではないかとこれは思っておりますが、大臣はどういうお考えでしょうか。答えられる範囲でお願いしたいと思います。
  90. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 軍隊を持っております各国とも、憲法で軍隊のことについて書いているかというと、必ずしも書いていないわけですね。我が国の場合はむしろ逆に、憲法に、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しないとなっておるものですから、その言葉との絡みで自衛隊が合憲かどうかということが議論があったわけですね。しかしながら、陸海空軍その他の戦力というこの戦力は、要するに、この戦力までいかないけれども、必要最小限の自衛のための実力は保持することができるというそういう解釈で、その最小限の実力という意味で自衛隊は持っていいんじゃないかということで従来やってきておりますから、これを今度、憲法上どういう形にするのがいいのかは、これまた今から議論をしていけばいいわけでありまして、現在の憲法でもそういう必要最小限の実力は保持できるというふうな解釈がもう国民の間にも割と定着してきていると私は思っております。しかし、それを更に踏み込んで、はっきりと自衛隊のようなそういうようなものは持っていいということを書くのがいいのかどうか、これはまあ議論がいろいろとこれから先されるんじゃないでしょうか。  だから、私はこの場では、どちらがいいかということは、まあ、言うほど断言できませんし、言えますことは、現在でもそういう必要最小限の実力は保持できるということが国民の間に定着してきたと、それが今の自衛隊の現在の状況について認められておるという、そういうようなことに理解をしているところであります。
  91. 高野博師

    ○高野博師君 よく分かりました。  それでは、イラク特措法の改正案について何点かお伺いしたいと思いますが、サマワから陸上自衛隊が撤退した後、航空自衛隊がクウェートを拠点にいろいろな活動をされていると。特にこれは多国籍軍の兵士とか国連職員の輸送等も当たっておるということで、アメリカ、そして潘基文国連事務総長からも強い要望があるということでありまして、今直ちに撤退すべき状況ではないだろうと、こう私も思いますし、取りあえず二年の延長という期間もしかるべしではないかなというふうに思っております。  ただしかし、いろんな状況が変化しつつあると。例えば、アメリカの世論も変化しつつある、ブッシュ政権の対イラク政策の批判も強まっていると。もし政権交代があればアメリカも撤退という方向に行くのかなという感じがいたします。イギリスでも同じような変化が見られると。  そういうことも考えますと、いつ撤退するかといういわゆる出口戦略というのはやっぱり練っておく必要はあるんだろうと思いますし、これは官房長官が、政府は主体的に判断するということをおっしゃっておられますので、その主体的に判断する幾つかの基準というか根拠として、一つは、日本国民に説明してこれを納得してもらう。二つ目は、対米関係、特に日米同盟ということ、これに影響を与えないと。それから三つ目は、国連の強い要望もあるわけですから、国際社会も納得する。特にテロという問題、テロ対策についてこれどうするのかと、こういうことも含めて考える必要があるんだろうと思いますし、我が方は人道復興支援ということでありますから、撤退した後も何らかの形で、例えばODAというような形での支援を継続するということが必要なんだろうというふうに思います。  そもそもイラク戦争、対米支持をしたという理由の中で、これは日米同盟のシンボルとして、象徴として日本は具体的に自衛隊を派遣するということをやったと、私はそう理解しているんですね。そこは、日米同盟というのはやっぱり日本にとっては死活的に重要性がある。北東アジアの不安定な情勢というのを考えれば、核、ミサイル、拉致、いろんな問題がある。これらの脅威に対して当然ながら日本は独自には、単独では対応できないというような、要するに正に死活的な、決定的ないろんな要因があるという中で、イラクとそれから北東アジアの情勢というのを切り離して別々に考えるというのは難しいんではないかというふうに思います。  そういう中で、イラクに大量破壊兵器が存在するという、存在したというそのアメリカ側の開戦理由が崩れたとしても、直ちに独自に自衛隊を撤退という決断はなかなか現実には難しいんだろうというふうに思っておりまして、言わばソフトランディングをすると。これは、アメリカとの協議、あるいはほかの多国籍軍含めていろんな協議の中で撤退ということは考えていく必要があるのかなというふうに思っております。  それからもう一つは、やっぱりテロ対策という点で、実は先般、マリキ首相が来日されたとき、我々も何人かでお会いをいたしました。自衛隊に対する、あるいは日本の支援に対する評価は非常に高いものがあることは間違いないと思います。そういう中で、テロという問題については、アメリカとイランが二十七年ぶりに対話をしたということがありまして、双方、アメリカもイランもそれぞれ思惑はいろいろあるんだろうと思いますが、双方とも今のイラクの政権を安定させるという点では一致しているということでありますが、イランは今のイランの体制を維持できるということ、あるいは核開発を認めさせるというようなことを要求していると思いますが、しかし少なくともイランがイラクにあるテロ組織への支援をやめるということがあればイラクの治安状況は改善するんだろうというふうに思います。  イランは、イラクも含めた三者協議、治安に関する協議メカニズムをつくろうというような提案もしているようでありますが、アメリカ側は、もし米軍が撤退すれば、これはブッシュ大統領が、国際テロ組織アルカイダの聖域になってしまうんではないか、米本土へのテロ攻撃の発信基地になってしまうというようなことも、これはブッシュ大統領の発言でありますが。  そういう状況の中で、この日米同盟という関係とテロ対策という観点から非常に難しい出口戦略になるんだろうと思いますが、その辺はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  92. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほどからるる委員が述べられましたいろんな考え方、私はそのとおりだと思っております。これから先どういう形に変化するか分かりませんが、少なくとも法律上根拠がありませんと、もう直ちに七月で切れちゃうわけでありますから。それで、法律が今度通していただけるならば二年間の幅があるわけでありますから、基本計画を決定するときに、それによって直ちにもうこれは撤退しようというふうに判断すれば撤退できるわけでありますので、そういう意味で、法律を最低二年の幅を持たせていただきたいということをお願いしているわけであります。  それで、撤退するかどうかにつきましては、今おっしゃられましたように、国際情勢もあるでしょうし、アメリカの問題もあるでしょうし、あるいはまたイラクにおける治安状況、そういったこともございましょうから、それはそのときの時点でやっぱり適切に判断していけばいいんじゃないかと。そのときはやっぱり日本としても主体的に判断すべきでありますけれども、あわせてこれまでのアメリカとのいろんな同盟関係始めいろんなことについても思いを寄せながら全体的に判断していけばいいと、そういうふうに思っているところであります。
  93. 高野博師

    ○高野博師君 それからもう一つ、アメリカのイラク政策といいますか、このイラクの問題、これはいろんな意見があるものですから私も確信が持てないんです、そうかどうかということは。アメリカのイラク政策、イラク戦争というのは、最初は大量破壊兵器が存在するんだというそういう大義があったと。しかし、それも崩れてきた。実はアルカイダの温床になっているんだと、テロの問題だと。それも崩れそうになると、今度は民主化だと、こういうふうに変わってきていると。実は、それは本当のところは石油じゃないかというこういう見方がありまして、例えば石油法を作れという中で、アメリカがこれはひそかに準備したというような情報もありまして、新しいいろんな油田の開発も含めてその利権の確保というのが本当のねらいだと、こういう論評があるんですね。最初のアフガン戦争のときも、実はアフガンを押さえておくというのはカスピ海沿岸の石油を海に引いていくパイプラインをというようなねらいがあるんだというのは前からありましたし、イラクの問題についても当初からそういう意見があったわけであります。  しかし、本質がそこにあるとすると、アメリカの民主党の大統領候補のやっている議論、まあこれは共和党も同じでありますが、非常に幼稚な議論をしているなと。しかし、そこは表に出せなくてそういう議論をしているのか、あるいは、それともだれかがこういう戦争を仕掛けて陰にいるのかということでありまして、まあいろんな、もしそういうことに本当にねらいがあるとすると、アメリカの大義というのは何にもなくなるんじゃないんだろうかと。その大義がないアメリカの政策に日本が乗っていいのかと、こういうことになるわけでありますが、ここもよく分からないんです、本当のところは。  答えにくければ結構でありますが、もし御意見があればお伺いしたいと思います。
  94. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) エネルギーの話、石油に関する話、為替に関する話、これはもういろいろ、石油、為替の話ですけれども、これはいろいろな話がありますのはもう前々からであって、もうこれはこの数年間といわず、もっと十年間ぐらいにわたってずっとこの種は、第一回の湾岸戦争のときにさかのぼってこの種の話はありました。  しかし、今の状況として、やっぱり基本的にはイラク国民の手によって選挙をやって、憲法を作って、その憲法に基づいて行政府をつくって、今少なくとも民主化されたイラク政府というものが、かなり弱いながらもそこにあるという事実がございます。したがって、そのでき上がったイラクという共和国の政府が、少なくとも外国人部隊の手をかりずして治安を保ち、安全を保障できるような国家になるときが多分撤退すべき理想的なとき、理想的を言えば多分そういうことになろうと存じます。それがどのような手段でいつ来るかというところは、これが高野先生、これなかなか意見の分かれるところで難しいところで、何となくアメリカ人がいなくなったら即治安が回復するかのごとき話は、それはちょっとなかなか難しいと思っております。  したがいまして、この手段、方法はなかなか一概には言えないところだと思いますが、今御質問のあったのに対して、五月の二日の大統領報告書というのがアメリカの国務省が発表しておりますが、イラクにおける米国の政策の中核というものは、すべてのイラク国民の権利を尊重し、治安を維持し、テロリストや外国の武装勢力の安全地帯いわゆるテロリストの温床ということだと思いますが、なることを防ぐことのできる治安部隊イラク政府の治安部隊というものを有する、憲法に基づいた国民を代表する政府をイラク国民が築くことを引き続き助けることにある、これだけ書けば全部書いてあるみたいな話が書いてあるんですけれども、こういったようなことで、平和で統一されて安定し、民主的で安全であるようなイラクにすることであるというのが次のところで書いてありますが、究極の目標として、今申し上げたようなことをこれはアメリカは言っておりますけれども、あの言っておることと現実はなかなか一緒にならないところが今のイラクの最も難しいところでありまして、これは出口を一概に、これがというようなことをなかなか一概には申し上げられないというのが現状だと存じます。
  95. 高野博師

    ○高野博師君 ありがとうございます。  それでは、ちょっとオーストラリアとの関係、昨日2プラス2の会合があったと思いますが、実は昨日のお昼に我々もネルソン国防相とダウナー外務大臣とお昼を食べながらいろんな懇談をしまして、やっぱり基本的価値観を共有している国の人間とは非常に話しやすいなという感じを受けまして、なかなかフランクで好感が持てました。  その中で向こう側から、憲法を改正して集団的自衛権を認めるのかと、こういう話がありましたので、いや、ちょっと待ってくれと。そういうことで、要するに、集団的自衛権を認めなくても今まで日本は、PKO、いろんな国際貢献もやってきたし、イラク、アフガン、様々な協力をやってきました、特に人道支援という形で日本はそれなりにきちんと国際貢献もやってきました、世論もそこについてはきちんと支持しているんではないかと、こんな話をしました。で、日米同盟にオーストラリアを加えて、この三国でアジア太平洋の平和と安定に責任を持っていくというのは非常にいいことであろう、より安定的になるんではないかというような意見の交換もしました。  日豪の戦略的パートナーシップあるいはグローバルパートナーシップというのは両方の共通の利益になるだろうというふうに思いまして、ここは我々もオーストラリアとの関係を強化していくというのは賛成でありますし、支持したいというふうに思っておりますが。  昨日の、私、今日の新聞詳しく読んでいないものですから、2プラス2の中で北朝鮮の問題についてはどんな議論がされたか、もし差し支えない範囲で。というのは、昨日我々が会った中にも北朝鮮の担当官、局長か何かがおられたと思うんですが、そんなこともあったものですから、ちょっとお教え願いたいと思います。
  96. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、オーストラリアは北朝鮮に大使館がある。すなわち、外交関係があるということがまず大前提になろうと存じます。したがいまして、向こうの持っております情報というものは、ある部分においては我々の持っております情報より多い情報量を持っておる。傍ら、六者協議のメンバーではありませんので、少なくとも六者協議等々の中の内容については我々の方が詳しい。また、地理的な面から見ましても我々の方が詳しい。  双方、いろいろ得意なところとそうじゃない分野とありますが、北朝鮮のことに関して向こうの知りたい情報というのは、基本的には世界じゅう皆同じだと存じますが、二月の十三日のいわゆる六者協議の状況によって、六十日以内、四月の十三日までが大幅に、もうかれこれ二か月近くたつが、バンコ・デルタ・アジアの話で全然進んでないが、このものに関しては、元々、北朝鮮の持っている核及びミサイル計画というものの阻止若しくは放棄、朝鮮半島における核の完全な非核化ということに関して強い懸念を持っておるという点に関しましては一致をいたしております。  それから、例の国連の安全保障理事会で決めております一六八五と一七一八の制裁というか、そういったものに対しては、完全履行するために協力するということに関しましてのコミットメントというものに関して、これは再確認をいたしております。  いずれにいたしましても、これに加えて拉致問題というのを我々はもう一つ問題を抱えているので、この人道上の問題について、我々としてはG8の外相会議でこの問題は懸念を表明することにしているけれども、この問題についての重要性については是非理解をしてもらいたいという点に関して大まか申し上げて、以上につきましては合意を得ておるということに御理解いただければと存じます。
  97. 高野博師

    ○高野博師君 ありがとうございます。  それでは、最後にちょっと集団的自衛権についてお伺いしたいと思いますが、先般、安倍総理にも質問をいたしたのでありますが、そもそも集団的自衛権という名目で武力の行使をした、戦争したという前例があるのかという私の質問に対して、安倍総理はアフガンがそうだというような言い方をしておりました。ちょっとそうかなという感じがありまして、しかし、余り前例というのは、ほとんどないんでは、アフガンがアメリカが攻撃したのはそれは正に個別的自衛権の行使であって、しかしほかの、例えばイギリスが攻撃すればそれは一つは集団的自衛権の行使ということになるのか、あるいは国連決議に基づいてやったということになるのか、明示的にこれは集団的自衛権の行使ですというような前例は、私は記憶がないというか、恐らくないんだろうと思うんです。  それから、集団的自衛権を憲法に明記している国はあるかという質問に対して、特にワルシャワ条約機構に入っていた国が幾つかあるというような答弁でありました。私は、この集団的自衛権を認めないと日米同盟というのはそもそもうまくいかないのかどうか、本当に。それから、PKOの国際貢献ということでも、これは集団的自衛権を認めないと国際貢献ができないのかどうか。あるいは、日本の防衛、国民の生命、財産というのは集団的自衛権を認めないと本当に守れないのかというようなことを私は言いまして、その中で、今検討されている四つの類型についての有識者会議での議論というのは余り現実的ではないんじゃないかと、若干そういう意見を言ったんでありますが、差し支えない範囲で両大臣の考えを簡潔にお伺いしたいと思います。
  98. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 我が国は、集団的自衛権は有するけれどもこれを行使しないという従来の法制局の見解を政府として取ってまいりまして、それで今日まで来ております。その中で、別に日米同盟が悪化したわけではございませんで、深化してきておるわけでございますから、それを、集団的自衛権を認めないと関係が悪くなるかというとそれは別でありますから、そうはなりませんけれども。  ただ、今まで分けてきた集団的自衛権という概念がこれまでの解釈どおりで本当にいいのかどうかということについては、いま一度二つを、ちょうど民主党さんでもそういう議論があっているように、この二つをきちんと分けた形での議論がいいのか、要するに、国連憲章でも言っておりますように、個別的又は集団的な自衛のための固有の権利というそういう表現をしているわけでありますから、そういうような言い方から見たときにいいのかどうか、もう一回あの四類型を見ながら議論をしてもらって、特に、憲法で禁じられている集団的自衛権の行使に当たるか当たらぬか、そういうような角度からこの四類型について議論することは非常にいいことじゃないかと思っておりますので、安倍総理がああいうふうな提言をされて懇談会を開いておられますことについてはその成果を見守りたいと、そういうふうに思っているわけであります。  というのは、あの当時の、戦後取りました当時と比べますと、今は例えば空中でも空中給油を受けながら一緒にアメリカまで飛んでいくことだってあるわけですね。あの当時だったら考えられません。そういうときに、空中給油を行ってくれているタンカーの方が攻撃をされて日本の自衛隊の方には攻撃されないときに、それをやられたら自分の個別的自衛権にも該当するわけでありますから、ほかの戦闘機が、我が国の戦闘機がそれを攻撃してくるのを、自分の方に攻撃がなくても攻撃するということだってあり得るんじゃないかというふうに思うわけでありますね。そういういろんな類型をやっぱり個別に見ながら判断していくいい時期に来たんじゃないかなと私自身は思っております。
  99. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、久間先生言われましたように、もう国際法上、集団自衛権というものは国家に与えられていることはこれは何ら疑念の余地がないところだと思いますんで、日本も主権国家である以上当然ということなんで、今までの経緯はもう御存じのとおりで、あえて申し上げることはないと思いますが。  少なくともこの数年、北東アジアにおいて、例えば朝鮮半島、例えば台湾海峡等々においていろいろ状況は変わり、二極構造と言われた冷戦構造が一極に変わり等々、いろいろ我々の周辺を取り巻く安全保障の環境が変わってきて、加えて、我々、私も福岡ですから特にそうかもしれませんが、日本海側沿岸におります方々にとりましては、この間の青森の漂着の話にしても、結構深刻な話を身近に感じられるようなのが昨今の状況に合わせていわゆるこの種の話が出てきたんだと私どもも理解して、こういったものを検討されるのは当然といえば当然なのかなという感じがいたしますし、そういったのを話ができるような世論というか社会というものになりつつあるということ。ある意味じゃ、この種の話を真剣にしなくちゃならぬというのは、余り我々にとってはいいことじゃないのかもしれませんよ。私どもは基本的にはそういう具合に思っておかにゃ、国際情勢としては。ただ、国としては、この種の考えるべきところをこういった形で議論ができるようになったというのは喜ばしいという具合に思うべきなのかもしれません。  もう一点御指摘になりました憲法に集団的自衛権を明記している国というお話がございましたけれども、私ども全部これ網羅的に調べているわけではありませんけれども、ポーランド、スロバキア、チェコというこの三国に関しては、この間行きましたので、これらの国々には関連の規定が置かれておるということは承知をいたしております。
  100. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。ありがとうございます。
  101. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最初に防衛大臣にお伺いいたします。  イラクに派遣された航空自衛隊活動について、これまでの活動についてどのように評価されておられますか。
  102. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 御承知のとおり、陸上自衛隊が帰ってきた後も引き続き航空自衛隊が空輸活動を行っておるわけでございますけれども、これにつきましても、国連並びに多国籍軍の双方から非常に助かっておるという感謝の気持ちを述べられておりますので、私たちもそういう点では国際貢献をしておると、そういうふうに思っているところであります。
  103. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 もうちょっと具体的に、どういう活動に対して感謝をしておられるのですか。
  104. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 我が国は輸送業務を行っているわけでありますけれども、エルビルで国連の職員というのは訓練を受けます。ところが、エルビルからバグダッドへ行くには陸路はやはり危険でございますから空輸で空を使って行くわけでございますけれども、最近では一部他国の、デンマークだったと思いますけれども、飛行機も飛ぶようになりましたけれども、なかなかバグダッドへは行くことはできませんので、我が国がそれを空輸しておりますので、それにつきましては国連の方からも、非常に有り難いと思っているわけであります。  それと、クウェートからバグダッドへ、あるいはまた、時にはエルビルもそうでございますけれども、多国籍軍が人道復興支援及び安全確保支援活動のために、これ安全確保活動のために行っておりますけれども、そういうような多国籍軍を空輸することがございますが、これもやはりそういう点で大変助かっておるという、そういうようなことでございます。
  105. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 一般市民は、国民は、陸上自衛隊あるいは航空自衛隊イラクにおいてどのような活動をしているかというのについてよく知らないということが私などの事務所によく言ってくるわけですが、防衛省としては、イラクにおける陸上自衛隊若しくは航空自衛隊なんかの諸活動について情報公開をしておりますか。
  106. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これまでもやってきたわけでございます。特に陸上自衛隊の場合は、先ほども言いましたように、防衛庁だけではなくてマスコミも行っておりましたので、いろんな医療活動、あるいはまたインフラの整備等につきましても報道をしておりましたが、空輸につきましてはなかなかそういうようなチャンスといいますか、実際難しい点もございまして、その分、我が方の方の広報を通じましてできるだけやっているところでございます。  ただ、情報公開といいますと、この空輸につきましては、イラクにおける治安状況の問題もあるんでしょうけれども、各国から、そしてまた国連からも、つまびらかに余りしてくれるなというようなそういう要請が来ておりますので、情報公開がややトーンダウンしておるのは事実でございます。
  107. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にお願いいたします。  先ほど同僚議員からも似たような質問がございましたが、航空自衛隊イラク派遣の言わば出口ですね、どのような状況になったときに航空自衛隊を帰国させるのか。先ほど大臣は、今の状態で出口について言うのは困難だという趣旨の御発言がありましたが、ずるずると何年も引きずられていくというような懸念を持っておりまして、それは、例のベトナム戦争のときにマクナマラさんが回顧録の中で、自分たちの判断が間違っていたと、二度とこういう間違った判断をするべきじゃないという趣旨のことを述べておるわけなんですね。  ですから、どういう状況になったら少なくとも航空自衛隊はもう帰ってもらうんだという政府としての基本的な立場といいますか方針といいますか、何かそういうのはございませんでしょうか。
  108. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) マクナマラのときは、大田先生御記憶だと存じますが、あれはドミノ理論という理論が当時全盛でございまして、いわゆるベトナムが共産化するとばたばたっとドミノみたいに倒れていってという話が現実問題としてえらく騒ぎになっていた時代でありました。結果的にはそんなことにはならなかったというのがマクナマラのあの、いわゆる後世書いた文章だと思いますので、随分変わった。  情勢が変わると変わるのは、相互確証破壊という、私どもも難解な英語を読まされたキッシンジャーの話が、今はちょっと違うんじゃないかなというのを、最近キッシンジャーの書いた文章がありますので、君子は豹変すというのはこういうことなんだなと、私はそう思って今度の本を読んだ記憶があるので、今度のところも現実問題としては、私どもとしてどれが正しい答えなのかというのを今の段階で申し上げられるわけではありません。  ただ、少なくとも、フセインという独裁政権が倒れて、自国民に対して大量破壊兵器を使っていたような独裁者が倒れて、国民の手によって新しい政府が選挙によって選ばれたという形ができております。その政府が他国の支援若しくは援助なしで一人でやっていけるような状況になったときが一番理想的にということになりましょうし、もちろん当該イラク政府も多国籍の軍がそこに駐留することを望まないと思いますので、そういったことになったときが我々として撤退する大義名分としては最も立てやすいところだと思いますが、その状況がいつ来るかと言われると、なかなか一概には申し上げられないというのが先ほど高野先生に御答弁申し上げた趣旨でございます。
  109. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 二か年の延長ですけれども、もし事態が好転せずに、またむしろ悪化するようになったら、更にまた延長するということもお考えですか。まあ今の時点では難しいと思いますけれども、御判断は。
  110. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) それこそ今御指摘のありました、今の時点で何とも申し上げられない話だと存じますので、私どもとしては、イラク政府やら国連やら何やらがそのとき、日本にもっと是非ともという話をしてくるのか、もう大丈夫ですと言うのか、ちょっとそこらのところは何とも申し上げられるのは、今の段階ではちょっと難しいと存じます。
  111. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛大臣にお願いいたします。  先ほど同僚委員から、情報収集について、自衛隊の、いろいろと御質問がありましたけれども、それに対して大臣は、自衛隊が通常の任務として情報収集するのはそれは当たり前じゃないかという趣旨の御発言だったと私受け止めているわけなんですが、戦前のいわゆる特高と憲兵隊なんかの情報収集と現在の自衛隊情報収集とは基本的に、本質的にどこがどう違うんですか。
  112. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は戦前のことについてはつまびらかに分かりませんけれども、今振り返ってみますと、やはり特高というよりも、戦前の軍についてはそもそも統帥権という形でシビリアンコントロールが利いてなかったと、そこにまず違いの基本的なやつがありまして、そのずっと派生的な要件として、特高辺りが、法に基づくか基づかないか、そういうようなことにかかわらず公権力を行使していろんなことを振る舞ったという、そこに問題がやっぱりあったんじゃないかなと思っております。  現在の自衛隊につきましては、少なくとも力を行使する場合にはきちんとした法に基づく手順等が決められておりますし、また総理大臣あるいはまた防衛大臣その他国会の関与、いろんな形でシビリアンコントロールが利いておりますので、戦前の特高みたいなのと今の自衛隊を比較すること自体が私はナンセンスだと思っております。
  113. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 前回の委員会で、私が質問したのに対して、戦前の旧日本軍と現在の自衛隊と本質的にどこが違うかという点について答弁をいただきましたが、その点について若干、お許しをいただいて詳しく御説明いただきたいと思いますが。  実は、前回申し上げましたように、今回の普天間飛行場の代替施設の環境の事前調査に対して海上自衛隊を派遣したことについて、沖縄では旧日本軍がまたやってきたというような受取方をしているという報道が随分なされているわけですね。つまり、総理大臣防衛大臣も、威圧的ではないんだという趣旨の御発言だったわけですが、地元では随分威圧されたというふうに受け止めているわけなんですね。  さて、そこで、お許しをいただいてちょっと引用したいと思いますが、後ほど質問します教科書の集団自決が軍命によるかよらないかという検定の問題とも極めて密接に関連しますが、文部科学省が一つの有力な参考資料として取り上げているある作家がこういうことを申しているんです。渡嘉敷島の集団自決は、その隊長によると命令はしなかったという証言をしているということを述べまして、その次にこういうことを言っているわけですね。  軍は国民を守るためのものでしょうにという発言を私は沖縄で何度か聞いた。なぜ一つの国家が戦争をするか。それは自国の国民の生命、財産、権利などを守るためではないかという答えに現在の私たちは慣れている。しかし、その場合も国民というものの定義は明確にされていない。恐らく全体としての国民なのであり、大の虫を生かすことなのであろうと思われると。  渡嘉敷島の場合、村民の中には日本軍の姿を見たとき、こんな小さな島にまで守備隊の兵隊さんを回してくださって有り難いと言った老女と似たような感慨を持った人も多かったであろう。何も知らぬ庶民の感覚としては当然である。  しかし、赤松隊は決して村の守備隊ではなかった。むしろ島を使って攻撃をするために来たのであった。出撃が不可能となり、特攻攻撃をあきらめざるを得なくなった日以降、彼らは好むと好まざるとにかかわらず島を死守することになったが、それとても、決して島民のためではなかった。村民は恐らく小の虫であって、日本の運命を守るために犠牲になる場合もあると考えられていたに違いない。  しかし、それは必ずしも沖縄の、しかも小さな離島だから小の虫として見放されたのではない。もし米軍が鹿島灘に上陸してきたら、関東地方に住む多くの非戦闘員は日本軍の防衛線と米軍との間に置き去りにされて見捨てられたであろう。というより、それらの住民を犠牲にすることを前提に、防衛の戦闘配置は決められるのである。  軍隊が地域社会の非戦闘員を守るために存在するという発想は、極めて戦後的なものである。軍隊は自警団とも警察とも違う。軍隊は戦うために存在する。彼らはしばしば守りもするが、それは決して非戦闘員の保護のために守るのではない。彼らは戦力を守るだけであると。  これが今回の軍命による集団自決はなかったという有力な参考資料として挙げられている作家の文章なんですね。それで、この人だけがそのように考えているかというと決してそうではなくて、自衛隊法の任務の項に具体的に国民の生命、財産を守るということは書いてないわけですね。  司馬遼太郎さんの説をちょっとお許しをいただいて引用しますと、いよいよ本土決戦になりそうだというときに、大本営と、司馬さんは戦車隊に属していて栃木県にいたようですけれども、本土に米軍が上陸したときに、司馬さんが所属している戦車隊がそれを迎撃するため、迎え撃つためにやってくるときに、住民が一杯その狭い道路を押し掛けてきたら一体どうしたらいいかということを心配して大本営から来た人に聞いたんだそうです。そうしたら、その大本営の人は、構わずにひき殺して行けと。つまり、住民が右往左往していると、それを構わずにひき殺して戦車隊は進めと言ったというんですね。そして、司馬さん、こう書いているんです。  このときの私の驚きとおびえと絶望感とそれに何もかもやめたくなるようなばからしさが、その後の自分自身の日常性まで変えてしまった。軍隊は住民を守るためにあるのではないか。  しかし、その後、自分の考えが誤りであることに気付いた。軍隊というものは本来、つまり本質としても機能としても、自国の住民を守るものではない、ということである。軍隊は軍隊そのものを守る。この軍隊の本質と摂理というものは、古今東西の軍隊を通じ、ほとんど希有の例外を除いてはすべての軍隊に通じるように思える。  軍隊が守ろうとするのは抽象的な国家若しくはキリスト教のためといったより崇高なものであって、具体的な国民ではない。たとえ国民のためという名目を使用してもそれは抽象化された国民で、崇高目的が抽象的でなければ軍隊は成立しないのではないか。  さらに軍隊行動、作戦行動の相手は単一である。敵の軍隊でしかない。したがってその組織と行動の目的も単一で、敵軍隊に勝とうという以外にない。それ以外に軍隊の機能性もなく、さらにはそれ以外の思考法もあるべきはずがない。  これが司馬さんの考えですね。そうしますと、私が先日、旧日本軍と現在の自衛隊と軍隊として本質的にどこが違うかという質問をしたわけなんですが、前回の委員会で、国際的には自衛隊は軍隊として認められているけれども、国内的には交戦権を持たないという意味あるいは戦力を持たないという意味などにおいて軍隊ではないという趣旨の答弁がありましたね。  ちょっと防衛省、どなたでも結構ですが。
  114. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 日本が武力攻撃を受けた場合は、それはもう武力行使をするわけでありますから、その一面で見る限りは軍隊と本質的には変わらないと思います。そのときに、旧軍と日本の自衛隊とが違うかどうかと言われましても、確かに今言われたようなそういう一面性はある意味では持っていると思います、目的を。結局は勝つために戦うという、そういう一面がございますから。  しかしながら、戦後の教育を受けてきたそういう自衛隊の隊員と旧軍とで、私はやっぱり本質的に違う面もあるんじゃないかなという、そういう思いもいたしますから、かつてそうだったからやっぱり自衛隊もイコールだというふうに言ってしまって、自衛隊は必要ないという、もうそういうんだったら、もうとにかく日本に自衛隊を持たないという、そういう主張で押し通すことができればいいわけですけれども、国民の大多数が、やっぱり自衛隊は必要であるというそういう判断でやっている、そういうふうな点も考えながらやっていかなければなりませんから、そこが非常に難しいところであります。
  115. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 大田先生、国民保護法という法律を、当時、政調会長、久間政調会長代理で国民保護法を有事法制に続いてやらさせていただきました。  私は、順番としては国民保護法の方が先だと主張したんですけれども、野党の方々はいろいろ御意見等々ございまして、有事法制が先だと、まあ与党もそうでしたので。だから、反対したのが久間政調会長と麻生太郎二人は国民保護法が先だと申し上げた。それは、今言われたのと同じ話でして、戦前は国民保護法はございませんから、基本的には。だから、沖縄島において、上陸予定地から撤収させてほかのところに移すということは法律的にはできなかったわけです、あのときは。これが一番法律的には難しいところだったというのが、戦前のあの後調べますとそういう法律になっている。あらかじめ戦闘予定地域から自国住民を強制的に撤退させるということができなかったわけです、あのときは。法律的にはですよ。  そこで、私どもは、沖縄戦の勉強から学習すべきは正にこれなんであって、国民保護法が優先するのが一番じゃないのかということをしつこく主張したんですけれども、残念ながらそうはなりません。結果としては一年遅れた形ででき上がりましたので、私はそれはそれなりによしとしておりますけれども、今は、久間大臣も言われましたように、そういったことを想定して、あらかじめ、撤退してくる、退避してくる住民と、そこの侵攻を防ごうとしている自衛隊が道路で交差したときにどういうふうにするかということを、あらかじめきちんとしたものをつくっておくべきだということで、いろいろ今、各自治体にお願いしたりなんかしているというので、沖縄戦の学習から最低限はと思ってこういったことが今少しずつではありますけれども進行しつつあると思っております。
  116. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 事実関係としてちょっと申し上げますと、今の大臣の御発言で、沖縄戦のときには住民をどこに避難させるかということが法律的にできなかったとおっしゃいます。確かに法律はなかったかもしれません、具体的な法案は。しかし、軍としては、守備軍としては、知念半島に住民を移せというふうに命令をちゃんと出しているわけなんですね。しかし、戦闘が激しくて、米軍のその知念半島地域の占領というのも早かったものですから、それが不可能になったわけなんですね。そういう事実があるわけなんです。  ここで私がなぜあえてこういうことを申し上げるかというと、一般的に自衛隊は何のためにあるかという、正に大臣がおっしゃったように、一般の国民は、戦争があったりあるいは不当な侵略があったら自分たちを守ってくれるはずだと、生命、財産を守ってくれるはずだという、そういう認識を持っているわけなんですね。  それで、今読みました二つの引用文は、戦前の旧日本軍のことを書いているわけなんですね。問題は、じゃ現在の自衛隊はどういう発想を持っているかといいますと、栗栖弘臣さん、御承知ですね、もちろん大臣は。有名な自衛隊の最高の幹部だった方ですね。この方が「日本国防軍を創設せよ」という本を書いております。その中でこういうことを書いております。  国を守るとはどういう意味か。今でも自衛隊は国民の生命、財産を守るものだと誤解している人が多い。政治家やマスコミも往々この言葉を使う。しかし、国民の生命、身体、財産を守るのは警察法に基づく警察の使命であって、武装集団たる自衛隊任務ではない。自衛隊は国の独立と平和を守る、これは自衛隊法にありますね、のである。この場合の国とは、我が国の歴史、伝統に基づく固有の文化、長い年月の間に醸成された国柄、天皇制を中心とする一体感を享有する民族、家族意識である。決して個々の国民を意味しない。もし個々の国民を指すとすると、自衛官も守られるべき国民であるから、生命を犠牲にすることは大きな矛盾であると。  これが自衛隊の最高幹部だった方の発言なんですね。そうしますと、私が先ほど来、戦前の旧日本軍の本質的なものについて、果たしてその説が当たっているかどうか、もちろん異なった意見もたくさんあると思いますけれども、引用したのとほとんど戦後のその自衛隊の軍隊の本質というものは変わらないのではないかという懸念があるわけなんです。ですから、その辺を、このイラク特措法の問題なんかとも関連して、本当に有事体制になった場合に、どういうふうにして国民の生命、財産を守るか。  私が前からずっと言っているのは、この小さな島国に、五十二か所に原子力発電所を持っているこの小さな島国で、有事体制が起こること自体、これはもう起こらせては絶対にならないという感じがするわけなんですね。ですから、そういった意味で、もうちょっと丁寧に、こうこうこういうことだと、我々の任務はということを、誤解があるとすればその誤解を解くなりしていただきたいというふうに思うわけであります。  ですから、沖縄の方に海上自衛隊を派遣したということ、これが非常に悪い影響を与えておりまして、随分懸念しているわけなんでございますが、実は総理大臣が私の質問に対して、この海上自衛隊を派遣したのは、その潜水技術を役立てるためだということだったわけですが、自衛隊法の中に、そういうケースの場合に派遣できる法律が、法的な根拠がありますか。
  117. 久間章生

    国務大臣久間章生君) これは度々ここでも言っていますように、国家行政組織法では省庁間協力で協力をするということが規定されております。ほかの省庁から依頼を受けたときでもそういうことはできるわけでありますから、同じ省内で依頼を受けた場合には当然それはやるのが当たり前じゃないかという、そういう判断の下にその潜水能力を利用したわけであります。
  118. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 大変失礼ですが、前回も同じことを質問して申し訳ないんですが、たしか事前調査の契約は二十億超していたと思うんですね、費用は。そうしますと、民間の会社は潜水技術なんかも十分に持っているからこそ受託できるんじゃないですか。
  119. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 確かに、それを持っているからこそ契約をして受託したわけであります。しかしながら、非常に時期が遅れてまいりまして、短期間のうちにサンゴの発生のそういう状況の中で器具を設置しなければならないという時間的制約が参ってまいりますと、それだけに頼っているわけにもいかぬので、その短期間にやるためには自衛隊の持っている潜水能力を生かしてもらいたいという、そういう施設庁からの依頼がありましたので、海上自衛隊において潜水夫を派遣したということであります。
  120. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 文部科学省、おいでですか。お願いしますね。  今の各省庁間でお互いに協力し合って一体となって事を進めるというお話がございましたけれども、今回の教科書の検定において、特定のある団体から、教科書のこの記述を是非とも検定で変えてほしい、改めてほしいという要請を受けた事実はありますか。
  121. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  今お尋ねの点については承知しておりません。
  122. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これまで担当者として、文部科学省として、ある特定の団体若しくは個人から、この記述はこう間違っているから是非変えてほしいという要請を受けたことはない、御存じないということですか。
  123. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) 教科用図書の検定につきましては、繰り返しになりますけれども、教科用図書検定調査審議会の専門的な調査審議に基づいて検定意見を付しているということになりますので、特定の団体からのお話というものはないと思っております。
  124. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 御承知と思いますが、昭和三十二年に厚生省が集団自決のことについて、慶良間諸島などの集団自決について具体的に調査をしていますね。これは援護法の関連で調査をしておりますが、二十項目を設けて、その枠内にはまる人たちに対しては援護資金を与えるというそういうことになっておりますし、それから、靖国神社に祭るというようなこともやっておりますが、その報告書を読みますと、集団自決というのは軍命によりとはっきり書かれているわけなんですね。  教科書検定をする前に、その調査をした厚生省と文部科学省は話し合ったことがあるんですか。この件について厚生省は以前に調査をしているけれどもその結果はどうでしたかというような形で、事実関係を確認したことはありますか。
  125. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) 文部科学省といたしまして、沖縄戦の集団自決の犠牲者の方々に対しまする援護法の認定当時、昭和三十年当時の具体的などう取り扱われたのかということについて、詳細には把握できておりません。  今回の検定意見につきましては、最近の学界の状況ですとか、沖縄戦、特に今回は集団自決をめぐります議論状況を専門家の方々が判断をして検定意見を付したという状況でございますので、援護法の問題が直接今回の議論の俎上にはなかったのではないかと思っております。
  126. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 せっかく官房長官がいらっしゃっておりますので、一言だけお伺いします。もう最後ですので。  靖国神社に、普通の場合と違って、沖縄戦で犠牲になったゼロ歳児、一歳くらいの子供なども祭られておりますが、それは何か政府と関係ございますか。政府はその点を御存じですか。
  127. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 宗教法人のことでございますので、政府としては承知をしておりません。
  128. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  129. 田浦直

    委員長田浦直君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時十七分開会
  130. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  131. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  まず、お聞きしますけれども、防衛大臣にお聞きいたします。  陸上自衛隊情報保全隊イラクへの自衛隊反対する市民運動や報道機関の取材に関する情報を広範囲に収集、分析していたことに関して、この公開された資料というのは、これは本物なんでしょうか。
  132. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 本物かどうかは、全部が本物かどうかについてはつまびらかにすることができません、うちの資料ではございませんので。ただ、自衛隊関係者から入手したというような共産党志位委員長報告でございまして、全く根も葉もないということじゃないと思っておりますけれども、全部が全部本物かどうか、チェックが実はできませんので、正直言ってすべてが本物であるかどうかについて分からないということであります。
  133. 白眞勲

    ○白眞勲君 これはすべてが本物じゃないか分からないと今御答弁されましたけれども、つまり本物の部分もあるということですか、そうすると。
  134. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 保存文書じゃございませんので、手元に、要するに報告書として上がってきたやつを束ねたやつでございますから、それがそういう形で保存されておれば全部チェックすることはできるわけでありますけれども、そういう保存義務もない文書でありますので、その取られた資料がどういう形であったのか、その人が全部網羅してちゃんと持っておったのかどうか、その辺も含めて分からないわけであります。
  135. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、一見して偽物だというふうにも見えるところもあるんですか。
  136. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、そうではないというような感じを受けますね、やっぱり作られたような気配はむしろありませんから。  ただ、それが本物であるということを断定するためには、本物がちゃんとあって、それとチェックしていった場合に全部が本物であるということで、全部が本物であるという立証というのは非常にそういう点で、本物がありませんと、保存した文書があればチェックできるわけですけれども、分かりませんので、それが本物であると、真贋について断定する立場には今、私にはないということであります。
  137. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、ぱっと見て、あっ、偽物だというふうにも思えない部分だということですね。
  138. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そういうことであります。
  139. 白眞勲

    ○白眞勲君 この資料、私も今朝見ましてびっくりしちゃったんですけれども、ちょっとお聞きしますけれども、これは、自衛隊イラク派遣は憲法違反であり、派遣に反対だというふうに国会議員が言うと、これは誹謗する発言なんでしょうか。
  140. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は必ずしもそうは思いません。というのは、国会議員は、あのときでもこの派遣については賛成反対いろいろありましたから。その人が自衛隊に対して親近感があったとしても、その政策的には自分は反対だという場合もありますから、それはその報告書を書いた人がそう判断したのかもしれませんけれども、私自身はそういうふうには思いません。
  141. 白眞勲

    ○白眞勲君 私も大臣と同じ考えでして、それは自衛隊、恐らく自民党さんの議員さんの中にも、たしかイラク自衛隊には反対と言っていた人がいたような気がしましたし、それは政策的にいろいろな意見があって当たり前だし、それをいろいろな場で議論するのが当然だと思うんですけれども。  自衛隊イラク派遣が憲法違反であり、派遣に反対だと言うと、これ反自衛隊活動になるんですか自衛隊では、ということを聞きます。
  142. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 反自衛隊であるというふうに判断したのかどうかも含めて、私はそれでもって反自衛隊というレッテルを張るわけにはいかぬのじゃないかと思いますね。
  143. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、自衛隊として、これは組織として、国会議員イラクへの派遣が憲法違反で派遣に反対だと言うと反自衛隊活動だというふうに言えるんですかと聞いているんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  144. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 防衛省としてあるいは自衛隊としてそういうふうな断定はできないと思います。
  145. 白眞勲

    ○白眞勲君 だったら、この報告書、偽物ですよね、そう書いてあるんだから。
  146. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 偽物というよりも、報告書が上がってきたやつを束ねた文書ですから、上がってきた中身についてそれを一々防衛省として評価しているわけじゃありませんので。そういうのを、出てきた報告書を、こういう報告がありましたということを束ねている、そういうようなものじゃないでしょうか。私は、その今言われた部分について見ておりませんので分かりませんけれども、それは。  だから、全体として防衛省として評価してそういう冊子を作っているわけじゃありませんので、報告書の上がってきた全体を束ねているやつだと思っておりますから。
  147. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、これは報告書を束ねてきたといっても、結局ここにあるのは反自衛隊活動としてそれが規定されているわけですよね、この国会議員の発言が。反自衛隊活動の中の項目にこれが書いてあるんですよ。これは問題だと思いませんか。
  148. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それを、発言をいろんな項目のところに整理するときに反自衛隊、どういうふうにあれは、その当時のことで私も分かりませんけれども、どういう形でどういう項目に入れたのか、それ入れた人の判断だろうと思いますけれども、私はそれを防衛省として反自衛隊というふうにレッテルを張ったとは思っておりません。
  149. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私は、ここに書いてあるのは、こういうことが書いてあったら問題ですよねというふうに聞いているんですよ。
  150. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 記入した人のまあ識見にかかわる問題でありまして、それを防衛省として上がってきたのを訂正させるとか、そういうような立場にあれば、こういう記述はやめろとかこういう記述はおかしいとかあれですけれども、上がってきたのを、単に情報収集として上がってきたのを束ねているわけですから、その上で防衛省としてはどういうような意見があったかということに注目しているわけで、どういう項目に入れて上げてきたかというよりも中身の問題だろうと思いますけれどもね。
  151. 白眞勲

    ○白眞勲君 しかし、これは各派遣隊長殿ということで東北方面情報保全隊長の中の文章としてこれがあるわけですよ。その中にこういう、何ですか、国会議員がこういうことを発言したのは反自衛隊活動だというものが規定されていること自体が問題じゃないですかというふうに私は聞いているんですよ。ちゃんとお答えください。
  152. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そこで何かそういう評価を防衛省として自衛隊として下しておれば、それはちょっと問題かもしれませんけれども、そういう判断を下しているわけじゃなくて、そういう項目の中に上げてきているということをそのまま、もしそれ本当とすればですよ、それ本当とすれば、そのままそれをこちらから向こうに回したというだけの話じゃないでしょうか。
  153. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、右から左へ回したとおっしゃっても、これが束ねてあるといっても、結局これが付紙、付属の付に紙って書いて、付紙第二って書いてあって、それで入力分まで書いてあって、なおかつここに、派遣は反対だということに対して反自衛隊活動だと、工作種別は宣伝と書いてあるんですね。  こういうことが書いてあるそういう文書が、もしこれがちゃんと東北方面情報保全隊長の名前で出ているとしたならばこれは問題ですよねということを私は言っているんです。ちゃんと答えてください。
  154. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、答えているつもりですけれども。  保全隊長の名前でその中身を一つの評価を下してやっているんならあれですけれども、こういうような形で情報収集が上がってきておったということを事実として束ねているわけでありますから、その事実の中身が全く仮にでたらめであったとしても、それを付けておったからといってけしからぬという形にはならないんで、出てきたこと自体がむしろそれはおかしいということは言えるとしても、その隊長の責任にはならないんじゃないかと。それをそのとおり、それを正しいとして評価した上で流しているんなら問題でしょうけれども、出てきた付表のその中身をそのまま添付したということは、私はむしろそういう評価した人の言い方がどうかなという問題はありますけれども、それを工作して変えて添付するよりは、来たのをそのまま右から左に流したという、そっちの方が正しいんじゃないかなと。正しいというのは、正当という意味じゃなくてですよ。その中身についてはそれが良かったかどうかは別としまして、処理の仕方としては右から左に付いてきたものをそこで手を加えないで流しているという、ただそれだけのことじゃないかなというふうに思っているわけです。
  155. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは情報保全隊長が右から左に流したとしても、当然、中身は読んでいるはずですよね、普通は。中身何にも読まないままぱらぱら出すということはあり得ないわけですよ。そうしたら、その中で、こういうシリーズ物であるならば、反自衛隊活動にこういったことを書くのはおかしいじゃないかというふうに隊長はそのいわゆる書いている、評価する人に、今言った評価する人が問題かもしらぬといってその評価する人に対して言うのが組織というものじゃないんですか。
  156. 久間章生

    国務大臣久間章生君) その項目がどういう項目になっておったのか、反自衛隊という項目とあるいは自衛隊に批判的とかいうようなのがあるのかどうか知りませんけれども、私はそれつまびらかに見ていませんので、もう大分前のことですから、そういうようなことについて右から左に流した、そのときには読んだかもしれないなとは思いますけれども、それについて今ここで、読んだ隊長がそれの工作を、あるいはそのページを破り捨てる方が正しかったのか、そのまま付けて出した方がいいのか、それは一概に私は言えないと思います。むしろ、そういうような分類をした人が適切だったのかなという問題は残ると思いますけれども。
  157. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、つまり、そういうことを言いますと、上の方はこの辺に対する問題意識はあったとしても、その分類をした人とかそういう評価をした人というのは、これはこういうことを書いてもそのままその書類が通っていくということになるじゃないですか。それは問題じゃないんですか。  じゃ、その評価した人、自衛隊の中のいわゆる一般の隊員さんから、まあ一般の隊員さんじゃないとは思いますけれども、一般の隊員よりはちょっと何かまた別の仕事をされている方かもしれませんけれども、こういう方々がそういう反自衛隊活動、国会議員のこの発言を反自衛隊活動だということを言ったこと自体が、もうこれ自体が私は、やはりこれ問題だと思いませんか。
  158. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そうは言ってはいないと思うんですよ、そこの欄に発言を記入したんじゃないかなと思うんですけれども。そこは、先生、手元に資料がありましたら、そういうふうにその自衛隊員が言ったということじゃなくて、言った内容は本人さんが集会等で言った内容を書いているんであって、その書く欄をそういったところに書いているんじゃないかなと思いますけれども。
  159. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、委員長にお願いしたいんですけれども、東北方面情報保全隊長を参考人としてお願いします。  それから、増子参議院議員・前衆議院議員を参考人としてお願いいたします。
  160. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまの白委員からの件については、後ほど理事会で検討させていただきます。
  161. 白眞勲

    ○白眞勲君 今のいろんなやり取りを官房長官、どういうふうに思われますか。
  162. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 防衛省は設置法によって設立をされ、それに書かれている業務を行うということであって、その業務の定められた法律の範囲内でやっている活動については何ら問題がないというふうに思います。
  163. 白眞勲

    ○白眞勲君 やっぱり言っていることよく分からないんですが、もう一回ちょっと、どういうことですか、よく分かりませんけれども。  その範囲内においては問題ないんですけれども、じゃこういったことについてはどうなんですかということを聞いているんですけれども。
  164. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) そもそも、その紙自体防衛省から私どもの方に上がってきたものでもありませんし、共産党の方から御発表されたものでありますので、それがどういうものなのかというのも定かでもありません。したがって、まだこれをコメントするという立場ではないんだろうというふうに思います。
  165. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、防衛省では、この資料はそうでもない感じだというふうに言っているわけですよ。今大臣はそういうふうに言ったわけですね、この資料はあながち偽物でもない感じだということをおっしゃったわけですね。それに対して、官房長官は今のやり取りを聞いてどう思っているのかを聞いているんですよ、私は。
  166. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) やり取りいろいろあったんで、どの部分をお指しになっているんでしょうか。
  167. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、隊員の皆さんが、国会議員がこういった発言をしたことに対して反自衛隊活動だということを書いているということに対して、右から左にただ伸ばしてこういうふうにこれを出したんではないかというふうに防衛大臣がおっしゃったことに対して、それで本当に自衛隊というのはこれ、シビリアンコントロールやっているのかと、本当に我々国会議員というのは、一般自衛隊員にしてみると、憲法違反だと言ったり、イラクに派遣反対だと言ったら、これはもう反自衛隊なんだというふうな認識なのかというふうに思うと本当に残念だと思うんですけれども。  その点については、じゃ官房長官どうなんですか。今、官房長官に聞いていますから、ちょっとお願いします。
  168. 田浦直

    委員長田浦直君) まず、久間大臣
  169. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 憲法違反だというふうにはっきり言われますと、それは反自衛隊だというレッテルを私でも張るかもしれません。しかし、そこまでは言っていないんじゃないでしょうか、それは。もしそうだとすれば増子さんの名誉にもかかわりますから、それはちょっと丁寧に言ってもらったらいいと思いますよ。  私は、個人的には増子さんを知っているから、反自衛隊とは思っていませんよということも言っていますけれども、憲法違反だともし言った上でそういうことを言われるんなら、それはちょっと、反自衛隊だというレッテルをその自衛隊員が張ったということについて、それはおかしいというのは、先ほど言った私のですね、そういうふうな発言についても、ここでもう一回言いますけど、そうは言っていないんでしょう、増子さんは、自衛隊は憲法違反だとは。
  170. 白眞勲

    ○白眞勲君 自衛隊イラク派遣は憲法違反であり、派遣に反対だというふうに言ったわけです。それに対してということです。
  171. 久間章生

    国務大臣久間章生君) ああそうですか。分かりました。
  172. 白眞勲

    ○白眞勲君 官房長官はいかがでしょうか。
  173. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今、久間大臣が先ほど来お答えになっているように、このペーパー自体がどういう位置付けのものなのかということが定かではないということでありますので、そこの中にある表現についての評価も、それがどういう文書なのかが分からない中でその表現を一部分だけ取り出していい悪いということもなかなか判断が難しいなというふうに思いました。
  174. 白眞勲

    ○白眞勲君 このような報告書がほかの部隊で作られていた可能性というのはあるんでしょうか。
  175. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は今のところ聞いておりません。  それは、やっぱり北部が最初に行きまして、次が東北だということで、東北の部隊が非常に神経を使って、まあ行ったばかりでありますから、次は自分たちだというときに、どういう状況なのか、家族に対してどんな、いろんな嫌がらせとかその他があるのか、そういうような雰囲気の中で非常に情報収集に走り回ったんじゃないかと思いますから、私は、ほかの部隊でもそういうような情報収集をしたというのは今のところ聞いておりません。
  176. 白眞勲

    ○白眞勲君 午前中の議論で、公開の場で情報収集をしていくことについては別に問題ないんじゃないかという久間大臣の御発言がありましたけれども、そういう考え方でいうと、当然これ、ほかの部隊情報収集をしている可能性というのもあるわけだと私は思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  177. 久間章生

    国務大臣久間章生君) イラクに最初に派遣されまして、そしてその後、東北が行きましたけれども、そのころはもう比較的国内的にもイラク陸上自衛隊よくやっているなという雰囲気が広まってきておりましたので、むしろ反対運動そのものが余りありませんでした。  だから、二回目の、次は自分たちの番だということで準備をするその段階とその後とは違いますから、私はなかったんじゃないかなと思いますけれども、なかったと断言することは私自身もできません、その当時はまだ長官でもありませんでしたし、今それについてどうだったかということを調査もしておりませんので。
  178. 白眞勲

    ○白眞勲君 では、調査する必要性はあるというふうに思いますか。
  179. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、別に調査する必要はないと思っております。それは、情報収集はいつもやっておるわけですから、その一環として、いつやったかやらなかったか、それを一々部隊として公表する必要はない、内部の話でありますから。
  180. 白眞勲

    ○白眞勲君 海上自衛隊とか航空自衛隊でも同じような資料というのは作っていたんでしょうか。
  181. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 情報収集はやっぱりしていると思いますね、みんながそれに対して賛成反対が多い、少ないというようなことも含めて。ただ、具体的にそういう形で文書に集約しているのか、そういうことについては正直言って分かりません。
  182. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、可能性ありということでよろしいですね。
  183. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 否定をしないときは可能性がないわけじゃありませんので、可能性がないと言い切るには、私も正直言ってそれはございません。やっぱり情報収集はやれることになっておりますから、情報収集した場合にそれを整理して束ねるということはあり得ますから、そういう点では可能性はあります。
  184. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、防衛大臣はこの書類というんでしょうかね、この資料が三週間ぐらいで、何というか、破棄する資料なんだということをおっしゃっているんですけれども、なかなかすごい分厚くってすごい資料なんですけれども、何でこれ三週間で破棄する、その根拠は何なんですか。
  185. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、三週間って全部が全部三週間じゃございませんけれども、報告書のたぐいで注意という書いているやつは大体三週間でもう破棄しなさいというような。だから、みだりに外部に、いろんなところから持ち出されてあれすることは良くないわけですから、その秘密文書じゃありませんけれども、そういうのを部外者に勝手に持ち出して渡すとか、あるいはまた部外者が勝手に取りやすいようなところに置いておくというのは良くないので、三週間ぐらいで破棄されるものと。しかし、全部が全部三週間できちんと破棄するという形の指示があっているわけじゃありません。
  186. 白眞勲

    ○白眞勲君 事務次官も、昨日ですか、何か報道で見たんですけれども、隊員が動揺しないよう、家族に不安が生じないようにという観点から、世の中の批判的な動きを収集したと、こう報道ではあるわけですけれども、だったらもう少し保管すべきなんじゃないかなと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
  187. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 御承知のとおり、サマワに行きましたイラク陸上自衛隊につきましては、ほとんど反対運動がその後消えてしまってなくなっているわけですね。  それで、今の時点でそのときの調査した文書を学問的に残しておくということは、それはまた必要かもしれませんけれども、そういうような必要性を感じないからこそ、もうそのままの注意という形で処置しておったんじゃないでしょうか。だから、私は、その当時とられた措置が、保存文書としての、あるいはまた秘密文書としてのそういう処置をとらなかったこと自体については特別間違っていたとは思いません。
  188. 白眞勲

    ○白眞勲君 ここに、ヘリの騒音の苦情電話を掛けたと、これも反自衛隊活動だというふうに書いてあるんですね、これ。振動で困るという電話掛けたら反自衛隊活動だと書いてある。こういうのは、みんな反自衛隊活動なんですか。
  189. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 自衛隊に対する抗議があった場合に、それを親自衛隊か反自衛隊かという、そういうふうな二つに選択するとなると、まあ、そちらの方に書いたとしてもやぶさかじゃないかもしれませんが、それも、そういうような分け方そのものが果たして良かったのかどうか、文書の区分けの仕方そのものからも問題があろうかと思いますけれども、それを反自衛隊というふうにレッテルを張ること自体については、さっきから何回も私も言っていますように、それはどうかなと思います。  苦情は苦情ですから、それは、騒音は騒音でやっぱり生活に支障を来す場合あるいは生活上困る場合は苦情は言うわけですけれども、苦情を言ったからといって、それが反自衛隊にはならないわけであります。
  190. 白眞勲

    ○白眞勲君 私もそう思うんですよ。これ、例えば工事現場で、音がうるさいと、もう夜寝る時間だからやめてくれとか言われた場合には、それはメモとして残りますよね、普通は残したりしますよ、会社としてもね、普通の一般企業だってね。何時にこんな電話がありましたと、どこそこのだれからというのを残していくのはいいんだけれども、それが反何とか運動だとかいうふうにやるというのは物すごく、何か活動だなんていうふうにいうと、非常にこの被害者意識というか、この自衛隊に対する、それが自衛隊の中にあるのかなとも思えるんですよ、こういうこと書いてあるんだから、実際に。それについてどう思われますか。
  191. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 情報収集に当たった本人が、どういうレベルというといかぬですけれども、どう判断をする人なのか、それにもよるかと思いますが、逆にそういうふうに書いてあるということは、情報収集に回った人が、そういうような苦情があったのを反自衛隊というそこの欄に書くということが事実あっているという、そこを私たちはやっぱりきちんと頭にカウントしておかにゃいかぬ。それは果たして、先生おっしゃるように本当の意味で反自衛隊かと、親自衛隊でもそういう苦情言うじゃないかと、それを反自衛隊というふうにそこで書いてきていること自体がいかがなものかということを、絶えず部隊長にしても我々にしても心しておかなきゃならないとは思いますけれども、それはそれで事実として、数年前にそういうような報告があったというのも事実として、私たちは、もしそれが真実なら、そういうふうに思いを寄せなきゃいけないと思っております。
  192. 白眞勲

    ○白眞勲君 自衛隊に対して批判的な、これは自衛隊の皆さんが思った場合にですよ、自衛隊に対して批判的な勢力とか言論、議員たちのデータベースというのは、自衛隊で作っているんでしょうか。
  193. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは作ってないと思います。
  194. 白眞勲

    ○白眞勲君 こういった情報というのは今でも収集していますでしょうか。
  195. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そのような形での情報収集はしていないかもしれませんが、情報収集は絶えずやっております。それで、情報で上がってきたやつがすべて正しいとはまた言い切れないわけでありまして、それを上の方がどう評価するかは、それはまた別物でございますが、情報収集としてはやっぱりいろんな形でやっているんじゃないでしょうか。
  196. 白眞勲

    ○白眞勲君 その場合に、無断で写真を撮ったりすることはいいんでしょうか。
  197. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは、私は可能だと思います。写真で特定の人を大きくクローズアップするとか、特定の目的を持って写真撮ることは、これは良くないと思いますけれども、全体的な抗議行動なりそういうような集会なり、そういうような全体図といいますか、そういうような、あるいは抗議を受けたときの写真を複数の形で撮ること自体は、それは悪いとは言い切れないと思います。
  198. 白眞勲

    ○白眞勲君 その場合に、写真を撮る前に先方に写真を撮りますということを許可を得なくてもいいんでしょうか。
  199. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それはいいと思います。デモ隊が行進しているとき、それを写真を撮るときに一々デモ隊に写真撮りますよということは、皆さん方もしてないはずです。
  200. 白眞勲

    ○白眞勲君 逆にデモ隊の方々から、あんたはなぜ写真を撮っているんですか、あなたはだれですかというふうに言われた場合に、自衛隊員だということを明かしていたんでしょうか。
  201. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは、私はその場にいませんから分かりませんけれども、そういうふうに聞かれたときに、何も自分を隠す必要はないんじゃないかと思っております。
  202. 白眞勲

    ○白眞勲君 この集会を見ますと、相当詳しく報告書というんでしょうか、見ると書いてありまして、その中には集会でも大分、いろんな方々がいろんな発言をして何人集まってだれが出席したというような概略も書いてあるという中で、これだけの資料、当然これはその場所にいないとそれは当然収集できないと思うんですけれども、先ほど、午前中の中では、新聞記者だってばちばち撮っているじゃないかとかおっしゃっていましたが、新聞記者さんの場合は、基本的に取材をするときには、私は何新聞ですとか、あるいは腕章を付けたり、それなりに取材活動をしているんだということを基本的には表に出してやるというのが私は普通だと思うんですね。この場合、自衛隊員ですとか、あるいは私は自衛隊ですけどこういうことを書かせてくれということを言ってここの場に行ったんでしょうか。
  203. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 恐らく、そういう写真が簡単に撮れるというのは、不特定多数の人を相手に集めたそういう集会であって、写真等についても何ら制限されてない、そういう環境下に置かれておったんだと思います。
  204. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私の言っているのは写真ではなくてメモです。
  205. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それはいろんな集会で、政治家の演説会でもそうですけれども、そういう場合には、発言していることについては、みんなメモは取ってもだれも文句は言っておりませんので、そういうような会場でおたくの議員さんがしゃべられたのをメモ取られたとしても、それは容認されているんじゃないでしょうか。
  206. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、例えば、住所と名前を書いてください、出席された方に、そういう集会も私はあったと思います。そういう場合に、その方は自衛隊員の身分を明かして取材をされたんでしょうか。
  207. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そういうようなあったかもしれないという仮定の話に答えるわけにもいきませんので、また具体的に、断ったにもかかわらず、あるいはまた拒否したにもかかわらずこういうメモを取ったとか、具体的な事例として挙げていただければ、その事例を基に調査することはやぶさかではありません。
  208. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、今度、調査をするために、是非、委員長、ちょっと参考人を呼んでいただきたいと思います。
  209. 田浦直

    委員長田浦直君) 後ほど検討させてもらいます。理事会で検討させてもらいます。
  210. 白眞勲

    ○白眞勲君 運用基準による情報保安隊の調査対象となるのはどういう場合でしょうか。
  211. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 調査対象としては、もうあらゆるものが、自衛隊にとってこれは大事だと思う場合には、その保全上必要なことについてはいろんなことが想定されますので、どんな場合と具体的に、訓令上はもう非常に幅広く書いておりますから、保全隊の行動については、だからその範囲ならすべてが対象になると思います。
  212. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、後ろの方からその部分の答弁が出ていると思いますから、ちょっと読んでくれませんか。
  213. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 具体的には、例えば外部からの働き掛け等に対して、部隊や隊員等を保全するために必要な情報の収集、整理等を行うものであり、かかる任務を達成するために、必要な範囲内において適正に情報収集等を行うものであると、こういうような公式答弁になっております。
  214. 白眞勲

    ○白眞勲君 その場合、デモ参加者もそこに含まれるわけですね。
  215. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは、別にデモ参加者でもいいです。
  216. 白眞勲

    ○白眞勲君 新聞記者もその中に、取材活動としてはそこに当然含まれるということですね。
  217. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 入ってもおかしくはありません。
  218. 白眞勲

    ○白眞勲君 騒音や振動がうるさいので静かにしてくれと電話した場合もそこの分に含まれるわけですね。
  219. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それはどうでしょうか。電話でそういう特定の人の名前を言って掛けてこられるのかどうなのか知りませんけれども、こういう電話があったということは、それは記録としては残す方が正しいんじゃないでしょうか。電話があったのをネグってしまうよりは、そういう抗議の電話があったということをきちんと残す方が私は正しい態度だと思いますよ。
  220. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の申し上げているのは、情報保安隊の調査対象として、電話で騒音や振動がうるさいので静かにしてくれというのも入るんでしょうかと聞いているんです。
  221. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは相手の人が電話してきているわけですから、こちらから調査しているわけじゃないと思います。
  222. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、調査対象ではないということですね。
  223. 久間章生

    国務大臣久間章生君) おっしゃる意味がよく分かりませんね。  こちらから調査をしている対象を聞いておられるのか、電話を掛けてきた、抗議の電話を掛けてきた人を調査対象かというのとは別じゃないでしょうか。だから、抗議してきた人の名前といいますか、名前はちょっとできないかもしれませんけれども、こういう抗議の電話があったというのは記録にとどめることはいいことじゃないかと。それが調査でないか調査であるか、私は調査だと思いますけれども、その相手の人が調査対象者としてこちらが特定して調査対象者に選んだかどうかは、それは別じゃないでしょうか。
  224. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、その電話を掛けてきた人に対してはメモしてもあれだけれども、その人に対して調査対象にはならないということなんですか、なるという、どっちなんでしょうか。
  225. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 単なる苦情だったら、その人をマークして調査するなんてことはないですよ。
  226. 白眞勲

    ○白眞勲君 この文書の中には、そういう人に対して住所のチェックをしているんですね。その同じ町に四名の同姓同名の方がいるけれども特定できずみたいなことが書いてあるんですよ。それは調査しているからじゃないですか。
  227. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それは、抗議した人が名前を言われて、そして、もしそれが同じ名前で違う人だったら、その違う人が、おれはそんな抗議の電話してないぞとなるわけですから、やっぱり抗議をした人が、しかも向こうからちゃんと名前を名のっておられるわけですから、その人については正確に特定する方がむしろ親切なんじゃないですか。
  228. 白眞勲

    ○白眞勲君 その辺りはちょっと私とは認識が違うと思うんですね。特に、今までのお話を聞いていますと、やはり自衛隊の方がそういう集会に来て写真をばちばち撮っていたり、あるいは集会でそういったメモをして、かつ、こういった報告書にどんどんそういう人たちの名前を載せるというのは、非常に、やはり受けられた方にしてみれば怖いものというのは私はあると思いますよ、私はね。それは認識が違うといえばそれまでかもしれませんけれども、やっぱりその辺は防衛省としても考えなきゃ駄目なんじゃないかと私は思いますよ。
  229. 久間章生

    国務大臣久間章生君) それはしかし、公開の場に出掛けていって、隠れて写真撮ったり、あるいは隠れて盗聴したり、あるいは何かのぞいたりしてやるわけじゃなくて、公開の場に出掛けていって、どういうことを発言しているかを記録しているわけです。そして、今の抗議の場合は、向こうから抗議してきておられるわけですから、その人の名前をしかも名のられているわけですから、だれからこういう抗議があったということを書くことについて何ら不安をかき立てるものじゃないんじゃないでしょうか。
  230. 白眞勲

    ○白眞勲君 この件に関しては、もう少しまた次回やりたいなというふうに思っております。  では次に、イラク特措法の件について防衛大臣とやりたいなと思っておりますけれども、私もそもそも論から一回ちょっと入ってみようかなと思いまして、当時のこの法律のできたバックグラウンドというのをもう一度検証する必要があるんではないか。つまり、なぜ我が国はアメリカのイラク攻撃を支持したかについて調べてみたんですが、どうもそこには日米関係の中でのもしかしたら北朝鮮の影というのもあったんじゃないんだろうか。  久間大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、当時のイラク特措法の制定のときと北朝鮮との関係についてはどうお考えでしょうか。
  231. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は特別考えておりませんでした。北朝鮮の問題というよりも、それよりもむしろ国連から要請があって、しかも第一次の湾岸戦争のときにお金だけ出して自衛隊が行かなかったという、そういうことから我が国の存在価値が非常に戦争が終わった後評価されなかったという、そういうような苦い思い出がありました。そちらの方がむしろ頭をよぎったわけであります。
  232. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は、久間大臣が本会議で私の質問の際に、ブッシュ大統領はこの戦争をやることは間違っていたのかどうかと私が質問したときに、久間大臣否定をされたわけですけれども、そのときに、私はやっぱり久間大臣は戦争が間違っていたんではないかと思っていたんですけど、やはりそこには北朝鮮との関係において支持せざるを得ないだろうな、つまり、北朝鮮との関係においては、日本としては戦争を、本音ではしたくないけどしようがないかなと、しなければならないかなということはあったとは思いませんか。
  233. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は、正直言って北朝鮮との関係についてはその当時それほどは念頭にありませんでした。むしろ、日本の経済状況とかいろんな状況の中でアメリカと違う行動を取れるのかなという、そういう思いはございました。だから、私は支持するとまで言わぬでも、理解するぐらいでいいんじゃないのというようなことをある新聞に答えたことはございます、その当時。しかしながら、アメリカの戦争に踏み切ったこと自体に対して私はそれを否定したことは一回もありません。  そしてまた、小泉内閣がそれを支持したということを、私は当時、閣議決定までしているということを知りませんでしたので、そこまではなかったんじゃないかということを言いましたけれども、日本がそれを支持したという、政府が決定したのは、やはり日本の国益を考えて支持するか反対するか、そのときに支持する方に結局回ったんだと思って、今でもそういうふうに思っておりますから、そのときの政府の判断は私は今でも正しかったんだろうというふうに思います。  といいますのは、我々が知らないいろんな状況の中で、アメリカと一緒にそれを支持するか、反対に回るか、フランスみたいにするかどうかは、やはりその政府の立場で決めるわけでありますから、だから私はそれはそれで正しかったと言っている現在の政府の態度を踏襲しているわけであります。
  234. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと官房長官にお伺いいたしますけれども、今も日本の国益を考えたんだと、イラクの支持、支持かどうか、それはイラク久間大臣はちょっとニュアンスが違うことをおっしゃっていましたけれども、そういった中で、やはり北朝鮮というのはその中にあったんではないかというふうに思うことはないですか。
  235. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) これはもう何度もお答えを申し上げているように、幾つにもあった安保理決議に対するイラクの対応などを考えておったわけでありまして、特に北朝鮮を意識してイラクの問題について日本としての態度を決めたという認識は私は持っておりません。
  236. 白眞勲

    ○白眞勲君 ただ、当時の議事録を見ますと、これは二〇〇三年三月二十一日、参議院本会議で小泉総理はこうおっしゃっているんですよね。ちょっと読みますね。  同時に、日米同盟の重要性であります。アメリカは、日本への攻撃はアメリカへの攻撃とみなすと言っております。これは、いかなる国が日本に攻撃しても、アメリカと戦わざるを得ないという覚悟はなしに日本への攻撃はできません。これが日本の安全確保にとって大きな抑止力となっております。私は、アメリカは日本にとって掛け替えのない信頼に足る同盟国だと思っております。日本もアメリカにとって信頼に足る同盟国でありたいと思います。今回、責任ある一員として同盟国であるアメリカの行動を支持することは我が国の国家利益にかなうと思って支持いたしますと。  正に今、久間大臣の内容をここで小泉総理は言っているわけですけど、さらに、これ二〇〇三年十二月十五日にもこうおっしゃっているんですね。これから、イラクだけじゃありません、テロ対策においても、あるいは北朝鮮に対する対応においても、さらには海賊等の対策においても、日米協力してやらなきゃならない面がたくさんあります。お互い信頼関係を強めていく。日本にとってアメリカは唯一の同盟国であるということをおっしゃっているわけで、当時から北朝鮮をやっぱり意識しているんじゃないかなというふうに思えるんですけど。  要するに、北朝鮮の有事の際には、まあ北朝鮮の有事って、北朝鮮から何かあった場合にはやっぱりアメリカの助けも必要だから、今回イラクの攻撃を支持したというふうにも言えなくはないと思うんですけれども、官房長官、いかがでしょうか。
  237. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今の小泉総理の発言は、広い意味での日米同盟関係の在り方と日本としての考え方をおっしゃったんだろうと思います。狭義の、何というか、日米安保条約上の義務とかそういうことを言っているわけではなくて、もっと広い意味での同盟関係に触れられた発言だというふうに今拝聴して思いました。
  238. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、やっぱり北朝鮮を意識していると、狭義のじゃなく広義のという意味ではそういうふうになりますよね。
  239. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今、安倍総理も世界の中の日米同盟と、こういうふうに言っているわけでありまして、これはじゃどういうことを意味するんだということになれば、かなり幅の広い解釈が可能だと思っています。恐らく、小泉当時の総理もそれとほぼ近い形の考え方で日米同盟、日米関係というものをおっしゃったわけで、特に北朝鮮に引き付けて物事を解釈しようとしているわけではないんではないかなというふうに思います。
  240. 白眞勲

    ○白眞勲君 その件でいうと、ちょっと北朝鮮の件についてまたお聞きしたいと思いまして、青森の脱北者についてお聞きいたしますけれども、先日、六月四日の参議院拉致問題の特別委員会でお聞きしたんですけれども、また新たに判明した事実も含めてちょっとお聞きしたいと思います。  今回の事案が沿岸にいた釣り人の通報が最初だったというのが私にとっても大変気になるところなんですけれども、この件に関し、塩崎官房長官は、最初に海上保安庁が発見できなかったということは大変残念なことだと、こうおっしゃったわけで、今後この種の事案の対処のためにも日本海における警備体制が今後強化される必要があるんではないかと。官房長官もこうおっしゃっているんですね、やっぱり日本の国民の生命と安全を守るためにはどういう連携ができていくのか、あるいは技術的にどういうことができるのか、こういったことも含めて幅広くこれから検討し直さなきゃいかぬなというふうに思っておりますと、こうおっしゃっているわけなんですね。私もそう思うんですよ。  そこで、ちょっと海上保安庁にお聞きいたします。今回の事案を受けて、今後具体的にどのような体制を取ってどのようにしていくのか、お聞きいたします。
  241. 冨賀見栄一

    政府参考人冨賀見栄一君) お答えします。  海上保安庁としては、今回の事案を踏まえまして、警察等関係機関とのより一層緊密な連携を図るとともに、一般市民からの協力を得て沿岸警備に取り組んでまいりたいと。  先生御指摘のとおり、我が国周辺海域は極めて広大であり、今回のようなレーダーに映りにくい小型の木造船を発見することは非常に困難なことですが、事前に洋上でこのような小型船を発見できなかったことを真摯に受け止めております。  このため、海上保安庁では、老朽、旧式化した巡視船艇、航空機の整備を進めているところですが、これについても今回の事案を踏まえながら整備を進め、日本海側における監視警戒体制の強化に努めるとともに、この種事案の発生に備えて巡視船艇、航空機に搭載する探知装備の精度向上策等について検討してまいりたい、このように考えております。
  242. 白眞勲

    ○白眞勲君 冨賀見さん、非常に威勢のいい感じで一生懸命お答えいただいたのはいいんですけど、これ予算大丈夫ですか。
  243. 冨賀見栄一

    政府参考人冨賀見栄一君) 先ほど申しました巡視船艇の整備につきまして、昭和五十年代整備された巡視船艇、航空機、先ほど申しましたとおり老朽、旧式化しておりまして、現在、海上保安庁、救難なり海上の犯罪の取締り等いろいろやっておりますが、若干そういう点にも支障を来しています。  そういう状況から、先ほど申しましたとおり整備を進めておりますが、十八年度予算より本格的な代替整備に着手したところでございます。
  244. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと官房長官に、よろしいですか、ちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、今、冨賀見さんの方からいろいろ、これから頑張るぞという決意表明みたいな感じのお話を聞いたわけですけど、やっぱり格好いい船もあるんだけど、今も老朽化っておっしゃったんですけど、ちょっと言っちゃ悪いけど大分おんぼろみたいな船もあって、それ一生懸命隊員の皆さんが頑張ってメンテをしているという実情が私はあるんじゃないかと思うんですね。  やはり装備もできるだけ最先端の装備を持つこと、これは当たり前だと思うんですよね。特に木造のね、今もレーダーに映りにくいというふうにおっしゃったんですけど、ある意味非常にステルス性の高いわけですよね、この船というのは。まして、背がありゃ映るかもしれないけど、背も低いから、当然波の中に隠れるような状況になるともう非常に大変じゃないかなと思うんですけど、官房長官として、これ政府全体として予算面も含めてちょっと考慮すべきだと思いますけど、いかがでしょうか。
  245. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今、海上保安庁の方から御答弁を申し上げたのは、巡視船あるいは航空機の整備については計画的にやってきているわけでございますが、今回の事案は、今先生御指摘のように、あるいは前回も御指摘いただいたように、木造の割合小さな、割合というかかなり小さなもので、ステルス性が高いとおっしゃいましたが、何か元祖ステルス船みたいな、そんな船で見付からなかったと、こういうことであるわけですが、元々、我が国に仮にその工作船等があったとしても、母船が来てそこから船を降ろして、小さな船をですね、それで来るのを主に想定していたんではないかというふうに思います。  したがって、それに見合った体制を艦船、航空機、やっていたんだろうと思うんですが、仮に今回のように北朝鮮からああいう小さな船でそのまんま来ちゃうというケースがあり得ないことはないということが今回何となく分かったわけですね。したがって、こういったことについて、この間も先生にお答え申し上げましたけど、やはり技術的にも検討してみなければいけないことが今回のケースからあるんだろうということで、私の方からも海上保安庁の方に技術的検討を是非すべきだということをこの間も御答弁申し上げたように言ってございます。  そういう、その一環でもありますけれども、この巡視船あるいは航空機に搭載する探知装備の精度を上げるということ、プラス、今申し上げたように、レーダーに映らないものに対してどうするんだというようなことを技術的にも検討し直していくということが大事なんじゃないかということを今も言っているわけで、先生、予算面ということでありますけれども、今申し上げているように、計画的にやってはいます。やってはいますが、やや想定していなかったことに近いような船が今回あったので、となれば技術的にどういうものが必要なのかということを検討した上できちっとした対応をしていかなければいけないと思いますので、今年すぐにとか今年度すぐにというようなことにはならないのかなというふうに思いますけれども、引き続き先生の問題意識も念頭に入れながら検討をしてもらいたいなというふうに思っております。
  246. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ北朝鮮の状況で後で外務大臣にお聞きしなきゃいけないかなとは思うんですけれども、やはり結構急がないと駄目なんじゃないかなという感じもするんですね。  ですから、技術面の検討、当然これはしていかなきゃならないと思いますけれども、それと同時に、老朽化した船をどんどん新しくしていくという必要性も私はあるんじゃないかと。そのためには今からどんどん予算も含めて措置をしていく必要性があるんじゃないかと思いますが、官房長官、その辺はいかがでしょうか。
  247. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 巡視船あるいは航空機の緊急的な整備については、もちろん今お話ございましたように、日本海側における監視警戒体制の強化も念頭に置きつつ、やっぱり計画的にできる限り早いペースでやっていかなきゃいけないということは先生の御指摘のとおりだと思います。
  248. 白眞勲

    ○白眞勲君 是非よろしくお願いしたいなと思うんですけれども、海上保安庁にもう一点ちょっとお聞きします。  一昨日の民主党の部会で、海上保安庁さん、こうおっしゃっているんですね。今後、付近で漁をしている漁船とかあるいは航行している船舶とかのより緊密な連携も図っていくという報告がありましたが、それでよろしゅうございますね。はいかいいえぐらいでいいですけれども。
  249. 冨賀見栄一

    政府参考人冨賀見栄一君) 先生御指摘のとおり、やはり通航船舶等からの通報というのは非常に有効な情報でございまして、それと、陸上警察、沿岸部でございますから、水際での協力体制というものは非常に重要なテーマだというふうに考えておりまして、更なる連携を進めてまいりたいと、このように考えています。
  250. 白眞勲

    ○白眞勲君 海上自衛隊とも連携を取っていくということをそのときおっしゃっているんですけれども、具体的にはどのようにするおつもりでしょうか。
  251. 冨賀見栄一

    政府参考人冨賀見栄一君) 海上自衛隊との連携につきましては、日本海なり東シナ海で起こりました工作船をイメージしておりまして、そういうところで工作船対応ということで、海上自衛隊とは共同マニュアルを作り、共同訓練も進めているということでございます。
  252. 白眞勲

    ○白眞勲君 それは今まではそうだったんだけど、今後どうするかを聞いているんですけれども。
  253. 冨賀見栄一

    政府参考人冨賀見栄一君) 海上自衛隊とは任務等が違いますから、工作船につきましては、やはり海上警備行動を発令された場合の連携ということで共同マニュアルを作っていると、こういうふうに認識しております。
  254. 白眞勲

    ○白眞勲君 それ以上やるおつもりないんですか、そうすると。
  255. 冨賀見栄一

    政府参考人冨賀見栄一君) 密航船等につきましては平時の問題でございまして、海上警備行動という話に発展すると、工作船ならばあり得るというふうには考えておりますけれども。  以上です。
  256. 白眞勲

    ○白眞勲君 海上自衛隊と仲悪いということはないですよね。
  257. 冨賀見栄一

    政府参考人冨賀見栄一君) 現状といたしましては、実務レベルでは非常に連携はうまくいっていると、このように考えております。
  258. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か実務レベルとはいい関係らしいんですけど、防衛大臣、海上自衛隊どうですか。
  259. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先般、海上警備行動がありましてから、海上自衛隊と海上保安庁とは非常に連携がうまくいっておりまして、いろんな実務レベルで日ごろから連携を図りながら取り組んでおります。  そういう意味では、特に海上警備行動に切り替えた場合にどうだということを、一応、一義的にはそれを念頭に置いていますけれども、お互いのやっぱり情報等についてはできるだけ連絡を密にして、うちの方でもP3C等で不審船が見付かった場合には向こうに連絡しますし、そういうようなことについての連携は取り合っているようでございます。
  260. 田浦直

    委員長田浦直君) 冨賀見警備救難監から何かありますか。
  261. 冨賀見栄一

    政府参考人冨賀見栄一君) 申し訳ありません。  先ほど実務レベルと申しましたのは、訓練等を通じて意思疎通は図られていると。それと、共同マニュアルを結んでから中央レベルでも意見交換なりいろいろやっているということで、実務レベルと言ったのはそういう意味でございます。
  262. 白眞勲

    ○白眞勲君 一生懸命お話ししていただいて、ありがとうございます。  ちょっと警察庁にお伺いいたします。  今回の青森の脱北者の関係で、麻薬の件についての事実関係はどうなっていますでしょうか。
  263. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) いわゆる脱北者、亡命企図者の四人のうちの一名が覚せい剤を所持しておったということで、これの捜査を進めてきました。昨日、青森県警におきまして、覚せい剤取締法違反、所持及び密輸で青森地方検察庁に書類送致をしたところでございます。
  264. 白眞勲

    ○白眞勲君 警察庁さんにちょっとまた聞きたいんですけれども、一般論からして、覚せい剤の成分ですね、これも今調べている最中か、調べていると思うんですけれども、場合によっては成分で分かる場合、これ一般論でいいですけど、分かる場合もあるということでよろしいですか、どこのものか分かるかですが。
  265. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 今委員おっしゃいましたその成分というのは、私どもが今進めております覚せい剤の微量成分分析、微量に含まれる不純物で覚せい剤を分析するものでございまして、これで各地で押収されているものがグルーピングできるというものでございます。したがって、成分分析のみではそれがどこのものというのは分かりませんけれども、過去に押収されたものでその仕出し地が分かっているというものと合えば、それはそういうものであるということが推定されるということでございます。
  266. 白眞勲

    ○白眞勲君 警察庁が、二〇〇七年三月にウィーンで開催されました国連麻薬委員会で、北朝鮮には少なくとも三か所の麻薬製造の秘密工場があると見ていると発言されたようですけれども、それでよろしいですね。
  267. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 今年の三月にウィーンの国連麻薬委員会で警察庁吉村次長が発表いたしました内容で、今申しました微量成分分析で北朝鮮仕出しの覚せい剤につきましては三つにグルーピングできるということでございますので、北朝鮮国内に密造工場が少なくとも三か所あることが推定されるというように発表したわけでございます。
  268. 白眞勲

    ○白眞勲君 その中には清津、今回の脱北者の出港地であると言われているところの工場もあるわけで、今回の成分からそこの工場かどうか分かりますよね。あるいは北朝鮮産かどうかも分かりますよね。
  269. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 北朝鮮国内のどこに工場があるかということにつきましては、私どもも情報レベルでいろいろ探っておりますが、そこはまだ確認できているというレベルではございません。  したがいまして、先ほど言いましたように、少なくとも三つ工場があるだろうということまでは言えるということでございます。
  270. 白眞勲

    ○白眞勲君 今回の脱北者の持ち物の中に現金があったとの報道がありますけれども、どうなんでしょうか。
  271. 米村敏朗

    政府参考人(米村敏朗君) お答えいたします。  現在、私どもの方では、今回の脱北者、男性三名、女性一名でありますが、所持品も含めまして脱北の経緯等々についていろいろと事情を聞いておりますが、現時点では中身の具体的な詳細については答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  272. 白眞勲

    ○白眞勲君 いずれ分かるんですか。
  273. 米村敏朗

    政府参考人(米村敏朗君) 分かると思います。確認できたら、御説明する機会があれば御説明申し上げたいというように思います。
  274. 白眞勲

    ○白眞勲君 ここでちょっと外務大臣にお聞きしたいと思います。  例の北朝鮮のBDAの問題においては、麻薬や偽札の製造疑惑とそれに伴う不正資金の蓄財の疑惑というところからたしか始まったような気がしたんですね。  その観点からして、今回の脱北者のいろいろな件で、問題で、相当北朝鮮では麻薬は蔓延しているんではないかというようなことも推定できるわけなんですけれども、外務大臣としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  275. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 北朝鮮の中で麻薬がどれだけ蔓延しているかというのに対して正確な情報があるわけではございません。ただ、これは蔓延するといった場合には、それは苦痛を和らげるために蔓延させるという方法もあるでしょうし、販売して銭稼ぐ方法もあるでしょうし、いろんな目的はあろうと思いますが、それほど蔓延しているという実態を私どもは把握しているわけではございません。
  276. 白眞勲

    ○白眞勲君 あと、彼らが生活が苦しいから脱出したという報道もあるわけなんですけれども、何か一日置きにパンを食べるのがやっとだったというような報道も出ているわけなんですが、今の北朝鮮の情勢については、外務大臣は、この食料情勢というか、そういったものについてどのように認識されますでしょうか。
  277. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今回はたしかタコを取っている漁師でしたっけね、何か。僕はもう、これ警察から聞いたわけじゃありません、これ、いわゆるそこらに流れている情報でしか知りませんけど。したがって、軽油がある程度積んであったという話につながっているんだと思いますが、そこらが正確に知っているわけではありません。  ただ、一般に言って、国連のいろいろな組織の話を総合してみても、少なくとも子供の体格、それから、徴兵制度がしかれておりますが、その兵隊の体格等々が昔に比べてかなり、甲乙丙丁と昔でいけばかなり下位の方に体格が下がってきておるという情報は、明らかに食料事情が悪くなっているのと関連していると思っております。
  278. 白眞勲

    ○白眞勲君 官房長官にお聞きいたします。  ごく近い将来、北朝鮮に何かが起きるとか、そういったことというのは今のところは一概には言えないと思いますけれども、片や、このままの体制でずっといくのかということ、それもどうかという意見もあることは確かだと思うんですね。  そういう中で、韓国では脱北者が既に累計で一万人を超えた。ある意味、社会的にもその受入れ方とか支援の仕方、それから脱北者が韓国の社会でうまく受け入れられないんじゃないか。あるいは、逆に韓国の人々との、いわゆる現地の人々との摩擦なんかも今一部発生している状態を考えますと、隣の日本がそのままのんびりしている状況でいいのかなと。先ほどもちょっと官房長官もおっしゃいましたけれども、やはりいろいろなことについて対処していかなきゃいけないんじゃないかなと。かといって、私は個人的には思うんですけれども、そんなにまるで元寇の時代みたいに船が何か海を覆い尽くすようなことというのも私はないんじゃないかと思うんですね、別に、日本に。それは船の数しか来ませんから、北朝鮮の船の数しか来ないことも考えると、そんなに来ないと思うし、ピストン輸送をするわけじゃない。そういう中で、かといってじゃ一隻も来ないかというとそうじゃないだろうというふうにも思います。麻生大臣も、武装している可能性だってあるかもしれないし、スパイの可能性だってあるだろうと。  そういったことを考えますと、大量避難民との関係で、今政府部内でどのような検討をしているのか、あるいは過去にしていたのかをちょっと聞きたくなるなという感じなんですけれども、その辺についてどうでしょうか。
  279. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 当然、国のたたずまいとして様々なことが起きることを想定して準備をしていかなければならないと思っています。先生御指摘のような北朝鮮で何が起きるのか、これはいろいろな想定がし得ると思いますけれども、やはり我が国としてもある程度のことを想定しながらそれに備えをしておくというのは当然のことでありますが、他国のことでもございますので、我が国政府としてそれをつまびらかにするというのはいかがなものかなと思いますので、一般論として様々な対応を取れるような準備はいつもしておくのが国としてのたたずまいではないかということではないかと思います。
  280. 白眞勲

    ○白眞勲君 橋本総理の時代に大量避難民の対処について検討を行ったことがあったと聞いているんですけれども、その結果はどうなっていますでしょうか。緊急事態対応策。
  281. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 今手元に特に資料がございませんので、改めてお答えをしたいと思います。
  282. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私、事前レクでこの緊急事態対応策の検討ということについてはちょっと聞いておいたんですけれども。
  283. 田浦直

    委員長田浦直君) だれかな。
  284. 白眞勲

    ○白眞勲君 答えられるのなら何で答えないんですか。
  285. 田浦直

    委員長田浦直君) 内閣官房山浦内閣審議官
  286. 白眞勲

    ○白眞勲君 何で答えないの、じゃ、今。
  287. 山浦耕志

    政府参考人山浦耕志君) 大量避難民が我が国に押し寄せるといったような事態につきましては、関係省庁が連携して対応するわけでありますけれども、まず基本的にはやっぱり官邸に対策室ができて、そこで官房長官を中心に関係閣僚が協議をして対応するということになります。  一番最初にやらなくちゃならないのは、まずスクリーニングが必要ですから、特定の場所に隔離をして、その中で我が国に在留する資格があるかどうかというようなことについて調査をして、そしてその後、その人の立場に応じていろんな対応を取る、そんなふうになると思っております。  詳細については、いろいろ部内で検討したものもありますけれども、それについては外部に公表できる段階にはない、今のところないということであります。手の内でありますので、差し控えさせていただきたいということでございます。
  288. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、検討しているんでしょう。検討しているけど出せない、出さないということなんですね。
  289. 山浦耕志

    政府参考人山浦耕志君) ですから、要するにいろんな条件でその事態が生じますので、それについて確定してこういう案だということを出せる段階にはないということであります。
  290. 白眞勲

    ○白眞勲君 だから、案があるのかないのか聞いているんですけど。
  291. 山浦耕志

    政府参考人山浦耕志君) 検討している案はございます。
  292. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務大臣にお聞きいたします。  おととい、よど号乗っ取りグループとともに北朝鮮で活動していた赤木容疑者が関西空港で逮捕されたわけですけれども、これと関連して、アメリカのテロ支援国家の項目に一九七〇年の日本航空機ハイジャック事件の日本赤軍の残るメンバー四人をかくまっているという項目がある。この部分に何らかの変化は生じるというふうに考えますか、今回の件について、事件は。
  293. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今回の件で直ちに変化があるとは私ども思っておりません。ただ、白先生、私は、この北朝鮮の難民の話というか漂着民の話より、何でこのところそういう人たちが続々日本に捕まると分かっていて帰ってくるかの方に興味があります。
  294. 白眞勲

    ○白眞勲君 それについて、どういうふうに麻生大臣は興味があると思いますか。
  295. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) どうして急に帰ってくる気になったのかな、帰されているのかな、そいつらに食わせる飯がなくなったのかな、それほど困窮しているのかなと、いろんなことが考えられますので、頭の体操の域を出ませんけれども。ここのところ妙に多いと思われませんか。私はそう思うんですけれども。
  296. 白眞勲

    ○白眞勲君 私も若干それは感じておりまして、北朝鮮がテロ支援国家の条件の中にアメリカのよど号の犯人たちをかくまっているという関連性なのかなとも思えなくはないような感じがするわけなんですね。  私は逆に、今回この犯人というか、このよど号グループというのは、拉致問題との関連性も指摘されていると。つまり、何というんでしょうね、このよど号グループの日本人をヨーロッパでの拉致問題での関連性も指摘されているということになりますと、このよど号メンバーが拉致に関与しているということになるならば、その拉致に関与しているよど号グループのメンバーをかくまっている北朝鮮はテロ支援国家じゃないのかと。つまり、日本人拉致問題解決がテロ支援国家の解決の条件になっていくんではないかというふうに思いますが、麻生大臣、いかがでしょうか。
  297. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 一つの考え方として、その当時からよど号事件の人たちがヨーロッパにおいて日本人等々、いろんなところに関係したのではないかという話はその当時からあったところでもありますが、確証が白先生、これ取れているわけではありませんので何ともそれ以上のことは申し上げられません、正直なところです。  ただ、今言われるように、そういったのが向こうから引き渡してきたというならともかくも、向こうから逃げ帰ってきた形になっているのか、向こうから強制送還になっているのか、それとも日本に対して引き渡しという形になっているのか、そこのところはいま一つよく明確じゃないというんで、今言われましたように、向こうがテロ支援国家というランクを下げるためにやっているとしても、それが直ちにそれにつながっていくであろうかといえば甚だ疑問です。
  298. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっとまた話を変えたいと思いますが、防衛省にお聞きいたします。  イラクの航空自衛隊の空輸において、現在使われておりますC130輸送機について、この輸送機の防御は万全ですか。
  299. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 万全かどうかというのは状況次第であろうかと思いますが、まず飛行に当たりまして安全情報を多国籍軍あるいは防衛庁独自で取ってその飛行の安全をまず確保するという情報収集を行いますし、航空機自体につきましても、例えば飛行態様につきましては、離発着時に急降下、急上昇しまして、なるべくロケット弾とか対空ミサイルに当たらないような形で航空離発着の対応を取る、あるいは航空機自体にパイロットに対しては装甲板を付すという形で安全対策を施しておりますので、かなりの程度安全ではないかというふうに考えております。
  300. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは、例えばアメリカがイラクで使用している輸送機と比べて防御部分においては同じと言えるんでしょうか。
  301. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 同じであろうと思っております。
  302. 白眞勲

    ○白眞勲君 今お回しいたしました航空自衛隊の画像についての説明資料について、本会議の御答弁久間大臣はこの資料について、説明に際しては適切なものとなるよう引き続き努力してまいりたいというふうに思っておりますというふうになっているんですけれども、この紙の、この右側のところに大きく飛行機、バスラ・インターナショナル飛行場のこの品物、これ実は一回につき、本会議の質問でも三百六十キロぐらいの、これこんな一杯積んでいる写真、これ載っけていいんですかということを聞いているんですけれども、大臣どう思われますか、これ。
  303. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) この写真自体平成の十六年三月、飛行を開始した当初に撮ったという写真でございます。  ただ、こういう形で大きな荷物を現在も積む可能性はあるし、実際に積んでいるというふうな報告も受けております。
  304. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、これはいつも積んでいるというふうなことではないけれども、たまにはこんなふうに積むこともあるんだということなんですね。
  305. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 過去、陸上自衛隊がおりましたときにはかなり大量な荷物がありましたので、こういう大きな荷物を割合普通に積んでいたというふうに聞いておりますが、現在、先生御承知のように、荷物の需要自体については、輸送需要については減っておりますので、こういうかさばる荷物があるというのはそれほど多くはないというふうに思っております。
  306. 白眞勲

    ○白眞勲君 そのかさばる荷物というのは、私はアメリカのポップコーンでも入れたんですかとそのときも聞いたんですけれども、これ、どんなものを入れているんですか。
  307. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 具体的に個々の荷物につきましては従来から答弁で控えさせていただいておりますけれども、例示として申し上げているのは、国連の荷物につきましては、これだけかさばるかどうかは分かりませんが、事務機器等が中心であると。それから、多国籍軍の荷物につきましては、例えば航空機の部品等というふうなものがあるというふうに我々としては分析をしております。
  308. 白眞勲

    ○白眞勲君 輸送実績等については公表しないでほしいという要請があるとのことですけれども、どんな内容なのかお願いします。
  309. 山崎信之郎

    政府参考人山崎信之郎君) 国連につきましては、当然、二〇〇三年に国連のデメロという特別代表が非常に不幸な目に遭われたということをもちまして、国連は非常に人員の、国連の要員の安全について非常に注意を払っているということでございまして、したがって、要員の安全の確保の範囲内でできるものについては公表してほしい、逆に言えば、要員の安全を損なうような形では控えてほしいということを言われております。  また他方、多国籍軍につきましては、これは各国とも、やはり要員の安全確保という観点あるいは治安維持確保のための安全確保活動のために行っているオペレーションの態様が分からないような形で、各国ともその人員なり貨物については公表をしていないということも踏まえまして、我々としても公表は差し控えさせていただいております。
  310. 白眞勲

    ○白眞勲君 国連の要請は、いつ、どこで、どういう形であったんですか。
  311. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) 我が方と国連等との関係では、自衛隊イラクでの活動に関して日ごろから緊密にいろいろな連絡を取り、意見交換を行っておるところでございますけれども、国連等との調整、意見交換の具体的なやり取り、いつ、どこでというような詳細なやり取りにつきましては、これは先方との信頼関係、あるいはこの対象となっている事項が安全にかかわる事項であるということから、ここで御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  312. 白眞勲

    ○白眞勲君 それはおかしいですよ、それはだって要請があったんだから。要請というのは、いつ、どこで何があったのか。それを何で国連の安全とかなんとかに関係があるんですか。何でですか。それを教えてください。何でそれは公表を差し控えなきゃならないんですか、そこまで。
  313. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) 先ほど御答弁もございましたけれども、国連の事務局の方からは、国連の要員の安全確保、これを非常に重視しているということで、要員の安全を害するような可能性のある内容については非公表とすることを徹底してほしいという要請があったということは先ほどから述べておるところでございますけれども、これが具体的にいつ、どこで、だれがというようなことにつきましては、国連側、先方との信頼関係の問題もございますので、御答弁を差し控えさせていただきたいと申したところでございます。
  314. 白眞勲

    ○白眞勲君 積荷について云々かんぬんと言うんなら安全確保という面があるんですけど、何でそこまで秘密にする必要性があるんですか。お答えください。
  315. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、先方からそういう要請があったということについては今申し上げましたけれども、具体的にだれが、どこでというような詳細の内容につきましては、これはやはり先方との信頼関係もございます。そういうことで答弁を差し控えさせていただきたいと申し上げているところでございます。
  316. 白眞勲

    ○白眞勲君 それおかしいと思いませんか。それじゃそれ以上話にならないじゃないですか。その要請も具体的に何も出せないって言うんだったら、これは本当にこういう要請があったのかどうかも分からないじゃないですか。これ以上話できませんよ、これ。
  317. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 白先生、これは基本的には、国連の要請を受けて私どもの方として、デクエヤルが爆殺されたこと、その経緯もよく御記憶のとおりだと思いますんで、デクエヤルじゃなくてデメロが爆殺されたことやら何やらというのはついこの間の話でもありますんで、彼らにとりましては、したがって、こういったことに関してはきちんと機密を保ってもらいたいという要請に我々はこたえているということだと存じますが。
  318. 白眞勲

    ○白眞勲君 だから、その要請はいつあったのかということを聞いているんですよ。どこでだれがやったんですかって聞いているんです。それが分からなければ、それ分からないじゃないですか。
  319. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) その要請に関しても、いつあったかということを我々としては、向こうとしては、要請を正式にした、いつした、だれがした、だれにしたというようなことを言ってほしくないというんであれば、我々はその秘密を守ってやればいいんで、それが我々の対応の仕方だと存じます。
  320. 白眞勲

    ○白眞勲君 この辺はまた私もやりたいと思っていますから。同僚議員に譲ります。  ありがとうございました。
  321. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 今日は、イラク特措法延長法案について質問します。  イラクのマリキ首相は、五月四日、エジプト国内で共同通信と単独会見を行い、イラクでの航空自衛隊の輸送支援活動は年内にも不要になるという趣旨の発言をしました。麻生大臣は、五月七日の衆議院イラク復興支援特別委員会で、イラク政府を通じて派遣継続の要請は不変という真意を確認したと述べました。  麻生大臣、マリキ首相がなぜ共同通信にあのような発言をしたのか、この矛盾をどう解釈したらいいのか、答えてください。
  322. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) マーリキー首相からこの種の話がありましたのは、来日をされたときに、これは私に限らず面会された方は聞かれたんだと思いますが、少なくとも、これまでの日本の陸上自衛隊、航空自衛隊の実績等々を高く評価されて、是非航空自衛隊については引き続き支援を継続してもらいたいと本人から伺ったというのがたしか三月、それを正式に記者発表されたというのが経緯と。記者発表の経緯は多分そうだと存じます。
  323. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 だから、その矛盾をどう解釈しているんですか、その矛盾。どうもマリキ首相の言いたい思いと麻生さんに、大臣に言ったことは、どうしても私の中では消化できないんですけれども。
  324. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 矛盾しているという、どこが矛盾しているのかあれだと思いますが、年内は不要になる旨の発言があったと報じられておりますが、私どもは、これは五月の六日、バグダッドにあります我が方の大使館が、ムハンマド・サルマーンというイラク首相府官房長代理がおりますんで、この人に対して我々は確認をいたしております、その本人に対して。その確認をした結果、マーリキー首相は、あくまで物事が順調に進めば近い将来にはイラクに多国籍軍がいる必要はなくなろうという希望を述べたにすぎず、航空自衛隊活動継続を求めるとの従来のイラク政府の立場は何ら変わっておらず不変である、イラク政府としてはこれを可能とする法案が日本の国会で承認されることを願っておるという説明をいたしておりますので、今申し上げましたように、イラクの首相の発言とこの後のいわゆる補足というか、代理人の確認ということで、我々と意見は違っていないと思っております。
  325. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 分かりました。  今年五月八日のイラク議会は、百四十四対百三十一で、これは述べ二百七十五の中なんですけれども、米軍の撤退要求決議を採択しました。撤退を望む意見が初めて過半数を超えたそうです。その事実からすれば、日本政府のイラク支援は、イラク政府よりも米政府の意向で行われているということはないですか。
  326. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) もう一回最後のところを。イラク政府……
  327. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 イラク政府よりも米政府の意向でなさっているんじゃないかという。麻生大臣のこの言葉はね。
  328. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、我々はイラク政府というより国連の決議に基づいてこれは支援しているわけですから、国連のいわゆる依頼、国連の支援要請に基づいて対応しているんでありまして、イラクの人道復興支援等々に参加をしているというのが基本的立場であります。
  329. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 国連ですか。分かりました。  内閣官房、外務省、防衛省が出したイラク特措法についてという文書には、イラクの治安悪化の状況が簡単に描写されていますが、それを招いたのは、米軍などの無謀なイラク侵略戦争だったとの認識はないですか。
  330. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) イラクの中において今の現状を見たときに、少なくとも前にあった政権が倒れて、イラク国民によって選挙をやって、選挙によって選ばれた人によって憲法が制定され、その憲法に基づいて行政府ができて、そこで選ばれた人たちによって今政権が少なくともそこに存在をしておるという状況にあります。したがって、ここに明らかに民主的な政権ができておるという。基盤が弱いということに関しましては、私どももそう思っておりますが、基盤が弱いということで結果として秩序が、セキュリティーが、いわゆる安全保障がという点に関しましては多々問題はあろうとは思いますが、少なくとも前に比べて独裁政権の方が良かったという感じは率直なところありません。
  331. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それじゃ、麻生大臣は、アメリカの失態はないというお考えなんですね。アメリカのその強引なイラクへの介入というものが反省する点はないということですか。
  332. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) イラクのいわゆるこの種の話につきましては、国連の一連の決議に基づいておりますので、そこのところが大前提として違うと思いますが。
  333. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 マリキ首相とのこのやり取りなんですけど、航空自衛隊活動が死活的役割を果たしているというマリキ首相の書簡の内容の一部が紹介されています。その書簡はマリキ首相から日本側にいつ届けられたんですか。
  334. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) マーリキー首相発安倍総理あての書簡は、平成十九年三月十二日付けであります。
  335. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 これは麻生大臣、日本側からマリキ首相に書簡を書いてくれと頼んだことはないですか。
  336. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 想像するゲームとしては面白いと思いますけれども、ありません。
  337. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 そういうこともやってしまうのかなと思って、どうも失礼しました。  共同通信のインタビューで、マリキ首相は、日本には経験と技術を生かした文民の分野での復興支援を求めると発言していますが、どのように受け止めていますか。
  338. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これはイラクに限った話ではありませんけれども、少なくとも日本という国に対する中近東と言われる地域に共通して言える日本に対する感情というものは幾つか共通していると思いますが、大きく分けて三つだと思っております。  一、少なくとも西欧物質文明、近代化の波に流されることなく自国の文化を維持、そして資源がない、中近東と違って、にもかかわらず世界第二の経済大国というのが、いろいろな中近東諸国を回って、ほとんどの国々の日本に対するイメージはそういうイメージであります。マーリキー首相もその例外ではなかったということだと存じますが、技術を特に期待をしておるというのが率直なところだと存じます。
  339. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 相手側の気持ちの説明は分かりますけどね。先日の櫻井議員質問に対し、国際的には自衛隊は軍隊にしか見られないという答弁がありましたね。私もそれはそのとおりだと思っています。マリキ首相の発言の真意を酌み取るならば、自衛隊に代わるNGO、民間人による人道復興支援に変える時期に来ているんではないかと私は思って質問しているんですけど、どうですか。
  340. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 自衛隊に代わってNGO等々、JICA、いろいろありましょうけれども、民間のいわゆる企業、団体個人が出ていくのが望ましいということに関しましてはこれは皆同じだと思いますが、問題は、日本国政府をして民間人に危険を顧みず行けというようなことを我々として民間の会社に命令するわけにもいきませんし、我々としては、イラクの人道復興支援に寄与する、貢献するという前提に立った場合、そこに行ける技術、経験、団体というものはほかに適当なものがないということがその背景なんだと存じます。
  341. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 この辺ですけれども、僕はもうちょっとこの辺は、そういう短絡的に、もうそういうことは、それ以外はないという考え方は少し変える時期に来ているんではないかと私は思っているんですけどね。まあそれはまた後ほどゆっくりお話ししますが。  久間大臣イラクから多くの国が撤退をしていますが、イラク特措法についてという文書には、多国籍軍が早期撤収する可能性は低いと書いてあります。その根拠は何か。
  342. 久間章生

    国務大臣久間章生君) もう一回、済みません。
  343. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 多国籍軍が早期撤収する可能性は低いと書いてあるんですけれどね。
  344. 久間章生

    国務大臣久間章生君) どこにですか。
  345. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 イラク特措法についてという文書には。低い、その根拠は何か。
  346. 久間章生

    国務大臣久間章生君) どこに書いてあるんですかね。
  347. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 イラク特措法についてという文書にですね。多国籍軍が早期撤収する可能性は低いという。
  348. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 防衛省が出した文書ですか。
  349. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 そうです。文面に。もしなければ、私が読み違えたんならばいいですけど。
  350. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 低いとか早いとか、そういう判断は防衛省としてはしてないはずですけれども。防衛省としては、とにかくあと二年間延長してもらっている間にどうなるか、いつでも対応はその中ではできると、そういうような思いでありますから、そのときは基本計画の変更をやればいいと思っております。
  351. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 分かりました。後で確認します、もう一度。  イラク特措法に基づく対応措置に関する基本計画では、その基本方針で、人道復興支援活動を中心とした対応措置を実施するとしております。しかしながら、イラクにおける航空自衛隊活動内容は、国連支援や人道支援物資などの輸送を行う人道復興支援活動から、全体の八割が米軍を中心とする多国籍軍の人員、物資の輸送であることを安倍総理は明らかにしました。これはもはや人道復興支援活動ではなく、米軍支援活動そのものと言わざるを得ません。その状況は基本計画に背くものではないでしょうか。久間大臣
  352. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 多国籍軍も人道復興支援活動を行っている部隊もおりますから、だから、多国籍軍を運んでいるからといって、人道復興支援じゃなくて安全確保支援活動だけだというふうにレッテルを張られても困ります。それと、人道復興支援を中心としてというのは、人道復興支援に支障のない範囲で安全確保支援活動ができることになっておりますので、やっぱり主たる目的というのは人道復興支援が中心ですから、人道復興支援に支障を来すような格好で多国籍軍のそのほかの安全確保支援活動ばっかりやったらいけませんけれども、人道復興支援活動の方の余裕があるときにはこちらの方もやる、法律上は両方やれることになっておりますので、だから両方をやっているわけであります。
  353. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 これは、本当の心、本当の思いでおっしゃっていますか。
  354. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、本当の思いといえば実際本当の思いでありまして、人道復興支援活動をとにかく手一杯やりたいわけですけれども、そこのところは今余裕もあります。そして、その余裕がある分においてはこちらをやってよろしいとなっておりますので、そっちの方のウエートがこれから先どんどんどんどんもう治安が安定してきて増えてまいりますと、そっちの方の物資の輸送その他で手一杯のときは片一方の方を遠慮してもらうということになりますが、そちらの方をむしろやるために、こっちを、人道復興支援をおろそかにするということじゃありませんので。
  355. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 僕は、久間大臣は長崎の出身でもあるし、たまによくトイレで一緒に立って会話しながらさすがだなと思うときもありますけど、やはりアメリカに少しは気を遣っているのかなと思ったりもするんです、どこかではね。だから、この辺をだれか勇気を持って最初に、何というのかな、発言してくれるかを待っているんですけれども、そうしたら日本変わるんじゃないかと思っているんですけれども、当分そう聞いておきましょう。  久間大臣、もう一度聞きます。  五月十四日、イラク特措法改正案の採決に際し、当時の政府判断の検証など、政府に求める附帯決議を行いました。翌日の記者会見久間大臣は、イラク戦争を支持した当時の政府の判断について、いつでも過去について真摯に検証していくのは大事なことだと述べ、検証が必要との認識を示しました。しかし、大臣は、四月二十六日の衆議院委員会で、イラク戦争について正当かどうかは後世の歴史家が判断すると答弁をされています。検証は後世の歴史家に任せるお考えですか。
  356. 久間章生

    国務大臣久間章生君) すべて歴史の判断については、ある程度時間を経過した後に判断しないと正確を期すことができないんじゃないかなという、基本的に私はそう思っております。だから、本当に正しかったかどうかというのは、今は、そのときに日本側が踏み切ったわけじゃありませんから、アメリカが踏み切ったときに日本は日本が置かれた立場からしてあれは支持するとそのときの政府が言ったわけであります。しかしながら、日本政府としても自分が戦争に踏み切ったわけじゃありませんので、アメリカが踏み切ったことが良かったかどうかということについては後世の歴史家がやっぱり後で評価するべきことじゃないかと、そういうふうに思っておるからそう言ったわけであります。
  357. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 今、アメリカが踏み切ったということ、日本が踏み切ったことではないと申されまして、実際日本はそれに参加していますよね。
  358. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 参加していません。
  359. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いや、何らかの形でね。
  360. 久間章生

    国務大臣久間章生君) そこのところを勘違いないように。日本は戦争そのものには参加していませんから、戦争が終わって、そして復興について国連から要請があって、そのときに自衛隊が出ていくかどうかについて、そのときに賛成ということで法律を作って出たわけでありますから。  戦闘を戦争と言って衆議院で随分しかられましたので、今の戦争という言葉、訂正させていただきます。
  361. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 久間大臣、踏み切ったというのはどういう時点で踏み切ったと言っているんですか、アメリカが踏み切ったというのは。
  362. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、アメリカは武力行使に踏み切ったわけですね。そして、それはアメリカが踏み切ったわけで、そしてそれを小泉総理のときの政府として支持しますと政府として判断したわけです。そして、現在の政府もそのときはそういうふうに支持したというのは正しかったというふうに言っているわけです。現在の政府もそれを踏襲しておるわけです。
  363. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 久間大臣は、今政府として踏襲していると言うんですけど、個人としてどう思いますか。
  364. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私はこの場では政府の一員として答弁しているわけでございますから、個人の判断をするわけにはまいりませんけれども、私はそのとき、やっぱり日本の政府は、今私はこの立場におって言いますと、やっぱり日本の政府としてはあのときのアメリカの武力行使を支持しないとは言えないような状況だったんじゃないかと。フランス辺りと比べたときに、日本のあのときの経済状況その他を考えると、やっぱりアメリカの武力行使を支持するか支持しないか、二つに一つだったときに、小泉総理は支持すると踏み切った。時の政府もそう判断した。私は、やっぱりそれは正しかったんじゃないかと思います。あのときに支持しないという選択は日本にはできなかったんじゃないでしょうか。
  365. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 支持したことは正しかったということは、日本の国益の判断なのか、アメリカの行為に対してのどちらですか。
  366. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 日本の国益としてそのような判断をしたんだと思います。
  367. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 では、アメリカの行為としては間違った可能性もあるんですね。
  368. 久間章生

    国務大臣久間章生君) アメリカはアメリカの理由で武力行使に踏み切ったわけですから、それについて日本がどうだこうだと言う立場じゃございません。だから、そういうことについてはアメリカ自身の後世の歴史家が、あれは良かったかどうか、また向こうは向こうで判断することじゃないでしょうか。
  369. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 日米同盟を結んでいるのにあそこはあそこの勝手ということでは、どこに同盟という信義があるのか私はちょっと疑問があるんだよね。それはなぜかというと、たくさんの日本国民の税金も使って投下したんだから、日本は。それは言うべきことははっきり言うべきだと思う。そして、久間大臣には未来に逃げることはやめてほしいような感じがしますね。
  370. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 武力行使に踏み切ったとき政府が支持すると言いましたけれども、それについて税金を突っ込んだわけじゃありませんから。税金は戦争が終わって、復興支援について税金を突っ込んで自衛隊が出ていったわけでありますから。
  371. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それじゃ、サマワに行った自衛隊の予算はアメリカが出したんですか。
  372. 久間章生

    国務大臣久間章生君) だから、サマワに行きましたときはもう主たる戦闘が終わって、国連から復興について要請があって、国連が決議をして世界各国に呼び掛けたわけです。それを受けて政府が法律を国会に出して、それを受けて出ていったわけですから、武力行使へ踏み切ったときに日本が出ていったわけじゃありませんので、そこのところはいつも言っていますようにインド洋と違うということを是非御理解賜りたいと思うわけです。
  373. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 確かに理屈にはなっているよね。ただしかし、支持したことは事実と。たまたま私はこれ税金の話をして、まあそれをよくつかまえたなと思っているんですけどね。支持した事実というのはこれはどうですか、その道徳的なモラルとして。
  374. 久間章生

    国務大臣久間章生君) やはり国益として日本国の政府としてどちらを取るかで支持するという判断をしたわけでありますから、その重みは今も生きていると思います。
  375. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 本当ならば、後世の歴史家に任すんではなくして麻生大臣がしっかりこうだったんだと言えば、私はすごいなと思うんですけどね。麻生大臣、二月二十一日の衆議院イラク復興支援特別委員会において、イラクが内戦状態ではないのかとの質問に対して、麻生大臣は内戦の国際法上の定義はございませんと述べ、内戦といえば内戦になってしまいますし、内戦でないといえば内戦にならないと答弁しております。この発言は内戦かどうかの判断は政府が勝手に決められるということですか。
  376. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 内戦というのは国際法上内戦というディフィニション、定義というものは存在をしておりません。したがって、内戦ということがどれをもって内戦だと、じゃ、これは内戦じゃないのかという定義はない、そこが私の申し上げたところです。
  377. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 そこを聞きたかったんですね。定義がはっきりしないということね。  それじゃ、はっきりしない状況にはっきりした法案を提出することはいかがなものかという疑問が私にはあるんですね。結局内戦であるか内戦でないかはっきりしないところに今回、何というのかな、自衛隊を送ったりするのはいかがなものかという一つの疑問があるんですね。私はそこに今日の憲法の理念と法の解釈の乖離があり、拡大解釈の暴走があるんではないかと思っているんですけれども、どうですか。
  378. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 私は、そういうような状況であるからこそ戦闘状態にない地域を選んでそこに自衛隊を派遣するという、要するに非戦闘地域に派遣するという形で憲法上、法律上の整理をしていると、そういうふうに理解しております。だから、内戦状態であるような状態のところには自衛隊は行かないと、自衛隊はあくまで非戦闘地域に行くというそういう整理の仕方をしているわけであります。
  379. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 麻生大臣は内戦だか内戦ではないかというのははっきりしないと言っているんですが、それじゃ、久間大臣は内戦ではないとはっきり言い切っているんですか。
  380. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 国全体あるいはまた国の中のある一部の地域についてそこが内戦であるかどうか、それについては私も断定できませんけれども、少なくともバグダッド空港に今行っておりますあの地区については内戦状態ではない、戦闘地域ではない、非戦闘地域であると、そういうふうに判断できるんじゃないかと思います。
  381. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それはちょっと、こういう理屈って、へ理屈ということになりません。あそこの大統領のトイレでは戦争がありませんという話と変わりはないと私は思いますけれどもね。  今はイラクが内戦であるかないかを話しているんであって、どう思います、これのはっきりした答え出してくださいよ。あの地区だけをとか、そんなことを言っても分からないんですよ、これは。
  382. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 内戦という国際法上の定義はどうか分かりませんけれども、少なくとも私は、イラクは両極が対峙した形でのいわゆる紛争状態にあるとはいまだに私は思いません。ただ、治安が非常に悪いという、そこについてはだんだん悪くなっているという、そういう地区が非常にあるということについては私自身も分かりますけれども。
  383. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私は、まだ麻生大臣の言葉の方が信頼できますね。内戦であるか内戦でないかはっきりしたものは分からないという、定義ができないという。しかし、そこで久間大臣は内戦ではないという、言い切ることは少し、もうちょっと外務省と防衛省は言葉をすり合わした方がいいんじゃないでしょうかね、そういうような感がします。よろしくお願いします。  私は、イラク開戦議決前の二〇〇三年二月十四日から数日バグダッドに行ったんですね。あそこで平和コンサートをやりに行ったんですけれどもね。バグダッドには、あのときちょうど開戦を止めようという人たちが世界じゅうから、ヒューマンシールドとか、人間の盾、いろいろな人たちが集まって、世界でワールド・ピース・ナウという反戦運動が広がったんですね。一時は三千万人ぐらいの人たちが立ち上がったんですけれども、私はそのうねりを感じたときに人類の未来を感じたんですね。  私は、そのような精神、魂をくみ上げる政治がこの地球上あるいは世界から生まれてこないと平和は来ないんじゃないかと思っているんですけれども、その辺に対して、これは外務大臣がいいと思うんですね、よろしくお願いします。
  384. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今のお話というのは、ヒューマニタリアン、何ですか、ヒューマニティーにのっとった政治というものが基本であるべきだというように理解をさせていただくという前提に立ってしかちょっと答弁のしようがないんですが、少なくとも、今多くの政治家は多分そう思って、自分なりにそう思っている人がほとんどだと思いますよ。  ただ、現実問題として、いざ実行に移していくときに、なかなか結果としてそのような方向とは逆の方向になる例も往々にしてあるということだと思いますので、元は多分、いろいろな独裁者と言われた人たちも、かつては国民のため、国益のためと思って信じてやったんだけれども、なかなか結果はそのようなことにはならなかったということじゃないかと想像します。
  385. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 でも、少しは何か未来を感じましたね、今の言葉に。  さっきちょうど自衛隊が写真を、ちょっとこれと関連するんですけれども、写真をたくさん撮ったというね。そのときに私も撮られたと思っているんです、考えてみたら、目立っていましたからね。僕は、そのときに、たくさんカメラマンがあったんですけれども、カメラとか写真とかね、写真家がいてね、これは翌日たくさん大きい記事になるなと期待していたら、載らないんです、これ。ということは、あれは全部自衛隊だったんでしょうかね、久間大臣久間大臣、聞いているんです。(発言する者あり)いやいや、東京で。
  386. 久間章生

    国務大臣久間章生君) いや、私には分かりません。  先生の写真が写っているのかどうか、共産党さんからいただいた資料をつぶさに見ているわけじゃございませんので。
  387. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 絶対撮られていると思います。もし撮ってあるならば、僕も欲しいなと思っていますのでよろしく交渉してください。  麻生大臣に聞きます。  日本の外交の指針というのは日米同盟と国連を中心とする国際協調主義ですが、今でもそれは変わりませんか。
  388. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的に、戦後、日本が外交というものを考えるようになったとき以来、日本のこれまで立てておりました柱は三本だと思います。日米基軸、国連中心、近隣諸国との友好、この三つだと存じます。
  389. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 分かりました。近隣諸国、大いに勉強になりました。  その意味では、国際法とか国連憲章に関しては非常に大事だと思っていますか、麻生大臣
  390. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 国連には、我々、百九十二か国の国が今国連に加盟をいたしておりますが、日本もその中の一国であって、国連憲章というものは、それに賛成して入っておるわけですから、憲章というのは極めて大事なものだと存じます。
  391. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 分かりました。  麻生大臣、ちょっと済みません。難しいことをちょっと僕は帰ってきて勉強して質問することになっているんですけれども、非常にこの辺は間違うこともあると思うんですけれども、ゆっくり聞いてください。  三月八日の予算委員会で、イラク開戦の根拠を尋ねる私の質問に対して麻生大臣は、イラク開戦は国連決議にのっとったものだと答弁されましたね。ブッシュ大統領が開戦の根拠としている国連決議六七八、六八七、一四四一のことを指していると思いますが、一四四一は欧州勢の反発で武力行使まで言及されなかったため、後に米、英、スペインは新たなイラクへの武力行使を行うための国連決議を提出しています。しかし、フランス、ドイツなど欧州勢の強い反対でその決議の採択は断念されました。新たな具体的な国連安保理の承認なしに武力を行使することは国際法違反であるという法見解が多くの国際法の専門家によって指摘されています。国連アナン事務総長も、もしアメリカ合衆国らが安保理の枠外で軍事行動を起こした場合、それは国連憲章の理念と符合しないものになると言っています。  それにもかかわらず、アメリカのイラクへの武力行使を支持したのは、この国連憲章を大事にする見地からどう思われますか。よろしくお願いします。
  392. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、まず一四四一、六七八、六八七と言われましたけれども、この安全保障理事会は、安保理決議の一四四一号において、いわゆるイラクが湾岸戦争の停戦条件というものを定めた六八七というものを含みます、これはいわゆる関連諸決議と言われるやつの義務、これは六八七ですよ、六八七の重大な違反を継続的に犯しているということを、この安保理は全会一致で決定をいたしております。
  393. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 これは、いいですか。
  394. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ちょっと待ってください。答弁中だと思いますので、御質問には後でお答えさせていただきます。  また、イラクに対して武装解除の義務というものを履行する最後の機会というのも与え、長ければ十二年ぐらい掛かったと思いますが、あったと思います。しかし、御存じのように、イラクは一四四一で求められております武装解除等の義務を全く履行しませんでした。この点は、国連の査察団によります安全保障理事会への累次の報告で極めて明らかにされております。  したがって、決議六八七の重大な違反が継続的に生じていたということでありまして、同決議に基づいていわゆる湾岸戦争の停止の基礎が損なわれておりますので、戦争開始前に加盟国に対しては、あらゆる必要な手段を取る権限を与えた、いわゆる決議六七八号に基づいて武力行使が正当化されるということになろうと存じます。  このように、イラクに対しまして、武力行使というものに対しましては、いわゆる国際の平和と安全というものを回復するという明確な目的のために武力行使というものを認めるという国連の憲章第七章というのがございますが、第七章の下で採択されました六七八、六八七及び一四四一というものを用いまして、国連安保理決議によって、国連安保理決議によってですよ、決議によって正当化されると考えておりますので、私どもとして、今御質問のありましたように、国連の決議にきちんと基づき、また国連憲章第七章にも基づき私どもはこの決断をしておりますが、基本的にはアメリカとかイギリスとかそういった国々のいわゆる見解というものとも一致をいたしております。
  395. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 今の見解は、それは日本政府の立場からですか。六七八と六八七と一四四一が特に、まあそれ以前に六六〇もありますけれどもね、これを三つまとめての根拠ですか。
  396. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的に、順番がこれだったからこうなったというちょっと順番がありますけれども、基本的にはその三つを総合して最終的に……
  397. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 三つ総合して勘案したということですね。
  398. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) というように御理解いただければと存じます。
  399. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それでは、この三つについてちょっと一緒に話を持っていきたいんですけれども、国連憲章では国が戦争を起こす理由として許されているのは、自衛権と安保理決議による集団安全保障の行使の二つだけということは申し上げられましたよね。そのとおりですよね。  これ全部読んでいきますと、六七八にも六八七にも一四四一にも、これは一度も特定の国がその武力を行使するということは見当たらないんですけど、どの条文にあるんですか、これ出してください。
  400. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありましたところで、ちょっとあれですけれども、六七八は、御存じのように、イラクのクウェートからの撤退を求める安保理決議六六〇及び関連諸決議の実施とともに、また、このイラクにおけます国際の平和と安全を回復するために、あらゆる必要な手段を取る権限を与えるという旨定めております。したがって、これまでも繰り返して申し上げておりますが、二〇〇三年の対イラク武力行使というのに当たりましては、安保理決議一四四一の下で、イラクは、いわゆる湾岸戦争、一九九〇年の湾岸戦争の停止条件を定めた安保理決議六八七号の重大な違反を継続的に犯しているというんで、安保理より与えられていました最後の機会を利用しなかったことから、六八七に基づきまして、湾岸戦争の停戦の基礎が損なわれ、結果として、イラクにおける国際の平和と安全を回復するためにあらゆる必要な手段を取る権限を与えるとしております安保理決議の六七八に基づいて武力行使が正当化されたということだと存じます。
  401. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 今、大臣が申し上げたのは、その六七八の二項ですよね、これね、たしかね。これ、二項はこう書かれているんですけど、クウェート政府に協力している加盟国に、上記の第一項に定められているとおり、イラクが一九九一年一月十五日までに前述の決議に定められた事項を完全に履行しなければ、決議六六〇及びこれに続くすべての関連決議の維持、施行のため、及び国際平和と安全を回復するためのあらゆる手段を行使する権限を付与するというのは、それは一月十五日までと期限が定められているんですけど、これはなぜ、一九九一年の一月十五日はもうとっくに過ぎているのに、それがなぜできるのか分からないですね。
  402. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今言われましたように、一九九一年から二〇〇三年まで、実に十二年間にわたって国連は累次にわたって安保理決議としていろいろな勧告をイラクにしておりますけれども、そういった国際社会や、安保理という名の国際社会が平和的解決の機会を与え続けてきましたけれども、その十二年間、それは全くそれに反応せず、それにこたえようとせず、最後まで国際社会若しくは安保理の真摯な努力にこたえようとしなかったというところが一番の問題なんであって、このような認識の下で日本としては、この安保理決議に基づいて取られた行動を支持したということであります。
  403. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 だから、そこが私との見解の違いなんですけどね。多分、麻生大臣は、これをもうちょっと目を通した方がいいと私は思うんですけど、普通、六八七では武力行使のことは規定されてないと私は思いますが、それから一四四一でもね。そうでしょう。やっぱりこれは、六八七が決議をされたときに、もう六七八は消滅したということになると私は思いますけれども、法的解釈では。だから六七八がよみがえってくることはあり得ないと思うんですけど、この辺どうですか。
  404. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 見解が全然違うとおっしゃいましたけど、全く違います。
  405. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 これはね、見解が違うと言うけど……
  406. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ちょっと、発言中だから、議長若しくは委員長に了解を求めていただかないと、議場整理権は委員長にありますよ。
  407. 田浦直

    委員長田浦直君) 麻生大臣。  まあちょっと待ってて。  麻生大臣
  408. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 焦らなくて、まだ時間ありますから。慌てぬでください。  六七八が六八七になっていきまして、それから一四四一になっていきましたけど、それがいずれもこたえなかったがゆえに戻ったということになるんです。
  409. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いや、だって、ちょっと少し、ブリックス査察官報告では、イラクは多くの点で査察に協力的で、更なる武装解除には数か月必要、査察の継続必要と言っているんですね。エルバラダイも、三か月にわたる突っ込んだ査察を行った後、現在まで我々は、イラクが核兵器開発計画を再開しているという証拠も、それを示唆するもっともな兆候も見いだしていないということを言っているんですね。そうですね、イラクは確かに一四四一採択を最初は拒否したんですけれども、十一月十三日には受諾しているんですよ。だから、その間何も聞かなかったということはあり得ないですよ、これは。
  410. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 累次にわたってと申し上げましたように、十二年間にわたりまして、イラクに対しては、いろいろな形での国連から若しくは多くの国々からイラクに対してその対応を求め続けたということでありまして、これは国連決議だけですべてやっているわけではありませんから、そういった安保理の国々がいろいろなことに基づいて話を持っていったにもかかわらず、全然それに応じようとしませんでしたので、大量破壊兵器の廃棄というものを定めました停戦決議六八七を含む国連安保理決議の重大な違反というのが決定されたから六七八というように御理解いただけたらよろしいんじゃないでしょうか。
  411. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 一度、一四四一では物足りなくて、アメリカは、武力行使ができないということがありまして、イタリアとどこでしたかな、何か国かで武力行使の決議をしようという案を出したんです。それがフランスとドイツに断られているということは知っていますよね。そのことをどうお考えですか。
  412. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) いろいろな安保理十五か国の中にありまして、いろんな意見が出てくるのは当然のことでして、安全保障理事国と言われる十五、常任理事国、非常任理事国、合計十五の国々の意見が常に完全に一致していたというわけではありません。これはもう常によくある話なんでして、私どもの望んでおりましたのは、平和的解決はイラク側の対応に懸かっていたんだと、あのとき、そう思っております。  したがって、日本としては、国連の査察団というものが累次にわたって入っておりますが、協力は全く得られなかったという表現はエルバラダイの報告にも出てきておりますのは、もう先生お読みになったとおりだと思いますので、イラクの消極的な協力というものを何回となくレポートしておりますから、そういったものが抜本的に改められなかったということが査察継続の有効性に疑問を生じさせたというのがあのときの背景だったと思っております。
  413. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 もう一度、この辺をなぜ聞いたかといいますと、一四四一の後に更なる武力行使のための国連決議を採択しようとしたこと自体が、一四四一までの決議では武力行使に不十分であることを米国は知っていたんではないかということを大臣は思ったことはないですか。
  414. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) この種の駆け引きの世界におりますと、それはいろんなことを考えておると思いますので、アメリカとして自国に都合がいいように、フランスはフランスの自国の都合、それはみんなそれぞれ都合のいいように考えるというのはこの世界では当然のことだと思いますので、アメリカが特にどう考えていたからどうというような気はございません。
  415. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いや、私は、だから日本の立場としてどういうお考えですかと言っているんです。
  416. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 日本の立場はもう、重ねて申し上げるのもなにかと思いますが、日本というものは、これまでずっと国連というものの決定というものがなされて、それによって、イラクに対するアメリカの武力攻撃というものについては、先ほど久間大臣から答弁のあったとおりでして、日本がいわゆる実質クウェートに陸自若しくは空自を送るようになりましたのは、イラクにおける戦闘状況が終結というのを受けました後の話でして、この話に関しましては、あの地域の平和と安定というものにとりまして、これは日本にとって非常に大きな影響を与えるところだと思いますので、私どもとしては今回の結論というのを、今そのようなところで、反省をしているとかなんとかいうわけではございません。
  417. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 それじゃ、麻生大臣は、これは安保理決議によってなされたということを明白におっしゃっていますね、それは確かですか。
  418. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 日本は安保理決議の決定に従って、我々の行動をそれに準じたということだと御理解いただいて結構かと存じます。
  419. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 今の世界のこの法解釈としては、安保理決議にあれはなかったということになっておりますね。その安保理決議は、クウェートの武力抗争に対する一つの、何というのかな、枠組みを与えているし、あとは六八七以降は、何というんですかね、あの大量破壊兵器の問題が明記されて、一四四一でそれは査察というものを強化されてくる流れがあるんですね。  だから、ひとつ、私は、アメリカはやはり国連、国際法に違反しているという考え方を持っているんですね。それを日本政府はそうではなく、国際法に準じてアメリカはやったということを申し上げていますよね。  私は、よく見ていくと、アメリカはクウェート侵攻と大量破壊兵器保有の問題をすり替えて私はイラクに対して入っていったんではないかという見解を持っているんですね、考え方をね。だから、これをもう一度僕は更に勉強をして、これ難しいですからね、ややこしくなっている、これを読むのはね、もう一回僕は説明しながら質問できるよう持っていきます。よろしくお願いします。  それから、自由と繁栄の弧、麻生大臣が提唱する自由と繁栄の弧についてお聞きします。  昨年十一月三十日、麻生大臣は自由と繁栄の弧について演説を行い、我が日本は今後、北東アジアから、中央アジア・コーカサス、トルコ、中・東欧にバルト諸国までぐるっと延びる自由と繁栄の弧において、まさしく終わりのないマラソンを走り始めた民主主義国家の伴走ランナーを務めてまいります。中略置いて、自らの存在と安定、それに繁栄という国益の三大目的を追求しようといたしますと、日本くらい大きな国になりますと、世界のどこで何が起きようが無縁ではいられませんと言っておられます。  麻生大臣、私の目から見ると、新たな冷戦構造をつくろうとするアメリカの国際戦略の覇権の中に取り込まれていくような流れにしか見えませんが、どうですか。
  420. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 全然違うと思います。見解が全く違うんだと思いますので、これ説明すると、これは喜納先生、こういうところよりはもう少し別に、一杯飲みながら話をずっとやった方がよっぽど話が聞けるんじゃないでしょうかね。これは中途半端に聞かれると、あと十五分ぐらいしゃべらせていただくということになると、ちょっといかがなものかと思いますんで。
  421. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 麻生大臣と一杯飲めることは非常に嬉しいことですから、今日の言葉は、是非やるやる。  ちなみに、僕は潜在的に共産主義体制を残す中国やロシア、あるいは宗教戦争でもつれている中東、混沌の中にいるアフリカ、反米的に傾斜している南米、身近なことで言えば北朝鮮、台湾問題をどうお付き合いしていくつもりですか。
  422. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) いろいろそれらの国々に全部対応の仕方が違うと思っております。  しかし、少なくとも、今一番その中に全く外れているといったら多分中南米ということになろうかと思いますけれども、例えば、今ウジミナスという鉄工所がブラジルにあります。このブラジルにありますウジミナスというところは、新日本製鉄が育て上げた鉄工所だと思いますが、今度のミッタルというインド最大、世界最大の鉄鋼会社がアルセロールというフランスにあります鉄鋼会社を買って、これによって新日本製鉄の冷延・圧熱・高張力鋼板の技術が流出するかしないかという大事件になっております。  したがって、アルセロールは買われましたので、ミッタルに、ヨーロッパに対して日本は送り出すすべをなくなったときに、この中南米のウジミナスという会社と新日鉄は長き、もう四十年にわたって縁があって、結果としてここの工場が、この会社が新日鉄の持っています技術を使って、そしてそれをヨーロッパに売るということで、この買収工作を止めるのに成功、これは明らかに日本と中南米、特にブラジルとの長い関係においてでき上がったこれ一つの例です。  そういった意味では、少なくとも中南米、いろいろな中で、反米とかいう話はよくありますが、ボリビア含めて日本との関係はかなり友好なものを維持しておると理解しております。
  423. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いろんな問題があると思うんですね。特に、ロシアとの北方領土問題とか中国との尖閣列島問題、韓国との竹島問題、北朝鮮との拉致問題、それから台湾問題とか、これを解決する力があれば日本というのはすごいアイデンティティーを私は示すことができると思うんですね。  だから、自由と繁栄の弧というものは、遠いところは、特に我々も平和運動をするときに遠いところは応援しやすいんですね、火の粉が飛んでこないから。しかし、お隣の北朝鮮の平和運動をするとスパイじゃないかとか共産主義じゃないかとかすぐに偏見が飛んでくるんで、非常に難しいという。だから、北朝鮮の中で、あそこで苦しんでいる子供とか年寄りなんかを見てみると、どうしても心が痛くなるんですね。同じように人類の、地球上にいる人間たちと同じ心を持つんですけれども、特に近いものに対しては非常に長い伝統や歴史の偏見があるから、これをどう解決していくのかというのが非常に私のテーマとなっているんですけれども。  僕はこの前、新潟のときに、国際問題調査会で行ったんですけれども、そのときロシアの総領事ですか、が来て質問したんですね。北方四島問題をどう考えていますかと質問したんですよ。政治家が騒がなければうまくいくと言うんですね。政治家がいろいろな戦略に使うからぎくしゃくしておかしくなると、余計な人たちが出てくると言う。相手の言い方をすれば、ロシアでも右傾化している人が出てくるとか、日本でも右傾化している人が出てくると。だから、それがかえって足を引っ張ってしまうということを言っていたんですね。これはどうすればいいのかなと言ったら、それは言わば官僚に任せばいい、官僚と言っちゃ、まあそういう人たちに任せばうまくいくという話があったんですね。  ただ、その話の中で、私はちょうど択捉に行ったことがありましたから、そのときに博物館の中にアイヌの歴史資料が全部大事に保管されていたんですね。私は非常に感動したんですよ、そこでね。その旨を私はそのロシアの方に言ったら、この方も同意を得たという形で、やっぱり何というのか、尊厳というのか、生命の尊厳から物を見ていけば、私はそういうぎくしゃくした、何というのかな、このしこりは抜けるんではないかという感が、ロシアの総領事と一致した部分があったんですね。  だから、北方四島は日本のものである以前にアイヌが住んでいたということをしっかり踏まえて今後外交を組み立てていけば、僕は新しい視点が展開していくんではないかと思うんですけれども、この辺はどうですか。
  424. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 元々は、千島、樺太等々、伊能忠敬、江戸時代に出てくる学者ですけれども、伊能忠敬にさかのぼって、少なくとも長い長い歴史の中で、あそこは半島ではなくて島であるとかいろいろなことをずっと調べ上げていった長い経緯があります。もう御存じのとおりです。その当時にいた人たちは、松前藩があそこに出ていく以前から人が、あそこに住んでいた人たちが多くアイヌと言われる人たちだったというのも事実。かなり違う言語でもありましたし、違う民族、いろんな表現があろうかと思いますが、そういった人たちがそこに住んでいた、先住民族としてそこにいたというのは間違いのない事実であろうと思います。もちろん、ロシアが入ってくる前にいた、もちろんエスキモーを含めて、皆それぞれの地域にそれぞれの先住民がいたというのはもうどこの国でも言えることだと存じます。  したがって、そういう人たちといかに融和していくかというのはすごく大事なところだという点に関しましては私どもも全く同じです。
  425. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 アイヌ新法ではアイヌの方々の先住民権が認められなかったんですよね。だから、それは多分国連が提唱する先住民の権利を表に出しちゃうと、今の日本の利権がちょっと少し、ちょっとひずみが入るというところがあると思うんですけれども。しかし、僕は、世界に先駆けて日本がそういう、本当の人道支援である、人道復興であるという言葉を申したければ、しんのある人道復興というものをまず足下からやっていくという方法がいいんではないかと思いますけれども、どうですか。
  426. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) これは、アイヌに限らずいろいろなところでいろいろな問題がありますのはもう御存じのとおりでして、一番難しいのはこの民族と言われる定義というのが、先ほどの話じゃありませんけれども、これも日本の現行の法令の中では民族というものについての定義とか規定されたものはありません。これが一つ頭に入れておいていただかなきゃいかぬところだと思っております。  したがって、いわゆる民族というのは、一般的には言語とかまた宗教とか文化、いろいろあろうと存じますが、そういう客観的な基準というものと、何というのか、帰属意識とか民族意識とかいったいわゆる主観的な基準というものの両面から説明をされているのが通常なんですけれども。  したがって、アイヌの人々も、独自の言語、独自の文化、そういったものを持っておりますんで、民族としての帰属意識というものを有しておりますから、民族であると考えているというのが率直なところです。
  427. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 とにかく、それなりの理屈は分かりますけれども、ただ、やっぱり先住民権を見詰めて、民族という帰属をさせていくぐらいの度量を日本は持ったらすごいなと思っているんですね。  どうですか、資本主義だろうが共産主義だろうが、軍産複合体という一つの病に僕は侵されていると思うんですね。私は、地球のこの文明、言わば戦争文明というんですか、戦争文明が地球に広がっていくと人類の未来はなくなるんではないかという感があるんですね。  その自由と繁栄の弧を、何というのかな、地球丸ごと、人類丸ごとの繁栄に切り替えるぐらいの哲学を展開してくだされば、次の、何というんですか、美しい国日本もいいんですけれども、だってこの地球を見たときに、人口が六十六億あって、日本一国で美しい国はもうつくれないようになっているんですからね。地球全体が疲弊しているんだからね。これを再生していかなくちゃ美しい日本も存在できないという、そういう構図が成り立つんです、これは。  だから、一つは、この自由と繁栄の弧も限られたものではなくして、地球丸ごと、人類丸ごとという哲学に切り替えたらすばらしいなと思いますけれども。
  428. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 一億二千七百万の人口で六十六億面倒を全部見ちゃうという迫力だけはすごいと思いますけれども、失礼ですけれども、金にも体力にも限度があります。やれもしないことを大言壮語するつもりははなからありませんので。  私どもとしては、やれる範疇としては、それらの国々は今、日本と同様にかなり歴史はあるけれども最近自由と独立を手にした国々、また日本と同じように資源のない国々、そして日本と同じように基本的な価値観を共有しながら、今この約十五年間、一九九〇年以降、新しく独立を得た国々で、今やっと議会制民主主義とか選挙とか市場経済とかいうものをやっと今よちよちでやり始めつつある国、歴史はあってもそういったことに関する知識若しくは知見、経験に、そういった国々と、我々がやれるのは、日本の経験、知見、これまでの我々がやってきた過去を共有して、我々の失敗も出します、我々が成功したところも出します、したがって、そこらを共有しようではありませんかというのを申し上げた範囲がこれでありまして、これをアフリカまで全部、更に五十三か国へ広げろ、中南米に全部、それはもう全部広げられれば、それだけのことはこしたことはありませんけれども、まずは、これらの国々で成功した、その後でということになるのが普通の順当だと存じますが。
  429. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 その言葉だけで十分です。その後という言葉が、心があれば非常にまだ未来があるということですね。  ただ、私が思うことには、米軍再編であれだけお金を掛ける。もう普通考えてみなさい、沖縄の今回の海兵隊の件でも七千三百八億円とかね。  こういうお金、そこにお金を掛けるよりも、戦後補償とか慰安婦問題とか中国残留孤児、強制連行にうまく使えば、更に僕はもっと安全保障は確保できるという物の考え方なんですけれども、ちょっとやっぱり、安全保障の名の下に軍事にお金を掛けるというのはもう古いのではないかという考え方あります。私はそう思っています。  だって、信じられないでしょう、これ。一億ドルぐらいもうこっちに持ってくればすぐにできるんじゃないですか、簡単に。一億ドルじゃ足りないか。何というのかな、十億ドルぐらいあれば、そんなこと、問題ぱっと解決できますよ。歴史が消化できますしね。そのぐらいの判断ができるような私はやっぱり人が首相になってほしいなと思っていますね。まあそれは質問としません。  次は、塩崎官房長官にちょっとはお話ししたいなと思って質問します。  衆議院においては特別委員会で附帯決議が採択され、その中で、出口戦略につき必要な検討を行うこととしております。塩崎官房長官は、出口戦略について主体的な判断すると答弁しておりますが、主体性とは何ですか、主体性。
  430. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) そもそも私、出口戦略という言葉は余り好きじゃなくて、イラクとの付き合いに出口は余りないんじゃないかなと思っております。  自衛隊を送るということに関して、どこかで終結をするということはあり得るかも分からないということでありますけれども、その際に、主体的に考えるというのは、やはり日本がイラクとのお付き合いの中でどういう支援をするかというときに、自衛隊を送ることについてはそろそろやめようかというふうに決める、時期を決めるのは自らの判断として、つまりODAあるいはNGOのコミュニティーも随分関与してくれて、支援をしているわけですが、そういった組合せの中で自らの考えで決めるという意味で主体的に決めるということだと思います。そのときの条件はもういつも言っているとおりであります。
  431. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 いろんな状況をかんがみて決めるということの主体性ということを言っておるんですけど、二年間延長というのはちょうどブッシュ政権の任期の終わりと同じだから、配慮しているんじゃないですか、ブッシュ政権に。
  432. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) いや、それは全く関係なく、主体的に決めるのは、やはりイラクとの関係、それからイラクを支援しようとしている国際的なコミュニティー、それは国連もありますし、他の多国籍軍を出している国、その他の国々の動きというものもありますから、そういうものを総合的に判断して、国連の活動も数年は掛かるんではないかという活動を今展開しつつあるわけですので、そういうことを考えて二年ということでお願い申し上げているということでございます。
  433. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 二年ということは、決してブッシュ政権のその任期に合わせたものじゃないということですよね。
  434. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) そのとおりでございます。
  435. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 私は、松岡大臣がちょうどあの事故というのかな、事件というのか、起きる三日前に、国会から出ていくときに、はい、喜納先生という形で僕も松岡先生の手を握ったんですね、その感触がまだ残っているんですけどね。僕は非常にあのとき、あっ、この方は意外と純粋なところがあるんだなと僕は本当思ったんですね。その後の事件でしたから非常にショックもあって、悩んでいたんですね。  そして、その後、いろんな遺書に安倍総理大臣、日本国万歳ということを書いているから、決して私は右翼ではないですけど、国粋主義者でもないんですけど、その気持ちは察する部分があるんですよ、どこかではね。  だから、私は、あの方が本当にこの日米同盟という矛盾の中に挟まれて死んだのかなというものがあるんですね。だから、あのときに手を握ったときの僕は感触を思い出すときに、そうだな、このことは解決せぬといかぬなと思ったんですね。  塩崎官房長官は日米同盟の中には矛盾はないと思っていますか。日米同盟の中には矛盾は存在しないと思っていますか。
  436. 塩崎恭久

    国務大臣(塩崎恭久君) 矛盾というのの定義によるのではないかと思いますが、少なくとも今の私の頭の中に矛盾という言葉は日米同盟に関してはないと思います。
  437. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 矛盾という言葉は矛と盾、いかなるものも盾を貫くというんですね、盾はあるいはいかなるものも通さないというのが矛盾というんですけど、戦わなければ元々矛盾というのはないんですよ、これは。戦うからこそ矛盾が生じるんですね。だから、我々は矛盾を超えることができるんですよ、実際は。戦わないことが、矛盾が消えていくという、文字ですから。この辺も戦わない方向に行ってほしいなと思っていますね、日本が。  それから、時間がもうちょっとありますね。  ポサーダ問題を知っていますかね。もう一回言う。ポサーダ問題は、アフガニスタンとイラクへの米国の侵略戦争の根本にあるという見方をする人もいるんですね。  ブッシュはテロとの戦争を打ち出し、テロと戦うか反対するかの二者択一を迫り、テロリストをかくまう国はテロ国家とみなすと脅かしたんですね。ところが、米国内に米州最大のテロリスト、ポサーダをかくまっているという。米国のテロとの戦いの論理は完全な二重規範だという考え方があるんですね。  そういう二重規範の論理がもう崩壊したのに、日本政府はこの点に目をつぶり、まだブッシュを支持するという考え方はありますか。これもまた官房長官よろしくお願いします。ポサーダのこと知っています。知らない。それじゃ分かりました。
  438. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) ルイス・ポサーダ・カリーレスのことですか。
  439. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 はい、ルイス・ポサーダ。
  440. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 質問の趣旨は、この人の扱いをアメリカの裁判所がどのようにし、その結果の扱いが妥当かどうかという趣旨と推測してお答えをしますけれども、よその国の政府、つまりアメリカが第三国の国民をどのように扱うかに関することでありますから、日本政府がそれについてとやかく言う立場にはありません。  その上に立って申し上げるんですが、このルイス・ポサーダ・カリーレスをめぐる事実関係の詳細が十分には把握できておりません。今分かっていることは、反キューバ体制のキューバ生まれのベネズエラ国籍と承知していますけれども、不法入国容疑でアメリカに逮捕されて連邦大陪審によって刑事訴追されていた人で、保釈金を支払って今年の四月十九日に釈放された後、自宅収監になっていると承知をしております。そして、五月八日に連邦裁判所によって移民法違反の訴えが棄却されたということです。  したがって、この一連のアメリカの司法裁判にかかわる問題について妥当かどうかということを今申し上げるのは適当ではないと存じます。
  441. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 分かりました。次にお願いします。  麻生大臣に最後にもう一回質問します。  一昨日の犬塚議員質問で、アメリカがペルシャ湾に空母を展開してイランと交渉することは、東京湾に空母を展開されているようなもので、国連憲章で禁止されている威嚇行為にならないかという質問がありました。麻生大臣は、ペルシャ湾はイランの領海ではないので威嚇には当たらないと言いました。そう言いましたよね。  では、もし日本との交渉のときに東京湾に空母が展開されたら威嚇になりますか。
  442. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 東京湾は日本領です。
  443. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 威嚇になる。
  444. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 日本領の中に日本の了解なく他国の軍隊が入ってくれば威嚇になり得る可能性があると思います。  アメリカの場合は、事前通告ももちろんあるでしょうが、同盟国というのとは全く違うと思います。
  445. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ああそうですか。中国ならば許してないですよね。
  446. 田浦直

    委員長田浦直君) 喜納君、もう時間ですから。
  447. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 沖縄の辺野古沖に掃海艇を派遣することは沖縄に対する威嚇であると県民は受け止めていますが、久間大臣、沖縄は日本人ですか。
  448. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 決してそういうふうに……
  449. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 沖縄は日本人なのか聞きたいんです、私。
  450. 久間章生

    国務大臣久間章生君) もちろん日本です。
  451. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ああそうですか。後でまたこの議論もしようと思います。  以上です。
  452. 田浦直

    委員長田浦直君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十八分散会