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2007-03-29 第166回国会 参議院 外交防衛委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十九年三月二十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任         喜納 昌吉君     松岡  徹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         田浦  直君     理 事                 岡田 直樹君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君     委 員                 浅野 勝人君                北川イッセイ君                 小泉 昭男君                 関口 昌一君                 福島啓史郎君                 犬塚 直史君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 白  眞勲君                 松岡  徹君                 浜田 昌良君                 緒方 靖夫君    国務大臣        外務大臣     麻生 太郎君    副大臣        外務大臣    浅野 勝人君        農林水産大臣  山本  拓君    大臣政務官        外務大臣政務官  関口 昌一君        外務大臣政務官  浜田 昌良君        防衛大臣政務官 北川イッセイ君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  米田  壯君        外務大臣官房長  塩尻孝二郎君        外務大臣官房参        事官       水上 正史君        外務省北米局長  西宮 伸一君        防衛省防衛政策        局次長      金澤 博範君        防衛施設庁業務        部長       伊藤 盛夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国政府フランス共和  国政府との間の条約を改正する議定書締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国フィリピン共和国  との間の条約を改正する議定書締結について  承認を求めるの件(内閣提出) ○社会保障に関する日本国とオーストラリアとの  間の協定の締結について承認を求めるの件(内  閣提出)     ─────────────
  2. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、喜納昌吉君が委員を辞任され、その補欠として松岡徹君が選任されました。     ─────────────
  3. 田浦直

    委員長田浦直君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長米田壯君外五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 田浦直

    委員長田浦直君) 在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  6. 小泉昭男

    小泉昭男君 それでは、質問に入らせていただく前に、麻生大臣、大変連日多忙な中での御尽力に心から感謝申し上げておきたいと思います。  最近の世界情勢を見るにつけ、日本外交力強化が緊急の課題であるということは国民の一致した考え方でありますけれども、考えてみますと、もう既に何回も言われておりますとおり、国連に対する拠出金アメリカに次いで日本は二番目という大変な位置にあるわけでありますが、国連常任理事国入りがなかなかかなわないと。これは現実日本を応援いただく国の数が少ないという、これが現実でありますけれども、じゃどうしたらいいのかと、こういうことになってきますと、外交力強化と併せてODAと二本立てで対応していく、こういう方向になると思いますけれども、国際機関の役職に就くのもこれから戦略的に大変重要であるんじゃないかな、こういうように思います。  今よく言われるアフリカのことでございますけれども、アフリカを見ますと、五十三か国国があるということでありますが、世界国連に加盟している国が百九十二、その中で大変大きな位置を占めているわけでありまして、いわゆる日本ODAの積み増しの部分、またアフリカに対するODA方向付けについては私は本当に機を得た判断ではないかなと、こういうように思います。  アフリカの五十三か国のうちで、大使館の数を見ますと、中国が四十六、日本が二十四、こういうことになると思うんですが、昨年の十一月、WHO世界保健機関事務局長選挙、これで日本が推した方が中国支援を受けた方に敗れるという、こういうことがあったようでありまして、これから外務省に、大臣を先頭にして選対、選挙対策委員会を設置したと聞いております。  こういう中で一番大事なのは、今まで縦割りと言われていた各省庁ごとの対応であった部分を横断的にオールジャパン的な対処の仕方に持っていこうということだと思います。今後、外務省としてどのような取組をされていかれるのか、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  7. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、小泉先生の方から御指摘がありましたように、昨年、ワールドヘルスオーガナイゼーション、世界保健機構選挙中国に敗れております。今言われましたように、アフリカの票が大きかったことは、もうあとの票を割りますとそのようなことになりますので、私どもとしては、その点につきましては今後きちんとやっていかなくてはいかぬと思っておるんですが、向こう大体三年間で四十ぐらいの選挙があると思っていただければよろしいんだと思います。だから、国際機関と言われるものの選挙って約四十ぐらいあります。  そういった中で、これに我々はどの機関に対しては日本候補者を出すのか。また、こっちに出さないからこっちに出すというような形で人を割っていくのか。また、そういったような人を、三年後にはこれを出すためには今のうちからそういった機関向きのところの充て職にきちんと充てておいて、その上でその候補者経験を積ませた上で出す等々いろいろなことを組織的に考えてやらないと、いよいよ選挙の日見てだれか出さないかぬぞなんというんじゃ、これはどこかの地方選挙の議員と同じような話になっちゃいますのでね。そういったようないい加減な話じゃできないんであって、きちんとするべきなのではないかと。  ましてや、他の省庁、例えばWHOですと厚生省になりますし、ITUですと総務省ということになります。そういうようなところと、きちんとリストを出して、これどの人を充てるんですかと。どういう人を出されるんだったら、あらかじめ外務省のしかるべき国際機関で訓練をさせた上で出さないと、いきなり、ちょこちょこ英語ができるからといってやれるようなことではないのではありませんかというようなことを、ちょっとみんな各省に出してきちんとやるということをやらないといかぬのではないかと思っておりましたので、いわゆる選挙対策委員会国際機関選挙対策委員会みたいなものをきちんと立て上げてオールジャパンでやっておく必要があるのではないかというところから、今、今までこれだけ体系付けてやったことがありませんので、そういう形を今回やらしていただこうと思っておるということでございます。
  8. 小泉昭男

    小泉昭男君 大変大事な方向付けでありますし、一朝一夕に結果が出るということでもございませんので、これから大臣をトップとして鋭意御努力をいただきたい、このように期待をしておきたいと思います。  続いてお伺いしたいと思いますけれども、現状の厳しい財政状況の中で、どの省庁人員の削減、これはかなり議論されております。しかし、外務省では今回定員を五十一人増やすということでありますし、平成十九年度の末の定員は五千五百四人、こういうことになるということであります。大臣を始め外務省としては、世界情勢を見据えての日本外交力強化に向けてどのくらいの力を入れていられるかということは理解をするところであります。  また、在外公館スタッフ新たに百人採用予算措置がとられておりまして、大臣は合わせてこれは百五十一人の増強との認識を示されているわけでありまして、これらの人員確保の問題でありますけれども、どのように確保されていくのかということが極めて大事な部分ではなかろうかなと、こういうように思います。大卒の採用者だけでいいものかどうか、中途採用、さらには外部の専門家を含めた積極的な人員確保も必要ではないかなと、こういうように思います。  特に、在外公館についてでございますけれども、青年海外協力隊経験者、これはかなりいるようでありまして、今、現状では、平成十七年の四月の一日から一年間、十八年の三月三十一日まで帰国した隊員の方々でありますけれども、千四十四人おられるというんですね。うち九百六十六人、九二・五%の方が進路を決定しておられるということでありまして、その進路を決定された方々のほぼ半数の四百八十六人、五〇・三%が就職をされたということでありまして、せっかく経験を積まれておるわけでありますので、もうこういう方々能力を生かすことも大変重要じゃないかなと、こういうように思います。  今、海外青年海外協力隊として派遣されている人数聞きましたところ、二千四百二十人いるというんですね。そうしますと、これはかなり人材的には期待のできる人材ではないかなと、こういうように思うんでありまして、これを、この方々就職先というよりも、こういう方々経験だとか今まで培ったノウハウ、こういうふうな部分を生かしていくように努力をいただきたいと思います。  それと、あと海外経験豊富な商社のOBの方々、こういう方々考えればすぐ即戦力ということになるわけでありますので、こういう方々にもアプローチをして積極的な人材確保をしていくべきじゃないかなと、こういうように思うんでありますけれども、大臣の御所見を伺っておきます。
  9. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 小泉先生指摘のとおりであって、今、在外公館数人数、よく中国とかイギリスとかフランスとよく比較されますけれども、日本が今百十七の在外公館がございます。ちなみに、中国は百六十、ドイツイギリス、百四十六、百四十二が英国、大体そんなもんだと存じます。人数でいきますと、日本が今五千四百五十人かな、今度増えますんで少し違いますが、五千四百五十人だと思っております。ただ、アメリカはちょっとけたが違いますんでそれ別にいたしましても、中国で七千人、七千百人、イギリスで七千二百人、ドイツで七千五百人ぐらい、大体そんなもんだと存じます。  したがって、これ人数の絶対量が足りていないことは確かなんですが、今回、外交力基盤強化ということで増員を認めていただいて、今これでスタートをさせていただきますが、その人数を新しく新規採用の学卒ばっかりで全部うずめるなんという気は全くありません。今御指摘のありますように、例えばアフリカスワヒリ語ができますとかウルドゥー語ができますなんというのは今から訓練したってとてもじゃありませんので、そういったような専門職含めまして、現地に今既に行っております人たちもおられます。  また、ケネディのでやりましたピースコーをまねて日本でつくった青年海外協力隊というのは、これはもうかなりの組織になっておりまして、これに負っている日本外交というのは、もう大変助けられておる部分というのは、もうこ青年海外協力隊というのは非常に大きな部分であります。毎年ここから数千人出ていく。それから、男女ともに、だんだん女性の比率が高くなってきているというのは最近の傾向だと思っておりまして、かなり過酷な条件のところで行ってもらっている。  そのほかにJICA等々もございますので、海外で既に働いている人たちの中でやる気のある人、極めてそういった能力に向いている人を中途採用するというのは当然考えるべきことだと思っております。  それから、商社の話が出されました。これも一つの有望なあれだと思いますが、小泉先生、これの最大の問題は給与。大体、今、どうでしょう、どこかの大きな国の総領事、結構いい給料だと思いますが、同じ年次の人を商社に当てはめますと、大体三分の一から二分の一ぐらいに下がる。となると、やっぱりそれだけ給料が下がってちょっと大使館に勤めてみようかなんというのは、よほど志が高いか変わったやつか、ちょっとなかなかいないんじゃないでしょうかね、現実問題として大幅に下がりますから。そういうのが現実でございますんで、退職した人とかいろんな形を考えないわけじゃありませんけれども、ある程度そこそこばりばりというようなのを引き抜こうとするとそういう問題があるというのが我々の方としての悩みであります。  いずれにしても、優秀な人というのはおられますんで、そういった方々外務省やる気はないかといって中途採用するという道は我々としては今後開いていくべきだと思っております。
  10. 小泉昭男

    小泉昭男君 大臣がおっしゃったその一点に尽きるんじゃないかなと思いますね。  外務公務員給料、今大臣お話しになられたとおり、商社方々と比べると大分違うということは以前から聞いておりますが、この外務公務員給与の組立てなんですけれども、本俸、基本給ですね、それに扶養手当期末手当勤勉手当在勤手当住居手当配偶者手当、こういうものが全部含まれているわけでありますけれども、聞くところによると、そこそこの給料をもらっているという見方は国民の中にあるわけですね。しかし、一番大事なことは人材確保でありますから、優秀な人材も一律に、一律の給料考えていくというのはなかなか難しいんじゃないか、こういうように思います。しかし、法で決まっているわけでありますから、あとは働いていただく方の仕事ぶり、これで財務省国民理解を得るように努力をいただいていく以外ないんじゃないかな、こういうように思います。  今、給料が高い安いということは、どちらかといえば特殊勤務でありますから、身の危険も顧みずに、昼夜分かたぬ勤務に就くこともあるでしょうし、それとまた現地での風習、宗教の問題、あらゆる問題を考えてみますと、そういう方々との接点を作るために個人的にいろいろなホームパーティー的なものを開くなんてことも聞いておりますから、いろんな御努力の中で今世界日本が活躍しているわけでありますけれども。  先ほど大臣お話しになられましたとおり、一番、主要国外務省の職員数見ますと、アメリカは二万一千人超えておりまして、ずっと来ますと、確かにおっしゃるとおり、十年間で二千人は増やしたいと、これはもう最低限の目標でありますから、私は今回大臣が百五十一人増員計画を出しておられることに対してもろ手を挙げて応援をさせていただきたい気持ちでおります。  それと、今、北朝鮮問題から含めて、日本は決して安全な国だと私は思っておりませんで、そのためにはどうしたらいいかといえば、血を流して自分の地位を守るというのは極めて避けなきゃいけない問題でありますから、そういう中で、外交官の処遇の問題を含めて、これからもう少しいろんな角度からの議論をしながら、働いて自分の本当に人生を懸けてみようというような職場につくり上げなくちゃいけないんじゃないかな、こんな気がいたします。  こういう中で、外務省では当然もうこマンパワーを利用しての二千人増員計画、この方向をお考えだということでありますので、これからどういうふうな方向に持っていくか。これ大切なことは、全体計画ロードマップ、こういうふうなものをはっきり公表をして国民理解を得て、そしてまた財務省の方の協力も得なくちゃいけない、こういうように思いますので、この点について大臣の意気込みを伺っておきたいと思います。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には幾つかに分けられると思いますが、安全保障等々に関します問題からいけば、これは当然、二国間関係ということになりますんで、アメリカとか豪州とかいろいろなこととの関係、政治的な意味になろうと思います。資源確保というものがありますので、これは経済上の利益ということになろうと存じます。また、日本企業支援を含みます邦人保護というのが確実にこれから出てまいろうと存じます。それから、先ほどお話にありました、国際機関におけます票の獲得というものを含みますいわゆる国際社会での位置付けというのがあろうと存じます。  そういった幾つかの問題を考えながら、外務省としてはこれは基本的には増やしていく、いろいろやっていくところに当たっては、これはアジア外交近隣諸国との関係の、これは今後とも積極的に推進していく。それから、日米同盟等々を当然のこととしてやっていく。そして、今も言われましたように、国際システムという、まあ六者協議一つの枠組みですけれども、こういったものを考えるとか、いわゆる新しいルール作りというのを世界じゅうやってまいりますんで、そういったものへの積極的にこれは参加して、やっぱりこういったものがいいのだというルールをきちんとして提示しない限りは、これがルールだと押し付けられて合わせるのではなくて、我々も考えて、これがいいというルールを積極的にこっちからやっていくということも必要だろうと思います。  また、今、先ほど言われましたODAの推進というのに当たりましては、どうやって戦略的にこれを使っていくかというのを、ただただ向こうから言ってくるからやるんじゃなくて、きちんとした戦略を立ててやらねばならぬということだと思います。  そしてもう一個は、やっぱり日系企業というものに対する支援というのは外務省として今まで余りやってこなかった部分ではありますけれども、これは是非、日系企業がそこに出ていっているのを支援すべきだという立場にもっとはっきりさせた方がいいということも言ってきておりますし。  もう一つは、最後になりますけれども、邦人保護という話はこれは結構大変でして、今、イランで今イギリスの人が約十五人、いわゆる拉致というか、何というんですか、捕獲されているというような形になったり、いろんな形で今起きておりますけれども、こういったものに関しまして、これは情報収集とかその情報を分析しないと、ただただ集めたって、分析してその上に立って戦略を立てることになろうと存じますので、そういったものを含めまして、きちんとした戦略的なもの、またそれを対外的にPR、広報していくというようなことを考えておりますので、これは、在外職員にとりましては、これは、おまえ、これみんな自分意識してやらぬと、ただただ漫然と仕事したって駄目よという点は一番肝心の、意識付けというのが一番大事なところだろうと思って、昨日、アジア大洋諸国大使会議というのを開いてその点を訓示しておりますけれども、やっぱり日本という国というブランドを世界に広めていくという責任、それに与えられている職務というのは極めて大きいというふうに自覚がまずないといかぬのだと思って、その点はしつこく各会議のたびに申しておるところでありまして、今後とも、日本外交にとりまして、海外からの評価が高くなってきている分だけ負っている責任も大きくなってくるという意識で事に当たらせたいと思っております。
  12. 小泉昭男

    小泉昭男君 大臣の意気込み、大変なものだということを感じました。大変なお仕事でございますけれども、国民大変世界に羽ばたく時代に来ておりますので、これからも継続して御尽力いただきたい、お願い申し上げておきます。  以上です。
  13. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  本日は、外務大臣在外公館関連について幾つかお伺いしたいんですが、まず、本題に入る前に、昨年の十一月三十日、大臣日本国際問題研究セミナーというところで講演をなさっておりまして、「「自由と繁栄の弧」をつくる」という題目でございました。この日本国際問題研究所というのは、一九五九年に大臣のおじい様でいらっしゃる吉田茂元総理がつくられた研究所だというふうにお伺いをしているわけでございますが、以前、アメリカが不安定の弧というのをつくりまして、私は非常にネガティブリストのような、いかがなものかなと思ったわけでございますけれども、この中で、「「自由と繁栄の弧」をつくる」という演目で大臣問題提起、そして大臣外交哲学講演をされておりました。大変興味深くこの講演の内容を読ませていただきました。  まず、簡単に、麻生大臣のこの自由と繁栄の弧の形成のねらいについてお伺いをしたいと思います。
  14. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一九九〇年に、基本的にはいわゆる冷戦構造の崩壊に伴ってCIS等ソビエト連邦が十五の国に分かれ、また東ヨーロッパの多くの国々はEUに加盟しNATOに入り等々、いろんな形で中欧、東欧の情勢が大きく変わりました。また、中央アジアにおいても、御存じのように、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタン、カザフスタン等々、いろいろの国々がこれらのところ、中からCISとして新しい国としてスタート。また、南に下がって、同様にインドもソ連邦との連携から別のものに移ってきているという、御存じのとおり。また、東南アジアの中では、CLV、カンボジア、ラオス、ベトナム、それに加えてミャンマーも最近そうですけれども、こういったところはASEANの中で経済的な発展から少し遅れたところというところになろうと存じます。これがいわゆる弧、いわゆる不安定の弧であると同時に、私に言わせますと、こここそが今自由とか繁栄とかいうのを求めていこうとしている地域なり国であります。  そういった国々に、日本と一緒に経済協力なりやれる、日本がやれるということはこういったことだと。我々と少なくとも関係の深かった例えば台湾にいたしましても、また、どうでしょう、韓国、シンガポール、マレーシア、いわゆるミニドラゴンズとかフォードラゴンズとか言われたあれらの国々は、間違いなく日本との関係が極めて深かった国はこの地域の中で発展していったというのは間違いないところだと思います。  そういった地域とか国とかいろいろありますけれども、こういったものの中を見たときに、何でこれらの国々がうまくいったのかということを考えたときに、やっぱり日本とうまくやっていったというのが非常に大きな理由の一つだったと、私はそう思っております。我々日本人の方は余り気が付いていないと思いますが、向こうから見るとそうだと思っております。  したがって、うまくやった方がいいんじゃないのという話で、資源もなく似たような状況なんだから、そっちだって資源ないんだし、こっちもないんで、うまくやっている例があるんだから我々とやった方がうまくいくんじゃないという話をやって、一緒にやる気ないかという話で、今、具体的にはパレスチナ、イスラエルというのは、これはだれも手を付け切らなかったところですけれども、ここに日本が農業支援ということをやって、この間、シモン・ペレスが来、PLOの、パレスチナの交渉局長が来、関係しますヨルダンの三か国プラス日本ということで、一応この三月にジェリコの近くでスタートさせようというところまで来て、だれも手を出し切らなかったこの地域に成功の一つのまず芽を、まあ苗までは育っていませんけれども、まず種をまいたというところまでは来ることになっておりますが。  いずれにいたしましても、考えておりますことは同じようなことを考えて皆やろうとしておりますので、最初の、やっぱりマラソンで言えば最初の五キロぐらいのところが一番しんどいそうですけれども、これらの国々も同じぐらい一番そこがしんどいところかなと思いますので、我々としてはそういう提案をしたというように御理解いただければと存じます。
  15. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今のパレスチナ、イスラエルの話がありましたが、大臣もこの講演の中でおっしゃっているように、中東問題につきましては、平和と繁栄の回廊であるとかヨルダン渓谷の問題等々、私も若干携わってきた経緯がございますので、これとはまた別に後刻議論をしたいと思うんですが。  大臣もこの中で具体的国名を幾つか挙げていらっしゃるんですね。バルト諸国であるとか中・東欧、それからトルコ、コーカサス、中央アジア、北東アジアという中で、具体的な国名としてさっき大臣がおっしゃったCLV、カンボジア、ラオス、ベトナムと、それから中央アジアの諸国、そして大臣のおっしゃるGUAM、これはアメリカのグアムではなくて、GUAMと呼んでいるコーカサス地方のグルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバと、この頭文字を取ってGUAMと大臣おっしゃっているんですが、またCDC、民主的選択共同体、これ、ウクライナとグルジアであるとか、リトアニアとルーマニアというものが挙げられると思うんですが、この中ではおっしゃっていなかったんですが、台湾、ミャンマーという国名、地名も出されたことには敬意を表したいと思いますし、私も全くそのとおりだと思っています。  しかし、大臣御自身が認めていらっしゃるように、このような外交強化外交力強化をうたいながらも、特にGUAM地域がそうであるように、在外公館外交官がお世辞にも充実しているとは正直言えないのが現状だと思うんですね。  ちょっと資料を配付していただきたいと思うんですが。    〔資料配付〕
  16. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これは外務省にいただいた、どこに大使館があって、どこになくて、どこに兼館、基本的にない大使館はないということで、すべて兼館をしているという位置付けになっているので、比較的、大臣がこの自由と繁栄の弧をうたっていらっしゃるGUAM地域を始めとするこれから戦略的に日本が攻めていこうという地域に実は意外と大使館が充実していない、在外公館が充実していないのではないかという懸念が私にはございまして、今後これを、だからけしからぬということではなくて、今後これをどう戦略的に、麻生外交として戦略的に充実させていくお考えでしょうか。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この御指摘はもう誠に正しいんであって、少なくとも、ソ連の場合でいいますと、これは一挙に十四増えた形になっておりますけれども、この十四増えた中で日本の持っておりますのは二、中国が多分十四全部つくったと思っておりますので、そういった意味では、こういったソ連、十四か国の中に大使館を、実は日本の場合、未設置国が極めて多いということだと思っております。  したがって、今度、リトアニアというところ、いわゆるバルト三国でいきますと、リトアニア、あそこにエストニア、ラトビア、リトアニアって三つございますけれども、今回、天皇皇后両陛下にこの三か国に御訪問いただくということになっておりますけれども、そういった形でいろいろ向こうからもすごい勢いで声はこっちに送られてきておりますが、それを兼轄いたしておりますのがその対岸国にありますフィリピン、デンマーク、スウェーデンということが、国々がそれを兼轄している形になっておりまして、今おっしゃるとおりのことになっております。  したがって、私どもは、平成十九年度、過日参議院で通していただきましたこの平成十九年度の予算の中にリトアニア大使館の開設を盛り込まさせていただいておりますが、それでもまだ未設置国が九か国を数えておりますんで、今後これらの国に関してやらせていただけると、平成十九年度現在のところで足りないところを、今度予定をいたしております国プラスいろいろ、ラトビアとかボスニア・ヘルツェゴビナとか、いろんなそういったところをやっていかなければいけないだろうと思っております。  いずれにいたしましても、人員の絶対量と大使館の絶対量が不足しておることはもう確かでございますので、これは、今後百五十増えていくに当たって、これらの国々に関しましては基本的に集中的にやっていかねば、傾斜配分とかいろんな表現ありますけれども、やっていかねばならぬと思って、先ほどフィリピンと言いましたのはフィンランドね、済みません。
  18. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 同様なことが多分アフリカにも言えまして、これは今、資源ナショナリズムであるとか、中国の上流戦略、それから今後のTICADⅢ等々を考えても、アフリカでも同様なことが戦略的にこれは言えるんではないかと思うわけでございますが、是非この点は戦略的かつ効率的に攻めていっていただきたいと思います。  次に、特命全権大使の件についてお伺いしたいんですが、今、特命全権大使のポストというのは百二十四あるというふうにお伺いしまして、在外公館は今おっしゃったように百十七ですか、ですが、国連であるとか査察担当であるとか、大使館勤務をされない当然大使もいるわけでございますから、大使の数は百二十四ということで、若干時間が迫っていますから私の方で申し上げますが、これ民間大使の数というのは八名と聞いているんですが、それでよろしいですか。
  19. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 民間出身の方は八名ということでございます。
  20. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 では、その中で女性は何人いらっしゃいますか。
  21. 塩尻孝二郎

    政府参考人塩尻孝二郎君) 二名でございます。
  22. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 言うまでもなく、アメリカのシーファー大使は、これ元々外交官ではなくてテキサスの下院議員から上がっていまして、弁護士もやっていらっしゃいましたし、大リーグのテキサス・レンジャーズの経営にも携わっていらっしゃった経営者でもあると、非常に幅広い分野で活躍をされている方が今、駐日アメリカ大使になっていらっしゃるんですが。  民間人がすばらしいとは言いませんが、バランスもあると思うんですね。百二十四ある中で民間出身の大使が八名、そして女性の大使が二名というのは、いささかバランスがどうかなというふうにも感じるんですが、その点についてどうでしょうか。
  23. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは榛葉先生よう御存じのとおりに、これはアメリカの場合はポリティカルアポインティーですから、各役所の局長は、大統領が替わりますと、大体四千人ぐらいじゃないかな、今四千人超えていませんかね、大体ごそっと、この辺みんないなくなるわけだ、ごそっと。これ全部首です、これ私の後ろにいるところぐらいは。大体全員、内閣が替わったら全部替わるというルールなんですよ。だから、当然、大使のうち、今アメリカの場合は基本的にはごそっと民間人に取って代わられますんで、百五十九人の大使のうち、職業外交官ってアマコストを始めいろいろおりましたけれども、ああいうのは五十四人しかおりません。  しかし傍ら、フランスの場合は、見ますと、だから職業外交人が職業外交官だろう。逆か。ごめんなさい。百五十九人の大使のうち五十四人がポリティカルアポインティー、違うんじゃないか、逆じゃないか。
  24. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 後で確認してください。
  25. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 済みません、後で確認してお知らせします。  それに対して、フランスなんかを見ますと、これは百七十四人のうち民間採用は二人、イギリスの場合は百五十九人で一人が民間ということになっておりまして、ドイツも百六十五人のうち二人となっております。女性の数までちょっと調べておりませんけど。  そういった数になっておりますんで、これはちょっと我が方も、民間の外交官というのを私、有能な方と時々お目に掛かるときが海外へ行くとあるんですが、こういった方々というのは、先ほど小泉先生の御質問にもありましてお答えしましたけど、ちょっと、採用するというのをやらしていただくに当たりましては、給与の問題というのは一つあるんですが、そういったものが一つ。それから、他省庁の中でこの大公使に出てくるという意欲のある人というのは、少なくとも金融関係の詳しい人だったらジュネーブなんというのは間違いなく一つの国際金融の多いところですからいろんな意味で値打ちもあると思いますし、今ほかのところでも幾つもそういったのは例を探して私どもとしてはやらせていただいております。  したがって、今、日本の場合が、特にアメリカと比べるとシステムの違いで少しは今御指摘の点もあろうかと思いますが、その他の議院内閣制の国を取っておりますイギリスなんかに比べて、私どもの場合特に極端に少ないというわけではないというような感じがいたしております。
  26. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 各国と比べて多い少ないという議論もあるんでしょうが、私は、日本のこの外交、そして経済大国としての成長してきた歴史を考えますと、例えば世界じゅうで活躍されている商社方々そして学者の方々等々、やはり他国とはまた違った意味で、この日本人材力というか人間力、これをどう生かしていくかということも大事だと思いますし、女性の力ももっともっと活用できるのではないかと思っていますし、加えて言いますと、特命全権大使の平均任期年数がどれぐらいかってちょっと聞きましたら、ここ数年は大体二、三年で替わっているというんですね。  これはある種リフレッシュしていく意味では大切かもしれませんが、各国に行きますと、名物大使であったり、この国にはこの大使、むしろ政治家よりも顔になっているような大使も各国あったり、やはり長く深く携わる、そういった大使を置いておくということも、裏表あると思います、プラス・マイナスあると思いますが、やはり二、三年というのは若干短いのではないかな。人間関係つくって信頼されたらまた替わっていくということですから、これは少しまたお考えいただきたいと私は思います。  続いて、防衛駐在官についてお伺いしたいんですが、まず、この話に入る前に防衛駐在官の任命について、このイニシアチブというのは防衛省が取るんでしょうか、外務省が取るんでしょうか。
  27. 金澤博範

    政府参考人(金澤博範君) お答え……
  28. 田浦直

    委員長田浦直君) ちょっと待って。防衛省ですね。金澤防衛政策局次長
  29. 金澤博範

    政府参考人(金澤博範君) 防衛駐在官は、外務事務官の身分で在外公館に行っておりますので、外務大臣及び大使の指揮監督下にあるわけでございます。そういう意味で、イニシアチブは外務省外務大臣が取られるわけでございます。
  30. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そして、この防衛駐在官の比率を見ますと、今世界じゅうに行っていらっしゃる防衛駐在官が四十八名だったかな、四十八名くらいいらっしゃるんですね。そして、日本に来ている防衛駐在官も四十八名と。大体、国も人数も、調べますと、大体一致しているんですが、この辺は強いてバランスを取っているというお考えで決めていらっしゃるんでしょうか。
  31. 金澤博範

    政府参考人(金澤博範君) 日本に来ておる防衛駐在官とバランスを取るという考えは必ずしもございません。私どもとしては、限られた定員の中で世界じゅうに適正な配置、必要な数を置くという考え方でございまして、それがたまたま東京にいる方と同じ数字ということでございます。
  32. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 端的に、この防衛駐在官の任務と役割は何なんでしょうか。
  33. 金澤博範

    政府参考人(金澤博範君) 四十八名、三十七公館にいるわけでございますけれども、主たる任務は軍事情報の収集あるいは防衛交流に係る業務をやっておるということで、これらを通じて我が国の安全確保に重要な役割を果たしているんだというふうに思っております。
  34. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そこで、この自由と繁栄の弧のスピーチの中で外務大臣もおっしゃっているように、我が国の自衛隊とNATOとに世界の紛争予防、平和構築といった分野でこれからきちっと協力の余地が拡大するだろうと、それを見越して今から付き合いを親密にしておきましょうという提案をさせていただいておりますという議論がありまして、様々な考え方はあるんでしょうが、防衛省の本来任務の中に国際緊急援助活動であるとか国際平和協力活動、そして対テロに対する活動等々が入ってきている昨今の国際状況考えると、こういった防衛駐在官の他国との情報交換、信頼醸成というのは私も大事になってくるんだろうというふうに思っていまして、ただ、調べますと、中国には三名、韓国にも三名、ほかの国、イスラエルなんかはお一人、私が行ったときにも石川さんとか非常に優秀な方がいらっしゃったんですが、この北朝鮮問題考えますと、中国、韓国、この辺との防衛駐在官を外交官と見た中での信頼醸成であるとか情報交換、ますます重要になってくると思うんですが、この点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  35. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 最初のNATOの話は、昨年五月にNATOの理事会で話をさせていただいたときに、やはりアフガニスタンに関係して、やっぱりインド洋におけるNATOの艦隊に対する給油活動等々を含めまして、日本のいわゆるこういった支援、バックアップに関しては極めて評価が高いというのが一点。  それから、その他に例えば東ティモールとかいろいろなところに自衛隊というのを派遣をしておりますが、まあゴラン高原含めまして、そういったところで自衛官に対する評価というのは非常に高いものがある。これはちょっと正直びっくりするぐらい高いというのが、特にイラクにおきましても、大臣外務大臣、いずれも評価が高かったのが非常に印象的だったんですが、私としては、今後、派遣先の在外公館考え、立場から見ましても、これは自衛隊、官の派遣というのは、外交官の肩書で来る駐在武官というのは極めて大きな戦力になっているのは確かです。言わば優秀な方を送っていただいていると、我々もそう思っております。全部の自衛官があれだけ優秀とはとても思ったことありませんけど、優秀な人を選んで出していただいているんだと、僕はそう思っていますよ。僕は地元にも自衛隊がありますのでいろいろ付き合いがあるけど、あそこに行くのは優秀なやつを我々は出していますとみんな言われますので、多分そうなんだと思っております。  そういった意味では、今後、アタッシェの配置、アタッシェというのはミリタリーアタッシェの配置につきましては、これは、今、榛葉先生言われましたように、時代のニーズに合っているというのは大事なことなんだと思いますので、今のこの極東の情勢等々考えた場合に、どういう具合に配置をするかということにつきましては、これは一考の要があると、私もそう思います。
  36. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 非常に、ほとんどの自衛官が大変優秀でございまして、組織ですから中にはいろんな方がいるんですが、非常に日本の自衛官は私は優秀であると思っております。  この防衛駐在官に関する覚書が昭和三十年になされて、その後十五年に書き換えられているんですね。防衛副長官の赤城先生と外務大臣、参議院の矢野哲朗先生、現在の国対委員長ですが、の間で覚書をして、この中に様々な、三点にわたる覚書がございまして、例えば在外公館勤務の際、防衛省出身の外務事務官が自衛官の身分を併せて保有する場合は、自衛官の階級を呼称し、その制服を着用するであるとか、覚書があるわけでございますが、防衛庁が省に昇格をし、先ほど言ったように、新たな任務としてこの国際貢献、国際平和協力活動という問題が本来任務に加わった中で、私はもう一度きちっとこの覚書を交わしておく必要があるんではないかなと思っておりまして、その点は指摘をさせていただきたいと思います。  以上で在外公館の問題は質問終わらせてもらいますが、もし御発言があれば。
  37. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) このところに書いてありますように、少なくともまず役所の公文書としてはこれは直ちに直さぬといかぬのは、防衛庁出身という言葉が使ってありますので、こういったところは文章だけでもまず直さないかぬところだと思いますので、この機会に併せて、その他足さなければならぬ、補足しなきゃならぬ点があれば、その点につきましても含めて、再度これに対する覚書というものをきちんとしておいた方がよろしい、私もそう思います。
  38. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 引き続いて、外国人逃亡犯罪者のいわゆる代理処罰についてお伺いをしたいと思いますが。  昨年の四月に当委員会で私が初めてこのブラジル人の例を取り上げまして、この外国逃亡犯罪人の問題と代理処罰について、当時、浅野大臣が自民党の筆頭理事で、私が民主党の筆頭理事で、高野先生が公明党の理事ということで、超党派で非常にこの問題御協力いただきまして、百六十四国会でもこの件に関する請願が本会議で採択をされ、正直、不可能だよと、榛葉君無理だよと、いろんな方に言われて、まあそれでも榛葉君頑張りなさいと自民党の先生からも励まされたりいろいろして、署名が七十万八千八百六十五集まり、これ本当に私、感謝しているんですが、外務省の南米カリブ課、とりわけ浅野大臣、その後副大臣になられ、また警察庁の方々、そして地元の県警、非常に多くの皆さんが真剣になってこの問題取り組んでくれまして、平成十一年の女子高生落合さんのひき逃げ事件のケースと平成十七年のレストラン経営者の三上さんの強盗殺人事件、この二件の案件に対しまして、何と一年足らずで容疑者が逮捕、起訴されたと。これは本当に遺族に成り代わって私はお礼を申し上げたいと思います。  ただ、さはさりながら、当時八十数名いた逃亡者はまだ逃げておりますし、その後も静岡県焼津市で、今度はブラジル人がブラジル人によって殺害されるブラジル人の母子殺害事件等々も起こり、いまだに八十件以上の容疑者が逃げ得になっているという問題で、是非、引き続き御尽力を賜りたいということを、まず冒頭お願いをしたいと思います。  そして、この問題をずっと調べていくうちに、私がぶつかった大きな問題点は、この山岡理子ちゃんであるとか落合さんであるとか三上さんのケースというのはマスコミに大きく取り上げられ、私も取り上げ、皆さんに非常に関心を持ってもらったのでここまで来たんですが、こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが、誤解を恐れずに言いますと、極めて恵まれたレアなケースなのかなと思うんですね。  これをシステムとしていかなる犯罪者もきちっと代理処罰なりなんなりされるようなシステムを構築しなければならないと思っているんですが、実はこのICPO、インターポール等に捜査共助を求めるのは地元の県警がやると。私も地元の県警ずっと回りました。いろんな方々と議論をしましたが、もう涙の出るような御努力を地元の警察されているんですよ。で、もう一杯一杯なんですね、キャパをはるかに超えている。しかし、外国人犯罪はどんどん増える。しかし、このように外交防衛委員会やマスコミが取り上げると、それもしっかり当然対応しなきゃいけないというと、相当地元の県警が私はシステム的に参っているんじゃないかと。  これをしっかりと、私は、取り上げられない案件であってもシステムとしてしっかり、犯人が、捜査共助で逮捕要求し、そして代理処罰を訴えることのできるようなシステムにしなければならないと思うんですが、この増え続ける外国犯罪に、例えば警察庁の中、若しくは地元になるのかどうか分からないんですが、この外国人犯罪の捜査共助等々を事務的にやる専門チームのようなものを設置する必要があるんではないかと思うんですが、その点についていかがお考えでしょうか。
  39. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 外国人の逃亡犯罪人の捜査につきましては、もちろん我が国の刑罰権を適用するというのが本来原則でしょうから、何とか我が国に戻してきて刑罰を科するというのが本来だと思います。ただ、それが非常に困難であるという場合には、これは逃げ得を許さないということで、先ほど委員も御指摘ありましたブラジル人の件等々、相手国に国外犯として処罰をさせるということを進めております。  これに関する事務負担でございますけれども、ICPOの手配とか、そういったものはそう何回もあるわけではございませんので、もちろん県警がまずやっていただかなきゃいけませんが、私どもも支援できるところはかなり支援ができます。  ただ、逃亡犯罪人につきましては、その相手国のいろんな、何といいますか、制度の問題、それから相手国の当局との信頼関係の問題等々がありまして、相手国にこちらから出向いていって相当綿密な打合せ等々をやらなきゃいけません。そのためには相当な態勢が要るわけでございまして、この問題は国、警察庁におきましては、三年前に私が今就いておりますポストであります組織犯罪対策部を設置をいたしまして、その中で国際捜査部門、国際捜査管理官、これを設置しております。ここを今どんどん増員をして拡充をしておりまして、その成果も表れていると思うんですが、こういう逃亡犯罪人の関係の交渉をしなきゃいけないというところにしばしばこちらから出向いて、そして向こうと打合せをして、不要な書類なんかはもう作らなくていいと、こことこれこれだということで、それを県警と綿密に打合せをしながら事態を進めているということでございまして、警察庁として支援できるところはもう最大限支援してこれからもまいりたいと思っております。
  40. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 国にまたがるこの外交の問題、それからシステムの違いの問題、言語の問題、様々な問題がありまして、私は何を言いたいかというと、やはり事務作業のスピーディー化ですね、迅速化、これを図るために地元の県警だけではないスピーディーな対応を求める、ますます犯罪も、社会も国際化ですが犯罪も国際化、そして被害者も被疑者も国際化になっているという現状で、私たちが住んでいる地元の田舎のような警察署の留置所であっても外国人は一杯いるんですよね。これ大変な問題でありまして、是非そこは、地元の県警の負担を少しでも和らげながら、そして日本人並びに日本人だけではない被害者が迅速に救われるような制度の構築に是非御尽力をしていただきたいし、私たちもそれに対して努力をさせていただきたいというふうに思います。  それから、ブラジルでいよいよこの二件について裁判が始まります。私が心配するのは被害者、遺族への配慮という問題なんですが、これ裁判が日本で行われれば簡単なんですが、ブラジルですから、これなかなか難しいんですね。端的にお答え願いたいんですが、裁判の傍聴や被害者が証言できる機会というのはこれ与えられるんでしょうか。
  41. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 榛葉先生御存じのように、このブラジルの場合は憲法で、ブラジル国籍を有している人は海外でいわゆる罪を犯してもブラジルに帰ってきた以上は海外に引き渡すことはできないという憲法になっているんですね。これはアモリンという外務大臣とこれ長いこと交渉した結果、今回のこの、榛葉先生、あのときたしか浜松だったと思いましたね、この話は。浜松の話が出てきて、片っ方がサンパウロ、片っ方がリオデジャネイロだったと記憶するんですが、そういうところに持っていくことになったときに、今一番の問題として、そっちでしていく、起訴して、そっちでちゃんと、証拠はこれだけ挙がっているんだからそちらで逮捕してもらうという話をして、いろいろやらしてもらって今回なったんですが、少なくとも今、犯罪被害者の御遺族というのと弁護士というのを立てて裁判を傍聴させるということにつきましては、ブラジル当局に当たり、今働き掛けるということは、これは十分に可能です。  それから、外務省としては、また御希望もあろうと思いますんで、これは通訳が行かぬとどうにもなりませんので、そういったものに関する情報を提供するということに関しても我々としては対応はいたしたいと思っております。
  42. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。なかなか、国が違うので内政干渉にもなってはいけないし、これ三権分立の問題もありますし、なかなか難しいんですが、やはり被害者が傍聴でき、若しくは大変有り難い、今の弁護士もともに傍聴できるようにという御配慮もいただきましたが、加えて、やはり国が遠いですから、これもなかなか難しいかもしれませんが、いかにその裁判を短縮化、集中化してもらうかというような様々な配慮も必要だと思いますし、今大臣いみじくもおっしゃったように、現地に御遺族がもう行きたいと。当然、費用は今いろんな方々の善意でカンパをちょうだいしたり、そして自分たちで御苦労されたり、まあこれ政府が何とか経済的な支援をしてくれというのはなかなか難しいのかもしれませんが、ブラジルへ行った後の様々な通訳を始めとする便宜供与等々、これは是非お願いをしたいというふうに思います。  ひいては、こういった対応をしっかりすることがブラジル人の犯罪者に対して、逃げ得はないぞと、日本はなかなか厳しいぞというようなメッセージを送ることになると思いますので、これはブラジルだけではないんです。ブラジルの方々に誤解をされたくないんですが、たまたまブラジルのケースを扱っているんでブラジルばかりが犯罪が多いように思えますが、これは東南アジア、中国等々、決してブラジルだけの問題ではないということをブラジルの名誉のためにも私は最後に申し付けまして、大変お待たせをいたしました、今日は農林水産大臣にもお越しをいただきまして、質問をさせていただきたいと思うんですが。  実は私は、当選して一番最初は農林水産委員会だったんですが、その後、一芸に秀でるようにこれずっと外交防衛委員会にいるんで、農林水産部門はやっていないんですが、実は非常に気になる案件がありました。これが海外日本食優良店調査・支援事業というやつでありまして、今世界じゅうにある日本料理屋に認証をして、マル適マークではないんですが認証して、日本政府がそういったお墨付きを、まあ議論の中でそれ認証じゃなくて推奨にしたらどうだとか、いろんな議論が今あるんですけれども、世界じゅうにある日本料理屋を日本の政府がイニシアチブ取って、この料理屋はいいですよ、悪いですよというようなことをやると。それに二億七千六百万円使うというんですね。  私は非常にこういったことは無駄だなと実は思っていまして、目的等々いろいろ読んで分かるんですが、これ日本食の定義だけでもなかなか難しいということですから、非常に私は難しいと思うんですけれども、これまず簡単に、時間がございませんので、なぜこういうことをやるんですか。
  43. 山本拓

    ○副大臣山本拓君) 今の御指摘、ちょっと誤解があろうかと思うんですが、元々日本世界一の長寿国家として、またその日本人が食べている日本食というものに対して大変注目を浴びてきている現状があるわけであります。今現在、世界じゅうで二万五千軒に近い日本食レストラン、特にすしバーが飛躍的に伸びているところでありますが、そういう中で日本食のイメージとか、そしてまた日本食のブランドが損なわれている現実があるわけであります。  元々こういうものをスタートさせようという一つの我々の考え方の大きな柱の一つに、年間七兆円を超える農林水産物を日本は輸入しているわけでありまして、輸出が三千七百億と、農林水産部門では世界一の輸入国家であります。そこで、その比率を上げるという意味で、日本にその七兆円近い食材を送り込んでいる国の手当てをしているのがほとんど大手の商社が絡んでいるところでありまして、そういうところに対して、日本向けに輸出、食材を提供、調達する場合に、約その一割ぐらいちょっと日本食を買っていただくような協力もしてはもらいたいんです、少しバランスを取っていただきたいと。  日本食材の場合は値段で安いものでいくのではなしに、やはり高付加価値の高い食材、特に日本に食材を送り込んでいるような国の業者というか、そういう人たちは、結構その国において所得の高い層が多いわけでございます。元々世界じゅう六十億を超える人口がある中で、日本人と同じ所得層というのが五億九千万読めるわけでありますので、そういう人たちの中で、この代表する日本食レストランというのが普及していく中で、しっかりとした位置付けというのをする必要があると認識したところであります。
  44. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今大臣るるおっしゃったのを、私も書類読んだり、拝見させていただきましたが、そもそもおいしい日本料理屋、そして正しい日本料理屋というのは、これ極めてそれぞれの嗜好があってそれぞれの人間が個々に判断するものであって、それを国が世界日本料理屋に、これは本物です、これは偽物ですというような誤解をされるかもしれないような制度を取り込むというのは私はいかがなものかなと。私は食文化というのは生きていると思いますし、どんどん変化もしてまいります。もう議論の中にもありましたが、私がアメリカにいるころなんというのは、カリフォルニアロールなんてのはみんな食べてたけど、何じゃこれはと思いましたけれども、そもそもその日本食なんというのは定義することすら難しいし、非常にこういったものは無駄と同時に無理があるんではないかなというふうに思っています。  しかも、これ二億七千六百万円の予算を付けながら、審議をしたのは、有識者会議つくったんですが、三回やっただけなんですよ。しかも一回二時間。で、最初は自己紹介と触りのそれぞれの御意見を述べて、二回目審議したと思ったら、二回目はもう二時間公聴会で、服部先生であるとか三名の、服部さん、中井さん、山縣さんという、ジェトロの所長だとか、服部学園理事長の服部さんであるとか、全国すし商生活協同組合の理事で、専務さんであるとか、そういう方を呼んで三人意見聞いて、二回目はその有識者の委員というのは四、五人しか発言もしていなくて、三回目にはもう結論出してこれやるというんですよ。  こういう拙速な議論で、私は本当に二億七千六百万円も、これシールか何か作って多分レストランにぺたぺた張っていくんだと思うんですが、私は日本食を逆に誤解させないか。食文化がどんどん発達して生きていく中で、それを足かせになるようなことに逆になるんではないかというふうに思うんですけれども。外務省なんか一本六千円のワイン買っても白眞勲先生にわあわあやられるわけでございますけれども、これ二億七千六百万円を三回議論してやりましょうというのは、若干私たちの感覚では無理があるなと。  そもそも、この有識者会議を読むと、全員賛成なんですね。反対意見が何もない。で、これパブコメ取って、ネットでも情報収集して、インターネットから、メールで国民から、広く国内外から情報をもらっているんですが、私はそのメール見せてくださいって言ったら、見せられませんって言うんですね。これは、プライバシーポリシーとおっしゃるんですが、これ政策立案のためにこのメールを使うってはっきり書いてあるんです。  これは私も守秘義務は当然ありますし、だれだれがこういうことを言ったなんて当然言うわけないんで、これは二億七千六百万円も税金を使う以上、どういう国民からの声があったか、有識者の議事録だけではなくて、各団体の御意見や、とりわけ広く国民がどういうことをおっしゃっているのかということを是非私は知りたいので、理事会でこのメールの扱いについては取り扱っていただきたいと思いますが、委員長、よろしくお願いします。
  45. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  46. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 副大臣にお伺いしますが、この有識者会議というのは、そもそもこのシステムをスタートさせることがありきで始まった会議じゃないですか。
  47. 山本拓

    ○副大臣山本拓君) 御案内のとおり、先ほど申し上げました趣旨でやる場合に、先生から御指摘になられたような誤解を受けないような体制で進めるにはどうしたらいいかということで、取組主体、対象、判断基準の在り方等々、そういう専門分野の方に集まっていただいて結論を出していただこうということで始めたところであります。そういう中で基本的に答申をいただいたところでございますので、我々としては先生の御指摘のようなことにはまずならないということを確信いたしております。
  48. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、しかし、これ議論はもう、全員まずもう、会議は三回しかありませんからとか、早くまとめなければいけませんからとかおっしゃっているんですよ。で、もう最初から三回議論をやって早く結論をまとめなきゃということがもう議事録の中で出ているわけで、しかも十一人の有識者の中で日本食の専門家というのはお一人だけなんですね。  これは、その前に、じゃ大臣に、正しい日本食って一体何なんですか。副大臣にお伺いします。
  49. 山本拓

    ○副大臣山本拓君) 決して、決して……
  50. 田浦直

    委員長田浦直君) 山本大臣
  51. 山本拓

    ○副大臣山本拓君) 済みません。決して日本の定義を押し付けるのではなしに、それぞれの地域でそれぞれの皆さんに考えていただいてその国の在り方というのを定義していただこうと。そもそも、こちらから押し付けるのではなしに、こういう仕組みの中で手を挙げていただくと。特に多いのでは、日本食のすしバーを開きたいんだけれども職人がいないとか何がいないとかという問題もございまして、そういう希望をされる方に対してもし手を挙げていただくと。こちらから決して、すしポリスとよく言われたことがありますが、そういうことには絶対ならないように配慮してという受皿を提言いただいたところでございます。
  52. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そういうことは税金使わなくても民間がどんどんやると思います。こういったものは民間がやるからこそ意味があって、公の政府がこういうことに、言葉は悪いですが、しゃしゃり出てやるというのは、私は非常に不可思議な感じを感じざるを得ません。議論も、これたった三か月しかやっていないんですが、そのうちに三回だけでございまして、そういったのは本当にいかがかなというふうに感じています。  食に詳しいフリーライターの佐藤さんという方が新聞にこんなことを書いているんですね。庶民の暮らしから生まれる食文化に国が口出しするというナンセンス、認定など無意味、つくづく成熟していない国だと思う、文化は人とのかかわりから生まれるものだから、混じり合っていくこともある、それを規制したり正統性の概念を持ち込むのはおかしいとあきれていると。これ東京新聞に出ていたんですが。  ここまで辛らつに私は言いませんが、私は、こういった食文化を公の政府が、最終的にはなるべく民間にやってもらいましょうというような落としどころをつくっているようですけれども、今、副大臣がおっしゃったように、日本にまずその機関をつくって、それぞれの外国にもその食を判断する専門家とかそういった組織を置いて、国によって食文化が変わるから、Aの国ではこれが日本料理だけど、Bの国ではまた雰囲気の違ったものが日本料理として認められてもいいじゃないかというようなことを言っているんですね。  ということは、国によって日本料理が変わってくるというようなことも考えられるわけで、そもそも、じゃカツカレーは日本料理かといったら、これ難しい話でありまして、スパゲッティ・ナポリタンは何料理だと言って、私がイタリア料理だと言ったら、ナポリタンにはそんなものありませんと言われまして、これ日本が独特で作っているものなんですね。こういう意味じゃやっぱり食は生きているんで、こういうことを国の税金を使って基準を作るというのは非常に無理がある。  調べてまいりましたら、これ財務省の最初の予算原案では、これ却下されてゼロベースになっているんですね、ゼロ査定。ところが、大臣折衝で松岡大臣がこれをやってくれと言ってやったやつなんで、これはどうしてもやらなきゃいけないというふうに考えるのは一理あるかもしれませんが、例えば、インド人が日本のカレーはカレーじゃないとか、中国人が日本のラーメンに対して否定するとか、こういうことはナンセンスとしか言いようがなくて、そこに二億七千六百万円も使うというのは、私は、よほどの時間と説明責任を果たさないと、この委員会や国会だけではなくて国民が納得しないと思いますよ。
  53. 山本拓

    ○副大臣山本拓君) 世界でその国の外国にあるレストランを認証している制度としてはタイとかイタリアがございますが、我々はそういう方向のものには思っておりません。そして、パリ、フランスなんかのミシュラン、そういうものも民間主体のがございます。  あくまでも我々としては、日本の食材の適切な輸出、また食品産業の輸出促進というものも大きな一つのテーマにあるところでございますので、トータル的に、基本的に一つのメニュー一つ一つに対して認証を与えるとかそういうことではございません。それぞれ地域の特性というものは、創作料理は当然受け入れていいわけでありますから、今の先生の御指摘は当たらないと。そうならないようにしっかりとコンクリートしていくということであります。
  54. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 食べ物に関しますと私も真剣になるタイプでございますから。  日本食材もこれ大事です。しかし、外国の日本料理でも、現地の食材を生かしながら、アメリカのおすしになるとほとんどカリフォルニア米使って、この中にもありますように、米が大切だ、確かに米も大切ですけれども、価格も大分変わっていたり、鮮度の問題であるとかいろんな問題がある。正に食は生きているんで、それを今おっしゃった観点から、そういう理由でこれをやりますって、正にそういった問題は違った角度からアプローチすればいい話であって、食の判定、推奨というのは、正に副大臣がおっしゃったように、これは民間がやる話なんですよ、民間が。  確かに、タイやイタリアで若干同じような試みをやった形跡があるんですが、イタリアなんというのはルクセンブルグとどこかしか、ベルギーですか、五十店弱認定している。それで、タイなんていうのはもうほとんど機能していないというような現実であって、これを無理やりやる。しかもこれ、推奨計画では、各地においてこれを継続しながらやって、海外各地の関係者の自主的努力によって経費面も含めてこの計画が運営されるようにするべきだって言っているんですが、これ経費どうやって集めるお考えなんですか。
  55. 山本拓

    ○副大臣山本拓君) 予算の二億七千万については、いわゆる最初の言い出しっぺは確かに農林省でありますから、政府の方でいかに提言のとおり民間で成り立つようにするかという調査も含めた経費でもございます。  それと、一つは、レストランの経営というのは、日本のレストラン経営は加工技術が進んでいますから、一つ一つの店舗に職人がいるわけでなしに、セントラルキッチンで安いコストで作ったものをアルバイトがチンするというシステムが既にでき上がっているわけでございますから、逆に言うと、今現地の食材は食材で大変、調達していただくのは大変有り難いことでありますけれども、日本のオリジナルのブランドの食材というものは是非とも海外のレストランという形で定着させて、そして広くその国に普及していくということも一つの流れだと期待いたしております。
  56. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 チンする料理も、だしの余り利いていない料理も、そして今、副大臣のおっしゃった高級料亭の外国の高い料理も、それはお客さんが判断する話であって、私は政府が口を出す話では到底ないと思います。強いて言えば、それに税金を投じるなんというのは非常にセンスの悪い私はこれは政策だと言わざるを得ないんですね。  そして、経費の部分についてもう一回、これ経費どうやって捻出するんですか。これ持続可能でないと意味ないんですよ。単年度でやって、予算が終わっちゃったら、これあとどうするんですかと。走り出したはいいけど、あと自分で勝手にやりなさいよと言ったら、任された民間人はこれはたまったものじゃありませんから。そもそも、長続きしそうもないことが明らかに分かっているこういう政策は、もう一回言います、二億七千六百万円、無駄じゃないですか。
  57. 山本拓

    ○副大臣山本拓君) 当然、要するに申請をして認証を受ける側のレストランのメリットがなければそういう経費は出てこないわけでありますから、認証を適切にしたところについては、日本がかかわるところの出版、そしてまた旅行案内、旅行者が増える、結果的にお客が増えるという、そういう仕組みを構築していこうと思っております。
  58. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 認証されないところがなぜうちは認証されないんだと言ったら、具体的な説明できっこないんですよ、これ。極めて抽象的な、かつ幅広い、何回も言いますが、生きているのが料理ですから、線引きなんて料理にできっこないんで、それをやるのは非常にいかがなものかなと。  そして、まだ第三回のまとめの議事録が出ていないんです。議事録出してくれと言ったら、委員の了承がないとまだ出せないとおっしゃったんで、これまだ、三回目の議事録出させていただいて、それを見てからまた粘り強くこの問題はもう一回ぐらい質問をさせていただきたいと思いますが、是非、二億七千六百万円も使うんでしたら、例えば、林先生をサポートするわけじゃないんですが、世界日本の伝統ある鯨料理のお店を造るだとか、そういうアプローチもできるんじゃないか。  食に関して、私は、このように政府が乗り出る、公の行政機関が乗り出るというのは全くナンセンス。そして、日本のこの料理に関する行政関与というのも、基本的には衛生面なんですね、衛生的なものを出そう、衛生的にどうしようかという基準であって、これが本物だ、偽物だって、私はいかがなものかなと。私の友達にもカレー屋さんもラーメン屋さんもおりますが、そういったものは非常にナンセンスだなと。高い料理、私は余り食べたことありませんが、庶民感覚として私はそう思います。  麻生大臣にもいろいろ聞きたいんですが、不適切な発言があるといけませんので、これで終わりたいと思います。
  59. 高野博師

    ○高野博師君 在外公館に関して、常日ごろ感じていることも含めて若干お伺いしたいと思います。  外交力強化人材育成という点についてお伺いしたいと思いますが、在外公館を増設する、あるいは館員を増加する、ODAを拡充する、いろんな形での外交力強化努力されていると思いますが、その関係でいいますと、人材という、人材の育成という点ではどういう努力をされているのか。外交力のある人材、あるいはやる気を起こさせるような人物の評価、昇進制度、あるいは語学力、交渉力、こういう人材育成というのはどういう形で取り組んでいるんでしょうか。
  60. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、今おっしゃるように、定員を増強するだけでは意味がない。集まった人間、集められた人材を更に育成しなければ、少なくとも外交官として多種多様な人たちを相手に交渉するというようなことはなかなか難しいということだというのは基本的なところであろうと存じます。  加えて、外務省の場合は、経済が分かっている、プラスいわゆる安全保障も分かっておかねばならぬ、経済協力がどう等、分野別にいろいろございますので、そういったものを考えていきますと、やっぱりこれは、高野先生、経験させる以外に手はないというのが一つ大事なところだと思います。基本、基礎教育を机の上で教えるのは確かに一つの方法ではあります。それが全然なしじゃ話になりませんけれども、終わった後、やっぱりその経験を少しずつ少しずつ積ませていって、最終的に交渉の責任者までということになっていくんだと思います。そのためには、外務省海外で研修させるのも一つでしょうし、国際機関に出すというのも一つの方法だと思っております。  そういった意味で、今国際機関の長というようなところにおりますのは、例えばユネスコにいるとか、ITUにいるとか、いろいろそういったのも出てきておりますけれども、こういった人たちを更にそういう機会を与える、その下のところから積ませていくというのが一つ。  もう一つ、なかなか難しいところは、これは情報収集とその分析だろうと思っております。したがって、この情報収集、インテリジェンスとかいろんな表現がありますけれども、ここのところが、単に語学がうまいとかいうだけではなくて、いろいろな意味でこういった経験というものはこれはもう本当に難しいんで、これはプロの世界として、ここのところこそ情報収集と、かつそれを分析する場合はまだいろいろな形で、開かれた形で分析もできますが、情報収集していくというところはかなり難しい才能を要求される。また、これに向いている人、向いていないの適性もあろうと存じますので、そこらのところは上司の方でこれは判断してやっていく以外に方法がないと思って、ちょっと、こういうパッケージになっていて、そういったものが全部メソッドとしてでき上がっているというようなわけではないのはもう御存じのとおりであります。
  61. 高野博師

    ○高野博師君 海外に出張したときに一番心配なのは、通訳は大丈夫かと。党の派遣で行くときも、現地にいい通訳がいればいいんですが、通訳が全くいないというところもありまして、去年の二月にある国に行ったときは、一人いるということで、大使館がその人を雇ってくれたんですね。これ旅行エージェントをやっている人で、奥さんが日本人だと。通訳をお願いしたんですが、もうほとんどめちゃくちゃなんですね。これではもう交渉も何もできない。日本語では立派なことを言っているんですが、もうほとんど英語になっていないというようなこともありまして、しかしそういう通訳が全くいないところは大使館に頼るしかないんですが、大使館の語学力も若干不安がありまして、語学力というのは最近は落ちているんではないかなという印象があるんですね。余りこういうところ指摘したくはないんですが、大丈夫かと、そういう語学力で本当に交渉なんてできるのかという、私、感じを持っているんです。  情報収集と今大臣おっしゃられたように、情報収集はもう大使館の最も重要な仕事一つでもあります。その情報収集の中身についても、政治関連でいいますと、次大統領だれがなるんだと、あるいは政権に影響を与えている人物はだれだと、それから対日関係で影響を持っているのはだれだと、こういうことも含めてのいろんな情報を取ってくるという、こういう人物は日本に招待した方がいいのかどうか。あるいは、治安情勢でいいますと、テロリスト関係情報、これちゃんと取れているのかと、ゲリラ関係はどうなっているんだと。  そういう関連でいうと、情報提供者というのをきちんとこれは持っているかどうか、大使館として。軍とか警察とかあるいはいろんなマスコミとか、いろんな関係情報提供者をきちんと持っているということも重要だろうと思いますし、生の情報をどうやって取るかということが重要だとも思いますが、そういう意味でいうと、その語学力も含めて、大使館外交力強化という点で、私、若干不安があるんですが、大臣はどうお考えでしょうか。
  62. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 大いにあります。私はそう思っていますけれども、正直申し上げて。これだけ語学の機械、機械ってマシンですよ、リンガホンとか、ああいったマシンやら何やらが発達していた中にあって、僕は、もっと他省庁でも、昔は外務省がいわゆる一手に握っていたところですけれども、他省庁も結構人を育ててきていると思っております。それが一点。  もう一点は、やっぱり高野先生、海外に子供のときから行っているという、語学って頭の良さ関係ありませんから、こんなものは。頭がいい悪いなんて語学のできの良しあしに関係ありませんでしょうから、その国に生まれてじっといればだれでもその国の言葉ができるようになるわけですから。そういった意味では、私は、語学というのはある種の感性とか音感とか、そういった部分が要求されるものだと思っております。私の兄弟を見ていても、語学のうまい方は余り学校の勉強はできなかったなと思って、私、兄弟六人いますので、よく比較ができますので、うち見ていてそう思いますよ。  だから、そういう意味では、僕は、この外務省でその種のプロになる人は、いわゆる若いときに海外に行っていた人の方が音が取れる、それはもう絶対音というのはそういうものですから、そういうようなものというのは、やっぱり今の場合、勉強はできるというのに、どうしても試験にこだわりますと、そちらの方が落ちてくるというのはもう確かです。ただ、これもピンからキリまでいるんでして、今名前ちょっと言えませんけれども、外務省に入ってきてから英語というものを始めて、やたらうまいのがいるから、おまえどこで、海外いたんだと言ったら、外務省に入ってから覚えましたと。おまえ歌うまいかと言ったら、歌はうまい。だから、きっとやっぱり音感なんだと思うんですね。僕はそういうものだと思っているんですよ。  だから、こういった意味では、語学のうまい人とかいう点に関しては、これは訓練である程度いくところは、かなりの分をカバーはできることは確かだと思います。しかし、元々音感のいいの悪いのというのを、ちょっと外務省採用するときに、どの言葉を選択させるかというときも含めましていろんな方法を、希望だけ募ってやっていくというのにはもうちょっと今の時代には合わなくなってきているのじゃないかということで、ほかの国の語学の選定、どの、何語のプロになっていくのか、どの種を検討させるのかというようなことに関してはもう一回検討する必要があるのではないかという話は既に官房長にはしております。
  63. 高野博師

    ○高野博師君 中国とかロシアへ行きますと、向こうの政府が用意している通訳というのはすばらしい通訳なんですね。そういうことも含めると、やっぱり我が方もこの辺の語学力というのは相当充実させる必要があるんではないかと思います。  それから、情報関連でいいますと、報償費というのが不正使用というふうな事件がありまして相当削られているんじゃないかと思うんですね。特に、治安情勢等の情報を取るにはかなりの情報提供者を持つ必要があると思うんですが、そういう報償費、あるいは交際費といいますか、報償費が十分ではなくなっている、あるいはそれを使いこなせないというような面もあるのかと思うんですが、外交力強化という観点からいいますと、これはやっぱり充実させる必要があるんではないかと思うんですね。  若干私の経験からいいますと、ゲリラ関係の、かつて南米にいたころは情報をたくさん持っておりました。で、邦人の誘拐があったときにゲリラの犯人と直接私は交渉をやりました。しかし、それはその周りの関連情報をたくさん持っていたから安心して交渉ができたと、交渉する相手の人物の特定までした上で交渉ができたという経緯がありまして、これは、私は五、六人情報提供者を持っていまして、一人大体三百ドルから四百ドルぐらいで当時は雇えたんですね。  こういうお金は絶対必要なんでありまして、そういうところでの報償費の使い方というのはこれはきちんと手当てすべきだと思うんですが、そこはどうでしょうか。
  64. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 高野先生御指摘のとおり、この分に関しましては、平成十二、三年ぐらいでしたでしょうか、もうちょっと前ぐらいからか、いわゆる例の報償費の一連の騒ぎのときに比べて、今多分半分ぐらいになっていると思います。あの当時の約半額になっているんだと思いますが、それは、当然のこととしていわゆる今領収書の要らない金というのがなかなか難しくなってきたと。これは、一連の騒ぎはもう御記憶のところだと思いますので繰り返しませんけれども。  そういった意味では、この予算というものは、これだけいろいろな形で、危険というか、在外邦人の数がけた違いに多くなってきておりまして、こんなところにまでというようなところまで日本人が今一杯行っている時代になっておりますので、その危険に遭う確率は高くなってきております。  したがって、そういうものに対応していくために、今言ったふだんからの情報収集というのはこれはもう絶対避けて通れない最も大事なところでありまして、情報は、こちらが出す情報がなければ、向こうはその代わりになる情報は出しませんから。これ、バーターみたいなものでもありますので、こちらから出す情報がない以上は金で払って情報を買う。しかも、精度の高い情報を買う。信頼の高い情報を集める。しかも、この人は昨年までは有能だったけど、今向こう組織が変わって情報が取れなくなってきたと、もう毎日変わっておりますので、そういったところも含めまして、これは語学プラスそういった才能、それをバックアップする資産、予算というものは私どもとしてはこれは最も目を掛けておかないと、基本的なところで取りこぼしができるという可能性は常にはらんでいるものだと、そういう覚悟で臨まねばならぬと思っております。
  65. 高野博師

    ○高野博師君 時間がないので、ちょっと、大使公邸あるいは総領事公邸、公邸についてちょっとお伺いしたいと思うんですが。  大使館、事務所も含めまして、あるいは公邸というのは、日本の政治力、経済力あるいは文化力、ある意味で国としての象徴的な存在ではないかと思うんですね。当然、国としての威厳なり品性なり品格なり美しさというのは求められるんじゃないかと思うんです、当然、政府、国家を代表しての外交活動をやっているわけですから。大使公邸というのは外交活動の場でもありますし、当然、大使の私的な生活の場でもありますが、そこの公私の立て分けというのはきちんとやる必要があると思います。  ほかの国なんかはどういうふうにやっているのか、調査しているかどうか分かりませんが、財政事情というのはありますけれども、国の存在というのを誇示するというか、どこの国も立派な公邸持っていると思うんですが、ある意味で国力を表しているということも言えるかもしれませんが。私は大使公邸というのは、あれは日本の文化を発信する最前線基地にあるんではないかなと思っておりまして、日本の歴史とか伝統とか文化とかそういうものを集めた、その粋を集めたような建築なりインテリアというのがあってしかるべしではないかなと思いまして、ただ機能的に住めばいい、住めればいいという話ではないと思いますし、何か無機質な、だれが住んでいるか分からないような家であってはどうなのかというふうに思います。  さすが日本の大使公邸だなと、文化の薫りがするなというような感じを持てるようなところである必要があると思うんですが、当然、財政事情が厳しい中での国民の税金を使っての話でありますから、無駄な、奢侈に流れてはならないと思いますが、それなりに品格なり威厳というのを持つような公邸にするということは国民理解が得られるんではないかなというふうに思っております。  そこで、大使公邸の備品なんですが、これもちょっと卑近な例で恐縮なんですが、絵画とか掛け軸とかあるいは彫刻とか焼き物とか、いろいろあると思うんですが、やっぱり一流のものを置いておくというのは必要ではないかと思うんですね。  そこで、どういう形でこれは備品はそろえているのかよく分かりませんが、例えば一流の日本の美術館から借り出すと、そして大使館に何年か置いておくとか、あるいは一流の芸術家から借りると。大使館に掛けるんなら喜んで貸すという人は結構いるんではないかと思うんですが、まあ二流のものはやめた方がいいと思うんですね、二流はやっぱり二流ですから。一流のものを大使公邸にあるいは大使館にということが必要ではないかと思うんですが、予算がないから安いものを買ってこの辺に送っておけというようなことではいかがと思うんで、その辺はどうされているんでしょうか。
  66. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) やっぱり、大使館というのはその任国における一つの顔ということになろうと思いますので、今言われましたように威容とか品格とかいろんな表現あろうとは存じますが、物すごく大事だと思います。  建物プラス備品というのは、むしろ備品の方が大事かなと思うぐらい、置いてある調度品、家具というものはもっときちんとしたものを置くべき。幾ら建物が立派でも、置いてある家具がちゃちかったらそれは全く意味が成さなくなりますので、そういう意味ではバランスというのは大きい、立派なものだと存じます、大事なことだと思っております。茶わんが立派でも茶托がプラスチックだったら、やっぱり何となくおかしいんじゃないかなと思うのが普通ですから、そういった意味では全体のバランスというのは物すごく大事なものだったと、私は全く同じ意見。  それで、金があるかといえば、これは金の点でいきますとなかなか今の予算で立派な家が買えるわけではありませんので、借りるというのであれば、今主に文化庁からそういったものを借りたりなんかしております。何となく趣味がいまいちだなと思う、大使館に行くたびに思わないわけではありませんけれども、これしか借りられなかったんだといえばそういうことになるんでしょう、なるんだとは思いますけれども、何となく暑いところで冬の絵なんか掛かっているとおかしいんじゃないかなと思わない方がおかしいと思いますけれども、私、いつもそう思って、行くたびにぶつぶつ言っている方なんだと思いますが。  いずれにしても、このところ予算が付いておりませんから、新しい備品を買うということはほとんどできておりませんので、借りる場合に、ただ、先生、美術品を美術館から借りるというのはこれはなかなか難しいものがありまして、これ、ちょっとでも壊れた場合同じものが作れませんので、そういう意味では、海外、特に何となく輸送網がしっかりしていないところなんというのはなかなか、備品として美術品を美術館から借りるのは難しいというのが現実ではございます。
  67. 高野博師

    ○高野博師君 分かりました。  いずれにしても、こういう点も充実さしてもらいたいなというふうに思っております。  もう一つ、公邸料理人の話なんですが、高級ワインを飲むと批判されるような時代ではありますが、日本の食文化をやっぱり代表しているという、大使公邸で出す料理はそういう面がありますが、どうも官庁が海外に行くときにはコックを探すのがえらい苦労すると。それは、給料が安いと、十数万しか出ないからあと自分が負担すると、個人で、ということになっているんですが、私は、やっぱり公邸も、これはもう本当に食文化の最前線にある公邸ですから、まあ芸術家、あるいは職人、芸術家というような位置付けをしていいと思うんですが、大使館の技術職員として、そして雇うと。これはもう公費全額で負担すると。どうも、半分は公費で半分は個人だというと、もう考え方がそもそも大使の自分の個人的な食べ物を作るんじゃないかということで、最初から公私混同の考え方みたいな感じがありますんですが。  例えば、これも一流のホテルと例えば契約をして、コックさんを何人かずつ送ってもらうとかというようなことができないのか。大使公邸へ行って本当にすばらしい日本食が食べられるんなら、大統領もちょっと行ってみようかと、大臣もちょっと顔出してみようと、そういうことになると思うんですが、行って失敗したなと、これは、やめた方がよかったなというような料理では、これは日本の食文化も何もないと思うんですね。  こういうことについて、もっと私は充実させていいんじゃないかと思うんですが、大臣はどうお考えでしょうか。
  68. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、日本に外国の外務大臣、賓客というのは年間どれぐらい来ますでしょう、まあ七、八十人来ているような気がしますけれども。それと、昨日スウェーデンの外務大臣、おとといチリの外務大臣等と飯倉公館で御飯を食べることになるんですが、何を食べられたいですと希望を聞いたら、今ほとんど九五%は正しい日本料理と言うんですよ。その正しい日本料理は、農林省の見解と一緒かどうかは別ですよ。先ほど榛葉先生の御質問にちょっと私の方が答弁する立場にありませんので、相づちも打つのもいかがなものかと思いましたものですから黙って聞いていましたけれども。  そういうものを言うと、日本料理というと、全員おはしが使えるんですよ。今日びの日本の餓鬼よりはよっぽどきちんと正しいおはしの持ち方ができる。これはほとんどの大臣がそうですから。もうそれはびっくりするほどきちんと持つんです。私、そういうのを見ていると、間違いなく、日本食というのは文化として定着していることは間違いはない。  少なくとも、先生御存じのように、肉といえば普通英語ではオックスかカウなのが、レストランへ行ったらビーフになる。豚はピッグかホッグなのが、レストランへ行ったらポークになると。これは全部こっちはフランス語だからですよ。僕はそれが基本的なんだと思いますが、今マグロはチューナと言わずにトロと言いますものね。明らかに、ウニもシーオーチンと言わずにウニと書いてありますよ、レストラン行くと。これは、明らかに日本の言葉が食文化を通じて定着している、広まっているという一つの例だと、私はそう思っていますが。  こういうものの最前線に、現地にいる大使館人たちがやっていくときに、今シラクは間違いなく、今、日本大使館で、日本のレストラン、ここが一番うまいからと言ってシラク大統領はフランス大使館に来ているはず。昔、ラムズフェルドが、日本料理を食べたけりゃ、日本大使館の、ワシントンの日本大使館のところでラムズフェルドは食べていましたよ。だって、ここが一番日本料理がうまいからと言って、本当かどうかは知りませんよ、自分たちはそう言って来ていましたから。だから、そういう意味では物すごい力になります。それじゃなきゃ来ないんですから。一大使にラムズフェルドが会うなんてことはありませんから、普通は。それを会いに来るというのは、これは料理人の腕の良さが結果的には力になっているんだと、私はそう思います。  したがって、これは物すごく大事なものだと思いますが、今、日本では、公邸料理人に対しての正式の給与はたしか十六万円だと思います。日本の料理人でこんなところ、この程度の給料海外まで行くような人はいませんから。すると、差額、とても足りませんので、大使が約それの倍以上、約二十万ぐらい全体で払っていると思いますが、ボーナス入れてですよ。それで払っているというと、大使の給料は七十万とするとはなから二十万円がなくなりますので、そういった意味では、これは大使の公務にも差し支えることになりゃしないかという意味で、私は、日本料理ができるのは、奥さんがよほどうまくない限りは、これは大使館の料理人というものは極めて大きな力がある、影響力がある、見えない力があると、私はそう思いますので、是非この点についてはしかるべき配慮がされるべき、もっと配慮がされてしかるべきだと、私もそう思います。
  69. 高野博師

    ○高野博師君 時間で終わりますが、是非充実をさせていただきたいと思います。
  70. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 在外公館法は適当な措置であると認められますので、賛成であります。  今日は、横田基地の問題について質問したいと思います。  三月二十四日付けの朝日新聞が報じているんですけれども、在日米軍横田基地及び関連施設において、ジェット燃料などの有害物質漏れ事故が一九九九年から二〇〇六年までの七年間に九十件発生したことが米国の情報公開で明らかにされているとのことであります。  この七年間に横田基地やその関連施設で発生した有害物質の流出事故に関して、アメリカ側から発せられた事故は何件ありますか。そして、その内容はどのようなものだったのか、お伺いいたします。
  71. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) その報道については承知をしております。  平成十五年以降、横田飛行場及びその周辺施設からの油漏れについてアメリカ側から通報があったものとしては、平成十六年八月の所沢通信施設、これは横田の関連施設ですけれども、ここの地上ディーゼルオイル用タンクからのガス漏れについてアメリカから通報を受けております、油漏れね。残りのものについては、この報道でも八十一件は危険も被害も及ぼさないもの、あるいはそれ以下とされております。  御指摘の何件かというのが一件なんですが、その残りのものは一体どうなっているのかという意味を問われているんだと思いますけれども、これは、平成九年三月の日米合同委員会で、日本国民あるいはその他の方々で適用外になっている人たちに実質的な損害又は傷害を与える、若しくはその蓋然性があるものについては通報をするという合意となっておりますので、この報道については、現在、念のため残りのものを含めてアメリカ側に確認をしている最中です。
  72. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 アメリカからの通報は一件ということですね。そして、その蓋然性があるかどうかを判断するということになっていると、そういう説明もありました。  そこで、お伺いしますけれども、通報は七年間でわずか一件ということで、そうすると、なぜ通報一件、そして非通報が、この情報公開によると九十件、全体ですから、八十九件というギャップが生まれるんですか。
  73. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 今申し上げましたように、この報道の中でも、八十一件はまあ危険あるいは害を及ぼすものではない、あるいはそれ以下のものだとされております。そうではありますけれども、そうではありますけれども、日米合同委員会の決定に基づいてできるだけ速やかに日本側に通報をすることとなっておりますので、そのギャップを埋めるためにも、現在、すべての件、この案件すべての件についてアメリカ側に照会をしていると申し上げました。
  74. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 報道に余り頼らずに、やはり政府なんですから、アメリカにきちっと照会して、そして対応するということが筋だと思います。  お伺いしますけれども、横田基地以外にも米軍基地はたくさんあります。三沢、厚木、岩国、普天間、嘉手納基地について、この四つの基地について、ジェット燃料等の流出事故に関する米軍からの通報件数はそれぞれ過去何件あったでしょうか。
  75. 伊藤盛夫

    政府参考人(伊藤盛夫君) お答えします。  米軍施設・区域におきます有害物質の流出、漏出等につきまして、資料により確認できましたところでは、防衛施設庁の方に通報がありました件数は、三沢飛行場は平成十五年度に一件、厚木飛行場は平成十三年度に一件、十五年度に一件の計二件、岩国飛行場は平成十六年度に一件、嘉手納飛行場は平成十四年度に一件、普天間飛行場はございませんというふうな状況でございます。
  76. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 こういう計五件ということですけれども、横田と同じように日本が知り得ない、通報されていない流出事故があるかもしれない、その可能性が高いと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  77. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 今の御指摘は、その事件や事故の通報の範囲というのはどうなっているのかということだと思います。  これは、先ほど申し上げましたように、日本国民とその他地位協定の適用のない者の身体、財産に対して実質的な損害又は傷害を与えるケースと、若しくは実質的な損害、傷害を与える相当の蓋然性があるものという規定をしておりまして、その通報の対象となる事件、事故の例としてこういう表現になっています。危険物、有害物又は放射性物質の誤作用、それらを誤って使うこと、それから廃棄、流出又は漏出、漏れて出た結果として実質的な汚染が生じる相当な蓋然性というものが、AWGONですね、特別作業班の、このAWGONの規定の中に九項目にわたって例示してありますので、それに基づいて規則どおりきちんと実行を迫るというのが日本側の立場と承知しております。
  78. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 まあ説明をされましたけれども、可能性が高いということについては否定できないですよ、分からないわけですから。  それで、報道によれば、米側は流出量などによる分類を行っておりまして、日本の自治体に通報された一件は、流出量が一万ガロン、三万七千八百リットル以上で、危険度が公衆の健康や安全に深刻な脅威を与えるとされるカテゴリー一に該当するといいます。以下、通報されなかった八十九件はカテゴリー二から四にそれぞれ該当するということだと思います。  カテゴリー一というのは危険性が高いので、これに該当するものは通報したと推測はできるわけですけれども、しかし、米軍の判断なのでその点はよく分からないわけですよ。米軍のカテゴリーの分類というのはどんな基準になっているんでしょうか。
  79. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 米軍の内部で定めている基準ですから、それについて政府として判断する、こちらには立場にありません。  ただ、カテゴリー一から四までの区分という報道については承知をしておりますので、事実関係がどうであったのか、それから合同委員会の合意に基づいて通報するべき中身であったものが通報されていないのか、それも含めて今確認をしているところだと申し上げております。
  80. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その確認こそが大事なんですよ。報道云々ということとは関係なくやっていただきたいですね。  流出事故に関する米軍の基準を明確に把握する必要があると思います。米軍に対して流出事故の基準と八十九件の事故に関する資料をきちっと提出を求めて、そしてその結果をきちっと報告していただきたい。要求いたします。
  81. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 今申し上げましたようにアメリカ側に確認を行っておりまして、引き続きできるだけ早く回答をするようにこれからも再三、合同委員会の場だけではなくて、求めてまいりますけれども、仮に、日本側に示された資料を明らかにせよと、公開しろという点については、やはり米軍のオペレーションに関連する部分でもありますので、仮に資料の提示があったからといって必ず公開するということはこの場で申し上げかねます。
  82. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 公開を求めているんじゃなくて、報告してくれと、国会ですよ、ここは。そう申し上げているんです。
  83. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) その回答に基づいてできるだけ正確にきちんと報告をいたします。国政調査権を十分尊重させていただきます。
  84. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 米軍が使用する燃料の中には極めて有害な物質があるわけですね。それは、ちょうどこれまでも起こった事故の中でヒドラジンと呼ばれる有毒物質を積んでいるという、そのことがよく指摘されます。これは燃料を燃焼させ推進力を高めるために使われるわけで、腐食性があり、胸、皮膚、気道、肺などを腐食して、肝臓、腎臓、中枢神経などに影響を与え、発がん性があるとも言われている。  そこで伺いますけれども、横田基地は輸送機の使用が主ですけれども、このヒドラジンは使用されているんですか、いないんですか。
  85. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 米軍の航空機が使っている燃料の成分の逐一について政府が、日本政府が承知しているわけではありません。  逐一について承知はしていないという上で申し上げることでありますけれども、まあ航空機というのは安全面を十分考慮して製造されているものであるという認識の上に立って、このヒドラジンはF16戦闘機の緊急動力装置用の燃料といったごく限られた限定的な形で用いられているものだと承知をしております。  ちなみに、我が方、自衛隊関連では一切使用していないと承知をしております。
  86. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 国民の安全にかかわることですので、米軍の状況を忖度するんじゃなくて、これもやはりきちっと安全のために確認をしていただきたい。要望いたします。  実際に、事故を日本がきちっと把握できないのは、日米合同委員会で決めた通報手続に起因するのではないかと、そう思うわけですね。日米合同委員会には、先ほど大臣もおっしゃられましたけれども、汚染や損害、傷害が発生する蓋然性などが基準として書かれております。しかし、これ一体だれが判断するんですか。
  87. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 米軍による事件、事故の発生は、アメリカ側から通報を行うものである以上、そういう仕組みになっておりますので、一義的には米軍が判断することになります。元々米軍が日米地位協定で認められた施設・区域を管理しているわけですから、その内部で発生したものについては基本的には米側の、アメリカ側の判断によります。  したがって、日本側としては、日米双方が合意した合同委員会の決定を着実に実行していくと、そのことに努力するのが我が方の基本的な務めだと承知しています。
  88. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはり仕組みに問題があると思うんですね、仕組みに。通報基準は日本政府の環境チームが定める規制対象や数字を引いて合意しているわけではないわけですね。もちろん、具体的な規制内容や数字等を厳密に策定して合意しているわけでもない。それをきちっと定めないのはなぜでしょうか。
  89. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 今御質問のいただいた趣旨が、通報基準をもっと具体的にしておいたら仕組みとしていいのではないかという御指摘だと思いますが、米軍も、米軍内でのその環境基準その他の基準とそれから日本政府の基準の双方の中でより条件のシビアな方を取るという原則にそれでもなっておりまして、その規則をきちんと実行をさせていくということが基本的に大事だと思っていますけれども、御指摘の、もうちょっと基準を、通報基準をはっきりさせろと、数値ででも示したらどうかという意味かと存じますけれども、実質的に損害又は傷害を与える相当の蓋然性というのは、一体、発生をした場所とか、その事件、事故の具体的な状況とか、個々の具体的な状況に即して総合的に判断するのがまあ適切で、一概に数字だけで基準を示して当てはめていくということよりも、総合的な判断の方がより適切だろうと考えております。
  90. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 結局、答弁にありましたように、第一義的には米側の判断と、日本側というのはその米側がきちっと合意に基づいてやることを実行させると、求めていくという、そういう趣旨ですよね。そうすると、やはりあれだけ、横田で言うと九十件事故があって一件しか通報されない。報道によればとおっしゃるけれども、本当にそうかどうか分からないんですよ、問題がないかどうか。ですから、そういうことで考えたときに、やはりこの問題についてきちっとした形でやらなければ、仕組みがおかしいわけです、私に言わせれば。やはり仕組みの問題だということをおっしゃられました、答弁の中でも。  そうすると、日本政府は、通報されない案件についてすべて問題ない事故だと確信を持って独自に判断して、責任を持って住民に説明できると断言できますか。
  91. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 私は……
  92. 田浦直

    委員長田浦直君) ちょっと、もう時間が過ぎていますから、ひとつ簡単に答弁をお願いします。
  93. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 もう終わります。
  94. 浅野勝人

    ○副大臣浅野勝人君) 一言だけ。  私は、仕組みがまずいと申し上げたのではなくて、こういう仕組みで日米双方の合意を得て実行していると申し上げました。
  95. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後です。  やはりこの質問の中で、仕組み、アメリカの判断でこの通報が行われる。されない件は多数ある。そして、日本はそれについて知らされてこなかった。今照会中ということですけれども、これはやはり基地周辺の住民にとって非常に重大な問題ですので、このことをきちっとやっていただきたいと思いますし、同時に、結局は日米の合意の見直し、これが必要になってくるということを指摘して、質問を終わります。
  96. 田浦直

    委員長田浦直君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これから直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 田浦直

    委員長田浦直君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、浅尾君から発言を求められておりますので、これを許します。浅尾慶一郎君。
  98. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、ただいま可決されました在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   今日、国際情勢が不透明さを増している中、我が国に求められるのは国益を踏まえつつ、国際社会との協力・連携の下、国際的諸課題に毅然と対応する外交力であり、そのためにも我が国外交を担う外務省の体制強化と危機管理体制の抜本的改革が急がれる。他方、我が国の財政事情は依然として厳しく、外務省においては組織改革や手当の見直しに際し、こうした国内事情を重く受け止め、とりわけ外務公務員の手当に向けられる国民の声に真摯に応えていく必要がある。   これらを踏まえ、政府は本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。  一、外務省においては、国際社会の諸問題に的確に対応し、国益を重視した外交を遂行するため、外交体制強化に向けた組織改革を不断に推し進めること。  二、国際機関における幹部職員を含め邦人職員の増強に向けて国際社会に通用する人材の一層の育成を図るとともに、援助や平和構築など様々な分野において高級幹部も含め外部の人材の積極的活用を図ること。  三、我が国外交の最前線基地である在外公館等の新設に関しては、我が国の国益と相手国との相互主義の原則等を踏まえ、戦略的にその増強・整備に当たること。  四、在外公館においては、大規模自然災害や犯罪・テロ等の緊急事態における在外邦人に対する迅速かつきめ細やかな支援を可能とするため、危機管理体制の機能拡充に努めること。  五、情報の収集・分析体制の強化のため、情報収集等に要する経費の充実及び人材確保に努めること。  六、我が国の厳しい財政事情を厳粛に受け止め、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるとともに、その執行に当たっては、適切な支出が図られるよう具体的な措置を講ずること。  七、在勤手当については、国内の財政状況外交活動を推進する上での必要性を踏まえ、民間企業、諸外国の外交官給与・手当の水準及び各任地の事情にかんがみ、為替・物価等の変動が反映される形で客観的に算出されることにより、必要に応じて在勤手当全般にわたる内容の見直しを行うこと。  八、在外公館における監査・査察体制の一層の強化を図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  99. 田浦直

    委員長田浦直君) ただいま浅尾君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  100. 田浦直

    委員長田浦直君) 全会一致と認めます。よって、浅尾君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、麻生外務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。麻生外務大臣
  101. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を可決いただきまして、誠にありがとうございました。  外務省といたしましては、ただいまの附帯決議の御趣旨を踏まえつつ、今後とも外交実施体制の強化を図り、種々の外交課題に全力で取り組んでまいる所存であります。
  102. 田浦直

    委員長田浦直君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 田浦直

    委員長田浦直君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  104. 田浦直

    委員長田浦直君) 所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府フランス共和国政府との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国フィリピン共和国との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。麻生外務大臣
  105. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府フランス共和国政府との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明させていただきます。  政府は、平成八年に締結されたフランス共和国との間の現行の租税条約を改正する議定書締結するため、昨年一月以来交渉を行ってまいりました。その結果、本年一月十一日にパリにおいて、我が方飯村在仏大使と先方コペ予算・国家改革担当大臣との間でこの議定書に署名を行った次第であります。  この議定書による改正の内容は、配当等に対する限度税率を引き下げること、就労者が自国の社会保障制度に対して支払う社会保険料について、所得控除を相互に認めること等であります。この議定書締結により、我が国とフランスとの間での課税権の調整が更に図られ、両国間の経済的、人的交流等が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国フィリピン共和国との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和五十五年に締結されたフィリピン共和国との間の現行の租税条約を改正する議定書締結するため、昨年五月以来交渉を行ってまいりました。その結果、昨年十二月九日にマニラにおいて、我が方山崎在フィリピン大使と先方テベス財務長官との間でこの議定書に署名を行った次第であります。  この議定書による改正の内容は、配当等に対する限度税率を引き下げること、みなし外国税額控除の適用範囲を拡大しつつ、十年間の適用期限を設けて将来的に廃止することであります。この議定書締結により、我が国とフィリピンとの間での課税権の調整が更に図られ、両国間の経済的、人的交流等が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  最後に、社会保障に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  従来からオーストラリアとの間には、人的交流に伴って生ずる年金制度への二重加入等の問題があり、政府は、この問題を解決するため、オーストラリア側と、平成十七年六月以来、協定の締結交渉を行ってまいりました。  その結果、本年二月二十七日にキャンベラにおいて、我が方上田在オーストラリア大使と先方ブラフ家族・地域サービス・原住民問題大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、日豪間で年金制度の適用の調整を行うことを目的とします。具体的には、年金制度への加入に関し、就労が行われている国の法令のみを適用することを原則としつつ、一時的に相手国に派遣される被用者の場合には、原則として五年までは自国の法令のみを適用すること、及び保険期間の通算による年金の受給権を確立すること等を定めるものであります。  この協定の締結により、年金制度への二重加入等の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、両国間の人的、経済的交流が一層緊密化されることが期待されます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いを申し上げます。
  106. 田浦直

    委員長田浦直君) ありがとうございました。  以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二分散会