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赤羽委員 今の
総理の御答弁、きょう配付している、また用意している資料を見れば、
総理の言われているとおりだということがわかると
思いますので、出したいと
思います。
まず、実質GDPの成長率、二〇〇一年マイナス〇・八%から近年は約二%を超える成長率になった。失業率も、二〇〇二年には五・四%、三百六十万人が、ようやく四・一%まで鎮静化してきた。有効求人倍率につきましても、一九九九年がボトムですが、〇・四九。これは本当に、
東京だけではなく、全国どこへ行っても就職先がない。ですから、失業して再就職ができない。もう本当に再チャレンジがどうなるのかということが言われた
状況でありましたが、有効求人倍率は全国の平均で一・〇八。不良債権比率は、二〇〇二年に八・四%をつけておりましたが、現在、主要行でありますけれ
ども、二〇〇六年九月では一・五%に減少した。倒産件数と倒産の負債金額、これは二〇〇〇年度で負債金額二十六・一兆円という大変大きな負債金額でありましたが、二〇〇六年の段階では五・五兆円に減少した。
こういったことでありまして、
総理の御答弁のとおり私も
思いますが、まさに
構造改革がなければ、この十年間はまさに十年前と同じような
状況、暗い
状況。
東京に行っても
地方に行っても、どこもいいところがない。どの業界、どの業種を見ても、先の展望が全く見えない。一流
企業と言われている社員もいつリストラに遭うかわからない。リストラされると再チャレンジできない。こういった暗い
状況だったと思うんです。
その中、まさに
構造改革をやればこういう結果が出るということは見えなかった中で、しかしやらなければいけないという中で、
自民党、公明党の政府・
与党挙げて
構造改革をしてきた。これが、現状、マクロの
数字はよくなってきた。
しかしながら、
総理の御答弁にもありましたが、地域によって、業種によって、その効果のあらわれ方が違う。大都市
東京はいいけれ
ども、
地方に行くとまだまだだ、神戸もまだまだだなというのが
実感でございます。また、業種においても、元気な業種もあれば、まだ元気じゃない業種もある。
企業でいうと、おおむね大
企業はかなりよくなってきているけれ
ども、
中小企業でまだ苦戦している。こういったバランス、格差が見られる現象というのは、ある意味で
構造改革の途上として起き得る現象だと僕は思うんです。
人間の体に例えても、大変成人病を患って、何とか体質改善しなければいけない、まずダイエットをする。その中で、ダイエットで体重は落ちたけれ
ども筋肉質に変えなければいけない、その途上で血圧の
数字がどうだとか一時的な
状況が生まれているということはよくあることだと思うんです。
しかし、大事なことは、一途上の現象を固定化させない、それを固定化させないように追っての再支援策というか、具体的な適切な施策を打っていかなければいけない、こう私は思うのであって、この
構造改革を否定するということは、十年前の
状況の方がいい、どこの地域に行っても真っ暗だ、どこの業種に行っても、いつもリストラされるかどうかびくびくしている、こういった
状況の方がいいというような話になるのであって、断じて正しくない見解だということを私の意見として申し上げておきたいと
思います。
この克服していかなければいけない一つ目の
課題で、要するに、
企業部門の収益というのはあのバブルを超えるような収益が上がっている、その
企業部門の収益を
家計部門にしたい、これは
総理も先日の御答弁で申されたとおりであります。
「
企業の労働分配率の推移」と「
利益配分のスタンス」というお手元に配付している資料を見ていただきたいのですが、
利益配分について、大
企業、
中小企業それぞれの経営者に回答を求めています。何に
利益を配分しておりますかと。
設備投資ですか、内部留保ですか、株主への還元ですか、有利子負債の削減ですか、新商品の開発ですか、
従業員への還元ですか、こういったことで三つ選ぶアンケートがされているというデータでございます。これは法人
企業景気予測調査、
平成十八年の十月から十二月の調査でございます。この下ですね。
これを見ますと、大
企業は、製造業、非製造業、おおむねそうなんですが、一、二、三というのは
設備投資、内部留保、そして株主への還元なんです。押しなべて、
従業員への還元というのは最下位なんですね。相当パーセンテージも開いております。一方では、
中小企業は、逆に言うとそんなに余裕がない。内部留保、
従業員への還元が二位なんです、
設備投資。こういった、大
企業と
中小企業の
利益配分における実態というのは相当ある。
そして、一方で、先ほどの
質問にも出ておりましたが、労働分配率の推移等を見てみましても、
中小企業における人件費というのはやはり高推移で移動している。大
企業の方は、最近、
景気がよくなってきたという
状況の裏腹だと
思いますけれ
ども、分配率は四六・七%と、この二十年間を見ても今一番低くなっている。それだけ余裕が出てきたという
数字だというふうに思っております。
私がここで申し上げたいのは、最近の
企業の経営者に話をすると、
企業はだれのものか、こういう問いに、株主のものだ、こう即答される方がたくさんいらっしゃるんですね。それはもちろん一面の真実です、株式会社ですから。しかし、株主と同時に
従業員、社員のものである、私はそう思う。
日本型の経営というのは、やはりアメリカ型の経営とはちょっと違って、会社に入る、そこに対して、会社を
自分の会社として、ロイヤリティーというか、忠誠心を持ちながら大変な勢いで
仕事をする。その結果として、世界でも大変な業績を上げている
日本の
企業というのが現出してきたという歴史がある、事実がある。
どうも、この十年間、
構造改革という中で、大変な三つの過剰、債務の過剰、
設備投資の過剰、そして
雇用の過剰ということを削減していく過程の中で、アメリカ型と言ったらちょっと適切ではないかもしれませんが、その
企業文化について若干冷たくなっているのではないか。
ですから、私が申し上げたいのは、
構造改革の途上、プロセスで、こういった
設備投資を控える中、何でも控える中でなかなか
従業員の給与が上がらなかったのは、これはやむを得ないことだとは
思いますが、まさにようやく明るさが出てきた、
利益も上がってきた、今こそやはり、
企業はだれのものか、株主と同時に
従業員のものである、こういった考えから、やはり
従業員の給与というのをもう少し還元率を上げるべきだというふうに
思いますが、その点について率直な
総理の御見解をよろしくお願いしたいと
思います。