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尾身国務大臣 税制
改正についていろんな御質問がございまして、私も先ほどから
説明をさせていただきたいと思ってうずうずしておりました。
定率減税でございますが、定率減税は一九九九年一月から
実施したものでございます。小渕政権のときでございまして、あのときの、今から七、八年前を思い出していただきたいのでございますが、経済が大変な
状況でございました。失業率四・三%、有効求人倍率に至っては〇・五だったんです。今は一・〇八でございまして、求人の方が求職より多い。その求職と求人の比率が半分になっている、そういう
状況でございました。いわゆる不良債権も、あの当時は全体の債権の六・一%、現在はほとんど解決しておりまして、一・五%という、不良債権問題は解決したと言われているわけでございます。さらに、長期信用銀行の倒産があったり日債銀の倒産があったりして、経済が大変な
状況でございました。
これを何とかしなければならないということで、臨時異例の措置として減税をしたわけでございます。その減税は、むしろ高額
所得者に対しては緩くして、中低額
所得者に対して非常に大きな減税をいたしました。
具体的に言いますと、
所得税については、二十五万円を限度といたしまして納税額の二〇%を減税いたしました。したがいまして、これは低額
所得者に物すごく厚い減税でございました。住民税も、四万円を限度として
所得割の一五%を控除するということでございました。
その減税を、二年前の、ほぼ経済が正常な状態に戻ったということで、前に行った減税をもとに戻すということでございました。したがいまして、前に低額
所得者、中額
所得者に厚い減税をしたわけでございますから、その分だけは戻すということになれば、その分の減税をもとに戻すという効果が出たのは当然のことだというふうに考えております。
それから、もう
一つ言われましたのは年金課税の問題でございます。
十六年度に、世代間、高齢者間の税の不公平感、つまり、高齢者については、同じ
所得であっても税が非常に低過ぎる、若者の
世帯、働く
世帯について、これは子育て世代もそうなんでありますけれ
ども、同じ
所得でありながら高齢者に比べて税が非常に高い、そういうことを是正するべきであるということで、例えば公的年金控除、六十五歳以上の
方々の上乗せの措置をやめたり、あるいは老年者控除を廃止したということでございます。
しかしながら、なお、働き世代、つまり子育て世代も含めた働き世代の税金は、同じ
所得であっても高齢者の
世帯よりも高い、そういう差別がついているわけでございます。
この具体的な数字を申し上げますと、二百八十万円の高齢者
世帯の場合は、基本的には税負担が生じておりません。しかし、同じ二百八十万円の
所得であっても、夫婦で二人、若者の場合には、いわゆる働き世代の場合には、
所得税が四万円、住民税が八万円で、合計十二万円の税負担がかかっているわけでございます。
そういう意味で、今でもなお、同じ
所得であっても、高齢者についての税は優遇をして、働き手の方に高齢者に比べて高い負担がかかっているという
実態にございます。したがいまして、高齢者について非常に厳しいという御批判は当たらないというふうに考えております。
企業減税についても申し上げます。先ほどお話がございました。
減価償却、九五%を今度は一〇〇%にすることにいたしました。したがいまして、今、経済が国際化する中で、企業がどの国を生産拠点、経済活動の拠点として選ぶかということを決められる時代になりました。日本も、そういう意味で税制において諸外国とイコールフッティングの税制にしなければならない、そういう考え方のもとに
改正をしたわけでございまして、減価償却については、今まで九五%しか償却を認めていなかったのは日本だけでございまして、それを、ほかの国並みに一〇〇%の償却を認めるということにしたわけでございます。
なお、これは大企業に固有のものではございませんで、中小企業も全く同じにしたわけでございまして、大企業優遇という批判は当たらないと考えております。
まだ申し上げたいんですが、時間がございませんから、まだ幾つか残しておりますが、これでとりあえず終わりにさせてもらいます。