○大島(理)
委員 一九八九年、ベルリンの壁が壊れました。ふと今、
総理がそうおっしゃっていただきましたので
思い出しておりますが、私は海部
内閣で副
長官をやりまして、湾岸戦争一次が起こりました。当時は、日米構造協議、政治改革、そして湾岸戦争、いかに世界に
日本が貢献するか、初めてのすごく大きな課題でありました。ひょっとしたらあの湾岸戦争も、米ソ冷戦構造の壊れた結果から生まれた部分もあったのかもしれません。
総理の今のお答えの中で私なりに解釈いたしますと、大きな戦後のレジームの変化あるいは二十一世紀の変化につながるものというのは、
一つは、政治の壁、東西の壁がなくなったということでありましょう。それから、市場のグローバル化ということも
総理はおっしゃられたと思うんです。あるいは技術革新のスピード、それをITということでも
お話しされました。
そういうふうなもろもろの大きな変化の中で、私は、特にこのグローバル化という問題について、ひょっとしたら、今私
どもも何げなく使うのでございますが、世界が、国々が、一人一人がどのように対応していったらいいんだろうか、どのように生き抜いていったらいいんだろうか、すべて毎日考えながら生きている。そういう
意味では、グローバル化の中でも市場のグローバル化というのが、非常に大きな波として私
どもに今宿題を与えているような気がするのでございます。
そのときに、小泉政治の役割というのは何だったのかというと、先ほど
総理が
お話しされました。市場のグローバル化に伴って、
日本の仕組み、その中に市場と効率、競争と効率というパラダイムというか原則を打ち立てて、そこで進む、これはこれで
一つの大きな役割であったと私は
思います。時代の要請であったと
思います。加えて、まさに戦後六十年積み重ねてきた財政上の問題もあるでしょう。小泉政治は、官から民、改革なくして成長なし、こういう
言葉の中でそこに見えたのは、競争と効率であったと思うのであります。
それを踏まえて、今、
安倍政治がスタートしたわけでありますが、市場のグローバル化というものに打ちかたなければならない
政策はさまざまにございます。やってきました。甘利
大臣のもとでのいろいろな通商
政策もそうでございましょうし、科学技術もそうでございますし、いろいろやってきた。しかし、私たちは、打ちかつことだけではなくて、そこで押し寄せている、極端に言うと負の部分というものを今きちっと見詰めながら
日本の国づくりをしていこうということをしなきゃならぬ。まさにそれが美しい国だと私は思うんです。ですから、まさに今の時代の要請だと思うんです。
だとすれば、その市場のグローバル化が寄せてきている私たちの問題、あるいは世界の問題、五つ六つ私はあるんだろうと思うんです。
一つは文化です。ですから、さまざまな本の中に、「文明の衝突」とか歴史は終わったとか、そういう、立派な
方々の御本もございます。もっと言えば、
総理が言う、
自分たちのアイデンティティーがどうなるんだろうか。ですから、市場のグローバル化は、
一つは、文明、文化、これにさまざまな影響を与えている。
もう
一つは、やはり格差だろうと私は思うんです。格差という
言葉は後でまた申し上げますが、例えば世界じゅうで見た場合に、アフリカと先進国、あるいは食料のない国と富める国、これはやはり、そのことの起こった原因は先ほど言ったそこにあると私は
思いますが、格差という問題に対してきちっと見る必要がある。当然、競争という原理が入れば、負ける人があります。したがって、その格差という問題は、やはり世界じゅうで、アメリカの政治の論争にもなり、フランスのあるいはヨーロッパの論争にもなり、
中国にも起こり、この問題をそれぞれの国がどう考えるか、世界がどう考えるか、これが二つ目だろうと思うんです。
三つ目は
環境なんだろうと私は思うんです。やはり、人間が生存するために富として豊かにならなきゃならぬ。そうすると、地球
環境という問題にどう取り組むか、これも大きな私
どもの課題だろう、こう思うんです。
四つ目は、エネルギー、資源、これは食料も含めてそうだと
思います。
最後は、
国民国家そのものも、ある
意味では、極端な市場原理主義的な
方々の論をもてば、もはや
国民、国家の存在はないという議論すら数年前はございましたが、このごろは少なくなりました。しかし、
国民、国家そのものがどういくか、まさにこれも、
総理の言う美しい国なんだろうと私は思うのでございます。
そこで、
総理の施政方針演説の中に私はすばらしい点があると思うんです。そこをもう少し我々も
国民に向かってアピールしていかなきゃいかぬ。それは、先ほど
総理の
言葉にありました。
活力とチャンスと優しさということを言ったんです。これこそ、小泉政治から
安倍政治への大きな変化だと私は思うんです。もう少しそこをどんどん
総理はおっしゃった方がいいと思うんです。
つまり、
活力そしてチャンス、これは、市場グローバル化に対する、我々
自身が生きていかなきゃならぬ、あるいはそのための施策をしなきゃならぬ哲学。一方、優しさということを
総理はおっしゃいました。このバランスこそまさに美しい国の原点である、私は高く評価いたします。
したがって、小泉政治から
安倍政治への変化、私はそのようにとらえていますが、改めてもう一度
総理の所感を私はお伺いしたい、こう
思います。