○佐々木隆博君 民主党の佐々木隆博でございます。
私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま
議題となりました
株式会社日本政策金融公庫法案及び
株式会社日本政策金融公庫法の
施行に伴う
関係法律の
整備に関する
法律案につきまして、
渡辺喜美国・
地方行政改革担当大臣に
質問をいたします。(
拍手)
政策金融改革は、今ほど
大臣からも答弁がありましたが、官から民へ、
民間でできることは
民間にというキャッチフレーズのもと、郵政
改革に次ぐ二の丸として、小泉前政権が取り組まれてきた重要課題であります。しかしながら、今、小泉
改革とは何であったのかを振り返ったとき、この官から民へ、
民間でできることは
民間にというわかりやすいフレーズがいかに多くの危険な意味を含んでいたかについて、私は戦慄を覚えざるを得ません。
このような単純、簡潔な言葉で
国民が惑わされた結果、格差の拡大、弱者の切り捨て、
地方の衰退、ゆとりを失った教育などという形となって、日本じゅうが今、暗い影で覆い尽くされているというのが今日の偽らざる実態ではないでしょうか。
小泉構造
改革は、
改革を至上命題とするばかりに、弱者に対するセーフティーネットに欠けるものでありました。そして、
安倍内閣は、小泉前政権の
政策をそのまま受け継ぐだけで、何ら指導力が発揮できず、荒廃した
我が国を救う力を持ち合わせていないのは明らかであります。
さらに、今、私は、本
法案を初めとする
政策金融改革関連
法案を眺め渡したとき、
改革の本旨を見失った小泉
改革の負の遺産をここに再び見る思いがしてならないのであります。
政府の失政により、
我が国の
金融界はここ十数年の間、まさに
混乱のきわみでありました。かつて
民間金融機関は、中小企業に対する身勝手な貸し渋り、貸しはがしに奔走し、
国民の間には
銀行に対する強い不信感が生じたことは否定できません。こうした事態を受け、
政府系
金融機関に対しては緊急避難的なセーフティーネットとして期待が高まり、現実に大きな
役割を果たした時期があったことは紛れもない事実であります。
しかしながら、二〇〇二年以降、
経済財政諮問
会議を中心にして行われてきた
政策金融改革の議論は、貸出残高の半減や組織の一本化など、単純かつ表面的な大義名分ばかりが優先され、本来、どのような
機能を
政策金融が持つべきかということについて十分な議論が尽くされた感はありません。
中小零細企業や農林漁業者などの小規模事業者や、格差拡大により大きな影響をこうむっている
個人にとって、
政策金融機関と
民間金融機関はそれぞれどのように
機能し、またどのように
役割分担すべきかについて十分に検討されたのでしょうか。組織
体制の一本化や貸出残高半減の議論は、その検討の結果として当然に帰結されるべきものだったのではないでしょうか。この点、私は、どうしても順序が逆だったような気がしてならないのであります。
そこで、改めて伺います。
政策金融が
国民に対して果たすべき
機能は何であるのか、そしてその
観点から、今次の
改革では何を
実現しようとしているのか、すなわち
政策金融改革の本来的な
目的と
意義というものについてお答えください。
あわせて、新
公庫は、会社法上の株式会社であり、
政府が株式を全額保有する特殊会社であるとされております。言うまでもなく、新法人は、
民間の補完に徹しながらも、
民間金融機関のみでは適切な
対応が困難な
分野について
業務を行うものですから、公的な性格を帯びたものであることは言うまでもありません。組織形態については独立行政法人とすることも検討されたようでありますが、会社法上の株式会社とすることについて、どのようなメリットが生じるのか、明快な答弁をお願いいたします。
次に、新
公庫の今後の
業務のあり方について
質問いたします。
戦後の復興期に相次いで
設立された
政府系
金融機関は、
民間金融機関が供給することが困難な
資金を融通することを
目的として、中小企業や農林漁業の育成に大きな寄与を果たしてきました。しかしながら、
我が国経済の
発展につれて、
政策金融が果たすべき
役割は大きく変化し、肥大化したその
機能を大幅に縮小すべき必要性があることはだれの目にも明らかであります。
平成十七年十一月に
経済財政諮問
会議が取りまとめた
政策金融改革の
基本方針においても、
政策機能を絞り込む
方針は明らかにされておりますが、本
法案に示された新
公庫の
業務のあり方を見ても、その大きな
目的が達成されているのかの疑問を感じざるを得ません。
統合の名のもとに旧
公庫の
業務を単にホチキスどめし、
業務の限定もごくわずかであって、真に必要な
分野のみに特化したとは到底言い切れないと感じるのは私だけでしょうか。本
法案には、今後も新
公庫の
業務のあり方について検討し、
業務の廃止等の
措置を講ずる旨の
規定がありますが、これを思い切って大胆に進めることが肝要です。この点に関する今後の
方針について答弁を
求めます。
なお、官僚による恣意的な影響力を排し、無駄や非効率を解消して、スリム化、
効率化を目指すということも
政策金融改革の大きな
目的の
一つです。従来の縦割り行政の弊害をなくすことができるかどうかが、この
改革の成果を判断する
一つの試金石となっていることは間違いありません。
しかしながら、この点においても、私は懸念を感じるものであります。新
公庫は、当面、
国民生活金融公庫、
農林漁業金融公庫、
中小企業金融公庫及び
国際協力銀行の四
機関が
統合して発足しますが、これら
統合によるコスト削減効果はいかほどのものでありましょうか。
民間銀行の合併では、支店の
統合で大きな
合理化効果が生じています。
政府は、
統合対象となる旧
公庫の合計二百三十三の国内店舗のうち、
平成二十年度と二十一年度の二年間において、差し当たり二十四店舗の統廃合を行う予定と伺っておりますが、これは余りにもゆっくりしたものではないでしょうか。旧
公庫の支店が重複して
存在する都市は多数
存在しますが、これらの都市においてはすぐにでも支店の
統合を進めるべきであります。あわせて、
職員数や給与基準の見直しによる人件費の圧縮や、資産の売却などによる
合理化も重要です。
そこで、
質問をいたします。
支店の
統合、人件費の圧縮、資産の売却などをどのように進めていくのか、これらによるコスト削減効果はいかほどのものであるのか、具体的な数値目標をお答えください。
また、新
公庫では、旧
公庫の
業務区分ごとに内部組織が設けられ、これらの区分に応じて経理を別にし、勘定も別にすると予定されております。しかしながら、勘定を別にする根拠については、「
政策金融改革に係る制度設計」では、
政策の
実施に係る責任を明確にするためとしているだけで、その具体的な理由はあいまいもことしたものです。責任の所在が複数あることは、かえって責任の所在があいまいになることではないでしょうか。責任を明確にするという文言は、聞こえはよいのですが、これはむしろ省庁の縦割りを温存し、役所の恣意的な影響力行使を天下り先で維持することになってしまうのではないでしょうか。ここに本当の意図があるとしか私には思えてならないのであります。
責任を明確にするという言葉は、どのようなときに、だれがだれに対してどのような責任を担うという意味なのか、想定される具体的ケースについてお答えください。
さらに、
国民の最大の
関心事である天下りの問題について
質問いたします。
これまで、
政府系
金融機関は霞が関の官僚たちにとって天下りの牙城とされてきました。天下りは
国民の大きな批判を呼んでおり、この解消は
国民的
関心事であります。
行革
推進法では、この点について、特定の公務を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮するものとすると
規定しております。また、本
法案でも同様の条文がありますが、ここで言う配慮の意味するところは何なのでありましょうか。配慮だけでは骨抜きにされるのは明らかであり、この
趣旨を生かすためにはさらに強力な
措置が必要と考えます。新
公庫において天下りの弊害を解消するための具体的な方策についてお伺いいたします。
また、あわせて伺いますが、
現行の旧
公庫の
経営陣は所管官庁の出身者が多くを占めていることは、周知の事実であります。天下りによる弊害の解消を目指す行革
推進法の
規定の
趣旨を踏まえると、新
公庫の発足に当たっては、よもや旧
公庫のトップがそのまま横滑りし、新
公庫の
経営陣に居座ることはないとは思いますが、念のために、その点について明確な答弁を
求めます。
最後に、私は、借り手の立場に立った
改革が実行されるかどうかということも、今次の
改革の大きなポイントであると考えます。
三月二十五日に能登半島地震が発生いたしました。このような場合、国金、中小企業
公庫、商工中金等が低利融資を
実施してまいりました。こうした災害においては、一日も早い連携と発動が必要であります。新
政策金融機関においても
危機対応は重要な
役割であると考えますが、
大臣の決意と
所見を伺います。
政策金融改革において、
合理化が大きな
目的とされているのは当然のことでありますが、それを最優先する余り、借り手に甚大な犠牲を強いるものであってはなりません。特に、中小企業や
地方の
経済界からは、一連の
政策金融改革が弱者切り捨てになるのではないかとの懸念の声が上げられております。発足までの移行期間において、借り手の立場に配慮することは当然のことではありますが、
改革した結果、
国民生活、中小企業、農林漁業者に対する
資金ルートが断たれてしまうようなことがあってはなりません。
国民生活や
地域経済に対する
業務継続のあり方について、その
方針を伺います。
私は、
改革を全面否定するものではありません。しかし、この間の小泉・安倍
改革は、規制を緩和していろいろなことにチャレンジしてみろと言われ、飛び込んでみたら、そこにあるネットは余りにも大きな編み目であり、九割の
国民は地面にたたきつけられ、立ち上がれない状態で、今度は再チャレンジだ、イノベーションだと言われているような状況であります。
つまり、小泉・安倍
改革は、機会の平等を奪い、格差を拡大してきた
改革なのであります。
改革には、民主党の主張する公正と公平と共生のセーフティーネットがあってこそ
改革があるのだということを申し上げて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣渡辺喜美君
登壇〕