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伊吹国務大臣 まず、
先生、
政治家としての道義あるいは感情ということは
一つあります。それは私も決して軽視をするわけではありません。そのことは、翻って、国と国との間の友好あるいは品格ということにはなってくると思います。しかし、現実の国際社会というものは、国際法と
条約によって国と国との
関係が守られている、秩序は維持されているということは、これはもう厳然たる事実です。
御
承知のように、昭和四十年に、日韓の国交正常化に際して、我々は
条約を結んだわけですね。そして、お互いの負っている賠償あるいはその債務についてどう処理するかということを国と国との間で約束をした。そしてその際に、先ほど
政府参考人が申しましたように、
文化財及び文化
協力に関する
日本国と大韓民国との間の協定というものを結んで、それについては
国会での
批准をいただいているわけですね。その中で、
我が国は、
文化財の三百五十九件、千三百二十一点を韓国に贈与するということによって、この問題は国際法上の決着はついているわけです。
韓国あるいは韓半島由来の
文化財がどういう形で
日本に来ているかということについては、正常な商取引によって来ているものもあれば、あるいは、
日本として韓国に対し贖罪的な意識を持たねばならないような形で
日本に来たものもあるかもわかりません、それは。ですから、そういうことは私たちも十分心の重荷として背負いながら日韓
関係を動かしていかねばならないということは、これはもうだれも否定できないことです。
ただ、
法律上は、国際法上の決着はついているという問題ですから、それは、
法律と、
政治家としての道義を
考えて、これからの日韓
関係をどう動かしていくかということは、少しそれを
先生、余り混同してやってしまうと、国と国との
関係はかえって情緒的になるんじゃないでしょうか。